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1960/05/30 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第37号
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1960/05/30 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 地方行政委員会 第37号

#1
第038回国会 地方行政委員会 第37号
昭和三十六年五月三十日(火曜日)
   午前十時五十九分開議
 出席委員
   委員長 濱田 幸雄君
   理事 田中 榮一君 理事 中島 茂喜君
   理事 丹羽喬四郎君 理事 吉田 重延君
   理事 太田 一夫君 理事 川村 継義君
   理事 阪上安太郎君
      伊藤  幟君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    小澤 太郎君
      大沢 雄一君    亀岡 高夫君
      仮谷 忠男君    久保田円次君
      田川 誠一君    永田 亮一君
      濱地 文平君    前田 義雄君
      安宅 常彦君    佐野 憲治君
      松井  誠君    山口 鶴男君
      門司  亮君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        警察庁長官   柏村 信雄君
        警  視  監
        (警察庁保安局
        長)      木村 行藏君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (中小企業庁振
        興部長)    川島 一郎君
        専  門  員 圓地與四松君
    ―――――――――――――
五月三十日
 委員宇野宗佑君、大竹作摩君、久保田円次君、
 前田義雄君及び渡辺惣蔵君辞任につき、その補
 欠として山口喜久一郎君、上村千一郎君、菅野
 和太郎君、山村新治郎君及び安宅常彦君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員上村千一郎君、菅野和太郎君、山口喜久一
 郎君及び山村新治郎君辞任につき、その補欠と
 して大竹作摩君、久保田円次君、宇野宗佑君及
 び前田義雄君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第一七六号)
     ――――◇―――――
#2
○濱田委員長 これより会議を開きます。
 銃砲刀剣数等所持取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑を継続いたします。山口鶴男君。
#3
○山口(鶴)委員 時間もお忙しいようでありますので、きわめて簡潔にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 まず、この銃砲刀剣数等所持取締法の一部を改正する法律案がよって出て参りましたところは、大臣の御説明によりましても、政府で決定をいたしました暴力犯罪防止対策要綱、これを一応もとといいますか、これを具体化するものとして出て参ったようであります。そこでこの対策要綱に関しまして大臣に幾つかお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、まずこの要綱を拝見いたしますと、「最近における暴力の横行は、民主主義の根底をも危うくするおそれがあり、まことに憂うべき傾向である。」よって、この対策として行政上の措置及び法制上の措置、こういうものをおとりになる。こういうふうに書かれておるわけでありますが、その第一の「行政上の措置」であります。最近青少年の犯罪が非常に増加をいたしておる、しかもそれが凶悪化の傾向がある。こういうようなことで、各府県におきまして、青少年保護育成条例というようなものを都道府県の議会が作る傾向があるのでありますが、これは国家公安委員会として、あるいは警察庁として、このような条例を作ることが望ましい、こういう点について指導といいますか、助言と申しますか、あるいはサゼスチョンと申しますか、そういうものをいたしておるのでありますか、まずこの点をお尋ねいたします。
#4
○安井国務大臣 警察といたしましても、青少年の補導育成につきましては常に関心を持っておりまして、各都道府県の本部長に対しましても、青少年の育成については、常に留意して対策を講ずるようにという指令を出しておる事情でございますので、こういったものにつきましては、今後も極力協力といいますか、指導をいたして参りたいと思っております。
#5
○山口(鶴)委員 こういうものについては指導されているというお話であります。ただ問題は、このような青少年保護育成条例は、一応の目的とするところはある程度首肯できるものが多いのでありますが、これまた各都道府県によってまちまちな規定をいたします一と、憲法にいうところの基本的人権とか、そういう点においてやはりデリケートな問題が出てくる。こういう点が懸念されるのではないかと思うのですが、そういう点の御配慮は十分なされた上で御指導されておるわけでしょうね。
#6
○安井国務大臣 人権を侵すことのないように、この点は警察としましても十二分に留意をしております。また警察だけではやはり指導は不十分だと思いますので、例の青少年問題協議会といったようなものを中心にいろいろ考えられたものをさらに地方へ流すというような形をとっております。
#7
○山口(鶴)委員 それでは次にお尋ねいたしたいと思うのですが、この暴力犯罪防止対策要綱を拝見いたしますと、「総合的な暴力犯罪取り締まり体制の確立」と、こうありまして、「いわゆる暴力団その他組織的暴力について各種取り締まり機関の連携を緊密にし、徹底した取り締まり措置を講ずる。」と書いてあります。そこでお尋ねをいたしたいのですが、「その他組織的暴力」とは具体的にどういうものであるかという点でありますが、しかもこの組織的暴力について「各種取り締まり機関の連携を緊密に」するといいますと、組織的暴力を取り締まる機関とは一体どのような機関であり、それをどのように具体的に連携を密にして措置をしていこう、かようにお考えでありますのか、この点が非常に疑問に思います。この点を明らかにしていただきたいことと、それから先ほどのに関連してお尋ねいたしますが、各府県におきまして集団行進及び集団示威運動に対しまして公安条例を作っておるわけであります。ところが最近、私のおりまする群馬県では、従来の公安条例を非常に改悪いたしまして、従来きわめて簡単な条件づきの届出制でありましたのに対して、強制的な命令を付与できるような権限を公安委員会に与えると同時に、具体的な順守命令を出すことができ、またこれに従わない場合は警告または制止ができるというふうに、非常にきつい公安条例の改正を行なっておるのであります。そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、青少年の保護育成条例については、いろいろ公安委員会として御指導なされておるようであります。群馬県では警察本部長は四月にかわったばかりであります。一カ月程度しかまだおらぬのでありますが、この方が突如としてこういう公安条例の改悪といいますか、非常に強い規制条項を持った公安条例を提案してきたということは、何か察するに、警察庁長官あるいは国家公安委員会の方から、このように条例については変えるべきだというような御指導がなければ、どうもそういう手ぎわよいことはできないのじゃないかと思うのでありますが、こういう点についても御指導されておるのですか、この点をお伺いいたします。
#8
