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1960/04/12 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 決算委員会 第18号
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1960/04/12 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 決算委員会 第18号

#1
第038回国会 決算委員会 第18号
昭和三十六年四月十二日(水曜日)
   午前十時十七分開会
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 芳男君
   理 事
           岡村文四郎君
           鳥畠徳次郎君
           野上  進君
           相澤 重明君
           北條 雋八君
   委 員
           川上 為治君
           木内 四郎君
           田中 清一君
           谷口 慶吉君
           野本 品吉君
           増原 恵吉君
           阿部 竹松君
           大森 創造君
           北村  暢君
           木下 友敬君
           武内 五郎君
           奥 むめお君
  政府委員
   厚生政務次官  安藤  覚君
   厚生大臣官房会
   計課長 熊崎 正夫君
   厚生省公衆衛生
   局長      尾村 偉久君
   厚生省医務局長 川上 六馬君
   厚生省薬務局長 牛丸 義留君
   厚生省社会局長 太宰 博邦君
   厚生省保険局長 森本  潔君
   農林省農林経済
   局長      坂村 吉正君
  説明員
   警察庁保安局
   防犯少年課長  綱井 輝夫君
   厚生省医務局次
   長       黒木 利克君
   会計検査院事務
   総局第五局長  平松 誠一君
  参考人
   農林漁業金融公
   庫総裁     清井  正君
   ―――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和三十三年度一般会計歳入歳出決
 算(第三十四回国会内閣提出)
○昭和三十三年度特別会計歳入歳出決
 算(第三十四回国会内閣提出)
○昭和三十三年度国税収納金整理資金
 受払計算書(第三十四回国会内閣提
 出)
○昭和三十三年度政府関係機関決算書
 (第三十四回国会内閣提出)
○参考人の出席要求に関する件
   ―――――――――――
#2
○委員長(佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。
 昭和三十三年度一般会計歳入歳出決算、同じく特別会計歳入歳出決算、同じく国税収納金整理資金受払計算書、同じく政府関係機関決算書を議題といたします。
 本日は農林漁業金融公庫の部を審査いたします。農林漁業金融公庫関係の昭和三十三年度の決算においては、不当事項の指摘を受けたものはございません。まず会計検査院より検査報告記載の事案について説明を求めます。
#3
○説明員(平松誠一君) 昭和三十三年度の農林漁業金融公庫関係につきましては、昭和三十四年の四月から九月までの間に千七百九十件、五十九億二千三百余万円の貸付金につきまして調査いたしました結果、業務方法書に定める貸付の限度額をこえる結果となっていたものや、貸付対象事業に補助金の交付があった後も、補助金相当額がそのまま貸し付けられていたものなど、貸付後の管理が不十分と認められたものが、前年度の調査未了のものを含めまして四百一件、二億四千七百余万円ございます。このうち、三十四年九月末までに二百九十四件、一億七千二百余万円について是正措置が済まされておりまして、その後も処理が進みまして、三十五年の十一月十日現在でなお償還の請求中のものは五件、三百余万円でございます。
 以上で説明を終わります。
#4
○委員長(佐藤芳男君) 次に農林漁業金融公庫より説明を求めます。
#5
○参考人(清井正君) ただいま議題となりました農林漁業金融公庫の昭和三十三年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和三十三年度の収入支出決算について御説明いたします。
 昭和三十三年度における収入済額は七十七億八百万円余でございまして、支出済額は六十八億八千六百万円余でございますので、収入が支出を超過すること八億二千百万円余となっております。
 また、昭和三十三年度におきましては六億四千二百万円余の利益を上げましたが、これを全額滞貸償却引当金及び固定資産減価償却引当金に繰り入れましたため、国庫に納付すべき利益金はなかったような次第でございます。
 なお、三十三年の七月国から六十五億円の出資を受けました非補助小団地等土地改良助成基金の勘定におきましては、二億五千五百万円余の利益を上げたのでございますが、これは全額同基金に組み入れをいたした次第であります。
 以下、これを収入支出の部に分けて御説明いたしますと、まず、収入の部におきましては収入済額は七十七億八百万円余でありますが、これを収入予算額七十四億一千万円余に比較いたしますと二億九千七百万円余の増加と相なっておるのであります。
 この増加の内訳について申し上げますと、第一に、貸付金利息収入におきまして、実収平均利率が予定より高かったこと等によりまして、三億二百万円余の増加となっており、
 第二に、非補助小団地等土地改良事業助成基金の預託利息収入におきまして予定利率より有利に預託することができましたので七百万円余の増加となっておるのでございますが、一方、雑収入におきまして、貸付業務委託金融機関における貸付資金の滞留期間が予定より短縮いたしましたため貸付交付金利息収入が少なかったこと等によりまして千二百万円余減少いたしましたので、差引二億九千七百万円余の増加となったものであります。
 次に、支出の部におきましては、支出予算現額は七十一億三千二百万円余となっておるのでございますが、支出済額は六十八億八千六百万円余でありますので、差引二億四千六百万円余の差額を生じたのでございますが、この差額は全額不用となったものでございます。
 ただいま申し述べました支出済額のおもなものは借入金利息及び業務委託費でございまして、不用を生じましたおもな理由は、貸付の実行が予定よりおくれたこと等によりまして借入金利息及び金融機関等委託費が減少したためであります。
 なお、本年度におきまして、予備費を使用しました額は千二百万円余でありますが、これは役員の退職に伴う退職手当に要した経費でございます。
 次に、昭和三十三年度政府関係機関予算予算総則第三十一条に定める当公庫の昭和三十三年度における借入金の限度額は百十五億円でございましたが、借入実行額は百十四億九千八百万円でございます。
 また、同予算総則第三十八条第一項に定める当公庫の固定資産取得費の限度額は一億二千二百万円余でございますが、取得の実行額は四千六百万円余でありますので、差引七千五百万円余が取得未済となったのでございますが、これは当公庫の北海道及び九州支店事務所が敷地の選定等に不測の日数を要しましたため年度内に完成しなかったこと等によるものでありまして、この取得未済額につきましては、昭和三十四年度政府関係機関予算総則第三十八条第二項の規定によりまして、昭和三十四年度において実行することといたすものであります。
 次に、昭和三十三年度における当公庫の業務概況につきまして御説明いたします。
 まず、昭和三十三年度末における貸付金残高は、一、四八五億余円でございまして、前年度末に比較いたしますと、二百十五億円、約一七%の増加となっております。
 これを業種別に申し上げますと土地改良五二五億円、林業一九四億円、漁業一四八億円、塩業一〇二億円、共同利用施設二二四億円、自作農資金一八三億円、その他一〇九億円となっております。
 次に、昭和三十三年度中の貸付決定状況を申し上げますと、貸付決定総額は三百七十億円でありまして、年間貸付計画額三百七十五億円に対し九九%の達成率であります。
 また、前年度に比較いたしまして大きな動きがありました業種は、土地改良資金の二十四億円の増加、自作農資金の二十五億円の増加、漁業の約四億円の減少でございます。
 以下これを業種別に申し上げますと、土地改良は、貸付決定額百二十六億円、計画通りの達成率となっておりまして、特に三十三年度から、非補助小団地等土地改良事業助成基金制度によります耕地関係の非補助一般事業に対する一分五厘の利子軽減措置がとられ、三分五厘資金の貸付が年度半ばから始められ、今日に至っております。
 また、災害復旧事業につきましては、三十三年一月以降二十二号台風まで発生した災害によります農地及び農業用施設の被害が合計二百十一億円余に及びましたため、これに対する借り入れ申し込みが活発となりまして、当初貸付計画の一七二%の二十一億円の貸付を決定いたしております。
 林業につきましては、昭和三十三年度から造林、林道とも新五カ年計画が樹立されまして森林資源の保存育成と森林生産力増進をはかることになりましたので、この貸付計画は約三十五億円予定いたしましたところ、これも予定通り貸付決定いたしております。
 漁業につきましては、貸付決定額は四十一億円で計画通り決定いたしております。
 塩業につきましては、食塩の自給を目標に進められて参りましたが、流下式塩田への転換が著しく生産力を増加いたしまして、その目的がほぼ達成されたと考えられますことから三十三年度におきましては、塩業政策の方向転換とも関連いたしまして、貸付の重点も現有の採鹹能力に見合う煮熬施設の整備に置きましたので、前年度より二割減の十四億円の貸付決定をいたしております。
 共同利用施設につきましては、貸付決定額二五億円でありますが、そのうちには新規用途事業として三十三年度から新たに結晶ブドウ糖の製造施設に対する公庫貸付の道が開かれましたので、四億円の貸付決定をいたしております。
 自作農資金につきましては、年間貸付計画額は当初七十五億円でございましたが、四、五月の霜雪害を初めといたします。十二および二十一、二十二号台風による災害維持資金の需要に対応いたしまして、一般資金五億五千万円、開拓営農振興計画の達成上必要な負債借換資金が七億五千万円それぞれ増額されましたので、その結果貸付計画額は八十八億円となりまして、貸付決定も八十八億円いたしております。
 また、昭和三十三年度から加えられました寒冷地農業振興資金につきましては、申込が予想以上におくれましたため貸付計画額一億七千万円に対しまして四千万円の貸付決定をいたしております。
 以上貸付決定状況につき説明申し上げましたが、これに対しまして三十三年度の貸付金の回収実績は百三十億円余承継、譲受債権三億円を含めまして、前年度の回収実績に比較いたしますと、約四億円、約三%の増加となっております。
 以上が昭和三十三年度農林漁業金融公庫の決算概要であります。
 なお、昭和三十三年度の当公庫の決算につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けたものはないのでございますが、貸付の管理等につきまして御注意がありました点につきましては、その後鋭意改善に努力いたしまして、その結果、三十四年九月末現在における不備件数百七件のうち百三件の処理を完了し、ただいまは残りが四件になっておりまして、その四件につきまして目下処理を進行いたしている次第でございます。今後はかかる不備事項が発生いたしませんよう方策を考えまして、改善に努力を傾注いたしたい所存でございます。
 以上で御報告を終わります。
#6
○委員長(佐藤芳男君) これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#7
○相澤重明君 会計検査院にお尋ねしたいと思うのですが、先ほどの御説明にありました百四十一ページの、業務方法書に定める貸付の限度をこえる結果となっておる、そうしてこの貸付後の管理についてはなお改善の要があると認められる、こういうことを述べられているわけです。そこでこの三十四年の四月から九月までの間に千七百九十件もの現場を調査した、その結果どういうところが悪かったか、その点を御説明いただきたい。
#8
○説明員(平松誠一君) この業務方法書に定める貸付の限度をこえる結果となっておるというものでありますが、これは貸付を受けます際にはこれこれの事業をする、こういう計画でありまして、これだけの金が要るから――その大体業務方法書にきめておりますものは八割を貸すということになって、その八割相当額が貸し付けられるのでありますが、実際の仕事をやってみますとそれだけの金が現実にはかからない。そこでその実際かかったものの八割ということになりますと、貸付いたしました額がそれをこえる結果となるというようなものでございまして、実際現場に行って帳簿その他を調べてみますと、実際かかった金が貸付の基礎になった額ほどかかっていないというようなものを発見いたしまして、御注意申し上げた次第でございます。従いましてこういうような事態になることを防止するというためには、事業の実態の把握ということを、貸付をいたされます委託金融機関なりその他におかれまして、よく実態を調査するということが必要であると思います。
#9
○相澤重明君 公庫の方ではどういうふうに措置をしておりますか。
#10
○参考人(清井正君) ただいまのお話の点でございますが、これは会計検査院より御説明されました通り、私どもは事業費の八割を限度に貸付をいたしているわけでございます。ところが当初の予定の計画の工事費が縮小されました場合には、結果的には八割をこえるということになりますので、そのこえる部分を繰り上げて償還をしていただくということにいたしているわけでございますが、私ども貸付をいたします場合におきましては、御承知の通り八割から九割近くは受託金融機関に委託をいたしておりまして、直接私どもの方の公庫で貸付をいたしておりますのは約一割から一割五分程度でございまして、大部分は農林中央金庫、各県の信用農業協同組合連合会及び地方銀行に貸付の委託をいたしておりまして、末端の貸付の実際の実行はそれらの受託金融機関がいたしているわけでございます。そこで各貸付を受けました借入者は、事業が進行いたしますと進行調書を提出いたしてもらうことになっておりまして、その進行調書を拝見いたしまして、もしも事業費が計画の事業費より少ないということがわかりますれば、その差額について繰り上げ償還をいたしていただく措置を直ちにとるわけでございます。なお、その後も受託金融機関はもちろん、私どももそれぞれ支店を持っておりまして、支店の職員あるいは本店の職員が、適時各受託金融機関なり各借入者のところに実地に回って参りまして、書類を拝見いたしまして、もしも借入限度額を超過しているような実態が発見されました場合には、そのつど繰り上げ償還をいたしますように手続をとって参っておる。こういうように実際現在やっておるわけでございまして、主として借入者の報告に基づくものが第一、次いでは私ども並びに受託金融機関が現地に行きまして、借入者から直接事情についてお話を伺ってから、発見いたしまして、いろいろな償還手続をとる、その二つによってただいま実行いたしておるようなわけでございます。
#11
○相澤重明君 そうすると、今、会計検査院から指摘された三十四年の四月から九月までの間で千七百九十件というものが指摘を受けておる。実際の千七百九十件調査をした中でこの指摘を受けておるのであるが、公庫自体としては内部監査を行なった結果は、どのくらいの件数があるのですか、公庫自体として。
#12
