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1960/06/02 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第33号
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1960/06/02 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第33号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第33号
昭和三十六年六月二日(金曜日)
   午後一時四十六分開会
   ―――――――――――
  委員の異動
五月三十一日委員相澤重明君辞任につ
き、その補欠として阿具根登君を議長
において指名した。
六月一日委員阿具根登君辞任につき、
その補欠として相澤重明君を議長にお
いて指名した。
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
  委員長      吉武 恵市君
  理 事
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
  委 員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           横山 フク君
           藤原 道子君
           相馬 助治君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 古井 喜實君
  政府委員
   厚生政務次官  安藤  覺君
   厚生大臣官房長 高田 浩運君
   厚生省薬務局長 牛丸 義留君
   厚生省児童局長 大山  正君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省公衆衛生
   局防疫課長   高部 益男君
   厚生省児童局母
   子衛生課長   松尾 正雄君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働者災害補償保険法等の一部を改
 正する法律案(相馬助治君外二名発
 議)
○じん肺法の一部を改正する法律案
 (相馬助治君外二名発議)
○労働基準法等の一部を改正する法律
 案(相馬助治君外二名発議)
○社会保障制度に関する調査
 (小児マヒワクチンに関する件)
○児童福祉法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
   ―――――――――――
#2
○委員長(吉武恵市君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
 まず労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案、じん肺法の一部を改正する法律案、労働基準法等の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
#3
○相馬助治君 ただいま議題となりましたじん肺法の一部を改正する法律案、労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案及び労働基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を説明申し上げます。
 金属鉱山等粉塵を発散する職場に働く労働者は、現在の商度の医学をもってしても治療の方法のないけい肺という職業病に侵されますことは、すでに皆様の御承知のところであります。このけい肺については、第二十二回特別国会におきまして人道的見地に立って、特別保護法が制定され、次いで第二十八回国会において臨時措置として、その保護期間が延長され、さらに第三十四回国会において従来の特別保護法等が根本的に改正されて、新たにじん肺法が制定されて、保護の対象範囲をじん肺に拡張して、じん肺の予防、粉塵職場に働く労働者の健康管理等について所要の規定を設けるとともに、労働者災害補償保険法の一部を改正して、じん肺等長期にわたって療養を必要とする職業病等の業務上の疾病に対しては打ち切り補償制度に変えて新たに長期傷病者補償を採用して終身これを保護することといたしたのでありますが、法律施行後一カ年余りを経過した今日、じん肺等の保護の実情を見ますと、いまだ改善すべき点が多々あることが明らかとなって参ったのであります。よって関係諸法律に所要の改正を行ない、じん肺等業務上の疾病に対してさらに適切な保護を加えようとするものであります。
 次に、各法案の内容について、その概要を説明申し上げます。
 最初に、じん肺法の一部を改正する法律案におきましては、じん肺にかかった労働者に対しては、使用者は休業補償を行なう期間、これとあわせて、年間、平均賃金七十三日分のじん肺補償をも行なわなければならないこととすることにしました。
 次に、労災保険法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は、じん肺にかかった労働者に対して、新たにじん肺給付を支給しようとすることであります。その支給期間は、じん肺について休業補償費及び傷病給付を受けている間とし、その額は、じん肺法で創設しようとするじん肺補償と同じであります。なお、療養開始後三年を経過したとき、本人の申請により自後のじん肺給付を一時金として一括受給し得る道を開くことといたしました。この場合の一時金の額は、平均賃金の六百日分といたしております。
 第二は、労災患者が長期傷病者補償に移行する時点は現行法では療養開始後三年を経過したときでありますが、本法案では、じん肺患者に限りこれを療養開始後六年を経過したときとするものでありまして、六年未満の間に解雇されることのないようにするのがその眼目であります。
 右に伴いまして、遺族給付の額の逓減する時期が現行法では長期傷病者補償に入った後一年を経過したときとなっているのが三年先に延びることとなるのであります。
 第三は、現在、労災保険法適用漏れの者に対しても適用の道を開くことであります。
 最後に、労働基準法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は、現在、休業補償の額の改訂されるのは一般賃金の額の上昇または低下が二〇%以上である場合となっているが、これを一〇%に引き下げることであります。
 第二は、労働者災害補償保険における保険給付の額の改訂事由についても二〇%を一〇%に引き下げることであります。
 なお、そのほか以上の各法律案についてそれぞれ所要の規定の整備を行なっております。
 以上が提案理由及びその概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#4
○委員長(吉武恵市君) 右三法案に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#6
○委員長(吉武恵市君) それでは速記を始めて。
   ―――――――――――
#7
○委員長(吉武恵市君) 社会保障制度に関する調査の一環として、小児麻痺ワクチンに関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#8
○藤田藤太郎君 小児麻痺の問題は、今日まで何回もやって参ったところでありますけれども、実際にことし施行されたソークワクチンの実施状況、要するに何月から何月に幾らやったという問題、それから今後の見通し、それと、それからもう一つは、生ワクチンの試験検査の状況と、それから試験的に九州に生ワクチンを実施されている状況と、それから将来の生ワクチンについての考え方、それから三番目は、今の小児麻痺患者の罹患の推移ですね、これを一つ詳しく言ってもらいたいと思います。そして、その上に立って質問をしたいと思います。資料はないのですか。
#9
○説明員(高部益男君) 資料は後刻提出いたします。委員室の方から御連絡がなかったものでございますから…。
#10
○藤田藤太郎君 きのうやるという連絡があったでしょう。
#11
○説明員(高部益男君) ありましたが、内容がどういうものであるかわからぬというので、準備いたしませんで申しわけございません。従いまして、こまかい状況につきましては、資料を後刻提出いたしまして御審議いただければけっこうだと思いますが、まず、ソークワクチンによる予防接種の状況につきましてごく概要をかいつまんで申し上げます。
 予防接種法の改正に伴いまして、四月一日施行のつもりでございましたが、各種の手続上実施の開始がおくれまして、全国、平均に見渡しますと、大体四月の下旬から市町村の接種に入っております。そして現在まで、五月の下旬までの状況におきましては、おおむね第一回に相応する予防接種は終了したようでございます。第二回目の一部は五月の下旬から開始されております。この第二回目の全国的な接種の終了は、六月の下旬から七月の上旬にかかると思われます。
 なお、実施率でございますが、各方面の各段の御協力を得まして、一月から三月までに行なわれました行政措置に基づくソークワクチンの予防接種全国平均七八%を凌駕いたしまして、悪いところで六割五分ぐらい、いいところでは一〇〇%、平均八割四分ぐらいの実施状況でございます。
 それから次は生ワクの試験状況でございますが、けさほどの新聞にも生ワクの試験協議会の方で発表いたしましたように、現実の緊急対策の一環として試験的投与を九州方面その他必要な地区に実施するということにつきましては、現在計画中でございまして、実際に投与に入っておりません。
 それからなお、将来の見通しにつきましては、各方面のお骨折りで得ました予備費をもちまして、厚生省から協議会にその事業を委託し、協議会から七名の方、それから厚生省から一名の者をもって調査団を編成して、その中に生ワクの将来のわが国における採用の可否等の見通しについての各種の調査をお願いするということになっておりまして、その海外派遣を一日も早く実現できるように事務手続を現在進めておる次第でございます。
 それから小児麻痺患者の発生の状況でございますが、五月十三日現在約二週間ほどずれておりまして申しわけございませんが――の数字を申し上げます。全国で五百八十九名、昨年同期が六百十九名でございますが、それに近い高率の発生を示しております。一昨年同期は二百四十名でございますから、ことしはその二倍以上という状況でございます。とりわけ過般の、各種の機会にも御説明申し上げました通りに、九州方面で、山口、福岡、熊本、大分、宮崎、鹿児島の六県は、依然としてその衰えを見せませんで、その五月十三日現在の数は三百十三名に達しております。他の四十都道府県の発生数は二百七十六名でございます。幸い佐賀及び長崎は、それぞれ年初からの累計二名及び一名という発生でございまして、まだ流行が佐賀及び長崎に波及しておるような様子は見えません。
 なお、五月三十日、これは未確定情報でございますが、九州方面対策本部から参りました九州方面の発生状況につきまして御報告申し上げます。五月三十日現在では、患者は熊本県百五十四名、福岡県八十六名、鹿児島県三十七名、山口県三十四名、大分県五十一名、宮崎県二十七名、佐賀県二名、長崎県一名、計三百九十二名になっております。
 なお、死者につきましては、熊本県六名、福岡県二名、鹿児島県四、山口三、大分二、宮崎一、佐賀及び長崎は死亡ございません。九州方面計十八名ということでございます。全国の死亡率に比しまして、幸いにして九州地方は死亡率は低いように現在までのところは見受けられます。
 以上がごく概況でございます。
#12
○藤田藤太郎君 そこで、生ワクチンの試験使用を九州方面にやるということは、二十九日の予算委員会で厚生大臣が答えているわけだが、これ、いまだに計画中で、まだ実施の運びに至っていないというのは、どういうことですか。
#13
○説明員(高部益男君) これは試験的投与という性質を持ちますので、生ワク研究協議会に委託して実施するという方式を厚生省としては立てまして、それに委託をいたしたわけでございます。協議会の方にいろいろお話をいたしましたところ、従来の協議会の範囲内では、このお願いいたしましたのは三十五万回分くらいの投与でございますので、かなり計画が、計画実施が困難であろうということで、急遽参加委員の拡充を求めまして、その委員会が昨日やっと成立したというふうな状況でおくれておるわけでございます。
#14
○藤田藤太郎君 その試験使用というのは、三十五万人分ですか。
#15
○説明員(高部益男君) 協議会に委託いたしました試験投与の量は、三十五万回分でございます。
#16
○藤田藤太郎君 それから、この協議会の、実施する人の専門委員会ができたのがきのうだと、こういうわけですか。
#17
○説明員(高部益男君) そうでございます。
#18
○藤田藤太郎君 専門委員会が。
#19
○説明員(高部益男君) 増員して、疫学部会という部会になりましたが、増員して疫学部会というものが結成されましたのが、昨日でございます。
#20
○藤田藤太郎君 それで、この三十五万人分はいつから実施しますか。
#21
○説明員(高部益男君) 昨日の幹事会の決定では、疫学部会長にすみやかに希望を申し入れて、おそくとも六月の下旬に投与が開始できるように諸般の準備を整えてほしいということを申し入れようということに決定を見ました。
#22
○藤田藤太郎君 六月下旬になんて、ゆっくりした話ですね。これは、なぜそんなにひまが要るのですか。技術的な問題をちょっと話して下さい。
#23
○説明員(高部益男君) 現在、三十五万回分と申し上げましたが、それは予定でございまして、手元にありますものは、一型のワクチンが九万回分、二型のワクチンが十七万回分、三型のワクチンが三十五万回分でございます。これは、全部原液の形をとって現在あるわけでございます。で、それを希釈いたしまして、投与に便利なような容器に小分けをいたします。そして、それを適温に保存して輸送するというための経費もいただいておりますので、それらの輸送器具の調弁にもかからなければなりません。それから、実際に実施をいたします場合に、流行の状況を判断して、流行のおそれある地区並びに流行している地区、それらの選定をいたさなければならないわけでございます。これらにつきましては、一定の基準を協議会としてはきめまして、その基準をもちまして、各都道府県を通して、投与を希望する人、並びにその地域の選定にかかることでございます。それらのことが重なり合いまして、この投与の実施が、非常に急いでやはり六月の下旬になるであろうということでございます。
#24
○藤田藤太郎君 そこで、九州の今の状況を見ると、五月十三日現在で三百十三人、三十日現在で三百九十二人と、非常な速度でふえているわけですね、たった十五日間で。現地の声というのは、非常に深刻な御意見、世論があると思うのですね。しかし、小児麻痺というものが、実際上の、外国やそこらの先進国の状態が、環境衛生の高い国では、中、高年の人も罹患することがほんとうに国民にわかって参りますと、今のような、子供を持つ親だけの問題から離れていくということです。環境のいいところは、五十才くらいまで罹患率が変わらぬということですね、統計に示す通り。九州では、中学生とか高校生というような者が罹患しているということも聞くわけです。だから、大量に、国民的な人間麻痺ですね。小児麻痺じゃなしに人間麻痺のことなんですから、この人間麻痺の状況というものを、今のような緩慢な速度でやられているというところが、僕はよくわからぬ。もっと熱意のできないものか。物理的な準備のための日限が必要なことはわかりますけれども、しかし、いずれにしたって、三十五万回分やろうと、試験的にもやってみようという実施をせられて、されるような心がまえの基礎になったものは、あのセービン博士から十万単位、十万人分の生ワクチンが来て、試験をされたんです、予研で。あの予研で試験された結果はどうなんですか。
#25
○説明員(高部益男君) 各般の事情を御存じでございましょうが、わが国の流行型のおもなものが一型であるということ。それからその次は、各国とも大体一型の投与から始めるというふうなやり方等を参照いたしまして、これは御承知の通り、各型別に検査を済まさなければなりませんものですから、一型の検査を昨月、五月の初めに一型の検査が終わりまして、これを安全に用いられるという検査の結果によりまして、全国の協議会の委員の先生方が投与を開始いたしております。
 それからその次は、三型の検査をいたしておるわけでございまして、これは現在まだ検討中でございます。二型はそのあとに成績が出る予定でございますが、これは一型が終わりましたので、両型ともかなりスピードが上がって参ってきておりますが、そのあとにやはり二型の成績が出るというふうな見込みでございます。
#26
○藤田藤太郎君 三型と二型の結論が出るのはいつ時分ですか。
#27
○説明員(高部益男君) 今月の末の予定でございます。三型の方はもう少し早く結論が出る予定でございます七
#28
○藤田藤太郎君 そうしますと、費用の面からいっても百分の一でできる、これは的確か、よく知りませんけれども、そういうことがよく言われている。それから、赤ちゃんにはスプーンで使用することができる。普通それ以上の者には、ドロップかあめ玉かなんかに加えて飲んで、一回で終わる。一回で効果を発揮する。こういうものだと私は理解をしているわけですが、今このソークワクチンの注射で、子供がもうほんとうに注射を見ておられぬほど、ぎゃあぎゃあ泣いているわけですね。そういうように人道上から言っても早く切りかえなければならないということじゃないかと私は思うのです。そこで一型が適格承認されたので、これを主体にして三十五万人分やろうという心がまえができたわけですから、これは将来この六月中にできますと、承認適格、検査中のやつが検査が終わりますと一型が承認される、私は最後の結論はわかりませんが、大体外国も何千万といってみなやっておりますから、そう支障のあるものであるとは考えられない。そういうことになると、人道上の立場からも、国民がこの小児麻痺という病気をよく理解してくれば、ただ子供を持つ親だけでなしに、全国民的な要求になってくる、そういう中で、厚生省は、これは一つ大臣にお尋ねしたいのですが、どういう心がまえで今年中に生ワクチンに切りかえてやろうという覚悟があるのかどうか。そのために私は二十九日、予算委員会で特別にこの問題を池田総理に質問いたしました。池田総理は、財源が要ろうと人道問題だからできるだけのことをしたいということを約束しておるわけです、これは予算委員会を通じて国民に。だからその具体化というものは厚生大臣をもって人道上の問題だからやりなさいということを申し上げておいたのですが、どういう工合に計画を立てておるか。ほとんど生ワクチンの試験からいって見通しがついているわけですから、どういう心がまえがあるか、一つ次官から大臣にかわってお答えを願いたいと思います。
#29
○政府委員(安藤覺君) 大臣がおいででございませんので、私からかわって申し上げますと、先般の池田総理大臣への藤田先生からの御質疑に対して、池田総理大臣の御決心のほども明らかになり、また、大臣とされましてもただいま先生のお話の方向については共鳴の御意見を持っておられます。従いまして、この方向で現在三型、二型の試験の結果、さらには現実に一型を実行いたしました上においての効果等々を見きわめますれば、ほんとうに踏み切ることでございましょうが、ただこの間やはり今明日中にも出発することになるであろうと思われます七名の研究調査員の方々が、ソ連、イギリス、アメリカ、チェコ等をきわめて短期間に、しかも正確に調査研究して帰られることでございましょうので、本格的な計画なり何なりはその一応の報告を待って最後の決定をいたされることだろうと存ずるのでございます。
