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1960/04/25 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第13号
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1960/04/25 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第13号

#1
第038回国会 外務委員会 第13号
昭和三十六年四月二十五日(火曜日)
   午前十時三十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           鹿島守之助君
           森 元治郎君
   委員
           笹森 順造君
           杉原 荒太君
           苫米地英俊君
           堀木 鎌三君
           加藤シヅエ君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
  国務大臣
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
  政府委員
   外務政務次官  津島 文治君
   外務省アジア局
   長       伊関佑二郎君
   外務省アメリカ
   局長      安藤 吉光君
   外務省経済局長 牛場 信彦君
   外務省条約局長 中川  融君
   運輸省航空局長 今井 栄文君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○第二次国際すず協定の締結について
 承認を求めるの件(内閣送付、予備
 審査)
○関税及び貿易に関する一般協定に附
 属する第三十八表(日本国の譲許表)
 に掲げる譲許を修正し、又は撤回す
 るためのアメリカ合衆国との交渉の
 結果に関する文書の締結について承
 認を求めるの件(内閣送付、予備審
 査)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国政府とシンガポール自治州政府と
 の間の条約の締結について承認を求
 めるの件(内閣送付、予備審査)
○日本国とパキスタンとの間の友好通
 商条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○航空業務に関する日本国とベルギー
 との間の協定の締結について承認を
 求めるの件(内閣提出)
○航空業務に関する日本国とドイツ連
 邦共和国との間の協定の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出)
○国際情勢等に関する調査
 (国際情勢に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木内四郎君) ただいまから外務委員会を開きます。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#3
○委員長(木内四郎君) それでは速記を始めて下さい。
 本日は、まず、予備審査として送付されました第二次国際すず協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 以上三件を一括議題といたしまして、政府より提案理由の説明を承ることにいたしたいと思います。
#4
○政府委員(津島文治君) ただいま議題となりました第二次国際すず協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 第二次国際すず協定は、一九五六年七月一日に発効した第一次の国際すず協定が本年六月末日に失効することとなっておりますので、これにかわるものとして、昨年五月二十三日からニューヨークで開催された国連すず会議において、わが国を含む二十三カ国の代表参加のもとに採択された協定でありまして、昨年末まで署名のために開放されたものであります。
 この協定の目的は、価格変動の激しい国際商品の一つであるすずの国際価格を安定させることにあります。すずの国際価格が妥当な価格で安定することは、生産国にとっても消費国にとってもきわめて望ましいことでありますが、この協定は、すずの最高価格及び最低価格を定め、市場価格がこの両価格の間に落ちつくように、緩衝在庫制度を設け、この運用、操作と輸出割当制とを併用することによって、市場の需給量を調整し、すずの国際価格の安定をはかることを骨子とするものであります。
 わが国は、昨年十二月二十九日にこの協定に署名いたしましたが、署名開放期間中に署名を了した国は、わが国のほか、イギリス、オランダ、デンマーク等十四の消費国と、マラヤ、インドネシア、タイ、ボリヴィア、ナイジェリア等七つの生産国であり、協定は、これらの国のうち本年六月末日までに所定の数の国が批准または受諾を行なうことにより効力を生ずることとなっております。
 わが国は、この協定に参加することにより、すずの国際価格の安定を通じて、近来とみに重要性を増している第一次産品生産国に対する協力及び世界貿易の拡大に積極的に寄与することとなりますとともに、これら生産国、特にわが国と関係の深いマラヤ、インドネシア、タイ等東南アジアの諸国に対するわが国の通商政策上の利益は大きいものと考えられます。
 よって、右諸利益を考慮し、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国との交渉の結果に関する文書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 わが国は、昭和三十年のガット加入の際の関税交渉、昭和三十一年の第四回ガット関税交渉並びに昭和三十三年の対ブラジル及び対スイス関税交渉に参加し、わが国の関税率表の九百四十三税目のうち二百七十九税目についてガット締約国に対して譲許を行なってきておりますが、一部の現行譲許税率については、その後の経済事情の変化に即応しないものとなりましたので、その修正または撤回の必要が生じて参りました。このため、昨年来ガット第二十八条に基づくガットの再交渉会議が開催されました機会に、大豆、工作機械などの二十四品目につきまして、これらの譲許の原交渉国であるアメリカ合衆国と譲許税率の修正及び撤回のための交渉を行ない、その際、トウモロコシ、牛脂、ギアカッターなど十九品目についての譲許を新たに代償として提供することにより、このほど交渉を完了し、去る四月十日ジュネーブで日米両国代表団の間に、右交渉の結果に関する文書への署名を行なった次第であります。
 この新しい譲許は、第二十八条に基づく関税交渉の結果の適用に関するガット上の一般的な手続に従い、わが国が締約国団の書記局長に対して適用通告を行なうことにより、右通告において指定する日から実施されることとなっておりますところ、これらの譲許のうち、工作機械については若干おくれますが、その他のものについては、本年七月一日までに実施に移す予定であります。
 よって、ここに、この文書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、さきにパキスタン及びインドとの間に二重課税防止条約を締結し、その後引き続き他の東南アジア諸国とのこの種条約の締結に努めて参りましたが、このたびシンガポール自治州との間に交渉が妥結し、シンガポール自治州政府はイギリス政府よりこの条約を締結するための授権と同意を得たので、四月十一日にシンガポールにおいて、日本国政府とシンガポール自治州政府の全権委員の間でとの条約に正式署名を行なった次第であります。
 この条約の内容は、基本的には、わが国がすでに締結したパキスタン及びインドとの二重課税防止条約にならうものでありますが、産業投融資に対する課税の減免条項を設け、さらに、シンガポールが国内産業育成のためとっている租税特別措置によりシンガポールで免除された租税は、日本において総合課税する際に、シンガポールで支払われたものとみなしてわが国の税額より控除し(みなし外国税額控除)、また、船舶、航空機所得の相互免税、短期滞在者、研修生の免税等を規定したのが特色であります。
 この条約の締結は、わが国のシンガポールに対するプラント輸出、事業及び技術の進出を促進し、シンガポールの産業育成に寄与するのみならず、一般にわが国とシンガポールとの間の経済、技術及び人的交流の緊密化に貢献するものと期待されます。
 よって、以上申し上げました利益を考慮し、また、シンガポール側においても条約批准の措置を進めておりますので、この条約の効力発生のため、わが国も必要な手続をできるだけ早急にとりたいと存じ、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件、なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。
#5
○委員長(木内四郎君) ただいま提案理由の説明を承りました三件の質疑は、これを後日に譲りたいと存じます。
  ―――――――――――――
#6
○委員長(木内四郎君) 次に、日本国とパキスタンとの間の友好通商条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題にいたしたいと存じます。本件は、去る四月十八日衆議院から送付されて本付託になりましたので、念のため申し上げておきます。
 本件につきましては、先般提案理由の説明を聴取いたしましたが、さらに補足説明を政府委員から聴取いたしたいと存じます。
#7
○政府委員(牛場信彦君) パキスタンとの間の友好通商条約は、昨年の十二月にアユーブ・カーン大統領が訪日されましたときに妥結いたしまして、十二月十八日に署名をいたしたものであります。
 この条約につきましては、すでに昭和三十年以来、わが方から締結方を申し入れておりまして、パキスタン側は、ちょうどそのころアメリカ合衆国との間で交渉を行なっておりました関係で、そちらの方が先にきまるまでということで、だいぶ時間がかかっておったのであります。その後政府は、三十五年になりまして交渉が進捗いたしまして、昨年の大統領の訪日の機会に妥結したということでございます。
 条約の内容は、通常の友好通商条約と変わりはないのでございまして、パキスタンとわが国とは、ともに国際通貨基金にも加入いたしております。また、ガット関係にもありますので、為替制限あるいは貿易制限、関税などの問題につきましては、これはすべて国際通貨基金協定及びガット協定によることになっております。もちろん、理屈といたしましては、一方がガットないし国際通貨基金から脱退したような場合におきましても、この条約が廃止されない限りは、両国間に有効であるということでございます。
 条約の各条につきましては、説明書をさきに提出してございますので、それで御承知願ったことと存じますが、簡単に御説明申し上げますと、第一条は、これは入国、滞在、旅行及び居住に関して最恵国待遇を相互に与えるものであるという規定でございまして、もちろん、これは国内法令に従うという条件がついておりますので、その限りにおきましては、絶対的な最恵国待遇というわけではないわけでありますけれども、しかし、少なくとも他国民との間の差別待遇はできないということになっておるのであります。ただ、これにつきましては、議定書の第一項及び第二項におきまして制限がついておりまして、パキスタンが英連邦諸国の市民に対して与えているか、あるいは将来において与える権利の特権の享受を日本が要求できないことになっております。パキスタンが英連邦諸国のうちで最恵国待遇を与えておりますのは、英本国及びその植民地の市民と、それからインド及び南ア連邦を除くほかの英連邦の国民であります。それから議定書の第二項の方は、これは、入国する条件として法令により明示された制限に反して営利的職業に従事することができないということで、入国の場合に営利的職業をやらないという条件がついておる場合には、それに反して営利的職業をやってはならない。これは当然の規定でありますけれども、パキスタンの法律にこういう規定がございますので、向こう側の要求によって入れた次第でございます。
 それから、第二条におきましては、良心の自由及び宗教、通信の自由を保障しております。それから第二項におきまして、公の秩序及び公衆の道徳または安全のために必要な措置をとることについての権利を留保しておるわけでありまして、これはいわゆる自由権という観念でありまして、通常通商航海条約にあるような型であります。
 それから第三条は、これは、身体の保護、保障、並びに強制兵役の免除等に関する規定でありまして、この「国際法の要求する保護及び保障よりも少なくない不断の保護及び保障を受けるものとする。」これは、いわゆる文明国におきまして通常行なわれておるような標準のもとに保護及び保障を与えるということを約束しておる次第であります。それから第三項は、「強制軍事服役及びその代りに課されるすべての課徴金を免除される。」ただし、(b)におきまして、強制公債、軍事取立金、軍用徴発または強制宿舎に関しては、これは最恵国待遇ということでありまして、無差別の原則による限り、こういうことが課せられることがあるということを規定しておるわけであります。
 それから第四条は、これは、財産の保護に関する基本的待遇を規定いたしております。これも通常の規定でありまして、特に御説明することはないのでありますが、第四項におきまして、公共のための収用、使用につきまして規定いたしておりまして、ここで、正当な補償が迅速に行なわれるべきこと、及び補償は収用する財産に相当する価格のものであって、換価可能なものでなければならないということを規定いたしておりまして、この換価可能ということは、たとえば、非常に長期の公債でもって、市場価位のないようなもので払ってはいけないという趣旨のものでございます。従いまして、これは、たとえば日本で収用いたしますときに、円価で払うことはもちろんいいのでありまして、円価で払ったその対価の送金につきましては、後の第八条の方に規定があるということでございます。それから、これに関連いたします規定が議定書の第六項でありまして、これは、締約国の領域内で収用される財産で、他方の締約国の国民及び会社が直接または間接に利益を有する者についても適用する。これは、会社の場合なんかに、締約国の国民がその一部につき利益を持っておるというようなものについて、これと同じ原則を適用するということにいたしてございます。
 それから第五条は、事業活動及び職業活動並びに工業所有権に関する規定でございまして、事業活動及び職業活動につきましては、これを最恵国待遇ということにいたしてございます。これにつきましては、相当多数のこの種条約におきましては、内国民待遇を与えるという規定もあるのでございますが、パキスタン側は、原則といたして内国民待遇を約束しない建前でございます。それからまた、現状におきましては、パキスタンの国内におきまして、外国人のみに対して職業活動、事業活動を制限しておる例は非常に少ない。公営事業等につきましては、これは参加を認めておりませんし、また公務員には外国人を採用しない、こういうこともございますけれども、ほかの点におきましては、全然内国民、外国人との間に差別をいたしておりませんので、最恵国待遇で十分わが方の利益は保障できるという観点から、最恵国待遇に同意いたしました。その第二項の方におきまして、「特許権の取得及び保有並びに商標、営業用の名称及び営業用の標章に関する権利並びにすべての種類の工業所有権に関して、内国民待遇」となっておりますが、これは、パキスタンが万国工業所有権保護同盟に加盟いたしておりません。日本側は加盟いたしておりますけれども、パキスタンは加盟いたしておりません関係で、最恵国待遇ということになりますと、工業所有権同盟加盟国に比べて、パキスタンに対してより有利な待遇を与えなきゃならぬということになるおそれがありますので、この際は、最恵国待遇を改めて、内国民待遇ということで同意いたしたわけであります。第三項は、これは租税の二重課税防止条約などを作ることができるという規定でありまして、パキスタンと日本との間には、現在二重課税防止条約ができております。
 第六条は、仲裁判断の執行に関する規定であります。この種条約において通常に用いられる形式でございます。
 それから第七条は、関税及びこれに関連する事項についての規定であります。
 次の第八条が、為替管理及び輸出入制限に関する規定であります。これは、冒頭に申しましたように、お互いに国際通貨基金及びガットの加盟国でありますので、その原則を書き並べたということでございます。
 それから第九条におきましては、両国間の貿易経済関係の強化並びに科学及び技術に関する知識の交換及び利用の促進に関する規定でありまして、相互に協力することを約束しております。
 第十条は、国家貿易ないし国家企業に関する規定でありまして、これも、ガットの規定をそのままとったものであります。
 それから第十一条は、この条約の規定の適用を排除する一般的な例外を掲げたものでありまして、一項は、これはガット及び国際通貨基金の規定が優先をするという規定であります。これは、当然のことを書いたわけでございます。第二項は、これもまた、ガット等におきまして通常に認められておる輸入制限並びにその他の平和の維持、安全の維持等のために例外の措置をとることができるという規定でございます。それから、これと関連しまして、議定書第九項におきまして、わが国が沖繩その他南西諸島に対して与えております待遇を留保いたしております。
 第十二条は、これは定義の書き並べであります。
 それから第十三条は、締約国間の協議及びこの条約の解釈または適用に関する紛争の解決に関する規定でありまして、最終的には国際司法裁判所に付託することができることになっております。
 第十四条は、この条約の効力に関する規定でございます。五年間効力を有して、その後は、一年前に文書による予告を与えることによってこの条約を終了させることができるようになっております。
 この条約は批准を要することになっておりまして、日本側の批准は、国会におきまして御承認を得れば批准できる運びになっております。先方は、現在国会が停止されておりまして、閣議の決定をもって批准をするということで、すでにその手続が済んだように承知いたしております。
 以上、簡単でありますが、御説明申し上げました。
#8
○委員長(木内四郎君) 本件のほか、航空業務に関する日本国とベルギーとの間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上、本院先議の両件をも一括議題として質疑を続行いたしたいと思います。
 なお、外務大臣もおいでになりましたので、そのほか国際情勢等に関する調査をあわせて議題として御質問いただきたいと思います。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#9
○森元治郎君 おとといだったか、済州島の沖で、李ラインを侵したということで、日本の漁船が一隻持っていかれて、巡視船も銃撃をされるという事件があったようですが、日韓会談にあたって、日本側は、政府は大へんな意気込みで交渉されておるようですが、これに対する韓国側の態度としては、きわめて理解しがたい態度であるように思うのですが、事件の内容と、政府はどういう態度をとったか、伺います。
#10
○政府委員(伊関佑二郎君) 昨日の朝六時ごろ、第三亀秀丸というのが拿捕されております。場所は、李承晩ライン内ちょっと入った所でございます。特異の現象といたしましては、わが方巡視船くろかみ丸というのに対しまして向こうが銃撃を加えておるという点でございます。これは、威嚇射撃であったか実弾射撃であったかという点につきましては、はっきりいたしません。弾痕がないということが、今のところそういう報告が参っております。それから亀秀丸に対しましても銃撃が行なわれております。これも、連れていかれておりますので、威嚇であったか実弾であったか、その点はわかっておりません。それから、わが方くろかみ丸という巡視船が、向うの警備艇と拿捕された亀秀丸の間に割って入っております。この亀秀丸という船をめぐって、向こうの警備艇とわが方の巡視船が、どっちも非常にそばまで参っておりますので、そこで、両船が、警備艇と巡視船が接触いたしております。ためにわが方巡視船が、この辺もはっきりいたしませんが、ごくわずかの損害を受けた。それから拿捕された船も、向こうの警備艇に接触された際に多少の損害を受けておるのじゃないかというふうに思われております。拿捕するということが一つの問題であります上に、この射撃をしておるという点がまた非常に大きな問題になるのであります。本年に入りまして、一月に一隻、三月に二隻、そして昨日一隻というふうに、四隻拿捕されておりまして、一月の分と三月の半ばの分は、すでに漁船並びに乗組員も釈放されておりますが、三月の二十日でありましたか、第三番目の分はそのままつかまっております。そして第三回、三月二十日ごろと思いますが、そのときはやはり銃撃を受けております。これは、わが方巡視船でなくて、水産庁に属する船であります。そういう事実がございます。これに対しまして厳重な抗議をいたしておりますが、先方の言い分は、向こうの公務執行を妨害したというふうなことを言っておるわけであります。これは懸案になっております。再びこういう事件が起きたわけであります。今、会談をやっておりまして、せっかく空気を改善しようとしておる際に、こういう事件が次々に起きるということは、非常に遺憾なことと思っております。
#11
○森元治郎君 もしほんとうに韓国側が日本との会談に真剣であるならば、やはり政府の意図というものが、自分の国の警備艇、そういう末端までもその気持が行き届くはずだと思うのですが、どうもこういうところに、何と言うか、向こうの態度がいつも割り切れないものをわれわれは感ずるのですが、外務大臣は、この前、三月の事件があって、はなはだ不満であるというようなことで、日韓会談も真剣に続ける気分が起きないようなことで、一時会談がとまったような感じまでしたのですが、今度の場合、一体どういうふうにお考えになっておられるのか、こういう態度であるならば続けられないということの態度に出られるのかどうか。これはこれでいいんだということで行かれるのか。どうですか。
#12
○国務大臣(小坂善太郎君) 今、アジア局長から申し上げましたように、外務省として、口頭をもってとりあえず厳重な抗議をいたしております。なお、事態をさらに検討しまして、要すれば、正式な書面による抗議をするということを考えております。先方も、それに対して、従来はいろいろ理解を持ちまして、抑留された同胞を帰しているというようなこともございます。今回は、はなはだ遺憾なことでありますから、強く厳重な抗議をいたしまして、先方の態度を見たいと思います。
#13
○森元治郎君 政府の方では、こういう李ライン問題というような大きな問題あるいは一般請求権の問題はとにかくとして、日本におる朝鮮人の法的地位の問題は、法的地位委員会で話が進んで、これだけでも先に一つまとめていこうというようなふうにわれわれは聞いているんですが、やはり私たちとしては、李ライン問題というのは大きな問題だから、これもしっかりやるべきだと思うが、法的地位の問題は妥結の可能性が見えてきたから、ほかの請求権、季ラインの問題はあと回しにして、これだけでも仮調印をしていくんだというようなことを聞くんですが、そういうおつもりがあるんですか。
#14
○国務大臣(小坂善太郎君) 今のところ、そう考えておりません。
#15
○森元治郎君 そうすると、やはりほかの案件と並行して片づけていく、そういうふうに理解してよろしいですか。
#16
○国務大臣(小坂善太郎君) 目下そのように考えております。
#17
○森元治郎君 私は、政府側の説明がないから、新聞記事で伺うんですけれども、たとえば、在日韓国人に永住権を与える、あるいは出入国管理令による強制退去について手心を加えるとか、いろいろな、大へんやわらかい内容のように見えるんですが、私は、日本の国から分離した国の人に対しての態度というのは、冷たいようではあるけれども、やはり合理的といいますか、一般の外国人という扱いの態度で臨んだ方が、変に人情を交えたものよりもいいのではないかというふうな感じがするんですが、原則論はいかようにお考えですか。
#18
○国務大臣(小坂善太郎君) あとで会談に加わっている政府委員から補足してもらいますが、私は、現状というものをやはり交渉の場合に考慮せざるを得ないというふうに思っております。
#19
○政府委員(伊関佑二郎君) 永住権の問題につきましては、戦争以前から引き続き日本にいる韓国人というものは、これは、終戦までは日本人であったわけでございますので、一般の外国人とは当然違った考え方をすべきものだというふうにわれわれは考えております。そこで、これに、外国人に対する待遇としましては、最も有利な条件であるところの永住権というものを与えようということを考えておるわけであります。ただ、永住権を与えますその範囲につきまして、終戦前からおりまして、今度の平和条約発効の際とか、あるいは今度の協定が調印される際までにすでに生まれておった者、その後に生まれる者等をどうするかというふうな問題が今まで交渉中であります。われわれとしましては、一つの考え方は、両親がずっと引き続き、終戦までは日本人であり、日本におった、しかも、その子供であり、日本で育つ者は、両親以上にもっと日本人に近い者になっておるわけなんでありますが、かと申しまして、永久に、半分日本人のようであり、半分韓国人のようである少数民族をかかえるということも、これも一つの問題である。どこかで切らなければならぬのじゃないかという点で、今の点がこの問題に関しましては一番大きい問題点になっております。
 それから、強制退去の点につきましては、これは、入管令何条でありましたか、強制退去の事由というものが非常にたくさん列記してあります。たとえば、貧困者であるとか、あるいは一年以上の罪を犯した者とか、非常にいろいろとございますが、ほとんど日本人であり、また非常に日本人に近い待遇をしております者を、ただ単に、そういう貧困であるとか、ちょっとした罪を犯したということで、直ちに強制退去さすのもいかがかと存じますので、これを制限しようという考えを持っておるわけであります。
#20
○森元治郎君 私の伺うのは、その元日本人であったという観念をこの際取って、外国の人、こういうことで今後交際した方が、かえっていざこざがないんじゃないかという感じがするのです。日本人であったとか――非常に向こうでは併合されたのだというような感じを持っておる。しかし、在住については、これは元日本人であったのだということを向こうは思っている。日本もまた、もといたのだから、今外国人にはなったのだが、もとは日本人であったのだという、人情論といいますか、そういうものをまぜていくよりも、もっと、冷たいけれども、合理的に、外人という取り扱いをした方が、そういう建前で法的地位を考えた方が近代的ではないかという感じがするのですが、どうでしょう。
#21
○政府委員(伊関佑二郎君) 一般の外国人の場合ですと、ただいまの仰せのような考え方も成り立つのじゃないかと思いますけれども、御承知のように、現在日本におります韓国人というものは、金持もおりますけれども、非常に貧困な者が多い。生活保護法の対象になっておる者も相当数ある。今でもなかなか、この韓国人ということでは就職すらしにくいというふうな状況にあるわけでありまして、また、これが直ちにそれでは韓国に帰るということになりますと、御承知のように、韓国の中にも相当失業者があるというふうな状況でございまして、今日本で、完全な外国人にいたしますと、現在のような生活、現在よりも不利な生活状況になる。かといって、今すぐ韓国に帰るということは、向こうの情勢から考えまして、これも無理である。ですから、何と言いますか、現在の地位が事実上のあれになっておりますものを法制化して、安定さして、将来韓国の状況がよくなれば、韓国に帰る人もふえて参りましょうし、また、日本に帰化して、日本人になる者も出てくる。ともかく現実の情勢に即して考えますと、どうも今のような考え方になる、こう思っております。
#22
○森元治郎君 もとの台湾におった台湾の人、台湾籍民というのか、あるいは中国の人というか、こういう人たちは永住権は持っておるんですか、持っていないんですか。
#23
○政府委員(伊関佑二郎君) 数は覚えておりませんが、いわゆる外国人でも、永住権を持っておる者もございます。いわゆる第三国人、それからこの中国関係の人でも、古い人にかなりあるのじゃないかと思いますが、それは別といたしまして、いわゆる今問題にしております韓国人と同じ状況にあるこの台湾出身の人々、戦時中からずっと、戦争前から引き続き日本におる、こういう人たちに対しましても、韓国人に対すると同等の待遇を与えるべきものと考えておりますが、それは協定によって、韓国人の場合は、今度協定ができますれば、協定に基づいて永住権を与える。台湾出身の人は数も少ないことでございます。三万くらいと考えておりますが、これは、入管令そのものに永住権を与える規定がございますので、入管令に基づいて与えたらどうか。ともかく韓国の問題が解決いたしました上で、この問題を取り上げて、入管令による永住権を与える。ほとんど違いはございません。
#24
○森元治郎君 先ほどのアジア局長の御説明のようであるならば、法制化しないでも、日本におる韓国人、朝鮮人の生活の安定を見てやる方法はあるのじゃないか。それを法制化した方が向こうは安心するかもしれぬが、しかし、それは現実の政治の面で、あるいは行政の面で考慮してやれば、彼らの日本における生活の安定の道は立つのじゃないか、法制化の必要がないのじゃないかという点は、どうお考えになりますか。
#25
○政府委員(伊関佑二郎君) 現在も、実際問題としては永住と同じことになっておりますけれども、その法制化されておるという、法的な根拠がないわけでございますから、やはり正式の永住権を与えました方が、何と申しましても安定する。そうして生活も改善される。生活が改善されれば犯罪も減っていくというふうに、私は、相互にとってこれはいいのじゃないかと思っております。
#26
○森元治郎君 この強制退去というのがありますが、このほかに不法入国した者、ちょうど今から二、三年前、大村収容所が一ぱいになってしまったような騒ぎがありましたが、あれは、強制退去というのですか、強制送還というのか、これはやっぱり強制がなければ、向こうが受け取らないからでしょうけれども、ああいう不法な者は、現在不法入国者という者は、現在何名くらい収容されておるのですか。
#27
○政府委員(伊関佑二郎君) これは、法務省入国管理局が主管しておりますので、はっきりした数字は私も覚えておりませんが、二戸数十名と存じております。そうして従来は、韓国側は、この釜山に抑留されておる漁夫の刑期を終えた者を帰さぬのみか、こういう密入国者も受け取らぬということであったのでありますが、最近は、これを逐次受け取っております。今おります二百数十名も、五月の中旬と思いますが、これを先方に送り帰すことになっております。
#28
○森元治郎君 国籍の問題でありますが、現在約六十万人くらいの朝鮮人が日本におるという統計でありますけれども、これは全部韓国人になるのか、これは一番むずかしい問題ですが、国籍の選択というものは、これは日本が強制することはできないだろうと思うのだが、国籍はどういうふうになりますか。
#29
○政府委員(伊関佑二郎君) 現在、入管令に基づきまして外国人の登録ということが行なわれておるわけでありますが、終戦直後は、全部この国籍欄というところに朝鮮と書いておったわけでありますが、その後韓国ができましてからは、韓国と書く者もおるわけでありまして、はっきりした比率は覚えておりませんが、初め全部朝鮮と書いておった。その後新たに登録する者で、生まれた場合なんかもございましょうが、韓国とか、それから、朝鮮と書いておった者が韓国に変更した者もございますが、今でも、朝鮮と書いておる者の方が韓国と書いておる者よりもやや多いのじゃないかと私は記憶しておりますが、それは、必ずしもこれが韓国系であるか北鮮系であるかということを表示するものではなかろうと思っております。結局、今度の協定によりまして、永住権を協定の対象として与えますものは、韓国との協定でありますから、韓国籍の者に与えるわけになるわけであります。在日六十万朝鮮人のどこまでが韓国籍を希望しておるのか、それからどの部分が北鮮を希望しておるのかということは、われわれも実数ははっきりつかんでおりませんし、これがまた、そのときどきの状況によりまして、韓国の状況がよくなれば、韓国に行きたい、あるいは韓国籍を持ちたいという人がふえてくるわけであります。大体六十万のうち九割以上の者が南出身というふうな統計もございますので、この辺は、数は固定したものではない、流動するものではなかろうかと思っておりますが、結局どういたしますか、その辺のところは、まだはっきりきめておりませんけれども、協定ができれば、自分が韓国の国籍であると思う人たちがこの協定に基づいて手続をとってくるのではないか、こういうふうに考えております。
#30
○森元治郎君 六十万のうち、大別して四十万が韓国籍を希望するのではないか、二十万がその他、北鮮ではないか、こんなふうな見当はどういうふうに見ますか。
#31
○政府委員(伊関佑二郎君) そこの数を四十万、二十万というふうにはっきり予測することは非常に困難ではないか。今後の情勢にもよりますし、韓国の情勢がよくなれば、その数がふえて参ります。それから、いろいろとまあ……ともかくどこまでがはっきりどちらを支持しているかというのは、非常にむずかしい問題でありまして、これは、六十万のうち、右と左の両端にごくはっきりしたものが一部おるわけでありますが、まん中の大部分というものは、今までのところ、どっちを選ばなければならないということは、はっきりする必要もなかった。このまん中におります大部分が、協定ができますれば、韓国という方をおそらく選ぶのではないかと思いますので、そちらの方が多かろうとは思いますけれども、それが四対二というふうなことになりますかどうか、この予測というのは非常にむずかしかろうと思います。
#32
○森元治郎君 韓国の代表部、韓国政府の方としては、日本にいる六十万の朝鮮人は全部韓国籍であるのだというふうに、向こうから主張することは予測されますね。どうでしょうか。
#33
○政府委員(伊関佑二郎君) まあ交渉にあたりましては、その辺がなかなかむずかしい問題であります。韓国の方では、ここにおります朝鮮人の全部が韓国人になってくれることを当然希望しておると思いますが、現実は必ずしもそうでない、まあ現実に即してものを考えていきたいと思っております。
#34
○森元治郎君 もし韓国籍でない者、いわゆる北朝鮮の、人民共和国の国籍だと思う人、これは、こういう協定ができるとすると、非日本人というのか、外国人として残るわけであります。そうすると、外国人であるならば、出入国管理令で、施行規則で、在留期間という定めがありますから、その期間が満了したならば、お前は帰ってくれということになるのですか。
#35
○政府委員(伊関佑二郎君) 現在は、韓国系であるか、あるいは北鮮系であるかを問いませず、一応その期限を切らずに、ともかくおれるということになっておるわけであります。ですから、いつ切れるかということはわかりません。しかし、今日のところ、普通の外国人でありますと、短いのは二週間ぐらいの滞在を認めるというのから始まりまして、半年、一年、三年、それから永住権ということになっておるわけでありますが、普通ですと、三年というのが一番長いわけでありますが、台湾人と朝鮮人に限りまして、いつまでということは保証しておりませんが、三年というふうな期限も切らずに、今のところはともかくおれる、実際問題としておれるというふうなことに法制上なっておるわけであります。その状況が続くわけであります。
#36
○森元治郎君 その名前は、昭和二十七年のポツダム勅令に基づく外務省関係諸命令の措置に関する法律、それによっているのですか。
#37
○政府委員(伊関佑二郎君) たしか法律第百二十六号というやつだと思います。
#38
○森元治郎君 そうすると、永住権を得た韓国人以外の朝鮮人は、この法律によって、引き続いて期限を定めないでもおれる、こういうことになるわけですね。
#39
○政府委員(伊関佑二郎君) その法律を廃止いたしません限り、そういうことになるわけであります。
#40
○森元治郎君 非常にあたたかいようなんですけれども、内国民待遇ということでこの永住権を得た者は待遇されるのですか。
#41
○政府委員(伊関佑二郎君) 内国民待遇という言葉は使わないつもりでおります。これは非常に常識的な言葉でありまして、必ずしもはっきりいたしませんけれども、大体現状を認めるという考えでありまして、内国民待遇というよりは少し弱いものでなかろうかと思います。
#42
○森元治郎君 大臣に伺いますが、この協定は、国籍の確認の問題はむずかしいでしょうけれども、その他の面では、大よその妥結の線まで行っているのですか。
#43
○国務大臣(小坂善太郎君) 従来しばしば行なわれた会談に比べますと、今回は、法的地位の問題が非常に進んでおるということは聞いておりますが、今、局長から申し上げましたような程度と了解しております。
#44
○森元治郎君 ちょっと話はそれますけれども、一つ伺っておきたいのは、終戦後韓国の代表部ができたときに交換した公文は、日本に引き続き韓国の代表部を置くということになったときの公文は、発表ができないということだったと思うのですが、その理由はどういうことですか。
#45
○政府委員(伊関佑二郎君) 発表をしておりますか、おりませんか、ちょっと記憶いたしておりませんが、発表して差しつかえないものと思っております。
#46
○森元治郎君 それでは、それを発表してもらいたいと思うのは、今まで、衆議院段階などの質問では、公表はできない、ただこれは、そういうことがあったということで御了承願いたいと、こういうことだけの答弁があったのですが、そういうことを発表されることは非常にけっこうなんで、いろいろ疑問があるので、この点を一つ、そこにお持ちだったら発表してもらいたいと思います。
#47
○政府委員(伊関佑二郎君) 今手元に持っておりませんので……。
#48
○森元治郎君 それでは、いつ持ってきてくれますか。
#49
○政府委員(伊関佑二郎君) この次までに……。
#50
○森元治郎君 簡単なものだから、すぐに手続をすれば、この委員会が終わるまでに間に合うと思うので、委員長、そういうふうにお取り計らい願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。簡単なものですから、そんな大きなものじゃない。五、六行の公文ですから……。
#51
○委員長(木内四郎君) できるだけ早く持ってくるように……。
 他に御質疑はありますか。
#52
○羽生三七君 ちょうど森さんが日韓問題に触れられて御質問があったので、一点だけ外務大臣にお尋ねをいたしますが、外務省は直接関係をされていないようですが、自民党の外交問題調査会ですかで、韓国へのてこ入れということを、そういう表現があったようですが、とにかく韓国の政治経済その他の安定策に何らかのてこ入れをするということが考えられ、さらに、この前の予算委員会の際に、私が、ガリオア、イロアの返済について、韓国の商工大臣がそれを韓国向けに振り向けてもらうことを期待しておるようだが、そういうことはないかとお尋ねした際に、総理は、そういうことはないとお話がありましたが、自民党側としては、低開発国援助の一環として、このガリオア、イロアを韓国に振り向けることも考慮されているとも言われております、真偽のほどはわかりませんが。また、それと関連をして、韓国の最近の政情あるいは経済状態、そういう問題は一体どうなっておるのか。それから、日韓交渉は、大局的に見て、われわれは急ぐべきではないと、むしろ見送るべきではないかということを重ねて繰り返し、幾たびも希望申し上げておるわけですが、その後それはどういう状態にあるのか。また、池田総理渡米の前に、日韓交渉は何らかの見通しをつけて行かれるのかどうか。それらの問題を総括して、大局的に日韓問題の現状を御説明いただきたい。この一点だけであります。
#53
○国務大臣(小坂善太郎君) 日韓の予備会談は、その後引き続いて行なわれておりますけれども、法的地位の問題以外は、率直に言って、そう進展したものとは思われないのであります。ただ、特徴として見られますことは、従来全然入り得なかった財産請求権の問題あるいは李ライン問題といいますか、漁業の問題、こういう問題について双方が意見を述べ合うという段階にありますことは、これは従来なかった点でございます。
 そこで、交渉の見通しというお話がございましたけれども、まあそういうことでございまして、私は、従来からの経緯のある問題でございますから、十分に意見を言い合って、そして交渉が妥結したときには、あとになるたけ問題を残さないというふうに持っていく方がよかろうと思っておるのであります。従って、いつまでにという期限も置いておりませんし、今お話のような点は、目下のところ考えの中に入っておりません。
 それから、ガリオア、エロアに関連する問題は、総理大臣が予算委員会で羽生さんにお答え申し上げたと同じ気持でおります。現在、この返金されましたものを韓国に振り向けるということは、政府として考えておりませんし、また、この問題自体が交渉にも入っておらぬような状態でございますので、そういう点は、総理大臣のお答えしたままでございます。
 それから、自民党の方で韓国へ有志の議員が行ってみるという問題につきましては、これは、ほんとうにその通り、視察をして参り、韓国の一般的な国民の気持等にも触れて、様子を見てくるというのが主たる点でございまして、交渉そのものには特に関係を持って何か話し合ってくるというようなことはないわけであると了解をしております。
#54
○羽生三七君 そうすると、総理渡米前に、別に特別な進展がこの日韓関係にあるということはないわけですか。
#55
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在のところ、今申し上げたように、一つの時期を切って、そしてどうしようというところまでは考えておりません。
#56
○政府委員(伊関佑二郎君) 先ほどの文書がございました。口上書を交換いたしておりますから、読んでみますと、「日本政府は、在日韓国代表部が一九五一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された平和条約の効力の発生する本日から、連合国最高司令官に対して派遣された代表部としての地位を喪失するので、両国間に正常の外交領事関係が設定されるまで臨時に同代表部に対し政府機関としての地位を認め、且つ同代表部およびその構成員に対し領事館およびその構成員に通例許与されると同じ特権を許与するものである。
 日本政府は、大韓民国政府が在韓日本政府代表部に対し相互主義により、前犯同代表部に与えられると同じ地位および特権を認めるものと諒解する。」これに対しまして韓国側は、これと同じ文句でこれを了承されております。
#57
○森元治郎君 関連して。そこにもあるように、やはり相互主義ということをうたってあるのに、その相互主義をうたって、こっちにも代表部を置く、向こうにも置くという相互主義をはっきりうたって、お互いに確認し合っているのに、日本の代表部は置かない。その理由として、向こう側は、私の聞いているところでは、いつかの政府の御説明だったと思うのですが、代表部に来られる人々の生命、財産の保障がむずかしいからというのが韓国側の答弁、態度であったように思うのですが、その点はいかがです。
#58
○政府委員(伊関佑二郎君) その通りでございます。昨年の秋に大臣が向こうに行かれましたときも、この問題を取り上げまして、向こうも、まさにその通りで、相互主義に基づいて、日本の代表部を当然認めるべきものだと考えるけれども、あのときも多少のデモなどもございまして、御承知のようなことで、まだちょっと早いのじゃないかと思うというようなことを申しておったわけであります。現在になりまして、まだそういうふうな生命、財産、ことに生命に危険があるかどうか、私は、もうそういうことはないように思いますけれども、交渉の方が逐次進んでおりますので、交渉がまとまれば正式の大使館が置けるので、この代表部を置きましても、非常に過渡的なものになるということになりますので、交渉の妥結とにらみ合わせながら考えておりますが、もし交渉が非常に長引くというようなことになりますれば、当然また要求してしかるべきものと思います。
#59
○森元治郎君 アジア局長だけが最近は変わったろうと言うだけでは、私らもこれは信用できないので、この生命、財産があぶないなんて、去年の九月ですかに行って、六カ月ぐらいたって、今はもう生命、財産の保障はできるかもしらぬくらいのあやふやな状態で日韓交渉をやっているというのは、これはおかしなことだと思うので、交渉があるなしにかかわらず、代表部は当然置いていいのじゃないか、そのくらいできなくちゃ、李ラインとか、あるいは請求権問題などの大問題は、とても片づかないのじゃないか、巡視船に対する銃撃を見ても、あるいはこういう相互主義でやった協定一つすらもできていないところへ、大問題が片づくわけはない。だから、日韓関係は、正式基本条約を作らなくても、代表部の設置で十分実のある日韓関係ができるのじゃないか、こういうふうに私は思うが、大臣はいかがです。
#60
○国務大臣(小坂善太郎君) 私が去年九月に行きましたときに、今伊関局長の申したように話をしてみたのですが、向こうは、それはよくわかるし、その通りだ、ただ、生命、財産云々の話は、そのときに出た話じゃなくて、前に相互主義で司令部時代の代表部がこちらに切りかわるときの話だと思いますが、そのときの先方の言い分は、これはもう交渉していただいて、会談が妥結すれば、大使館が設置できるのだから、その前に過渡的なものを履くよりも、一つ交渉は、自分らの方は責任をもってできると思いますから、それに一つこの際主力を注ぐことにしていただきたいと、こういうことでありましたから、むげにその考え方を否定することもない、先方がその気でおるなら、会談を進めれば非常にけっこうだというので、今日に至っておるわけでございます。そんな事情でございますので、私は、会談そのものが現在進行しておりまするが、これがとても当分だめだという際には、またそのことを考えてもいいと思いますが、今の私の気持としては、漁業においても、財産請求権の問題についても、相当に双方が意見を述べ合っている段階でございますから、時が来ればこれはまとまるものであるというふうに考えておるのであります。
#61
○委員長(木内四郎君) 航空業務に関する二つの協定の締結について承認を求めるの件も議題になっておりまするので、御質疑をお願いいたします。
#62
○杉原荒太君 通商条約について少しお尋ねしたいんですが、外務大臣、かねて東南アジア等との通商航海条約を結びたい、そういうふうに持っていきたいという方針をとっておられて、これは、議会でもそういう方針を述べておられる。私は、非常にけっこうなことで、また努力すべきことだと思うんです。ただ問題は、相手方のこれに対する態度ですが、現在いわゆる東南アジアの諸国でこの通商条約の交渉を現にしておる国がどこどこであるか、また、近くできる見込みがあるところがあれば、あるいはまた逆に、なかなか通商航海条約というものには乗ってこないようなものがあるとすればどういうところと、それをまず承りたい。
#63
○政府委員(牛場信彦君) ただいま交渉中の国は、インドネシア、それからイランでございます。それから、通商航海条約につきまして根本的に非常に乗ってこない国は、一つはビルマでございまして、最恵国待遇というようなことは、これは、全く強い国だけ利益をもたらし、自分の方には一向利益が来ないものだから、もう少し経済的に自分の国が強くなるまでは、そういう条約はごめんこうむるということをはっきり申しております。それから、セイロンにつきましては、これは、セイロニゼーションという問題がございまして向こうでもって一定の業種、特に銀行でありますとか、輸出入関係、貿易関係、こういうものを全部セイロン人にやらせる、外国人にはやらせないということを申しております。その原則を日本が認めてくれれば、これは通商航海条約を作ってもいいということでございまして、これは、わが方といたしましても認めにくい関係にございますので、この二つの国につきましては、今のところ、ちょっとめどがつかない状態でございます。
#64
○杉原荒太君 この通商条約の締結について、つまり通商条約を作るについては、一般的に、政府として、外務省として、日本としてはこういう政策でいく、こういう方針でいくという、一つの基本方針を持っておられると思う。その中で、この通商条約の一つのまあ重要な柱をなすエタブリスマンに関する条項について、ことにその中で、営業についてどういうふうな基本方針をとっておられるか、その点をお伺いしたい。
#65
○政府委員(牛場信彦君) エタブリスマンにつきましては、これは、原則的にはもちろん内国民待遇をわれわれとして希望いたすわけでございまして、ことに先進国との条約におきましては、そういう内国民待遇を相互に認め合っておる状況でございます。しかし、もちろん、内国民待遇になりましても、そういう場合には、必ず制限業種というものが起こって参りまして、アメリカとの条約にもございますし、またノルウェーとの条約にもございます。まあそういうことになり残すと、相当詳しい規定が必要になって参るということでありまして、これは先進国との間以外にはなかなか貫徹しにくい状況でございます。後進国との間におきましては、一応内国民待遇ということで交渉を開始する場合が多いのでございますが、大体先方は、この問題については、最恵国待遇以外は認めぬ方針であるということをはっきり申しますので、結局、最恵国待遇ということで妥結いたしておるような状況でございます。その場合に、日本がたとえばアメリカに対しましては内国民待遇を認めておりますので、条文上から申しますと、最恵国待遇を認めることによって、相手方は実際上日本において内国民待遇を享受できる。これに対して、先方が内国民待遇をどこにも認めておらない場合には、日本側は最恵国待遇しかとれないという一つの不均衡な状態が起こるわけでありますが、実際問題といたしまして、低開発国、後進国の関係におきましては、そういうような不均衡はないのではないかというふうに考えております。一つは、日本側としては、アメリカに対しましても制限業種というものをきめておりますし、また二つには、先方の状況から申しまして、とにかく他国と同等の条件でもって事業ができるというところまでまず行くことが先決問題だと、そういう状況を作ることが日本の結局経済的な発展のためには必要なのではないかというふうに考えて、大体後進国との間におきましては、最恵国待遇でもって満足をしていくほかないのではないかと考えております。
#66
○杉原荒太君 少し具体的な問題をお尋ねしますが、このパキスタンとの条約ですね。これの五条の中に、「事業活動及び職業活動の遂行に関する」ということがあるのですが、この事業活動、職業活動、それについて、この条約の規定の取り扱いの上から見て、事柄が二つに分けて考えられるのじゃないかと思うのだが、まず第一は、そういった事業活動とは、どういう事業活動を行ない得るか。かりに、まあわかりやすいために、営業についていえば、どういう営業を営み得るか、どういう営業に従事し得るかということ、そういう意味においての一つの営業権の存否をまず決定されなければならぬ。それから、それがきまった後に、あとどういうふうな条件あるいは手続が法的に要求されるのか、この二つが問題があるだろうと思う。ここでは、五条の中で、この「事業活動及び職業活動の遂行に関する」という、その「遂行」というものは、コンタクト、それは、そのもう一つ前に、私の言う営業をなす権利、法的に可能だという、そういう意味においての営業権の存否、その問題のことをここで飛んで規定してあるのだが、それが、私の言っている、言葉が適切でないかもしらぬが、かりに営業権とでもいうか、そういうことに対する規定は一体どういうふうになっているか。
#67
○政府委員(牛場信彦君) これは、交渉の経緯から申しまして、この文書の上におきましては、確かに、お示しの通り、「遂行に関する」となっておりますけれども、「すべての事項」ということが入っておりまして、結局これは、営業をする権利と、それからその遂行に関する事項、二つを含むものと私どもは解釈いたしておるわけでありまして、これにつきましては、先方との間に誤解はないと存じます。具体的に申しますと、パキスタンにおきましては、事業活動につきまして制限のありますのは、国営事業、これが郵便、電信、電話、放送、鉄道、水力発電等でありますが、これにつきましては、外国資本の参加を禁止いたしてあります。それから銀行業、鉱山業、石油業等につきましては、国家の安全及び国民の福祉上の見地から、政府が必要な場合統制を加えることができるということになっております。これ以外は全部、内国民に対しましても外国人に対しましても自由ということになっておるわけであります。それから、職業活動につきましては、公務員を除きまして、特に外国人を排する法令の規定はないわけであります。そういうようなことにつきましても、先方と話し合いをいたしましてこういう規定になっておりますので、ただいまお示しの二つの点がこれでもって規定されておるというふうに解釈いたしておる次第であります。
#68
○杉原荒太君 それは、そういうことであれば、それでけっこうだが、ただ、そこに至るまでには、初めからいきなりそこに行ったのですか。何かいろいろまず案としてはあって、たとえばほかの、アメリカとの条約とか、典型的な一つの通商航海条約の作り方の場合、必ず二本立というか、ちゃんとことを分けて規定してある。それがまた私ほんとうだろうと思うが、何かそこへ、最初はそういう話もあったけれども、結局何か事実上そこに行ったとかいうふうな、そこのいきさつはどうですか。しかも、用語も同じで、条約に使ってある用語、つまり一種の法律用語が同じであって、違った意味に使われておる。アメリカとの通商航海条約の場合のコンダクトと同じコンダクトが使ってあるが、それと違った意味に使われておる。それの説明……。
#69
○政府委員(牛場信彦君) これは、わが国とインド及びマラヤとの間の同種の条約に先例がございますので、当方としましては、その先例によりましてこういう規定を申し出たわけでありまして、先方も、アメリカ合衆国との条約等におきまして、やはりこれと同じような書き方をいたしておりますので、この点につきましては、あまり意見の相違は初めからなかったわけでございます。
#70
○杉原荒太君 しかし、通商航海条約としては、営業権のところが一番大事ですから、本体的な規定ですから、私こまかくお尋ねするのだが、ゼネラリーという、「一般」にということ、なぜそういう言葉を特に……。それは制約の意味があるのか。
#71
○政府委員(牛場信彦君) これは、制約の意味でございませんで、むしろ範囲を何でもかんでもということを現わすために入れておりますので、これは、インド、マラヤの場合もそうでありますし、今回も、先方とこの解釈につきましては意見が一致しておるということが申し上げられると思います。
#72
○杉原荒太君 もう一つ、具体的なことですが、この条約が批准された場合、この条約の関係からすれば、パキスタンにおいて、日本人はお医者さんをやり得るのですね。そこはどうなんです。
#73
○政府委員(牛場信彦君) 先方の医者に関する規定によりまして、イギリスの大学というように、特定の大学を出た者でなければならぬことになっておりまして、その意味におきましては、日本の大学を出ただけでは医者にはなれないということでございます。
#74
○杉原荒太君 この議定書の中には、第一条について、一条の最恵国待遇を制限して、英連邦のシチズンに与えるものについてはこれは当てはまらぬという制限がついておるが、五条については、そういう制限の適用はないのだね。
#75
○政府委員(牛場信彦君) ただいま申しましたように、一定の資格を定めます場合に、事実上英連邦の国民の方がその資格に適合しやすいという規定はあるわけでございますが、それ以外には全然ありません。
#76
○杉原荒太君 一条で、これは通商航海条約の非常に基本的な重要事項だが、ここに「入国」と、もう一つ、その前の、当該地方に「入ること」というのは、これは入国でしょう。これは違うのですか、この二つのこと。これは、ちょっと僕は奇異に感ずるのだけれども、これは「入国」だけでいいと思うのだが、どうしてこういうふうに、「入ることを許され」と、特にこの規定を置いて、そうしてさらに「入国」としたか、この「入ること」と「入国」ということとは実態が違うのか。
#77
○政府委員(牛場信彦君) これは同じことでございまして、結局、法令に従って入国ができるということをまず書きまして、それから、その入国及び海外旅行、居住等に関しては最恵国待遇を与えられるということでございまして、厳格に申しますと、あるいは少しダブっておるところがあるかもしれないと思います。
#78
○杉原荒太君 このパキスタンとの条約は通商条約、航海の方のことは省いてあるのだが、事実上、何ですか、船舶関係というものは起こり得ないというのですか。どうなんです。
#79
○政府委員(牛場信彦君) 航海につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、交渉の当初から、当方は内国民待遇を要求する、先方は最恵国待遇しか与えられないということで、最後までもめた問題でございます。そこで、どうしても先方が最恵国待遇しか与えないということであれば、もしこの条約でそういうことをきめますと、これは他に対する影響が悪いということで、やむを得ず航海条約をこの条約からはずしまして、ただし、別途公文を交換いたしまして、これは参考として提出してございますが、この条約に不足する海運に関する取りきめを締結するための交渉を続いて行なうということを約束しておるわけでございます。しかし、現在のところは、パキスタン側は、海運に関しまして外国船と内国船の間に差別をいたしておりません。
#80
○杉原荒太君 もう一つ、今のを念のために、今言われた理由が私に、あまり何か、牛場君のは早いものだから、わからぬかったが、どういうことだったのか。
#81
○政府委員(牛場信彦君) パキスタンは、現在商船隊をほとんど持っておらないわけでございますが、これから自国商船隊を作って参って、外国貿易等にも従事したい。そうしますと、新興国の常といたしまして、少なくとも初めの間は、自国商船隊を特に保護いたしたいというために、内国民待遇を外国船に与えることはやらないのだということでございまして、アメリカに対しても、この問題はずいぶんもめたらしいのでございますが、結局パキスタンが拒否いたしております。パキスタンとアメリカの条約からも、航海条約はおっこっておるという状況でございますので、今回はやむを得ないところではなかったかと思います。
#82
○杉原荒太君 もう一つ最後に、念のためにお伺いしておきますが、パキスタンがアメリカと結んだ通商航海条約と今度の日本との間を比べてみて、どうなんです。全く違いないというものですか。もちろん、これは待遇の点についてですよ。どうなんです。
#83
○政府委員(牛場信彦君) アメリカとパキスタンの条約は、パキスタンが作りましたこの種条約の中で大体最初のものだったのでございますので、ずいぶん長く時間もかかりましたし、アメリカが非常に詳しい、いろいろなことを要求しまして、それが条約に載っておるわけであります。ところが、日本があとからやりましたものですから、最恵国待遇さえとっておけば、アメリカがいろいろパキスタン側から取りつけた約束がそのまま均霑できる。これが、パキスタン側が日本とこの条約を結ぶことをしぶった一つの理由であります。アメリカとはずいぶん長い交渉をやったのに、それをそのまま日本に均霑さしてしまうのは、いかにも耐えがたいという気持が少なくとも事務当局にあったようでございますが、これは、最後は大統領が見えまして、決裁が下されまして、この条約ができたような状況でございます。パキスタンとアメリカ条約がもし御希望でございましたら、テキストをごらんに入れられると思いますが、これよりよほど詳しい規定になっております。
#84
○杉原荒太君 大体今のでわかりますけれども、もう一つ、これも念のために尋ねたいのですが、最恵国待遇の適用のある事項ならば、その最恵国待遇だけをうたっておけばいいわけだが、その最恵国待遇の適用にならない事項について、アメリカとの間に何か日本と違ったような規定でもありはせぬか。その点だけ……。
#85
○政府委員(牛場信彦君) 少し違った規定がありまして、たとえば、社会保障の問題につきまして、三条のような規定がアメリカとパキスタンとの間にはございます。
#86
○杉原荒太君 このパキスタンとの条約でいっている職業的活動、プロフェッショナル・アクティブティーズというのは、いわゆる自由職業に限るのか。今まで、たとえば日米通商航海条約その他では自由職業というふうに、日本語では特にそういうふうになっておるのだけれども、ここで職業的活動というのはどういう意味なのですか。あるいはそれと違うのですか。英語では同じだが、日本語で違っておるだけか、内容、意味も違うのですか。公私の別があるのですか。
#87
○政府委員(牛場信彦君) これは、お示しのことと違っておりません。従いまして、自由職業の方が、理論としましては公務員としての活動なんかも入るわけでございます。
#88
○鹿島守之助君 ちょっとそれに関連しまして。パキスタンと西ドイツとの間に投資条約ができているのですが、日本は、何かそういう交渉がありますか。
#89
○政府委員(牛場信彦君) まだそういう交渉をいたしておりません。パキスタンとドイツとの条約も、まだ批准になっておらないと思います。
#90
○鹿島守之助君 将来西ドイツとパキスタンと批准した場合に、そういう場合に、何か最恵国待遇で、日本はそういう点均霑できるのですか。できないのですか。これは別問題ですか。
#91
○政府委員(牛場信彦君) これは、八条の送金の自由でありますとか、それから、第四条の公用収用の場合の補償、こういうような条項につきましては均霑できることになりますのですが、全体といたしましては均霑できないわけでありまして、もしそういうことが必要であれば、別にこれは交渉いたすほかないわけです。
#92
○鹿島守之助君 日本においては、そういうような、パキスタンと西ドイツが結んだような条約が考慮されておりますかどうか。ぜひ考慮してもらいたいと思いますけれども……。
#93
○政府委員(牛場信彦君) これは、西ドイツの法制上、外国とのそういう投資保障条約がありますと、国内でもって、金融その他の面におきまして相当優遇されるということになっておるわけであります。日本はそういうようなことになっておりませんので、現在、そういうような投資協定まで結ぶ必要性はあまり感じておらないのでありますが、将来の問題といたしましては、あるいは必要になってくるかとも存じております。
#94
○森元治郎君 航空局長がおいでになっておりますから、航空局長にお尋ねしたいのですが、スイス・エアの件ですが、話は旧聞に属するから、間違っているかもしれませんが、列国議会同盟が去年の九月にありましたときに、スイスの国会議員などと話をしたおり、それから、やはり九月の初旬ヨーロッパに行ったときの話で、スイスの何か、香港から東京間の乗り入れができるとかできないとか、大へん困っているのだ、どうしても日航の方でがんばって入れないのだといったような話を聞いたのですが、今あります二便が、スイスと日本とやっておりますが、何か、香港から東京間というのが、この二便のうちどっちかが来ているのですか。東京まで来るのですか。一方は東京まで、一方は香港までですか。
#95
○政府委員(今井栄文君) スイスのインド洋回りの東京線につきましては、香港−東京間の積み取り権がないということで、二便とも同じ扱いで東京に入っているわけであります。
#96
○森元治郎君 しかし、あなたの方からくれたやつには、チューリッヒを出発して東京までというふうになっておりますが、香港までなんですね。
#97
○政府委員(今井栄文君) 一本は香港まででございます。
#98
○森元治郎君 そのあとの一便をそれじゃ東京まで延ばしてくれという希望だと思うのですが。
#99
○政府委員(今井栄文君) スイス・エアの現在東京まで来ているのは週二便でございまして、もう一便が香港まで参っているわけであります。その香港からの三便目を東京まで延ばしていただきたいというのがスイス側の要望のようでございます。
#100
○森元治郎君 それを延ばす延ばさぬで、だいぶスイスの方では希望が強くて、小坂外務大臣、池田総理のところまで話が行っているように聞いているのですが、これを妨害しているのが、日本航空がエア・フランスと非常に緊密な提携をしているので、それと競争線になるから、あるいはお客さんを取られてしまうからというようなことも一つのできない原因らしいのだが、向こうでは、何かにつけて延ばしてくれということを言っている。私は、これによってお客が大へんに減るということはないのじゃないか、これは延ばしてやったらどうかと思うのですが、いろいろなきたないうわさも実は飛んでいるのを聞いているのですが、そういうこれはうわさですから、私は、この際ここでは取り上げませんけれども、DC6Bぐらいのものが入ってきたために、その他のお客さん、各航空会社、日本航空初め甚大な影響を受けて困るのだということにはならないのじゃないかと思うのですが、どういう工合に思っておりますか。
#101
○政府委員(今井栄文君) 各国間の航空協定上の路線並びに便数の点等につきましては、各国とも、やはり自国のキャリアを保護する建前から、非常に制限的な立場をとって折衝するのが大体通例でございまして、特に各国の中でもナショナル・キャリアが比較的若い国につきましては、たとえば、インドあるいはパキスタンあるいは日本、あるいはドイツ等についてもそうでございますが、できるだけ自国キャリアの保護のために、外国の新線についても制限を加え、あるいはまた、制限を緩和する過程におきましても、いろいろなやはり自国キャリアに有利なバーゲンをするというのが通例でございまして、日本につきまして、現在東京に入って参っております各国の便数につきまして、いろいろな制限措置を講ずる、あるいはまた、便数をふやさせるについては、自国側の要望を特定のものについては認めさせるような措置を講ずるというふうなことをやっているわけでございます。南回りの路線につきまして、スイス・エアの二便について私どもが増便をいろいろ今まで検討してやったのも、実はそういう一般的な、航空交渉上の一般のやり方以外の理由はございません。ただ、全般的に見まして、スイス・エアの一便を増加するという強い希望を持っております。かつまた、日本とも非常な友好関係にございますので、これを一便ふやさせるかどうかについては、目下さらに再検討いたしておるというのが実情でございます。
#102
○森元治郎君 大臣に伺いますが、これは、大臣のお耳にも入っていると思うのだが、検討していることは前から検討しているのですが、この間大蔵省の何とか局長、偉い人があそこから回ってきた、これが、人の顔を見れば、延ばせ延ばせというようなことを言うらしい。いろいろな関係で、スイスとも、西欧貿易というようなことを池田内閣が言っておる関係上もありましょうが、これによって甚大な影響が日本の航空事業に与えられるとも思えない。急に今度はスイスの飛行機に乗りましょうということもない。大体私が見ていても、日本航空に乗る人が多いので、けちなことをいわないで、延ばさしてやったらどうかと思うのですが、大臣どうですか。
#103
○国務大臣(小坂善太郎君) ただいま運輸省航空局長がお答えしたような考え方でございますが、われわれとしましては、全般的な見地からこの問題を友好的にとり上げて解決するということで、運輸省の方にもお話をいたしております。ただいまのところは、いわゆる前向きの姿勢で、実際の航空を担当する技術の点から見てどう処置したらいいかという程度のものが残っておるように了解しております。
#104
○委員長(木内四郎君) それでは、他の質疑は後日に譲りまして、本日はこの程度で散会いたします。
   午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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