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1960/03/25 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第20号
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1960/03/25 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第20号

#1
第038回国会 本会議 第20号
昭和三十六年三月二十五日(土曜日)
    ―――――――――――――
  昭和三十六年三月二十五日
   午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
   午後六時十八分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国有鉄道運賃法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
#3
○田邉國男君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#6
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。運輸委員長三池信君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔三池信君登壇〕
#7
○三池信君 ただいま議題となりました国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、本法案の趣旨を簡単に申し上げますと、御承知の通り、国鉄の輸送力は現状においても国民の輸送需要をまかない切れない実情にあり、今回の政府の所得倍増計画に伴うわが国の今後の経済発展に対応する将来の輸送需要の増大に対処するため、国鉄においては、昭和三十六年度を初年度とする新五カ年計画を策定し、総額九千七百五十億円をもって主要幹線の複線化及び電化、全国的なディーゼル化、通勤輸送の緩和、踏み切り設備の改善並びに東海道新幹線の建設等を計画いたしましたが、これらの所要資金については、外部資金の増額によるのはもちろんでありますが、通勤輸送対策、幹線輸送力の増強、踏み切り設備の改善、諸施設の取りかえ及び改良等の、利子負担にたえない工事資金についての自己資金の不足分が生ずるので、その不足分を充当するため、必要最小限度の運賃値上げを行なおうとするものであります。
 今回の運賃改定の内容について申し上げますと、旅客運賃につきましては、二等普通旅客運賃の賃率について、三百キロメートルまでの第一地帯は一四・六%、三百一キロメートル以上の第二地帯は一二・五%の引き上げ、一等の運賃は二等の一・六六倍、すなわち、通行税込み二倍といたしておりますが、定期旅客運賃は割引率を据え置き、普通運賃の引き上げに伴う改定にとどめております。貨物運賃についても、賃率をおおむね一五%引き上げまして、旅客、貨物を合わせまして、昭和三十六年度において増収率一二%程度の運賃改定を行なおうとするものであります。
 さて、本法律案は、去る二月二十八日本委員会に付託され、次いで、三月三日政府より提案理由の説明を聴取し、自来八回にわたり委員会を開会、二十二日には公聴会を開いて、学識経験者、一般利用者、労働組合関係者、報道関係者等六名の公述人を招致してその意見を徴し、また、十三日には農林水産並びに商工委員会と連合審査を行なうなど、慎重に審査いたしました。
 本法案審査にあたりましては、運賃値上げの物価及び国民生活に及ぼす影響いかん、値上げ以外の資金調達方法がなかったかどうか、各種の公共負担分についての国家補償の問題をどうするのか、もっと国鉄はいろいろの面で企業性を発揮できないのか、国鉄自体の経営改善についての余地はなかったのか、現行五カ年計画の進捗率の実態にかんがみて、新五カ年計画の完全実施ははたして可能なのかなどの諸点に関し、熱心な質疑応答が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。
 かくして、三月二十四日質疑を終了し、本日討論に入り、自由民主党を代表して關谷勝利君より賛成討論が行なわれ、直ちに採決の結果、本法案は原案通り可決いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(清瀬一郎君) 質疑の通告がありますから、順次これを許します。山口丈太郎君。
  〔山口丈太郎君登壇〕
#9
○山口丈太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、運輸委員会の審査の経過との重複を避け、政府に対し、国有鉄道運賃法の改正案法をめぐる重要点について質問せんとするものであります。(拍手)
 ただいま委員長からの報告によりますと、あたかもこの委員会で正常な形において採決されたかのごとき報告がございました。しかし、わが党は、この法案をめぐりまして、なお重要なる諸点について質問すべく六名の委員を残していたのであります。しかるに、その委員の発言は許されず、ついに一方的な採決によって本日議題となりましたことは、まことに遺憾とするところであります。(拍手)従いまして、本来ならば委員会において質問すべき事項を本会議におきましてあらためて質問せざるを得ないことは、これまた返す返すも遺憾しごくでありまして、私は、将来かかることのないよう切に望むものであります。
 今回、国鉄運賃の値上げは、政府の所得倍増計画に見合う輸送力の増強に主点を置き値上げすると説明され、また、他の交通運輸機関の公定料金は引き上げないと言われているのであります。首相のこのような言明に対して、運輸大臣が本院においてなされました答弁では、今は申請が出ていないから心配は要りません、と言っておられるのであります。この言明の裏は、申請があれば値上げすることを暗にほのめかしていられるものであります。もし、首相の言明が真実のものであるとするならば、運輸大臣の言明に対し、首相の言明は重大であります。首相と運輸大臣の言明は、どちらが真実なのか、伺いたいのであります。(拍手)今日の交通機関の料金は、国鉄運賃を中心に原価計算を主としたバランスの上に組み立てられておるのであります。特に、平行線にある交通機関の料金は、国鉄料金に見合う料金を設定許可されておるのであります。政府は、料金行政をどう考えているか、政府の一貫した答弁を求めるものであります。
 政府は、所得倍増を盛んに宣伝し、国民に大きな錯覚を起こさせているのであります。いわば、所得倍増という幻惑政治をやっているにすぎないのであります。所得倍増と称して、過当な産業投資と企業合理化を進め、企業利潤は上がるとしても、その陰には、このために多くの犠牲になっている人々を見のがすわけには参りません。今回の国鉄運賃の値上げなどは、まさに、その悲境にある人々や働く人々を犠牲にする最たるものといわなければならぬのであります。(拍手)すなわち、通勤者へのサービス強化を言いながら、実は、この通勤者の多い黒字距離内の値上げは、料金算定方式の変更によって大幅に上げられておりますことは、今委員長みずから報告せられた通りであります。また、農産物資、鉱産物の暫定割引も、距離の短縮によって、他の物資に比べ大幅に引き上げられているのであります。これでは、全く、低所得者をいじめ、首相の言われる所得格差をますます大ならしめるものであるといわなければなりませんが、首相は、この点に関してどのようにお考えになっておるか、お尋ねをいたします。
 首相は、農民は一番かわいいとも言われたと聞いております。その農民、農村が、運賃の値上げによってどれだけ苦しみを受けるかを知っておられるはずであります。しかし、私は、首相のこの言明は疑いなきを得ません。今日の農村は単純な農業のみで生活を立てることができなくなっていることも、首相はよく知っておられるところであります。今日の農村子弟は、都市労働にあこがれを持っているのであります。しかし、農村と都市では、教育施設等、農村ははるかに劣っており、従って、その子弟が一流会社、事業場に就職せんといたしましても、とうていその競争に打ち勝つことはできないのであります。この結果は、おおむね中小企業や零細企業に就職しておるのであります。一方、また、農村生活者は、なお、その住みなれた農村に深い執着心を持っており、なかなか職を追って移動はできないのであります。今日、中小企業に就職しても、月収はわずかに六千五、六百円ないし七千円であります。このような企業に就職し、また、たまたま大企業に就職をいたしましても、学力等の差から、あるいは日雇いや臨時工にならざるを得ないのであります。これらの人々は、おおむねバスや鉄道を利用いたしておりますが、そのバスや鉄道運賃は、月収の六割ないし七割を支出しなければならない状態であります。首相は運賃値上げのもたらすこれらの人々への物的、精神的影響をどうお考えになっておるかをお尋ねいたします。運輸大臣は、大衆サービスは交通機関の使命とも考えていると言われているのであります。しからば、将来運賃行政の改善をどう考えておられるかお伺いをいたします。
 最後に、今回、国鉄の重要課題となっているのは、赤字路線と新線建設による国鉄経営への重大な圧迫であります。国鉄は、たとえ、いなかを走る閑散路線といえども、その地方の開発にとっては欠くことのできない重要なものであります。公共のために大いに役立っているのでありまして、今日までの応答で、原価主義、独立採算のみが強調されて、そのため、国鉄本来の持つ公共福祉と産業文化への保護育成は没却せられておるのであります。新線の建設等は、国鉄財産を増す行為であり、投資によるのは当然であります。また、今日、学生定期を初め、通勤定期や特殊物資の割引運賃は、社会福祉や産業文化の保護育成という国の至上命令に基づくものであります。しかるに、政府は、政策面から、これらの保護策を国鉄に押しつけ、国鉄は負担にあえいでいるという実情であります。不合理もはなはだしいといわなければなりません。この不合理をなくするためには、当然、国が公共負担をなすべきであります。わが党は、公共負担法案を本院に提出し、その審議を要請いたしておるのであります。首相並びに運輸大臣は、公共負担についてどう考えられるか、お尋ねいたします。
 以上述べました諸点について明確な答弁をお願いして質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#10
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 御質問の第一点は、公共料金値上げの問題でございます。たびたび申しておりまするごとく、公共料金の値上げは、当分の間、原則として行なわないことを閣議決定いたしております。
 なお、今回の鉄道運賃の引き上げにつきまして、農民の方々を初め、いろいろお困りというお言葉でございます。われわれといたしましても、なるべく値上げはしないように努力して参ったのであります。相当借入金もいたしておるのでございますが、将来の国鉄のあり方から申しまして、この程度はやむを得ないと考えたのでございます。なおかつ、この程度の引き上げでは、私生活にそう影響はないと考えておるのであります。
 なお、農村の振興の問題につきましては、私は、わが国の経済力を高度に成長させて、その余裕を十分農村に持っていくことを考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣木暮武太夫君登壇〕
#11
○国務大臣(木暮武太夫君) お答えを申し上げます。
 今回の国鉄運賃改定は、所得倍増計画にマッチするような国鉄の輸送力を整備増強することのための資金の一部に充当するためのものでございまして、この程度のものならば物価にさして影響のないと考えられる範囲におきまして、利用者の方々に御負担を願ったのでございます。私鉄等については、国鉄の運賃改定があったからと申しまして、たびたび申し上げましたように、直ちに便乗的に運賃改定を行なうという考えはございません。
 それから、赤字線等の国鉄の負担のことにつきまして御質問がございましたから、お答えを申し上げますが、御承知の通り、国鉄は、全額政府出資でございまして、公共企業体として高度の公共性を持った企業でございますので、採算に乗らないからといって公共の福祉を増進するような投資を行なわないというようなことは筋が違うものと考えるのでございます。しかしながら、一部には、政府が負担することが適当であるとも考えられますので、昭和三十六年度の予算におきましては、この赤字を国鉄に負担せしめるであろうところの新線建設の補助に対しまして、利子補給として三億八百七十五万円を計上いたしておりますような次第でございます。
#12
○議長(清瀬一郎君) 内海清君。
  〔内海清君登壇〕
#13
○内海清君 私は、民主社会党を代表いたしまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対しまして、若干の質疑を行なわんとするものであります。
 本案の審議につきましては、すでに十日間を費したのでありますが、私が最も遺憾にたえない点は、運輸常任委員である私が正式の手続をとって委員会質疑の通告を行なったにもかかわらず、私の質疑が行なわれないうちに、運輸委員長は不当にも審議打ち切りを宣告した点であります。本院におきまするわが党の運輸委員は私が一人でありますから、私の質疑を認めないととは民社党の意見を無視することであり、これこそは、議会の民主的運営の土台ともなるべき少数意見尊重のルールを放棄した暴挙といわざるを得ないのであります。(拍手)私は、質疑を前にいたしまして、民社党を代表して、このような不法な国会運営が行なわれてきた事実をここに明らかにいたしまして、今後はかかる遺憾な悪例が繰り返されないよう、まず、議長並びに議員諸公の皆様に訴えるものであります。
 池田総理は、昨年の三党首会談においても、また、昨秋の総選挙以来、常に、国会における単独審議、単独採決は一切行なわない、と言明してきたのであります。さらに、池田総理は、しばしば、政府みずからえりを正して国会の正常化をはかることを本議場で誓約してきたのであります。それにもかかわらず、国鉄運賃のような最も国民生活に関係の深い問題について審議打ち切りの暴挙を許した点について、この際、総理より、はっきりとした所信を伺いたいのであります。
 第二に総理に伺いたい点は、政府は、所得倍増計画において、輸送力の増強を強く主張しておられます。この点は、わが党も全く同感であります。しかしながら、計画実施の第一年度である明年度予算案の一環として、政府が国鉄の輸送力増強のための資金調達方法として、かくも全面的な運賃値上げを断行したことについては、私は、所得倍増計画そのものの実施について大いに疑問を持たざるを得ないのであります。このように、必要資金の調達を安易に国民の消費購買力の負担増に転嫁する方法は、第一に、コスト・インフレの要因を政府みずから作るものであります。明年度予算に対する政府案は、莫大な公共投資額を計上しております。これにつれて、地方財政の負担も膨張させ、財政インフレの要因が次第に累積されております。総理は、生産力の増強が国民個人所得の増加をもたらすから、若干の物価値上げは所得の伸びに吸収される、と言われるのでありますが、政府みずから物価値上げを誘発するような政策をとる限り、国民は、政府の所得倍増計画に不信の念を深めるばかりでありましょう。私がここで総理に伺いたい点は、政府は、所得倍増計画を改定し、必要資金の調達について、国民の直接負担がどれほどの金額に増額するのか、明らかにすべきであります。かつ、国鉄運賃の値上げは、直ちに私鉄運賃の値上げに波及するでありましょうが、総理は、本年中に私鉄運賃の値上げを認める意向ありやなしや、慎重考慮するというような逃げ言葉はやめにして、率直に国民に所信を表明していただきたいのであります。
 次に、運輸大臣にお尋ねいたします。
 国鉄は、今日まで、経営安定のためという名のもとに、数回の運賃値上げを実施して参ったのであります。しかし、結果は、旧態依然として、その経営が不安定と動揺を続けていることは、周知の事実であります。そして、今また運賃の値上げにより工事資金の一部をまかなわねばならないという無策無能ぶりを露呈しているのであります。国鉄経営をかかる窮地に追い込んだ最大の原因は、一方では、独立採算の能力のない国鉄に独立採算制と公益負担を強要するという国鉄経営の不合理性を放置しながら、他方、その補てんを運賃値上げで糊塗せんとする政府の態度、無責任きわまりない点にあるのであります。これでは、いつまでたっても国鉄経営の安定を確立することは不可能であります。国鉄経営の合理化とそれに対する基本方針につき、運輸大臣の所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
 次に伺いたい点は、昭和三十二年より第一次五カ年計画が着手されたのでありますが、この計画は、四年間に六七%程度の進捗率しか示していないのであります。従って、この計画の停滞の原因は、結局、計画のずさんさによる工事の遅滞、その他全く経営の不手ぎわによるものといわねばなりません。この責任は、言うまでもなく、最高責任者たる政府当局が負うべきものであるが、かかる計画のズレと経営の不手際ぎわによるしわ寄せを、今日国民に対する運賃値上げという形によってまかなわんとすることは、断じて許さるべきではないと思うのであります。政府は、第二次五カ年計画に基づく工事の実施は自信を持って遂行できるのかどうか、今後絶対に運賃値上げをしないのかどうか、国民の不安一掃のため、明確な御答弁をいただきたいのであります。
 さらに、現在の国鉄の総資産は約一兆五千億といわれながら、資本金は、わずか八十九億円という少額であります。これを見ても、国鉄が企業体としていかに不健全な存在であるかは明らかであります。この点、国鉄の基本的性格について明確にしていただくとともに、大臣のそれに対する今後の対策を披瀝していただきたいのであります。
 最近、各国の鉄道に共通した経営上の大きな問題は、御承知の通り、公共的負担の処理に関する問題であります。たとえば、イギリス、オランダにおいては、鉄道をできるだけ公共的義務から解放し、国家の干渉を少なくして、商業的活動を許しておるのでありますが、一方、西独、スイス、フランスなどにおいては、公共的義務を負わせるかわりに、公共負担による損失を受けたときには、国が一定の補償を与えているのであります。国鉄は、その事業の性質上、幾多の公共負担を背負わされ、その額は年間約五百二十五億の巨額に上っておるのでありますが、この公共負担は、当然、国家的政策の必要からやらされているのであります。従って、この種の負担に対しましては、国家資金により補償措置をとるべきだと考えるのであります。この点、運輸大臣はいかに考えられるか、所信を伺いたいのであります。
 最後に、以上の質疑で明らかなように、今回の国鉄運賃の値上げは、全く筋の通らないものであり、われわれの認めることのできないものであります。国鉄経営の不合理性については、今日まで機会あるごとに指摘して参ったのでありますが、いずれにしても、国鉄経営のあり方を現状のままにしておいて、運賃のみに手をつけることは、本末転倒もはなはだしいといわねばなりません。政府並びに国鉄当局は、経営の改善並びに合理化問題と真剣に取り組むことこそが焦眉の急務であります。この際、国鉄経営について政府の基本的な見解並びに今後の総合的な運輸交通政策について、首相の確固たる所信を披瀝されたいのであります。
 以上をもちまして私の質疑を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#14
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 運輸委員会における審議の過程におきまして、いろいろ紆余曲折のあったことは、まことに遺憾に存じますが、皆さん方の良識と話し合いによりまして、本会議においてこういうふうに審議ができることを私は喜んでおるのであります。(拍手)
 なお、今回の運賃値上げによってコスト・インフレが起こるのではないかという御心配でございますが、過去の経験から申しまして、私は、この程度の運賃引き上げにおきましては、コスト・インフレの心配は全然ないと考えております。なお、今回の運賃引き上げは、一般家庭におきましては、生計費に〇・一%の影響でございます。
 なお、今後、私鉄運賃の引き上げにつきましては、先ほどお答え申し上げましたごとく、当分の間、原則として認めない、ということを閣議で決定いたしておるのであります。
 今後の国鉄のあり方につきましては、経営の合理化をはかり、国民の期待に沿うよう検討を重ねていきたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣木暮武太夫君登壇〕
#15
○国務大臣(木暮武太夫君) 御質問にお答え申し上げます。
 国鉄の経営内容が少しも改善されていないではないかという御質問でありますが、御承知の通り、国鉄の経営につきましては、本国会において御議論のあるところをよく尊重いたしましたり、あるいは会計検査院等の指摘をよく尊重いたしまして、常に経営改善に努力を尽くしておるのでございまして、業務量はどんどんふえて参りますのに要員の数は昔のままであるというようなことによって見ましても、人件費において、あるいはまた動力費その他におきまして、経営を改善するための経営の合理化に努めておるのでございます。ことに、今回の運賃改定にあたりましては、あるいは問題になっておりまする、国鉄が貸しておる不動産等の賃料を適正にいたしまするとか、あるいは広告料を適正にいたしまするとか、その他のことによりまして、約二十億円の金を捻出することに成功をいたしておるような次第でございます。
 それから、第一次五カ年計画が六七%しか第四年目に行なわれなかったではないか、今回の新しい五カ年計画がはたして予定通りいくかという御質問でございましたが、御承知の通り、第一次五カ年計画におきましては、発足当初におきまして予定いたしませなんだ、いわゆる人件費の引き上げがございまして、人件費の方に食われることが非常に多かったのでございまして、こんな関係で十分のことができませんでしたことは、私どもも遺憾に思っておるのでございますが、今回の第二次五カ年計画は、幸いにして皆様方が新しい運賃改定を御賛成下さいまするならば間違いなく実行することを確信いたしておる次第でございます。(拍手)
 それから、国鉄の資本金は過小であるというお話でございまするが、もちろん、今日、国鉄の業務量に比較いたしまして過小であることは、御指摘の通りでございます。よって、私どもは、資本再評価積立金を資本に繰り入れていくということについても、ただいま検討をいたしまして、これができまするならば、国鉄の資本金は、業務量に見合いまする相当大きな資本金となることを信じておるのでございます。
 それから、公共負担は一般会計で支弁すべきものだという御意見がございました。御指摘のような御意見は、一部には昔からあったのでございまするが、今日、国鉄が公共企業体という企業体となっておることを考えてみますると、この公共性から発します公共負担全部を、一般の国民の税収をもとといたします一般財政が負担するということは、どうも理屈に合わないように私は考えるのでございます。従いまして、国鉄みずからが捻出いたしまする自己資本と、それから政府が世話をいたしまする借入金、鉄道債券等々によりましてこの国鉄の仕事をやっているということは、ただいま適当であると考えておるのでございます。
 以上をもってお答えを終わります。(拍手)
#16
○議長(清瀬一郎君) 以上をもちまして質疑並びにこれに対する政府の答弁は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#17
○議長(清瀬一郎君) 討論の通告がございますから、順次これを許します。肥田次郎君。
  〔肥田次郎君登壇〕
#18
○肥田次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっている国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し、絶対反対の理由を明らかにして討論を行なうものであります。(拍手)
 このたびの国鉄運賃の値上げの理由は、政府の所得倍増計画に国鉄の輸送力を適合させ、現在でも不足しておる国鉄の輸送力を増強するために、昭和三十六年を初年度とした新五カ年計画に要する総額九千七百五十億円の金を、運賃値上げという手っとり早い手段によった、こういうふうに述べておるのであります。国鉄当局も資料を作っていろいろとPRをしておりますので、われわれも、従来よりもはるかに認識を深めることができました。ただし、私たちが言うところの認識とは、当局の資料では疑問を深めるとともに、関係者の説明を聞けば聞くほど、その無責任さに不安を倍増したのであります。(拍手)あたかも、大道ヤシの商法をほうふつさせるのであります。
 政府は、三十二年の値上げのときにも、輸送力を増強し、蒸気はもう古いから電化やディーゼルに切りかえる、こういうことで、経費の総額五千九百八十六億円を五カ年計画として立てたのであります。ところが、池田内閣にかわったとたんに、この計画は打ち切られたのであります。驚いて、これまでの経過を見ますると、四年間に、幹線輸送に四五%、電化と電車で四七%、ディーゼル化は四八%と、いずれも五〇%以下の進捗率であったのであります。ことに、殺人的な国電の混雑を緩和するため二千九百五十両の電車を購入するはずのものが、たった千三百七十六両、この低率と怠慢について、私たちは、政府の責任を追及しなければならぬと思うのであります。(拍手)しかも、疑わしい点では、新線建設は八四%、諸改良費では実に一一二%と出ているのであります。これは、新線建設や、内容がいいかげんに報告できやすいところの諸改良では、一一二%の経費の使い越しをやったというわけでありまして、これではとても計画通りにいかないから、ここらが打ち切りの潮どきだろう、こういうふうな処置に出たのではないかという不安がわれわれにはあるのであります。(拍手)
 私たちは、新五カ年計画を審議するにあたりまして、この点を追及いたしましたが、満足な答弁が得られなかったのであります。池田政策の変更か、あるいは、このまま進めがたいところのお家の事情か、そのいずれかであろうと推測するものでありますが、政府の責任を追及したいと思うのであります。(拍手)
 第一次五カ年計画がこのような結末になったので、これを取りつくろうために生まれたのが新五カ年計画だと私たちは思います。もし、初めの計画が予定通り進んでいたならば、当然、第二次五カ年計画という誇り高い呼称が用いられたはずであろうと思うのであります。新五カ年と呼ぶところに問題があろうと思います。わが党では、国の計画は絶対のものだと考えております。岸内閣のときに立てられた五カ年計画が、池田さんの内閣になったら、新五カ年計画として、今までの計画が打ち切られてしまう。池田さんの内閣がつぶれたら今度は新々五カ年計画、こういうことでは、国民の迷惑はこの上もないのであります。内閣がだれにかわっても、交通輸送のごとき長期を要するところの計画は、軽々しく変更すべきではない。それには、鉄道、バス、トラック、船舶、航空、このようなものを含めたところの総合的輸送計画の基本のかまえを立てることが必要・であります。
 次に、国の動脈である国鉄の輸送対策は、その目的と手段に誤りがある。これが計画のそごを来たしていると私たちに考えております。国有鉄道が、公共企業体として公共性に重点が置かれているにもかかわらず、公共と企業の使い分けの議論が出て参ります。これは明らかに資本主義経済のもとにおけるところの矛盾でありまして、公共性を資本主義経済下では発揮できないという、このことを証拠立てておると思います。(拍手)現在の国鉄に公共性があるとすれば、これは利用者と利用者の間におけるところの共済的な現われでありまして、政治の力も資本家の残飯も、国鉄の公共性にはつぎ込まれていないのであります。
 私は、輸送と労働対策の問題が、なお国鉄の運営に対して大きく影響しておることを訴えたいと思います。当局は、口を開けば、人員をふやさずに輸送を完遂するといって、職員は十年前の四十四万人余りに押えております。その間に、新線建設では二千百キロ余りもふえておるのであります。組合を弾圧するための公安官を三千二百人もかかえて、その経費は十五億円を出しております。十年先の機械化に備えて職員はまだ首を切ろうというのでありますから、輸送計画が絶対に解決しないということを私たちは指摘したいと思うのであります。(拍手)総裁は愛社精神というものを説いております。国鉄に一番愛着心を持っておるのは、油や泥にまみれて職場で働いておる人、乗客にもまれて、もみくちゃになって現場で働いておる人、どういう人が骨身を削って輸送の任務を全うしておるのであります。首切りの愛社精神よりも、労働者の生活と権利を保障すること、これが輸送問題を解決する先決の条件であります。(拍手)運輸大臣も、総裁も、深く反省をしてもらいたいと思います。
 最後に、このたびの運賃値上げは国鉄運賃法に違反をする疑いがあります。
 運賃法四原則では、公正妥当な運賃であるべきことを規定していますが、今度の値上げは、新線建設や電車購入を目的にしています。すなわち、運賃の中に、電車を買う金、新線建設をする金、これが含まれているわけであります。これが公正な運賃とはどうしても言えないと思います。途中でもし計画が中止になった場合には、明らかに運賃の先取りになるのであります。(拍手)不当な高い運賃を今きめるということについては、きわめて不穏当であると思うのであります。(拍手)
 第二は、運賃は原価を償うものとなっておりますが、原価計算の資料を求めましたが、これは出て参りません。資料がないのであります。従って、新運賃は、必要なだけの額をまずきめて、そして、それから逆算をしてはじき出されたところの大ざっぱな賃率でありまして、運賃原価というものには全く値しない高額なものであります。(拍手)これは運賃の名目によるととろの大衆の収奪であろうと考える次第であります。(拍手)
 第三は、産業の発展に資すること、とあります。これは、国民の経済を豊かにするため、そのための産業の発展をさしているのでありまして、国の動脈から五千億に近い収入と、四十四万余りの国鉄労働者の血と汗を独占資本の開発のために使ったり、反動権力を養う足場にしてはならないということであります。(拍手)
 第四には、賃金及び物価の安定に寄与することを規定しておりまして、国鉄の運賃は、日本経済の基調であり、現行物価の均衡のかぎとなっているのでありますから、国鉄の運賃が上がれば、経済の基底をゆさぶり、物価の均衡が破れるのは当然であります。国鉄が上がれば、私鉄、市電、地下鉄、バス、すべての交通機関の値上がりを来たして参りますことは、今までの例の示すところでありまして、大臣や総理大臣が何と言われても必ずあとから現われてくる現象であります。(拍手)今起こっておるところの諸物価の値上がりはその前ぶれであって、経済に重大な影響の及ぶことは、もう時間の問題だと私たちは考えます。生活が不安になれば、労働者の賃上げはいよいよ激しくなりましょう。とりわけ、農村出身者の多くが働いているのは中小企業であります。ここでは、交通費の補償はありません。電車代、バス代が高くなって、そうして、そのために多額の交通費が要ってくれば、農村出身の中小企業で働いている労働者、こうしたものは、いよいよこれからまた物情騒然たる状態が現われてくるだろうと思うのであります。
 さて、この運賃の値上がりを、参考のために従来と比べてみたいと思います。東京から大阪までで百五十円の値上がりをいたします。池田総理大臣の広島では百九十円上がります。鹿児島へ参りますると実に二百九十円高くなりまするから、およそどこに帰られても、代議士諸公のみやげ話になる話ではございません。国電に一つ例をとってみますると、電車一両のキロ当たりの経費というものは、われわれの計算では六十五円八十七銭と出ます。二十五人乗れば、黒字になります。定期の客で百人乗れば、これも採算点が出ます。定員を百六十八人の車といたしますると、最近二倍半くらい詰め込んでおります。これが年間の純益百億円以上になります。よろしいですか、年間の純益が百億円以上、これが国電の利用者が負担しておるところの、不当に高い公共負担でございます。(拍手)
 わが日本社会党は、この不合理をなくするために、公共負担法案を提案いたしております。公共負担法案とは、政府の運賃値上げにかわるものでありまして、国鉄、私鉄の公共性を生かす目的で、公共的な割引や施設に要する費用は国で負担をして国民生活を豊かにする、経済発展の方向を示したものであります。新線建設や電車の購入の金まで利用者に負担させようという政府の考え方と、われわれの考え方とは、全く対照的な対案であるのであります。(拍手)
 政府提案になる、このたびの運賃値上げは、要約いたしますると、国鉄運賃法に違反する値上げである疑いが濃厚である上に、計画の進捗に対する責任の所在があいまいであります。ことに、石炭の輸送価格はなお未決定と聞いておりますので、この問題をあとに残して、値上げだけを先決するということは、許されないことだと思うのであります。(拍手)さらに、運賃値上げによって起こる経済変化は、直ちに国民大衆の生活に重大な悪影響を及ぼすことになりまするから、この立場からしても、運賃の値上げは許すわけには参りません。
 このような重大な議題が、審議も十分尽くされずに、登録されたところの六名の質問者の質問を許さず、審議途中で打ち切ったこの自民党の横暴に対しては、われわれは何としても納得するわけには参らないのであります。(拍手)このような重大な法案を自民党の単独で議決された運賃値上げに対しては、絶対に反対をいたすものであります。
 時たまたま、朝日新聞も、池田内閣の支持も下り坂になった、三九%だ、と報道しております。この国民大衆の声に耳を傾けて、このたびの運賃の値上げを率直に撤回して、公共負担法の成立に協力されること、これが、池田総理の常に言われているところの愛用されている言葉であるところの、政治の姿勢を正すということになるのであろうと私たちは思います。(拍手)
 池田総理大臣の御協力を強く要望いたしまして、私の反対討論を終わる次第であります。(拍手)
#19
○議長(清瀬一郎君) 高橋清一郎君。
  〔高橋清一郎君登壇〕
#20
○高橋清一郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案に対し賛成いたしたいと思います。
 国鉄輸送力の実情につきましては、今日、すでに、わが国の最近における著しい経済の発展に伴う国民の輸送需要をまかない切れない実情、並びに、今後の所得倍増計画に伴う輸送需要の増大を考えますとき、今回提案の新五カ年計画は、まことに時宜に合った輸送力増強計画でありまして、その内容は、昭和三十六年度より四十年度に至る五カ年間に、総額九千七百五十億円をもって、主要幹線約一千百キロの複線化、主要幹線一千八百キロの電化、全国的なディーゼル化、通勤輸送の緩和、踏み切り設備の改善、車両の増備並びに東海道新幹線の建設等を行なわんとするものであります。(拍手)この新五カ年計画の必要性については異論のないところであり、むしろ、これは、今後のわが国経済の伸びより見て不十分なのではないかの議論もあり、国民もぜひこれだけは計画通り完成してもらいたいと要望いたしているところであります。(拍手)しかしながら、この九千七百五十億円の資金調達につきましては、どう調達するのが妥当か、運賃値上げの方法以外に政府出資などの措置をすべきではなかったかなどの問題が、運輸委員会における審査の過程においても、いろいろ意見が分かれまして、活発なる論議がかわされたのであります。
 今回の運賃改定案は、昭和三十六年度において所要資金二千百二十一億円のうち、外部よりの借入金約一千億円、減価償却費などの繰り入れ等の自己資金六百億円を調達し、不足の四百八十六億円を運賃値上げによって一般利用者の方々より調達しようとするものでありまして、一千九百五十億円の工事のうち、利子負担にたえない投資対象の工事が約千二百億円もあることを勘案いたしまして、今回の措置はやむを得ないものと了承するのでありまするが、本案の審議を終わるにあたりまして、これらの審議過程で問題になりました諸点について問題点を明らかにし、これからの政府並びに国鉄当局の善処を強く要望するものであります。
 まず、第一点は、資金調達上、運賃値上げによらずに、公共負担分の政府補償あるいは出資などの措置で行ない、運賃値上げをすべきでない、という問題についてであります。この点につきましては、ここ連日の委員会において、与野党ともこの問題を取り上げて、真剣な論議がなされたのでありますが、私どもといたしましては、今日の国鉄運賃制度が、運賃負担力主義によっており、いわゆる総括原価主義をとっておる点、並びに、すでに公共負担の国家補償が実施されておるヨーロッパ諸外国とは、わが国の交通事情、経済事情が全く異なっていることなどから、いまだ本問題の実施は時期尚早であると考えるものであります。
 御承知のごとく、ヨーロッパ諸国の鉄道については、すでに公共負担分の政府補償という措置が実施されておる実例が見受けられるのでありまするが、しかしながら、今日かかる措置が実施されるに至ったその社会的、経済的背景には、一九三〇年以降の道路交通の著しい発達によって鉄道の衰退が著しく、いわゆる鉄道と自動車との公正競争の問題が識者の間に盛んに論議され、鉄道も自衛措置を真剣に考えて経営努力をいたしました。しかしながら、その努力もむなしく、フランス鉄道は三分の一、イギリス鉄道は一四%のレールを撤去せざるを得ないことになり、幾ら合理化をやっても赤字になるが、自動車などとの競争上、運賃値上げはできない、どうしようもない事態になったのであります。他面、国民経済上、鉄道をどうしてもやめさせるわけにはいかない。かかるせっぱ詰った実情から、ここで、それでは赤字分を持って鉄道をやらせようという、公共負担分の国家補償ということが生まれてきたものと承知いたしております。しかしながら、わが国の国鉄の実情は、いまだそこまでいっていないと思われるのでありまして、国鉄自体の経営努力の面においても、まだまだこれからという感じがいたしますし、他の交通機関の発展も、それほど致命的なところまでいっていない。運賃値上げをやっても、ほかに大部分が転移していってしまうということにはならない。まだまだ、わが国の国鉄の市場は、いわゆる、どうやって切符を買おうか、乗ろうかという売手市場なのであります。しかも、今回の場合のごとく、これから五カ年間工事をやっていくのに、利子負担にたえない工事分に対する自己資金の不足が年々五百億円も足りなくなるといった場合に、その補充として、他律的な調達方法、すなわち、年々の政府予算によってきめられる政府会計からの出資ないしは補助という形で調達するのは企業体としては不健全な方法であろうと考えるのでありまして、かかる多額な年々にわたっての不足分は、安定した自己資金として調達するのが妥当な方法と考える次第であります。(拍手)
 要するに、今日、ただいまの段階では、今回の五百億円の自己資金の不足を公共負担金の国家補償という形でやるのは妥当でない、わが国はまだそこまでいってない、やはり、今回の政府提案のように、その不足分の大部分を運賃値上げでまかない、国は、とりあえず、新設建設費の利子補給及び戦傷病者の無賃乗車に対する全額補償の実施などの措置を行なうにとどめ、この公共負担の問題については、近き将来必ず惹起される重要問題として政府関係当局において今後慎重に検討していくということが今日の段階ではまず妥当なのではないかと存ずるのでありまして、政府関係当局の本件についての真剣なる検討並びにその対策の樹立を望む次第であります。
 第二の問題点は、今回の新五カ年計画の完全実施がはたして可能かどうかという危惧の問題であります。この問題につきましては、人件費の面、資金調達計画の点、物価対策、工事単価算定の点などについて、現行の五カ年計画の実績と対比しながら種々議論が行なわれたのでありまするが、国鉄当局においては、現行五カ年計画の実施における貴重なる体験に基づいて、万遺憾のない計画を樹立し、二度と同じような経験を繰り返さないように決意を表明しているのでありまして、私どもも、この際、国鉄当局を信頼し、その完全実施について、国民に対して、国鉄とともにその責任を分担いたしまして、その完全実施のために協力いたしていきたいと思う次第でございます。(拍手)
 第三点は、今回の運賃値上げが一般物価や生計費に与える影響に関する問題であります。政府当局は、この点に関しまして、価格に占める運賃の割合や、生計費に占める交通、通信費の割合から、現在と値上げの場合を対比いたしまして、その変動が、貨物において〇・〇二から〇・〇九%、旅客において〇・一三%と算定いたし、さしたる影響はないし、過去の値上げと物価変動の関係から見て、ほとんど影響がない、との判断に立っております。私は、最近におけるわが国経済の著しい発展に伴って、国民各位の生活状態が、戦後十五年にして、実際のところ、だいぶ向上し、楽になっていると思います。このことは統計にも明らかであります。また、最近のいろいろな交通機関を見ましても、いずれも混んでおり、交通需要の増大に供給が追いつかない状況でありまして、かかる観点から考察いたしますると、公聴会における公述にもありましたように、物価は、むしろ、物資需給のアンバランスによる影響の方が大きく作用するものでありまして、今回の値上げのように、輸送力を増強するための資金の一部を充当するためのこの程度の値上げは、かえって物価の安定に寄与するものと考えるのであります。(拍手)また、戦後、インフレ対策として、公共料金、特に、国鉄の運賃が低位に押えられてきたという事実については、何人も否定し得ない事実でありまして、私は、ただ機械的に、戦前との物価対比で、鉄道運賃が、旅客が現在百二十九倍、貨物が百九十一倍で、他の公共料金の値上げ率に比べてはるかに低いから云々といった議論には疑問を持つものではありますが、やはり、まだ安いという感じは、客観的に考察した場合、だれでもが考えるものであります。従いまして、今回の運賃改定が、国民生活並びに物価への影響を十分に考慮いたしまして、最小限度の値上げにとどめましたことを勘案いたしまして、やむを得ない値上げと認める次第であります。(拍手)しかしながら、今回の国鉄運賃の値上げ問題が、最近の物価上昇ムードの中で、国民各位にいろいろ心配をかけている実情にかんがみまして、政府当局の強力なる物価対策の樹立並びに実施の万全を特に要望いたす次第であります。
 第四に申し上げる問題は、国鉄経営が、企業体として真に合理化に徹した経営をやっているかどうか、国民に値上げをしいながら、国鉄自体は経営面でどう努力しているか、政府はその努力に十分に協力をすべく努力しているかどうか、という問題であります。この問題につきましても、私どもも真剣なる検討をいたした次第でありますが、今回、国鉄が、土地、高架下使用料金、広告料金、構内営業料金の値上げ、日本交通公社に対する代売手数料の引き下げ、後払い納期の短縮、遊休財産の大幅売却の実施、資材購入単価の引き下げ、スワローズ後援会会費の打ち切りなどの実施に断固踏み切った点や、地方線区の管理所制度などの強力な実施、国鉄職員の労働生産性の著しい向上などを勘案いたしますると、国鉄当局の最近における経営向上への努力は十分認められるのであります。(拍手)もちろん、全国にわたり二万キロの営業キロを持つ日本一の大企業体でありますので、まだまだ批判の対象になる面も多々あるのでありまして、わが国の今後における道路整備の著しい発達による自動車との競争や航空機の発展を考え、欧米諸外国の一九三〇年以来の鉄道企業などの斜陽化を考えますとき、今後一そうの経営合理化への努力をいたしていただきたいことを強く要望いたすものであります。
 以上申し述べましたるごとく、私は、今回の国鉄運賃改定は、今日の段階においてはまことにやむを得ない措置と思うのでありまするが、ここに私が以上提起いたしたる諸問題点は、いずれも、今後近き将来において必ずその対策に迫られる問題点でありまするので、今後、政府並びに国鉄当局の真剣なる検討、対策の樹立を要望いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。(拍手)
#21
○議長(清瀬一郎君) 討論はこれにて終局いたしました。
 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#22
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#23
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後七時三十分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        運 輸 大 臣 小暮武太夫君
 出席政府委員
        法制局長官   林  修三君
        運輸省鉄道監督
        局長      岡本  悟君
        運輸省鉄道監督
        局国有鉄道部長 廣瀬 眞一君
ソース: 国立国会図書館
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