くにさくロゴ
1960/03/09 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第6号
姉妹サイト
 
1960/03/09 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第6号

#1
第038回国会 外務委員会 第6号
昭和三十六年三月九日(木曜日)
   午前十時三十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           青柳 秀夫君
           井上 清一君
           森 元治郎君
   委員
           笹森 順造君
           永野  護君
           野村吉三郎君
           堀木 鎌三君
           羽生 三七君
           佐藤 尚武君
  政府委員
    外務政務次官 津島 文治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       渡辺 信雄君
  説明員
   外務省欧亜局外
   務参事官    重光  晶君
   外務省情報文化
   局外務参事官  高橋  明君
   大蔵省主税局税
   制第一課長   塩崎  潤君
   文部省社会教育
   局著作権課長  大田 周夫君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○日本国とグレート・ブリテン及び北
 部アイルランド連合王国との間の文
 化協定の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)
○日本国とブラジル合衆国との間の文
 化協定の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国とアメリカ合衆国との間の条約を
 修正補足する議定書の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出、衆議
 院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国とパキスタンとの間の条約を補足
 する議定書の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 本日は、まず日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、日本国とブラジル合衆国との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、以上、本院先議の要件を一括して議題として、前回に引き続き、質疑を続行いたしたいと存じます。
 質疑に入ります前に、前回政府から答弁を留保されております、英国及びブラジル合衆国におけるテープ・レコーダーの保護について発言を求められておりまするから、それを許します。
#3
○説明員(高橋明君) 先回の委員会におきまして、井上委員から、テープ・レコーダーのことに関しましての御質問がございました。その補足説明を本日させていただきますが、大田文部省著作権課長が来ておりますので、同課長から御説明をお願いします。
#4
○説明員(大田周夫君) テープ・レコーダーは、著作権条約により保護されるかどうかという御質問にお答え申し上げます。
 テープ・レコーダーに録音されました原著作物、たとえば音楽などは、ベルン条約及び万国著作権条約の保護の対象となります。またベルン条約では、音楽著作物をテープに録音する場合には、著作権者の許可を必要とするということを規定しております。なお、テープ・レコーダーに録音しました録音者自身が録音物に著作権を有するかどうかにつきましては、ベルン条約ローマ規定では、録音者の保護そのものは規定しておりません。万国著作権条約では、各国の国内法にこの取り扱いをゆだねております。わが国では、著作権法第二十二条ノ七によりまして、録音者は著作者とみなして保護をいたしております。英国の国内法も、ほぼ日本と同様に保護いたしております。ブラジルにつきましては、録音者の権利そのものは認めていないようでございます。
 なお、第二点のテープ・レコーダーによる不正手段は著作権法に触れるかどうかという御質問にお答え申し上げます。
 原著作権の許可を得ないで録音いたしますと、著作権侵害となります。この点につきましては、諸外国におきましても、その国内法でわが国と同じように規定しておりますので、録音する場合には許可を必要とすることになると考えます。
 以上であります。
#5
○井上清一君 では、テープ・レコーダーは著作権法には入っているわけですね。また、それをはっきりさせていない国もあるんですね。
#6
○説明員(大田周夫君) ブラジルのように、国内法で保護を規定していない国もございます。
#7
○井上清一君 あるわけですね。ですから、ブラジルのなにには、この項目は入っていないというわけですか。
#8
○説明員(高橋明君) 日伯文化協定案の方には、機械的手段というような言葉はございませんが、その第一条の第一項にございますように、「ラジオ、テレビジョンその他の大衆通報手段」というふうになっておりまして、その意味するところは入っているというように理解しております。
#9
○井上清一君 ああそうですか。
#10
○委員長(木内四郎君) 他に御質疑の方がおありでしたら……。
#11
○青柳秀夫君 この文化協定というのは、私は両方とも非常にけっこうだと思うのですけれども、フランスとは文化協定ができているのでございますか。
#12
○説明員(高橋明君) フランスとは文化協定ができております。
#13
○青柳秀夫君 この議題ではございませんけれども、ちょっとそのことに関連いたしまして、今度新聞で見ますと、パリに文化会館でございますか、何か日本の方の側の出資でできるというようなお話が載っておりましたけれども、そのことについての事情を伺いたいと思います。
#14
○説明員(高橋明君) パリに日本の文化、経済その他万般の紹介をするという意味で、日本会館というようなものができたら非常にけっこうであるというお話がここ二、三年来ございまして、ただいま青柳委員からの御質問の会館は、そういう構想から出発したものであると思います。しかし、その後いろいろ曲折がございまして、現在私が承知いたしておりまする段階におきましては、主として民間の方でこれに非常に深い関心を待たれる方々が民間の資金を集められまして、そうしてパリに適当な建物を購入し、そうして民間の手でこれを運営していきたいということになっているような次第であります。これとは別に、御承知のことと思いまするが、パリには、通称薩摩会館という建物がございまして、日本からパリに留学する学生の方、また外国人のパリの大学に勉強する方々がここに住まわれまして、その寄宿舎として利用されている会館がございます。通称薩摩会館と言っておりますが、今度民間の手でできまする会館は、パリ日本会館という名前になるのじゃないかと了解いたします。文化会館という名前にまでなるようにはなっていないと了解いたしております。
#15
○青柳秀夫君 こまかいことになって恐縮でありますけれども、その日本会館というパリのものも早くできることが望ましいと思いますが、今お話のありました薩摩会館というものは、相当政府の方で何か援助しているのでございましょうか。できた当時は、何か薩摩治郎八という方が非常に努力されて、資金を出されて作ったということを聞いておりますけれども、現状は、その方の意思を尊重して――今、薩摩さんの方はあまり資力がないように聞いておるのでございますけれども、政府なりどっか団体で力を入れないと、せっかくの会館も運営がやりにくいのじゃないかと思って伺うのですが、どんなふうになっておりますか。簡単でけっこうですから。
#16
○説明員(高橋明君) お答えいたします。
 パリの薩摩会館は、薩摩治郎八さんから寄付を受けまして、その建物がパリ大学都市当局の統轄のもとに運営されておるわけでございます。その果たす役割から言いまして、政府としてもこれに援助をすることが適当であると考えられまして、現在この会館に対しましては、国会の御承認を得ました予算の中で、館長の給与を補助いたしております。この館長になられる方は、日本から適当な方に行っていただきまして、大体二年の任期で交代されておりまするが、この館長の給与並びに――何分にもこういう建物を使っておりますと、その維持、修理というような費用がかかります。そこで、本年度の予算年度におきましては、修理費を約四百万円ほどいただきましたので、その修理費を補助いたしました。そしてその他の収入と申しますのは、現地で宿泊される学生の方の宿泊料なんかがこの収入になっておりますが、その収入を合わせて運営されておるというのが実情でございます。
#17
○青柳秀夫君 いま一点だけお伺いいたしたいと思うのですが、それは、文化協定というものの精神から言いまして、日本の文化なりあるいは実際の経済状況というものを相手国に知らせる、広くいえば、世界各国に日本の実情を知らせるということが、一番日本を理解させる上で必要だと思うのです。また、外国の事情を日本がよく知った方がけっこうだと思いますが、その中で、これも根本問題じゃないかしれませんけれども、たとえば、歌舞伎をアメリカに持っていって、非常に宣伝といいますか、日本の文化の尊いものを知らせるという意味でやられたということは、これは一面においては非常にいいと思いますが、しかし、どれだけそれがアメリカ人に理解されたかという点については、私自身疑問があるのです。少し議論めいてきますけれども、日本の中で、古典的なものが価値はございますけれども、それでは、日本人にどれだけわかっているかというと、なかなかこれは並み大ていにわかるものじゃない。文楽のようなものが大阪で、これは非常に貴重なものだと――貴重でございましょう。しかし、あの義太夫なら義太夫というものがほんとうにわかるという日本人が幾人いるか。なかなか私はそう大ぜいはいないと思う。日本人でさえなかなか理解できないものを、いきなり国情の違う外国に持っていって理解させようといっても、これは私は、いい面と逆の面と二つ出てくると思う。すっかり日本の経済状況なり文化水準というものがわかった上で、その上で古典的なものを知ってもらうということは、これはけっこうだと思います。しかし、何も知らぬところへ古いものを持っていくと、そう簡単にいい面だけ見ないで、今でも明治時代あるいはそれ以前の日本のようなものを想像するのではないか。これはまあ、外国の小学校の教科書の問題等もそれにからんで出てくるようでありますけれども、私は、文化の交流というと、すぐに国粋的なものだけを交流するのがよいかどうかという点についての疑問を持っているわけなんです。たとえばお能のようなものも、これはまあ非常に尊いものでしょう。しかし、あれも同様なことが言えると思う。珍しいから、行けば一応は賞賛を拍する。しかし、それだけで日本の文化が紹介されたというふうには、どうも私には理解ができないのです。そういう点についての外務省なり御関係の方面のお考えを聞いておきたいのです。これは、私は純日本的の芸術を否定するのではございません。そういうものはどこまでも尊いものとして、ますますこれを続けて、日本固有のものでございますから、海外から見えた方なんかには、まずこれを見せることがよいと思いますが、こちらから持っていくとき、全然日本の国情といいますか、いろいろ知らないところにそういうものを持っていくことがよいかとなると、私は自分では納得できないのです。だものですから、いろいろの機関を通じて御選定になると思いますけれども、今後私は、こういうことはもっと力を入れてやることは必要だと思うのです。だけれども、すぐに一部の芸能家だけの集まりで、歌舞伎なら歌舞伎にきめてしまうという点については、幾分のまだ審議の余地があるのではないか。世の中はどんどん変わりつつあるのでありますから、日本のほんとうの姿を海外に紹介することが必要だと思っているものですから、ただそのままの気持を申し上げて、御意見を伺うのですけれども、外務省では、一体どういうふうにお考えになっておるか。今後も、文化交流というと、すぐに歌舞伎なりお能なり、ああいう古典的なものを持っていくだけでよいと思っておいでになるか。いま少し変えて、そういうものを持っていくにしても、持っていくこと自体が悪いとは言いませんけれども、それならそれで、現在の映画なら映画でも、日本の産業がすっかり進歩して、トランジスターのラジオなら世界一と、その他ずいぶんりっぱなものができている。そういうものもかたがた一面で見せて、それと同時に他のものを見せる。同時に見せなければ、片方だけ見せて、片方が知られないでいるのでは、非常に誤解されるのではないかと、こういうふうに私は思うのです。だから、やられるにしても相当な配慮が要ると、こういうふうに思って、これはいろいろ御意見があると思いますけれども、私は、その文化交流の協定を結ばれるについての一つの問題としてお伺いをするわけであります。
#18
○説明員(高橋明君) 青柳委員の御意見、まことにごもっともなことと、私も同感でございます。日本の文化宣伝をいたしますその目的は、申すまでもなく、戦後の新しい日本の実情、国情をよく海外に紹介し、理解してもらいまして、そうして日本に対する理解と親善の空気をここに醸成するということがその目的であることは、申すまでもございません。そこで、国情を紹介をいたしまするのに、いろんな方法を用いておるわけでございます。パンフレットあるいは雑誌、講演、映画、芸能、あらゆる適当と思われる手段によっていたしておるわけでございまするが、ただいま御指摘の、古いものだけを紹介して、一面だけを伝えるということは誤りでないか、それはごもっともでございます。そこで、古いものと新しいもの、これをあわせ紹介する。古いものでも、なかなかいいものがございます。日本のよさを持っているものがございます。そういうものを紹介しますと同時に、それだけに片寄らないで、できるだけ現在の日本の正しい姿を理解してもらうために、新しい点、たとえば日本の工業水準の高さ、産業の発達というような点にも意を用いておるつもりでございます。
 歌舞伎につきましては、少しこまかくなりますが、こういうものをどこへ持っていってもわかってもらえるというわけでもございませんし、歌舞伎とか能とかいうようなものが、外国の方にはなかなかわかりにくいであろうという御指摘の点は同感でございます。そこで、昨年アメリカに歌舞伎が出ましたが、これは、日米修交百年祭の記念事業という意味もございまして、また、わかりにくいものをわかってもらうための努力を、アメリカ側の関係者も努力をいたしたように思います。と申しますのは、歌舞伎の公演が行なわれます前には、コロンビア大学の関係者なんかが、日本の歌舞伎についての解説書と申しますか、そういうようなパンフレットを英文で関係方面に配付したり、また、公演に際しましては、イヤホーンを使いまして、英語でせりふなんかの同時通訳というような手段を用いて、わかりにくいものをできるだけわからせるという努力はいたしたようでございます。今後の方針といたしましても、私たちは、できるだけ古いものでもいいものを紹介すると同時に、現在の新しい、そしていい点をあわせて十分に紹介し、日本の国情の一面のみを海外に伝えて誤られないように十分配慮いたしたいと思うのでございます。
