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1960/05/19 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 決算委員会 第27号
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1960/05/19 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 決算委員会 第27号

#1
第038回国会 決算委員会 第27号
昭和三十六年五月十九日(金曜日)
   午後二時三分開会
   ―――――――――――
  委員の異動
本日委員上原正吉君及び大倉精一君辞
任につき、その補欠として井川伊平君
及び小柳勇君を議長において指名し
た。
   ―――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 芳男君
   理 事
           岡村文四郎君
           鳥畠徳次郎君
           野上  進君
           相澤 重明君
           北條 雋八君
   委 員
           井川 伊平君
           川上 為治君
           木内 四郎君
           田中 清一君
           谷口 慶吉君
           野本 品吉君
           林田 正治君
           谷村 貞治君
           阿部 竹松君
           大森 創造君
           北村  暢君
           木下 友敬君
           小柳  勇君
           奥 むめお君
  政府委員
   大蔵政務次官  田中 茂穂君
   労働大臣官房長 三治 重信君
   労働大臣官房会
   計課長     和田 勝美君
  説明員
   労働省職業安定
   局失業対策部長 松永 正男君
  参考人
   福岡県知事   鵜崎 多一君
   福岡県労働部長 高橋 朋厚君
   福岡県労働部職
   業安定課長   杉山 信一君
   ―――――――――――
   本日の会議に付した案件
○昭和三十三年度一般会計歳入歳出決
  算(第三十四回国会内閣提出)
○昭和三十三年度特別会計歳入歳出決
  算(第三十四回国会内閣提出)
○昭和三十三年度国税収納金整理資金
 受払計算書(第三十四回国会内閣提
  出)
○昭和三十三年度政府関係機関決算書
  (第三十四回国会内閣提出)
  (昭和三十三年度決算検査報告不当
 事項第三一七号失業対策事業費補助
 金の経理当を得ないものに関する
 件)
   ―――――――――――
#2
○委員長(佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。
 委員の変更について報告いたします。
 本日、大倉精一君、上原正吉君が辞一任され、その補欠として小柳勇君、井川伊平君が選任されました。
#3
○委員長(佐藤芳男君) 昭和三十三年度決算を議題といたします。
 本日は、昭和三十三年度決算検査報告第三百十七号失業対策事業費補助金の経理当を得ないものに関する件について、参考人として福岡県知事鵜崎多一君、同労働部長高橋朋厚君、同職業安定課長杉山信一君の御出席を求めております。
 参考人の方々にごあいさつを申し上げます。本日は、御多用中のところ遠路当委員会審査のため御出席をわずらわし感謝にたえません。これより質疑に入るわけでありますが、その前に本日御出席をわずらわすに至った経緯を委員長より一応説明いたします。
 本件は、過日の昭和三十三年度決算中労働省関係審査の際、失業対策事業に対する補助金の問題として取り上げられたものであります。すなわち失業対策事業として国庫補助の基本額に入れてはならないものを含めて精算していたものでありまして、会計検査院よりその不当を指摘され、国庫補助金の返還を要求されたものであります。もちろん昭和三十三年度決算において、同様の事業主体は他にもあるのでありますが、福岡県のごとく、昭和二十九年度より三十四年度に至る間、繰り返し同一事案について、会計検査院より不当事項として指摘を受け、返還を要求されたるがごときは、他に類例を見ざるところであります。ことにいわんやこの種の県営事業については、知事が事業主体としての直接責任者であるにおいておやであります。ここに至りますについては、福岡県がその産業構造において他の府県とその様相を異にし、失業対策事業の量も多く労働行政の上に種々な困難な点もあって、県行政の担当者として苦労の存するところもあろうかとは思いますけれども、国民を代表して国家予算の執行について審査しておりまする当決算委員会としては、累年のかかる不正な予算執行を黙過するわけには参りません。過日の委員会において、関係政府当局に実情の説明を求めたのでありますが、なお十分問題が解明するに至りませんので、委員長理事打合会、本委員会ともこの際、責任者の出席を求め、事業の実態を聴取すべきであると決定し、参考人として出席をわずらわした次第でございます。従いまして、参考人の方々には、委員の質問に対し、不当事項の実態が解明されますよう御協力を希望いたします。
 それではこれより質疑を行ないます。質疑の通告がございます。これを許します。
#4
○野本品吉君 質問に入ります前に一言私の気持を申し上げまして、ごあいさつにかえたいと思います。
 ただいま委員長からお話のございましたように、私ともの決算の審査の途上において発見されましたこの問題につきまして、御多用のところを、県の重要な地位におられて、お忙がしい仕事をなされておる皆さんの御出席をわずらわしましたことにつきましては、まことに御苦労様でございまして、われわれに協力されます皆さんの御好意に対しまして敬意を表したいと思います。
 実は昨年、私どもの決算委員会は、福岡県の失業対策問題につきまして問題があるというので、現地の視察をいたしたわけでございます。その現地視察の報告書につきまして、私は視察者に敬意を表する意味におきまして報告書をいただいた直後、ずいぶん相当こまかく目を通して見ました。そこで、三十三年度の決算に入りまして、会計検査院からの報告書を見ますと、またそういう事態が起こっておる。これは変だ、こう思いましてさかのぼって調べますと、そういう事態が二十九年度から引き続いて繰り返されておる。こういうことでございますので、私としましては、いろいろ御事情もあろうと思いますけれども、さらに皆さんに直接お聞きいたしまして、事態の真相を把握して、そうして今後いかに対処すべきかということについて考えてみる必要があると、かように考えております。
 私が申し上げるまでもなく、決算委員会の任務というものは、国の財政処理が適当に行なわれておるかおらないか、また予算が効率的に使用されておるかおらないか、ということの見届けをすることが決算委員会の仕事だと思う。この見届けをすることによりまして、財政を通して国の施策というものが確実に実施されておるかどうか、さらに別な言葉で申しますと、国民の血税がいかに有効に使われておるかどうか、ということを知り確めますことは、これは国民を代表いたしますわれわれ国会議員の当然の責務でなければならぬ、ということを考えておるわけです。私は、元来決算委員会というものは、いわゆる党派の対立とかなんとかということで、党派的な委員会であってはならぬという考え方を強く持っております。どこで行なわれたことでも、どこで発生したことでも、白を黒と言うようなわけには参らないので、だれがやっても不正、不当、不法ということが明らかである以上は、それをただすことによって将来日本の行政の上に筋を通していかなければならぬと、かような気持でおるわけでございますので、どうぞ誤解のないようにお願いをいたしたい。
 さらに一つ申し上げておきたいと思いますことは、私としましては問題の真相を知りますためには、最小限度、あるいは知事さんが知事さんの権限の中において当然やるべきことであって、国会議員の容喙すべき範囲でないというようなこともあろうと思いますが、これはこの問題の真相を知ります意味におきまして、若干県政の一端に触れる場合もあるかもしれませんですが、どうぞ越権とかなんとかというおしかりのないように、これもあらかじめお願いいたしておきます。
 そこで御質問申し上げたいのでありますが、まず私は事実をお互いに確認しておく必要があると思うのです。食い違った事実の認識の上に話を進めるわけにも参りませんので、そこで私どもも一応は調べてありますが、昭和二十九年ないし三十四年度、この六カ年間にわたります会計検査院の指摘によりまして、失対事業の事業主体としての福岡県が、国に対して返還した金額とその総額を承りたい。
#5
○参考人(鵜崎多一君) ただいま御質問の昭和二十九年から三十四年までに、で会計検査院に指摘を受けました金額は、二十九年度は百二十四万五百九十三円でございます。三十年度は六十四万三千四百六十二円でございます。三十一年度は八十七万一千四百五十二円、三十二年度は三百四万八千九百十七円、三十三年は二百八万五千百六十六円、三十四年は百三万五千三百円でございます。しかもその内容は二点に分かれておりまして、年末年始、盆、地方祭等の就労操作による指摘は二十九年から三十年で、その後はございません。なお職場離脱に関する御指摘の点は三十二年から三十四年まで、この二通りに内容がなっております。
#6
○野本品吉君 ただいまのお答えは私どもの調査と一致いたしております。そこで私は、今の指摘されましたうち、国へ返還された額でありますが、これもあわせてお伺いしたいと思います。
#7
○参考人(鵜崎多一君) ただいま私が申し述べました各年の金額は、そのまま国に返還いたしております金額でございます。全額返還いたしております。
#8
○野本品吉君 そこで、ただいまのは返還された金額ではないように……、私どもは先ほど知事さんがおっしゃったのは、国庫補助金の基本額から控除すべき額であって、返納を要する額というのは、それと違うのではないかと思いますが、それはどうですか。
#9
○参考人(高橋朋厚君) ただいま野本先生から御指摘の点は、残念ながら国庫返還金の数字を私ども持っておりませんので、委員長にもあれいたしまして、後刻申し上げるようにいたしたいと思います。お許しを得たいと思います。
#10
○野本品吉君 私の調べでは、返還された額の総額が、いろいろまあ二種類あるそうでありますが、合わせまして六百十二万四千円ほどになっているように一応計算が出ているわけです。これはまたあとでこまかく正確なところをお伺いいたしたいと思うのです。
 そこで、そういうようなことで返還しておる。私はこの返還の額が非常に多いとか少ないとかということは大して問題にしていないのです。ただそこで次にお伺いしたいと思いますことは、こう繰り返し繰り返し同一事案があって、会計検査院からは指摘され、労働省からはいろいろと注意なり警告なりがそのつどされておったはずなんです。そこで私はこの期間を通じまして、労働省あるいは会計検査院からどういう注意、どういう警告を受けておったか、あるいは福岡県の失対事業の計画から執行に至る間におきまして、いろいろと労働省その他と接触をされておることは間違いないと思う。そういうときにどんな話し合いが進められて行なわれてきたかというような点につきまして、なるべく具体的に要点をお聞かせ願いたいと思います。
