くにさくロゴ
1960/03/09 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第5号
姉妹サイト
 
1960/03/09 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第5号

#1
第038回国会 法務委員会 第5号
昭和三十六年三月九日(木曜日)
    午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 池田 清志君
   理事 田中伊三次君 理事 牧野 寛索君
   理事 井伊 誠一君
      浦野 幸男君    唐澤 俊樹君
      川島正次郎君    菅  太郎君
      小島 徹三君    高橋 英吉君
      千葉 三郎君    楢橋  渡君
      羽田武嗣郎君    長谷川 峻君
      坪野 米男君
 出席政府委員
        法務政務次官  古川 丈吉君
        検     事
        (大臣官房司法
        法制調査部長) 津田  實君
        法務事務官
        (矯正局長)  大澤 一郎君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局事務次長  内藤 頼博君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局人事局)
        長       守田  直君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
三月四日
 委員田中幾三郎君辞任につき、その補欠として
 片山哲君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
 委員高橋英吉君、南條徳男君、羽田武嗣郎君及
 び橋本龍伍君辞任につき、その補欠として川島
 正次郎君、菅太郎君、山村新治郎君及び千葉三
 郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員菅太郎君辞任につき、その補欠として南條
 徳男君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
三月六日
 裁判所の代行書記官等制度廃止に関する請願外
 百三件(坪野米男君紹介)(第一〇六七号)
 鳥取地方、家庭、簡易裁判所庁舎改築に関する
 請願(赤澤正道君紹介)(第一一二三号)
 鹿児島地方、家庭裁判所川内支部の甲号昇格に
 関する請願(池田清志君紹介)(第一一二四
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六一号)
 矯正医官修学資金貸与法案(内閣提出第六七
 号)
     ――――◇―――――
#2
○池田委員長 これより会議を開きます。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び矯正医官修学資金貸与法案の両案を一括議題として、審査を進めます。
 質疑の通告があります。順次これを許します。田中伊三次君。
#3
○田中(伊)委員 裁判所にお尋ねをしておきたいと思います。
 今度は判事の数が二十八名増員になるということですが、二十八名の判事を補充する具体的な計画がお立ちになっておるのか。具体的計画と申します意味は、どの方面から採用するか、補給源はどうなっておるのかという見通しであります。それをお尋ねいたします。
#4
○内藤最高裁判所長官代理者 お答えいたします。判事につきましては、現在のところ欠員が四十七名ございます。これは一月三十一日現在でございます。判事四十七名で、約五十名の欠員があるわけでございます。そこへただいまお話がありました今回の二十一八名の増員が認められまして、合計八十名近くの欠員となるわけでございます。これを埋めまするのに、判事補十年の経験を経まして判事の任命資格を得る者が、今年の四月十四日には約八十名あるわけでありますが、この判事補十年の経験を経ました者をもって判事に任命して、ただいまの約八十名をこれに充てることに予定しております。
#5
○田中(伊)委員 この欠員四十七名ということですが、一体判事の欠員は始終数十名の欠員が続いておる。ずっと以前はそうではないでしょうが、最近の状況は、補充しても補充しても欠員になる。これはどういう実情ですか。
#6
○守田最高裁判所長官代理者 判事の欠員は、定年退官とかあるいは任期の終了、依願退官、あるいは転官、死亡といったようなことで、減員になっていくわけでございます。そのうち最も多いのが定年退官でございまして、昭和三十五年四月一日から三十六年三月三十一日――ですから三月の分は予想でございますけれども、定年退官になるものが合計二十九名でございます。それから任期終了、依願退官が十四名、転官が一名、死亡が三名、合計四十七名ぐらいはここ一年で退官しているわけでございます。その関係で欠員がふえ、その間に弁護士から採用できるとよいのでございますけれども、現在の段階ではまだなかなか困難だという状況で、こういう欠員が出てくるわけであります。
#7
○田中(伊)委員 簡易裁判所の判事も現に四十名ばかり欠員がある。判事補にも四、五名の欠員があるようですね。これの補充についてはどういうお考えですか。
#8
○守田最高裁判所長官代理者 判事補は現在四名ほど欠員でございますが、先ほど内藤次長から御説明申しましたように、判事補及び商初裁判所本官で判事補である者のうち、八十三名が今度判事の資格を取得するわけでございます。それが四月十四日に判事の資格を取得して判事に任命し得ることになりますので、その関係で判事補がまた浮いて参るわけでございます。本年年度において司法修覆生を終了する者の中で、判事補を希望しておる者は約九十三名ございます。それで十分補充して判事補は一ぱいにすることができるわけでございます。それから簡易裁判所判事、これは欠員がございますけれども、これは弁護士及び司法科試験に合格していながら、他の行政官庁などに勤めておったような人たちが随時志望して参りますので、そういう者並びに多年司法事務に従事した者につきまして、厳重な選考試験をしまして、そこから補充していくという考えで臨んでいるわけであります。
#9
○田中(伊)委員 弁護士からの補充についてはどういうお考えでしょうか。
#10
○守田最高裁判所長官代理者 弁護士からの補充を一番希望しておるわけでございます。ただ私どもの方の考えといたしましては、弁護士から簡裁判事を志望される方も、いずれも大都会の裁判所を希望されるわけでございます。ところが欠員の大部分というものは大都会ないしは大都会の周辺の地の簡易裁判所ではなくして、もっぱら辺境の地にある簡易裁判所の判事でございます。従いまして、弁護士から簡易裁判所判事を志望される方はありますけれども、そういう辺境の地における簡易裁判所判事を志望される方はほとんどございません。これが補充を非常に困難ならしめている理由でございます。もちろん裁判所といたしましては、弁護士から簡易裁判所判事をとりたいのでございますし、弁護士連合会にも働きかけまして、推薦方を依頼しておるわけでございます。大体今までの平均実績は、年間十名程度は弁護士から採用いたしております。
#11
○田中(伊)委員 弁護士にその補給源を求めるという考え方が一番いいと思うのですが、弁護士からとる場合は、今のようなお話のほかに、待遇上の問題があるのじゃないですか。
#12
○守田最高裁判所長官代理者 弁護士からとります場合におきましては、弁護士の経験年数は裁判官の経験年数とほぼ見合って考えられるわけでありますが、簡易裁判所判事の俸給は一番上が判事の三号でございまして、大体九万九千円くらいのところが一番上になっておりますから、その範囲内でとるわけでございます。それで、私どもといたしましては、一番困難な事情は欠員庁というのがへんぴなところにある、それがために志望者はあっても結局そういうところに任地を定められることをがえんじない、これが大きな原因であります。俸給だけではないというふうに見ております。
#13
○田中(伊)委員 そうすると、こういうことですね。判事については今の御答弁でよくわかるように、現在四十七名もの欠員がある。それにさらに二十八名の増員がこの法律の改正によって行なわれる。簡易裁判所についても判事が四十名の欠員、その他判事補についても数名の欠員がある。いずれもこの補充は急がなければなりませんね。欠員が出てくるのに、それをほうっておくという――言葉はおかしいが、欠員の補充はむずかしいからでありましょうが、いずれにしても補充ができない。そういう状態が続いておると、裁判所で増員を希望しても欠員がほうってあると、非常に困難なことになるのです。それで今言ったような欠員の補充、増員に対する任用というようなことはすべて心配なくやれる、こういう御意見として承っていいですか。
#14
○守田最高裁判所長官代理者 旧制度におきましては、いわゆる予備判事という制度がございまして、これはいわゆる定員ではないわけでございます。予備判事という予算が入っておるわけであります。判事の欠員ができるまでは予備判事として採用しておきまして、判事が欠員になりますと、順次予備判事を判事に任命していく、そして充員していくということになっておったわけであります。ところが、新制度になりまして、この予備判事という制度がなくなりました。それで判事の資格を取得するのは、現在の司法研修所の修習の終了するのが三月の終わりになって参りますので、それから判事補をとります関係上、判事補十年の任期が満了するのがどうしても四月になって参るわけであります。そこで四月になって判事の資格を取得する判事補が大量にできて参りますので、それが補充源にいつもなるわけであります。それで、毎年四月になりますと、判事の資格者ができますので、その資格者の任用のために欠員をある程度とっておかなければならぬことと、四月から三月までの間には、途中で判事の資格を取得する者がないわけでございます。さような関係で、四月現在におきましては常に一ぱいになりますけれども、その後においては、欠員が順次できておりましても、すぐには補充ができないという状況であるわけでございます。これを解決するのは、ただ予備判事というような制度をもう一ぺん考慮する必要がある、こういうふうに私どもは考えております。
#15
○田中(伊)委員 採用のできる有資格者が年度末なら年度末にしっかりあるときに、定員外に裁判官を採用しておくという道は何か考えていますか。法制の上でできない相談でもないと思うが、そういう特殊事情のある場合、定員外に採用しておくという道は考えられないものか。
#16
○守田最高裁判所長官代理者 現行制度のもとにおいてはそういうことは考えられません。ただ、ただいま申し上げましたように、昔は予備判事という制度がありまして、定員外にそういう採用の道があった、それをやっぱり今後も検討する必要があるというふうに思っております。
#17
○津田政府委員 ただいまの御質問に対しまして法務省側からもお答え申し上げます。現在裁判官の志望者が、先ほど最高裁判所からお話しのように、年度末、つまり司法修習生の修習が終わった際におきましても、その当時存在する欠員を満たすことがやっとできるかできないかという程度で、裁判官の志願者が非常に多ければそういうことも考えなければならぬということでございますが、志願者がなくて大体やっと埋まるという程度の状態におきましては、そういう制度を設けましても、そこにプールしておくだけの人員はとうてい得られないという意味におきまして、ただいまのところは、法務省といたしましても、その法制を考慮する段階には至っていないという次第でございます。
#18
○田中(伊)委員 これは最高裁判所にも法務省にも、両方にお聞きを願っておきたい。今国会に、国家行政組織法等一部改正法律案というのが提出になっておるようです。それにはこういう気のきいたことが書いてある。特別の事情により、定員だけでは間に合わず、緊急に定員を増加する必要がある場合においては、適当なる数を政令で付加することをきめることができる。政令で、定員プラス何名ということがきまるようになっている。これは、特別の事情がある場合には政令でこういう措置ができるということになっておる、新しい規定ですね。試みも新しい。ねらいもなかなかいいねらいだと思われる、乱用されても困るけれども。いやしくも裁判所の判事、判事補というような、非常に高度の、むずかしい資格を要するような人事について考えてみると、今御答弁になったような、特別の事情中の特別の事情があるのじゃないか。年度末がきて、定員のあるものを、欠員のある分、増員の行なわれる分を合計したものを一ぱいに任命しておいても、一年の間にはぽつりぽつりと欠員が生じてくる、それを途中で埋めようがない、こういう特殊事情があるわけですね。裁判所の職員についても、政令によって定員に適当なる数を付加することができるように新たに考える必要はないのか。
#19
○津田政府委員 ただいま御指摘のような国家行政組織法の改正、これは国家行政組織法第十九条の改正でございますが、そういう改正案が政府から提案されていることは御指摘の通りであります。この裁判所職員定員法は、もちろんこの国家行政組織法の提案のかなり前に提案をいたしまして御審議をいただいているわけであります。その際は、この十九条のような規定の予想はある程度あったわけでありますが、何分にも裁判所の方は、先ほど最高裁判所から申し上げましたように、四月の初めにおきまして判事を充員する関係上、二十八人の裁判官の増員、またそれに付随する職員増員は緊急を要するわけでございますので、一日もすみやかに定員法の改正を御審議願わなければならぬという意味において、ただいま御提案申し上げたような案で提出いたしました。しかしながら、国家行政組織法のさような改正の構想があることは当然予知されておりましたので、この問題については、その構想の進行とにらみ合わせて十分検討をいたしたのであります。
 結論を申し上げますると、裁判所に裁判所法関係あるいは裁判所職員定員法でもいいのでありますが、その中にこれと同種の規定を設けることは、現在の段階においては必要がないのではないかという結論に一応到達いたしております。その理由を申し上げますと、この特別の事情により定員を緊急に増加する必要が生じた場合においては、付加すべき定員は、一年以内の期間を限り、政令でこれを定めることができるという国家行政組織法の第十九条第二項の改正でございまして、さらにその政令で付加された定員は一年をこえて置く必要があるときはすみやかに立法の措置が要る、こういう規定になっております。そこでこういう場合に、政令あるいは裁判所の規則等でこういう措置ができないかという問題があるわけであります。ところが、政府で考えておりますところのこの緊急の定員増加という問題は、非常に限られた場合であります、たとえば災害が起こって、災害復旧をするための定員を増加する必要がある、あるいは法務省所管で考えますると、これは従来例があるわけでありますが、北鮮帰還の協定ができたために、新潟に入国警備関係の入国審査官が必要であるというような問題、あるいは航空管制がアメリカから逐次日本に移管と申しますか、日本の管制に移されている際に、年度内に航空管制官を増加しなければならぬというような限られた場合を考えての立法であります。これは年度当初と申しまするか、定員法を改める当時予想されない事項でございます。そういうものの必要に応じるため、この定員を増加するということを考えて、しかもそれは一年の期限付ということになっております。ところがこのことが、裁判所にはたしてそういう問題が起こるかということは非常に問題であって、非常に希有の場合は起こり得なくはないと思います。しかしながら御承知のように、裁判官には憲法上十年の任期がございます。一年以内に限って定員にするというような措置は、裁判官については少なくともとれない。これによって採用された人の任期は一年になって、あとは退官になるというようなことは、とうてい憲法上許されない。裁判官についてはかようなことはできないわけであります。そういたしますと、裁判所の運用というのは、主として裁判官を中心として行なわれておりまして、裁判官についてさような制約がある場合に、他の職員について、それじゃそれに見合うような緊急なことが起こるかということは予想できないことではないかということ、それが一つ。もう一つは、現在仕組みがやや変わっておりまして、今度の国家行政組織法によりますと、各行政機関の所掌事務を遂行するため恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤の職員の定員は法律できめるということです。これは各省設置法できめることになるわけです。ところが裁判所法はやや立て方が違っておりまして、裁判所職員定員法によりますと、裁判所職員の定員の中に、非常勤職員、それから二カ月以内の期間を定めて雇用される者は除かれておるわけです。これは現在の裁判所職員定員法の第二条。従いまして、裁判所におきましては、予算措置が許される限りにおきましては、二カ月以内の期間を定めて雇用される職員も非常勤職員も認められている。これは一般の行政機関の場合と異なる措置であります。この措置によって、裁判官以外の職員については緊急の要請に合い得るということは考えられますので、いずれにしても予算措置は要ることなのでありますから、予算措置さえ許されるならばかような措置ができるとすれば、立法でかような措置はいたす必要はないのではないかということを考えまして、かような措置は現在のところ定員法でとらないという建前で立案をいたしたわけであります。
#20
○田中(伊)委員 法務大臣はきょうは来ませんか。
#21
○池田委員長 参議院の予算委員会だそうです。
#22
○田中(伊)委員 これは法務大臣に答弁をしていただこうと思ったのでありますが、どうも今までのお話によっても考えることでありますが、裁判官の任用制度というものを根本的に検討をし直す、これは主として裁判所の方にお聞きをいたしたいと考えるわけですが、御承知のように、裁判官の任用制度を根本的に変えるということは大へんむずかしいことです。そこで伺っておきたいのは、任用制度の根本的な改革という目的を持って裁判官任用制度審議会あるいは調査会というような機関をここで新たに設けて、そして時間をかけて慎重審議をするというお考えはないのか。
#23
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判官の任用制度の問題につきましては、根本的にいろいろ重大な問題があると存じます。ことに法曹一元化という意見が従来日本弁護士連合会方面にもございまして、裁判官には弁護士あるいは検察官の相当の経験のある者を任命するというような、根本的なそういう制度を打ち立てるべきであるという意見があるわけでございます。この問題につきましては、日本弁護士連合会におきましても前々から委員会を設けて検討されております。一方におきまして日本法律家協会というのがございます。これは裁判官、検察官、弁護士の有志の者が組織している会でございますけれども、その会におきましても、その三者、さらに学界の人も加わりまして、やはりその問題について従来委員会を設けて検討いたしております。そういった裁判官の任用制度に関する基本問題につきましては、ただいまそういったようなところで、いわば非公式と申しますか、検討している段階でございます。その間にいろいろ意見も出ますし、現状に対するいろいろな批判も出るわけでございます。しかし、何と申しましても基本的に大きな問題がたくさんあるものでございますから、そういった問題の検討という段階でございまして、まだこれを公式に取り上げまして、ただいまお話のございましたような国家の機関において委員会を設けて、そこで検討するという段階までには、若干まだ日がかかるのではないかと私ども考えております。ただ実質的には弁護士会あるいは裁判所、法務省あるいは学界、こういったいわゆる法曹の間でこれを取り上げまして、十分に検討はいたしているわけでございます。裁判官の任用制度は確かに重要な問題でございますし、現行のままでいいかどうかという問題は重大な問題があるわけでございますけれども、その法曹一元ということが、これを解決する一つの考え方、一つの重要な観点になっておるようなわけで、この問題をさらに究明して参りまして、そうして裁判官の任用制度はどうあるべきかという結論が出るものと期待しております。
#24
○田中(伊)委員 法務省のお考えはどうでございましょう。今私の申しました裁判官任用制度の根本的な改革を目ざして、審議会、調査会を遠からざる将来に作る、そうして慎重に、相当長期に時間をかけて検討するということの必要を認めるというのが私の意見でありますが、法務省の御意見を伺っておきます。
#25
○古川政府委員 この裁判官の任用制度の問題につきましては、すでに相当の研究をいたしております。しかしながら、この問題は、裁判官、検察官及び弁護士のいわゆる法曹三者を通じての大きな問題でありまして、これについてはそれを検討する共通の場として、法曹三者で構成する日本法律家協会の法曹一元委員会において、裁判所、法務省、弁護士会側の各委員によって検討され、昭和三十五年十月には法曹一元を実現する具体的要綱が小委員会試案としてまとめられまして、法曹一元委員会に報告されております。法務省におきましても、この法曹一元委員会の動きと関連いたしまして、この任用制度の問題の検討を続けておるわけでございます。裁判官任用制度に関する諮問機関としては、御承知のように、法務省の監督のもとに置かれている法制審議会が現存いたしますので、その任用制度に関する限りはこの委員会の審議を待つべきものと考えておりますが、現在においては右のように日本法律家協会において検討中でもありますので、法制審議会にこれを諮問する段階にはまだ至っておりません。なお裁判官の任用制度の問題につきましては、何らか調査会を設けることについては、目下政府の方で検討いたしておる最中でございます。
#26
○田中(伊)委員 それから、このたびは裁判所の書記官それから家裁の調査官というものが二百九十四名ばかり増員になるということになっておりますね。この内訳はどういうことでしょうか。
#27
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判官以外の裁判所職員の増員が、ただいま御指摘ございましたように二百九十四人ということになっております。内訳を申し上げますと、裁判所書記官が四十人、家庭裁判所調査官が三十人、それから定員外の常勤職員及び常勤的非常勤職員というものがございまして、これから定員に組みかえますものが二百二十四人でございます。以上合計いたしまして、二百九十四人になります。
#28
○田中(伊)委員 それから書記官、書記官補に欠員がありますね。この実情はどういう実情ですか。
#29
○守田最高裁判所長官代理者 昭和三十五年十二月一日現在におきまして、書記官の欠員は百二十一名、それから書記官補の欠員はございませんで、百六名過員になっております。これは書記官の定員を書記官補の方へ流用できるようになっておりますので、そういう関係になるわけでございます。そこで書記職全部をひっくるめて過欠員を出しますと、十五名ほどの欠員になるわけでございます。
#30
○田中(伊)委員 それからこの代行書記官制という変わったものがありますね。身分は書記官補、与えてやる月給は書記官補、仕事は書記官の仕事、こういうようなものなんでしょう。これは変則的なものだから、まあ当分の間ということでやらしておるわけですね。当分の間というが、しかし当分の間ということで十何年も経過している。十年以上にもたしかなりそうです。これは裁判所の制度としてはなるべくすみやかに廃止をしなければならぬものではなかろうか。ぜひ廃止をしてもらいたいという請願もだいぶ多数にこの委員会にかかっておることは御承知の通り、なるべく早く廃止をして本来の姿に持っていくべきものではないか。御意見を伺いましょう。
#31
○内藤最高裁判所長官代理者 代行書記官制度につきましては、まことにただいま御指摘の通りでございまして、これはやはり暫定的の措置として、本官たる書記官の不足いたします間の措置でございます。しかし何分にも書記官の任命資格というものがきまっておりまして、その資格を得た者を書記官に任命しているわけでございまして、その書記官が十分に充足いたしますまでは、その暫定的措置としての代行書記官制度をとらざるを得なかったわけでございます。この解消につきましては、ただいま田中委員の御意見にもございましたように、私どもといたしましても解消に努めているわけでございます。そしてこういう暫定的な措置が一日も早く解消して、書記官本来の制度のもとに書記官の職務が行なわれるように努めているわけでございます。なお、書記官と代行書記官との間の権限には相違はあるわけでございます。同じ書記官の仕事をするとは申しましても、先般改正をいただきました裁判所法第六十条の規定に基づきまして、書記官につきましては特に法律に関するいろいろな調査の権限、職務というものが加えられているわけでございまして、これはやはり代行書記官の方にはこの職務権限というものはないわけでございます。
#32
○田中(伊)委員 それから家裁の調査官について、どうも待遇が冷遇に過ぎるのじゃないかということをちょっと私は思うので聞いてみたい。昔――あまりずっと昔のことは知りませんが、以前は家裁の調査官というものは大体審判官そこそこの待遇が与えられておったのじゃありませんか。ところが最近の処遇というものは非常によくない。これは一体裁判所はどういうお考えでこの大事な家裁の調査官というものの処遇をしておられるのか。との処遇の改善ということについてもっと真剣に考えを持ち直す必要があるのではないか。その任務の重要性ということにかんがみてこれは考えてやる必要があるのではないかと思う。一体家裁の調査官に類似をする他の役所の役人というものの待遇と比較をして研究してみられたことがあるかどうか。他の政府職員の中に似たような仕事をしておるものが相当あるでしょう。この給与体系の実態について、調査官を中心として御意見を承りたい。
#33
○守田最高裁判所長官代理者 まず家庭裁判所調査官の待遇が審判官と大体同格程度ではなかったかというお尋ねでございます。これはおそらく現行の家庭裁判所調査官というもののできる以前のいわゆる少年保護司といったような制度の当時のことではないかと思われるわけでございますが、現行少年法が発足直前の昭和二十三年において少年保護司というものが二級官が四十名、三級官が三十名、計七十名であったようでございます。その人員はきわめて限られた人員であり、しかもこれに任じた人たちは相当の年配者であったわけでございます。そのような関係で、この少年保護司の待遇というものは相当高度であったということは御指摘の通りでございます。ところが、家庭裁判所が昭和二十四年に発足いたしまして、調査官を順次採用いたしたわけでございます。いわゆる国家公務員六級職試験と前に言われたものでございますが、その試験に相当する試験をいたしまして、そこから調査官補を採用いたしまして、それに研修を加えまして順次家庭裁判所調査官に任用していくという制度を樹立いたしまして、今日に来たっておるわけでございます。ただ、当初発足早々におきましては、全然こういう人員がございませんので、これを各方面から求めて充実したわけでございます。今一におきましてはさような制度が確立いたしまして順次家庭裁判所調査官も充実し、現在ではほとんど欠員もないという状況になっております。
 この家庭裁判所調査官にはどんな俸給表が適用されるか、これはいわゆる一般の政府職員に適用されます行政職俸給表第一表が適用されておるわけでございます。各方面における比較の資料はございませんが、たとえば家庭裁判所調査官は、心理学とか、あるいは社会とか、精神医学とか、そういったような科学学問等いろいろだ技術を事件に適用いたしまして調査に任ずるという職でございますので、そういう学校の教員の俸給とどういう関係になっておるかというようなことは、一つの家庭裁判所調査官の俸給のあり方というものの参考になると思うわけでございます。昭和三十五年一月一日現在における家庭裁判所調査官と教育職員等の給与とを比較してみますと、これもごく大ざっぱの比較しかできませんが、大学の教授に適用されます教育職俸給表一表の関係で申し上げますと、平均年令は四十才五カ月、その平均の俸給額が三万一千三百一円ということになっておる。それから高等学校の教員でございますが、これは俸給表第二表でございまして、高等学校の先生は三十九才四カ月で、その平均俸給額は二万六千二百二円というふうになっております。調査官におきましては、年令が平均三十七才で二万三千九百七十七円というふうになって、年令も若くなっております。これを一年間の号俸の間差約千四百円を年令の間差に加えまして、学校の先生には超勤手当というものがございませんが、調査官には超勤手当もございますので、それを加えていきますと、結局高等学校の教員よりは約二千円ほど上になって、大学の先生よりは約千五百円ほどマイナスになっているというのが実態でございます。一般の公務員よりは、一六%の調整がついておりますので、これは多少高くなっておるということが言い得ると思います。
#34
○田中(伊)委員 今お尋ねしたのは、大正十年ですか、十一年ですか、少年法施行当時の、今お話しになった少年保護司、この保護司時代の給与が非常に審判官に接近をしておるという事実が私の頭の中にあること、それからもう一つは、最近の事例を見ると、教育界等から調査官に採用する場合に、どうも給与の上から格下げになることが多いといわれている。一口にわかりやすく言うと、よい人が来ないということです。それから少年法施行当時の少年保護司の数とは、数は違ってきておるけれども、その調査官の担当してやっておる職務の内容というものは、少年を対象にして、非常に大事な仕事をしておる。事件の推移というものをよく知っておる者からいいますと、審判官に劣らざる大事な仕事をしておる。こういう点から申しますと、よい人が来てくれるような待遇が望ましいという配慮、そういうことを私は言っておる。ですから、単に年令のみならず、ことに大事なのはその人の持つ経歴、前歴です。調査官に来てくれる者がどういう経歴にあった人かということ、こういう点を十分頭に置いて、その採用条件の類似した他の政府職員との給与の関係というものをよく頭に置かれて、改善すべき点は改善していくという考え方になっていただきたいと思います。
 それからもう一つ伺っておきたいのは、検察審査会の制度についてであります。これは全国で二百を下らざる設置ということになっておりますが、実態はどうなんですか。
#35
○内藤最高裁判所長官代理者 検察審査会の数は、全国で現在二百四カ所になっております。
#36
○田中(伊)委員 予算は一億余りと記憶しておりますが、この検察審査員のほかに予備員とか補助員というものがございますね。これの数はどれくらいですか。
#37
○内藤最高裁判所長官代理者 各検察審査会に審査員が十一名、その補充員が十一名であります。
#38
○田中(伊)委員 これは大小なしですか。
#39
○内藤最高裁判所長官代理者 ございません。
#40
○田中(伊)委員 全国二百四の審査会が年間に取り扱っておる件数はどれくらいですか。
#41
○内藤最高裁判所長官代理者 約二千件でございます。
#42
○田中(伊)委員 その二千件はどういうふうに処理されておりますか。
#43
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま手元にございます資料の昭和三十四年度の数字について申し上げますと、検察審査会の審査の結果は、起訴相当というものが百十四件になっております。それから起訴不相当と申しますのが千四百六十件となっております。その他が約四百件であります。
#44
○田中(伊)委員 その他というのは、大体の内容はどんなものですか。
#45
○内藤最高裁判所長官代理者 おそらくこれは申し立ての取り下げとか事件の処理を必要としなくなったというふうに考えられます。
#46
○田中(伊)委員 最近私たちの耳に入ってくるところによると、審査会も、場合によっては出張してものを調べるということがありますね。全国にわずか二百四しかないから、出張することもあり得る。そういう場合に出張旅費がないとか、日当、宿泊料が貧弱だということが相当に言われるのですが、この内容はどういうことになっておりますか。
#47
○内藤最高裁判所長官代理者 予算上は検察審査員の旅費、日当は含まれております。これが大体四千五百万円という数字になっております。
#48
○田中(伊)委員 その四千五百万円の使い方で聞いておきたいのですが、この検察審査会の関係者の出張する旅費、日当、宿泊料というようなものは、裁判所の一般の職員の場合に準じて同額のものか、それよりも低いものですか。
#49
○内藤最高裁判所長官代理者 裁判所職員の場合と同額を支給しております。
#50
○田中(伊)委員 大へんこまかいことを伺いますが、提出されておる資料によると、検察審査会関係の職員千四十二人のうらに、技能労務職員という珍しい名前のものがあるのです。これが百七十三人ばかりあるのですが、むろん身分は裁判所の職員になっております。これはどんな仕事をしておるのですか。
#51
○内藤最高裁判所長官代理者 技能労務職員、大へんやかましい言葉を使ってございますけれども、それはすべてタイピストのことなのであります。
#52
○田中(伊)委員 それから、もう一つこういうものがありますね。提出資料の八、九の中に記載されておるものを読むと、定員外の常勤職員、常勤的非常勤職員というようなわかったようなわからぬものがありますが、これはどういう待遇のものですか。
#53
○内藤最高裁判所長官代理者 御指摘のように、定員外常勤職員と申しますのと、常勤的非常勤職員というのがございます。定員外常勤職員と申しますのは、任期二カ月で採用されます。しかしその勤務時間、給与等は、定員内の職員と同じように扱っております。それで給与は行政職俸給表第二表の四等級あるいは五等級というふうになっております。常勤的非常勤職員と申します方は、これは日々雇い入れる形式をとっております。勤務時間は一般の職員と変わりございません。給与は日給制になっております。現在平均三百十円くらいになっております。これも期末手当、勤勉手当等は支給されます。以上のような違いがあります。
#54
○田中(伊)委員 それは今回の改正で定員に繰り入れが実現をしたという場合は、同様の待遇がしてやれるのですね。
#55
○内藤最高裁判所長官代理者 さようでございます。
#56
○田中(伊)委員 非常にこまかくなりますが、この資料の中に賄人二名とありますが、これはどういうものですか。
#57
○内藤最高裁判所長官代理者 この賄人とございますのは、研修所に寮がございますので、その方の食堂のまかないをしております。
#58
○田中(伊)委員 これは定員外職員として残すことになるのですか。
#59
○内藤最高裁判所長官代理者 こういう職種につきましては、やはり法制的に恒常的な職務と考えられないために、これは定員外に残すことになっております。
#60
○田中(伊)委員 それから矯正医官の関係をちょっと法務省に伺っておきたいと思いますが、刑務所、少年院、鑑別所などにお医者さんが足りないというわけですね。そこで矯正医官の修学資金貸与法案によく似たもので、厚生省関係で公衆衛正の修学資金貸与法というのがございます。これは現在法律にもなっておる。そこでおそらくこれに準じてお考えになった制度と思うが、厚生省の貸与法は過去三年実施をしておる。その実施状況というものをお調べになっておると思いますが、どういう状況でしょう。
#61
○大澤政府委員 年度別によって多少の増減はございますが、実施されました昭和三十二年度におきまして、志願者が二百七十五名で採用者が二百四十二名、一一三%の志願者があったわけであります。昭和三十三年度におきましては、志願者二百十三名に対しまして採用者が五十七名、三七三%であります。昭和三十四年度におきましては、これは充員の欠員等の関係も考慮されたと思いますが、志願者八十八名に対しまして採用者が三十三名、二六六%、三十五年度では志願者百十一名に対しまして採用者が七十三名、一五二%、平均いたしまして一六九%の志願者があるわけでございます。それらのものが学校を終わりまして、直ちに厚生省関係の医療関係の就職者、これも年度によって多少相違はございますが、大体半数が引き続いて勤務しておるという状況であります。
#62
○田中(伊)委員 そうするとこう承っていいのですか。志願者と採用者との数は今御報告の通り。それで引き続いて在職して職務にあるものは大体半数、こういうことですね。厚生省関係は大体半数と見ていいですね。
#63
○大澤政府委員 はい。
#64
○田中(伊)委員 そこで一体学生時代からお金を貸して養成をして、金を貸す目的は、お医者さんになったらこちらへ来てくれということが目的なんですね。半数に足るか足らぬかの人しか残って仕事をしてくれない。大へんいやな言葉で言うと、半数は食い逃げをする。金は返すでしょうけれども、こちらの目的から言うと半分ははずされることになっておるんですね。厚生省の例に照らせば、原因は具体的にどういう原因が多いのですか。
#65
○大澤政府委員 厚生省の内部のことでございまして、つまびらかにはいたしませんが、厚生省のみならず、法務省も通じまして、こういう医官関係の希望者がきわめて少ないというところの原因と結局は一致するのではないか、かように考えられるのであります。つまり一般のお医者さんの収入の問題、それと特に矯正関係で申しますと、勤務条件が矯正施設という特殊な環境のもとにある、またその所在地が大都市等の大学のそば等になくして地方のいなかにあるというようなことで生活環境が――特にお医者さん等は中流階級以上の方であります。生活環境がきわめて低いというような点が結局原因ではないか、これが引き続いて勤務をされないというような状況と相通ずる点ではないか、かように推察いたしておるのであります。
#66
○田中(伊)委員 これはどういう募集方法をとる考えですか。その給源を見ると国立の大学もある。公立の大学もある。公立というのは市町村立――村立はないかもわからぬけれども、地方団体立ですね。それから私立もある。それはどういう方法でこれらの官公私の大学を対象にして募集をする考えか。
#67
○大澤政府委員 現在厚生省でとっておりますと同様の方法でございますが、各医科大学あるいは医学部のある大学にお願いいたしまして、一般に公示の方法をとる考えであります。なお現在矯正関係の医官がそれぞれの大学の教師と連絡をとりまして、優秀な方を特にまた部内的にも推薦していただくという方法をとりたいと考えております。
#68
○田中(伊)委員 医学生というものの学資は、一般の学生の学資とだいぶ違いますね。同じ自然科学であっても、他の自然科学の学生とはだいぶ違うようですが、この立案に際してどれくらいの予算が要るものと想定しておりますか。
#69
○大澤政府委員 普通の学部の学生でございますと、生活費等は除きまして、われわれの当初最低と考えましたのは、月謝が現在官立、公立の学校で平均千円でございます。その他自治会費、校友会費等もございますので、これを入れて二千円、図書購入費に二千円、実験等の器具費が一千円、その他消耗品費千円と見まして、約六千円と考えたわけであります。しかし本法の貸与金額は四千五百円という査定を受けたことになりまして、決して十分とは考えておりませんが、現在厚生省関係も四千五百円であります。六千円相当と考えて要求したわけでございますが、まあさような関係もございまして四千五百円の査定を受けましたので、本年度は四千五百円で実施したい、しかし将来におきましては増額を要求したい、かように考えております。
#70
○田中(伊)委員 これはインターンにも出すのですね。インターンには六千円出すようですね。
 そこでもう一つ大事なことを伺っておきたいのですが、途中で逃げられぬ対策というものをもっと真剣に考えてもらいたい。むろん貸した金は返して逃げるのでしょうけれども、何にしたってこういう法律制度をこしらえて、貸費の姿勢をとって、せっかく招いてきて採用した者が途中で転職をするということ、これじゃ法律の目的も制度の目的も達せられぬ。これは一つ真剣に考えてもらいたい。よほど真剣にお考えにならないと、だんだん所得がふえていく状況のもとにおいては、官界外の処遇、待遇というものは、これに比較してますますよくなっていくということが考えられる、逃げる率はふえてくる、こういうことになる。しっかりお考えを願いたい。この職におることに魅力が持てるように、これは何といっても自然科学をおさめた人間を採用するのですから、待遇ばっかり、給与ばっかりじゃないと思う。この職におることに魅力があるということでなければ、長くこの職に精進をしてくれるということがやりにくいのではないか、こう考える。そういう私の考えに関連をして考えたいのは、これらの矯正医官の人々を中心として、十分にその魅力のある研究課題を与えることが一つじゃないか。たとえば、一つの例をあげて申してみますと、刑務所、鑑別所、少年院などというところへ拘禁されておる人の肉体を見る、精神を見るお医者さんですね、これは最近各方面で真剣に取り上げられておる。いわゆる拘禁性の反応という中には、拘禁の及ぼす結果、精神の反応、肉体の反応というものの二つを含んでおるものでしょう。こういう拘禁性反応というものを中心にする研究は、世界的にこれといって見るべき文献がいまだ今日ない。たしか昨年のことですか、アメリカと日本との間にわが国で初めてこの研究会が開かれ、近く学会で発表されることが期待されておる様子です。非常によい課題ではないか、こういう課題を取り上げるということは、拘禁をされておる人は、拘禁を受けた結果、精神にどういう影響を及ぼすか、その肉体にどういう影響が及ぶか、その結果心臓なら心臓というものに対して――学者の研究によると心臓ばかりではない、肝臓にも精神の影響からくるところの重要な変化が起こるものと想定されておる。心臓に関する病的変化の研究はすでに行なわれておりますね。肝臓にも影響がある、こういうことなのだ。この拘禁性の反応というものの結論はどこに大きな影響があるかというと、人間の寿命に大きな影響があるということが最大のねらいです。肉体の拘禁から精神的影響を受ける、その結果は人間の命を縮めるのだという一つの研究なんですね。そういうおそれがある、そういう影響が証明できるという研究が、将来の大きな研究として持ち出されておる一つの例ですよ。そういう研究課題というものを医官に対して与える必要があるのじゃないか。そういう研究もここにおいてはできる。またそういう研究の結果は、国内の学会にも出ていって発表ができる。現在の医官の立場から申しますと、これという研究課題があるというわけでもなければ、それに対する予算が与えられているわけでもない。制度として確立されていないのですね。その結果は、その研究の結果を持って国内の学会においてこれを発表するといってもなかなかできない、そういうポストも与えられない、機会も与えられないということになる。さらにこれを国際的な矯正医学会に対しても持ち出して発表ができる、旅行もできる、出張もできる、こういう職務にある人が魅力を持ってその職に精進のできるようなことを一つ真剣にお考えを願いたい、こういうふうに私は思う。それを考えてそういう制度を作っていけば非常にりっぱな仕事もできることになるし、また自分の地位に対しても非常な魅力が持てる。待遇ばかりではない。特に引き離して他の政府職員より抜群のよい待遇をするなどということのできる筋のものでもありません。給与以外に魅力の持てる研究課題を与える、研究の機会を与える、国の内外に発表もできるというふうに持っていくことが非常に大事なことではなかろうか、どうお考えでしょう。
#71
○大澤政府委員 ただいま田中先生から、矯正関係の医官として、その職務に大きな情熱を持って当たれるように指導するのが適切な方策であるというお話がございました。全く私どもといたしましても同感でございます。結局公務員といたしましても、ただ給与だけで働いているのじゃ、ない、その職務に自己の使命を見出して、情熱を持って当たるということが最も大事なことであろうと考えるのでございます。矯正関係の医官につきましては、すでに部内で矯正医学会というものを結成いたしまして、現在法務省矯正局の医療分類課長の、ここに今おられますが、大津博士が会長になられまして、矯正関係の医官、技官、心理学者等を中心にいたしまして、大体矯正関係の職員が中心となりまして、各大学の精神科あるいはまた心理学等の学者の方に御参加願いまして、毎年矯正医学会を開催いたしております。それに対しまして法務省といたしましては、できるだけ各施設の医官 技官というものの参加に便宜を与える、またその開催にできるだけの助成をやる、それが昨年アメリカの矯正医学会との合同の医学会が開催せられるようになりまして、ますます発展の途をたどっておるわけでございます。しかし遺憾ながらまだ日本の医学会の正式メンバーの分科会になっておりませんので、この点につきましてわれわれも医学会の方にお願いいたしまして、近く正式メンバーにしていただくように側面から援助しておるわけでございます。この医学会の中では、ただいまお話のございました拘禁性反応の発生の原因あるいはその予防、その治療というような面もそれぞれ連絡いたして研究いたしておりますし、その他精神病と犯罪の関係、あらゆる面につきまして、それぞれが各施設において実際にその実例を持っておりますので、その臨床をもとにした研究を進めておるわけでございます。矯正医学会では毎月「矯正医学」という雑誌を出しまして、所内の各職員の研究の便をはかっております。なおまた外国のかような医学会ないしは施設の調査等につきましても、機会あるごとに、毎年一人ずつくらい順番をもらいまして、法務省全般の予算の中から海外に出し、あるいはまた科学振興関係の援助資金等で外国に出ておる者もございます。これらをますます活発にいたしまして、職員がその使命に情熱を持って当たれるように一そうの努力をいたしていきたいと考えておる次第でございます。
#72
○田中(伊)委員 この二百八十八万円の予算の使途の内訳ですが、インターンもあれば学生もあるわけですね。学生は一年生から四年生まである。これはどういう内訳になっておりますか。
#73
○大澤政府委員 大体一年生から四年生までと、インターンで各十名ずつの予定でございます。総計五十名であります。
#74
○田中(伊)委員 それから、矯正医官にも三十七、八名の欠員があるようですね。その欠員はどういう補充計画ですか。
#75
○大澤政府委員 まことに残念なことに、昨年度では百一名の退職者に対しまして八十八名の充員しかできなかった。現在、年度末で三十八名の欠員をかかえておるわけであります。われわれといたしましては、通常六十才ないし六十五才で一般職員は退職しているわけでございますが、医官につきましてはその年令を伸ばして勤務してもらう。そして今のところは各卒業生の医官が大学の教室と連絡をとりまして、できるだけ補充していただくという方法をとっている次第でございます。
#76
○田中(伊)委員 拘禁者を扱っておるお医者さんが三十八名も欠員があるというのですが、管区や施設によっては、医官のいない、無医村みたいなものがあるのじゃないですか。
#77
○大澤政府委員 まことに残念なことでございますが、御指摘のようなところが数カ庁ございます。かかる庁におきましては、その町村の学校なりあるいはまた開業医を嘱託にお願いしてやっていただくという方法をとっております。またそこに集団的に病気が発生いたしました場合には、付近の施設から特に派遣するという方法をとっているわけであります。
#78
○田中(伊)委員 終わりました。
#79
○池田委員長 坪野米男君。
#80
○坪野委員 裁判所の方に簡単にお尋ねいたしたいと思います。裁判官の定員の中で地方裁判所には欠員がないようでございますが、現在の地方裁判所の裁判官の定員でもって、地方裁判所の民事、刑事の第一審裁判を処理するに十分であるというふうにお考えであるかどうか。
#81
○内藤最高裁判所長官代理者 現在の地方裁判所の状況から考えますと、私ども現在の裁判官の数で十分だとは考えておりません。御承知のように第一審の強化という方策を打ち出しまして、その実現のために努力をいたしている次第でございますけれども、私どもが期待いたしますような、十分の裁判官の数を得がたい現状でございます。そのために現在たとえば地方裁判所において合議体と単独体というものがあって、それぞれあるものは合議事件、あるものは単独事件になっておりますけれども、合議事件が必ずしも私どもが期待するような数に上らないということが一つ。もう一つは、御承知のように、特に大都会において現われております裁判官の負担の著しい過重、それによる訴訟の遅延ということでございまして、それらを解消いたしますためには、現在の裁判官の数ではとうていまかない切れないというふうに考えております。
#82
○坪野委員 おそらくそうであろうと思うのでありますが、参考までにお尋ねしたいのは、地方裁判所における第一審の民事事件の裁判官一人当たりの一年を通じての手持ち事件数というものです。これの最高はおそらく東京ではないかと思いますが、最高と平均と最低を一つお示し願いたいと思います。
#83
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま手元にございます資料でお答えいたします。各庁別のはわかりませんけれども、全国のを申し上げますと、昭和三十三年における地方裁判所の新受事件でございますが、裁判官一人当たり民事訴訟が九十四件、刑事訴訟が九十八件というふうになっております。この件数だけではそれほど大した件数にも見えないようでございますけれども、これは全国平均の件数のためにとういう数字になるわけでございますが、たとえばただいまお話のございました東京地方裁判所というようなことになりますと、一人がかかえている未済事件が二百件、三百件というふうなことになるわけでございまして、そういった現象を解消しなければならぬのでございますけれども、現在なおそういう状態でございます。
#84
○坪野委員 その程度の統計資料しかなければそれでけっこうですが、参考資料に出ております四の三十三年、三十四年度における地裁の第一審訴訟事件の合議、単独別処理件数という中に、先ほど御答弁の中にも合議事件が非常に少ないということがございましたが、その中で、特に六大都市の中でも京都、名古屋、横浜、これなぞが全事件に対する合議事件数の比率が非常に低いようであります。特に京都のごときは二・七%、二・四%と非常に低い。全国平均が一〇・七%あるいは一二・三%、こういうようになっておりますが、この全国平均に比して、東京その他の大都市も同様に低いようでありますけれども、特に京都とか名古屋が非常に低いということは、やはり事件数と判事の定員数とのアンバランスが特に京都、名古屋等に多いということが考えられると思うのであります。現在の定員を各地方裁判所に割り振ってあるのが、事件数との関連においてバランスがとれていないという点について、どのようにお考えでしょうか。
#85
○内藤最高裁判所長官代理者 御指摘のように、合議事件、単独事件のパーセンテージが、大都会になりますると、どうしてもやはり合議事件の方が比較的少ないという現象を生じて参るわけでございます。御指摘のございました横浜、京都、これが特に合議事件のパーセンテージが少ないのでございますけれども、これは合議事件が法律上当然合議に付される事件と、裁定合議事件と申しまして、合議体に付することを相当と認める事件というのがございます。結局その裁定の方の運用の問題になるわけでございますけれども、ただいまお話がございましたように、裁判所の事件の負掛が多いと、裁定によります合議事件が減って参るということになるわけでございます。
 裁判官の定員の配置でございますが、それは最高裁判所におきまして、大体二年ごとに事件数だとか、裁判所の地理的条件だとか、その他の負担を勘案いたしまして定員配置をきめているわけでございます。これは統計上の数字その他の資料によって定員配置をいたしているわけでございますが、いろいろな要素がかみ合わされますので、この配置が必ずしも十全とは申せない面があるかと存じます。しかし、これにつきましても年々工夫をいたしまして、その配置の合理的な是正に努めているようなわけでございます。
#86
○坪野委員 そういたしますと、裁判所としてはこの二十八名の定員増では不十分だというお考えのようですが、現在どの程度の定員数があれば裁判官の過重を軽減できると申しますか、大体充足できるというお考えですか。
#87
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま裁判所として困難を感じております大都市――私ともの頭にございますのは大体八カ所になるわけでございますが、大都市の裁判所の、先ほど申し上げました合議体による処理の強調とかあるいは訴訟の促進というようなことを考えて参りますと、百数十名の裁判官の増員は必要であるというように考えております。
#88
○坪野委員 ただいまのは裁判官の数の問題でありますが、それに関連して裁判官の質の問題で私は問題があると思うのでございます。というのは、先ほどの答弁にもありましたように、簡易裁判所の裁判官の欠員が非常に多い。従って、弁護士あるいは司法試験を通って簡裁判事の資格のある行政官あるいは民間人からの採用によって補充する、こういう方針を伺ったわけでありまするが、現在簡易裁判所においては、刑事事件は比較的軽微な、また単純な事案が多いようでありますが、民事裁判の場合は、総額が低いというだけであって、内容的には地裁も簡裁も変わらない非常に重要な法律問題あるいは証拠判断等、非常に重要な事件が係属しているように思うのでありますが、簡裁の裁判官の法律知識あるいは訴訟技術といった点から、裁判官の素質にやや欠ける判事があるというように私たち見ているわけであります。こういう簡裁の判事の質の向上――採用の際に、ただ資格があるというだけでなしに、簡裁の判事の資格という点について十分の考慮が払われているかどうかという点について、ちょっとお伺いしておきたい。
#89
○守田最高裁判所長官代理者 ただいま御質疑になりました件は、おそらく多年訴訟事務に従事した者から採用いたしました簡易裁判所判事であろうと思います。そのほかはみな弁護士の資格を持って弁護士をやっておった人たちでございますし、あるいは司法官試験に合格いたしまして、弁護士はいたしておりませんけれども、相当の基礎知識を備えた人たちでございますので、それほどの非難はないと思います。結局ただいま申し上げましたように、多年司法事務に従事した者、すなわち書記官とか、多年書記官事務に従事しておった者から任用した者だろうと思います。これは御承知のように、昭和二十三年裁判所が発足いたしました当時、簡易裁判所の判事というものができまして、それを充員するために大急ぎで充員したという関係から、厳選はいたしましたが、そういう素質に欠くる者もその中にあったことと思います。その後は、法律科目につきまして厳重な試験を実施いたしまして、面接をし、口述においても、相当突っ込んだ口述試験をいたしまして採用いたしております。これは年間約八名ないし九名程度でございますので、これらの人たちは十分法律知識は持っております。だから問題は、最初の人たちだけでございますが、これは裁判所も、弁護士会の非難なども聞きまして、どういうところに欠陥があるかということもいろいろ調査いたしまして、毎年司法研修所におきまして、順次研修所に入所させて、短期間ではございますが、大体二カ月程度入れましては、その欠陥を補充するために研修を実施して、大体もう二回程度は回っているかと思いますが、そういうふうにしてその欠陥を補充するというふうにいたしております。
#90
○坪野委員 裁判所書記官から簡裁判事になった人たちの中に、確かにそういった法律知識に不十分な方があったようでございますが、それだけではなしに、地方裁判所の判事を定年退職した人あるいは長年弁護士をやった人で、相当手配の方で、特に裁判所の刑事専門でずっと定年退職まで判事をしておって、簡裁で今度民事事件を扱ったという方々で、なるほど判事になった当時は、資格をとって勉強しておられたでしょうが、長年の間に不勉強になって、簡裁の軽微な民事事件に際して非常に不勉強である、また法律を忘れられたのではないかと考えられるような簡裁判事も相当見受けられるわけでありまして、ただ書記官上がりだからということではないと思います。そういう意味で、簡裁の民事事件、特に重要な事件もあるわけでありますから、簡裁判事の採用については、そういう質の問題も十分一つ考慮していただかないと大へんなことになると考えますので、その点一つ要望して、私の質問を終わります。
#91
○池田委員長 両案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめたいと思います。
 次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト