くにさくロゴ
1960/04/13 第38回国会 参議院 参議院会議録情報 第038回国会 運輸委員会 第25号
姉妹サイト
 
1960/04/13 第38回国会 参議院

参議院会議録情報 第038回国会 運輸委員会 第25号

#1
第038回国会 運輸委員会 第25号
昭和三十六年四月十三日(木曜日)
   午前十時五十二分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     三木與吉郎君
   理事
           天埜 良吉君
           金丸 冨夫君
           谷口 慶吉君
           大倉 精一君
   委員
           佐野  廣君
           鳥畠徳次郎君
           野上  進君
           平島 敏夫君
           中村 順造君
           大和 与一君
           松浦 清一君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 木暮武太夫君
  政府委員
   総理府総務長官 藤枝 泉介君
   運輸大臣官房長 辻  章男君
   運輸省海運局次
   長       若狭 得治君
   運輸省船舶局長 水品 政雄君
   運輸省船員局長 吉行市太郎君
   運輸省自動車局
   長       国友 弘康君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       古谷 善亮君
  説明員
   日本国有鉄道常
   務理事     兼松  学君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国内旅客船公団法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○運輸事情等に関する調査
 (ダンプカー事故対策等に関する
 件)
 (日本国有鉄道の運営に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(三木與吉郎君) ただいまより委員会を開会いたします。
 まず、国内旅客船公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○大倉精一君 提案理由の説明によりますというと、戦標船で現在なお残存しておるものは、商船につきましては七十万総トン、こうなっておるのですけれども、大体本年度の対象になる商船の総トン数はどのくらいになるのですか。
#4
○政府委員(若狭得治君) 現在御質問のありましたように、戦時標準船は七十七万トンございまして、そのうち七十万トンが商船でございまして、一般の貨物輸送に従事しておるわけでございます。御質問の本年度対象になるものと申されますのは、本年度において検査の時期が到来するものという意味でございますれば、そのほとんど大部分のものは目下必ず修理に入っているというような状況でございまして、その修理のときに検査を受けているというわけでございますけれども、本年度において、われわれが戦時標準船の計画として取り上げますものは二十万トンでございます。それは現在七十万トンのうち二十八万トンが大修理をいたしまして、このまま継続して使っていくというものでございます。残りの四十二万トンが解体したいという希望のあるものでございまして、これは昨年八月の調査でございますけれども、四十二万トンが解体したいという希望のあるものでございます。そうして、そのうち六万トンは、すでに十六次の計画造船におきまして解撤の約束をいたしまして、また、すでに解撤したものもございます。解撤の見込みが立っておるもの。なお、そうしてあとに三十六万トン残っているわけでございますが、その三十六万トンのうち十六万トンは十七次及び十八次の計画造船において解撤を義務づけまして、解撤を促進したいというふうに考えております。従って残りの二十万トンにつきまして、この戦標船の代替建造の対策を実施していきたい、かように考えております。
#5
○大倉精一君 大修理をして、さらに継続使用をするもの二十八万トンとおっしゃる。それはこちらの方からそういう調査の結果二十八万トンというものを査定したのか。あるいは船主の方で、船主の方の希望として二十八万トンという数字が出てきたのですか、これは。
#6
○政府委員(若狭得治君) 昨年の七月に戦時標準船の検査強化の方針を立てまして、それを通牒を出しまして、そのあとにおきまして、個々の船主につきまして私どもの方で調査いたしました結果が、二十八万トン継続して使用をしたいという希望が明確になりましたので、それを基礎にして計画を立てておるわけでございます。
#7
○大倉精一君 そうしますというと、その二十八万トンというのは、これは解撤しなくてもいいという工合に確認をされておるのでございますか。
#8
○政府委員(若狭得治君) 調査の当時におきましては、確かに二十八万トン程度の継続使用というものが希望されておったわけでございますけれども、その後予算が決定いたしまして、代替建造の方針が明確になりましたので、あるいはこの二十八万トンが今後減りまして、代替建造をやはりやりたい、大修理をやめて代替建造をやりたいというものが今後ある程度ふえてくるのではないかというふうには考えておりますけれども、私の方で予算の折衝当時明確になっておりましたのは二十八万トンの継続使用ということでございましたので、それを基礎にいたしましてこれらの計画を進めておるわけでございます。
#9
○大倉精一君 そうしますとこの二十八万トンというのは、こちらの予算等の結果いかんによっては、さらに代替建造を希望するものがふえてくる、こういうことなんですね。そうしますと、大体本年度建造二十万トンとして、開銀七億円、公団側が八億円、これだけのワクでこれは間に合うのですか。
#10
○政府委員(若狭得治君) 戦標船の対策といたしましては、先ほど申しましたように、二十万トンの船舶を一応三年間で処理したいというふうに考えております。そうしてその二十万トンは、あるいは今後多少ふえるということがあるかもしれませんけれども、一応二十万トンといたしましても、これを三年間で処理いたすためには、大体年間七万トン程度の解体を必要とするわけでございます。しかし現在予算に計上されております開銀の七億円、それから公団の八億円という金額によって推算いたしますと、もちろん今後の解撤の状況、その他いろいろの条件がございますけれども、現在われわれが大蔵省と話し合いをやっております段階におきまして推定いたしますと、この金額で大体四万トン程度の解撤が可能ではないだろうか。そうして約三万トンないし三万五千トン程度の新造をやるというふうに考えておるわけでございます。従いまして、四万トン程度の解撤でございますと、これは三年間に現在程度の規模の予算で推移するということになりますれば、とうていわれわれが考えております二十万トンの解撤が三年間に実現するということは困難ではないかというふうに考えております。
#11
○大倉精一君 大臣にお尋ねするのですけれども、今も答弁があったように、これだけの資金のワク内では三年間に二十万トンは無理だ、さらに加えて今の、先ほど答弁のあったように二十八万トンという継続使用が、予算いかんによっては代替建造を希望する、こうなって参りますというと、相当思い切った融資のワクを広げてもらわないというと危険で、目に余る戦標船の代替建造ということができないんじゃないか。しかも非常に零細企業が多いので、この代替建造に入られないというものがたくさんあると思うのですね。そういうことを考えますというと、これは相当思いきった融資ワクを広げる必要があると思うのですが、大臣の一つお考えをお聞きしたいと思います。
#12
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。
 ただいま海運局次長から具体的に御説明申し上げましたごとく、昨年の八月に調査をいたしましたときは、大修理を加えて継続使用をいたしたいと希望するものが二十八万トンでございまして、残りの二十万トンというものを対象にして、この公団方式による戦標船の解撤ということを運輸省としては考えたわけでございます。そうしてただいま御説明申し上げましたように、三十六年度の予算の、今度改組されました公団の方の八億円と、それから開発銀行の方の別ワク七億円をもっていたしましては、四万トン解撤をして、新造三万トンないし三万五千トンということができるというのが限度であるのでございます。従いまして、ただいま大倉委員が御指摘になりました通りに、こういう程度のものでは、将来、この公団方式によりまする金融によって戦標船の問題を解決するということが打ち出された今日におきましては、あるいは昨年の八月に調査いたしましたときの継続使用を希望するものの二十八万トンというものが減ずることは常識上考えられるわけであります。私どもといたしましては、さらに昨年八月の調査のみに頼らず、この法案が通過いたしましたならば、親切にさらに各船主について問い合わせるということが、われわれのなすべき任務だと考えております。従って、二十八万トンが減りますことも考えられます。三十七年度予算並びに三十八年度予算におきまして、現在のような少額な財政融資でなく、もっと財政融資を大幅に拡大いたしませんければ、ただいま御指摘のように、所期の目的を達成することはすこぶる困難であると考えまして、今後三十七年、三十八年の予算におきましては、この財政融資の拡大に大いに努力をいたすことを今日から実は考えておるのでございます。
 そこで一言申し上げますが、なぜそれでは初めから三年間にできたいようなものの予算でこういう公団方式をやったかというおしかりが委員の方からあるというふうに実は危惧をいたしておるわけでございますが、この戦標船の処理の問題というものは、これをよくおわかりになっているお方には、これが中小、弱小の船主の人々の企業の立場を救い、ここで乗っておる数千の船員の人の地位を安定せしむるために非常に大切なもので、いわば陸上の中小企業の問題と同じような社会問題であるということは、よくおわかり下すっている方もあるのでございますが、打ちあけ話をいたしますると、大蔵省側ではなかなかこういう事情がよく理解を十分にされておりませんで、初めは、予算折衝のときには、この戦標船問題というものは、幾たびか取り上げられないというような事態を来たしたようなわけでございます。ことに、公団方式というような方式に対しての大蔵省側の理解が、初めはすこぶる乏しかったのであります。そこで予算折衝のときに、公団方式を認めさせ、この程度の三十六年度の予算を大蔵省に納得させることによりまして、今後におきまする戦標船処理の問題にわずかながらでも糸口をつけたということで、実はがまんをせざるを得ないような実際の状況であったのでございまして、もしこれでとうていできないことがわかっておって、これをどうも捨ててしまうということは、戦標船処理の問題が非常に社会問題として大きいことを考えたものですから、とにかくこの程度で口をつけておいて、そうして今後の三十七年度、三十八年度には努力して、そうして所期の目的を達成するような財政融資を大幅に拡大して獲得するよりほかには道がないじゃないか、いわゆる百点取らなければもうだめだというような考えで、オール・オア・ナッシングの考えでやる方がいいか、ことしはまあ六十点くらいでも、来年、再来年さらに点数をかせぐような、財政融資を拡大する方がいいかという問題にぶつかりまして、後者をとりまして、今御指摘のような、まことに三十六年度予算におきましては、所期の目的を達成することが至難であるという見通しは大体ありましたけれども、この戦標船処理の問題というむずかしい問題に糸口をつけるというような意味で折衝をし、予算でこの程度のものにきまりましたようなわけであることが実際でございまして、今後三十七年度、三十八年度の予算におきましては、全力を尽くしてやらんければならぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#13
○大倉精一君 まあ私がさらにお尋ねしたいと思っておったことを先に大臣はおっしゃったわけなんですけれども、そうしますとね、三年間でこれだけやるんだと、だからこういう法案を通してくれと、こういうような説明でありますけれども、今の御説明でありますというと、どうも三年間むずかしいと、こう言う。ですから、これは三年間におやりになるというのであれば、やはりその裏づけがあって初めて三年間にやれるという、こういう提案理由の趣旨説明になるのですけれども、説明だけはなるほど三年間だ、ところが予算はどうも危ない。本年度はオール・オア・ナッシングよりも若干というお話でございましたけれども、今大臣の御決意から、三年間に完成するように三十七年度からは大幅に予算を獲得しよう、大蔵省の理解を深めよう、こういうことでありますから、私は三年間でできるものだ、こういう前提でこの法案に賛成しておるんですから、ぜひともその御努力を願いたいと思う。往々にして、とりあえずこの通りの予算を取ってという法律案等がたびたび出てくるんですけれども、結局そのままになってしまって、やることができない。こういう事例がたくさんありますので、特に戦標船の問題につきましては、今お話がありましたようにあるいは社会問題としてとらえる必要があるというような、こういう問題でありますから、ぜひとも一つ予算面におきましても、来年度から大幅に増加してもらって、そうして三年間に解決ができるように格段の努力を一つお願いをいたします。
 さらに、先ほど船員の問題もお触れになりましたけれども、確かに戦標船の問題として、船員並びに家族等々、いろいろ下船される人々の処遇について格段のやっぱり御配慮を願わなければならぬと思いますが、そういう問題につきましてのお考えは、どなたか担当の方がおいでになったら、方針なりお考えなりをお聞かせ願いたいと思います。
#14
○政府委員(吉行市太郎君) 戦標船の処理対策に関連をいたしまして、それから下船を余儀なくされます船員の対策につきましては、まずその数の推定でございますが、大ざっぱに大数観察で見当をつけてみますと、解撤希望が約四十二万総トンございます。それの船員数は約五千名でございます。この五千名でございますが、もちろんこれにはスクラップ・ビルドというビルドがございますし、さらにまた計画造船であるとか、あるいは自己資金船の建造であるとか、そういう面がございますので、そういう方面へ当然吸収されるということが考えられますので、五千百名ございますけれども、一応数の上から見当をつけてみますと、三年間で考えられます下船船員の数は大体六百名程度ではないか、一応数の上ではこういう計算が出るわけでございます。
 しかしながら、現実の問題として考えてみますと、戦標船の解撤と、それから新しい新造船の建造の間に時期的ズレがある、そういう関係で一時的な失業が考えられます。さらにまた、新しい船に乗り組むためには、下船した船員の技術なりあるいは資格なりが不足しておるという点による失業も考えられると思います。さらにまた、スクラップされる船主と、代替建造される船主とが全然縁がないという場合に起こります可能性のある失業、こういうふうなものが考えられるわけでございます。これの対策といたしましては、まず現在、地方海運局支局にございます船員職業安定所の機能を強化いたしまして、積極的に求人の開拓をやって、あるいはまた、従来はその地域地域で職業紹介をやっておったわけでございますが、これに対して、今後は広い範囲にわたったいわゆる広域職業紹介を実施して参る、あるいはまた、日本人船員を外国で短期移民の形で要望しておるというふうな情勢もございますので、合理的な範囲で、必要に応じてそういう方面も考える。
 さらにまた、下船船員の資格あるいは技術が不足しておるという者に対応いたしまして、現在神戸に海技大学校がございます。さらにまた門司に海員学校がございますが、海技大学校の特修科あるいは海員学校の補導科というところで短期間に再訓練といいますか、技術と資格の充実をはかるような施設を活用して参りたい。大体の構想としてはそういうことで、この戦標船の下船船員の対策を考えておる次第でございます。
#15
○大倉精一君 これは一つ大臣にお伺いしておきたいのですけれども、この下船船員、それから戦標船解撤に伴う下船船員というものは、これはたとえば、炭労の炭鉱の労働者と同様に国策の犠牲になるのですから、これは特段の措置をしてもらわなければならぬと思うわけです。特にいわゆる形式的な処理ではなくて、少なくとも生活ダウンにならないように、政府としては特段の配慮をすべきである。特に国策の犠牲になるというようなこういう人たちに向かっては、そういうことがぜひとも必要だと思うのですけれども、大臣の一つお考えをお伺いしておきたいと思います。
#16