#11
○参考人(高橋朋厚君) 皆様方にお詫びを申し上げなくちゃならないのですが、先ほど私数字が手元にないと申し上げましたが、ございましたので、野本先生先ほどの御質問の返還額は幾ばくかということにつきまして、事前に申し上げておきたいと思います。内容的なことは後ほど申し上げたいと思います。二十九年度七十二万一千二百九十六円、三十年度四十二万八千九百七十五円、三十一年度六十三万飛んで九百三十一円、三十二年度二百十七万三千八百七十七円、三十三年度は百四十四万七千百五円、それから三十四年度七十二万二千六百三十九円、先ほどお尋ねの数字は以上でございます。
 それからただいまお話のございました、会計検査院でも十分注意を受けておるが、いかにして参ったかということでございますが、委員の先生方も御承知のように、検査院からも公式に知事あてに具体的な指示が参りました。おおむね同様な内容で、主務官庁でありまする労働省の主管局長からも、知事あてに検査院から指摘を受けたということについて、いかにして改善すべきかということで、書面による通達をいただいております。それで県側といたしましては、一応主管課長が御説明に上がるというふうなこともございましたが、公文書でもって、こういうように従来も努力して参り、またこういうように今後も努力したいというようなことを文書でお答えもいたしておるのでございます。総合しましてその要点を申し上げますと、これは市町村の事業はしばらくおきまして、お尋ねも県が事業主体としてやる、県の直営の失対事業という意味であったと思いますので、その意味で御説明申し上げるのでございますが、県が現実的にとりました措置といたしましては、まず機構、人事の点について申し上げたいと思うのでありますが、この点で二つ申しますと、一つは昭和三十三年の五月の現業部門を申しますと、事業主体としての仕事は府県庁でおおむね土木部が主としてやっておるのでありますが、これの出先機関でございます土木事務所の労務課を失業対策課に改めまして、人員も拡充強化いたしたのでございます。
 それから第二点といたしましては、現場の監督でございますが、実質的には副監督と私ども称しておるものでございますが、副監督の任用につきましては、従来御承知の方も多いかと思いますが、自由労組、失対労務者諸君の推薦によって、その労務者の中から選ばれてくる、というのがおおむね全国的な傾向であり、私どもの方の県でもそうやっておったのでありますが、これではいけないということで、昭和三十四年二月以降は試験制度をしきました。これは学科と面接でございます。第一回の試験をいたしました際に、適格性に欠けると判定されました十九名は他の職場に配置いたしまして、一応人事の面につきましても努力をいたした、かように考えておるわけでございます。
 それからその他の面につきまして三、四申し上げますならば、この会計検査院なり主務官庁から御指摘を受けるまでもないのでありますが、前段に申し上げましたように、厳重な御注意を受けたのでありますから、われわれどもといたしましては、たとえば土木事務所長の会合、安定所長の会合というような関係の会合において、主管部長なり主管課長から指示するほか、書面でもっても毎年数回職場規律の確立、あるいは失対事業の正常化等につきまして具体的に注意をして参っておるのでございます。
 それから第二には、特に昭和三十三年の六月二十一日でありまするが、副知事通牒をもってこの失対事業の運営につきまして、総合的な私ども実務を担当しておる者としては、県庁内部の憲法くらいな意味で思っておるのでありますが、総合的な通牒で指示いたした。
 それから第三点としましては、今申し上げました副知事通牒の中にあるのでありますが、福岡県といたしましては、特にこの会計検査院からもやかましく御指摘を受けております職場離脱の問題であります。職場離脱をする者つきましては、職場外行動許可証というものを必ず提出して、現場の監督者の、責任者の許可を得るようにという建前をとっておるのであります。同時に、従来一部に行なわれまして様式もまちまちであったものを、様式も統一をいたしまして規律を立ててこれを実行することにいたしたわけでございます。
 それから四番目の問題といたしましては、当然のことではございますが、従来の慣行と言えばおしかりを受けるかもしれませんが、惰性もあったのは事実でございますので、大いに引き締めなければならぬということで、賃金カットでございます。八時間勤務のうちの一時間か二時間職場を離れた、その場合には一時間なり二時間の、時間に応じた、按分した金額を差っ引くわけで賃金カットと申しておりますが、これも三十四年度からは特に厳重に実行して参ったのであります。恐縮ではありまするが、二、三数字を申し上げてみますと、三十三年度と三十四年度を比較いたしてみますと、賃金カットをしました件数、金額に分けて申し上げますが、件数は三十三年度は五千五十八件でございます。三十四年度におきましては八千五百七十二件でございます。金額では三十三年度六十万五千五百三十円であり、三十四年度は九十一万一千二百五十四円、こういうふうなわけであります。従いまして、会計検査院から御指摘を受けました金額も、以下申し上げまするように半減いたした。これは先ほど知事からちょっと申し上げたのでありまするが、三十三年度は御指摘を受けたものが、県の事業上で二百八万五千百六十六円であったものが、三十四年度におきましては百三万五千三百円、こういうふうに相なっておるわけでございます。県の事業上につきましては概括的に以上のような努力をして参っておるのであります。今後とも一そう努力をいたしたいと思います。
#12
○野本品吉君 県がいろいろと対策に苦慮されております状況は大体わかりました。しかしそれにしても、これは三十五年の九月十九日付で労働省の職業安定局長から福岡県知事あてに、三十四年度の問題について相当手きびしい書類が出ておるわけです。その終わりの方に、「貴県における失業対策事業の運営が適正を欠いていること、なかんずく日雇労働攻勢に押された事業主体の安易な事業運営が何等の反省もなく繰り返されていることに起因するものであると考えられるので、今後これが是正について厳に指導するとともに改善計画を労働省あて提出されたい。」とこういうものが出ておる。これが出ましたのは三十五年の九月の十九日であります。この労働省の通達と申しますか、これに対しましてその後特別な方策がとられたか、またそれによって実際の効果が上がっておるか、その点につきましてお伺いしたいと思います。
#13
○参考人(高橋朋厚君) 制度的にどうこうとかいうふうなことはございませんが、お言葉のございましたように、厳重な指示を受けましたので、われわれどもといたしましては、県が事業主体である事業現場を引き締めることはもちろんでございまするが、特に市町村の事業につきましても監察官を派遣するとか、あるいはまた担当者なりあるいは担当部局における責任者の会合等をひんぱんに開きまして、かなり厳重にやっておるつもりでございます。ただ三十四年度につきましては、賃金カットの問題につきまして数字的に先ほど申し上げたのでございますが、三十五年度があるいは数字的にどうなっておるかということになりますと、私今数字は持っておらぬのでございますけれども、私の口から申し上げるのも口幅つたいようではありまするが、かなり三十三年を契機といたしまして、私の県におきましては強力に関係者が引き締めのための努力をしておる、ということは事実でございます、やや抽象的になりまして恐縮でございますけれども。
#14
○野本品吉君 それではこういうことは言えますか。従来も努力したと、それからただいまの三十五年の九月十九日付の労働省からの通達に基づいても、さらに一段の配意と努力をしておるということで、その結果として三十五年度の決算はまだ出てきませんが、三十五年度の会計検査院の審査が行なわれた場合に、かような事態が起こらない、あるいは起こらないであろうということが言えますか。
#15
○参考人(高橋朋厚君) お答え申し上げます。三十五年度の決算を御審査いただきました場合に、重ねてかような御指摘はないと私は信じております。あるいは市町村の部面では多少出るかもしれぬが、県の事業場においては少なくとも全然ないと、こういうことに確信いたしております。
#16
○野本品吉君 大へん力強い御答弁をいただきまして、私どもといたしましても非常に喜びにたえません。
 次にお伺いいたしたいんですが、やっぱり従来そういうことがずっと起こっておって、ほかにもあるわけなんですが、そこで失対事業に就労させて賃金を支払う者の取り扱いについて、就労をどういうふうにさせて、そしてどういう帳面に載せて、それからどこへ持っていって、金をだれが支払うか、この事務的な段階ですね、これを具体的に一つ御説明を願いたいと思います。
#17
○参考人(杉山信一君) ただいまの取り扱いについて御説明いたします。本県におきましては紹介の体制と申しますか、方法と申しますか、二通りございまして、日々紹介しておるところと、それから現場が遠いために一週間分まとめて紹介しておる地域と二つございます。それで紹介は安定所が切る紹介票によって行なうわけでございます。それでその安定所で紹介いたしましたものを副監督に渡しまして、副監督が安定所の前において人員を掌握するなり、あるいは毎日行っておりますので大体現場がわかっておるわけです、その現場に直行させましてそのときに紹介票を持っていく。そして現場において副監督が人員を掌握するわけでございます。その後は一応土木事務所関係の、副監督も土木事務所になりますけれども、職員の監督下に入りまして作業いたすわけでございます。で、その作業が終わってから現場で払うところもございますし、あるいは土木事務所に戻ってきて賃金を支払うこともございます。その間の手続は、紹介を受けていった伝票に副監督が現場でもって確認したものを、一部土木事務所に返すわけでございます。返しましたものについて賃金台帳を作成し、金をそろえて作業終了時刻までにそれぞれの支払い場所に持っていって、副監督が払うというのが手続でございます。
#18
○野本品吉君 そこで三十三年度の決算を通して見ますと、つまり労務者が就労時間中に離脱している者に対して三十五万余円、それから大部分の百七十三万余円のものは労務者が現場にも出頭しなかった者に対して支払っておると、こういうふうに私どもは見ているわけなんです。
 そとでお伺いしたいんですが、現場の監督等から、出頭もしていないのに就労者として報告しているものかどうか、というととなんですね。現場監督から就労していないのを就労したとして報告があらたから金が支払われたと、こういうことになろうと思うんですが、そこはどうですか。
#19
○参考人(高橋朋厚君) ただいまのお尋ねはかようなことではないかと思っております。現在では改まっておるのでありますけれども、過去におきまして、先ほど冒頭に知事がちょっと申し上げたのでありまするが、三、四年間は地方祭の宵祭りの日、それから年末の三十日でございますかそういうような日で、団体あたりが半日で仕事を休むとか、あるいは一日まる休みするというような、地方的な慣行がありますところから出て参った惰性でございますけれども、一応顔はそろえるけれども、面着払いという言葉を使われておったのでありますが、私どもは就労操作によるものと申しますが、さようなものが過去においてあったということでございます。今日ではございません。
