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1960/02/21 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第3号
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1960/02/21 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第3号

#1
第038回国会 外務委員会 第3号
昭和三十六年二月二十一日(火曜日)
   午前十時四十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           青柳 秀夫君
           鹿島守之助君
           森 元治郎君
   委員
           草葉 隆圓君
           笹森 順造君
           苫米地英俊君
           永野  護君
           野村吉三郎君
           堀木 鎌三君
           加藤シヅエ君
           松澤 兼人君
           羽生 三七君
           佐藤 尚武君
  国務大臣
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   外務政務次官  島津 文治君
   外務省アジア局
   長       伊關佑二郎君
   外務省アメリカ
   局長      安藤 吉光君
   外務省条約局長 中川  融君
   外務省国際連合
   局長      鶴岡 千仭君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       渡辺 信雄君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国とグレート・ブリテン及び北
 部アイルランド連合王国との間の文
 化協定の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)
○日本国とブラジル合衆国との間の文
 化協定の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢等に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国とブラジル合衆国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件。
 以上本院先議の両件を一括して議題といたします。
 両件につきましては、前回において、提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日は、これより直ちに質疑に入りたいと存じます。
 なお、小坂外務大臣が御出席されましたので、あわせて国際情勢等に関する調査を議題といたします。なお、外務大臣は、御都合によりまして、正午まで御出席になっておりますので、この点をお含みの上、御質疑をお願いいたしたいと思います。
 御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
#3
○森元治郎君 きのうの夕刊でコンゴーのオリアンタル州首相を含む六名とかが暗殺をされて、いよいよコンゴーの事態は大へんむずかしく、ちょっと将来予想できないような事態の発生さえ考えられるようになったように思うのですが、大臣から、長い御説明は要りませんが、問題の所在を整頓されて、こういうところが問題なのだというのを、まず最初に伺いたいと思います。
#4
○国務大臣(小坂善太郎君) コンゴーの問題は、森さん御心配のように、私どもも非常に心配になる問題だと思っておりますが、問題点を整理いたしますと、結局いかにしたらあの状態を静ひつに化せしめて、そしてコンゴーの国民がその堵に安んずることができるかという、その秩序を正すことであると思います。問題は御承知のように、国連軍がすでに出ておるわけなんですが、一方国連軍の軍以外にも、いろいろ各種族間に兵隊がおりまして、これが争っている。こういう点をやはり国連軍に統一するということができれば、解決に一歩近づくのじゃないかと思いますが、しかし、国連軍そのものに対して、国連軍は、御承知のように、ハマーショルド事務総長の非常に深謀遠慮で、アフリカ出身者以外にそれに加わらぬということになっておるのでありますけれども、そのやり方自体もいろいろ批判もあるということではないかと思いますが、しかし、われわれとしては、やはり国連を通して事態を収拾するというからには、やはり国連の安保理事会あるいは特別緊急総会によって付与された事務総長の権限内で事務総長がやっていることを支持していく。こういうことが一番必要なことでないかと思います。
 まあいろいろの暗殺等も行なわれているという事態を聞きまして、そういうことがおそらく事実だろうと思いますが、事実であるとすれば、非常に遺憾なことだと思うわけです。
#5
○森元治郎君 まず、具体的に話を進めますけれども、そもそも問題が非常に複雑なところへもってきて、ルムンバ首相らの殺害ということが火をつけて、今までおだやかであった民族主義者の連中も、一斉にカサブブ現大統領の勢力に反抗するような形になり、一、二ソ連圏の――ソ連圏といいますか、ソ連を先頭とするものがルムンバを推し、そうじゃないものは従来のカサブブ政権を推すというようなことで、二つの争いの形が形成されてきたのですが、今一番大事なことは、やはり殺害の真相というものが、これは十分究明されて、発表されなければならぬと思うのです。ということは、どうひいき目に見ても、外国電報だけからわれわれが総合してみると、計画的な暗殺である、あるいは擬装的な殺人であるということは、もう定説になっている。責任ある総理大臣のネールも、計画的殺人であるということを断言している。そこで、この殺害の真相ですね。外務省が持っておられる真相をまず明らかにしてもらいたいと思います。
#6
○政府委員(鶴岡千仭君) 真相につきましては、私ども、レオポルドビルその他在外公館から受けている情報及び国連筋から出ている情報によりまして、森先生のお説のような印象はございますのですけれども、それはまだ印象にとどまるのでございまして、それ以上を出ない。結局は、国連の手によって正式に調査が行なわれた後でなければ判明しないということではないかと存じます。
#7
○森元治郎君 ただいまの政府委員のような御答弁であるならば、いろいろ衆議院などの、あるいは記名会見において、政府側が答弁していることは少し軽率じゃないか、わかりもしないのにしゃべっているような傾きがあると思うのですが、大臣、どうですか。
#8
○国務大臣(小坂善太郎君) 私も、その点非常に慎重に申し上げているつもりでございまして、実際のいろいろな情報に対して、これはもう非常に敏感に情報が集まるようにしておりますけれども、何といっても、確定的なことがないものですから、国連によるその調査を進めるということは、非常に必要であろうということでやっているわけでございます。
#9
○森元治郎君 コンゴーの問題についての政府の側の態度といいますか、話しているところを要約しますれば、この問題は国連中心主義でいくのだ、国連中心で処理するのだ、ハマーショルド事務総長を支持するのだ、大きく分けると、この二点にくるのですが、この説明を一つ、国連中心で処理するということは、中心外もあるのか、いろいろ疑問も出てくるのですが、あなたの立場で一つ。
#10
