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1960/05/16 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 建設委員会 第28号
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1960/05/16 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 建設委員会 第28号

#1
第038回国会 建設委員会 第28号
昭和三十六年五月十六日(火曜日)
   午前十時三十四分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
五月十一日委員小沢久太郎君及び村松
久義君辞任につき、その補欠として二
見甚郷君及び下條康麿君を議長におい
て指名した。
五月十二日委員下條康麿君及び二見甚
郷君辞任につき、その補欠として村松
久義君及び小沢久太郎君を議長におい
て指名した。
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     稲浦 鹿藏君
   理事
           田中 清一君
           松野 孝一君
           武藤 常介君
           内村 清次君
   委員
           岩沢 忠恭君
           小沢久太郎君
           小山邦太郎君
           米田 正文君
           木下 友敬君
           田中  一君
           武内 五郎君
           藤田  進君
           田上 松衞君
           小平 芳平君
           村上 義一君
  国務大臣
   建設大臣    中村 梅吉君
  政府委員
   建設省住宅局長 稗田  治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       武井  篤君
  説明員
   国土地理院総務
   部長      富岡 茂雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○防災建築街区造成法案(内閣提出、
 衆議院送付)
○建築基準法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○測量法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(稲浦鹿藏君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 初めに、防災建築街区造成法案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑の方は、順次御発言下さい。
#3
○田中一君 これは建設大臣並びに住宅局長にお伺いしますが、こういう場合を想定できないでしょうか。それは、大体、相当大きな規模のものの場合には、これは必然的に市街地改造事業と同じような形でもって高度化するという場合に、民間資金の導入ということは、当然、これは事業の施行者――施行者というか、その公共団体の施行にしても考えられることだと思うのです。資金に限度がありますからね。で、私はこういうことを考えてみたのです。何とかしてこの事業を本物にして、そうして資金的に苦しまないでいける方法としては、第一に考えられるのは市中銀行の融資、いわゆる建築物に対する融資ですね。していない。これはむろんそれに対する支払いの保証というものが必要になってくるわけです。これは組合なら組合が持っている。この公共施行の場合には、地方団体が保証すればいいと思う。
 それからもう一つの問題は、建築業者というのは、市中銀行の融資を建築業者を通じて行なうということです。これはよくある例です。そのものずばりには、なかなか考えられないけれども、まあ清水組が貸すということになると、銀行は清水組に対しては、その分の特別な融資をするという考え方、それは、結局金の面で行き詰まるのじゃないかという心配を持つわけです、考え方はいいが。たまたま国が出す補助金なんというものは、ただ呼び水……呼び水にもならないのです。呼び水の程度じゃないのです、あのくらいのものでは。どういうきめ方をしようとするか、今後の問題でしょうけれども、そういう積極的な方途を考えようとしているのかどうか、実施させようとしているのかどうか、その点、ちょっと先に伺っておきます。
#4
○政府委員(稗田治君) 市街地の防災建築街区を造成いたしまして、都市の不燃化ということを枢要な地区から徐徐に完成していくということは非常に大切なことでもございますが、また、資金の面でも非常に莫大な資金を要するものでございます。従来の耐火建築促進法の施行におきましても、一、二の府県におきまして、銀行が耐火建築物に融資をいたしました場合に、その融資につきまして保証をするというような制度を実施しておるところもございます。また歴史が浅いものでございますから、その制度が、どの程度活用されておるか、まだ成績は、はっきりつかめないわけでございますが、具体的に申しますと、大阪府等では、そういう保証制度をやって、民間資金が十分都市不燃化に活用されるような努力を払っておるわけでございます。
 まあ、今回の法律の立案にあたりましては、いろいろのことも考えたのでございますけれども、さしあたり御承知の程度のことを制度として設けたわけでございますが、今後、そういった一般の市中銀行の金が不燃建築物に投入されると、それがしやすくなるような制度も、あわせて十分今後研究して参りたいと思っております。
#5
○田中一君 研究して参りたいなんていうことじゃ、われわれ困るのですよ。たとえば積極的に住宅金融公庫、住宅公団等が、私は、あえて住宅と言わないのは、そこにあるのですが、建築物ですよ。住宅ということになると現行法でも、これはできますが、普通の建築物となりますとこれは対象にならないわけです。そうすると、やはり当然六階ぐらいまで延び得る条件にありながら、資金的に三階でもってとまってしまう。将来六階まで延び得るような形の三階の建築物の場合には、やはりコスト高になりますから、なかなかそうはしないわけなんです。これは建設大臣もよく聞いて下さいよ。ごまかす方法は幾らでもあるんです。合理的に、非合法、合法すれすれのところでやる方法はあるのです。たとえば住宅公団並びに住宅金融公庫に申し込むのです。住宅にします上の部分に対しては、法律でもって街区造成をしようということになっておるのですから、これは当然でございますから貸してくれます。優先的におそらく貸してくれるだろうと思う、それはこの法律の趣旨にかなっている。でき上がったらば、銀行は必ず貸してくれるものなんです、金は。そうすると、住宅でございますといって建設の資金を借りておいて、七割五分なら七割五分借りておいて、でき上がったらば、計画変更いたしましたから住宅はだめにいたします。従って、お金はお返しいたしますと、これは用途変更いたしますといって、貸事務所にしてもいいのですよ。そういう抜け道はあるわけなんですよ。抜け道があるからといって、それを改正しては困りますよ。政府の熱意が足りないから、そこまでの熱意を持つということなんです。だから、どっちみちそういう抜け道があるならば、政府としては積極的にそれを助成する方法をとったらどうかということなんです。
 これは、そういう抜け道がないと住宅局長お考えか、なるほどそういうものがあるとお考えか、まずそれ、最初に住宅局長に聞きましょう。
#6
○政府委員(稗田治君) 中高層の耐火建築物に対する融資制度も、御承知のように融資制度でございますので、契約に違反した場合に即金で返するという程度の、罰則といってはなんでございますけれども、そういうことになっておるわけでございます。従いまして、制裁としましては一時に返してもらうというだけの制度でございます。ただわれわれといたしましては、そういったことで、今お説のように抜け道の制度としてこれを活用すると、そこまでの考えは持ってないわけでございます。実はこの予算要求にあたりましても、全部につきまして、住宅を持ってない建物にも融資する制度を開こうというわけで予算要求はいたしたわけでございます。まあ遺憾ながら、三十六年度には実現を見なかったわけでございますが、その一つの見返りの措置としまして、従来住宅と商業部分の面積が予算的には二対一ということでございましたのを、三対二というように、商業用の建築物に貸付できる面積につきましても、相当量ふやしたわけでございます。今年度にあたりましては、そういった面積的に資金をふやしたいということでやって参りたいということでございます。
#7
○田中一君 今の資金がなくてできない場合、それが善意か悪意かという問題なんです。善意でしょう、かりにそれが取れないとしますね……。
#8
○政府委員(稗田治君) 民間で当初計画を立てまして、たとえば三階以上を住宅ということで工事を施行して参りまして、いろいろ経済事情の変動とか、あるいは建築主の狭い範囲の経済事情の変化等もあるかと思いますので、やむを得ず、そういうような事態になったという場合には、先ほど申し上げましたように、一時に償還させるということだけでやむを得ないのじゃないか、かように考えております。ただ、まあ計画の設定にあたりまして、十分そういうことが将来起きないように指導して参りたいとは思っておるわけでございます。
#9
○田中一君 建設大臣、今の住宅局長が答弁した通りの御見解を大臣は持っていらっしゃいますか。
#10
○国務大臣(中村梅吉君) そうでございます。
#11
○田中一君 それから最近非常に活発に利用されているのは、月賦というのかな、建て売り住宅ですね、建て売り住宅。例の無尽法からもこないし何もこない、どういったらいいのかな、前渡金もらうから仕事をしていくという電建とか、殖産とか、三和とか、大平とかいう住宅会社ありますね、住宅建設会社が。ああいう会社が、これはもういろいろ衆議院等の段階には問題になったそうですが、私はあんなものは合法だと思います。全くの庶民のために十分に活用されている制度……。ただ残念なのは、民間企業でありますから、金利が高いということです。それから融資の条件が厳しいということであって、これを日銭が入ったり何かする人たちは大いに活用しています。聞いてみますと、年間四つの会社でもって約三万戸以上作っているそうです。これはやはり、住宅政策に対する政府の政治の貧困から、ああしたものが発達したということになるのでしょうけれども、これは決して私は悪いと思まいせん。私はできるならば、それらの連中の資金をも、そこに設定するというような方法も考えられるのじゃないか、たとえば電建などは、五十億程度のいつも預金を持っている、現金を。これは金を前渡金でもらってきますから、どうしても前渡金制度で……、月賦じゃないのだから。そういう資金の流用、それから損保会社、火災保険会社の資金の流用、生命保険の資金の流用等、これを積極的にすればいいのじゃないかと思うのですよ。やっぱり市中銀行は、長いものでも二年、三年程度のものですから、長期資金ということになりますと、どうしても生命保険会社、火災保険会社がいいと思うのです。相当料率も下げておりますし、相当な準備金は伸びております。何かそういう点についても、積極的な意図を法律の中に私は盛り込んでほしいと思ったのですよ。で、これを行なうに資金の不十分さというものを補なうために、そういう点は考えられましたか。
#12
○政府委員(稗田治君) アメリカ等の例によりましても、生命保険の資金でございますとか、損保の資金でございますが、これは住宅建設等に、かなり活用されておるわけでございます。わが国におきましても、三十二年度に住宅公団の戸数を飛躍的に増大いたしました場合に、生命保険協会の方と大蔵当局で話し合いをいたしまして、約一千億の資金を五カ年にわたって二百億程度ずつ生命保険の金を入れるというような約束があったわけでございます。それは大体、約束に近い程度、今日まで融資をしていただいておるわけでございます。なお、損害保険協会におきましても私、数字をはっきり覚えておりませんでございますが、十億程度、日本住宅公団の方に融資をいたしておるわけでございます。今後、こういった資金が十分都市不燃化に活用されるように、われわれとしても、理財当局等と話し合いを進めて参りたいと思います。
#13
○田中一君 その他の、今の民間の建売住宅供給会社ね、あれの資金はどうです。
#14
○政府委員(稗田治君) 民間の建売分譲会社の資金でございますけれども、私、いろいろ昨年来問題になっておるものでございますから、会社の経営等につきましても、いろいろ会社の方から事情等も聞いておるわけでございます。ただ、現在のところ、やはり会社の資金といたしましては、自分の会社で契約いたしました加入者に対する建物の給付ということに資金が追われておるんではないか、他にこれを転用するというだけの余裕が、まだできていないかのように存じておるわけでございます。
 しかし、将来非常にこういった制度が伸びて参りまして、都市不燃化の方に活用する道が開かれて参りますれば、さようなことも考慮して対策を立てたいと思っております。
#15
○田中一君 それ、何でもないことなんです。六階建てられる余地があるのが、三階しか資金の関係で建てられないという場合ですね、三階建の空間の宅地を貸せばいいんです。そうでしょう。まあ地代というもの、権利金というものを取ればいいんです。その地主が――土地の所有者が取って、上の空間を貸せばいい。それには自分のうちが、宅地が取得できるんですから、それに建てればいいんです。それはやはりそういう道を開こうという意欲がなければ来ないんです。――何でもない。どこの土地を買うんだって、安い所だって三万も五万もかかるんです。それを、一坪十万も二十万もするような土地が、それならその上でもって十万の土地でも三階建てれば、あとの四、五、六と建てれば三万三千円で済むわけです、一階分が。その上に自分のうちを、今の制度でもって分割してうちを建てるということになればいい。これは決してあなたが言っているように、全体に対して、多数に対して、生命保険会社が貸すというものと性質が違うんだ。その空間の宅地の権利を買った人が、そこへ建てるわけで、こういう土地があるということですね、という活用の仕方なんです。これはあるいは土地を持っている人、権利者というものは、いや、おれはあと、金をもうけて建てるんだということになることもあるでしょうけれども、おおむねこれを、改造事業を行なおうというところ、こうした街区として整備しようというところは、どうころんでも、資金的に将来とみに伸びるというような要素はなくて、やはりどこからか融資を受けなきゃならないということにならざるを得ないと思う。それならば、権利金で売ってしまった方がいいじゃないかということも考えられる。やはりそうした私は、やたらに革命的な措置でもって、ものをきめるという考え方は持っておらない。今ある法律、今ある制度、今の慣習の中で、今の慣行の中で、契約の中でもって、それを、どう生かすかというふうに考えたいと思います。衆議院でもって、いろいろ月賦会社と申しますか、ああいうものに対するいろいろの論議がされたからといって、あなたの方では、引っ込んでいるようではだめなのです。悪いものは悪いところを指摘をして、いいところは伸ばさなければならない。そういうことによって、やはり宅地というものの価格の正常化がはかれるのですよ。何といっても、ある宅地を利用しないで、そして住宅金融公庫にしても、何百倍だとか、何十倍だとかといって喜んでいる。ばかな話ですよ、何十分の一で人が土地を得られればいいのですよ。それが、何十倍と来るから、地価が上がってくるのです。地価が上がる政策を政府がとっている以上、その傾向はやまないけれども、それを少しでも伸びをとめようと思うから、今言っているような考え方を持つわけです。積極的にあなたの方で指導してやろうじゃないかというようなものがなければ、乗ってこないわけですよ。どうですか。