#20
○野本品吉君 そういうことは、大体仕事現場であります土木出張所等で、そういう扱いをしている、こういうことでございますか。
#21
○参考人(高橋朋厚君) お話の通りでございますが、ただ同じ地域におきまして県も事業をやっている、それから市も事業をやっている、こういうふうな場合に、県、市の現場の責任者が相談して昨年もこうやっておったから、本年もやってやろうということで、半日ぐらい器具の手入れをして半日は早く帰すというようなことが、過去において行なわれておったのでございます。
#22
○野本品吉君 そういうことが行なわれておったのは事実なんでしょう。そういうことを行なうことについては、事業主体の責任者である県というものは、必要というかやむを得ない場合にはしようがないだろう、というような暗黙の了解を与えておったのですか、おらぬのですか。
#23
○参考人(高橋朋厚君) 私は新米でございますので断定するのは差し控えますが、おそらく少なくとも本庁におきます主管部長、課長等は承知しておったかと思うのであります。一応そういう慣行ができ上がったために承知しておったものだろう、と私は推察をいたしております。ただ知事なり部長が公文書で公式に指示したものではない、かように考えております。
#24
○野本品吉君 それから三十三年度、四年度においてまあいろいろ事態が起こったので、知事さんがいろいろと改善の方途について御心配になった。これは知事さんはどういう部局に対して主として重点を指向されて御指導なさったのですか。
#25
○参考人(鵜崎多一君) 三十四年私、就任いたしまして、先ほどちょっと御指摘を受けた就労操作の面で、多少変わったという客観的情勢が一つあるわけでありますが、その客観的情勢というのは、実は本県は非常に失対の就労者が多いというので、本県だけが盆暮れは就労増で対処して参りまして、手当は全国で出さなかったというのが三十三年までの現状でございましたが、三十四年はやはり全国平均の盆暮れの就労日で対処し、全国と同じような盆暮れの手当で処理したということでありますから、つまり平均の二十一・五日ということでありますので、三十三年以前のような盆暮れに二十五日就労――五十日就労となりますと、休ましたというようなこともあり得たかと思います。私、就任いたしましてから特に土木部が事業の実施に当たっておりますので、土木部につきましても特にこの失対の面について先ほど申しましたように、失業対策課も設け、またこれは近く、土木出張所に、主として今までは土木出張所というのは、技術の人が非常に多く占めておりましたので、主要なところに土木部に次長を置いて、そういう失対事業等の問題については、十分監督をいたしましてやるようなまあ処置をいたしているわけであります。またさらに労働部にもそういう指示をいたし、失対事業の円滑化ということについて留意させております。なお各関係の市長会、町村会の席上でも失対事業の運営については、その円滑化の点についてしばしば留意をさしておる次第でございます。
#26
○野本品吉君 ただいま知事さんから年末とか盆だとかいうようなときに、労務者に手当が十分できないので、いろいろ御苦労なすっているようなお話があった。そういうお話がありましたから私はお伺いするわけなんですが、それは三十四年の十二月の県会で七千七百万追加更正予算が組まれておる。そのうち国の経費が国費として五千二百三十二万円、人件費として二千五百六十六万、こういう予算が組まれて、その直後にそれを不用額として落とされた。こういうような、そして落とされた二千五百六十六万を負担金及び交付金として、福岡県の社会福祉協会に流して、これを失業者の労務手当として支給した。こういうようなことを実は聞いておるのでありますが、かような事実はあったのですか。
#27
○参考人(鵜崎多一君) 先ほど申し上げましたように、三十三年までは年末、盆に福岡県は就労増で二カ月、五十日、暮れは四十九日という就労増をいたしまして年末年始の問題に対処しておったのでありますが、三十四年からその就労増をやめまして、これは労働省の指示に基づきまして、普通の県の二十一・五の二カ月というような形の就労で盆、暮れをやって参ったわけであります。しかし従来盆の場合に申しますと、五十日就労、年末は四十九日を、三十年までずっと続けて参っておりまして、三十四年はそれを労働省の指示によって就労を四十三日にするということになりますと、その問題といたしまして就労を切り下げていくということは、これはなかなかできない問題でございまして、県におきましてまあそれまでは手当というものは出してなかったのであります。今までの就労の実質的な補てんをするという意味で、県費でその補てんをいたしました。これは御承知のように形式的におきましては各県は手当という名前でありますが、まあ私どもは手当ということを今までとっておりませんでしたので、また、しかし実質補てんというものを総額手当金額とするということは、なかなか今後の失対事業の運営等において、今後も続いて起こる盆暮の問題でありまするので、手当額は小額の金額を手当といたしまして支出をいたした次第でありまして、その少額の手当額をこれは慈恵的な形において支給を従来して参っておりましたのに準じまして、社会福祉協会を通じてその額のみを交付した、こういうのが実態でございます。
#28
○野本品吉君 そうしますと、従来五十日就労ということが四十三日ということになったので一週間ほど就労日数が減る。就労日数が減ると当然労務者の実際収入が減ってくるから、その労務者の実収というものが、今までよりも減らないようなための措置として取られたものである、こういうふうなことですか。
 そこでもう一つ、手当として支給することには将来のこともあるし、いろいろ問題がある。そこで福祉協会という慈恵的な団体の手を通して実質的には手当を支給した、こういうことですか。
#29
○参考人(鵜崎多一君) 今の四十三日という就労をいたすことに相なったわけでありますが、その前年までの五十日就労との間の実質補てんをしないと、従来五十日就労させてきたということで、まあその補てんをいたしたわけでありますが、その補てんは補てんということでやって、他は手当という名前は使うことを避けたわけであります。それで一部知事の見舞金として幾らでございましたか、ちょっと記憶が、……一人四百円ほど見舞金として出した、それが慈恵的な社会福祉協会を通じて出したということでございます。
#30
○野本品吉君 大体今の点についてはわかりましたが、さらにそれとの関連においてもう一点。これは私の勉強が足らないためにどういうふうに考えていいかわからないものですから。実際におやりになった皆さんには、皆さんなりのはっきりした論拠に立っておやりになったと思うので、その点をお伺いしたい。というのは翌年の三十五年の一月に六日間休んでいる。そこで六日間休んだ場合に失業手当、失業保険を六日間以上休んだものとして支給しておる。この失業保険の金は、これは県が出すわけじゃありませんですね。そこで十二月に六日だけ繰り上げて、さっきお話のありましたような形で支給しておる。それで一月の六日分の失業保険というものはどういうふうに考えたらいいか、法律関係その他を一つお話を願いたいと思います。
#31
○参考人(杉山信一君) 今の失業保険の問題でございますが、一応私どもの県では十二月に相当金も要るだろう、二十一・五日の就労もあるけれども、十二月の暮れに要る金が非常に多いということから、一月の二十一・五日の就労日数を繰り上げまして、十二月にそれを就労させるという形でございますから、一月の就労が非常に減ってくる。一月が元旦から三日までは一応休みという形でございましたので、その後には保険金がかかったという形でございまして、一月の分の就労日数を、年末という特殊な月にあるために、十二月に繰り上げて就労させたというために、一月に失業保険がもらえる日が多くなったということでございます。
#32
○野本品吉君 これは失業対策という特別の場合ですから、やむを得ない措置かもしれませんですが、大体賃金あるいは給与というものはあと払いというのが原則だろうと思う、これはどこへ行っても。そこでいろいろと労務者に対する同情から出たことだとは思いますけれども、一月分を繰り上げ支給するということが果して適当であるかどうか。繰り上げ支給した場合にその支給額を全額受け取った者がその後いなくなったとか、どっかへ行ってしまったとかいうような場合にそれは一体どうなるか、非常にこまかいことでありますけれども、念のためにお伺いしておきます。
#33
○参考人(杉山信一君) 私の説明が不十分でございましたけれども、失業保険金を繰り上げて支給したということではございません。失業対策事業の適格者の就労日数が、現在の状況では二一・五日一カ月働かせるワクは与えているわけでございます。従って十二月に二一・五日働かして、あと残った日にちの失業保険金をもらうというのが一般的なことでございますけれども、ただいま申し上げましたように十二月という特殊な月でございますので、一月の二一・五日というものから三日ないし四日というものを十二月に働かそう。従って一月の就労日数が二一・五日のところから四日ないし五日が減るという形でございます。従って十二月と一月と合わせて二一・五日の二倍の四十三日就労ということができるのでございますが、それを十二月に集めたというだけでございまして、失業保険金の先払いという操作ではございません。就労日数が各月二一・五日あるのを、十二月に二十五日ないし二十六日働かす。従って一月の就労日数がその分だけ減ったということでございます。保険金の操作ではなくて就労日数の操作でございます。というのは十二月によけいに金が要るために、十二月によけい働かしてやろうということからそういう操作をしたわけでございます。
#34
○相澤重明君 今の説明を聞いていると、結局各月毎月の平均が二一・五日、ところが十二月は金も必要であろうし、年末でもあるということで、それが二十五日なり二十七日働かせる。従ってその働いた日だけの金を払う。そうすると一月分が食い込んで、一月分が十五日なりないし十七日になる。そうして一月の稼働日数が少ないからそれだけ保険金が一月にふえる、こういう意味ですね。
#35
○参考人(高橋朋厚君) なお蛇足でございますが、私からもう一度申し上げますが、政府の今の方針が二一・五日働かすということに対して、かりに三日プラスをいたしまして、十二月に二四・五日働かしたとしますと、十二月の失業保険を受ける者がそれだけ減るわけでございます。御承知のように保険法では断続五日、連続三日、こういう要件がございます。ですから十二月には私自身は保険金はもらえたかもしれませんけれども、知事の親心でよけい働かしてもらったからもらうべかりし保険金がもらえなかった。しかし一月に入ると逆であります、繰り上げて現実に一月の分で三日なら三日をすでに十二月で働いている。従って一月は二一・五日マイナス三日ですから一八・五日しか働かない。私はこういうことになる。従って各人によって状況が違いますが、場合によりますと私の失業保険金はもらえて、しかも日数は少し多いかもしれません。こういうことでございます。まあ十二月にふくれてそうして一月がへこむということでございますが、安定課長から申し上げましたように、保険金を前払いする問題でもございませんし、それから働かぬ者に金をやるわけでもありませんで、十二月に現実に働かすわけでございます。
#36
○野本品吉君 私その点はこまかく考えてみたいと思っております。
 そこでもう一つお伺いしたいのは、失対事業が終わると実績の報告書を出しますね。皆さんが実績報告書を出す場合には、年来そういう事態があったのだからかような事態はことしはあってはならない、というような気持で実績報告書を作成、提出する場合に、そういう点についての検討をお加えになっておりますか……。かりませんか、それじゃもう一度、こういうことです。失対事業が終わりますね。そうすると報告書を出しますね、それに基づいて金をもらいますね、そうでしょう。その皆さんの方から実績の報告書を出す場合に、今まで会計検査院からやかましくこういうことを言われてきておった。そういう事実は今度はないであろう、またあらしてはならない、そういう角度から実績の報告書の作成に当たったかどうかということです。
#37
○参考人(高橋朋厚君) 今お話しの点はそういうつもりでやっております。なお蛇足でございますが、市町村の実績報告書につきましてもさような角度からも努力はいたしておるつもりでございます。
#38
○野本品吉君 そういう角度から実績報告書を作られたけれども、それはその中に誤りがあった、こういうことですね。そういう誤りが積もり積もって私の計算では、六カ年を通じて返還した額だけといたしましても、六百十二万四千八百円という数字になるわけです。もし、そこでそういう報告書が出て……労働省はどなたが来ておられますか。
#39
○委員長(佐藤芳男君) 労働省は官房長、和田会計課長、それから松永失業対策部長、三名出席いたしております。
#40
○野本品吉君 そこでこれは参考人に聞くことではありませんが、労働省からおいでになっておるそうですから一緒に研究する意味でお聞きしたいと思うのだ。それはそういう実績の報告書が労働省へくると、労働省ではだれがどこで審査するのですか。
#41
○説明員(松永正男君) 実績報告書が出て参りますと、労働省職業安定局の失業対策部の業務課でまず審査をいたします。業務課で実態的な審査をいたしまして、これがよろしいということになりますと会計に回しまして、会計で会計法に基づく手続をいたします。
#42
○野本品吉君 それで今まで何年もにわたって、労働省はそれでよろしいということを言ったわけですね、それでよろしいと。そういうことになりますと、労働省の実績報告書に対する検討を加える点において、注意が足らなかったとかあるいは疎漏の点があったとか、目こぼしがあったとか、そういうことになってくるわけですが、そうですね。
#43
○説明員(松永正男君) 結果におきましては不就労者に対しまして賃金を払っておる、ということが事実上出て参ったわけでございますので、結果におきましてはそういうことになるわけでございます。しかし、実際の取り扱いといたしましては、出て参ります書類で審査をいたしますけれども、不就労者に対する賃金というものは、個々には出て参りませんので、一般的に別の角度から就労者に対する賃金の支払いについては、先ほど来御説明がいろいろありましたように、そのつど注意をいたしておるわけでございますけれども、現実に出て参ります実績報告書は一括して出て参るわけでございますので、それについて就労者を一々調べるということは実際にはできないような状態になっております。
#44
○野本品吉君 それはちょっと私には納得できない点なんですね。労働省から失業対策事業補助金決定通知書というのを出しますね。その補助金を交付する場合に、補助事業者は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律云々ということで、命令及び通達に従がわなければならない。そこでお伺いするのですが、との補助金等の適正化法によりますと、現場の立ち入り検査もできるわけです。それから書類を徴して事情の調査もできるわけである。労働省はそういう現場の立ち入り検査とか、あるいは質問等こういう措置が一体とられておりますか。従来。
#45
○説明員(松永正男君) 失対事業の実施の状況につきましては、中央に九人の失対事業の専門の監察官がおり、地方に百八人の監察官がおります。常時これを動員をいたしまして立ち入り検査、帳簿の検査、実地の失対の実施現場の監査といったようなことを計画的にやっております。それからまた、随時、問題がありました際に監察官を派遣いたしまして、監査をするということをやっておりまして、その結果によって、是正すべきものを是正するということはいたしております。
#46
○野本品吉君 そこで、中央失対事業監察官、それから都道府県に地方の失対事業監察官を置いて、そうして常時やっている、こういうことなんですが、私は、失対事業というものはなかなかむずかしいものだということは、これはだれでもが考えているので、従って、それをやかましく取り締まるという意味でなしに、失対事業関係で問題を起こさせないように相当細心な注意を払い、厳重に指導することが、失対事業を育てるという意味において最も親切なことだと思うのですよ。そこで、福岡県で累年こういうことが起こっているときに、地方監察官から労働省に対して何か具体的な報告あるいは情報の提供等がありましたか。
#47
○説明員(松永正男君) この失業対策の監察並びに指導につきましては、先ほど監察の面を申し上げたわけでございますが、大体失業対策事業就労者を紹介いたす面は安定所が担当いたしておりまして、事業を実施する面は県並びに市町村の地方公共団体が担当いたしております。従いまして、監察による常時監査というものとあわせまして、たとえば、私は三十四年に失業対策部の方にかわった者でございますが、われわれとしては事業主体の親切な相談役にならなければいかぬということで、各ブロック別に事業主体を集めました会議を計画いたしまして実施をいたしました。それから安定所は労働省の出先でございますけれども、直接本省と安定所の係とがひざをまじえて具体的な仕事の打ち合わせをするという機会は必ずしも多くないのでございます、予算その他の制約もございますから。これにつきましても、失対事業の事柄の性質からいたしまして、やはり本省と安定所とが直接話し合いをして、問題をできるだけスムーズに解決していくという趣旨から、安定所長のブロック会議を計画いたしまして、これも昨年から実施をいたしております。そういう監察と、それから事業主体側の指導、相談、それから安定所との密接な連絡、こういう三つの方法によりましていたしております。
 具体的に、福岡県並びに福岡県下の市町村の事態につきましては、本省から行きました監察官、それから地方で県におります監察官が、市町村を監察した結果、これの報告、連絡というような面で、就労者の賃金の不当な支払い、あるいはそういう事態、その他の問題がございますが、そういう事態をめぐっての労働団体との交渉といいますか、紛争といったような事態は、刻々連絡が入っております。
#48
○野本品吉君 次に、福岡県の事業主体関係の方にお伺いするのですが、これは緊急失業対策法の十七条によりますと、次のように規定されているわけです、御承知り。「公共職業安定所長は、事業主体又は施行主体が、この法律又はこの法律の規定に基いて発する命令に違反すると認める場合には、文書で、当該事業主体又は施行主体にその旨を通知しなければならない。」、こういうことが緊急失業対策法の十七条に規定されているわけです。従って、この法律の規定が生かされている、生きているということになれば、事業主体であります福岡県に対しましては、当然公共職業定所長から文書をもって、こういう点がうまくない、こういう点に誤りがあるということの連絡があったはずですが、それはどうですか。
#49
○参考人(高橋朋厚君) お答え申し上げますが、文書でやった例は少ないかと思いますが、安定所から、施行主体、事業主体としての性格を持っておりまする土木、農政部等でございますが、そこの土木出張所長あるいは本省の責任者等に口頭で連絡をしたこともございます。また、安定所からわれわれ労働部局の所管課長なり私の方へ連絡がありましてから、市町村の場合あたりですと、市町村の助役さんとか市長さんとか、所管部長等に口頭で注意を促すというようなことは恒常的に行なわれておるわけであります。にもかかわりませず、かようなことが過去において出ましたことについては恐縮いたしておるわけであります。今後十分努力して参りたいと思います。
#50
○野本品吉君 この十七条に、特に「文書で」と断わってあるのですね。これはよほど重要なことだと思う。あれだけの事態が年々繰り返されておるときに、口頭では、うまくないぞぐらいのことがあったというので、文書でされておらない。これは皆さんを責めるわけではありません、公共職業安定所長ですが、特に法律で「文書で、当該事業主体又は施行主体にその旨を通知しなければならない。」というこの規定に忠実でないという判断を私はするのですが、皆さんはどうお考えになられますか。
#51
○参考人(高橋朋厚君) 御指摘の通り、法律に条文で明記してあるのにかかわらず、文書で常時やっていないということにつきましては、御指摘の通りだと思います。今後十分改めて参りたいと思います。
#52
○野本品吉君 これは職業安定所長の手落ちであるわけですが、もし地方の職業安定所長から、かような点についてそのつど文書で具体的に強い注意等が行なわれておれば、福岡県の誤りももっと少なくなっておるのじゃないかと、こうも思うのです。従って、これは皆さんを責めるわけではありませんけれども、先ほど申しましたように、職業安定所長が法律の規定に忠実でないという判定をいたしたいと思う。
 そこでもう一つお伺いいたしたいのですが、失業対策の金の支出担当官でありますが、これは当面の担当官は労働省の職業安定局長である。それから労働省からの委任によりまして、地方の支出担当官は県の出納長であろうと思う。そこで、やっぱりああいう事態が繰り返されて、それを知らずに支払っておるということについては、それは判このついた書類が回ってくるのだからやむを得ないと言えばそれまででありますけれども、やはりその辺にも一応の注意があってしかるべきじゃないか。やはり県の委任された支出担当官としての出納長というものは、間違いがないか、去年のようなことがないかというだめ押しを相当きつくしてやるべきだと、こう思うのです。そういう注意はせられておるのですかね。どうでしょう。
#53
○参考人(高橋朋厚君) 私は、出納長の責任はないのでございますが、今日の公務員といたしまして、当然さような心組みで仕事をいたしておると思います。
 なお、私ごとになるようでありますが、各府県の労働所管部長が支出負担行為認証官になっております。認証官におきましても、さような気持でやっておるわけでございます。ただお言葉の中にも、ちらっと出たのでございますが、二時間職場離脱をしたということで、それを現場監督がうっかりしておって、賃金台帳、伝票等へ書きましたものが、だんだんと集約されて、まとまった総合計で、一つの書類になってきた場合に、見がたい点もありまするので、先ほど労働省の失対部長の方からもお話がございましたが、やはり書面審査のみでは御指摘のように十全を期し得られないと思いますので、私どもは他の方法を併用することによって、すなわち、県にも失対監察官もいるわけでございますから、また必要があれば、本省の者が指導の意味で現場へ出かけていって、賃金台帳までくって見るということを、でき得る限り今後も努力して参りたい、かように思っております。長くなりましたが、出納長も労働主管部長も、心がまえはできておりますけれども、事実漏れがない、百パーセント漏れがないということは断言できませんので、あらゆる角度から努力をして参る、こういうふうにいたしたいと思います。
#54
○野本品吉君 私がそういう点を、こまかいことを言うようでありますが、これは結局、もし会計検査院からの指摘がなければ、先ほど来申しますように、少なくとも六百万をこえる国損というものができておるはずなんです。そこでその国損は、私が申すまでもなしに、国民の血税によって負担される。そこで発見されずにずっと通ってしまいますと、この金というものが非常に不正不当に使用されておる、こういう事態に対して、日本の政治機構の上において一番の欠陥は、一体この責任はだれがとるのかということ、どこのだれが責任をとるのか、それがきわめてあいまいになっておる。これはどういうふうに考えますか。これはまあ労働省の部長にお伺いするのはちょっと無理かもしれませんが、とにかく見のがして一切通ってしまって、六百万の穴があいた。その六百万の穴があいたということに対する責任はどこでとるのか。そういう事態を起こした一連の行政機関の関係者のどこがとるのかということになって参りますというと、これは相当考えさせられる問題であります。失対部長、どういうふうに考えますか。(「委員長、大臣を呼んできてただしなさいよ、一部長からそんなこと聞いたって仕方がない」と呼ぶ者あり)
#55
○説明員(松永正男君) ただいまの御質問でありますが、一般的に申しますれば、関係者全部の責任であると思います。ただ会計法あるいは補助金適正化法等の法律上の責任は、それぞれ、たとえば福岡県という事業主体がこのような支払いをした場合には福岡県の責仕であるということが言えます。それから行政上の問題といたしましては、福岡県あるいはその他の市町村にいたしましても、これを指導し監督する立場にあります県あるいは労働省、これが監督指導が不行き届きでありますという意味におきまして、労働省、府県も責任者であるということが言えると思います。
#56
○野本品吉君 ただいま同僚委員の中から声が出ましたが、私は今の部長の意見は一応参考として承っておきます。これは単に失対事業だけでなしに、日本の政治全体の問題で、行政責任の所在を明確にするということによって、政治の筋道が通ってくるように思いますので、後刻また、ただいまの答弁に基づきましてさらに考えてみたいと思っております。
 次にお伺いしたいのですが、時間がなくなって失礼ですが、もう少々ごしんぼう願いたいと思います。
 昨年福岡県へこちらから視察に行きました方々が、福岡県の財政という印刷物をいただいて参りました。その他、福岡県関係の幾つかの書類もいただいて参りました。特にこの失対事業関係のことにつきまして、その中に、何と申しますか、労働者の組合というものが非常に強いので、なかなか苦しんでいる状況が書かれているわけです。それから、先ほど私が読みました労働省から福岡県知事にあてられました通達の中にも、それをはっきりいわれている。そこで私は、その福岡県の何といいますか、いわゆる全日自労といいますか、あの労働組合の状況につきまして、組織とか、あるいは運営とか、それに対します、いつもその方々を相手にして仕事をされている県当局のお考えになっている点をお伺いしたい。
#57
○参考人(高橋朋厚君) 便宜私からお答え申し上げますが、非常に先生方に御心配をかけていることと思いますが、二段に分けて申し上げたいと思います。
 私どもの経験からいたしますと、福岡には二万八千人の今適格者がございますが、やはり過半数の人たちはまじめである、経済的には非常に困窮しているが、非常にまじめであるという人たちが大部分だと思います。端的に申しますと、各段階におきまする指導者と申しますか、幹部の言動につきましては、かなり行き過ぎがあるのではないか、私はかように申し上げてはばからないと思います。
 それから組織というお言葉も出ましたのですが、私の方は、全日自労と全民労と二つございますが、八四、五%までは全日自労の方の系統でございますが、県支部が一つと、各地区に分会が二十五ございます。それで先生方もすでに御承知のように、全日自労の県支部と全民労の県支部との考え方、イデオロギーなり行動というものにつきましては、かなり差があるのであります。私が前段に申し上げました自労の労務者の幹部に非常に行き過ぎの面が見受けられるという意味のことを申し上げましたのは、主として全日自労の方であります。
#58
○野本品吉君 その全日自労の方々といろいろ仕事をなさったり、いろいろな交渉をしてきている。その交渉、折衝の過程において、実際の行動その他で、全日自労の性格というものを明らかにできるような事態がいろいろおありだったと思う。そこでその実際の状況を一つ具体的にお知らせ願いたい、お話し願いたい。
#59
○参考人(高橋朋厚君) 大へんむずかしいあれでございますが、まず、前置きといたしましては、御承知のようにかなり経済的に、例外なしに経済的に窮迫しているという関係は前提として考えてやらなければいけないと思うのであります。従いまして、知事あるいは部長、課長、主管部長、課長等と話し合います。向こうは団交――団体交渉と称しておりますが、私どもはしよっちゅう会っておりますけれども、お話の点は、どうも態度とか言葉が不謹慎のみならず、感情に走る傾向が多分にある。それから幹部諸公が、先ほども申しましたように、かなり強引な指導をやるために、言葉はまずいかもしれませんが、利益につられて幹部の諸君に盲従して引っぱられていく、こういう傾向は多分にあるかと思っております。
#60
○野本品吉君 今の点については、知事さんなんかずいぶん御苦労なすっておると思うのですが、どんな状況なんですか。
#61
○参考人(鵜崎多一君) 今何か事務的な話を労働部長がいたしましたが、簡単に全体の県内のそういう環境について申し上げます。
 今申し上げましたように、失業対策に登録されている員数は二万八千ございます。そのほかに今日十四万八千、約十五万、県において生活保護を適用いたしております。これは御承知のように日本全国で、福岡県は、失対事業の量につきましても、生活保護の適用につきましても非常に大きい県でございますが、さらにそういう一般失対の適格者というもの以外に、昭和三十年から三十五年までに年々一万五千から二方、的確な数字は三十年から三十五年までには八万四千八百人の石炭関係の離職者が出ておりまして、そういう離職者並びに生活困窮者に就労の機会を与えるということを私どもも力を尽くしておるのでありますが、そのうち県においてできるだけ就労の機会を与えたい。もちろん人口からいうと、東京都よりも、福岡県は四百六万でございますから小さいのでありますけれども、県内就職の雇用は非常に少ないという、これは福岡県の御承知の特徴でありまして、基礎産業、八幡製鉄初め大きな企業がございますけれども、地元産業がないというところで、一度離職いたしますと、県なり市町村が就労の事業をやりませんと、その就労の機会が非常に少ないという現状でございまして、今の一般失対事業、特別失対事業、臨時就労事業、石炭離職者の緊急就労事業、国費と県費をあげまして今日対策し、その額は御承知のように五十億以上をこえておりまして、単独県費の負担も非常に多いわけであります。ちなみに、先ほど私ちょっと石炭関係の離職者のいろいろな失業者の対策に、単独県費を使っておりますという金額をはじいてみたのでありますが、八億六千万は単独県費事業、これについてはまだ十分県の基準財政収入等にも入れてもらえない、県の随意の支出負担という形にもなっておる現況でございます。そういうところで臨事の就労事業をやっておりまして、さらに一般職業紹介、広域職業紹介というものをやっておりまして、御承知の臨時措置法で、三十四年は日本全国、労働省がごあっせん願いまして、広域職業紹介は二千五百人、三十五年は伸びまして四千七百人、ことしはさらにそれを伸ばそう、こういうことでありましても、いわゆる県外の、日本全国の就職に出るのが、福岡県から見ますと四千七百人程度、でありまするから、相当失業者、生活困窮者が滞留いたしておるわけであります。
 そういうところに、失業対策の適格者、またそれの事業を受けたいという者が自由労働組合を結成いたしまして、その失対事業の受けられるようにということで、労働組合が結成されておるのでありまして、それらの組合と、事業の主体である県としばしば交渉をいたして、私も、知事みずからそれに当たる機会も非常に多いわけであります。例を申し上げて恐縮でありますが、私、二日、三日徹夜して解決するということは決して少なくないわけでありますが、しかし、いろいろ行政的の考慮をいたしまして解決して参っておりますが、なかなかまだ盆暮れの手当等の問題につきましても、各府県まちまちでありますし、また、市町村につきましても基準がない現状で、その点について非常に苦慮しておりますが、先ほど申し上げましたように、ほかの県におきましては、いろいろそういう手当を出しておりますが、福岡県は、先ほど私が申し上げましたように、見舞金として考えたのが一人当たり四百円という、全国の平均から見ますと非常に少ないといわれている状況でございまして、これらの今後の指導については、私どもも十分行政に全力を尽くしまして、いわゆる困窮者のための対策、また、失業対策として就労いたしておりますが、それについての操作、またその失対事業が円滑にできるようにという点については、今の制度を中心に全力を尽しておりますが、なお、国において改善していただかなければならぬという点も多々あると思っております。
#62
○野本品吉君 福岡県が非常に失業者が多い、それに加うるに急激な炭鉱の離職者が出るということで、いろいろ御苦労をなすっているということは、福岡県の財政という印刷物を見せていただきましても、私はここに書かれている限りにおきましては、大体承知をいたしているのであります。かつての富裕県が現在は赤字の県になっているということでありまして、私どもとすれば、実に驚き入っているわけです。そういう中でいろいろな問題を処理されているのですが、そこでこれは先ほどもちょっと申しましたが、福岡県の当局も、今後失対事業のいろいろの問題を是正して、筋の通った行政をしていくためには、強い態度でこれらの労働者と折衝しなければならないということが、何か皆さんのお書きになったものには書いてある。それからして、労働省からは、先ほど読み上げましたように、つまり労働組合と申しますか、そういう労働組合の圧力の前に福岡県が屈しているというようなことを書いている。いろいろそれこれ総合いたしまして、私は福岡県の今後の失対事業の問題を正しいルールの上に乗せて、スムーズに運営するためには、相当の努力を重ねなければならぬという判断を実はしているわけなんです。そこで知事さんとしては、今後それらの問題について、先ほどもお話がございましたが、どういう態度で具体的にどうやっていくかということについてのある程度のお考えがあるのではないか、ありましたならばその点をお伺いしたい。
#63
○参考人(鵜崎多一君) ただいま御質問ございました福岡県の財政は、今までに比しまして決して楽ではございませんけれども、私微力ながら、三十四年、三十五年決算におきましても、やはり健全財政の編成をいたしておりまして、今日許された地方行政の中で、健全財政という中で、私は県民を貧乏から守られた生活ができるようにという意味で、社会保障的な事業を優先的に考えておるというのが私の県の行き方の現状でございます。その点、三十四年、三十五年は若干の黒字を出しておるわけでございます。なお、今後、そういう自由労働組合の圧力に屈していはしないかということは、いろいろな点で私は聞かされておりまするし、いわれてもきておりますが、しかし、県の知事といたしまして、決して屈しておるというのではなく、今のような財政、その健全財政の上に、またこの失業対策事業も、今労働部長がずっと申しておりましたように、やはり国の指示のもとにその失対事業の円滑な運用をやっていく。ただその運用をいたしますときに、現実三万に及ぶ失業者を円滑に失対事業をやっていくというところには、いろいろ手を尽くさなければならない面がございまして、そういう点に苦慮しておるわけでございまして、実は自由労働組合とも、ただいま交渉のルールは、私も今両方話し合って、ルールについてはきめておるというような姿でおりまして、ある程度のいろいろな困難な問題がありましたが、ルールをきめて、自由労務者と県当局との交渉はするということに今いたしております。
 それから失対事業につきまして、私の今ちょっと二、三点改善について希望いたしております点を申し上げますならば、今の制度において、できるならば盆暮れ等の手当は、国において、むずかしい問題と思いますが、一本にしていただくということは、これは私は市町村の、県はもちろん、非常にいいことであります。また幸い国も手当を出しておられるのでありますが、今日出されておる国の問題と、また県の出しておる問題と、市町村が出しておる問題が、みな別々になっておりますので、そういう点は改善をしていただきたいということが一つでございます。
 それから第二は、今のように失業対策事業の適格者としておるものは非常に多いのでありますけれども、それを全部就労させるというようなことになっておりません。もちろん、その内容をいろいろ検討いたしますと、いろいろ取捨選択すべき問題も残されておりますが、現況といたしましては、常に、二万六千にふえたから、今までの二万五千を一千ふやして二万六千にして、それでもまだあと残して進んでおるというようなことで、次々に、二千人ふえておるから、それをまた何とかしなければならぬということでやりくりしてきておるということ、この点は決して私、物の問題と人の問題は同じ問題とは考えておりませんが、私ども物のいろいろな貿易をする場合におきましても、ある程度十なら十のものを動かすには、ノーマル。キャリオーバーというようなものもなければ、それの円滑な推進ができませんので、百なら百を動かすについても、あるいは県当局にノーマル・キャリオーバーというものを持たしていただきますならば、私はもう少し円滑な失業対策事業を推進できるんじゃないか。今はただふやす、ふやしても、なおある程度、百人いるところに二十人だけふやして、またあとは来年だ、こういう苦しいやりくりで進んでおりますので、なかなか改善対策というものができてない現状でございます。
 なお、私どもも一番頭を痛めておりますのは、月雇い制度という、こういう日雇い制度の失対事業でございますけれども、現状は相当、数年にわたる継続的に従事しておる者が非常に多い現状であります。私ども、その何と申しますか、新陳代謝ということについて努力いたしたいと考えておりますが、現実は、本県におきましては二%程度の自然の新陳代謝がございます程度で、やりくりはその程度、しかし、その点については非常にまだ今の制度でそれをやるということは困難な情勢でございます。従いまして、それを改善いたしますには、私は生活保護を失対よりも有利な形に制度化していただきまするならば、失対事業の運営は円滑にいき得る方途はあると、そういう点を考えております。
#64
○小柳勇君 今の野本委員の質問に関連いたしまして、一つ労働省にお伺いいたしますが、この資料の一面に、「昭和三十五年九月十九日付職発第八八九号、労働省職業安定局長より福岡県知事あて通達」が出ております。この四行目に「なかんずく日雇労働攻勢に押された事業主体の安易な事業運営が何等の反省もなく繰り返されていることに起因するものであると考えられる」、このような断定的な書面が出されておる。従って、今野本委員もこれによって質問されたと思うのだが、今知事も答弁されたように、簡単に全日自労の労働攻勢がひどいから、それに負けてやったということでなく、何とか生活を見てやらなければならぬという苦労が今日の事態を招いておると考えるのだが、このような断定するような書面を出して、これは私は県知事に対してまことに不遜だと思うのだが、職業安定局長には別の機会に質問いたしまするが、どういう資料でもってこのような断定した通知を出されたか、答弁願いたいと思う。
#65
○説明員(松永正男君) ただいま福岡県下の情勢につきまして、知事さんの方から御説明があったわけでございますが、現実の姿といたしまして、現在失対事業就労者のうち、全日自労の傘下に入っております人数は約二十二万ほどの数になります。そのほかの労働団体もできておるわけでございますが、大部分の組織されたものは、全日自労の傘下に入っておるという現状でございます。この全日自労の方針といたしましては、終戦後ずっと方針がいろいろ変わってきておるわけでございますが、最近におきましては、賃金闘争を主体といたしまして、一日賃金六百円、二人世帯で一カ月一万五千円、これを主眼といたしまして、この賃金を獲得するという方針のもとに全国各地で運動を展開しておるわけでございます。一般の労働運動と異なりまして、失業者を主体とする労働組合でございますので、その運動の手段といたしまして、ストライキをやるということは事実上の意味といいますか、効果というものがございません。そこで労働運動の中にはもちろん入ると思うのでございますが、労働組合と称しておりましても、一般の労働組合の戦術なり何なりとは異なりまして、主として事業主体でありますところの市町村並びに府県、それからこの計画をいたすと同時に監督をいたしますところの労働省――労働省、府県、市町村という関係の、その中の主として担当者、これに対しまして、相当多数の人数をもちまして、いわゆる団体交渉と称しまして、陳情なりあるいは要求なりをするという形態で運動が進められているわけでございます。
 私どもも、もちろん当事者といたしまして、しばしば全日自労の幹部あるいは全国代表、あるいは府県代表という方々とお会いをするわけでございますが、各地におきまして暴力的な行為というものは、過去に比べては数が少なくなってきております。しかし実際には、たとえば各府県の議会の議場を占拠をいたしまして、議事の運営ができなくなるというような事態もございますし、市の責任者でありますところの市長をカン詰にして、長時間にわたって、いわゆる交渉を繰り返すという事態もございます。そのような激しい形の運動が繰り返されていることは事実でございます。
 現実の問題といたしまして、ただいま知事さんから御発言がありました、お盆及び年末手当の問題につきましても、国で全部これを負担するようにという御希望でございます。もちろん財政的な根拠も理由でございましょうけれども、これが年中行事として繰り返されまして、各府県、各市町村の責任者が、交渉の矢面に立つという事態が同時にあるわけでございます。
 この問題については、労働省におきまして、国の処置といたしまして十五・五日分の手当を予算上組みまして、これに三分の一地方負担でもって予算を執行いたしているのでございますが、そのほかに、各府県並びに事業主体である市町村が単独負担をいたしまして、そのほかに、それぞれの事業主体の単独負担として手当を出しているという現状でございます。これにつきましては労働省といたしましては、国がきめた十五・五日なり何なりの以上に府県、市町村が出す必要はない。むしろ出すべきでないという態度をとって参ったのでございますが、各府県なり市町村なりにおきまして、現実にまあ手当を出しているという状況でございまして、それは結局、各地におきまして、そういうような情勢になった結果、労働省が、地方負担の手当につきまして干渉することは不当である、地方は地方の意見において、出したいものは出したらよかろうという意見が強くなりまして、二十七年の衆議院並びに参議院の社会労働委員会におきまして、労働省は、地方が負担する――単独負担する手当については、干渉しないという御方針によりまして、現在、国の負担に基づく手当のほかに、市町村なり県なりが単独負担をしているという現状でございます。
 で、ただいま知事さんの御意見がございました、そういう具体的な一つの事柄をとりましても、県なり市町村なりの当事者、責任者が、との全日自労の組合との交渉あるいは会見において、相当の御苦労をされておられるということは、これは間違いのない事実でございます。
#66
○小柳勇君 私はそんな一般論を聞いているのじゃないのです。このような書面を出されたのは、この三十三年度の決算報告を見ても二十二件あります、失業対策事業の補助金の当を得ないものが。それで、その二十二件全部に、このような書面を出されたのか。あるいは特に福岡県だけに、このような断定をして、県知事が全日自労の労働攻勢に負けてだらしなく出したのだと、間違ったのだと、こういうようなことをやられたのか、やったとすれば、そのような具体的な資料はないかと、こういうことを聞いているわけです。
#67
○委員長(佐藤芳男君) なお松永部長に申し上げますが、きわめて簡潔にお願いをいたします。
#68
○説明員(松永正男君) 非常にいろいろ微妙な複雑な関係にございますので、つい言葉が長くなりまして、恐縮でございます。
 この通牒につきましては、県知事あてに出したわけでございますが、事業主体としての県に対する意見と、同時に管下の事業主体である市町村の指導についての意見と、二つございます。この両方を含めた意味でございます。
#69
○小柳勇君 そんなことよりも、二十二件あるが、福岡県だけでなくて、同じようなのが二十二件あるが、この二十二件にもお出しになったのか、福岡県だけにお出しになったのか、これが一つ。
 それから福岡県だけに出されたとするならば、そのような実態の把握なり、団体交渉の実態なり、労働省で見に行って、具体的な資料があるからお出しになったか、このことを聞いておる。
#70
○説明員(松永正男君) この通牒は、毎年繰り返して、このような事項を指摘されておるということに、連続指摘されておるということにつきまして、福岡県知事に出したものでございます。ほかの県につきましては、出してございません。
 それから、ただいまの日雇労働攻勢の問題につきましては、具体的にどこでどういう事件が起きたから、どうというようなことではなくて、それにつきましては、県下の情勢を刻々報告をいただいておりますので、具体的な事実は、今ここには持っておりませんけれども、過去何カ年かの実績はございますが、これがこうだからということではなくて、全体を概観いたしましての意見でございます。
#71
○小柳勇君 それじゃ今、福岡県知事の答弁を聞かれて、立案責任者であるあなた、あるいは職安局長には、あとでまた質問いたしますが、この書面が、そのままであったと御判断になったのか、あるいはこれは不遜であったと御判断になったか、あなたの意見を聞いておきたいと思うのです。それであと労働大臣並びに職安局長には、別の機会に質問いたしますから、私の質問は、これで終わります。答弁願います。
#72
○説明員(松永正男君) ただいまの小柳先生の御意見で、福岡県知事に対しまして労働省が失礼であるというようなことが、この文章の調子から出て参りますれば、私どもの不明のいたすところでございまして、これはお詫びをいたします。ただ、われわれといたしましては、事態の改善を一日も早くやりたいという熱意に燃えまして、この文章を書きましたものでございまして、当時これを差し出しましてお受けになりました福岡県からも、具体的な改善計画につきまして、早速検討して文書が出ております。ただいま労働部長から説明をされたような内容でございますが、その間のいきさつから判断をいたしまして、福岡県知事さんが、これを不遜である、あるいは失礼であるとお受け取りになったということは、今まで考えておりません。
#73
○野本品吉君 今、全日自労の問題が、はしなくも出まして、いろいろと論議されておるわけですが、私もその点につきまして、ちょっと思い浮かんだことがありますので、ちょっとこれは知事さんにお伺いしたい。
 それは私は、実はあなたが非常に御心配になったであろうと思います三井炭鉱の労働争議のときに――三井三池の――実は一週間ほど大牟田におりました。で、いろいろと第一組合、第二組合の動き、それからして会社と組合との問題、警察その他のことについて、詳細に調べてみたり聞いたりしたわけです。そのとき、ちょうど私が聞きましたので、そんなことあるまいと、こう思っておりましたのが、あの争議の途上において、福岡県の知事さんが第一組合の大部分でありますか、全員でありますかはしりませんが、たばこを贈られた、そういうことを耳にしたわけなんです。そういうことは、事実おありになったのですか。
#74
○参考人(鵜崎多一君) 今御質問になった点は、県会でしばしば言われていることです。ただ言われているということだけでございまして、御承知のように、三池のあの大きな問題は福岡県に起こりまして、福岡県知事としては、御承知のように、しばしば中労委のあっせんを政府にもお願いして、あの解決にいったという、これは客観的事実でありまして、三池の労働組合に、年末のお見舞をするということは、たばこをお見舞するととは、争議と関係なくお見舞したことは、これは県会でも私はいたしましたと、しかしそれが、しばしば問題と結びついて言われていることも事実でございます。
#75
○野本品吉君 私は、まあ当時お考えがあってのことと思いますけれども、あの当時とすれば、知事さんのお立場というものは、いわゆる居中調停といいますか、あっせんという、そういう立場にあられたと思うので、私自身も、当時現地で聞きまして、これは第一組合を支持し、激励するというような印象を第二組合に与える、あるいは事態の安定を一刻も早く望んでおります一般の者に与える印象としては、私はあまりいいことじゃないなあというふうに実は考えてきたんで、これはあなたと私の見解の相違でありますから、議論をするつもりはございません。
 ただ、そういうようなものの考え方が、ややともするというと、今の、ややとの軌道をはずしやすい全日自労の諸君等に与える精神的な影響と申しますか、そういう点もあわせて考えるべきである、われわれとしては、そういうような気持を持っておるということだけを、もう時間がありませんから、あなたと意見の交換をすることは避けまして、そういう事実のあったことと、その事実が、どういう影響を与えておるか、それから軌道をはずれて行動するような全日自労に、どういう精神的な影響を与えたかということにつきまして、一応、私の関心事であるということだけを申し上げておきます。
 最後に私は、この問題は、委員会でも前に申したのでありますが、金額の多い少ないとか、あるいは特殊な福岡県の事情があるからということでなしに、切り離して、行政というものが、どうしたならば折目がつくか、どうして行政の筋を通すかという角度から、この問題を眺めますというと、これは黙っておれないということになったので、私は、やや力こぶを入れたわけなんです。そこで、これは知事さんは、十分御承知だと思うのでありますが、これはもう時間がありませんから、簡単に申し上げます。地方自治法の百三十八条の二には、執行機関としての知事さんの義務づけがされておるわけです、御承知の通り。で、この冷たい法律から、法律だけから、今度の問題を見ますというと、この規定されております、知事さんの誠実に国の事務を管理、執行するということが、地方自治法の百三十八条の二の規定であります。そこで、この法律の文面からだけを見ますというと、私は、好ましからざる事態が累年起こっておるという点から見まして、法律の求めておるような、誠実に管理執行されておらないというそしりも免れないと、かように考える。それからして職業安定法の第七条に規定されております文面から見ましても、知事に与えられた権限というものが適正、確実に執行されておらないという、こういう批判も起こってくるであろうと思います。さらには補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律、その第十一条、それからして第三十条、この両条文に照らして、この事案を見ましたときに、そこにも、また問題がないとは言えないと、こう思う。さらに最後の問題でありますが、国家行政組織法の十五条の一項であります。これは、まあ国の方針というものに対する知事さんの立場を明らかにしておるわけでありますが、この国の各省庁の大臣の指揮監督のもとに、十分な知事の職務執行が行なわれておらない最後のぎりぎりの規定といたしまして、御承知のように、ある手続を経て、総理大臣が知事の罷免ができると、こういうような規定のありますことは、もうしろうとの私が申し上げるまでもありません。私は、全般を通じまして、年々繰り返されておるという、そのことが問題なんで、その繰り返されておるという事態を、今申しましたような、いろいろな法律の規定に照らして考えますときに、知事さんといたしましても、いろいろと考えなければならぬ点があるだろうと、老婆心と申しますか、私の気づいた点を率直に申し上げます。
 先ほど質問の途中におきまして、非常に力強い御発言が部長さんからございました。三十五年度には、絶対にかような事案は起こらない、起こさないと、この御発言に対しまして、私も絶対の信頼をかけ、また期待を持っておるわけであります。いろいろと複雑な情勢の中で、この問題を処理されます御苦労のほどは、私にもよくわかりますけれども、問題は、やはり法律というものの筋の通った行政にしたい、行政であってほしい、こういう点を特に考えたものですから、いろいろと申し上げておるわけです。時間がありませんので、いろいろとこまかい点について御質問申し上げ、意見の交換をすることができませんですが、結論的に、先ほど来申しましたような法律の各条章に照らして、知事の立場として、どうであったかということについての一応の反省と御検討を願い、同時に、先ほどの部長さんの自信満々たる、三十五年度は絶対にないという、その言葉に全幅の期待をかけまして、敬意を表しまして、私の質問を終わりたいと思います。
#76
○谷口慶吉君 昨年の正月、福岡県に私が行った、その関係で、ちょっときょう、資料と照らし合わせましてお尋ね申し上げたいのですが、私が参りましたときには、今の高橋部長さんじゃなくて、雨倉部長さん、その方が部長さんをしておられた時代でありました。ですから、今度の部長さんの先ほどからの御答弁を承って、ほんとうに野本委員じゃないですけれども、心強い気がいたします。私は、前の部長さんが、どうもルーズだったのじゃないかと実は考えておる。あの際、このような部長さんがおられたのじゃ、福岡県の知事さん迷惑するなあという気がいたしました。その人が、今どこにおられるかということについて調べはっけておるが、もう今ごろ、この問題で知事さんや部長さんに、何も私申し上げたくないのですが、さぞ御迷惑だったろうと思いますのは、昭和二十九年の国庫に補助金の返納を要する額が、先ほど知事がおっしゃったように、七十二万一千二百九十六円、三十年度が四十二万八千九百四十五円、三十一年度が六十三万九百三十一円、これを国庫に返納しなさいという命令書をば福岡県に出したのが、三年度一ぺんに出した。三十二年の十二月五日に出して、そしてあなたの方で、これを返済されたのが、二十九年度、三十年度、三十一年度三年こわたるものをば三十に処理されたのですか。もちろん福岡県は大県ですから、予備費もあったのだろうと思いますけれども、すでに決算も終わっているでしょうが、決算なんかでは、こういう処理は、どういうふうに処理なさっているものでしょうか、念のために一つ伺っておきたい。
#77
○参考人(高橋朋厚君) ただいま御指摘の点は、私、当時の資料をここに持ってきておるわけではありませんが、その後におきまして、類似のケースを現実に扱った経験がございますが、これは、過年度支出ということでございまして、命令せられました年の歳出予算に追加計上いたしまして返還いたしたと、かように信じております。
#78
○谷口慶吉君 そうしますと、これは、次の三十二年度と三十三年度ですか――これは三十四年度の福岡県の会計年度で処理しておられるのですが、これが一番金額が大きいんですね。大体四百万円。こういうことについて、まことにこれは、お前が聞くのは越権だとおっしゃるかもしれませんけれども、福岡県の県議会なんかでは、こういうことは問題にならないんでしょうか。相当、六百万円にもなるという、大きな金額なんですが、そういうものを過年度支出で出すということについて、福岡県で県議会じゃ何も問題にならないのですか。まあ鵜崎さん、やられたのかもしらぬけれども、問題にならなかったんですか。
#79
○参考人(高橋朋厚君) お断わり申し上げましたように、二十九年度以降三年間まとめまして返還命令を受けました際には、私は部長の職になかったわけでございまするが、昨年も一つの事例があったわけであります。やはり県会でも、ルール通り常任委員会等でも、こまかい質問もあり、御意見も出ております。おそらく御指摘の二十九年、三十年、三十一年度分につきましても、同様のことであったと、かように推察いたしております。
#80
○井川伊平君 ごく簡単に、事実関係でございますから、お答えも簡単にお答えを願いたいと思います。この二十九年ないし三十四年にわたります思わしからざる支出の点につきまして、会計検査院から指摘を受けたというが、その指摘は、各年度ごとに受けておるのであるか、あるいは何年と何年は一緒に受けたといったようなものでありますか、そのことを承ります。
#81
○参考人(高橋朋厚君) お答え申し上げます。原則といたしまして、年度ごとに御指示をいただいておりますが、三十年と三十一年度は、どういう事情でありましたか、同時に御指示をいただきました。
#82
○井川伊平君 その指示を受けました会計検査院の指摘した事項ですね。これは事実と違うと、こういうような見解を持たれた事項がありましたか。あるいは指摘事項は、ごもっともだと、ことごとく納得のいかれる事項であったか、お伺いいたします。
#83
○参考人(高橋朋厚君) 御指摘を受けましたものにつきましては、事実を私ども否定申し上げることはできなかった。ただ、余談として申し加えますと、年度によっても違いますが、検査終了後に、現地におきまして検査官が資料を要求される場合もございまするし、それから、計数的なことで誤差が事務的にある場合には、検査終了直後におきまして主管課長等が検査院に出向きまして、お打ち合わせなり御相談を申し上げるということは間々あることでございます。
#84
○井川伊平君 二十九年度及びその後の各年度について、まとまったところの指摘があったろうと思うんですね。その指摘が、あとで返還を請求する基本になるだろうと思うのでありますが、返還命令がきました数字は先ほど聞きましたが、その返還を求められた数字に符合するところの指摘であって、その指摘は、事実と違うんだと。しかし泣く泣くこれは無理に、こういう返還をするんだというような筋のものがあったか。指摘の内容は、その通りであるから、返還の金額についても異存はないという趣旨であったかということを聞いているわけです。
#85
○参考人(高橋朋厚君) 簡単に申し上げます。指摘を受けて、返還を要求せられました数字につきましては、県側としては異見がなかったのでございます。
#86
○井川伊平君 指摘通りであったということですね。
 次に、別のことでございますが、労働省の方に対しまする報告というものが、各年度に何回ぐらいあるものですか。事業の終わったときであるとか、年度の変わるときであるとか、その他いろいろ求められるときもありましょうが、一般的にいって、一年間に何回ぐらい報告書を出すものでありますか。これは、大ざっぱな質問でありますから、お答えも、この点は大ざっぱでけっこうであります。
#87
○参考人(杉山信一君) 精算報告書等は、年に一ぺん出すということでございます。
#88
○井川伊平君 そうすると、労働省に対する、まあ幾つかの失業対策事業があろうと存じますが、その事業の完成したときには、その事業に限って報告書を出すというようなことはありませんか。言いかえれば、一年間に、何回も報告書が出ているのではないかということを聞いているわけです。
#89
○参考人(杉山信一君) ワクの関係等で、一応四半期ごとの認証は得ておりますけれども、報告書として出す分は、精算報告書は年に一度と聞いております。
#90
○井川伊平君 その報告書を出すときに、先ほど野本委員と労働省との話し合いによりますると、気がつかなかったというようなこともありますが、事実に反する虚偽の報告書が一応出されておったということは、これは間違いないのですか。
#91
○参考人(杉山信一君) 先ほど労働省からもお答えがあったのでございますが、私どもといたしましては、個々の事実についての問題ではなく、書類面としての審査をいたしまして、県では出すわけでございます。そういう面で、個々について違反が書類面だけでわかるかということになりますと、いろいろ問題も出て参ります。今までの監察官なりあるいは係官が現場に行きまして、事務指導なり監察をいたしました結果、あるいはいろいろ注意なり指摘はしておりますけれども、書類面として出てきた場合には、個々の問題については、その書類だけからはわかりかねますので、私どもはないという考え方から、報告書を出しておったわけでございます。
#92
○井川伊平君 私の聞いているのはですね、責任があるかないかの話を聞いているのではなく、会計検査院の報告を受けて調べたあとから、今の立場に立って考えれば、当時事実に反する報告をしておったということは認めるのかと聞いているのですから、認めるとか、認めないとかでいいのです。
#93
○参考人(高橋朋厚君) 私からお答え申し上げますが、ただいまの先生のお言葉からしますれば、間違ったものを出しておった……。
#94
○井川伊平君 私の考えをもってすればですね、会計検査院が来て、短い期間に、こういうことを調べて、ここに思わしくないことがあるということが指摘されるくらいであるといたしますと、県の方でこういうことを担当して、そういう報告書を作って判を押して、それを出す立場にある方は、これは会計検査院の指摘を待つまでもなく、腹の底では十二分に知っておった、こういうふうに考えられるのが相当だと思いますが、なじる意味で申すのではありませんけれども、知っておったのではありませんか。もし知らぬでやったということならば、うかつきわまりないものになると思いますが、いかがですか。
#95
○参考人(高橋朋厚君) 私の推察よりほか申し上げかねるのでございますが、前段にお尋ねございましたように、結果としては、知らずに間違ったものを出しておった。ところが、大体私どもの県では、事業現場だけでも年間平均五百カ所ぐらいあるわけでございます。さようなわけでありまするので、賃金台帳なり現場監督者のメモ、伝票等を一々照合して、県庁で扱うわけではありませんので、おそらく私は、そういうことはなかったと思うわけでございます。
#96
○井川伊平君 そういうような扱い方は、適当な扱い方であったという現在の御見解ですか。県にたくさんの仕事があるから、というようなことを付け加えての説明を聞きますと、そういうようなことを調べられないで、ずらりと間違った内容のものを報告をしても仕方がないのだ、そういう扱いをしても適正なんだという御見解ですか。
#97
○参考人(高橋朋厚君) 私の言葉が足りなかったかと思いますが、先ほど労働省からも、失対部長から御答弁もありましたように、失対の監察官等も、常時回らしておりますし、あらゆる会合、また書面等で注意をしておるわけです。ただ、その書面を出す時期に、ちょうどその時点で、全県下の現場を調査してやるということができておらぬという意味で申し上げた。でき得る限り、今後とも努力をして参らなければいかぬと思います。
#98
○井川伊平君 そうすると、あなたが担当したのではないようでありますが、担当した方は変わっておるとしても、その報告をした当時やったことは適正であった、それは改正の余地はないものだ、これでいいのだ、そういうお考えですね。
#99
○参考人(高橋朋厚君) 私、決して適当な正しい扱いであったとは申し上げておらぬのでございます。
#100
○井川伊平君 私は、それを聞いておるじゃありませんか。
#101
○参考人(高橋朋厚君) はい、それはよくないと思います。もう少し努力をすべきであったと、かように考えております。
#102
○井川伊平君 虚偽の報告をしたことについては、当時の調べた、その局にあった人の手落ちであったと思うということですね。
 そういう反省に立たなければ、今後報告書を作成するときの態度というものが、もともと改まらないことになりますね。現在は、どういうような態度をとろうとしておられますか。
#103
○参考人(高橋朋厚君) 御指摘の通りでございますので、特に検査院から指摘を受けましたこと、あるいは現場に相当する市町村等につきましては、特に注意をいたしたい。一般のその他の場合にも、県内におきまして、さような事例がありました場合に、十分な注意をして参りたい、かように考えます。
#104
○相澤重明君 質問毛、大体終わったようでありますが、私は、今までの関係委員の質問を通じて感じたことでありますが、きょうは肝心の労働大臣、次官がおりませんので、この労働省の指摘事項については、やはり責任者の答弁を求めなければならぬことがあると思うのです。この点については、私は次回に当決算委員会として、大臣及び次官をやはり呼んで質問しなければならぬ、こう思うのです。
 それから一つだけ、やはりお聞きしておかなければならぬのでありますが、先ほど労働省の松永失対部長から答弁のあったことでありますが、昭和二十九年から、私はまあ最初からこの決算をやっておるのでありますが、毎年指摘されておる、各府県が、毎年されておる。これについて、福岡県に通達を出されたのでありますが、その通達は二十九年、三十年と指摘されて連続きたわけでありますから、そのつど、そういうものを出されておるのかどうか、その点を、お答えをいただきたい。
#105
○説明員(松永正男君) 福岡県知事に対しまして労働省職業安定局長から、この件に関して正式に出した文書は、資料として提出してあるだけでございます。その二十九年、三十年については、このような文書は出しておりません。
#106
○相澤重明君 ですから、労働省は、毎年当決算委員会で指摘をされておるにもかかわらず、三十四年、三十五年でなければ、この通牒が出せなかった、こういうことでありますか。
#107
○説明員(松永正男君) ちょっと御質問の趣旨が……。
#108
○相澤重明君 質問の趣旨じゃない。福岡県に出しておるこの通牒が、三十三年度について三十四年の十一月二十日、三十四年度について三十五年の九月十九日、これについて出しておる。その以前のものについては、出したか出さないかと聞いておる。
#109
○説明員(松永正男君) 出しておりません。
#110
○相澤重明君 いずれこのことについては、労働省がいかにずさんであるかということが出てくるわけです。これは私は五年間、この決算委員をしておりますが、労働省の指摘というものは、実にあいまいもこたるものがある。幾ら国会でしかられても、実際に、そういう措置を取っておらない、こういうところに、行政の根本的な問題がある。従って、私はこの問題を別に政治的に判断をしようとは思っておりませんけれども、そういう面については、十分措置をしなければならぬ、こう思っております。
 そこで委員長に、このような労働省の関係事項がたくさんあり、しかも歴年にわたる問題として、当委員会としても多いものについて摘出をした、こういう形で、今回は呼んだわけでありますが、残念ながらそういうことが出てきておるわけです。従って、当委員会として最終的な処理をする場合には、今の井川君が指摘しておるように歴年度のことを、こうずっと見てみますというと、やはり関係者を呼ばなければならぬ、こういう問題も出てくると思う。従って、前の福岡県知事であった人にも、当委員会として当然呼んで究明しなければならぬ問題もある。こういう点について、労働省の取った措置、それから前のあり方、こういうものについても、いずれ機会をあらためて委員長理事の打合会等で決定をしたいと思う。そういうことは、今までの委員の質問で出てきておりますから、そういうことで私は、当委員会の討論採決を行なう前に、いま一度、この問題については前知事の問題として、当時の状況はどうであったか、こういう点を、一応参考人として呼んで調査をすべきである、こういう意見まで持っているわけです。従って労働大臣を一度呼んで、その内容をよく聞いて、そういう措置を取るべきかとうかということについても、委員長理事の打合会で決定をしたい、こういうことを付言して、本日の私の質問を終わりたいと思います。
#111
○委員長(佐藤芳男君) 他に御質疑はございませんか。――本件に関する事情聴取は、これにて終了いたします。
 この際、委員長より福岡県知事に一言いたします。開会冒頭に申し上げましたように、本件に関しては、きわめて遺憾に存ずるところであります。質疑応答の中にもありましたように、三十四年度より鋭意施策を講ぜられたにかかわらず、労働省より三十五年九月に厳重な警告的通牒が発せられているととによっても、うかがい知ることができるのでありますが、こうした事案は、気をゆるめると逆戻りしやすいと思います。福岡県の労働事情からして、きわめて困難な面もありましょうが、本日を契機に、さらに十分の御考慮を払われ、万遺憾なきを期せらるるよう、国民の血税が正当に使われ、国損を招かずに済むことを願う立場から、切望する次第でございます。本日は、遠路のところ御出席の上、長時間御熱心に応答の任に当たられましたことにつきまして、ここにあらためて感謝の意を表します。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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