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1960/02/15 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第7号
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1960/02/15 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第7号

#1
第038回国会 本会議 第7号
昭和三十六年二月十五日(水曜日)
    ―――――――――――――
  昭和三十六年二月十五日
   午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九
  条但書の規定により議決を求めるの件
 売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九
  条但書の規定により議決を求めるの件
 肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但
  書の規定により議決を求めるの件
 蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十
  九条但書の規定により議決を求めるの件
 米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但
  書の規定により議決を求めるの件
 昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)
 昭和三十五年度特別会計予算補正(特第2号)
   午後五時四十五分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#3
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。
 内閣から、海外移住審議会委員に本院議員田中龍夫君、同田原春次君、同山口六郎次君、参議院議員赤間文三君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#5
○議長(清瀬一郎君) 次に、売春対策審議会委員に本院議員猪俣浩三君、同田中角榮君、同床女徳二君、同中山マサ君、同本島百合子君、同山口シヅエ君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#7
○議長(清瀬一郎君) 次に、肥料審議会委員に本院議員足鹿覺君、同重政誠之君、同首藤新八君、参議院議員北村暢君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#9
○議長(清瀬一郎君) 次に、蚕糸業振興審議会委員に本院議員栗原俊夫君、同田邉國男君、同谷垣專一君、同長谷川四郎君、同中澤茂一君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#11
○議長(清瀬一郎君) 次に、米価審議会委員に本院議員井手以誠君、同内田常雄君、同大野市郎君、同川俣清音君、同倉成正君、参議院議員白井勇君、同森八三一君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)
 昭和三十五年度特別会計予算補正(特第2号)
#13
○田邉國男君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第2号)、右両件を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#14
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)、昭和三十五年度特別会計予算補正(特第2号)、右両件を一括して議題といたします。
#16
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。予算委員長船田中君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔船田中君登壇〕
#17
○船田中君 ただいま議題となりました昭和三十五年度一般会計予算補正(第2号)及び同特別会計予算補正(特第2号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 本予算補正二案は、去る一月二十八日予算委員会に付託され、二月三日、昭和三十六年度予算と同時に政府より提案理由の説明を聴取いたし、昨十四日及び本十五日の両日にわたって審議を行ない、本日討論、採決されたものであります。
 本予算補正は、一般会計において、産業投資特別会計の資金への繰り入れ三百五十億円、地方交付税交付金及び臨時地方特別交付金九十億円、合計四百四十億円の追加計上を行なったものでありまして、その財源としては、所得税等租税及び印紙収入の自然増収及び租税外の歳入増加をもって充当することとしております。
 しこうして、産業投資特別会計の資金への繰り入れについては、将来にわたる出資需要の増大に対処するとともに、今後の産業投資を経済情勢に応じて円滑かつ弾力的に行ない得るよう措置したものであります。
 また、地方交付税交付金等については、歳入において計上した所得税及び法人税の増収に対応して所要の額を追加計上したものであります。
 この結果、昭和三十五年度一般会計予算総額は、さきに成立いたしました補正第一号を加えまして、歳入、歳出ともそれぞれ一兆七千六百五十一億六百余万円となるのであります。
 また、この一般会計予算補正に関連して、交付税及び譲与税配付金特別会計の補正を行なうものであります。
 以上が補正の内容でございますが、以下、委員会における質疑の若干について申し上げます。
 まず第一に、「政府は、さきに第一次補正予算の審議の際に、第二次補正については考えていないと言明した。しかるに、今回三十五年度予算の自然増収を見込んで第二次補正を提出したのは食言ではないか」というのであります。これに対しまして、政府は、「第一次補正当時は租税等の自然増収の見込みが不確定であったので、当時としては第二次補正は考えていなかったので、そのように答弁した。現在においては、三十五年度において相当額の租税その他の自然増収が見込まれるに至ったので、三十五年度第二次補正を提出するのが適当と考えた」との答弁をなされました。
 質疑の第二点は、「予算の追加は、財政法第二十九条により、予算作成後に生じた事由に基づき必要避けることのできない経費に不足を生じた場合に限られておるのに、本補正は、三百五十億円を産業投資特別会計の資金に繰り入れ、三十六年度に百五十億円、残余の資金はそれ以後の年度に使用せんとするものであるから、三十五年度においては必要避けることのできない経費とは認められない。従って、本補正は明らかに財政法第二十九条違反ではないか」というのであります。これに対し、政府は、「予算編成当時予想されなかった資金需要の増大に対処し、将来にわたる経済成長に見合って弾力的に使用せんとして資金へ繰り入れるために歳出に立てることが必要避くべからざるものと認めて補正を行なったものであって、先例もあり、何ら財政法に違反するものではない」旨の答弁をなされたのであります。しかし、野党側はこの答弁を強く不満としたため、結局、政府から、さらに、「一、今回の補正予算による産業投資特別会計資金への繰り入れについては、政府としては適法のものと考えているが、財政法第二十九条との関連について疑義も出ているので、今後政府においてこの点について検討するにやぶさかでない。二、今後における補正予算による産業投資特別会計資金への今回のような繰り入れについては、右の検討の結果を待つこととしたい」との言明があったのであります。
 その他、日韓交渉、地方税の減税、科学技術の振興等、諸般の問題について質疑が行なわれたのでありますが、それらの詳細につきましては、いずれも会議録に譲ることといたします。
 かくて、質疑終了後、日本社会党より本補正二案に対し撤回を求めるの動議が提出されましたが、反対多数をもって否決され、次いで、政府原案について討論、採決の結果、賛成多数をもっていずれも原案の通り可決された次第であります。
 右、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(清瀬一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。松井政吉君。
  〔松井政吉君登壇〕
#19
○松井政吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました昭和三十五年度予算補正第二号及び特第二号について、政府においてすみやかに撤回すべきであるということを内容とする反対の討論を行なうものであります。(拍手)
 第一の理由は、予算補正の扱いにおいて、また、その内容において、財政法違反であることは明らかであります。すなわち、財政法第二十九条において、「内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費若しくは」「契約上国の義務に属する経費に不足を生じた場合に限り、」と規定しているのであります。しかるに、今回提出されました昭和三十五年度補正予算は四百四十億七千二百万円でありますが、そのうち、三百五十億円を産業投資特別会計の資金に繰り入れることになっております。そのうち、百五十億円は三十六年度財源に充て、二百億円は三十七年度以降の産業投資の財源に充てることになっておりますが、そのことは、財政法二十九条に基づく、緊急にして必要避けることのできない経費とは断じて言い得ないのであります。(拍手)しかも、政府の答弁は、三十六年度予算編成途上において、必要なる産業投資の財源を考慮したが、税金の自然増収の額が明らかになったので、補正予算において、産業投資特別会計に、財源として百五十億円充当することにした、という意味の答弁をしているのでありまするが、察するに、政府は、三十六年度当初予算編成にあたって、産業投資の、すなわち、隠し財源ともいうべきものが予定されたのであるが、その後における各省の予算復活競争、ぶんどり競争の結果、一般会計からの隠し財源をしない、たまたま税金の自然増収があるので、補正第二号として予算を組んだのでありまして、まさに、行政の不手ぎわであり、醜態といわなければならないのであります。(拍手)
 また、財政法第六条には、「各会計年度において歳入歳出の決算上剰余を生じた場合においては、当該剰余金のうち、二分の一を下らない金額は、他の法律によるものの外、これを剰余金を生じた年度の翌翌年度までに、公債又は借入金の償還財源に充てなければならない。」と規定されているのであります。これは健全財政の原則を規定したものであります。しかるに、今回、第二次予算補正において、急がざるものとして、産業投資のどこに使うかわからない不明朗な形で繰り入れることは、三十七年度における公債償還の金額が減ることになり、長期健全財政に悪影響を及ぼすことはなはだしく、財政法の精神を踏みにじるものであります。(拍手)与党たる自民党の中にも、良識ある者は、財政法違反を認めていながらも、自党政府のやることだからやむを得ないということで黙っておる者が多くおります。従って、政府・与党の誤りや行き過ぎがある場合に、それを正しい姿勢に直すのが野党の正論であり、これが議会政治の正しいあり方だと考えております。ゆえに、政府は、今回の補正予算が財政法違反であることを率直に認め、すみやかに撤回すべきことを主張いたすのであります。(拍手)
 第二の理由は、二月十四日の予算委員会において、わが党の財政法違反であるとの主張に対し、水田大蔵大臣は、財政法上疑義の点については検討する、今後かかる予算補正による産業投資の扱いは財政法を検討するまで行なわない意味の答弁をなさったのでありまするが、今回の予算案は、それならば、なぜ撤回をしないのか、財政法上検討する必要があり、疑義のある補正予算、さらにまた、今後出さないけれども、この補正予算は通してくれという意味は、一体どういう意味か、私にはその見解がわからないのであります。今後、財政法を検討し、かかる産業投資への繰り入れ予算補正はやらないとするならば、すみやかに本予算案は撤回をして組み直すことが正しい行政上の扱いだと思うのであります。(拍手)政府が、ほんとうに今後かかるあやまちを犯さないというならば、虚心たんかいに本予算案を撤回したらいかがでございましょう。
 政府答弁の中には、前例もあるのだという意味の答弁がたびたびございました。しかし、この前例は、財政法上の悪例であります。歴代の自民党政府が憲法や法律を拡大解釈いたしまして、悪例たる前例を数限りなく作り、日本の民主主義を、また、議会政治をゆがめることしはしばであります。(拍手)法案の扱いにいたしましても、国会の運営にいたしましても、悪例たる前例は率直に改めることが民主主義の前進だと考えます。ましてや、予算はとうとい国民の血税をもって組むのでありまするから、いやしくも、法律違反や取り扱いについて、また、その内容について、法律的疑義のある状態で提出すべきものではございません。また、誤って提出した場合でも、法律上の疑義が指摘されたならば、政府みずから、すみやかに撤回をいたしまして、法律上の疑義の生じない措置をとるだけの襟度を持つべきことが、正しい政府のあり方だと考えます。(拍手)
 第三点は、昨年十二月に行なわれた特別国会における第一次予算補正との関連であります。第一次補正において、国家公務員の、あるいははまた地方公務員等の給与ベースの引き上げをなさったのでありますが、公務員諸君の四月にさかのぼってという切なる願いを退け、また、五月から実施すべしという人事院勧告を聞かず、政府は、ひたすら財源がないという理由で、十一月からしか支給を行なわなかったのであります。その後、税金の自然増があるからというので、財政法上必要なる経費でもない、産業投資の財源に充てるため、第二次補正を今回提出いたしたのでありまするが、昨年から本年にかけて、諸物価の値上がりは常に賃金を先回りいたしております。政府の統計を見ても、昨年の四月から昨年の九月までの間に、五人家族の家計費は、台所を中心といたしまして二千九百円余り上昇していることを示しているのであります。従って、人事院は、五月から引き上げることが妥当の旨を勧告したのであります。しかるに、政府は、第一次補正において、給与において百二十一億九千四百万円、期末手当において十三億一千五百万円にとどめ、財源不足を理由に人事院の勧告を無視し、公務員諸君の切なる要求を退けたのであります。今回の第二次補正において、税金の自然増四百四十億円もあるなら、なぜ第一次補正において人事院勧告を尊重しなかったのか。これを見ても、池田内閣が、勤労大衆に対し所得倍増を宣伝しつつも、労働者のことは考えず、第二次補正において独占資本のための産業投資への繰り入れを行なうことは、その正体を暴露したものであります。(拍手)また、今回の補正において、地方交付金九十億を組んでおりまするが、三十五年度に使うものでないことは、第一次補正の関連において明らかであります。一種の剰余金の性格を持つものでありまして、いずれにしても、昨年十二月第一次補正予算を組み、半月もたたないうちに第二次補正を行ない、そして、そのときそのときに説明も異なり、答弁もあいまい、法律解釈は都合のいいように、これぐらい国民を侮辱した行為は、断じて許すことができないのであります。(拍手)
 特別国会において、第一次補正の審議中、自由民主党の愛知委員の質問に対し、水田大蔵大臣は、「第二次補正予算というようなものは考えておりません」と答えております。さらにまた、愛知委員は、続けて、「税金の自然増が水田大蔵大臣の考えるよりももっと増収になるであろう」ということを指摘いたしておるのであります。これを考えてみましても、いかに政府が大衆の納める税金の自然増の見積もり、見通しについて甘かったかということを、はしなくも今回の第二次補正において暴露したものでありまして、国民は、こういう政治、あるいはこういう行政措置をとることについて大いなる不満を持っていることを明らかにいたしておくのであります。(拍手)
 第四点として申し上げたいのは、申すまでもなく、今回の補正の歳入は、その大半が国民の税金の自然増であります。従って、池田内閣がほんとうに国民所得の倍増を考えているならば、この税収は再び国民生活の安定のために使うべきであります。これを国民生活安定に使わずして、産業投資にその大半を振り向けることによって、国民生活の二重構造はさらに深まるでありましょう。その格差はさらに大きくなるでありましょう。独占資本への手厚い奉仕となるのでありますから、国民の納めた税金の自然増であるならば、国民所得の格差を縮めるためにも、また、国民生活安定のためにも、独占資本に圧迫を受けておりまする中小企業のために、農民のために、労働階級の賃金引き当てに、社会保障に、または大衆減税の財源に充てることが最も正しいやり方でありまして、税金の使い方については、国民大衆が納めるのでありまするから、常に、あげて国民大衆の生活安定を基礎として予算を組むことが正しいことを主張いたしておきたいのであります。(拍手)一般会計から産業投資特別会計へ、それからまた、もろもろの企業体に、金融機関に回る金は、国民の税金が中心であることは申すまでもございませんが、資金運用部資金のように郵便貯金や簡易保険の金と異なり、国民に金利を支払う必要のない金であるがゆえに、政府は産業投資に回すことは隠し財源として最も都合がよいのであろうけれども、その産業投資の金は、ややもすれば、不正融資となり、汚職の原因となり、不潔なる政治献金となることは明らかであります。(拍手)勤労大衆の賃金や社会保障の財源となるならば、国民大衆の生活安定の原因となり、清潔にして、国民大衆の喜びのかてになることは明らかであります。どう考えてみても、今回の昭和三十五年度予算補正は、その内容においても、扱いにおいても、法律上の疑義についても、断じてわが党の承認でき得ないものであります。(拍手)
 私は、最後に、政府に申し上げます。本予算案は財政法違反であり、その内容において不合理きわまるものであるがゆえに、本案をすみやかに撤回すべきことを重ねて要求いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(清瀬一郎君) 玉置一徳君。
  〔玉置一徳君登壇〕
#21
○玉置一徳君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和三十五年度予算補正第二号並びに特第二号に反対し、その理由を明らかにしたいと思います。
 御承知の通り、本政府案の内容は、租税の増収分三百六十五億円、税外収入の増収七十五億七千二百万円を合計した四百四十億七千二百万円を歳入補正し、この財源のうち、三百五十億円を産投会計へ繰り入れし、残りの九十億七千二百万円は所得税と法人税収入に見合う地方交付金として計上しているもので、これが歳入補正のすべてであります。言うならば、今回の補正は、三百五十億円の産投会計繰り入れを確保する措置に尽きているのであります。わが民社党は、年度内の歳入の自然増を産投会計へ繰り入れて産業政策上の資金として確保するという財政政策には、必ずしも反対するものではございません。このような財政政策が実際に執行されるためには、確固たる財源の見通し、正当な財政法上の手続、妥当公正なる産業会計の運用、すなわち、大企業奉仕に偏しない出資方針の確立、これが絶対必要条件なのであります。しかるに、今回の産投会計繰り入れ措置は、政治道義の上から見ても、財政法上の手続から見ても、また、財政と産業政策との関連から見ても、一つとして賛成できる点はないのであります。むしろ、政治の姿勢を正すことをモットーとされる池田内閣によって、予算編成上、財政法の運用上、きわめて重大なる悪例をここに重ねることになると思います。
 民社党が政府案に反対し、その撤回を求める第一の理由は、政府の犯している重大なる食言について、政府は何ら反省せず、責任を明らかにしていないからであります。
 水田大蔵大臣は、昨年十二月十五日の本院予算委員会で、第二次補正をする考えは持っていないと言明されています。この言明は、明らかに二つの意味を持っています。その第一は、税収が今後そう大きく伸びる見込みはないから第二次補正を組めないという意味と、第二に、第二次補正を要する政策上の緊急性を認めるものはないという意味であったと思います。ところが、わずか一カ月のうちに、財源歳入の伸びについて四百四十億円に達する大幅な増収をここに計上しました。これがわずか一カ月前に予想もつかなかったという理由を、大蔵大臣は何と説明されるか。このような第二次補正が突如として編成されたのは、実に、明年度予算編成の過程にあって、与党側の予算ぶんどり競争に政府側が圧倒されて、大蔵原案に計上されていた産投会計繰り入れ百五十億円が消滅してからの話であることは、日本国じゅう周知の事実であります。従って、第二次補正は、自民党の党内事情からくる緊急やむを得ない理由によって提出が必要となったのでありまして、決して財政法第二十九条に基づく追加予算の緊急性を政府が認めたわけではございません。しかも、まことに奇怪にたえない点は、国民生活に関係の深い第一次補正案の審議中には、これ以上の税収の伸びは計上できないという理由でもって、公務員の給与引き上げも、人事院の五月実施勧告が十月実施に引き延ばされたのであります。生活保護の対象人員の増加も、査定が低目に押えられたのであります。こうして別ワクにして隠匿されていた財源が、自民党の要求次第で突如として第二次補正として出現している点は、国民にとって何としても納得のいかない点であります。政府がこのような政治道義上の食言した責任を反省せぬ限り、わが党は、このような第二次補正措置に断じて賛成はできません。
 民社党が本案の撤回を求める第二の理由は、本案は、財政法運用上の悪例であり、政府みずから絶対多数の与党を頼みとする法律軽視にほかならないからであります。本案が何ゆえに財政法違反行為であるかについては、すでに社会党の代表の方が詳しく指摘されましたので、私はこれを繰り返しません。
 私が民社党を代表いたしまして特に政府に申し上げたい点は二点あります。
 その第一点は、政府が産投会計繰り入れ三百五十億円のうち百五十億円を明年度の財政出資として使用するという点は、政府の予算編成並びに予算執行のいわば政策上の問題であります。明年度の産投会計よりの出資が本年度より百三十八億円も増額されたのは、実にこの百五十億円の繰り入れがあるからであります。しかも、百三十八億円の増額分のうち百二十億円は輸出入銀行への出資に向けられているのが、明年度産投会計出資の最大の特徴であります。政府は、貿易自由化に備えるため、このような緊急措置をとったと申されていますが、輸出入銀行金融強化のために、必ずしも出資が唯一の切り札ではありません。財政法運用の悪例を残してまでも緊急実施しなければならない政策であったとは考えられません。輸出入銀行に対しては、財政融資の増額並びに一般会計よりの若干の利子補給などの措置によって、出資にかわる道はあるのであります。政府は、政策上の弾力性を持たないで、あえて財政法の悪用を犯す必要がどこにあるか、疑わざるを得ません。
 第二点といたしましては、民社党は、財政法そのものの再検討が必要な時期にきていると判断いたします。現行の財政法は、言うまでもなく、単年度制を建前とした財政運用の法律であります。しかし、実際の財政の運用は、経済政策の長期計画、政策の長期的連続性が必要となるにつれて、財政においても長期的運営方針の確立が必要となっております。公共事業費や住宅建設というような事業的支出は言うまでもありませんが、社会保障、文教関係におきましても、長期計画に基づく弾力的な予算運営が必要となってきているものも決して少なくはございません。しかも、経済成長に伴って、毎年度大幅な歳入の自然増収を見込み得る時期であります。従って、財政法は、単に国庫債務負担行為や継続費制度によって予算の計画的連続使用をするだけでは予算の弾力的活用が十分でない時期になっていると思います。現行財政法が現金出納の単年度制度である限り、今回の政府案の第二次補正のような財政資金の緊急繰り入れの補正が、はたして財政法上から見て適法であるかどうか、疑問はいつまでも残らざるを得ないと思います。私は、率直に申し上げまして、現行の財政法については、与野党をこえて再検討すべきであることを、ここに提案したいのであります。
 私は、このような財政運用の発展的解決の方向に希望を持ちながら、現行法の悪用に堕しているこの政府案には断固反対し、私の討論を終わるものでございます。(拍手)
#22
○議長(清瀬一郎君) 以上をもちまして討論は終局いたしました。
 両件を一括して採決いたします。
 両件の委員長の報告はいずれも可決であります。両件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#23
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、両件とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
#24
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時二十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
   内閣総理大臣    池田 勇人君
   法 務 大 臣   植木庚子郎君
   外 務 大 臣   小阪善太郎君
   大 蔵 大 臣   水田三喜男君
   文 部 大 臣   荒木萬壽夫君
   厚 生 大 臣   古井 喜實君
   農 林 大 臣   周東 英雄君
   運 輸 大 臣   小暮武太夫君
   郵 政 大 臣   小金 義照君
   労 働 大 臣   石田 博英君
   建 設 大 臣   中村 梅吉君
   自 治 大 臣   安井  謙君
   国 務 大 臣   池田正之助君
   国 務 大 臣   小澤佐重喜君
   国 務 大 臣   迫水 久常君
   国 務 大 臣   西村 直己君
 出席政府委員
    内閣官房長官   大平 正芳君
   総理府総務長官   藤枝 泉介君
    法務政務次官   古川 丈吉君
    外務政務次官   津島 文治君
ソース: 国立国会図書館
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