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1960/04/20 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第12号
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1960/04/20 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第12号

#1
第038回国会 外務委員会 第12号
昭和三十六年四月二十日(木曜日)
   午前十時三十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事      青柳 秀夫君
           井上 清一君
           鹿島守之助君
           森 元治郎君
   委員      笹森 順造君
           杉原 荒太君
           苫米地英俊君
           野村吉三郎君
           堀木 鎌三君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           佐藤 尚武君
  国務大臣
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   外務政務次官  津島 文治君
   外務省欧亜局長 法眼 晋作君
   外務省経済局長 牛場 信彦君
   外務省国際連合
   局長      鶴岡 千仭君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○通商に関する一方日本国と他方オラ
 ンダ王国及びベルギー=ルクセンブ
 ルグ経済同盟との問の協定の締結に
 ついて承認を求めるの件(内閣提
 出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査(国際情勢
 に関する件)
○航空業務に関する日本国とベルギー
 との間の協定の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出)
○航空業務に関する日本国とドイツ連
 邦共和国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 本日は、まず、通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題として、前回に引き続き質疑を続行いたしたいと存じます。
 この際、まず、牛場経済局長から補足説明を聴取いたしたいと思います。
#3
○政府委員(牛場信彦君) ただいま議題になりました協定につきまして、簡単に補足説明を申し上げます。
 この協定の内容につきましては、説明書をお配りしてありますので、大体御承知願ったことと存じますが、条を追って御説明申し上げたいと思います。
 まず、前文につきましては、ここで通常の協定とちょっと異なっておりますことは、日本国政府と他方オランダ等ベネルックス三国が一体になって協定を結ぶということになっておりまして、こういうふうに多数国と一つの協定を結んだ例は、わが国としては初めてでございます。先方におきましては、すでにイギリス、スイス、スエーデン、それから共産圏の国なんかも含めまして十七カ国ほどと、こういうふうに、先方が三カ国一体になって協定を結んだ例がございます。
 それから、次の第一条でございますが、これは、輸出入に関連する関税及び課徴金並びに輸入貨物に関する内国税、輸入貨物の国内における取り扱いについて、相互に最恵国待遇を与える旨を規定いたしております。
 それから、第二条におきましては、双方が輸出入の禁止及び制限に対して、それぞれに無差別待遇を与える旨を規定いたしております。ただし、国際通貨基金に基づく為替制限と同等の輸出入制限を行なうということは妨げないということでありまして、第一条と第二条とあわせますというと、これは、大体におきまして、ガットにおいて規定いたしておりまする最恵国待遇あるいは国際通貨基金において規定いたしておりまする無差別待遇と同等の待遇を相互に交換するということになるわけであります。
 それから、第三条におきましては、この協定の規定の結果といたしまして、いずれか一方の締約国の貿易に対しましても、他方の締約国がガット以上に有利な待遇を与えるものではない、また、協定に規定のないことにつきましては、できる限りガットの規定を適用するということを第一項においてきめておりまして、それから第二項におきましては、この協定の締結によりまして、双方ガット関係に入るわけでありませんので、ガットの三十五条に基づくところのいずれか一方の締約国の権利義務へ影響を及ぼすものでない。それから、今後三十五条援用撤回の交渉をいたします際におきましても、双方においてこの協定の結果として何ら行動の自由をそこなわれることはないんだということをきめておりまして、これは、日本とベルックス三国とがいまだに、先方のガット三十五条援用の結果といたしまして、ガット関係にありませんので、この協定とガット間の関係をきめたものでありまして、この種の規定の先例といたしましては、四年ほど前に締結いたしました日本とオーストラリア、それから三年前に締結いたしました日本とニュージーランドとの協定におきまして、同種類の規定がございます。
 それから第四条におきましては、海運に関する規定でありまして、双方が諸政府による国際海運上の差別的な措置及び不必要な制限の除去を奨励する旨を規定しております。
 それから第五条におきましては、いずれか一方の締約国の申し入れがありました場合には、他方の締約国がこの協定の運用から生ずる問題について協議しなければならないということになっておりまして、これは、この種の協定におきまする通例の規定でございます。
 それから第六条は、これは、先方が海外の領土を持っております関係で、その領土に対する適用をきめております。ルアンダ・ウルンデイには適用するけれども、スリナム及びオランダ領アンティールにつきましては、適用するために特別の手続が要ることがきめてあるわけであります。
 第七条は批准の規定であります。これは、先方が三カ国に分かれております関係で、批准書の交換というものはいたしませんで、批准書を日本に寄託するという格好をきめておりまして、三番目の批准書が寄託された日に効力を生ずるということになっております。
 以上が本協定の概要でございます。
 それから、その次に議定書が二つございまして、第一議定書におきましては、第一項におきまして、日本が南西諸島に与える利益について、この協定の最恵国待遇の規定を適用しない旨を規定いたしております。これは、沖繩等について日本の地位を留保したものでございます。それから第二項におきましては、オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグは欧州経済共同体に入っております関係で、欧州経済共同体の加盟諸国が共通の通商政策を採用した場合に、必要があれば、双方が直ちに協議に入ることをきめておりまして、御承知の通り、欧州経済共同体は、域外の国との間の関係におきましては、共通の関税を持ち、かつ、共通の経済政策を採用いたしておりますので、もしそういうような共通の経済政策がきまっていく、あるいは変更される結果といたしまして、この条約上の先方の義務に影響があるような問題が起こった場合には、直ちに協議に入る規定でございます。
 それから第二議定書におきましては、これは、双方の国のうちいずれか一方の国の生産品が他方の国に非常に急激に、かつ、多量に輸入されました結果として、他方の国の産業に対して影響を与え、あるいは損害を与えるおそれがあるという場合におきまして、その輸入をする国の方で、一定の条件のもとにおきましてこれを防止する措置をとることができるという規定でございまして、第一項におきましては、双方の輸入国内の生産者が相手国からの輸入によって重大な損害を受け、また受けるおそれがある場合に協議する旨を規定いたしております。従いまして、いかなる場合におきましても、まず協議が行なわれるというわけでございます。第二項におきましては、この前項の協議におきまして、相当な期間内に満足すべき結果が得られない場合におきましては、輸入国は、必要な最小限度の範囲内においてこの協定に基づく義務を停止することができるということになっておりまして、義務を停止するということは、おそらく、内容といたしましては、関税の引き上げ、あるいは輸入制限の発動ということになるわけであります。それから第三項におきましては、緊急の場合には、暫定的に第一項の協議を経ないで、第二項の適用をすることができるけれども、協議は継続しなければならないということになっておりまして、協議の期間が非常に長くかかるというような見通しがある場合におきましては、暫定的に緊急措置をとることができる。しかしながら、その場合におきましても、協議は継続しなければならないということになっております。それから第四項におきましては、輸出国が、第二項及び第三項の規定に基づきまして輸入国がとりました措置の結果として、ある程度の損害を受け、影響を受けるという場合におきましては、その措置の継続中には、その措置の効果の範囲内でこの協定上の義務を免れることができるということでございまして、いわゆる対抗的に措置をとることができる。関税の引き上げないしは輸入制限の発動などの措置がとることができるということになっております。それから第五項におきましては、そういうような第二項から第四項において定めました緊急措置がとられた場合には、双方は、事態の回復のために最善の努力をすべきであるという規定でございます。
 以上は、いわゆる急激な輸入の増大によって生ずる国内市場の擾乱、この撹乱に対抗するために、ある程度の政府の安全保障の措置がとられる。その措置をとるについては必ず協議を行なう。しかしながら、協議が間に合わない場合には、緊急事態に対処するために、暫定的にそういうような安全保障措置がとれる。そしてその措置によって影響を受ける輸出国の方は、それと同価の対抗措置をとることができるという規定でございまして、これと同趣旨の規定は、日本国とオーストラリア、日本国とニュージーランドの協定にもあるわけでございまして、これは、相互的に、相手国に対しまして、ある場合におきましては差別的な制限ができるという意味におきまして、本協定の第一条、第二条に規定いたしておりまする最恵国待遇の例外をなすものでございまして、この規定を置きましたおもな理由は、ベネルックス側におきまして、日本品の非常に値段が安いこと、あるいは特定の産業部門に対して非常に急激な輸入増加が見られるというようなことを理由といたしまして、そういう場合にも何らかの安全保障措置をとることができるということがないというと、最恵国待遇の供与がむずかしいということの結果として作られたものでございますが、しかしながら、この規定の適用の方法は、もちろんこれは双務的になっているわけでございます。
 それから、次の第六項につきましては、既存の輸入制限を、これを突然撤廃いたしますと国内産業に重大な損害を及ぼすおそれがあるものにつきましては、双方政府間の合意に基づいて、暫定的に輸入制限を継続することができる。その際、相手国からの輸入に対して公平かつ合理的な割当、あるいはまた、なるべく早い時期にこの輸入制限を緩和するなり撤廃しなければならないという旨を規定いたしております。これは、今まで輸入制限を続けて参っておりまして、これを突如として撤廃いたしますと、前の一項ないし五項に規定いたしました事態が起こるということが非常に大きな可能性をもって予見されるというような場合におきまして、そういうような混乱を避けるために、あらかじめ暫定的にこの輸入制限の継続を認めるという趣旨の規定でございまして、これもまた、主としてベネルックス側の希望によって挿入された規定でございます。適用にあたりましては、もちろん双務的に適用されるわけでございます。それから、第七項におきましては、この議定書は、協定が第七条の規定に従って効力を有している間は、ガットが適用されるときに失効する旨をうたっております。これは、この議定書に書いてありますことが今のガットの原則から申しますれば逸脱しておりますので、ガットを適用される場合には、当然これが失効するのだという規定でございます。
 それから、付属の交換公文におきましては、これは、一九一二年に署名されまして戦後復治いたしましたオランダと日本との間の通商航海条約、この規定のうちで、「この協定に合致しないものは、協定をもって代える。もっとも、このように代えられた」この通商航海条約の規定は、「協定が終了した時に自動的に叫び実施され、同条約に定めるところにより終了するまで、引き続き完全な効力を有する。」ということを定めたわけであります。わが国とオランダとの間には、第一次大戦の前に通商航海条約を作っておりまして、それが第二次大戦で失効した後戦後復活されたのでありますが、そのうちで通商に関する条項だけでありますが、復活いたしておりません。戦後は、オランダとの間で、米軍による日本の占領があります間に、暫定的に貿易協定、支払い協定をしておったのでありますが、今回の協定ができますれば、その貿易協定、支払い協定は失効いたします。かつ、現条約の通商に関する部分は今度の協定によって代替されるということが定められたわけでございます。ベルギーとの問におきましては、戦前に通商航海条約が発効しませんでしたので、こういう問題はないわけであります。
 以上をもちまして条約に関する説明を終わりたいと思います。
 なお、簡単にベネルックスとの間の貿易の状況を申し上げますと、昨年は、日本からベネルックスに対する輸出が六千三百二十一万五千ドル、そのうちオランダが三千九百万ドル、ベルギー、ルクセンブルグへ二千四百二十一万五千ドルということでございます。これに対しましてわが方の輸入は四千百十八万九千ドル、そのうちオランダからが二千八百四十四万六千ドル、ベルギー、ルクセンブルグから千二百七十四万三千ドル、従いまして、バランスからは、わが方の二千二百二万六千ドルの輸出超過ということになっております。このうちのオランダ向けの輸出は、相当部分がまたオランダ中継として他の地域に行っておるわけでございます。
 以上をもちまして説明を終わります。
#4
○委員長(木内四郎君) それでは、御質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○羽生三七君 この協定は、相手国はオランダ、ベルギー、ルクセンブルグ等個々に署名されることになっておるようでありますが、しかし、同時に、この協定は、日本を一方の当事者として、ベネルックスの三国を一体として他方の当事者とするということになっております。具体的に問題を処理する場合には、個々の国とやるのか、三国の中に何か統一的な事務局みたいなものがあって、そこで処理されるのか、その辺はどうなっておりますか。
#6
○政府委員(牛場信彦君) ベルギーとルクセンブルグとの間には経済同盟ができておりまして、ベルギーはルクセンブルグの利益を代行するようなことになっております。従いまして、個々の問題につきまして、交渉の相手方はオランダ及びベルギーということに実際問題としてはなるわけでございます。しかしながら、たとえば、輸入の割当の問題などにつきましては、先方はあくまで一体として行動するわけでございます。
#7
○羽生三七君 一体として行動する場合には、何か三国統一的な事務局がどこかの国にあるわけですか。どこが中心になるわけですか。
#8
○政府委員(牛場信彦君) オランダ、ベルギーの間には特別な事務局はありませんけれども、両政府の問で緊密な連絡をとっておりまして、ほとんどこういう問題につきましては、しょっちゅう双方の責任者が会って話をしておる状況でございます。従いまして、個々の問題が起こりましたときには、その困難がオランダ側にあるか、ベルギー側にあるかということは、ときによって違いますので、わが方の交渉する場合には、そういう困難が残る国に対して主として交渉するということになると思いますが、結論は、向こうは、常に両国でもって相談をいたしてこちらに言って参るということになっております。
#9
○羽生三七君 この三国の経済同盟と、もう一つ、この中に出てくる欧州経済共同体と、それからもう一つ、イギリスを中心とする貿易自由連合と、いろいろありますが、それらの最近の動き等を簡単に概括的に御説明いただければ幸いと思います。
#10
○政府委員(牛場信彦君) ベネルックス三国は、いわば一体として欧州経済共同体に加入いたしております。現在の問題は、欧州経済共同体と、それからイギリスの方、そのほか六カ国が作っておりますが、欧州自由貿易連合、この対立の問題になっておる次第でございます。これにつきましては、双方とも今のところ、域内の関税を引き下げていくという措置をとっておりまして、今日までのところ、発足以来、欧州経済共同体の方は三〇%、それから自由貿易連合の方は二〇%、域内の関税を引き下げまして、これに対して対外関税の方はそれほど引き下げておりませんので、だんだん域外のものに対する差別待遇というものが出てくる。これは、差別待遇と申しましても、経済共同体、つまり関税同盟の方も、あるいは自由貿易連合、つまり自由貿易地域の方も、いずれもこれはガットにおいて認められたところでありますので、当然これはこういう結果になって参るわけでありますが、そうなって参りますと、域内国との間の貿易の方が城外との貿易よりも有利になって参ります。従って、たとえば、イギリスのドイツに対する輸出というものが、フランスやイタリアのドイツに対する輸出に比べて不利益である。ドイツのイギリスに対する輸出は、デンマンクとかスエーデンの輸出に比べて不利益となって参るわけであります。そこで、そういう不利な状況をなるべく除くために、何とかしてこの二つの経済共同体というものを統合に持っていきたいという希望が特にイギリス及びドイツ方面に強い、ドイツ、オランダあたりに強いわけでございます。それと同時に、また、政治的に見まして、現在ヨーロッパがこういう二つの経済共同体の対立ということのために分裂してくるということは、非常に好ましくないということで、そういう政治的な面から見ましても、ヨーロッパの統一を望む声が非常に強くなってきておるわけでございます。他方アメリカの態度にいたしましても、ケネディ新大統領のもとにおきましては、ヨーロッパの経済的、政治的の統合ということに従前よりもよほど力を入れてきておるようでありまして、そういうような両共同体の統合の気運というものは最近強まってきておるということが、ただいまのところとしては申し上げられると思うのであります。しかしながら、これに対してもいろいろ障害があるわけでありまして、一番問題になっているのはフランスの態度でありまして、フランスは、この六ヵ国共同市場に属しているわけでありますが、ドゴール大統領の方は、まず六カ国共同市場というものの完成までなるべく早く持っていく。そうしてこれを経済的のみならず政治的に非常に強いものにしていくというところに重点を置いて考えている。従って、この際イギリスを初めとする他のヨーロッパ諸国との連係ということによって共同市場の結成がおくらせられ、あるいはその政治的意義が薄められるということには非常に反対いたしておるわけでありまして、それが一番障害になっている。もしこの両共同体の統合という観点から見ますれば、これが障害になっているわけであります。それから、技術的に申しまして、イギリスは、御承知の通り、英連邦というものに対して特恵関税を与えているわけであります。また、先方が特恵関税をもらっておるという関係になっております。それからまた、イギリスのとっております農業施策というものは、ヨーロッパ諸国のとっております農業施策というものと非常に違うという事情がありまして、共同市場、つまりドイツ、イタリア、フランス、ベネルックス等は共同市場をとっておりますが、対外共通関税、これをイギリスが簡単に受諾できないという事情になっております。また、共同市場下において、農業施策というものにつきましても、効率的な農業施策を作ろうということを今やっておるわけでありますが、それもまた、イギリスにとっては簡単に受諾できないということが、これは主として技術的な問題でありますが、そういう技術的に見ますれば二つの問題がありまして、現在のところ機運として動いてきておりますけれども、具体的には、なかなか双方の調整が根本的につくというところまで参っておりません。ただし、別に見まするというと、御承知の通り、ヨーロッパ諸国、アメリカ、カナダを加えました経済開発協力機構、OECDというものが発足しつつあるわけでありまして、そういう大きなワク内におきまして、ヨーロッパ諸国、それにアメリカ、カナダ等を加えた、いわゆる大西洋諸国と申しますか、そういうものの協力が進められつつある、その大きなワク内において、この共同市場対自由貿易連合、いわゆる六カ国対七カ国の問題の調整が論議されようとしております。現在その理事会がパリで開かれておるわけであります。それがただいまのところまでの状況であります。
#11
○羽生三七君 大臣がお見えになったようですから、残余の質問は後に譲って……。
#12
○委員長(木内四郎君) それでは、本件に関する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは討論に入りたいと思います。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。――別に御意見もないようでありますから、本件に対する討論は終局したものと認めて、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより本件の採決をいたします。通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。本件を承認することに賛成の方の御挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#15
○委員長(木内四郎君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の議長に提出する審査報告書の作成につきましては、慣例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
#17
○委員長(木内四郎君) 次に、国際情勢に関する調査を議題といたします。御質疑のおありの方は御発言を願います。
#18
○森元治郎君 この間、おとといの外務委員会では、キューバの事態がまだはっきりしていなかったので、質問は差し控えて、慎重を期したわけでありまするが、その後米ソ両首脳者間の応答などがあって、事態も方向がはっきりしてきたようでありますので、きょう御質問いたしたいと思います。
  〔委員長退席、理事井上清一君着席〕
 政府は、この問題についてどういうふうな態度で臨まれるか。事態は大へん複雑で、深刻でありますから、まず原則的に外務大臣の御方針を伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(小坂善太郎君) キューバの問題に対しましては、われわれは、これがやはりキューバ国内に起きた事件でありまして、他国がこの問題に干渉することなく、この事態ができるだけ早く解決され、キューバ国民の望む平和というものを回復されなければならぬ、こういう立場でこれに対処していきたいと思います。
#20
○森元治郎君 大臣の答弁、われわれも抽象的にはその通りでありますが、具体的に、どうしてこういう問題を平静に戻すかというところに問題があるかと思います。一番問題は、この反政府軍がどっから一体出てきたんだろうかというのが、やはり問題解決への大きなことだと思います。アメリカのマイアミの方でだいぶ訓練していたということは、アメリカも認めるところであるし、反カストロの革命評議会の計画なども、ニューヨークあたりでいろいろ談話を発表し、計画を述べている。それから、メキシコ以南の中南米のあちこちから船が出、飛行機が出ているようなことも公然の秘密になっているようなので、この点は、大臣はどういうふうに事情を受け取られておりますか。
#21
○国務大臣(小坂善太郎君) どこの国の政、府もこれに関係していないというふうに了解しております。
#22
○森元治郎君 ちょうど国連の政治委員会で、キューバのロアという外務大臣が、それではどっから来たんだと言って、みんな大笑いだという新聞がありましたが、これは、そこのところが一番の今度のキューバ事件のかなめだと思うので、各国の新聞、情報などを総合して見ても、何か、アメリカが道義的な弱さがあるということが一致しているようです。自由主義陣営の国々も、アメリカに不利であってはいけないと思いつつも、どうもまずいことをしてくれたなというような様子が見えるようです。やはりこの問題を片づけるためには、軍事力の停止というようなことが普通の事態解決の一番先にとる方法であります。従って、これについての各国の国連における決議案も出ておりますが、今までには四つぐらい出たと思いますが、大臣は、国連の場でこの問題を解決の方に持っていこうとするのか、あるいは、中南米諸国の決議案に見られるように、中南米の地域的な国の手に問題解決をゆだねてくれという決議案もありましたが、そういうふうな地域の解決にゆだねるのか、その具体的なこういう大きな動きについての大臣のお考えはどうですか。
#23
○国務大臣(小坂善太郎君) この問題については、御承知のように、情報がまだ未確定のものが非常に多いわけでございます。従いまして、わが政府といたしましては、できるだけその情勢というものが明瞭になった上で事に対処したいという観点からいたしまして、慎重を期したいと考えておるわけでございます。やはり先ほど申し上げたように、キューバの問題はキューバ自身の問題であるという立場から、他国がこれに介入、干渉するということを避けるという方針で行く考えでございますが、その方針を実現するために、国際機構もできるだけ動員していく、国連等も、国際平和維持のための必要な、また最高の機関でございますから、これが活用は、これは当然考えられることでございます。やはりその場においてどうするんだという点については、十分に情勢を把握した上で考えるべきことであろうと思っておるのであります。さしあたり私どもとして一番気になりますことは、これは、日本政府としてまず第一に関心を持つべきことは、在留同胞の問題でございます。現在四百名いると伝えられておりますが、その安否は全くわからないのが現状でございます。なお、その中には、朝日新聞の川村君というワシントンから行った記者がわからないのであります。そういうようなことをまずもって知れるような状態になって、そうして情勢を十分につかむということができるのでございまするから、慎重にこの問題については考えて参りたい、かように思っておる次第でございます。
#24
○森元治郎君 あそこは、都村大使以下四百名、従って大使館からの電報は全然ないんですね。
#25
○国務大臣(小坂善太郎君) ないんでございます。
#26
○森元治郎君 これが措置はどういうふうにされておりますか。
#27
○国務大臣(小坂善太郎君) これにつきましては、P・Cという形の電報がございますが、これは、電報が、その打った場所に着いた瞬間に、向こうから返電をよこす形のものでございます。その形の電報を打ちまして、どうなっておるか、知らせろということを打っておりますし、それから近所の、まわりの国に対しまして、できるだけ情報をよこすようにと、まわりの国の大使館に対してそれぞれ打電いたしております。そういうようなことでやっております。
#28
○森元治郎君 大臣の御答弁では、これはキューバの内政の問題であるから、しばらく見ておるというふうに了解されるような御答弁があったと思うのですが、どうもその御答弁とケネディ大統領がフルシチョフへの回答で話している内容と比べてみると、たとえば、これは自由のための戦いである、従って、自由を求めるための戦いを力に訴えてもこれはやむを得ないんだ、従って、自由を追求する動きというものに対しては好意を持って見守るんだ、武力であろうと何であろうと、その成り行きが、成功することを望みつつ事態を見ているんだ、ただ、軍事介入はしない、しかし、よそから手を出してきたらば、米州機構をあげてこの介入に対しては対処するんだ、よそからは入ってくるな、これは自由解放の運動だから、成功することを望みつつ見ているんだというんでは、これは、ますますこれから人殺し、流血になって、泥沼の戦争にもなってしまったときば、その責任は大へん大きなものになると思うので、やはりこれは、押える方向、血を流さない、拡大させないという措置が必要なんではないか、もしアメリカがこういうことを野放しにしているようなことであると、将来ほかの地域においても同じ事態が起こったときに立場がなくなりはせぬか、こんなことを心配するのですが、大臣は、こういう内戦を、しかも、第三国が裏に入っているような感じのする内戦を見送っておったんではいけない。この点はどうですか。
#29
○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどから申し上げておるように、非常に情報が不正確といいますか、なきにひとしい状態でございますので、今おっしゃるようなことがはたしてあるのかどうか、初めは、非常な大きな規模の遭遇戦があったような情報もありましたけれども、また一方から言うと、四百名足らずのものが動いたんではないかというような情報も新聞紙上伝えられておるのでありまして、どうも今こちらでいきなりはやって、日本政府がどうするこうするというようなことを言うことが一体いいのか悪いのか、私は、もう少し情勢を見てから態度をきめる、態度をきめるといいますか、われわれの考えを述べる必要があれば述べますけれども、その時期は何も今でなくてもいいのじゃないかというふうに思っておる次第であります。
#30
○森元治郎君 私は、こまかく具体的に、きょうどうこうする、御方針はいかんということを伺っておるのではなくて、こういう内政問題とはいいながら、第三国を巻き込むおそれ十分の事態に対して、やはり武力的な行動は相互に中止すべきであるとかという、抽象的にでもお答えが願えるだろうと思うことを伺っておるわけであります。どんなような方向でやるかというこまかいことは、事態がもう少し先へ進まなければ手も打てないでしょうが、もしアメリカのケネディ大統領が言うような言葉を、十八日の対ソ回答などを読んで感ずることは、やがてこの日本、極東に問題を移して見ても非常に重大だと思う。朝鮮に例をとると、北側の朝鮮の中においては、自由を願う人々が大へん多い。そうしてどんどん避難民などになって南の側の朝鮮に流れてくる、その流れてきた人が、自分の同胞を助けるんだと言って、武力をもって入っていくのだというような事態になったときに、これは自由解放の闘争であるから、われわれはこれをあたたかい気持で見守っていくのだというようなことにもなろうかと思うのであります。そうなれば、こういう原則が通ってきますと、大へんこれは重大になると思うのであります。この点を私は伺っているわけなんであります。単に自由解放だからといって野放しにしているようなことでは、私は、アメリカという国も威信をなくし、帝国主義アメリカと言われるような条件を作っていくような感じがしますので、また、世界平和のためにもならぬから、こういう武力を使って、内政問題といいながら、世界に影響のある事態はやめるようにするんだということくらいは、外務大臣の御答弁からあってもよろしいのではないか。武力は使わないのだという点は、大臣、どんなふうにお考えになるか。
#31
○国務大臣(小坂善太郎君) ケネディアメリカ大統領の声明というものは、ソ連のフルシチョフ首相のケネディ氏にあてた書簡に対する回答として言われておるのだと思います。その中で、武力を用いてこの紛争に介入するなどということはもちろん言ってないわけでございます。そういう場合に、われわれは、いろいろ先走って、この問題にみずから介入するような態度をもっていろいろ言うことはいかなるものであろう。むしろ、国連の中などでいろいろ問題が出てきたときに、現在も論議をされておるわけですが、日本として意見を述べる段階になったときに述べるという程度の方がよろしくはないかというふうに今のところ思っておるわけでございます。もちろん、武力で介入するということがあれば、これはいかんということは言えるでありましょうが、まだ、そういうことをしないと言っておるので、その先に申し上げることはいかがかということを申しておるわけでございます。
#32
○羽生三七君 関連してちょっとお伺いいたしますが、国連の場に今のキューバ問題が具体的に提起されたときに、何らかの方法を考慮してもおそくないというお話ですが、まあそればそれでいいと思いますけれども、現に四つの決議案が国連に現在出されて、討議を待つ段階に来ておるわけですが、そこで問題は、私はこの前も、一昨日申し上げましたように、純然たる内政問題であれば、これは他国がかれこれ言うことはないのですが、もし他方の国を基地として攻撃が加えられたり、他方の国の人員が参加して内政干渉にわたるようなことがあった場合には、やはり明白な態度を今からとる必要があるのではないかと思うわけであります。というのは、そういう態度をとらえない限り、まあある他の陣営の国がこの種問題を将来かりに起こすようなことがあった場合に、文句を言うことはできません。ですから、今度のような場合にはっきりした態度をとってこそ、他方の陣営が何らかの行動をとった場合においても、日本なりあるいは国連の場でそれぞれの国がきびしい立場でものが言える。それを、今度のような場合、必ずしもまだ内容は明白でないにしても、大よその方向というものは把握できるのですから、この際、やはり何らかの考え方を日本政府が持つということは、私は当然であろうと思うのです。しかし、直ちにですね。どういう声明をするとか、日本だけが、国連と離れて特別の動きをするということは困難でありましょうが、しかし、いずれにしても、四決議案が出て来て、具体的に国連の場で問題になりかけておるのですからして、そういう場合にはどうするかということは、私は重大な問題だろうと思います。ですから、出先国連大使が思いつきで、思いつきといっては失礼ですが、この何らかの動きをするということじゃなしに、やはり外務当局として確固たる方針を持って国連大使を指揮すべきであろうと思います。そういう意味で言うならば、事態がもう少し明らかになるのを見ることももちろん大事ですが、同時に、日本外務当局の腹がまえとしては、やはり他国を基地とする武力攻撃あるいは他国の人員が参加して内政干渉にわたるようなことは避ける。こういう基本的な態度は持って私はしかるべきであろうと思う。ですから、国連の場において具体的に、今どの決議案に賛成するとか、どういう採決の場合にはどういう態度をとるとかということを言っておるのではなしに、森君も言いましたように、その基本的な、つまり内政干渉はもちろんいかんけれども、その場合、具体的に、この武力行使をある他方の国を基地として行なったり、それから、今申し上げたように、人員をそこから派遣したりするような意味の内政干渉は断固として避けるべきだ。事件もまたこれ以上拡大さすべきではないという立場でですね。日本外務当局として何らかの腹があってしかるべきだ。こう思うわけです。この点に関する外相の御見解を承りたいと思います。
#33
○国務大臣(小坂善太郎君) 他国の内政に干渉しないというのは、これは不動の方針でございまするが、現在キューバの方において行なわれている一種の内乱、それの背後関係がどうであるかという点がどうも明瞭でございませんので、差し控えたいと申し上げているわけでございます。これについては、国連の政治委員会における討議で見ましても、それぞれの考え方において全く相背馳するという意見というものが行なわれているのでございまして、この際、日本としては慎重に、事態の明確になるのを待って意見を申し述べてよかろうということを申し上げましたところが、その点については、羽生委員も、その考え方はわかるとおっしゃっていただいているわけでございます。さて、原則的な意見を政府が持たなければいかんじゃないかという御意見は、もとより私も全くその通りだと思います。今その線に沿うて、いろいろ事態を慎重に、わが国として、わが国自身の立場から見て、また世界平和の立場から見て、最も有利に解決いたしまするために、慎重に一つ事態の把握をしてみたい、かように考えている次第であります。
#34
○羽生三七君 実は昨日、私どもはキューバの代理大使の話を聞いたのでありますが、たとえば外電にある、この農相ですか、農業大臣が反乱に加担しているとか何とかいう報道は、聞いてみると、それは、キューバの革命の最初の三カ月間農相を勤めた人で、現在はそんな地位にある人ではないので、むしろ反対の立場をとっている人なので、その人がそういう動きをするのは、これは当然だろうということを言っておって、これはずいぶん違っているのです。それから、カストロ首相の弟の国防相が逮捕されたなんていうことも、全く事実に反するということを代理大使は言っておりましたが、もとよりこれは、一方の国だけの意見を聞いて、その取次をすることでは私はないのですが、信憑性の点はわかりませんけれども、とにかくそういうふうに、政府にも、あの出先からは詳細な情報が入っておらんというし、また外電も、今のようなことで、なかなか真相もつかみがたいと思いますが、いずれにしても、私はこれ以上申し上げませんが、先ほどの原則問題をはっきりさせておかないと、先ほど申し上げたように、他方の陣営でこの種の問題がもし行なわれた場合、そのときだけは日本が文句を言って、こういうときには黙っているということでは、これは問題にならないので、特に外相の見解をただしたわけです。この点は十分お含みをいただきたいと思います。これ以上は申し上げません。
#35
○森元治郎君 外電は、マイアミという一番近い距離に反カストロの連中がだいぶ集まっているということは、もう世間でだれも知っているし、アメリカの新聞報道もどんどん打ってきているのですが、もしそういうふうに、アメリカ本土がキューバの武力行使に使われているということがはっきりした場合には、これは大臣としても、けっこうなことだとは言えないので、そういう場合にはやはり警告を、あるいは忠告をされるだろうと思うが、どんなものですか。
#36
○国務大臣(小坂善太郎君) そういうことがはっきりしたらどうかというお話ですが、はっきりしたときに考えたいと思います。もちろん、他国を混乱に陥れるために、その国の政府がそうした行動を援助するというようなことは、なはだよろしくないことであると考えております。これは、いわゆる東西両陣営といわれるいずれの方に起こっても、そういうことをすべきでないというふうに思うのであります。ただ、その報道がなかなか、ああいう混乱の中にありますから、むずかしいのは当然でございましょう、他の地域においてもそういう例がたくさんございまして、事態は非常に平静であるようでありまするが、どんどん武器弾薬が供給され、いろいろ軍隊が動いておるというような事態もあったりいたしまして、なかなか、現在の国際情勢というものは、われわれもよほど慎重に事態を見ていかないといけない事態になっているという感じがいたしておるのであります。昨日社会党の方において、キューバの代理大使をお呼びになって、お呼びになったのですか、向こうから来たのですか、知りませんけれども、いろいろそういう話があった、その中に、今、羽生委員のおっしゃったような、報道が間違っておるというような話もあったようであります。私ども聞きたいのは、むしろ、そうであれば、なぜ邦人の安否すらわからないかというふうにも聞きたいような気もするのでありまして、やはり報道はまだ確かでないのではないか、こういうふうに思うのであります。その点、よほど慎重に一つ対処していきたいと思います。
#37
○森元治郎君 重ねて同じことを伺いますが、事情が判明すれば、国連の場でこの問題の平和的解決の方に日本が措置をとるというふうに了解をしてよろしゅうございますか。
#38
○国務大臣(小坂善太郎君) わが国は、世界平和のためになるとわれわれが信ずる方向で国連において行動したいと思います。
#39
○森元治郎君 先の話でちょっとおそれ入りますが、アメリカのケネディ大統領がフルシチョフに送ったいわゆるアメリカの態度というものの中には、これの平和的解決へということは一つも触れていない。大体四点があって、それが誤解をしておるということ、アメリカは軍事干渉の意図はない、また、外国からの軍事干渉があったらば、米州機構の国々と協力してこれを防ぐ、それから、キューバのこの騒ぎというものは自由のための戦いであるという四点で、どうもその問題を片づけるという方向のもとには一点も触れていないで、アメリカに都合のいい解決がなされるのを期待するような点がうかがわれることが、非常にこれは残念だと思うのです。そこで、だんだん、反カストロの方がかりに強ければ、臨時政府などをこれは作っていくようになると思います。そうして臨時政府でも作れば、アメリカを初め隣近所のカリブ海の国々から承認をもらっていこうというふうな手段に出てくれば、ここでまた二つの政府が出てくると思うのですが、事態がはっきりしたらば措置をとられるということでありますから、触れませんけれども、なるべく一つの政府で、一つの政府というか、そういうふうな二つの政府を作るようなことにならないようにしたいというふうに私は思うのですが、大臣はどういうふうに考えますか。
#40
○国務大臣(小坂善太郎君) 一つの国が二つの政府ということで分かれることは、非常に国民にとって不幸でございます。そういう事態にならないように希望することは、もちろん私も同感でございます。
#41
○羽生三七君 大臣はこのごろ答弁が上手になっちゃって、もうとってもつかまえどころのないことになってしまう。それで、世界平和のためになるように日本政府は処置すると、これはもう万人異論のないことで、当然だと思うのですが、その場合、また自由諸国の言う主張が世界平和につながるという解釈も出てきて、それが政府の言う世界平和だと、こういう立場もとれるわけですね。ですから、私どもの考えでは、やはりそうでなしに、他国の領土から加えられるような攻撃、そういうように、明白に限定的にいって、それに対して、もちろん大臣は、私がそう質問すれば、それは悪いことだから、そんなことはいけないと、こうおっしゃるに違いないが、そういう場合に、国連の場においても、そういう原則のもとでいろんな各種の決議案が出てきたときに行動する必要があるのではないかと、こういうことを私は申し上げている。その点がわかればよろしいんです。
#42
○国務大臣(小坂善太郎君) 他国の領土といいますか、今その域外の地域に基地を持ち、その国の政府がこれを援助して、そしてある特定の国を攻めさせるというようなことは、これは当然よくないことでございまして、そういうことであれば、それはよくないということは自明の理でございますから、私は、そういう気持でやっていきたいと思っております。
#43
○森元治郎君 一点だけ。だいぶ新聞に大きく出ているから、そしてちょうど欧亜局長も来ておられるから、魚の話、これはずっと聞いたことがないんだが、規制区域外の自由出漁というので、各船に許可証を渡して出漁準備をとったようですが、どういう成算があってああいうふうに踏み切ったか。事の是非より、その成算――日ソ漁業交渉にどういう影響がある、あるいはないと判断される、あった場合にはこれに十分対処できるんだというような成算は、どういうふうなものによってやったか、この点だけちょっと伺っておきます。
#44
○政府委員(法眼晋作君) これは、新聞紙上にも水産庁長官談として出ておる通りでありますが、目下公式会談が進行中でございまして、従って、日本側が、日本側の措置として出漁を決定し、許可証を与えたということは事実でございますが、それとは別に、目下会談が、本日も十時から進行中でございます。われわれは、出漁するということは、これは、条約上も法律上も日本政府がやり得ることであるということを先方に十分説明をいたしまして、先方の納得を得ようとしているわけでありますが、同時に問題は、南方地域だけの問題ではないので、規制区域内の総漁獲量の問題、規制区域内における禁止並びに停止地域の問題というものについて会談をしなきゃなりませんので、私は、会談を今後も双方とも続けるということを希望しておるものでございます。
#45
○森元治郎君 会談の希望は、それは、当然今会談をやっているんだからだけれども、これによってソ連が、本交渉の方に、いわゆる規制区域内の交渉に、結論的に言えば、漁獲高の点などに悪い影響でも出てきやしないか、あるいは昨年のようにまた見送るか、甘く見ているか、からく見ているか、そこを聞いているんですがね。
#46
○政府委員(法眼晋作君) これは、交渉のことでありまするので、その見通しを明確にすることは困難だと思いますが、しかし、漁期が迫ってくるし、しかも、条約上日本がやり得ることを一日々々延ばしていきまするというと、もう魚はいなくなるのであります。そこで、日本としては、例年の例に従って、例年よりも一週間おくれておりますけれども、日本のやる措置をとったわけであります。従いまして、その結果は、先方が硬化するかしないかということの見通しの問題でございますけれども、われわれは、普通の条約の規定に従って、合理的なところに従って交渉は続行されるということを希望するわけであります。もし先方がこれを不満として、かりに審議しないというようなことがありまするというとこれは、しかしながら、そういうことは条約上ではない建前になっております。われわれは、そういう理のあるところに従って、双方とも交渉したいと、こういうふうに考えております。
#47
○森元治郎君 私は、ちょっとソ連も、このまま、ああそうですかでは引っ込めない、一波乱あると思うが、今度の交渉は、事務当局が魚の資源の問題でソ連側に協力する態度に出たためだろう、割合に静かに交渉が進んでいったようだが、やはり最後の締めくくりなりあるいは規制外の自由出漁については、大臣クラスといいますか、こちら側では、高い水準での話し合いも予定されていると思うのだが、どうですか。このまま事務当局だけの話し合いでできてしまうか。本年の漁獲量の問題、あるいは大臣クラスのところで最終的な話を持ち込むのか、割合にスムースに来たものだから、見当つかないのだが、楽観していいのかどうか。
#48
○政府委員(法眼晋作君) これは、条約の規定に従って、目下委員会で話が進行中でありますので、この委員会の話し合いというものをずっと通していきたいと、こう思うのでありますけれども、これは将来のことでありますから、委員会の話の進行状況というものを十分見きわめていかなければならぬ問題だと思います。
#49
○理事(井上清一君) ほかに御質問ございませんか。
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#50
○理事(井上清一君) 次に、航空業務に関する日本国とベルギーとの問の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上、本院先議の両件を一括議題として質疑を続行いたしたいと存じます。質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。――別に御発言もございませんようですから、本件に関する質疑は後日に譲りたいと存じます。
 本日は、この程度で散会をいたします。
   午前十一時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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