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1960/03/28 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第9号
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1960/03/28 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第9号

#1
第038回国会 外務委員会 第9号
昭和三十六年三月二十八日(火曜日)
   午前十時五十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           青柳 秀夫君
           鹿島守之助君
           森 元治郎君
   委員
           草葉 隆圓君
           笹森 順造君
           苫米地英俊君
           堀木 鎌三君
           加藤シヅエ君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           曾祢  益君
           佐藤 尚武君
  国務大臣
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   外務政務次官  津島 文治君
   外務大臣官房長 湯川 盛夫君
   外務大臣官房会
   計課長     吉田 健三君
   外務省アジア局
   長       伊關佑二郎君
   外務省アメリカ
   局長      安藤 吉光君
   外務省条約局長 中川  融君
   外務省国際連合
   局長      鶴岡 千仭君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○在外公館の名称及び位置を定める法
 律等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○国際法定計量機関を設立する条約の
 締結について承認を求めるの件(内
 閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 本月二十四日に衆議院から送付されまして、本付託とされました在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案並びに国際法定計量機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件、同案を議題といたしまして、質疑を行ないたいと思います。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○森元治郎君 在外公館の方までいかないけれども、衆議院の内閣委員会では、この法律案に対する附帯決議をつけておるようですが、われわれ外務委員会と、向こうでは内閣委員会の取り扱いですから、立場も違うので、いろいろの角度から検討するのはけっこうだと思うのですけれども、この内容がよくわからないので、認証官制度について、この附帯決議についてお伺いをするのです。認証官制度のバランスを失しているというのですが、認証官制度とは一体どういうものか、そこらの内容を一つ外務当局から……。
#4
○政府委員(湯川盛夫君) 認証官と申しますのは、任命について天皇の認証を要する官吏で、これを通常認証官と呼んでおりますが、外交官――大公使の場合は、任国で日本の国を代表するものでありますので、その任命にある重みのある手続を経る方がよい。また、特命全権大使あるいは特命全権公使が任国に派遣されるときには、信任状を携行いたしますが、信任状については、憲法第七条の規定によりまして、その信任状に天皇の認証を受けるということになっております。従って、そういう信任状を携行する大公使、これを任命する場合には、やはり認証という手続を経た力がよい、こういう考えでその手続を経ることになっております。
#5
○森元治郎君 いわゆる認証官というものに相当するものが、国内で外務省とどんなふうなバランスになるのか、全体で百何名とかといわれておる内訳を教えていただきたい。
#6
○政府委員(湯川盛夫君) 認証官の種類は、国務大臣、これは全部認証官でございますが、十六人、それから人事官三名、会計検査院検査官三名、最高裁判所判事、これは全部認証官で、十四名、検事総長、それから検事長八名、次長検事が一名、公正取引委員会の委員長、宮内庁長、官、高等裁判所長官八名、侍従長、こういった職の方々はいわゆる認証の手続を経ておりますが、そのほかに大使、これは、現在予算定員が五十六名、公使、これは予算定員が十四名、従って、全部で百二十七名、そのうち大使と公使を足しまして七十名という数になります。
#7
○森元治郎君 大使は当然認証官、いわゆる認証官になるのですが、公使の程度の場合、自動的に特命全権公使というのは認証官になるのですか。特命全権公使に任命された場合は、自動的に認証官になるのですか。
#8
○政府委員(湯川盛夫君) 特命全権大使または特命全権公使の任命手続に認証を経るということになっておりますから、特命全権公使の場合は全部認証手続を経ます。
#9
○森元治郎君 そうすると、公使で認証を受けない公使なんというのはあり得るのですか。
#10
○政府委員(湯川盛夫君) それは、特命全権大使、特命全権公使はそういうあれはございません。ただ、いろいろな会議なんかの都合で、外交折衝上必要だというときは、便宜公使という名称を与えることはございます。これは、ここに言っております特命全権公使とは別のものでございます。従って、その場合は認証はいたしません。
#11
○森元治郎君 この附帯決議の方の気持は、どうも国内では、大学を同期に出た外務省の連中が認証官になってしまうのに、相当の地位まで上がっても、国務大臣とか会計検査官とか、国務大臣クラスにならないと認証官になれないという気持が、バランスを失しているということになるのじゃないかと思うのですが、これを、こういう附帯決議があるので、何か「合理化」という、どういう意味かよくわかりませんが、「強く、要望する」となっているので、ある場合には、そういう名前も何人か減らすということもあるのですか。
#12
○政府委員(湯川盛夫君) 私どもの考えとしては、こういった外務省の認証官が多いのは、外交関係を有する相手国の数が多い。そういう事実に基づく当然の結果であって、また、認証官であることによって、特に給与関係その他優遇を受けることもない。ただ、国を代表して認証のある信任状を携行していくというようなものについては、任命についてこうした手続をとった方がいいと考えております。従って、あるいはまた、国によって認証手続を経ない大使を派遣し、ある国にはそういう手続を経た者を派する、つまり大公使について、ある国に対しては重い特別の手続を経た者を派遣し、ある国には簡単な手続しか経ない者を派遣するというようなことは、相手国に対する感覚というようなことも考えますと、適当でないと思われますので、やはり現在のように、国を代表して行く特命全権大使、特命全権公使の場合は現在の制度がよいと、かように考えております。しかし、こうした決議もございましたから、一応検討はしております。
#13
○森元治郎君 軽い大公使というのもあり得るわけですね。どうです。それがよくわからない。
#14
○政府委員(湯川盛夫君) 現在のところは、どこの国に対しても、認証手続を経て任命される大公使を派遣しております。ただ、どうしてもその数を減らせということになれば、そういう手続を経ない大公使をも作らなければならないわけであります。そうしますと、国によってはそういう手続を経た大使が行く、ある国に対してはそういう手続を経ない大使が行くということになりますので、それを受ける国の方から言いますと、自分の国は軽視されておるという感じを持つこともあるかと思いますので、そういうふうに分けることは適当でないということを申し上げたつもりでございます。
#15
○森元治郎君 ロンドンにいる森公使は、認証を受けた公使というのかな。何だな。
#16
○政府委員(湯川盛夫君) 認証を受けた公使でございます。
#17
○森元治郎君 一カ所に重い大公使が二人いなくてもいいわけなんだな。片方はその手続を経た大使がおって、あとは手続を経ない、いわゆるお前は公使を名乗って歩いてよろしい、名刺にも書いてよろしいということであってもいいのだな。
#18
○政府委員(湯川盛夫君) その辺が、検討するとすると、今後検討すべき点かと思いますが、ただ、そういう公使の数はきわめて少ないわけでありまして、非常に大きな公館の次席、そういうところは、やはりかなり年次経歴の上の者を持っていく必要がある。そういう意味で、やはり普通の小さなところも、先方と同じくらいの格の者を期待しておる。そういうようなことから、若干次席の場合でも認証を受けた公使を置くということになっておりますが、まあその辺は、今後さらに検討してみたいと思います。
#19
○加藤シヅエ君 在外公館のことで、ちょっとだけ伺いたいのでございますけれども、非常に戦後は大使館ができて、大使館に昇格するものがふえ、大使館と公使館のリストを見ますと、どういうところにウエートを置いて、大使館にしなければならぬとか、これは公使館でいいとかいうようなことは、どういうことできまるのでございますか。その基準を伺いたいのでございます。
#20
○政府委員(湯川盛夫君) 確かに戦後大使館の数が非常にふえました。ただこれは、日本だけ大使館の数をふやしておるわけではございませんで、各国の一種の世界的傾向でふえております。まあ日本の場合は、公使館で発足したところがずいぶんあったのでございますが、相手国が要望したり、それからまた、同じ外交官でも、ほかの方がみんな大使になってしまう、日本だけが公使でいるという場合には、外交官団の席次なんかも下になりますし、いろいろな点で不便でありますので、そういった公使館を大使館に昇格を相手国も希望し、また、振り合い上そうした方がいいというような所は、なるべく大使館に上げて、ほかと同じようなつき合いをするというふうにしておる次第でございます。
#21
○加藤シヅエ君 兼摂している場合の給与は、どういうふうになりますか。
#22
○政府委員(湯川盛夫君) 給料は全然関係ございませんです。
#23
○委員長(木内四郎君) 外務大臣もおいでになりましたので、国際情勢等に関する調査をもあわせて議題といたしまして、御質疑をお願いいたします。
#24
○佐藤尚武君 さっきも森委員の質問がございまして、認証官の問題に関連して、私からも御質問申し上げたいと思うのです。ほんの一言です。
 それは、私も衆議院の内閣委員会で附帯決議があったということを承知いたしましたが、実のところ、何のための附帯決議だか、私にはよくこの意味を解し得ないのであります。決議文だけを見ましたところでは、よく理解ができないのでありまするけれども、その決議文では、認証官の制度がいかにもバランスを失しておる。であるからして、認証官制度全般について再検討を要するし、特に外務省関係の認証官の問題について検討しなければならない。しかも、それはすみやかに検討するを要するということを強く要望する、何か非常に強いような印象を受けたのでありまするけれども、それがバランスを失しておるからして、ことに外務省関係の認証官の問題について検討を加え、なければならぬというと、いかにも、それを読んだだけでは、外務省の認証官の数が多過ぎて、全体とのバランスがとれていないというふうに読めるのでありまするけれども、これは、実のところ、私にはどうしても了解できないのであって、あるいは、現実の問題として、外務省関係の認証官の数が多いかもしれませんけれども、それは、先ほど来当局から説明がありました通りに、外国へ派遣する大公使の数によりけりであって、その大公使の数というのは、日本と関係を持つ外国の数によることでありまして、その日本との関係を持ち、大公使を交換する外国の数がふえれば、自然外務省の認証官がふえていくという結果になるわけであります。これに反して、あるいは内地におきまする認証官の数が現在よりふえることがあるかもしれません。これは、私はよく存じませんけれども、そういう可能性は確かにあると思うのであります。そうなったならば、内地勤務の認証官の数がふえて、バランスが違ってくるということになり得るので、これはバランスの問題ではなく、ことに外務省関係としましては、相手国の数いかんに関係する問題でありまするがゆえに、私は、との衆議院の内閣委員会での附帯決議をどうも理解することはできないのであります。しかしこれは、今参議院の外務委員会で取り上げて論議する問題ではないと思いまするが、ただ、後日、衆議院との関係において、何らか参議院の外務委員会でもこの問題を取り上げるということがありましたならば、私は、そのときにまた発言をすることを今から留保しておきたいと思います。それだけ申し上げておきます。
#25
○佐多忠隆君 ちょっとそれに関連して。この認証官というのは、厳密に言ってどういうことなんですか、この認証を受けた者というのは。憲法第七条によると、国務大臣あるいはそれクラスの者に対しては、官吏の任免を認証するということになっていますね。ところが、大使、公使は、信任状あるいは全権委任状を認証するということになっているのですな。だから、それはおのずから認証する仕方が違うんじゃないですか。そういう意味で、いわゆる国務大臣あるいはそれに準ずるクラスのいわゆる厳密な意味における認証官と大公使の場合の認証とはおのずから違うんで、だから、そういう点から考えれば、バランスを失するとか何とかということは問題にならないんじゃないかという気がするんですが、そこのところの区別はないんですか。任免そのものに対する認証と、そうでなくて、委任状あるいは全権委任状、信任状等を認証する……。
#26
○政府委員(湯川盛夫君) ただいまおっしゃった通りでございますが、つまり信任状は認証される、それから任免についての認証と、それは別であると、その通りでございますが、ただ、認識のある信任状を携行して行くような大公使の任免という場合には、やはり認許手続をとるのが適当である、そういうふうに考えます。
#27
○佐多忠隆君 それじゃ任免そのものに対する認証と、信任状とか委任状とかに対する認証ということは、おのずから区別があるんじゃないですか。そうでなければ、大公使の任免そのものについて認証すればいいわけでしょう、別にこう書きかえなくとも。
#28
○政府委員(湯川盛夫君) 信任状というのは、刑にこれは任命する任命書ではございません。御承知のように、これはまあ外国の元首に対する紹介状のような性質のものであると思います。そういう信任状について認証がなされます。しかし、それを携行して行く者の任命についても、そういうものを持たしてやるのであるから、任免の際に認証をした.方がいい、そういうことで認証手続をすることになっております。
#29
○委員長(木内四郎君) 念のため申し上げておきますが、外務大臣は、外交上の関係で十二時二十分までここにおられることになっております。質疑の方は、そのおつもりでお願いしたいと思います。外務大臣に対する質疑を先にお願いしたいと思います。
#30
○佐多忠隆君 それじゃ別の機会に……。
#31
○森元治郎君 では、ラオスの問題だけをお伺いしたいと思うのですが、ラオス問題は、私たちは事態が非常に重大であると思うのですが、外務大臣は、この事態の重大性の認識をどういうふうにされておるか。まず根本から……。
#32
○国務大臣(小坂善太郎君) ラオスの問題については、それが一日も早く交戦状態が終息されて、そしてラオスの国民が、その堵に安んじて、経済福祉の繁栄を享受できるような日の一日も早く来るようにしなければならない。こういうことで、従来から私どもも、通常の外交ルートを通じて、いろいろとそのことの努力をしておったわけです。ただ、われわれとしては、積極的にこの問題に対して派手な動きをするということよりも、むしろそうした地道な動きで、関係国間の取りまとめの方にできるだけ骨を折っていくべきじゃないか、こう考えておりましたわけでありますが、幸いにして、国際監視委員会の議長団でありますイギリスが非常に動きまして、そしてアメリカも先般の声明を出されました。この問題が非常にいい方向に行っておると思いますが、私どもの気持は、ラオスに東西の冷戦を持ち込まない、そして今申し上げたように、この国の安定をはかるということに積極的な努力をするという趣旨で関係国と話し合っておるわけであります。
#33
○森元治郎君 私の伺っておるのは、この二十三日、ケネディ大統領が声明を発してから、アメリカの軍隊が動く、SEATOの会議が開かれる、ソ連でも、中央委員会の幹部会の会議もある。艦隊は動く。日本にいたアメリカの軍隊も動くというように、非常に緊迫した事態だと思うのですが、深刻な事態であると私は思うのですが、大臣はどの程度にお考えになるのかということを伺っているのです。
#34
○国務大臣(小坂善太郎君) 深刻あるいは深刻でないということは、これは評価のしようによりますけれども、非常に事柄によっては下手に動くと大へんなことになるということで、心配をしておるのでありますが、幸いにいたしまして、事態はだんだん話し合いによってまとまる方向に進んでおる。こういう認識を持って今申し上げておるわけであります。
#35
○森元治郎君 二、三日前に質問した方がもっと緊張してよかったのですが、実は、ケネディ、グロムイコが会って、何か平和解決みたいなことを言うもんだから、大臣はほっとしたようなことを言って、そういうことを言うんだろうと思うのですが、あの当時は、なかなかそれは、あなたの言葉を借りれば、下手に動くと心配な事態になるということであったと思う。そこで今でも、まだ話し合いの始まったばかりですから、はたしてアメリカの気持、イギリス案に表わしたアメリカの気持通りで簡単にいくとは私は思わない。ああいうふうにSEATO会議で、もしソ連がアメリカの言うことを聞かなければ、次善の策として軍事措置をとるかもしらん。そういう態勢を整えたということは事実なんですが、この事態が極東の平和と日本の安全に影響すると判断されるかどうか。
#36
○国務大臣(小坂善太郎君) そういうことのないようにまあこちらは願って、その線で、極東の安全に大きな支障のないようなことになりまするように、従来から、昨年の暮れからずっとそうした気持で、日本は日本なりのなし得る努力をしてきたつもりでございます。
#37
○森元治郎君 話し合いがつかないで、次善の策――内容はまだ公表されておりませんが、次善の策はおそらく軍事措置になると思うんだが、やはりそういう措置がとられれば、これは大へん影響をこうむるだろうと思いますが、どうですか。
#38
○国務大臣(小坂善太郎君) 今、私どもは、この場で、そうした悪い事態になるということを、予想していろいろなことを言うよりも、何とかこの問題がまとまりそうな今日、これはまとまることを、その線に沿うてわれわれも協力するというのがよろしいかと思っております。
#39
○森元治郎君 私が伺っているのは、影響があるんじゃないか、心配する事態が、すなわち安保条約などに書いてあるような心配する影響が出てくるという判断をされるかどうか、次善の策をとった場合。それを伺っているのです。
#40
○国務大臣(小坂善太郎君) 直接的にはないと思います。
#41
○森元治郎君 直接的にはない。面接的にはないということは、その反対は間接ということであろうかと思うが、間接的な影響とはどういう影響ですか。
#42
○国務大臣(小坂善太郎君) ラオスというようなまあアジアの一角に――私はあえて極東と申しませんが、アジアの一角に戦乱が起こるということは、非常に困ったことでありまして、われわれは、そうしたことがないように、できるだけの努力をわれわれなりにせなければならぬ、こう言っておるのでありまして、まあこれは、どこに戦争があっても、われわれが間接に非常な――戦争というものは、もう心から世界中になくしたいと思っておるわれわれでありまするから、困ることであります。しかも、それがアジアの一角にあるということになりましたら、これは非常に困ることであると思います。
#43
○森元治郎君 アジアの一角ではなくて、SEATO条約の条約区域は北緯二十一度三十分まで、これが北限、地図で見ますと、それがちょうど政府が従来説明しておった極東の範囲と若干オーヴァラップするので、単なる一角という、どこか遠くの端で、かすんで見えないような所じゃなくて、これは、政府が言っているフィリピンの北からという、この極東の区域に入っておるので、重なっておる部分もあるので、そんな直接的にはという言葉では、間接的な影響だということでは許せないんじゃないかと思うのですが、どうですか。
#44
○国務大臣(小坂善太郎君) 直接といい間接といっても、これは非常にものの把握の仕方によって観念が違ってくると思いますけれども、私は、ラオス問題は、直接日本は大へんなことになるとか、そういう言い方をすることは日本のためによくない、こう思って申し上げておるのであります。もとより戦争が近くにあるということはいいことじゃありませんが、近くというのは、一体どこまでが近くで、どこまでが遠いかということをここで御議論申し上げても、これはむしろ意味のないことだと思いますが、とにかくそうしたことがないようにしたいということでございます。
#45
○森元治郎君 時間も大臣はだいぶ詰まっておるようですから、少し早目にやります。この事態が起きて、ケネディ大統領が声明を発し、そして問題が表面化したのですが、アメリカ政府から連絡がありましたかどうか。
#46
○国務大臣(小坂善太郎君) まあこれは、その大統領が声明する――何の連絡でございますか。その大統領が声明するが、どうかという連絡でございますか。どういう行動をとろうと思うという……。
#47
○森元治郎君 その大統領の声明はもちろんでありまするが、アメリカは、このラオスの事態についてこういうふうに動きたいという腹のうちは当然言うべきだと思う。また、こっちは聞くべきであると思ったので、アメリカ政府がああいう声明を発する前には、日本側に何らかの連絡があったかと、伺っている。
#48
○国務大臣(小坂善太郎君) 声明それ自身、こういう内容のものを、言うとか何とかいうことはございませんが、そういう一語々々言うというようなことはございませんけれども……。
#49
○森元治郎君 おかしいのは、ケネディ大統領は、二十三日の声明を発表する前に、NATOの十四ヵ国代表、ワシントンにおるこの代表に、こういうことをやる決意を伝えておるのです。日本はどうして伝えてもらえないのですか。
#50
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、こういう言葉を使ってこういう演説をするという連絡は、特に取り上げて言うほどのものはないと申し上げました。この問題について、先ほどから申し上げているように、昨年の暮れから、私ども常時連絡をしております。
#51
○森元治郎君 NATOは、声明発表前に、十四カ国代表に、この声明を出すことと、そしてもし聞かなかったならば次善の措置をとるということを、その強い決意を伝えておるのです。口一木は、その日米協力といい、安保条約といい、アジアにおる日本に向かってどうしてそれが伝えられないのか。これははなはだ私は遺憾だと思うし、むしろ、これほどの事態があって、ふだんから連絡があるならば、当然これくらいの声明を出して強い態度に出るということは知らされておるし、知っていなくちゃならぬと思うのだが、この点、はなはだどうも残念じゃないですか。
#52
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、森さんには、常時連絡をとっていると申し上げております。これはかりに、連絡があったと申し上げたら、今度はあなたは、そんなことでは日本は戦争に巻き込まれるが、それでいいかと御質問になるでしょう。ないとすれば、何をぼやぼやしている。だから、どっちと申し上げていいのか、常時緊密に連絡しておりますと申し上げておる。
#53
○森元治郎君 それならば、そういう先回りなさらなくてもけっこうですから、それはこういうことを伺った、聞いたということをおっしゃればいいので、ふだんから連絡しているというだけの、そういうなまぬるい御答弁では、この緊急な事態には適合しないと思うので伺っておりましたが、そこで、そういう連絡を受けておった場合、また十二月末からいろいろやっておられたというのですが、日本の立場から、事態の収拾に一体どういう動きをされたのか。それでは、御苦労のところを一つ御披露願います。
#54
○国務大臣(小坂善太郎君) 私どもとしては、これは、まず最初に、ああいう戦禍があって、その国民が困っておるのですから、医薬品とか衣料とか、そういうものをとりあえず送った。それから、われわれとしては、なるたけそういう問題に巻き込まれるということは、これは避けたいという気持があるわけです。しかも、どうやったら一体ああいう事態が平静化できるかということは、これは、やっぱりアジア人の気持は、われわれが一番わかりいいのだから、われわれの見るところも聞いてもらいたいということで、いろいろな方面にその話をしております。やり方としては、やっぱりできるだけ広範な基盤を持った政府というものを作るのがいいのじゃないか、こういう行き方で話をしておったわけです。
#55
○森元治郎君 今の中に、衣料と何ですか。衣料と何とか……。
#56
○国務大臣(小坂善太郎君) 薬品と衣料品、衣類です。
#57
○森元治郎君 衣類をだれがどのくらい送ったか。
#58
○国務大臣(小坂善太郎君) 日本赤十字を通してまずとりあえず送ったのです。
#59
○森元治郎君 ラオスヘ。
#60
○国務大臣(小坂善太郎君) そうです。
#61
○森元治郎君 それはいつですか。
#62
○政府委員(伊關佑二郎君) たしか本年の一月だったと思いますが、十二月の十日から十七円くらいにかけて、ビエンチャンで市街戦がありまして、それで、避難民が出ましたり負傷者が出ました。私、向こうへ参りまして、国際赤十字委員のジュランというのが行っております。どういうものを一番希望するかという話を聞きまして、あるいは医師を出そうかというふうなことを考えましたが、大体負傷者は割に少なかった。それで、あのころ気候がよかったものだから、毛布、そういうものをほしいという希望がございましたので、そんなものを出しました。
#63
○森元治郎君 量と金額はどれくらいですか。
#64
○政府委員(伊關佑二郎君) ちょっと今、金額は覚えておりませんが、円程度だったのじゃないかと思います。
#65
○森元治郎君 一体どっちへ送ったのですか。あすこは戦争をやっておるのですから、ノザバンもいれば、パテト・ラオ、コン・レ大尉の部隊もいるし、一体だれに送ったのですか。
#66
○政府委員(伊關佑二郎君) 国際赤十字が来ておりましたので、これに対して頼んだのです。
#67
○森元治郎君 それでは、そういうことでもけっこうですが、根本的な解決策というものはあると思う。日本政府は日本政府なりに、こうしたらいいという解決策あるいは方針というものを端的にお示し願いたい。事が起こらないことを願うというような御答弁ではなくて、たとえばイギリス案の趣旨はいいとか、あるいはソビエト側のように、停戦や監視委員会設置の前に、まず国際会議を開くのがいいとか、いろいろあるでしょう。物事が具体的でないと、こういうふうに事態が緊迫してきますと、話がはかどりませんから、だめですから、それを伺いたい。
#68
○国務大臣(小坂善太郎君) それは今言うたことでなくて、従来からやっているわれわれの主張なんですけれども、これはやはりICCですか、国際監視委員会、この方式がいいじゃないかということなんです。そこで、停戦して、そのあとで関係国の会議を開いて再協議するということをずっと言っておったわけです。大体今出ている線というものは、その線に沿うておるように思います。従って私は、ケネディ大統領の声明というものは、非常に納得できる声明だということを申しました。
#69
○森元治郎君 そうすると、今のアメリカに全面的に賛成である、停戦、監視委員会を開く、国際会議、具体的に言えば、その線が日本政府の方針である、それは閣議において決定されたのですか。
#70
○国務大臣(小坂善太郎君) 日本がそういう方針をとってですね。たとえば、その関係国として乗り込む場合は、政府決定ということになると思います。しかし、御承知のように、われわれは監視委員会のメンバーでもないし、当時国連で扱ったらどうかという議論もございましたときがあるのでございますけれども、国連の安保理事会のメンバーでもない。そういう関係から、何といいますか、知恵を貸すというか、そういうような気持で、その方がいいんじゃないかということを言うたわけでございますから、これは外務省の方針ということで……。
