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1960/05/31 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第32号
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1960/05/31 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第32号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第32号
昭和三十六年五月三十一日(水曜日)
   午前十時五十五分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉武 恵市君
  理 事
           加藤 武徳君
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
  委 員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           横山 フク君
           相澤 重明君
           小柳  勇君
           藤原 道子君
           相馬 助治君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  衆議院議員
           石橋 權作君
  国務大臣
   労 働 大 臣 石田 博英君
   国 務 大 臣 迫水 久常君
  政府委員
   総理府総務長官 藤枝 泉介君
   総理府総務副長
   官       佐藤 朝生君
   内閣総理大臣官
   房審議室長   飯田 良一君
   調達庁労務部長 小里  玲君
   経済企画庁総合
   計画局長    大来佐武郎君
   大蔵省管財局長 山下 武利君
   労働政務次官  柴田  榮君
   労働省職業安定
   局長      堀  秀夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   内閣総理大臣
   官房参事官   中原  晁君
   大蔵省主計局主
   計官      岩尾  一君
   労働省職業安定
   局職業訓練部長 有馬 元治君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働基準法の一部を改正する法律案
 (村尾重雄君外二名発議)
○駐留軍関係離職者等臨時措置法の一
 部を改正する法律案(衆議院提出)
○雇用促進事業団法案(内閣提出、衆
 議院送付)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) それでは、ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
 労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
#3
○村尾重雄君 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。
 労働基準法第六十二条第三項は深夜業禁止の例外規定として、交代制による女子の深夜労働について別段の規定を設けております。すなわち、交代制労働の場合において行政官庁の許可があれば労基法第六十二条第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、または午前五時三十分から労働させることができるというのがそれであります。
 この規定は、現行の八時間労働制のもとで労働者(この場合女子労働者)を二交代制で労働させようとする場合に、労働基準法第三十四条によって労働時間の途中において、一交代ごとに四十五分の休憩を与けなければならない関係から、午前五時に始業した場合にその終業時間は午後十時三十分になり、従って、深夜業を禁止している労働基準法第六十二条第一項に違反する結果になるわけであります。すなわち、二交代制で入時間労働を行なわせようとすれば、どうしても午後十時以後午後十時三十分までの三十分間が必然的に深夜業にまたがるので、これについて例外措置を認めようというのが、同規定の趣旨であります。しかし、この点については、かりに、深夜業を全般的に禁止するとすれば、労働時間の八時間制をくずすことになり、八時間制を固守すれば、深夜業にまたがるということで、そのいずれをとるかについて、立法当時から相当議論のあった点であります。結局、資本家、特に、二交代制によって、労働者を労働させている紡績資本家の圧力によって、この労基法第六十二条第三項が創設され、女子労働者の深夜作業に対する例外を認める結果になったというのが過去の経緯であります。女子労働者について、深夜作業が弊害のあることは、すでに、世界の世論であり、一九一九年及び一九三四年のILO総会においてもこれが禁止のための条約案が採択され、前者については、一九二一年六月十三日、後者については、一九三六年十一月二十二日にそれぞれ発効し、今日においては、前者については三十五ヵ国、後者については二十二ヶ国国が批准している現状であります。しかるに日本においては、いまだ、これが両条約とも批准するに至っておりません。しかも、批准の障害をなしている最大原因は、この労基法第六十二条第三項の規定というべきであります。
 また、最近におけるわが国の労働情勢を見た場合、労働者の労働条件は年ごとに改善が行なわれ、この女子の深夜労働の排除についても、その大部分が労使の間で解決を見ているところがあります。
 深夜労働の排除がこのような労使の自主的な話し合いによってその解決を見つつあることはきわめて喜ばしいことではありますが、この種の自主解決は、組織力のきわめて強いところにおいて初めて可能であり、これを全使用者に及ぼそうとすれば、現行法のような例外措置をこの際認めない法改正がどうしても必要なのであります。
 深夜業の禁止は、今日すべての近代国家において採用されているところであり、わが国としても、これが実施に厳正を期すべきであると考えるものであります。
 われわれは、以上の趣旨に基づき、この際、労働基準法を改正して深夜業の例外措置を削除し、もって女子労働の保護と国際的労働条件への接近をはかるべきであると考えるものであります。
 以上がこの改正案を提出する理由であります。
 何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#4
○委員長(吉武恵市君) 本法律案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと思いまするが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#6
○委員長(吉武恵市君) 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○小柳勇君 労働省の職安局長に質問いたします。第一は、この駐留軍関係の離職者等臨時措置法が今回一部改正されますが、これと同時に雇用促進事業団が発足するわけであります。
  〔委員長退席、理事加藤武徳君着
  席〕
この雇用促進事業団で離職者を救援しようとし、再就職させようとするその措置については、異議を唱えるものではございませんが、炭鉱離職者と駐留軍関係離職者との間に、実質上の相違があるのではないかという心配があります。従って、まず初めに雇用促進事業団においてとられる離職者対策は、炭鉱離職者についても、駐留軍関係離職者についても、何ら変わるものではないという点について、具体的に御説明をお願いいたします。
#8
○政府委員(堀秀夫君) 雇用促進事業団が設立されました場合におきましては、これは御承知のごとく、政府において行なうところの労働力の流動性促進、それから技能向上、技術者養成という行政とタイアップいたしまして、きめのこまかな裏づけを行なっていくというのが、その業務の趣旨であるわけでございます。従いまして、この離職者の方々につきましては、あるいは転職訓練中の訓練手当の支給であるとか、あるいは移住資金の支給であるとか、あるいはその受け入れ地に移住されまする場合において離職者用住宅をお世話するとか、あるいは就職資金を貸し付けるとか、その他一般的な就職、転業等の御相談に応じ、援助を行なうというのが内容になっておるわけでございます。そこでこの炭鉱離職者につきましては、これは現在炭鉱離職者援護会において行なっております業務を、この雇用促進事業団がさらに引き継ぐということになるわけでございますが、この炭鉱離職者援護会に対しましては、石炭合理化事業団から交付金があるわけでございます。従いまして、特別会計を設けまして、別途経理にするという建前にしておるわけでございます。そこでまた、具体的には訓練手当あるいは移住資金というような点につきまして、一般の離職者よりもそのような関係がありますので、やや程度を高くしてあるわけでございます。駐留軍の離職者の皆様方につきましても、私どもは雇用促進事業団が発足いたしましたならば、全力をあげてお世話をいたしたいと考えておりまするが、政府のまあ原案によりますると、雇用促進事業団におきましては、石炭離職者については今のような関係がありまするので、一般の離職者よりも特別にさらに援護を行なうと、こういう建前になっておりまして、駐留軍の方は一般の離職者の範疇に入っておったわけでございます。ただ御承知のように、今回衆議院の内閣委員長の提案によりまして、駐留軍の関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案が衆議院で改正されまして、本日御審議を願っておるわけでございますが、これによりますると、結局この雇用促進事業団が成立いたしましたときには、雇用促進事業団は、この駐留軍離職者等臨時措置法の改正案によりまして、この第十八条に、雇用促進事業団は、この事業団法十九条に規定する業務のほか、次の業務を行なうということで、炭鉱離職者に準ずる措置がとられることになったわけでございます。従いまして、一般離職者よりも、さらにその内容は手厚くなるということになるわけでございます。結局そこで具体的に申し上げますると、訓練手当、それから住宅のお世話、それから就職資金の貸付と、その他いろいろな御相談に応じ援助をいたしまするような点につきましては、私は大体炭鉱離職者と同じようなお世話をすることができると考えております。移住資金の関係につきましては、先ほど申し上げましたように、炭鉱離職者につきましては、この石炭合理化事業団からの交付金というようなものが入っておる関係もありまして、相当手厚い援護がなされるわけでございます。しかし、駐留軍の離職者につきましても、炭鉱離職者に準ずるという建前になっておりまするが、その額につきましては、炭鉱離職者援護会が従来やっておりましたものよりは低くなります。しかし、一般よりはもちろん高くなるということになります。違いはその点でございまして、あとの点につきましては、一般の離職者よりも高く、炭鉱離職者に準じまして援助を行なうという考え方になるわけでございます。
#9
○小柳勇君 今の前の方はその通りだと思いますが、あとの方の移住資金の問題で差がありますが、炭鉱離職者の場合も企業の不況による、あるいは特殊な事情による離職であるし、駐留軍の場合も米軍の移動による自分の意思でない離職でありまして、移住資金などについても差をつくべきでないという見解ですが、いかがですか。
#10
○政府委員(堀秀夫君) そのような御議論も重々承知いたしております。私どもといたしましては、いろいろ検討いたしておるわけでございまするが、まず当面はただいまのような考え方で参りまして、そうして今後におきましてさらにその点の格差の是正につきましては十分検討をいたしたいと考えておりまするが、当面はただいまのような考え方でおるわけでございます。
#11
○小柳勇君 軍直労務者については今回政府雇用に切りかえられますので、あとで関連して質問いたしますが、今まで離職した人で駐留軍関係の離職者で行方がわからない、自分でいろいろ仕事を求めながらついに日雇いに転落する人もある。そのような人が職業安定所などに参りまして仕事を求める場合に、自分はかつて駐留軍関係労務者であったというようなことで、証明がなされた場合には、ほかの離職者に比べて手厚い保護がなされるかどうか、お聞きしたい。
#12
○政府委員(堀秀夫君) 当然そのように業務を運営いたしたい考えでございます。
#13
○小柳勇君 それからそのような法律の適用があること、あるいは労働省などが考えていることを知らないで職を求めることができない方もたくさんあるのですが、調査されたことがあるか。あるいは調査したものがあるか。今後そのPRの対策について何か具体的な方法がありますか。
#14
○政府委員(堀秀夫君) 今度雇用促進事業団が設立されて、ただいま申し上げましたような業務を行なうわけでございますので、私どもは何よりも大切なことは、その援護を受けられる方々がその内容を十分知っていただくようにするということであろうと考えておるわけでございます。私どもはこのような観点から、これは雇用促進事業団においても広報関係の担当を強化いたしまして、そうしてこの設立以前におきまして、法案が成立いたしますれば、さっそく強力なPRを行ないたいと思っております。また、この雇用促進事業団法の中にも明記しておりますように、これは結局各都道府県及び職業安定所との密接な連絡と協力が必要であると考えまして、政府関係機関もこの雇用促進事業団の業務について援助を行なう、強力に行なうということを明示しております。従いまして、この事業団が設立いたしましたならば、この機会にさっそく全国の都道府県及び職業安定所を通じまして、この内容というものを十分に一つ周知せしめたい。それから職業相談というようなものも開設いたしまして、そして私どもはただいまのような関係で該当される方々につきまして、まず窓口を作りまして、職業相談をやり、おいでになりましたならば十分に一つこういう方法があるということをお話し申し上げまして、一緒に御相談をして、今後のその生活の立て直しと申しますか、そういう面について十分に一つ御相談を申し上げて参りたいと思います。
#15
○小柳勇君 それでわわかりましたが、たとえば三年前なら三年前に離職してどこかに仕事を求めて行った。それがついにいけなかったからまた今離職しておると、そういう人が職安を通して別の所に移住して就職しようとする場合には、この法律を適用しますか。
#16
○政府委員(堀秀夫君) これはその場合々々によると思うのでございます。非常に安定した職におつきになりまして、個人的な御都合でおやめになるような場合におきましては、もちろんこの事業団における一般的な御相談と援助はして上げるわけでございますが、たとえばその移住資金等について支給することができるだろうという点は、場合片々によって区別して考えなければならない。しかし、私はまあ離職者の方が一たん腰かけ的に暫定的に他のお仕事をお始めになりましたが、それがきわめて不安定なものであって、すぐお離れになるというような場合には当然いろいろな援助業務につきまして、この適用が及ぶように考えていかなければならない。要するに、場合々々によりまして実情に応じて弾力的に措置いたしたいと考えております。
#17
○小柳勇君 もう少しはっきりしておきたいと思うのですが、先般離職者の実態を調査しましたその中で、調査できたものはおよそ半分しか返ってきませんでしたが、その半分の中でも約半数ぐらいは仕事がない、ほとんど安定した仕事がないために仕事を求めているわけです。そういう人が福岡県なら福岡県におりまして、その人が東京に来る、職安の窓口を通じますか、まあそうなりましょう。その場合には、三年前にやめておった人でも、この法律の適用によって移住資金が支給できるかどうか、これをはっきりしておきませんと、職安の窓口ではこの手続ができぬと思いますので確かめておきたいと思います。その点いかがですか。
#18
○政府委員(堀秀夫君) これは安定した職業におつきになってあと個人的な理由でおやめになったのか、あるいはそうでない場合というような点についていろいろ違いがあると思いますが、問題は、結局事業団の業務方法書でその支給基準等はきめたいと思っております。これにつきましては、労働大臣が認可することになっておりますので、法案が成立いたしましたならば、さっそくその作業に取りかかりたい。
 なお、これは関連で申し上げますが、そういうような中身につきましては、労働省の職業安定審議会あるいは事業団の内部におきましても、事実上運営協議会を設けることにして、関係者の参加を願うということになっておりまして、よくいろいろ実情をお伺いいたしまして、実情に即した基準を作りまして、それによってその基準は、各地の職安それから事業団の出先等には十分徹底させまして、実情に即した援護を行ないますように措置いたしたいと考えております。
#19
○小柳勇君 そのことは非常に大事なことです。就職しようとしても、移住資金もない人もあるようです。従って、福岡から東京に参りますと、旅費だけでも相当かかりますし、宿舎の問題もある。そういうものがあるならば、東京に来てもよろしいという人がたくさんある。従いまして、職安の方で手続をいろいろ進めます場合、あるいは今後規定を作られる場合には、とにかく離職者を救うのだ、できるだけ配慮をして救うのだという立場で、そういう規定を作っていただくようにこれは要望いたしておきたいと思います。
 それから次の問題は、職業訓練の場合も、私がただいま移住の場合に申し上げましたのと同じような状況があります。自分で仕事を見つけに行ったけれども、どうしても思わしくないから、もう一回職業訓練を受けたいという人があるわけですが、そういう人についてはどのような配慮をなされておりますか。
#20
○政府委員(堀秀夫君) 訓練手当につきましては、炭鉱離職者に準じまして職業訓練を受けられる場合におきましては、訓練手当を差し上げるという考え方でおります。御趣旨は十分わかっておりますので、御趣旨に沿うように取り計らいます。
#21
○小柳勇君 あとあなた方はどのくらい離職者が出ると労働省としてはお考えですか。これはあとでまた調達庁の方にも聞きますけれども、いろいろ、対策がありましょうから。
#22
○政府委員(堀秀夫君) これは後ほど関係の向きから御答弁があると思いますが、目下その見当をつけつつある段階でございます。私どもといたしましては、駐留軍関係の離職者は、間接労務者約八千六百名程度、それから直用一千五百名程度という考えでございます。なお、関係方面と御相談を申し上げまして、その見込みによりまして私どもは対処するように考えております。
#23
○小柳勇君 次は藤枝長官に質問いたします。
#24
○理事(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#25
○理事(加藤武徳君) 速記を始めて。
#26
○藤田藤太郎君 今小柳委員が質問したのを、ちょっと私おくれて来たのでよくわからないけれども、続いて小柳委員がやられるので、調達庁や総務長官が来られるまで、それでは私一、二点聞きたい。
 第一点が、駐留軍の雇用関係は調達庁が責任を持って、もう一つ上にいけば日米合同委員会になっていくわけだけれども、しかし、雇用の関係については調達庁みずからやれないので労働省がこれは担当するわけです。だから、いつも報告を聞いていると、離職者が出たけれどもどこへ行ったかわからぬと言う。さっきも質問がありましたが、そういうケースが非常に多い。だから、政府が責任を持ちながらなぜそういうことになるかというと、やっぱり離職対策、めんどうを見るということが完璧を欠いておった。それがまあ大きな原因だと思うんです。あの占領中にああいう形で政府が雇用関係を結んでおきながら、ときには知らぬ顔という、こういう姿が今のようなことになった。だから、私が聞きたいのは、全国の各職安で、駐留軍労務者が何人今就労しているかということがわかるわけですね。だから、その中でどれだけの、離職した場合には、これはもう職安局が熱心でありさえすればいつでも一人残らず把握できるわけです。そういう場合に、職安としてはどういう心がまえでやっておるか。その心がまえいかんによっては、知らぬ間にいつ行ったかということはなくなるんじゃないか。だから、離職された者のめんどうを職安が見て、いつも重要な関心を持ってやっているということになれば、そういう間違いは起きないんじゃないかと思うんです。だから、ここ二、三年のそこらの経過と、各全国における職安の心がまえ、各府県には職安とかがあるわけですから、それとの関係において少し御説明を願いたい。
#27
○政府委員(堀秀夫君) 駐留軍離職者の問題につきましては、これは内閣におきまして駐留軍離職者対策協議会を設けまして、労働省もこれに参画いたしまして基本的な方針を樹立し、そうしてそれに基づきまして、労働省は、この駐留軍離職者の配置転換、職業あっせん、職業訓練というような面を担当するわけでございます。昨年の十二月現在におきまして駐留軍離職者の方で、全国的な数字でございますが、職安に求職申し込みをしておられる方が約七千三百人でございます。そこでこれらの方々につきまして、私どもはその各現地々々につきまして重点的に職業相談を実施するという考え方で進みたいと考えておるわけでございます。
 それから現地における職業相談を実施いたしまするほか、職業訓練の部門におきましては、その基地周辺の適当な場所に職業訓練所の分室を設けるというような方法で、調達庁の室内訓練と相待ちましてこの転職の訓練のお世話を申し上げたいと思っておるわけでございます。また、今度雇用促進事業団が設立されることになりますると、この職安の手では行き届きませんような面につきまして、ただいまの配置転換、職業訓練等の裏づけを行なうということになりますので、私どもはこの機会に、全国の職業安定所及びこれとタイアップする雇用促進事業団の方に十分この駐留軍離職者の配置転換、雇用促進の重要性を浸透させて、そしてこの駐留軍離職者の方々につきましてもあとう限りすみやかに正常なる生業が得られる、あるいは雇用者として他の企業に雇われることを促進するという方向を推進して参りたいと考えております。
#28
○藤田藤太郎君 そうすると、職安の窓口へ申し込まれた人だけを要するに労働省は離職者対策として書き上げていく、こういうことになりますね。
#29
