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1960/05/30 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第31号
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1960/05/30 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第31号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第31号
昭和三十六年五月三十日(火曜日)
   午前十一時二十六分開会
   ―――――――――――
  委員の異動
五月二十六日委員山本杉君及び徳永正
利君辞任につき、その補欠として田中
茂穂君及び西田信一君を議長において
指名した。
五月二十九日委員西田信一君、横山フ
ク君、田中茂穂君及び坂本昭君辞任に
つき、その補欠として徳永正利君、大
泉寛三君、山本杉君及び光村甚助君を
議長において指名した。
本日委員大泉寛三君、久保等君及び光
村甚助君辞任につき、その補欠として
横山フク君、永岡光治君及び坂本昭君
を議長において指名した。
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     吉武 恵市君
   理 事
           加藤 武徳君
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委 員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           相澤 重明君
           小柳  勇君
           永岡 光治君
           藤原 道子君
           光村 甚助君
           相馬 助治君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 古井 喜實君
  政府委員
   厚生政務次官  安藤  覚君
   厚生大臣官房長 高田 浩運君
   厚生省社会局長 太宰 博邦君
   厚生省保険局長 森本  潔君
   厚生省引揚援護
   局長      畠中 順一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   大蔵省主計局主
   計官      岩尾  一君
   厚生省保険局健
   康保険課長   加藤信太郎君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○健康保険法及び船員保険法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○理事の補欠互選の件
○社会保障制度に関する調査
 (青森、岩手両県における火災の被
 害状況及び救助実施状況に関する
 件)
○日雇労働者健康保険法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について報告を申し上げます。
 五月二十九日付をもって坂本昭君が辞任し、光村甚助君が選任され、また、横山フク君が辞任し、大泉寛三君が選任されました。五月三十日付をもって久保等君が辞任し、永岡光治君が選任されました。
 以上、報告をいたします。
   ―――――――――――
#3
○委員長(吉武恵市君) 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#4
○徳永正利君 この法案が提出されました機会に……。いくさが終わりましてから十六年たっておるわけでございますが、今まで法律の内容において、あるいはまた、その均衡の問題においていろんな矛盾が出て参っておるのでございますが、今までの厚生省の態度というものはどうも前向きに戦争の跡始末を一ぺんつけてやろうという熱意に欠けておるのじゃないか。いつも何か引っ込み腰でやっておられるから、いつまでたってもこんな小さい問題が、しかも人数にしても予算にしても大したことがない問題がくすぶっている、こういうような感じが私はするわけなのです。
 まず、大蔵省の関係の問題で、お忙しいようですから一、二点だけお伺いしたいのですが、昔の陸軍、海軍の共済組合の規定で――旧陸軍と旧海軍に徴用されておった方々が戦時災害でなくなった。その場合に、片方の旧陸軍の方は、昭和二十六年の六月に規定を設けて、戦時災害で死亡した旧陸軍部内の軍属、主として共済組合員なんですが、この遺族に殉職年金を支給することを定めております。さらにこの規定によれば、昭和十六年十二月八日、大東亜戦争勃発にさかのぼって適用する、こういうことで、一定のいろいろな条件がございますが、その条件が満たされている限りにおいては、殉職年金の対象者としております。ところが、旧海軍の関係の方は、昭和二十年四月にこの共済組合の規則の一部を改正しまして、戦時災害で死亡した組合員の遺族に殉職年金を出すことにしたのですが、その適用が昭和二十年の四月一日以降としている。で旧陸軍の方は、それ以前のすなわち昭和十六年の十二月八日からやりましょう。旧海軍関係は昭和二十年の四月一日からやりましょう。こういうことになっているのであります。これはもうよく大蔵省の方御存じだと思います。なぜこういうことになっておるのか、その点を一ぺん御説明をお願いしたい。
#5
○説明員(岩尾一君) 旧令共済の問題でございますが、ただいま御質問ございましたように、海軍と陸軍におきましてやや取り扱いが違っております。陸軍の方は、たしか規則で今申したようなことをやっておるわけでございますが、海軍の方は、共済それ自体を改正したのですが、それが二十年四月一日というふうに改正しておる、それ以後のものしか適用しないという結果になっておる。この旧令共済の規定については、いわゆる臨時措置法によりまして現在大蔵省がこれを引き継いでおるわけでございますけれども、その措置法が、旧令共済自体が掛金と給付ということである計算のもとででき上がっておる、その権利義務をそのまま承継するという立場で措置法ができておりまして、それに対して新しい権利を付与しあるいは義務をつけるというようなことは考えておらないわけでございます。従いまして、先生のおっしゃいましたような新しい問題でその不均衡を是正するということは、一つの権利をさらに付加するということになりますので、現在の状況ではむずかしいのではないか。それから今、陸海軍におきまして、遺族年金につきましてはそういうような不均衡があるわけでございますけれども、なお、内部的には、それ以外にも、たとえば女子について陸軍は遺族年金があって片方がないとか、あるいは傷害におきましても、陸軍は一項症から六項症まであるけれども、海軍は一項症から四項症というふうに、そういった違いもございますので、一つだけ調整いたしましても、ほかがまたそういった不均衡があるわけでございますから、現在においてはこれをどうこうということはむずかしいのじゃないか、こういうことでございます。
#6
○徳永正利君 それではお尋ねしますが、殉職年金の、戦時災害によって、敵の爆撃を受けて死んだ、そういう工員の方々が陸軍では今何人くらい適用されておる、あるいは海軍では何人くらい適用されておる、その数字がわかりましたらお答え願います。
#7
○説明員(岩尾一君) 本件は給与課の所管でございますので、今ちょっとほかの委員会に出ておりますので、後刻数字を持って参ります。
#8
○徳永正利君 先ほど非常にむずかしいというお話でしたが、私は大してそうむずかしい問題ではないのじゃないかと思うのです。
 で、共済組合法というのは、これは一本の法律なんですか、海軍旧令共済組合あるいは陸軍旧令共済組合というふうに別々になっておるものですか、どうですか。
#9
○説明員(岩尾一君) 別々の法律でございまして、それを措置法でそのまま引き継ぐというふうになっておるわけでございます。
#10
○徳永正利君 大蔵省でそれを引き継がれて、大蔵省で引き継ぎになったのですから、それが同じような条件のもとに、同じような私は仕事をしておったと思う。陸軍の工廠といったって、海軍工廠といったって船を作るところ、鉄砲作るところぐらい違っておったでしょうが、労働条件なりあるいはいろいろなものは全然同じだと思うのですよ。それがどうして均衡がとれないのか。あなたがさっきいろいろお話しになったけれども、私にはどうしても納得できません。いろいろな陸軍と海軍の違うところがある、あるいは共済組合だから、金を集めて給付するという関係もあって、なかなか簡単に、そういうふうに、お前の言うようにいかぬとおっしゃいますけれども、当時集めた金でまかなおうたってそんなことはできないでしょう。いくさが終わって、いくさの処理ですから、どうしてもどっかから金を持ってきてその穴埋めをしなければならない。それは決意一つでできるのじゃないか。理屈の上から考えて、たとえばあなたはこれはおかしいと思われませんか、それともこういうふうに差のあるのがもろともだというふうにお考えなのか、その点を一つお伺いいたします。
#11
○説明員(岩尾一君) 陸軍、海軍それぞれ共済組合を持っておりますが、持っております場合には、現状でもそうでございまするように、各共済組合において財源計算をやりまして、その財源の範囲内で給付を考えるし、あるいは保険料も考えるということになっております。従いまして、両組合法の中におきまして、できるだけその給付内容というものが同じであることが望ましいと思いますけれども、若干の差異はそういう財源上からも出てくるのではないかと思います。従いまして、現在のいろいろな差異というのはそういう意味でもやむを得ないものではなかったか、当時はそうだと思います。これをそのまま大蔵省で引き継いだ措置法の建前からいいますと、その権利義務の中をさらに現在において別途の観点から新しい権利義務を付与するということはむずかしいので、もし先生のおっしゃるようにそういう措置をやるとすれば、これはたとえば現在の戦傷病者戦没者遺族等援護法のような法律でそういうものに及んでいく。別途の社会保障の財源からこれを措置をするというならあるいはできるかもしれませんが、現在の旧令共済自体をいじることによってその不均衡を調整しようというのはむずかしい、こういうふうに思います。
#12
○徳永正利君 それはむずかしいと言われますが、これは技術的にむずかしいということですか、思想的にむずかしいということですか、どちらですか。
#13
○説明員(岩尾一君) 実際に今申しました陸軍の軍属の方と海軍の軍属の方について取り扱いを一つにすべきだという議論、それに対してどう考えるかということとは別に、現在の旧令共済を改正して、そういった不均衡を是正してはどうかということについては、思想的にも技術的にも非常にむずかしいのじゃないか、こういうふうに考えております。
#14
○徳永正利君 非常にむずかしいとおっしゃいますから、私にはそのむずかしさというものがどうも納得できないんですが、しかし、そういう問題が、いくさが終わって十六年、今日置いておかれていいものかどうかということは、私非常に疑問だと思うのです。これはもう少し前向きに一つ検討をされまして、衆議院の委員会でもこういうような質問が出て、同じような答弁をしておられることも私は承知しております。しかし、もう大した人間じゃないと思うのです。大した人数ではございません。で、まあ私どもこういうことになるとすぐ予算のことが頭にちらちら浮かぶんですが、金にしてもこんなことはわずかなものだと思うのです。しかもそれがために非常な不平を持っておる人がいる。自分の方は徴用工で海軍の工廠にとられたが、自分の方は陸軍の工廠に行っておった、これがためにこんな差がつくということは、今ごろの今生きている者に説明したって納得しないんです。また、納得できないんです。この辺を一つよくお考えになって、もう少し前向きの姿勢で検討をしていただきたい、かように考えるわけであります。で、もう主計官とここでいろいろやりましても、これ以上の答えは出ぬと思いますから、ちょっとこの点をお願いしておきまして、私あなたに対する質問は終わります。
 続いて、援護法関係について、厚生当局にお伺いいたしますが、今までの援護法の歴史を見ますと、畠中局長は援護法をお作りになったんですから私がよけいなことを申すまでもなく御存じでございますが、援護法による遺族年金とそれから恩給法による兵の公務扶助料というものは常に均衡をとってきておる。均衡と申しますか、同じ足並みをそろえてきておったわけです。ある時期には、援護法の遺族年金の方の給付額が多かったときもあります。ところが、現在では恩給法の公務扶助料の額が五万三千二百円、援護法が五万一千円、この間に二千二百円の開きが出てきているわけですが、これは財政的な面からこういうような格好になったというふうに私は承知しているのです。こういうふうに理解している。ところが、いろいろお話を今からお伺いしようと思いますが、厚生省ではこれに理屈をつけておられるだろうと思います。で、その理屈は、もう大体の見当はついているわけですが、そうでなくって、これを何とか同じ給付額にしようという努力を今後してもらいたい、それともそういう努力はする必要はないのだと、こういう理屈の上に立ってこの額でいいというふうにお考えになるのかどうか、その点をお伺いいたします。
#15
○政府委員(畠中順一君) ただいまお説のように、恩給法と遺族援護法におきましては、遺族年金の金額が公務扶助料と違っておるのでございまして、その理由は先ほどお話がございましたが、単に予算的な問題だけではないのでございまして、問題はどういう方を対象にしておるかということによって支給する金額が違ってくると考えられます。そこで、恩給につきましては階級別にいろいろございますが、援護法におきましては、その対象が当初立法されましたときは、大部分の軍人を含んで――大部分でなくてすべて軍人を包含しましたが、その後二十八年に恩給法が復活いたしましたので、現在では援護法の対象というのは軍属――軍属といいましても援護法上の軍属、つまり陸海軍の雇員、傭員、そういう者とか、あるいはまあそういう準軍属もございますが、対象が軍人が少なくなって、大半が軍属であるということから、当初の遺族年金の金額を大体改訂しますにあたりまして、今日の五万一千円というのは三十五年の七月から実施されておりますが、その場合いろいろ金額を検討したわけでございます。そこで、恩給法によるところの公務扶助料の、兵の公務扶助料が五万三千二百円でございますが、この兵と同等の俸給をとっておる軍属を文官の公務扶助料並みに直してみますと四万三千九百八十円ということになるわけでございまして、そこで対象は軍属が多いのでどうするかということになりますが、その場合、五万三千二百円と四万三千九百八十円の中間よりは上の方をとりまして五万一千円というところにきまったような経緯ががあるわけでございまして、従いまして、やっぱり対象がだれであるかということによってその支給額をきめていくのが至当ではないかと考えますが、なお今後、またいずれ改訂になる時期が参りましたら御趣旨の点も十分検討いたしたいと思います。
#16
○徳永正利君 私は、人間の命を金に換算するということは、これはだれがやったってできっこないと思うのです。まあそういう、軍属だからと、しかも軍属が多いからと、この中には軍人もおることは援護局長もよく御存じの通りです。軍属だからこれなんだと、こちらは軍人なんだから少し額が多いのだということはどうも私には納得ができないのです。で、今お話のように――これはあとからつけられたと思うのですが、三十何年でしたか、改正になったときに三百億というつかみ金でそいつを割り振った、そういう結果こういうものが出てきておると思います。今援護局長のおっしゃったのは、あとからおつけになった私は理屈であると、それでなければ、今まで援護法は、遺族年金の方が多い時期もあったのですよ、同じ時期もあった、常にまちまちなんです。だから思想の一貫性がないわけなんですね。だから今度こういう問題は軍属だから少ないのだ、対象者が軍属だから金額が少ないというようなお考えは一つ撤回されて、少なくとも同じようにいくさで働いた人は、軍人だろうと軍属だろうと私は同じであるべきだというふうに考えるわけでございます。
 それから次の点は、内地などで戦争に関する勤務、まあ当時はいろいろな仕事があったわけですが、このときに負傷したり病気にかかった軍人、あるいは戦地で、戦争に関する勤務に服しておった軍属等が傷病を受けて、それが原因でなくなったと、これはまあ特別弔慰金というものが五万円出しておるわけでございますが、この人たちが内地に帰ってくる、帰ってきてから一年以内になくならなければ遺族年金なり、あるいは扶助料というものを出さない、しかし、精神病や結核は三年以内になくなった人に出すということになっておるわけなんです。これはまあいろいろな他の法律と均衡をとられようとされた点はわかるわけでございますますけれども、長い間、十年もいくさに行って、そして病気になったり、あるいはまた、戦争でけがをして帰ってきた、病気になって帰ってきた、それを一年、三年で画一的に切っていくと、手当がよかったために……、一年を一ヵ月過ぎてももうだめ、だというようなことはどうも私は納得できないのです。この点を、少なくとも青天井に野放しにせいということはあるいは問題があるかもわかりません、しかし、一年、三年という年限を、そういうふうな切り方をするというのは納得できない。この点について厚生省ではどういうふうにお考えになっておるか。
#17
○政府委員(畠中順一君) ただいま御質問の点は、特例の弔慰金いわゆる特弔と申しておりますが、あるいは特例の扶助料、あるいは遺族給与金につきまして、軍隊を去りましてから一年、あるいは結核においては三年以内に死亡しなければこれらの適用にならない。その年限を延ばしたらどうかというような御質問かと考えますが、これは実は特例法という言葉が示しておりますように特例でございまして、当初恩給法におきましても、あるいは恩給法にかわりまして二十七年に生まれました援護法におきましても、こういう公務と死亡の関係、そこに相当因果関係がなければならなかったわけでございますが、そういう公務に基づくものについて傷疾を負うて死亡した場合には、これはどこまでも、除隊してから何年先になくなられましても、それは公務との因果関係がはっきりしておりますれば年金を差し上げるということに立法されておったわけでございます。しかしながら、大東亜戦争になりますと、内地勤務の軍隊生活というものが相当にきびしくなりますし、また、そこに召集される方々もからだの弱い方も行かれるというような面から、必ずしも公務ということでなくても、軍隊の勤務に関連して疾病を受けたというときには、特別に特例扶助料といたしまして、あるいは特別弔慰金といたしまして、大東亜戦争後になくなった方にそういう特別の措置をしているわけでございます。この点につきましてはただいま御説明がございましたように、除隊後一年あるいは三年で切られておるわけでございますが、この点につきましてもいろいろ問題がございまして、例の臨時恩給等調査会でも非常にこの点は審議をいたされましたが、その答申によりましても、これはやはりあるところで切るべきである。なぜかと申しますと、これはいわゆる公務に基づくところの傷病ではない、従って、公務に基づくものと同じに扱わなくてもいいじゃないかということが第一点でございまして、それからこれは処理上の事務的な問題が主でございますが、公務で傷病になった場合につきましては、恩給とかその他の恩典と言うと語弊がございますが、そういった給与が行なわれますので、軍隊におきますところの事務的な処理も非常に十分にできておりまして、従って、それが公務に関連したかどうかということもわれわれが認定できるわけでございますが、ところが、当時は公務でないものにつきましてはそういった書類的ないろんな問題等も完備しておりませんので、一年、三年をずっと延ばしていった場合に、職務に関連した疾病がはたして職務に関連したかどうか。あるいは死亡の時期までの、あるいは除隊後五年あるいは七年でなくなった場合に、その死亡した原因がはたして職務関連のときに起こった病気と同じであるかということにつきましても、事務処理上なかなか書類的に証拠がないというようなこと、二点の理由で調査会におきましてもあるところで切るべきじゃないかという御答申もございましたので、やはりどこかで線を引かなければならぬじゃないかというふうに考えております。
#18
○徳永正利君 何か制限しよう、出すまい出すまいというようなお考えのように聞えるわけなんです。ところが、公務に起因ということをおっしゃいますが、あのサイパンが陥落した以後というものはとにかく片輪でなければほとんどみんな引っぱり出すというような状況下にあったわけなんです。それがあるときはざんごう掘りあるいは防空壕掘って大へんに苦労をし、泥水を飲んでろくに飯も食わぬとやっていた。そういうものを私はもう公務に起因……、そういう方々が結核になりあるいはまた、いろいろな病気になり、負傷したときにろくな手当もできないというようなものは、私はこれは公務であろうと思うが、ところが、非常に厳格に公務というものをお考えになっていて、鉄砲のたまでもすぱっと当たらなければ、どうも解釈を非常に厳格におやりになる、こういうところにも問題がある、それに関連した。ですからして病気なんというのは、当時は医者にかかろうにもお医者さんが少ないし、今でも無医村が千なんぼも日本全国にあろうという現状ですから当時はひどかったのです。一ぺん医者にかかってそしてそれが一ぺん断ち切ったら完全なからだになったというふうに厚生省ではお考えになるようでございますが、しかし、当時のことを考えると、そうはいかないわけです。ですから、これも私は人数にしても、かりに二年、六年にしても人数にしても大したことはないのです。第三者から見るといろいろなことが考えられましょうが、御本人になってみると、これはもう耐えられぬことだと思うのです。一つこの点もよろしく御検討になっていただきたいと思います。
 それから当時の徴用工員であるとか、あるいは動員学徒、女子挺身隊、国民義勇隊員、満州開拓義勇隊員、これはまあいわゆる白紙召集といわれておったのでございます。これも当時の気分からすれば白紙も赤紙もあまり変わりはないわけなんです。みな私は進んで出ていったと思うのです。そしてこの爆撃とかあるいは銃撃にあってなくなった。今では遺族給与金と称して遺族年金の半額が出ております。二万五千五百円というものが支給されておる。しかもこれは五年限りでもう上げませんぞ、来年でもうこれは切れるわけなんです。しかも、それには非常な制限がついておる。扶養する直系血族というものがおればだめだ。ところが、その扶養する直系血族というものは、これがまた年収なんぼあればだめだというような点で押えておられるようでございますが、このお父さんやお母さんが、年収一体幾らこの直系血族がとっておったならば支給しないというふうなことに相なっているのか、その点ちょっとお伺いいたします。
#19
○政府委員(畠中順一君) 血族の人数等に関係がございますが、大体、所得税で規定をきめておりまして、その額を申し上げますと、所得税が二人の場合に一万五千二百円、これを所得にいたしますと三十四万二千円でございます。それから三人の場合には税額が一万六千百円、所得にしまして三十八万二千円、いわゆる標準家庭の五人の場合には二万三千六百円、所得にして四十八万四千円というように所得税によって扶養することができるかどうかという点を一応きめておりますけれども、その運用にあたりましては、こういう所得、これ以上の所得税を払っている方につきましても、その後医療費が相当かさんだ、あるいは失業になった、いろいろ特別の事情を勘案しまして、これが標準でございますが、処理にあたっては画一的にしないようにあんばいをしております。
#20
○徳永正利君 私はこういうところに、二人で三十四万二千円、子供が二人働きにいっておって、そして三十四万二千円を月給もらって帰ってくる。そうすると、この給与金はやらぬというのは今の時代にちっとどうか、私は合わぬのじゃないかというような気がするわけです。しかし、まあ、いろいろ運用の面において善処をしておられるということでございますから了承いたしますが、こういうようなことも一応さらにお考えいただきたいということと、五年で切るということは、これはどうも適当でないように思います。この金額も大したことはないのです。それを五年で、分割払いで五年で処理しようということが、どうも学徒で徴用されて工場に勤めておって、銃撃でなくなったという人も私はどうもこの五年間で切るということはおかしい、これも一つ前向きの姿勢で厚生省は一つ原案を検討していただきたい。私どもも協力もするし、考えまするけれども、お願いいたします。
 それから学徒で銃撃なんかでけがしたという場合には、他の軍人、軍属の傷病年金の半額しか出ていない。これはどうも納得できないのです。現に片手をなくし、片足をなくしている人が軍人だからそれをやる、学徒だから半分しかやらないということは目の前にそういうような人間を置いて話せることじゃないと思うのです。この点は一体どうなんですか。
#21
○政府委員(畠中順一君) 動員学徒とか徴用工のようないわゆる援護法上の準軍属に対する処遇でございますが、この援護法あるいは恩給法等の立て方に一つ問題がございますが、先ほどお話しございましたように、人の生命というものあるいはからだというものは軍人であろうが、軍属であろうが、あるいは準軍属であろうが、それはこの尊さにおいては変わりはないと思いますが、ただこういう援護法等を作ります建前の立て方というのが国とのつながりの濃淡によってきめておるというような立て方でございまして、そこで、それ自体に問題もあるかと思いますが、片一方には、たとえば広島等におきましても原爆でやられ、なくなられました一般の戦災者が相当おられるわけでございまして、あるいは東京の空襲にして本そうでございます。これらの人に対しては現在何もそういう手当が出ていないのでございます。こういった一般の戦災者等のことも考えまして、準軍属をどういうふうに処遇するかという立て方、骨組の問題であろうと思うのですが、この点につきまして本臨時恩給等調査会の御答申によりますと、この準軍属の置かれました立場というものはよくわかるけれども、そこはやはり軍人等とは処遇を異にすべきである。そうして一般戦災者等とのことも考慮して一時金の分割払い方式をとった方がいいんじゃないかというような御答申がございまして、それによって法律改正が行なわれてございまして、従いまして、その調査会等の御趣旨もございますので、そこにかような区別があると思いますが、しかし、三十八年に五年の期間がくるわけでございますから、今後十分検討いたしたいと考えます。
#22
○徳永正利君 これはもう時間もないことでございますから、早急に御検討をお願いしたいと思います。
 それから旧陸海軍部内のいわゆる有給の嘱託員、雇員、それから工員とかいう方々で戦地で勤務しておった者については、その者が公務上の疾病で死亡した場合に限って遺族に年金を支給することになっているのでございますが、この公務上という考え方が軍人の場合と軍属の場合、工員であるとかあるいは雇員であるとかいう場合に尺度が非常に違うわけなんです。軍人の場合には故意または重大なる過失によって負傷し、疾病にかかったことが明らかでないときに公務上の傷病と見なすということになっておりますが、この雇員あるいは工員いわゆる軍属の方々はそのしぼりが非常にきつくしぼってあるわけです。しかし、南方に行って飛行場作りをやっておった、飛行機がやってきたというようなときにそのしぼりを軍人の場合と軍属の場合をこれを異にするというのはいささかどうも当を得ていないような気がするわけなんです、この点はいかがですか。
#23
○政府委員(畠中順一君) この問題も先ほど御説明しましたような趣旨であるかと思いますが、お説のように、軍人と軍属と戦場で一緒にいる場合に、区別するのはおかしいということも言われますが、軍人と軍属とは業務の内容が違っている場合があるというようなことから、そこに公務性の問題について区別がされていると思いますが、この点もよく検討いたしたいと思います。
#24
○徳永正利君 今度はちょっとほかの面の御見解を伺うのですが、この援護法というのは二十七年にできた。戦争が終わってからですよ。私はアメリカの占領政策、いろんなことがあるけれども、戦争で死んだ人々に、何ら手当をやっちゃいぬといういわゆるポツダム勅令を出したのは一番悪法だと思うのです。七年間とにかく眠っておったわけなんです。で、この援護法というのは、新しくそういうものに対して何か一つ考えてやろうといってできたのが援護法なんです。これはもう各党賛成して私は援護法というものはできたように承知している。党派を越えて戦争の跡始末をしようという観点に立ってできたものなんです。ところが、この中で第一点は、戦争が終わりましてこの援護法ができるまでの七年間の間に、もう食うに困って再婚をした。もちろん遺族年金や公務員扶助料が出るということはつゆ思わぬ未亡人が子供を連れて再婚した。ところが、当時うまくいくわけはないのです。何とか食っていこうと思って、生き延びようと思って再婚した連中が、うまくいっているのもおりますけれども、そのほとんどがうまくいっていない。そして一ヵ月なりあるいは三ヵ月なりして離婚した。ところが、二十七年に、それからはるかたってできた援護法は、その再婚という事実をつかまえて、たとえば恩給法でもそうじゃないかとか、あるいはほかの法律でもそうじゃないかというようなことを引っぱり込んで、この再婚し、解消した人々に何ら手当をしてないというのは、私は援護法の建前上おかしいと思うのです。現に法律が継続している間にそういう規定があって、再婚したというならばこれは話もわかるのです。これは当然でしょう。外国の例にでもそんなことはございませんでしょうけれども、これははるかあとからできたのです。それを再婚という事実をつかまえて支給しないということは、どうしても私は納得できないのです。この点は一体どうなんです。
#25
○政府委員(畠中順一君) お説のように、援護法ができましたのは、恩給法がストップになりまして、二十一年の二月一日の勅令六十八号でストップになりまして、二十七年の四月一日に援護法ができたわけでございますが、この間に婚姻した者をどう扱うかということでございます。ただいまのお説の、婚姻をして、再婚をして帰ってきた人をどう扱うかというようなお話がございますが、これは援護法というような、そういう法律ができることを知らずに行ったのだから、そこを考えろというお説でもございますが、この問題は根本的に言いますと、その援護法の有無、あるいは再婚してまた解消したという問題とか、あるいは帰ってきてもとの子供を養っているとか、いろいろケースがあると思います。そこでまあ婚姻ということを、こういう給与法でどういうように解釈するかということに関連すると思いますが、この日本の法律では一応婚姻という場合は、前の、再婚した場合にはそういった給与法上の権利は失権することにすべて取り扱われているわけでございまして、それはどういうわけかと申しますと、御存じのように、婚姻というものは、再婚というのはもとの夫との関係から新しい夫との関係において、物心両面におきまして新しい関係に入ったということから、もとの関係を断ち切っておると考えられます。これが養子縁組みをした人との違いかと思いますが、そういったように再婚、結婚というものをどういうように法律上考えていくか、前との関係をどう考えていくかというところに問題があると思います。そこで、ただいまの婚姻の問題は妻の場合もありましょうし、戦死者の父母の場合もありましょうが、そういったように現在では婚姻というものは前との関係を断ち切って新しい関係に入るということで、かように取り扱われておると思います。
