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1960/03/28 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第21号
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1960/03/28 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 本会議 第21号

#1
第038回国会 本会議 第21号
昭和三十六年三月二十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十六号
  昭和三十六年三月二十八日
   午後一時開議
 第一 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第二 関税定率法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 第三 関税暫定措置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第四 関税定率法の一部を改正する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但
  書の規定により議決を求めるの件
 中央選挙管理会委員の指名
 低開発地域工業開発促進法案(内閣提出)の趣
  旨説明及び質疑
 日程第一 郵便貯金法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 日程第二 関税定率法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第三 関税暫定措置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 日程第四 関税定率法の一部を改正する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
   午後三時十八分開議
#2
○議長(清瀬一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#3
○議長(清瀬一郎君) お諮りいたします。
 内閣から、肥料審議会委員に本院議員足鹿覺君、同重政誠之君、同首藤新八君、参議院議員北村暢君、同河野謙三君を任命するため、国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。
     ――――◇―――――
 中央選挙管理会委員の指名
#5
○議長(清瀬一郎君) 中央選挙管理会委員が一名欠員となっておりますので、この際、同委員の指名を行ないます。
#6
○田邉國男君 中央選挙管理会委員の指名については、選挙の手続を省略して、議長において、指名されんことを望みます。
#7
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。
 議長は、中央選挙管理会委員に大濱英子君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 低開発地域工業開発促進法案(内閣提出)の趣旨説明
#9
○議長(清瀬一郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、低開発地域工業開発促進法案の趣旨の説明を求めます。国務大臣迫水久常君。
  〔国務大臣迫水久常君登壇〕
#10
○国務大臣(迫水久常君) 低開発地域工業開発促進法案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
 わが国の経済が最近目ざましい発展を遂げつつありますことは御承知の通りでありますが、他方、これを今後も維持し、さらに一そうの均衡ある伸展を期するためには、解決すべき幾多の問題があることも事実でありまして、特に、産業の開発の程度が低く、かつ、経済の発展の停滞的な地域、すなわち、低開発地域の産業の開発を促進して地域間における所得格差の是正をはかることは、きわめて緊要のことと考えるのであります。
 政府は、さきに国民所得倍増計画を決定し、わが国経済の発展の方向と目標とを明らかにしたのでありますが、この計画及びこれと同時に決定されました国民所得倍増計画の構想におきましても、低開発地域の開発の促進及び所得格差の是正には重点を置くべきことを明らかにしているのであります。このためには、今後、国土総合開発法及び各地域の開発促進法に基づいて開発の促進に努めますほか、低開発地域に工業の開発を促進して高い生産性の産業を分散させ、また、農業等の近代化をはかり、低い生産性の産業自体の生産性を高める必要があります。ことに、低開発地域における工業の開発は、地域間の経済格差是正に資するとともに、雇用の増大にも寄与するものでありますので、工業開発のための政府関係金融機関による低利資金の融資額を増額する等の措置を講じて参りましたが、さらに、この促進をはかるために、新たに、低開発地域のうち、特に税制上の特別措置等を講ずることによって工業の開発が期待されるような開発の程度の低い地区を対象といたしまして、工業開発のための所要の措置を講ずることといたしたいのであります。これが、この法律案を提案いたしました理由であります。
 次に、との法律案の要旨を申し上げます。
 第一点は、内閣総理大臣は、関係都道府県知事の申請に基づきまして、低開発地域工業開発審議会の議を経て、低開発地域内において一定の要件を備えている地区を開発地区として指定することができるものとしたことであります。なお、北海道及び首都圏の地域につきましては、申請等に関する手続上の特例を設けることとしたのであります。
  第二点は、内閣総理大臣の諮問に応じまして低開発地域における工業の開発の促進に関する重要事項を調査審議するため、総理府に学識経験者をもって組織する低開発地域工業開発審議会を置くものとしたことであります。
 第三点は、開発地区内に新設され、または増設される工場の機械及び装置並びに工場用の建物については、租税特別措置法の定めるところによりまして特別償却を行なうことができるものとしたことであります。
 第四点は、地方公共団体が、開発地区内に工場を新設し、または増設する者に対して、事業税、不動産取得税または固定資産税の減免をしたときは、当該地方公共団体に交付される地方交付税の算定の基礎となる基準財政収入額の算定につきまして特別の措置を講ずるものとしたことであります。
 第五点は、国及び地方公共団体は、開発地区内の工業の開発を促進するため、必要な資金の確保及び産業関連施設等の整備の促進に努め、また、これらの施設の用に供するため必要な土地の取得につきましては、農地法等の規定による処分にあたりまして特別の配慮をするものとしたことであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 低開発地域工業開発促進法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#11
○議長(清瀬一郎君) ただいまの趣旨の説明に対しまして質疑の通告がありますから、これを許します。阪上安太郎君。
  〔阪上安太郎君登壇〕
#12
○阪上安太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま説明のありました低開発地域工業開発促進法案について質問をいたすものでございます。
 ただいま伺ったところによりますと、どうも、政府の地域開発の構想は、はなはだしく幼稚であることに気がつくのであります。申し上げるまでもなく、地域開発の構想というものは、特に第二次世界戦争以来、先進国、後進国の別なく、また、単に国内政治としてだけでなく、国際機関といたしましても非常な関心事となっておるのでございます。国民経済の均衡のとれた発展を確立するために国内の後進地域の開発を行なうことは、もはや不可避であると同時に、きわめて急を要することでもございます。今日の世界情勢よりいたしまして、資本主義諸国が、帝国主義や植民地主義によりみずからの矛盾を打破することは、これはもう許されません。そこで、勢い、地域開発に踏み切り、国内の需要の拡大をはからざるを得なくなったことも、これまた事実でございます。このことは、わが国においても例外ではございません。われわれは、この種の矛盾を――その結果を是正するのではなく、むしろ、その矛盾を生み出すところの構造の是正に一歩を踏み出さなければならないと信じているのでございます。(拍手)そのためには、資本主義擁護の建前からの地域開発ではなくして、大都市集中の排除、地域間の格差の縮小、地域雇用の高度な安定と水準の維持、こういったことを眼目とするところの総合的かつ立体的な地域開発を、しかも、構造的な視野より推し進めることが、きわめて大切であるとわれわれ考えるのであります。(拍手)
 ところが、企画庁で所得倍増計画立案の際に、産業立地小委員会の描きましたところの、今後十年間の日本の産業地図によりますと、この新しい地域開発を実施するために、今後十年間に、設備投資に対する行政投資の比率を、現在の三対一から二対一に拡大いたしまして、総額でもって十六兆一千三百億円を投下することを予想いたしておるのであります。すなわち、これは年平均にいたしまして一兆六千億円となるのでありまして、新しい工業開発だけでも毎年五千三百億円もの行政投資が行なわれる勘定になるわけでございます。これだけの莫大な国費を投入するのでありますから、この工業開発は、十二分にその効果が上がるように、政府はあらゆる行政機能を集中いたしまして立案計画され、しかる後に、これに見合う法的措置がとらるべきであります。しかし、この法案をながめてみまするに、大都市の交通の緩和であるとか、また、スラム街の解消であるとか、あるいは人口の移動とか、中小零細企業の再配置であるとか、あるいは市街地と農村部との調整等の総合性、立体性が当然工業開発と同時に行なわなければならないにもかかわりませず、それがないのであります。
 このように見て参りますと、この法案からは、どう見ても、こういった地域開発の合理性を発見することができません。それならば、これは、政府が、先ほども話がありましたが、その所得倍増計画の弱点をおおい隠そうとするところの苦肉の策であるといっても、われわれは過言ではないと考えるめであります。(拍手)この法案は、低開発地域の工業開発とうたってはおりますけれども、その中身は全く工場誘致に対する租税の減免措置法でございまして、これならば税法の一部改正法案で十二分に処理できるとわれわれは考えます。(拍手)また、この程度のことであるならば、現在の地方公共団体の条例でも十二分にこなし得るところのものでございます。いやしくも、所得倍増計画の推進という自民党内閣の重点政策にいたしましては、あまりにもずさんであります。
 そこで、私は、この場合、総理にお伺いいたしますが、一体、総理は、こんなものでもって地域開発が推進できるとほんとうに考えておられるのかどうか、正直なところをお聞かせ願いたいのであります。
 また、この法案の内容があまりにも貧弱でございますので、この際、地域開発に関する総理の考え方、ことに、世界的に見て、国内における地域開発には類型があると私は考えるのでありますが、政府は、総理は、いかなる類型を考えておられるか、その辺のところも、この際お聞かせ願いたいのでございます。
 さらに、この法案のほかにも、同じ目的を持ったところの法案が準備されておる。すなわち、自治省においては地方開発基幹都市建設法、建設省においては広域都市建設法などであります。これでは、全く、地域開発に関する最高意思の決定機関も、一元的な実施機関もございません。そうして、各省が思い思いの理念でもって、ばらばらな計画を立てている。一方、首都圏整備委員会や北海道開発庁、それに府県や市町村が、これまた、ばらばらに計画を立てるといったような工合でございます。これじゃ、道路整備五カ年計画も、海面埋め立ても、農業用水と工業用水の調整も、全く計画に乗るものではございません。そこで、総理は、地域開発に総合性と計画性と実行性を強力に打ち出すため、思い切って、この際、国土開発省の設置に踏み切る考えがあるかどうか。また、本法案審議を有効に進める意味におきまして、地方開発基幹都市建設促進法や広域都市建設法を同時に提出すべきであると考えるのでありますが、この際、あわせてお答え願いたいのであります。
 次に、経済企画庁長官にお伺いいたします。
 申すまでもなく、企業は、自己に最も有利であると計算した場所に立地するものであります。すなわち、内部の設備や経営のコスト・ダウン、これをやりましても、その反面、用地、用水、輸送等の面でコスト・アップとなるようでは立地しないのであります。ところが、この法案によりますると、あなたは、企業に対し特別償却を認めることと地方税の減免によって工業は簡単に立地すると考えているようであります。しかし、そんな甘い考えでは、不便な低開発地域には決して工業は立地いたさないのであります。欧米各国におきまして、地域開発の一つの方法といたしまして工業の適正配置法が実施されたのでありますが、それが単なる任意的なものであるとか、あるいは、下からの申請方式的なものでは十二分に目的を達成することができなかったことは、御承知の通りだと思います。この場合、大切なことは、単に地域を指定するだけでなく、企業別に工場の指定を行ないまして、ある程度の規制をすることにより、工業の適正配置を行なう意思を持っておられるかどうか、これもあわせてお伺いいたしたいのであります。
 また、指定した地域に工業が立地するためには、先ほども申し上げましたごとく、用地の取得であるとか、用水の確保であるとか、輸送の便利等がきわめて重大な要素となるのでありますが、同時に、これに関連したところの、いわゆる関連施設、職業教育施設だとか、銀行、旅館、保険会社、事務所等のサービス施設の適正な配置も当然考えられなければ、これはだめでございます。これらについては、法案は、国または地方公共団体は「整備の促進に努めなければならない。」こういった程度の訓示規定にとどまっておるのでございます。これでは、安い土地と安い労働賃金の地域に工場がぽつんと一つ建って、それが地域開発であると考えているのと同じであります。ことに、職場と住宅との関係というものは、この法案によりますと、すっかり忘れられてしまっておる。だから、こういうきわめて貧弱な法律案になってしまうのでございます。経済企画庁長官は、これらの対策について、どのように持っていくつもりでありますか、具体的に承りたいのでございます。
 次に、この法案は、地域間の格差の是正と雇用の増大をうたっているのでございますが、国の施策のありがたみが、先ほど言いましたように、少しも出ていない。これでは、工業は既成の四大地域とその周辺に集中いたしまして、肝心かなめの低開発地域はいつまでも開発されることなく、ますます地域間の格差を助長する結果に追いやると思うのでございますが、この点はどうでございましょうか。
 また、雇用の増大はけっこうでございますが、今日、それ以上に重要なことは、地域雇用の安定と高い水準の維持であるとわれわれは考えております。ところが、この法案では、失業地帯であるとか、不況地帯の現在及び将来に対する配慮はちっともなされていない。地域開発にいち早く着手いたしましたところのイギリスにおきましても、すでに工業配置法などというものは廃案となっております。そして、さらに前進いたしましたところの地域雇用法に取ってかわったのであります。すなわち、地域開発は、地域雇用の見地より、工業の適正配置、新しいニュー・タウンの建設計画、地方都市、農村の開発計画、その他の適正配置等々、総合的な、立体的な再出発をいたしておるのでございます。そのためには、各種の工業のコンビネーション、コンビナートが考えられなければなりませんが、この法案にはそれもないのであります。このような考え方は、一体、お持ちになっていないのでしょうか、この点もあわせて私は伺っておきたいのであります。
 次に、自治大臣にお伺いいたします。
 今日、各地で、工場誘致が無軌道に行なわれております。その結果、市街地がぐんぐんと平面的に伸びていっております。そして、農村に伸びまして、その先端が接触いたしておりますところで、農村問題や土地の問題を著しく引き起こしておるのでございます。近年の都市建設計画、農村建設計画は、単なる土木建築的なものであっては時代おくれであります。たとえば、最近、ベッド・タウンがたくさんできておりますが、産業経済に立脚しない、ああいう都市計画が行なわれておるのでありまして、ますます混乱を惹起いたしております。近代の都市計画は、むしろ、産業経済の視野より、すなわち、今ここで問題になっておりますこの地域経済開発の見地に立つべきでありますが、あなたは、このような情勢に、一体どう対処しようとしておるのでありますか、また、地域開発に対応する地方自治体の構造改革についての構想を伺いたいのであります。
 次に、この法案によりますと、新築、増築の工場に対し、地方公共団体が税の減免をなした場合に、その減収補てんを地方交付税で見ることになっておるのでございまするが、これはとんでもない地方自治の軽視ではないかとわれわれは考えるのであります。地方交付税は、国の財源ではなくて、地方自治体の財源でございます。従って、このような扱い方は、明らかに地方交付税が国の補助金化することであり、国の施策によって地方財源が食いつぶされるようなことは、断じてわれわれは許せないと存じますが、自治大臣は、このようなやり方について、一体賛成せられたのですか、賛成せられたというと、これは大へんな問題だと思うのでありますが、それとも、地方交付税の総額をふやすことによって、開発関係自治体以外の自治体に配分上の減額にならないように措置される考えがあるかどうか、あわせて、この際承っておきたいのであります。
 最後に、この法案は、すでに指摘いたしましたごとく、きわめて幼稚な地域開発の内容でございます。しかも、その目的と手段とは必ずしも一致いたしておりません。総合性、計画性、実行性に欠けるものであります。ことに、国土総合開発法が開店休業になっておる現在の実情にかんがみましても、この際、本案を撤回いたしまして、都市計画、農村計画、その他の関連施設を含めた総合計画として、経済効果の上がるよう、練り直して再提出する意思があるかどうか、総理にお伺いいたしまして、質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔国務大臣池田勇人君登壇〕
#13
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 経済の高度成長によりまして、業種別、規模別、地域別の格差は、えてして、拡大しやすいのでございます。私は、過去のそういう事績から考えまして、この地域格差をできるだけ是正するために本法案を提出いたしたのでございます。各省思い思いにやっているというお話でございますが、それは、今スタートでございまして、建設省は建設省の範囲におきまして、また、通産省は通産省の職域におきまして、地質、交通その他万般の調査をお互いにいたしまして、そうして、後に総合的計画を立てる考えであるのであります。お話のありましたように、欧米諸国におきましては、つとに、こういうことについて努力いたしております。日本におきましては、御承知の通り、まず資金的の助成方法だけが考えられたのでございます。これは北海道東北開発公庫等のごときであります。しかし、今回は、資金面はもちろん、税制面におきましても、また、公共事業の補助率等におきましても、万般の措置をこれから講じようとスタートいたしておるのであります。お話のように、今一つの工場が建っただけではだめでございまして、やはりコンビナートの時代でございまするから、われわれは、コンビナートを主体にいたしまして、関連産業をある特定の場合に誘致するように、行政的のあらゆる措置を講じたいと考えております。住宅問題につきましても、これはその次に考慮すればいい、まず、どういうところにどういう工場をコンビナートの考えのもとにやったらいいかということを打ち立てて、そして、行政面で強力な措置をしようといたしておるのであります。私は、この法案を撤回して新たに出す考えは毛頭持っておりません。(拍手)
  〔国務大臣迫水久常君登壇〕
#14
○国務大臣(迫水久常君) 私も、この法律一本で工業が地方に分散し、従って、地域的の所得の格差がなくなるとは考えておりません。すなわち、この法律というものは、そのもろもろの処置の一つの部分でございまして、結局、地方における工場の受け入れ態勢を整備する一つの手段として考えられたものでございます。現在、経済企画庁におきましては、全国国土総合開発計画を立案中でございまして、本年上期中にはこれが成案を得たいと努力をいたしておるのでありまするが、こういうような計画が、結局、所得格差是正の一つの基準になりまして、そのほか、いろいろな処置を総合的に実施することによりまして、目的を達したいと存じておるような次第でございます。先ほど、御質問の中に、工場はただ誘致するというようなことではだめなので、法律的な力によって配置しなければならぬ、配置の強制をしなければいけないのじゃないかというような御趣旨の点がございましたが、自由主義の建前におきましては、そういう工場の設置を法律的に規制するというようなことは、原則的にはいたさないつもりでおります。
 なお、この法律によっては、雇用が安定するか、あるいは逆に所得の格差がふえるのじゃないか、というような御趣旨のお話もございましたけれども、とにかく、この法律によって少しでも工場が地方に誘致されまするならば、その所においては所得の格差は修正せられるでありましょうし、また、雇用もその所においては上がって参りまして安定をする。この法律が逆な効果があるとは私ども考えておりません。
 繰り返して申し上げますが、この法律だけで地域格差がなくなるとは決して申しておりませんので、そのもろもろの政策の一つとして、ここに御提案を申し上げた次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣安井謙君登壇〕
#15
○国務大臣(安井謙君) お話の通りに、今日、一部の大都市におきまして、産業あるいは人口の過度集中がございまして、都市としての能率が非常に悪化しておる状況は、御指摘の通りでございます。これにつきましては、現在、いろいろの方法がございましょうが、何と申しましても、人口分散、工場、産業の配置転換をやり、同時に、現在ある公共施設をさらに抜本的に拡充していく、こういう方策をとることが必要であろうと思います。それぞれ必要の措置を検討、また実施中でございます。
 さらに、自治省では、一体この地方開発について何か考え方はないのか、こういうお問いでございます。これにつきましては、私どもは、各地方の地域格差をなくしていくということにつきましては、先ほど総理もお話しの通りに、あらゆる方面から、政府の各機関、機能をあげてやらなければなりません。自治省といたしましては、地方団体が積極的にこの政府の施策を受け入れやすくし、そうして、積極的に協力のできる態勢を作っていくように配慮をいたしておるわけであります。その一つの考え方としては、さらに、各地方にいわゆる基幹都市といったような構想をもちまして、それぞれの地域を選定して、その一市町村を中心にしまして、周辺までを包括した工業、産業のための立地条件の向上、あるいは交通の便利化という方面を非常にやりやすく持っていこうという考え方をして、目下、具体案を作成中でございます。
 なお、そのほかに、地方税をただ減免するということは、むしろ違法じゃないか、といったようなお考えもございましょう。こういった地方の産業誘致をします際にいろいろ政府がとります施策には、あるいは助成金、補助措置といったようなものが適切である場合もございましょうが、同時に、地方が、それぞれの判断によりまして、国の政策に合わせて、自分たちの方で、非課税措置、あるいは免税、あるいは減税といったようなものを国の方針にマッチしてやりました場合には、政府といたしましても、その財源の減少分に対して、地方交付税の算定の際に基準を増していくとか、あるいは補強をいたすというごとも、あわせてとらなければなるまいと考えておりまするが、これがあまりにも乱用されるといったようなことになりますと弊害も多かろうと存じますので、その点につきましては十分の配慮をもって行ないたいと思っておる次第でございます。(拍手)
#16
○議長(清瀬一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 郵便貯金法の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 簡易生命保険及び郵便年金の積立
  金の運用に関する法律の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
#17
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、日程第一とともに、内閣提出、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案を追加して両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#18
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 日程第一、郵便貯金法の一部を改正する法律案、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#20
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。逓信委員会理事大上司君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔大上司君登壇〕
#21
○大上司君 ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案は、去る三月九日内閣から提出されたものでありますが、提案理由及び内容といたしましては、第一に、政府の企図する金利水準引き下げの一環として、郵便貯金の利率を、通常貯金につき三厘六毛、積立貯金につき一厘二毛、定額貯金につき三厘ないし五厘引き下げる。ただし、既存の積立貯金及び定額貯金については、その存続期間中は引き続き改正前の利率を適用すること、第二に、預金者の利便をはかるため、新たに、預入期間を一年、利率を年五分とする定期郵便貯金の制度を設けること、第三に、郵便貯金通帳等の再交付の料金を廃止し、貯金原簿所管庁のほか、郵便局においても利子記入の取り扱いを行なうこととし、積立貯金、定額貯金の据置期間の計算につき、預入の日の翌日から起算しているのを、預入の当日から起算することに改める等、預金者に対するサービスの向上をはかったこと等が、そのおもなるものであります。
 なお、施行期日は本年四月一日となっておりますが、定期郵便貯金制度及び郵便局における利子記入の取り扱いは本年十月一日から施行することになっております。
 逓信委員会におきましては、本案の付託を受けまして以来、数次にわたり会議を開いて慎重審議を続けたのでありますが、その状況は会議録に譲りたいと存じます。
 かくして、委員会は三月二十四日質疑を終了、討論を省略して直ちに採決を行ないました結果、本案は賛成多数をもって政府原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。
 次に、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案は、去る二月二十四日内閣から提出されたものでありまして、その目的とするところは、現在、簡易生命保険及び郵便年金は広く国民大衆によって利用せられ、これが積立金は、財政投融資計画の一環として、地方公共団体を初めとし、国、政府関係機関等をおもなる対象として運用されているのであるが、その運用利回りは民間保険等と比較して相当低く、ために、配当を加味した正味保険料はかなり割高となっていて、国民になるべく安い保険料、掛金による保険、年金を提供しようとする事業本来の使命を十分に果たし得ないのみならず、新契約の募集上にも支障を与えている状況にあるので、本改正案によって、積立金の運用範囲を拡張して利回りの向上をはかり、その利益を保険、年金加入者に還元しようというのであります。
 今回の法律改正によって、新たに積立金融資の対象となるものは、第一は、特別の法律によって設立された法人で、民間資本の出資のないもののうち、特別の法律に基づき債券を発行することができる法人の発行する債券及びこれに対する貸付であって、これに該当するものは日本道路公団、首都高速道路公団、帝都高速度交通営団等であります。第二は、長期信用銀行法第二条に規定する銀行の発行する債券であって、これに該当するものは日本不動産銀行、日本興業銀行及び日本長期信用銀行であります。第三は、電源開発株式会社の発行する社債及びこれに対する貸付であります。
 なお、本案の施行期日は本年四月一日となっております。
 以上が本法案の内容でございますが、逓信委員会におきましては、本案の付託を受けまして以来、会議を開いて慎重審議を重ね、三月二十八日質疑を終了、討論を省略して直ちに採決の結果、賛成多数をもって本案は政府原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。
 なお、採決の後、委員会は、委員佐藤洋之助君の動議により、自由民主党、日本社会党、民主社会党の共同提案にかかる次の附帯決議を賛成多数をもって議決いたしました。
    附帯決議
  簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関しては、政府は、さらに一層運用利回りの向上をはかるとともに、現行の運用範囲のほか、なお積立金の貸付によってひろく保険年金加入者たる国民各層の利益に資することができると認められる対象があるときは、遅滞なくこれに対して運用範囲を拡大する措置を講ずべきである。
 右決議する。
 これをもって御報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(清瀬一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一、すなわち、郵便貯金法の一部を改正する法律案から採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#23
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#24
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#25
○議長(清瀬一郎君) 日程第二、関税定率法の一部を改正する法律案、日程第三、関税暫定措置法の一部を改正する法律案、日程第四、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 関税定率法の一部を改正する法律案
 関税暫定措置法の一部を改正する法律案
 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案
  〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#26
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事鴨田宗一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔鴨田宗一君登壇〕
#27
○鴨田宗一君 ただいま議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、昭和二十六年の輸入税表改正以来のわが国産業構造の変化等にかんがみ、また、あわせて貿易の自由化に対処するため、関税率及び関税制度について所要の改正を加えることとしようとするものでありまして、おもなる内容は次の通りであります。
 まず、関税率につきましては、現行関税率表を全面的に改めることにいたしました。すなわち、現行の輸入税表の分類体系は、根本的には明治四十三年のものを踏襲いたしておりますために、最近の産業構造の変化にそぐわないものとなっておりますので、これを国際的に最も広く採用しているブラッセル関税表の体系に改め、税目数を、従来の九百四十三品目から二千二百三十三品目に増加することといたしております。また、税率につきましては、米、麦、石油、石炭等、自由化対策の未確定のものを除き、自由化を前提として所要の改正を行なうこととし、この結果、現行税率より引き上げるもの二百五十一品目、引き下げるもの三百八十六品目、据え置くもの一千五百九十六品目といたしております。
 次に、関税制度につきましては、主として次の四つの措置を講ずることといたしております。
 その第一は、新たに緊急関税制度を設けることといたしております。すなわち、特定貨物の過度の輸入により国内産業が重大な影響を受け、または受けるおそれがある場合には、政令をもってガット譲許の撤回もしくは修正を行ない、または国定税率に付加して一定限度内の関税を課することができることといたしております。
 第二は、関税割当制度を創設することといたしております。本制度は、一定期間内に輸入される特定貨物について、政府が割り当てた数量までは低税率を適用し、これを越える分については高税率を適用するという二重税率制度でありまして、三十六年度からニッケル及び高速度鋼について本制度を採用することといたしております。
 第三は、新たに、再輸出減税の規定を設けることといたしております。すなわち、設備または機械組み立てのため、一時的に使用される目的で輸入される工具類が、輸入後一定期間内に輸出される場合には、その関税を軽減することができることといたしております。
 第四は、輸入禁制品に該当すると認められる書籍、フィルム等の税関における取り扱いを一そう慎重に行なうため、税関に輸入映画等審議会を設置することとする等、所要の改正を行なうことといたしております。
 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、従来から関税の暫定的減免を行なっている物品のうち、所要のものについてその適用期間を延長するとともに、さきに申し上げました関税定率法の改正案に関連して、貿易の自由化により急激な影響をこうむるおそれのある物品については、暫定的にその関税率を引き上げることとする等の措置を講じようとするものであります。
 以下、その内容について簡単に申し上げます。
 まず、第一に、本年三月末日で関税の免除または軽減の期限が切れる重要機械類、給食用脱脂ミルク、農林漁業用重油、肥料製造用原油、製油用原油等につきましては、その適用期間をさらに一年間延長するとともに、給食用脱脂ミルクの免税範囲を拡大することといたしております。
 第二に、ガス事業の公共性にかんがみ、その原料として使用する原油の関税を一年間免除することといたしております。
 第三に、現在暫定減免税を行なっている物品のうち、国産が可能となったもの、または今回の関税定率法の改正案において従来の暫定税率を基本税率としているものにつきましては、暫定措置を廃止するとともに、新たに、必要となった物品については暫定税率を定めることといたしております。
 第四に、貿易の自由化により急激な影響をこうむるおそれのある物品につきましては、必要な期間、暫定的に増税を行ない、あるいは関税割当制度を適用することとする等の措置を講ずることといたしております。
 最後に、国内需要者の負担の増大を避けるため、関税定率法の改正により税率の引き上げが行なわれることとなる物品のうち、所要のものにつきましては、暫定的に現行税率を適用することといたしております。
 最後に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、沖縄等、関税定率法第二十三条の規定によって外国とみなされる地域から輸入される物品のうち、外国産の原材料を使用して同地域で生産されたものにつきまして、新たに関税を軽減する措置を講じようとするものであります。
 すなわち、現在、沖縄等から輸入される物品につきましては、全額課税するか、全額免除するか、二者択一の制度と相なっておりまして、沖縄等のみやげ品の輸入につきましては関税を免除することとし、それ以外の物品、すなわち、外国産の物品を原料として同地域で生産された物品の輸入につきましては、政令で品目を指定し、関税を課することといたしております。ところが、従来、この種の物品の輸入はほとんどなく、従って、政令による品目の指定をする必要もなかったわけでありますが、最近、たとえば、エンジンを外国から沖縄に入れて、そこでボートを組み立ててわが国に輸入する等、沖縄を中間生産地とする物品の輸入が増加する傾向にあり、これらの物品について関税の全額免除を行なえば国内業者との均衡を失することとなり、また、全額課税すれば沖縄の加工産業を圧迫することとなりますので、新たに関税軽減の制度を設けることとし、沖縄等において付加された価値部分については関税を課さないことといたそうとするものであります。
 以上の各法律案につきましては、去る二日政府側より提案理由の説明を聴取し、自来、質疑に入りましたが、十四日には参考人より意見を聴取する等、慎重審議いたしました。特に、緊急関税制度と租税法定主義との関係、輸入禁制品たる映画フィルムに対する税関の取り扱い等については熱心な質疑応答がかわされましたが、これらの詳細につきましては速記録に譲ることといたします。
 かくて、去る二十五日質疑を終了し、各案について順次討論、採決に入りました。
 まず、関税定率法の一部を改正する法律案につきましては、社会党を代表して堀委員、民主社会党を代表して井堀委員より、それぞれ反対討論があった後、直ちに採決いたしましたところ、起立多数をもって原案の通り可決となりました。
 なお、本案に対しましては、全会一致をもって附帯決議を付すべきものと決しました。附帯決議の内容は次の通りであります。すなわち、
  政府は、関税定率法第九条の二の定により緊急関税に関する措置をとったときには、遅滞なく国会に内を報告すべきである。
というものであります。
 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきましては、社会党を代表して堀委員より反対討論、民主社会党を代表して井堀委員より賛成討論のあった後、直ちに採決いたしましたところ、起立多数をもって原案の通り可決となりました。
 最後に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案の通り可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(清瀬一郎君) 以上の三案中、日程第二、日程第三について討論の通告があります。これを許します。武藤山治君。
  〔武藤山治君登壇〕
#29
○武藤山治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました関税定率法の一部を改正する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を試みんとするものであります。(拍手)
 反対の理由の第一は、経済的側面から見て、大衆の利益よりもむしろ独占企業本位のカルテル関税的性格が強過ぎる点であります。第二の理由は、法制上、憲法の目的とする精神に反する点、すなわち、憲法違反の疑いがある点であります。(拍手)
 以下、簡単に諸点について指摘いたしたいと思います。
 大蔵大臣の提案説明では、二つの目的で関税体系を整備したいと申し、すなわち、産業構造の変化に対応すること、貿易自由化の進展に対応するため、と申されております。なるほど、貿易自由化による効果としてあげ得る点は、一つは、原材料や生産財が安価に輸入でき、国際競争力が増大し、産業構造の改革を促進する面、もう一つは、安価な輸入品で国内物価を引き下げ、消費者大衆の利益をもたらすという点であろうと思います。しからば、今回の改正で、この効果が実現されるように措置されておるでありましょうか、いなと答えなければならないのであります。
 このたびの新分類二千二百三十三品目に及ぶ関税率改正の重点は、独占資本の自己防衛的要請を満たし、独占価格維持にのみ走り、いわゆるわが国経済の二重構造解消には考慮が払われていないと断ずることができるのであります。(拍手)すなわち、独占資本の最大利潤獲得に奉仕させようとする性格が露骨に現われているのであります。産業構造の改革や輸出振興にいたしましても、関税体系を変えることだけで解決できるものではなく、二重構造の矛盾の中に放置されている中小企業、農業にもっともっと手厚い指導がまず必要であろうと思うのであります。しかるに、政府は、これらの総合的対策をなおざりにしておることは、全く本末転倒といわざるを得ないのであります。
 また、消費者大衆の利益を増進するという面から見ても、幾多の不合理がございます。たとえば、砂糖は非常な高関税でありまして、世界一高い砂糖消費価格であります。これが大幅引き下げなども、やる気があれば可能なはずでありますけれども、全消費量の十分の一しか占めていないビート糖やブドウ糖保護の美名のもとに、製糖資本の独占価格を据え置こうとしております。ビートやカンショ類の生産農民を保護しながら、さらに、砂糖消費価格の引き下げは他の方法によって可能であるはずであります。(拍手)
 また、毛織物の税率にいたしましても、昭和三十七年十月ごろから自由化しようとするのに、まだ一年半も先のことにもかかわらず、今回、べらぼうな、二〇%から四〇%の引き上げを行なうので、すでにイギリスから厳重なる不満と抗議が行なわれておるようであります。自由化に対応するという理由はわかりますけれども、一年六カ月も先の自由化に対し、一体何を考えてこんな暴挙をあえてするのか、理解に苦しむものであります。(拍手)このような措置は、比較的大衆の需要である下級毛織物の価格を引き上げることになり、かえって輸出を難渋させる結果にもなるのであります。(拍手)これらの二点を指摘してみましても、消費者大衆の利益をあまり考慮しないよい例ではなかろうかと存ずるのであります。(拍手)
 第二の点は、今回新設されたタリフ・クォーター制度についても、三品目に割当制度をとり、厚い保護がなされているのであります。これらの制度で特別な保護を受け、利益を受けるのは、政治的発言力があり、企業内容の豊かな独占資本であります。自由化されても、かかる制度で救済される企業は心配ないが、裸にされる立場は、まことにみじめといわなければなりません。従価・従量併用制にいたしましても、同じことがいえるのであります。
 第三に、緊急関税の政令委任は憲法八十四条の租税法定主義に反するという問題であります。政府が新設しようとする規定は、外国貨物の価格が低落し、日本の産業に重大な損害を与えるか、または与えるおそれがある場合に、緊急に必要があると認められるときは、政令で関税率を変更する、というものであります。しかしながら、この緊急関税の発動は、相手国の報復を受けるおそれもあり、わが国の貿易に対する影響の大きいことが予想され、また、ガット協定に基づき、その代償として、他の何かの品目の税率を引き下げなければならないことになっておるのであります。従って、この犠牲となる引き下げ品目に何が選ばれるかという点は、まことに重大であります。その緊急事態の認定、選択の権限、税率の範囲、方法等一切を、抽象的な条件を付するのみで政令にまかせるというのでありまして、これだけの重要な措置を行政府に委任して、立法府に事後承認も受けないし、国会開会中といえども国会の承認を必要としないという内容の改正であります。このことは、「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」という憲法第八十四条違反の疑いが全く濃厚であります。(拍手)これを外国の立法例に見るに、西ドイツは国会の事前承認、イギリス、フランスは事後承認、カナダ、アメリカは、強力な行政機関である関税委員会があって、委任内容に限定があるのであります。これらの国々の制度と比して、わが国の今回の措置は、世界に類例のない白紙委任にひとしいものといわなければなりません。これで、一体、立法府が国民から負託された国権の最高権威を維持しているといえるでありましょうか。まさに、国会無視、官僚独走を許す危険な道といわなければなりません。(拍手)われわれの主張で、事後に国会に報告するという附帯決議は付されましたが、これで憲法違反の疑いは晴れたというものでは断じてないのであります。
 第四点に、これまた憲法違反の事案であるとこれまでたびたび指摘されてきた税関における輸入映画、書籍等の検査規定をそのまま存置し、政府は、関税定率法の中に新たに二十一条の二を規定し、輸入映画等審議会を新設することにしていることであります。大蔵大臣の説明では、昨年の大蔵委員会の決議の趣旨に従い設置すると申されております。はたして、この措置で違憲の疑いが解消するでありましょうか。憲法第二十一条二項は、「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」と明確に規定し、言論、表現の自由を保障しているのであります。政府は、審議会を法律で設置すれば違憲でなくなると考えたかもしれませんが、全くナンセンスであります。税関で許されている権限は貨物を検査することであって、検閲することは許されないはずであります。おそらく、自民党の諸君の中から、反論として、エロ映画や公共または風俗を害するものが輸入されたら困るではないか、だから検閲はやむを得ないのだと申すかもしれません。しかし、多くの学説は、かかる公共または風俗を害するものといえども、発表前に検閲することは違憲であって、発表された事後に裁判所の決定で規制する以外に方法はないと説明しております。従って、裁判による事後規制及び映倫規定や放送番組基準の適用による自主的規制が妥当な処置であると思うのであります。今回の政府の改正は、検査手続の一部を改めることをもって税関検査そのものの違憲性を隠蔽せんとする以外の何ものでもないと断ずることができるのであります。
 第五に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案でありますが、暫定々々と称して、十カ年になんなんとする長期間を、時限立法として毎年々々延長議決をするがごときは、政府の怠慢といわなければなりません。特に、無税品の輸入総額に対する比率は四九%、免税品二三%という減免税措置は、租税特別措置法にも匹敵するものであり、かかる措置は、すみやかに定率法に組み入れ、法体系を一元化するか、廃止すべきものはどしどし廃止すべきであると思うのであります。私は、今日まで十カ年間、暫定と称して放置してきた政府の怠慢を責めなければならぬと思うのであります。
 最後に、今回の関税定率法改正は、自由化の一環として行なわれるものであるから、その観点からも、少しく述べなければならぬと存じます。
 現在行なわれつつある自由化は、巨大に成長した独占体の市場拡大要求、世界市場分割競争への参加、安い原料の獲得、国際独占資本との結合、もはや身たけに合わなくなった管理貿易に伴うむだの排除などの大資本の要求と矛盾が、アメリカの外圧に触発され、表面化したものと考えられるのであります。すなわち、独占資本の利益に適合する形に再編されて推進されておるのであります。このことは、あらゆる面に露骨に現われて参りましたが、関税に関しましても例外たり得ないのであって、われわれの絶対容認できないところであります。
 そもそも、ガットやIMFという組織は先進国中心の特権クラブであり、先進国同士の交流の活発化と規模拡大を目標としている自由化は、アジアの後進国にはマイナスであります。アジアの後進国は一次生産物の価格安定、市場育成等を要求しているのであるから、かかる際に、自由化によって日本はアジアから孤立する危険があるのであります。特に、本年に入り、国際収支の赤信号が鳴り、一月の経常収支の赤字が九千九百万ドル、二月が九千三百万ドル、三月の予想が四、五千万ドルと赤字続きであり、昨年は一月から六カ月間で九千九百万ドルの赤字にすぎなかったのと比較すると、一カ月間で半カ年に匹敵する赤字を生んでいる現状は深刻であります。かかる点から考察してみても、先進国以外のアジア市場に力を入れること、中国との貿易拡大策を実践することが、国民経済的視野からも緊急事と思うものであります。(拍手)しかるに、自民党政府は、これらの施策について、全く国民の期待にこたえておりません。独占擁護あって国民の利益を忘れる政治は、主権在民の民主政治のあり方とは断じて申せないのであります。(拍手)為政者は心すべきであろうと存じます。
