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1960/05/23 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第17号
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1960/05/23 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第17号

#1
第038回国会 外務委員会 第17号
昭和三十六年五月二十三日(火曜日)
   午前十一時十七分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     木内 四郎君
   理事
           青柳 秀夫君
           井上 清一君
           森 元治郎君
   委員
           草葉 隆圓君
           笹森 順造君
           杉原 荒太君
           野村吉三郎君
           堀木 鎌三君
           加藤シヅエ君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           曾祢  益君
           佐藤 尚武君
  政府委員
   法務省民事局長 平賀 健太君
   外務政務次官  津島 文治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  説明員
   法務省民事局第
   二課長     阿川 清道君
   外務省アジア局
   南西アジア課長 内田  宏君
   外務省経済局次
   長       高野 藤吉君
   外務省条約局外
   務参事官    東郷 文彦君
   通商産業省通商
   局振興部長   生駒  勇君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外国仲裁判断の承認及び執行に関す
 る条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国政府とシンガポール自給州政府と
 の間の条約の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とフィリピン共和国との間の
 友好通商航海条約の締結について承
 認を求めるの件(内閣送付、予備審
 査)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木内四郎君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。
 外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール自治州政府との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 以上、衆議院送付の両件を一括議題といたします。両件は、去る十八日衆議院から送付されまして、本付託となりましたから、念のために申し上げておきます。
 両件につきましては、先般提案理由の説明を聴取いたしましたが、さらに補足説明を政府当局から聴取いたしたいと思います。
 まず、外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約につきまして、法務省の方から参っております平賀民事局長からお願いいたします。
#3
○政府委員(平賀健太君) ただいま議題となっております外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約は、一九二七年ジュネーブで締結されました外国仲裁判断の執行に関する条約、これを実質的に修正したものでございます。その修正点は、すでに外務省の方から提案理由の御説明の中に詳細に述べておることと存ずるのでございますが、この条約の適用範囲をさらに広げた、それから、この外国仲裁判断の効力の承認及びこれに執行力を付与することにつきましてさらに条件を緩和したこと、その他の点につきまして大きな改善がなされておるのでございます。それからなお、わが国内法といたしましては、民事訴訟法中に仲裁判断に関する手続規定があるのでございますが、外国仲裁判断に関しましては、特に明文の規定を置いていないのでございます。しかしながら、わが民事訴訟法の立場におきましても、この外国仲裁判断の効力を認めないというわけではないのでございまして、これは、仲裁判断というものが紛争の当事者間の合意に基づくものである。契約に基づくものである。その合意の効力を基礎としております関係で、わが国内法の立場におきましても、外国仲裁判断の効力を承認するというのが正しい解釈であると思うのでございます。この外国仲裁判断の効力の承認につきましては、国際司法上種々複雑な問題があるのでございまして、これは、ひとり民事訴訟法のみならず、国際私法の原則を定めましたところの法例の規定と彼此対照いたしまして解釈をしなくてはならぬ、かなり複雑な問題でございまして、国内法として立法的に解決すると申しましても、しかく簡単にいかんのでございますが、幸いに、今回のこの条約がわが国においても承認されますと、いろいろなむずかしい解釈上の問題がほとんどこの条約によって解決つくのではないかと思われる次第でございまして、わが国におきまして、外国でなされたところの仲裁判断の効力が問題になります場合に、非常に大きな貢献をするのではないかと考えておるのでございます。なお、この仲裁判断というものの効用につきましては、これはもう皆様十分御承知だと思いますので、るる述べる必要はないと思うのでございますが、特に外国との貿易におきましては、この仲裁判断というものが非常に大きな効用を持つのでございまして、もしこれを裁判手続によって行なうということになりますと、非常に複雑な手数がかかる。また費用もかかる。従って時間もかかる。しかも、たとえば、わが国の貿易業者が外国の裁判所に相手方を訴えまして、そこでかりに勝訴の判決を得ましても、これを日本に持ってきて、日本にその相手方が財産を持っておるというような場合を仮定いたしまして、日本の裁判所でその判決を執行しようといたしましても、これはできないのでございます。外国の裁判所の判決というものは、当然に無条件にわが国では効力が認められないのでございまして、普通の事態のもとにおきましては、これを執行することができ一ない。何か条約その他の合意に基づきまして、その外国裁判所の判決の効力を承認するということになっておりますれば格別でございますが、現存におきましては、一般的にはそういう条約はないのでございまして、わが国内でこれを執行するということは不可能なのでございます。もちろんこれは、日本の商人ないし貿易業者にとりまして有利な点ばかりではございません。逆に、日本の商人がこの仲裁判断で負けまして、日本の国内でこれを執行されるという不利益もあるわけでございまして、相互的ではございますけれども、とにかく外国との取引関係におきまして紛争が生じました場合に、迅速に手数をかけないで、また費用、時間もかけないで、紛争の解決がすみやかにできるという点で、これは、わが国の貿易、外国との取引においても非常に大きな有用な働きをするのではないかと考えております。
 なお、細部の点につきましては、御質問に応じましてお答えをいたしたいと存じます。
#4
○委員長(木内四郎君) 次に、シンガポール自治州政府との間の二重課税防止条約につきまして、外務省の内田南西アジア課長から補足説明を伺うことにいたします。
#5
○説明員(内田宏君) シンガポールとの二重課税防止条約について補足説明を申し上げます。
 東南アジアとの二重課税防止条約は、さきに昭和三十四年パキスタンと、それから昭和三十五年インドと締結いたしまして、すでに国会の御承認を得て発効いたしております。また、パキスタンにつきましては、利子条項が抜けておりましたために、利子条項に関する補足条項を作りまして、今国会においてすでに御承認を得ております。このたび御提出申し上げましたシンガポールは、東南アジアにつきましては第三番目の二重課税防止条約でございます。これは、本年当初から交渉いたしまして、シンガポール自治州政府はイギリス政府よりこの締結のための授権と同意を得まして、四月十一日に署名をいたしまして、ここに批准のための国会の御承認を縛るように提出している次第でございます。
 本条約は、大体従来締結いたしましたパキスタン、インドの例にならっておりまして、前文と二十カ条にわたってなっております。基本的ラインは、インド、パキスタンと大体同じ形でございます。
 まず、産業投融資につきましての課税の減免条項を設けております。これは、具体的に申し上げますと、配当は一五%、それから、利子及びロイヤリティは免税ということになっております。また、シンガポールは新しい国でございますので、国内産業育成のためにパイオニア・インダストリー、いわゆる創始産業法というものを作りまして、重要な産業につきましては、当初の期間におきまして免税をいたしております。この適用によりましてシンガポールにおいて免税を受けたものにつきましては、日本において総合課税をするときに、シンガポールで支払われたものとみなして、みなし控除を行なう。このみなし控除は、すでにパキスタン等においても認められておる例でございますが、これをシンガポールにも適用しているわけでございます。そのほかに、産業以外の船舶、それから航空機の運航所程についても、相互免除をされております。これは、日本の海運、航空業に資するところ非常に大であると存じます。このほかに、本条約では、短期滞在者とか、政府職員、交換教授、留学生等に対しましても免税措置を定めておりまして、この条約によりまして、まあわが国とシンガポールとの間の経済技術及び人的交流が一そう促進されると思います。それで、この条約の締結によりまして、大体日本の方が稗益することが多いと存じます。シンガポールは、この日本との経済協力を非常に歓迎いたしまして、すでにシンガポール側で四月二十八日に批准手続を了しておりまして、わが国の批准を符っておるような次第でございます。
 以上をもって補足説明を終わります。
#6
○委員長(木内四郎君) それでは、さらに、日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件をもあわせて議題といたしまして、政府当局から補足説明を伺いたいと思います。
#7
○説明員(高野藤吉君) それでは、日本とフィリピンとの間の友好通商航海条約に関しまして補足説明を申し上げます。
 日本とフィリピンは、一九五六年に日比賠償協定が結ばれまして、締結以来しばしば通商航海条約を結ふという希望を持って、お互いにその意思を表明し合っておりましたのですが、なかなかフィリピンは戦後日本に対する感情があまりよくなく、そういう気運が熟さず、やむなく貿易及び入国滞在につきまして暫定的な取りきめでやって参った次第でございます。しかし、両者におきましてお互いに通商条約を結ぼうという時期が昨年の初め以来熟しまして、昨年の二月から本格的な交渉に入った次第でございます。初めに、二月二十三日にマニラで会議を開きまして、四月に至りまして東京に移り、約八カ月の長い間交渉をいたしまして、昨年の十二月ようやく妥結を見た次第でございます。本条約は、全文十カ条からなっておりまして、入国、滞在、事業活動、通商、海運等の事項につきまして最恵国待遇をお互いに供与する。戦後東南アジア諸国と日本は、インド、マレー、または最近はパキスタンと結びましたが、通商航海条約としては、インド、マレーは単に通商協定でございますが、通商航海条約としては初めてのものであります。また、フィリピンにとりましても、独立以後最初のものでございます。実際の貿易量を見ますと、昨年わが方の輸出額は約八千四百六十五万ドルになっておりまして、輸入額が、非常に入超になっておりまして、一億一千三百六十三万ドル、主要の輸入品は、木材、銅鉱石、鉄鉱石、それから繊維原料でございます。それから、わが方のおもな輸出品は、金属及び金属製品それから機械、繊維製品等でございます。これができますれば、この大きな市場もまた格段と貿易が進むものと考えております。
 以上、簡単でございますが、御説明を申し上げます。
#8
○委員長(木内四郎君) それでは、ただいま補足説明をお伺いしました三件について質疑に入りたいと思います。質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
#9
○杉原荒太君 私、ちょっと予算委員会の方がありますので、失礼ですが、先に一つ質問させていただきます。先ほどの法務省の説明それ自体について、私ちょっとお尋ねしたい。説明の中で、外国判決の効力の問題について触れられたんだが、外国判決の日本における効力及びその執行についての民訴のたしか相互の保証という要件があったと思いますが、その相互の保証の内容をどう理解していられるか。まあ条約がある場合は、それは疑いの余地はないと思いますが、その他要するに相互の保証というものの内容をどう解釈しておられるのか。その点を一つ。
#10
○政府委員(平賀健太君) たとえば、日本と他のA国というものを考えますと、日本とA国との間におきまして、A国の判決を日本においても効力を承認するということを日本が約束し、またA国におきましても、日本の裁判所がした判決の効力を承認する。まあそういう条約でもってそういう合意が成立している場合、これがその典型的な場合であろうと考えております。相互の保証があるとき……。
#11
○杉原荒太君 いや、私の聞きたいのは、条約という形式でそういうことが保証される、これは問題ないのですよ。私の聞きたいところは、単にそれだけに限定されるのか。そのほかの場合もあり得るのか。あるとすれば、どういう場合があるかということをお聞きしているのです。
#12
○政府委員(平賀健太君) 普通は、これは一つ問題がございますのは、ある外国で日本の裁判所の判決の効力を承認するならば日本でも承認する。これは、その外国におきましても、日本がその国の裁判所のした判決を承認するならば、日本の裁判所のした判決も承認するという、そういう国内法の規定がある。たとえば、民訴の二百条の、相互の保証があるという四号、問題になっている相手国の法律にもこれと同じような内容の法律がある場合は、これは民訴でいう相互保証があるということになるのかならぬのかという問題があると思います。これは、解釈が必ずしも一定しておりませんけれども、私どもの実務の取り扱いでは、同じような相互の保証があるぞという規定がそれぞれの相手国の国内法にもあるというだけでは、いわゆるこの相互保証があるとは解していないのでございます。外国の方でも、私どもの知っております限りにおき・ましても、外国でも、やはりそれで相互の保証があるというふうには解釈して取り扱ってないように考えるのでございます。御質問の場合はその場合ででもあろうかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
#13
○杉原荒太君 私もそうだと思う。ただ相手の国内法だけでもって相互保証の要件が満たされているという解釈は、私も実はとっていないのだが、それ以外に、今までの先例もある、そういうものがあるかどうか。そういう場合、どういう取り扱いを実際してきているのか。たとえば、私のお聞きしたいのは、相手国の政府、さらに具体的に言えば、こちらから言えば、こちらの大使に対して向こうの外務大臣から、つまり国を代表してその点を確約すれば、民訴のその相互保証の要件を満たしていると、こういう解釈ができるものかどうか。そういう点が大きいので聞いている。
#14
○政府委員(平賀健太君) その点は、私、相手の国内法にもよるのではないかと思うのであります。たとえば、外国の大使と日本の外務大臣との間の交換公文というようなものを考えました場合に、日本では、民訴にこういう規定がございます関係で、そういう合意をする権限が政府にあると私思うのでございますが、条約としての効力を持たなくても、条約締結の手続をとらなくても、その点は可能だと思いますが、相手国の政府にその権限があるかどうかということにかかってくるのではないかと思うのでございます。日本と同様でございましたら、交換公文でもその点は可能ではないかと私は考えます。これは、なお外務省の方から御答弁いただければいいと思います。
#15
○杉原荒太君 いや、あなたの方がいい。それは、それぞれの、たとえば相手国の政府あるいは外務大臣が日本に対してそういう言明をするにあたって、その前提としては、国内法で法律的に可能だということがなくちゃもちろんいかんです。それはもちろんのことだと思う、お互いに。しかし、そういう場合に、他の、特にこれは裁判所が有効と認めるかどうか。それは非常に重大な法律問題だ。そういう場合、つまり相手国の外務大臣と日本の大使との間にそういう公式の書簡の往復というものがあれば、その要件を満たしたと解釈されるかどうかです。
#16
○政府委員(平賀健太君) 満たすと考えます。
#17
○杉原荒太君 それじゃ、別の問題で御質問いたします。フィリピンとの条約に関することですが、第一にお尋ねしたいのは、政府の提案理由の説明によると、政府は、日本とフィリピンとの間の貿易、通商関係を長期かつ安定した基礎に置くため、通商航海条約の締結をフィリピン側に申し入れてきたと、それはそれとしてけっこうなことであります。しかし、でき上がった条約を見るというと、長期安定性の要求の上から見て、きわめて不満足なものである。具体的に指摘すると、第一に、有効期間というのがわずか三年です。単なる貿易協定ならともかく、いやしくも通商航海条約と銘打ったものの期限としてはあまりにも短い。それが、またさらに、その三年の期間後はいつでも終了させることができるということを規定しておる。すなわち、三年の後には、全然予告期間もなしに廃棄し得るようになっておる。これでは、長期安定性の、長期かつ安定した基礎の上に置くという要求が満たされていない。だから、この条約の締結の趣旨を述べた前文、プレアンブルの中にも、「相互に有利な基礎の上に」置くためというふうな文句でお茶を濁さざるを得ない格好になってきておる、しかし、政府として、もとよりこれは決して満足しておられるわけじゃなかろうと思う。むしろ通商航海条約全体、それ自体に対して先方必ずしも乗り気でなかったのを、とにかくこの条約の締結まで誘導してこられた点の政府の努力、苦心というものは、私十分察する。しかし、それにしても、この期限条項が一体こんなところに落ちつかざるを得なかったというのは、一体どういう経緯があったか。その点を一つ説明して下さい。
#18
○説明員(高野藤吉君) 御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、政府といたしましても、三年よりも長い期間、すなわち、五年の期間をもちましてこの条約を結びたかったのでございますが、フィリピン側といたしましては、初めての協定であるし、なかなか長い間の条約は非常に難色を示しまして、五年を強闘いたしますと、条約自身の締結も疑われると、フィリピンとしては、いわば試験的にこれをやるという意味で、三年ならばよろしいということで、妥協の産物といたしまして、われわれとしては、五年にいたしたかったのですけれども、何もないよりも、とりあえず三年間の協定があれば、それの方がないよりもいいという観点から締結いたしたわけでございます。そのあと六ヶ月の通告でこれが廃案できますが、なければ、向こう、フィリピン側が満足していれば、そのまままた続くという協定で、半分は満足されたと、われわれは考えておる次第でございます。
#19
○杉原荒太君 大体趣旨は了解しました。ただ、最後のあなたの説明は事実と違うじゃないか。六カ月予告というのは、一番初めの三年間のときの六ヵ月のことで、三年過ぎたらいつでもというので、予告期間ないですよ。まあそれは事実だから、調べるまでもなく、そう書いてあるのだから、その点いいです。
 次に、通商条約の用語として、最恵国待遇だとか、あるいは内国民待遇とか、あるいは国民待遇という言葉は、これは熟した一つの内容を持っておると思うが、無差別待遇という言葉もときどき出てくるのだが、一体これは、外務省では、どういう内容のものと観念しておられるのか。最恵国待遇との区別及びその相互の関係は一体どう観念しておられるか。
#20
○説明員(高野藤吉君) 私どもといたしましては、条約の用語の慣例に従いまして、最恵国待遇という言葉を使いたかったのでございますが、フィリピンといたしましては、その言葉にこだわりまして、無差別という言葉を使いたいというので、まあわが方が譲歩いたした次第で、内容的には変わらないと、われわれ考えております。
#21
○杉原荒太君 そういうふうに解しているの、全然内容的には変わらぬと。まあ言葉それ自体の意味から、字義としては、つまり外国人の間で待遇を異にせぬという場合、内国人と外国人との間の、これも一つの無差別待遇という言葉としてはそういうのだが、この無差別待遇という言葉を使った場合、いつも最恵国待遇と同じ意味に使うというのですか。
#22
○説明員(高野藤吉君) われわれはそういうふうに解釈しております。
#23
○杉原荒太君 そうすると、内外人の差別がない場合のはどういうことなんですか。これは、言葉というより、通商航海条約に開通しての用語として、それは……。
#24
○説明員(高野藤吉君) 無差別待遇という場合には、外国人との関係において無差別即最恵国待遇で、内国民との比較において問題が起きる場合には、そういう意味では使っておらないわけであります。
#25
○杉原荒太君 それはそれでいいですがね。いいが、一つ、あまりあっちこっちで混同したように使わぬように、それが確立しておるなら、それでいいのだけれども、これはそのように限らぬですよ。ときどきこれが出てくるので、その内容があっちこっちに違ったものを同じ言葉で表現すると非常に誤解を起こすから私は聞いておる。
 それから次に、二条に、裁判所の裁判を受ける権利について最恵国待遇を規定しておる。それで、この二条には、裁判を受ける権利以外の事項も、いろいろな事項がまとめられて、最恵国待遇を保障しているわけですが、ここに、この中身を見るというと、裁判所の裁判を受ける権利と、それから、それ以外のここに掲げてある事項は、待遇問題を考えるとき、実は性質がかなり通う性質のものなんですれ、本来。他の事項についてはともかく、裁判所の裁判を受けろ権利については、これは、内国民待遇を与えないで、単に最恵国待遇のみを与えるようにここに規定してあるわけだが、これは一体どういうわけであるか。いやしくも裁判を受ける権利は、これはもう内外人平等主義というのが今日の文明国の通義である。また、ある点国際法の論理の原則論でもあると思う。日本憲法だって、もちろんこれは、裁判を受ける権利として、内外の平等主義の建前をとっておる。これは憲法学者の一致した見解である。おそらくこれは、それだからほかの事項とは非常に違うのだが、もちろんこの最恵国待遇も規定していいですよ。しかし、その場合は、内国民待遇プラス最恵国待遇というふうにするのが私は筋だと思うので、一体これは、どういうわけで内国民待遇を向こうは与えないというのか。どうもこれは、私には腑に落ちない。そこはどういうわけであったのか。その点を説明してもらいたい。
#26
○説明員(東郷文彦君) 第二条の規定は、この前、あれはパキスタンでございましたか、この前の条約のとき御説明申し上げましたように、実は、日本国との平和条約第十二条の規定をとりまして、東南アジア諸国の中で最初に結びましたインドとの条約の際、それを平和条約の規定をとって締結しましたわけで、その後これが一つの型になって、今回の場合もこういう規定になっておりまして、お話の通り、裁判については、当然内国民待遇であるべきでございますが、規定としては、その前の型によりまして、今回もこの第二条の規定になっております。
#27
○杉原荒太君 まああなたの方の説明はそういう説明だろうけれども、一体こういうのをああいう戦争終末の処理の条約に書いてあるのが、何か先例といえば先例だけれども、もう少しこっちとしてはそこをふるい分けて検討してやった方がいいように思う。そうしてやられても、しかし向こうがどうしてもそれをきかなかった、それは別ですよ。こっちの努力としては、そういうところをもう少し努力した方がいいように思う。一体されたのですか。どうなんですか。
#28
○説明員(高野藤吉君) 交渉の途上におきましては、われわれも内国民待遇を要求いたしましたのですが、フィリピンがどうしても聞かないために、やむなくインド方式、インドの先例がありましたから、これ以上は譲れないということで、こういうような条約に相なった次第であります。
#29
○杉原荒太君 これには、何条か、いろいろの事項について最恵国待遇の保障があるけれども、それには一つの大きな例外があって、アメリカとフィリッピンとの間の諸条約に基づいたものは、これは適用外とするということになっておるのだが、アメリカとのその条約ですね。そういうものは、これは、実質的にはこの条約の重要な内容をなすのだから、一つ資料として、言わないでも出すぐらいにして下さい。
 それからなお、ついでに一言聞いておくけれども、私は前から感づいていることだけれども、今度のでも、説明書の書き方、これは簡単は簡単でけっこうですよ。しかし、あまり簡単にしようと思って、条約の条文と照らし合わしてみるというと、正確を欠く点があるから、こういう点も注意してもらいたいと思う。
#30
○説明員(高野藤吉君) できるだけ御趣旨に沿いたいと思います。
 それから、米比の特恵関係に関する資料につきましても、後刻提出いたしたいと思います。
#31
○森元治郎君 仲裁判断の承認及び執行に関する条約だけれども、内容は、国際貿易上当然必要なことだとは思いますが、問題は、日本が少し先走ってこの条約に参加しておるような感じがするのですが、それは、四十四カ国ばかり集まって会議をやって、そうして現在これに加盟しているのは十一カ国、四分の一しか入っていない。日本として、この条約に関係のありそうな、インドネシアとか、あるいはビルマ、台湾政府、南ベトナムとか、問題の起こりそうな国は、まだこれに入っていない、もう少しよその、関係の起こりそうな国の参加を符ってから入ってもいいのじゃないか。なぜ急ぐのかを伺います。
#32
○説明員(東郷文彦君) いわゆる主要国の中で、お話のように、まだアメリカとかイギリスとかは入っておりませんが、アメリカなどは、連邦と州との関係というような問題もありまして、今のところ、まだ加入の見込みはないかと思いますが、イギリスなどは、近く入るのではないかと思っております。それから、特に東南アジア諸国については、お話のごとく、まだタイ、インド等でございますけれども、もともとわが国としても、そういう特に近隣の東南アジア諸国がこの条約に入ることが最も望ましいわけでありますが、さればこそ、従来ともエカフェその他において、この問題については、いわば日本が、言葉はいいかどうかわかりませんが、主導権をとってきたという形でありまして、そういうところから、日本がこの場合には率先して入って、そういう国を今後入るように持っていく、こういう趣旨で、また、条約の内容自身も非常にいい条約でございますから、なるべく早く入りたいというふうに考えております。
#33
○森元治郎君 相手の国が入って来なくちゃ、これはお互いに関係を持てないので、先走って、主導権をとるといっても、人がいないのに主導権のとりょうもないのだが、どういうふうにしてよその国をこれに参加させるようにさせるのですか。
#34
○説明員(東郷文彦君) ただいま主導権と申しましたのは、たとえばエカフェの会議とか、経済関係のいろいろな会議なり接触なりがあるわけでございますので、そういう会議を利用して相手国を説得する、そういうふうに考えたいと思います。
#35
○森元治郎君 これは、ソビエトが珍しく早々と入っているのですが、これはどういう意味かな。
#36
○説明員(阿川清道君) この条約は、国家の主権を承認するというふうな関係でございませんので、もっぱら商取引の当事者が自由意思に基づいて仲裁に付する契約をしまして、それに私人である第三者、私的機関である仲裁機関の下した判断の効力を承認するという、そうしてその執行を認めるということでございますので、どこの国でも、その敏活的な考慮その他を離れまして、入りやすい条約であると、こういう性質から来ておるのじゃないかと推測するわけであります。
#37
○羽生三七君 ちょっと関連して。そうすると、そういういう場合、国営貿易をやっている国は、私人、私の貿易商とはどういう関係になるのですか、この条約で。
#38
○政府委員(平賀健太君) 国が取引を一般商人と同じ資格におきまして取引をしている場合には、その国が仲裁契約の当事者になるわけでございます。たとえば、日本の商人と契約を締結します場合には、同時に仲裁契約をその国との間に結びまして、紛争が生じました場合に仲裁判断に付するということになるわけでございます。国でありますと私人でありますと、同様でございます。
#39
○羽生三七君 ちょっと事務的なことになるのですが、よくわからないので、機構を承わりたいのですが、これは、何か常設機関というものがあれば、どういう形のものか、それから、この仲裁人の選定というのはだれがやるのか、どういう人がなるのか、そういう機構的なことをちょっとわかるように説明していただきたい。
#40
○説明員(生駒勇君) ただいま御指摘のございました常設仲裁機関というものの内容につきまして御説明申し上げます。
 わが国におきましては、国際商事仲裁協会というものが、この常設機関として設置されているわけでございます。これは社団法人でございまして、会長は、現在足立正商工会議所会頭がなっているのでございます。おおむね職員は二百数名でございまして、また、予算規模から申しますと、大体二千万円程度の予算であるということでございます。これは、民法上の社団法人でございますので、社員がたしか三百五十七名ということになっているわけでございまして、これに対しまして、国といたしましては補助金を出しまして、この補助金は、先年度は百五十万円程度でございまして、本年度、三十六年度は二百万円程度の補助金を支出いたしまして、国際商事仲裁の強化ということをはかっておる次第でございます。
 国際商事仲裁協会の行なっております事項は、大体三点ございます。一つは、商事紛争の仲裁、調停及びあっせん、二番目がクレームの未然防止及び相談施設の活用、三番目が外国仲裁機構との提携という、三つの柱があるわけでございます。これを中心に運営しておるわけでございます。
#41
○羽生三七君 国内はそれでわかりましたが、国連ではどういう名称で、常設機関はどうなっておりますか。
#42
○説明員(阿川清道君) 別に国連で常設仲裁機関を作っておるというのはないと承知しております。
#43
○羽生三七君 そうすると、ここには国連事務総長に云々ということがしばしば出てくるのですが、それを国際的に、つまり当事者相互の国の間だけでなしに、これが世界的にといいますか、加盟各国を統一的に何か連絡する機関というものは別にないのですか。
#44
○説明員(生駒勇君) ただいまの法務省の説明を補足いたします。
 国際間事仲裁協会におきましては、先ほど御説明申しましたように、外国仲裁機構との提携ということがございます。その中におきまして、アメリカ仲裁協会でございますとか、全ソビエト連邦商業会議所でございますとか、ドイツ仲裁委員会というようなところと、九つの貿易仲裁協定を締結しておる次第でございます。
#45
○羽生三七君 もう一つお伺いしますが、そうすると、当事国同士で話し合うだけで、国際的な統一機関というものは別にないわけですね。
#46
○説明員(東郷文彦君) この条約には、事務局というようなものはございませんですから、今お話しのような意味で、国際的な統一機関というものはございません。しかしながら、この問題は、世界貿易に大いに関係があることでございますので、この新しい条約を作りますのにあたっては、国連の経済社会理事会の決議、それから、それに基づいて国連主催の会議でやりまして、従って、この条約の中には、いわば国際連合事務局が文書の上の連絡役みたいな立場にはございます。しかし、それ以上常設的な事務局のようなものはございません。
#47
○羽生三七君 この仲裁人の選定はどういうところでやるわけですか。
#48
○政府委員(平賀健太君) 仲裁人の選定は、これは、原則といたしまして、仲裁契約の当事者が選定方法をきめるわけでございます。これはいろいろの実例がございまして、よくございますのは、紛争の当事者が、それぞれ一人ずつの仲裁人を選定する、二人の仲裁人ができるわけでございますが、さらに、その二人の仲裁人が合意でもって、中立の第三者を、これはアンパイヤーですが、これもやはり仲裁人でございますが、これを選定して、三人でやるというような例が普通に行なわれておるようでございます。しかしながら、仲裁契約におきまして、場合によりましては、仲裁人の選定方法を定めてないことがあるわけでございます。そういう場合に備えまして、各国の国内法におきましては、日本でございますと、裁判所が関与いたしますが、裁判所が関与いたしまして仲裁人を選定するというような補充的な規定が設けられておりまして、それによりまして仲裁人が選定されるということになるわけでございます。
#49
○委員長(木内四郎君) ほかに御質疑はございませんか。――それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時六分散会
   ――――・――――
ソース: 国立国会図書館
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