#16
○政府委員(稗田治君) 防災建築街区を造成する場合、あるいはまた市街地にするような場合に、高層の不燃化建築物を建築するというような場合に、現在月賦住宅会社等で行なっている制度でも、これはあるいは現に活用されているかもわからないわけでございます。と申しますのは、あの月賦会社の契約でございますけれども、最初は加入をいたしまして掛金をしていくわけでございます。約三分の一程度掛金をしたところで、御本人の希望のところへ建物を建てて給付する、給付契約に変わるわけでございます。従いまして、そういった防災街区に権利を有している人が、耐火建築物を建てたいという場合に、現在の会社の営業方針でありましても、できることになっているわけでございます。ただ、今の月賦会社のは、三分の一程度掛金が終わったところで、そこで御本人の希望のところに家を建てて給付しましょうということになっているわけでございますので、最初から会社が資金を投じまして、でき上がった建物を月賦販売するという制度にはなっていないようでございます。まあいろいろ今後、いずれにいたしましても、都市の不燃化ということが非常に焦眉の急務でございますので、現在の月賦会社の方々とも十分懇談をして参りたいと思っております。
#17
○田中一君 これは、そういうことを、あなたの方で指導しなければいけないものなのです。指導をする気持があるかないかという問題なのですよ。どうも衆議院で今まで前々国会から引き続いて、何か悪いことをしているというような印象を持ちながら、これを規制しなければならぬと考えるということは、これはおかしなもので、私はこういうものこそ、積極的に政府が指導して、もしそういう疑惑を持たせるとするならば、持たせないような方向に進めていくということが、住宅政策の面から必要だと思うのです。そういう相手方というか、そういう会社が、その意欲を持てば、相談に応ずるという態度ですか。
#18
○政府委員(稗田治君) 住宅政策上にいたしましても、都市不燃化の対策上からいたしましても、民間資金の活用ということは非常に大きな力になるわけでございますので、十分そういった方向に資金が使われるように、指導と申しましては口幅ったいようでございますけれども、そういうようなつもりでやっていきたいと思います。
#19
○田中一君 もう一ぺん聞いておきたいのは、組合制度だから、脱退と未加入というかな、参加しないという場合ね、どういう適切な措置をとるかということを、せんだってもちょっと伺ってみましたけれども、どうも僕は、今のような空気では、まあごね得とはあえて言わぬけれども、相当あるんですよ。今度の放射四号線の線路計画のものは、まだ何もきまっていないのに低額補償絶対反対の旗じるしを掲げて運動費を集めてやっているという、この考え方に対しては、どうも僕は街区の指定をしても、その中に、そういう形の運動が、百の中に一でも二でも、だめなんですからね。そういうものが起きるんじゃないかと思うのです。それで今提案されてる公共用地の取得に関する特例にしても、これは、住宅は入っておりませんし、建築物も入っておらぬです。というのは建設大臣は、いやあの特例でもって、そういうことのないようにいたしますなんていうことを言ったところが、それもなかなかいかないのです。またこの組合が――公共団体の施行の場合には、収用法の適用を受けるけれども、組合は、どうですか。
#20
○政府委員(稗田治君) この組合は、土地の収用権は持っておりませんです。
#21
○田中一君 そうすると、なおさら組合施行の場合に、もう全部が全部、そういう問題が起きるかもしれない。これは非常に不十分です。その点は何といっても、前面の、経済的にペイするところはいいけれども、そうでないところは、何も好きこのんでそういうまねをする必要ないじゃないかということが大きいんですよ。せんだっても市街地改造事業の法律案のときも、もうすることとしては、反対じゃないけれども何も前のものだけ得しちゃって、後のものが損するようなことはしたくないという空気が出てくるでしょう。これは、この法律だけじゃ不十分です。ほんとに不十分です。指定することによって、いたずらにお互いの狭い範囲の相隣関係にひびを入らせるということが起きるんではないかと思うのです。そういう面からいうなら、かっての耐火建築促進法の方が、帯状の方が、もっとこれよりも楽に実施できるんじゃないか、実際の施行にあたって、計画実施にあたって、その点は、どのくらいの腹がまえを持っております、立案者として。
#22
○政府委員(稗田治君) 街区全体といたしまして、街区を指定いたしました場合、この組合が結成できることになっているわけでございますが、実を申しますと、従来の帯状で防火帯を指定しておりました場合に、一宅地が奥行六間におさまらなくて、全部背後地にはみ出しておるわけでございます。従いまして、相当奥行のところまでは、前面の権利者が持っておるところが多いわけでございます。従いましてこれらの方も、何か助成措置が活用されるような道を開いてほしいというのが、地元の要望であったわけでございます。まあ、いろいろ概念的に考えますと、権利者が中に、表側と別に、背後地の方に全部別な権利者がおるという場合に、それが純粋な住宅に使われておるというような場合には、かなりむずかしい問題もあろうかと思うのでございますけれども、この防災建築街区造成にあたりまして、全面的な都市の不燃化というところまで踏み出し得なかった。都市の枢要地帯であって、系統的に災害を防除するように配列するという程度に指定の範囲を定めたという考え方は、相当そういった耐火建築物を建設する負担力のある地区ということも裏側からは申されるわけでございます。全員合意で作れる組合でございますので、実際問題といたしましては、組合が結成されましてから、脱退でありますとか、そういう問題は、少ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#23
○田中一君 これは私も、将来の問題はわかりません。あなたの方で少し甘い考えでもって、安易な考えでもって判断している向きも多々あると思うのです。それなら組合施行ということに踏み切ったということは、どういうことなんですか。
#24
○政府委員(稗田治君) 組合の事業の一項によるあっせん、二項による組合自体が施行者になるというのと二つの仕方があるわけでございますが、なぜこの組合制度を設けたかと申しますると、今までの耐火建築促進法でございますると、帯状に指定されました防火帯の中で、個々にぽつりぽつり耐火建築物を建てるという方につきましても助成をするという立場であったわけでございます。ただ都市の防災を、もっと速効的に効果を上げるということから申しますと、できるだけ連檐しまして耐火建築物が固まって建った方が実際上の効果があるわけでございます。そこで、できるだけ共同建築でございますとか、あるいは相当の団地にわたりまして、全体を総合的に建設するということが最も都市計画上から考えましても、また今日の宅地の合理的利用という面から考えましても望ましいわけでございます。
 そういうような一団地あるいは一街地にわたりまして、総合的な合理的利用の方法を考えるということになりますと、やはり下地といたしまして、組合といったような共通の場が必要になってくるわけでございます。そういう点におきまして、われわれは組合制度がぜひとも必要であると考えたわけでございます。
#25
○田中一君 これも、将来指導よろしきを得ればよろしいと思うが、何といっても、東京などは、オリンピック招致でもっててんやわんやの状態ですから、まあまあやりいいところから一つ手をつけて下さい。私は不十分であるという見方をする。それならば、組合施行よりも地方公共団体にやらした方がずっといいと思うのです。今まで耐火建築促進法でも、地方公共団体が行なった例があまりないところに欠陥があるのです。結局地方自治団体が、熱意が足らないというところに問題があるのです。それから、今の帯状のところで、点々と云々というのも、防災という形からすれば、点々とあっても十分です。点々とあっても、火事の場合、大火を防ぐこともできるのです。ないよりもましなんです。ないよりもましであって、それを全部引っくるめて一街区として見ようとするならば、やはり公共施行の方が、一番実質的に完全なものができるのです。公共施行でやろうとしても、その自治団体の弱さ、それから政治的な何かがあって、それがうまくいかぬことが多いものだから組合施行に踏み切ったというような印象を受けるわけなんです。現にこの従来の帯状耐火建築促進法でも、完全に全部の地域ができる。これはたしか八割だと思う。八割の賛同者があるならば、二割は、それに収容されるのだというような注文であったはずなんです。それが今度は組合施行、なるほど民主的な、自主的なものにまかせると言いながら、これじゃ伸びが少ないのじゃないかと思うのです。それで今度の補助金の制度というものは、ばらばらの個々のものにはやらないで、街区という一つのまとまった団地的なものに融資をするのでしょうから、今まで、せんだっても大蔵省その他を呼んで、いろいろ僕が質問したことを、逆に大蔵省から、やったってできないじゃありませんかということになる危険が多分にある。逆に予算をつけようにもつけようがないじゃありませんかということです。そういうことにならないように、一つやっていただきたいと思うのです。今までの欠陥は、今までの自分の方の行政指導の足らなさ、地方自治団体の無自覚というものが、今日まで耐火建築促進法というものの実施を、実現をはばんでおったことも見られるわけなんです。
 そこでもう一つ、最後にこれ一点だけ聞いておきますが、中高層融資については、たといこういうものがあり、またその中には街区に指定されたもの、街区に指定されたものでも、それがまとまらぬ場合には、中高層融資をしてくれという場合には、それを、それはいけない、街区として建設しなさいというようなことを言って融資をしないというようなことはありませんか。その点は、どう考えていますか。
#26
○政府委員(稗田治君) ただいまお尋ねの点でございますが、耐火建築促進法の際におきましても、また、今回提案しております市街地改造法並びにこの防災建築街区造成法におきましても、一個人が中高層の融資を受けるという場合、この場合に入っていないからとか、あるいはまだ全体の計画が固まっていないからというようなことで融資をお断わりするというような制度にはなっていないわけでございます。しかしながら、これは逆に申しますと、一街区が、その都市で最も合理的な宅地の利用ができるという計画を阻害することにもなるわけでございます。そこで実際といたしましては、中高層の耐火建築に対する融資制度も、まだ資金につきましては十分とは申せないわけでございます。そこで優先順位等をいろいろ定めまして融資をするわけでございますが、できるだけこの防災建築街区造成法の施行の状況等とにらみ合わせまして、確実にこの街区がまたがるというようなところには第一優先ということでいきたいと思っておるわけでございます。
#27
○田中一君 そうすると、もう少し具体的に私の方の質問しているのと、あなたの答弁が食い違いがあるのじゃないかと思うので、私の申し上げておるのは、街区に指定した権利者が自分一人は、もうその組合に入らないと、私は中高層で自分でいたします、こう言った場合に、お前は街区へ入らないから融資はしないということになるのか、単独でもって中高層の融資をいたしましょうということになるのか、今あなたの答弁では、中高層の資金は貸さないというような条件はございません。その場合には。こういう答弁でしょう。そうすると、反対するものが、組合に入るの反対だ。しかし、自分じゃ建てたいのだという場合には、どんどん建てていくという傾向になるあれはあるわけです。これは、民主主義というものは非常にむずかしいものでしてね、自主性と言いながら、やはりわれわれは常に農業基本法でも共同主義ということを言っているのですが、なかなかむずかしいものなんですよ、おのおのがおのおのの自分ができるものをやってもいいということ、当然のことでありますけれども、建築の場合でも共同建築を作れば、床面積の利用度というのも非常に高くなるわけですから、これはもうさせなきゃならぬですよ。私は道玄坂の下の七店会ビルがありますが、これは極力進めて、たかだか百何十坪のところ、それを共同建築させまして、そこでワン・フロアー二十七坪有効面積がふえてくる、非常に喜んでおる。まとめてやるまでには、実に苦労したものですよ。たとえば浄化槽の一つを、あそこは大下水がないものですから、浄化槽の一つをどこに置く、中央に置くと、中央の西村果実店が、おれの土地の中にそんな大きな便所を作っちゃ困ると、こういうような議論があって、なかなかむずかしいものなんですよ、権利関係というものは。私が今質問している中には、三つばかりのポイント――聞き出しておきたいことを、聞いておきたいことを含んでおるのですが、今言っているように、自分が一人でもって、組合に入らぬけれども、組合が求めておるような計画のうちを作ります。それは、ある人は自己資金で作る、ある人は中高層の申し込みをいたしましたと、住宅局長の話を聞けば、むろんそれを融資をしないということになりませんと言うから、融資をしたものとして建てるという場合は考えられる、その辺があいまいですと、組合施行というものは、完全にいかないのですよ、これ弱過ぎると言うのです。僕は、これでは私は建設省がこの法律に重点を置いて、個人融資はこれはしようがない、自分がやるから個人融資といって結局個人資金でやる場合は。しかし中高層の国の機関の融資というものはいたしませんと、何か貸し出さないようにしろ、困れば、どっちみち組合に入るだろうから、全体としては貸すけれども、個人には貸さないようにしろということを住宅金融公庫等に、あるいは財団法人首都不燃建築公社等に指導すると貸してくれないのですよ。貸さない方が、貸してくれない方が、こうした組合施行というものを完成するのには、あなたの方はいいわけですね。そういうところの盲点を、法律の上じゃ、なるほど融資をいたしませんとは書いてありませんと言いながら、融資をしないことが多くなった場合どうするかということを考えると、何と言っても、共同で建築、建設組合を作るということの方が今言った通り技術的にも、それから経済的にも有利ですから、その方がいいのですが、その点は、そういうものがあっても必ず融資させますという確約は――確約というか、言明は、今ここでしていただきたいのですよ。まず第一に、それが一点です。おそらくその地区では、むろんこれは都市計画内であり、かつまた何というか、商業地域が大体主だと思うのだが、また何と言いますか、防火地域であると思うのですから、融資はできないという理由はないと思うのですよ。けれども、あなた方がそれを行政指導して融資をさせるなということになると、住宅金融公庫も、しょせんあなたの方には、建設省には弱いですからね、融資をしなくなる。こういう危険を多分にはらんでいるから、はっきり聞いておきたいのです。
 これはちょっと、建設大臣に住宅局長耳打ちして、建設大臣からはっきりと答弁を聞きましょう。これはこういうものは、村八分になってくるようなことが将来もあるのですよ、一つの区域の中には。
#28
○政府委員(稗田治君) ただいま田中先生のお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように中高層の耐火建築に対する融資制度といたしまして、個人で建てようという場合に融資を受ける、これを排除するという規定は何もないわけでございますし、それは制度として、そういうふうなことはいたさないつもりでございます。
 ただ、御承知のように現在、中高層の耐火建築物に対する融資にいたしても、大体応募の倍率でございますが、三倍から五倍程度殺到してきておるわけでございます。従いまして、全部の方に融資をできるというふうな資金源が将来つきました場合には、万遍なくどういう方にも、防火地域であり、三階以上の建物で住宅が上に乗るという建物には融資が行なわれるということになると思うのでございますが、残念ながら、まだそこまで中高層の耐火建築物に対する融資の資金も、まだワクが、そこまで大きくなっていないわけでございます。従いまして、最も融資制度を効率的に活用しようという観点から、一定の選択順位というようなものが、当然貸し付けする方の側において考えられるわけでございます。従いまして、最も組合で行ないます場合に合理的な計画であるというようなことになりますと、これは第一優先というふうなことになってくるかと思うのでございます。それから個人で計画されました場合でも、組合と話し合って、大体建物の形あるいは位置等につきまして、全体として街区の合理的利用というのを阻害しないような建物でございますれば、これまた当然街区全体が不燃化することが望ましいことでございますので、これも優先順位は高くなってくるかと思うのでございます。
 ただ、そういった街区全体的な立場に考えずに、個々に建つ建物ということになりますと、優先順位の関係から、資金ワクが限度がございますので、あるいはあと回しというようなことも起こり得るかと思うわけでございます。
#29
○田中一君 私、非常に危険を感ずるのです、今の住宅局長の答弁というものはね。むろん中高層の申し込みというものは、何倍かあるのを知っております。この新しい法律を作ったからといって、これが優先するという考え方があってはならぬ。これはこれです。現在の住宅金融公庫の融資対象の中高層の融資のあり方というものは、それはそれです。今の言葉の中からわれわれ察知すると、そういうものは選択権という主観的な融資する方の側の立場に立って、おそらくそういうものは拒否すると、また拒否させようというような意図があるものと思うのですよ。
 というのはやはり今も言っているように、美しい言葉で言っているように、経済的なあるいは構造的な統一したものに作ろうというところにねらいがある以上、その方が好ましいわけなんです。しかし万一、それが入らないものがやった場合には、それに対しては融資をさせないというような行政指導を行なうというような、あなたの方の腹がほの見えているわけですよ。もしそうとするならば、明文化なさいと言うのです、私が申し上げているのは。はっきりしないと言うのです、はっきりと。私はしていいと思うのです。いい子になってはいけません。そうして陰でもって、こそこそ行政指導という名に隠れて不公平な扱いをするということはあってはならぬ。住宅局長が答弁しないで、政治家である建設大臣の答弁を聞きたかったのです。私は、あなたが今思っているようなことの裏には、やはり街区として統一したものを建設さしたいから、そういうものには、いわゆる主観的な選択権で判断して、融資がせられないようになりますというようなことになるのではないかと思うのです。私はまたそうするのもこの街区の立法の精神からいえば、決して正しくないと言うのじゃないのです。私は、そういうような危険を感ずるから、最後に総括的に、こういう質問をしているのです、まだ二点ほどございますが。それならば、それではっきりとなさい。はっきりと。中高層その他の法律でもって融資をしている、こういうものに対しては、これを先行するのだ、この場合には。政令でも何でもいいと思うのですよ。そんな行政指導じゃなく政令できめなさい。融資の面についても、これはあまり強く言及していないのですね。事業を行なうという指定をするというのは建設大臣が指定するのですから、建設大臣は責任があるのです。統一したものを建てさせられるということを強制するのですからね、責任があるのです。融資の面もはっきりと見通しを立てなければならぬのです。融資の方法についても見通しを立てなければならぬ。従って今のような場合ですよ、そういうものに退会者があった。脱退した者があった場合には、それに対しては、いわゆる街区という一つの精神からくるならば、単独でも融資してやって、これのねらっているところの建築街区を作るのは、この義務でございますよ、その本人としてはね。それはやはり、助成しなければならぬ。この仲間に入らなければ、お前に対しては、してやりませんよということでもって、組合加入を強制するということを行政指導でやっちゃいかぬ。行政指導というのは、権力主義なんです。指導という言葉はやさしいけれども、官僚の権力主義になってくるのですよ。貸される状況がありながら、貸されないというのは何事か。そこに、政治に対する不信感というものが起きてくるのです。
 だから、行政指導という言葉を言っているけれども、事実、行政指導という言葉に隠れて、へんぱな扱いをするということが多いから、政治に対する不信感、用地問題についても問題が起きてくるのです。今のようなことを含みとして、住宅局長考えておるならば、一応街区建設というものに対する立場からするならば、はっきりときめなさい。この組合施行の場合には、組合に全部入らなければ、御自分でやるのは自由でございます、自己資金でやるならば……。しかしながらそうでない場合には、そういう助成はいたしませんよというようなことを明文化なさい。明文化を。大体においてね、組合というものは、常に百人の組合が百人意思が統一するということはまれなんです。しかし長いものの力に巻かれて従っていくのが、これはもう普通の姿なんです。気骨のあるやつがいて、どうしてもあの組合長の言うことじゃ承服できぬ、こう言って脱退する者があった場合、それを中高層の融資制度がありながら、それも活用されないということになるならば、これは問題であります。不公平になる。政治に対する不信が高まってくるわけです。それならば、はっきりと明文化なさい、この際は政令でもいいですよ。それに非常に私は危険を感ずるのです。
 だから、建設大臣とよく話し合って建設大臣から答弁してくれというのは、それなんですよ。あなたにすれば立案者として、街区中心にものを考える場合は、どうしても、そういうような街区に完成させようという立場に立つのは当然だと思うのです。
#30
○政府委員(稗田治君) 私、お答えをする言葉が足りなくて誤解を受けたかと思うのでございますが、中高層の耐火建築物に対する融資制度は、防災建築街区造成法案に対する融資制度というわけではございませんから、市街地を立体化する、不燃化するというような、必要な地域におきまして、適格なものにつきましては融資をするという制度でございます。
#31
○田中一君 あとは要らぬ。あとを言うから困るのですよ。一時、これにも何倍かの申し込みがございまして、これには限度がございますから、こう言うから、そういう危険を感ずるのです――建設大臣、当然、適格なる建築物に対しては融資をさせますという一つ答弁をして下さい。
#32
○国務大臣(中村梅吉君) これは結局、この法律のねらいとしましては、この制度を作りまして、極力防災街区的に防災建築に移行するように進めていきたいということなんでありますが、今の御関係の組合及び組合から脱退した人、あるいは加入をしない人、こういう人たちは、どうなるかという御趣旨の御質問で私も傾聴いたしておったわけでございますが、つとめて組合の制度を活用いたしまして防災街区的にできることを期待いたしておるわけでございます。
 そこで問題は、自分は組合に入らないというような場合は、主として独立して相当の防災建築のできるスペースを持った人が、そういうことになるんじゃないか。それだけのスペースを持たない人は独立してやっても、これは非常に建物も妙なものになりますし、利用価値も少なくなるから、自然協同組合に加入して、共同建設に向っていくということになろうかと思います。そこで問題は、組合は、共同建築をする場合と、共同建築でなしに、組合員のだれかが、やはり街区組合に入っておって、自分は自分で、自分の建設をしよう、こういう場合と、それから入らぬで、相当のスペースを持った人が独立して防災建築をしようと、こういう場合と、いろいろ実際問題としてはたくさん出てくると思うのです。
 そこで、ただいま問題になっております高層建築の融資の問題などは、防災街区組合を作って、共同建設をしようとする場合には、これはできるだけ協力をすべきことは当然でありますが、組合に入らない人あるいは入っておるけれども、自分は自分で、共同建築でない独立建築で組合員としてやっていきたいというような場合等が起きると思いますが、これらについて、やはり防災街区造成の全体の精神に反しない限りは、私は差別待遇すべきじゃない。やはり平等の対象として検討を融資の道を講じていくのが当然じゃないか。そうすることによって防災街区全体がうまくまとまっていくのじゃないか、こういうように私考えますから、そういう精神で進めるように、われわれとしてはしていきたいと思います。
#33
○田中一君 住宅金融公庫は、中高層制度をもちまして融資をしているわけです。現実にその場合には、一応住宅金融公庫が、その地区にはこういう街区組合ができておるから、それにお入りなさい、そうすれば共同であなたも得ですから、融資の対象になります。しかし、どうしてもいろいろな事情でもって入れない場合には、単独でも、あなたのところ一軒だけでも、くしの歯が欠けたようになっては困るから、融資をいたします、こういうように指導すると、こういうように理解していいですか。
#34
○国務大臣(中村梅吉君) けっこうでございます。
#35
○田中一君 それからもう一つは、街区の指定をする場合に組合を作らせる、それは二つの組合、どちらでも同じです。組合を作らせる場合には、一応準備段階として総意が、全部の意思が固まって、全部加入したという段階で組合を作らせるか、あるいは一軒や二軒入らぬでも、まず組合を作らせようとするのか、これは脱退の場合は、全部が入って、それから組合を脱退したということになるのですが、それから、建設大臣が指定するというのですから、指定する場合に、今言う通り、全部の権利者が創立準備会でも作って、全部加入するということになって、初めて指定しようとするのか、その点を一つ明確にしておきいたのですよ。
 というのは、同じ地区で、そうした関係で国民の間に相剋を起こさせてはいけないということなんですよ。それを心配するわけなんです。中には、悪いボスがいますよ。たとえば、魚津大火後の防火帯建築地区へ行って見てみますと、あそこの中に、県会議員がひとりぽつっと、あの商店街の中には木造の……知っているでしょう、かど地に木造の日本建築をぽつっと二階建のやつを出している。そういうへそ曲りもいるわけです。何も住宅をやるのに、表側だけ一緒になって、たとえ三軒でも五軒でも店舗にして、うしろに家を持ったらよさそうなものだと思うのだけれども、おれは加入しないと言って、あそこに日本建築のかわらぶきの二階家を出している家もあるのです。そういうへそ曲りもいるわけなんですよ。その場合、どういう扱いをするのか。大臣としては指定しようとする場合に条件としては……。
#36
○国務大臣(中村梅吉君) 御承知の通り防災街区の指定をいたしまするのは、基本として関係市町村で、そういう機運等を見、あるいは必要性等を勘案して、申し出をしてきたところに街区指定をする。しかし、街区指定をしたからといって必ずそこで組合が当然すぐできるとは、これは期待を全部できないと思うのであります。なるべく組合を作る場合には、その地区の街区の人たちが気をそろえて組合を設立したいということが望ましいわけであります。できるだけそういう状態を見て認可をしていくようにいたすべきであると、かように考えます。
 ただ、それが全体ではないけれども、ケース・バイ・ケースで、その状態を見まして、脱落者はあるが、これは認可して支障のない状態である、こうことになれば、やはりできるだけすみやかに認可をして、防災街区の造成が進むように考慮するのが当然でありますから、それぞれやはり、その場所に応じた状態を地元市町村と建設省とが協議し、検討をいたしまして、できるだけこの法律の精神に合致するような方向で進めていきたい、こういうように考えておるわけでございます。
#37
○田中一君 これもやっぱり、私は非常に危険を感ずるのです。たとえば、私は原則としては、百人が百人賛成しなかったら指定しないのだという原則をとりたいのですよ。いいですか。そうすると、じゃ、かりに二人なら二人、理由があるわけなんですね、資金的にたえられぬ。自分の現在の商売、今の商売を、今ここで商売しているならば、自分でかつかつに食えるけれども、そうしたのじゃ、自分が生活ができなくなってくるのだという業態の人もあるのです。おもに感情論は別にして、資金だと思うのですよ。そうすると資金の面を特別に、その人間に対しては、とやかくせいと言っても困難だと思いますが、やはりそうした何らかの配慮をして、百人が百人入ることが望ましいことであるのは、はっきりしているのですから、困っている問題は解決してやるというような態度を、地方公共団体は、それを確認して、賛成するということを確認して、陰にはそういう助成を、特別にしてもいいではないか。今のように国民の、商店にしても生活にしても、職業にしても、何にしても、格差があり過ぎる今日の社会ですよ。それが一つの高度の目的を持って防災建築街区を形成しようというならば、実態が、どうしてもたえられない者には、たえられるような措置をとってやるべきだと思うのです。国民の生活、職業その他の格差があり過ぎるのです。それを一律のところに持ってこようというならば、それぞれ相当な収入なり何なりなくてはできないのです。従って、私は全部がきまらなければ、地方公共団体が、それを指導するわけです。助成するわけです。だから建設大臣は、全部がきまらなければ指定いたしませんという態度が望ましいと思うのです。建設大臣としては、とにかくまとめて持っていらっしゃいということでなくてはならぬと思うのです。いい政治というのは、そういう政治です。同じ商店にしても、間口が十間の所と間口が一間半の所とは、たえられぬものがあるわけです。そういうものも、やはりおのおのの権利というものは認めようとする以上は、そういうようなことを配慮して、建設大臣としては、指定する場合には、総意がなくてはいけますんというぐらいなことをしてほしいと思うのです。弱い者だけが、貧しい者だけが苦しむということになってはならぬと思うのです。全部持っていらっしゃいと言えば、そういう人に、みんな地方公共団体も、あるいは組合内部においても、賛成させるためには、いろいろな意味の助成をする、援助をすると思うのです。
 今、建設大臣の答弁では、場合によれば、そういう未加入者があっても、かまわずやるという態度ならば、これは明らかになさい。法律で明らかになさい。それならば、耐火建築促進法の方がいいです。その方がまだいい、まだはっきりしています。
#38
○国務大臣(中村梅吉君) 考え方としては、ほんとうに同感でございます。ただ、現実のケースとしては、いろいろなのが出てくると思うのです。主として自分はどうしても入らぬというのは、まあいろいろ場合もあるでしょうが、今御指摘のように、経済的にたえられないという分もあるかもしれません。あるいは自分のところは、自分独自で相当のスペースがあるからやっていきたいという分のもあるかと思います。そういうような実情を見まして、相当のスペースがあって入りたくないというのは、そこはそこで、独自にやらせても街区としてちゃんとできるという見通しであるような場合は、また別途考慮しなければならないかと思いますが、その他の場合におきましては、今お考えのような線で行くのが私も正しいと思います。
#39
○田中一君 住宅局長、これは公共団体の施行の場合は、三分の二の申し出があれば、施行するようになっているでしょう。
#40
○政府委員(稗田治君) 地方公共団体が施行する場合でございますが、この法案の五十五条に書いてあるわけでございます。これは従来の耐火建築促進法の場合の条項を多少修正しまして、他方に市街地改造法の強制的に施行する法令等もございますので、それと従来の耐火建築促進法とでは、権利のあとの配分の仕方が、調子が合っていなかったわけでございます。はっきり申しますと、従来の耐火建築促進法におきまして、関係権利者のそれぞれの三分の二の申し出がございましたときに施行するようにはなっておったのでございますが、措地権者につきましては、でき上った建物の賃借権しか付与されないようになっておったのであります。御承知のように市街地改造法におきましては、借地権者は建物をもらえるようになっておったわけでございます。
 そこで、同じような市街地の主要な地区ででき上った建物の権利配分が不ぞろいであるというのは非常に不合理でございますので、今回は、市街地改造法にならいまして、借地権者でございましても、建物を付与してもらうというようにきめたわけでございます。
 それからなお、関係者の三分の二の申し出でございますが、従来は、それぞれの三分の二ということになっておったわけでございます。今回は、これを総体の三分の二というようにいたしまして、施行が楽に改正をいたしたわけでございます。
#41
○田中一君 それならば、街区組合を作るよりも、公共団体の施行に切りかえたらいいわけでしょう。
#42
○政府委員(稗田治君) 公共団体の施行は、三分の二以上の申し出に基いて行なえるようになるわけであります。ただ、この五十五条の第一項に一、二、三と条件がございます。地方公共団体が施行する場合は、この条件に該当しなくちゃならぬということになりますので、防災建築街区に指定されました街区どの街区でも、全部地方公共団体が施行できるということになっていないわけであります。多少しぼられているわけであります。
#43
○田中一君 やはり強制するのですからね、強制することは、相手が利益になるということが前提に立たなければならぬ。また利益になるはずです。それならば、たとえば多少の反対があっても、強制していいと思う、向こうは利益があるのですから。その場合にはやっぱり組合施行の場合は、百人が百人賛成しなければ指定いたしませんという答弁くらいは、建設大臣したっていいのじゃないかと思うのです。それが困れば、今の公共団体の施行に切りかえる。その条件というものがもしも不十分ならば、できるように直したらいいじゃないですか。いたずらに、一つの地域でも人間の集団ですから、感情的なものでもって、その事業が阻害されることがあってはならぬと思う。その人が利益を受けるのですから、その場合には、感情というものを取るように指導して究極の利益を与えるということは正しいと思う。そういう面から見れば、組合施行の場合には、これは百人が百人賛成しなければ指定いたしません、そうして切りかえさせればいいじゃないですか。公共団体の施行に切りかえてもいい。
 それで、今住宅局長が言うように、この条件があれば、条件を取るように直していく、そのくらいまでしなければ、ほんとうの目的は達せられないですよ。そういう点はどうですか。
#44
○政府委員(稗田治君) 多少、誤解があるかと思うのでありますが、防災建築街区の街区指定そのものでございますが、これは都市の防災上の見地から定まることになります。しかし事業所得等もございますので、指定する時期の問題がございますが、一応は、人文地理学的に定まってくるわけであります。そこで指定の順序としまして、事業実施が可能な部分から指定していくということで、市町村の申し出に基づいてやっていくわけでございます。組合の設立につきましては、その街区が指定されますと、そこではじめて、この法律に基づく組合が結成されるわけでございます。
 この組合そのものは、これは全員合意で作るわけでございますから、場合によれば、街区全体につきまして、二、三の脱落者がありました場合に、もちろんその脱落した方々の敷地が、どういうところに位置しておるかということも関係ございますけれども、街区全体の権利者が入っていない組合もできるわけでございます。組合は、全部権利者が合意して作ることになっておりますので、無理押しにということはないわけでございます。
#45
○田中一君 私の言っておるのは、場合によっては、無理押ししてもいいのじゃないかということを言っておる。今あなたは、街区全体の権利者が賛成しなければ組合はできないと言っておりましたね。その次には、二、三の脱落者があってもできるという場合があると言っておりましたね。
#46
○政府委員(稗田治君) 抽象的に、街区の大きさ等も設定しないでお話しておるものでございますから、いろいろの場合があるかと思うのでございますが、相当大きな街区になってきますと、その街区内に三つの組合ができるというようなこともあり得るかと思うのでございます。それで組合の中のものは、全部合意で作るわけでございますが……。
#47
○田中一君 組合の中の合意はわかっております。組合に入らないもの、街区指定の中の……。
#48
○政府委員(稗田治君) たとえば街区内に、いろいろな土地所有者がございまして、たとえば銀行がすでに耐火建築物を建っておるというようなこともございます。そういうところでございますと、組合に入らないというようなこともあるわけでございます。それで街区内の権利者が全部合意しなければ、全部包含した組合でなければならないというようには規定していないわけでございます。
#49
○田中一君 それで、今の街区で建設しなければならぬというものを持っておるものは、これは入らなくてもいい。当然街区としては、街区形成の改築しなければならぬという条件の人たちが入らない場合には、どうするかということを言っておるのです。その場合には、ない場合もあるというのですか。
#50
○政府委員(稗田治君) 二、三の方々が入らない、そのために街区の造成に非常に困るというような場合は、できるだけ地方公共団体があっせんをする。また紛争の処理等につきましても、いろいろ仲介の労をとるというような規定もございます。それからなお、組合といたしましては、経済的な事情で組合に入れないという方につきまして、組合が、その資金のあっせん、あるいは保証人のあっせんというようなことにつきましても、組合として行なうということにいたしておるわけでございます。できるだけそういうような次善的な手段を講じまして、まとまった区域が脱落しないように指導して参りたいわけでございます。
 ただ、場所によりまして、どうしても、ここは急いで施行する必要があると考えました場合には、地方公共団体が乗り出しまして、直接施行をすると
 いうことになっておるわけでございます。
#51
○田中一君 地方公共団体が申請してくるわけですからね。それであなたの方でもって街区に指定しなければならぬという認め方をした場合に、大臣が指定するのでしょう。その段階には、いろいろな要素でもって、住宅局長が答弁しているけれども、たとえば防潮堤的な――漁港でも、普通の港でもいいです。どうしてもここに建てなければならぬのだというものは、建てればいいのである。しかし組合に、どうしても入らないという人があった場合には、これは建設大臣のところに持ってくる前に、地元でわかっているわけでしょう。建設大臣としては、それはまとめて持っていらっしゃいという態度がほしいと言っているのです。
 今、建築街区を指定して、建築すべきものが建っている場合は、とやかく言うのじゃない。当然改造しなければならぬというものがありながら、それが入らぬ場合には、建設大臣としは、全部まとめて持っていらっしゃいという形をとってほしいと僕は言っている。場合によれば、きまらなければ、指定しないということでもいいいのではないかと言っているんですよ。くしの歯の抜けたような、一軒おきに入らぬということがあるようなことがあってはならぬというのですよ。その場合には、強制的にやってもいいのではないかというのです。そうするならば、公共団体の施行ならばやれるのではないか、こう言っている。だから建設大臣としては、くしの歯の抜けたようなものを持ち込んできても、その場合には指定をしないという方針をとったらどうかと言っているんですよ、私の申し上げているのは。
 それは、法文の上でもって勧告するとか、あっせんするとか、融資するとかいうことはありますよ。そういうものは、完全に納得されれば賛成する人ですから、納得されない場合は、どうするかと言っているんですよ。それはあり得ると僕は言っている。その場合は、建設大臣としては、全部まとめて持っていらっしゃいと、地方公共団体の方に言ってやってもいいんじゃないか。こう言っているんです。
#52
○国務大臣(中村梅吉君) 御趣旨の点は、田中さんの御意見と同じだと思うのです。たとえば同じ防災街区の一郭で組合を作る場合に、その組合員に入りたくないという人の場所が、組合の目的を達成するのに支障がないような場所であれば、それは別でありますが、しからざる場合で、くしの歯の抜けたようなことになるとすれば、これは許可すべきではないので、やはりできるだけ気がそろって、街区が街区としての効果を発揮できるような情勢の組合組織でなければ許可すべきでない。この精神は、十九条の認可してはならない条件の中にも、精神は表われていると思うのです。二号に、「建築しようとする建築物及びその敷地が、当該防災建築街区における災害を効果的に防止するものであり、かつ、土地の合理的利用」という条件があるわけです。従って、たとえば真中にある人とか、何かくしの歯の抜けたようなのが、一軒でも二軒でもあっては、これは防災街区としての効果的災害の防止になりませんから、それはどうしても入るように勧誘して、意見を統一してまとめてきてもらいたい。それがまとまらなければ、その組合は認可できないということは、この十九条の精神からも建設省としても、とって差しつかえない態度である。またこの十九条の精神が、私はそうだと思いますので、御指摘のような、田中さんが想定されているような場合には、やはり同じような結論になると、こう思うのであります。
#53
○田中一君 いいんだね。
#54
○政府委員(稗田治君) そうでございます。
#55
○田上松衞君 一点だけ建設大臣にお伺いしておきたいと思うのです。
 第六十五条の罰則に関する問題。六十五条では、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者は罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。」こう規定してあるわけなんです。そこで、この場合の行為者、すなわち代表者または代理人、使用人、従業者、これなんですよ。これらの違反事項を処罰する適用条項は、どこに求めるかということです。わかりやすく申し上げますと、第六十二条は、土地の所有者、借地権者または借家権者、これを対象として規定された罰則なんです。第六十三条は、これは組合及び土地使用者等の個人を対象としているわけなんです。六十四条は、同じく組合を対象としているものなんですね、そこでこの六十五条にやってきまするものは、これらのものの代理人であるとか従業者であるとか、こういうものを対象として考えたところの罰則だと、こう理解するわけなんです。
 そこで、そういうものを処罰する、法文でいきますと行為者を処罰するほか云々になっておるのです。その処罰するという、罰するとか、その処罰の条項を、何に求めるかということなんです。他にこれをはめるような法律でも別にあればいいですけれども、それは全然ないわけですね、ただ、ばく然と「行為者は罰するほか」と、こう規定してしまったのですが、その点を一つ。
#56
○国務大臣(中村梅吉君) この六十二条、六十三条、六十四条で、それぞれこれらに該当する行為を行なったものに対する処罰があるわけでございますが、六十五条は、そのものの代理人、あるいは法人である場合には、法人の代表者、あるいは使われておる人、たとえば虚偽の申告を作成したとかいうような者に対しては、この六十二条、六十三条、六十四条の行為者を処置するほかに、なおその法人または法人の代表者あるいは代理人、これらに対して本条を適用して処罰をする、こういう意味でございます。同じような規定は、商工会の組織等に関する法律、それから市街地改造法にも類似の規定があるわけでございます。
#57
○田上松衞君 今おっしゃる点は、その次に来ますものなんですね、「その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。」ということであって、人を使ってやらした者、使われてやった者は、このそれぞれの六十二条、六十三条、六十四条というようなことを使ってやった者は、その次の話なんでしょう、そうとれるのです。
#58
○国務大臣(中村梅吉君) これは、ですから法人の代表者あるいは個人の代理人、使用人、これらの者が六十二条、六十三条六十四条に違反する行為をした場合には、それらの人たちも罰せられる、しかしその本体である法人に対する一まあ法人には体刑はできませんが、罰金刑を、法人及び代理人を委任した本体の本人も罰する、こういう意味でございます。
#59
○田上松衞君 そういう意味であるとすると、非常にここに疑惑が深くなってしまうんですよ。今お話のように、法人に懲役を課することは、これはできぬと言われるけれども、「その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。」、としてあるこうなりますと、今お話の通りでありますれば、頼まれてやった、使われてやった者は、場合によれば、懲役になる、そうでしょう、六十二条、懲役があるんですよ、六カ月以下の懲役があるんです、三万円以下の罰金です。使われてやった者は懲役にあうけれども、たとえば悪質な使ってやった者は懲役にはいかないで、罰金だけで済ましてしまう、ここに盲点があるんですね。これはいろいろな、まああまり言いたくないことですけれども、殺人等を示唆するような者、奥に隠れておる者が罰せられないで、表面でやった者だけが、ちょっと短刀を突きつけただけでもひどい刑を課せられるのと、同じたぐいであって、最も憎むべき使ってやるやつが、こういう軽い程度でもって罰金だけで済ましてしまって、そして、たまにこうして使われた使用人であるとか従業員であるとか、こういうものは懲役にもゆくんだ、その三条ことごとくが、これに適用されるんだということであれば、法はまことにへんてこなものだ、好ましくない行き方だと思うんですが、これは間違っていませんか。
#60
○国務大臣(中村梅吉君) これは、こういうことになると思うんです、前三条は、それぞれの単独犯を規定しておりまして、もちろん人を使って代理人を出したら、あるいは使用人の場合に、その人が代理人に対してこういうことをやれという教唆をするとか、あるいは相談に乗って合意の上で共同正犯をやった場合には、それは共同正犯として同時に同列に罰せられるわけで、従って代理人が体刑に処せられる場合には、それと共同正犯で、合意をし、あるいは教唆をした者は、やはり体刑に処せられるという形になるわけでありますが、六十五条の場合は、これは無過失責任を規定したもので、人を代理に出し、あるいは法人の代理者がやった場合には、法人という自然人でない法人は、教唆はできませんから、その法人が本体がある場合には、本体も無過失責任で処罰をする、刑が軽くなってはおりますが。なるほど六十五条は、前三条の行為をする意思がない場合の知らないでおっても、やはり無過失責任を課するぞと、ですから代理人を選ぶ場合には、代理人の選択について最善を期せよという意味の、これは六十五条は無過失責任を規定した条文でありますから、その意味を御理解願えれば御納得いただけると思うのであります。
#61
○田上松衞君 その御説明では、どう理解しようにも理解できないんですよ、六十二条との場合、特に六十二条各一、二、三号全部考えているんです、こんなことを市街地に土地を持っておる主人公が、みずから手を下してやるというようなことはないはずなんですよ、土地の立ち入りを拒むわけでしょう、あるいは妨げるという行為、あるいは障害物を伐除してみたり、あるいは試掘をやってみたり、ないしはその三になってみると、土地の原状を回復しなかったり、物件を移転したり、あるいは除却しなかったり、こういうようなことは、土地の所有者という主人公みずからが手を下してやるなんというばかげたことは考えられない。必ず人を使ってやるわけですよ。これを仕事にする、さっき引例申し上げた、これはまことに言い過ぎかもしれないけれども、人を殺す場合に殺し屋というものがあるのかないのかしらぬけれども、こういう行為をやるのに、みずからやらないで、人を使ってやらせるというのが普通じゃないかということなんです、私が申し上げたいのは、そのやらした本人がわずかな罰金刑で済まされて、やった者だけが体刑に処せられていくという、この適用のいき方に、法の盲点ということが感得されるのではないかということなんです、私の申し上げたいことは。
#62
○国務大臣(中村梅吉君) ちょっと誤解があるようですが、たとえばこの立ち入りを拒み、または妨げた、この条項でいきますと、使用人あるいは代理人をして立ち入りを拒ましたり、妨げさしたりした人は、もちろん共同正犯ですから、やはりこの六十二条の同じ責任を負うわけです。しかし、させたのではない、知らないうちにやったが、六十五条は知らなくても責任があるぞ、こういう意味でございます。
#63
○田上松衞君 ますますおかしくなってくるのですよ。人に使われているところの使用人あるいは従業員というものが、御主人公の意に反して、御主人公は知らないのに、そんなことをやるなんというばかげたことがあるかということなんですよ。必ずそこには主人公が、行ってこうやれと言わなくても、困ったものだ、こうこうしたい、こういう意思を通ずるから、初めてやるのであって、そんな使用人や従業員が、主人公の意に沿わないことをみずからやって、こんな掲げられる三条にわたりまするところの違反行為をするなんということは絶対考えられないということなんです。大臣の御説明では、そうしたほんとうの権利者というものは知らないのにもかかわらず、ほかがやった場合の規定だと、言いかえれば、こういう御説明のわけですが、そんなばかなことがありようがないということなんです、私の言いたいのは。必ずそのようにやらせる者があるからやるわけですよ。商店の店員等が、やはりそこに使われている主人公の意図をくみとってするから始めて、いやであるけれども、とにかく背に腹はかえられないから、命ぜられるままにやってしまうということが実際問題じゃないですか。ところが、それだけは懲役にしてしまうぞ、主人公の方は罰金で済ませるということになるわけですよ。六十五条をそのまま読んでいくならば、はっきりそれが出てくるわけですね。「前三条の違反行為をしたときは、行為者は罰するほか、その法人又は人に対して、」これはいわゆる命令したという、頼んだということです。こういう者に対しては、各本条の罰金刑だけを科するということになっておりますね。そうするならば、何のことはない、この程度の罰金、三万円ないし一万円程度の罰金を払ってしまうということになれば、どれだけでも妨害できるのではないか。
#64
○田中一君 関連して。この罰則というものは、もう他の法律もみんな罰則がある。罰則の今までの例を見て下さい。これだけ特別な扱いをしたわけではないと思うのです。従って、各法律の罰則集を集めて、これはこうなっておる、ああなっておるという説明をしてもらえばいいのであって、これ一つの問題だけが特別に扱っている問題ではないのですから、そうしていただきたいと思うのですね。罰則集を全部出して下さい。この法律はこうなっている。この法律はこうなっている。そういうものなのです。
#65
○国務大臣(中村梅吉君) そこで、今御指摘のように、それは代理人や使用人が勝手にやるということはあり得ない。実際大部分の場合は、そうだと思います。従って、勝手にやらないで、意思を通じてやれば、もちろん本人も、六十二条の場合は六十二条で、一緒に処罰を受ける、共同正犯として一緒に処罰を受ける。これは当然でありますが、しかし実際にこの法律を作る場合には、いろいろな場合を想定するものですから、こういう条文ができて参ると思うのであります。
 たとえば、土地を東京に持っている。所有者は名古屋なり大阪に住んでいる。こちらの方はだれか管理者がおるとかいうような場合を想定いたしますと、そういう場合に、全然本人の意思とは連絡なしにやる場合も絶無ではありませんので、そういう場合には、やはり本人も無過失責任を負うのだという意味であります。法人の場合でありますと、一そうはっきりしておりますので、法人には、そういう自然人のような意思がありません。代表者、代表取締役なら代表取締役が、一切みな決定権があるわけでありますが、その代表取締役が、それぞれの罰則に該当する行為をした場合には、その人が処罰を受けます。そのほかに、なお法人としても処罰を受ける、こういう意味で、この場合には、もう意思の連絡というものは、事実上、法人には法人としての意思はありませんから、代表者の意思が法人の意思になるわけでありまして、自然人でない法人には意思はないけれども、処罰を受ける、第六十五条は、そういうあらゆる場合を想定しての無過失責任を規定した条文でありまして、該当する場合はきわめて少ないと思います、法人の場合を除きましたら。
#66
○田上松衞君 結論的に、該当する場合が非常に少ないと言われるけれども、私は逆に、この該当が一番多いと思う。いわゆる盲点を突いて処罰を免かれていくという行為が、この中ではあまりにも露骨に出てしまう。これは一々その解釈がこうこうだと、解釈のしようもないでしょう、これだけの文章であれば。この意図が、法人、またはそういう御本人の意思ではないにもかかわらず、こうやった場合、という文句が入れば別ですけれども、どこにもそういう文句がはっきり出ていないわけです。このままであれば明らかに、人をしてやらせる……。そうしてただその処罰の程度だけを私は言っているのではない。ここからわいてきます仕事の渋滞といいますか、というものをおそれるわけです。ここからきて、いろいろな訴訟事件が起きるのではないか、なに、この法文、この条項では、こうなっておるじゃないかということ等でやると、どんどん、どんどん早くやりたいという大きな目的が、ここで大きく阻害されるおそれがありはしないか、これを心配するから、申し上げているわけです。
#67
○国務大臣(中村梅吉君) 御心配をされておりますような場合は、すべて共同正犯として、本人も代理人も双方共同の責任において処罰されるというケースに該当すると思うのです。
#68
○田上松衞君 そういう共同正犯、共犯というような問題が、この罰則の中で、どこに出ておりますか。六十二条から六十七条までが罰則規定です。
#69
○政府委員(稗田治君) 罰則の条項でございますが、六十二条は、市街地改造法の六十八条と同様のことでございます。なお六十二条の一号につきましては、区画整理法の第百三十九条と同様の趣旨でございます。それから三号は、区画整理法の百四十条と同様の趣旨でございます。それから六十三条でございますが、六十三条の一号は、商工会の組織等に関する法律の六十二条と同様の趣旨でございます。二号は、市街地改造法の六十九条一号、それから三号は、市街地改造法の六十九条二号と同様の趣旨でございます。それから六十四条は、商工会の組織等に関する法律の六十三条と同様の趣旨でございます。それから六十五条でございますが、これは商工会等の組織に関する法律の第六十四条、それから市街地改造法の第七十条と同様の趣旨でございます。
 そこで、ただいまお尋ねの代理人あるいは使用人等に使嗾して行なわせた場合は、どの条項を受けるかということになるわけですが、それは妨げた者、行なった者、そのものにずばり該当するかと思うのでございます。
#70
○田上松衞君 疑点を持ちますのは、その行為者を罰するということで切れておるならば、今、住宅局長のお話の通りの説明でよく納得がいくんですよ。御丁寧に、その下に、「その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。」この文句がついておるから、さっき言われた、みずからやった場合には、市街地改造法の問題やその他の法と合わして、こう考えられるわけですけれども、ここでもってきて、今の、人をしてやらした場合、みずからやらなかった場合には、これだけで済むのだというようにとれる節があるので、その点を心配しておるわけですよ。
#71
○国務大臣(中村梅吉君) ただいまの点は、これは教唆した場合あるいは共同してやった場合、これらのことは、この罰則の法律にはございませんが、一般刑法の原則に従って、すべて犯罪は成立するわけでありますので、これだけのことが、こういう犯罪になり、これだけの科刑をするということをこの条文では書いておるだけなんでございますが、原則的には、一般法の、たとえば刑法第十一章共犯に関する規定、二人以上共同して犯罪を実行した者は共犯とする、あるいは人を教唆して犯罪を実行せしめたる者は正犯に準ずる、正犯と同様である、こういう趣旨の一般法が、やはりこれには当然かぶっておるわけでございますから、六十二条、六十三条、六十四条とも教唆したり、共同してやったりすれば、それはもう共同正犯として、一緒に、同様に処罰されるわけであります。六十五条は、そうではない場合でも、これだけの処罰はしますぞと、こういう要するに無過失責任と法律用語で言いますが、無過失責任を規定した条文なんであります。ですから、やらしたという場合には、もちろん刑法第十一章の共犯に関する規定が適用されまして、一緒に処罰を受ける、六十二条の行為があれば、六十二条の行為を教唆して人にやらしたとすれば、当然その人自身も、やらした人も、やはり六十二条の処罰を受ける、こういうことになるわけであります。
#72
○田上松衞君 大臣の御説明と、住宅局長の説明とは、若干の食い違いを発見するのです。これはあまり深くは言いません。大臣は、もっぱら無過失責任の点で説明されております。それは、それであってもよろしいのですけれども、この場合、だがしかし無過失の場合であっても、やはり六十二条のあれを受けるのだということであるならば、ここで特にその法人または人に対して、各本条の、何といいますかな、適用するとか、処罰するとか何かという文句にしないと、懲役を抜いてしまってあるということ、罰金刑だけでいくのだということ、そうすると六十二条は無過失の場合は、これはやはり適用外になってしまうのじゃないですか。六十二条が適用される場合だと、六カ月以下の懲役というものが入るわけなんですね。それだけは抜くのだ、それが、なかなかまだ了解しがたいと思うのです。くどいようですけれども、もう一ぺんそこのところを、どうして懲役刑というものを抜くのかということです。
#73
○国務大臣(中村梅吉君) これは法務省で協議して、すべての法律の罰則を作り上げるときに制定するわけでありますが、大体、考え方としては、無過失で責任を負わせるという無過失責任でありますから、体刑ではひどいだろう、罰金に関しては、やはり同様の責任を負ってもらう、こういう趣旨で六十五条はできているのであります。
#74
○田上松衞君 私はもう少し……、こうした、きょうあげてしまうというような時間的な制約がないとすれば、罰則の点についても意見が実はあるわけなんです。この金額で三万円とか一万円とか、こんなものが、こういうような大きな仕事について、これを妨げるような行為に対して、こんな程度のものですむなんていうようなことであっては、これは実際おかしいと考えているのです、ほんとうは。
 しかも、さっきから申し上げているように、私どもの非常に不安を感じておりますのは、確かにこれは私は盲点だと思う。そうでないとしても、盲点として逆用されるおそれが多分に穏されているのではないかということを心配しているのですが、それがないようならいいといたしましても、第一、今の大臣の御説明では、懲役は少し過ぎる、罰金の程度と言われるけれども、罰金の程度がありますよ。この三万円や一万円が、どれだけの価値のものかということであります。そんなことで、大きな仕事がじゃまされる場合、これが大きく阻害される危険性がある場合には、こんな程度のもので、はらを締めてやっていこう、しかも従来の耐火建築促進法というものが、さっぱり国民の期待通りに活用されない、これはいろいろの要素がございますけれども、これではいかん、これをやってみようというときに、この程度の罰則では、なかなか納得しがたいと思うのです。率直に申し上げまして、民主主義の時代に、こういう言葉を吐くということは、まことに、どうかとも考えるのですけれども、確かに大きな事業をやることのためには、これは思い切った措置をすべきだ。そのときに一番考えられる問題はこういうことをずるくやっていきます者を、六カ月でなくても、たとえ一、二カ月でも、何か体刑――懲役でなくてひ、禁固でも何でもいいですよ、そうしたものが一番ききめがあるのじゃないか、こういうことを感じながら申し上げておるわけなんです。何かこの私の不安を除きますることについて、一つ別途に満足さしていただく方途がありますならば、この際お示し願っておきたいと思います。
#75
○国務大臣(中村梅吉君) この罰則は、大体他の立法例にならっておるわけでございますが、今御必配をいただいておりまする点、すなわち教唆をした場合のことが重点のようでありますが、教唆をしたような場合には、刑法の当然の原則に従って、教唆者があれば、六十二条の該当事項でありまするならば、六カ月以下の懲役または三万円以下の罰金、これは当然教唆者――本人が教唆しておるとすれば、本人も、当然その罰則に該当するわけでございまして、その点は、その趣旨を一つ御了解いただきたいと思います。
#76
○委員長(稲浦鹿藏君) ほかに御質疑はございませんか。――ほかに御発言もないようでございますから、質疑は終了したものと認め、これより本案の討論を行ないます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#77
○木下友敬君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっている防災建築街区造成法案に対し賛成の討論をいたしますが、それにはあとでお示しするような付帯決議をつけることが条件でございます。
 本案は、防火建築帯造成を主眼として都市の不燃化を目ざしてきた耐火建築促進法の実施の経験と反省から、同法を全面的に改廃して、さらに高度の都市防災に踏み出そうとするもので、一歩前進であることは間違いございません。ただ、忌憚なく申しますと、思い立ちがあまりにもおそかった。過去を振り返ってみますと、政府の都市造成に対する意欲がきわめて消極的であったと申しますか、行政の力が弱かったと申しましょうか、耐火建築促進法のごときも、法の精神がほとんど活用されていないというのが実情でありました。その結果、都市とはいえないようなでたらめな市街地が、全国至るところの都市に悪性腫瘍のようにのさばって参り、今では手のつけられない状態のところが、たくさんできてしまったのです。わが国は世界でもまれに見る災害国で、火災や風水害による人的、物的損害は、言語に絶するものがございまして、その被害額は、年々数百億に上っております。もちろんわが国の置かれておる地理的条件を否定するものではございませんが、原因の大半は実に、無計画、無方針で、自然発生的な原始的都市発展に依存した結果でございまして、これは永年にわたって防災に対する徹底した施策を怠った政府の行政的かつ道徳的責任であります。しかし私は、今さら取り上げてそれを責めようとは思いません。もう責め立てれば、どうにかなるという段階ではございません。みんなが協力して、一日も早く不退転の決意と勇気と、さらには住民に対するあたたかい親心を持って施策を実行するのでなければ、どんなりっぱな法律を作っても、所期の目的を達することの困難などたんぱまで来てしまっておるのであります。
 私は、このような認識に立ちますがゆえに、以下読み上げるような強い付帯決議をつけて、本法案を成立させ、一日も早くりっぱで、目的にかなった完全な防災街区の造成に邁進してもらいたいと念願する、ものでございます。
   防災建築街区造成法案に対する
   附帯決議(案)一、防災建築街区の指定に当っては、
 中小都市の防災化を充分に考慮して
 行うこと。二、防災建築街区の建築等整備事業に
 対しては、積極的に財政及び金融措
 置を講ずること。三、造成組合の事業については、組合
 員個々の既得権利が不当に侵害され
 ることのないよう十分に指導監督す
 ること。
 今述べました決議案の意図するところが那辺にあるかは、今日まで本案を審査して参りました経過を見ていただけば当然わかることでございまして、説明を要しないと思いますが、第一点は、防災建築街区の指定でありますが、まず中小都市の防災化に重点を置いて実施していただきたいということでございます。このことは、近年の大火が、地方中小都市に多いこと、その原因が、不燃建築化がおくれていること、また消防能力等が不足していることなどによって、はっきりしているからでございます。
 第二点は、防災建築化の実績を早急に高めるということでございまして、これがためには、政府はこの事業に対して、積極的に財政面、金融面の助成措置をする必要があるということでございます。
 第三点は、この事業の施行の主体となる防災建築街区造成組合の運営について、政府は十分な指導監督をしていただきたいのでございます。すなわち零細な組合員の既得権利が不当に圧迫されることなどのないように、また組合運営の不手ぎわや、地方公共団体の指導の欠除などによって、本法に対する国民の不信を招くことなどのないようにしていただきたいということでございます。
 以上の付帯決議を付して、本法案に賛成するものでございます。
#78
○田上松衞君 民主社会党を代表して若干の討論を行ないます。
 公共の福祉に寄与することの一環として、土地の合理的利用の増進をはかりつつ、環境の整備改善をなし遂げることのために、防火地域内等の特定街区における防災建築物及び敷地の整備を促進して、あわせて災害を最小限度に食いとめようとする趣旨と目的のもとに、地方公共団体だけでなくして、防災建築街区造成組合等を発足させようといたしまするこの法律案には、原則的に賛成であります。問題は、この青写真を、ほごにしないことであると考えるわけであります。およそどんな法案でありましても、起案者は、これが当時におきまするところの社会情勢に適応する最善最良のものだと考えて提案され、立法化されたものであるにもかかわらず、従来の耐火建築促進法等は、世人の期待通りには十分な活用ができなかった。むしろほど遠いものがあったと言って差しつかえないと思っております。今度こそは、この法案を絵に書いたぼたもちに終わらせることのないように、少なくとも土地の所有者あるいは借地権者また借家権者等が、その既得権利を不当に侵されないように、十分な指導と監督をされること及び財政金融指導を積極的に講じることが必要でもあり、言葉をかえて言うならば、それこそが、せっかく作った仏に魂を入れることだと、こう信ずるわけであります。
 こうした観点から、今、提案された木下委員の付帯決議にも満腔の賛意を表しまして、本案に賛成をいたします。
#79
○松野孝一君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま問題になっておる防災建築街区造成法案に賛成をいたすものであります。
 従来、耐火建築促進法によって、政府は帯状の防火建築帯の設置を奨励して参りましたが、今回これを面地域に関しては、防災建築街区に改めて、従来のごとく単に耐火にとどまらず、津波、高潮等の出水の災害にも対処し、あわせて最近の都市の非常な混乱状況にかんがみまして、土地の合理的利用の増進並びに環境の整備改善に大きく一歩踏み出したというふうに私は考えるわけでありまして、まことに意義あることと存ずるのであります。今後は、前に成立いたしました住宅地区改良法、公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律並びにただいま審議しておる建築基準法の一部を改正する法律案、これが成立いたしましたときには、これらの諸法律の運用とともに、都市の再開発とまではいかないまでも、それに向かって邁進することを強く期待するものであります。ただ、これらの事業は、ただいま社会党から出ました付帯決議にもあります通り、多額の資金を必要とするので、本法案においても住宅金融公庫の融資等ができることにはなっておりますけれども、資金量について十分考慮を払い、事業の実施の促進に遺憾なきを期せられることを希望するものであります。
 なお、ただいまの付帯決議案には、趣旨まことにごもっともでありまして賛成するものであります。
#80
○委員長(稲浦鹿藏君) ほかに御意見はございませんか――他に御発言もないようでございますから、討論は終結したものと認め、これより本案の採決を行ないます。
 防災建築街区造成法案、全部を問題に供します。
 本案を原案通り可決することに、賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#81
○委員長(稲浦鹿藏君) 全会一致であります。
 よって本案は、全会一致をもって、可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられました木下君提出の本案に対する付帯決議案を問題といたします。
 木下君提出の付帯決議案について、本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#82
○委員長(稲浦鹿藏君) 全会一致であります。
 よって、木下君提出の付帯決議案は、防災建築街区造成法案について、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 それでは、ただいまの付帯決議につきまして、建設大臣の所信をお述べ願います。
#83
○国務大臣(中村梅吉君) ただいまの付帯決議の御趣旨、十分尊重いたしまして、本法の実施に当たりたいと思います。
#84
○委員長(稲浦鹿藏君) なお、審査の報告書につきましては、委員長に御一任願います。
 ちょっと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#85
○委員長(稲浦鹿藏君) 速記をつけて。
    ―――――――――――――
#86
○委員長(稲浦鹿藏君) それでは、次に建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言下さい。
#87
○田中一君 今度のこの改正案は、大体市街地改造並びに防災街区等の実施に基づく改正が主になっておりますが、これに便乗して、どうもちょっと気になるものが二、三点あるので、これを伺っておきます。
 第一の問題は、商業地域内における自動車の修理工場百坪程度のものを認めようというものでありますが、これに付随して車庫、ガレージですね、自家用のガレージは御承知のように――御承知というか、現在一台ないし二台程度のものは認めておる、住宅地域におけるものですね。その住宅地域におけるガレージの設置を緩和するお考えがあるかどうかということです。
 事実上、たとえば最近の自動車の激増ぶりというものは、たとえば二、三万程度のサラリーをもらっている人でも、自動車が持てるのです。二万円か三万円で自動車が買えるわけですから、その方が電車賃を払っているよりも安いという人も相当おります、自分で運転している場合には。そして現に住宅地域に、やはりガレージ的なものを許可する、認めることの方が、現状から見て妥当ではないかと思うのです。今回の改正では、商業地域に百坪程度のものを認めるということになっておりますが、その点はどうですか。
#88
○政府委員(稗田治君) 自動車の車庫についてでございますが、やはり住居の安寧を維持するというような観点から、現在の制限程度、五十平方メートルぐらい程度は、当然これは都市交通上必要であると思うのでございますけれども、集約した大きな自動車車庫が、住居地域内に当然建ち得るものということで制限を緩和するというのも、住居地域の性格上、多少無理ではないかというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、住居地域の指定の問題等もあるわけでございまして、順次商業化しておりますところは、やはり地域の変更というようなことを行ないまして、必要な自動車車庫というものが、都市の適当な位置に分散できるような地域性の問題という観点から、指定がえをやっていくということが必要ではないかと思います。
 なお、地域指定におきまして制限はございますけれども、建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可できるということになっておりますから、実際は、そこにある程度大きな規模の自動車車庫ができましても、周囲にあまり悪影響がないというような場所におきましては、ただし書きの運用によって、これを救済できるのではないかと見ておるわけでございます。
#89
○田中一君 たとえば百坪の土地が三方商業地、道路に面している、一方だけの接続点、隣地が住宅、住居地域として指定されておる、というような場合には今の除外規定で認められますか。
#90
○政府委員(稗田治君) 具体的な問題でございますので、はっきりその場所につきましてただし書きを運用すべきであるというお答えもいたしかねると思うのでございますが、やはり都市の発展の形というものは刻々移動しておるわけでございます。従いまして、地域性の運用につきましても現実の状態に合うように運用していくのが至当ではないかと考えておるわけでございます。
#91
○田中一君 その点はいいです。
 それから次の問題は、今回九条の改正が行なわれておりますが、この改正はもっともだと思うのですが、ここで一つこういう問題を考慮しなかったかという点を指摘したい。それは建主、工事請負人が違反による処罰を受けるのは当然であります。法令に違反をいたした場合には、ここに非常に問題になるのは、請負契約というものをもって、契約工事を建築主の言い分、注文を受諾している工事請負人は、同等の責任はあってよろしいけれども、今回の法律の改正は、それに従事している者は何者かと申しますと大体において下請業者です。下請業者というのは何かというと、部分的下請業者、部分請負人が多いわけです。部分請負の人間というものは、これは総体的な、全体の規模は存じません、契約に入っていないわけです。それらは、違反であるか違反でないかはとうてい知ることができないわけです。建築主、それからこれによるところの工事請負人というものは、これは全貌計画がわかっております。その部分請負の職人等は全貌がわからぬ。わからぬ者が違反を起こして、違反をしたかしないかの問題は、自分自身は判断がつきかねる。といって今度はこの法律改正によってそれを摘発された場合、建築主または工事請負人と同じような同等の罰則を適用されるということになりますと、これはちょっと行き過ぎではないかというような気がするわけです。それで、むろんこれは中止せよといえば、かりに中止する。それでその場合に摘発するかしないかの問題は主観的な判断です。しかしながら、工事の中止を命じてもその場合に中止はしません。違反か違反でないかはわからぬかもしれぬ、私はこの部分だけを工事をやれとすすめられて元請人と契約しているといった場合、計画全部を承知している者が侵す行為というものは、これは建築基準法に照らして違反ということは明らかになるけれども、違反であるという自分の意識がなくて処罰されるという場合、また処罰をするかしないかの問題は、そちらの行政的な主観によってきめられるわけです。これはどうも僕は問題じゃないかと思う、その点が一つ。
 もう一つは、かりにペンキ屋がペンキを塗っている。これは違反建築だから出ろ、私は出ません、出ろ、出ない、仕事をやめろ、やめない。その場合にはおそらく公務執行妨害というような不測的な罪を犯すかもわからぬ。その場合には公務執行妨害違反嫌疑なんということで引っぱられるかもわかりません。本人は罪を犯しているという自意識を持たないのです、また持ち得ないのです。そういう場合どうですか。
 それからもう一つの場合は、本人は部分的に一定の契約によってその仕事をしている。その仕事が一日おくれればその日の手間がもらえないのです。全く善意な労働者が、建築主または工事請負人または親方の命令によって、仕事をやって手間がもらえぬということになるとこれは大へんな問題です。そういうものの、監督官というか行政官が作業を停止した場合に、その賃金の補償はだれがするか、当然だれか負うべきものである、その点を一つ明らかにしていただきたいと思う。
#92
○政府委員(稗田治君) 今回の工事に従事する者につきましても、命令が出せるようにいたしたわけでございますが、これは違反の事実が明らかなものにつきまして、工事が進みましてからこれを是正するということはなかなか容易でないわけでございます。で、明らかな違反につきまして工事を停止できるようにいたしたわけでございますが、その場合は建築主であるとかあるいは工事監理者、施工者という責任者がいない場合に、現場に従事しておる工事従事者にも命令が出せるようにいたしたわけでございます。
 なお、罰則についてでございますが、これは命令を受けて、それに違反した場合の罰則になるわけでございます。もちろんこれはただいま御意見のございましたように、建築士等と違いまして責任の度合いが若干違うわけでございますので、五万円以下の罰金刑程度ということにいたしておるわけでございます。また個々の実際の運用といたしますると、現場に特定行政庁の係官が見回っておるわけでございますが、明らかな違反であると認めた場合に、口頭でこれは違反建築物であるというので従事者につきましても注意をして、一応口頭で意思を伝えるということができるわけでございます。こういうような条文がございませんと、直接工事の従事者に対しては口頭で指示いたしましても、法の裏づけがないわけでございます。もちろんこの工事を中止しておれば罰則の適用はないわけでございます。
 なお、行政処分としての命令を受けてからも、なお工事を続行するという場合に、この罰則の適用があるわけでございます。それからもう一つ、この行政処分といたしまして命令が出るわけでございますが、この命令の中には不作為の義務のものと作為義務のものと二通りに分かれるのではないかと思うのでございます。で、仕事を行なうとかそういうことにつきましては、行政代執行等を使って強制的に建物を取り除くとか、そういうことも行なうわけでございますけれども、不作為、つまり建物をそこで使用してはいけないとかそういう不作為の義務につきましては、行政代執行法等によりまして、強制的にそれをカバーするという手段は今のところないわけでございます。これは罰則によって処理していくということになっておるわけでございます。
 それから工事の従事者が仕事をしておって、違反建築物であるということによって作業をとめられる。その日当はどうするかという問題でございますが、これは当然契約でそこで働いておったのでございますから、契約者が支払うということに相なるかと思うのでございます。
#93
○田中一君 局長の言うことはその通りですよ。そこで、この違反工事であるから、お前は仕事してはならないという命令する権限が、この法律にあるということを明記するわけですか。これは行き過ぎです。処罰云々でなくて、そういうペンキを塗っているペンキ屋さんに、お前仕事やめろという権限どこにありますか。違反建築であるという判決を持って職人のところに来た場合には、これは違反建築であるのかということがわかりますけれども、わかるものでないでしょう。時間的な余裕があります。当然その場合には建築主なり請負人なりあるいは管理人なりに向かって通告するのが先です。どういう書類をもってお前は仕事を中止しろという、本人にとれば路傍の人です。その仕事をしているところの労働者にとっては路傍の人が来ている。何をもって確認してお前は仕事を中止しろということが命令できますか。もしもそういうことならば、係官としてはかくかく条件で、かくかくのものをもってかくかくの、おまわりさんが一番いいね、制服着ているから。にせおまわりもあるかもしらぬけれども、大体そんなことないでしょう。この人が、たとえば係官であるということを何でそれを認めようとするのか。そうして違反建築であるということを何でその労働者が知ろうとするのか、どうなっています。
#94
○政府委員(稗田治君) 特定行政庁におきまして、建築基準法の施行を担当しておる従事員につきましては、証票を持たすということになっております。従って、証票の提示がございますればこれを見せるということで、身分を明らかにするわけでございます。
 それから先ほどの、実際に現場視察を行なっておりまして、明らかな違反が行なわれておる場合、注意をいたすわけでございます。これは口頭で申す注意は明らかに注意でございます。行政処分の命令ではないわけでございます。ただその場合にもこれこれの理由でこれは違反に該当するということは、工事従事者に対しまして的確な説明を加える必要があるかと思うのでございます。
 それから実際のこの法律上の行政処分としての作業停止命令でございますが、これは特定行政庁によりまして、事務取り扱い、いろいろ決裁事項を定めてございますから、それの成規の手続をふみまして決裁を受けて、命令が出るということになるかと思うのでございます。命令が出るということが明らかでございますから、先に現場で注意をいたしておくと、こういうことでございます。
 なお、こういうことによりまして、工事従事者の方も、建築基準法の的確な手続を経た建物であるかどうかということにつきましても、今後十分注意をしていただくように、われわれとしても、業界等を通じて指導をして参りたいと思います。
#95
○田中一君 たとえば係官が身分証明を持って来ておれはこういうものだ――身分証明持ってきたってわかりやしませんよ。写真がついているの、その身分証明には。どうなっているの。
#96
○政府委員(稗田治君) 立ち入り検査証をいうので特定行政庁の公印が押されて、渡されているわけでございます。写真等は様式には定まっていないわけでございます。
 なお、この工事従事者につきまして、行政命令を出すというのは、これはよくよくの場合でございます。あくまで工事の責任者、これをできるだけ調べまして、そのほんとうの責任者の方に出すわけでございますけれども、いろいろ最近の事情等によりますと、非常に悪質な工事がございましてだれが建築主であるか、工事責任者であるかということが、故意にわからないような形で行なわれる工事があるわけでございます。そういう場合にみすみすでき上がるのを待って、使用開始されてからこれを是正するということは大へんでございますので、今回このような道を開いたわけでございます。
#97
○田中一君 その身分証明を持っている男は、労働者に対して尋問できる権限があるのですか。今度の法律によってそれができるようになるのですか。氏名を聞くとか住所を聞くとかいうことができるのですか。現在どうなっていますか。
#98
○政府委員(稗田治君) いろいろ違反建築物であるという事情等を説明しましたりいたすわけでございますが、その場合に相手の従事者の氏名等も聞くということになるかと思うのでございますけれども、建築主事または特定行政庁の命令を受けました吏員の権限でございますが、「当該建築物、建築物の敷地又は建築工事場に立ち入り、建築物、建築物の敷地、建築設備、建築材料、設計図書その他建築物に関する工事に関係がある物件を検査し、又は試験することができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、あらかじめ、その居住者の承諾を得なければならない。」ということになっているわけでございます。従いまして、一般の警察関係の犯罪の捜査というような権限は持っておりません。
#99
○田中一君 そうすると、今前段にいっている、不正建築を承知でやるという悪質な業者も当然いるということは事実です。われわれも耳にしています。だからといって、それに従事している労働者が、尋問を受けたり、氏名を言わなければならないということはないのです。それを今度ここに入れようとするでしょう。憲法のどこにそうしていいという根拠があるのですか。法制局を呼んでこなければならないですよ。どこに根拠があるか。
#100
○政府委員(稗田治君) ただいま申し上げましたように、犯罪の捜査というような意味の権限は持っていないわけでございます。吏員といたしましては、現場におきまして、さようなことを全部、ただいま申し上げました建物の構造とか設計図書、その他につきまして調査をいたしまして、これを報告するわけでございます。その報告によって行政処分の命令が、先ほど申し上げましたように、それぞれの手続を経まして出てくるわけでございます。ただ現場におきまして注意を申し上げるというのは、明らかに違反でございますので、これはそういった法律上の問題ではないのでございますけれども、あとから行政処分の命令が出てくるということで、できるだけ早く工事の従事者につきましても、違反建築物が完成になることのないように、まあ注意をいたしておこうと。そうして、違反の防止をできるだけまあ円滑にいくようにいたそうと、こういう考え方でございます。
#101
○田中一君 それじゃ、資料を提案し直していただきたいのです。政府が出している法律案の逐条説明には、「工事に従事している者に対しても当該工事に関する作業の停止を命ずることができる」、こうなっております。あなたの言うような注意じゃないですね、停止を命じているのです。「停止を命ずることができる」というのがあなたの方の提案理由の説明なんです。全部出し直して下さい、資料を。どういう権限で出しているのですか。はっきり書いてあります。「工事に従事している者に対しても当該工事に関する作業の停止を命ずる」。命ずる権限はどこにありますか。
#102
○政府委員(稗田治君) 行政処分としまして作業の停止の命令をいたしますのは、吏員の資格じゃなしに、特定行政庁としていたすわけでございます。
#103
○田中一君 そうすると、今あなたの言ってることと私どもが受け取るものと、それから実際に現場で働いている労働者が受け取るものと、同じものでなければならぬのですよ。なるほど不正建築を職業とするような人もいるかもわかりません。これは何とかしなければなりませんよ、実際に。しかしながら、全く不作為な、そうして契約によって日雇い的に一日の作業の賃金をもらっている者が、どういう段階であろうとも、係官が来て、そしてこの仕事はやめろという命令を出すということは、善意な職人というものに対する越権ですよ。法律的な根拠を明らかにして下さい、憲法から始まって。そうして、この命ずることを守らぬ場合にはこういう罰則があると、罰則まで出ている。作為的に法を犯そうとする者は建築主でないかもわからぬ、あるいは建築主であるかもわからぬ。工事請負人でないかもわからぬ、あるかもわからぬ。これらの善意な者、不作為の行為をしている者に対して、的確にその人間が知っていながらやっているんだと、作為的なものであるということをはっきりと何らかの形で証明されてのみ罰則が適用されるべきものです。たとえ行政処分の決定を持ってきたところが、受け取る者は申請者なり、あるいはそれを代行する建築士なり、または大工さんです、工事請負人です。それに従事する労働者、これは非常に範囲が広いんです。どしどしと土方のように土地を削ったり埋めたりする行為もあれば、ペンキ屋のようにペンキを塗る行為もやっぱり従事者です。職種はうんと広いんです。盲が象をなでるように自分の触れている面しかわからないのが日本の建築工事の実態なんですよ。私は、そういうことは何らかそれを立証する何かがなければ行き過ぎがあります。これはどうしてもこの点だけはもっと明快な答弁がなくちゃ認められないです。
#104
○政府委員(稗田治君) 今回の改正におきまして、工事中の工事の中止の命令というのができますのは、一つは違反が明らかであるという一つの要件がございます。それから工事責任者がいないという、この二つによりまして違反工事の進捗を防止するように考えておるわけでございます。ただいま先生がお述べになりましたような場合は、特定行政庁といたしましても十分違反の責任者と申しますか、これがわかるような場合が多いのじゃないかと思っております。
#105
○田中一君 大体こういう違反が行なわれるということは、これは係官が少ないということなんです。基準法によるところの違反を摘発しないからなんですよ、従来ともに。不法建築であってもできてしまえば手がつけられない。ほんとうはつけられるんですよ、裁判で決定すれば。今までしないからなんです。していれば不法建築というものはしなくなるんですよ。弱い面にだけあなた方は自分の行政権というものを及ぼそうとする。強い面は全部引っ込んでいる。たとえば新橋の西口のあの状態を見ても、あの新橋何とかという会社がやっているところの元、芝の区長をしていた井手何とかという所長がやっている区域は全部不法建築です。しかしながら、今では善意な第三者がそれを買い取って住んでいるから手がつけられないということを言う。防火用水のためを掘ればその間にブロック建ての建築を許している。有料便所一つ造ってくれといえば、二坪の有料便所のものがいつの間にか十坪になっている。そうして転売、転貸ししてしまえばこれは善意の第三者に移って手がつけられない。計画的に同類項でやっているのが今までの建築工事のあり方なんです。本省でどんな法律を作っても、しわ寄せを食うのはやっぱり善良な人が食っているんです。徹底的にやろうとしないからなんです。そうして今度の法律の改正によって建築職人まで処罰しようなんという道を開くことは、これはあっちゃならないですよ。私はもう少し的確にどういう人間でどういう建物のものはやるんだ、ということの内容を法律できめることができないならば、政令で細かく分類したものを持ってきてください、それを見なければ危険でしようがないです。そうしてその職人は一日八百円なり千円なりの手間をもらっているんです。これは違反建築であるからお前仕事をやめろと言ったときに、おっしゃる通り契約によって入っている以上、注文を出した人間に対して請求するのは当然です。くれると思いますか。取れると思いますか。取れっこないんです。そうして善良な弱い者だけがしわ寄せされて、究極公務執行妨害になって引っぱられるということがおちですよ。この通りおまえ違反建築である、職人は、私はしなかったら困りますよといって、現場へいってやめよといってもやめません。そういう危険が現場において多分にあるんです。どういう場合にどういうものか、明らかにして下さい。主としてこれは小さい建築に多いんです、こういう違反は。まさか千平米、二千平米のものには、まあそんなことは間違い以外にありませんよ。作意的にやろうという違反はほんとうにわれわれの身辺にある社会に多いんです。善良な職人はこんなもので引っぱられたらたまったものではない。どういう場合にどういう職種がこれに該当するか、それに対しては行政指導としてはどういう工合にするかということを明らかにしなければ、私はこれは認められない。建設大臣一つ答弁して下さい。
#106
○国務大臣(中村梅吉君) 実際問題としまして、近時悪質の建築が相当にふえて参りまして、これを抑制するのにいろいろ各都道府県も努力をしておるわけでありますが、中には非常に計画的でありまして、建主もそれから請負人もわからないように、現場の職人にも言わせないように、だれを責任者と追及したらいいか、発見困難なようにしてやっておる向きがだいぶある様子でありまして、これを何とかして押えていかなければ、できてしまったものを建築基準法で取りこわすということもなかなか容易でありませんし、自然違反建築が残っていってしまうという現状にありますので、これを抑制する道として、今次の改正の項目で現われてきたような過程をたどっておるわけであります。そこで、ここにあります当該工事に従事しておる者に対して、作業の停止を命ずる、公式に命ずる前にそういったような調査をしまして、たとえ違反建築でありましても建築主がわかっておるとか、あるいは請負人か責任者がわかっておるというような場合には、それに対して行政命令を発して、現場の職人にしてもこれはいたし方ないものでございますから、そういうような場合にはこの条項は努めて適用しないで、もう作意的に請負人も現場に働いておる人もなれ合って、どうしても言わぬ、幾ら聞いてみても言わないというような場合に、適用せざるを得ないという現実から、このような条文を設けることになりましたので、もちろん運用につきましては、全く責任のない職人に責任を負わせたり、むりな追及することのないようには指導して参りたいと思っておりますが、現実の状態がそういうふうな事態があちらこちらに起こりつつありますので、そういったことに適用していきたいための条文でございますので、運用上十分注意していきたいと思います。
#107
○田中一君 一体特定行政官庁がそれらを取り締まる、この場合に、法を侵すやつは取り締まりの態勢が整っていますか。あなたの方の行政面に人手が足りないというのが現実なんじゃないですか。国民だけを責める。自分の方の準備というのは何もしていない。人がいればできるんでしょう。こまかく歩けるんでしょう。また職人もなれ合いでやっているなんていうことを言っているけれども、職人の上にはその職の親方がいるんです。全然知らぬ者までが知っているのじゃなかろうかといって引っ張られたんじゃかなわない。知っている者は共犯です。当然です。知らない者はどうするか。あなた方はいつも罪人を作ったり疑いをかけたりするようなことにのみ行政権というものを使っている。罪を犯さないようにするのが、法を守るようにするのが行政官の役目です。十分に特定行政地区へ人間の配置をしておりますか、予算をつけておりますか、してないじゃありませんか。自分の方の弱さを国民に転稼して善良な国民を罰しようというような考え方は通りません。建築の確認をし得る行政官庁は十分な陣容をもって国民に対するサービスをしているかどうか、しておりません。一つの現象をとらえて国民の罪にするなんていうことは大きな間違いです。行政部門の充実が先です。法を犯そうとする者は当然取り締まってよろしい。その意思がない者、それが建築工事の実態なんですよ。総合建築なんです。総合組み立て事業なんです、建築工事というのは、善良なる者に及ぼさないという立証的される政令の内容なり何なりを次回までにお示し願いたい。それを見て、なるほど悪質な者がいるから追い込まれる場があります、これに。それは自分を顧みずして国民に始末を転稼しよう、国民の犠牲によってそれを処理しようという考えにすぎないのです。建築確認を担当しているところの行政部門の陣容というもの、どういう扱い方をしているか、どういう検査をしているかという点を一つ次回までに明らかにして、どういう人には適用しない、どういうふうにもっていくかということをお示し願わなければ、きょうここで採決しようという話があったけれども、私には納得はできませんから、これは一つきょうはこれでこれに対するあとの質疑は留保しておきますから、それは政府の方からかくかくの行政指導をしてこうする、こういうものに対してはこうするのだということが明らかにされぬと、直ちにここでもって……。
#108
○委員長(稲浦鹿藏君) ちょっと田中君……。速記を止めて。
  〔速記中止〕
#109
○委員長(稲浦鹿藏君) 速記つけて下さい。
 二時半まで休憩します。
   午後一時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時五分開会
#110
○委員長(稲浦鹿藏君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
 測量法の一部を改正する法律案を議題といたします。初めに逐条説明を聴取いたします。
#111
○説明員(富岡茂雄君) ただいま議題となりました測量法の一部を改正する法律案につきまして、逐条御説明申し上げます。
 本改正の要旨は、最近における国民生活及び国民経済の基盤を拡充するための公共事業等の進展に伴い測量業務は著しく増大し、かつ、その大部分が測量業者によって行なわれるようになりましたので、測量業者の測量実施において果たす役割はきわめて重要なもとなって参りました。このような情勢に対応して、測量の正確さを確保し、その円滑な実施をはかるためには、測量業者に対して適切な措置を講ずる必要がありますので、測量業の適正な運営と健全な発達をはかるため、測量業者の登録を実施し、業務の規制及び改善を行なうことといたしたことであります。
 以下、逐条その要旨を御説明申し上げます。まず、目次の改正は、以下の改正に伴いまして所要の整備を行なったものであります。
 第一条の改正は、今回の改正により測量業者に関する規定を設けることとしましたので、目的にその趣旨を加えることとしたものであります。
 第五条及び第六条の改正は、今回の改正により、建設大臣の登録を受けた測量業者でなければ測量業を営むことができないこととなりますので、「公共測量」及び「基本測量及び公共測量以外の測量」の範囲を一層明確にすることとしたものであります。
 第十条の二の規定は、測量業を定義して、基本測量、公共測量及びこれらの測量の成果を使用して行なう測量を請け負う営業としたものであります。
 第十条の三の規定は、測量業者を定義して、測量業者登録簿に登録を受けて測量業を営む者としたものであります。
 第十五条から第十八条まで、第二十五条及び第三十九条の改正は、基本測量の業務の増大に伴い、その円滑な実施をはかるためのものであります。
 第十五条第一項の改正は、基本測量の実施のための国有、公有または私有の土地の立ち入りについて、国土地理院の職員に限られていたものを、国土地理院の長の委任を受けた者も立ち入りできることとしたものであり、同条第二項及び第三項の改正は第一項の改正に伴うものであります。
 第十六条及び第十七条の改正は、基本測量を実施する場合に障害となる植物またはかき、さく等の伐除について、国土地理院の長またはその命を受けた職員に限られていたものを、国土地理院の長の委任を受けた者も伐除することができることとしたものであります。
 第十八条の改正は、仮設標識を設置するための土地、樹木または工作物の一時使用について、国土地理院の職員に限られていたものを、国土地理院の長の委任を受けた者も一時使用できることとしたものであります。
 第二十五条の改正は、仮設標識の移転について、国土地理院の職員に限られていたものを、国土地理院の長の委任を受けた者も移転できることとしたものであります。
 第三十九条の改正は、第十五条から第十八条まで及び第二十五条の改正に伴い、公共測量に準用する場合の読みかえ規定を整備したものであります。
 第四十七条の改正は、第五条の公共測量及び第六条の基本測量、及び公共測量以外の測量の定義の改正により、本条第一項は不用となりましたので、これを削除しようとするものであります。
 第五十二条の改正は、用語を統一するためのものであります。
 次に、新たに設けました第六章の規定は、測量の適正なる実施の確保及び測量業の適正な運営と健全な発達をはかるため、測量業者の登録の実施、業務の規制及び改善、並びに測量業者に対する建設大臣の監督権限等を規定したものであります。
 第五十五条は測量業者の登録に関する規定でありまして、測量業を営もうとする者は、この章の定めるところにより登録を受けなければならないこと、登録の有効期間は三年間とすること、登録の有効期間満了の後引き続いて測量業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならないこと等を規定しております。
 第五十五条の二は、測量業者としての登録を受けようとする者は、建設省令で定めるところにより、商号または名称、主たる営業所及びその他すべての営業所の名称、及び所在地等を記載した登録申請書を、建設大臣に提出しなければならない旨を規定しております。
 第五十五条の三は、登録申請書の添付書類に関する規定でありまして、登録申請書には、建設省令で定めるところにより、営業経歴書、法人の場合は定款等の書類を添付しなければならないこととしております。
 第五十五条の四は、登録を受けようとする者は、政令で定めるところにより、登録手数料を納めなければならないこととしたものであります。
 第五十五条の五は、登録の申請があった場合には、建設大臣は、欠格要件に該当する等により登録を拒否する場合を除くほか、登録申請書の記載事項、登録年月日及び登録番号を測量業者登録簿に登録し、その旨を登録申請者に通知しなければならないこととしております。
 第五十五条の六は、登録を拒否する場合の規定でありまして、登録申請者が、破産者で復権を得ないもの、無登録営業の禁止の規定に違反して刑に処せられ二年を経過しないもの、登録の要件を欠くもの等の欠格要件に該当する者であるとき、または登録申請書に虚偽の記載等があるときは、建設大臣は、その登録を拒否しなければならないこととし、登録の拒否をしたときは、その理由を示して登録申請者に通知しなければならないこととしております。
 第五十五条の七は、登録申請書の記載事項について変更があったときは、建設省令で定めるところにより、建設大臣に変更登録の申請をしなければならないことを規定しております。
 第五十五条の八は、測量業者は、毎事業年度の営業経歴書及び財務に関する書類、並びに定款を変更したとき及び使用人数等に変更があったときは、その変更にかかる事項を記載した書面を、建設大臣に提出しなければならない旨を規定しております。
 第五十五条の九は、測量業者が廃業した場合等及び欠格要件に該当するに至った場合には、その旨を建設大臣に届け出なければならない旨を規定したものであります。
 第五十五条の十は、測量業者から廃業等の届出があったとき、登録の有効期間の満了の際、更新の登録の申請がなかったとき、または測量業者の登録を取り消したときは、当該測量業者の登録を登録簿から消除しなければならないこと等を定めたものであります。
 第五十五条の十一は、測量業者が登録を消除されたとき現に実施中の測量の措置に関する規定でありまして、第一項は、測量業者の登録が消除された場合においても、測量業者であった者またはその一般承継人は、その旨を注文者に通知して、登録が消除される以前に締結された請負契約にかかる測量を引き続いて実施することができることとし、第二項は、測量の注文者は、登録の消除の通知を受けた日または測量業者の登録が消除されたことを知った日から三十日以内に限り、その測量の請負契約を解除することができる旨を規定しております。
 第五十五条の十二は、測量業者登録簿等の閲覧に関する規定でありまして、建設大臣は、登録簿、登録申請書の添付書類等を、都道府県知事は、建設大臣から送付されたこれらの書類の写しを、政令で定めるところにより、公衆の閲覧に供さなければならない旨を規定しております。
 第五十五条の十三は、測量業者は、その営業所ごとに測量士を一人以上置かなければならないこととしたものであります。
 第五十五条の十四は、測量業者として登録を受けない者は、測量業を営むことができない旨を規定したものであります。
 第五十六条は、測量業者の業務上とるべき基本的な態度を示したものであります。
 第五十六条の二の規定は、測量の一括下請負の禁止に関する規定でありまして、測量業者はいかなる方法によるかを問わず、その請け負った測量を一括して他人に請け負わせ、または他の測量業者からその請け負った測量を一括して請け負ってはならない旨を規定しておりますが、元請負人があらかじめ注文者の書面によって承諾を得た場合には、差しつかえないものといたしております。
 第五十六条の三の規定は、測量業者は、その請け負った基本測量、公共測量またはこれらの測量の測量成果を使用して行なう測量を、いかなる方法をもってするを問わず、測量業者以外の者に請け負わせてはならない旨を規定しております。
 第五十六条の四は、測量業者がその請け負った測量を下請負に付した場合、その下請負人が測量の実施につき、著しく不適当と認められるときは、注文者は測量業者に対して、その変更を請求することができる旨を規定しましたが、あらかじめ書面によって注文者から承諾を得て選定した下請負人については、この限りでないことといたしております。
 第五十六条の五は、測量業者の標識の掲示について規定したものであります。
 第五十六条の六は、測量業者が、その企業内容の改善または測量技術の向上のために必要があるときは、建設大臣に対して、助言を求めることができることとしたものであります。
 第五十七条は、測量業者が一定の事由に該当したときの建設大臣の処分に関する規定であります。第一項は、測量業者が不正の手段により登録を受けたとき、届出がなくて廃業等の事実または欠格要件に該当する事実が判明したときは、当該測量業者の登録を取り消さなければならない旨を規定しております。
 第二項は、測量業者が変更登録の申請をしないとき、一括下請負の禁止等の業務の規制に違反したとき、法令に違反して刑に処せられたとき、その他業務に関して著しく不当の行為をしたとき等においては、当該測量業者に対し、六月以内の期間を定めて、その営業の全部もしくは一部の停止を命じ、またはその登録を取り消すことができる旨を規定しております。
 第三項は、前二項の処分をした場合の通知について規定し、及び営業の停止を命じた場合にも、営業の停止以前に締結された請負契約にかかる測量を、引き続いて実施することができることとしたものであります。
 第五十七条の二は、建設大臣が登録の取消しまたは営業の停止の処分をしようとするときは、当該処分にかかる測量業者について聴聞を行なわなければならない旨等を規定したものであります。
 第五十七条の三は、建設大臣は、測量業の適正な運営を確保するため必要があると認める場合においては測量業を営む者について、その業務等に関し必要な報告を求め、またはその職員に営業所等に立ち入り検査させることができる旨を規定しております。
 第五十八条は、聴聞に際して出頭を求められた参考人の旅費及び手当について規定しております。
 第五十九条は、報酬を得て測量の完成を目的として締結する契約は、委託その他いかなる名義によるかを問わず、すべて請負契約とみなし、また、これらの契約に基づく測量を行なう営業は測量業とみなして、この法律の規定を適用する旨を規定しております。
 第六十一条の二、第六十三条の二、第六十五条及び第六十六条の規定は、今回の改正に伴い測量業者に関する罰則について定めたものであります。
 付則の第一項は、この法律の施行の日について定めてございます。
 第二項は、この法律施行の際、現に測量業を営んでいる者は、この法律の施行の日から六十日間は登録を受けなくても測量業を営むことができること、及びこの法律の施行前に締結した請負契約にかかる測量を、引き続いて実施することができること等を定めたものであります。
 第三項は、この法律施行の日から六十日以内に登録を申請した者が、その登録を拒否されたときに、実施中の測量があるときは、その測量を引き続いて実施できることを定めたものであります。
 第四項は、建設省設置法の一部を改正して、この法律の施行に関する事務の所掌を定めたものであります。
 第五項は、国土調査法の一部を改正して、内閣総理大臣、主務大臣または都道府県知事は、国土調査に従事する測量業者に対して、国土調査の実施の状況について必要な報告を求めることができることとし、及び当該測量業者は、内閣総理大臣又は主務大臣に対して、国土調査の実施について必要な助言を求めることができることといたしました。
 以上であります。
#112
○委員長(稲浦鹿藏君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたしたいと存じます。次回に質疑を行ないます。
 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#113
○委員長(稲浦鹿藏君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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