○政府委員(鶴岡千仭君) 国連の手で、国連中心、どちらでもよろしいかと思います。言葉の問題でございますが、国連がこのコンゴー事件についてまず責任を持っているということの確認が一つでございます。それから、外部からの介入を排除するということ、及びその排除することの中には、外部からする、たとえば兵隊を出すとか、一方の支持を強く声明するとか、そういうようなことをしないで、国連の中で話し合いによって早く国内秩序を回復し、及び経済技術援助その他によりまして、この経済面もあげてコンゴー国民の民生をはかろう。また、広いベーシスの政府をそこに立てるべきような空気を醸成し、あるいは適当な方法を考えようといったようなことが、これがいわゆる国連中心にしたコンゴー問題の対処方針としては考え方であると考えております。
#11
○森元治郎君 大臣、そのハマーショルドを支持するのだ、国連を支持するのだということを大臣の口から一つ。
#12
○国務大臣(小坂善太郎君) ハマーショルド氏は、国連の緊急総会並びに安保理事会によって権限を付与されて、すでにコンゴー問題の収拾に当たっておるわけであります。今、非常に不幸な混乱の情勢が見られるわけでありますけれども、この際、このハマーショルド氏に対する不信任というような行き方になりますと、いよいよ収拾できなくなってしまうと思うのであります。従いまして、現在まで、まあ与えられておる範囲内において、ハマーショルド氏としてやった努力というものは、これは筋になっておるわけでございますから、これをあくまでも中心にして、そして真相をきわめて、そしてこれを解決するというふうに、国連加盟国の全体、世界全体の平和と秩序の問題として、コンゴーの問題を建設的に考えていく、こういうことがよかろう、こういう気持でございます。
#13
○森元治郎君 あとでまた触れますけれども、コンゴー問題解決のかぎというか、私は、あまり長い……自民党さんの好きな、長い、何のことかわからないような御答弁は好きじゃないのですが、大臣も、もう青年大臣ですから、ずばり、かぎはどこにあるのだということをどういうふうにお考えですか。
#14
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、一口に言うと、東西の冷戦に持ち込まぬことだと思います。
#15
○森元治郎君 それは、下の方の、タクティクスの方に入る問題であって、根本は、昨年の暮れの国連総会できめられた植民地の解放宣言、あの趣旨をあの原則を、あの精神をやはり民主々義、自由陣営の国々も理解して、これを遂行していくという腹がまえが、私はこういう植民地問題解決の根本だと思うのですが、大臣も御同感だと思ってよろしゅうございますか。
#16
○国務大臣(小坂善太郎君) この植民地というようなものは、これは過去の遺物であって、やはり新しい民族がその国を自分の愛する国として育てていくというのが世界の大勢でございますから、そうしたものを盛り立てていくべきであるというふうに私どもは考えております。ただなかなか、コンゴーの問題などですと、その間にいろいろな種族の間の争いもありますし、それに、一方からすれば、その争いを自分の方に有利にしようという勢力も東西間で動くことも考えられます。そういうことをやり出すと、これは果てしもない混乱になってしまうであろう、そういう意味で、私は、ずばり言えば、東西冷戦を持ち込まぬことが一番必要だということを申し上げたのでございます。
#17
○森元治郎君 植民地宣言は、八十九カ国が賛成をしており、アメリカ、イギリス、フランス、ベルギー、ポルトガルなどは多分棄権であった。日本政府は、この共同の提案国にはならなかったが、しかし賛成をしておる。なかなかこまかい芸当をやっておられるようだが、どうしてずばりと賛成を、共同提案国になって賛成をしなかったのか、共同提案国にならないことによって、お友だちのアメリカさんのごきげんを取り結び、賛成することによってどうも植民地の新しい国々へのサービスをした。非常に私は嘆かわしい、芸のこまかさ、信念のなさというふうに感ずるのですがね。どうですか。
#18
○国務大臣(小坂善太郎君) この宣言を起草しますについて、ちょうどここに鶴岡局長がおりますから、あとで話してもらったらいいかと思いますが、非常にいいアドバイスをしたことになっているのだそうです。そこで、そういう結果は、あれは、御承知のように、ソ連の植民地解放に関する動議から始まったわけですけれども、アフリカ諸国においてそうした形から植民地解放という決議を出すよりも、われわれ自身のイニシアティーブにおいてそういうものを作ろうじゃないか、こういう気持がほうはいとして起きてきました。これに対して、日本は法律というものを作ることに慣れておりますから、いろいろアドバイスをした。しかし、その間にいろいろないきさつがありまして、コースポンサーになるのには、もう少し、あの事態についてこうした方がいいのじゃないか、この点があったので、コースポンサーになることは遠慮した。しかしその間に、それが修正できるかと思いましたけれども、それができないので、それじゃ修正なさるのがベターであったと思われても、その決議案自体に反対することはもちろんないものでありますから賛成をした。こういう事情であって、決して非常に功利的な立場の結果、賛成したということではないのでございます。その実情については、鶴岡局長から……。
#19
○森元治郎君 ちょっと……、その字句の問題、表現の問題は若干あったようでありますが、その問題は時間をとっても仕方がないけれども、ああいう、何ですか、こまかいことは忘れたけれども、法制局のお役人さんが野党の質問をごまかすような、こまかいところの、表現にかこつけて、コースポンサーにならなかったということは、私は、腹がなかったのではないか、こういうふうにお考えになりませんか。
#20
○国務大臣(小坂善太郎君) 腹がなかったというよりも、むしろ腹があったからそうならなかったというふうに言っていいのじゃないかと思いますのは、あれは、御承知のように、政治的あるいは経済的な独立の条件があるなしにかかわらず、ともかく一挙に独立させなければいかぬという点が問題だと、われわれは思っているわけです。これは局長の方がよく知っておりますから、言ってもらった方がいいかと思いますが、私の気持もそうだったのです。やはりある国が独立するには、相当に独立の条件というものもある程度――独立というものを前提にして、その条件を整備して独立さす方に持っていく方が、比較的あとの問題を混乱せしめないのに必要ではないかというふうにわれわれは思うので、この点を実はこだわっておったというか、精神の問題、やり方の問題、その点に若干こだわりを持っている、そんな関係で、今のような態度をとったわけです。
#21
○森元治郎君 そうすると、あの場合に、八十九カ国という絶対多数がやったが、植民地を持っている国あるいはかつて持っておった国のグループは棄権をしている。しかし、この宣言の趣旨というものは、やはり宣言は成立したのですから、これには拘束されるのだ。この精神には拘束される。法律的に云々ということではなくて、道義的には十分拘束されると思う。この宣言には拘束されるのだ、道義的責任を持たなければならぬのだという自覚が自由陣営の方にあるならば、コンゴー問題も解決の方向へ大いに促進されるのじゃないかと思う。この心がまえが、この理解の仕方がないところに、すべての問題がぎくしゃくするのじゃないか。いかがでしょうか。
#22
○国務大臣(小坂善太郎君) その宣言、決議の趣旨というものは、国連を通過いたしましたる以上、各国に尊重さるべきものだと思います。そういうことで、趣旨においては各国ともそう思っていると思うのでありますが、いかんせん、現実の事態があのように混乱しておりまするから、それを独立へ独立への方向で、完全な独立に進める方向で、しかも秩序が平静に戻って、コンゴーの国民がしあわぜになるような方向で各国ともに考えておるという点については、私は善意を持ってそう理解していいと思うのでございます。