 以上、私は、ただいま上程になりました両法案に対し、社会党を代表して反対の意見を述べ、政府の猛省を促すものであります。(拍手)
#30
○議長(清瀬一郎君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#31
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#32
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
 次に、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#33
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 経済企画庁設置法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
#34
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#35
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#37
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事草野一郎平君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔草野一郎平君登壇〕
#38
○草野一郎平君 ただいま議題となりました経済企画庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、経済企画庁の参与の定数を二人増加するとともに、同庁の付属機関として地域経済問題調査会及び国民生活向上対策審議会を設置するものであって、調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じて、経済の地域的な発展に関する総合的かつ重要な事項を、審議会は、経済企画庁長官の諮問に応じて、国民生活の向上対策に関する総合的かつ重要な事項を、それぞれ調査審議することといたしております。
 本案は、二月二十四日本委員会に付託、三月二日政府より提案理由の説明を聞き、二十八日質疑を終了、別に討論の通告もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#40
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
 機械工業振興臨時措置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
#41
○田邉國男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#42
○議長(清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#44
○議長(清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員会理事内田常雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は会議録追録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔内田常雄君登壇〕
#45
○内田常雄君 ただいま議題となりました機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
 わが国の機械工業は、最近数年間に著しい発展を遂げ、今後わが国経済の高度成長をになう産業として最もその将来が期待されているのであります。しかしながら、現状においては、国際競争力はいまだきわめて弱体であり、今後進展を予想される貿易の自由化に備えて急速にその合理化及び近代化を促進する必要が痛感されているのであります。現行の機械工業振興臨時措置法は、昭和三十一年、五カ年間の限時立法として制定され、その間、基礎的な機械及び共通的な機械部品工業の体質改善のため顕著な効果を上げて参りましたが、今回、さらに如上の事情に対応して、次の諸点を内容とした改正を行なわんとするのが、この改正法案であります。
 すなわち、第一は、本法の有効期限をさらに五カ年延長すること、第二は、本法の対象となる特定機械の範囲を拡大すること、第三は、機械工業の合理化のために行ない得る共同行為の範囲を拡張すること、第四は、部品の規格統一を促進するために規格の制限措置を講ずることができるようにすること、第五は、機械工業の合理化に資するため、企業の合併、事業の協同化、工業用地の買いかえ等に対し税制上の優遇措置を講ずることができることとすること等であります。
 本法案は、三月一日当委員会に付託され、自来、慎重審議の上、本日をもって質疑を終了しましたので、採決に付しましたところ、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決しました。
 なお、採決後、本改正案に基づく各般の行政措置を推進する趣旨をもって、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案になる附帯決議が付されましたが、その内容の詳細につきましては、委員会議録に譲り、省略いたします。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#46
○議長(清瀬一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#47
○議長(清瀬一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
     ――――◇―――――
#48
○議長(清瀬一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時二十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  池田 勇人君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
        自 治 大 臣 安井  謙君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
 出席政府委員
        経済企画庁総合
        開発局長    曽田  忠君
        郵政政務次官  森山 欽司君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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