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1960/05/10 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第7号
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1960/05/10 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第7号

#1
第038回国会 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第7号
昭和三十六年五月十日(水曜日)
   午後一時二十五分開議
 出席小委員
   小委員長 簡牛 凡夫君
      伊藤 五郎君    岡田 修一君
      細田 義安君    平岡忠次郎君
      広瀬 秀吉君    堀  昌雄君
      安井 吉典君    横山 利秋君
 出席政府委員
        国税庁長官   原  純夫君
 小委員外の出席者
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    泉 美之松君
        大蔵事務官
        (国税庁直税部
        長)      白井 正雄君
        大蔵事務官
        (国税庁調査査
        察部長)    喜田村健三君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
五月十日
 小委員広瀬秀吉君同日小委員辞任につき、その
 補欠として横山利秋君が委員長の指名で小委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 税の執行に関する件
     ――――◇―――――
#2
○簡牛小委員長 これより会議を開きます。
 税の執行に関する諸問題について調査を進めます。
 質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
#3
○横山委員 先般来、本小委員会で、私は、徴税の基本的な問題であり、かつあらゆる納税者にすべて関係があります問題を取り上げまして、主として質問検査権あるいはまた挙証責任あるいはそのほかの問題を取り上げておるのでありますが、ここに誤解を生ずるおそれもなきにしもあらずでありますので、一言私の立場を申し上げておきたいと思うのであります。
 従来本小委員会で税務行政のあり方としていろいろ議論いたしました中で、私は、戦後の混乱期ならいざ知らず、今日にあっては、より合理的な民主的な徴税行政が行なわれなければならぬ、その意味では、できる限り戦後の混乱期の権力的な要素を――できる限りと言っておるのですが、できる限りこれをなくして、それにかわるべき何かのものが必要ならばこれをつけ加えるべきである、こういう立場で進んできたわけであります。従いまして、私が取り上げております問題が、たとえば脱税者擁護というふうに見られるのはまことに心外でございまして、もしそういう点が議事に残りましたのでは私の心外といたすところでございますから、その点は小委員長初め各小委員並びに政府、国税庁におかれても、一つ十分真意を洞察していただきたいわけであります。
 そこで、先般の本小委員会の私の質問で、あのときにやりましたのは、たとえば質問検査権についてその、正確な定義というものはどういうものであるかという点が一つと、それから、税務行政上質問検査権というものの意味がオールマイティのような印象を与えておる。これは与える税務官吏に問題があるのか、あるいは納税者の方に本来的にそういう恐怖心があってそうなっておるのか、両々相待っておるのか、問題はございますけれども、これが偽らぬ現状であるような気がする。従いまして、私の議論いたします問題の焦点となりますのは、質問検査権というものの法律上の定義はどういうものなのか。これが第一であります。それから、もし法律上の定義よりもかりに逸脱している点があるとするならば、これは是正すべきである。これが第二であります。第三番目は、もしも法律上の定義に今日欠くるところがあるならば、これは改正すべきである。これが第三であります。こういう点で以下質問をいたしたいと思うわけでありますが、私がこの問題を、取り上げまして以来、各方面におきまして相当な反響が起こりまして、質問検査権並びに税務調査の限界というのがどういうものであるかについて相当の議論並びに反響が起こっております。国税庁におかれても、私の手元に入手いたしました週刊「国税広報」二百九十六号をもって、二面、三面を費やして、私の質問と国税庁側の御答弁の要旨を載せられて、おそらくこれが全国津々浦々に配布をされておると思うのでありますが、そのあるべきところを暗に示唆されておるような気がいたすのであります。しかしながら、これがまだ実は私にとりましては解決もいたしておりませんから、いま二度この質問検査権の定義について一つお伺いをいたしたい。いささか本日の議論は理論的でございますから、国税庁側にお聞きするよりも主税局長にお伺いをした方がいいと思いまして、後刻おいでを願うことになっておるわけでありますが、少し最初の間は理論的に率直に簡単に御答弁が願いたいと思います。
 私の考えるところによりますと、文字通り質問をし検査をするのである。それに対して現行法は黙否権は認められないという解釈を国税庁側はとっておられるわけであります。それから、先般の御答弁によりますと、検査を拒否するというわけにはいかぬというようなお話がございました。具体的に一つお伺いをいたしますが、収税官吏が納税者のところに行って、第一に机の引き出しを自分があけること、第二番目に自分で金庫をあけること、第三番目に自分で帳簿やあるいは領収書をいただくと言ってこれを取ること、第四番目に、預かり証を自分で書いたといたしましても、それを置いたといたしましても、本人がそれを承諾という客観的事実がなくしてこれを押収する、持ち帰る、あるいはこれは今後手を触れてはなりませんと言うて事実上の封印をする、第五番目にその本人の出頭を要求する、これらはすべて本人の許諾なしにということでありますが、これらは税法上における質問検査権の範疇に入るのか入らないのか、それをまずお伺いいたしたい。
#4
○白井説明員 税法上の質問検査権につきましての御質問でございますが、私ども、現在の税の建前は御承知の通り申告納税の建前をとっておるわけでございますので、納税者の皆様方が自主的に真実の所得を申告していただく、それによって税務の手続が一切終了するということが理想的でありますし、私どもはそれを目途といたしまして努力いたしておる次第でございます。しかし、ただいまの現状におきましては、すべての申告が正しくりっぱなものであるという状態には必ずしも立ち至っていないわけでございますので、従いまして、課税の公正、権衡を保つという意味からも、やはり税務官署といたしまして調査をいたしまして、誤っておるところはこれを正して公正な決定をいたしまして、そして正しい納税者と同じようなレベルにおきまして課税を実施するということをなさねばならないという状態であると思うわけでございます。そういう意味におきまして、税法といたしましては、収税官吏に質問検査の権限を与えまして、これによって正しい納税を確保することを担保いたしておるわけでございます。しかしながら、法律のそのような権限を行使するにつきましては、個々的な具体的な場合にどのようにそれを運用するかということは、運用の実情に応じまして、いわばこれが私たちの担当いたしておりまする最も重要な行政の問題であるわけでございます。それは個別的の場合におきまして妥当にこれを運用するということを行なわなければならないことは申すまでもないことでございますが、この個別的な個々の運用というものにつきましては、これを微細にわたりまして法律的に規制をすることが必ず望ましいかどうかという問題に相なるわけでございます。ただいまの御質問の趣旨を拝聴いたしますと、質問審査権がある場合におきまして非常に絶対的のように考えられるから、この点におきましてどういうところに限界があるかということを明確にせよというような御趣旨のように拝聴いたしたわけでございますが、これを、もし、法律の規定がある部分におきまして必ずしも明確でないから、従ってそれを微細にわたって明確化しようという御趣旨に出ずるものといたしましても、これは個別的な千差万別の事態に対応して運用しなければならないわけでございますので、そのような個々別々の問題にわたりまして個別的に規定をするということはおそらく不可能ではなかろうか、不可能でないにしても非常に困難ではなかろうかということが考えられるのでありまして、むしろ法の最後の運用は良識をもって運用する、行政の妥当性を確保するということは、行政の実態におきましてそのように運用を重ねていくという努力に待つべきではなかろうかというように思うわけであります。
 そういう意味におきまして、お尋ねの趣旨とあるいは若干はずれる答えになると思うわけでありますが、私どもはそういう考えに立っておるわけでありまして、従って、概括的に申し上げれば、所得税法の六十三条におきましては、必要があるときはこれこれを行なうというように規定されておるわけでありますが、「必要があるときは」と規定しております趣旨は、必要がないときには行なってはいけない。しかし、必要があるとかないということはどういう場合にどのように判断をするかということは、やはり個々別々の具体的の場合に判断しなければならないわけでありまして、一般的にこの規定ということはなかなかできないだろうということに相なろうかと思います。しからば、必要があるというのは、その衝に当たる収税官吏がみずから判断をして行なうわけであるから、これは独断的になるのではないか、こういうことに御質問がなされるだろうと思います。もちろん一応は必要があるのかないのかはその個々の収税官吏が判断をすることになろうかと思いますが、同時に、それはまた客観的にいわゆる良識をもって判断をして、行き過ぎだということになれば、それはやはり必要がないにもかかわらず必要ありと判断してやったということに判断がなされるわけでありまして、やはりそこにはおのずから良識によって判断せられるという制約があろうかと思うわけであります。そのような意味におきまして、現在の六十三条の収税官吏の質問検査権は、これにリミットがあるとかないとかいうことをここに一般的にお答えするということはなかなか困難でありまして、個別的な個々の具体的な運用の実情に応じまして良識をもって判断する、こういう問題であろうかと思うわけであります。
#5
○横山委員 前段は私の聞いてもらいたい意見でございますが、私の聞きたい点は、収税官吏が机の引き出しをあけること、第二に金庫をあけること、金庫を探ること、三番目は帳簿や領収書を持ち帰ること、第四は本人の出頭を要求すること、五番目は、預かり証を書いたにかかわらず、本人の許諾なしに押収、封印ができるかできないかという具体的なことをお伺いしておるので、この点は良識の問題ではありません。あくまでも法律の解釈の問題であります。しかし、白石さんがこの点はお答えがしにくいという御意見ならばけっこうです。別な角度から法制局にお伺いをいたしたいと思います。法制局も答弁ができないということであるならば、また別な方にお伺いをする。私は、良識という問題は最後の問題で、法律の解釈をお伺いしておる。法律上質問検査権というものはどういうものなのかということの解釈をお伺いしておるのでありますから、このように聞いて下さって、国税庁としては答弁の限りではないということであるならばけっこうです。次の質問に移ります。
#6
○原政府委員 今五つか六つ言われましたいろいろな行為についての考え方でありますが、これは相手が拒んでいるというのに力でやるというのは、理屈を詰めていくと、いろいろ問題があろうと思いますが、私は横山さんがそういうふうにぎりぎりの角度でお聞きになっているのかどうか、そこを実は心配するのであります。それは税というものはいろいろな課税標準をとりますが、なかなかこれは納税者の申告だけでは正確を期しがたい。そのゆえに税務官吏がたくさんおって調査もやるわけであります。世の中でいろいろ経済行為をやっておる。その他活動をやっておる。その結果所得が出る。その所得をもとにして納税する。これはフェアに所得その通りで納税するというのが本然的な義務であり、それが申告納税制度というものに期待されているわけであります。従って、いろいろな帳簿書類等の質問検査といいましても、これは隠しておるのが当然だというものを無理やり行って広げてというような形のものではなくて、納税者も当然その調査に行ったら見せなければならぬものである。オープンにしなければならぬものである。私は理念はその通りだと思います。そして、そのゆえに罰則を設けて、万一断わるという場合には罰がいきますよという制度になっておる。それも断わるのが当然だというようなことでなくて、実際にはこれを振りかざして臨むということはなくても、納税者は大体良識的に所得の諸源に関係あるものは出して下さるだろうという前提に立っておるわけであります。従いまして、断わればいいのかというようなことではもちろんないということは、冒頭のお話でもわかるのでありまして、むしろ、私としては、納税者がそういう場合にどうか税務の正しい調査に御協力下さるように、また納税者としても、所得の形成といいますか、計算といいますか、そういうものはなかなかむずかしい。税務署員が行って調べるというのは、何もあばくというだけのことではなくて、お互いに社会においてそういう公平な課税の前提である所得語源の確認をしようというわけであるから、進んで出していただくというようなことにいきたい。何か今のお話が、そういうような角度で私伺っておりますと、そこをぎりぎりと詰めておっしゃるのが一体どういうようなことになるのだろうか、むしろもう少し向きの変わったような御議論がしていただけると都合がいいなというふうに実は思うのであります。気分で恐縮でありますが、一言申し上げておきます。
#7
○横山委員 気分で話をしてもらっては困るのです。私ども大蔵委員としては、あなた方に都合のいいときもあるし都合の悪いときもある。きょうは都合の悪い質問だからと言うて、私の質問している一面だけとらえて、それは国税庁としては仕事がやりにくいから質問してくれるな、それが納税者に及ぼす悪影響を考えると、どうも質問もしてもらいたくないし答弁もしたくないということは、少し手前みそ過ぎると思います。良薬は口に苦しといいますが、私の質問しておることが、自分の、痛いところ――と言うと語弊がありますが、税務行政上痛いところであるから困るということで、あなたの言っておる意味は、先ほど言いましたように脱税者擁護というような格好になっておるのじゃないか。そういう一面だけをとらえたのでは話にならないと思います。きょうはあなたの方の都合の悪いことばかり言うことになりますけれども、それが何もすべてじゃないのです。私はそれを百も承知でおるけれども、しかしながら、こういうことも一ぺんははっきりしておかなければならぬ。あなたのおっしゃる意味は前段の問題であり、白石さんの言う良識ということも最終的の問題だ。しかし、それは百も承知で、その一面だけをとらえて、いつかは一ぺんはっきりしてもらいたい、はっきりしなければいけないのだ、そういうはっきりしたところに一つの税務職員の良識も生まれるのだ、こういうかたい信念を持って私はお伺いしておるのであります。けれども、なおかつこういう具体的の事例について、それはよいとも悪いとも言えぬというようなことでありますならば、質問検査権の定義というものは、きわめてぼやけたものになる。税務官吏は納税者の家に行って自分で机をあけてもよろしい、金庫をあけてもよろしい、帳簿や領収証を持ち帰ってよろしい、本人を国税局なり税務署に呼んでよろしい、領収証さえ書けば何を持っていってもよろしい、こういうことをまさかおっしゃるわけではあるまいと私は思います。この一面は、都合が悪くても、いつかははっきりしていただきたい。この点は大蔵委員としての五、六年の間に一回もまだ議論されたことがない。六年に一回くらいは、あなた方に都合の悪いことであっても、それがいけませんならばいけません、しかし納税者側に協力はしていただきたいという両面を持った答弁であっても、法律解釈としては、あなた方の信ずるところを明確に言われる政治的、行政的な責任というものがおありになるのではないかと私は思います。なおかつ国税庁として答弁しにくいということでありますならば、先ほど言ったように、別の人についてこの問題に触れて明らかにしたいと思います。
#8
○原政府委員 先ほど申しましたように、納税者がどうしても拒むという場合に、それをしも実力行動をするということは非常に疑問があるということを申したのですが、その前に、実際にそういう場合の雰囲気といいますか、そういうものを考え、かつ、先ほど申しましたように、原則としては納税者に出していただかなければならない――これは法律にもはっきり書いてあるのでありますが、見せていただかなければならないものだから見せていただくように税務官吏もやるということは当然だと思います。そういう場合に納税者が断わるというのはおそらく非常に少ない場合であろう。また、それをいいですか、いいですかというようなことで行くのじゃなくて、見るのがいいのは当然である、断わってはいけないのだ、しかし断わると罰則がある、そうやって公的な納税義務の正確な実現に御協力がないという場合においては、罰則で臨まざるを得ないということになっておるのだから、その調査の場合のかまえとしては、当然お出しになるというかまえでやるというようなことはあると思います。その辺のところは、いいかいいかということで行くということではとてもやれないという点を御了承願いたいと思う次第でございます。
#9
○横山委員 もう一歩進みますが、私の考えとあなたの考えとは少し違う点があります。それは、質問をし検査をする権利ということ。質問をして答弁をしなかった場合においては、この間のあなたの方の判断のように、黙秘権というものがあるという前提に立っていらっしゃる。それから、検査をするということは、金庫をあけ、机の引き出しをあけ、そして家の座敷の中にも入っていくという意味の検査であるのかどうかということであります。この点は明らかに私の判断は違うのであります。それはもう明らかに実力行使の捜索に類することだ。検査というのは、帳面を出してもらいたい、出す、出したらそれを検査するのであって、うちじゅう家探しをして検査をする意味ではない。これは明らかに捜索と検査との違いである。従って、このうちじゅうを事実上捜索に類したようなことをすることは、これは権限外のことである。従って、これをあえてした場合においては、本人の承諾なくして行なった場合においては、税法上は職権の乱用になる、場合によれば住居侵入にならないとも限らない、こういうふうに私は考えます。従って、検査は、書類なり帳簿なり出されたものを検査する権利というものがあるので、その意味の検査を拒んだら罰則はあるけれども、自分が金庫をあけ、引き出しをあけて、うちじゅう探し回って、それを拒否したら罰がある、こういう考えは私はとらないのであります。いかがですか。
#10
○白井説明員 この前も御質問がありましたように、捜索と検査との限界がどのあたりにあるかという御質問だと拝承したわけでございますが、捜索は、刑事訴訟法等において規定せられておるように、これは差し押えるべき物件の差し押えを目的といたしまして、実力を持ってみずから行動を起こして探す、これが捜索でございます。従いまして、これは妨害があれば、その妨害を排除して実力行動をもって行なうということでございます。これに対しまして、検査はやはり提供を受けたものにつきまして調べることでございますが、しかし、検査をする以上、これは提供を受けなければ検査はできないわけでございますので、あの中に書類が入っておる、その書類を一つ見せて下さい、これは当然要求をして、そうしてこれを検査できるわけであります。検査で伺いましたが、何も出さない、検査すべき物件を提供しない、こういうことでありますれば、これは検査ができないことでありますから、検査を拒んだことになるわけであります。従いまして、帳簿、書類があるだろう、伝票があるだろう、あの金庫の中に帳簿、書類があるだろう、それを提供してもらいたい、そうすれば当然その帳簿、書類を提供して検査を受ける、こういうことに相なるわけでありまして、もしその提供を拒むことは、それはやはり検査を拒み、あるいは隠してないように見せかけておけば、検査を忌避する、こういうことに相なろうかと思うのであります。従いまして、具体的な場合におきましては、家探しをするというふうにおっしゃいましたのでございますが、これが実力をもって妨害を排除して行動を起こすということに相なりますれば、これはやはり捜索になるわけでございますが、同意を得てその物件の提供をなさしめるということは検査でございまして、現在私どもの税務署が行なっております検査は、納税者の同意を得て検査をいたしておるということでございます。同時に、そのような物件の提供を拒むことは、これはやはり検査を拒むことになりますので、六十三条の質問検査権を拒んだ場合の罰則の規定の適用がある、こういう意味におきまして、やはり間接的に強制をせられておるわけでございますので、従いまして、納税者の方はこういった検査に応じて、やはり金庫の中を提供して検査を受けておられるということが現状ではないかと考えるわけでございます。
#11
○横山委員 泉さんが大蔵省を代表していらっしゃったわけですね。どういうふうに、どちらに聞いたらいいかわかりませんけれども、税法の解釈というものを泉さんに聞きたいと思います。今の白井さんの見解に私は同意いたしかねる。同意を得て書類を提出させ、それを検査する。あなたの力も、同意を得て、こう言っていらっしゃる。同意を得てだけれども、事実上は、それを拒否したらこれは処罰があるのだから、事実上はみな見せてもらうのだ。それならば同意ということが入っておることはどういう意味があるのか。同意とは一体何ぞや。同意を得て書類を提出してもらってそれを検査する。しかし同意が得られなかったら処罰をする。同意が入っておる意味は一体どういう意味なのか。それを泉さんに……。
#12
○白井説明員 その前に、私の答弁がまだ不十分だったようでございますから、ちょっと補足させていただきます。
 同意を得てと申しますのは、六十三条が規定しておりますところの質問検査権は捜索と違って実力行動はできないわけであります。従いまして、これを担保するために、この質問検査権に応じなかった場合におきましては処罰するぞ、つまり、質問検査に応じない場合において、お前は応じないけれども、おれはやるぞということで実力をもってそのものを持ってくるということはできないわけであります。しかし、同時に、応じないならば罰するぞ、だから応じなさい、こう法律は構成しておるわけであります。捜索の場合……。
#13
○横山委員 あなたの意見はわかりました。そうすると、同意を得てという文字が入っておるのは、同意が得られなかったらそれで引き下がるけれども、処分がある、こういう解釈ですね。私はそうは思わない。私の意見は、同意を得られれば書類の提出が当然得られるのであるけれども、質問し検査する権利というものは、検査をするというのは出されたものを検査する権利であって、その検査を拒んだら処分があるのであって、書類の提出権は規定していない、書類の提出権はないのである、権利がなければそれに対する処罰もないのは当然である、こういうふうに私は解釈しておるのです。
#14
○白井説明員 これは常識的に考えまして当然のことであろうかと思うわけでありますが、たとえば目の前に書類がある、これを検査に行った、そこで検査をしますぞと言った、しかし納税者の方はこれをうしろの方に隠して提供しない、これは検査に応じないのではなくて、書類の提出をしないだけであるということでは、これは常識的にはいささか変ではないかというふうに皆さんお考えになるのじゃないかと思うわけであります。法律が検査の権限を与えた以上、物件の提供は当然予定しておることでありまして、検査すべきものの提出がなければ検査ができないことは当然のことであろうかと思うわけであります。従いまして、納税者のお宅にお伺いして、あなたの方は帳簿、書類があるだろう、それを出して下さい、こう言って、いや、帳簿、書類はない――ほんとうになくてないとおっしゃれば、これはほんとうでありますから、それはそれでいいわけでございますが、もしあるにもかかわらずないと言えば、これはやはり質問検査権の権限に対しまして応じなかったということになることは当然であります。法律の構成上、質問検査権限を与えた以上、これは当然そのことにならなければ質問検査の権限が行使できないわけでありますから、私は当然のことであろうかと考えておるわけでございます。
#15
○横山委員 あなたの例は手近な例ですが、それでは私はあなたと逆な例を出します。中へ入っていって、そして裏の金庫の中にあるものを全部出して下さい――いい悪いは別ですよ。それを拒んだ場合、書類を出せませんと言った場合においては当然処分ということになる。運用をするかしないかは別ですよ。法律上の定義としては、書類は全部出して下さい、それから検査するのにあなたは出してきて残すかもしれぬから、私も裏の部屋まで行って、金庫をあなたがあけるのを待って、そして金庫の中を私は全部見ます、こういう権利も含まれることになるんです。それから、そのほかに、部屋を全部見せて下さい、押し入れの戸だなをあけて下さいという権利も、あなたに言わせると含まれるわけですね。運用の問題ではなく定義の問題です。
#16
○白井説明員 たとえば、事業者につきまして、事業所得の調査にお伺いをする。そういたしますれば、事業に関する帳簿、書類その他一切につきまして一応検査をするわけでございまするので、そういった帳簿、書類をある、だけ出していただきたい、あるだけお出しにならなければ、やはりそれは応じられなかったということに相なるかと思います。
#17
○横山委員 私の質問に答弁なさってないのですが、その帳簿が全部か全部でないかはわからぬです。わからぬから、収税官吏としては、全部であるかないかについて自分で確認をする必要があると感じて、全部出してこないかもしれぬからといって帳簿のある奥の部屋へ自分がついていく、金庫をあけるのを待つ、金庫を全部あけさせる、目の前に全部出させる、それからなげしの戸だなをあけて下さい、どこに隠しているかわからぬのだから……。こういう意味で家探しを本人の同意を得て――同意を得てといったところで同意にはならぬのですけれども、ぐるぐるついて回ってやるということは困るといって拒否をした場合には、これはやはり検査を妨害したことになるのか、こういうことを聞いておるのです。
#18
○白井説明員 その検査を事実上どの程度まで行なうかということは、これは究極におきましてやはり運用の問題になるのではないかと思うわけであります。従いまして、これが、良識をもってして、非常に行き過ぎであるとか、まあこの程度は妥当であるとか、そういった個々の運用の場合におきましてなるべく行き過ぎのないように、そういう点におきましては注意をして運用していくというように考えておる次第でございます。
#19
○横山委員 この辺になりますと、あなたと私の意見の相違点です。私は検査という意味を厳密に解釈し、あなたの検査という意味は事実上私のよく言うオールマイティだ。行き過ぎがあればとおっしゃるけれども、その行き過ぎというものはどういうものなのかと問うてみますと、あなたは良識で判断するよりしようがないと言う。良識というものは収税官吏の持つ良識なんです。その良識は一体どこに限界があるかということになりますと、お答えがないわけですね。ですから、私はもうあくまで言いますけれども、法律解釈というものの定義、それから先というものは一体何があるか、どこがいけないかという点についてはお答えがない。これはもう見解の相違として次へ移りたいと思うのです。
 黙秘権に少し関係をいたしますが、一人の収税官吏が税法上の質問検査権と国税犯則取締法上の質問検査権と同時に持って納税者に質問検査権を行なうことがございますね。この税法上の質問検査権は、あなた方の定義でいいますと黙秘権がない、国税犯則上の質問検査権は黙秘権がある、あなたの方の解釈はこういうことで間違いありませんね。それだけまず最初に聞いておきます。
#20
○白井説明員 さようでございます。
#21
○横山委員 そこで、黙秘権の問題に移るわけでありますが、今の例から話を進めた方が話がしやすいと思うのですが、私はそういう解釈については一つの疑いを持っておるわけであります。憲法上の黙秘権は刑事手続だけにあって、収税手続にはない。手っとり早い話をいえば、どろぼうや人殺しには黙秘権があるけれども、納税者には黙秘権がないのだ、結論的にいえばそういうことなんですが、そのことについては私は疑いを持っています。しかしながら、一応あなた方の定義から進めるわけですが、そうすると、こういう場合が想像されるのです。一人の収税官吏が普通の税法上の質問検査権を行なう。あなたは黙っていると処分をされますよ、処罰をされますよ、こう言って普通の質問検査を続けていくうちに、国税犯則取締法上の問題が浮かんできたとする。これはえらいことになったというわけで、どんどんそのまま推移して、本人にはもうこの段階では黙秘権があるということを通告もせずに、そのまま質問検査を進めて国税犯則事犯として結論を出すということは、これは憲法上の違憲行為になるというふうに私は思うのですが、いかがですか。
#22
○白井説明員 各税法に規定する質問検査権に基づいて質問をいたします場合と、それから国犯法の規定に基づいて質問をする場合とは、それぞれ別個の手続としてやっておるわけでございます。従いまして、各税法に規定する質問から国犯法に規定する質問に移行する場合におきましては、今からは犯則嫌疑者として国犯法に基づく質問をいたしますぞという旨をその相手の納税者に告げて、そうして取り扱うというように行なっておるわけでございます。
#23
○横山委員 その場合に、納税者にはよくわからないのですが、これから国犯法による刑事的な問題として進むのである、従ってあなたには憲法に基づく黙秘権があるということを通知をするのですか。また、そういうあなたの解釈は収税官吏すべてに徹底をしておるのですか。そういうことは何かの通達その他について書いてあるのですか。
#24
○白井説明員 国犯法に基づく手続は、査察事件の場合のように、一般的の場合におきまして、ほとんど別個の担当者がこれを行なっておるわけでございますので、手続上明確に区分して実施いたしておるわけでございます。
#25
○横山委員 間税関係では、収税官吏が私が言った同一の事例に陥ることはありませんか。
#26
○泉説明員 私からお答えするのはいかがかと思いますが、間接税の仕事をかつてやっておった者として申し上げますと、横山委員のおっしゃるように、間接税関係におきましては、間接税の事務を担当している職員が納税者のところへ行って質問検査をしておる段階におきまして、国犯法に違反する疑いを生じまして、その国犯法による質問検査の手続に移る段階がございます。その場合におきましては、先ほど白井税部長から申し上げましたように、これから国犯法による質問検査に入ります、従って、黙秘権がありますから、もしそういう点がありましたらおっしゃって下さいということを告げるように通達が出ております。
#27
○横山委員 私が聞いておりますのは、その通達の中に黙秘権があるということを本人に告げるべきであるという解釈をしておるのですが、その点については、これから国犯法でやりますよと言うことは、相手に対する畏怖の念は与えても、憲法で保障されておる救済措置についての通告にはならない、私はそう思うのです。ですから、憲法上の救済措置があるということは通知はなさらないわけですね。
#28
○喜田村説明員 お答え申し上げます。
 ただいまの税法上の調査から国犯法上の検査に移る場合、私の所掌しております直接税につきましては、一応査察官の方に、別の人になるわけでございますから、同一人がそのまま切りかえることはございませんが、間接税の場合には、ただいまから国犯法に規定する質問に移行するとその旨を告げる、こういうことになっております。
 それから、第二番目の、黙秘権と申しますか、供述拒否の規定があるということを告知することが必要かどうかという問題につきましては、現在、国犯法上の質問に対する供述ということにつきましては、黙秘権と申しますか、供述拒否権の存在を告知すべき義務があるというふうには解釈されておりませんで、この点につきましては、高等裁判所の判例で幾つかの判例がございまして、収税官吏が犯則事件調査の方法として犯則嫌疑者に対して質問する場合には、あらかじめ供述拒否権のあることを通告する義務はないというふうに解釈すべきである、こういった判例が幾つか出ております。
#29
○横山委員 私はそのことをちょっと読みましたが、私がその大審院の判決をそら読みいたしました感じでは、大審院のその解釈が文字遡り黙秘権の存在を言う必要はないと言っているのではなくして、言うべきではある、けれども、言わなかったからといって、その国犯法の訴訟が無効であるということを言っているのではない、こういうように私は解釈していますが、違いますか。
#30
○喜田村説明員 高等裁判所の判例では、まあ違法にはならない、そういったことを言っているわけでございます。
#31
○横山委員 最高裁を議論しておって、また高裁になるのですけれども、私の言う意味は、あなたの良識にそれこそ待ちたいのですが、憲法で救済されている黙秘権の告知を言う必要はないとあなたも判断しておられるのですか。大審院の判決は、言うべきである。しかし言わなかったことがこの事案を無効にするものではない、そういうふうに私は解釈しておる。私はその解釈にも憲法上の問題があると認めるのですが、百歩譲っても、今から国犯法の審理に入りますよということは、納税者に対する畏怖の念を起こすだけであって、無法で保障されている救済措置をもあわせて言うべきである、そして堂々と調査、審理を進めるべきである、こう解釈いたしておりますが、違いますか。
#32
○喜田村説明員 ただいま私の答弁申し上げましたのは、存在を言うべき義務はない。言う必要はないと言ったのじゃございませんで、言う義務はない、言わなかった場合にも違法の問題は起こらない、こう言っただけでございます。
#33
○横山委員 言っただけではなくて、あなたの見解を問うているのです。言うべきであり、かつ言うべき義務がある。これは憲法において保障されておる納税者以前の国民の権利である、こう思うのですが、そんなことは憲法を読めば国民はわかるのだから、言わなくったっていいのだという解釈でございますか。それとも、今までのことはさておくとして、そういう場合、これから国犯法による審査を始める、同時に、あなたには憲法上の黙秘権があります、それを承知の上で私どもはかかっております、ということを言うべきであると私は考えるのですが、いかがですか。
#34
○喜田村説明員 言わなければならないということは、現在のところ法律的には出てこないということでございまして、言った方が妥当かどうかといった問題は、またよく研究して措置したいと思っております。
#35
○横山委員 私は、それこそ――こんな事例はそうたくさんありませんけれども、それこそ、民主的な、無法に基づいた合理的な税制、納税者に救済措置のあることも教え、そして国税庁としてはそれを申して、なおかつ合理的な徴税行政をやる一つのかなめだと思うのです。そんなにたくさんある問題ではありませんけれども、しかしそれを言わなくったっていいのだというお考えは私はとらないところだと思います。
#36
○原政府委員 お気持はよくわかります。そういうお気持を含んで、今喜田村君は研究しようと言ったのだと私は考えます。ただ、今ここで歯切れよく言わせるようにしようということまで言うのは、私としてもいささかどうか。といいますのは、やはり事刑事訴訟法の、その他行政関係のいろいろな検査、取り締まりに関して同種の問題があって、一連のそういう検査、取り締まり、それから罰則、それと黙秘権という問題は御存じの通り非常にむずかしい関係のある問題でありますから、そういう気持はよくわかりますということで、なお検討いたしたいということを申したものだ、そういうふうに御了解願いたいと思います。
#37
○横山委員 それでは、先ほどの検査の問題と含めて、第二番目に今言いました黙秘権の告知に関する問題を保留いたしまして、第一番目は、やや水かけ論のような状況でありますが、さらに御検討を願いたい。第二番目は、結論のきまり次第、本委員会を通じて私の方にご回答願いたい。
 三番目は、同じような問題でありますが、私は、この納税者に黙秘権はないかという点について、やはり基本的には行政手続上でも黙秘権はあるのではないかという考えを持っておるわけであります。まあきょうはあまり時間がございませんから、多少あなたの力のぺースで質問をするわけですが、かりに今の例をもっていたしましても、黙秘権のない段階とある段階と、そのつなぎが問題になってくるわけです。この間白井さんは本委員会で、堀君も少し意見をそのときに言っていましたが、黙秘権がない段階で調査した結果というものが刑事手続の場合に証拠になり得るかなり得ないか。刑事手続の場合には明らかに黙秘権があるのです。ところが、黙秘権のない段階で査問検査権を発動して調査した資料が、実際問題として黙秘権のある段階における証拠資料として提出されることはないのか。これはもう理論の余地なく証拠件数にはならない。黙秘権のない段階で質問検査権を発動して調べたそのものは刑事手続上の証拠書類にはならないというふうに私は判断しておりますが、いかがでございますか。
#38
○白井説明員 刑事訴訟法上あるいは裁判上の証拠力がどういうものであるかということにつきましては、私からお答え申し上げることは適当じゃないと思うわけでございますが、ただいまの問題につきましては、税法上の質問検査権に基づきまして納税者から陳述を求める、その陳述を基礎といたしまして課税をいたすわけでございますが、その質問検査権によって求められたところの陳述、これは書面の場合もありましょうし、あるいはまた口頭の場合もありましょうが、それはそのままでは刑事訴訟法上の証拠力はないものと、かように解釈いたしておる次第でございます。
#39
○横山委員 この「国税広報」はどなたが編集責任になられたかわかりませんが、あなたの答弁を要約されて、こういう答弁が全国へ行っているわけです。「各税法で認められた質問検査は、税法の目的を達成するためのもので、これを犯罪捜査に使ってはならないという意味である。したがって、各税法にもとづく質問検査は、所得の調査に必要であるかぎり用いられるわけで、その調査結果をただちに刑事上の責任を追及する証拠としてはならないし、また証拠にならないと言っているのである。」そこまではいいのですね。「ただ、問題が刑事上の事件に発展した場合、ものが同一であるから、税法上の証拠であると同時に刑事上の責任を追及する証拠にもなりうることがある。」ここが問題である。最後に「こんな場合でも、刑事上の証拠は刑事訴訟法などの手続によって行なわれる」と書いてある。最後はいいですね。しかし、まん中は、問わず語りにあなたの真意を物語っているような気がする。「ただ、問題が刑事上の事件に発展した場合、ものが同一であるから、税法上の証拠であると同時に刑事上の責任を追及する証拠にもなりうることがある」。実際問題としてそうじゃありませんか。私はむしろ逆に聞きたいのです。この質問検査権の段階において集めたものが、実際問題としてはそれが基礎になって、刑事手続上の証拠になっていくのが普通の常識ではないかと思う。それが、あなたのおっしゃるように、途中だけが問題ですが、あと、先のように明確にそれを遮断して、刑事手続上の証拠にはしない、また証拠になるような要素なりそういうようなことはしないというように、断言が一体できるかどうかということです。
#40
○白井説明員 税法の六十三条は質問検査権を認めておるわけであります。質問検査権によって何が得られるかということでございますが、これは陳述が得られるわけであります。従いまして、これは書面によってこうこうであるという陳述もありましょうし、口頭による陳述もあろうかと思うわけでありますが、その言った陳述によって所得の真相を把握いたしまして、そして課税を行なうわけであります。ところで、もし刑事訴訟法上の手続が進行いたしまして、判決をいただく、あるいは犯罪を追及する、こういう場合におきましては、やはりその証拠を固めるわけであります。そういう場合に、だれだれの所得は何々であるが、その所得はどれどれ何々の脱漏がある、その脱漏の根拠はこれこれの売上伝票の脱漏があるから、そのもの自身を証拠として出すということもあるだろうと思われます。そういう場合におきましては、その抜けているところの、脱漏せられておるところの売上伝票なるものは、これはものでございまするので、従って、これを領致いたしまして証拠として提出をする、こういうこともあろうかと思うわけであります。その場合は、当然そのものは刑事訴訟法上の手続によって領致せられて、脱税の証拠の物件として提出せられる、かように相なるわけであります。ただ質問検査権によって得られましたところのものというものは、これはものというのは陳述でございます。その陳述を収税官吏は基礎に置きまして、そして課税をいたすわけでありますが、その陳述そのものをもって直ちに刑事訴訟法上の証拠となすということはできない、こういうことでございます。
#41
○横山委員 ものと陳述とを分けて、そのあなたの言うものについては、これは事実といいますか、文字通りものでありますから、これはある程度あなたの意見を了承いたします。けれども、そのときであっても、あなたの文句の一番最後にありますように、「こんな場合でも、刑事上の証拠は刑事訴訟法などの手続によって」これがいわゆる証拠であるかどうかという認定があって始めるべきだと思うのです。それから、陳述そのものについては、私の見解をもってすれば、また各方面の見解をもってすれば、それを刑事手続上のそこへ出すこと自身が問題ではないか。なぜならば、黙秘権がない段階と黙秘権のある段階とでは、これは事の善悪は別ですよ、繰り返して言いますけれども。しかし、国民に与えられている権利というものは、もうそれは雲泥の相違があるわけですね。黙秘権のない段階において、あなた流の質問検査権で陳述をさしたものを、結局は刑事手続上の資料にあなたの方は提出をしておるのではありませんか。事実それが土台になっておるのではありませんか。もしそうなら、私はむしろ角度を変えた方がいいと思う。また、そうでないなら、この刑事手続に利用されないように行政手続を私は新たに考える必要があると思う。言いかえれば、行政手続で得た資料を刑事手続で使ってはならないというふうにはっきりさせる必要があると考える。私の意味はおわかりでございますね。憲法上の救済措置がある段階とない段階との移り変わりが明確ではない。これほど重大な問題が――黙秘権があなたはないですよということを、そう納税者直接に実際問題として言ったり聞いたりはいたしますまい。けれども、税法の根底を貫く問題として私はきょうお伺いしておるのですが、この際、黙秘権のない段階、国民にとっては重大な段階、それから黙秘権のある国民にとっては重大な段階との移り変わりの権利を明確にして、刑事手続に利用されないように行政手続を考える必要があると思うわけです。これはむしろ立法論ですから、泉さん聞いていらしったら意見を聞かしていただきたい。
#42
○白井説明員 普通の各税法の認めておりますところの質問検査権によって求められた陳述は課税の資料としてのみ使っておるわけでございまして、これをもって刑事訴訟法上の証拠として提出するというようなことは行なっておりません。御承知のように、脱税事件につきましての犯則事件は、初めから査察事件といたしまして別個の手続によって進行いたしまして、そうして検察庁の方におきまして証拠その他の事務を扱っておるわけでございまして、われわれが課税上扱っておりますところの各税法による質問検査権によって求められた陳述とは全然別個の手続によって進行しておるところでございます。
#43
○横山委員 それでは、重ねて聞きますけれども、質問検査権の段階においてなされた陳述等は、これは刑事手続に移行される場合においてそれを証拠とはしない、それを提出するようなことはしない、こういうふうに伺ってよろしいですか。
#44
○白井説明員 証拠にするしないの方は、むしろ国税庁関係でやることではございませんので、これは刑事訴追を行なうところの検察庁の方の問題でございますけれども、現実の問題といたしましては、収税官吏が各税法の質問検査権によって得たところの陳述は、刑事訴追の場合には使っていないのでございます。
#45
○横山委員 そうですか。――それでは少し角度を変えてお伺いいたしますが、国犯法の第一条のしまいの方に「帳簿、書類等ヲ検査シ又ハ此等ノ者ニ於テ任意二提出シタル物ヲ領置スルコトヲ得」とありますね。ここでいう「任意二提出シタル物ヲ領置スルコトヲ得」という「任意」という意味はどういう意味でございますか。
#46
○白井説明員 国犯法の第一条は、これは任意調査であります。国犯法は二条以下におきまして強制調査の権限を与えておるわけであります。従いまして、強制調査をやる場合におきましては、もちろん裁判所の裁判官の許可を得て行なわなければならぬわけでありますが、第一条は任意調査でございますので強制力がない。そういう意味におきまして、領置する場合においてはこれは強制ができませんので、任意に提供してもらわなければ領置できないという、そういう意味で任意という言葉が使われておるのであります。
#47
○横山委員 そうすると、所得税法、法人税法にこういう条項がないのはどういう意味ですか。
#48
○白井説明員 各税法は質問検査権を与えておりますけれども、それ以上のことは規定していないわけでございます。
#49
○横山利秋君 それはわかりましたけれども、あなたは何を言おうとしているのですか。書いてない意味はどういう意味ですかという意味は、それでは書いてないから任意ならば領置してもいいという意味が法人税法、所得税法に入っているのですかということを僕は聞きたかったのです。
#50
○白井説明員 やはり税務行政は納税者の皆様方の御協力を得てすべて円滑に執行をする、こういうことで行なうべきものと考えておりまして、これが税務官署にとりましても納税者にとりましても最も望ましい状態ではないかと思うわけでございます。従いまして御協力を得て調査上いろいろ行なっておる次第でございます。
#51
○横山委員 そうすると、御協力が得られれば、書いてあろうがなかろうが任意に領置することもできるのだ、所得税法、法人税法上の質問検査権でもそういうことができるのだという解釈でございますね。
#52
○白井説明員 先ほどから、たとえば税務署に出頭をお願いするというようなことのお言葉もあったようですが、出頭をお願いする以上は、法律にやはり出頭を命ずるような権限がなければいかぬのではないかというようなこともあるいはお考えになっておるかと思うわけでございます。しかし、これは、最初に申し上げましたように、行政というものは、法律で微細にわたって規定をして、がんじがらめにするということでなしに、やはり良識によって官庁側と納税者側との協力によって行政は円満にいくものだと考えておるわけであります。従いまして、御出頭を願う場合も、別に強制力があるとかないとかいうような問題でなしに、お互いに協力をしてやるという意味におきまして納税者の方に御出頭を願っておるわけでございますので、そういう意味で、税務行政の各方面につきまして、別に法律の規定はなくとも、良識によって協力をして行政の運用をはかっておるということは多々ある次第であります。
#53
○横山委員 それは運用のところに逃げてはいけません。私はこう解釈いたします。任意調査の段階においても、なおかつ国犯法で任意に領置することができる。この任意ということは、法文上は拒否権があるということだ。しかし、任意に承諾を得て領置をしたものはというこの「領置」という意味は、普通に預かっていくという意味ではないと私は考えておるわけであります。たとえば、納税者のところへ行って、普通の一般の調査、所得税法、法人税法の段階の質問検査権によってこのものを預からせていただきますと言ったときに、拒否権があるでしょう。――私は拒否権があると判断します。その場合に拒否したからといって、これに対して処分はない。法律の定義ですよ。すぐあなたは実際問題を頭に連想して、それでは困るとおっしゃるのですが、定義として国犯法第一条にわざわざ書いてあり、そうして所得税法、法人税法に書いてない。書いてないけれども実際問題としてできるのだという解釈は私はとりません。どうですか。
#54
○白井説明員 また少し答弁があるいは御期待に沿わないかと思うわけですが、やはり行政は納税者の御協力を得て円滑にやっていくことが望ましいわけでありまして、もし納税者の方が一時御協力を願えないということになりますれば、それはやはり強制的にやらなければならない。そういたしますと、やはり国犯法その他与えられたところの強制力を使ってすべての行政を行なう、こういうことにならざるを得ないと思うわけでございます。これはいたずらにお互いの間に摩擦をかもすだけでございまして、望ましい状態でないわけでございまするので、法律に必ずしもこまかく規定するということでなしに、やはりできる限り良識によって納税者の御協力を得ながら円滑な行政をやっていくということが適当ではないかと考える次第でございます。
#55
○横山委員 私は具体例を引いてお尋ねするのはきょうは差し控えたいと思いますが、具体例は幾らでもある。しかし法律上の解釈については私は同意いたしかねます。あなたはどうも運用のことばかりおっしゃいますが、法律解釈としてこれをいいますと、国犯法の第一条で「任意二提出シタル物ヲ領置スルコトヲ得」、こういう条文は所得税法、法人税法にはないのです。ないものでも運用上できるのだという解釈は私はとりません。領置はできません。そういう解釈です。百歩譲って、それなら持って行って調べなさいと自発的に言うのならともかく、納税者に対して、これを一つ預からしてもらいます、いやですかというきめつけ方をする。それは当然そうされるのでありますから、そういう国犯法第一条の後段にありますような文句が実際問題としてできるという考え方は、これはきわめて歪曲した解釈だと私は思います。
#56
○白井説明員 国税犯則取締法の第一条に掲げられておりまする「領置」という言葉は、これは、法律の解釈といたしましては、犯則嫌疑者または参考人が任意に提出したその犯則事件の証憑と思量される物件の占有を収得する処分を言うものとする。つまり、占有を収得するわけであります。そういう意味におきまして、これはそのものを証拠の物件としてあとで使用するために占有を移すわけであります。そういう意味におきましては、各税法におきまするところの規定の中には領置の規定はございませんので、そういう権能はないということは法律的に言えることであろうと思います。ただ、税務官署が事実上行なっておりまするのは、調査の便宜上、いわば納税者の御協力を得て預かる。だから、預り証を出しまして預かるということが事実上行なわれておるわけでありまして、これはいわゆる国犯法におきまする領置というような意味におきまして行なっておるわけではないわけでございます。
#57
○横山委員 一歩後退をされましたけれども、それをもってしても、私は、この点も見解の相違をいたすところです。
 それから、ちょっと今度はこまかい点に移りますけれども、今探しているのですけれども、どこかに各団体に諮問することができる――たとえは酒税法の第五十三条の四項です。団体に諮問することができるということがありますね。そのほか所得税法の六十四条。これはどういう意味でございますか。カッコの中に「団体員の個人ごとの所得の金額及び団体が団体員から特に報告を求めることを必要とする事項を除く。」それを除いて、その団体員の所得について諮問することができるという意味は、その団体というものはどこからどこまでを言うのであるか、たとえば私なら私がかじ屋をやっていますと、そのかじ屋の協同組合というものですか。ここに言う団体というのは、自分が所属しておる団体のトップを言うのでありますか。
#58
○白井説明員 「事業をなす者の組織する団体」とございますから、これはそれらの事業体がどういう団体を組織しておるか、各種の場合がいろいろあろうかと思いまするが、それらの事業をなす人々の集まっておられる団体でございまするので、別にその団体の範囲は制限いたしておりません。
#59
○横山委員 わかりました。そうすると、この「事業をなす者の組織する団体」、「事業をなす者」、たとえば私なら私の組織する団体、直接に組織をされている団体ということになるわけですが、ここで言うカッコの中の「団体員の個人ごとの所得の金額及び団体が団体員から特に報告を求めることを必要とする事項を除く。」という意味は、その団体の構成員である横山利秋商店ならばいいけれども、そのほかの各個人ごとのものを諮問する権利はない、また、その団体が一々その個人ごとに報告をもらわんならぬようなことは諮問する権利がない、こういうふうに解釈してよろしいですか。
#60
○白井説明員 前段はもうその通りでございます。「団体員の個人ごとの所得の金額」とありますから、個人ごとの所得の金額そのままであろうかと思います。それから、後段の方の「及び」以下は、「団体が団体員から特に報告を求めることを必要とする事項」、これは、団体といたしましては、団体の存立上、仕事の性質上、いろいろ団体員から個々の事項につきまして報告をするようなことがあろうと思いますが、そういったことを除いた趣旨は、これは団体そのものについて諮問をして、それを課税の参考とするという意味で、団体を通じて個人の個々の数字まで求めるものではない、こういう趣旨によりまして除いておるというように解釈いたしております。
#61
○横山委員 私が質問しました趣旨は、なかなかこういうことに諮問事項――収税官吏の諮問という項目でありますが、なかなかよく考えてあると思うのです。実はこの間ふっと見て感心をしたわけであります。こういうリミットというものはもっとほかにあっていいはずだ。本来ほかの項目で言うならば、そんな諮問ぐらいにこういうカッコ書きをつける必要はなかろうというぐらいに、税法というものは広範に諮問検査権なり何なり規定されておる。ここだけえらく遠慮して書いてある。けれども、私の立場から言うならば、この遠慮がほんとうだ、こう考えておるわけなんです。たとえば一、二のことを聞きますけれども、銀行と税務署の問題が最近話題になっています。これは運用上の問題でお伺いすることになるのですが、某銀行に対して個人預金を全部出せということを言うたというのです。そんなことを言うたなら、ほんとうにそれが公式に言われたのかどうか、それを確かめなさい、そんなことは私は言えるはずはないと思う、かりに個人の名義のやつが架空名義で問題があるということはわかるけれども、不特定多数のその銀行の個人名義の預金を全部出せということを言ええる機能は収税官吏にはないのではないか、もしほんとうにそうおっしゃったならば、ちゃんと権威ある機関なりその責任者の名前を言って開いてごらんなさいということを言ってたのです。それは、もとはといえば、ある人の脱税の疑い、そこに架空名義の預金があるのではないかということで、しかしそれがわからぬ、どっかにあるに違いない、従って個人の名義のやつを全部出せという話に発展して、銀行は大弱りになって、さあどうしよう、どうしようということになった。それで、まあそこの銀行には事実その人の架空名義の預金はなかったのです。なかったけれども、その疑いがある、どうしてもわからぬから全部出せということになった。こういう事例は、たとえばこの六十四条に具体的には当てはまりませんけれども、しかしながら、精神上は当てはまるのではないか、こういう気がするのですが、それについての感想と、それからもう一つは、お役所同士は一体どうなっておるのでありますか。お役所同士で特定の個人、特定の会社の営業状態なりを質問、諮問をし、回答を受けるということが通常行なわれておるのかどうか。それは一体その法律上の根拠があることであるかどうか。お役所のみならず、公団、公庫等を含めて一つ御見解を承りたいと思います。
#62
○白井説明員 六十四の趣旨は、団体に諮問をして意見を聞いて課税の参考にするという趣旨であります。しかし、団体から個人別にあの人は幾らだ、幾らだというようなことを出させるということは、これはかつて所得調査員制度というようなものがあった経緯等を考えまして、そういうことはよろしくない、また団体に諮問したために特別に手続をかけて団体が何らかの報告を個人から、取るということも適当でないという趣旨で、カッコ書きが除かれておるわけでございまして、それ以外のことにつきまして団体から課税の参考になるような事項につきまして意見を聞くという趣旨であります。
 金融機関の例は、この前も問題になりましたように、金融機関を調査いたします場合におきましては、課税上疑いがあるという者につきまして銀行の調査をいたしておるということが実情でございます。一般的に全貯蓄費について一覧表を全部出せというようなことはいたしていないのでございます。
 次に、官庁関係の資料の提供でございますが、これは、税務官署といたしましては、あらゆる方面につきまして協力を求めまして、適正なる課税を行なうということが仕事でございますので、できる限り御協力を求め、資料を集めることに努力いたしておる次第でございます。
#63
○横山委員 また一つちょっと変わった問題ですが、所得税法六十三条の第三号と法人税法の四十六条、この関係で、こまかいことのようですけれども、税法の解釈をお伺いしたい。文句を読んでみますと、所得税法六十三条第三号、「第一号に掲げる者に金銭若しくは物品の給付をなす義務があったと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又は第一号に掲げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があったと認められる者若しくは当該権利があると認められる者」、「あった」が二つあって、しかも「ある」、過去と現在と両方あるわけですね。法人税法四十六条の方は、「国税庁の収税官吏又は法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の収税官吏は、法人税に関する調査について必要があるときは、法人に対し、金銭の支払若しくは物品の譲渡をなす義務があると認められる者若しくは金銭の支払若しくは物品の譲渡を受ける権利があると認められる者に質問し又その事業に関する帳簿書類を検査することができる。」これは、「ある」方は現在のものばかりなのか。これはちょっと私も、言葉の問題で固執し過ぎるかもしれませんが、ここに所得税法が過去と現在と両方いっておるにかかわらず、法人税法が現在のものについて質問検査権を認めておるゆえんはどういうわけでございますか。
#64
○白井説明員 実は、勉強不十分で、特に所得税法と法人税法との規定の文句の相違がどのような意味があるかということにつきまして、ただいまちょっと的確な御答弁をいたしかねますので、後日研究の上御答弁申し上げます。
#65
○横山委員 私は、質問検査権の限界というものをすみからすみまで探しておりましたところ、偶然それを見つけました。しかし、偶然に見つけたにしても、これは法律解釈上ゆるがせにできないことだと思うのです。法人税法では過去の問題に対して質問検査権はないということになってしまうのでございますが、そう解釈してよろしゅうございましょうか。きょうおわかりにならなければ、それではこの問題は後刻に譲りたいと思います。
 実は私は基本的にはもう一度オーソドックスに黙秘権の問題を取り上げたいと思い、それから質問検査権、調査の方法、挙証責任の問題についてさらに議論を展開して、一ぺんよくあなた方の解釈を聞き、本委員会として向こうべき方向を行たいと思っておったわけでありますが、きょうは委員長にお約束いたしました時間が少し超過いたしましたので、この辺で終わりたいと思います。
#66
○簡牛小委員長 次会は追って公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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