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1960/04/04 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第13号
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1960/04/04 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 文教委員会 第13号

#1
第038回国会 文教委員会 第13号
昭和三十六年四月四日(火曜日)
    午後五時十八分開議
 出席委員
   委員長 濱野 清吾君
   理事 臼井 莊一君 理事 坂田 道太君
   理事 竹下  登君 理事 中村庸一郎君
   理事 米田 吉盛君 理事 小林 信一君
   理事 山崎 始男君 理事 山中 吾郎君
      伊藤 郷一君    上村千一郎君
      大村 清一君    木村 守江君
      草野一郎平君    田川 誠一君
      高橋 英吉君    千葉 三郎君
      灘尾 弘吉君    花村 四郎君
      松永  東君    南  好雄君
      八木 徹雄君    井伊 誠一君
      前田榮之助君    高津 正道君
      三木 喜夫君    村山 喜一君
      鈴木 義男君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
 出席政府委員
        法制局参事官
        (第二部長)  野木 信一君
        文部政務次官  綾瀬 彌三君
        文部事務官
        (大学学術局長) 小林 行雄君
 委員外の出席者
        文部事務次官  緒方 信一君
        文部事務次官
        (大臣官房総務
        課長)     木田  宏君
        専  門  員 石井  勗君
    ―――――――――――――
四月一日
 委員千葉三郎君、原田憲君、南好雄君及び井伊
 誠一君辞任につき、その補欠として菅太郎君、
 藤井勝志君、前田義雄君及び小松幹君が議長の
 指名で委員に選任された。
同日
 委員菅太郎君、藤井勝志君、前田義雄君及び小
 松幹君辞任につき、その補欠として千葉三郎君、
 原田憲君、南好雄君及び井伊誠一君が議長の指
 名で委員に選任された。
同月四日
 委員松山千惠子君及び原田憲君辞任につき、そ
 の補欠として草野一郎平君及び木村守江君が議
 長の指名で委員に選任された。
同日
 委員草野一郎平君及び木村守江君辞任につき、
 その補欠として松山千惠子君及び原田憲君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置
 法案(内閣提出第九六号)
     ――――◇―――――
#2
○濱野委員長 これより会議を開きます。
 国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案を議題とし、審査に入ります。
 質疑の通告がございますので、これを許します。山中吾郎君。
#3
○山中(吾)委員 前の土曜日において科学技術特別委員会、本委員会の合同審査会が行なわれたわけですが、そのときの大臣の御答弁についてなお釈然としないものがありますので、お聞きしたいと思うのですが、この工業教員養成所を三カ年において四年制と同じレベルの教育をするのだ、こういうふうに答弁をされておるわけでありますが、そうしますと、教授陣の構成その他について、四年制の学部と同じような充実した定員構成でなければならぬと思うのでありますけれども、その点事実におきましては逆なので、もし一歩譲歩して考えても、三カ年でありますから、四カ年の大学の教授、助教授、助手の構成の三分の二になるわけです。また一歩譲歩しても考えられるのであるけれども、三カ年の教育であって、教授その他の構成は二カ年の短期大学と同じ定員の二分の一になっておる。従って三カ年の教育で四カ年の目的を果たすために二カ年の教授人員しか構成をされていない、そういう予算を出しておる。この点についてはどうしても釈然としない。このままで工業高等学校の教員を養成をして、しかも四カ年の大学教育で与えるのと同等の免許状を与えるという、矛盾が二重、三重に重なっておるのであります。今後これが出発しても、何か特別の教育方法なりをお考えになっているか、これだけは確認をしておきたいので、大臣及び局長の御答弁をお願いいたしたいと思います。
#4
○荒木国務大臣 今までお答えを申し上げておりました通りでございますのみならず、連合審査会におきましてもお尋ねに対してお答えしたと記憶いたしておりますが、なにほど御指摘の通り四年制の大学の教授陣に比べますと数は劣っておりますが、御案内の通り、四年制の大学ではそれ自体研究をいたすわけでもございますし、あわせて学生の教授をするという二つの使命を持っておることも、申し上げるまでもなく御案内の通りでございます。ことに短期大学に比べてみましても、これは四年制の大学に付置されるわけでございますから、短期大学に比べましてもその設置場所が同じ場所に付置される意味においては、四年制大学からの教授陣の応援等もきわめて密接に行なわれ得る次第だと存ずるのであります。同町に心がまえの問題は、教授陣の数そのものに対してことさららしくは申し上げかねますけれども、付置される大学におきましても、十分養成所の設置の趣旨を理解してもらっておりまして、十二分に意欲をもって協力してもらう。のみならず、入ってきます学生諸君が、本来工業教員にならんと欲して入ってくる人と一応考えられるわけでございますから、以上申し上げたような事柄を総合いたしますならば、三年制度ではありますが、四年制度に匹敵するくらいの成果をあげることは事実問題としては不可能ではない。もちろんこれは臨時の次善の策であることはやむを得ない。その次善の策であるということは初めから予定しておりまして、完全に四年制大学と名実ともに同じだとも言いかねますけれども、以上申し上げたような事柄を十二分に運営面で生かしていきますならば、所期の目的は達成し得るものを考えておる次第でございます。
#5
○小林(行)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げました通りでございまして、確かに三カ年の教育で力をつける、このためには四カ年の大学の先生の数とのバランスを失しておりはせぬか、その点は教授、助教授等については確かにそういう御指摘の点がございますけれども、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、これはそれぞれ独立している教育機関というよりも、むしろ優秀な工業関係の大学に付置されるということが前提になっておりまして、従って、付置大学の方から優秀な先生方の講義その他の応援を期待することができるわけでございます。その点については相当予算的にも手当をしてございますし、なお、四年と違いまして、私どもといたしましては、基礎並びに専門教育の面で、いわゆる四年制の卒業生に負けないような優秀な卒業生を出したいということでございまして、その方面については、大学とあまり変わらないような単位数を必修させることを考えておるわけでございます。もちろんこれはそれぞれ置かれる工業教員養成所の学科数等によって教授、助教授あるいはその他の職員の定数の配分は変わって参りますから、これは全工業教員養成所が一律にそういう定数の配当を受けるわけではございません。それにしても私どもとしては一応この程度で発足させていただいて、将来さらにどうしてもこの数では足らぬような事態ができますならば、そのときに検討して措置を講じたいと思っております。
#6
○山中(吾)委員 今のお話は僕からいいますと、全部逆になってくると考えるわけなんです。三年制で四カ年の必要な単位をできるだけ学習さすんだという局長の答弁であって、定員は二カ年分の定員を計上しておるものですから、教授の授業数が非常にふえるはずです。それでこれを付置する大学の工学部の教授は、現在、一週間何時間、あるいは六時間か、あるいは十時間か、現状をあとでお答え願って、そのほかに付属の養成所に応援に行くために、プラス・エックス時間が入ってくる、そういうことになると思うので、教員養成所の方では三カ年の学習のために必要な教授を、二カ年分だけしか専任の教授、助教授を計上しないで、今度は大学の方からは現在一ぱいの時間をさらにプラスしてアルバイトをやらすということになるわけですから、大学の工学部の科学技術教育そのものもマイナスになるし、その過労の分だけは、十分の研究、準備をしないで教壇に立って、三カ年の充実した授業などできるはずはない。蓄音機なら蓄音機式の教育ができますけれども……。今のお話から、ある大学に付設しておる養成所であるからできるというようなことはうそだと思うのです。四年制と同じ充実した教育をし、優秀な卒業生を出すということは私は考えられないので、現在のままで養成所を運営をして、そうして工業高等学校の工業科の先生として、しかも先ほど言ったように、四年制卒業の免許状をやるわけですから、ほかに何か特用の施策がないとできないのじゃないか。従って率直にお答え願っていいのですが、下がるんだ、下がるけれどもインスタント教師をやむを得ずここ数年作るんだということが本音ならば、その本音をお出しになった方がいい。そして、その卒業生をさらに一定の期間、工業教員が充実した数年後には、また学部に国の責任におって収容して、あと一カ年の再教育をして出すんだというならわかる。そうでなければどうしても私はごまかしの答弁だと思うのです。ほんとうのところをおっしゃったらどうですか。そうしたら私もさっぱりする。
#7
○小林(行)政府委員 工業教員養成所の卒業生につきましては、前からお答え申しておりますように、いわゆる専門の学力について、また教師としての必要な教職のものについてできるだけの力をつけて、いわゆる工学部の四年生の卒業者に劣らないような者を卒業させたいというのが私どもの希望でございます。ただ前から申し上げておりますように、四年制の大学では、御承知のように最低必修単位として百二十四単位というものをやることになっておりますが、私どもこの工業教員養成所では最低九十三単位ということを想定いたしておりますので、その単位数においては四年制と同じということには参らぬと思います。これは年数の関係もございますし、大臣からかねがねお答え申し上げておりますように、次善の策として、しかしできるだけ力のある者を出したいというふうに考えておるわけでございます。従って、これはあくまで現在の工業教員の需要状況から、どうしてもとらざるを得ない臨時、特別の措置として法案を作り、御審議をお願い申し上げておるわけであります。
 なお、最後にお尋ねのございました、この養成所の卒業生が一定の就職期間の後にさらに大学等で勉強したいというような希望の者が出ました際には、それぞれ従来から大学で実力のある者につきましては、いわゆる編入学制度等も行なわれておりますので、そういう形で上級と申しますか、四年制の大学にも行けるような処置を将来考えたいと思います。
#8
○山中(吾)委員 少しすなおにお答え願ってきたようですが、そうしますと、養成所を卒業した者は大学の四年生に編入する道をお考えになっているわけですか。
#9
○小林(行)政府委員 その点につきましては、これはそれぞれの大学の編入試験、あるいは編入選考の結果に待つのでございまして、必ずしも一がいに年数だけで三年だから四年というふうには参らぬと思います。従来も実力等を勘案してその点は措置されておるようでございます。
#10
○山中(吾)委員 先ほどの御答弁は、三カ年であるけれども四年間に相当するくらいの教育をするんだというように何回も大臣も答えられている。そうなればほかの学校と違って当然四年に編入できるという制度を作ってやればいいんじゃないか。そうでなくて、お答えは三カ年であるけれども、教授も少ないし、大学の学部の教授は一週六時間しか持たなくて、研究が十分できて、よい授業ができるけれども、現在の予算の定員からいったら、養成所の教授は十時間ぐらい持たなければならぬと私は思うのです。それで実際は下がるのです。三カ年おるけれども、教授の定員から考えると二年半ぐらいの実力しかつけられない。だから、そこでこの教員養成所というものは、お答えになることと事実とずっと違ってくるのだと私は思う。その点はもしそういうことがほんとうならば、先ほど言ったように、はっきり大臣にも確認をしてもらわなければならぬと思うことは、再教育としてあと一カ年大学に入れて教育する責任というものを必ず持つのだとか――三カ年で大学四年卒業の免状をやって職場に行きますと、これは排斥されることは明らかなんです。それ以前の者は、大学四年を出てようやく免状をもらっておる。そしてこの養成所が廃止になったあとの者は、また四年出なければ免状をもらえない。数年間、養成所を出た者だけが三カ年で免状をもらって、同じような給与をもらっていく。これはその前とあとの関係からサンドイッチのように責められるし、ひがみを感ずるし、そしてその後ずっと引き続いて工業高等学校の職員室を永久に暗くするということは明らかなんです。その次のことをお考えにならないで、この便宜主義の養成所をお出しになっているから、私はどうしても賛成できないわけなんです。養成所の現在の定員で一週どのくらいの時間を持つ予定なのか、学部の教授とその辺はどのくらい担当時間数が違うか、それと、今後今の矛盾を解決するという方針をはっきりと文部大臣が見通しを持ってお答え願わないと、この法案はつぶした方がいいのですよ。確実に私はそう思うのです。それを一ついま一度お答えを願います。
#11
○荒木国務大臣 先刻来申し上げておりますように、今も政府委員が申し上げましたように、もとより形式を整えて出発しようとするならば、四年制度もしくは四年が五年でもあってほしいと考えないわけではございません。ですけれども、一方において高等学校の生徒急増対策は差し迫っておりますし同時に経済的な目標として所得倍増を掲げておりますが、それとあわせ考えました場合に、何としても工業教員というものを充足しなければ、一番迷惑をこうむるのは、急増します生徒たちだと思うのであります。しかし一方におきまして、大学卒業生は続々とスカウトされるという実情にある。そのよしあしは批判の余地はあるにいたしましても、その現実の前に立ってどうするかということから考えまして、もとよりこの問題のスタートが次善の策であることは、再々申し上げておる通りでございますが、さりとて次善の策だから三年の従来の教育内容でよろしいということであってはなるまい。何としても三年間に四年制の大学と実力においてまさるとも劣らざるところをねらうべきだろうということが、再々申し上げておるといろいろな配慮となって現われておるわけでございまして、繰り返し申し上げますが、入ってきた人の一種の使命観、さらにはこれを付置された大学の学長以下教授陣が専属の教授陣と一体となって、その国家目的に協力してもらうという熱意、それが合わさりますならば、必ずや教育内容、課程の内容と相待ちまして、四年制にまさるとも劣らざるものが出し得る、そういう考え方のもとに御提案を申し上げておるような次第でございます。
 将来この三年を卒業した人が先生になって、その後四年制の大学にいきたいというときにどうするか、そういう希望を全然封鎖してしまうかどうかという形式上の問題はあろうかと思いますが、それは今後の問題でございまして、さしよりは何といっても実力のある工業教員が出てもらわないことにはどうにもならないという現実に直面いたしまして、次善の策ではありますが、ぜひともこの制度でいきたい、こういう考えでございます。
#12
○山中(吾)委員 急速に教員の充実が必要だということは私も痛切に感じておるのです。だから四年待てないで三年にするということまでは、あるいはほかの条件が充実すれば私も理解できないわけじゃない。たとえば四年で教育すべきものを三年にした、従って四カ年に相当する教授陣を充実していくというならば大臣の御答弁と一致する。この養成所の予算は、三カ年の修業年限を持っておる養成所であるのに、二カ年の教授陣しか配置してないのです、せめて三カ年というならいい。早く教育するという看板はあるけれども、実際はそうでなくて、安上がりにするということがこの目的になっている。目的と手段がすりかえられているということが予算を見ると明らかである。二カ年の大学の教授陣しかないわけです。すなわち四カ年の大学の一学科は教授四、助教授四、助手四なんです。短期大学は二カ年だから教授二、助教授二、助手二でしょう。そのままを三カ年の教員養成所の定員にしておるじゃないですか。だから短くして充実するという御答弁はどうしても事実に合わない。それを御承知でお答え願っているわけですか。
#13
○荒木国務大臣 教授陣の数等の形式的な点だけを御指摘になれば、山中さんのおっしゃるようなことが理屈としてあり得ると思います。けれども、さてしからば四年制の別個のものを作るかとならば、そこに一年の急増対策に応じ得ないギャップが出てくる。同時にかりにそれを考えるとしましても、その教授陣それ自体具体的にさっそく間に合う人が、事実上手に入るかという現実問題とも直面して参るわけでございます。そこで、あくまでも次善の策であることを再々申し上げますが、既設の大学に、しかもそういう臨時養成所の必要性を十二分に理解してもらって協力してもらう意欲を持ったところに付置することによって、教授陣の形式上の欠陥は十分補い得る、こういうめどをつけまして、この案を御提案申し上げておる次第でございます。
#14
○山中(吾)委員 どうもくどくど同じところを回って私自身もあまり楽しくないのですが、大学の付設の二カ年の短期大学の場合は二・二・二でやっておるわけです。特に必要な教員養成ということでなしに、普通の短大の場合は二・二・二の教授陣なんです。ところが特に工業教育のために実力を持たせなければならない、そして免許制度は四年の修業をしなければならないという意味において作った三カ年の養成所のときに、その同じ学校に付置しておる短期大学は教授二、助教授二、助手二、三カ年の教員養成所が同じ二・二・二ということなんですから、大臣のおっしゃることとは合わなくなるのです。やはりそこに持っていくという責任を持ってお答えになるならばまたわかるのですが、今の御答弁はその場限りの言いのがれということしかないと私は思うのです。これは局長でもけっこうです。
#15
○小林(行)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、それぞれの優秀な工業大学あるいは工学部のある大学に、この工業教員養成所は付設されるものでございまして、従ってその方面からの応援も期待できるわけでございます。四年制の大学は、お尋ねのございますように、確かに一学科目ということを想定いたしまして教授陣容を組んでいるわけでございますが、この工業教員養成所は少なくとも短大以上には教官定数を見ているわけでございまして、先ほど申しましたように、講師その他の経費も短大等とは比較にならないくらいよけい見ているわけでございます。そういう意味で教官の応援も得られるというふうに考えております。
 なお先ほどちょっとお尋ねがございましたが、大体四年制の大学の工学部の先生は、週六時間ないし八時間の授業時間、この工業教員養成所では大体一週十時間というふうに計算をいたしておりますが、御承知のように四年制の大学では教育のほかに研究もある。この工業教員養成所の先生は、もちろん学修に伴うような研究はございますかもしれませんけれども、一般的な学術研究ということは考えておりませんので、その程度の差異はやむを得ないと思っております。
#16
○山中(吾)委員 工業教員養成所の教授の研究は要らないということで、大学の一般の場合は研究が要るということもそれはうそだと思うのです。教育学、心理学の担当ではなくて、同じ機械科、あるいは電気科という大学の学部の教授は研究が要る。そして教員養成所の電気、機械工業関係の教授は、そういうものは要らないなんていうことはおかしいのであって、一方は十時間持っても大丈夫だというのは詭弁だ。要するにそういう矛盾があってこの教員養成所が生まれておるので、これはやはり大学教育という専門教育からいけば私生児ですよ。あらゆる点で日陰ものになる。少なくともこのままで臨時教員養成所というものを落ちつかしてはならない。この点についてどうせ直そうという気がないのだから、何べん言ってもしようがないのですが、論議の過程でこういう明らかな欠点が出れば、まだ完成するのには三カ年あるのだから、少なくとも来年度において検討するくらいのことは言わなければ、日本の学校制度そのものに非常なマイナスだけを置くものだと思うので、その点については完成するのに政府原案でも三カ年あるわけですし、私は四カ年を主張しておるのですが、その過程においてその欠陥を、ことし一年もし無理押しして実施されるならば、一カ年のうちに再検討するということだけは、率直に国会に最低の責任は表明されるべきではないか。大臣からこの点についてお答え願いたいと思います。
#17
○荒木国務大臣 この養成所は先刻来申し上げるように、四年制にまさるとも劣らざるものを養成し得る、こう思って御審議願っておりますが、この案にかかわらず、一般に一度制度ができたら一切再検討を許さないものとは思いません。実施の過程において検討を要するものありせば、むろん年々歳々充実する努力が続けられるのは、これに限らず一般的に当然のことと心得ております。
#18
○山中(吾)委員 抽象的なお答えなんで、少しも内容がないように思うのですが、これはそれ以上お答えにならないようでありますから、私は期待はいたしません。
 先ほど大臣は、大学の学部がこの養成所に協力をする態勢のもとにあるということを明確に答弁されております。そうしますとこれを、設定するについて、十分大学の学部、教授会その他の協力を得るような民主的な手続をとり協力態勢をとったかどうか。この点はいかがですか。
#19
○小林(行)政府委員 三十六年度のこの工業教員養成所の予算につきましては、昨年秋の予算編成当時から、私どもそれぞれお願いすべき大学の関係者にお集まり願いまして、全体の構想をお示ししていろいろ御検討を願っております。その後大蔵省の予算が示されました後にもお集まりを願って、いろいろ御意見も承っております。また教育課程等の編成等につきましても御連絡を申し上げて、御意見を承っておる次第であります。
#20
○山中(吾)委員 私の聞くところによりますと、東京工業大学の教授会は、これでは学部にもしわ寄せをして、科学技術教育について非常に影響があるし、養成所自体も非常に貧弱なものになるのでわれわれは賛成していない、これは反対だということを言っておるわけです。東京の工業大学は日本の科学技術教育の最高の学府だという一つのプライドを持っている。従ってここから出すところの工業科の教師については、権威のある教師を出したい、ところがこの養成所の今の仕組みでは、そういう優秀な教員を出す自信がない、日本の科学技術教育のためにも賛成できないということを言って、教育するような態勢ができていないと思うのです。例の一つとして東京工業大学の協力態勢について自信があるかどうか、お聞きしたいのです。
#21
○小林(行)政府委員 先ほどお答え申し上げました連絡会等におきましても、いろいろ御意見はございました。しかし私どもこの工業教員養成所の構想にこれでは協力できないという御意見は現在まで承っておりません。当然この予算が通り、法案ができれば、東京工業大学からも御協力いただけるものというふうに考えております。
#22
○山中(吾)委員 何か文部省から学長に意見を聞かれたことがあるそうですね。そして工業大学の学長が私信で文部省に答えられておる内容は、事実かどうかお聞きしたいのですが、修業年限は四年として一般教養を課する。教育内容は大学と同様のレベルにする。学資は少なくとも八千円は必要である。教官は最低教授三、助教授三、助手三とするというふうな責任のある立場から、文部省に対して回答をしておると開いておるのですが事実ですか。それに対してあなたの方の原案というのはほとんどその希望が入っていないのですから、了解を十分して――文部大臣が教育するのじゃないのです。大学の先生が教育するのですから、その先生に納得する態勢がなければこんな教育というのは能率の上がるものじゃないのです。今までの経過の中に十分その態勢を作られておるかどうか。私の聞くところによると、そういうものは作られていないと見ておるのですがいかがですか。
#23
○小林(行)政府委員 私の御接触申し上げておる範囲内におきましては、私信回答というようなことは私全然存じませんが、たしか一月の中旬でございましたかの連絡会で、これは単に学長だけではございませんで、学長以外にも数名の教授の方が御列席いただきました各大学全体の会議でございましたが、たとえば今ございましたような修業年限四年というような御希望はあったように記憶いたしております。それに対しまして私どもは、その趣旨から申して修業年限四年という構想はとてもお受けできないということをお話しいたしまして、私どもといたしましては御理解願ったと思っております。
#24
○山中(吾)委員 教授の定員はどうですか。
#25
○小林(行)政府委員 たしか一月中旬でございましたので、今回はとにかくこれでスタートする。もし実施の暁、将来どうしてもこれでは工業教員養成ができぬというようなことに立ち至れば、そのときはさらに増員というようなことについても検討せねばならぬだろうというように申し上げたように思っております。
#26
○山中(吾)委員 そうすると、来年でも教授の定員が必要なら予算化して充実するということは、方針として述べられており、努力するというお考えをお持ちなのですか。
#27
○小林(行)政府委員 とにかくこの工業教員養成所がスタートいたしまして実際に授業を始められた結果に基づいて、これは東京工業大学だけではございませんので、さらにそれぞれ示唆された大学の御意見あるいは希望等も聞いて、実際そういう状況であるということになれば、教官の組織等についても検討せなければならぬと思っております。
#28
○山中(吾)委員 その点ははっきり記憶にとどめておかなければならぬと思うのです。それから、一つの大学の構内に養成所を設置するというのは、戦争前にたくさんあったわけですね。臨時教員養成所ばかりでなしに、地方の工業専門学校とかああいうところにもあったはずでありますし、現在もある程度の付設の養成所があるわけですが、その養成所のあらゆるものは、学内においてやはり一段低いものとして見られてきておることは明らかな事実です。その中に養成所の私生児というものはいつも肩身狭く住んできております。そういう雰囲気の中に伸び伸びとした教師は生まれてこない。国会議員は人ごとのようなことを言っておるが、何もこの人らはそこに入所しないから、無責任千万な冷酷なことを言っておる。教師になる学生というのは、教壇に立ったら教師かもしれないけれども、みんな学生なんです。そしてそう中から何か一つのひがみを持ったり神経質的なものを持って出ていくんですよ。だからこういう大学の構内に軽く見られる養成所というものを、少なくとも教員養成の機関に置いてはならないのだ。非常な心理的あるいは人間的なひがみを作っていくということは、戦前の長い体験の中でもう切々白々たる事実なんです。そこで養成所というふうな名前自体、大学のコースと全然別にしたコースというものは、私は学生の心理からいってもとれないと思うのですが、そういうことは一体検討されておりますか。従って養成所というものをできるだけ早く大学の学部に戻す、そういう方針を前提としてこの養成所を設置されておるかどうか。その辺、今までこの原案を作られる過程においての文部当局の考え方だけは、間違いのない見通しというものをお持ち願わなければならぬので、お聞きしておきたいと思う。
#29
○荒木国務大臣 お尋ねのような、これを大学にするんだという考えはございません。また何かしらんひがみを持つんだという前提でのお話でございますが、本来養成所という看板を掲げて門戸を開いて応募してくる学生諸君は、そういう妙なひがみを持っておるような人は来ないとも思いますのみならず、かりにそういう懸念があるといたしましても、養成所の教育を通じて十二分にそのことは不可能でないと思います。
#30
○山中(吾)委員 大臣は勝手に、自分の主観をずいぶん底抜けの楽天主義で言われるのですが、それは僕はとんでもない間違いだと思うのです。そういうことで今の教員養成計画をお立てになれば、私は大へんだと思うのです。同じようなことをいつもおっしゃっておりますけれども、もっと責任を持ってこういう学校制度をお立て願わなければならぬと思うのですが、そういう考えは毛頭修正されるお考えがないのでこれは話しても並行線にある。しかしこれは結果に現われますよ。私は断言しておきます。
 そこで、今度の教員計画を最後にお聞きしておきたいのですけれども、毎年八百何名先生をお出しになるということなんですが、現在教壇に立っておる人が死亡したり転職したりして相当損耗があるわけです。その損耗率を計算して今度の工業教員養成計画をお立てになっておるかどうか、それをお聞きしておきたいと思います。
#31
○小林(行)政府委員 現在これは、御承知かとも思いまするが、高等学校における工業教員の数は大体六千五百人程度おるわけでございます。これがやはり普通のいわゆる病気、退職その他死亡の関係で退職されることがあるわけでございまして、その減耗というものもあるわけでございます。私ども大体年間八百八十養成する、十年で八千八百人程度の数を予定いたしておりますが、これは高校の急増対策に関係するものでございまして、それ以外に先ほどのいわゆる正常の場合の減耗というものが出てくるわけでございます。この正常の場合の減耗につきましては、ただいまのところ、たとえば免許法の特例を御審議をお願いいたしておりまするが、そういうもの、あるいは民間からの――これは実際あるわけでございますが、民間企業に働いておる者の転換、あるいは中学校等における免許状は持っていながらその教科を担当していない者の転換、あるいは大学からの非常勤職員の応援というようなことで補充したいと考えておるわけでございます。
#32
○山中(吾)委員 その今の話はわかりました。
 その次に免許状の関係ですけれども、例えば十年の期限をつけた免許状ということは、これはきっとやれないだろうと思う。三カ年なんだから、それがほんとうなんだけれども――それで先ほどなにしました一定の期間、五年なり六年教壇に立ったあと教員養成所の卒業生は必ず再教育をして、そして現在の免許状をつぶさないように四年コースに乗せて、あとで補修するというのですか。そういうことについては具体的に、この法案を提案するときに持っていなければならぬと私は考えるのですが、今までこの法案を作るときにその点何の論議もなかったように思うのです。十年計画で一定の教壇に必要な教員が充足したときに、養成所を出た者をだんだんと引き上げていくということを、もちろん予算措置も含んでやらなければ私はいかぬと思うのですが、なにか他に着想があるのかどうか知りませんが、最後にそれだけいま一度局長から話を聞いて、それから大臣のその点についての――これはその時分もちろん荒木文部大臣でないでしょうが、申し送りだけは確実にする意味でも、方針だけは国会の中で明言しておいていただきたいと思います。
#33
○小林(行)政府委員 この養成所の卒業者が就職後ある年限を経た後に大学に入って再教育を受ける、そういうことにつきましてでございますが、本来はこれは工業教員となって実際に教壇で授業をするということが建前でございますので、いわゆる再教育する意味で全部が全部四年制大学に入って勉強するということは考えていないわけでございます。しかし中に篤志家であって、ぜひ大学へ入って高い教育を受けたいという希望者に対しては、その希望の道を閉ざさない方がいいだろうということでありますから、大学の編入学等について将来措置を考えたいと申し上げているわけでございます。これももちろん大学との関係もございますし、一面また工業教員の需給関係というものも関係してくるものと思いますが、卒業者全員に対して再教育の意味で大学に入れるということについては、現在のところまだそこまでは考えておりません。
#34
○山中(吾)委員 私は免許制を乱すから言っているわけですよ。今応急に教員が必要だから、三カ年で四カ年の大学コースを経た者にのみ与えらるべき免許状をやるというわけですから……。これを全部四カ年のコースの上に乗せて、そうしてその免許状の足らざるものを補わなければ、免許制度を破壊することになるのですから、今のような精神は私は全然受け取れないと思うのですがね。勉強したい者ならば便宜をはかってもいいかという問題じゃなくて、先ほど言ったように、四年の大学コースを経た者にしか与えられない免許状を、とりあえず三カ年の養成所の卒業生にやっておるのだから、教員の充足したあとは一年をさらにプラスして、その免許状の資格の足らざるものを補うということを、義務的に政府が考えなければいかぬのじゃないですか。その意味でお聞きしているのですが。
#35
○荒木国務大臣 この養成所は工業教員の養成所と銘を打ってスタートするわけでございまして、免許状に関してはこれで完成教育をしようという建前でございます。ただし今後、今大学局長が申し上げましたように、免許状はもらったが本人がさらに工業教員として就職しました後いずれかの時期に、大学に入ってもっともっと勉強したいということがあった場合に、その進学の道を閉ざすということはどうであろうか、だからその道を通じさせておくということが適切じゃないかという課題として、今後の問題としては検討を要するかとも思います。ただいまとしましては、免許状につきましては、特に工業教員養成専門の実質上の学校でございますから、先刻来申し上げておるように、実質上は四年制の大学卒業生にまさるとも劣らないものを目ざすということによって、免許状の問題は御理解いただきたい、こういう建前でございます。
#36
○山中(吾)委員 そうすると、大臣は将来工業科の免許制は三年制にするという基本的な考えがあるわけですか。今お話しのように、四年のコースに入れて免許制を乱さないように直すという思想でなくて、教員養成所のコース三カ年を前提としてこの免許状を与えるということならば、この工業科の教員に限ってですか。あるいはほかの場合は知らないが、三年で免許状を与えるように日本の免許制度そのものをこれに右へならえさしていく方針なのですか。そういうことでないとお答えが合わないと思うのです。
#37
○荒木国務大臣 これは工業教員に限ってでございます。さらにお説のように、大学に再編入か入学かいたしまして、もう一段上の免状をとる便宜にも、そういう道をあけておく、あるいは免状と関係なしにでも、大学を卒業して学士の称号を得たい、さらに博士課程にも進みたいという人もないとは言えないわけでございますから、その道を閉ざしっぱなしでいいかどうかという問題については、今後検討を加えて、結論的には今すぐ申し上げかねますけれども、そういう道を通じさせることを考慮すべきではなかろうかと思います。
#38
○山中(吾)委員 工業教員に限って三カ年で免許状をやるということは、ほかの文科とかその他のものは、むしろそんなに教養がなくともいいとは言わないけれども、工業関係の教員はさらに知識が必要だといわれているのですから、さらに逆になると思うのです。それでこの免許状は生涯の免許状ですから、これを補充して、この養成所の者を再教育するということをやらぬ限りについては、工業科教員は他の免許状をもらう文科の人よりも低い知識でいいのだ、三カ年でやるのだという思想になってしまうと思うのです。そういうふうにならないですかね。ですから、免許法の一部改正が逆に出ておるのですが、免許制度からいって、ここの三カ年の関係というものが、非常に重要な、基本的な問題を乱すということが入ってきているのです。そこを乱さないように、やはり文部大臣としては対策をお考えになっていかなければ、私はいけないのじゃないと思うのです。
#39
○荒木国務大臣 山中さんのおっしゃる懸念を念頭に置きながら、生徒急増対策としてやむを得ざる次善の策として、臨時かような制度を通じて、工業の免状を持ち得る教員というのどの者を、実力ある者を、三カ年に養成したい、こういうことでございまして、必ずやここに入ってきます学士は、四年制その他の大学に比べまして、相当苦労させられることと思います。苦労があるということを承知の前で入ってもらって、三年を四年に活用するくらいの気がまえで勉強してもらう、その結果実力は四年制にまさるとも劣らざるところを目ざしたい。だからそういう前提において、免状は二級の免許状を予定しておったと思いますが、その免状は永久的な免状として与えるに値する人が養成されるであろう、しかしながらまたさらに上級免状をとろうというならば、大学に入ってもっともっと勉強して、一級免状をとるという道はあけておく必要があろうかと思いますが、これは今後の課題に研究させていただきたいと思っておる次第であります。
#40
○山中(吾)委員 さらに大学を出て、その上の免状をとれるとおっしゃるけれども、この養成所を卒業しても、大学を出た免状を与えるのですよ、それで困るのじゃないですか。この養成所を卒業すれば、大学を出なくても免状を与えるということなんです。それでくどいようですけれども、これをこのまま捨てておけば、三カ年で免許状を与えるということを公認したことになる。私は、必ずそうなると思うのです。だから、免許法の上からこのきずを直すという文教政策が出てこなければ、これはくずれることは明らかだと思うのです。今大臣がここに入った者は相当苦労をするし、ほかの大学では五時間ずつ授業をするのを、八時間ずつやらす、たたき込みをやるのだということを幾らおっしゃっても、今私が申し上げておるのとは無関係だと思うのですよ。工業教員を臨時に充足するために、この免許状を与えるのであるから、充足したあと、このきずは免許法制度の立場から治癒する政策を考えておるというのでないと、大臣の御答弁は、これをきっかけに日本の現在の免許制度を一段階下げるのだということにしかならないと思う。
#41
○荒木国務大臣 これは現在の免許制度が、高等学校の先生は大学出ということを本則としておる。それと形式的にぶつかるのじゃないかという意味においておっしゃっておると思います。それはまあそうでございますが、臨時に当分の間ぶつかる。しかしそのぶつかることはあくまでも臨時のことである。しかしその免許状を与えるに値するやいなやという角度から見た場合のこの養成所の卒業生の実力は、先刻来申し上げるように、三年、四年という年数だけでは割り切れざる、実質的な補充をすることによって、実質上の免許状授与資格を与えるという制度でございますから、それは国会の御審議を通じて、新たに臨時免許状の制度を作っていただく、こういうことでございまして、形式は別として、実質上は、私は免許状の制度を乱るものではない、かように考えるわけであります。(「了解」と呼ぶ者あり)
#42
○山中(吾)委員 了解いたしません。幾ら大臣でも、ずいぶん主観的な、事実を無視した……。(「並行論だよ」「認識の相違だ」と呼ぶ者あり)認識の相違でなくて、これは大臣はずるいですよ。(「山中君もずるい」と呼ぶ者あり)僕は、そうではなくて、当分の間というが、期限つきの免許状じゃないのですから、それで教員養成所に入った者は、大学の四年と同じ教育をするということを盛んに言われておりますが、それならば教授陣をもっと充実すればよい。これは大学として認めないで、学士号も与えないようになっておるのですから、学校教育法の第一条にもよらない、各種学校でもない、学校ならざる学校だという答弁をしておるのですから、どうも客観的な事実というものを無視しておっしゃっておるので、その点は日本の全体の総合的な文教政策を進める文部大臣としては、学校制度、免許制度、すべて総合的に有機的に作っておるものに対して、不誠実だと思うのですよ。私は、そういう意味においては承服はできません。しかし幾ら言っても、大臣は改める気がないのだから、これはしようがないのですが、しかし文部大臣というのは、日本の未来に責任を持つ大きい職務であると私は思う。あとにいろいろの禍根を残して、そうして跡始末をする人が大へんなことになるようなことは残してもらいたくない、そういうふうに思うので申し上げておるわけであります。
 今までの私の質問については、十分に納得するお答えはほとんどいただいておりません。従いまして基本的にも私は政府委員及び大臣の答弁には不満足であり、納得はしないのでありますけれども、この教員養成所についての基本的な構想を私が質問をして、そうしてこれは欠点がある、直すべきだというお考えになっていただかない限りについては、百日質疑をしておっても何の進歩もないのであって、(笑声)その意味においては、私はこれ以上の質問を申し上げるだけの熱情をなくしたのでありますので、質問は、私はこれで打ち切ります。しかしこれは笑いごとでなくて、あとで必ず日本の教育水準が後退するという悲しい結果が生まれるということを申し上げて、文部当局は今後いろいろな法案を出すについても、思いつきで出すことを私は厳に戒めていただきたい、やはり総合的な有機的関連性の上に立って出していただかなければならぬということを、特に御注意を申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。
#43
○濱野委員長 村山喜一君。
#44
○村山委員 大学局長にお尋ねをいたしますが、ことしの一月に内翰として、設置される各大学に文部省の意向というものをお示しになったと聞いておりますが、その点どうですか。
#45
○小林(行)政府委員 先ほども山中委員の御質疑にお答え申し上げましたが、これは昨年の秋から実は御相談を申し上げておったのでありまして、私どものいわば内部的な通知、内翰はすでに昨年の秋でございました。村山委員のお尋ねの意味はよくはわかりませんが、本年一月に私ども出しましたのは内翰ではございませんで、正式の通知であったと思います。
#46
○村山委員 そういたしますと、その通知と、その前に内翰で示されたものとは一致しているだろうと思うんですが、その中で施設について、建物は一大学について千五百坪、三学科の設備費が四千五百万円だ、事務機構は新制大学の四分の三、こういうことはお示しになっているわけですか。
#47
○小林(行)政府委員 当時予算的に私どもが一番最初に、昨年の秋に考えましたものは、現在のものよりも多少よい案であるかと私は思います。ただいま施設の坪数などのお尋ねがございましたが、その点は実ははっきり覚えておりませんが、教官等についても現存よりもよい制度であったと思いますし、また先日来お話のございました、できればこういったものに給費を出したいというようなものもあったと思います。
#48
○村山委員 それに対しまして、今回予算で認められたのは、施設費が五千五百坪で四億三千五百万円、これは大体初年度として五百坪あるいは五百五十坪、完成年度は千五百坪を目ざしているのだという答弁が局長の方からあったわけですが、これは要求が、東京工大の場合でも千七百坪というような施設の坪数でございますから、施設については、これから計画が順調にいけばあまり問題はないと思う。ただそのときに要求をされました設備費――これは少なくとも学生に対する教育の影響度等を考えた場合に、一億五千万円必要である、こういう要求が出されたと思うんですが、今回予算で計上されておりますのは、二十二学科分としてわずかに六千三百万円にすぎないわけです。そういたしますと、これは一学科三百万円足らずということになりまして、三カ年間で完成いたすにしても、現在の予算の規模をもってしては、文部省の方で当初考えておりました四千五百万円に対しまして、九百万円足らずという設備費に相なってくると思うんです。今工業高校の、文部省の基準で示すところから、三学科の六課程の場合を想定いたしますと、設備費で一億二千百九十一万円、施設費で一億二百八十八万円、合わせて二億二千四百万円くらいの金が必要であるようであります。そういうような点から考えて参りますと、その設備費について現在の予算のような格好でやっていた場合に、はたして大臣が言っておられるように、実力は四年制に劣らない者の養成ができるかということになって参りますと、貧弱な設備費では、とうていそういうような教員の養成はできないというふうに断定せざるを得ないと思うのですが、これに対する今後のかまえ方といいますか、今後の決意、構想というようなものがあれば、この際明らかにしていただきたいと思います。
#49
○小林(行)政府委員 設備費につきましては、お尋ねにございましたように、当初一校分千五百万円というようなことで要求もいたしたのでありますが、現在の査定を受けました数字はこれよりはるかに低くなっておりますけれども、従来国立大学におきまして学科の増あるいは学生定員の増をいたします場合に比べますと、予算的には比較的よくこれは認められた部類に属するものでありまして、もちろん理想的な数字ではありませんけれども、一応これで私どもスタートできるものというふうに思っているわけでございます。
 なおこれは単に教員養成所の設備だけではございませんで、国立学校全般にわたりまして、いるゆる老朽設備の更新、あるいは新しい設備を補充するという問題がありますので、この工業教員養成所の設備も含めて、設備全般について文部省として努力をいたして参りたいと思っております。
#50
○村山委員 やはり養成所の性格というものと大学の性格、この九つの大学には大学院が設置されているところも多いわけでありますが、そういうようなところの大学の性格というような点から考えまして、教育上どうしても養成施設というのは別個な形において行なわなければならぬ、こういうようなことが、大学の教育に当たる人たちの要請としては出てきて、一億五千万円程度のものはほしいのだというような要求がなされたと思う。それに対して、文部省自体としても、四千五百万円は中に一緒につけるにしても必要だというようなことで要求された。ところが初年度分としては、一学科についてわずかに三百万円しか認められない。こういうような程度で、大臣は、はたしてこれが四カ年の制度に劣らない、そうしてりっぱな教育者として養成ができるというような自信をお持ちになっていらっしゃるのですか。
#51
○荒木国務大臣 ともかく一応それでスタートいたしまして、年々さらに充実していく努力は、当然もう必要であろうと思います。各大学におきましても、金額的にはある程度の不満があることは承知しておりますが、その点は大学に付置されているという有利さによって相当補いつつスタートを切り、さらに第二年度以降の充実によって、初め申しましたような成果を上げたいと思っておるのであります。
#52
○村山委員 初年度のすべり出しが付置するということであっても、やはり四千五百万円という、初め文部省自体が要求されたものが五分の一程度しか認められていないというところに、この問題の非常な問題点がある。今後において大臣が努力をされるのは当然のことであるといたしましても、やはりこういうような施設、設備において教育を受けた者が、りっぱな教育者として、しかも四カ年間かかって出なければならない大学の卒業生と肩を並べて出られるということは、この点から見ても非常に問題があると思うのであります。
 第二点は、小林局長にお尋ねをいたしますが、新制大学においては、御承知のように、大学設置基準によって百二十四単位の修得が必要であるということがいわれております。それに、教職員になるためには、その百二十四単位のほかに教職教育が十四単位新たに加わるわけでございますが、この前の委員会で、局長が答弁をされたことの中に、基礎教育が十七単位、専門教育は六十単位、選択が九単位、教職教育は七単位、こういうふうに答弁をされたかと思うのです。それを新制大学と教員養成所の九十三単位、これとの比較において、一般教育が、新制大学が何単位に対してその基礎教育というものは、これは一般教育の中の何単位になるのか、それとも専門教育の中の何単位になるのか。そして専門教育は大学と教員養成所と比較してどういうような数字になるのか。また当然とらなければならないとされている外国語なりあるいは体育保健という単位はどういうふうに修得するようになっているのか、この点について明らかにされたいのであります。
#53
○小林(行)政府委員 一般の大学におきまして、教職科目はこの百二十四単位の中に入っております。なお先般の連合審査会のときにお答え申し上げました数字でございますが、最低単位数は九十三ということで、基礎の教育科目十七、それから教職教育科目七、専門教育科目六十、残り九単位が選択というふうに申し上げたと思いますが、その中で教職教育科目として考えておりますのは、これはまだこれでやるということじゃございませんで、現在までいろいろ大学の御関係の方にお集まりいただきまして御相談した教育課程の案でございますけれども、大体そういう線に沿ってやっていきたいということを考えておりますが、教職教育の科目としては、教育原理あるいは教育心理、工業科教育法というようなものを考えております。それから基礎教育の科目といたしましては物理、化学、図学、数学、解析、英語、ドイツ語というようなものを考えておりまして、これが十七単位というふうに考えております。なお最後にお尋ねのございました保健あるいは体育といったようなものは、いわゆる選択科目としてやっていただくことが妥当であろうというふうに考えております。
#54
○村山委員 大学で履修しなければならない単位というものは百二十四単位で、そのほかに免許法で示す教職教育十四単位というのは別に履修をするというのが、免許法の定めであると思うのです。そういうような点から今言われた点を考えますと、それはまあ別にいたしましても、一般教育が三十六単位に対して、基礎教育はそれは一般教育の中に入るものだと思いますが、これが十七単位、専門教育については七十六単位に対しては六十単位、それに選択が九単位ありますけれども、そういうような点から考えましたときに、これは一般教育について最も教職員として必要な一般的な教養と言いますか、こういうようなものが非常に欠けている。さらに専門的なものを、四年制と同等に教えていくのだ、こういうことをおっしゃるけれども、単位の修得においてすでに六十単位というものが必須であれば、十六単位の差が出てくるのじゃないか。そういうような点から考えますと、これは三年制であり、新制大学の場合は四年制でありますので、一年間にどんなに無理をいたしましても追いつけないところの単位の修得の問題があるわけでございます。従いまして実力は四年制大学に劣らないようなものを養成すると、こういうふうに大臣はおっしゃいますけれども、この単位の修得の状態からそういうようなことが言えるかということであります。その点はどうですか。
#55
○小林(行)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、大学の一般教育の関係に比して基礎教育科目はかなりニュアンスが違っております。
 なお教職の科目につきましては先ほどお答えを申しましたように、四年制度大学で十四単位と申しますのは百二十四単位の中でございます。
 なお専門の教科の科目でございますが、七十六に対して六十、その数は確かに数字的には減っておりますけれども、それぞれたとえば機械工学につきまして、機械の材料の力学とかあるいは流体あるいは機械工作、こういった機械の基礎その他の面で高等学校の教員として必要な最小限度の幅については十分力がつくようになろうと私ども思っております。
#56
○村山委員 高等学校の教育を行なっていく教師として最低のものは修学させるというのは、それは計画の中にはあるでしょう。しかしながらそういうような最低のものを履修すると同時に、それ以上のものについて勉強しておかなければ教えられないというのが実態であります。日進月歩の勢いにある科学技術の振興の上から考えて、とうていこの単位修得の案では、これは四年制の大学を出るときの単位修得に比べて大きな差がある。しかもそれは実力として現われてくるということは否定できない事実だと思う。
 さらにお尋ねをしたいのは、一般教養の中で基礎教育十七単位というものを、先ほど例をあげて、数学であるとかあるいは物理であるとか化学であるとかというようなことを言われましたが、そういうようなものは非常に大きく教育のウェートを占めてくると思いますので、それらの面から、設置される大学側の意向というものが、数学、物理、こういうようなところにおいて非常に大きな負担を来たすのじゃないか、それがひいては大学の研究という面に大きな影響が現われてくる、こういうようなことを大学側では言っているわけですが、それに対する、それをカバーしていくだけの教授陣なり人材があるのかということであります。その点についてどういうふうに物理、数学の面をカバーをしていこうというふうにお考えになっているか、お尋ねをしたい。
#57
○小林(行)政府委員 先ほどお答え申しました中でちょっと私言い落としましたが、大学卒の場合のいわゆる三級普通免許状を授与されるものの専門科目の単位数は、免許法の関係から申しますと、免許法の別表第一に出ておりますように四十単位でありまして、この工業教員養成所ではこの専門については大学に劣らないものを作りたいということから、先ほど来お答え申しておりますように、専門科目については六十単位履修させるということを考えておるわけでございます。教員免許法の関係から申しますと、最低の四十単位をはるかに上回る単位をとらせるということを考えております。
 なおこの基礎の教育科目について、たとえば物理、化学あるいは数学、外国語というようなことから、それで大学の方から応援を得れば大学の方が手薄になるのじゃなかろうか、こういう御趣旨のように承りましたが、現在の範囲内でも私は教授、助教授なりあるいは場合によっては講師等で、この基礎の教育科目の人間を呼んでくることはできると思いますし、なお大学の方から非常勤の講師として呼んでくることも、これは一般教育の関係でございますのでできると思います。なお三十六年度におきましては、これは全部の大学ではございませんけれども、ことに理学部あるいは工学部につきまして、一般教育関係の先生をそれぞれ何人かずつふやすという、定員増を考えておりますので、これは特に工業教員養成所のためということじゃございませんけれども、そういうことも多少応援になろうと思っております。
#58
○村山委員 この定員増については、これは定数改正なりあるいは予算的な措置がしてあるのですか。――
 次に、先ほど山中委員の質問を聞いておりましてちょっと奇異に感じたのですが、初め文部省は、高校に入学する生徒数が非常にふえて参りますから、そのために昭和四十年までに三万名の高等学校の教員増が必要である、中でも新しく作る高等学校については、これは公立の場合でありましょうが、六〇%工業両校にしなければならない、このためには四千名に新しい教員が必要である、従って初年度の計画の中に一千八十人、これを八カ年間で、十一カ年間にわたって養成をする、だから十一カ年間で教員の養成所は終了する計画である、こういうようなことで、八カ年の間に八千六百四十名という人員を養成をするんだ、これを三百五十七校分の新設高校に当てていくんだ、こういうのが初めの計画だたっと思うのです。ところが予算査定の結果、一千八十人というのが八百八十人に減らされた、二百人の誤差が出た、従って八カ年という養成期間を十カ年に延長する、こういうような説明があったと思うのです。その通り間違いございませんか。
#59
○小林(行)政府委員 私どもといたしましては、この予算を作ります際には、高校急増の関係で、どの程度将来高校入学者がふえるかということにつきましては、いろいろな数字があったわけでございます。それをなお公立と私立の高等学校にどう分けるか、あるいは公私立の高等学校の中の工業高校へどういうふうに持っていくかということについては基礎的な数字算定の方法が、いろいろな要素がありまして相当動いたわけでございますが、私ども当初の予算の要求といたしましては、そういうようなただいまお尋ねにございましたような数字も実はございました。ただ現在におきましては、いろいろ大蔵省との予算の折衝の結果もございますが、大体八百八十人で十年間、八千八百人ということを一応の基礎の数字といたしておるわけでございます。ただこの数字につきましても、これで十年間全然変更なしにいくということではございませんで、そこまで確定した数字ではございません。将来の情勢の変化ということも考えられますので、そのときにはまたその情勢の変化に順応して手当をしなければならぬ。これで不足ということであれば、さらに学科数を増す、定員数を増すということも考えられるわけです。
#60
○村山委員 どうも小林局長の答弁を聞いておりますと、最終的な八千八百名なり八千七百名という数字に合わせて八カ年なり十カ年ということで、その年数をかげんをして答弁をしておられるようです。これは予算に合わせて答弁をされておるところに問題があるわけです。この計画は、生徒の急増対策という点から取り上げられておると同時に、所得倍増計画と関係があるわけでしょう。その点はどうですか。
#61
○小林(行)政府委員 所得倍増計画と高校急増のかみ合わせ、両方あるわけでございますね。
#62
○村山委員 そういたしますと、八カ年というものであれば筋が通る。これは昭和四十五年の工業高校の卒業生の不足状態というものがどの程度ある、こういうような見通しの上に立って立てられているはずなんです。ところがこれが十年になれば、昭和四十五年を飛び越してしまう。そういうようなむちゃな説明というものはなされない方がいい。従って、これはやはり八カ年計画で毎年一千八十人という養成計画を持っておったけれども、残念ながら八百八十人に予算査定の結果抑えられた、だから来年はこれを一千八十名に近づけるように、あるいはそれを上回るように努力をしていきたいというふうに答弁をされるのが当然だと思うのですが、その点大臣どうですか。
#63
○荒木国務大臣 お説の通りだと思います。今の説明は、便宜的に申しておるのじゃなしに、本来の私どもの当初の計画の通りにいくとすれば減耗等も考慮しながらやっていけるということでありましたが、査定の結果はある程度穴があくことになります。それを養成計画だけでいくとしますれば十カ年という数字になりますが、八カ年でいくとしますれば、先刻大学局長御説明申し上げましたように、中学の先生であるけれども免状を持っておるという人を転用するとか、あるいは民間からの者をさらに逆輸入するとか、いろいろな応急措置が講ぜられないと減耗が補い得ない。そういうことを含めて御説明申し上げれば、八年計画でどうやらつじつまが合うという見当だ、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
#64
○村山委員 大臣の答弁を聞きましてもなお納得ができない。というのは、初めの一千八十人という養成計画が、そもそもこれは八千六百四十人の教員の養成をするわけですが、これは入学して、池田長官が言っておられるように全部卒業ができる、そうしてそれがみんな学校の教員になる、こういうような構想のもとに立てられているのですから、これ自体においても減耗率が大学の理学部なり工学部なりを出た者は二・何パーセントとかという、あの所得倍増計画の中にあります数字というようなものは見られていないのです。そういうような点からいって、すでにこれは当初の計画がずれてきている。従って池田内閣自体の問題としても、当然高校急増対策の問題に関連をして、工業高校の教員養成の問題においてもすでにずれがきているということが言える数字だと思う。
 最後にお尋ねをしたいのは、生徒の急増対策の問題と工業高校の拡充計画の問題でございますが、今回予算の査定で、御承知のように文部省は一生懸命やられたわけですけれども、工業高校は本年は二十五校分しか認められていない。一般校舎分として一括をしまして二億円、これは三分の一で、二万二千坪の坪数についての補助金で、坪当たり五万円、ほかは一切起債でやるということにして三十億円、こういうことになっているようであります。そのほかに八十五課程分の増設分といたしましては、施設費として三億三千万円の二分の一、補助金分がもちろんございますけれども、これをもってして今後の高校の急増対策の問題に関連をする工業高校の分については、若干の措置が認められておることはこの数字から言えることであります。しかしながら現在の地方公共団体が、池田内閣の所得倍増計画に歩調を合わせて工業高校を増設をしようという計画が、すでに文部省の方に出されてきていると思うのです。それによりますと、私が今日まで知った情報では、本年分についてはそう多くない。しかし三十七年度分については非常にたくさんの学校が地方公共団体から希望がある、こういうようなことを聞くわけであります。ところがその希望というものは、やはりこの補助金というものをもらって作っていこうではないかというようなことであるようでございます。しかしながら文部省の方としては、そういうふうに工業高校をどんどん作っていったんじゃ学校の教師が間に合わぬから、一つその計画はもっと抑制をしていかなければならない、こういうようなことで指導をされてしるようなふうに承っております。大体新潟県の総務部長の話を聞きましても、新潟県自体で約二百学級の高等学校の学級数をふやさなければならぬ。そのためには二十億円の金が新潟県だけで必要になる。そういうような問題について、やはりこれは急増対策という点から考えた場合に、工業高校をどういうふうに拡充し、そしてそれに見合う教職員の養成というものをどういうふうにしていくんだということは、これは大蔵省なりあるいは文部省あるいは自治省、そういうようなところと再検討をし、もう一回財政的な検討を加えた上で計画を立てなければ、初め文部省自体が考えておりました三百五十七校の新設計画に見合うところの教員の養成計画というものは、これはくずれてくるのではないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっているか、大臣が答弁しにくければ、大学局長でもよろしいのですが、お答え願いたいと思います。
#65
○小林(行)政府委員 この点は、実は工業高校の実際の増設計画は、私の直接の所管でございませんので、あまりこまかいことは存じませんけれども、明年一度の予算におきましては、工業高校の新設につきましては、大体八十五課程について二分の一の国庫補助をするということで、三億三千万の補助金が予算上計上されているわけでございますし、また工業高校の新設に要する一般校舎の整備費の補助といたしまして一億九千六百万、約二億の経費が計上されておるわけでございます。明年度は大体この予算に計上された線に沿って、地方の工業高校の増設をしていくわけでございますが、三十七年度に関連いたしまして、ただいま具体的にある地点からの御要望の線ということについてお示しがございました。私どもその点までは実は確認いたしておりませんが、もしそういうふうに非常に大きな要望が地方から出てくるという場合には、今後の財政的な面の検討はもちろんいたさなければならぬと思っております。ただ具体的に申しますと、確かにそういうある府県から非常に大きないわゆる増設計画が出て参りましても、実務には、たとえばそれを実行に移すに最も必要な施設設備あるいは先生の充足ができるかということが、これは現実の問題でございまして、各府県からの三十七年度の御要望が全部満たされるということにつきましては、なかなか実は困難があろうと思います。三十七年度の計画につきましては、府県と十分連絡をとりながら、具体的な案画をするようにいたしたいと思っております。
#66
○村山委員 最後に、大臣にその点についてお答え願いたいと思うのですが、工業高校の拡充計画を含めまして、生徒の急増対策の問題について、文部省としては強い決意で大蔵省と交渉をされたわけですが、高校の急増対策に対する補助は十二億八千万円要求をし、それも寸足らずの五カ年計画であったわけですけれども、それが全部認められなかった。そういうようなことにおいて、地方財政計画の中で急増対策の問題をどのように見ているかという点をながめてみましても、ほとんど見られていない。そしてただあるのは、先ほどの工業高校の二十五校分の一般校舎分、それと産業教育課程の八十五課程の三億三千万円、それに起債が三十億円、こういうような状態であります。従いまして、この問題については、もっと根本的な対策を立てなければならない問題がひそんでいると思うのですが、その点について、大臣はどういうふうなお考えをお持ちか、この際明らかにしていただきたい。
#67
○荒木国務大臣 三十六年度の予算案としましては、私どもの希望としては、工業高校ももっと百二十校くらいという希望を持っていました。ところが、工業高校に対する産業教育振興法に基づく補助は従来ございましたけれども、御承知のように、普通高校はもちろんですけれども、一般校舎については補助金がなかったわけです。しかし、科学技術教育の必要性、さらには、具体的には所得倍増の目的に合わせるという意味におきまして、工業高校の設置を都道府県に要請する立場に、国が立つという以上は、工業高校の一般校舎についても国が何がしかの補助金を出してしかるべきだ、こういう考え方で予算要求をいたしましたところ、これが明治以来初めてのことだもんですから難航いたしまして、大蔵省をその点について口説くのに時間がかかったせいもございますが、初め要望しておりました校数だけは三十六年度には予算がついておりませんことは御指摘の通りであります。ですけれども、これは三十八年度を第一年度とするピークに備えるものでございますから、従来のうしろ向きに比べれば、高校につきましても三十六年から着手するという前向きの姿勢ができたということで一応満足さざるを得なかったわけであります。従って、工業高校の増設につきましても予定の線を二十七年度にはぜひ獲得したい。一般高校についてもこの急増対策に見合うように十分の努力をしたい。そこで、三十億円の起債財源が別途ついていることは御承知でありますが、これは危険校舎その他もございますけれども、さしむきは産振の補助金と工業高校の普通校舎に対する補助金と、三十億の起債財源とでもって三十六年度は一応スタートする、その残りは三十七年度において極力予定計画にそごのないようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
 なお、先刻言及されました工業高校を三十六年度に作りたいという各都道府県の要望を押えておるのじゃないかということですけれども、そういうことはいたしておりません。一応通過いたしましたあの予算の範囲内においてある程度の操作はしておりますけれども、ほとんど各都道府県のぎりぎりの要求の線は満たし得る見当でございます。
#68
○村山委員 この教育活動小委員会の高等学校の生徒急増対策に関連をいたしまして、その高校の進学率等が出ておるわけでございますが、御承知のように、三十七年度におきましては五十万人、三十八年度においては百万人、こういうふうにふえまして、昭和四十年度に至りましては昭和三十五年度に比べて百十万人の生徒がふえるという計画が出ております。しかしながら、この進学率を見てみますと、ことしに比べてずっと昭和四十一年までは進学率が低下するような計画のもとにそういうようなものが取り上げられている。これがだんだん年々進学率が向上していくという実態、特に所得倍増に関連をいたしまして、国民がより高度の教育を受けていきたいという熱情、あるいは父兄の要望、社会の要求、こういうものが出て参りますと、当然進学率は徐々にではあっても高められていかなければならないものだと思う。しかりといたしますれば、現在のこの高校の進学率に合わせた現在小委員会の答申案に基づいた一つの急増対策というものが計画をされて、その中において工業高校の拡大という問題が取り上げられ、しかもそれに合わせて工業教員の養成計画というものが立てられているとするならば、これは当然もっと拡大していかなければならない、こういうようなものが基礎にならなければならないわけであります。ところが、残念ながら初年度からそういうようなことが削られて非常にまずい出発をしていかなければならない。しかもその養成所を出たところの学生が教職につくときの就職については保証の限りでない。こういうふうになって参りますと、この問題はここで多数の力で可決をされましても、この目的とするところを果たしておるかということについては非常に大きな問題があると私は考えるわけであります。そういうふうな観点からも文部省に要求をしておきたいことは、生徒の急増対策に関連いたしまして、それと同時に工業高校の拡充計画を取り上げられておるわけでございますが、これを全般的に再検討をしていただいて、もっと根本的な計画をお立てになって、日本の中等教育が発展をしていくような方向に努力をされるように要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#69
○濱野委員長 他に御質疑はありませんか――他に御質疑がないようでありますから、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#70
○濱野委員長 国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案に対して、山中吾郎君外二名より修正案が提出されております。
 本修正案を議題として、その趣旨説明を求めます。山中吾郎君。
#71
○山中(吾)委員 本案についての提案の理由を御説明申し上げます。
 政府提案にかかりますところの法案によりますと、九国立大学に教員養成所という特定の教育機関を設定して工業科の教員を養成することになっておりますが、この法案についてはいろいろの欠点がありますので、その九大学の学部の一つとして、工業教員養成学部として所期の教員を養成することが適切である、これが第一の理由でございます。
 第二には、政府の提案をされておりますところの法案によりますと、三カ年の修業年限にいたしておりますけれども、工業科の教員は他の教科の教員よりもさらに知識、技能を必要とするということが常識であります。その意味において、少なくとも四カ年の修学期間を置くということは最低必要なる要件であると考えますので、三カ年の修業年限でなしに四カ年の修業年限にすべきであるということが第二の提案の理由でございます。
 第三には、政府提案によりますと、卒業生については教職につく義務、あるいは一定の期間在職する義務がうたわれておりません。現在の産業界の趨勢を見ますと、科学技術者に対する産業界の需要というものは急激に増大をしておるのでありまして、単に卒業生の教師についての使命感に期待することではその所期の目的は果たせない。何らかの法的措置を必要とすると考えましたので、法制局の意見においても憲法上疑義がないという明確なる答弁もありましたので、卒業生については一定の期間教職に在職する義務を付することにしたのでございます。
 次に、就職の義務、在職の義務を付与するかわりに、在学中において特典を付与すべきであるという考えから、授業料徴収をしないということを明らかにし、また、この法案が成立した暁においては、月々の学資については別途工業教員学資貸与法案という法律的な措置をとって、必要なる毎月の学資を貸与し、一定の基間在職し、義務を果たした者については、その返還を免除するという特別の措置をとる必要がある、こう考えて提案をいたしたものでございます。
 以上、提案の理由の説明を申し上げまして、何とぞ慎重審議の上に御賛同下さるようにお願いをいたしまして、終わりたいと思います。(拍手)
#72
○濱野委員長 本修正案について質疑の通告がございますので、これを許します。上村千一郎君。
#73
○上村委員 提案者に少しく質問をさしていただきたいと思います。提案されておりまする原案につきまして、その問題点は、優良な教員を多数に確保する、しかもそれを緊急に確保するというところに問題点がある。この点は、長い審議の過程におきまして、社会党の方々の御意見も、大体私どもか考えておるのと一致いたしておるようでございますが、それが実情にいかに沿うであろうか、しかもそれが無理なくしてどうして遂行されるであろうかというような、そういう観点のもとに、御質問をいたしたいと思うわけであります。それで、提案者といたしまして、この工業教員を年間何人ぐらい養成をされるおつもりであろうか。その点についてお考えをお示し賜わりたい。
#74
○山中(吾)委員 年間の養成目標は、政府原案と同じ数を確保する目標であります。従って、政府の養成所の設置を予定しておるところの国立九大学、その同じ大学の学部として特設するということであります。なおほかに官公私立に現在在学する工学部学生、そういう学生が今後教員になるという予約をする限りにおいては、この法案に関連をして設定をされることを予定しておりますところの学資貸与法の中に、その後卒業をするまで授業料の免除、必要なる学資支給というふうな措置をとって、来年からでも一定の教員を確保できるというふうな措置はとるべきである、またそういう第二の手段を考えておる次第であります。
#75
○上村委員 そうすると、提案者といたされては、年間八百八十名の養成ということで大体よろしいというお考えなんですね。
#76
○山中(吾)委員 一応現在の政府案に準じて考えております。ただ学部の設定でありますから、その点については養成所と違いまして、一定の大学の校内における定員増につきましては、行政措置において、今までの質問その他の中にもありますように、所得倍増計画に不足が生じた場合においては、行政措置において臨機に措置することができる、こう考えております。
#77
○上村委員 そうすると八百八十名の教員の養成をされる。それはいつ卒業になるということになるのですか。結局四年制ということになると、政府原案よりは一年おくれるわけですね。そうすると、その間のいわば緊急性といいますか、現在の需要の緊急性に対するお考えの具体案を少しく承りたい。
#78
○山中(吾)委員 お説の通り三カ年を四カ年にいたしますから、一カ年おくれることはその通りであります。それで、この法案とともに、先ほど少し説明を申し上げましたように、工業教員を希望する学生の学資貸与法というふうな法案を準備いたしております。たとえば現在刑務所の医学修学者に対する学資貸与法というふうなものが別途に政府から提案されておるようでありますが、そういう法案の趣旨の中に、この教養学部に在学する者に対する賞与、そのほかに、現在官公私立工学部に在学する者、あるいはそれに今後入学しようとする名に対しても、個々の学生に工業科の教員に就職する義務をみすから負う者に対して、あるいは予約する者に対しては、今後卒業まで授業料及び学資の恩典を与えることができるように規定をし、四年で卒業し、一カ年おくれるその分は、工学部に現在一年在学の者あるいは二年、三年在学の者に学資を補給するという他の手段を用いることによって、十分に一カ年のおくれを取り戻すばかりでなく、それ以上に相当数の工業教員を確保できる、そういう方法を準備いたしております。
#79
○上村委員 授業料を徴収しないとかあるいは学資の貸与というだけで、今の学部におる方が直ちに工業教員の方へ希望してくるかという問題は、実情から考えてみてきわめて困難だろうと思うのでございますが、それは容易にできるというふうにお考えなのです
#80
○山中(吾)委員 現在も、大学の工学部に工業教員課程というものがあって、特別の奨学金を出しておる。ただしほとんど確保できていない。その理由は、学資の貸与について特別の恩典を与えていないということである。これは返還をする義務があるわけであります。そこで、就職の義務を果たせば返還をする必要がないという措置をとることと、それから貸与については現在よりも増額をするという措置をとり、またその学生に対して教員に就職する予約を明確にしていくということによって、困難ではありますけれども、現在ほとんど実業界へ逃げていく工業教員、養成課程の学生の六、七割は確保できるというふうに考えております。
#81
○上村委員 その点につきましては、私が考えておる点と多少違う点がございますが、工業教員養成課程というのが現在の国立大学に設置されておる。しかもその卒業生が産業界に非常に吸収されていく。それが実情になっている。そしてほんのわずかの二名とか三名という方だけくらいが教員の方へ進まれるという実情から考えまして、先ほどのお話のような恩典だけで容易に教員の方へ進まれるとは、とうてい考えられないと思うわけでございます。ただいまの御答弁がありましたので、この程度で終えて、次に移っていきたいと思います。四年制の学部を作って、そこで教員の養成をいたそうというお考え、そうするとその卒業をした者に対しましては、学校教育法六十三条の学士を称するということは認めるわけですか。
#82
○山中(吾)委員 その通りであります。
#83
○上村委員 そういたしますと、その同じ大学にある他の学部の学生は授業料の徴収の免除がない、あるいは月謝等の学費の貸与の特典もない、そういうような状態にある、そうして一方は特典を持っておるというような場合に、同じ学士を称するということにつきましては、他の学部の者としましては、私は何らか違った感情を持つのではなかろうかと思うのですが、その点はどんなお考えでありますか。
#84
○山中(吾)委員 学士というのは、その人の学問、知識が一定の水準に達し、一定の学校教育法に規定されたるコースを得たる者に対する証明、公認でありますから、それは学資を補給されたとかどういう職業につくかということに無関係の称号であると考えます。従いまして、在学中に国から補助があった、あるいは卒業したときに一定の義務を持つということには無関係であって、学士号というのは所定の法律に規定する所定のコースを得て一定の学識、経験、知識、技術を有する者に対する称号でありますから、その点は一向差しつかえない、こう考えます。
#85
○上村委員 そうしますと、工業教員養成学部というものを作って、その教職員の組織というものにつきましてはどんなお考えなんですか。
#86
○山中(吾)委員 他の学部に準じて考えます。
#87
○上村委員 そうすると、同一の組織を考えられるということですか。
#88
○山中(吾)委員 教員養成学部でありますから、教職関係の専門コースの学科についての教授がその中に入って参ります。
#89
○上村委員 この学部を新しく設けるというのに際しましては、これは学校教育法施行規則六十六条によりまして、大学設置基準の定めるところによって構成をするだろう、こう思うのでありますが、どんなお考えなんですか。
#90
○山中(吾)委員 それによると思います。
#91
○上村委員 大学設置基準を見ますと、その第二条に、この学部は適当な規模内容を必要とするということになっております。提案者としまして、その学部の適当な規模内容というものはどういうふうにお考えになっておるか、具体的に御説明を承りたい。
#92
○山中(吾)委員 学部の具体的な諸施設につきましては、つまびらかに私は知識を持っておりませんが、四年制の一般大学学部の施設に準じて充実をしていくべきだと考えます。
#93
○上村委員 そうすると、その学部につきましては、経費の問題としてはどのくらいのお考えを持っておられるか。
#94
○山中(吾)委員 現在政府提案による養成所は三カ年を目途として予算を計上しておりますので、それを見ますと、人件費が一億五千三百万、施設が四億三千万、こういうようになっております。それで、教授の関係については、三カ年を四年にすれば、一カ年ふやすわけでありますけれども、構成については教授、助教授、助手が四・四・四に対して、三年であるにかかわらず二、二、二にしておりますから、大体その倍の人件費は考えなければならぬじゃないか。施設については、これは養成所という一つの独立の施設である場合については、やはり独立の施設を考えなければならないのでありますけれども、一応大学の学部とすれば、実験室その他については当然大学学部構成の中にありますので、共用できるということから考えて、独立した養成所のごとく特別にまた施設を作る必要はないので、学生の収容その他について必要な部面を補充すればいいのじゃないか、そのように考えております。
#95
○上村委員 そうすると、大体でけっこうでございますが、すでに政府提出の、原案に対する予算というものは成立いたしておるわけであります。その予算をどのくらい増加されるというお見通しですか。
#96
○山中(吾)委員 現在、人件費一億五千万を計上しておりますから、同額の一億五千万は人件費としてプラスしなければならぬじゃないか。施設については、これは大学の学部でありますけれども、教室その他についてやはり必要であるので、六千万あるいは一億、まあ最低六千万で教室の準備はしなければならぬ、計二億は必要であろうから、さらに現在の予算よりも二億は最低必要である。それによって、現実においては、さらに、必要によって、国会において承認を得て追加していくべきだと思います。ただし、本年度は養成所分としてありますので、質疑応答の中にも直ちに教授、助教授を全部充実するということでもないのであるから、本年度は出発しても一学年だけであるので、来学年からこれを予算に計上して、国会の承認を得て追加しなければならぬと考えております。
#97
○上村委員 そうすると、養成所の設置に要する予算を工業教員養成学部の創設に要する経費に充てることは、予算の組みかえを要することはもちろんであります。しかも、なおかつ、ただいまの御説明によれば、その予算よりも相当額増加するわけでございますから、予算の増額修正を伴うことになる。しかるに、今度の予算は成立をいたしておるわけでございますから、現段階としてはきわめて困難だ。そうすると補正予算でいくというのですか。
#98
○山中(吾)委員 額については、必要なる額は本年度でいいと思うのです。ただし、養成所の経費でありますが、これは現在の計上した分だけでいいのでありますけれども、組みかえをしなければならぬと思います。それについては、この法案が成立すれば、その点、新しい財源は本年度は要らぬのでありますから、計上された分だけの組みかえはしなければならぬ、こういうように思います。
#99
○上村委員 その点はその程度にいたしておきまして、この教員をいかに確保するか、優秀な教員を大量に、急速にいかに確保するかという問題になるわけでありますが、修正案におきましてはこの就職義務と在職義務の規定がある。これに対して違反した場合にどういうふうにこれを処理するかというお考えはあるのですか。
#100
○山中(吾)委員 必要その他正当な理由のある場合については返還を免除しなければならない、そういうふうに考えておりますが、そうでないものについは授業料は不徴収でありますが、学資については貸与法に返還をしなければならないと規定をする予定であります。また、一方に、義務を果たせば返還は免除する、必要はなし、義務を果たせば実質上これは貸与でなくて給付である。そして、義務を果たされない者については返還を命ずる、こういうことになると思います。
#101
○上村委員 そういたしますと、就職義務もしくは在職義務違反というものにつきましての担保の条件というものは、貸与した金員の返還という一点だけでありますか。
#102
○山中(吾)委員 その通りであります。
#103
○上村委員 現在の実情といたしまして、その程度の問題で教員を確保できるというふうにお考えになっておられるのでしょうか。
#104
○山中(吾)委員 確保できると思っております。たとえば、百人の学生があれば九割五分までは確保できると考えております。それは、戦前の就職義務その他を負わさせたところの高等師範学校その他の実績からいっても間違いないと考えます。
#105
○上村委員 それだけ重要な義務違反に対するところの担保の条件といたしますれば、この修正案にどうして載せておられなかったのですか。何か、この修正案には担保規定の点については全然触れておられないように思いますが、その点についてお尋ねいたします。
#106
○山中(吾)委員 御質問の趣旨がちょっとわかりませんが、担保というのはどういうことですか。
#107
○上村委員 要するに、義務違反に対して、就職義務並びに在職義務を担保するための規定なのです。それが書いてないが……。
#108
○山中(吾)委員 この四条に「卒業した後六箇月以内に高等学校の工業教員となり、かつ、引き続き政令で定める期間高等学校の工業教員として在職する義務を負う。」二項に「文部大臣は、前項の義務を負う者が疾病その他やむを得ない事由により当該義務を履行することができないと認められるときは、政令で定めるところにより、当該義務を免除し、又はその履行を猶予することができる。」そうして、次に「第一項の義務を負う者は、文部大臣に対し、政令で定めるところにより、当該義務の履行状況を報告しなければならない。」こういうように書いておるのであります。そして、学資賞与の関係については法制局の専門的ないろいろの意見を聞いたのでありますが、その貸与の規定も、この法案一本に入れることも一つの方法であるけれども、別途に貸与法案という二つの法案で出す方が、一方はこの高等学校教員を確保することの法案、それに対して特典を与えるところの貸与法案というように二本建てにした方が簡明にして、むしろ法律技術上もいいという法制局の御意見によって、二つの柱にすることに実はきめたのでありまして、その点についてはここに一本に規定しても一向差しつかえない内容のものであります。
#109
○上村委員 私は、その程度の特典ではとうてい教員の歩どまりと申しますか、確保の状態にはならぬではないかというような考えを持っておりますが、時間もたっておりますので、この程度で質問を打ち切りたいと思います。
#110
○濱野委員長 他に質疑がないようですから、この修正案についての質疑は終了いたしました。
 この際、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見があればこれを聴取いたしたいと思います。荒木文部大臣。
#111
○荒木国務大臣 ただいまの御提案は、国立工業教員養成所を国立大学に付置することを改め、当該国立大学に四年制の工業教員養成学部を置くこととして、ここにおいて工業教員を養成するということでございますが、それにつきましては、第一に、経費の面で昭和三十六年度予算の内容と一致しないばかりでなく、根本的に計画を変更することになりますので、御賛成申し上げることは困難でございます。
#112
○濱野委員長 次に、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案に対し、臼井莊一君より修正案が提出されておりますので、本修正案を議題とし、その趣旨説明を求めます。臼井莊一君。
#113
○臼井委員 国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案に対する修正案の提案理由を御説明申し上げます。
 この法案は「昭和三十六年四月一日から施行する。」ということになっておりますが、すでに四月に入りましたので、これを「公布の日から施行する。」と、かように修正いたしたいと考えます。
 それから次に、四月一日から学生を募集して入れるはずでありましたのが、同様に、これがおくれましたので、そこで、第五条には本養成所の修業年限は、三カ年ということになっておりますので、四月一日からさかのぼって在学したものとして、そして三カ年間、次の学生の入学等に不便を来たさないためにもかように修正いたしたい、かようにいたしましたのが修正案を提出いたしました理由でございます。
    ―――――――――――――
#114
○濱野委員長 本修正案に対する質疑がないようでありますので、これより本案並びに両修正案を一括して討論に付します。
 討論の通告がありますのでこれを許します。上村千一郎君。
#115
○上村委員 私は自由民主党を代表して、原案並びに自由民主党提出の修正案に賛成、社会党提出の修正案に反対の討論をいたします。
 社会党の修正案は、原案の構想を根本的に改め、原案の全文を修正し、工業教員養成所を九大学に付置するかわりに、これを工業教員養成学部として関係大学の工学部に並べて設置しようとするものであります。
 さらにこの教員養成学部においては授業料を徴収せず、卒業者に対しては政令で定める期間工業教員として在職する義務を課すこととしております。
 元来内閣提出の原案は、工業教員を大量かつ急速に養成確保する必要と、大学卒業者がほとんど工業教員にならない実情にかんがみ、養成所という特別な養成機関を設け、これを工学部を有する国立大学に付置し、もっぱら工業教員の養成に必要な教育課程を工夫し、付置大学のスタッフの協力をも得て、三年の修業年限内に集約的な教育を行なうことにより、工業教員としては大学卒に劣らない学力を育成し、緊急を要する工業教員の需要に対処しようとするものであります。
 修正案は、養成所を学部に改組することによって、形式的には理想に近づけようとするように感ぜられますが、実際には修業年限の差や、学部とすることによる制約から、急速かつ確実に工業教員を確保するという目的には支障を来たすことになると考えられます。すなわち、修業年限が一年延長することによって、最初の卒業生が出るのが最も教員を必要とする高校生徒急増の時期に対して一そうおくれるばかりでなく、卒業者の就職義務に対する有効な担保規定を欠いているため、卒業者が工業教員となる保証は必ずしもないものと考えられます。その上、大学の特定の学部の卒業生に対してのみ就職義務を課することは、大学の学部としては均衡を失し、不適当な措置と考えます。
 以上修正案は一見理想案に近づけたように見えて、その実は、実情に沿わぬものであり、賛成することができないのであります。
 なお、自民党提出の修正案は、法案成立の時期を考える場合当然のことでありますので、ここに賛成する次第であります。(拍手)
#116
○濱野委員長 山中吾郎君。
#117
○山中(吾)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、政府提案に反対をし、修正案に賛成の討論をするものであります。
 政府案に対して反対する第一の理由は、政府案によりますと、工業教員の資質を現行四カ年制大学水準より低下せしめることであるということであります。三カ年の修業年限によって四カ年実を上げるという政府の説明でありますけれども、教授、助教授の構成からいたしましても、設備の充実不十分な点からいたしましても、決して三カ年において四カ年の教育水準の目的を果たすということは不可能であるということが明らかであるからであります。
 第二の反対の理由は、政府案によりますと、現行免許制度を乱すおそれがあるということであります。現行免許制度において、高等学校の免許状は、大学における四カ年の学修を経て学士号を持っておる者を原則といたしておるのでございますが、政府の教員養成所は、政府の説明によりますと、学校教育法の大学でもない、あるいは学校教育法の各種学校でもない、学校ならざる特定の教員養成機関であるというふうな説明でありますが、そういう免許状を付与するに不適当と考えられる性格を持った教員養成所において免許状を付与し、しかも四カ年の大学教育によって与えられるものを、そういう不明確な性格を持った教育機関によって三カ年で付与するということは、根本的に現行免許制度を破壊するおそれのある、非常に危険な法律であると考えますので、反対をする次第であります。
 第三の反対の理由は、政府案は六・三・三・四制の学校制度を乱すおそれがあるということであります。御承知のように、小、中、高、大学という四段階におけるところの現在の学校制度から見まして、大学でもない、高等学校でもない、そういう教員養成機関を設置することによって、現在の学校制度の基本的秩序を乱すものであり、いわば盲腸的存在であるということになると思うので、この点においても賛成しがたいのであります。
 第四点は、工業教員確保のために法律的に何らの保証がない法律であるということでございます。現在の産業界の趨勢からいいましても、工学部を卒業した者に対して特別の恩典と特別の法的な義務がない限りについては、教員として保証できないことは万人の認めておる事実でございます。従いまして、卒業生に対して何らの就職、在職の義務を付与していない、在学中の特典についても十分の手当が行なわれていない政府提案にかかる法律によっては十分に教員を確保することはできない。また、しばしば答弁をされた政府の言明によりましても、期待をするという言葉によってこの法案の所期の目的に対して自信のない答弁がしばしば行なわれておるのでありまして、この点においても反対をせざるを得ないのであります。
 以上四点から政府提案に反対をするものでありまして、本質的にも政策的にも、いずれの点からいっても賛成する余地はないというところから反対をする次第でございます。
 修正案については、今政府案に反対をいたしました四点をすべてこの修正案の中に欠点を十分に充足をし、補っておるという点において修正案に賛成するものでございます。
 以上、社会党を代表いたしまして、政府提案に反対、修正案に賛成の討論を終わりたいと思います。
#118
○濱野委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、山中吾郎君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#119
○濱野委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、臼井莊一君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#120
○濱野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#121
○濱野委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決されました。よって、国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法案は、臼井莊一君提出の修正案の通り修正議決するに決しました。
 ただいまの議決に伴う委員会報告書の作成、提出手続等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○濱野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日はこの程度とし、次会は公報をもって御通知申し上げます。
 これにて散会いたします。
   午後七時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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