○参考人(清井正君) 私どもといたしましては、監事が二人おられまして、それから内部的に職員で監査の役をいたしております者が数名ございまして、それから各支店に特別な課を設けまして、そこに数人おりまして、常に管理事務の方の仕事を担当いたしまして、必要によって現地に行きまして、発見次第この手続をとって参っておるのでございますが、ただいまちょっと何件そういう該当いたしたものを処理いたしましたか、ちょっと数字を私記憶いたしておりませんので、はっきり申し上げられませんが、とにかく必要に応じて私ども監査の仕事を特に厳重に最近やって参っておりますし、各支店におきましても、そういう方面の専門の職員を置いてやっておりますので、常に計画を持って各地を回っております。そこで書類を拝見いたしまして、わかり次第処理をいたしておるということでございますので、ただいまちょっと何件処理いたしましたか、ちょっと私はっきり数字的に申し上げられないことは恐縮でございますが、常にそれの事態発見には努めておりまして、会計検査院から御指摘のないように私どもとしては努めてやっておる次第でございますが、なお指摘以外につきましても私ども発見いたしましたものにつきましては逐次そのつど繰り上げ償還の措置を講じてやっておるような次第でございます。
#13
○相澤重明君 さらに突っ込んでお話を聞きたいのですが、会計検査院が現地調査を実際にしたその結果の指摘に基づいて、公庫としてはいわゆる係、等を派遣してやったことなのか、それとも内部監査というものを行なって、たまたま会計検査院が指摘されるようなことと一致をしておったのか、それはどちらなんですか。
#14
○参考人(清井正君) この検査報告に掲げられております千七百九十件、その後三、四件にまで縮めたのでございますが、この件数につきましては、まことに恐縮でございますが、会計検査院が地方を回られて発見されたものでございまして、そのほかについて私どもが別に発見して処理しておるものはございますけれども、これはちょっと数字的には申し上げられないことは恐縮でございますが、この当該件数は全部会計検査院が現地をお回りになって発見された件数でございます。
#15
○相澤重明君 そうしますと、公庫としては会計検査院から指摘をされて是正をされた、三十四年九月末現在における不備件数が百七件のうち百三件まで処理をした、非常に努力をされた跡というものは見られるわけですね。これは私非常にけっこうなことだと思います。そこでその努力をされた百三件の処理をされた中で、これはどうも会計処理上まことにけしからぬと、こういうことで責任者の処罰をしなければならぬ、こういうようなものはあったのかなかったのか、この点いかがですか。
#16
○参考人(清井正君) 当該の御指摘をただいま受けておりますことは、ここに書いてあります通り、八割を超過いたした部分ということと、災害等で初めに融資いたしまして、その後補助金が出た場合にその補助金相当額を返していただくということが二件ございますが、目的外にこれを使ったというようなものではなくて、私どもといたしましては、この八割の超過、あるいは繰り上げ償還の未達成というものにつきましては、発見次第処置をいたしておりますけれども、当該の事件について、あるいは刑事事件に持ち込むとか、あるいは当該の係の者をそれによって処置をするというところまでの程度の問題ではない、というふうに判断いたしておりましたので、鋭意償還未済のものについては努力をいたしまして償還措置はとっておりますけれども、それ以上の措置については、今私どもといたしましてはその必要はないという判断でございますので、ただいま残っております四件につきまして、もっぱら努力をいたして回収に努めておるような次第であります。
#17
○相澤重明君 結局公庫が貸付をする際に、たとえば今の説明にあるように補助金が交付される、補助金が交付されれば当然直ちに返還をされなければならぬものです。そういうことが、結局は調査が十分行なわれないために指摘をされるものが出てきたのではないか、こう思われる。だからこれは明らかに公庫の業務の遂行上の問題として私は非常に重要な点があるのではないかと思うのだが、その対策は一体どういうふうに考えておるのか。そういうことを、今百七件もの中で百三件は是正したと言うけれども、これはまだ全部が調査を済ませておるわけではない。そうすると、今後のこういう事故を起こさないための対策というものを作らなければならない。従って公庫としてはどういう対策を樹立したのか。
#18
○委員長(佐藤芳男君) ちょっとお待ちを願いたいと思います。
 本会議の予鈴が鳴りましたので、暫時休憩をいたしまして、本会議終了後再開をいたしたいと思います。
 暫時休憩をいたします。
   午前十時四十二分休憩
   ――――・――――
   午前十一時三十五分開会
#19
○委員長(佐藤芳男君) これより委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林漁業金融公庫関係の質疑を続行いたします。
 最初に休憩前にありました相澤君の御質疑に対する答弁を願います。
#20
○参考人(清井正君) 先ほど御質問ございましたどういう措置を公庫はとるかということでございますが、その点につきまして申し上げますが、会計検査院からいろいろ御指摘になっております案件の性格をちょっと申し上げますが、その大部分は土地改良関係の事業でございまして農地造成、区画整理、灌漑排水、客土、農道等、ごく三、四件を除きまして全部土地改良関係の事業でございます。その関係で先ほど来御指摘がございました八割の限度を超過したり、あるいは災害にあいました土地改良事業について融資をいたしました後に、補助金が交付された後の補助金の全額償還をした事態がない、こういう問題について会計検査院からいろいろ御注意を受けている、こういう事態でございまするが、申し上げるまでもなく、言いわけを申し上げるつもりはございませんが、貸付案件の、一件金額が少ない場合が多うございまして、ただいまのところでは大体五十万か六十万くらいが一件当たりの貸付金額でございますので、相当貸付件数が多数にわたっているということを御承知おき願いたいと思うのであります。そういう事態にございます貸付案件でございますので、決して言いわけを申し上げるつもりじゃございませんが、相当貸付後の管理についてはむずかしい問題があるということを御承知おき願いたいと思います。
 そこで先ほど御指摘がありました点でございますが、まず最初に限度超過の問題でございますが、たとえば百万円の工事に対して八割限度の八十万円を貸し付けいたしますと、八割のものが七十二万円で工事はいいわけですが、差し引き八万円は超過になるから公庫に返していただく、こういう案件ですが、これらについては直接御本人からの工事関係の経費の御報告があったり、あるいは県庁が全部これは私どもの方に貸付をする推薦をいたしているわけでございます。県庁がそれに対して工事調書を出していただくときに、そのときにはっきりした工事費関係がわかっております場合には償還手続をとりますが、もしそれが不十分であったり時期がおくれたりいたしますと、私ども公庫にとってはその限度超過がわからない場合が多いわけであります。そこで従来といたしましても、公庫から人が行きまして、直接借入者を回りまして実態を拝見いたしたり、受託金融機関あるいは県庁に対しまして極力お願いいたしまして現地を回っていただいて、ほんとうの工事費を調査することもありますが、なかなか全部を回りきれないために会計検査院から御指摘があるわけでありまして、この点は私どもといたしまして恐縮に存じておるのであります。今後なおかつ先ほど申し上げましたように、できるだけ現地を回って実地を見るよりほかに方法はないのでありますから、実地を見まして今後私たちだけでなしに農林中央金庫、県の信用農業協同組合連合会あるいは地方銀行等の、大部分の受託金融をいたしておりますところの内部の職員にも督励をいたしまして、できるだけ現地を回っていくということが大事だと思います。また県庁にもお願いいたしまして、元来県の推薦でお貸ししておるわけでございますから、県庁によく調べていただいてできるだけ借入者の工事費の実態を調査していただく、これが限度超過をいたしておりますればその分を公庫に返すようにするというようにいたして参りたいと思います。先ほど申し上げましたように、初め公庫ができましたときは全部の金を受託金融機関にまかしておりまして、一件も直接貸しをしていなかったのでありますが、ただいま御注意を受けましたような相当の貸付関係の案件の管理で問題がありますので、これではやはり直接公庫が貸し付けたりしなければならぬということもありまして、三十三年度から支店を設置し始めまして、現在はブロック別に八支店、東京に営業所がございますので全部で九支店を設置いたしております。そこで直接貸付はごくわずかでございますけれども、努めて現地に回っていきまして受託金融機関と連絡をつけましたり、県庁との連絡を密にするというふうに、主として管理事務強化のために支店を作ったような次第であります。
 そこで御指摘の点は、結局貸付の最終責任者は私どもでございますので、今後できるだけこれは関係機関を督励し、県庁にお願いいたしまして、努めて現地を見て歩きまして実態の把握に努めまして、もしも該当事実があれば公庫にお返しいただくという措置をとらなければいかぬというふうに考えておるのであります。そこで限度超過につきましては実は毎年検査院から御注意を受ける点がございますので、私どもも今までは貸付限度超過をいたしました場合には、普通当該借入者に対しまして超過いたしたから、超過いたした分をお返し願いたいということで返していただくということをやっておったのでございますけれども、なかなか発見に手間どったり、あるいは返してくれと申し上げてもなかなか思うように返していただけないこともございますので、今後は一つこれは金融機関としての特性を発揮するという御批判を受けるかもしれませんが、二週間以内にお返しいただかない場合には非常に高い金利をつけて、−遅延利息と称しておりますが、非常に高い利息をつけてお返しいただくようにしよう。そうすれば利息が高くついて採算がとれないから返してくるというふうになると思いますので、こういう措置をとりまして、できるだけ限度超過のないように今後努めて参らなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それからさらに御指摘のもう一つの問題は、いわゆる繰り上げ償還でございます。災害がありましたときに災害の補助金が例年どうしてもおくれて参りますので、工事を急ぐ関係上公庫がお貸ししておりまして、その後に補助金の出た場合にはその補助金をお返し願う、こういうことになるのでございますが、その場合につきましてもやはりただいま申し上げましたような限度超過の場合と同様に、できるだけ現地を回って督励いたしますと同時に、県庁が主として補助金を交付するのでございますから、県庁と十分連絡をつけまして――県庁が当該災害復旧の補助金を交付した場合には、県庁と連絡の上、そうして当該借入者と連絡をつけてから返していただく、こういう措置をとることが必要だと思います。従って補助金の繰り上げ償還は県庁と連絡をとるということになるわけでございます。今までもやっておりますけれども、今後この点はできるだけこういう事態の起こらないように、極力県庁との連絡をさらに緊密につけ、同時に私どもも現地に行きまして極力実態の把握に努めて善処していかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
#21
○北村暢君 私がまずお伺いいたしたいのは、政府の出資金と借入金の状況がどのような状況になっておるか、この点を第一にお伺いいたしたいと思います。
#22
○参考人(清井正君) 御質問の点でございますが、これは私どもの公庫ができましてからちょうどことしで九年目になるわけでございますが、長期に貸しております関係上、回収金というものの割合が少ないわけでございまして、従って貸付をいたします場合の資金のよりどころは、主として政府の出資金と借入金に依存するということに相なるわけでございます。そこで出資金と借入金との割合でございますが、最近の割合を申し上げますと、三十三年度が出資金の割合が四五・一%で、三十四年度が四一・七%、三十五年度は三九・五%三十六年度が三七・七%というふうに少しずつ実は出資金の割合が減って参っているという事実はございます。
#23
○北村暢君 そうしますと、借入金が増加してきている、しかも全体からいえば資金は増加しているようでありますから――資金運用部の資金が大部分のようであります。三十六年度を見れば二百六十八億というものを資金運用部資金から借りて、前年は九十九億でございますが、そういうような状況でこの資金運用部資金からの借入金が多くなるということは、公庫の金利について相当やはり運用の面が苦しくなってきているのじゃないかというふうに考えられるわけでございます。これは一部回収金というものが漸次ふえてくる、こういうことが計算に入っているようでございますが、一体公庫として出資金の率が下がってきて、借入金の率が高くなる、回収金はあるけれども金利の面において資金コストが非常に高くなってきて、公庫の運営というものが苦しくなる、こういう状況ではないかと思うが、これについて申された率からいって公庫としては一体これで運用をやっていけるという自信を持っておられるのかどうか、この点一つお伺いしたい。
#24
○参考人(清井正君) 御指摘の通り借入コストの全体に占める割合がだんだん高くなって参りまして、出資の割合が減って参りますので、従ってコストという観点から申しますと、だんだん不利益になってくるということは御指摘の通りでございます。しかし一方御承知の通りわれわれの採算では、毎年度利益を出しておりまして、その利益は国庫へ納付いたしませんで、規定によって滞貸償却引当金、固定資産償却引当金に充てて参っております。その金額も年度によっていろいろ事情が違いますので一がいに申されませんが、三十三年度はその償却引当として六億四千二百万円ばかりあるわけでございます。これは毎年どういう傾向にあるかということははっきり申し上げられませんが、三十四年度は多少それがふえているように考えております。そういうように引当資金が出て参ります以上は、収入支出の関係でいわゆる損失が出るという状態に至っておりませんので、ある程度の利益が出ているということは申し上げられると思うのであります。またこの利益をほかの公庫がどの程度のものを上げておるかということは、比較の問題で、比較いたさなければわかりませんので、私もほかの公庫の状況はよく存じませんけれども、しかし決していい状況でないと私は思うのであります。相当出ている利益も全体の割合からいたしますと、かなり低い程度のものであると思うのであります。私どもといたしましてはできるだけ採算をよくするためには、借入金の割合を少なくして出資の割合を多くいたしたいと現在のところは考えているわけでございます。もっとも将来回収金が非常にふえて参りまして、回収金によって大部分まかなわれるということになると、また事情も違って参ります。この数年間はやはりただいまのような状況が続くのではなかろうかと考えております。
 ただ御指摘の通り、こういう状況にありますけれども、それが実際に貸付の場合にどう影響するかということでございます。現在までのところはこういうような採算にあるから貸付金利をこうするというところまで実はいっておらないのでありまして、貸付の金利は貸付の方の事情に従ってこれはきめて参るということでございます。ただ問題は、ことしから御承知の通り、政府から提案いたしております近代化資金の問題がございます。それによりますと、金利は七分五厘で、公庫としては一番高い金利でございます。で今まで公庫で七分五厘で貸しておりました共同利用施設の大部分は、これは、その系統金融の方に移って参りまして、金融公庫ではこの貸付をしないことにいたしております。そういたしますと、割合高い金利で貸し付ける部分がよそにいってしまいまして、低い金利で貸し付ける部分がふえてくるというふうになって参ります。そういたしますと、公庫としては、いわゆる貸付金利の収入というものが割合に減って参りますから、今後の状況といたしましてはそういうような状況になりますので、だんだん金利の収入が減って参るということになりますと、ただいま御指摘の資産コストの方の関係で特に問題が起こってくると思います。しかし、ただいまのところは、コストがこういう状況でありますから、貸付金利の方にすぐ響くという程度のところには至っていないという状況でございます。
#25
○北村暢君 ただいまの説明によりましても、相当状況としては苦しくなる傾向にあるということはわかるわけですけれども、それにあたりまして、今説明がありましたように、今年度から農業近代化資金が、系統資金として、公庫から系統資金へ組みかえられる、設備資金が相当そちらにいくということで今法案が出てきているわけですが、これに対して系統資金の利子補給をして、そういうような七分五厘で貸すというようなことが出てくるわけですが、これをさらに引き下げて公庫資金と同じような金利にもっていこうというような考え方を政府の方で持っているようでございます。そうしますと、この公庫資金と系統資金との競合の問題が出てくるのじゃないか。この貸付の対象が違いますから、直接の競合というような形はないかもしれませんけれども、系統資金と公庫資金との金利面におけるいわゆる政策金融としての長期低利資金というものが、系統資金の方にも若干そういう性格のものが出てくるということになると、公庫の存在意義というものが薄れてくるような感じがするのです。どちらかというと、公庫でやる部分を系統資金で食われるというような傾向が出てくるのじゃないか。そういうような気がするのですが、総裁としては、一体こういうような傾向に対してどのような感じを持っておられるのか。これは政府の政策について批判したりなにしたりする立場にないでしょうから無理かと思いますが、率直に、どういう感じを持っておられるか、公庫の立場としての意見をお伺いしておきます。
#26
○参考人(清井正君) ただいまの御質問の点でございますが、農林金融全般の情勢としては、御承知の通り、借りるのは公庫から、預けるのは系統資金というようなことも一時はやっておりまして、相当系統金融に預金がたまっておった時代があったわけでございますが、それを今後是正するという一つの意味合いで、系統資金の活用をはかるということで、今度の近代化関係の法案が出たものと承知しているのでありますが、その場合におきましても、七分五厘で末端に貸し付けるということでございますけれども、公庫で貸しております七分五厘と同じ金利で貸す、従って借り入れる者は、公庫から借りても系統金融から借りても同じというような条件に相なるように考えられると思うのでありますけれども、ただその貸付対象が変わって参りまして、私どもに残ります共同利用といたしましては、特に小水力の発電装置とか農業協同組合で経営いたしております病院とか・特にそういう共同利用の中でも公共性の強いものを公庫に残すということで、その資金は公庫に残っている。その他のものは大部分――共同利用は全部近代化資金の方になりまして、ただ農業以外の林業、水産業関係の共同利用は当然こちらに残っている。こういう次第に相なりまして、今後近代化資金の関係の法案が通過になりますれば、そういう形になって参ると思うのであります。
 私どもといたしましては、ただいま申し上げました通り、金利の観点から申しますと、一番高い金利でお貸ししておる分が残るのでありますが、しかし、政策全体から見ますと、相当余裕金を持っておる系統資金を農村に還元するための措置をとるということは当然のことでございまして、われわれ農業金融の仕事に携わっておる者といたしましては、当然そうあるべきだと考えておるのでありますが、さてしからば公庫はどうなるかということでございます。公庫は第一条に御承知の通り、他の金融機関の貸すことのできないようなものについて貸せというようなことになっておるわけであります。そこで、今後の公庫の行くべき道といたしましては、やはりただいま共同利用について公庫に残っております小水力発電とか、農協の協同組合病院であるとかというような性格、いわゆる公共性の特に強くて、他の金融機関ではとうてい貸すことのできないと思われるような、非常な公共性の強度にあるものというものについて公庫が集中して貸す、こういう政策金融の特色をさらに発揮するというところに、公庫の将来の行くべき道があるじゃないかと、いうふうに私は考えるのであります。申すまでもなく、土地改良事業というようなものが第一でございます。それから、造林、林道、それから漁港、漁船もでございますが、あとは小さい開拓に対する資金、あるいは自作農維持創設資金、あるいは北海道の寒冷地であるとか奄美大島であるとか、そういう金利ベースに乗りがたいようなものに公庫の貸付は集中される、というふうに将来当然なっていくだろう。ただいままでも大部分そういう性格を持っておるのでありますが、そういうような性格をさらに公庫としては強く今後盛っていきまして、ほとんど公共性の強いものにのみ公庫は貸したい、その他の共同利用については系統資金で貸す、そういう方向に今後はなっていくんじゃないか。またそうあるべきものではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#27
○北村暢君 次にお伺いしたいのは、元金の延滞の状況はどのようになっておるか。これをちょっと最近の三十三年度以降のものについて御説明を願いたい。
#28
○参考人(清井正君) 延滞の状況についての御質問でございますが、三十三年度につきましては、延滞元金が二十五億九千万円になっております。そのうち六カ月以上と六カ月未満とに分けて私どもは考えておるわけでありますが、六カ月未満と申しますのは、手続のほんとうの瑕疵から当然返るべくして延滞になっているものがあるのでありまして、ほんとうの延滞といえるものは六カ月以上延滞しているものを延滞というふうに考えておるわけでありますが、その六カ月以上が二十二億二千万円で、これが三十三年度末の元金の延滞になっておるわけでございます。それが貸付残高の割合にいたしますと一・五%になっております。それから三十四年度は六カ月以上が少しふえたのでありまして、二十七億五千万円になって一おります。その六カ月以上のもの、これが全体の貸付残高の比率にいたしますと一・五八%となっております。それから三十五年度はまだはっきりいたしませんが、三十五年の九月末の統計によりますと、六カ月以上が二十八億ございましてそれが残高の割合にいたしますと一・四八%で、三十四年度、三十三年度よりは少し下がっておるという状況でございますが、いずれにいたしましても総残高に比較いたしまして、一・五%程度のものが延滞という状況でございます。
#29
○北村暢君 この延滞は今六カ月以上というようなことのようですが、性格からいって貸し倒れ的なこげつきになっているような性格のものはどのくらいあるのですか。
#30
○参考人(清井正君) そのうちどの程度それがいわゆるこげつきというふうに考えていいのですか、ちょっと私ども資料を持ち合わせておりませんが、大体延滞の起こっておる種類から申しますと、やはり林業、漁業、土地改良あたりが割合に多いのであります。御承知の通り、これは相手が農業者である場合が多いのであります。延滞が起こりましてもやはり災害のために当然返すべくして返せなかった、あるいは漁業でありますれば、不漁のために当然返すべきはずのものが返せなかったとか、天災地災等によりまして本人の責任でない場合で返すことができなかった場合が相当多いのでございます。おそらく大部分そうだと思います。特に土地改良のごときは、災害に会いましたために予定の収入が上がらなかったので公庫に返せなかったということで、延滞しておるというものが大部分でございます。従ってそういうような特殊事情にありますものに対しましては、これは個々に当たりまして、条件を緩和いたしまして、三年で返すものを五年で返していただくとか、五年のものを七年で返していただくとか、いろいろ条件を緩和いたしまして、計画を立て直しまして返していただくというように処置いたしましたものが大部分でございます。どうしても延滞してどうやってもこれはしようがないということになりました場合につきましては、初めてそこで保証人を追求するとか、あるいは担保物権を処理するとかいうことで最終整理をするということになりますけれども、私どもただいまの感じでは、公庫ができてからの公庫本来の貸付のうちで、非常に延滞して困っておるというような部分はごくわずかではないかという感じがいたします。大部分は復金時代の貸付承継債権と思います。それがまだ相当残っておりまして、それが一番わが公庫といたしましては最もとりにくいいわゆるほんとうの延滞、どうにもこうにもしようがないことになりつつある延滞というふうに考えておるのでございまして、その程度のものであれば私どもとしてはほんとうの延滞らしい延滞ということもいえると思うのでありますが、その点は現在もし復金から引き継ぎました貸付債権のうち四億一千三百万円ばかり残っております。これが私どもとしては一番の延滞と考えておりまして、もっぱら重点をこの方面の延滞の処理についていたしておる、こういうことでございます。そのうち特に漁船と塩業関係が相当部分を占めておりますが、あとの本公庫になりましてから貸し付けたものにつきましての延滞というものは、ほとんど私といたしまして日常業務といたしましてごく数件はあると思いますけれども、そう申し上げるほどのものはないように考えております。
#31
○北村暢君 ただいまの古い四億一千万円からの、これは古いのであるのはこれぐらいだとおっしゃるのですが、これは一体とれる見通しがあるのかないのか、これらの状況をちょっと御説明願いたい。
 それからもう一つは、これは私は延滞は今のところ非常に少ない、まあ貸し倒れになるようなものは少ない、こういうようなことのようですが、これはやはり組合の系統資金の方で振りかえをやらないと、次の公庫資金というものがこない。そういうような関係から非常に無理をしてやはり借りかえをやるとか、実際の農家はそういうことをやっているのじゃないかと思うのです。従って、公庫の延滞というものは少ない。少なくしなければ次の資金がこない、こういうことになっておるのではないかと想像されるのですね。そこで特に開拓者であるとかあるいは災害地帯におけるもの、まあ、この維持資金にいたしましても相当農家の借金というものがあるという現実からいって、借りかえができておる間はいいけれども、これがもうどうにもこうにもならなくなると、農家の負債として農協でもどうにも処置なくなる、こういうような実態がもうそろそろ北海道等において出てくるのですよ。そういうことになってくると、これはもう農協としても責任とれなくなっちゃって、公庫から借りたものは借りっぱなし、こういうことが出てくるような可能性が最近私はあるということを聞いておるのです。ですから、この延滞というものについて、実際は農家の金融面は非常に苦しい状態にある、そういうことですから、この取り立てというか何というか、その次の資金のことから考えて、延滞がないというだけで、実際は農家の金融事情というものは、公庫で、延滞がないんだから大したことないというような、なまやさしい状態にはあるんじゃないんじゃないか、こういうふうに思うのです。従って、お伺いいたしたいのは、あなた方の貸付の運用の仕方において、今言ったような回収する場合に相当な条件なり何なりで、農協なりに圧力的なそういうものがいくのじゃないかといったような感じがするのですがね。そこら辺の事情はどのようになっていますかね。どういうふうに把握されておるか、この点をお伺いいたしたい。
#32
○参考人(清井正君) 最初の御質問の点でございますが、承継をいたしました債権につきましても、実はただいま申し上げました復金の貸付金につきましても、承継をいたしましたときには十六億あったのであります。それがその後回収に努力いたしまして九億二千万円そのらち回収になりました。それからどうしてもしようがないということで償却をいたしましたものが二億九千万ございまして、最後に残りましたものが四億一千万ということでございます。そこで、ただいまも申し上げました通り、十六億引き継いだものを九億回収いたしましたのでありますが、だんだん回収のスピードがおくれてくることは当然でございますが、なお、この四億のうちでも多少は回収できると思いますけれども、率直に申し上げて、これはほとんど回収がむずかしいのではないかというふうに率直に考えます。ことに漁船のごときも、これは主として西の方の漁船の場合には、東シナ海に出漁していたものが李ラインにぶつかって出漁できなくなった、それで収入が入らなくなったというものが、全部ではありませんが相当ございます。そういうよらなことで、なかなかお気の毒な事情が相当あるのでございますが、たとえば漁船を処分したり、保証人からの保証を追求いたしましても、これを相当程度まで回収するということは実際問題としてなかなか困難な事情があると率直に申し上げなければならないと思います。塩業にいたしましても、これも終戦後やりました塩業でございますので、電気の供給がとまったりいたしました関係で、これも本人の責めに期するわけにはいかないような事情で、やむを得ず塩業を中止しなければならなくなったというような事情もあるようでございます。そういうようなことで、この四億一千万円全体につきましても、今後多少の回収は見ることができると思いますけれども、おそらく相当程度のものは、これは将来は償却にもっていかなきゃならぬ事態になるのではないか、こういうふうに実は考える次第であります。
 それから後半の問題でございますが、これはまあ、われわれといたしまして、なにかに農家経済の実態をよく把握いたしまして貸付をしなければならない問題だと思うのですが、ことに自作農維持資金のごときは、昨年は北海道地方へ相当維持資金がいきました。本年もどの程度いきますか、まだ政府の方でもおきめになっていらっしゃいませんが、そういうことで私ども維持資金を貸付いたします場合には、これは県の推薦に丈って貸付をいたしているわけでございます。特に事情をよく調べまして、努めて農家の経済復興に役立つようにというような意味で、維持資金、土地改良資金をお貸ししているような状況でございます。問題はむしろ今後にあるのでございまして、農家経済をいかに建て直させるかという政府の政策と呼応して、私どもの機関もそれに順応した貸付を今後いたしていかなければならぬものと思いますが、私どもだけでとやかく申し上げることは限度がございますので、十分に申し上げられないことはあれでありますが、今言ったように、私どもとしては貸付をいたしますると、その貸付に延滞が起こりました場合には、再度貸付ができないということにいたしておりますので、地元で無理をいたしましてやりくりいたしまして、公庫の貸付を受けるというような事態がある、それは御指摘のこともあるかもしれません。また相当あるのかもしれません。私どもはそこまでの調査が行き届いておりませんけれども、そういう事態があることは想像できるわけであります。従いまして今後金融機関の立場というよりは、むしろ政府の政策といたしまして農家の全体の経営のために努力していただくということ以外に、ちょっと金融機関の立場としては申し上げる余地がないのじゃないか、こういうふうに考える次第でございます。
#33
○北村暢君 もう一つお伺いをしたいのですが、今、農業基本法を国会で審議中でございますが、今後の農業の形というものが非常に変わってくるということは想像できるのでございますが、その場合農産加工の、何といいますかそういう施設といいますか、施設ではないでしょうが、加工工場を建設するなんとかという、こういうものについて大幅に農山村の工業について、農産加工を振興する、こういうことで公庫資金を設けて長期低利の資金を貸す、こういう制度を非常に要望せられ、特に今、大資本が畜産に進出して参りまするので、共同経営等をやる場合に資金で非常に因る、こういう事例が今後非常に多く出てくるのではないか、こういうふうに感じている。これは相当まとまった金で融資されないとならないものでありますが、そういう要求が非常に強くなってきているのですが、こういう問題について公庫として検討されたことがあるのか。この点を一つ、またその意見も含めてお伺いしておきたい。
#34
○参考人(清井正君) お話の点は実は私ども、私が公庫に参りましてからも非常に陳情にこられる方にそういうことを言われる方が多いのです。畜産加工、農産加工につきまして公庫から金を貸してくれというお話、ほとんどそればかりを私は伺っているのであります。で、私も実は考えまして、農業がこういうように事情が変わって参りまして、やはり相当加工方面に長期低利の融資をする道を当然開くべきではないか、ということを私自身も考えたことがあるのであります。そこでそれを公庫で貸すかどうかという問題は、これはまた切り離された観念でございますが、ただ私どもで今貸し得る余地がありましたのは、共同利用で農業協同組合が加工する場合には貸付することができるけれども、一般の企業者がそういうことをする場合には貸付することができないということになっております。ただそういうような企業体に対しまして、長期低利で貸すことが国家政策上いいことであるということになれば、農林公庫で貸すこともできるし、農林公庫以外の他の金融機関で低利長期で貸すこともよろしいということは考えますので、そういった意見を非公式でありますけれども、農林省の幹部に話し合ったことがあるのです。ただ事実上といたしましては、先ほど来いろいろ御審議願っております、実は明年度は六百億の貸付ワクを持っておりますけれども、非常に実は貸付の要望が現在のワクでも多いのでありまして、とても要望に応じ切れないで毎年数十億の貸付を残しているというようなことでございますので、現在加工施設を入れなくてもなおかつ要望が多いときに、そういう加工施設を入れるとそれだけワクがさかれる。そうしてしかもその貸付額は一件当たり金額が高いことになりますので、これは相当大きく影響を及ぼすことになりますので、そういう貸付が非常に必要だといたしましても、そういう貸付を農林公庫の貸付ワクの中に入れるということはどうか、という問題があるということを率直に議論したことがあるのでございます。今回の農林公庫法の改正で、乳業関係資金の、貸付が改正されましたので、私どもも今度乳業資金に対する貸付ワクを、ただいまのこのワクの中から設定いたさなければならぬことになっておるわけでございますが、それ以外の畜産加工等を中心といたしますものにつきましても、そういったような需要がございますので、私個人といたしましては当然政府で長期低利で貸し付ける道があってもいいと思いますけれども、農林公庫で貸し付けることは、ただいまのような事情にあります関係上ちょっとむずかしいのじゃないか、そういうふうに私自身としては考えておったのでございます。たまたま今回は乳業につきましては、修正がありましたので実行いたしますけれども、乳業以外の加工につきましてもやるということは、趣旨として私は反対でないのでございますけれども、ただいまの公庫の状況からはちょっと無理ではないかという感じがいたします。従ってこれは政府全体の金融政策の一環として御考慮願った方がいいのじゃないか、というふうに考えております。
#35
○阿部竹松君 簡単に二つ、三つお尋ねいたしますが、同じ公庫でも、中小企業金融公庫と国民金融公庫ですけれども、あなたの方じゃない、中小企業あるいは国民金融、この公庫等は申し込みの件数、あるいは額等において、大体一割ぐらいしか、件数においても額においても実行してあげることができない。あなたの方はきわめて件数においても、あるいは額等においても、申し込み件数とあなたの方で貸してあげた件数と、金額においても同じことが言えるのですが、幅がないですね。これは潤沢に政府はあんたの方に金を出してくれるということになるわけですか。
#36
○参考人(清井正君) ちょっとお話が、事情が実は違うのじゃないかと私考えるのでございますが、それは私どもの資金は主として農林水産に貸します場合に、これは便宜でございますけれども、非常に要望が多くて資金が足りませんために、大体各県に資金の割当を実際上いたしておるという実情があるのでございます。たとえば自作農資金のごときもそういう実情がございますが、その他土地改良資金でも大体各県にこのくらいずつ公庫の資金が貸付できるだろうという割当をいたしております。その割当の範囲内において県庁で希望者を募りまして、適当な者を順次公庫に推薦してきてくれる、こういう形になって、実は貸付を実行しておるのが大部分でございます。従いまして、いわゆる潜在需要というものが押さえられてきている場合があるのでありまして、これを全部自由にいたしまして、公庫から金を借りたい者は幾らでも希望しろということになりますと、どのくらいこれが希望が出て参りますか、ちょっと私ども想像がつかないほど出てくるのじゃないかという気もいたします。毎年四十億、五十億貸し残して翌年度に繰り越しますけれども、これも今言ったようなことで希望を募りましても、なおかつ公庫のワクより多く希望がありまして、現在のワクでは貸付できないという現状で、翌年度に繰り越されるという事情でございますので、ちょっとこの辺の事情は、県のところで相当要望がとまって、公庫まで上がってこない需要が相当あるのじゃないかということが想像されますので、その点が、ほかの公庫の事情は私よく存じませんけれども、農林公庫としてはそういう事情にございますので、おそらくそういった申し込み以外に隠れた需要が相当ある、県庁まできてもそれが公庫まで推薦されてこないというものが相当あるのじゃないかと私どもは考えております。
#37
○阿部竹松君 ほかの公庫で、僕は全部知りませんが、最前の質問の中に出されたような公庫は、あまりPRをすると申し込みが殺到してとても措置することができないというので、あまりほかの公庫はPRをしないらしい、しかし、あなたの方を見ると、いろいろ話を聞いてわかりましたが、オープンで申し込みした件数でなくて、制限した中で申し込んだ件数であり、制限、規制した中で申し込んだ金額と、こうおっしゃるのですね、そうなんですか。
#38
○参考人(清井正君) 全部ではございませんけれども、大部分はそういうことになっておりますから、たとえば土地改良のごときもおそらく希望を募ればもっと多く出てくるんじゃないかというふうに考えております。
#39
○阿部竹松君 そうすると、やはりほかの公庫と同じで絶対量が足らぬためにカットされるのが相当出てくるので、ここに表わした数字というものは一応規制した中の申し込み件数、申し込み金額だと、オープンでいけばまだまだ金額においても件数においてもふえる、こういうことになるわけですね。
#40
○参考人(清井正君) さように私どもは考えております。
#41
○阿部竹松君 一つ具体的なことで、小さい問題ですが、今北村委員から北海道のことについて話があったのですが、たとえば北海道の綱走、北見ですね、そういうところで農村の人が二十軒なら二十軒固まって、牛を飼って、酪農の小さい工場でも建てようじゃないかというところであなたの方に申し入れをしたら融資してくれますか、そういう場合は。
#42
○参考人(清井正君) ただいまちょっと議論が出ましたが、それがもしも、農家の方が共同利用という形で、組合で一緒になってそういう申し込みをなさるということになりますと、従前まではそういうものに対して公庫は貸しておりましたけれども、近代化に関するこういう法案が通りますれば、おそらく近代化法によりまして近代化方式の融資を受けることになるんじゃないかと思います。
#43
○阿部竹松君 今まではそれが該当したのだが、今後近代化方式のあれが通ればそれは該当しません、こういうことですか。
#44
○参考人(清井正君) 実態をよく伺わないとはっきりお答えができないのですけれども、ただいま伺いました程度の実態ではそういうようになるんじゃないかというふうに考えております。
#45
○阿部竹松君 それから話は変わりますけれども、公庫の方の給与はどうなんですか。職員の給与は一般国家公務員と比較してどうですか。
#46
○参考人(清井正君) これは各公庫同じ歩調で査定をいたしております。これも御存じの通り全部国の予算で編成されますから、全部給与関係は大蔵省の査定を受けて実行いたしておるわけでございますが、これはほかの公庫と同様の率によって、同じ程度の給与を各公庫共通して受けておるわけでございます。公務員よりも若干いいのじゃないかと思いますが、詳しい数字は現在私ども存じておりませんです。
#47
○阿部竹松君 私、各公庫を比較してお尋ねしているのじゃないですよ。私の知っている公庫は、どうも国家公務員よりも少しベースが安いらしいという話も承っているので、まああなたの方は、これほどお金が潤沢にあるようだから、あなたの方は国家公務員並みではなかろうかということなので、そのあたりほかの国家公務員と同じでなければならぬ、同じであれば同じであるということをあなたでなくも、どなたかついてきた人でいいですからそれを一つお聞かせ願っておきたい。
#48
○政府委員(坂村吉正君) 農林漁業金融公庫の給与のベースについて、具体的な数字は今資料もございませんけれども、大体公庫の給与ベースは一般公務員のベースより一五%アップくらいのところで組んでおるというふうに私承知いたしております。
#49
○阿部竹松君 最後に一つ承っておきますが、このあなたの方の利益金ですか、これはやはり基金の中に繰り入れたりその他の手当に使っているのですが、財政法上の措置とどう関係ありますか。僕は公庫法を知らぬからお尋ねするのかもしれませんけれども、何か特殊の規定があるわけですか。
#50
○参考人(清井正君) これは法律に基づいて措置をいたしておるわけでありますが、それは各公庫ともみな同様でございますけれども、当該年度で利益が出ました場合には、その利益を国庫に納付することになっております。ただその場合に納付する前に滞貸償却引当、固定資産償却引当というものをまず控除いたしまして、それで損金があれば加算されるわけであります。そしてなおかつ余りがあれば国庫に納付するということになっておるわけであります。ただ先ほど来御質問ございましたけれども、まだ国庫へ納付するほどの利益金をあげておりません。一度出ました利益金は滞貸償却引当金、固定資産償却引当金として計上いたしておりますので国庫に納付いたしていないのであります。しかしその引当金以外の利益金は国庫に納付されるということになっております。これは法律に基づく規定でございます。
#51
○谷口慶吉君 経済局長、あなたに一つお尋ねしますが、農林漁業金融公庫の業務概況の八十九ページに書いてある、私もこれはそうだと思うのですがね、「期末現在の滞貸償却引当金総額は二十八億円余であって、これは、期末貸付金残高千四百八十五億円余に対して僅かに一・九%に過ぎない。他の公庫の準備率と当公庫のそれとを単純に比較、論議することは当を得たものでないが、前記の諸公庫の融資に比し、当公庫の業務の性格が高い危険を伴うものであることは事実であるので、前記の準備率は低きに失する。」これは私もそうだと思うのですよ。これについて指導監督の立場にある農林省としてはどういうお考えなんですか。
#52
○政府委員(坂村吉正君) 御質問でございまするが、農業金融といいまするものは、御承知のように非常にまあ金融をいたしまする場合にも、なかなか一般の金融とは違いまして、非常に内容的にもむずかしい問題もございまするし、必ずしも返済等も完全にするという面ばかりでもございません。そういう点十分慎重に考えていかなければならぬ問題が非常に多いと思うのでございます。ですからそういうような状況も、農業金融でありながら、しかも長期低利の金を貸していきまして、そして一応こういうような状態にありますということは、公庫といたしましても私は、何といいまするか、金融機関としての職責を十分果たしていろいろ努力をしておるというふうに、その点は十分買っていいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただ現実問題といたしまして、先ほど北村委員からの御質問でございましたかございましたように、その実態がほんとうにそういう状況であるのかどうか。あるいは今後公庫から借りるために無理をしてでもとにかく返さなければいかぬ、というようなところに追い込まれておるというような実態も、それは中にはあるかもしれません、そういう点は十分今後一つ私どもの方でも調査をいたしまして、農業金融を無理のないように指導していくということが必要であるというふうに考えております。
#53
○谷口慶吉君 公庫総裁に伺いますが、三十三年度の公庫の剰余金が六億四千万円、貸付残高千四百八十五億に対して大体六億四千万円の剰余金、こういうことの御報告なんですが、国民金融公庫は九百四億貸して、残高なんですが、年度末のそれで十三億四千万円の剰余金、それから中小企業金融公庫は千百三億貸して、そして十三億七千万円の剰余金をあげておるのですよね。これはまあそれぞれ制度上の方法、あるいは貸付の条件、まあ利率その他において相当な開きがあることはわかるわけなんですけれどもね、この反面に国民金融公庫に対して政府が一般会計から出資しているのは二百億なんですよ。それから中小企業金融公庫に対しますものは二百四十一億、ところが農林漁業金融公庫には政府出資は七百十七億、このバランス・シートを考えて参ります場合に、必ずしも利率の相違からくるものばかりであろうかということに私は疑問を持たざるを得ないのですがね。こういうことについては清井総裁の方で研究されたことがありますか。
#54
○参考人(清井正君) この点は先ほど来御質問がありましたことと関連いたすのでありますが、確かに御指摘の通り利益金が総貸付残高に比較いたしますれば少ないわけであります。従って、いわゆる滞貸償却引当金、固定資産の減価償却引当金として繰り入れる金額も少ないのであります。ほかの公庫に比べますと、おそらく一番少ないのじゃないかと思います。その点につきまして、局長からお話申し上げました点でございますが、これはどこに原因があるかということはいろいろ問題があると思いますが、やはり先ほど来御議論になりました通り、公庫で貸しておりますのは非常に利率が安いのは御承知の通りであります。まあ平均いたしまして一番高いのは七分五厘、それと今度は近代化資金に回る一番低いのは三分五厘、多いのは五分五厘で、これを平均いたしますと六分ぐらいになるのじゃないかと思います。従って、その利子収入というものは、ほかの公庫に比べるとおそらく相当低いのじゃないかというふうに考えます。従って、収入の大部分に当たる利子収入が少ないということになりますれば、結局これは損益に響いてくるということになりますので、私は、はっきりこまかい分析をしなければ正確なお答えを申し上げかねますけれども、ただいま御指摘のように出資の率が割合少なくて、六分五厘利子を払っております借入金率が多いということで支出が多いということと、貸している利息が少ないから利子収入が少ないということで、こういうことが御指摘の事態を起こしている一番原因ではないかと思います。しかし、これはただいますぐどうこういうという問題じゃありません。今後の問題としてこの点十分考えていきたいと思います。
#55
○谷口慶吉君 経済局長、これは非常にけっこうなことなんですよ。農林漁業者はそういう低利の制度金融の恩恵をこうむっているんだから、これが非常にいいことだと私は思う。しかしながら、この反面、他の中小企業の人たちは高い金利にあえいでいるということにはならないのか、その辺は経済局長どうなんですか。よその分野だけれども、たとえば通産省の中小企業庁あたりとよく連絡でもおとりになったことがありますか、その辺はどうなんですか。
#56
○政府委員(坂村吉正君) 私、農林省に奉職をしておる者でございまして、通産省の関係の仕事について分析したことはございませんけれども、お互いに通産省においては、中小企業についてできるだけ金利を下げて、そうして合理化をしていこうということに努力をしているようであります。私の方は、農林漁業に対しまして、できるだけこれを近代化を促進し、合理化をはかっていくということで金融の措置をいろいろ考えておるわけであります。
#57
○谷口慶吉君 では会計検査院、あなた方は検査されますね。そういう際に、今繰り返し申し上げますけれども、農林漁業金融公庫は千四百八十五億の残高、国民金融公庫は九百四億の残高、中小企業金融公庫は千百三億の残高、これに対して剰余金が非常に多かったり少なかったりするのは、ちょっとこれはどうだろうかということで疑問を持つが、もっと掘り下げて政府に対して勧告でもされたことがありますか。
#58
○説明員(平松誠一君) 勧告をしたという事実はございませんですが、その点はこちらも検査院といたしましても留意しておるところでございます。あまりに実際の償却額よりも非常に多い引当金ができるというようなことでありますれば、その際には何らかの措置を考慮すべきであるというような勧告もすべきであるとは思いますが、現在のところは、一応償却引当金として留保する限度額が大蔵大臣からも指定されておりまして、限度がきまっておるわけでありますが、どの公庫にいたしましてもその限度内の引当金しかやつおらぬ状況でございますので、ただいま御指摘の点につきましては十分留意してはおりますが、現在のところ勧告もいたしておらない状況でございます。
#59
○谷口慶吉君 私が申し上げたいのは、これには中小企業者と農林とそれはその間に差別があってはならないということです。ところが結果においてこういう数字が上がってくれば、これは何か会計検査院として、それはなるほど大蔵大臣から滞貸のための引当金の銀行局長名で幾らまでは許容しますという限度額があるでしょう。しかしそれにこだわることは私はないと思う。だが悪平等ということについてお気づきになりませんか。その辺はどうですかね。
#60
○説明員(平松誠一君) 金利が違うという点は比較すればすぐわかるのでありますが、金利をどの方面には幾らの金利がよかろう、どの方面には幾らの金利がよかろうということは、どれが同じようでいいのかどうかということになりますと、検査院として判断する点をこえておるように思いますので、その点については別に意見を持っておりません。
#61
○谷口慶吉君 たしか大蔵省が残っておりましたね。大蔵省の銀行局長からこの点についての指導方針を聞きたいと思うのです。次の機会の場合にお願い申し上げておきます。
#62
○相澤重明君 二つばかり最後の締めくくりに一つ。
 この「業務概況」の中の二十五ページの(ロ)項「調査研究団体に対する調査の委託」、これを三十二年度において行なったということがここに出ておる。これは具体的にどういうふうに資料はまとまっておるのか、それから発表はどういうふうにされたのか、お答えをいただきたい。
#63
○参考人(清井正君) 三十二年度と書いてありますが、三十三年度の聞違いでございますので、恐縮でございますが御訂正願いますが、私ども毎年調査委託の費用の予算を計上いたしております。計上いたした範囲内において、ここに書いてあります委託先に対しまして三十三年度はこういう調査事項のもとに調査委託をいたしまして、毎年これは報告を受けまして、報告会を開きましてまず話を聞きまして、なお、文書によって報告をとっております。毎年一回ずつその成果につきまして話して、これを公庫の仕事の上の参考にいたしております。これは毎年ずっとやっておりますわけであります。
#64
○相澤重明君 それでは三十二年度でなくて、三十三年度ということでけっこうですから、三十三年度のと三十五年度ですね、三十五年度のがまとまったと思うから、それを一つ資料として提出をしてもらいたい。
 その次に、いま一つのことですが、それは十八ページの第三「系統に属さない者の行う事業(公共事業を含む。)」、その1の項に塩業、林業、新規用途事業、漁船、こうなっておる。そこで、この(ニ)項の漁船の解釈を少ししてもらいたい。
#65
○参考人(清井正君) これは、この業全体は公庫が今まで委託貸しをしておったのを直接貸しに直しましたので、受託金融機関と契約いたしましてどの範囲を受託金融機関がやるか、どの範囲を公庫がやるか、仕事の配分をきめたものであります。この場合の「系統に属さない者の行う事業」というのは、いわゆる個人の会社等に貸付することができるようになっておりますから、個人の会社で農林漁業者であるものは、公庫が貸す場合がございます。その場合にこれは「系統に属さない者の行う事業」ということで、いわゆる系統農業団体に属さない個人の行なう事業に対して貸付する場合、これはこういう規定でありますが、その場合は公庫が直接お貸しする、こういうことで、その中として塩業、いわゆる個人の塩業者、個人の林業者、新規用途事業  新規用途事業というのは結晶ブドウ糖事業でありますが、こういうものについては公庫が直接お貸しする。漁船の場合には個人で漁船を持って漁をするものには貸すけれども、しかし、末端の一番最後の借り入れをする御本人が組合員である場合、また借入者である会社等の経営の責任者が組合員である場合には系統に属するものと解釈して、公庫の直接貸付はしないということになっておりますから、たとえ末端で一見個人のように見えましても、その個人が漁業協同組合の組合員であるとか、あるいはその経営者が組合員であった場合に、これは公庫直接貸しにしないで系統金融の農林中央金庫の系統金融から借りるのでございます。そういう意味でこれは仕事の配分をきめた約束の文書であります。
#66
○相澤重明君 個人の場合に直接貸しをするという今説明を受けたのですが、限度はどの程度です、この場合。
#67
○参考人(清井正君) 漁船につきましては限度がございまして、いわゆる大会社につきましては貸付をいたさないのでございます。漁業者の場合には規定をいたしておりまして、漁業を営む法人または個人であって、その常時使用する従業者の数が三百人以下であり、かつその使用する漁船の合計総トン数が千トン未満である、というふうに会社を限定をいたしておりまして、それ以上のものには公庫は貸付をしない、それ以下のものには貸付をし得る対象に入る、こういうようにきめておるわけであります。
#68
○相澤重明君 金額的にはどのくらいです。
#69
○参考人(清井正君) 漁業だけに、漁船だけにお貸ししました金額はわかりますけれども、個人に貸しましたものはどのくらいになりますか、ちょっと私今数字を持っておりませんが、ちょっとお待ち下さい。まあ残高で申しますと漁業だけに全体で百六十六億を貸しておりますが、これは漁船と漁港と両方入っておりますので、漁業だけしか、また会社の漁船だけ金額というものはちょっと調べませんとちょっと申し上げかねますが、漁業全体では三十四年度末で百六十六億の残高を持っております。
#70
○相澤重明君 次に先ほどの答弁でわかったことですが、農林漁業金融公庫としては各県別に資金の割当を行なって、受託機関が貸付を行なうようなことに御答弁をいただいたけれども、それで系統機関から貸す場合でも監査をする場合でも、十分県庁と連絡をする、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、私の先ほどの資料要求の調査事項の中にも県の水産事業調査というのがある。これは製氷、冷凍事業の経済的位置付けと経営の実態に関する研究、こういうことで出されておるわけでありますが、一つ資料を提出していただきたいのは、製氷事業というのは比較的漁業関係者にとっても大事な問題であるけれども、どうもなかなかうまくいかぬというのが多い。そこでこの全体で製氷事業というものを漁業関係が行なう場合に、どうしたら一体資金的にもあるいは経営的にもよくなるかというような研究が、この事情調査の中から出てくるのではないかと私は思う。そういう点がわかっておるかどうか、まず最初にお答えいただきたいのですが、いかがでしょう。
#71
○参考人(清井正君) 確かにこの製氷事業、冷凍事業等が、ことに漁港におきます施設として非常に重要でありますにもかかわらず、相当まあむずかしい事業であるということも抽象的にはわかっておりますけれども、これが御指摘のようにどの程度のこれが経済的な位置づけがあるのか、金融的な立場から見ましても、どういう形でこれを指導すれば制度金融としてお役に立つかということにつきましては、私ちょっと知識がないものですから、はっきりお答え申し上げかねますが、いずれ調査をいたしまして十分その実態を把握いたしたいと考えております。
#72
○相澤重明君 一つ資料の提出は、神奈川県の真鶴漁業協同組合がこの製氷事業を実は行なっておる。なかなかこれがうまくいかぬ、われわれもどうしたらいいかというので非常に苦悩しておるわけです。そこで昭和三十三年度以降、製氷事業に対する系統融資の点について、神奈川県と連絡を取って事情を報告してもらいたい。それから神奈川県の真鶴の漁業協同組合の系統融資が幾ら行なわれておるのか、この点を三十三年度以降年度別に報告してもらいたい。
#73
○参考人(清井正君) お話はよくわかりましたが、神奈川県だけのことでなしに全体でございますか。
#74
○相澤重明君 全体のやつをさっきの調査事項で。それから一つの具体例として神奈川県の真鶴のやつを出してもらいたい。
#75
○参考人(清井正君) わかりました、できるだけ調査いたしまして。それからちょっとお尋ね申し上げたいのですが、先ほど調査委託の結果について報告しろということでございましたが、三十三年度は資料があると思いますが、三十五年度はまだおそらく調査報告がまとまってないのじゃないか、むろん調査はやっておりますが、報告がないのじゃないかと思いますが、三十五年度はちょっと無理じゃないかと思います。これはでき次第御報告さしていただきますが、そう御了承お願いいたしたいと思います。
#76
○相澤重明君 それでは三十三年、三十四年はまとまっているね。三十五年がもし今まとまっていなかったならば、できるだけ早い機会にそれは一つあわせて報告してもらいたい。三十三年、四年は一つ出して下さい。
#77
○参考人(清井正君) よくわかりました。
#78
○委員長(佐藤芳男君) ただいま相澤委員より御要求のありました資料につきましては、でき得る限りすみやかに委員長のもとに御提出あらんことを要望いたします。
 ほかに御質疑はございませんか。別に御発言もないようでございますから、昭和三十三年度決算中、農林漁業金融公庫関係についての質疑はこれをもって終了いたします。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
   ―――――――――――
#79
○委員長(佐藤芳男君) 速記を始めて下さい。それでは引き続いて厚生省の部の審査を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#80
○木下友敬君 きょうおいでになっている関係の方、どなたですか。
#81
○委員長(佐藤芳男君) 公衆衛生局長、医務局長、政務次官、医務局次長それから社会局長の順でございます。
#82
○木下友敬君 取り締まりの警察関係を頼んでおきましたが、まだ来ておりませんか。
#83
○委員長(佐藤芳男君) 今呼んでおります。もう来ると思います。
#84
○相澤重明君 次官に先に聞いていいですか、一つくらい……。政務次官にお尋ねしたいのですが、精神病者の看護について、看護人の名称を変えるという考え方は厚生省の中にはあるのかないのか、いかがでしょう。
#85
○政府委員(安藤覚君) お答えいたします。ただいまの名称を変えることについて考えないかということでございますが、これにつきましては、お言葉のごとく、何らか適当な名称に変えたい気心を持ちまして、現在検討を加えているのでございます。
#86
○相澤重明君 この日本の各行政庁の職員の名称について、厚生省の精神病患者に対する看護人というものくらいにしかおそらく人なんて使っているものは少ないと思うのですね。ましてや他の看護婦さんあるいは助産婦さん等の関係等の問題や、病院の人たちの勤務状況等から見て、私はもう前時代的な名称ではないか、こう思うのです。しかも全国にはこの精神病患者に対する多くの看護人さんがおって、そうして長い間のいわゆる希望だと思うのですよ。人としての価値をやはりそういう中でもつけていくのが、今日の文化国家という社会における重要問題じゃないか、こういう点は常にまあ私は関係の方々から厚生省に陳情があったと思う。なぜ厚生省は今日まで、他の省庁ではすでに名称等の変更が行なわれているのに、予算がそれによって別に増額をするということでないのは、看護士なら看護士というように名称を変えていかないのか、そのおもな理由は何ですか。今まで厚生省がサボタージュをしておったというのは何ですか、理由は。
#87
○説明員(黒木利克君) 確かに先生の御指摘のように、看護人という名称をまあ看護士というような名称に改めてほしいという御陳情があるのでございます。これは法律の改正を要しますが、いろいろ医療従業員の身分につきまして、現在いろんな改正の方針を検討願っている最中でございますので、そういう機会を見て改正をしたいということで、何らかの医療従業員に関する法律の改正の機会を待っているような次第でございます。
#88
○相澤重明君 それが、だからおかしいというのだよ、僕は。なぜ前時代的なそういう名称を人たるに値する名称に変えられないのか。関係の法律が提案をする時期にならなければその人たちについては一向変えることは考えません、そういう答弁があるか。なぜそういうようなことについては親身になって、そうして関係従業員が喜んで働けるように考えていかないのか、こういう点を私ども非常に疑問を持つわけです。私は少なくとも、今政務次官が検討していると言うのだが、検討というのは三年たっても五年たっても、検討が検討ということになってしまう。そうではなくて、政府がもしそういうことを真剣に考えるなら、私は、この通常国会に、独立立法でもいいじゃないですか、そのくらいのことは、国会議員が、なるほど厚生省もこういうふうなおくれているものがあるならば、これは一つお互いに賛成しようということになると思うのです。だから検討をしてこの国会に提案するつもりなのか、それともまだあと十年くらい続くつもりなのか。一体検討というのはいつまで検討を続けるのか、どうですか。
#89
○説明員(黒木利克君) 先ほど申し上げましたように看護婦、保健婦、助産婦の関係の法律の改正を要するのでございますが、人を士に改めるというような一字だけの改正でございますので、たまたま、こういうような医療従業員の身分についてのいろいろ改正の内容につきまして、現在医療制度調査会で昨年以来御審議を願っておるのでありますが、近く何らかの御答申がある。その結果を見てこういう保助看等の改正をしなければならぬと思いますが、その機会がいずれ本年中、近くあるというようなことで、今日までその時期を待っておったような次第でございます。決して怠けておったというのでなしに、単にこの改正だけでなしに、こういう人たちの身分の問題につきましていろいろ改善を要する点がございますので、近くそういう点の改正を期しておるのでありますが、まあその機会も直近の機会と思いますので、待っておるような次第でございます。
#90
○相澤重明君 この答申が出るというのはいつごろをあなた方は予定しておるのですか。
#91
○説明員(黒木利克君) 医療制度調査会は、実は本年の三月三十一日限りの時限立法でできた調査会でございますが、いましばらくの期間が要るというので、せっかく今国会でその延長の法案の御審議を願っておる最中でございます。制度調査会が再び発足をいたしましたならば、まあ直近の機会にそういうことを期待したい。できるなら来年の予算には間に合うような機会に答申を願って作業をしたいという心づもりで待っておるのであります。
#92
○相澤重明君 それではいま一度日本語でわかりやすく答弁を願っておきたいのだが、答申が出れば、厚生省としては諸般の事情を十分考慮して提案をする、それは最も近いうちにやりたい、おそくともこれは来年にはそういう予算的なものも考えていきたい、こういう答弁だと思うので、この通常国会に間に合わなくとも、少なくとも秋までには何らかのそういう成案が得られるものと、こう理解してよろしいかどうか、いかがですか。これは政務次官に。
#93
○政府委員(安藤覚君) ただいま相澤先生から御確認をいただいた方針で進んでいきたい、また、当局を督励していきたいと、かように存じております。
#94
○相澤重明君 次に木下先生が前回の厚生省の決算のときに質疑をされたことでありますが、私も非常に厚生省や木下先生の質疑を通じてのことで関心を持たせられたのですが、昨日も新聞紙上に出ておる中に、川崎の住吉町に関東労災病院というものがある。ここにおける従業員のいわゆる病院ストというものが出ておる。これについて一体政府は、日赤とか、あるいは一般病院とか、いろいろ理屈をつけて、むずかしい問題だということで、古井厚生大臣もなるべく寄りつかないようなことで、六月まではとにかく関係者の意見をできるだけまとめるような方向でいきたいというようなことで前は話があったと思うのだけれども、現実にそういう労使の間に紛争というものが絶えないで、解決をしないで、そうして患者がいわゆる受療といいますか、あるいはベッドに入る者も少なくなってしまう。こういうことは、私は、公的の場合と私的の場合とを問わず、やはり医療問題としては重要な問題ではないか、こう思うのですよ。新聞によると、川崎の場合は、五千ベッドからあるのが千幾らにしかなくなってしまった、入院する者が。これはやはり病院経営にとっても大きな問題です。ところが、経営者の方は、厚生省があまり積極的にやらないから高飛車に出て、逆に、お前たちが仕事を休めば賃金カットをする、幾らでも休むだけ休めというようなばかげたことを言っているようなんだね。本質的な解決をしようとしない。私は、こういうところに問題点があると思う、むしろ。こういうような問題について、厚生省は一体どういうふうにやるのか、ただ頭痛はち巻をしておりますでは国会答弁にはならぬ。そうしてまた、本質的なこの病院の問題は、前時代的ともいわれる人権問題まで含んでいる。病院の従業員に喜んで働いてもらうようには私はならぬと思う。厚生省は一体どうするのか。
#95
○説明員(黒木利克君) ただいま相澤先生から御指摘がございましたように、昨年の秋以来病院ストが全国的に広がりまして、厚生省としては非常に危惧いたしておるのでございますが、この原因の一つには、病院経営が近代化されていない。労使の関係におきましても、労使の正常な慣行というものがまだ未成熟である。あるいは労務管理におきましても、管理者側に非常に落度がある。また、医療従業員の処遇につきましてもいろいろ問題がある。もっと処遇の改善もしなくてはならぬというような、いろいろな原因があるのでございます。厚生省も、こういう問題を積極的に解決するために、単に厚生省の官僚が考えただけでは不十分である、民主的でないというので、病院経営に関する専門家の方たちをもって病院経営管理改善懇談会というものを昨年の暮れに作りまして、ようやく三月の末に、病院の経営管理の方向につきまして答申を得たのでございます。目下、その答申をもとにしまして着々準備をいたしております。これによりまして、病院経営のできるだけ合理化をはかっていこう、管理者側のそういうような指導をしていこうというつもりでございます。
 もう一つは、何と申しましても、やはり従業員の処遇の問題でございますが、これは診療報酬にかかわりがあるのでございまして、これも七月一日から診療報酬の引き上げをするというようなことで、積極的に病院ストの原因の解決に努めているわけでございます。
 現在のところ、四月十二日現在の状況でございますが、病院ストで妥結を見たものが、健保労連の二十九の病院でございます。なお、争議態勢を解いて、目下、労働委員会の調停にかかっているものが全日赤−赤十字の病院関係でございます。それから未解決の部門が、ただいま御指摘ありました全労災の二十三病院、それから東京医労連傘下の三十四病院、厚生年金病院傘下の三病院でございます。全労災の二十三病院の方は、一律八千円の賃上げということで、まだ妥結を見ておりませんが、ただ七月一日から、先ほど申しましたような医療費の引き上げがございますから、そういう点で労使の歩み寄りを私たちは期待しているわけでございます。直接は労働省の所管でございますので、労働省の方でいろいろ相談に乗っておるようでございます。
 東京医労連の傘下の問題は、医科大学の付属病院で従業員が解雇されたというので、その処分の反対闘争でございます。厚生年金病院の方は、一律六千円の賃上げの要求でございますが、これも、先ほど申しましたような医療費の引き上げ等の関連がございますので、これも労使の話し合いをわれわれは期待をいたしておるのでございます。そういうことで、昨年来の病院ストのいろいろ解決のきざしがだんだん見えつつある。これをさらに私たちは推し進めて、円満な解決ができるように期待をいたしておるような次第でございます。
#96
○相澤重明君 今の次長の、解決のきざしが見えておるというのは、七月一日のいわゆる診療報酬ですか、そういうような問題が解決すれば、これは解決するだろうということなのか、どうなのか。その点はいかがですか。
#97
○説明員(黒木利克君) 実は、今まで妥結を見ましたものは、たとえば健保労連の妥結の内容を見ますと、医療費の引き上げに至る間は一律一千円の引き上げをする、医療費の引き上げがあったときには一千円を下らない範囲内でまたあらためて相談をしてきめる、こういうような妥結の内容になっておるのでございます。大体組合側の要望も、一律八千円とか六千円とかいうようなアップでございまして、大体やはり医療費の引き上げということを前提にして話し合いをしておるようでございますから、この健保のような例で妥結がなされるのではなかろうか、そういうことを期待をいたしておるわけでございます。
#98
○相澤重明君 一律六千円とか八千円とかという数字をお答えになっておるのですが、看護婦さんの場合、たとえば二十歳の看護婦さんが労災病院の場合は八千円上がったら幾らになるのですか。
#99
○説明員(黒木利克君) ただいま各施設ごとの給与の実態につきましては、手元に資料がございませんが、従来の組合の要求を見てみますと、大体国立病院、療養所の看護婦の給与が一番いいわけでございます。日赤が民間と国立の施設のちょうど中間にある。こういう労災とか、あるいは先ほど申しました健保連とかというのは、大体公務員に準ずるということでございますから、日赤と国家公務員たる看護婦さんの中間くらいにあるというような現状でございます。
#100
○相澤重明君 だから、私がお尋ねしているのは、八千円上がったら、二十歳の看護婦さん、労災病院の看護婦さんでは幾らになるかと聞いている、金額を。わかりませんか。
#101
○説明員(黒木利克君) ただいま労災病院の看護婦の実額の資料が手元にございませんので、ただ大体の見当を申し上げたのでございますが、ただここにございますのは、日赤と民間の平均と、国立病院の関係がございますから、それでよろしかったら報告さしていただきたいと思います。
#102
○相澤重明君 時間の関係もあるから、一つ、国立病院、日赤、労災病院、厚生年金病院、健保、こういうような関係で平均ベースを出して下さい。資料であとで提出して下さい。
 それでは警察庁が来るまでいま一つ。それは、国立病院の患者の残飯は、一体厚生省は文化施設費に……。現場の病院長や患者同盟の人たちと話し合って作ることに賛成をされるのか、反対をされるのか、どうなのか。
#103
○政府委員(川上六馬君) これは、昨年も先生から御指摘があったわけでございますが、この前も申しましたように、建物としては、一応国庫の収入とするということになっておるわけでございますが、実際におきましては、患者さんや職員などのいろいろの御要望などを考慮いたしまして、施設々々で適当に処分をいたしておることにしております。
#104
○相澤重明君 私は一昨年犬やカラス談義をやったわけだが、実際に患者さんは、給食がよければ食べる率が多くなって残飯は少なくなる。給食の内容が悪ければ、これはどうしても外部から差し入れをしてもらって、そうして残飯が多くなってしまう。これが一つある。
 いま一つは、残飯を外へ出した場合に、その管理いかんによっては、これは犬も食うだろうし、カラスも食うかもしれない。これはだから処分をするときに、場合によってその数量というものが違ってくる。こういうこともあるので、むしろ厚生省の担当の衛生上からいけば、できるだけ残飯が出ないように、そうして残飯が出た場合でも、これは保健衛生上よい方向にやはり管理をする、とういうことが私は厚生省としてとるべき措置じゃないか。そしてしかも、そういうふうにするには、患者の人たちにもかなり協力を求めなければならぬ。今の厚生省の文化施設、教育施設等の予算の状況からいけば、全部が映画を各病院で毎月見られるとか、あるいはテレビを買うとかといってもなかなか困難なことがあるだろう。そういうものは一つ、会計法上のことをたてにとれば理屈は私はあろうと思う。しかし、そういうことは、できるだけ大蔵省にも理解をしてもらって、そして患者の人たちに一日も早く療養をして職場に復帰をしてもらう、こういう娯楽施設費等に振り向けていくというのが、私は厚生省のとるべき措置ではないか、こういうことを申し上げておるわけです。今、川上局長は、そういうふうにおやりになっておると、こういうことを聞いて私も喜んでおりますが、何か昨年暮れに私のちょっと聞いた話では、なかなか厚生省の親心というものが現場の病院長に伝わらないで、やはり会計処理上それはと開き直る者がある。これでは私はやはりそうした不遇な谷間における患者の人たちに対する私ども国会のあたたかい気持というものが現われてこないと思う。ですから指導方針として、ぜひ現地の国立療養所の人たちも安心をして、今、川上さんが言うようなことができるように一つ私はお話をしてやってほしい、こう思うのですが、局長どうですか。
#105
○政府委員(川上六馬君) ただいま申しましたように、そういう点も考慮いたしまして指導いたします。
#106
○木下友敬君 政務次官、売春防止法はあれはいつから施行されましたか、自分で答えて下さい。何年からですか、売春防止法が施行されたのは……。わかっています。ちょっと今ためしてみたのです。そうしたらそばについておるあなたが一となたでしたかね。
#107
○政府委員(太宰博邦君) お答えいたします。売春防止法は昭和三十一年の施行になっております。
#108
○木下友敬君 まことにおそれ入ったことでございまして……。
#109
○政府委員(太宰博邦君) いや、失礼いたしました。成立が三十一年でして、施行は三十二年からでございます。
#110
○木下友敬君 それでは、今の状態をお聞きのことと思いますが、委員長からも、あらためてしかってもらいたいと思う。政務次官は御存じないことだろうと思って、ちょっと尋ねてみたら、補助役の方が三十一年ということでは、売春防止の法律をとても満足に厚生省はやっているとは思えない。そう思ったから私は尋ねたのです。一体厚生省は、売春防止の法律は作ったが、あとはどうしておりますか。本気でやっているかどうか。ちょっとこれについて政務次官、十分やっているかどうか答えて下さい。
#111
○政府委員(安藤覚君) 法の施行につきましては忠実にやっているものと思っております。
#112
○木下友敬君 どうもああいうお答えをいただきますと、あと質問できないことになってしまいます。私から考えると、売春防止法は作るには作ったけれども、厚生省は、そういう法律を生めば、もうそれだけでもって、あとは取り締まりの方にまかしておこうということではないかと思う。私は、売春防止法ができても、ほとんどその結果を上げていない。今までは表向きで売春を行なっておったのが陰で行なっている、その数は多くなったか少なくなったか。そういう法律のなかった前と、できたあととの比較すら知っていないではないか、こういうように思いますが、当局側においては、あの法律が一体どれくらい効果を上げておるとお考えになっているか、ここで一つ次官お答え下さい。
#113
○政府委員(太宰博邦君) 申し上げるまでもなく、売春防止法は、片方におきましてそれの取り締まりの面、それから一方におきまして婦人の保護更生というものをねらっているわけでございまして、そのために各府県に相談所あるいは施設、あるいは婦人相談員等も置きまして、ただいま努力しているわけでございまして、それぞれ関係者一同努力しておりまして、相当の成果は上がっていると思います。ただ、これは木下委員御承知の通り、なかなか事柄が事柄でございまして、一つには経済的な問題もからみ、それから一つには道義の問題もからんで参っているというようなことでございまして、これの成果を上げるということは非常にむずかしい問題でございまして、私どもせっかく努力しているところでございます。数字につきまして、最近のを申し上げてよろしゅうございましたら申し上げますが……。
#114
○木下友敬君 私のお尋ねしているのは、数字もですけれども、売春防止法ができる前とあとですね、一体あの法律が役に立ったか立たなかったか。たとえば前借だとかいうようなことで人身売買が行なわれていた、こういう点が改善されたとか、ある程度そういうことが認められるかもわからない、だけれども、売春行為ということで、それを目途とした場合には、あの法律ができた前とあとと比べて、一体厚生省としては、効果を上げておられるかどうかということです。数字以外の考え方です。
#115
○政府委員(太宰博邦君) 私どもといたしましては、あの法律を作っていただいたおかげでいろいろな面で非常に成果を上げておると思います。たとえば、従来ありました赤線とか、そういう売笑街というもの、あるいはそれを商売としております人は、一切認められなくなったわけでございます。しかるべく転廃業を促進いたしましたしして、現在表向きは、そういう者は全然ないわけでございます。それからそこにおります婦女子の保護というものも一応いたしたわけでございます。
 ただ、先ほど来ちょっと申し上げましたように、事柄が相当むずかしい問題でございまして、これは私どもの努力、それから国民全般がこれに協力していただいて、そしてそういう問題が起こらないような、いろいろな各方面の方の御協力がないと、この成果というものは上がらぬわけであります。これがまた、最初法律を施行いたしました直後と、それからまた数年たちました今日においては、せっかく保護更生しようと思っていなかへ帰ってみたけれども、いろいろな事情からまた飛び出してきて、ふらふらとまたもとのところへ戻ろうという事例を聞かぬこともございません。そういうようなことで、こういうものはたゆまずに努力を尽くしまして、この成果を上げていくほかない、むずかしい問題であるとは存じておるわけでありますが、関係者一同、そういうことでやっております。従いまして、数字でちょっと申し上げられないのはあれでございますが、私どもといたしましては、その売春防止法の制定の意義及びその成果というものは、なかなかむずかしいが、これは非常にとは言いかねますけれども、成果は相当上がっているもの、また今後この成果をさらに上げるための努力をしていきたいと考えております。
#116
○木下友敬君 あなたが今お答えになったことは、そんなことはようわかっています。そんなこと長々と説明してもらうと、時間がないと委員長言っておるのに困る。それは、こういう仕事のむずかしいことはよくわかっています。容易なことじゃない。それから成果がどれだけ上がったと言い得ないような大仕事であることもよくわかっておる。しかし、一体、あの法律ができる前には、日本全国で売春行為をしている者が、公娼、私娼を加えて大体どれくらいあったろうという見当はついておったはずだ。その後も、法律ができたあとも、法律はできたけれども、今なおこれくらいは大体概数ではあるだろうというような見当がつくはずだ。そういうことも大体知っていないようでは、その法律がきき目があったとか、なかったとか言えないはずだ。そういうことを具体的に言ってもらわぬと、ただ、この仕事は非常にむずかしいことで、国民諸君の御協力がないとできませんというようなことは、それはどんな法律だってそうですよ。そんなのは国会答弁にならない、御答弁願います。
#117
○政府委員(太宰博邦君) この法律ができました今日におきまして、全国にどれくらいなそういうような行為が今日なおあるかというようなことは、私どもはつかんでおりません。これはつかむことが一そう困難であります。ただ今日、全部絶無になったとは私どもも申し上げません。ただそういう点で、表面から少なくとも影を消してきた、それからさらに、そういう表だけの話じゃなしに、中身の方もこれは改善していかなければならぬという努力を目下やっておるところです。
#118
○木下友敬君 あんたの答弁聞いておると、全然その方には御関心がないと私は思う。正直に打ち割ったことをこういう場では話してもらいたいので、厚生省が非常に努力しておるというようなことを無理に言わぬでもいいと思うのだ。
 それでは、綱井さんですか、防犯課長お見えになっておりますが、あなたの方ではつかんであるんじゃないですか、今全国に、いわゆる売春婦というのは、名前が悪くて私は使いたくないけれども、そういう行為をしておる婦人がどれくらいあるだろうかということ、大体見当ついていないですか。
#119
○説明員(綱井輝夫君) 売春常習者の総数が現在どれくらいおるかという御質問だと思いますが、正直に申し上げまして、総数をつかむということはなかなか困難でございます。結局推定になるほかないと思います。それにしましても、この推定が、実はたとえば街娼のようなものならば比較的つかみやすい。しかし他の業態を装って数多くの売春行為を重ねておる、そういう者もなきにしもあらずと思うのです。そういう方面のは、なかなか実はつかみにくいことは御了解いただけると思います。
 それで、ごく最近はやっていないのでありますが、三十四年に一応の調査してみた数字があるのであります。必ずしも正確とは申し上げられませんが、御参考までに申し上げますと、街頭に出ている者、三十四年の調査でございますが、現在ではこれよりは若干減っておるだろうと思うのでありますが、約六千名という数字が出ております。その他の、一般的に申しまして、接客業に従事しながら売春と申しますか、そういうことを相当やっておるのではなかろうかというふうに考えられるのが約三方という数字が出ております。その一つ一つについて絶対に間違いないかといわれると、非常にむずかしい問題だと思います。そういう一応の調査、警察庁の推定であるというふうに御了解いただいてよろしいと思います。
#120
○木下友敬君 そうしますと、推定でけっこうですよ、それはわかるわけはないのだから。これの正確な数を求めていないので、これは最初から私申しているように。ですから、接客業の中から三万人ぐらいはそういうことをやっていないかというような推定があり、街頭で行なっているものが六千名くらいあるとすると、概数三万六千と踏んであるわけですが、これを法律成立、三十二年四月以前の数字と比べるとどういうふうになりますか。
#121
○説明員(綱井輝夫君) これもくどいようでありますが、推定になるわけでありますが、法施行の当時といいますか、それ以前におきまして街娼の数、これも実ははっきりした数をつかむというわけには参らぬのでありますが、若干これより多かったというふうに考えておるのであります。この数字よりも若干上回る数字がおったのではないかというふうに考えております。それからその他の者でありますが、売春防止法施行の直前に、いわゆる集娼地帯、必ずしも全部そうだとは申されませんが、集娼地帯の従業婦が約四万五千人ほどである、そういうふうに推定いたしております。
#122
○木下友敬君 法の施行される前が、接客関係などで四万五千、街娼といっていいのが六千名よりかもつと多かったろうと思うというようなことで、これは雲をつかむようなことですけれども、一応あなたの推定だとして、あなたというよりも警察庁の推定だとして受け取っておきます。私はいよいよわかりません、どれくらいおるか。しかしこれがあまり減っていないように思う。ことに、このごろのように観光ということが非常に盛んになってきた時期において、観光地においては、これまた言いたくないことだけれども、あんまの中にさえ売春行為をしておる者がおるという状況のように思いますが、警察庁の方ではどうですか。あんまさんに売春行為が行なわれておるというふうなことを聞きませんか。
#123
○説明員(綱井輝夫君) 男は問題にならぬわけですが、問題になるのは婦人のあんまでございますが、大部分の人は、おそらくまじめにやっておると思うのであります。しかし一部に、たとえば温泉地帯などで売春行為をやっておるものもある。またそういう検挙事例もございますが、はっきりしたことはわかりません。
#124
○木下友敬君 今警察の方で、あんまの中にもそういう行為をするものがおるらしい、おるとも聞いておるというようなことでございますが、これは、警察ばかり責めてもいけないことですが、医務局に関係あるそうですね、あんまという仕事は。その方は、なんですか、どういう注意を与える監督をし、指導をしておるかということですね。一ぺんあんまに免許をやって、その先はどんなあんまをしておっても医務局は知らない顔をしているかということ、何かその方について注意を与えたとか何とかということはありませんか。また必要がないと考えておるか。
#125
○政府委員(川上六馬君) 観光地などで女の無免許のあんまなんかがいるということになりますと、無免許のあんまの取り締まりは保健所の方でやっておるわけですけれども、その方の取り締まりは、やはり売春防止法で警察でやっていただくことだというふうに考えております。
#126
○木下友敬君 私もそう考えるのです。警察が、その方の取り締まりをすべきだと思うけれども、あなたが免許をやっておる。そういうあんまの免許を持っている人が、それが違った商売をしているというようなことであれば、それは、何かせんでいいのですか。あなたの方では、法律的にはいいかもわからぬけれども、役所としては、そういう行為をする者が、あんまの中におるということをもし御存じであれば、これは、何とか手を打っておかなければならぬというようなことは必要ないことでしょうか。
#127
○政府委員(安藤覚君) ただいまの御注意につきましては、もしそういった情報がわれわれのところにも入るような状態であり、またただいまのようなお言葉がありまする以上は、直接取り締まりは、警察当局かもしれませんけれども、犯罪を犯しました上におきましては免許証を取り上げることができますけれども、それ以前に、そういうことをなさしめないように、法の精神からいきまして、何らかの方法によりまして、そういったことのないように、人間的な指導をするように、医務当局にも私の方から切に注意を促すことにいたしたいと存じます。
#128
○木下友敬君 その点了承しました。医務局長、今次官が言ったことを、あなた少し肝に銘じて下さいよ。免許をやったら、あとどんなあんまをしようと知らぬということは、私いかぬと思う。次官も、そういうことがもし情報が入ったらと言われますけれども、それがわからぬようでは、国会議員やれませんよ、今あんまの中に、そういうことがあるというような情報が、まだ入っていないようなことでは、僕らの方にも入っているのだから。これは私は厚生省としても、もっとまじめなあんまでなくてはいけないと思う。
 そこで警察当局に聞きますが、街娼が六千名、接客業の中で三万人くらいはあるだろうということですが、三十四年度の統計によりますと、検挙件数が二万二千九百五十四、人員として二万百六十七人ということになっておる。そうすると、この数字からいきますと二万百六十七人をもう検挙したということであれば、三万六千人の中から二万百六十七人検挙したということであれば、これは検挙率ということからいえば、非常にいいんですね。しかしこの非常に数をつかみにくい、実際は、もっとたくさんあろうと思われるような、こういう仕事のこういう事件の中で二万百六十七人という実際に検挙した数があれば、私は、売春行為をしておる人間の数はもっと多いと思うが、あなたの推定は少な過ぎると思うが、どうですか、警察では、それほど三分の二以上を検挙し得たと思っておるかどうか。
#129
○説明員(綱井輝夫君) 先ほど御指摘になりました二万数千という数字の中には、いわゆる同一人が反復して検挙されておるという事例も相当あるわけでございます。従って、数字が直ちに特定の一人々々を表わしておるということにならない場合もあるのでございます。
 しかし、それにいたしましても年間で、ある特定人が一回だけという数字も、もちろんその方が多数でございます。相当検挙はいたしておるつもりでございます。
#130
○木下友敬君 それは、この表にも出ておるように、一回だけでないのがありますけれども、実際は、なんです、これは二万百六十七人という検挙数があれば、そういう商売をしておる婦人というものは、もっともっと、はるかに多いと考えるのが私は常識だと思う。三万人やそこらのものじゃないと思うのです。
 これは一つ、大へん警察の方もお忙がしいし、厚生省もお忙しいけれども、これは、文明国の一つの大きな仕事としてやった法律ですから、できた以上は、もう少しまじめに、効果があったかどうかくらいの跡始末をしてもらわなければいけないと思う。
 予算にいたしましても、三十三年度には一億三千四百万、三十五年度には二億二千二百万、三十六年度には二億四千三百万それがしというものを要求しております。ところが三十三年度の決算書を見ますと、約四千万円か残しておりますね。あれは一体、どうしたんです。何か婦人を保護する数が非常に少なかったからというようなことを書いてありますが、二億余りの金から一七%という、こういう大きな使い残しが不用額としてあげてありますが、なぜもっと使わないか、こういう事業のために、なぜ使わないか、これを一つ答弁を願いたい。
#131
○政府委員(太宰博邦君) 昭和三十三年度における厚生省所管の婦人保護費で三千九百八十万ほどの不用額を生じております。その不用額を生じましたおもなものは、第一に、婦人相談所の職員の設置費の関係におきまして千三百六十万ほどの剰余を生じております。これは売春防止法の施行後間もない時期でございまして、都道府県におきまして、婦人相談所に職員を配置いたします。それが、国が期待しておりましただけの職員を配置しておりませんために生じました分でございます。
 それから第二は、保護いたしました婦人の更生資金の貸付金に対しまして国が補助するという、その補助金が約七百八十万ほど不要を生じました。これは要保護婦人のうちで、正業につく意欲と、それから能力を持ち、それからその見込みの確実な者に対しまして資金の貸付を行なうことによって、自力更生をはかることを目的としたのでありますが、その婦人の人々が、特殊な立場の人々でありまして、進んでこれを利用するということが、私どもの予定よりも少なかった、もちろんいろいろ指導もいたしたわけでございまするが、それが結果におきまして、予定よりも下回ったということで、残額が生じたわけであります。
 第三番目に、婦人保護施設の運営費の補助で千百万ほどの不要を生じておりまして、これはやはり婦人の保護施設に私どもの方で期待しておりましただけの人が当時収容できません。従いまして、その点から剰余を生じたわけであります。この三点の結果、約三千九百万余りの不要を三十三年度決算に生じたわけであります。
 私どもといたしましては、せっかくお骨折りによっていただいた予算でございまするので、できるだけこれを消化いたしたい。しかしもちろん、ただ消化するだけが能じゃございませんので、これをできるだけ有効に使うように努力をいたし、府県にも督励をいたしたわけであります。
 婦人相談所の職員の方は、その後努力――また保護施設の入所の方も、少しずつ成果が上がって参っております。婦人更生資金の貸付の方は、なかなか十分な成果を、まだ今日でも上げ得ないということで、三十六年度予算におきましては、若干その点で減額した予算を組んでいるわけでございます。今後、一そう努力はいたさなければならぬと考えております。
#132
○木下友敬君 三十三年度の婦人保護費の予算は二億三千四百二十七万でした。それから三千九百万ほど残っておりますが、これは全体の一七%幾らになると思います。中を調べてみますと、委員の手当であるとか、職員の旅費、あるいは委員等の旅費、庁費というものはほとんど使ってありまして、残っているのは百八十円とか、四百円とかだけであります。そうして何が残っているかといえば、今あなたが言ったように、婦人保護費の補助金、婦人保護施設整備費補助金、この補助金と名のついたものが残っているということを私は申し上げたい。
 これはせっかく政府が補助金しても、自治体の方で、これを使いこなさないという実態でないかということを心配しているからお尋ねしたので、それを、もう少し掘り下げて言うならば、こういうような割合にまああなた方が、次官初め、いつから施行されたか、その法律の施行されたのも御存じないとか、専門家の方も御存じないというか、非常に何か取っ組みがいのないようなことじゃないですか。そういったわけですけれども、そういう何か取っ組みがいのないような、こういう仕事では、自治体でもあまり金を出さないという傾向がありはしないかということを心配している。もしそうであるならば、これを各県などにまかせないで、全部国費でまかなって、補助金でなく、国が施設するのだというような行き方でいくならば、十分これは消化されるし、また予算額にしても、そうたくさんな金にならぬのではないか。本気で、この法律に取っ組んでいくというのならば、この事業に取っ組んでいくというならば、そこまで自分でやらなければ効果は上がらぬのじゃないかという心配で、私はお尋ねしたわけなんです。
 どうです。次官のお考えを一つ示してもらいたい。
#133
○政府委員(安藤覚君) ただいま御指摘の点につきましては、当初目的を立てまして、その目的に達しないで不用額を生ずるということは、一面においては非常に残念なことでございます。また御指摘の出張旅費、あるいは事務費等においては、満額を使われておるということでございまして、一面、こうしたものが使用されたということを考えますれば、その点についての事務当局の熱心な努力は行なわれておった。しかしながら、その効果が上がらない、そこに何らかが存在するだろうということは考えられるわけでございまして、この法の精神をあくまで生かし、効果あらしめるためには、今後それらの点について、一段と研究工夫する必要があろうかと存ぜられます。
#134
○木下友敬君 この婦人相談所というのがありますが、全国都道府県に、三十五年度の厚生行政年次報告を見ますと、四十六カ所あるわけです。たくさんな売春行為をする者の更生とか保護とかいうことをやるために、全国四十六カ所というと、大体一つの県に一つということですが、これでは私は、とても効果が上がらないと思う。都市に一つなら、まだわかるけれども、あるいは港のあるようなところには、特に特設するということならわかるけれども、県庁の所在地に一つあるというようなことでは、私は、これはとても効果の上がるものじゃないし、また、それで足れりと考えておられるならば、本気でやっておるのじゃないと思うのです。もっと私は、この婦人  特に婦人ですからね、しかもこういう、自分も名誉とは考えない仕事のために飛び込んでいかなければならぬというようなものが、県庁の所在地に一つある。そういうことでは、たとえば神奈川県は横浜にそれが一つある。ところが川崎もあれば横須賀もある。もうたくさんな大きな都会があって、そういう行為が行なわれる、そういう事犯はしょっちゅう起きておるというようなことであるのに、ただ一カ所にあるというようなことでは、これは、ほんとうに申しわけ的なものじゃないかと思って、これも相談所というものをもっとたくさん、ある程度の都市には必ずこれを置いていくというふうなことが当然行なわれるべきだと思いますが、それほどの熱意はございませんか。また、それほどまでする必要はないとお考えか。予算さえあれば、する気であるのか。またそういう予算を組んで要求したことがあるかどうか。この点一つ、御答弁が願いたい。
#135
○政府委員(太宰博邦君) 婦人相談所は御指摘のように、ただいまのところ各都道府県に置くことになりまして、四十六カ所設置されておるわけであります。御指摘のように、なるべく保護を要します婦人の手近な相談に乗り得るためには、これでも決して十分とは思わないのでありますが、しかし、だんだんその機能を発揮させるように持っていくつもりでございます。ただいまのところは、そのほかに婦人相談員、これが全国で約四百六十人ほど配置されております。これがいわゆる婦人相談所の手足となっておりまして、その第一線の仕事を分担しておるわけでございます。
 今後私どもできるだけそういう手を広げて参りたいと思いますが、先ほどお話のように、各府県にこれはやらせておるということであります。これを、国が全部やるということはいかがかと、かような問題は国、府県相協力していたすべきものかと考えておりますので、今後、さらに努力をして参りたいと思います。
#136
○木下友敬君 私は、具体的にその四十六カ所では少ないと思うが、これを多くする気はないか、多くしようとして努力したことがあるかとか、そういう具体的なお尋ねをしたわけです。予算請求をしたことがあるかということまで尋ねたのですが、それを一つ答えてくれませんか。
#137
○政府委員(太宰博邦君) ただいまのところ、すぐにこれをふやすということまでは、この婦人相談所の取扱件数その他からいたしまして、私どもは、具体的にはまだ考えておりません。従いまして、予算の要求もただいまのところはしておりません。しかし先ほども御指摘がありましたように、私どもの努力まだ足らぬという、そういう御批判は、私ども謙虚に承りまして、今後、一そう努力いたしたい、その努力の過程におきまして、かようなことの充実をはかって参りたいと思っておる次第であります。
#138
○木下友敬君 警察庁の方にお尋ねしますが、このごろの売春をしておる婦人の中には、特異な現象として、以前あまり見られなかったひもつきというのが非常に多いように思う。これも十七という数は非常に悪い数ですが、十九でしたか  今のそういう女たちにひもがついておるのは、一七%かくらいは、そういうひもつきがあるとかというようなことじゃなかったかと思いますが、数が違うかもしれませんが、どうですか。ひもつきというのは、私はもっと数が多いと思う。ああいう人たちについているひもというのは、もっと多いのじゃないかと思うのです。この中にありますが、年次報告の中にあるのは、そうですね、ひもがあるのは一九・四%だとある。そうすると、その一九・四%はひもがあるとすると、全体の一〇〇という数がここでも出てこなければならないわけだな。ひもが一九・四%ということが出ているから、ひものない者は約八〇%くらいおるわけです。そういう数が、パーセンテージが出てきている以上は、大体そういう行為をしておる数が、ここでも出てくるというふうに推定されるわけですが、私は一九・四%というのは、もしこれが、この推計の出てきたものが、街頭で、こういうことをしている者を対象として一九・四%というのが出ておるとすれば、ひもつきというのは、もっと多いのじゃないかしら。一ぺんに聞きますが、このひもつきというのは非常に悪性であるということも聞いております。一応、それじゃこのひものことについて、あなたの方から説明を願います。ひもの全貌について……。
#139
○説明員(綱井輝夫君) 御指摘のように、いわゆる売春常習者にひもというものがついておる場合が、かなりあるわけでございます。ひもの概念というのが、またいろいろございまして、そのとり方によっても、数字が違うかと思いますが、少し古い調査でございますが、三十四年の五月中に警察で取り扱った売春常習者を対象に実態調査をいたしましたところ、千七百三十六人の婦人に対して、通常の意味で、ひものついていた者が六百四十四人という数字が出ております。また、この六百四十四人の職業関係を調べてみますと、うち三百二十三人が無職、いわゆる暴力団関係というのが百五十二人、そういう数字が出ております。
#140
○木下友敬君 このひも及び売春をしておる婦人と麻薬あるいは覚醒剤との関係、私はこれは、深い関係があると思いますが、その方面から、一つ状況の報告を願いたい。
#141
○政府委員(牛丸義留君) 売春婦といたしましての、麻薬の中毒関係というのは調査はございませんけれども、麻薬の中毒、麻薬というものが媒介をして、ひもとの結びつきというような関係もよくいわれておりますので、婦人の麻薬患者の中で、売春に関係がある者が相当おるということが一応推定されるわけであります。従いまして、そういう観点から見てみますと、過去三年間の私どもの方に報告になりました麻薬中毒患者の中で、女子の数というものは、昭和三十三年で五百七十二人、三十四年で五百二十九人、三十五年で四百七十五人というものが、全体の麻薬中毒患者の中の女子の麻薬患者の数でございますが、その婦人の中で、接客婦とかあるいは無職というような職業分類で、売春に関係があると一応推定されます中毒者の数は、三十三年の五百七十二名の中の八七%が、そういう職業関係にあるわけでございます。それから三十四年は八二%、三十五年は八九%、まあ八〇%――九〇%以内くらいの者が、つまりほとんどの者が、売春に関係のある者が、婦人の中毒患者の中の大部分であるということが、私どもの統計の方からは推定されるわけでございます。
#142
○木下友敬君 麻薬は、なかなか跡を断っていないようで、非常に大がかりな検挙もあって成果をあげておるようでございますが、やはりこの方面から、最初手をつけていけば、これは割合に麻薬の事犯をあげることができるのじゃないですかこそういうこともやっておられるでしょうね。
#143
○政府委員(牛丸義留君) まあ麻薬の不正入手なり、不正取引の取り締まりは、これは私ども及び警察の方で、あるいは税関その他海上保安庁関係の当局でやっておられると思いますが、ただいま御指摘のように、直接施用している、そういういわば麻薬中毒患者という者から、だんだんと糸をたどっていく方法と、それから日本の不正麻薬のほとんど大部分というものが、海外からの不法の搬入によりますので、たとえば船舶、それから航空機というようなものに不法に所持されておるという情報入手によって、そちらの、入る側からの情報収集、それによる検挙と、結局その両面から麻薬の取り締まりというものが現実には行なわれている、こういうのが現実でございます。
#144
○木下友敬君 警察庁にお尋ねしますが、これは、こういうあやふやなことでお尋ねしては悪いのですけれども、私は実はテレビを見なかった、これは、テレビを見た人が私に言ったから、一つ都合では、テレビでも残っているなら聞いてみたいと思っているが、どのテレビだったか知らないけれども、売春関係の婦人を登場さして、そこで対談かなんか行なわれたということですね。これは国民全体の中には見た人がいるだろうと思うが、事実とすれば……、私はこれは見ておりませんが、あなたの方でそういう事実があったことを御存じかどうか。しかもその場合に、ひものことを話している。このひもと共同して窃盗まで行なうということですね。売春行為中か、あるいはお客と一緒に風呂に行っている間に、ひもが着物を持って逃げるというようなことまで、テレビで話ししたということを聞いたのです。事実かどうかは、あとで確かめたいと思っておりますが、警察の方で、そういう放送があったことをお聞きかどうか。お聞きとすれば、これは放送ですから、放送をあまり取り締まるということはよくないと言う方もあるが、その中で、特に私はここで申し上げたいのは、一体、取り締まられてこわいことはないかというようなことを尋ねたとき、自分たちは警察の人とも、しばしば遊ぶんだから取り締まりというものは、きわめて緩であるということをみんなの前で言ったということを聞いている。この点に重点をおいてお尋ねしているので、御調査になっておれば聞きたい。私は、むろん性的行為ということについて、警察官だから、別の人間だということを言うつもりはない。だけれども、そういうことを平気で放送することのどうであろうかということを考え、それについて警察がまた、どういう措置に出、考えを持っているかということを聞きたいから質問するわけです。
#145
○説明員(綱井輝夫君) 御指摘のテレビですが、実は承知いたしておりません。
#146
○木下友敬君 ない……。
#147
○説明員(綱井輝夫君) 知らないのでありますが、警察が、売春行為に対して取り締まりを非常にゆるやかにするとか、ないしは取り締まりをずさんにするというようなことはございません。非常に巧妙に、相手の方法がなっておりますから、そういった困難を排除して、事犯の検挙に努めております。
 第二点としまして、そういった売春常習者の中に窃盗的な行為を、ひもと一緒にする者があるという話を知っておるかどうかという御趣旨と伺いましたが、その点については、若干そういう事例があるというふうに承知いたしております。
#148
○木下友敬君 今のはすべて、今最後に尋ねましたのは、これはテレビの話で、私は聞いてないから、強く言いませんが、私も調べますけれども、今、協力して窃盗したようなことも、テレビで、そのときテレビに出て話したことです。ですから、これは私も調べますが、警察でも一つ調べて、御存じなければ、これ以上追及してもしようがないから、お聞きいたしません。いろいろとお尋ねしたいことは、性病との関係、性病予防費も千八百万ほど残っております。そういう点について、この法律のできたあとと前の性病の関係をもお尋ねしたいのですが、どうも時間がないようですから、一応、ここらで質問を打ち切ることにしますが、どうか質問の全体を通じて、厚生省の態度なり警察の態度を聞きますと、売春防止法については、どうも熱意が足らないという印象を受けました。これは印象ですから、私が間違いかもしれないけれども、そういう印象を受けましたが、こういう委員会の席で、国会議員の一人が、少なくも当局側の熱心が足らないという印象を持つような御答弁をいただいたということについては、私は非常に不満を感じる。どうか、今後一そう、あの法律のために、皆さん方が御努力をしていただくようお願いをしまして、私の質問を終わります。
#149
○政府委員(安藤覚君) ただいまの最後の木下先生のお言葉、われわれどものお答えしている中に、あまり法の精神をあくまで生かしていくということについて熱意が足らぬのではないかという御印象をお受け取りになったということは、われわれどもの答弁の十分でなかったことが、そういう御印象を与えたことだとも思いますし、まことにわれわれとしても・申しわけなく思う次第でございます。法そのものを、あくまでも生かし、そうして、あくまでもその目的を達成するということの熱意と努力におきましては、われわれども、一そうに今後において、ただいまの御質問の御趣旨に沿ってやっていきたいと、かように存ずる次第でございます。
#150
○野本品吉君 大へん時間がおくれて失礼ですが、五分ほどお伺いいたします。簡単にお伺いいたしますから、答弁も、そのものずばりでお答え願いたいと思います。
 私のお伺いしたいことは、あんまのことです。さっきのはパンマのことらしいのですが、今、登録されておりますあんまの総数はどのくらいありますか。
#151
○説明員(黒木利克君) ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんので、あとで資料で提出さしていただきます。
#152
○野本品吉君 私がお伺いしたいのは、登録されておるあんまの総数と、それからして、そのあんまのうち、晴眼のあんまが何人、盲人のあんまが何人ということをお伺いしたい。
 こういうことをお伺いするのは、盲人あんまの生活の実態というものをどう見ておるかの問題です。私の見るところでは、盲人あんまというものが、晴眼のあんまに逐次追い詰められまして、熱海におったものが伊東に行く、伊東におったものが、もっと山の中に行く、転々として追い詰められておるというのが、盲人あんまの生活の実態なんです。ところが、その盲人は、あんまをしなければ生きられない人たちなんです。絶対に生活できない人なんです。従って、教育の面からは、盲学校の高等部――あんまになる資格を得るために盲学校の高等部まで、義務教育と同じようなめんどうを見ることにしたわけであります。これは盲人の将来の生活を守ってやるためです。
 そこで、もう一つお伺いしたいのは、そういう点について、厚生省としては、どういう配慮が払われておるか、これをお伺いしたい。
#153
○政府委員(川上六馬君) 先ほどお尋ねの点を申し上げたいと思いますが、まず、目あきのあんま師が一万七千これは三十三年度末現在でございますが、目あきのあんま師が一万七千三十九、それから盲人あんまは三万二百二十一ということになっております。
 それで、ただいまお尋ねの盲人あんまが、目あきのあんまにだんだん職域を侵食されて生活に窮するような状態になっておるということの御心配だと思われますが、私どもも、なるべく盲人の福祉のためにも、盲人のあんまが、そうしたいわゆる侵食を受けないようにしたいということで、まず警察にも毎年お願いしまして、無免許あんまの取り締まりを、さらに厳重にやるように指示いたしておるわけであります。観光地などにおきましては、かなりもぐりのあんまが多くて、ことに盲人のあんまが、そのために職域を侵されておるというような、そういう事実がかなりありますので、さような取り締まりを、警察とそれから保健所と協力いたしまして、その取り締まりを厳重にいたすようにいたしておるわけであります。
#154
○野本品吉君 それで、今、数はわかりましたが、盲人のあんまが三方二百――盲人の総数はどのくらいになりますか。
#155
○政府委員(太宰博邦君) 大体二十五万でございます。
#156
○野本品吉君 二十五万。
#157
○政府委員(太宰博邦君) はい。
#158
○野本品吉君 そこで私の申したいのは、二十五万の盲人のうち、これは男もおりましょうし、女もおろうと思いますが、相当多数なわけです。そのうち、わずかに三万二百というものが、あんまによって生活しておる。そこで、あんまの資格は、教育の方面では、さっき申しましたように、盲学校の高等部でめんどうを見てあんまにする。一方、普通のあんまの養成所といいますか、それがあるんですね。これは晴眼の者も入っているんですね。それはどうですか。
#159
○政府委員(川上六馬君) 今、ちょっと数を持ち合わせませんけれども、目あきのあんまの養成所と、それから盲人の養成所とは別でございます。で、その点、養成の方面で、施策としまして、なるべく目あきの学校をふやさないようには、できるだけ指導いたしておるわけでございます。
#160
○野本品吉君 私は、これは盲人の保護という立場から考えますと、大きな人道上の問題だと思うんですよ。従って、晴眼のあんまの養成を、全面的に拒否するということはどうかとも思いますけれども、盲人あんまを、どうしたら守れるか、そういう角度から、晴眼のあんまの養成というものをむちゃくちゃにやるべきでない。いつも、あんまの需要といいますか、そこを考えてやらないというと、あんま以外に生きる道を持っていない盲人を悲惨のどん底へ追い込んでいく。従って、あんまの養成につきましては、そういう人道的な立場から、盲人保護ということを基本的な方針としてお考えいただきたいと思う。これについての御所見を伺いたい。
#161
○政府委員(安藤覚君) ただいまの御質問でございまするが、目あき、めくらにかかわりませず、ひとしく職業を与えるということは、また職業を選択するということは、これは憲法の上からいって押えられぬことでございまするのは、そこでこうした盲人の方々に対しましては、身体障害者としての立場から、福祉法で保護することにいたしていきたいと、こういう建前になっておるようであります。
 しかしながら、御指摘のようなこともございまするので、従来とも、目あきの方は、他に職業を求め得られまするので、目あきの方のあんま養成所というものについての許可につきましては、盲人の方の養成所と比較いたしまして、そこに親心といいますか、人間的な気持といいますかを出して行政いたしておるのが事実でございまして、将来にわたりましても、やはりこの福祉法にもっぱらたよって盲人の方々の保護をいたしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#162
○委員長(佐藤芳男君) ほかに御質疑はございませんか。――別に御発言もございません。それでは昭和三十三年度決算中、厚生省関係についての質疑は、これをもって終了いたします。
   ―――――――――――
#163
○委員長(佐藤芳男君) なお、来たる十四日午後一時より鵜崎福岡県知事ほか二名を参考人として出席を願い、昭和三十三年度決算審査のため意見を聴取することに決定してございましたが、当日やむを得ない事情、すなわち陛下御来県の準備のために出席を延ばしてほしい旨の申し出がありましたので、これを了承いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(佐藤芳男君) 御異議ないと認めます。なお、福岡県知事らの参考人出席の日時等につきましては、いずれ理事会で協議することといたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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