#19
○井上清一君 日仏文化協定の締結されたのはいつですか。
#20
○説明員(高橋明君) 日本とフランスとの文化協定は、昭和二十八年、五月十二日に署名いたしました。批准件の交換が同年の九月十八日、そして効力の発生が十月の六日からとなっております。
#21
○井上清一君 実は、この間ちょっとよそで話を聞きましたんですがね。フランス政府と日本の読売新聞社とが協定を結んで――ある種の文化協定なんですがね。結んで、留学生の派遣を交互にやろうというような計画があるわけですね。それは、その日仏文化協定の内容をなすものなんですか。またはそれとは全然無関係のものなんですか。政府と新聞社が協定を結んでいるわけなんですよ。これは一体どういう形のものなんですか。文化協定とはどういう関係になるのか、ちょっとそこいら伺いたいと思うんです。
#22
○説明員(高橋明君) お答えします。
 読売新聞社の方では、フランスとの文化交流を通じて国際親善に寄与したいというお気持から、学者の交換をフランス側に提案されまして、そうしてフランス側でもこれを受諾して、これから学者の交換が行なわれようとしているわけでございます。そのほか、学者の交換のほかにも、できるだけ美術展の相互開催というようなことも考えておられるようでございます。法律的には、日仏文化協定との直接の関連ということはないと思いますが、その日仏文化協定におきましても、民間の文化交流が盛んになることは、これは、その趣旨から言いましてけっこうなことでございます。おそらく読売新聞の方でも、そういう日仏文化協定の精神にのっとって、民間ベースとしての交流を大いにしたいというお気持でこういう話し合いができたものと了解いたしているわけでございます。
#23
○井上清一君 民間の文化交流は非常にけっこうなことだし、また、読売新聞が企図されていることも、非常に国家的に大へんけっこうなことだと思うんです。ただ、協定の相手方が民間ベースじゃなしに、向こうは政府らしいですね。こちらが新聞社なんです。だから、日本がまた、たとえば英国の新聞社とそういう協定を結ぶということはあり得るのかどうかですね。また、そういう協定というものはどういう性格を持っているものかという、法律的な、国際法的な見解を承りたい。
#24
○説明員(高橋明君) こういうような事例は、ほかにもあると思うのでございます、文化交流は、御承知のように、政府間の交流のみならず、むしろ幅広く民間ベースで行なわれておりまして、従って、日本とフランスの場合のみならず、ほかの文化協定を結んでおります国との間に、日本の新聞社とかその他の関係団体とか、民間の方が向こうである事業をするために、その事業を担当されるところと協定といいますか、話し合いをして、そうして事業を行なうということは間々あることでございまして、たとえば、今度毎日新聞社がパキスタンの古代文化展を開催される計画になっております。この場合に、たまたま美術品の先方の保管者が向こうの文化省であったり、あるいはいろいろ、博物館であるというような場合には、その当事者と契約をするわけでございます。ですから、その契約なり協定の当事者が日本側は民間であり、先方は政府あるいは政府機関あるいはこれに準ずるものであるという場合もあり得るわけでございます。そういう意味では、私の協定といいますか、契約といいますか、そういう性質のものであろうと思うのであります。
#25
○井上清一君 海外映画普及協会というのが外務省の外郭団体にあるわけですが、それは、このごろどんな活動をやっておりますか。
#26
○説明員(高橋明君) お答えいたします。
 海外映画普及協会でやっておりますおもな仕事は、日本映面の海外における普及を目的としております関係で、まず第一には、海外におきますいろいろな映画事情の調査、それから第二は、日本の映画を海外に紹介する仕事でございます。具体的には、日本でできました優秀な映画の写真入りのパンフレット、カタログというようなものを作成いたしまして、これを広く海外に配付いたしております。
#27
○井上清一君 映倫のような、自主的な検閲ですか、海外に映画を出す場合に、これが適当なものであるかどうかというようなまあ一種の自主的な検閲というのはやっているのですか、そこで。映倫だけですか、やっているのは。
#28
○説明員(高橋明君) お答えいたします。
 映画検閲は現在御承知のようにございませんので、映倫の方で自主的に、脚本の段階において、あるいは製作されました場合にもあり得ますけれども、自主的な検閲をいたしまして、そして実施をいたしておる、こういうのが現状でございます。
#29
○井上清一君 いや、それを海外映画普及協会でやっておられるかどうかということです。
#30
○説明員(高橋明君) 海外映画普及協会では、それに類したことはやっておりません。ただし、海外に日本映画を紹介するパンフレット等を作成いたします場合には、そういう点を考慮して、取捨選択をいたしておるわけでございます。
#31
○井上清一君 従来、日本映画検閲制度があったころには、外務省が、海外に出す映画については、十分調査なり検閲なりをやられた上でお出しになっておったわけなんですが、最近はそういうことがない。そのために、だいぶどうも映画を通じて日本を誤解をするような例をしばしば聞くのです。たとえば、この間も何かに出ておりましたが、日本の農家が川の水をくんで飲料水にしているような場面が出てきたり、その他非常に、何というか、昔の日本の、まあはだしで遊んでいるところが出てきて、いかにも日本がまだ文化の開けない、そしてまた未開の国であるというような印象を、まあ文化の進んだ国ではわかるのですけれども、東南アジアとか中近東とかアフリカというような国では日本もおれたちの国と同じだというような考えを持たせるような映画がだいぶこのごろあると、こういうのです。それからまた、非常に古い、たとえば「七人の侍」とかいうような映画なんかで出てくる場面が、日本の非常な古い時代のものだということがよく映画を通じて理解されればいいのですけれども、そうでなくて、そういうような説明が足らないで、そのために、日本は非常に未開な状態であるというような印象を受けるような映画が非常にあるというようなことを私ども聞くわけなんで、何かこういう点について、外務省として手をお打ちになるとかいうようなお考えはないのですか。
#32
○説明員(高橋明君) 海外におきまして日本映画が上映されます場合は、大部分が日本の映画会社から外国の商社に輸出されたもの、これが一般公開されておるというのが大部分でございますが、そのほかに、映画による国情紹介という意味で、外務省におきましては、そのうちで適当なものを選んで海外に巡回映画会を催しております。もちろん、外務省で選択いたしまする映画は、できるだけ誤解を与えないような、また悪い個所のないようなものを選びまして海外に出しております。そういう点、気をつけておりまするが、一本の映画の中には、部分的にはいかがかと思われるような点もあるようでございます。しかし、できるだけ今、井上委員からの御指摘になりましたような、正しい意味の国情紹介をするための映画を使うことによって、かえって逆効果を来たすというようなことははなはだまずいわけでございます。そういうことのないように、できるだけ配慮いたしておるわけでございます。
 そこで、たとえば具体的にどんなことをしておるかという御質問でございまするが、結局、映画作製会社の方に海外の事情を伝まして、その協力を求めるというやり方を現在とっておるわけでございます。一般的には、映倫の方々ともときどき懇談をいたし、外国の方の事情を伝え、あるいは要望を伝えまして、その参考に供するというようなことをやっております。それから、問題がときたま起こることもあるわけでございますが、そういう場合には、そのつど関係会社に連絡いたしまして、そしてその協力を要望しておるわけでございますが、まあ著しく工合が悪いようなところは、今日まで関係会社の方も非常に協力的に、その訂正をするということに協力してくれておるわけでございます。
#33
○井上清一君 私が言いたいのは、外務省の外郭団体であり、かつまた、映画業者の自主的な団体である海外映画普及協会というような団体が、そういう方面に一つうんと力を入れてやっていただきたい、こういうことを結論として言いたいわけなんです。せっかくああいう団体があるのだから……。
#34
○説明員(高橋明君) 非常にいい御意見を承りまして、私の方でも、この海外映画普及協会を極力援助して、その活動をりっぱに果たしてもらいたいと思うのでありまするが、なかなか予算的にもこれに援助するということで、まだ段階に至っておらないのを残念に思うわけでございます。一つそういう御趣旨に沿いまして今後努力いたしたいと思いますので、よろしくお願いします。
#35
○青柳秀夫君 いま一つだけお伺いしたいのですけれども、文化交流というと、非常にいろいろな面で私は期待するものがあると思うのですけれども、その中で、芸術関係ですけれども、たとえば日本で日展がありますと、絵画なり彫刻、工芸、いろいろなものの傑作というか、りっぱなものが出る。これは東京だけでない。大阪なり各地持ち回って、日本の国内では非常に稗益するところがあると思うのですけれども、これを、たとえばその中でいいものを、アメリカのニューヨークなり、それからロンドンとかパリとかに持っていく。距離も遠いし、費用もかかると思いますけれども、精神において、そういうふうにすれば、日本の現在の美術水準というものが理解できる。また、外国の日展的なもの、そういう美術団体、展覧会の中の代表的なものを日本に持ってきて、日本人に見せる。これは現在でも、新聞社の主催その他でときどきやっているようでございますけれども、この協定の精神を生かして、もっと文部省なりとも連絡されて、外務省が積極的にやるのは、非常に私効果的ではないかと思うのですけれども、全体から言えば、ほんの一部のことにすぎません。しかし、一般の美術家なり工芸家というものも、外国へ行く人もありますけれども、外国へ自分の作品を見せることを非常に誇りとしているわけです。そういうところを政府で骨を折って、海外にそれを紹介するというような意味で、この機会に政府のお考えをただしておきたいと思います。
#36
○説明員(高橋明君) 日本のそういう日展とかその他で出されました優秀な芸術作品、また重要文化財に指定されておるようなりっぱなもの、こういうものを海外に持って参りまして、展示会をするということは、非常に効果的であると私ども考えております。文部省の方にも、それに対してできるだけ一つ協力をしていただきたいと、現在もお願いしておるわけでございます。そういう点、今後もできるだけ努めていきたいと考えます。
#37
○井上清一君 もう一つ、外務省に申し上げたいと思うのですが、先ほど日仏文化協定に関連して、読売新聞社とフランス政府との協定のことを私は言ったんですが、どうも向こうの政府が、文化協定に基づくか基づかないかわからないけれども、とにかく日本に何人かの優秀な学者を派遣しようと言っている。日本も、新聞社が出そうとしている。これは非常にいいことなんですが、どうも、せっかく文化協定ができておりながら、日本じゃ新聞社がやって、向こうは政府がやろうというのに、こちらの政府は、文化協定がありながら、それができないというのは、まことにふがいないような感じを受けるのです。せっかく文化協定があるんですから、もっとそういう点に政府も力を入れて、学者の交換、留学生の交換なり、日本の文化に寄与するような方面にうんと力を入れてもらわなければ、せっかく文化協定を作っても、有名無実になるじゃないかというような感じを受けるのです。それで私は、ああいう例を引っぱり出して、今後一つ大いにその方面に力を入れていただきたいということを言ったわけです。
#38
○説明員(高橋明君) ごもっともでございますが、実情はそういう、読売新聞社の手による学者の交流ということが行なわれておりますと同時に、政府間で学者の交換受け入れという話も現在進んでおります。それとまた別に、留学生が相互に交換されているということも御承知の通りであります。政府間の交流、そうしてまた民間の交流、こういうものが二本立で行なわれているというのが実情でございます。しかし、御指摘のように、政府の方の努力をもっとできるだけしたいということは、申すまでもございません。
#39
○笹森順造君 文化交流に関して、日本の文化を正しく理解させ、また紹介するための外務省としての努力について、先般の委員会でお尋ねいたしましたところ、いろいろなそういう外務省で努力した文献を拝見させていただきまして、その努力の跡がいろいろとわかって、現代的なものが外国に紹介されつつあるということについて、その努力は、私もある程度理解ができたわけでありますが、それについてなお続いてお尋ねしたいと思うのは、たとえばアメリカあたりでは、政府が、いわゆるインフォメーション・ビューローで、エデュケーショナルなもの、単に教育的なものだけでなくて、政府活動のいろいろな分野におけることについて、いろいろなリストを作って、それが一般に世界的に公にされて、希望がありますと、それがあるいは個人にしても国家にしても公共団体にしても、ただちに向こうからの報告が得られるような工合に、非常にうまくできているようであります。ところが、日本の政府で、外務省で努力した跡はよくわかりますけれども、特に外国語として、あるいはイングリッシュなりフレンチなりでそれを日本でやるのはなかなか容易でないかと思うのです。そういうような点についてどういう工合に、ああいう努力の跡はわかりますけれども、たとえば日本の法律なり、あるいはまた実際の活動なりについての時々刻々に外国に日本のありさまがわかるような工合のものを、ああいう文献のほかに、何か一般的なものについて、外務省で特に配慮しているものがあるかどうか。例をアメリカの政府のあれについてみれば、ああいうリストが非常に出ているのだが、それだけの力があるのですか、これまたやはり予算関係で、金がなくてできぬのですか。その点、どうなっているのですか。ちょっとお尋ねしたいと思うのですが……。
#40
○説明員(高橋明君) 時々刻々の問題とかを知らせるようなことについて何かしていないかという御質問と了解いたしますが、その点につきましては、現在やっておりますのは、政治経済その他万般の最も新しいニュースを海外の在外公館の方に知らせまして、そこで、各在外公館では、その国の土地で使われている言葉、たとえばアメリカにしたら英語、南米の方でございましたらスペイン語というようなふうに、その国の言葉でそれを印刷いたしまして、そうしてこれをその国の新聞社、政府あるいはその他関係方面に配布いたしております。これを私どもはインフォメーション・ブレティンと言っておりますが、そういうものを全在外公館を通じまして日々流しておるわけでございます。
#41
○笹森順造君 日本の最もよいものを外国に紹介する一つの手段方法としては、日本の各大学の学者が、あるいは世界的な、創意的な学位論文を出す場合に、自国語のほかに、大体外国語で書かなければならぬ。こういうものを取り集めて、そうしてそれを全部希望する外国へ送らないにしても、そういうものがある。そうして必要なものを向こうの要求に従っていくという工合になれば、非常にこれが外務省の努力より以上に力になるものがあるのじゃないかという気がするわけなんです。そういたしますと、それは文部省の管轄になるか、あるいは個々の大学の責任においてなすべきか、あるいはまた、そういう全く新しい分野を開拓した学者自身のそれが責任になるか知りませんけれども、こういうものを取り集めて、そうして文化交流の上に、日本のよさというものをやることが非常に効果的でないかと実は考えるのです。御案内のように、世界に、各国、年々各種類の学会があって、それぞれの発表がありますけれども、たとえば医学などにしても、国際的に見て非常な価値の高い研究発表などが日本の医学界から出ていっているというようなことなどにかんがみましても、こういう方面にもう少し外務省が力を入れてやったら、労せずして効果が多いことがありはしないかと、実はそう思いついたのでありますが、何かそういうようなことでも、外務省で特別に、時々刻々に現われたもので、各国に努力して、それぞれの在外公館がやるということのほかに、今申し上げたような――これは必ず英語なりドイツ語なりフランス語なりで出すことになっているはずなんですから、そういうものを収集してそれを出すというような、そういう努力、配慮はしておられるかどうか。もししておられないとすれば、今後それをやらなければいかぬと思うのだが、やっておられるならば、どういうことをやっておられるか、お尋ねしておきたいと思います。
#42
○説明員(高橋明君) 第二の段階におきましては、御質問にございました、学会に発表される論文とか、その他学者の方のりっぱな発表というようなもの、まあそういうものを海外に紹介するということまでは、実は予算、書類の関係等もございまして、手が回っておりません。しかし今後、ただいまの御意見を大いに参考にして、検討してみたいと存じます。
#43
○森元治郎君 二つばかり聞きたいのだが、一つは、戦後締結されたこの種文化協定は、大体内容、形式において似ているところがあるというんだが、一般的に共通のものはどういうものか。そうして類似しないものはどういうもので、どの国と結んだものか。
 第二点は、藤山さん時代から、ソビエトとの文化協定を結ぶような話がしばしば新聞に出たきり最近では消えてしまったんだが、どういう点で合意ができないのか。その交渉の今日までの経過、現段階をちょっと聞きたいと思います。
#44
○説明員(高橋明君) 御質問の第一点にお答えします。
 戦後わが国は、ドイツ、フランス、イタリアを初め、十カ国と文化協定を締結をいたしておりますが、その文化協定の形式及び内容は大体似ております。ただ、内容で多少異なりますのは、混合委員会というものを設けておる場合と、混合委員会の規定を全然持たない、つまり混合委員会を作らない場合、この点が一点でございます。混合委員会を持っていないものは、タイ、エジプト、イラン、パキスタンとの協定でございます。その他は、混合委員会の設置を規定いたしております。
 次に、内容的に違っております第二点は、学位、資格証書の同等性を承認するために検討をしようという規定がございますが、その規定の入っているものが大部分でございまして、この規定がないものがインドとイランとの文化協定でございます。
 それから、この文化団体の設立運営につきまして、これをできるだけ援助し、支援するという規定がございますが、中にはこの規定の欠けているのがございまして、それは、メキシコ、タイ、イラン、パキスタンとの文化協定におきましては、この規定を欠いております。
 次に、観光旅行の奨励ということをうたっております規定がありますが、その規定をしておりますものが、フランス、エジプト、ブラジルとの文化協定でございまして、その他の協定には、特に観光旅行の奨励ということはうたっていないわけであります。
 第二点につきましては、重光参事官からお答えいたします。
#45
○説明員(重光晶君) 日ソの文化協定の問題は、実はまだ日ソ間で交渉中でございます。従って、こまかいことを申し上げる立場にないのでございますが、今までの経過の概略を申しますと、約二年前に、ソ連側から、文化協定を締結しようということで、大体今お手元にありますような、われわれは俗に一般的文化協定と申すのでございますが、そういった包括的な案をソ連側から受け取ったわけでございます。それから、それを検討中のところ、去年の暮れに、今度はまたソ連側から、一般協定ではなくて、実施協定、これは大体ソ連がイギリスなり、アメリカ、ドイツ、こういう国と結んだような格好の、内容的には非常に広範でございますが、その広範なことを一々具体的に、こういうことをやりたい、交流したいという意味の実施協定案を受け取ったわけでございます。それに対してわが方から、ことしの初めになりまして、こちらの態度を向こうに述べて、そうして現在向こうの反応を待っているところでございます。こちらの態度と申しますのは、現在のところ一般的文化協定、ことにソ連案のような協定を締結するには時期尚早である。そうかといって、日ソ間に文化交流を現在も行なわれておりますけれども、それをなるべく引き締めようという考えは毛頭ないのでございます。ただ、政府として約束できることは、実施協定のうち実行可能なものにしぼりまして、具体的には、政府の刊行物の交換、政府派遣の技術者、専門家、研究生の交換、それからもう一点は、映画の映写会をお互いに相手国で行なう、この三点につきまして具体的にこういうことから始めようじゃないかという考えで、今年の初めソ連側に返答いたしまして、その返事を待っておる、こういう状態でございます。
#46
○森元治郎君 そのあとの方だけれども、ソ連側は、一般協定で最初スタートしてきて、それから、途中からアメリカ、イギリス、西ドイツとやっているような実施協定に変えてきたわけなんですね。
#47
○説明員(重光晶君) おっしゃる通りでございます。最初の案は二年ばかり前にもらったのですが、去年の暮れ、今おっしゃったような一般的実施取りきめと申しますか、非常に広範な実施取りきめの案をこちらが返事をする前によこしたと、こういう状態でございます。
#48
○森元治郎君 資料をほしいのですが、もし向こうの案とこちらの回答案がもらえるならば、公表できるならば、あるいは新聞にはあるのかどうか、それをもらいたいことと、それから、だいぶソビエト側の態度もそうかたくなでないように見えるので、あるいは妥結する方向に行くのじゃないかという感じをあなたの説明から受けるが、見通しだけを承っておきます。
#49
