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1960/05/18 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第31号
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1960/05/18 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第31号

#1
第038回国会 地方行政委員会 第31号
昭和三十六年五月十八日(木曜日)
    午前十一時四分開議
 出席委員
   委員長 濱田 幸雄君
   理事 金子 岩三君 理事 田中 榮一君
   理事 中島 茂喜君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 吉田 重延君 理事 太田 一夫君
   理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君
      宇野 宗佑君    小澤 太郎君
      大沢 雄一君    大竹 作摩君
      亀岡 高夫君    仮谷 忠男君
      久保田円次君    富田 健治君
      中山 マサ君    前田 義雄君
      松山千惠子君    佐野 憲治君
      二宮 武夫君    野口 忠夫君
      松井  誠君    三木 喜夫君
      山口シヅエ君    山口 鶴男君
      門司  亮君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        警察庁長官   柏村 信雄君
        警  視  監
        (警察庁保安局
        長)      木村 行蔵君
        検     事
        (刑事局長)  竹内 壽平君
        自治事務官
        (行政局長)  藤井 貞夫君
        自治事務官
        (財政局長)  奧野 誠亮君
 委員外の出席者
        参議院議員   紅露 みつ君
        参議院議員   藤原 道子君
        参議院議員   赤松 常子君
        参議院議員   市川 房枝君
        参議院法制局参
        事
        (第二部長)  腰原  仁君
        専  門  員 円地与四松君
    ―――――――――――――
五月十七日
 委員大竹作摩君、安宅常彦君及び山口シヅエ君
 辞任につき、その補欠として一萬田尚登君、成
 田知巳君及び和田博雄君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員一萬田尚登君辞任につき、その補欠として
 大竹作摩君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
 委員成田知巳君及び和田博雄君辞任につき、そ
 の補欠として三木喜夫君及び山口シヅエ君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 新市町村建設促進法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第九三号)(参議院送付)
 市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一五二号)(参議院送付)
 地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一七二号)(参議院送付)
 酒に酔つて公衆に迷惑をかける行為の防止等に
 関する法律案(参議院提出、参法第一六号)
 地方財政に関する件
     ――――◇―――――
#2
○濱田委員長 これより会議を開きます。
 地方財政に関する件につきまして政府より発言を求められておりますので、これを許します。奧野財政局長。
#3
○奧野政府委員 昨日太田委員から、公営企業の健全性を維持するという意味において、参議院において私が答弁しておりましたことと、本委員会において答弁しておりますこととの間に食い違いがあるのではないかというような御質問がございました。速記録を調べてみたわけでございますけれども、そういう相違点は見出せないわけであります。ただ、いろいろお話を伺っておりますと、公営企業の会計において地方債を起こす範囲、起こせる範囲について説明をした点がございまするが、地方財政法の第五条に地方団体が地方債を財源とすることのできる範囲を書いておるのでございますが、その中で、公営企業につきましては広く公営企業の経費の財源とする場合については地方債を起こすことができるのだ、こう書いてございまするので、公営企業会計で建設をやっていく、そういう資金に地方債を起こせることはもちろん、運営の点についても地方債をその経費について起こすことができるのだ。こう答えた点について若干誤解が生じているように思われるのでございます。たとえば病院経営を始めます場合に、さしあたり薬剤の購入等の経営資金にも事欠いていくということがあるわけでございます。そういう場合には、ある程度地方債を財源として薬剤を買っていくということがあっても差しつかえないのじゃないだろうか、かように考えておるわけでございます。そういう場合には貸借対照表で一方には会計資金がございます。しかし他方には薬剤の資産が計上されておるわけでございますので、見合いにおいて、その団体の収支を判断していくことができるわけでございます。ただ、それが食いつぶされていくということになる場合には、当然貸借対照表上も損金に計上されなければつじつまが合わないということになってしまうわけであります。もとより一般的な運営について地方債をつけていきますことは、御心配になります健全財政を阻害していくのじゃないかというおそれも生じてくることも多分にございますので、そういうおそれがないように公営企業の地方債については厳重に内情を調査した上しでないと、みだりに認めていかない、こういう態度は特に申し上げたいと思っております。太田先生御心配になっていただいております点は、私たちも全く同感でございますので、運営の上におきましてそういうおそれの生じないよう将来とも深く戒心をしていきたいと考えておるわけでございます。
#4
○濱田委員長 ただいまの発言について、太田一夫君から発言を求められておりますのでこれを許します。太田君。
#5
○太田委員 時間を拝借してはなはだ恐縮でありますけれども、地方公営企業のありかわ基本に触れておるものだと思いますので、前会からそれをいろいろ多方面からお尋ねしたわけでありますけれども、今の奧野局長の御意見はよくわかるわけです。そういうふうな考え方でこの公営企業の地方債は運営され、利用されるものだ、活用されるものだと思いますが、たまたま参議院の四月十八日の地方行政委員会の会議録七ページにあります奧野政府委員の御答弁は「公営企業の建設なり、あるいは運営なりに要する資金につきましては、広く地方債の発行を認めると、こういう態度をとっているわけでございます。」ということをおっしゃったわけです。これが一つの解釈といたしまして、建設に伴うところの常業開始に必要なところのいろいろな準備の費用、たとえば病院を開設した場合の病院の建物とその中にあるところのとりあえずの備品なり薬剤でありますが、一般にいえばそういう備品のごときものを地方債という起債の制度に求めて、その資金でやるということについて、私もそんなことは別に差しつかえないし、そうなくちゃやっていけないでしょう。それはわかる。けれども、運営一般ということにこれが拡張解釈されまして、建設も改良も運営も一切は地方債をもって充てることができるというような甘い考え方を持ちますと、この公営企業法第三条の経営の基本原則には合致しないことになる。いわゆる経済性を発揮すると同時に、公共の福祉ということですから、どんどんと起債、を起こしてそれをいわゆる経常費、たとえば電気代、ガス代、あるいは消耗品代に投入をしていくというこ、これが認められるというような安易な観念を抱かせますことになるならば、これはその公営企業そのものを非常に不健全な基礎に置きますと同時に、地方民の負担を不必要に大きくするわけです。だから、そういうことのないように、この公営企業法の第十七条にあります通りに、事業の経営に伴う収入をもって経費に充てるというこの原則を強調すべきじゃないかと思うのです。たまたま今回の法案は出資金が認められまして、地方自治体は地方公営企業に出資をすることができる。その出資に見合うもとは何だといえば、地方公共団体の中では、これは自分のところにあるところのみずからまかなえる資金、場合によっては、貧弱な市町村におきましては地方債を起こして、それをもって、その資金を出資金とする。こういう二つの方法があると思うのですけれども、どっちみち出資をして事業の経営を健全ならしめよう、こう今度の法案ではお考えになったわけです。どちらの方法をとられようとも出資金の制度はいいです。それはよろしい。けれども資本を増加いたしました場合に、その資本金を食いつぶすというようなことをにおわせてしまってはまずい。この前のときに食いつぶすようなことは認めぬと奧野政府委員がおっしゃったと思うから、私は、この委員会において資本金を食いつぶさないということならば、地方債もあるいは交付公債もあるいはその出資金も、どういう方法によってその資金調達がはかられても差しつかえないと思うのですけれども、もしも資本金が、それが一時借入金でありましても、借入金というものは、これは今までの世の常の経済性ということを言うならば、修繕費や支払い利息などに該当すべきものではない。あくまでもそういうものはそのときの収入の中からなるべく生み出すようにすべきであって、増強する費用ならばこれは借入金でいいわけです。いわゆる起債でよろしい、借入金でよろしい、こういうことになるわけです。その点を私は心配しておるわけです。だから資本的なものは食いつぶしては相ならない、食いつぶしてはいけないぞ、起債は必ず返しなさい。ところが起債をすれば利子を払わなければならないから、それでは出資金をもって無利子の金を使おうという考え方に今度の法改正で追いやられてもこれはいかぬ。とにかくこの公営企業法の原則は、第三条、第十七条とともにかたく守られるということでなければ地方住民の福祉というものは実は実現できないし、かえってこの健全なる基礎というものがこわされると私は心配するのです。ですからそういう点は、資本の食いつぶしということは決してさせない。どんどん起債をしたけれども、みな使ってしまって返すことは永久にないというようなことでは困るわけです。そこで、この前の奧野政府委員の参議院におきます御答弁を少し心配をしましてさっきからお尋ねしたわけです。だから、私の考えていることはそういうことで、出資精神において私はあなたと一致しておると思うのです。これはそういうことでよろしゅうございますか。
#6
○奧野政府委員 太田委員の公営企業についてのお考え方は全く同感でございます。そういう御心配のないように将来とも地方債の運用その他に当たっていきたい、かように考えております。
     ――――◇―――――
#7
○濱田委員長 これより市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案及び地方公営企業法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 両案に対する質疑は前会において終了いたしております。