#71
○森元治郎君 そこで、アメリカのケネディの方針でいけば、もしこのアメリカの方針を受け入れなければ、次善の策をとらざるを得ない。しかし、われわれはあくまで平和を求めると、こういうことでした。そこで、次善の策というものは、もう軍事的な介入なり、あるいは武力的な行動だろうと思うのですが、日本政府は、次善の策に、もし力、軍事介入だという場合には、いかなる態度をとられますか。これを是認しますか、是認しないか。
#72
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、今大体話し合いが軌道に乗りつつある際に、その最善と思う方針がだんだん軌道に乗りつつある際に、次善がどうだこうだと言う必要はないと思います。
#73
○森元治郎君 私は、それと全く反対で、いかなる問題でも、具体的に一つ一つ、軍事的な力を入れるのではないとか、根本方針がなくちゃいけないと思うので伺っておる。たとえば、ケネディ大統領は、私と同じような新聞記者の質問に答えて、それは声明文の行間をお読み下されば十分おわかりになると言って、軍事措置をにおわしているどころではない、その気持をはっきり出していると思うのです。ですから、日本の場合でも、大きな問題ですから、武力介入は避けるべきであるとか、やるべきであるとか、やってはいけないとか、そのくらいの、三つくらいの答弁のうちの一つは政府としてできるのじゃないか。どうですか。
#74
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は物事を両方から見たいと思うのです。ケネディ大統領の声明だけを批判するという必要は私はないと思うのです。それも、平和的にやろうと、こう言っておるのです。できなかった場合にそれじゃどうだ、そんなことまでここで批判する必要はないと思うのです。なぜああいう問題が出てきたかといえば、やはり東西の冷戦が激しくなって、ラオスに持ち込まれているから、そういう問題が出てきたと思うのです。私ども、これはもちろん、そういう他国の国内の事情について、ことにこういう席でとかくのことを言うことは避けなくちゃならぬと思いますが、新聞報道によれば、相当に大見の武器援助が行なわれておる、ラオスの国内にそういう事情があるので、アメリカ側としては、そういうことはやめろ、共産側からのそういう動きに対して、持ち込むのはやめろ、こういうことを言ったのだと承知しているわけです。これは、事実をお前確認したかと覆われれば困るので、われわれ、そういう情報網も何もない、一般の報道によれば、そう言われるのです。そういう問題を全然等閑視しておいて、ただ、それこそここでせっかくその停戦の話し合いが軌道に乗っているときに、それに行かなかった場合にはこれ以上やってはいかぬぞとか、それは賛成だとか反対だとか、そのことまでここで申し上げることはいかがかと思います。私は、そうすべきでないと思います。
#75
○森元治郎君 今の段階では、武器輸入などの事実がわかれば、あるいは武力介入を容認する条件が整うというふうにお考えですか。心国務大臣(小坂善太郎君)どうも私、そんなことまでここでいろいろ、日本として、しかも公開の席でそういうことを、言うことが一体いいのか悪いのか、どうも私には納得できないのです。これはやはり情勢を見て、今停戦の方向に進んでおる。この停戦というものを希望して、われわれは東西双方の停戦に努力するというものを支援するというのがよろしいと思っております。
#76
○森元治郎君 公開の席上だからこういうことをやるべきであって、今、先ほど申した、極東の範囲とSEATO条約が重なっているくらいですから、日本としてはどうだということを公開の席上でおっしゃることが今一番必要なんです。それが裏で、四畳半できめた話は何もならないのです。国民が心配しているから、日本政府の立場を明らかにすべきだというので私は伺っているわけですが、そこで、具体的な問題にちょっと入りますけれども、この間富士山麓で出ておりましたアメリカの海兵隊の問題であります。この海兵隊の内容を伺いたいと思うのは、こういうふうに新聞では書いてあるようです。富士山麓で、アメリカ二十世紀フォックス映画会社の「いざ行かん海兵隊」という映画の戦闘場面をとるために参加していたんだと、もう一つは、場所は静岡県御殿場滝ケ原東富士演習場、所属は第七艦隊第十二海兵連隊、三千名沖繩に引き揚げた。同部隊は、戦車、歩兵、砲兵からできている。去る一月以来右地区で訓練を開始し、六月末まで行なうことになっていた。残留は管理部隊六十名である。こういうふうな二つの表現で出てきているのですが、実際のところを一つ伺いたい。
#77
○国務大臣(小坂善太郎君) 富十演習場におきまして、沖繩駐存の海兵隊の最近までの訓練は、三月末までに終了する予定であったところ、訓練が予定より早く終了したので、今回帰任した、というふうに、在京のアメリカ大使館から聞いております。これが大体二千人ないし三千人の人が沖繩から、来て、富士演習場で訓練をして、そして帰るということはやっておるのでありますが、大体期間が、今申したように訓練期間があるわけであります。予定より早く訓練を終了したから帰ったということであります。
 もう一つ、映画の方は、「マリンズ・レッズ・ゴー」 という映画をそこで、これは、新鮮事変に関連しての兵士の行動を写したものであって、これは国際的にも、非常に親善関係というものをそこなわないという十分な配慮がなされておるものだというふうにわれわれ聞いております。
#78
○森元治郎君 人数その他もう少し御親切に、部隊名とか、説明してもらいたい。
#79
○政府委員(安藤吉光君) これは、北富士で演習しておりました第七艦隊所属の海兵隊の一部でございます。内容は、一個歩兵大隊、一個砲兵連隊及び一個戦車中隊でございます。それは、今大臣の御説明しましたように、演習に来ておったわけでございます。演習が終わったので、予定より少し早く引き揚げたというのが実情であります。
#80
○森元治郎君 事情をもう少し伺いますが、時間もないから、もう少し親切に、たくさん説明してもらうと、審議が早くいくのですがね。この調達庁の発表というのがあるのです。それによると、移動の目標は、一般作戦準備のためと覆われ、引き揚げ先は沖繩である。こういうことが書いてあります。人数も、三千人のうち二千九百人、その点はどうですか、人数の点。移動とかいう名前で発表しておりますが……。
#81
○政府委員(安藤吉光君) この部隊は、海兵隊は、元来第七艦隊所属の海兵隊であります。毛として沖繩におるわけでありますから、この沖繩の海兵隊がときどき富士演習場に参りまして演習をする。その期間は在日米軍の司令下に入るわけであります。演習が終わる引き揚げるわけであります。当時引き揚げた数は、約二千五百であります。
#82
○森元治郎君 この調達庁発表というのは、これは間違っておりませんか。二十五日に出した調達庁発表……。
#83
○政府委員(安藤吉光君) 調達庁が発表したという事実を存じておりませんので、よく調べてみたいと思います。
#84
○森元治郎君 これは、新安保条約が締結されてからの初の協議に関するテスト・ケースに入ると思うのです。強く言えば、事前協議の対象にはならないのだろうか。事前協議には二つあって、兵力の配置の問題、それからもう一つは、戦闘作戦行動に出るために基地を使用するという、二つのことが事前協議の問題になります。第六条に関する交換公文でこうなっておるのですが、事前協議の対象にしていいのじゃないか、こういうふうに思うが、どうですか。
#85
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、事前協議の対象にならぬと思います。第六条に基づく交換公文によりますと、「日本国への配置」と書いてございますが、これは、大体その量も一個師団相当というふうに了解があったと聞いております。これは、今申し上げたように、演習に来るわけです。そうして演習に来て、その任務が終了して帰るということでありますから、事前協議の対象には法律上ならないと、かように思います。
#86
○森元治郎君 演習に来たから遊びに来たからということは関係がないので、「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更」となっておりますので、何も、演習であろうが、映画に出ようが、そういうことは、大臣、かまわないのでしょう。これは、あなたは一個師団くらいとおっしゃいましたが、日本にいるものは在日米軍で、交換公文の協議の対象になるのです。これは、一たん入ったものは、これは在日米軍である。しかも相当の量が入ってきた。一名や十名や一個中隊じゃない。三千名も……。これは、一個師団とおっしゃいますが、前国会において、藤山さんその他は一個師団の兵と言ったが、これは、陸軍の兵力を頭に置いて言ったようであります。陸軍の一個師団は、アメリカの編成でいけば、八千から七千くらいだろうと思う、しかし、一個師団ということをかりに一応受け取って議論の前提としても、海兵隊の三千名というものの戦力ですね。これは、一人々々の訓練の程度も違いますし、早い言葉で言えば、昔の軍曹とか特務曹長クラス、これが一般兵になって入っている海兵隊でありますから、戦力ということも考えなきゃならぬ。単に人数が一個師団、八千人だからいいとか、七千人だからいいというのじゃなくして、三千人でも、十分これは重要なる配置の変更ということに入る。私の伺っているのは、三千名というのが非常に大きな数である。それから、演習に来たか遊びに来たかには関係ない。大きなものが……日本に入ってきたものは在日米軍の指揮下に入るのですから、在日米軍になる。ですから協議の対象になる。こういうことを聞いているのです。
#87
○国務大臣(小坂善太郎君) 今度の地位協定では、在日米軍という言葉はなくなって、米軍ということだけになっております。そこで、日本に入ってくると事に、三千人の人が入った、大へんな戦力だとおっしゃいますが、これは演習のために来ておる。目的がはっきりしているわけです。演習する期間も大体通報がある。これが終わったら帰るという前提で来ておるわけです。そこで、日本におる場合は、やはりこちらの軍の区署を受けておるわけです。そのために特別のことはないわけです。そこで、そういう人が入るということについては、その通報を受けて、その程度ならばよろしかろうと思うのは、これは当然でございます。第六条の実施に関する交換公文というのには該当しないということは、さっき申し上げた通りであります。陸軍の一個師というのと、これは海軍だから違うじゃないかとおっしゃいますが、大体そのときの藤山さんのアメリカ当局との協議は、海軍の場合も大体これに相当するものである、こういうふうに了解されていると聞いているのであります。従って、これは事前協議の対象にならぬというふうにわれわれは了解しております。
#88
○森元治郎君 陸軍の一個師は人数は何人とか、藤山さんは答えなかったと記憶するのですけれども、大体海軍もそれと同じだと、陸と海を同様の表現で判断するのですか。人数で判断するのですか。重さで判断するのですか。排水量と人間の目方ではかるのですか。そういう判断ができるかどうか。
#89
○国務大臣(小坂善太郎君) 陸軍の一個師は大体一万人、海軍の場合も、大体これに相当する数ということで、やはり二万人というふうにやったらいいのじゃないですか。
#90
○森元治郎君 それでは、それで了解をしていいのですか。
#91
○国務大臣(小坂善太郎君) 大体さような了解に聞いております。大体数でもって考えているというふうに聞いております。
#92
○森元治郎君 そうすると、海軍も、軍艦単位、駆逐艦、巡洋艦の艦種単位ではなくて、人数というふうな、重さと長さをはかるような約束は、きわめてあやふやであろう思います。いずれにしても、私はなぜ三千人と言うかというと、海兵隊は、あちらこちらに移動する数の単位を見ますと、そんな、海兵隊は、五千とか六千とかいうようなふうに飛び歩くのではなくて、今日は機動的に部隊が動くのである、およそ千五、六百名程度で一つの戦車単位をなして動いていることは、二十三日の声明以来、アメリカ側から流れているアメリカ艦隊、アメリカ陸上部隊の移動をごらんになればよくわかると思うのです。そんなに昔の、装備も何も持たないで、頭数だけで行くというような旧式な、日本陸海のような戦闘は今やってないのです。三千というのは相当な勢力であると思うから、当然これは事前に協議をして、入れるかどうかをやるべきである。先ほどのお話では、演習日的、演習の期間については通報を受けた、それも、演習が終わったら帰るというのだからということ、それは一体どういうことですか。事前の協議ということですか。一般の協議ですか。
#93
○国務大臣(小坂善太郎君) 第四条による随時協議でもなく、第六条による事前協議でもありません。ただ、日本の国内にある演習場を使うのでありますから、それについて、これで帰りますが、そうですかという程度のものと了解いたします。
#94
○森元治郎君 その辺をきっちりしておかないと、この事前協議というわれわれの心配したことがいろいろな点からくずれてくるので、私は、戦力の点から、当然これは事前協議に入ると思います。そこで、一体この部隊は、終わったから沖繩へ帰ったと言いますが、調達庁の発表という、二十五日に新聞に公表されているところによれば、これは移動であって、一般作戦準備のためといわれる。引き揚げ先は沖繩であるということを言っておりますが、これはどうですか。
#95
○国務大臣(小坂善太郎君) 調達庁が発表したということは、先ほどアメリカ局長が言ったように、私ども聞いておりませんけれども、常識的に考えれば、沖繩になぜ海兵隊がいるかといえば、有事の際に備えるためにいるのであります。従って、そこへ帰ったということは、そうしたものに対しての備えということに、本来その目的でいるのであるから、その任務に帰った、こういうことだと了解いたします。
#96
○森元治郎君 私は、二十五日のこのアメリカ海兵隊が動いたということは、やはりラオス出動を控えて行ったのじゃないか、こういうことをだれもが当然考えるところであるので、これはやはり、直接日本本土からの戦闘作戦行動ではないにしても、戦闘作戦を予想される行動であると思うので、やはり事前の協議をしておくべきではないかと、単に向こうの通告が演習の目的、期間ではありましたけれども、新聞の発表、ことにこの電報を打ったのは、アメリカのAPが打っておるので、アメリカ人筋の観測では、ラオスの事態に備えて行ったものであると観測されるといわれておるので、これはやはり事前の協議に付すべきものではないか、撤退について。撤退といいますか、何とあなたは言葉を使われるか、伺いたいと思うのだが、アメリカ軍が引いた、日本から出ていったこと、これは戦闘作戦につながるのじゃないか。ちょっと、目的は何でございますか、どうでしょうかということは聞くべきじゃないかと思うのです。
#97
○国務大臣(小坂善太郎君) 第六条に基づくその交換公文は、日本国から行なわれる戦闘作戦、行動のための基地としての日本国内の施設及び、区域の使用は事前協議によるといわれておるのであります。そこで、日本から直接何か戦闘作戦行動に出るような場合は、当然対象になるわけでございます。しかし、沖繩から来たものが沖繩に帰るというのでありますから、それを一々またこちらが条件をつけるということが許されるとすれば、もっと敷衍すれば、それじゃ、ほかの場所から沖繩へ行くものを、全部日本が一々チェックするという権利を有するということになると思います。従って、われわれは、日本で演習していた人が沖繩に帰るのですと、それからその先どうするのですか、とにかく帰るのですと言われれば、それ以上突っつく権能はないわけです。
#98
○森元治郎君 しかし、実際協定を結んだときには、日本から出ていくときには協議をするということになっているが、あとは知らないと言いますが、実際こういう事態が起きてみますと、日本を出て沖繩に寄ろうと台湾に寄ろうとフィリピンに寄ろうと、日本と東南アジアの現場というものはつながっているということがしみじみと感じられるのですね。途中でおりないで、日本から出て、どこにもとまらないと、そのときは相談するが、途中で着陣するなり、とまるなり、寄港するなり、駐屯するなり、次々と、帰るときの作戦だから差しつかえないと、こういうならば子供っぽいことで、つながっておるという考え方で、相談すべきではないかと思う。これは私の新しい解釈ですが、どうですか。
#99
○国務大臣(小坂善太郎君) その解釈には賛成できません。根本的に申しますと、そうすると、一体現在の世界において、力による平和の維持ということは、そのこと自身、そういうことが必要であるという前提に立っておるわけなんです。われわれ、安保条約を結びます際には、やはり日本の国の安全を守るためには日米安保条約が必要であると、こういう前提に立って、あの安保条約を結んだわけです。ただし、それが直接極東の安全と、平和に関係があるからといって、日本の国から飛び立って、何か軍事行動が行なわれるということになると、日本は日本のことだけ以外の問題について戦争に巻き込まれることがあるので、これは困るということで、この点を強く規制しておるわけなんであります。それ以外のことについて、それじゃ、もう一切軍事的な行動は要らないのだという前提に立てば、森さんの御意見というものは首肯できると思いますが、今日、それが必要であるという認識に私どもは立っておりますから、これは、積極的に戦争をしかけることはよくないけれども、防御的な意味なら、それは必要である場合があるという認識の上に立っておりますので、そこまでは言えないのだと思っております。
#100
○森元治郎君 やはり海外出動、戦闘作戦行動という場合には、実体的に考えなければならないと思うのです。そこで、引いたということはどういう言葉で表現しますか。引いたといえば、アメリカ兵が出て行ったということ……。
#101
○国務大臣(小坂善太郎君) 演習に来ておるものが現地に帰ったということでございます。
#102
○森元治郎君 移動ということですか。移動という言葉が適当かどうか。
#103
○国務大臣(小坂善太郎君) 帰ったというのが一番適当かと思います。派遣されてきたものが、その派遣された場所に帰ったというのが適当だと思います。
#104
○森元治郎君 調達庁の発表も、どうも外務省から話をされて出したような感じがするのです。そこで、この調達庁の発表といわれる発表というものによれば、事前協議の対象になるかどうかの点について、こういうふうに調達庁は新聞記者に言っている。調達庁は、同隊の移動先が沖繩であり、直ちに武力行動に出るものとは考えられないために、その必要はないと考える、こう言っております。そこで、同じ政府機関の発表をもとにすれば、武力行動をあらかじめ予定した行動は事前協議の対象になる、こういうことになるのですか、どうですか、武力行動を予定した移動……。
#105
○政府委員(安藤吉光君) ただいまの新聞に出ております調達庁の「移動」なるものは、私全然存じません。外務省と連絡があった事実もございません。おそらくまあ新聞記者に問われて、だれかが言われたのかもしれませんけれども、外務省と打ち合わせた発表ではございません。先ほど申し上げました通り、約二千五百が沖繩に帰るという通報が出ております。なお、沖繩から来たものが日本を出るにあたりましても、入るときも出るときも通報は受けておりますけれども、これは、条約にいう作戦行動に出るわけではございませんので、いわゆる単なる日本からの帰還でございまするから、これは事前協議の対象にはなりません。
#106
○森元治郎君 作戦行動に出るのではありませんから、そのありませんからという根拠は、何を根拠にしているのですか。
#107
○政府委員(安藤吉光君) 条約の意味は、直接戦闘行為に出る、それを意味しておるわけでございます。これは、沖繩にいたアメリカ海兵隊でございます。もとの自分の駐在していた隊に帰るわけでございます。
#108
○森元治郎君 沖繩から来ようと、アメリカから来ようと、シンガポールから来ようと、来ることは勝手なんで、出先が問題ではなくて、出るときに、今のようなラオスの情勢では危うい、海兵隊がどんどん行っている。ネコの手も借りたいというときの移動だから、私は、時間をかけてこうやって質問しているのです。平和のときで、フルシチョフとケネディさんが小坂さんの招待で来て、カクテルでも飲んでいるというなら、私も聞きませんよ。ラオスの事態があるから、このことは当然聞くべきではないか、向こうの通報だけを、これからも通報だけをそのままに聞いているのか。この際の事態だから、作戦行動はあるのかどうかということを尋ねてもよろしいのじゃないか、どうですか。
#109
○政府委員(安藤吉光君) 先ほどから申し上げました通り、日本の施設を基地として直接戦闘行為をやるというのは、これは申すまでもなく事前協議の対象になります。しかし、再度御説明しております通り、この海兵隊は、沖繩から演習のために正規の手続を経まして日本に参りまして、演習が済んで帰るわけでございます。従いまして、いわゆる直接戦闘行為といこうとを日本を基地としてやるわけじゃございませんので、事前協議の対象にはならないと思います。
#110
○森元治郎君 第六条の交換公文で、「戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び地域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。」この「使用は」という、これは一体どちらから、日本から尋ねるのですか。向うから使いたいがと言ってくるのか。それを待ってて協議するのか。この協議に至る過程はどういうことになりますか。日本側から、大へんなあなた、作戦行動に出るのですかと聞いて、初めて事前協議の対象になるのか。向こうから善意をもって、先手を打って、使いたいがと言って、ついては事前協議をしたいと言ってくるのか。どちらなんだと聞いている。
#111
○政府委員(安藤吉光君) ただいまお尋ねの点でございますが、この交換公文は、日本、アメリカ双方の義務を規定しておるわけであります。双方に義務があるわけでございます。必ずしも、アメリカから言われなければならないとか、日本側から言わなければならないという、そういう順序はないのでありまして、両方とも義務を負っておる。従って、アメリカ側から言うこともありましょうし、日本側から質問する格好になることもありましょうし、同時に両方から言うこともありましょうし、いずれにしましても、双方の義務であります。
#112
○森元治郎君 双方の義務の今の御説明はわかったけれども、双方でこれを忘れてしまったらどういうことになるか。そういうこともあり得ますね。意をもって向こうから言ってくるであろうと、お互いに待っていたらどうです。必ずということがなければいけないと思うのですがね。
#113
○政府委員(中川融君) 一つのことを、二つの国がこうしょう、あらかじめ約束しておきながら、それを両方と忘れてしまったということがもしかりにありとすればそれまでのことでありまして、要するに、双方とも権利を持ちながら、それを行使しなかったという事態が生ずるわけでございます。
#114
○羽生三七君 関連して。今度のような場合には、何か外務省自体として検討されたのですか。つまり、こういうような、この種の問題が起こった場合に、日米間で協議する前に、そういうふうな事態であるかどうかは外務省の判断ですから、そういう場合に、外務省として、今度の事態に対して何か省内で御検討なさったことはありますか。
#115
○政府委員(安藤吉光君) ただいまの御質問は、海兵隊の関係かと了解いたします。海兵隊は、従来も随時日本にやって参りまして、いわゆる演習行為をやっておるわけであります。今度に始まったわけではございません。そのつど向こうより通報を受けまして、わが方もこれを検討して、大体差しつかえないものはけっこうだというようなことでやってきておるわけであります。今度の場合は、大体予定は三月一ぱいというふうに事前に聞いておりまするが、それがやや少し早まって帰ったというだけのことでございまして、特にこれに対してどうこうという解釈をとる必要もないと考えております。
#116
○森元治郎君 このアメリカ局長の答弁で、やや早目に切り上げたと、演習というものは、お互いが魚釣りに行って、だいぶ釣れたからやめて帰ろうなんという簡単なものではないので、演習に何と何をやるという、ちゃんとした予定表があってやるので、しかも三千名、これには食糧もあり給料もあり、兵舎も使う。あらゆる大きな問題がからんでいるので、そう簡単に、ちょっと早目にということはないのですよ。やはりラオスの情勢にからんで出たのですよ。その点はどうなんですか。
#117
○政府委員(安藤吉光君) 先ほど申し上げました通り、向こうは大体三月末ごろまで演習をやりたいということを言ってきていたわけであります。それが、向こうの演習が早目に済んだということで、帰りたいということのように聞いております。
#118
○森元治郎君 日本にいるアメリカ軍の部隊名、陸海空軍部隊名、人数などがわかれば、それを教えて下さい。これも、調達庁の報告で、駐留米軍は大体五万となっております。これを教えて下さい。
#119
○政府委員(安藤吉光君) 駐留米軍は約五万。
#120
○森元治郎君 部隊名、たとえば第五空軍とか、第七海兵隊とかありましょう。そういうものをなぜ伺うかというと、何がどうなんだか、さっぱりわからないから、それをこの際知っておきたい。
#121
○政府委員(安藤吉光君) 在日米軍の兵力の概略について御説明を申し上げます。
 在日米軍のうち、現在陸軍は戦機師勝を持っておりません。東京、神奈川を中心として約五千名がロジスティック、管理補給の任に当たっており、司令部は座間にございます。
 海軍関係としましては、艦艇若干と艦隊及び海兵のそれぞれの航空隊及び基地部隊約一万四千名が横須賀、佐世保、厚木、岩国等に駐留しております。また、横須賀に海軍司令部がございます。また空軍は、第五空軍約二万七千名が、三沢、横田、立川等に分駐しております。府中に司令部がございます。在日米軍の総数は、約五万名足らずでございまして、第五空軍司令官が在日米軍司令官を兼任しております七
#122
○森元治郎君 ちょっとわからぬのだけれども、陸軍は五千、これはロジスティックな関係の部隊であり、従って、ほんとうの、この兵隊さんは、いわゆる一線の戦闘部隊ではない、この五千名は。そこへ三千名の海兵隊が入ってくるということは、重要な配置の変更になりゃせぬかと、私はさっきから聞いているんです。これは、隊はロジスティックの関係部隊だ。そこへ三千名のものが、たとえ演習であろうと何であろうと、いつでもこの条約でいう日本の安全、極東における国際の平和及び安全が脅かされたときには戦わなければならぬ部隊。日本にいる部隊。だから、重要な変更になるのではないかと私は聞いているのです。
#123
○政府委員(中川融君) 「第六条の実施に関する交換公文」にいっておる事前協議の対象になる事態には該当しないと思います。一つは、その数から申しまして、先ほど大臣が言われましたように、約一個師団程度を大体常識的に考えておるのでありますから、たとえ海兵隊がいかに精鋭でありましょうとも、三千名程度では、やはりその数に達していないということが第一でございます。
 それから第二は、この日本国への配置における重要な変更ということでございます。この配置というのは、やはり日本国内にいわば駐在せしめるという意味が含まれているのであります。演習のために三カ月間日本に駐在するというようなものは、実は配置の思想には入っていないのであります。従って、その面からも、海兵隊が一時日本で訓練をするというのは、この交換公文にいう事態にはどうも該当していないと考えます。
#124
○森元治郎君 その駐在せしめるというのは配置される部隊だというのですが、その駐在せしめる部隊は、日本の場合、アメリカ第何師団といった、ナンバーがわかっているのですか。わかってないのですか。こういうものはないのですね、もともと。
#125
○政府委員(中川融君) 具体的な事実問題でございますが、アメリカの軍隊というものは、あるいはどこかの師団、あるいはどこかの部隊という、そういうものに配属されておるわけでありまして、付属しておるわけであります。必ず何かの名称は持っておるわけでございます。そういうものが配置される関係になっております。
#126
○森元治郎君 ちょっと、そこをもう少し伺いたいのだが、その日本におけるアメリカ軍というものは、何と何と何が日本における部隊だというきまりはないのですね、条約上は。あるいは約束でも……。
#127
○政府委員(中川融君) 一般的に、どういう名称の部隊を日本に配置するのだということは、あらかじめきめておるのではないのでございます。日本に配置するごとに日本政府に通告する、あるいは事前協議をして配置する、その配置されたものが在日米軍ということになるわけであります。
#128
○森元治郎君 三千名は三カ月おったという通報だが、この駐在せしめる期間はどのくらいに考えるのですか、その場合は。
#129
○政府委員(中川融君) 日本国内に配置する、英語で言いますと、ディプロイメントと書いてありますが、日本国内に配置する軍隊でございますから、最小限度何年間という期限つきではございませんけれども、ある程度長期的な期間をやはり前提としておるのであります。
#130
○森元治郎君 この日本に、戦闘爆撃機隊というアメリカ空軍が駐屯しておりますか。
#131
○政府委員(安藤吉光君) 第五空軍という、具体的な内容については、詳細には存じておりません。
#132
○森元治郎君 それはわかりませんか。
#133
○政府委員(安藤吉光君) 一般に公表されておりませんし、また、私どももよく存じておりません。
#134
○森元治郎君 そうすると、配置などはこうやって協議をするのに、空軍などの場合は、何がどこにあるのだかわからないということでよろしいのかどうか。
#135
○政府委員(安藤吉光君) 防衛庁においては、常時緊密に連絡をとっておる次第でございます。
#136
○森元治郎君 このラオス問題が、けさあたりも、きのうあたりからの電報で、トーン・ダウンされたから、少し政府の力も安心したような御答弁でありまするが、私は、さっきの三千名というものは、条約局長の御説明もありますけれども、やはりこれは、この緊急事態のもとにおいては、配置における重要な変更であり、この移動は戦闘作戦行動を予定したものであるから、やはり事前の協議をすべきだと思います。そこで、今後こういうふうな事態はまだまだしばらく続くかと思うのですが、ふだんの協議というのは、安全保障協議委員会と一般にいう四条ですか、あれの協議とありますが、こういう協議というものは、しばしばやっておられるのですか。あるいは、安保条約ができてから、安全保障協議委員会が開かれたことは何回くらいあるか、伺います。
#137
○国務大臣(小坂善太郎君) 第四条にいいます「随時協議」というのは、「この条約の実施に関して随時協議」するというわけであります。そこで私どもは、そういう実施の問題もさることながら、やはり一般の外交関係の通常のルートでいろいろと話をし合っていくということと並行していくべきだろうと思っております。むしろその方が実はより多く活用されておるというふうに申し上げていいと思います。それから、安保協議委員会は、私就任いたしましてから一度やっただけであります。
#138
○森元治郎君 一度というのは、どういう議題で――重要な議題でやったのか、あるいは単なる顔合わせか、何か大きな問題だったのですか。
#139
○国務大臣(小坂善太郎君) まだこの条約ができましてから一度もやっておりませんから、まず顔合わせ程度というわけですね。そういうことでやったのであります。特定の問題について論議したことはないのであります。
#140
○森元治郎君 この事前協議と安全保障協議委員会の協議と二つ、あるいは一般外交の四条による協議と、三つくらいのことが約束されておるようですが、緊密にやるならば、四条の協議あるいは安全保障協議委員会のように、この安全保障問題に関連するものを検討することもできるが、どれでやってもいいわけですね。ただ、事前協議の第六条の交換公文は、これは義務として、これとこれとこれは必ずやれというのであるならば、同じ問題を安全保障協議委員会でやってもいいわけですね。
#141
○国務大臣(小坂善太郎君) さようでありますけれども、ただ、これは構成員が、御承知のように、アメリカの側においては太平洋司令官、それから駐日米大使ということになっておるわけです。従って、やはり双方の都合がありまして、なかなかそう頻繁にやるというには問題があると思います。
#142
○曾祢益君 ラオス問題について、森委員からも当然の日本国民としての関心を表明されたわけですが、私は、こういう機会に、外務大臣が、ただアジアの片すみの問題と言われたばかりではありませんが、幸いに平和解決の方向に進んでいるのはけっこうですけれども、そういうときであればこそ、しょっちゅう通常の外交ルートを通じて日本もいろいろ意見を述べておると思いますし、そういうものもあったのですが、むしろ明確に、日本政府として、内閣として、こういうふうに事態を持っていくべきじゃないか、こういう基本的な点くらいは、むしろ森委員の御質問等の際に、こういう機会をとらえて、意思を中外に発表した方がいいんじゃないか、こう思うのです。そういう意味から言うと、ちょっと物足りないような気がします。そこで、まあわれわれがただ、アメリカのケネディの発表された意見、あるいはケネディ・マクミラン共同コミュニケついてイエスだとかノーだとかと言うことは、これは、もちろんそういう場合もあるでしょうけれども、それよりも、日本政府としてはこういう原則で解決を望むというようなことがあっていいんじゃないか。あるいは、同じようなことを言うことになるかもしれませんが、たとえば、これをきわめて常識的に考えて、いわゆるまず即時停戦――停戦ということとからめて、やはり双方ともに、いずれの側にせよ、軍事的援助ということは、これはとにかく少なくとも停止する、それから停戦、そうして大臣も言われましたが、第二は、ジュネーブ会議の際の国際的な監視委員会というものを復活する、それで、そういう停戦を現実に見届け、第三に、これはどういう形でどういう国が入ってくるかは別として、かなり広い国際会議を招集して、そうしてさらに政治的な事態収拾をはかる、その場合の基本的な原則としては、つまり最も幅の広いすべての政治的傾向も含めて、つまりパテト・ラオも含めてという意味になろうかと思いますが、そういう意味で、厳正な中立な政府であるなら、最も広い基盤の政府ができて、これが中立として平和安全を守るということが、そういう基礎の上に関係諸国の国際会議によって事態の収拾をはかることが望ましいというようなことが、私は、だれから見ても、この問題に東西冷戦の非常に特別なこだわった立場のものでない限りは、当然そういったような第二の基本的な望みというか、要求というか、解決の原則というものがあってしかるべきだ。そういうものを出して、その上に立って、たとえば、アメリカの今度の提案がこういう点はいい、方向はいいけれども、だめな場合には第二のSEATOを動かすというようなことは困る。そういう方向でなく、第一段でやってほしい。あるいは、ソ連に対しては、日本の希望なりあるいはアドバイスというものをぶっつけていくというようなことで、そういう外交の折衝をやっておられることを希望するが、それは、やはり国民に対する関係からも、ただ何となく対岸の火災視しているわけではないでしょうけれども、私も、先般の外務委員会の席上でも言ったが、東南アジアのこういう事態は、もちろん安保条約下における日本の安全からいっても、その地域が極東の区域に入る入らないの単なるテクニックの議論ばかりではなくて、やはり自由陣営と共産陣営がしまいに戦争に行くか行かないかということは、これはもう日本として死活的な重大な関心事なんですから、それに対して日本はこう考えるというようなことはやはり中外に示す、外務省でやっておられるのは当然であるけれども、これは、内閣としても、閣議決定の線はこうだというようなことをやっぱり示されるのが私はいいんじゃないか。そういう意味からいって、まあ同じことかもわかりませんけれども、そういったような解決、基本原則についての政府の考え方をこの機会にお示し願えればけっこうだと思います。
#143
○国務大臣(小坂善太郎君) ラオスの事態に対しては、私ども、まず国際監視委員会のもとにおける停戦、そうして関係国の復興に関する会議、復興といいますか、ラオスの政治状態、経済状態の安定に関しての会議、そうしてラオスというものを侵略から守り、その独立を保障する意図のもとにそういう会議が持たれるということを考えて、関係国との間には、その線で何とかまとめるように要望しておったわけでございますが、ここに、曽祢委員御承知のように、関係国会議がまず先であるという考えが出まして、なかなか一時非常に、二月初めごろでしたか、相当好転するように思われておったのが、その後状態が進みません。一方、非常な膨大な武器援助がどんどん共産側から行なわれておる。こういう状態になりましたので、こういう状態を続けておったのでは、これは結局、もたもたしているうちに回復できない情勢になる。ほんとうに東西の冷戦がラオスにおいて火を吹く場合も考えられる。この際停戦をやらなければいかんということで、強くイギリスが、監視委員会の議長団であるという関係で、動いたのだと思います。そのことがだんだん実を結びつつあるというととで、非常にわれわれも喜んでおる。何とか一つこの実を実らせたいと心から考えて、その方向で努力したいと思っております。ただ、日本の政府がそういう方針を出すことがいいか悪いかという点について、いろいろ甲論乙駁、実はやっておりまりましたが、今日に至っておるというような次第であります。
#144
○曾祢益君 関係国の間には、もちろん関係国が含まれるのでしょうが、単にアメリカというようなことではなくて、イギリスもそうでしょうし、インドもカナダも、ポーランドも、またソ連に対しても、やはり日本の立場というようなものは適宜に表明していただいておると思いますが、何分この上とも、そういう点についても十分なる外交を発揮していただきたい。
#145
○国務大臣(小坂善太郎君) まことに御意見の通りであります。私どもも、さような方向をとりつつあります。また、とらねばならぬと考えております。
#146
○委員長(木内四郎君) 外務大臣御退席になりますが、なお御質問がありましたら、御質問を願います。
 さっきの佐多さんの質問、途中で私、大へん失礼いたしましたけれども。
#147
○佐多忠隆君 先ほどの大公使と官そのものを任免する認証とは違うのじゃないかということを申し上げましたけれども、憲法では違う解釈をとれるような文言ですけれども、どうも、外務公務員法では、任免そのものを認証する規定になっておりますので、先ほどの私の意見は取り消します、やっぱり同性質のものと考えて議論をしなければならぬので。
#148
○委員長(木内四郎君) ちょっと私、今のに関連してお伺いしたいのですが、憲法の規定によると、さっき佐多さんの言われたように、一方は任免、一方は全権委任状それから大使、公使の信任状を認証するというのだから、そこに法律的にはやはり違うのじゃないですか。その点はどうでしょう。
#149
○政府委員(湯川盛夫君) 憲法の七条で、「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免」、これは天皇の行なわれる国事に関する行為。それから、「全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証する」とあります。これはいずれも、外務公務員法の第八条で、「大使及び公使の任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。」とございますので、その法律に従って現在手続ができておるわけ
 でございます。
#150
○委員長(木内四郎君) 今のお話ですね、法律的にはわかるのですが、それはやはり任免の認証で、そのあとの信任状の認証ということとは法律的には別ですね。それですから、大使、公使は必ず任免の場合に認証するという規則ですけれども、わざわざこう改めるというような、言葉を改めて信任状の認証ということとは、法律的には観念上違うのじゃないか。やっぱり実際は、大使、公使は認証官にするという行き方で今の公務員法の規定によってやっているけれども、二つのことを規定されているのじゃないですか。
#151
○苫米地英俊君 それは区別して使ってやしませんか、実際には。
#152
○佐多忠隆君 ただ、外務公務員法では、任免そのものを天皇が認証するという規定になっているのですね。だから、憲法の規定と外務公務員法の規定とがちょっと違うのじゃないかと思うのですけれども、しかし、外務公務員法にすでにそう規定してある以上は、憲法でもこれは区別してないと考えなければならないという、逆にこっちからいえばそういうことになる。それならば、憲法自体で、ただ「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免」を認証することと、こう言っておきさえすれば、大公使云々と、別に規定する必要はなかったと思うのですね。別に憲法で規定している以上は別扱いにしているのだから、外務公務員法も別扱いに考えてやるべきだったのを、その区別をしないで、ただすらっと、普通の認証官と同じようにやるというふうに外務公務員法の方を規定しているという形になっているのじゃないか。議論のあるところだと思うのです。
#153
○委員長(木内四郎君) 大公使じゃない、官吏は任免を認証するというその条項によって、外務公務員法で大使、公使は認証するという、そのほかに、信任状の認証というのは別の問題であるわけです。そうじゃないですか。
#154
○政府委員(湯川盛夫君) そうです。
#155
○委員長(木内四郎君) それが今、二つに分かれておるのだけれども、外務公務員法で、大使、公使は前段ですべて認証官とすると規定しているのだから、実際問題としてそれで解決している。大使、公使の中に認証官でない者もあり得るかもしらぬが、さっきあなたがおっしゃったように、認証をされた信任状を持っていくのだから、認証官にするのは適当だ、こういう考え方から出るのじゃないですか、実際問題としては。外務公務員法にある以上は、これを議論してもあれかもしれないが、さればといって、信任状を認証しないで持たせていくというわけにはやはりいかない。信任状はどこまでも認証した者に持たせてやるということですね。
#156
○曾祢益君 これは珍しく、まるで非公式の討論みたいになったので、みんなの意見、政府に対する質問か何かわからないが、自分が自問自答していることになるかと思うのですが、やはり憲法に定めた天皇の認証行為には、確かに二種類あります。特別の高級官吏に対する――まあ旧憲法の時代には親任官といっておったのですが、それは、おごそかにする意味で認証ということをやる。もう一つは、特別な国際的なあれもあって特別なおごそかな文書に対するおごそかな形で天皇の認証、その二つあるのですよ、確かに。それは明瞭です。これは、憲法を変えない限り、それはどうにも変わらない、ところが別にこれに便乗したわけでもないだろうが、大公使というものは、通常やはり昔から元首の代表だというふうなあれもあったし、従って、憲法から見れば、それが持っていく信任状、委任状というものは確かに認証がなければいかぬ。これはきっまておる。だから、ついでにと言っちゃ悪いけれども、ついでに、日本に認証官という制度がある以上は、大公使は認証官にしておけということがあって、そういう意図があったと思うのです。それで、外務公務員法で対抗上認証官にしちゃった。それがいいか悪いかということは、これはいろいろバランスの問題があると思うのです。以下は僕の意見だけれども、衆議院の内閣委員会の考え方は少しけちくさいじゃないか。認証官という高級官吏制度を置く以上は、それは認証扱いにして、そのポストにいる限りは、それをおごそかな形をとってもいいと思う。たとえば、ここにおられる外務省の高級官吏諸君は、かつての認証官になった人だ。外務本省に帰ってくると認証官じゃない。その人につきまとう位みたいに考えるならば、これは、外務省の高級官吏たちが認証官の半分以上を取っているのはけしからぬという、バランスの議論になる。今日そのポストに対して、特に国際儀礼との関係もあって、一応まあえらい格好をつけてやろうというのならば、他の国内の高級公務員との数のバランスということで云々するとすれば間違いで、認証官制度を全部やめるのならいいが、ある以上は、大公使は認証官にしてやるということが、私は常識的にいいんじゃないかと思う。これは、討論みたいになっちゃって悪いけれども……。
#157
○委員長(木内四郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#158
○委員長(木内四郎君) 速記を始めて。
 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案に対する御質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#159
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより直ちに討論に入りたいと思います。御意見のおありのお方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。――別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#160
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、直ちに本案の採決をいたしたいと思います。本案全部を問題に供します。本案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#161
○委員長(木内四郎君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#162
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#163
○委員長(木内四郎君) 次に、国際法定計量機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題として、質疑を行ないたいと思います。――別に御発言がなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、直ちに討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。――別に御発言がなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#165
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより本件の採決をいたします。国際法定計量機関を設立する条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を衆議院送付通り承認することに賛成の方の御挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#166
○委員長(木内四郎君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#167
○委員長(木内四郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
 別に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十七分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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