#30
○藤田藤太郎君 そうすると、この派遣される七人の人は、厚生省を加えて八人ですか、厚生省を加えて七人ですか。
#31
○説明員(高部益男君) 厚生省を加えて八人の予定でございます。
#32
○藤田藤太郎君 八人で行かれる、この方々は、今明日中に出発されるというのですが、日程はどうなっておりますか。いつ出て、いつ帰られるか。
#33
○説明員(高部益男君) ちょっと政務次官への御報告がおくれておりましたので、今明日中というような政務次官の御答弁もございましたが、ちょっとこれは早過ぎまして、事務的な問題がかなりございます。なるべく厚生省といたしましては極力急ぐということで早目に連絡をとっておりますが、普通の状況でございますと、どうしてもこの調査団の大部分の先生方が文部教官でいらっしゃいます。その関係がございまして、文部省と、厚生省と、両方から外務省に旅券を申請するというような形をとる意味の事務の手続もございますので、やはり二週間ぐらいは最低必要であろうというふうな話を、事務を担当しております部局の者から連絡を受けておるわけであります。何とかもう少し縮まらぬかということで、現在私の方の担当は努力は続けてはおりますが、そうなるのじゃなかろうかと思います。
#34
○藤田藤太郎君 そんな返事を聞いておるわけじゃありません。私の言っておるのは、いつ出発して、いつ帰ってくるか、今の次官のお話の通り、それを聞いております。
#35
○説明員(高部益男君) 失礼いたしました。出発の時日はそういう意味で極力急ぎますが、帰って参りますのは、三十日の予定で全団員が東京へ帰って参ります。旅行期間が三十日間でございます。
#36
○坂本昭君 今、次官は今明日中に出発ということを言っておられましたけれども、実際は次官のお考えが一番正しいんです。というのは、この非常に流行の切迫しているということもありますけれども、それよりも今一番生ワクを使っているところはソ連、チェコですね。特にソ連が一番中心です。ところが、ソ連では六月の大体中旬に入りますと、もう十日ごろから夏休みになるんですよ。夏休みになりますと、モスクワあたりにはりっぱな学者だとか、あるいはバレリーナーの有名な人なんていうのは、ずっと南の方に避暑――避暑と言いますか、遊びに行ってしまうんですね。これはちょうど私今から五年前にモスクワに六月十日過ぎに行きました。そのときに松山樹子さんというバレリーナーが、あれは有名なバレーの先生がいますね。その人について習いたい。それから一緒に行った外科の医者が外科手術の技術を習いたい。そういう特別な注文があって私はそういう交渉をやったことがある。そうしますと、そういう著名な教授だとか、芸能家はもう六月の十日ごろからおらないんです。全部南方に行ってしまうんです。ですからこれはぐずぐずして今月の終わりごろ行ったら、向こうに行ったって、日本の学者はまことに御熱心でございます、しかし、わが国の学者は避暑に行ってますということで完全な交渉ができないおそれがあります。ですからもしおくれるならば、これは緊急のことですから、特別にこれは外交的な折衝をして、大使館を通じてでも、この当面の責任者の方にはぜひともまげておってもらいたい。そして日本の学者と十分な学問的交流をできるように一つ、これは依頼ですけれども、をしておいていただきたいんです。でありますから、そういう点で私は、実際上の問題としてチェコやモスクワについては早く行かないというと留守になってしまう。そういうことを懸念いたしますから、その点は次官の言われる通り、今明日中にでも出発していただきたい。
#37
○政府委員(安藤覺君) お答えを申し上げますが、先ほど私が今明日中にと申し上げましたのは、これは私のただ勘で言った、思いつきで言ったことではないんでありまして、一週間ばかり前に課長から報告を受けたわけであります。いよいよ内定しまして、御安心下さい、今明日中に出発させるように督促しておりますと、こういう報告を受けまして、しかるところ、まだ今出発してないというのですが、あれからずっとやってきたから、いよいよ今明日中には出られるのだろうと、こういうふうに、ここのところは私の勘でありまして、努力はいたしておるのでありましょうが、渡航免許その他のいろいろなことがあると思います。このあともしこの会が済みましてからあとで課長から聞きまして、そういうことでどっか障害があるなら私自身が飛び出していって、役に立つか立たぬか別問題といたしまして、外務省でも飛び込んでこれを促進するつもりでおります。
#38
○相馬助治君 関連して。今の藤田委員の質問に関連してのお答えについて、ただいま次官がおっしゃったことでもう尽きていますけれども、閣議が生ワクを入れることを決定しているほど政府自体が熱意を持っているはずなんですが、先ほどの答弁をむし返すようだが、文部省と、それから厚生省と、そして相手が外務省だから渡航申請がおくれるとか何とか言うておるが、これは毎週開かれる渡航審査会で一般に審査させるのとは、こういうような特例を設けても、何か持ち回りのようなことでも何でも許可をして、一日も早く出すべきだと思うのです。そうしてこういうものがもしかりにおくれる場合には、一つ次官、文部省なら文部省がこういうけちをつけておくれたとか、何々でおくれたということを明瞭にこの委員会に報告していただきたいと思うのです、これはわれわれも考えようがあると思うのです。ともかく督励で、もう審議会等を次官の力で急がせて、あなたの答弁されたように今から一つされるようにお願いします。
#39
○政府委員(安藤覺君) 御趣旨のように沿っていきたいと思います。で官庁関係のもしそういうところで障害があるとするならば、障害はできるだけ突破していきたいと思いますが、派遣される個々の先生方におかれましても、個人的なもろもろの障害は願わくば排除していただくようにお願いしていきたいと存じております。
#40
○藤田藤太郎君 いろいろの御事情があると思いますけれども、各地の権威者がおいでになるのですからなかなか非常に困難な条件を乗り越えていかれることだと思うので、この事情ですからまあ二週間ぐらいかかるやろうというようなことではなしに、一日も早く一つ行ってもらって、そしてそれが国策をきめる基本になるのですからぜひ一つお願いしたい。まあ三十日の日に生ワクチンについて特別閣議が開かれたということを承っておるわけでございますから、私はやはり現地の方々の声というのは非常に深刻なものでございます。これはいろいろとまたあとで御意見が皆さんから出ると思いますけれども、そういうことも考えていただいて、事務当局もこれはどうも熱意がむろんおありだろうと思うのですけれども、事務的にという観念を離れて、人道問題ですから、ぜひそういうことは熱意をもってやっていただきたいと思うわけです。
 そこでその次の点は、今の実施されているソークワクチンの一回分の注射が少し安くなったようですけれども、それは幾らで実施されているか。それから生ワクチンになった場合にどれぐらいで一回分がやれるかですね、ということもお聞きしておきたいと思います。
#41
○説明員(高部益男君) 私どもが現在法律に基づいて実施しております場合の市町村の徴収基準でございますが、一回当たり二百七十一円をもって徴収基準と現在いたしております。
 なお、生ワクチンになった場合の見通しにつきましては、私の手元に現在十分な資料がございませんが、薬務局長がお見えでございますので、薬務局長の方からお答えさせていただければありがたいと思います。
#42
○政府委員(牛丸義留君) 現在のまずソークワクチンの値段は、これは国産品と輸入品との比率の……輸入品を緊急輸入するという措置を二月及び四月にとりましたので、そういう観点からプール計算の結果で、国内価格と輸入価格のプール計算の結果で、従来三百四十円で一CC当たり販売しておりましたのを二百六十四円まで値下げができるという結果になったわけであります。従って、市町村に対しましてはそれに七円の手数料がプラスされまして、一CC当たり一回分二百七十一円で現在実施されているような状況でございます。
 それから生ワクの価格でございますが、これは現在アメリカのファイザーにしろ、その他の生ワク製造会社の方の単位生産価格というものは、まだ正式に各国が大量に購入をしてやるという段階に至っておりませんので、私どもとしては、はたして国際価格が、一回分何円であるかということははっきりとしておりません。ただソ連の値段は聞くところによりますと、三型混合で一回分が一セントあたりで領布してもよろしいというようなことが言われておるというようなことでございますが、まだこれは私どもが正確に耳にしたわけでもございませんが、ただそういうことは聞いております。
#43
○藤田藤太郎君 一セントというのはアメリカの一セントですか。
#44
○政府委員(牛丸義留君) そうです、三円六十銭。
#45
○相馬助治君 そんなに安いんですか、十セントじゃないですか。
#46
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#47
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#48
○政府委員(牛丸義留君) 従来の情報では、大体一回分十セントというふうに聞いておりますが、最近のこれはまだ正式には私どもが購入を許可したわけではございませんから、正式な価格ではございません。しかし、情報によると、一回分を一セントで頒布してもよろしいということをソ連では言っている、こういうことを私が聞いているということを申し上げたのであります。はたして国際価格が幾らであるかということは、今のところ不明でございます。
#49
○藤田藤太郎君 わかりました。
#50
○坂本昭君 ちょっと関連して。
 今の三型混合が一セントということですが、ソ連の場合も、三型混合よりもやはり一型先にやっておいて、二型、三型と三回やる方がどうも多いのじゃないかと思うのですが、そうすると、どうもまだお答えにくいことかもしれませんが、大体一回分が三円ちょっととして、三回やれば十円を少しこす程度、そういうふうに理解してもいいのではないか、そう思うのですが、大体その程度に考えていいですか、実はこの前はたしか薬務局の細菌製剤課長さんは、三十円ぐらいと言われたのです。その三十円ぐらいということは、私も大体一回三十円ぐらいと理解したのですが、三十円と三円ではだいぶ違いますし、それから三回やって十円ということ、しかも実際は一型だけ使えば主たる目的を果たすのですから、たった一回三円六十銭となると、これは大したことですよ、三円六十銭と三十円とではとんでもない違いなので、この点不明確なら不明確でいいですが、大体の数をこの際言っておいて下さい。
#51
○政府委員(牛丸義留君) これはむしろ坂本先生の方が詳しいのじゃないかと思いますが、要するに、現在国際価格というものはないわけでございます。それでどこもまだ商業ベースでこれ販売されておりませんので、幾らするかということはみんな揣摩憶測でございますので、そういう意味ではまあ正式な答弁はわかりませんと答える以外ないわけでございますが、それでは皆さまも御満足ではございませんでしょうから、私どもが最近聞きました情報によりますと、そういうことも聞いております。しかし、これは、ここから先は私の推測になりますが、もし日本が非常にそういうことで困っておるならば、きわめて安く分けてもよろしいという意味の価格であって、商業ベースで売り買いするときの価格は、またおのずから別になるのじゃないか、そういうことになりますと、はたしてどの程度かということは、これは私はここではっきりとはできないのじゃないか、しかし、従来は、これも私どもが聞いたのでは、三十円くらいということは聞いておりますが、最近ではそれよりも安く頒布してもよろしいというようなことも言っている。そういう程度のこれは情報でございます。
#52
○相馬助治君 関連して。五月十六日の本委員会で、坂本委員が生ワクチンの製造と価格について質問したことについて、竹下君が説明をして、はっきりわからぬと言ったものだから、坂本委員から、そんな不勉強なことではいけませんよという小言を食って、そのあとでこういうことを言っておるのですよ。「正確でございませんけれども、大体ソ連の製品につきましては一錠三十六円程度だという話は聞いております。」こう明瞭に答えておるわけですね。そうすると、私は今局長の御説明の通りだと思うのですけれども、国策として国が考えて、一方では閣議の取りつけまでしておるときに、この坂本委員が質問していたときと時限が違ってきていると思うのです。このときも坂本委員から、そんな不勉強じゃいけないとしかられて、それで正確ではないけれども三十六円だと、こう言っておいて、そうして今になってもまだ正確ではなくて、三円というのがいわゆる価格ではないけれども、ソ連自身は無料で譲渡するけれども、そこに必然的に手数料めいたものとして実費が三円かかるというのか、それから値段ではないけれども三円だけ価格としてとって、そこに費用をかけるというのか。こういうようなことは国の需給計画を立てる基礎になると思うのです。と同時に、出発していく学者が、そういうふうな情勢を正しく把握していくことが、ソ連に行ってもイギリスに行ってもとんちんかんな発言をしないで済むことだろうと思うのです。逆に言えば、厚生省はこういうことに対して責任を持って、大体聞いた話だというけれども、どういうところから聞いて、その正確度がどの程度あるのかぐらいのことは私は知っていなければならぬと思うのです。ここで質問されたから、及び腰で知っていることをぼちぼちと答える。それにしても三十六円から一挙に三円じゃ、これは話がちょっと飛躍し過ぎているので、三円という情報というのは何ですか。だれかが聞いて、うわさ程度に聞いたということですか。それとも何かの機会でこういうふうに聞いたということですか。大体三円というのはこんなふうな趣旨のものではないかということは、私どももそう思うけれども、そのうわさだか評判だかの出所はどこなんですか。
#53
○政府委員(牛丸義留君) 価格の点につきましては、先ほど申し上げましたように、まだ国際的な売買のことになっておりませんので、これはきまってないわけでございます。従って、これについて私は学者がとんちんかんなことを質問をする心配はないんじゃないかというふうに思っております。それから前回の質問のときに、企業課長が御答弁申し上げたことと、私が今日申し上げた間には相当時間もたっておりますし、私の情報はその後得た情報でございまして、これはソ連と取引をしておる商社がそういうことを聞いたということを私どもに報告しておるわけでございますから、それがさらにどういう内容のものかということは、それ以上は聞いておりませんが、おそらく私はこれは正式な商業ベースとしての販売価格じゃなくして、いわゆる頒布価格というふうに私は理解しているということを申し上げたわけでございます。
#54
○藤原道子君 関連。私どうしても厚生省が熱意がないと思うのですよ。ほんとうに生ワクをやろう、このおそろしい小児麻痺から国民を守ろうという熱意があれば、うわさ程度でなくても聞く方法はあるだろうと思うのです。どういうのですか、一体。やる気があるのですか、ないのですか。これを聞きたいのですよ、私は。
#55
○政府委員(安藤覺君) お答え申し上げます。国民を守り、ことにこのおそろしい小児麻痺から幼い子供を守っていきたいという熱意は燃えているわけでございます。ただ、今までは、この生ワクというものが決定的に心配のないものだという結論が出ておらなかったわけでございます。最近一型とかいうので試験的にやりましたので、一応無害という結果が出ましたものですから、思い切って踏み切って、この間の閣議申請にもなったわけでございます。そこで今生ワクの値段、国際価格がどうなるであろうかというようなことにつきましては、まだ市場に大量に売り出されるというような状況になっておりませんので、値段のほどはわかりにくいと牛丸局長が答えておるわけでございまして、現に牛丸局長も、先般アメリカ、スイス等へも会議のために行って参ってきて、そうしていろいろとその辺のところも聞いてきたのであろうと存ずるのでありますが、熱意においては御心配なく、なおこの上とも御鞭撻を願いたいと存ずるわけでございます。
#56
○藤田藤太郎君 それで、この三円六十銭、一セントというものでできるということになれば、たとえば何といっても厚生大臣がいつも言われているように、一型、二型、三型といいますか、日本の国民の人体云々ということが今までの焦点ですから、的確に証明されて参りますれば、たとえばの話ですよ、一セントというようなことで、三千万入れても一億円ぐらいのことで済むわけです。ですから、そういうことは今のポイントとしては、七人、八人の研究員が行ってこられて、最後の決定を下せるというところまで御返事をされているわけですから、やはりこれに関係しても、早く行かなければならぬという問題が出てくると私は思うわけです。そこでこの問題については、今もほかの人から御意見がありましたように、ソ連は十万人分を無料で差し上げます。最近ファイザーというか、イギリスが三十万人分差し上げます、こういう順序で、生ワクチンの推移というものは動いてきているわけです。これは世界的に、私たち国民から見て、もう一週間か二週間前の新聞だったかと思いますけれども、アフリカのどこかの国でしたけれども、全国民に生ワクチンの実施をしているところが、大きいグラビアで、新聞に出ていましたね。私はああいうものがアフリカの国民に施行されていて、日本の国民にまだ、いいということがわかっていながら施行されてないということを、私は奇異な感じを持つ。特に九州地方の発生の多いところの方々は、私はそういう奇異な感じを持ちながら、早く実施していただきたいということを願っておられると思いますけれども、これはぜひ政府が、今まで主張されているその試験を早く終わっていただいてそうしてそれを実施するということ、そうして大量に実施するにはどうすればいいかというような問題についても、早く結論を出していただきたいと私は思うわけであります。生ワクチンの関係については、私はあれだけ約束を予算委員会、並びにきょうもお約束いただいたから、ことしの少なくとも七月半ばごろには、全国民的な範囲において生ワクの実施というものが行なわれるということを自信を深めているわけでございます。だからそういう期待にそむかないように、厚生省はぜひやっていただきたい。
 ところが問題は、障害が一つある。その障害の問題について、これから一つ薬務局長並びに次官にお尋ねしたいと思う。というのは、このソークワクチンの問題です。ソークワクチンは、六つの会社で分けて製造するということで出発したわけです。私たちは素朴に考えてみると、この会社の製造との関係が、生ワクチンに踏み切るのに相当な障害になっているのではないかという、何かひがみかわかりませんけれども、私は政治的にそういうところに問題が、むしろ国民の願いとは違ったそういうところに障害があるのじゃないかということを私は思うわけです。ですから、ここでお聞きしたいのは、今のソークワクチンの輸入の価格が、原価が幾らで税金その他が幾らでというのが一つ。それから国内生産が幾らで、一回分なら一回分でいいですけれども、そういうことを一つお聞かせ願いたいと思います。
#57