#26
○徳永正利君 どうも私にはよくのみ込めないのですが、二十七年に全然新しい法律ができたのですよ、二十七年に。しかもそれ前には、そういう遺族年金なんていうものが出ようとかもらえようなどということはだれも考えなかった。また、政府も出そうということは二十七年にお考えになったことですから。それまでに一ぺん結婚してうまくいかないでやめた。二十七年に法律ができてから離婚したというような問題を言っておるのじゃなくて、それ以前の問題を言っておるのです。今でもたとえば恩給の受給者である前の奥さんがなくなられて新しい奥さんをまたもらわれた。あるいは養子に行くこともあるでしょうが、前の奥さんがなくなると新しい奥さんにはちゃんと恩給を出しておるじゃないですか、扶助料を。ところが、全然新しく出発したこの法律で、それ以前のものをさかのぼって使っておるから私はどうもその辺に問題があると思うのです。この法律というのは新憲法下に、現在の憲法下にできた。ところが、内容は旧民法を全部拾っておる。これをいささか――私は憲法論議は得意でもないし、よくわかりませんけれども、しろうとなりに考えると、新しい憲法下で制定する法律に昔の明治憲法時代の民法を引っぱり出していろいろと制約をつけておるということ自体がもうおかしいと思うのです。ですから、この点は援護局長もおわかりにならぬことはないと思いますから、一つよくもう一ぺん御検討いただきたいと思います。
 それから今お話があった前のお母さんとお父さんの場合もそうだというふうにおっしゃいますけれども、今氏を改めないで再婚した人にはちゃんと遺族年金を出しておられますね。ところが、氏を改めるとだめなのです。名前が変わっちゃだめであるという規定で押えておられるわけなんですが、この辺も私はちょっと納得がいかない。たとえば法律のこまかいことを申し上げますと、おもしろくもないと思いますが、援護局長ちょっと聞いてもらいたいと思いますが、二十年――戦争中に、旧民法の時代には長男と長女は結婚できなかった。戸籍に入ることができなかったわけです。で、お母さんの方は大沼花子さんという名前である。お父さんの方は小川太郎さんと、こういう名前であった。そしてそこに子供ができた。この子供が戦死した。ところが、二十三年になって憲法が新しくできるとこのお母さんの大沼花子さんというのはお父さんの籍に入ったわけなんですね。長男、長女などとそんなけちなことは言わぬことになりましたから、お父さんの籍に入って大沼花子さんが小川花子さんになった。ところが、二十年から二十七年までこういう法律が眠っておった。こういう法律はなかった。そのうちにお父さんの小川太郎さんがなくなった。ところが、二十七年にこういう法律ができたわけなんです。そして結婚して氏を改めたとかあるいは婚姻したという事実があった場合にはだめだぞというワクがかまされてしまった。ところが、大沼花子さんは小川花子さんに二十三年に新民法ができたときに名前が変わっておるのですから、これは戸籍上の婚姻ですね。それでこの援護法では遺族年金はやらぬということにしぼっておられるわけなんです。どうも私はこういうようなことは納得できない。これは新民法ができてその時代にできた法律であるのに、その法律の内容が旧民法でいろんな操作をしておるからこういうことになっておる。茶飲み友だちといって氏を改めないで一緒になった人はいい。ちょっと名前が変わったからだめだということは私にはどうも納得できないのですが、その点はいかがですか。
#27
○政府委員(畠中順一君) ただいま御設問の大沼花子さんが小川花子さんになったというお話でございますが、多少誤解があるんじゃないかと思います。と申しますのは、母と子の関係はこれは実体的な問題でございますので、籍に入るが入るまいが、母と子の関係は、子供は、捨て子を拾ってきたとかということでない限りにおいては血がつながっているわけですから、小川花子さんにならない前の大沼花子さんのときにも年金をもらえますし、小川花子さんになってもこの法律による婚姻によって失権という措置をとらずに――これは事実婚があったのだけれども、それを新民法になってその手続をしたのだというように解釈しまして、現在援護法ではお母さんの方は失権いたしません。
 そこで問題は父の方でございますが、父と母は事実婚でおりましたが、先ほどお話のように、長男であり長女であるというので結婚の届けが出なかった。その後新民法に、なって同じ戸籍に入ったという場合に、その父と子の問題が実は援護法上でも問題がございまして、これはいわゆる未認知の子、認知しない子ということでございますが、これについてもやったらいいじゃないかという意見がございますが、例の調査会でもこの点十分調査されましたが、これはもう子供が戦死してから今日まで相当たっておりますので、はたしてその父子の関係があったかということの認定が非常にむずかしい。そこで調査会の答申によっても、何か戸籍法で特例法でも作って、それが法律的に父子であったということが認知されたならば、その措置をしてもいいのじゃないかということに実はなっております。つまりほんとうにそういう場合においては、確かに情においては忍びないと思いますが、ただ母と子の場合と違って父と子の場合は、はたしてそうであるかということは非常にむずかしいのでございまして、そういうところに問題があるわけでございます。
#28
○徳永正利君 むずかしいといっても、長男と長女が結婚してその間にできた子供なんですから、ただ戸籍法上、昔の戸籍はそれを入れてはいかぬということで入れられなかっただけです。大してむずかしい問題ではないと思います。これも一つ前向きでやっていただきたいと思うのであります。
 それからさっきお母さんの方は問題ではない。実際自分の子供であるから云々ということですが、しかし、氏を改めたということで事実もらっておらないということは、厚生省の書類をたくさん持ってきておりますが、支給はできないと言っております。この問題は具体的に個々の問題ですからいずれお伺いに参ります。
 それからこれはごく特殊な例ですが、岐阜県の何か山の中に参りますと、三等親間の婚姻が何ら不思議なく行なわれている、これは昔からの徳川あるいはそれ以前からの長い風習でしょう。三親等間の婚姻が何ら疑念なく行なわれておった事実がたくさんある。数はそう多いわけではございませんが、岐阜の山の中なんかにはあるわけです。こういうものはこれはちょっと法律で書くという、公認というわけにも参らないかもしれぬですけれども、知恵者が知恵をしぼれば何かその事実があったという前提に立って措置ができるのではないか。この点も一つよろしく御検討をお願い申し上げておく次第でございます。
 それからいわゆる準軍属といわれておった徴用工とか学徒動員、女子挺身隊員等が昔の軍需工場などで勤務中に死亡した場合でも、その遺族には弔慰金やいわゆる半額の給与金というものが支給されるわけです。この死亡の原因が敵の使用した兵器、彼我直接の戦闘手段、敵の謀略などによる傷病及び潜水作業、危険業務というふうにちゃんと限られておる。ワクがはめられておるわけです。業務上かかった胸部疾患たとえば結核とかそれによってなくなったという者には何ら手当がない。また、そればかりではありません。作業中に手なれぬことでございますから旋盤などに手をかまれたとか、あるいはふなれの作業のために機械に巻き込まれて死んだというふうに、今日でいう職業病というふうなものはもちろん問題にされてないわけです。もう少しこの点も幅を持たせるようなお考えはございませんか、これは持たせるべきだと思うのですが。
#29
○政府委員(畠中順一君) 準軍属について、戦時災害という要件を廃して、業務上の災害を援護法で準軍属につきまして採用するというお話だと思いますが、この準軍属につきまして戦時災害の要件ができております理由はどういうことかと申しますと、これは一般の有給軍属につきましては、工廠に働いておる陸海軍の軍属につきましては、これはもとの陸軍軍属の戦災救恤規定というのがございまして、それによって救済しておったわけでございます。そういう一般の雇用員とそれから準軍属といたしまして徴用になった徴用工というものの間に均衡をとらなければならないということが一つございますので、戦時災害に限られたというのが第一点でございます。もう一つは、これは一般市民との関係がございまして、一般戦災者が、たとえば広島等におきましては、一般の戦災者はいわゆる戦時災害でも救済をされてないということでございますし、そこで徴用工、動員学徒等についてどれだけの範囲で対象にするかという問題になってきますが、普通の業務災害につきましては、昔でいえば工場法、今日でいえば労災法ですか、そういうものがございますので、今言った一般の雇用員との関係、それから一般の戦災者との関係を考えまして、その中間と申しますか、戦時災害のときにのみ限る、こういうようになっております。ただしかし、戦時災害の解釈といたしましては、直接に敵の空襲を受けたというようなものに限りませんで、たとえば動員学徒等が工場に動員されております場合には、技術的に非常に未熟である、仕事になれてない、それから勤務が相当過労であるというようなことから業務上の災害を受け、傷害を受けたというときには、これは戦時災害というふうにみなして相当広く法律は運用しておる事情でございます。
#30
○徳永正利君 いろいろ当時のことでございますから、今から昔をさかのぼってどうこういうような、当時のことはむずかしい問題もあると思いますが、この援護法というのは、何とか戦争の跡始末をこの際やろうという決意の上に立って、当時総務課長であった畠中局長はお作りになったと思う。ですからもう少しあたたかい気持でものを考えてやっていただきたいというふうにお願いをするわけなんです。ですから、必ずしも戦争に、たまが当たらなかったからとかいうのじゃなくて、もう当時の学徒なんというのは全然のずぶのしろうとがみんな工場にかり出されていったわけです。旋盤をやる人もいるし、船の舷側の高いところに乗っておる連中もありますし、それが足を踏みはずして落ちるというようなことは、今ではとてもそんな危険な業務にはつけられないわけです、相当の熟練工でなければ。それをみんなやって、そういうようなことによってけがをし、なくなった、あるいは負傷して現在にあるというようなものは、もうちょっと私は前向きな角度から御検討をいたしていただきたいと思うわけでございます。
 それから遺族年金は六十才になるまではやらぬ、子供は十八才になったらやらぬ、これは恩給法とだいぶ違うところがある。これはむしろ逆の方がほんとうだろうと思うのです。これが予算がないからまあこの辺で押えておくということであるのが大部分であろうと思うのですが、これはどうですか、もう子供も一番小さいのが十七才です。まあ十六才というのも多少いるでしょう。それからお父さん、お母さんも六十才以下というのは一体今何人くらいおりますか。
#31
○政府委員(畠中順一君) ちょっと数字が、今持っておりませんからなんでございますが、これは恩給法に比べまして違っておるのはお説の通りでございまして、これも実は立法の当時、私も参画いたしたわけでございますが、一応恩給はもうこれは復活しないかもしれない、そこで当時の状況で、なかなか軍人の遺族あるいは傷痍軍人に対する処遇が連合軍の関係もあって非常にむずかしかったわけでございまして、それを生活保護法だけでなくて、何か援護法を特別の法律を作るということでやったわけでございますが、その場合、恩給法的なものにするか、あるいは多少そこに社会保障的なものを加味するかということが議論になりましたが、財源の関係もあったと思いますが、社会保障的な意味を加味しまして、つまり社会保障でいえばやはり十八才、六十才というところが問題でございますので、そこで一応社会保障的な意味を加味したということでございます。なお、今後検討したいと思います。
#32
○徳永正利君 社会保障的なことを加味して十八才で切ったということでございますが、どうも社会保障的がなぜ十八才になったかよくわからないのですが、やはり符節を合わせるように一つ御検討をお願い申し上げます。
 それから援護法による弔慰金、これは五万円と三万円があるわけですが、これは戦没者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びそれらの者以外の三親等内の親族に支給されることになっております。ところが、三親等内の親族の全くないというのがおるわけなんです。しかも戦死して帰ったんですから、これは当時の、今日でもそうですけれども、そんな遺骨なんかだれも引取手がない、ほうっておくというわけにはいかない、だれかが遺骨を引き取って、そうして供養をしておるわけなんです。こういう人に、いろいろ問題もあると思います、私もいろいろなことを考えると問題もあると思いますが、ほんとうに遠い遠い親戚で、戦争に行って一人ぼっちの息子が遺骨で帰って来た、これをお祭りして供養しておるという人にはお灯明料くらいは私は国がお出しになってもしかるべきだと思うのです。これはいかがですか。
#33
○政府委員(畠中順一君) お説ごもっともでございますが、これも例の、こういう御意見が非常に関係団体等から多くございましたので、結局軍人問題調査会で、この問題につきましての御答申もございましたが、やっぱりどっか近い、相当のところで親族というものを切るべきではないかという御答申もございまして、今のような法律、三親等に限られておるわけでございますが、三親等もない、そのほかの方が供養しておるというときには、まあおっしゃるように大へんごもっともな点もあると考えられますが、今までの経緯はそういうことでございますので、今後検討いたしてみたいと思っております。
#34
○徳永正利君 私は最後に、いろいろなことを御質問し、指摘しまして、最後に一つ締めくくりをお願い申し上げたいと思って、ここに拾っておるわけなんですが、弔慰金だけしかもらっていない遺族ですね、たとえば兄弟とか姉妹とか、あるいはおじさん、おばさんとか、実際に戦没者の祭りをしておる者には年賦償還によるお灯明料というのが……、弔慰金というのが全部支給済みになるわけなんです。来年でこれは切れるわけなんです。ところが、妻やあるいは父母や孫など、みんななくなった場合、だれも今度はお祭りをする者がないわけなんです。で、そういう場合には、何か私は別途に弔慰金的なあるいは供養料的なものを一つ考えていただきたい、また、考えるのが当然じゃないかというように思うわけでございますが、この点は当局はどういうようにお考えになりますか。
#35
○政府委員(畠中順一君) 弔慰金というのはいろいろやかましく立法当時言われまして、いわゆるお灯明料ということで騒がれたこともございますが、そのように弔慰金という中には供養の意味が含まれておろうかと思います。しかし、今お話がございましたように、もう何年もたっておりますので、弔慰金だけではその後供養できない、かように思われますが、一体どこまで先までそういう供養の金を出すかということは、ちょっと相当検討しなければいけない問題だと思いますので、今すぐに即答申し上げるわけにはいかないと思います。
#36
○徳永正利君 私は、この国会ですぐ予算を組めというようなことを言っているわけではございませんから、一つよくそういうところに問題があるということを御認識いただいて、今後善処していただきたいと思うのでございます。
 それから援護法を作られる当時は、これは未亡人、何といっても戦争の中で一番私は打撃を受けたのは未亡人だと思うのです。子供をたくさんかかえて、亭主がいなくなって、もう一人前の男でもあのころはよたよたしたわけなんですが、私の秘書なんかも、一番総領むすこが当時尋常五年生。あと四人子供をかかえて、お母さんは今日まで育ててきたわけで、よう私は生きておったと思うのです。で、当時は未亡人、これが一番やっぱり生活には困っておるという観点に立って、未亡人には一万円、それからその他の者が五千円というような差をつけておる、これは先ほど援護局長のおっしゃるように、社会保障的なお考えを加味してこうやられたのだろうと思うのです。援護法自体がそういうようなところに立脚しておると思うのです。ところが、今日では、そういうことは全然忘れ去られているわけなんです。去年の十月まではこうした犠牲者に対しては税金の中から七千円控除しておった、せめてものそれが未亡人たちに対する手向けであったわけです。ところが、去年の十月、それはばっさり切られてしまった、何かこの辺でそういうような、先ほどのお説のように、社会保障的な立場からお考えになる気持はないか、あるいは考えは浮かばぬかどうか、この点を一つお伺いいたします。
#37
○政府委員(畠中順一君) お説のように、援護法が生まれますときにおきましては、これは社会保障的な見地もあったと思いますが、妻を第一順位にしまして、妻に一万円、その他の者には五千円というように区別をしてあったわけでございます。ところが、その後二十八年の四月になりますと、妻だけが一万円というのはおかしいじゃないか。恩給の方は順位がありまして、妻がない場合には、その次の者が第一順位者になったら同じように最高額をやっておるのじゃないか、そういうように順位によって転位していって、第一順位者は最高額をもらうべきじゃないか、こういうような意見が多くなりまして、実は二十八年の四月には恩給法に右へならえしてしまったわけであります。そういうわけで、今日の援護法の五万一千円というのは妻だけじゃなくして、妻のある場合にはまた妻を第一順位にしてございますので、未亡人でさえあれば、それはほかの遺族がございましても、妻が第一順位として五万一千円をもらうわけでございます。しかし、妻がない場合、未亡人がない場合、そのときには次の遺族に転位して、それが五万一千円をもらうということになっておるわけでございまして、そういうように当初は確かに妻の位置が比較的高かったわけでございますが、その後やはりそういうのはおかしいと、先ほど年令のところで徳永先生からもお話ございましたように、なぜ恩給と一緒にしないのだということから、こういうふうに五万一千円が未亡人だけじゃなくていくことになったわけでございます。それはその今までの経緯でございますが、ただ援護法におきましては、家族の扶養手当という意味じゃなくて、たとえば未亡人が五万一千円もらいまして、それに子供があるというときには、その子供自体に五千円ずつの遺族年金が渡っておるのでございまして、これを見方を変えれば、妻が、未亡人が養っている子供に対する加給、あるいはそれが、五千円が未亡人に対する加給、そう見れないこともないじゃないかと思われます。それから確かにおっしゃるように、遺族の中で妻、未亡人、特に子供をかかえた未亡人というのが非常に生活的にも困難であるということは私どもにもよくわかります。そこでこれはこういう加給をすぐに援護法で未亡人に対して加えていくと、あるいは別途の何らか措置を講じていったらどうかという問題に相なるわけでございますが、目下いろいろ問題になっております国民年金の母子年金を公的年金と併給するかどうかというような問題とか、あるいは将来は児童手当というようなものも考えられておるようでございますが、これは未亡人一般の問題といたしまして社会保障的に解決していった方がよくはないかというようにも考えられるのでございますが、なお、検討いたしたいと思います。
#38
○徳永正利君 何か援護局長は勘違いをしておられるようです。私は十八才と六十才の年令制限を持ち出したからで、さっきは恩給法に右へならえせいとおっしゃったというようなお考えですが、私はそれは逆なんです。私は援護法の方を、よりそういう方面を手厚く見るべきじゃないかと、恩給法の大体二十才というのがそれに右へならえをせめてもしなさいということであって、その辺を勘違いされぬように一つお願いをしておきます。
 それから児童手当あるいは今度法案が出ておりますが、そういうものによって一般と均衡をとっていくべきじゃないかというお話なんですが、もう子供が、先ほどもお話ししましたように、十七才になってしまって児童手当には関係ないわけなんです。全然、戦争での未亡人というのは児童手当には関係ないのです、再婚せぬ限りは。ですからその問題よりほかに何かそこに考える道はないか、援護局長の知恵はないかということでございます。この辺を一つよくまた考えてもらいたい。
 それから今度は、まあ時間が長くなりますから私適当に端折りますが、文官がなくなった場合には、これに兄弟姉妹だけしかおらなかったという場合には一時扶助料というのが恩給で出ておるわけです、御存じのように、ところが、旧軍人の場合には一時扶助料はないわけなんです。援護法でもこの点はめんどうを見ておられない。文官と均衡をとった、均衡をとったとおっしゃるけれども、こういうところにも抜け穴が一つあるわけです。で、この点。
 それからさらに、満州国の軍人、これは満州国の軍人に籍をおいたがために援護法からも落っこってるし、恩給法からも落っこってるわけなんです。それから満鉄の社員なんていうのは、これはもう軍人よりもむしろ汽車が進むというときには一番先に鉄砲持って乗って戦っているわけなんです。そうしてなくなっている。こういう方々にも何ら援護法でもめんどうを見てない。まあこれに類似した問題はたくさんあると思いますが、こういうようなことも一つ、恩給法で昔からの体系をくずすわけにいかぬといえば、これは援護法で私は何か考えるべきじゃないかと思うわけです。
 それから終戦の前に戦局が非常に混乱した、あるいは終戦当時めちゃめちゃになった。これは内地の部隊ですらそうなんです。ましてや満州とかあるいは仏印とかいろんな所へ行っておったのは、想像に余りあるだろうと思うんです。ところが、戦争が終わりまして山西省なんかの山の中に入っちゃった、で、わけもわからず今度新しい戦争に巻き込まれちゃったわけなんです。新しい戦争に巻き込まれて、兵隊は何も知らないわけなんですね、山の中にいて。それでなくなっていっている。シナ同士の戦いの中に巻き込まれてなくなっていっているという人がたくさんあるわけなんです。こういうようなものを恩給局では何とかかんとかおっしゃっている。窓口の厚生省でもおっしゃっていることはよく御存じの通りでございます。こういうような人も私は何か考えるべきじゃないか。もうお前さん方は日本軍の手は一応形式上切れたんだからあとは知らぬぞというようなことでは私はいかぬと思うんですね。
 それからさらに、これは恩給法の関係になりますけれども、営内に居住した者とか、いろんな制限を小さくつけて扶助料を出すまいとしておられる。しかし、営内に――海軍省や陸軍省にカバン下げて通っておったというならこれは別です。これは別ですが、実際の前線の部隊で毎日々々ざんごうで穴を掘ってやっておったような、そういう者を恩給法からは落としている。営内居住ということを非常に厳格に適用されている。こういうような面も、これは恩給法で拾えなければ援護法で何か考えるべきじゃないかと思うんです。
 それから特例扶助料というのは、昭和十六年の十二月八日から昭和二十年の九月一日までの問に戦務に関連して傷療を受けてそうしてなくなった。大東亜戦争が始まってから昭和二十年の九月一日までですよ。従って、昭和二十年の九月二日以後、昭和二十年の九月二日――戦争が終わったのが八月十五日ですから、九月二日以後に、台湾とかあるいは朝鮮でまだごたごたしている最中に職務に関連してなくなった者には何ら手当がないわけなんです。これを昭和二十年の九月二日で切るかどうかというときにはずいぶん議論があったそうでございますが、当時は厚生省が、これは切るべきじゃない、職務に関連してなくなった人は復員して帰るまではめんどうを見てやらなければいかぬということを当時はおっしゃっておったように私は記憶しております。ところが、いつの間にやらこれが問題になっていない。もう一ぺん当時を思い起こしてこの問題一つ取り上げてもらいたい。また、取り上げるべきだと思うんです。で、以上いろいろ申しましたが、一つこの点を十分御検討いただいて、しかも前向きの姿勢で私は原案を一ぺん作ってもらいたい。むしろやるまいと思えば――私が今申し上げたようなうちで半分は五分五分の話し合いぐらいまではいく問題ばかりだと思うんです。反対しようと思えば五分の反対もできるような問題が多いと思うんです。しかし、もう十六年いくさが終わってたっちゃったのだから、この際一つ総ざらいするという決心で、前進的な検討を一つお願いいたしておきます。
 それから裁定の業務が非常におくれている。これはまあ人のこともございましょうし、あるいはまた、問題の内容のむずかしさもあるようですが、現在あれですか、不服の申し立てというのは何件ぐらい厚生省でかかえておられますか。
#39
○政府委員(畠中順一君) 不服の申し立てにつきましては、現在昭和三十五年の末までの受付数が一万一千七百九十七件でございます。
#40
○徳永正利君 一万一千件、まだ厚生省でお持ちのようでございますが、これは一体いつごろになったらこれが処理できる見込みでございますか。
#41
○政府委員(畠中順一君) ただいま一万一千七百九十七件というのは受け付けた数でございまして、そのうち裁定の終わりましたものが六千九十九件でございまして五一・七%が裁定されているわけでございます。残りますのが五千六百九十八件でございますが、これは私たちも十分促進を心がけておりますが、不服の事案の大部分が終戦後軍隊を去りまして郷里に帰ってなくなった人の問題が多いわけでございまして、たとえば終戦後郷里へ帰って七年あるいは八年して結核でなくなったとか、あるいは脳溢血でなくなった、いろいろ問題ございます。そこで、そういう人々の軍の公務との関係、あるいは今の軍隊業務との関連の点がなかなか証拠が出にくいわけでございまして、また、それからなくなったときとの因果関係等につきましても、これは援護審査会というところを設けまして、それぞれ権威のあるお医者さんが集まって検訂をしているわけでございますが、そういうことで証拠のものがなかなか出にくい。そこで、まあもう一ぺんこういう点を調査しようというようなことで、書類をもう一ぺん県の方へ返したりして実はやっているわけでございまして、それらの認定につきましても、もうできるだけ採用するように心がけております。ただ、履歴書と死亡診断書だけでは隊を離れてから相当年数たっておりますので、そのままで裁定はできませんので、何らかそこにそれらの関連したことがわかるような証拠を集めている関係でおそくなっております。それでまあ全体的に申しますと、援護法は非常におくれているように言われますけれども、最初の関係から申しますと、援護法二十七年の二百八万という対象がございましたが、それは現在では九八%は裁定しております。今残りましたのは、その後に新たに権利を得た人、それから今申し上げました不服申し立てが出てきておってそれがなかなか事案がむずかしいという問題が残っておりますが、これらにつきましては、できるだけ今後促進をいたしますとともに、事情はできるだけ裁定可決するように努めていきたいと考えております。
#42
○徳永正利君 いろいろな証拠を出せということが非常に申請者にしては苦労なんです。カルテとかいうのは十年間保存しておけばもう焼却してもいいというようなことにもなっているそうでございます。今から十年前のことを探しに行ってもよほどのことでなければなかなか出てこぬ。ここにたくさんありますけれども、京都府の加佐郡大江町公庄ですか、砂原とし子さんというのがこれは前々から私のところにいろいろな手紙をよこし、これが証拠を出そうにも出せないのです。しかもその証拠は、遺族にお前たち申請者証拠を持ってこいとおっしゃるものであちこちかけずり回ったけれども、なかなか証拠は出てこない。昔の古い古い聞き覚えを九州の果てまで探しに行ってついに見当たらなかったといって泣いている者もあるわけです。それからどっかに戦友がおるはずだといって八方手を尽くしてもなかなかそれが見つからない。それからまた、当時の軍医がどこかにおりはせぬかといっていろいろな問い合わせや、また、みずからも調査しているけれどもなかなかもう出ないのです。しかもあの混乱後でございますから、この辺も何か残っているものに対してはもう少し簡便な一と申しますか、画一的な、今までのみんな証拠がそろっているという証拠をそろえてこいというのでなくて、何か一つ間違いのないという心証を得られるような方法があれば、それによって私は裁定をやってもらえないものだろうかと思うわけなんです。で、この砂原さんというのは藤田先生がちょうど当委員会におられますが、藤田先生に頼んでお願いしたらと言って手紙を出しておきましたから、あるいは藤田先生の所に行っているかもわかりませんが、ただ証拠がそろわないのは、最後にこういう病気になっているのですよ。何でございましたでしょうか、長々とした歎願書を添えてきているのですけれども、これは先天性の麻痺性痴呆症という病名で死亡診断書が書かれているわけなんです。これは非常に長い潜伏期間のある何か悪病だそうでございますが、原因は上海におって、それで炊事をやっておって湯をかぶって、そうして護送されて帰って来て手当はずっとそのやけどの手当をやっているわけなんです。ところが、なくなったときに血液検査をやったか何か知りませんが、麻痺性痴呆症という診断をされた、それが法務局に今でも残っているわけです。その過程のずっと診断書でも出てくれば、また私は何か考えようがあるかと思いますけれども、もう十年もたった今日、その病歴書といいますか、そういうようなものはないわけなんです。こういうようなものは何とかもう少し考えようがないか、考える余地がないかというような気がするわけなんです。まだたくさんいろいろな事例がございますけれども、とにかく申請者に証拠を持ち出せということを義務づけておられますが、なかなかこれが今日では困難なわけなんです。で残っているいろんな問題については、一つ何とか別途間違いないという心証を得られるような書類であれば裁定をするというようなことを御研究をお願いしたいと思います。長々私はやりましたけれども、もうこれでやめます、やめますが、じゃ政務次官よく一つ聞いておいていただきたいと思います。いくさが終わってもう十六年たったのです。しかも二十一年にそういうものに対する、遺族に対する給与というものは全部ストップを食った。それで復活したのが二十七年のこの援護法なんです。これは復活じゃなくて新しく制定されたわけなんですけれども、この七年間というのはほとんどまるまる全然空白があるわけなんです。いま少し私はあたたかい気持を持っていろんな問題を、出すまい、出すまいじゃなくて、何とかしてやろうという気持で、私は検討をしていただきたいと思うわけなんです。まあ今では産業が発展したとかあるいは経済がどれだけ伸びたとか言っておりますけれども、その裏にはやはりあの当時かり出されて軍人はもとより軍属にしましても学徒の方々にしても、そしてなくなっていっている二百数十万の人間があるということを私は忘れてはいかぬと思う。これはやはり何といっても日本の基礎ですよ。この方々の残っている遺族、私は何も金持に金をやれというのじゃない。今の五万三千二百円では軽費養老院にも入れないのです。しかも生活保護を受ければそれは差し引くというわけで、びた一文ももらえないわけです。私はそういうような仕打はもうちょっとあたたかいものの考えの上に立つべきだと思うわけでございます。で、今まで私がるるいろんなことをやったわけですが、これは人数にしましても予算にしましても大したことはございません。恩給と年金はとにかく、もう平均年令が七十近くなっているのですから、子供は十七才でしょう。ですから恩給法にいく関係のものでも二十才といったらあと三年なんです。これで全部なくなるわけです。老人はもう七十近くなっているのですから平均年令が、もうあと十年もたつとゼロになるだろうと思うのです。あるいはもう四、五年で急角度に減っていくわけなんです。今恩給や扶助料の額が高い、大きな額を占めているとおっしゃいますけれども、ここ二、三年のうちなんです。あとに残るのは三十四、五万の未亡人が残っていくだけです。こうなりますと、もう扶助料の、あるいは年金の額なんというのは少ないものになってくるだろうと思う。ですからこの際、そういうような年寄りがもうだんだん死んでいく。恩給額の中に占める扶助料や年金というものは、どんどん急角度になくなっていくということもよくつかんでいただいて、もうちょっとあたたかい目で全部の問題を推進していっていただくようにお願いをいたします。と同時に、私は、厚生大臣と同様に政務次官を御信頼申し上げているのですから、政務次官の一つ御所見を承りたいと思います。
#43
○政府委員(安藤覚君) 先ほど来相当長時間にわたって、しかも問題点数十点をおあげになって、具体的に御説明いただいておりまして、今なおそれほどの問題もまだあるのかと、新しく気づいた点もございます。さらにまた、ただいま先生から最後に吐露されました御意見につきましては、全く私共感いたす次第でございます。私、実は兵隊生活を二年やったことがございますが、私の戦争犠牲者に対する考え方はそういうところから出発しているわけです。援護法では梅毒で死んだ人にはめんどうを見てくれない。これは私はむしろ不思議だと思う。私の二年間の兵隊の捕われ――捕われと言ってはおかしゅうございますけれども、あの兵営の中に押し込められた生活では、日曜ごとに戦友が外出を許されると、もらった十日間の給料を持って、まずどこに目の色を変えて飛んでいくかというと、何々新地だったわけです。兵営の中には、花一本、油絵一つ飾ってないのです。しかも、きびしい生活をして、そうして男同士の殺伐な生活をしている。これは飛んでいくのは当然なんですよ。当然で、その結果、よこねをしょってくる。それがもとになって今度、死んでいった――脳梅になって死んでいったのは、これは自分が好んで兵営の中に飛び込んでいったわけじゃないのです。国家から要求されて入ったのだから。そうして、外で自分の姉とか、妹とか、あるいは友だちとかいうふうな者にふだんやわらかく接しておれば、そういう不潔な所に飛び込んでいくような激しさはなかっただろうと思う。こういうような考え方から、私はずいぶんこの問題については自分自身情熱を込めて考えており、行動もしてきたつもりであります。
 さらに、今具体的に御指摘になりましたもろもろの問題につきましては、先ほど来援護局長も、一々今日に至った事情を申し述べますとともに、今後熱心に検討する旨を一項目ごとにお約束いたしております。御承知のごとく、援護局におきましても、いわゆる引揚事務の方がようやく完了の段階にまできております。これからはあげてこのことに努力いたされることでござりましょうし、また、大臣とされましても、おそらく私と同じ考え方を持っておられると存じますし、また、大臣に先生のお考え方をよくお伝えいたしまして、そうして今まで厚生省のもろもろの制度がそうであったように、この援護法・あるいは扶助料、恩給法というようなものが、かなり年次的に積み重ねられて、継ぎ足し建築のようになってきた面があろうと思います。そういった関係上、いろいろ他の法律との調整、あるいはさっき先生が御指摘になりました陸、海軍共済組合当時の財源、経済内容の相違等からくる開き、いろいろな関係があろうと思います。これらの問題について、ずいぶん事務当局としては困難ではありましょうけれども、さらにわれわれも激励いたしまして、そうして前向きの姿勢でほんとうに取っ組んで、これをできるだけ早い機会に解決するということへ進んで参りますよう、私たち自身も努力いたしたいと存じます。
#44
○徳永正利君 ちょっと一点、簡単に。
#45
○委員長(吉武恵市君) 簡単に願います。
#46
○徳永正利君 いろいろ大蔵省に関係した問題とか、恩給局に関係した問題とか、あるいは雇用関係では労働省に関係した問題とか、いろいろ多岐にわたっているのですけれども、しかし、その中心は、やはり厚生省が一つイニシアチブをとって――総額の問題にしても、あるいは雇用の問題にしても、片親のない子供の雇用の問題にしても、言いたいことはたくさんありますけれども、時間がないようでありますから、日をあらためますけれども、一つ厚生省が中心になって今後進めていってもらいたいということを一点お願いしておきまして、私の質問を終わります。
#47
○藤田藤太郎君 今、徳永委員からいろいろと今の援護法からくる不公平な面ですね。それからもう一つ手が差し伸べられていない問題について触れられました。私は、そういう実情が非常にたくさんある、こういう問題について、やはり厚生省は真剣に取り組んでいただくことをお願いしておきます。
 最後に言われておった未解決の問題を一つ取り上げてみても、私の知っているのに、満州から病気になって送られて来て、内地で戦病死をした。町をあげて、市をあげて公葬が行なわれた。しかし、将校だからいかぬというので、これは何の対象にもならぬということで、もめた。そういう人の事情を聞きますと、公葬をやってもらった、町をあげて、村をあげてやってもらったのに、今度援護法ができて、扶助の対象になると、これからはずされる。そうすると、戦争に行って病気になったんじゃない、帰ってきて病気をしてあの人は死んだんじゃないかという近所の人からうわさが広がってくる。だから、金の問題じゃないですから一つはっきりしてもらいたいというようなことを言われているような実情もあるわけです。まあこれは具体的な問題で厚生省に御配慮を願おうと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういういろいろ、援護法が歩き出しているのでありますから、公平な御処置を願わなければならぬと思う。まだ未解決の問題を見ても、五千何百件残っているということでありますから、これとあわせていろいろな公平の面からくる矛盾点を一つ厚生省は力を入れてぜひやっていただきたい。どうかお願いをしておきます。
 私はここできょうは、今度出されている改正案の問題について多く意見を申し上げようとは思っておりませんけれども、予算関係が将来どういう工合になるのかという点をお聞きしておきたいと思うのです。この政府の三十六年度予算説明のところには具体的に書いてありませんけれども、今の法案についている資料を見ますと、八百六十八万二千円ということになるのじゃと思う。それが平年度に参りますと、合計一億五千万円ということになるようにこれは理解をするのですが、今度の援護法改正に基づいてこういう工合になっていくのかということが一つ。それから昨年度の予算書を見ますと、昨年度は八十七億二千七百四十六万九千円が、ことしは九十億三千七百二十三万二千円、こうなっておるわけですが、これは留守家族援護法やその他を含んで厚生省関係の予算が出ているわけですが、厚生省は、この予算と、今徳永委員の議論がありましたが、大体今後この援護措置からくる予算上の財源はどういう工合になっていくのか、そういう問題の推移とあわせて具体的な援護を実際の生活の実態に沿ってどう援護していくかという議論がその上に立って出てきていると私は思う。だから、そこらの説明をちょっとしていただきたい。
#48
○政府委員(畠中順一君) 援護法は、御承知のように、最初立法されましたときは軍人を全部含んでおりましたが、二十八年に恩給法が復活しましたので、大部分軍人につきましては恩給の方に移っております。従いまして、今日の援護法に残っておりますのは、遺族年金、障害年金、遺族給与金とあわせまして、人数にいたしますと二十八万六千八百人でございまして、三十六年度の援護法関係の支給費は、予算が八十四億八千万になっております。そこで、今後どういうふうに減っていくかという財政の負担の見通しでございますが、ちょっと今資料を持っておりませんので、正確にお答えすることができませんが、今後改正がなければ、数年間は横ばいで、むしろ減っていくくらいであろうが、その後はまた相当減ると思いますが、数年間はあまり差がなくて、八十四億から八十億程度のところを横ばいになるのじゃないかというふうに推定されるのでございます。
#49
○藤田藤太郎君 この軍人恩給、軍人遺族恩給というのが別個にあります。これは厚生省の直接の関係じゃないと思うのですが、これの推移はどうなっておりますか。
#50
○政府委員(畠中順一君) ただいまの御質問は恩給を含んでのお話かと存じますが、恩給の今後の推移につきましてはちょっと私今資料を持っておりませんので、援護法だけで申し上げますと、そう大差がなくて、ここ数年は横ばいでいくのじゃないかというふうに考えております。
#51
○藤田藤太郎君 そうすると、この改正案からふえるのは、ここに書いてある平年度において一億五千万円ですか、こういうことになるわけですね。
#52
○政府委員(畠中順一君) その資料にございますのは、今提案しておりますところの法律改正だけに伴う費用でございまして、入夫婚姻とかあるいは徴用工の関係でございます。それで援護法全体のこれが改正になって追加する分でない全体を含んだ問題につきましては、今後数年間は大体横ばいである、かように考えております。
#53
○藤田藤太郎君 それでは私は、徳永委員の質疑を繰り返しませんけれども、大臣に――今、次官がいろいろと御意見を申されたと思うのですが、援護法が実施されていろいろと実施の面にあたって問題点が非常にたくさんある。たとえば戦歿、戦傷病死、こういう方々でも実証ができないから法律に照らすわけにはいかないじゃないかと思います。今度は入夫の問題が入っておりますけれども、いろいろとこの援護法の精神からいって足りない面が、具体的にそういう面があるようであります。これは一つもっと的確にこの援護法の精神に沿って問題点がどこにあるかというようなことをつまびらかにしていただいて委員会に出していただきたい。そしてそういう上に立って実際の生活にお困りになっている方々を、たとえばこれで援護していくのか、または福祉年金というようなものでやっていくのか、また、新たな名目で法律をこしらえてその方々を援護していくのか。やはり何といっても一番困難な人は未亡人です。それから順次遺児という格好になっていくわけです。それから遺族もむろんそうですが。ですから、そういう方々の今後の生活を、いずれにしても今度の戦争の犠牲になられたわけですから、どうしていくかということについてこの援護法自身でやっていくのか。一般的な社会保障的な面から特別な援護の法律をこしらえてやっていくのか。たとえば生活保護の関係についてどうするのか。今度福祉年金の関係についてどうするのかという問題をつまびらかに厚生省は出していただいて、そうして皆さんこの委員会でも今の援護法からくる公平な支給という問題を十分に考えるべきではないかという工合に私は思うのであります。
 徳永委員の言われている一つ一つの問題についてみますと、援護法の精神からいってごもっともなことが多いわけでありますから、そういうことをどうか一つ、今すぐというわけにはいきませんから、次の通常国会あたりまでに厚生省は努力されて、つまびらかにされるようにお願いしたいのですが、御所見を承っておきたいと思います。
#54
○国務大臣(古井喜實君) 承知いたしました。準備を急ぎまして、御希望に沿うように努力いたしたいと思います。
#55
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#56
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
 ほかにございませんか。――別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。
 別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手をお願いします。
  〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 それでは、午前中はこの程度にして休憩いたします。
   午後一時十六分休憩
   ――――・――――
   午後二時十七分開会
#61
○委員長(吉武恵市君) ただいまより委員会を再開いたします。
 健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#62
○藤田藤太郎君 今度の法案を見ますと、分べんとか育児手当金の改正だけになっているのですけれども、私は健康保険の問題を見てみますと、たくさんの問題があると思うのです。それで、まあ第一には、今の本人一〇〇%、家族が五〇%ということでいいのかどうかという問題が一つあります。もう一つの問題は、その中で組合管掌と政府管掌が分かれておる。具体的には、健康な人を大企業が採用して、これが組合管掌になっている、おおむね。そうしてその他の中小企業を含めて政府管掌になっている。だからそこから違う。たとえば付加給付の問題を一つ取り上げてみても非常に差がある。実質的に家族給付の問題にまで手が入れられているというのが私は現実ではないかと思う。これを国保の問題、それから健保の問題、共済保険の問題、日本の医療制度全体について、私はやはり順次総体的な引き上げとあわせて、内部の充実という問題を考える時期がきているのじゃないか。だから厚生大臣に、この全体の医療制度をどうやっていくかという問題が一つと、それから個々の分かれていますやつを一ぺんに統合するわけにいきませんけれども、これを今の健康保険だけを見て、健康保険の政府管掌と組合管掌との関係をどう処理していこうとしておるのか。ここらあたりについてちょっと御意見をお聞かせいただきたい。
#63
○国務大臣(古井喜實君) 組合管掌と政府管掌、制度の建前そのものには大きな違いはないのでありますけれども、実際の力が組合健保の方にはあるものですから、ですから非常に給付も充実しておると、こういうわけで行き届いておるわけでありますね。そこで、実質的にいうと、政府管掌との間に差が起っておると、こういうわけでありますね。これはまあ保険経済の違う、まあその背景にある一体賃金とか事業者の負担能力とかいうことからこういう事態が起こっておると思うのですが、この違いも一つの問題点でありますが、同時に、あるいはそれ以上にいつも藤田さんのおっしゃる国保というものを取り出してみるというと、制度そのものがもう大体政府管掌の健保よりも劣っておる。本人だって五割給付しかしないということで、こっちは十割と、制度そのものが劣っておる。家族も、本人も五割ということになっておる、こういうことでありますし、実態を見るとこれはまたひどい、対象になっておる人が経済力のない人が大部分というのですから、これをそうやたらに上げるわけにいかず、こういうわけでありまして、全体をながめるといろいろとここに差のついたものが、格差があるわけです。この格差を何とか減していく全体的な調整をしたいと、これを次の予算段階というか、には、一つの問題としてできるだけ一つ取り組んで解決をしていきたいという考え方をしておるのであります。で、政府管掌の問題も含めて検討いたしますが、一本にもう保険をしてしまうというところまでいくのはこれは容易なことじゃありません。筋は立つかもしれない、体系は整うかもしれないけれども、なかなか容易なことじゃない。内容の調整をとっていく、低い方を少なくとも高い方と差がつかぬようにこれを調整するようにしていくことは、第一段階として考えていきたい、こういうふうに考えておりますから、お話の趣旨はよく考慮に入れて研究を進めていきたいと思います。
#64
○委員長(吉武恵市君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#65
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#66
○藤田藤太郎君 そこで、私の方にもこういう意見がある。というのは、組合管掌は千分の三十から八十の中で運営しなさいという。政府管掌は千分の六十三ですか、六十五から二下げて三ですね。ですからそういう状態の中で保険経済の面からいうとどうなっているかというと、健保連合会というのは相当な財産を持ってですね、で、その健保連合会というのは財産を持っているというけれども、それはまあ一つの常識だが、各組合の健保の内容を見てみると、非常に何というか優遇をされている。だから付加給付でほとんど家族に百パーセントやっている。それからこれと同じ形式の共済健保ですね、共済保険の政府事業の関係、これも家族はもう大体九〇%以上の付加給付を受けているということを聞くのですが、これも一つ私は事務的にあとでお聞きしたいと思うのですが、どういう状態にあるか。そうなってくると政府管掌というのが結局まあ気の毒じゃないか。保険料は高く払う、そして家族に対する付加給付はない。それと同じ保険料で健保という名前で、健康保険という名前でありながら非常に差異がある。私は、だから組合管掌と政府管掌のその保険経済というものをつまびらかにして、そしてその政府管掌については政府がめんどうを見るというような格好をせざるを得ないじゃないか。この前の歴史を、政府管掌の歴史を見ると、一時三十億ずつ出すという約束はあの赤字になったときにせられて、ものの一年もたたない間にそれが消えてなくなってしまったという、私たちは政府が約束してからそれをしなかったというのは重大なる問題だと今でも考えておる。だから、今はまあ保険経済がよくて相当余裕があるそうですから、その約束の問題と今の操作の問題とを私は直ちに一緒にして議論はいたしませんけれども、しかし、そういうやはり当時、場合によってはああいう状態になるということを頭に入れて、内容を改善してあげるというところに力を入れるべきではないかという工合に思うのです。だから、まあ一つの意見では、組合管掌も政府管掌もプールにしたらいいじゃないかという意見もあります。それはそれなりに、私は筋の通った意見だと思っている。しかし、それじゃ具体的にそれを実施する段階になって、そう簡単にいけるかというと、なかなかむずかしい問題があると思います。そうなると、政府管掌と組合管掌の健康保険を同一にするには、政府管掌の保険の状態をやはり底上げをして一緒になる条件を私は作らなければ一緒になれないのじゃないか、こういう工合に思っておるところでございます。だから、まあ、この医療制度全般からいうと、国保の問題がまた問題になるのですけれども、きょうは国保の議論はいたしませんけれども、だから何といっても私は今の日本の経済の中からいって、おしなべて国民は同じ条件のもとに同じ待遇を国の制度として受けるということがいいことであるけれども、しかし、何と言ってもこの国保と今までも違った形でやられてきた健保の内容改善ということには私は力を入れるべきではないか、欲は言いませんから、政府管掌の健康保険について内容をやはりよくしてあげる、家族の給付を初めとしてして上げるということを考えていただきたいと思うのです。たとえば組合管掌の健康保険組合の診療所ですね、病院、それから薬の配給、これはどこでもやっていますよ。これは病院を持っているところ全部とは私は言いませんけれども、ある地域的なところに診療所を持つとか、それから薬を定期的に家庭へ配給するとか、そういうことはみな行なわれておる。それはまあもっと深くそれを突いていきますと、大きい会社の今の生産を独占していると言いましょうか、この波に乗っている会社は、待遇がいいから、雇うときにもまず健康なそういう病気にならぬような者をより取りで雇う。十倍も二十倍もの中からより取りでやる。それが次の段階の中小企業に回っていくということで、そういう社会的な条件ですね。政治問題で本来すべきところをしないで行なわれておる。これが社会的な保護しなければならぬ問題と関連して、そういうものが基礎でそれでその上に今の保険操作の、同じなだけの保険料を払うのじゃなしに、片方は千分の三十から八十まで、片方は千分の六十三、これは固定してしまう。だからそこへ財源があるということで、政府管掌は非常にいい条件なんです。私はいい条件をおろせとは言いません。いい条件はもっと医療制度は完備すべきだとは思いますけれども、しかし、せっかくある程度のバランスを取るためには政府管掌の健康保険には力を入れて、今赤字が出ていないからということでなしに、赤字が出てないなら内容を改善する、そして本来のいわれている政府管掌と組合管掌の統一という条件をそこから作っていくということでなければ、私はせっかくのこの健康保険を通じての医療制度の確立ということはむずかしいのじゃないか。きょう出されている分べん費の問題や育児手当金の増額については私はけっこうだと思います。しかし、けっこうはけっこうでありますけれども、そういう健康保険の全体の問題を私はやはり大いに考えていただきたい。それでこれから、最近にはだんだん雇用労働者がふえていくわけですから、それで保険加入被保険者もだんだんふえいくと私は思うわけです。だから、それとマッチして、何にも知らない人が入ってくる。隣の会社は組合管掌で家族にも九〇%から一〇〇%の付加給付を受けている。私の会社は同じような健康保険であるけれども、家族のめんどうもないとし、付加給付的なものもないということでは、これはやはり少し気の毒じゃないか、不公平じゃないかと思う。これが一つでございます。
 それからこれを受けて立っている全社連というのですかね、健康保険の病院ですね。これの運営についても私は十分この際聞いておきたいと思っておったのですが、前段についての厚生大臣の御所見を承りたい。
#67
○国務大臣(古井喜實君) さっき申し上げたようなわけで、御趣旨は私は同感であります。そういうところに今後の問題があり、かかっていると、こういうふうに思っているのであります。その点は御趣旨同感に感じております。
#68
○政府委員(森本潔君) 数字の問題で御質問ございましたので申し上げます。
 健康保険組合あるいは健保連の財政の点でございますが、これは年に一回ずつ報告を聴取いたしているわけでございます。
 それで、まず健保連でございますが、これは各組合の連合した法人でございまして、それ自体といたしましては大した財産もございません。ただいま記憶いたしておりませんが、土地、建物その他で二、三億程度だと思います、健保連自体といたしましては。
 それからよく、たくさん財産があるというお話でございますが、これは各単位の健康保険組合を全部合わせた金が相当多い、こういうことでございまして、その数字を申し上げますと、健康保険組合の数が現在におきまして約千五十ほどございまして、それらを集計したものでございますが、三十四年度末の決算によりますと、準備金と申しますのが全体で百四十六億ございます。この準備金と申しますのは、保険給付費が予算が足らなくなったという場合のその準備の経費でございます。政府管掌におきましても準備金を持っておりますが、これは前三ヵ年度平均の保険給付費の全額の五%を積み立てをするように省令をもって指導いたしているのでございます。これが百四十六億ほどございます。それから次に別途積立金というのがございます。これが約百三十四億。これは前年度の剰余金の中から、保健施設でありますとか、診療施設を作るとか、こういうような福祉施設を作るための目的で金を積み立てているものでございます。金がたまりますと、今申しました保健施設であるとか、療養施設を設置するわけでございます。それから退職積立金、これは健康保険組合の職員の退職の積立金でございます。これが約六億ございます。現金を合計いたしますと約二百八十七億。そのほかに不動産、それから什器、備品、こういうものを合わせまして評価しましたものが約百七十三億ということでございます。一応これが千五十ほどの組合の準備金、それから積立金、不動産の報告を集計したものでございます。
 それから次に組合の付加給付の状況でございますが、これも各組合によって非常に違っておりますので、大体のことを申し上げます。埋葬費でございますが、これも組合によって違いますが、少ないところは千円、高いところは八千円というような非常な幅がございます。それから分べん費につきましても、低いのが千円、高いのが六千円という程度でございます。それから傷病手当金、これは法定給付に対して一割ないし三割多く出しておるというのが多うございます。それから次に家族の療養費でございますが、これは五割の療養費の支給に対しまして、平均して申しますと、約二割程度の付加給付をいたしております。高いところは全額、あるいはないところもございます。大体の概括的状況は以上の程度でございます。
 それから共済組合でございますが、これは私の方で直接資料をとっておりませんが、従来から話を聞いておりますところによりますと、健保組合とほぼ同様でございますが、若干劣っておるのじゃないだろうか、平均的に申せば劣っておるのじゃないか、こういう感じを持っております。数字の点は大体以上でございます。
   ―――――――――――
#69
○委員長(吉武恵市君) この際、委員の異動について御報告をいたします。大泉寛三君が辞任せられ、横山フク君が選任されました。なお、光村甚助君が辞任され、坂本昭君が選任されました。
 以上であります。
   ―――――――――――
#70
○委員長(吉武恵市君) 次に理事の補欠互選を行ないます。
 ただいま申し上げました通り、坂本理事が一時委員を辞任されたため、理事に一名の欠員を生じておりまするので、これから理事の補欠互選を行ないたいと存じまするが、その方法は、慣例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。それでは私より坂本昭君の補欠として坂本昭君を理事に指名いたします。
   ―――――――――――
#72
○藤田藤太郎君 この最後の退職積立金のあとの不動産というのは、病院、福利施設その他みなさしているわけですか。その合計ですか。そして共済組合の保険ですね。これが大体健保と同じくらいだと、こう言われますが、その今の健保の説明を聞くと、付加給付家族一〇〇%のところと少ないところがあるということ。この共済保険のところもそういう状態じゃないですか。それを少し……。
#73
○政府委員(森本潔君) 共済組合の付加給付の状況でございますが、先ほど申しました、大体健保組合と同じようなレベルでございます。がしかし、総体的に申すと少し低いじゃないかという感じがいたします。なお、正確な資料は私の方でとっておりませんので、事務上の連絡によって承知しておるところの感じを申し上げたのでございます。
#74
○藤田藤太郎君 全社連のことを聞こうと思いましたが、もう少しこの問題についてお聞きしたいと思うのです。
 そうしますと、今の準備金、別途積立金、――退職金は大したものじゃありませんが、不動産として病院、診療所、それから保養所ですか、みな持っていますね。そういうものが、これだけ合計しただけでも四百五十億ぐらいになるわけです。財産が。そうすると、こういう施設が行なわれているということで、大体保険料はどれくらいとっているでしょうか。
#75
○政府委員(森本潔君) この千五十ほどの組合の平均の保険料率は千分の六十四でございます。
#76
○藤田藤太郎君 そうすると、政府管掌が千分の六十三ですね、そして診療所もなければ病院もない。そして付加給付もないということになると、政府管掌並みへ条件をそろえたら、この保険料はどれくらいでいけるということになりますか。
#77
○政府委員(森本潔君) ちょっと前提で、あるいは誤解かと思うのでございますが、組合におきましては、こういうように保養所あるいは療養所を作っております。それから政府管掌におきましても、数は少のうございますが、今調べればわかりますが、保養所というのをやはり作っております。それから健康保険の病院も作っております。大体保養所は全国の各府県に一つないし二つ程度、それから病院、診療所の数は約七十ほどございます。あるいは巡回診療車というのもございます。数は少のうございますが、やはり両者とも法律の規定によりまして、健康保険法二十三条の規定によりまして、健康保険におきましては、療養の給付をするほかに、被保険者の健康の保持増進あるいは療養のための施設を作る、こういう規定がございますのでやっておるわけでございますが、ただ御指摘のように、健康保険組合の方が多くて、政府管掌の施設が少ないということでございます。
 それからこの料率が政管で千分の六十三、それから組合で千分の六十四でございますが、保険料の入る額から申しますと、標準報酬が違っておりまして、政府管掌ではちょっと端数がございますが、平均いたしまして約一万五千円、それから組合管掌におきましては、平均いたしますと、標準報酬が約二万円という数字でございますから、同じ料率を使っても保険料の入る額が多うございます。それで政府管掌と同じような保険料を取るということをいたしますと、大体千分の六十四というのを千分の四十五くらい取れれば、この被保険者一人当たりの保険料額は匹敵することになるわけでございます。
#78
○藤田藤太郎君 そうすると、非常に差があるのですね。これは保険法によって保養所や病院は作る。しかし、作っても家族の付加給付とかそういうものには全然関係ないわけです。実質的には被保険者の立場からすると、プールされた政府管掌の保険の財源がそこに使われるというだけで、被保険者からいう家族の付加給付というようなものは、政府管掌には全然ないでしょう、何か作っていますか。
#79
○政府委員(森本潔君) 政府管掌におきましては、御存じのように、この付加給付というのをいたしておりません。それから今申しました福祉施設あるいは保健施設というのは、これは政管の被保険者のほかに家族ももちろん利用はできます。
#80
○藤田藤太郎君 こういう工合に千分の四十五と千分の六十三とざっと……、正確なことは私は申しませんが、大ざっぱに言って、こういう条件のもとに健康保険に労働者が加入をしている、これはこういう数字から見ても政府管掌については何とかこれは手当をしないと非常に問題ではなかろうかと私は思うのです。それで組合管掌の場合ですと、団体交渉によってこの付加給付をどう積み上げるかという問題も出てきているわけです。単なる保険財政のほかに、この保険組合の財政に事業主が寄付というような形ですか、または補給するという形か何かの形でここへ相当な金を注ぎ込んでいる、こういうことも私は聞くわけです。しかし、政府管掌の場合にはそういうことは一切できませんから、だから私は、そこで働いている個人にとっては組合管掌は非常にいいと思うのです。いいと思いますから、政府管掌の人があまりに気の毒じゃないかという気がするのです。組合管掌の中で葬祭費が千円から六千円まで差がある、分べん費も千円から六千円の差で支給されている。おのおのの組合の経済の立場から私はそういうものが支給されているのじゃないかと思うのであります。だから、非常に最もよい組合と政府管掌と並べてみると、ものすごい差異があるのじゃないか、こういうふうな気がするわけであります。だから、これは先ほど大臣もおっしゃいました、ぜひ政府管掌を育て上げて、そうして底入れをして統一するような方向ということを言われているそういうものの努力というものがされていいのじゃないかと私は思うのです。その統一のためにもつと、付加給付のいい条件を引き下げられるようなことがあっては大へんでございますが、そうでなく、おくれたところを引き上げて、そういう方法を将来の問題として統一して考えていくということはあっていいのじゃないかと思います。あわせて共済組合等も同じようなシステムでやるならば、それもやはりあわせてそのときに統一する問題を考えていいのじゃないか。だから被用者健康保険と一般的な健康保険という二つのプールの中で療養給付その他内容を充実していく、そういうところに政府がめんどうを見るという工合に方向をつけなければ、これはせっかく保険制度があるけれども、強いものがちといいますか、保険経済の中で強いものがちという格好で、その条件のいいところにいる人はいいが、条件の悪いところにいる人は非常に気の毒だと思いますので、ぜひこの構想について厚生省で十分な検討をしていただきたいと私は思うわけです。
