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1960/02/21 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 予算委員会 第15号
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1960/02/21 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 予算委員会 第15号

#1
第038回国会 予算委員会 第15号
昭和三十六年二月二十一日(火曜日)
   午前十時四十七分開議
 出席委員
  委員長 船田  中君
   理事 愛知 揆一君 理事 青木  正君
   理事 重政 誠之君 理事 野田 卯一君
   理事 保科善四郎君 理事 井手 以誠君
   理事 川俣 清音君 理事 横路 節雄君
      相川 勝六君    赤澤 正道君
      井出一太郎君    稻葉  修君
      臼井 莊一君    江崎 真澄君
      小川 半次君    上林山榮吉君
      仮谷 忠男君    菅  太郎君
      北澤 直吉君    櫻内 義雄君
      田中伊三次君    床次 徳二君
      中野 四郎君    中村三之丞君
      羽田武嗣郎君    前田 正男君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      松本 俊一君    三浦 一雄君
      山崎  巖君    淡谷 悠藏君
      岡  良一君    小松  幹君
      河野  密君    高田 富之君
      楯 兼次郎君    堂森 芳夫君
      永井勝次郎君    野原  覺君
      長谷川 保君    堀  昌雄君
      松井 政吉君    稲富 稜人君
      佐々木良作君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 古井 喜實君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
 出席政府委員
        総理府総務長官 藤枝 泉介君
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
        大蔵事務官
        (主税局長)  村山 達雄君
        文部政務次官  纐纈 彌三君
        厚生政務次官  安藤  覺君
 委員外の出席者
        専  門  員 岡林 清英君
    ―――――――――――――
二月二十一日
 委員堀昌雄君辞任につき、その補欠として木原
 津與志君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和三十六年度一般会計予算
 昭和三十六年度特別会計予算
 昭和三十六年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○船田委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十六年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。質疑を続行いたします。稲富稜人君。
#3
○稲富委員 私は農業基本法を中心といたしまして、農業政策に対してお尋ねをいたしたいと思うのでございます。
 御承知のごとく、わが国の農業が非常な危機に瀕しているということは、これはもう数年来叫ばれたことでございまして、これは与党におきましても、そういうことは十分認識されておったと思うし、従来の政府においても、そういうことは認識されておったと思うのであります。それは御承知のごとく、かつて自民党内閣の赤城農林大臣時分は、農林白書を出して、日本の農業の危機というものを訴えているのであります。しかしながら、こういうようなことは意識しながらも、農政に対する施策を放任しておったといいますか、等閑に付しておった。こういうような結果がますます日本農業の行き詰まりを来たしたと思うのであります。政府は今回こういう中において日本農業の立て直しをやるのだ、こういうことで農業基本法を制定するということを主張いたしておりました。私たちはこの政府が言う農業基本法というものが――過去において農村というものを非常に軽視した歴代の内閣の中におられた池田内閣において、はたして思い切った農業基本法ができるだろうかということに対しては、相当に疑惑を持ちながらも、せっかく政府が企図する農業基本法に対しましては期待も持っておったのであります。ところが今回提出されました農業基本法の内容を検討いたしますると、検討すると検討するだけ、どこにその中心があるかさえもはっきりわからない状態であるということは遺憾であります。私はそういう立場から、この農業基本法に対する問題点についていささか農林大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 今回政府から提出されました農業基本法の内容を見ますると、その目的には、生産性の向上と、これに伴い農業従業者が所得を増大して、他産業従事者とその所得の均衡をはかるということが、その目的であるというようなことで生まれておるようであります。それでこの際お尋ねしたいのは、政府はこの法律によって、農業基本法を制定しようということを企図されました所期の目的を達することができる、こういう自信がおありになるかどうかということを承りたいと思います。
#4
○周東国務大臣 お答えをいたします。私どもが農業基本法を作りましたゆえんのものは、何と申しましても今日の農業の実態からいたしまして、農業と他産業との間における格差を是正することを眼目にし、それがためには農業の生産性の向上ということと、農業の従事者の所得を増大して他産業従事者との生活水準に均衡を得せしめるようにするという大きな問題をとらえて、それに対する施策を講じていくということを基本法に書いたわけであります。もちろんそれにつきましては、これからお尋ねがあろうと思いますが、一面には新しい農業として、需要の構造の変化に伴いまして、今後の農業が需要の伸びる生産に転換しつつ総生産を上げるということと同時に、農業者の一人当たりの生産性を高めるということに対する施策を、各般にわたって集中しようといたし、これに対して国家は財政上、金融上の処置を講ずる義務をこれにつけるということ、及び年々の農業生産に関しまして、大体将来を見通した一つの見通しのもとに各般の施策を立て、それを国会に報告し、またその報告というものについて当然所見をつけて報告するというような方向におきまして、もしその計画通りにいかない経済上の変動等があれば、その見通しなり計画を直すというような形でもって、あらゆる施策を進めて参れると思うのでありますから、これによって所期の目的を達していくことができると私は思うのであります。ただ稲富さん御承知のように、この問題はなかなか算術のように二と二を寄せて四になるというようなものではなく、われわれの考えておることを十分に農家の方にも理解していただいて、たとえばただいま申しましたような将来の作物の転換等に対しては、その方がより有利であるというようなことを理解させつつ進めることが必要であると考えます。
#5
○稲富委員 ただいまの御答弁を聞きますと、将来においてはいろいろな報告等によってさらに政府の方針等を変更することもあり得るのだという期待を持たれているようでございますが、ただこの際特に私がお聞きしたいと思いますことは、こういうことはすでにだれでも知っておることなのでおわかりになっていると思いますが、農業関係におきましては、生産性の向上、非常にけっこうなのです。生産性向上はやらなくちゃいけませんが、従来の状態におきますと、生産性の向上と農業従事者の所得の増大というものは並行しないという問題が非常に起こってくる。こう野放図にしておりますと、生産は非常に上がってきたが、かえって逆に今度は農業所得は低下する、こういうようなことも今までよくあったわけなのです。それでここに生産性向上と農業従事者に対する所得の増大というものを並行してやろうとするならば、おのずから生産性向上に伴う所得増大に対するあるいは価格対策であるとか、こういうものに対する方法というものを並行してやらなければできないという問題がある。ところがこの点がこの法案を見ますと明らかにしてない。もちろんこれに対して、関連法律を作って何とか補おうという考えであるとおっしゃられるだろうけれども、少なくとも現在の農業基本法にこの対策の点がはっきりしてないのだが、この点に対してはどういう考えを持って立法されたものであるかということを承りたい。
#6
○周東国務大臣 お話の点、御心配の点ごもっともでありますが、私どもは、新しい法制のもとにおいて農業の生産性の向上をはかるということにつきましては、法律に明記いたしておりますように、それに必要な生産基盤の整備開発、あるいは農業機構の問題、また価格・流通形態における措置、また零細農というような方々におきましては協業化の方向をとって――原則は家族経営を中心とした自営をなし得る農業者を育成していくということは根本でありますけれども、そのことのできない零細農等におきましては、またこれに対して協業化の方向を進めつつ、そこに新しい近代化、高度化に必要な機械等の資本装備を持たせるというようなことをも考えておるのでありまして、こういうことによって、生産性の向上ということにあわせて総生産の拡大ということを考えておるわけであります。私は御指摘のように、農業の就業労働者の一人当たりの生産性を高めるということが一面において必要であると同時に、全体としての総生産を拡大していくということとあわせて、農家の所得拡大ということを考えております。
#7
○稲富委員 もちろん農家の所得拡大の問題につきましては、ただ農産物の増収をはかるだけでは所得拡大はできないので、やはり価格対策というものは非常に必要であると思います。ところがこの法律を見ますと、農産物価格に対しましては、ただ農産物価格の安定だと書いてある。もちろんこの安定ということは非常に幅が広いので、この点私たちは農産物の価格を安定するためにはどういう方法をとるかということなんです。これがためには、常に主張されておりますように、農産物の生産費及び農産品に対する所得補償等によりまする価格支持政策というものがとられぬことにおいては、なかなか農業所得の増大というものははかれない、こういう問題がおのずから起こってくると思うのでありますが、これに対しては何も明らかにしてない。ただ非常に漫然たる、今申し上げましたように、農産物価格の安定だ、これは実にありふれた当たりさわりない言葉であって、こういう言葉でお茶を濁してやられるという感が強い。これに対する価格対策に対してはどういう積極政策をやるか。今言いますような支持価格をとる、こういう制度に持っていくという考えがあるか、こういうことに対する考え方を承りたい。
#8
○周東国務大臣 この点につきましては、農業基本法は今後の農業のあり方を方向づけるということと、それに対する国家の施策に対する義務を書いております。その法制の目途とするところは、それに基づいて必要なる施策を、あるいは法制的に、あるいは財政的に国は処置をしなければならぬ。従ってこの中に書いてなくても、価格・流通対策に対して必要な措置を講じなければならぬということに基づいて、御承知のようにもうすでにやっている米等につきましては、食糧管理制度によって価格支持という形がとられておりますし、農産物価格安定法に基づいてとられている措置も、これは検討はいたしますが、必要なものはもとより継続して参ります。また今後の予算的措置として、少ないながら、農産物等につきましても、あるいは畜産物等につきましても、市場というものを中心にそこに出回る需要の状況というものの精査、調査と相待って、計画的にそこに出荷する、市場の状況が悪ければそこに出すものを調整していくとかいうようなことも考えているわけであります。また御承知のように果実とか蔬菜につきましては、出荷の調整を農業団体に今日までも行政的な奨励でやっておりますけれども、その裏面におきましては、やはりある程度の自治的な、生産に関しましても作り方を相談していくというようなところまでも私どもは指導していきたい。それは明らかにできることであります。六大都市その他に対して年々出荷される分量、また出荷する府県はどこであるかということはわかっているはずであります。その間に生産者団体等が横に縦に連合いたしまして、出荷の調整をし、生産についての話し合いをつけていくということを考えて、それらに対し市場に関する情報等の必要があれば助成をいたすというようなことを考えております。また水産、畜産に対しましては、些少ではございますが、ことし初めて着手したのは、そういう耐久性が少ないものについての時間的な貯蔵、保管というものによって、市場の需要に対しての供給を調整していくというような方向も価格対策として最も大事なことだと思っております。そういうふうなあらゆる面を講ずるとともに、特に必要なものについては、支持価格制を何についてとるかということは、今後においてさらに今日の段階以上に考える必要があれば考えていきたいと思っております。
#9
○稲富委員 私がこういうことをお尋ねする原因はこうなんです。この農業基本法の底流といいますか、その奥の方の根というものは、農産物価格を単に需給の均衡を前提として考えている、あるいは貿易の自由化を前提としてやっていこうというような安易な考えがあるんじゃないか、こういう点から考えますときに、こういうことではたして日本農業の近代化というものは進められるか、どういうことを考えますがゆえに、私はこの価格政策に対してはよほど思い切った考えをしなければほんとうに日本の農業は守れないじゃないか、こういう点からお尋ねしておるわけでございます。これに対して、ただいま支持価格制度も場合によってはとるということを農林大臣は言われているのであるが、私の申し上げましたように、単なる需給の均衡によってのみやっていこう、そういう考えがあるのじゃないか、こういう点がありますので、この点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
#10
○周東国務大臣 よく稲富さんのようなお考えのことを承るのであります。私、そのお考えが決して間違っているとは思いません。しかし、需給の関係を無視していると申し上げると言葉が過ぎますが、その関係を離れて、ただ価格を上げていくことによって所得を増加するということは、安易な行き方ではございますけれども、親切な行き方ではないと思います。そういうことを考えてもらわないと、ときに非常に上がって得するけれども、非常に下がって損をするということが起こります。やはり基本は、価格を安定させるについては、将来国内における需要はどうなるか、将来輸出産業として外への需要はどうなるかということを考えつつ、それに見合った生産を続けさせていくというふうに指導をすることが、私は真に農業者に対する親切な行き方であろうと思うのであります。もとより特別な場合があろうと思いますけれども、まずその基本を立て、しこうして次の段階としてはでき得る限り近代化した形において単位生産量を上げる、そこにコストの引き下げをなしつつ、しかも手取りを多くするという行き方が、真の農村に対する親切なやり方ではないか。ところが従来は御案内のように、合理化、近代化はほうっておいたんじゃないかというお話でありますが、これをやりますと、当然そこに過剰な人口をどうするかという問題が起こります。その点は、今日におきまして、他の産業との関連において、その方には年々労働人口が行きますが、そのことは決して、私どもよく言われますけれども、農業者を切り捨てるんだという問題じゃなくて、日本の総生産量の発展において必要なる労働力というものを農村が補っていく、そういう雇用の機会がそこにできたということを契機としつつ、一面においては農業の生産性を上げる、近代化する、あるいは機械化をするということへ持っていきつつ、生産費を低下させ生産を上げて手取りを多くするというような考え方を持っていくことが必要であろう、かように考えておるわけです。それでもなおかつ特殊な場合に必要があれば支持価格制度をとる、こういう行き方でないと、まずその需給関係を離れて価格だけを上げて支持価格でいくということは、安易ではありますけれども親切な仕方ではなかろうじゃないか、ここに新しい農政の行き方があると私は考えております。
#11
○稲富委員 そこで、この支持価格の問題に関しては大体わかりましたが、要するに農業生産に対する生産コストを下げると同時に、将来においては農産物の価格の安定だということは、農民の生産及び価格補償をするという意味からの価格の安定である、こういうように解釈して差しつかえないわけですね。
 さらに次にお尋ねしたいと思いますのは、一体政府の日本農業に対する理解というものが非常に統一されてないのじゃないか、こういうように私は考えるわけです。すなわち、政府はこの高度経済成長に即応して農業生産性の向上ができると安易な考えを持っておられるのじゃないか、こう思うわけです。なぜかというと、政府は、所得の倍増を十年後に達成し、都市と農村との所得均衡をはかるとしばしば言明されております。ところがこれを達成するためには、経済の成長率を十カ年平均七・八%と見ておられる。特に当初の三カ年は九%という高い成長率で臨むことを公表されておりますが、今後十カ年の農業所得の成長率は、生産の成長率を二・九%ですか、農業人口の減少率が二・九%、計五・八%を見込んでおられるわけであります。ここで私が申し上げたいと思いますのは、しかるにこの基本問題調査会の計算によりますと、三十三年度の農業就業者一人当たりの所得は七万八千八百円であるのに対し、非農業就業者の一人当たりは二十五万七千円、農業就業者一人当たりの所得は非農業者の三〇・六%にすぎないのでありますが、十年後には、農業者が十三万九千五百円、これに対し非農業者は四十一万九千二百円、こういうことになっております。そうすると、これを生産性を比較しますと、三三・三%とこれはわずかに改善されたことになりますけれども、所得の格差はかえって今度大きくなってくるわけです。こういうことを考えますと、所得の格差が、均衡を保つどころか、かえって貧富の差が十年後には大きくなってくる。それで、このような欠陥を是正して農業を他の産業の発展におくれないようにするためには、経済の成長率をあるいはスロー・ダウンして、農業の成長率がこれを上回るようにするとかいろいろな施策をなされなければ、均衡は保たれないということになってくるわけです。こういうことに対しては、これはなかなか思い切ったことになりますが、どういう考えをお持ちになっておりますか。ただ単にこれを安易な経済成長率にしてこれを楽観しておると、今申し上げますように所得の均衡というものは逆な結果になってくるということになるわけです。これに対してどういう考えを持って処していこうと考えておられるか、この点を伺いたい。
#12
○周東国務大臣 御指摘の点につきましても私どもも研究いたしておりますが、私は、今御指摘になりました設例の点を取り上げて申しましても、大体三十一−三十三の基準年次から四十五年の計画目標年次というものにおきまして考えてみますと、お話しのように農業のみの生産性の向上というものは大体二・九%くらいです。それに対しまして、最近における農業就業労働人口の減ということからいたしますと、これが大体二・九%ぐらいになっております。こういう点を見まして、ラフな考えですが、これを寄せてみると五・八というような形に生産性はだんだんと上がって参ります。これを三十一−三十三の基準年次から、十二年間ぐらいになりますが、四十五年に至りますと、大体倍よりちょっとよけいになっておる形です。これを鉱工業の方におきますると、今度は逆に農村から出て参ります就業人口がこちらは減りますが、それだけ鉱工業の方は人員がふえるわけであります。これは申すまでもないことであります。そういうことからいたしますると、鉱工業その他の方面における一人当たり所得というような関係は、伸び率というのは逆に鉱工業が農業の就業労働人口に比較して近似した形になるような統計数字になっております。その内容は、今御指摘のように、現在の形から、あるいは基準年次から目標年次に倍になりましても、もとの基礎が違っているので、その点において全く同じという格好にならぬかもしれませんが、私は双方の差を縮小していくということについては相当効果を上げるのじゃなかろうかと思う。これは今、鉱工業の生産の伸びをとめておいて農業の方へ持っていったらというお話でございまして、御意見として拝聴はいたしておきますが、これは稲富さん御承知のように、いかにいたしましても農業の生産物の商品価値というものが非常に弱いのです。鉱工業の伸びがいいということは、内地需要の増もありますけれども、相当にこれが外へ輸出されるものなんです。輸出され得るということが認められ、その方面の拡大するに従ってますます生産は伸びるわけです。そこにも弱さがあるのでありますから、ただ単に鉱工業生産の方を縮めて農村の方に施策を向けたらということだけにはいかぬのじゃないかと思うのであります。ここになかなかむずかしい点がありますが、そういう点につきまして一応今日の所得倍増計画等について考えております方向を進めて参ってみたらどうか。それで基本法は、それに対して、先ほど申しましたように、新しい農村の方向を裏づけ、国家がそれに対して義務を持つ、こういう方向で進めて、しかもそれは年々国会にある程度の報告はされるのですから、そこに皆さんの協力を得つつ、そのときの経済情勢によってさらに修正し、検討し得るものは徐々に直していったらいいじゃないか。そう一足飛びにすぐに右から左にならぬからだめじゃないかということには私はならぬのじゃないかと思っております。
#13
○稲富委員 もちろんそれは資本主義経済のもとにおいて他産業をスロー・ダウンするということはなかなか困難でしょう。ただ問題は、そういうような状態の中でどうしてこの農業生産が他産業に追いついていくか、あるいはそれに進んでいくか、この点を大いに考えると、私はこの農業従業者と他産業の従業者との所得の均衡という問題に立ち至ってくると思う。ところがこういうことでもやらなければ結局できないじゃないかということを私は申し上げたのであって、それができないとするならば、どういう方法で均衡を保って追いつくようにするかということなんです。この点が明示してない。どうもいろいろな報告等を聞いて、それで将来また何とか方法をとろうとおっしゃるけれども、私たちがこの農業基本法に対して期待するところは、こういうような状態になって、これを放任すればますますその格差は大きくなってくるのだ。この大きくなるであろう格差に対してどういう食いとめ方をするのであるか、あるいはどういう農業の伸長を持たせようとするのであるか、この点がどうもはっきりしない。ぼやけていると私たちは思う。この点に対して私今の説明ではっきりわかりませんが、どういうお考えを持っていらっしゃるかということを承っておきたい。
#14
○周東国務大臣 先ほど申しましたように、農業のむずかしさはあるにしても、今までのやむを得ざる事態ではあったかもしれぬけれども、過小農形態の農業者がたくさん集まってわずかの土地を耕し合っておるという状態、そのままでは所得の伸びも農業の生産性もなかなか向上しない。それは今度の農業基本法におきまして明示してありますように、各農家の今後における行き方として、一面には家族経営によって、しかもそれが自立し得る農家に育て上げていく。これに対してもやり方としては生産基盤の整備開発によって基盤を大きくするという問題もあります。また従来から農村においては近代化されておらない部面が多々あります。そこにはある程度資本装備を注入することも必要でありましょう。こういうことによって少ない労力で、でき得るだけ大きな収得を得られるような方向へ農業を持っていくということが、現在までの農業をさらに引き上げて所得を拡大し得る道だと思う。さらにそれらをやりますについて個々の自立経営、家族経営の農家というものの行き方だけで足らぬ場合があります。先ほど農業の協業化等によりまして資本装備をするについて、あるいは労力節約の農機具を入れるにいたしましても、個々の農家が入れたのでは、それが過剰投資になるだけであって償却もできない。むしろ協業によって共同の力のところに近代的な農機具を入れるというような形によって、生産を高めつつ、しかも生産コストを下げていくというような形において、所得をふやしていくということが、私は一つの大きなねらいだと思う。しかもそれらに対する生産というものが、今日まで生産したものをそのままで取引される弱い立場を、ある場合には共同出荷によって価格の上においても有利な立場をとらせるし、場合によっては農業者の共同によって、あるいは貯蔵、加工等の方法によって、やはり商品価値、付加価値を増加するという方向へ行くことも、農業者の所得を増加するゆえんである、かように考えるのであります。そういう点を基本法に書き、また基本法の実行をなすについて、それぞれの法制、予算措置あるいは行政措置をとっていこうというのが私の考えであります。これによって先ほどから言っておるように、これからゆっくり相談していくのではなくて、これで相当に今までの農村と違った形に所得の増加ができていくのではないか。さらにこれはしんしんとして進んで参ります経済界の事情というものがありますから、これらに対する計画は確定不動のものではなかろう。将来に向かってまた必要があればそれに応じてよりよく変わっていくということは、頭に入れてよかろうということを申し上げたわけであって、今日まだできぬからゆっくり考えなければというのではなくて、今日でも相当変わった行き方をとっていこうとしておるのが農業基本法の精神であります。
#15
○稲富委員 それでは次にお尋ねしたい。ただいまも将来農業生産を高め、生産性の向上をはかって協業化をはかっていこう、こういうようなことを大臣は繰り返して主張されておるのでありますが、実は農業基本法が最初に制定されますときの目的としては、御承知のごとく、零細農民あるいは零細消費者を解消して生産性の向上をはかると同時に、協業化あるいは共同化の促進あるいは過剰人口の適正配置、こういうことで所得の増大をはかり、他産業従業者との所得の均衡を実現する、こういうことを主張されておった。ところが今度提出されました基本法を検討いたしますと、この協業化並びに共同化という線が非常に後退しているように思う。たとえば十七条に対しましても「協業を促進する」というような初めの計画があったように聞いておりましたところが、出たものを見ますと、「協業を助長する」という非常に弱い言葉に表現されておる。最初の協業化あるいは共同化というものを農業基本法の眼目としてやっていたのが、非常に後退されたというように私たちはこの案を見まして思うわけなんです。ところが今農林大臣の話を聞きますとへこれは非常に促進していくのだ、こういうことでございますが、それじゃなぜこの「促進」という強い文句を「助長」というような実に弱い言葉に変更されるのか、ここにやっぱり私たちのふに落ちない点があるわけなんです。はたしてほんとうに協業化を促進していく、政府はこれに対して十分積極的にやっていこう、こういう意思があるのであるか、こういう点をわれわれは非常に疑問に思うわけなんですが、これに対してどうお考えですか。
#16
○周東国務大臣 お話の点は一応ごもっとものように聞こえますが、私どもは協業化というような問題につきまして、これを強制的にという言葉を使っては強過ぎましょうけれども、国家の意思によってすべてをそういう方向に持っていくという考えはないのです。これはやっぱり私は自主的に、そういうふうなことをやった方がよろしいという農業者の意思、希望に基づいて進めていったらいいということを考えております。あくまでも実際的には、これは西欧諸国においても同じでありますが、農業の実態というものは家族経営による、しかも自立し得る農家というものが中心になっておることは事実であります。日本の農村の実態におきましても、従来過小農でありましたけれども、やはり小なりといえども自作農の家族経営というものが中心になっておったことは、稲富さん御承知の通りであります。私はその農村の形態というものは、しいてこれを強制的に変えていく必要はないと思う。やはりあくまでも日本農村というものの従来の使命、またその実態を考えまして、家族経営による、自立し得る農家を育成して、その農家の基盤を拡大していくということ、またそれに資本装備その他を持たせて近代化するということについて必要なる施設を国家が助成していけばよろしい。しかも、そういうことが中心でございますけれども、その自立し得る家族経営の農家といえども、部分的には協業をどうしていったらいいという場合が起こる。全面協業でなくて、あるいは水田経営は各個別々にやるけれども、これが、水田酪農とか申しますが、これについて、一部は酪農に転ずる、こういう場合に、酪農の面については、その生産から加工、供出まで協業したらいいという問題も起こって参りましょう。また一部果樹園等についてもそういうことが起こる。そういうことは地方的に、またその業種別に起こって参りますから、一部または全面協業といういろんな場合が起こってくる。そういうことは地方の実態に沿い、農業者の意思にまかせつつ、そういうことが起これば、これに国家的の助成を与えつつ伸ばしていく、こういう形を私どもは現在の日本の農村の実態に即して考えていって、なおかつ十分に近代化を進め、または農業所得を上げ得る、かように考えておるわけであります。
#17
○稲富委員 農林大臣は農民に強制することはやりたくないとおっしゃる。それはわかりますが、しかしながら政府が積極的にこれを指導するということはやっぱり促進するということでなければならぬ。私は何も字句にとらわれるわけではありませんが、協業を助長する、助長というのはどうも積極性がないのですよ。これは現在あるものを助けてやる、伸ばすというだけなんで、あなたのおっしゃるように、基本法によって将来の生産性を高めていこうという意欲が政府にあるならば、私はこれを促進することによって、あるいは予算に対する裏づけであるとかあるいは立法処置であるとか、いろいろな問題が考えられていくと思う。ただこれを、私の申し上げまする、助長するという非常に弱い考えであることは、どうも大臣は、口では協業を非常に尊重していくのだと言いながらも、その実は非常に積極性がないことがこの法案の中に現われているのじゃないか、こういうことを私は言っているのであって、何も私は、これを政府が大いに促進してやっていくことは強制するものじゃないと思うのですが、どうもこの点、あなたのおっしゃることと、この法案の中に現われております字句の間には非常に差があるわけなんです。なぜそういう弱い表現をなされたか、こういうことを私は聞いておるわけなんですが、これに対して、これは強制するわけじゃないから弱くしたのだとおっしゃるが、それはそうじゃなかろうと思う。ほんとうのことを一つ承れば、私も、これは助長となっておるけれども、これは積極性あるのだということになれば納得するのだと思うのですが、ただ強制とかなんとかでなくて、この点も、ほんとうのあなたの腹を――助長となっておるが、ほんとうに積極性を持ってやっていくんだ、こういう意思が政府にあって、そういう方針でいくということがはっきりわかれば、それによってまたわれわれも考えるところがあると思う。
#18
○周東国務大臣 私も別に字句にとらわれて議論するわけではございませんが、ただいま申し上げましたように、原則はやはり家族経営の自立し得る農家を育成することを中心に考えております。しかし今日の新しい農村の行き方として、相当に資本装備その他近代化するということについては、単独でできぬ面もありましょうから、それに対して、地域的にあるいは農村の希望があった場合においては、もちろん私どもは積極的にそれに対して必要な施設の助成その他をやって参ります。その意味においては、感触の違いでございましょうけれども、私は新しい農村をどっちに持っていくかという場合において、これを単独でやり得ないという場合において、これが協業されるということは、喜んでそれに対して国としての助成措置を講じていく、こういうように考えております。御承知でございましょうけれども、その辺に対する財政、金融的の処置も考えて予算に計上しているわけですから、政府の意図のあるところは御了承願えると思います。
#19
○稲富委員 農林大臣は、しばしばこの家族農業経営を近代化していく、こういうことを言われておる。これはもちろん基本法の第十五条に「家族農業経営を近代化してその健全な発展を図るとともに、できるだけ多くの家族農業経営が自立経営になるように育成するため必要な施策を講ずる」これははっきりうたってあります。ところがこの二十条には、この「家族農業経営に係る家計の安定に資するとともに」――いわゆる兼業農家の意味でございましょうが、農業従事者及びその家族が他の産業に転業することを希望するということが第二十条にははっきりうたってある。一体この農業基本法に対する政府の考え方というものは、今あなたのおっしゃるような、この第十五条に示しているような家族農業経営が自立経営をなせるような農業経営を守っていこうという考えであるか、それともしばしばこの選挙前に総理大臣が言われておりましたような、農民をよその産業に持っていこうというような考え方であるのか、この点がぼかされておる。この点はどちらに中心があるか、この点を一つ明らかにしてもらう必要があるのではないかと私は思う。
#20
○周東国務大臣 基本法の二十条についてのお尋ねでありますが、私どもは、農業者として農家が残っていただくことは大いに歓迎するところであります。しかし先ほどから申しましたように、現実は、日本の産業全体の発展ということは、われわれも望むべきところであり、農業というものは、その全産業の中の一つとしてこれが発展して参るわけであります。その場合において、弱い農業に対する特殊の保護を加えていくということが一つの政策であります。従って、その他の産業の発展というものとは関連がとにかくあるわけで、その関連のもとにおいて、今日において他産業の発展について、農村から労働者が出て参りますことは現実であり、そういう場合に、ただ出ていくんだからしばらくほっておけというのではなくて、むしろ出ていらっしゃるならば、できるだけその出ていく方々に職業教育なり技術を修得させていくということが、私は親切なゆえんではなかろうか、こういうことは、原則は家族農業経営の育成にあるけれども、希望で出ていく人は、こちらから押しつけるのではなくて、現実の姿として、他産業に移行していくのが現実でありますから、そういう方々に対しては、繰り返して申しますが、職業教育なり技術訓練をしてあげていくことがよかろう、こういうことであります。それが二十条に盛ってあるので、この規定によって農家の弱いところを追い出すなんというようなおそろしい言葉はどうか一つお使いにならぬようにお願いをいたします。
#21
○稲富委員 この二十条にあります、これがどうも池田さんの考えておる本音じゃないんですか。どうも農民を削減しようとしたところが、非常に農村の反撃を食らったので、それで農業基本法を作るのに対しても、自営農家を作るのだということで、できることならば一つ追い出そうというような、こういう考えがあるのではなかろうか。これはあまりにわれわれが、あなた方が農業基本法を作るのに対して、六割農民の削減論というようなことが先入感に入っておるのでそういう感じがするのかもわかりませんが、こういう点が非常に私たちは疑惑を持たれるところだと思う。それで、これはあなたのおっしゃるようなことで、出て行く者をこちらの方は引きとめていかないから、それは何とかしなければならないという親切さはわかりますけれども、この点をはっきりしませんと、大体今度の農業基本法というものは、ほんとうに自立経済農家を育成することに対しても十分じゃない。共同化に対する、いわゆる近代化も十分じゃない。こうなりますと、結局は従来のような程度であって何ら画期的な農業基本法じゃないんだ、こういう結論に落ちついていくわけなんです。私が今度の農業基本法の中心はどこにあるかということをお尋ねしているのはそこなんで、この農業基本法は、一体日本の農業をどこに持っていこうとしているのか。私たちは農業基本法を作る以上は、日本の農家の農業経営をどうして守るかということが主体でなければならないと思う。この点をはき違えると、農業基本法は何のためのものかわからない結果になる。非常にぼけておる。ここに私はこの農業基本法の欠陥があるのではないかと思うわけです。この点を一つつまびらかに、政府のほんとうの決意というものをこの際はっきりさせていただく必要があると思う。
#22
○周東国務大臣 いろいろと御心配をいただきまして恐縮でありますが、私どもは農業基本法というもので農村をどっちに持っていくかということをはっきりしているつもりであります。ことに当初に申し上げましたように、あくまでも現在の農業と他産業との格差を是正するということが第一の目標であり、それに対しては農業生産の生産性を上げるということ、及び所得の増大によって農業従事者の生活を他産業に比べて均衡を得せしめるということの目標のもとにすべての施策を国が立てていく。しかもその施策に対しては、国が財政上金融上の義務を負う、ここまではっきりしております。しかし稲富さん御承知の通り、農業は農業の内部だけでいかないのであります。この法案に注意深く書いておりますのは、すべての施策は総合的に立てられなければならぬということを書いておったはずでございます。その点は、農業はたとえば省で申しますと農林省だけでなく、あるいは財政、金融、交通、環境衛生、教育、それらがすべて含まれて、しかもそれがばらばらに立てられなくて、総合的に連関を持った脈絡のある形に計画を立てていこうということを私どもは考えておるわけです。ともすると従来はその点がばらばらであった。そういう意味において私どもは考えておるのでありまして、各省庁には農業関係だけでなくて、ほかの方面に対しても、農村をよりよくするために必要なる施策を立て、他の役所関係においてもたくさん出て参ります。こういうこともあわせて考えていこう、こういうことであります。
 ことに今二十条をお引きになりましたけれども、その点について申し上げたいことは、一つ前の十九条を見ていただきますると、私どもがこれに期待しておるのは、国は近代的農業を担当するにふさわしい者の養成及び確保云云ということを書いておるのでありまして、やはり農業経営に対して中心の人々が、あまりに離農していくということは困る場合もある。やはり中堅の筋金の入った人間は残したい。しかし一面に、他産業の発展に伴うて当然国民経済の発展に必要なる労働力は出していく、出ていく。現実に即して、その人にも先ほど申しましたようにめんどうを見て、それで出かけるならば職業教育なり技術訓練なりをやっていこう、そうして残る人には特殊な教育というものも考えていこうじゃないか、再教育の問題も考えていこうじゃないかということが十九条の方にありますので、そのことは私どもの意向とともに、これは文部省所管でいろいろ考えてもらうこともございましょう。また労働者に関しては労働省に考えていただくこともありましょう。こういうことを総合的に組み立てられることが必要だというのがこの農業基本法のねらいでございまして、これは大きく前進していると私は思います。
#23
○稲富委員 さらにその他の問題は委員会等でお聞きすることにいたしまして、今回の予算の問題でございますが、農業近代化資金融通制度というものが創設されておりますが、これは将来もやはり継続していこう、こういう含みでございますか。
#24
○周東国務大臣 続けて参りたいと思っております。
#25
○稲富委員 そうすると、三百億は三十年度中に全部お出しになる、こういうような考えでございますか。さらに来年度以降はやっぱり同じ規模でやっていこう、こういうお考えでございますか。
#26
○周東国務大臣 御指摘の点はごもっともであります。私どもは三十七年、三十八年には、額はまだ決定いたしておりません。これは一二十六年度できるだけこれが実行を進めて参りますけれども、初めての試みでありまするし、あるいは御指摘の三百億が全部使い尽くせぬ場合があるかもしれません。そういう現実の状況を見つつ、三十七、三十八年度は増加して参るつもりであります。
#27
○稲富委員 そうすると、三十七年、三十八年、将来は本年度規模よりもさらに増加する、こういう考えなんでございますね。
#28
○周東国務大臣 大体そういう考えでおります。
#29
○稲富委員 そうしますと承りたいと思いますのは、三十六年度は利子補給に対する対象というものが半年くらいと見て、十月からとして百五十億くらいの利子補給だ、こういうことで対象に考えられておるようでございますが、そうすると三十六年度の貸付はやはり三百億になります。そうすると三十七年度の貸付分がまたこれに加わりますと、三十七年度はより規模が大きくなって、あるいは四百五十億になりますか、これに国が一分の利子補給をするということになりますと、四億五千万円の利子補給をしなくちゃいけないという、三倍になってくるわけなんです。こういうことで、だんだんだんだんネズミ算用で大きくなっていくことになりますが、こういうことに対する財政的な自信というものはおありでございますか。
#30
○周東国務大臣 利子補給の関係から見ますと、別に財政的な心配はないと思います。ただ私は一応三十六年度の実際の実績を見つつ、将来について増加したいと思っております。その際に増加した額について新しい利子補給の額がどうなるかということは、それできまります。利子補給の額について私はあまり心配はいたしておりませんが、これは大蔵省の財務の所管でありますから、私が申したらどうかと思いますが、利子補給程度については、私どもの考えておる範囲では心配はありません。
 ただ一つ私はここで申し上げたいのは、これらの利子補給というものは、何とかして農村の資金というものを農村に還元したいということの呼び水として指導的に考えておるわけであります。もとより必要な範囲は国が財政的な規模で利子補給をしていくこともよろしいけれども、問題は系統金融機関である農業協同信用組合というものの金が年々貯金で増加しておりながら、その額の四分の一も農村に還元しておらない実績というものは、いかにしてかこれを引き下げて、農村へ融資されるようにしたいと思っておるのが政府の考えです。一体相互扶助の協同組合だといっていろいろな面において呼号しておりながら、その金になりますと、なかなかほかの銀行も顔負けするような運用がなされておるということが残念であります。こういう点につきまして、私ども考えておるのは、この農業協同信用組合の金が相互共助機関であるところの金であるならば、それが当然農村にまず還元されて、しかる後足らぬところを国家の長期低利に求めるのが筋合いであろうと思います。そういう方面へも指導をしていきたいと思いますが、これは今日の事態で預金なんかはほかの銀行より高い金利だから預ける、借受金は高過ぎてかなわぬというような状況で、預けられた金が他に運用されているという状況は、多少精神的になりますが、何とかして皆様の御協力を得て変えていかなければならぬ。それが全部変わるまでの段階としてまず政府がその資金を活用するについて利子補給をするというのが一つのねらいであります。今後組合の金がいろいろ変わりましても、必要があれば国も考えますが、そういう点はまずやられて、国の利子補給がなくとも組合の金が使えるような形に指導して参り、実行ができるような形にすることが本来のねらいでございます。
#31
○稲富委員 そうすると大蔵大臣に聞きたいのですが、本年度のような規模が将来も継続される、さらに将来規模は拡大していく、こういうような農林省の考え方、非常にけっこうでございますが、そうなりますとだんだん出資金額というのはふえてくるわけです。本年は三十億の出資がだんだんふえますと、もう四十年ごろには莫大な金になってくる。こういうものに対して大蔵省が十分保証していただけるかどうかということに農民として非常に不安があるわけです。農林大臣はそういうことにしたいとおっしゃっているのでありますが、これは一つ大蔵大臣から保証してもらわぬことには私たちは納得いかないわけなんです。大蔵大臣としてこれに沿うて大蔵省がそういう財政処置をやられるのであるか。この点を承りたい。
#32
○水田国務大臣 今農林大臣から言われましたように、農村から集まった金が農村に還元していない、コールの源泉になっておるというような事態は好ましくございません。私どもはやはり農村から集まった資金が農村に還元することが好ましい、何とかそういう方向で農業近代化の推進をはかりたいと考えておりましたが、御承知のように今農業から集まる金は農業協同組合、県信連、農林中金、この三階建ての構造になっておりますためにコストが非常に高い。従ってこの金は農村で消化できないというのが今の実情でございます。そこでとりあえずの処置として、一つの呼び水として私どもは今度三十億円の金を出したわけですが、しかし今後どうするかといいますと、この三階建ての構造を相当合理化する余地はあると私は思います。そうしてコストが下がるという事態になれば、またそれに応じた措置をとればいいということもございましょう。現状のままでこの金をずっと先まで出していくという考えは持っておりません。この合理化ができない限りは、こういう無利子の金を国から出して利子の補給をやっていくという必要はあると思いますが、今のままでこのままずっと続けるということは、これは財政上も相当不可能になることと思いますので、問題は今後の農村から集まった金のコストをいかに下げ、そうして農村がこれを消化しいいような金融体制を作っていくかということが私は今後の課題だと思っておりますが、これは当面間に合いませんし、ことし三百億円――希望は五百億円ということでございましたが、三百億円に今度の予算ではとどめてございます。これはさらに五百億円、千億円と相当将来伸ばしていかなければなりませんが、それに必要なこういう措置は今後も続けたいと私は思います。しかし、今のままでこれを長く続けるということは、これは財政上なかなかむずかしいことと思っておりますので、この課題はどうしても今後関係者で十分研究すべき問題だと思います。
#33
○稲富委員 これは言葉じりをとらえるわけではございませんが、その点農林大臣の御説明と大蔵大臣の御説明の中には違う点がある。農林大臣は、ことしのような規模によって将来もやっていきたい、できればこの事業を拡張していきたい、こういうことを言っていらっしゃる。これは非常にけっこうなことでございますが、ただ私の心配するのは、今申し上げますように、そうなりますと非常にこの金額がふえてくる。はたして大蔵省がそういうものをのめるだろうかどうであろうかということにわれわれ心配があるわけなんで、その点をお聞きしておるわけです。そうすると大蔵大臣の考え方というものは、この農協系統の金が農村に還元するということはけっこうなことであって、その還元するようなふうに将来は立法措置をやっていくのだということで、このような金を毎年将来も出していくのだという考えがないわけなんです。その点が、農林大臣はこのまま毎年継続してやっていきたいとおっしゃるし、大蔵大臣はこの金を農村に還元することはいいけれども、大蔵省が金を出すのではなくしてその内容を変更することによって持っていきたい、こういう考え方なんでありますか、その点はどうも少しお二人の考え方が違うようですね。
#34
○周東国務大臣 少しも違っていないので、私も、先ほどから非常に長くなりましたが御説明したのは、一番当初から、本来は相互共助、組合金融であるというている農村の金が農村に還元されないことはいけないのだ、しかし、それを今すぐといっても困難だ、そのことをさせるための呼び水としてという言葉を使っておる。これをやっていくが、しかし、それはことしの状況を見つつ――ことしは三十六年度を見る。それから必要があればこれを増加していくことを考えますが、しかし根本は、その農業協同信用組合の金というものが、利子補給をしてもらわぬでも農村に還元していくことのできるような形を促進していくことが必要だ。ただいま申し上げましたのはそこなんです。それができていけば利子補給を国がせぬでもいいし、これが本体だ。一体こういう制度を私どもが考えたときに議論になったのはあくまでも、現在農村の金は高いので、ほかへ投資されたりほかへ持っていかれて農村に還元されない形でおいて、国が長期低利の金を出すのはおかしいじゃないか。これは当然な議論で、私はそう金融機関ということを呼号して税制上の減免を要求するならば、これは他の銀行と違う形を現わしてもらいたい。その金は農村に還元されることが至当だ。しかし、これは先ほど申しましたようになかなか精神的な脅威であります。今のように、ほかより金利が高いから預けることは農業協同信用組合に持っていくけれども、借りる場合にはほかから借りる。また極端に言えば、国の低利の金を借りようというのじゃちょっと聞こえませぬじゃないか。その点を直させる。しかし、精神的な問題ですからこれはなかなか訓練が要りますので、その点はやはり国がめんどうを見なければなるまい。しかし、一日も早くその方向へ持っていくように皆様も協力していただいてこれを指導していくことが必要であろう、こういうことを申しているのであって、大蔵大臣とちっとも違っておりません。
#35
○稲富委員 そうすると、その農村に還元する何らかの方法を指導してやっていかれる。将来はそういうようなふうに進んでいく。しかし、その目的が達成されない間は、大蔵省が、今言うように三十億の今回金を出されたようなふうにして補っていって、この事業だけは継続していく、こういうような考えだと、こういうことに解釈すれば差しつかえないわけですか。さらにこれに対して当然立法措置が行なわれるが、これに対する立法措置がやられるとすると、内容等もこの際承れば、一つ念のために……。
#36
○周東国務大臣 農業協同組合法案に対する改正案を今いろいろ準備しております。その中にいろいろな点が論戦になっておるが、まだ確定いたしておりませんから申し上げる段階に至っておりませんが、何らか銀行等に関しての金利調整の問題なりあるいは貯払い準備金なりというものを、いろいろな問題を、あれだけのたくさんな金を扱っているのだから、しかもそれが単位組合等におきましては預金の部と事業会計が一緒になって、相互に動いておるというようなことは、やはり預金者の保護にも欠ける点がありはしないか、そういう点で、ある程度貯払い準備金というようなものを考えたらどうか。それらに対しては、ある程度低い金利で、どこへ持っていくかということを、とにかく一つ考えたらどうだろうかというようなこともありますので、まだそれは確定しておりませんから、いずれいろいろきまりましたら、御審議を願うことになりましょう。いずれにしても、私は、農業協同組合というものが、農村における共同体としての相互扶助機関であるならば、金の一ぱいある人は預け、足らぬ人にこれを貸し付けるという、その本質を――これは全く理想でありますが、考えてもらって、やはりそういう方に組合の訓練を積極的にやることが必要だ、かように考えております。そういう方向に向かって、あるいは行政的な指導なり、いろいろな点も考えつつ、今研究をいたしておりますので、いずれ御審議をいただくことになろうと思います。
#37
○稲富委員 大蔵大臣に念を押したいのですが、そうすると、この近代化資金融通制度というものが設けられまして、これを何らかの形で継続していくのだ。今農林大臣がおっしゃるような協同組合法の一部改正ができないで、もしもそういう状態に置かれる場合があったとしたならば、国家資金においてこれをやっていくのだ、こういうようなふうに解釈してもいいかと思います。これに対して、大蔵大臣として、途中でそんなものは出せないのだ、こういうことになってはとんだことになりますので、この点、一つ大蔵大臣からはっきり承っておきたい。
#38
○水田国務大臣 早い話が、かりに二分こういう措置によって、補給しておったという場合に、系統資金のコストが下がって、一分の補給で済むのだという改善が見られたとしましたら、同じ三十億円でも、今度は六百億円の系統金融の金を動員する力ができるということになりますので、さっき申しましたように、そういう努力も払いながら、私どもはこのせっかく作った制度でございますから、制度を生かすに必要な金は出すつもりでおります。
#39
○稲富委員 この問題はまだ十分ではございませんけれども、機会を見まして、また大蔵省の意見を承りたいと思いますが、時間がありませんので、次にお尋ねしたいと思いますことは、貿易の自由化の問題であります。農林大臣は、昨日も貿易の自由化は、農産物に対しては当分影響はしないのだ、こういう明言をされておるのでございますが、この当分だというのは大体いつごろを見当として言っておられるのか、この点一つ承りたい。
#40
○周東国務大臣 今日まで農産物関係で自由化されておるものは四七%ぐらいありますが、それらにつきましては、国民一般に対しても、農家に対しても、いい影響がある。またそれほど悪い影響を与えていないというものがやられております。あとは米、麦、これから奨励する酪農とかいうようなものが主になって参ります。こういう点については、これは日本でこれから育成するものであり、また米麦等は、やはり日本農家の主要な産物であります。これらにつきましては、自由化のことはただいま考えておりません。さように昨日も申し上げた次第であります。
#41
○稲富委員 これでお尋ねしたいのは、農林大臣は考えていないとおっしゃるけれども、これは国際的な関係があるので、ほかから要請されるおそれがあるわけです。池田総理もしばしば、アメリカのドル防衛というものは日本経済に影響はないのだ、こういうことも言っていらっしゃるけれども、私たちはやはりこれに対して一つのそういうのんきな気がまえでいいかという感じがするわけなんです。やはりアメリカがドル防衛をやった以上は、日本に対しても貿易の自由化の促進というものが当然要求されてくるだろう。ことに、私たちの知っておるところによりますと、すでにIMFでは今年の秋くらいに貿易自由化の勧告を日本にするのじゃないか、こういうようなことさえもうわさされておるのであります。この点をつまびらかにしていられるのであるから、こういうことになりますと、ガット総会におきましても、当然日本に対してこれが要求を明らかにされるだろうと思う。こういうような見通しもすでにあるといわれているときでございますので、これをただ、当分ないだろう、日本の事情だけでこれを食いとめることができるだろう。こういうことに対して、当分心配する必要はないのだという。日本の国内事情で、これを安易な考えで持っていくべきじゃないじゃないかと私は思う。こういう点に対する政府の考え方を私は聞いておきたい。
#42
○周東国務大臣 お話の点はごもっともですが、これは、私どもは、米麦等については御承知の通り食管制度がある。かりに今お話のように自由化されたとしても、これは政府が一応輸入は引き受けておるのであって、内地農民への影響を遮断しておるわけです。しかし、かりにこれは違ったといたしましても、これはもう稲富さん御承知のように、欧米各国におきましても、フランスのごときにおきましても農業基本法に関する法律において、自国農民等の保護のためには輸入の制限をするとかいうことはでき得るのであります。私は、自由化されたら直ちに農村に悪影響がくるというような考え方ではないのであって、当分私どもは自由化しない。また米麦等については、食管制度という別に防壁ができておるのであって、これは自由化しようが、しまいが、影響はありません。その他のものについて、かりにそういうような強制という言葉はおかしいですけれども、勧告があったとしても、それらに対して私どもはできる限り国内の国際競争力を高めるように生産を奨励いたしますが、それでも困る場合においては、フランスあるいはドイツの農業法におけるがごとく、やはりある程度の輸入の制限なり関税なり、いろいろな措置ができるような措置を、今度ははっきりと農業基本法に書いておるわけであります。これは誤解のないように申しますけれども、日本は自由化したら次にもう外の影響で、すぐ農村はつぶれるということになるのですけれども、稲富さんはそういうことはおっしゃいませんけれども、これは間違いであって、日本だけではない。ほかの国だってやっておるじゃないか。なぜ共同市場を形成しておるか。フランスのごとき、特殊な法制のもとに必要な輸入制限その他の処置ができるようになっている。これはかたくなな考え方で、片寄ってはいけませんけれども、やはり今度の農業基本法の中にもその規定を入れてあるのは、弱い農村に国際競争力が確実に育成されるまでは、ああした措置がとれるような措置を講じたのもそういう配慮から出ておるわけであります。私はそういうことを通じまして、農村に関係してはそういう心配はなかろうということを申したのであります。
#43
○稲富委員 農林大臣は国内の事情で安心されるのだとおっしゃいますが、私が言うのは、貿易自由化というものが、これは好むと好まざるとを問わず、そういう形にくるのじゃないかというのは、もちろんガット総会がそういうことを決定した場合に方法をとるとおっしゃるのは、ハード・コア・ウェーバーに認めてもらう、こういうようなことを考えていらっしゃるだろうと思うが、しかしそういう場合においても、これはハード・コア・ウェーバーの規定によりますと、決定されて五カ年内には終えなくちゃならぬことになっておる。そうなりますと、ことしのIMFが勧告をする。来春にガット総会でこれを決定する、こうなりまして、こちらの方がハード・コア・ウェーバーで認めてもらうように要請する。こうなりますと、やはり長い場合でも、五、六年先には貿易の自由化というものは実現しなければいけない、こういう計算になるのじゃないかと私は思う。この点がどうも私たちにはわからぬ。そういう点を見込んで言っていらっしゃるのか。ただ当分大丈夫だというようなことでは、そういうような国際情勢というものが許さないのじゃないか。あなた方はたとい国際情勢がそうなっても、日本の農業は心配ないようにするのだとおっしゃいますが、われわれはそういうような情勢がなく、いわゆる貿易の自由化が行なわれるとするならば、その貿易自由化に対処しての日本農業のあり方というものを考えていかなくちゃならないので、当分大丈夫だからということで、これをヴェールをかぶせておきながら日本農業のあり方を考えるということは、私はあまりにも無責任じゃないか、こういう点から私はこの点において押しているわけなんで、いつごろ貿易の自由化が実現できるかといろことを目途として日本農業のやり方を考えていかなければいかぬじゃないか、こういうことで、その点についてつまびらかにしてもらいたいと言っておるのです。
#44
○周東国務大臣 私の申し上げておるのも、そういうふうな基本原則としてはある時期に自由化の問題が出てくると思います。それまではできるだけ私どもは国内における国際競争力を持たせるように生産に対しても指導していきたい。そうしていきつつ、しかも自由化になった場合において、この原則がそうなったとしても、あなたの言うようにガッドの承認も必要であろうと思いますけれども、他の国にある基本法と同じように国内の特殊な事情によってまた輸入に関してある種の制限をしていかなければならぬ。制限をするという必要があれば、これができるような法制を作っておるわけです。これは先ほど申しましたフランスなんかも同じ規定を持っておる。その点についてはあるいは輸入制限をするとか何とかということは、ガットの承認は必要でありましょうけれども、そういう手段は残されておるということを申し上げるわけであります。ことに、またいかに自由化といいましても日本の需要以上にどんどん入れる必要もないので、そこははっきりした態度をもって臨む必要があると思う。
 まず第一には、日本のそれまでの期間ハード・コア・ウェーバーの関係からいいましても五年ありますが、それまでに十分に国内における生産に関して国際競争力をつけるということが第一だ。
 次に、もしそういう関係で自由化されるという機会がきましても、その場合において、内地の特殊の事情において、これが輸入制限その他の行政措置によって守らなければならぬというものが残りますが、これはガットの承認を経つつそれがやり得ることになっておるわけですから、そういうことを私どもはやって参りたいと思っております。
#45
○稲富委員 ガットのこの決定があってから五カ年間というのは、ハード・コア・ウェーバーでは最高が五カ年間でしょう。五カ年間以内でなくちゃいけないでしょう。それだから私が政府に言いたいことは、いかにも貿易の自由化というものが日本には影響ないのだとひた隠しに隠しながら、何とかこれに対して対処されているのじゃないかという感じがするんですよ。当分だ、当分だ、今おっしゃるように五カ年だ。そうなれば五カ年という目安もついておるのですが、当分だ、当分だというように何かはれ物にさわるような考えでこれを敬遠している。その中に日本の態勢を備えようというような考え方に政府は考えているのじゃないか、こういう疑惑さえ生ずるわけなんです。その点から私たちはそういうことでこの貿易自由化の問題を国民に安心させておくということは非常に不親切じゃないか。貿易の自由化が行なわれるのだ、行なわれるのだ、だからどうしなくちゃいけないのだという、これに対する積極的な政府としての施策をやらなければ非常に無責任だということを言っているわけです。それでこれに対する見通しと、これに対する対策というものがなければならないのじゃないか、これが私は農業基本法がここに制定される目的の一つでもある。こうわれわれは考えるからこのことを聞いておるわけなんです。
#46
○周東国務大臣 私どもは決して影響はないのだ、影響はないのだと隠しておるわけではないのです。影響のある農産物につきましては、それに対する価格の支持とか、差益の点とかいう形で、たとえば大豆のごときは考えておるし、将来の問題については早く国際競争力をつけるよう生産に関して育成をやっていきたいと思っております。さらに今の御指摘のような問題は五年先には出て参るかもしれませんが、私どもはその前においてもガットの承認は五カ年ごとに実情を述べて許可の改定をすることができるのですから、そういう点は日本だけがいじめられておるのではなくて、世界の各国がそういうふうな処置を影響のあるものについてはガットの承認を繰り返し得つつ守っておるということは、ものによっては私どもは当然主張し得るのではないか、こういうことを考えておりますがゆえに申し上げたわけであります。決して自由化の影響はないのだ、影響はないのだと言って隠しておるわけではございません。あるからこそ、ある農産物については当分やらぬ。また将来そういうことが起こってもガットの承認を得つつ、また今申し上げたような必要があれば、五年ごとに承認を繰り返しつつ守っていくということは、日本だけではなく、他国がやっておると同じようにやって参りたい、こういうことをはっきり申し上げております。
#47
○稲富委員 時間が迫りましたので、今の問題はまだ聞きたいのですけれども、またの機会に譲りまして、あと要点について御質問申し上げたいと思います。
 御承知の通り農産物の非常な成長部門というものが畜産物にあることは御承知の通りでございますが、畜産物の増大が非常に大きな要求をされておる。これに対する政府の所信を一つ伺いたいと思います。
#48
○周東国務大臣 今後の農業の方向を決定いたしまするについて、御指摘のように畜産物の生産拡大ということが一番大きな成長財として私ども考えておる点でございます。それだけに畜産に関しましては、牛乳あるいは肉類の生産等に関しまして、生産増強に関するたとえば主産地形成に関してどうするかとか――御承知の通り日本農村の畜産のやり方が比較的少数頭飼育というものが分散飼育になっておりまして、これなんかも農業者を守るためには弱い行き方であって、将来としては多頭飼育という方向に向かいつつ、しかもある種の地域が豚なら豚の主産地であるというくらいの形にまとめて一つの主産地形成をやりつつ、そこの畜産農家の保護もはかっていきたい、こういうふうに考えております。それに対して家畜の導入関係、子豚とか子牛の導入に関して助成金を交付するとか、あるいは畜舎あるいはそれに関しての貯蔵、保管の場所というようなものについての財政並びに金融上の措置を政府は考える。さらに畜産の販売につきまして市場に関する調査というようなものをあわせ考えつつ市場に出す、出荷調整を行なうということも考えております。ことに従来から問題になっております家畜商と申しますか、これに対する資質の向上をはかっていくということも考えております。
 さらに最後の問題点として、最近御承知の通り畜産事業団というようなものを作って、これが従来の酪農基金というものと合わせて、これが場合によって酪農製品、肉類の買い入れ、貯蔵、保管をしつつ市場の調整に当たるというようなことも考えておるわけでございます。この畜産は農家に対しても地域的に奨励していくということの反面には、あくまでも将来畜産物の価格が不安定な形にならないように価格形成上、農家の手取りをふやしつつ安定する方向をとるということを私どもは重要に考えておる次第であります。詳しくはまた分科会等で申し上げたらよろしいと思いますが、特に御指摘の点の畜産についてはさように考えておるわけであります。
#49
○稲富委員 政府は畜産に対しては畜産農家を育成するということで今御説明になりましたようなことをやっていらっしゃると思います。ところが、最近こういう傾向がある。畜産に対して非常に大企業が進出してくる。こうしてこの畜産農家、そういう農民の事業というものが大企業のために奪われる、こういう問題が出てきているのです。あるいは今まで海におった大洋漁業までが畜産に登場してくる、こういうような問題が起こってくるわけなんです。
 先日いなかのある青年がやってきまして大きな養鶏場を見て、そうしてその農村青年は非常に悲観して帰った。こういうように養鶏その他の畜産事業というものが大企業に掌握されるならば、もうわれわれ農民の畜産の余地というものがなくなってくる、こういうことを逆に視察に行って悲観したというような事実もあるわけです。こういう問題に対して政府はいかなる考えをもって処していこうとしておるのか承っておきたいと思います。
#50
○周東国務大臣 御心配の点は私も同憂であります。しかしそういうことは、かるがゆえに大企業家の畜産進出をやめろということも憲法上できません。従って、私どもは、むしろ一面におきましては、畜産農業者の育成をいかなる形でするか、これを早く、相当集団的にまとめる方向がいいのではないか、それがためにも、ちょっと申しました一頭ずつ飼育するというような形でなく、ある場合においては多頭飼育というような方向に持っていくことはどうであろうか、あるいはそういう面におきましては、先ほども触れました協業というような問題において、畜産の経営については特に協業というような形で飼育をするということが、飼育したものの加工、販売という方面においても力強いものになるのではなかろうか、それには農業協同組合はぼやぼやしないで、もう少ししっかりした態度でみずから守らなければ、人が来たから困った、困ったとばかり言って、自分の方は何もしないということでは困ると思うのであります。私はそこに、大きく、新しく農業協同組合等に覚醒を促したいと思うのであります。それはみずからやるべきことをやっていないのではないか、またそれにつきましては、御指摘のように、政府も今まで、指導についてあるいは欠けている点があるのではなかろうかと思いますので、そういう面について考えて指導をして参りたいと思います。
 第二は、やはりある程度今までの農林当局、前農林大臣もお骨折りになりましたが、やはり水産会社五社等々と協定されて、覚書は出ておるようであります。こういう点はある程度農業者に対し、ブタあるいは鶏等の飼育を頼んで、でき上がったものを加工するのは自分たちが受け取ってやるとか、そこにある程度の分野を定めて、ともに利益を得る形に持っていくということも一つの方法だと思います。しかし、それよりも、原則的には、農業者がまず強くなる、農業者の団結によってその資本の入り得る余地がないようにすることが一番いいのではなかろうか、かように考えます。また、こういう点については、地方的、部分的になかなかきっぱりと線を引きにくい点があると思いますが、私どもはそういう考えで対処いたしたいと思っております。
#51
○稲富委員 さらに麦対策の問題でありますが、これの対策に対してきのう高田君より詳しく質問されておりますので、私も要点だけを一つ申し上げたいと思うのでございますが、麦の買い入れ価格の点と、現行食管法で無制限買い入れをするということを一つ明らかにしてもらいたい。なぜかならば、麦耕作者というものは、今日非常に大きな不安にさらされておりますので、そういうことを政府として明らかにしてもらう必要があるのではないか。食管法の適用を除外するような立法は、この際行なわない、こういうことを一つ政府として明言する必要があるのではないか。さらに外国小麦の輸入は、現在のような日本の状態ではやめて、日本の小麦の品質改良に十分なる対策を立てる必要があるのではないか、こういうことに対して、一つ政府は積極的にやるべきではないか、こういうことを考えております。さらに大麦や裸麦の転換対策に対しましては、きのうもいろいろ考えておられると言われましたけれども、さっきも申し上げましたように、これは非常に価格の問題に影響するわけなので、との価格支持等による転換に対する国としての十分な補償をこの際考えるのだということで処置をとってもらう必要があるのではないかと思うのであります。こういう点を一つ総合いたしまして、麦の生産合理化対策というものは、やはり政府としていじる必要があると思うのでありまして、この麦対策に対してそういう結論を政府としてお出しになることができるかどうか、この点を承っておきたいと思います。
#52
○周東国務大臣 麦の合理化対策につきまして御指示をいただき、ありがとうございます。ただ、きのうも高田さんに申し上げましたように、やはりあるものにつきましては農家の方の御協力もいただきたいのであります。大、裸につきましては、食糧としての需要が近年だんだん減退して参りました。そうしますと、そこにいろいろな価格の違いが起こって参ります。ある時期まではこれを保護して参りますこともけっこうでありますが、むしろそういうような需要の減じていくものに対しては、麦そのものにつきましてもあるいは飼料に転換するということも考えられますが、同時に麦――大、裸の全数量に対しましてある程度の作付は転換しつつ、より売れるものと申しますか、需要の伸びるものの方に転換することが必要だという考えで転換を考えております。
 買い上げ等につきましては、三十六年五月、六月にできます麦につきましては、もうすでに昨年作付いたしております。これらの買い上げ数量等につきましては、最近三カ年に買い上げております数量の平均は買い上げることになっております。ただ価格について多少違った形をとっていこうというのが現在の考え方であります。
 それから、お示しのように、輸入小麦は二百万トンも入っております。これは必要だから入れておるのであるが、外貨の支払いを節約する上からいっても、農家の所得をふやす上においても、作っただけ買われるのはあたりまえであります。そういう意味におきまして、小麦の内地国産化ということについて今後大きく力を入れていきたいと思います。きのうもお話が出ましたが、ハードの小麦、ソフトの小麦ということについておのおの転換の難易はありますが、いずれも時をかけますれば、これはできていくことであります。品種改良等につきましてのことも考えつつ、また小麦が一番労力がかかるので、最近の統計から見ますと、小麦の生産がむしろ落ちておるわけでございます。そういうことにつきましても、生産技術を大きく導入して、労力費を下げる、共同でまくとか、共同で刈るとかいう方面の事柄も考えつつ処置をして、内地の小麦国産化ということについて努力いたしたい、かように考えております。
#53
○稲富委員 次に、税制改正の問題についてお尋ねしたいと思います。これは大蔵大臣に関係がありますが、まず農村の問題でありますので、農林大臣の意見も承りたいと思うのであります。
 池田内閣は減税を約束されまして、これによって所得税の減税をなされて、配偶者控除、扶助控除の値上げ、専従者控除の充実をやられておるのであります。ところが農民で所得税を払っているというのは、六百万戸のうち、四十万戸しかないわけです。五百六十万戸の農民は、所得税の減税の恩恵には実は浴していないわけなんです。ところが、逆に今度は、一方の固定資産税の値上げ等によって、農民の負担はかえって大きくなったということになってくるわけでございます。
  〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕
これではせっかく池田総理が国民に減税を約束された趣旨に沿わないことになるわけでございますので、この際農民に対する負担を軽減するという意味から、住民税に対して専従者控除を及ぼすような方法をとれないものであるか。これに対しては政府は何もそういうことは恩恵をこうむらせないようにするんだという方針のようでありますが、この点一つ考えられないものであるか、こういう点は大蔵大臣から意見を承りたいのでありますが、実際せっかくの所得税の減税に対して農民が恩恵をこうむっていないことに対して、農林大臣としてはやむを得ないことだとあきらめておられるのか、これは農林大臣に承りたい。
#54
○水田国務大臣 これは税の理論上、いろいろむずかしい問題でありまして、今一般の家庭で、そこで働いている家族にはっきり給料を払うというような慣行もできていないというときでございますが、しかし専従者控除という制度は一応必要だということで、こういう制度を置きましたものの、それでは専従者控除の控除金額が、はたして、これは給与とみなされるものかといいますと、それはまたそうではないという問題がございますので、いろいろむずかしい問題はございますが、いずれにしろこういう制度をとるにはとりましたが、今度住民税ということになりますと、小さい地域の問題でございますし、これがまた全国的に千差万別というようなことで、この住民税において専従者控除というものに踏み切るかどうかというような問題については、相当私どもも検討をいたしましたが、なかなかむずかしい問題がございまして、今回はそこまで踏み切るのは無理だということで、一応今やめておりますが、それはやはり将来は検討する問題だと思っております。
#55
○周東国務大臣 稲富さんのお考え、まことにもっともでありますが、私どもも、できるならば、住民税に専従者控除の影響を断ち切らないで考えてもらいたいという希望は持っております。これはかなり大きく地方税収入等に関係する問題でありまして、それに触れますると、地方税の根本について、かなり改善、考慮を加えなければならぬ点が他にもあります。これは一括してただいま大蔵大臣がお話しになりましたように、将来の問題として残さなければならない。そこで将来の問題として地方税制をどうするかというような問題に関連して考えるということになって、実は私どもも今日の場合やむを得ぬかということに今考えております。大きく将来に向かって期待を持って一応見送らざるを得ないかと、こういうように考えております。
#56
○稲富委員 ただいまの地方税の問題、これは減収が当然起こりますが、やはり国の交付金によってまかなう、こういうことで一つ考えてもらわなければいかないだろうと思うのですが、これは実に池田内閣が、三つの公約の中の一つでございます減税というものに対する農民の期待を非常に裏切っている。今大蔵大臣も何とか考えなくちゃいけないということは言っていらっしゃいます。これは、私は、本年度においても何とかしなければ、せっかくの――この内閣のうちに一つ実行してもらわぬことには、農民は期待はずれになるわけでございますので、この問題は早急に実現方を特に考える必要があるんじゃないか、こう思います。その点特に一つお考えいただきたいと思うのであります。
 さらに、最後にお尋ねしたい問題は、政府は三十六年度の米価の予算米価を決定されておりますが、これはもう本年度においては予算米価を下がるというようなことはないだろうと思うのでございますが、農林大臣どうですか。
#57
○周東国務大臣 ただいまの情勢からいたしまして、予算来価を下回ることはないと思います。
#58
○稲富委員 そうすると、三十六年度の予約減税をやられるというような方針のようにも承っておりますが、この三十六年度の予約減税はどうなさるつもりであるか、承りたい。
#59
○周東国務大臣 三十六年産米の価格決定は、いずれ五、六月のころに問題になります。その当時の情勢によって、どういうふうに決定するか、問題になりましょう。当然御指摘の予約減税をどう取り扱うか、継続するか、打ち切るかという問題が起こりますが、ただいま、まだいずれとも決定はいたしておりません。その際に十分農業者の立場、あらゆる経済情勢を考えて処置をいたしたいと思っております。
#60
○稲富委員 それでは大蔵大臣に聞きたいのですが、今三十六年度産米の予約減税の問題はきまっていないということでありますが、聞くところによりますと、予約減税はやらない、こういうような意向のように聞いておりますので、もしも減税をしないということになりますと、当然これは米価が上がらなくちゃいけないということになって参りますので、この点は一つ今農林大臣が言われましたように、そういうような米価に対する不都合のないように十分処してもらいたいと思いますが、大蔵大臣のこれに対するお考えを承っておきたいと思います。
#61
○水田国務大臣 それはそういう問題も起こりましょうし、そういうものを、諸般の情勢を十分考慮してきめるということに今のところはなっております。
#62
○稲富委員 いろいろ聞きたいことがあるのですが、時間がありませんので、ただ最後に農林大臣に特に申し上げたいと思いますことは、農業基本法の中においても、農民所得の増大というものが非常に主張されて、他の産業の従事者との所得の均衡というものが叫ばれているのでありますが、遺憾なことには、農村におきましては逆な方向にたどっていく。あるいは、農村の農産物の価格は上がらないにもかかわらず、いろいろな電灯料金の値上げであるとかあるいは交通費の値上げであるとか、農民の負担というものは次々に大きくなってくる。さらにまた一方には、近代的ないろいろな科学の進歩によりまして、農村の事業等が奪われてくる。たとえば、すでに御承知だと思いますが、農村において生産しておりますかますの廃止を省議で決定された。こうなりますと、たとえばかますの収入なんかにつきましても、農村に年額約四十億の収入になっておる、こういうものがほかの製品のために侵されることになりますと、農村の所得は少なくなってくる。こういうことに対しましては、やはり並行して何とか政府が処置をとらなくちゃいけないと思うのでございますが、これに対して、ただ省議で決定はされておるけれども、一向考えておられない。こういうような問題が非常に多いわけでございますので、こういうことに対しては、一つ特に何らかの方法を講ずることをこの際考えていただきたい。これに対する考え方。
 さらにまた、米価の問題等になりますと、常に食管制度の問題が出て参るのでございますが、現在の食管制度の中の赤字というものは、食管の運営を合理化することによっても相当処理される問題がある。これは、特別会計というものが伏魔殿だといわれるのはそこなんです。こういう点に対しましてはしばしば主張されるけれども、依然としてまだ改正されていない、合理化されていないという点があるのであるが、一つこの機会に、農林大臣の手で食管の赤字を解消する意味から申しましても、食管運営の合理化を促進する、こういうことで進んでいただきたいことを特に私はお願い申し上げたいと思うのであります。これに対する農林大臣の考え方を承りまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
#63
○周東国務大臣 お答えしますが、物価の値上がりというものがあって、それが農村に影響することが大きいのだから考慮しろというお話であります。ごもっともなお話であります。農村で使われる必要資材等に対する価格を合理的に下げるということについては、たとえば肥料等につきましては、ただいま研究が進められつつあります。ただいま御指摘の電灯料とかいうような問題につきましては、政府におきましても、地域的にやむを得ざる形で上がる分はありましても、できるだけそれが最小限度にとどめられるように私どもお願いし、政府も考慮していただいておるわけであります。
 それからただいまお話のかますの問題でありますが、これは地方におきましては大へんそれを作って売られておるという点からいえば、影響がある地方もあると存じます。しかし、一面かますを使うことをとめられておった地域があるわけでありますから、そういうところへはむしろこのたびはかますをどんどん使うように売り込みを考えたらどうか。それと並行しつつ選択的に紙袋を作ることを、これは国会の農林委員会でありましたか決定されましたので、私どもはその農家の意思によってどちらをお使いになってもいいというところまではいたしました。しかし、それがためにかますの生産県等においては大へん影響があると思いますので、逆に今度は、今までかますを禁止せられておる地方に、お使いになるよう売り込まれることを奨励といいますか、お認めしていく、こういうふうなことも考えているわけでありますから、御了承を願いたいと思います。
 それから、食管の赤字について、出ないように研究せよということですが、これは消費者と生産者とを考えて、二重価格と申しますか、ああいう立場をとっておることから生ずる赤字は当然国庫負担でけっこうでしょうが、仕事の運用上、不合理な点にむだな金が使われているということは、十分に戒めなければならぬのでありまして、私どもさらに御指摘の点について考慮を加えて参りたい、かように考えております。
#64
○稲富委員 それでは、ほかのことについていろいろ聞きたいこともありますが、他の委員会に譲ることにいたしまして、私の質問はこれで終わります。
#65
○愛知委員長代理 午後一時二十分より再開することとし、この際暫時休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十一分開議
#66
○船田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。堀昌雄君。
#67
○堀委員 私はただいまから、かねて池田首相が所得倍増に関していろいろと発言しておられる中で、大体所得格差の問題はどうなるかということについて、当委員会で十二月十四日に愛知委員にこう答えておられます。「私は倍増ということは、これは格差解消への有力な手段と考えておりまして、倍増するということは格差を少なくしていこうということの一つの手段と申しますか、こういうふうに考えておるのであります。」こういうふうにお答えになっております。その後の審議の経過を見ましても、私ども社会党は、成長政策というものは所得格差が広がるものであるという考えに対して、常に所得格差は縮まるのだという答弁がなされておるわけでありますので、私は具体的な統計を土台にしてこの問題を少し詰めた形で伺いたいと思うのであります。
 まず経済企画庁長官に伺いたいと思うのでありますが、一体所得格差ということがしばしば論じられておりますが、この所得格差が縮まるということは、具体的にはどういうことをさしておるのか、この問題からはっきりと伺っていきたいと思います。
#68
○迫水国務大臣 それはいろいろ見方もございましょうけれども、たとえば中小企業と大企業との間の所得格差と申します場合には、中小企業に働いておる人たちの所得と同じような仕事をしている大企業に働いておる人の所得の違い、それから農業と他の産業との所得格差というような場合にも、同じく農業生産に従事している人の一人当たりの所得と、他の産業に従事している人の一人当たりの所得の違い、こういうことをいっておると理解しております。
#69
○堀委員 そういたしますと、具体的に、ちょっと私は統計表を準備をいたして、皆さんのお手元にお配りしてあると思いますので、これを見ながら一つ伺いたいのでありますが、統計表の七ページをちょっとごらんいただきますと、ここには総理府の統計局の家計調査の中で「五分位階層別年平均一カ月間の勤労世帯実収入」というものが出ておりますけれども、これはこの世帯の収入階層を五つに分けまして、おのおのがここに記されておるわけでありますが、この一番下の階層であるTと、それから所得の一番多い階層であるXは、昭和三十年にはごらんのように、右に格差を書いてありますが、格差でみると一〇〇と四九三でございます。それが三十四年に参りますと、やはり一〇〇と四八九であります。こういうふうにTとXの間の形がこういうふうになっておるならば、これは所得格差が動いていないと考えられるか、こういう動き方をしておるときには、これは所得格差が開いておるとお考えになるか、そのいずれかをお答えいただきたいと思います。
#70