#23
○森元治郎君 時間もありませんから、どうしたら解決するか。うっちゃっておいたら、これはとんでもない戦争になる。けしかけた仲間も悪いけれども、白も黒も黄色も入り乱れて、まっ暗やみの中でレスリングをやるような騒ぎになってしまって、とんだことになると思うのですが、具体的にどうしたらいいんだということを、日本の外務大臣はどんなふうにお考えになっておられるか。単に国連中心主義、あるいはハマーショルド支持だということじゃなく、いずれ緊急総会も開かれるだろうし、あるいは三月から通常会も再開されるとなれば、一席ぶたなければならぬ。そのときに、解釈の仕方が千も二千もあるようなことを言うのか。こうしょうということがあるはずだ。あるいは練っておられると思うのですが、コンゴー問題というのは、おそらく人の名前もわからないし、地名もよくわからないし、地図もないので、国民にはなかなかわからないが、戦争になるかもしらんので、特に大臣の、政府の具体的解決策は何か。こうしたらまず事態が平静になるという、あなたの好きな大局論も結構だが、具体策を聞きたい。
#24
○国務大臣(小坂善太郎君) どうも、おしかりをこうむるかもしれないのですけれども、私は、この際日本としては、大局論をかざして、筋を間違えぬ、こういう方向で押すよりほかないのじゃないかという気がしておるのでございます。ということは、日本がいろいろ具体策を指示いたしましても、まず国連において国連軍というものが出ているわけですが、日本は、軍隊を出すということは、憲法の関係でやれぬわけですが、日本がそれについていろいろ言っても、それでは日本が言うからそうしよう、国連軍が動くというところまではいきにくい、いかれないと思うのです。やはり日本というのは、全体を、国連を通していくと、こういう筋を通していくよりほかないのじゃないか。これはやはり、事務総長のやり方というものをみなが規定しておりますから、総会なり、安保理事会なり、その範囲においてこうしろと、それを逸脱してはいかぬ。ほかの国がそういうことをやっている以上は、ほかの国が国連を通ぜざることをやるのは、これはいかぬ。すべて国連を通じて指示する。国連は曲がったことをしてはいかぬ。この筋で日本はいく以外にないのじゃないかと思っております。それ以外によいお知恵があれば、喜んで拝聴したいと思います。
#25
○森元治郎君 国連の中でやろうと思って、みんなが苦労しているのですよね。外でやろうというのじゃない。だから、拒否権なんかで大チャンバラを展開している。私が、なぜ具体策がないかと言って伺う理由は、もうソ連はソ連の方針を打ち出して、ハマーショルド事務総長なんという共犯者は解任してしまえ、あるいは軍隊は引けという強い線を出している。これは具体策です。これに対してアラブ連合、リベリア、セーロンの三カ国は決議案を出しておる。アメリカはアメリカで方針を出して、今のところ決議は二つでしたな。大臣は、新聞記者会見で、自分は安保理事会の理事国でもないから発言は差し控えておる。それはけっこうです。理事国として発言をしなくても、国連を守ろうという、それほど強いお考えがあるなら。少なくとも二つの案が出ておる。私はこの案を批評せよというようなやぼなことは言いません、立場でないから。内容を見れば、おのずから方向は出てくるのではないか、こういうのが私の考えであります。そこで、突き詰めてみると、詳しい説明をすれば長くなりますが、やはり私は、第一には、今国連もやっているけれども、さらに殺害の真相、こういうものをあらゆる妨害を排除してでも十分に究明して、だれがやったのだということを発表すればよろしいのではないか。もしそれが、ソ連圏が言うようにカサブブ派であり、自分たちに都合が悪くても、これを出していく、こういうことをまずなさるべきであって、この種暗殺事件には、当然犯人の処罰もあるし、責任の所在を明らかにするということが第一点でなければならぬと思う。ところが、どういうわけか知らぬが、調査は、カタンが州方面、すなわちカサブブ系統の方へ行きますと、国連が何かしようと思うといろいろじゃまをする。立ち入らせない。あるいは身辺の危険もあるのでしょう。便宜供与は絶対に行なわれない。こういうところに、やはり偽装殺人だ、計画殺人だということを裏書きしておるようなところがあるので、なおさらこの点は、国連は面子にかけても追及していくという態度がなければならないと思うのが第一点ですが、いかがですか。
#26
○国務大臣(小坂善太郎君) 具体的な事実になりますから、国連局長からお答え申し上げます。
#27
○政府委員(鶴岡千仭君) お答え申し上げます。
 今の要人の死因について調査しろということについては、今御指摘がありました三国案の中にもございます。われわれといたしましては、大臣の御指示でございますが、ソ連案の方は、国連が手を引けというところ、それから事務局長不信任ということ、これは別問題といたしましても、国連がコンゴーの問題から手を引けというところに大きな重点がありますので、その点は、私どもとしては反対せざるを得ないかと思うのでございます。一方三国案の方につきましては、私はこまかい一々についての批評はしばらく差し控えさしていただきますとして、国連の安保理事会における討議のりっぱな基礎として認め得るものではないかというふうに考えております。従って、これはどういうふうに展開いたしますか、わかりませんけれども、国連が責任をもってこの問題の収拾に当たるという点、外国からの勢力の及ぶことを避けるいろいろなことを考えておる点、それから、広く国内の諸勢力を糾合した穏健な政府、民心を得る政府を作っていくように考えていこうといった、いろいろな点におきまして、私は討議の基礎としてりっぱなものではないかというふうに一応考えているわけでございます。
#28
○森元治郎君 大臣、どうですか。よく、事件があれば、犯人の処罰、犯人の逮捕責任者の処罰、将来の陳謝とか、将来の保障とかということは、これはもうきまり文句なんです。そこでこの点は徹底的に責任の所在を、たとえ不利でも、不利というのは、自由陣営が不利であっても、疑いをかけられているのですからね、これをやるべきだということには賛成ですね。反対はしませんね。どうもコンゴーの事件を見ると、私はソビエト側を代表しているつもりはないんだが、公平に見て、いわゆる自由陣営側が痛い腹を探られるような空気といいますか、事件が次々と出てきているということは確かだと思うので、これは大臣も、日本政府としても十分主張すべきだと思います。御賛成、御異議はないと思いますね。
#29
○国務大臣(小坂善太郎君) 事実をよく調査しなくちゃ、何とも言えない点がたくさんございますから、そのために調査を至急にやるということは当然のことであります。私ども、その線についてごうまつも異議を言うものでないのみならず、むしろ積極的にそれをやれという三振には賛成でございます。
#30
○森元治郎君 次に、ベルギーの軍人がいるとかいないとかということに関して、あるいは撤退したはずのベルギー軍、軍の関係者、あるいは外国人の雇い兵といったようなものが依然いるのだ、これが裏の方で、特にカタンガの方ではつっついているのだということをソビエト代表は強く言っているし、ソ連の決議案にも出ている。もしこういうことであるならば、やはりこういうものはくまなく撤去してもらわなければ困る。これがやはり第一の問題です。この点が抜けますと、ソビエト側の文句の言う一番大きな種が一つ取れるのじゃないか。もし自由陣常例が、ベルギーはNATOの一員で、われわれの同志だ、少しは悪いことがあっても、これをかばっていくことでは、それは、人情はわかるけれども、事態の解決にはならない。戦争を引き起こすことから見たならば、ずつとやすいことなんで、ベルギーを納得させて、そうしてさような痕跡を残さない、この前の、去年の九月ですか、この約束を履行して、ベルギーが植民地の親分として残っておらないようにさせるのが第一だ。アメリカのスチブンソンのこれに対する言葉は、ベルギーの政治的影響をなくするというような表現だったかと思うのですが、政治的影響などというなまぬるいことを言わないで、ベルギーというものは、やはり静かにはっきり引いてもらう。これが大事なことだと思うのですが、大臣はいかがですか。
#31
○国務大臣(小坂善太郎君) ベルギー側においては、ベルギーの部隊はコンゴーにはおらぬということを声明しているわけでありますが、問題は、契約によっているものもいるのじゃないかという問題があると思うのでありまして、個人の契約によるものであっても、そのことのために非常に事態が紛糾するということは、これは好ましくないと思うのであります。なお、ベルギー側においては、そういうものを出すこともやらないということを言っておるのであります。
 お手元に、「コンゴーをめぐる情勢に関する件」というのをお配りしておきましたが、(「来ていない」と呼ぶ者あり)これは私の言い過ぎて、撤回いたします。実は、ルムンバ首相に対しては、国連はこれを保護するということでおったわけなんです。ところが、十一月二十七日に、ルムンバ首相が国連部隊及びコンゴー軍の目をかすめて、首相官邸を出て数日の逃走の後、十二月一日にカサイ州においてコンゴー軍に逮捕されるという事件が起きた。そこから問題が出てきておるわけなんですが、どうも、われわれ遠くから見ておって、いろいろ言いましても、なかなかわからぬ点も多いのでございます。ですから、われわれとしても、今申し上げたような原則論で行く以外に、具体的なところに立ち至っていろいろ言いましてもどんなものかと思われるような点があることを付け加えておきたいと思います。
#32
○森元治郎君 どうも、遠くてわからないというようなことでは、一体今後国連というものは何を基礎にされるのか、これをお伺いいたします。たよりない。
#33
○国務大臣(小坂善太郎君) いや、原則を言うというので、何が何州においてどうしたということは、これはなかなか、きょうきのうあたりの新聞を見ても、ダヤル報告を見ましても、実際初めて出てくる名前が、いろいろな、総理大臣という名前で初めての名前が出てくるのが実情なんでございますから、そこになかなかむずかしい点もあるわけでございます。
#34
○森元治郎君 外務省は、こんな戦争になるかもしれぬというような重大問題に対する態度としては、非常に残念な態度だと思うのです。これはまたあとにも触れますけれども、ベルギーの問題は、ソビエト側が特にうるさく言うのですが、十分これは調査をして、そうして悪かったらば、そういうことを盲動しているようなものがあるならば、軍人でなくても、背広を着た軍人がうろついておる、そういう者がおるならば、絶対ならぬと言うことも大事だと思うのですが、御承知を願いたいと思いますが、どうですか。
#35
○国務大臣(小坂善太郎君) 事務総長の報告で、ベルギーの軍事的な何か援助があるなら撤回すべきものであるということをはっきり言っておるわけですね。従って、そうした態度というものをわれわれは支持しておるわけですが、先ほど申し上げたように、契約べーシスで人がおる、そういう者がおるかどうか、実際のところ、おしかりを受けるかもしれませんが、われわれ見て来たわけじゃないのでありますが、これをできるだけ調査して、そういうものは全般的にいけない、いたのじゃいけない、そういうものは撤去してもらいたいという考えを持って、その考えのもとに国連でわれわれは行動するつもりなんです。しかし、具体的に私わからないと申し上げるのは、あるいは誤解を生ずるといけませんけれども、実際ここにいて、外務省がすべての動きをことごとく知っているわけじゃないということを申し上げたわけで、非常に正直な意味で申し上げたつもりなんでございますが、しかし、原則論としては、そういう外国軍隊、あるいはベルギーの軍隊がおるということはないと言っているのですが、あっちゃいけない、類するものもいけない、こういうことを強く言っているわけでございますから、その点は、森さんと意見は全く同じわけでございます。
#36
○森元治郎君 それでは進みますが、こういうことも必要だと思う。三国決議案にあったとも思うのですが、コンゴーの周辺のあそこにくっついているローデシアとか、スーダンとか、取り囲んでいるこういう国々からの武器とか、軍需物資の輸送といったものは十分措置できるのじゃないか。こっち側で国連軍を一万五、六千、これは国連加盟国ですから、協力さして、十分ストップさして入れないということも大事だと思います。
 二つ三つ続けてお尋ねしますが、それから、何新聞かに、外務省では国連対策を検討している。その中にコンゴー軍の解除というか、それから連邦制でいったらどうかというような二つの点が新聞に載っておりましたが、対策として、隣接諸国の軍需物資を押えるという措置をとらせるようにせよ、それからコンゴー軍を一体武装解除するのか、それからもう一つは、連邦制がいいと、言っておりますが、その点は、案がきまっているのかどうか。
#37
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほども申し上げましたように、国連を通じて事態を収拾するということは、国連以外の外国軍隊というものは、これはもう動いてもらっては困るということでありますから、その近隣の、たとえばスーダンを通じてどうこうというようなお話でございますが、そういうことがありとすれば、どうも厳重にしないようにしたいと思います。
 それから、コンゴー軍の再編成といいますか、そうしたものが国全体のベーシスで、しかも建設的な方向で、そういうようなものが事態収拾に役立つような方向にいくということはむろんけっこうだと思います。
 それから連邦制の問題は、これは、そうした案も出ておるやに承知しておるのでありますが、これは、一つ今後の討議の重要なる基礎になると思います。しかし、そこへ出ている人の名前は、たとえばエレオという人の名前が出ておりますが、今度は急にその人がオリアンタル州の方でどうのと、だいぶ話が違う方へ出てきたりしまして、そういう点は、今後のいろいろな研究の重要な資料になると思いますけれども、事態を見ながらやっていかなくちゃならぬと、かように考えます。
#38
○森元治郎君 いろいろの解決策もあるでしょうし、私がさっき申した通り、突き詰めていくと、真相調査、責任の所在を明らかにすべきだ。ベルギー軍がうろうろしておるのだというようなうわさをいち早くなくすということが大事だろうと思う。あとの連邦云々は、ケネデイ大統領も連邦がいいとか何とか、言っていますが、私どもは、そんな段階ではないので、もっと先にやることはさっき申し上げた二つであると思う。国連では経済、技術援助というものを、大へん南方の方では餓死者も出ているようですから、この連中に十分の生活物資を送ってやって、腹が一ぱいになれば、それはけんかの仕方も違いますから、そういう面も、一つあたたかい気持で、金を出してやろうじゃないかということも国連では一つやってもらいたいと思う、政府に対して。
 次に、国連軍の武力行使ですが、これは一つの東西の――東西のといいますか、東西であり、中立国家間の議題なんです。三国の決議案の中で、私はちょっと考えが違うのは、必要の場合は国連が武力行使をして介入する。そして平和、治安を保て。ソ連の方は国連軍も減してしまえというような今の状態。しかも、今日のさらに混乱が加わっている状態で、国連軍が少ない数で介入したとすると、血は血を呼ぶといいますか、ほんとうに大へんな騒ぎになるんじゃないか。一体政府は、国連軍は必要があれば武力を行使すべきと思うかどうか。
