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1960/04/27 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第35号
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1960/04/27 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第35号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第35号
昭和三十六年四月二十七日(木曜日)
    午後零時三分開議
 出席委員
   委員長 坂田 英一君
   理事 秋山 利恭君 理事 大野 一郎君
   理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君
   理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君
   理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君
      安倍晋太郎君    飯塚 定輔君
      金子 岩三君    川村善八郎君
      小枝 一雄君    田邉 國男君
      舘林三喜男君    谷垣 專一君
      中馬 辰猪君    綱島 正興君
      寺島隆太郎君    内藤  隆君
      中山 榮一君    野原 正勝君
      福永 一臣君    藤田 義光君
      本名  武君    松浦 東介君
      森田重次郎君    八木 徹雄君
      足鹿  覺君    片島  港君
      北山 愛郎君    東海林 稔君
      中澤 茂一君    楢崎弥之助君
      西村 関一君    山田 長司君
      湯山  勇君    稲富 稜人君
      玉置 一徳君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        農 林 大 臣 周東 英雄君
 出席政府委員
        大蔵事務官
        (主計局長)  石原 周夫君
        大蔵事務官
        (主計局次長) 佐藤 一郎君
        大蔵事務官
        (銀行局長)  石野 信一君
        農林政務次官  八田 貞義君
        農林政務次官  井原 岸高君
        農林事務官
        (大臣官房審議
        官)      大澤  融君
        農林事務官
        (農林経済局長)坂村 吉正君
        農林事務官
        (振興局長)  齋藤  誠君
        農林事務官
        (畜産局長)  安田善一郎君
        食糧庁長官   須賀 賢二君
        林野庁長官   山崎  齊君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (主計官)   相澤 英之君
        大蔵事務官
        (理財局次長) 吉田 信邦君
        大蔵事務官
        (銀行局特別金
        融課長)    橋口  收君
        専 門 員   岩隈  博君
    ―――――――――――――
四月二十七日
 委員松浦東介君辞任につき、その補欠として森
 清君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員森清君辞任につき、その補欠として松浦東
 介君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
四月二十六日
 肥料取締法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一七一号)(参議院送付)
同日
 大麦、裸麦の管理制度撤廃反対に関する請願(
 青木正君紹介)(第三〇五三号)
 麦対策に関する請願(久保三郎君紹介)(第三
 〇五四号)
 同(片島港君紹介)(第三三二〇号)
 公有林野等官行造林地の森林開発公団に移管反
 対に関する請願外七十六件(西村力弥君紹介)
 (第三〇五五号)
 同外七百六件(芳賀貢君紹介)(第三一二一
 号)
 同外六件(石山權作君紹介)(第三一八〇号)
 同外六件(石山權作君紹介)(第三二五〇号)
 同外百八十六件(角屋堅次郎君紹介)(第三二
 五一号)
 同外四十六件(下平正一君紹介)(第三二五二
 号)
 同外四百六件(中澤茂一君紹介)(第三二五三
 号)
 同外百二十九件(西村力弥君紹介)(第三二五
 四号)
 同外五十九件(二宮武夫君紹介)(第三二五五
 号)
 同外八百三十九件(芳賀貢君紹介)(第三二五
 六号)
 同外二百五十七件(原茂君紹介)(第三二五七
 号)
 同外三百八十八件(角屋堅次郎君紹介)(第三
 三二四号)
 同外十六件(佐々木更三君紹介)(第三三二五
 号)
 同外七十七件(原茂君紹介)(第三三二六号)
 農業基本法案(内閣提出)反対に関する請願外
 一件(石田宥全君紹介)(第三〇五六号)
 同(片島港君紹介)(第三二四九号)
 大豆価格及び豆腐業安定に関する請願外四百三
 十七件(天野公義君紹介)(第三〇五七号)
 同外二百七十九件(宇都宮徳馬君紹介)(第三
 〇五八号)
 同外七十一件(賀屋興宣君紹介)(第三〇五九
 号)
 同外四十三件(鈴木仙八君紹介)(第三〇六〇
 号)
 同外四十六件(田中榮一君紹介)(第三〇六一
 号)
 同外百三十九件(中村梅吉君紹介)(第三〇六
 二号)
 同外九十件(濱野清吾君紹介)(第三〇六三号
 )
 同外四百十八件(林博君紹介)(第三〇六四号
 )
 同外二百十六件(福田篤泰君紹介)(第三〇六
 五号)
 同外二百四十二件(安井誠一郎君紹介)(第三
 〇六六号)
 同外五十件(臼井莊一君紹介)(第三一二二
 号)
 同外百九十六件(内田常雄君紹介)(第三一二
 三号)
 同外七十二件(遠藤三郎君紹介)(第三一二四
 号)
 同外三百四十六件(岡崎英城君紹介)(第三一
 二五号)
 同外七十四件(賀屋興宣君紹介)(第三一二六
 号)
 同外八十二件(川島正次郎君紹介)(第三一二
 七号)
 同外四十二件(神田博君紹介)(第三一二八
 号)
 同外二件(佐藤虎次郎君紹介)(第三一二九
 号)
 同外七十五件(島村一郎君紹介)(第三一三〇
 号)
 同外三十九件(高見三郎君紹介)(第三一三一
 号)
 同外二百件(中村梅吉君紹介)(第三一三二
 号)
 同外七十件(橋本登美三郎君紹介)(第三一三
 三号)
 同外六件(臼井莊一君紹介)(第三一八二号)
 同(内田常雄君紹介)(第三二四七号)
 同外十四件(福田篤泰君紹介)(第三二四八
 号)
 農業協同組合合併助成法案に関する請願(木村
 俊夫君紹介)(第三一八一号)
 農業災害補償制度改正に関する請願(有田喜一
 君紹介)(第三一九一号)
 同(川野芳滿君外三名紹介)(第一三九二号)
 同(小枝一雄君紹介)(第三一九三号)
 同(原健三郎君紹介)(第三一九四号)
 同(増田甲子七君紹介)(第三一九五号)
 同外八件(八木徹雄君紹介)(第三三二七号)
 酪農経営安定策確立に関する請願(下平正一君
 紹介)(第三三二一号)
 農業振興策の確立に関する請願(鈴木善幸君紹
 介)(第三三二二号)
 農業基本政策の確立に関する請願(鈴木善幸君
 紹介)(第三三二三号)は本委員会に委託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業基本法案(内閣提出第四四号)
 農業基本法案(北山愛郎君外十一名提出、衆法
 第二号)
     ――――◇―――――
#2
○坂田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農業基本法案及び北山愛郎君外十一名提出、農業基本法案を一括議題として、質疑を行ないます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。中澤茂一君。
#3
○中澤委員 大臣にお伺いしますが、この基本法は、公聴会公述人の意見を聞きましても、自民党推薦の公述人の意見の中にも、やはり、こうしてもらいたい、また、この中に幾つかの修正的要望意見あるいはこういう点に農民に不安や動揺があるのだというような点が幾多指摘されたわけであります。そういう点について、政府でも、この法案を農民のためにより一歩よいものにして通すという、そういうお考えはあるのかないのか、どこまでも今の原案のままでこれは強行採決でもするというお考えなのか、その一点を一つ冒頭に明らかにしていただきたいと思います。
#4
○周東国務大臣 私は、農業基本法をずいぶん長い間かかって研究をし、そうして法案の制定を見たのであります。十分に農業者の将来の利益に関することを考えて出しているつもりであります。御指摘のように、公聴会その他においていろいろ意見の出たことも承知しておりますが、大体においてこれは早く通してくれという意見が多い。しかも、その要望されている事項というものは、基本法という法律それ自体に待たなくても、その基本法に基づいて出さるべき関連法案においても盛られるべき事項に関する要望が多いのであります。私どもは、この基本法というものは、このままの姿においても、あくまでも農業憲法として基本を示すものであり、それに基づいて今後関連法案、関連の制度、関連の予算措置、金融措置というものについてそれぞれ法律制度を必要とするのでありまして、その方面に関する要望を満たすということでやっていけると考えておりますから、特に今日法律そのものを修正する必要はないと思っております。
#5
○中澤委員 しかし、いずれこれはあとで逐条審議の場合に問題を逐条ごとに明らかにしていけば、はたしてこの基本法の文章でいかなる関連法案を出すのか、いかなる財政措置を講ずるのか、こういうことは明らかになってくると思うのでありますが、昨日の基本問題調査会長の東畑さんの御意見は、あなたもずっと聞いていらした。しかし、その中にも、湯山君の取り上げた生産性の問題一つにしても何かはっきりしない。基本問題調査会がこれを二カ年かけて作りながらも、その調査会長からはっきり生産性という問題の定義さえ出てこない。そういうように、少なくとも法案の整備において非常に問題点が残っていると思う。それならば、お互いにほんとうに日本農業の二十年、三十年先の将来の方向を決定するという重大な法案であるから、やはり、もっと虚心坦懐に政府も――われわれも政府案のいいところはいいとして認めているのだから、やはり社会党案のいいところはいいところとしてこの際取り入れて、そうして日本の農業の百年の大計をここで立てるということが私は必要だと思う。そういうことは、一応党派とかそういうことではなく、この窮状にある日本の農民を将来救っていくその基本であるためには、もっと柔軟性のある態度で臨むべきではないか、こう私は考えているのですが、どうでしょうか。
#6
○周東国務大臣 お話の点は、御意見として私も傾聴いたします。しかし、あくまでも、私は、日本の農民の要望、また社会党のいろいろのお話も、これは関連法案制定の内容をどうするかという問題にかかってくるのであって、この基本法それ自体に手を加えなくてもいけると考えます。
 ただいま東畑教授の問題が御指摘がありました。私も聞いておりましたが、これも、生産性については、本法に言うこの生産性は大体労働に関して一人当たりの生産高、生産性をさす、しかし、それは、土地の生産性あるいは進んでは資本の効率性、生産性ということもあるし、投下した資本がいかに最も有効に使えるか、また土地についても面積で割った生産性というものもあるし、総額を割った反収の生産性もあるということで、それによっていろいろ違うが、問題としてここの根本には労働の生産性をさしているというように答弁されたことと私は聞いております。
#7
○中澤委員 だから、その生産性というものは、労働に対する生産性であるというような東畑さんの御意見も確かにありました。しかし、農業自体の生産性というものと労働の生産性というものとは、そこにやはりはっきりしたものを出さなければいけないのではないか。生産性という言葉はこの法案の中に五カ所くらい使っておる。それならば、その五カ所くらい重要な個所に使ってある生産性というものの内容を、いま少し農民の前に政府として明らかにすべきではないか、そう私は考えるのでありますが、この法案の中にあるそういう基本的な重大な点は、明らかに政府の考え方として、調査会の東畑さんの話じゃなくて、提案者の政府として、労働の生産性ならこれが労働の生産性であるというふうにはっきり定義づけるべきである、そう考えるのです。
#8
○周東国務大臣 その点につきましては、第一条の生産性につきましては、きのうの東畑さんのあの御答弁を待つまでもなく、速記録をお調べになるとおわかりになるように、従来から農業就業人口一人当たりの生産性を高めることが今後の日本の農業に課せられた重要な点であるということを御答弁申し上げたわけでありまして、はっきりといたしております。
#9
○中澤委員 では、生産性を高める具体的な施策はどういうものをお考えになっておりますか。
#10
○周東国務大臣 第一に、今日における農業労働人口の他産業への流通移動の姿を率直に認め、しかも、その動きに対して、効率的に動き得るように、その職場のあっせん、また、技術なりあるいは職業の訓練をしつつ、よりよき職場に行けるような方途を講ずるということも一つの考えであります。そうすることによって、従来過小の耕地に対して過剰の労働が投下されておって一人当たりの生産性が低いということを高める意味においても、その自然に置いておる状態を改善することが必要である、こういうことで法律の中にも労働の移動に関連しまして職業の問題を考えておる。同時にまた、同じく就業人口そのものに対する問題は、土地あるいは一人当たりの生産性をより高く高めるためにおいても、高度の機械、技術の導入、あるいは機械化という問題も当然考えられておるわけであります。
#11
○中澤委員 では、一体基本法の目的というものはどこにあるのでしょう。生産性を高める、今のような労働移動をやる、そうすると、基本法そのものの目的というものは生産性を高めるところへ重点があるのが、どこに重点があるのですか。
#12
○周東国務大臣 それは、第一条に書いてありますように、生産性を高める、そして農業従事者の生活水準を他産業の従事者に比較して均衡を得せしめるという、二つございます。
#13
○中澤委員 他産業と均衡をさせる、他産業とは一体何をさしているのですか。
#14
○周東国務大臣 これはいろいろの場合があるので一律には言えないと私は思いますが、農業と他の自営産業との問における生活水準を均衡せしめるという問題もあるし、また、農業関係におきましても、大農と小農とどういうふうに均衡を得せしめるかという問題があります。また、ただ単に労働者の関係において都市の勤労者との間における均衡ということを考えましたり、それらのあらゆる面がありますが、その中の社会的・経済的な見地から見ての妥当性というものはおのずからできるのであって、私は、これは一体どれと均衡せしめるかと一律に言うべきじゃないと思います。
#15
○中澤委員 それは全然目標がないということですね。労働者との均衡を保たせるのも、他産業と申しても広うございまして、たとえば鉄鋼のような三万ベースを持っておる他産業もあれば、農村から出て今中小企業で、北山君の言ったようにわずか三千円の給与をもらっている他産業もある。どの他産業を目標としておるのか、それが明らかにならぬと、的のないところに鉄砲を撃っているようなものでね。やはり、的を明らかにする。たとえば米価で言っても、問題になるところの、労働賃金をどれにとるかという問題と同じことになる。基本法というものは一つの目標を持って他産業と均衡を保たせるのだということがなければ、これは全然的がないという結論になる。その点はどうですか。
#16
○周東国務大臣 私は、その的ははっきりしておるのであって、いろいろ地域的、地方的に違ってくる。それは、都市の周辺における農業者の場合は、おのずからその農業者の生活状態というものがあります。それと都市近郊に住んでおる労働者との問において均衡を得せしめるということになります。しかし、同じく農村地帯においても、他産業の勤労者と均衡をとるということにおいては、おのずから社会的に見てその地方における関係も比較しつついくということが一つの妥当性を帯びたものになると考えます。その点あなたのおっしゃるのは、一本にならぬものを一本にせよということであって、むしろ社会的・経済的地位の妥当性を見つつおのおのいろいろな場面があるということ、先ほど申したように、そのおのおのの場面に相当してこれが目標を規定さるべきだと思います。
#17
○中澤委員 どうもおかしいですね。基本法というものは地域経済開発法じゃないのです。地域経済開発法なら、ここは低地域だからこの低地域をどう処理してここまで上げていこうということは言えますよ。しかし、基本法というものは日本の農民全体に及ぶ法律であって、東北の農民はその東北の経済の実情に応じていく、それではこれは基本法と言えないじゃないですか。
#18
○周東国務大臣 その点は、私は、基本法であるがゆえにはっきりしていると思う。そういう各般の事情を考慮しつつ全国的な平均というものをとる場合もありましょうが、大体全国的な基礎の上に立って、そうして地域的な事情も考慮し、そうしてその地域々々においてはどういうふうな対象を求めてそれと比較せしめるかということは、基本法から言えます。これがむしろ個別的な法律であれば、地方別の振興法ならば地方別に書く。しかし、農業というもの全体として見てそれじゃ一本に他の産業と均衡せしめるかということにはならぬと思います。
#19
○中澤委員 その議論はますますおかしくなってくるんですよ。一つの施策を立てる、たとえば一例で価格政策を取り上げて見ても、地域によってみな違う、そういうばかな基本法というものは私はないと思うのです。全日本の農民に適用されるものであればこそ基本法なんでしょう。その地域々々によって目標が違うのだとすれば、東北は東北で、政府の言われる自立農家の百万というのは百万じゃない、東北というのはどうせ低いんだから五十万でいいのだ、九州へ行けば同じく七十万でいいのだ、そういうことでは目標の的というものは全然ないじゃないですか。目標の的をつけることが基本法なんです。そうすると、やはり他産業の対象というものが明らかにならぬと、その他産業を対象にしてそこまでの政策努力を続けるということでなければ、これは意味がないでしょう。それではやはり私の言ったように地域経済法みたいなもので、基本法ではないと思う。
#20
○周東国務大臣 その点は私と見解を異にします。ことに、あなたは今価格問題をとられました。私もそれをとってお答えいたします。価格については、私は、それではいかなる地域においても生産費なり生産事情は同じだとは思いません。また、作物によって違いましょう。そういう面は、その地域における生産事情あるいは経済事情というものを見合わせて、生産されたものがその地域においていかなる価格を維持されておるか、さらに、それを下回って損をさせないように、ある価格の支持をするならばその方法によってきめる。これは全国一本にきめられるものじゃない。しかし、基本法というものは、そういうふうないろいろな場合があるにしても、とにかく、生産事情なり、賃金事情、経済情勢を参酌して、そうしてそれらのものに具体的にどういうふうな物価支持政策をとるかということをやるんだと書いてある。これは何も一本にせいということは一つも書いてない。しかしながら、常に生産あるいは価格支持政策についてはこういう場合を考慮してそれぞれの場合に考えろ、こういうことを書いてある。私は、その基本が書いてあれば、その基本の応用というものはそれぞれ地域で違う、こう思うのです。
#21
○中澤委員 そうすると、この基本法というものは、ある地域においてはこうだが、ある地域においてはこうだ、要するに、生産性ということがどういう程度かまだよくわかりませんが、それを上げて所得増大をはかっていく。そうすると、地域別にみな違うのですね。
#22
○周東国務大臣 とにかく、第一条に書いてありますのは、生産性の向上と生活水準の均衡ということであります。もし日本全国一律に同じ生活水準で営んでおるとすれば、それは均衡するということは言えましょう。しかし、それはおのおのの地域、産業によっても違う。あなたの御指摘の通り、鉄鋼業者という非常に大きな仕事をしているものの従事者の生活、あるいは他の地方における他の産業に従事している者、あるいは農村地帯におけるそれぞれの工場等において従事している者、この間に生活水準がみな違っていますね。しかし、少なくとも、それ以下に落ちているような形、それにおくれているような形は引き上げていかなければならぬ。私は、全体の日本人の生活水準ができるだけ高度に成長することを望みます。しかし、それは一ぺんにいかない。やはり、生活水準というものは、その地域々々においてはそれで満足されている状態である場合がある。しかし、その後さらに経済が成長するにつれて人間の生活水準は上がっていくのであって、現在の水準に対して比較均衡せしめるということ以外に、これが伸びていくことに対しても比較均衡せしめるという努力は続けていかなければならぬけれども、そのことは全国一律にいくことではない。しかし、少なくともそれぞれの面を考えつつ他産業に従事する者の生活水準と均衡せしめていこうというのでありますから、私は基本法はこれで十分だと思います。
#23
○中澤委員 ますますわからなくなってきた。他産業と生活水準をいうのは、どっちも目標がないんでしょう。生活水準というのは何のことを言うのですか。
#24
○周東国務大臣 生活水準というのは、人間が生活するに必要なとにかくあらゆる要素が入っております。その中の一つの大きな問題は所得の問題があるでしょう。しかし、所得だけではなくて、その生活しておる地方における環境というものを同じように均衡せしめることが必要だと思います。しかし、そのことは所得とは別だ。所得というものは生活の水準を上げる一つの重要な要素にはなります。しかし、所得だけでなくて、環境というもの、すなわち、その地方その地域における共通の問題、あるいは電灯のないところに電灯をつける、あるいは上下水道をどうするとか、あるいは交通機関をどうするとか、これは所得の問題とは関係なく、別にその地域でそれが上昇していくということは生活水準が上がることです。そういうものを含めて生活水準と言うのだと思います。
#25
○中澤委員 とにかく、それはどう考えても納得いきません。これはだれが考えても納得いかぬ。他産業の目標がなくて、そこへばく然と生活水準というものが出てきた。そうすると、生活水準も何だが目標がない。その付近でいいと思うような生活、他産業の目標、――たとえばさっきの生産性の問題を取り上げてみましょう。生産性の向上というものが労働所得の生産性の向上だと一応この法案で定義した場合、しからば労働生産性の向上というものは他産業のどれの労働生産を目標にするかということが明らかになってこないと、的がちっともわからぬのです。そう思いませんか。だから、農業労働生産性の向上をやるんだ、こういう的をきちっと立てておいて、この的というものは労働生産性の向上だから、たとえば米価のときに、全規模労働賃金は農協の要求する五人以上の平均労働賃金、全日農の要求する三十人の労働平均賃金とか、要するにそういう一つの目標というものがあって、その目標に対しての所得増大をはかっていくから生活水準が向上していくのだ、これならば納得いくんですよ。ところが、目標がなくて、生活水準というのはその近所の普通のところで、それで生活水準が上がるのだ、そういう考え方では、ますますこれは混乱してくるじゃないですか。
#26
○周東国務大臣 私は、あなたの言うように何もかもわからないとおっしゃるのはわからない。他産業との比較において農業関係が生産性が高いとあなたはお考えになりますか。他産業は従事者の数が比較的少なくてよけいな生産を上げている。そうすると、一人当たりの労働生産性がよほど高い。日本のように過小な耕地面積において過剰な労働投資があって多数の人が就業していて、しかも生産額は比較的に見て低いでしょう。これは一人当たりの生産は高いと言われますか。低いでしょう。他の産業全般と比較して均衡を得させようということであって、私は、そういう意味において、わからないというのはわからない。現在においてはだれが見ても他産業における生産性の方が高くて農業の生産性は低いでしょう。これを均衡を得させようということは、私ははっきりしていると思います。
#27
○中澤委員 だから、低いから上げるということに反対しているのじゃないのですよ。上げることは賛成なんだから、どの他産業を目標にするのだということを聞いているんですよ。中小企業だって他産業だし、五千円か六千円でもって農村から吐き出されて、八百屋の小僧さんや魚屋の番頭さんになっているのも他産業ですよ。そういうものを目標にやるのか、どの産業を目標にしてやるのか、それがちっとも明らかにならぬで、見解の相違だと言う。そして、そこへ生活水準が出てきたから、ますますわからなくなってきた。これはわかるという人は私はいないと思う。だから、他産業の目標を私は聞いているんですよ。今言う労働生産性の向上だというならそれでいいですよ。生産性の向上は労働生産性の向上、そういうふうに定義づけるなら、労働生産性の向上によって他産業との均衡を得せしめるんだということになる。そうなれば、労働賃金というものは、どの産業を目安にするかは別として、その賃金が農産物価格の中に織り込んで入るということが価格政策の基本になってくるわけですね。だから、その目標が全然明らかにならぬというのはおかしいじゃないですか。だから、政府の御答弁が、終始一貫して、労働生産性の向上に対して他産業のどの労働生産性を目標にした賃金を目当てにして生活水準を向上させていこう、そういうことならば納得します。だから、目標を明らかにしていただければいいのです。
#28
○周東国務大臣 それは私は先ほどお答えしております。どの産業、他の関係における労働生産性というのは一本にはきめられぬ。それは、あなた方御承知のように、たとえば米価決定の際において、一体その中に投ぜられる自家労賃というものをどの労働賃金と比較するかということについても、まだ確定した方向はきまっていない。これは全国の製造業者の平均賃金なのか、六大都市なのかどうか、あるいは三十人未満の工場を含むのか、それらを除くのかということはきまっていない。だから、その点は、それぞれの場合にそれぞれの生産に対して比較をし、その地域で比較をしていっていいんじゃないか。これを全国一本にどの産業とどうだというわけには私はいかないと思う。
 それから、もう一つ、絶えず問題になりますが、生活水準ということを特に所得の均衡と書かなかったゆえんは、これは、所得が生活における大きな部分を占めるけれども、生活それ自体は、単に所得だけでなくて、その者の置かれている地域においての環境、たとえは公共施設等々についての不便があるということで、消極的にその人の生活の程度が違ってくる。生活水準ということの中には、所得の比較だけでなくて、その所得というものにプラスした問題があって、それぞれの地域地域においてそれは考えられる、こういうことを申し上げておるわけであります。
#29
○中澤委員 いやいや、それは大臣、休憩になるから最後に……。いまちょっとあなた勉強してもらわなければいかぬよ。生活水準という言葉さえあなたはわかっていないでしょう。生活水準というのは、これは一つの科学的データによる水準なんですよ。水準というのは何ですか、水準というのは。生活水準と環境整備とは話は別ですよ。所得によるところの生活水準というのは、いろいろな格差はありますよ。しかし、その水準は、低い水準か高い水準かといっても水準なんですよ。まあ、そういうことで、いま少し大臣に勉強してもらわぬと、これじゃとても話になりませんから、勉強の時間を与えるために暫時質問を保留します。
#30
○坂田委員長 午後四時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後七時四十八分開議
#31
○坂田委員長 午前に引き続き会議を開きます。……
  〔発言する者、臨席する者多く、
  議場騒然、聴取不能〕
  〔委員長退席〕
午後七時五十一分
ソース: 国立国会図書館
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