○迫水国務大臣 これは観念の仕方の問題だと思いますけれども、一応私たちはこういう格好ならば所得格差は動いていない、こう考えていいと思います。
#71
○堀委員 ここが私は一番大きな問題だと思うのであります。政府でこれまで所得格差を議論されているときには、私は、大体こういう式の問題の見方が格差が動いていないということの問題になると思うのでありますが、事実は実収入でみますと、片方は最初一万一千二百五十五円でございました。それが一万四千百七十八円になったわけでありますから、約三千円あまりふえておるわけであります。片方は五万五千五百十六円が七万七百三円でありますから、約一万五千円ふえたわけであります。そうすると、そういうふうにふえ方が著しく違っても、相対的には一と五の割合であるならば、それは所得の格差は少しも広がらないのだということであるならば、私は今後の状態というものは、なるほど所得の格差はそういう言葉の表現でいうならばあまり開かないかもしれない。そのことはその比率が固定をしておるということにとどまるのであって、実際の生活の面で見ると、私どもはそういうのを所得格差は同じであるとは見ないで、広がっていると私は見るわけです。国民も感情としてはそういうふうに理解をしておる、こう思います。それはなぜかと申しますと、その次の九ページをごらんいただきますと、ここにT、U、V、W、Xとしてありますが、ここのパーセンテージは一体何を表わしているかと申しますと、ただいまの総理府の家計調査で昭和三十年から三十四年の間に世帯収入としてふえた分が一体どの階層に何%分配されたかというのを表わしたのがこの表であります。一番低収入のところが全体のふえた量の中のわずか七・四%しか受け取っていないけれども、それから上の層にいくほどに一三、一八、二二、二九と、受け取るものは上の方へいくほど多く受け取っていく。こういうことであるならば、比率が同じ一対五、一対五でいっておりましても、先にいけば実際的な問題としては非常な差が出てくる、こういうことに私どもはなると思うのです。ですから問題は、そういうふうな意味でわれわれが理解をしていくということになると、あなたのおっしゃった表現では国民は納得しないと思うのです。いかがでしょうか。
#72
○迫水国務大臣 これはその第一の階級と第五の階級はもとが違うものですから、従いまして増加の伸び率は同じでも、絶対額を配分するとこういう格好になるのだと思いまして、私この数字から、この表から所得格差が開いているという結論は出てこないのじゃないかと思っております。
#73
○堀委員 ここが今の政府の考えられておる所得格差問題の私は中心点になると思うのです。私どもは、今申し上げたように実数を離れて、よろしいですか、比率だけで問題を見ていくとなると、たとえば農村の所得とその他の業種の所得の間に、今かりにこれを、あとで詰めた議論を伺いますが、人によっては一対三だと言い、人によっては二対一だと言い、要するに差があるということがあるわけでありますね。そうすると、この差をこのままで先へ持っていくということなのかというと、池田さんはそうはおっしゃってはいないのです。低所得のものをうんとふやさなければだめなんだ、そういうことをおっしゃっているわけです。そうすると、低所得のものをうんとふやさない限り、所得が縮まらないというのであるならば、今おっしゃったことと話がちょっと違ってくるのじゃないか。ほんとうの私どもの考えは、やはりふえてきたものの分配が、資本主義の社会ではほっておけば上の方にたくさん分配されるということがここで明らかにされておるわけです。どうやって下の方にも分配をふやすかということによって、今開いておる所得の格差を縮めたいのだ、こう総理はおっしゃっているわけですね。しかし今のあなたのお話を伺ってみると、実数は別として比率ではと、こうおっしゃる。しかし私はここで比率の議論をしておるのではなくて、国民生活の関連でものを申し上げるわけですから、そうすると、比率がどうなったって問題ではなくて、やはり生活の水準が上がってこなければならぬ、こういうことになると思いますね。その点については企画庁では一体どう考えておられますか。
#74
○迫水国務大臣 低い所得の階層と高い所得の階層との差で全体的な議論をするということは必ずしも当たらないのじゃないかと思います。というのは、あなたのお作りになりました統計でも明らかなように、底辺の部分、すなわち非常に低い所得の階層の人たちの全体の人口において占める割合というものは、三十年と三十四年ではたしか一〇%くらい縮まっていると思います。従ってそういうことは、私は所得の格差の是正ということに非常に意味があるのだと思っております。今おとりになりました統計というのは、三十年から三十四年までの過去の一つの実績でありますし、三十年から三十四年までの間というのは、御承知のように非常な景気の変動期も含んでおります期間でありますし、この数字それ自身から将来をそのままトしていくということは必ずしも当たらないのじゃないか。これから後の所得倍増計画の進行過程におきましては、過去において出たこういうような格好がはたして出るかどうか、私は出ないであろう、いわゆるあなたのおっしゃる意味の所得の格差が縮小してくる方向に出てくるだろう、こう考えております。
#75
○堀委員 そうしますと将来の――非常に先の将来のことですが、こういうことで続いていった場合には、所得の差がだんだん縮まってきて、これは一つにはなりませんから、ある一つの狭い幅の中にみなが入るのが私は実は望ましいと思う。ところが資本主義というものの性格からしますと、そうならないのです。要するに下も上がることは上がってきておりますが、上はそれにも増してどんどん伸びていくというのが、私は資本主義生産というものの本質的な性格だと思います。これは表にも明らかになっておりますが、四ページに「所得税納税者からみた所得階級別の所得分布比率」というのがあります。これは大蔵省の主税局からいただいた資料でありますが、これを見ておりますと、昭和三十年度には五百万円以上の方は二千人しかなかったのに、昭和三十四年度には七千七百人にもふえてきた。ここにずっと並んでおります点線以下が大体三十万円以上の所得の人の場合でありますけれども、これを横に見てみますと、こういうことが出ております。三十万から五十万のところは二百八十五万二千人であったものが四百二十三万七千人に非常に人数がふえて、一・五倍にふえました。大へんけっこうなことです。しかしそのふえ方は上にいくほど多いのです。七十万円までは二倍にふえ、百万円までは二・八倍にふえ、二百万円までは二・九倍にふえ、五百万円までは三・五倍にふえ、五百万円以上は三・八五倍にふえる。上にいくほどふえてくる。このことは私が今申し上げましたように、資本主義生産というものは上へいくものの伸び方が非常に大きいということを一つここで表わしているわけです。下もなるほど上がってきますけれども……。そうすると、望ましいある幅の中に入るなどということは、実は資本主義生産では大体非常に困難である。そうすると、問題はどうなるかというと、下をいかにして上げるかということが基本的な問題にならざるを得ないだろうと思うわけです。われわれはこんなにどんどん広がることを認めないのです。なるたけある幅の中にみんなに入ってもらいたいというのが社会党の考えですけれども、これは資本主義生産ではこういうことになる。
 そこで今、日本の国民の所得階層というものはどういうことにあるのか、政府のお考えもそういうふうにしたいのだということではわかりましたけれども、その関係をちょっとここから見ていきますと、所得階層は一体どういうふうに分布をしておるか、これが一ページに出しておる表であります。この第一表は、国民生活白書三十五年版から拝借してきたものですが、私は率直に言ってことしの国民生活白書は非常によくできていると思う。そのごらんになった角度は非常にいいので、これがほんとうに政治の上に現わされてくるならば、私どもの願っておることは徐々にでも進行するだろうと思うのであります。ただ私がここで見て非常に疑義がございますのは、この統計は、実は総理府統計局の就業構造基本調査と農林省の農家経済調査を合わせて一本にされておる表であります。おもしろいのは、平均所得のところを見ますと、農家の平均所得が三十四万円、勤労者の世帯が三十三万九千円、業主世帯が三十二万六千円、こういうふうに出ておりまして、私どもこれまでの委員会では、農業所得というのは何か非常に格差があるように伺っておったところが、この統計だけを見ると、一番多いのは農家の所得だ、その次が勤労者で、その他業主世帯が一番少ないということが実は出ておるわけです。多少説明書きはついておりますが、この問題について企画庁でこういうふうに並べられたのは、私は少し問題があるのではないかと思っております。それからもう一つ、そのために国民生活白書に書かれておる農家との比較は、ことごとく農家が非常に高い水準にあるように出て参っておる点、これは誤解を招く点ではないかと思うのです。
 そこで、ここまできましたからちょっと農林大臣に一つ伺っておきたいのは、この農家経済調査で見ますと、昭和三十三年度の農民の所得は、農業所得が約二十万円、農業外所得十四万円合わせて三十四万円、こういうことでございますが、この間からの議論によりますと、所得倍増で農業所得というものは五〇%ふやすんだ、こういう議論がここで出ておりますが、基準年度における農家世帯の所得水準というものは、三十四万円で一体よろしいのかどうか、これを関連して伺ってみたい。
#76
○周東国務大臣 これは御指摘のように、農家経済調査に基づいての報告であります。それに基づいての数字でありますから、大体さように考えております。片一方の今御指摘の勤労者の方の関係は、十分御承知の通り総理府で作っておりますが、これは現在は二十八都道府県関係だったと記憶しますが、そういう点で多少統計上のまだ完全でない点もあるのじゃないかと思っております。一応私どもは、農家経済調査に基づいて出した農家の所得水準というものをさように考えております。
#77
○堀委員 今のお話ですと、農業所得の方が正しくて、その他の所得の方がちょっと違うような受け取り方になりますね。実は就業構造基本調査というものは、普通の家計調査と違いまして、非常に範囲が広くて、対象は十九万五千二百五十二世帯、これは国勢調査に次いでの大きな規模の調査でありまして、信頼度は非常に高いものだと思っておりますが、そちらの方が少しゆがんでいて、この方が正しいんだ、これでよろしゅうございますか。重ねていえば、就業構造基本調査の方が少し問題があって、農林省はこれでいいんだ、こういうことでよろしゅうございますか。
#78
○周東国務大臣 お話の点でありますが、今の勤労者の方の関係は、御指摘のような調査の方法であって、ただし、これはさっき二十八都道府県と申しましたが、間違いでありまして二十八都市であります。その点について一つの資料にはもちろんなりますが、これなんか今後の問題としては十分完全なものに補完していく必要があるであろう。一応一つの資料にはなると思いますが、直ちにこれとこれと比較してどうということについては、まだ完全だとは思いません。
#79
○堀委員 いや、私は統計のことを伺っておるのじゃない。実体の農家平均の所得水準は、三十四万円と理解してよろしゅうございますかということを伺っておる。所得倍増計画で五〇%ふえて参りますと、将来のあるべき最終地点においては、三十四万円の五〇%、十七万円ふえますから五十一万円になるわけでございますから、基準年度におけるところの金額に動きがあると、倍増という議論は一つも進まないわけです。基準年度はこれだ、ここから幾らにふやすんだということで初めて話が進みますから、その基準年度におけるそれを三十四万円でよろしゅうございますかということを伺っているのです。
#80
○周東国務大臣 その点は大体お話しの通りであります。ただし、これは農業関係からの所得でございまして、農家所得としては、これ以外に農外所得というものが考えられるものでありますから、つけ加えて申し上げます。
#81
○堀委員 農林大臣、よく理解していられないと思いますが、三十四万円は農業所得二十万、農業外所得十四万の総計でございますから……。まあよろしゅうございます。
 総理を初めとして今度の政府は、何かというと非常に統計を出してこられる。統計ではこうなっておる。こういうふうにおっしゃる。じゃその統計というものは一体どういうものかということをちょっとここで拝見してみたいと思うのです。皆さんの表には線を引いておりませんが、私、本日これから議論をいたしますのは、大体国民の所得階層別を上から下に見まして、ちょうど月収二万五千円の人のところで一ぺん横に切って、上と下で一回ものを見てみたい、こういうふうに考えておるのであります。なぜ二万五千円で切ったかと申しますと、あと出てきますいろいろなものを調べてみると、二万五千円のところに一つの線が引けるような感じがするからでございます。まず二万五千円の層、要するに年所得三十万円のところで区切って今のこの表を見ますと、どういうことが起きるかと申しますと、農家では三十万円以下の所得のものが、この農家経済調査で見ると四三・一%なんです。ですから上が五六・九%、上の方が多いことにこれでは出てくるわけです。そこでこれは先ほどの委員会で稲富さんがおっしゃっておりましたが、農家世帯、これは六百万世帯なんですが、国民生活白書では五百二十五万世帯と出ておりますが、そこらは大体いいですが、その中で所得税を納めておるものは約四十万戸、こういうようなお話でした。大体そんなものじゃないかと思います。そうすると三十四年度あたりで所得税を納めておりますものは、農家世帯の中で一割に満たないわけです。この前周東さんも確か九%くらいだとおっしゃいました。ところが農家世帯というのは平均世帯人員が五・七人くらいですから標準世帯に比べると少し多うございますから、基礎控除を落としてきますと、税金統計で見ますならばもう少しふえるだろう。基礎控除があるから減っているだけであって、世帯を標準世帯に並べて見るならば四十万世帯というのが五十万くらいには当然なるんじゃないか、これは概数であります。大体それで見ても三十万円以上の所得のあるものは一割しかないように所得税の税金の面では把握されるわけです。ここで私が問題に取り上げたいのは、この国民生活白書で出ておりますこの総数のところで、年所得三十万円以下の者は五一・七%になるのでありますが、その次の三ページ、これは厚生省がおとりになっておりますところの厚生行政基礎調査でありますが、この厚生行政基礎調査で三十四年で見ますと、点線を引いてございますその累積比のところで見ると、実は七八%二万五千円以下の所得階層がございます。さらにさっきの税金統計、これを計算をいたしますと、実は昭和三十四年で、ここの点線の書いてありますものから上の世帯数は六百三十二万三千世帯でございまして、その比率は全世帯を二千百十五万世帯と見ますと、約三〇%になるわけです。これは二万円以上の税金を納めておる人が同一世帯に二人いるということはほとんど考えられませんから、この人数と世帯数を合わせてみればいいと思います。そうすると税金の統計から見ると年所得三十万円以上のものが七〇%、厚生行政基礎調査の方で見ると七八%、ところが就業動向基本調査と農家経済調査を合わせてみると五一・七%しかない、こういうことが出ております。そこで私がこの三十四万円が違うんではないかということを申し上げるのは、就業動向基本調査の方で農林漁業自営業種の所得が出ておりますが、これは二十八万円以下に八八・五%出ております。そうすると大体それ以上が一〇%余りで、それ以下が九〇%くらい農家の場合にはある。ということは税金の場合、今ここで申し上げました税金を納めておる人の問題と、今の全体の納税者の問題から見ますと、やはり下の方に八〇%近くがあるんじゃないか。要するに三十万円以上の所得のところで、農家で出ておるものは全体の一〇%から最大二〇%くらいじゃないか、ほかの統計から推定をしてみるとこういうふうに感じるわけです。大臣は今水準としては三十四万円でいいんだとおっしゃったが、もし三十四万円の水準でこれが十年間に五割ふえるんだというようなことであるならば、私は大へんけっこうだと思うんです。農家というものは今でもけっこうだと思うんですが、そうではないんではないか。農家経済調査自体は、私は調査そのものとしてはけっこうだと思いますが、その調査対象は五千四百三十三世帯しかありません。全国でとっておられますけれども、私の見たところではどうも所得階層の高い方にそのサンプルの比重が重なっているのではないか。だからここで伺いたいのは、農家の所得というものは農林省はほんとうにわかっているかどうか。そういう意味で、分布は一体どうなるのか、これ以外に、農家経済調査以外にそういう所得階層を見たものあるいは農家所得の水準を他のものと比較して見得るような統計資料があるかどうか、この点をちょっと伺っておきたい。
#82
○周東国務大臣 私どもの方では農家経済調査をもとにしてすべての計画を立てておるわけであります。ただいまお話しの三十四万何がしには、先ほどもお話しのようにその中には農外所得も入っている。問題は、この間から農業所得を一体どう上げるかということについて多少論戦がありましたが、これについては三十一−三十三年の基本年度から目標年次四十五年の約十二年ぐらいになりますが、それぐらいに現在の伸び率を考えて大体一四四何がし、五割近いものになる、こういうことを申しております。ただいまの三十四万何がしについては、家計調査に基づいて私どもは議論をいたしているわけであります。
#83
○堀委員 私は、今申し上げたことが上手にちょっと理解されておらないように思うのであります。実はちょっと今触れましたように、統計の取り方によって非常に所得階層での数が違ってくるということですね。だから農林省統計というものは非常に高いところに農家があるように出ております。厚生行政基礎調査で見ましても、三ページに国保加入世帯というのがございます。国保加入世帯というのは農家と、それから一般の業種世帯の合計でございます。この厚生行政基礎調査は聞き取り調査として少し低く出ておりますから、私は何もこれで三十万円以下の所得が、いきなりここで国保加入世帯が八六%あるからこれがそのままだとは言いません。幾らか差し引いて考えなければなりませんが、それにしてもちょっとほかのもの、農家経済調査と比べると開き過ぎる。さらに今の税金統計から見ても開き過ぎるということになると、私は農家経済調査というものは、その農家の中身のいろいろな経済の収支を見るのにはよろしい。しかし全体の中における農家の位置を把握ずるための資料ではないと思うのですが、全体の中における農家の資料をこれによって把握してよろしいと、これを土台にして今後農林行政を討論してよろしいということであるならば、そのようにお答えいただきたい。これはやはり私は基礎が問題だから重大だと思います。
#84
○周東国務大臣 御指摘のように統計について実はいろいろな観点から、その用途の関係から基礎が違った統計が私は残念ながら多いと思います。従って今後農業基本法等に基づいていろいろ施策して参る上においては、よるべき統計に関して、従来の統計というものをいかなる形に整備するかということは今後の問題であろうと思います。私どもは大体今日まで農家経済調査というものをもとにして大体の方向を定めておりますが、これにもいろいろとまだ補完すべき点はある。こういう点及びそれと比較さるべき都市勤労者等の所得関係の調査等におきましては、一応現在の家計調査、そういうものを補完しつつ、統計を整えていくことが必要ではないか、かように考えております。
#85
○堀委員 企画庁長官に伺いますが、今私が申し上げたように、統計はそのとっておる役所々々でいろいろ違うわけです。そこで国民生活白書では就業構造基本調査と農家経済調査を並べてお出しになったわけですが、企画庁としては月収二万五千円以下と以上は大体どのくらいあると――統計にこだわらなくていいですよ。統計というものはいろいろな前提がありますから、その前提部分を除いたとして大体幾らくらいになると考えられますか。統計通りの答えなら聞かなくてもいいです。
#86
○迫水国務大臣 国民生活白書に載っております数字を使っております。
#87
○堀委員 こういうことになると、これはちょっと、各省で一体どこが違うのか言ってもらわないと困るということになるのですが、私は統計というものはこういうものだと思っております。就業動向基本調査は、それはそれなりに私は相当正しいものだと思います。さらに大蔵省の主税局で集められておる資料も、私はそれなりに正しいと思う。高額所得を把握する点においては、私は比較的大蔵省の主税局の調査が正確なのではないかと思うのです。ただここで問題が起きてくるのは――勤労者世帯については主税局の調査は百パーセント正確です。ただ事業世帯につきましては、所得の把握というものが百パーセントいっているか八十パーセントいっているかわかりませんから、この部分においては多少ズレがあるかもわかりませんね。だからその部分のズレというものは、私は別の角度で見ていいんだと思います。そういうふうにして統計を見ていって、そして一体ほんとうの実態はどこにあるかということを、われわれやはり政治に携わる者は一応腹の中に持っていなければならぬ。それは統計によって、今企画庁長官がおっしゃったように国民生活白書だけでよろしいんだ、こういうことになれば、ここの国民生活白書の中の総数の、要するに月収三十万円以下の者は五一・七%、半分しかありませんということで議論を進めていくのか、そうではなくて、この五〇%と税金から出てくる七〇%の中で、六〇%か六五%くらいはあるんではないかというのなら、それなら私は話がわかる。それはどうですか。企画庁長官、そこのところはあなたはやはり国民生活白書のままでございますと言って言い切られるのですか。
#88
○迫水国務大臣 非常にやかましい御質問ですけれども、経済企画庁がいろいろなものを考えます場合には、この、うちの統計、国民生活白書に載っている数字を使っております。お話を承っても、ほかの方との不突合の点がいろいろあるように私も多少思いますし、ただいまの三十四万円のところも注釈をつけておりますように、修正すると三十万円くらいになるだろうというようなことが国民生活白書には書いてありますが、そしていろいろ話を聞きますと、この統計は大体少し高目に出る傾向があるとか、この統計は大体低目に出る傾向があるとか、それぞれ癖があるようなんでして、それで達観するわけですけれども一応数字を使うときには、うちでは白書の数字を使いますということを申し上げます。
#89
○堀委員 私は経済企画庁長官に伺ったのは、統計は内閣総理府の統計局でお出しになる、あるいは各省で出て参る、これは統計個々にいいと思うのです。ただ企画庁は、私はそういう話は納得できないのです。企画庁は、出てきたいろいろな統計を土台にして、その中から一体ほんとうの実態はどうかということを判断するために企画庁はあるんじゃないですか。ただ出てきたものを、そのまま並べておいて、これが出てきたからこれでいいんだ、というために企画庁があるんだというなら、皆さんあれだけたくさんの人がいて働く必要はないんじゃないかと思うんですよ。だから企画庁というものは、出てきた材料をいろいろな状態――今おっしゃったように、高く出る、低く出る。いろいろな状態を勘案して、実態はここだということを基準にしないで計画を組まれたら――よろしゅうございますか、所得が三十万円以上と以下が半々にあるということで、今度の経済見通しやその他組まれておるわけですね。こうなったら、この経済見通しなんというものはまさにナンセンスだと思うのですが、どうでしょうか。
#90
○迫水国務大臣 私は経済見通しとこの所得の分布の問題とは、直接結びつかないのではないかと思っております。従いましてこの数字を使った経済見通しというものはでたらめだというお話は、私はちょっと困ると思うのです。もちろんいろいろな統計がございまして、その間には、先ほど申しましたように癖もあるので、それぞれ事務当局が非常に苦心惨たんをするらしいのですけれども、一応の判断はもちろんそこのところを通してはおるわけですけれども、結局だんだんに統計を整備していくという以外には方法はないんじゃないかと思っております。
#91
○堀委員 そうすると今出ている政府統計は、前提の範囲では使えるけれども、統計がこうなっているからこうだというようなきめつけ方は間違い――と言うとちょっと語弊がありますが、きわめて問題がある、こういうことでございますね。
#92
○迫水国務大臣 若干の誤差はあり得る、こういうことです。
#93
○堀委員 若干の誤差にしてはちょっと――今申し上げた七〇%、七八%、五〇%とこう三つ並んで、これで若干の誤差でございますか。
#94
○迫水国務大臣 私は若干の誤差だと言っていい範囲じゃないかと思うのです。というのは、その数字自身を比べますと非常な大きな差ですけれども、その統計が出てきたところのもとを考えていきますと、技術的にそれが完全にぴしっと合うようにはいかない。やはりとるところの資料も違うでしょうししますから、まあ誤差と言っていい範囲じゃないか、少し大き過ぎるような気もしますけれども、そういうふうに思います。
#95
○堀委員 私は七〇%と七八%――一〇%ぐらいの誤差はやむを得ないと思うのです。上下一〇%ぐらいの差は、今のようなとり方であれば、特に所得統計はむずかしいからやむを得ないと思うのですが、五〇%と七〇%を若干の誤差とおっしゃったんでは、第一科学性が失われると思いますが、それはそれでよろしゅうございます。
 次に、こういう中で私が特に今の議論をしますのは、最初に触れました所得格差を議論するためには、正確な所得階層の分布が把握されていない限り、何年たったらその所得の動きがどうなるかということは、なかなか正確につかめないと思うのです。だから所得倍増ということは所得格差を縮めるのが目的であるのだということが、ほんとうにそうであるならば、まず土台にとった基準年次の所得階層における国民の状態が正確に把握されていて、それが望ましくは、十年先はこういうことになるんだということが出されるならば、私は国民は納得すると思うのです。しかしあなたは、これは三十年、三十四年を比べると過去の問題でいろいろ問題があるとおっしゃいますが、問題を科学的に見るときには、将来の問題の前に過去の分析を正確にして、過去の経済の伸び率の中ではどういう変化があったかということを正確に確かめずして、将来に対する見通しが立つとお思いですか。私は立たないと思う。そこで一番肝心な国民所得階層の分布すら、このような不正確な状態では、第一私は困ると思う。そこで、それは今後の問題として、一つ企画庁では来年の予算委員会には、私がこういうことを言わないで済むような資料を一回見せていただきたい、これが一つです。
 その次に、あなた方は所得格差は動かないとおっしゃるのですが、私はさっき開いていくといったことを、もう一回ここだけを一つはっきりしておきたいと思うのは、総理がこういうことを言っておられるのですね。税金の統計で見ると、ともかく三十万円以上の層はだんだんふえてきております、三十万円以下の層は大体横ばいなんだから、これを見ても、統計で所得格差というのは縮まっているんだ、こういう表現でおっしゃっておるわけですが、ここへ出しました統計で見ますと、その三十万円以上のところは、なるほどふえてはきております。ふえてはきておりますが、そのことだけで所得格差が縮まっているというわけにはいかないのであって、私がさっき申し上げたように、税金統計で見ますならば、ここに、その次の五ページをごらんいただくとそれが出ておりますけれども、三十万円以下のところは、ともかく所得の伸び率で見ると、二十万円以下三十万円のところはマイナスになって、一番ふえてきた所得の総額はどういうふうに分配されているかというと、三十万円から五十万円のところは四一%、その次に三二%というふうに上の方だけは非常にふえてきておるわけです。要するにこのことはどういうことかというと、やはり高額所得者はどんどん今ふえつつある。低額もふえつつあるけれども、この広がりは非常に広くなりつつあって、依然として私に言わせるならば三十万円以下の層が少なくとも六〇%から六五%くらいは今のこの三つの統計から私が推定をするならばあるだろうと思うのです。この低所得が六割五分もある中で、部分的に上の方が少しふえたからということだけで、所得格差が縮まってきているのだと総理は言われますが、企画庁長官はどう思われますか。この問題は総理に聞かなければならぬけれども、総理がいないのでしょうがないから……。
#96
○迫水国務大臣 堀さんのおっしゃるのは、一番低い所得者の絶対額と一番高い所得者の絶対額を比較して、所得格差のことを言ってらっしゃるんじゃないかという感じが私には非常にするんですけれども、われわれは、大体国民の大多数が、同じような、あまり幅の広くない、何といいますか、底辺が小さくてぐっとふくらまった、高いところはうんととんがっているかもしれませんけれども、どういうようなふうな格好になることを期待しておる。従って今三十万円以下というようなところがだんだん減りつつあるということは、すなわちそれが所得格差が縮まりつつあるということを現わしているのだ、こう思っております。
#97
○堀委員 ここが議論の分かれるところですが、なるほど下は減りつつあります。確かに上は広がりつつあるわけですね。そうすると、なるほどまん中へ近づきつつあるようですが、近づき方が下の方の近づき方に比べて、上のこれが上に上がっていく上がり方の方が大きいという場合にはどうなりますか。今の実態というのはそういうことなのです。低所得の分の方が上がり方といろものは遅々として上がらない。これは今の五分位階層別でおわかりになったように、一万一千円の者は一万四千円まで三千円くらいしか上がらない。ところが片方はぐんぐん伸びる、伸びの幅が大きいわけですから。そうするとちょっとしか上がらないのと、こう上がったのとがあれば、この差は相対的に広くなるということになるのではないのですか、全体としての傾向はよろしいですよ。私も理解しますから。しかし今のこの伸び方のスピードは、こっちの伸び方よりも上の伸び方の方が早ければ、一斉に並んでスタートしていればだんだんだんだん広がっていくということですね。総体的の全体は前にいってますが、その前にいく増差分だけを見ていくと、そういうことになる傾向があるということを私は言っておる。最低、最上は当然伸びるのだからこれは議論しませんが、そこはどうですか。
#98
○迫水国務大臣 ちょっとこういう例を引くというと問題を起こすかもしれませんけれども、せんだって公務員の給与改定のときに、一律三千円アップという要求がありました。一律三千円アップするのがすなわち所得格差を狭めるゆえんだというのか、全体的に平均して一二%なら一二%上げる、この前の公務員給与の改定はちょっと例になりません。上の方を少し厚くしましたのは、今までの過去のいきさつがあったからそうなったのですけれども、そういう今の堀さんのお話は、どうも一律三千円アップというようなふうにならなければ、所得格差は縮まらないのではないかとおっしゃってらっしゃるのだと思うのですけれども、私はそうじゃなくて、低所得者の全体に占める部分が小さくなることそれ自身が、所得格差を縮めていく一番大きな表現だ、こういうように思うのです。
#99
○堀委員 そうすると、今のお話でロジックの合わない点がありますね。それはなぜかというと、下のものが大体ふえるのですね。ふえれば減るのです。下のものは相対的に上がるということですね。上がるのですが、上も上がるのですよ。上だけ固定していて下が上がっていくなら、おっしゃる理論は通るのです。下も上がるけれども、上はもっと上がるということを言っているのです。それは今の公務員ベースの上げ方を見ればわかるじゃないですか。下が薄くて上に厚ければ、同じに上げておいたって問題があるのに、さらに加速するような条件を、あなた方おやりになっておる。だから理論はあなたのおっしゃる上は固定して下だけが上がるというならば、所得格差は縮まるが、両方が上がる。上がり方が、下が小さくて上が大きければ相対的にはこの幅が広くならざるを得ない、こういうことではないですか。
#100
○迫水国務大臣 上の方と下の方との伸び率が現在までのところは同じぐらいにきているわけですね。この率が下の方がふえて上の方が少しそれより小さいという状況になることを期待しております。そうすると、今あなたのおっしゃった意味においても格差が狭まってくるのですけれども、しかし全体的に言えば底辺が小さくなって、そうしてまん中がふくらんでいるような格好、上は非常に高い人もいるかもしれませんからとんがっている、こういうような格好になって、まん中がふくらがっておればふくらがっているほど、底辺が小さければ小さいほど、全体の所得格差というものは縮まってきている、こういうふうに思いますが、将来このふえ方の率というものは、過去の統計ではこうなっているじゃありませんかと申し上げるような統計がないのですけれども、これから先は下の方のものの伸び率の方が多くなるような方向になってくると期待しております。
#101
○堀委員 何か企画庁長官の話は、なってくることを期待する、こうおっしゃって、自然になるのを手を上げて待っているような格好ですが、私は政府がそういうふうになるのを期待しておられたのではちょっと困るのであって、そういうふうにしなければならぬということが今統計に出ていると思うのですよ。
 それからさっきおっしゃった中で、同じ率でいったのではいけないから、下の方の率がたくさんになるようにしないと、今言うように所得格差というものは縮まらない、こういうふうにおっしゃいましたね。そうすると、一律三千円ベース・アップじゃなくて、下の方は――一律三千円ベース・アップといったらうんと下が高くなって差がつきますね。その差のカーブは一体どこがいいかは別としても、今後はそういうことをやる場合には、下の率がたとえば三〇%上は五%、こういうようなことでやるのか、やりたいのか、なればいいのか、そこを一つ伺いたい。
#102
○迫水国務大臣 おそらくこの次、公務員の給与でも改定するような場合には、下に厚く上に薄くという格好になると思いますから……。
#103
○堀委員 なると思うのじゃなくて、するのか、やりたいのか、なるのか……。
#104
○迫水国務大臣 そういうふうにしたいと思いますから、従ってこれから先、またある時期にはそれがあまりにもアンバランスになった場合には、との前のような状態で修正をする場合もあるかもしれません。しかし全体的として、とにかく下の方の所得の伸びが上の方の所得の伸びよりも割合が高くなるようにしたい、そういうふうに努力したいと私は思います。
#105
○堀委員 そのしたいということは非常にけっこうですから、ただ、したいと思ったけれどもできなかったときには、なぜできなかったということを次には一つはっきり答えていただかなければならぬと思います。
 そこで、時間がありませんから前へいきまして、大蔵大臣にちょっとお伺いをいたしますが、これは資料の二十一ページでございます。今私が月収二万五千円で区切りました一つの理由は、現在所得税を納めておられる方は、標準世帯として大体年収三十万円以上が納めております、そこから下が納めていない。大体こういうふうに見てよろしいかと思います。そこで私は私なりの試算をしてみたわけでありますから、これは数においては議論があるかもわかりません。大蔵省の方へ一回伺いたいのは、間接税が年々非常に収入がふえて参っております。この間接税は国民の諸階層に全体かかってくるわけですが、この二万五千円の層、要するに所得税課税対象と非課税対象というふうに分けて、一体今間接税は非課税対象のものがどのくらい負担しておるか、お答えいただきたいと思います。
#106
○村山政府委員 お答え申し上げます。間接税の負担のうち、非課税者それから所得税の納税者がどういう分け取りをしているかという統計はまだとっておりません。ただしわれわれの方で月収一万円からそれぞれ一万円刻みにいたしまして、十万円までこれらの人がどんな間接税をどの程度負担しているかということは家計調査から調査いたしました。これは非常に脱漏の多いものでございますので、それについていろいろな推計を加えた統計を持っておりますが、なおこの正確度につきまして目下検討中でございます。こういう状況でございます。
#107
○堀委員 正確度はいいので、ラウンド・ナンバーでも概数でも目安を伺いたいのですがどうですか主税局長、大体の目安でけっこうです。
#108
○村山政府委員 出っぱなしの数字を申し上げます。
#109
○堀委員 出っぱなしじゃわかりません。統計として……。
#110
○村山政府委員 それではいろいろのあれで申し上げますが、月収一万円……。
#111
○堀委員 そうじゃなくて三十万円以上と以下だけで言って下さい。
#112
○村山政府委員 そういう統計はとってございません。
#113
○堀委員 階層別に出ておるなら、ちょっとそこで計算しておいて下さい、あとで聞きますから。――政府にないようですから、ちょっと試算してもらっている間に、私の方で私が試算したものを申し上げますと、これは二十二ページと二十三ページに試算の経過を書いておきました。要するに酒税(間接税)から見た所得階層別の納税比率、これを出して参りましたのは、全国消費実態調査を総理府統計局がやっておられますが、ここの課目別のものの比例、ウエートを持ってきまして、そこで特に大きなもの、清酒第二級、合成清酒、しょうちゅう、ビール、その他、大体こういうふうに分けてみましたが、今の所得階層で見ますと、二万五千円以下のところで清酒は二四・二%、二万五千円以上が七五・八%、合成清酒は下が三七%、上が六三%、しょうちゅうは下が四九%、上が五一%、ビールは下が一七・八%、上が八二・二%、その他は一五・八%と八四・二%、雑酒もいずれも上の方が多い。こういうものを私が調べてみるときに問題になるのは、国民の中のその線で引いた上下が一体何%ずつあるかという結論がはっきりしてこないと、こういう問題は検討が非常に困難になるわけなんです。しかし一応こういうふうに計算を置いた。たばこもやってみました。これももちろん中には贈答品の問題とかいろいろありますから、概算の目安としてごらんをいただきたいのですが、それで見ても月収二万五千円以下の層で負担しておりますものは、地方税関係の間接税を除いても現在千四百九十八億になるのです。残りの方は三千億余りのものが上の方で負担をしておられることになるのですが、ことに増差で見ますとどういうことになるかといいますと、間接税の伸びて参ります増差額をこういう格好で配分してみますと、所得税を納めておる階層が大体六百三十二億、去年からことしへかけてさらにふえている。そうすると、所得税で減税されたのが六百十億ですから、間接税で巻き上げた分と減税した分と、月収二万五千円以上の層は相殺されますから私は可処分所得の変化がないと思う。ところが下の層はどうかというと、私の試算によると、二百二十億円間接税で負担を今度は取られることになる。そうすると上の層は減税があって差引があるからいいけれども、二万五千円以下の層は間接税だけ二百二十億余分に取られるということが現実に起きてくる。今企画庁長官がおっしゃったような、下の方を厚くしようというにもかかわらず、下の方から余分に取っていく、上の方は減税で相殺したけれども、下から余分に取るということがはっきり出ている。金額は多少動きがあるかもしれません。しかしその傾向はいなめないと思います。大蔵大臣どうですか。今のこういう税制の問題。
 もう一つ、ちょっと承っておきますが、租税特別措置法で千五百億以上、皆さんは大資本のために減税をしていらっしゃる。百二十五億くらいこの中から引き上げるのだとおっしゃる。そうすると、大資本の方は租税特別措置法の面で見るならば百二十五億ふえる。零細の方は二百何十億ふえる。これは実は問題があると思うのですが、こういう税制の取り方はどうですか。
#114
○水田国務大臣 税金を納めていない人は、今度の減税の恩恵を受けないということは事実でございますが、この間接税の問題は、これは個人が何も消費しないという場合には税金はかからない。消費がふえていけばいくほど間接税の負担が多くなる。消費がふえていくということは、それだけ所得が増していくということを物語っておるわけでございますので、国民の所得がふえて、そうしてそのために消費を多くして間接税を負担するということは、その層に対して増税したというわけのものではございませんし、私はやはり国民全体の所得がふえて、消費を多くして間接税を負担していくという現象は悪い現象ではない、むしろ好ましい現象だと思っております。この所得のふえ方が要するに少ないかどうかという問題で、これは今の経済成長政策によって所得の増加層が多く出てくればこれが納税者になってきますし、税金の恩恵を受けられるということになりますので、この間接税の問題は消費がふえて間接税がふえるということ自身が、これはもう悪い現象だということは言えないだろうと思います。
#115
○堀委員 ちょっと今聞き捨てならないことをおっしゃった。ともかく所得がふえ間接税がふえるのだから、その負担がふえるのはしようがないのだというふうに聞こえるのです。しかしこれは大臣ちょっと問題があるのじゃないですか。酒の場合だって半分くらい、たばこなら七割くらい税金を取っていて、そしてちょっと暮らしがよくなったからというので、これまで押えていたものを、たばこを少し吸いたい、酒を飲みたいという人が、今の税率のままで負担して、それはお前が飲むから悪いのだということの議論につながるように思いますが、それじゃちょっと問題があるのじゃないかと思います。今酒やたばこを飲んでいる状態が、低所得の人たちは思う存分飲んでいるとは私は思わないのです。家計が苦しいから、その中で無理して飲んでいると思うのです。その無理して飲んでいる状態は、今の酒の分布に出ておるわけです。しょうちゅうなんかの分布が低所得者の方にたくさんいっていて、ビールの方は高額所得の方にいっている。ピースなんかを見れば高額所得にほとんどいっておるが、彼らはその中で選択して一番安いものを飲んでいるわけです。しかしそれでももう少し飲みたいというときには税金にはね返ってくるのですから。私は増税とは言いませんよ、しかし負担が増加しておる。この状態がこれでいいとは考えられないと思う。大臣はこれでいいのですか。
#116
○水田国務大臣 ですから、私はたびたび申しておりますように、ことしの減税は所得税、法人税を中心にやった、これから来年度の日程としては、この間接税の問題に入っていくつもりだ、その間接税の扱い方もなかなかむずかしゅうございまして、政策的になるたけ消費させないという目的で税をきめてあるのもございますし、そうでなくて各階層自由に品物が選択できるような品種をいろいろ設けてあって、一定の所得層が大体こういうものを消費するだろうという選択可能のようにしてはありますが、実際の統計で見ますと、高所得層が、たとえばたばこにしますと割合安いたばこを吸ったり、低所得層が相当高いたばこを吸っている。これは嗜好品でございますから、こういう点は一がいに律するわけにもいきません。むずかしい問題がございますので、そこらを十分に勘案して、そして直接税との関係でどういう比率で間接税を決定することがいいかというような問題は、これから根本的にことし一年やって、来年度これを税制の改革に実現したいと思っております。
#117
○堀委員 そこで自治省大臣に伺いますが、これはきのうも川村さんからお尋ねになっておりましたが、実は総理はこういうことを言っておられるのです。一番下の層は社会保障の生活保護その他で恩典がいっている、上の方は減税その他で恩典がいっている、まん中のところは非常に取り残されておるのは遺憾であるから、これは野田さんの質問に答えられておるのですが、電気ガス税を減税したいというようなことを総理は答弁しておられるのです。そこできのう実は伺ってみると、何とその減税が二十五億で、遊興飲食税四十三億ということになるわけです。今の電気ガス税なんというようなものは、上の方がたくさん使っておりまして、下の方が実は消費量が少ないので、負担はなるほどそれは上の方がたくさんしていると思いますが、減税の面で見ると、税制調査会は三百円の基礎控除を作るということになっておりますけれども、遊興飲食税の四十三億というのは、免税点三百円でございますか、それから比べて低所得の人は大体ここで済んでいるのじゃないかと思うのです。もちろんそれは大まかなことですけれども。そうすると、これをふやしていくということは、より高い層に恩典がいくようになると思うのです。電気ガス税の場合には唯一の残された下の階層に対する減税じゃないかと私は思っておるのですが、これが二十五億で、遊興飲食税が四十三億というのは、そういう所得格差を縮めるというような配慮が一つも私は見られないと思うのです。これが逆になるようなわけにいかないのですか、自治省大臣。電気ガス税の方を四十三億にして、遊興飲食税の方を二十五億くらいにするというふうにはいかないのですか。
#118
○安井国務大臣 昨日もお答え申し上げましたように、まだこれは草案でございまして、いろいろ電気ガス税につきましても、目下まだ検討はいたしておりますが、これをちょうど逆にするというふうには今のところ考えておりません。
#119
○堀委員 大体これでも低額所得者よりも中額以上の所得者の方に、私は恩典が多いように思います、この減税のあり方も…。その点はこれはこまかいことになりますが、相当私は問題があるのじゃないかと思います。
 次に、またちょっとあちこちいきますが、農業所得の関係を調べておりますと、さっき申したように、農業所得三十四万円の基準の中身は、二十万円の農業所得と十四万円の農業外所得だ、その農業外所得の分布を農林省の租税公課負担調査によりますと、一番農業外所得が多いのは近畿地方で二十万四千円、それから瀬戸内海が十八万五千円、東海十七万円、その他の地域は南海が八万三千円で一番低いけれども、おおむね十二万円から十五万円に分布しておる、こういうふうに出ております。このことは昨日も工業立地の関係で出ておりましたけれども、近畿地方に非常に工場が集中しておるために、農家所得の中に占める農業外所得が大きいのだということがわかっているので、これは当然工場がもっと分散されなければいけない。これは皆さんがおっしゃっておることなんです。ところが現実はどうかというと、資本主義という世の中は好きなところに建てるということをいけないと言うのはなかなかむずかしいのじゃないか、こう思うのです。農林省の方ではやはりきのうも――きのうは自治省でお答えになったか、企画庁か忘れましたが、できるだけ分散したいということをお話しになっているし、総理もこの問題については、オーソドックスな考えではいけないのだということを答えられておるわけであります。
 そこでちょっとこれに関連して通産大臣にお伺いをいたしたいのですが、今の農業所得の関係で見て、コントロールをするようなことが新聞に少し出ました。工業立地についてコントロールしたいということが出ましたが、一体コントロールされる意思があるのかないのか、首相はオーソドックスにはやらないと言われるのなら、オーソドックスでない方法が考えられるので、通産省としても何かお考えがあろうと思うのですが、その点をちょっとお伺いいたしたい。
#120
○椎名国務大臣 新聞にどう出ておったか、私は知りませんが、とにかく従来工場立地の調査を通産省でいたしております。それは目星をつけて、全国各県にまたがって、各全国通産局が主体となって調査をいたしております。当該市町村と共同して調査をやっておるのであります。それだけでは工場分散計画というものに有力な資料とはなりませんので、その規則を今度改正をいたしまして、今度は各産業の業種から見て、たとえば石油なら石油、鉄なら鉄、そういったような産業がどういうところならば、自分がかりにその工場を新しく建てる場合に、好ましい条件であるかというようなことを、各業種について調査をいたしまして、そしてその調査に基づいて、現実に工場の進出を企てる企業に対して有効な参考資料を提供する、それ以上進んで、これを勧告するとか強制するとかいうことは、ただいまの政治のとり方からいきまして、適当な限界を越えるものであります。有力な参考資料を提供する、そういうことに考えております。
#121
○堀委員 今石油のことが出ましたから、ちょっと私非常に象徴的な問題に一つ触れておきますが、実は今西宮市というところで海岸地帯を埋め立てて、そこに日本石油が自分で土地を埋め立てて工場を建てたいという問題が起きております。この石油工場は、コンビナートを含めますと一日に十五万トンの淡水を必要とするのだ。ところが、尼ケ崎――私は尼ケ崎にいるからよくわかるのですが、尼ケ崎市だけでも今工業用水に困っておりまして、あの付近ではもう認められるべき工業用水の資源が十分にない。琵琶湖を開発するとかいろいろありましょうけれども、非常に今水がないので困っている地域に、今日本石油がさらに土地を埋め立てて、日量十五万トンの工業用水の要るような工場を建てるのだ、それもその土地は自分で埋め立てるのだというようなことで、問題が起きているわけです。そうすると農業所得の問題から見るならば、私どもは、そういうものは今おっしゃった水もありその他の関係のあるところへ建つのが本来の工業立地のあり方であって、これだけ集中しておる阪神間の中に、工業用水すらもないところに無理に建てなければならぬというようなことであるならば、私はこれがもし建つとするならば、政府の工業立地政策なんというものは、言うだけであって、何らその問題は実現していかないのじゃないかと思うのです。だから工業用水の関連から見ても、あるいは農業所得その他の国民の所得格差の問題から見ても、分散をすべきものだと思うものには、何らか私はそういう方にやれという、強制はできないでしょうが、政府の施策全体の中で、そういうことが起こらないような指導が行なわれない限り、これはきのう企画庁長官のおっしゃったようなことはできないと思うのですが、通産大臣、どうでしょうか。
#122
○椎名国務大臣 今お話の西宮の海岸に埋め立ての計画を持っているということは私も聞いております。それで、あの地帯は御指摘の通り非常に工業用水が乏しい、現在においてすでに大騒ぎをしているような状況でございますから、そういうところにまた工業用水を多量に使うようなことはほとんど不可能に近いということを、これは暗に向こうの方に響かしておりまして、ただ精製工場だけならば、そう水は使わない。コンビナートにして初めて今お話のような工業用水を多量に使うのだ、少くともそういう場合には精製会社だけにあるいはとどめる計画かもしれません。これは私の推測であります。
#123
○堀委員 実はもうこの問題はこれだけにしますが、日本石油は――御承知のように、これからの石油工場は精製工場だけ置いたのではうまくないのでありまして、コンビナートにするのが原則であります。コンビナートにすると十五万トンの水が要る。十五万トンの水を供給しなければできませんということをはっきりいっているのですが、私がずっと県その他を調べてみますと、現在十五万トンの水を取るためには、福知山線の向こう側をせきとめて、鉄道をどこか横にやっちゃって、ダムを作ればできるのだというような話が白昼横行しておるわけです。だからそんな夢物語でなくて、われわれはもうちょっと真剣にこういう問題を、工業用水の面だけではなくて、日本の国全体の経済の問題で考えるべきではないかと思いますので、その点については政府として、そういう暗ににおわせる方法でもよろしいから、何とか考えていただきたい、こういうふうに思います。
 その次に、これまで消費者物価指数のことがしばしば問題になっております。ちょっとこれを一つ、私、企画庁長官に伺いたいのですが、今度の消費者物価は、見通しによると一%ぐらい上がるのだと、こういうお話でございます。ところが実際の過去の状態を見てみますと、必ずしもその程度で済んでいないということでございます。私いただいた資料が今ないのですが、たしか三十三年においても、三十四年においても、三十五年においても、当初の伸び率の見込みに比べると、はるかに実際が上がっているのです。これは御承知の通りだと思うのです。そこで、今度一%上がるとおっしゃるのですが、私さっきの統計の問題で触れたいことは、統計的に見ると一%ふえるというのは、ふえないということなんですね。百の中で一ふえるなんということは、実際の全体で見ればふえないと同じことですから、ふえないのだと理解していいと思います。そこで今ずっと消費者物価の動きを見ておりますと、これが去年まで三・二くらいふえましたね。ふやさないということになると相当何か意欲的にやらないとトレンドがふえる傾向にあるわけです。ふやさないということになると、相当意欲的な何かをやらなければならないが、実は意欲的な問題よりも、公共料金その他は上げる方向に傾いている。この消費者物価を論ずるときに非常に問題になりますのは、今一本で出ております消費者物価指数、一本で出ておるということは、さっき触れました所得階層で見ると、一万四千円くらいの方も七万円の方も平均して出てくるわけですね。ところが物価が上がって一番困るのはだれかというと、七万円の人じゃないのです。月収七万円の人はちょっと上がってもこたえないのです。一万四千円の人が一番こたえるわけですね。所得階層で見るならば、低ければ低いほど、物価が上がったときには、同じように上がるのですから、こたえ方は大きいのだ、ということになりますと、ほんとうに必要なのは、一番下の層、五分位階層別に見ると、一番下の層はこれだけの物価が上がったらどういうふうにこたえるか、これがわかれば、あとの人はそれよりこたえ方が少ないということがわかるから、ここが私はほんとうの消費者物価としては問題がある点ではないかと思うのです。エンゲル係数で見ますと、五分位階層別で見ますと、昭和三十四年には一番収入の多いところは三二くらいと書いてありますが、下の所得の少ないところは五〇くらいにとまっているのですね。だからこれだけの開きがある。食べるものの内容がみな違うのです。片っ方は安いものを食べて、イワシかなんか食べておる。片っ方はタイを食っておられるかもしれないのですから、こういうような所得階層の中で消費者物価の動きを見ておくのでなければ、全体一本で議論をされて、このくらいの値上がりは大したことはないという議論は、私は通らないと思う。幸いにして、この間ちょっと企画庁に伺ったら、今度はそういうふうに階層別にウエートをおいて試算をしてみましょう、こういうお考えのようで、私は大へんけっこうだと思うのですが、そこで私が伺っておきたいのは、その一%、要するに動かさないのだということは、今のこれまでの公共料金を上げておることと実際問題としては非常に違うのじゃないかと思うのです。だからこれはどういうことか、そこをもうちょっと伺っておきたいと思います。
#124
○迫水国務大臣 一・一%上がるということは動かさないということなのだろうとおっしゃるのですけれども、やっぱり一・一%上がるということなのでして、大体一・一%の程度でとまるであろう。これは当たらずといえども決して遠くないという見通しを実は立てたわけでありまして、過去の三十四年、三十五年の例が当初の見通しよりも大体三倍くらいよけいに上がっていることは事実でございますが、同時に成長率の見通しも非常に悪くて、大体倍とか三倍とかいう成長をしてしまっていることを考えますと、ことしは昭和三十三年、三十四年に比べればよほど正確度が高いと実はこう思っておる次第でございます。
 なおちょっと一言申し添えさしていただきたいと思いますが、先ほど下の方の階層が上の方よりも所得の伸び率が少しでも高いものがあるという、こういう統計がうまくないと申したのは、あなたのお作りになったやつを急いで見て、なかなか見つからなかったから言ったんですけれども、応援団が数字を出してくれましたから、御参考までに申し上げておきます。これは賃金水準の推移でございますが、五百人以上の大事業場に勤めている人の賃金と、三十人から百人までの間の中小企業、その賃金の比率というのは、昭和三十四年の一月から六月をとりますと、中小企業の中の大企業に対して五八%であったのが、三十五年の一月から六月をとりますと、これが六〇%まで上がっておるという数字を探してくれまして、これはまさに低い方が伸び率が高いという一つの例でございますので、御参考に申し上げます。
#125
○堀委員 そういうそれはありましょう。私も何も私が申したことが絶対だとは言わなくて、政府統計の中で家計調査で見たらこうなるという議論をしただけでございますから、それはそれでよろしゅうございます。
 次にここで時間がないので、厚生大臣に一つお伺いをいたします。実はこの間から一斉休診その他で大へん問題になっております医療費の問題でありますが、厚生省は今度予算要求をなさる場合に、一〇%予算を上げる根拠として、昭和二十七年の医業経済実態調査でございますが、これをお使いになったように聞いておりますが、これは私実は非常に問題があろうと思います。なぜかと申しますと、中央医療協議会に専門委員という制度がたしか昭和三十一年かに置かれまして、医療費の問題を検討いたしました。私がたまたま医師の中からその専門委員に選ばれまして、約一年余りこの昭和二十七年の医業経済実態調査の分析を各層の方といたしました。そのときの結論は、昭和三十年ころでございましたが、昭和二十七年のこの資料は、昭和三十一年のその時点においても、これを使うことは無理だというのが大体私どもの専門委員会の結論でございました。当然それはたなに上げられたものだ、いろいろ分析をして、これはその二十七年当時においても問題があるが、これを三十一年に使うというのはさらに問題があるから、これは無理だという結論が出ておったものが、またもやたなからおろされてきて、これを土台にしていろいろと計算をして、そうしてあげくの果てが一〇%の根拠になった。こういうふうに実は拝見しておるわけなんです。そこで私が伺いたいのは、今までずっと私は統計の問題を議論しておりますが、一体昭和二十七年から今日まであれしかそういうことをする資料がないのかどうか、一体この間、八年も九年もたっておる間に、皆さんの方は、そう言うと、医師会が協力しなかったからとおっしゃるかもしれません。しかし医師会が協力しなかったから、いつまでたってもそういう統計がとれないということは、厚生省は少し、皆保険を前にして国民の医療費をどうするかという重大な問題を考える場合に、怠慢ではないかと私は思うのですが、厚生大臣いかがでございましょうか。
#126
○古井国務大臣 二十七年三月の実態調査は、もう九年もたっておるわけで、少々古いのであります。これを用いるのはその点では不十分だと思うのでありますけれども、しかし今もお話のように、その後実態調査ができないで遺憾ながらきておるのであります。ことしも三十五年度も実態調査の予算を組んであるのですけれども、できなかった。公的な医療機関などの分はできないことはございませんけれども、不幸にして医師会の協力が得られぬために、開業医、個人病院の方が調査ができない。それができなければ実は意味がないのでありますので、遺憾ながら、きょうまで新しいのは得られないのであります。三十一年に今お話のような議論もすでにあったように伺いましたが、それにもかかわらず、三十三年には二十七年の資料を用いるほかはなかったわけであります。やむを得なかった。不十分かもしれぬけれども、そのときも用いておりました。今度もより新しいものがありませんので、仕方がない、これをもとにしてまたスライドをやった。これしかどうにも他の道がありませんので、そうしたわけであります。
#127
○堀委員 私は、やはり厚生省、少しその点では怠慢だと思うのです。国民皆保険という重大な時点を控えて、一体国の医療費はどうあるべきかということは、やはりそれは医師会が協力しないとおっしゃるが、それはいろいろな過去の関連がありまして、だからもっとそういう点について、十分話し合いをして、私は何らかの形で一応やるべきではなかったかと思うのです。そこで、結局一〇%というものは、私は過去にそういう議論をして参りました当人としてみると、ほんとうのつかみだという感じがする。一〇%というのは単なるつかみだ。三割出たから一割だというようなつかみだと理解して、大臣もしばしばこれは必ずしも一割にこだわりません。中央医療協議会においてこれが動く場合には、動いてもよろしいのだというふうな御答弁をしておられるように私は承っているのですが、大臣が非常にお骨折りをなさって、今中央医療協議会の改組の努力をしておられる点は、非常にけっこうだと思うのです。そこで一応仮定の問題になりますが、新しい中央医療協議会ができて、そこでこれはやはり問題がある。二〇%にしなければならぬという結論がもし出たとしたら、厚生大臣はどうなさいますか。
#128
○古井国務大臣 先ごろもこの委員会で申し上げましたように、もともと予算を組む前にできたら医療協議会を開いて、そうして幅も方法もきめた上で、それをもとにして予算を組みたかったわけであります。遺憾ながら、これが御案内のような事情で、予算編成までにできませんので、順序をひっくり返して、あと先になりますけれども、予算は一応組み、それから医療協議会にかけてきめるという順序をとるほかなくなったわけであります。そういうわけで、まだ医療協議会に法律ではかけろとなっておるのにかけておりませんので、そこで医療協議会で審議をされた結果、どうしてもこれでは不足だということが根拠をもって明らかになるということであれば、私は経過の筋道からいって、その結論を大いに尊重して、考慮を払わなければならぬものだというふうに思っておるのであります。それが実際的にどういう結論になるかは、きょうは仮定問題になりますけれども、筋道としてそうだと思っておるのであります。
#129
○堀委員 そうすると、今おっしゃったように、仮定として中央医療協議会ができて、それではこの人たちも何か資料がなければ、一体幾ら上げていいのか判断の基礎がなくなるということです。そうすると、その場合の資料に、厚生省は今の二十七年のとても耐えられないと思うほどのものを修正したものをお出しになるのじゃないですか。それは出さないで、一つ中央医療協議会というところは議論をしてもらいたい、こういうことになるのでしょうか。問題を一つはっきり――私どもが中央医療協議会の専門委員でこれはもう使いものにならぬと昭和三十一年にたしか言ったと思うのです。五年もたってから、まだこれをスライドするとかなんとかということは、これを資料にして中央医療協議会に出して判断しろと言われたら、私は判断を誤ると思うのです。だから、その場合はどうなさいますか。資料なしでやることになるのか、一体どういうことになりましょうか。
#130
○古井国務大臣 今のようなわけで、何しろ二十七年のものでありますから、不完全だ、不十分だということは、そう思います。けれども、どうにも医療実態調査ができないものには、方法がないものには、今までの厚生省としても他の資料をもとにすることができなかったわけであります。そこで、さればといって、つかみで一〇%と申しておるのではありません。不十分にせよ、ある資料の中では不十分でもよい、たよるものはほかにありませんから、そういう二十七年のものをもとにしてスライド・アップしたのですから、これに対しては、こういうふうに俸給はスライドしたのだとか、もとと、それからスライドの仕方は、これは説明をし得るものはあるのでありますから、その御説明を聞いていただいて、そこで批判をこうむる。やはりこれはおかしいな、間違っておるじゃないか、こうあるべきじゃないかというよりすぐれた根拠をもって、これは間違っておる、こういうことになりますれば、それに耳を傾けなければならぬ。一応これはこういうわけで出しておるということは御説明を申し上げなければならぬことと思っております。
#131
○堀委員 厚生大臣もきわめて不十分だということをおっしゃったわけですから、不十分だということは正確でないということで、正確でないということは、一〇%ということは動き得るということに私はなってくると思うのです。だから、私、将来の仮定の問題でございますから、時間もないので、そんなに触れませんけれども、もう一つだけ触れておきたいことは、お医者さんたちは、他の所得の伸びに比べて将来の所得の見通しがありませんから、報酬を上げてもらいたいという要求が出ておる。そこで、今、七月実施になっておりますが、これを十月実施に延ばして、あるいはそれは医療協議会の結論にもよるでしょうけれども、少し予備費その他から持ってきて、今の状態はこれは一割しか上がらないのだというふうにみな思っておるのですが、私は時期の問題よりも額の問題が問題になると思うので、七月実施とあなた方が予定されておるものを十月実施にして、少し予備費からでも持ってきて、さあこの際は二割は上がるようにでもできるのだというふうなことを考えておられるかどうか、そこを一つ伺いたい。
#132
○古井国務大臣 一つのお考えかとは思いますけれども、しかし、とにかく一〇%というのは十分、不十分は別にして、より以上の資料がない。ある資料で一番よいという資料で計算をして、その結果一〇%という不足は医療費において補わなければいかぬ、こういう結論が一応出ておるのでありますから、一〇%か一五%かという点は、一〇%では足らないというよりよい資料をもとにして、そういう結論が出ない以上は、すぐ時期だけずらして一五%でよいとか、二〇%でよいとかいうことはすぐいえないのであります。やはりそれなりの根拠を持っていないと……。
#133
○堀委員 厚生大臣にもう一度伺っておきます。資料がないとおっしゃいましたが、お医者さんは調査をしてだいぶ資料を持っておられるようです。これは今度中央医療協議会が開かれたと仮定をしたときに、そういうお医者さんの持っている資料もとらわれない格好で十分検討をなさるということに理解をしてよろしゅうございますか。
#134
○古井国務大臣 私は大きにそうだと思います。どういう資料でも、これは検討の材料にしてけっこうだと私は思います。
#135
○堀委員 次に、これまで所得、収入やその他の問題に触れましたから、私はあと時間も十分ございませんけれども、簡単に政府の住宅政策に一つ触れておきたいと思うのであります。
 政府の住宅政策について私非常に不満がございますのは、国民生活白書で見ますと、二万五千円以下の層に住宅難世帯は約九割集中しておる、こういうふうに今度の国民生活白書は書いておられます。これは総理府の住宅調査でございますか、なんかをもとにして出されておるわけでありますが、そこで一番家のほしい低所得の人たちに国の政策として家が建っているかどうかというと、残念ながらそういうふうになっていないと思います。時間がありませんからずっと端折っていきますけれども、今国の予算で見ますと、公営住宅が本年度では約百五十億の予算が組まれておりまして、それから公庫、公団住宅に対しては百六十億の国の出資金が出されることになっております。公庫、公団住宅の方は両方で約八百億ぐらいの金が使われることになっているのです。公庫、公団の方は非常にたくさん家が建つことになるのですが、公営住宅につきましては最近少しもふえて参らない。十五ページをちょっとごらんいただきたいと思います。第八表でありますが、昭和三十年からこの三十六年の予算まで見まして、おおむね五万戸ぐらいのところしか政府は公営住宅を建てていないのであります。その他のものはだんだんとふえてきておるのにかかわらず、建っていない。そこで公団、公庫の住宅に入っておる人たちの内容をいろいろ調べてみました。時間がありませんから表には触れませんけれども、おおむね大体二万五千円ないし三万円以上の者が公庫、公団の住宅に入っておられるというのが実情であります。それから公営住宅の中では、一種が一万六千円から三万二千円まで、二種は一万六千円以下、こういうふうな所得制限になっておるのであります。ところが、そういう状態というのは、入居したときの状態でありますから、入居して数年たつと所得がだんだん伸びてきまずから、開きが出てくるわけであります。十九ページを見ますと、ここに収入階層と公営住宅、公庫住宅、公団住宅に入っておる所得階層の分布が出ておりますが、この中で見ても、実は四三・五%もの人が、この調査をされたときには、もう今の所得制限をこえた人が公営住宅に入っておる。入るときには所得制限で入りますけれども、所得がふえますから、何年かすると、もう趣旨、目的でない人がそこへ入るということに結果としてはなってくると思う。そうすると、よほどどんどん建ててあげない限り、この低所得の人たちは家へ入れないのじゃないか、こういうことが現実の姿で出てきておるわけであります。時間があれば、私はことで分析した資料を逐一申し上げて議論をしていきたいのですが、時間がありませんから、要点だけ申し上げます。特にこの中で、私は非常に問題があると思いますのは、十二ページの第四表、これだけは見ておいていただきたいと思いますが、一体今持家、借家、借間、給与住宅というふうに分けてみて、これはこの国民生活白書に出ておるのでありますが、一番収入の高いのは何かというと、給与住宅におる人が消費支出が一番大きくて三万二千六百十二円、一番収入が少ない人は、借り間にいて二万一千六百九十六円、こういうことになっておる。ところが、その下に、実際の家賃、地代の支出が出ておりますが、一番消費支出の多い人が八百八十四円と、一番安い家賃を払っておる。そうして一番収入の安い人が二千五百八十四円と一番高い家賃を借り間で払わされておる。下にその比率が出ておりますけれども、私はこれが今の日本の住宅状態の実相ではないかと思う。たとえば、公団住宅に入れば、二部屋でダイニング・キッチンがついて大体六千円ぐらいで入れる。ところが、一万五千円ぐらいで働いておる人は、結婚して家に入ろうにも入るところがない。民間のアパートへ入ると、一畳千円ぐらいで、たった一つの六畳の間に五千円も六千円も使っておるというのがこの状態なんです。そうすると、こういうことが続いておる限り、所得格差は広がるのじゃないか。低所得の人は高い家賃に入らなければならぬ。ちょうどいいところの三万円以上の人は、比較的安い家賃の家に入れる。これでは、私は、今の日本の住宅政策というものは、所得格差を縮める方に政策がいっておるのではない、あなたのおっしゃるようにまん中さえふくらめばいいというなら別ですが、私はまん中がふくらむことに反対はございません。まん中をそれだけふくらませるのなら、もっと下をふくらましてやる配慮が必要ではないか、こういうように思うのですが、建設大臣いかがですか。
#136
○中村国務大臣 お答えいたします。御趣旨の点はまことにごもっともだと私は思います。かような角度に立ちまして、実は低所得層の住宅供給ということにつきましては、私どもとしては大いに努力をして参りたいと考えておるわけでございます。昭和三十六年度の第一種、第二種の住宅あるいは不良住宅の改良、これを含めまして、今年は従来に比較いたしまして、飛躍的に建設戸数をふやしまして、約四千八百戸ほど前年に比較して増に相なっておる次第であります。それから借家の場合と借り間の場合の比較の話がございましたが、いわゆる貸室のアパートにつきましては、近年不燃建築の方向にいっておりますので、自然第二種住宅に比較しますと、家を借りた者よりは間を借りた者の方の家賃の方が比率は高くなっておる傾向にありますが、これも不燃建築をできるだけ進めて将来に資したいということから起こっておることかと思うのであります。同時に、第一種、第二種の公営住宅のほかに、公団、公庫等の住宅にいたしましても、近来産業労働者住宅に重点を置きまして、これに相当力を入れておるような次第でございます。考え方としましては、今御指摘のありましたような線に沿いまして、私どもといたしましては、今後一そう努力をして、低所得階級の住宅を充足することに努めて参りたいと思います。
#137
○堀委員 建設大臣にもう一つ伺っておきたいのは、伝えられるところによりますと、地代家賃統制令の撤廃を建設省は考えておられるようです。しかし、またこれは建設委員会にいってこまかく分析をして申し上げていいのですが、ともかくも今借家におる方というのは、この中でごらんになったらわかりますが、比較的に低所得の人たちがたくさんおるわけです。そしてその低所得の人たちが借家の中におりまして、これまでの家賃であるから相対的に何とかやっていけるような状態になってきておるのに、地代家賃統制令の撤廃をして、自由に取りなさいということになれば、そうでなくても今住居費がどんどん上がりつつあるのに、これは非常に大きな上がり方を私は起こすと思う。そうすると、今の住宅政策の中で、一面ではさらに低所得者向けの住宅をもっと大幅に建てるべきではないか、今の日本の予算の中から見て、私は百五十億というのは少なきに失すると思う。これはもっと大幅にやるべきであると同時に、地代家賃統制令の撤廃などということは、この際は私は見送るべきであると思うのですが、一体これについて建設大臣はどう考えておりますか。
#138
○中村国務大臣 この問題は、私の就任いたしまする前の、昨年の三十四国会に、政府といたしましては、統制令の撤廃法案を提出いたしました。いろいろな事情で、三十四国会は審議が行なわれませんで、流産をいたした法案でございますが、ただ、この家賃統制令のできました歴史を考えますと、終戦後の異常な住宅難時代に住宅が奪い合いで暴騰いたしまして、一般国民が非常に迷惑をするというようなことを抑制するために制定された法律で、もうすでに他の統制令のようなものはほとんど全部撤廃をされまして、これだけが御承知の通り残っておるような段階でございます。しかもこれは昭和二十五年の七月が基準でありまして、二十五年七月十日以前に建築に着手したものにのみ適用されておるわけでございます。かたがたその後改正がございまして、店舗坪数七坪以上を有する兼用住宅につきましては、とうにこれは撤廃をされまして、その他の分だけが今日残っておるわけでございます。同時に、この実勢を見ますと、昭和二十五年の七月以前の建設のものでありまして、しかもそういうような統制がございますから、自然そういうような貸家というものはその後非常に減っておる傾向にあると思うのであります。他の戦争前後における統制令というものがことごとく撤廃になったのに、これだけがいつまでも残っておるということは、姿としてもどうもよろしくありませんし、社会的影響も絶無とは申せないと思います。また現実に統制令がどこまで守られておるかどうか。統制令の適用されるべき二十五年の七月以前の建物でございましても、いろいろな家賃、地代については話し合い等の状態で、そういう点も考えますと、この辺で撤廃をしてよろしいのじゃないかというような考え方が、政府と建設省の従来の考え方でございます。私どもといたしましても、大体その方向に向かいまして、目下検討いたしておる次第でございます。
#139
○堀委員 経済企画庁長官に伺いますが、これは相当な影響があると思うのです。中を調べてみますと、低所得の人たちが相当多数に民営借家に入っておりますから、これを撤廃をして非常に上がってくるということになれば、あなたのさっきおっしゃった低所得を上へ押し上げるのじゃなくて、下へ押し下げる作用をこれがするのですから、物価の今の問題点から、政府部内で再検討を一つお願いをしたい。時期は、将来非常に長いところまでこのままでいいということではないかもしれませんが、非常に物価が上がりつつあるときに、それに拍車をかけるような政策は、この際検討される余地があるのじゃないかと私は思いますので、これは要望だけをいたしておきます。
 最後に、時間がありませんから、文教問題について非常に基本的な問題がこの所得階層との関係にあることを一つ触れておきたいと私は思います。さっきの家計調査で調べてみましたときにもございますが、昭和三十年から三十四年までの勤労者世帯の中で、職員と労務者の比較をしてみますと、その所得の伸び率が著しく違いまして、これは逆に格差が広がったのです。初め一〇〇対一二一くらいが一〇〇対一四四くらいに労務者と職員との所得の格差がほんとうに広がってきておる。そこでこれは非常に重大な問題であると思うのですが、今労務者と職員の年令と学歴構成を調べてみますと、これは労働省の賃金構造基本調査でありますけれども、平均年令が、労務者は三十・九才、職員が、三十四・九才と、年令は少し職員の方が高うございます。しかしその学歴を調べてみますと、労務者の方はいわゆる普通教育といいますか、中学校以下の旧制の高等小学校及び今の中学校、これ以下が大体八二・七%で、それ以上の学歴のある者が一七・三%、こういうことになっております。ところが職員の方は、普通教育だけの人が二〇%で、高等教育を受けた者が八〇%、こういうことで賃金は一万七千八百十八円と二万七千三十八円と、一万円もの開きがあるわけです。そこでこれを今の日本の勤労者の中で見ると、学歴というものが将来の収入に対してきわめて大きな影響を持っておるということは、これだけで明らかになると私は思いますが、所得階層の中身を調べてみましても、この分布は、ともかく職員の方は大体三十万円から四十万円のところに分布がきておるのに、労務者の方は十万円から二十万円の間に分布の山がきておるということから見ても、これは日本のいろいろな今後の勤労者の問題を考える場合に、非常に重要な点になると私は思います。これを今二十四ページの資料で私なりに分析をしてみました。今中学校を卒業しておる者を一〇〇として、これが高等学校へどれだけ行き、大学にどれだけ行くか、こういうものを階層別に並べてみますと、こちらにございますように、中学卒のうちの四二%はそのまま就業をします。二・九%は定時制高校に行き、さらに高校を卒業する者の中ではどういうことになるかというと、大学へ進学します者が国立と私学を合わせて七・一%、浪人しておる者が一〇%で、約二〇%が大学へ行き、残りの者というのは高等学校を出て就職をする、こういうことになっておるわけであります。これはイコール所得階層につながるわけではありませんが、これを総理府で出しておられるところの所得階層で並べてみると、中学校を出ただけで就職しておられる方は、やはり二万五千円以下の所得の人のところに多いように思うのです。要するに低所得の人の子供は上の学校に行けなくて、依然としてやはり中学を卒業すると就職しておられる。そうすると収入が少ない。収入が少ないからまたその子供もやむを得ず中学校で学校をやめて働きに出る。ちょうど昔、さむらいの子供はさむらいで、町人の子供は町人だったというようなことが、残念ながら所得のそういう動きの中で過去にはあるわけです。今後はだんだん減るでしょうけれども、過去にはある。そうすると私どもはこの場合に、もっと教育の機会均等というものが真剣に考えられて、この差というものを縮める方向に問題は処理されなければならぬと思うのですが、今の文教予算の中を調べてみると、この低所得に対する問題の育英資金は今度ふえましたが、きわめて私は不十分だと思います。約五十四億でありますか幾らかくらいで、きわめて不十分である。今後文部省はこの問題について一体どう考えられるか。大蔵大臣は、こういう所得格差の問題につながる教育というものを――今年度予算では五十四億で、なかなかあなた方出さぬでしょうが、文部省は今度は百三十億か要求されたと思うのですが、来年はさらに大幅に要求してもらってこれを認めるということになれば、私はこれは所得格差との関係で非常に問題があると思います。これを一つ文部大臣と大蔵大臣にお答えを願います。
#140
○荒木国務大臣 お答えいたします。貧乏人の子弟が、貧乏人なるがゆえに、持って生まれた能力がりっぱであるにかかわらず、下積みでなければならぬという法はないと思います。そういう状態がなるべく早く解消するような努力をしていかなければならないと思う次第でございます。その意味で、御指摘になりましたように、育英奨学のことにもいささか重点を置きまして、三十六年度予算案の中にも盛り込んだつもりでございますが、むろん十分でないと思います。今後年々歳々そういう努力を続けていきまして、人材開発の角度のみならず、今御指摘のような意味合いにおいても、なるべくそういう矛盾と申しますか、貧富の格差からくる不幸が子供たちの生涯をやむなくするような事態を少なくしていく必要があろうかと思います。
#141
○水田国務大臣 文部大臣と同じ考えです。
#142
○堀委員 教育にもう一言だけ触れますと、実は教育の費用が最近非常に上がって参りました。これは二十五ページに書いてあります。昭和三十年に小学校へ子供一人やりますと九千百二十八円かかっておったのが、三十三年には一万二千五百八十二円、わずか三年ほどの間に三割三分も教育の費用が上がっておるわけです。そこで私はこれは非常に問題があると思いますのは、教育の費用というものは、富める者も貧しい者も同じように一律に負担をしなければならぬというのが今の現状です。そうすると、さっき申し上げた所得階層で見ると、低所得の人たちは、三年間で三割も子供を学校にやるのに上がるということは、大へんなことだと思う。三十四年度はさらにふえておると思うのです。だから、私は、この問題について、当然学校関係の費用というものをもっと国で持つように考えない限り、さっき私が申し上げたようなことはなかなか実現できないと思う。物価の上がる中で、教育の費用は三割なんて非常に上がっているのです。そこで今年度予算の中で拝見しても、それは要保護、準要保護児童に対するいろいろな費用が少しふえましたけれども、一番下の底だけなんじゃないのです。低所得の方の幅というのは非常に広いのですから、これについては予算としてもっと積極的に教育の費用というものを国で肩がわりするということにならなければならぬと思いますが、来年度は現状のそういう一番下の層だけの問題ではなくて、普遍的に教育の費用を、特に学校教育費について負担をしようというような考えがおありかどうか、ちょっとこの点を……。
#143
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。義務教育に関します限りは、無償とするということになっております。そういう考え方のもとに国と地方公共団体が半々負担して無償とする建前で今日まで来ておりますけれども、遺憾ながら実情は少しはみ出しておることは御案内のごとくであります。遺憾だと思います。大体の推計によりますと年々約二百億円見当のものが父兄負担になっておると承知しております。それで、これを一挙動でずばりと解決することも、事実上、正直なところ困難でございますので、大体五年くらいでこれを解消したいものだ。そういう考え方から三十六年度予算にも幾らかその努力をいたしておるつもりでございますが、御指摘の通り、本来、国なり公共団体なりが一緒になって負担して、父兄負担にならないようにという考え方でいくべきでありますが、その対策としましては、第一には地方財源をもっと強化せねばならない。地方財源が貧弱でありますがゆえに、ついイージー・ゴーイングになるおそれがあるので、その点に力を入れていかねばなるまい、それが第一。第二番目に、税外負担の禁止、こういう経費は税外で負担されてはいけませんぞ、あるいは教材、設備等を充実するというふうな事柄が第二番目にあろうかと思います。第三番目には、貧困家庭の子弟の就学の援助をいささか努力はしておりますが、もっともっと努力していこう、この三つが大きな課題だと心得ます。そういう角度から現に関係省とも相談をしておる問題もございまするし、予算に幾らか計上しておるわけでもございますが、繰り返し申し上げるように、どうも一ぺんにはいきませんので、今後の努力にまたねばならない点が相当ございます。一生懸命の努力をいたしたいと思います。
#144
○堀委員 最後に、私が今日ここで申し上げます問題は、日本の国民の所得階層を見て、やはりその所得階層に、経済が成長するときにはひとしく均霑するような政策が行なわれるべきだと思うのでありますけれども、残念ながら、時間があればもっと緻密に申し上げられますけれども、そうなっていない。比較的低所得の人は税金の面でも恵まれていないし、歳出の面でもいま一つ恵まれていないというのが実情だと思うのです。
 そこで、最後にお願いしておきたいのは、この一年間を通じて、経済企画庁としては、各省と十分に緊密な連絡をとられて、日本の所得階層は現実にどういうことであるかということです。そうしてその中における農民それから今の業種世帯、勤労者の状態はどうかとか、それを一応こまかい分析をしていただいて、その分析の上に立ってもう少しきめのこまかい政策、――これは国全体の問題になりますが、これを考えていただかなければ、実際日の当たらないところにたくさん人がおるということです。社会保障については、国民健康保険等非常に問題があります。それにも触れたかったのですけれども、時間がありませんからやむを得ませんけれども、どうか一つ、まず統計の整備をお願いをしたい。それからその整備に基づいて正確ないろいろな分析をやっていただきたい、こういうふうに思いますが、この一年間でやれますかどうか、一つ経済企画庁長官にお尋ねいたします。
#145
○迫水国務大臣 たとえばCPIの改変の問題なんかでも、これは重大問題でありまして、総理府の統計局とも相談をしておるのですけれども、一年間でやれるかやれないか、はっきりここで申し上げる勇気はないという程度であります。しかし、お話きわめてごもっともでありますから、私は全力をあげて努力してみたいと思っております。
#146
○船田委員長 明二十二日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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