 これより両案を一括して討論に付する順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#8
○濱田委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
 次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#9
○濱田委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決しました。
     ――――◇―――――
#10
○濱田委員長 次に新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対し質疑があればこれを許します。――別に質疑もないようでありますので、本案に関する質疑は終局いたします。
    ―――――――――――――
#11
○濱田委員長 本案に関し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる修正案が提出されております。
    ―――――――――――――
   新市町村建設促進法の一部を改正する法律案に対する修正案
  新市町村建設促進法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
  本則中附則第二項ただし書の改正規定の一部を次のように改める。
  「ただし、」の下に「この法律の施行の日から起算して五箇年を経過した時までに第二十七条又は第二十七 条の二の規定により町村合併調整委員の調停に付された市町村の境界変
更に関する争論でその時までに解決していないものについては、第二十七条の規定(同条において準用される規定を含む。)又は第二十七条の二の規定(同条において適用される規 定及び当該適用される規定により準 用される規定を含む。)は、その時以後も、なおその効力を有するものと し、」を加える。
    ―――――――――――――
#12
○濱田委員長 まず修正案の趣旨説明を求めます。小澤太郎君
#13
○小澤(太)委員 ただいま議題となっております新市町村建設促進法の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、民主社会党の共同提案によります修正案の提案理由並びにその内容の概要について申し上げます。
 修正案はお手元にお配りしてありますので、朗読を省略させていただきます。
 その趣旨は、町村合併に伴う境界変更に関する紛争の処理については、関係規定の有効期間を今後もなお継続することといたし、引き続き紛争処理のため、政府及び当事者が一そうの努力を傾注することが円満な解決のために適切と考えられるからであります。
 何とぞ慎重御審議の上、御賛同下さるようにお願い申し上げます。
#14
○濱田委員長 以上をもって修正案の趣旨説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#15
○濱田委員長 修正案に対し発言があれはこれを許します、――別に発言もないようでありますので、これより原案並びに修正案を一括して討論に付する順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず新市町村建設促進法の一部を改正する法律案に対する三派共同提案の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#16
○濱田委員長 起立総員。よって本修正案は可決いたしました、
 次に、ただいまの修正部分を除いた原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#17
○濱田委員長 起立総員。よって修正部分を除いては原案の通り可決すべきものと決しました。右の結果、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#18
○濱田委員長 本案に関し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず本動議の趣旨説明を求めます。小澤太郎君。
#19
○小澤(太)委員 まず案文を朗読いたします。
    新市町村建設促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  市町村の境界変更に関する争論の解決についての規定の適用期限を延長ずる修正を加えたのであるが、政府は、その趣旨に沿い、引き続き全力をあげて、その紛争の解決に当り、可及的短期間に事態の円満な収拾をはかるべきである
 右決議する。
 次に、その趣旨を御説明いたします。町村合併に伴う境界変更に関する紛争の処理については、関係規定の有効期間を今後もなお継続することといたしたのでありますが、紛争の処理にあたっては、引き続き政府及び当事者が早急に一そうの努力を傾注し、可及的すみやかな紛争の円満な解決のため、ぜひとも必要と思われますので、自由民主党、日本社会党、民主社会党の共同提案により附帯決議を付したいと存じます。
 何とぞ御賛同されるようにお願いいたします。
#20
○濱田委員長 以上をもちまして趣旨説明は終わりました。
 本附帯決議案に対して発言があればこれを許します。
#21
○川村(継)委員 委員長ちょっと一言。この際、私は自治省当局に強く御要望申し上げておきたいと思います。ただいま新市町村建設促進法の一部の修正がなされまして、附帯決議が出されたわけでありますが、これは新市町村建設の今日までの経過を考えてみると、境界変更等に伴う争論をいついつまでもそのままにしておくということは、決してこれは当を得たものではないと考えております。しかし今日残された幾つかの問題を考えると、法律的にこれをしゃくし定木に始末するよりも、やはり当事者のさらに賢明なる御努力を願って、争論が円満に解決されることが望ましいというようなことで、附帯決議等も出されておるわけでございますし、修正もなされたわけでございますから、当局とされては原案通りに、この第二十七条関係については一応六月一十日で終わるんだという決意のもとに、適切な強力なる行政措置その他をもって、紛争が一口も早く円満に解決されるように格段の御努力をいただきたい。それがまたこの附帯決議の趣旨を生かすものではないかと考えます。いろいろそれぞれのケースによって問題は必ずしも簡単なものではないと思いますけれども、それぞれのケースに従っての措置をとっていただきますように強く御要望申し上げておきたいと思います。
#22
○濱田委員長 ただいまの川村委員の御発言に対して、もし自治大臣からの御所見があれば承りたいと思います。
#23
○安井国務大臣 修正案並びに附帯決議の御趣旨を体しまして、政府としては善処いたしたいと考えております。
#24
○濱田委員長 これより採決いたします。
 附帯決議を付すべしとの動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#25
○濱田委員長 起立総員。よって本案は附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
#26
○濱田委員長 次にお諮りいたします。
 すなわち、ただいま議決いたしました三法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○濱田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。
     ――――◇―――――
#28
○濱田委員長 次に、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。小澤太郎君。
#29
○小澤(太)委員 いわゆる酔っぱらい天国と言われて、あまりにも酔っぱらいが寛大に扱いされ過ぎております日本の現状におきまして、このような法案の成立は私もかねてから待望いたしておったところでございますし、おそらく国民全体が同じような気持で成立を期待いたしておると思うのであります。ただいずれの法律につきましても、これの運営に当たる当局のその通常の仕方いかんによりましては、法律が死んだものともなり、また生きたものとしてその趣旨を十分に到達することができる。こう思うのでありますので、私は主としてこれの執行に当たる政府当局に対しまして、この法律に対する考え方、気がまえあるいはその執行の方法等についての所見をまず伺いたいと思うのであります。
 まず、国家公安委員長に総括的な御意見を伺いたいと思いましたが、御出席がおくれるそうでありますので、あと回わしにいたしまして、ちょうど警察庁長官がお見えになりましたので、まず長官にお尋ねをしたいと思います。
 この法案が法律となって制定された場合に、警察官の職務の執行につきまして、従来とどういうふうに変わったことが行なわれるか、つまり法文の上の相違点ではなしに、現実の執行の仕方についてどのような御方針であられるのか、また、それがどのような形で具体的に現われますか。本案の第三条と警職法の第三条、本案の第四条と軽犯罪法の第一条、また本法案の六条と警職法の六条、これをいずれもそれぞれ対比されまして具体的に御説明をいただきたいと思います。
#30
○柏村政府委員 お答え申します。この法案の趣旨は、一つには警察の取り締まりという面においてある程度執行を円滑にし強化するという面があろうかと思いますが、基本的には、こういう法律が出ることによって国民一般に飲酒による公衆に対する迷惑というようなことのないように、文化的な市民生活というものを確保しようという啓蒙的な意味が非常に強いのであろう、私はそういうふうに考えるわけでございますので、この法律が出ましたから警察が格別にこのために非常な変わった執行態度をとるということにはならないというふうに思うのでございます。しかし警察といたしまして、そうした一般の社会の風潮と相待ちまして警察における取り締まりについても、おのずから従来とは変わった行き方も若干出てくるのではないかというふうに思うのでございます。
 第三条につきましては、これは法文上「酩酊者」ということで、いわゆる泥酔者を含んだ酔っ払いについての問題でございますから、幾分範囲が広がるという問題はございますけれども、おそらく本人のために保護するということになりますと、泥酔者以外の場合は、泥酔までは至りませんけれども、たとえば公園であらぬ形で寝そべっておるというようなことで被害を受けるおそれがあるというようなものを保護するというような場合が若干含まれるので、幾らか広がるということであって、そう広い範囲にはならないのではないかと思います。
 それから第四条におきましては、これは軽犯罪法によりますると、迷惑をかけたという立証が必要になるわけでございますが、この法律によっては、実際は確かに迷惑をかけたことであろうと思いまするけれども、迷惑をかけたというような、そこまでの立証は必要としないで、迷惑のかかるような行為だという――たとえば録音をとってこういうようなことがこういう状況のもとに行なわれれば、これは公衆に迷惑をかけるような行為であるということが判断できる程度になる。具体的にそこに居合わせただれだれを証人に引き出して迷惑がかかったという立証までしないでも済むということで、これはやはり警察としては措置しやすい問題になるのではないかというふうに思います。
 それからお尋ねの六条関係は、これは警職法の六条におきまして、生命身体に危害が及ぶ場合においてこれを制止するというものと全く同一でございまして、六条は警職法以上に出るものではない。それでこの前ある新聞でも私大へん皮肉られましたが、プラスもマイナスもないと言ったのは、この条文について法律的にはプラスもマイナスもないという意味を申しあげたわけであります。ただ全体として先ほど冒頭に申し」げましたように、こういう法律ができることによりまして、一般の風潮が酔っぱらいというものについて、酔っぱらいが公衆に迷惑をかけるということがいけないことだという気分を大いに強める。そういう酔っぱらいについて警察が取り締まるべきときに遠慮をしない、遠慮をせずに、酔っぱらいだから見のがすというようなことでなしに、公衆のために警察の活動が活発になる、警察官の責任感を強めるというような意味合いにおいて、従来もやるべきことを、こういう法律が出ることによって、責任感を強めるという意味において強化されるということは、これは当然あると思うのでございまして、このために従来の警察活動と比べて権限的に非常に強くなったとか、それに専念するという意味ではなくて、従来ややもすれば日本の従来の慣行として、酔っぱらいだから仕方がないというような安易な気持で、非常に非文化的な市民生活というものが見のがされるというようなことがないように、警察官の責任感を強めて参りたい。こういうように考えておるわけでございまして、法案が出ますればそういう趣旨の指導に努めて参りたいと、こう考えております。
#31
○小澤(太)委員 この法案の持つ法律的な効果と申しますか、そういう面に重きを置いて、そのために一般大衆もまた警察官も、はっきりした態度がとり得るというような、そういうふうないわゆる教育的な効果を重く見ていく、警察官の職務執行につきましては従来と大差がない、こういうお考えのように承ったわけでございますが、そうでございますか。
#32
○柏村政府委員 大きい筋といたしましては、ただいまお話しになりましたように、教育的な効果が非常に多かろうと思います。しかし警察が、これが出ても従来と同じだという意味ではございませんで、一つには警察官の責任感という心理的な問題がございます。また法律自体におきましても、権限的に、あるいは権限は同時に警察の責務を伴うわけでございますが、そういう意味において拡大をされておるわけでございまして、その点は決しておろそかにして、教育的効果だけを考えるというのではなしに、警察として、十分にこの法案が成立した暁には法律の精神を生かすように、執行についても努力して参りたい、こう考えておるわけであります。
#33
○小澤(太)委員 犯罪防止基本対策要綱というのが一月の二十五「日に出ております。これには、「めいていによる暴力を排除するため必要な諸施策を強化すること。飲酒めいていに伴う暴力は善良な市民に迷惑を及ぼすことが著しいのみでなく、時には恐るべき殺人、傷害に移行することが多いので、このような飲酒めいていに起因する暴力に対しても断固たる措置が必要である。したがって、このような泥酔者に対する対策として、その保護、収容施設の拡充をはかるほか必要な法的規制措置を行なう。」こういうのがあります。これはおそらくあなたのところでお作りになった要綱だと思います。これに書いてありますところを今読みましたように、「断固たる措置が必要である。」それから「保護、収容施設の拡充をはかるほか必要な法的規制措置を行なう。」こう書いてあります。この酔っぱらいに対する、いわゆる酩酊者に対する公衆の迷惑を避けるために何らかの措置をしたいというお気持はこの要綱にあったと思いますが、この要綱に従って政府の側においてどのような法的措置等の立案と申しますか、計画があったのかどうか、その点をお伺いしたい。
#34
○柏村政府委員 この犯罪防止基本対策要綱そのものは私の方で立案したわけではございません。これは自由民主党の関係の方が案をお考えになりまして、そうして最後には政府で決定された。その間において私どもの意見を徴されるという問題はございましたけれども、そもそもの発案というものは自民党の方でなされたわけでございます。ただ、その間に若干私どもも意見を申し上げたり、参考にいろいろ意見を聞かれたりいたしました関係上、その御趣旨というものは私どもも大体了解をいたしておるわけでございますが、このための立法措置としては、今回提出されたようなものが政府としても大体お考えになっておったことではないかというふうに思うわけであります。
#35
○小澤(太)委員 大体の長官のお考えはわかりましたが、要するにただいまのお話の程度では、この法案に対する警察当局側の積極的な意図と申しますか、このせっかくの法案を生かしてその適正な運用をはかって、日本から酔っぱらいの横暴、これをなくしようということに対しての態度といいますか、そういうふうな積極的なお気持がどうもうかがわれないような気がするのですが、その点いかがですか。
#36
○柏村政府委員 酔っぱらいの取り締まりといいますか、保護と申しますか、公衆に迷惑のかからないような措置ということについては、警察は常々努力をいたしておるわけであります、特に大都市等におきましては、この保護施設等についても相当整備をはかっておるわけでありまして、従来の法令によりましてその万全を期しておったわけでございますけれども、長い日本における因襲、酔っぱらいというものについての寛大な見方という悪風というものがなかなかに除去されない。従って平生非常にりっぱなおとなしい人でも、酒に酔うことによってむちゃをやる。そのむちゃをやったことが酒の上だからといって世間も認めていくということが往々ありがちなんでございます。そういうことで私どもといたしましても、平素からこういうものについて何らかの強力な措置をとり得るような雰囲気が出てくる、同時にまた若干でもそういうことで、警察官の態度が変わり得るような法的措置というようなことは希望いたしておったわけでございますけれども、こういう問題は警察で取り締まるということだけで問題が片づくことではございません。何といっても社会の一般の風潮がそういうことに盛り上がってこなければいかぬと思います、その盛り上がったことについてどうしてもそのワクをまたさらに越えていくというようなものについて、警察がこれを規制していくということになるべきものと考えておるわけでございまして、そういう意味で私どもは決して消極的な気持を持っておるわけではございませんが、社会の一般の風潮よりも先がけて警察でやって、警察がやれば酔っぱらいが一掃できるのだという犯罪者扱いをしていくというような考え方でいくべきではなくて、全体が道徳的、文化的になっていく中において、なおかつそのワクを越えてむちゃをやるというような者について、警察が取り締まっていくということが妥当であろう。しかも今度こういう法律ができるということになりますれば、そういう者については厳正に警察として取り締まっていく責任も持つわけでありますし、権限もまた与えられるわけでありますので、そういうことでできるだけ御期待に沿うような執行をいたして参りたい、こう考えております。
#37
○小澤(太)委員 この法案につきましては、法理論としてはいろいろ問題があろうかと思いますが、ただいま長官のお話のように、また御提案の方々の御意向もそこにあると思いますが、きわめて高い教育的な雰囲気、空気、そういうムードを持った法律でございますし、また関係の事柄が一つの法律に盛り込まれております。国民の側における酔っぱらいにあまりに寛大であるというこの気風を改めていく上に大きな効果があるということを私も期待いたしておりますし、またそのように確信もいたしておるわけでございますが、今長官のお話のように、警察が先頭に立ってということは適当でないということになるわけでございますが、少なくともおくれないように、警察がかえって消極的な態度をあまりに出すことによって、この法案の趣旨が通らないということをかえって私はおそれるわけでございますので、その点は御如才もないと思いますが、はっきりした方針でもって長官の御指導をいただくようにお願いしたいと思います。
 さて、次に第一条の関係でございます。この酩酊という「酒に酔っている者(アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態にある者をいう。)」こういう法文になっておりますが、参議院の委員会におきましても論議が尽くされたように伺っております。どうもこのいわゆる酩酊という程度の問題がこの法文でははっきりいたしません。あるいは泥酔というのとどのような違いになるのか、あるいは泥酔を含むのか含まないのか、その一歩手前の状態をいうのか、こういう点が実は大事な点でございますので、それについての長官の御所見を承りたいと思います。
#38
○柏村政府委員 この酩酊の定義でございますが、もちろん酩酊というのは泥酔を含むというふうに私ども考えておるわけでございまして、参議院の委員会においても御説明申し上げましたように、まず酒を飲むということから始まるわけです。酒を飲んで何ら心身に支障がないというような状況も私はあると思います。かえって頭がさえるという者もあるわけです。しかしそういう度を越えて、正常な行為を行ない得ないようなおそれのあるという一種の酔っぱらった状況というものがあるわけでございまして、その程度になった者はすべて酩酊者、こういうふうに考えております。それが度を越して参りますと、いわゆる泥酔ということになって、ほんとうに酔っぱらって意識がはっきりしない。さらに度が高じていけば心身耗弱であるとか心神喪失という状況になるわけでありますが、その酔って正常な行為ができないおそれがある段階から以上のものは、泥酔者も含んですべて酩酊者と、こういうふうに観念をしておるわけであります。これは道路交通法等において酒に酔って運転するというような場合においても、酔ったという状況、泥酔ももちろん酔っているわけですから、そういうものも全部含んで酩酊運転として取り締まりをいたすようにしておるわけであります。
#39
○小澤(太)委員 そういうようにおっしゃいますが、「アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態」こういうふうにあります。できない状態でなしに「できないおそれのある状態」、こういう書き方がしてあるのであります。これは提案者の御意図がどこにあるか、あとでお伺いしたいと思いますが、私としては、おそれのある者もすでにその状態にある者と同じように解釈できるものであるか、どうもそういう点がすらっと読むと出てこない。それから道路交通法にはどういうふうな言葉が使ってありますか、それをお聞かせ願いたいと思います。
#40
○柏村政府委員 ほんとうに正常な行為ができない状態にある、もうこれは客観的にもできない状態にあるという者も、おそれのある者の中に含むということは、先ほど申し上げたわけでございますが、それは実際正常な行為ができない者でも、居眠りをしておる、居眠りをしておればこれは正常な人間の居眠りをしておると同じような状況にあるわけでありまして、これは正常に居眠りをしておる。しかし酔って居眠りをしておる者がさめたら、おそれがあるということになるわけです。だから正常な行為ができないものは当然含まれるというふうに私どもは解釈をしておるわけです。道交法におきましては百十八条の第一項第二号におきまして、「酒に酔い」という用語が使われておるわけでございますが、これも定義として「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態にあることをいう。」というふうにいたしておるわけであります。これは常に正常でないというのは、これは相当度を越しているわけですが、瞬間的に正常な場合もあるし、正常でない場合もあるというのが、普通酒に酔ってやる人間の行為だと思うのです。従いまして正常な行為ができないおそれがあるということは、正常な行為でない者は当然に含まれるというように考えておるわけであります。
