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1960/05/11 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第36号
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1960/05/11 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 農林水産委員会 第36号

#1
第038回国会 農林水産委員会 第36号
昭和三十六年五月十一日(木曜日)
    午前十一時十一分開議
 出席委員
   委員長 坂田 英一君
   理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君
   理事 小山 長規君 理事 丹羽 兵助君
   理事 石田 宥全君 理事 角屋堅次郎君
   理事 芳賀  貢君
      安倍晋太郎君    飯塚 定輔君
      亀岡 高夫君    川村善八郎君
      小枝 一雄君    田邉 國男君
      寺島隆太郎君    内藤  隆君
      藤田 義光君    本名  武君
      松浦 東介君    森田重次郎君
      八木 徹雄君    足鹿  覺君
      片島  港君    北山 愛郎君
      東海林 稔君    中澤 茂一君
      西村 関一君    山田 長司君
      湯山  勇君    稲富 稜人君
      玉置 一徳君
 出席政府委員
        農林政務次官  八田 貞義君
        水産庁次長   高橋 泰彦君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (水産庁漁政部
        長)      林田悠紀夫君
        参  考  人
        (漁業制度調査
        会会長)    井出 正孝君
        参  考  人
        (元農林漁業基
        本問題調査会臨
        時委員)    浅野 長光君
        専  門  員 岩隈  博君
    ―――――――――――――
五月十一日
 委員金子岩三君辞任につき、その補欠として亀
 岡高夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として金
 子岩三君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
四月二十八日
 水産業改良助長法案(芳賀貢君外二十四名提出
 、衆法第三三号)
五月四日
 農業災害補償制度改正に関する請願外一件(菅
 太郎君紹介)(第三三五三号)
 同(首藤新八君紹介)(第三五三三号)
 同外五十三件(日野吉夫君紹介)(第三五三四
 号)
 同(中村三之丞君紹介)(第三六三四号)
 公有林野等官行造林地の森林開発公団に移管反
 対に関する請願外二件(石山權作君紹介)(第
 三三五四号)
 同外六十九件(山口鶴男君紹介)(第三三五五
 号)
 同外四件(和田博雄君紹介)(第三三五六号)
 同外十五件(二宮武夫君紹介)(第三六三五号
 )
 農業基本法案(内閣提出)反対に関する請願外
 七十九件(西村力弥君紹介)(第三三九一号)
 農業基本法制定に関する請願(下平正一君紹
 介)(第三三九二号)
 同(井出一太郎君紹介)(第三六三九号)
 同(小川平二君紹介)(第三六四〇号)
 同(原茂君紹介)(第三六四一号)
 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の期限延長に関
 する請願(下平正一君紹介)(第三三九三号)
 同(井出一太郎君紹介)(第三六三六号)
 同(小川平二君紹介)(第三六三七号)
 同(原茂君紹介)(第三六三八号)
 青果物市場手数料の引下げに関する請願(下平
 正一君紹介)(第三三九五号)
 同(井出一太郎君紹介)(第三六四六号)
 同(小川平二君紹介)(第三六四七号)
 同(原茂君紹介)(第三六四八号)
 大槌漁港修築工事促進に関する請願(山本猛夫
 君紹介)(第三五五三号)
同月十日
 農業基本法案(内閣提出)反対に関する請願外
 十件(川上貫一君紹介)(第三七〇九号)
 同外十一件(志賀義雄君紹介)(第三七一〇
 号)
 同外十二件(谷口善太郎君紹介)(第三七一一
 号)
 同(谷口善太郎君紹介)(第三七九六号)
 同外二十六件(川上貫一君紹介)(第三八五〇
 号)
 同外三十件(志賀義雄君紹介)(第三八五一号
 )
 同外十九件(谷口善太郎君紹介)(第三八五二
 号)
 同(木村守江君紹介)(第三八八二号)
 農業災害補償制度改正に関する請願外三件(日
 野吉夫君紹介)(第三七九八号)
 同(藤田義光君紹介)(第三七九九号)
 同(足鹿覺君紹介)(第三八四五号)
 同(足鹿覺君紹介)(第三九二九号)
 同(毛利松平君紹介)(第三九三〇号)
 飼料の緊急対策に関する請願(足鹿覺君紹介)
 (第三八四六号)
 大豆なたね交付金暫定措置法案の一部修正に関
 する請願(足鹿覺君紹介)(第三八四七号)
 大麦、裸麦対策に関する請願外一件(足鹿覺君
 紹介)(第三八四八号)
 農業協同小組合制度創設に関する請願(足鹿覺
 君紹介)(第三八四九号)
 不振土地改良区振興対策に関する請願(中山榮
 一君紹介)(第三八五三号)
 甘しよ糖業育成の特別法制定に関する請願(保
 岡武久君紹介)(第三八五四号)
 農業基本法制定に関する請願(羽田武嗣郎君紹
 介)(第三九六六号)
 急傾斜地帯農業振興臨時措置法の期限延長に関
 する請願(羽田武嗣郎君紹介)(第三九六七
 号)
 青果物市場手数料の引下げに関する請願(羽田
 武嗣郎君紹介)(第三九六九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 連合審査会開会に関する件
 連合審査会開会申入れに関する件
 水産業の振興に関する件
     ――――◇―――――
#2
○坂田委員長 これより会議を開きます。
 この際一言申し上げます。私は委員長就任以来及ばずながら当委員会の正常な議事の運営に努力して参りましたが、去る四月二十七日の農業基本法案の議事にあたり委員会の運営に円滑を欠く点がありましたことは、委員長としてはなはだ不本意に存じておる次第でございます。当日、内閣提出案について、質疑を終局し、採決の結果、多数をもってこれを可決した次第でありますが、委員会の議事が混乱しましたことは、委員長といたしましてもまことに遺憾に存じておる次第でございます。今後、委員会の運営にあたりましては、十分に協議の上、円満にして能率的な運営に努めて参りたいと存じますので、委員各位におかれましても、よろしく御協力下さるとともに、御了承のほどお願いいたします。(拍手)
 これより水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際お諮りいたします。本件について参考人として本日の委員会に元農林漁業基本問題調査会臨時委員浅野長光君及び漁業制度調査会会長井出正孝君の出頭を求め、両調査会の漁業関係のそれぞれの答申の内容及びその作成のいきさつ等につきまして説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○坂田委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。
 それでは、両参考人がお見えになっておりますので、これより順次説明を聴取することにいたします。
 それでは、まず井出正孝参考人にお願いいたします。
#4
○井出参考人 ただいま御紹介にあずかりました私漁業制度調査会の会長の井出でございます。
 ただいまの委員長のお指図によりまして、過般本調査会が最終的答申を農林大臣にいたしましたまでの経緯を一応簡単にこの際御報告申し上げたいと存じます。なお、詳細は、あるいはお手元に資料がお配り願ってあるかと思いますが、また、御質疑等ございますれば承ることにいたしたいと存じます。
 この漁業制度調査会は、御承知いただいていることかと思いますが、昭和三十三年の六月に第一回の総会を開きまして、続いて開かれました第二回の総会におきまして、農林大臣から、「現行の漁業に関する基本的制度を改善するための方策如何」という御諮問がありまして、その諮問の内容、趣旨等について詳細な説明がついておりました。これによりますと、戦後非常に変わって参りました各般のわが国の漁業、なかんずく沿岸漁業が非常に立ちおくれになっておるというふうな状態を合わせまして、現行の漁業に関しまする各般の基本制度を十分に検討をして、この際改善をすべき点をいろいろ調べ上げてみる、ことに、漁業制度の基本をなします法律は、御承知かと存じまするが、漁業法、水産協同組合法、それに水産資源保護法、この三本が最も中核をなします制度でございます。まあそれに各般の金融その他の制度があるわけでありますが、この制度が中心でありますので、主としてこれらを検討するようにという御注文のように承りました。
 そこで、調査会といたしましては、直ちに、まず第一に現在の各般のわが国の漁業の情勢を一つ十分に調べてみたい、ことに、戦後いろいろ変遷をしておりまするわが国の各般の分野の漁業をよく調べて、その動向等をも省察をするということを第一にいたしました。これらに関する資料を、水産庁当局から相当広範な資料の提供を受けまして、これの検討をいたしますとともに、これに関する総括的な各委員の意見等をも十分に出していただきました。
 そういうことで、総会を数回いたしまして、さらに進んで、これはもっとこまかに分けて検討する必要があるということになりまして、御承知のように、わが国の漁業は沿岸漁業から非常に大きな沖合い遠洋漁業に至るまで各般のものがある、まず第一に遠洋・沖合いに関する漁業部門、それから沿岸漁業というふうに大分けをいたしまして、二つの部に分けまして、前者を第一部会、後者を第二部会ということで部会を持ってさらに審査を続けました。そして、それぞれの検討を重ねますとともに、とりあえず、この問題点というふうなものを、翌三十四年の五月に至りまして、漁業制度調査会の一般討論に関する事項というふうなことで、一応問題点等をまとめまして、これを公表いたしまして、いろいろ一般の方の御批判も受けようということにいたしました。
 その後、さらにこれを掘り下げて十分に制度的に検討いたしますために、小委員会を設けまして、きょうここに参考人として御出席になっておりまする浅野委員に小委員長になっていただきまして、自来小委員会を開きまして検討を加えました。さらに、これらの結果を部会、総会にかけまして、昭和三十四年の十月に至りまして一応一つの中間報告を農林大臣に申し上げました。
 その内容は、大体、漁業に関しまする一般情勢の認識と、今後におきまするこれに対応する漁業政策についての一応の見解、それから、漁業権と漁業協同組合との関係という事柄につきまして、とりあえずの中間報告をいたしました。ことに、漁業権と漁業協同組合との関係というものは、沿岸漁業の今後の制度の中枢をなします問題でありますので、相当時間をかけてこの両者の関係を検討いたしました。沿岸におきまする管理漁業権的なものはやはり従来通り漁業協同組合に管理せしめるとともに、漁業協同組合をしてますます沿岸漁業者の経済団体としての機能を発揮せしめるようにやって参るというふうな概括的な中間報告をいたしました。
 さらに続きまして小委員会において詳細なる検討を重ね、これらの部分につきまして順次取りまとめをいたしました。
 この問、昭和三十五年におきまして、御承知のように農林漁業基本問題調査会と申しますものが内閣にできました。ここにおいて漁業部門について漁業の広範なる将来の対策、基本的な問題を検討されることになりましたので、実は、制度調査会といたしましても、この基本問題調査会の漁業に関します結論、行き方等をやはり十分この際参酌をしてそれを制度化す必要があろうというふうなことも考えましたので、この制度調査会といたしましては、基本問題調査会の漁業に関します基本問題、根本政策というものの審議を並行的に見ておりました。この委員会には制度調査会からも臨時委員その他の委員も加わりまして、この作業をいたしました。その結論が昨年秋にできましたので、そこで本格的の最後の仕上げを漁業制度についていたしました。
 漁業法につきましては、漁業権、さらに沖合い、遠洋につきまする各種の許可漁業、地方の許可漁業あるいは農林大臣の許可漁業、あるいはこれらの基本をなします漁業調整の問題等を根本的によく洗いまして、これを掘り下げて、さらに将来の制度として改善すべき諸点を指摘いたしました。これが大体漁業法の関係であります。同時に、水産業協同組合法は、これは沿岸漁業、ことに漁業権と密接な関係がある。また、今後沿岸漁業の体質改善と申しますか構造改善の上におきまして一番の中枢的役割をなす制度でありますので、この水産業協同組合法関係を十分に審査をいたしまして、今後改善をすべき諸点を指摘をいたしました。さらに、水産資源保護法、これは御承知のように非常に大切な法律でありますが、その一部が漁業法の漁業調整制度と非常に重複をいたしまして、現実にこの二つの法律を施行しております状態を見ますと、一つの政令を出しますのでもこの両者を援用しなければならないというふうな非常に形式的な煩瑣な関係もありますので、むしろ水産資源保護法の中の漁業調整に関係する部分等はこれを漁業法と同一傘下に将来は整理した方がよいのではなかろうか、それとともに、水産資源保護法については、政府が今後積極的に水産資源を培養し造成して参るというような点に強い力点を置く改正をする必要があるのではなかろうかというような趣旨をもちまして、この三つの法律を中心にします最後の仕上げをいたしまして、小委員会及び部会等の議を経、さらに総会の議を経まして、過般三月二十八日の総会におきまして最終的な結論を出しましたので、これを農林大臣に御報告申し上げまして、これらにつきましての今後の立法化をなるべくすみやかにお願いするというふうな趣旨におきまして答申を終えました次第であります。
 その間約二年十カ月ほどかかりまして、当調査会といたしまして、はなはだ貴重な時間を費やした点についてはまことに恐縮に存じておるのでありますが、事情、ただいまのような、非常に広範な制度についての審議を制度調査会としていたさなければならなかったことと、また途中に漁業の基本問題的な調査が加わりました関係で、やはりその結論を待ってそれに応じた制度を立てるのがいいというような関係から、やや時間がかかりました次第であります。
 以上であります。
#5
○坂田委員長 次は、浅野長光君。
#6
○浅野参考人 基本問題調査会の臨時委員をいたしております浅野であります。
 ただいま井出調査会長から御説明がございましたように、漁業制度調査会が開かれまして以後、基本問題調査会ができまして、そちらで農業を中心にいたしました基本問題を検討になりましたあとに続きまして、三十五年の二月に漁業部会が設けられまして、ここで当局の方から「日本水産業の推移と水産業政策の問題」という資料を御提出になりまして、それに基づきまして政府の方から諮問があったわけでございます。その際いかなる諮問がございましたかと申し上げますと、その内容は、「水産業基本問題に関する検討事項」及び「水産業基本問題に関する検討事項参考附表」というような提出書類もございまして、それに基づきまして審議をいたしたわけでございますが、その二月十六日のときの説明の中に、いろいろ最近における漁業の推移の状況を御説明になりまして、水産業の基本政策の問題点といたしましては、生産性の向上と漁業経営の安定、漁業所得の向上等を通じまして、漁業者及び漁業従事者の生活と文化を向上させて、漁業を近代産業として確立すること、それから、国民経済の発展と国民所得の増大に伴いまして、水産業の安定的成長をはかり、水産物需給の長期的均衡を通じまして、国民の食生活の向上及び日本経済の発展に対する水産業の貢献とその地位を強化することというふうな点が中心問題になりました。つまり、漁業制度調査会におきましては、その答申の中にございますように、戦後の漁業制度改革後の推移を反省いたしまして、今後の基本制度は、主として漁業法関係、水産業協同組合法関係、水産資源保護法関係を中心にいたしました改善をいかにするかということになったわけでございますが、この基本問題調査会におきましては、この問題点の指摘にございますように、日本経済の長期展望、経済の安定・発展というふうな点にからみましての問題につきまして、漁業面におけるところのそういう面の長期的政策に対するところの基本問題を検討していくということで、非常に広範な問題を中心にいたしましての問題の検討に入ったわけであります。
 そういたしまして、まず、先ほど申し上げましたいろいろの検討事項といたしましては、その検討の審議の進め方といたしまして、所得に関する事項、需給及び資源に関する事項、経営、就業に関する事項というふうな区分に分けまして、逐次審議をすることといたしたのでございます。
 そういたしまして、漁業部会は六月から八月の夏の間に七回にわたりまして会議を開きまして、それぞれの所得、需給、資源、経営、就業に関する項目というふうな点の検討をいたしましたわけでございますが、漁業と申しますのは、御承知のように、零細な漁家経営から大資本漁業に至りますまで階層的に非常に大きな幅がございます。これを漁業一般の問題といたしまして一律に論ずることは適当ではないということの結論になりまして、所得が低くまた経営が不安定な沿岸漁業と中小漁業とにその主たる焦点を置いて、必要な範囲におきまして漁業一般の問題を検討するということに相なりまして、主としていわゆる沿岸漁業と中小漁業を中心にしたところの問題点並びにその対策というものを検討いたしたわけでございます。
 そういたしまして、三十五年の九月の第八回会議並びに九月末の第九回会議におきまして、それらの討議されました論点を整理いたしまして、「漁業の基本問題と基本対策草案」並びにそれの参考附表というものを作成し、それに基づきまして審議を重ねたわけでございますが、ここにございます今申し上げました参考附表と申しますものは、先ほども申し上げましたような長期展望、長期経済の発展に対する関係におきます漁業の基本問題を検討いたす関係もございますので、当時内閣にございました所得倍増計画の作業部門の関係等におきましていろいろのそういう長期展望的の資料の検討もございますので、勢いそれらの資料並びに水産業の長期の見通しにつきましての資料をつけたわけでございます。これは農業の基本問題の場合と同様な扱いをいたしたわけでございます。そういたしまして、これらの審議の結果を部会の意見といたしまして、「漁業の基本問題と基本対策案」ということに取りまとめまして、十月十四日の第十回の会議におきまして検討を加え、そしていろいろの意見が加わったわけでございますが、最終的に十月二十六日の第十回の農林漁業基本問題調査会の総会で、「漁業の基本問題と基本対策」ということで答申することに相なったわけでございます。
 その大体の考え方を申し上げるわけでございますが、この点につきましては、お手元に「漁業の基本問題と基本対策」という資料があるわけでございますので、それに譲ることといたしまして、本件の漁業制度調査会と基本問題調査会との関係ということにつきまして申し上げた方がいいのではなかろうかと存じますが、ただ、この基本問題調査会の結論はいかなる形になっておりましたかということの概括を申し上げます。
 まず、答申の内容は、第一節の序論において、「基本問題の理解とその背景」、「基本政策の方向づけ」、「基本政策の目標」というふうな項目を出しまして、基本問題の主たる目標は漁業の構造の改善、基本政策の目標は長期的観点に立ちまして漁業における構造改善をすることが基本問題の最終の目標であるというようなことで、構造政策の問題点ということが強く出ております。
 第二節以下は各論的になりますが、第二節では、「沿岸漁業の構造改善対策」としていかなるものがあるかということ、それには総括的の問題を述べ、さらにその沿岸漁業の就業構造の改善対策はいかにするか、これには基本的には教育の振興なり漁民の職業転換の指導組織の確立も必要である、転業の助成対策も必要であるというふうなことが述べられ、沿岸漁業の経営構造の改善対策としましては、浅海増養殖業の推進以下魚類養殖業の推進が大いに必要であり、また、沿岸から沖合へ漁業が発展していくということを助長ないし促進しなければならない、そうしてもって健全な漁家経営を育成していかなければならないという意味における経営構造の改善対策を述べ、さらに、大きな土木事業を伴うような漁場の造成でありますとか、中核的な漁港を中心といたしますところのいわゆる漁村経済圏を建設いたしまして、沿岸漁業の構造改善に役立たせなければならないというような問題を取り上げておりますし、さらに、沿岸漁業の改良指導制度を確立して、この問題の指導面の確立をしていくというようなことを述べております。
 さらに、続きまして、第三節では、「中小漁業の経営構造改善対策」といたしまして、経営の合理化対策、また、価格流通の対策を考えなければならない、これにつきましては過去においてはある程度のいろいろの施策がございましたけれども、基本的な問題といたしましては、自主的な漁業調整組織を確立するとともに価格対策なり流通対策に対して抜本的の対策を考えなければならない、さらに、漁業労働関係の近代化についても、労働条件の近代化なり、労働保護法、社会保障制度の適用を十分考えなければならないということを述べております。
 次に、「構造改善に関連するその他の諸対策」といたしまして、構造改善は、どうしてもその根底をなすところの漁業を維持育成しておりますところの漁業制度との関連におきましての対策を考えなければならないという点におきまして、漁業権制度、漁業許可制度ということ、並びに漁業協同組合との関係、それから汚水及び埋め立て、干拓に対する関係というような問題につきましての基本問題調査会といたしましての所要の対策を述べてございます。この問題はあとで述べさせていただきます。そのほか、漁港の重点的の整備が必要である、漁船の対策が必要である、さらに、漁業共済制度についてどうあるべきかという問題、また、構造改善に伴うところの財政投融資、組合系統金融はいかにあるべきかという問題。
 それから、日本の漁業といたしまして、国際協力の関係におきます国連外交等の問題にからみまして、海外に参りましていろいろの漁業をいたします問題、いわゆる海外漁業対策というものはいかにあるべきかという問題に触れてございます。
 さらに、それらの今後の構造改善を完全にし、沿岸並びに中小漁業の経営を安定させていくという面から、何分にも技術革新という問題が大きく考えられなければならない。その意味におきまして、試験・研究の体制をいかに刷新するかという問題にまで触れてございます。
 このように広範な問題につきまして基本問題調査会においては触れたわけでございます。
 では、先ほど申し上げました基本問題調査会と制度調査会との関連にからみまして簡単に申し上げさせていただきたいと思います。この答申の中では、「構造改善に関連するその他の諸対策」というところで、構造改善と漁業制度ということで、漁業権制度といわゆる漁業許可制度との二つにつきまして考えなければならないということを述べてございます。すなわち、漁業権制度につきましては、構造改善で先ほど申し上げました意味におきまする新たに造成されましたところの大規模な養殖漁場につきましては、その生産性を最大限に発揮するために統一された主体のもとに一元的に漁場の管理、運用を行なうことが必要である、その見地から、現行の漁業権の免許の仕方とかあるいは漁業権の行使の仕方を改善する必要があるということを述べてあります。この点は、制度調査会におきまして、先ほど御説明がございましたように非常に重点を置きまして、漁業権制度につきまして検討いたし、個々の条文に入りましてまでのこまかい検討もいたしたわけでございます。それからまた、漁業権の行使方法につきまして、はたして現行のような漁業権の行使方法でいいのか、あるいは組合を中心にいたしまして漁業権行使の管理規程というようなものを考えて、この適用において漁業権の行使を適正ならしめるというような方法を考えなければならぬというふうな点も検討いたしたわけでございます。これらは中間答申等におきまして一応の結論を出しておりましたけれども、基本問題調査会におきましてこのような結論の答申が出ておりますので、これを再検討いたすというふうなことを制度調査会の方でもいたしたわけでございます。
 次に、大規程な漁場はもちろんのこと、既存の養殖漁場におきましても、漁民を主体としながら資本の調達がかなり自由にできる新しい漁民の共同経営組織が漁場利用に参加できるように漁業権制度の改善を行なう必要があるということは、大規模な土木事業を行なってやるような考え方、たとえば最近瀬戸内等で本格的な大きな会社経営、準会社経営、共同経営というふうな形でやられます場合に、それを漁業権制度の中でいかに考えていくかという問題、これも漁業権制度としては非常に重要な問題でございます。これらもその線に沿いましていろいろ検討いたしたわけでございます。
 また、漁船漁業の問題につきましても、将来の方向としては、沿岸漁場における小型動力漁船の出漁の範囲を拡大し、生産性の向上を可能ならしめるよう漁業権制度とその運用を改善する必要があるという結論を出したのでありまして、これも漁業権制度の中の検討の際に再検討いたしたわけであります。
 また、大きな問題でございますところの漁業許可制度につきましても、現行の知事許可制度というものが、はたして沿岸に生産性の高い安定した漁船漁業を育成していくような方向になっているかどうか、また、その沿岸漁業の構造改善の方向に即して改善を加える必要があるかどうかということを検討するようにという結論になっておりますもので、この点は、制度調査会におきましても基本問題調査会の答申が出ております当時におきましてはまだ審議の過程でございましたので、この基本問題調査会の答申に基づきまして非常に白熱的な討議がございまして、私の記憶では、小委員会におきまして何べんも繰り返しの検討が行なわれて、非常に議論が白熱いたした部分でございます。もちろん、知事許可漁業ばかりではございません。この問題は、大臣許可との関係の問題、沿岸漁業から沖合いに進んで参ります場合におけるところの許可の与え方の問題、許可期間が満了いたしましてそれを今度は継続的にいたします場合におきますところの許可をいかにするかというような問題等につきまして非常な議論が出ましたわけでございますが、これらはみな基本問題調査会の答申等の線に沿って検討いたしたわけでございます。
 さらに、制度調査会の方と関連が一番深くていろいろ委員が議論をなさいました点は、御承知のように、現在漁業の許可が権利化されており、そうして転々売買されているという現状は非常に弊害を生じておって好ましくないからそれについての対策を別途検討を加える必要があるという結論が出ておりまして、この線に沿いまして制度調査会におきましては非常な議論をいたしまして、漁業許可の本質論から入りまして徹底的な討議をいたすために相当な時間をかけまして、先ほど御説明がございましたような制度調査会の結論になったわけでございます。
 このように、漁業制度調査会におきましては基本問題調査会の結論を中心にいたしまして検討いたした問題が相当ございましたわけでありまして、従いまして、漁業制度調査会の答申の中に、基本問題調査会の答申に示されたところの目標と基本対策は大綱において妥当であり、現行の漁業に対する基本的制度とその運用もこの目的の達成に資するように改善せらるべきものと考えるというような結論になりまして、その旨が記載されておるのでありますが、基本問題調査会と漁業制度調査会との関係というものは、そのような関係におきまして、答申を受けて制度調査会において検討され、その結論が本年三月に最終的に答申になったというふうな形になっているわけであります。
 非常に粗雑な乱雑な説明でありまして恐縮でございますけれども、御質問がございましたらお答えすることにいたしたいと思います。
#7
○坂田委員長 これより参考人に対する質疑を行ないます。角屋堅次郎君。
#8
○角屋委員 ただいま、漁業制度調査会の答申並びに農林漁業基本問題調査会の「漁業の基本問題と基本対策」に関し、井出さん、浅野さんのそれぞれの御報告があったわけでございますが、ただいま浅野さんの方からも、農林漁業基本問題調査会の漁業関係と、その前にすでに発足をしておりました漁業制度調査会の両者の関係についてお話がございましたわけですけれども、大体、一般的に言うならば、農林漁業基本問題調査会の方は長期展望の問題、それから漁業制度調査会の方は漁業制度に焦点を合わせた当面の問題こういうふうなことで、農林漁業基本問題調査会の発足したときに意思統一がなされて両者緊密に連携をされながら運営をされたものと理解していいのかどうか、この点をまずお伺いしたいと思います。
#9
○井出参考人 ただいま御質問の両調査会の関係につきましては、大体お話のようなそれぞれ分野を持っておるのであります。あとからできました基本問題調査会の方は、お話のように、一つの長期見通しのもとに、漁業部門につきましては各般のこれに基づく見通しとそれに対する各般の政策、対策を考える、こういうことのようであります。それから、漁業制度調査会の方は、制度でありまするから、相当に長期にわたる制度ではありますが、当面の制度並びに当面の状態から見て、現在の制度をどう改善していくかということにしぼられておる。ただ、制度でありまするので、御承知のように、漁業権とかあるいは漁業許可というふうなものは、五年、十年、二十年とやっぱり相当長期の期間を見通して制度を検討しなければならぬというふうな部分もかなりありますから、一応この基本問題調査会の長期見通し及びそれに対する対策の大要というものを参照した方がよかろう、どうしても関連するからということでありまして、両者大体そういう関係であります。
#10
○角屋委員 農林漁業基本問題調査会の漁業関係の答申は、先ほども浅野さんからお話しのように、沿岸、沖合い、遠洋のうち、特に沿岸漁業あるいは中小を中心にした沖合い漁業を含めてのそういう対策に重点を置きながら検討が行なわれたということですが、漁業全般の問題としては、やはり、農業問題のときにもいろいろ論議したことでありますけれども、政府のこれから十カ年間における所得倍増計画というものの中における漁業関係の位置づけというものが当然両調査会とも討議された問題だと思うのです。需給関係の問題がありましょうし、あるいはまた所得政策の問題もありましょうし、あるいは今後の漁業関係の人口減の問題等、さらに所得倍増計画からいけば財政投融資・予算というふうな各般の問題を含めての論議が漁業に焦点を合わせながら行なわれただろうと思うのですが、今後十年間の所得倍増計画で考えておる漁業関係の方向と、両調査会の検討の経過というものについてお話しを願いたいと思います。
#11
○浅野参考人 ただいまの御質問の点につきましては、基本問題調査会におきましては、基本問題調査会の答申の中で、文章的には、将来の漁業構造という一つの項目を設けまして、その輪郭を描いております。その点はいろいろの前提条件が必要ではございましょうけれども、御指摘のように、当時の国民経済の長期計画、いわゆる所得倍増計画というものの計画資料を参考にいたしまして考えるのが一番便利でもあろうというような考えのもとに、三十一年ないし三十三年を基準年度といたしまして四十五年を目標年次といたしました問の水産需要は、弾性値を基礎に計算すると相当大幅な増加が見通される、あるいは供給の見通しはどうである、あるいは就業人口の将来の見通しはどうであるというふうな点を、所得倍増計画の数字を参考としてここに掲げまして、これが計画資料の一つの参考である、これを考えるのが便利であるというふうに考えまして、所得倍増計画の資料を引用してございます。それは、その倍増計画それ自身をそのままに使うということではなしに、一つの参考ではなかろうかというふうな引用の仕方をいたしております。それで、先ほど申し上げましたように、そういうふうな関係もございまして、この答申には参考附表というものがついておりまして、その中にはいろいろの問題もございまして、十年後の四十五年の際にはどうなるかというふうな数字を、農業でいたされましたような式によりまして大体各部門に分かれまして出しております。これはあくまでも参考資料であるという形においてでございます。
#12
○角屋委員 予算とか財政投融資関係の問題で、構造政策、生産政策あるいは漁村における環境整備、近代化、各般の問題を検討されたわけでありまするから、従って、それに伴って、一応目算として、今後かりに十年なら十年をとれば、予算関係ではほぼこれくらいのものが必要であろう、あるいは財政融資関係では大体この程度のものが必要ではないか、こういう検討もおそらく試算的にはなされたんじゃないかというふうに思うわけです。御承知の通り、政府の所得倍増計画の中で、本委員会で問題になりましたのは、十六兆一千三百億の全体の行政投資というワクの中で、一応予定として農林水産関係全体を含んで一兆円というのは、農業の近代化を考える場合にも漁業の近代化を考える場合にもきわめて僅少ではないか、こういうことが本委員会でもしばしば問題になりまして、これは再検討しなければならぬということに相なっておるわけですが、この際、やはり、今日の特に沿岸漁業あるいは沖合い漁業を中心とした構造政策あるいは生産政策を進めるためには、漁場の造成その他各般の問題をやるためにも相当な行政投資・予算というものが必要になってくるのではないか。調査会でこういうものの試算をなされたとするならば、参考までにそういう内容等についてお話しを願いたいと思います。
#13
○浅野参考人 今の問題でございますが、財政投融資のこの参考附表によりますと、そこには、御指摘のような財政投融資の問題につきましては、今後どれだけのものが要るであろうかというふうな計算は、過去の計算を出しておりまして、今後四十五年にはどのくらい要るであろうかという数字は出しておりません。ただ、これは、所得倍増計画の水産の方の、いわゆる農業小委員会でございますか、農業近代化委員会でございますか、そこにおきましては数字を計算いたしまして、必要とするところの財政投融資関係の数字を出してございます。しかし、これは問題に出た程度でございまして、基本問題調査会といたしまして数字的にこれをいかにするかというところには相なっておららないのでございます。しかし、今御指摘のように、その数値は私ども計算いたしました。私も所得倍増の方の専門委員をいたしておりましたので、その関係の計算をいたしたわけでございますけれども、結論的に出ました数字は相当のものが出ましたわけでございますけれども、最終的に、公共投融資部門でありますか、公共部門でございますか、ああいう方面との関係等におきまして、御指摘のように、農林部門で幾らというふうな大きなワクが出てしまいまして、農業で取りましたもののあとを林業と水産が持っていくというふうな形に相なったということでございまして、近代化小委員会の中に公表されております数字は至って小量で、漁業といたしましてははなはば遺憾であるというふうな感じを、関係いたしました者といたしましては持っております。
#14
○角屋委員 概略幾らぐらいですか。
#15
○浅野参考人 これは公表されております数字は覚えておりませんが、これは多分内閣から答申の数字が出ておりますが……。
#16
○角屋委員 公の数字じゃなしに、その前の試算の数字です。
#17
○浅野参考人 試算の方は材料をきょう持ってきておりません。
#18
○角屋委員 公の数字はけっこうです。
 今お話しの将来の漁業構造の輪郭という中で、所得倍増計画に関連したような問題が出てくるわけですけれども、たとえば生産の伸びについては漁業関係で三%、さらに漁業関係の人口減というものをおおむね二%、さらに行政努力を加えて二・三%というふうなことで、基準年次の七十五万人を目標年次では五十五万人に持っていこう、そういう中で、今後の就業者一人当たりの生産の伸び率というものが五・五%の中で沿岸漁業が五・八%、沖合い・遠洋漁業が五%、こういうふうなことで基本問題調査会の数字は出ているのですが、私ども常識的に言って、よほどのことをやらぬと沿岸漁業の生産の伸び率五・八%というのはなかなか至難じゃないかという感じが率直に言ってするわけですけれども、やはり、他産業の所得の伸びというものとあまりアンバラがあってはいかぬという意欲等があって、沿岸漁業の場合の生産の伸びあるいは人口減というようなものを考えに入れて総合的に五・八%ということにされたのか、こういう問題の検討の経過というものを少しくお話し願いたいと思います。
#19
○浅野参考人 ただいま御質問の点につきましては、就業人口の減少の問題、生産の見通しの問題、その計算の基礎等につきましては、計算過程におきましては、いろいろな農業でやられましたような数式に基づきました計算、それから個々の過去におきまするところのいろいろの実態調査等を基礎にいたしました見通し等の点で、ただ数式的に出ますところの計算に対する批判が出るわけでございますけれども、まず、就業人口の減少につきましても、その内容について、他産業への転業率、あるいは弱年層が減っていく、それで老年層ばかりになっていくじゃないかというふうな問題等の勘案をしなければならないというふうな点も出て参ります。それで、この昭和二十八年度におきまする漁業就業人口の総数を一応幾らに押えるか、また基準年次におけるところの総数を幾らに押えるかというふうな問題につきましても、農業におきますところの人口を押える場合と漁業におきまして押える場合におきましては、統計数字におきましていろいろの問題があるのでございます。従いまして、あくまでもこれは試算である、一応の仮定のもとにやるということで、十年後におきましては五十八万ないし五十二万人と、現在よりはかなり減少するものと考えるというふうな計算が近代化小委員会においてはなされたわけでございます。
 それから、生産の見通しにつきましても、これは一応漁種別にかなりこまかい数値を以前に水産庁当局におきましていろいろ前の五カ年計画等におきまして整理されたものがございます。それを再検討いたしまして、また、その後の養殖業の発展の趨勢、それから北洋漁場等におきますところの制約の問題、また、北洋の問題といたしましては別途に底魚の開拓がございます。それを今後どういうふうに考えるかという問題等を勘案いたしまして、その数字を個々に積み重ねてあげてみるという作業もいたしてみました。しかし、それを漁種別にこまかく出して参りますと、いろいろ、主観的と申しますか、計算をする者の主観的観念が入る余地が多うございますので、それと、それから数式を用いました過去の伸びから出て参ります計算と大体照合いたしまして、七百四十万トンというふうな数字を出しておるわけでございます。しかし、この七百四十万トンというものにつきましては、基本問題調査会の部門におきましても、この数字がはたして可能かどうかということの御議論が相当ありました。基本問題調査会におきましても、私がたまたま所得倍増計画でその方の担当をいたしておりましたもので、私どもで検討するようにという御指示がありまして、専門委員を中心にいたしまして水産庁並びに企画庁の関係者を入れまして三、四回にわたりましてもう一度基礎に当たりまして数字を立て直しました。その結果、やはり七百四十万トンという数字が一応妥当じゃなかろうかということで出しまして、基本問題調査会におきましても小委員会において御納得をいただいて数字を出しておるというふうな経過がございます。
#20
○角屋委員 特に沿岸漁業の場合は、第二次、第三次産業の発展に関連をいたしまして、優良漁場あるいは普通の漁場等も含めて、漁場の喪失問題というのが一つ大きな問題になってくるし、また、同時に、工場汚水その他の問題の影響というものもあるわけです。長期展望の問題を考える場合に、特に沿岸漁業の場合に、漁場の喪失というものが大体どの程度に十年間にはなってくるであろうか、あるいは積極的な新しい漁場造成というものがどの程度になされなければならぬ、こういうことが当然論議の問題になるだろうと思うのですが、そういう漁業と他産業との競合関係から来る今後の沿岸漁業を中心にした問題の検討というものはどういうふうにされたか、その辺のところを伺いたい。
#21
○浅野参考人 その問題は御指摘の通り非常に大きな問題でございますので、基本問題調査会の方におきましては、汚濁水に対する措置を十分に検討しなければならないということで、特に汚水及び干拓、埋め立てに対する対策については十分の検討を要するということになっております。これには御承知の三十四年に成立いたしました二つの法律がございますけれども、その水質基準の決定の問題を急いで処理するように努力しなければならないということ。それから、経済発展に伴いまして工場用地が沿岸に求められておる。それに対して漁民の不安があり、非常に生産ができないということ、同時に住宅の建設もできないというふうなことの問題も出てくる。それにしましても、何かこれに対する措置を必要とするのではないか。単なる補償という形だけではいけないのじゃなかろうか。あるいは埋め立て干拓の先に新しい漁場を作るとか、あるいは転業した漁業者あるいはその子弟の更生の道を開くように措置を確実にする。とかく、従来におきましては、一時その新工場に雇用されることがあっても、非常に短期間にすぎない。そういうことであってはならない。だから、徹底的にそういう者に転業の機会を与えるように、また、漁業者側におきましても、転業し得るような教育と申しますか、訓練と申しますか、そういうこともしなければならないというふうな問題を特に取り上げております。
 ことに、この問題は、所得倍増計画の方におきましても、その点は十分努力をしなければならないということで、沿岸養殖業に対するところのいろいろの施策ということで、浅海養殖の大規模開発ということと関連いたしまして、他からの圧迫というふうなものに対する排除と申しますか、それに対するところの適切な措置というふうな問題を十分検討する必要があるということを、特に「漁業近代化の課題と方向」というところにおきまして倍増計画の方でも強くその点はうたってございます。
#22
○角屋委員 具体的な数字的な問題は出ませんでしたが、けっこうであります。
 浅野さんは所得関係の問題に特に参画されておったようでありますが、第一次産業と他産業との所得格差が非常に大きな問題になって、基本法が論ぜられている、あるいは沿岸漁業振興法の問題が検討されるということに発展してくると思いますが、特に沿岸漁業を中心にした漁家所得の問題で、昭和三十一年から三十三年の漁家経済調査によりますると、無動力船の場合は二十五万九千百五十七円、動力船三トン未満は三十四万三千二百十二円、動力船三トンから十トンまでは四十六万五千五百六十六円。大型と小型定置網、ノリ、カキ、それぞれ所得がありまして、漁業所得だけでなく、農業所得、労賃所得が加わった全体の所得内容が数字的に出されておりますけれども、この所得倍増計画と関連して、特に沿岸漁業に従事する者の今後十年間の所得というものが、いろいろ行政的な努力等に伴い、あるいは漁業関係者の協力等と相待って、最終年次では一体どこまでいけるか。その所得格差について出てくる問題はどういう方途でカバーしなければならぬかという問題について、漁業基本問題調査会の漁業関係ではどういうふうに論ぜられてきたか。これは一つの焦点だろうと思いますが、所得関係に特に関係されたわけでありますから、明確にお答え願いたいと思います。
#23
○浅野参考人 参考附表の六ページでございますが、それは「階層別にみた就業者一人当り漁業生産所得」というものを三十三年度の表を中心にして出してございまして、その次に、四十五年度におけるところの所得の数字を、三十三年を平均基準年次といたして四十五年に漁業全体ではどうなるかということを抽出いたしておりますが、四十五年度におきましては、沿岸漁業といたしましては、漁業総数におきましては、億を単位といたしまして、一八九三でございます。それから、就業人口が、先ほど申し上げましたように五十五万人、就業者一人当たりの所得は三十四万四千円という数字を漁業全体としては出しております。それから、沿岸就業者一人当たりを申し上げますと、沿岸養殖業におきましては二十七万円、遠洋・沖合いが五十三万円という数字になります。それで、この場合、先ほど御質問がございましたが、沿岸・養殖というものは一本にいたしました。それから、沖合い・遠洋を一本にいたしました。沿岸漁業だけという形には整理できませんので、沿岸・養殖を中心に抽出いたしたわけであります。
#24
○角屋委員 時間の関係もありますので、漁業基本問題調査会の漁業関係の問題についてはさらにいろいろありますが、漁業制度調査会の問題について井出さんを中心にお伺いいたしたいと思います。
 先ほどお話がございましたように、大体制度に焦点を置きながら具体的な内容にまで入っていろいろ答申がなされておるわけであります。内容を見ましても、制度改正の基調、さらに、漁業権制度、漁業許可制度、漁業調整機構、水産業協同組合制度、生産共同化の組織、内水面漁業制度、水産資源保護制度、各項目を見ましても、中間答申は別といたしまして、今度の答申は制度に焦点を合わせてなされております。これに基づいて政府が十分検討して、これに関連した法案が次々出されてくるということに相なろうと思うのでありますが、御承知の通り、今度の国会には、漁業制度調査会の答申がおくれた、おくれたといいますか、時期的におそくなっておる関係で、漁業権の問題については残念ながら切りかえに間に合わない、こういうことで、二カ年延伸という問題が法案として出てきておりまして、おそらく来週からこの問題の審議に入ろうということに相なります。三十三年の六月から発足したのでありまするから、漁業権の問題に関してはあるいは時期的に間に合うようにやっていただけたらむしろ幸いと存じますが、その間には、調査会としてやはり漁業権の問題というのは大へん重要な問題ですから時期的におくれたということに相なるのかもしれません。そこで、漁業権の問題については、共同漁業の問題から区画漁業あるいは定置業、いろいろ漁業権にもそれぞれあるわけでございますけれども、特に漁業権制度という問題を論じた場合に、どういう問題が非常に焦点になってそしてこれはまあ最初のはし書きのところにも漁業権の問題については意見の分かれた点を摘記してありまするけれども、特に今後の審議の参考のためにも、漁業権問題については論争点になったところはどういう点が論争点になったか、そして最終的にどう決着したのか、この答申をなした経過の問題について率直に一つお話を聞きたいと思います。
#25
○井出参考人 ただいまの御質問にお答えを申し上げます。
 お話のように、漁業制度の調査上最も力点を置きましたのは、沿岸漁業の根幹をなします漁業権制度の再検討をしてみるということであります。
 これは、御承知のように、戦後現行漁業法に切りかわった際に大改正がございましたので、それにつきまして、まず第一の問題は、沿岸漁業権の大部分は沿岸漁業者をもって組織される一つの共同体の管理のもとに、その組成員である沿岸漁業者に利用させていくという体系、これが漁業権のほとんど大部分をなしておると思います。すなわち共同漁業権と申しますのがそれでございます。それから、養殖に関しまする区画漁業権の相当部分もこれに該当すると思います。それから、これと対照的な関係にあります漁業権としては、漁業を営む者が直接にその漁業権の免許を受けているもの、営業といいますか、経営者に免許をするというもの、これが一つ一方にございます。その代表的なものは、現行制度におきまして大型定置漁業、それからもう一つは真珠養殖漁業、これは一種の区画漁業でございます。この二つが一方において対照的なものでございます。また、この中間に、経営的なものでありまた漁村共同経営体の管理的なものにも行き得るというふうなものが、ある程度区画漁業権等にございますわけで、そんなふうな情勢になっておるわけであります。
 それで、その第一点の沿岸漁業者のために漁業権を管理しこれを漁業者に使わせしめるという主体の問題について当初に論議が起こされました。これは、御承知のように、漁業協同組合がほとんど専属的に免許を受けて、共同漁業権になっております。この漁業権を協同組合に持たせていいかという点について、内部でいろいろ議論がございました。と申しますのは、漁業協同組合を、一方において少なくとも現在の合併前の旧市町村程度単位の広い組合にして、経済活動を中心にしてやらせなければならぬじゃないか、今後漁業者の経営の安定あるいは構造の改善をします上において、この協同組合を通じてやらなければならぬ、それには経済団体として徹底していく必要がある、ところが、地方の住民である漁業者のために総括的に漁業権を持ってそれを使わせるということとは相矛盾する場合がありはしないかということが論議されたのでありますが、しかし、これがためにもう一つ特別な団体を作るということは、結果的にはほとんどその地区漁業協同組合とうらはらのものができるという結論になりますので、それらの点も考えて、これは両者を持たせていくことが、漁業協同組合の経済団体としての発展にも支障を来たすようなことがないのみでなく、場合によっては沿岸漁業者がいろいろの利用関係その他を進めていく上において有効であるというようなことで、この両者は従来通りに一つの地区協同組合に持たせていくことがよろしいという点が第一の論点でございます。それから、共同漁業権につきましては、できるだけこれを従来のような協同組合にしっかり持たせて管理をしていきますとともに、内容的に整理をする必要があるものは整理をしていくというこまかい点はありますが、大体現在の制度を確認して参る。
 それから、もう一つ問題になりましたのは、営業的漁業権であります定置漁業権、御承知のように、これは漁業協同組合がかなり持つわけであります。持つというのは、法律の建前上は、漁業協同組合が漁業自営をする、定置漁業の自営をするということにおいて優先的に免許せられることになっております。この漁業協同組合による自営というものについて、過去約十年ほどの経験等から見まして、功罪二つのいろいろやかましい論議がございました。結論的には、沿岸漁業者にできるだけ定置漁業の地元の漁利を直接均霑させる作用としては、やはり漁業協同組合へ自営をせしめるということで免許をする必要があるのではないか。ただ、過去の経験によりますと、一つは、協同組合が自営をするとして仮装的な経営をしているというふうなものもあり、それから、もう一つは、経営はしたのであるけれども、経営の仕方その他にもう少し足りない点があるために、協同組合自体の経済的の地位を危うくしたという例もある。それらの過去の経験なり教訓を見まして、これは従来のように自由にやらせることについては考えものではなかろうか、適当な行政庁においてチェックをして、また監督をして自営をやらせるならやらせる、それで参らない場合におきましては、漁業協同組合以外の、できるだけ地元に即した漁業者の集団あるいは共同体というふうなものに免許していくということは、これはできるだけ指導いたさなければならぬというようなことが最終的な結論になったわけであります。
 それから、もう一つ、これに関連して、この「まえがき」にもありますように、最後まで二つの説が立ちましてきまらずに、少数説として紹介しておきましたのは、この漁業協同組合の持ちます定置漁業権というものは、今のように自営主義を厳格に今後監督して守らしていくということになりますと、場合によって事情に即さない場合が出はしないか。漁業協同組合が何かの一時的な事情によってそれを他に貸し付けてやった方がいいという場合がある。そういうような場合は一時貸付を認めたらどうか。これは、御承知のように、従来漁業権の貸付ということは新法以来一切禁止されておる。この点も論議されましたが、これは、やはり、新たな地主と申しますか、こういう営業漁業権についての地主の出ることをおそれるがゆえに、やはり貸付は禁止しておくのはいいが、ただ、漁業協同組合が自営のために持ったのであるが、一時的の事情で貸付をしなければならぬという場合においては貸付制度を認めたらいいじゃないか、これを認めないとなると結局休業しているということになる、あるいはそうでなければ何か抜け道の仮装経営をするということになるから、むしろこういう場合においては貸付を表向きから許可していった方がいいのじゃないかという論議がありました。しかし、これは少数説でございまして、論議は相当時間を費やしましたが、いれられない点の一つでございました。
 それから、もう一つ、同じく経営者主義の漁業権でありまする真珠養殖漁業の免許につきましては、これは非常な議論がございました。と申しますのは、こういう種類の区画漁業権は、御承知のように、新法以前におきまして、つまり明治時代から終戦直後のこの法律の改正になりますまでの問におきましては、区画漁業権としてこれは漁業協同組合も免許を受けられるし、それから営業者も、つまり真珠を養殖する営業者も免許を受けられるという、どっちでもよかったのであります。それで、地区協同組合は区画漁業権の免許を受けて真珠養殖をやって、場合によってはさらにそれを組合員の各自に行使規程によって貸付をして営ませるというような制度がありましたが、この点が、新法におきましては、一切相ならぬ、これはやはり全部直接真珠養殖業を営む者でなければ免許をしないということになりまして、その結果、漁業協同組合のこの真珠養殖の区画漁業権の免許を受ける余地がなくなったのであります。ごく例外的に自営をしてやるというものがあっただけであります。これが非常な問題になりまして、その中をとりまして、この権利は今後改正する場合においては中間的の性質を与えてもらいたい、これは一方において経営者主義的な付与の制度もいいが、同時に一般の区画漁業権と同じように漁業協同組合による管理漁業権の範疇にも入れて免許の道を広げる方がよろしいのじゃなかろうかということで、その両者の調整等についてだいぶ長く議論がありましたが、ここにありますような結論に相なったというふうな点等が大きな問題でありまして、その他は漁業権制度につきましてはあまり大きな問題はありません。
 もう一つ、この点は結論として抜けましたが、一部の要請としては、昔のように共同漁業権を――つまり、昔専用漁業権の中に沖合い・遠洋が入っておりました。この共同漁業権によって海面の全面を沿岸漁業者のために沖合い・遠洋まで含めた総括的の共同漁業権を与えて、そこを閉鎮したらどうだ、こういう論議が出ました。しかし、これはどうも体制上、沖合い・遠洋につきましても漁業形態というものをそういう地元に閉鎖したものにするということは、どこもみな中途半端なものになる、むしろこれは漁業権からはずして許可制度の十分なる運用によって進出きせるべきである、こういうことによって初めて漁船漁業による沖合い・遠洋の浮き魚漁業に沿岸漁業者を進出させる、沿岸漁業といい、沖合い漁業といい、今のような考え方でちょん切らずに、沿岸漁業者即沖合い漁業者に持っていくというような政策にする意味においても、この沖合い・遠洋を昔の専用漁業権のごときもので沖合いを閉鎖するということはまずいのじゃなかろうかということで、これは現行制度を是認するというような考えを持ちました。これもしかし相当の論議の末にさような結論に達したわけであります。
 大体そんなような点がおもな点でございます。
#26
○角屋委員 ただいまの漁業権の争点になった点は答申からも判断されるわけでありますけれども、区画漁業権の中で特に真珠養殖関係の漁業権の問題については、今もお話しのように、結局、真珠養殖経営者と漁協との優先順位は同順位にして、最終的な問題はこれは行政庁の勘案という形でげたを預けているわけであります。それと同時に、あと地元との協力関係というところで、やはり、地元漁協から漁業権を持っておる真珠養殖経営者に申し入れがある基合には、契約の締結をやらなければならぬ、その締結についてまとまらぬ場合には海区調整委員会が裁定を下だすということになっているわけですが、問題は、真珠漁業というものをどういう性格に把握するかという問題とも関連して、一方では漁協にもらいたいと言うし、一方では真珠産業の特性から見て従来通りでいくのだ、こういうようなことで対立をして、はし書きにもありますように、この点が少数意見も出ているということなんですが、はたして、今までの経過から見て、行政庁の勘案、あるいは契約の締結の問題について紛争が起こった場合には海区調整委員会の裁定ということで円満にいき得るという判断に立たれたのかどうか、これは今後こういう問題が出てくる場合にはやはり焦点の一つだと思うのですが、さらにその点を伺いたいと思います。
#27
○井出参考人 まことに痛切な御質問でありまして、これはなかなかむずかしい問題だと思います。ただ、一方において、御承知のように、真珠というものは特殊な生産物でありまして、ある程度生産が規制せられるというところにあの価値が出、その大部分の九割九分までは海外にこれを売るという生産物でございます。これの生産形態は、現在なり過去からの経緯から見まして、やはり両建をとらざるを得ないのではないかと思っております。ただ、現在でも、非常に弱小の漁業者にこまかに、何と申しますか、経営者主義のために免許されておる。これがむしろ将来真珠の生産の統制を乱すゆえんになるのではないか。比較的大きな漁業者による直接生産ということは、これは話し合いその他でも大局を見てよろしいのでありますが、今一番困難をしていると私ども思いますのは、弱小業者に現在の免許制の結果免許せられている、これをできるだけ今後は地区組合に免許を移して、地区組合が一つの統制のもとに今度はそのいかだを与えて経営せしめるというような方式にした方が、一方において真珠の生産から統制して参るというような真珠事業法というようなものがごごいますわけで、その運用上も有意義ではなかろうか。ただ、その場合において、お話のように、両建で優先順位がいくから、勘案するという場合において非常に軍配の上げどころがむずかしいという点はその通りでごごいますが、おのずからこの点は落ち着くべき点が出てくるのではなかろうか。いかだの台数、規模等から見まして、これは地元の漁協の一つの管理下に置いてやった方がいい場合と、しからざる場合とがおのずから出てくるのではなかろうかと思いますし、また、大きいものは地元の漁協で独立免許を受けても、お話のように協力していくということをとっていけば、地元との関係は円満にいくのではなかろうかという一応の見通しを私は持っております。
#28
○角屋委員 漁業権の存続期間の問題について、第一種共同漁業権は十年から二十年に変わる、あるいは定置漁業権、区画漁業権は五年が十年に変わるというのは、長期の方が安定的な経営形態でじっくりいけるという常識的な判断から延ばされたのか、五年を十年にし、あるいは十年を二十年にする、この漁業権の期間を延伸されたについては他に根本的な理由があるのかどうか、検討された経過はどういうことであったのか、伺いたいと思います。
#29
○井出参考人 大体、漁業権は非常に制限され、特殊な場所で十分に安定したもとに権利として経営させていくという見地から、どうも現在の十年というのは短過ぎるのではないかということで、共同漁業権については二十年――むしろ、現在の共同漁業権の存続期間というものは、二十年にしましても、これは仮であって、もっと実質的には永久性の付与をしてもいい実質を持っておるものではなかろうか。ただ、二十年目くらいに一ぺんずつ漁場の調整その他の見地から見直していくという意味で一応切るというのが大体漁業権の存続期間と思いまして、これは十年では少し短過ぎるのじゃなかろうか、旧漁業法は大体二十年になっておりますので、やはりその程度に今後は恒久化してよかろう、こういうことであります。
 それから、そのほかの営業的な性格を持ちます漁業権、これは五年というのは短期免許的なもので、これももう五年くらい延ばして十年一期くらいを安定してやらせるということが経済基礎上いいんじゃなかろうか、こんなふうなことでこういうふうに十年といたしたような次第でございます。
#30
○角屋委員 海区の関係は、今までの海区の区切りというのは非常に狭隘になってきた、従って、原則としては都道府県に一海区というのを原則にこれからいこう、あるいは漁協についても非常に零細漁協が多い、これは漁業権の問題とも関連して参りますが、農協の場合には、法案はすでに通りましたけれども、合併助長法でこれから農協の合併をやっていこうというのでありますが、漁協もこれから旧市町村別に一漁協、こういう考え方で出されておるように思います。そういうことと関連して漁業権の問題でやはり過渡的措置を必要とする問題が当然出て参ると思います。そういう海区あるいは漁協の拡大、それと関連する漁業権、さらに漁場計画、答申の内容を見ますと各都道府県の地元主義あるいはモンロー主義ということで激しい攻撃をしているわけですが、そういう問題を今後海区調整上どういうふうに円満にやっていくという展望に立たれているのか。その辺の今申しました諸問題についての討議の経過というものを簡単にお話し願いたい。
#31
○井出参考人 ただいまの御質問の点でありますが、初めに、地区漁協を指定して大体市町村区域程度に拡大して経済基礎を確立していくという点に関連しまして、お話のように、漁業権は現在大体部落単位程度の漁業協同組合が持っておりまして、その関係で、その漁業権の始末が不安であるがゆえにいわゆる広区域の協同組合になかなか併合されない。これは障害の一つと思います。制度調査会におきましては、その点を十分に考慮いたしまして、そのことのために地区組合が拡大できないというようなことのないように、そういう場合の従来の漁業権というものはやはり部落の意向を尊重するということで制度をいたしたわけであります。従いまして、広区域の漁業協同組合の漁業権になりましても、従来の合併前の地区の部落の関係漁業者の大多数の者の同意がなければその権利を処分したりあるいはその権利の行使規程を変えるということはできないということで、利用関係においては従来の合併前の部落の人たちの漁業者の地位を法的に尊重しようという制度を新たに加えたらどうかということを勧告いたしております。
 それから、もう一つ、海区調整につきましては、調整の問題としては、どうも現在都道府県知事が都道府県知事としてなすべきこと以上の広区域の発達した漁業にまで無理をしておる点がある。これが一つはそういう種類の沖合いの漁船漁業の発達をかなり阻害しておる点があるのではなかろうか。この点はやはり相当広区域のものとしてこれの調整・管理の元締めをする必要があるという意味において、ある程度ものによっては中央でやるべきではなかろうか。それから、府県内におきましても、一都道府県内が数海区に分かれておるということは、ごく例外の場合がありましても、大体これは無理が多いのではなかろうか。ことに、漁業権の免許についてはそれで大体済みますが、漁船による漁場の調整ということになりますと非常に行き詰まっておりますから、少なくともこれは都道府県を一海区にして一単位にした方がよろしい。それから、それでも数府県の入会漁場になっておる漁場があるわけでありますから、そういうところにおいては従来も連合海区制度がありますが、この連合海区制度を作ることについてあまり利益を持たない府県が消極的に出られるとこれが動かないというふうな穴がありましたから、そういうことのないように、やはり、そういう必要がある場合においては十分に連合海区制度によって関係都道府県が協議をして、また関係の漁業者も相談してその地域の漁業調整のやれるようにという制度をやや確立したということではなかろうかと思います。これらの点についても、一方において、それは中央集権過ぎるのではないかとか、いろいろの論議がございます。それらはありましたが、結論においては、やはりそうしなければなりますまい、地方によって例外はおのずから出ましても、筋はそうしなければならないのではなかろうかということで、ただいま申しましたような、またここに書いてありますような結論に大体到達したのであります。
#32
○角屋委員 まだたくさん質問したい点もありますが、いずれ法案の審議もできることですから、森田先生の方の質問もありますので、この程度でやめます。
#33
○坂田委員長 芳賀貢君。
#34
○芳賀委員 井出さんに二、三点お尋ねしておきますが、第一点は、漁業権制度の問題と許可漁業の問題との調整が答申の中であまり行なわれていないわけです。具体的な問題を一つあげれば、たとえば、沿岸の漁業の振興発展をはかる場合の大きな阻害要因としては、中型底びき網漁業が非常に阻害しておる。底びき網漁業というのは生産性とか収益性の上から見ればこれは漁法としては近代的であるかもしれないが、しかし、資源の保護あるいは培養というような点、あるいは沿岸の零細漁業を守るという点から見ると、これは非常に阻害原因になることは御承知の通りなんです。こういう点については今度の制度上の改正の答申についても全く触れてないわけです。これはどういうふうにおやりになる考えか、その点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
#35
○井出参考人 沿岸漁業の保護の見地から見て、御指摘の沿岸性の以東底びき網漁業の操業ということが非常に有害なものであることはお話の通りであります。この点は、制度調査会における検討といたしましては、これは制度の問題でなしに取り締まりをもっと厳重にやらなければならない運用上の問題ではなかろうかということが大体の結論であります。その点はちょっとどこかに触れてあると思いますが、制度を幾らよくしても、運用、取り締まりを十分にやらなければしようがないという点を指摘しておるとともに、調査会の審議の経過におきましてもその点をかなり深刻に責任の方にもお話をいたしておるのであります。ただ、制度の問題として以東底びき網の許可権限の問題をどうするかということは相当に研究を要することではなかろうかという、これは指摘はしておりませんが、議論がありました。どうもこういう種類の漁業の許可あるいは調整ということが都道府県にまかされ過ぎておる。せっかく設けてある禁止区域でも保護区域でも、それらのもののなかなか励行がむずかしいのではないか。その点をもっとびしびしやって、――戦争前のある時期におきまする水産庁の機船底びき網に対する方針のごときは、これは制度でなしに運用の問題で、かなり峻厳をきわめたように私は記憶しております。そういうような方法をとらない以上はこの問題は解決しないのではなかろうか。むしろ、これは、制度としてたとえばそこに沿岸性の漁業権の区域を作ってみたところで、それはできない。現在禁止区域というふうなものが相当広範囲にわたっておって、しかもそれを犯しているということに問題があるわけです。それを犯させておくということは、これは制度の問題でなくして運用上の問題であるから、この点はもう十分にしっかりやっていただかなければならぬということで二、三カ所この中にもうたって、おるのであります。それがおもなそういう点をさしておる問題であります。
#36
○芳賀委員 そう逃げれば逃げれぬこともないですが、しかし、現実の問題としては、たとえば北海道等に一例をとると、結局共同漁業権の区域内に底びきの操業区域が入り込んできておる。それは共同漁業権が閉鎖性のものでないからやむを得ぬということならそれまでかもしれぬが、これはやはり制度上の問題だと思うので、共同漁業権の区域というものが制度上ちゃんと設定されておる。その区域の中に今度は底びきがずっと入ってきて操業できる。そこにやはり操業区域というものがまた重なっておることになるわけですね。そういう共同漁業権の区域と底びき漁業の操業区域というものが重複するような点は、これはやはり問題になるわけですが、これは調整できないということはないと思うのです。だから、今度の答申の中にも、たとえば共同漁業権の区域の設定については距岸性というものを再検討する必要があるということもうたってあるが、やはり、そういう際に、あわせて、許可漁業である底びき漁業も、その区域の設定等については、やはり、共同漁業権の区域と重複しないような調整というものは、これは制度的に考える必要があると思うわけなんです。これをやらなければ、取り締まりだけでやれといっても、いつまでたってもこれはできないと思うのです。沿岸と沖合いというものを今後の漁業の近代化の方向で一体のものにしてやるということもいいが、しかし、漸進的にやらなければならぬでしょう。だから、その沿岸性の漁業というものはどのくらいかという最大限界というものを一応きめて、そこに共同漁業権の区域の線を引くということであれば、一応理論的にも理解できると思うのですが、これはもう現実の問題で毎年々々繰り返されておる問題なんです。これを今のようなままで取り締まりだけでやるということになれば、やはりその沿岸における資源の増殖とか培養とかということはなかなか期待できないと思うのです。ですから、こういう点をもう少しはっきりしておいてもらいたかったと思うわけです。
 そから、第二点は、今度は主として共同体中心に沿岸漁業をやるということで、これはわれわれも同感ですが、ただ、漁業権を今後期間を延ばすという考え方は、これは共同漁業権の場合はそれでもいいと思うのです。しかし、十年であっても、原則は共同漁業権というものは共同体中心であるとすれば、この短い期限で更新したって、原則が明らかになっていれば何も不安定というものはないんですね。ただ、問題は、営業性の定置漁業のような場合は、客観性というものを無視はできないと思うのです。たとえば、海流の変化とか、魚族が増減する場合の変化とか、漁場のいろいろな変化とか、そういう客観的な情勢の変化というものは定置漁業権の上にもかぶさってくるわけですね。たとえば、これも北海道の例をとれば、ニシン漁業の定置漁業というのは、漁業権は設定されておるが、全然接岸してこないでしょう。権利だけはそこにあるが、これはもう権利としての効用、価値というものは何もないわけですね。それをさらに五年を今度は十年に延ばしておる。こういうような現実の問題というものは、全国の沿岸における事象の中には変化が絶えず起きてくると思うわけです。ですから、そういうことを十分に考えた場合には、定置漁業権は一つの限定された魚族に対する漁獲を目的にした権利の設定ですから、そういう情勢の変化というものに対応できる権利の制度ということになれば、あまりに長期性のものだけが好ましいということにはならぬとわれわれは考えておる。ですから、こういう点についても、これは法律で、もう間に合わないから延長するというような案も出ておりますが、権威者がそろっておる調査会の場合には、もう少しこういう具体的な事実というものの上に立って、一律倍増ということでなくて考える必要があったのじゃないかと思うが、いかがですか。
#37
○井出参考人 第一の点は、審議の際にも、北海道について、非常な沖合いの沖出しといいますか、沖合いを広く共同漁業権の免許をしているという事実、従って、そこは機船底びき網の漁場でもあるというふうな関係で、そこが重なっているような制度があるということは、私どもも報告を受け、知っておりましたが、そういう特殊なものについては、一方において、お話のように、共同漁業権の沖合いの区域をそうひどく延長して閉鎖的なものにするということが第一においてもう少し考えを要するのじゃなかろうか、これをどのくらいに切るかという点についていろいろ一律論もありましたが、それは無理であろう、それはその場所々々によって、ことに海底の傾斜の工合その他から見て相当距岸を延ばさなければならぬところもあり、また、それほどでないところもある。従って、そこは適当にやる必要があるが、とにかく現在の実施せられているもののうちのあるもののような非常に行き過ぎた区域まで沖合いに共同漁業権を免許しているということは、現行のこういう共同漁業権の性質としてはいかがなものであろうという点が第一点。そういう場所については、機船底びき網漁業によってむしろ漁場開拓をした方がいいというような場合であれば、そういうところは正式にやらしていいのじゃないか、ただ、一方において共同漁業権として免許せられているような区域は、できますれば今後はやはり禁止区域というふうなもので一方において保護していく必要があるのではなかろうかというふうな考えがいろいろ論議されたと思います。
 それから、第二点の漁業権の存続期間の問題につきまして、現在の十年及び五年を二十年、十年とそれぞれ延ばしましたについては、御指摘のような御議論も相当あったわけでございますが、やはり、これらの漁業に基づく経営の安定をはかるためには、二十年あるいは十年、これは以内でありますから、場合によって短期の期間で免許してもいいのでありまするが、やはり、そこまでは免許期間を延ばせるようにした方が、与えた漁業権の経済的な安定した行使をやらせる見地から見てむしろ望ましいのじゃなかろうかということで、これはまあ昔の漁業権制度に期せずして復帰したようなものでありますが、大体そんなような事情でありまして、御指摘のような議論は十分に実は尽くされまして、しかし、結論的にはこういうことにしておいて、その問でまた場合によって不安定な漁場についての漁業権の免許は短期免許にしてよろしいと思いますので、そういうことの運用もできるから、最長期としてはこういうことでどうかということで一応結論を出したので、ございます。
#38
○芳賀委員 時間がないから別にあとは聞きませんが、ただ、あまりなまぬるいようなものが出てくると、行政庁はそれをたてにして革新的な施策を講じないのですよ。基本問題の答申内容を見ると、農業も林業も漁業も全部そうなんですよ。だから、迷惑と言うのは失礼に当たるかもしれぬが、一つでもいいから、問題の核心に触れて、これはこうしなければならぬというものがはっきり出てくれば、一つの前進は期待できると思います。どっちにも解釈できるようなものにしたり、幅だけ広げてみたり、運用は政府でおやりになればいいということになりますと、おそらく今の政府のやり方というものはあまり期待が持てぬということは両参考人も承知の上だと思うのです。
 あとまた森田さんが質問しますから、この程度にしておきます。
#39
○坂田委員長 森田重次郎君。
#40
○森田委員 時間が大へん迫っておりますから、私、審議の経過等に関連して若干お伺いしておきたいと思います。
 まず第一に、海外漁業の問題についてであります。この資料についてちょっとお伺いしておきたいのです。まず、漁業生産物、すなわち魚類その他魚介類でございますね。そういうようなものが世界の各国においてどの程度まで消費されているか、その消費の高がどの程度かということと。それを供給しているものは一体どんな方面の人々であるか、自給自足であるか、ほかの海外からこれを供給しているか。とすれば、その供給者の供給高。そういったようなものが資料としてお調べになられたでしょうか。また、そういう資料があったでしょうか。この点ちょっと……。
#41
○浅野参考人 ただいまの御指摘の点につきましては、国連の農業機構と申しますか、いわゆるFAOと申しております、あそこで毎年そういうものの資料を出しております。その数字は日本にも来ております。それでわかりますので、私どもその数字は一応見たことは見ましたけれども、各国の漁業の生産高、それから消費の傾向等につきましては、FAOでもって数字を出しております。統計を出しておりますが、現在ここに持っておりませんので……。
#42
○森田委員 次に、第二は漁場の点なんでございますが、世界各国、今の海のあらゆる面について漁場というようなものがどの程度まで調査されているものか、その結果が数字に現われているものか、あるとすれば、それはどんなような形で資料として提供されてあなたの方の参考資料になったか、この点……。
#43
○浅野参考人 これにつきましては、いろいろ学者の出版物、著書等にも出ておりますけれども、まとまったものとして私が記憶いたしておりますものは、総理府の資源調査会ですか、あそこで最近出しました海洋資源白書ですか、正確な名前は私ちょっと失念いたしましたけれども、そこに、各国の海洋の、これは動物資源だけでなくて埋蔵資源につきまして、鉱物資源につきましても出ておりましたけれども、出ております。漁場別にたしか生産高、漁獲量のような数字も出ておったように私記憶いたしておりますけれども、総理府には一括してまとまってあると思います。
#44
○森田委員 そこで、これは日本で独自の立場からそういうような調査を実地でやったことがあるのかどうかということ、それと、文献的にも水産庁あたりが中心になってそういうような統計などをとったものがあるかどうか、そうして、それが参考資料として御参考になられておるかどうか、これをちょっと……。
#45
○浅野参考人 これは、水産庁の方の資料といたしましては、対馬暖流の調査の資料がございます。これは何年かにわたりまして各試験場並びに大学の先生等と一緒に研究されたものでありまして、対馬暖流につきましての資源調査的なものがございます。
 それから、水産庁の調査研究部で、サバの資源とかイワシの資源とかオットセイの資源とかいうふうな形で、これは一課ですか二課ですかはっきりしませんけれども、そういう魚種別に資源の調査をいたしまして、パンフレット的なものが出ております。
 それから、相川調査研究部長の漁業生物学ですか、著書に概括的な説明は出ております。
 それから、農林水産統計月報といいますか、あのところでも出しておりますし、農林省の水産統計調査部でございますか、あそこでも、水産業に関するあれとして、一応日本近海の資源的なものが出ております。
 外国のあれにつきましては、これは数字的には先ほど申しましたFAOの統計がございますけれども、あとは各国の資料が研究団体には参っております。私の今関係いたしております水産研究会には、各国の水産局、日本の水産庁に該当するようなところからそういう毎年の年報的なものが来ております。その中を整理いたしますと出ておりまして、非常に概括的なものといたしましては、私どもの団体で前にも関係いたしました水産年鑑というものがございますけれども、とれにも一、二回そういうものをまとめて出したことがございます。そのようなものがございます。
#46
○森田委員 そこで、日本の海外漁場に対しての開拓の点で一番問題になっているのは、御存知の通り、ソ連とのサケ・マスの点、それから、カナダ、アメリカとの間にも何か区域の協定があるようであります。今また問題になっているのでは李承晩ライン等々といったようなものがあるようでありますが、この日本の漁業者が海外に行って新しい漁場を開拓しようとする場合、やはりほかにもそういうようなことが起こったことがあるか、また、進出するとそれと類似のことがやはり起こるというようなことがあるかということについて、あなた方の会では御調査なされたと思うのです。それを一つ簡単にお伺いいたしたい。
#47
○浅野参考人 海外漁業の今の御質問の点につきましては、日本の場合、その国の未開発漁業につきまして、日本がそこに出向きましていろいろいたします場合に、あるいは事業上の援助をしてやるとか、協力して一緒にやるとかいうふうな仕方で、合弁事業のような形のものもございましょうし、事業提携というような形のものもございましょうし、あるいは調査をしてやるというような形のものもございましょう。それから、水産庁が遠洋の外地におけるところの、公海におけるいろいろな資源の調査をするというような問題もございましょう。いろいろな問題がございますが、その場合に、今御質問の点につきましては、たしか、海外の漁場の調査とかそういうものにつきましては、水産庁の予算といたしましては、何か海外漁場調査の調査費の補助金でございますか、委託費でございますか、そういうようなものがございまして、海外漁業協力会と申しますか、何かそういうような団体にそういうものを出しまして海外調査をやるというようなこともやったわけでございますが、今の御質問の点でちょっと私はっきりいたしませんのは、そうやった場合にほかのものがあるかということは、ほかの国が出て来るかということでございますか。
#48
○森田委員 それはこういうことなんです。つまり、日本が行って漁場で漁獲しようとすると、それは何か向こうの方の権利に属するものだから、日本が入ってきては困るのだというふうにこれを拒絶するというようなことが世界の各所に起こるものであろうかどうか、それとも、それは比較的自由であって、日本はどんどん行けば行ってやれるのだという体制にあるのかということです。
#49
○浅野参考人 その点は、国連を中心にいたしまして、国際海洋法でございますか、あれが審議されまして、まだ大多数の国は、調印はいたしておりますけれども、批准にならずにいまだに中途半端な形になっております。と申しますのは、領海の範囲の問題にからみまして、公海でいたしますことはこれは自由でございますが、どこからが公海か、どこまでが領海かという問題、三海里を主張している国、これは日本のようなもの。あるいはソ連その他の共産圏、それからまたアフリカ、中南米を中心にいたしました大体十二海里までが領海であるという国。その場合に十二海里内に入ってこちらが調査をするというようなことになりますと、向こうの領海の中でやるということで、向こうと何か問題が起こるということはあり得ると思います。公海でいたします場合におきましてはこちらが出ていっても問題こざいませんけれども、三海里か十二海里かということで、また、魚族の点で沿岸に近い方があるいはいいのかもしれませんし、そこに問題がある。東南アジア等におきましても大体十二海里を主張している国が多うございますので、参ります場合には、どうしてもその国と協定を結ぶという形が必要になってくると思います。それにはやはり領海の範囲という問題が問題になってくるのではないかと思います。
#50
○森田委員 そこで、具体的な問題についてお伺いしたいのですが、日本の相当大きい資本組織で漁業をやっているあれがあるわけでございますが、それが海外へ行ってどこかで相当企業としてやった実績があるでしょうか。
#51
○浅野参考人 これはもうすでにこの基本問題調査会の結論につきましても出ておりますけれども、中南米、東南アジアその他におきまして、合弁なりあるいは共同の役務の提供なりというふうな形で中南米では十六件ございます。東南アジアでは二十一件、その他で二十件、合計五十七件ばかりのものがすでに地域別に提携をいたして仕事をいたしております。これはその国と協力をいたしまして契約を結んでやっておるということでございます。
#52
○森田委員 そこで、その実績はどうなんでしょう。うまくいっているのでしょうか。
#53
○浅野参考人 私は、いろいろのケースがあるだろうと思っております。その実績をあげるために相当期間がかかって初めて実績があがってきたというものもございましょうし、また、向こうの、何分にも東南アジア等にありましてはあちらの政権というものが不安定でございますので、そのために、出ましたものが相当難儀をしておるというような事例も私ども聞いております。しかし、大洋漁業が行っております仕事とか、あるいは日本冷蔵が行っております仕事等につきましては、かなりの実績をあげておるのではなかろうかというふうに私は感じております。
#54
○森田委員 そこで、さらに実質的な質問をいたしたいと思うのですが、実は、このあなた方の報告を拝見しました。そうすると、この海外漁場の開拓についてはきわめてばく然とした一般的思いつきの報告にとどまるような形で、非常に私は失望した。そうして、片一方、今度は、沿岸漁業の問題になると、今の御議論のようにこまかい点で漁業権がどうだとかこうだとかとえらい議論を始める。しかし、これは、考えが少し現実の行政の行き詰まりということに集中し過ぎて、大きい世界がほかにあるにもかかわらず、その方面へ進出するということを忘れているのではあるまいかということを実は考えさせられるのです。そして、沿岸漁民を救うにどうするかといえば、いろいろなことがあります。しかし、ありきたりのことです。予算をどれだけ出すかというようなことできまるようなやり方になるのだと思います。あとはどうするかといえば、沿岸漁民を陸に上げるという施策になっております。おかしな話なんで、七十万の沿岸漁民、これは日本の国にとって宝ものだと私は実は考えておるのです。これだけの海技に対する習熟、多年の伝統、海に対して戦いをいどんで、沖へ出たいという欲求を持っている沿岸漁民、この宝ものを陸に上げるということは一体どういうことかということです。しかもこれは農業基本法の場合とは相当私は違うと思うのです。農業基本法の場合は、御存じの通り、働く場というものが局限されておる。開拓する土地があるのですからそれを開拓したらいいとしても、これは局限されておる。ところが、海洋に関する限りは、私は、今お説のような制約も出そうでありますけれども、まず無限と言っていいのではあるまいか、こう見ておるのです。ただ、これが企業として成り立つかどうかというところに一つの問題があるでしょう。あるでしょうが、そこは一つ政治で解決していけばいいのだ、こう実は私考えておるのでありまして、その沿岸漁民を陸に上げるというようなことをしてはいかぬ。同時に、沿岸漁民を教育してそしてほかの方法を習わせて陸へ上げるというようなことを水産庁の政策として立てるなんというようなことは、まことに日本の国情に適さないものだ。これはあとは私の意見になりますが、一つお聞き願いたい。日本は、御承知のように、大陸へ大陸へと言って大失敗をした。そしてこの四つの島にこの通り押し込められた。しかし、本来から言えば、日本の民族ほど海洋になれていて、海洋民族と言うにふさわしい民族は世界中どこにもない。しかも冒険心に富んでおって、どこへでも行けるという勇気を持った民族です。むしろ、教育をするというなら、海外へ発展していくように、今の近代的な船を操作する術、あるいは電気、あるいは気象学、その他魚族学、そういったようなものを教育して、どんどん遠くの方へ行くようにして、そうして、海外へ基地を設けるとか、今のいろいろなやり方があるでしょうが、そういうようにやって、沿岸漁民の青年が喜んで海外へ行くようにし、そして、世界全体に魚による蛋白資源を供給するのが日本の沿岸漁民の将来の希望、理想でなければならない。この理想に生きるというふうな方向に持っていくことこそ、私は漁業政策の根幹になるのではないかと実は考える。そこで、この漁業基本法というものを見ると、さっぱりその点に触れていないことを非常に物足らなく考えているものなんです。これは、おそらく、大臣の諮問がそうなったのだから、その諮問に答える意味でこれをやったのだというあるいは結果になるのかもしれませんけれども、私らから見ると、あまり専門的なことをよくおわかりの方々がお考えになったので、一番の手元の問題をお忘れになっていたのではあるまいかということを私は考える。私は全然漁業についてはしろうとなんです。しかし、日本民族の将来は海洋にある、これだけは私は忘れてはならない問題じゃないかと実は考える。むしろ農林省から水産庁を分離して水産省として、将来世界全体に日本の希望を実現していくんだという方向へ持っていくのでなければ、うそじゃないかというのが私の意見なんですが、こういうことが皆さん方の委員会で問題になったのかどうか、その結果がああいう答申になったのかどうか、同時にまた、私のしろうとの議論に対しての御高見を拝聴できれば幸いだと思います。
#55
○井出参考人 ただいま御指摘の森田先生の海外漁業についての発展のお話は、私も個人的には同感であります。この委員会としてなぜこの問題をごく消極的に取り扱ったかという点でありますが、御承知のように、これだけのものをこなすのに、実は、はなはだ不手ぎわで申しわけなかったのでありますが、現行の三法を中心にしてやるということで行っただけで二年二カ月もかかりました。なかなかこの点は困難がありました。それで、実は、私どもといたしましては、漁業制度としましても、一方においてお話のような沿岸漁業者の発展的な活動という基礎をやはり制度として設ける必要があるのじゃないか、そういう広範な制度を考える必要があるのではないか、それにはお話の海外漁業に進出する問題、それをいかに国が助長してやっていくかというふうな問題、さらに、金融問題でありますとか、あるいは沿岸漁業者の生活、経済、あるいは労働の改善というふうないろいろな広範な問題がまだあると思います。これらに手をつけたかったのでありまするが、御諮問の趣旨も、そういうところも大切だが、とにかく当面どうしてもとらえられないいろいろな緊縛を受けておる三法制度を見てくれという御注文がありましたので、こういうことにして一応の終止符を打ったのであります。ところが、今のお話の海外漁業の問題については、私どもの調査会の総会、部会等においても非常に熱心な議論がございました。やはり日本の漁業の政策を検討する際にそこに持っていかなくてはいかぬじゃないか、これは皆同感でございました。ところが、これの具体的な具現方法としていろいろな困難が伴うということが一方において出て参るのであります。これは、公海でもって遠洋漁業式にやる場合においてはややトラブルが少ないにいたしましても、やはり、沿岸漁業者を海外に発展させるためには、向こうへ移住せしめる、あるいは移住に近い方法をとらなければならぬということになりますと、相手国との関係を十分調整しなければならぬ。相手国の事情をもっと調査しなければならぬ。ことに、相手国の政情が非常に不安定であるというような場合、場合によっては基礎的な施設を全部日本から移動してやらなければならないというような問題があります。それらも実は基礎的な資料を私どももう少し論議したかったのでありますが、遺憾ながら遠いのであります。そこで、私どもの結論として、書いてあったかどうか知りませんが、至急にそれを調査する必要があるのじゃないか、政府としては調査費を出して、場合によってはそういうところに常駐員を置くべきじゃないか、あるいは大公使館もありましょうし、領事館もありましょうから、そういうところに漁業のアタッシェくらいを置いて、そうして、海外漁業に進出する可能性のある世界各国というものは幾つか目星がつくと思いますから、重要なものからそのくらいのことをやるべきじゃないかという議論が熱心にかわされまして、その結果によって、場合によっては制度を作る方がいいが、ただ、国内の制度として作る場合には、相手国の制度にアダプトするといいますか、適応したものでなければならないので、こっち限りの一方的の制度を作るという弊害があるから、制度的な問題としてこなす場合にはよほど慎重にやる必要がある、問題は、むしろ、それよりは、政策として国がもっとしっかりとそういう進出の可能な突破口をまず作る必要があるのじゃないか、突破口を作って、さあここに可能性があるからどういうふうに出していくかという問題に持っていかないといけないのじゃないか、その序列がまだ熟していない、そこへ一つ急いでやる方がいいのじゃなかろうかというふうな議論が経過の途中において多くありました。
 それから、沿岸漁業構造改革というと、沿岸漁業の人口といいますか、構成を縮減するという点、この点に対しては、私も長い間の水産人の一人としてまことに御意見に同感なんであります。まあ、できますれば、そういうような新天地に沿岸漁業者を出しますことと、それから、沿岸漁業者の現在の状態でもよいから、これを共同経営の形で持っていく、――現在、大規模漁業者がやっておって、それへ手がつかないわけであります。現在の大規模漁業に対する各種の許可制度というものが非常に閉鎖的でありまして、現在許可を受けている者は、大した仕事をしないで、権利を売り買いしているというふうなこと、これはかなりそこに漁場があいているわけなんです。そういうところへ沿岸漁業者の共同体をもって比較的経営の基礎の安定した収益度の強い漁業へもっと勇敢に押し出していくべき政策を一方においてとる、それもまた一つの沿岸漁業者の今後経済基礎を確立して永続させていく手段になる場合があるのではないか。これは、浅海漁業等において養殖漁業等をやるということ、また、それの適地を作るために国が大きな公共事業費を投じてやるということ、これはけっこうですが、また、場所によっては、むしろ、そういかないという、つまり、海洋方面に向いている漁村等においてはそういうことは望めないわけであります。そういう方面については今のような施策等も各種のものをとるという必要があるのじゃなかろうかというような見解が、もとよりこの結論の論議のもととしてはずいぶん討議されたわけであります。それらの討議の経過等は小委員会、総会その他を通じて五十回から六十回かくらいになんなんとする議事録がございますわけですから、場合によってはあるいは水産庁の方に保管してあると思いまするので、何か機会がありましたらごらんいただけば、それらの点が各所に私は論議として記録されていると思います。
#56
○森田委員 私のしろうとの議論が幸い専門家の御賛同を得たことに非常に意を強うするものであります。
 そこで、今の沿岸漁民をそこへ持っていく方法の問題についてもただいま御高見を拝聴いたしました。私も今それを一つお尋ねしようと思っていたことなんです。もう大きい企業家にただ雇われていくのだという体制ははっきりと時代おくれだと私は考えるものであります。どうしても、これは、沿岸漁民自体、特に零細漁民と言われている方々の子弟を中心にした生産協同組合というふうなものを作り上げて、それに政府は思い切った助成をやって船のようなものも作らせるというような形でないと、世界へ雄飛するような勇気というものは出てくるものではない、こういうふうに私らも考えまするので、この点は逆にお教えを請うたわけでありまが、政治家の一人として、この点はそういう空気をぜひ酷醸したいものだと考えているものでありまして、いずれまたあなた方に大臣から諮問があるだろうと思いますが、この二点だけは一つ徹底的に実現していただくような方向へ持っていっていただきたいと思います。ありがとうございました。
 これで終わります。
#57
○浅野参考人 ただいま井出先生からお話がございましたが、森田先生の御趣旨の点、大賛成でございまして、基本問題調査会におきましては、今井出先生からお話が出ましたような市場の調査の問題でございまとか、あるいは、国の援助、漁業移民の問題につきましても、かなり詳しく答申が出ております。それから、それには、御承知のように、日本の漁業が海外におきましてはいろいろの評判を立てられているということで、実質に伴わないいろいろな不評を受けております。そういう際でもございますので、特に進出ということにつきましてはいろいろの国内的にも問題があるようでございます。しかし、これは、今の国連の組織という中におきまして国連外交を推進するという意味におきましても、それからまた、動物性の蛋白が世界全体におきまして不足している、それは一番安価な動物性蛋白を出し得るという意味におきましては、海洋資源を開発していくということが大きな事業でございますし、それが一番適当なものだろうと思います。それには日本の過去の漁業の技術というものでそういう役割をするということは、世界の食糧、漁業に対するところの日本の大きな寄与だと思います。それには、今お説のようにやるべきが当然だろうと思います。そういう意味で、基本問題調査会のそういう答申に基づきまして、制度調査会におきましては、ただいま井出先生から出ましたような点で、そこまでは今後政府において十分な検討を行なうことを期待するということで、今後政府にげたを預けておる形になっておりますので、今後この問題は、今森田先生の御発言のように、そして日本の漁業並びに漁民全体のために、世界の食糧事情を緩和する意味におきまして、大きく発展するような道を開くということに進むことを私といたしまして非常に期待しているところであります。
 一言私の考えを申し上げた次第であります。
#58
○坂田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人には御多用中にもかかわらず本委員会に御出席下さり、正午過ぎておそくまで長時間にわたり貴重な御意見をお述べ下さいまして、ありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
     ――――◇―――――
#59
○坂田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 愛知用水公団法の一部を改正する法律案審査のため、参考人として、来たる十七日の委員会に、愛知県知事桑原幹根君、愛知用水公団総裁濱口雄彦君及び愛知用水土地改良区理事長日高啓夫君の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、過日本案について商工委員会より連合審査会開会の申し入れがありましたが、これを受諾し、連合審査会を開会するに御異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#61
○坂田委員長 御異議なしと認めさよう決しました。
 なお、来たる十七日水曜日午後一時より開会の予定でありますので、念のためお知らせいたします。
     ――――◇―――――
#62
○坂田委員長 この際、さらにお諮りいたします。
 建設委員会で審査中の公共用地の取得に関する特別措置法案について、同委員会に連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じます。また、商工委員会で審査中の輸出入取引法の一部を改正する法律案についても、商工委員会に連合審査会開会の申し入れを行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○坂田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、連合審査会を開会する場合の日時につきましては、両委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。
 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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