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1960/05/12 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第10号
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1960/05/12 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 法務委員会 第10号

#1
第038回国会 法務委員会 第10号
昭和三十六年五月十二日(金曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 池田 清志君
   理事 田中伊三次君 理事 林   博君
   理事 牧野 寛索君 理事 坪野 米男君
      井村 重雄君    伊藤  幟君
      一萬田尚登君    上村千一郎君
      浦野 幸男君    大竹 作摩君
      唐澤 俊樹君    南條 徳男君
      山村新治郎君    畑   和君
      田中幾三郎君
 出席政府委員
        法務政務次官  古川 丈吉君
        検     事
        (大臣官房司法
        法制調査部長) 津田  實君
 委員外の出席者
        最高裁判所事務
        総局事務次長  内藤 頼博君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局総務局第
        一課長)    長井  澄君
        判     事
        (最高裁判所事
        務総局民事局
        長)      仁分百合人君
        専  門  員 小木 貞一君
    ―――――――――――――
五月十一日
 委員千葉三郎君辞任につき、その補欠として徳
 安實藏君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
 委員小島徹三君、安井誠一郎君及び片山哲君辞
 任につき、その補欠として伊藤幟君、大竹作摩
 君及び田中幾三郎君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 委員伊藤幟君、大竹作摩君及び田中幾三郎君辞
 任につき、その補欠として小島徹三君、安井誠
 一郎君及び片山哲君が議長の指名で委員に選任
 された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一八七号)
     ――――◇―――――
#2
○池田委員長 これより会議を開きます。
 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告がありますから、順次これを許します。畑和君。
#3
○畑委員 本案につきまして昨日説明があり、また林委員からいろいろ質問をされたのでありますけれども、私も林委員と同意見でございます。今までそういった証人等の日当がきわめて低きに失しておった。むしろ今まで一体当局は何をしていたのかと疑わざるを得ないのでございます。そこでこの日当の増額等について、今まで裁判所の方と法務省当局の方でどういうふうな打ち合わせ等をやったか、その間、両者間に意見の食い違い等はなかったか、そういうことを聞きたいのです。
#4
○津田政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、本年度の歳出見積もりを裁判所が作成いたすにあたりまして、証人の日当の最高額を三百円と定めて大蔵省との間に了解を遂げて決定をしたという事実は、法務省としては事前には承知いたしていなかったのでございます。しかしながら、事後におきましてそのことを承知いたしましたので、増額があまり低きに失するではないかということにつきまして、その調整についていろいろ裁判所側と折衡いたしたのでありますけれども、問題は、その最高額を三百円ということに置いて歳出見積もりを裁判所が定めたということに結局難点がありまして、法律面では最高額を定めるわけでありますから、これをあるいは四百円とすることも可能であるわけです。しかしながら最高額を三百円という意味において歳出見積もりを定めたという点に裁判所は拘束を感じるということと、かりに法律面において四百円といたしますと、実際に裁判官が運用する場合に、はたして三百円の見積もりで積算された予算額でもってまかない得るやいなやという点に非常に疑問があるというような裁判所の意見でありまして、結局予算の執行上責任が持てないという判断を裁判所はしているもののごとくであります。従いまして、運用する裁判所等がさような判断に立つ以上、法務省といたしまして最高額を四百円と定める改正案を提出することは著しく困難でありますので、歳出見積もりに定められました最高限をそのままとってこの法案を提出した次第であります。
#5
○畑委員 そうすると、その辺は最高裁判所の方と法務省の方とでもっと事前によく協議をして、そして予算折衝等をすべきであったというふうに今まで承ったわけですが、この点は過去となったことでありますからいたし方ないといたしまして、今後はそういった点についてよく事前に協議をしてやっていただきたいということを要望いたしておきます。ともかく、現在の状況においては大蔵省という難物が控えておる。それに対して最高裁、それから法務省、いずれも比較的腰が弱いようにわれわれは見受けられる。従ってわれわれがこれを鞭撻し、大蔵省に対して法務当局の方がやりづらいところをわれわれがむしろつつくというような関係になる。そういった場合には、われわれもそういった仕事をすることにやぶさかではないのでありますが、元来少し法務当局はいずれも腰が弱過ぎる。今後一つ、やはりこういうふうに人権に関係する問題であるから、こういった問題については相当腹をきめてかかってもらいたい。裁判官も、自分で日当をもらうわけではないから、あまり痛痒を感じないかもしれないけれども、これは人権に大きな関連があるわけです。一日拘束されて、しかもこづき回されて、いつ裁判が始まるかわからぬ、待ちぼうけを食わされて、そうして今まで一日わずか二百三十円、今度三百円になるという、これではお話にならぬと思う。しかも、場合によっては遠いところがら出て参りまして、まあ旅費の方は現在では二等の旅費をもらっているが、日当は今度上がって三百円、それでしかも往復では三日もつぶす、宿泊もするというような実情も間々あるわけです。そういった際にも、その三日間の空費等については、何ら補償されない。こういうことは、その証人というものが裁判における大きな具体的真実をつかむための基礎であることから考えると、ゆるがせにすべからざる問題であると思う。だれも証人に出たがらぬで、いやがる。しかもこういった補償が少なければ少ないでなおいやがるわけでありますから、この点は、きのうの林委員の質問にもあった通り、私も一つ日当に十分意を用いてもらいたいと思います。
 それから、これに関連して質問いたします。裁判所における証人等の日当の問題はこれでよろしゅうございますが、検察あるいは警察の段階における同じような法規はどういうふうになっておりますか。
#6
○津田政府委員 公判前の証人等に対する日当の支給に関する法律でございます。その法律によりまして今回の日当の規定を準用することになろうと思います。当然これに従って上がって参ることになるわけであります。
#7
○畑委員 ところで実績について聞きたいのですが、検察あるいは警察関係についても準用せられて支給されるのでしょうが、実際にそれを実施しているかどうか、ほとんど例を聞いたことがないのです。それについて実績が幾らあるか、裁判所の方の証人の実績は幾らであるか、それを比較してお示しいただきたいと思います。
#8
○津田政府委員 ただいま御指摘の実績の点につきましては、ちょっと今、数字を持ち合わせておりませんが、三十六年度予算におきましては九百五万円計上されておるわけでございます。この今回の増額分がそのうち二百十一万二千円ということになっております。
#9
○畑委員 そうしますと、予算は予算としてそれに見合うように立ててあるわけですね。ところが、実際には、おそらくそういう制度があることも知らさぬし、私たち弁護士で実際を見ておるものでも、そういうあれはないのじゃないかと思っておったくらいなんです。ところがつい二、三日前に実は準用されているんだという話を聞いたわけです。実際にはおそらくそれほどもらっていないと思う。これはせっかく予算にも計上されておるのだしするから、どんどん周知徹底させて、そうして正しく要求して支払うというふうな慣行をつけてもらいたい。これを特に当局に要望いたしておきます。
#10
○津田政府委員 先ほどの御質問に対するお答えのうち、昭和三十六年度までの支出額が出ておりますから、ちょっと御説明申し上げますと、昭和三十三年度におきましては六百二十九万一千六百円を支払っております。それから三十四年度におきましては六百四十八万二千二百三十九円を支払っております。
#11
○畑委員 直接この案に関連はないのですが、実は関連して伺っておきたいと思います。国選弁護人の報酬ですが、これも非常に低いという声が弁護士間には横溢しておるのですが、それについてこれを引き上げる考えがあるかどうか、この際ちょっと承っておきたいと思います。
#12
○内藤最高裁判所長官代理者 国選弁護人の報酬等についてはただいま手元に資料がございませんので、こまかい数字について答弁いたしかねますけれども、これにつきましては弁護士会の方からもいろいろ御要望がございまして、裁判所といたしましても正当な額が出るように努力しておるわけであります。ちょっと手元に資料がございませんので、数字的なことを申し上げられないのは遺憾に存じます。
#13
○池田委員長 坪野米男君。
#14
○坪野委員 簡単にお尋ねしようと思います。証人の日当でございますが、出頭一度につき二百三十円を三百円に増額ということで低きに失するというのは、これは委員の全員の御意見のようでありますが、出頭一度につき三百円の日当というのは、通常東京都内から東京の裁判所に出頭するという場合には一日で済みますが、遠方から旅費を支給されて裁判所へ出頭するという場合は数日を要する場合があるわけですが、そういった場合でも現行の訴訟費用法では、出頭一度につき日当としては二百三十円あるいは三百円しか支給できない、こういう解釈になるかと思うのですが、実際そのように運用されておるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
#15
○内藤最高裁判所長官代理者 そういう際につきましても、やはり出頭一度につきということで一日分の日当を払っております。
#16
○坪野委員 非常に不合理な規定だと思うわけです。九州から東京の裁判所に出頭するのに往復三、四日かかるという場合に、旅費は別として日当が一日分しか支払われない、あるいは一度分しか支払われないというのは非常に不合理だと思うのですが、そういう点についての改正の意見というものは、裁判所あるいは法務省なりにないのでありますか。
#17
○津田政府委員 ただいま御指摘の点、訴訟費用法におきまする出頭一度ということを単位にしておる点は、必ずしも妥当でないというふうに考えております。従って、これを外国の法制にありますように、正当の勤務を離れてから正当の勤務に戻るまでの通常働き得る時間というようなものを標準にして日当を定めることが当然必要であり、またそれが合理的であるというふうに考えられるわけでございますが、さような点も考慮いたしまして、この訴訟費用全般の問題、ことに証人、鑑定人の日当の問題につきましては、ただいま外国の法制等も検討いたしております。できるだけ早い機会に正常な立法に移すような措置を講じたいというふうに考えております。
#18
○坪野委員 ぜひ次の国会までに訴訟費用全般についての不合理を――今、私が指摘したのも一つの大きな不合理な制度だと思いますが、そういった点を改正していただきたいと思うわけであります。
 今の遠方からの証人に日当を数日分支払うといたしましても、予算的にはそう大した額にはならないのじゃないかと思うのですが、予算面の難点ということはお考えになっておるのかどうか、その点お伺いいたします。
#19
○内藤最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のような遠方から証人を呼ぶということは、実際の場合を考えますと非常に希有なことだと存じますので、そのことだけで予算の執行上特に支障があるというふうには考えられないと思います。通常、ただいま御指摘のような場合には、自宅におきます証人調べ、あるいは受命判事による証人調べによりまして、証人を特に遠方からこちらへ呼び出しまして、費用等に支障があるようなことのないよう裁判所としては十分配慮しておりますので、実際問題として現在それほど支障はございませんし、またかりに御指摘のような立法をするといたしましても、予算上さほど差しつかえるとは考えられない。きわめて希有なことだと思っております。
#20
○坪野委員 今の御答弁の通りだと思います。そこでこういう不合理な点は即刻改正していただきたい。特に証人は強制的に出頭の義務を法律上課せられておるわけであります。しかも陳述によって裁判に協力するために、義務的に出頭を命ぜられるものであります。調停委員の日当が今度六百円に増額されたと聞いておりますが、調停委員の場合は、もちろん仕事の性質は違いまして、名誉職的性格を持っておりますが、強制的に出頭を義務づけられておる証人の日当が三百円では非常に低いということは先ほど申した通りであります。それを増額するとともに、そういった不合理を早急に是正するように、次の国会までにぜひ改正の準備を進めていただきたいということを要望して私の質問を終わります。
#21
○池田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○池田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑を全部終わります。
    ―――――――――――――
#23
○池田委員長 本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
#24
○池田委員長 この際、本動議について、提出者からその趣旨の説明を求めます。林博君。
#25
○林委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、三党を代表して提案の趣旨を御説明申し上げます。
 提案趣旨の第一は、訴訟における証人の日当についての今回の改正額はいかにも低きに失するものと思われます。全国日傭労務者の日給平均が三百八十円の現在、相当の社会的地位の人人に裁判に協力してもらう意味からも、三百円の日当ではあまりに安過ぎると言わねばなりません。来年度予算でさらにこれを増額するよう、法務省、裁判所とも十分協議して、改正の提案をされることを期待するものであります。
 次に、執行吏の手数料の問題でありますが、昨日の私の質問でも明らかになったように、執行制度の根本的改正を要すべきはもちろん、また給与としての手数料は昭和三十年以来一度も改正されていないのであって、一般公務員のベース・アップは五回行なわれ、四割も増額となっておるのでありますし、また、裁判所でも認められております通り、明け渡し、引き渡しの執行や、夜間執行等の困難性の増加しておることは、最近の傾向として著しいものがありますので、これらの実情を十分検討して、政府、裁判所側協議の上、すみやかに執行制度の根本的改善、適正な手数料の額に改定するように要望する次第であります。
 すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
#26
○池田委員長 これより討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入りたいと思います。
 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#27
○池田委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決せられました。(拍手)
 次に、附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#28
○池田委員長 起立総員。よって、本動議は全会一致をもって可決せられました。
 お諮りいたします。ただいま可決せられました本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○池田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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