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1960/02/07 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 予算委員会 第5号
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1960/02/07 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 予算委員会 第5号

#1
第038回国会 予算委員会 第5号
昭和三十六年二月七日(火曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 船田  中君
   理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君
   理事 重政 誠之君 理事 野田 卯一君
   理事 保科善四郎君 理事 井手 以誠君
   理事 川俣 清音君 理事 横路 節雄君
      相川 勝六君    赤城 宗徳君
      赤澤 正道君    井出一太郎君
      稻葉  修君    臼井 莊一君
      小川 半次君    上林山榮吉君
      菅  太郎君    北澤 直吉君
      櫻内 義雄君    園田  直君
      床次 徳二君    中野 四郎君
      中村三之丞君    羽田武嗣郎君
      橋本 龍伍君    前田 正男君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      松本 俊一君    三浦 一雄君
      山崎  巖君    淡谷 悠藏君
      岡  良一君    木原津與志君
      小松  幹君    河野  密君
      田中織之進君    高田 富之君
      楯 兼次郎君    堂森 芳夫君
      永井勝次郎君    野原  覺君
      長谷川 保君    松井 政吉君
      西村 榮一君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 古井 喜實君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
        運 輸 大 臣 木暮武太夫君
        労 働 大 臣 石田 博英君
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 池田正之輔君
        国 務 大 臣 小澤佐重喜君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 保岡 武久君
        法制局長官   林  修三君
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
 委員外の出席者
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
二月六日
 委員木原津與志君辞任につき、その補欠として
 阿部五郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員阿部五郎君辞任につき、その補欠として木
 原津與志君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十六年度一般会計予算
 昭和三十六年度特別会計予算
 昭和三十六年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○船田委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 質疑を続行いたします。松浦周太郎君。
#3
○松浦(周)委員 私は、自由民主党を代表して、主として農林漁業政策について政府の所信をお尋ねいたすものであります。もとより政策議論は、常に建設的で前向きのものでなければなりません。しかしながら同時に農業人口縮小問題のごとく、政府の真意が一部に歪曲され、これが一部の疑惑を招いていることにつきましては、この際問題の所在を明確にし、全国農村の不安を一掃しなければならぬことを考えるものであります。従いまして、農業問題論の活発化している今日、現在の機会をとらえて、政府の農業政策に対する腹蔵のない方針、見解をこの際明確にいたしたいと存ずる次第であります。
 政府は、昭和三十六年度の予算におきまして、農業基本法の提出を一応の前提とし、農林漁業予算を一千八百七十二億円と大幅に増額いたしました。これは本年度に比べて四二%の増大であり、また総予算中に占める割合も、本年度の八・四%に比べまして九・六%と、約一割も確保されたのであります。なかんずく生産の多角化、生産性の向上、流通対策などといった非公共事業が一千億を突破するという勢いを示したことは、一大転換期にありまするわが国農政にふさわしい態勢を示したものでありまして、池田総理以下政府の御苦心のほどに敬意を表するものであります。
 しかしながら、率直にいうならば、これはいわば新農政展開への一歩の前進でありまして、これをもって満足することには参りません。諸問題があまりにも複雑かつ重大であります。政府は一そうの勇断をもってこれを善処しなければならぬと存ずるものでありますが、このような意味におきまして、私は以下、所得の格差問題、農業構造改善の問題、農業基本法、さらには農業に対する投融資または食糧政策、あるいは農産物価、貿易の自由化対策などについて、順を追って総理大臣並びに農林大臣初め各省大臣の御意見を伺いたいと存ずるものであります。
 第一は、日本経済におけるアキレス腱ともいわれる所得格差の問題でありますが、私は、日本経済近来の著しい成長、国民所得の伸長、国民生活の向上は、国民自身の努力はもとよりでありますが、わが党内閣の適切なる方策によるものでありまして、池田内閣の経済成長政策こそ、わが国経済発展の枢軸となるべきものであると確信いたすものであります。
 しかしながら、ここで問題は、経済全般の発展にもかかわらず、国民各層の間に所得の幅の広い開きがだんだんと大きくなることであります。都市と地方との地域格差、あるいは商工業と農林漁業との職域格差、大企業と中小企業の所得の格差等がそれであります。人間は、いなかに生まれ、あるいは農家の長男として家業を継がねばならぬという、それだけの理由で、都会の生活者、サラリーマンの子弟よりも低い生活に甘んじ、一生うだつが上がらないというほど不幸なことはありません。このような地域や職業の違いのために起こる収入、生活の開きを是正し、国民全体にひとしく健康で安定した生活を送らしめるのが政治の理想であります。それと同時にこういった所得の格差は、逆に日本経済全般の調和と均衡のとれた発展を阻害することにもなるのであります。ひいては経済成長のテンポに悪影響を与えるおそれすらあるのであります。従いまして、質問の第一といたしましては、日本経済の発展成長と所得格差の関係をどう認識し、どう基本的に対処されようとするのでありますか、まず総理大臣の御意見を伺いたいと存ずる次第でございます。
#4
○池田(勇)国務大臣 国民全般の所得の格差をなくするというこの大問題を解決する場合においてどういう方法をとったらいいか、私は全体をよくして、そうして下の方の分をよりよくすることよりほかにないと思います。そこでお話のように地域格差あるいは企業別格差あるいは業種の格差、これにつきまして全体を伸ばしながらその格差を縮めていく、これが私は一番わかりやすいまた当然の措置であるというので、まず所得倍増計画を立て、その間において増加するごとに低い方に力を入れてより多く伸ばしていこうという政策を行なうほかにないと考えております。
#5
○松浦(周)委員 ただいまのお答えに対しましてもう一点お聞きしたい点は、この地域格差であります。東京の生活と鹿児島の生活では三分の一になっております。北海道とか東北とかいうようなものも二分の一以下になっておりますが、まずこの地域格差を縮めることが一番大事である。この地域格差を縮めるために、鉱工業及び近代産業を各地方に誘致するというようなことも政府はときどき発表しておられますが、この自由経済の今日において、太平洋のベルト地帯というようなところは、自然に地理的条件がいいのでありますから、そちらの方に企業が集中せられることは、今のままで放置するならば当然そちらに集中されるのでありますが、そうなると地方には工場は参りませんから、ますます地方は不振になっていくのであります。そうなれば地域格差を直すことができません。そこで地域格差を直すためには、行政上では、たとえば太平洋のベルト地帯と競争のできるような制度を作ってやらなければならないと私は思うのでございます。
 これは私の青年時代でありますが、朝鮮、台湾、樺太を開発する時分に、これらの特殊地域を開発するという場合においては、政府の政策の中に、本州、日本本国と同等の産業を発展させるためには特殊行政地帯を作りましてそれぞれの行政的な援助が行なわれまして、あの占領いたしました樺太及び朝鮮、台湾等が開けていったのであります。たとえば私は樺太に近かったものでありますから樺太のことを申し上げますならば、樺太を開発するためには、お酒を飲まさなければ、寒いところだから発展しない。内地から酒を持っていったのでは非常に高くなるというので、秋田及び新潟から米を持って参りまして、原価計算だけで税金を取らないで酒をどんどん作らせた。従ってもう酒屋がどんどん樺太に行って酒の醸造を始めました。しまいには北海道の酒よりもいいものができまして、稚内には酒を移入しては困るということで、酒のための関税を作ったこともあるのであります。これは総理大臣はよく御存じのはずであると思います。そういうふうに、行って企業をやるならば、俗にいえば、もうかるというような体制をしくのならば、どんどん地方開発はできると思うのです。でありますから、この地域格差を縮めるために一般的な行政のことをやることは当然でありますが、そのほかに運賃であるとか、電気料金、あるいは租税、あるいはその他の補助金というようなものを、太平洋のベルト地帯と変えて、行政的な援助をしてやるという国家の方向に行政を向けていく考えはないか、そうでなければ、この自由経済下において、このまま放置して、地域格差を直す、そちらへ工場を誘致すると言ったって、それはできるものじゃないと思うのです。国家のためにやらなければならぬといって、損してまでやるという業者は、私はないと思う。その点を一つ総理大臣の示唆に富んだ御返事を承ることによって、それぞれの企業者もその方向に考え方を向けるんではないか、こういうふうに思いますが、御意見はいかがでございますか。
#6
○池田(勇)国務大臣 所得格差を少なくする方法としては、やはりその現地において、現地の事業を伸ばしていくことが第一でございますが、それにはおのずから限度がある。その土地が非常に地下資源に富んでいるとかいうのならば別でございますが、やはりそれだけでは足りない。今お話しのように、その土地々々に向いた産業、そしてあらゆる補助をしなければならない。たとえば昔から言っておりますように、たとえばお話しのように電力料、これは富山県、あるいは福島県の郡山近くは電気が安かった。また労賃も安かった。しかし今では電気あるいは労賃にそう期待はできません。世の中が変わって参りました。そこでやはり政府としては、できるだけの、税制、たとえば減価償却を特別に見るとか、固定資産税をごく軽くするとか、いろいろな方法を考える。そうしてまたそのもとをなす金融につきましても特別の金融措置を講ずる、いろいろな、政府でできるだけの措置はしなければいかぬと思います。お話しの運賃とか電力料、ことに運賃というようなことにつきましては、なかなかこれは困難だと思いますが、電力料その他につきましては、私は考える余地があるのではないかと思います。しかしまず政府としては、政府でできることを強力に、うんとやっていくことが一番の早道だと思います。
#7
○松浦(周)委員 特別な金融、あるいは税制、その他政府の援助、運賃はどうかというようなお話がありましたが、特に運輸大臣にお伺いいたしたいのでありますが、今度鉄道運賃の問題に対しまして、総理大臣は一二%にしろというのでありますが、運輸大臣の方では一五%近くにするようなことを伺っておりますが、一体今度の運賃は、総理は非常に心配されて、割引の二〇%をまぜた一二%にするという大衆生活のことを思って考えられておりますが、運輸省の方では一五%以上にするようなことを承っております。公的な場所ではっきりしたことを聞いておりませんが、一体今度の運賃は、貨物は何%にして、旅客は幾らにして、あるいは通学割引はどうするということも、この機会にはっきりお示しを願いたいと思います。
#8
○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。国鉄がこのたび輸送力増強の自己資金を捻出するために、利用者のある程度の負担でこの金を得ようということをいろいろ計画をいたしたわけでございますが、国鉄としては多ければ多いほどいいという考えでございましたろうけれども、このことが国民生活、社会上に影響するところの多きにかんがみまして、なるべく影響の少ないこの程度ならば、従来の統計等から見ても、物価や国民生活には何ら支障を来たさないものであるということで、今回決定をして御審議を願っておるような次第でございます。従いまして、旅客におきましては、賃率において一四・六%の改訂ということになりまして、貨物につきましては、平均して一五%の改訂ということにいたしました。それでいわゆる通勤、通学定期等に関します非常に大きな公共負担となっております割引率、たとえば通学の場合は九二・二%の割引をしているということに問題がございましたが、こういうことは今日各家庭の生計費に溶け込んでおりますので、この際こういうものの割引率を引き下げるというようなことはいかがなものであろうかという考慮のもとにこれを据え置きまして、今回の国鉄運賃改訂ができるだけ一般の物価その他に影響を及ぼさないことに考慮を払いましたような次第でございます。
#9
○松浦(周)委員 今度の運賃を値上げになることによりまして、従来国鉄は赤字だ、赤字だという問題を全部克服することができる、同時に十年後の日本の輸送が十分にできるような程度に改良新設の工事をするということは、ただいま伺ったのでありますが、そうなれば損をしないのですから、従来損をするというので遠距離割引であるとか、あるいは公共割引であるとかいったようなものはやめるのだ、やめるのだといって、三カ月ごとに十一回延長してきたことがあるのでありますが、こういうふうに運賃を上げることによって、従来やって参りました公共割引というものを恒久的に従来と同じように存続される御意思があるかどうかということが一点。
 もう一点は、記憶が間違っているかもしれませんが、たしか新線建設といたしましては九十億ないし九十五億くらいの財政投融資をやってきたと思うのでありますが、その結果はどうかといえば、災害が起こったとか、あるいはベース・アップをしなければならなかったとか、あるいは赤字が出たからということで、予算の数字は九十億でありますけれども、実際に新線の方に投じた金というものは非常に少ない状況が繰り返されております。今年はこの予算にはたしか七十五億財政投融資を見ておるのでありますが、赤字がなくなるということになれば、この新線建設の経費は他に流用せずに、計画された、あるいは手をつけている現在の新線工事に対して集中して、それを全額払っていくという御決意があるかどうか、この二点をまずお伺いいたしておきます。
#10
○木暮国務大臣 お答えを申し上げます。
 まず第一の御質問でございますが、御承知の通り国鉄の貨物運賃制度というものは、社会政策上の見地や、あるいはその負担力などを考慮に入れました貨物運賃の等級表をもとといたしまして、貨物運賃制度全体というものが構成されてあるわけでございます。その中で今お話がございました農林水産物といったようなものにつきましては特に低い等級、特別等級の方にこれを組み入れまして、低い格づけを実はいたしておるのでございます。こういう低い格づけをいたしております上に暫定割引というものを従来やっておりまして、これが三十二年に一三%の国鉄運賃改訂のときに、これをこのまま暫定割引を農林水産物につきましては引き続き一年間行なう、その後三カ月とか六カ月とかいうような期間を区切りまして今日まで延ばしまして、昭和三十五年三月三十一日まで延びておるわけでございます。今もお話し申し上げましたような工合に、農林水産物というものにつきましては低位に格付をいたしました上に割引をいたしておるのでございますので、本来の貨物運賃制度の負担の均衡とかその他のことから見ますると、貨物運賃制度のワク外にあるような形をいたしておるのでございます。冷たい議論から申しますると、こういうものを改めなければならぬという理屈も立つかとも存じまするが、今回の改訂にあたりましては、この運賃の改訂がこういうものに及ぼす影響を深く考慮いたしまして、そうしてこのままに暫定割引は農林水産物につきましては引き続き続けていきたい、こういうふうな考えでございます。この割引をもっと拡大してはどうかとかなんとかいうような御意見もあると思うのでございますけれども、ただいま御説明申し上げましたような筋合いから申しまして、現在のままの割引を今後も引き続き継続いたしておくことが、各品目間におけるところの負担力の均整を維持することや、今回国鉄輸送力増強のために全面的に賃率を改訂いたしました趣旨から見ましても、ただいまのものを拡大するよりも、このままこの暫定割引率を維持していくということが適当であると考えまして、そう決定した次第でございます。
 それから第二の質問の新線建設の問題でございますが、御承知の通り昭和二十六年でございましたか建設審議会が設けられまして、昭和二十七年から新線四十四線を着手をいたしまして、そのうち十九線が今日では完成いたしまして開通をいたしておりますので、残りが二十五線あるわけでございます。またその後建設審議会の建議によりまして、新しく十一線を三十五年度以降におきまして着手する方がよかろうということに相なりました。これから建設をいたしまするものを合計いたしますると約千五百キロくらいあるのでございまして、これに要しまする資金は千五百億円程度のものであると考えておるのでございます。従いまして昨年九十五億円、またことしは七十五億というようなことでやって参りましては、これは相当の長期にわたるということはいなむことがとうていできないのでございます。幸いに本年は新線建設の利子補給三億八百余万円というものを政府から補助することにいたそうというので、ただいま予算の上で御審議を願っておるのでございます。これは昭和三十五年度に使いました九十五億円に対する利子補給でございまするが、おそらく今後も引き続き新線建設に対する利子補給のあるということも考えられますので、国鉄の従来大きな負担となっておりますところをここにおいて大いにカバーすることができまして、これからの新線建設には大いに曙光を見出すことができる、こういうふうに考える次第であります。
#11
○松浦(周)委員 ただいまの御答弁でありますが、千五百億今後かかるというものに対する来年度以降の予算については、お互いに研究することにいたしまして、現在計上してあるものをよそに流用してはいかぬということを言っておる。去年もおととしも、九十五億のものをほとんどよそへ使っている。今度の七十五億は、せめて新線建設に全部使わなければいかぬということを申し上げたのですが、その意味を一つ御了承願います。
 その次に、今鉄道の方に行っちゃったのですが、農業問題に返りますけれども、この所得格差を論ずる場合に一番大きな問題は、農業と他産業との問題が一番私は日本の農業の中で大きな問題だと思うのです。中小漁業の沿岸漁民の問題もありますが、とにかく農業の問題が一番大きな所得格差を論ずる論点であると思うのです。現在日本の国民の約四割近くが農民になっておりますが、それ以外の非農業の平均収入と農業の平均収入を比べてみますと、非農業の一〇〇に対する農業三〇なんです。この一〇〇と三〇の基盤において、今後の問題を論じ研究していかなければならぬと思いますが、たとえば倍増になるとかあるいは所得が三割ふえるとかいいましても、片一方は一〇〇に対する三〇です。片一方は三〇に対する三〇になりますから、この三〇ふえましても、結局一〇〇の方から見るならば一〇%しかふえぬということになることが、この所得倍増計画に対する一番大きな問題だと私は思うのであります。
 でありますから、今回政府の所得倍増計画によりますと、全産業の成長率を年七・八%に押えております。特に鉱工業の成長率は年九%を示されております。農業の成長率は年二・八%、昨日も井手さんの御質問にもありましたように、三十六年度は一%ということになっております。このような現況において、格差の解消の前途には不安があるのではないかというふうに考えますし、また世の中の常識もそこに集中されておるのであります。もとより格差解消は年を追って達成すべきものであって、一年にこれを直すというものではない、しかしながらまた農業就業人口が二・八%減って、一人当たりの生産性の増加率は全産業では六・六%、鉱工業では五・五%、農業では五・六%となっております。ただこれを所得の側からのみ見ますと、農業以外のものの所得は、現在一〇〇といたしますと、年々七・八%ずつ上がることになります。ところがこれに引きかえまして農民の所得は、現在わずか三〇のものが、先ほど申しましたように二・八%、 かりに三%上がったといたしましても、これは三〇に対する三%ですから、非農業に比べては一〇%しかならないということは、これは動かない理屈なんです。これをこのままでやっていくならば、十年たった後における日本の所得の格差というものは、現在よりももっともっと幅が広く開きが出てくるのです。このところをどういうふうにお考えになっていかれますか。弟はいつまでたっても兄貴にはかなわない、背たけが伸びて弟がようやく兄貴のからだと同じようにおとなになったと思っておったら、いつの間にか今度は兄貴は巨人になってしまっておる。もちろんこの場合現われた弟は農業であり、キング・コングのような巨人は鉱工業であるということに、私は今のままでいけばなると思うのです。これを政治的な指導、政治的な援助、行政の特別な配慮によって、この兄貴の鉱工業と農林漁業とが同じ暮らしができるということに持っていかなければならぬと思うのでございますが、私は世界の情勢を見まして、この無限に伸びておる近代的な鉱工業と原始的な農業との収入を一致させることは困難である、こう思うのです。どこを見てもそうなんです。ただイギリスだけが経営者がパーパーであります。ところが勤労者は工業勤労者と比べて大体八五%イギリスは取っておりますが、他のヨーロッパの諸国は大体七五%前後であります。ところがデンマークに参りましても、スイスに参りましても、ドイツに参りましても七五%、他産業に均衡させるような考えがあるかといって聞きますと、政治の方向としてはそういう方向を考えておるけれども、なかなかそこにはいかない。けれども、自給作物もあるし、医療費の問題もある、交通費の問題もある、また新鮮な空気を吸って適当な運動をすることもあることによって、七五%他産業に比べて農業収入があるならば、他産業には転換しないということが原則であるから、まあ七五%以上を見込んでおるというのでございますが、日本の現状はそれが三〇%なんです。これをどういう方法で解決しようとされますのか、まず農林大臣の構想と総理大臣の御決意を伺いたいと存ずる次第でございます。
#12
○池田(勇)国務大臣 最初に申し上げましたごとく、また施政演説で申しましたごとく、農業の所得増加ということは難事中の難事で一番重要な問題であり、一番むずかしい問題でございます。今お話のような点がございますので、これは高度の成長をやって、その問にやっていこう、イギリスは別でございますが、お話の通りヨーロッパ諸国においてもそうでございます。またアメリカにおきましても過去二十年間において農業所得は倍になっております。そうして一人当たりの分は四倍くらいになっております。こういうような状況でありまして、政府がこの方向によってやっていけば、難事中の難事でございますけれども、私はヨーロッパ並みにはいけるのではないか、こう考えております。
 ただ企画庁に答申になりました所得倍増計画というのは、あまり政治性の入っていない基本的な問題だ。たとえば工業関係を倍増するのにはベルト地帯によった方が経済的にも便利だ、こうやっているのですが、政治的にはあれによるというわけには参りません。ただあれは、倍増するときにはどういうところを考えてどういうところにどういう施策をするかという指針になる。あれをもとにいたしまして、あれを参考にいたしまして、私は生きた政治でやっていこうといたしておるのであります。
#13
○周東国務大臣 御指摘のように、農業の現在というものが、他産業に比べて所得の差がひどいということはその通りでありますが、ただいま総理もお話いたしましたように、それを急速に引き上げることはなかなか困難であろうとは思います。しかし、方向といたしましては、何としても積極的に所得の拡大をはかるという意味と、消極的には支出を減させるということ。それから先ほどお話がありましたが、単なる農業関係だけではなくて、他産業からの農外所得を拡大させる、雇用の機会を与える、あるいはまた環境生活の改善を都市と同じように持っていくとか、社会保障を同じに持っていくというような、あらゆる総合した計画が一体とならなければなりませんが、なかんずくその中で第一に考えられることは、生産の選択的拡大、とにかく現在まで作られておった、農業の対象であったものが、今日まで需要の関係が変わってきた、こういう関係からいたしますれば、これは将来需要の伸びる方向へ転換させることが必要でありましょうし、また御承知のように、相当に多数なものを農産物として輸入しております。これなんかは積極的に国産化して作るということも必要だと思います。こういう意味合いにおいて、作物を選択的にかえて拡大していくということが一つの問題であります。それが農業構造の改善。
 第二には、今お話したような関係で雇用の機会の拡大、これは農業それ自体からだけで考えなくてもいい。農村における農外所得獲得の方向へものを考えていくという問題、それから就業構造の改善ということ、これも御指摘になりましたように、非常な農業と違った形において伸びる他産業の伸びというものが、当然に今日まで農業の労働者を吸収してそっちに持っていっておる、この事態を私は見のがしてはならぬと思う。従来私どもの考え方といたしまして、決して零細農業をかまわないで捨てておくという考えではありませんが、ほかへ仕事を与える機会がなくして、ただ単にこれを富裕の農業者だけの施策とすれば別でありますが、今日のごとき状態においては、そういう方向においては、自発的にどちらの方向へ行きたいかという方向へ指導しつつ、職業訓練所なり紹介所等のあっせんのもとに行かせる機会をとりつつ、その減っていく労働者の数というものを、残った人間だけからいえば、これを近代化、高度化して新しい農業の方向に持っていくという考え方が私は必要だろうと思う。それが結局就業構造の改善とも関連いたしますが、その意味においては、農業の伸びというものだけ考えますと、御指摘のように、所得倍増計画等に現われましたのは大体平均二・八%、しかし就業人口の減からいいますと、二・八ぐらい減っております。これを今簡単に算術いたしますと、一人当たりの総所得の伸びといいますか、生産性向上が出てくる。これなんかを考えに取り入れる必要があろうかと考えております。
 第三の問題は、やはり価格の問題について考えること、また流通過程において農産物等の問題を考えていくことが、今後の一つの大きな施策になって参ると思います。
#14
○松浦(周)委員 総理大臣にもう一ぺんお伺いしたいのですが、農業の低収入状況を直すことが一番重大だと仰せになりましたが、その通りであろうと思います。これは政治的に一番大きな英断が必要であると私は思うのです。結局先ほど申しましたように、近代産業と原始産業というものを今のままの姿では均衡をとることはできませんから、優秀な近代産業あるいは富めるものと申しましょうか、というものの力によって後進的な産業を育成していく、富めるものの負担において、富まざる後進産業を育成していくということが政治的な一つの政策の中に現われていかなければ、国民の四割も保有する農民人口の生活を安定することはできないと思うのであります。終戦後日本のとりました経済政策は、この狭い国で民族が多い、結局貿易に依存して日本の経済を立て直していかなければならぬという保守党の考え方は間違っておりません。その結果今日のような繁栄をもたらしたものであります。基幹産業その他重要産業がたたきのめされてしまったものを、他国と同じような貿易力を持つためには、国の財政経済力をそっちに傾けてきたということが、今日の繁栄をもたらした結果になります。従って、その間この十五年間というものは、後進産業の農林漁業のようなものに対しましては、災害その他のときどき行なわれるものに対しては思い切った政策をやりましたけれども、基本的には、たたきのめされた日本の鉱工業が今日の世界の貿易に雄飛するがごときようになるふうの手厚い政策が政治、行政、予算の上に現われていなかった、だから置き残されたのでありますが、ここまで日本産業なり日本経済が上ってきました以上は、ここで全体の経済の伸びが九%が七%になって多少伸びがおくれましても、おくれた弟を連れていくという意味において、総理大臣のお考えが、国の財政経済あるいは経済政策というものの根幹を、おくれた農業の方に傾け直すという考えが基礎になければ、いろいろな小さなことを言ったって、これは行なわれるものではないと思うのです。その御決意があるかどうか。それでなければ、これはいろいろの発表の言葉じりを取ったり、いろいろして社会党は攻撃しておりますが、そんなことではないと思うのです。ほんとうは今までとってきた経済政策というものが鉱工業をここまで伸ばし、貿易を伸ばしたのだが、これと同じように今までうとんぜられておった農業あるいは農林漁業政策の方に、経済も政治力も傾けていくという観念が基本的になければならぬと私は思うのでありますが、これに対しまして御意見をお伺いいたしたいと思います。
#15
○池田(勇)国務大臣 お話の通り、戦後におきましては、やみ米その他がございまして、農家は割に労働者よりも、戦前に比べていい状態にあったのであります。従いまして、昭和二十二、三年ごろからどんどん米価を上げて参りました。二十四、二十五、二十六と毎年千円程度ずつ米を上げて、そうして農家を育成するようにいたしたのでございます。そうして一応の安定ができますると、今度は第二次、第三次がうんと伸びて参りました。そこで今われわれとしてやるべき最も重要なことは、今後の農業をどうするか、農業というものはやはり国の基本でございますから、民族の苗しろと言ってもいいくらいなものなのです。だから私は前の特別国会のときか、何人かがいつかはやらねばいかぬ、私は今私がやりたい、こういう確信のもとに進んでいこうとしておるのであります。並み大ていのことでは参りません。私は、先ほど申しました民族の苗しろであり、りっぱな企業として成り立つ農業を打ちたてていこう、これが私の考えであります。思い切ったことを皆さん方と一緒にやっていきたいと思います。
#16
○松浦(周)委員 農林大臣に先ほどの御答弁に対しましてさらにお伺いいたしたいのでございますが、農林大臣のおっしゃるようにいけば、兼業農家がますますふえるということになると私は思うのであります。つまり家ぐるみ位はいをかかえて、墓石を持って、そうして屋敷を売り払って他に転業するということが、日本の現状では私は困難だと思うのです。
 計数上では鉱工業の方に変わる方がいいといっても、家屋敷や大きなお墓というものが全部屋敷の近所にあるのを捨てて、他に売って行くということがなかなか困難で、他産業に一家のうちの主人になる人は転向するであろうが、残ったものは三反か五反を持って、従来と同じような老幼婦女の農業者が現在の兼業農家の上にさらにふえるということを私は考える。そうであれば、日本の農業というものは非常に不健全になりはしないかということで、先ほど農林大臣の抱負の片りんを伺いましてそういうふうに考えますが、家ぐるみ離農して他産業に変わるような指導をせられるのか、あるいは兼業をさらにふやして、総理がいつも言われるような日曜農業というものをふやすのか、そこのところが日本の農業の前途に対して非常な暗影を投げられておりますが、これに対しまして農林大臣はどうお考えになりますか、それを一つお伺いしておきたいと思います。
#17
○周東国務大臣 お答えしますが、お話のようにある程度は兼業農家はふえると思います。私は今後の日本の農村の形態といたしましては、やはり家族経営を中心とした健全な農家を中心としていきたい、しかもそれはそれ自体経営が自立し得る農家を作ることが大事なことであろうと思います。しかしそれと同時に、ただいま申しましたような他産業への労働移動というものの現状から見まして、実際から考えますと、将来の問題は、今申しました自立可能な農家というものの方がある程度ふえる。それから今の中間にある第一種兼業というものは、むしろ第二種兼業の方へ変わっていくのではなかろうか、こういう分化的な移動が起こって参ると思います。これは御承知でもございましょうが、今日農村において比較的よいと考えられますのは、一町五反歩くらいの専業農家と、五反歩未満の兼業農家が大体同じような生活水準にあります。一番苦しいのはまん中にある一町歩くらいなところでございます。こういう点を考えますときに、労働移動の状況というものは、兼業農家にも出て参りましょうし、また専業農家的な方にも出て参りますが、そのときに兼業農家の方にある程度、一町歩作っておったものは五反歩にして、兼業農家収入をふやすという方向へ考えられていくのではなかろうかとも考えております。従ってそういう場面におけることを考えつつ、農村に工場の分散等も考えて、農村にいつつ農外収入を獲得し得る道を考え、兼業農家も専業農家もともに、その農業に対する施策は、先ほど申し上げたような方法をとりたい、ことに兼業農家、あるいは小さい農家で直ちに事業農家に行き得ないものについての共同化問題等は、今後の新しい所得を上げるという意味におきましても、最も必要な方向であろう、かように思っております。
#18
○松浦(周)委員 この機会に総理大臣にもう一ぺんお伺いしておきたいのでありますが、六割締め出し農業だということが選挙中相当騒がれまして、総理の真意をほんとうにくみ取らないで、いろいろなデマが飛んでおったのでありますが、私はこういうふうに思うのであります。現在千四百五十万ないし千五百万という農業就労人口がありますが、今の状況でいきましても、千万ないし千百万くらいのものは、やはり十年後といえども日本の農村に残るし、残さなければならない。そのうち第二種兼業というようなものと専業というものがあって、総理の言われました六割というものは第二種兼業も加えたものである、私はこういうふうに理解しているのでありますが、世の中ではそうでなくて、六割というものは全部農業外に締め出してしまうのだ、こういうふうに言っておりますが、その点は一つこういう機会に総理の真意をはっきり国民の前に言ってもらうことが農村の不安を一掃するということになると思いますが、この点私の考えが間違っているでしょうか、一つ総理のお考えを……。
#19
○池田(勇)国務大臣 御承知の通り今六百万戸の農家がございまするが、専業農家は大体二百万余り、第一種兼業が二百三十万余り、第二種が百六十万と私は二、三カ月前には言っておったのであります。しかし最近のあれでは、第一種、第二種がもうほとんど二百万、第一種と専業が二百万ずつで、第二種はもう百九十万戸にふえてきております。第二種の内容を見ましても、おととしの第二種兼業と今年の第二種兼業は、第二種といっても、非常に農業の所得が少なくて、非農業の所得がうんと多くなっておる。これで十年先になってみますと、第二種兼業が相当ふえて、しかもまた第二種兼業の内容が相当変わっていて、農家と言い得るかという問題になってくる。お話のように、ほんとうの第二種兼業で非農業の所得が非常に多いときには、農業をやっておるけれども全体的には農業でないという考えで私は言っておるのであります。そうして決して締め出しという意味ではないのであります。それの方が農業のために、また今まで第一種兼業、第二種兼業であった方のためにもいいのだ、そして国のため五もいいのだ、こういう信念で言って去るので、数の問題ではございません。そういうふうに成り立っていくような、そういうふうな方向で進んで行っておる。そうしてそのときには第二種は私は農家とは言い得られないだろうという考えでございます。
#20
○松浦(周)委員 それではっきりいたしましたから、そのような方向に御指導願いたいと思います。
 農林大臣にもう一回お願いいたしたいのでありますが、農業構造の問題について先ほどもちょっとお触れになりましたが、家族農業中心にいくということでありますが、今度の農業基本法やその他の農業構造の中において、協業あるいは共同経営というようないろいろな文字が入っておりますが、これは理想とする家族農業の完全な経営に持っていく過渡期における一つの段階としてお考えになるのであるのか、あるいは協業とか共同経営とかいうものを中心にせられるのか、もしこの共同経営とか協業というものを中心にせられるということになるならば、これは革新勢力の方々が始終提唱しておられるいわゆる――その共同は突き進んでいくならばソホーズ、コルホーズのところまで行ってしまうということを憂えるものであります。私は日本農業というものはあくまでも家族農業を中心にした、しかも合理経営であって、他産業の収益と大差のないところまで持っていかなければならぬ、かように思っておりますけれども、農林大臣のお考えはどうでございますか。
#21
○周東国務大臣 ただいまもお答えいたしましたように、日本農業の将来におきましてはやはり堅実なる家族経営を行なう農家を中心とした農業をやらしていきたい、かように考えます。ただし今後だんだんと農業近代化、高度化という問題をやらなければならぬ事態になっております。これは生産性向上のためにも必要であります。そういう場合に、ただいま申し上げましたように家族経営を中心とした農業を育成しますその裏には、当然それらの農業基盤の拡大とか、農業だけでやり得るように持って参りますけれども、日本の地方的な状況なり、いろいろな点から考えまして全部に直ちにやれない部分もございましょう。そうする場合における零細農家というものをいかに救うか、また兼業農家に対しましても農業の経営というものが、兼業のために十分農業に身が入らぬためにその生産を落としているという場合がある、そういう場合には農業それ自体に対する生産は、あげて国民経済に寄与していただくことになれば、そういうものに対しましても農業部門について協業を行ないまして、耕作の共同をやる、またそれらに対して確保を進めるということは、私は一つの新しい農業の行き方だ、かように考えております。
#22
○松浦(周)委員 おっしゃるようにやりますと、結局今よりも兼業農家がふえやしないかということであります。兼業農家がふえるということは、私は日本農業の健全な発達じゃないと思います。でありますからこれはヨーロッパ諸国におきましてもいろいろ制度をやっておりますが、そういう場合に自由主義の世の中でやることは少し困難かと思いますけれども、他国ではやっておりますが、小農統合法のようなものを作って、そこで適正規模に直して、しかも適正規模になれば非常な人口が余る、余るものをどこに持っていくか、これは農業構造の中に考えられなければならないと思います。
 私はこの農業基本法の問題について非常な責任を感じまして、三カ月半ばかり先進国を歩いてみました。ところが日本のように国土の農業利用を軽んじておる国はないです。大体一五%、国土の一五%であります。他国は一五%なんていう国は、カナダが一〇%でありますが、アメリカでも二〇%以上の状況であります。スイスのような山国であっても二五ないし三〇%の利用をいたしております。日本はどうかというと一五%。それはどこからきたかといえば三千年来の穀菽農業、瑞穂の国という考え方、地形の上においてこれ以上利用することができないというところにあると思います。従って地形は平らであっても冷害その他気候、自然条件の関係において穀菽農業ができないというところは放置してあります。こういう状況で国民の四割も保有する農民の生活を他産業に一致させるなんということは、とても私は思いも寄らぬことであると思う。でありますからもっと思い切って国土の農業利用ということを政府の政策の中に入れてそして農地の拡大をしていく以外に道はないと思うのです。現在開墾されている、利用されている国土は一五%であって、大体六百十万町歩くらいのものが利用されておりますが、さらに一五%ぐらいのものが、新しい農業を考えるならば利用する道がある。それはどういうところにあるかといえば、まず泥炭地、火山灰地帯、高原、重粘土あるいは海岸線、海岸線といいましても、四国、九州や中国では海岸線は利用されておりますが、茨城県から北の方、つまり冷風と潮風にたたかれて、受粉作用のできない海岸線というものは、莫大な高地、平原が残されております。さらに国有林、民有林その他の林業地帯におきましても、百万町歩以上の未立木地がある。こういうものを他国の国土利用と比べますならば、新しい畜産農業をやろうとするならば、幾らでも開拓の余地はあると思うのです。ただそれが放置してある。今まで日本の開拓農民のやり方というものは、穀菽農業のできないところへ持っていって、散発的に全国的に十七万戸も入れた。そういう行き方では全然成功しません。やはり集団的な一つの構想の農業が、一つの経済圏を作るような工合に仕上げていくのでなければ、ほんとうのものはできないと思うのです。そういう意味において、まあ六百万町歩ぐらいでありますけれども、これは畜産の需給関係も考えなければなりませんが、あるいは高位の泥炭地あるいは高位の火山灰地あるいは自然条件の悪い高原というようなものはやめても、三百万町歩や三百五十万町歩はりっぱな新しい畜産農業を経営することができると思うのです。今までの開拓農業をやるやり方、そういうことではだめなんです。初めからパイロット・ファームのように、国費をもって全部やってしまうのです。農民を入れたならば必ず畜産農業の経営ができるというところまで政府がやってしまって、その面積の広さは大体十五町歩より少なかったらだめだと思う。そういうものを一方に作りながら他面において小農統合をやって、その小農統合をやったものをこっちに持っていって、これも全部を国費でやる。こちらの方もあとを引き受ける人には低利長期の資金を貸すという方向に考えなければ、ただ企業に吸収されるから、人間が要るから、生活がよくなるというだけでは、これは締め出しだと言われても仕方がない。そうでなくて、さらに国土の一五%ぐらいのものを新しく開拓して、適地適作的なものを行なわしめることによって、農業全体の収入を均衡をとるという構想がなければならないと思いますが、これに対しまして農林大臣はどういうお考えを持っておられますか。
#23
○周東国務大臣 国土の積極的利用に関し、ことに新しくとろうとしている畜産業に関連して放牧地その他の経営の問題を大きく拡大したらどうか、そこで国土も大きくなって三百万町歩ぐらいになるというお話しでございます。この間、北山さんからもそういうお話しがありました。政府といたしましてはすでに御承知のパイロット・ファームで十五町歩を中心として一つの経営形態というものについて試験研究をやっております。そういう成果をも待ちつつ、しかも将来における畜産物の需給の状態をも考えつつ考究して見る必要があると私は考えております。ただ単に三百万町歩をすぐにやるといっても、そこでやらせるもの及びそのものの生産と需要の関係がなくなれば、ただ荒地にまかすだけになりまして困ると思います。その点は新しく農業基本法も制定いたすことでありますし、そこに農業基盤の育成に関して適当な措置もとることも考えております。それは今後の問題として調査をいたした結果、適当なものと考えられるならば採用しつつ、予算的措置を講ずる必要があろうかと思います。
#24
○松浦(周)委員 もう少し積極的なお考えをお持ちにならないと、これは今に他産業に農業人口が吸収されてしまって、現在の農地を再分配すればそれで所得の均衡がとれるという考え方は、農林大臣として少し政策が足りない。だから老人や女の農業になってしまうのじゃないかと言われても仕方がないのです。また国土があるのですから。オランダなんかは、御存じのように、三十万町歩も海の底を耕している。それも全部政府がやっているのです。けれども、直接にかかった金は、いわゆる年賦償還で払っております。今申しましたように、特に東北、北海道の海岸線というものは、土壌は悪くないのです。ただ冷風と潮風のために受粉作用ができなかったから放置してある。これは資金さえかければ、直ちに生産化するのです。調査をしなければいけないとおっしゃるけれども、それは調査をしなければならぬでしょう。私は去年帰ってくると同時に五百万円予算に組んでいただきまして、大体地積の調査をしてもらった。今年は五億八千五百万円の畜産基盤の振興費を取ってもらいまして、これらのものの下工作はしつつありますから、大臣がその気になればできないことはないのです。総理も今のような御決意なのですから。あなたのお考えがあまり消極的なものだからだめなのですよ。もう少し積極的に立てて、総理や大蔵大臣と御相談になれば、これは受けて立たれるのです。今の総理のようなお考えなのですから。この点があまり消極的だと私は言いたい。でありますから、新しい農地をふやしていく。そうして現在の農業の他産業に転換したものと合わせて平均収入が多くなるという考え方に持っていかなければ、私はこれはうまくないと思うのです。
 そこで私は北海道の長官にちょっとお聞きしたいのでありますが、今のような北海道の海岸線並びに北海道の特殊土壌の草原というものは、大体目の子算用で言って百五十万町歩あると思うのです。これの新構想による農地開拓あるいは畜産農業というものについてどういうお考えを持っておられますか。一つ構想をお伺いしたいと思います。
#25
○小澤国務大臣 お答えします。北海道の泥炭地、火山地帯はどうしても大規模な開墾をやらなければ無理だと思います。そういう意味で、今のところは、私だけの構想ではありますが、そういう構想を持って進みたいと思います。
#26
○松浦(周)委員 大体農林大臣と同じようなお考えであると思いますが、しかし北海道の大臣としては、あれだけの原地にああいう草原があるのですから、これを積極的に閣議や何かで御相談になって、一刻も早くああいう草原を蜜と乳のしたたる富原にするという理想を持ってたたかっていただきたいと思います。
 そこで農林大臣にもう一つお伺いしたいのでありますが、今まで草地改良、草地改良といって、ちゃちなことをやってきたが、これというような成果が上がっていないのです。米を今日まで仕上げたような技術はあるが、日本の畜産飼料を増産するためにそういう技術者が少ないと思うのですよ。どの県に行っても、遊んでいる草地を完全な飼料にしかえて畜産を養っていくというような技術を持っている技術者が少ない。これはまず草地に対する技術者、畜産自給飼料に対する技術者を養成することが第一点。
 それから今後今申し上げましたような方向に、いいとか悪いにかかわらず、その方向にいくより日本の農政の道はないのですよ。そうなれば年々多額の費用がかかります。かけなければなりません。そうすると、今までのような非公共の中でやるよりも、公共事業費として、この草地並びに農業地を開墾していくというこの科目を公共事業費にしたらどうかということが一点。
 もう一つは、今広い高原の話をいたしました。ところが既墾地の中で、傾斜地であるとかあるいは土地の中に沢があるとか、しわがあるとかいうところは、ほとんど作物を作っておりません。これはスイスなんかに参りますと、寸土といえども牧草ならざるはなしという利用状況であります。なぜやらないか。やりたいけれども、手間がないということであります。そこでこの傾斜地をこの牧草にしかえるというような希望があって、それをやる場合においては、ある程度の補助金をやったらどうか。畜産資源が足りなくて肉が高くなる。物価問題でもずいぶんここでこの間じゅうやりとりがあったのですが、そういう今利用していないところに飼料を作ってブタでも牛でも飼わしたら、一戸で一頭や一頭半は今イタドリやササにおおわれておるところを牧草にすることによって飼えるのです。そうなれば、農林大臣の施策によってそれに補助金をやる、そうして一町歩を牧草にすれば牛一頭くらい飼えるから、そういう考えをしなければならぬ。この三つについてお返事を願いたい。
#27
○周東国務大臣 第一点の草地改良に関する技術者の養成、これはごもっともであります。これは考慮いたしたいと思います。
 さらに草地の問題を公共事業資金の中に入れたらどうかということ、今日の状態といたしまして、草地改良協議会というようなところでいろいろ世話いたしておりますから、その結果を待ちまして、この次の段階におきましては御趣旨の点は考慮してみたいと思います。
 今の既墾地の間にある沢地等における草地改良に関する補助金、これは現に、予算の名目は忘れましたが、北海道等に対しましては予算補助が出ております。さらにそういうものについて拡大せよということならば、将来の問題として考究いたしたいと思います。
#28
○松浦(周)委員 迫水さんにお伺いいたしますが、去年の年末に所得倍増計画についてずいぶんやりとりいたしまして、これまた新しく十二月二十七日にお出しになりましたが、当時のものは、鉱工業は太平洋のベルト地帯を中心にして、それらが発達して後十年後からやるというような考え方でありました。また自由主義経済からいえば、一方においてそれだけの余力がなければ後進地域の方に投資することができないという理屈も一応はわかるのでありますが、とても十年なんか待っておられないという議論がずいぶんありました。また十六兆の予算を投資するという中において、農林漁業には一兆しかやらぬということが相当また議論になりまして、二十七日に現在の予算ができ上がったのであります。この農林関係のものについて一言お伺いいたしたいのでありますが、農業生産基盤の整備に対しましては、先ほど来いろいろ申しておりますようなことで、新しい構想の農業をこれから仕立てていかなければなりませんから、一兆というようなことは数字に表わさないで、これから弾力性を持ってやるんだということでございましたが、少なくとも、この問題については、弾力性というようなことでは、われわれは承服できないのであって、この農業基盤整備の問題については、今後十年間に二兆五千億くらいの金がなければ、われわれが先ほど来申しておりますようなことにはいかないと思いますが、これに対してはどういうお考えでございますか。同時に、新しく三百万町歩の農業地を開くという資金と同時に、小農がそっちに転向する、あるいは鉱工業に転向する跡地を引き受けるために残った人を適正規模にするための長期低利の資金は、大ざっぱにやってみますと、四兆くらいの金が、新しい方と残る方とに要るのです。これは投融資でよろしいと思うのですが、もちろん低利長期でなければなりません。三分の三十年くらいのものでなければ、生産を上げつつ払うことはできないのが農業の現状でございますから、そういう方向にこの所得倍増計画というものを持っていく考えがあるか。これは抽象的で、この言葉ではわかりませんが、このことの御決意をお伺いいたしたいのであります。
#29
○迫水国務大臣 私の了解をいたしておりますところでは、経済審議会の答申にあった所得倍増計画の農業関係の行政投資額一兆円という数字は、この構想というものによって一応再検討するといいますか、そういうことになっていると了解をいたしております。従って、一兆円という数字に固執をする気持は毛頭ございません。同時に、ただいまお話になりましたように、土地改良とか、開墾とか、干拓とか、防災とかいうものは、いわゆる農業関係の行政投資でまかなっていくわけでありますが、それと並んで機械化の推進、大家畜の導入、農業施設の拡充等、農業の生産性の向上、経営の近代化のために要する資金というものは、行政投資のワク外で、できるだけ融資拡充によってこれをまかなっていくという方針であると了解をいたしております。ただし、ただいま申されました膨大なる数字については、なおよく農林省とも検討いたしまして、具体的に計画を立てていくように努力いたしたいと思っております。
#30
○松浦(周)委員 農林大臣にちょっとお伺いいたしますが、この前も、この議論のときに、突き詰めていったら、農林省の要求がない、こういうことなんですよ。今もそういうようなお返事でありますが、農林省の方では一体そういう消極的なものですか。この所得倍増計画をこしらえるために、今私の申し上げましたような線は、大体農林関係のわれわれ同僚はみなそういう考えを持っておるのですが、しかし、農林省が消極的で企画庁の方にその要求がないということでは、これは話にならないのですけれども、その点はどうですか。
#31
○周東国務大臣 先ほども申し上げましたように、農業基盤の造成に関しましては、すべての調査を待って、農業基本法もできることでありますし、来年度からさらに考究いたすということを申し上げておるのであります。と申しますのは、今日の予算の編成は、すでに農業基本法制定前に連絡されております。初年度といたしましては、あの範囲で出ておりますが、今後における考え方としては、ただいま企画庁長官も申し上げましたように、今後の状態をよく考えまして、それに応ずるように考えたいと思います。
#32
○松浦(周)委員 農業基本法そのものは法律なんですから、あれは予算を持っていないのですね。倍増計画も物の裏づけがなければ、どんな基本法を作ってもだめなんです。だから、今のお話はちょっとおかしい。もう一ぺん言い直してくれませんか。
#33
○周東国務大臣 私もその点はよく了承いたしております。しかし、農業基本法なるものは、何かといえば、今後における農業所得を拡大、増加することであります。それがありますので、その点に即して将来倍増計画に対する修正もあり得るわけであります。農業基本法についてはそれだけのむずかしさがありますから、ただ単に計数的に上げることだけでは私は満足しておらない。これは理論的に説明がつき、確たる見通しのもとに立てたいというのが私の考えであります。
#34
○松浦(周)委員 今の点はおかしいのですよ。農業基本法を作ったって、所得倍増計画の中に盛られた国の産業経済というものの方向をこれは示しておるのですから、そこに農林省の方の要求がなければ――基本法そのものでこういうことをやりたいのだ、それに対してこれだけの資金が要るのだということは、企画庁の方に言わなければ、ただこれから作るということではだめですよ。その点はもういいです。
 もう一点、それでは総理大臣と農林大臣にこの基本法の重要な点についてお伺いしたい。日本の農業は世界一零細であるということは言うまでもありません。長い歴史の試練を受けながら、堅実なる思想と愛国の精神によって家族農業を営んで参りました。終戦後の混乱のときに、この日本の農業があったからこそ日本の国というものは今日守られてきたと思うのです。黙々として、ものも言わないで、そうして真理を歩んできた。そうして祖国を守り続けてきた。この行動は、われわれは感謝と敬意を表せざるを得ません。農民は国民に対して、よりよい食糧を、より安い食糧を、より多くの食糧を供給してくれたのです。でありますから、日本の農業の今後を考えるときに、日本民族の食糧の自給の大任を農業が負っている。今までも負ってくれたが、今後も負ってもらわなければならないのと同時に、日本民族精神の魂のふるさとである、こういうふうに私は考えます。もう一点は、日本民族の中堅のプールである。この三つが日本農業の大きな問題であると私は思います。今後農業基本法を制定せられるにあたりまして、これらの基本の三つの条件、食糧の自給、魂のふるさとの培養、民族の中堅のプールを守る、この三つが農業基本法の前書きになければならないと思いますが、まず農林大臣と総理大臣の御意見をお伺いいたしたいと存じます。
#35
○池田(勇)国務大臣 先ほど申し上げましたように、民族の苗しろでございます。その意味で農業の大改革をやろう、そのためにはやはり全体としての高度の成長をしてからこそ初めてできることであって、だから、万般の産業につきましての近代化をはかりまするが、ことに農業をやるためには、全体の産業、第二次、第三次産業の伸ばしいいものをまず伸ばしていき、そこから出てくるところの財源で農業をやる、これが高度成長のもとなんです。全く同感でございます。
#36
○周東国務大臣 私も、農業、農村というものがお話しのような場所であると考えております。農業基本法の前文には、大体お話しのようなことと同じ意味になりますが、趣旨をくんで書き込むつもりでおります。
#37
○松浦(周)委員 それでは、基本法の問題について二、三点農林大臣にお伺いいたしたいと思います。日本の、今度成案されつつありますところの基本法は、大体西ドイツの基本法を参考にされたのではないか、かように考えますが、西ドイツの場合は、実態調査というものを法文の中に入れているのです。つまり向こうの言葉で言えば、グリーン・レポートを求めるために八千戸の農家の実態調査をいたしまして、それを基本として農林大臣は翌年に行なうべきグリーン・プラン、農業政策を作って国会に提案する義務があるということが規定してあります。これが三条にわたってこしらえてあります。ところが今度できるのは、この統計調査の問題を一体法文の中に入れられるかどうか。今は別に統計調査の問題があるから入れなくもいいという見方もありますが、西ドイツだってちゃんとあるのですよ。政府が財政支出に対して農民に対する義務を負うことになるのですから、この法文の中に入れなければこれは非常に弱いと思うが、これに対する農林大臣のお考えはどうでございますか。
#38
○周東国務大臣 その点に関しましては、いずれ農業基本法を提出いたしました場合に御議論願うことになると思いますが、今まで私どもが制定を進めて参りました経過におきましては、日本における統計調査、家計調査その他を十分に完備する必要があるので、それぞれのその関係法案について整備を行なうことにいたしておりますが、これは今のところ基本法の中には入れておりません。
#39
○松浦(周)委員 この統計調査というものを入れなければ――政府は財政支出に対する義務を負うという問題と並行してこれは考えなければならぬ問題でありますから、その基礎になるものですから、ぜひ法文の中に入れてもらいたいということを要望いたしておきます。同時に、それによって農林大臣がグリーン・プランを国会に提案する。つまり翌年の農業政策を提案する。その提案するものに対しましては、国会でこれを審議されるのでありますが、審議されてから、――時間は通常国会の前にやらなければなりませんけれども、それは来年度の一般会計に組み入れられることになるのであります。ドイツでは、大体この農業基本法ができる前までは農業に対する関心があまりなかったのです。ところが、そういう義務制を法律の中に入れたものですから、農業に対する国会、新聞あるいは国民というものの関心が非常に高まった。予算に対する義務制があるのでありますから、高まらざるを得ないのです。そこで第一年はたしか一九五五年に作ったのでありますが、五六年は六億六千万マルクの予算でありました。ところが五九年は十三億四千百マルクということに上がっていきました。それは一般行政のほかであります。つまりグリーン・プラン、農業基本法だけのためにそれだけの予算をとるようになったのです。従って、農業に対する国民の関心が非常に高まっていったのでありますが、これは今度の農業基本法の中の一番筋であります。先ほどおっしゃったように、農業基本法を作ることによって、これからの農業生活を安定させるという方向だとおっしゃったのですが、そうであるとするならば、さらにこの基本法の中に財政に対する政府の義務制を挿入しなければならぬと思いますが、これに対する農林大臣のお考えはどうでございますか。
#40
○周東国務大臣 大体今日までのところ、農業基本法に基づいて一定の将来の見通しを立て、その意見を出すとかあるいは前年度の実績を報告するとかいうことを規定しております上は、当然これに関連してある程度の予算的な裏づけが必要だと思います。ただいま御趣旨のような点について検討中であります。
#41
○松浦(周)委員 この間本会議で中澤茂一君の質問に対しまして、義務制をやるとはっきりおっしゃっておりましたが、今は検討するという、後退されましたか。
#42
○周東国務大臣 大体そういう方向で検討いたしております。
#43
○松浦(周)委員 今度は、今年の予算その他の問題について農林大臣にお伺いしたいのであります。土地改良の問題についてでありますが、昨年の、三十五年度の農林予算を研究するときから福田農林大臣らと相談いたしまして、今までの食糧増産費というものを農業基盤整備費というものに直しました。これは、食糧増産費というものは、廣川農政の時代に、食糧の増産ということでありますから、これに対する土地改良というものは、大体米の増産に重点を置いておりました。大体米が充足されたからというので、それをうとんずるわけではないけれども、さらに畑地の方向に進めていかなければならぬ。総合的な、多角的な基盤整備にしなければならないということで変わったのであります。ところが今年の予算を見ますと、土地改良の問題について、米の増産に関するものは相当切られているのですよ。その切られている切られ方というものは、各府県とも全部やられている。それはどういうことかというと、今まで大きいダムについては十年もかかって調査研究をして参りました。調査費を出してきました。多いものについては二億円ぐらいの調査費を出したのもあります。小さいのについては、二、三年かかって調査したけれども、まあしばらく足踏みだということになってしまいました。そのために、各府県の米作農家というものは非常な不安に陥っている。一体米作りというものを将来どうしてくれるのだということであります。このことは、単作地方における水田というものは、何といっても水田が一番利回りがいいのです。それをみんな希望しておって、それで今まで何十年もかかってダムを作ったり溝路を掘ったりすることについての土地改良について、政治的にやってきたものが急にいけなくなったというので、非常に失望しているのですよ。これは一体今後このようにやっていかれるつもりか。私はこう考えます。今食糧を表向きから見るならば八千五百万石前後でありますから、まだ足りない。しかし政策上、外国から入れてこなければ日本の商品が売れない、あるいは後進国家との間の経済取引がうまくいかない、外交上うまくいかないということの犠牲になっているという点もあります。しかし、一国の経済を行なうために、そういうような後進国家から米を買ってやらなければならぬということもありましょうが、日本の経済がある程度弾力性ができたとするならば、一年だけの食糧のことを考えないで、五年、七年の先のことまで一応プランの上へ乗っけて――東北、北海道あるいは北陸のごときは、冷害凶作というものが周期的にやってくるのです。特に北海道は三年に一ぺんくらいの冷害がある。そういうことを考えると、最高ピークは半年くらい手持ちするというような考えで、年に少しずつ余っても、そのくらいのものは一つ手持ちしていく。最高ピークは半年くらいまで手持ちするという考えでいけば、今まで農民が希望を持っておるところの水田を新しく作るというための調査研究をしたものを、そのまま農民の約束を無視してやめてしまうというよりも、それを漸進的にやっていって、米が余れば最高ピークは半年くらいは手持ちする、こういう考えでおやりになったらどうかということを農林大臣に一つお伺いいたしたいと思います。
#44
○周東国務大臣 お話の点はごもっともであります。決して米作を減ずるというような考えは持っておりません。ことに私は、米の必要量というものはまだふえると思います。人口の増というものが常に米食の増加要因になります。ただ食生活改善等、生活水準が上がるにつれて幾分米食率の減ということはあるにしても、将来百万ずつ増加する人口に対処して、米作を減ずるということを考える必要はないと思います。これははっきり申し上げておきます。ただ御指摘の、土地改良その他について試験研究をやめたじゃないかというようなお話でございますが、これはことしの予算が通った暁において、これが実行に当たって、それらの御心配のないようにそれぞれ処置することにいたしておりますから、これは御心配は要らぬ、かように考えます。
 ただいまお話のように、少々よけい作って備荒貯蓄的なものにしたらどうかというお話でございますが、今日実はだんだんと米が余って参りまして、しかも政府がこれをりっぱに保管して、将来に備えようと思っております。今日の状況からいたしますと、ことしの端境期、十月から十一月には、おそらく五百万石以上の持ち越しになると思います。こういうことが今日ありますので、ただいま直ちに備荒貯蓄制を考えるということは、今のところ考えておりません。
#45
○松浦(周)委員 土地改良について、農林大臣は今仰せになりましたような方向でやられるということでありますが、大蔵大臣は、農林省の方でいろいろ案を持っていくと、米は余るのだから、新しい仕事はやめろというので、大蔵省の方が渋っておるということを聞きますけれども、一体農林大臣の考えのように土地改良を積極的におやりになるお考えですか、その点お伺いいたします。
#46
○水田国務大臣 この米作については、やはり将来地域的分業化というような方向を考えるほかないんじゃないかと思います。農産の振興をやっても、結局米作を伸ばしていく以外にはうまくいかないという地帯が日本の中にあるのですから、そういう地帯の土地改良というようなものについて、私どもは予算をもっと増加してもいいというような、いろんな方針から今度の予算査定をやりましたが、大体農林省と折り合いもついた査定でございますので、特に削るという方針をもって臨んだということはございません。
#47
○松浦(周)委員 米価の問題についてお伺いしますが、予算米価は大体一万四百円となっておるようでありますが、生産費所得補償方式でいきますと、もう少し高くしてやらなければ農村の方が問題になるのじゃないか。最近において公共料金がどんどんと軒並みに上がっていくというようなことを考えて、まあこれは米価審議会に依存すると言われればそれまでのものでありますが、農林大臣は予算米価そのもので押し通される考えか、それに弾力性をお持ちになる考えか、それが一点。
 もう一つは、予約奨励金の問題、あるいは時期別格差の問題、あるいは陸稲との開きをどうするか、あるいは予約減税はどうするか、もち米の加算はどうするか、等級別の格差をどうするか、この六点についてそれぞれの御意見をお伺いいたしたいのであります。
#48
○周東国務大臣 予算米価一万四百五円というものは、これはあくまでも予算米価でございます。三十六年産米の価格をどうするかということは、ことしの出来秋においてよく検討の上考えてみたいと思います。
 ただいまの御質問の各項目でありますが、予約減税というような問題についてもこれはいろいろ議論もありますが、これは出来秋、米価決定の際にいかなる形にするかということは慎重に考えてみたいと思います。等級間格差というものにつきましては、だんだんと米の品質改良というようなものが進められる必要があります。そういう問題から見ますると、この等級間格差の問題については、それらの将来の米作奨励というものに関連して考えてみなければならぬと思っております。それから陸稲の問題につきましても、これはもちなんかにつきましては、ことしもち米加算については御承知のように下げております。陸のもちなんかについては同様にしておりますが、これらはやはり新しい見地に立って考究して参りたいと思います。
#49
○松浦(周)委員 今度は肥料の問題についてお伺いいたしたいのでありますが、十月から十二月までいって七百五十七円五十四銭の暫定価格でまだ話がきまらないというような状況で、七カ月間空白になっておるのが硫安価格の現状でございます。しかも、硫安の輸出会社は百十五億の赤字をかかえておる現状でありますが、これはこのままに一体放置していかれるのかどうかということが私は一番大きな問題であると思うのです。この問題を解決してやることによって域外調達の問題についても今後硫安の活躍舞台が相当に出てくる時代になるというふうに、中国並びに朝鮮その他の近隣に対して日本の硫安工業力というものを及ぼしていかなければならぬと思うのでありますが、これに対して通産大臣並びに農林大臣の御意見をお伺いいたしたいのでありますが、ドイツではこの肥料に対する購入補助を農村にやっておる。この肥料に対する購入補助というものはどういう意味でやるかというと、肥料の世界的な競争力をドイツの肥料会社が持つために大体やっているのです。それは一〇〇のキャパシティがある。その一〇〇のキャパシティに対して経費は一〇〇のキャパシティの経費を見る。原料は七〇%を生産の基準に置いて、一〇〇のキャパシティの経費をコストの中に入れるのです。でありますから、三〇というものは原料とエネルギー料だけで肥料を売っても損がないということになる。しかし、それを買う農業はたまりませんから、二割の肥料購入補助というものを与えております。日本もそういうふうにお考えになれば、農業の方はコスト一ぱいのものを買えるし、また他国の肥料会社と競争して肥料を販売するのにも非常に都合がいいということになるのでありますが、これは見方によればガットに影響するかもしれませんけれども、ドイツはそうやってとなりの朝鮮まで来て日本の肥料会社と戦って、とても歯が立たぬというような状況になって、百十五億も損をしているという状況でありますが、これを国際競争力を一方においては持たせ、農村には安い肥料を使わす、この両方の考えから見てそういう政策をおとりになる考えは通産大臣並びに農林大臣においてはないかということをお伺いいたしたいのであります。
#50
○周東国務大臣 今日まで、肥料の問題に関しましては、できるだけ農村に安い肥料を供給するという立場から、肥料会社に対しましては毎年々々合理化を進めさせて、戦後大体合理化された値下げ部分は全部下げて参っております。が、御指摘のように、一面、それでもなおかつ諸外国との競争には押されがちであります。ややダンピング的な形で肥料を売りくずそうということもありますので、日本の肥料業者としては困っており、御指摘のように損失がたまっておる。このままでは、今お話しのように私どもも、一面に、肥料工業というものが今日輸出産業として大きな地歩を占めておる現状からいえば、これらをもっと徹底的に合理化をして、そして競争力をつけるということが必要だと思いまして、これは通産大臣のお話でしょうが、その方面についても通産省も御努力になってきておるわけであります。従って、今日までのところ、そういう方向をとりながら、安くして肥料を農民に供給し、輸出の赤字はこれを肥料二法案によって、農村の農民には負担をかけることをとめるような方向でおります。従って、今のところは農民に直ちに肥料に対する補助金をやるということは考えておりませんが、むしろ、積極的に肥料工業者に対する合理化に対して必要な施設について国が考えていったらどうか、こういうことでございます。
#51
○椎名国務大臣 肥料工業の所管問題は、ただいまのところ、生産は通産省、流通関係は農林省ということになっております。しかし、この肥料工業そのものはまあ化学工業のこれは一環でございまして、特別に切り離してこれを考えることができるかどうかといったようなことが根本の問題であると思います。それはともかくとして、現状においては、農民にできるだけ安い肥料を供給する、こういう建前のもとに、いわゆるバルク・ライン方式というものができておるのでありますけれども、その当時の情勢と今日とでは、国際的な肥料を中心とした諸情勢が非常に変わっておる。そのために肥料生産工業としては痛しかゆしというような関係に立っておるのであります。でありますから、お説のように、将来輸出産業として相当好ましい将来を持っておるのでありますから、これをできるだけ育成強化するということも十分に考えなければならぬ。同時に、国内の肥料配給については、低廉にして、しかもその他の条件を農民にのみやすくするという、この二つの目的のもとにどうすればいいか、これらの問題につきましては、現状に即して妥当な方法をただいま考究中であります。一方において、肥料工業の合理化等については着々進行もしておるような状況でありますので、それらの問題も十分に考慮を払いつつ適当な方法を考えていきたい、かような状況であります。
#52
○松浦(周)委員 通産大臣の非常に含みのある御答弁でありますけれども、御手腕に信頼して、どんな妥当なことが現われますか、お待ちすることにいたします。
 その次は、甘味資源の計画を三浦農林大臣時代に、私ども参与いたして十カ年計画を立てたのでありますが、その甘味資源の計画に対する進行状況はどうなっておるか。
 時間がありませんから、重ねていろいろこの問題についてお尋ねいたしておきます。ビート工場の問題について、これは北海道の相当な政治問題になってきております。三浦、福田、南條、周東と四代にわたるこれは一つの大きな問題でありますが、ここらでやはりおきめにならないと、これは農村に対するかなえの軽重を問われるなんということになるのでありますが、一体これを今年中におきめになる考えがあるかどうかという点。もう一点は、暖地ビートの問題が甘味資源の計画のときにも見込まれております。今度岡山にも工場ができたということでありますが、イタリアの南方開発の状況を見ましても、暖地ビートというものは相当に成り立つ可能性を持っております。従って米の裏作としてこれを行なって、日本の甘味資源のことをやるということが重要な問題でありますが、この三点について農林大臣の御意見をお伺いいたしたいと存じます。
#53
○周東国務大臣 甘味資源対策の経過でございますが、これは御承知の通り三十四年度にできたのでありまして、三十四年、三十五年ともに大体計画通りに進んでおります。ただ精製ブドー糖の方の関係が、工場の設置等がおくれておるために、これはややおくれておるという状況でございます。
 それから今の北海道の問題でございますが、御指摘のように四代もかかってなかなかおきまりにならぬようなむずかしい問題であります。私一人が飛び込んできてすぐきめるということはなかなか困難でございますが、しかし片やてん菜糖の増殖奨励をやっておる畑地の方はだんだん進んで参りまするから、できる限り早く工場の設置を考えていきたいと思っております。
 暖地ビートについては御指摘の通りであります。従って今度も大・裸等の転換作物の一つとしててん菜糖を入れております。
#54
○松浦(周)委員 北海道のビート工場の誘致の問題についてはぜひ一つ四代目の大臣において決定してもらいたいと思いますが、工場を持っていくことは政治的にできるのですし、問題はその工場のキャパシティを満足させるだけのビートを生産することができるかどうかということが重点なのです。そこで政府の考えとしては、その持っていくべき工場の能力にふさわしい実際のビートの生産をするためには今後どういう手を打たれるか。それが三十万トン北海道に作るか作らぬかの岐路になると思う。ただ工場だけ作るなら簡単でありますが、各農家が所得倍増計画に即応して、そうしてビート大根を作ることが何を作るよりもいいというところまで持っていってやるのでなければ、それは工場だけ作ってもだめなのです。その点に対する農林大臣の抱負なり、現在やっておられるところの政策を一つ御発表願いたいと思います。
#55
○周東国務大臣 もちろん大麦、裸を暖地ビートに転換させるについては、その地方々々における生産数量と見合って工場をいかに建てるかということが問題になってくるでしょう。北海道におきましては、御承知のように当初は六百万貫くらいのところで出発したのですが、今度暖地ビート等につきましては、これでは多少規模が小さ過ぎるのではないか。その他てん菜糖の価格が、御指摘のように他の作物より換金作物としてはよけいよいということでなければなりませんので、そういう点については技術的指導その他製糖工場に対する指導というものをあわせて行なって、これの転換を行なっていく、かように考えております。
#56
○松浦(周)委員 寒冷地畑作振興の問題について資金は十二億用意されておるようでありますが、幾らも金は出てないのです。どこに隘路があってこういう現状であるか、その隘路があるならば隘路は打開しなければなりませんし、また牛乳がセットの中に入っていない、乳牛関係がセットの中に入っていないということも、これは入れなければならないのではないかというようなことを考えますが、これに対する七千戸の実行が今後五カ年間にできるかどうかということのお考えを伺いたいのであります。
#57
○周東国務大臣 今の点は御指摘の通りに、三十四年も五年も金は十二億出すことになっております。一番よけい出たのはこれは六億でしょう。これは内容としては、貸付対象農家というものの資格条件というようなものの制限が低過ぎるじゃないかということも考えられます。手続等について、非常に煩瑣な手続を変えなくちゃならないというようなことも考えております。今お話しのように、この中に取り入れらるべき対象、仕事のワクということについて、目下よく考究をいたしたいと思っております。
#58
○松浦(周)委員 農業経営近代化の資金について、従来農業の系統資金が、いろいろな現在の制度の上において九分五厘ぐらいでなければ、農村が自分の金を使えないというようなことになっておりまして、従って中央の農業団体は、一般銀行にコールで農民から上ってきた金を一般の資金に出しておるというふうな不合理を直すために、本年度は三十億の予算を一般会計に組んでいただきました。それから一億七、八千万円の利子をもらって、それをもってこの利子補給をするという計画をお立てになりましたが、これは私どもは、政府の方で持っていただくこともいいけれども、地方にまた一分持てということでありますが、地方財政の今日の状況の上において、首つりの足を引っぱるようなことになるのですが、苦しい地方財政が一分を持つならば、政府は一分と言わぬでもう一分持って、そうして三分補給するということになれば六分五厘になるのであります。地方財政が一分持って政府が一分だということになれば七分五厘になるのであります。一体農業の金利というものが、三分以上のものでは引き合わぬと思うのですよ。引き合わぬところに農業の苦しみがある。そこで金を貸してやるということは、その農村の首つりの足を引っぱるようなことになるのですよ。だから農村に九分の九分五厘のというような金を貸したって、そんなものは回収されるものではない。そんなことは計数上わかっておる。にもかかわらず、こういうような案が出てくると、やはり大蔵省は幾らでも少なくしようというような考えでおやりになるようでありますが、どうか一つ農林大臣にがんばってもらって、大蔵省の方でももう一分国の方で持って、地方の窮迫する財政に一分持たせるならば、せめて政府は二分持つ。そうして農民には六分五厘で貸してやるということに一体ならないものでしょうか。この点は一つ私は農民の代表として両大臣にお伺いしますが、ぜひそうさしてもらいたいと思います。それを一つお返事をお願いいたしたい。
#59
○周東国務大臣 お話の点はごもっともであります。私どもも当初政府の方で二分という考えでありましたが、まず一つ漸進的に国が一分、地方が一分ということで二分ということになりました。これで満足はしておりませんが、もう少し施行の状況を見たいと思います。これは一つは、安ければ安いほどけっこうですが、今の農林漁業金融公庫から出しているほかの金、畜産の設備資金について特別に出しておる金、大体において七分五厘です。そういうことと、また農業協同信用組合等の貸付金利等の値下げの目標を、一応七分五厘にしていこうかということでおります。これはなかなか高いもので、一割近くにもなっております。これも急速には参りませんので、そういうこととにらみ合わせまして、今年度はまずただいまお話しのように、政府、地方合わせて二分という考え方で進んでおります。将来ともこれらの点については努力をいたしたいと思っております。
#60
○水田国務大臣 今度初めての私どもの構想でありまして、これによって農業系統資金を三百億円活用する。そして来年はさらに五百億円、六百億円の活用をはかりたいと考えて出発したのでございますが、この運用の状況を見て、お説のようなことも考えなければならぬという事態が来るかもしれませんが、しかしやはりこの問題は、全国いろいろな農業に関しましても、特殊な地帯がございますし、無制限に借りたら借り得というようなことになることを避ける意味で、今までひとり農業だけじゃなくて、各種のこういうやり方についても地方自治体が入ってくる。そして一部地方自治体がその責任を持つということによって、いろいろな施策がその土地において適切に調整されるというような機能もございますので、今回はそういうふうにしたわけでございますが、これは将来の問題として検討する余地がある問題だと思います。
#61
○松浦(周)委員 将来といわずに、今年度も今後実行までまだ時間がございますから、一つとくとお考えを願いたいと思います。
 この金融の問題についてもう一言申し上げたいのでありますが、自作農維持資金の問題であります。現在の自作農維持資金のワクや貸付条件というものは従来の行き方の上に考えられたものであって、しかも北海道のような耕作面積、経営規模の大きいところにおいては、どうしても改定してもらわなければならぬということで、今の要望は東北も同様でありますが、限度二十万円を五十万円、金利五分を三分五厘に、または年限を二十年を三十年、据え置き五年の年賦二十五年でありますが、そういうふうに直してもらいたいという切なる要求がありますが、これは昨年来の重要な問題でありますけれども、農林大臣並びに大蔵大臣の御意見をお伺いいたしたいのであります。
 その一点と、今後先ほど来議論をいたしておりましたような状況で、日本の農業構造を変えていくということになるならば、この自作農資金の方法というものは根本的に変えなければならぬではないか。たとえば、政府の言っておられるように二町五反とするならば、平均して一町二反くらいのものをよけい集めなければいかぬ、それをかりに三十万円にいたしましても、約四百万円の金が一戸について要るのです。それを一体どういう方法で出すかということが今後直ちに問題になってくる問題でありますが、この自作農維持資金の条件緩和と、今後自作農維持資金というものをこのままでなくて、別な方向で大きな考え方をしなければならぬが、一体この二つについてどうお考えになりますか。農林大臣並びに大蔵大臣の御意見を伺っておきたいのであります。
#62
○周東国務大臣 この自作農資金の貸し付けというものは、自作農の維持というもの以外に、金がなければ土地を放さなければならないというようなことに対するいろいろな点について活用されておる、それだけに御希望の点が多いと私は思います。しかし、今日の場合、御希望もございましたが、一応金利としては五分をそのまま、それから貸付条件におきましても、三年据え置き二十年ということでもうしばらく様子を見てもらう、ただワクにつきましては、五十万円に拡張というお話がございましたが、三十万円に引き延ばすということと、総額百三十億であったと思いますが、これを今度百六十億に拡大するということでしばらくがまんを願うということになったのであります。将来なおこの点についての状況を考えまして、さらに研究をいたしたいと思います。
#63
○水田国務大臣 御承知のように、農林漁業金融公庫資金のコストは五分五厘八毛ということでございますので、今の自作農維持資金の金利も、条件は一般に比べて相当優遇されておりますので、金利の問題をもう一分下げるということはなかなかむずかしゅうございましたので、農家当たりの貸付限度を上げるという方向で今対処しておりますが、今私どもが考えておりますのは、政府関係資金の金利がそのときどきの政策の情勢によってまちまちにきめられておって、無理もなかったと思いますが、あまりに全般の金利が不統制であって、金利体系が乱れておるということを私どもは考えまして、政府関係資金の金利体系の全般について見直すべく今いろいろのことをやっておりますので、この仕事の一環として将来考えたいと思います。
#64
○松浦(周)委員 麦の問題について、いろいろな前置きの議論がありますけれども、こんなものはやめまして、一体東京から西の方では麦はあまり作りたがらない、惰性でようやく作っているんですよ。それで、大麦、裸麦は小麦に転換するということではありますけれども、こういうことを言ってやると、いやいや作っているから、小麦も作らぬようになる。こんなものはそんなことを言わぬで、作れるだけ作れ、でき上がったならば、大麦や裸麦などは家畜の飼料にしてもいいじゃないか。それを転換せいというようなことを言うものですから、しまいには、西の方は麦はいやいや作っており、反収の金額は幾らも取れないものですから作らなくなる。こういうことで一体いいのかということです。これは三浦農林大臣時代に蚕の問題について、蚕ができ過ぎるからどうとかこうとかいって、桑を抜いてみたり、また桑を奨励してみたりというようなことと同じことになりはしないか。これに対する確信のある農林大臣の御意見を全国農民のために伺っておきたいと思う。これはまたこの次に作れということを言い出すんじゃないかということです。大体小麦というものは相当に輸入しなければならぬという現状にあるものですから――それと種類の問題ですけれども、そう器用なことにいけるかどうか。かえろということが、やめろということになってしまって、麦が非常に減産になりはしないかということを私はおそれているのであります。
#65
○周東国務大臣 お話の点ですが、小麦につきましては、現在御指摘のように二百万トン近く入れておるのでありますから、これはむしろ奨励していかなければなりません。従って大・裸が問題であります。大・裸の転換については、やはり同じ裏作として小麦の方に転換を勧める。同時に、これから需要の伸びるてん菜とか、あるいは酪農の方に転換をしていく、こういう形であります。むしろ私は、お話しのように、大・裸麦はどんどん作らして飼料にでも持っていけばいいというお話でございますけれども、これは飼料としてやりますと、新しい特別の研究面もありますが、相当に安く入れなければ自由には売れないと思います。そういうことよりも、多く需要があって、高く売れるもうかる作物に転換させようというのが今度の考え方でございます。これに対して、転換する場合において、何と申しますか、離農料と申しますか、作離れ料とでも申しますか、反当二千五百円を出すということをする。同時に今後の問題としては、小麦等につきましていえることは、やはり生産費のコスト・ダウン、引き下げであります。これに対してあらゆる生産上の引き下げに関しての技術上の試験研究もやらせる費用もとりつつ、あわせて今後の農村対策を考えていきたいと思います。
#66
○松浦(周)委員 次は菜種と大豆であります。大豆の輸入自由化に伴って、国産大豆、菜種の価格支持についてでありますが、政府は、当分の間は大豆、菜種については農産物価格安定法の対象からはずして、別途の法律措置によって集荷団体に自主調整をさせ、価格支持をさせるとの考えのようでありますが、それについて四つの問題をお聞きしておきます。
 農産物価格安定法からはずした理由はどうか。当分の問とはどのくらいの年間をめどとするか、これが第二。第三は、調整団体にどこを予定しておるのか。四番目は、当初の瞬間タッチ方式を取りやめ、民間団体の自主調整方式に改めた理由はどうですか。この四点をお聞きしておきます。
#67
○周東国務大臣 大豆につきましては、お話の通り、自由化をいたします場合に安い大豆が入ってくる、それに対する内地大豆生産農家を保護するために差額を補てんしようというのが考え方です。そこで問題は、その団体ということについて御指摘でございますが、今日まで三十五年産の大豆をかかえて売れなくて困っておるのが全販連系統でございますが、将来に向かってはおそらくこの団体については、他の国産取り扱いの団体をも考慮しなければならぬ、かように考えておりますが、なるたけこれは政府が買上方式をとらないで、その団体等が差益をしつつ、制限的にこれを保護していくという形をとる方がよかろう、こういうように考えておる次第であります。従って政府に買い上げの方式はやめるということであります。
#68
○松浦(周)委員 農業問題についてはまだ水資源の問題、この水資源の問題は六つの役所で、いろいろ意見が合わないようでありますが、この水資源の問題は、日本の経済の倍増計画、農業の問題、あるいは水害の問題、あらゆる問題について重要な問題でありますから、六つの役所がいざこざしているようでありますが、一つ総理大臣は中へ入ってこれをまとめていただきたい、そして早く実施していただきたいと思っております。
 農業災害制度の問題に対しましても、今までの特別会計を一つの団体にしただけであって、内容については何にも触れられておらない。これについても全国農民の希望は、農林大臣はよく御存じのことと思いますから、これについてもこの特別会計が公団になったというだけではなしに、内容を一つ大いに検討して、農民の意思が達成できるように努力をお願いいたしたいと思います。
 また畜産物の事業団に対しまして、なぜこの価格の標準に牛乳をしなかったのか。牛乳は諸外国でも、どこへ行っても畜産物の価格ということになれば、なま牛乳が一つの基準になるのですよ。これを製品にするということになると、農村に非常に大きな影響がある。この点についてだけちょっと返事をお願いしたいと思います。
#69
○周東国務大臣 大体畜産事業団というものがある場合において買い入れ調整をやるということでありますが、なま牛乳の買い入れ調整をやるには不適当ではないかというので、今はそう出ておりますが、しかしそれらは必ずしも畜産事業団が行なわないでも、別途の方向で生産者団体にクーラー機を備えつけさせて、時間的調整をはかるというようなことも考えられる。しかしなお畜産事業団の仕事の内容につきましては、これから皆様方の御審議を願うことになりますから、それまでよく実行的には私ども考えてみたいと思います。
#70
○松浦(周)委員 次は林業問題について一言だけお伺いしておきます。農業基本法については、相当進行しているようでありますが、林業基本法及び漁業基本法については、どういう進行状況であるか。これはやはり農業基本法と並行して行なわなければならぬものであると思っておりますが、これについてはどうであるかということを、まずお伺いしておきます。
#71
○周東国務大臣 大体漁業につきましては、これは御承知の通り、漁業と申しましても、沿岸漁業というものは、零細漁業を含んでおるものと資本漁業というものと、いろいろの形態の相違等から考えまして、これを一本にまとめることの困難性もございます。またほんとうをいえば漁業権制度というものが完全に改正ができ、確立した上にこれを考えることが、ことに沿岸漁業に対する問題としては適当だと思うのでございますが、漁業権制度は調査会を開きまして、もう一年かかります。その結論が出ません。しかしそれまで待っているわけにいきませんので、大体形は少し違いますが、沿岸漁業振興法というような形をとりますが、沿岸については処置をいたしたいと思います。
 林業については、大体特別な法制ということが――一部は農業基本法が適用される部分もありますが、大体林業については経営に対する問題、あるいは植林、林道等の問題については特別に新しい予算的措置をいたしまして、価格の安定と将来に対する木材の需給計画に対しての措置をとろうとして考えております。
#72
○松浦(周)委員 その木材の問題でありますが、一体植伐の均衡は完全にとれておるかということが一点、と申しますのは、最近における水害の頻発の問題は、戦前、戦中、戦後というふうに乱伐、過伐が行なわれまして、山地はほとんど裸にひとしい水源地帯があるのでありますが、この植伐の均衡は一体農林大臣としてどうお考えになるかということが一点。
 木材の需給の関係、この木材の需給の関係が、最近建築物及び日本の復興的な作業といいますか、あるいは発展途上における日本の状況と申しますか、木材の需要量というものは非常に多く要るようになった。そこで国有林には監督と森林法を完全に守っておりますが、民有林はそれがそうはいかない。しかしながらそれも要求があるから切っているのです。もし民林が切らなければ、さらに木材の需給のバランスが破れるということになる。それで現在の状況は、国全体の植伐の均衡というものは、民有林が非常に悪くて、国有林が監督が非常によくいっているということは言える。つまり国の経済上の負担を、言いかえれば民有林が多く背負っているということであります。これ以上に民有林に過伐するようなら、さらに国土崩壊に瀕するのではないかというふうに考えますから、現在の木材の価格が非常に暴騰しておるという場合、もう少し国有林の増伐をしたらどうかということが一点であります。これはどこをやれというのではありません。木材の需給の関係を見た林政上からおやりになればいいのであって、もう少し国有林に負担させたらどうかということが一点であります。
 もう一点は、優良な、製材になるようなりっぱなものを、どんどんパルプにつぶしておるのです。これはアメリカへ行きましても、ヨーロッパに行っても、日本のように優良な材料をパルプにつぶしておるところはございません。いずれも製材その他の廃材をもってチップにする、あるいは伐採上の枝条並びにうら木をもってチップにする。そういうものでパルプや紙を作ることにきまっているのです。日本は製材工場が非常に弱い、大衆なんです。パルプ工場は資本的なんです。これが山を買ってしまって、それがいいものをどんどんつぶしているものですから、そこに製材のバランスが破れて、高いものになってしまう。現在は驚くべきことには、パルプに使っているものと、建築に使っているものを比べるならば、パルプの方が倍以上用材を使っているのです。こういう点を一つ農林大臣はお考えになって、もし廃材だけで日本のパルプが足りない、紙が足りないということであるならば、これは紙やパルプの方を貿易自由化から入れて、そうして国内の需給のバランスをとったらどうか。そうでないと山は坊主になりますよ。それでも足らないですよ。でありますから木材の高騰というものは、今の物価指数の中で一番上がっている。原因はどこか。そこから原因がくるのです。またパルプを入れるといっても、日本のパルプより向こうのパルプの方がずいぶんと安いのです。この点を一つお考えになったらどうか。そうして木材の需給の関係をもう少し直す。日本の森林の負担を軽くしたらどうかということを一つお聞きしておきます。
#73
○周東国務大臣 お話の点ごもっともでありまして、今日における木材価格の値上がりというものが、お話のように用材の方の需要の増大ということよりも、パルプの需要増大にあるということは、御指摘の通りであります。私はその点につきましては、でき得る限り廃材となるべき部分、枝の先までパルプに使うということを考えるとともに、パルプに対する対策は、根本的に関係省と相談をして考える必要がある、かように考えております。同時に今の国有林の問題でありますが、今日の状態からいたしまして、でき得る限り植伐の均衡をとるという意味からいたしましても、国有林の伐採量は、ある程度幅を持たせたい、かように考えております。
#74
○松浦(周)委員 この点は、日本の植伐の均衡、森林負担を軽くする木材価格を安定させる。現在の木材価格というのは、五割も七割も飛び上がっているのです。そういうことでは低物価政策のわが内閣に対してはかなりな問題ですから、これは一つ英断を希望いたします。
 通産大臣にお伺いいたしますが、この輸出四十五億ドルという問題から見て、現在の足取りはあまりよくありません。特に雑貨の輸出がまずい。私はこの方の関係をしておるのです。特に合板のごときは数量が減って価格が半分になっておるというようなことで、合板業界では非常に困っておるのです。これに対するいろいろな対策をしなければなりませんが、これに対して中金その他を通じて今この価格をつり上げるためにいろいろな工作をしております。お手元にそういう相談が行っていると思いますけれども、どういう方法でこの価格つり上げ方式をお考えになっておられますか。ひとり合板だけではありません。雑貨はみな安いのです。その点について。
#75
○椎名国務大臣 雑貨、ことに合板の対米輸出がどうも鈍化しておることは、お説の通りであります。全般としては三十四年度よりもふえておりますけれども、その価格は非常に鈍化しております。将来はこの傾向をこのまま放置すればますます鈍化していく、こう考えられるのであります。一般の雑貨につきましては、やはり取引上の秩序を整然と保つことに国内の業者が欠くるところがあった、こういうことを考えておりますから、これらの問題につきましては、国内の業者の整然たる取引、秩序ある取引に立て直してもらうということになると思います。合板の鈍化は、アメリカの建築業界がどうも不振である、そういうことが根本の原因になっておりますが、しかし今おっしゃるように価格まで下がっておるということは、要するにアメリカの需要の情勢にこちらの方の生産なり販売の体制がマッチしないというところにあると思います。これらの問題につきましては、十分に農林省とも相談をいたしまして、なるべく早くこれらの体制を整えまして、不当の損失をこうむらないようにしたい、かように考えております。
#76
○松浦(周)委員 通産大臣にもう二つばかり伺っておきたいと思います。商工中金の金利の問題でありますが、日銀の公定歩合を下げたことに伴って、商工中金の金利もこれと並行して相当下げる傾向にあるかどうかという点であります。もう一つは商工中金の債券引受額であります。今年は当初三十億であった。それを八十億に補正してなおかつ足らなかった。その現状であるにもかかわらず、来年の予算については四十億しか見ていない。これは結局今度は百億になるだろう、こういうふうに思いますが、商工中金の債券引き受けの問題なのだから、これは引き受けられるだけ引き受けさした方がいいのじゃないか。そうして金融を円滑にした方がいいのじゃないか、かように考えるのですが、どうしてこういうしみったれたことをしておられますか、これに対するお考えを一つお聞きしたい。
#77
○椎名国務大臣 ただいまの中小企業の専門の三金融機関は、昨年度六百五、六十億でございましたが、今年度はさらに三三%増で八百六十億の国家資金を融資に回しておるわけであります。しかしそれでもなお足りない、こういうことで、最近の充足率の一番悪いのは中小金庫で、これが五〇%に足りない、たしか四五%くらいだった、こう思います。それから国民金融公庫は五五%くらいでややいい。それから商工中金が七〇数%でございます。この状況から見ましても、まだまだ中小企業に対する資金量が満足でないという段階にございますから、今後とも大いに努力して参りたいと思います。それから金利の問題は、一応年初に三厘下げたのでありますが、これをもって十分だとは考えておりません。
#78
○松浦(周)委員 農林大臣に最後に一点お聞きしたいのは、ガソリン税を引き上げるにあたりまして、農業用のガソリンに対しては引き上げを免除する考えがあるかどうか。もう一つは、同じ税でありますが、専従者控除についてどういうようにお考になっておりますか。
#79
○周東国務大臣 専従者控除につきましては、大体白色申告によりまして申告した場合に、専従者控除を一人当たり大幅に引き上げております。なおこれは御承知の通り一人専従者と認めるものについて同じ取り扱いを受けるわけでありますから、ある程度これによって農家に対する措置をとったと思いますが、地方税との関連におきましていろいろ問題があります。これらについてはなお検討をいたしております。
 それからガソリン税の値上げに伴って、農業用ガソリンについてどうするかということでありますが、これにつきましては、なかなか特別な関係において特別な扱いをすることが困難のような状況でありますので、なお検討いたしてみたいと考えております。
#80
○松浦(周)委員 労働大臣にお伺いいたしたいのでありますが、今労働行政といたしましては、一番大きな問題はILO八七号の批准の問題でありますが、これは先国会においても相当議論が尽くされた問題でありまして、公労法並びに鉄道営業法その他国内の関連各法律を批准に伴って改正あるいは改善していかなければならぬと思うのでありますが、これに対する提出の時期並びにそれの用意がすでにできておるかどうかという点を一つお伺いいたします。
#81
○石田国務大臣 ILO八七号条約は、ILO各条約、勧告等の中で基礎的なものでありますので、政府としてはこれを批准する方針で関係法律の整備を目下急いでおるところであります。これは三十四年の二月に、労使及び公益三者で構成せられております労働問題懇談会におきまして、まず第一にこの条約が批准すべきものであるということと、第二にはそれに伴って関係法律の整備を行なうということ、第三には労使ともに国内法を守るということ、この三つが答申をされたのであります。従ってその答申に基づいてただいま国内法の整備を急いでおる段階でございます。できるだけ早く提出をしたいと思いますけれども、この提出の時期をここで明言する段階ではございませんので、御了承願います。
#82
○松浦(周)委員 労働大臣に一つお尋ねしたいのでありますが、先ほど来いろいろ農村問題を討議して参りましたが、結局日本の農村の人口が鉱工業に吸収されていく。言いかえれば、今までの個人経営の農業経営が、大企業あるいはその他の企業の従業員になっていくということになる方向が相当強くなってくるというふうに考えます。そこで私どもは保守党といたしまして、保守党の労働政策というものを通じて、保守党がほんとうに労働の生産性を指導する役割を果たすときが来たのではないか、こういうふうに考えます。生産性向上の方面でもいろいろ検討されておるようでありますし、また労使の関係が完全に共同体制になっている模範的なものは、これは西ドイツでやっている共同決定法、あるいは西ドイツの重工業以下の一般中小企業に行なわれているところの経営組織法というようなところに行けば、まあ本物でありますけれども、なかなか日本の現状としてはそこまでは一ぺんには行かれないと思う。そこで労働の生産性をほんとうに自発的に勤労者がふるい起こすという方向だけでも、保守党は今日示さなければならぬ。それが今後の日本の進むべき産業体制における行き方でなければならぬと思いますが、それの労使の協力体制というものを作り上げて、自発的に勤労者が協力するという方向に行くためには、少なくとも最小限度この勤労者と経営者と資本の三位のものが完全に一体になることのできるような経営参加の方向まで指導していく考えはないか。それに対する労働大臣のお考えをお伺いするのであります。これが今後の日本の政治的な問題にもひいては大きく影響をする問題であると思いますが、労働大臣の確信をお伺いします。
#83
○石田国務大臣 どうも現在労働組合は社会党、保守党は労働組合とは全く無関係のような政治関係にあるような印象、あるいはそういう事実があるわけでありますが、今松浦さん御指摘の政治的という意味は、そういう点を含んでおるとするならば、保守党が労働者階級の信頼をかち得ます最大唯一の方法は、われわれが現実に勤労者階級の労働条件の向上に最善の努力と成果を上げることにあると思います。そこでその方法の一つとして、労使間の経営についての協議制をさらに推進する必要があるのじゃないかという御議論でございます。この労使の協議制につきましては、外国ではただいま御指摘のドイツの共同決定法あるいは経営組織法というようなものがございますが、特に経営組織法は、ドイツの労働組合の組織が産業別、職能別にできております。そこでそれと各企業の労使関係の調整ということが、そういう労働組合の組織上から各企業ごとの労使関係の調整の必要を生じたので生れてきた法律であります。しかしこの経営組織法の根本を貫いております精神は、これはこの機関を通じて経済闘争を労使が行なおうというのでなく、この機関を通じて相互協力を行なおうというところに特徴があるように思われるわけであります。日本でも各企業別の労使関係におきまして、現実に経営協議会のようなものが設けられておる例が非常に多いのでありまして、労働組合の数では三七、八%、組織従業員の数では五〇%をこえるものがそういう組織を現実に持っている。法制化はされておりませんけれども、労働協約その他を通じて持っているのであります。ただそれが意外に成果をまだ上げ得ない最大の理由は、やはり労使双方における相互不信感にあると思います。
 もう一つは、形式的にこれは日本の組合の組織は八九%までが企業別組合でありますから、結局団体交渉等に出てくるメンバーと経営協議会に出てくるメンバーとがほとんど同じである。従ってその協議会が相互協力という精神に貫かれないで、むしろ経済闘争その他の一手段として持たれているというところに、私は日本の経営協議会が今おっしゃられたような成果を上げ得ない最大の理由があるように思われます。従って根本は労使双方の不信感を払拭するというところにあると存じますので、これは私は方向としては御議論のあるところはよくわかるわけでありますが、その前提にはいかにすれば労使双方の不信感をぬぐい去ることができるかということに対する具体的努力にあると存ずるのであります。
 そのほかに、産業別の協議制が繊維及び石炭において持たれつつあるのであります。これも産業経済の変化に伴いまして当然雇用に変動が生じてくるわけでありますが、その雇用の変動をして摩擦をできるだけ少なくいたさせまするためには、やはり事前に経営者と労働者側との話し合いが望ましいのであります。そこでいきなりこれを組織、制度化するというよりは、各企業に見られる経営協議会の場合もそうでありますけれども、やはりそういう雰囲気が生ずるような努力、指導をやっていきたい、こう私どもは考えておる次第であります。
 なお生産性本部におきましては、国内数地域につきまして地区別の生産性協議会を持っております。これを漸次拡大する方向にありますことも、ただいま申しましたような方向へ持っていきますための一つのいい方法じゃないかと思っておる次第であります。要するに私どもが勤労者諸君の信頼を得る道は、唯一無二、ただ労働条件の向上に誠意と努力とを傾け、その成果を上げることにあると信じます。その手段としての労使間の意思の疎通をはかりますためには、あるいは相互信頼を回復するために一段の努力を進めていきたいと存じておる次第であります。
#84
○松浦(周)委員 最後に古井さん、さっきいなかったのですが出てきましたから、社会保障について一点だけお聞きいたします。社会保障関係の予算が前年度に比すれば六百三十三億と大幅に増加されましたことは、まことに喜ばしいことでありますが、これが一年限り、三十六年度限りであって、その後しりつぼみになっては困る。ますますこれが扇のように先広がりでなければならないと思うのでありますが、今後長期的な社会保障計画というものは立ててあられると思うのですが、これに対する財政の裏づけ、その他必要な関係についてどういう考えを持っておられますか。まず社会保障の計画を一点お伺いいたしたいのであります。
 それから三十二年から始められた国民皆保険が、実は三十六年の三月で終わることになっているのですが、今後これはさらに拡大して国民皆保険の実を上げていかなければならぬと思うけれども、今回の予算には一応盛ってあるが、今後一体これをどういうふうにされるつもりでありますか。なお今回の医療費の引き上げは、市町村の財政に大きな影響を及ぼすと思うが、これは従来地方財政について堪能な厚生大臣であるから聞きますが、市町村の負担を一体どうされるか。
 三番目は公衆衛生の問題について、日本はオリンピックを迎えるというけれども、イギリス人やドイツ人に言わせると、実にりっぱな山水明美であるけれども、道路の悪い点と香水をうちの中にためておかれるのには困るといっておるが、それについては下水の問題が重要な問題なんです。これについてどういう計画を持っておられますか。人を迎えるのにうちの中に香水をためていたのではさっぱり値打ちがないと思うのです。これは下水の問題になるのです。この三点についてお伺いいたします。
#85
○古井国務大臣 まず社会保障の長期計画の問題であります。これにつきましては過般もこの委員会でも申し上げましたように、今日までのところは、できるものであるなら何でもよいという式に、いわばできるものから馬車馬のように社会保障の関係の施設をやってきたような状況でありまして、全体的な体系的な制度とか長期の計画とかいうものは不幸にして立っていなかったわけであります。そこで、これではどうもならない、また、今日の段階としては、長期計画を考えてやっていかなければならぬのであろうと考えまして、これからというので、大へんおそいのでありますけれども、長期計画を立てたいものと今構想を練っておるという段階であります。今後に残っておる問題であります。
 それから、国保の問題でありますが、今年度をもってとにかく皆保険ということになるわけでありますが、まだ若干今のところでは未実施で残っておるところもあります。しかし、三月までに全部のところに始めてもらいたい、こういうわけで、今一生懸命になっておるところでありますから、皆保険の体制はできると思います。問題は、国保の内容の充実、改善の問題であると思いますが、これは今度御案内のように、改善しておる点もありますけれども、まだたくさん残っておると思いますので、給付内容の充実、改善という問題は、今後も努力していきたいと思っております。
 医療費の引き上げに伴って、市町村の国保財政が困るんではないかという点であります。そこで、国保財政は、御承知のように、今まででもなかなか苦しいのでありまして、いわば赤字すれすれの線を歩いておるようなことでありますから、今度医療費を引き上げるにつれましても、これが重圧になって、また国保財政が困難に陥ってはなりませんから、本来ならば市町村で負担すべき経費、これが今度の関係で二十四億余りだと思いますが、それに対して特に十五億の補助をいたしますことと、そのほか五億ばかりの金をもちまして、まず二十億前後を二十四億余りに対して処置をいたしまして、無理が起こらぬようにいたしたいということで、まずまずどうやら困難が起こらぬでやっていけるのではないかという見通しをつけております。
 それから、下水道のことでお話がありましたが、これはなるほど今日のところでは、全体としておくれているわけであります。御案内のように、十カ年計画をこれからやろう、こういうわけで計画を持っておるわけでありますが、オリンピックも始まることであるというので、来年度も今までよりもこの方面にはぐっと力を入れまして、それで国庫補助の関係も、三十五年度七億ばかりでありましたものを十億五千六百万にする、それからまた、地方債の方も、三十五年度では九十億程度であったものを百三十五億と、こういうふうにふやしていくというようなわけで、ピッチをあげて整備をやっていきたいという考えでおるのであります。
#86
○松浦(周)委員 まあ二時間半ばかり、いろいろ所得格差の問題を中心にして検討いたしましたが、総理大臣に最後の御決意をお願いいたしたい点は、日本の経済の倍増になることは、今の大勢からいって必ずなると思います。政治的に行なわなければならぬことは、この倍増と並行して、いかにしたならば各職域における生活の格差が縮まっていくかということが、私は政治の一番大きな問題であると思います。先ほど来いろいろ御意見を伺っておりますが、どうか閣僚全体を督励せられまして、この所得格差を全体的に縮める方向に対する最後の御決意をお伺いいたしたいと存ずる次第であります。
#87
○池田(勇)国務大臣 私は、所得倍増、そうしてそれによって所得格差の縮小、これが政治的信念でございます。きょうの御意見を参考にしながら、それに邁進いたしたいと思います。(拍手)
#88
○船田委員長 明日は午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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