#41
○小澤(太)委員 酒に酔って眠っている場合に、それは行動しておりませんから、これがもしさめたときに正常な行動ができないおそれのある状態である、それはよくわかります。しかし第二条のは眠っておらないのですね。こういう公共の場所または乗物において酩酊者が粗野または乱暴な言動をしておる。こういう場合には眠っておるわけじゃございませんが、その酩酊者はおそれのある者なのか、あるいは正常な行為ができない状態にあってそうなっているのか、これはどういうふうにお考えになりますか。
#42
○柏村政府委員 現に粗野または乱暴な言動をしているということは、これは正常な行為だとは言えないと思います。言えないと思いますが、それのもとになる酩酊者、酒に酔っている者ということをとらえて言いますれば、それを言い出す前は、おそれのある状態ですね。従っておそれのあるという大きなところでとらえて、そうして現実に取り締まりの対象とする。あるいは法の対象とする場合は、現実に現われた行為、正常でない行為というものをとらえていくということになるわけでございます。従ってワクとしては広めておくというふうに考えるべきだと思います。
#43
○小澤(太)委員 警察庁長官の御説明は一応それでわかりますが、提案者としてはどういうふうに御説明になりますか。
#44
○紅露参議院議員 酩酊者の判定でございますが、私どもは、これはもう常識的に考えておりまして、これが酩酊者であるかどうかということは、その言葉づかいとか動作とか、あるいは服装の状態とか顔色なども、やはり相当酩酊すると顔に出るものでございますから、そういうこと、それからお酒のにおいが非常に強いとか、そういう一見してわかる状態、そういったものをとらえて考えておるわけでございます。泥酔はもちろんこの中に入っておると解釈したいと思います。
#45
○小澤(太)委員 参議院の審議の過程を拝見いたしますと――法務省の刑事局長おいでですか。
#46
○濱田委員長 刑事局長はちょうど法務委員会に出て発言中のようでありますから……。
#47
○小澤(太)委員 だいぶ見解が異なっておったように伺うわけであります。大事なところでありますので、こういう点は見解を一致させておく必要があろうかと思います。後ほどおいでになったら伺いたいと思います。
 それでは先へ進みますが、第三条の関係でございますが、先ほど警察庁長官のお話では、第三条は実際的には泥酔しておる者あるいはそれより少しは度合いの薄い者にも及ぶようなことをおっしゃった。現実には泥酔者ということになりますか、警察官が職務を執行するにあたって保護をする必要があると判断をする場合に、泥酔者ということが今までと同じように基準になるものかどうか、そういう御方針でありますかどうか、お聞きしたいと思います。
#48
○柏村政府委員 ただいまお尋ねの点は、先ほど申し上げましたように警職法の第三条の泥酔者とおおむね一致すると考えますが、ただ表現の上で泥酔者よりは広い。具体的な例としては、これも先ほど申し上げましたように、たとえば公園のベンチで粗野な形で寝そべっておる、泥酔とは言えないけれども、そういうふうなことをいたしておると、いかがわしい人間に変なことをされるおそれがあるというような者は保護するということもあり得ると思うので、泥酔者よりは法文としては範囲は広い。しかし、実際執行の面では、ほぼ現在の警職法の三条とそう違った執行にはなるまいかというふうに考えておるわけであります。
#49
○小澤(太)委員 警職法の場合には「でい酔のため、自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす」云々と書いてあります。本法案におきましては「本人のため、」こう書いてあります。今のお話では泥酔またはそれに近い状態、実際上は泥酔者を扱うというお話でございますが、その場合におきましても「本人のため、」というのと、それから「自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす虞のある者」、こういうふうに言葉が使い分けてあります。これをどういうふうに御解釈になりますか、「本人のため、」というのを……。
#50
○柏村政府委員 第三条につきましては参議院において修正をされて、その修正されたものがこちらに提案されていると思うのでありますが、当該酩酊者の言動、その酔いの程度及び周囲の状況等に照らして、本人の生命または財産を保護するため、応急の救護を要すると信ずるに足りるということで、他人に対する危害というものを除いてあるだけでありまして、おおむね警職法の場合と同等という私どもは観念をいたしておるわけであります。
#51
○小澤(太)委員 私のところにきておりますのは、「本人のため、」としてありまして、生命、財産等はありません。どうですか。
#52
○柏村政府委員 ただいま申し上げましたのは私の間違いでございまして、当該酩酊者の言動、「その酔いの程度及び周囲の状況等」というのが加わりまして、私の申し上げました本人のため、生命、身体、財産を保護するというのは入りません。「本人のため、」ということでありますが、「本人のため、」と申しますことは、考え方としては本人の生命、身体、財産のためということに当然考えられるわけでありまして、法意としては先ほど御答弁申し上げたものと変わりありません。
#53
○小澤(太)委員 そういたしますと、「本人のため、ことは警職法における自己の生命、身体または財産に危害を及ぼす、こういうものと同じように解釈せられるという意味でありますか。
#54
○柏村政府委員 本人の生命、身体、財産の保護というふうに、同じ意味というふうに私どもは考えております。
#55
○小澤(太)委員 第三条を初めから読んでみますと、警職法の場合と違いまして、公共の場所または乗りものにおいて、粗野または乱暴な言動をしている、こういうことがあるわけであります。公衆に対していろいろな迷惑をかける、こういうことがあるのでありまして、こういう要素が相当強く考えられておるのではないかと思うのであります。従って「本人のため、」というのは、ただ本人の生命、身体または財産に危害を及ぼす、こういう場合のみに限るのか、あるいはもう少し倫理的なと申しますか、そういうニュアンスを持った表現であるのか、こういう点について私はいささか疑問があるのであります。ことに警職法にありますように「自己又は他人の」――この法案には他人のということが書いてない。従ってそういうことから考えてみますと、他人の生命、身体または財産に危害を及ぼすということはないけれども、この公共の場所または乗りものにおいて他人に著しい迷惑をかけるという事態、これが他人に危害を及ぼすものである。従ってここにはことさらに他人の身体、財産、正命ということは書かずに「本人のため、」と書いたのであって、かなりの程度の社会倫理的な考え方が本条にあるように私には受け取れるわけです。しかるに長官としては、これは警職法の場合の他人を除いた自己だけの生命、身体、財産という意味に解釈すると言われますならば、せっかくこの法案ができた、本当のねらいというもの、先ほどおっしゃった教育性申しますか、社会の論理性というものが全然没却された考え方になりはしないか、もちろん、こういうことに便乗して警察官の権利の、いたずらなる公民権の不当な侵害というようなことは厳に戒めなければなりませんけどれも、この法案ができました事情からいたしましても、またこの法案の法意からいたしましても、そのような私の解釈が誤っているかどうか、あるいはそういう方針に警察当局が立つことがいけないのかどうか、この点についてもう一度御答弁をお願いしたいと思います。
#56
○柏村政府委員 ただいまお話しのような倫理的といいますか、酔っぱらいというものをある意味の懲罰的意味において収容するというような立法例が外国にはあるわけでございます。当初この法案を立案された方々においても、そういう御意図があるいはあったかともそんたくいたすわけでございますが、いろいろ御検討の結果、この第三条においてはそういう趣旨は考えない、あくまでも「本人のため、」ということで、本人のための保護ということに限定されたわけでございます。しかし第四条で罰則がございますし、第五条におきまして、警察官はそういう行為を制止するということがあり、その制止を聞かずにあくまでも他人に迷惑をかけた場合におきましては、これは罰金刑に処せられるということがあるわけでございまして、警察官はそういう場合本人のために保護するという必要はないが、著しく公衆に迷惑をかける行為をやっておる、そういうのは制止しなければいかぬ。その制止に応じないでなおかつやる者は、これは罰金刑でございますから、その場で逮捕することもできるわけでございまして、そういう悪質な者については、警察官がこれを逮捕して勾留するというようなことが可能になるわけでございます。従って第三条のお尋ねの点は、これはあくまでもやはり本人の保護、警職法 条にいうような意味と大体同意に解してよかろう、こう私は考えております。
#57
○小澤(太)委員 私がお伺いしましたのも、本人を懲罰するという意味ではもちんないのであります。むしろ本人のために――そういう言葉が使われていいかどうかわかりませんが、本人の社会人としての名誉のために、社会の公衆の前で、公共の場所または乗りものにおいて、このような粗野な行動をする者を公衆の前から隔離すると申しますか、離す、処罰するという意味ではございません。公衆が非常に迷惑をしている。しかし本人のため、身体、財産、生命、そういうことのほかにその人の人格のために、こういうふうな意味で、懲罰ではなしに、あくまでその人のために、そして大衆の目の届くところでそのようなことが行なわれて大衆に迷惑をかけている、従ってこれに対して警察があたたかい手でもって本人のためにこれを適当なところに保護をする。こういう法意のようにも伺うのですが、そこでやっていることは警察官の権利の乱用ということにつながる問題でございまして、非常にむずかしい、デリケートな問題でございます。けれども私は、こういう法律ができたのは、ただ警職法における場合と同じだ、これと変わらないというのでは、提案者の方々の御苦労なすってできた法律の精神というものがあまり生かされないのではないかという気がいたしますので、もう一度くどいようでございますが、その点の御見解を承りたい。
#58
○柏村政府委員 そこまで御質問になりますと、これは立案者にお聞き願いたいわけでございますが、私ども立案の方と話し合いをいたしました法意は、当初はともかくも、決定版になった後においては、やはりそういうふうに広く考えないで、警職法大体同じ考え方でいこうということのように承っておるわけでございますし、やはりぎりぎりは職権乱用とかいろいろな問題になるわけでございますので、このまま通りますれば、私どもとしては第一線の警察に対してそういう指導をして参りたい、こう考えておるわけでございます。
#59
○小澤(太)委員 そういう御意図であればもとより危険はございません。権利侵害の危険がございませんので、警察としては最も穏当な行き方かと存じます。しかしその心の裏には、やはりこういうものがあるという含みは御指導の御当局が持っておられる必要があるのではないかと私は思います。権利乱用につながるから従ってさわらぬ神にたたりなしという気持では、せっかくの法意が消し去られるおそれがございます。この点はなお一そう御検討いただきたいと思います。
 さらに、ちょうど刑事局長がおいでになりましたので伺いたいと思いますが、先般参議院の審議の状況を速記録などで拝見いたしますと、酒に酔った度合いでございますね。第一条にいうところの「酒に酔っている者」いわゆる酩酊者、これが泥酔の状態にある者を含むかどうかということについて、局長の御意見が出ておりました。逐次論議の間に変化して参ったようでございますので、もう一度恐縮でございますが、初めから理論的に、私どもにわかりますように御説明願いたい。
#60
○竹内政府委員 法律用語の解釈といたしましては、文理解釈と申しまして、法律の立言そのものに即して解釈いたしますことを主といたします。しかし文理解釈と申しましても、文言それ自体にとらわれてはならないのでございまして、その法律が規定いたしております全趣旨から解釈し、さらにまた同種の法律の用語とも関連を持たして、そうして適正な解釈に到達するというのが法律を解釈します場合の私どもの態度でなければならぬと存ずるのでございます。
 そこで本法案の第一条を見ますと、「酒に酔っている者」の注といたしまして、カッコの中に「アルコールの影響により正常な行為ができないおそれのある状態」こういう文字がございます。この文字もすなおに読みますと、泥酔状態という言葉もこれは法律用語ではございますが、実際には学問的な裏づけがありませんと、一体泥酔状態とは何かというようなことも議論をしなければならないわけでございますけれども、常識的に申しまして、こういうカッコの中にある文字だけを見ますと、泥酔者は入らないのじゃないかという文字上、文理上の解釈が出てくるかと思うのでございます。私、やや慎重を欠いておったのでございますが、そういう意味において泥酔者は含まれないのじゃないかという意見を申し述べたわけでございますが、しかしながら、なおこの法律の趣旨として考えてみますと、第三条を見ますと、本人のために応急の救護を要すると信ずるに足りる相当の理由があれば、とりあえず救護施設、警察署等に保護するという規定がございますので、こういう場合に泥酔者は除くんだということになりますと、第三条の趣旨はかなりはずれて参りますし、この第三条に照応した規定といたしまして、警職法に泥酔者保護の規定がございます。そういうときには特に泥酔という言葉を使っておるのでございまして、それとこれとの趣旨を考えてみますと、泥酔という状態の酩酊者を入れないと、法律の趣旨に合わないのじゃないかということを私反省をいたして参りました。さらにまた先般御審議を経て通過いたしました道路交通法の方では、特に泥酔者に刑を重くし、処罰を加重しております。この法律もこれと同じような、酒に酔っておる者としまして、アルコールの影響による正常の運転のできない者、こういうものは泥酔者も入れて解釈しなければこれまたおかしいわけです。それはそういう解釈に道交法の関係におきましては行政解釈として決定しておると思っていいわけです。それとこれとをいろいろ考えてみますと、私の当初申し上げました意見は適切でなかったというふうに反省いたしまして、特に発言を求めまして訂正をいたし、その点は泥酔者を含めて理解をすべきであるという結論になっておる次第でございます。
#61
○小澤(太)委員 この法案が大トラを見のがして小トラだけを取り締まるということにならないということが明確になったわけでございます。けっこうでございます。
 そこで警察庁長官に伺いますが、これは方面は違いますが、銃砲刀剣類等所持取締法の一部改正の法律案、この第二十四条の二との関係でございますが、酔っぱらいがポケットに何か凶器と思われるもの、銃砲刀剣の類と思われるものを持っておると思われるような状態の場合、これは従来保護の際にどういうふうにいたしておられたのですか。
#62
○柏村政府委員 酔っぱらいについて法律上の明文は今御指摘のような場合においてございませんが、実際に本人の生命、身体に危害の及ばないように保護するという法意からいたしまして、酔っぱらってあぶない刃物などを持っておるという場合においては、事実上一時保管するというような措置をとっておるのが通例でございます。今回改正をお願いいたしております銃砲刀剣類等所持取締法の一部改正法案におきましては、そういうことを明文をもってはっきりいたしたいと考えておるのであります。
#63
○小澤(太)委員 この改正法案ですが、「他人の生命又は身体に危害を及ぼす」、他人と書いてある。自己の場合は入っておりませんが、他人も自己も実際には同じような状態だと思いますけれども、やはりこの法律によらずに便宜上本人のためにその刃物のごときものも預かるという措置は継続してできる、こういうお考えですか。
#64
○柏村政府委員 明文の規定がなくても、当然そういうことはやるべき筋のものであろうというふうに考えておるわけでございます。
#65
○小澤(太)委員 次に第四条に移りたいと思いますが、「公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴」、この著しいというのが三条と四条と違うところでございますが、これはどういう違いでございましょうか。提案者に伺いたい。
#66
○紅露参議院議員 「粗野又は乱暴」ということで、大へんこれは参議院の審議過程でも出た問題でございますが、粗野の意味は、粗は粗末でございますし、野は野卑の意味だ、かように考えまするので、場所柄もわきまえないで礼儀を乱すというようなことがこれにかかると思うのでございます。第三条におきましては「粗野又は乱暴な」行為ということでございますが、四条に参りますと「著しく」が入りますし、公衆に迷惑を及ぼすということになっておりますので、同じ粗野、乱暴でございましてもその程度が高まってきた、深まってきたと申しますか、程度の高いものである、これだけの区別のように解釈しております。
#67
○小澤(太)委員 それでは長官にお尋ねします。どうも警察官が「公衆に迷惑をかけるような著しく、これは処罰になる。片一方は「応急の救護を要する」という事態がありますから別といたしましても、保護をされる。この「公衆に迷惑をかけるような」、これはかけたという事実がなくてもよろしい。こういう定型があればよろしいということでございますが、警察官の判断の非常にむずかしいところだと思いますが、どういうふうな御指導をなさるつもりでありますか。
#68
○柏村政府委員 この著しくで区別されておりますが、第三条の方は本人の保護のためでありますので、そんな言動から判断してこれは保護すべきだというのは、ほんとうに本人のためになるわけでございますので、必ずしもしぼりを強くかけていない。ところが第四条になりますと、あれはひどいというふうに公衆が考える、ちょっとおかしなやつだという程度の粗野な乱暴な言動というものは、その辺は社会常識的に判断してあれする。いかにもひどいじゃないかということで公衆が迷惑をするというようなものにしぼっていくということが、罰則をつけるというようなことからいって当然法律上そうすべきものと思うのでございますが、それではどの程度がそうかということになりますと、先ほど申しました公衆が迷惑になったといういわゆる立証、なったという結果的な立証までは必要でないけれども、やはり公衆がこれはひどい、もう困ってしまうというような客観的な事実ということが、やはり取り締まる場合においては具体的にはそういう問題になろうかと思うわけでございます。まあ帝国ホテルあたりでやれば非常におかしな行為でありましても、酔っぱらいがおもしろいといってみんながそれほど迷惑に考えなかったというような粗野な言動である場合においては、これまで村の祭りで取り締まっていくということまで必要はないわけでありまして、その場所とか状況というようなことを勘案して、やはり具体的に取り締まる場合におきましては、その人間を証人として参考調書をとるにいたしましても、そういうふうな公衆が迷惑だったという客観的事実が一つの根拠になるのではなかろうかというふうに考えるわけであります。
#69
○小澤(太)委員 そういたしますと、との第四条ですが、従来の軽犯罪法の場合と、本法律が制定された場合、第四条を適用する場合、実際検挙される場合がふえる見込みですかどうですか。変わらないという見込みですか。
#70
○柏村政府委員 それは先ほども申しましたように、この法律ができることによって社会一般が自省して参り、酔っぱらいが変なことをしないようになるということがねらいだと思います。そういう意味ではあるいは減るかと思います。しかしながら、こういう法律ができたにかかわらず、ふがいない国民ということに結果的に言われることになると思いますが、依然として今までと同じような酔っぱらい天国的な状況でありますれば、これは取り締まりが強化されてふえていくということになろうと思うわけであります。私どもは前者の場合を期待し、祈念をしております。
#71
○小澤(太)委員 警察庁の防犯課のお調べになっております資料を拝見したのでございますが、この中で、酔っぱらいに関係あるもので、軽犯罪法違反の検挙人員は、昭和三十四年に千二百七十八人となっております。これは軽犯罪法で検挙された者の三〇・八%になっておるという数字でございます。さらに、同じ防犯課の調べでございますが、酔っぱらいで軽犯罪法に触れる程度の酔っぱらいは、三十五年度の推定では二十四万三千四百六十八人あるという表が出ております。また同じ三十五年の推定ですが、泥酔のために保護する者九万八千二百三十二人となっておるわけでございます。これを見ますと、酔っぱらいで軽犯罪法に触れる程度に酔っぱらっておる者が二十四万三千四百六十八人もおる。これは三十四年と三十五年と違いますが、三十四年には軽犯罪法違反として検挙した者がわずかに千二百七十八人、軽犯罪法に触れる程度の者が二十四万人おって、検挙した者が千二百人、非常に差がある。こういうふうな状態、これはどういう関係でこう出てくるのか。警察官が大目に見のがしておるのが大部分で、よくよくひどい者だけ検挙しておるのだろうと思いますが、それにいたしましても警察庁御当局が出しておられる資料に、軽犯罪法に触れる程度の酔っぱらいとして二十四万三千もあるということを出しておるので、これは警察庁みずから軽犯罪法に触れるけれども、これは軽犯罪法ですから現実に他人に迷惑をかけたもの、こういうものがこんなにあるのに、これに手を触れておらぬということはあまりにも寛大な措置をしておるということの表明だと思います。あるいは手が足りないためにやっておるのかどうかわかりませんが、しかもそれだけの遠慮しがちに検挙しております中で、軽犯罪法の総体のうちから酔っぱらい関係が三〇%ある。ですから、これをもっと警察が適正に、遠慮せずに、ほんとうに大衆が迷惑をする者については、法の乱用に陥らないように適正にこれを運用することによって、もう少しはっきりした態度をとるならば、私はもっともっと軽犯罪法の総体の中で酔っぱらいの検挙される率というものは上がってくると思う。従来までこういうふうな状態である。しかも今度新しくこの法律ができましても、従来とあまり変わったやり方はしないのだ、あるいは場合によっては社会教育的効果があって減るかもしれない。公衆に迷惑をかけるような酔っぱらいに対する警察の態度として、はたしてこれでいいかどうかということに私は疑問を持たざるを得ない。権力の乱用をしようというのではありません。法律の適正なる適用をしていただきたい、大衆を守っていただきたい、こういう気持なのでございますが、これに対する御所見を承りたい。
#72
○柏村政府委員 ただいまお話の数字は、近日のものかと思いますが、実は私はその数字は存じておりません。しかし一般的に申しますると、軽犯罪法に触れさせようとすれば軽犯罪法をもって取り締まり得るものを実際に検挙していないという事例は非常に多いわけであります。これは単に酔っぱらいのみならず、立ち小便とか、いろいろなものがございます。そういうようなものについて一々これを軽犯罪法違反であるということで立件していないというのが実情でございます。これはやはりそういう法律がありますので、法律に基づいて警告をする、今後を戒めるというようなことでやっているのが実際の運用で、やはり相当激しいものについて立件していくというような態度をとっていることは、酔っぱらいのみならず、軽犯罪法の運用の一般的方向でございます。ただ今度のように酔っぱらいについての規制の法律が出るということになりますれば、これはいわゆる刑罰法であると同時に道義法であるという、ような軽犯罪法とはやや趣を異にして、私どもはその教育的効果をねらいまするけれども、世間は、これが出た場合におきましてはやはり相当の期待を持つであろうと思うのであります。警察は一般社会の期待にこたえていくということが非常に大事なことでございますので、せっかく法律は出たけれどもさっぱり効果は上がらないじゃないかというようなことの原因がもし取り締まり面においてあるということでありますれば、これは警察の責任遂行上の間違いでございますので、今回法律が出て、私どもは願いとしては社会教育的な効果を大いに期待するわけでございますが、それができない場合におきましては、十分にこの法律の趣旨を生かすような運営の妙を尽くして参りたいというふうに考えておるわけでございまして、決してこの法律について無関心である、あるいは教育的効果だけをねらって、警察は軽犯罪法と同じようにしておくのだというような安易な気持は持っておらないことを申し上げます。
#73
○小澤(太)委員 大へん時間が経過いたしまして、まだ二、三伺いたいことがございますが、私はこれでやめたいと思います。
 今最後に長官がおっしゃったように、どうかこの法律をほんとうに生かしてこの法律が運営されるように御配慮いただきたい。もちろん人権の侵害ということは、私どもも特に気をつけなければならないと思いますし、警察当局においては特に厳重に与えていただかなければならぬと思いますけれども、しかし一面におきまして、ただ消極的な態度でなしにこの法律を生かす、法に沿うて適正な運営をやるというふうな御指導を願いたい。このことによって、この法律が制定せられた暁におきましては、日本の社会にほんとうに新しい生命を吹き込むということに私は期待を持てると思うのであります。これで私の質問を終わります。
#74
○濱田委員長 次に宇野宗佑君。
#75
○宇野委員 ただいま小澤先生より詳細にわたる御質問がございましたので、時間もございませんから重複を避けまして、主として提案者の婦人の先生方にお尋ねいたしたいと思います。
 まずこうした法律に対して婦人の先生方が非常なる努力を傾けられてここに上程されて、すでに参議院を通ったということに対しましては、われわれといたしましても大いに敬意を表したいと思うものでございます。
 そこで先ほど警察庁長官の方から、この法案についての目的と申しましょうか、あるいはその精神と申しましょうか、そうしたものが世の中に警告を発し、あるいはまた啓蒙するのに役立つであろう、かかるがゆえにこの法案が出たものと思量するというお言葉がございましたけれども、それにつきまして提案者のお気持を簡単でよろしゅうございますから、この際一つお聞かせ願いたいと思います。
#76
○紅露参議院議員 私ども提案者といたしましては、前の質問者からも出ましたように、やはりこれは社会教育的な意味を多分に持っている。かように考えているわけでございまして、警職法、軽犯罪法にも規定のありますものを、ここに新しい構想とともに盛り入れたということも、認識を深めて飲酒家に反省してもらう、国民一般も必要以上に飲酒家に対して寛大であることの必要はないのじゃないか、こういうことをねらって立案したわけでございます。
#77
○宇野委員 そのお気持は十分わかりました。今いわゆる社会教育的というお言葉でこの法案の精神を御説明なさったのでございますが、しかし内容においては警職法も十分生かし、軽犯罪法の精神もここに生かしておるし、あちらこちらエキスをここへお集めになった。そこで節度ある飲酒をすべし。言うならば酒飲みに対する基本法ができたのだというふうに実は解釈するのでありますが、社会教育上必要だとおっしゃるのについても、中にやはり罰則規定においては他の法律よりも強い面がある。この点はどうでございましょう。社会教育上といいながら、罰則においてはこの法律は軽犯罪法よりもあるいは警職法よりも非常に強いのです。この観点についてどういうようにお考えになりますか。
#78
○紅露参議院議員 罰則を設けましたのは、ほかの軽犯罪法にはございません罰金までいっているわけでございますが、これはやはり一つの警告として、私どもはそういう気持を多分に持っているわけでございます。酒の上だからということで自他ともにこれを許す悪い習慣がありますので、これはやはり罰則に価するのだ、罰金を取ってもいいほどのものであるということを知っていただこう、こういう気持からでございます。
#79
○宇野委員 そのようなお気持をお伺いいたしますと、やはりきぜんたる態度で世の中から酒飲みを追放しよう、酔っぱらいを追放しようというお気持が根底になってこの法案が出たのですが、社会教育上広く啓蒙をなし警告をなし、同時にやったらこういうふうに罰してやるという断固たるお気持がここにあると思います。しからばこの気持を一見して表明するのが表題なんです。だからこの表題に防止なんてなまぬるいことを書かれなくて、当初はトラ狩り法案であるとか酔っぱらい取り締まり法案であるとかわれわれに言っておったのでありますから、公衆に迷惑をかける行為の防止ということではなくて、なぜ思い切って取り締まりという言葉を使わなかったか。しかも一万円以下の罰金といって警職法あるいは軽犯罪法以上の罰則をお加えになった以上は、取り締まり法案として出していただきたかったのでありますが、ここは御婦人の皆様方でありますから、あまりきついことを言わずに、御婦人のやわらかい気持がここに出ておるのでありますが、やはり表題というものは、しっかりしたものをわれわれは望むのです。この点、なぜ「防止」とされたか。
#80
○紅露参議院議員 御指摘のような意見も、立案途上では出たわけでございます。しかし、こうした法案の出ることは、これは画期的なものでございまして、これまで野放しになっておりましたのを、一挙にそうきびしい名前を打ち出しますのはいかがかと存じまして、婦人議員一同の考えとしては、やはりお言葉にもありましたように外柔内剛で一つ行こう、こういうわけでございます。
#81
○宇野委員 そういうお気持であるならば、あえて私はこの表題について申し上げたくはございませんが、しかしこの法案の内容を読んでみますと、先ほどから申し上げます通り、軽犯罪法あるいは警職法等のいろいろなエキスが集まってできたという、寄せ集めであるという批判もある。しかしこれは当然それでよかろうと私は認めます。認めますけれども、寄せ集めでない部面が一つあります。それは今申し上げました一万円以下の罰則規定もそうでありましょうが、もう一つある。すなわち、酔っぱらいがその同居の家族に対して乱暴をした場合には、警官に来ていただいて取り締まってもよいというのが出ておる。われわれ男性の側からいうと、いろいろ酒に関係の深いものが多うございますから、こういう法案に対してはいろいろ批判も多いのでありますけれども、しかし家族のそうした酒乱に基づく違法にすら、警職法第六条に基づいて警官に侵入していただいてもけっこうだと、思い切った処置を認められておる。私はそれはいいと思います。思うけれども、さすればやはり、これはまた表題に私は拘泥するようではございますけれども、公衆並びに家族というものに対してもこうですよということをうたってもらわぬことには、家族は公衆じゃないのですから。もちろんこれは「防止等」という「等」の中に入っておりますというよりも、これが特色なのですから、特色があればなぜその特色をここに入れられなかったのか、この点を一つお尋ねしておきたいと思います。
#82
○紅露参議院議員 御指摘の点は、私どもかねがね問題にしたことでございまして、一々ごもっともに存じます。そのことも申しました。家族は公衆と区別してここに明記すべきじゃないかということであったのでございますが、六条の立ち入りにつきましては、いろいろ立案の途上に意見が出まして、特に家庭というものをここに浮かび上がらさなかったのでございます。そのことは私ども婦人議員としては、この立案を思いつきました動機が、家庭の婦人や子供を、悪い癖のある酩酊者、飲酒家から守ろうという意図で出発したものでございますから、この点は特に深い関心を持って立案に当たったのでございますけれども、これもやはり、今まで野放しになっておりましたのを、家庭の方までそのようにきびしくここに打ち出すということになりますと、何か必要以上に飲酒家に刺激を与えるのではないかということをおそれたわけでございまして、これらは一つ今後の問題にいたしたい、かように考えているわけでございます。
#83
○宇野委員 先ほど、酩酊並びに泥酔については、その定義に関しまして、もうすでにいろいろと質疑が終わっており、また御答弁も終わっておりますので、その点に関しましては重複を避けたいと思います。
 私はここで、第三条、第四条並びに第五条、この三つの関連について提案者にお尋ねいたしたいと思うのであります。まず第三条ですが、「粗野又は乱暴な言動をしている場合」、した場合には、いろいろ条件がありましょうけれども、適当なところに保護しなければならない。これは「している」という進行形でございますね。第四条は、「粗野又は乱暴な言動をしたとき」ということで、もうやってしまった、過去でございますね。第五条は、これは参議院で修正されたのでありますが、「前条第一項の罪を現に犯している者を発見したとき」ということで、いろいろ進行形とか過去形とかいうものがこの三つの条項に並んでおるわけであります。そこで第五条においては、前条第一項すなわち「公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をした」者でありますが、警官がその罪を現に犯しつつある者を見つけたときは、制止しなければならないわけです。その制止を聞かなかったら一万円以下の罰金を食らわすのだ。これは第三条、第五条と関連いたしますが、第三条においては、言動をしておる者ということで、今しつつあるというんですね。それに対して保護しようというのですね。第五条におきましても、現に第三条の罪を犯しつつある人を警官が制止するのですから、その人がその制止に従ったときはどうなるのですか。第三条の規定の準用になるのでしょうか。
#84
○紅露参議院議員 法文の解釈になりますので、法制局から御答弁いたします。
#85
○宇野委員 ちょっと待って下さい。私はこういう機会にはっきり申し上げたいのですが、これは何も意地悪で申しておるのではない。これは議員立法です。議員立法をされた以上は、提案者みずからが第三条、第四条あるいは第五条はこういう解釈である。こういう解釈によってこの規定に触れた者は警察庁はこうしなさい、検察庁はこうしなさいと言うのがわれわれ立法府に所属する者です。それを一々あるいは警察庁がこう言われたからその通りである、刑事局長が言われたからこうである、これではちょっと反対だろうと思います。だから提案者から、これはこういう精神でやっておるのだからこういうことでございますという明確なる御答弁を承りたい。それがほんとうです。それがわれわれの所属しておる立法府です。行政府の方々の御意見を聞いてああしよう、こうしようではなくて、これは議員立法で、行政府が出したのではないのですから、やはり提案者からそういう法文の解釈につきましても御答弁を賜わりたい。私は実はこういう気持で質問をしておるのでありますが、どうですか。
#86
○紅露参議院議員 提案者にというお言葉であるようですが、立案の途上においては、参議院の法制局と一体となってやって参りましたので、立案者という意味でございますならば法制局に答弁をいたさせて差しつかえないと存じますので、どうぞ御了承を願います。
#87
○宇野委員 了承いたしました。
#88
○腰原参議院法制局参事 第五条第一項によります言動の制止を警察官から受けまして、その者が制止に従ってその行為を中止したときにおきましては、その者が行なつておりましたその制止を受けるまでの行為が、第四条に当たるものと考えられますので、場合によっては、いろいろの手続を経た結果、第四条の拘留または科料に該当することになろうかと思います。
#89
○宇野委員 そこが私は非常にデリケートなところだと思うのです。これは現実の問題として、第四条だと拘留か科料になってしまうわけです。しかしそういう者を見つけたとき、すなわち現に犯している進行形、私はなぜそういう文法上のむずかしい言葉を使うかというと修正されたのですから、現に犯している、進行形の人です。そうすれば進行形なら、第一条も進行形です。言動をしているということに当たるのです。そうすれば、すなおに警官の制止を聞いた場合はむしろ第三条にいって、あなたは科料あるいはまた拘留もいたしません、保縫いたしましょうというのか、それともお前はやはり第四条だというのか、ここら辺に非常にデリケートな問題があるのです。それを直ちにあなたは制止を受けた場合は第四条にもとるから、その点の行動ですから科料、拘留の行為と言われるから、ちょっとその点非常にデリケートですから、一つ慎重な御答弁を願いたい。これは速記録に伐るのですから、大衆に啓蒙しなければならぬ、啓蒙して酔っぱらいを追放しなければならぬのだから。
#90
○腰原参議院法制局参事 先ほど私、その行為が第四条第一項に該当すると申しました場合に、場合によりましてはと申し添えたつもりでございます。常にということは申し上げなかったつもりでございますが、場合によりましては四条一項で処罰されることもあり握るでありましょう。それからさらにつけ加えますと、第三条のこの保護の要件に該当する場合もありましょう。そのときには保護されることもあるだろうと考えております。
#91
○宇野委員 では直接この取り締まりに当たられます柏村長官にお尋ねいたしますが、今参議院の法制局の方の御答弁によりますと、すなおに解官の制止を聞いた場合、場合によっては第四条で拘留または科料をくらう場合もあるし、場合によっては第三条で保護に値するという場合もある。これは国民の権利としては非常に大切な場面す。場合々々、この場合はだれが判定するかといえば、結局おまわりさんが判定するということになりますので、これはやはりはっきりしたものが出てきますでしょうか、この場合。
#92
○柏村政府委員 第一条はあくまでも本人の保護でございます。第四条はけしからぬ行為についての罰則規定であります。第五条で制止をすなおに聞いた場合に、これを立件するかしないかということは、先ほど軽犯罪法でそれに該当するような事案で立件していない場合が相当あるようなのと同じように、罰則を深さないで、そのまま見のがすということもあり得ると思いますが、しかし状況によって第四条に該当するとして拘留、科料にする場合がある。それから拘留、科料にする場合と、選択的ではないのでありまして、第三条は本人のために保護するということでございますが、保護した場合には拘留、科料は免れるということではないので、保護して、さらに拘留、科料を食う場合がもちろんあるわけでございます。従って第三条はあくまでも保護の規定、第四条は罰則規定だ。第三条に該当するような場合には、大体第四条に該当してしまうわけですから、拘留、科料ということになる危険性が非常に多いということで、警察官の判断によって、こいつは保護してやろう、こいつは拘留、科料にしようというようなことではなくて、おそらく大部分のものは保護されたときは拘留、科料になる危険性が相当多いということになろうかと思います。
#93
○宇野委員 大体わかったようなわからぬような、まだわれわれここでやっておって、長官がそういう御答弁をされておっても、第一線の巡査の判断、頭一つですから、なかなかむずかしい問題があろうと思われますが、やはり非常に問題です、こういう場面は。私はこの法案が悪いと言っておりません。けっこうなんです。けっこうですから、この運用の面においてはやはり慎重を期していただいて、統一解釈を十二分に下の巡査の方にもあるいは酔っぱらいにも浸透するようにしていただきたい。そういう点、私は多少表現はきつうございましたが、そういう意味合いの御質問を申し上げておるわけなんです。
 では大体そういうことにしますけれども、ここで出てくるのが泥酔者と酩酊者ということなんです。あるいは泥酔の極度なものは心神喪失者と申しますか、そういう人になつてくるだろう。そうする、もしも今言われましたように保護された、保護されてそれが場合によっては拘留を食らわしてもいいのだし、罰金を取ってもいいのだという判断のときに、そのとき私は全く心神を喪失しておった、この場合は憲法第三十九条によって罰することはできないということになっているのでございましょう。そういう判定はどうされますか。最近自動車の運転者は飲んではいかぬ、飲んだ場合には、何かアルコールがどうだろうこうだろんと反応を見る機械がございますが、そういう機械ではっきり見るとか見ないとか、これに対しては柏村長官はどういうお考えでありましょう。泥酔者とかあるいは心神喪失者とか精神障害者とか、酔っぱらいには種類があるだろうと思いますが、そういう場合酔っぱらっても安心して罰金を取られ得るというくらいの科学的な判定をされる用意はあるかないか、憲法第三十九条の無罪だ、この判定はどうされますか。
#94
○柏村政府委員 これは従来から刑法の解釈として行なわれていることでございまして、特に酔っぱらいについて科学的測定法というものを考えておるわけではございませんが、従来の刑法の運用というものをもちろんこれにも当てはめて参るつもりであります。
#95
○小澤(太)委員 時間の関係で私実は質問を省略しましたが、ただいま四条、五条関係の質問が出ておりますので、関連してちょっとこれまた長官にお願いしたいと思います。と申しますのは、第五条の二項の場合には現行犯逮捕ができると思います。しかしこの第四条の場合は逮捕はできますかできませんか、法理論上できるかどうか。
#96
○柏村政府委員 原則的には現行犯は現行犯逮捕ということはすべてできるわけでございますけれども、拘留、科料の罪について逮捕は普通できないわけであります。
#97
○小澤(太)委員 刑事訴訟法の二百十七条によりますと、姓名、住所がわからない、あるいは逃走するおそれのある場合にはこういう性犯罪でも逮捕できるということになっております。ですから、法理論上は酔っぱらってどこのだれやらわからぬというような場合に、しかもこの拘留、科料に処するような犯罪を犯しておる、こういう場合には私は理論上は逮捕できると思います。第五条において、一応言動を制止しなければならぬという手続は警察官として義務的にしなければならぬと思いますが、逮捕は私はできると思うのです。しかし方針としてこれを逮捕すべきかどうか、させるかどうか、こういう問題は起こります。それからまた理屈を言いますと、この四条を使いました場合には拘留、科料なんです。五条に持っていってやると一万円以下の罰金ということになります。重くなる。制止をして大ていの場合聞かないと思います。ことさらに重くするというような場合にこれは非常にデリケートなんです。ただいま宇野委員の質問にあったように非常にデリケートだ。しかも警察の扱いも非常にデリケートだ。この点においてどうか被疑者に対して行き届いた、つまり警察官の扱い次第によっては重い罪がことさら課せられるとか課せられぬとか、さじかげんでどうにもなるというような状態でございますから、この点はどういう御指導をなさるか伺っておきたいと思います。
#98
○柏村政府委員 具体の場合になりますと個々のケースで非常に変わって参ると思いますけれども、第五条の二項を制定せんとする御趣旨は、どうしても聞かない、非常に乱暴な酔っぱらいというようなものについては、しかも保護の条件ということにはならない。しかし公衆に著しく迷惑をかける、どうにも手がつけられないというものは現行では逮捕ができぬ。これを逮捕して警察へ連れていくということができるようにしようという御趣旨だと思いますので、全部が全部そういう聞かない者は逮捕するということではございませんけれども、場合によっては逮捕するということがかなり起こって参ると思います。またそういうことがこの法律を制定された、しかも二万円以下の罰金というふうにされた御趣旨というふうに考えるわけでございます。
#99
○小澤(太)委員 そのことは伺わぬでもわかっておるわけです。二項で逮捕せざるを得ない場合には逮捕する、それはわかっております。四条の場合はどうですか。刑事訴訟法二百十七条をどう解釈されるのか。
#100
○柏村政府委員 第四条の場合におきましては、刑事訴訟法第二百十七条におきまして「五百円以下の罰金、拘留又は科料にあたる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡する虞がある場合に限り、第二百十三条乃至前条の規定を適用する。」ということになっておりますので、原則的にはやらないということになるわけでございます。
#101
○小澤(太)委員 原則的にはやらないが、今のような場合にはやれるわけでしょう。それをやらせるように御指導するかどうかです、問題は。つまり第五条で逮捕をせずに制止をする、聞いた場合は、四条を適用する、あるいは保護する、聞かない場合は二項でもって一万円以下の罰金にする。こういうことになると思いますが、あるいはいきなり四条でもって、もうぐでんぐでんになっておって、住所、氏名もわからぬ、わけもわからぬ。これはやはり逮捕すべきだと警察官が判断して逮捕することになるのかならぬのか、私は法律上できると思うんです。そういう場合どういうふうに御指導なさるか。せっかく第五条があるから、まず制止をさせるのだ、こういう方針でいくのか、逮捕するのだというふうにやられるのかどうか、そういう点を伺いたいわけです。
#102
○柏村政府委員 警察官は現行犯を現認するという場合においては、まず第五条の第一項でいくべきだと思います。すなおに聞いた場合は何も逮捕する必要はないと思います。むしろ第四条の規定は、一般的にこういう規定がありますけれども、あれはひどいことをやったということがあとでわかったようなときに、第四条の適用ということになるのではないか。もちろん第五条の一項の場合にも、先ほど申し上げましたように第四条の適用の可能性がある。それから第三条の適用の可能性はあるわけでございますけれども、聞いた場合においてはもちろん第三条の適用ということはほとんど起こり得ないと思います。聞くような者は、その本人のために保護する必要もない場合が大部分であると思います。それからまた第四条で、その場で逮捕していかなければならぬということもまずなかろうというふうに考えます。
#103
○小澤(太)委員 この法の精神からしまして、ただいま御答弁の通りが私は適当だと思いますそういうふうに一つやっていただきたいと思います。
#104
○宇野委員 今いろいろと小澤委員からも御質問がありましたので、おおよそ知ったわけでございます。やはり私がさきに申しました通り、肝心な取り締まりに当たらっしゃる警察庁長官のお言葉、そういう問答になってくると、相当厳重にやってもらわなければならぬということがわかると思うんです。だから取り締まり法が適当だろうと私は思うんですが、それは第二にいたしまして、しかしそういう科料にするとか、あるいはまた拘留をするとか、保護するとか、罰金を知えるとかいろいろございますが、具体的に一つだけ、ちょっと著しい粗野または乱暴な言動という一点だけちょっと具体的にお伺いいたしたいと思いますが、これは紅露先生にお伺いいたします。紅露先生は先ほど、粗野とはすなわら粗末の粗と野卑の野である、それを合わせて粗野ということであります。それではゲロですね、これはこういうところで言うのはどうかと思いますが、これは言うておかなくちゃならぬ。車でゲロを吐いた、これは粗野に当たりますか。
#105
○紅露参議院議員 これはやっぱり故意に粗野を行なったわけではないでしょうけれども、結果的に見てやつはり粗野と解釈するよりほかないように思うのでございますが……。
#106
○宇野委員 じゃあ、ゲロを吐いた場合でも拘留または科料に値する。その著しいという言葉がございますから、ゲロにも著しいのとおとなしいのとがある。車の外へ吐けばこれはよろしい。中へばっとやったら、私なんかもよくかかったことがありますが、そういうときには、かけられた人がこれは粗野な行動だと言えば、これは立証要件にあたるのですね。これは科料もしくは拘留に値する、こうなりますね。一つはっきりした御答弁を。
#107
○紅露参議院議員 結果的にはやはり粗野な言動の中に入るとは存じますけれども、これは本人が意識をしてそのようにしたわけではございませんので、これは不可抗力の粗野だと思いまするので、こういうのを罰するということは立案者の精神には沿わないものでございます。
#108
○宇野委員 非常に具体的な野卑なことを申しましたけれども、一つそのくらいのことは今御答弁なさった程度の解釈が私は適当じゃないか。初めはやってもよろしいということですが、まあこの点は結局は警官がやられるのですから、立案者にそういうこまかく定義を求めてもなんですから、一応一つ慎重にそういうこまかい場面も御想出定なさって、いろいろとこれからこれが運用される場合に統一解釈というものをお持ちなさった方がいいと思います。
 次は第六条、もう時間がございませんし、答弁者の方もだいぶ御退屈でございましょうから簡単に申し上げますが、第六条へ行きますが、警職法の「第六条第一項の規定に基づき、当該住居内に立ち入ることができる。」ということでございますが、第六条第一項によりますると、結局被害者救助ということになります。その場合巡査がやってきた。これは巡査がだれかから通報されるのでしょうか、それともどうもあそこの家はくさいなということで絶えず監視しているのでしょうか、その点はどうでしょう。入り方ですね。警職法第六条においても、あの家でどうも起こりそうだという場合には入ってもよろしい。しかしその場合には公共の建物だとか、別なことが書いてあります。いろいろな飲み屋だとか、われわれの家庭に警官がお入りになる場合は、やむを得ないと認めるときは、そういう状況をだれかが通知するのですか。家族が通知するのですか、近所の人が通知するのでしょうか、どうでございましょうか。
#109
○紅露参議院議員 これは立案者といたしましては、先ほども申し上げましたように、悪いくせのある飲酒家が家庭において家族を苦しめるということを何とかして防ごうという、これが動機になって立案いたしたものでございますから、相当ここに重点を私どもは置いておるわけでございます。そうして今御指摘のように、どうしてこれは立ち入りをするかということでございますが、私どもは一時その通報ということも考えたのでございます。それが相当的確なようにも思ったのでございますが、立案の途上におきましていろいろな議論を参酌いたしまして、これが諸般の状況と改めたわけでございます。諸般の状況の中には、もちろん通報も私どもは入っておると思いますし、あるいはパトロールでもって警官が発見した場合もございましょうし、通報の中にも家族が通報するという場合もあり得る、あるいは近所隣の者が通報する場合もあり得る、あるいは民生委員のような生活の指導をする者が通報する場合もあり得る。あらゆる場合をここに想定して、一括諸般の状況というような言葉で表わしたわけでございます。
#110
○宇野委員 柏村長官にお尋ねいたします。まあ、そういう諸般の状況によって第六条第一項の規定に基づき警官がお入りになった場合に、その酔っている人を――これは被害者を救助しろというのが第六条の目的でございますね、家族と酔っぱらいを分離するのでしょうか。どういうふうな――技術的な問題をお尋ねするのですが。
#111
○柏村政府委員 これはもう具体的にはいろいろの場合があるだろうと思います。この六条の規定は、警職法第六条第一項ということでございますから、第五条の制止をする必要のある場合において入る。その制止をする態様というのは、制止される者の動き工合ということになるわけでございますので、これは一々どういうふうにするかということはちょっとここで申し上げかねます。
#112
○宇野委員 その場合いろいろあることもわかります。しかし、たとえばめったに奥さんが御主人を酔っぱらってなぐるということはないので、たいていの場合は男性が女性をなぐるので、それだから御婦人の方々がこの第六条に重点を置かれた。この点については、先ほどからも申しました通り敬意を表しております。世の中の男性に対する警告である。しかし、この場合警察官が行かれて、その御主人が保護に値する場合はやはり警察かどこかへ保護されるのでございますか。そういうケースのことをお尋ねするのです。
#113
○柏村政府委員 保護に値する場合は保護することがあり得るわけでございます。しかし私どもの考えといたしましては、これはあまり起こってもらいたくない。警察が家庭の中に入るということは私どもはあまり感心しないわけでございますし、私はあまりそういう経験はございませんけれども、かえってそんなことで警察が家庭の中に入ると、一時間で仲直りができるものが二日かかるということにもなりかねないわけでございますので、男性への警告ということで、そういう効果をむしろ期待したいと思っておるわけでございます。
#114
○宇野委員 それはごもっともな御答弁だろうと思います。めったにあってはならないことだし、昔から夫婦げんかは犬も食わぬというのですから、犬も食わぬものを警官が行ったって食えるはずがない。こうは思いますけれども、やはりこの第六条をお作りになったときには、こういう家庭が多いのだ、実際それがために娘が親を殺してしまった、こういう家庭を救わなくちゃならぬ、事実あるんだ、たといそれが九牛の一毛にしたってあるんだ、あるなればこそこの規定によって何とかしなくちゃならぬということになる。やはりあるといたしましょう。そしてまた、来てくれと言ったら六条の規定によって警官もそこへ行かなくちゃならぬのです。しかし保護の場合もありましょうし、逮捕という場合もありましょうし、あるいは拘留、罰金という場合もあるのですが、そういうことがあったといたしましょう。そういうことがあったとして、やはりおやじさんを母子から引き離して警察署へ連れていくことはできるのですか。
#115
○柏村政府委員 それはそういう状況に該当すればできるわけでございます。しかしそんなことをすれば、たいがい連れていかないでくれというようなことになるんじゃないかと思います。
#116
○宇野委員 それはわれわれの良識でものを言えばそういうことになりますが、やはりあるとして、その場合の警察の運用の妙というものを私に聞かしていただきたいなればこそ私は質問をしておるのです。あると想定して――ない方がいい、ないといったら質問せぬでもいいということになります。だからあることを想定して、たとえば奥さんが御主人を連れていってくれ、子供もこんなお父さん要らぬから連れていってくれ、それで連れていって警察が保護した場合に二十四時間以内ですね。二十四時間以内に家族の引き取りがない場合といえども、二十四時間をこえてはならない。こうなっていますが、そのとき家族も引き取りに来ぬわ、二十四時間たった、そういう場合はどうされますか。
#117
○柏村政府委員 この規定による第三条の保護の場合は、もちろん二十四時間以内に帰すことになりますけれども、おそらく連れていかなければならぬというときは、かなり傷害を与えておるというような場合が多かろうと思います。そうすれば犯罪としていわゆる検挙するという問題になろうと思いますし、この法律でやる限りは、やはり法律の命ずるところによって、この法律によって保護した場合は二十四時間以内にやはり帰すということになります。
#118
○宇野委員 非常にデリケートの面が多うございますが、一つ慎重を期していただいて、ここにも書いてございます通りに、国民の人権をじゅうりんしないように、どうせやるやつは当然やっていただかなければならぬのですから大いにどんどんやっていただきたいと思います。
 最後に一つ、これは決して意地悪な質問ではござ一いませんけれども、こういう法律が出ましたら、先ほども小澤委員から効果という問題が出ましたが、やはり酔っぱらいを追放する。二十四万人もそういう人がおるということでございますが、世の中はこれから所得倍増になって大いに飲めよ歌えという時代が来るだろうと思う。法律で未成年者以外は酒を食んでもよろしい、売ってもよろしい、酔っぱらってもよろしいが、ただし、こういう酔い方をしてはいけませんよという一つの警告というか、社会教育である。こう仰せられたのですが、その通りだろうと私も思います。しかし一方には所得倍増ということで世の中が景気がよいですから酒もどんどん売れるらしい。あるいはまた来年から酒税も減税しようという話も出ておる。大衆酒も減税をしなくちゃならぬ。そうするとますます酔っぱらいがふえていく。それの取り締まりをしなくちゃならぬというところにこの法律の精神があろうかと思いますが、出た以上は、やはり酔っぱらいを減らさなければいけません。減らそうというからには、やはり二十四万人もおるというのですから、それがことしは二十万になった、十八万になったというのが当然であります。だからこの法律の精神は、立案者といたしましても防止というお気持はわかりますが、やはり取り締まりだという厳重なる気持を持って、それを字句に表わす表わさないはけっこうでありますが、最後に立案者としてもう一言、そういう私の今申し上げたことに対して、これを出して施行した以上は、こうならしたいものであるというお言葉だけをちょうだいしておきたいと思います。
#119
○柏村政府委員 先ほどこの法律による保護ということを申しましたが、家庭の場合にはこの法律による保護はいたしませんので、その点は取り消します。
#120
○紅露参議院議員 大へんにいい御質問をいただきまして、私ども啓蒙されるところが非常に多いのでございます。考えれば考えるほどなかなかむずかしい法案だと思うのでございます。それなればこそ今日までこれができなかったわけであろうとも考えるのでございまして、御趣旨の点よくわかりますので、行政方面とも打ち合わせまして、これが十分な成果を上げ得るようにいたして参りたい、かように存じます。
#121
○宇野委員 終わります。
#122
○濱田委員長 本日の議事はこの程度にてとどめます。
 次会は明十九日開会することといたしまして、これにて散会いたします。
   午後一時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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