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1960/02/06 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 予算委員会 第4号
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1960/02/06 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 予算委員会 第4号

#1
第038回国会 予算委員会 第4号
昭和三十六年二月六日(月曜日)
   午前十時二十二分開議
 出席委員
  委員長 船田  中君
   理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君
   理事 野田 卯一君 理事 保科善四郎君
   理事 井手 以誠君 理事 川俣 清音君
   理事 横路 節雄君
      相川 勝六君    赤城 宗徳君
      赤澤 正道君    井出一太郎君
      稻葉  修君    臼井 莊一君
      小川 半次君    上林山榮吉君
      菅  太郎君    北澤 直吉君
      倉石 忠雄君    櫻内 義雄君
      園田  直君    田中伊三次君
      床次 徳二君    中野 四郎君
      羽田武嗣郎君    前田 正男君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      松本 俊一君    三浦 一雄君
      山崎  巖君    淡谷 悠藏君
      岡  良一君    木原津與志君
      小松  幹君    田中織之進君
      楯 兼次郎君    永井勝次郎君
      野原  覺君    長谷川 保君
      松井 政吉君    佐々木良作君
      西村 榮一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 古井 喜實君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
        運 輸 大 臣 木暮武太夫君
        郵 政 大 臣 小金 義照君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
        国 務 大 臣 池田正之輔君
        国 務 大 臣 小澤佐重喜君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
        国 務 大 臣 西村 直己君
 出席政府委員
        内閣官房長官  大平 正芳君
        内閣官房副長官 保岡 武久君
        法制局長官   林  修三君
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
        大蔵事務官
        (主税局長)  村山 達雄君
 委員外の出席者
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
二月六日
 委員羽田武嗣郎君辞任につき、その補欠として
 山村新治郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員山村新治郎君辞任につき、その補欠として
 羽田武嗣郎君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十六年度一般会計予算
 昭和三十六年度特別会計予算
 昭和三十六年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○船田委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。質疑を続行いたします。井手以誠君。
#3
○井手委員 私は社会党を代表して、主として財政経済についてお尋ねをいたしたいのであります。経済の高度成長は池田内閣の生命であると言われておりますが、池田総理は今後三カ年間平均九%の成長に今でも確信を持っておられるかどうか、まずこの点を確めておきたいと思います。
#4
○池田(勇)国務大臣 私は国民の英知と努力によって、これを達成しようと熱望いたしておるのであります。それではできるかと申しますると、私は大体できると考えております。九%の成長率を考えましたのは昭和三十五年度十三兆六千億にいたしまして、三十八年度において十七兆六千億になる、こういう考えのもとにやっておったのであります。しかるところ三十五年度中におきましても相当の私の予想以上の成長を見まして、実績は相当上がり、三十六年度には十五兆六千億になっておるのであります。これでいくならば、三十七年、八年が九%までいかなくても、予定通りにはいく。今の情勢ではやっぱり実績からいってその程度にいけることを私は確信し、それに向かって努力を続けておるのであります。
#5
○井手委員 政府の三十六年度経済見通しと経済運営の基本態度、これによりますると、三十五年度の経済成長の実績見通しは十四兆二千三百億円になっておるのであります。それから毎年平均九%の成長を持って参りますると、十八兆六千億になるのであります。ただいま昭和三十八年度には、池田総理は十七兆六千億になるとおっしゃいましたが、そこに狂いはないですか。大丈夫ですか。私どもは国会に提案された経済の見通し、あるいは実績の見通しを基礎にしなくては論ぜられないのでありますから、重ねてお伺いをいたします。
#6
○池田(勇)国務大臣 御質問の点にも答えておると思うのでございますが、当初われわれが公約いたしました数字は十三兆六千億を三十五年の所得と見まして、そうして三年間に九%ずつの上昇を見て、十七兆六千億と予定して九%の上昇を言ったのであります。しかるところわれわれの予想以上に進みまして、すでにわれわれが基本といたしました十三兆六千億の昭和三十五年度の総生産というものは十四兆二千億になっております。これを見ましても私は当初の十七兆六千億を達成し得るのみならず、このままずっといったならば、十八兆六千億に三十八年度はなる、こういうので、大体当初に予定いたしました成長率よりはすでに上になっておる。これを参考にいたしまして、三十六年度は九・二%の増を見ておるのであります。私は大体におきまして当初の公約の年平均九%というものは優に達成する。そうしてふえた分に対して九・二%の昭和三十六年度の分は達成できるという確信を持っておるのであります。
#7
○井手委員 それでは、総理は昭和三十八年度の経済成長の目標を十七兆六千億ですか、十八兆六千億ですか、どちらですか、はっきりして下さい。
#8
○池田(勇)国務大臣 公約は十七兆六千億と言っておりました。しかし実績は十八兆六千億になることを期待いたしております。
#9
○井手委員 十八兆六千億も大丈夫ですか、十七兆六千億の場合においても国民の英知と協力を必要とするとおっしゃいましたが、数字を合わせるためには十八兆六千億も可能であるかもしれぬとおっしゃいましたけれども、大丈夫ですか、どちらですか、はっきりして下さい。
#10
○池田(勇)国務大臣 はっきりしております。初めの党としての公約は十七兆六千億、そうしてその公約はすでに相当高目にできることは、そうして三十六年度は十五兆六千億を見ております。しからば三十八年度は十七兆六千億か、十八兆六千億か、この一兆円の違いにつきましては、公約は十七兆六千億ですが、十八兆六千億になるように努力していきたい、こういうことです。
#11
○井手委員 そこでお伺いをいたしますが、この間、総理は二十八日の記者会見において三十七年度に国民所得、経済の成長は十七兆六千億円と言ったが、そうすれば三十八年度は六%ぐらい成長しても平均して七%成長するではないか、こういうことをおっしゃっておるのであります。私は最初に総理が答弁があったことをずっと考えておりますと、三十五、三十六は相当成長する。従って三十七、三十八はさほど成長しなくとも、平均すれば九%が成長できるではないか、そういう腹のうちではございませんか。そうじゃございませんか。
#12
○池田(勇)国務大臣 三十八年度十七兆六千億と公約いたしました。しかるところ、基本の三十五年度が十三兆六千億が十四兆二千億になっておるから、公約通りにいくとすれば、当初におきまして一〇数%の上昇があったから、公約の十七兆六千億に対しましては、三十七年、三十八年は六・六、七%で、三年間平均九%になるということを言ったのでございます。
#13
○井手委員 そこで重ねてお伺いをいたしますが、私どもは本年まではかなり成長するでありましょうけれども、三十七、三十八については相当の懸念を持っておるのであります。おそらく総理も、三十六年度の下半期から来年、再来年にかけては、今日ほどの成長は見込めないであろう、そういうふうにお考えになっておると思うのであります。そこで私は、総理は今後六・六%程度しか成長しない、いわゆる不況を相当見越しておられるのではないか、この点は非常に重要な点でございますから、不況がないならない、確信を持って一つこの際言明を願いたいと思います。
#14
○池田(勇)国務大臣 前からの御答弁で御了承願えると思うのでございまするが、公約通りにいくとすれば、初めが非常に伸びましたから、あとは六・六、七%で公約は実現できます。しかし自分らとしては何も押える必要はないので、国民の伸びる力を、無理に背伸びをしていくということは考えなければなりませんが、国民の英知と努力によって進むものなら進ましていきたいというのであります。従って三十七年、三十八年度は六・六%でがまんするか、こういうことでありますが、そうは考えておりません。これは世界情勢によりましてあるいはもっと伸びるようなことがあるかもわかりませんが、われわれは念願としては平均九%で三年間をいきたい、こういうつもりで言ったわけであります。いくかいかぬかは、これからの世界の情勢とわれわれの政治、ことに国民の努力によって達成できると思います。しかし公約は大体もう確信を持って実現できることを言っておるのであります。
#15
○井手委員 十七兆六千億の公約は確信を持って言える。十七兆六千億から逆算をいたしますと、平均すれば七・八%の成長にしか当たらないのであります。それは確信が持てる。しかし努力によって十八兆六千億までいけるかもしれぬという。数字によっていろいろとおっしゃっておりますけれども、私は三十七、三十八年度においてはさほど簡単に成長するとは考えておりません。さらに私はあとでお伺いをいたします。
 ここで私は企画庁長官にお伺いをいたしますが、設備投資は三十六年度に三兆一千億円になっておる。昭和四十五年度のいわゆる所得倍増の最終年度には幾ら予定されておるか。
#16
○迫水国務大臣 三兆六千億を予定いたしております。
#17
○井手委員 三十六年度には三十五年度に比してさらに一〇%を加えられておる。今総理が言われた九%平均の成長をもっていたしますならば、三十八年度にはすでに三兆六千億円に達するのであります。それから七年先の昭和四十五年度に設備投資が同じ金額ですか。三十八年度に達すると思われる設備投資の総額が四十五年度の目標と同じじゃございませんか。そうすれば現在の設備投資というものが過剰であるか、あるいは四十五年度の目標が過小であるのか、どちらですか。
#18
○迫水国務大臣 四十五年度に三兆六千億と申しておりますのは、基準年度の価格、つまり昭和三十三年度の価格で出してありまするから、若干ずつ物価の変動によりまして修正をいたすわけでありますから、この三兆六千億そのものとして比較することはできないわけであります。しかし井出さんのおっしゃいましたように大体三十八年度かその辺では、ここに言われておるところの三兆六千億――三十八年度ではないかもしれぬ。もう少しあとかもしれませぬが、少なくとも三十九年度か四十年度くらいには、ここに言われておる三兆六千億の数字に達しそうに私も思っております。従ってそのことはどういうことからくるかと申しますと、所得倍増計画に予定されたよりも日本の経済の成長の速度が速いから、従って十年間で達成せられるものがあるいは八年間で達成されるかもしれない、こういうことでありまして、今御質問のように、三十八年度の設備投資と四十五年度の設備投資が同じになるかという御質問に対しては、そうではなくて、この計画それ自身が短縮してくる、こういうふうに思っております。
#19
○井手委員 長官、それで大丈夫ですか、あなたの答弁は。所得倍増計画が三十八年か九年には達成せられるというような簡単な御答弁ですが、そういう答弁をなさって大丈夫ですか。物価は三十三年度を基準としていらっしゃる。それでは物価をまず聞きますが、物価は今からどんどん上がっていくつもりですか、あなたは……。
#20
○池田(勇)国務大臣 井出さんの御質問は、三十八年度が三兆六千億、そして四十五年度が三兆六千億、同じでいいかとおっしゃる。これは外国の例をごらん下すってもわかる。おととしが日本は一兆八千億ぐらいの予定で二兆円前後いきました。日本の生産力の倍ありますイギリスにおいての設備投資は何ぼかとごらん下さいますと、日本と同じくらいです、生産力は倍ありましても。ドイツは日本の生産力の八割増しぐらいでございますが、これもやはり一兆六、七千億でございます。フランスやイタリアに至りましては一兆五、六千億。今日本が非常な高度の成長をいたしますために、設備投資が、アメリカには劣りますが、イギリス、ドイツ、フランスのように、日本よりも倍あるいは七、八割増しの生産力を持っておりますところよりも、日本の設備投資というものは上になっておる。だから私は限界として、日本の状況から申しますと、もう三兆四、五千億が限界ではないか。そしてあと更新施設が要りますが……。これは外国の生産力と設備投資をごらんになりますと、三十六年、三十七年が三兆四、五千億であって、四十五年が三兆六千億、大体同額の数字というのは、私は適当な数字と考えております。
#21
○井手委員 先刻三カ年平均九%の成長、これは大丈夫だとおっしゃった。それでやって参りますと、その通りの計算では出ないかもしれませんけれども、およそ三十八年度には三兆六千億円になるはずです。そうでなくては経済は成長しないはずです。今総理の答弁によると、三十八年度にはなるほど三兆六千億になるかもしれない。そのあとは設備の更新でやっていくのだ、こうなりますと企画庁長官、よく聞いて下さいよ。三十九年度以降、物価は横ばいだとおっしゃっておる。あなたは今までの答弁でそうおっしゃっておる。消費者物価は若干上がるかもしれないけれども、卸売物価は弱含みだとおっしゃっておる。そこで参りますならば、三十八年度以降の設備投資というものは、新設はあまりないわけですね。長官に……。
#22
○池田(勇)国務大臣 私から答えます。更新ばかりではないのであります。更新ばかりではございません。もちろん設備投資もいたします。しかし生産力が伸びたからといって、設備投資にはおのずから限界があるということを私は言っておるのです。外国の例を引いて申し上げておるのです。そこで三十八年度のときの三兆六千億と四十五年度の三兆六千億、私は正確な数字は覚えておりませんが、大体の考え方では三十八年度におきましては新設が相当多いのでございましょうが、四十五年度になりますと、新設と更新というものの比率は変わって参りましょう。そこで御質問の点は、今までの経済の成長は設備投資と在庫投資で持っておった、しかるに設備投資が横ばいとすれば、どこへ生産したものがいくかということになりますと、それは個人消費です。生活水準が上がるのです。個人消費でどんどん出ていくわけであるのであります。私はこう考えておるのであります。もう一つ、個人消費と輸出の増大がございます。
#23
○井手委員 個人消費が簡単に総理の期待通り伸びないことはあとでお伺いをいたします。
 そうしますと、大体こういうふうに理解してよろしゅうございますか。設備投資というものは大体三十八年度で頭打ちになる、こういうことですか。
#24
○池田(勇)国務大臣 頭打ちということをどうお考えになりますか。大体経済の伸びとか、あるいは所得倍増というものの考え方は、私は今の四十五年度の数字は正確に言っておりません。ただ考え方を言うだけです。正確な数字は企画庁の事務当局あるいは長官に答えさせますが、経済の成長は、今までは設備投資と在庫投資とそうして個人消費と輸出できた。そしてそのうちのおもなるものは、輸出は順調に一五%あるいは一〇%ずつ伸びている。そして在庫投資も年によって違うけれども、ある程度進む。設備投資が非常な力ですが、この設備投資が弱まっていって、そして輸出と個人消費、これにずっといくのであります。およそ輸出なんかと申しましても、生産のうちの輸出がどれだけの割合を占めるかということになりますと、輸出は大事でございますが、欧米諸国を見ましても、イギリスが総生産の一五%ぐらいの輸出です。ドイツも一五、六%です。フランス、イタリアは総生産の一割程度の輸出なんです。日本が生産の一割二、三分をいっております。こういう関係で、生産の伸びたものは輸出によることはもちろんでございますが、輸出を極力伸ばしても、大体総生産の一割五、六分から二割いくということはなかなかむずかしいことで、今までの例がそうです。イギリスなんかもそうです。そうすれば、結局健全な個人消費にいくということが、経済の発展と国民生活の向上に必要だ。だから何も浪費を勧めるわけではございませんが、健全な消費を進めていくということが、国民生活の向上と経済の発展のもとをなす、それをやっていくことが輸出だ、こういうことであります。
#25
○井手委員 外国の例は私も少々承知をいたしておりますから、なるべく簡単に願いたい。
 そこでもう一つこの点で念を押しておきたいと思うのですが、総理はどうも数字にこだわっておられる。九%平均成長ということについても、財界からもずいぶん注意があったはずでございます。そう九%にこだわる必要はないじゃないか。今の数字についても同様であると思う。私は三十六年度の三兆一千億、四十五年度の三兆六千億、この数字にはいずれかに若干の誤まりがあると思う。いな、四十五年度においては相当な誤まりがあると思う。それはやはり訂正するものは訂正していいです。何もこだわる必要はないと思う。ただ、今総理からお聞きしたところでは、今後は個人の消費が伸びなくては経済は成長しないというお話である。そうなりますると、個人の消費を伸ばすような政治をしなくちゃならぬという結論になるわけです。
 そこで通産大臣にお伺いいたします。今後の国際収支の見通しでありますが、三十六年度においてアメリカ向けの輸出はどういうふうにお考えになっておりますか。最近通産省で発表された貿易の動向によりますると、アメリカ向けの輸出は急テンポに鈍化しておる。またアメリカ以外の後進国向けにおいても頭打ちの状態になっておるから、相当むずかしい事態になるであろうとあなたの方で発表されておりますが、どうですか。国際収支において経常の収入は最初企画庁においては三千万ドルの赤字を見込んであったはずである。それを総理大臣の指令によって一千万ドルの黒字に変えられておりますけれども、通産大臣、一〇%の輸出の増進は大丈夫ですか。まず国際収支の来年の見通しを通産大臣にお願いします。
#26
○椎名国務大臣 お答えいたします。対米輸出の実績は三十五年度におきまして鈍化いたしまして、前年度に比して五%程度の伸びであります。三十六年度におきましてもこの情勢は続くものと考えられますので、大体五%程度の伸びに終わるのではないか、かように考えております。対外貿易全体としては一〇%程度を期待しております。もちろんこれに対しましては、あらゆる輸出振興の施策を推進して参るつもりでおります。
#27
○井手委員 輸出振興の政策を推進して参りますというだけでは安心いかないのである。通産省が出されました統計によりますと、北アメリカ州向けの輸出は毎月々々最近減っておるじゃございませんか。一カ月一千万ドル以上減っておるじゃないですか。どうして来年度五%成長する見通しがございますか。そのはっきりした見通しをおっしゃって下さい。ことしの二月一億一千七百万ドルを最高として、毎月々々ずっと下がっておる。下がっておるのに、どうして五%伸びますか。その確たる見通しを通産大臣おっしゃって下さい。
#28
○椎名国務大臣 ただいまのアメリカの景気の動向は、何といっても鈍化の傾向にあるのであります。しかしながら大体において今年の半ばぐらいからアメリカの景気もだんだん上昇、回復のカーブを示して参るだろうということが言われておるのであります。その線に沿うて参りますれば、五%の伸びは確信できるというふうに考えております。
#29
○井手委員 通産大臣の今の答弁では、おそらく与党だって満足されることはないと思う。今までは毎月々々過去一カ年間ずっと減ってきておるのに、ことしの夏ごろからは何とか持ち直すであろう。――そういう材料はどこにございますか。ごく新しい情報によりますと、アメリカにおいては、日本の商品に対して輸入制限の動きはきわめて活発です。労働組合においては、日本服地の裁断を一切断わると言い出しておる。関税を引き上げると言い出しておる。見てごらんなさい、この間のケネディの教書を。きわめてきびしいものがあります。昨年の十一月ごろまでは失業者は四百三十万人といわれたのが、ケネディの教書によりますと五百五十万、三月には六百万になろうといわれておる。どこにアメリカの経済の好転する見通しがございますか。
#30
○椎名国務大臣 アメリカの景気後退の一つの有力な原因は在庫調整にあるということを言われておるのであります。これも大体今年の半ばにおいては調整が頭打ちになる。それでちょうど七月から新年度が開始されるわけでございますが、おそらくかような状況に対しては新しいケネディ政権といたしましても何らかこれに対する対策を講ずるであろうというような各種の判断からいたしまして、この七月、八月以降においてはアメリカの景気は上昇カーブをたどるであろうということが言われておるのであります。その判断に従って、私どもは、対米輸出は今の調子がまた向きを変えて参るであろうということを期待している次第であります。
#31
○井手委員 日本商品の輸入制限などの動きについては何ともお考えになっておりませんか。アメリカの国内景気回復策について、あるいは貿易競争のことを考えまするとそんな甘いものじゃありませんよ。それでは総理にお聞きいたしますが、総理は最初赤字を予想されたものを黒字に変えさせられた、よほどの確信がおありだろうと思うのですが、今の通産大臣のお答えでは池田内閣の政策として大へんな不信を招きますから、総理から一つ確信ある国際収支の黒字の根拠を示して下さい。
#32
○池田(勇)国務大臣 国際収支三千万ドルの赤字を黒字にせいというのじゃない。国際収支の見通しというものは、企画庁あるいは通産省、大蔵省がいろいろやってもなかなか合わないものだ、だからよほど検討をしてかかれ、こういうことを言ったのでありまして、全体といたしまして大体九・四%、一割近くが行くことと私は思います。個々の国との取引につきましては見ておりません。御承知の通りアメリカの景気は一九五八年非常に生産が落ちました。V字型で落ちました。今リセッションの状態で一九六〇年は、五八年ほどには落ちておりませんが、昨年の一、二月ごろからずっと生産は伸び悩み、少し下降状態になっておるのであります。従いまして去年はおととしのように五割増しというふうな状況ではなかったのでございますが、ある程度横ばいということになったのでございます。しかし今年のアメリカの景気はケネディも言っております通り、また世界の人も期待しておる通り、ある程度上向くと考えられるのであります。しかもアメリカとの貿易の状況を見ますとアメリカのリセッションのときには日本との貿易は非常に減る。しかし景気が上向きになりますと非常にふえるものなんです。それはちょうど一九五八年のアメリカの下降のときには減りました。一九五九年のアメリカの景気の上昇のときには日本は非常に驚くべき伸び方をした。すなわち一九五八年におきましては七億ドル余りだったのが、アメリカの景気好調になりますと五割余りふえまして三億五、六千万ドルふえた。だからアメリカの景気が横ばい、下降のときには、日本の輸出は非常に不振です。しかし事上向いたときには予想以上に伸びるのが今までの日米間の状況でございますので、ケネディも言っておりますように、また世界の人も期待しておりますように、アメリカの景気が下期に上向くということになりますと、日米貿易というものが非常に伸びるというのが過去の例なんです。私は数字的にどうこうということは申しませんが、通産省の、五%程度の伸びはこれは私の観念からいえば当然伸びると私は考えております。
#33
○井手委員 ケネディ大統領の一般教書によってもアメリカの不況は、昭和初めのあの大不況以来のものであると率直に述べております。これはお読みになったでしょう。それほどの不景気がさらに深刻になろうとしておるときに、簡単に、下期には好転するであろう、輸出が伸びるであろうと、そのくらい甘い期待はないと私は思う。
 通産大臣にこれ以上聞いてもちょっとたよりないようですからこの辺でとどめておぎます。
 そこで企画庁長官にお伺いをいたしますが、さっき総理大臣は、今後個人消費の伸びを非常に期待なさっておる。三十六年の予算によりましても、個人消費が三十五年度において三〇%ふえた。その上にさらに一〇%ふえることを見込んである。それは公務員その他の賃金のベースアップが中心になるであろうと、あなたはここで先日お話しになった、答弁なさったですが、この個人消費の伸びというものは、賃上げによるものですか、これが中心ですか。
#34
○迫水国務大臣 一面雇用の増大がございます。他面賃上げと申しますか、給料のベースのアップがあると思います。
#35
○井手委員 賃上げを予定されておるようでございますが、けっこうです。
 次に予算案に移ります前に、一、二点総理にお伺いをいたしたい。それは予算編成のあり方であります。この点私予算委員会が開かれますたびごとに、毎年あの予算ぶんどりの醜態をなくするように、憲法に定められた予算編成権というものについて、内閣総理大臣は確固たる態度をとられるように要求をして参りました。ところがことしはどうでございましょう。私は予算編成のあの新聞に報道されたことについて一々申し上げません。圧力団体などの声の大きいもの、力の大きいものがよけいに予算をとっておるという印象は、これは何としてもぬぐいがたいものである。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)また政府と党の関係についても、何かもっとすっきりした方法がありそうなものだと思う。総理は政治の姿勢を正すということを常に強調されておる。私は総理大臣としては予算編成権を確保していく、国民が出した金がまじめに使用されるように監視しておるその中で、政府が予算編成権を確保していくというこの姿、それが私は何よりも政治の正しい姿ではないかと思う。その点について総理大臣の所見を伺いたい。このままでいいのかどうか、いや今度はよくなかったけれども、今後こうしたいという、そういう積極的な気持があれば、積極的な方針があれば、この際承りたいと思います。
#36
○池田(勇)国務大臣 私は予算編成権はあくまで大蔵大臣を通じて、閣議にあると承知しております。編成の過程におきまして、政党内閣でございまするから、政党の意見を聞くということは当然だと思います。ただそれがイギリスやアメリカあるいはほかの国とは違いまして、日本の国は細大漏らさずその折衝のことが、みな出るような慣例になっておるものでありますから、非常にぶんどりとかなんとか言われますが、あれを秘密裏にやっておりまするイギリスあるいはアメリカ等におきましても、各省と大蔵省あるいは財務省との間は、相当熾烈なものがあるのでございます。従いまして、私はこれが外に出たから非常に編成権がこわされたとか、秘密裏にやっているから編成権が確保されたとかいう問題じゃないので、われわれとしては歳入歳出の総額を一応きめまして、そうしてあらましの重要政策を内閣としてこういうふうに考えるのだということをきめて――その原動力は大蔵大臣でございます。大蔵大臣が一応のワクをきめて、そうして基本的の問題をまずきめて、そうしてニュアンス的のもの――ニュアンスといっては言葉が悪うございますが、どの程度に持っていくかということは、政党政治である程度党の意向を聞くということは私は当然のことだと思います。ただ、それによってわれわれの内閣の考え方が根本的にどうこうというようなことがあってはいけません。これは、私は厳に確保しておると考えております。
#37
○井手委員 イギリスやアメリカと違って何もかにも一々報道されるから、ああいうふうな印象を受けるというお話でございましたけれども、原案から予算案の決定までを振り返って参りますと、大蔵大臣は頭に氷を当てて冷やしたとかいう話も聞いておりますが、四百数十億円という隠し財源を食い尽くしてしまって、なお百五十数億円の予算の膨張になった。それだけでもはっきりわかるじゃありませんか。しかも財政法十八条に定められておる概算決定の場合においても、しようがなくて数字抜きできめてしまっておる。何も私はここで財政法に違反するとかなんとか、そういうとがめをしようとは考えておりませんけれども、そういうでたらめなやり方が、はたして民主政治でしょうか。それでも総理大臣は、あれはいたし方ない、こういうお考えですか。改めようとはなさいませんか。国民は自分たちの出した税金がああいうふうな新聞の報道では、私は、いかに協力を求められても、いいことをなさっておるということで、協力ばかりはしないと思う。それでは政治のあり方ではないと思う。重ねて総理大臣の所見を伺いたい。
#38
○水田国務大臣 そういう御質問がございましたから、衝に当たった私からお答えいたしますが、予算はもちろん内閣がきめるものでございますが、各省庁の予算見積りを大蔵大臣が調整して、そうして閣議で討論する素案を作る。これが、いわゆる大蔵原案でございますが、この大蔵原案をもとにして、大蔵大臣が各省大臣と調整に当たり、そうして閣議でこれを最終決定して政府案とする。こういう手続でやっておりますが、私は今度、この予算編成にあたりまして、予算編成中は国会議員以外の人には会わないという方針をとって、予算編成中何人にも会っておりません。この編成過程のうちで、当然政党内閣でございますから、与党の意見を聞いて調整するということは当然でございますので、この与党と会う場合も、与党の幹部と会って、そこに意思を統一してもらって、そこで党との意見調整をやるという形をとっておりますし、また外部の人とは会いませんが、野党の方も非常に予算についていろいろの注文も、要望もございましたので、私適宜野党の方ともお会いして、意見をお聞きするということはいたしましたが、その間圧力団体によって、私どもが大蔵原案を不当に変えたというようなことは、実際においてそういう問題はございませんでした。大体私は会いませんでしたから……。そうして、与党の責任者を通じて意見を聞いて、この調整に当たるということをやりましたので、世間で、これは与党、野党同じだと思いますが、いろいろ陳情というものはあるので、これがはなばなしく見えたかもしれませんが、実際裏で予算編成の衝に当たったわれわれとしましては、こういう圧力によってゆがめられた予算を組んだということは実際はございませんので、この点は一つ御了承願いたいと思います。
#39
○井手委員 異議なしといいたいところでしょう。まあ大蔵大臣の立場ですから、今のお話承っておきます。けれども、それでは四百数十億円の隠し財源、百五十数億円の予算総額の増加、これはそうすると最初から予定の行動だったのですね、大蔵大臣。六百億円にも近い予算の増加が実質上行なわれたということは、最初から予定に組んであったわけですね。
#40
○水田国務大臣 御承知のように、大蔵原案におきましては、私はこの道路整備計画は大体一兆八千億円計画でやれるのではないか。そうすればガソリン税の増徴ということはしなくても済むというのが最初の私の考えで、そういう原案でございましたが、最終の段階になりまして、党側の意見もあり、また内閣におきましても、道路整備が緊急の問題だ、このためには五カ年計画を少なくとも二兆一千億円くらいに増額した計画を立てることが至当だ、そのためにはその特定財源であるガソリン税の値上げということも必要な措置であるというふうに最終段階の調整において意見が一致しましたから、この点を変更しただけでございまして、当初の予算ワクというようなものも、ガソリン税を引いた額、百五十四億を引いた額が最初の私どもの大蔵原案の予算ワクでございまして、この点の変更はございません。
#41
○井手委員 続いて、いよいよ予算案の内容に入って参りますが、あらかじめ大蔵省の事務当局に申し上げたいと思うのです。先般の説明によりますると、まだ議決もされていない第二次補正予算案を、いかにもすでに決定したかのごとく説明をなさっておる。この予算説明にちゃんと書いてある。第二次補正後の予算に比べればと書いてある。いつ大体第二次補正予算が通ったのですか。かつてないそういう説明をなさっておる。政府に都合のいいことばかりおっしゃっておる。そういうことじゃなくて、一つありのままに説明をしてもらいたい、答弁してもらいたいことをあらかじめお願いしておきます。答弁は要りません。
 三十六年度の予算案によりますると、本年度には使われない四百四十億円の第二次補正、また一部は三十六年度予算の内容を持っておる第一次補正のものを加えますると、二兆円をこえるのであります。そうしますと、国民所得に対しては一割六分、かつてない高率である。さらに今度の予算からは財政投融資の性格も変わってきたようでありますが、これを加えますると、三十五年度の当初予算に比べますれば五千六百億円の激増になっておる。私はここで金額が多いから、大型がどうこうとは申しません。しかし腹一ぱい見込まれたこの予算、自然増収を三千九百三十億円も見込まれたこの予算、私は、景気のいいとき、好況のときには財政を引き締めて、経済活動を調整していく、不況のときには経済を刺激するために積極予算を組むというのが今までの大蔵省の建前ではなかったか、財政の常識ではないかと思う。ところが、私は多くを申し上げませんが、今度の予算はせい一ぱいに組んである。しかも今後の経済の見通しというものはあまり明るいものではございません。こういう腹一ぱいの予算を組んで、大蔵大臣、どうですか、これでも健全財政とお考えになっておりますか。経済、財政の常識に沿っておるとお考えになっておりますか。腹一ぱい組んであります、この予算は。
#42
○水田国務大臣 私はあまり腹一ぱいとは思いません。と申しますのは、なるほど三十五年度当初予算の額に比べますと、一兆九千億のワクは相当大きいのでございますが、この三十五年度の当初予算は、御承知のように、最初から経済の伸び率を非常に過小に見ておったという関係で、税の収入見積もりも非常に少なかった。第一次補正をやり、お願いしております第二次補正がもし御承認願えますとしますと、この三十五年度の予算ワクですら一兆七千六百億円をこすということでございますので、三十六年度の今の予算ワクは、わずか一割程度しか多くなっていないワクでございまして、九・二%の経済成長というような予想からしまして、大体経済成長に見合ったワクであると思いますが、これが異常に膨大な、腹一ぱい見過ぎた歳入の見積もりであるというふうには私は今考えておりません。
#43
○井手委員 なおその内容については、次々にお伺いをいたしたいと思います。
 そこで、この際補正予算とも関連してお伺いをしたいのでありますが、三十六年度の予算を編成されるときに、大蔵省の原案では、産業投資特別会計に百五十億円組んであったようですが、あれはもう必要でなくなったわけですか、大蔵大臣。
#44
○水田国務大臣 いや大いに必要でございまして、私どもが最初この必要な財政投融資にこたえる財源は、やはり三十六年度の歳入でまかなえると考えまして、大蔵省原案の際は、予算補正を考えないで、ことしの歳入の中で百五十億円の産業投資をやりたいという予定でございましたが、閣議において予算調整の過程で、やはりこの際経済成長を推進するために緊急な経費がまだ多い。たとえば三本の柱と申しましたが、実際において経済成長のためには人的能力の向上、整備ということも必要な要件でございますので、文教費においても緊急措置すべき問題がたくさんある。また社会保障の問題においても同様ですが、こういう方向にもっと施策を強化しなければならぬというようなことが出て参りまして、そういう緊急な経費にこの百五十億円は充てることが妥当である。そうして三十五年度の一般補正において、産投の資金に今見込まれる自然増の相当部分を繰り入れることが妥当だというふうに、最後の調整段階で変わって、こういう措置をとったといういきさつでございます。
#45
○井手委員 さほど緊急でなかったということがわかりましたから、あとでその点はお尋ねをいたします。
 さらに大蔵省の原案では、予備費二百億、災害対策費を加えて二百億予定されておったようです。昭和二十七年度ごろの予備費には災害対策費を加えて百三十億組んであったと思う。そのときの九千億程度の予算から見ますれば、二倍以上になっておる今日の予算総額において、百億程度の予備費で、はたして足りるかどうか。初めから補正予算を予定しておるのかどうか。もし伊勢湾台風のような災害が起こったならば、どうするつもりですか。もし自然増収が見込まれないという場合には、どういうことになるでしょうか。私は、当初大蔵原案に二百億組んであったことに敬意を表しておりました。これはいいことだと思う。ところが国会に提案されたものを見ますと、百億にしかなっておらぬ。これはどういうことですか。ことしは災害がないと考えられておりますか。ことしは災害は起こりませんか。
#46
○水田国務大臣 災害が起こるか起こらぬか、これはわかりませんが、これにはまたそのときにいろいろ対するやり方もございますが、昨年の予備費八十億はやはり不足でございまして、第一次補正で三十億円追加して百億で何とかことしはまかなっていけるということから見まして、大体最低限百億は、予備費として必要ではないかと考えまして、最後の政府原案におきましては、二百億のうち半分は、先ほど申しましたと同じような緊急の政策費にこれを振り向けることが至当だということに調整した次第でございます。
#47
○井手委員 最近災害の跡を振り返って参りますと、毎年残念ながら三百億円前後の補正予算を組んであるのであります。いつ災害が起こるかもわからない、そういうときに備えるということが、私は大事だと思う。政治家の務めだと思う。わざわざ二百億の災害対策費を組んであるのに削る。大蔵大臣もつらいところでしょうから、これ以上申し上げません。しかし、こういう予備費の組み方も、これは考えなくちゃなりません。この点は、あとでほかの諸君からも質問があるでしょうから、私はこの程度にしておきます。
 さらに、もう一点お伺いしたいのは、提案された三十六年度の予算案で、雑件は原案から百五十億程度減っておるのですが、雑件というものは、伸び縮みが勝手気ままにできるのですか。大蔵大臣、いかがでございましょうか。
#48
○水田国務大臣 これは、今申しましたような、やはり各省大臣との調整過程において、重点的に必要な方に予算を振り向けるために、今年度若干減額してもこれはやっていけるというような項目についての削減を行なっているということでございます。
#49
○井手委員 おそらくこういうのは大蔵省の隠し財源であろうと思うのですが、そういうことは、先刻、総理は、これが民主政治だ、公表するのが民主政治だとおっしゃったけれども、あまり明るいものではございません。
 そこで、大蔵大臣、あなたは、一月の十八日、いよいよ予算原案がきまるときに、第二次補正は出しませんと、その日までおっしゃっておった。それは、ここにいらっしゃる新聞記者の人がちゃんと保証人になられる。ところが夕方になって、あなたは、ごめんなさい、補正予算を出すようになりましたとおっしゃったそうですが、その昼ごろまでは、やはり補正予算は出すつもりじゃなかったのですか、出さないつもりでしたか。急に何かのあとに補正予算を出すようになったのですか。
#50
○水田国務大臣 さっき申しましたように、大蔵原案の過程では、私はそれを考えておりませんでした。最後に各省との予算折衝、内閣における最後の調整の決定のときにおいて、こういうことになったというわけでございます。
#51
○井手委員 それでいきさつはわかりました。そうしますと、財政投融資というのは、緊急避くべからざるものがほかにあったから、三十六年度の予算では減らしたのだ。幸い三十五年度に自然増収があったからその方でまかなうようにした、こういうことでございましょう。間違いないですね。
#52
○水田国務大臣 そういうことでございます。
#53
○井手委員 非常に正直でけっこうだと思います。このいわゆる財政投融資の問題について、はたして財政法にかなうかどうか、この問題はすでに私もここで論議したことでございます。多数の力でそのことが押し切られた前例もございます。しかし、そういうことは、たとい多数であっても許されるべきことではございません。財政法二十九条によりますと、内閣は、予算作成後に生じた事由に基づき必要避けることのできない経費に充てるため補正予算を組むことができるとある。今までのあなたのいわゆる予算編成のいきさつをお聞きしますと、緊急避くべからざるものがたくさんあったから、これは削ったんだという。そういたしますると、これは必要避くべからざるものではなかったということにはっきりするのである。これは明らかに第二十九条の違反だと思う。私は財政法に詳しい大蔵省当局にいろいろ申そうと思いませんが、年度独立の原則という問題、あるいは健全財政というこの財政法の建前から考えますると、緊急避くべからざるものと考えられないこの財政投融資三百五十億円を第二次補正予算に組んであるということ、これははっきり違反しておるじゃございませんか。――法制局長官にはあとではっきりいろいろ聞きますから、まだゆっくりしておって下さい。――大蔵大臣、その点はいかがですか。
#54
○水田国務大臣 今、三十六年度の経費の中に、他に緊急のものがあったから、この百五十億円は削除したということを申し上げたのですが、そうかといって、この産業投資資金の必要がなかったというわけではございません。御承知のように、政府の産業投資というものは、これは随時適切に必要によって行なうべきものではございますが、そのためには普通の形の予算措置ではいけない、やはり資金というものを設定して、これにこたえる必要があるのだということで、御承知のように、昭和三十一年度において、そのための資金というものができました。これによって三十二年、三十三年、三十四年と、この三カ年の必要な財政投資がまかなわれてきましたが、現在この資金がなくなっております。そこにもってきて、昭和三十五年度の予算編成当時は、経済の伸びを六・六%というふうに低く見ていろいろな計画を立てたのでございますが、御承知の通り、倍近くの経済成長率を示すようになりましたので、そういう点において、当初予定しなかった政府に対する投資需要というものがここで非常に大きくなって参りました。またそのほかにも、ドル防衛対策あるいは自由化の問題に関連するいろいろな情勢の動きとか、さらに政府が平均年率九%の成長政策を正式に昨年の後半期になって取り上げるというような、最初と違ったいろいろな事態が出てきましたので、この産業投資に対する需要というものはここで非常に多くなり、また今後も非常に多くなろうという傾向を示しております。そこで私は前に、愛知委員からの御質問でございましたか、ほんとうならあの第一次補正のときでも、産業投融資会計の資金に余力があったら繰り入れたいという気持でございましたが、当時は増収の見込みもつきませんので、これはやらなかったのですが、こういう余裕が出るならやりたいということは、そのときにも申し述べた通り、この必要性というものに今私どもは迫られているときでございますので、三十六年度の予算においてそうしなくても、この当初予定した計画は、この補正予算によって、すでに三十一年度にそういう資金が設定された前例はあることでございますから、これに従った措置をするの方が妥当である、こう認めて、そういう判断のもとにやったようなわけでございます。
#55
○井手委員 それは、あなたは政治的の判断からの御答弁でございます。それは必要であるかどうか、緊急避くべからざるものという解釈は別にしても、必要であるかどうかは、これは立場によって違うでしょう。第一次補正において百四十五億円追加されているはずです。三十五年度の産業投資特別会計の運用金の総額は四百三十四億円にも上っている。しかも第二次補正に組んである三百五十億円のうちには、三十六年度に百五十億、あと二百億は三十六年度には使わなくて――三十五年度には全部もちろん使わない、そのうち百五十億は三十六年度に使う、そうして残る二百億円は三十七年度以降に使うということが国会で説明されている。これが緊急避くべからざるものですか。三十七年度以降に使う二百億円というものを今日急いで補正予算に組む必要がどこにございますか。もし必要ならば、三十七年度に、剰余金が残った、剰余金の半分が翌々年度の剰余金として計上されるはずですから、そのとき組んでもおそくはないはずです。その点はどうですか。二百億円は三十七年度以降ではありませんか。
#56
○水田国務大臣 三十五年度に使う金であるということでしたら資金に繰り入れる必要はございませんで、三十五年度の歳出にその金を立てれば、一般歳出にこれを処理できるのですが、資金というものは当該年度に使わない、その年度内には全部を使わないという意図をもって設定するのが資金の性質でございますので、この資金に今年度の歳出を立てて、歳出としてこれを入れるか入れないか、それを入れる必要があるかないか、必要が非常に強いかどうかというのは、これは私たちの判断の問題ということになろうと思いますが、この資金を今年度内に使うということでは資金の性質にはなりませんので、これは随時適切に後年度にまたがっても使えるという、そういうことが財政管理の上でできるための資金でございますから、従って、これは法律によらなければならないという厳重な規定まであって資金というものができているわけでございますから、今年度使わないということは全然矛盾がないと考えております。
#57
○井手委員 そんな勝手な解釈はできませんよ。財政法を勝手に、そのときの都合で解釈してもらっては困る。四十四条の「特別の資金を保有することができる。」というのは雑則にあるんですよ。「保有することができる。」できるけれども、これは大事な金であるから勝手なことをしてはいかぬぞという注意的な規定です。原則は何といってもこの二十九条の緊急避くことのできない経費に補正予算を組むことができる。そこに一番の問題がある。三十五年度に使うべきものを、最初から三十六年度に百五十億、三十七年度以降に二百億、――三十五年度に緊急避くことのできないものじゃございません。緊急避くべからざる経費では絶対にございません。四十四条は注意的規定です。保有することができるということはあります。それはその通りです。しかしそれは二十九条にいう緊急避くことのできない費用に充てるもの、その補正予算というものが大事な点なんです。それを犯してはなりません。――法制局長官、あわてぬでもいいです。私が申し上げるまでもございません。財政法というのは、お互いが出した血の税金、これが勝手に権力者によっていろいろな方面に使われては大へんだというので、国によっては血を流して獲得した財政基本法です。それを多数であるから、あるいは都合がこうだからといって勝手な解釈をされてはかなわぬ。私はこの機会にこの点ははっきりけじめをつけなければならないと考えております。今まではそれで通ったかもしれませんけれども、それは許されません。法的解釈はあとで十分あなたと論議をいたしますから、総理大臣にお聞きしましょう。
 緊急避くことのできない経費、それだけは補正予算で組むことができます。それは三十六年度予算編成のときに予定されておったけれども、ほかにもっと緊急なものがあって、どうしてもはみ出てしまったから、三十五年度に組み込んだという大蔵大臣の答弁です。その間のいきさつははっきりしている。だからその点は緊急避くべからざるものとはいかに考えても思えない。三十六年度と三十七年度以降に使うものを三十五年度に緊急避くべからざるものとしてなぜ計上されたか、この点をお伺いします。
#58
○池田(勇)国務大臣 この問題は、三十一年度補正予算で、私が大蔵大臣として社会党の同僚と長く論争したのであります。水田大蔵大臣が今まで答えました通りでございます。私は、財政投融資に三十六年度持っていかなければならない、それは、三十五年度におきまして非常に経済が成長し、そうして経済基盤の強化、ことに貿易振興その他緊急な事情が現に三十五年度においてあるのです。従いまして、財政法第二十九条に緊急やむを得ざる条項によって資金に出すということが、――四十四条の雑則にもあります。緊急に必要なものとして三十五年度の補正予算で組むことは、私は財政法が認めておるところと前から確信いたしておるのであります。詳しくは大蔵大臣の答えた通りであります。
#59
○井手委員 大へんな確信だと思うのです。緊急避くべからざるということの解釈は、見方はいろいろ人によって違うでしょう。われわれは絶対必要でないと考えておる。それは立場において必要だとお考えになるかもしれません。けれども、この三百五十億円という資金の保有は、三十五年度にはびた一文も運用していないのですよ。これははっきり書いてある。三百五十億円の中に百五十億円は初めから三十六年度の運用資金として予定されてある。二百億は三十七年度以降に回すのですよ。必要避くべからざる経費ですか、重ねて総理大臣にお伺いします。三十五年度には予定されておりませんから、そのことを念頭に置いて御答弁願いたい。
#60
○池田(勇)国務大臣 緊急避くことのできないということで組んだのでございます。従いまして、組んだ後の資金の使い方につきましては、また別個の問題でございます。何も三十六年度に使う金しか組めないとういものではないと私は解釈しております。従来もそれでいっております。
#61
○井手委員 そんな勝手な解釈をされては困るのです。あなたの方の政府の部内においても、与党の内部においても、そういう必要があるならばこの際財政法を改めようじゃないかという意見が三十二年においても、その後においてもずっと起こっておるのですよ。一つ大蔵事務当局に聞いてごらんなさい。そういう意見がたくさんある。もっとすっきりすべきですよ。われわれはそういう資金を保有することには賛成ではございません。しかし、あなた方は必要でしょう。しかしその必要であるか必要でないかは別にしまして、財政法に必要避くことができないと書いてあるならば、それに沿うように、あなた方の意思に沿うように法律を改正すべきではありませんか。多数であるから、前例があるからといって、必要避くことのできない経費であるとは絶対に認められません。三十五年度には使わないのですから、これは何とあなたがおっしゃっても承知ができません。それは与党、野党を問わず、国会の立場から、立法府の立場から、厳格にこの際明確にすべきであると思うのです。
#62
○林(修)政府委員 ただいまの御質問でございますが、いわゆる資金の繰り入れというのが実は一般会計の歳出でございます。そうすると、その資金をいかに使うかという問題と区別して考えなければならない問題でございます。要するに財政法第二十九条の補正予算の作成理由、これはそこに書いてあります通りに、予算作成後に生じた必要避けることのできない経費に充てる場合、必要避けることのできない経費という見方、これはいろいろの御判断はあると思いますけれども、そういう資金を設定することが必要避けることのできないという認識のもとに資金の繰り入れを認めたわけでございます。三十五年度の補正予算において必要避けることのできない経費というのは、三百五十億の繰り入れ、歳出の繰り入れでございます。歳出の繰り入ればまさに三十五年度の予算として使えるわけであります。繰り入れたあとの資金をいつ使うかという問題、これはそのうちの百五十億を三十六年度に使い、あるいはその残りはまた将来使うということになっておりますが、これは資金の性質上当然そういうものであります。資金というものは要するに何年度かにわたってそこに繰り入れた金を使っていくというのが資金の性質でございます。そういう資金である以上は、一年度に使ってしまうというのであれば資金を作る必要はないわけです。むしろ何年間かに使うということが資金を作る性質でございます。ところが、しかし資金に繰り入れるということを一ぺんにやるわけです。資金に繰り入れを一ぺんにやるわけで、資金の繰り入れば本年度の歳出の項目に上がっておるわけです。これは三十五年度に全部支出されるわけです。これは決して後年度に繰り越されるものではございません。その点区別してお考え願いたいと思います。
#63
○井手委員 あなた、法制局長官としてそんな答弁をして恥ずかしくはないのですか。私は、ここで時間をとりますから、あまりこれに長くかけたいと思いませんけれども、あまりにひどいですよ。三十五年度の補正予算に必要避くことのできない経費、その補正予算に三十五年度には使わない、三十六年度に百五十億円、三十七年度以降に二百億円、どこに年度内に使わないものが必要避くことのできない経費ですか。あなたが言うのは、四十四条に書いてあるのは企業的経費であるから、特別資金の保有というのは、企業的経費の関係があるからこれは保有することができる。勝手にしてはならないという注意的規定ですよ。こういう注意的規定で年度独立のこの大原則をくずすわけには参りません。必要避くことのできない経費しか補正予算に組んでいけないというこの大原則はくずすわけには参りません。
 私は、この際委員長にお伺いいたします。委員長、かつて法制局長官をなさった船田委員長に伺います。今までの問答で御承知でございましょう。こういう勝手な解釈、――先刻も申しましたように疑義があるならば、政府部内でも与党でも異見がある、そういうものであるならば、なぜ財政法を自分たちのもとで改正しないのか、そんな勝手な解釈で都合のいいように、前例があるかといって押し通すことは、私は絶対に承知できません。あなたも良識家でございますからよくおわかりだと思う。政府に対して注意を願いたい。これでは議事が進行できません。御注意を願いたいと思います。政府に対してもっと明確な――私ども社会党も少なくとも三分の一の国民の意見を代表しております。私どもが全然納得のできないことを、こういう財政憲法を勝手に解釈するということは、われわれは承知できません。委員長から一つ政府に対して注意を願いたいと思います。あなたは戦前の法律の解釈は厳に守ってこられた法制局長官の前歴を持っておられますから、私は特にあなたにお願いをしたい。
#64
○林(修)政府委員 ただいまお答えいたしまし通りに、審理四十四条の問題と二十九条の問題、これは区別して考えていただかなければなりません。四十四条は、要するに資金の保有、これは法律の定めるところによって資金を保有する、これは一種の年度独立の原則に対する例外規定でございます。従いまして、今井手委員もおっしゃいましたけれども、年度独立の原則のみにこだわれば当初予算で資金を保有すること自身もそういう問題があるわけでございます。しかし資金を保有することを法律で認めておりますのは、たとえばかりに当初予算で産業投資特別会計に百五十億なら百五十億の資金を繰り入れる。それを当年度に繰り入れないというような資金を作ることは、これは可能なんでございます。この点をまず、資金というものの性質をそういう意味でお考えを願いたいと思います。その場合の経費というのは、資金に繰り入れるのが経費でございます。それから、その次にそういうような資金の繰り入れを補正予算でできるかできないかという問題があるわけでございます。その補正予算に繰り入れる場合は、そういう資金の設定が予算作成後に生じた緊急必要やむを得ない事由に当たるか当たらないかという問題です。これは現在の政府としては当たると認識しているわけでございます。従いまして、その二つの問題を区別して考えていただく必要があります。本年度において補正予算に組んだ金は、全額一般会計の歳出として出るわけでございまして、決して後年度に繰り越されるものではございません。その点をぜひ区別して考えていただきたい、かように考えます。
#65
○井手委員 そんな大事な法律の鉄則を区別して解釈することはできません。当初予算の場合はそれはできますよ。補正予算だから私は申し上げているのだ。補正予算というのは、必要避くことのできない経費に充てるために、最小限度必要避くことのできないという限度内でしか組むことはできませんよ。それを私は言うておるのですよ。ここで言うことは、使用目的によって違うのです。使用目的ですよ。災害であるか何であるか、そういう使う金が必要避くことのできないときに補正予算を組むことができますよ。翌年度に幾らでも繰り越すことのできるものは、必要避くことのできない経費ではございません。何を急いでいる、何を急いで三十七年度以降に使うものを――本年度に使うならば、それは見解の相違もありましょう、三十七年度以降に使うものを、何で今急いで繰り入れることができますか、あなたの答弁は要りません。そんな答弁ではこの国会を通しません。
 総理大臣、お聞きになってこれはどうもおかしいとお考えになりませんか。原則ははっきりしておりますよ。四十四条というのは雑則で、資金保有について注意を規定しただけです。資金保有ができるから補正予算もどんなものでも組めるというものではございません。鉄則と雑則とは違う。あなたの方は私と解釈が若干違うにいたしましても、この財政上疑義のあるまま押し通すことは、これはできませんよ。その点についてはどうですか。
#66
○池田(勇)国務大臣 三十五年度において、今の状態で財政投融資の金が要るというときに、補正予算で組めるか組めぬか、三十五年度の経費として補正予算を組んで出すことがいいか悪いか、必要欠くべからざるものかどうか、こういうことなんです。だからあと三十六年度並びにそれ以降で使うかという問題と違うわけなんです。三十五年度において財政投融資に相当な金を組むことが必要かどうか、この認識でございます。あなた方は今年使わないからそれは要らぬのだ、こう言われるが、そうじゃないのです。私は当初予算後、日本の経済の高度な成長と貿易自由化、その他いろいろな点から考えまして、今年度において、すなわち三十五年度において経費として今出すことが必要である、こういう考え方でやっておるのです。出した金は三十五年度の歳出でございます。従いまして、その金は今度四十四条の資金ということになって、いつ使うかという問題になってくるのであります。あくまで三十五年度の当初予算を組んだときから後の状態で、経済の高度成長によってやっておるわけでございます。
#67
○井手委員 大事な国民の税金ですよ。それだけ緊急必要避くべからざる経費があるから補正予算を組みますよということで、国会を通じて国民に納得してもらうのですよ。ところがその金というものは、三十五年度に使わないのですよ。資金としてはそれは産業投資特別会計の方に回すかもしれません。それは方法であって、目的が違うじゃございませんか。問題は目的ですよ。使用目的ですよ。産業投資特別会計に金が必要だ、しかし今年使わなくては、必要欠くべからざるものでございませんよ。
 大蔵大臣、今度はあなたに聞きます。あなたは三十六年度予算の場合に、ほかに必要避くことのできない経費がたくさんございましたから、これは順位がずっと下の方であったからという意味でしょう、だから削ったとおっしゃる。便宜的に、三十五年度の自然増収に差異があったから、そこにあなたは補正予算として組まれておる。二百億円という金が出るのは三十七年度以降ですよ。資金に繰り入れるというのは方法論であって、使用目的ではございません。国民の税金を、こういう必要避くことのできない経費があるからといって、国会に協力を求めるのではございませんか。どこが必要避くことのできない経費ですか。三十六年度、三十七年度以降に使うものが、どこが必要ですか。問題は使用目的ですよ。方法ではございません。資金をどちらに繰り入れるとかああするとか、そういう方法じゃありません。問題はその金を使うかどうか、目的ですよ。
#68
○水田国務大臣 さっき申しましたように、年度予算の当初においてこの資金繰り入れをやるのなら、これは確かによかったでございましょうが、この当初においては、さっき申しましたように、日本経済の伸びについてもいろいろ見込みが違っておりましたし、またさっき申しましたようないろいろな事情、予算編成後に起こってきた事情というものを最初予想しなかったというような点で、この資金繰り入れが当初予算においては少なかったということが言えると思います。ところがその後、御承知のような事情で、この政府の産業投資需要というものが非常に大きくなってきて、将来これはますます大きくなるという必要に迫られておりますので、私どもはこれを予算の補正で資金に入れよう、そして今年度の歳出にこれを立てよう、これが必要だということを認識しているわけでございまして、今年度使わなければならぬということでしたら資金に繰り入れる必要というものはないので、今年度の予算に立てればいいというのですが、そうではなくて、これを資金に繰り入れる必要があると私どもは判断したので、今度の補正予算をお願いしているということでございます。
 そういう必要性がもともとあるのですから、三十六年度予算においてもこの措置をとろうと考えたのですが、今申しましたような事情がありましたので、これを三十五年度の補正でこの資金繰り入れをやって、この要望にこたえればいいということでございまして、この問題につきましては、今までこの資金設定をこういうときに補正予算でやることについてはどうかという問題もございましたので、私どももずいぶん研究しましたが、過去において、もう当該年度に使わない資金の設定ということを補正予算でやった例がたくさんございまして、この予算委員会におきましても、国会におきましても、たくさんある先例がことごとく認められておる状況でございますので、この問題は、国会としては一応財政法に違反するということではないのだという結論もついておることだと私自身は考えておりましたが、過去においてこういう論議も非常にございましたし、一応財政法違反ではないのだ、年度独立の原則と申しましても、その原則だけでは財政管理はうまくいかないというために、当該年度に使わなくてもいい資金の設定ということで弾力的に措置できる道をやはり財政法で開いておるのでありまして、原則違反というのですか、同じ財政法の条項でございますから、その効力は平等であろうと思いますし、その必要をどう認識して措置するかという問題でございまして、少なくとも財政法違反であるというふうに私どもは考えておりません。
#69
○井手委員 このくらいはっきりした財政法の違反はないと私は思う。あなたは三十六年度予算編成にあたって、三十六年度に必要だというので百五十億円組んであったけれども、ほかの重要な経費があったから落としてしまったとおっしゃる。そうであるならば、それほど重要であったとは考えません。それほど補正予算に組んで繰り越さねばならないものであるならば、なぜ三十六年度予算でそれをあくまで確保しなかったのですか。何も急いで――三十七年度以降に二百億円を使うというのであるならば、剰余金が三十七年度予算には出てくるはずです。もちろんそれは半分は国債償還に向けねばなりませんけれども、半分はそのうちから使えるはずではございませんか。なお自然増収は五百億くらい残るはずです。そう見て参りますと、何も無理をして、財政法違反を犯してまで三百五十億円の資金を保持する必要はないと思う。(「違反じゃない」と呼ぶ著あり)このくらい明らかな違反はない。私はこの点については、この国会においては譲りません。本日はなお私はたくさん質問を持っておりますから、この点は保留しておきます。
 次に予算案の内容について検討を進めていきたいと思います。
 池田総理は千億減税を公約なさった。その千億を約束なさったときには、自然増収は二千五百億円から三千億の程度であったと思う。そのくらいの見込みのときであったと思う。また税制調査会においても三千五百億円から三千億円を前提として一千億減税が私は答申されたと思う。四千億円にも近い自然増収があるときに、わずか一六%程度の減税で総理大臣はよろしいとお考えになりますか。あなたはこの前の三十二年度予算でございましたか、一千億減税をなさった。今までの減税では二五%から三十数%の減税が行なわれている。本来ならば自然増収、国民がかせいだ税金に対しては、これは半分くらいは戻すべきだ。あなたは今でも三千九百三十億円の自然増収に対してこの一千億減税でよろしいとお考えになっておりますか。
#70
○池田(勇)国務大臣 自然増収の見方につきましては、この前の特別国会では、三千億円をこえるかもわからぬ、あるいはお話しのようにそれ以前におきましては二千五百億円というふうなこともございました。しかし三千億をこえまして三千九百億くらいになったときに、減税を公約以上にするか、あるいは減税は公約程度にとどめて、社会保障制度あるいは文教施策に持っていくかということは重要な問題でございます。従いまして私は、減税、社会保障あるいは公共投資というときに、減税はこの程度で、自然増収の多かった場合には、まず社会保障あるいは公共投資、文教、こういうものに出すべきだという考え方を持ち、ある場合におきましては発表したこともあります。社会保障が後退する、後退するというあれでございましたが、いや減税はそのまま公約通りにして、社会保障へ持ってくるのだということを私は公言したのでございます。私は今の程度でけっこうだと思います。しかし減税というものは昭和三十六年度に限ったことではございません。経済の成長とともに社会保障、公共投資とともに重要な施策の一つとして今後も考えていきたいと思っております。
#71
○井手委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、大蔵大臣は今日まで、三十五年度は国民所得に対する税金の割合は二〇・五%であった、二〇%以下に押えるべきだという質問に対してあなたは、年々減税をして参ります、一ぺんにはやれないかもしれませんが年々減税をするとおっしゃった。ところが今回の減税によりましても、国民所得に対する割合は予算説明書の通り二〇・七%に上がっているのです。あなたは年々減税をする、税制調査会から答申されたように、二〇%前後にとどめると言う。かつて前の自民党の政策では一八%でございました。それがいつの間にか二〇%程度になっている。まあそれでもよろしいでしょう。しかし実はあなたの今までの約束、年々減税するというのと本年は違うではございませんか。上がったではございませんか。
#72
○水田国務大臣 税制調査会の意見として、国民負担は大体二〇%前後が妥当であるという意見が出て参りましたが、私も国民所得に対する国民の負担をその前後にするのがいいのではないかと思っております。御承知のように国民所得がふえる。それに従って国民の負担は同じ比率に増えるかと申しますと、そうでございませんで、今税制の累進構造によって、国民所得が多くなれば、それに伴って税の国民負担の方が国民所得のふえる割合よりも多くなるということになっておりますので、そういたしますと、私どもが今後国民所得を倍増するとかいうような政策を持っておりますと、常に国民負担の割合を一定にするためには、今後ほとんど、おそらく毎年と言ってもいいくらい減税というものはやらなければならぬだろう、こういうふうに考えておりますので、私は今回だけでなくて、来年もその次も、減税は常にやっていって、この負担の割合を多くしないように心がけたいということを言ったわけでございます。本年度は、三十五年度を見ますと、当初は二〇・五%の負担の予定でございましたが、実際は二一%にいっていると思います。ですから私どもも、せめてことしの当初予算の国民の負担割合ぐらいまでこれは下げたいというつもりでこの減税をやったわけでございますが、さっき申しましたように道路の緊急要請にこたえるための特定財源の税率引き上げというようなことをやりましたために、二〇・七%前後の国民負担になろうということでございますが、これは三十五年度の実質の国民負担割合というものは二一%にいっておるのでございますから、明らかに減税はやったことになりますが、減税の案を作る場合に、各税種を個々にいじるということは、これは全体の体系を害することになりますので、税制というものは全体を体系的に考えなければならないという立場から、私どもは、税制調査会に特にその点に力を置いた検討を願っておりますので、今度は所得税と法人税を中心に、将来予想される体系を害さないことを考えたまず第一段の減税をやろうという方針でございましたから、なるたけあの答申を動かさないで、この答申に従うという方針を最初からきめておりました。たまたまこの答申が与党の公約になっておる一千億以上というのですが、一千億以上の減税になりますので、この通りにやったということでございますが、国民所得が予想以上に今大きくなってきましたので、それとの権衡をとって、来年度もまた相当減税をやろうと今考えておるところでございます。
#73
○井手委員 大蔵大臣、なるべく簡単に、一つ要約して御答弁願いたいと思うのです。
 私は、国民所得に対する割合は、当初予算に比較すべきものだと思うのです。もし補正後のものに比べますならば、それでは当初予算に歳入を過小に見積ったと言われてもしようがないと思うのです。やはりこれならば確信を持てるというものが、当初予算に組まれたはずです。当初予算と対比しなければならぬ。そうなりますと、昨年よりも上がっておる。増税か減税かということは、国民所得の割合によってきまるでしょう。昨年よりも上がっておる。それじゃ私は、大蔵大臣にお尋ねしますが、いつ二〇%ぐらいに引き下げられる御予定ですか。国民所得が上がるから、それにつれて税金もだんだんふえていく、それはそうでしょう。けれどもそれには、重税であるかどうかは、国民所得に対する税金の比率によってきまるはずです。いつごろ政府の約束通り、歴代政府の約束通り、また税制調査会の答申のように二〇%に下げられる見込みでございますか。いつごろですか。来年ですか、三年先ですか。
#74
○水田国務大臣 税制調査会のこの意見も、どんなことがあっても国民所得と国民負担の比率は二〇%でなければならぬということを言っているわけではございません。これはときによっては、減税が犠牲になっても施策をやらなければならぬという判断をしなければならぬときもございましょうし、反対に、諸施策をやめても減税を大きくしなければならぬという情勢も考えられましょうが、総じて二〇%前後を一応の基準として施策することがいいというのが、税制調査会の意見でございました。この意見の基礎は、私どももいろいろ話し合いましたところが、特別の基礎を持っているわけじゃなくて、大体ただいま二〇・五、六%のところなんだから、せめてこの程度を基準として、これ以上あまりに負担がふえないようなことを考えるのが望ましいということで、ああいう意見が出たということもはっきりしておりますので、正確に二〇%というふうには考えていません。大体現在程度の税負担の比率を保てるなら私はいいんじゃないかと思っております。
#75
○井手委員 税制調査会の答申は二〇%前後とある。二一%であれば二一%前後ということが書かれるはずです。昨年よりも国民所得に対する割合はふえておるのです。なるほど補正予算も入れた三十五年度予算によりますると、二一%になるかもしれません。しかし、それほど税金を多く取られた国民に、一銭も戻していないじゃございませんか。減税をしていないじゃございませんか。三十五年度は減税を見送る、三十六年度は何とかうんとやってくれるだろう、二千五百億円程度の増収見込みのときに千億減税をやった。ところが、今度は三千九百三十億円に上っておる。そうなればもっと減税して、二〇%前後に私は押えるべきだと思う。今の答弁によりますと、どうも将来の減税は怪しくなって参りました。ほんとうにあなたは国民所得に対して、今日よりも下げるというお考えですか。やむを得ない、ときによっては本年度よりも上がる場合もあるとお考えですか。
#76
○水田国務大臣 私は、少なくとも二一%にはならないようにしたいと思っております。
#77
○井手委員 これ以上は問いません。先刻も申しましたように、二、三年前までは、税金は国民所得の一八%程度というのが公約であった。それがごく最近では二〇%程度。ところが、きょうは二一%ぐらいにとどめたいということである。それでは政府に減税の誠意があると私は認めません。
 そこで大臣に重ねてお伺いをいたしますが、この一千億減税の中身は、予算説明にもあります通り、正味の減税は、実質的減税は六百二十一億円です。これは説明にはっきりしておる。そうなりますと、国鉄の運賃値上げが本年度は四百八十六億円、郵便料の引き上げで六十七億円。これに医療代とか――ガソリンの方は別にいたします。あるいは固定資産税の評価がえなどを加えて参りますと、東京都の評価がえだけで十億円といわれておるわけですから、その二つ、三つをとっただけでも、六百二十一億円という減税は完全に相殺されてしまうではございませんか。減税の効果というものは全然なくなっておるじゃございませんか。予算書に出されたものだけでも、国鉄料金の引き上げ、郵便料金の引き上げなどで六百二十一億円は完全に飛んでしまう。これを大蔵大臣はどうお考えですか。減税の効果はないじゃございませんか。
#78
○水田国務大臣 そういう問題は、全般を総合的に考えてやるべき問題でございまして、私どもは、日本の経済を伸ばすために必要な条件として、一部では減税をやる。国民の負担を軽くする。また、日本国民の持っている利子負担というものは今大きいものでございますから、金利の引き下げというようなことも考える。そうして国民の所得増ということを考えておりますので、一年に一兆四千億円も国民所得がふえるんだ、こういうふやす政策というものを考えておりますし、そういうものを総合判断で考えるべきものでございまして、税金の増税部分と減税部分の差引額とこれを比べて、これで帳消しとかなんとかというような御判断はちょっとどうかと思います。
#79
○井手委員 総合対策を見てくれということでございますから、さらに社会保障あるいは物価問題にあとで進んで参りますが、この提案された公共料金の引き上げだけで、六百二十一億円の減税が相殺されるということを私は特に申し上げておきたい。
 そこで大蔵事務当局にお伺いいたしますが、今日、租税特別措置法によってどのくらい減税をされておるのか。三十五年度当初じゃございません、三十五年度の見込みと三十六年度の見込み、これは国税と地方税の自然減収、自動減収によるものを、別々に一つお示しを願いたいと思います。
#80
○村山政府委員 お答え申し上げます。国税の租税特別措置による減収額は、三十五年度当初予算ベースで千四百七億に上る見込みでございます。なお、これが補正予算ベースでどうなるかということは、これはこまかい計算を、個々の税につきまして伸び率をかけないとちょっとわかりませんので、目下精細な計算をやっております。地方税につきましては、後刻正確な計数を調べましてお答え申し上げたいと思います。
#81
○井手委員 国税で一千四百七億円を当初予算で見込まれた。その後の自然増収の伸びを考えますならば、私は国税だけで千八百億円くらいに上るであろう、さらに地方税の自動減収を私が先日聞いたところでは、当初予算で四百四億円と聞いておりました。そうでしょう。これもさらに本年度の伸びを考えますと、五百億円くらいになるでしょう。今日大資本家を中心とするこの租税特別措置法による減税額の総額は、私は三十五年度においても二千億円をこえると思う。三十六年度においては九・二%の成長でございますから、二千二、三百億円、あるいはもっと伸びるかもしれません。こういう減税をしておいて、一方庶民に対しては実質的にあまり減税がなかったということは、私は何としても納得できません。しかも、予算によりますと、最初租税特別措置法の改廃によるこの増収を五百億円程度と見込まれたようでありますが、出た数字は百十八億円。税制調査会の答申にも結論を得ておらなかった利子課税の特例を延長されておる。これはおそらく九十億円ぐらいになるでしょう。さらに交際費の課税の特例も三年間延長されておる。特別償却制度の整理も見送られておる。法人税においては、これは経済成長の理由はあるでありましょうけれども、この二〇%の年数短縮によって二百五十億円の減税が予想されておることを考えますと、本年度においても二千億円を上る租税特別措置に加えて、ここにまた四百四、五十億円にも上る租税減免の恩典が大企業家を中心に与えられているということが言えるのであります。そうなりますと、一般国民に対してはほとんど減税はされなかったが、一方大資本家中心に莫大な減免税の恩典が与えられておる。これは租税公平の原則から大蔵大臣どうお考えになりますか。
#82
○水田国務大臣 特別措置は政策的な措置でございますので、この目的が達すればこれは逐次廃止しあるいは合理化する必要のあるものでございますので、その方針で税制調査会もこの検討を長い間続けて下すっておりますが、結局まだこの政策の効果を十分に果たしてしまったと言い切れない現状でございますので、これを全廃するというようなものはございませんで、法人税を中心に合理化を今度やるにとどめたということでございます。そう大きい実質増税ということにはなりませんでしたが、たとえば特別償却制度のごときも、これを中小企業に拡大していくというような政策的な必要はかえって今多くなっているというような事情もございまして、今度はこの程度にとどめたわけでございます。今後の経済の進展によって、この問題はさらに私どももまた合理化をはかって、こういう特別措置でございますから、順々にこれを減らしていくという方向で検討したいと思っております。
#83
○井手委員 この機会に総理にお伺いをいたします。私は何回も租税特別措置の根本的改廃を要望いたしまして、前の岸総理も根本的に整理しますという答弁だった。池田総理も、いつか大蔵大臣のときか、そういう答弁があったと記憶をいたしておるのであります。二千数百億円にも上るこの租税特別措置というものは、もう政策的減免税の必要はないと私は思う。中にはこさいに点検いたしますと若干はあるかもしれませんけれども、あれほどの利潤を上げておる大企業に対して、租税特別措置法を、私はこの機会に根本的に整理すべきだと思う。私は国民も、この減税あるいは租税特別措置の金額を知るならば、簡単に納得できるとは考えておりません。総理大臣はこれに対してどうお考えになりますか。近いうちに根本的に整理するというお考えですか、どうですか。
#84
○池田(勇)国務大臣 租税の公平の原則は最も大きい柱でございますが、しかし、経済発展の途上におきまするわが国といたしましては、租税の公平の原則のみによるわけには参りません。やはり経済成長を税制面で助ける政策的な問題も必要であるのであります。従いまして、租税特別措置法には利子課税とかあるいは輸出奨励とかいろいろなものが入っております。しこうして現状から見ますると、お話しのいわゆる大企業の償却につきましては、これはその業種によって非常に償却価額の多いものとそうでないものと、いろいろな資産の内容によって違いまするが、経済の成長につれて会社の内容もよくなっていくにつれて、これは考えなければならぬ問題であるのであります。だから今回の税制調査会におきましても、臨時特別措置法につきまして相当程度の改正を加えておると私は聞いておるのであります。
#85
○井手委員 改正を加える、改正しろという答申に対して、あなたの方では見送った事例がたくさんございます、逆になった事例がたくさんございます、時間がありませんので一々は申し上げませんが。租税特別措置法による減免税が八百億円程度のときにも、根本的に整理しようというのが政府の答弁であった。今日では二千億円をこえておる。この租税特別措置の減免税に対して整理を断行すべきであると私は要求したいのであります。
 次に社会保障についてお伺いをいたしますが、古井厚生大臣は、この前の特別国会において社会保障費の当然増は三百億程度であろうと御答弁をなさった。今日提案された三十六年度の社会保障費は当初予算に比べて六百三十六億の増加になっておる。これはあなたが相当努力されたことは私も認める。ところが、三百億は当然増加でございますから、新たに社会保障制度の拡充ということを三本の柱に公約された池田内閣としては、その新政策は三百三十六億ということになるのであります。その三百三十六億の中の医療費の引き上げによる七十四億円は、お医者さんの方に回わるものですから、これは社会保障費と考えるわけに参らないと私は思う。お医者さんの収入になるのですから、一般を潤すものではないと私は考える。そうなりますと、池田内閣の新政策による純然たる社会保障費の増加は二百五十億円程度になると思うのですが、古井厚生大臣どうお考えですか。
#86
○古井国務大臣 社会保障費全体については私から正確には申し上げかねます。というのは、厚生省の所管以外のこともあることでありますから困難でありますが、大体から申しますと、前回特別国会で申し上げた自然増が三百億程度と申しましたものは、その後精査してみますと三百億以下であるということがわかりまして、自然増が二百八十億前後、こういうことでありますから、お話よりは少し新規増が多いわけであります。正確なことは申し上げかねますけれども、そのような新規なものであります。今の医療費にいたしましても、これはお医者さんのふところに入るというだけで、社会保障と関係ないというふうに片づけてしまうわけにはいきませんので、つまり社会保険の内容の改善、向上という意味も持っておるわけでありますから、これはどけてしまえというわけにもいかぬと存じます。でありますから、三百五十億は少なくとも割らないというふうに見ております。
#87
○井手委員 医は仁術でございますから、引き上げになったからといって改善になると私は考えません。医療の点数が引き上がったから、あるいは単価が引き上がったから、医療の内容がよくなったとは私は考えません。私はお医者さんを信頼いたしておりますから、そういうことはあり得ないと思います。
 そこで一〇%の医療費の引き上げによって、患者の負担が七十三億ふえてくるから、健康保険の弱小組合あるいはその他の組合――古井厚生大臣は、先日この委員会においてかなり保険料の引き上げになるであろうが、全部をというわけにはいかないという答弁がありましたが、一カ年間の医療費総額四千二百億円、厚生省も残念ながら古い統計しかお持ちにならぬようですから、私どもが調べたところでは、四千二百億円の一〇%であれば四百二十億円、それを七月一日からの実施にいたしまして考えますと、おそらく保険料が余って、資金がだぶついておるような組合は、私はほとんどなかろうと思うのですが、結局は保険料の引き上げになってくる。そうなりますると、二百五十億程度、いかに少なく見積もっても、二百億以上の一般の負担が増加すると私は考える。そうなりますると、厚生大臣は三百億じゃなかった、二百八十億だったとおっしゃる、それはよろしい、その通り聞きましょう。けれども一般の加入者の負担、患者の負担というものと、社会保障費の三百億前後の増加というもの、いや七十四、五億を引きますると二百七、八十億、それを計算いたしますると大体とんとんになると思う。差引ゼロになりはせぬか。それは小さく十円違うとか千円違うというわけではございませんが、大体とんとんになるだろうと思う。そうなりますると、せっかく所得の再配分として政府が強調された、公約された社会保障制度というものがほとんど充実されていない、拡充されていないという結果になるでしょう。しかも四月一日からは国民年金の徴収が始まって参ります。それは予算によりますると二百三十二億円、これはもちろん保険です、年金ですから。将来戻ってはきましょうけれども、少なくとも最低十年先のことであります。大体は四十年先のことでございます。そうなって参りますると、今困っておる人々を救い上げていこう、生活を向上させていこうという目的のこの社会保障制度の拡充ということから考えますと、医療費の引き上げによって、せっかくの社会保障の拡充費もとんとんになる。その上に国民年金の負担金は出さなくてはならぬ。こうなりますると、所得再配分といわれる社会保障費が充実したとは、私はどうしても考えにくいのでありますが、厚生大臣、重ねてお伺いをいたします。
#88
○古井国務大臣 この医療費の引き上げの関係でもって、せっかくのこの社会保障費の増額が、何か消えてしまうようなふうにおっしゃっておるのでありまするけれども、医療費の引き上げ、これは三十六年度は申すまでもなく七月からの計画にいたしておりまするが、患者負担としましては六十五億と見ているのであります。そのほかに保険料、掛金の方は、普通ならば増徴しなければならぬわけでありますけれども、特別に手当をいたしまして、それでどの保険会計も掛金を増徴しないで済むように極力努力してみたわけであります。他の国保以外の保険の方は、掛金の増徴は全然、一文も不必要であります。これは給与ベースが上がったりなどして自然に入ってくる財源がありますので、不必要であります。国保の点につきましても、当然国保団体が持つべき部分に対して、大部分を手当をいたしておりますので、これも保険料を増徴する必要は大体ない。しいて数字の上でいえば、被保険者一人当たり一年に十円程度、こういうことでありますから、これは実際問題として増徴の必要もなかろう、こういうことでありますので、医療費の引き上げ関係で、大体社会保障の増額が帳消しになる、これはそうはいかないと思っております。
#89
○井手委員 厚生大臣のお見通しはきわめて甘い。健康保険組合、国民健康保険組合、その他の組合の経済状態、財政状態がどういうことになっているかは、大臣はよく御存じであろうと思う。帳消しになるということはあなたは御答弁できぬかもしれませんけれども、医療費の引き上げによる一般の負担、組合員の負担、患者の負担というものは相当なものですよ。
 その点については後日同僚議員から重ねて質問があるでありましょうから、この程度にしておきますけれども、私どもの計算では、せっかくの社会保障制度の拡充というものが帳消しになっておる。しかも国民年金の負担というものが――国民年金の問題はいろいろ問題がありますが、先の効果は若干あるにいたしましても、目の前に必要な気の毒な者、困った者の老後の生活を保障しよう、いな目の前の困った者を救ってやろうという社会保障制度の拡充としては、公約とははなはだほど遠いものがある。第二に私は池田総理の公約のうそがあると思う。
 次は物価の問題についてお尋ねをいたしますが、主として企画庁の長官になろうかと思います。
 おととい池田総理は野田委員の質問に答えて、企画庁あるいは総理府統計局の消費物価の計算方法を、よいものにでっち上げるように今話をしておるという話である。あなたは今の消費者物価指数というものは悪いとお考えになっておりますか、悪ければどこが悪いとお考えになっておりますか。私はでっち上げるというその総理の言葉、あるいはこれは失言であるかもしれませんが、どうも私は失言ではなく、本心ではないかと思う。これはあとで聞きますけれども……。
#90
○迫水国務大臣 消費者物価指数を計算します計算の方法、つまり構成の内容について、生活の内容がだんだん向上しております関係上、適切でないアイテムがあるのではないかということは、私も認めます。それで現在それを研究をいたしております。
#91
○井手委員 消費者物価指数のこの基準によりますと、今までとってきたものはいわゆるエンゲル係数、食料品というものは五〇%以上になっておる。この一事をもっても今日の政府の統計というものがいかに実情に沿わないかということが私は明らかであると思う。だから総理大臣は企画庁のやっているものは間違いだ、いいものにでっち上げよう、こうおっしゃるのはそこにあると思うのです。そこでそういうふうに企画庁長官自身が改めなくてはならぬとお考えになるほどに今までの統計に誤りがある、実情に沿わぬところがある、そういうことでありますならば、あなたの考えておる一・一%の消費者物価指数の引き上げ、これも誤りではございませんか。大体ほかの機関の調査によりますと、三十六年度は三%上がるであろうといわれている。これも勝手な数字じゃございません。精密に調べたところが三%程度である。一・一%じゃないと私は思うのですが、どうですか。
#92
○迫水国務大臣 現在の消費者物価指数の計算といいますか、その構成が、現在の高度化した生活内容を直接表現しないうらみがあるということは、今申し上げた通りでありますけれども、ずっと前から引き続いてきて比較をいたしますのには、どうしても現在の指数を使う以外には方法はありません。従って、一・一%という数字を出しましたのは、そういう関連において、前と引き続きの関係でありまして、あの計算方法でいけば一・一%上がる、こういうことであります。
#93
○井手委員 大体わかりました。今も申しましたように、エンゲル係数は十二月では勤労者世帯は四〇%程度になっておる。それが五〇%以上にされておる。総理大臣は食料品は下がっておるとおっしゃる、白菜は下がったとおっしゃる。だから低いものがよけいウエートが高いということになる。これも誤りの一つだと思う。電気料金についても同様なことが言えるのでしょう。電気料金は、大てい一世帯月に千円ぐらいであろうと思いますけれども、これによりますと、一・二八%しか出ていない。これは総理がおっしゃったように、企画庁なりあるいは総理府統計局のこの基礎に誤りがあると思う。そうなりますと、企画庁長官、一・一%というものは誤りがあるというお考えですな。もっと高いでしょう。実際の消費者物価指数の上がりは、三%ぐらいになるでしょう。
#94
○迫水国務大臣 昭和三十五年度において、昭和三十四年度との比較は、おおむね三%の消費者物価が上がっていると思います。(井手委員「三・八%」と呼ぶ)その基準において考えると、一・一%というふうに私は判断しておりまして、今井出さんの御質問のようになれは、今年の三%――三・八%まで現在行っていないと思いますが、三%程度のものというものも狂ってくるわけですから、一・一%ということが正しいとか正しくないとかいうことは、現在の消費者物価指数の計算方法において以外議論する方法はないと思います。
#95
○井手委員 それで大体明確になって参りました。一月二十八日の記者会見によりますと、総理は堂々と企画庁の見通しは間違っておる、こう言われておるが、それはやはりそこに基礎があったものだと思う。そうしますと、この三十六年度経済見通し、あるいは所得倍増、そういうことについても根本的に狂いが出てくると思う。大体三十五年度の物価は、これは先日田中委員も、数字の上ではわからない、店頭に行かなければわからないとおっしゃったが、その通りです。普通の世帯で四、五千円の増加だと言われている。もちろん生活の向上もありましょうけれども、主として物価高によって四、五千円の生活費がかさんでいる。大体一カ年間に一割ぐらいは上がっておると思う。統計上三・八%のときに一割以上物価が上がっておるならば、今おっしゃったような比率で参りますと、卸売物価ではなく、国民の生活に一番関係の深い三十六年度の消費者物価指数というものがずっと上がってこなくてはならぬのであります。総理大臣は、物価の値上がりは経済成長に吸収していくとお話しになりましたが、この物価の上がり、物価に対する不安というものは、いかにあなたが強気であっても、答弁や言明だけでは国民は納得しない、承知はしないのであります。物価がどんどん上がっておる、どうなるんだろうという不安をみんな持っている。
 そこで物価対策をどうお考えになっておるか、まず物価対策で聞きたいのは公共料金の問題でありますが、企画庁長官にお伺いいたします。公共料金について原価主義でいかれようとするのであるか。電気料の値上げのように、あるいは国鉄運賃の引き上げのように、今建設費がどんどんかかるから、それを含めて引き上げなくては建設ができないという意味で、建設費を含んでおやりになろうとするのか、原価主義であくまでもいこうというお考えであるのか、これが基本だと思う。いかがでございますか。
#96
○迫水国務大臣 私は、鉄道の運賃というのは一応運輸省の所管でありますが、基本は原価主義であると思っております。
#97
○井手委員 基本は原価主義。そうであるならば、国鉄は三十五年度には百五十億円の黒字が予想されておる。そうでしょう。それならば運賃の値上げは必要ないじゃございませんか。あなたは先日一兆円の借金をすれば年間七、八百億円の利子を払わなくちゃならぬとおっしゃったけれども、今度上げられると、平年度は大体六百億円、それを財政投融資の方から回してもらうか、一般会計から出してもらったら、値上げはせぬで済むのですよ。将来利用される生産設備、それはその設備が動き出して初めてそこで割算をなさればいいはずである。今からそれを建設費まで今の需要者に負担をかけるということは間違いであると思う。しかもこの前運賃値上げの際には、電車の中で新聞が読めるようにいたしますとこの席で時の運輸大臣は公約なさった。ところが実際どうですか。中央線その他の混雑がますますひどくなっておる。サービスが改善されないのに、将来東海道線その他で利用されるその建設費のために今の乗客の負担が重くなるということは工合が悪いと思う。私はこの点は一運輸大臣の問題じゃないと思う。基本的な問題だと思う。公共料金について、今企画庁長官は原価主義とおっしゃる。建設費を含めるとなったら、どんどんふえて参りますよ。これは物価政策上きわめて大事です。あなたの言われる経済成長、あなたの生命にとってもきわめて大事な問題でありますから、総理大臣からお答えを願いたい。
#98
○池田(勇)国務大臣 公共料金につきましては一応は――これは各料金の種類によって違う場合もありますが、原則といたしましては大体原価主義でいくという考えであります。
 国鉄運賃の値上げにつきましては、これはやはり料金の引き上げあるいは借入金また合理化等々、各般のことを考えていかなければならぬと思います。私は詳しい数字は知りませんが、考え方としては借入金あるいは料金の引き上げ、まあ一般会計からの赤字補てんということは新線についてのみ今年からやることにいたしておりますが、一般会計からの赤字補てんというものは、独立採算制という建前から申しましても私はとらない、やはり借入金と料金と合理化、これでいくことが適当だと考えております。
#99
○井手委員 その点がはっきりしません。物価政策でみな不安がありますからいま少し明確にしておきたいと思いますが、原価主義ならばあくまでも原価主義でいきたい、ほかの建設費も、料金やあるいは合理化や、こう総合的にお答えになったのでは、今度の国鉄の運賃の引き上げのように、ああ言うけれどもまた上がるのではないかというふうにみんなから不安を持たれるようになります。あくまでも原価主義を貫かれるお考えですか、重ねてお伺いをいたします。
#100
○池田(勇)国務大臣 方針としては原価主義でございまするが、それは料金のあり方、その他等々考えまして、経営の内容、合理化等から各般のことを考えてやるべきだと思います。
#101
○井手委員 この機会に総理に承っておきたいのは、電力料値上げの問題でありますが、二、三日前の新聞によりますと、九州電力の値上げを国会が終了してからやろうということは常識になっておる。少なくとも予算委員会が済んでから認可しようということは常識になっておる。ところが、いよいよ、総理は、値上げの幅一〇・八%に、九電値上げで指示というのが各新聞に大きく報道されておる。これはその通りでございますか。
#102
○池田(勇)国務大臣 私は、別に指示したわけではございませんが、通産大臣並びに企画庁長官がいろいろ検討して――初めの申し出は一六・七%か一七・八%かという申し出であって、通産省の方は一二%余りになっておったかと思います。私は、いろいろ考えて、償却の方をどうしているかということを聞きまして、一〇%台には押えられないかということを自分の意見として言って研究願った。何分にも、私は値上げはなるべく先に延ばしたいという気持はあります。しかし、九州電力の設備新設に対しまして、世界銀行からの借入金を予定いたしておるのであります。工事を急ぐためには借入金を早くしなければならぬ。借入金をするときには、九州電力の合理化見通し、料金引き上げということを向こうは考えましょうし、私としては、なるべく先に延ばしたいから、延ばせるだけ延ばして、交渉は進めろ、こういう意見は言ったことはございます。何ぼ何ぼにしなければいかぬ、これでいくべしというのではございません。値上げは低く、なるべく先に、そうして早く金を借りろ、これで取り扱うように言ったのであります。
#103
○井手委員 それでは新聞の報道は誤りではない、三月十五日から実施されるであろう、大体そうだと思う。そうなりますと、今度また東京電力はすぐ申請しますよ。物価の値上がりで一番全国民に負担が重くなるのは電力料です。汽車に乗らない人、電車に乗らない人は国鉄の運賃の引き上げはあまり影響はないでしょう、お医者さんにかからぬ人は医療費の値上げはあまり関係はないでしょう、郵便を出さない人はこれもあまり関係ないでしょうけれども、電力料は一番困るのです。しかも、あなたは原価主義が建前だとおっしゃっておる。建設のために料金を引き上げなければならぬという、この電気料金の引き上げ、これは私は再検討してもらいたいと思う。簡単でよろしゅうございますから、再検討の余地はございませんか。
#104
○池田(勇)国務大臣 産業は将来を考えて合理的な経営にしなければなりません。私は、値上げがぜひ必要で、その産業自体の維持におきましても、また国の経済安定のためにも必要なら最小限度の値上げはやむを得ないと思っております。なお、電力料金というのは、ほんとうになくてはならない必需品に対する料金でございます。私は、地方税である電気ガス税、電気につきましてはできるだけ減税を多くするように意見を申し述べておるのであります。
#105
○井手委員 それでは続いて申請されるでありましょうバス、私鉄についてはどうお考えですか。これは運輸大臣でけっこうです。今総理大臣がお話しになった原価主義でおやりになりますか。これは、この答弁いかんによっては、次々に値上げが申請されますよ。私は、今の総理大臣の答弁はあまりほしくなかった。そういうことが企画庁長官が心配しておるいわゆる物価値上がりのムードになっておる。バスの値上げ申請が活発に動いておる、私鉄もそうなんだ。どうするのですか、運輸大臣。
#106
○木暮国務大臣 お答え申し上げます。
 国鉄の運賃の改定につきましては、国鉄特殊の事情がありまして、国民生活にこの程度ならばあまり差し響かない、一般の物価にも差し響かないだろうという点で改定をいたしたい、こういう考えでございます。今お話のバスとか私鉄のことにつきましては、ただいままだ私ども話を聞いておりませんし、国鉄運賃が特殊の事情で、国鉄の経営の基礎を強化して、輸送能力を増強して、国民の生活安定に寄与しようというために最小限度の国鉄の運賃の値上げを今度いたすのでございまして、これに便乗して各種の運賃の値上げをするというようなことは、私としては考えられないのでございます。まだそういう話は出て参りません。従来地方のバスなどで、どうしても経営が成り立たぬ、私経済としてこの運賃ではやりきれぬというようなものから申請がございますと、その事業体々々々につきましてよく研覈考査いたしまして、これを引き上げることを従来も許可をいたしておるのでございまして、この際、国鉄運賃改定ということに籍口して、便乗的の全面的なバス、私鉄の運賃の値上げというようなことをまだ考慮はいたしておらない次第でございます。
#107
○井手委員 大蔵省にお聞きします。事務当局でけっこうですが、今所得税を納めておる勤労所得者、給料生活者、農業者、その他の業者、大体何割ぐらいでございますか。農業については納めていないのは九割なら九割、商業については八割なら八割、その点をお伺いいたします。
#108
○村山政府委員 お答え申し上げます。
 農業につきましては、これは三十五年度の補正予算ベースでございまして、事業主の数に対します所得税の納税義務者の数の割合でございますが、九・二%でございます。農業以外の事業所得につきましては一七%、かようになっております。給与の方は四七・五%でございます。
#109
○井手委員 ただいまの御説明によりますと、農業では所得税を納めておるのは九・二%、その他の営業では一七%、給与生活者では四七%、この全部合わせますと、おそらく二割五分程度の人が所得税を納めておるのでありましょう。その人にはわずかばかりの減税――国鉄運賃の差引はいたしません。これは政府の言われる通り、六百二十一億の減税――いな、所得税ではもう少し少ない数字が減税されるでありましょう。その人は月に平均いたしまして五百円前後の減税にはなるでありましょう。ところが、所得税を納めていない多くの国民には減税の恩典はわたらないのであります。そして今言った国鉄運賃の引き上げ、あるいは電力料の値上げ、郵便料の値上げ、これは生活を圧迫するものばかりではございませんか。しかも、国鉄運賃引き上げによって負担の重くなる人は、中小企業に勤める人が多いのであります。最近は、これは運輸大臣も御承知でありましょうけれども、定期券というものは六カ月から、一カ月定期の方が非常にふえてきました。四分の三は一カ月定期。そういう一カ月定期を利用する中小企業に勤める方々は減税の恩典は受けられない。運賃は引き上げる。そうなりますと、お互いの生活がますます苦しくなるばかりではございませんか。かように考えて参りますと、私は、この物価問題というものは政府としても考えなければならぬきわめて大きな問題だと思う。企画庁長官、あなたは料金を抑制するといつもおっしゃるけれども、現実にはどんどん上がっておる。今池田総理は、九州電力については上げると言った。企画庁長官はしっかりしなさいよ。あなたは職を賭してでも料金の値上がりについては押えなくちゃならぬ。企画庁長官はやめても、これは歴史に残りますから、しっかりやりなさいよ。その点についてはどうですか。
#110
○迫水国務大臣 大へん御激励を受けましたが、私もできるだけ消費者物価の値上がりというものは抑制をしていきたいと考えております。合理的な限界において、できるだけ消費者の立場に立って考えてみたいと思っておりますけれども、先ほど公共料金なんかの値上がりが生活を圧迫するんじゃないかとおっしゃいましたけれども、その一面所得もふえつつあるということだけは、どうか一つ忘れないでいただきたいと思います。
#111
○井手委員 所得がふえる人はもっと上の方の人です。一般も若干ふえていくでしょうけれども、あとでお話ししますが、所得格差というものはだんだん開いていっておる。
 次にお伺いしたいのは農林大臣、所得倍増について一言お尋ねをいたしますが、今度の予算では農林予算が相当とれたというのでほくほくのようであります。ところが、政府が提出いたしました経済の見通しによると、農業生産の伸びは幾らですか。農業、農林業生産の伸びは幾らになっていますか。
#112
○周東国務大臣 大体農業の伸びは二・八%くらいの伸びになっております。
#113
○井手委員 違いはしませんか。経済の見通しで、もう一ぺん見てごらんなさい。そんな答弁はいけませんよ。そんなことでは大臣は勤まりませんよ。
#114
○周東国務大臣 三十六年度の伸びのお尋ねでありますか。私は将来に対するお答えをしたつもりですが、三十六年度は一%余りです。
#115
○井手委員 一%程度の伸びで所得倍増ができるとお考えですか。三十六年度は、所得倍増計画の初年度ですよ。非常に大事な年ですよ。わずかに一%、鉱工業は一四%伸びておるのにあなたの方は一%しか伸びないじゃないですか。それじゃ三十七年度は五%も伸びるのですか。そういう確信がおありですか。
#116
○周東国務大臣 お話でございますが、農業の伸びというものは、確かにほかに比べると非常に弱いといいますか、少ない、これが現状でございます。しかし、従来から今日までの農業成長率をとらえてみますと、所得倍増の委員会においても述べておりますように、大体平均として二・二%から二・八%という伸びであります。生産における伸びというものは低いのですけれども、別に御承知のように、最近における農業労働者の減じていく形というものは、一面に農業の生産性の向上という問題が一つとらえられております。一面において生産性が低いということが農業の生産所得を低目にしておりますから、そういうものをどうして上げるかという面から見ますと、あなたの方でもいろいろお考えのように、近代化あるいは機械化というような問題が考えられる。いかにそういうことがよいといたしましても、農業者というものをその方に向ける機運がなければ、ただ単に近代化、合理化だけ進めても、これは小さい農業者を見殺しにしてしまうことでありますので、過去においてはなかなかそれが困難であったということが現状であります。それを今日、最近三カ年間における状況を見ましても、年々四十万人前後の農業労働者が他に転向していくという現状とあわせて考えますときに、その方向から見た農業労働力の減というものが、やはりこれは二・八%になっております。そういたしますと、そういうものとあわせて、一面には農業の所得というものを増大するやり方の一つとしては、積極的な分子といいますか、積極的に農業生産を上げるということの方面を拡大することと、それから生産性を向上させるための一人当たりの問題からいくと、今申し上げました農業労働者の減というものとはこれは当然関係を持つものであります。そういうものとあわせて将来を考えて、十年後における農業者の所得というもの、農業所得というものを上げていこう、こういうふうに考えております。
#117
○井手委員 いろいろおっしゃったけれども、その政府の努力の成果、結果というものが一%ですよ。結論は一%ですよ。何とかいろいろおっしゃったけれども、その結果が一%です。そこで、事務当局でもけっこうですからお答え願いたいが、その所得倍増計画にあたって作られた三十五年度の農林漁業に対する公共投資は八百二十五億円でありましたが、本年度は幾らですか。三十六年度は幾らに予定されておりますか。
#118
○周東国務大臣 大体八百六十億前後でございます。
#119
○井手委員 ごらんなさい。生産基盤の強化という一番大事な公共投資が三十数億しかふえていないじゃございませんか。幾らおっしゃったってこれではっきりしておるですよ。農林予算全体はふえたでありましょう。食管会計の繰り入れその他でふえたでありましょうけれども、公共投資一兆円。所得倍増計画には十六兆円の公共投資が要る、その中に、農業については一兆円では少な過ぎるというので、与党で非常に不満がある。ところが、初年度にあたってわずかに八百六十億円、これではあまりに熱意が少な過ぎます
 よ。
 そこで、私はこの機会に申し上げたいが、池田総理は、所得倍増計画、これが生命のように言われておりますが、ただいままでいろいろと論じて参りましたところ、経済見通しにおいては、三十六年度において鉱工業は一五%成長するけれども、農業は一%にしかすぎない。中小企業その他についても、これははっきりした見通しじゃございませんが、どれかには数%であろうと書いてある。減税においては、先刻言ったように、公共料金の引き上げによって帳消しになっているけれども、大きな企業についてはなお二千億円を上る減免税が行なわれている。しかもことしはまたふえておる。さらに海運界に対しては利子補給、金利の引き下げ、一般は、減税の恩典に浴せない七割五分の国民は、物価高で生計が圧迫されていく、こういうことを考えて参りますと、一番大事な貧富の差を縮めようという所得の格差というものが、逆に鉱工業は一五%伸び、農業は一%。鉱工業は一〇%だが、農業は一二%でも伸びるくらいに努力なさらなくちゃならぬのに、逆にどんどん広がっておる。私はこれを考えますと、せっかくの一番政治の中心である所得格差の是正、縮小というものが逆に拡大されておるということを私は言わざるを得ないのであります。しかもあなたの方のシンパといってもいいでしょう、一番大事なシンパといってもいいでしょう、日経連。日経連の先般行なわれました見解の発表によりますと、一月十八日ですが、業種別、企業別の格差はますます拡大されるであろうと述べておる。総評においても賃金で同様の格差が拡大すると見解を述べておる。今までずっとしさいに点検して参りますと、どこにも所得格差を縮めるような要素はこの予算には残念ながら見出せません。この一番大事な所得格差の縮小が逆に拡大されておるというこの事実に対して、池田総理大臣はどのようにお考えですか。それでも公約は果たせるとお考えですか。
#120
○池田(勇)国務大臣 私は十年以内に所得倍増にしよう、そうしてまたそれを実現すべくいろいろ努力しておるのであります。お話のように、普通のやり方ではいかない。鉱工業は十数%も伸び、農業は伸びない、これをどうしたらいいのかというのが所得倍増の根拠でございます。三十六年度の予算だけをごらんになりまして、御批判を受けるということはいかがかと思いますが、今まででもだんだん二、三十万円、三、四十万円の所得の人が相当五、六十万円程度まで上がってきつつあるのであります。とりあえず社会保障で生活給付の方を一八%上げる、こういうことも格差解消のあれでございます。また経済が成長いたしまして、中小企業に勤めておる労務者の賃金も上がる傾向に来ておりますので、所得倍増計画が進むにつれて、その格差がだんだん少なくなると私は確信しておるのであります。またそうするのが政治であると思うのであります。
#121
○井手委員 そのせっかくの御答弁でございますけれども、政策の集中的表現といわれる予算にそれが現われていない。今まで私はずっとその点を検討して参ったわけであります。池田総理は、かつてこういうことを言われた。減税、社会保障、公共投資の増額、これは自分の公約である、三本の柱である、三本の柱が一本でも短くなったならば、それは私の致命傷であるとおっしゃっております。そうだろうと思う。ところが残念ながら公共投資は相当組まれておるけれども、社会保障と減税については今まで論じて参りましたように、ほとんどその効果が現われていない。二本の足はもうなくなってしまって、公共投資という大根足だけ残っておる。この点私は最後に申し上げておきたいと思う。
 そこで時間がたちましてまことに恐縮でございますけれども、もう一点だけお伺いをいたしたいのは、きょうの新聞によりますと、池田総理は近くアメリカに行かれて新大統領のケネディ氏といろいろお話し合いをなさるそうでありますが、その際ガリオア、エロアについて日本から話を切り出すということが報道されておるのであります。そのガリオア、エロアの問題は私もここで何回もお尋ねをいたしました。日本は、政府の言葉によりますと、債務と心得ておる。債務と心得ておるものを日本から切り出すなどという、そういう愚の骨頂ともいうべきことは、これはすべきではない。まだ国会の承認を得ていないから、債務という国会の議決を経ていないから、これはその前に国会に相談をすべきではないかということを、私は、何回も、池田総理にも申し上げたつもりです。今度いらっしゃるのにガリオア、エロアの話し合いをなさるおつもりですか。
#122
○池田(勇)国務大臣 ただいまどういう問題をやるという具体的の問題につきましては、まだ考えておりません。もし行くとすれば、日米共通の問題、経済問題、平和問題、また世界共通の問題についても話し合いたいと思いますが、どの問題、具体的にどれを話すともきめておりません。
#123
○井手委員 国会の答弁でも想定問答集があるほどなのに、アメリカに渡ってあなたが今後日本の政治をどう持っていくか、中国の問題をどう考えなくちゃならぬかという重要な話し合いをするときにまだ考えてはいないということでは、これは済まされません。それは今までの新聞報道を見れば、あなたが今度渡られるときには、おそらく話し合いをなさるでしょう。それではここで、あなたは最初から、昭和二十四年ごろからこのガリオア、エロアについては立役者というか、何というか、一番その方に通じておられる人でありますからお伺いをいたしますが、一体いつから債務と心得るようになったのですか。国会にも諮らぬで政府だけで勝手に債務と心得るようになったのですか。
#124
○池田(勇)国務大臣 アメリカの対日援助につきましては、私は無償譲与と思っておりません。これは債務と心得て早晩解決しなければならぬ問題だと思っておるのであります。従いましてアメリカの方でもこれを無償譲与とは初めから言っていないので、私は昭和二十五年か六年、大蔵大臣のときに債務と心得ておると国会で申しました。しかしこれが日本の債務ということになる場合におきましては、もちろん国会の承認を受けなければなりません。それからこの問題は、昭和二十八年に私がワシントンに参りましたときにも出ました。しかしこれは早く話をしようという申し出につきまして、そう急にどうこうというわけにいかぬということで共同声明をしたのでございますが、二十九年に一応外務省の方に話があったようであります。また三十年ですか、重光外務大臣の行かれたときにも話題になりました。その後日本の要人が参りましたときには、常に話には出ておると聞いております。しかし私は今ガリオアの問題をワシントンでどうするんだということの結論は出ておりません。
#125
○井手委員 このガリオア、エロアの返済の問題については、これは私どもは国会で感謝決議をしておる。国会の意思というものはこれを贈与だと受け取っておるのです。だから国会の意思というものをお考えにならなくちゃいかぬし、国民感情というものもお考えにならなくちゃなりません。本来ならばこの問題について相当の時間を食っても私はやるつもりでございましたけれども、時間がありませんから、簡単に申し上げますが、アメリカと交渉なさる――私はこれほど国内に意見が分かれておる、意見の多いものに対しては、まずあらかじめ――国会は債務の議決をしておりません。国民は贈与だと思っておるのでございますから、国会に何らかの意思表示、政府の考え、そういうものをお示しなさるのが私はほんとうだと思う。アメリカと交渉して幾らでいいかきめる、きめたものを国会にかけるというような今のやり方では済みませんよ。あるいはこのガリオア、エロアの問題は安保闘争以上の国内問題になるかもしれません。この点を私は申し上げておくのです。総理大臣はあらかじめ国会――今まで国会がとってきた、そのいきさつを考えますと、当然政府の考え方を述べて、また国会の意思をある程度まとめて、交渉なさるのが私は正しい政治の姿でもあろうと思う。当然の行き方であると私は考えるのでありますが、いかがでございますか。
#126
○池田(勇)国務大臣 ワシントンに参りまして交渉するかしないかはまだきめておりませんので、具体的の取り扱い方に関しては、ただいま申し上げる段階に至っておりません。
#127
○井手委員 外務大臣にお伺いをいたしますが、アメリカ側は、いろいろと何回も折衝をされた上に、七億五千万ドル、日本側は五億ビル、こういうところで折衝が進められておるということを私は承っておるのでありますが、そうでございますか。
#128
○小坂国務大臣 お答えを申し上げますが、さような数字はまだ出ておりません。先ほどの総理大臣のお言葉で尽きておりますが、若干補足をさせていただきますと、御承知の昭和二十四年に、阿波丸に関するところの請求権を放棄いたしました際に、これに付属交換公文がついておりまして、これに対しまして参議院で当時吉田外務大臣が、こうしたものは放棄するけれども――阿波丸に関する請求権は放棄するけれども、アメリカの日本に対する贈与、援助、供与というものがいろいろある。これは債務で、この債務性が消失したものではないのだという趣旨の答弁をしておられるのが初めてでございます。その後昭和二十九年に五回ばかり東京におきましてガリオアの交渉をいたしております。その後三十年八月に重光外務大臣がアメリカに行かれましたときに、この点についての共同声明の中でこの問題を早急に解決しようということに触れておられるのでありますけれども、その後われわれの方は今井手委員の御指摘があったようなそういう気持もありまするし、額についてはわれわれも非常に慎重に扱わなければならぬということで、交渉はその後とだえておりまして、まだ正式に実施しておりません。従いまして額の問題は何も出ておらないわけであります。
#129
○井手委員 何も出ていないとはおかしいのですよ。あなたの方の外務当局で何回も折衝されておるのですよ。それはもう数字がこまかく出ておるのですよ。何も折衝していないのですか。それはほんとうですか。
#130
○小坂国務大臣 この金額の問題は私はきわめて重要な問題だと思います。従ってその一つ一つについて国会の皆さんが御納得になっていただけるようなものを集めたいと考えまして、そういうものを集めるべく私どもの方の事務当局には申しておりまするが、御承知のように今私申し上げましたように、二十九年に五回話があったときにいろいろ話がございましたが、話が煮詰まりません。その後においては正式交渉というのは持たれておりません。従いましてこれについて私がこの際申し上げるような段階でない、かような意味でございます。
#131
○井手委員 数字の交渉もずいぶんやっているはずですよ。だからきょうの新聞にも出ておるように五億台というのははっきり出ておる。
 もう時間がありませんから、総理にお伺いをいたします。これほどの問題でございます。総理はアメリカに行って交渉するかどうかわからぬとおっしゃる。そこでこれほどの問題でございますから、交渉をきめる前に、かりにこれが開発銀行その他のやる産投関係からお払いになろうとも、国の金です。回収金からお払いになろうとも国会の承認をあらかじめ得る、また国会に内容を報告する、そして意見を聞くというそういう民主主義のあり方をお考えになっておりますか。この点を私は特に申し上げておきます。きまってしまってから、こうきめたんだから債務の議決と一緒にやってくれと言われたのでは承知できません。これほどの問題ですから、あとで大きな問題にならないように私は念を押しておきます。
#132
○池田(勇)国務大臣 ただいま申し上げた通りに話題にするかしないかもきめておりませんので、その間に至る手続上の問題につきましてはただいまお答えできません。
#133
○井手委員 あくまでしらを切られるようであります。私はそれでは承知をいたしません。これほど長い十五カ年間にわたるこの問題、これほど意見が国内に分かれておる問題について、おそらくこれは予算委員会で問題になる、予算委員会が済んでから、国会が済んでから正式に交渉しようということが、あなたの腹の中にあると私は思う。だから私はしつこくお尋ねをしておるわけです。きめる前に国会にどうしてもお出しにならぬのですか。国会に了解を求められる、あるいは秘密会で了解を求められる、内容を報告されるというお考えもお持ちでございませんか。
#134
○池田(勇)国務大臣 今のところ具体的にどういう手続をとるということについて結論が出ておりませんので、御質問がございましても遺憾ながらこれに対してどうやってどうやりますということはお答えする段階でないと思います。
#135
○井手委員 結論の出る前に国会に何らかの方法でお話しになるお考えはないのかと私はお尋ねしておるわけです。結論が出てしまってからでは同じですよ。
#136
○池田(勇)国務大臣 払う問題、金額の問題という結論でなしに、それに向かっての具体的手続の問題につきましても結論を得ていない、こう申し上げておるのであります。
#137
○井手委員 いろいろこの問題についてはお尋ねしたいことがありますけれども、時間がたちましたからこの程度で終わりたいと思います。
 最後に、私は言わないつもりでしたけれども、一言総理に御注意を申し上げておきたいと思いますことは、割引金融債、あれが一たん法律の改正がきまっておったものを、割引金融債の償還益金に利子課税をするという問題について、一たんこれをやろうとすることにきまっておったのを、総理の指示で取りやめになったと承っておるのであります。もちろんこれには総理のお考えがあったでございましょう。それを私は本日はとやかく申し上げません。しかし池田さん、あなたと証券界との関係の深いこと――深くてもこれはけっこうでしょうけれども、これは周知の事実である。そうであればこそこの自治庁の統計によりますと、政治資金規正法によりますと、あなたは四大証券から、昨年一月から六月までの間に、あなたの主宰される宏池会が一億一千三百万円のうち、二千五百万円の政治献金を受けられておる。受けられていることを私はとやかく今日は申し上げません。またあなたはことしの一月一日から四日間ばかり熱海の野村ハウス、これは野村証券の奥村さんの別荘でございましょうが、ここでゆっくりと静養なさったということが新聞に報道されている。この間も予算編成が終わってから大磯に行かれた帰りに古河電工の寮に泊まられている。どこに泊まられようと、私生活は勝手でしょう。それをとがめようとは考えませんけれども、あなたは政治の姿勢を正すということを全国民に公約をなさっておられる。昔から李下に冠を正さずという言葉もある。そのことが悪いとは申し上げませんけれども、今の政治が大企業中心であり、大企業ばかりに恩典を与えており、証券界がずいぶんもうかっている。そういうことを総合判断して、私はまず清潔な政治の姿勢は総理みずから、まず隗より始めよで、私はあなたが正されることが非常に大事であると思う。あなたは非常に強気一本である。あなたの強気もいいところもあります。敬服すべきところもございます。しかしあなたの強気に対してそう強気ばかりでいいかなという心配も、これはあなたの方の党内、自民党にもある。私はこれは直接聞いている。国民の中に、いかに強気であろうと物価は上がる、次次に上がっていく、高度成長九%というが、はんとうにそうなっていくのだろうか、あとで不景気が来るのではないだろうか、三十七年三十八年六%でも平均九%成長にはなるのではないだろうかというああいう記者団の会見においても、考えると先はどうなるだろうかという不安も非常にはびこっている。まず国民に協力を求める。それが政治の要諦でなくてはなりません。政治の姿勢を正すためには、あなたは今言ったその寮あたりに泊まられるということについてもお考え直しなさる必要がないかと私は思うのです。勝手だと言えばそれでもけっこうです。私は多くは申し上げません。この点私は御注意申し上げて質問を終わりたいと思います。釈明があればお聞きもしましょうけれども、あえて答弁は求めません。
 これで質問を終わります。
#138
○池田(勇)国務大臣 割引債券につきましては、私、また同僚の一人が、この分は重要な問題だから、三十七年からやるのならば、もう少し検討したらどうかということは、申したことは事実でございます。なぜそういうことを申すかと申しますと、御承知の通り、割引興業債券――あるいは商工中金もございますが、割引債券につきましての課税というものは、過去何十年と非常に検討した問題でございます。御承知の通りに一時預金に対しまして源泉課税と申しまして、預金利子の半分あるいはそれ以上、五〇%、六〇%近くとっておったときでも、割引債券に対しての課税を行なわなかったわけです。そういう金融上非常に重要なむずかしい問題があるのであります。従いまして今割引債券というのは一万円の場合に、九千三百六十円だったかと思います。この一万円までの割引料に課税するという、数十年来やっていないことをやるのならば、金利水準からいって、発行価格の九千三百六十円というものを、他の課税と同じように発行価格を上げたらどうか、これが僕は本筋である。しかもほかの方では増税をしないのに、今突然として私は聞いたんだが、そういうことはもう一年研究したらどうかということは、私は総理として当然のことだと思う。これはだれがもうけるとか損するとかいう問題ではございません。私はこんな何十年来われわれは研究いたしまして、課税に対して、非常な重いときでも、この分はほっといたのを、卒然として、他に増税がないのにやるというのは少し軽率じゃないか、もう一年勉強しろ、こう私は言ったので、これがだれのためになるとか――日本の国全体、金融のためになるので私は言ったので、私はその信念に変わりはございません。
 なお、この正月に、熱海に野村別荘がございますが、あそこに十数年来、毎年行くことにしておるのであります。これを改めるかどうかと考えましたけれども、また本年は、十年余り行っているのを急に改めるのはどうかと思いまして、他の同僚もそんなにまでしなくてもいいじゃないかと言うので、私は十年余り続けたこの分を年一回だけやったのであります。それから古河電工に行きましたのは、私一人行ったのじゃございません。多年、十年以上つき合いの人が、東京であれするよりも大磯に行ったらどうかというので、友だちとみな行ったのでございます。借りたという意味じゃございません。もちろん今お話のような点はございまいますから、私は今後は考えますけれども、そこに割引債券との問題があるとか、こういうことをお考えになるということは、私は心外である。国のためにやっておるのであります。
#139
○船田委員長 明日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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