○国務大臣(木暮武太夫君) いろいろ御指摘のように、今の戦標船処理の問題に関しまして、一時的なりとも船員の人の生活の不安定の来たしますことを、私どもも大いに心配しておるわけでございまして、本年度予算にわずかでございますが、百五十万円を計上いたしまして、ただいま船員局長から御説明申し上げましたようなことに全力を尽くして、そうして時期のズレがあることによって生ずるこれらの戦標船の船員の人の生活の不安を少しでもなくすように努力をいたしたいと、こういうふうに、予算の上でも金額はわずかでございますが、予算を組んで努力をいたしたいと、こういうふうに考えておりますわけでございます。
#17
○大倉精一君 まあ六千人に対して百五十万円の予算では、これはまあ金額としては微々たるものだと思う。私はそういう問題を専門的に掘り下げるというだけの準備や知識はありませんが、要するに、そういう方々が普通の離職者じゃなくて、国策の犠牲になる離職者であるから、国としては、いわゆる、たとえ一時的なものというようなお考えではなくて、少なくとも生活ダウン等にならないように格段の配慮をしなければならぬ、こういう私は考えを持っているのですけれども、その考えをお伺いしておったわけです。大臣に。
#18
○国務大臣(木暮武太夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、戦標船の問題は、今の戦標船を持っておる人は弱小の船主であって、企業家としても、いわゆる中小企業の問題の、社会問題性を帯びておりまするとともに、それに乗っておる船員の人にとっても、非常に重大な問題でございます。それで、もしこの戦標船問題を放置いたしておりまして、これが御承知の通り戦時中作った脆弱な船でございますから、もう保安の上から見ても危険だというようなことで、むずかしく検査をされて、これが代替船を作るというような今回の運輸省の手段が行なわれませんければ、おそらくもっと大きな船員の人たちの生活の不安の問題が起こることと思うのでございまして、それを防ぐために、三十六年度に、予算は少ないですけれども、まあ解撤四万トン、新造船三万五千トンというようなことに踏み出したようなわけでございまして、この趣旨は御了承いただきたいと思うのでございます。つまり国策によって、一つそのまま放置すれば起こるであろうところの戦標船の船員の方々の生活不安というものを解消したいという意図によって、今度の戦標船処理の問題を実はいたしておるのでございまして、ただいま船員局長からもお話のありましたように、まあ新しくできる船などもございますので、ただそのズレがありますので、いろいろ生活の不安が起こると思いますが、できるだけそれにつきましても私どもは努力をして、その不安をなくすことに全力を尽くしたいと、こう考えておるわけでございます。
#19
○大倉精一君 今度の代替建造ということが、戦標船の船員諸君の不安を除くための一つの政策として行なわれることはけっこうなんですけれども、なおかつ下船しなければならぬ、あるいは生活ダウンというような人もありますので、そういう人に対しましては、特段の一つ考慮を払われるように要望しておきまして、本件の質問を終わります。
#20
○天埜良吉君 この法案は、国内旅客船公団を特定船舶整備公団というふうに改めて、国内旅客船を扱ったと同じようなふうに戦標船をこういう方式によってやっていくというものでございますが、そのもとになる国内旅客船公団というのが、現在どういうようなふうの実態になっているか。とかく公団というのは、世間では非常に、なかなかむずかしい、状況になっているという点がいわれておりますが、端的に申しますと、非常に大きな赤字になっているのかどうか、その辺の点を御説明いただきたいと思います。
#21
○政府委員(若狭得治君) 旅客船公団の現在の状況について御説明申し上げます。
 御承知のように、国内旅客船公団は昭和三十四年度にでき上がったんでございますけれども、当時、政府出資二億円と資金運用部借入金三億円をもって最初の事業を始めたわけでございます。これによりまして、現在の計画といたしましては、二十年以上の鋼船の代替建造、それから十五年以上の木船の代替建造というものをやってきて、五カ年間でやっていくということで事業をやっておるわけでございまして、その後三十五年度におきまして、さらに政府出資二億円と、それから財政融資五億円によりまして、二カ年間事業をやってきたわけであります。そうして、その結果、代替新造船につきましては、五カ年計画にほぼひとしい程度の実績をあげております。改造につきましては、五カ年計画で掲げたものより相当下回っておりますけれども、新造については大体計画程度のものは実施しておるという状況でございます。
 公団の財務関係につきましては、現在の政府出資四億円というものの金利を、具体的に申し上げますと、旅客船の船主に対しては、七分の金利に回るように使用料を徴収いたしておりまして、その七分のうち五厘は貸し倒れ準備金として公団に積み立てておりまして、結局四億の出資のうち六分五厘が公団の事務費等に使用されておるわけであります。従って、この四億の六分五厘の金利でもって公団の経営をやっているわけでございますけれども、今までのところ、使用料の徴収等についてもほぼ順調に推移して参っております。また公団は、非常に少ない人間でやっておりまして、この事務費のワク内で苦しいなからも事業を継続しているというような状況でございまして、経理状況としては比較的健全にきていると考えるわけでございます。
 今度の戦標船の関係につきましては、戦標船のための財政融資として産業投資特別会計から、先ほどお話しありましたように八億円の融資を受ける。その八億円の融資で船舶の建造をやっているのでございますけれども、船主からは八分七厘に相当する使用料を徴収するわけでございます。従って産投から六分五厘の金利で貸し付けていただいて、それを船主に八分七厘の金利で貸すというような形態になるわけでございます。供与でございますけれども、実態は融資に近い供与でございますので、八分七厘の金利で使用料を徴収する。従って、その差額のうち五厘は貸し倒れ準備金として公団に積み立てまして、あと一分七厘の金利でもって公団の事務費を経理するというふうになっているわけでございまして、公団のたとえば増員等につきましても、その一分七厘の金利の範囲内におきまして事業をやっていきたいというふうに考えているわけでございます。従って、この面から公団の経理がむずかしくなるというようなことは、現在のところ考えられないわけであります。総体的に見まして、国内の旅客船の建造につきまして、また戦時標準船の建造につきましても、公団の経理については健全に推移するものというふうに考えております。
#22
○松浦清一君 先ほどちょっと質疑応答のありましたとき、書きものをしておったので聞き漏らしたのですが、戦標船七十万トンのうち、解撤を希望しているのは四十一万トン、それから第十六次、第十七次の外航船の計画造船に義務づけられる解撤予定トン数が十六万トンで、結局二十六万トンということですか。
#23
○政府委員(若狭得治君) 戦標船の商船で今度の対策として考えられるのは七十万トンでございまして、そのうち二十八万トンの継続使用がございまして、解撤四十二万トンが希望するものでございますけれども、これは昨年八月の調査でございますので、その後十六次計画造船におきまして解撤を義務づけられて解撤を約束しているもの、その中にはすでに実施したものが相当ございますけれども、それが六万トン、従いまして、三十六万トンについて何らかの措置を講じなければならぬというわけでございますけれども、このうち十六万トンは、十七次及び十八次の計画造船において解撤を義務づけていきたいというふうに考えているわけでございます。従いまして、それぞれ約八万トン程度の解撤を義務づけていくということで、結局最後に残るのは二十万トンの戦標船を、この戦標船対策の対象として考えていきたいということであります。
#24
○松浦清一君 そうすると、今度の七億円と八億円と、両方で結局何トンできるのでしょうか、はっきりしたところ、確定トン数は比率でだいぶ違うでしょうけれども、それで解撤、代替船建造の比率の関係ですね。あれは今大蔵省と交渉中ですが、一対一か一対一・五にするかは、大蔵省と交渉中でしょうが、その経過はどういうことになっておりますか。
#25
○政府委員(若狭得治君) まず第一に、今度の予算できめられております公団八億円、それから開発銀行七億円の資金によってどの程度の船舶が建造できるかという問題につきましては、開発銀行の資金につきましては、財政資金として建造費の五〇%を融資するということでございますので、これででき上がるトン数は、本年度内に竣工するものは全体の四分の三というふうに計算いたしますれば、約一万九千トン建造可能なわけでございます。それから、公団の八億円につきましては、公団の方で七割の部分について共有を行なうわけでございますので、この八億円の資金が全体の船舶の竣工船舶の四分の三、計画しておる建造量の四分の三が竣工するというように計算いたしますと、約一万五千トン程度が建造できるというふうに考えております。
#26
○松浦清一君 本年度中に四分の三、一万九千トンという数字は、本年度というのは三十六年の暦年ですか、そうすると三十六年一ぱいで三万四千トンということですね。それは一対一・五という計算ですか。
#27
○政府委員(若狭得治君) それは三万四千トンと申しますのは建造量でございまして、これにどの程度の解撤を義務づけるかという問題は、別個の問題でございます。なお、大蔵省との交渉の経過につきましては、まだ結論は出ておりませんけれども、大体におきまして、本年度、来年度、再来年度、この三カ年の財政規模を明確にしてもらいたいというのが大蔵省の要望でございます。われわれといたしましては、もちろんこの三年間で二十万トン程度の解撤を実施したいというふうに考えておりますけれども、現実の問題の解決にあたりましては、できるだけ一対一に近い建造をやっていかせたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、今日のような船舶が漸次大型化していくというような情勢というものも考えなければなりませんし、また、個々の船主の企業の実態から見まして、一挙に大きな債務を背負うということもなかなか問題がございますので、そういう点についていろいろ調整する必要があるのではないかというふうに考えております。できることならば一対一程度の比率でもって実施していきたいというふうには考えておりますけれども、ただ、いたずらに現在の中小船主が、そのまま現在の企業規模で推移していくということについても、はたして経済の実勢に合うかどうかというような問題もございますし、また予算の規模といたしましても、今後の見通しいかんによっては、非常に膨大な予算になってくるのではないかということを大蔵省が非常におそれているというような状況でございますので、その間の調整をとりながら、実際の船主の希望をも参酌して今後決定していきたいというふうに考えます。
#28
○松浦清一君 そうすると、今の大蔵省との折衝の段階では、なお運輸省当局としては、一対一という主張は譲っておらないわけですね、何か内輪話をするようだけれども。
#29
○政府委員(若狭得治君) 考え方としては一対一の方向ではございますけれども、財政規模の問題もございますので、たとえば、企業合同なり共有ということで、二隻解撤いたしまして一隻建造するというようなものについては、一対一という程度の建造を認めるというような方法がないかということも検討しているような状況でございます。
#30
○松浦清一君 心配になりますのは、最初三十六万トンという計画をして、四十四億五千万円でしたか、要求したのは。それがこの程度にやられたのだから、また大蔵省にやられるというような気になるわけですが、大丈夫ですか。
#31
○政府委員(若狭得治君) 当初、御承知のように、予算の要求といたしましては、本年度十万トンの建造をいたしまして、二年間に二十万トン建造して、そうしてこれはすべて公団方式によりまして、七割を公団が所有いたしまして、三割だけ船主に自己調達をさせるという方針でおりましたけれども、予算の結果は、先ほど申しましたように約三万四千トン程度の建造しかできないというような状況になったわけでございます。しかし、これにつきましては、先ほど大臣もお話しなさいましたように、今後できるだけ財政資金の規模のワクの増大について努力していきたいというふうには考えておりますけれども、実際の仕事のやり方につきましても、たとえば今後の計画造船におきます解撤の義務づけの問題をどういうふうに処理していくかという問題も関連いたしますし、また、具体的に船舶を建造する場合に、その企業の内容いかんによりましては、また他の企業と協力いたしまして船を作るというような場合も考えられます。また、三割の自己資金の調達についても非常にむずかしい問題があって、実際問題としてなかなかできないというような企業もあるものと思われるわけでございます。そういうものを考えますと、この二十万トンの内訳には、相当今後変動があるというふうに思われるわけでございます。そういう船舶について、どういう形態で、どういう船主が建造していくかということは、今後こういう政策を実施していった後に、あらためて検討いたしまして、そういうものがどういう新造船を、建造していくかということを、そういう実態に即応した政策をまた来年度以降において考えなければならぬではないかというふうに考えておるわけでございます。
#32
○松浦清一君 金さえあれば、あとは何とでも都合よくいくのですが、大蔵省が財政資金のワクのことをあまり気にし過ぎて、これ以上のものは出せないというようなことになれば、だんだんだんだん困ってくるわけですね。ですから、一対一が可能性があるかどうかという判断の基礎も一にかかって、三年間二十万トンの解撤と代替船建造をやろうという方針を立てれば、財政資金のワクによってこれは決定されるわけですね。実際は、二十万トンつぶして二十万トンできるかどうかということは、これはその金の一点にかかっているわけですね。これを大蔵省がどうしてこの戦争の末期、戦争の終わった後に、何にも船がなくなってしまって、まあどちらかといえば、命令をして作らしたわけではないけれども、早く、簡単なものでも、二、三年使えればいいとはまあ言わなかったかもわからぬけれども、とにかく当分の海上輸送の重要性を考えて、船を作るべきである、こういうことを指示して作らしたのですね。それが今や使えなくなって、これを解撤しなければならぬと、こういうことになっているわけだ。だから、これは船主が全然意思がないのに、政府から指示されたから船を作ったというわけではないでしょうけれども、そういう形ででき上がっている船が使えなくなって、そうしてそれをつぶさなければならぬ。二十万トンつぶして十五万トンしかできない、こういうことになるということは、いかにしても、どうも気の毒な気がするのですね、私は。
 それからもう一つは、このE型なんかの九百トンの船を今つぶして六百トンくらいの船を作ってみたって、まあ専門家である行政官庁のあなた方は、六百トンの船でも十分使い道があるのだというふうにお考えかもしれぬけれども、私自身が判断し、また、業者関係から聞いてみても、六百トンくらいの船を作っても、どうしようもないというのですね、ハラは。ですから九百トンをつぶして九百トン、九百トンを二はい作らせれば、千八百トンの船を作らなければ採算に乗らないというのだね。だから、その点は大蔵省相手の話ですから、なかなか困難でしょうけれども、一対一で船を作らせるのには、こういう条件を持ってこいというような条件があるかもしれないが、その条件にかなうような措置が船主自体に講じられるかどうかというところにも問題はあるでしょうけれども、その辺のところは一つ一対一、一対一・五というようなことに妥協しないで、最後まで一つがんばってほしいですね。
 それから公団の方にいって、これはどういうわけでしょうね。旅客船の方は公団持ち分の金利が七分、戦標船の方は八分七厘ですか、ずいぶん高かったのですね。どうしてこの利子の開きがあるのでしょうか。
#33
○政府委員(若狭得治君) 旅客船公団の金利は、御指摘のように七分でございまして、それから戦標船の対策として実施する新船建造については八分七厘でございますが、旅客船公団の旅客船の建造につきましては、あるいは離島の民生の安定というような公共的な目的をもって船舶の建造をするわけでございます。そういう点につきまして、戦標船の代替建造というものと多少性格が違う。戦標船の代替建造につきましては、企業を継続させるということが政策の主眼でございまして、一つの経済政策として、あるいは中小企業対策として考えていくべき問題であるとうことで、金利につきましては、いわゆる財政資金の長期金利の、まあ開銀などでやっております長期金利の比較的低利の資金のベースに統一するということに決定したわけでございます。
#34
○松浦清一君 それは大蔵省の見解でなしに、運輸御当局の方も、あなたの方の方もそういうふうにお考えなんですか、これは当然だと。
#35
○政府委員(若狭得治君) ええ。
#36
○松浦清一君 それから支払い条件ですね、公団持ち分に対する元本の支払い条件、それはどういうふうに今きまっておりますか。