#39
○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように、国連軍というものは、警察的な役割をするものであると思います。そこで、そうした目的に沿うて国連軍が行動するということは、必要やむを得ざる場合もあろうかと思うのです。現在の場合、やはりコンゴーにおいて国連軍の持っておる役割というものは非常に大きいと思っております。
#40
○森元治郎君 ある場合には出るかもしらぬといったような、これは結果からのお話であって、出すべきかどうかというのが、これは政治家の判断なんですな。外務大臣一つ、使うべきなのか、いかなる場合があっても、矢だまが飛んできても断じて使っちゃいけないか、どっちですか。これは将来大きな問題ですから、伺っておきたいと思います。
#41
○国務大臣(小坂善太郎君) この点については、ハマーショルド総長は非常に賢明に考えて、コンゴーに出ておる国連軍というのは、アフリカの国籍を持った人から構成するという原則に立っておるわけで、従って、あくまで警察的な意味における国連軍を考えておるのであります。時と場合によりけりで、全然国連軍を使っちゃいかぬという場合もありましょうし、国連軍が出てもいいという場合もあると思います。ただ、そのときの判断によると思います。
#42
○森元治郎君 私は、特に絶対に使うべきではないというのが私の考えなんですが、これはどうお考えになりますか。
#43
○国務大臣(小坂善太郎君) 絶対に使うべきではないということも、絶対に使うべきではないといえば、そういうものも要らなくなるわけであります。結局、事態収拾にこれを用いた方がいいという場合には使うべきでございましょうけれども、そうでない場合もあろうかと思うので、そのときどきの判断によろうと思います。原則的に申しますと、自分を防衛する、国の秩序を回復するために、警察的な役割を持つ国連軍というものが担当した方がいいという、こういう場合には、むしろ防衛的な場合であろうかと思います。
#44
○森元治郎君 それは、国連軍に対してちょっかいを出してくれば、そのために鉄砲も持ち、たまも持っておるのだから、これは正当防衛で、当然やるべきだ。私の言うのは、積極的に入っていってやるというのが武力行使だと思う。必要のある場合というのを三国の決議案にうたっておるのですから、大臣の説明とは違うのだ。もっと積極的なんです。大臣のは、事態が何かもやもやとしたときに使うのだというふうに聞こえるので、そこいらが、どうも歯切れが悪いのがはなはだ私は残念だと思う。
 ところで、アフリカの問題は、やはりあまり文明国の人々がわかったようなことを言って急いで手を出さないで、いろいろなちょっかいはなるべく控えて、食べものでもあるいは衣料でも供給をして、やはりその生活の安定、急場で間に合わないかもしれぬが、それにしても、その努力をしつつだんだんに持っていかないと、これは戦争になりますよ。小坂外務大臣は何と答弁なさるかもしれませんが、自然になったんだというのでは納得できない。
 国連外交の強化の問題ですが、いつでも政府は、何か問題がむずかしくなると国連中心、国連外交強化というところにもぐってしまう。私も、何か頭の一つもたたいてやりたいと思うのですが、もぐってしまうので、きょうは一つとびらを開いて、国連は非常に危機に立っておるので、分裂するかもしれぬ。あるいは、中共でも入ってくるなら、国民政府は出ていくとかなんとか、出てくるやつがあれば、引っ込むやつもある。あるいは、白と黒と中間と、三つくらいになるかもしれぬ。その前に戦争になるかもしれない。重大な時期だ。そこで、国連強化というのは一体どういうことか。抽象的に一つ伺いたいことがまず第一です。どういうことですか。
#45
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、昨年の暮れに、国連というのは非常に危機にあるということを言ったところが、よけいなことを言うというふうにしかられたのでありますが、だんだんそういうふうなことが現実の心配になっておるように思うので、これはしかし、何といっても、国連を構成しているのは加盟国なんでありますから、加盟国の努力によってその秩序を回復するということ以外にないと思います。早い話が、今のお話を引用させていただきますと、たとえばコンゴーに対していろいろの援助をしていく。ところが、特別緊急総会の議決で、ハマーショルドが権限を与えられて行動する。その金は、おれは反対したのだから出さない、あれはあくまで決議であって、道義的な拘束力しかないのだ、こういうふうに言われますと、国連の援助というものは非常に権威のない形になってしまう。おれはおれで、別のひもで援助していく、国連のやりたいやつは国連の援助でやればいい、こういう考え方が強くなってくると、それこそ国連の危機というものがその面からも来る。私どもは、やはり誠実に、国連のきめたことを、派手でなくても、自分の持ち前というものは、十分それを履行していくという考えに立たなければいけないと思うのです。それから、国連というものは話し合いの場でございますから、何かあまり強いきわだったような決議を出してみたり、大向こうをうならすような大演説をやるということだけでもいかないのじゃないか。あるいは、それも場合によっては必要だろうと思いますが、私どもの立場とすれば、むしろそういうことを避けて、できるだけひざを突き合わして話し合うように国連を持っていくということが、むしろ国連強化策だと思っておるのであります。それから、日本は低姿勢主義でだめだという、こういう御意見のあることも承知しておるのでありますけれども、どうもやはりそういうことが、この際必要なんじゃないか。各国がその立場に立っていけば、国連が話し合いの場になっていく、これが国連強化策ではないかといったように思っておるのであります。
#46
○森元治郎君 それでは、国連の修身教科書みたいじゃないですか。結局は、話し合ってひざを突き合わしても九十九カ国で、日本が一日一分話し合いしても九十九分かかるのですから、全部出たとして、なかなかそれができない。派手なこともやりたくないと言うが、やはり自信を持って、自分の言いたいことは派手にやって一向差しつかえないのであって、何をやるかというのがないから、そういうふうな教科書みたいなことばかり言うのだが、強化策というが、具体策を一つ、具体的に機構上についてはどうか、それなら機構を伺いましょう。ソ連が出しておる、事務総長の三人制とか、ああいうような機構の問題についてどこが悪いのか。あるいは、国連憲章でも直すところがたくさんあるでしょう。いろいろ問題になっておる、憲章の調査会とかありますが、何かそういう用意がありますか。
#47
○国務大臣(小坂善太郎君) 抽象的な話をしろとおっしゃるから、抽象的に申し上げたのでありまして、今度はじゃ具体論に入りますが、私は、今の質問の事務総長三人制というのは、これはとてもできないと思います。大体執行機関というのは、一つの意思によって執行されるのでございますから、執行機関は一人でなければいかぬ。事務総長は一人でなければいかぬ。国会の場合でも、各派から一名ずつ推薦する三名の理事が出て、三人の合議制だったら、これはなかなかうまくいかないと思います。しかし、日本の場合は、共通の広場が多いのでございますが、世界の政治情勢になると、共通の広場がないのが普通でありますから、そういう形にしたらとてもうまくいかないと、これは反対でございます。
 それから、今具体的に日本は何をするかというお話でございますが、私ども、安保理事会の増員ということを主張しておるのです。これは、かつての加盟国の少数時代の安保理事会で五大国となっておるのでございますが、国連そのものが、いわゆる大国主義から均衡主義に来ておる。それで、われわれ、何というのですか、中小国というのですか、そういう立場からして、ことにアジアの利益代表というものをやはりもっと入れたらいいじゃないか、それには増員が必要だということをかねてから主張しておるのであります。去年もだいぶん取り上げられまして、もう一歩というところまで行きそうに思ったのですが、なかなかそれが実現しておりませんということは残念に思います。もう一つ、社会経済理事会、これも増員しろということは日本の伝統的な主張であります。それで、社会経済理事会を拡大いたしまして、国連というものが、軍事的な平和問題のほかに経済的な社会的な繁栄というものを真剣に考える場として、今の理事国の数では少な過ぎるのじゃないかということを言っております。それから、軍縮の場としては国連は大きな場でございますから、やはり実行できる軍縮をやっていこう、それには、核実験停止協定、それから核物質の拡散防止に対する決議案、これを日本が提案いたしまして、異議なく通っておるのであります。もう一つ、大気圏外−アウター・スペースの平和利用、これも私が提案したことになっているのですが、これはだいぶ賛成が出てきております。そんなことで、いろいろ具体的にはやっておるわけであります。しかし、今の日本としても、ある程度の力の限界もあるわけでございましょうと思いますが、しんぼう強くそうしたことの実現をはかりたいと思っております。
#48
○森元治郎君 大へんたくさんけっこうなお話を伺いましてありがとうございました。その中で、一つ伺いますが、実行できる軍縮協定というお話が出てきたので、実行できるということは、効果的ということも含んでいると思いますが、効果的な軍縮協定ということになれば、それは、アメリカのケネディの立場からする自由陣営の協調なんかも、中共の国連加盟と取引しても、中共が入ってもらうことが必要だということを言っているのですが、実効ある軍縮協定、実行して効果のある軍縮協定は、やはり中共が入ってもらわなければ困るということは、どこでも議論の余地がなくなってきたことなのですね。その点については、大臣はそれは認めるでしょう。
#49
○国務大臣(小坂善太郎君) 原則論と政府の政策というものと、いろいろむずかしいところがありまして、この席でそれを申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じまするが、ただ、一方においてこういう意見もあるのです。意見もありますことは、入っていない今でも軍縮協定はできないのではないか、入ったらさらにそれがよくなるか、できるかということもむずかしい問題ではないかという議論もあることは、森さんよく御承知でしょうから、御紹介だけ申し上げておきます。
#50
○羽生三七君 関連してですが、まあ質問というより、若干意見になるかもしれませんが、アメリカ問題は、これは非常は複雑なので、軽々なことも言えないと思いますが、しかし私は、やっぱり何よりも、ソ連の言うような国連事務総長の不信任というようなことに直ちに私は同じ意見であるということでものを言うわけではないのですから、それは誤解のないように願いますが、いずれにしても、国連の態度はいつもあいまいなのです。たとえば、今度だって、ルムンバの殺害によって、ケネディ大統領やスチブソン国連大使等も実は解決策を見失った、望みをかけていた糸口も切られてしまったと、アメリカ自身が非常な当惑をしておるだろうと思う。なぜそういうことになるだろうというと、いつも問題はあいまい模糊として、はっきりしておらないので、だから、ルムンバが殺害されるような、そういう条件といいますか、状況というものをむしろ作り出してしまう。また今度は、今、森委員も言われたように、新しい人が数名殺害されておる。また次の新しい問題を生んでいるわけです。問題は際限のないジャングルに入っていくわけですが、そこで、やはり犯罪者は調査して、もとよりこれは厳重な処罰をする、二度とかかる事態を繰り返さないという意味で、断固たる態度をやはり国連がとる。そういうかまえが欠けておるために、次から次に矛盾を生んでくる。やはり私は、その意味で、国連がもっときぜんたる態度をとるべきだと思う。そういう目で国連を見ておると、日本政府との関連になるのですが、たとえば、今外務省がすぐこう言うものをどうかと思いますけれども、すぐハマーショルド事務総長の支持を表明する、それより前に、やはり問題の所在を明らかにして、適切な解決策をどうしたら講じられるかという意見を先に出すべきである。だから、事務総長の支持だとか何とかいうことは二の次で、問題の所在をむしろ明白にして、その解決策をどうするかという積極的建設的な意見の方が私はむしろ重要であると思う。それは、先ほど申し上げたように、アメリカ自身すらルムンバ殺害で解決の糸口を失って当惑をしておるというこの事態を見れば、私はなおさら明白だろうと思います。
 そこで、日本の政府としても、国連に対して、もちろん別に大演説をぶったりという奇想天外の策が何人にもあるはずがない、世界中が知恵をしぼったっていい策がないのですから、そんなうまい策があるとは私は思いませんが、しかし、ときには大国となり、ときには、力の限界を言われてもどうかと思うので、日本は日本なりに、かくあるべきだと、私は、率直に言って、この共産主義とかあるいは自由陣営というのが、それぞれのイデオロギーで、自分たちの陣営に都合のいいことをそれぞれ主張し合っているような状態ではなしに、あるべき今日のアフリカの姿をはっきり認めて、認識して、問題の所在がどこにあるかということをよくえぐり出して、そしてたとえば、この経済的な援助あるいは医療問題とか、そういう社会事業的な面においても、もし行なうべき点があるならばこれを行なう。そういう点について、積極的な努力を続けて、他の政治的介入はそれぞれ避ける。しかし、もし介入したものには、国連は断固たる態度をとる。そういうかまえがはっきり見えれば、私は問題の解決にさらに前進をするだろうと思うのです。そういう意味で、この国連に対する日本外交というものの積極性が私はあまりなさ過ぎると思うのですが、実は、ときどき何かやりますが、これは実に、私は見ておって、要領よく小手先の技術を弄している。極端に言えば、大局的な判断に立って、ほんとうに日本はこう思うが、国連はどうだというところがなしに、あまりにも世界の大局に追随して、いわゆる国際情勢待ちであると考えられるわけであります。ですから、そういう意味で、あるいは日本の力の限界というものももちろんあるでしょうが、同時に、やはり積極的にもっと建設的な案を立てて、言うべき点ははっきり言う。ときには困難な立場に立たされても、勇気をふるって、やはりそれを乗り切っていかなければ、真の正しい日本外交、国連を中心とする日本外交というものは確立されない、私はこう思うわけです。これは意見になるから、別にあえて御答弁を要求するつもりでありませんが、御意見があったら御発表願いたい。
#51
○国務大臣(小坂善太郎君) 今、羽生さんのおっしゃったこと、私は全く同感でございます。そう思います。ただ、弁解がましくなるのですが、今お話の中にございました、ハマーショルド支持をすぐ出すからいかぬということですが、しかし、非常に弁解がましくて恐縮なんですけれども、これは、出てきた径路をやはり御説明しないと、わかっていただけないかと思うのです。それは、今日本の新聞というものは、日本に限りません、外国紙も来るわけですが、事実というものでないと書かぬわけです。それで、私どもは国連に対してもっとしっかりやれとか、そういうようなことを言っても、これは、かりにそういうことを文書にするとか、あるいは代表に訓令を出して、こう言えとか、こういった事実がないと、そういうことは書いてくれないわけです。しかし、支持するのかどうかということなら、支持するという具体的なことになると、たくさん話をして、その問題はすぐ出た。しかし、その出たものをお読みになると、何だ、こんなことしか言っていないのじゃないかこういうことになるのじゃないかと思うのです。国連の態度云々ということについて、今卒然としてここで言いますことは、やはり今、安保理事会の理事国ではない、今後経済社会理事会の方へこちらが移っておりますから。それでないものが、いきなりそんなことを言って、何か日本はばかに力んでいるじゃないかということだけになってしまいますので言えないだけのことでございまして、考え方としては、私は羽生さんと全く同じことを考えているということを申し上げておきます。
#52
○佐藤尚武君 大臣の時間が大へん迫って参りましたが、私に対しての発言のお許しが出ましょうか。そちらがお済みになってからでけっこうでございます。
#53
○委員長(木内四郎君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#54
○委員長(木内四郎君) 速記始めて。
#55
○森元治郎君 それではスピードアップしますが、国連の外交充実のためということをよくおっしゃられている中に、代表部門を充実する。松平大使は、何か民間の人が行ったらどうか、大物がいわゆる政党の、これは非常にいい考えで、これがもし松平さんの皮肉でないとすれば、おれが悪いというなら、お前行ってみろということはどうかと思うのですが、これは、やはり自分の政党のほんとうのそのイデオロギーがあるならば、思想があるならば、哲学があるならば、言葉はできなくても、議運あたりで、あるいはそれはもううまいことを覚えている人がたくさんいるのだから、あの会議の中で、ちゃんと翻訳してくれるのですから、打っては返すように堂々とやれると思う。これはどんなふうに考えておられますか。なかなかいいと思うのです。
#56
○国務大臣(小坂善太郎君) 国連というものを非常に重視するという考え方は必要だと思います。その線に沿って、できるだけ努力したいと思いますが、ただ、会議外交ですと、今おっしゃるような点はありますけれども、やはり葉の制約というものはある程度あるわけでございます。非常にその点残念なことですが、日本人は、読んだり理解したりする力は、外国語について、相当高いレベルであると思いますが、どうも話すことになると、なかなか受け答えをすぐにやる人は、ことにその大物の中に少ないようなことを感じまして、この点遺憾に思っております。それはもう外国、ことに東南アジアもアフリカも、諸国から出てきている連中は、皆実に英語もフランス語も上手でございまして、そこへ全く日本語以外知らぬという方が行かれて、どの程度効果があるものかということは、私は若干疑問を持っているのであります。ただ、今のそのやり方として、常駐代表というものは、これはキャリアの外交官がいいと私は思っておりますが、その他に、代表というものがございます。代表にしかるべき人が行っておられるということは、一つの考え方だと思うのでございます。
 それからもう一つは、向こうで議論することもそうでありますが、今度は、こっちへ帰って来て、国際情勢というものの見方を話すということも、これもまた必要であるわけです。そういう意味で、いろいろな方が代表になって行かれて、自分の見て来たことを、実際に感じられたことを、また帰って来て国内で話をされるということが、日本の全体に対する世界知識外交知識というものの普及に非常に役に立つ点も多いのじゃないかというふうに思いまして、そういう点はよく考えて参りたいと思います。
#57
○森元治郎君 一言で終わるのですがね。アメリカあたりじゃ。日本とちょっと組織も違うけれども、アフリカのような重大問題には、上院議員のいいところを派遣して、報告書を書かしている。日本あたりも、どうも遠くてわからないというさっきの大臣のお話だったが、遠い遠いと言ったって、地球は小さいのですから、参議院委員会であろうと、どこであろうと、国会が出して、少し見てこなければ、これはだめですよ、行政官だの外交官ばかり見てきたって、それは。こういうことは大臣、考えないのですか。
#58
○国務大臣(小坂善太郎君) 非常にけっこうなことだと思います。その意味で今度は、私ども、議院各位がおやりになることを政府は何も言う権限は、ないのですが、国会側も非常に調査費がふえたようでございますから、大いに行っていただくことはけっこうだと思います。政府としても、やはり相当な方にアフリカをよく見ていただくということは考えたいと思っております。
#59
○佐藤尚武君 きょうは私、特別な問題についてお尋ねしようと思ったのでありますけれども、その前に一言、今の大臣が仰せになった問題に関連してお尋ねしたいと思います。
 それは、松平国連大使が、日本へこの間じゅう帰ってこられているわけであります。そうして新聞記者に語られたということで、新聞紙上に二、三回にわたって記載された点があるのです。それは松平大使は、新聞報道によりますと、記者団に対し、日本に帰ってきて、国連の事情がこんなにもわからないでいるのかということを知って、驚いたということを言っておられます。また、一昨日でありましたか、自民党の政調会に大使が臨まれて、いろいろ話し合った。その松平大使が政調会で述べられたところとして報道されていることによりまするというと、やはり同じようなことを言っておられる。そうして松平大使の説明に対して、自民党の議員諸君は、ああ、そういうことは、自分たちとしても初めて聞いたと言って、驚かれたというような報道があります。私は、直接に松平大使からそういう点についてお話を承る機会を持っていないのでありまするが、しかし、われわれとしまして、日本国民が、この国連のやっていることに対して相当の理解を持つ、しかもそれには、広い範囲にわたって国民が理解していくということは、非常に必要なことと思っておるものでございまするが、そういう観点から言いましても、今の松平大使の言われたことは、非常に注意に価する点だと思うのであります。従いまして、大使が言われたこと、すなわち、こんなに日本人はわかっていないのかと言われたという、そのおもな点。一体どういうところにあるのか。それをお尋ねしたいと思うのです。
#60
○国務大臣(小坂善太郎君) 私も、実は個人としては、松平君の言われたことはわかったような気がするのであります。松平君は、自分としては一生懸命やっておる。それで、相当日本の国連における行動というものを高く評価されておる。ところが、日本へ帰ってきてみると、何をやっているのかわからぬというような御意見があるので、非常にがっかりしたというようなことを言っておるのであります。子供みたいな例で恐縮なんですが、そんなに評判が悪ければ、いろいろな選挙に日本が立候補して、それぞれ当選することはないじゃないかということでありますが、私は、その点事実だろうと思います。評判が悪ければ、副議長に当選するわけもないし、あるいは経済社会理事会にも当選するわけはない。あるいは、田中耕太郎氏を国際司法裁判所判事に出して、当選するわけはないんでありますが、その点では、相当日本の行動というものは高く評価されていると思うのです。ただ、国連でそういうことがあるということが日本に伝わらぬという点は、松平君があそこでやっておつて、非常に残念だろうと思うのです。その点が非常に多いと思います。
#61
○佐藤尚武君 今の大臣の御説明のようなことであるなら、松平大使が言われたということは、私自身よく理解できるのであります。私は、むしろそういった問題でなく、そのほかに、何か特定の問題で、日本人がこんなにもわからないのかと思っておられたのかと思っておったのでありますが、そうでなければ、それでけっこうであります。松平大使が言われたことはよく理解もできますし、また私自身、松平大使が非常に国連代表としてよく活動しておられるということも事実知っておりまするからして、大使がそう言われたことは、実はもっともであろうかと思っておるのであります。
#62
○羽生三七君 関連して。その場合、松平大使の言われた、政治的責任を負い得る人ということはどういうことなんでしょうか。その点だけ。
#63
○国務大臣(小坂善太郎君) 私も、その辺は想像になるのですけれども、本人の口からでないとわかりませんけれども、要するに、日本が非常に今までと変った行動をするならば、その際に政治的責任を負うという立場の人が出ているのが当然じゃないか、こういうことだと思います。
#64
○佐藤尚武君 私は、オットセイの問題についてお尋ねしたいと思ったのですが、大臣にオットセイのことをお尋ねするのは御迷惑かと思うのでありますが、この問題は、日ソ間に今現に行なわれております北洋漁業の問題に直接に関連をいたしまするし、またひいては、日ソ間の国交にも影響するであろうと考えますからして、外務大臣にお尋ねするようなわけでありますが、オットセイ条約というのがあって、しかし日本は、例の海豹島を失った結果、その条約には今は参加してないことになっているだろうと、これは、私よく調べておりませんから、知りませんが、法律上、日本はその条約についてどういう関係にあるか、どういう立場にあるかということは、私は、これは専門家にお尋ねしなければならぬと思うのでありますが、しかし、北洋方面において、かなり多数のオットセイが生息しておって、それがサケやマスなどを食い荒らすという事実、これはおおうべからざる事実だろうと思うのであります。そうしてまた、両三年前から行なわれておりました日ソ間の漁業に関する交渉におきましても、日本側から、オットセイが非常に鮭鱒類を荒らしているということをたびたび注意をして、そうしてソ連例の考慮を促したというようなことを新聞紙の報道で見ておりましたが、実を申しますというと、ソビエト側は、鮭鱒の資源が逐年減少してきているのは、日本の協定地域内もしくは地域外においての乱獲の結果であるということで、資源の減少を一に日本側に責任を負わしているというような傾向なんです。ところが、あにはからんや、そのほかに、その資源を食い荒らしているオットセイがいるということでありまして、オットセイの罪まで日本がひっかぶらなければならぬということは、これはあり得ないことだと思うのであります。ある人の調べによりますというと、北洋方面に生息しているオットセイの数は、なんと五百万頭に及んでいるということであります。一日一匹のオットセイが鮭鱒類を二十尾食うとしましたならば、その数は実にばく大なものに上るわけであります。はたして五百万頭いるかどうかは私は知りませんが、ある外務省筋の話でありましたかしら、少なくとも二百万頭はいるであろうというような話を聞いたことがあります。それにしても、オットセイが食い荒らす数は相当の数に上るだろうと思うのであります。オットセイ条約なんという条約があって、人間同士の間ではいろいろな約束があるかもしれませんけれども、オットセイは、そんな条約なんかにかまわず、食い荒らしているわけでありますからして、この問題は、日本でも真剣に調査されなければならぬ問題であるし、また、ソビエトとの交渉にあたりましては、その点、もっともっと強くそれに言及して、そうしてソビエト側の反省を促すということをされなければいけないのじゃなかろうかと思うのでありますが、その点に関しまして、外務省あたり、どういうふうにお考えになっておりますか。お伺いしたいと思います。
#65
○国務大臣(小坂善太郎君) 佐藤委員御承知のように、陸上でアメリカ並びにソビエトがとったオットセイの一五%を日本の方に還元するということになっているわけでありますが、御承知のように、生息するオットセイについては、われわれとしては手を触れることができない状況になっているわけです。先般イシコフ漁業部長が参りましたときに、その話を総理からもお話しになったように聞いておりますが、なお、アメリカ局長担当でございますから、詳しく申し上げたいと思います。
#66
○政府委員(安藤吉光君) 昭和三十二年十月十四日に、「北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約」というものができて、日本とアメリカとカナダ、ソ連でありますが、この条約は、オットセイ資源を毎年最大の猟獲が得られる水準に維持する最適の猟獲方法について、科学的に研究調査するという目的を持った条約でございまして、その条約によりまして、一定数量の海上捕獲、それから陸上における乳幼獣の標識をつけたものは毎年一定数、国に返すというようなことをやりまして、共同調査を行なって、この共同調査を五カ年間行なうわけでありますが、この調査を行なう間は、一切の海上における商業捕獲を禁止するという条項がございます。そのかわりに、オットセイの繁殖する島を有しておりますソ連とアメリカ、ここで毎年きめます一定量をとりましたものの一五%を、こういった島を持っていない日本カナダに分ける、こういう規定でございます。それで、毎年委員会が開かれまして、その委員会は、「北太平洋おっとせい委員会」というのでございまして、本年も、一月二十日に東京で開かれました。この委員会は、共同調査計画の作成、調査結果の研究、それから条約発効後五カ年、この五カ年目は明年の十月になりますが、その後に、どうしたら最適資源を保存しつつ最もたくさん猟獲できるか、その猟獲方法について条約の締約国に勧告するという、こういった三つの仕事をしておるのであります。それで、今お話ございました、オットセイがさけますを食べるじゃないかという点につきましても、この委員会は調査をいたしまして、本年、オットセイの食性、オットセイがサケ、マスを食べるという、その調査を各国がやったやつの報告をやっております。その報告書は、来年、もうしばらくしないとできない状況でありますが、会議の模様では、この委員会でこういった問題を取り上げました。それで、おそらく来年の十月十五日以降に、この委員会で、どうしたらいいか、もっとたくさんとった方がいいか、あるいは従来通りがいいか、そういったような結果を締約国に勧告することになっております。日本といたしましては、種々なる調査の結果及び諸般の見地から、日本が現存、条約の附表で、千四百頭から千六百頭を毎年海上でとってもいい。これは、調査の目的でということになっておりますが、これは、条約の第一、第二年度において許されておりましたのはもっと多くて、二千七百五十頭から三千二百五十頭までとれることになっておりましたが、それまでに復活して、たくさんとらしてくれということを主張したのですが、委員会で採択されませんでした。大体の経過です。
#67
○佐藤尚武君 ありがとうございました。時間が参りましたから、これで質問を終わりますが、とにかくこの問題は、日本の漁獲量に対する非常な大きな影響のあるということをよくお考え下さって、善処されることを希望いたします。
#68
○委員長(木内四郎君) それでは、大臣の御都合もありまするので、大臣に対する御質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、他に条約局長その他が来ておられますから、もしこの両案件につきまして、議題になっております条約について御質疑があれば、――別にないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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