○説明員(重光晶君) 向こうから参りました案及びこちらの出しました案は、さっき申し上げましたように、まだ交渉中でございまして、公表するということは、一般慣例もございませんし、そういう意味で工合が悪いのじゃないかと思います。それから見通しでございますが、私たちも、ぼんやりした感じでございますけれども、文化交流そのものは大いにけっこうなことであって、ただ、日ソ間の現状からいって、一般協定は時期尚早なのじゃないか、そうかといって、日本政府側も文化交流を締めてかかろうという考えでもございませんし、また、おそらくソ連側も、何もこうでなければいかぬという態度でないように思います。ただ、ソ連のことでございますから、大丈夫こちらの案で向こうが同意してくるだろうとまではちょっと申し上げかねると思うのであります。
  ―――――――――――――
#50
○委員長(木内四郎君) 他に御発言がなければ、次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間の条約を補足する議定書の締結について承認を求めるの件、以上両件は、去る二月二十八日に衆議院から送付されまして、本付託になっておりまするので、念のため申し上げておきます。
 両件につきましては、先般提案理由の説明を聴取いたしましたが、さらに補足説明を政府委員から聴取いたしたいと存じます。大蔵省から参っておられまする塩崎税制第一課長にお願いいたします。
#51
○説明員(塩崎潤君) 御案内のように、わが国と各国との租税条約は着々進捗中でございまして、現在のところアメリカ、北欧三国、パキスタン、インドとの間に租税条約が結ばれておりまして、租税の面から経済交流、文化交流に貢献しておることは、御存じの通りでございます。そこで、今回御提案申し上げておりますところの修正補足議定書はいずれもすでに成立いたしましたところの租税条約を一部修正しよう、こういう趣旨のものでございます。
 まず第一の日米租税条約の修正点につきましておもな点を、その理由と要点だけ申し上げたいと、かように思います。日米修正補足議定書は、三点主要な修正点がございます。
 第一は、各国中央銀行の受け取りますところの利子に対しまして相互免税しようというものでございます。各国中央銀行に対します課税をどういうふうにしますか、非常にむずかしい問題もございますし、今回のケネディの新政策には、ドル防衛の見地から、中央銀行の受け取る利子につきましては、アメリカは税金を課さないというふうに国内法を改めようというような考え方が示唆されておりますが、その修正補足議定書は、その前に、日本銀行の受け取りますところの財務証券購入の結果生じますところの利子、これに対しましてアメリカ側は一五%の所得税を免除し、日本側は、アメリカ連邦準備銀行が日本において受け取りますところの利子につきまして一五%の所得税を免税しよう、こういう趣旨のものでございます。ここで、おわかりの通り、アメリカの連邦準備銀行は、御存じの通り、日本に投資はございませんので、この点におきまして、私どもは、実益を受けますのは日本銀行でございます。日本銀行は、預金と同時に、アメリカにおきまして財務証券を一つの外貨準備の形で保有いたしております。これに対しまして一五%の税金が免除されますので、この面におきまして、わが国の外貨取得につきましては相当の貢献になる、こういうことに私どもは考えております。で、先ほど申し上げました、ケネディ政権の中央銀行に対します利子免税ということは、免税することによって各国の中央銀行の投資を誘引しようという考え方でございます。私が今申しました、外貨取得の面において日本にプラスになると申しましたのは、日本銀行が払わなければならない外貨がセイブされると、こういう意味でございまして、別の角度から申し上げたのでございます。なお、財務証券以外の利子はどうなるかと申しますと、これはすでに、アメリカの国内法におきまして、預金の利子につきましては、アメリカにおきまして支店、事業所を有しない法人につきましての、非居住者と私ども言っておりますが、その利子につきましてはすでに免税となっております。今度実益がございますのは、財務証券のいわゆる日本でも言われております割引料に対します課税でございます。
 第二点は、利子所得の源泉地の規定を明確にしたことでございます。これも、御案内のように、各国におきまして所得の源泉地をどういうふうに見るか、各国思い思いの考え方がございます。そのために二重課税が生じ、その防止をするために、私どもが各国の当局と、所得の源泉地をどういうふうに見るかということを意識統一いたしまして、できる限り条約に規定いたしまして、二重課税を排除し、経済交流に資しよう、こういう考え方でございます。現行の日米租税条約では、恒久施設と申しますか、事業所を有しますところの事業、企業が受け取ります利子につきましては、条約において規定がございません。すべて国内法にまかされております。そのため、アメリカにおきまして、たとえば日本航空がアメリカのダグラスという会社から飛行機を延べ払いで買います。延べ払いでございますので利子を払います。こういった利子は、私どもの国内法でございますと、日本航空はもちろん日本の国内において事業いたしております。そこで、日本航空が利子をダグラス会社に支払いますと、それに対しまして一五%、本来ならば二〇%の税金でございますが、条約によりましてその一五%の税率によりまして課税いたすことになるのでございます。ところが、アメリカの国内法によりますと、日本航空のアメリカにおきますところの売り上げが二割をこして参りますとアメリカ源泉である。従いまして、日本源泉の利子所得ではないということになるのでございます。そうなりますと、日本で取りました税金がアメリカのダグラスが納めたところの法人税のうちから控除ができないという事態になる。そのために、完全な二重課税という結果になって参ります。このこと自体、先ほど申し上げました利子所得の発生地に関します考え方の相違から出て参ります。これは、よく考えて参りますと、不合理ではなかろうか、ことに飛行機とか船舶のように、世界中またにかけて事業を行なうもの、これを各国における一つの国に限局いたしまして売り上げを判断すること自体、それはやはり論理的ではなかろうという気がいたします。そのあたりアメリカ当局と話し合いまして、現在のところ、日本航空はまだアメリカにおきますところの売り上げが二割にも達しておりませんけれども、将来そういうことも予想されますので、今のうちに意識を統一いたしまして、事業所の所在地におきまして利子所得は発生するという考え方を条約において規定いたしまして、従いまして、日本政府が徴収いたします一五%の税金は、完全にアメリカ政府の税金のうちから控除できる。もしこのままで二割もこすような事態になりますと、日本航空の払う利子が結果的に税金分だけ高くなるおそれがあるのでございますが、この分はアメリカ政府の税金から控除する。従って、アメリカ政府の負担で、税金の高くなるのをいわば救ってもらう、こういう考え方で利子源泉地の規定を整備したものでございます。
 第三点は、政府職員の恩給、年金に関する相互免税の規定でございます。在職中の政府職員でございますと、すでに日米租税条約におきましては相互免税の規定がございます。外交官にありますことはすでに御存じの通りでございますが、外交官以外の政府職員につきまして、租税条約は一般的に規定しておるのでございます。ところが、恩給、年金につきまして規定がなかったのでございます。他の先ほど申し上げました五カ国との条約においては、すでに恩給、年金につきましても、退職後すべて区別すること自体も合理的でございませんので、相互免税の規定がございました。アメリカとの租税条約には、その間の規定がなかった。明確性を欠いておりましたので、今回その規定を挿入いたしました。恩給、年金につきましても相互免税にしよう、こういうのでございます。