○政府委員(堀秀夫君) 実はこれは過去にさかのぼりまして、この離職されました方々と就職されました方々を差し引きますと、残りの方がまだ未処理ということになるわけでございまするが、実際問題といたしましては、この離職者の方々で、企業組合等事業団体以外の自営業を行なっておる方もございまするし、いろいろあるわけでございます。そこで、先ほど七千三百名と申し上げましたのは、そういうような方々につきましては、実は私どもの方ではその実情までを調べる体制でなかったわけでございます。そこでそう申し上げたわけでございまするが、それと、別に現在起こりつつあります離職者の方々につきまして、これは各現地々々にその職安の相談所等を開設いたしまして、そうしてこれはまた他の関係機関とも連絡をいたしまして、現在起こりつつありまするこの離職問題につきましては労働省で、この職安に相談に来られない方々につきましても、動向をなるべく把握して参りたいと、かように考えております。労働省といたしましても、求職を申し込みに来られませんでも、あるいは自営業を行ないます際についても、いろいろな援助等も必要になってくるわけであります。たとえばタクシー等を開業したいというような場合には、その許可についても御援助をする。たとえば、最近の例で申し上げますれば、福岡におきまして、あの周辺の離職者の方々がタクシーを開業したいということで申請されました方が、たしか五件――五件と申しますのは、タクシー業の数でございますが、五件あったわけでございます。これらにつきましても、事実上これは求職の申し込みではございませんけれども、御相談に応じまして、私どもできる限りの御援助をいたしております。幸いに、今回はうまくその免許の趣旨が通ったわけでございますけれども、そういうような方向で、現在起こりつつある方々につきましては、十分に一つ把握するようにいたしたいと思っております。ただ、過去にさかのぼりまして、すでに自営業等を始められまして、職安の方には連絡が来ないという方々については、今のところ私どもの方で把握はちょっとできませんので、推定にとどめておるわけでございます。
#30
○藤田藤太郎君 私の言っているのは、過去の報告は、これだけ職安でお世話をいたしました、これだけは自営業をおやりになりました、不明の人がこれだけ――不明の人の方が多いというのが今までの経過の報告であったから、せっかくここで離職者法を改正してやるというのにも、ただ漫然として申し込みをしてくる人だけを待って、労働省が対策を立てるだけではいけないのじゃないですかということを言っている。だから、過去の経過を今日に移してもらったら困る。対策をほんとうに立てなければならぬというところに来たので、ようやくそのきざしが作り上げられかけたのであるから、今何人働いておって、その人はどこに居住しておって、その人が首を切られたら、自営業に行かれる人は自営業に行ってもらったらいいけれども、自営のためのめんどうとか、国有財産の払い下げのめんどうを見てもらって、自営のためのめんどうを見てもらうことは必要だけれども、しかし、その他の人は何についているかわかりません、これだけ申し込みがありましたじゃ因りますよということを言っておる。その点はもっとやはりはっきりとしてもらっておかなければ困る。今までの報告は全部そうですからそういうことははっきりして下さいと言っているわけです。
#31
○政府委員(堀秀夫君) 大要を申し上げますると、昭和三十二年からの離職されました方々が大体十五万四千人に達するわけでございます。そのうち、雇用関係に入って就職されました方が約十二万五千名でございます。それから自営業をやっておられます方が六千三百人程度であると推定しております。それからリタイアーその他に基づいて引退されました方が約一万五千七百人。それから求職者が、先ほど申し上げましたように、七千三百人程度ということになっておるわけでございます。私どもは、ただいま御指摘されましたように、今後も駐留軍離職者の方々が出て参りまする際に、どの方面に進まれるか、どういう希望を持っておられるかというようなことにつきましては、今度の事業団発足を機といたしまして、さらに積極的に今後態勢を整えて充実させて参りたいと考えます。
#32
○小柳勇君 小里労務部長が見えましたので、労働省の質問は、あと雇用促進団のときに詳しく質問したいと思います。小里労務部長に対しては、直接の責任者でありますから、少し具体的に御質問いたしますが、まず第一は、今回のこの法律改正によりまして、特別給付金の支給が法文化されまするが、その支給基準について、まず小里労務部長から説明を承りたいと思います。
#33
○政府委員(小里玲君) お答え申し上げます。支給基準は、支給をすることになりましたそもそもの最初のときの政府の考え方といたしましては、講和発効以前から勤めておる人たちに、長年の勤務に対しまして、感謝の意を表する、政府として謝意を表すると、こういう意味から、講和発効以前の人を優遇をして金額を支給すると、こういうことでございます。講和発効以前から勤めておる人で、十年以上の方々に対しては一万円、そのほかの人々に対しては六千円と、それから、講和発効後駐留軍に就職をされて、昭和二十二年六月二十二日の例の岸・アイク声明のときに在職をされた方で、しかも三年間継続して勤務をされた方に対して三千円、こういう基準で従来の政府雇用の労務者に対しては支給をしておるわけでございます。
#34
○小柳勇君 講和発効前と講和発効後に分けたところに矛盾があるように思いますが、いかがでしょう。
#35
○政府委員(小里玲君) 駐留軍に勤務をしておられまする従業員の方々は、職場の中で働くことによって、日米友好といいますか、日米協力に貢献しておられる方々でございまするが、講和発効以前に就職をされた方々、特に十年以上たっておられるような方々の中には、それこそ当時混乱した時勢の中で、必ずしも自分の意思だけでなしに、政府、あるいは県あたりから、ぜひ駐留軍で働いてもらいたいと、こういうような要請があって、米軍に勤めるというような関係になった方が相当あるように聞いております。従いまして、講和発効以前におきましては、もちろん日本の独立がまだ完成していないときでございまするから、日本政府としての発言権も少なかったし、米軍に働いておれば、風習の違ったところで働くと、非常な精神的な苦痛もございましたし、いろいろな点で一般の民間の会社等に働いておるのとは違った面がございまするので、講和発効以前の方を優遇するということは、私は妥当だと考えております。
#36
○小柳勇君 仕事をしておるということは、講和発効前であろうと、後であろうと、仕事を精一ぱいやっておるのでありまして、戦争をやっておるとやっておらないというのは非常な差がありますが、米軍の仕事をしておる、駐留軍関係の仕事をしておるということについては、講和発効後であろうと、前であろうと、仕事に差別はないと思うし、特別給付金の性格がいかようにありましょうとも、勤続年数一本でこれを考えていくのが妥当だと思うが、特別給付金の性格といいますか、その発効前と発効後に分けた理由づけの性格について御説明願いたいと思います。
#37
○政府委員(小里玲君) 今申し上げましたように、講和発効以前の方々は、講和発効後に完全に自由意思で米軍に勤めようと言って働かれた方とは、多少趣を異にしておる。しかもこの特別給付金というのは、永年勤続に対する日本政府としての謝意、岸・アイク声明によってこの際強制的に離職をされて行かれる方々に対する政府としてのわずかでございまするけれども、支給金を出しまして謝意を表すると、こういうことでありまするから、講和発効以前と講和発効後と分けた方が妥当であるということで、そういう措置をとったわけでございまして、現在相当、講和発効後に就職をされました方々につきましても、勤続年数は長くなっておりまするけれども、しかし、講和発効前と発効後とを区別する理由は、私は十分あると考えております。
#38
○小柳勇君 そうしますと、今回の改正によりまする軍直労務者が、引き続き政府雇用に切りかえて就職する場合、勤続年数を加算するということになっておりますね。その思想と一貫しないように思いますが、いかがですか。
#39
○政府委員(小里玲君) 直用の方々が、今回政府雇用に切りかえられることになっておりまして、直用の期間を通算をして、従来の政府雇用と同じ取り扱いをするということになるわけでござまするが、それはあくまでも直用の期間というのを同じに見るということだけでございまして、やはり講和発効前から勤めておられる方に対しましては、講和発効後と区別して、その直用の期間にウエートをかける、差異をつけるということは、今の政府雇用の関係と同じでございます。
#40
○小柳勇君 発効前十年以上、と言いますと、大へんなことですが、この概数でよろしいですが、人数はわかっておりますか。講和発効前十年以上勤務の人が、一体現在どのくらいいるのか。
#41
○政府委員(小里玲君) 将来どれだけ十年以上の人が該当するであろうかという数字は、手元に持ち合わせておりませんが、過去におきまして、ただいま申し上げました三千円、六千円、一万円、こういう基準で払っておりまするが、昭和三十四年の数字を申し上げますると、三千円の該当者が二千七百七十二人、それから六千円の該当者が五千八十四人、それから一万円の該当者が二千五百四人、それから昭和三十五年になりますると、三千円の該当者が千三百七人、六千円の該当者が千二百二十六名、一万円の該当者が二千七十二名、従いまして、これでも御理解いただけまするように、年数がたてばたつほど、十年以上の勤続者が多くなるということになって参ります。それから、講和発効後八年ぐらいになっておりまするから、講和発効前に就職をして、十年未満で六千円の該当者という数はだんだん少なくなるであろう、こういう予想であります。
#42
○小柳勇君 この金額についても、三千円、六千円、一万円というのは、まことに少な過ぎはしないかと思うのです。これをきめられたときには、相当奮発したような金額であったかもしれませんけれども、現在から見ますと、非常に少ない金額だと思いますが、この勤続年数の発効前、発効後の分け方と、それから金額をもっと増加するようにということで関係者との協議がなされておるのかどうか。
#43
○政府委員(小里玲君) 労働組合からは、もちろんこの支給基準の改正につきまして強い要求がございまして、たびたび折衝もいたしましたが、調達庁は、雇用主の立場といたしましては、できるだけ労務者の方々に、長年御苦労であったという、わずかながらの支給金でございまするが、多ければ多いほど雇用主としてはまことにけっこうなことで、たくさん差し上げたいという気持は十分持っておりまするが、何分にも全体の財政その他、これを支給を決定いたしましたときの経緯その他から、調達庁だけでの考え方では困難な点もございます。関係の各省庁の会合等におきましても、こういう問題の所在しておる点につきましては、報告もいたし、協議もお願いしたことがございまするが、何分にも現在の段階において、当時制定いたしました趣旨から申しまして、これを直ちに増額をするとか、あるいは支給基準を変えるとかいうような結論にはなかなか到達いたしません。私どもといたしましては、あの基準が絶対いかなることがあっても変えないというようなかたくなな態度ではございません。研究もし、関係の省庁とも協議をいたして参りたいと思いまするけれども、何分にも、ただいま申しましたような理由で、なかなか早急には解決を見ないというのが現状でございます。
#44
○小柳勇君 長く勤めてやめる場合の特別給付金というのは、再出発するための立ち上がり資金になるわけです。退職金についてもまあ若干はもらいますけれども、少しでも多くなければならぬようなことで、しかもこれは講和発効というようなことを考えた特別な給付金のように考えますが、まことに涙金というほどでありますので、この支給基準の年数の切り方についても、それから金額の上昇についてもいま一そう善処してもらいたいと思いますが、たとえば来年なら来年一年の離職者の見通しもあとで聞きますけれども、離職者の見通しに対して、予算として、現在の予算でどのくらいかかるのですか。
#45
○政府委員(小里玲君) ちょっと数字が見つかりませんでございますが、大体二千人ぐらいの予算でございます。
#46
○小柳勇君 二千人の離職の見込みですか。私の言ってるのは、これだけの特別給付金かけるのその来年一年の見込み、そういうものを単価にかけたら概算どのくらいの金がかかるでございましょうかという質問です。
#47
○政府委員(小里玲君) 直用を切りかえまして、直用の期間を通算をした直用の方々に支給金を支給をいたすことになりますると、約三、四百万円ぐらいになるのじゃないかと思います、予算の増が。
#48
○小柳勇君 この法案の提案者でないので、今部長に急に質問しましても無理かもしれませんけれども、私の言いたいのは、立ち上がり資金として交付される特別給付金、せっかくこれで今度の法改正でワクが広がって参ります、範囲が広がりますから、その広がった人たちに特別給付金が渡されますから、そのおよその予算というものは法律を作るときには頭にあるわけですね、その大まかな予算を第一に聞きたかった。それからいま少しその金額についてはふえる余地があるじゃないかということを聞きたかったわけです。政府提案でありませんから追及することはいたしませんけれども、今回のこの特別給付金の支給範囲を広げただけでもその概算の予算ぐらいは御存じではないか。それがわかりましたらまずそれを聞かしていただきたい。
#49
○政府委員(小里玲君) ただいま御説明申し上げましたように、従来の政府雇用の労務者に対しまする予算に今度ワクが広がりますから、その広がりまするに要します支給金の大体の金額が、たしか私の記憶では三、四百万円だと思います。
#50
○小柳勇君 さっき数字を示されました三十四年、三十五年は、これは交付された実数でございますか。
#51
○政府委員(小里玲君) そうでございます。
#52
○小柳勇君 そうしますと、これをかけますと金額についてはわかるわけですね。そこで一年間に三百万か四百万円かの金でございますので、少なくとも立ち上がり資金として、年限十年たてば五万円ぐらいのことは特別交付金としてやられてもちっとも驚くような金額ではないと思いますが、いかがですか。
#53
○政府委員(小里玲君) 三、四百万円と申し上げますのは、直用の人たちが間接雇用に今度切りかえられまして、過去の直接雇用の期間を通算をする。従来のMLCと同じ基準で出す、こういうことで、その総額が三、四百万円と申し上げたのでございまするので、十年以上の勤続の方々の、あるいはそのほかの支給基準を増加いたしますると、その金額は相当膨大なものになると私は考えております。
#54
○小柳勇君 膨大なものになるかわかりませんが、それではこれからの離職の見通しについてどのくらい把握しておりますか。来年一年の見通しでもけっこうですが、わかれば二、三年の見通し、軍の移動でありますから二、三年わかりませんければここ当分の見通しについて。
#55
○政府委員(小里玲君) 本年度約八千人を予定しております。
#56
○小柳勇君 八千人くらいの離職の見通しで、この特別給付金の増額分だけ発表されましたけれども、その人が全部離職するというわけじゃございませんし、今まで昨年、一昨年なり特別給付金に使われた金は幾らでしょう。
#57
○政府委員(小里玲君) 三十四年度は三千円対象者が八百三十一万六千円、それから六千円対象者が三千五十万四千円、一万円が二千五百四万円、計といたしまして六千三百八十六万円。それから三十五年度が三千円対象者が三百九十二万一千円、六千円が七百三十五万六千円、一万円が二千七十二万で、計三千百九十九万七千円。
#58
○小柳勇君 金額はわかりました。これから金額を上げる、それからこの年数の支給基準の区分を講和発効の前と後に分けないという考え方、勤続年数一本にするというようなことをあなたの方で、調達庁の方でそういうことは無理ですとおっしゃるのか、あなたの方はまあ妥当と思うか。関係当局の方でいけない、交渉したけれどもいけない、こういうことか。どちらですか、お話し願いたいと思います。
#59
○政府委員(小里玲君) 先ほど申し上げるように、調達庁としてはできるだけ多く差し上げれば差し上げるほどそれが立ち上がり資金にもなりまするからけっこうなことなんでございまするが、しかし、この法律を制定いたしまして、支給を開始いたしましてから、そんなに格別の事情の変化が今日あったということも言われないのじゃないかと思います。そして講和発効前と発効後と分けるという考え方については、私は一応理屈がつけられるのじゃないか、そういうことで現在まで最初の基準に従って、金額も基準もその最初の通りにやっておるわけでございます。ただ、これは昭和三十二年に制定いたしましてから、もう四年にもなりまするし、労務者表彰ということを私どもの方でやっておりますが、これも十年の表彰者が一番最大限でございましたのが、現在では十五年というような被表彰者も出て参っております。そういう方面から調達庁といたしましては、この基準を改正することになりあるいは増額をするということについて検討を加えておるというのが現在の段階でございます。
#60
○小柳勇君 それではこの問題だけにかかってもおれませんので、もし隘路があれば、委員会の方に出していただきまして、われわれとしてはこうやりたいけれども、この点が隘路であるというようなこともお話し願いたいと思うのです。ただいまの答弁では調達庁としては、金額の引き上げについてももっとやらなきゃならぬと思って、すでにもう四年もたっているが、金額は少ないと思っている。従って、支給基準の算定についても、金額についても善処していくというふうに私は受け取りましたので、次の質問に入りたいと思います。
 第二の質問は、随意契約する場合の制限が頭が押えてありまして、二百万円のワクがあります。このワクの制限を撤去することについて、先般小里労務部長にも交渉をお願い申し上げておりましたけれども、これがどのようなことになったか、御説明願いたいと思うのです。
#61
○政府委員(小里玲君) 駐留軍から返還をされました返還国有財産を随意契約によって払い下げられます場合の限度が、ただいま御指摘のように二百万円となっておりまして、できるだけ離職をされました労務者の方々に有利な条件で国有財産等も払い下げることができれば払い下げをして、新しい生活を切り開いていただくということで、このワクを広げる問題につきましては、これは御承知の内閣にできておりまする中央離職者対策協議会におきましてもたびたび議題になったわけでございまして、関係各省、特に大蔵省等からも出席をいたしまして、この問題の討議をしたことも過去におきましても何回かございます。そういう経緯の中で、この二百万円というふうにたしかワクが広げられた、こういうことでございまして、このワクを取っ払って駐留軍の離職者だけにそれ以上の財産についても随意契約でやるということは困難である、こういうことで、現在の段階ではそのワクを広げるということは、非常にむずかしいということでございます。
#62
○小柳勇君 それは大蔵省がむずかしいのですか。中央離対協で各関係省で寄って話し合ってもむずかしいというのか、担当は大蔵省のようでございますが、訓令が大蔵大臣から出ているので、大蔵省のようでありますが、どこが隘路なんですか。
#63
○政府委員(小里玲君) この問題は大蔵省の所管でございまするので、この二百万円というのがはたして適当であるかどうかというようなはっきりした答弁をすることを差し控えたいと思いまするが、駐留軍の離職者について特別な随意契約の何を認める、こういうことについてはやはり全体のバランスという点から非常に困難である、こういうことでございます。
#64
○小柳勇君 大蔵省の方にはあとで質問いたします。小里労務部長、どうでしょう。国有財産の払い下げをしてもらって、いろいろ事業したいというような者も出てくると思いますが、その場合の制限について、この問題も駐留軍労務者になりかわって考えた場合にどうお考えになるか。
#65
○政府委員(小里玲君) そういう御質問いただきますと、どうもはなはだ弱いのでございまするが、できるだけ多くの離職者の方々に新しい道を切り開いて、新しい事業を始めていただくという意味からいって、首を切る立場の調達庁としてはもちろん、それこそ自分の子供がかわいいというような点からできるだけほかよりも優先的ということは、雇用主の立場において私どもとしては考えるわけでございますが、全体の行政のバランスというような点から言いまして、なかなか雇用主としての立場だけでものを考えるわけにも参らないかと思っております。
  〔理事加藤武徳君退席、委員長着
  席〕
#66
○小柳勇君 問題ごとに言った方がいいと思いますので、中原参事官見えておりますが、ただいまの問題について中央離対協の方でいろいろ論議されているようでありまするが、国有財産の払い下げについて優先払い下げる、それから今の随契の制限の撤廃、資金の融通、こういうものがないと、企業組合を作りましても再起できないというのが実情でございます。中央離対協の担当参事官としてどのような御意見でございましょうか。
#67
○説明員(中原晁君) 今の小柳先生のお話でございますけれども、先ほどから小里労務部長からお話し申し上げました通りでございまして、現在まで国有財産の払い下げにつきましては、たびたびの訓令、予決令、その他臨時特例等の改正を通じまして実効ある措置を講じているところであります。特にこれ以上の法令上の改正を行なわなくても、駐留軍離職者対策について万全を期し得るのではないか、かように存じている次第でございます。それから、その他一般の問題につきましても、先ほどから労務部長が御説明申し上げている通り、大体今度の法律改正並びに行政上の措置によりまして、離職者対策につきましては、所期の効果を上げ得るのではないかというふうに考えております。
#68
○小柳勇君 管財局長見えておりますか。――管財局長に質問いたします。私は先般大蔵省から資料を出していただきまして、「旧軍施設のうち主なる未処理財産調書」というものをここに持っております。これにはおもなる未処理の財産が列記してございますが、これを私の方で合計してみましたところが、土地が六百二万坪余り、建物が二十六万五千坪余り、金額として百二十二億四千万円の財産が未処理のまま放置してあります。しかも、これ算定しましたときは、財産の評価は昭和三十一年三月三十一日現在でありますから、現在の財産に直しますと、数倍の財産が放置されてあるのでございまするが、この旧軍施設の未処理財産について管財局としては今後どのように処理されようとしているか。
#69
○政府委員(山下武利君) ただいまの御質問でございますが、未処理の財産につきましては、できるだけこれを産業その他国及び地元から見まして最も適当なものにこれを処分していくということが一番肝心なわけでございます。その際に最も大事なことは、地元の御意見を十分に伺うということでありますので、その辺のことを十分調査いたしました上で、国有財産審議会等公的な機関に諮りまして、適正、公平な処分をいたしたい、かように考えております。
#70
○小柳勇君 大蔵省の管財局もこの中央離対協の中に役員としてお入りになっておると存じておりまするが、ただいままでの質疑応答の中で、御存じのように、駐留軍離職者、炭鉱離職者などが職を求めて労働者となって就職する場合もありますが、そのほかに企業組合を作ってみずから事業をやって再起しようという場面もあります。そういう場面に、このような国有財産の未処理のものが戦後十数年になりまして、なお未処理のままにありますが、こういうものを優先払い下げるという考えについては大蔵省としていかがでございましょうか。
#71
○政府委員(山下武利君) 駐留軍関係の離職者等臨時措置法第十二条によりますというと、国有財産の払い下げにつきまして、現在の法令の範囲内ではございまするけれども、特に有利な条件でもって離職者には払い下げてよろしいということになっておるわけでございます。この法律の精神に基づきまして、できるだけさようにしたいと思っております。
#72
○小柳勇君 その場合に払い下げの価額など、との財産の評価のことでございますが、昭和三十一年の三月三十一日現在で登録された評価価額がここにございますが、この評価価額というものは現在の時点に引き直すということはもちろん当然なことでございますが、そういう引き直す場合の基準というものはどういうところにございましょうか。
#73
○政府委員(山下武利君) 小柳委員のお持ちの資料に載っております価額はいわゆる国有財産台帳価額でございまして、一般的には現在の時価よりも相当低いところで出ておると思います。これを実際に売り払います場合には現在の時点から見まして、適正、妥当な時価というものを算定いたすわけでございます。時価の算定の方法といたしましては、一応管財局できめております評価基準によりますというと、まず固定資産台帳価額あるいは固定資産税の標準価額とか、あるいは相続税の基準になりますところの台帳価額といったようなものを中心に所要の算定をいたしまして、さらに民間の精通者等に意見を求めまして、それの平均価額といったようなところできめることにいたしております。
#74
○小柳勇君 そういたしますと、払い下げを受けましても、その常識上の一般の価額とはあまり大差はないと思いまするが、十人なりあるいは二十人なり離職者が合同して企業組合を作ります。その場合に国有財産を払い下げてもらおうとする場合に、二百万円ぐらいのことで工場などを払い下げてもらえるというのはほとんどごくまれではないかと思いまするが、この国有財産の優先払い下げという原則については承知いたしましたが、さっき質問いたしました随意契約の場合の二百万円の制限については、大蔵省の立場としてはどのようにお考えになりますか。
#75
○政府委員(山下武利君) 現在の二百万円の規定ができましたのは三十二年の十一月のことでございまして、それ以前は五十万円でありましたのを二百万円に引き上げたのでございますが、そのときの二百万円に引き上げました趣旨は、政府としてこの駐留軍関係の離職者対策ということを念頭に置いて行なわれた改正であるというふうに承知いたしております。で、現在までの実績を見ますると、駐留軍関係の離職者に対する売り払いは大部分がこの限度内で処理されてきたのでございます。たまたま二百万円をこえますものでありましても、予決令の九十六条のたとえば二十号には、産業等の保護奨励のために使用する場合には随意契約ができるというふうな規定もございまして、先ほど申し上げました臨時措置法の十二条の精神に基づきまして、通常の場合に比較いたしましてできるだけこれを有利に解釈をしていくということによりまして、随契の適格を生じてくるということになっているわけでございます。現在のところ、この二百万円の限度があるために随意契約上困っているというふうな事例はないと考えております。
#76
○小柳勇君 この制限撤廃について今後検討していただくことはできますか。
#77
○政府委員(山下武利君) 全体のバランスから申しまして、駐留軍関係の離職者だけにこの金額の制限を撤廃するということはいかがかと存じております。法律全体の問題としましてこれを撤廃するということは考えておりませんが、ただいま申し上げましたように、この限度内でも駐留軍関係の離職者に対する売り払いにつきましては通常の場合よりもできるだけ有利に扱うという、まあ法律の運用によりまして十分に趣旨は生かしていきたいと考えております。
#78
○小柳勇君 一般的に制限撤廃については考慮できないけれども、駐留軍離職者対策としては離対協などの中で特別な解釈によって考えることもでき得る、こういうふうに理解してよろしいのでございますか。
#79
○政府委員(山下武利君) もちろんこの二百万円の限度ということを撤廃するわけには参りませんけれども、かりに二百万円をこえる財産を売り払います場合には、先ほど申し上げましたように、産業の保護奨励といったようなことの条項に当たるということになるように、なるべく広く解釈をして参りたい、かように考えております。
#80
○小柳勇君 資金の融通について審議室長に質問いたします。今、国有財産の払い下げなどを受けて駐留軍離職者が企業組合を作って再起しようとする場合の質問をいたしておりますが、その場合に、国有財産の払い下げについては優先払い下げについても考慮しよう、第二は二百万円の随契の制限についても別途の解釈によって考えることができるようでございますが、第三に大事なのは資金の融通でございます。先般来、私は担当官にも会いまして資金の問題について何かいい方法はないだろうかという御相談を申し上げておりましたが、たとえば厚生年金をかけ捨てた分もたくさんあるようでございますが、そのようなものの利子だけでも特別に、特別のワクに盛っておいて、その利子を低利で融通するというようなことはできませんかと具体的に相談もしておきました。資金の融通について何かいい知恵はないものか御意見を聞いておきたいと思います。
#81
○政府委員(飯田良一君) 従来駐留軍関係の方面における資金の融通の問題でございますが、国民金融公庫あるいは商工組合中央金庫等、非常に不十分というお説もあるわけでございますが、しかし、相当実績もあげているわけでございまして、今お話のような点に関しても、従来検討いたしておりますが、いろいろとむずかしい点がありまして、実現いたしておりません。先ほど申し上げましたような機関の融資等とにらみ合わして、なお検討して参りたいというふうに存じております。
#82
○小柳勇君 検討をされたようでございますが、もう少し具体的に申し上げますと、厚生年金を掛け捨てたものの、駐留軍関係だけでも七十億ぐらいあると推定されております。その金額については十分調査もできておりませんが、そのようなものの利子だけでも低利で貸していただけないものであろうかというような、具体的な提案をして検討を願っておったわけです。従って、十分結論を得ておらないようでございますが、これは労働大臣にも先般来当委員会でもそういう質問をいたしておきました。従って、資金の融通の面についても格別なる配慮をしていただきたい。午後に論議される雇用促進事業団のときも同じような問題が出てくるかと思いますが、特別なる一つの検討をお願い申し上げておきたいと思います。
 次の第三の問題に入ります。これはこの法改正の中の言葉にもありましたように、今回軍直労務者が政府雇用に切りかわって参りますが、この切りかえの問題について、時間がありませんので、簡単に要点だけを質問いたしますが、第一はこの切りかえに伴いまして、米軍との間に新しい協約が締結されようといたしておりまするが、この協約の話し合いの進行状況、現状について、小里労務部長から説明を求めたいと思います。
#83
○政府委員(小里玲君) 昨年の六月に安保改定、地位協定の改正がございまして、それ以後、直用切りかえの基本的な事項について、日米間で結論をまず見出そう、こういうことで、合同委員会の場において切りかえに関しまする最も根本的な事項について話し合いができたわけでございます。それはまあ事柄は簡単なことでございまするけれども、現在の政府雇用労務者とは別の契約、別の協約を日米間で結ぼう、こういう――その他数ヵ条ございまするが、この現在までの進捗状況を御説明申し上げます上において、この別の契約にするということは、現在の政府雇用のいわゆるMLC労務者の基本労務契約と別の契約を結ぶということになりますると、非常に膨大な条文になるわけであります。MLCと同じような契約が新しくできるということになって参りまするので、それこそ主文から細目書にわたりまして、見当といたしましては数百ヵ条に及ぶ膨大な協約が結ばれる、こういうことになって参りまして、そこで現在の段階は、主文、それから細目書につきましても相当な日米間の合意ができておりまして、ただ、これは日米間で合意ができただけでは直ちにこれを発効させるというわけには参りません。労働組合とも協議をいたしまして、一方においては労働組合と協議をしつつ、できるだけ早い機会に直用切りかえの実現を見たい、させたい、こういう観点から、一方においては労働組合と協議をしつつ、一方においては米軍と、ただいまの段階では、細目書のこまかい点について協議を続けておる。従いまして、主文、細目書の全体の条文整理等を終わって、そして全労務者に、かくかくの条件で今度雇用主が変わるということをはっきりと公示をいたしまして、その上で切りかえが完了するわけでございます。そういう準備期間等もございまするが、ただいまのところでは、私ども昼夜兼行で、何とかこの米会計年度の区切りでありまする七月一日を目標にやっておりまするが、何分にもただいま申しまするように、非常に膨大なもので、これの印刷その他にも時間を要しまするので、何とか一日も早く切りかえたいということで、昼夜兼行でやっておるような状態でございます。
#84
○小柳勇君 内容についてまだ交渉中のようでありまするから、問題はございますが、質問はきょうは省略いたしますが、承るところによりますると、日本政府が責任を持って雇用すべき労務者が、中途半端なところに位置づけされているような気がしてならぬのであります。それは、米軍が半分持っている、政府が半分持っているというような、政府雇用の労務者でなくて、米軍と日本の政府との中間に中ぶらりんに位置づけされているような気がしてならぬのです。責任の所在についても、それから法的な身分を守る上においても、この協約という案文が非常に完全に日本の政府が労務者を守るという立場にないような気がいたします。従って、今後の交渉の段階においては、駐留軍労務者の団体である組合の意見なども十分お聞きになりまして、完全に法的にも、労働者の基本的な権利を守れる労務契約を締結されるように、希望だけきょうは申し上げておきたいと思います。そして、一日も早く現在の軍直労務者が政府雇用の労務者に切りかわりまして、日本の政府から労働者の基本的な権利を守られて、安心して働けるようにしてもらいたい。これだけをきょうは要請いたしておきたいと思います。
 なお、別の日にもう少し交渉が煮詰まりましたときに、私これを別途取り上げて十分にここで一つ討論していきたいと思います。で、その締結する前に論議する機会を社労で持ちたいと思って、これはまた当委員長にもお願い申し上げたいと思いますので、その上で一つ長官にもよくお話の上、米軍との交渉に当たってもらいたいと思います。
 関連いたしまして、現在までもそうでございますが、問題がありますと日米合同委員会に諮ってという言葉が再々出て参ります。日米合同委員会というのは一体どういう性格のものであるか、そのことを、きょうここで説明を受けておきたいと思います。
#85
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#86
○委員長(吉武恵市君) 速記をつけて。
#87
○政府委員(小里玲君) この日米合同委員会の性格は、これは私から申し上げますよりも、外務省の方が的確な解釈、性格等についての御説明があるかとも思いまするが、この改正になりました地位協定にも、合同委員会の規定がございます。この地位協定を実施運営する上においての問題点を日米間で協議する機関でございまして、地位協定の二十五条にこの協定の実施に関して相互間の協議を必要とするすべての事項に関する日本国政府と合衆国政府との間の協議機関として合同委員会を設置するということになっております。
#88
○小柳勇君 それでは今理事の方からのあれがありますので、質問をもう一つにしぼりまして、一応打ち切りますが、市町村離対協が今度この法律によって発足いたしますが、それに要します予算をどれくらい見込んでおられるのか。
#89
○政府委員(堀秀夫君) 市町村に駐留軍離職者対策協議会というものを設置することといたしたいと思います。大体二十市町村程度、予算はこれは、委員等の人件費あるいは会議費等が中心でありまして、わずかのものでございますが、約四十万程度見込んでおります。
#90
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
#91
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 午前中の質疑はこの程度といたしまして、暫時休憩をいたします。
   午後零時三十二分休憩
   ――――・――――
   午後三時二十四分開会
#92
○委員長(吉武恵市君) ただいまより委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案の質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#93
○小柳勇君 労働大臣がお見えですから、労働大臣に一問だけ質問いたします。
 昭和三十年にPXの職員で七名が解雇されました。保安解雇。それが神奈川で争っておりまして、救済命令が出た。不当労働行為の救済申立事件が解決いたしまして、それで救済命令が出ておりまして、その後復職できないということを聞いております。従って、このような、日本の問題でももちろん大事でありますけれども、国際的な問題で、救済命令が出たのに復職をさせないということを放置するわけにはいかぬと思うのですが、これに対する大臣のお考え、なおあと直用労務者が政府の雇用に変わって参りますが、そのような場合、今後も保安解雇など起こらないとは限りませんが、裁判の判決なり不当労働委員会の命令が出ました場合のあとの復職なりの問題について、労働大臣としても関連があると考えますが、御決意のほどを聞きたい。
#94
○国務大臣(石田博英君) その具体的にお示しいただきました事例については、私詳細は存じませんから、それは事務当局からお答えいたします。裁判の判決がございました場合は、その判決が正しく何人も実行されることをもちろん希望いたしまするし、そういう方向に努力をしたいと思っております。
#95
○政府委員(小里玲君) ただいま御質問の現在の直用労務者が保安解雇になりまして、これが労働委員会で復職命令が出てそれが決定した、こういう事件が過去にもございました。はたしてこの直用労務者が働いておりまする歳出外諸機関というのが、これが米軍の公的な機関であるかあるいは私的な機関であるかというようなことについて、日本の裁判所自体の見解が統一しておりません。たしか私の記憶しておりますところでは、青森、東京の地裁では日本の管轄権なし、これは米軍の公的機関である、こういう判決が下されたように記憶しております。それから福岡の地裁では管轄権ありと、こういうことで裁判の管轄権問題としてむずかしい問題が伏在しておるわけでございまして、そういったことから今回神奈川県におきまして労働委員会の命令が決定をいたしました。それの履行につきましては、これは労務者から正式な裁判に訴えて、裁判によってその判決の履行というようなことになりました場合におきましても、これが裁判管轄権の問題として問題になろうかと思っております。ただ日本政府――まあただいまの段階では調達庁の問題ではございませんけれども――としては米軍が日本の労働委員会の命命が決定をいたしました以上、それを履行してくれることを望んでおるわけでございます。そういうむずかしい国際的な裁判管轄権というような問題にからんで、なかなか労働委員会の命令の通り実行に移すかどうか、復職をさせるかどうかという問題は、将来残る問題だと考えております。
 それから後段の、今後直用労務者が間接雇用に切りかえられましたあとにおきましては、これは地位協定の十二条六項によりまして、保安事件については、米軍が一応その事件々々によって、これは一つずつ、裁判所の判決があった場合に、復職を拒否するとか、あるいは復職を認めるかというようなことについての選択権といいますか、米軍に一応拒否をする、復職を拒否する権限というものが、地位協定によって新たに認められましたけれども、従って、復職を拒否した場合におきましては、日本政府において復職にかわる賃金相当額を支払う、こういうことになりまして、従来のように復職もされない、賃金も払わないというような事態はなくなるものというふうに考えております。
#96
○小柳勇君 非常に大事な問題でありますから、労働大臣にもう少し私、事情を話して御決意を聞いておきたいと思いますが、この事件は昭和三十年に発生いたしまして、保安解雇された当時は、神奈川の大船の極東米軍補給庁に勤めておった、それはまだ現在もあります。そうして神奈川の地方労働委員会で争いまして、ことしの三月三十一日に解雇を取り消して救済命令が出ました。ところが、米軍の方はこれを復職を許可しない。今労務部長から話がありましたように、賃金は保障しております、職場がない。この問題が例になりまして、九州などでも、判決が出ても復職しないという事例が起こると思います。この事件は復職するということが一番大事なことでありまして、賃金保障というよりも、生活の安定することを労働委員会も裁判も考えておるのでありますから、第一の問題は、復職について米軍と折衝していただきたいということ。どうしてもこれはできないような場合は、補償措置をとっていただきたいということ。
 それからもう一つは、今、軍直用労務者が政府雇用に切りかわりまして、新しい労務契約を交渉中であります。その労務契約の中にこの種事件が将来発生いたしませんように明記しておいていただきたい。これが私のきょうずっと午前中からの質問の結論的なものでありますから、この点について大臣の御決意を伺いたい。
#97
○国務大臣(石田博英君) 直接的には、御承知のように、調達庁の仕事ではありますけれども、事、労働者の権利に属する問題でありますので、裁判所の判決が履行され、その実際的効果が上がるように、調達庁を通じて私、努力をいたしたいと思っております。
 後段の問題については、御趣旨に沿うように努力をしたいと存じます。
#98
○小柳勇君 最後に藤枝長官に質問いたします。
 午前中から私は、今回の駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部改正について質問して参りました。この最終的な地方離職対策委員会の責任は長官にありますので、その意味で質問いたしますが、第一は、中央離対協や県の離対協は相当の活動をしているようであります。しかし、末端組織の市町村段階においては金もございませんし、職員もいない。従って、離職対策については、労働者の団体である駐留軍労組が主として仕事をやっておったような実情であります。それが今回の改正で、市町村段階にまで離職対策センターができまして、非常なこれは改善だと思います。残念ながら、さっきの所管局長の答弁では、四十万円しか予算が組んでおらないようであります。この四十万円の金を二十ヵ所に分配いたしますと、一ヵ所二万円であります。とてもこういうことではりっぱな、体裁だけは法律改正でありますけれども、活動はできない。活動ができないで表面だけ糊塗する。こういうところに離職対策などのずさんさがあるんじゃないかと思いまして、花が咲いたら、実をちゃんと結ぶようにする。そうしませんと、本年だけでも数千名の首切りが予想されておりますが、そういう人が安心して働けない。従って、第一点は、せっかく法改正ができますから、これに裏づけする予算措置について最善の努力をしていただきたいと思うのであります。これが一点でありますが、この点についての長官の御見解を聞いておきたい。
#99
○政府委員(藤枝泉介君) お話のように、今回の衆議院内閣委員会提出の改正によりまして、市町村にも協議会が置かれることになったのであります。何分にも今回はそういう委員会提出の法案でございまして、それに追っつける予算的な措置がおくれておるわけでございます。しかし、現在、二万円という金は必ずしも十分とは私も存じませんけれども、十分これらについては、今後の市町村の活動状況その他ともにらみ合わせて予算的な考え方についても努力をして参りたいと考えております。
#100
○小柳勇君 問題点二点だけ集約的に述べますが、第一は、特別給付金が支給されておりますし、今回、その支給範囲が広がりました。これに対する支給基準の年限を計算いたします場合に、講和発効前と講和発効後に分けております。この点について、勤続年数一本にすべきじゃないかという私の見解、しかも、その金額は、講和発効前の方で十年以上勤務して一万円、その他の方は六千円、講和発効後の方は、三年以上の方で三千円、こういうように非常にささいな金であります。で、離職する方は、立ち上がり資金でありますから、せめて五万円ぐらいまで引き上げていただけないかということをるるとして質問いたしました。しかし、この点についての明確な御回答がございませんでしたけれども、今後のこういうことについて、前向きに一つ長官の御見解を聞いておきたいと思います。
#101
○政府委員(藤枝泉介君) 御趣旨の点は十分考えまして、中央離対協といたしまして研究の結果、なるべく離職者の立ち上がりに便宜と申しますか、資するような方向で考えて参りたいと思います。
#102
○小柳勇君 最後にもう一問。離職対策と申しますと、離職したから、ほかの地域にその労務者を配置転換するとか、そういうことだけではなくて、その場に仕事があれば、あるいは個人で企業をやって再出発する場面もあります。職業訓練をやってよその工場に仕事を世話する、これだけが離職対策じゃないと思います。従って、企業組合などを作り、あるいは事業をやろうとする方に国有財産の優先払い下げ、それから資金の融通などについて、担当官から意見を聞きましたが、私は午前中に大蔵省からいただきました旧軍施設未処理財産が百二十二億、その当時の帳簿価額で百二十二億あることも承知いたしております。土地としても、建物としても莫大なものがある。未処理のまま放置されておる。従って、これは一例でございますけれども、未処理の大蔵省の財産などについては優先払い下げをしていただきまして、独立して事業ができますように、その事業を皆さんが、中央離対協などで助成しながら再起できるような方向も、一つの大きな離職対策であろうと思います。その場合に、資金の融通面、あるいは随意契約の場合に二百万円の頭の制限がございます。そういうものの撤廃など、担当官には午前中十分質問しておきましたので、一つ担当官と打ち合わせの上、最善の努力をしていただきたい。これが最後の質問でございますが、長官の御意見を聞きたいと思います。
#103
○政府委員(藤枝泉介君) 先般、中央離対協におきましても、いろいろな対策の要綱を決定いたしまして、その中にも今御指摘のような問題もあるわけでございます。この最後におあげになりました国有財産の払い下げについての、現在の会計法その他の制限の問題等は、なかなか困難な問題かと存じます。しかし、要は、今御指摘になりましたように、その場、その地においてでも立ち上がれるような処置をもとらなければなら、ないわけでございます。そういう意味において、中央離対協で定めましたそうした要綱を十分各省で平均のとれた施策にやっていただくように努力をして参りたいと考えております。
#104
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#105
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 本法案の質疑は後刻これを行なうこととし、これより雇用促進事業団法案を議題とし、質疑に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
   ―――――――――――
#107
○委員長(吉武恵市君) それでは雇用促進事業団法案を議題といたします。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
 ちょっと速記やめて。
  〔速記中止〕
#108
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#109
○徳永正利君 私時間もないようでございますから、答弁は要りませんが、お願いをしておきます。これは先ほど駐留軍の離職者の問題も出ましたし、雇用促進でございますから、そういう人も含めて雇用を促進しようという趣旨の法案でございます。この前の国会においても私は堀安定局長にもお願いしているんですが、片親のない子供がいまだにまだ取り残されているんです。この就職期に私はこれをかかえて実は弱ったんです。ですからこれをもう少し、この雇用促進事業団が発足するにあたって腰を入れて一つ前向きにお考えいただきたい。
 それから駐留軍の離職者も、私は友人が実は逗子に長いこと住んでおってたくさんおるんですが、年をとっておるんです。最近はあの近所に工場ができましたから非常にうまく動いておりますけれども、ほかのところは必ずしもそう参らぬだろうと思う。どうか、一線の職業安定局の人は、ほんとうにもう労働基準法を度外視して働いているんです。もう気の毒なぐらい一生懸命やっています。ですから、労働省においても十分そういうようなことも勘案して、一つこの事業団が発足するにあたって腰を落として一つ御努力をお願いしておきます。
#110
○国務大臣(石田博英君) 前段の片親あるいは両親のない者の就職については、従来とも都道府県知事その他が保証人になるというようなことをやって参ったのでありますが、なお不十分でございますので、今度雇用促進事業団ができました場合にそこで保証等のことはやれるように規定いたしてございます。しかし、これは一般的に使用者側の理解を深めていくことが必要でありますので、そういう点の啓蒙宣伝にも努めたいと思っております。
 それから後段の問題は御説の通りでありまして、労働省として鋭意努力をいたしたいと思います。
#111
○藤田藤太郎君 私は迫水長官にお尋ねをしたいんですが、これはこの前から長官自身にもお話をしておいた問題です。重複するところはできるだけ避けてお伺いしたいと思います。
 まず第一にお伺いしたいことは、この雇用促進事業団法ができて日本の雇用をやろう。今まで政府の出されたいろいろな法案の中で、国の雇用促進をやっていこうというようなかまえから出されてきた法案は私はこれが初めてだと思うのであります。だから非常にいいことだと思うのであります。いいことだと思いますけれども、政府の出されている経済計画の問題にしても、あらゆる問題にいたしましても、完全雇用が何といっても一番先に打ち出されていくと私は思います。また、そうあるべきだと私は思っている。ところが、その完全雇用の問題が、完全雇用の中のこの雇用促進事業団はこのような業務をやっていくんだというなら私は話がわかると思うんのです。しかし、そういう基本的な問題がこの初めて出された雇用促進の法案の中に欠けているということ、大筋が欠けているということはどうしても私たちは了解ができないのです。だから政府は、雇用基本法とか、完全雇用の計画を出すとかというはっきりしたお約束がいただけるならば、その中の一つとして雇用促進公団というものをわれわれはどう充実し、この石炭離職者援護法から延長してきたこの法案をより生かすような方法でわれわれは審議をし生かさなければならぬと、こう思っております。ところが、その肝心の柱になるものがないわけであります。非常に残念に思っているわけでございます。だから経済企画庁としては経済所得の十年倍増論を出されて、あの中にもりっぱにうたっておられるわけですから、全体の日本の完全雇用をどういう心がまえでおやりになるか。これをまずお聞きしたい。
#112
○国務大臣(迫水久常君) 御承知のように、国民の所得倍増計画というものの実態は国民完全雇用計画といってもまあ間違いがないように、要するに人間というのは働く職場がなければこれはものを消費するだけでありまして、経済にはマイナスでありますが、人に働く職場を与え、機会を与えることによって、これを生産力化して、よってもって国民総生産を増加していこう。それにはどういう産業の部門でもって新しい働く場所を与え得るか、そういうようなことを中心に検討せられたのが国民所得倍増の計画の本体でございます。従いまして、国民所得倍増計画が申さば国民完全雇用の一つの道しるべと言ってもいいのではないかと思うのでありますが、ここで一番問題になりますのは、労働者の労働力の流動性をうまく円滑ならしめることがどうしても大事でありまして、たとえば農業の世界からしみ出してきますところの、にじみ出してきますところの余剰、労働力がうまく工業の方に移っていく、そういうような点についての労働の流動性の確保というものを、円滑化を確保するために具体的な措置をしなければいけない。その具体的な措置の一つは今回の雇用促進事業団だと、こういうように理解をいたしておる次第でございます。
#113
○藤田藤太郎君 あなたはそうおっしゃいますけれども、具体的な今の離職の状況というものはどうかですね、具体的な、今各地に、各産業、各地における離職の状況はどうか。今一番大きく出ているのは石炭の離職が一番大きく出て来ておる。石炭の離職は一番大きいですけれども、しかし、全体の離職の状況というのは農民の過剰就労をどうするか、今の零細商業の方々の問題もあるわけです。だから、現在そういう過剰就労の方が工業労働者の方に、第二次、第三次産業に吸収をするけれども、あくまでも自由経済だ、自由主義だという格好、これではそこに働いている人の身分というものが全然的確な生活保護というものが全然考慮に入らないで、ただ経済が伸びたらそこに吸収されるのだという言い方ではどうなるか。機械生産の伸びたときに、それじゃ今の状態では雇用が伸びるか。決して伸びるとは言えないのです。結局移動して来た人、今の潜在失業者という方々は、結局不安定な職場の中で、片一方では産業予備軍的な役割をして、一般の働いて汗を流して生産をして生活を上げていこうという人たちの賃金の足を引っぱるということになっておる。それから産業予備軍のために長時間労働というものが、こちらによっていつでも差しかえられますよという低賃金、長時間労働という条件のもとに、そういう過剰就労の方々は不安定な職場に置かれていっているのではなかろうかというのが現実ではないかと思う。
 もう一つ経済の面からいうと、そう外国に類を見ない、生産性と賃金率の問題や物価の悪循環を今日来たしているというのが現実の姿ではなかろうか。そういうものをどうしで解決していくか。一つの時間の規制も必要でありましょう、労働時間を短縮して雇用を拡大することも必要でありましょう。しかし、それも必要だが、それとあわせてこの不安定な労務関係の、労使関係の中に、そういうせっかく希望をもって生産について社会に貢献しようとする人を、そういう不安定なところに、ただ自由経済、自由主義の中に追い込むという格好の、このままで置けば十年たったら完全雇用できますとおっしゃいますけれども、おそらく私は今の状態からあまり違った格好にならないじゃないか。一応雇用関係はあの労働力調査というあいまいな調査の結果から見て三十何万ということになっても、現実の問題は不安定な、非常にたくさんな労働をかかえて形式的には雇用が大体就労をしているのだという今の状態とほとんど変わりない状態が続いているのではないか。私はそう思う。だから経済の面から言えば生産性と賃金上昇率を同じにすること、外国はみな上なんですけれども、物価を押えていくという基本的な問題が大筋として企画庁で立てられ、そしてこういう雇用促進事業団というような問題を、流動性をどうするかということにならないと肝心のところをほったらかしておいて、労働省にいくらやれやれと言ってもできませんよ。一生懸命やれと言ってもできませんよ。経済の肝心のところから変えていかなければならぬと思う。私は前日から質問しているのですけれども、はっきりした答弁がない。それを私はお聞きしたいわけなんです。
#114
○国務大臣(迫水久常君) 藤田さんのおっしゃいますことは私もよく了解をいたしておるつもりでおります。要するに経済の成長に伴いまして、たとえば農業の世界から出てくるところの労働力が新しい形で工業の世界に就労し得るかといえばなかなかそうなってはいないじゃないか。臨時の仕事しかさせられてはいないじゃないかとか、あるいは炭鉱で今まで相当の給料を取っておった人が炭鉱離職をするというと、今度新しい職場に行くときにはうんと安い給料になってしまうのです。それがはたしてほんとうに、何といいますか、転業というのですか、そういうような実態であるかどうかわからないじゃないか。従って、いわゆる年功序列型の賃金というようなものについても一つここで考えていかなければならないだろうし、受け入れ態勢としても、臨時工のようなものばかりふやすような態勢でなしに、そういうことについても考えていかなければならないじゃないか、そういうようなものについて根本的に何か一つ対策を立て、一つの計画を立てなければ雇用促進にはならぬ、そういうような計画を立てる用意があるか、しているか、こういう御質疑と私は了解を実はいたします。御承知のように、建前が社会主義の社会あるいは統制経済ではございませんので、どこまでも自由主義の経済でございまするから、国民所得倍増計画それ自身が一つの道しるべであり、見通しであり、その方向に誘導する一つの基準であるというのと同じで、かりにそういうような計画を立てましても、その計画の通り権力を持って指向していくことは、これはもちろんできないと思います。思いますけれども、ただいまお述べになりましたことは、御質問にありましたことは、まことにごもっともでありまして、実は経済企画庁でもその点については気がついておりまして、その問題を取り上げて一つの見通しを労働の問題について国民所得倍増計画の何といいますか、もう少し進んだ見通しといいますか、あすこの部分だけをもう少し深く掘り下げたものを作りたい、こういうようなふうに考えてはいるのです。いささか労働の関係では私の方は力が不足しておりますので、必ずしも急速には行っておりませんけれども、労働省の協力も得まして、そういう方向で一つ見通しと申しますか、道しるべを一つ立ててみるように努力をしたいと思っております。
#115
○藤田藤太郎君 私はこの前大来さんが見えたときに、この雇用計画の中で三つに分けて、ここに書いておられた。私はこの三つのことは賛成だ。「低賃金不安定雇用形態である臨時工、日雇い労働者、社外工の是正、二、技術革新の進展に対応して労働時間を縮小する。三、家族的労務管理、年功序列型賃金体系を是正して、同一労働、同一賃金の原則を打ち立てる。」ということが、ここに政府の倍増計画の解説として出されておるわけです。だから、それをどうして実行するかという問題が今ここにきておるわけです。しかし、労働省として雇用促進事業団の事業としておやりになるときにはここまで踏み切っていない。今やILOでも四十時間制の、一週四十時間制の勧告が六月の総会で、あしたから六月に入りますが、六月の総会できめられようとしておる。これも重要課題の一つでございます。それからこの三つあげられておる、重要課題をあげられておる。まだほかにもあると思います。こういうことが具体的な方針としてやられなければなりませんし、それからまた、経済の需要をどう高めていくかという問題についても政府がチェックできるものはたくさんあると思うのです。やらなければならぬことがたくさんあると思う。最低生活費をどうして上げていく、最低賃金をどう上げていく、社会保障をどうしていく、労後の生活の保障のために所得保障をどうするかという問題は、いろいろの問題は政府がやらなければ、国の政治としてカバーをしなければ実現しない問題だと私は思う。これは迫水さんも否定されないと思う。だから、そういうものと関連して参りますれば、どうしても今ここで政府の計画の中で説明されているようなことが生かしてこられるという、その生かしてこられるというのは近代国家を目標にした生産性と賃金率との問題や物価の問題というものがどうして生産と消費との関係を維持していくかという関係において、私はこういう問題が真剣に議論され、労働省が今おやりになろうとしているのは雇用促進事業団の労働力の流動性や訓練の問題、これもけっこうでございます。しかし、これだけでは完全雇用という打ち出されたものに密着しないんじゃないか、私はそう考える。だから、そういうことを経済企画庁ではお出しにならなければいけない。たとえば十年後の国民生活という問題が新聞に発表された。迫水さんは、これは間違いであったと言って予算委員会で取り消されましたけれども、あなたの意向を受けた十年後の国民生活というこの文を一つ見ても、目標だけは労働時間が幾らになるとか、賃金が何倍になるとかいうだけで、どうやっていくかということは一つも書いてないのです。これが間違いであってもなくってもいいですよ。間違いであってもそれはいいですよ、いいですけれども、こういうものを達成するまでにはどうしていくかという、私はスケジュール、プランがなければできないんじゃないか、そう思うんです。
 それからもう一つ迫水さんにお聞きしたいことは、私はきのうだったか申し上げましたように、政府の計画されたものと、国民の購買力との関係が、国民消費というものが個人消費、住宅建設というものが計画よりもうんと下である。そうして、たとえば設備投資というようなものが四割から五割近くも年度の計画よりも上に上がっているという、こういう実態が政府の発表している姿に出てもきているわけです。こういうものをチェックしなければ完全雇用にならないのです。私たちはわれわれだけの勝手なことを言っているのではない。今日近代国家を目ざしている欧州の国というのはそんなことをやっていないのです。自由経済だ、自由主義だと言ってみて、そうしてどうにもならぬということで済まされる問題では私はないと思う。だから、総理は賃金が上がることはけっこうだ、倍増からいってもけっこうだ、こうおっしゃいました。今の問題についても外国並みにやりたいということを念願しているとおっしゃいました。おっしゃいましたけれども、実際にそれではどうするかという施策については一つも出てきていないのですね。だから、私はそういう意味で経済企画庁長官に、あなたの方であらゆる計画をお立てになるんだから、だからやはりその筋道をきちんと立てて、経済、生産の面に生産点にチェックしなければならないところはちゃんとチェックしていく。そうして完全雇用というものがすなおな形で、不安定な雇用関係、労使関係じゃなしに、正常な形で雇用が拡大していって、農業で四百万首を切るというならば、これを引き受ける対策をきちんとあなたの方でやらなければ、労働省や農林省にやれといっても無理です。これをあなたはお立てになるかまえというものがなければ、ほんとうにこれはもう労働省はこの法案をお作りになって四十何億ですか、四十四億の予算の範囲内で目立ったところだけ処理をするということで終わってしまうのです。だから柱になるものを一つはっきり経済企画庁はおやりになるかまえをここで示していただきたいと思う。
#116
○国務大臣(迫水久常君) 私はきわめて傾聴いたしました。それで、労働の将来につきましても大来君が国民所得倍増計画の解説で書いていましたように、問題のある場所というのは、一応は気がついているわけであることはこれでも明らかだと思うのですけれども、さてこれを実際に具体化するのにはどうしたらいいのか、一つの見通しを早く立てなければならぬということは、仰せの通りでありまして、努力をいたします。ただせんだってからあれほど一生懸命に間違いないと思って立てました三十六年度の経済見通しが、もう御指摘の通り設備投資が予定よりもずっと多くなっちゃうような状態ですから、この見通しを立てるということは、なかなかこれは困難であって、うっかり立てたものを発表して、まあああいうように狂ってくるというと、国会でもあれば、もうその弁明に非常に苦しまなければならぬということなんですから、これは相当に慎重にデータを集めてやりたいと思いますが、そういう今御指摘のようなものを、一つ早く作って一応皆さんの御批判も仰ぎ、そうして日本の完全雇用への道の一つの道しるべにしたいという決意は、非常に十分に私は持っておりまするから、努力をしたいと思います。
#117
○藤田藤太郎君 今のお話、努力をしたいと、こういうそのあなたの誠意は私は認めますというか、尊重いたします。しかし、三十五年度の経済の決算を見てもこの通りでしょう。あなたの方で発表されているあれを。自由経済だということだけで今の機械化によって生産力が独占されている。独占したものだけに利益がいって、そうして国の経済が結局昔繰り返してきたような、こういう波の中で労働者の犠牲によってやっていくというようなものの考え方、あなたはそうお考えになってはいないと思いますけれども、事実経済、政治というものはそう動いているわけです。日本の生産が拡大していくのは超低賃金、長時間労働によって拡大をしていると言い切れると私は思うのです。こういうものをやはり是正するとすれば、私はやはり完全雇用と時間短縮をいつどういう工合に計画してやっていくか、こういうふうな問題が一つあります。最低賃金をどうやっていくか、社会保障をどうやっていくかということによって、少なくとも計画をお立てになったくらいの水準はやはり政府は維持してもらわなければならぬ。とんでもない。こんな状態で結末が出るようなことをああ、ああといって手を上げて見ているようなことで、これをお出しになるというのは私はおかしいのじゃありませんか、こういうことを言いたくなってくるわけです。だから迫水さん、この完全雇用というものがいかに大事かということは、私は御理解いただいていると思いますから、これ以上申し上げません。
 もう一つ私は申し上げておきたいのは、何といっても今の欧州の工業国と言われる国をごらんになったらわかると思います。一国々々の問題じゃなしに、欧州全体を目標にしている経済計画の基礎がどこにあるか。日本のように資本費がかかっているからこれでうまいことをやっているのだ、こういう状態じゃないと思うのです。初めから生産性と賃金上昇と物価横ばい、こういう大前提が完全雇用とそれから福祉国家を作るのだ。こういう大前提によって私はそういう計画をお立てになっていると思う。私はやはりそういう工合に直してもらわなければ、完全雇用を口でいろいろ言ったって私はできないのじゃないか。だから自由経済ということはそれはあなたの方の方針ですからけっこうでございましょうけれども、しかし、具体的にはやはり汗を流して生産したら国民の生活水準が上がっていくという状態の中で労働能力があるものは労働力を社会に提供して、社会に貢献しようという姿、これが完全雇用だと私は思うのです。そういう形をやはりやってもらわなければ意味がない。私はそう思う。だから、具体的に経済企画庁はそのような国民の生産と消費のバランスの問題、完全雇用の年次的な計画を、二次、三次産業を拡大しておやりになるのですが、そういう計画の問題、こういう問題は基本法と名づけられようと、方針とせられようと私は名前はどうでもいい。具体的にそれが実行されるようなものをここ半年か、一年のうちにお作りになるかまえがあるかどうか、私はこれを聞いておきたい。
#118
○国務大臣(迫水久常君) お話はきわめてよくわかります。私どもの方の国民所得倍増計画におきましても、日本の産業が従来とかく労働力が豊富であって、従って、賃金が安いというところに、その産業が乗っかっておったということは、もうだめなんで、高き生産性の上に日本の産業が、大企業も、中小企業も、みな高き生産性の上に乗っかるようにならなければだめなんだ、従って、このところ非常に経済の基盤に重大な変化が生じつつあるのだということを認識して、方々にも話もするし、いろいろな計画はその意味で見通しを立てているわけでございまして、基準となりますものは、生産性の向上、個人消費の増大、そうして物価はできるだけ上がらないようにする。諸外国はみな物価横ばいの方針をとっておりますが、卸売物価も、消費者物価も、実を言うと日本が一番最近においては上がり方が少ないのでありますが、そういうことで完全雇用の方向に向かって経済が進んでいくことを一つ念願として方策を立てているわけでございますが、ただいまお述べになりましたような労働の雇用の問題について、私は、先ほど申しました通り、一つの道しるべを作っていきたいと思います。
 ただ、藤田さんのお話の中で、お前は自由主義なんだからなにだけれども、社会主義の方がいいんだ。だから、社会主義的な計画経済に雇用をやったらどうだということが、何かそういうお勧めをちょっと、何というか、言葉の裏に感ずるのですけれども、それは、私の方は自由経済ですから、計画的にそういうことを、権力と言っては悪いですけれども、政治の力で押し進めていくことはできませんが、一つのムードを作り上げて、そのムードに乗ってそういうことが実現するように努力すべくこれは一生懸命やりたいと思います。
#119
○藤田藤太郎君 私は、そういう議論をするなら、もっとしたいと思います。もっと的確に数字をあげてしたい。私は、そこまでこの問題について議論がしたいのですけれども、いたしません。そこまでするなら、幾らでも数字をあげて、きちっと計画経済の話をあなた方にしたいと私は思う。しかし、どうですかね。イタリアの例をとってみてごらんなさい。一九五五年からやったヴァノーニ計画というものが、今日のイタリアの状態をみてごらんなさい。あれが常識ですよ。資本主義だと言われておる、自由主義、自由経済と言われておる所でも、あれくらいのことをやるのはあたりまえじゃないですか。それはさっきから申し上げていることですよ。それじゃイタリアのやっていることを御説明申し上げますと、一つの問題は、生産性と賃金率が同じ状態にあって物価を押えていく。これはOEECの方針ですよ。OEECできめて実施しておる。それから、農業労働者の過剰就労者を雇用労働者に転換する、あのイタリアの山岳地帯でありながら、一九五五年のときでも、傾斜の少ない所を無理をしてでも五〇%耕地を拡大する。そうして両方が所得をふやしていく、工業化の発展とあわしてやっていく、その基礎はこれだ、それが今日のイタリアの西ドイツに次ぐ国になっている。これはもう私は、日本のように、三十年から三十五年までとってみても、生産性は五三%で、賃金は三七%、そういう状態です。それで物価はことし上がっている。しかし、欧州のことをお話しになりましたけれども、欧州は物価が上がっています。サービス料金なんか上がっていることは私も知って一おります。しかし、上がっておりますけれども、そのかわりに、生産性よりか賃金率の方が上がっている。福祉国家を目ざした政治というものはそういうものだと私は思う。もっともっと政治が努力しなければいかぬと思います。私たちは何も賃金率が高ければいいということを言っているわけじゃないですよ。そういうことは、もう今の工業国の常識じゃないか、近代産業国家の常識じゃないかということを言っておる。そこまでで私は議論をとどめておるわけです。そういうことを日本がやれないはずがないと私は思う。これだけ社会保障をやります、完全雇用もやります、経済も成長させますと、言い出し方はきちっと言って、大来君のこの三つの条件でも、言うことはきちっと言われる。ああ、なかなか進歩したことを、さすが迫水さんが企画庁長官になってからはこれはりっぱになったとわれわれは期待しておっても、具体的なものがない。そこに問題があるじゃありませんか。あなた方が今維持されている経済機構の中で、必然的にここまでいかなければどうにもならぬじゃないかということを言っているので、これはそういうことで受け取ってもらってやってもらわなければ、それは議論にならぬと思うのですよ。
#120
○国務大臣(迫水久常君) わかりました。先ほど来申し上げている通り、それは私どもの方でも当然そういうような道しるべは立ててみる必要があるのでありますから、できるだけ早い時期にそういうことをすべく最大の努力をしたいと思います。
#121
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#122
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#123
○坂本昭君 まず第一に、これは事務当局に明確なお考えなり定義を伺っておきたいのは、失業保険法の第三十九条の諮問機関というところに、「労働大臣は、失業保険事業の運営に関する重要事項については、あらかじめ、職業安定法第十二条に規定する中央職業安定審議会の意見を聞いて、これを決定しなければならない。」と規定されておりますが、ここで伺いたいのは、失業保険事業というのは何をさすのであるかということと、もう一つは、重要事項というのはどの範囲までをさしているのか、という点についてまず御説明をいただきたい。
#124
○政府委員(堀秀夫君) 失業保険事業、これは失業保険法の定めるところに基づきまして、そうして政府管掌のもとに失業保険給付を行なっておるわけでございます。従いまして、この失業保険の運営のためのいろいろな措置、すなわち保険料の徴収、それから保険給付、そういうような失業保険本来の事業、それとあわせましてこの失業保険法の中にあります失業保険の福祉施設の運営、企画、こういうものをさすものであるとわれわれは考えております。で重要事項と申しまするのは、これはただいま申し上げました失業保険の保険料率の問題あるいは徴収に関する重大な問題あるいは保険給付の内容それから福祉施設の企画、運営に関する重要事項、このように了解いたしております。
  〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕
#125
○坂本昭君 大へん明瞭なるお答えでよくわかりました。
 そこで労働福祉事業団法の十九条の一の二、これは失業保険法の二十七条の二の第一項を受けて、「施設の設置及び運営を行うこと。」というふうにされております。それからまた、現在審議しておりますこの新しい事業団の十九条の二にも、「失業保険法第二十七条の二第一項の規定による福祉施設として行なうものとする。」というふうにあります。従って、当然にこの雇用促進事業団、これが失業保険事業である。しかもこの重要な事項、先ほど説明されたその重要な事項であると考えるのはこれはもう当然のことだと思いますが、この際念を押してお尋ねしておきたい。
#126
○政府委員(堀秀夫君) ただいまの御意見の通りと考えます。
#127
○坂本昭君 大蔵省来ていますか。
#128
○理事(高野一夫君) 主計局次長を今呼びに行きましたから、すぐ参ります。
#129
○坂本昭君 ちょっと聞いておってもらわないと大事な点でわからないから……。
 それではこの際、この失業保険法の基本に戻って、失業保険法とは一体何か。これは今さらこんなことをお尋ねするのもおかしいかもしれませんが、この第一条の目的のところを見ますというと、「被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。」ここで明確なことは、保険金を支給して生活の安定をはかる、こういうふうにきわめて明確に目的が書かれているということであります。従って、ここでお伺いしたいのは、この失業保険の積立金の問題であります。失業保険の積立金は失業保険法の三十条のところに、「労働大臣は、毎月末日において、すでに徴収した保険料総額と支給した保険給付総額との差額を失業保険特別会計の積立金に加減」云々とここに初めて積立金ということが書かれてあって、ほかには、この失業保険法のところではこの積立金のことについては規定されていない。そしてこういうふうな三十条に従って特別会計に入れるという規定が出てきております。
  〔理事高野一夫君退席、委員長着
  席〕
これは失業保険の特別会計法の十三条には、「この会計において決算上剰余金を生じたときは、これを積立金として積み立てなければならない。」それから次の項において「決算上不足を生じたときは、積立金から、これを補足する。」ここに積立金の運用、運用ではございませんが、積立金について十三条に規定があり、さらに十三条の二の項には、積立金の歳入繰り入れの規定が書かれてあり、十四条には、「この会計の積立金は、資金運用部に預託して、これを運用することができる。」と、で積立金の運用のことに触れているのであります。
 なぜこういうことを伺うかといいますと、今問題としている雇用促進事業団は明らかに失業保険事業である、そうしてその失業保険事業は失業保険の保険金の積立金によって政府から出資されて運用されている。ところが、あくまで失業保険の本旨とするところは、第一条にあるように、金を支給して――保険金を支給して生活の安定をはかる、従って、生活の安定をはからないようなことではきわめて不十分である、だからあくまで生活の安定をはかるためにこの保険金を支給することが失業保険法の建前である、こういう点はきわめて明らかであるはずだと私は思う。ところが、不思議なことには失業保険法の三十条の一項のところから積立金が勝手に歩き出してきまして――特別会計法の十三条、十四条に基づいて今度は本来の法律から離れて勝手に歩き出しているということであります。従って、そういう点では現在の失業保険の積立金に関する運営は失業保険法の第一条に違反しているのじゃないか。皆さん方もなれっこになってしまっているけれども、もともとの本質に立ち戻ったならば大きな誤りを犯しているのではないか、この点について大臣の御答弁をいただきたい。
#130
○国務大臣(石田博英君) 失業保険の特別積立金の運用が失業者の保険金給付のほかに失業者に就職の機会を与える、失業者の発生を防止するというような意味に使われるということはそれ自体私は法律の建前に違反しているとは思っておりませんが、実際問題としていわゆる失業保険の対象人員以外が現に相当利用されているという実情から考えまして、私は将来そういう部門については一般会計がもっと大きく負担をすべきだと思っております。
#131
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#132
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#133
○坂本昭君 ただいまの失業保険法の三十条には「当該月の翌月から六箇月間に支給せらるべきものと予測される保険給付額に満たないと認められる場合において、」云々というふうに、いわば、この積立金の予備を申しては語弊がありますが、六ヵ月分を準備しておいて、それが余り過ぎてもいかぬ・また、不足してもいかぬ、そういう場合には適当な処置をするということがここに書かれているはずでありますが、この前昭和三十五年三月現在の統計では、七百六十三億、二十六ヵ月分できているということを政府から御説明いただきました。私は今の一番新しい数をお聞きしたい、大蔵省来なくても労働省で答えられるなら答えて下さい。
#134
○政府委員(堀秀夫君) 積立金は現在昨年度末において大体七百七十億程度、このように考えております。これに一年度間におきまして約百六、七十億の剰余を生じて参りますので、この一年間におきましてその七百七十億に百六十億足しました約九百三、四十億程度になるであろうと推定しております。
#135
○坂本昭君 だから何ヵ月分残っているか。
#136
○政府委員(堀秀夫君) 大体一ヵ月に三十億程度でございます。約三十ヵ月分であろう、このように考えております。
#137
○坂本昭君 三十条には、六ヵ月に足りない場合には保険料率を上げろと書いてあるけれども、三十ヵ月も余して、それでもいかぬとは書いてないけれども、この法の精神からいって、そういうことでよろしいのですか、大臣に伺っておきたい。
#138
○政府委員(堀秀夫君) この点につきましては、いろいろな問題があり御意見もあるわけでありますが、私どももいろいろな方面からこれを拝承いたしているところであります。そこで失業保険法の改正を御承知のように昨年の通常国会において行なっていただいたわけでありますが、その改正法の附則におきまして、政府はとりあえずこの改正によりまして失業保険給付内容の改善とそれから国庫負担の改正、それから保険料率の引き下げというのを行なったけれども、これらの問題については、昭和三十四年から三ヵ年間の失業保険の特別会計の収支状況を調査し、そしておそくとも昭和三十八年の三月末日までに改正を行なうものとするという附則がつけられておるわけでございます七私どもはこのような見地から、現在の失業保険の収支状況をにらみ合わせ、それからもう一つは、この失業保険の給付内容の改善問題につきましては、ただいま内閣総理大臣から社会保障制度審議会に総合調整の諮問を申し上げておりますので、これらの御意見をよく拝承いたしまして、そうして内容の改正を行なうように検討いたしたいと考えておる次第でございます。
#139
○坂本昭君 賢明なる大臣にその点を明らかにしていただきたい。何もかも総合調整の社会保障制度審議会におんぶするということは、最近厚生大臣は朝から晩までそれを言っているのであります。何もそんなにおんぶしなくても三十ヵ月分も失業保険の積立金がたまっているということはきわめて不当である、そして失業保険法の第一条が十分にまだ満たされていない、私はそういう点についてなるほど総合調整を待っている、その諮問によって運営されるということはけっこうですけれども、その前に労働省としてはしなければならない点があるわけであります。先ほど労働大臣は、もうすでにそういうことで各種の福祉施設についてはもっと一般会計から金を使いたいというふうな、そういうふうの意思を明らかにされたと思いますが、それを何らか予算の中かなんかにはっきりと出てこない以上は、われわれとしては安心するわけにはいかない。大臣もはっきりとそういうお考えを持っておられるならば、もう予算の折衝も六月ごろから始まって参ります。その中に何らか具体的な措置をとられるつもりであるか、その点を明らかにしていただきたい。
#140
○国務大臣(石田博英君) 失業保険法の内容の改正、これは社会保障制度審議会の総合調整の答申を待つまでもなく、私どもは検討をいたさなければならず、検討するように命じております。
 それから後段の、つまり失業保険法の特別会計で負担するのが筋違いの部門の事業については、一般会計により多く負担すべきだと私は思います。従って、この雇用促進事業団が発足いたしまして、その運用の経過を見まして、具体的な数字が出て参りますから、それを根拠にただいままで申しました方向について努力をいたしたいと思います。しかしながら、具体的な数字というものは今までにやっているものの中にございますから、従って、現状に著しい変化が、まあ実際問題としてなかなか生ずるものではありません。ありませんから、そこでその傾向から見ましても、やはり保険法にばかり依存をするということは筋違いの問題がたくさんございますから、そういう点については一般会計の負担をふやすように努力いたしたいと思います。
#141
○坂本昭君 失業保険法の第三章のところには福祉施設の規定がしてあって、ここに書いてあることは、第二十七条の二「政府は」「その他被保険者及び被保険者であった者の福祉の増進を図るため必要な施設を行うことができる。」この文章でいきますというと、比較的消極的な私は意味だと思う。これは今の失業保険法の規定に従って福祉施設を政府が作ることもできる。しかし、これは別個に一般会計からやるということが私は本筋で、またこういうことも、失業保険で失業保険の被保険者あるいは被保険者であった者のためにすることもできるという私は消極的な意味であって、これは本来第一条の立場に立って今後予算的な措置を組むべきだと私は確信を持たざるを得ないのであります。そこで、今大臣が言っておられたこの二十七条の二の特に二項に「保険者及び被保険者であった者の利用に支障がなく、かつ、その利益を害さない場合に限り、これらの者以外に利用させることができる。」ところが、実際は訓練生の失業保険を受けておるものはどの程度かということをこの前ちょっと伺いました。伺ったけれども、その数はまだはるかに多う目な数だと私は思うのです。たとえばこれは各種の労働組合が集まった職業訓練の研究集会に発表された数でありますが、この中には訓練生失業保険受給者調べとして、これは三十四年度と三十五年度両方あります。結論的に見ますと、三十四年度の入所生の数が二千九百五十五、これに対して失業保険受給者は百十名、つまり三・七%、三十五年度の入所生は三千五十四名で失業保険の受給者は百六名、これは三・五%、この前五%ということを言っておられたけれども、五%よりもはるかに下回っているじゃありませんか。ずいぶんいいかげんな数をあなた方の方は言っておられる。たった四%にも足らないものしか訓練生として入っておらぬじゃないか。しかもまた、先般も、炭鉱離職者の人たちが入るから大体は三〇%ぐらいになりましょうということを言われたのであるが、炭鉱離職者の訓練生の実施状況を見ますと、これは幾つもの施設で特に炭鉱離職者職業訓練実施状況調べがあります。大阪、小野田、八幡、荒尾等々、ここでは約七百四十名の人が訓練を受けて、あるいは筑豊地帯におきましては一次、二次、三次と訓練を受けておられる。それらのこまかい数を私自身概算して、今の昭和三十五年の三千五十四名というものに加えて、そうしてこれらの中で失業保険を持っている人、なるほどこの失業保険を持っている人は比較的炭鉱離職者には多い。この前あなたの方では一〇〇%と言っておられたけれども、実は一〇〇%はおらないのであります。私のある例では八二%程度、従って、それらを合計しても二〇%をわずかに出る程度にしかすぎない。それはあなたの方では、ひとり歩きをし出した失業保険の積立金で本来の失業保険法の目的から完全に離脱したとは言いませんけれども、私は正しい失業保険の第一条の目的にかなった使い方を必ずしもしていない。そうしてたびたび指摘をしても、どうもそういう点では、一応大臣は比較的理解がお早くて、来年の予算には何らか成果が出てくると思いますが、それでも、一度雇用促進事業団をやってみての上で結果を見る、もうすでに現在でも私は結果はある程度わかっておると思う。従って、この期に及んでなおもそういうことを言われることははなはだ私としては不満にたえない。この点事務当局並びに大臣から御答弁いただきたい。
#142
○国務大臣(石田博英君) 総合職業訓練所、一般職業訓練所の訓練生の中に占めます失業保険の被保険者並びにかつて被保険者であった者のパーセンテージ、これは若干数字が違っております。数字の違っております点はあとで事務当局から説明いたさせます。
 それからもう一つは、三十五年の四月に、今おあげになりましたいろいろな数字は三十五年の数字だと思います。三十五年の四月には失業保険の延長措置を、訓練生に関する受給延長措置をやりました。それ以後は割にふえてきております。しかし、それはいわば五十歩百歩であって、訓練生の中に占めておる、あなたの御指摘の大勢というものの議論を左右するような数字ではありません。しかし、若干ふえてきておると思います。そこで、それが失業保険法一条の目的に拘束されて議論されますと、また、先ほど指摘されました二十何条でありますか、あの規定が消極的、積極的という議論、これは別としまして、そういうことは別といたしまして、そういう訓練生の状態が、その訓練所は主として、しかもその大部分が特別会計でまかなわれておるという状態は、私はやはり全体から見て失業保険法の精神に合致しないものだと考えます。従って、筋違いのものについては、一般会計がもっと負担をすべきものだと思う。それについて努力をするということを申し上げたのであります。
 それから雇用促進事業団の運営の結果を待つということは、それは確かに運営の結果を待ってさらに改善をすべきであるけれども、しかし、現状すでにその大きな傾向というものはわかっておる。わかっておるし、その大きな傾向に、組織が変わったからというて、にわかにそれが変わるとは思わない。従って、もう明年度からの予算折衝から、それを具体化すべきだと思うということを申し上げたのであります。
 ただもう一つ別の面から考えなければならぬことは、私は、やはり積極的に失業保険の受給者が利用しやすいようにしてやることが問題であります。そこでわれわれの方では、たとえば年令が違って同じクラスで勉強しようといってもなかなかやりにくい問題があります。そういう心理的な問題も考えなければならない。それからもう一つは訓練時間の問題も考えてやらなければいけないと思います。そういう点について所要の措置をとりますと同時に、現在すでに失業保険の受給者に対して個別に呼び掛けをいたしております。しかし、なかなか実際問題といたしましていろいろ原因がございまして、どうも若い人は入ってくるけれども、中年をとえた人はなかなか入らぬ場合が多いのです。そこで訓練を終わった場合におけるいろいろな状態というようなものを見まして、そうしてどういう条件、労働条件が保障されるかというようなこともあわせて示しつつそういう問題の処理に当たっていきたい、こう思っております。
#143
○政府委員(堀秀夫君) ただいま大臣から申し上げましたような基本的な方針に基づいて、私どもは内容の改善、充実をはかって参りたいと考えております。先ほど大臣から答弁いたしましたように、昭和三十五年度からは失業保険の訓練中の者に対する受給延長措置等も講ぜられましたので、現在の入所状況は総合訓練所について見ますと、被保険者であった者の入所状況はおおむね私どもの方の統計では三〇%程度と考えております。しかし、これもただいまお話になりましたような趣旨から申しますと、まだ少なきに過ぎると考えますので、私どもは年次計画を立てまして、そうして将来はこの被保険者であった者の率を五割以上に少なくともするというもとに、とりあえず改善計画を目下検討中でございます。
 なお、この総合訓練所等におきまするところの転職訓練のやり方、方式等につきまして、現在職業訓練審議会に労働大臣から諮問しておりますが、六月中旬に答申が出される予定になっておりますので、私どもはこれを尊重いたしまして、転職訓練等の改善、充実に努め、これによってまた転職訓練を利用する者が十分にその恩典を受けまして、そうして転職訓練を円滑に再就職できますように私どもは努力したい考えでございます。
#144
○坂本昭君 先ほど職業安定審議会のことに少し触れましたが、この今回の事業団法を制定するにあたっては、諮問機関としての職業安定審議会に諮問をせられてどういう審議の結果を得られて、また、どういう答申を受けられたか、簡単に説明していただきたい。
#145
○政府委員(堀秀夫君) 職業安定審議会に対しましては、昨年の秋にこの雇用促進事業団の構想を私どもは考えましたので、職業安定審議会に対して諮問をいたしました。職業安定審議会は、総会、それから失業保険の福祉部門につきましては失業保険の非公式の部会でございますが、部会等も開催されまして、数回にわたって御審議を願ったわけであります。私どもは、この法案の内容をこの審議会に諮問をいたしまして、数回にわたって御審議を願いました後に、この一月の中旬でございましたと記憶しておりまするが、労働大臣に対しまして、この雇用促進事業団法案につきまして全会一致で御賛成をいただきました。それに基づきましてこの法案を作成し提出したことになっているわけでございます。
#146
○坂本昭君 それは事務当局の答弁は、都合のいいことだけただお義理に答えているのであって、そんなことを私は聞いているのじゃないのですよ。もうすでに衆議院段階でも附帯決議もつけられているのだし、それからまた、失業保険法の今の三十九条で、大臣は、意見を聞いて決定しなければならぬ、それからまた、この審議会はいろいろと運営に関して建議をしまた報告を求めることもできる、そういう非常に強い権限もある。そうして一番指摘したいことは、今までこの事業のやってきた、いわば兄であるか親であるか、労働福祉事業団の運営というものがそんなにいいものであったとはわれわれは考えていない。ことにその運営が非民主的で、かつ、非能率的であったということ、これはこの労災病院の運営についても、あるいはこの職業訓練所の運営についても、私は幾つかの欠陥があると思う。しかし、私は人を決して責めるのではなくて、そうした点が十分に批判され審議された上で、この新しい、先ほど来藤田委員が指摘された、所得倍増の中で、また、完全雇用を達成するために雇用促進事業団というものが生まれてきたはずだと思うのです。それだけの抱負がなければ何のために生まれてきたか。それだけの一つの抱負を持っていないならば、初めから生まれてこぬ方がいいのですよ。きょうにでも取りつぶしてしまいますよ。しかし、そういうものではないと思うのです、われわれもですね。そういうものでないと思うから、何とか育てていただきたい、それには十分のいろいろな審議がされただろうし、何が一番重点として審議されたか。私は一番思うのは、運営の非能率と非民主性、それからいろいろな末端における事実をよく知っていないということ、これは今までの労働福祉事業団に共通した事実じゃないかと思う。だからそういう点をお尋ねしているのであって、それらの点について監督の労働大臣も、これは労働大臣からいろいろと命令を出したり、また、その答弁を求めたりする権限があるのですよ。そういうことを今まで一度もしていないということは、この前も答弁しておられる。で、新しくこういうものを次から次へと生み出して、生みっぱなしということじゃ困りますよ。だからそういう点について何を一番あなた方としてはこの審議会で問題となり、それについては今後どうしていくのかという、そういう決意のほどを一つこの際聞いておきたい、そう思って、その審議の内容をお伺いしたわけなんです。
#147
○政府委員(堀秀夫君) この法案の職業訓練審議会における審議にあたりまして問題となりました点を申し上げます。
 第一番目の点は、これは主として炭鉱離職者援護会の側からの問題点でございますが、雇用促進事業団ができることによって、石炭離職者に対するところの援護が水割りされては困る、言葉をかえて申しますと、雇用促進事業団ができることによってその内容と対象が非常に多様になりまするために、従来炭鉱離職者に対して集中的に特別の援護がなされておったのが水割りされる、炭鉱離職者に対する援護が低下するようなことがあっては困る、こういう御意見がございました。この点につきましては、実は炭鉱離職者援護会の中にも現在運営協議会がありまして、労・使・中立の方が御参加を願っておられるのでございまするが、そこで御審議になりました。それから職業訓練審議会においてもそういう意見が出されたわけでございます。この点につきましては、結局炭鉱離職者の援護については、この事業団の運営にあたりまして特別の経理を行なって、水割りされてないようにする。
 それからもう一つは、炭鉱離職者の援護につきましては、今度の雇用促進事業団におきましては、従来の炭鉱離職者援護会ではなかなかできなかったところの相当大規模の離職者住宅の建設もできることになるので、炭鉱離職者の従来の再就職にあたってネックとされておりましたところの住宅問題についても、相当改善が期待されるのではないか、こういう御説明を申し上げました。その点は納得をいただいたわけでございます。
 それからもう一つは、ただいまの御質問にも触れるのでございまするが、雇用促進事業団の運営にあたりましては、やはり労使双方の意見を十分に聞いて運営をしてもらいたい、そのためできれば雇用促進事業団法の中に運営協議会なんという規定は設けられないものであろうか、こういう御質問が主として労働側から提起されたわけでございます。この点につきましては労働福祉事業団の運営、監督、管理というものは労働大臣の責任において行なうものであるから、雇用促進事業団の中に運営協議会を設けることでなしに、現在ある職業訓練審議会、これに十分お諮りをして、この職業訓練審議会で運営の重要方針についてはお諮りをし、御意見を伺って参りたい、こういう御説明をいたしました。それと同時に、事業団の内部における運営協議会につきましては、ただいま申し上げましたような観点から、従来の労働省関係の各種の事業団、もしくは会等につきましても、運営協議会の規定は法律上は作っておらないわけでございます。従いまして、法律上はこれを明文化することはできないけれども、実際問題といたしましては、この雇用促進事業団の中に労使三者の構成からなるところの運営協議会を設けまして、そうして事業団内部の運営についても民主的に各方面の意見を伺って参ることにしたい。この運営協議会は必ず設置するということを申し上げ、御了解を得た次第でございます。
 以上のような点が、まだそのほかにもいろいろな御希望の点がございましたが、特に炭鉱離職者の援護については、さらにもう少し十分な援護をしてもらいたいという御意見が主として石炭労働者側から提起されました。しかし、これはこの事業団の内容と申しますよりも、現在政府が行なっておりますところのいろいろな石炭離職者援護措置についての御注文がございまして、この点は十分検討するということにいたしたわけでございます。以上のような点が、この審議会の御審議にあたりまして問題となりました点でございます。
#148
○坂本昭君 今の訓練所の訓練科目、あるいはその内容などについては、これは職業訓練審議会がいろいろと審議し、意見を言うのは至当でしょう。しかし、この事業団そのものの運営については、今この諮問されたのは職業安定審議会であります。しからばこれはやはり職業安定審議会が失業保険法の失業保険事業としてこれをやる以上は、やはりその立場から、少なくとも一番大きい運営については関与すべきではないか。従って、今の訓練所の内容については、職業訓練審議会が訓練のいろいろ細部にわたって指導され、あるいは諮問に答えるというのはけっこうですが、たとえばこの事業団の重要なる人事については、これは理事長並びに副理事長については大臣が任命することになっております。しかし、運営がきわめて拙劣であった、あるいは所期の目的を達していない、そういう場合には、これは職業訓練審議会が筋を立てて言うべきことではなくて、職業安定審議会から、こういう運営では失業保険事業としての本来の趣旨にもとる、従って、こういう管理者は交代してもらいたい、そういうようなことを申し立てるのは職業安定審議会の側にあるのではないかと私は思います。そしてまた、そういうような意見を言っても私は当然であろうと思うのですが、人事の命令権を侵害するのではありません。きわめて拙劣な運営をする場合には職業安定審議会からそういう意見を言って、大臣に対する建議をする、そういうことがあってもよろしいと思うのですが、その点大臣、いかがですか。
#149
○国務大臣(石田博英君) 私は人事は、やっぱり重要問題のうちの非常に重要な一つだと思いますので、そういう御意見を言っていただいて大いにけっこうだと思います、事実がございましたら……。
#150
○坂本昭君 それでは次に三十六年度の予算の中で、この事業団の中では何人の転職者を対象として考えておられるかをまず伺っておきたい。予算の面で見ますというと、総合訓練所関係は一億円くらい多くなった程度にすぎません。しかし、それも大部分がこの専門訓練の第二年度に入っておりますし、それからまた、新設科目の職員もふやさなければならない、そういった面でほとんど人件費に食われているのではないだろうかと思う。こういうことではせっかく張り切って出発する雇用促進事業団に一体何の仕事ができるか、そういう点で当面する駐留軍の離職者あるいは炭鉱離職者の人たち、こういう人たちを初めとする転職訓練の対象として何人程度見ておられるか、その点を話の筋として御説明いただきたい。
#151
○政府委員(堀秀夫君) この雇用促進事業団の業務につきましてはいろいろな面がございます。そこで職業訓練について申し上げますと、総合職業訓練所の訓練対象人員といたしましては、本年度約一万七千名を予定いたしております。そのうち転職訓練につきましては約四千人程度を予定しておるわけでございます。なお、そのほかに住宅の対象人員あるいはただいま訓練を受ける者に対する訓練手当の対象人員あるいは移住資金の対象人員等ございますが、これはもし御質問がございますれば後ほど申し上げます。
#152
○坂本昭君 ただ、そこで一万七千の対象を訓練生として見ておられるようですが、この前もこの委員会でお尋ねしましたけれども、施設の整備が五〇%程度しかできていない。そしてまた、この転職訓練をやろうとすると、これは短期の訓練に私はなってくると思う。そのためには相当いろいろな設備を近代化していく必要があるのではないかと思う。そういう点で、この前この法案の審議が始まる前にいろいろお尋ねしたときの実情から現在そんなに進んだとは思われない。一体今のような施設整備の五〇%程度のことではたしてこういう訓練ができるという見通しがあるか、その点について御説明いただきたい。
#153
○政府委員(堀秀夫君) 現在総合職業訓練所の施設、機械等の整備につきましては、年次計画を立てまして、その一環として鋭意努力しておったのでございます。機械につきまして昭和三十五年度におきまして、私どもの方の調査によりますると、整備率は約六六%という状況でございますが、本年度の予算においては約六億円の機械整備費を計上いたしました。整備率を約七〇%に引き上げたい考えであります。この機械整備につきましては、整備五ヵ年計画を策定いたしまして、昭和四十年度には整備が完了するように取り計らいたい考えでございます。なお、施設につきましても、これは現在各中心地にこの総合職業訓練所の施設を設けたわけでございますが、やはりまだ年次計画の途中でありまするために、まだ不備の点もございまするが、これも年を追うて整備して参りたいと考えます。従いまして、本年度におきましては、ただいまのような整備状況等を見込みまして、先ほど申し上げました一万七千名というものを対象にして訓練を行ないたい考えでございますが、さらに明年度、次の年度という工合に年を追うてその対象人員も増加、拡充して参りたい考えであります。
#154
○坂本昭君 職業訓練法の六条によると、総合職業訓練所の一番目的とするところは専門訓練であります。また、これからは専門訓練の十分な課程を経なければ、これは一応――これはまたあとで触れますけれども、――その訓練所で訓練は受けたけれども、何の役にも立たない。ただ低賃金の臨時工ばかり製造していくことにしか終わらない。私はそういうことにもなりかねないと思うので、当然この専門訓練というものについては非常に重点を従来もおいてきたはずですし、今後これはますます伸ばしていかなければならないこの時期に、ちょうど専門訓練の一年生が今できて、それから基礎訓練の者もできて、さらに二年生もいる。それからまた、炭鉱離職者あるいは駐留軍の離職者、こういうふうに先ほど大臣も心配しておられた通り、一つの教室の中にいろいろな人たちがごたごたと入ってくる、こういう中で今のような専門訓練というものが十分その実を上げることができるか。そこまでこまかくあなたの方では計画しておられるかどうか、私は非常に疑わしいと思うのですが、いかがですか。
#155
○説明員(有馬元治君) 御指摘の通り、ことしから専門訓練の第一年度が始まっておるわけでございますが、ことしは約五千名そのコースに入っております。で、この専門訓練の目的は、訓練期間を二年間に延長いたしまして、産業界の要求する熟練工養成の期待にこたえるために、新たに訓練法によって規定されたコースでございます。で、この専門コースを開設するにあたりましては、一昨年、中央職業訓練審議会におきまして、約半年がかりで専門家の方々の御審議を経まして、現在の教科課程が、省令できめておりまする教科課程が作成されたわけです。現在はそれにのっとってやっておりますが、訓練をやってみた結果、現実にやってみますと、まだまだ不十分な点もございますので、今後、逐次是正をしていく点は相当ございますけれども、今日は、二年前に審議会から答申を得た教科課程に従って訓練を実施しております。
#156
○坂本昭君 ただ、しかし、今のようなままでこの雇用促進事業団が発足をして、一万七千名という人たちを訓練の対象とするようなことになれば、現在でも、例のたびたび問題になった教材費が足りない。従って、六ヵ月訓練といっても、いろいろ聞いてみますというと、実際のところは、三、四ヵ月の訓練で、そうしてまあ若い人たちは口が幾らでもかかってくる。口が幾らでもかかってくるから、若い人はどんどん就職のあっせんができて出ていってしまう。ただ、六ヵ月あとに名目だけの卒業式をやって祝ってもらう。そういうふうなことに実はなってしまうのではないか。現在でさえも、若い人はどんどん羽が生えて飛ぶように売れていってしまって、そうして六ヵ月の訓練というけれども、実際はその半分くらいの訓練しか受けてない。それから施設としても、教材費が足りないから、いつまでもおいておけば、それだけ食い込む。だから適当に、このいわゆる所外実習というのですか、所外実習という名前で外に出してしまっている。そうして安上がりな臨時工として、実質的な生産に従事させる。そうしてそこから教材費をもらってきて、いわばそれをピンはねをして、そうして施設を運用していく。そういうのが実態であるところに、さらに今度は大きな政策を打ち立てて、この事業団が発足するということは、いたずらにまた混乱を増すだけのことにとどまるのではないか。私はそういう心配をするのですが、そういう点は絶対に大丈夫ですか。
#157
○説明員(有馬元治君) 訓練の種類によりまして、途中からの退所率がいろいろ違いますけれども、一番長期課程の専門訓練コースにおきましては、あるいは基礎訓練の一年、その以上につきましては、現在のところ、一割以内のまあ退所率で、比較的労働市場の需要が強いのでございますが、途中から脱落する者は少ないわけでございます。ただ、炭鉱離職者等の離職者訓練におきましては、半年の、六ヵ月の訓練期間の途中におきまして、約三割近くまあ脱落をする、これはまあいろいろな事情があるわけでございますが、途中から就職口がきまって退所をするというケースが相当多いわけでございます。私どもの考え方といたしましても、たとえば溶接工の場合に、ガス溶接が一人前にできるという段階になりましたならば、その機会に就職口があれば、六ヵ月の訓練期間を終了しなくても、途中から就職をお世話するというふうな具体的なケースもございまして、離職者の場合には、六ヵ月の途中において退所をし就職するというケースが非常に多いわけでございますが、その他の場合には、大体退所率は一割以内で最後まで完全に訓練を終了して産業界に出る、こういう実情でございます。
#158
○坂本昭君 転職訓練の期間というのは大体六ヵ月を私は原則にしておられるように伺っておるのですが、今のような実情で、六ヵ月程度の転職訓練を受けて、そうしてそれで十分に技術を身につけ、かつ、生活のできる収入を得るということは、とうてい私は期待はできないと思うのです。従って、せっかく、卒業生というか終了生というものができても、それはすぐにまた失業者になってしまうのじゃないか。そういうふうなことにこの事業団の訓練所というものがなってしまうおそれが私は多分にあると思う。それはいろいろな人員の面においても、非常に指導員の数も足りない。また、設備は今度は六六%になるということですけれども、そういう点ではきわめて不十分な面が多い。ことに訓練生が入寮しておるときのいろいろな費用、これについても、炭鉱離職者の関係訓練生の寮の経費予算が一体幾らであるか、伺っておきたいのですが、非常にわずかなもので、卒業しても、わずか六ヵ月で十分な訓練を受けていない。しかも、訓練を受けておる間でも、生活に多くの不安を持っておるということが事実なのではないかと思うのですが、今の入寮中の予算はどの程度ですか。
#159
○説明員(有馬元治君) 寮のまかないの実費を各訓練生から徴収しておりますが、大体三千円程度でございます、月額にしまして。
#160
○坂本昭君 その程度でこの訓練期間中の生活を脅かされないで十分な訓練を受けることができますか。また、そのために途中から逃げ出してしまう人が多いのではないですか。私はあとで炭鉱離職者の例、先ほど三割程度は途中から出てしまうというお話が出ておりましたが、炭鉱離職者の場合の実例を見ますというと、三割どころではない、もっとたくさんの人が途中から逃げ出してしまっておる。たとえば筑豊地帯の第一次訓練を受けた人の中で、最初に入所した人は百八十四名、途中で出ていった人が百二十五名。三割どころじゃないですよ。百八十四名のうち百二十五名出ていってしまった。もちろん、その中には就職をした人が三十八名あります。だから、三十八名を除いたとしても、とても三割というような数じゃありません。非常にたくさんの人が途中から出ていってしまっておる。しかも、その理由は、生活が困窮をしておる。つまり、本人の費用もきわめて不足であるが、さらに、その間の家族の生活に対する保障も十分できていない。そういうことでは十分な訓練を受けることはできないのじゃないか。その点はどうなんですか。
#161
○説明員(有馬元治君) ただいま御指摘の事例は、一昨年の十一月の福岡県の田川の最初の事例だと思いますが、このときには、施設が、非常に急いで収容しました関係で不十分であったことは事実であります。また、訓練手当の支給手続等につきましても周知徹底を欠いておって、生活の保障が十分でなく、いろいろな悪条件を未解決なままに急いで開所いたしましたものですから、最初は中途で退所する者が非常に多かった。その後は漸次こちら側の態勢も整備して参りましたので、最近の全体の実績からいたしますと、三割程度の退所者が中途から出ておるという御説明を申し上げたわけであります。
#162
○坂本昭君 次に伺いたいのは、今度この転職訓練を受ける人たちには中高年令の人たちが相当ふえて参ります。こういう人たちは外線工事だとか、そういう若い人と同じような仕事はできません。従って、いろいろと現在ある科目の中に廃科になるものがかなり出てくるのではないか。そしてまた、この転職訓練を受けているところは、現在専門訓練に移行していない場所、そういう訓練所が多いので、そういうところではいろいろなタイプだとか、あるいは英文タイプだとか、そういったものがどんどん廃科になっていくのではないかと思うのですが、そういう点はいかがですか。
#163
○説明員(有馬元治君) 転職者の訓練の場合の訓練職種、種目の選び方、これは非常にむずかしい問題でございますが、これも現在の審議会で専門家の検討を得まして、考え方の基準は一応案ができております。大体の基準を申し上げますと、中年令層の転職者に対して適当な職種ということになるわけでございますが、年少者の場合と異なりまして手先の器用さを特に要求するようなもの、これは職種としては選びにくいのでございます。また、前職の職業経験との関連において適職を見出していくというふうな観点から職種の選択をいたしておるわけでございますが、これは現在駐留軍あるいは炭鉱離職者専門の職業訓練所におきまして実施しておりまする訓練種目と大体今後の職種の選定の仕方は一致する考えでございます。ただ先ほど御指摘ありましたような洋裁だとか、あるいは経理だとかいうふうな職種も一部総合訓練所では行なっておりますが、これは全体から見ますと非常に比率がだんだん減って参ります職種でございますけれども、転職者の場合を考え、特に転職者の子弟あるいは家族というふうなことを考えますと、これらの職種も場合によっては短期に訓練を実施する必要があるというふうなことも考えられますので、そこは離職者の発生状況と対応させまして必要な職種を選定をしていくという考え方で対処する予定でございます。
#164
○坂本昭君 今のような実情のもとで、この転職訓練をやる人にはいろいろな特殊な事情があるので、職業訓練法による設備基準、こういったものも当然変えなければならないと思いますが、その点はいかがですか。
#165
○説明員(有馬元治君) 御指摘のように、現在の訓練法に基づきまする訓練基準は年少者を主たる対象として基準ができておりますので、今回の審議会の答申を待ちましてこの転職者に対する訓練の基準は改訂をいたしたいと考えております。
#166
○坂本昭君 特にこの短期訓練をやる場合には、ふなれな人たちが短い期間に機械を、あるいは資材をいじくるので消耗もずいぶんひどいだろうと思うんです。従って、こういうこの転職訓練に対する委託費、とれの単価なども従来よりはずっとふやす必要があるんじゃないか。このことはあとでまたもう一ぺん触れたいと思うのですが、今までのような振興会、そういったものから取り扱いを受けているというようなことではとうてい間に合わないんではないか。特にこの短期訓練という立場の上からどういうふうにお考えになっておられるか。
#167
○説明員(有馬元治君) 短期訓練の場合には長期訓練の場合と比較しまして訓練事業費の単価が非常にかさむわけでございます。と申しますのは、いきなり実習課程に入っていき、しかも最初の短期間の訓練の期間におきましてオシャカが相当に出るわけでございますので、材料費その他非常にかさみます。従いまして、従来の訓練生一人頭の訓練事業費単価では間に合いませんので、今回転職者訓練所に対する訓練事業費の単価は改訂をいたしまして増額措置を大蔵省と相談をしてとった次第でございます。
#168
○坂本昭君 今のこの専門訓練、この場合は主として学校を卒業した人が対象となっており、かつ、これは授業料を取っております。それからまた、炭鉱離職者の場合には特別会計からの委託金が交付される。ところが、その他の農村の二男、三男坊といった一般の離職者、こうした場合には一体どこから委託金が出されてくるのですか。現在は府県から委託金の交付を受けてやっているところの基礎訓練がこれが専門訓練にかわってきた場合にはもう出どころはなくなってしまう。そうすると、せっかくやっておったのが途中で打ち切りになってしまう。まあそういうことに対して、一般離職者の受け入れに対してどういうふうに措置をとっておられますか。
#169
○説明員(有馬元治君) 現在の総合訓練所の基礎訓練の課程につきましては、先ほどの離職者を対象とする場合には全額国が交付金でまかなっておりますが、一年ものの基礎訓練の場合には府県から委託金を訓練生一人頭約一万円程度取っております。で、今後農村からの転職者を収容するにあたりましては、この基礎訓練課程を農村離職者用に解放をいたしましてそこに収容いたしていくという考え方で現在対処しておりますが、農業基本法の実施に伴いまして、農村からの離職者等が相当出てくる、現実に出てくるという段階になりますならば、これはやはり炭鉱離職者と同じような考え方で訓練事業費を国が見るというふうな考え方をとらざるを得ないと思います。その点につきましては、現実に農村あるいは漁村からの離職者を訓練する必要性が出ましたときにわれわれ検討をいたしたいと思います。
#170
○坂本昭君 幸いにして終了した、訓練を終わった人、こういうこの終了後の人の住宅の問題をどういうふうにしていかれるか。で、住宅のない終了生を事業所で採用する場合には、たしか一年間ぐらいパイプ・ハウスを貸してもらえる。けれども一年たっても事業主の方で家を建てることができない、そういう場合にいつまでもパイプ・ハウスに住んでいるわけにもいかず、そういう自分の住生活の、何と申しますか、困難さのためにその職場にいつまでもいることができない。そういう事態も、せっかく訓練をやって終了しておりながら住宅問題のためにこのあとうまくできないということが起こってくると思うんです。これらのことについてはどう対処せられますか。
#171
○政府委員(堀秀夫君) 雇用促進事業団において、移転就職者用の宿舎を準備いたしたいと考えております。考えております内容は、ただいま御指摘のパイプ・ハウスもございます。パイプ・ハウスは無償で受け入れ事業主に貸し付けることにいたしたいと考えておりますが、それと並びまして世帯並びに単身者用のアパート式住宅、これも雇用促進事業団において設置いたしたいと考えております。また、それと並びまして受け入れ事業主が自己資金による建築を行ないまする際に、これは産労住宅あるいは厚生年金住宅等の融資のお世話はもとよりいたしたいと思いますが、それの頭金の補助というふうな意味で、住宅確保奨励金というものを支給するというようなことも考えておるわけでございます。また、それとあわせまして、雇用促進事業団法の条文にも明記しておきましたけれども、労働大臣がこの住宅建設計画、この転職労働者用の住宅建設計画の立案、運営に当たりまして建設大臣と十分連絡をとることにいたしておりまするが、建設省と十分連絡をいたしまして、さらに近い将来においてこれを建設省で建設いたします公営住宅あるいは産労住宅の貸付のワクというものを確保いたしまして、その方に円滑に移っていただけるように配意いたしたい考えでございます。
#172
○委員長(吉武恵市君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#173
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#174
○坂本昭君 一番の問題は、この雇用促進事業団で訓練を受けた終了生が完全に雇用される。その受け入れ態勢が十分にあるかという点が、私はこれは一番の問題だと思うのです。特に新しい事業団の目的が転職訓練にあるというふうにわれわれも見るのですが、この転職訓練の対象になる人はこれはもう比較的高年令層の人です。従って、こういう高年令層の人に、はたして終了した場合に受け入れる態勢があるかという、こういう問題であります。で、私はある一例を一つ申し上げますが、これは先ほども大臣は高年令層の場合に、家庭の経済の事情だとか、就職のことだとか、あとの賃金の折り合いがつきにくいとか、そういういろいろなことがあって、なかなかこういう人の訓練というものはむずかしいということを言っておられましたが、こういう一つの記事があります。しかし、現実のところ、高年令者は訓練を受ける場合、転職、更生の意欲に燃えておる。訓練を受ける熱心さと技能の習得には目ざましいものがあり、その熱意には見るに忍びない悲痛なものがある。みな一生懸命やっているのですよ。ところが、日がたって就職が近づく、けれども先ほど述べた就職の先、あるいは賃金、こういう問題がからんで訓練を受けた職種の職場に就職できないで、再び職安の失対の窓口をたたいているものが多い、また、高令者自身、就職シーズンが近づくと、学卒はどんどん就職が決定していき、自分が取り残されているため、心配と不安と就職へのあせりから身はやせ、しょんぼりしている。そのうちこっそりあちこちの安定所通いを始めてだんだん失対事業に決心をしていくようである。学卒者の場合は高卒以上、中卒者にあっては二十五才以上の条件にある訓練生は――大企業への就職は皆無である。これは別の記録を見ても、年を取ったものは確かに大企業への就職は皆無であります。だから、せっかくこの就職訓練の対象として事業団が一生懸命この任務をやろうと思っても受け入れ態勢がないのではないか。せっかく就職できても再び失業してしまう。自分の賃金と家族を養うだけの賃金とどうも一致しない、そういうことですぐやめてしまう。そういうことが私は非常に多い。だから、この受け入れ態勢が十分にできていなければ幾ら訓練やったところでだめじゃないか。しかも、直接訓練所の人たちに聞きますと、一生懸命足りない職員で、しかも低賃金で訓練をして、そして卒業させる。卒業させておいてから、あとの就職のあっせんも、また、この訓練所がやっておる。これは私は少しおかしいと思うのです。訓練所なんかやらなくても、一生懸命訓練だけやれば、あとは就職のできる態勢を取っておくべきじゃないか。そういう受け入れ態勢がきわめて不十分です。私はむしろ訓練生に対しては登録制をやったらどうか。登録制をやって、そして責任就職をさせる。そこまでやらなければ十分な訓練を経た人たちのあとの雇用を全うすることができない。この点についてどういうお考えを持っておられるか伺っておきたい。
#175
○政府委員(堀秀夫君) お話のように、中高年令層の訓練生の就職についてはなかなか困難もあります。努力がさらに必要であると考えます。ただ幸いにいたしまして、最近における転職訓練を受けられました方の就職状況は比較的容易に、比較的順調に進んでいるわけでございます。たとえば最もその困難な事例としてわれわれが考えておりました三井三池の退職者の方々につきましては、御承相のように、荒尾に総合職業訓練所を設けましてやったわけでございますが、第一回の卒業生につきましては、これは九十九人のうち全員が幸いにして就職決定をいたしました。それから第二回の方々はこの二十七日に就労されたわけでございますが、百二十二名のうち自営業の方面を希望するという方が二十三名でございます。残りの九十九名の方につきましては九十四名の方について就職がきまりまして、あと五名の方については、これは大阪、兵庫等の受け入れ地の連絡がまだ完全についておりませんので、その関係でおくれまするが、これも近く決定することになっております。そのほかの訓練所につきましても、大体総合訓練所の修了生につきましては九二%程度の就職率が出ておるわけでございます。ただお話のように、非常にむずかしい問題がございます。今後われわれさらに努力を要すると考えております。炭鉱離職者の訓練所の訓練生につきましては、実は業界の関係団体をもって構成する中央炭鉱離職者対策協議会を設置しまして、どこの訓練所では何月にどういう職種の人が卒業する、そしてその希望はこういうものであるというのをただいまお話のようなちょうど名簿を作りまして、そうして事前に入所中に配りまして求人を開拓するというような方法をとっておるわけでございます。このような方式をそれ以外の転職訓練を受けておられまする方にも拡大して参ることにいたしました。雇用促進事業団の業務とあわせまして、ただいまお話のように、中高年令の転職訓練を受けられました方々の就職がさらに円滑に進みまするようにわれわれは万全の努力を払いたい考えでございます。
#176
○坂本昭君 ただ万全の努力を払うのはいいけれども、あなたが払うのじゃなくて、訓練所の乏しい定員と低賃金の人たちが一生懸命払ってやっておる。だからそういうことでは困るんじゃないか。だからそういう点も、訓練したあとはちゃんと完全雇用できるように登録をしておけばどうかという、そういう点を私は伺っているのであって、さらに今まで事業団も訓練所を持って何年かたっています、従って、具体的なそういう努力をどういうふうにしているか、あなた方は監督しておられるからわかっているはずだ。その点も、事業団がせっかく努力しているならばわれわれもそれを認めるのにやぶさかでありません、その点についての説明も伺いたい。さらに、あなたの方はいつも荒尾の例を出しておられますが、全般的に年令それから科目、再就職、それから賃金、これらを全部まとめた資料があったら、あとは詳しくは聞きませんから、そういう資料を配付していただきたい。大臣に今の点、局長の答弁ではなかなか納得しがたいし、そんなに楽にいっているならばわれわれもそんな無理な質問はしません。
#177
○国務大臣(石田博英君) 御指摘の問題の第一点は、中高年令層の人たちの訓練を受けた後における就職の問題であります。同時に、それに関連をして訓練中いろいろ不安を感ぜられるということが出て参ります。これは若年層に比較をいたしましては困難であるということは御指摘の通りであります。しかし、私どもまあ今一例を申し上げましたが、中高年令層の人々についても実質上は高い就職率を見るように努力もし、訓練を受けた人は、先ほど申しましたような率を示しておるわけであります。
 それから第二点は、その訓練を受けた人々と、それからその後における職業あっせんとの有機的関係の充実という問題と承知いたしておりますが、これは実は非常に大切な問題だと思います。たとえばその地域におきまして必要とされる人々でも雇用の条件その他が明らかでないために、案外訓練希望者が少ないという場合もあります。また、職種によりましては先行きの見通しがつかないので、新しい職種についての訓練生が少ない、いわゆる既存の古くからあるものについては割合に多いというような例もございます。そこで、それぞれの訓練を受けた人々に与えられるであろう労働条件等につきまして、あらかじめ関係団体と協議をして、一定のめどを示すということが必要だろうと思います。それらに関連をして訓練を受けた人々の登録制とでも申しますか、そういう具体的な処置は別といたしまして、極力そういうことについての処置を講ずる必要があると存じます。しかし、それは先ほど局長から答弁をいたしましたように実質的にはかなりやっております。それからその職業のあっせんの仕事を訓練所がやっている。まあ地方によっては訓練所の人々があっせんをする。大学において学校の先生がいろいろごあっせんをしていただいているというような類似の例はあるかもしれませんけれども、実際問題としては、職業安定所の職員が訓練所に参りまして、訓練所の訓練生の希望を聞いて、そうしてそれによって求人との間のお世話をする。出張してやっているのでありまして、実際私も二、三ヵ所においてその実例を見ているのであります。乏しい、そうでなくても指導員の数が少なくて困っているときでありますから、その指導員に指導以外の負担をかけるようなことはこれから避けて参りたい、こう存じている次第であります。
#178
○坂本昭君 指導員に負担を避けるようにしたいという御趣旨はきわめてごもっともですが、現実のところ、指導員のしておられることには二つの相反した面があるのです。一つは忙しい中から訓練をしておいてさらに就職のあっせんまでするというようなことをする面、もう一つは六ヵ月の短期訓練のようなものは教材費が足りなかったりするから若い人の場合は二、三ヵ月訓練したらあとはもう所外実習といって外へ出してしまう。もうそのときにすでに就職しているわけですね。そういうふうな面があって、私はこれからもこの事業団の職業訓練所の運営については相当注意をしていかなければ、十分な実を上げないのではないかということを心配するので、特にこの際伺っておきたいのは、この総合職業訓練所の運営の問題でありますが、運営費の問題です。一体運営費はどういう予算的な内容、こまかい数は言いません、聞きませんが、どういうものによって実質的に運営されているか。私の見るところでは今度は政府出資の資本金の額がはっきり示されておりませんが、出資の資本金、さらに交付金、さらに委託金、それから実習による収入金、大体これらのもので運営されているのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
#179
○説明員(有馬元治君) 財源的には御指摘の通りでございます。
#180
○坂本昭君 そこで問題は、この訓練所が徹底した独立採算制をとっているということ、これは労災病院の場合もそうです。事業団としてこういう行き方をとることが、いろんな点で私は問題を起こしてきていると思う。特にこの委託金についてはこういうことも言われている。委託金の金額は非常に少額であります。少額なところへもってきて、特にそのうち教材費の占める割合が少ない。その少ない委託金が事業団に吸収されてからその一部を還付するという形式をとっている。そういうふうに伺っているのでありますが、その通りでありますか。
#181
○説明員(有馬元治君) 訓練に要する経費のうちで、人件費は約六割でございますが、その次には訓練事業費が二五%を占めております。そしてこの訓練事業費の二五%のうち、実習収入によるものが、二五%の中には約一四%含まれております。従いまして、この実習収入の一四%が大体教材費に見合う金額でございます。これで今までは総合訓練所を運営しておったのでございますが、今度転職訓練を、しかも短期間の転職訓練の比率が増していきますれば、個々の経費の比率が変わってくると思います。で、独立採算制と申しましても、この一四%のところだけの問題でございます。
#182
○坂本昭君 今問題になるのは、この際に訓練の事業費、この事業費が国から出ていないということであります。そのために、非常にこの訓練所が、独立採算制の立場からあくせくと無理な運営をして、ほんとうの職業訓練の実を上げていないという結果が生まれてくるのではないかと思う。
 そこでこの際、労働省と大蔵省に伺っておきたいのは、今回の第四条の2に「事業団は、必要があるときは、労働大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。」と書いてありますが、この「必要があるとき」という意味はどういうことですか。われわれとしては、今現に必要があると思うのであるが、一体、その必要とする根拠はどういう場合を言うのかということ。さらに、その必要な場合には資本金を増加するというのであるが、その増加の仕方については、失業保険の積立金をもってするというのか、あるいは一般会計をもってするというのか。それぞれについて、その根拠を一つ説明していただきたい。これは労働省と大蔵省と、両方から御説明いただきたい。
#183
○政府委員(堀秀夫君) 事業団の資本金増加につきましては、これは失業保険特別会計からの出資もございます。それから一般会計からの出資もできるというふうに考えております。
#184
○坂本昭君 その「必要があるとき」というのはどういうことですか。
#185
○政府委員(堀秀夫君) これは、たとえば総合職業訓練所の施設を拡大するというような場合にその必要が認められるわけでございます。また、そのほか、いろいろな施設の面につきまして、必要があるというふうに認められまするときには増資をいたしたい。これにつきましては、要するに、この事業団内部に事実上設けます運営協議会、それから労働省といたしましては、職業訓練審議会等の意見も十分伺いまして、その必要性の判断をいたしたい考えでございます。
#186
○坂本昭君 それで、先ほど一番最初に労働大臣と議論をした点でありますが、訓練所に入ってくる人たちは、失業保険の対象である者がきわめて少ない。炭鉱離職者等を除く場合には四%以下である。そういうふうな現実の場合には、これは当然一般会計から繰り入れることが必要である、そういうふうに私はこれを読み取ってもいいと思うのですが、その点を大蔵省の方に聞いておきたい。
#187
○説明員(岩尾一君) 現在の総合訓練所にいわゆる中卒の人がたくさん入っているということは事実でございますが、今回の雇用促進事業団に対して政府が出資することができるという規定は、これは失業保険の特別会計の――先ほど申されました二十七条に基づきまして、訓練施設としていろいろな訓練等を行なう場合に、政府が失業保険の運用収入をもって充てることができるということを言っているわけでございまして、一般会計から出資するということを特にうたってあるものとはわれわれは思っておりません。従って、出資自体は運用収入から出資をされるわけでございますが、その運営の点におきまして、今申されましたように、実は失業保険に入っていない、あるいは入ったこともないという人が入るかもわからない、そういう場合に、そういった人につきまして、実際に訓練手当とか、あるいは移転費というものを支給することは失業保険の建前からいっておかしいじゃないかという議論がありますので、そういう人に対しましては、やはり国として見るべきであろうということで、そういった実際の事業費につきまして、一般会計としては現在一億の金を入れておるわけでございます。そういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#188
○坂本昭君 そうすると、今の一億の金というものは、失業保険の対象者でない人に対する手当である、そういう意味でありますか。
#189
○説明員(岩尾一君) さようでございます。
#190
○坂本昭君 そうすると、現実は今度一万七千名の人を対象として訓練をする、その中で私の計算では二割そこそこぐらいしか失業保険の対象の人はおらないと見ておる。そうであれば、今の一億という金はあまりに少な過ぎるのではないか。ことにこれは、先ほど来失業保険の目的は一体何かということで、実は目的の第一条から議論をして参ったのでありますが、大蔵省としては、失業保険特別会計法の十三条と十四条で、とにかく決算上剰余金ができたら積立金として積み立てなければならぬ。そうしてあと積み立てたものは、これは資金運用部資金に預託をして運用することができる。ただその項目だけで、この失業保険の積立金を、まあいわば気軽にお考えになっておるような私は印象を受ける。しかし、本来は、この積立金というのは、少なくとも六ヵ月分だけを用意をして、それが足りない場合には保険料を上げろ――だからこれは足りない場合には上げるのだけれども、余り過ぎた場合には――余り過ぎるということはこれははなはだおかしい話ですけれども、余り過ぎる場合には、失業保険法の第一条に指摘してあるように、保険金を支給して生活の安定をはかる、生活の安定がはかられていない以上は、あくまでも保険金を十分に支給をするという建前でいって、こういう積立金を作らないのが私はあたりまえだと思う。ところが、できてしまって、大蔵省には金がある、そうすると、何でもかんでもこういうものでいろいろな失業対策あるいは雇用対策までもやろう。これはきわめて不当な考えではないか。しかもこの訓練所は、これは失業保険法で規定された福祉施設です。しかし、そこで訓練を受けている人というのはきわめてわずかの人です。だから当然これは一般会計から出すのがしかるべきではないか。しかもそのためには、ここの「必要があるときは」という言葉については、これは法律的にいろいろな理解があるでしょうが、私は労働大臣の意見のように……。労働大臣としてもこれは一般会計から出すのがよろしい、もっと出さなければならぬという見解を先ほど披瀝をしている。だから大蔵省としては、これはどういうふうにお考えを持っておられるか。もう一億円出してしまって、これでもう十分である一この一億円というのは今の一万七千名の中の約七割の、失業保険の対象外の七割の人に対する金であって、これで十分であるという見解を持っておられるかどうか。さらにまた、建物そのものでも私はおかしいと思うのです。その訓練所を建てるのは失業保険の積立金で建てる。そうしてその中ではごく一部しか失業保険の対象の人は訓練を受けない。これも私はおかしいと思う。厳格に言ったら、はっきり分けて、失業保険で建てた分の部屋の中で訓練を受けますくらいに徹底したらいいのだけれども、それは理屈であって、雇用を促進するということはこれは国の大事な政策であるから、当然一般会計でやるべきじゃないか。それを阻害しておるのは大蔵省ではないか。あなたの方でそれをとめてこの失業保険を積み立てて幾らでも金を余しておいてそれで全部をやれと言っておるのではありませんか。
#191
○国務大臣(石田博英君) ちょっと先に私がお答えいたします。
 岩尾君は私の答弁を聞いていなかったと思うのです。それから岩尾君の答弁は今の予算、本年度の予算について言うておられると思います。そこでさっきお答え申し上げましたことをもう一ぺん簡単に申し上げておきたいと存じます。
 私は、失業保険積立金の金がふえてくる、剰余金が出てくるという事情は、それ自体としては必ずしも悪い状態だとは思わない。というのはやはり景気の変動によって失業保険をかけておる人ともらう人との間に差ができてくるとそういう事態を生じてくることがあると思います。しかし、その剰余金をまず第一にどういうところに使うかということになれば、あなたと全く意見は一緒であります。従って、失業保険の給付内容その他についての改善の措置は今考究を命じております。それは必ずしも社会保障制度審議会の総合調整を待つとは申しておりません。できるだけ早い時期にやりたいと思っております。しかし、それだからといって、福祉事業としてこういう種類の仕事をやることは、失業保険法二十七条の解釈が消極的だということについては私は必ずしも同意はいたしませんけれども、しかし、こういうことでやった事業というものは、原則として保険の受給者――保険をかけておる人あるいはかつて保険をかけておった人が利用するのが私は正しいことだと思います。それでさっき岩尾主計官の言葉でそれ以外の利用者がもしありとするならば、という答弁がありましたが、これはさっきから数字はお互いがあげております通り、もしありとするならばというような数字ではないのでありまして、非常に大きな。パーセンテージが新規学校卒業者であります。そこであなたのお話にございました通り、といって、保険金の受給者とその他の者について建物から教室から何からかにから分けるわけには参りませんけれども、そういう種類のものは国家が独自に、別に失業保険特別会計とは無関係になすべき事業であります。従って、そういうものについては一般会計が負担をすべきものだと思います。そこで現在の失業保険の利子、その他というようなものでこの事業団の規模が大きくなって参りまして、それだけの運用利子その他でまかない切れないというような事態がいずれ出てくると思います。出てきたときはもちろんでありますが、そうでないといたしましても、原則としてもっと一般会計が負担をするように私は努力をすべきものだと思います。現在までの数字に基づいて次年度の折衝については私どもはそういう原則論、つまり失業保険の特別会計と関係のない人が六割も七割も利用しておるという実情の上に立った負担区分というものをわれわれは主張し、実現をいたしたい、こう考えておるわけであります。
#192
○坂本昭君 大蔵省の方、答弁して下さい。
#193
○説明員(岩尾一君) 今の先生の御質問でございますが、私の申し上げましたのが若干言葉が足りなかったかと思うのでございますが、入れております一億の金と申しますのは、たとえば現在でございますと、失業保険法で移転給付というものがされております。従って、失業保険に入っておる人はみなこれをもらうわけです。それから炭鉱離職者でございますとまた別途に移住資金というものが出ます。しかもそれがいずれも出ない場合で雇用促進事業団の事業として移転資金を出すという場合には、これは一般会計から出すべきであるというようなことで出ておるわけでございます。二十七条の二の二項にはさらにこういった施設につきましては、被保険者であった者の利用に支障がない場合には、それ以外の者に利用さしてもいいというふうにあるのでございまして、今申しました新卒等の者がそういう訓練所を利用しておるものはその点から言ってもそうおかしくない。そこで全体の問題といたしまして現在の運用収入というものをそういった施設に使うことはどうかという御議論でございますが、長期保険でございますればそういった運用収入はすべて長期の給付の財源にすべきものでございますけれども、失業保険のような短期保険におきましては運用収入をどうするかということは規定もございませんし、特にどうということは考えていないわけでございます。
 先ほど先生六ヵ月というふうにおっしゃいましたけれども、おそらく三十条の規定から言っておられるのだと思いますが、これは本来ならば保険料を上げるには、法律をもって変えて上げなくちゃならないわけですけれども、そういういとまがないときには大臣が審議会に諮問して上げることができるということをいっている規定でございまして、六ヵ月の積立金があればいいという趣旨ではないのではないか、こういうふうに思います。従いまして、実際にはたくさん出て参りました積立金については、あるいは給付金を控除すべし、あるいは保険料を引き下げるべしとかいろいろな意見があるかと思いますが、そういう問題は現在社会保障制度審議会で議論されておられる段階でございますから、その結論を待って処置したい、こういうように考えます。
#194
○坂本昭君 一番大事な点は、積立金で今のような福祉施設を全然やったらいかぬ、それはその中に一般の人が半分入っておったら、部屋も半分分けろ、そういうことを私は言っておらない、それよりも積立金が不当なところに集まり過ぎているということと、そうしてこれにおぶさって政府は一般会計からこういう雇用促進のための事業の予算を出しておらぬということです。なぜ出さぬか、出してもいいのじゃないか、そういうことを怠って、労働者が負担しているところの失業保険積立金に全部おぶさる、そうして労働省も大蔵省もそれを利用している、そういう点ははなはだけしからぬ。だから理屈の上からいってももっと一般会計を出してもらいたいということを繰り返して申し上げている、労働大臣は、ほぼ私の意見に一致してきましたからよろしいのですが、大蔵省の主計官はまだそういう点でどうも十分理解ができていないように思うのですが、主計官にこれ以上答弁を求めても無理だから……。
 それで労働省と大蔵省の見解が違っているとは言わない、しかし、大蔵省自身ももっとわれわれの見解に近づいてもらいたいということなんです。だからもしそれならば、われわれは、失業保険の積立金を、三十条の規則を変えて、大蔵省にやるのはやめて労働省の中に置いておく、そうして労働省の中でもっと有効に使うようにする方が気がきいていると思う。これは大蔵省当局はいかがですか。
#195
○国務大臣(石田博英君) 主計官は現在提出されております予算案の説明員であります。従って、これから将来にわたる政策について答弁を求めることは、これは無理だと思いますので、私は国務大臣としてお答えをいたします。(「名答弁だ」と呼ぶ者あり)これは坂本さんの御議論の筋を、それをはっきり二つに分けてやれとかなんとかというような、きついことをおっしゃっている議論と私は受け取っておりませんし、自分でもそうおっしゃっている。そういう範囲において私は新規学校卒業者その他失業保険の対象人員でないものの施設等について、もっと一般会計が負担するのが筋であると思います。
 それから失業保険の積立金というものは、これは確かに失業保険という制度はもちろん短期の制度であります。しかし、現在は九百億になんなんとしている。かつて赤字が出ましたように、昭和二十八年でも赤字額が十億でございます。従って、保険の性格が短期であろうとその実質上の金額上から出た位置、その他から考えてその運用等についてもう少し根本的に検討する必要がある、そう私は考えている次第でございます。
#196
○坂本昭君 ただそういう考えの中から運営されてきた事業団の総合職業訓練所であるために運営内容において財政的に非常に不十分な点が多いのであります。その点がせっかくの訓練所というものの機能の中におる優秀な指導員にもかかわらず実を上げておらない、従って、きょうはあまりこまかいことまでは、もう労働大臣の答弁が名答弁だということですから、少し遠慮をいたしますが、たとえば先ほど事業費のことについて申し上げましたが、事業費のこまかい資料を私はここに持っております。しかし、これを見ましても、教材費が少ない。しかもこれには一つの基準ができている。その基準ができている。ところが、この基準は昭和三十二年十二月二十六日の基準であって、物価の変動といったものを見ていない。また、電気の基本料金といったものも、これも加算をしていない。こうした点で非常に不十分な事業費のもとに事業をしている。そしてそのために今度は教材費を振興会から出さなければいかぬというようなことになってきたので、前回私は振興会から出すというようなことはよろしくないではないかということを指摘したのであります。ところが、さらにいろいろな事実を徴してみますと、この振興会はその後もやはりあって、各訓練所から若干の金額を集めて、そしてそれでこの振興会自身が運用しているらしい。そうするとただでさえ乏しいこの教材費、こういったものがさらに削られてくるのではないか、こういう問題が、これはほじくり出したら数限りなく幾らでも出てくる。で、私はこの際、もう時間の関係もありますから、この振興会の問題について先般来御忠告申し上げておきましたが、一体どういうふうなこの新しい事業団の出発に際してお考えを持っておられるか、大臣がよく知っておられるなら大臣から答弁して下さい。
#197
○国務大臣(石田博英君) 私はあまり知っていない。
#198
○説明員(有馬元治君) 振興会の運営につきましては、先刻も先生から御指摘がありましたし、私どもも一ヵ年間の経験に徴しまして、運営を改めて参りたいと思います。その一番大きな点は、教材の購入、製品の販売というような事業は、事業団本来の業務に返して、福利厚生を中心とした振興会の運営に改めて参る予定でございます。
#199
○坂本昭君 それではあと数点お伺いいたします。それは新しく事業団が切りかえられますというと、職員の中にもいろいろな問題があろうと思うのです。が切りかわる前からして、たとえば指導員の定員の問題、あるいはその充足の問題、あるいは事務職員――事務職員もこれは定員があるようであります。しかし、先ほど来申した通り、この職業のあっせんなどのために非常に人員が不足をしておる。それからさらにいわゆる小使さん、あるいは守衛、――訓練所に行きますと、相当広い土地を持っている。そういうところに小使さんもいなければ守衛さんもいない。さらにまた、工場では、激しい職業訓練を受けているとけがをしたりする。その場合にその手当をする看護婦、こうしたものも確保せられていない。こうした人的な問題の改善、これらについて一括して御答弁いただきたい。
#200
○説明員(有馬元治君) 建設途上でありますためにまだ充員ができていないところも相当ございます。定員としましては、大体必要な指導員、職員を配付してあるわけでございますが、実際実員としては欠けておるという面もございますので、今後は適材を充員するということで、訓練所の運営に支障のないようにして参りたいと思います。
#201
○坂本昭君 次は、この指導員の補充のために一番隘路になるのは給与の面であります。これは労働福祉事業団全般として、昨年来この給与体系の改革のためには非常に苦労してきていることは認めますが、にもかかわらず、この指導員という、いわば教育的な立場にある人に対して、研究費、図書費、こういったものも予算化されていない。特にこの際明確な答弁をいただきたいのは、この前、私が何とかして給与をよくするための方法はないかといってお尋ねをしたときに、作業手当を三十六年度からはたしか七%つける、こういうことをお約束されたと私は思っておる。ところが、聞いてみるというと、四月分も五月分もまだ出ておりません。こういうことでは指導員も私は逃げていくだろうと思う。こうした今の作業手当の件、さらに給与体系全般の改正を私はしなければならないときであると考える。それは特に今度炭鉱離職者援護会と一緒になりますが、かなりなアンバランスがある。いろいろな諸手当の面、たとえば住宅手当だとか、その他微細にわたっては省略しますが、アンバランスの面がある。こうしたアンバランスの面を改めることと、さらにまた、給与全体、これは労災病院のストライキのときにも問題になった点であります。これらを十分一新して、新しい事業団として発足をする決意、というよりも、具体的な計画をお持ちになっているか、その点御説明いただきたい。
#202
○国務大臣(石田博英君) 足りないところがございまして、御不満でしたら、事務当局からお答え申し上げますが、まず最初に実習作業手当のことであります。これは明確に予算化いたしております。ただし、御承知のように、労働福祉事業団としての給与の係争中でございましたので、問題が解決するまでまだ延びておったわけでございますが、四月に遡及して支払います。それから炭鉱離職者援護会との給与のアンバランスでありますが、炭鉱離職者援護会は、御承知のように、五年の時限立法でございまして、それから先の条件が保障されておりませんでしたので、一般より高くなっております。そこで炭鉱離職者援護会職員と本事業団との関係その他の調整をいたしました上で、実情に即するように処置をいたしたいと存じております。
 それから給与の体系の問題でございますが、これはこの訓練所の指導員という性格は、ある意味におきましては、一般の教職員の仕事に非常に近いのでありますから、一般の事務職員とは本来性質が違うのでありますので、特別俸給表を作りたいと思っております。
#203
○坂本昭君 大臣からかなり明確な、特に作業手当の問題についての答弁をいただきましたから、その点は近日中に実施されることを期待しております。いずれにしても、今まで違った団体が一つの事業団として編成されるのでありますから、こまかい点についての配慮をいただくと同時に、ただそれのみに終始するごとなく、民主的な、効率的な運営を特にやっていただきたい。
 一つこれは事務当局に伺っておきたいのですが、法文の中で、附則の十三条、恩給の特例ということで、若干解釈について明らかでない点がありますので、私は簡単に事例を申し上げます。つまり昭和三十二年十月の一日、任官をしていなくて事業団に入った者は、この恩給改正で引き継がれるかどうか。こまかいことは全部省きますが、昭和三十二年十月一日、そのときには任官をしていなくて、事業団に入った――大体これは事務当局とすればおわかりになると思いますが、今御返事がいただけなければ、後でもけっこうです。一つ御返事がいただきたい。
#204
○政府委員(堀秀夫君) 要するに、問題点は、なるべく通算措置が、恩給法上の通算措置が講ぜられることが望ましいわけでございます。この点につきましては、この雇用促進事業団法の附則だけでなしに、目下国家公務員共済組合法の改正案を今国会に提出して御審議をいただいておるわけでございます。結論としては、その通算措置が講ぜられるように措置するようにいたしたい考えであります。
#205
○藤田藤太郎君 労働大臣にお聞きしたい。先日の質疑にも、きょうの質疑にも少し触れていましたが、来月の五日ですかからILOの総会があって、ここで労働時間短縮、週四十時間、二日休みの週五日制、この勧告が一年間討議されて勧告が行なわれ、きめられる。もうほとんどきめられると私は思います。これは、労働時間の短縮はILOの条約でも一九三五年、六年、七年ごろから産業別にしたものが多うございまするが、四十時間労働制の問題が条約できめられて、また、その四十時間労働制を実施している国が非常にたくさんある。こういうことで政府はどういう態度でこの勧告が討議されるILO総会に臨まれるか、これを聞きたい。
#206
○国務大臣(石田博英君) まず第一に、労働時間が生産性の向上に伴って、さらにその国の経済上、社会上の事情に即応して漸進的に改良されていくことが望ましいという態度であります。特に後段の文句は、今度の労働時間短縮の勧告案にも盛られておると承っておるわけでありますが、ただ現在の時限において、日本の現在の実情におきまして週四十時間という具体的文字が入りますことは、現在日本はまだ週四十八時間労働の実現に対して鋭意努力をいたしておる段階でございますので、現在の時限においてその数字を出されるということについては私どもはまだ早い。日本の実情においてはまだ早いと思います。従って、日本としては日本の立場を明確にした修正案を提出いたしたいと考えておりますが、原則的な方向及びその方向に向かってできるだけ早く実現方の努力をするということについては私どもは同意であります。それと日本の実情との関係についてただいま申したような態度をとるつもりでございます。
#207
○藤田藤太郎君 そうすると、週四十時間制が望ましいということは考えておるけれども、具体的今度の勧告案討議については修正案を出すと、どういう修正案を出されるのですか。
#208
○国務大臣(石田博英君) 私どもは、労働時間というものが先ほどから申しましたように、生産性の向上に伴って漸進的にいくことが望ましいと思います。それから今の決議の中にも、その国の社会的、経済的諸条件を勘案しつつ漸進的にそういう方向にもっと進むようにという文句が書いてあるというので、そういう面について同意であります。しかし、現在の段階で週四十時間という数字を出されるのは日本の実情、また・日本だけでなく、そのほかの一般的な他の加盟国その他の実情で一律的にそういう数字を示されることは時期が早いという意味でありますから、その具体的数字というものを削除するということを内容とした、原則的方向には同意であるという意味の修正案でありまして、まだ具体的なものを、はっきりした文句その他をきめておるわけではございません。
#209
○藤田藤太郎君 私は、この論議はもう今まで相当してきたからいたしません。いたしませんけれども、簡単に要約して言いますれば、日本のそれじゃ基幹産業の中心をなしている機械設備、生産手段というのは四十時間制を実施している国と同じ水準に全部とは言いませんけれども来ているわけです。そういう現実の姿というものを見ないで、将来の構想について、理想については望ましいけれども、今困るというその気持、まだ早いというこの気持を私は改めるというかまえがなければ、いつまでたってもその問題は解消しない。私はそう思うのです。だから、政府の考え方はわかりました。わかりましたが、いずれこの質疑を通じて迫水企画庁長官の方、企画庁の方においてもいろいろ完全雇用を通じて具体的な問題が出てこようと思いますが、私は問題の実現は心がまえいかんにかかっておると思います。だから、それがやはり外国との関係においても正常な形で出てくると、こういう工合に思っておりますので、今のILO総会に対しての考え方だけをきょうは聞いておきますけれども、しかし、将来、日本の経済や国民生活や日本の経済繁栄がいかにあるべきかということを十分に一つお考えになって、具体的に労働時間の短縮の問題を進めるように努力をしていただきたいということを私は意見として申し上げておきます。
#210
○国務大臣(石田博英君) 現段階に対する認識の問題、私は、これは議論じゃございませんが、従って、そういう点について、あるいはまた、その目標実現についての方法の問題について、藤田委員と若干の意見の違いがあると思います。しかし、最後に藤田委員が申された、つまり人間の生活、社会の幸福というものを実現するにあたっての労働時間の取り扱いということについては全く同意であります。そういう方向に向かって現実的努力をいたしたいと思います。
#211
○相澤重明君 委員長、関連。今の労働大臣の答弁少し後退しているのじゃないかと思うのだけれどもね。このILOの総会ではやっぱり労使がいるわけだ。やはりあなたは日本の政府を代表して行くわけですからね、国をしょって立っているわけだから、そこは日経連の前田君に言われたからといって、あまりしり込みする必要は私はないと思う。そこで、やはり資本家は資本家の意見を持っていく、労働者は労働者の意見を持っていく。そこでやっぱり労働者のサービス省としての、しかも日本の雇用、労働者の状況というものを率直にあなたが披瀝をされることが国際的視野の中でもなるほど日本の石田労働大臣もよくやりおるわいということになると思う。ですから率直に言って、やっぱりこの週四十時間制というこの短縮についてはやはり基本的な考えは変わらないのだから、むしろあなたから、資本家の諸君がそう言っても日本の代表としては具体的な数字について二時間とか、六時間ということについては意見があるかもしれぬけれども、短くするという基本的な考えが変わらなければやはりそういう日本語のうまい使い分けを英語に直したらいいかと思うのですよ。そういう考え方でないと、これは何か政府の代表でありながらやっぱり日経連にしかられて少し後退をしたのじゃないかと、こういう印象を受けるわけです。私はあなたの今までの努力を買っておきたいし、また、そうやってもらいたいと思う。その意味でいま少しその点説明を加えてもらいたい、どうですか。
#212
○国務大臣(石田博英君) 別に日経連からしかられた覚えもないし、この問題について――賃金の問題についてはずいぶんしかられましたけれども、私はしかるとかしかられるとかいう関係にあるとは私ども思っておりませんから、私の立場はいつでも明確にいたしておるつもりであります。この労働時間短縮問題については、私は早くから労働時間を短縮しなきゃならない、しかし、日本の現在の実情ではまだ四十八時間に歩調を合わせるのにさらに努力を要する段階に残っているのがたくさんあるのだ。そこで私どもは、今四十八時間に歩調を合わせるように、基準法の要求するところに歩調を合わせるように努力するのが、現在の段階における労働時間短縮への最初の一里塚だと考えているのだ。それから、労働時間を短縮するという方法は、それはやはり生産性の向上というものに伴って短縮していくべきものと考えます。従って、日本のそういう実情を考えて――確かに高いところでなし得るところはあるでしょう、生産性の高いところは。しかし、低いところもあります。それを急速にやると高低の差にまた開きが出てくるということであってはならないのであって、私たちはその方向について異存はないし、その努力を怠るところはありません。拒否するものでもありません。しかし、あなたの今おっしゃった通り、具体的なことはとにかくとしてという意味においては全く同意です。しかし、ここでそういうことを、具体的な数字をあげられることは、日本の実情ではやはり規模別、産業別のアンバランスということを、今の段階で急速にまた差をつける結果にもなるので、うまい英語を考えまして、日本の立場にこたえるように努力するつもりであります。
#213
○委員長(吉武恵市君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#214
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 ほかに御質疑はございませんか。――別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#215
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。(「なし」と呼ぶ者あり)なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#216
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。雇用促進事業団法案を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#217
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって雇用促進事業団法案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#218
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#219
○高野一夫君 私はこの際、ただいま可決すべきものと決定されました法律案に対しまして、各党各会派共同の附帯決議を付する動議を提出いたします。附帯決議の案文を朗読いたします。
    雇用促進事業団法案に対する附帯決議(案)
 一、政府は、すみやかに雇用基本法を制定し、適正な労働条件のもとの完全雇用に関する総合的、基本的政策を樹立するよう努めること。
 二、業務運営の円滑適正を期するため雇用促進事業団に、労使を含む関係者を構成員とする運営協議会を設けること。
 三、政府は、法第十九条第一項の事業団の行う業務に対し、一般会計より支出する等の方法によりその出資金及び交付金を増額するよう努めること。
 四、政府は、生業資金の貸付等の方法により離職者自立のため万全を期すべきであり特に炭鉱及び駐留軍離職者に対し特別の配慮をなすべきである。
 以上であります。
#220
○委員長(吉武恵市君) それでは高野委員提出の附帯決議案を議題といたします。まず提案理由の説明を願います。
#221
○高野一夫君 各項目についての提案理由の説明は省略いたします。お読みになった通りの内容でございますから説明の要はないと思います。ただ一つ、第一ヵ条の「適正な労働条件」これについての内容の説明をいたします。
 ここにいう「適正な労働条件」とは、雇用関係のきわめて不安定である臨時工とか、社外工などによる雇用拡大ではなくして、低賃金、長時間労働を解消いたしまして労働時間短縮を実施していく、そういう姿を意味しておるものであります。
 以上提案理由の説明といたします。
#222
○委員長(吉武恵市君) ただいまの決議案に対して御質疑のある方は、順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、これより本案を採決することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#223
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決をいたします。高野委員提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#224
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって高野委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 この際、石田労働大臣より発言を求められております。これを許可いたします。
#225
○国務大臣(石田博英君) ただいま行なわれました附帯決議につきましては、労働省は責任を持ってこの実現方に努力をいたしたいと存じます。
   ―――――――――――
#226
○委員長(吉武恵市君) 次に、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#228
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。これより採決に入ります。
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#229
○委員長(吉武恵市君) 全会一致でございます。よって、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#230
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 本日は、これにて散会をいたします。
   午後六時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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