○柏村政府委員 最初のお尋ねの「総合的な暴力犯罪取り締まり体制の確立」ということにつきましては、組織的ないわゆる暴力団がその暴力事犯を持ったということについて、これを事後において徹底的に追及して取り締まっていくということは、これは当然やるべきことでございますし、従来も努めて参ったことでございますが、こういうものを、起こったときに個々をもととして捜査していくという常道、いわゆる普通の犯罪の取り締まりと同じようなやり方をしておりますると、頻発して、その取り締まりが必ずしも徹底して行ないにくい、捜査が非常に困難であるという実情がございますので、これは公表すべき性質のものではございませんけれども、警察といたしましては、全国的な組織あるいは地方的な組織につきまして、それぞれ暴力行為をよく行なうような団体についてのリストを作りまして、その組織を解明しておく。そういうことによりまして、その構成員が行なうことについてのつながり関係やなんかをできるだけ早く探知し得るようにいたしておるわけでございます。そういう組織的、継続的にいわゆる暴力団についての取り締まり体制を固めていくということが一つと、それから警察がいくら取り締まりを熱心にやりましても、これが検察庁に行って、警察と非常に考え方が違っているというようなことのために軽くあしらわれる、また裁判になってほとんどこれが執行猶予になるということでは、これは所期の目的を達成することができないわけでございます。しかしながら・裁判の方までわれわれとして連絡をとって取り締まり体制を固めるというわけには参りませんが、少なくとも行政機関である検察庁とは緊密に連絡をとりまして、もちろん個々具体の問題について・あらかじめこの程度のものはこうだというところまできめるということはできませんでしょうけれども、できるだけ気持の上でそごのないように連絡をとっていくということが必要であるという意味で、組織的暴力団に対しての常時の取り締まり体制とこれについての観察、それから検察庁等との連絡を緊密にするというようなことに重点を置いておるわけでございます。
 それから、先ほど大臣から御答弁がございましたが、青少年保護条例につきましては、これは県の条例でございますので、警察が中心となってこれを指導するということはいたしておりません。ただ警察として、こうあったらいいというようなことについての側面的な援助ということはいたしておりますが、これは県出局、ことに県の少年あるいは民化、児童関係というので立案する。とれに警察も援助をしていくという態勢をとっておるわけです。
 それから、先ほどお尋ねの公安条例につきましては、最近公安条例についての判決等も相当はっきりして参りましたし、それから従来自治体警察のありました時代にできた公安条例についていろいろと疑義が起こってきておるという面もございますので、そういう意味で適正に公安条例の運用をするということにつきましては、警察庁としても関心を持って指導をいたしております。それから、この限度までは判例においても合憲のものとして認められているというような範囲についても示すことにいたしておるわけでございます。しかし、各県によってそれぞれいろいろ事情も異なるわけでございますので、すべて画一的にこういう条例を作るようにという指導をいたしておるわけではございませんが、こういう性格のものは差しつかえないというひな形というようなものはもちろん示しまして、その範囲内において各県が適宜取捨選択するということになるわけでございます。御指摘の、群馬県において本部長がかわったばかりでやったというのは、何か本部長に特命でも与えてやったのじゃないかというようなお話でございますが、そういうことではございません。本部長がかわりましても、県の警察というものは組織として動いておるわけでございまして、従来からそういう指導をしていた時期が、たまたま本部長更迭と時を同じくしたのではないかというふうに考えるわけであります。
#9
○山口(鶴)委員 どうも今の長官の御答弁を聞いておりまして、解せない点があるのです。確かに青少年保護育成条例は警察ばかりのものでないことは、私もよく承知しております。しかし国家公安委員長が、これについては明瞭に、やはり警察は警察としての立場、国家公安委員会は国家公安委員会としての立場から一つの方式を示して、こういうことをやるべきだということをいろいろ指導し、おまかせしておるということを申されておるのです。そのあと警察庁長官が、それとやや違ったようなお答えをなされるのはちょっと解せない気がいたしますが、それはそれといたしまして、まず組織的暴力団の問題でありますが、ただいま御答弁のようなお話でありますればある程度わかるのでありますが、この組織的暴力というものがいろいろと拡大し範囲が広がって参りますと、やはり憲法に保障された団結権等との関連において問題の出て参るおそれが多分にあるということを御指摘申し上げておきたいと思います。
 それからこの公安条例の問題でありますが、別に警察本部長がかわったからそれで特命によってこういうことをやったのではないということでありますが、私も別にそれほど突きつめて考えておるわけではありませんけれども、何分公安条例の改正ということは、県の公安委員会あるいは県の警察本部としては、めったに起こることのないきわめて重大な問題だと思うのです。従って、県警本部長が御転任をなされて一カ月そこそこくらいの間に、しかも、現在各地域において、あるいは特定の群馬なら群馬という地域において、非常に騒然としておるとか、あるいはこういう公安条例の改正をしなければ公安の維持ができぬというような事態があるならば別といたしまして、そういった特定の団体がいろいろな問題を起こしておるということもございませんし、きわめて平穏な状態にあるわけであります。しかも警察の機構の中心である本部長も御転任になったばかり。こういうときに、公安委員会としてはめったに行なうことのないような非常に重大な問題に関して突如としてこういうものを出してくるということについては、非常に疑念を持たざるを得ないのであります。そこで、ただいま長官のお答えですと、モデルを各県に示しておるということでありますが、そのモデルというのは、いただけますか。
#10
○柏村政府委員 私もモデル自体を詳しく見ておりませんが、たしかこの前の判決や何かでこの程度のものは差しつかえないということで示したと私は記憶しておりますので、それはお手元に差し上げて差しつかえないかと思います。これは警備当局でやっておりますことで、私そういうふうに記憶しておりますが、もし私の申し上げたことが、あるいは改正しようと思ったところに相談として示したということであるかもしれませんが、差しつかえない範囲においてお示しすることは、もちろんそれが公安条例として出るわけでございますから、そういうことでございますれば差し上げたいと思います。
 それから先ほど、大臣と私の食い違いのようなお話でございますが、そういうことではございませんで、大臣は大臣として警察に対してそういう指導をしておる。これは事実なんでございますが、警察の指導によってそういうものが推進されておるということではないという意味で申し上げたのでありまして、そごはないと思います。
#11
○山口(鶴)委員 青少年保護育成条例ならば、指導と言ってもあまり問題がないから指導で、そのあと公安条例が出たからというので、またニュアンスを変えるようになったといたしますと、そういうところに私は問題があると思うのです。しかし、そういうことは繰り返しになりますから申し上げませんが、それでは長官、モデルは即刻いただきたいと思います。モデルをいただきましたあとに、時間の関係もありますので、また機会を得まして今の公安条例の問題につきましてはお伺いをするといたしまして、この点は資料をいただくということで打ち切っておきたいと思います。
 それから、この刃物の法律案でありますが、こういう法律案を出すことも青少年の凶悪犯罪を防止するということで若干の意味があるというようなお話でありますけれども、問題は、過日阪上委員も強調されましたが、何といいましても悪の温床となっておる不良な環境の整備というところに力を注がなければならぬ、これが根本だと思います。ところが、最近各地でお話に聞くのでありますが、たとえば教育施設の付近に、風俗営業取り締まりの対象になるような施設あるいは連れ込み旅館というようなものが建っておる。いろいろ警告しましてもそういうものがどんどん建つ。こういうことに対して取り締まりが手ぬるいということでは問題だと思う。こういう点に対してはどういう措置をされておりますか。
#12
○柏村政府委員 ただいまの問題は、風俗営業等取締法の改正を先般いたしましたが、それに基づきまして各都道府県におきまして条例を作りまして、その条例で、たとえば学校等教育施設からどれだけ離れたところでなければそういうものを作ってはならないというような条例を定めるように指導をいたしておるわけでございます。そういう条例のできておる府県におきましては、ただいま御指摘のような環境整備というものに相当実効を上げておるのではないかと思います。
#13
○山口(鶴)委員 それぞれ各自治団体で条例を作るよう努力されているというお話でありますが、まずこういう法律案を出す以前に、こういった悪い環境の整備、浄化ということこそ、やはり政府が全力をあげていかなければならぬ根本であろうと思います。そういう点については、大臣もおられるわけでありますから、政府全体の大きな問題として、まずこのような法律案を出す以前の基本的な問題として真剣にお取り組みをいただきたいと思います。
 それで、時間もありませんから先へ進みますが、先日から松井委員あるいは佐野委員等の方々から、この改正案、特に二十四条の二の問題についていろいろお尋ねがありました。特に職務質問では物理的強制をも含むような疑念を持つことを指摘しておるのでありますが、私はこの法律が、大臣や長官が言われるように運用せられていくと仮定した場合におきましても、これを具体的に実施に移すのは警察官であり、一線の人たちなんですから、こういう人たちの教養あるいは資質というものが非常に問題になって参ることは明らかだと思います。昨日の小澤委員の御質問もそういうところに中心があるやにお聞きをしておったのでありますが、そういうことを懸念をする以前に一つ問題があると私は思う。それは松井委員も御指摘をされたのでありますが、問題は警察官が現在あるいは過去においてすでに職権乱用を行なったということに対して、警察が断固たる措置をその際おとりになる、たとえば各県警におきましては監察官というものがありまして、いろいろ問題があった場合には査問委員会等をお開きになって処理をせられるやに聞いております。あるいは法務局の人権擁護委員会等が活動いたしまして問題を処理せられておる場合もありましょう。あるいは最終的にはそれが裁判所において問題になっておるところもございましょう。しかし私は、そういった警察官の職権乱用問題というのがやはり警察当局の段階においてもぴしっと処理されるようなはっきりした責任体制というものがなくてはいけないと思う。
 そこで幾つか例を引いてお尋ねをいたしたいのでありまするが、私の県にあった話でありますが、ある高等学校の社会科学サークルがあります。そのサークルを、その付近の警察官の方が、非常に職務に忠実であって熱心にお調べになろうと思ったせいかどうかわかりませんが、一人の女の生徒と、女学校でありますが、親しくなりまして、ラブレターのような手紙等を数回出されました。そしてしばしば遊びにいくようになった。そしてそういう中から、そのサークルで一体いつだれがどういう発言をしておるかというようなことをいろいろ調べたということが、その文章がたまたまある人の手を通じて私どもの手に入りましたことから問題になったことがございました。その際に、当時県議会でいろいろ問題にしたのでありまするが、結局、その警官がある少し離れたところへ転任になっただけでありまして、その上司等は何の処分もなかったわけであります。結局、その警察官があえて一女生徒と親密になるような行為をやって、そうして思想調査のようなことをおやりになった。しかもそれは明らかに行き過ぎであるということを上岡も認められながら、県警本部長も認めながら、その本人が軽い転任になっただけであって、そうしてそれを命じあるいはそのような行為をさせた人たちに対して何ら具体的な措置もなかったということでは私はいかぬと思うのでありますけれども、こういう事例はたくさんあると思う。しかも具体的にこの査問委員会にかかり、あるいは人権擁護委員会等の活動によって問題になった事例というものは数限りなくあると思うのです。そういう統計というものは警察庁においておとりになっておりますか。戦後において何件ぐらい警察官や特別公務員の職権乱用の事件というものがあるのですか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
#14
○木村(行)政府委員 戦後全体の資料は今手元に持っておりませんけれども、三十四年と三十五年の分につきましてはございます。その点を御説明申し上げたいと思いますが、三十四年度中におきまして警察部内のいわゆる懲戒処分をいたしました数が、人員にして千八十一名であります。それから三十五年が少し減りまして八百六十六名であります。その中で職権乱用というそのものずばりで懲戒をされました者が、三十四年で十九名、三十五年で六名であります。だいぶ減っております。それから職権乱用ではないのでありますが、それと若干似たようなケースといたしまして、職務執行の不適切、適切なる職務執行をしなかったというかどで懲戒処分されましたのが三十四年の千八十一名のうちで七十二名、それから三十五年が八百六十六名のうちで五十三名、それから暴行しまして懲戒処分を受けましたのが三十四年で十一名、三十五年で十七名、その他いろいろありますけれども大体そういう数字になっております。
#15
○山口(鶴)委員 相当な数があるようでありますが、また具体的な事例を引いて恐縮でありますが、前橋というところで放火事件が二千件ばかり相次いで起こったことがあります。その際に、これは放火であるということを警察署長さんが記者団に断言をいたしまして、そうしてそういった線に沿って捜査をなされておりました。結局その火事が起こりました火元あるいは付近の人たちがお取り調べを受けて、そうして確かにたばこの不始末をしたかもしらぬ、火ばちの不始末をしたかもしらぬというような自白をみなさせられたわけです。ところがその後二十回近く続いたわけでありますが、最後の段階に至りまして犯人があがって、そうしてすべての事件は私がやったということを最終的に認めたわけであります。その途中あるいはその事件が終わったあと、やはり自白を強要した。もちろんこれは職務質問ではなくて、刑事訴訟法上の任意出頭を求められた上での話であることは私はわかっておりますが、問題は、相通ずる精神は私は同じであると思う。その場合に、やったろう、やったろうというふうに強制をすれば、やはりたばこの不始末をしたかもしらぬというようなことを言わざるを得ない。しかも飯も食わさぬで何時間も置いておいていろいろ尋問をするということになれば、あるいは物理的強要というものがあったかなかったかは別として、やはりそういう自白を強要せられるという事態は当然起こったのではないかと、しろうとの私どもは考えるわけです。そういうことがあったにかかわらず、その担当のこれまた係長、署長というのは何らの処分も受けておらぬ。この数の中に入っておらぬ。しかもまたその同じ署長が、当時群馬に勤評闘争があったのでありますが、そのときに、あっせんに入っておった県会議員が出てくるところに向かい合わせて、ばかやろうと大きい声で何回も県会議員にどなった。しかも、なおかつ何の処分もない。こういうようなことがありまして、警察当局が、七十二件あるいは十九件というような数字をお示しになりましたが、こういう数字に入っておらぬ。しかも、常識的に考えて明らかに問題であるというような事件が各地にあろうことは、私は想像にかたくないと思うのです。そういう点、国家公安委員長にお尋ねしたいと思うのですが、十分お考えになっていただきたいと思うのです。時間もありませんから、いろいろ事例をあげて、こういうものはどうかということをお聞きすることは省略いたしたいと思いますけれども、こういう事件に現われない職権乱用あるいはこれに近い事例というものが非常に多いということを、国家公安委員長は十分お考えをいただきたいと思うのでありますが、そういうことについて常日ごろお考えになり、あるいはあなたの権限において具体的に御指示なされる、あるいはいろいろ御処置なされる、そういうことは今までございましたか。
#16
○安井国務大臣 御指摘のような職権乱用あるいは行き過ぎというようなものが常々あってはいかぬということは、常に国家公安委員会等でも議論になっております。全般の問題としてこれはそういうふうに指導もいたしておるわけであります。ただ、個々の問題についてああしろ、こうしろというのは、御承知の通りの国家公安委員会の性格上からも、個々の指示はいたしておりません。そこで、全体としてそういう行き過ぎもある、同時にまた、警官がある意味じゃやるべき職務をも十分やらなかったというような例もまた一方では出てくるのじゃなかろうかと思いまして、そういった両方の面からあやまらのないように今後も十分の指導をいたしていきたいと思っております。
#17
○松井(誠)委員 関連して一点だけお尋ねをいたしたいと思います。
 それは一十四条の二と憲法との関係でございます。今まで総理大臣もそうでしたけれども、あるいは国務大臣あるいは長官も、憲法三十五条は刑事手続にだけ適用があるので、従って一般の行政手続の場合には関係ないのだという二青で片づけられておったわけです。なぜ一体、憲法三十五条が刑事手続だけに適用があって行政手続には適用がないのかという御説明はなかった。きのう初めて田上教授がああいう説明をされましたけれども、政府としては、憲法三十五条はどういうわけで刑事手続だけに適用があるのか、その点をまずお伺いいたしたい。
#18
○木村(行)政府委員 先日の両参考人、特に田上参考人からの御説明のような理由も私たちも考えておりましたが、それと同時に、憲法の条章をごらんいただきますと、三十一条から四十条までの条文を一々たんねんに読んでみますと、これはその位置から考えて全部刑事手続に関する問題で、特に三十三条は現行犯逮捕の問題、それを受けて三十四条があり、それから三十五条が出てきているような状況でありまして、条章の位置から考えて刑事手続に関する、直接にはそういう関係の規定である、こういうふうに考えております。
#19
○松井(誠)委員 今言ったように、規定の体裁から大体これは刑事手続なんだという理屈が一般的だったと思うのです。田上教授のような考え方は、私はあまり多くないと思いますけれども、あれも、いわば政府の助言者のような立場にある教授の考え方なので、あるいはやはりその点を政府でも踏襲されておるのかどうか、その点をあらためてお聞きしたい。
#20
○木村(行)政府委員 直接のお答えになるかどうかわかりませんが、もちろん実体論といたしましては、行政手続というものが非常に多岐多様にわたりまして、その場その場の実態に応じて処理しなければいかぬというような問題がありますので、その複雑多岐な目的を達するためにはやはり行政手続としての特徴を生かしていかなければいかぬ。そういうねらいから刑事手続とその点が若干趣を異にしておるという実体論的な議論もあるわけであります。
#21
○松井(誠)委員 田上教授のような考え方でありましょうとも、あるいはこれは憲法の規定の体裁からいって、その順序からいって、司法手続にしか適用がないのだという考え方からいっても、やはりその精神は行政手続においても重んじられなければならぬということは、これはお認めになると思う。従って田上さんの御意見でもそうでありましたけれども、これは別に絶対的な原則ではなくして、現在の法制の中でもやはり行政手続に裁判所が関与している場合があるのです。それはどういう場合かといえば、実際的にいえばこれこれこういう場合だということを申されましたが、そういう点から考えてみますと、この二十四条の二は、きのうの参考人の話にもありましたけれども、事実上刑事手続と行政手続との区別というものが元来不明な場合が多いというところに持ってきて、この規定そのものはどちらに適用されるのかという、そういう実際の場合として司法手続の前提になるという場合が非常に多いと思う。そういう規定の性格を考えてみますと、この前長官が言われましたように、これは職務質問のときの話でありましたけれども、職務質問のための停止というときに、任意というよりもむしろ強制に近い、そういう実力を使うことができるのだということをおっしゃいましたけれども、やはりこの際の提示あるいは開示を求めるということにつきましても、任意よりもむしろ強制に近い実力を使うという、もしそういうようにお考えになるとすると、やはりこの憲法との関係が非常に問題になると思いますので、まず任意よりもやはり強制に近い実力というものを、この二十四条の二の提示あるいは開示というものにお考えになっているのかどうか伺いたいと思います。
#22
○柏村政府委員 私どもは、この二十四条の二の提示させ、開示させ、または提出させというこの強さは、停止させというよりも強いとは考えておりません。むしろそれよりは弱い、すなわち物理的な実力の行使ということはない、あってはならないという性格のものというふうに考えております。大体こういう法律は、きのう大臣からもお話がありましたが、オール・オア・ナッシングという考え方ではなく、ニュアンスの非常に微妙な面があると思いますけれども、少なくともこの規定からは説得の限度にとどまるというふうに考えておるわけであります。
#23
○松井(誠)委員 質問のための停止は、肩に手をかけるということ自体が、これは停止させるということに対する直接の物理的な強制になるわけですね。ところが提示あるいは開示というものは、物理的な強制というものは、実際に開いてみる、あるいは実際にポケットに手を突っ込んで出してみるということでありますけれども、田上教授もさすがにそこまではおっしゃいません。ポケットの外からさわることはいいのだからと申されましたけれども、長官のお考えではどうでしょう。そういう物理的ないわゆる実力というか、そういうものを一切使わない、ただ強い説得だということになりますと、提示あるいは開示を求めるためにからだに手をさわるということは一切お認めにならないという御趣旨でありますか。
#24
○柏村政府委員 私の申し上げましたのはそういう意味ではなくて、たとえばポケットがふくらんでいる、ここには何が入っているのだ、そういうことは言える、その限度では当然に言えるというふうに考えております。これは職務質問についてはそういう点は認められておるわけでございますので、そういうようなことは当然考えられることでありますけれども、自分で手を突っ込んで出すとか、自分であけるということはしない、こういう考え方であります。
#25
○山口(鶴)委員 一つだけ最後にお尋ねいたしますが、ただいまの長官の御答弁ですと、ポケットにさわる、こういうところにさわる、これはいいのですか、悪いのですか。そこに関連をしてお尋ねしたいのですが、かつて右翼テロが横行しました際に、社会党の某議員を撃つというので、肥後亨という右翼の人がピストルを持って都内を徘回しているから気をつけた方がいいということが、社会党の本部の方に警察の方から御連絡があったそうでありますが、こうした人がピストルを持って徘回しているという状況に対して、現行法とそれから改正法とにおいて、肥後亨というような方と言っては恐縮でありますが、そういうような人に対して、具体的に現行法と改正法案とがどう違って、現行法では取り締まれないが改正法なら取り締まれる、こういう明確な基準というのはあるのですか。この点は一つはっきりお答えいただきたいと思う。
#26
○柏村政府委員 先ほども申し上げましたように、オール・オア・ナッシングというようなはっきりした算術的な区別はつけかねると思います。しかし、現行法においても任意である限り、強制にわたらない限りある程度やれるんだという解釈もこれは成り立つと思います。しかし、今度のような改正によりまして、警察官の責務としても、肥後亨が適当かどうかは別として、とにかくピストルを持っているおそれ、疑われる相当の理由があるというような者については、相当に強く説律して提示を求めるということが、警察の権限としてばかりでなしに、責務としても明記されるわけでありますので、今までよりも非常に注意も強くなりまするし、従って、結果的に取り締まりも強化されるということになろうと思います。
#27
○山口(鶴)委員 お話でわかるような気もいたしますが、現実にはいわゆる小者といいますか、そういう人はいざ知らず、今お話しになったような人たちに対しては、やはり明確な改正法と現行法との違いというものはないのだ。ただ問題は小者、あるいはいろいろな意味においてこれが職務乱用のおそれが出てくる。こういうところが問題であるだけでございまして、非常に私ども意味がないと思うわけでありますが、最後に、お答えにならなかったことだけはっきりしておきたいと思うのですが、ポケットにさわる行為、これはいいんですか、悪いんですか、その点をはっきりしていただきたい。
#28
○柏村政府委員 私は、外部から見てふくらんだ怪しい状況のものについて、外からさわることは差しつかえないと考えております。
#29
○濱田委員長 太田君。
#30
○太田委員 それでは最初に、今の問題に続くような形になりますけれども、念を押しまして柏村長官にお尋ねをしておきますが、それは、長官は一番最初に今度のこの改正案は警官の権限と責任を明確化したものであるとおっしゃった。今もピストルのところで同じことをおっしゃいました。それで権限と責任というのは、権限というのは外に対して発動し、責任は内に対して発動するのですから、そこでピストルを持ったりあいくちを持って徘回すると思われる相当の理由のある者に対しては、それが肥後さんであろうと熊本さんであろうと、これは必ずどこかで相当強い意思と方法をもってなるべく提示を求めることになるだろう、こういうことです。そこで、その権限と責任の実施が、いわゆる職権乱用になったりあるいは人権じゅうりんになっては困るということが長い岬のこの委員会の質問の焦点であった。だから、そこで今おっしゃることが、外からさわる程度はよろしいのだ、さわる程度はまあ常識で考えられることですね。ただし、ひったくって中をあけてみるとか、相当強い力で脅迫する、ある程度拷問とか脅迫に類するような方法をとってお調べになるというようなことになったら、これは大へんなことになるから、そういうことはないんだ。そんなことは全然考えておらない、この精神にはありません。権限、責任を明確にしたと言われましたけれども、拷問をかける、あるいは拷問というのは物理的にも精神的にもそうなんですが、そういうことや、無理な力、物理的な力を使うととはないんだ。こういうことは断言できますね。
#31
○柏村政府委員 お話の通りに考えております。
#32
○太田委員 それからさらに柏村長官のおっしゃったことは、非常に大きな精神的な影響をねらっていらっしゃる、よき風潮を作る、社会風潮に好影響を与えたいということが一つの念願だとおっしゃる。これは今度の改正の主たる考え方でございますね。それもそうでございますか。
#33
○柏村政府委員 その通りでございます。
#34
○太田委員 国家公安委員長である安井大臣にお尋ねをしますが、この法案を作って、二十四条の二でいろいろ論争があったけれども、あなたも、社会教育的な意味を多分に持ち、これはよき風潮を作るという点に主たるものがあって、もし取り調べるとするならば、非常に常時凶器携帯のおそれがあるがごとき不良分子に対しては相当注目をするけれども、善良なる市民の太郎さん次郎さん三郎さん花子さんには、これをもって今まで以上にからだにさわったり引っぱったりすることはないんだ、こういうことははっきり言えますか。
#35
○安井国務大臣 それはもうはっきり言えるのでございます。今の太郎さんや次郎さんが非常に穏やかな方であるにかかわらず、何かポケットがふくらんでおるからということだけの理由で常にそういう人を誰何するとか質問するというのが趣旨じゃないのでございまして、周囲の状況から考えましてどうも怪しいぞというような状況のときにのみこれは適用するというように心得ております。
#36
○太田委員 昨日の参考人の中に吉川さんという法政大学の先生がいらっしゃった。私は吉川さんがなぜ夜おそくなってお帰りになるときに職務質問をされるかとこちらで見ていたが、田上先生と吉川先生と比べると人相が違う。田上先年はどんなに酔って夜おそくお帰りになっても職務質問はまずないんじゃなかろうかと思う。ところが吉川先生は必ずそれにひっかかるというふうに思ったんです。そこで、吉川先生は自分の名刺を出すことによって職務質問というものはパスをして通ってしまう。そうしてあまりそういうことにかかわらずに済んでいらっしゃいますけれども、市井の善良なる人や労働組合の役員の人たちは、とれ幸いと、こういうときに思想警察のごときちょっとした野心を出していただいて、そこでこれを発動され、悪用されますと問題が起きる。だから、職務質問はあまり人相だけでやるということでなしに、もうちょっとその人の身分を調べて、国鉄の定期券を持っていらっしゃった、ああそうですが、まじめな勤め人だ。そういう方たらにいやな恐怖感々与えたり、労働組合の符員や大衆運動をやっている人たちの名前を見て、これは相手が有名なる社会運動家だ、一ついじめてやろうというようないたずら心を起こすということは絶対にないと私は思うのですが、どうも名前とか人相で不利をこうむられるような方があるような気がするが、そういうことがないように万々注意するという御決意がおありでございますか。
#37
○柏村政府委員 お話のような点は十分注意をいたしたいと思います。ただ、人相というのは、何も古川先比の人相が悪いということではございませんが、人相というものも一つの要素になる場合もあるわけでございまして、人相だけでものを考えるということはございませんけれども、人相というと悪いですが、その形相と申しますか、そういうものが何か影響するということは、これはやはり人間である限りあり得ることと私は思いますが、単に顔形がおかしいということであれするというようなことは極力ないように努めたいと思います。
#38
○太田委員 それからこれは警察官の教養問題に関すると思いますけれども、とかく世の中にはニヒリストがある。そのニヒルなる人たちは、幾多の週刊誌などにもそういう特殊な性格の人を書いていろいろと興味をそそっておりますけれども、ちょっと常軌を逸した行動があるのです。そういうニヒルな人たちに対して、そういう人がいわゆる職務質問に一あったときに、何かしら警官を尊重しない態度に出たら、おもしろくないから一つやってやろうというようなことでは困るので、これは広く世間の多数の人たちから、国民から信頼されるという警察官になるためにも、そういうおれの気に入らぬやつはいじめてやろうというような妙な感情的なものを絶対持たないように御指導いただきたいと思うのですが、それは公安委員長としていかがでありますか。そういう自信がありますか。
#39
○安井国務大臣 おっしゃる通りでございまして、自分に対する感情とかあるいは扱いというようなものによって相手の取り調べ等にかげんをするというようなことは厳に慎まなければならぬと思っておりますし、今後も十分気をつけていきたいと思います。
#40
○太田委員 その点厳に慎んで、よくまた教育の材料としていただきまして、警察庁長官の、いわゆる皆さんのお考え方は正しいが、末端の一人一人の警官が間違ったことにならないように訓練の上にも訓練、教育の上にも教育、それは右へ右への教育ではありません。右と左の中間の教育だろうと思うのですから、これを十分にやっていただきたいととを特にお願いをしておきます。
 それから今度は木村さんにお尋ねをいたしますが、最初に四月七日の商工委員会で御答弁なさいましたことに関連をいたしますが、社会的効用と携帯の必要度の高いものは刃体八センチメートル以下のものならばこれは自由とするというような御発言があった。この社会的な効用、携帯の必要度の高いもの、こういうものは八センチ以下の刃体のものならば自由でございますというような御発言があったと思いますが、実はこの政令の内容は一、二、三、四とあるのですから、これに限定をされるわけであって、八センチ以下のものは所持は自由であっても携帯は自由ではない、これがほんとうですね、こういうことでございますか。
#41
○木村(行)政府委員 大体その通りでございますが、ただ刃物というものは千差万別で、将来またいろいろな新たな刃物が出て参りまして、それが社会的効用が相当あり、しかも殺傷力もいろいろな形状によっては比較的低いというような新たなものが出ましたら、政令で御案内の通りいろいろ例外的にそれを自由な携帯にする、こういうふうにいたして参りたいと思っております。
#42
○太田委員 しからば一般の人たちが、今度はもう六センチ以上のものは持っていけないとか、八センチ以下のものでもこれはほとんど持てないだろうとかいうように、法案ができたけれども、非常に誤解があるわけです。そこで念のためにはっきりした御答弁をしていただきたいことは、とにかく刃体が八センチ以下のものでこれを携帯できるものは、はさみ、折り畳み式のナイフ、くだものナイフで先のとがっておらぬもの、切り出しナイフ、この四種類だ、こういうことでございますね。
#43
○木村(行)政府委員 さようでございます。
#44
○太田委員 そこでこれは携帯はできないけれども、今度の雑則にある刃物という中に入るもの、銃砲刀剣、飛び出しナイフのほかは、刃物そのものは所持は自理でございますね。あわせて製造も自由でございますね。
#45
○木村(行)政府委員 その通りでございます。
#46
○太田委員 そういうことになりますと、職人が手かぎを常時持って歩いておるとか、あるいは大型のナイフを持って歩いておる。なたとか、はさみとか、かんな、のみ、かま、そういうものを持って職人や仕事をやる人、作業をなさる人たちが道を歩いていらっしゃることは、決して交番でとがめられることではない、こういうことでございますか。
#47
○木村(行)政府委員 さようでございます。
#48
○太田委員 従って、料理屋さんや魚屋さんに刺身ほうちょうがあろうが、おろしほうちょうがあろうが、どんな鋭利な刃物があろうが、それがその仕事をするために常時必要なものなら、どんなにお買いになってもよろしい。家庭においても菜切りぼうちょう以外に、同じように刺身ほうちょうも持ってよろしいし、先のとがったくだものナイフもよろしいし、先のとがった洋ばさみ、ラシャばさみもよろしいし、出刃ほうちょうもよろしいし、なたも、まさかりもよろしい、こういうふうに思いますが、それでよろしゅうございますか。
#49
○木村(行)政府委員 さようでございます。
#50
○太田委員 従って私は、これを聞いておりますうちに、最初のころのお考え方と、現実に最終的になりました法案の考えとだいぶ変わってきまして、実は自由の範囲が非常に広いという気がするのです。だからそんなにおそれたものではない。取り締まりの側から見ると、そこに微妙な点がありますから、行き過ぎのないように、君はそんな大きなナイフを持っておるけれども、君はその仕事をやっておる者ではないだろうというようなことで、とがめられるようなことがあっては大へんだと思いますから、その点は気をつけていただくと同時に、自由な携帯が職業上とか正当な理由によって相当な広い範囲になると、取り締まる側の知恵というものは非常に高度なものが要るので、これは邪道に走らないように気をつけていただきたいと思います。
 もう一つ携帯の上で制限されるものは登山ナイフがあると思います。この登山ナイフというものは、もう買ったり携帯することはちょっとむずかしくなるのでございますか。
#51
○木村(行)政府委員 登山ナイフは政令の中に入ってきませんけれども、ただそれは正当な理由があれば、たとえばボーイ・スカウトが山に行くという場合、あるいは登山家が山に行く、あるいはボーイ・スカウトがピクニックに行くというような、正当な理由がある場合は当然携帯自由でありますので、その正当な理由というもので十分実際の実情に合うように運用できると思います。
#52
○太田委員 登山ナイフは作ってならぬわけではない、持ってならぬわけではないけれども、使用を許されるという場合は、登山ナイフだから、登山に行くという人以外は要らないわけです。だから非常に限定されるから、今後登山ナイフの販路というものは、登山マニア以外には非常に少なくなってきて、この販路は狭められる。こういうことでございますか。
#53
○木村(行)政府委員 ただ携帯については正当な理由というものが条件になりますけれども、所持は自由でありますので、もちろん全然影響がないとは替えませんけれども、影響は比較的少ないのではないかと思います。
#54
○太田委員 従って、所持をしておってそれを使う分には差しつかえないが、自分の家庭から外に持ち出すわけにいかない、こういうことですね。持ち出すわけにいかないというところが――店から買って自分の家へ来るまでの間に、お前はそんな洋服を着ていて登山に行くということではないのではないか、登山ナイフをなぜ持っていると言われる心配が出てくるわけです。登山ナイフというものは非常に危険なものだという感じを世間に与える、これは所持してはならないものだというくらいな倫理がおのずから止まれてくるような気がするのですが、あなた方としても、そういうふうに考えておられますか。
#55
○木村(行)政府委員 そういう社会風潮はだんだん出てくると思いますし、なるべくふところにこれを持ち歩かないという風潮を作りたいと思います。
#56
○太田委員 従って、そうなりますと、登山ナイフ並びに飛び出しナイフを除きまして、あいくちは刀剣類の中に入りますが、一般の刃物の方では、使ってはならないとか作ってはならないというものはあまりないのでございますね。
#57
○木村(行)政府委員 さようでございます。
#58
○太田委員 そこで今度は通産省に伺いたいのでありますが、通産省は見えておりますか。
#59
○濱田委員長 中小企業庁の振興部長が見えております。
#60
○太田委員 中小企業庁の振興部長さんがいらっしゃるようですから、部長さんにお尋ねをしますが、今の話で作るものが非常に制約をされましたのは、飛び出しナイフ、登山ナイフのごときものでありまして、特に飛び出しナイフとなれば関市が非常な打撃を受けたわけです。それから肥後守を作ります三木、小野におきましても、肥後守そのものに疑惑があって、これは違反じゃないかというようなことで、先のまるいものを作ろうかというので試作品を作ったというような場合もあるし、中には前途を悲観して自殺した御主人さえもあった。そこでそういうふうに業界が打撃を受けた点がありますし、すでに何千万円というものが返品されてきてもおるような状態でありますし、ナイフそのものさえも、刃物を持たない運動というようなことも関連をしておりますけれども、少しずつ警戒されてきておる。そこでそれらの人たちが今後どういう品種を作り、どういうような仕事をやったらいいかということについては、これは非常に問題でありますので、先だつものは金でありますから、つなぎ融資、転業資金の工面、並びに返品をされた場合にはある程度の補償をすべきなのが道義ではないか、こう思うのですが、その資金の関係などについてはどのような対策をお立てになっていらっしゃいますか。
#61
○川島説明員 お答えいたします。金融面につきましては、ただいまお話しのように、一部滞貨資金あるいは転業資金というものが出て参っておりますので、主として商工中金、いわゆる系統金融に属する企業が多いという実情にかんがみまして、商工中金の傘下に対しまして、そのような場合の資金手当につきましては、迅速に十分誠意をもって貸付するようにということで措置いたしております。ただ金融でございますので、やはり将来その企業がどういう形で成り立っていくかという見通しを立てる必要がございます。これにつきましては原局でございます軽工業局が県とタイアップいたしまして、主として県におきましてこれらの企業の転換あるいは製造品種の転換というふうな点についてせっかく指導をいたしておるようでございます。従来の経験、技能を生かしまして、大体金属加工関係にはめ込む。金属加工関係の下請等におきまして将来の企業活動をやっていくというふうな方向で指導いたしておる状況でございまして、その方針が立ち次第、設備資金等におきましても十分めんどうを見るということで、末端にまで徹底いたしております。
#62
○太田委員 その設備資金ないしは当座のつなぎ資金というものは、県の方とも相談の上とおっしゃるが、具体的には系統三機関の中でどこを中心にめんどうを見ていただくつもりでございますか。
#63
○川島説明員 ただいまのところでは大体商工組合中央金庫、いわゆる商中の系統が主になろうかと存じております。
#64
○太田委員 そうすると、商工組合中央金庫におきまして、この刃物の業界の打撃に対しては救う用意あり、これに対しては県とも相談をし、相当これは一人、二人使っている零細業者が多うございますから、そういうところのめんどうは形だけじゃなしにほんとうに見る。保証人がないから貸さぬとか、返せる見通しがないから貸さぬというような残酷なことはこの際言わない。それくらいのところまで決意をしていらっしゃいますか。
#65
○川島説明員 もちろん、企業が先行き全然見込みがないということになりますと、これは別でございます。しかし、そういうことのないように県当局並びに通産省といたしまして指導をいたしておりますので、その辺の心配は実質上起こらないということで指導いたしております。
#66
○太田委員 今のお話ですと、相当そういう申し出があったように聞いておりますが、きのうの関市の炭竈という参考人のお話では、政府に何べん頼んだって今までらちのあいたことはない、補償なんてやってもらったことはないからあきらめておりますということであります。あきらめさせるというのが政治なら世の中のことは楽であります。やはりあきらめさせてはいけません。希望を持たせなければなりませんので、そういう設備資金あるいは運転資金、つなぎ資金――損害の補償に対してはどのようなお考えか知りませんが、損害補償に対する問題についても、十分できるだけのことはめんどうを見て、あまり普通の状態におけるところの商工中金の窓口のような態度は、この際とらないでもらわなければならぬ。熱心に親切にその身になってやって下さい。これは保証できますね。
#67
○川島説明員 さような心がまえで指導いたしております。
#68
○太田委員 これは木村さん、あなたからお答えいただけばけっこうだと思いますが、今のお話で、相当の打撃を受けた業者に対する対策は金融の面でやっていらっしゃいますが、飛び出しナイフ、登山ナイフを中心とする打撃はよくわかるのですけれども、一般的に何か日常品において品種転換をしなければならぬ、あるいは製造の型を変えなければならぬというようなものは出てくるでしょうか。
#69
○木村(行)政府委員 それはすでに出ておりまして、今後も若干出てくるというふうに思います。
#70
○太田委員 私は、先ほどからの御答弁では、あまりそれがないような気がしてしようがないのですが、どんなものが型を変える中に入っておりますか。
#71
○木村(行)政府委員 主として私が申し上げたのは、飛び出しナイフがすでに法的に改正になるということがだんだん報道されましてから後、関市内で一部日常品に転換するというような観点から、鋳型を変えたというものがあります。それから飛び出しナイフ自体の格好を変えております。これは鋳型が変わったかどうか、私もわかりませんが、そういう点が若干出ておるということは事実でございます。
#72
○太田委員 そうでしょうね。飛び出しナイフは、もとが固定しない飛び出しナイフなんて意味がありませんから、あんなものは売れなくなりますから作らなくなります。従って、これは品種転換をして全部やり直さなければなりません。今中小企業庁におきましても、商工中金の御援助で、県とも相談の上十分その転換資金、設備資金は見る。こうおっしゃったから、この点私どももぜひそれを積極的にやってほしいと思う。さらに型は今までの型で、洋食ナイフは全部先をまるくしなければならぬという規制はないわけですから、従ってそれは型を変えて作らなければならぬようなものがないとするならば、特殊なところに重点を置いて設備資金の融資などをおやりになればいいと思いますから、これは一つ中小企業庁におきまして特に念を入れていただきたいと思います。
 最後にもう一つだけ、これは警察庁の方にお尋ねしますが、美術品に関する刀剣類でございますが、あの業者、鑑定者が登録をしておる。ところがそれを持ち運びます場合に、正当な理由があろうがなかろうが、必ずとがめられる。そういうことがしばしばある。そして急いで汽車に乗ろうと思っても、君はそんなことを言って逃げるのだろうということで、交番にとめられてしまって、せっかくの汽車に乗れない。この刀剣は長いですからね。それで迷惑する方があるのですが、この点の対策はございますでしょうか。
#73
○柏村政府委員 登録刀剣につきましては例の登録証を交付いたしまして、携帯運搬するときこれを常時持っていくということになっておりますので、それさえ持っておればそんなにとめられる心配は私はないと思います。
#74
○太田委員 それでいいと思うのです。そうあってほしい。またそういうことでぜひあまり行動の自由を束縛することのないようにしてほしいと同時に、もし見せろと言われたときに、中のものを自由に抜き取って、手に触れるのも惜しく大事に大事にしている美術品を、伝家の宝刀を珍しさにやられては、あときずがついたり何かして困る、こういう意見があります。それに対しては、強要される場合に十分配慮されるおつもりだろうと思いますが、何か考えていらっしゃいますか。
#75
○柏村政府委員 私も、刀剣類等については非常に尊重の念を持っております。ただいまお話しのようなことがあってはならないことと思いますので、十分注意を喚起したいと思っております。
#76
○太田委員 よくわかりました。そういうようなお気持で運営されるということになれば、これはよき風潮を作るという点においていいと思うのです。それからまた業界の打撃に対しても、それを救う、これは必要なことだと思いますが、残念ながらまだ青写真ができておりませんし、きのうの業界の参考人のごとくに、われわれは今さらものを言っても仕方がないと、何ということなしに政府不信の念を表わされますと、われわれはどうも政府に対して信頼を持つことができないような感じがするのです。これからああいう善良な市民各位が政府の施策やらあるいは言明に対して信頼を置けるように、一つこれを契機にして、この法案の実施については絶対にそういうことがないというあかしを立ててもらいたいと思うのです。公安委員長、一般の人が政府の言うことはあてにならぬよ、金を貸してやると言っても貸さぬし、寛大な扱いをしてくれると言ったって寛大じゃないよという不信に対して、決して今後はそういうことはない、この法案の実施に関しては今まで言明をしたことはちゃんとやってみせますという自信のほどをおっしゃっていただけると思いますが、最後にそれだけを一つ……。
#77
○安井国務大臣 じゅんじゅんと、この法案実施についての気をつけるべき事項とかあるいは欠点になる事項についていろいろ御指摘がございました。非常にごもっともな点もあると存じます。そういう点につきましては十分に配慮をいたしまして、今後もそごのないようにいたしたいと思っております。
#78
○濱田委員長 本案に関する質疑はこれにて終局いたします。
    ―――――――――――――
#79
○濱田委員長 これより本案を討論に付します。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。小澤太郎君。
#80
○小澤(太)委員 私は自由民主党を代表いたしまして、本法案に賛成するものであります。
 最近における暴力事犯の激増、ことに青少年のこの種犯罪の増加はまことに憂慮すべきものがございます。昭和二十三年と昨年とを対比いたしますと、八倍になっておる。まことに憂慮にたえない状況でございます。しかもこのような暴力犯罪の手段として、銃砲刀剣類、危険な刃物が利用されておるのでありまして、これに対する措置を今や講ぜざるを得ない時期に達しておると思うのであります。政府は、さきに暴力犯罪防止対策要綱を決定されまして、その一環としてこの法案を提出されたのであります。行政措置として政府が町を明るくする運動、あるいは刃物を持たない運動等を提唱いたしておりますが、幸いに国民の共鳴、協力を得ておるのであります。この国民運動に相呼応するものとして、この法案は国民の期待にも沿い得るものと考えるのでありまして、私は本法案が成立しますることは、まことに時宜に適したものだと考えるのであります。
 また、この法案審議の過程におきまして論議されましたもののうちの最も重要な点であります法案第二十四条の二と憲法第三十五条との関係でございますが、憲法第三十五条の捜索及び押収は、司法手続を規定いたしたものでありまして、行政手続を規定いたしまするこの法案における開示または提示を求める事柄とは関係のないことであると理解するのであります。しかもこの第二十四条の二というものは、強制を伴わない説得によって任意に開示または提示をさせるということでありまして、もとより憲法違反には相ならないと思うものであります。
 また、論議の過程におきまして問題になりました警察官の職権の乱用の問題でございます。警察官の職権乱用の問題は、ひとり本法案に限らず、あらゆる警察関係法において一貫して最も注意を要する事柄でございます。この点につきましては、警察法第二条に明確に規定いたしておりますし、国家公安委員長の御答弁にも、さらに警察官の教養、訓練に意を用いまして、いやしくもその乱用の行なわれないように周到なる注意を払うという説明もあったわけでございます。私はまた、日本の警察官の教養、訓練が、真に国民の信頼にこたえ得るような状態になりますことを期待いたしまするとともに、国民の生命、身体を守る、それに対する危害から防止しようというこの予防的措置を講ずる本法案が、国民の生命、身体の安全を守るべく、その意味を重視いたしまして本法案に賛成するものでございます。また、この法案によって損害をこうむるものと考えられまする状態につきましては、これまた政府の適正なる措置を期待するものでございます。
 以上の理由によりまして、私は本法案に賛成するものでございます。(拍手)
#81
○濱田委員長 川村継義君。
#82
○川村(継)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、本法案に反対の意見を申し述べたいと思います。
 これまで長時間審議を続けて参りましたが、まだまだ逐条にわたって実は当局の見解を聞きたいことがたくさんございます。それらを割愛してこの採決に持ち込まれているわけでございますが、今日までの審議過程で、われわれがなぜこの法案に反対の意見を持っておるかということは、わが党の各委員のそれぞれの質問を通じて明らかになっているわけでございますので、ここであらためて詳しく反対の意見を申し上げる必要はないと思いますけれども、要約いたしまして、二、三点にわたって反対の理由を申し述べてみたいと思います。
 その第一は、この法案が提出されました考え方について、どうしてもわれわれは納得いかないものがございます。すなわち、浅沼事件あるいは嶋中事件と、まことに残念な事態が次から次へと起こって参りましたが、これらの暴力犯罪に対して、政府は、さきに暴力犯罪に対する防止対策要綱をきめております。ところが、この対策要綱を一読して参りますと、一体何が実施に移されておるかと申すと、これといって指摘できるものはないのじゃないか、こう言わざるを得ません。ただ。言うなれば、法制上の措置として、この刃物の取り扱いに対する取り締まり法律の一部を改正するという措置が出されたにすぎないのじゃないか、このように指摘できると思います。特にこの暴力犯罪の取り締まり、特に青少年の暴力犯罪の増加に顧みるときには、青少年対策、特に非行少年をいかにして補導するかということが私は政府の施策の中心でなければならない。こう考えて参りますと、政府がなすべき措置は緊急なものが山ほどある。それらについて強力なる行政上の措置を講ずることが最も緊要であって、これまでの質疑に明らかになっておりますように、この刃物の取り扱いについての改正を意図しただけでは十分なことは行なえない。こう指摘せざるを得ないのでございまして、われわれが最も強く今日まで念願しております青少年補導対策、こういうものが全く熱意を欠いておる。その言いわけと申しては過ぎるかと思いますが、そういう形でこれが提出されてきたということについて納得いかないものがあるということが、反対の意見を表明しなければならない第一の理由であります。
 第二の理由といたしましては、いわゆる改正の内容に見られます二十四条の二の点であります。これは昨日の参考人の意見に徴しましても、実は意見が二つに分かれておる。われわれが最も注意をしなければならないと思いますのは、基本的人権というものと、公共の福祉というものとが、どういうふうに考えられるかという点であろうかと思うのであります。ややともすると、公共の福祉ということに名をかりて基本的な人権が侵されていくという傾向一がなきにしもあらずであります。何といっても憲法で保障する基本的人権を最も重要に考えるということが民主政商の根本でありますから、これを忘れてはならないと私たちは強く考えております。そういう意味から考えて参りますと、二十四条の二の挿入のごときは、その行使を一つ誤れば、人権を侵すことの非常に大きなものを含んでおる。そういう点で私たちとしては、どうしてもこのまま賛成するわけにいかない、こういう見解に立っておるわけであります。もちろんこの条文そのものがすぐ憲法違反であるとは申し上げられないかもしれませんけれども、これまでもだんだん指摘して参りましたように、また政府も申し述べておりますように、この「第一項並びに第二項の規定による警察官の調査及び一時保管は、相手方の行なう提示、開示又は提出の行為を前提とするものでありまして、警察官が捜索したり、差し押えたりする権限を認めたものではありません。」こう言っておりますが、その通りだと思います。しかし、この通りだといたしますならば、これまただんだん指摘して参りましたように、あるいは精神的、心理的に効果はありましても、また小者と申しましょうか、割合にわか作りのような、少年の乱暴な者の持っておる刃物のようなものを押えることはできても、ほんとうにおそるべき犯罪を犯そうとしておる者、その者の持っておるところのこういう刃物というものは、これはなかなか取り上げたりあるいはそれを提示させたりいたしまして危害を防止することには役立たないじゃないか、こういうことになるわけであります。そこでそれをやろうとすると、これはある点強制でどうしてもやらざるを得ない。長官のこれまでの答弁を聞いて参りましても、洋服の上からポケットを押えるくらいは差しつかえないだろうという御意見でございますけれども、これはそういうことでは済まないのでありまして、ほんとうにおそるべき犯罪の危害を防止しようとするならば、これはどうしても警察署あるいは派出所に連行をしていくとか、そのほかいろいろな強制的な手段によってその行使をやらなければ目的を達しないということになって参りますと、そういうような解釈が成り立つといたしますと、うっかりすると、いわゆる善良な者に対してまでもこれが乱用される危険なしとしない、こういうような危惧を禁じ得ないわけであります。そういう意味合いにおきまして、私たちはどうしてもそのような見解からこのまま賛成できないという考え方に立っているわけであります。法が一応制定されまして、運用の段階になりますと、これは大臣及び長官それぞれこういうことを起こさないようないろいろな御意見もあったようでありますけれども、法が一応動いて参ると、あるいは予想外の事態が起こるかもしれませんが、一つ十分その警察官の教養あるいは訓練等には御配慮いただくことはもちろんでありますけれども、でき得べくんばこういうような形でなくて、おそるべき暴力犯行、そういうものを取り締まる考え方で一つ善処してもらいたいものだと考えておるわけでございます。
 そういういろいろの基本的な考え方からいたしまして、私たちはこの法案に賛成しかねる。それだけの意見を申し上げて、反対の理由といたしたいと思います。(拍手)
#83
○濱田委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。
 銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#84
○濱田委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#85
○濱田委員長 本案に対し、自由民主党より附帯決議を付すべしとの動議が提出せられております。
 まず本動議の趣旨説明を求めます。仮谷忠男君。
#86
○仮谷委員 ただいま可決されました銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案に対して、私は自由民主党を代表して附帯決議を付したいと存じます。
 まず案文を読み上げます。
    銃砲刀剣類等所持取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり次の諸点に留意すべきである。
 一、警察官の調査権の行使については、警察官の平素の教養訓練等に遺憾なきを期し、いやしくも職権濫用にわたらぬよう厳に注意すること。
 一、本法施行により刃物製造業者の蒙るべき損失については、これが救済をはかるため、政府は融資その他必要な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上であります。
 提案の趣旨は、法律案の審議過程を通じまして、まことに真剣な質疑応答が繰り返されたのでありますが、私はその論点にかんがみまして、附帯決議を付する必要を痛感したのであります。
 どうぞ全員の御質問をお願いいたします。(拍手)
#87
○濱田委員長 以上をもちまして趣旨説明は終わりました。
 本附帯決議案に関し発言があればこれを許します。――別に発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。
 附帯決議を付すべしとの本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#88
○濱田委員長 起立総員。よって、動議のごとく決しました。
    ―――――――――――――
#89
○濱田委員長 次にお諮りいたします。すなわち、ただいま議決せられました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○濱田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次会は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後零時二十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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