 以上三点でございますが、その他若干技術的な修正点がございます。重要性は乏しいのでございますので、省略さしていただきます。
 第二は、日パ租税条約の修正補足議定書でございます。私どもも東南アジア諸国との間の租税条約につきましては、片や投資を私どもが受け入れますところのアメリカのような国と違った意味におきまして私どもがむしろ逆に投資を行なう東南アジアにつきまして、租税条約が相当大きな力を発揮するのでございますので、大いに力を入れておるのでございます。昭和三十四年にパキスタンとの間の租税条約ができたのでございます。インドとの間には昨年成立いたしましたが、まず三十四年に成立いたしましたところの日パ条約におきまして、利子条項の規定が、単純に課税規定、源泉地規定しかございませんでした。この点は、当時のパキスタンの政情に伴う借入金によりますところの、あるいはまた、公社債等によりますところの資金調達によってパキスタン政府の考えております経済開発をどの程度行なうかということにつきましての政策がまださだかでなかった。こういう事情を背景としてであったのでございます。そこで、一九五九年の末までに、相互にこの間の取り扱いにつきまして協議しようという約束があったのでございますが、この約束に基づきましてでき上りましたのが、この修正の補足議定書でございます。
 簡単に申し上げますと、パキスタン側の利子に対しますところの税率は非常に高くて、六五%でございますが、この税率を一般的に三〇%にパキスタン側は下げるというのが、修正の第一点でございます。で、銀行預金利子その他商業上の利子は、この三〇%の利子の中に入るのであります。
 その次の第二点は、すでにこれは、配当所得につきまして、投資誘因措置といたしまして実現しておりますところの規定と同じような考え方の規定でございますが、重要な産業上の事業につきましては、利子につきまして六五%のパキスタンの所得税を免除する。もう一つ、政府及び地方公共団体が発行いたしますところの公社債の利子につきまして、パキスタン側の所得税を免除する。こういう考え方でございます。そこで、第二点の免税の結果、もう一つ私どもの特例がついてございますのは、さように日米側の企業が、あるいは日本側の個人がパキスタン側の公社債を持ち、あるいはパキスタンに延べ払いをいたしまして利子を受けております。その際に、今申し上げました産業的事業に該当する、あるいは公社債の利子に該当するという理由で免除されました場合、今度は、日本に居住いたします関係上、日本の所得税あるいは法人税がフルにかかってくるわけでございます。しかしながら、その点は、インドとの租税条約と同様に、いわゆるタックス・スペアリングと申しておりますが、パキスタン側が免除した税金をこちら側で取り返さない。パキスタンで納めたものとみなしまして、それを上回る税金だけ取り返す。こういうふうにいたしまして、パキスタンの政府の収入をこちらの政府の収入とするようなことはいたさない。こういうことによりまして企業の負担を軽くし、企業の投資を、パキスタンに対します投資を税の理論をかりまして促進しよう。こういうものでございます。なお、一方日本側はどうするかと申しますと、日本側も現在一般的な非居住者に対します税率は二〇%でございますので、この二〇%の税金につきましては、三〇%以内とする規定が働いてくる関係上、二〇%は二〇%とする。それからまた、日本とパキスタンと相互条件という意味におきまして、公社債その他日本の会社の発行しますところの延べ払いの利子につきまして、免除というような規定を貫いておるのでございます。
 以上が日パ租税条約の修正補足議定書の内容でございますが、なおその他、今後東南アジア諸国につきましても、現在のところシンガポールあるいはマレー等におきまして租税条約の交渉が行なわれ、そういったような考え方で進んでおるのは御存じの通りでございます。念のために申し上げておきます。
#52
○委員長(木内四郎君) では、質疑のおありの方は……。
#53
○笹森順造君 それでは、ちょっとお尋ねしますが、米国に財源があって、それが日本で支払われる政府以外のものに対する所得の税金はどうなりますか。米国に財源があって、財源が米国にあるもので、そうしてその金が日本に来て、日本の国内で支払われる、政府以外の、つまり外交官でないものですね、ものに対する所得の租税はどうなるか。
#54
○説明員(塩崎潤君) もう少し、米国に財源があるという意味をお尋ねしたいと思いますが、まず、一般にこういった考え方に税法はなっておることを申し上げまして、あらためてあとで具体的にお伺いしたいと思いますが、外交官以外のアメリカの人々が日本に参りまして、その人が会社員であったといたします。その会社員は、もちろん日本で企業活動に従事されて、種々の俸給を得るのでございますが、その場合におきまして、日本の現在の税法は、三つばかりのタイプによりまして課税関係が生ずようになっております。
 第一は、住所を有しない、あるいはまた、一年未満の居所しか有しないという、いわゆる非居住者でございます。この型でございますと、いわゆる源泉徴収一本で、収入金に対しまして三割の課税が行なわれて参ります。
 第二は、住所はあり、あるいはまた、一年以上の居所がある、いわゆる日本の局住者になるのでございますが、その居住者が二つに分かれまして、五年未満しか住所を持っていない、いわゆる非永住者でございます。この方々は、日本におきましてサービスした、その日本におきますところの所得、日本におきまして所得の発生したものにつきましては全部課税されますが、たとえば、アメリカにおきまして配当を持っておりまして、アメリカで配当を受け取った。これは居住者でございますので、日本では総合課税でございますが、この資産所得等につきましては、日本に送金されただけ課税になる、こういった特例がございます。それ以外のものは、いわゆる居住者になりまして、日本に五年以上居所がございますと、日本人と同様に、どこで所程を得ましても、その所得はその人に総合いたしまして、基礎控除、扶養控除を引きまして、一〇%−七〇%の総合累進課税によって所得税を納めていただく。こういった三つのタイプになろうかと思います。
#55
○笹森順造君 今のことをもっと具体的に実は申し上げてお尋ねしておきたいと思うのですが、国際キリスト教大学の財団は、ニューヨークと東京と両方にあり、そうしてニューヨークで相当巨額の金を作って、それを日本の財団に送ってきて、それを日本で、実は日本人以外のアメリカ人あるいはまたヨーロッパ人の教授が支払いを受けておる。その場合に、日本におる人が、ある人は臨時に講師として、三カ月、六カ月日本に来て、日本で支払われるものもあるし、あるいはまた三年の契約あるいは四年の契約で来て、そうして支払いを受けておる者もある。こういう例を実は現在持っておるわけなんで、そこで、非常にややこしくなるのですけれども、もう一つ仕訳をしてお尋ねをしたいのですけれども、今のそういうものに対してのお答えをいただいたようですけれども、ところが、そうすると、日本人の教授と米国から来た者、カナダから来た者、ヨーロッパから来た教授との間に生活の状況が違う。しかし、大学としては同じ基準において、教授、助教授あるいは講師の支払いは、人種の区別なしに平等に支払われるということにしている。ところが、具体的に言うと、外人が自分個人で来ておって、宗族を外国に置いておるという者などもある。従って、在外手当というものを与えておって、その在外手当は、本人が日本におるサービスによって受けるのであるけれども、その金は特別に支払われておるということになる。しかし実際は、それは日本におる家族が使うのでなくて、外国におる家族が使う。しかし、所得する人間は日本において所得するということになる。そういうものの税金を日本で取れるのか、あるいはまた、そういうものは外国で支払えばいいのか。これらの点が実は非常にややこしくなる。こういう点です。
 最後に、ついでですから、もう一つお尋ねしたいのですけれども、教授、助教授、講師等が受けるサラリーは、必ずしもニューヨークから来た財団の金ばかりでなくて、日本で、たとえば受験料であるとか、授業料であるとか、日本における寄付であるとか、日本に大学を持っておる資産から生ずる利息であるとか、こういうようなものがプールされて、そうしてそれが支払われておる。こういう例もある。こういうものは非常にややこしいので、大へんくどいようですけれども、こういうものに対して、一体大蔵省なり日本の税務関係の人方がどう取り扱うかということを聞いておきたい。これがはっきりしなければ、なかなか向こうの寄付もむずかしいし、彼らの俸給を決定する上に非常に困難を感じておりますので、もしお答えできるならば、伺っておきたいと思います。
#56
○説明員(塩崎潤君) 今、キリスト教大学の教授のお話が出たようでございますが、今申し上げました各国との租税条約では、大部分交換教授は特例がございまして、たとえば、日米租税条約の十一条に、「一方の締約国の居住者で、教授及び教員の交換に関する両締約国の政府間若しくは両締約国内の教育施設間の取極に基いて、又は他方の締約国の政府若しくは他方の締約国内の教育施設の招へいによって、二年をこえない期間当該他方の締約国内の大学、学校その他の教育機関において教育を行うため一時的に当該他方の締約国を訪れるものは、その期間中に行う教育に対する報酬について当該他方の締約国の租税を免除される。」条件がついてございますが、この条項に該当いたしますれば、相互免税の利益が受けられる、かようになろうかと思います。その条項の適用のない方のお話かと思いますので、またこれから、今お話のございました点につきましてお答え申し上げます。
 まず第一点は、家族をアメリカに残しまして、本人だけ日本に来ます。その所得は、もちろん本人の活動によりまして日本において発生した所得でありますけれども、家族に対しましては、直接アメリカの財団から家族手当として支払われる。この場合の課税関係いかん、こういう場合の御質問だろうと思います。この点、今申し上げましておわかりのように、非常にむずかしい問題でございますが、資産所得と違いまして、勤労所得と申しますか、サービスに基づきますところの対価というものは、日本の活動において生じたものでございますと、やはり日本は発生所得という考え方を現在の税法がとっておりますために、詳細に判明いたします限り、アメリカの国の家族手当も本人の所得に加算して課税されざるを得ないというのが現状でございます。このあたり、種々問題がございますし、イギリスとの租税条約におきまして、いわゆるレミッタンス・ベースといっておりますが、送金主義の課税方式ではどうかという提案がございますが、現在のところ、わが国ではそういった考え方をとっておりません。アメリカで生じました配当所得で、アメリカにおいて留保され、日本に送金されない場合には、しかもそれが非居住者の場合には、日本の税が課税されない、これだけでございます。
 第二点は、サラリーの財源に種々の源泉があるというお話のように承りました。私どもは、財源の源泉自体には税法は着目しないで、先ほどから申し上げておりますところの、その所得がどこに発生したかという点を着目いたしまして所得税を課税いたしておりますので、その源泉が、アメリカからの寄付金で行なわれ、あるいはまた日本からの種々の帯付金あるいは事業から、その他になっておりましても、その間の区別なくして課税せざるを得ない、こういうことでございます。
 なお、昭和三十五年分までの所得につきましては、沿革的に、日本の税金が高かったというようなこと、それから、占領時代には、日本の税金が外国人のドル払い、外貨払いの給与には課せられなかった等の沿革の理由で、送金ベースをとりまして課税されていなかったことはございますが、それもだんだんとその範囲は縮小されまして、三十五年の所得で終わりまして、その間の特例はございませんことを念のために申し添えておきます。
#57
○笹森順造君 一点、最後に……。それで、今までのお答えでだいぶ明確になったようですが、なお念のために、最後に一点お尋ねしておきたいのですが、これは、具体的に申し上げますと、米国人で今、臨時の交換教授でなくて、身分を日本における国際キリスト教大学の教授として持っておって、しかも、それは契約期間が相当長くて、四年、五年等、永久的な一つの契約で来ている。そういうことを財団理事で任命されている。その者が、たとえば二十万円という日本の金の本俸のほかに、また十万円という家族手当というものをもらっている。その家族手当というものが、米国から送ってきておるのではなくて、米国内で払われて、しかも家族だけ米国にいるならば、これは、今のお話で、日本の税金はかからずに、アメリカのものだけかかるということになる。ところが、その十万円という金が、今言った源泉としては、しかもそれは四年、五年以上いる者で、日本とアメリカ、どちらに財源があるかわからないが、プールされたものとして、そのものを資格として受けておる。しかもそれが日本で払われておるとすれば、アメリカに家族がおっても、やはり日本で税金が取られる、こういうことになるのだという御返事のように伺ったのですが、そうすると、その取り扱いについて、親切に大学がしてやることについていろいろ考え方があるから、その点を明確に、最後に一点お伺いしておきたいと思います。
#58
○説明員(塩崎潤君) 若干私の説明が拙劣でございましたので、誤解のようなふうに受け取られたのでありますが、非永住者の送金ベースで課税いたしますものは、日本での活動によりまして受け取るいろいろの所得の何たる名義を問わず総合されますので、先ほどの例の、本俸が二十万円、家族手当が十万円、この十万円はアメリカで支払われて、日本に送金されないといった場合も、この三十万円が日本のキリスト教大学におきますところの教授というサービスに対しますところの対価であります所得でございますれば、いかなる場所において支払われましょうとも、それは課税になる、こういう趣旨でございます。こういった家族手当という名義でなくして、その本人がアメリカにおきまして配当所得を持っておる、その配当所得は、アメリカから日本に送られてこない、アメリカにおけるところの配当所得は、アメリカのたとえばフォード会社の配当であるといったような場合に、課税されないといった趣旨でございます。日本の十万円というものが、たとい日本の学校で払われずして、アメリカのフォード財団あるいはロックフェラー財団によりまして払われましても、その課税関係は同様でございまして、その三十万円に対しまして課税になるというのが日本の現行所得税法であるということを申し上げたのであります。この点につきましては、イギリスとの間におきまして、そういう追加の十万円分につきましては、別途の取り扱いを行なうことはどうかという提案がありましたことは、先ほど申し上げました通りでございます。
#59
○笹森順造君 これで終わります。
#60
○委員長(木内四郎君) それでは、本日はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト