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1960/02/14 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号
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1960/02/14 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号

#1
第038回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第1号
本小委員会は昭和三十六年二月九日(木曜日)委
員会において設置することに決した。
二月九日
 本小委員は委員長の指名で次の通り選任され
 た。
      伊藤 五郎君    岡田 修一君
      金子 一平君    簡牛 凡夫君
      高田 富與君    藤井 勝志君
      細田 義安君    米山 恒治君
      平岡忠次郎君    堀  昌雄君
      安井 吉典君    横山 利秋君
      春日 一幸君
同 日
 簡牛凡夫君が委員長の指名で小委員
 長に選任された。
―――――――――――――――――――――
昭和三十六年二月十四日(火曜日)
   午後一時四十一分開議
 出席小委員
  小委員長 簡牛 凡夫君
      伊藤 五郎君    岡田 修一君
      金子 一平君    藤井 勝志君
      細田 義安君    平岡忠次郎君
      堀  昌雄君    安井 吉典君
      横山 利秋君    春日 一幸君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  大久保武雄君
        大蔵事務官
        (主税局長)  村山 達雄君
        国税庁長官   原  純夫君
 小委員外の出席者
        大蔵委員長   足立 篤郎君
        大 蔵 委 員 田原 春次君
        大 蔵 委 員 藤原豊次郎君
        大蔵事務官
        (国税庁直税部
        長)      白石 正雄君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税の執行に関する件
     ――――◇―――――
#2
○簡牛小委員長 これより会議を開きます。
 このたび私小委員長に選任されました。各位の御協力によりまして職責を全うしていきたいと存じます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
 税務行政に関する諸問題について調査を進めます。
 この際横山利秋君から発言を求められております。これを許します。横山利秋君。
#3
○横山小委員 大蔵委員会の決定に基づきまして、税制及び税の執行に関する小委員会が発足することができましたのは、まことにけっこうなことだと私は存じておるわけであります。
 そもそも、戦後の徴税の状態と今日の状態、税務行政機構を考えますときに、この十五年間には非常な変化を遂げておるのでありますが、特に戦後の混乱期とも申すべき状態におきましては、一方では非常に権力的な立場が余儀なくされ、また納税者の方といたしましても帳簿記帳などが粗雑でございますから、そういうような両者相待って、片や密告制度が採用されたり、あるいは報償制度が採用されたり、そういう混乱期の状態でございましたが、今日におきましては、いろいろな議論はございますものの、経済も当時と比べまして平静になり、徴税機構、制度等もようやく軌道に乗ってきたように思われるわけであります。しかしながら、他方考えてみますと、なお徴税機構の中に根強く残っておると考えられますのが、いわゆる権力的な徴税の機構であり、ものの考え方であります。本来、税というものは、根本的にはその性格上権力を付随するの余儀なくされるものでありますから、また国民の義務でもありますから、その権力的なものを払拭するということは、常識としては成り立つが、議論としてはなかなか成り立たないものであるということは、私もよく承知はいたしております。しかしながら、それでいいかというと、そういうものではないと思うのであります。税務行政がより民主的に行なわれ、より合理的に行なわれることが、今日の納税者一般の異口同音に唱えるところでありまして、いかに税法が改正されて減税がされましょうとも、実際第一線に当たる税務職員諸君の裁量にゆだねられるところ、判断にゆだねられるところがきわめて多いのでありますから、その判断なりあるいはまたその裁量が民主的、合理的に実行されなければ、これは画龍点睛を欠くうらみがあるのであります。そういう観点に基づきまして、先般、本委員会の前身ともいうべき小委員会が、税務の執行を調査いたしまして、中間答申を発表いたしましたものの、その後いろいろな事情でそれがなくなりまして、せっかくの目的が十分な効果を上げなかったことは非常に残念でございます。従いまして、私は、基本的には税務行政の民主化の促進のために、いささかなりとも権力的な要素をだんだんとなくしていって、そしてより合理的、より民主的に明朗な徴税が行なわれるように、本委員会が所期の目的を貫徹するよう、私は前もって委員長にも同僚の皆さんにも要望いたしたいと思うわけでございます。
 そこで、それではどういうことから本委員会が活動を開始したらよろしいであろうかということでございますが、この点につきましてはいろいろな問題がございます。数え上げるだけでも大へんたくさん問題がございますが、一つには調査にあたって、個々の問題を解決するという観点ではございませんから、それに支障を及ぼすようなことはできるだけ避けなければなりません。できる限り徴税行政及びその運営の一般的なものから取り上げて、しかもそれが納税者に直接影響のある諸問題から取り上げて、そして前進を始めたらどうかと思うのであります。そういう観点から、私は、二、三の問題について国税庁の状況をお伺いもいたしたいし、私どもの意見も開陳をいたしたいと思うのであります。
 第一の問題は質問検査権の問題であります。納税者の立場で見ますと、普通調査であれ、特調であれ、あるいは査察であれ、いかなるものであれ、税務職員が調査に参りましたときに、それを拒否をいたし得る要件は税法上どうなっておるのであろうか。税法上では、かりにそれを拒否したら、今度は令状を持ってくるということになっておるのでありますが、納税者としてはそういう拒否の要件というものがあるのであろうかどうか。法律はそうなっておっても、実際問題としては、拒否したらあとがこわいというその心理的状態からいって、税務職員はオールマイティの質問検査権を持っておるのが実際問題ではなかろうか、こう思うわけであります。先ほど座談の際に春日さんからも話が出ましたように、それが税法通りに行なわれていない。これは一つの問題であろうと思います。先般本委員会で私が申したのですが、税務職員と警察職員あるいは司法職員、そういう人たちに対する国民大衆の感じは、何といいますか、極端なことをいいますと、恐怖と敬遠感というものがございます。しかし、一方警察職員は別な意味において非常な信頼感を持たれておるのでありますが、税務職員にはそういうものがないようでございます。納税者の立場からいって質問検査権というものはいかにあるべきか、またそれでは実際運用は税法及びその諸規定のように行なわれておるか、これが、すべての納税者に影響のある、初歩的な、しかも一番大事な問題ではなかろうかと思うわけであります。
 それから、第二番目の問題として、先般やはり本委員会で問題を出しておるのでありますが、税務職員が非常に少ない。少ないから全部一々シラミつぶしにできないからというわけで、最近御採用になっておられるいろいろな方法があるようであります。たとえば巡環調査だとか重点調査、基幹調査とか、こういうような調査方法はどのようにおやりになっておるのであろうか。どういう観点でおやりになっておるのであろうか。その調査の方法が適切であろうか。もしも人が足りなくてそういうことを余儀なくされておるとするならば、それは本委員会としても考えなければならぬことではなかろうか。そういう状況によって、現時点でありましょうとも、不公平な徴税が実際問題として行なわれておるのではなかろうか。こういう点が私どもの提起いたし平たい第二番目の問題であります。
 それから、第三番目は、第一線に働く税務職員の心がまえの問題であります。先般長官は、税務職員の心がまえについて、ただいま御提出をいただきました業務運営方針の根幹ともいうべき三方針について御説明になりました。私はその際にも申したのでありますが、これは、何といいますか、そう言っては恐縮でありますが、きわめて形式上の問題であって、もう一歩進んだ税務職員の――私の表現をもってするならば誇りといいますか、矜恃と申しますか、自覚、自尊心、こういうものに、その内容は欠くるところがあるのではないか、こう思われるわけであります。何とならば、結局納税者と税務職員というのは対立的な状況に立つことを余儀なくされておるのでありますが、その納税者が税務職員を見る目が、信頼感よりも、先ほど言いました恐怖と敬遠というものが重点を占めておるわけでありまして、こういう納税者に対する税務職員の心がまえは、また極端に申せば、大ていどこでも大なり小なりたたけばほこりの出るからだだ、こういう考えが潜在意識としてあるわけであります。かりに一例をもっていたしますと、そこの納税者が間違った記帳の仕方をして、あるいは税法を知らずに損をしておるような場合におきましても、進んでこれを是正して納税者の利益を守るということは、積極的な税務職員の心がまえとしてはたしかないように見受けられるわけであります。他方においては、税務職員はすべて先ほど申しましたように重大な責任を与えられております。税務職員ほど判断と裁量をゆだねられておる者はないと思うのであります。たとえば国鉄職員を例にとりましても、非常に責任を持っております。列車の機関士なんかは人命を預かっておるのでありますが、四十万職員の者が全部そうかというと、必ずしもそうではないのであります。しかし、税務職員である限りは、ほとんどがそれぞれその裁量と判断をゆだねられておるといっても過言ではないのであります。そういう税務職員に対して納税者の見る月、それから税務職員が納税者を見る目というものは、今日のような状況であってよろしいものではないと私は思うのであります。私は、一つには、この心がまえはいかにあるべきか、同時にその責任に対する措置はどうあるべきかという点につきましても、われわれとしては一歩を進めて検討する要があるような気がするわけであります。
 そういう点からいたしますと、まだたくさんの問題を含んでおるのでありますが、あまりたくさんの問題を提起してもいかぬと思いますから、この調査の進行過程におきまして、さらにいろいろな議論をいたして参るにいたしましても、当面私が考えております二、三の点を申し上げまして、今後の委員長の審議の御判断に資していただきたい、こう思うわけであります。
#4
○春日小委員 私は、やはり税の苦情処理機関というものを、もう少しオーソライズする必要がありはしないか、こういう考え方を持つものでございます。戦後あらゆる行政の面が民主化されてはおりまするけれども、しこうして税制の面にも形式的な民主化の制度がさまざまあげられておりますが、しかし、実質的な運営の過程において、やはり権力徴税的な傾向がなお多分に残存しておりますことは、ただいま横山君が指摘された通りであります。従いまして、戦後シャウプ勧告を契機として、昔の賦課徴収制度から申告納税制度という変革を契機として、税制の民主化がはかられはいたしましたが、さてその権力、すなわち国家権力と納税義務者との間にそごを来たした場合のその調整というものが、現在のあの規定でもって最終的に調整の実が上がるかどうか、はなはだ疑問とせざるを得ないのであります。二審制再調査、協議団の再調査等いろいろな過程があるでありましょうが、しかし実質的にこれが全的な機能を発揮し得る態勢のものとは考えられないのであります。いやしくも、現在の裁判所機構におきましては、基本的人権が最高度に保障される立場から、一審、二審、三審と万全を尽くした意味において完全な体系が作られておりますのに、生命の次の財産権のこの徴税の義務に対する当、不当の救済を求める機関というものは、いうならば戦後思いつきでできた堀立小屋のままで、それが今日に至っておるというのが実情であろうと思うのであります。従いまして、憲法の求められた範囲内において、さまざまな制約があるでありましょうが、さればとて海難審判所の例もあり、その他さまざまな方法もあると考えますので、この協議団の機構というものをこの際抜本的に一つ変える、こういうことも今や調査、研究の対象となすべきものではないかと思うのであります。いずれにいたしましても、国税局長が事実上税務職員の任免権を持ち、その任免をいたします税務職員の個々の査定をしたその徴税額というものに異議を申し立てる、あるいはまたそれを裁く裁判官、弁護士というような形のものが、これまた同じ国税局長の人事権下にあるというようなことでは、これは協議団の諸君が独自の権威に基づいて独自の判断を百パーセント行なうというにいたしましても、おのずから精神的な影響力もあり、最終的な機構としての問題もあろうかと思うのであります。こういう意味におきまして、私は、この際、協議団といわず税の苦情処理について一つの権威ある機関を国家として作り上げる必要があるのではないか。これが本委員会において御調査を願いたい一つの案件でございます。
 次は、ちょっと雑談のときに申し述べたのでありますが、実は私も、昭和二十七年以来引き続いて本委員会でいろいろ同僚諸君と徴税行政についての勉強をさせていただいておりますが、私印象を受けておりますことは、法律が出されましても、実際の徴税現場においては、その法律そのものよりも、むしろ国税庁長官の通達、直税部長の通達、こういうようなものが実は法律にも増して優先的なバロメーターになっておるのでございます。しこうして、さらには、今横山君から指摘されましたような、通達というような権威ある根拠を持たずして、どこから現われたかわからないという形で出てきた、この間堀君が指摘されたようないわば効率表、標準率表というようなものも、法律の根拠なくして実際的には国民に対して拘束力を及ぼしておると思うのであります。でありますから、私は、数年前の本委員会において、すべからく国民に義務を課するがごとき通達に対しては、これが法律の精神に照らして背馳することがあるのかどうか、なお確認するというような意味において、これは必ずしも行政権を侵犯するというような意味ではなくして、少なくとも大蔵委員会等の理事会くらいにかけて、一応意思の疎通をはかってはどうかというようなことを申し述べ、有権的ではありませんでしたが、今後そういう方針をとろうということで、確認事項として記録されておると記憶いたしておるのでございます。しかしながら、その後一、二回そういう問題についての連絡がございましたけれども、すでにして、そういう問題については、制度上の疑義もあるでございましょうが、行なわれてはおりません。従って、法律の精神に基づいて出される政令、通達、しかも各種の通達というものと法律との関係、こういう点についても、やはり国民の基本的人権を守るという立場において、なおチェックするための何らかの措置が国家的に必要ではないか、こういう点もありますので、この点についても一つまとまった意見を練ってもらって、調査対象にしていただきたいと思うのであります。
 大体私は二つの問題を提起いたしましたが、なお最後に、もう一つだけ研究を必要といたします問題は、例のお知らせ制度が廃止されました。この問題は、本委員会で深く論ぜられ、法律違反の行為であるとして、お知らせ制度が形式的には廃止されました。けれども、実質的には、さまざまの事前調査、標準調査、いろいろなことが行なわれまして、そうして、個々に申し出がある場合においては、それが内示されるということによって、お知らせ制度と同じような拘束力を持つといいましょうか、影響力を与えるところの徴税行政が執行されておると思うのでございます。白色申告の納税者の中には、お知らせ制度があった方が便利だった、三十万円納めるつもりでおっても二十万円というお知らせがあれば得だし、それから、まるっきりどんぶり勘定だから、どれだけ納めていいかわからないけれども、お知らせ制度があるということで、一つの目安が置けるというので、それがあった方がよかったのだ、要らぬことをやってくれたという非難もありますけれども、しかし法律というものはやはり執行されなければならぬと思うのでございます。そういうわけで、白色申告者も相当あり、なおかつ実際それらの諸君がどんぶり勘定であるとするならば、なお租税法定主義、申告納税制度のもとにおいて、これらの諸君の申告額をどのように指導していくか、行政指導の面において別個に、やはり母親のような気持で指導する一つの体系というものが考慮されてもいいのではなかろうかと考えるのでございます。
 以上三点、すなわち協議団の事項、拡充強化することをも含めた苦情処理機関の権威ある体制の確立、それから今のお知らせ制度にかわる、事前申告制度のあり方についての変わった権威ある制度の確立、それから国税庁長官、直税部長、間税部長、主税局長あたりの行政通達なるものと法律との関係、こういう問題について一つお考えを願いたい、こういうことを申し上げておきます。
 以上、三点であります。
#5
○簡牛小委員長 ただいま両君より提起されました諸問題につきましては、次会以後の小委員会において調査を進めることといたしたいと思います。
 なお、横山君から資料要求について発言を求められておりますので、これを許します。横山君。
#6
○横山小委員 恐縮でございますが、私から提起いたしました問題について、資料をお願いしたい。
 第一の質問検査権の問題は、法規上どうなっておるかということを一つ具体的に印刷をして配付されたい。それから、現在行なわれている税務調査の方法、いろいろあると思うのでありますが、その調査の方法について、私どもにわかりやすい印刷物を御配付願いたい。
 以上でございます。
#7
○簡牛小委員長 次会は来たる二十二日午後一時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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