○政府委員(牛丸義留君) 従来の、先ほど申し上げました値下げ前の国産品とそれから輸入品のプール価格は三百四十円というように申し上げたのでありますが、これは輸入品でなくて国産品だけで需給の実施をやるとしますならば、大体四百円程度の価格になるわけでございます。それに対しまして安い輸入品をそれに入れてそしてプールをしたのが三百四十円という価格になるわけでございますが、これは大体全体の需要量九千リッターのうちで年間の国産品の見込みを七千リッター、その当初の輸入量は二千リッターでございますので、七対二の比率で、その百二十円と四百円というものとの按分比例をしてただいま申し上げました三百四十円という価格が算定されたわけでございますが、それが国産品も当初の予定よりも生産の見込みがよけいになり、全体として一万八千リッターぐらいが年間の所要としているし、それに見合うだけの国産品の生産量もふえるということで七千リッターが一万一千リッターぐらい出るように見込みが、実際にやってみて立ったわけであります。それに対してまた、輸入品も、これはどうしても当初間に合いませんので、当初二千リッターで十分であろうと見込んだのが、四月の緊急分まで入れまして七千リッター輸入品を輸入するということになりましたので、全体が一万八千リッターのうちで十一対七というような比率になってきましたので、それに輸入品が初めの輸入品よりも値段が安く入ることになりました。これは販売価格が安くなりましたので百二十円で計算されましたのが百九円で済む、約十一円ぐらい値下げが現実にできるようになりました。そういうことから高いものと安いものとの比率の問題と、それから両方の、国産品そのものも生産量がふえることによって単位当たりは値段が下がるという計算になりますから、そういうことで二百六十四円で、両方のプール計算ができる。こういうふうなことで約七十万円を値下げすることができた。こういうふうになったわけであります。
#58
○藤田藤太郎君 私の聞いているのは、輸入ワクチンの原価が幾らで、運賃が幾らで、そうして税金を取ってるなら税金が幾らで、そうしてどうなっている。もう一つ加えておきますけれども、この輸入ワクチンというのは厚生省が輸入されているのか、商社が輸入しているのか。そこのマージンというものはなかなかわかりにくいが、たとえばこれはアメリカでしょう輸入されているのは。アメリカの実際に出荷しているのは幾らでしているか。こういう問題もあわせて聞かして下さい。
#59
○坂本昭君 ちょっと関連。今の問題は先々回の委員会で今の国産品と輸入品の価格を調整し、これを決定しているのが細菌製剤協会である。細菌製剤協会がどういう機構でどういうふうな計算でやっているのか。そうしてその財政がどうなっているかを一ぺん資料として出してもらいたいということを私の方で要求をしたはずであります。必要に応じて細菌製剤協会の理事長に来てもらって答弁を求めるというところまでこの間伺っているのでありますが、今藤田委員の聞かれていることは、それらのこと等について具体的なケースをあげて説明してもらいたいということなんです。今初めて聞くことではありませんから、一つ責任のある答弁をしていただきたい。資料を当然出すべきじゃないですか。
#60
○政府委員(牛丸義留君) 輸入品の輸入原価は、これは最近、今度やりました四月に実施しましたものによって算出した算定の基礎でございますが、一千リッターで、その輸入原価CIFが四千百四万円でございます。それに対しまして関税が八百二十万八千円。それから輸入諸費としてこれは信用状の開設とか電信費、金利、通信諸費、保管料、保険料、通信料等の合計でございますが、三百九十万円。それから検定費が、これは国家検定の費用でございますが、百八十万円。それから区分けをしたり何かする。それから日本の製品として販売になるわけでありますので、その包装費が二百二万三百円、約二百二万円、そういうものの合計が全部で五千七百万円。その一千リッターの計算になるわけでございます。そうしますと、十CC一本の値段が五百七十円三十九銭というふうになります。それに一般管理費と、それから利益を一〇%見まして一CC当たりの十本単位が九百八十三円というふうに計算されました。これは一〇CCでございます。五百七十円三十九銭が、それが一本当たりの輸入の原価でございますので、九CC当たり……一本一〇CCと九CCと二つありますが、これは九CC分の、一本というのは一つのびんに一〇CC……。
#61
○藤田藤太郎君 それはわかっている。わかっているけれども、一〇CCと九CCと、どういうことになっているわけですか。
#62
○政府委員(牛丸義留君) これは九CCのあれで、さっき一〇CCと言ったのは間違いです。
 それに管理費と利益、マージン一〇%を含めまして九百八十三円四十二銭。それを一CCだから九で割りますと百九円という値段が出ます。
#63
○藤田藤太郎君 これは商社に輸入させて、許可制ですか。
#64
○政府委員(牛丸義留君) これは各製薬業者が、輸入業者が輸入をしているわけでございます。
#65
○藤田藤太郎君 アメリカではどれくらいの価格で実施していますか、ソークワクチンは。
#66
○政府委員(牛丸義留君) 今ちょっと正確な資料が手元にございませんが、昨年の国内価格が、日本の金で百四十円程度でございます、一CC当り。
#67
○藤田藤太郎君 大体わかりましたが、日本で言う一回分一CCが四百円ですね。四百円というのはこの中で関税とか輸入費用が要らぬわけだし、それから検定費用はまあ要るわけでしょうが、それから国内では包装というようなものが要るわけですが、これを引きますと利益が相当見積もれていますけれども、そうすると、だいぶ安くなるわけですが、輸入品は。そうすると、国内生産が四百円、大体五倍、六倍くらいかかっているわけですね。輸入原価から見ると六倍以上かかっていますね。七倍くらいになっています。これは何で日本はこんなに高くつくのですか。
#68
○政府委員(牛丸義留君) これはまあ結局生産をアメリカが始めましたのが一九五五年で、もうすでに六年くらいたっておりますし、日本も六年くらいたちましたらおそらくこのくらいのコストでやれるのじゃないか、今のアメリカ国内で販売しているコストで。要するに、最初は製造の技術的な問題その他で非常にやっぱりロスが多いんじゃないか。現にこれは損耗率を二〇%としての計算でございますが、今までのところ、日本ではある一つの製造業者がそのロット全部だめになったというようなことになりますと、これはもっと百パーセント・ロスということもありますので、そういうものを平均してみて今のようなことになります。結局製造がある一定のところまでいって、技術的な熟練なりあるいは製造の改善によってだんだんとコストは安くなる。私どもの見通しで見ても、日本の国産品も来年度、再来年度にいくとおそらく半分くらいにまで下がっていくというような見通しがつくわけでございます。そういう点で、アメリカが現在やっている価格と日本が今とっている価格というものは、ちょうどアメリカの製造当初の年度におきましてはアメリカも三百六十円ぐらいの販売価格で売っておるわけでございますから、あまり日本と差がないというふうに私は考えております。
  〔委員長退席、理事高野一夫君着
  席〕
#69
○藤田藤太郎君 私は、少し薬の一般の問題について聞きたいのですが、同じ薬を製造するのに、これはなんですか、ソークワクチンの製造は政府が六社にお願いしてやってもらったというのですか。ワクチン製造を政府がお願いして、一切のめんどうを見て、やっておもらいになったのか。これを必要とする商業ベースの中で六社が国民生活の面から協力するという出発で来たのかですね、そこのところあたり聞かして下さい。
#70
○政府委員(牛丸義留君) まあこまかい経過は、私は直接タッチしておりませんのでわかりませんが、私の承っておりますところによると、六社の申請があったわけでございます。要するに、業者からの製造申請がございまして、それに対していろいろな点で厚生省が製造その他の技術面で指導したことはあるわけでございますが、こちらでお願いをして作ったということではないように私は承っております。
#71
○藤田藤太郎君 そうすると、非常に問題があるようですね。今日貿易の自由化がこれだけやかましく言われている。国内で関税、為替管理、輸入管理によって国内価格と国外価格とのバランスをとりながら自由貿易という問題が同じ歩調の、……国の仕組みの問題に関係しますから、私は深く議論はいたしませんけれども、そういう状態になってきて、あらゆるものが、化学であろうと、機械であろうと、あらゆる物資というものが、やはり国際競争裏の中で価格が自然にきまってきているというのが今日の事態ではなかろうか、私はこう思う。そうすると、生ワクチンの問題は厚生省がこのソークワクチンの問題をおやりになったときから私はわかっている。どういう推移で来ておるかというようなことは厚生省薬務局、あるいは公衆衛生局の中では世界の推移はわかっているはずだと私は思う。そのことがわかりながら、七倍も輸入の原価と輸入の利益をこれは積んでおりますけれども、少なくともこれにしたところで四倍からの価格です。輸入の手数料を見ないで四倍からの価格、国内生産では七倍からの価格、これを私は全部必ずしも輸入せいとは言いませんけれども、そういうものを全部補償をして、建設償却から一切補償してという価格が私はこれだと思う、四百円。そういうことが実際問題として国際的なこういう事態の中において許されるのか。独占資本や、大きい、たくさん利益を上げているところから税金を高くとって、国民に無料で人道的な立場から配付するというならこれは別でございます。別でございますけれども、そうでない、価格の補償、利益の補償まで全部して、そうして七倍からのものをやって、ものの一年もたたない、製造の緒につきかけたときに、一年もたたない間に、どの人に聞いても、もう生ワクチンに切りかえなければならぬというときに来ておると思う。それを仕事をやった人その者だけを考えてみると気の毒な状態に私はなると思います。設備をして、結局世界の趨勢からこれは要らないということになってきたら、その人自身は私は気の毒なことになると思いますけれども、それはやはり政治のうま味で解決すべき問題ではないですか。そういうことで国民には二百七十一円で生活保護法や、それから町内割り、市民割りの人は四分の一の負担になるが、ほかの人は二百七十一円、これは負担するわけなんですよ。その負担はどこのために負担しておるか、行政のまずさで国民が負担しておるという結果になりはしませんか。薬務局はそういうことをお考えになったことはないですか。
#72
○政府委員(牛丸義留君) 今日の時点では、藤田先生のような御議論があるかと思いますけれども、しかし、少なくともソークワクチンを六社許可したときには、生ワクチンの問題はまだ全然見通しは立っていなかったわけでございます。そこへ時間的なズレがございますので、その時間的なズレが今日のこういうふうな問題を引き起こした一つの理由かとも思いますけれども、私は今藤田先生がおっしゃいましたように、われわれの行政の目的は何も業者保護だけが目的じゃございません。第一次的には国民の保健衛生、それに対する福祉ということに貢献するような薬の製造ということが目的でございますが、しかし、今の時点で、たまたまソークワクチンを非常に急いで製造する必要がある。それは、日本にソークワクチンが製造されていないがために、緊急な有事即応の態勢ができていない。そのためには、どうしても国内で自給自足態勢を、ワクチンというような重要なものにはやる必要があるということで、早急に製造態勢を整えたわけでございます。これに対しては、私は別に間違った方向をとったとは私は思っておりません。しかし、たまたまそういうものがようやく緒について、そうして、最初の製造製品が出かかったというような時点に、生ワクの問題が非常にスピードをもって実施の方向に傾いてきた、たまたまそういうふうなことのために、非常にそこに何かはっきりと割り切れないようなものが出てくるように私も感じますけれども、これはたまたま結果的にこうなったということでございまして、ソークワクチンを保護するためにとか、あるいはそのために生ワクの実施を阻害するというような、そういうふうなこととは関係のない、まあ、いわば、行政上の見通しが悪かったということじゃなくて、結果的にそういうようなことになったことに対して、非常に私どもでも実は残念に思っておるわけでございますけれども……。
  〔理事高野一夫君退席、委員長着
  席〕
#73
○藤田藤太郎君 薬務局長、このソークワクチンの製造許可されたのは何年ですか。
#74
○政府委員(牛丸義留君) 昨年の当初、昭和三十五年の初めでございます。
#75
○藤田藤太郎君 六〇年の何月ごろでしょう。
#76
○政府委員(牛丸義留君) 一月。
#77
○藤田藤太郎君 一月ですか。そうすると、牛丸さんね、尾村さんの報告、小児麻痺の報告を聞きますと、生ワクチンの研究がされたのが、ソ連とアメリカと共同研究してからもう八年ぐらいになるのですね。いや、ここの何には一九五五年から六年ですね。そうすると、この生ワクの趨勢というのは、もう五年ぐらい前からそういう趨勢というものは、尾村さんの話を聞くと六年ぐらい前から、もう人体に影響ないと言って共同研究して、ようやくソ連が昨年大量、八千五百万実施したということですし、アメリカも実施しているし――まあそんなにたくさん、大量にアメリカはやっておりませんけれども、イギリスも実施している。そういうことは昨年の一月にこの事業を許可されて、ということの報告と、われわれの聞いている、認識しているものと考えてみて、私は先ほどのような質問をしたくなったわけです、ざっくばらんに言ってね。昨年の一月に許可されているのですよ。昨年八千五百万――まあソ連のやつは別としまして、この統計を見ましても、一九五四年ぐらいが頂点で、五五年から五六年、それから七年には、もうほとんど外国がこのソークワクチンや生ワクチンで下げてきていますね。そういうところから・生ワクチンが研究がされてきたと私は思うのです。一九五六年、七年。そうすると、五八年、五九年、昨年は六〇年ですね、ことしが六一年ですから。そういう意味では、私たちが、私が申し上げたような疑問を持つのは当然だと思うのですよ。あなた、官庁辞令でお話しになりますけれども、国民の福祉を考えてやったというお気持は私は尊重します。あなたのお気持は尊重します。しかし、そのことと、今の、現実国民がこのワクチンに払っている、国内生産と輸入とのバランスですね、それから生ワクが一セントだ――まあこれは実際やってみなきやわかりませんけれども――みたいな、そういう格好にできるような時代になってきた。だから、この時代の一セントが、四百円かということを私は言っているのではないのですよ、今議論をしているのはね。ソークワクチンの外国の輸入原価と、日本のが七倍にもなっているというもの――今の時点においては生ワクチンの問題は別にして私は議論をしているわけですが、あまりに国民の負担がひどいじゃありませんか。そういう見通しは一――これはずっと三年も四年も前に許可したというのなら何だけれども、去年の一月に許可した会社に。そのときに、国が責任を持って何とかやるからやってくれと言って、国が一切めんどう見ると言って許可認可の関係があったなら――それをお尋ねしたのです、さっき一番先に――そうでないのだ、そうでないのだというなら、私は国際的な流れの中に、商業ベースというのは価格の問題。この六倍も七倍も日本だけが補償しなきゃならぬ理由が――それも、国民が補償しなきゃならぬ理由がどこにあるのですか、というようなことが言いたくなるのですよ。これは私ばかりじゃないと思う。あなたは熱意を持ってやったと言われるから、熱意はその通り尊敬します。敬意を表しますけれども、実際問題としてはそういう結果に陥っているじゃないですか。生ワクチンをはずしている。こういうところが私はやはり問題だ。こういうことは国民にはわからないのですから、この委員会、国会のこういうところで、また、あなた方の内部で検討されて明らかにしない限り、どこにも明らかにするところはないのですよ、これは。だから、私はここに問題があるのじゃないかということを言っているわけです。
#78
○委員長(吉武恵市君) 速記やめて。
  〔速記中止〕
#79
○委員長(吉武恵市君) 速記始めて。
#80
○藤田藤太郎君 そこで、今の国内製造価格と輸入価格との関係について、いろいろの問題点を残しております。しかし、これはやはりそのソークワクチンの一人々々の施行にあたっても、国民の負担が、私はだんだん分析していくと、国民の中にもこの価格の問題、国内の製造価格の問題と、輸入原価との関係で疑問を私は持ってくる。というのは、私はだんだんそういう疑問が広がっていくと思うのです。ですから、私は現実にこの問題が実施されているのだけれども、やってもらいたいことは、できるだけ全国民的な立場で、国民の生命に関する問題を、特にこれは予防措置としてやるワクチンなんですから、そういう気持で製造業者もこの製造に当たってもらいたいし、できるだけやはり値段を下げて国民の負担を軽くしてもらいたいし、また、あわせて政府もやはり国民の負担を軽くするための行政措置はぜひ講じていただきたいと私は思うのです。だから次官一つ御意見を承っておきたいと思います。
#81
○政府委員(安藤覺君) ただいまの藤田先生の御質問でございますが、これほどのおそろしい病気が流行しだしまして全国の母親たちのほんとうの憂いの根元になっておりまするにもかかわらず、現実の上において及ぼす影響というものは非常に大きなものがあろうと思います。そこにおいてこれの予防薬というものは、本来からいえば国策的に考えられていいのじゃないか、ちょうど食糧の不足な時代に米を作るということ、食糧を作るということに対して政府は非常な力を入れた、国民の生命の源泉であるからでありましょう。そのためには、米価の例を一つとってみますれば、いろいろな名前においてこれに早場米奨励金であるとか、温床苗代の補助金であるとか、あるいはつき減りの格差であるとかというようなことで、いろいろな形において補助金もとられておったわけであります。もし今後これを、ほんとうに生ワクなら生ワクが決定的にいいのだということが学会によって決定せられ、かつまた、実践の結果これが立証されまするならば、現在政府は何らソークワクチンを作るにあたってお願い申し上げたり約束したりしたことはないそうでありますけれども、一方においてソークワクチンを国内で生産する必要があったと同様に、生ワクを国内において生産しなければならないであろう、そうなりますと、ここにソークワクチンを製造しておられた方と新たに生ワクを作っていただく方と、あるいはソークを作っておられた方々をそのまま切りかえるかは、これは今後の御研究にまかせるとしましても、何らかの処置がなければ、この国民の不安を除くための生ワクチンの製造というものは急速に進まないだろう。また、急速に進むにしても、その間当初の少量の生産でありまする限り、先ほど高野先生からお話がありましたように、非常に高額なものになるだろうし、もしそういうことになれば国家が何らかの手を打たなければならないということがいろいろ考え出されてくるであろうと思いますし、私はその方向に向かって進むべきものであろうと、かように考えるものでございます。
#82
○藤田藤太郎君 だから私の心配しているのは、ソークワクチンを六社で今製造されておるというのが、生ワクチンに移行するときに障害になって、生ワクチンの国民の期待しているのと違ってこれが障害になって踏み切るのがおくれやせぬかという心配をしているのです。だから、そういうことはないんだという厚生省のお考えなら、そういうことは乗り越えて生ワクは生ワクの問題として考えるのだというはっきりした御答弁を一つ次官からお聞きしておきたいと思います。
#83
○政府委員(安藤覺君) 生ワクが決定的に心配のないものである、効果が非常に高いものであるということがはっきりいたしました以上、これにやはり切りかえていくべきだろう、切りかえていかなければならないだろう、これに切りかえていくにあたって他のものの障害があるなら、その障害を政府は、生ワクを大量に早く国民に投与せしめなければならないという義務から、その一方の障害を取り除くということは当然なことである、また、やらなければならぬ、こういうふうに私は確信いたします。
#84
○坂本昭君 先般来からお尋ねしています細菌製剤協会加入のメンバー、国産メーカーの六社の名前、それからその設備投資額、それから輸入製薬業者の名前並びにその資本金、それを一つ説明していただきたい。今説明できなければあとで資料で、これは先々週から頼んでおりますから、今週中に出していただきたい。
 それから次は、この細菌製剤協会がソークワクチンの価格を決定してきましたが、その価格決定の場合の手続はどういうふうにしているか、その決定をする際に厚生省当局はどういう関係を持っているか、さらに細菌製剤協会の現在の財政はどうなっておるか、さらにその機構はどうなっておるか、以上説明して下さい。
#85
○政府委員(牛丸義留君) 細菌製剤協会の定款その他今手持ちがございませんので、後刻資料として提出させていただきたいと思います。
#86
○坂本昭君 そうしたら今申し上げた点は資料としてぜひ出していただけますね。もし十分な資料が出ない場合には、来週でありますけれども、細菌製剤協会の責任者に来て直接説明をしていただきます。だからそのことも御承知の上で適切な資料を一つ出していただきたい。ただ、今ここで局長としてお答えになることのできるのは、今の価格決定の場合は、あなたの方は輸入価格が一CC百九円で、国産の場合は四百円だ、ただそれを知っているだけで、それではこれを実際に予防的な措置として接種する場合に幾らくらいが適当だか、そういう場合に全然薬務局毛公衆衛生局もこれにはタッチしていないのですか。そういうことは私はあり得ないと思う。その辺の事情についてはこの際説明をいただきたい。
#87
○政府委員(牛丸義留君) 価格は現在政府が決定する権限はございませんけれども、実際の行政指導として私どもが全然知らないというわけではございませんので、現在の情勢にかんがみまして、極力安くやっていただくように私どもも側面的に指導して、そうしてできました価格というふうにお答えする以外にないと思います。
#88
○坂本昭君 しかし、極力安くしてくれと頼んだって、それは商売人はやはりもうけるのが目的なんですから、そんなことは私は意に介しないだろうと思う。薬務局はただ値段のことだけで、それ以上の権限がないとしても、少なくとも予防衛生に携わっている公衆衛生局としては、高い注射だとお母さんたちようやれない、だから今まではソークの接種率も低いし、さらに一CCの注射の値段を安くするために〇・一なんという、そういう簡便法なんぞを窮余の一策として考えざるを得なくなったのでありまして、公衆衛生局はそれでは従来医務局に対してどういう申し入れをしてきたのですか。
#89
○説明員(高部益男君) これは私の方ではやはり牛丸局長が申し上げましたように、極力安くしなければならないという点で、薬務局に妥当な価格を設定していただきたいということを申し上げて言い続けてきたわけでございます。その決定の際には当然薬務局の方のお話もございまして、私どもとしてはいろいろと考えをめぐらしたわけでございますが、現在の価格が得られた限りの資料においては妥当であろうという判断をいたしまして、大蔵省に対してそれを基礎にして予防接種の補助金を要求して参ったわけでございます。
#90
○藤田藤太郎君 薬務局長に尋ねますけれども、この前の薬事法審議のときに、その薬の製造が七十億円分一カ月配給ルートに回って、そうして四十億円分やみルートに回って、薬売市場を混乱しているという議論が出たことを覚えている。そうして六割引きとか、ひどいのになると九割引きというのができて、池袋や何かで乱売が行なわれた認識のまださめない今日だと私は思っている。そういう事態というものをどうかよく薬務局というものは見ていただいて、商業ベースだから何であってもいいということじゃないんですよ。特に認可制によってこの小児麻痺、人間麻痺のこのような予防措置をやるような特別許可をするような薬を製造する、一般の薬がそういう事態であるということをよく認識してこの問題と取り組んでいただきたい。そうでなければ間違いますよ、僕はそれが言いたいのですよ。そういうものを認識しないで、ただ言うてきただけ云々ということなのか、実際に会うているのかどうか知らないけれども、そういう事態というものをよく認識をしてこの問題と取り組んでいただきたいということを、特に私は今のあなたの発言を聞きながらそういうことを言いたいと思ったから言うておきます。
#91
○坂本昭君 三十六年度の予防接種費の予算として組まれた二億五千八百七十二万円、先ほどの、かりに生ワクチンを三十円としても、一千万人で三億、十円だとすると一億です。しかもこの間柳沢博士がここではっきり明言をされたことはソークワクチンを三回注射して八カ月かかっても免疫効果は七〇%から八〇%、ところが生ワクの場合はこれを飲むことによって四週間で九〇%の免疫効果を得られる、これははっきり柳沢博士が専門家としてここで説明をされた。そうすれば今かりに一億で生ワクを一千万人分買って、そうしてこれを徹底的に全部使ってしまえばあとまだ一億五千万ぐらい余ります。余った分で、現在ソークワクチンを作ってそうして用意しているけれども、これを使わなくなった場合にこれに対して補償する、もちろんこれに対して幾ら余ってくるかということも私は伺いたいと思っているのだけれども、そういうようなことも今後考えてゆかなくちゃならぬだろうと思う。だから細菌製剤協会の財政についてはこれは明確な資料として出していただくことをお願いすると同時に、明年度のソークの製造と、それから生ワクの計画とについて当局はどういう考えを持っておられるかをまず伺っておきたいと思います。
#92
○政府委員(牛丸義留君) 先ほど政務次官からもお答えがございましたように、生ワクの実際製造ということは結局今度の学者の使節団の結果なり、そういう学問的な結論を得なければ私どもとしてそれを製造に乗っけるまでにはゆきませんので、それの結論を得まして早急に来年から切りかえるべきであるということになりまするならば切りかえもするというふうに考えなければならぬと思っております。
#93
○坂本昭君 あまり局長さんいいかげんなことを言っていただきたくないんで、実際はもうメーカーの中には生ワクに切りかえつつある業者もあるんですよ、あると聞いて――私は一々それを調べていませんが、実際はそういう業者も現実にある。それからもう一つ、今度の調査派遣団が帰ってきてから最終的にはきまるでしょうが、皆さんの方はそれらのことを検討考慮せられていろいろなレファレンスというのですか、標準の予算だとか、そういうようなものを予備費としてすでに八億円以上のものを要求しておられる、それらのものは学者の人たちが帰ってこられてからおそらく最終的には決定されると思いますが、それから学者が今明日中に出発すれば七月に帰ってくる、そうすれば七月中にはそういう来年度の見通しがついてくれば、それに伴って七月、八月にはもう来年度のポリオの予防対策の予算というものが組まれてゆく、そうすればもうそういったものはある程度私は作業を当然お始めになっておられると思う、始めてなければとてもこれは間に合わないと思う。だからもしかりにこれが全部生ワクに切りかわるという場合に、今すでにできてしまった、あるいはソークとならざるを得ないようなものがどれくらい余ってくるか、そういう見通しはついておりますか。
#94
○政府委員(牛丸義留君) 各メーカーの製造は全部わかっておりますので、その見通しははっきりすると思います。
#95
○坂本昭君 どれくらいですか。
#96
○政府委員(牛丸義留君) 私どもの予定の通りに生産されるとなれば、年間の国内の生産量というものは大体一万五千リットルぐらいでございますので、それですでにできておるものが五月のものまでできておるわけでございますので、来年の三月までといたしましてなお一万リットルくらいのものがこれからの生産として見込まれておるわけです。
#97
○坂本昭君 ですから、とりあえずはソークの三回接種でずっとやってゆきますね、やってゆきますが、その中で一般の世論にもこたえ、また、学問的なあれについてまずファイザーの三十五万人分が来る、それからソ連からも総評は一応十万人分見ている、しかし、これはもっとたくさんよこすこともできる、さらに輸入することもできる、そうした場合にそれらで緊急のポリオ予防対策をかりに百万人あるいは二百万人分やった場合には、今度はソークの方を使わなくてもいい分が出てくる、そうすると、とりあえず来年の三月までにはどれくらい使わなくてもいいことになってくるか、これはかりに全部生ワクに切りかわるという前提のもとに、そして私はこれはもう生ワクに切りかわるというのは、これはもう科学的な一つの必然性ではないかと思うんです。だからもうあなたの方ではそれくらいの計算をやって、場合によれば業者に対してソークワクチンの生産のストップ命令でもかけなくちゃいけないと思う、そのかわりにこれは人命を救うために作られてきたものですから、やはりわれわれとしてもこれは補償してやらなくちゃいかぬと思うんです。だからそういうことも当然考えの中に入れて計算をすべきではないか、そういう点であなたの方でそういう計画がもう若干できておるのではないか、また、できてないとするならば、はなはだおかしい話でどういう考えでこの問題を解決していかれるか、その点を伺っておるわけです。もうあれですよ、数日すると通常国会は終わります、そうすると秋の臨時国会か、暮れになってくるわけです、その間にこういうような問題というのは一応全部片がついてしまうわけです、一番大事なときに面しているので、大へん閉会のまぎわに近づいてきましたけれども、場合によれば来週ももう一ぺんこの問題を取り上げざるを得ないのではないか。だから今あなたの方でどの程度の御見解を持っておられるかを念を押してお尋ねしているわけです。
#98
○政府委員(牛丸義留君) 切りかえの時期その他によりますので、私今数字的にこれをちょっと直ちに申し上げることは不可能だと思います。もうちょっと検討しました後にお答えをさせていただきたいと思います。
#99
○坂本昭君 しかし、これはもう秋、次の十月か十一月ごろになったときには、いや間違いましたと言っては今度は済ますわけにはいかぬと思う。今度の小児麻痺の問題については、去年の十二月から私は厚生大臣にも公衆衛生局長にも、去年の五千数百名の流行、それをもし上回るときには私は責任をとってもらいたいということを繰り返して言ってきた。厚生大臣はさすがに責任をとらしますというようなことは言いませんでした。しかし、この小児麻痺の問題は統計局にはっきりした数が出てくるので、ごまかすことはできないですね。で、私は皆さん方が、当局が一生懸命やっておられることは認めますから、だから去年よりも数が一人でも多かったからといって、たとえば防疫課長、あなたもおやめなさい、そんなことは私は言いませんよ。言いませんけれども、それ相当のやはり対策は講じておいていただきたい。少なくとももう生ワクチンに切りかわるということが一つの私は科学的な、必然的な方向を向いている場合だから、それに対してこれは防疫の措置の面からも、また、薬品製造の面からも、もっと的確な措置をとっていただかなければこれは私は重大な問題になる。いわんやソークワクチンをどんどんどんどん一万五千リットル作った、作っただけは刺してしまわなければ損だということで、どんどん八カ月かかって効率が七割か八割というものをやって、そしてまた子供がどんどん小児麻痺にかかるということでは、私は子供が救われぬと思うのです。あなたの方はただ業者を救うことだけが目的ではないということは言っておられました。もちろんあたりまえのことです。そんなことをあなた方が考えて行政をやっているとするなら厚生行政はとんでもないことだ。だから私たちはもういいものができたらばんと切りかえてしまう、切りかえてしまったかわりに、私は国がやってるんじゃない、資本主義のもとでやっている以上は、これは補償しなければならぬでしょう。だから補償するならどういうふうにして補償するか。しかし、その補償する前には、私たちは、今まで相当もうかったはずだから、もうけは十分さらけ出してもらいたい、だからそのもうけはどれくらいあるかを見せろというわけですね。もうかってないならば補償しますよ。と同時に、補償してしまったら、場合によれば来年からの製造方式を変えてもらいたいのですよ。医学はどんどん進んでいる。そうした場合にこういう予防の薬品を作ったりするものは大きな損失を見ることがあるのです、確かに。たとえばこのコレラのワクチンなどは今作らなくていいかもしれない、しかし、コレラでも、ペストなどもある程度やっとかにゃいかぬ。やったってこれは出てこないかもしれない。そうした場合に利潤を追求しているところは非常な損になりますよ。だからこういう点はむしろ資本主義の中ででも損をしてもいいところの国でやるとか、そういう方針に切りかえてもらいたい。だからそういう方針を今のところ全然あなたたちは持ってない。持ってないけれども、来年は迫ってきているのですよね、そこで少しもこまかい計画を御説明にならないから私は重ねてお尋ねしているわけです。これは今のところ明確な返答をいただけませんから、今の細菌製剤協会の資料とともにまた来週やむを得ませんから一つお尋ねいたします。どうかその点委員長でお含みをいただきたいと思います。
#100
○藤原道子君 私は先ほど熱意がないというような失礼なことを申し上げましたが、聞けば聞くほど熱意がないと思います。私は今の牛丸さんの御答弁を伺いましても、結局が出てから考えなきゃならぬというふうに理解いたしました。もし一九五五年ごろから生ワクの研究が外国で行なわれていたならば、私はすでにソークワクチンに踏み切るときに、その製造を始めるときに生ワクの研究もあわせてやるべきだったと思う。もしそれがやられていたら、この大流行を控えて、あの元気で遊んでいた子が急に麻痺したときの親の気持、一生かたわで生きなきゃならないあの悲惨な子供の姿を見れば、当然そのくらいの国費をもって研究すべきであったと思う。もしやっていたらどれだけ多くの生命が救われ、どれだけ多くの子供のあの不幸な姿を食いとめることができたであろうと思う。それを思うとほんとうに私は残念でたまらない。それなのに、今、この期に至っても、なお結論が出てから考えましょう、私はそれで厚生行政がいいとは思いません。外国ですでに研究しているということがわかったら、日本でも当然やるべきだったと私は思います。こういうことに対してどうなんです。
#101
○政府委員(牛丸義留君) 私が先ほど申し上げましたのは、実際のいわゆる研究的製造じゃなくして、実際の、研究に切りかわる具体的な策があるかというふうに聞いておりましたので、これはまだちょっと私はそう簡単に、第一、先ほど坂本委員のお説もありましたように、国がやった方がいいという意見もございますし、どこの一体業者が、あるいはどういう施設がやった方がいいかという問題も含めて検討すべきじゃないか、従いまして、今直ちに六社を生ワクチンに切りかえるということが結論的に言えるということは私はできないということで申し上げたわけであります。
#102
○藤原道子君 私は、厚生省の皆さんに申し上げたいのは、国民の生命を預かり、不幸な人を守っていくのが皆さんの任務だと思うのです。だから逃げ口上じゃなしに、真剣にやってもらわなければ困ると思います。
 それから、生ワクの問題について、四月から試験的にやる、ということで私たちは、まあそれでも踏み切ったわいと思っていた。ところが、最近、福岡県の方におきまして、心配でたまらない親たちが試験的なことと知りながらも生ワクチンをやってほしいということを陳情いたしました。ところが、これに対して県の予防課長は剣もほろろに、まだ生ワクチンは多くの母親たちが心配しているのだ、こわがっている、まだそんな生ワクを使うかという段階ではないのだと、この一言で拒否している。なぜ、今研究中で、今こういう状態だからこうだ、というようなことを言わないか。あるいは、また、県の予防課長からそう言われたものだから、今度は保健所へ行く。どこの保健所へ行っても、生ワクチンに対してはノー・コメント、具体的な、指導的な発言はどこからも得ることができない。保健所へ行けば、生ワクチンといえばタブーのようだ。一体どうなんでしょうかといったような母親たちの陳情が山積いたしております。わらをもつかむ母のこの願いをどう考えているのだろうか。だから、私が今伺いたいのは、厚生省としてはどういう指導がなされておるか。こうした生ワクについてはあまり触れるなというような指導がなされておるのか。それとも、この保健所なりあるいは県の予防課長たちが怠慢であるのか、その点について私は、しっかりした御答弁を伺いたいと思うのです。これは福岡県の例です。
#103
○高野一夫君 関連して。結局こういうことじゃないのですか。薬務局長に説明をしてもらいたいことは、医薬品がきわめて大事なもので、必要なものであって、ことに危険を伴うからということで、薬事法でこれを使用する、あるいは製造発売することを強い方法で制約を加えている。従って生ワクチンなるものを日本において製造発売さしていいかということになれば、それは厚生省だけではきめられない法律になっている。厚生省で作っている薬事法による薬事審議会にかけるはずです。そうでしょう。この薬事審議会は御承知の通りに、日本の一流の医学者とそれも基礎医学者、臨床医学者、薬学者、そういう人たちででき上がっている薬事審議会、そこにかけて、そうして新しいものを、日本に今まであるものを作る場合は別でありますけれども、初めて製造発売させる場合は、その学者の集団である薬事審議会にかけなければ厚生省としては許可できない、案が立たない。ところが、それにかけるためには、現在また大急ぎでやってもらわなければならぬが、その関係の学者たちが外国に近く調査に行かれて、そこでいろいろなデータを持ってお帰りになる。そこでそういうものを材料にして今度薬事審議会で学者が研究されて、日本においてもこれは輸入発売さすべきである、正式に発売さすべきであるとか、あるいは製造発売さすべきである、それで許可してよろしいというような答申がきまらなければ、厚生省としては手は下せないはずだと思う。ただこの計画を立てる分には、これはかまわない。計画は幾らお立てになってもかまわぬけれども、これをどういうふうに具体的に実行に移すかということは、その学者の結論に待たなければ、これはやらしちゃいけないという法律になっている。だから、そういう意味においてこの点が薬務局長から明確にこの辺のいきさつと、それから計画は幾らでもおやりになる――これは、もう勉強、研究、計画はどんどんおやりになるべきだと私も思う。思うけれども、実際的にそういう問題になってきますというと、たとえば製造許可していいか、輸入許可していいか。また、製造させるならどれくらい、何万人分くらいは製造させていいかどうかということは、薬事審議会の結論が出なければ厚生省として許可できない。だからその点を明確に説明をして、各委員がよく了解されるような、その法律と実際問題と合わして答弁を願いたい。こう思います。
#104
○政府委員(牛丸義留君) 先ほど私が申し上げましたのは、その法律的な手続的なことを申し上げておったわけでございまして、もちろん現実の問題として生ワクの製造に対する各社の準備とか、そういうようなものは、私どもとしても承知しておりますのは、六社のうちでも切りかえる必要があるのではないかということで、それぞれ外国で製造されている会社との間の連絡その他が行なわれているということは、これは私どもも承っております。
 それから、現在、ソークワクチンを作っております六社といいますのは、これは財団法人でございますが、千葉県血清研究所と、それから東芝とそれから熊本の化血研、それから阪大の微生物病研究所、それから武田、それと北里研究所、この六つがソークワクチンを作っておるわけでございますが、これはまあ利益があったら吐き出せというような話もございましたけれども、まだ製造をやって第一回の製品が検定をされていないような段階でございまして、今のこの時点で損益勘定をするとすれば、全部赤字になっているというのが現状でございます。
#105
○藤原道子君 私がお伺いしたのは、それをお伺いしたのじゃない。それは先ほどの坂本先生の御質問ならこれは別ですが、私が伺ったのは、たしか――私の間違いだったら失礼いたしますが、多発地帯に対しては生クワを試験的に使うというようなことが、この間、言われたと思うのです。ですから、九州地方は多発地帯だと思うのです。だから、それに対して母たちの生ワクを少しも早く使ってほしいという願いはあなた方の想像以上に強いものがございます。そういう希望を申し述べ、嘆願に行ったときには一体これに対して厚生省はどういうことを指導しておいでになるのかということを伺いたい。ですから、高野さんの言われたように、薬事審議会の議に諮らなければ新しい薬が使えないような法律があることは私も承知いたしておる。
#106
○政府委員(安藤覺君) ただいまの藤原先生の御質問にお答え申し上げますが、生ワクについてお母様方が一刻一瞬も早く使ってほしいと願われるお気持は私にもよくわかるわけでございます。さればこそ、そうして県衛生部長あるいは保健所長等にそのことの要請をなさるわけでございましょう。しこうしてこれに対する県衛生部長なり保健所長なりの御回答というものが、木で鼻をくくったような回答であったりいたしまする結果、生ワクということが厚生省から禁句にされているのじゃないかというお尋ねでございまするが、その点につきましては、厚生省といたしましてさようなこうした問題については触れるなというようなことを言っている事実はございません。のみならず厚生省といたしましては、その時期々々を見まして、一応本省において確定いたしました方針はそれぞれの機関々々に流しておるわけでございますが、たまたまその御要請においでになったときにまだはっきりした厚生省本省からの指令というふうなものが通達されておらなかったというようなこともありましょうし、また、それぞれのお人柄によっても違ってくるだろうと思います。しこうして先ほどの多発地帯に対して生ワクを投与するということをたしか言ったはずだが、それはその後一体どうなっているのかということでございますが、それはただいま着々準備しておるはずでございますが、その準備状況について課長からお答えをいたさせます。
#107
○説明員(高部益男君) 冒頭に藤田先生の御質問にお答えいたしました通りでございますが、実際に接種が始まるのは六月の下旬ぐらいになるであろう、しかし、それまでには準備をしなければならぬ。準備の一環といたしまして、先日、特に福岡と限るわけじゃございませんが、福岡県の衛生部長と熊本県の衛生部長、北海道の衛生部長、全体を統べる――統べるといいますか、全体の府県の衛生部を代表する者として東京都の小林衛生局長、この方を疫学部会の委員に特にお願いいたしまして、そうして当該府県は、大体協議会といたしましては生ワクの試験的投与というものの候補地を含む府県であろうというふうに判断いたしまして、いろいろ御相談してございます。従いまして、その当該府県は、九州は全地区でございます。帰りましてさっそく準備を始める……、すみやかに細部の事項について知らせられたいということになっておりますが、どの地区に投与をするのかという基準を示してございます。試験的投与でございます。その準備が現在進行しておりまして、おそらく来週中にはどの地区が第一次の候補地として試験的投与の対象になるかというふうなことはおそらくきまるだろうと存じております。
#108
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて。
  〔速記中止〕
#109
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
#110
○藤原道子君 私はそういう場合に、母親が陳情に行った場合には、その気持をくんでもう少し親切な指導をしてやってもらいたい、変な誤解等が生じないように。六月下旬になるであろうというならば、そのころになるでしょう、どの地区に生ワクをしていいかということはそれはまだ決定がなされていないので、というふうに、もう少し親切にやってもらいたい。官僚的に頭から押えつける、突っ放すような態度が往々見られますので、その点については御注意申し上げます。
 それからさらに私は、五月の三十一日に練馬の地区でございますが、やはりお母さんたちの会合で、いろんなうわさが乱れ飛ぶのですよ、この小児麻痺に対しては。最近、ソークワクチンが足りないものだから、一回の注射の量を三分の一ぐらいしかしていない。そういううわさがあるけれども、それどうなんでしょうかと質問が出たら、そこに出席されておりました小豆沢病院というのでしょうか、そこの医学博士で高亀という方が、まさにその通りなんです、量が足りないから三分の一しか注射していないのだというようなことを言われたというのでてんやわんやでございます。私は、まさか厚生省が法律できめてそうして実行を願っているのに、そういうことをしているとは思えませんし、その方がどういう人柄かもわかりませんので、それをここでどうこう言うわけじゃございませんが、そのくらいにうわさはうわさを生んで悩むのが母心だと思うのです。ですから、そういうことのございませんように御注意願いたいと同時に、現在ソークワクチンは予定だけの数量がととのっているのですか、この点をはっきり伺いたいのです。
#111
○説明員(高部益男君) 第一回分は先ほど申し上げましたが、大体四月の下旬、五月の上旬から始めまして、五月の下旬に大体全国的に終わると申し上げましたが、その分の数量の手配は現在全部済んでございます。ただ問題は、先ほど例示をされましたお医者さんがどういう機関にいらっしゃるかわかりませんが、一般医療機関へ行政措置以外のワクチンを出すだけのまだ段階になっておりません。一般医療機関でどういうような処置が行なわれておるかということは、いろいろな、やはりうわさしか私ども聞いておりませんが、やはり厚生省がきめましてなおかつ当該――まあワクチンでございますからワクチンの各種の使用書というものに従ってお使いになっているというふうに私は信じております。過般新聞報道でございましたような、〇・一を皮内接種すればいいわけだというふうなことにつきまして、障害があったような場合に、これは私どもの方の専門の委員会でございます伝染病予防調査会という組織がございまして、これは昨年このワクチン不足のときも同じようにやはり問題が起こり、で、その際に〇・一皮内接種というものの効果いかんと、それから現在の状況において非常にワクチンが足りない、接種いかんということからお尋ねいたしました。そのときは、絶対よろしくない、やはり正式の方式を使うべきである。それからこれは最近も同じ問題が起こりまして、どうだということを繰り返して尋ねましたところ、この一年間の研究の成績の結果は、依然として同じ見解を調査会としては堅持する、そういうふうに行政指導せられたいということになって、同じ指導を私どもとしてはしておるのでございます。
#112
○藤原道子君 そうでなきゃならないと思うのですが、その婦人の集会ではっきりそうだということを言われたというのです。そのところへは薬剤師の猿渡という方も見えていた、二人が口をそろえて言ったということなんです。であると、一般には金を出してかわいい子供の命を守りたいからこそ注射を受けているのですね。ところが、そういうことを聞くと非常な不安なのです。従って、そういうことがもしありとするならば、御調査を願いたい。そういう場合には、それに対しての処罰とかなんとかいうこともあるはずでございますから、もう小児麻痺の問題で頭にきているお母さんたちのさらにこれ以上焦燥、不安を与えるようなことは断じてないようにお手配を願いたい、私はそう思う。
#113
○政府委員(安藤覺君) お話承りまして、お母様方の御心配も十分察するにあまりあります。往々にしてそういう集会には、そういう言葉が流れることもございましょう。特にただいま先生からも御要請ございましたししまするので、後ほどにでも、その会合のありました場所と先生と薬剤師のお名前を承りまして、事実を調査いたしまして、その先生並びに薬剤師の方にも、できればその母親の方々にも、厚生省の現実にやっておる事実を御説明を申し上げて、再びそういう誤解もしくはそういう流言の流れないようにいたしたいと、かように存ずる次第でございます。
#114
○藤原道子君 そこで、私は最後にお伺いしたいのは、小児麻痺の発生の心配もさることながら、病気になった子供、この肢体不自由になった子供たちの対策、これに対してどのような方針をとっておるか。今わずかしか治療を受けることができない状態にあると承知しておりますが、これに対しては、厚生省としてはどういう対策を立てているか。早ければ早いほど回復が可能じゃないかと、私はしろうと考えに考えます。ところが、入院したくとも受けてもらえるところがないわけなんです。療護園が非常に少ないわけです。ですから、これらに対してどういう今後の方針を持っていらっしゃるか。それからこの間、これは新聞で承知したことでございますが、鉄の肺などの充足状況、これもあわせて伺いたいと思います。
#115
○政府委員(大山正君) 小児麻痺にかかりました子供につきましては、伝染病予防法による入院治療期間が過ぎましてなお麻痺が残る者につきましては、私どもの方で育成医療という制度によりまして、入院あるいは通院によって治療いたします費用について、本人が負担できない部分について、公費で負担するという制度がございまして、国が八割の負担をいたしております。それからなお、育成医療によりましても、さらに後に麻痺が残ります者、これは肢体不自由児施設に入れまして、長期にわたって訓練し、あるいは治療し、あるいは手術をするというふうなことを行なうわけでございまして、肢体不自由児施設の数は御指摘の通り十分ではございません。ただ、ここのところ数年にわたりまして、非常に努力して増して参りましたので、三十五年度末をもちまして、各都道府県には少なくとも一カ所はあるという段階までごぎつけて参っております。三十五年度末をもちました全国で約四千二百ベッドほどの肢体不自由児施設を持つという段階にまで参っております。なお、今後ともこれの増設につきましては、さらに努力して参るという考えでおります。鉄の肺の問題につきましては、関係の方から御答弁を申し上げます。
#116
○説明員(高部益男君) 鉄の肺、去年もいろいろ問題になりましたので、今年その轍を踏むまいと思って現在努力中でございますが、現在全国で使用可能の鉄の肺は、いろいろのものを全部含めまして、五十七台でございます。早急にこの前予備費をお願いいたしました際に、流用その他の措置をいたしまして、十八台新たに整備をすることにいたしてございます。とりあえずの問題でございます。九州地方に対しましては緊急対策でもございます関係上、五台鉄の肺を送致いたしてございますが、現在までにただお一人しかお入りになっておりません。なお、そのほかに、これもみっともない話で申しわけございませんが、輸送中の呼吸麻痺の防止上、輸送用の人工呼吸器と申しますか、鉄の肺のあるところまで持っていく間になくなられるのを何とか防ぎたいというので、輸送用の人工呼吸器と申し上げたらよろしゅうございますか、これが二十七台アメリカから借用してございます。これも全国に配置いたしまして、そのうち五台をやはり九州地区に配備いたしてございます。当面は先ほども申し上げましたように、九州地区の呼吸器麻痺患者が比較的少ないということで、この程度で、この一カ月ぐらいのところは何とかいくのではなかろうか、しかし、追っかけてすぐ九台ぐらいは現地に今月末までに取りつけるという手配を考えておる次第であります。
#117
○藤原道子君 時間もないようでございますから、私の質問は終わりますけれども、肢体不自由児の施設を、こういうものがあることは私も知っているのですよ、だけれども全国で四千二百名しか入れないでしょう。こんなことでいいのでしょうか。こんなに小児麻痺が多発しているときに、やっと各県に一カ所やっとできました。だから、これに対する対策はどの程度にできるかを私は伺いたい。冗談じゃないですよ。もっとまじめにやってほしいのです。それから輸送用の呼吸器の問題が二十七台アメリカから拝借している、幾らでも、小児麻痺に対しては予算は出しますと、はっきり池田総理が藤田委員の質問に答えておりますが、こういうことももっと熱意を持って、万一の場合に備える設備はしてほしいと思います。こうしたやり方に対して、どれだけ国民が不満を持ち、不安を持ち、怨嗟の声さえ上がっているということをこの際申し上げまして、小児麻痺に対してはもっと真剣に取っ組んでいただきたいということを申し添えまして、また質問は次の機会に譲りたいと思います。
#118
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#119
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
#121
○委員長(吉武恵市君) 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案を議題といたします。これより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#122
○坂本昭君 先般法律案の提案理由を伺いましたときに、新たに新生児に対して保健所の医師あるいは助産婦等が訪問指導を行なう制度を設ける、こういう御説明がありましたが、実際に訪問指導を行なう程度の保健所の医師の数、あるいは助産婦の数が確保されているかどうか、また、そういうことのできるだけの余暇というものを保健所の医師という毛のがはたして持っておるかどうか。従って、実際こういうことに一応法律を改正しても実質的にそれができるかどうか、それについての御説明を伺いたい。
#123
○政府委員(大山正君) 今回の改正案によりまして新生児に対して保健所の医師、保健婦あるいは助産婦等が家庭訪問指導をやるということにいたしておるわけでございますが、ただいま御指摘にありましたように、現在の保健所の本来の職員であります医師、保健婦、助産婦等では大体現在の業務で手一ぱいであるというように考えられるのでありまして、今回のような新しい仕事に対しまして十分な活動を期待するということはできかねるかと存じます。それで私どもといたしましては、新生児の訪問指導でありますので、主として助産婦が中心になるかと存じますが、開業の助産婦の方を保健所に委嘱いたしまして、その限りで保健所の職員というふうに考えまして、委嘱しました開業の助産婦を中心としまして、この新生児に対する訪問指導をお願いしたい、かように考えておるのであります。そのほかあるいは開業の医師の方など分べんに立ち会った医師の方も御協力をお願いしまして、この訪問指導を行なっていくようにいたしたい、かように考えております。
#124
○坂本昭君 そうしますとですね、大体保健所単位にして開業の助産婦さん、この仕事のでき得る助産婦さんの数はどの程度の割に確保されているるか。それからまた、今の協力ということを言われましたが、いわゆる協力費、指導費といいますか、そういうものの単価はどの程度に組んでおありになるのか、それを御説明いただきたい。
#125
○政府委員(大山正君) 開業の助産婦の方は全国で大体四万くらいの数になるというように私承知いたしております。それからこれの家庭の訪問指導をお願いします場合の単価でございますが、予算上では一件当たり四十三円の単価になっておりますが、開業の助産婦の方をお願いします場合には、大体一件当たり五十円という予算の見込みにいたしております。
#126
○坂本昭君 今の、せっかく法律ができても一件単価五十円というと、これは一体車馬賃だか何賃だか、五十円で新生児の指導というものがほんとうにできるのですか。これはどういうことをおやりになるのですか。
#127
○政府委員(大山正君) この予算の単価につきましては、確かに私どもも低いと存じます。今後さらに財政当局とも折衝いたしまして、増額して参りたい、かように考えております。
#128
○坂本昭君 しかし、それはどういう理由でこういう単価を組んだのですか。これじゃ自転車のチューブ張りと同じくらいで、実際子供をばかにするにもほどがあるのですが、こういう五十円という単価のできた根拠を一つ説明して下さい。
#129
○政府委員(大山正君) 現在私どもの方でこういう家庭訪問指導に関する予算の関係といたしましては、家族計画につきましてやはり一件五十円というような予算単価になっておるのでございます。それらと均衡をとりましての予算でございますが、何分にもこれは確かに低いのでございまして、今後さらに努力いたしたいと存じます。
#130
○坂本昭君 それじゃ、何分にも低いということを認めておられる以上は、あなたの方でもどの程度が至当であるか、おそらく原案をお作りになっているだろうと思う。その原案の内容を一つ説明して下さい。
#131
○政府委員(大山正君) 私ども当初考えておりましたが、慣行料金であります一件百円を考えておったのでございます。
#132
○横山フク君 資料をいただいたのですね、これは皆さんのところにもいっているのですけれども、この資料で、新生児訪問指導が実施されるが、対象新生児の平均七十五万について、家庭訪問の行なわれる予定であるからと、こういうのがあるのですね、この資料で見ますと。保健所の保健婦さんが新生児の指導をするという形にこの資料は出ているのですね。これは今の局長のおっしゃるように、保健所の保健婦あるいは助産婦では足りないことはわかっておるし、開業助産婦を使われるということは、局長が言われておるからうそではないと思う。しかし、資料として出されるときに、どうしてそれなら保健所の保健婦さんがその家庭訪問をしたらば、これくらいのものが要るという形でお出しになったのか。そこが私にはげせないところなんですけれども。
#133
○政府委員(大山正君) お手元に差し、上げました資料に、対象新生児七十五万について保健婦が指導をするならばということで資料を出したのでございますが、これは現在の保健所の保健婦さんの業務がほとんど手一ぱいである。それに換算してみますと、どのくらい業務量がふえるかという意味で、一応計算してみましたものを資料として差し上げたのでございまして、もちろん保健所の保健婦さんではとうていまかない切れない問題でございますので、開業の助産婦の方々にお願いしまして、この家庭訪問指導を行なっていただきたい。かように考えております。
#134
○横山フク君 保健所の保健婦が指導したならばという仮定で時間を出されたのは私はわかるのです。しかし、この資料を出されたときに、もう予算の折衝を終わっていて、そうして開業助産婦が指導するということになっておるんですね。なっておるのになおかつ保健所の保健婦がしたならばという仮定で数字をはじいたということは、おひまかもしれないが、むだな仕事をしたと私は思うのですね、その資料を出されたということは。もう開業助産婦がするということにきまっておるのに、保健所の保健婦がしたならばという形の資料を出されたということは、いたずらに迷わせるというような格好になり過ぎないかと私は思うのです。
 ですからこういう資料ということは、それを参考にしていろいろの厚生省のあり方などを私たちは検討するんですから、資料にはそういう仮定が違った基礎においての資料を出されるという形は私はよくない。保健所の保健婦さんが忙しいのはわかる。わかるけれども、現在している仕事でどのくらいオーバーがあるかどうかということはわかるけれども、現在しもしないような、将来もしないであろうということを入れておいて、保健所の保健婦がどうこうということはないと思うのですね。実際に保健所の人たちしておる仕事だけれども、保健婦さんがしておる仕事だけれども、オーバーはオーバーだけれども、そのしておる仕事の中でどのくらいオーバーだということを出されるのが私は妥当だと思う。
 それからその次に伺いたいことは、この資料をいただきますとね、妊産婦の家庭訪問をしておるんですね。保健所のこの妊産婦の家庭訪問となると、(「それは配られんな」と呼ぶ者あり)いや、これは委員会で配られましたよ、よっぽど前に。私どうして知っておるかというと、約一月くらい前に配られた。私もここでもらった。そんなにひがまないで下さい。
#135
○委員長(吉武恵市君) どうぞ御質問を続けて下さい。
#136
○横山フク君 次に伺いたいことは、この資料を見ますというと、保健所でもって妊産婦の訪問指導をしておるんですね。この妊産婦の家庭訪問をする場合に、妊産婦をどういう人を家庭訪問をしておるんですか。
#137
○政府委員(大山正君) 現在保健所には助産婦の方もおられますが、助産婦の数が非常に少ないために、実際問題といたしまして保健婦の方も相当多数この業務に従事しておられる、かように承知しております。
#138
○横山フク君 私なんか伺っておりますのは、妊産婦の家庭訪問をして、妊産婦の保健指導をしておるというのは、その妊産婦というのはどういう人であるかということを伺っておるんです。
#139
○政府委員(大山正君) 専門的事項でございますので、説明員の松尾母子衛生課長から御説明いたします。
#140
○説明員(松尾正雄君) 保健所の保健婦が妊産婦保健指導をやっていることになっている資料が出ておるのでありますが、実は保健所の保健婦さんの中には、助産婦の免状を持っている人もいらっしゃるわけでございます。残念ながらただいま何人であるかをお答えできないわけでございます。ただ一般的に申し上げまして、保健所の保健婦が妊産婦の訪問指導を実施いたします場合、当然業務上の問題から、助産婦である方の指導よりも範囲が狭められてくるというふうに考えられるわけです。一般的な栄養指導でございますとか、生活指導でありますとか、さようないわば不徹底な面に終わらざるを得ないというふうに考えます。
#141
○横山フク君 今の答弁なんですけれども、保健所の助産婦さんはゼロのところが相当数あるのです。助産婦さんはゼロのところが多い。もちろん保健婦さんで助産婦の資格を持っている人もあるわけです。保健所の業務機構の中には助産婦の問題が入っていないのでありまして、保健婦の業務内容には妊産婦の保健指導が入っている。そうして助産婦としての業務内容の中にやはり妊産婦の保健指導が入るのです。しかし、保健所でもって妊産婦の保健指導をするのならわかる。家庭訪問をしてまで妊産婦の保健指導をするとなると私は相当重態な人たちだと思う。保健所へ来られない人たちだと思います。そういう保健所へ来られない人たちの、妊産婦の保健指導をするのをあえてするくらいなら、相当に力のある人でなければ家庭訪問までできないと思います。しかし、二回において、結核の方のウエートを見ると、保健婦さんはしばしば妊産婦の保健指導をしているが、保健婦さんたちは結核の方に十分行っていないわけであります、結核の方には十分保健指導に行っていないのだ。結核の保健指導はもっとしななければならぬと思います。それなのに、結核の方にはしていないのに、家庭訪問をする能力の十分でない人が妊産婦の家庭訪問をするとなると、これは相当重症な人だと思います。妊産婦というのは、普通だと平常で、病気じゃない生理状態です、保健所へ来られるのだ。そういう人が保健所に来られないで、家庭訪問まで受けるとなると、相当これは異常に近い人たちだと思います。そういう人たちにあえてするだけの能力があるかどうかということになると、これはどうなんでしょうか。私ははっきり申し上げるけれども、開業助産婦の職域を侵すとか侵さないとか、そういう問題を言っているのじゃない。保健所の機構として十分間に合うなら保健所の保健婦が助産婦さんをなすってもいい。保健所の保健婦さんで能力が一ぱいでしょう。結核の方はこの資料に出ているのです。しかも、保健所の保健婦は純然たる助産婦でない。これは私はおかしいと思います。そうしてしかも、その結果が開業助産婦の圧迫という形になったら、なおおかしいと思います。それぞれ相侵さない立場において、それぞれの立場において、それぞれの仕事に邁進することがいいことだと思います。どういうわけなんです。
#142
○説明員(松尾正雄君) 妊産婦の保健指導の対象についての実態を一々つまびらかにしておらぬわけでありますが、との場合一般に考えられまするのは、やはり一般的な保健指導に終わっておるというふうな対象であるというふうに考えておるわけでありまして、特別に重症であるというものに、とうてい、そういう手を出しておるのは予想されないことであります。
#143
○横山フク君 私は一般的の保健指導であったら保健所へ来られる人で十二分だと思います。開業助産婦がおるのですから、それを何も手の足りない保健婦、いろいろの指導を十二分にできない保健婦さんが、家庭訪問までして一般の保健指導をする人がどこにあるかということを伺っている。私はこの資料を見て非常に驚いた。妊産婦の保健指導まで行く余裕があったら別です。余裕がない。一般の保健指導までしている余裕はないんじゃないですか。これを私は伺う。そうしてその結果が開業助産婦の圧迫になって、開業助産婦の将来がなくなるとしたら、これはおかしなやり方になりはしませんか、厚生大臣いかがでございましょう。
#144
○国務大臣(古井喜實君) 初めにお話しになった肝心の辺をおくれて来まして十分のみ込んでいないかと思うのであります。大体は、私は事務の当局の方はどう考えておるか知りませんが、保健所はそれは活動すべきことは活動しなければならぬが、しかし、保健所が何ぼやったって、保健所だけでは手の届かぬこともありますし、それからやはり、何といっても保健所というのは役所ですから、まあなれつきにくいような辺もあるかもしれぬし、そうしますれば、保健所も働くと同時に、この民間の助産婦の方とかあるいは医療については開業医の方とか、そういう方面の力を大きく発揮してもらうように、持ちつ持たれつで行く方が、全体からいえば効果が上がるというふうな考え方を持っておるのでありまして、ごく具体的なところまでは私はよくわかりませんけれども、考えの方向としましては、そういう考え方を持っておりますことを申し上げておきたいと思います。
#145
○横山フク君 私は厚生省の児童局の人々をここでつるし上げようというのじゃないのです。たまたま資料をいただいた、ところが、その資料に、大臣は途中からおいでになって、初めからお聞きになっていないというので、ちょっとダブるような形になりますけれども、この資料をいただいた。ところが、妊産婦の家庭訪問を保健所の保健婦さんがしている。それが結核の家庭訪問と妊産婦の家庭訪問とほとんど同じくらいの量で行っている。私は結核の家庭訪問はやむを得ないと思う。当然しなければならないし、もっとしなければならぬと思う。ところが、定員だけ満足に充足されていないから十二分に行っていない。ですからもっと上げて、保健所の保健婦さんが結核の家庭訪問をもっとしていかなければならぬ必要に迫られているのです。ところが、妊産婦の保健指導となったら、私は家庭訪問まで保健所の保健婦さんがするだけの必要性がどこにありますかと伺ったのです。ところが、一般保健指導をするのだ、一般保健指導は保健所へ来る人たちにする程度で十分でしょう。しかも、助産婦さんがゼロのところがあるのです。保健所の保健婦さんで助産婦の資格を持っている人もありましょう。しかし、助産婦の資格を持っているけれども、私のように何年も助産婦をしなければできやしませんよ。そういう人が助産婦の資格があるから指導した、そんならもっとしなければならぬ結核の保健指導がありますでしょうと伺っているのです。もう少しそういう点は、実際のバランス等をおとりになってやっていただかないと、しかもその結果やるべき仕事ができないで、そうして半面において開業助産婦を圧迫するような形になるということは、役所のとるべき姿でないでしょうということを申し上げたのです。
 それじゃ、次に移りましょう。
 今度は未熟児問題です。未熟児を厚生省でお取り上げになって、そうして未熟児対策をお取り上げになったのは、私は非常にけっこうだと思うのです。しかし、何もかも私は保健所中心でなければならぬという面がここにも出ていると思います。未熟児を申告する。未熟児を保健所の保健婦さんが、助産婦さんのあるところは助産婦さんが訪問するでしょう。それに対し、資料で見ると、未熟児として届け出してから一回しか行っていない。一回平均です。一回強です。一回半まで行っていない。ところが、一回ぐらいの未熟児の保健指導で、家庭へ行かれてどんな指導がおできになりますかと私はお伺いしたいのです。未熟児ですと家庭のお母さんたち届け出をして、未熟児であるかどうか、ほんとうに未熟児であるかどうか確認して、ちょっとお話をする程度、しかも平均が五十五分ということです。往復全部とまぜて五十五分ということになりますと、ほとんどろくな保健指導をしていないのです。しかも全体とすると、予算とすると相当大きなものです。何でも、あれもします、これもします、保健所ではあれもします、これもします、厚生省としてはあれもします、これもしますでしょう。間口を広げるだけが私は厚生省のやり方じゃない。あと何にもやらないのだったら仕事にならぬと思う。重点をしぼって、そうして未熟児の中の、少なくとも家庭の中でも育てられるところの未熟児を重点的にしぼって、ほんとうに一人でもって育てられるような成熟児と同じような形になるように徹底的にするのか、あるいは病院の方に行く人たち、その人たちの入院料をただにするとか、その人たちを完全な形にするまで十分運営をやるとか、どこかにしぼらないと、どこかにしなかったら、どれもこれもやったらみんな中途半端なことに終わりゃしないかということを私はおそれるのです。今度の未熟児の資料を見ましたところが、ほんとうに一回ちょっとしかしていらっしゃらない、それでもってよろしい姿かどうかということを私は伺いたいと思います。
#146
○国務大臣(古井喜實君) 実情には私はうといところがあるのでありますが、これはよく詳しい御意見を拝聴いたすほかはないのでありまして、その辺は実情をよくきわめてみたいと思いますが、大体の考え方は、これは事は違いますけれども、私は予防面、予防活動などの面を一体保険でやったらどんなものだということをしきりに言ってみているのであります。つまりこれは事は違うのでありますよ、つまり開業医の方などにこれはやってもらうという、大いに片棒をかついでもらうというようなことはできないものだろうか、保健所だけで扱わずにということを一つの方向の問題として、役所の中でも言っているのであります。同じような意味で、事柄にも事情にもよりましょうけれども、要するに、全体的に国民の疾病対策とか、健康の増進がうまくいけばよいのですから、それには保健所も極力機能を発揮しようが、しかし、それだけでやっていこうとばかり思わぬで、民間のこのお医者さんとかあるいはまた、助産婦の方とか、そういう人の働きも一方大いに期待して、持ちつ持たれつの行き方がいいんだ、非常にすべてやろうと思うと、おっしゃるようにあぶはちとらず、どっちも中途半端ということも起こるかもしれないというような考えが私の頭の中には抜けないのであります。まあ実情は初めに申し上げました通りでありまして、そういう方向でよく今後は考えみたいと思うのであります。
#147
○横山フク君 私は、最初未熟児対策が出たときに、少なくとも家庭で、未熟児対策としての家庭訪問をする場合には、保健所の保健婦さんでは手が足りないのじゃないか。ですから開業助産婦を、また、それが未熟児、新生児、これは助産婦のおもな業務になっているのだから、これは保健婦よりむしろ助産婦の方に、助産婦はそれを生業としているのだからこれをお使いになるべきではないかということを申し上げたのであります。そのときはぼやっとした御返事であったけれども、事実において保健所の保健婦に、全部をまかせようというところに、私はこういう形が出たのだと思う。もっと言ったらば、これは厚生省とか保健所のあり方に私はあると思うのでございます。保健所がいろいろの補助金、交付税交付金で保健所が運営されているのは私はわかっております。しかし、同時に保健所を運営しようと思うと、ある程度収入というものを考えないと、現在の保健所はやっていかれないのですから、ですからたとえばツベルクリンならツべルクリンにしても、検診なら検診にしても、国からもらう補助金を集約的に使うためには、学童検診をやったらいい、一人々々やっていたら収入にならぬので年中取っかえ引っかえ学童検診だけをやっているのです。そうでなくて、そういった実際一人片々のそういうものでおろせるものは、開業医なり開業助産婦におろして、そしてそれを統轄するところにあるのが保健所という形をとるべきだと私は思う。いつまでたっても保健所の人手が足りない。未熟児でも、未熟児の指導をすれば旅費が多少出る、それは、魅力だと思います。お金をもらわなければ、保健所としても、多少潤いがあるとかないという問題に保健所を追い込んでいくところに問題があると私は思うのであります、であってそういうものは落とすべきだと思う。今度の新生児も開業助産婦にまかせるとおっしゃっておった、しかし、私は聞いているのには、保健所の保健婦さんたちもしたい、保健所もしたいのです。実際問題として、旅費の点で大きな魅力になる。なんで保健所をああいうところに追い込んでいくのかということなんです。そうしなかったら保健所は完全な運営をなし得ないということは、私はミスだと思うのです。もっとも保健所は一銭も収入をあげないでも国のお金で、あるいは都道府県のお金で十分に運営できるような形に置いておいて、そして開業医なり開業助産婦へそういうものを回すというような形に踏み切っていかなかったら、いつまでたったって私は幅は広くて、間口が広くても、何も実績が上がらない保健所になってしまうと思う。こういう点で古井厚生大臣は私は偉いと思うので、すべての点で非常に勇気がおありになると思うので、この点も一つ勇気をふるって私はやっていただきたいと思うのです。
#148
○国務大臣(古井喜實君) 重ね重ね教えていただきまして、まことに傾聴いたしました。御趣旨の方向についてはさっき以来私もそういうふうなことに思うものでありまして、保健所の業務につきましてもよく再検討をいたしまして、重点的にこの業務を考えますと同時に、他のそれぞれの民間的な専門の力の協力を得てやっていくような方向に検討して、その方向に進めていきたい、こういう考えを持っておるのであります。どうぞ御了承を願いたいと思います。
#149
○横山フク君 もう一つ、未熟児の問題ですけれども、未熟児の簡易保育器が各保健所にあるのです。しかし、あれも予算や何かでしばられたり、単価でしばられたりして、あまり機能を発揮していないと思うのです。各保健所にある保育器がどのくらいの程度機能を発揮して、そしてどのくらいの実績を上げているか、そういう点に対して今お持ちならばお示しいただきたい。
#150
○政府委員(大山正君) 保健所における保育器の保有台数は、昭和三十五年度には千六百六十三台となっております。その後若干の新設がありましたので、現在では約千七百台程度というように考えられております。
 それから簡易保育器の貸出状況でございますが、昭和三十五年の一月から十二月までの実績、お手元の資料にございますが、新規の貸出実数が二千九百八十九件、延べ日数が五万二千九百七十九日というような実績に相なっております。
#151
○横山フク君 ここにありまする、ただいま未熟児の実数から見るというと、利用者は非常に少ないと私は思うのです。もっと利用されなければいけないと思うし、また、実際にあの保育器が、簡易保育器が実情に合わないというような品物であるということをよく聞くわけでございます。もう少しそういう点、ただアクセサリ−では決してないので、もう少し何というのですか、実際にいい保育器といいますか、あるいは使われる保育器といいますかにしていただきたい。でなかったらへたすると、あの相模原国立病院のような形、二の舞を演じかねない。あるいはそうでなくても、いたずらにほこりにまみれた保育器になりかねないと思うのです。この点はよくお考え願いたいと思います。
 さっと行きますが、今度は新生児の問題ですが、開業助産婦をお使いになって新生児の保健指導をなさる、二十八日までの間に二回なさるというお話でございます。この二回いたしまして、これは三才児にも言えると思うのですが、新生児の場合に限ったとしましても、その結果まあ要医療保護者、そういう人に対してはどういう形をおとりになるのでしょうか。まあ国民健康保険法が全部しかれてあるから国保でやるとすればやれるようなものでしょうけれども、半額は自己負担になりますのでございますが、これをとり上げて、その始末を児童福祉法の方で費用を出して何かなさるのでしょうか。それともただそれをカルテにとるだけの形になるのでしょうか。
#152
○政府委員(大山正君) 現在乳児につきまして特に集団指導の結果、さらに個別指導が必要だというものにつきましては、若干の予算をもちまして、そういう指導の場面を費用負担できないものにつきましては公費で負担する制度がございますので、それを若干応用しまして、新生児につきましても指導に必要な費用を公費で負担するという道があるわけでございます。しかしながら、今後このような新生児あるいは三才児につきまして健康診査を相当広くやっていきますと、お話のようにいろいろな異常、いろいろ病院治療等を要する場合が起こると存じますので、今後それらの精密検査に要する費用につきましては、そういうような費用もぜひ将来予算化して参りたい、かように考えております。
#153
○横山フク君 乳幼児の一斉検診が今行なわれております、毎年。しかし、乳幼児の一斉検診も一斉検診だけで終わっていると思うのです。その中で、今局長は要注意者はいろいろな精密検査を若干やっているというお話で、やっておって、その余ったのを新生児なり三才児の方に回すというようなお話でございますけれども、現在の一斉検診、乳幼児の一斉検診を行なった、その跡始末が私は満足に行なわれているとは思っていない。ですから新生児の保健指導をするのは私は非常にいいことだ、しないよりいいと思うのです。三才児の保健指導をするのはいいことだと思うのです。いいでしょうけれども、ただ保健指導をしただけでは間に合わぬと思うのです。検診して出た結果をどうするかという形まで私は取り上げなかったならば、これもまた引っかき散らすだけに終わってしまうと思うのです。こういう点、予算の面でどこのところにどういうふうに盛られているか、増額されているか。私見てもよくわからないのです。どうも増額されているように思えないのです。でございますので、その点を伺いたいと思うのです。
#154
○政府委員(大山正君) 経済的な理由によりまして、個別的な保健指導を受けることのできない妊産婦、乳幼児に対する個別指導の経費といたしましては、昭和三十六年度には四百五十九万円の母子衛生の経費のうちに含んでおります。その四百五十九万円につきまして八割国庫補助ということになっております。
#155
○横山フク君 四百五十九万、これは増でございますか。本年度の総額でございますか。
#156
○政府委員(大山正君) 総額でございまして、前年度とほぼ同様でございます。
#157
○横山フク君 前年度とほぼ同様でございますと、今まで通りでございますね。そうすると、新生児の検診をして出た結果、これは八十五万人でございますね、その人たちを保健指導をして、出た人たちがどのくらいの。パーセンテージで出るか、私もそこまで現在調べておりませんが、しかし、類推して出ることかとも思いますけれども、また、三才児をいたしました場合にも、そこから出るわけでございますね。前年度と同様の四百五十九万円、四百五十九万円という額そのものが不十分だと思うのです。何人という形で終わると言ったら極端な言い方になるでしょうが、さらに八十五万人の新生児、そしてそれと同数程度の三才児の保健指導をした際に、その結果どう医療を受けさせるかという形に対しては、何ら処置をしたものはないと言っていいのではないかと思うのですが。
#158
○政府委員(大山正君) お話のように新生児、あるいは三才児の健康診査あるいは家庭訪問指導の結果、いろいろ異常があります場合には、一般の保険でいきます以外には、先ほど申し上げました個別指導の費用だけでございますので、今後さらに実績を見まして、その方面にもぜひ予算を計上するように努力したい、かように考えております。
#159
○横山フク君 実績を見てからして下さるのはけっこうですが、それは来年度だと思うのです。新生児は今生まれてから来年まで待っている間に死んでしまうかもしれないのです。大へん残念だと思うのです。この点は厚生大臣におかれましては……私たちはこれは何も助産婦の救済事業だとは思っていないのです。坂本さんもお話の通りに、わずかに五十円です。五十円というのは電車代です。バス代です。地方に行きますと自転車代です。でございますが、私たちもせっかく扱ったお子さんたちが病気になったのでは困るのです。丈夫にすこやかに育つために、自分たちの職域を通して何らかの奉仕をすることはけっこうだと思うのです、好ましいと思って奉仕しているのです。ところが、その結果出た人たちが、病気がわかった人たちが、わかっていながらそれを国に訴えることは何らできない。国民健康保険では半額です。あとの半額がその人にはどうにもならないということになると、かえって、そのみじめさを知るだけに、その痛ましさを知るだけにかえって非常にさびしい気がすると思うのです。こういう点をもう少し政治の上に御努力――あるいは今年度御努力下すったのか、そこら辺私は了承しかねるのでございますけれども、来年ではおそ過ぎると思いますけれども、厚生大臣におかれまして、そこら辺をしかるべく御処置を願いたいと私は思うのでございますが、いかがでございましょう。
#160
○国務大臣(古井喜實君) お話を伺えば、一々ごもっとものように私に思えるのでありまして、極力努力をしてみたいと思います。
#161
○横山フク君 いろいろと具体的にこまかく伺いたいと思うのですが、あまりいじめても、あとでいけないと思いますので、遠慮いたしますけれども、しかし問題は、そんななまやさしい問題ではないと思っております。やっぱり厚生省の児童局で母子の問題に手をつけられたことは、非常にいいことだと思う。やっぱり母体が中心になり、そうして新生児が中心になっていく問題だと思う。もっとこの点において大きく力を入れなかったならば、結核児あるいは結核者あるいは大きくなってから虚弱になるので、母体の問題、新生児の問題について十二分の手当をすべきだと思うのです。その方がまた総体的に言ったら、結局予算面において安上がりに済むと思うのでございます。ところが、今までこういう問題に対して厚生省も大蔵省もあまり重きを置いていない。現実に病人が出たときに、それに追い回されている形であると思うのです。余裕が幾らかできて、こういう方面に向けられたのかもしれませんけれども、ここでなおもう一歩進めて、そうして母体の保護、新生児保護という形において十二分の対策をもうそろそろ来年度の予算を組まれる時間になっていると思います。本年度の厚生省の方針をきめられる時期になっていると思います。古井厚生大臣に大いにその力を入れて、そうしてすべての厚生省の根本はここにあるという形からお進めいただくことを切にお願いいたしたいと思うわけであります。厚生大臣の御所見を承りたいと思っております。
#162
○国務大臣(古井喜實君) この母性の問題、それから乳幼児の問題は、今中心だとおっしゃいましたけれども、中心というよりももとだと言った方が私は適言のような気がするのであります。私もこれがもとであると思うのであります。そのところに力を入れておけば、お話のように、あとの方で対策が少なくなっていく、こういう意味ではもとだと私は思うのであります。よく力を入れていきたいと思います。
#163
○横山フク君 どうぞおっしゃったことを実際に行なっていただきたい。なおお願いしたいことは、先ほど言い足りないのでもとへ戻ったような形になりますけれども、保健所の保健婦さん、助産婦の充足率は十分にいっておりません。定員のあるところは、たとえば青森県は保健婦の定員は百六人なのに五十五人、この保健婦の定員ということさえすでに妥当な定員であるか。その後仕事がいろいろとふやされて、その上においての定員という形になったら変えられなければならない問題と思うのですが、それなのに半分くらいしかいっていない。あるいは埼玉県にいたしましても定員は百六十八人、それが六十三人、三分の一しか充足されていない。しかも助産婦はゼロということで、これはいけないと思います。でありますから、この面において大いに定員を充足するような形に、これは予算面だけでなくして、行政面の措置が何かなければならぬ。基準といったあれが法規の中にあるからいけないか、あるいはそのものずばりの補助金にしたらいいとか、そういう点を御検討いただいて、もう少しいいことはしていただかなければならぬと同時に、どんなことを言っても、保健所を中心にして――保健所ですベてをするわけにいかないから、保健所を中心にして、医者なり助産婦なりがどういう形で手をつないでいくかということを十二分の御考究を重ねてお願いいたしたいと思うわけです。
#164
○国務大臣(古井喜實君) 重ね重ねのお話でありまして、よくわかりました。
#165
○坂本昭君 数点お尋ねしたいと思います。
 第一は、資料で拝見しますと、児童相談所における相談の種類の中で、肢体不自由児の相談件数が年間一万件をこえております。これは、先ほど来、小児麻痺の問題について二、三時間検討して参りましたこととも関連しますので、ちょっと詳しくこの予算の内容を伺っておきたい。身体障害児の援護費の補助として二億三百三十三万円出ておりますが、この中では療育指導費とそれから事務費並びに育成医療、それから補装具の交付費、この二つに分かれております。それがそれぞれ幾らになって、対象人員がどれぐらいになって、かつ、その希望者はどれぐらいあったが、これぐらいしか受け付けることができなかったという、希望者の数と、それを御説明いただきたい。
#166
○説明員(松尾正雄君) こまかい数字でございますので、私からお答え申し上げます。
 三十六年度の身体障害児援護費の補助金は、年額で二億三百三十三万七千円でございますが、この中で育成医療、いわゆる小児麻痺等の早期治療対策に相当いたしますものが一億五千九百十一万六千円ということでございます。これの対象人員といたしまして積算上入っておりますのは、肢体不自由児につきましては入院を八千百四十一名、外来を四千百九十七名、それから視覚障害につきましては入院を百八名、外来三十名、聴覚平衡機能障害、これにつきましても同様に百八名と外来三十五名という積算になっております。なお、これに、医療費のほかに、この中には若干移送費等も含まれておるわけでございます。補装具につきましては四千四百二十二万一千円でございます。内訳といたしましては、義肢、それから装具、車いす、松葉づえ、盲人安全づえ、補聴器、それぞれ交付並びに修理ということで、こまかく積算いたしておるわけでございます。大体の今までの育成医療関係の適用につきましては、一年間に約一万件の申請がございます。一万件の申請に対しまして、その年度中に許可いたしておりますのは約九千件であります。なお、この申請に至りませんで、一般の、この事業の一環として行なっております療育相談と申しますか、専門家の手によりますところの相談件数は約五万件でございます。
#167
○坂本昭君 それからもう一つ、今度は療育指導費の方。
#168
○説明員(松尾正雄君) 療育指導費は三百三十四万一千円でございます。これは従来、保健所の中で整形外科その他の専門医の方を委嘱いたしまして、それを療育保健所と称しておりますが、それを百三十五カ所であったものを二百四十一カ所までに増加をいたしまして、それに必要な手当なり医療費が含まれておりますものでございます。
#169
○坂本昭君 そうしますと、大体まあ年間一万件申請をして、九千件程度をこの育成医療の中で処置をして、その中で大体小児麻痺の患者さんが一番多い、そして金額も一億六千万程度、まあそういうことが大かた明らかになってきたのですが、実際は小児麻痺は、去年あたり五千五、六百、その前の年も数千名。ですから、毎年出た分が完全にこれで、育成医療で十分な医療を受けているとは実は考えられない。各地における療護園の数も、やっと各県に一つくらいできた程度で、それに対する申し込みの数も相当多いというのが現実であります。しかもこういうように治療のためには相当な費用がかかる。念のためにこれは伺っておきたいのですが、このときの入院の単価は一人幾らになっておりますか。
#170
○説明員(松尾正雄君) 育成医療の場合、入院につきましては肢体不自由児は一件当たり三万一千七百八十一円、それから外来の場合は九千三百七十円、視覚障害児の場合は、入院二万三千七百七十円、外来は二千百七十円、大体こういう単価で組まれております。
#171
○坂本昭君 一件三万円というのは、たとえば小児麻痺であとの育成医療を受ける場合に、三万一千円が限度であって、それ以上は出してもらえない、こういうことなのですか。
#172
○説明員(松尾正雄君) これはあくまでも積算上の単価だけでございまして、実行上はさようなことは毛頭いたしておりません。かなり長い期間にわたりまして、適用を続けております。
#173
○坂本昭君 そうしますと、ここの対象は、入院八千百四十二名となっているが、長い期間にわたってこの育成医療を続けておれば、実際上この予算で見てもらっている子供の実人員というものはずっと減ってくるわけですね。たとえば昭和三十五年度においてどのくらいの小児麻痺の患者がこの育成医療を受けたか、具体的の数はわかりませんか。
#174
○説明員(松尾正雄君) 三十五年度はまだこまかい数字は出ておりません。実績といたしまして、三十四年度の育成医療の給付の状況は、先ほど九千九百と申しましたが、八千四百二十六件でございます。そのうち肢体不自由児が七千五百九十件を占めております。入院はそのうちで、肢体不自由児七千五百九十件のうち四千三百八十九件、外来は三千五百一件、こういうことでございます。
#175
○坂本昭君 今の説明で大臣もおわかりになったと思うのですけれども、実際育成医療の過半数というものは、大多数は、これは主として小児麻痺の患者だと思う。もちろん脳性麻痺の患者もあるでしょうけれども、小児麻痺が一番多いわけですね。そのためにはまあ申請のうちの八割か九割。これも実情を言うと、なかなか申請をしません。みな身体障害児というものは親も従来隠している。従って、相当の年になるまで、子供というものは孤独の生活をしている。従って、肉体的にも精神的にも非常にひがんでいる。これを今度整肢療護園あたりに入れて治療する場合、まずその心理的のひがみをなおすのに相当かかる。これは一度大臣行かれるとおわかりになると思うのですけれども、こういう子供は連れて来ましてもすぐに手術をしません。連れて来ましたら、保母やみながだんだんと普通の子供だという意識を持たせるために、二カ月も、三カ月も、何と申しますか、なつかせていくわけです。そうしてなつかせていって、だんだんとひがみがとれていって、そして自分も何かりっぱに歩いてみたいという気持になってきたときに、今度は手術をする。それからあとのいわゆる回復期の訓練をやって、リハビリテーションをやって、職業につけてやる。そういう非常に身体障害児に対する扱いというものは、われわれの想像以上に複雑な状態なんです。それを去年あたりから、お母さんたちが、小児麻痺の問題に初めて目ざめてきて、今まであきらめておった。あきらめて子供を隠しておった。ところが、治療すればなおる。さらに養護すればなおる。しかも今育成医療で出しておる金は一億六千万、この一億六千万で生ワクを買ったら、先ほど二時間ほど議論したのですが、一人分十円だということになった。十円だというと、一億五千万だと、千五百万人ということなんです。千五百万人の子供に生ワクを飲ませたら、大体一カ月で九割程度免疫ができる。こういうことで、これから毎年これをやっていったら、将来の育成医療の予算というものはなくなっていく。まず予防のために二億、三億を出してもらいたい。しかも効果のあるように出してもらいたい。これは大臣もすでに御認識があると思いますが、同時に、今までかかっておる不幸な子供に対しては、これだけの予算では現実の問題として非常に足りないのであります。でありますから、小児麻痺のことについて予防の問題が盛んに出てきましたが、この際来年度については、ぜひ身体障害者の子供の治療について、十分な一つ予算的な措置をとっていただきたい。幸いにして、今度児童福祉法の一部改正をやるのですけれども、私は、基本的には、そういう点の大臣の決意を、これは小児麻痺の問題に関連してこの際一つ伺っておきたい。
#176
○国務大臣(古井喜實君) 実際に小児麻痺にかかった子供さんというものは気の毒千万、かわいそう千万なことだと思うのであります。すでにかかった以上は、このあとの問題になるのでありますけれども、そういう施設の整備、また、ふやしていく問題もほんとうに考えなければならぬと思います。同時に、根本を絶つ意味で、予防にもこれはぐっと力を入れぬと、これがやはりもとでありますから、それをやります。遺憾ながら、予防の方も、生ワクの問題にしても、ぐっと進んだにかかわらず、日本の検定能力等は、ずっとまだおくれてしまって、設備も、技術者も、というような状況で、まことにこれはもどかしいことだと思っておるのでありまして、その方面にも急速に、ことにその方面などは、来年度なんということを待たずに、予算措置もできるだけ一つ講じてやってみたいものだという気がしておるのであります。先ごろ政府は予備費をとり出しましたけれども、もっと、おくれておるのをちょっと先に向けるために、さらに予備費の問題なども一つ進めてみたい、こう考えて今おるような状況であります。ちょっとテンポはおそいのでありまして、これはまことに気のせく問題であります。
#177
○坂本昭君 予防の問題はそうやっていただくし、また同時に、この不幸な子供に対する育成医療の問題についても、一つ馬力をかけていただきたいのです。
 そこでもう一つ、忘れられている子供の問題が一つあるので、この際御意見を伺いたいのですが、進行性筋萎縮症という非常に変わった病気があります。この進行性筋萎縮症というのは、小さい生まれたときから始まることもあれば、青年期になって出てくることもあるのですが、だんだんと筋肉が萎縮していって、動かなくなるわけです。一種の身体障害児になるわけです。これが全国にかなりありますが、東京都については約五、六百名の数が明確になって、そしてこの母親たちが、進行性筋萎縮症の母親の会というものを作っているんです。そしてこの子供たちは非常に緩慢に進行していって、そして身体障害者であると同時に非常に致命的なんです。つまりなおるということが今日考えられていない病気です。そこでこの子供たちは、たまたま間違って肢体不自由児の整肢療護園などに入ってくることもあるのです。ありますけれども、小児麻痺と違いまして、ちょっと扱いや治療が違うのです。そこで都内の学校の先生方が非常に困っておられます。都内で約五百、日本全国では数万とありません。しかし、このお母さんたちにとっては、非常に扱いにくい問題であると同時に、これは医学的に非常に重要な問題であります。これはなくなられましたけれども、東大に呉教授という方がおられて、この呉教授が、もし今生きておられたら、この進行性筋萎縮症の研究において、あるいはノーベル賞の候補になっておったかもしれないが、不幸にしてなくなられたのですけれども、この進行性筋萎縮症という特殊な子供が都内に五百人もいるという事実から、私は厚生省で、いわば国立の特殊な療養施設を作って、そこで一つは、これは児童局だけじゃありません。児童局の施設としても必要であるが、同時に国立の病院といいますか、病院として、特殊な治療の対象、研究の対象として扱う。同時に子供ですから、これに対する教育も必要、従って私は、これは厚生省の特殊な施設としてぜひ作っていただきたい。これが十人、二十人ならともかく、東京都内だけで、五、六百人以上もあって、しかもお母さんたちがすでに手を取り合って何とかしてもらいたいという要望を出し、かつその教育者の人たちが、何とかならぬかという問題を一つ起こしているんです。私は、日本の学者がある程度世界の先べんをつけて研究をしておる。だからこの際、一ところに集めて、そして特殊な研究の対象とすると同時に国費をもって教育や、いろいろなことを見て、子供に対して希望を与える。お母さんたちに対しても希望を与える。そういう行き方をぜひ作っていただきたい。ちょうど国立のガンの病院ができました。これは年をとった人が対象になりますが、ぜひこういうこともやっていただきたいと思いますので、一つ大臣の考えと、それからさらにこれは各局にわたる問題だと思いますが、一応、この子供が多いので、局長の事務的な御答弁もこの際承っておきたい。
#178
○国務大臣(古井喜實君) 坂本さん、これは私も実はよく――よくというか知識がありませんので、実情をよくまた検討しまして、そして必要なことを積極的に考えていかなければならぬと、思いますので、よく研究させていただきたいと思います。
#179
○政府委員(大山正君) 実は、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、私の方でもまだ的確に実情を把握いたしておりません。とりあえずの問題といたしましては、こういう症状の者以外も含むわけでございますが、いわゆる重症心神障害者の対策の一環ともなると思いますが、なお今後、一つ各方面でもこの研究を促進していただきまして、私どももいかなる医療、いかなるあるいは指導、訓練、教育ということが適切であるかということをよく見定めまして検討を進めて参りたい。かように考えております。
#180
○坂本昭君 今の重症心神障害児の中に入るかどうか、これは非常に所管も私むずかしいと思いまして、実は私もどういうふうに扱ったらいいかと思って今まで苦慮してきたのです。そこで児童局として扱えばどの課に当たるか、この際、一つ事務的な扱いの場所をきめていただきたい。
#181
○政府委員(大山正君) 児童局で扱います場合には、やはり母子衛生課の所管になると思います。
#182
○坂本昭君 そうすると、松尾さんのところでやっていただけるということですね。それではこれは非常に特殊であると同時に、やはり最近こういう肢体不自由児の問題が重視されてきておりますから、あと私直接連絡をとります。これは今の呉教授の跡を継いでいる沖中教授、この間恩賜賞をもらいました、あの沖中教室が担当しておりますので、松尾課長は沖中教室の助教授が担当しておりますので、何かそういう学者と行政というものを一緒にして、できればそういう特殊な国立の施設を作らせるように一つ御努力をお願いしたい。それからなお、特にここで私の問題としたいのは、やはり治療ということもありますが、治療は医務局になりますが、これは現在なかなかなおらない病気です、はっきり言って。しかし、生まれてきた以上はやはり生きて人生の楽しみを子供として持たなければならぬ。そうしてそこで、その中で教育をしていくという点で、ちょうど結核の子供に養護学級というのがありますが、療養学級ですか、そういうことと毛関連しますので、児童局で一つ考えていただきたいというわけなんです。そこで今養護学級の問題が出ましたので、今度、関節結核から一般のその他の結核にまで広げられまして、この点は多年われわれが主張しておったことが一部取り上げられてけっこうなことですが、実はその取り上げられた数があまりにも少なくて実はこれではどうかと思うのです。皆さんの統計にも結核による長期欠席として小学校九千名、中学校約五千名、一万四千名くらい出ておる。このうちの過半数が結核性疾患であるということは私はほぼ言い得ると思う。しかし、これに対して今まで関節結核は六百十床、それから今度できたのが、その他の結核が二百床、そうすると合わせて八百、一千にも足らないわけです。一万数千の中で一千くらいではこれはとうてい私は間に合わないのじゃないか、関節結核から一般にまで広がった点は、この点は了としますが、ただ、形だけ、名前だけ広がっただけで実質的にはあまりお粗末過ぎる。なぜこんな形だけのことにしたのか、ほんとうに文部省の長期欠席の子供の実態の上から、こういう人たちをちゃんとした結核児童の療育費としてちゃんと予算を組んで、そうしてそのためにまた療養学級が国立の療養所にあります、それからまた、日赤の病院などにもあります、そういうものに対して少なくとも国立の病院、療養所においては、これは医務局所管になりますけれども、そういうための教材費なども今度若干組まれておりますけれども、まだまだ不十分である。そういう点で、あまり数が少ないので、せっかく法律改正のできたものについてけちをつけるのはまことにお気の毒ですが、なぜこんなことで済ましたかということ、それから一体将来どういうおつもりなのか、まず事務的な御答弁をいただきたい。
#183
○政府委員(大山正君) 今回の一般結核に及びましたベッド数は今二百床でございまして、私どももはなはだ不十分で、今後さらに増していかなければならない、かように考えております。今回はまず試験的にということでとりあえず二百床認められたわけでございますが、カリエスの場合も最初に始まりました昭和三十四年度においては二百九十床から出発しまして今日に至ったようなことでございますが、私ども本年初めて一般結核が認められたわけでございますが、今後さらに増していきたい。それでカリエスと一般結核を合わせまして現在このような医療とそれから教育、生活指導、この三位一体でやっております。しかも私どもの所管としてみていきたい、こう考えておるわけでございますが、お手元の資料にもありますように、大体二千五百から三千ベッドくらいそういうものがございますので、私どもできるだけすみやかにそこまで達するように努力していきたい、このように考えております。
#184
○坂本昭君 指定をされるわけですね。その指定について、指定医療機関がここに二十九出ておりますね。ところが、これが所管が違うので、あなたの言われる今の医療と教育と生活と、その教育と生活の面であなたの方は医務局と連絡をとりあるいは文部省と連絡をとって何か具体的なことをやっておられますか。
#185
○政府委員(大山正君) 国立療養所におきまして、養護学級あるいは特殊学級あるいは教員派遣というような形で教育をやるように進めていただいておりまして、現在国立療養所でそういうような教育を行なっておりますところが大体四十五カ所あるように承知いたしております。それからそのような特殊学級あるいは養護学級、教員派遣というようなことにつきまして、文部省とも連絡いたしまして、各地方の教育委員会にそのような制度を早く進めるようにということをお願いいたしております。
#186
○坂本昭君 それは局長さんはお願いしておりますと言うけれども、これはやっておるところの各所長は難儀しているのですよ。実は私も国立の療養所の所長をやっておって、こういう問題を扱ってきて、私がやめてからは新しく養護学級を作ったのですけれども、私の後任の所長が難儀をしておったのです。それは特別な教室というものを作ってもらえない。黒板も買ってもらえない。ですから、みんな療養所の一般予算の中から出していって黒板をかまえなければならない。いろいろなものをかまえなければならない。そういうようなことで非常に苦労している。どの療養所でも非常な苦労をして、大体教育委員会へ行って先生を派遣してもらうことを一生懸命交渉して、そうして少し緒についてくると、あなたの方で取り上げて、今度は何といいますか、お願いをするという格好で、最初にお願い申し上げるのは各施設なんです。そういう点ではあなたたちはなはだ怠慢だと思う。せっかくお願いをするならば、予算的に一体幾ら出しているか、あなたの方では。今の養護学級について、教育あるいは生活の面で具体的に幾ら金を出していますか。
#187
○政府委員(大山正君) 私どもの方では、子供の処遇に必要な医療費、それから子供の学習品費、今度新たに生活費ということで、子供に関する費用を出すわけでございまして、施設の費用は療養所なりあるいは教育委員会なり、特に御指摘のありましたような黒板その他のような施設は、当然これは教育委員会で持っていただくというふうに私どもはお願いしている次第であります。
#188
○坂本昭君 それなら、たとえば机だとか腰かけだとか黒板は教育委員会から出すようにあなたの方ははっきり連絡をとっておりますか。実はあなたの方で連絡をとっていないから非常に苦労をしている。今後も私はこういうふうにして、結核の療育費の補助なんかだんだんふえてくると、まだ学級をふやすことができると思う。確かにこのごろ小児結核は減ってきておりまして、養護学級はちょっと減少している傾向はあるのです。しかし、各地を回りますと、こういう子供がほっぽらかされているのがかなりある。これはPRを十分にやり、予算的に特に健康保険の場合は半額だから、こういうことも徹底的に、今度七割になりますが、徹底的にやっていけば相当私は充実されると思う。従って、そのために、各国立療養所あたりのお医者さんが子供の教育の面で積極的に働けるようなことをぜひともこれは予算的に一つ具体化していただきたい。一つ大臣にその点のお考えを承っておきたい。
#189
○国務大臣(古井喜實君) お話の方向でやりたいと思います。予算面の問題に突き当たりましょうが、これも関係者の場所の便いかんの関係もありまして、私の郷里は鳥取ですけれども、ちっぽけな市でありますが、御承知のあそこに国立の療養所がある、末恒という……。少しベッドがあいているので、あそこに一つ学校を作ろう、こういうことを市長が考えまして、私もけしかけた一人で、やったらいいじゃないか――先日行ってみると、白兎学園と称して、りっぱな教室を作って始めておりました。こういうわけで、大したことじゃないのですから、金は、ほんとうに市町村でもやる気になってくれさえすれば、実際できると思うのですね。また、こっちの方も少しおしりをたたいて、鞭撻を加え、また、予算措置も、できれば、してやれば、進むのじゃないか、私は、そういうふうに、自分の関係してみたところからも思っております。大いにやってみたい、やらなければならぬと思っております。
#190
○坂本昭君 今、大臣の言われる通りなんですがね、ところが、実際は、教育だか、医療だかというので、教育委員会とそれから病院当局とははねかけ合いになっているのです。そのために、国立療養所のように予算を切り詰められたところでは非常な難儀をしておるというのが現実なんです。だから、私は、大臣のお気持はよくわかるから、医療として、国立療養所だったら厚生省が全部見る。見るなら見るという態度で臨んでもらいたい。それから教育については文部省が全部見ろ。だから文部省はやれ。そこをはっきりしていただいたらけっこうなんです。それが両方が、譲り合いといいますか、はねかけ合いになって、非常に迷惑をしている。
 この点で、実は最後にお伺いしたい点なんですが、これの基本的な問題、それは保育の問題なんです。ちょうどこの資料にもありますけれども、乳幼児保健指導実施状況として、多数の保健所活動のあれが出ていますが、この保育の問題がまさにこれ文部省と厚生省の、これはまたはねかけ合いの段階にも至っていない。今度、これはもう去年からたびたび質問して参りましたところが、一体この保育所というものは、これは教育をするところか、保護機関かということで、この間労働基準法の八条の十三号ということに通牒できまったのですが、この点は、教育機関であるか、生活保護をやるところか、これはもう保育所の問題であると同時に、一体、この乳幼児に対する対策ですね、乳幼児に対する対策は、これは日本の現内閣は、これは一体どういう面で見ているのか。特にその中で私は、具体的な保育所という形で――保育所というものは、これは保育に欠けたる子供を措置するという、これは終戦直後のあの生活の非常に苦しい時代に子供に対する生活保護の適用として、この保育所というものがあの当時制定せられてきた。しかし、今日の世界の傾向を見るというと、これは、たとえばソ連が小児麻痺ワクチンにアメリカと共同研究をして、非常にすばらしい成果を上げたというのは、非常に乳幼児対策に対して積極的なんです。そのためにアメリカのセービン博士を一九五五年から毎年モスクワへ呼んできて、とうとうあの生ワクチンというものを完成せられた。そして、ああいう国では、これは社会主義であるということもその一つの理由になりますが、同時に、これはもう、社会主義でなくても、資本主義だって、子供を大事にするということは非常に必要なことなんです。従って、日本の場合も、保育所というものを、これを、保育に欠けたる子供を措置するのだという、生活保護の対象としていってみてよい時代はもう去ったのではないか。私はむしろこの点について厚生大臣の基本的な考えを伺いたいのです。これはことしの春の予算委員会のときに、池田総理に他の議員――たしか高田議員がやはりこの問題について質問をして、そして児童省というものを作るくらいにやらなければだめじゃないかということを質問して、池田総理は、まことにもっともであるというような答弁をされたそうであります。が、少なくとも保育所というものの扱いについて、保育に欠けたる子供を措置するという、生活保護的な観念でやってよろしいか。むしろ私はもっと教育的な面を加味すべきではないか。加味というよりも、本質的にそういう面を考えるべきではないか。私は別に、保育所行政を文部省にすっと移せというのじゃないのです。それよりも、もっと基本的なものの考え方をこの際確立すべきである。この点について、今の労働基準法八条十三号の問題は、これはもうたびたび局長とも議論しましたし、先ほど見解が出ましたから、この点は大臣には伺いませんから、基本的な児童対策という点で、見解をこの際聞いておきたいと思います。
#191
○国務大臣(古井喜實君) 児童対策が、従来、子供は両親がめんどうを見るものであるということが中心になっておって、国として、小さい子供からめんどうを見ていく――施策を講じていくという面はちょっと薄かったのであります。いわばおくれておるように思うのであります。それは、両親の子供じゃなくて、国家の子供だというまではいってしまわないと思います。思いますけれども、やはり今の、国として考えていかなければならぬという面は少しおくれておると思うのであります。せいぜい貧困家庭の問題であるとか、特殊な、親のない子供とかという式の、特殊な立場の子供を対象にしておったのですが、そうでなくて、児童一般、どういうことを対象にした国の政策が生まれてこなければならぬものだと思うのであります。そういうふうに基本的に思いますので、児童局といろいろ話し合っておりまして、例の児童手当の問題なども、これは何も貧困家庭とか、両親がない子供とかいうのじゃなく、児童一般に対しての問題として、あの問題も一つ大いに積極的な意味で検討してみようじゃないかというので、児童福祉審議会の方に特別な部会を作ってもらってやりたいということも考えておるのであります。こういう辺がおくれておるということを認識しまして、これからというのはおそいようでありますけれども、これから開拓して作り上げていきたい、こういう考えを根本的に持つのであります。保育所の問題につきましては、保育所というものは、率直に言って、実際、割り切れぬところがあるのであります。いなかでは、学校みたい、幼稚園みたいに思っておるわけであります。まあ、学校ですな。ほかに、まだ幼稚園というものはほとんどありません……。ところが、そういうものじゃないという建前になっておって、ここは何だかぴったりこぬところがあるのです。しかし、同時に、農村などの問題になりますと、もともと農村の人々は経済的に力が弱いものですから、教育的なものであっても、国が大いに一つ援助しなければならぬということは残ると思うのであります。何も社会施設だといわぬでも、そういうふうに私は思うのであります。それであの手のものは、一体文部省であろうが厚生省であろうが、いわば多々ますます弁ずで、両方がやってもいいのじゃないかと私は思うのです。いい方がいいのであって、片方でなければいかぬというようなことを実は言っておらぬのですが、特色を持って、両方でやってみてもいいように思うのであります。これは先向きに進めなければならないと私は実は思うのであります。さっきの結核の子供のことなどにつきましても、実際これは文部省でもやってみてもらっていいだろう。特色を持ってやってもらう。多々ますます弁ずだと思うので、そういう機運を一つこの委員会でも、また文部の委員会などでも、一つ起こしてもらったらいかがか、こういう工合に正直のところ思っておるところでありますから、お話のようなところに、まことに同感の点が多いのであります。そういう考えを持って、前進のために努力して参りたいと思います。
#192
○坂本昭君 今の大臣の御答弁は、まだちょっと納得できないのですが、それは日本の行政というものはセクショナリズムが強いのですやですから文部省でも厚生省でも、どっちでもいいといっても、どっちつかずでは困るのです。やらないのです。行政機関が責任をとらないのです。ですから、そういう点では私はやはり今、自由民主党がとにかく内閣を取って、政権を維持している以上は、これはもうあなた方の方でも、乳幼児対策というものを基本的に考えていただくときじゃないか。たとえばイギリスの場合だと、義務教育の初めの年令を六才から五才に下げてきていますね。日本の場合は六才なんですよ。これなどは、私は教育の面もあれば、今の日本の保育所の問題もあると思うのです。そういう点などは、これは文部省も厚生省も一緒に考えて、一つ結論を出さなければいかぬ点だと思うのです。それから、今大臣の言われた通り、いなかに行くと、もう幼稚園も保育園もない、一緒だ。実際は保育所でこの措置費をもらってやっているわけですね。ところが、その内容は、実際言うと、幼稚園的な教育的な面が非常に多い。多いけれども、実は法律の上では、措置費として生活保護の対象として扱われている。そういうところに矛盾があって、しかもそれは終戦直後のあのときにできた児童福祉法なんですよ。もう今日は――終戦後には違いないが、もう時期が変わってきている。もうすでに保育所問題というものを基本的に考え直すときじゃないか。去年あたりから、これは厚生省でもいろいろ考えておられるのです。この課の人あたりは、相当検討しておられる。しかし、今の段階では、政策がはっきりできぬものだから、企画課長でも、母子福祉課長でも、みんなただきめられたところの政策の中で、予算をこういじくり回すだけで進んでいるのです。もっと基本的に乳幼児の扱いをどうするか、保育所の扱い、幼稚園の扱いをどうするか、そういう点を、私はむしろ厚生大臣、文部大臣に検討していただきたい。そういう時期に来ている。こういう児童福祉法の一部改正もけっこうでございます。これはみな改正されて悪い点はないのですけれども、もう一つ基本的な点を考え直していただく時期に来ている。特に保育所の問題です。ほかはもう言いません。保育所の問題については、そういう時期に来ているということで、これは一つ来年度の予算編成については、その点を一つ皆さんで御検討いただきたい。これはもう内閣の問題として、池田総理も児童省のことなどこれは考えなければならぬというようなことを漏らしたようでございますから、十分御検討いただきたい、そのことを一つ最後に申し上げて、私の質問を終わります。
#193
○国務大臣(古井喜實君) まあ児童省というのはちょっとどうか、まだ私の考えはそこまで行っておりませんけれども、しかし、そのくらいな考え方を持って、この乳幼児、児童の問題にはこの次の段階にも努力していきたいというふうに思うのであります。
#194
○谷口弥三郎君 ちょっと私から一つ二つお伺いしたいと思うのです。もうすでにいろいろな問題が出て、お話があったのですから、それ以上申し上げる必要はありませんが、今回児童福祉法が一部改正になって、たとえば三才児の検診をやるとか、あるいは昨年からでありますか未熟児の対策なども出て、まことにけっこうなことと思いますが、先刻来のお話の中に、たとえば、保健所の中には助産婦さんが足らぬから、開業助産婦さんあたりを大いに委嘱して、そして妊婦の検診を大いにやるというようなお話がありましたが、この際に、これは予算が足らぬためでございましょうが、ぜひともその検診をする際には、妊娠中毒症を特に大いに見つけ出しまして、その方面に力を尽くしていただきたい。日本が相変わらず妊産婦の死亡が世界的に非常に多いのは、主として妊娠中毒症の結果でございますから、これを一つ大いにやらせるようにお力を注いでいただきたいと思います。そうすれば、また従って、未熟児の出生もずっと減すことができるだろうと思います。なおその上に、せっかくならば、お産の場合に、分べん時の注意を大いに促していただきたい。一体に分べんが困難した場合に、よく脳内出血を起こします結果、いわゆる脳性麻痺の患者が出て参りまするのですから、かえって非常に困難な場合には腹から子供を出す帝王切開術をやった方がいいとまでさえ最近には言われておるくらいでございますので、帝王切開やった子供でほとんど精薄児はおらぬというような関係もございますから、特に妊産婦を指導される場合には、そういう方面に力を尽くすようにしていただきたい。そしてなお先刻来お話がございましたように、保健所には少なくとも助産婦の定員を何とかして助産婦を置くように、もしおらぬ場合には開業助産婦あるいは開業医者というものと十分連絡をとって、この方面の力を進ませていただくようにお願いをしたいと思いまして、一言お願いをしておきたいと思います。
#195
○国務大臣(古井喜實君) この問題も私どもごもっとも千万に思います。ことに妊娠中毒の問題は、ことしの予算に漏らしてしまったのは、実にしまったと思って残念に思っておるような状況でありますので、それだけではございませんけれども、このあと大きに考えていきたいと思っております。
#196
○委員長(吉武恵市君) ほかにございませんか。――別に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#197
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないものと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。――別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#198
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。児童福祉法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#199
○委員長(吉武恵市君) 全員一致でございます。よって児童福祉法の一部を改正する法律案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#200
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。どうもありがとうございました。
 散会をいたします。
   午後五時三十八分閉会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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