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1960/03/24 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第16号
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1960/03/24 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第16号

#1
第038回国会 内閣委員会 第16号
昭和三十六年三月二十四日(金曜日)
   午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 久野 忠治君
   理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君
   理事 草野一郎平君 理事 宮澤 胤勇君
   理事 飛鳥田一雄君 理事 石橋 政嗣君
   理事 石山 權作君
      内海 安吉君    大森 玉木君
      佐々木義武君    島村 一郎君
      辻  寛一君    福田  一君
      藤原 節夫君    保科善四郎君
      前田 正男君    緒方 孝男君
      杉山元治郎君    田口 誠治君
      山内  広君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
 出席政府委員
        外務事務官
        (大臣官房長) 湯川 盛夫君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 樋詰 誠明君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  伊藤 繁樹君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  今井  博君
 委員外の出席者
        外務事務官(大
        臣官房総務参事
        官)      北原 秀雄君
        通商産業事務官
        (大臣官房文書
        課長)     影山 衛司君
        通商産業事務官
        (通商参事官) 村上 公孝君
        通商産業事務官
        (企業局次長) 伊藤 三郎君
        通商産業事務官
        (企業局工業立
        地課長)    柳井 孟士君
        通商産業事務官
        (中小企業庁振
        興部振興課長) 江上龍 彦君
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○外務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一二五号)
○在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部
 を改正する法律案(内閣提出第一二六号)
○通商産業省設置法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一四一号)
     ――――◇―――――
#2
○久野委員長 これより会議を開きます。
 通商産業省設置法の一部を改正する法律案、外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内広君。
#3
○山内委員 実は昨日の田口委員の御質問に関連していろいろ御答弁を承りまして、産業構造調査会の大体の輪郭は承知いたしたわけでありますが、この調査会の持つ使命の重大な点から考えまして、もっとはっきりとこの内容を検討しておく必要を感じまして、これから、あるいは昨日の質疑と重複の点も出るかもしれませんけれども、努めてそういうことを避けながら、若干具体的なお尋ねをしていきたいと思うわけであります。
 まず最初に、この調査会の構成についてお尋ねしたい。と申しますのは、きのう官房長からかなり具体的な答弁があったわけでありまして、五十人の学識経験者の方々を幾つかの部会に分けて、詳細な検討をするというお話であったわけであります。そこで今お考えになっておる部会は、どういう名称のものを幾つ置くおつもりか、まずその点を承りたい。
#4
○樋詰政府委員 実はこの調査会の設置をお認めいただきましたあとでこの委員の方々の御意向も伺って部会もきめたいと思っておりますし、われわれ自体また中で検討しておる最中でございますが、たとえば今考えておりますものは、今後の国内需要が一体どういうふうな格好で動くであろうかという国内需要の動向を調べるというもの、あるいは海外需要の動向というもの、これは輸出を確保する上の大前提になるものでございまして、そういう内外の需要動向を調べるといったような部門を一つはぜひ置かなければならない。それから流通関係の問題を掘り下げることをぜひやる必要がある、そういうふうなことも考えております。それからこれは中小企業一本でいいかどうかわかりませんが、この自由化ということと高度経済成長というものを同時に達成しなければならないというのが、現在直面している国民的要請でございますが、それを満たすために、下手をすると、後進性があるために、とかくひずみが生ずるというおそれなきにしもあらず。中小企業あたりを引き上げていくということのためには一体どういう施策が必要かという、中小企業に対する特別の顧慮を払う必要もあろう。それから所得倍増計画というもので大体大きなワクはきめられたわけでございますが、そのワクの中で個々の産業が一体どういう形で発展するかということは、所得倍増計画自体ではまだ何にもきまっておりませんで、今後産業構造調査会あたりで各種の産業がどういう割合で伸びていくのかというようなことをミクロ的に分析して、それを積み上げて全体的な所得倍増計画に結びつけるということになるわけでございますので、そういう業種別にある程度分けていかなければならない。それはまた当然資金を確保するということが前提でございますから、その資金の所要量がどのくらいになるか、またどういう方法で調達すべきか、また現在企業が持っております。オーバー・ボローイングというような、いろいろ非常に体質の脆弱な点がございますが、それを是正する、資本構成の是正というような点等、いろいろ、経営管理でございますとか、あるいは産業技術の問題、あるいは産業安全保安の問題という点を加えますと、少なくとも十幾つの専門的な部門に分けて出していただきました調査票等を、それぞれの見地から専門的に分析してみるということが必要でなかろうかと思っておりまして、どういう部会を置くかということは、できるだけ早く結論を出したいと思いますが、目下部内において検討中でございますので、大体今申し上げましたようなものを置く必要があるのではないかと考えておる次第でございます。
#5
○山内委員 お考えの大体の線はわかりましたし、また調査会自体がそういうことは判断しておきめになるもので、官房長の立場としてはあまりはっきり申されないのもやむを得ないと思います。これからいろいろ質疑の過程で私も私見を申し上げたいと思いますけれども、その次にお伺いしたいことは、この審議会の三カ年間の進め方をどういうふうににお考えになっておるのか。実はきのうもお話の中で、業種別に個々に貿易自由化のもたらすいろいろなことに補強の考え方をやっておるのだ、一年に一ぺんくらいは置かれているいろいろな情勢に応じて手直しも必要であろうというような、ばくとした御説明であったわけであります。この審議会の三年間をまずどういうふうに進めるか。きのうの御答弁では、最初は十七品目と業種別の内容を調べるようなお話も出ましたが、進め方の問題は大事だと思いますので、私あとからちょっと申しますけれども、ぜひ一つお考えの点を伺いたいと思います。
#6
○樋詰政府委員 いわゆる産業構造政策的な顧慮、日本に一番最適の産業構造はどういうものか、またどういうような方向でその望ましい姿に持っていくべきかといったような一般的な顧慮は、従来から通産省の政策の暗黙の前提ということで、われわれは絶えずそういう点に顧慮を払いながら、通産省の政策全体を進めてきたつもりでございます。またそういう見地から一応の大筋としては、大体三十八年くらいまでに八〇%、エネルギーをまじえれば九〇%程度の自由化を進めることが可能であるし、またそれを実現する方が日本経済全体を真に体質改善して国際競争力を付与するという上からも、より好ましいのではないかといったような一応の結論を出したわけでございます。ところが現実に今から二年なり三年足らずということでありますが、そのくらいの間にそういう自由化を具体的に進めることをいよいよやるという段になりますと、自由化と所得倍増を示されました国としての全体の高度成長とが、お互いに矛盾しないで両立し得ることになるかどうかというあたりについては、業種によりましてはまだ若干の疑念がなきにしもあらずと思われるわけであります。従いましてある業種につきましては非常に大ざっぱではございますが、一通りの見通し等は立っておるので、これは自由化しても大丈夫だということが言えます。それは大体既定の方針というようなものに沿って、それに現在考えられる所要の対策というようなものを講じながら自由化することもできるかと思いますが、ものによりましてはもう少し掘り下げてからでないとうかつには自由化できないものも出てくるのではないか。またこういうことをやれば自由化しても大丈夫だという前提条件も現状を分析することと、国際競争その他から見てどこに難点があるかということを解明することによって、おのずから対策が生まれてくるのではないか、そう思われますので、これは今後三年たって初めて結論を出すというようなところではございませんで、できるだけ早く調査表を集めて、それを分析して総合するという作業は進めていくわけでありますけれども、その過程々々におきましても現実の政策としては、この結論が出ないから出るまでは待ったというのではなくて、一応これを科学的に分析しても大きな筋としては変わりがない。ただきめこまかにするためには、どういうようにしたらいいかといったような問題が残っておるものにつきましては、大体一応の方針に従って進めていき、こちらのある程度の結論が出ることによって具体的な政策の手直しをするということで、三年たって初めて出すというのではなしに、しょっちゅう検討を加えて、その検討がある程度見通しが立ったならばそれを具体的政策に反映する。一応三年間に大体一通りの地ならしといったようなものができるのではないかというので、三年間というふうに出ておるわけでございますけれども、実は昨日も申し上げたと思いますが、われわれといたしましては鉱工業の技術の革新というようなものもしょっちゅう変わっておりますので、三年たって一回やったからそれでいいというのではございません。できるならばこれは今後毎年々々本格的な検討を加えることによって、時々刻々に変化する国際情勢、あるいは国内経済情勢に対応して、よりよい産業構造のあり方を究明し、それに到達する具体的な政策を発見する方向に持っていきたい。三年間で大いに実績を上げて、やはりこういうことは今後長きにわたって検討をし、政策のあやまちをなからしめるために存続さすべきであるといったような一つの結論を出していただいてから、これから政策に科学的な裏づけをするように、できるならこういう機関を永久的な性格のものにしたいというふうにわれわれとしては考えておるわけでございままして、そういうことの前提のためにも、今申し上げましたようなことで、まず三年間一生懸命やってみたいと考えておるわけでございます。
#7
○山内委員 お考えの趣旨はよくわかるのでありますけれども、私もこの審議会の持っていきようによっては、いろいろ重大な関心を払わざるを得ないわけであります。日本の産業構造を変化するのでありますから、これはもう政府においても今官房長のお話のような態度でいろいろ考えていくわけでありますけれども、私ども野党の立場からしましても、非常に将来のあり方については見解が相違するわけです。説明するまでもなく、私どもの考えている産業構造と、あなた方のお考えの産業構造の将来のあり方は、非常に変わると思う。そこでこの審議会が発足しまして、審議の進め方に私は非常に関心を持つ。というのは、今のお話では結論は出ないのだ。出なくても、その場その場でいろいろ応急対策を講じながらやっていく、こういうお話でありますけれども、それではきのうの大臣のお話と若干私はニュアンスとして違いがあると思うわけです。大臣の方では審議会が結論を出して、被害も防げる、こういう対策を講すれば自由化してもいいのだということを待ってやるようなお話のように私はきのう受け取ったわけです。しかし今度は、現実に自由化の問題はスタートしておりますし、巷間ではそれについての憶測もいろいろあり、経済界にもいろいろな影響を及ぼしておるわけで、もうすでに始まっておる。ですからこの調査会の進め方として、最初日本の現在の産業構造がどうなっておるのか、それで今度は自由化することによってどう変わっていくか、それの補強の問題、そういうことで考えますと、応急対策とでもいいますか、急場の問題をまず考え、それから将来今度はそれが一応ケリがつけば恒久対策と申しますか、今官房長の述べられた一つの考え方によっての大きな恒久対策というものが出てくる。応急対策については、私どももそう大きな変化はないと思いますけれども、将来の日本の産業のあり方、産業構造ということになると、これは私ども野党は先ほど申しました通り非常な関心を持たざるを得ない。そういうことで一応筋の上で日本の産業構造のあり方というもの、あるいは今度高度成長と貿易自由化がどういう影響を及ぼすか、そういう見通しの問題が出ましたら、この資料をやはり私どもにも報告していただきたい。三年間の長い期間でありますから、まず一年目ごとくらいに資料を取りまとめた中間報告をいただきたい。これについてできるかできないか、ちょっとお答えいただきたい。
#8
○樋詰政府委員 はたして毎年々々ごとの区切りがついたようなまとまった結論というものになるかどうか、これは実はやってみなければわからないわけでございますが、われわれといたしましては、これは政府だけがやることでなしに、産業界自体にも、自分の産業はどうあるべきか、どうやらなければいかぬのかということをよく認識してもらって、そして産業界自体がその気になってやる。政府はそれに指針を与えて引っぱっていくのだということでございます。こういう科学的な調査というものに一応の結論を得たならば、それはできるだけみんなに広く知らして、そして全体に統一した認識のもとにやっていただくという必要があると思いますので、そういうふうな結論を得ることができました段階には、これはできるだけ公表するということにすべきであろう、こう存じております。
 それから世界経済の中において日本経済を伸ばしていくということでございますので、その国際競争を前提にしていった場合に、日本の現在置かれておる中小企業の地位であるとか、あるいは技術水準であるとか、あるいは雇用の圧力であるとか、いろいろなものを考えた場合に、一番最適な産業構造は何かということを科学的に分析すること自体は、これは非常に政策的だというよりも、むしろ科学的な分析でございますので、これは必ずしも与党野党ということでなしに、より中立的なものが出てくるのではないかと考えております。
#9
○山内委員 それでは話をちょっと前に引き戻すようなことになりますが、先ほど部会の構成について調査会自体が御判断になってきめるというお話がありましたが、しかし大体のお考えは御説明でわかりました。そこで委嘱される人をどういうふうに選ぶのかという問題、これは先ほどの部会の構成で大体見当はつきますが、何か特別な考え方、たとえば雇用の問題が大事だからこれを入れるとか、あるいは農政との関係がどうなるかという意味で農業問題も入れるとか、いろいろ御判断があると思うが、どういうふうに選考するか、委嘱の考え方をお聞きしたい。
#10
○樋詰政府委員 これは先ほど来申し上げておりますように、まずどういう調査をすべきか、これはきのう申し上げたわけでありますが、どういう点をどういう方法で調査するかということで、まずどういう結論というか、データが集まるかということがきまるわけでございますので、日本経済を今後国際競争場裏においてますます伸ばしていくために、一番望ましいような格好にするために必要なデータを得るのにはどういうことを調査したらいいのかという点、それから出てきたなまの資料というもの、これはただ資料を見ただけではあまり意味がない。それを全部集計してみて、そして出てきた資料が一体何を意味するのかということを判断する能力のある方にそれを分析していただくことによって、初めてどこに長所があり、どこに欠点があり、何をすべきかという対策もおのずから出てくると思いますので、われわれが考えておりますのは、非常に抽象的な言葉にはなりますが、いわゆるそういういろいろなデータを総合的に判断し、分析して、何を意味するか、従って何をしなければならないかといったことを導き出し得る能力のある方ということで、必ずしも各産業界の代表者がいいのかというと中にはいい方もあるかもしれないが、あるいは学校の先生でこういうことを科学的に分析するのに非常にいい方があれば、そういう方でもよろしい。これは必ずしも労使かあるいは大学の先生だけとかいうふうに、職業その他によっての区別ということはすべきではない。個人々々の持っておられる力というものに着目してお願いすべき筋のものではないか、こう考えておりますので、はなはだ抽象的な言葉でありますが、学識経験者というような方から最適な人をお選びしたいと考えております。
#11
○山内委員 実はあまりしつこくこまいことをお聞きするようでありますが、この調査会の持ち方によっては、これが非常に抽象的になりまして、せっかくの皆さんのお考えの目的が達せられない。抽象的な論議になる危険を非常に感ずるわけであります。現実的にもう貿易の自由化も進められているわけでありまして、そういう抽象論だけでは済まされないと思う。そこできのうは田口委員からおもに中小企業の立場からの不安が訴えられたわけでありますが、考えてみますと、いろいろな問題を持っております。たとえば地域の問題、所得倍増に出発したと言いますが、地域の格差をどうして是正するかということだけを、産業構造のあり方に当てはめてみても大きな問題だと思う。今言われておる工業地帯、太平洋のベルト地帯、そこだけに重点を置けば、一体裏日本はどうなる。ところがこれに対して外交を考えて、中共貿易をやる、あるいはソ連との貿易をやる、そういうことになりますと、今度は裏側の方の地域差というものはかなり解消される見通しが明るくなってくる。そうしますとこの問題には外交問題を考えなければならぬ。また雇用の問題を考えましても日本の産業の強みというのは、賃金が安いということ、これが非常な魅力になっていることはもう御承知だと思う。ところが格差をなくしようということになりますと、賃金が上がってくる。それと矛盾する。産業を国際的に伸ばそうとすれば、どうしても労働者の犠牲といいますか、そういう形をとらざるを得ない。そういう点で私がこまかくお聞きしておるのは、あなた方がどういう点を重点的に考えておるのか。どうも私の判断では、この提案理由の中には、通商産業省の付属機関としての調査会なわけであります。しかしだんだん内容をお聞きしておると、一通産省だけの付属機関としてこれを運営していくのにはあまりに日本の広範な、さっき申しました雇用の問題もあろう、それから地域差の問題もある。いろいろなことを考えますと、これは総理大臣の直属の調査機関として広範な知識を集めないと片寄るきらいがある。特に通産省は企業を育てる、産業を育てる責任の省でありますから、国際場裏で競争して立ち向かうような力を産業に与えるということになりますと、大企業になってくる。そこにはやはり小さい企業をあるいは合同さしていくとかいろいろな問題がある。きのうもちょっと言葉の中に出ておりましたが、税金の問題も触れられたようです。そうすると、大きな産業にはおそらく合同し、機械を与える。そうして税金も何らかの方法で緩和していく。大企業にはそういう非常な援助の力を与えながら、国際場裏で競争するために雇用関係は依然として二重構造が深まっていく。こういう懸念を私は非常にするわけであります。そういう点で今一応お聞きしておるわけですが、先ほど申しました地域差の解消の問題をどうするのか。特に巷間では、太平洋のベルト地帯だけに政府が今重点を置いているような考え方を持っておるわけであります。これは大臣の御答弁をいただければけっこうだと思いますが、その点についてのお答えを願いたい。
#12
○椎名国務大臣 通産省といたしましては、地域格差の問題に関連して、工業の分散をどういうふうに考えていくかということを大体腹案として持っておるのでありますが、これは自治省の広域都市あるいは建設省の基幹都市の構想と十分に練り合わせて、そうしてそこに何らか統一した結論を打ち出すということになっておりますが、ただいまの構想といたしましては、もう四大工業地帯というものはすでに飽和状態に近いのではないか。場所によってはまだこれからというところもございますが大体において飽和状態であります。それで別に地方の数個所に中核地帯を考えたい。六カ所ぐらいの中核的な産業地帯を考えております。それから三十カ所前後になるかと思いますが、さらに一段と格を落とした地方工業地帯、そういうような構想を今のところばく然と持っております。そしてすでに四大地帯につきましては、先ほど申し上げましたように飽和状態にもなっておりますので、その衛星地帯というものを考えなければならないのではないか、こういったような構想を持っておりまして、ただいま申し上げたような関係各省と相談の上で漸次固めて参りたい。でありますから、世間でよくいうベルト地帯、そういうようなものにあまり執着しない考え方を持っております。
 その地域開発の問題と産業構造の高度化の問題と、どういう関係を持つかということになりますが、結局そういう新しい地域的な開発をする上につきましても、日本の産業構造の高度化をやっていかなければならぬ。そのラインに沿うて建設を進めて参るということになるわけであります。しかし今言われたように国際競争力を強めていくということは、現在の日本の産業は低賃金なるがゆえに国際競争力があるのではないか、そうすると今後日本の産業は、やはり低賃金に置いておくということになるのではないかというようなお話でございましたが、これはわれわれはそうは考えておりません。ただ賃金の問題につきましては、これは所管が違いますが、われわれの考え方としては、生産性の向上に即応した賃金の上昇であれば、経済界にそうコスト・インフレというような問題を起こしませんから、そのラインに沿うて考えていくべきものである。あくまで低賃金で国際競争力を云々ということは、われわれ絶対に考えておりません。
#13
○山内委員 今大臣のお話の中で、低賃金は考えておらぬというお話なんですけれども、言葉でそう言われても、やはりそれは私の心配する点です。そこで先ほど申し上げた通り、この調査会は通産省の付属機関ではあるけれども、この委嘱される方々の内容によって、広く各層の人材を集めながら、地域の問題とか、雇用の問題、中小企業の問題、各般のものに触れられるような構成にしていただきたい、こういうことが私先ほど申し上げたゆえんなわけであります。これは御参考までに希望意見として申し上げる。特に賃金の問題、大臣は低賃金が必ずしも国際場裏に有利だとは考えていないというような御答弁でしたが、私はそうは思っておりません。これは見解の相違ですから……。そういう意味で労働界の者もこの中に入れて、そういう点の誤解のないような審議を進めてもらいたい、これが一つの希望であります。
 こういうようにお話しする間に、今お考えになっている調査会というものの概要は、きのうよりはやや明瞭になってきたわです。先ほど何回も申し上げた通り、一通産省だけの機関という考え方に立ちますと、どうしても大企業の育成ということになって、いろいろなしわ寄せが各方面に現われてくるということになりますので、こういう形でなく、あなたの方におかれても考え方としては、日本の産業という広い観点で将来運営していただきたい。早く結論を出していただきたい。まとまった数字もできるだけ国会に報告され、私どもの資料に役立たせていただきたい。希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
#14
○久野委員長 緒方孝男君。
#15
○緒方委員 専門的なことはまたほかの方で論議されると思いますが、今度の通産省設置法の一部を改正する法律案の中で、産炭地域振興審議会というものが作られることになっておる。私にしてみれば、今国会に産炭地域振興計画なるものが出されてしかるべきではなかろうか、こう考えるくらいです。御承知のように数年来における産炭地域の疲弊は想像にあまるものがあり、離職や給与の引き下げ等による生活の困窮は激増しておる。その地域におけるところの商工業もこれまた疲弊の一路をたどっておる。これは今日始まったことではなく、すでに石炭の合理化が始められる当時から予想されたものでございますから、これに対する対策として産炭地域の振興計画を早急に樹立しなければならなかったと思いますけれども、ようやく今になって審議会を新設して、向こう二カ年間、昭和三十八年度までにこれを審議させて、それからぽつぽつかかろうというような案に見えるわけでございますが、今日までの状態の中で、通産省においては産炭地域の振興に対して、何らかの構想なりともお持ちであるかどうかということを一つお伺いしてみたいと思います。
#16
○今井(博)政府委員 産炭地の振興の構想は前からもあったわけでございまして、今回審議会を作っていろいろやろうという運びにいたしたいと思っておりますが、御指摘の通り合理化計画を進行するのと並行して、産炭地の振興というものは当然考えなければならないとわれわれは思っております。従っておそきに失するというきらいは確かにあると思います。ただ問題は、産炭地の振興といいましても、各地域にいろいろと照会をいたしましたり、われわれの方もいろいろ調査をいたしましたけれども、なかなか具体的な計画ができ上がるのに時間がかかりまして、各県あたりには前からわれわれもそういうお話を申し上げ、何か具体的な計画がないのかということもずいぶん連絡をとっております。この問題はなかなかむずかしい問題でございまして、やはり相当時間がかかるようでございます。そういうことで今回は審議会を作って、相当権威者を集めて効果的な方法を樹立したい。まず徹底的な調査をすることが先決である、こういう関係者の意見等もございまして、実はそういう計画をいたしたわけでありますが、われわれとしましては最初は、審議会はもちろん作りますが、同時にもっと産炭地の振興を実際実施する事業団のようなものを作って早急に着手したい、三十六年度においてもそういう事業体をもって着手したい、実はこういう構想を持って予算等も要求しておったのでありますが。非常に残念ながらわれわれの方の調査もまだ不十分でございまして、そういう事業団構想もまだ未熟な点もございまして、これはこの次の機会に検討するということで、とりあえず調査審議会ということで出発したい、こういうことになったわけであります。しかしこれはやはり早急にスタートしなければならぬということもございましたので、そのわれわれの考えておりました一部の計画は、地方団体の起債を特別に認めてもらうということでスタートできるものはむしろスタートさせたいということで、実際に土地の造成をやったり、そういうものにつきましては三十六年度中に着手するというところもございます。それから調査費は三千万円ということになっておりますが、これは普通の調査費ではなくて、すぐに事業に着手できるような事業調査費的なものを含んでおりますので、普通の調査よりは手をつけるのが早いのじゃないかと思っております。
 それから先生は先ほど三年間かかって調査審議する、こういうふうにおっしゃいましたけれども、一応この審議会は三年といたしておりますが、これは計画が具体的にできたものから手をつけていくということで、決して三年たってからやるという意味ではございませんので、その辺も一つ御了承をお願いしたい、こう思います。
#17
○緒方委員 お話を承りますと、早急にしなければならなかったのが、調査の不十分もあるし、技術的な困難もあって、なかなか具体的な計画も立てにくい、まあ審議会だけでも早く作ろう、こういうふうな御説明のようであります。お言葉を翻してみれば、早くしなければならぬけれども、やる方法がない。どうしていいかわからないから、審議会でもって研究をしてもらおう、こういうふうに解釈できるような内容のものでありますが、そういう意味なんですか。
#18
○今井(博)政府委員 これは実際に着手する場合には、ほんとうに産炭地振興という線に沿うて効果的な具体的な計画を作らないと、せっかくやってみてもなかなか実施が進まないという問題がございますし、産炭地振興の一番ねらっておるのは、工業誘致、石炭産業の一種の産業転換という、相当広範な問題を含んでおります。工業誘致には水の問題も非常に関連ございますし、あまりせっかちに急がずに、最も効果的な具体的な方法を発見した方がいいのではないかということで、今度は審議会を作るということになったわけであります。ただ何から手をつけていいかわからぬという点につきましては、われわれとしてももっと具体的な計画を持っておったのでありますが、むしろその具体的な計画をもっと掘り下げてやった方がいいのではないかという意見もございましたので、この調査審議会でいろいろ検討してもらうということにしておりますし、先ほど申しましたようにその一部につきましては、公共団体の起債を認めてもらって、早急に着手するという計画も持っておりますので、必ずしもどうしていいかわからぬということで、とにかく審議会を作ろうということよりは、もうちょっと具体的な問題でございます。
#19
○緒方委員 今井さんは石炭の権威者ですから、十分御検討はなされたろうと思います。現地の方におきましても、何かこれは食いつなぎをしていきたいし、振興をはかりたいので、いろいろ研究しておることも事実であります。しかしながら他産業の工業を誘致しようとしてみても、地下は至るところに穴ばかり、毎日々々のごとく鉱害が起こるところに工場誘致はできぬ。石炭の液化を始めようがガス化を始めようが、そういう工場誘致もできない地域的な状態の中にある。そういうところに民間産業が喜んでくるはずもなし、こういう幾多の行き詰まりの中から、手を上げざるを得ないのが今日の状態です。時と場合によったら観光地帯にでもしてみようかという説もある。しかし観光地帯にしてみても、泥水とボタ山だけしかないところでは、観光地にもならない。こういうところにいかなる方法があるのか。もっと抜本的に、政府みずからの資金投下のもとに行なわなければ、産炭地振興というのは単なるかけ声だけに終わりはしないかというようにわれわれは憂えております。それに対して御研究の成果があるなら、できるできないの問題は別として、われわれとしてはこういう方法はどうだろうかという何らかの具体的なことをわれわれに示していただきたい、こう願うわけでございますが、その点についてのうんちくのほどをお聞かせ願いたいと思います。
#20
○今井(博)政府委員 恐縮ながらそれだけのうんちくを残念ながらまだ持っておりませんが、先ほど申し上げましたように、最初は先生のおっしゃるようにこの産炭地振興をやる実施部隊と申しますか、事業団のようなものを作って、これに政府の金を投入して、それが実施部隊となっていろいろな開発をやるということが必要ではないかと考えまして、実は具体的な計画も相当作ったわけでございますが、先ほど申しましたような事情でもって、これを調査審議会の方に切りかえて、その調査審議会でわれわれの持っておりますそういう計画も、もう一ぺん掘り下げて検討していただくということになったわけでございます。これは残念ながらわれわれの方の調査の不十分もございまして、やはりこの審議会でもう一度そういう事業団構想もあわせて検討してただく方が、一番適切ではないかと考えております。
#21
○緒方委員 困難なことは私も百も承知の上ではございますが、あなた方は石炭業界の合理化の促進、いわゆる炭鉱の買い上げと合理化に伴う人員整理、こういうものには非常な熱意を持って今日まで対処されて参った。そのおかげで十数万の失業者が出ている。その上にまた炭鉱は疲弊の一路をたどってきておる。こういう跡始末にもっと熱意を持ち、できるできないは抜きにして、研究だけはしております、何とかいたしましょうというような、抽象的な提案であってもらっては、今日の炭鉱地帯は生活を維持することができない状態である。山田市のごときは、数年前に市になりましたが、もうすでに二万何千人の人口に減って、市としての価値もなくなっている。田川市にしても、ずいぶん離散しているところがたくさん出てきておる。このように疲弊の一路をたどらしたのも、皆さんが石炭の合理化だけには熱意を持つけれども、跡始末には放任的な態度をとられたところに私は問題があるのじゃないだろうかと思う。もう少し私たちはその地域に生活しておる人たちの影響というものを考えて、合理化を進めるならば、それに相応するだけの対策をあわせて行なってもらわなければならない問題じゃないだろうかと思います。御承知のように経営の健全化をはかることが合理化だというのであれば、それに働いておる人たちの犠牲、またその地域の犠牲が償われなければ、単なる経営者の経営の健全だけを期することはできないわけでございます。私は早急に具体的な振興計画を、たとい一つずつなりとも着実に進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、鉱業法の改正も審議会の延長がなされておりますが、お説によりますと、昭和三十四年六月に設置されて以来今日まで、鋭意改正について審議を続けて参ってきたが、まだ不十分であるから、あと一年間審議をさせてもらいたいという御趣旨のように承るわけです。今日まで審議して、改正しなければならないだろうと予想された点について、一つ御指摘をお願い申し上げたい。
#22
○伊藤政府委員 ただいまお話のございました通り、三十四年にこの審議会は設置せられまして、三十四年中には大体鉱業法の全般の説明と申しますか、委員の方に鉱業法の改正をのみ込んでいただいた上、関係各方面からの鉱業法に対する要望、意見等の聴取に大体費やしたわけでございます。三十四年中には十二回の総会を開催いたしておる次第でございます。三十五年から鉱業法改正の基本的な問題につきまして、順次審議を進めておる次第でございますけれども、実は一つ一つの問題はまた他の問題にも密接に関連をいたしておりまして、まだ最終的な結論は出ないのでございますが、一応現在まで審議されております経過についてごく簡単に申し上げます。
 いろいろの問題点がございますが、おもな問題点について申しますと、第一に鉱業権の付与の方法についたの問題でございます。これは現在は御承知のように先願主義によって、先に出願した者に与えておるわけでございますが、そういう与え方が鉱害であるとかいろいろな問題にとって、はたして適当な方法であるのかどうかというような点が問題としてあるわけでございますけれども、これは能力主義ということにいたしますと非常に認定に困難を要するので、先願主義を全然否定するわけにもいかないのではないか。しかしやはりそこに若干の調整を加えるということも必要ではなかろうかというようなことが今大体の空気でございます。まだ結論は得ておらないわけでございます。そのほか、試掘権制度が非常に現在乱用されておる。これは試掘権を割合に安易に設定されるものですから、ダムの建設であるとかそういうような場合に、しばしば試掘権者が権利を主張し過ぎてそこにいろいろ問題を起こすというようなことで、試掘権制度を試掘権制度本来の目的に沿って、もう少し制限すべきではないかというような点が議論されておるのでございます。それから租鉱権制度につきましても、これは現在ある一定の条件のもとに認められておるわけでございますが、その場合には、しばしばそれが被害の発生の原因になる場合が多いものでございますから、租鉱権制度をはたして認めるべきか廃止すべきかというような点が議論されたわけでございます。この点につきましては、租鉱権制度は鉱業法の途中から認められた制度でございますけれども、これを全然廃止いたしますと、昔の斤先掘りというような制度に戻りまして、かえって弊害が多いのじゃないか、しかし租鉱権をある程度厳格にすべきじゃないかという点が議論されておるのでございます。
 おもな問題について申し上げましたが、その他いろいろ、あるいは鉱害賠償の問題でありますとか、鉱業の監督の問題でありますとか、そういう一つ一つにつきまして、各国の法制の現状とか、要望、意見等を説明申し上げまして、大体今言ったように、大づかみな結論らしきものが出つつある現状でございまして、これは三十六年度中にやりたいというふうに考えております。
#23
○緒方委員 現行法のもとにおきましても、幾多の改正しなければならない問題点がたくさんあることは事実でございますが、今申しましたように特に改正を必要とする業界は石炭の方ではないだろうか。鉱害の一番多い無責任な業者の続出ということが一番大きな問題であります。そういうものを除去していくことが改正の一番大きなねらいではないだろうかと考えます。その上に立ちますと、いわゆる鉱害を原状に復旧し得るだけの誠意と能力のあるものでなければ、うかつに鉱業権を付与してはならないということが一つの問題点になっている。一たん鉱業権を付与したものがその権利を他人に譲渡するということは、やはり租鉱権の問題としては今日真剣に考え直さなければならない問題ではないだろうかと思います。
 たとえば東中津炭鉱は大正鉱業の鉱区権になっております。しかし東中津炭鉱が租鉱権を持って、ああいう大惨事を起し、ついに閉山のやむなきに至り、死体も発掘することができないという状態に陥っておる。この責任は、その租鉱権を付与したところの大正鉱業そのものが持つようにしなければ、だれでもが便宜的、利益的に他人に譲渡していったのでは、非常に大きなあやまちを犯すのではないかということで問題になるのでございますが、何ともならない。先ほどいろいろ困難な問題もあると言いましたが、この租鉱権の問題については抜本的に改正する御意向があるのかどうか、その点をもう一度お伺いしておきたいと思います。
#24
○伊藤政府委員 租鉱権は本来残鉱の掘さくと申しますが、それの経済的な開発制度として昭和二十六年に新しく認められた制度でございます。それ以前はそういう実態がないかと申しますと、実際は斤先掘りという形で相当広く行なわれておりまして、この方がむしろ事実上の違法行為でございますので鉱業法の監督も受けない、鉱害賠償の責任もとらないということで、それではむしろ弊害が非常に多いのではないか。そういう経済的な必要に応じて発生したものであるならば、それを厳重に法律で縛って、斤先掘りを租鉱権者というはっきりした対象にいたしまして、鉱業権者と連帯責任を負わせるということにした方が、鉱業監督上得策ではないかということで設けられたわけであります。しかしながらその後の運用におきましては、必ずしも租鉱権制度は適当な運用ではない場合もしばしばございますので、そういう運用とからみ合わせまして、制度上におきましてもなお条件を厳格にすべきではないかというのが、今日まで審議されております大体の空気でございます。
#25
○緒方委員 いろいろ利害関係者からの御意見もたくさん出ておる中で、特に注目すべき問題が一つあると思うのです。それは鉱害復旧保険の制度です。自動車事故にも今日保険制度ができて、能力のいかんを問わずこれに対するところの補償制度が設けられておりますから、この鉱害の復旧についても、業者が鉱業権を付与されたと同時に、相当な金額を納付せしめての保険制度を樹立する必要がありはしないかと思うのでございますが、これに対するお考えはどうでございましょうか。
#26
○伊藤政府委員 ただいま御指摘の保険制度的なものは、現在においても、鉱害担保のための供託金制度ということで、思想は必ずしも同一ではありませんけれども、ある程度実施されておるわけであります。しかしながらその供託金制度が実際うまく動いておるかどうかといいますと、実際上金額も非常に少ないわけでありますし、適当に動いておらないということで、むしろ供託金制度を廃止し、あるいは鉱害銀行を作るとか、御指摘のような保険制度を作るというようなことも議論には上っておるのであります。しかし鉱害賠償の問題は目下審議中でありますので、結論として大体こういう方向になりそうだということは、現在の段階では申し上げられないと思います。
#27
○緒方委員 外務大臣がお見えになりましたから、一応これで終わります。
#28
○久野委員長 石山権作君。
#29
○石山委員 外務大臣にお伺いしますが、昭和三十四年三月十一日に、あなたの前任者である藤山さんに対して、設置法の出たときに受田委員より、どうも大使をあまり作り過ぎるのじゃないかという質問がなされておるわけです。むしろ公使なんというけちなものはやめてしまって、全部大使にしたらどうかというようなことまでおっしゃっておるわけでありますが、これに対して藤山さんは、現在のところ大使、公使というものは、実際には区別は必要ないのだ、こういうような御意見でありますが、あなたもやはりそのような考え方でたくさんの設置法の改正をばお出しになったのかどうか。三十四年度には委員会としては、少し大使昇格が多過ぎるのじゃないかということを言っておるわけでありますが、それに対しまして御答弁をいただきたい。
#30
○小坂国務大臣 石山さんお話のように、どうも大使がばかに多いではないかということは、一般的にお考えになるかもしれないと思いますけれども、これはやはり相互的のものでありまして、結局公使にしろ大使にしろ、ふえましたということは、世界じゅうの国が多くなったということと関連することだと思います。そこで相互的に国と国とが大公使を交換する場合に、先方が大使をぜひということで大使を送って参りますと、今までこちらを代表して先方におった公使も勢い大使に昇格せざるを得ない。先方がわざわざ大使を送ってきたのに、こっちは公使ということになると、何か先方の国に対して非礼になるような感情があるわけであります。これは先方の国がそう思うわけであります。従いまして大使が多くなっておる、こういう現状であることを御了承願いたいと思います。大使、公使の称号は、もう実質的な差異は職務内容にはないわけであります。ただ今申し上げたように、一般的に大使があり、公使があり、それから代理公使があり、こういうふうに三つに分かれておるのが国際的な通念でありますので、従って国際間のつき合いをする上で、それに従っておるということを御了承願いたいと思います。
#31
○石山委員 藤山さんはそれに続いて、こういうふうになれば、一等大使、二等大使、三等大使ということもあるいは必要かもれしないという発言をなさっておるわけですが、これは表面上から見て、大使という資格が、たとえば内地に帰れば全部平等という格好で取り扱われるということでございますか。
#32
○小坂国務大臣 藤山さんがどうおっしゃったか私は承知しておりませんが、その点は一般的に相手国に対する感情で律せられると思います。ある国が独立したので日本が大使を送ってきた。ただしこれが三等大使であるといえば、せっかく大使を送っても先方が納得しないわけであります。従って大使である以上は、みな同様に扱うということをせざるを得ないのであります。これは相手国に対して差別ができないことからくることであると御承知をいただきたいのでございです。ただ同じ大使でありましても、月給が違います。やはり卒業年次その他でございまして、従来の功績等もあって、月給が違いますので、その人が、同じ大使が帰ってきても、上の年次の人は何々君と呼びますし、下の大使は何々大使といって尊敬します。そこのところにおのずからなる国内上の格好の差はございますが、そんなふうに御了承願いたいと存じます。なお念のために申し上げますと、本年度分はほとんど兼轄でございまして、大使の数は三つふやすことにさせていただきたいということだけでございます。
#33
○石山委員 外交上の儀礼でしょうから、なかなかむずかしい点があると思うのですが、何かその間に必然性というふうな意欲がないと、どうも大使昇格というのは、われわれから見ればかなりの昇格に見えるわけです。それが単なる儀礼的なものだということだけでは、非常におざなりで、情けないと思うのです。私たちとしては、たとえばそのことによって内部も強化されて、情報等も確実につかみ得るのだ、経済上の発展もそのことによって拡充する可能性を見出し得るのだ、何かそこら辺があるような気がします。そうでなければ非常にたよりない。ほんとうの外交がいわゆる儀礼的な外交に終わるのではないか。それであってはいかぬと私は思うので、あえてお伺いいたしますが、今度昇格なさる大使昇格についての根拠とういものは、私、儀礼的であってはいかぬと思うのです。必然性、意欲的な問題をば三つの昇格の大使について、あえて御説明をいただきたい。
#34
○小坂国務大臣 ごもっともなお話だと思います。大使になりまする以上、大使館設置ということになって、大使が行くわけでありますから、従ってその下部機構というものは、やはりそれを表わすにふさわしい実体を備えなければならぬと思うのでございます。またさようにいたしております。やはり先方の国が大使を日本に置きたい、またわれわれの国が大使を先方に置きたいということは、これはそれ相応に内容が充実してくるわけでございまして、これがやはり国と国との間の親密度を深からしめ、経済的にも貿易が進むし、またいろいろな文化、政治面の交流というものも進む、こういうことの実体ももちろん備わっておるわけであります。ただおっしゃいます御質問の御意味を私はかように理解いたしまして、先ほどそう申し上げたのです。政治関係のことであれば公使でいいのではないか、こういう意味であると承りまして、そう申し上げたのであります。公使でもりっぱな公使が行けばいいのではないか、働けばいいのではないか、こういうことは言えると思いますけれども、やはり先方が満足せぬ場合もございまして、どうしても大使館を置けと言われて、ずいぶんまだ私ども渋っておるのがたくさんございます。もうこの辺でよろしいだろうというものは、大使館に昇格するように国会にお願いを申し上げておるわけであります。
#35
○石山委員 大使などとなれば、一般の公務員の方々の標準からすれば、ずっといいクラスのものというふうに見えるわけです。ほんとうの意味の高級官僚だと思うのです。ですから、たとえば大使になった場合、今度の場合公使から大使館に昇格になるところの人事異動等は、どういうふうになさるつもりでいますか、その点をお伺いしたいと思います。
#36
○小坂国務大臣 これはやはり日本の国を代表して行っているわけでございますから、その大使なり公使なり、また総領事なりというものは、りっぱな人でなければならぬと思います。その意味で人物を厳選しまして、厳正公平にいたすわけでございますが、単にいたずらに年次にとらわれるということなく、新進を大いに簡抜していく。そしてその勤務ぶり等については、厳正なる勤務評定をいたしまして、きめて参りたい、こう思っております。
#37
○石山委員 私は公使の発言がわれわれ国民に与える影響が小さくて、大使が大きいということはないと思いますが、一般的にいえばやはり大使ということになると、いかにも一国の利害関係、権威というふうなものを代表したように見えます。私なぜこういうことを申し上げているかといいますと、どうもしっかりした人を選んでいただかないと、われわれ国内にいる者から見れば、たとえば松平国連大使のような、日本の新聞を見ないなどと公言している。ああいうことを聞くと、どうも外務省の人選には、われわれ議会にいる者ですが、日本の国内にいる者として、その人事に受け取りにくいところがあるわけなんです。ですから公使だと簡単な人事を行っていいと私申し上げませんけれども、ただ受ける感覚は公使と大使では大へん違いますね。たとえばイギリスの場合は大使と公使がいるわけでしょう。そうすると、日本を代表して発言なさるのはやはり大使というような一般的な印象になると思うので、この人選についてはそういうふうな意味では、松平発言のようなああいう方は努めて――政府からどういうふうな訓告、戒告をなさったか知りませんけれども、日本の新聞を見ないで日本の国内情勢をつかみ得るというふうなことは、なかなかむずかしいのではないかと思うのです。これは国内へ帰って言ったからいいじゃないかといえばそれまでかもしれませんけれども、私は日本の世論、日本人の感情、そういうふうなことを考えながら外国で発言していただく大使、公使こそ、りっぱな外交官だと思っているのですが、どうもあまり第三国人になり過ぎるのか、国際人になり過ぎるのか知りませんけれども、日本人の感情、実態を無視したような発言を外国でなさるような人は、この際公使から大使に昇格することは私たち非常に不安に思うわけです。そういう点は大臣がおっしゃったように、十分に勤務評定をなして昇格させるというような御意見ですから、私はあえて異議を唱えるものではないのですが、そういう上層部に位する国連の大使でさえもああいう発言をなさっているものですから、私たちとしては外務省の人事に対して、不信ではございませんよ。不信ではございませんけれども、非常な不安感を持っているということです。ですが、必要度があって公使から大使に昇格なさることはやむを得ないと思うけれども、それ相応の順序を立て、組織上の研究もなさっていただいて、十分に日本の利害関係、経済等に寄与してもらいたい、こういう条件がこの場合つけられなければならないのではないかと思っております。
 それから、これはこまかいことになりますけれども、公使から大使に昇格するというとき、給与も上がり、機密費等も上がるわけでございますか。
#38
○湯川政府委員 公使館から大使館になった場合の経費は、その館の事情によってきめますけれども、自動的に公使館が大使館になったから上がるということはございません。その必要度を勘案して必要があれば上がりますし、そのままで済みそうであれば上がらない、こういうことであります。
#39
○石山委員 今度欧亜局ですか、それに特に中近東アフリカ部を置くということになりますが、これはある意味では非常に時宜を得た考え方かもしれません。この中近東アフリカ部というのは、どういうふうな組織内容になるのでしょうか。
#40
○湯川政府委員 中近東アフリカ部は部長が統率します。その下に二課できる予定になっておりまして、一つは中近東課、一つはアフリカ課というふうに分けることになっております。
#41
○石山委員 そうすると今までのバンドン会議等によって、日本が非常にAA諸国に近づいたわけですが、そういうことがここで非常に日本の研究、情報等の収集に役立つというようなことにもなるのでありますか。
#42
○湯川政府委員 当然そういうことになるのでございます。
#43
○石山委員 当然そういうことになるのでございますと言うのでは、味もそっけもございません。それは質問に答えた内容でないと思うのです。
#44
○小坂国務大臣 御趣旨を官房長といたしまして体してやりたい、こういう趣旨を込めてお答え申し上げたのだと存じますが、私から便宜補足さしていただきます。従来アフリカ諸国におきましては、イギリス、フランスの植民地であった場所が一番多いわけでございます。これが昨年十七カ国独立いたしまして、従来欧亜局で所掌しておりましたことのほかに、そういう新しい国の問題が出て参った。ことにこれらの国は新興の意気に燃え、しかも民族の独立を達成したということで、将来に対して非常な希望を持っておるわけでございます。従ってわれわれといたしましても、この国の国民各位の気持というものを十分くんで、われわれもその希望を達成するために大いに協力していきたい、こう思っておるわけでございます。従いまして専門の部局を置きまして、十分この間に連絡をとっていくことが必要であると思う次第でございます。従来欧亜局、英連邦関係の部局において扱っておったものは、全部アフリカの問題もひっくるめて扱っておったことになるわけでございますが、実態的にはアフリカの問題というのはほとんど等閑視されておったので、今度は新たな部局を作って、これに勢力を集中したい、こういうことであるわけでございます。
#45
○石山委員 ほんとうは外務大臣からいろいろ外交問題について聞きたい点がございますけれども、それではあまり法案にこじつけて範囲を広げることになりますので差し控えたいと思うわけですが、中近東アフリカという言葉になりますと、コンゴ等の問題については最近非常に新聞等をにぎわしております。私の記憶が誤まりであれば別ですが、第一次大戦以後にドイツからコンゴ川流域の利権ですか、ああいうふうなものを日本が受け継いだような形で、日本の産業のある部分があすこへつてを求めて広がったという経緯があったと思っております。こういうのは今どういうふうな工合になってコンゴ川流域の貿易等がなされているか、この際説明していただきたい。
#46
○小坂国務大臣 これは日本が平和条約の際に全部放棄したことになっております。われわれはこれに調印いたしておりますので、そうした戦前の権益というものはないわけでございます。従って新規まき直しにやっていく。ただ観念的にはそういう昔の植民地に対して国が出て行ったというような考え方でなくて、全く対等な立場で先方の民族の発展の希望に沿っていこう、こういう立場で大いに交流を進めていきたいと考えております。
#47
○石山委員 日本の国の産業の実態を見てみますと、まだ重工業に転換をすることは無理だと思っております。どうしても軽工業という場合には、中近東アフリカは経済的にも日本にとって大へん重要な場所だと思っております。それからコンゴ流域に対しては、かつてわれわれの先輩が大いに経済的な力を注いだ経緯があります。ここへ今日本がもう一ぺん新規まき直しで手を伸ばす、こういうふうな場合に問題になるのは――あまりきょうは政治論をやりたくないのでございますけれども、いわゆる植民地主義というものを日本がどう見るかとか、あるいは民族独立というものに対して日本がどういうふうに見るかという大筋だけは通しておかないと、むだな紆余曲折ばかりで、産業的、経済的に寄与することが少ないということになりはしないか。小坂外交を見てみますと、大へん貴公子だからびんと線を引いたようにも見えるのですが、反面またどうもわれわれには理解しにくいような中共問題に対しての微妙な発言を行なっております。この際アフリカ、コンゴの問題に対しましては小坂外交はどういうふうな筋を通して、発展を期そうとしているかということを御説明していただきたいと思います。
#48
○小坂国務大臣 コンゴに限らず新たに独立したアフリカの諸国に対して、私ども特に言っておりますことは、この場所に東西の冷戦を持ち込まないという筋を通せということでございます。植民地主義もとより絶対排撃すべきものでございます。しかし最近はネオ・コロニアリズムというような言葉が言われておりますが、新しく力でもっておためごかしのことを言いながら植民地にしようとする勢力も出ておる。こんなことも言われております。両方でお前の方が植民地主義だ、お前の方が植民地主義だというようなことで、東西両陣営の一番大きなところでやり合っておるわけです。私どもはその間に処して、冷戦を新たに独立したところに持ち込んでは困ります、こういう態度で言っておるわけでございます。少し手前みそになるかもしれませんが、昨年の九月の国連に新興国からたくさんの主要人物が参りましたときに、われわれに対してこの人たちは非常に好感を持たれたように思っております。この人たちははっきりわれわれは日本に好意を持っておる、われわれは植民地主義の支配者に対してでもなく、強権を持ってわれわれに臨もうとする人たちに対してでもなく、日本を最もたよりにしておる、独立は達成したが今後が大事なことで一つ頼むということを何回も聞きました。独立した国はフランス語を話すフランス植民地の人が多かったわけでございますけれども、これらの人たちに対して、日本人は――役人は法律技術がうまいですから、いろいろな決議案を作ったり委員会に出席したりするのに対して非常に丁寧にめんどうを見て参りましたので、その後において私どもと非常に接触がふえて参りました。何かそういうことで今後お役に立つのではないかと考えておる次第でございます。
#49
○石山委員 私たち終戦からの日本の国内事情等を考えてみて、なるべくならば外国の力による民族支配は避けなければならぬと思っております。自主独立という言葉がよく使われていますけれども、しかし経済的な面等においては自主独立がなかなか困難だという場合も想定されるわけです。ですから私の方の気持としては、アフリカの人たちに対して日本はできるだけ自分の身にしみている点を十分生かして、ある国の人たちが完全な独立のできるようなことを、国連の中においても発言をしておく必要があるのではないかと考えております
 それからもう一つ申したい点は、これからの外交というものはただ理念のいわゆる平和外交だとか、いわゆる自由主義外交だとかというふうな問題では、本来の役目を達し得るものではないと私は思います。日本のように特に貿易によって経済が左右される国であれば、理念とか思想を越えたところの経済によるところの外交政策というものがかなりな重大性を持って成功していかなければ、国民は大へんに困るのではないかと思うのですが、小坂外交の現在、将来について、このわれわれが念願している思想を越えているところの経済外交を非常に重く見て、これからやっていくのだということが表明できるかどうかということを、この際お聞きしておきたいと思います。
#50
○小坂国務大臣 経済社会の構造が複雑化するにつれまして、外交の面にも経済の持つ役割というものは非常に大きいと思っております。その意味で経済外交というのは非常に重視いたしておるわけでございます。ここでまた私の外交理念を長々と申し上げることも、時間の関係で御迷惑でございますから差し控えますが、さような政治的立場というものは、これはもちろんはっきりしておかなければならぬと思いますが、経済的に各国が交流していくということは、これはこれからの外交の非常に大きな部面だと思います。それからもう一つは、新たに独立し、新たに開発されつつある国に対して、すでにたまたま先に開発され、工業国になった国が寄ってこれを援助していくという世界的な風潮というものは、日本が中心になって大いにこれを推進していかなければならぬと思います。現にDAGというものがございますが、これは将来、今ございますOEECというものが発展的に吸収されましてOECDというようなものになりまして、世界各国が低開発国に対して援助していこう、こういう動きもあるわけでございます。従来の東西の問題に比べていわゆる南北の動き、南北の関係というものが新たなる今年度の話題となっておるわけでございます。こういう点を非常に私ども重視して参りたいと思います
#51
○石山委員 当委員会は防衛問題等を取り扱う委員でございますから、外務大臣が国連軍の問題について発言なさったことについて、ほんとうはここにおいてもう少しお聞きしたいと思うのですけれども、それにつきましては大へん時間がかかるだろうと思いますし、それから法案自体としましてもそういうことにかかわっておればなかなか進捗しないと思いますので、これは委員長等を通じてまたの日に、たとえば防衛二法等を論ずる場合に小坂外相の出席をぜひ願うことにして、きょうは私の質問はこれで打ち切ります。
#52
○久野委員長 石橋政嗣君。
#53
○石橋(政)委員 簡単に一点だけ私はお尋ねしておきたいと思うのです。それは毎国会問題になるわけでございますが、大公使の認証官制度に関してでございます。最初に事務当局の方からでけっこうでございますけれども、現在大使館、公使館の数がどれだけあるか、今度大使館は新設が十七、それから昇格が七と二十四ふえるわけでございますが、これが通過した場合にどれだけになるのかということが第一。それから現在おられます大使と公使の数、それから新たにこの法律案が成立いたしました暁には何人ふえて、どの程度になるか、外務省が占める認証官の数をお知らせ願いたいと思います。それから三番目は、現在日本において認証官として認めておられる方の総数、これをお知らせ願いたいと思います。
#54
○小坂国務大臣 現在公館で大使館として法制上設置されておるものが五十七ございます。このうち未施行が一、それから公使館が二十六、うち未施行が二でございます。それから総領事館が二十六、領事館が十二、このうち未施行が一つ、このほか国連代表部、それから国際機関にも日本政府代表部というものがございます。他の点につきましては事務当局からお知らせいたします。
#55
○湯川政府委員 この案が通りましたときに大使の数は六十五、公使の数が十、合計七十五でございます。現在は大使五十六、公使十四、合計七十でございます。認証官の数は、先ほど申しました大公使の数に外務大臣を加えまして現在は七十一、この予算が通りまして七十六でございます。
#56
○石橋(政)委員 外務省の方は大公使の数を聞けば大体わかるのです。これは外務省ではわからないかと思うのですが、日本における現在認証官としておられる方の総数が、外務省でおわかりですかと言っておるわけです。わからなければいいのですが……。
#57
○湯川政府委員 現在私どもの持っている資料では定数が百二十七、現員が百二十二というふうになっております。
#58
○石橋(政)委員 この前の国会で本委員会において総務長官からお伺いしたところによりましても、認証官のちょうど半分くらいが外務省の方々、大公使の人たちということになると思うのです。このようにたくさんの認証官を外務省がひとりでかかえておるわけでございますけれども、認証官制度という面から考えてはたして妥当かどうか、非常に疑問を持っておる。だからわれわれも国会の問題にするわけです。何とかこれを是正する必要があるのじゃないか。大使、公使になれば必ず現在の外務公務員の特例法に基づいて認証官になるわけでございますけれども、こういったやり方がいいのかどうかということが常に論議されてきておるわけです。この点に関して昨年暮れの国会におきまして藤枝総務長官は、できるだけ早い機会にその是正を含めて検討をすべきだと思うということを答弁しておられるのですが、もっと外務省自体も積極的にこの問題に取り組む意思はないか。外務大臣として大公使は絶対に認証官でなくては困るという何かお考えでも持っておられるのか。その辺のことを私はお承りしたいと思うわけです。特にアメリカでもイギリスでも、大使も公使も両方行っておるところもありますね。そういう重複しておる場合でも、絶対に認証官でなくてはならないということもなかろうと思いますし、よほど何かこの制度を変えることに支障を来たすようなものが外務省としてあるのか。みずから積極的に検討を加える意思はないのか。たとえばこの間から論議されております前藤山外務大臣も当時一等大使、二大等使、三等大使というような格好にして、公使はなくしてもいいというようなことを言われておるわけですが、そういう問題とも関連して、みずから検討する意思がないのかどうかということをお伺いしたいと思います。
#59
○小坂国務大臣 認証官は御承知のように天皇の認証を要する官吏ということでございますが、これが外務省に非常に多いのではないかと言われますけれども、やはり大公使というものは国を代表して先方に行っているという建前からくる問題だと考えざるを得ないのでありまして、これは日本が相手をいたしておる国が少なければ大公使の数も少ない、従って認証官の数も少ないのでありますが、国連でもうじき百にもなろうという国を相手にして日本が外交をやっております以上、やはりこちらの国を代表して行く人には天皇の認証がある方が、先方の国がこれによって日本が非常に自分の国を重視してくれた、こういう印象を持つことを、私実感として考えざるを得ないのであります。やはり日本国の天皇の地位というものに対しては、いろいろむずかしい問題はございますけれども、外国人から見ますと、こちらに来て日本の天皇にお目にかかったということは非常に喜ぶわけでございます。そういうように日本の天皇というものに対する地位を外国人は考えている。そこで天皇の認証を持ってきた官吏というものが、自分の国に日本国を代表して来てくれているという感じを一般に持っているわけでございますから、これを一般の官吏の地位の重要性と比較して、外務省には重要と思われる官吏がこんなにたくさんいる。だからこれは不均衡だという考え方は、私は外交を担当しておる者の実感からいたしますと、どうも実情から見て不適当なように思うのであります。私は決して与野党の論議で言っているのではございませんので、実際日本が外交をやり、大使を出していく上には、天皇の認証を持ってきたのだということでやっていかないと、今までやってきたのが狂うような感じがいたしております。こちらに参ります先方の大公使の例を見ましても、私のところに着任したからといってあいさつに来て、信任状を私に取り次いでもらいたいという要請がございます。その信任状を早く取り次いで天皇に対して謁見し、信任状の奉呈が早く済みますと、非常に喜ぶわけであります。そして認証式が済みますと非常に喜んで、自分も一人前の大公使になって日本に来られた、こう言うのであります。そういうように、天皇に対する外国人の感じ方が今のようである限り、これを急に国内的な問題からいじりますことは、外交の全体から見て不得策であるというように考えざるを得ないのであります。
#60
○石橋(政)委員 外務省は何回お尋ねしてもそういう答弁を歴代やっておられるわけです。確かにそういった国外の雰囲気といいますか、そういうものを根拠に言われますと、私どもあまり反論できるだけの材料を持たないわけですけれども、こういった天皇の認証というものが必ずしも外国で非常に権威高く扱われておるのかどうか、納得できない面もあるわけでございますが、それはそういう認証官として認められて行った方が便利は便利でございましょう。しかし絶対にそうでなくちゃならぬという根拠にはならぬのじゃないかと思うのです。そういうことは、国の代表として信任状を持っていくわけでございますし、必ずしも天皇の認証というものが絶対の条件にはならないと思う。特に認証官制度というのは国内の一つの官職の問題であろうと思いますし、他の部面との均衡ということも十分に考えていくべきじゃないか。逆にそういう乱造が権威を失墜しておる。権威という言葉が当たるかどうか知りませんけれども、そういうことにも私はなるのじゃないかと思いますので、この際政府として十分に検討を加えるべきだというふうな立場に立って、与党の方にも御相談して附帯決議なりつけることにしたいと思いますので、質問はこれで終わります。
#61
○緒方委員 ちょっと外務大臣にお伺いします。大使館の中に、コンゴにおいては大使館をレオポルドビル、ブラザビルの二カ所に置くことになっておる。コンゴは御承知のように複雑な情勢の中にありまして、ツォンベ政権、カサブブ政権、それからギゼンガ政権、三つの政権になっておる。もしこれが統一コンゴという形であるならば、ギゼンガ政権のところに大使館は置くべきであるし、三つの国だという形で認めるならば、三つの大使館が必要になってくるだろうと思う。それにレオポルドビルとブラザビルだけに大使館を置こうとする御真意は一体どこにあるのか、その点を一つお伺いしたい。
#62
○小坂国務大臣 レオポルドビルの方は旧ベルギー領コンゴです。それからブラザビルの方は旧仏領コンゴです。国が違いますので、そこでそれから分かれてきておるのでございます。
#63
○緒方委員 それではレオポルドビルの方は統一コンゴの政権という形で置いておくわけですか、その点はどうです。
#64
○小坂国務大臣 さようでございます。
#65
○緒方委員 統一政権と認めておっていいですか。統一政権だということになりますと、今統一政権はギゼンガ氏が主張しておるような全国的な制度に基づく国家の建設、ところがカサブブやツォンベ政権はそれぞれの地方政権を作り上げようとしておるわけですが、その点の見解はどうなりますか。
#66
○小坂国務大臣 実はこれは発生的にそうなっているのでありまして、最初に首都のあったところであるから置いておく、こういうことでございます。今のいろいろな争いとは全然無関係であります。
#67
○緒方委員 では別なことを今度はお伺いしますが、外務大臣は今韓国との御折衝をなさっている。韓国を一国の国家であると認めての――むろん大使もおいでになっておりますから、そういう形で御折衝なさっておられるものと思いますが、間違いございませんか。
#68
○小坂国務大臣 実は在外公館の設置法の中にも、大使を置く場所に大韓民国というのが入っておるわけです。今の韓国の事情は、御承知のように韓国政権というものの事実上の支配権は、北緯三十八度から北に及んでいないわけです。ですから、そういう事実を頭に入れて折衝いたしております。
#69
○緒方委員 その南北の問題を私ば論ずるわけではございませんが、先般の公報を見ますと、法務大臣からなされておる居留地選択の問題で、日本に国籍を移したいという者が相当数出されておる。その中に、韓国に生まれ韓国にいるのではなかろうかと思われる人もずいぶんありますが、韓国人という名前は一つもない。韓国人というものは今日存在するのかしないのか。人のおらない国家は在存しないはずでございます。韓国というものは国民を持つ国家か、国民を持たざる国家か、その点を一つお伺いしておきたい。
#70
○小坂国務大臣 わが国は講和条約の第二条によって、朝鮮の独立を認めておるわけでございます。そこで朝鮮の独立に対して、どこかに政権を作らなければならぬということで、国連の監視下において選挙を行なうことになりまして、一九四八年に選挙を行なったわけであります。ところが三十八度から南の方はその選挙をやりましたが、三十八度から北の方は選挙をやらぬわけです。そこで国連においては朝鮮における合法政府として韓国を認める、こういった国が四十五カ国がございます。そうではない、そんな選挙はだめだといっている国が十一カ国だったかと思います。そんなふうになっておりまして、一応韓国というものが合法政権であると、国連の方においてその決議によって認められておるという形でございます。
#71
○緒方委員 私は経過を聞いておるわけじゃない。現在の地位における法律的な立場を私はお伺いしておるのです。国連の何からいたしますならば、統一朝鮮というものは、日本の承認した国であるかもしれませんが、しかし韓国というものが国連の中で認められたということを私は聞いてはおらないわけです。韓国は国民を持たざる国家である。日本の国自体も韓国国民というものの存在を認めていない。朝鮮人ということは認めておるけれども、韓国民ということは認めていないではないか。外務省は認めて法務省は認めないというふうな、そういう国のあり方があってしかるべきかどうかということでありますが、その点はどうですか。
#72
○小坂国務大臣 先ほど申し上げたような経過で大韓民国というものが、国連の決議によって認められておるわけであります。そこでこれに対して大使を置いている国が三十何カ国かございます。そこでこれはそういう国との問題と同様な問題になると存じますので、日本だけが特殊なことをやっておるわけではございませんので、その辺私も法律家でないので、はなはだ申しわけございませんけれども、私のしろうと論を申しますより、法律家とよく相談いたしまして他日お答えをいたしたいと思います。
#73
○久野委員長 外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案についての質疑は、いずれも終了いたしました。
    ―――――――――――――
#74
○久野委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに両案を一括して採決に入ります。
 外務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案の両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#75
○久野委員長 起立総員。よって両案はいずれも可決いたしました。
    ―――――――――――――
#76
○久野委員長 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案に対し、石橋政嗣君外二十八名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際本動議について提出者よりその趣旨の説明を求めます。石橋政嗣君。
#77
○石橋(政)委員 自由民主党、日本社会党、民主社会党、三党共同の附帯決議を提案いたしたいと思いますが、まず最初に原案を朗読いたします。
   在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  わが国の認証官制度は、現在、大公使によってその過半数を占められ、制度全般のバランスを失している等にかんがみ、認証官制度特に外務省の認証官制度に関し、速かに検討し、その制度の合理化を図ることを強く要望する。
  右決議する。
 提案理由の説明でございますが、この原案の中に織り込まれておりますように、また先ほど質問申し上げてお答えをいただきましたように、現在の日本における認証官の大半を外務省が独占しておる形がとられておるわけでございますが、これは確かに不均衡を生んでおると思います。こういう面から、さきに十二月の国会におきましても、本委員会において藤枝総務長官が、ぜひ検討する必要ありということも申しておりますし、この検討を早急にやっていただきたいというのが趣旨でございます。
 先ほど外務大臣の答弁の中に、天皇の認証を受けて外国の任地におもむくことが非常に効果があるのだ、権威を高めることにもなるのだというお話でございますが、これは大使、公使といういわゆる官についての認証官制度と信任状の認証と、何か混淆しておるのではないかという感じも私は受けるわけであります。大使、公使のみならず、外国における重要な儀式への参列に際し、特派大使に携行させる信任状、あるいは全権委任状並びに領事官の委任状、こういうものは天皇が認証することになっておりますから、これで十分ではないか。認証官制度はこういうものとは別個に十分検討が加えらるべきではないかというふうにも考えますので、ぜひ政府側におきまして、この委員会の決議の線に沿って検討せられるように要望して、私の説明を終わりたいと思います。
#78
○久野委員長 石橋政嗣君外二十八名提出の附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。
 本動議を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○久野委員長 御異議なしと認めます。よって本動議は可決いたしました。
     ――――◇―――――
#80
○久野委員長 引き続き通商産業省設置法の一部を改正する法律案について質疑を継続いたします。石山権作君。
#81
○石山委員 これは産業構造調査会を新設し、存続期間を三年にするというのが第一の題目でございますが、今まで通産省でいろいろやっておるのを見ますと、たとえば繊維部会とか鉄鋼部会とかそれぞれの部会がございます。その部会の中のあれを見てみますと、自分の部会だけが非常によく調査研究をされて、理想も高く掲げるようでありますけれども、他の部会との連合、連帯、結合、そういうものが今までないように思われます。それでは全般の経済機構、経済構造から見れば、幾ら審議会を作っても役に立たぬというふうな印象を受けているわけですが、今度のはどういう仕組みでおやりになるのか。太いところ、大きいところでよろしゅうございますから、二、三御説明いただきたいと思います。
#82
○椎名国務大臣 内部組織はまだ成案を得ておりませんけれども、今お話の点につきましては、この審議会の総務部会といったようなものを作りまして、各専門部会が独走をしない、その間の調整を巧みにはかって参る、そういうことをしたいと考えております。
#83
○石山委員 存続期間を三年間とするということは、この為替・貿易の自由化によってドル防衛の関係から見て、日本の産業構造を調査して一つの立案をするのに三年間というのは、私はこの急場には間に合わないような気持を持つのですが、この急場に間に合わせるための委員会なのか。それとも日本の産業構造の将来性、たとえば十カ年先を見るというふうなところにピントを合わせてこの委員会をお作りになるのか。その性格を一つお示し願いたい。
#84
○椎名国務大臣 日本の産業構造の高度化の調査は、趣旨としてはやはり恒久性を持たせた方がいいと思っておるのでありますが、とりあえず自由化が完成するまでの間、その羅針盤と申しますか、そういった意味で綿密に日本の各業態についての産業構造を具体的に指導するという意味において、その羅針盤ともなるべき機関が必要である。こう考えまして三年間としたようなわけであります。
#85
○石山委員 大臣は親切に答えてくれておるので大へんありがたいのですが、私の聞きたいところはそんなむずかしいことではないのです。この委員会はずっと一つの見通しを持ってやるという性格を持っているのか、それとも激動化する現在の産業を行政的に援助するための諮問機関になるのか、それともあわせ持つ性格を持つのか、性格をちょっとお聞きしているわけなんです。
#86
○椎名国務大臣 これは行政権は持ちません。あくまで調査、審議の機関でございまして、これによって貴重な行政の参考資料を得たい、こういう性格のものであります。
#87
○石山委員 そうしますと、この激動化する現在に対して両面の面を持つ委員会になるわけですか。
#88
○椎名国務大臣 両面を持つわけでありますが、そのいきさつ等につきましては政府委員から御説明申し上げます。
#89
○樋詰政府委員 先ほども申し上げたかと思うのでございますが、実はわれわれかねてから通産政策を進めるにあたりましては、日本に最適の構造は何か、激化する世界競争の場裏においてひけをとらないで、国民全体をレベル・アップしていくということのためには、どういう産業を一番伸ばすべきであろうかということを前提として、従来も仕事は続けてきたつもりでございます。しかし技術の進歩というものは実に目まぐるしく、時々刻々に経済情勢は変わっております。そこで今後の長いことを考えてみますと、三年間で一回済んだからいいというものではございませんで、三年も五年も十年も、とにかくしょっちゅうあらゆる面の科学的検討を加えて、そのときそのときの情勢に一番即応した具体的な政策というものを見出す研究は当然やっていく必要があるではないだろうか。しかしとりあえずまず国際情勢、それから日本経済が全体的に伸びてきたということから、倍増計画というものを打ち出され、内外の情勢から、日本経済自体が伸びるためにはできるだけ早く自由化という態勢を整える方がいいのだという、一応大きな方針が打ち出されておりますので、この自由化ということと高度経済成長という二つの要請を、できるだけ同時に達成させるためのいろいろな具体的施策というものがはたして今まで通産省がやってきただけのものでいいかどうかということについて再検討を加えたい。従いまして三年間たって初めて結論も出すのではなくて、この三年の間にもいろいろ措置すべきことは措置していき、調査がある程度まとまり次第、これを参考にして、毎年丸々でも取り入れて新しい施策の参考に供したい、こう思っておるわけでございまして、三年間というのは、自由化を八割ないし九割実現しようというのが一応三年間ということになっておりますので、そのころまでに自由化しても大丈夫だというだけの具体的、科学的な根拠のあるデータも集めて、施策に誤りなからしめたいということで、その結果、多分われわれは非常にいい結論が出るというふうに実は自負しているのでございますが、できれば三年たってもなくするのではなしに、ますます変わっていく技術革新におくれをとらないような施策を生み出す科学的な根拠母体ということで、通産省のある限りと申しますか日本経済を発展させるために恒久的なものに、やがては変えていきたい。しかし初めからあまり恒久的なことを申し上げても、そうは参りませんので、当面の高度経済成長と自由化と、両方矛盾なく達成するための一番いい方法を見出すということで、三年間勉強させていただきたい、そういう考えでお願いしておるわけでございます。
#90
○石山委員 いろいろなことを研究され、立案されて、それを実行に移すという建前だろうと思いますが、その間における企画庁との調整はどういうふうになさるおつもりですか。
#91
○樋詰政府委員 所得倍増計画といったような、農業も漁業も林業も、あるいはその他国民経済全体をひっくるめての巨視的な、マクロ的観点に立つ国全体の構想というものは、当然経済企画庁がやるべきであります。われわれは経済企画庁が策定いたしました――これは経済審議会の答申を経て政府で決定されたわけでございますが、そういう所得倍増計画という大きなワクの中に占める一番重要な要素は鉱工業の発展であろうかと思われますが、その鉱工業を所管する通産省といたしまして、鉱工業と一口に申しましても、中にはいろいろ業種があり、中には存立基盤をよく検討してみますとどうしても衰退せざるを得ないと思われるものもあれば、今はまだ小さなものであるけれども将来伸びる可能性というものを潜在しているものもある。そこでそういう実態をまず吟味して存立基盤というものをはっきりさせる。それに基づいて国内の需要動向がどうなるか、将来の貿易構造がどう変わるかということを前提とした場合、海外需要にどうマッチさせるかということで、結局貿易を大いに振興し、国民経済全体を伸ばすということは、通産省の所管物資というものが受け持つ面が一番多いということで、通産省の所管物資について各業種ごとのこまかな分析と総合をやりたい。それを積み上げて、結局企画庁がやりますマクロ的な観点でなしに、いわゆるミクロ的な積み上げということで、きめのこまかい行政をやっていきたいということでございますので、通産省にこれを置いて勉強していただきたいと思うわけでございますが、もちろんその結果等は時々刻々関係方面、政府部内等には連絡して、大局的な判断にも間違いないようにということで運営していきたいと考えております。
#92
○石山委員 そんな心がまえでやればりっぱなものができそうに思われますが、ただ先ほど私が言いましたようにに、繊維部門あるいは鋼鉄部門というような場合には、他を考えないで自分のことだけの立案をやる、それがつまり通産行政にそういう弊害が出る心配もあるわけです。たとえば農業、水産業との関係がやはり出てくるものですから、企画庁の問題も出してみたわけですが、全般を見るということをしないと、どんないい案ができてもなわ張り争いのようなことで、いいものでもできないでしまうということをわれわれよく見るものですから、そういうことのないようにこの場合十分考えていただきたいという点でございます。
 それから二と三の石炭地帯の問題あるいは石炭自体の問題等は、これはおそらく商工委員会で大へんに論議された問題だと思うので、私はここではあえて触れません。しかし次にある四の鉱業法の改正等に関係して、石炭のような日本の産業エネルギーの中心になるような問題、雇用関係等も、これはみな注目して見るから、同じ中小炭鉱であっても、行政措置等から見てもかなり行き届いた方法をとらざるを得ないというのが今の通産行政だと思います。反面にどうもあまりぱっとしない、こういうのが同じ鉱山業務の中に多々あるわけです。そういうふうなものが今回の、たとえば為替・貿易の自由化によって大へんな痛手を受けようとしている。見るに忍びないものが出ているのですが、これは通産省ではなかなかつかんでいないのではないかと思うのです。きのう運輸の連合審査会で、通産大臣はなかなか味のある、人情味のある答えをしていただいたわけなんですが、今のような中小企業の場合には、たとえばまず第一にアメリカから入る銅でだいぶ痛手を受ける。それからかりに今度の鉄道運賃が上がるとすれば、これでまた大きな痛手を受ける。こういうふうなことに対しまして、いろいろと私の方でも通産省へ出かけて、それぞれ意見を申し述べた経緯もございますけれども、こういう起きつつある現象に対しては、具体的に救済の措置といいますか、そういうふうな措置がまだ講ぜられていないように見えますが、一つその点、早くこういうものに対して適当な行政措置をなさるという意欲があるか、行政措置はどういう格好でなさるかというふうな点をこの際明らかにしておいていただきたい。具体的な問題はもちろんなかなかむずかしいと思いますけれども、こういうふうな考え方によって、たとえば輸入銅に対して対処しているのだ、輸入鉱石に対して対処しているのだ、こういうふうな問題について御説明をいただきたいと思います。
#93
○椎名国務大臣 日本の非鉄金属鉱業、鉱山業の現状は、確かにこれは石炭ほどではなくても、かなり苦しい立場にあるのであります。自由化問題でございますが、自由化すれば、これはますます窮境に陥るということが予想されますので、この自由化につきましてはきわめて慎重に考慮していかなければならぬ、かように考えておるわけであります。自由化するしないの問題は、そういうわけでございますから、しばらく現在の問題になりませんが、ただいまの問題としては、指導によりまして、鉱石を製練所でトン二十八万円を切らないで、その程度で一つ買ってくれということで、世界的な銅の値段がどうあろうと、そういうような指導助成の政策をとっておる。さらに通産省といたしましては、生産条件によって――いろいろコストのかかる高いところもあれば、安いところもある、そういった条件をプールしまして、そして大体業界の安定を持ち来たすようにただいま研究中でございます。
#94
○石山委員 私たちはたとえば貧弱な中小企業の場合、何が何でも政府に依存せよなどとは申し上げません。やはり自分の企業努力というものは、いかなる場合でも行なわれなければならぬと思います。しかし今のような場合にはなかなか企業努力のみでは立ち直り得ないだろう、存続し得ないだろうというような点が見受けられます。そうしますと、日本産業の発展という問題といわゆると雇用の関係等がおのずから出てくる。われわれは日本の産業の発展はこいねがうのでございますけれども、二重構造を認めながらこいねがうというようには考えられないわけであります。日本国民の幸福にはなり得ないと思っているわけです。ですから生活環境からしましても、私は通産省にはいろいろと工夫していただかなければならない面がたくさん出てくるだろうと思っております。特にこういうふうな貧弱なと言われている地下資源に対して、たとえばガスであろうと石油であろうと、あるいはいろいろな金属であろうと、石炭であろうと、政府が一貫して探鉱等を国の施策で行なうような方法をとったならば、弱小の中小企業等は安心して自分の経営能力に応じた経営がなされて、そうしてそこでもけっこう採算のとれるような経営が行なわれていくのではないかというふうに思われますが、今のような場合では、どうしても当たるも八卦、当たらぬも八卦というような山師的な、賭博的な気分で探鉱を進めるようなきらいが中小炭鉱にあるわけです。それであってはいつまでたっても中小企業の安泰ということはあり得ないのではないか。国が探鉱に対し、あるいは地下資源開発に対する考え方を及ぼしてもいいのではないか、こういう考え方を持っているのですが、どういう見解でこれを見ておられますか。
#95
○伊藤政府委員 現在探鉱の前提となります地質調査につきましては、工業技術院のもとにあります地質調査所で基本的な調査を実施する建前になっておりますが、この方面の仕事は私どもと十分連絡して、それをますます拡充していくべきだと考えております。その地質調査の上に立っての探鉱になりますと、現在の段階では鉱業権者が自発的にやっていくことを援助する建前をとっているわけでございますが、具体的には私どもの方で補助している補助金も、つい数年前までは五千万円程度の金額でございましたが、昭和三十五年度には一億、本年度は目下審議をお願いしております予算の一億一千万円というふうに、漸次増額している次第でございます。それから探鉱費の税制上の扱いにつきましても、これは臨時租税特別措置法によりまして、ほとんどすべてを経費として見ているわけでございます。従って本年資産として計上されて課税さるべきものは、ほとんどすべて経費として落とされるというような措置もとっている次第でございます。
 それから全国的ではありませんが、北海道につきましては、北海道地下資源開発会社というものが、北海道の開発という趣旨がおもでございますが、できまして、そしてこれは特殊な政府出資が大部分の会社でございますが、自力で探鉱するということですでにその緒についているわけでございます。ただいまお話のように、そういうふうに単なる奨励だけでなしに、国家自体がある程度この仕事に進むべきではないかということは、私も同じように考えておりまして、そういう考えでさらに炭鉱の開発ということに進んでいきたいと思います。
#96
○石山委員 局長のお話は私たちにとっては大へんうれしいことでございます。これにはなかなか研究を要する面がたくさんあると思いますが、その間において、たとえば探鉱用の機械、こういうものを貸し付けるということも考えていいと思いますが、そういう措置は今とられておりますか。
#97
○伊藤政府委員 国家の制度としては現在行なわれておりませんが、府県が中小鉱山の指導という意味でやっているところはあるようでございます。
#98
○石山委員 それから租税特別法による隠れたる援助もありがたいことだと思いますが、この隠れたる援助が、ともすると大企業にばかり及ぼされているというのが今の姿なんです。援助項目が全部あるのですが、それが全部援用できるのが大企業、大工場ばかりで、むしろ全部やってもらわなければならぬ中小企業は、お前は資格がないということで、少部分しか特別措置法が及ばない。これもやはり皆さんの考え方ではかなりよく援用できるわけです。私はこの際資格のないものを資格のあるものにせよということを言うわけではないのですが、中小企業に関する限りは、ここ一、二年の間にはそれこそ特別な措置をとらなければ、消えてなくなるということも考えられますので、十分その点も一つ勘案して、発展を予約されながらも激動期にあってつぶれていくという現象が、行政措置がまずいと起きるだろうと思う。ですから発展の段階に達するのは、やはり二年以後だろうと私は思う。あるいは三年かもしれませんね。為替・貿易自由化が真に行なわれるときこそ、発展の段階にわが産業界が足をかけたということになりますが、それはことしから二年ないし三年間息をつかせておかなければ、発展の段階に立ち得ない人々がたくさん出るということは、私などが言うよりも当局者の皆さんの方で一番よくお知りだろうと思うのです。そういうことを私たちの口から言わせないように、何だ、あのときはあんなことを言ったけれども、椎名通産大臣は何にもやらなかったじゃないか、鉱山局長は何にもやらなかったじゃないか、為替・貿易の自由化は大企業を助け、独占企業を助けるためにそれを行なったという証拠になるような行政措置は、やっていただきたくないと思います。一つ十分御注意をなさってやっていただくことを、私は希望いたしまして、この設置法が十分に有効に活躍されるように希望しておきます。
#99
○久野委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#100
○久野委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し入れもありませんので、直ちに採決に入ります。
 通商産業省設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#101
○久野委員長 起立総員。よって本案は可決いたしました。
 なお議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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