 そこで今七十の、政府管掌の中で保養所が大体各府県に二ヵ所ぐらい、それから病院が七十ぐらいだとおっしゃいました。これは病院は全社連でまとまっている社会保険病院、あれですね。
#81
○政府委員(森本潔君) そうです。
#82
○藤田藤太郎君 そうすると、全社連が病院の管理をしているが、保養所はどこが管理しておりますか。
#83
○政府委員(森本潔君) ただいまお話の保養所とそれから健康保険の二つでございますが、保養所の方は、各府県に政府管掌の事業主が集まりました社会保険協会という法人がございます。これは昔からあるのでございます。そこに国と申しますか、県の方から委託経営をさせております。それから病院につきましては、従来そういう方式で同様に各府県から地元の社会保険協会に委託経営をさせておりますが、経営の実績を見ますと、最近スト問題で日赤等の病院でいろいろ問題がございましたように、いろいろ経営上の楽なところとそれからむずかしいところとありますので、これは一つ一元的に経営する方がよかろうということになりまして、たしか三年前かと思いますけれども、全国社会保険連合会というのに委託をしております。全国社会保険連合会と申しますのは、各府県にございます社会保険協会が集まって作った法人でございます。
#84
○藤田藤太郎君 この全国社会保険連合会――これは各府県の社会保険協会
 というものは事業主の団体ですか。
#85
○政府委員(森本潔君) 政府管掌に入っております事業主が集まって作った団体でございます。まあいわば中小企業の事業主ですね。政府管掌は大体中小企業が多うございますので、そこの関係しております政管関係の中小事業主が集まって作った団体でございます。
#86
○藤田藤太郎君 この社会保険協会というものは事業主が集まってやっている。健康保険組合というものは、大体労使が折半に出て評議員会、理事会を作って、その健康保険の保険の運営に当たっているのですけれども、この政府管掌の保険の運営は、そうすると事業主の団体だけがやっているということになりますか。働いている労働者の意見というものはどういうところで反映していくわけですか。
#87
○政府委員(森本潔君) この社会保険協会と申しますものは、これは法律上の根拠も何もなくして、政府管掌の保険事業がうまくいくように援助をしましたり、それから何と申しますか、広報宣伝をしたり、そういうような目的のものでございまして、事業主のためというよりも、これは事業主というものは被保険者のためにこの社会保険をやっているわけでございまして、事業主自身のためじゃございません。そういう意味におきまして事業主が被保険者のための社会保険を通じて、これがよく利用せられたりあるいは保養所を設置してうまくいくように、こういう趣旨でできているのでございまして、これは従来から中小企業におきましてはそういう被保険者の団体というか、集まりというものはございませんものですから、まあ沿革的に事業主だけでこれを、協会を作って運営しているわけでございます。こういうことでございます。
 それからこの社会保険の事業と申しますか、これ全体につきましては、御存じのように、社会保険審議会というのがございまして、ここでこの企画の面あるいは運営に関する事項をきめているわけでございます。それでこの審議会は御存じのように、事業主とそれから被保険者の代表と、それから学識経験者の代表、この三つでなっておりまして、ここで政府管掌の保険事業の企画なり運営の大筋をきめているわけでございます。
#88
○藤田藤太郎君 ですから、組合管掌は各組合単位に評議員会、理事会、そういうものが行なわれて、機微に触れたところまで医療給付その他について意見が上から下まで、下から上までパイプが通じているわけですね。ところが、この政府管掌になりますと、そういうことの機会というものは、社会保険審議会ですね、これだけしかないということの問題、これは組合管掌との関係においての、各職場で働いている、多いところは五百人も千人ものところの政府管掌に入っているところがあることを私は見受けますけれども、少しそこらの運営の問題について配慮する必要があるのではないかと私は思うのですけれども、どうですか。
#89
○政府委員(森本潔君) 御存じのように、健康保険組合におきましては組合会というものがあって、これが保険者といいますか、保険者の仕事の企画をしたり決定をしたり執行をいたしております。この組合会には事業主の代表、それから被保険者の代表が入ってやっております。こういう状態で、お話のように、事業主と被保険者が一体となってこの組合の事業をやっておるわけでございます。まあこれが非常にいい。ところが、政府管掌の方ではそういうものがないじゃないかというお話でございますが、確かにそういう面はあろうと思います。まず保険者が政府でございますので、厚生省でございますので、厚生省という組織の中に被保険者あるいは事業主というものを取り込むわけにも参らないという制度の問題もございます。しかしながら、事業をやります場合には、事業主なり被保険者の意向を尊重しなければならないという建前からいたしまして、社会保険審議会というものができて、そこで意見を聞いてやって参るということでございまして、両者の仕組みが違います関係上、同じような立て方には参らぬことがあろうかと思います。しかし、実際におきましては中小企業政府管掌におきまして、御存じかと思いますが、健康保険委員というような制度――制度と申しますと大げさでごさいますが、おりまして、これがいろいろ被保険者の世話をしたり、あるいは被保険者の要望するところを上に伝達すると申しますか、というような機能も、働きもやっておる一面がございます。まあ政管と組合管掌の仕組みの違いと申しますか、制度の立て方からいたしまして、御指摘のように、同じような方式をとることはやや困難かと思いますが、政管の仕事におきまして被保険者の意向を尊重するということは、十分尊重しなければなりませんので、適当な方法がありますれば、今後とも検討して参りたいと思います。
#90
○藤田藤太郎君 もう一つ、これも聞いておきたいのですが、私は本来、今のような差がありますから、何とかうまく一本にならないか、こう思っている一人です。ところが、具体的に千人のところが独立をしたい、独立をしてやらないと――給料も二万なんぼになって十分やっていけるのじゃないかと思う、こういうような意見が出てくると、われわれも非常に困るわけですよ、実際問題としてが。それで独立してやっているところと比べてものすごい給付の差があるのです。それでまあ何とかこれを保険課――府県の保険課と厚生省にどうだと言うてみると、なかなか渋るわけですね、これは。そうすると、そこらあたりで渋る条件というものがなかなかわれわれには理解できないのです。だから渋るぐらいならなぜもっと統一をして、いい方向に、政府管掌の方々もよい方向になぜ引き上げないかということが言いたくなってくる。本来いけば一本に一かりに標準報酬にしたって非常に差異があるから、給与の安いところばかり集まったら苦しいにきまっておりますからね。給与に対するものさしをかけているのですから、だからそこらあたりはどうしてもやはり改訂しなければならぬところにきているのじゃないかと私は思うのです。それで給付内容も、とにかく給付ばかりでなしに全体の給付内容を引き上げていくとかなんとかいう問題にまで私は入る一もう戦後十六年たって、池田さんじゃないが、倍増と言われるけれども、ここ三年来の経済の成長から見て、もっともっと内容を改善する時期が今もうきているのじゃないですか。まあ厚生大臣、しっかり遠慮なしにやりなさいと、国保にしてもやりなさいと激励をしているところなんですが、遠慮をし過ぎて、厚生省が何か今までの過程にとらわれ過ぎて、こういう実際の問題が、労働再生産において一番肝心なところが手抜かりになっているのじゃないかという気がしているところでございます。だから、それからまあそこはそれくらいでいいが、全社連の運営というものですね、これは今の公式でないようなことが言われましたけれども、この全社連の病院経営についての監督はどういう格好でしておられるわけですか、厚生省が――厚生省というか、保険者ですね。
#91
○政府委員(森本潔君) この全社連に対しまして、健康保険病院のほとんど全部を一括して委託しております。委託します際には御存じのように、委託契約をしておるわけでございますが、大体考え方といたしましては、建物、それから重要な機械器具と申しますか、こういうものは国で整備をいたします。国費で整備をいたします。それから残りのこまごましました機械器具、それから平常の経常費でございますが、これは診療収入をもって充てる、その部分につきましては全国の病院を通じまして独立採算をやってもらう、こういう仕組みにいたしております。
 それから各病院の経営の仕方でございますが、全社連としては七十の組合を通じて独立採算として収支をやらにゃいかぬのでございますが、沿革上の理由といたしましてただいまのところ、経常収入、経常支出をプールしてやるというところまでは今まだ参っておらずに、各病院ごとの採算制をやっておるわけでございます。将来これはある程度プール制にするとか、あるいは全部じゃなくてもある部分をプール制にするとか、そういう措置をとって参らにゃならぬと思いますが、今までのところは従来の沿革がございますので、各病院ごとの経常収入支出の独立採算をやっておる、こういう状況でございます。
#92
○藤田藤太郎君 私は、そこが少し問題だと思うんですね。というのは、政府管掌の健康保険が財源を捻出して病院を建てる、保養所を建てる。そしてそこから経営については全社連にまかす。建物等大きい機械だけは国が持つけれども――国というのは保険者、保険から出すわけでしょう。一般会計出さないわけです。だからこの保険から出すが、小さい機械その他の運営は全社連でやりなさいというところに間違いが起きているんじゃないですか、むしろ。その健康保険の財政からあらゆる一切のものを出してやるという工合に統一をするか、そうでなければもう別個な、病院はどこでも病院診療というのはあるんですから、それで一般の外来患者を含めて独立採算をせいというようなところから、あの病院の諸君の犠牲によって経営のしわ寄せを、全社連がそういう格好の中で病院の従業員にしわ寄せをして、自己の運営、自己の満足な運営ということへ持っていくということになるんじゃないか。むしろ保険者である、政府管掌の健康保険が、建物から大きい機械だけじゃなしに、一切の問題をめんどうを見て、保険組合、政府管掌の保険自身が経営をするという格好に持っていかないで、何かちょっと言いにくいことを言えば、これも一つの利益を上げる機関のような格好でこれが運営されているとしたら、そうしているかどうかということを私はさっき言いませんが、そういうことをしたら私は問題じゃないか。この間もこの社労委員会におきまして、公務員の給与とどうだというような話が出ました。出ましたけれども、準ずるというだけで公務員の給与よりか安い。そんなことあるかといってここで議論をいたしましたけれども、どうもやっぱり待遇が悪いようであります。政府管掌の、保険者が政府になっておって、もう準国の経営みたいなものですよ。保険者が政府であって、そしてやっぱり財政が苦しくなれば保険料をお上げになるだろうし、国が補給もせられるでありましょうし、それでなければ実際の病気になった者は困るんですから、そういうことを見ながら、何かどういう言葉で表現したらよいかわかりませんが、建物や大きい機械だけ持ってやるから外来患者も含めてあんたしっかりもうけなさい、もうけて運営しなさいという、そういう仕組みでいいのか、非常に疑問なところだと思うんです。むしろ建物も機械もあらゆるどんな設備から一切は保険者である政府管掌の健康保険が持っているんですから、出しているんですから、一切のものを出して、ガラス張りの中で公務員と同じ待遇、国立病院と同じ待遇でこの病院を経営するというところに私は建前があると思うんです。労働者や使用者が出した、零細な金を出して保険料を払った金から、法の趣旨に沿って病院を建てておきながら、その無人格的な、人格のないような、先ほどのお話ですと、公式なまあ人格がないと言えましょうか、全社連というようなところにその半分だけ請け負わすような格好でやると、結局どこに問題がいくかといえば、それは従業員の犠牲によって病院が運営される。あとはしっかり外来患者でもとって独立採算をしなさい。少し間違ってはしませんか、ここ。これは一つ大臣の御意見も聞きたいのですが。
#93
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#94
○委員長(吉武恵市君) 速記をつけて。
#95
○国務大臣(古井喜實君) 今の藤田さんのお話は、私も実情をはっきりつかんでいない点がありますので、むしろ実情の方をもよく知っている局長の方からともかく一ぺん答弁を聞いていただきたいと思います。また、来ましたら申し上げますが。
#96
○政府委員(森本潔君) この全社連でございますが、ちょっとあるいは誤解があってもなりませんが、人格としましては社団法人という資格でございまして、法律上に、この健康保険法上に書いてはございませんが、民法上の社団法人という人格を持っているわけでございます。それからこの健康保険病院と申しますのは、お話のように、実質的には国立の施設であると考えていいわけでございます。しかしながら、こういう施設を国が直接やるよりも、これを専門にやりますところのこういう社団法人に委託した方がうまくいけるという政策論からもこの社団法人に委託をしているわけでございます。まあどちらがいいかという政策論はあろうかと思いますが、一応今のような考え方になっております。
 それから従業員のベースでございますが、これは実質上国立病院というような性格を持っておりますので、国立の施設でございますので、ベースとしましては、給与体系としましては国家公務員と同じベースをとらしております。なお、先般来団体交渉等やりまして、たしか一般の公務員のベースよりも一律千円ずつ高くなっているわけでございます。まあこれも国家公務員のベースに準ずるという意味に千円高い分を読んでいるわけでございますが、従いまして、国家公務員より低いということはございません。平均値をとりますと、あるいは就業年令が高い、そういうことで低いこともあるかもしれませんが、ベース自体としましては公務員ベース・プラス千円というベースでございます。
 それからこの病院が経常収入支出を独立採算でやると、もうけ過ぎたり、あるいは赤字を出したりするいろいろな事態があるのじゃないかという今御心配でございますが、なるほどあろうと思いますけれども、まあ大体この一般の医療機関が、ことに病院が成り立っていっている状況でございますので、健康保険病院のように、初度設備、あるいは重要なる機械全部国が出して見ているということでございますから、また、税金もかかりません。
 償却も要りません。こういう状態でございますので、他の一般の民間病院に比べて経営が困難である。それからその困難さのしわ寄せが従業員のベースにくると、こういうことはちょっと考えられないことだと思います。むしろそういうことがあるとしますならば、それは経営管理の適当を欠いておると、つまり一般的に言い得るのじゃないかと思います。もっとも非常に立地条件の悪いところにおきましては一がいには申せませんけれども、一般的に申しますと、民間の病院が成り立つならば、この健康保険病院についてはもっと楽にうまく、模範的な経営ができる。そういう意味におきまして、独立採算制度をとらせましても無理があるということは一応考えられないと考えております。
#97
○藤田藤太郎君 どうもそういうものの考え方が労災病院に出てくる、船員病院に出てくる、おかしいと思う。実際にあなた方何を考えているかと僕は言いたい。政府管掌の健康保険の法律に従って病院を作った。建築をし、資材や機械を入れて、それでその健康保険の被保険者が中心の病院なんですから、その他外来の方々がおいでになることは、病院なんですからどなたがおいでになってもお医者さんがおられるのだから見てあげたらいいと思う。そんなものをあてにして独立採算、そういうところは管理が悪いとか言われたけれども、この前全社連が来たときの質疑を、あなた議事録を読んでみなさい。今上がったと、千円プラスと言いますけれども、あのときの来た人の質疑応答の会議録を読んでもらいたいと私は思う。公務員の給与に準ずるということになっています、事実はどうだと言ったら、それは自信をもって答えられませんと言っているが、実際に低いということは明らかに言っている。公務員は共済その他によって、共済年金その他があるから、準ずるということは、公務員の給与よりか何割か給与の面は高くなければいかぬのに、公務員給与より現実低いという状態におかれている。なぜこういう病院の式のやつを、厚生省こそ改めるべきだと私は思う。実際のものを見て、そうして健康保険の患者が中心でちゃんと採算を立てて、そこで働いている人も公務員の給与並みで、その他外来によって、これは一般的な標準がありますから、収入を得たときにはその収入をどうするかというところに問題の視点をおかないと、外来がきますことを期待して、そうして独立採算制というようなものの考え方がおかしいじゃないですか。健康保険で積み立てて出している人はどうなるのですか。保険料を出している人は、そういうことまで今の仕組みではもう意見を述べるような機会がない、実際問題として。健康保険組合ならもう直接一つの単位ごとに労使折半で委員が出て、評議員会で、委員会ですから、そういうことがガラス張りでわかるけれども、こういう病院の状態についてはものすごいたくさんの人が加入していても実態もわからないし、意見を述べる機会もない。そういう状態のものをこちらでおいでおいで、今のようなやり方というものは私は改めるべきではないか。これは保険料をかけた人が、事実はあなた方のかけた金がこうなって、その全社連というところが、たとえばもうけて、おもなものはあなた方のかけた金から出しておって、途中の幾らのものをもって独立採算制云々によって、労働者は、ここで働いている労働者は、病院の労働者が犠牲になっているということを聞いたら、私は一般にかけている労働者は怒ると思う。そういう状態が全社連の行き方じゃないか。船員中央病院もそういう格好です。この前清水さんはそういうことはいたしませんとはっきり約束をされました。船員中央病院のことは約束されましたけれども、これは私はそういう仕組みが悪いと思う。仕組みがもっと直結した――主体者は、保険者は政府なんですから、政府管掌の健康保険で取り上げたのだ。政府管掌の被保険者が、やはり自分の力量といいますか、それは標準報酬が安いなら安いなりの病院の中で、そこで働いている者が一体となって、みんながよくなるということでなければいかぬ。だから、そういう仕組みについては一つ根本的に考えてもらわなければならぬのじゃないかと私は思う。まあだいぶん先ほど来議論をいたしましたから、その問題点だけを私は指摘しておくわけですけれども、これはぜひ一つは政府管掌の健康保険と組合管掌の健康保険とのこの格差というものをどうして縮めるか。どうして縮めるかということになると、上を下に下げるのではなくて、下を上へ上げることによってこの格差を縮めて、将来は共済組合を含めて健康保険というものの統一の構想が出てこなければならぬ、内容改善の上から。これが一つです。
 それから今の健康保険が運営している全社連の関係というものは、私は今申し上げておるように感じておるわけです。だから管理というものをどこがやっておるかということになってくると、厚生省自信のある答えができますか、全社連全体の管理……。ガラス張りの中で、どの被保険者にでも見てもらって心配のない管理方式を厚生省とっておりますか、保険者として、全社連の病院について。
#98
○政府委員(森本潔君) 前段の点につきましては、先ほど来大臣がお答えいたした点で、目下検討いたしておる問題でございます。
 それから第二段の点でございますが、これは委託契約におきまして、毎年一定の時期に、収支の計算あるいは財産の状況、そういうものをすべて一定の様式によって報告を徴しております。それによって経理なり管理なりがうまくいっておるかということを国として監督する。それからそのほか随時監査と申しますか、監督もいたしておるわけでございます。その他一般的な方法において、公表はいたしておりませんけれども、役所といたしましては報告を徴して、それによって所要の監督をいたしておるわけでございます。
#99
○藤田藤太郎君 だから保険局ですから、私はほかのところにあまり触れたくないけれども、日赤なんかのああいう病院の運営の仕方を根本的に変えなければならぬ。日赤の問題があるわけです。病院経営という問題がある。この全社連というのは非常に、健康保険法によってできてきた病院だから私はより完全な格好にしてもらいたいと思いますけれども、何やかや理屈がついて、それで外来患者をとって独立採算制という格好で、社団法人でありますけれども、不明朗な格好で行なわれておる、私はそうしか考えていないのです。それはあなた、被保険者とそれから事業主が折半して出したやつを、そういう個々における意見は保険委員というものがあって給付の面の相談はのるでしょう、その人は給付の面の相談やその他はのるでしょうけれども、実際問題として今の保険のあり方という問題については意見を出す機会がないでしょう。だから、そんな状態におくならば、なおさらこの全社連のこの病院の経営については、法律によって作ってきた、この政府管掌の保険経済から出して作ってきた病院ですから、もっともっとガラス張りにして明朗にしなければいけないと私は思う。もしもたくさんここでもうけたらだれが利益を得るのですか。欠損した場合も言えるのですが、欠損した場合はだれがそれでは欠損の負担をするか。利益を得た場合にはだれが利益を得るか、その病院の経営、全社連……ちょっとお答えを願いたい。
#100
○政府委員(森本潔君) この収支の点につきましては、一応全社連が赤字、黒字につきまして責任を負うわけでございます。しかし、これはなお黒字が出ました場合、これを何に使ってもいいというわけではございません。施設の整備でありますとか、あるいは研究費であるとか、あるいは待遇改善であるとか、そういう使途につきましては十分こちらも監督いたしております。黒字の場合はそういうことで適正な使途をはかればいいわけでございます。
 それから赤字の場合、これも原則として全社連という法人が責任を負ってこれを処理するということになっておりますが、通常の場合、それで私は済むと思います。これが、とうてい社団法人においては処理し切れないというような赤字の出た場合、かりに破産という場合が起こるかもしれません。そういう場合には、やはり委託しました国の責任損害と申しますか、にかぶってくるんじゃないかと思います。
#101
○藤田藤太郎君 そうでしょう。赤字が出てきたら、保険そのものが見なければならないのでしょう、運営上、赤字が出てきたら。黒字が出てきたらどうするか。それは、それだけあったら自分が勝手に使っていいということにならないでしょう、実際問題としては。しかし、この人たちの給料は幾らもらっているのですか。
#102
○政府委員(森本潔君) これは先ほど申し上げましたように、国家公務員の……。
#103
○藤田藤太郎君 いや、役員の給料です。
#104
○政府委員(森本潔君) ちょっと役員の給料につきましては、今幾らということを覚えておりませんが、大体同じような仕事をしております各種の法人がございますが、それとのバランス、あるいは国家公務員とのバランスということを考えて作っているわけでございます。具体的な数字はちょっと覚えておりませんが、大体そういう方針で給料を支払っております。
#105
○藤田藤太郎君 たとえば、政府関係の事業団の総裁、理事長というか、これは二十万円ももらっている。こういうことだというわけですか。
#106
○政府委員(森本潔君) これは各種の政府機関がございますが、今お話の公庫というようなものは、これは非常に格が高うございまして、二十万円ということになっております。それから事業団というのがございますが、これがもう少し安くて十三万円か何か、そういうふうな理事長の相場のようでございまして、こういう法人になりますと、また格が下がりまして、それ以下というのが通常の扱いでございます。
#107
○藤田藤太郎君 どうも、事業主が作ってきた団体が……、健康保険の被保険者も半分出しているのですからね。その金を事業主の団体がすうっとそれを引き受けて、そうして結局、厚生省は、独立採算制だ、外来患者もとっているし、それで結局、しわ寄せはそこに働いている者にしわ寄せされて、もう一つしわ寄せするときには、結局制限診療となりますか、そういう状態になってくる。私は、そういうやり方はあまり賛成しませんね。直接、保険自身が自立体制で、あなた方保険者自身が任命した人へによってやはり経営していくということでなければ、不明朗きわまるじゃないですか。私は不明朗きわまると思うのです。まだ事業団なんというものならば、幾らかそれとは違った格好でしょうけれども、不明朗きわまりないじゃないですか。この会計の立ち入り検査も何もできないでしょう。できますか、これ。別個な独立した法人ですよ。
#108
○政府委員(森本潔君) どうも御意見は、こういう健康保険施設を国がみずからやったらいいじゃないか。国が任命するわけですから、国の職員で、そうして国の会計でやったらいいじゃないかということが一つあるようでございますが、これは先ほど申し上げましたように、こういう特殊な施設でございますから、国がやるのがいいかどうかということは、政策論として相当検討すべき点があろうと思います。
 それから立ち入り検査、それから業務上の監督ができるかどうかという問題でありますが、これはもちろん委託がなくても、厚生大臣としましては、所管大臣として法人監督としての一般的な監督ができますほかに、委託契約に基づきまして、委託事務につきましては特に十分の監査、検査ができるわけでございます。
#109
○藤田藤太郎君 それは口で言うことはたやすいと僕は思う。問題は条件ですよ。せめて事業団――政府の作った責任ある事業団でありましたならば、もう少し違った目で見られる。全然違った人格を持った社団法人、そういうものに今のような格好でまかすということがいいでしょうか。私はそれを言っているのです。だから結局、法人の監査もできる、何もできると言うけれども、お座なりになってしまうということになりはしませんかという質問をしている。それじゃあんまりじゃないですか。これは年金の積み立てなんかですと、金で支給を受けるという格好ですから、性質が違うと思うのですよ。健康保険でしょう。みずから出した金によって保険の給付を受けて治療の場を保険経済から得るということになっているでしょう。だから、これこそほんとうに密接な関係である。その一番密接な関係のものを政府みずからが十分に監督できないような格好のものに、何か小医療器具とか、経営費を云々ということで外来患者までとって独立採算制なんというようなことを言うて、立ち入り検査でりっぱな管理監査ができるのですか。私はできないと思う。口では言えますよ。積立金で亀そうなっていますと言えば言えるけれども、実際にできないじゃないですか。またそこの役員をかえることは厚生省できますか。特別な間違いを起こしたとかなんとかいうなら別として、政府は監督的立場に――委託関係はあって本別の人格について、理事長を、この人は適当でないからやめさせなさい、この人は専務をやめさせなさいと言うことができますか。できやせぬでしょう。また、できるというなら少しおかしいと思う。別個な人格者の役員人事に政府が干渉することはおかしい。そうすると、結局できないということじゃないですか。何をやったってできない。口では言うても、立ち入り検査も何も十分なことはできはせぬですよ。私はそう思う。そういうことでやっぱし直接やろうということで事業団というような格好のものができてきたんじゃないですか。権限も、ある程度立ち入って、人事の問題、その他の問題に立ち入ってやることができるというようなものができてきたんじゃないかと私は思う。これはできやしない。あなたは自信を持って言えますか。今の問題。
#110
○政府委員(森本潔君) お話のように、法人につきましては、民法上の法人については、厚生大臣、所管大臣はこれは役員の任免とかに介入することはできないことは、それは御指摘の通りでございます。それで、今のお話を承っておりますと、社団法人である全社連に対する監督というのは、これは法律上、制度上はできるが、なかなか今言ったように人事権もない関係上、うまくいかぬじゃないか、できるできると言うけれどもできぬだろうということだろうと思います。これも認定の問題でございまして、まあ私たちの気持としましては、十分な監督をいたしておるというつもりでおりますが、しかし、なお足らぬという議論もあろうと思います。そういう点からして、国がみずからやったら一番いいじゃないか、しからない場合に、委託する場合におきましても、法律で作った特殊法人の事業団という形にした方が監督という点では非常にいいじゃないかという点でございますが、監督という面からみますれば、まさに私はその通りだと思います。また、そういう面のほかに、こういうものを見ます場合には、事業の運営がどちらがうまくいくかという点も、これも相当やはり問題があろうかと思うのでございます。監督ができて、それから予算、決算、人事、全部縛る。役所みたいにしてしまうというのは、監督の面は非常に安全でございますが、事業の運営というか、やり方については、まあ官僚主義といいますか、これはよくないことでございますけれども、お役所式というような傾向が出て参ったり、長短いろいろあると思います。保険病院を国でやるか、あるいは委託するかというときにおきまして、最初のスタートにそういう点が議論されて今日に至っているわけでございます。今日の段階におきましては、今の方式が一番いいのだという私は断言はいたしかねるわけでございます。今申した三つの方式についてなお検討する必要があろうということは考えております。
#111
○藤田藤太郎君 船員もこれも関係するわけです、船員病院ですね。経営についてはあそこは労使が入っています。あそこは労使が入っていますけれども、厚生省の局長自身、私がこの前言うたら、入ってないと言われたが、課長も理事に入っていますし、やっておられるようだけれども、何かそこらが非常にあいまいじゃないかと私は思うのだな。管理監督の立場にある人が、片っ方の法人に対する理事に席をつらねて、具体的な内容はどうなっておるか知らぬけれども、そういう格好のものがある。それはまだ労使両方が入っているから、幾らか一般から見れば民主的な格好に見えますよ。しかし、これは全然そうじゃないじゃないですか。全然事業者だけの団体。財源のもとは政府が一つも補助していないのだから、労使が半分ずつ出している。それで肝心な病院経営をするのに事業者だけの団体を作って、そこにこの病院を委託するのはおかしいじゃないか、私はそう思う。どうですかね。これはあなたで今ここでそれじゃ改めますとも言えぬじゃろうが、これはやはり検討してもらわなければいかぬと思う。僕は大臣が来たら大臣に確約しておこうと思う。これは検討してもらわなければいかぬ。また、清水玄さんだから、この前、船員中央病院のとき二人並んで来てもらったとき、あの人は今まで社会的なああいうお仕事をされているから、それは間違いなくそういたしますと言うけれども、片っ方の全社連の人は返事もできない。そういうことをあんたよく知っていながら、給与はどうですかと言ったら、国家公務員に千円プラスですとここで平気で言っておられる、そういうことでは監督はできますということと同じことじゃないですか。そういうことを私は言っているわけですよ。だから、具体的な給与の問題や内容についてほんとうに厚生省は監督されているかどうか、実際にはされていないのじゃないかと私は思うのです。正直なところ監督されていないし、また、できないんじゃないか私はそう思う。だから、その点は今後はっきり、そういう特に標準報酬の少ない事業所に働いておられる労働者またはそういう事業の使用者というものによって積み上げて、政府が保険者になって、監督をされて運営をされている保険のものを持っていくのにはあまりにも私はあいまい過ぎやせぬか。そんなものに外来患者を寄せて独立制採算にさせるということはおかしいじゃないか。これは十分森本さん考えてもらわなければいかぬのじゃないか。きょうは健康保険の分べんの問題ですから、もうこの程度にこれは私はしておきますけれども、しかし、これは単に答弁用の答弁じゃなしに、真剣に一つ考えてもらわないと問題がありますよ。私はここではそれ以上言いませんけれども、全社連の内容については、いろいろのことを聞いているのです。聞いているけれども、その内容はきょうは言いませんけれども、いろいろなことを聞いているのです。それだけつけ加えておきます。
#112
○竹中恒夫君 関連して少しお尋ねしたいと思うのですが、今藤田委員の質問の中で考えさせられる点が二、三ございます。その点をお聞きしたいのですが、まず第一に、政府管掌と組合管掌の保険料率が組合の方が千分の六十四で、わずかですけれども一高い。ところが、実際上の保険金額は逆に政管の方が五千円も高い、こういうことですね。こういうような保険料と料率の上における矛盾がある。その矛盾のよって来たるところがいわゆる賃金ベースの格差による、これはわかるのです。それはわかるのですが、それからその次の問題として、そういうように多額の保険料をかけておる政府の方が療養給付の見込額が年額にして相当幅があるわけです。この前の委員会であなたの御発表によりますというと、政管が療養給付見込額が七千八百五十二円、組合が七千円ですか、五百円ばかりの療養給付に対しての格差があるわけですね、そういうような点を考えてみると、政管の方は療養費の見込額がなぜ高いかということは、これは実績でおっしゃっているわけなんでしょうね、結局健康管理の問題とか、あるいは組合が病院、施設とかいろいろな施設を持っているとか、いろいろないい諸条件が組合に重なっているので、保険料は高く払っているが、実際の療養費に使われる金は少ないということになってくる。こういう点において、今後保険行政をなさる上において政管に対して組合と同様な一つの考え方をお持ち願わないと、社会保険医療というものは進展していかないと思います。そうした点についてのお考えが具体的にあればこの機会に承りたいと思うわけであります。
#113
○政府委員(森本潔君) 政管と組合管掌の保険料、保険給付の状況でございますが、これはただいま先生お話の通りの状況でございます。そういう差異が出きてます原因は、収入の面では、結局標準報酬が高いということでございますけれども、支出の面では医療機関がよく整っているとか、利用しやすい、あるいは健康管理がよく整っている、こういうことでそういう差が出ているのであります。それでこれをどういうように調整するかという問題でございますが、ともかく今までの過程におきましては、保険制度の発展という面で、伸びられるものはどんどん伸びていき、とことんまで伸びていこう、おそいものは追いついていくというわけで、政管と組合とが並行してそれぞれ背伸びをして発展してきたのがきょうの状況でございまして、その結果が今のようなことになっているのでございますが、これは結局従来から関係の審議会で指摘されておりますように、医療保険については全国民一本の保険にして、保険料率も所得に応じた同一の保険料率をかけて、それぞれの負担能力に応じて保険を出し、同じようなレベルの給付を受けるというのが一番すっきりした方式だと思います。それからもう一つの方法といたしましては、国民健康保険という一つの被用者以外のグループと、それから被用者全部を含めたグループ、この二つのものに吸収してしまうのであります。そうすると、被用者保険におきましては、負担能力ある者は能力に応じて保険料を出すが、給付は同一の給付をやるということになります。それから一般の国民健康保険におきましては、負担能力が低いので国庫の方から所要のてこ入れをして、ある程度のレベル・アップをするというような措置が講ぜられて、初めて、今御指摘のような問題が解消すると思うのであります。そういうような点につきまして、たびたび大臣も申しておられますが、来年度の予算の編成時に全部は困難かもしれませんが、ある程度の実施を、期したいということで、その他いろいろの方法がございますが、目下検討いたしているところでございます。
#114
○竹中恒夫君 私は、政管と組合との議論をしているわけで、一般国保のことを言っているわけじゃないのですが、この政管と組合の場合に、今のお説によると、制度の発展のために競合の形をとって今日まできた、競合した結果格差が出てきた。その格差の原因はわかっているということになると、次にこの段階で打つべき手は、やはり原因がわかっておればその原因をカバーし、てやるのには国の力をもってやる以外にないのだという結論になってくると思うのですね。そうした点についての来年度あたりの予算編成等には格段の私は御努力が必要じゃないか。そうでなければ医療というものに対してあまねく恩典に国民が浴せないということになるわけですね。その点は私は強い関心を持っているものであります。
 そこで次にお聞きしたいことは、保険料率の問題で、組合が千分の六十四だということなんですが、これは労使の平均の負担の割合を私は知っておきたいわけです。これはやはり一つの議論をする場合の重要な資料になるわけです。ただ政管より一多いとか少ないということよりも、実際的に大企業の被保険者の方々の負担率で、平均の負担率でけっこうですから、一応この機会にお伺いしたいと思います。
#115
○政府委員(森本潔君) 厚生省の資料といたしましては、これは折半という資料で参っております。ところが、過去の実情からいたしまして、むしろ事業主の負担の方が多いというのが実情でございまして、大体現在平均してみますと、千分の六十四のうち、平均的に申しますと、事業主が千分の四十、それから被保険者が千分の二十四ということでございまして、これが最近における平均的な実情でございます。
#116
○竹中恒夫君 これは大臣が来られてから質問したいと思うのですが、今回せっかくでき上がっておりまするこの法律改正案をこの機会に修正するとかなんとかという気持で質問するわけではないのですが、次の機会にぜひ考えてもらわなければならぬ大問題があるわけです。大臣がお見えになりませんので一応あなたに御質疑申し上げたいと思うのですが、それはかねがね大臣も言うておられるところであり、われわれも要望しておりまする、ILO百二号に対するわが国の批准の問題です。医療保険というものが一番批准に近い諸条件が大体そろっている。ところが、分べんと予防給付の面で批准がしにくいのだ、欠格条項があるように私は承知しておりますが、せっかく今回分べんの問題を取り上げられまして、分べん費がこういうようなことになって、最低六千円に満たない場合はこれを保障するという一つの前進した、分べんに対する前進した考え方を当局がお持ちになってこの原案が出たわけです。これは非常にけっこうなんですが、これをもう一つ突き進んだ考え方、完全な医療給付ということになりますというと、やはり分べんの現物給与ということが当然問題になってくると思う。もちろん分べんには正常分べんと異常分べんがある。あるいはあなたの方では健康保険とは疾病医療給付だから正常分べんに対してはできなかったのだというようなお考え方が過去にあったかもしれません。しかし、今日の医療保険の趨勢からいきますというと、すでに当局でも予防給付まで踏み切ってやろうという非常に突き進んだ考え方を持っておられるわけなんです。そうしてみますと、この分べんというものは当然疾病を伴う場合もあれば、正常である場合も一あるわけなんですが、これがそういう方向に持っていけない理由ですね、理由をまず第一にお聞きしたい。
#117
○政府委員(森本潔君) この分べん給付とそれから傷病給付の関係でございますが、これは私たちの方としましても、分べんは療養の給付であるとは考えておりません。これは全然別個のものでございまして、制度上別個のものであるべきものと考えております。それから従いまして、この分べん給付をどういうように今後取り入れるかという問題が出てくるわけでございます。療養給付と離れましてどうするかという問題であります。それでこれはlL
○百二号の関係から言いますと、分べんの給付はこれは現金給付でも現物給付でもよろしいが、ともかく本人負担があってはならぬという原則がございます。一般の病気の場合でございますと、本人負担というものは過重な負担をかけてはいかぬということがございますが、まあ一部負担ということはいわゆる認めております。ところが、ILOの条項におきましては、分べんについての一部負担を認めてはいかぬという最低基準を作っておるわけでございます。そういう点がございまして、日本における療養の給付の現状、それから分べんの給付の現状から考えまして、ILOの条約の要求するように百パーセント現物または現金で給付するということは少しただいまの段階ではむずかしいじゃないだろうか、将来の問題としては考えられますけれども、ただいまのところでは少し無理じゃないだろうか、こういう感じで、ただいまのような提案をいたしたわけでございます。
#118
○竹中恒夫君 根本的にそこが問題なんで、今は無理だということは僕はわかるのです。わかるのですが、将来の問題として取り上げるということなんですが、その取り上げ方がこういう機会に、分べんに対して一つの大きな一歩前進したというこの機会に――これを今改めるのじゃないのですよ。この機会に認識をより強く持ってもらいたいという意味で言うておるわけなんです。分べんが医療保険の給付外だという割り切り方ですね、これに私は問題があると思うのです。傷病手当金、いろいろな他の問題も医療保険にあるわけです。健康保険は病気だけが給付の対象であるということに対して、私は問題があると思うのです。特に分べんそのものは、多くの場合にこういうように入院したりする場合もあるわけなんですから、やはり生まれてみなければ、異常でない場合もあるだろうし、正常分べんだと思っておっても異常分べんになる場合もあるし、そう簡単に、分べんはこれは生理的現象だからもう健康保険の給付から除外する、あるいは除外するのでなしに現金給付でいいのだと、こういう割り切り方については、相当私は議論が出てくると思うのですよ。従って、そういう議論のあるところは十二分に今後孝検討してもらって、一つILOでも今お話のように、直接の経費の負担とあるいは間接の問題があるわけです。いわゆる間接には分べん費をやればいいという考えでしょう。がしかし、私はやはり正しいほんとうの親切な医療保険のあり方からいけば、分べんに対してもできるだけ現物給付の建前をとって、定められた、指定された場所で、施設で分べんさす、これの費用を持つということでないと、私はどうかと思うのです。せっかく分べん手当を出しましても、正当にそれを分べんに使う人もあるでしょうし、使わぬ人もあるでしょう。あるいは足らぬ場合もあるでしょう。いろいろな場合があるので、やはり現物給付がいい。もちろん医療保険全体を根本的に今後は療養費払いをするのだという考え方もありますが、そこまで議論が発展すれば別ですけれども、今のような考え方で議論する場合は、分べんということは全然別問題だという割り切り方については、私は異論があるのです。また、経費の点等で、予算等で心配があるというけれども、予算の面では大して影響がないという資料も私は多少持っているわけですが、すなわち異常分べんと正常分べんとの比率、あるいは正常分べんに伴うときの普通の分べん費用というものを見てみれば、むしろこの六千円を出すよりも普通の場合においては現物給付の方が安くつくということも考えられるわけですから、予算の面においてはどうこうということは私はないと思うのです。考え方の面において相当議論があると思うのですが、この機会にそういう考え方をもう一度議論を繰り返すのだ、やってみるのだ、研究してみるのだという気持をお持ち願いたいということを申し上げるのです。
#119
○政府委員(森本潔君) ちょっと私申し上げたことに誤解を招くようなことがあったかもしれませんが私の申しました分べんというのは、いわゆる病気の治療というふうなことは別の一つのカテゴリーがございまして、これは当然予防給付と相並びまして医療保障、あるいは広い意味の健康保険の内容となり得るものである、こういう気持で申し上げたわけでございますから、まあ結論は同じことでございます。
 それから今後の給付の仕方でございますが、ただいまのところは現金給付という形をとったわけでございますが、今後の問題としては、やはり現物給付に踏み切るか、あるいは暫定的に併用の道をとるとか、十分これは今後検討すべき問題と考えております。
#120
○横山フク君 関連して伺うのですが、先ほどからの場合のお話なんですけれども、分べんの問題があったんですけれども、組合管掌の場合ですと、分べんの場合ですと、妊婦のドックに入って、そうして平常なお産をされるような形にされる。まあ、これ各組合でやっておるわけですね。そこまで組合管掌の場合には給付が進んでおる。まあ政府管掌の場合には、これはそこまで行ききらないという形ですけれども、同じ被保険者とか、同じ人間としたらば、同じレベルまでいくのが私は目標であるし、理想だと思う。組合管掌であるからもう予防的に、そうしてお産の場合にドックにまで入って、そうして異状の早期発見の方にまで前進しているのに、政府管掌の場合にはそれがなされない。あるいは国保の場合においてはなおそれからはるかに下回ったような形の見舞金程度のものをやるという形は決していい姿ではないと思う。これは今回健康保険に対して、ある程度の御努力は下さると思うのですが、やはり組合管掌とそう差別をつけるべきものでないし、先ほど藤田委員あるいは竹中委員からもお話のあった通り、組合管掌であろうと、政府管掌であろうと、同じ線にまでいくのがやはり社会保障の建前だと思うのです。この意味で、もう少しこの面について考慮をわずらわしたい。それからなお、ILOの社会保障最低基準の条約に入ってないのですから、ですから、私はとやかく言うことではありませんけれども、あれでは直接給付も間接給付も認められております。しかし、十条では、直接助産婦によって介助せしめなければならないということが入っているわけですね。でございますので、間接給付でいったならば、直接助産婦にやられるかどうか、これは保証できないことなんです。一応入ってないからとはいうけれども、最低基準だ、最高基準でなくて最低基準がそこにあるのなら、少なくとも、そこまでいくのが私はあたりまえだと思う。そうして今日まあ、あるいは保険関係からいっても、未熟児とかあるいは精薄児とか、いろいろな問題がからんできますけれども、そういう問題をさかのぼっていったならば、分べんあるいは妊産婦の健康管理ということから実際の問題が波及した根源がそこにある。そういう問題を抜きにして、そうして未熟児なり精薄児なり、あるいは妊産婦の異状になってから保険給付として大きなものをわずらわすという形が、私は今の医療保障としての根本であるとは思えない。もっと事前にさかのぼってすべきであると私は思う。保健婦を三分の一を国保で補助しているというのもやはりそういう形からきているのだと私は思う。でありますだけに、もうこの時期には、こういう分べんの問題に対しては、相当踏み切った形でいくのが、私は理想の線だと思う。理想というより、それは当然行くべき姿だと思う。でございますので、この際は、今すぐどうこうしろということは、竹中委員と同じように私は申しませんし、私は今すぐどうこうしてほしい形で言っておったけれども、もうこの段階に臨んでそれを言うのはまずいと思う。来年度に対して局長は、それを目標にして考慮するという形である。あるいは来年度という形でないかもしれないけれども、行く行く考慮する。まあ私もこの前のときにも、考慮するという形は、もう久下局長時代から考慮するという形は言われておった。考慮する、考慮するという形で言われる。この問題をなおざりにして、そうして病気になってからあとのいろいろの問題をするという形であったのでは、私は、もとをたださないで、そうして先の方だけをとやかくてこ入れし過ぎる形があると思うのです。この問題に対しては特に考えて、そうして前向きの形をとってほしいということをお願いしたいと思う。
#121
○政府委員(森本潔君) ただいま三点ほどについて御質問がございました。いずれもごもっともな御意見でございます。ただいまの段階では、御指摘のように不十分な線でありますので、今後十分検討したいと思います。まあそこで、これは先ほど来申しております保険制度の曲がりかどに来ておりますのを、どういうように総合調整してよくするかという問題の一環として考えております。十分検討したいと思います。
#122
○横山フク君 それから先ほど竹中委員が国保の問題にはからんでいないというお話だったですね。健康保険の政府管掌と組合管掌とは同じ内容にするということが望ましい問題じゃないか、それに対して何らかの考慮をすべきじゃないかというお話で、それに対して局長からしかるべき御答弁があったのです。
 しかし、私は、国保に対しても、同じ保険の対象として同じ線にいくべきだと思う。ことに国保の問題を見ますと、国保の場合ですと、家族でもって、国保にするというと、保険料金額が高いという形でもって家族でもって使用人なんかにいたしまして、そうして五人、六人、七人あったらそれは使用人という形で、それは税金をのがれる形もありますけれども、同時に、あるいは取締役になるとかいう形でもって一つの会社を作って、そうして全部が使用人になって、そうして全部が健康保険の対象になる。ある程度の人はみな健康保険の対象になる。この人たちがみな健康保険の対象になるべく何らかの工作をしておる。そういう線にはずれた人々、そういう人たちだけで国保をやっていますから、そうして、しかも、病気になるというのは、そういう人たちの方が罹病率が高い。もともと掛金が少ない上に、もっといったならば、あるいはここに医師、歯科医師の方がいらっしゃるけれども、医師、歯科医師の人たちは所得が大きいわけです。だから、国保になったら掛金が高くなる。この人たちは同業の特別組合を作っておる。そこでやっておる。そういうふうに掛金を多く出せる人というのは、みな何らかの形でもって保険組合を作っちゃっているのです。そうして残された人たちが国保を作っておる。そうしてその人たちは政府の医療給付の人とすれすれの人たちである。ですから、もっと満足な給付内容があろうはずがない。これでは私は、社会医療保障という形からいったならば、あまりに段階があり過ぎる。ほんとうの医療保障という形ならば、むしろ、貧しい人ほど掛金が少なくて同じような医療を受ける形に持っていくためにはどうするかという形にしなければならない。先ほど局長は、とりあえず前進段階として、まず、できるだけ目標をどんどん高くしていくということでもって、これは法律で組合は組合、政府は政府でやっておるという形ですけれども、そういう形が今も、また将来に続いていくのが妥当かどうか、疑問だと思う。たとえば、ここで年金にしても、年金は各種年金の横の統一という形をとっておると同じように、医療保障の保険問題は横の統一をとる時期に来ているのじゃないかと思う。こういうことで、国保もすべて仲間に入れて同じ仲間でやるという形にして、特段の考慮を払って、そうして来年度に何かその点についての前進のあり方をとっていただきたいと私は思うのです。
#123
○政府委員(森本潔君) 全く同じ考えでございます。目下どういうようにしたら一番うまくいくだろうかという具体案をせっかく検討中でございますので、その辺御了承いただきたいと思います。
#124
○坂本昭君 私もこの際、ただいま問題になっております健康保険法等の一部を改正する法律案の中で、特に分べん費の問題について、若干厚生当局の御決意のほどを伺っておきたい。それは皆保険下におきましては、あらゆる労働者だけではなく、母体の保護あるいは妊産婦の保護、こうしたものが全部保険の対象とならざるを得ない状況になっておる。そういう中で、この保険当局は、保険の制度の問題あるいは財政の問題、そういうことだけでこの事態を見ておられるので、幾つかの間違いや、あるいは誤った見当をおつけになるのではないか、そう思われるのであります。で、今、私は、統計で妊産婦の死亡の状態を今見てみましたところが、日本の場合は、十万の出生に対して昭和三十二年の統計でありますが、百七十一、このときにアメリカは四分の一ぐらいの四十一、それから西ドイツも百二十七、フランスは五十七、イギリスが四十八、スエーデンは三十六、日本における妊産婦の死亡率が非常に高い。それからまた、乳児の死亡率も決して低くはない。こういう中でこの母体の保護や、あるいはまた、生まれてくるところの新しい新生児の保護については、私は保険の財政の動向ということよりも、国の方針としてもっと一生懸命にやる必要があると思う。これはたとえば保育所の問題につきましても、厚生当局が扱っているのは保育に欠けたる児童というものを児童福祉法の対象として保育所を運営しているのであって、また、児童局長自身も、そういう意味でしか乳幼児というものを考えておられない。安藤次官、一つ聞いておって下さい、きょうは大臣のかわりですからね。そういう点で何もかもがそれぞれ自分の持っている行政機構に当てはめてやろとしている。この分べん費の問題でも、私が一番遺憾に思うのは、健康保険での取り扱いの問題、これは今までいろいろと議論されてきました。そういう根本的な問題、それからさらにまた、今度こうして分べん費についてようやく引き上げて六千円まで引き上げるような措置がとられるに至りました。この前、局長の説明を聞きますというと、病院だとか診療所とか助産所とか、家庭で見られた場合の分べんの実費は八千円、七千円、六千円、五千円で平均すると六千円ぐらいだから、それでまずこの際は六千円に引き上げたいというふうな御説明でしたけれども、この内容についても別の資料で見るというと、もっとはるかに高いように思う。たとえば、病院へ入院された場合の費用は九千七百円ぐらい、あるいは診療所に入院した場合は七千九百円、これはもう八千円程度であります。また、医師が外来で見ている場合は六千円をこえている。助産所の場合は七千三百円をこえている。また、助産婦さんが外来で往診をした場合は五千円を若干こえている。こうした点で、なるほど六千円に上げられたことは、これはまあ一歩前進であります。しかしながら、まだまだ基本的には妊産婦あるいは新生児あるいは母と子に対する保護の点について、健康保険あるいは、またあとで議論しますところの日雇健康保険について、きわめて不十分な点が多いのであります。今度の健康保険法の一部改正について、社会保険審議会からの答申の中にも、分べん費の増額は、なお少なきに過ぎるという少数意見もあったということが特に出されております。この少数意見は貴重な意見であると私は考えます。そういうような点でILOとの問題の関係もありますが、将来について単に保険財政のことだけだとかそういうことだけではなしに、この際この母体の保護あるいは新しい時代の子供の問題について、これはもう全世界あげて新生児、乳幼児というものは一生懸命な時代でありますから、どうかおくれをとらないように当局も御努力願いたい。大臣にかわって厚生次官の一つ御所見をこの際承っておきます。
#125
○政府委員(安藤覚君) ただいまの御質問に対しましてはとやかくのことを申し上げる必要もなく、先生の御指摘なられました面において、全くわれわれは努力をもって善処すべきだと考えておりますし、今後善処していくべきだと考えております。
#126
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#127
○委員長(吉武恵市君) 速記始めて下さい。
#128
○政府委員(森本潔君) ただいま政務次官がお話し申し上げた通りでございます。まあ諸外国に比較いたしましてわが国におきますところの従来の慣習と申しますか、ものは、出産分べんというものは、外国に比べまして比較的軽く見ておると言っちゃ語弊がございますが、そういうような感じでございます。それから子供に対する手当の問題、やはりこれは給付の内容でありますとか、それから出生手当金、そういう制度の上から見ましても相当おくれておった点がございます。これは保険の面だけではなしに、公衆衛生、母子衛生あるいは広く地方行政の面から総合的に対処していくべきと思います。今後十分検討して参りたいと思います。
 それから入院費につきまして御指摘がございましたが、これも資料の取り方、検討の仕方によって若干違いがあろうと思いますが、一応役所の方で判断しまして、この程度だろうという推算をしたわけでございます。
#129
○横山フク君 私、先ほど国保におけるところの保健婦の問題、これは健保のここに直接関係がございませんけれども、保険体制の国保の体制のときに、国保のみならず健康保険その他各種保険において将来は現物給付にするようにということと同時に、それを妨げるような一切のことはしないようにという二つの附帯決議がついて、国保の改正案のときに附帯決議がつけられたわけです。このことの趣旨は現物支給を理想とするから、そういうようにしてほしいということが一つで、それをするためには、ある特定のたとえば役場とかいうようなところに保健婦という名前で、あるいは助産婦という名前で、そういう人たちが採用されて、その人たちが全部のお産を扱うということになると、そうすると、開業助産婦の圧迫になるし、同時に、保険体制に組み込むために非常な支障になるので、そういうことのないようにということが附帯決議の真意であった。そしてこれは社会党もあるいは無所属の方も皆さんが各党全会一致でもって附帯決議が通過した、決議された。しかし、その決議が通過して決議されたけれども、何らそれに対して考慮がなされていない。実際問題からいたしますと、各助産婦の、役場あるいは三分の一給付を受けて、給料の補助を受けて、そして保健婦という名前であっても、役場等ではお産を、実際の健康管理をやるよりは、目に見えた分べんをやってもらった方が喜ぶのでございますから、どうしても分べんの方に行ってしまう。でありますから、そのために開業助産婦の非常な圧迫になる。私は開業助産婦の圧迫を嘆くのではない。それもございますけれども、同時に、国保の保険なら保険は本来の目的に向かって進むべきであるし、同時に、そういう特定の人たちが雇った形で分べんを盛んにするということを健康保険なり国民の健康保険になったときに、現物給付になったときに非常に支障になるということで、あの附帯決議がなされたわけです。ところが、一向それが厚生省の方からこういう附帯決議があったから、その点に沿って注意をするようにといったような指示が各府県に一つもなされていない。私がそれを突いて地方庁へ行って聞いたところが、そういう通牒は受けてないというのです。これであったのでは、私は、国会で何ら附帯決議をつけても、附帯決議はもう何と言いますか、何らの価値もない、ただ飾り文句のような形になり過ぎると思います。附帯決議をつけるには附帯決議をつけるだけの議院としての総意があったと思うのです。もう少し附帯決議に対する尊重ということをすべきであると私は思うのでございますね。大へんこの点は残念に思うし、将来現物給付がございましたら、現物給付に対する大きな支障となりますので、さかのぼってあの附帯決議の趣旨というものは……、もう附帯決議の趣旨なんというのはどんなものか忘れてしまっている。政府委員の方たち、みな附帯決議なんてあったかしらというようなことをお互いに耳打ち合わしている格好であるわけです。これじゃ非常に残念だと思いますので、もう少し各種の附帯決議に対して、何と言いますか、それの尊重をしてほしいと私は思うわけです。
#130
○政府委員(森本潔君) 前回――いつの国会でございましたか承知いたしませんが、そういう御決議があったようでございます。実はお話のように、ちょっとこれも当時のいきさつ、それからどういう措置をしたか、ただいま記憶をいたしておりませんので、後ほど取り調べたいと思います。附帯決議の趣旨を尊重してやるということは、これは当然のことでございます。
#131
○坂本昭君 私は、一つだけ……。分べんの件数の実態を見ますと、助産婦が在宅で見ているのが圧倒的に多いようであります。そういう点で、この間から横山委員は、個人的なお立場もあったでしょうけれども、たびたび指摘しておられた事実を、この際特に母体保護、あるいは新生児保護の立場からも、今日の分べん費では少額に過ぎるのではないか、そういう点だけは特に指摘しておいて、今後この問題については、将来にわたって重大な改善の機会があると思います。従って、その場合に積極的に取り上げていただくお約束を、善処ということではなくて、次の機会には取り上げるということを次官から一つお約束いただきたい。
#132
○政府委員(安藤覚君) 事務的には現在は困難だそうでありまするが、将来にわたっては善処すると申しております。また、善処では困るとおっしゃるならば、現在では困難でございますが、将来はいいというのですから、現状ではどうしようもありませんが、将来必ずいたさせます。お約束いたします。
#133
○坂本昭君 近い将来すると、お約束しますと、もう一ぺん言い直して下さい。
#134
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#135
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#136
○政府委員(安藤覚君) 藤田先生の先ほどの御質疑に対してお答えいたしますが、先ほど保険局長が、現状における給与の点等についてもお答えいたしたそうでありますが、さらに今後におきまして十二分に検討いたしまして、先生の御希望の方向に沿って努力していきたいと、かように考える次第であります。
#137
○藤田藤太郎君 私の言っているのは――もう少し言っておきますか、もう御返事はけっこうですけれども、給与の問題が安いというのも一つですけれども、私の言っている根本の問題は、労使が折半して積み立てて出したその金で、保険者が政府であるから、法律に基づいて施設を建てて、その病院経営について、――使用者の団体か、社団法人という団体がこれをやっている。それも、一切のものをその保険から出して経営をして、ガラス張りならばいいのだけれども、ある一定の段階までは政府というか、保険者が出して、そうしてある下の方の問題はそれにやらして、そうして外来とか、独立採算制とか、不明朗なことがあるから、せめて事業団ですね――本来ならば直接やるべきでしょうけれども、せめて事業団という、人事の面にも、いろいろの面にも責任体制のある形でこういう経営をやってもらいたい、こういうことを根本的に研究してくれということを言っているわけで、そういう工合に理解しておいていただきたいと思います。
#138
○政府委員(安藤覚君) 藤田先生の御質問の点についてよく理解できました。ただいまお述べになりましたような点について、十分善処するように努力いたします。
#139
○小柳勇君 藤田委員の質問とも関連いたしますが、政府管掌の健康保険の医療給付の国庫補助が年を追って減って参っておりまして、五六年度三十億円、五七年度が三十億、五八年度が十億、五九年度十億、六〇年度五億とだんだん減っておるということで、これは保険財政の健全化によって減ったと思いますけれども、藤田君の発言の全社連の方の給与問題についても、先日当委員会に呼びましたら、四苦八苦した理事者の答弁でございました。きのうの予算委員会でも質問があったように、税の増収も九百四十億をどうしようかというくらいにあるのですから、こういう時代に国庫補助をだんだん減らしていくということについては理解できないわけです。こういう時期こそ、保険事業とか、あるいはその他社会保障の面に国庫補助をして、もっと健全な保険体制を確立すべきだと思うが、いかがでございますか。
#140
○政府委員(森本潔君) 御指摘の通り、政府管掌の健康保険に対する国庫補助は、最初はほとんどなかったわけでございます。御存じのように、ほとんど自前であった。ところが、昭和三十年前後の赤字のときに際会いたしまして、そのころから初めて国庫補助という制度ができて参ったのであります。最初はなかったというのが実情でございますが、赤字を機会に補助制度が作られました。その後御指摘のように、三十億が十億となり五億になりして、実際の額は減って参っております。これも実情といたしましては、当時の赤字財政が黒字に転じ、やや楽になったという実績に見合った補助の措置だと思うのでございます。当時におきましても、国としてはともかく健康保険制度を維持しなければならぬ、赤字になって困るような場合には十分の措置をするということを言明をされておるのでございます。ただいまにおきましても、たとえば今回の医療費引き上げにつきましても、それに伴う措置として国庫補助の増額をやはり若干考えたわけでございます。さように保険財政の状況に応じて国庫補助の額をきめておるというのが現実の姿でございます。しかし、根本的には、組合管掌それから政府管掌の財政力が違います。国保に対する国庫補助あるいは日雇いに対する国庫補助あるいは政管に対する国庫補助は何ぼであるべきかという一定の国庫負担割合をきめてやるというのが一つのすっきりした考えじゃないかと思います。それらの点も含めまして、目下制度の総合調整の一環として検討いたしておるわけでございます。
#141
○小柳勇君 そういたしますと、国庫補助がなお減るように御検討されているのですか。ふやすように御検討なされているのですか。
#142
○政府委員(森本潔君) 減らすというような方向ではございませんが、ともかく弱い保険に対しましては、今以上に国が助成をせんければ他のいい保険に追っつけないというのが現状でございますから、減らす方向というのは、これは現実論として矛盾した行き方でございます。ともかく、もう少し国が助成をして、弱い保険をいい保険にしていくという方向で検討すべきだと考えます。
#143
○藤田藤太郎君 一言申しておく。それはしかし局長、そういうおざなりの答弁だったらいかぬと思う。もっとやはり明らかにしておかなければいかぬと思う。一部負担するために、三十億の国庫負担はこれから永久に続けていくという国会で総理大臣が来て約束したやつを、それをなくした。そうでしょう。そういういきさつの三十億が、十億になり五億になっているのです。そこに医療の改善をするという約束を政府がして、それを政府が約束をたがわして、補助費は一部負担と引きかえですよ。一部負担と引きかえの三十億というやつが今五億しかやってない。これが問題なんです。私はその議論を、最初に言ったように、そういう議論はきょうはいたしませんけれどもと言ったんだが、それはよく理解してもらわぬと、あの当時あんたは局長じゃなかったからなんですけれども、それはきちっと理解してものを言うておいてもらわぬと困る。
#144
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#145
○委員長(吉武恵市君) それでは速記を始めて。
#146
○藤田藤太郎君 それじゃ一言だけ大臣に総括的に質問申し上げておきたいと思います。
 先ほど大臣がおいでになったときに、政府管掌の健康保険の内容を改善する、そして将来の構想として被用者健康保険というような構想に立って一番底上げを政府管掌の健康保険にする、まあこれは努力する、こういうお約束でありました。
 もう一つの問題は、政府管掌の健康保険というのは、政府は今五億の補助を出しているわけです。これは前の約束がありまするが、それは今問いませんけれども、そういう格好で今まで三十二年の健康保険改正のときの約束もあることでございます。政府が政府管掌保険のめんどうを見て内容改善をする、こういう約束は総理までもしておられることでありますから、これはぜひ一つ熱意を持って考えていただきたい。
 それからもう一つは、法律に基づいて建てておられる病院の管理を全社連という使用者の団体においてこれが運営されている。そしてその運営の状態を見ますと、建物や大きい器具だけをその保険者が出して、あと経営その他は外来の収入によって独立採算をやれいと、こういう形でございますから、なかなか不明朗なものがある。で、たとえば、給与の面にも問題が起きているのも、一つの原因がこういうところにあると思うわけであります。だから私の申し上げたいのは、少なくともその運営委託されているところの人事の問題、その他、政府の監督が上から下までぴったりいくように、せめて、ある事業団くらいならましなんでありますけれども、違った社団法人の人格にそういう形で委託関係を持たれているというところに非常に問題があるのではないか。だから、これは早急に改めていただきたい。船員保険病院におきましても、あそこは労使が入ってやっておりますけれども、もっと、本来いえば国が直接やることが私たちはいいと思っておりますけれども、それまでにいかなくとも、せめて政府が上から下まで監督する体制、また、それができ得る体制の形でこの業務がやれるような格好というものを早急に考えていただきたい。これが一つでございます。
 それからもう一つは、いろいろ申し上げますと、たとえばILOの社会保障の最低基準からくる百二号の問題からして、この法律改正になっておりまする問題の分べん、その他を取り上げてみても、なかなか問題があると思いますので、こういう問題も、この法律は一応ここまで努力をされたのであるが、そういう問題も根本的に積極的に御検討いただくということのお約束を一ついただきたいと思うのであります。
#147
○国務大臣(古井喜實君) 政府管掌の健保に対して国の一般会計から三十億繰り入れると、こういう問題でありますが、この問題、なかなか大蔵省が聞きませんが、しかし、そうさしたいものだと思いますので、できるだけその方向で努力をしたいと思っております。
 それから病院の経営を全社連でやっておるということについてお話でありますが、また自まかないでやっておるという経営の立て方に大体無理があるのかもしれません。で、機構の問題ですぐくるのか、経営のやり方で片づくのか、その辺はあるいは問題があるかもしらぬと思います。あわせて検討してみたいと思います。
 それからILO百二号の水準に持っていくために、まあ分へん費などの――必ずしも分べん費に限っておっしゃったわけじゃないかと思いますが、百二号の水準に早く持っていく、そういう考え方で一生懸命やるのかと、こういう御趣旨じゃなかったかと思うのであります。百二号の関係は、あの百二号の一体最低水準というものが日本の実情に合うのか合わぬのかということは、議論があるようであります。日本の方がぐうっとあれより進んでいる面もある。また、おくれている面もある。全体的にいえば必ずしも劣ったとまで言えぬかもしれぬのに、非常に日本の実情からいってあの通りにやったのがよいのか、問題があるという論もございます。その辺はよく考えなければなりません。なりませんが、やはり将来の問題として、国際的に考えてもああいう基準というものは、その基準との関係をよく考えなければならないと思いますので、そういうことを役所の中でもこの長期計画を今練ってみておるのでありますけれども、そういう中で問題に出して検討をしてみているところであります。まだ結論にも至っておりませんけれども、そういう状況で大いに関心を持って検討してみておるところでありますので、その辺を一つ御了承願いたいと思うのであります。
#148
○藤田藤太郎君 もう一つ。ILOの百二号の社会保障の最低基準の問題は、あの当時、日本がILOに参加する運動の中で熱意があったときですから、ILO協会に政府も入って、条約の検討委員会を開いてこれを批准しようじゃないかというところまでいっておった、ところが、いつか知らない間にぼけてしまったという歴史がありますから、ここらあたりよく、批准をどうのこうのという議論は今までいたしましたし、今いたしませんけれども、そういう歴史的な経過がありながら、いつか知らぬ間に消えてなくなってしまったという関係が、あの条約は特に特別委員会を持って検討した条約でありますから、だからそういう意味も一つ十分にお含みをいただいて、あの条約の批准の問題について考えていただきたいと思います。
#149
○委員長(吉武恵市君) ほかにございませんか。――御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#150
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#152
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#153
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
   ――――・――――
#154
○委員長(吉武恵市君) この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
#155
○国務大臣(古井喜實君) 岩手、青森両県下に起こりましたあの不幸な大火の問題につきまして御報告を申し上げたいと思います。
 まず、被災地区と災害の状況でございます。岩手県におきましては、宮古市、それから田老町、岩泉町、それから田野畑村、普代村、このように一市二町二村にわたりまして全焼いたしましたものが八百十九世帯であります。青森県におきましては八戸市でございまして、六百世帯焼失したわけでございます。このような災害が起こりましたことは、関係地区の皆さんに対してまことに御同情にたえないところでございます。これに対する対策といたしましては、さっそくにこの関係地区に災害救助法を発動いたしました。その救助費に対する国庫負担分につきまして、岩手県一千百万円、青森県八百万円をともかく概算として交付するということに準備をいたしております。なお、状況によっては現地に臨時の保育所も開設したいという考えであります。厚生省より今日中に関係の者を現地に派遣をいたすことにいたしております。一方、日赤本社及び両県の日赤支部におきまして、被服、寐具その他の生活必需物資をすでに発送いたして、現地に送った状況でございます。CAC救護物資の輸送につきまして今検討中でございまして、すみやかに処置を講じたいと思っておるところでございます。以上簡単でございますが、概略を御報告申し上げました。
#156
○坂本昭君 ちょっと関連して。
 ただいまの御報告に接しまして、青森県、岩手県、両県の被害者の人たちに深甚なるお見舞いの言葉を申し上げたいと思うのですが、特に私つい先ほど聞いたのでは、八戸市は先般チリ津波のときに非常にひどい被災を受けた所であります。その津波で被災を受けて、さらに加えて、せっかく復興の途路にあってこういう災害を受けたことに対して、まず伺いたいのは、こういう災害の上にまた災害を重ねておる場合に対して、これはまあおそらく国会末期でありますけれども、特別な措置をとられると思いますが、どういうお考えでおられるかをこの際特に伺っておきたい。
 それともう一つ。今ちょうど初夏を迎えて、伝染病その他非常に危険な流行期であります。私が先ほど伺ったのは、この前チリ津波で災害を受けた診療所、町の中央部の診療所であります。そしてあの災害に伴う特別立法によって診療所がやっとでき上がったかいなやくらいです。機械類が整備されたかどうかというところでまた、つい先ほど聞きますというと類焼してしまったと、非常に熱心な医師であって、津波の場合も一生懸命中心で働きましたし、また、青森県における小児麻痺の流行のときにも一生懸命働いた人であります。私も先ほど直接それを伺いまして何とも慰めようがなかったのでありますが、こうしたことについて――おそらくこれは診療所だけじゃありません、がしかし、特にこういう重大な場合に、こうした診療所を中心としてどういう緊急措置がとられるか、その点だけこの際伺っておきたいと思います。
#157
○政府委員(太宰博邦君) 便宜私から御説明申し上げます。
 八戸市は、宮古もそうでありますが、先般のチリ津波の際にも被害を受けておりまして、また今度再び不時の災害を受けたということでまことに同情にたえないのであります。まあ災害のことでございまするので、前の痛手はすっかり回復しておらないかもしれません。その点につきましては、まあ災害救助法の関係は府県でもって負担いたしますが、当該市町村は有形無形のやはり損害があったろうと思います。さような点は、これは交付税その他におきましてできるだけのことを考えたいと思っております。
 それからお尋ねの伝染病関係でございますが、今回の場合は山火事からの 飛火でございます。従いまして、あのよく風水害等に伴う場合に比較いたしますると、伝染病関係の方は、まあその点からいえば被害が少なくて済むのじゃないかということを一応現局の方でも考えているようであります。しかしながら、そのあとの家や何かを焼かれたことに伴う衛生問題ということが当然起こって参りますので、かような点についてはもちろん万全を期して参りたいと思います。
 それから診療所の関係がございますが、これはなおよく検討さしていただきまして、できるだけのことはいたしたいと思っております。
#158
○藤田藤太郎君 また八月、九月ごろは台風の時期が来て災害が起きると思います。これまた、よく仮設の住宅の問題が問題になるわけですが、政府の基準でいくと三分の一、この前のときには五〇%ぐらいお建てになったようですけれども、そういうようなのを含めて、これは焼けてしまったら何にもなくなってしまう。だから、仮設住宅の問題は今後の災害とあわせて、さしあたり入る家を何か一つ総合的に、法律基準があるからということでなしに、将来の問題を考えて、もっとふやさないと気の毒じゃないかということを今頭に描いているのですが、そういうような配慮をしていただきたいと思う。
   ―――――――――――
#159
○委員長(吉武恵市君) それでは次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、衆議院において修正されておりまするので、修正点を衆議院の発議者より説明を願うのが建前でありますが、便宜上、政府から要点の説明を聴取して、本案の審議を進めることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 便宜上、政府から説明をお願いをいたします。
#161
○政府委員(森本潔君) 先般、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を衆議院で御審議願ったのでありますが、その際修正になりました点を申し上げます。お手元に法律案の修正案要綱、それから法律案、それから横に一枚刷りにしました表と、三枚お配りしておりますが、それで修正されました要点は、要綱にございますように四点でございます。要綱よりも横書きの表の方がわかりがいいと思いますから、横書きの表で御説明いたします。
 修正の第一点は、保険料でございますが、ここにございますように、現行と、それから政府原案、それから修正案と、三つの欄がございます。政府原案におきましては、一級保険料三十円、二級保険料二十円、三級保険料十八円という案でございますのを、修正案におきましては、一級二十六円、二級二十円、それから三級は削除する、こういう修正でございます。
 それから第二点は、傷病手当金の支給日数でございますが、政府原案におきましては、二十一日でありましたのを、二十二日に修正になりました。
 それから第三点は、傷病手当金の支給額でありますが、原案におきましては、一級三百三十円、二級二百四十円、三級百七十円とありますのを、一級三百三十円、二級二百四十円、三級を削られました。
 それから第四点の出産手当金の支給額につきましては、傷病手当金の支給額と同様の修正でございます。
 以上でございます。
#162
○坂本昭君 日雇健康保険の問題につきましては、当委員会では昨年来、特に関心を重点をもって討論をし、審議を尽くして参った点でございます。特に政府が新しい所得倍増計画の中で、農業基本法を強行したり、あるいは都会においては臨時工、社外工という人たちがあふれ、また、失業問題、こうした中で日雇い労働者というものの立場と、また、その重要性というものは今までになく非常に重要性を帯びて参った、そう信ずるものであります。特に先般来当委員会で、わが国の社会には明暗二相がある、二重構造がある、そういう中で、社会保障が重大なる役割を果たさなければならない。特に国民所得を再分配する中で、暗の面、低所得の人たちに対して重点を置かなければならないということは、当委員会ではすでに確認をされた事実と私は信じております。この日雇健康保険の対象になっておる人たちは、まさに低所得層の人たちをもって占められておるものであります。
 そこで、まず第一に、資料の中で、日雇健康保険の対象は九十三万人であったと思うのでありますが、この人たちの家族構成がどうなっておるか、あるいはまた、その人たちの生活状況が、いわゆるボーダー・ラインの中でどうなっておるか、特に日雇健康保険の対象になっておる日雇い労働者の中には、生活保護の、いろいろな教育扶助とか、その他、そういう面の扶助を受けておる人もあるやに聞いております。その辺の日雇健康保険の対象者を当局はどのように理解しておられるか、その点をまず概括的に御説明いただきたい。
#163
○政府委員(森本潔君) 日雇保険の被保険者の家族構成でございますが、家族の数は平均いたしまして、被保険者一に対して一・三人でございます。
 それから第二の、これらの被保険者の所得の状況でございますが、これがどの程度のものになっておるかという点でございます。一応こういう見方をいたしておりまして、お手元の資料の四十三ページというようなのがございますが、横に長い紙でございますが、この表の一番上の改正の欄の保険料のところをごらん願いますと、平均賃金、一級の平均賃金が六百七十二円で、総数の中の四六%を占めておる。それから二級につきましては、平均賃金が三百七十六円でございまして、これが全体の四一%を占めておる。それから三級に至りましては二百四十円でございまして一二%、こういうような割合になっております。
 それで就労日数でございますが、これが大体二十一・五日ぐらいでございます。従いまして、一日の賃金に二十一・五をかけますと、大体一ヵ月の収入というものが出て参るわけでございます。一例を申し上げますと、二百四十円かける二十一・五日でございますから、約五千円ほどでございます。これが全体の一二%でございます。それから二級というのに該当しますものが三百七十六円でございまして、これで約二十倍といたしますと七千四百円でございますか七千五百円、これが全体の四〇%であります。それから高い方になりますと、六百七十二円で、これを二十倍でございますから、一万三千円ぐらいになります。こういうことでございます。
 なお、この三級に該当します人は、これも、これ専門に働いておる人と申しますか、終日働くという人もありましようが、中にはパートタイムといいますか、そういうような人もあるのでございますが、一応今申したような数字でこの所得の状況があるわけでございます。
#164
○坂本昭君 あとのこまかいことは省略して、この際、この日雇健康保険の被扶養者が病気になった、あるいは長期疾患になった。そうした場合には、今のような約五千円そこそこではとうていその半額の療養費を負担することはでき得ない。従って、当然生活保護の医療扶助を受ける例が非常に多いと思う。そのパーセントはどの程度でございますか。
#165
○説明員(加藤信太郎君) 便宜私からお答えいたします。実は日雇労働者健康保険の適用を受けておる人々の抽出をいたしまして、本人の申告で聞いたわけでございます。従いまして、この種の申告はどちらかといえば本人はあまり実益がない場合には申告したがらないのが実情でございます。従いまして、今申し上げる資料がそのまま実数とは考えられません。もう少し多いのが実態ではないかと私どもは想像しておりますが、それによりますと、調査をいたしました全体に対する割合は、生活扶助が三・一九%、医療扶助が一・三六%、それからその他の扶助が〇・八一%でございまして、まあ私どもが想像しているよりもはるかに低く出ております。これは先ほどから申し上げていますように、税務署が参りますと数字は低く出る、総理府が家計調査をいたしますと収入が高く出る。この種のことはあまり人に吹聴したいことではございませんので、どちらかといえば言っても益のないことは言いたくないというのが実態でございますので、私どもが手元に持っておる資料は完璧ではございませんが、予想よりも少ないということでございます。
#166
○坂本昭君 これはまあ保険局の行政担当者を責めるわけにはいきません。が、厚生省全体としては、私は、これは若干怠慢を批判したい。それはすでに労働問題の中で失対事業あるいは日雇い労働者の問題を論ずるときに、低賃金のために四分の一は生活保護を受けているということはもう今までに何度も議論してきているんです。従って、日雇健康保険の対象の人たちが、これが病気の場合にさらに医療を受けざるを得ないということは私はもっと多いだろうと思う。ただまあ今私の質問が悪かったので、今の返事だと、つまり日雇健康保険の加入者の中で生活扶助が三・一九%というんだから、何も日雇康保険に入っておって病気になって療養している人が生活保護を受けているというのではないんですね、これは。そうすると、この数は私は全然違うと思うんですね。ということは、こういうことで日雇い労働者の実態を保険当局が見ておられるとすると、これは僕は実に事実の認識を誤ることはなはだしいと思わざるを得ません。私は、失対あるいは労働省の労務関係の中で働いている人たちが実は生活保護を受けている。日雇いで毎日賃金を受けながら、もちろん賃金は、あなたは先ほど平均を出しておられましたけれども、PWに対して七割、八割かけられて、しかも地域によるというと同じかりに二百五十円あるいは三百円ときまっておっても、二十五級くらい階等があって、たとえば年とったおばあさんの人たちあたりだというとずっと低い。一番低いのは百六、七十円ぐらいの低い賃金しかもらえないという人たちがあるんですよ。そういう人たちだって、この二十八枚のスタンプを張っておれば日雇健康保険の中へ入ってくることができる。従って、そういう人たちで構成されているところの健康保険が、約百万足らずの日雇健康保険であることは、この実態を一番最初につかんでいただかないというと、あなた方がこれからいろいろな予算交渉をやるにしても、給付内容を変えようとしたって情熱が沸いてこないと思うんです、その事実がわからないというと。でありますから、今のこの数字は、あなた方としては日雇健康保険は一つの被用者保険であって、若干の生活保護はあるけれども、まあそれは百人に一人か二人ぐらいのものだ、そういうふうに安易にお考えになっておったのでは、これはその日雇い問題をこれから議論していくのに全く焦点が合わなくなると思う。この際特に局長さんから日雇健康保険の対象の人たちの生活の実態、それについて今の統計はまあともかくとして、もう少しあなた方の見解を披瀝していただきたい。
#167
○政府委員(森本潔君) まあ数字で申し上げた方がいいと思いまして一応数字を申し上げたのでございますが、前にも申し上げましたように、先生も御指摘になったように、やはりこれは低い人は非常に低いのでございまして、二百円足らずの収入の方も相当ございます。それから実態調査したものの結果を先ほど平均で申し上げたわけでございますけれども、上の方へ参りますと、やはり千円以上とか千円程度の日収のある方もあるわけでございまして、一言に申しますと、相当高いのも、まあ健康保険の標準報酬でいいますと二万円近い方も相当おられる。しかしながら、まあ平均的に申し上げますれば月収が七千円程度が普通である。それから低いのはやはり三、四千円程度というように、非常に高いのと低いのとが他の保険以上に差があるわけでございます。しかもその差のあり方が、高いといいましてもそう高いわけじゃない。まあ二万円とかということで、低いのはこれは非常に低いわけでございまして、ともかくまあ過半数はいわゆる低所得者と申しますか、そういう階層に属する人であろうと大づかみに考えております。
#168
○坂本昭君 先ほど局長の説明の中に、二万円ぐらいの者も相当いてというふうに発言しておったのでちょっと問題があると思ったのですが、あとの説明では日雇健康保険の対象者は低所得層と見るのが至当である、そういうふうに結論的に申されました。で、この点は私は正しいと思うのであります。そうなんでしょう、首かしげているんだけれども。
#169
○政府委員(森本潔君) 申しわけありません。
#170
○坂本昭君 日雇健康保険の対象者は約百万、これは低所得層に属する人たちである。高いといったところで二万円以上なんというのはそうざらにいるものではない。この六百七十二円という人たち、これでさえも、一万三千円、これでさえも公務員に比べたら半分以下であります。こういう点でまさに日雇健康保険の対象は低所得層の人たちであるということを十分おつかみになったならば、今度のこの改正の中で、私はここに資料としても出ておりますが、社会保障制度審議会からも、あるいはまた、社会保険審議会からも出ていますが、社会保険審議会から出ている財政対策――一番大事な財政対策については、三割五分に終わったことは遺憾である。しこうして借入金による措置は不満である。この「遺憾」であるとか、「不満」であるということは、僕は最大級のこれは抵抗であろうと思うんです。安藤さんはラブレターもらったことがあると思うんですが、まあ女性はこんな「遺憾」というつまらない字は書きませんけれども、「遺憾」である、「不満」であると言われたら非常に最大級の抵抗ですよ。とお思いになりませんか、いかがですか。
#171
○政府委員(安藤覚君) ラブレターではあまり経験がございませんが、しかし、日常の言葉でもその言葉は相当きついやはり言葉だと存じます。
#172
○坂本昭君 温厚なる安藤先生がやはり言われたのですから、私はなぜこういう発言を、これは社会保険審議会だけではありません。社会保障制度審議会も比較的強い言葉を使っているのは、一番大事な国庫負担の問題、ことに日雇健康保険は赤字である。そしてその対象は、働きながら、毎日々々日雇いで働きながらなおかつ貧乏であるボーダー層の人たち、私はこういう人たちに対して生活保護に転落させない、そして生活保護に転落する一番大きなものは病気であります。七割から八割だったら、日雇健康保険に対するこの国としての責任は私は全力を尽くしてやるべきだと思う。むしろ生活保護に金を費すよりも日雇健康保険に十分な金を費して、たとえわずかなりの金といえども勤労の喜びを味わう、私はそういう態度をとるべきだと思うにもかかわらず、今回もついに三割からわずかに三割五分の国庫負担しか、引き上げるにとどまったということ、私はこういう点については非常に不満であります。非常に不満である。これはもう遺憾であるなどというようなことでは済まされないので、これはよほど、温厚なる、大体厚生省には味方をしておる末高会長としては、これは最大級の言葉であると思う。だから、今回三割になった、三割五分になったとしても、われわれとしてはこれは納得できない。で、あなた方が日雇健康保険の対象である日雇い労働者の今後における低所得者の地位を向上させるという点から一体どういう今後お考えを持っておられるかをこの際特に承っておきたい。
#173
○政府委員(森本潔君) まあ御指摘の通りの状況でございまして、御承知のように、日雇いの被保険者からの要望といたしましては、療養の給付については少なくとも健康保険並みのサービスをしてもらいたいというのが基本的な要求でございます。療養の期間とかその他いろいろございますが、これは基本的な要求でございます。これはやはり被用者という立場からいたしますればごもっともなことと思うのでございます。それでこの現在の日雇健康保険というこの非常に所得の少ない弱いグループだけを集めまして保険制度をやります場合には、この二つの審議会から答申がございますように、給付内容を国民健康保険並みにしますならば、五割の国庫負担がなければまかなっていけないというのが鉄則であると思います。まあ五割の国庫負担を持つというのは保険としてどうだろうかという一つの考え方が出てくると思います。これは少なくとも今の日本の各種の保険から見ますれば、とにかく異例なわけでございます。まあ国庫の二割五分以外こういう大きな保険はないわけでございます、国庫負担の。まあそういう点もあるわけでございます。従いまして、まあ私どもとしましては、この制度については日雇いだけでやっていく場合には多額の国庫負担を投入してやる以外に方法はない。あるいはこういう方法でいくのか、あるいは先ほど来議論になっております組合管掌、政府管掌、被用者と言えば日雇いも入るわけでございますが、それから共済組合、こういうものを一括するといいますか、扱う方法は幾らでもありましょうが、とにかく総合的に見てどうするかという点とも関連するわけでございます。そういう意味におきまして日雇健康保険は制度の根本的改正をしなければいかぬということは、各種の審議会の方も、それから私たちも常々考えているわけでございます。それで給付内容を他の保険と同様に持ち上げてものにするという場合のやり方といたしまして、今のままの制度で五割にするか、あるいはここにある程度の手を加えまして、まあ一言で申しますと、総合調整という言葉を用いますが、そういう手を加えて根本的な対策を立てるのがいいか、こういう問題に実は逢着したわけでございます。それでまあ今回はその問題が割り切るわけに参りませんので、先ほど来申しておりますように、ここ一両年と申しますか、一、二年のうちにこれらの問題を解決いたしたいという過程でございます。それから御存じのように、内閣におきましても社会保障制度審議会で来年の三月までには結論を出すというように御勉強中でございます。また、できれば七月ごろの予算編成期までには中間的な考え方も出したいというて努力をしておられます。役所の中におきましても、内部においても、これに即応して検討するわけでございますので、その結果を待って処理したいということでありまして、私たち自身としましても、これでいいのだとかいうことは毛頭考えておりません。ともかく、これについては根本的な措置をしなければならぬ、また、その時期は他の制度との総合調整として処理したいということで、現制度の欠陥、それから今度の改正にも不十分な点は認めているわけでございます。いましばらくこの根本的な問題につきましては御猶予をいただいて、審議をいたしたいと思っておるわけでございます。今回としましては、ともかく今の制度でできるだけのことをする、まあ、無理な点もございましたが、保険料も若干増徴いたします。国庫負担も増しますが、一面できるだけの給付改善はやりたい、こういう気持でやったわけでございますので、不十分な点は私たちも認めておりますが、そういう方向に向かっての努力を相当いたしたという点を御了承いただきたいと思うのでございます。
#174
○坂本昭君 私は了承のできる点もあるけれども、了承のできない点の方が多いのです。百万に近い日雇健康保険の、この重要性の中で、たとえば三十円というような保険料を課す、そういうふうなことが今度修正されましたけれども、そういう基本的なあなた方が態度を持って、そしてあと総合調整を待っているのだ、そういうことでは私は何もできないと思う。ことに社会保障制度審議会の総合調整の態度を待っているというけれども、あなたたちはあの社会保障制度審議会の意見を今まで聞いたことありはしない。審議会の答申の通りにやったこともないのに隠れみのみたいに、できたらそれをやると言っておいて、そしてできたときには全然別のことをやっておる。だから、私はそういう点では今の御答弁には納得できない。それよりも、そういうものに隠れみのを着るよりも、私はここで単刀直入に議論したいのは、一体なぜ日雇健康保険に五割の国庫負担をやるということが不当であるかということなんですよ。なぜ不当なんです。保険ということは、確かにインシュアランスというものは、多数の人たちが金を持ち寄って、そして中の一人か二人の人のの災害に対してこれを手当するというのが保険の制度であります。ところが、国庫負担というのは何も住友の、だれそれさんとか、あるいは何とかいう大金持の人がこれを何億出そうとかいうのではなくて、あくまで零細な全国民、九千万国民が税金の名で直接税、間接税の名で出し合った、それが国庫負担としていくものであって、われわれ全国民は少なくとも私たちは日雇いでありません、従って、日雇いで、ニコヨンで働いている人たちに対しては、何とかこの人たちの生活の安定ができるように願っておる。だから、それに対して国庫負担として五割の給付するということはどこにも不思議なことはないのです。むしろ、私はこれは政策の面から考えられたら至当だと思う。それを五割などということは保険の今までの実例にないから、だからどうも納得できません。そういう考えを少しもおくずしにならない。私はこれははなはだけしからぬと思う。保険局長は、保険局というのは昔からそういう考えだから、もうこの際これ以上お尋ねしませんが、安藤一次官、一つこの際明らにしておいていただきたい。それはおかしいですよ。
#175
○政府委員(安藤覚君) ただいま日雇健康保険について五割の国庫負担をすることは不当だと思うという局長の御答弁に対しての御質問だったわけですが、私は五割とか六割とかいう問題はしばらく離れまして、お説のごとく、この百万人になんなんとする低所得層に対してでき得ればこの方々がさらによりよき機会と、よりよい健康とを保持されまして、そうしてさらに低所得から高所得へ移り変わられる機会を持たせるということ、そのことが国の再生産の上からいきましても非常に貴重なことだろうと存じております。同時に、先生のおっしゃった国民の所得税を納め得る階層の納めたそのお金というものは、こうした人々にそうした意味において使われるということは最も願わしいことだろうと存じます。ただ、ここに五割、六割という限界を置くということ、そのことについては私が今先生のお説に共鳴申し上げたこと以外に、あるいは技術的にか、何らかあるであろうと存ぜられます。その点は私は具体的にとやかく申しませんけれども、そうした先生のようなお説、考え方の方向に向かってぜひこれは進まなければならぬと同調いたすものでございます。
#176
○坂本昭君 まあどうも次官の返答ではなかなかそんななまやさしいことではちょっと納得いたしかねますけれども、あともう少しお尋ねしたいことがありますので、次に質問いたしますが、今回は日雇健康保険については五千万円、これは医療費の負担に伴う分が出ておりますね、これはどういう計算の根拠から出ているか簡単に御説明いただきたい。
#177
○説明員(加藤信太郎君) お尋ねの五千万円のことにつきましては、実は日雇健康保険の場合には、三割を、一割五分国庫負担と上げたのであるからという意見もございましたが、この財政が非常に苦しいので、もう少し何とか財政援助をしてもらいたいということで最後に話がまとまりましたのが、つかみでプラス五千万円ということでございまして、積算の根拠はございません。
#178
○坂本昭君 ちょっと待って下さい、そうすると、今の五千万というのは、二五%以外に、つまり三五尾プラス・アルファというアルファと、医療費の一〇%引き上げのベータというアルファとベータを足したものが五千万円、そういう意味ですか、だとすれば、アルファとベータは少し内容を明確にして下さい。
#179
○政府委員(森本潔君) この五千万は一〇%の医療費引き上げに伴いますところの手当として国庫補助するのでございます。ベータはございません。アルファだけの分でございます。
#180
○坂本昭君 だから、そうすると、それは七月以降の一〇%引き上げとそれに伴う五千万でありますか。そうすると、それにそのもとになるものの計算の根拠になる数字をあげて下さい。
#181
○政府委員(森本潔君) この数字は特別の根拠はございません。しいて申しますならば、保険財政のつじつまを合わせるということでございまして、この保険者負担分といたしまして、ともかく保険の財政で五億円負担増になるわけでございます。それに対して一億五千というのは三割五分で手当いたします。三割五分の増加分で、一〇%に対する三割五分の国庫負担で処理をいたします。それから三億というのは借入金でまかなっております。そうすると、残るのが五千万でございますから、その五千万を特別の国庫補助として処理した、こういう意味でございます。
#182
○坂本昭君 そうすると、せっかく三割五分国庫負担に引き上げたのだけれども、実質、この国庫負担として今の医療費の引き上げとかいうふうなものを除いて日雇健康保険に対してこれが円滑なる運営と給付内容を引き上げるために出された国庫負担は何%になりますか。
#183
○政府委員(森本潔君) これはこの総医療費に対しますところの三割五分というのがちゃんと見込んでございます。三割五分というのは計算上出ますからそれが見込んでございます。それ以外に今度一〇%の医療費増に伴いますところの保険者負担五億というものをどう処理するかという問題でございます。
#184
○坂本昭君 それは今私が少し勘違いをしておった点でありますが、この四十三ページの表の中にこまかい点が出ておりますが、今度改正案が、修正になりましたこの修正の一級四百八十円以上二十六円、これは計算をしてみると千分の三十八・六八だから、改正案の千分の四十四・六よりは下がって、現行の千分の三十九・七にほほひとしくなると思いますが、この二級の四百七十九円未満に対する二十円、この場合は大体千分のどの程度の数になりますか。
#185
○政府委員(森本潔君) 修正案によりますと、一級は料率換算千分の三十七・五、二級が千分の五十七、こういう数字でございます。
#186
○坂本昭君 それでは今度の改正修正に伴って予算的な措置が少し変わってきたはずでありますが、その点この四十三ページの表の改正の修正、これもそろばんはじいてあると思いますから、つけ加えて四十三ページについて説明して下さい。
#187
○説明員(加藤信太郎君) 正確な数字を手元に持っておりませんが、御指摘の保険料収入で申しますと、ここが約二億円の減収でございますから、お手元の右から二行目の三十六年度増加額、これが約四億になります。国庫負担はほとんど変わりません。それから給付の問題は元来ふえるべきものでございますが、このお手元の資料は二ヵ月の特別療養費と、分べん費の値上げを四月から予算を計上しておりましたが、御審議の都合でまだ実施できませんので、この分がございますので大体相殺されます。従いまして、保険財政といたしましては、収入欠損が約二億できる、そういう状況でございます。
#188
○坂本昭君 そこで、この日雇健康保険の財政を見ますというと、借入金が毎年非常に多いのであります。三十六年度についても八億二千五百三十万円、三十五年度についても五億七千八百三十二万円、毎年少なくとも二、三億円ずつずっとふえてきている。一体、この借入金の返済はどうする御計画であるか。また、これについては、利子もどうなっているか。ちょっとその点も説明していただきたいのですが、それよりも、一体どういうふうにして返済していく御計画か。このことは、国庫負担の増額と直接関係のある問題でありますから、御説明いただきたい。
#189
○政府委員(森本潔君) この借入金の処理でございますが、これは将来この制度をどういうようにするかという際の処理の仕方として考えることになると思います。この制度をどういうように改めるかという処理のいかんによりまして非常に違ってくると思うのでございます。一例を申しますと、たとえば他の裕福な保険と一緒にするということになりますれば、これは自然に消えるかもしれません。それから、あるいはこの保険だけでやっていくということになりますと、これは保険料の増徴で処理ができぬ場合には国庫負担で処理するとか、およそ二つ三つの方法が考えられると思いますが、本日のところはその程度のところしか申し上げられません。
#190
○坂本昭君 しかし、どうも裕福な金持と一緒になって借金を帳消ししてもらおうとかなんとか、これはどうも森本さん、自分の経験を語っているんじゃないかな。そういうことでは、国のやっている日雇健康保険の問題については、私はきわめて不当であると思うのです。むしろ国庫負担を増額することによってこれを帳消ししていくということの方が私は筋が通っているし、正当だと思う。先ほどからその点についていろいろ議論をしてきたのだけれども、明確な答弁がありませんが、いわんや、この借入金の処理について、金持の保険と一緒にしてからこれを償却するというふうな考えをここで発言されたら、これはもうすべての健康保険の組合が、こんな日雇いなんか、と一緒になるか、ということになるのは当然だと思う。これはそんなことでは困る。もっと別途の考えで計画を立てていただきたい。次官いかがですか。
#191
○政府委員(安藤覚君) ただいまお話のように、それは金持の組合と一緒になってこれを御破算にしようとしたら、金持の組合の方ではいやだとも言うでしょうし、その借金をきれいにしてきたら一緒になろうということも言うだろうと思います。従いまして、やはりこれは本筋論は、一応きれいにして身軽になったのだから、今度一緒になろうという行き方をするのが本筋じゃないかと思います。もしそういうことが身ぎれいにするということならば、やはりほかに身ぎれいにしようがございませんので、今さらよけい増徴するといったところで事実上不可能でございましょうから、いくところはやはり国庫だという結果になることと私は思います。
#192
○坂本昭君 その隣で局長が苦笑しているけれども、今の政務次官のお答えが正しいと思う。私は、結局そうならざるを得ないと思う。というのは、約百億でしょう。だから、国庫負担五割といっても五十億ですよ。そのかわり、日雇健康保険の人たちに、あなた方の病気は守った、守ったから、しっかり働いてくれ、こういうことになるわけですよ。そういう点で、今度の国民健康保険の調整交付金を合わせて二割五分ほどこれをふやすということを総理、また厚生大臣は約束しておられます。で、これは知事会ではやはり五割なんですよ。議長会でも五割なんです。もう何といますか、自民党や社会党の言っていることを飛びこえちゃっているんですよ。社会党はこの間まで四割と言っていたところが、知事会や市町村議長会は五割と言ってきているのです。それほど追い詰められてきている。そうして農山村の、あるいは零細企業の人たちは五割の負担をしてやらぬと国民健康保険はやっていけない。そうして、これは被用者保険というけれども、日雇健康保険も同じ要素を持っている。ですから、私は、今の次官の信念をくつがえすことなく、これは邁進していただきたい。
 あとでこの問題は大臣にさらにあらためてお聞きしておきたいと思うのですが、次の問題は、給付内容について。つまり、国庫負担に伴う給付内容であります。これは御承知の通り、今度修正案の中で衆議院段階におきまして非常な苦労のもとに若干引き上げられてきました。また、政府原案としても、療養の給付期間を一年を二年というふうに引き上げてきています。しかし、これでもまだ、傷病手当金の二十二日という半端な数なども、これではほんとうの手当はできないと思うのですよ。傷病の手当もできないと思うし、療養の給付期間が二年である、二年であるということも、これは著しい差が普通の健康保険との間にあるし、また、今度傷病手当金を二十二日にしておきながら、出産手当の給付期間は二十一日ということでとめてあります。これはおかしい。非常におかしい。それからまた分べん費、先ほど問題になった分べん費、これは健康保険の場合よりも分べん費が少ない。横山さんもおそらくこれについて苦情を言われると思うのですが、日雇いの場合は四千円であります。そうして被扶養者の場合は二千円であります。こういうふうな赤ちゃんを作ることについても医療保障の差別があるということはきわめて不当であります。さらにまた、結核や精神、これは先ほど伺っても、どうもあまり統計はないじゃないかと思うのですが、日雇いの場合の結核と精神がどれくらいあるかわかっておりますか。こういう日雇いの人たちに対して結核と精神を七割の給付にするというようなことも、これはお考えになっておられない。こうした健保並みに改善すべき点は幾つもあるのです。幾つもある。健保並みどころじゃない。国民健保並みにも引き上げてもらいたい点は幾らでもある。こうい点について、今若干指摘しましたけれども、特に結核の問題など、出産手当の問題など、先ほどから議論してきましたし、傷病手当金の二十二日と今の分べんの二十一日、これらについて事務当局から御答弁いただきたい。
#193
○政府委員(森本潔君) ただいま御指摘のありました通り、先ほど申しましたように、日雇健康保険の内容を健康保険並みにせよという点から見ますれば、いずれも足らぬ点ばかりでございます。今回できるだけのことをいたしたわけでございますが、なお足らぬ点は、これは全く御指摘の通りでございます。先ほども申しましたように、根本的な改正によってこれを処理するほかないと考えております。
 それから日雇健康保険と健康保険を比べますと非常な差があるわけでございますが、また一面、保険全体としましては、国保のこともよく頭に入れなければいかぬわけでございまして、国保におきましては、これは、御存じのように、療養給付期間は三年でありましても、本人はまだ五割給付である。全員五割給付でございます。こちらは本人十割、家族五割ということでございまして、まあ平均してみますと、どちらがいいかということになりますと、あるいは国保よりは日雇いの方が給付の内容がいいとも思えるのでございます。たとえば傷病手当金を出しておるとか、それから分べん費にいたしましても、国保の実情を見ますと、やはり千円程度が多うございまして、こちらでは四千円、二千円というような点もございまして、日雇いだけを考えますと、もっともっとよくせにゃいかぬのでございますが、一面国保の悪い面から比べますと、まだこちらのいい点もございます。それらを一緒に考えて、根本的な対策を練りたいということでございます。
#194
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#195
○委員長(吉武恵市君) それでは速記を始めて。
#196
○横山フク君 まあ前より日雇健康保険の給付内容がよくなったということは認めるのですが、しかし、今局長のお話のように、国民健康保険よりはいいということは言えるでしょうけれども、いいからいいというのじゃないのであって、健康保険並みというか、全部同じ給付内容にするということが目標であると私は思うのであります。分べん料についても不平はございます。坂本さんから誘導を受けましたが、確かに私としては言いたいところでございます。しかし、それはそれといたしまして、この傷病手当金の支給日数でございますね。前に、出産手当は二十一日で傷病手当は十四日だったのです。それを今度傷病手当を二十一日に直したときに当然出産手当ももっと日数を一週間なり二週間なり延ばすべきであったと思うのです。労働基準法でも産前産後四十二日間ということは認められておる、保障されておるのでございますね。それを今回は出産手当の場合だけは二十一日のままとどめおいたという形はどういうところから来ているのでしょうか。
#197
○政府委員(森本潔君) これはちょっと私から申し上げにくい点でございまして、政府の原案といたしましては傷病手当金、出産手当金を通じまして二十一日ということで改正して出したわけでございますが、衆議院で御修正になったものでございまして、ちょっと私の方から意見を申し上げることはどうかと思いますので差し控えます。
#198
○横山フク君 私は二十一日になったということを伺っておるのじゃないのです。でございますから、私ははっきり申し上げたつもりなんですけれども、十四日を二十一日に傷病手当を直しなさったのですね、政府原案では。ところが、出産手当の方は二十一日をそのまま、二十一日のままで持っていかれたのですね。そのときに傷病手当を十四日を一週間延ばして二十一日に延ばすならば、出産手当の方も一週間延ばして二十一日を二十八日に延ばすべきじゃないか。というのは労働基準法でも産前産後四十二日間は保障されておるのですから、それからいってもこれは二十一日で満足すべき日数ではないのですから。しかも傷病手当は額からいっても対象人員からいっても相当の人員であるし、相当の額になる。ところが、出産手当の方は人員は少ないし、でございますから、総額においても少ないわけでございます。そうしたらばこそ少なくとも二十一日を二十八日なり三十五日なりに延ばすべきであったのじゃないかということを政府原案について伺っているのです。
#199
○政府委員(森本潔君) 誤解いたしておりました。従来から出産手当金とそれから傷病手当金の支給日数は同じ日数というのが建前でございまして、逐次延ばして参ったわけでございますが、前回の、前回と申しますか、前の国会におきまして最初両方とも十四日の案が出ておりましたところ、出産手当金のみについて二十一日と延長になったわけでございます。そこで一つのアンバランスができておりまして、それを今回の政府提案におきましては両者あわせて同様の二十一日に直した、こういういきさつでございまして、傷病手当金を七日ふやしたからこちらも二十一日にプラスするという考えではなしに、同じ日数にする、こういうことで整理したものでございます。
#200
○横山フク君 変なところで保険局長はアンバランスと言われるが、アンバランスをバランスに直すのはこういう問題でなくほかに幾つもあるのです。そういう点のバランスは一つもおとりにならないで、この点でバランスをとったというのはおかしい。そういう傷病手当と出産手当の日数というものはおのずから違っていると思う。なるほど傷病手当は傷病によっては重くありますから日数の長くほしいのもございましょう、ございましょうけれども傷病手当という本質からいったならば長期にこしたことはないけれども――十四日が二十一日になったということはこれはけっこうでございます。しかし、出産手当の場合には四十二日間というものは休養すべしというのが原則である。で、この原則によって延ばす機会があったならば延ばすのが政府としての政治だと思う、政策だと思う。それなのに前に一緒であったのを出産手当の方だけ延ばしたので、今度傷病手当を延ばしてバランスをとったという、そういうセンスはおかしいと思う。で額からいったら大した額ではない。傷病手当を延ばすならば出産手当も延ばすのが当然じゃないかということで聞いているのです。
 これをもう一ぺん角度を変えて伺いますが、傷病手当を一週間延ばしたために国としての負担あるいは日雇健康保険の財政負担額というものはどのくらいふえるのですか。
#201
○政府委員(森本潔君) お手元の資料の四十三ページにございますように、傷病手当金の延長によりまして五千八百六万一千円でございます。
#202
○横山フク君 森本局長少しおかしい。私の聞いているのは、出産手当二十一日を二十八日に一週間延ばすとしたならばどのくらいの増額になるかということを伺っているのです。
#203
○政府委員(森本潔君) ちょっとこれは正確な数字ではございませんが、概算しましたところ……、ちょっと恐縮でございますが、数字でございますので、あとで一つ……。
#204
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#205
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
#206
○政府委員(森本潔君) ごく概算の数字でございますけれども、出産手当金を一週間延ばしますと約二百八十万の増でございます。
#207
○横山フク君 私はそれがちょっと了承できないのですよ、出産手当金の支給額この百七十万というのは増加額ですが、増加額というのはつまりあれでしょう、一級とか二級とかのあれが変わったための増加額ですから、基本的に日数が延びたためのあれではない。ですからそんな大きな――延ばしただけでもって二百万という……。
#208
○政府委員(森本潔君) ちょっと申し上げます。
 その数字は使っておりません。この増加額を年額に換算いたしますと、約八百三十六万になるわけでございます。増加いたしましたあとの額が二十
 一日分で、これは三週間でございますから、これを単純に三で割りますと、約二百八十万で、大体大ざっぱな見当これが一週間分じゃないだろうか、こういうことでございます。
#209
○横山フク君 今の数字はわかりました。でございますが、二百万といたしましても、全体の額からいったら、パーセンテージからいったらごくわずかな額でございますね。でありますし、今度この法の建前からいって、四十二日間というのは休養するというのは変わりないのだし、それに向かってわずか二百万くらいだったらばこれは延ばすという形が私は好ましい姿だと思う。大蔵省の折衝過程において削られたというならわかるけれども、最初から二十一日で延ばしたのだからバランスがとれたからそのままでよかったという形は、私は非常に遺憾な心がまえだと思う。こういう形は妊産婦を保護するという意味からいってぜひ改めてほしいし、その手当金を打ち切られたから早くから働くということのために、あとから大きないろいろな疾病を起こすことは再々見るところなんです。ですから私は厚生省のやり方は、病気にならしておいて、病気が重くなるから仕事がふえて喜んでいるということに、極端な言い方をすれば、なるのじゃないかと思う。これはほかの例でもたくさん見られるのです。しかし、時間がないから私はほかの例まで言う必要はないけれども、心がまえとして最初からそれを載せなかったということに対して私は非常に遺憾に思うのです。
#210
○政府委員(安藤覚君) ただいまの御質問でございますが、今後においてただいまの御指摘のような心がまえにおいて、あくまでも努力していきたいと存じておりますが、ただ局長といたしましても、やはりこれからいろいろと各方面に折衝したり交渉したりすることもございましょうしいたしますので、とかく御答弁が含みがちな答弁になりまして、御満足をいただけない点もあるかと存じますが、その点はどうぞ一つ立場を御了承下さいまして、御宥恕願いたいと存じます。
#211
○藤原道子君 ちょっと一言だけ。私はたまに出席しているからと思って発言を遠慮している。だけれども、もう少しまじめに考えてほしいのですよ。御答弁もまじめを欠いているように思えてたまらない。大体労働基準法では母体保護の立場から、産前産後の休暇ははっきりきまっているのです。ところが、日雇い労務者なるがゆえに二十一日でいいというその理論的根拠を私は伺いたい。初めから貧乏人は出産後二十一日でからだがなおる、どういうつもりで二十一日でいいという結論が出たのか、労働基準法違反じゃないですか、どういうお考えですか。それを聞きたい。
#212
○政府委員(森本潔君) まあ労働基準法の規定によりますれば御指摘の通りでございます。被用者におきましては、同じ給付をするのが建前と存じますが、従来この保険の成り立ち、経過から見まして、主として財政的な問題でございますが、その制約によってこれ以上の給付が現在のところできないという状況でございまして、今後の検討問題としては残っているわけでございます。
#213
○藤原道子君 社会保障がやかましく言われて、自民党さんだって社会保障が表看板なんです。だから、わずかのこういう問題でけちけちするはずないと思う。これは、要求して大蔵省でけられたのですか。もともと厚生省は貧乏人はそれでいいという考えなんですか。保険が財政が足りなければ、国庫負担をしても人命を守っていくのが厚生省の役じゃありませんか、それを伺いたい、ただ、財政的な立場でそれだけでおきめになった、人間の命を尊重するというような考え方ばなかったのですか。
#214
○政府委員(森本潔君) 考え方としては先生のおっしゃる通りでございますが、現実の問題といたしましては、財政上こういうことになったのでございまして、これは御指摘して追及されれば先生のおっしゃる通りだと思いますが、今後改善するつもりでおります。
#215
○坂本昭君 それでは時間の関係で、次の一番大事な特別療養費制度の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 従来、待期期間二ヵ月の問題が一応これで片がついたように見えておりますが、内面的には被用者保険として片がついたのじゃなくて、本人も五割給付であります。何だかこれは国民健康保険みたいな、また国保でもない、それから生活保護みたいな生活保護でもない、きわめて要領を得ない制度であります。これは非常に苦心の策であるということはわかりますが、しかし、この今回の法律改正の中で重要な点は、特に療養費の制度をやる場合に、これは被保険者またはその被扶養者が日雇労働者健康保険特別療養費受給票――この特別療養費受給票、これをもって受診をするようになっているように見受けられる、そうしてこの、特別療養費受給票の交付その他特別療養費受給について必要な事項は厚生省令で定めるということで、一番大事なことがわれわれの審議の対象になっていない、従って、まずこの五割給付にしたということの根拠、それから次の点は、原法第十条の三の二ヵ月間に二十八枚という件はこれは生きているはずであります。従って、これとの関係、さらに確認の手続をとるために、いろいろと二ヵ月ごとに確認の手続をとるというきわめて事務的に煩瑣の点があると思う。従って、これによって医療給付を受けられないおそれの生ずる場合が多分にあると思う。具体的にどういう場合には受けられないか、そしてそれに対しては事務的にはどういう措置をとっていくつもりであるか、これは去年以来非常に問題になっておった点でありますので、事務当局から詳細な御説明をいただきたい。
#216
○政府委員(森本潔君) 最初の五割の点でございますが、これは本来の被保険者でございますれば本人が十割、それから家族五割というのが当然でございます。ところが、この制度におきましては、二ヶ月間に二十八枚の切手を――保険料を納めておりませんので被保険者という資格を持っておりません。従いまして、どの程度に給付をするかという問題でございますが、やはり家族の五割の線あるいは国保の五割の線という本のがございますので、この基準にあわせてやったもので、ございます。これが被保険者でありますならばそういう問題を起こすことはございませんが、そうでないものも特に給付しようという特別の措置でございますので、一応国保の線、家族の五割の線にあわせたということでございます。いろいろ議論がございましょうと思いますが、そういうわけであります。手続の点につきましては保険課長からお答え申し上げます。
#217
○説明員(加藤信太郎君) 手続の点でございますが、法律で御審議願いますいろいろな条件に該当するかどうかを調べる必要がございますので、手帳を交付いたしましてから、該当することが直ちにわかるものにつきましては、これは直ちに交付する予定でございまして、直ちにわからないものにつきましては、私の方で調べましてその後に支給する、そういう手続をとりたいと思います。
 それからもう一つお尋ねの、この制度を施行してからなおかつ給付が受けられない者はどういうものが残るか、そういうお尋ねでございますが、これはこの制度によってまず給付を受けられる者を御説明いたしますと、初めて日雇労働者健康保険の手帳を受ける者はこれは無条件に受けられます。それから手帳を返してから一年経過したものはこれは無条件に受けられます。そうしますと、残りましたのが、手帳を返してから一年以内のものでございます。この一年以内のものを二つにわけまして、一年以内にやめたけれども、手帳を返したときに二ヵ月二十八枚の受給資格を持っていた人は、たとえ、一月でも二月でも三月でもそれは特別療養費の受給票を差し上げる。しかし、一年以内に手帳を返すときにあまり張ってない人があるわけです。と申しますのは、日雇い労働者が本業じゃなくて、たまたま適用事業所に行った人も現在の制度の建前では手帳をもらわなければならぬことになっておりますから、その人々はおそらく私どもの推定では本業でない、この人たちには差し上げない。もう一つ穴があきますのが、現に日雇い労働者として長く働いておる、六ヵ月七十八枚から二ヵ月二十八枚の条件は満たしていた。ところが、本人は長期疾病になった。そこで極端な場合には半年とか一年とか入院される場合がございますが、その場合に入院した疾病については見てもらえる。それからそれに付随する疾病も見てもらえる。ところが全然新規なものにつきましては、これは二ヵ月二十八枚なり六ヵ月七十八枚の要件を満たさないと見てもらえない。それからその間に家族が病気になったときも見てもらえない。私どもの推定では六ヵ月七十八枚というのは通常二十日働きますと四ヵ月で満たされるわけです。従って、二ヵ月をこえる病気をして入院された場合には、おそらくこの条件は満たせなくなる。この場合には国民健康保険法と日雇健康保険法の調整、で二ヵ月二十八枚働く見込みがないときには国民健康保険法の適用を受けることに可能にしてありますから、その方で処理したい、さように考えております。
#218
○坂本昭君 これは実施の面にあたって多分いろいろな問題点が出てくるだろうと思うのであります。どういう問題点が出てくるか、私は詳細にわたっては予期することはできない。しかし、願わくば、この特別療養費の制度は去年以来一番苦心をなすった点だということは私も認めるのであって、かつ、日雇健康保険法の対象の人たちがやはり一番期待を持っておったことには間違いない。従って、あなた方の方で、先ほども今も触れておられましたけれども、本人が医者にかかっておる場合に、たとえば耳鼻科の病気にかかっておった場合には外科とか内科の病気にかかることができない、あるいは家族の人はかかることができない。これは衆議院の方の附帯決議でもって、こういうきわめて小さい、こまかいことですが、深刻な問題ですね、こういう附帯決議が出されてきた。私はこういう問題が行政措置でできないということがむしろおかしいと思うのです。なぜこういうことが行政措置でできないのだろうか、こういうことも行政措置でできなければ、今の療養費の問題あたりずいぶん幾つかこれからどんな問題が出てくるかわかりませんけれども、そうした場合にあなた方が行政措置でやっていくことができない点がたくさん出てくるのではないか、そういう点で心配するのですが、その点はどうですか。
#219
○政府委員(森本潔君) この法律に書いてある事項で処理できないものをある程度行政措置でやることも考えられると思うのであります。たとえば関連する疾病でありますとか付随する疾病とかいうものの認定の問題でございますが、これは相当弾力性がございまして、できるだけ便宜をはかることが適当と考えます。しかしながら、その範囲を出ますと、これはやはり法律の制度上の問題になって参りまして、二ヵ月二十八枚という保険料を納めて初めて被保険者の資格ができるという制度の根本に触れて参るわけでございまして、その辺になりますと、やはり行政運営では無理になって参ると思うのでございます。でございますので、われわれとしましてはできるだけ適用に対しまして被保険者の便宜をはかる必要はございます。もちろんそういたすつもりでございますが、やはりそこには制度上の一つの踏み切れない点もあるということもやむを得ないと思うのでございます。
#220
○坂本昭君 今の御答弁にははなはだ不満な点があるので、今後はそういう具体的な事例についてはわれわれとしては一々取り上げて、そうしてこの本法、特に日雇健康保険法が、先ほど一番最初に申し上げた通り、低所御者対策の重大なる被用者保険であるという点から、私たちは、あなた方が行政措置でできないというならば一々その法律に変わる一つ行政措置の指針として当委員会ででもきめていただくというつもりでおります。
 なお、今も制度上の問題ということが出て参りましたが、この日雇健康保険の制度を、これをわれわれは一般健康保険に統合して、被用者保険として体をなしてきた、従ってまた、健康保険並みにレベルを引き上げていきたい、そういう強い要望を持っておる。ところが、最近厚生省では、むしろこれを国民健康保険に吸収したらよろしいではないか、そういう議論が出ておるということをちょっと聞いたのでありますが、その点はどういうふうなお考え、将来の方針を持っておるかを伺っておきたい。
#221
○政府委員(森本潔君) ただいまの研究の段階におきましては、実はいろいろな議論がございます。単に日雇いを国保に吸収するだけでなしに、全国一齊に同じ保険に入れてしまうというような考え方、いろいろございます。その過程におきましては、むろん私たちとしてはあらゆる角度からこれを議論していきたいと思っておりますので、いろいろな議論が出て参ると思います。まだ固まった結論ではございませんので研究の過程においてはいろいろな議論が出ておるということだけ申し上げておきます。
#222
○坂本昭君 どうも、ただいろいろな議論が出ておるだけではしようがないので、この間、年金問題との関連で、これについて国民の世論に従ってやってもらいたい、大体法律に従って皆さん政治をするのでなくて、行政をするのでなくて、大体国民の世論に従ってやるのがこれが正しい態度であって、今のように、いろいろな議論があるという学者みたいなことを言っておったのでは、それは森本教授ならばいいかもしれないけれども、森本局長としての言葉だとは思われません。この際われわれとしては、やはりこれは被用者保険として健康保険の中に正当なる地位を占めるようにわれわれは行政的に努力していただきたい。また、それをわれわれとしては立法化していきたいということだけをまず申し上げておきたいと思います。
 それから次に問題は、例の擬制適用の問題です。これは去年以来たびたび繰り返して議論をした点であります。私は、この国民皆保険が実現したこの際であるので、擬制適用の制度の問題についてこれをはっきりとしためどの上に立てていただきたい。これは聞くところによると、厚生省は擬制適用制度を廃止して国民健康保険に吸収をしたい、そういうふうな意見もあるということですが、今の局長の意見を聞くと、いろいろ意見はあるということだから、この点については多分何も国保にしようという積極的な意見ではなかろうと思うのですが、一応これは確かめておきたい。
#223
○政府委員(森本潔君) 現在擬制適用という制度をとっておりますが、――制度と申しますか、運用をいたしておりますが、これにも御指摘のようにいろいろ問題がございます。先ほど申しましたように、日雇いの制度の根本的な問題、それから他の制度との総合調整をこの際に十分検討いたしまして処理いたしたいと考えます。
#224
○坂本昭君 それは十分検討するのはいいんですがね、これは扱い方によってははなはだ心配な点があるので、どういう方向にあなた方としては検討し、これを合理化しようとしておられるか、その意向を聞きたいのです。
#225
○政府委員(森本潔君) さっそくお答えをしなければいかぬのでございますが、まだその取り扱いについて明確な結論を出しておりませんので、なお検討してからお答えいたしたいと思います。
#226
○坂本昭君 この問題については、私たち社会党は、労働組合を結成した場合には厚生大臣の認可によって被保険者としての特例を作ってもらいたいということは、すでに先般この委員会で八木議員から提案理由の説明をされた場合に触れておりますが、こうした擬制適用の問題についてこれを強制適用する、そういうための一つの法律改正の手がかりとして、労働組合を結成した場合に厚生大臣の認可によってこれを合法化する、こういう処置をとることは私は十分可能であると思う。いかがですか。
#227
○政府委員(森本潔君) 確かに社会党の案ではそういう考え方が出ておりますが、やはりこれは相当検討せねばいかぬと思うのであります。被用者保険であるにもかかわらず、被保険者自身が事業主がございませんから、自分自身で保険料を負担しているというのが現実の姿であります。はたしてこういうものが被用者保険の実態を持っているかどうか、こういう点になって参りますと、これは非常に問題があると思うのです。まだ結論は出しておりませんが、これは相当問題がございまして、なお詰めて検討したいと思います。
#228
○坂本昭君 大体歴史的にいっても、擬制適用の問題がいわゆる建設労働者の人たちからこの日雇健康保険の問題が出てきたことは、局長も御存じだろうし、それから次長は多年この問題に専念してきた方ですから十分御承知だろうと思うのです。いやしくも労働者であるところの建設労働者その他日雇労働者、特に今、問題になるのは建設労働者の場合が多いと思う。そういう人たちの問題が多年にわたって合理的な解決ができないということは、これは非常に私は厚生当局としては怠慢だと言わざるを得ない。これを一挙に解決するためにこれを国民健康保険にやってしまった方がいいというのも、これはわれわれとしては許すことはできません。しかし、いやしくも労働者として被用者保険の中に入って、そうして被用者保険が今日健康保険の一応筋道である。さらにこの所得倍増計画の中でも、池田総理も、農民がだんだん減っていく、おそらくまた農民も減るし、農業基本法の中では、このいわば雇用の農民労働者もふえるだろうというような意見も言われている。私はそうすると国民健康保険の対象は今でこそ四千九百万であるけれども、これは私はまた減るのじゃないか。諸外国の例を見ても被用者保険の対象がどんどんふえていくのが、これが世界の傾向であります。そういう点で、この擬制適用の問題について今つまらぬ結論を出すよりは、十分検討をする、去年この二ヵ月待期の問題については、非常に時間も迫って一年で実施が一応とにかく一つの形ができましたが、擬制適用の問題についてどうですか、次期国会までにどうこうというのは少し早いかもしれぬが、ある程度のめどを一つ出していただきたい。局長、いかがですか。
#229
○政府委員(森本潔君) きょうこの問題だけについてお答えするのは実は適当でないと思うのでございまして、先ほど来申しておりますように、大きな社会保険全体の取り扱いを検討いたしておりますので、その一環としてそれができる時期には結論を出したい、こういうふうに考えておりますので、今いつということを申し上げるのはちょっと申し上げかねる次第でございます。
#230
○坂本昭君 今の擬制適用の問題に関連しまして、日雇健康保険法の第二条の二項に「事務の一部は、政令の定めるところにより、都道府県知事又は市町村長に行わせることができる。」と、こういう項目があります。ところが、擬制適用の場合につては、こういう取り扱いを特別に禁止しようとする動きがあるように聞いております。そういうお考えがあるかないかということ、たとえば事例としては福島県でそういう事例を私は報告を受けております。で、これらのことは一般には早く指定市町村の早期指定をやってもらって、ここで現金給付も受けれるようにしてもらいたい、そういう切実な希望がある際にもかかわらず、むしろこの二条二項の適用を擬制適用の場合には禁止しよう、こういう事実ははなはだ私は一般の希望に反するものではないかと思うのです。この点、どういう見解を持っておられますか。
#231
○政府委員(森本潔君) 現在この擬制適用を例外的に実施しておるわけでございますが、その条件に合致するものにつきましては、これを特に押えるとか、そういう考えはございません。少なくとも現在認めておりますものと同じものにつきましては同じように処理すると、こういう方針でございまして、特別な考えはございません。
#232
○坂本昭君 特別な考えはないということは、特別に差別待遇をして――よくも扱わなければ悪くも扱わないという意味だと思うのだけれども、大体第二条の二項で特別の市町村長に行なわせることができるということは、たとえば擬制適用の対象になるような人が三十人なり五十人なりおる。そうしてそういう人たちが特別の市町村長を通じて取り扱いを受けたい、そういう場合は、これはいわば被保険者の便利のためにこの二条二項というものは私は設けられたものだと思うのです。だからこういうものを特別として扱わないというのは不当であると思う。もう一ぺん明快な説明をして下さい。
#233
○説明員(加藤信太郎君) 局長の説明を補足してお答え申し上げます。
 擬制適用の場合には、適用事業所としてその擬制の組合は扱うわけでございますが、これは実際問題といたしまして、出張所の所在地に近いところにあること、それから扱いがきわめて困難であるということから、事実問題として指定市町村に扱わせる場合はほとんどないわけでございまして、もしも相当な数でありまして扱いが可能ならば、これは私どもも拒否するわけじゃございませんが、事実問題として実は私どもの出先でも、擬制適用につきましてはその扱いに非常に困難をきわめておる状況でございます。まあ坂木先生はよく御存じでございますが、われわれの家庭に大工さんを一々頼んだのを事実上われわれは申告いたしませんし、また、法律でこれを申告させることは不可能でございます。そこで便宜適用事業所の事業主のように擬制組合をその対象にしているわけでございますが、擬制組合の当事者といえども事実上各組合員に毎日ついて歩いてその稼動状況を調べることは不可能でございますから、その扱いはとかく乱に流れがちでございます。そこで私どもはこれをいかにして日雇健康保険法の法規の精神に照らして適正に行なうかということで、非常に苦労しておるわけでございますので、そういう意味では、必ず同じようにいたします、それでは山の中の市町村にそれを作ったからすぐやれとおっしゃっても、すぐにはできかねますが、できるだけ実情に即して処理いたしたい、さように考えております。
#234
○坂本昭君 福島県の場合は。今福島県の例、これはたしか五十名以上というふうに聞いておりますが、この実例についてはどういう態度をとっておられるのですか。
#235
○説明員(加藤信太郎君) 福島県の例は、私まだ十分調査しておりませんので、調べましてから御返事申し上げます。
#236
○坂本昭君 次の問題は、この日雇健康保険の被用者保険としての完全性を作っていく中で、去年以来問題となっているのは年金の問題であります。厚生年金の適用の問題であります。これは厚生省としては建設労働者、日雇い労働者、これらの人に対してはどういう態度をとっておられ、その結果はどうなっておりますか。
#237
○政府委員(森本潔君) ちょっとお答え、質問の趣旨にそれるかもしれませんが、御存じのように、日雇い労務者は厚生年金は対象にしておらぬわけでありまして、国民年金の立場をとっているわけでございます。それでただいまのところ、どういう指導をしておるか、どうするかということかと思いますが、一応現在の段階におきましては、厚生年金へ入れることは困難であろうという気持でおります。
#238
○坂本昭君 そうすると、普通の健康保険の対象の人は、厚生年金の対象として扱われているが、この日雇健康保険の対象については、保険当局としては厚生年金の対象者外として扱っている。だから当然国民年金の対象になるでしょう、そういうことなんですが、ずいぶんしかし冷淡だなこれは、しかし、僕は被用者保険である日雇健康保険については、相当な問題であると思いますね。
 なお、その次の問題、一つ伺います。それは日雇健康保険にいろいろな手続が非常に複雑であるために、診療所においてもいろいろなわからない点がある。たとえば具体的な例をあげますと、初診料だとか入院料だとか、こういったものを、健康保険と日雇健康保険とごっちゃにしてしまっているわけですね。初診料の場合だと、健康保険は百円まで自己負担、ところが日雇いの場合はこれは五十円まで、入院料も健康保険の場合は最初の一ヵ月一日三十円、日雇健康保険ではそういう制度はない、ところが、その辺がどうも診療所のお医者さんたちに十分徹底してないために、窓口で間違いを起こしたり事務的な間違いを起こしたりする。あなたたちの方からいえば、それは勉強不足だと言われるかもしれないけれども、これは私はもっと親切に、医者の側からいえば日雇いも、健康保険もなかなか区別のつかぬことが多いのですよ、そういうふうな親切な行政指導というものは欠けているのじゃないか、その点いかがですか、また今後どうされますか。
#239
○政府委員(森本潔君) これはお話の通り、日雇いの被保険者に対しましては一部負担が初診料等につきまして優遇されておるわけでございます。こういう特典が法律ではっきりあります以上、これは医療機関に対しまして十分周知させることが一つと、それからもう一つは被保険者の方におかれましても自分の権利でございますから、損をしないように一つやっていただく、申し出てもらう、医療機関とそれから被保険者双方に対しまして不十分な点を十分一つ徹底するようにいたしたいと思います。
#240
○坂本昭君 従来保険局のそういう行政指導はあまり十分じゃありません。それは私自身ある時期に国民健康保険の普及のために努力したことがありますが、そういう間におきましても保険局当局が一般に対する普及あるいは教育の面においてはずいぶん欠けている面があると思う。そういう点はむしろ予算を組んででも、積極的におやりになるのが至当だと思います。
 なお同じことなんですけれども、日雇健康保険に入るべきであるにかかわらず、そういう事情がわからないために入らないで国民健康保険に入っている人も非常に多いのであります。こういう点もあなた方の指導が十分でない、むしろわれわれの方から見ると、あなた方の方では日雇いというのはとにかくめんどうくさい、しょっちゅうややこしいことを言われるから、むしろ国保に入ってもらった方がいいのだ、そういうふうな行政指導をしているのではないかと思う。そういうことの一端として一つ申し上げたいことは、一体日雇健康保険においては保養の施設があるかということです。先ほど藤田さんからも健康保険の連合会についていろいろ質問がありましたが、一般の健康保険等に組合管掌については休養施設、保養施設がたくさんできている。日雇健康保険について保養施設は作ってありますか。
#241
○政府委員(森本潔君) まず保養所でございますが、これはございません。それから診療所というもの、これは場所が移動いたします関係上、固定したものではなしに、巡回診療車、こういうものを政府管掌で、政府におきまして作って配布いたしております。いずれももっとたくさんあったらいいのでございますが、財政上の点でこれだけでございます。
#242
○坂本昭君 しかし、これはもう日雇いの人たちも百万になるし、そうして日雇いの人たちが労働組合を作っていることも御承知と思います。そして日雇いの労働組合の人たちには、率直に言って、過去においてなかなかりっぱな人で、引き揚げてきてから日雇いの生活をせざるを得ないというような人もいるわけであります。私も高知のいなかで、たとえばキリスト教の牧師をやりながら日雇いをやっているとか、そういう変わった人たちも知っているのであります。そうしてこの全国に約百万人いる人たちが、日雇いといったって人間だし、だんだん賃金を上げてもらえば、彼らだってレジャーを楽しみたいのであります。従って、そういうために保養施設を作ったっていいじゃありませんか。国の責任で作ったってちっともかまわない。これは事務当局としていかがですか。これはもう作る意思はございませんか。
#243
○政府委員(森本潔君) これはやはり御指摘のように、そういう施設があるのが望ましいのでございます。従来できておらなかったのは、これはただひとえに財政上の問題でございまして、先ほど来議論になっておりますように、国庫負担率を引き上げるとか、あるいは給付の内容をよくするとかというような問題と関連いたしまして、財政の健全化をはかりますと同時に、その際にこういう施設も整備していくことを考えております。
#244
○坂本昭君 それでは、大臣が来られましたから、大臣に一つ伺いたいと思うのであります。
 この日雇健康保険の問題は、大臣は今度初めてかなりしつっこい議論をお聞きになると思うのですが、この委員会では去年から相当これはしつっこくやったのであります。そのしつこくやった理由は、日雇健康保険というものは、これは、労働力を持ち、また、働らいている人、しかもその賃金が非常に少なくて、いわばボーダー・ラインの人、そうしてきょう統計を求めたところが、厚生省の出された統計では、日雇健康保険の中で生活保護を受けている人は三%から、いろいろ補助の内容によるのですが、一%くらい一これは私は全然違う統計だと思う。日雇いで働いている人たちの中では四分の一以上が生活保護の何らかの形の援助を受けているのです。たとえば健康保険にしても、今度の改正で最初とにかく二十八日分払わなくても一応入ることになった。特別の療養費の制度ができて入るようになりました。しかし、本人は半額でございます。それから家族の人たちも半額であるし、あるいは傷病手当金の日でもわずかに二十二日になっただけであって、非常に給付内容が悪い。さらに、これは今度の改正、さらに修正によって、一級の人は掛金の率は千分の三十七・五であります。二級の人は千分の五十七であります。千分の五十七。二級の人というのは、御承知の通り、四百八十円未満の人でありますね。四百八十円未満という、この未満という中には二百四十円、平均賃金二百四十円という人が一〇%以上含まれているところの、その四百八十円未満、これが千分の五十七という高い掛金の率、この中の半分になりますから、大方三十ぐらい。これをずっと一般の健康保険で見ますと、たとえば組合管掌ではこの率は二十四程度であります。国家公務員共済組合の場合は二十九、公企体職員の共済組合では二十六、私はこういう、賃金ベースが二万六千円からもう今度はだいぶこえてきました。こういう人たちと変わらないほどの高い率で、賃金二百四十円以下という日雇いの人たちがこの保険金が課せられている。そしてその内容においては、今までずいぶん論議しましたから詳しいことは申し上げません。給付内容もきわめて不十分な日雇健康保険ができている。今日厚生白書の指摘している明暗二相の二重構造をなくするために、所得の再分配をやっていくことが社会保障の大きな目的ならば、被用者保険の中で、この日雇健康保険の人たちに対して国民の大きな所得を分配してやるということ、これほど大事な目標はないと思う。ことにこれは生活保護の人じゃない。みんな手に職を持ち、そして二十一・五日かなんぼか働いている人。しかも働いている人が一番困るのは、病気になって倒れたときの話であります。だから、その病気に対しては、後顧の憂いのないように全面的に見てやるというのが正しい行き方ではないか。それが三割からやっと三割五分の国庫負担になって、まあこれは一歩前進だと言うけれども、私は一歩だとは思いませんよ。私はこれは〇・一歩くらいであって、とうてい今日のこの大事な時点において、五割を下るこういう処置をしたということについて、これは社会保障制度審議会もこの点について強い批判をしております。「国庫負担を五割以上に引上げる必要があるのみならず、すみやかに抜本的な改正に踏み切るべき時期と認める。」相当強い意思表示であります。さらに社会保険審議会については「三割五分に終ったことは遺憾である。而して、借入金による措置は不満であり、」こんなに強い言葉を出している。これほど強い言葉を出しながら、なおかつ三割五分に終わったということについては、これは予算折衝の責任は古井大臣にあったのでありますから、私はこれは十分釈明を求め、さらに今後の日雇いに対する国庫負担についての言明を一ついただきたい。
#245
○国務大臣(古井喜實君) お話のように、日雇健保の関係は、保険の経済的基礎がきわめて弱いのであります。そういうわけでありまして、このきょうの各種の保険の中でも一番これは公の力を注がなければならぬ、そうして補われなければならぬ問題だと思うのであります。で国庫負担なども、できるだけこれはたくさんしたいものだと思うのであります。いっときにいかぬものでありますから、徐々に段階的にいっているのが現状でありますけれども、それにしましても、今度、他の国保だって保険経済はつらいのでありますけれども、負担率を上げないところに、わずかにせよ日雇健保の方は負担率を上げた、こういうこともとにかく問題の認識が背景にあるからでありまして、これから先やはり立っていけるかいけないかわからぬこの日雇健保を、国の力をもってりっぱにやっていくように、内容もよくしていくように、できる限り努力をいたしたいというふうに思っております。
#246
○坂本昭君 去年以来当局がこの日雇健保の改正に種々努力をされたその努力のほどは私も認めたいと思うのです。たとえばその中で、国民皆保険ができるのにかかわらず、二十八枚の印紙を張らないと保険の対象にならないというふうな矛盾がこの特別療養費制度の中で一応解決とは言いませんが、一応何とか治療を受けれるようになったということも一つの改善ではありましょう。しかし、これもしさいに点検しますというと多くの事務的な欠陥があって、こうした改正にもかかわらずなおかつ漏れておる人がいるのではないかと思うのです。それらについて法律が、改正の仕方が足りぬからいかぬのだというふうなお説も省内にあるかもしれませんが、私はこの日雇健康保険の特性から言って、行政措置で解決のできるものは、善意を持って、少なくとも働いている人たちのためになるように解決をしていただきたい。私はそういう行政措置をとり得る余地は十分にあると思うのであります。非常にこの日雇健康保険はややこしい内容を持っており、また、日雇健康保険の対象の労働者も常に動いたりする人であります。非常な困難はありますが、私はそういう点で十分あたたかい行政措置をやっていただきたい。そのことを先ほど来議論を通じてどうもまだこのいわゆる保険官僚臭というものが強いのではないかという印象を受けましたので、この際大臣から、行政措置でできるものはする、しかもそのできる方向は労働者自身が健康を守り幸福な生活のできる方向に向いて行政措置をやってもらいたいということを一つ伺って、御返事をいただきたい。
#247
○国務大臣(古井喜實君) 私もこの手続、規定など一々知りませんけれども、考え方としては、扱う現行法の運用の上において扱い得る最高限度まで、わかった運用をするようにしたいものだと思っております。できるだけそういう方向で運用を最大限度したいものだと、こう思います。
#248
○坂本昭君 それから次の問題は擬制適用の問題、先ほど若干お尋ねしたのですが、これはまあ大臣どの程度まで御理解あるか知りませんが、いわゆる大工さんとか、のこぎりで切ったり、かんなで削ったりする人、こういう建設業者の人たちは、いわゆる一人親方の制度の中で生きてきているわけです。これらの人たちがれっきとした労働者であることについては間違いがない。で、こういう人たちが数年前に主力になって、この日雇健康保険の制度というものを実は作っていったわけであります。ところが、その一人親方というものの扱いに当局としては非常に困ったわけであります。われわれ社会党は五人未満の事業所、たとえ一人であろうともそれが事業をやっているならば、それも被用者保険の中に入れろという考えを持っております。ところが、従来までは一人親方をどう扱うかということで苦心をして、この擬制適用制度というものを作ってきたわけであります。で、私はきょうの議論を聞いておりますというと、擬制適用をはっきりした形にせいと、あまり押しておるというと、そんならもうこれは国民健康保険に入れますというふうに、大きく逃げてしまうおそれがあるように思うのです。非常に消極的であって、厚生省は私ははなはだけしからぬと思うのですが。でありますから、きょうはそこまでかえって答弁されても、はなはだこっちも迷惑なんです。がですね、これは擬制適用の問題は、われわれとしては、一人親方として、一人の事業所としてあくまで被用者保険の中に入れて見ていくべきだ、同時に二人、三人、あるいは日雇いの人たち、これらは被用者保険の系列の中に入れ、さらに年金の場合も厚生年金保険の系列に入れていきたい、これが私たちの一貫した考え方なんです。その点で擬制適用の問題について大臣の御見解をいただきたい。特に私たち社会党からは、組合を結成した場合に大臣がこれを認可をすれば、強制適用の中に入れることができるというふうにわれわれとしては立法化をして提案をしたが、これについては事務当局は疑問であると、否定的な見解でありましたが、それはそうとして、擬制適用の解決の問題について、これを前向きの形で解決をしていただきたい。これについてどういうお考えか。
 それからさらに、これに含めて被用者の健康保険の中で年金の問題を、当然日雇いも厚生年金保険の対象として
 一つこれは至急御検討いただきたい。この二つの点を最後に伺っておきたいと思います。
#249
○国務大臣(古井喜實君) 技術的にむずかしい点もあるいはあるのかもしれませんから、その辺はよく検討してみまして、おっしゃるように、御趣旨をよく伺って、前向きの意味で、技術的の点などをよく聞いてみたり検討してみて考えてみたいと思います。
#250
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#251
○委員長(吉武恵市君) それでは速記を始めて。
 ほかに御質疑はございませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○委員長(吉武恵市君) 別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#253
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#254
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これにて採決に入ります。日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本法律案は、内閣から提出され、衆議院で修正されました。従って、修正された衆議院送付案が原案でございます。本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#255
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
#256
○横山フク君 私はこの際、ただいま可決されました法律案につきまして附帯決議の動議を提出いたします。附帯決議の案文を朗読いたします。
  「日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議
一、日雇労働者健康保険法の一部改正にあたり出産手当金の支給日数を据置いたことは妥当を欠くものであり、政府は母体保護の立場から速かに支給日数の引上げを行なう措置をとるべきである。
二、今回創設された特別療養費制度にっいてはまだ不十分な点が多いので速かに改善するよう検討すべきである。
   右決議する。
 以上でございます。
#257
○委員長(吉武恵市君) ただいま横山委員から提出の附帯決議の動議を議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 それでは横山委員提出の附帯決議案を議題といたします。横山委員提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#259
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって横山委員提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、古井厚生大臣より発言を求められております。これを許可いたします。
#260
○国務大臣(古井喜實君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重して善処をいたしたいと存じます。
#261
○委員長(吉武恵市君) なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#262
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後六時四十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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