#37
○政府委員(若狭得治君) 現在の旅客船につきましては、二十年の等額の償却のベースによる使用料、それからその金利の七分というものを加算した額ということになっております。それから戦標船につきましては、三年間据え置きまして、十八年の等額償却のベースによる償還に見合う金額とその金利分、八分七厘の金利による金額とを使用料として徴収する予定でおります。
#38
○松浦清一君 三年間据え置き、十八年等額償還ということは、これは大蔵省ものんでいるわけですか。
#39
○政府委員(若狭得治君) そうです。
#40
○松浦清一君 確定ですね。それから、そういうケースが起こってきたら御当局はどうなさいますか。E型一ぱいしか持っていない船主が、一対一になるか一対一・五になるか、それはわからぬけれども、とにかく一ぱいでやっておったってしょうがないから、十の船主が一緒になり、そうしてE型一隻ずつ持ち寄って十隻の一つの会社を作る、そういうふうなことをした場合に、先ほどの次長のお言葉によりますと、そういう場合には、たとえ方針として一対一・五になっても、一対一で作らせるというようにお答えになったように承ったのですが、それも確定でございますか。
#41
○政府委員(若狭得治君) 先ほど、二隻解撤いたしまして一隻建造する場合には、その建造トン数まで七対三の割合で共有するということを申し上げましたけれども、そういうふうにわれわれの方としては大蔵省と今後折衝していきたいというふうに考えておるわけでございます。なお、この問題につきましては、財政資金との関係で、その共有の比率を、たとえば五割程度に引き下げるということがいいか悪いか、たとえば八百トンの船を解撤いたしまして八百トンの建造を認める、そのかわりに共有比率を五割まで引き下げる、その方がその船の経済性から見ていいか悪いかという点も検討しなければならないというふうに考えております。ただその場合、一番問題になりますのは、その五割の自己資金を当該船主が調達できるかどうかという問題でございますので、そういう面もあわせて調査いたしまして、その結果、結論を出したいというふうに考えております。しかし、われわれの当面の目標としては、あくまで七割というものをできるだけ堅持するように今後折衝していきたいとは考えております。
#42
○松浦清一君 それはやめてもらいたいですね。今の七割、三割でも、今の戦標船の船主には、借金の残り、それから償却なんかとうていできないような状態にある旧債がずいぶんたくさんあるのですね。全部で百何十億か、今ここで調べたら出てくるでしょうけれどもあるのですね。そこへ持ってきて、三割の金を借りるのにさえどうしても借りられない船主はどうするのかと、今聞こうと思っておったのですが、それが五割々々といったら、てんでお話にも何にもならない。そういう検討されることはよろしいけれども、それを具体化するという努力を払って、五割々々なんというお考えはやめてほしいですね。それは全然戦標船というものは作れなくなる。それはあくまでも七対三を堅持されて、しかも三割の自己資金の調達についてさえやはりめんどうを見てやらないと、あなた御存じの通り、自分の力で三割の資金を調達し得る船主はないのですよ、これは。そこで今具体化しているわけではないけれども、この機会に、戦標船船主は心機一転して、企業合同をやろうかという機運が、全面的にではないけれども、部分的に今起こりつつある。私は側面的にそれはけっこうじゃないかと言って推進をしている。九百トンや千トンの船を一ぱい持った船主が三十も五十もそこいらに散在しているということは、これはもう、これから先の内航海運の通貨なんかも非常に急激によくなるとも考えられないし、事業の量がそう急激にふえるということも考えられない状態の中で、そういう弱体船主がたくさん散在しているということは、これは全体の内航海運の政策の上から見て好ましくない。君ら一緒になって一つやれという、部分的ではあるけれども、推進をしている形を私はとっているわけです。これは内航海運の経営の近代化をはかるために、絶対私は必要だと思うのですよ。そういうことができるか、できぬか、わからぬけれども、できれば、そういう船主に対しては優先的に一対一を堅持してやらせるという方針を確立をしておいてもらいたいですね。
#43
○政府委員(若狭得治君) 内航海運といたしまして、現在の企業が非常に弱体であって、そのために、たとえば運賃市況も安定しないというような問題もございますし、また、取引単位が漸次大きくなりましても、船自体もだんだん大きくしていかざるを得ないというような状況でございますので、今先生が御指摘になりましたように、企業合同いたしまして、そうして大きな企業単位によって仕事をするというものがありますれば、できるだけ私たちとしてはそういうものに協力するという態勢で、今後具体的な実施にあたって検討していきたいというふうに考えております。
#44
○松浦清一君 大臣もそれはよろしゅうございますね。それはもう海運の行政官庁の長たるあなたが、その方針をやっぱり堅持されて、大蔵省との強力な折衝の要あれば陣頭に立って一つやってもらいたいと思うですね。むしろ運輸当局の方から、企業整備合同の側面的な推進をやられて、この際、九百トンの船を二はいつぶせば千八百トンの船を作らせる、こういう方針を堅持して、努力していただけますか。
#45
○国務大臣(木暮武太夫君) ただいま松浦委員の御指摘の御意見というものは、まことに重要な御意見だと拝聴いたしたわけでございます。政府といたしましては、今回の戦標船処理にあたりまして、こちらから強制して企業の合同、合理化というようなことをやるということは考えておりませんけれども、しかしながら、ただいま御指摘のように、今日の内航海運業というものがいろいろ弱点を持っておる。こういう中小の弱体の船主がこういうことを、この戦標船の処理を機会といたしまして、企業の合理化のために合同等をやるというようなことは、われわれとしては非常に時宜に適したものであると考える次第でございまして、御意見はよく尊重いたしまして、実施にあたりましては、なるべく御期待に沿うように一つやりたいものであると考える次第でございます。
#46
○松浦清一君 なぜ私がそういうことを強調するかといいますと、大臣、先ほど次長も御了承の通り、小型船に対するベースアップの要求を今海員組合から出しておるわけです。大型船の方は曲がりなりにも解決したけれども、あたりまえの給料さえ払えないというのが、今の小型船の船主の企業内容です。なかなかこれは膠着状態の中で問題が解決しにくい。だから自分のところで働かしておる者に対してあたりまえの給料が払えるようにするためには、企業の整備統合、近代化以外に方法はない。これは船主自体のためでもあるし、そこで働いておる者の生活の恒久的な安定を期するためにも絶対に必要だ。今あなたのおっしゃるように強制することはできないけれども、側面的に企業の整備、合同をやればこういう便宜というか、特典がある。それをやらなければ、自分の船をつぶして新しい船は作れないのだ、こういう行政指導をやられることは、一向これは憲法上差しつかえないと思う、強制しているのでなければ。それを一つやってほしい。
 それから、船員局長に一つお伺いしたいのですが、先ほどから御答弁をされておるお言葉を拝聴しておるというと、職業紹介、それから技術の再訓練等に力を入れて、そうして若干期間失業が出るであろう、その人たちの処置を考えていこうという、こういう態度のようですが、それは職業の再訓練をやるということは、技術の再訓練をやるということは、船員としての再訓練をやろうとするのか、それとも、この際、転業をさせるための、ほかの職業の再訓練をやらせると、こういうのですか。やはり船員をやらせるために技術の向上をはからせていく、こういうことですか。
#47
○政府委員(吉行市太郎君) ただいまお尋ねの点は、その船を下りられた船員が、自分で働こうという場合もあり得るかと思いますが、われわれの考えておりますのは、先ほど申し上げましたように、海技大学校なり、あるいは海員学校で、船員としての、新しい船に順応できるような資格なり技術なりを修得してもらうための再教育、これを考えておるわけでございます。
#48
○松浦清一君 その間の生活はどうなるんですか。
#49
○政府委員(吉行市太郎君) その点が心配になるところでございますけれども、非常に最近の新造船の状況を見ておりましても、かなりの船腹が建造されておりますし、さらにまた、今後も倍増計画に見合った外航、内航、ともに船腹の拡充が必要であるという趨勢でございますので、先々船員というものが、場合によってはかなりの不足がくるかもしれないというふうなことも考えられるわけでございまして、おそらく、船主といたしましては、かりに自分の船をスクラップいたしましても、当然代替船もございますし、すぐにその船員を失業させるということはまずないのではなかろうか。むしろ、かりに船がスクラップされて、新造までの間のギャップがございましても、これは予備員なり何なりという形で備えていくのではなかろうか。さらにまた、そういうことがございませんでも、今六カ月間は失業保険の制度もございますし、われわれといたしましては、できるだけ短期間に、次の船に下船した船員が乗り得るように、あらゆる方面からこまかく措置をして参りたいと、かように考えております。
#50
○松浦清一君 これはどうなんでしょう。たとえば解体をするために係船をする、すぐに解体をする、そういうことが始まったときに、船員は下船をするわけですね、実際問題として。それから、その次の船を作らせるということは、運航中であっても、解体をいついつする、いついつ係船をする、解体をするためにですね。そういうことが約束されれば、片や運航をしながら、片や新造船を作って、そしてそのでき上がったときに係船をするなり解体をして、すぐに船員を送らせる、その辺のコースはどうなるのでしょうね。これは船員局長なり海運局長、どうなるのでしょうね、それは。
#51
○政府委員(吉行市太郎君) この点はむしろ海運局の方から御説明いたすことかと存じますが、この十六次船に見合う解撤におきましても、新しい船ができて、その後何カ月かのあとで解撤するというふうにわれわれ聞いておりますので、今度の戦標船のスクラップ・ビルドにおきましても、まずつぶして、あとから船が新造し、稼働するということじゃなくて、つぶすという確約で新しい船の建造なり稼働が始まる、われわれとしては、かように期待いたしておるわけでございます。
#52
○松浦清一君 期待でなしに、そういう方針を立てておるのじゃないですか。
#53
○政府委員(若狭得治君) 具体的に申しますと、計画造船につきましては、竣工後三カ月以内に解撤をするということにきめておりますが、ただ、それはその解撤の約束をいたしまして、まあいつまでも動かされては、どうも解撤の義務づけという制度の趣旨から見て適当でないものですから、一応三カ月以内に解撤するということをきめておるわけでございます。
 それから今度の戦標対策といたしましては、解撤を約束いたしましても、二年間はそのまま大修理しないでも運航するということを認めておりますから、その期限内に新造ができますれば、新造した後において解撤する、実施するというような実際の状況になるというふうに考えております。
#54
○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、これをもって質疑を終了し、討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、附帯決議案につきましても討論中にお述べを願います。
#55
○松浦清一君 いろいろ問題になっておりまする戦標船は、御承知の通り、戦争中に急造された低能船でありまして、すでに現在においては、船舶安全上、十分な耐航性を期し得ない実情にありまするので、運輸当局では、昭和三十五年七月の通達によって、三十五年十二月以降戦標船の検査及び補修を強化する措置を講ずる方針を立てられましたが、この通達による戦標船の補修工事費は相当多額となり、これらの船の貨物積載量の向上とは無関係な船体補強工事であるので、それら船主の経済力から見ても、また工事の性質から見ましても、今回の通達による修理工事を行なうことは事実上困難であります。このまま放置すれば、係船または解撤して、営業手段を失なうことになる事態の発生が予想されまするので、このような場合には、戦標船の乗組員についても深刻な失業問題も発生するおそれもあり、政府は、これらの中小の戦標船保有船主に、現有の船を解撤して、代船を建造させる方針を立てられたわけであります。
 当初運輸省は、現有戦標船七十万総トンのうち、継続使用のもの及び十六次計画造船によって解撤されるものを除いた残りの三十六万トンを二年計画で次の方法によって解撤することとされ、十七次、十八次計画造船によって十六万トン、国内旅客船公団を改組して二十万トン、二十六年度における公団方式による建造量と解撤比率を一対一で、年間十万トンと見込み、公団に対する政府出資八億円と財政融資四億五千万円の予算要求をされたわけであります。しかし、三十六年度の船舶処理対策経費として認められたのは、開銀融資が七億円と公団に対する財政融資八億円、計十五億円に切り詰められたのであります。当初の二年計画を三年計画にこのために改められて、また新造と解撤との比率を一対一・五程度を目標として実施することを検討中との、今までの質疑によりまして方針が明らかとなりました。この程度の財政措置では、三十六年度においては大体四万総トンを解撤して三万トン程度しか新造ができないということも明らかになったのであります。
 戦標船の危険性と不経済性は、この程度によって解決の見込みは立たないのであります。従って、三十七、八年度においては、全力を尽くして解撤、代替船建造のための資金の確保が必要だと思うのであります。この意味において私は本案に賛成をいたしまするけれども、各党と御相談の上、次の通りの附帯決議を付しまして本案に対する賛成をいたしたいと思います。
 附帯決議案を朗読いたします。
   国内旅客船公団法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  わが国海運の体質の改善を図る上から非採算的であり且つ安全性の乏しい戦標船の解撤を行い代替船を建造することの緊要欠くべからざるは異論のない処である。然るに、昭和三十六年度における融資額は僅かに開銀七億円、公団八億円計十五億円に過ぎず、斯くしては、現有せる戦標船の解撤、代替船建造には相当長期間を要することとなる。
  よって、政府は、左記事項について、特段の措置を講ずべきである。
     記
 一、融資額の増額を図ること。
 二、戦標船解撤に伴う下船船員に対する処遇について特段の対策を講ずこと。
 右決議する。
 以上をもって賛成の討論といたします。
#56
○大倉精一君 私は、本案並びに決議案に対して賛成いたします。
 ただ、質疑の途中で明らかになったように、本年度におけるこの程度の予算の措置では、いわゆる運輸省が計画をしておる三年間に二十万トンの代替建造は不可能である、これは明らかになりました。従って、この決議案にもある通りに、戦標船の解撤、代替建造については、予算面においても格段の一つ努力をしていただきたい。特に来年度から、運輸大臣の答弁によりまするというと、大蔵省を啓発して云々というお話でありましたけれども、三年間にこの不採算並びに非常に安全性の乏しい戦標船については完全に解決すると、この一つ努力をしていただきたい。と同時に、この決議文にもあるように、この措置によって下船しなければならぬというこの船員の処遇に関しましては、格段の一つ御配慮を願いたい。先ほど質疑の中でも申し上げた通りに、これは言うならば、国策のために犠牲になるという人でありますから、政府としては格段の一つ措置を講じていただきたい。これを要望して賛成をいたします。
#57
○天埜良吉君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております国内旅客船公団法の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。
 戦標船は、材質も粗悪であり、構造も劣弱でありますし、すでにかなりの年数を経ておりますので、航行上の安全を期しがたいのが実情であります。一方、戦標船の船主、ことに中小の船主は、普通の金融方法では資金の調達がきわめて困難なために、代替船を作り得ない事情のもとにあるのであります。従って、この戦標船の処理問題は、わが国海運政策上緊要な、かつ困難な問題となっておるのでありますが、今後法案の成立施行によりまして、戦標船船主、特に中小船主に代替船建造の力を与えまして、従って、わが国沿岸輸送力の増強に寄与するものであることを思いまして、私は本法案に賛成の意を表するものであります。
 なお、この法案成立により効果を大きくするためには、融資額の増額がことに必要であり、また下船船員の処遇に対しても、これまた特段の対策を講ずることが必要でございますので、この決議案にも賛成をいたすものでございます。
#58
○委員長(三木與吉郎君) 他に御発言もなければ、これをもって討論を終局し、採決を行ないます。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#59
○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 次に、賛成の討論中に各会派共同提案による附帯決議案の採決を行ないます。本決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#60
○委員長(三木與吉郎君) 全会一致と認めます。よって本決議案を委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願います。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#61
○委員長(三木與吉郎君) 速記をつけて。
#62
○国務大臣(木暮武太夫君) ただいま国内旅客船公団法の一部を改正する法律案が、本委員会におきまして慎重御審議の結果、全会一致をもって御可決をいただきまして、まことにありがたく存ずる次第でございます。御審議の間におきまして各委員のお方々から御発言のありました重要なる問題につきましては、その趣旨をよく体しまして、本案実施の上に十分に活用いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思うのでございます。ことに、ただいま本委員会の附帯決議となりました件につきましては、政府といたしましては、御決議の趣旨を尊重いたしまして、御期待に沿うように努力をいたす次第でございます。
#63
○委員長(三木與吉郎君) 一時まで休憩をいたします。
   午後零時十三分休憩
   ――――・――――
   午後一時四十五分開会
#64
○委員長(三木與吉郎君) ただいまより委員会を再開いたします。
 ダンプカー事故対策に関する件について、交通対策本部より御報告を願います。
#65
○政府委員(藤枝泉介君) 最近のダンプカー、砂利トラック等の事故が頻発するにかんがみまして、総理府に設置いたしております交通対策本部といたしまして種々対策を講じて参って、ほぼ成案を得るに至りまして、おそらく来週中には決定を見るものと思いますので、その大要を報告申し上げます。
 いろいろの項目がありますが、第一には、安全運行とでも申しますか、そうした安全運行確保の対策でございますが、その第一の問題としては、積載量を適正なものにするために、たとえば砂利の取引を現在の容量制から重量建制とするようなことを砂利採取業者あるいは建設業者等に対して協力を求める。
 第二には、砂利採取業者あるいは砂利販売業者の組合その他の団体を通じまして、積載量を厳守することに対して協力を求める。
 それから、安全運行の確保の第二の問題としましては、積載量超過あるいはスピード違反、踏切前の一時停止の違反、無免許運転等について、主要な運行経路においては、強力に取り締りをいたす。
 それから第二の問題といたしましては、何と申しましても砂利採取業者、砂利販売業者の経営が安定することが必要であろうと存じます。従いまして、こうした業者の組織化を促進するために、アウトサイダーに対しての組合の加入を促進をする。そうして組合に入っても、何らの利益がないというのではいけませんので、こうした協同組合あるいは商工組合等につきましては、経営資金あるいは設備資金の確保について、十分配慮をしていくということでございます。
 第三の問題といたしましては、この差し上げました資料でもおわかりのように、事業量の季節的な変動というものが、これらの業者の経営を不安定にしておるという点もございますので、特に官公庁等の建設等の事業につきましては、できるだけ年間を平均するような処置を考えて参りたいということでございます。
 それから、第四の問題といたしましては、砂利採取の許可の期間が非常に短かいという点が無理に掘る、そうして無理に運搬するというような結果をもたらしますので、との期間は、河川あるいは海岸の管理上支障のない範囲において、できるだけ相当の期間を与えるということが必要と思います。そうした方法を考えて参りたいと思います。それから、砂利採取の許可にあたりまして、あまり多数の業者に許可をするというようなことになりますると、そこにまた過当な競争が起こり、無理が生ずるというようなことがございますので、事業協同組合あるいはその組合員については、特別な配慮をするように河川管理者あるいは海岸管理者において考えていただくということでございます。それと同時に、この過当な競争、乱掘等を防ぐために、河川管覇者等において、十分河川の監視の強化をはかるとともに、事業共同組合等に対しましても協力を求めるというような、こうした砂利採取業者あるいは砂利販売業者の経営の安定をはかっていくということが第二に必要であろうと考えておるわけでございます。
 それから第三には、この労働条件の改善であろうかと思います。それで、労働基準法の施行を確保するために、重点事業としてこれを監督し、あるいは労働条件の実施の把握に努める。それから一日八時間労働あるいは週休制等の指導に努めますと同時に、時間外労働、休日労働については協定の締結をさせる、あるいは割増賃金支払いに関する監督を強化する、そうして違反を是正させて参りたいということでございます。それから就業規則を制定し、労働条件を明確なものとするほか、賃金台帳その他の書類を整備させまして、それを十分監督をして参りたい。
 かような三つの、すなわち安全運行の確保の対策と、業者の経営の安定対策と、さらに労働条件の改善に関する対策と、これら三つの問題を以上申し述べましたような項目に関連いたしまして、各省庁それぞれの系統に従いまして、協力してやって参るということによりまして、事故の根本的な対策に持って参りたいと考えておる次第でございます。
#66
○委員長(三木與吉郎君) 質疑のある方は、御発言を願います。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#67
○委員長(三木與吉郎君) 速記つけて下さい。
#68
○大倉精一君 今までダンプカーによる事故が相当たくさんあったのですけれども、事故の被害に対する補償、損害賠償といいますか、そういうような状態は、どういう工合になっているかおわかりになっておりますか。
#69
○政府委員(藤枝泉介君) 具体的に個々のやつの、どういう賠償をしたかということの調べは、今のところございませんのですが……。
#70
○大倉精一君 これは大ていダンプカーは、小さい業者なんですね、事故というものは。泣き寝入りのような格好になっておる、賠償能力も何もないというのが実情らしいのです。
 そこで、これも一つお調べ願って対策のうちに考慮願いたいと思うことは、この大きな業者ですね、たとえば大林組とか何とか、これがみずからの運搬車を用いずに、小企業、小さな業者のダンプカーを使っておる。これには、いろいろな意図があるらしいのですね。これは私は、ほんとうかどうかわかりませんけれども、お調べ願って、もしそうだとすれば、これは対策を立ててもらわにゃなりませんが、その理由というのは、ダンプカーが事故を起こして一流の土建屋さんであれば、相当の賠償を払わなければならぬし、めんどうも起こる。が、しかしながら小さなダンプカーですね、運搬業者、こういうものになりまするというと、もう事故の賠償は、そちらの方の責任でやってしまって、大きな土建業者は、もう全然関係なし、そういうことの意図もあるように聞いているのですが、そういう点について、お聞きになったことありますか。
#71
○政府委員(藤枝泉介君) 大規模な土建業者が、そういう事故の賠償を免れるために、そういう砂利販売業者とか、砂利採取業者のトラックを使っておるということがあるかどうか、なお調査をいたしませんとわかりませんが、それらの実情は調査をいたしまして、御報告申し上げることにいたします。
#72
○大倉精一君 今のことは、私は業者の方から、そういうことを聞いたことがあるのですから、これはもう、あなたの方で対策を立てるに際して、そういう点についても、一つ十分御調査を願いたいと思っておるわけなんです。
 それから何といっても、やはり労働条件の問題なんですけれども、これと並行しまして、運転手の数が非常に少なくなってきておる、こういうことから、何といいますか、トラックの運転手が三年たって資格ができればタクシーの方に引っこ抜かれる、トラックの方は、今度はダンプカーから引っこ抜いてくる、ダンプカーは、いわゆる技術の低下しておる運転手で間に合わせる、こういう悪循環があるそうですね、こういう点についてもお調べになっておりますか。
#73
○政府委員(藤枝泉介君) その点は、御指摘の通りでございまして、自動車の数に比較いたしまして、運転手の数が少ない、従いまして優秀な運転手は、タクシーその他に抜かれていく、そうしてトラックのうちでも、そのダンプカーなど砂利トラックの運転者が、いつでも若い未熟な人のたまりになっておるという実情は、調査をいたしております。
 従いまして、結局、これはやはりダンプカー等の運転者の労働条件、ことに貸金等を含めた労働条件の改善をいたさないと、これはなかなかその熟練した者が、そのままダンプカー、砂利トラック等の運転者として残っているということが、需要供給の関係でなかなかむずかしいようでありますが、その辺もありますので、これは主として労働省関係でございますが、労働条件の改善に努める。そしてそのためには、やはり業者の経営を安定させて、経営資金等についても、特別な配慮をやって参りませんと、なかなか労働条件の改善もできないというようなことで、一方において経営の安定対策を講じますと同時に、そうした労働条件の改善に強力に監視して参りたいという考え方でございます。
#74
○大倉精一君 これは労働条件を改善するというのは、根本なんですけれども、これは実際問題として、なかなか言うべくしてむずかしいと思うのですね。具体的に、どうしてそれじゃ改善するかということになるわけなんです。これは、今おっしゃったように、おのおの担当官庁が違いまして、これがばらばらでは、どうにもならぬと思うのです。ですから、これはもう労働省、運輸省、あるいは警察、あるいは通商産業省ですか、こういうようなものが、共同して一つの一体となった対策を立てないというと、これは本物になってこないんじゃないかと思う。
 特に、この間参考人として来てもらった中で、労働組合の組合長さんが最後に言われたことは、砂利業者といっても、現在官民ともに、その実態はおそらく御存じないだろうと、こういう発言があるわけなんですね。これは私、非常に重大な発言だと思う。ですから、砂利採取業者あるいは運搬業者、販売業者というものを、その実態というものを正確に一つつかんでいただいて、これが非常に乱脈であり、あるいは無統制であり、あるいはそこから原因があるとするならば、これ自体に一つメスを加えなければならぬという工合に考えるのですが、そういう実態については、十分御調査になっておるわけですか。
#75
○政府委員(藤枝泉介君) できるだけの調査をいたしておるんでございますが、ただいま御指摘になりましたように、なかなか、ことに中小の業態等については、十分な調査が行き届きかねておるわけでございます。ことに労働基準法の適用等についても、従来必ずしも十分であったとは考えられませんので、できるだけその実態をつかみながら、そうして労働基準法の励行であるとか、そうした面については、今後強力に進めていく。進めていくについては、ただいまも御指摘にありましたように単に労働省ばかりでなくて、警察関係あるいは通産関係等も一体になってやらないといけないんじゃないか。ことに、この業態は採掘をしますについては、ある程度の規制がございますが、その他については、これは一般の営業と同様に自由にできるというようなことから、業者の数はあまり変わらなくても、その内容はずいぶん、つぶれる者もあり、また新しく始める者があるというようなことで、変動がはげしい業態のように見えますので、その辺は、さらに実態の調査あるいはそれに適応した対策等を立てて参らなければならぬと考えております。
#76
○大倉精一君 やはり今の弱小業者の実態は、まだなかなかつかんでおられぬようですけれども、実際の事故の起こるのは、こういう弱小業者といいますか、こういう部面が非常に多いと私は思うのですね。ですから、そういう部面をどうするかということも一つの大きな問題じゃないかと思うのです。
 それから今度は、土建業者と砂利採取、あるいは販売、あるいは運搬業者というものとの関係ですね。これは、前にも申し上げた通りに、この関係は、私は十分一つ御検討願いたいと思います。特に最近、砂利の採取場が、だんだん砂利資源が枯渇して遠くなってくる。遠くになってくるのであるが、距離の遠近によって値段が変わるということはない。同じ値段だと、こういうのですね。
 ですから、遠くになればなるほどやはり無理をしなければ採算に合ってこない、こういう点についても何か一つ考慮されなければならぬじゃないかというふうに考えるのですが、その点についての何か御議論があったのですか。
#77
○政府委員(藤枝泉介君) 確かに砂利資源がだんだん枯渇して参りまして、もう近郷では、たとえば多摩川筋などでは、ほとんどだめになって、相当、百キロ以上も遠いところからとるというようなのが実態のようであります。それにもかかわらず価格の方は、運賃をプラスしたということでなくて、多摩川の砂利も利根川の砂利も同じだというような、これは需要の方からいえば、またもっともなことなんでございますが、そういう実情でございます。
 それらの実情は、承知をいたしておるのでございますが、まあ当面の問題としては、別問題として、こうだんだん砂利が枯渇しますと、どうしても砕石というような方向に進まざるを得ない点もあるのかと存じます。従いまして先ほど申しました、業者の経営の安定という問題にからんで、その辺のところも、一つメスを入れていかなければならぬと考えておるわけであります。
#78
○大倉精一君 さらに、この前の参考人の話の中で、採取業者が権利だけをとって、その権利を他に譲渡ないしは貸し与えている、それだけでもって、みずからは頭をはねておるといいますかね、そういう業者がおるというような参考人からの話もあったんですが、そういうようなものに対しては、どういうような措置をされるのですか、考え方をお持ちになっておりますか。そういう業者も、やむを得ないというふうなのか。
#79
○政府委員(藤枝泉介君) 御承知のように採取の許可権は、河川管理者たる都道府県知事にございます。従いまして今御指摘のような、いわゆる権利だけとって、その権利を売買しておるというような実情については、まだ詳細を知らないのでございますが、あるいはそういうこともあり得るのじゃないかと思います。
 従いまして、これは河川管理者たる都道府県知事等を通じまして、十分その河川管理を強化をいたしまして、乱掘その他を防ぐと同時に、そういう権利の上に眠るようなと申しますか、権利だけを取るというような、そうして権利が売買されているというようなことを監督していただくような方向に、府県知事を通じてお願いをしたいと思っております。
#80
○大倉精一君 そういう実情は、できればこれは、県知事から聞いてもらいたいと思うのですが、労働組合もあるようでありまするから、実際働いておる連中を直接呼んで、そうしてお尋ねになるというと、ほんとうの実情がわかるのじゃないかと思うのですよ。ですから、そういう方法もお考えになっていただけたらけっこうだと思います。
 要するに、これは案ができたらお見せ願うのでありますが、そういう点についても、深くメスを入れて、この際、抜本的に一つやっていただきたい。特に各省庁間の協同につきましては、格段の一つ御配慮を願いたいと思います。
 それで、これはあれですか、きまったことは、どういう方法で実行に移されるのですか。
#81
○政府委員(藤枝泉介君) 今回のこの総合的な対策は、先ほど申しましたように対策本部の議を経まして次官会議、さらに閣議決定までいたしまして、各省庁の長、大臣その他の責任においてやっていただくことにいたします。そのほか、具体的に対策本部で議になった問題につきましては、常に対策本部といたしまして、各省に推進をお願いをいたしまして、各省の対策がちぐはぐになって効果が現われないようなことのないように努めて参りましたし、今後も努めて参りたいと考えております。
#82
○大倉精一君 それで、この対策が、一応決定し、閣議に報告され、そうして、これが本ぎまりになるわけなのですけれども、こういうものの対策というものは、一旦きまったからというので、それでコンクリートすべきものではないのであって、ですから、あるいは場合によっては本委員会にも来ていただいて、われわれの意見も聞いていただいて、そしてさらに補完すべきものは補完するという、こういう一つ方針でもって進んでいただきたいと思います。これは、こうきまったのだから直せないとか、そういうことはないでしょう。
#83
○政府委員(藤枝泉介君) こうした対策は、御指摘の通り時々また新たな対策を講じなければならない問題が生じてくるわけでございますから、これは一応閣議決定をいたしますが、単に、それでもう能事終われりというような考え方ではございません。対策本部といたしましては、常時の活動において、さらに補完すべきものは補完し、また閣議決定に至らないまででも、各省庁でやれる問題はやっていただくということにいたします。
 また、この閣議決定をいたしました方につきましては、それについて各省庁が、どのような措置をとったかということは報告をとりまして、事後の行政運営のトレースをしていくつもりでございます。
#84
○大倉精一君 それで、私の方でも逐次注文をつけ、また注意も申し上げたいと思うのですけれども、閣議に出す前に報告される原案ができましたならば、一つお見せを願って、その上でまた要望を申し上げたり、また御質問をいたしたいと思います。
#85
○大和与一君 関連ですが、交通対策本部は、総務長官が大臣になられるのだから、砂利の問題まで大へんだけれども、ほんとうに交通対策について、本来的な問題については、一体どのように、東京全体の交通について、あるいはその他について御検討されておるのか、その辺を第一にお伺いいたしたい。
#86
○政府委員(藤枝泉介君) 申し上げるまでもなく、この交通対策になりますと、これはまあ各省庁並びに東京都その他にも関連をするものでございまして、なかなかバランスのとれた対策ということについては骨が折れるわけでございますが、そういう趣旨もあり、また国会の方の付帯決議の御趣旨もございまして、とりあえず交通対策本部を作りまして、そうして各省庁の施策がバランスのとれたように推進のできるということを今考えておる次第でございます。
 しかし、将来の問題としましては、さらにもっと突っ込んで、首都交通というようなものについて、一体、どういう機構でやったらいいのかというようなことまでもメスを入れれば、なかなかむずかしい問題ではないかと考えます、考えますが、現在といたしましては、現在の既存の機構、行政組織におきまして、そして、それらが十分バランスのとれた施策ができますように、対策本部を中心として推進をして参りたいと考えております。
#87
○大和与一君 当面のダンプカーの問題も大事ですけれども、本末を誤まらないで、交通対策本部は、全体の交通調整というものに、やはり本気でとりかかってもらわなければならないと思うのです。これは要望です。本部の提案ですから、そういうこまかいことはできないと思うけれども、相当国会の議事録、あるいは閣議の意見をまとめて調整するという形になるのだけれども、それによって今出される、二、三日中にきまるものは、内容としては自信があるもので、つぎはぎをして合わしたものではない、こういうふうな御自信はおありですか。
#88
○政府委員(藤枝泉介君) ただいま申しましたように、現在の行政組織、そして現在の各法令等を中心にいたしまして考えますときに、先ほど申し上げましたような方向が総合的な対策として最も適当ではないか。そしてまた、これをほんとうに各省庁が息を合わせて実施していただくならば、相当の効果を上げるという、まあ自信は持っておるわけであります。
#89
○大和与一君 それで、あとは要望になるかもしれませんけれども、あるいは前にも出た問題かもしれませんが、一つはたとえば清水組ならば清水組というところで、直接にその砂利を運んでいるのがいる。あるいは今度は清水組という名義人になってやっているところもある。その次は、その名義人の下請がある。その下請が、一段がまえならばいいのですけれども、二段がまえ、三段がまえとなると、その一番下に雇われている運転手というようなものは、普通に言われている雇用契約を結んでいると言われるが、実際は、そうでないのです。そういう点までよくお調べをいただきたい。さっき大倉委員の言ったように、運転手も事務員も何とか一つ直接に、あまりかたくならせぬように話を聞いてやる、こういうところにほんとうに私は労働条件の一番大事なところがあると思うのですよ。
 それからもう一つは、たとえば建築、土建の現場が、朝の八時から午後の六時、――小さいところは時間の制限がない、取り扱い量が少いから。小さい業者は制限すると商売にならぬ。でかいところは時間がきまっている。一日で大体三回ぐらいですよ。もう一回やったら、今度はそれで割増しがつくということで、それで無理をしてふっ飛ばしてけがをしたりするのだと思う。そうすると基本給的なものがあって、一万二千円ぐらいだろうと思いますが、ありますけれども、その基本給というものは、送り込む量が少なければ、その基本給すら下がる、こういうような建前が多いのじゃないかと思うのですよ。ですから基本給というものは動かぬものであって、もし余力があれば、行ってよければいってもらってもいいけれども、けがをせぬように行ってもらえばいいのだけれども、大体において三回ぐらいですよ。もう一回行ったら、たとえば基本給が一万二千円、プラスが大体三回で千円ぐらいじゃないかと思いますが、そんな割増しがついているのではないか、そういうふうな話も聞きました。時間に制限があって、午後六時にぴたっと現場の門が締まって、あとは運べれば幾ら運んでもいいけれども、ちゃんと検収員がいて、札か何かもらわぬと、運んだことにならぬ。それで、あんちゃんが一生懸命になって、よし、きょうはやるということで、砂利をおろしている間にめしを食ってしまう、大体、そういうような作業状態ではないかと思うのですね。要望になりますけれども、そういう点も十分おわかりだと思いますけれども、あわせて十分御検討いただいて、りっぱな案を一つ見せていただきたいと思います。
#90
○大倉精一君 せっかくの機会ですので、気がついたことですが、最近建築の夜間作業が非常に多いですね。その夜間作業と砂利運搬業者の労働時間との関係、これはやはり昼間より夜間作業まで食い込んでやられる、それによって疲労度が非常に多い、こういう点もあるようですから、こういう点も一つお調べになって、そういう点に対する措置もお考えを願いたい。
#91
○政府委員(藤枝泉介君) ただいま御注意のありました点は、なお十分調査をいたします。たとえば大和さんがおっしゃった時間の関係なんかも、場合によっては建築業者の協力を得て、少なくとも砂利の検収員だけは、時間が過ぎても残しておくというようなことも一つの考え方だと思いますので、そういう点も十分実態の調査は、さらに御注意の点も含めましてやって参りたいと思います。
  ―――――――――――――
#92
○委員長(三木與吉郎君) 次に、日本国有鉄道の運営に関する件について質疑の通告がございます。
 この際、御発言を願います。
#93
○中村順造君 私は本委員会で、ただいまから質問いたします内容につきまして、こういう質問をしなければならぬという事態を、まことに遺憾に存じますが、実は去る四日の本委員会の国鉄運賃値上げに問題がさかのぼるわけでありますから、大臣にしいてお残りいただいたわけでありますが、主として国鉄当局に質問をいたしますので、大臣も、今後の経緯もございますから、一つ聞いておっていただきたいと思います。
 四月八日の朝日新聞のトップに、ずっとこの運賃値上げの内容なり、国鉄当局の考えというものがまとめて出されております。この内容を見ますと、商業新聞でありますが、私の受けた感じとしては、何か国鉄の運賃の値上げの際に、国会の審議がまだ足らない、こういうことを新聞が指摘しておるような感じを受けるわけです。もちろんこれは非常に遺憾ではありましたが、途中で審議が打ち切られたわけでありますから、わが党は、あくまで内容を明確にするという、質問を続行するという方針が、あのような状態にならざるを得なくなって、この点は非常に遺憾でありますけれども、それにいたしましても、若干ふに落ちない点があるわけであります。
 そこでまず国鉄の、ここに新聞に写真入りで出ております兼松常務理事が来ておりますから、伺いますが、国鉄の運賃が、最終的に決定したのは、たしか五日の本会議だと思いますが、七日に記者会見をやっておられます。どういう目的でもって、どういう意味でもって、この七日の記者会見が行なわれたのか、まずその点を一点伺いたい。
#94
○説明員(兼松学君) 積極的に記者会見をこちらからしたわけでございませんで、クラブの人たちと若干懇談をいたしたのでございます。当日は、午後四時以降に総裁の記者会見がございます。通常は、よくその事前にいろいろな関係の問題を記者の方がお聞きになりたい場合がございますので、関係者が出まして、一般的な懇談をいたす例でございまして、当回も、その例の一つでございます。
#95
○中村順造君 そういう意味の記者会見だということはわかりましたが、今日まで運賃値上げをめぐりまして、いろいろ国鉄経理の内容、あるいは仲裁裁定に関連をする問題、今後の運賃値上げ、こういう面については、かなり本委員会で審議をいたしました。一体現在の時点におきまして、兼松理事は、国鉄の経理に対する概念といいますか、もう少し具体的にいいますと、若干の余裕がある、あるいは従来言われておるように、国鉄の経営については、余裕はないんだ、われわれが審議をする中では、いろいろなことが言われておりましたけれども、私どもの概念は、国鉄には財源上大きな余裕はない、こういうような前提の上に立って、ああいう議論をしたわけですが、兼松理事は、一体今の時点で、その点については、どういうふうにお考えになっておるか。
#96
○説明員(兼松学君) 現在の時点におきましても、財政的には非常に苦しい。しかし国会で御承認をいただいた予算の、運賃値上げの基礎になっております五カ年計画の初年度を何とかして支障なくやっていきたいという努力をいたしておる次第でございます。
#97
○中村順造君 余裕がないと言われますが、四日の日のあの運賃値上げの最終段階で、国鉄は仲裁裁定の実施をめぐって、総裁も、あのときおられましたけれども、これは私が今、感じと申しましたけれども、具体的に、国鉄には余裕はないではないか、特に余裕はないから、五カ年計画を実施するについても、年々四百八十六億の財源の捻出に困っておるから、運賃値上げをするのだ、こういう説明があった。もちろん四百、五百という余裕があれば、運賃値上げをする必要はないということはこれはあたりまえなことです。ないから、運賃値上げをしてまかなうという一貫した説明です。今度仲裁裁定が出されて、二百億という財源が必要になった。これはあらかじめそういうことを考えておくべきが当然であるが、幸か不幸か、そういうことは考えの中に入れておらない。具体的に予算には盛られておらない。しかも金額は、今度運賃値上げの約四〇%にも及ぶような膨大な金額。そこで国鉄には、今あなたの言われるように余裕的な考え方はないという前提の上に立って、この仲裁裁定の実施をどうするかということを、私は本委員会で長々と入れかわり立ちかわり質問いたしました。
 その際に、私はどうも妙な感じがいたしましたが、あたかも国鉄の部内の操作で金が出るような表現をされたのはあなた一人だった。これは、あなたが担当の理事でありますから、あなたが一番詳しいわけでありましょうけれども、当時のあなたの説明では八十億の、いわゆる予備費から幾らか出す。それから退職引当金の方から幾らか出す。合理化をして幾らか出す。こういうふうな表現をされているから、それは、そういうことを言われて、何か片一方で運賃値上げをする。片一方では国鉄の財源に余裕があるような表現をされることは、これは矛盾しているんじゃないか。この際は、予算上質金上、国鉄の経営の中で金がないとするならば、政府にめんどうをお願いするのがあたりまえじゃないかという私は質問をした。この問題については、最終的に大和委員から指摘されましたが、総裁は、一貫して苦しい苦しいの答弁だった。大臣は、検討中々々々の答弁、あなたは、何かそういう具体的なものを上げたから、あなたの言われたことは、何かあるような印象を受けた。
 ところが、最終的には政府にめんどうをお願いすると言われたから、私はその点についての質問を打ち切った。
 ところが、七日の記者会見におきましては、あなたはどういう内容を記者に発表したのかしりませんけれども、朝日新聞に出ておるこのまとめ方については、非常に国民に大きな疑惑を、当時私が心配したような疑惑を与えておる。しかも、これはけしからぬという前提の上に、こういう疑惑を与えたということになっておる。そこで私は尋ねますが、大体三十五年度の決算の見通しというのは、いつついたのですか。
#98
○説明員(兼松学君) 当日、総裁記者会見のときにも、私があとで参りましたので、新聞の記事で非常に誤解を受けるような記事が出ましたことは、私自身も非常に残念に存じておりますし、また説明の不十分な点から誤解を招いたような点は非常に恐縮に存じております。
 国鉄の決算見込みというものは、確定いたしますのは七月の末でございますが、今この予算を編成いたしました当時におきましては、収入が、約予算の二百二十六億くらい増で、経費が、やはり同額で、大体収支とんとんにいけるということで、三十五年度末の予算を見て、予算の編成をしたわけでございますが、二月、三月の経過に応じまして、若干支出の方よりも余裕が出てくる、よけい少し増収が上がりそうだという見通しがついて参りました。まだ的確な数字はわかりませんが、その額は大体五十億ないし六十億であろう、こう考えております。もっとも当初、この額が予想できますならば、五カ年計画がおくれておるような時点でありますから、工事資金に見込めるわけでございますけれども、景気なり、情勢、その他の見通しが、これは税金でも同様であったかと存じますが、予想以上に上がってきたという時点もございまして、予算の法規の上では、国鉄は差し引きで予算に対して上回った資金が出たならば、それは積み立てて翌年度の財源に使う、その前に欠損があれば、繰り越し欠損を差し引いて翌年度の財源に使え、一年において財源に使えということが、国有鉄道法の四十一条に書いてあること御案内の通りでございます。私どもは、それを一部繰り上げ使用でもお願いするよりほかしようがないのじゃないか。こういう見通しで申したわけでございます。
#99
○中村順造君 もちろんこれは、私は確定の時期を聞いておるわけじゃない。三十五年度の予算の見通しですから、私は、こういうことを言っておるのは、国鉄のこの決算の状態については、少なくとも――決算といえば語弊があるかもしれませんけれども、国鉄の業績をずっと四月から始めて、翌年の三月三十一日までの見通しを立てるなら、あなたも言われたように、現在三十六年度の予算を立てる時期において、トントンという見通しが立った。四半期ごとに――三カ月ごとに、ずっと見通しは立つわけです。これは三月が終わって、四月に入って、こつ然として、ここに五十億、六十億という見通しが立った。こんな私はずさんなものはないと思う。少なくとも、一月から三月までで、こつ然として五十億、六十億の増収になったというようなものではないと思う。むしろ、今年は未曾有の雪害と言われているから、この面については、よけいな経費もたくさん要っているだろうし、収入もふえている。そうすると、十二月の末までに、見込みとしては、かなりの増収見込みが立っている。しかも、私が言っておるのは、四日のときにあれだけ、現実に二百億金が要りますが、どうしますかという私の質問に対しまして、全然この問題に触れていない、そうでしょう。これは三月三十一日の決算で、三月ごとに大体国鉄の収支の見通しというものを立てるということになっておるのだから、それを立てた場合に、十二月になれば、あるいは一月になり、二月になり、三月になれば、大体、今年は五十億、六十億の増収がある――いわゆる増収、これは増収は増収でいい、あなたの方のいわゆる予想された増収に、さらにプラス五十億、六十億という増収だと、これは当然さかのぼって言えば、十二月の末、あるいは二月、三月の末には、これはわかっておらなければならぬ。しかも、これは四日の委員会の私の質問に対しましては、何らこのことに触れずして、七日の新聞記者会見に、あなたはこれを発表しておる。新聞は、どう言っておりますか、国鉄運賃の審議の過程においては、一切国鉄はふせておる、こういうことを新聞自身が指摘しておるじゃありませんか。物の道理は、そうでしょう、一年間の増収見込みの上に、さらにプラス五十億――これは五億や三億の金じゃないわけですよ。五十億、六十億という、さらにプラスされる増収見込みがあるならば、あなたの言っているように、八十億の予備金から五十億を出すというその前に、今年は五十億、六十億の増収見込みがございますと言うのがあたりまえです。
 この点はどうなんですか、全然わからなかったわけですか。
#100
○説明員(兼松学君) まだつかめなかったことは事実でございます。三月三十一日になりまして、私どもは、年度が過ぎますと、各支社の方に、まず第一に、一番大きな支払いの項目である退職金――退職者数等を見まして、現実には、その出ました資金差というものは――資金でございまして、収入増というだけではないのでございまして、資金の増減ということで、資金の問題でございますので、締めてからいろいろ概算をとりますのでございますが、工事の支払い等は継続中でございまして、まだはっきりした見通しはついておりませんが、大きな見通しとしては、退職者の大体の退職金の計算概数がわかったり、いろいろなことをつかみましたのが、ごく最近でございまして、しかも、積極的にこちらから申したのではございませんので、国鉄として二百億に近い金がどういうふうになるのか、こういう御質問がありましたので、国会でも当時から申し上げました通り、われわれとしては、まだ予算をお願いしている最中であって、的確にお話しするわけにはいかないし、かたまってもいない。しかし、何とかしてやりくっても、年度内としては、予備金の充当とか、退職の繰り延べとかいうことで、百億程度のものを予算としては動かせる。ただ、それは将来また災害があれば、また御考慮をいただかなければならない金を、先に立てかえるということであって、余裕があるというわけではありません。そうしますと、どうしても二百億近い金が経費として要るから、その差額については、借金をお願いするか、あるいは翌年度の予算に充当すべき金を先に使わせていただくというようなことでもお願いするより仕方がないと考えておると――私現在も、そう考えておるわけでございますが、さよう申しましたのでございますが、説明が不十分でございまして、先生の御指摘のような誤解を招くことになりまして、まことに私としても至りませんので、恐縮に存じております。
#101
○中村順造君 私は、内容がいいとか悪いとか言っておるのではないのですよ。物の筋道が、あなたの話を聞いていると、何か四月に入って、七日の前日か前々日か知りませんけれども、こつ然として、ここに増収の見込みが五十億ふえた、六十億ふえた、こういうことをあなたは発表しておるから、私は、そうでなしに、少なくともこういう巨額の――新聞には剰余金という言葉が使ってあるけれども、剰余金が、こつ然として五十億、六十億ふえたという、こういうことはないのではないか。少なくとも、国鉄が一年間の経営の中で、三月三十一日末にはどうなるかという予想は立てられるじゃないか。それは的確な数字は出ないでしょう。昨年の暮に、労使の団体交渉の席上でも、百億以上の増収にはなっている、そういう話がされたわけなんです。これは毎年ですね。この三月期末手当をきめる場合の団体交渉でも、この経理の内容についてのやりとりが若干された中で、今年は、前年度に比べて大体どれくらいのいわゆる増収見込みになると、大体の概数は出ておる。ところが、あなたはそれをあの運賃値上げの最中には一言も触れていない。私が聞かなかったかといえば、聞いておるわけです。仲裁裁定の内容をめぐって、どこから金を出すかと言って聞いたときに、一言も、その点に触れておらない。だから世論が、一体何をしているか、国鉄は大事なときには、きわめて低姿勢で、あるものを隠しておる、こういう印象を国民に与えておるわけです。
 だから、あなたがそれがわからなかったと言えば、それはおかしい。五日、六日、七日に初めてわかった、そういうものではないと思う。少なくとも、見通しの上に立つならば、あの審議の段階で、あなたはそのことを正直に言うべきではないか。具体的な問題は、今言うような退職金の引き延ばしだとか、いろいろ言っておるわけです。合理化によってどうするとか、あるいは予備金を五十億程度使いたいとか、そういうことを言っておきながら、肝心のこの問題については、全然触れておらない。だから、故意に隠したと言われても、仕方がない。この点は、どうなんですか。
#102
○説明員(兼松学君) これは、私が新聞記者の方々にお会いしたときも、剰余金という言葉は一切使っておりませんし、私は剰余金という性格であるとは今でも思っておりません。これは新聞社の方が、その御判断でお書きになったものでございまして、私としては、資金として、そういったようなものが、これは節約で出てくる場合、あるいは支払いがおくれて出てくる場合があって、すべて最終的に会計処理をされてから初めて、どこまでがどういうふうな格好になるかきまるわけでございまして、一つの資金上の問題でございますので、私は来年度――三十七年度に充当さるべき資金の繰り上げ使用を五十億程度お願いするつもりで、お願いしたいと思っているということを申したのでありまして、その性質としては、いろいろ議論は出てくるかと思いますが、私としては、そういう誤解を招くような心配もございましたので、その用語は使っておりませんので、そのときにおられた方からもし御聴取下されば、私が剰余金という言葉を使わなかったということは、間違いなく証明を得られると、私は確信いたしております。
#103
○中村順造君 それは私どもの党内でも、そういう問題が出たことがありますが、剰余金というものが国鉄にあるわけはない、それは私も、そういう説明をしました。しましたが、あなたが剰余金という言葉をまさか使っておらない。もし使っておるとするならば、一体国鉄の剰余金とは何かという質問をしたいと思うけれども、あなたが先に、剰余金という考え方はないと、こう言うから、まあそれは認めます。認めますが、これは仲裁裁定をめぐっての話でしょう。これは当然、日本国有鉄道法によれば、それだけの意味の金が出れば、一年おいて三十七年度に使われる金なんです。その金を、五十億程度三十六年度に前寄せて、仲裁裁定の実施に充てたいという話を、あなたは発言をしておる。仲裁裁定の実施に関連した問題である。
 大臣、この仲裁裁定のお話を、この前四日の日に、私大臣にお尋ねしましたが、少なくとも大臣は、完全実施をされるとあの当時も言っておられますが、公労法の十六条なり三十五条によりますと、これはそう長々いつまでも延ばされるものじゃないのですね、これは。まあ、いつも政府の方では、法を守れ、姿勢を正せとこう言われるが、これは、もう仲裁裁定が出されてから今日まで、私どもの理解する日にちは、ずっと過ぎていると思う。これは予算上、資金上、当事者に能力のないときには、予算措置を付して国会に出さなければならない。公労法――公共企業体等労働関係法によって、十二名という大量の首切りが出されておりますが、一体政府は、この公労法の十六条、三十五条を、どういうふうに理解されておるか、仲裁裁定の取扱いに対する完全実施の国会承認というのは、いつごろですか、これは大臣にお尋ねします。
#104
○国務大臣(木暮武太夫君) すでに御存じの通りに閣議におきまして、仲裁裁定がございましたときには、完全に実施するという話し合いができておるのでございまして、その後御承知の通りの仲裁裁定がございましたので、これを完全に政府としては実施をいたす決心をいたしまして、そうしてその後、その財源をどういうふうにするかということを、いろいろ研究をいたしておるのでございまして、それが、はっきりとつかめまして補正予算の内容が固まりまするならば、政府としては、なるべく早く国会に補正予算として提出して御審議を願いたいというふうに考えて、大蔵省と今打ち合わせをいたしておる次第でございます。完全実施をいたすことを前提としてその財源を検討して、そうして補正予算を組んで国会に提出して御審議を願う、こういう考え方でただいまも進んでおりますわけでございます。
#105
○中村順造君 大臣は、この仲裁裁定は完全実施をする決心で努力をしておると、こうおっしゃるのですがね。今まで政府がとってきた態度は、この仲裁裁定については、完全実施をしたことないですよ、何回も出されましたけれども。今度こそ、今までの言い方は、尊重すると、だから金額を尊重すれば、時期を尊重せずして、実施の時期をずらすとか、実施の時期を尊重する場合には、金額を減らす、こういうやり方をして労働者には、いわゆる五百九十九億という、まあ政府に貸しができた印象を与えておるわけです。今度は、たまたま大臣は完全実施と、四月一日、期日も金額も完全実施をするという閣議の方針と私は理解をしておりますが、これといえども決心と努力だけで、じんぜんいつまでもおられるものじゃないわけです。私どもの聞くところによると、何か衆議院のILOの特別委員会がまとまるとかまとまらないとか、あるいは農業基本法がどうだとか、そういう面にからみ合わせて、これは公労法の十六条、三十五条ということになりますと、国会開会中は、裁定が提示されて十日後国会に出せ、もし閉会中ならば国会が開会されて五日後に出せと、明確に日にちまで切ってあるわけです。これがもう三月の二十七日に出された裁定ですから、きょうは十三日ですから、もう二十日近い日にちがたっておる。こういう状態で、仲裁裁定がもやもやしておるから、今いう兼松常務理事が言っているように、われわれが国鉄の経理内容を中心にして運賃の審議をする大事な段階に、みずからわかっておっても発表を、わざと故意に発表せずしてこういうことを、裁定の話が出れば、こういう議論に発展をせざるを得ないわけです。これは一にかかって、私は政府の責任だと思う。
 これは、この新聞記者の会見の場における重大発言を兼松理事がしておりますから、これはまた、あとで私は話しますけれども、一体早急に、この仲裁裁定の完全実施ということは、決心や努力だけでなしに、具体的に国会に承認を求めるように法律がなっている。一方では、さっき申しましたように、お前たちは、公労法に違反したからというので、今回の春闘でも十二名、それも内容が不明確、大臣との約束がありますから、私があとで調べてみましたけれども、全然その現場に居合わせておらない者まで首を切っている。しかも公労法では、この国鉄の列車の運行に支障を及ぼした者を解雇すると書いておりますけれども、全然そういうものに関係をしておらない、うしろから配給係で弁当のたき出しをしておった者まで、これは公労法違反だという名前で首を切っている。同じ公労法の十六条、三十五条には、国会開会中ならばこれを十日後に出せと書いてある。これは一体、だれが首になったらいいのですか、この場合は。労働者は十二名という、そういう不当な、理不尽な、内容を伴わない処分をしているけれども、こういう公労法の違反については、だれが責任をとる。しかも明確にしないために、こういうふうに新聞にでかでか、あたかもわれわれが今日、あれだけ努力を傾けて審議をした内容が一切、国民に対して大きな疑惑を与えるという結果になっている。これは七日の記者会見の中では、あとで発展をいたしますけれども、この仲裁裁定の実施から、この問題が出てやる。大臣は、一体こういう点どういうふうにお考えになりますか。だれが一体、この責任を負いますか。
#106
○国務大臣(木暮武太夫君) 仲裁裁定につきましては、ただいま申し上げましたように、政府の態度は一貫しておりますわけでございまして、いろいろ手続などは内閣の方でやっておりますわけでございます。
 それから運賃の改定は、当委員会におきましても、十分御審議を願いまして可決をみたわけでございまするが、今回の運賃改定は御承知の通りに、国鉄の輸送力を増強整備するということを目標といたしまして、長期間の見通しのもとに、それに必要なる資金を考究をいたしました結果、あるいは国鉄自身の減価償却の繰り入れであるとか、あるいは借入金にたよるとか、また、この程度ならば利用者の負担をお願いしてもよろしいではないかという国鉄の考えによって四百八十六億をお願いをするというようなことをいたしましたのでございまして、初めから国鉄が赤字であるから、運賃改定をやらなければならぬという実は考えでございませんで、先ほど国鉄の常務理事から御説明したように、国鉄運賃改定の踏み出しをいたしますときには、大体において経常収支はとんとんのようであるということを、われわれも承知をいたしておった次第でございまして、国鉄運賃改定は相当長い間の見通しをもちまして、国鉄の増強整備ということのために必要なる資金を、どういうことにしてまかなおうかということを種々考究いたしました結果、この程度は、利用者負担の運賃改定によってまかなうべきものであるということで、国会に提出をして御審議を願いましたようなわけでございます。
#107
○中村順造君 大臣は、また運賃値上げのときと同じような答弁をされているのですがね。それは、私どもも国鉄経理内容が赤字だから、今度の運賃を上げるというふうには聞いておりません。これは私も認めております。これはここ二、三年来国鉄の営業係数というものは一〇〇%を下回っておるのですから、事実今までの決算の中でもそれははっきりしておる。ですからただ私どもが理解をしておるのは、今大臣が言われたように五カ年計画遂行にあたってのいわゆる財源のために運賃値上げをする。そういうふうに理解をしておる。しておるから結局ここに新しい問題として出てきたのだ。それとは別に、これは私どもの主張としては、当然池田内閣の所得倍増といえば経済の発展も必要でしょう。けれども、それは倍増のための経済の発展が必要なんでしょう。そうすれば、これは五年先には、いわゆる職員が現在の給料よりも所得が何パーセントかふえなければならぬというのは、これは当然ですが、それを入れてないところに大きな問題があったわけです。それは私は今この段階でとやかく申しませんけれども、今言っておるように、仲裁裁定のいわゆる努力の深さが浅いために、いつまでたっても新聞に出ておるように、何か予備費から出すとか、あるいは退職引き当ての費用から三十億、四十億出すとか、こういうようなものは皆あくる年に回ってくるものです。それは国鉄の定年を五十五才を五十七才にすれば別ですけれども、五十五才でやめさすというなら、これはことしやめない人は来年必ずやめなきゃならぬ。これだけのものは来年必ず支出がふえるのです。これは国鉄がやったことがある。非常に問題になったのです。あのとき運賃の審議のときにも私も申し上げましたけれども、兼松理事はそういうことを言っております。国鉄はかつて国鉄が財政が窮乏したときにやったことがある、これはまずかったということを。ところがそういうことをやらぬわけにはいかぬ。それを計上して、そうして事務費の節約だとか何とかで、これは合理化で二十億だとか、あるいは今新聞で言う、私が先ほどから申し上げておる五十億、六十億の剰余金をもってこれに充てる。あるいは鉄道利用債を二十億ふやす。こういうようにして二百億ふやして部内操作をやる。こういうことをやるから一方では運賃の値上げをする。しかし国鉄はしぼればまだ二百億くらいの余裕財源はあったじゃないかという国民に疑惑を与えておる、けしからぬということで、今でこそ運賃値上げが実施段階になったから、国民は泣きの涙でこの運賃値上げを認めておるけれども、事実としてはこれはまことにけしからぬという印象を国民に与えておる。そこで仲裁裁定も、私は心中しましたように、一方では大量の処分者を出しておきながら、政府もまた公労法そのものを実直には守っておらない。これはあとで処分の内容につきましては、これは別の機会に間違ったことはどんどん指摘をして皆、直してもらおうと思いますけれども、私の調査した内容ではそういうことになる。
 それからこれは、総裁にも私は残ってもらおうと思いましたけれども、帰られたようですが、七日の記者会見で、仲裁裁定について当面は国鉄収支のやりくりで切り抜けられるということを総裁は言っておる。ことしは切り抜けられるということは二百億財源があるということです。これは予算上、資金上財源があるということになるわけです。もし総裁の言われたのがほんとうだとすれば、兼松理事はそこに陪席してどういうことを言っておるか。新聞に出ておるのは、さらに同席した兼松理事はやりくりをしても国鉄の経営は向う一年しか持ちこたえられない。そうなれば高率割引をしている定期券の割引率について考慮しなければならなくなるかもしれない。これもまたけしからぬ、国民としては。一方では二百億の隠し財源があるような表現をしておいて、さらに来年からは、ことしはそれで二百億の隠し剰余金があったから出してそれで済ますが、平たく言えば来年からやれなくなるから、今度はこの定期券の割引率を上げる、定期券の割引というのは大きい金額です。仲裁裁定をまかなうに足るだけの金額ですが、これを上げる。これは新聞はどういうことを言っておるかというと、これは国鉄最後の切り札だ、こういうことを言っておるのです。この点は兼松理事どうですか。なぜ定期券の問題にまで言及しなければ……定期券に限ってどういう気持で言われたのですか、兼松理事。
#108
○説明員(兼松学君) その点は、私財政の見通しを聞かれましたので、予算措置というものはいろいろ無理をしてもできますけれども、これは予備費を組んでいっても不測の事態が起きれば要るものでございます。退職金についても御指摘のあったようなものでございます。仲裁を守るという建前から仲裁はできるけれども、来年度になればいろいろ問題が財政上ある。私どもとしては借金をするか、いろいろ増収に努力するか、二つしかない、こういうことを申し上げた。その際に新聞社の方から、それなら運賃値上げを申請してまたやるのか、こういう折り返しての御質問がございましたので、私はそんなことはお約束もあるし、しないと言われておるのだから不可能であろうと私は思っております、こう申し上げました。そうしたら折り返して、じゃほかに何かないのかという御質問なので、折り返して、しいて考えれば公共負担の是正ということで割引の是正等が考えられますが、この問題は私にお聞きにならないで、大臣、総裁に聞いて下さい、席上私はそう申し上げたのでございます。私の言葉が非常に簡単かつ不適当でございましたためにすぐ定期というような新聞記事が出るようなことになりまして、私としてはそういった点も非常に恐縮に存じております。特にそういった方針があるわけでもございませんし、国鉄の長期の財政見通しについての問いに対して私がお答えしましたそのことが、非常に適切を欠きまして誤解を招くようになって恐縮に存じております。
#109
○中村順造君 適切を欠いたから誤解だとかなんとかということでなしに、あなたの気持が一貫してそこにあるわけだ。これはなぜかというと、定期券の率というところに目をつけるのは、あなたの気持がそこにあるから目がついた。これは国会の長い間の審議の中でわが党が一貫して主張したのは、なるほど国鉄の経理は苦しい、だから公共負担の分については、これは政府がめんどうを見るべきだというのがわれわれの一貫した考えである。だから公共負担の面については、もしあなたが真摯な気持で野党の主張にも耳を傾けるという気持があるならば、それは少なくとも借金はいいでしょう、あるいは何らか借入金もいいでしょう、これは同じことですが、ただこの際あなたがそのとき口をついて出る言葉が、今言う真摯な気持があるとするならば、膨大な五百二十五億の公共負担について、何割かを国にごめんどうを見ていただくということをお願いするということなら、それなら私もわからぬことはありませんが、五百二十五億の公共負担を持っておるということをあなたの方がずっと一貫して主張してきておるのだから、その分の五〇%なり六〇%なりを仲裁裁定に見合うものとして政府にめんどうを見ていただく、こういう言い方ならいいけれども、定期券という言葉を出すから、定期券のまた値上げだ、定期券は大体総裁の権限でできるでしょう、これは。その点どうなんですか。
#110
○説明員(兼松学君) 総裁の権限ではできません。主務大臣のお許しを得なければできないものでございます。行政許可事項でございます。
#111
○中村順造君 それはわかるのですがね。運賃値上げのように国会でこれだけ白熱した議論をしなくともきわめて安易にできる問題なんです。これはそういうように私は理解しておるのです。だから国鉄最後の切り札とか言われる。定期券を上げるとかしげないとか、ここに定期券に目をつけるところにあなたの気持があるから、何らか国鉄の中には操作する面がある。しかもこれは国会に諮らないでも、総裁が主務大臣の認可によってやるものがまだあるということを知りぬいておるからこそ、こういうことを言っておる。国民の立場になるとどうなる。いいですか。今回は率はそのままに置いたけれども、基礎運賃を上げたから、定期といえどもかなり大幅に値上げになっておる。今回はそのまま率は置いたと言うなら、定期の値上げをしないと言うのは当たらない。食い逃げです。このままで行って来年これでは仲裁裁定の実施をする金が足らないから率を上げます。定期だけ率を上げますと言えば、一つ一つずっと外堀、内堀を埋めていくように食い逃げをすることになる、これで国民が納得しますか。全くその最後の切り札で非常に国鉄は高姿勢だ。農産物の割引についても六月まではやるがその後はどうなるかわからぬ、こういうことまで指摘しておるが、あなた方の今やっておることと、今の考え方からこれは国民が納得しませんよ。これははっきり大臣はこの前運賃の値上げの審議の段階におきまして、仲裁裁定を実施しても五カ年計画は完全に遂行いたします、なおかつその間において運賃値上げをいたしませんということを約束をされておる。運賃値上げはやらぬ、これは定期の値上げも運賃値上げです。運賃値上げと定期の値上げと違うといえばそれまでですが、大体どうですか、定期の値上げは先ほど言われたように、五カ年計画の遂行並びに運賃値上げと同様に、再度少なくともこの期間中には定期の値上げもしない、やらないということをお約束できますか、どうですか。
#112
○国務大臣(木暮武太夫君) いろいろ御懇篤のお話を伺いましてありがとうございましたが、先般の兼松常務理事の言葉が新聞にいろいろ出ておりましたので、このことはただいま本人からいろいろ釈明をいたしましたことでおわかり下すったことと思いますが、私が察見するのに、今度の仲裁裁定で二百億近い、百九十億を経理の上で負担するので、国鉄の経営が非常に困難になるということで頭が一ぱいになっておったために、いろいろ内容が苦しいということを御説明するの勢い、余った言葉があるいは出たのかとも思いますが、今いろいろ釈明した通りでございます。もちろん中村委員が御承知の通り、衆議院、参議院を通じまして、今回の運賃改定の審議を直接に身をもって体験いたしました私としては、とてもこの際運賃を上げるとかあるいは割引率をどうこうするなんというようなことは、これはこの審議の状態を身をもって体験したものとして、とうていこれはできるとは思いませんですから、こういう一般の方々の非常なレジスタンスの多い問題を、またこの国会へかけて御審議を願うというような気持はとうてい起こりませんで、私は前に申し上げました通り、運賃改定ということはこれは当分できないものだというふうに考えておるわけでございますから、今あらためてお尋ねをいただきましたけれども、先般来の御審議の模様を顧みて、割引率を改めていこうなんということは毛頭考えておりませんのでございますから、それだけははっきりと申し上げておきます。
#113
○中村順造君 運賃値上げと同じように、少なくともこの五カ年計画の実施の段階においては、定期の率も上げない、こういうように約束をされておりますから、私は現在運輸大臣がはっきりそういう約束をされたのでありますから、それはそのことは信じていいと思います。いいと思いますが、こういうふうに長い間国会で、本委員会で運賃値上げは非常に重大な問題だということを前提にして審議を重ねてきた。ところがその審議の過程において発表しないようなものを、審議が終わり運賃値上げが実施されたというときに際して、こつ然としてそして国鉄に何か隠し財源がある、私どもは逆に国鉄にはもう財源はないのだという理解の上に立ってこの審議をしているわけです。ところが当事者はそれはあるというようなことを言えば、これは国民としては大きな疑惑を持たざるを得ない。単なる勇み足だという理解では、これは兼松理事は国鉄経理をあずかる常務理事としてまだまだ私は奥深いものを持っていると思う。そういうふうな考え方に立たざるを得ない。少なくとも四日本委員会で運賃値上げの審議を続けてきた、そうして五日にこの運賃の最終決定がなされた、こういうことからいたしますと、わずか間髪を入れずして二、三日にして七日に記者会見をすればこういう醜態をさらけ出す、こういうことです。しかもそれが、当然法律上定められてやらなければならぬこの仲裁裁定の実施をめぐってこういうぶざまな格好になる。こういうふうな私は三十六年度の予算というものは国鉄が出しておりましたから見ました。けれどもそれはそういうふうな隠し的な余裕の、新聞でいう剰余金というようなものは見当たっておらないわけです。あるはずがないと思う。ほかにもありますか。こういう点は本委員会で私がお尋ねをして明確にしておかなければ、また委員会が過ぎて二、三日したら、いやどこかに金があるという印象を与えるとこれは大へんなことになる。なぜかというと、私がおそれるのは、運賃の値上げをした一方では労働者の賃上げをした、こういうふうな誤った理解をまた国民に与えないとも限らないわけです。四十数万の労働者がほんとうに血のにじむような努力を今日ずっと重ねてきている、そういう事実が一方であるのだ、こういう面についてはきわめて慎重を要する。私の言葉が足らなかった、説明が足らなかった……、現実定期の値上げというような問題が言葉の中に出ている。はっきりあるならある、なけりゃないということを担当理事として明確に国民の前に示さなければならぬと思う。どうですか、この点は。
#114
○説明員(兼松学君) 別に余裕というようなものは全くございません、その意味ではほかに出ているものは。ただ国鉄の予算の本質と申しますか性質が、支出の方は限界が定められておりますので、収入があった場合、それが払えるわけでございまして、収入ということにつきましては、これは御保証をいただいたわけではないのでありまして、一つの見積もりとして国会で御承認をいただいたわけでございます。三十三年度におきましては、国会で御承認を得られました予算に見合う収入が上がりませんでしたので、工事の繰り入れを減らして、そしていわゆる五カ年計画がおくれて御叱責をいただきましたような事情でございますが、また同時に各職員もできるだけ増収に努力をいたしておりまして、私どもとしては少しでも増収になるようにということを全職員に協力を頼んでおります。そういうような事情でございますので、景気の変動その他の影響がございまして、御承認を得られました予定収入が上がらないという事態も、一両年前にはございましたけれども、また昨年のように若干の予想より上回ったこともあった、これは努力もあり、節約もあり、景気の変動もございますので、どれが全部とは申し上げかねますけれども、これは一般の官庁予算とは少し違った目で一つ御理解をお願いいたしたいとお願いする次第でございます。
#115
○中村順造君 その点は三十六年度の予算、あるいは三十工年度の決算の見通し、それから三十四年度の決算のあり方、こういうものは判断の中に入るわけなんだよ。これは全部それは中身に言われておるように、予定しただけの収入が上がってこない年もある。しかし今日この最近においては、大体予定された収入より上回っておるわけです。これはまあいろいろその原因はたくさんあると思うのだけれども、三十六年度の四千七百十七億の予算の中で、問題は千百八億、及び資本勘定への繰り入れ、こういう面にはたくさんの問題があるということを、私は本委員会で言っておるわけです。先般の公聴会でも言っておるけれども、そういうことでなしに、私は先ほど来言っているように、国鉄にはもう剰余金というふうな疑惑の目で見られるような金はないから、そのない中からまたさらに五カ年計画に約一兆円に及ぶ仕事をするのに金を必要とするから運賃値上げをお願いする、終始そういう一貫した立場であなた方はものを言われておる。それが間髪を入れず、それが済むとすぐここに何らか――新聞は二百三十億ですか、二百三十億から五十億引くと当初百八十億、これだけのいわゆる伸びがあった、これは。とんとんでなしに、現実は二百三十億ということが言われておるから、あなたの経理の方で発表したに違いないから、だから五十億引けば百八十億という伸びはある。これはあってしかるべきだ。いろいろ経済の伸びもあるだろうし、それから従業員の協力もあるだろうし、合理化に協力した分もあるから、当然百五十億なり百八十億という、いわゆる黒字だということはわかる。けれどもそれを見越した上に立って、なおかつ国鉄財政は逼迫しておるという観念があればこそ、国民は涙ながらこの運賃値上げをのまざるを得ないという状態になっておる。そういうことになれば二百三十億金があれば、あえて一五%上げる必要ないじゃないか、きわめて素朴な気持で考えるなら、そういうことになる。そこへまた定期の話が出たのだから大きな疑惑が生まれてくるわけです。しかも定期の取り扱いについては、これは国会の承認を求めずして主管大臣だけの認可でやれるというのなら、これはまさに国鉄の最後の切り札だと言わざるを得ないでしょう、これは。その取り扱いについて、総裁がたまたまこの席におられないけれども、きわめて私は遺憾であり、軽率の限りであると思います。そういうそしりを受けてもやむを得ないでしょう。この場合責任問題にまで私は発展するとは考えておりませんけれども、こういうふうな重大な問題は、しかも衆参両院を通じて長い間委員会で審議をした問題です。そういう最終的な締めくくりというのはないでしょう。あなたの考え方はどうなんですか。
#116
○説明員(兼松学君) 御指摘の増収はございますが、同時に増収に伴いましては約三分の一の経費が必要でございます。そのほかにその金で昨年の四月の仲裁裁定で七十億を出しまして、それから一般の公務員よりも国鉄の特別給与が予算より〇・一五カ月少なくなっております。それに公務員が上がりましたときの〇・一を足して〇・二五を出すこと、これは予算の構成を主務大臣の大蔵、運輸両大臣の承認を得たわけでありますが、そういう関係で金額がとんとんになった、こう申し上げた次第でございます。ですから増収、それはみなそれぞれ今年度上がった経費に見合って使われたということでございます。そんな意味で私どもが申し上げましたことが非常に誤解を招きました点は、重ねてここでおわびをいたしておきます。
#117
○中村順造君 私はずっと時間をかけていろいろ内容の実態についてお尋ねし、私が主張し、また今日まで運賃値上げの審議の中でこういうふうに理解しておったということが私の理解が間違いない、こういうこともわかりました。わかりまして、さらに国民が非常に問題にしておるのは定期の率の引き上げだということを問題にしているが、この点も大臣も今回の運賃値上げの状態から見て、そうしかく簡単にいくものでない、またその意思もない、こういうふうに言われるから、これ以上私も別にだめ押しをする意思はございませんけれども、とにかく長い間国会であらゆる角度から審議をしたことがまだ意を尽さないような印象を国民に与えて、ことに国鉄に膨大な隠し財源があるような印象を与えて、一方では運賃値上げをして、まだわずか一週間にしかならないのに、そういう問題を国民の前に提供したということはまことに遺憾だと思うということを申し上げた。兼松さん自身もそれを率直に認められるとするならば、私もこれ以上の追及はやめますけれども、私の要望になりますけれども、こういう非常に多くの物議をかもした問題でありますし、しかもわが党が常に主張しておりますように、運賃値上げというものはきわめて大衆の生活について非常に結びつきが深い。公共負担等についてはぜひめんどうを見さすべきだ、こういうことを主張してきた経緯から見ても、今後ともこの点については十分慎重に配慮して、しかも新聞が言っておるように最後の切り札とか、あるいは高姿勢だとか、こういうことでなしに、あたりまえのことはあたりまえのように、そういう態度をとっていただかなければ、何かこう国鉄が思い上がったとか、あるいは国民に隠しごとをしておるとか、こういう印象を与えることは、将来とも国鉄の発展にならぬということを確信しておるからこういうことを申し上げておきます。きょうは私の質問はこれでやめます。
#118
○大倉精一君 私もこの八日の日の新聞を見まして意外に思ったわけなんです。特に私はあの四日には、今回の運賃値上げの本番であるところの五カ年計画についてお尋ねをしようと思った。ところがああいう状態で質疑を打ち切られることになりましたが、いわゆる五十億円の収支差益金並びに定期券の値上げ等の問題につきましては、今中村君の質問でやや明らかになりましたが、私はかえってどうもふに落ちないところがある。というのは兼松理事が本年度はかくかくしかじかでどうやら切り抜けていけるが、来年度からはどうにもならぬじゃないかという発言があるのですね。この点については私はこの際明らかにしてもらいたい。というのは、この前の委員会のときに大臣に私がだめ押しをいたしまして、今度の仲裁裁定二百億円について新五カ年計画にいわゆる穴があくのではないか、変更を余儀なくされるのではないか、こういう質問に対しまして、大臣は決してそうはさせない、こういう話であった。ところが兼松理事のお話によりますと、本年度はとにかくとして来年度はやはりこれはどうにもこうにもならなくなるだろう――あるいは定期の値上げ等のこともここに出てくるわけですけれども、来年度からの五カ年計画の見通しについてはどういう事情にあるか、この際一つ兼松理事から御説明を願いたいと思います。
#119
○説明員(兼松学君) 来年度につきましては、実はまことに恐縮でございますが、正式に権威づけられた見通しは今のところないと思います。私としては私見を申し上げるよりほか方法がないのであります。その場合に、それが政府の御方針とどう合うかということにつきましては、私もまだ御了解を得ておりませんので、その点をまず前提としてお聞きいただきますならば、私としては現在の金額のいわゆる借金では無理なので、どうしても私としては財政投融資のワクをふやしていただくか、あるいは景気の見通しによってうまく非常に増収があれば別でございますけれども、今よりも投資量をふやしていただかないと困るという――これは私の見通しと見解を持っておりますけれども、この点につきましては政府当局のお許しを得たわけでもないし、またその見通しにつきまして御同意を得たわけでもございません。私の所見でございます。
#120
○大倉精一君 これはだれの私見でも、あなたが実際担当しておいでになる第一線の権威者である。私見々々と申されましても、それがともかく実情であろうと思う。それで国民はこの前の第一次五カ年計画においてこの計画を実際にやられるならば、中央線においてはまず新聞を読んで通勤する程度になる、こういう約束が国民の耳についておる。実際は決してそうなっていない。ますます混雑は増すばかりである。でありますから、今度こそはという運賃値上げに関連して期待があるだろうと思うのです。今までの御答弁によりますと、運賃値上げだけでくぎづけされてしまって、国民の期待するところの五カ年計画というのはまたうやむやになるのじゃないか、こういう懸念があると思うのであります。はたしてしからば、来年度から二百億というものを別ワクで調達しなければならぬというなら、これはどうするのか、はたして国民に約束通りに五カ年計画が遂行されるのかどうかという、この国民の不安をこの際払拭してもらう義務があると思う。でありますから、大臣にお伺いするのでありますけれども、この前の委員会におきまして五カ年計画は変更させない、こういう決意であると、こうおっしゃいましたが、来年度からのこういう資金手当についてはどういうようなお見通しがおありになるのか、これを一つ明らかにしてもらいたい。
#121
○国務大臣(木暮武太夫君) 今兼松理事からも申し上げましたように、来年度以降のことはなかなか見通しをするということは困難でございますけれども、あるいは経済の成長繁栄が予想よりも非常に大きくって、国鉄の自然増収というものが多くなるとか、あるいは経費の節約等をやる余地がまだあって、そうして国鉄の経理のしに余裕が出るとか、いろいろのことがそこに起こり得る可能性もあるのでございますが、そういうようなものがありまするならば、来年度以降におきましても、新五カ年計画の遂行に支障なきように努力をすることができると思いますし、また将来におきましてそういうような事態が発生しない場合にでも、財政投融資のワクを従来よりも一段と増大いたしますことによって、新五カ年計画はその本質上、経済の成長に見合う国鉄の輸送力増強整備の仕事でございますから、これが隘路になるということは、国民経済の発展の上から見て非常に一大支障になりますものですから、あらゆる財源等には方途を尽くしまして、第二次五カ年計画に、今回の仲裁裁定に上る国鉄の少なからざる負担が、影響をいたさないように努力をいたしたい、という決意を今日でも持っております次第でございます。
#122
○大倉精一君 何かこう答弁を聞いておりますと、来年度思わない増収があれば云々というお話もありましたが、そういう点についても、私はこの前はっきりお聞きしたいと思っておったんですが、その機会がなくて残念ですけれども、これは、はっきりおっしゃった方がいいんじゃないかと思うんです。というのは四百八十六億円という原資を得るために今回の値上げがあったんですけれども、それには大体三十五年度に比較して三十六年度の輸送力の伸びが旅客が三・九%、貨物が三・八%という計画をお立てになっておる。ところが政府の方の倍増計画によるところの増送、輸送計画というものは、この運賃値上げの計画とはずうっと上回っておりまして、旅客が五・五%、貨物が五%とこうなっておる、政府の方の計画はですよ。でありまするから、私は一つ兼松さんにお尋ねしたいのですけれども、政府の言うような計画通りのパーセントが実現しまするならば、つまり旅客が五・五%、貨物が五%であるならば、一体実収はどのくらいになるか。四百八十六億円から相当上回った実収があると思いますけれども、そういった場合の実収予想というものはどのくらいになるか、御説明願いたいと思います。
#123
○説明員(兼松学君) 概算の計算でございますが、私どもとしては旅客、貨物合計して、もし一%ならば四十億円というくらいの概算を見ておるわけでございます。一%上がれば四十億円上がり、合計して一%下がれば四十億円下がるという概算の見通しをつけております。
#124
○大倉精一君 そうしますと、これは二・八%政府の計画では上がることになっておりますから、そうすれば約百億ぐらいの増収になるんじゃないですか、計算としては。四百八十六億じゃなくて五百八十何億円ですか、こういう計算にならなければならぬと思うんですが、その辺の国鉄の予想はどうなるのですか。ここで言うところの大臣が今、輸送の伸びもあり、収入の伸びも予想されるから云々というお話もありましたが、確かに政府の倍増計画にいうところの伸びは五・五%と五%。従いまして、両方合わせた差額が、今度の運賃値上げの旅客、貨物の伸びが合計で七・六%、政府のほうでは一〇・五%ですか、でありまするから、約三%ですね。四十億としますと百二十億、これだけ増収があると見込んで差しつかえないのじゃないですか。
#125
○説明員(兼松学君) 国鉄の輸送人キロの見通しといたしましては、企画庁と御相談いたしましていろいろ数字を合わせまして、旅客で千二百七十六億トン、貨物が五百五十三億トンキロとして推定いたしまして予算をお願いいたしまして、個別賃率につきましてはそれに三十五年十月までの半年の実績単価をかりまして、そうして予算収入をはじきまして、それに運賃改定による増収額を加算いたしたわけでございまして、本年度の実績見込みに対しましては六百五十六億円多くなる計算になって、運賃改正の分を除きますと、百七十億ふえる見込みをつけて、この点は、景気の変動にもよりますので何とも申し上げられませんが、私どもとしては健全な見方であるという信念に立っております。特に前年度に非常に伸びの多かった年の翌年後半期というものは、私どもの経験では、下がる場合、伸び率が縮む場合が、過去の神武景気と称されたときとか岩戸景気のときと今回は同じになるのではないか、というような見通しもいたしておりまして、私どもの見通しとしては、先生の御指摘のようなふうに行くことは困難であるという見通しを持っておりますけれども、望みとしては多いということを別にきらっているわけではありません。私どもとしては、今の見通し以上に根拠を立てるのは少し危険ではないかということで、これは関係各省とも御相談した上で予算のときに作りました数字でございます。現在では、今の四月の姿が続きますならば、この数字よりは若干上向き得ると思いますけれども、それ以上のことを何とも私としても申し上げられません。
#126
○大倉精一君 まあこれはやってみなければわからぬことですけれども、しかし、政府の方でも国民の方に向かって、大々的に倍増計画を訴えておられます。この計画とあんたの方の計画とは伸び率がずっと違うわけですね。でありまするから、国民はこれだけ運賃値上げをして四百八十六億円われわれが出すんだと思っておったところが、今度五百何十億になった。また余剰金が出てきた。余剰金ではないかもしれませんが、収支差益金が出てきた。こういうことになりますと、国民の方では何かまた一ぱい食わされたような気がする。そこへもってきて、今度は来年度は、あなたの言で言うならば、いよいよ原資が苦しくなって何かほかの方法でまかなわなきゃならない、こうなってくるわけなんです。そうしますと、大臣からどうでしょうかね、さっきあなたがおっしゃったように、来年度はいわゆる自然増収も相当あろうからという工合におっしゃったが、大体二百億円というものは自然増収で大部分まかなえると、こういうようなお見通しをお持ちになっておるのか。そうでないとするならば、運賃値上げはしない、定期の値上げはしない、五カ年計画にも傷をつけない、こういう場合には、一体どういう工合に資金手当をされるのか。その点をこの際はっきりお伺いしておいた方がいいと思うんです。大体このくらいの伸びがあるかどうか、四百八十六億円という予定であったが、五百十億円ぐらいだろうから、これはこっちに回すというようなお話がこの際あってもいいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
#127
○国務大臣(木暮武太夫君) 私がただいま将来のことを申しましたのは、またそういうふうにいかないことがあるかもしれぬことも考えておるわけでございまして、金額を何百億円自然増収があるとか何とかいうふうには、私としてはまだ安心して申し上げるわけにはいきませんが、将来あるいは経済の成長発展の工合では、国鉄の人たちの業務上非常な努力によって収入が増すとか、あるいは経費の節約をやるとかいうようなことで、そういう余裕の金ができることもあり得るんではないか。またそういうことがなければ、今日以上に財政投融資のワクを増大いたすというようなことによっても、今度の新五カ年計画の遂行は、この仲裁裁定の影響をなるべく受けないように、予期通りに一つ実施をさしたいものであるということの決心を申し上げたようなわけでございまして、将来のことですからそれでは何百億自然増収があるとか、それでは前年よりはどのくらい財政投融資のワクをふやすつもりであるとかというようなことは、ただいま申し上げるということは必ずしも適当ではないというように考えますものですから、そういうふうなやりくりがそこにできて、そうして新五カ年計画には影響を及ぼさないように一つやる決心であるということを申し上げたわけでございまして、財政投融資の原資にいたしましても、はたしてどのくらいの原資が三十七年度に得られるかということは、今日ここでいろいろ申し上げるということもこれは困難だと思いますものですから、ただ私、運輸大臣としてはただいま申し上げたような決心で、影響を及ぼさないようにいろいろの手段を尽くしたい、こういうふうにどうぞ御了承を願いたいと思います。
#128
○大倉精一君 そういう決意はけっこうなんですけれども、私はこの前にも心配をしたことは、第一次五カ年計画が失敗をしたという原因の一つは、三十二年でありましたか、思わざる仲裁裁定によって支出がふえたからこういうことがあったわけなんです。でありまするから今後五カ年計画に際しまして、人件費が上がっていきますよ、それは所得倍増計画からいきましても上がっていきます。でありまするからそういうもののために五カ年計画というものは変更がありませんか、さらにまた運賃値上げというものはありませんか、こういう工合にお伺いしたところが、そういうものによっては五カ年計画の変更は来たさないようにする、こういうお話であった。今もそういうお話でございまするけれども、実際問題として今までもそういう御答弁が前にもあったんですけれども、やはりこれは計画は実施されていないわけです。しかも大臣はやはり逐次おかわりになるということから、その御決意が次の大臣にどういう工合に伝わっていくかこれも国民は非常に心配するわけなんです。でありまするからここでもう一回私は国民の前に約束してもらいたいのですけれども、将来にわたって仲裁裁定等によってこの五カ年計画の変更は来たさない、さらにまた定期の問題を含んで、国鉄の運賃の値上げというものは五カ年計画の遂行過程においてはやらない、そういうことを排除する御確認を願いたいと思います。しかも大臣がおかわりになっても次の大臣にもどうぞこの決意を十分お伝え願いたい、これを一つ再度確認をお願いいたします。
#129
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げますが、第二次五カ年計画に対しまして今回の仲裁裁定の国鉄の経営に影響をいたしまして、そうして第二次五カ年計画が遂行が困難になるようなことは、私としてはいたしたくないという決心であるということを申し上げたのでございます。
 そこでただいまの運賃改定はやらないのかというお話でございますが、元来五カ年計画の投資の一部分として四百八十六億の改定をここに計画をいたして、これの御承認を得たものでございますから、この計画通りに四百八十六億が利用者負担として、運賃改定による増収を得まするということによって、五カ年間は運賃の改定を行なわなくても、計画通りいくものと思うのでございます。今後仲裁裁定があったらばというお話でございますが、今後仲裁裁定というような特別の負担になることがあるかどうかということは、将来のことでございますので、まあなるべく第二次五カ年計画が遂行されている途中には、あまり国鉄の経理に悪い影響を及ぼすような人件費の増加ということは好ましくないので、協力して一つ五カ年計画を遂行していただく、これはもちろん毎年のベースアップというものは百分の五なり百分の六なりを、今回の第二次五カ年計画では計算に入れているようですから、これは別でございますけれども、私がこう言ったからといって、非常に膨大なわれ人ともに驚くような人件費の増加がありましたときまで、私は予想をしているわけではないのでありまして、常識的にみて現在の状態が続きますならば、今度の仲裁裁定による影響というものを、借入金その他のことに上って自然増収等で克服していきまして、そうして第二次五カ年計画というものは運賃を上げずに遂行ができるものである、またそういたすべきものであると私は決心をいたしておるようなわけでございます。
#130
○大倉精一君 大へんけっこうな御決心のようですけれども、まくら言葉がどうも気になる。つまりわれ人ともに驚くような人件費の増大というお話がありましたが、これはわれ人ともに驚く額というのはどのくらいかちょっとわかりませんけれども、今度の計画は政府の所得倍増計画に見合った計画ですから、国鉄の職員だけがいわゆる五カ年計画に協力をしておって、みずからの給料の増額だけはがまんせいということは当たらないと思う。私が実は五カ年計画の年次計画を出してもらいたいといったのも、そういう点があったのです。どのくらい一体見込んでおられるか、今百分の五とかなんとかというお話がありましたが、百分の五では、これは十年たって倍になりませんよ。ですからそういうことではこれまた国民に非常に不安が出てくるわけなんです。特に経済の伸びということがこの計画によって、予想よりも大きな伸びがあるのだということを総理大臣も言っておられる、現にこの三カ年間は九%の伸びという工合にもおっしゃっている、そうなれば当然これに見合うところの人件費というものは考えなければならぬわけなんです。そこでまたぞろ第一次五カ年計画のように思わざる人件費の出費があったので云々、という理由のもとに、五カ年計画がおじゃんになる、こういう公算が非常に多いので、私は大臣にお尋ねするというよりもむしろ確認をいたしたいことは、そういうような原因で運賃を上げたり、五カ年計画に挫折を来たしたり、こういうことはさせないということを私は確約したいのですが、つまりわれ人ともにべらぼうな……こんなことを言っているわけじゃありませんが、こういういわゆる人件費の増大の理由をもって五カ年計画に支障を来たさない、こういうことをこの際お約束を願いたいと思うのです。国民はそのことを非常に心配しているのです。また五カ年計画というのは食い逃げじゃないかということを心配するのです。そういう点について一つ力強い確認を約束してもらいたいと思う。
#131
○国務大臣(木暮武太夫君) 今お話の中に出ました、この前の第一次五カ年計画が、発足当時予定しなかった仲裁裁定によって、非常に困難になったということをよく言われるのですけれども、これも私は一つの理由であると思いますが、それとともに当時における借入金その他の金を予定通り得ることができなかった、金融事情とか経済事情というものが第一次五カ年計画では非常に支障になったように伺っておるのでございまして、そういう苦い経験をなめた国鉄当局でございますから、今度はそういうような点については十分に検討を加えまして、そういうような原資を獲得する等のことについて、万遺憾なくいろいろやることだろうというふうに私どもは信頼をいたしておるわけでございまして、ただいま申し上げましたように、この第二次五カ年計画というものは、日本経済の成長に見合うべき国鉄の輸送力の増強整備でございますので、これに支障があっては国民に相済まぬ次第でございますので、私どもはあらゆるやりくりをいたしまして、これが達成を期したいと思う次第でございます。その間におきまして前々申し上げます通り、今の運賃を改定して運賃増収をはかるというようなことは、今日においては考えておりませんでございます。
#132
○大倉精一君 それでは、最後にもう一つだめ押しをしておきたいんですけれども、来年度以降については、資金の見通しが非常に困難だということを兼松理事も言っておられるんですが、そういう面については政府でめんどうを見て、五カ年計画には支障のないようにされる、こういうことなんですね。
#133
○国務大臣(木暮武太夫君) 何でしたっけ。
#134
○大倉精一君 もう一回申し上げます、実際第一線で苦労をしておられる兼松理事は、本年度はこれこれしかじかで切り抜けができるが、来年度になるとやはり三百億円という負担は、これは非常に大きいので、普通の状態ではなかなか都合することができないから、何か政府にお願いをしなければならぬというようなお話がありましたが、そういう面について五カ年計画遂行上支障を来たさないよう、政府においてめんどうを見る、こういう工合に理解して差しつかえないんですね。
#135
○国務大臣(木暮武太夫君) そういうふうに御理解して下すってよろしゅうございます。それがあるいは借入金の増額によりますか、あるいはその他の方法によりますかはとにかくといたしまして、この五カ年計画には一つ支障のないような原資を獲得するように努力をいたしたいと考えております。
#136
○委員長(三木與吉郎君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト