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1960/03/28 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第17号
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1960/03/28 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 内閣委員会 第17号

#1
第038回国会 内閣委員会 第17号
昭和三十六年三月二十八日(火曜日)
   午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 久野 忠治君
   理事 伊能繁次郎君 理事 小笠 公韶君
   理事 草野一郎平君 理事 宮澤 胤勇君
   理事 飛鳥田一雄君 理事 石橋 政嗣君
   理事 石山 權作君
      内海 安吉君    佐々木義武君
      島村 一郎君    福田  一君
      藤原 節夫君    保科善四郎君
      牧野 寛索君    緒方 孝男君
      杉山元治郎君    山内  広君
      山花 秀雄君    受田 新吉君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
 出席政府委員
        総理府事務官
        (経済企画庁
        調整局長)   中野 正一君
        総理府事務官
        (経済企画庁
        総合開発局長) 曾田  忠君
        法務政務次官  古川 丈吉君
        検     事
        (大臣官房司法
        法制調査部長) 津田  実君
        法務事務官
        (矯正局長)  大澤 一郎君
 委員外の出席者
        総理府事務官
       (経済企画庁長
       官官房企画課長) 熊谷 典文君
        総理府事務官
        (経済企画庁調
        整局調整課長) 赤沢 璋一君
        検     事
        (大臣官房司法
        法制調査部司法
        法制課長)   羽山 忠弘君
        法務事務官
        (矯正局作業課
        長)      菅野 勘六君
        法務事務官
        (矯正局医療分
        類課長)    大津 正雄君
        法務事務官
        (矯正局教育課
        長)      樋口 忠吉君
        検     事
        (法務総合研修
        所次長)    天野 武一君
        外務事務官
        (国際連合局管
        理課長)    太田 正己君
        専  門  員 安倍 三郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六九号)
 法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第九四号)
     ――――◇―――――
#2
○久野委員長 これより会議を開きます。
 法務省設置法の一部を改正する法律案及び経済企画庁設置法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を許します。質疑の申し出がありますので順次これを許します。緒方孝男君。
#3
○緒方委員 法務省より提案されております法務省設置法の一部を改正する法律案の中で、犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本に設置するという、国連の機構を日本に誘致するということにいたされておりますが、これについて少しお伺いしたいと思います。この研修所は、当初はパキスタンが候補地にあげられておったのが、御説明によりますと、パキスタンにおいての国内事情によってこれができなくなったということがしるされておりますが、その事情がおわかりでありましたら、簡単でもけっこうでありますから御説明を願いたい。
#4
○太田説明員 お答え申し上げます。友好国の国内事情でございますので、あまり私ども実は申し上げたくないのでございまするけれども、実はただいまのアユブ・カーン大統領の政権がクーデターでできまして、新政権は非常に緊縮政策をおとりになっておられるようでございまして、そういうものにお金を使うということを極力控えられる、そういうようなことから、新政権は前の政権がお引き受けになっておられたこの計画でありまするけれども、方針が変わったので、ちょっとかんべんしていただけないか、こういうような御事情がおありになったように私聞いております。
#5
○緒方委員 そのことは事情だけでかまいませんが、これには経済的な負担が必要であるということが理由で、パキスタンの方でもお断わりになったと思います。われわれは、経済的な負担があろうとも、これが有益なものであれば何も反対をするものでもございませんが、日本がこれを招請しようとする政府の目的というものは、単に国連の事業に協力をしていこうということだけであるかどうか、その点を一つお答え願いたい。
#6
○津田政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、この事業はアジア、極東地域、すなわち日本を含めまして、この地域における犯罪の防止及び犯罪者の処遇の関係並びに少年の非行の防止、非行少年の処遇に関する問題につきまして、関係諸国の上級職員、専門職員を集めて研修をし、あるいは調査をし、あるいは研究をさせるということが目的でございます。御承知のように犯罪問題は一国だけの問題ではございませんので、これは国際的視野から犯罪に対する対策を考えなければならないわけでございます。ことにアジア地域というふうに一つのまとまった、しかも国が相接しておる地域におきましては、お互いの犯罪事情を全然無視して国内の犯罪対策を立てることはできないわけでございます。その意味におきまして、各国の犯罪防止あるいは犯罪者の処遇の対策が当を得ないために犯罪が増加するということがありますれば、お互いに影響を受けるわけでございますので、これらの対策あるいは施策につきましては、お互いに研さんをして、向上をはかって、犯罪の防止をはからなければならない。ことに最近問題になっております少年非行についてはなおさらでございます。そういう意味におきまして、この地域においてお互いに事情を研究し合い、その対策を立てるということは、わが国にとっても非常に有益なことでございまして、単に国連の事業に協力するというだけでなく、わが国の施策に十分資するということが考えられますので、この研修所を招致いたしたいと思います。
#7
○緒方委員 犯罪の防止なり犯罪者の処遇に対して、いろいろと御研究をなさるここはけっこうでありますが、研究をして論文を作るだけが目的であってはならないと思うのであります。やはり研究の結果が実を結ぶような方向に問題が進められていかなければなりませんが、本研修所の事業の中に、犯罪者の処遇についてということが大きな事業の一つに出ておるわけでございます。この犯罪者の処遇の問題について、政府が、はたして真剣にこれに検討を加え、改良すべきところは改良する御意思があってのことかどうか、それを一つお伺いしておきたい。
#8
○津田政府委員 御指摘の点はまことにごもっともでございまして、まず国際的な問題もさりながら、国内的の犯罪者の処遇をよくするというここに十分努めなければならないことは、もちろんでございます。この点につきましては法務省におきましても、つとにいろいろな方面において研究を重ね、同時に努力をして参っておりますし、現に刑務所におきます犯罪者の処遇につきましては、逐年その向上をはかりつつあるわけでございます。でありますが、何分にも多数の収容者をかかえておるわけでございまして、なかなか理想的に処遇をするということは困難でございますけれども、法制の面、それから予算の面等におきましても、逐年努力を重ねておりますし、逐年向上して参っておると考えております。なお刑務所に関する法令、すなわち監獄法につきましては、これは非常に古い法律になっておりまするけれども、現在運用そのものは決して古くなっておるわけではございません。しかしながら目下のところは、これが改正についての作業を年来続けて参っておりますので、これは遠からず近代的な刑務所に関する法令にまとめ上げられるというふうに考えております。
#9
○緒方委員 いろいろ御努力はなさっておるというお話でございますが、今も申されましたふうに、今日日本で行なわれておる犯罪者に対する処遇は、明治四十一年に制定された監獄法であると思うのであります。新しい日本として新憲法が生まれ、新民法、新刑法という新しい法理制度のもとにありながら、この犯罪者の処遇の問題だけについては明治以来の旧法であります。これが今日厳然として日本の国内で行なわれておるということは、はたして犯罪者の処遇に対して、今日まで法務省自体が真剣に考えたかどうかということは、疑わざるを得ない問題じゃないだろうかと思います。まして昭和三十二年にはこの法の改正草案がすでにでき上がっておったというにもかかわらず、上程されるに至らなかった。その後また数十回にわたって改正審議会が持たれたけれども、いまだに草案を得ないという実情は一体どこにあるか、何がネックになってそういう事態になっておるのか、その点について詳しくご説明を願いたい。
#10
○津田政府委員 監獄法の改正につきましては確かに御指摘のような経過をたどっておるわけであります。現在もなお、改正準備会におきまして検討をいたしておるわけであります。何がさように時間がかかるかということなんでございますが、御承知のふうに刑法と監獄法とはそれぞれうらはらをなしておりまして、刑法、監獄法の改正作業というものは国際的にも非常に問題がございまして、各国ともになかなか結論を得ない問題であったことは、過去の数カ国の例によってもわかるところでございます。従いまして、わが国におきましても、この監獄法の問題は、刑法、すなわち基本法典といわれる刑法と非常に密接不可分の関係がございますので、それらの関係を検討すると同時に、あるいは監獄、つまり刑務所の処遇に関する国際的な基準というようなものもできておりますので、それらをにらみ合わせ、しかもわが国の風俗、習慣、あるいはわが国の財政事情等を考慮しつついたしまして、いかなる監獄法制が日本に最も適するかということを発見するためには、非常な時間を要するわけであります。そういう意味におきまして、今日、決してなおざりにしているわけでございませんので、毎週一定の人員によりましてこの作業を続けておりますし、もちろん専従者は毎日やっておるわけでございますが、一定の会議を毎週続けておるというような状態で、なお今日相当の部分について、まだ結論を得ない点があるということを申し上げざるを得ないような状況になっておるわけでございます。
#11
○緒方委員 なかなかむずかしい問題で、これはとても容易なことではない。すでに数年も要しているけれども、まだまとまらない部分がたくさん出ておる。もとをただせば、むずかしい問題だから、そういうお話を聞いておると、これは百年河清を待つにひとしいような感がするわけであります。私は何もそれは根本的なもの、理想的なものができるかどうか、これは別だと思います。差し迫って国民として、人間としてまだ正確に基本的に認められておらなかった時代の残存物の弊害だけでも取り除くように改良されていくのが、努力の一歩々々じゃないだろうか、私はそう考える。理想的なものがすぐできるかどうか、それは私もわかりません。しかしながら悪い部面を一つずつ改正していこう、改革していこうという努力は一つもなされておらない。むしろ法務省内部においては、この監獄法の改正をあまり好まない。むしろ不備な点やその他の問題があれば行政運用でやっていけるから、改正の必要はあまりないのだという消極的な論が、この改正の促進をはばんでおるのじゃなかろうかというふうに感じられますが、その点はどうでございましょう。
#12
○古川政府委員 ただいま調査部長が御答弁申し上げましたが、監獄法の改正については刑法との関連もありまして、刑法につきましては昭和三十一年来、小野特別顧問を中心として委員を委嘱いたしまして研究を重ね、すでに百四十回に達する会合を開いて、一応の結論を得たのでございますが、監獄法に関しましても、昭和三十二年末に佐藤特別顧問を設けまして、そして委員を選びまして、それ以来ずっと今日まで会を重ねること四十九回の会合をいたしておるわけでございます。そしてその間、今日まで通則の基本的事項の審議を終えまして、今後は未決拘禁及び行刑上で特に問題となるような事項について検討を加えまして、そして結論を得て、刑法とともに改正をする意思でおりますので、ただいま申し上げました通りに、問題が非常に大きいだけに、普通お考え下さると非常にぐずぐずしておるではないか、こういうおしかりを受けるのももっともでございますが、刑法におきましても監獄法の改正につきましても、根本的の改正を加えるにつきましてはやはり長年月を要しますので、決してこれをなおざりにしておるわけではなくして、着々と作業を進めておりますから、どうかその点は御了解を賜わりたいと思います。
#13
○緒方委員 一体、いつごろでき上がる見込みですか。
#14
○古川政府委員 ただいまいつということをはっきり申し上げることはできませんけれども、刑法におきましても監獄法におきましても、最近は毎週委員会を開いていただきましてやっておるような工合でありまして、できるだけ早く一つ結論を出したいと思います。
#15
○緒方委員 法務省設置法の第二条六号には、いわゆる人権の擁護に関する事項が入っておるわけであります。法務省は国民の人権の擁護とその尊重をする国家の責任機関であると考えなければならないわけでありますが、それでは法務省が管轄しておる囚人に対して、はたして人権が尊重されており、また擁護されておるかどうかということにつきましては、非常に疑問を感ぜざるを得ない面があるわけであります。私も一カ月なり二カ月なり囚人として刑務所におったことがございます。その経験の上から一つお伺いをしたいわけですが、私は何も囚人に対して特別な待遇をせよというわけではございません。しかし少なくとも基本的な人権だけは守られなければならない問題ではなかろうかと考えますが、法務省としては囚人というものは罪悪を犯した者であるから、人権の尊重は認めなくともいいという御見解に立たれておるのではなかろうかと思いますが、その点に対しての見解を一つ先にお伺いしておきたい。
#16
○古川政府委員 囚人であるから人権を認めないというような考えは毛頭ございません。
#17
○緒方委員 それでは私の経験から御質問いたしますが、現在の刑務所の便所は遮蔽物もなく室内に置かれておる。臭気はふんぷんとしておる。これはまさに牛馬にもひとしいような状態の中で起居を強要しておる。まして小さな部屋に多数を入れた場合は、便所に頭を突っ込んで寝なければならないような状態に置かれておるが、これが人間的な取り扱いであるかどうか、その点を一つ御説明を願いたい。
#18
○津田政府委員 ただいまのお話でございますが、御承知のように在監者につきましては、その便所の施設を各監房内に設けるという建前になっております。従いましてその便所の施設等の問題がございますが、現在のところは大体におきましては水洗便所になっております。その意味におきまして、御承知のように外国生活におきましても水洗便所につきましてはあまりくさいとかこれを離すという考え方はないものでございますから、水洗便所のところはそれで通常の生活ということが言い得るだろうと思います。しかしながら御指摘のような、あるいは古い時代に建設されました刑務所につきましては、そういうふうにいっておらないところもあるわけでございますが、これは逐次改良する計画を立てておりますので、その点によって御了承をいただけないかということでございます。なお過剰拘禁の問題につきましては、これはできるだけそれを避けるように配置をいたしておるわけでございますので、最近はさような過剰拘禁と申しますか、定員を非常にオーバするような拘禁状態はないように考えております。
#19
○緒方委員 水洗便所に切りかえて漸次改良しつつあるというが、改良された部分はごくわずかである。ほとんどのところが古い刑務所の建物の中で今日行なわれております。これがいわゆる昔の明治四十一年の監獄法に基づく処遇が行なわれておるということである、こういう状態を国連の諸機関がもし現実の日本の姿を見たとき、はたして日本は先進国だ、弱小国じゃないというような御印象を受けるだろうかどうだろうか、私は非常に首をかしげざるを得ないわけであります。表面においては国連の機関を日本に誘致して、日本が犯罪者の処遇について真剣に国家の予算までつぎ込んで研究を続けておるという、外面はまことにけっこうかもしれません。しかし一方においては、明治以来の建物がそのまま、便所の中に臭気ふんぷんとして放ちながら遮蔽物もなくて多数の人の前でもって用を達せなければならないという、まことにこれは前時代的なやり方が今日相当行なわれておる。もちろん国の予算の問題があるかも存じませんが、今までのような改良の速度でなくて、少なくとも大幅な速度をもって改良していただきたいと思いますが、その点についてどれだけの御努力をなさっておるか、その点をお伺いしておきたい。
#20
○大澤(一)政府委員 ただいま非常に有益な御示唆を得まして、われわれといたしましても、御指摘の刑務所の監房におきます便所の問題が、現状でいいと決して満足しておるわけではございません。資料がおくれて参りますので、来年度の予算の金額等今手元にちょっと持っておりませんが、少なくとも現在の刑務所の雑居房と申しますか、複数以上を収容いたします舎房におきましては、便所はガラス窓で、ちょっと申しますと電話のボックスのような形で遮蔽いたしまして、雑居房は大体さような設備を整えて参っております。置き便器も一階建の建物につきましては、普通の住宅のくみ取り式のような外から引き出しで便器を出すという設備にほとんど変わっておるわけでございまして、ほんの一部におきまして置き便器を使用しているところがございますが、かようなところを優先的に水洗便所に変更しつつあるわけでございます。以上のような次第でございまして、われわれもかような非衛生的な施設、これは収容者のみならず、勤務する職員にいたしましてもきわめて不愉快なことであります。またそのために相当数の収容者にさような処理をさせるということも決していいことではございませんので、この点につきましてはわれわれは全力を注ぎまして、早急に一応衛生的な施設までとりあえず持っていきたいと努力している次第でございます。
#21
○緒方委員 それでは後刻でかまいませんが、刑務所の数と改良されておるものとの数字をあげて、一つ資料をいただきたいと思います。
#22
○大澤(一)政府委員 ただいまの資料は後日調製いたしまして提出いたします。
#23
○緒方委員 次は囚人に対する経費の問題ですが、今一人当たりどれくらいの経費でまかなわれているか、これについて御説明願いたい。
#24
○大澤(一)政府委員 矯正施設におきます収容者の所要経費でございますが、官署費、収容費、作業費等から作業の協定価格を引きましたものを定員で割りますと、刑務所、拘置所におきましては、現在一年間一人当たり九万六千七百七円の経費を要するわけであります。少年院におきましては十三万四千六百十七円、こういう経費になっております。
#25
○緒方委員 ちょっと私の問い方が悪かったかも存じませんが、囚人一人に対する食費、被服費、こういうものは一日当たりどれくらいな経費が見込まれておりますか。
#26
○大澤(一)政府委員 刑務所におきましては、現在一日主食費に三十九円四十銭、副食費に二十一円五十銭、合計六十円九十銭、これは三十六年度予算で要求しておる金額でございます。三十五年度までは副食費が二十円五十銭であります。三十六年度から一円値上げになりますが、ただいまは副食費として二十円五十銭ということになっておるわけであります。被服費は一人当たり年間約三千六百円であります。
#27
○緒方委員 食費の中で主食費が三十九円四十銭、それから副食費として二十円五十銭、この副食費の中にみそ、しょうゆ、その他調味料を含めますと、実際に品物として入ってくるのはわずかなものにしかならない。私たちがまだ刑務所におる間は、みそ、しょうゆも手に入らないような時代でもありましたが、海の水をくんできて、中に菜っぱを一緒くたにして、しょんべん汁というような名前で飲まされておった。これではからだが続きません。実際食というものの飢えを与えることは、私は基本的人権を侵害する最も大きなものではなかろうかと思います。いいものを食わせよとは言わない。腹の太るだけのものは食費としてまかなうて差しつかえないのじゃなかろうかと思いますが、その点の御見解を承りたい。
#28
○大澤(一)政府委員 われわれといたしましても、お説のように飢えで人を苦しめるというようなことは最も残虐なことだと思います。さようなことのないように現在まで努力してきておるわけでございます。現在刑務所におきます主食の量は、一般の米、麦が目方にしてほぼ半分ずつの割合でございます。麦一、米一という大体の混合率でございます。その分量は作業の量によりまして、八百七十三グラムから五百二十五グラムまでの間でございます。これは一般国民に配給になりますお米だけのグラムから見ますと、非常に上回っておるわけでございます。このような次第でございまして、主食の量だけは相当一般よりも多いと考えられるわけであります。ただ副食費の方はただいま申し上げましたように二十円で、みそ、しょうゆまでまかなうという状況でございまして、この点で副食の栄養関係をきわめて憂慮しておるわけでございます。ただいま御指摘のございました塩水をくんできてしょうゆがわりに使った。これはおそらく終戦直後のことだろうと思います。これは当時の一般国民におきましても塩の配給等で、われわれ個人の生活を振り返りましても、塩水を買ってきて煮詰めたような経験でございましたが、さようなことは現在は全然ございません。特に刑務所は作業農場をそれぞれ地域的に持っております。現在千葉県の習志野の農場から自家生産の大豆を買う。また北海道等の刑務所農場から集荷いたしまして、それでみそ、しょうゆを自家醸造いたしております。従いましてこれらのものの調製価格は非常に安くしておりますので、一般市価から見ますと二十円の中から、みそだのしょうゆだのを使うということになりますと、あとの副食費がお菜代として少なくなるわけでございます。幸い刑務所はそのような農場を持ち、みずからの力で農産物を生産いたしておりますので、どうにか必要カロリーは確保できる状態になっておるわけでございます。
 現在作業の内容で、重労働についておりますものは一日に三千五百カロリーを目標にして、現在これの給食をしておるわけでございます。それから全然作業しないもの、たとえば被疑者、被告人等で拘置所で審判を待っておるというように、何にもしないでじっとしているものに対しては二千三百カロリーを給しておるわけでございます。大体われわれの方でざっと大まかに見ますと、一般全国民の一日一人当たりのカロリーが二千二百カロリーくらいになっておるわけでございます。大体カロリーだけは刑務所のあの非常にお粗末なものでとれることになっておるわけでございます。これはカロリーの高い主食が占めておりますので、主食が相当たくさんございますので、それでカロリーが維持されておる。ただわれわれとしましては、動物蛋白とかその他ビタミン等が、おそらく一般の国民生活と比較して落ちるのではないか、かように考えておるわけでございます。この点につきましてもわれわれはできるだけやはり刑務所農場におきましてかような動物、たとえば豚等の飼育に努めまして、それらを安く刑務所で別の会計で買い上げまして、在監者の食事に当てるという方法で必要なカロリー、ビタミンをとる、蛋白質をとるようにいたしたいと努力しておるわけであります。
 なお最近刑務所におきましては、この栄養問題等ございますので、在監者の中から委員を選びまして献立委員会を作りまして、これらの希望等をいれて食事を作るという方法をとっております。幸い今のところ大きな不満もなく日常生活しておるわけでございます。
#29
○緒方委員 一応計算の上ではなかなかいい御説明ができますが、実際は中に入ってみますと、今行なわれておるかどうか知りませんが、刑務所に勤務しておるところの人たちも一日五十円ずつ食費を出しておりますということでもって、そこの食事をとっておる。房の中に入れる食事と同じものを食うならばそれはかまいません。経費は出しておりますということで、いいものだけは自分たちで、残りを房の方へ送っていく。またその房の中にもまた階級がある。五年も十年もおる者と最近入った者との間には、幾多の差別が出てくる。いいものは上でつまみ上げられてしまって、下にいくときには、あなたがおっしゃるような三千五百カロリー、二千三百カロリーというものが行き届いておるかどうかには、非常に疑問を持たざるを得ない面がたくさんあると私は思いますので、今行なわれておるところがあるかどうかは存じませんが、所員のその中における食だけはやめさせてもらいたい。囚人に与えられた食は、何人も手をつけないようにやってもらいたい。これは非常に問題が含まれるだろうと思いますが、それはぜひともお願いをしておきたいと思います。
 ましてまた刑務所に入っておる問はあきらめなければならない問題かも存じませんが、一年の間に魚の一尾も食われるものでもなければ、肉の一片も食われるものでもない。ましてや卵などは見ることもできないというのが実情であります。これは憲法に違反する問題ではないか。人間としては文化的な生活を営む権利がある。もちろんそれを百パーセントに囚人に与えよということではありませんが、人間である以上は、少なくとも一週間に一回くらいはイワシの頭でも拝まれるように、豚の内臓の一つでも食われるようにしてやることにこそ、私は人間として扱っておるのか、動物として扱っておるのかの区別が出てくるものと思うのであります。急速にこの六十円の経費を倍額にせよとは申しませんが、漸次向上できるように努力ができないものかどうか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
#30
○大澤(一)政府委員 ただいま御指摘のございました職員の食堂の問題でございますが、終戦直後等にはさような混淆があったかも存じませんが、現在はこの点先ほどもちょっと触れましたように在監者で食糧の委員会をこしらえまして、一日の所要量その他を彼らにもタッチさせまして料理しておるわけであります。職員の食べる職員食堂の原材料と在監者の原材料と混淆を来たすようなことは、現在絶対にいたしておりません。なおまた在監者の炊事場、いわゆる炊場と申しますが、これは戒護区域内にございます。職員の食堂は戒護の外側に置きまして、全然炊事を別にいたしております。もちろん経理も現在共済組合等がそれぞれございまして、それらの経営に移しまして経理を別にいたしておりまして、ただいま御懸念のございました終戦前後の混乱時におけるような間違いの起こるようなことは毛頭ございませんし、またその点は厳格にわれわれの方も監督しておるわけでございます。
 なお献立でございますが、現在魚ないしは豚の切り身でございますか、さようなものは、これはわれわれが平素食べるようなたくさんはございませんが、探せば出てくるような程度ではございますけれども、肉類と魚は隔日に一食、お昼につきますか夜につきますか、さような程度で現在入れておるわけでございます。これは全国の刑務所のことでございますので、地域によりましてはイワシがつくこともあり、あるいはサバがつくこともあり、あるいはその他の魚ということになるわけですが、大体魚と肉類は二日に一回はつけることになっております。そのほか病人につきましては、必要に応じて牛乳なり卵なりあるいはバターその他の栄養食につきましては、別途の病人食の増額予算がございまして、病人についての特別な惣菜はまた実施しているわけでございます。
 ただ最後のいわゆる収容者中のボスと申しますか、牢名主、昔風に申しますと牢名主の存在でありますが、われわれといたしましては、そのようなものを刑務所の中に存在さすということは、とうてい許すことができませんので、十分この点は戒護の者で気をつけているわけであります。しかし一つの舎房に百人、二百人とおりまして、一つの雑居房に十人、十五人とおりますと、なかなか目が届かないということもありまして、実際中に入ってみなければ、さようないわゆる牢名主的なボスがいかなるふるまいをしておるか、これは的確にはつかめないわけでございますが、かようなものにつきまして、われわれといたしましては、さような被害を受けた者からの申告なり、また房内における動向等に十分注意いたしまして、かようなボスの存在を一刻も早くなくし、もちろんさような場合ができまして発見しました場合は、そのボスは直ちに独居に移しまして、かような存在を許さない方針で現在臨んでおるわけでございます。
#31
○緒方委員 普通の既決になった囚人あたりはどんなふうになっているかよくわかりませんが、未決囚でも長いのは一カ月も二カ月も入っておらなければならない者もある。その間に洗たくをすることもできないで、シラミがわいてしまうということも再々あるわけでありますが、これは非常に衛生上にとって問題があるのじゃなかろうかと私は思うのです。少なくともこれは機会があれば洗たくくらいはすぐしてやるような設備が伴うておらなければならない問題でなかろうかと私は思います。
 いま一つはこの中に入れられるときに、ふんどしまではずされてしまう。はずす方の側の説明を聞きますと、自殺のおそれがあるから、これははずしておくのだ。これもその犯罪の性格なり、その人間によっては、事と場合によっては注意をしなければならない性質のものかは存じませんが、犯人全部が首をつるのだというふうな見方でもって、このおもなものを包むものまで取り上げるということは、これも人権侵害のおそれがありはしないかと思いますが、そういうところのやはり旧時代的なやり方は、改める御意思があるかどうかを一つお伺いしておきたい。
#32
○大澤(一)政府委員 ただいまの洗たくの問題でございますが、現在各刑務所等におきましては、洗たく工場を持っておりまして、未決のさような被疑者、被告人からの申し入れがありますれば、無料でこれを洗たくしてやっておるという状態であります。
#33
○緒方委員 全部やっておりますか。
#34
○大澤(一)政府委員 全部今やっております。さような状況でございますので、今ではシラミがわくというようなことは全然ございません。
 それからふんどしの問題でございますが、ただいま仰せのようにわれわれといたしましては自殺予防で、長いひも類の携帯を禁止しているわけであります。さような意味合いから刑務所内におきましては、いわゆるさるまたを着用させておるわけでありまして、長年の習慣でふんどしでなければ気持の悪い方もおられるかもしれませんが、われわれとしましてはやはりお預かりしました以上、人命を尊重したい。特に逮捕せられた直後、刑のきまった人よりも、むしろ逮捕せられていわゆる被疑者として検察庁が調べる。ないしは起訴せられて、今どういう裁判が下るかというように裁判を待っている未決の収容者につきましては、やはりそれだけに精神的な心配とか、またこれから自分がどうなるかというような不安、あるいは自分がここで有罪になったような場合に、家族等に及ぼす影響、その他等を苦慮しまして、自殺する者が非常に多いのでございます。これはわれわれとしましては、さような事故のないように、夜半でも職員が十五分ないし三十分には必ず見て回っておるわけでございます。それでもなおその間隙を縫われまして、自殺されるわけでございます。過般、皆様もすでに御承知のことと存じますが、山口二矢が少年鑑別所内で自殺をした事件もありまして、われわれとしましてはお預かりしている人の人命を、さようなたとい自殺であったとしても、落とすというようなことがあってはまことに申しわけない次第でございますので、さような意味合いから自殺という点につきましては、きわめて神経質にまで考えているわけでございます。長い帯にしましても許しませんので、ちょうどかような着物まで洋服のようにするということで、きわめて変則的な服装になっているわけであります。中には、さような自殺をなされない方が多いのでございますが、しかし万一、精神的な一時的な動揺でとっさにどういうことがあるか、その結果がおそろしいのであります。ふんどし等の長いものを使用させない方針をとっているわけであります。ただふんどしにかわるさるまたで、しばらくの間がまん願いたいというような考え方でやっているわけであります。
#35
○緒方委員 さるまた問題は、これは見解の相違ですからそのくらいにしておきますけれども、今も全部行なわれているかどうか存じませんが、囚人は朝と晩正坐してそして最敬礼を強要されるわけですが、これは一体だれに対して最敬礼を強要しているわけですか、その点一つお伺いいたしたいと思います。
#36
○大澤(一)政府委員 房内における正坐を強制しもしくは最敬礼させるというようなことは、現在の刑務所においては強制はしておりません。
#37
○緒方委員 どこもありませんか。
#38
○大澤(一)政府委員 ただ囚人の中に前科数犯というような、いわゆるよき囚人という一つの型がありまして、看守等にさようにしておべっかを使うというような型の人間がやはりおるわけであります。自分の行刑成績がいいように見せて、そして仮釈放でもしてもらいたいというような意図から、ことさらにそういう阿諛追従するような態度をとる囚人はございます。こちらから必ず正坐、敬礼というような強制的な命令を出したり、またしない者に対して特別な罰なり特殊な待遇をするというようなことは全然いたしておりません。現在刑務所の各房に入りましたときには、寝そべったり寝ころんで本を読んでいるというような状況でありまして、かつてのようなことは全然ありません。
#39
○緒方委員 かつてがいつごろかよくわかりませんが、私もそう何十年も前に入ったわけではない。むろんここ四、五年の間ではありませんよ。もう十年くらいになりますが、いつごろからをかってというのか。私自身が朝晩正坐と最敬礼を強要された事実を持っておる。その点はもうありませんか。
#40
○大澤(一)政府委員 私の申し上げましたかってというのは、主として戦前を意味したつもりであります。現在はさようなことはいたしておりません。
#41
○緒方委員 あなたの頭の中にはないというけれども、現実にはあるということです。私が現実に頭を下げさせられてきた。なぜ下げなければならないかと言えば怒られた。これが今行なわれているということ。だから一体、だれに対して、そういう正坐と敬礼を強要しているのか。もししてはならないものであったら、あなたがなぜやめさせないかということをお伺いしたい。
#42
○大澤(一)政府委員 私はさようなことはないと確信しておったわけであります。ただいま御指摘のようなことがもしありといたしますれば、きわめて遺憾なことでございまして、さっそく各施設に調査をいたしまして、さようなことがありますればもちろんしかるべき措置をとり、以後さようなことの絶対にないように厳重に戒めたいと思います。
#43
○緒方委員 それは明治四十一年の監獄法に基づく運用が今日行なわれておるがゆえに、そういうことが各地域で行なわれているのである。だからこういう旧時代的な監獄法は、すみやかに改めてもらわなければならぬということを私は強調しておるわけであります。運用の面で万遺憾なきを期しておりますと矯正局長はおっしゃいますけれども、運用だけでもって事が運ぶならば、決して私たちは文句は申しません。それは漢の高祖は法を三章に約して運用の妙を発揮されたということ、聖徳太子は十七条の憲法で善政をしかれたということで、今日のたくさんな何はないかも存じませんが、そういうわけにいかない現実であるから、明治時代のこういう監獄法はすみやかに改めて、少なくとも監獄の中であろうとも、囚人であろうとも、死刑の宣告を受けた囚人でも、死刑が行なわれて人格が剥奪されるまでは、これが基本的な人権は認められていかなければならぬという原則を、われわれはこの刑務所の中にまで浸透させていくべき必要がありはしないかということを私は強調しておる。あなたの頭の中にはないことも、現実の刑務所の中ではたくさん行なわれておるということであります。
 また別な問題としては懲罰の問題であります。中でもって何かいろいろな違反行為があったということにつきましては、今日厳然とした体刑が行なわれておる。現在とっておる体刑はいかなる種類があるか、それについて御説明を願いたい。
#44
○大澤(一)政府委員 新しい時代に古い監獄法を適用するゆえに、そういう考え方が払拭せられないという御説明でございまして、私も別にそれに対しては異議があるわけではございません。さような意味合いにおきまして先ほど政務次官から御答弁願いましたように、最近におきまする矯正思潮ないしは矯正技術の目ざましい発展とともに、戦後におきまする憲法、刑事訴訟法等の改正に呼応した根本的な改正の要望、またその必要性というものをわれわれは認めまして、目下その構想を練りつつあるわけであります。先ほども御説明があったと思いますが、研究をいたしておるわけであります。しかし監獄法をさように根本的に改正いたします場合には、いろいろな大きな問題があるわけでございます。さような点を一つ一つ解明いたしますと相当時間も要しますが、しかしわれわれといたしましてはできるだけすみやかにそめ作業を終了しまして、御期待に沿いまして、そうして新しい法律のもとに、またそれからにじみ出る新しい思想のもとに、矯正を運用していきたいと存じておる次第でございます。この点作業がおくれておりましてまことに申しわけない次第でございますが、われわれも駑馬にむちうちまして、すみやかに御期待に沿うように努力いたしたいと存ずる次第でございます。
 なお罰の問題でございますが、現在刑務所で行なわれておりますのは屏禁罰と減食罰と運動停止の罰でございます。刑務所内におきまする在監者の最近の動向はきわめて粗暴なものが多いのでございまして、過般中野刑務所で戒護中の職員が逃走をはかった二名の囚人に殺害せられたというような、われわれの同僚がさような大きな犠牲を受けるような事故がございますし、このような大きな事故はこの数年実際珍しいことでございますが、日々作業中におきまして、戒護の職員が作業の用具で囚人になぐられたり、あるいはまた同房者の間で、特に最近やくざの派閥関係の収容者が多うございまして、これらの者が内部で私闘をするというように、刑務所の中もかってのように静かではないのでございます。同房者間の闘争あるいはまた看守に対する暴行ということが跡を断たない状況でございまして、かような者を収容しておる刑務所におきまして、刑務所内に一たん暴動が起こりますと、これが治安に及ぼす影響というものはきわめて大きいのでありまして、われわれといたしましては刑務所内の秩序の維持ということにつきましては、やはりある程度の強制力を持って臨まなければいけないような情勢でございます。さような意味から現在減食罰、運動停止の罰あるいは屏禁罰というようなものを行なっておるわけであります。
 この減食罰と申しますのは、食事の分量を減ずることを内容とするものであります。また運動停止罰は、戸外の運動を停止するということを内容とする罰でございまして、屏禁罰は罰室に屏居をさせまして謹慎させることを内容とするものでございます。いずれにいたしましても、これらのものは食糧とか運動というものを停止あるいは減少するというような、基本的な生活要素を制限するものでございまして、収容者の健康に与える影響も決して少なくないのでございます。かような意味合いで法令におきましても、さような罰を執行する場合には、収容者の健康に及ぼす影響を十分考慮して行なうようにという、厳重な制限も課せられておるわけでございますので、現在これらの罰を執行いたします場合におきましては、まず医師が診断を行ないまして、健康に害があるかどうか、よく調べまして、害がないと認められた場合以外には執行しないことにいたしておるわけであります。なお執行中におきましても、常に診断をいたしまして、いささかでも健康に影響があると見られました場合は、執行を停止しておるわけでございます。なおまた執行が終わりました後、もちろん医者の診断を受けさせまして、適切な事後措置をとりまして、健康の保持につきまして十分配慮をしつつ執行しておるわけでございます。
 なおかような減食罰ないしは運動停止の罰につきましては、諸外国の例でも、刑務所の秩序維持というような意味合いから、世界各国においてやはりとっておる方法でございまして、国連の会議におきましても、この刑務所秩序維持のために、処遇の中に、この程度の罰はやむを得ないものとして認められておりまして、われわれといたしましてもこの程度の罰というものは、刑務所内におきまする秩序を維持する必要上、やむを得ない措置だ。しかしその執行につきましては、ただいま申しましたように十分考慮いたしまして、特に健康にいささかたりとも影響を与えることのないように十分注意しながら、この罰を執行しておるという状況でございます。また今後もさような方針で、なお一そう留意いたしまして、その執行上間違いないように努力をしていきたいと考えておる次第でございます。
#45
○緒方委員 今の説明の中では、具体的な体刑としては、減食と運動禁止という二つの問題が出されましたが、そのほかにビンタやテッポウは一体どうなさるか。
#46
○大澤(一)政府委員 ビンタとか暴行を加えることは、これは明らかに刑法上の犯罪でございまして、かようなものがございますれば、もちろん厳重に処置しておる次第でございます。
#47
○緒方委員 現在これは公然と行なわれておる事実がある。ましてテッポウなるものは非人道的な体刑ではないかと思う。両手をうしろにこういうふうにされて、そうしてくくられて、二時間も三時間もこんなふうにされておって、これが体刑でなくて何です。
#48
○大澤(一)政府委員 私、刑務所の現場を存じませんので、テッポウなるその術語を知らなかったわけでございます。今お示しのいわゆるテッポウなるものは、現在厳禁しております。
#49
○緒方委員 あなたがそうであれば、われわれももし下部でもってあやまちを犯して、そういう現状が今日なされておるとするならば、厳重にわれわれれも、当局としてもそういうことの絶対にないように、一つ取り締まりをお願い申し上げておきたいと思います。もちろん粗暴な囚人あたりを相手にしておる看守の人たちに対しましては、時たま自分の意思を押えこなさないで、むしろ懲罰が復讐的なビンタになったり、ことによってはそういうテッポウのごとき非人道的な体刑まで加えるような現実が行なわれておりますので、そういう面は厳重に一つ取り締まりのほどをお願いしておきたいと思います。これくらいな体刑はやむを得ないと思うし、また現在刑務所の中においても幾多の被害をこうむっておる、だから相当手痛いこともしてやらなければならぬというふうに言われましたが、刑務所に入っておる者の何万人の中に起こる一、二の事件、これは今日刑務所外においても、交番が襲われたり、あるいは幾多の人たちのところに強盗が入って、何千万の中には月に何十件という、こういう粗暴な行為が行なわれておる。ここだけに行なわれておるという事実じゃない。一つのことがあるから万事を手痛くしなければならぬというやり方というものは、私は再考慮を要する問題ではなかろうかと思います。もちろん危険な者については徹底的な厳重な方法を講じなければなりませんが、一、二の粗暴な人間がおるからというので、善良な服務者に対してまで一切を押しつけるようなかた苦しいやり方は、私は慎むべきではなかろうかと考えるわけであります。本来私は囚人に対する更生の観念から見ましても、囚人が一度自分の人格もなく、一つの動物として扱われるような状態に陥ったときに、はたして人間に生まれ変わろうという意欲がわくであろうかどうかということであります。たといあやまちを犯して囚人という立場に立とうとも、おれはやはりここでも人間だという、周囲の環境とそれから出ていくときのあたたかい温情があればこそ、人間としての立場に立って更生することができるでしょう。一たん刑務所の中に入って人間として認められず、動物的な取り扱いを受けた者たちが、再び人間社会に帰って、まともの人間として更生するということは容易なことではないと私は思います。国連の機関、国連の事業を日本で行なうこともけっこうですが、実際にそれが役立つように私は要望申し上げたい。単に外面を飾るような結果に終わるのではなくて、文明国的な体裁を作るのでなくて、名実ともに文明国家として、国民の基本的な人権がすみずみに行き渡るような方法を考えていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
#50
○飛鳥田委員 ちょっと資料をお願いしたいのですが、これは緒方さんの話にも幾らか関係するのですが、人権を尊重するという意味で、私たちよく被疑者の人や弁護士の方から不満をぶちまけられるわけです。と申しますのは、検察官が強制処分しますね。そして弁護人が面会をしたい、そういう場合に検察官が時と場所を指定するわけですが、その指定の時間というものが大体十分、十五分という時間が多いようです。まあ一番長いのでも三十分、それはごくまれである。しかし検察官の方も与えられた時間を有効に使うという点ではお忙しいと思いますが、どんな事件だって、五分や十分でその全貌、少なくとも被疑者が弁護人に理解をしてもらいたいと求めている程度のことを理解することは不可能だろう、こう思うわけです。僕も弁護士をやってますが、このごろはあまりやりませんが、たまにそういうことがありますと、十分や十五分の指定なら私は拒否します。ばかにするような時間を指定していただかなくともけっこうだ、こう言って拒否してしまうのです。一体全国でどのように行なわれているのか。一つ強制処分中に弁護士に面会を許す、その面会時間の何らかの統計がおありだろうと思いますので、できればそういうものを出していただけないだろうか。平均何分になっているのか。そして三十分のものが何%ぐらいか、十五分のものが何%ぐらいか、十分ないし五分などというすれ違い程度の面会しか許さないものが何%程度のものなのか、これは私はかなり重要な人権擁護の問題だろうと思います一ので、一つそういう数字をお示しをいただきたいと思います。もしそういう統計をとっていらっしゃらないとすれば、私かなりうかつじゃないか、こう思います。そこで至急そういう統計をお作りいただいて、私たちにお示しをいただきたい、こう思いますが、そういう作業をしていただけるのでしょうか。
#51
○津田政府委員 ただいま御質問の関係の部分は、刑事局の所管に属するものでございますので、ただいま係官が参っておりませんが、刑事局に連絡いたして、できる限り御要望に沿うようにいたしたいと思います。
#52
○飛鳥田委員 どうか、ありましたら、次回にこの法案をやりますまでに一つお見せいただきたいと思います。
#53
○久野委員長 次に山内広君。
#54
○山内委員 私は経済企画庁設置法の一部改正に関しましてお伺いしたいと思います。まず最初に要綱の第一点であります地域経済問題調査会について、その組織、構成をどういうふうに現在お考えになっているのか、また運用はどういうふうにおやりになるつもりか、こまかく一つずつお聞きしてもいいのですが、私も一つ会議を控えておりますので、その点でお答えいただきたいと思います。
#55
○曾田政府委員 お尋ねの地域経済問題調査会の構成等についてお答え申し上げます。調査会は、学識経験者であります委員十名以内をもって構成いたしたいという考えを持っております。委員の人選にあたりましては、審議事項の非常に重要なるにかんがみまして、広い視野に立ちまして、長い将来にわたりますわが国経済の発展の姿を論ずることができるような識見を有する人に、委員になっていただきたいという考えでございます。
 それから運営の方法でございますが、この調査会におきましては、地域経済の実態調査の分析をまず最初に取り上げて参りたいと思います。率直に申し上げまして、現在地域経済の問題がいろいろいわれておりますけれども、各地域間の、たとえば具体的な所得の内容とか、生活の内容とかいうものの調査が、必ずしも現在十分でありませんので、基礎的にそういう調査からやって参りまして、これを基礎にいたしまして地域間の所得格差の是正の検討とか、あるいは産業及び人口の適正配置を実現するための政策手段の検討というふうな段階で、調査会の運営をやっていきたいと思っております。特に適宜部会を作りまして、それに先ほど申し上げました委員のほかに、専門家を専門委員といたしまして配属しまして、審議を進めていきたいと考えております。現在専門委員の数はとりあえず二十名程度を考えております。また審議事項が各省庁にわたりますものですから、関係各省庁の職員を幹事に任命いたしまして、緊密な連絡をとって参りたいというふうに思います。
#56
○山内委員 この分科会の御計画は、今のところどういうふうに構想されておりますか。
#57
○曾田政府委員 お答えいたします。今考えておりますのは、調査部会と政策部会と二つを考えております。
#58
○山内委員 この調査会を作ろうというお考えは、もちろん国民所得倍増計画から出たものと思いますが、私も実はこの関連でいろいろ考えておるわけで、何か長官においてこれとの関係について、提案理由で説明されたところは私も読んでおりますからけっこうですが、そのほか、国民所得倍増計画との関連で、御説明があるならお聞かせ願いたい。
#59
○迫水国務大臣 特別に取り立てて申し上げることはないようでございますが、要するに地域経済という問題が、先般から、あるいは各地方の開発促進法とかいうようなことで出て参っておりますし、また総合開発法によりましても、特定地域総合開発計画が立てられたりして、所得倍増計画においても、地域間の格差の是正という問題があるのですが、どうもだんだんやっていきますと、地域経済というものの実態をもうちょっと正確に把握しておかなければ、いろいろな問題が自然発生的に出ている状態だものですから、どうも心棒になる実態把握がもうちょっと必要ではないか、こういうことから今度の経済調査会を、調査をすることが主たる目的で作ってみて実態の把握をしたい、こういうような考え方でございます。従って国民所得倍増計画を推進していく上の一つの基礎資料をここで作ろう、こういうような考え方でございます。
#60
○山内委員 大臣のお考えはわかりました。そこで私は少し心配が出ておるわけであります。と申しますのは、先般衆議院で、これは通産省関係でありますけれども、産業構造の調査会というものを設けることについて、ここで議論もあり、それが本会議で議決されたわけであります。そのときの通産大臣の御説明では、いろいろお話が出ましたけれども、注意しなければならぬ点は、私の質問に対してこういう御答弁があったわけです。それは太平洋のベルト地帯と呼ばれるあの四カ所の工業地帯は、すでに飽和点に達しておる。これはお認めになっておる。そこで飽和点に達した工業地帯の中間に中核体を設けて、それからさらに六カ所ぐらい設けて、たしか三十というお話があったと思いますが、まだ記録ができてこないので確認できませんが、それくらいのセンターを設ける。非常に太平洋のベルト地帯の工業化ということをお考えになっておるわけであります。そこで私の方では、それでは今大臣のお話の地域格差の是正ということにはならぬではないか。北日本はどうするのだ、北海道はどうなる。それについてははっきりした御答弁は得られなかった。もちろんこれは通産省という、一つの産業を育成する官庁としては、やはり何と申しますか、経済効果をねらった、そういう考えだと思います。しかし総合調整の任務にある企画庁は、もう少し変わった高い立場から総合調整をしていただかないと、かえって地域の格差是正をやろうと思ったものが、逆にある一部の大きな都市だけがますます大きくなる、そういう心配を非常に感ずるわけです。今大臣にお聞きしたがったのは、国民所得倍増計画との関連ということは、そういう意味においてどういうふうにお考えになっているか、そういうことを聞きたかったわけであります。何かこの点についてお考えがありましたら……。
#61
○迫水国務大臣 これはお話の通りでございまして、所得倍増計画の中の産業立地の小委員会というものは、非常に勇敢に経済効率といいますか、そういうことだけに――だけといっては語弊がありましょうが、非常に重点を置いた太平洋ベルト地帯という構想を打ち出しておるわけです。ところがそれは今お話のように地域所得格差の是正という問題を考えていきますと、これはちょっと考えなければならないというので、所得倍増計画を閣議決定いたします際にも、それにつけて所得倍増計画の構想というものを同時に閣議で決定をいたしまして、地域的な所得格差の問題については、もうちょっと重点を置いて考えるということを明らかにしたのであります。そこで私どもの役所の立場としましては、今お話の通り通産省が何といっても生産官庁でありますので、生産効率というところにとかく重点を置きがちでありますし、そういうようなことから総合調整をするわけでありますが、しかしそれにしても地域経済の実態を把握しておきませんと、総合調整の権威がないようなもので、その基礎資料をここで至急に作りたい、こういう考えでございます。
#62
○山内委員 今大臣がお認めになりました通り、産業立地小委員会の報告というものを私も実は読ましてもらった。ところがたしかこれには大胆にベルト地帯の育成、もう十年間待っていて、二十六兆の国民総生産の倍増計画というものは待っておれない。よそのへんぴな土地に金を投じてもそれはむだだ、どうしても効率を上げるためには、既存の飽和点ということを中心に培養しょうという考え方であります。そこで先ほど申しました総合調整の企画庁としては、ぜひもう少し高い観点からやっていただきませんと、この地域格差の是正はできない。しかし大臣自身も十分これは御承知の上で運営されると思いますので、これは信頼して、しばらくこの結論の出るのを待ちたいと思います。
 それで実はこの次私の質問日は明後日に当たると思いまして、自治省関係の政府委員、説明員においでを願って聞きたいと思ったのですが、いろいろ審議の都合で、早くこの議案は上げられるそうですが、これは企画庁としても十分に頭に置いていただきたい。それはどういうことかと申しますと、こういう地域経済ということで、いろいろ工場が各地に立つ。ところが御承知の通り、今各市町村あるいは都道府県ともに財政的な裏づけがないために、非常に困っているわけであります。そこで何とか工場を自分のところへ誘致したいということから、無理だとは思いながらも、いろいろな有利な条件を相手の工場に提示して、そうして誘致しているのが現状であります。そのことがいかに自治体を財政的に苦しめておるか。たとえば工場誘致条例なんかをおそらくごらんになっていると思いますけれども、どこでも何カ年間は免税の措置を講じておる。あるいはまたひどいところになりますと、建設費の何%かはその財政で工場に補助金を出しておる。
  〔委員長退席、草野委員長、代理着席〕
こういうところもある。せっかく財政的に何か恵みがあるだろうということで工場の誘致運動をしながら、そういう地方自治体の取りきめの中から、かえって自分で自分の首になわをくっつけておるような、非常な苦境に陥っている自治体がある。このことは、これからどういう結論が出てくるかわかりませんけれども、地域経済を考える場合に、地方自治体の育成強化ということをぜひ一つ企画庁では頭に入れておいていただきたい。それをもし単純に、通産省の言うような、そこに産業をやればいいのだ、そうして非常にこれに恩恵を与えるような態度でいきますと、地方自治体は自縄自縛に陥るわけであります。この点についてお考えがあったら承りたいと思います。
#63
○迫水国務大臣 別に提案をいたしておりまする低開発地域工業開発促進法という法律がございまして、今お述べになりましたような、地方が税金をまけてやるというような場合には、一定の限度内でそれを交付税で補てんしてやるという法律が別に出ております。もっともでたらめに各地方が税金をまけて、まけたものは無条件に国が補てんするということになったら、これはまた大へんなことでしょうから、この法律の運用については自治省では相当頭が痛いだろうと思って、よく打ち合わせて、そこのところはほどほどのところでやるようにしたいと思っているのですけれども、とにかく地方の自治体が工場誘致の希望の急なるのあまり、みずからの財政の基盤をこわすような状況は避けたい、こういうふうに考えております。
#64
○山内委員 りっぱな御見解を承ったわけですが、この間も通産大臣は非常に大企業の育成ということだけに重点を置いて、免税措置のことも言われておる。そういうことで地域格差が大きくなり、またあとでもう一つ国民生活向上対策審議会ですか、これとの関連も出てくると思いますから、あらためてまたお聞きしますけれども、こういうことでぜひこの地域格差の是正でということの重点は、十分に一つ考慮の上の結論を出してもらいたい。ただ心配なことは、企画官庁であるあなたの方と、実際に事業を持つ通産省との関係がどうなっておるか。閣議の取りきめもあるそうでありますけれども、厳重に守ってもらって、あなたの方の結論が出ましたら、それを単なる机上のプランに終わらせないような、十分な御配慮をいただきたいと思います。
 その次は、第二の国民生活向上対策審議会でありますが、提案理由の説明と、それから今まで前の第一の地域経済問題調査会との関連の中から、大体の想像はできないわけではありませんけれども、経済企画庁のお考えのこの審議会は、単なる新生活運動の推進母体とも思えませんので、これの構想、運営の仕方、そういうものも一つあらためてお話をしていただきたいと思います。
#65
○中野政府委員 国民生活向上対策審議会を設置する理由等につきましては、提案理由で大臣から御説明がありましたので触れませんが、第一に審議会の構成でございますが、これは広い意味におきまする学識経験者というものを委員にしたいということで、これは政令で委員は三十人ということにいたしたいと思います。それと別に、いろいろこういう専門的な事項を御審議願いますので、専門委員を別に三十名ぐらいお願いしたいというふうに考えております。広い意味の学識経験者ということで、大体委員の構成がどういうふうになるかということでございますが、まず消費者の立場からの意見というものを、やはり十分審議会へ反映させる必要があるということを考えておりまして、大体構成は消費者代表、それから広い意味の経済界の代表、それから一般の学者とか評論家、それから婦人問題のいろいろの研究者というふうな、大体こういう三つのグループに分けて、十名内外の委員を委嘱したい。それから委員にはそういう意味で官庁の職員は入れないことにしております。
 それから審議の内容でございますが、まず国民生活の実情に関する事項、これもやはりどういうことを審議するかということは政令できめることになっております。国民生活の実情につきましては、従来から各種の調査である程度のことはわかっておるわけでありますが、たとえば職業別、地域別に見た消費の実態というようなものはまだ十分明らかになっておりませんので、現存資料を十分整理することのほかに、国民生活の実情をどういう点から、どういう方法で調査するかというようなこと、また調査結果に基づきましてその実情をどういうふうに判断するかというようなことを、やはり審議していただく考えでございます。その次に生活構造モデルというような言葉でいっておりますが、これは別に予算も取つておりますが、将来の合理的な国民生活の内容はどうあるべきかというようなことを、標準的な職業別あるいは所得階層別、地域別というようなことで、標準的な世帯につきまして合理的な生活構造のモデルを一つ作ってみたいということを考えておりまして、こればもちろんこれを作っていく方法論からして、学者の間でも非常にいろいろの議論のある問題でございます。こういう問題もこの審議会において十分審議をしていただきたい。それから第三の問題は、御承知のように国民生活も相当レベルが上がって参りまして、大体昨年出しましたいわゆる国民生活白書におきましても、戦前のレベルを三割ぐらいアップしているのではないかというようなことをいっておりますが、ただその内容を見ますと、御承知のように非常にアンバランスがある。特に生活環境と個人の生活との間に非常なアンバランスがあるわけでありまして、たとえば道路、住宅あるいは上下水道というような生活環境施設の整備というようなことが、今後所得倍増計画を達成していく上からいきましても、非常に大事なことになっていくというような観点から、生活環境施設を総合的な観点から整備し、推進するということで、そういう基本的な方向を審議していただく。なおそれ以外にたとえば消費者物価対策、これはもちろん運賃をどうするとかなんとかいうような個々の問題は、この審議会でやるわけではありませんが、やはり国民生活の向上、充実のためには、消費者物価の安定ということが非常に大事なことでございますので、消費者物価対策の基本的な方向というものも適宜審議していただいたらどうか、こういうふうに考えております。
 それから先ほどちょっと触れましたが、専門委員には、これは問題を取り上げていくには関係官庁の協力も非常に必要なわけでございますので、専門委員あたりには行政庁の職員も入れたいというふうに考えております。それから部会でございますが、まだ部会を設置するかどうかということも最終的にきめておりませんが、たとえば来年度から経済企画庁で始めます国民生活の実態調査、予算が九百九十三万円ほど取れておりますので、この調査委託費を有効に、効率的に調査をやるためにはどうしたらいいかというようなことも研究しなければいけないと思いますので、調査研究部会というようなものを本審議会に設置をしまして、企画庁の調査委託費が十分効率が上がり、効果が上がるように持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#66
○山内委員 お考えの大体はわかりましたが、この所得倍増計画から申しますと、ここでは完全雇用をうたっておるわけです。しかしこれはなかなかむずかしい問題で、私は不可能だと思っておりますが、ここでその問題で議論しょうとは思っておりません。この生活向上の審議会では、この雇用関係はどういうふうにつかんでおられるのか。完全雇用として考えておられるのか、失業者群はどうするのか、生活保護費なんかのボーダー・ラインの線はどうするのか。いいモデルばかり作って、国民生活はよくなったよくなったといって――いいモデルはわれわれはもうあまり必要ない。そういう下層低額所得者あるいはボーダー・ラインの線をどういうふうにお考えになっておるか。
#67
○迫水国務大臣 お話の通り各階各層といいますか、いろいろな職業、地域あるいは所得階層というようなところで、それぞれの立場でみんな生活が向上をしていくわけでありますから、その国民生活をそれぞれの立場で向上さしていくことについての審議をするのがこの委員会の問題でありまして、具体的に社会保障をどうするとか、あるいは雇用をどうするとかは、雇用審議会の問題あるいは社会保障の問題でございまして、私のところは生活内容の方に主として入っていこう、こういうふうに考えておるわけであります。
#68
○山内委員 生活内容に入るということになりますと、今各都道府県や各市でよくやっております新生活運動、何か冠婚葬祭といったようなものにむだな金を使うなというようなことで、内容を充実するという印象を強く受けるわけです。私はそうでなく、少なくともこの国民所得の倍増計画から出たこういう国民生活の向上をやりたいというのでありますから、いわゆる個人の格差のないように、そこをねらうのが大臣のお考えでないかと実は考える。それならば私は賛意を表します。しかしここで議論するのもどうかとは思いますけれども、この出されている国民所得の倍増計画というものは、どうもその点がはっきりしない。生産が伸びても、実質賃金が倍になるのか、月給はどうなるのか、実質生活がどう変わるか、そういうことが伏せられているわけです。ですから、いかにもこの国の生産力が倍になって、それにつれて国民全体がいい生活ができるような印象を与える宣伝をなされておるところが実際はなかなかそれが伴わない。私もこまかい数字でいろいろ考えておりますから、また機会があったら適当な場所で議論もしたいと思いますけれども、何かこっちには産業構造の調査会を設けて、産業構造のあり方を規定して、中小企業なんかも育てるのだ。そうするとあなたの方でも、見ておると、国民の生活向上をするために審議会を設けて調査しておる。地域差をなくするために地域経済問題調査会を作っている。こう何かみんなオブラードで包んでおいて、隠して国民に宣伝しているというのが、私どもの受ける印象なんであります。そういうことのない、もっとみんな、ほんとうに個人格差がなくなるのだ、確信を持って、十年後に二十六兆の総生産が上げられるならば、それが国民にどう均霑していくか、そしてその結果が国民生活にどういうふうに潤ってくるのだ。少なくともテレビは、もうどこの家でも全部持てるようになる。そのときのテレビの値段は一万円くらいで買えるのだとか。テンポの速い時代の将来というものは 私はやはりいい悪いにつけて非常に発展すると思う。そういうことで、消費者の立場から生活を考えるという考え方には、私は賛意を表します。そしてその考え方には私も非常に新しいものがあることを認めます。今まではとかく生産の側からばかり見ておりますけれども、今度消費者の側から、国民所得が倍増になった場合、どういうふうに生活設計ができるとお考えになっているだろうかと、私も非常に頼もしく思ったのですが、今のお話では今度は逆に、何かちょっと印象がぼけたように思うのですが、その点をもう少し御説明いただきたい。
#69
○迫水国務大臣 所得倍増をここ議論することは、お話の通り適当なる機会でないかもしれませんけれども、要するにあれは実質的にいって生産が倍になる、所得が倍になるという計画でございます。というのは、もし中間において若干でも物価の上昇がございますれば、名目的な成長率というものは、あの成長率というものより高い成長率になってくるはずでありますから、従って実質的な問題として御理解を願える。そういう意味で所得倍増計画は考えられておりますが、その点は一応別といたしまして、今度の審議会を作ります趣旨は、全く今あなたがおっしゃったような趣旨でございまして、大体政府というのは、どうも私、閣僚の一人になって感じますところでは、生産の方ないし事業の方というものが中心になって考えられてきます。そこでいわゆる生活者というか、消費者という言葉は必ずしも適当でないかもしれないが、生産者の立場からものを言うのが政府部内でどうもないような感じがしたものですから、たとえば国鉄の運賃の値上げということも、国鉄の立場ばかり考えてみればもっと高い運賃の値上げも必要であり、あるいは、定期券の割引率の改正も必要であるかもしれないのですけれども、生活者という立場の方からものを考えると、必ずしもそのまま納得ができないような立場もある。そういうような立場から、一つものを考えるのについて、経済企画庁だけではどうも少し力が弱いと思いますから、一般の学識経験者の知識をいただいて、そういうような立場から行政というものを見る拠点としてこの審議会を置いてもらいたい、こういうお願いをして予算がやっと認められたということでございます。
  〔草野委員長代理退席、委員長着席〕
#70
○山内委員 今の大臣のお考えであれば私の希望している線でありますから、それは私はけっこうだと思うのです。ただ国民所得、これをここで議論するのはどうかと思うのですけれども、今大臣は、たしか実質生活が倍増するというお話だったと思うのです。そこでトータルで二十六兆になれば現在の生産からすれば倍になるのですけれども、その中で格差があっては――これは格差のない完全ないい社会は、私どもが政権をとればやりますけれども、今の大臣ではむずかしいとは思いますけれども、その中でもせめてこういう失業者にはこういう方法で完全雇用をやる。たしか倍増計画にも第二次産業、第三次産業に吸収するということが書いてありますけれども、なかなかそうもいかないので、そのモデルのとり方も中産階級をモデルにとるか、それともずっと下の方でとるか、とり方によっていろいろあると思います。いかにこういう時代でありましても、大臣の立場から、各階各層ずっと低生活の方のモデル・ケースをとってみて、どんな生活をしているか、所得が倍に伸びてもそういうボーダー・ラインの人がどれだけおって、どういう生活をされているのかということは、やはりあなた方の解決の一つの課題になると思うので、そういう点までも考えていただきたい。これは希望でございます。私の質問はこれで終わります。
#71
○迫水国務大臣 お答えは要らないかもしれませんけれども、所得倍増計画というのは、自由主義社会で今あなたのおっしゃる所得の格差ができるだけ少ない社会を作り上げたい、こういう非常な希望をもって実は考えておるのでありまして、ただいまお話のありました生活向上のモデル問題も、せめて内閣統計局のやっております家計調査の五分位くらいのところには合うようにモデルを作る。従って五分位に相当する消費者物価指数なんというのも実はちょいちょいお話がありまして、私相当抵抗はしているのですけれども、ほんとうを言うと一本ではおかしいのです。これは消費内容が違うのですから、一本の消費者指数でもって議論するのはおかしいのであって、そういうようなものをちゃんと少なくとも五分位別くらいの消費者物価指数を作って、そして物価の上がり方が生活にどれだけ直接に影響するかということをもっと具体的に把握したい。これもこの審議会に至急にお願いをしたいと思っていることでありまして、できるだけ勉強いたします。
#72
○久野委員長 次に石山權作君。
#73
○石山委員 地域経済のことについて二、三お聞きして、こっちの要望を申し上げたいと思います。
 国土総合開発法がありまして、そこでいろいろやるようでございますけれども、今までの例からすると、国土総合開発というのはある意味ではおもに農業的な立場から多く見ているような傾向があったと思っております。新しくやるためにはこういう新しい考え方も必要になってきただろうと思うのですが、ここで私たち実際やる上において注意をしていただきたい点は、たとえば後進地だといわれている北海道、東北に対して法律を作りました。金融公庫も作りました。そして間もなく、三年くらいたちましたら、御承知のように九州、四国、中国というふうに、次々に地方の地域開発が行なわれた。私たちとしましては、そういうふうな地方的な要求を押えるべきじゃないと思うのだが、日本の経済の持っている実力というものは、そういうふうないわゆる普通的なやり方で、はたしてその地域の開発が行なわれるかどうかという疑問を持つわけです。長官の見た目で、たとえば東北、北海道はある意味で大体よくなったのだから、これは議員立法でしたが、九州、中国に移っていくような段階にきているかどうかということをお聞きしておきたいと思うのです。
#74
○迫水国務大臣 非常にむずかしい質問でございますが、私は東北開発促進法の結果東北が確かによくなったと思いますが、東北がよくなったから、それでは今度は九州というようなことではなしに、東北の低開発の状態と、自分のことを言っては悪いのですけれども、私の郷里の鹿児島県のごときは低開発においては同じじゃないか。だからこっちに促進法があるから、こっちも作れと議員さんがおっしゃるのはあたりまえだと思うのです。しかもそれがだんだん日本全地域をカバーするようになる。こういうことになるのもほんとうをいいますと、全国総合開発計画というものが十年間も出なかったせいではないかと思うのです。そういうことですから、ことしはとにかく曲がりなりといっては語弊があるのですけれども、そうひどくりっぱな、完全無欠なものはできなくても、一応全国総合開発計画というものをはっきり出して、それからまたみんなの批判によってそれを直していくなら直すように、とにかく柱を一つ出そうじゃないかというので、今総合開発計画というものをことしの六月までの間にはできるだけ作り上げようというので、開発局では徹夜の作業をしているような状態でございます。従いまして東北がよくなったから今度は九州、中国、こういうふうに移っているように認識するのかとおっしゃると、そういうふうには認識をいたしておりません。
#75
○石山委員 いろいろ開発法ができているのですが、その共通した一つのねらいは、例の交付税の率を多くしていただきたいということに帰着するようでございますので、その点は来年度の予算などを組む場合には、十分考慮に入れなければならない一つの題目だというふうに私は解釈をしております。
 それから地域開発ですが、私は気のついた点を二、三申し上げてみたいと思うのです。せんだって衆議院を無理やりに国鉄の運賃値上げが、非常に残念に思いますけれども通りましたが、その国鉄が五カ年計画をやります。その開発の五カ年計画は、裏日本の場合には残念ながら電化も複線も五カ年から向こうだと言っているのです。そうすると地域経済開発ということから見れば、私の方の山内君が言ったふうに、どうしても太平洋岸のベルト地帯だけが主眼点になる、こういう点では非常に残念に思います。
 そうかと思えば、こういう現象が今度の予算に行なわれておるわけですが、飛行場の設置です。これは地方の人はちょっと奇異に思っている感があります。東北地方に飛行場を設けて、はたして今どれくらい利用されるかという疑問、そのくらいのお金があったら、こちらで一生懸命望んでおるから、そこへやったらどうかという意見、だからといって地元では全然飛行場を作ってくれという要望がないというのではない、あるのですよ。あるのだけれども、これは小さなものだった。今度の予算の中でおもに達せられたのは、飛行場と二級国道でした。そうすると飛行場というものは非常にウエートを持つように見えるのですが、あなたの見た目で、たとえば秋田に飛行場を持ち、盛岡に飛行場を置いたりすると、地方経済に寄与するという感じを受けますか。そういう点をやはり企画庁あたりで見ていただかなければならないような予算の使い方だと思う。地域開発には飛行場はやはり必要でしょうか。
#76
○迫水国務大臣 石山さんは非常に困った質問をされるので、私も答弁に困るわけですが、それはほんとうは大蔵省がよくにらんで、予算を盛られるときにやるべきものだと思うので、経済企画庁の範囲外の話だと私は思うのですが、飛行場なんかがあれば地域経済開発には役に立つことは十分役に立つのではないかと思います。だから飛行場をやるかわりにほかのものをやった方がよかったのではないか、どう思うかというと、大蔵省が予算を組むときに大蔵大臣の方におっしゃっていただかないと、私の方の範囲でないのです。
#77
○石山委員 私の言うのは、あなたから御感想を承りたかったのですよ。地域経済を主張なさる、それが日本の経済の将来のためだというふうに企画庁がお考えになっておる。その目から見た今度の予算の姿というものの感想を承りたかったので、ある意味では他省に関係があるので、はっきりしたことは言えないのだと思うが、われわれからすればちょっともったいないお金の使い方ではなかったか。口を悪く言えば、高級官庁の方々の出張を非常に便利ならしめる。地方で言えば、六千円も七千円もの交通費をかけて東京に来る方は、おそらく県では何人というものですよ。それから県では非常にPRをよくして、東京の官庁の方々、おそらく局長さん級の御出張を願う。忙しいのですから御出張を願うには飛行機の方が便利だろうという、上の方だけの利用価値がある。そこへ莫大な一億も二億もお金を投資されるよりも、学校を作っていただいた方がありがたいという声が多いということです。私は予算の使い方にやはり非常な疑問を感じておったので申し上げたいと思うのです。
 それから今までも論議された中で、地域の一つの経済というのは生産だけを考えられておったようですが、生産だけになりますとどうしてもそろばんずくになって、おくれたところはどんなにいい計画を立ててもそろばんに乗りません。だから地域経済を考える場合には、やはりそろばんを片手に持ちながら片手で政府が、ある点まで伸びてくるまで手を差し伸べるという態勢がない限り、企画庁がどんなにりっぱな資料を整えられて計画をお立てになっても、これはものにならないで終わってしまうだろうという懸念を持つわけです。私たちは企画庁の今までの実績から、おそらくりっぱな立案をなさっていただけるということは信じておりますけれども、それを実際に乗せるという態勢を、閣内なりあるいは政治勢力の中に打ち込んでおかないと、これは残念ですがお経に終わってしまうと思っております。
 次に国民生活向上というものを見ますると、これは企画庁長官の新しい感覚だろうと思うのですが、どうも私らは理解しにくいのです。国民生活というとあまり範囲が広くなりまして、われわれの生活というと、まず昔から概念的でなく実際に即して言われている言葉は、衣食住ということでしょう。衣食住という言葉を考えてみますと、どうも企画庁でお考えになる点は、ちょっと場違いのような印象をまず第一に受ける。何となれば、われわれは衣食住のおおむねの場合は厚生省とか、あんなところを考えているわけですね。それは総合官庁だから、失業の場合もあるいはいろいろな点も、ここで考えられるということもあるのですが、普通からいえば、各省のなわ張りとかセクトをうまく調整なさる企画庁が、この場合だけは、何かおれたちやってみせなければ工合が悪いのだ、所得倍増のテーマとして企画庁はこういうテーマを持っているのだ、こういうようなやり方で無理にお出しになっているようなことがございますが、この中には、政令でお出しになると言っておられますね、この内容は、私の言う衣食住――いわゆる失業とか就業、あるいは所得倍増でありましょうけれども、国民の所得はどこのあたりにあればいいかというふうなことをここではお考えになっていると思うのですが、国民生活なるものを企画庁として研究なさる、調査をなさる内容をもう少し知らしていただかないと、先ほど私の方の山内委員が言ったように、生活改善とか新生活運動を企画庁がおやりになるのだ、一定のワク内でつつましやかな、そして効果の上がる生活指導だ、こういうふうに受け取られる懸念があると思う。もっと新しいアイデアに立って、この案を出しているだろうと思いますから、その点を少しこまかく御説明していただきたいと思います。
#78
○迫水国務大臣 国民生活の向上というのは、一応看板に出してありますけれども、役所の中では、消費生活の向上という意味に――消費者行政、こういう言葉を使っておるのでありまして、要するにめいめいの生活の実態そのもの、消費内容を向上していく。これは所得がふえてくるわけでございますので、また社会保障も逐次徹底して参るので、当然低所得者層というものがだんだんなくなる。みんなが所得がふえてきた場合に、当然家計支出というものはふえてくる。より消費生活というものは豊富になってくる。その消費生活の豊富になってくる部分を合理的に考えていく。消費者保護という言葉もずいぶん使われていますし、私も使っていいのじゃないかと思うのでありますけれども、現在のわれわれ日本人の生活というものは、メーカーというか生産者の方が主体であって、消費者の方がとかく泣き寝入り的な状態になっているのを、政府の部内でも消費者の立場をもう少しはっきりし、主張することがあってもいい。それは企画庁でやる以外には方法がないじゃないか、こういうふうなことから考えていって、消費生活の内容を向上する基本問題、そういうものを調査するための審議会を作っていただこうというのが、今度の問題です。衣食住ですけれども、衣食住全般の、たとえば医療保険をどうする、これも確かに国民生活
 の向上ですけれども、衣食住のほかに、このごろはやりのレジャーの問題もありますし、教育、娯楽、そういうふうなものの問題もありましょうし、消費者物価の問題なんというのは、ずいぶん大きな問題の一つだろうと思っております。
#79
○石山委員 そうすると一つの具体例で申しますと、たとえば衣食住の衣ですね。それから住居も金を使っておる。しかし食糧は、バランスから見ると一番低いところにあるからというので指摘されているわけです、あなたの方から出た資料を見ますと。だから現在においても、国民生活の食にもう少し力を注いで、生活の改善をなすべきだというふうなことも一つの指導の理念になるわけですか。
#80
○迫水国務大臣 生活向上のモデルを考えるという場合には、確かにそういうこともございます。総合的に、大体このくらいな都市において、五万円なら五万円、四万円なら四万円の収入のある人たちは、大体このくらいなものを食べてしかるべきじゃないか。それで生活ができるはずなんだ。それを将来のことを心配したり何かして、つめに火をともしてお金をためる必要はないのだ、このくらいの生活をする方がちょうどいいところなんだというモデルでも各階層について作って、国民全体が自分の消費生活とそのモデルとを比べ合わせて、もう少しよけいうまいものを食った方がいいとかなんとかいう、そういう判断の資料を作るということも、この審議会の一つの仕事だと思っております。
#81
○石山委員 これは理想図の話だから、お互いの考え方が少し行き違うかもしれませんが、この場合にこういうことも考えられます。たとえば所得倍増を考えた場合に、Aクラス、Bクラス、Cクラスというふうに国民階層を分けるとすれば、いわゆる国民所得が倍増になった一つの姿として、Aクラスはどのくらいの所得で、人数の割合でどのくらいを占めればいいのか、Bクラスの所得はどのくらいで、その人数はどのくらいか。もっと強く言えば、日本の経済が所得倍増になった暁の雇用関係は、どういう姿であれば今の資本主義体系がくずれないで、そして生活レベルが上がったというような姿になるか、こういうようなことも結局研究なさるわけですか。
#82
○迫水国務大臣 それは所得倍増計画の本体そのものではないかと私は思うのですけれども、もっと消費生活の方にくっついて考えていくべきがこっちの目的だと思っております。
#83
○石山委員 おそらくこういう話をやったら、間口が広くなってしまって質問のとめどもなくなるという懸念がありますので、これは設置法ですから、私たちはそういうふうなものの見方もあって、御提案なさっておるかと今お聞きしておるわけなんです。
 それから最後の「重要な庁務について長官に意見を申し述べる非常勤の参与」、この参与という身分とか性格はどういうものなんですか。
#84
○熊谷説明員 御説明申し上げます。参与は特別職でございます。設置法によりまして、特に規定されておるわけでございます。
#85
○石山委員 これは三人置かれておりますが、今どういうお仕事をなさっておりますか。これは重要な庁務についての御意見でしょうけれども、今まで実際やられている累積された仕事です。
#86
○熊谷説明員 毎月企画庁といたしましては経済の動向の報告を出しております。そういうものを作ります場合に、参与の方々にお集まり願いまして、いろいろ御意見を承る。そのほか個々の重要問題につきまして、それぞれの立場において御意見を伺う、こういう運営をいたしておるわけでございます。
#87
○石山委員 今回の御提案なさった三つの項目は、これはわれわれとしても必要だろうと見ております。必要だろうと見ておりますが、特に私たちとしましては、この国民生活向上対策審議会のあり方が非常によくなるか、あるいは非常に有名無実のような格好になってしまうか、どっちかだと思うのです。よくなっていただくという場合には、所得倍増が一部の者の利益でなくして、国民全般のものであったというふうなことが明らかになると思います。ですから、これはそれだけ私は難儀な委員会になるだろうと思いますけれども、少なくとも池田内閣が国民生活の向上をはかるという念願の上に立って、日本の産業の振興をはかっておるのだ、その念願に立って倍増計画をば推し進めていくのだ、こうなれば、われわれの生活状態というものを無視した考え方で、諸政策を進めていくことはできないだろうと思います。ですから、これは私は皆さんの方でも、私先ほどちょっと厚生省あたりでやってもいいようなものだというように申し上げたのですけれども、ここが勘どころだと思います。おそらく経済企画庁が将来の国民の輿望をになう官庁とするならば、これによって変わっていくだろうと思っております。ですから、十分この点は国民のものであったというふうなことをなすためにも、慎重にいろいろなことを御研究なさって、資料をば一般に公開されておけば、これは地方自治団体も、いわゆる地域経済の開発と県民生活、町民生活とマッチした形でいろいろなものを見ていくというふうなことができるのではないか。そうなれば税金を特にまけて、固定資産税を特にまけて、そして自分の首根っこを押えるような工場誘致対策に狂奔しなくても済むというような部門も、そこから暗示が与えられていくだろうと思うので、各省に関係するだけに、企画庁としては新しい思いつきで、思いつきという言葉がもし妥当でないとするならば、新しい考え方でこれと取っ組んだのですから、これを十分に生かすように私は要望いたしまして、これで終わります。
#88
○久野委員長 これにて経済企画庁設置法の一部を改正する法律案についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#89
○久野委員長 これより本案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 経済企画庁設置法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#90
○久野委員長 起立総員。よって本案は可決いたしました。
 なお、本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○久野委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。
    ―――――――――――――
#92
○久野委員長 法務省設置法の一部を改正する法律案についての残余の質疑は、後日に譲ることといたします。
 次会は明後三十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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