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1960/03/05 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第13号
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1960/03/05 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第13号

#1
第038回国会 本会議 第13号
昭和三十六年三月五日(日曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第九号
  昭和三十六年三月五日
   午前零時五分開議
 第一 昭和三十六年度一般会計予算(前会の
  続)
 第二 昭和三十六年度特別会計予算(前会の
  続)
 第三 昭和三十六年度政府関係機関予算(前会
  の続)
 第四 森林火災国営保険法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 第五 国債整理基金に充てるべき資金の繰入れ
  の特例に関する法律案(内閣提出)
 第六 補助金等の臨時特例等に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 第七 地方公共団体の負担金の納付の特例に関
  する法律を廃止する法律案(内閣提出)
 第八 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参
  議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 昭和三十六年度一般会計予算(前会
  の続)
 日程第二 昭和三十六年度特別会計予算(前会
  の続)
 日程第三 昭和三十六年度政府関係機関予算(
  前会の続)
   午前零時九分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 昭和三十六年度一般会計予算      (前会の続)
 日程第二 昭和三十六年度特別会計予算      (前会の続)
 日程第三 昭和三十六年度政府関係機関予算    (前会の続)
#3
○議長(清瀬一郎君) 日程第一、昭和三十六年度一般会計予算、日程第二、昭和三十六年度特別会計予算、日程第三、昭和三十六年度政府関係機関予算、右三件を一括して議題とし、前会の議事を継続いたします。
 討論を継続いたします。木原津與志君。
  〔木原津與志君登壇〕
#4
○木原津與志君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十六年度一般会計予算等三案に対しまして、政府原案に反対、社会党提出にかかる予算組み替え動議に賛成の討論を行ないたいと存じます。(拍手)
 まず、第一番に私が申し上げたいことは、予算編成の過程についてでございます。
 御承知のように、三十六年度予算の政府案は、一月五日大蔵原案が決定いたしまして、一月十九日に閣議決定を見て、同月二十八日本国会に提出されたのでございます。そもそも、国の予算は、財政法二十七条に、「内閣は、毎会計年度の予算を、前年度の十二月中に、国会に提出するのを常例とする。」こうなっております。しかるに、いまだかつて歴代の内閣が前年度の十二月中に国会に予算を提出したためしはないのであります。大蔵原案が閣議に報告されると、恒例のごとく、政府与党あるいは政府内部と圧力団体の予算のぶんどり競争が必ず始まる。その姿は、まさに腐れ肉に群がるハゲタカのようなものでございます。(拍手)予算の審議権を持っている野党の国会審議の前に、すでに大っぴらにむしり合いを始めて、数日かかってようやく妥協ができて、やっと政府原案ができ上がるのであります。ところで、政府は、こうしてでき上がった原案を絶対に固執して、野党の修正には耳をかそうとしないのであります。これではいあたかも、圧力団体には予算の修正案があるが、国会には修正権がないかのごとき感があるのであります。(拍手)議会政治の権威が一体どこにありましょうか。(拍手)
 三十六年度予算案と同時に提出された三十五年度第二次補正予算は、こうして一般会計から財政投融資に繰り入れた財源をハゲタカどもに食い荒らされた政府が、仕方なく、財政法二十九条違反を承知の上で、第二次補正は絶対に組まないという公約をしているにかかわらず、この公約をじゅうりんして第二次補正を組み、三十五年度の自然増収を、年度内に使いもしない財政投融資の原資に繰り入れ、そのうち百五十億円を三十六年度中に使用するというような不届きな処置をとったのも、予算編成の過程における圧力団体の食い荒らしにその根源があるのであります。(拍手)
 予算編成の過程が右の通りでありまするから、予算関係の法案の国会提出も自然と遅延する、予算審議がまさに終わろうとしておるのに予算関係の法案の提出が出そろわない。従って、定まった国会の期間中に法案の審議ができないために、会期を延長しなければならないというようなことが、毎年毎年繰り返されるのであります。この際、政府は、予算の編成権と国会の予算審議権のあり方につき根本的に再考するのでなければ、議会政治の将来に重大な禍根を残すであろうことを警告するものであります。(拍手)
 そこで、以下、反対の趣旨を論述いたします。
 三十六年度予算案は、国民所得倍増を実現するための池田内閣の組んだ第一次予算であります。その予算規模は、一般会計において一兆九千五百二十七億円、三十五年度当初予算より三千八百三十億円、二四%の増となり、財政投融資において七千二百九十二億円、三十五年度当初計画より千三百五十一億円、二二%増という、未曾有の膨張予算であります。政府が、税の自然増収を三千九百三十億とはじき出して、そうして、腹一ぱいの積極予算を組んだ根底には、言うまでもなく、所得倍増初年度の経済成長率を九・二%と策定いたしまして、これをささえる民間投資と輸出の伸び、さらに、国民消費と財政支出にすべての運命をかけているのであります。池田総理の所得倍増にわれわれが最も不信と不安を持つ点の第一は、その倍増計画に一貫した政策がないことであります。(拍手)倍増計画について年次々々の具体的なプランを示さずに十年後の所得倍増を説いてみても、責任ある政府の政策としての権威はないといわねばなりません。(拍手)
 日本の資本主義経済をささえる柱は、言うまでもなく、鉱工業の生産と、国民の消費力と、輸出の三つでありましょう。政府は、三十六年度の農業生産の伸び率を二・九%と算出しておりますから、来年度の国民総生産を九・二%の伸びとするならば、工業生産は実に三〇%以上の伸びを期待しなければなりません。ところが、民間の設備投資は、すでに過剰生産で頭打ちの状態にある。三十五年度並みの伸びを期待することはとうていできない。輸出も、政府の期待する一〇%の増加は、アメリカのドル防衛の影響と、世界的輸出競争の激化、さらに、東南アジアのドル不足の状況から、とうてい見込みは立てにくいといわなければなりません。すでに、今年一月の貿易じりは赤字を出しております。企画庁は、貿易の先行きを警戒し出したということであります。国民の購買力一〇・七%増の見通しも、所得格差の拡大と物価の値上がりに押えられる公算がすこぶる強いのであります。公共事業費を三十五年度より三百九十一億、その他公共投資を大幅に拡大して、生産資材の需要にヒロポン的な刺激を加えてみましても、総生産九・二%の実現はとうてい不可能といわなければならないのであります。しかも、ヒロポンのような刺激を絶やさないように打ち続けるということには一定の限界があるのであります。特需やアメリカの援助にも多くを期待できない。そうすれば、勢い、池田内閣の所得倍増に残された道は、インフレか軍備の拡張でなければなりません。(拍手)この道は、どちらに行っても、過去の日本が歩いて誤った道であります。日本経済が破滅に通ずる以外の何ものでもありません。こうして、池田内閣の所得倍増は、結局、軍備の拡張拡大予算につながるものでありまして、すでに今年度防衛費の増額は二百億をこえ、三十八年度においては、防衛関係予算は優に三千億をこえるでありましょう。(拍手)新安保体制の強化を指向する池田内閣は、その実態をここに暴露していることを指摘しておくのであります。(拍手)
 次に、われわれが本予算に反対せざるを得ない第二の理由は、その減税についてであります。
 政府は、三十六年度の自然増収を三千九百三十億円前後と算定しております。しかるに、政府本予算の純減税総額は、法人税、所得税を通じて、わずかに六百三十億円であります。自然増収約四千億円に対して、純減税額六百三十億円は、あまりに少な過ぎるといわざるを得ません。(拍手)一方、預貯金の利子所得に対する一〇%の分離課税の特例や、あるいは設備近代化のための特別償却制度も存続し、耐用年数も二〇%短縮され、こうして、二千億円以上といわれる租税の特別措置は、整理縮小されるどころか、むしろ拡大されておるのであります。これらによる減税額は、所得税の減税総額をはるかに上回るものでありまして、ここにも独占資本擁護の池田内閣の性格が如実に現われておると申さねばなりません。(拍手)
 さらに、われわれは、この機会に所得税の減税の恩典を受けない階層に対して減税の効果を及ぼし、また、物価引き下げの一助として、間接税、特に酒、たばこの消費税の引き下げを要求するものであります。酒、たばこの消費税は、御承知のように、国の税収入の二〇%を上回っておるのであります。ところが、この酒、たばこの消費税ほど苛酷な課税は他に類を見ないのであります。しかも、この課税に減税の恩典を受けることのない階層が支出上の負担を受けておるのであります。二級酒一升について二百五十円の税金をかけておる、ビールは一本二十四円である。あの二十四円のビールに七十五円の税金をかけて売っているじゃないか。ピース一個は四十円、二十六円八十銭は国がとる税金である。こういう課税、こういう税金は、税金というよりも罰金といわなければならぬ。(拍手)酒に酔っぱらっておるのではないのだ。税金に酔っぱらっておる。皆さん、酒を飲み過ぎれば二日酔いをいたしますが、二日酔いをするはずです。税金の飲み過ぎだから二日酔いで頭が痛くなるのだ。
 反対の第三は、社会保障の施策についてであります。
 われわれは防衛庁予算二百億円の増額をやめて社会保障の拡充に充てることを要求しましたが、政府はこれすらも拒否いたしました。経済成長の基盤は、国民の購買力の拡大でなければなりません。しかるに、政府は、社会保障費の増額措置として、わずかに生活保護基準の一八%、失対賃金の一〇%引き上げをもってするよりほか、他に何らの施策がないではありませんか。厚生省でさえ、保護費について二六%増を要求しておるのでありますが、結果は、わずかに一八%増に押えてしまったのであります。一千万人以上に上るといわれておるボーダー・ラインの中で、わずかにその一割余にしか当たらない百四十三万人をこの生活保護の対象人員としたにすぎないのであります。失対賃金の一〇%増と相待って、一体幾ばくの国民消費力の伸びになるというのでありましょうか。要保護者の一日カロリー摂取量は千六百二十カロリー前後といわれております。これでは生命線以下の生活だといわなければならないのであります。加うるに、生活必需品の一斉の値上がりは、これらの要保護階級に対して死刑の宣告をしております。
 政府は、三十六年度の小売物価の上昇率はわずかに一・一%と言っておりますが、この物価指数は統計指数のインチキであります。与党の田中伊三次議員が指摘いたしましたように、政府の閣僚は、一度街頭に出て、小売物価の値上がりの実態を究明してみなければならないと思うのであります。(拍手)サービス料や日常生活必需物資は、池田内閣の所得倍増のかけ声だけで倍増以前に早くも値上がり、これがさらに、国鉄運賃、郵便、電気、ガス、自動車等、公共料金の法外の値上げ含みに影響されて、さらに上昇の勢いを示しております。土地の価格は、三十年を基準として約三倍に、株価は、ことし一月、ダウ平均千四百三十六円と奔騰をしております。これらも一般物価に大きく影響してくることは間違いありません。こうなれば、池田内閣の所得倍増は、まさに物価の倍増計画と訂正しなければならないのではないかと反問したくなるのであります。(拍手)昨年暮れ、だれかが、池田内閣ができてから小売値段で値下がりをしたのは白菜と八本足のタコだけだと言ったことがある。(拍手)これに加えて、一般国民の医療費負担が八十四億円、ガソリン税の増税百八十億円の物価へのはね返り等、あれこれ加えれば、一般庶民、労働階級にとっては、この予算は戦後最悪の予算と断ぜざるを得ないのであります。(拍手)一体だれのための積極予算かといわざるを得ません。
 政府は、経済の高度成長の中で所得の格差を自然に解消すると済ましておりますが、昨年発表され、池田総理を怒らせたといわれる厚生白書が、率直に、所得格差が一そう開いてきていると報告しております。(拍手)政府の発表でありますから、これ以上所得格差について議論する必要はもうありません。
 このほか、三十六年度の予算では、農業、中小企業に対する対策の促進、後進地域の開発など、若干の対策が取り上げられてはおりますが、これとても、公共事業費、財政投融資の大幅増額による大資本の蓄積拡大のための対策に比較すれば、いずれもスズメの涙の域を一歩も出ておらぬのであります。(拍手)
 反対の第四は、財政投融資の運用についてであります。
 財政投融資の原資は、御承知のように、国民の税金及び郵便貯金、簡易保険、国民年金、厚生年金等、国民の零細な資金の積み立てであります。ところが、政府は、この資金を、開発銀行、輸出入銀行、こういうものを通じて大資本への長期低利融資に充てておりまするし、また、産業基盤の強化のためと称して、道路や運輸通信施設、工場敷地等の建設に向けておりますが、これとても、大資本の経済活動に奉仕しているものであります。それに対して、中小企業や農漁民への資金の供給はきわめて少額であります。元来、所得倍増下の大資本が、いまだに国の財政資金にたよって自分の事業と利潤を拡大しようと計画するというがごときこと自体、言語道断であるといわなければならないのであります。(拍手)本来、国民の資金である財政投融資の運用は、一部大資本の利益のために使われるのではなく、国民の利益のために使われなければならないということを、われわれは強く主張するものであります。
 さらに、この際言及したいことは、本年度の財政投融資の原資の中に千二百億円に上る公募債と借入金があることであります。この借入金は、結局、日本銀行からの借入金ということになりましょう。これは紙幣の増発を意味するものでありまして、ここに今次予算がインフレの危険をはらんでおるといわなければなりません。しかも、この公募債と借入金は、昭和三十四年以来、大幅に増加しておるのであります。こうした財政投融資の増加は、池田内閣の積極政策がインフレ激発の道に通じて、日本経済の正常な発展を阻害するものであるということを指摘し、反対するものであります。(拍手)
 次に、農林予算でありますが、池田内閣の所得倍増計画の一番のウィーク・ポイントは、農業所得の倍増といわれるところでありましょう。総理の所得倍増論は、三十六年度農業生産の成長率を二・九%と踏み、十年後の成長率を三〇%と算定するのでありますから、この計算でいけば、どうしても農業人口を十カ年間に三分の一に削減しなければ所得倍増を達成することはできないという計算になるのであります。池田総理がどのように弁明しようとも、これこそ、農民首切り論であります。まさに非情きわまる政治だと断定せざるを得ないのであります。(拍手)農家は土地に定着して生活をしておるものであります。彼らの政治に対する願いは、所得の倍増で土地を追われるのではなくして、どうして農地の上で安定した農家経営がやっていけるかどうかということであります。歴代の保守党内閣の農政は、ときに食糧増産政策を農政の主柱にするかと思えば、あるときは適地適産を、また、あるときは畜産振興と、まさに思いつきの無責任な農政を繰り返して農林予算の比重を年々減少させ、農政を後退させてきたのであります。今次池田内閣に至っては、ついに農業人口三分の二削減を打ち出して農家を脅かしているのであります。
 しかも、一方、日本農業の体質改善とうたって農業基本法を今国会に提出しておりますが、これに見合う農林関係の予算を見ますれば千六百八十四億円、三十五年度に比べて三百六十五億円の増額であります。しかも、この増額のうち、二百七十八億円は食管会計の赤字の補てんのための繰り入れ資金であります。本来の農政費としての増額は、まことに微々たるものにすぎません。政府の農業への投資はむだな投資であるという考え方が、ここにはっきりと現われていると思うのであります。
 以上の理由によりまして、政府予算案は、これを一言にして申し上げるならば、政府の一枚看板である所得倍増は、独占資本の擁護、インフレと軍備拡張を指向する予算であると断ぜざるを得ません。(拍手)わが党は、全日本勤労大衆を代表いたしまして、政府予算案を承認せず、これを返上するものであります。あわせて、池田内閣に対しまして、国民大衆の不信の意思をはっきり表明せんとするものであります。(拍手)
 次に、私は、日本社会党から提出された三十六年度予算案の組み替えを求める動議に対しまして、賛成の討論を行ないたいと思うのであります。(拍手)この点につきましては、先ほど、同僚の長谷川議員から、皆さんに実に詳しい説明がなされたことでありまするから、私は、きわめて簡単に、この組み替え案の基礎にあるわが党の考え方だけを申し述べるのでございます。
 すなわち、政府予算案は、所得倍増の名のもとに国民生活を破綻に導き、その犠牲の上に大資本の蓄積と利潤の増大を推進しようとするものであり、一面、また、平和共存を目ざす内外情勢に逆行いたし、安保体制に基づく軍備増強を推進しようとするものであります。従って、われわれは、日本の内外政策を平和と国民生活向上の方向へ根本的に転換させることを要求するということでありまして、この組み替え案こそが、日本の国民に明るい未来を表示している方針であると確信するものであります。(拍手)
 以上が、社会党の組み替え案に賛成するところの理由であります。
 以上をもって、政府予算案に反対し、社会党の組み替え動議に基づいて予算案を組み替えることを要求いたしまして、私の討論を終わるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(清瀬一郎君) 春日一幸君。
  〔春日一幸君登壇〕
#6
○春日一幸君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ここに議題となっております、政府提出の昭和三十六年度一般会計予算外二件の予算案並びに日本社会党提出の組み替え動議に反対し、以降、その理由について、逐次これを明らかにいたしたいと存じます。
 まず、政府案に反対する第一の理由は、自民党とそのそでに隠れた圧力団体との暗躍によって、この予算案は、彼らの手あかとともに、水ぶくれした不健全予算であるからであります。
 池田内閣は、さきに減税と社会保障及び公共投資の三大政策を天下に公約いたしました。しかるに、この予算に示されたものは、減税は小幅にとどまり、社会保障は不徹底に終わり、公共投資といえども、たとえば揮発油税の増徴、国鉄運賃の値上げに見るがごとく、それは物価騰貴を誘発する原因を作るなど、まさに財源の調達とその使途の配分を誤るに至っておるのであります。まことに二兆円になんなんとする貴重にして巨大な財源を擁しながら、何がゆえに、かかるずぼらにして無性格なものに堕し去ってしまったのか。私は、その最大の理由として、政府の予算編成の不手ぎわと、その非立憲性を、ここに指摘せざるを得ません。
 わが国の予算編成におけるそのもんちゃく騒ぎは、近代国家にその類例を見ないところであります。すなわち、各省間のぶんどり競争と圧力団体のばっこ跳梁する喧騒の中に、あたかも当然のごとくにして、党と党人が介入して、ますます、このもんちゃくを一そうに拡大激化せしめておるのであります。一体、予算編成権は政府にあるのか、はたまた、政党にあるのか、この区別と行動の限界を明確にすることは、国家の秩序を正しくする上において、きわめて重要な事柄であろうと思うのであります。(拍手)
 申し上げるまでもなく、予算の編成権は、憲法第八十六条により内閣に与えられたる専属固有の権限であります。もとより、われわれも、諸君とともに、政党政治の何たるかを理解しないものではありません。しかしながら、もしそれ、政党政治の名によって、万が一にも憲法が空文化するがごとき形において政治の運用が行なわれるならば、殷鑑遠からず、それは昭和初年において政党政治の宿痾が高じ、これがファッショの台頭を招いて、ついに政党が自滅したごとく、再び国民の信頼はお互いの政党政治から離れ去ることなしとは断じがたいのであります。(拍手)すべからく、政党政治のもとにおける予算編成権の所在と政党介入の限界について、政府と与党は、今後、厳粛なる一線をもってこれを区画すべきであると思うのであります。
 思いまするに、政党が政策を生命として立つ以上、また、政府与党でありまする限り、その政策を内閣に反映させることは当然なことでありましょうが、それは予算編成方針作成の段階において大綱的に反映せらるべきであって、いやしくも細部の予算編成は内閣に一任すべき筋合いでありましょう。しかるに、昨年十二月二十七日に閣議決定を見た予算編成方針は、相も変わらぬ抽象文字の作文に終わり、問題となりそうな重要案件はことごとくこれを回避して、ことさらにその焦点をぼかしたものでありました。さればこそ、大蔵省の予算原案は、事もあろうに、難問の処理を自民党の処理に一任した事務局案にすぎないほどの、まさに不見識きわまるものであったのであります。かくては、政府案決定の直前の段階であのように議論が紛糾し、はなはだしい混乱に陥ったことは当然の帰結であって、このようなありさまでは、とてもとてもりっぱな予算案ができる道理はありません。
 はたせるかな、一月十九日にこの予算が閣議決定を見まするや、いち早く、新聞はこぞってこれを批判いたしました。たとえば、日本経済新聞はこれを「政府予算案は場当たり政策の反映」、朝日新聞は「しんの欠けた膨大予算」、読売新聞は「放漫に流れた明年度予算案」、毎日新聞は「ついに不健全予算となる」など、痛烈なる酷評を下したのであります。これによって、これを見れば、池田内閣と自民党は、いたずらに政党政治を万能として、憲法の精神をじゅうりんし、国民に深く不信の念を抱かせたものであり、かくのごときは、わが国憲政史上おそるべき悪例を残したものであります。まことに、その政治悪は、ただに予算問題にとどまらず、民主政治の将来に禍根を植えたものとして、最も激しく糾弾されなければなりません。これが、この予算案を退けんとする最大の理由であります。
 次に、反対理由の第二は、この予算案は、政府が経済の見通しをあまりに楽観するとともに、それはわが国経済の実勢を顧慮せざる放漫予算であるからであります。
 まず、三十六年度の経済見通しでありますが、はたして政府の予測するがごとき楽観的見解が許されるでありましょうか。ここに眼を海外経済に転ずれば、アメリカは、昨年半ばから景気の後退に陥り、さらに加えて、国際収支の赤字と金の流出に悩まされておることは、周知の事実とされております。また、欧州諸国の経済はすでに成熟期に入り、英国では早くも景気停滞の傾向が見られております。さらに、東南アジア諸国は、これら先進工業国の景気の横ばいや後退によって、外貨事情は再び悪化の方向に傾き、ために、これら諸国との貿易の拡大は望み得ない状況にあるのであります。言うならば、ひとまず世界の景気はその峠を越したものと見るべきでありましょう。今や日本をめぐる国際環境はすこぶる悪く、ために、わが国の貿易の前途は一応暗いものと案ぜざるを得ません。
 翻って国内経済においては、すでにその好況三年目を迎えました。神武景気から岩戸景気、高天原景気と、わが国経済は好況の峰々を跋渉して、次第にその極限のものをきわめつつあるのではないかと思われるのであります。ここに、資本主義経済の宿命ともいうべき景気循環の必然性をあわせ考えますとき、この先いつまでもこのような高原状態が続くものではないでありましょう。ここに、今後アメリカのドル防衛策が本格化いたしまするならば、直接に、わが国の特需収入は大幅に減少し、間接には、わが国の輸出と資本取引に悪影響を及ぼすことは必至であります。
 さらに、本年秋のIMFやガットから貿易・為替自由化が迫られて、これがわが国の産業経済を圧迫し、輸入を増大に導くであろうことは明らかであります。現に、一月の国際収支は、経常取引で一億ドルの大幅赤字を出すに至りました。日銀はこの赤字を基調的変化と判断し、もしこの状態が続くならば、日銀は重大なる決断を要するものと、これを重視しておるといわれております。しかるところ、このような経済見通しにもかかわらず、明年度の一般会計予算は一兆九千五百二十七億円、財政投融資計画は七千二百九十二億円という、超大型のマンモス的相貌を持つに至りました。一体、このような膨張予算が、かかる経済環境の中で適切なものと言えるでありましょうか。それは、財政の常道に大きくはずれ、経済の通念をはるかに越えたものであります。わが国産業経済の健全性を確立するために、まことに深憂にたえざるところであります。これが、本予算案に対し強く反対する第二の理由であります。
 反対理由の第三は、減税の規模が過小であり、減税の内容が不当であるという点についてであります。
 明年度の税制改正による国税の減税額は、増税分を差し引き、実質的減税は、平年度七百五十六億円、初年度六百二十一億円にすぎません。池田内閣は、国民に対して一千億以上の大幅減税を公約したのでありますから、この公約は、形式的にも実質的にも実行せらるべきものでありました。しかるに、実質的減税は、かくのごとく、わずかに六百二十一億円にとどまり、しかも、予算編成の大詰めの段階において、突如として揮発油税等の増徴が行なわれ、減税という公約のもとに、逆に増税が断行されたことは、これは全くの公約違反であります。揮発油税等の増徴は、選挙の際にも、予算編成方針の中でも、一言半句も何ら言及されてはいなかったものであります。
 ここに、明年度の租税収入増加額は三千九百億円の巨額が見込まれております。税制調査会が、国税において平年度千二百二十億円の減税方針を答申いたしましたとき、その根拠とされた明年度における租税収入増加額の見積もりは二千五百億円ぐらいでありました。しかも、税制調査会の答申では、国民所得に対する税負担の割合を、二〇%程度の現在の線で押えることを提言いたしておるのであります。租税収入増加額が二千五百億円から三千九百億円にふくらむならば、それに応じて減税額もふえるのでなければ、国民所得に対する税負担の割合は、現在の二〇%程度の線を維持することはできません。従って、減税は、税制調査会の答申にこたえるためにも、さらに大幅に行なわるべきであったにもかかわらず、池田内閣は、これをあえて小幅減税にとどめ、その公約を破り、国民の期待を裏切ったのであります。
 わが党が重ねて非難せざるを得ないことは、それは減税の規模のみならず、実に減税の内容についてであります。
 この予算案では、減税は、所得税において六百三十一億円、法人税において四百九十七億円となっております。これでは、所得税の減税と法人税の減税との間に、その減税額があまりに不均衡であります。ここに、所得税は国民生活に関係の深い税であり、法人税はむしろ企業の利潤に関係の深い税であるとされております。従って、法人税において四百九十七億円の減税をする場合は、所得税においては少なくともそれの三倍以上その減税を行なうのでなければ、両者の均衡ははかられません。また、この減税案は直接税のみのものであって、間接税には何らの減税が行なわれていないのみならず、揮発油税等のごとく、かえって増税になっておることは、決して許されるところではないでありましょう。このことは、直接税の減税によって、これは、国民のうち、所得税を納める階層には若干の負担軽減とはなりましょうが、所得税すら納められない低所得階層には、今回の減税は何らの恩恵も与えてはおりません。これはあまりにも不公平であります。しかも、池田内閣は、一方において、国鉄運賃、郵便料金、医療費、揮発油税等の引き上げを行なわんとしております。これら引き上げによる国民の負担増加は八百億円の巨額に達する見込みであり、これでは、六百二十一億円の減税などは全くきれいに帳消しされてしまうばかりか、かえって国民の総合負担は重くなるのであります。かくして、今や国民の怨嗟の声は次第に高まり、結局、池田内閣の所得倍増政策なるものは、所得格差の倍増となって、やがて国民大衆に残酷なるピリオドを打つことになるのではないかと、深く案ぜられてなりません。(拍手)これが、この予算案に賛成し得ない第三の理由であります。
 反対理由の第四は、明年度予算に計上された社会保障費があまりに不十分であり、ために、社会保障制度の拡充がその絶好の機会を失ったことについてであります。
 明年度の社会保障費は二千四百六十六億円で、これは本年度より六百三十六億円、三四・七%の増となっておりますが、予算総額に占めるその比率を見ると、これは本年度の一一・六%から一二・一%と、わずかに〇・五%だけの微増にすぎません。予算総額は、本年度の一兆七千二百十億円が、明年度は一兆九千五百二十七億円と、一三%以上も膨張しているのでありますから、社会保障費は、この予算総額に応じて増額すべきであり、また、増額することができたはずであります。これに比べ、公共事業費は、総額三千四百五十四億円で、社会保障費に比べ一千億円も多く、なかんずく、道路整備費のごときは、本年度の八百九十億円が、明年度には千三百九十九億円と、実に五百九億円を加え、その増加割合は五七%に上っておるのであります。まさに、この予算は、社会保障よりも公共投資優先の予算であると断ぜざるを得ません。かくて、減税も過小、社会保障も不徹底ということで、さきに池田内閣が公約した減税、社会保障及び公共投資という重要政策の三大支柱は、公共投資の柱だけがどぎつく中天にそびえ立つばかりで、愛といたわりの政策の柱は、ぶざまにその形を細めてしまいました。
 ここに、わが国の所得格差ははなはだしく、また、貧困世帯の数は多いのであります。これら低所得階層の生活困窮の実情は見るに忍びないものがあるのでありますが、池田内閣は、道路や橋だけが気にかかって、これらのむなしい人々の悲しみは大して心を痛めぬというのでありましょうか。この予算に計上された社会保障費が、池田内閣の公約した画期的な社会保障の充実に、いかにほど遠い予算であるかは、社会保障費の内容を点検すれば、それはきわめて明瞭であります。経済の高度成長は、われわれも強くこれを願望するところではありますが、それは貧しき人々の犠牲によって達成を急ぐべき筋合いのものではなくして、まず、多数同胞の貧苦を克服しつつ、漸進的にその推進をはかるべきであると思うのであります。(拍手)池田内閣は、高度成長か国民福祉かの選択にあたり、前者を優先し、後者を劣後に置きました。かくのごときは、わが党の断じてとらざるところであります。これが、この予算案に対して反対する第四の理由であります。
 反対理由の第五は、明年度予算には、物価騰貴を誘発助長するおそれが多分にあるという点についてであります。
 明年度予算が超大型予算といわれるほどに財政規模が急激に膨張しておることは、すでに指摘したところであります。しかも、このような超大型予算が、経済の実勢ないし基調を全く顧慮せずして編成されておるところに問題があるのであります。このことが、過度に経済を刺激して、その結果、物価騰貴を誘発助長するおそれが多分にあるのであります。これに加えて、明年度予算では、鉄道運賃、郵便料金、医療費、揮発油税等の引き上げが予定されておるのであります。現に、所得倍増計画のかけ声と相競合して、物価の値上がりムードは醸成され、すでにして私鉄運賃、バス、トラック、タクシー代、電気料金、私学授業料等の値上げが待ちかまえており、その他各種のサービス料金等の値上がりも予想されるに至りました。物価がずるずると上がるという、このような不気味な値上がりムードは、もとをただせば、それは総選挙の際、物価は上げないと言明していた池田内閣が、みずから公共料金等を引き上げた、この率先垂範の悪い先べんによって引き起こされたものであることは、歴然たる事実である。池田内閣は、今ごろになって物価抑制を口にされてはいるが、実はそれについて、何ら確固たる物価抑制の具体的政策をお持ちの様子はありません。まことに不安にたえないところであります。
 ことしは、池田内閣の金看板である所得倍増計画がスタートを切る第一年目でありますが、皮肉にも、所得倍増よりも物価増倍の方が一足先にやってくるのではないかという、そんな印象と実感が国民の間に次第に強まりつつあるのであります。もとより、池田内閣の高度成長政策は、その本来のねらいは、ともかくも、国民の実質所得を高めるとともに、所得格差の解消をねらったものであったでありましょう。それには何よりも物価の安定が大前提となっていたはずであります。しかるに、今や、この物価安定という大前提は、もろくもくずれ去らんとしておるのであります。かくのごとくにして、この予算は、国民生活を圧迫し、所得格差をますます拡大していく性向を持つものであります。池田総理は、この予算案を高くかざして、一方に高度成長を唱え、他方に所得格差の解消を叫んでおるのでありますが、これは風車に向かうドン・キホーテの姿にほうふつたるものがあるのであります。すなわち、この予算案は、それ自体に自己矛盾を包蔵し、政策は相剋撞着して、とうてい始末に負えない性格のものでありまして、これは、国民の福祉を守るために、はなはだ有害なものであるのであります。これが、この予算案に反対する第五の理由であります。
 反対理由の第六は、企業格差を是正するための中小企業対策がなおきわめて不十分であるということについてであります。
 明年度予算において、中小企業対策費は、四十五億九千七百万円という、きわめて軽少なものであります。一体、この程度の予算をもってして、中小企業が当面する諸懸案の解決がはかり得るものでありましょうか。国民所得倍増計画を答申した経済審議会の中小企業小委員会の報告において、企業格差をできるだけ縮小し、各部門の均衡ある発展をはかることは、社会的緊張を緩和しつつ経済全体の成長を将来にわたって持続せしめる上に必要不可欠の条件であると述べて、格差の是正、規模の適正化、設備近代化と自己資本の充実、環境の是正、労使関係の近代化、小規模企業の近代化の六項目を計画の目標として取り上げ、さらに、目的達成のための重点施策を詳細に論じておるところであります。
 これらの内容のうち、特に金融政策の部分においては、中小企業金融の現状は、量質ともに貧弱であり、そのことが中小企業の近代化と成長をはばみ、わが国の経済構造を巨大と零細の二極集中型にした有力な原因の一つであると断を下し、さらに、企業格差を是正するためには、金融機関の貸出増加額のうち、中小企業向け貸し出しの占める割合を、設備資金においては現在の二三%から四〇%程度、また、運転資金においては四七%から五五%程度にこれを引き上げることが望ましい、この場合、中小企業向け財政投融資の比重は、少なくとも、従来の二倍程度に増額する必要がある、と強調しておるのであります。この中小企業小委員会の報告と、明年度の中小企業に対する予算や財政投融資を対比検討いたしまするとき、池田内閣の中小企業対策は全く不徹底きわまるものであります。今こそ、この段階において中小企業対策と真剣に取り組むのでなければ、中小企業の前途はまさに憂うべきものがありまして、やがては、これこそが社会不安、政治不安のもととなるものであることを、ここに強く警告せざるを得ません。この予算案は、かかる重大なる諸問題について何らの配慮がなされておりません。これが、本予算案に対し反対する第六の理由であります。
 以上、私は、政府案に対し反対する理由について申し述べましたが、この際、これらの理由に基づき、ここに来年度予算案はいかにあるべきか、以降、わが党の見解を明確にいたしたいと存じます。
 まず、一般会計歳入予算について申し上げまするならば、政府案は、経済発展に見合って大幅の租税の自然増収を見込んではいるが、なかんずく、大企業法人の企業収益については、なおその税収見積もりは正当を欠いていると思われるのであります。また、今回の減税は、国民の租税負担の不均衡是正について、租税特別措置法の改正がなおなお不徹底であります。従いまして、わが党は、大企業よりの法人税の徴収を適正に行ない、加えて、高額所得及び超過利得に対する当然の課税を行なうべきであると思うのであります。しこうして、同時に、一方において、低所得者及び大衆消費品に対する減税を徹底せしむべきであると思います。また、物価の値上がりを誘発する揮発油税の増税は、これを当然取りやめなければなりません。
 次に、一般会計歳出について申し上げますならば、政府案は、経済成長の基盤をつちかう公共投資に最重点が置かれ、他の歳出項目の増額はおおむね当然増による部分が多く、前年度予算に比べて二千三百億をこえるこの歳出増の配分は、あまりに大企業奉仕に片寄っていると思うのであります。従って、わが党は、この際、国民生活と雇用の保障並びに生産性向上に基調を置く中小企業と農林漁業の近代化促進をはかるため、その歳出配分の重点を置きかえるべきであると思うのであります。しこうして、特に、社会保障関係諸制度が、このように豊富な財源に恵まれた年度を絶好の機会として、その拡充のために必要なる予算は、天引き的に最優先の配分を行なうべきであると思います。また、あわせて、農家所得の向上と農業生産力増強とを同時に推進いたしますために、ここに、生産者米価について、生産費と所得を補償し得る予算措置を行なうことが必要不可欠の要件でございましょう。特に、防衛庁費につきましては、国を守る最小限度の措置費に改変する目標のもとに、まず、明年度における一切の新規増勢はこれをとりやめるべきであります。しこうして、現自衛隊における一切の欠員補充はこれを見合わせることとし、もって自衛隊規模はおおむね昭和三十四年度末の態勢にしぼるべきであると思うのであります。また、一般行政費については、最近の会計検査院の検査報告に徴しますれば、官庁のむだ使いの少なからざる実態にかんがみ、この際、予算総支出二兆円の一%程度、すなわち、二百億円は、各省庁に按分してこれを節減せしむべきであると思うのであります。
 次に、財政投融資について申し述べます。
 今や、経済の成長に伴い、金融、証券、公社債の市場も次第に正常なる発展を見つつあるのであります。従いまして、財政投融資の対象は主として農林漁業、中小企業、住宅建設、道路及び地方開発関係のほかは、地方債の引き受けと国鉄、郵便事業を中心とし、その他のものは経済ベースによって公募し、または借り入れに依存するよう、この際、財政投融資の態勢は全面的に再編成すべきであると思うのであります。しこうして、国鉄、郵便事業などの各公共企業体において、国民生活に負担を加え、物価値上がりの素因を作るそれらの料金引き上げは、この際、これを取りやめるべきであります。
 以上申し述べました趣旨にのっとり、わが党は、独自の予算組み替え案を予算委員会に提出し、各位の御賛成を求めたのでありまするが、これら詳細なる具体的内容については、さきに御配付いたしました資料について十分なる御検討をわずらわしたいと存じます。
 最後に社会党提出にかかる予算組み替え案に対し、わが党の態度を明らかにいたしたいと存じます。
 社会党の組み替え案は、政府原案に比べ相当進歩的なものではありますが、これはまた、わが党の要求するところと少なからざる隔たりを持つものでありますから、わが党は、これに対しても反対の意思を表明せざるを得ないものであります。
 なお、この際、本予算案の修正をめぐって、このほど、自民、社会の両党首会談が持たれましたが、その意義と国民の受けた印象について、ここにわが党の見解を明らかにいたしておきたいと思います。
 世評は、この両党首会談に対し、ある者は、これを、政治を話し合いによって決する議会主義のよき慣行が打ち出されたものとして賞賛し、ある者は、これを、党利党略のサル芝居にすぎないものとして、けなしております。ただ、私の強調いたしたいことは、毀誉褒貶のいかがあらんとも、天下の広居に位して、党首と党首が国民のために事をはからんとするときは、虚心にして濶達、いやしくも、こだわり、とらわれるところがあっては相ならぬということでございます。池田総理は、社会党のあの予算修正要求が、防衛費の削減、公共料金の値上げの撤回、拠出制国民年金の実施延期を三大絶対要件としていることを知りながら、この党首会談を応諾されたのでありますが、一体、総理は、この会談によって何らかの成果をおさめ得るの見通しがおありであったのでありましょうか。もとより、民主政治は話し合いによって妥結をはかるものではありましょうが、それは、あのような両党首会談の結果に見るがごとき、収穫皆無のものであっては相なりません。両党首が、お互いに別の心で、めいめいに勝手な音響を発し合っただけで、何ら国民のための成果を取り計らうことなく、そのまま、しゃあしゃあとして、しさいありげな声明を発して事終われりとするがごときは、党利党略への没頭か、ゼスチュア・ゲームの演出か、あの会談に期待をかけた国民の中には、落胆のあまり、何か愚弄されたものの憤りをすら禁じ得ないものもあるのであります。すべからく、党首みずからが話し合わんとするときは、その結末への見通しを持たれるように、しこうして、話し合った以上は、ともに譲って、確実なる成果を得られるように、このことをこそ、議会制民主政治の名において、池田総理に厳重に忠告をいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
#7
○議長(清瀬一郎君) 以上をもちまして討論は終局いたしました。
 よって、これより採決に入ります。
 まず、井手以誠君外十五名提出の昭和三十六年度一般会計予算外二件の編成替えを求めるの動議について採決いたします。
 井手以誠君外十五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#8
○議長(清瀬一郎君) 起立少数。よって、井手以誠君外十五名提出の動議は否決されました。(拍手)
 次に、昭和三十六年度一般会計予算外二件を一括して採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。三件の委員長の報告はいずれも可決であります。三件を委員長の報告通り決するに賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#9
○議長(清瀬一郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#10
○議長(清瀬一郎君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#11
○議長(清瀬一郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#12
○議長(清瀬一郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 四百二
  可とする者(白票)  二百五十五
  〔拍手〕
  否とする者(青票)   百四十七
  〔拍手〕
#13
○議長(清瀬一郎君) 右の結果、昭和三十六年度一般会計予算外二件は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
 昭和三十六年度一般会計予算外二件を委員長報告の通り決するを可とする議員の氏名
      安倍晋太郎君    安藤  覺君
      相川 勝六君    逢澤  寛君
      愛知 揆一君    青木  正君
      赤城 宗徳君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    秋山 利恭君
      足立 篤郎君    天野 公義君
      綾部健太郎君    荒木萬壽夫君
      荒舩清十郎君    有田 喜一君
      有馬 英治君    井出一太郎君
      井原 岸高君    井村 重雄君
      伊藤 五郎君    伊藤 郷一君
      伊藤宗一郎君    伊藤  幟君
      伊能繁次郎君    飯塚 定輔君
      生田 宏一君    池田 清志君
      池田 勇人君    池田正之輔君
      石井光次郎君    一萬田尚登君
      今松 治郎君    宇田 國榮君
      宇都宮徳馬君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    植木庚子郎君
      臼井 莊一君    内田 常雄君
      内海 安吉君    浦野 幸男君
      江崎 真澄君    遠藤 三郎君
      小笠 公韶君    小川 半次君
      小川 平二君    小沢 辰男君
      小澤佐重喜君    小澤 太郎君
      尾関 義一君    大石 武一君
      大上  司君    大久保武雄君
      大倉 三郎君    大高  康君
      大竹 作摩君    大野 市郎君
      大野 伴睦君    大橋 武夫君
      大平 正芳君    大村 清一君
      大森 玉木君    岡崎 英城君
      岡田 修一君    加藤 高藏君
      加藤常太郎君    加藤鐐五郎君
      賀屋 興宣君    海部 俊樹君
      金子 一平君    金丸  信君
      上林山榮吉君    亀岡 高夫君
      鴨田 宗一君    唐澤 俊樹君
      仮谷 忠男君    川野 芳滿君
      川村善八郎君    菅  太郎君
      簡牛 凡夫君    木村 公平君
      木村 俊夫君    木村 守江君
      岸  信介君    岸本 義廣君
      北澤 直吉君    久野 忠治君
      久保田円次君    久保田藤麿君
      草野一郎平君    倉成  正君
      藏内 修治君    黒金 泰美君
      小泉 純也君    小枝 一雄君
      小金 義照君    小坂善太郎君
      小島 徹三君    小平 久雄君
      小山 長規君    河野 一郎君
      河本 敏夫君    纐纈 彌三君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 榮作君    佐藤洋之助君
      佐伯 宗義君    齋藤 邦吉君
      齋藤 憲三君    坂田 英一君
      坂田 道太君    櫻内 義雄君
      笹本 一雄君    薩摩 雄次君
      始関 伊平君    椎熊 三郎君
      椎名悦三郎君    重政 誠之君
      島村 一郎君    首藤 新八君
      正示啓次郎君    正力松太郎君
      白浜 仁吉君    周東 英雄君
      壽原 正一君    鈴木 正吾君
      鈴木 仙八君    鈴木 善幸君
      瀬戸山三男君    關谷 勝利君
      田川 誠一君    田口長治郎君
      田澤 吉郎君    田中伊三次君
      田中 角榮君    田中 龍夫君
      田中 正巳君    田邉 國男君
      高田 富與君    高橋清一郎君
      高橋  等君    高見 三郎君
      竹内 俊吉君    竹下  登君
      竹山祐太郎君    舘林三喜男君
      谷垣 專一君    千葉 三郎君
      中馬 辰猪君    津雲 國利君
      津島 文治君    塚田十一郎君
      塚原 俊郎君    辻  寛一君
      堤 康次郎君    綱島 正興君
      寺島隆太郎君    渡海元三郎君
      徳安 實藏君    床次 徳二君
      富田 健治君    内藤  隆君
      中垣 國男君    中野 四郎君
      中村 梅吉君    中村 幸八君
      中村三之丞君    中村庸一郎君
      中山 榮一君    永田 亮一君
      灘尾 弘吉君    楢橋  渡君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      西村 英一君    西村 直己君
      野田 武夫君    野原 正勝君
      羽田武嗣郎君    橋本登美三郎君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      服部 安司君    花村 四郎君
      濱田 幸雄君    濱田 正信君
      濱野 清吾君    早川  崇君
      林   博君    原 健三郎君
      原田  憲君    廣瀬 正雄君
      福家 俊一君    福田 繁芳君
      福田 赳夫君    福田 篤泰君
      福田  一君    福永 健司君
      藤井 勝志君    藤枝 泉介君
      藤田 義光君    藤原 節夫君
      藤本 捨助君    藤山愛一郎君
      船田  中君    古井 喜實君
      保科善四郎君    保利  茂君
      坊  秀男君    星島 二郎君
      細田 義安君    細田 吉藏君
      堀内 一雄君    本名  武君
      前尾繁三郎君    前田 正男君
      牧野 寛索君    益谷 秀次君
      増田甲子七君    松浦周太郎君
      松浦 東介君    松澤 雄藏君
      松田 鐵藏君    松永  東君
      松野 頼三君    松本 一郎君
      松本 俊一君    松山千惠子君
      三池  信君    三浦 一雄君
      三木 武夫君    三和 精一君
      水田三喜男君    南好  雄君
      宮澤 胤勇君    村上  勇君
      毛利 松平君    森   清君
      森下 國雄君    森山 欽司君
      八木 徹雄君    保岡 武久君
      山口喜久一郎君    山口 好一君
      山口六郎次君    山崎  巖君
      山田 彌一君    山中 貞則君
      山村新治郎君    吉田 重延君
      米田 吉盛君    米山 恒治君
      早稻田柳右エ門君
 否とする議員の氏名
      安宅 常彦君    赤松  勇君
      淺沼 享子君    足鹿  覺君
      飛鳥田一雄君    有馬 輝武君
      淡谷 悠藏君    井伊 誠一君
      井岡 大治君    井手 以誠君
      石川 次夫君    石橋 政嗣君
      石山 權作君    板川 正吾君
      稻村 隆一君    小川 豊明君
      緒方 孝男君    大柴 滋夫君
      大原  亨君    太田 一夫君
      岡  良一君    岡田 利春君
      岡本 隆一君    加藤 勘十君
      加藤 清二君    片島  港君
      勝澤 芳雄君    勝間田清一君
      角屋堅次郎君    川俣 清音君
      川村 継義君    河上丈太郎君
      河野  正君    木原津與志君
      北山 愛郎君    久保 三郎君
      栗原 俊夫君    栗林 三郎君
      黒田 寿男君    小林  進君
      小林 ちづ君    小松  幹君
      五島 虎雄君    河野  密君
      佐々木更三君    佐藤觀次郎君
      佐野 憲治君    坂本 泰良君
      阪上安太郎君    實川 清之君
      島上善五郎君    島本 虎三君
      下平 正一君    東海林 稔君
      杉山元治郎君    田口 誠治君
      田中織之進君    田中 武夫君
      田邊  誠君    田原 春次君
      多賀谷真稔君    高田 富之君
      高津 正道君    滝井 義高君
      楯 兼次郎君    辻原 弘市君
      坪野 米男君    戸叶 里子君
      堂森 芳夫君    中澤 茂一君
      中島  巖君    中嶋 英夫君
      中村 重光君    中村 高一君
      中村 英男君    永井勝次郎君
      楢崎弥之助君    成田 知巳君
      二宮 武夫君    西村 関一君
      西村 力弥君    野口 忠夫君
      野原  覺君    長谷川 保君
      畑   和君    原   茂君
      原   彪君    日野 吉夫君
      肥田 次郎君    平岡忠次郎君
      広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君
      帆足  計君    細迫 兼光君
      堀  昌雄君    前田榮之助君
      松井 政吉君    松井  誠君
      松平 忠久君    松原喜之次君
      松前 重義君    松本 七郎君
      三木 喜夫君    三鍋 義三君
      三宅 正一君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森島 守人君
      森本  靖君    八百板 正君
      八木 一男君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    安平 鹿一君
      柳田 秀一君    山口シヅエ君
      山口丈太郎君    山口 鶴男君
      山崎 始男君    山田 長司君
      山中日露史君    山花 秀雄君
      山本 幸一君    湯山  勇君
      横路 節雄君    横山 利秋君
      吉村 吉雄君    和田 博雄君
      渡辺 惣蔵君    井堀 繁雄君
      稲富 稜人君    内海  清君
      大矢 省三君    春日 一幸君
      片山  哲君    佐々木良作君
      鈴木 義男君    田中幾三郎君
      玉置 一徳君    西尾 末廣君
      西村 榮一君    門司  亮君
      本島百合子君    川上 貫一君
      志賀 義雄君    谷口善太郎君
      久保田鶴松君
     ――――◇―――――
#14
○田邉國男君 残余の日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
#15
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前一時二十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
        厚 生 大 臣 古井 喜實君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
        運 輸 大 臣 小暮武太夫君
        郵 政 大 臣 小金 義照君
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 池田正之輔君
        国 務 大 臣 小澤佐重喜君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
        国 務 大 臣 西村 直己君
 出席政府委員
        内閣官房長官  大平 正芳君
        総理府総務長官 藤枝 泉介君
        労働政務次官  柴田  栄君
ソース: 国立国会図書館
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