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1960/03/23 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第19号
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1960/03/23 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第19号

#1
第038回国会 大蔵委員会 第19号
昭和三十六年三月二十三日(木曜日)
   午前十一時開議
 出席委員
   委員長 足立 篤郎君
   理事 鴨田 宗一君 理事 黒金 泰美君
   理事 細田 義安君 理事 毛利 松平君
   理事 辻原 弘市君 理事 平岡忠次郎君
   理事 横山 利秋君
      伊藤 五郎君    浦野 幸男君
      金子 一平君    亀岡 高夫君
      川村善八郎君    田澤 吉郎君
      高田 富與君    竹下  登君
      津雲 國利君    塚田十一郎君
      永田 亮一君    西村 英一君
      藤井 勝志君    前田 義雄君
      米山 恒治君    有馬 輝武君
      佐藤觀次郎君    田原 春次君
      広瀬 秀吉君    藤原豊次郎君
      堀  昌雄君    武藤 山治君
      安井 吉典君    春日 一幸君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  大久保武雄君
        大蔵事務官
        (主計局次長) 谷村  裕君
        大蔵事務官
        (主税局長)  村山 達雄君
        大蔵事務官
        (理財局長)  西原 直廉君
        運輸事務官
        (自動車局長) 國友 弘康君
 委員外の出席者
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
三月二十三日
 委員宇都宮徳馬君、藏内修治君及び福田赳夫君
 辞任につき、その補欠として亀岡高夫君、前田
 義雄君及び浦野幸男君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員浦野幸男君、亀岡高夫君及び前田義雄君辞
 任につき、その補欠として福田赳夫君、宇都宮
 徳馬君及び藏内修治君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第二五号)
 地方道路税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二六号)
 物品税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 第七〇号)
 郵便貯金特別会計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第一〇四号)
 資金運用部資金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第一一六号)
     ――――◇―――――
#2
○足立委員長 これより会議を開きます。
 揮発油税法の一部を改正する法律案、地方道路税法の一部を改正する法律案、物品税法等の一部を改正する法律案、資金運用部資金法の一部を改正する法律案及び郵便貯金特別会計法の一部を改正する法律案の五法律案を一括して議題といたします。
 質疑の通告があります。これを許します。広瀬秀吉君。
#3
○広瀬(秀)委員 政務次官にまず第一にお伺いしたいのです。私どもは、前回の選挙の際に、またそれ以降にも、政府が、また自民党が、一千億を下らない減税をやるという約束は確かに聞いたのですが、増税をするというようなこととはただの一度も聞いたことがなかったわけです。このガソリン税はまさにそういう公約に違反をしたものだというように考えるわけですが、その点政治家として政務次官はどのようにお考えですか。公約違反であることをお認めになりますか。
#4
○大久保政府委員 道路の整備拡充につきましては、先般の選挙におきましても、おおむね二兆円によって道路の整備拡充をいたしたい、かようなことを訴えておりましたわけでございます。そこで、いよいよ予算編成に相なりまして、道路の拡充計画につきましてはいろいろと検討をいたしたのでございますが、十年間に四兆九千億の大体道路の整備拡充をもって日本の経済成長に即応いたさせたい、かような構想でございましたことは、御承知の通りでございます。これをいかようなる年度間配分をいたしていくかということは、相当慎重な検討をいたした次第でございます。そこで、一兆八千億程度でございますと、ガソリン税の増税をしなくともよろしいかということを考えたのでございますが、しかし、これを二兆円見当の道路の拡充整備という方針をとって参りますと、どういたしましてもガソリン税の増徴をしていくということが必要になって参りましたような次第でございまして、先般来本委員会におきましても討議が行なわれておりますように、道路の整備拡充をいたしていきますことが、また国民の経済の成長に、これがめぐりめぐってそれを推進いたして参りますという点にもかんがみまして、この二兆一千億の道路の整備を当初の五カ年間にやるという方針を立てました関係からいたしまして、ガソリン税の増徴をしょう、かような考え方に踏み切りましたような次第でございます。
#5
○広瀬(秀)委員 もっともらしい説明をするのですが、全然納得がいかぬわけであります。私が聞きたいのは、あなた方は増税をやるということを――選挙は十月から十一月にかけて行なわれたわけでありまして、この時期においてガソリン税を引き上げるんだというような考えがあったとすれば、当然これはそのときに言うべきであって、そういう形で減税だけを約束して、増税なんということは全然やらないんだということを選挙でははっきり言っておるわけであります。それなのに、数カ月たったらもうそれは増税をやるということになる。このことはやはり公約違反だと思うのです。公約違反をなさったのだ。これはもちろん道路整備が非常に緊急のこととして上ってきたというのだけれども、公約をしなかった場合には、これはやはり次にずらす。あるいは財源をほかに求める道を講ずる。特に自然増収なんかも予想以上にあって、木村参議院議員の質問に答えて、第二次補正をやったほかにも二、三百億程度のものは自然増収があるだろうということを言われております。こういうように総理大臣自身も認めておる。そういうように財源はほかに幾らもある。それをちっとも選挙で公約をしなかった増税をやったということは、これは何としても公約違反ではないか、こういうように思うのですが、その点はいかがです。その点をずばりと答えてもらいたい。
#6
○大久保政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、道路の緊急整備ということが経済成長の大きな一つのネックといたしまして登場して参りました今日におきましては、その一本の大きな棒を通していくということがきわめて緊切の問題になって参りましたので、いろいろの財源配当を考えてみましたけれども、一般財源におきましても、先般来御説明申し上げましたように、でき得る限りはこれを増額をいたして、少なくはございますけれども、約四%程度に引き上げておりますような次第でございます。そこで、その残されたるところは、欧米諸国におきましても例がございまするように、ガソリン税にこれを求めるといったような考え方をとりましたような次第でございます。
#7
○広瀬(秀)委員 どうもやはり正直にお答えにならないわけでして、その点は何回やっても水かけ論だと思いますから、問題を次に移したいと思います。
 きのう、主税局長は、私どもの立場としては、このガソリン税を値上げすることによって、消費税の本質上どこかに転嫁され得ることあるべし、こういう立場でこれをやっておるということをおっしゃったわけでありまが、そうしますと、担税力のあるところにやはりかけるんだということが税の一つの原則でありまして、担税力のないところにかけるというのは不当なのでありますから、しからば、一体それが石油業界、特にメーカーの段階か、あるいは販売業者の段階か、そこで値上がり分がどの程度吸収されるか、あるいはそれが実際に車を持っておる者に吸収されるのか、あるいは最終的に消費者に商品としてあるいは運賃値上げという形で転嫁されるのか、こういうようなことについて、きのうの答弁でも言ったようなことをそのまま受け取るならば、これは非常に無責任な立場だと私は思わざるを得ないわけであります。担税力のあるところにかけるんだ、しからばどの段階で、今度の値上げ、増税をやった場合に、その増税分が吸収されるかというめどをつけ、おそらくこうなるであろうというようなことの検討なしにやられたとすれば、これは、主税局の立場として、しかも最も明敏なる主税局長の立場として、きわめてけしからぬことだと思うのですが、その点どの階層に、どの段階に、どのようにこの増税分が吸収されるのかということをどういうように分析したのか、はっきり伺いたいと思います。
#8
○村山政府委員 きのうもお答え申し上げましたように、ガソリン税は消費税でございますので、従いまして消費税を上げます場合には、最終的な消費者が負担することあるべし、その場合の影響をどう考えるか、それが一番響いた場合の限界線になるわけであります。最終の、つまり運賃が上がり、そのために乗客がそれだけ負担する場合のことを考え、その場合また物価にどれだけはね返るか、これがデッド・ラインだろうと思います。消費税でございますので、転嫁関係が実際にはどういうふうになるかということは、経済の取引の実態に応じまして、その全部または一部が最終的な消費者に負担されるものであるか、あるいはその一部が合理化その他によって吸収されるものであるか、これはなかなか断言できないわけでございますが、われわれが上げます場合には、全部消費者に転嫁された場合の影響をどう考えつつ増税に踏み切るかどうか、ということを決意するわけでございます。ただ、これからは私個人の憶測でございますが、過去の事例を見ましても、それから、考えられる受益者と申しますか、消費者の道路整備による利益から考えましても、さほど、百パーセントこれが運賃にはね返り、それを負担するということはまずまずあるまい、かようには考えておりますが、われわれとしては一応全部はね返った場合のことを考えまして、増税するかどうかということに踏み切った、こういうことでございます。
#9
○広瀬(秀)委員 主税局長がお使いになる数字というものに私は問題があるだろうと思うのです。やはり主税局あたりで使う数字のデータになるようなものから漏れた企業等で、相当問題があるのじゃないかと思うわけであります。たとえば、その点で申し上げますと、運輸業は非常に収益率が高い高い、こういうようにいわれますけれども、それじゃ一体、あのダンプ・カーとか砂利トラックなんかというものが、あんなに無理して神風のように走って、最近相次いで大事故を起こすというような原因なんか――非常に収益率の高いところならあまり無理はしないと思うのです。そういうようなものは、おそらく主税局の資料の中には数字として入っていかない。都合のいいものだけが分析され整理をされるというようなことで、数字の扱い方というものは、数字の魔術という言葉もあるくらいで、そういうものに非常にこだわり過ぎている。現実のものはあなた方の調査の対象にならない。そして、データとして入らないようなところに非常に問題があるのだということは、今申し上げたダンプ・カーなんかの例によって、非常に明らかだと思うのです。こういうようなことをやはり考えて、数字の検討というものを常にやっていただかないと、大きな間違いを犯すと思うのです。今やはり最終的な消費者に転嫁をされる。その場合を考えても、この前の質問に対して答えたような、非常に軽度の影響しか物価等に対してはないのだ、という立場に立っておられるわけでありますが、その点は、私どもの考え方と、あなた方が使う数字の問題が、今申し上げたような点で差異がありますから、これはやはり水かけ論になってしまうだろうと思うのです。しかしながら、日本における自動車の車種別の数字なんかを見てみましても、外国の、特にアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスあたりと構成比において非常に差異がある。向こうの場合には、担税力の非常に多い自家用自動車、あるいはオーナー・ドライバーというような自家用の乗用車というようなものが八割以上も占めているというようなことになっておるわけです。ところが、日本の場合には、中小企業が持っている小型三輪トラックとか、あるいは四輪の小型の二トン積みくらいのトラックとか、あるいは農家の人たちなんかも最近だいぶ乗っている二輪自動車、こういったものが全体の車種の八割六分も占めて、非常に担税力の高い外国の乗用自動車というようなものと全く入れかわった形になっている、こういうようなことを考えますならば、これはやはり非常に問題があるわけであります。一体、収益率が高いとおっしゃるのは、どういうところをつかんで運輸業の収益率が高いとおっしゃるのか。この点をはっきり示してもらいたいと思うのです。
#10
○村山政府委員 これは法人企業統計の収益率調査でございますが、運輸業と一般産業との収益率を見てみますと、私今の記憶でございますが、たしか運輸業の方は五・何%、それから一般産業の方は多分四%前後であろう。そういうところを統計から見ているわけでございます。それで、ただいまおっしゃいましたように、なるほど日本につきましては必ずしも自家用車を持っていない、それが営業用のトラックであるとか、特に小型のものが多いというようなお話でございます。一般物価という観点ではなくて、これらの企業にどれくらいコストとして響くかということも、われわれの方で、一応の計算でございますが、サンプル調査をいたしまして、これは商家で使っている例でございますが、見ますと、今度の増徴によって〇・〇二六くらいのコスト・アップにはなる。ただ、実際きのうも大臣が申しましたように、道路の整備は、また自動車の所有者が受益者としてその利益を受け取るわけでございますので、コスト・ダウンの面も相当あるというふうに考えますと、この〇・〇二六というものが単純に経費として現実にそれだけ上がるかどうかということになると、これよりも相当緩和されるのじゃないだろうか、かように考えておるわけであります。
#11
○広瀬(秀)委員 資本金百万くらいの会社で、日に十二、三万くらいの売り上げで、小型三輪やトラックなどを三台ないし四台くらい持っている、こういうようなところで月に約四キロリッターくらいガソリンを使うというような中小企業は、その辺に一ぱいあるわけであります。そういうようなところは、今度のガソリン税の値上げ分だけでも一万円からの経費増になってくる、こういうようなことになりますと、これはやはり相当な問題があるんじゃないかと思う。こういう非常に担税力の低い、また税制の面なんかでも恵まれるところの少ない中小企業、そういうところが使うところの自家用のトラック、三輪車というようなものなんかで、今あげたように、日に十二、三万の売り上げというような場合でも、相当な負担というものがかかる。しかも、そういうところは、ほかの税制の面でも比較的恵まれていない。こういうものは、たとえば影響が少なくても、経営面における打撃というものは非常に受けるのであります。そういう中小企業に転嫁される面が、今日中小企業の諸団体がいっているように、ガソリン税の約三分の二程度は中小企業が負担しておる、こういう数字が出ておるのでありますが、そういう実情というものをあなたはお認めになられるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思うわけです。
#12
○村山政府委員 はなはだむずかしい御質問でございまして、実はわれわれも試算はしたことがございます。単純に出しますと、資本金五千万円以下くらいのところを考えまして、それ以上と以下のものを考えていくと、どのくらいの使用割合になっているだろうか。いろいろ推計を加えたのでございますが、六割程度は資本金五千万円以下のものであろうというところが出ております。御案内のように、法人で申しますと、大部分のものが、日本の場合は九割五分までが中小の同族法人である、こういう実態でありますので、今ガソリンの消費量から見ますと、五千万円以下くらいのところで六割くらい、こういうようなことも、そういう法人の実態からいたしますと、考えられるわけでございます。ただ、それが非常に酷な結果になるかどうかという問題になりますと、先に申しましたように、コストに対する影響は比較的軽微であるし、それから受益の程度も非常に大きい。それから、過去の例を見ましても、運輸業者の運賃を引き上げないで済んだような事例もございます。ですから、結局これはある程度運輸業者の場合には吸収される。同じように、運輸業者でなくても、同じ程度のものは、やはりある程度のものは吸収されるということになると思うわけでございます。ですから、この程度のことであったら、ごしんぼう願えるのではなかろうかというふうに考えるわけであります。
#13
○広瀬(秀)委員 大体五千万円以下の中小企業だというその区分けについては、異論のあるところですけれども、その点は本日の問題でありませんから問題にしないつもりですが、大体資本金五百万円以下くらいのところの会社、法人全体でどのくらい自動車を持っているか、こういう点について数字を調べたことはありますか。
#14
○村山政府委員 一千万円以下の法人については調べたものがあるそうでございますので、後ほど御報告申し上げます。
#15
○広瀬(秀)委員 いずれにしましても、日本の全部の自動車と名のつくものの中で、中小企業、あるいは農漁民なんかも含めて中小の人たちが持っているのが、非常に比率が高いのだということは、これは大蔵省としてもはっきりお認めになると思うのですが、いかがですか。
#16
○村山政府委員 日本の企業構成が、やはり外国に比べますと、中小企業が多いという実態からいたしまして、おそらく今先生のおっしゃったことは、その通りだろうと考えております。
#17
○広瀬(秀)委員 そうなりますと、やはりこのガソリン税を負担する階層というのは、中小企業にきわめて多いということが言えると思いますが、その通りに見てよろしいですか。
#18
○村山政府委員 中小企業の数が多いということは、やはり自動車を使い、それから道路を使用する者に、中小企業の方が多い。従って、ガソリンの消費量も、先ほど申しましたように、五千万円以下のところで大体六割程度消費するであろう。これを多いといえば多いわけでございますが、その点は大体問題なかろう、こう考えます。
#19
○広瀬(秀)委員 言葉を濁さずに、その辺のところを一つはっきりさしてもらいたいわけです。やはり六割以上の中小企業がガソリン税の六割以上を大体負担する、こういうことですね。
#20
○村山政府委員 さようでございます。
#21
○広瀬(秀)委員 それで、この中小企業の人たちがガソリン税全体のうちで六割以上を負担して、しかもそれをきわめて容易に商品等に転嫁し得る情勢にあるかどうかということになりますと、これは中小企業における過当競争というような面も非常に出ておって、これをスムーズに最終的に商品の値上げという形で転嫁できない要素というものも非常に多いわけであります。そうしますと、過当競争というようなことから、そういうことができないということになると、やはり中小企業というものが、そこで非常にガソリン税の増税という面における圧迫をかぶる、こういうようなことが考えられるわけでありますが、その点いかがですか。
#22
○村山政府委員 これは程度の問題でございまして、たとえばこれよりまして経費が一割も二割も上がるというようなことになります、とおっしゃる通りだろうと思うわけであります。われわれの計算では、大体〇・〇二、三%だということになりますので、しかも、その合理化によりまして、先ほど申しましたように、修繕費が安く済むとか、それから、道路の整備によって、同じ走行キロを走る場合には、ガソリンの消費量が少なくて済むとか、その他直接間接の経済的な利益というものが道路の整備によって生まれると思いますので、その程度のものであれば、それが現実に転嫁ができないかどうかということになりますと、私はそれほどのことはなかろうという感じがするわけであります。
#23
○広瀬(秀)委員 中小企業の経営の実態というものは、今主税局長がおっしゃるように、なまやさしい、味もそっけもない数字をいじくってみての結論とはまるっきり違う、いろいろな要素というものが入って、非常に苦しいわけです。そういう中で、かりに〇・○二だ、こういうような数字は――その数字自体も私どもは納得できないものを持っているわけですけれども、個々の中小企業に当たってみますと、問題というのは非常に深刻なものがあるわけです。それに対して、全体的な数字をながめて、しかも都合のいい数字だけを拾って〇・〇二だというようなことは、中小企業は、やはり現実にトラックを持ちあるいは三輪車を持って、毎日商売をやっているのです。そういうような人たちにとっては、もしそんな〇・〇二しかならないのだというようなことを言ったら、これは怒られるだろうと思うのです。中小企業の人たちは、今日われわれはガソリンを燃しているのじゃない、ガソリン税を燃しているようなものだというようなことを言っているわけです。日本のガソリンはまだ国際価格と比べてどうこうというようなこともいろいろおっしゃいましたけれども、税引き価格にすれば、これは非常に、世界でも、主要国と比較してみると一番安いのじゃないかと思います。イタリアが十五円くらい、日本がやはり十五円くらい、アメリカ等においてはもっとかなり高くなっているはずであります。そういうようなことを考えても、販売価格の中において税金の占める割合というのは、今度値上げをすれば六割近くにもなろうとしている。こういうようなことを考えれば、しかもそういうガソリンの税率が相当高い。また、これはもちろん、この前の主税局長があげた数字では、国民総所得と比較してみると、アメリカ並みだというようなことも言われましたけれども、アメリカの所得水準というのは、少なくともわれわれの十倍に近い。そういうようなものと単純比較することによって、一・三%ぐらいしかならないのだから、まだ負担能力があるということをおっしゃられたら、まるっきりこれは数字の魔術ということがはっきりするのであって、それじゃ、アメリカ国民が日本と同じように九万円しか国民所得がないとするならば、その税額負担割合というのはどういう工合になるかというようなことを考えてみれば、これはたしか日本の二万二千七百円に対して千四百四十円ぐらいにしか当たらないものなんです。なるほど現実の税額そのものは高いかもしれないけれども、所得水準というもので調整をとって比較をした場合には、そういう結果にもなる。こういうようなことを考えていただかなくちゃならないわけですが、そういう比較というものを本気になってやられたわけですか。それで、しかもなお担税力あり、また日本のガソリン税はまだ安過ぎるんだ、こういうように言われるつもりですか。
#24
○村山政府委員 まあ国民所得に対する比率がどれくらいになっているかというお尋ねがありましたので、この前お答えをしまして、今度は増税後で一・三%ということを申し上げたわけでございますが、われわれは、もちろん、単純に国民所得とガソリン税の税収を比べてみて、その担税力があるとかなんとかということを、それだけから出しているわけではございません。主としては、こういうものは、一般的増税と申しますよりも、揮発油税は、どちらかと申しますと、受益者負担的な要素の非常に強い税種でございます。従いまして、第一には、一体今の道路整備というものが、それら主として道路を使用する人たちにとって必要であるかどうか、あるいは日本の経済に非常に必要であるかどうかという観点から考えるわけでありますが、その限界線として考えられますのは、国民所得もさることながら、やはりこういう国際商品でございますので、税抜き価格は大体以ております。大体税抜き小売価格が、円に換算しますと、どこの国でも一キロリットル当たり一万九千九百円程度、違いましてもそこが百円から千円ぐらいの間でございまして、これは国際商品の性質上ほとんど似ておる。こういうことを考えますと、この税込み価格がどの程度きているかという問題と、今の自動車道路整備というものの需要、それからそれの及ぼす影響、こういうものを各方面から見まして、増税しても差しつかえないかどうかということを判断せざるを得ないと思うわけでございまして、今度の運賃に占める比率とか、あるいはトラック等を持っている商家等のコストに占める比率、そういった点を考え、改正後どれくらいの税込み国際価格になるか、そういう点を考えまして、今度ぐらいの増税はごしんぼう願えるんじゃないか、こういう総合的な感覚でございます。
#25
○広瀬(秀)委員 政務次官にまた一つお伺いしたいのですが、今主税局長の答弁でも、大体日本の自動車の構成比率というものは、担税力の多いオーナー・ドライバーというようなものでない、きわめて必要に迫られた小型の三輪車やトラックというようなものが八割から占めているんだということを言われる。そしてガソリン税の税収の六割以上というものが中小企業によって占められている。しかも、その中小企業というのは、常識的に考えて担税力の乏しいところだ。そういうところに、たとい主税局長の言を一応いれて、わずかとしましても、とにかくそこに値上げというもので負担を転嫁されていく、こういう形になっておる。そうしますと、そういう財源を九割以上も使って道路を整備するということは、日本の中小企業の犠牲によって日本の道路整備が行なわれるんだ、こう考えてもいいわけです。中小企業の納める税金によって日本の道路整備というものが行なわれるんだ、こういうようになるわけでありますが、そのことをはっきりお認めになりますか。
#26
○大久保政府委員 中小企業者に対する負担を軽減して参りますことにつきましては、これは政府といたしましてもあらゆる面で考慮いたしておるところでございますが、このガソリン税に関連いたしまして、中小企業者に負担をよけいかけておるじゃないかというお尋ねに対しましては、今も局長から申しましたような次第でございますけれども、一方から申しますと、地方におきましても、悪道というものが、事業の経営に、あるいは車両の運転保守といったような面に二重、三重の経費の増を見なくなっちゃならぬ、こういう面もあるわけでございまして、道路がりっぱになれば、そういったような自動車の整備費あるいはトラックの整備費といったようなものが、それだけ縮減、節約せられるといったような面もございますので、それやこれやを勘案いたしまして、今回のガソリン税の増税程度でありましたならば、ごしんぼう願えるんじゃなかろうか、かような判断に立っておるわけでございます。
#27
○広瀬(秀)委員 全く納得できない御答弁で、こっちがかえっておそれ入るくらいなんですが、やはり日本の中小企業が、これは都市部に多いかあるいは地方に分散しているかというようなことを考えますと、もちろん都市部にも中小企業は非常に多いわけですけれども、しかし、地方の、今度おそらく五カ年計画でも一番あと回しにされるようなところにも、相当中小企業、特に最近では三輪や小型トラックなんかは地方の者もだいぶ持っているし、農民なんかでも新しい農業経営のためにはそれを持たなくてはならぬということで、ほとんど舗装された道路なんかを走ることもないような商店などでも、非常にたくさん持っておるわけです。そういうような人たちなんかにとっては、これはもうまことに悪税としか――しかも極端に目的税だといわれながらも、向こう五カ年間にわれわれが受益するのだというような見通しなしに、今とにかく納めさせられるのだ、こういう気持にならざるを得ないわけです。そういうようなことから、目的税々々々と言いますけれども、これはそういう面では非常にアンバラスというものがあると思うのです。たとえば、計画上道路整備が非常に急速に進められる、そしてすぐに受益としてはね返ってくる、こういうような地域と、全くそうでなくて、十年の計画の一番最後のころにやられるようなところばかり走っておるようなものとの間に、非常に大きな負担の面と受益の面とのアンバランスというものが出てくると思うのです。そういうような問題について、一体どういうように調整をされる考えなんですか。これはもうやがて一緒になるのだ、しかしながら、早く受益に浴した者――なるほど若干の者ははね返りで救われていくかもしれないということなんですけれども、そういう面の矛盾を一体どういうようにお考えになっておるのか、どう解決されようとしておるのか、この点を一つお伺いしたい。
#28
○大久保政府委員 今のお尋ねは、地方において中小企業者、農民等に相当小型トラックその他が入っておる。これに対して、道路整備等が十分でないのに、ガソリン税の負担が加重されていくじゃないか、かようなお尋ねであったと存じます。そこで、今回の道路整備計画におきましても、できるだけ地方道路等につきましても整備を促進するという建前をとっておりまするし、またいわゆる低所得地帯の開発をしていく上において道路が持っておる役割ということも考えまして、道路公団の道路整備とあわせまして、さような開発道路計画も相当編入いたしておりますような次第でございます。かような道路が開設推進されて参りますと、今まで交通の面から産業が需要地と十分結びつき得なかったような地帯におきましても、その生産物が需要地にすみやかに直送される、こういったような生産物の生産、回転の経路が敏活になって参りますので、さような面からいたしまして、あるいは農作物あるいは中小企業者の事業の経営という面におきましても、かなりな経済成長にプラスの面が現われてくるのではなかろうか、かような判断も実はいたしておりますような次第でございます。そこで、私どもといたしましては、中小企業者、農民といったような方々が、道路整備の面におきましも、この受益を均霑していただくことによって、できるだけガソリン税の増徴分というものを消化していただくように、努力をいたしていきます所存でございます。
#29
○広瀬(秀)委員 その点大いに努力されることはけっこうですけれども、その速度をよほど早めていただかないと、これは税負担と受益のバランスが非常に大きくくずれるのであって、そういう計画が今日必ずしも明確に立っていないというところにも、非常に問題があろうと思います。その点は、一つ政府部内において、大いにそういう疑問、そういう納得しない点を納得させるような方途を講じていただきたいと思うわけでございます。
 次に、ガソリン税は道路整備の目的税だ、厳密に法律的にはたしてそうであるかどうかは議論のあるところだと思いますし、この点も問題にすれば相当問題になろうかと思いますが、一応常識的に目的税はそういわれております。ところが、それじゃこれと全く関係のない農業用のトラクターなり、あるいは動力用のその他の農機具、こういうようなものに使うものまでがその巻き添えを食って――先ほどの答弁によれば、道路整備が今度のガソリン税の値上げの根本であったはずです。それを巻き添えに食わして、どうしてそれでいいのか。目的税だ、そしてガソリン税値上げの直接的な動機は、あくまで道路整備計画を急速なテンポをもって所得倍増計画に見合うものにしていこうというために行なわれているものだ。ところが、道路整備の問題と全く関係のないトラクター――農業用の動力に使うトラクターの場合には若干道路を走ることもありますが、ほとんど永久に、二十年たっても三十年たっても舗装なんかされることのなような作場道を、小さな動力用農業機械を使っているような農民までが、今度は一五%も二〇%も負担をふやされるのだ。これは何と言ったって説明がつかないのです。しかも、政府は、今度の農業基本法においても、あるいは農業近代化助成資金融通法というようなもので、どんどん農業用の機械の開発を促進して、近代化をはかっていこう、機械化を促進しょう、こういうことを言っておられる。ところが、その農業者に対して、全く道路の整備のためにという名目で、そういうものまで上げるという。そしてまた政府の農業政策に対しても新しいかまえである。そういったものから見れば、まさに逆行のものだと思う。こういうものをどう考えられるのですか。それを救済する方法というようなもの、あるいはまた特例というようなものを考える気持は全然ないのですか。全く農民は今納得しないと思うのです。
#30
○村山政府委員 お話のように、今度のガソリン税の増徴は、主として道路整備五カ年計画との関連において増徴を決定したわけでございまして、その意味では、そういう自動車用以外に使われておるものはいわば、その結果として負担を受けるということになるわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、一つは、課税技術の点から申しまして、これは何といっても製造課税でございまして、現在七十カ所くらいの製造場で課税しておるわけでございます。これに対しまして、農業用等の機械台数は、ちょっと古い数字でございますが、四十万台、しかも全国各地に散らばっておるというようなことがございまして、課税技術の方から参りましてなかなかできないし、やるにしましても、横流れその他を防止するために、今のガソリンを変性しなくちゃならぬというような面、そういう国家的ないろいろなロスを考えますと、やむを得ないのではなかろうか。ただ、どれくらい響くかという点になりますと、われわれの試算では、水稲の普通の農家でございますが、標準率計算でいきまして、経費のアップが〇・一六%でありますので、できればそれを避けたいわけでございますが、どうも課税技術その他からいいましてやむを得ない。もちろん、農家等につきましては、基本的な方向においてこの負担をできるだけ軽減するという方向は全く同感でございまして、所得税の方面において、今度の減税の結果、三十九万人くらいの納税者が十三万人くらいに落ちます。六百万の農家といわれるうち十三万くらいになるわけでございます。ほかの方面におきましても、耐用年数の関係について現在われわれ検討しておりますが、農業の経営の合理化という面については、課税技術の上で推進できる面は強く推進して参りたい。総合的に考えていただいて、農家の負担も楽になり、また経営合理化もできるのではないか。ガソリン税につきましてはおっしゃるような節もございますけれども、万やむを得ないというふうに考えておるわけでございます。
#31
○広瀬(秀)委員 そのほかの面でできるだけのことをするという御答弁のようですけれども、しかし、技術的には確かに農業用のものだけガソリン税の増税からはずすということも非常にむずかしい面があろうと思いますけれども、やはりこの問題は今度の増税にとって理論的に主税局といしても一番困る問題だと思います。これはやはり不当だということになると思うのです。そのほかの、たとえば所得税の問題をあげられて、この方でだいぶやったと言うけれども、それではその恩典に浴しない農民に対しては何にもならないわけであります。しかも相当な数がこれからふえる予定であるし、ふやそうとしている政府の政策なんですが、そういう所得税の方でめんどうを見れない階層の人たちでも、どんどんこれからあるいは共同で購入するなり何なりということで、非常に多くなっていくわけです。そういうことで、日本の農業を発展させようという政策を出しながら、たとい影響がわずかだとは言うけれども、やはり方向としてはまさに逆だと思うのです。そういうような点について政務次官はどう考えますか。
#32
○大久保政府委員 まことに、御質問の要旨は、私たちもガソリン税を取り上げますときに一番気になりました点でございまして、農民の耕耘機問題、中小企業者の問題等につきまして、今御質問の気持を持っていろいろ実は考えたわけでございます。しかし、今局長が御説明を申し上げましたように、広瀬さんも御承知のように、課税技術上非常に困難な、庫出税であるという方面からいたしまする技術上の非常に混雑煩瑣な点がございまして、いたし方なく、この点は今御説明を申し上げましたような次第でございますから、農民に対する若干の負担は目をつぶらなくてはならぬかと、かように判断いたしましたわけでございます。しかし、御質問の趣旨はまことにごもっともでございますので、その辺につきまして、今局長から申しました耐用年数の問題でございますとか、これらはその機械を持っております方にはすべて均霑いたしますわけでございますから、その辺の減税措置によりまして、この負担の調整をはかっていく、かような配慮をいたしましたことを、どうか一つ御了承をいただきたいと思う次第でございます。
#33
○広瀬(秀)委員 現在の価格でも、この前の主税局長の答弁によると、農業用ガソリンは大体七万キロリットルくらいだろう。そうしますと、それに対して二万二千七百円でも約十五、六億になります。その一五%ないし二〇%上がるわけですから、二億か二億五千万円くらいになるだろうと思うのですが、それが四十万台あるといたしますと、それの負担というものは、個々の農家にとってみれば――全体的に考えれば影響は少ないと言われるかもしれぬけれども、これは相当な問題です。これに対して課税技術上非常に困難だから特例を設けることはできないと言うけれども、何らか考えればその方法というものはあり得ると思います。大体農業用に使うというのは、これは横流しするとかなんとかいうことも、先ほどの論理からすれば、ほかの業者だって非常に影響が少ないのだという立論からいえば、それを横流しするというほどのやりくりはおそらくなさらぬだろうと思います。そういう横流れの危険があるということで、課税技術上困難だというようなことでなしに、これをやはり少なくとも農業用の場合は現行以下にするくらいの気持というものがなければ、政府の政策としてはまさに一貫しないものだと思います。むしろ逆々とやりながら、税制の面で機械化、近代化を妨げるような方向をとにかくとっておるということは、政府の政策の全くの矛盾であって、農民は、一体政府は本気になって農民のことを考えてくれているのか、こういうことを、このガソリン税の引き上げの問題――なぜおれたちまで道路整備の巻き添えを食うのだ、そして一方において機械化、近代化、こんなことでわれわれは政府のやる農業政策全体に対して信用が持てない、こういうのが現在の農民の心理であります。そういうものに対して、単に課税技術上の困難のゆえを持って、この問題をそのままにして、ほかの問題で考えるからというようなことは、やはり課税の対象というものがおのずから違ってくるのですから、それをうまくバランスをとって、ガソリン税値上げによる被害を受ける農民と、ほかの税制によって利益を受ける農民との対象が違うのですから、同じマッチしたものをやるということは、これこそまた課税技術上困難でありますから、同じ困難ならば、そのものずばりでやっぱり特例を設けてやるということが正しいと思うのですが、その点についての決意があるかどうか、はっきりお答えをいただきたいと思います。
#34
○村山政府委員 おっしゃるような点があると考えまして、われわれは、課税技術の面からはずすことができるかどうか、いろいろ検討したのでございますが、何分にも現在の製造所が全国で七十カ所、こういう非常に少ないわけでございまして、それを農家、あるいは農家だけではございませんでしょう。おそらくクリーニング用に使うとか、あるいは溶剤用に使うとか、洗浄用に使うとか、こういった自動車用以外に使うガソリンについても、同じ問題があるわけであります。これらの問題が、すべて一々証明手続をとりまして、それが適正に行なわれるようにするためにも、手続も非常に人員も要するわけでございますし、また横流れを心配すれば変性しなければならない。そういう事務上のコストやあるいは変性に要するコスト、これは全く要らないことでありますが、そういうコストを考えますると、その辺で考えるよりももっと大きな面で考えると、この辺のところはごしんぼう願えるのじゃなかろうか。その一つのやり方としましては、これは別の問題ではございますが、農業の経営近代化促進という意味でいいますと、耕耘機等の耐用年数をより短縮して生産性の向上に寄与するとか、こういう方面で大きく前進すべきじゃなかろうかということで、目下その方の作業を進めておるわけでございます。もちろんそれがその農家あるいはその他に対するガソリン税を増徴することの理由には一つもなりませんです。しかしながら、さっき申しましたように、いろいろな手続上のロスその他を考え、また及ぼす影響の程度というものを考えまして、この辺のところば一つごしんぼう願えるのじゃなかろうか、願うべきではないかというふうにわれわれは考えたわけであります。
#35
○広瀬(秀)委員 課税の技術上非常に困難だということと、そのほかにもいろいろ同じような立場にあるものもあるということで、そういう特例を農業用ガソリンに設けることはできないという御返答でありますが、私ども、やはり今度のガソ税の増税を農業用ガソリンについてやるということについては、どうしても納得できません。その点については、さらに一つ本質的に今回のガソリン税をふやす契機になった問題等も考えて、何らかの対策というものを農業用の場合に完全に立ってもらわなければ、どうしても農民としては納得できないわけであります。この点は、本日これ以上議論をいたしましても、これはここで即答を得られないと思いますから、とにかく強くこの点の是正を要請申し上げておきたいと思うわけであります。
 それから、運輸省関係の方、おられますか。――きのう、あなた並びに運輸大臣にも横山委員からお伺いしたいわけでありますが、きのうの質問で運輸従業員の一般産業との賃金比較というようなものを求めたわけです。これに対してあとで資料を出すと言われたわけですが、それはできましたか。
#36
○國友政府委員 お答え申し上げます。
 昭和三十四年度の調査について申し上げますが、自動車運送事業従業員の月平均の給与は、貨物事業で一万六千七百三十五円、旅客事業で二万二千七百二円、一般産業の平均は二万二千六百八円でございます。
#37
○広瀬(秀)委員 私が調べたところによると、三十五年の十一月で調べたのですが、一般産業の男子の場合には二万二千七百九十円なんです。道路貨物、特にトラックが主体だと思いますが、一万七千八百七十七円、この間に約五千円からの開きが見られるわけであります。これは、毎月勤労統計から拾った数字でありますから、私が恣意的に出した数字ではありません。こういう状態です。女性の場合を比較いたしましても、一般産業が九千九百円に対して八千二百三十一円、これは道路の貨物運送業の場合であります。勤務時間を比較してみますと、一般産業が二百六時間九、道路貨物運送業の場合には二百二十七時間、約三十一時間よけい働いているわけであります。日数にしましても、一日はまるまるよけい働いている。こういう数字が出ている。旅客運送業の場合には、全産業よりも若干上回る数字になっています。しかし、これも、労働時間を調整して考えれば、かえって低くなっております。こういうような現状であって、こういう状態の中で、大蔵省は、運輸業というものは収益率が非常に高い、こう言われるわけでありますが、その収益率が高いというのは、労務費の構成、人件費の構成というようなものが非常に圧迫されている、あるいは福利厚生施設というものが圧迫されている、そして、人件費の切り下げをやっているのを、収益率が高いという結果だけ見ておるのじゃないかと思うのです。そういう点を、運輸省としては直接そういう事業を監督される立場に立って、そして健全な日本の運送業というものが発展をするために、そういう役割を持っておられる運輸省として、こういう点をどうお考えになっておられるか、この点を一つお伺いしたい。
#38
○國友政府委員 今広瀬先生のおっしゃいましたように、一般トラック事業につきましては五千円の開きがあり、勤務時間につきましても差のありますことは、勤労統計からも出ておりまして、その点私どもも認めているわけでございますが、旅客につきましては、おっしゃいますように一般産業並みでございます。しかし、トラックにつきましてはそのような状況でございますが、本質的に申しましてトラック事業は非常に小さい業者が多いのでございまして、貨物自動車運送事業者は全国に一万四千三百二ありまして、これによってもわかりますように、非常に数が多いのと、さらに二両持ち、三両持ちというような非常に小さい事業者が多いのでありまして、そのために、給与等におきましても低位に置かれる状況が現出されておると思うのでございます。私どももこの一万四千の数についてできるだけ監督をいたしておりまするが、実は全部に手が届かないという状況でございます。そういう監督の場合には、労務管理の問題とかあるいは厚生施設の問題とかいうような点につきましても監査をし、勧告をし、適正な状況に持っていけるように指導しておる、そういう状況でございます。
#39
○広瀬(秀)委員 運輸省としては、例のダンプ・カーが何回も大へんな事故を起こしましたあの原因について、どういうように分析されていますか、この点をお伺いいたします。
#40
○國友政府委員 ダンプ・カーの事故につきましてはいろいろな原因があるのでございますが、これは、一番直接的な物理的な原因は、踏み切りの前で一たん停車を怠るということが、一番直接的な原因であると考えております。そういう面等につきまして注意を喚起しておりますが、そのほかいろいろな条件、たとえば給与の問題等についてもあるのではないか、こういうことをいわれておりまして、この点は、現在総理府に置かれております交通対策本部で審議しておるのでございます。と申しますのは、ダンプ・カーの所有者等を見てみますと、九割が自家用車でございまして、一割足らずが事業車、すなわち黄色いナンバーで運転しておる事業車であるのでありますが、こういう関係で、運輸省の方の指導というのが自家用全般については及び得ませんので、交通対策本部で、関係各省が集まりまして、労働の関係は労働省、交通取り締まりの関係は警察庁、その他関係各省において現在原案を、打開策を練っておる状況でございます。
#41
○広瀬(秀)委員 一たん停止を怠るからだというようなことが主たる原因のようなことを言われるのですが、一たん停止を怠れば生命の危険が伴うのだということぐらいは、運転手だって知っておるわけです。それをあえて一たん停止もやっていられないような過酷なる労働にかり立てているものは一体何かということについて、あなた方は、あれだけの大事故をしかも相次いで起こしておるのに対して、給与も幾らか低いと思います、という程度の反省しかなさっていないのか、この点私は非常に残念に思うのでございます。きのう横山委員から、運輸省一体何をしておるのだ、運輸省というのは何をするところなんだ、こういうように言われておりますけれども、一体そんなことでああいう事故が防げるとお考えなのですか。九割も自家用車だからというようなことですが、しかし、それではそういうものを解決するのはほかにどこに役所があるのですか。やはり運輸省が中心となってやらなければいけないと思うのです。その点についてはどうなんです。
#42
○國友政府委員 ただいま申し上げました九割が自家用であるという点を申し上げたのでございますが、これらの点に関しましては現在交通対策本部で対策を練っておりますが、労働条件の関係等につきましては労働省が担当しておる状況でございます。
#43
○広瀬(秀)委員 自動車による運送ということから見れば、やはりこれは運輸省だって――労働省でそういう給与の問題なんかやるのだと言っているけれども、一体ダンプ・カーや何かを自家用として持って、しかも非常に単価の安い砂利なんかを運んでおる、あるいは泥を運んでおる、こういうような場合に、これは従業員を非常に酷使する、しかも長時間働かせる、しかも労働再生産できるだけの賃金が払われていない、ほとんどもう非常識的な長時間労働をやっている、こういう形でああいうあぶないものが現に道路の上を走って、しかも踏み切りにおいて列車にぶっつけて、たくさんの死傷者を出す、こういうような交通上ゆゆしい問題、そういうものについて、これの一番大きな原因というのは、そういう自家用車を使う人たちの経営が非常に不健全だというところからやはりきているのだと思うのです。十分な休養と十分な賃金というものが払われてない、そして一たん停止を怠らなければ仕事も完遂できないような、しかも手間にならないような、そういう労働条件で使うからそういうことになるのであって、こういうことについて、あなた方はもっと考えを深めなければいけない、このように考えるわけです。それで、そういうような状況において車を動かしておる人たちが、今度ガソリン税を上げられるということによって、なお一そう苦しくなる。これはもう、先ほど主税局長はいろいろこまかい数字をあげて、大した影響はない、大した影響はないと言っているのだけれども、こういう人たちにとっては、非常な重量物を運ぶのだから、ガソリンもよけい食うのです。しかも運賃収入としては割合ないのです。収益率も主税局長が引用されたような形のものでは全くないと思う。違ったグループだと思うのです。そういうものに対して、あなた方は、ガソリン税の値上げの影響はそういうところにもはっきり及んでくるわけですが、そういう点について、運輸省としてどのようにお考なのですか。
#44
○國友政府委員 運輸省としましては、そういう点に対する影響も考え合わせまして、ガソリン税の値上げにつきましてはわれわれとしては望んでおらなかったわけでございますが、究極的には、閣議決定で、現在の道路整備五カ年計画、二兆一千億の計画がきまりまして、現在のような税率が出されたわけでございますが、これにつきまして、自家用車につきましては、私どもの方でちょっと計算できませんし、実は権限の問題を言うことはどうかと思いますが、自家用の、そういう面の監督につきましての権限は運輸省にございませんで、むしろ警察庁とか、給与の面では労働省とか、あるいは建設業者でありますれば建設省、あるいは砂利の販売その他でありますと通産省とかいうふうに、非常に権限が分かれておるわけでございます。従いまして、自動車運送事業者について考えて参りますと、今度のガソリン税の値上げによりまして一・七%程度の影響があるということが出ておるのでございます。まあこの程度の影響につきましては、私どもとして、望ましくはないが、やむを得ないという観点をとりまして、閣議決定の線までいったのでございます。
#45
○広瀬(秀)委員 たとえば、そういう砂利トラやあるいはダンプ・カーのようなもので自家用車になっているというような場合には、これはもうおそらく運賃の問題なんかも自由にやっているのだろうと思うのですが、そういうものについての運賃の規制というようなものは何にもないわけですか。
#46
○國友政府委員 自家用については運賃というものは取れませんので、これはたとえば販売業者なら販売業者が、自分の販売品を輸送するという形で、自分のところの自動車で輸送いたしますので、運賃は取らないわけでございます。従いまして、営業車で自動車運送事業の免許を受けておりますものが扱いますものは運賃設定があります。これは認可事項になっておりますが、自家用の砂利トラックの輸送等については、運賃、料金というものは規制がございませんし、また取ることは建前としてできないことになっております。
#47
○広瀬(秀)委員 そういうところに、監督の権限というようなものがあっちこっちに分散して、一元的な交通行政の面からそういうものをとらえていけないということは、非常に大きな欠陥だろうと思います。そういうことはもちろんここでの主たる議論ではありませんけれども、運輸省として、やはりもっと積極的に、交通行政の面から――あれだけの大事故を起こしておきながら、それがたまたま自家用車であったということで、自分の権限でないということでは済まされない段階にきていると思います。そういうような面で、もっともっと交通行政の面で一元化の方向を強めていく。旗振りをする運輸省がしっかりした政策を出していって、ばらばらになっている監督行政の面に非常に弱い面を露呈しておる今日を救っていかなければならぬと思います。
 そういう点はさておきまして、先ほど閣議できめられたので、反対であったけれどもやむを得ず認めざるを得なかった、こういう立場でありますけれども、そうしますと、やはり運賃値上げという方向に運輸省としても――きのうも、運輸大臣は当分の間は運賃値上げをしないというようなことを言われておったわけでありますが、これは政府と運輸業者との間には大体やみ取引が行なわれているんじゃないかと見られるような節もあるわけでして、こういうような面について、きのう自動車局長は言葉を濁されておったわけですが、運輸大臣に伺ったところによると、当分の間が過ぎれば、ほとぼりがさめれば上げるのだということを言われております。特に貨物自動車関係の免許を受けている貨物運送業者、こういうようなところなども今日まだ非常に労働条件が低いわけであって、そういうような人件費、労務費にしわ寄せをしながら、どうにか切り抜けてきておるというところに、ガソリン税がまた増徴をされて、わずかであってもそれが経理を圧迫するということは、非常に残念なことである。やはり、運輸省としては、そういう面からも、将来大蔵省なりあるいはその他関係のところに、強力に、ガソリン税を引き上げるというような場合に、もっともっと見識を持った抵抗をしていかれるように、強く要望しておきたいと思います。
 運賃値上げをするかしないかという議論については、やはり大臣でないとお答えができないようでありますから、大臣が出席されませんので、その点についての追及はきょうはやめたいと思いますが、どうぞ一つそういう態度で今後もいっていただきたい、こういうふうに要望申し上げまして、私の質問を一応終わります。
#48
○足立委員長 関連質問を許します。堀昌雄君。
#49
○堀委員 実は大蔵大臣の御出席をお願いしましたが、予算委員会の関係で御出席が願えないようでありますから、一つ政務次官に、本来ならば池田総理の出席を求めて伺わなければならぬほどの重大問題でありますので、十分責任のある御回答をいただきたい。
 昨日の建設大臣のお話によりましても、今度の道路整備五カ年計画につきましては、二兆一千億円は財政計画がすでにあるので、これについてはガソリン税の増徴は今後はやらない方針だということを、ここではっきりなさったわけであります。そういたしますと、残っておりますのは、大体一般会計から入ってくるということで処理されると思うのでありますが、あと一つ最近の状況で見ておりますと不安がございますのは、昨年来もしばしば業界その他から出ておりますが、道路公債発行に関する問題でございます。現在の二兆一千億円の道路計画については、この範囲内においては道路公債は発行しないということであるのかどうか、その点を一つ責任を持ってお答えをいただきたい。
#50
○大久保政府委員 堀委員の御質問にお答えいたしますが、今回の予算に計上してありますガソリン税の増徴並びに一般財源の若干の増額ということによりまして、二兆一千億の道路整備は施行できる、かように考えておるような次第でございますから、従いまして、道路公債の発行は考えておらないということを、はっきり御答弁申し上げたいと思います。
#51
○堀委員 その問題でありますが、二兆一千億が動く場合が多少あり得るということを昨日伺っておりますが、多少動く場合には、その場合を含めて道路公債は発行されないのかどうか、そこを一つ重ねて伺っておきます。
#52
○大久保政府委員 昨日、運輸大臣、建設大臣、私もお答えいたしましたが、建設大臣も、昨日の答弁におきまして、二兆一千億を動かすという考えはないということを答弁いたしておりました。大蔵省といたしましても、二兆一千億が、十カ年間四兆九千億の道路整備計画の五カ年計画としては適当であろう、かように判断いたしておるのでございますから、二兆一千億というこの道路整備計画を動かすということは考えておりません。
#53
○足立委員長 関連質問を許します。藤井勝志君。
#54
○藤井委員 先刻来議論になっておりますガソリン税の問題について、主税局長にお尋ねいたしたいと思います。
 特にこの問題は、最近農業と他の産業との格差の是正ということが政治の大きな焦点になっておることは多言を要しませんが、このガソリン税の増徴は、そういった問題と関連して、政治的にきわめて慎重に取り扱わなければならない重大な問題と私は考えるのであります。なるほど、道路の現在の状態を見ますと、一刻も早くこれを改修しなければならない。そのための財源確保のために、このたびの政府から提案されております内容については了解するものでありますけれも、問題は、これはやはり受益者負担金的な性格を持っておると局長の答弁もありましたし、いわゆる目的税的な性格のものであるわけでございまして、従って、このたび農業の方面に影響のあるガソリン税に対しては特別な措置をはかるべきが当然だというふうに、私たちも思うのであります。従って、この点について今後どのように善処される方針であるか、はっきりした御見解を承りたいと思います。
#55
○村山政府委員 おっしゃるように、揮発油税の財源は、現在特別会計に繰り入れられまして、道路整備に充てられておるわけでございますが、基本的な性格は、何といっても消費税の性質を持っておるわけでございます。従いまして、消費税の一環といたしまして、本来の性格からいえば、道路のみならず、すべて使うものに当然及ぶ、こういう性質を持っておりますが、少なくとも今度の増徴は新道路五カ年計画の関連がございます。そういう意味からいいますと、できれば、そういう方面に対する、農業用に限らず、自動車用以外に使うものについて増税をしない方が望ましいとは思いますが、先ほども申しましたように、何分にもこれは製造課税という建前をとっております。一方農業用その他の溶剤とか、あるいは洗浄用に使うとか、クリーニング用に使うとかいう需要者は、全国津々浦々に散らばっておるわけでございます。これを一々用途免税という形をとることによる事務量の増加、それに伴う経費、あるいはその横流しを防止するために変性措置を講ずるとすれば、それに伴う製造業者の経費、その他あれこれ考えますと、その点はさらに今後考究するということにいたしまして、今回はそれらの需要者に及ぼす影響の程度等も考えまして、ガソリン税の引き上げに関する限り、この程度でごしんぼう願いたい。しかし、農家その他の企業の経営合理化の方面については、別途それぞれの税制上必要な措置を講ずるということはもちろんでございます。ガソリン税につきましては、今回は残念ながらやむを得ないのじゃなかろうかと考えております。
#56
○足立委員長 本問題に関して、この際、将来の取り扱いの方針につきまして、政務次官より御答弁を願いたいと思います。
#57
○大久保政府委員 ただいまの御発言に対しましては、先ほど広瀬委員の御質疑にお答えいたしましたが、農業用耕耘機等のガソリン税の影響につきましては、非常に私たちも苦慮いたしておるところでございます。そこで、農業の将来ということにもかんがみまして、今後の税制におきまして、この点の検討につきましては、十分誠意を持って努力をいたすということを、ここにお答えしておきたいと考える次第でございます。
#58
○足立委員長 ただいま議題となっております物品税法等の一部を改正する法律案に対しまして、各派共同提案の修正案が提出されております。
#59
○足立委員長 この際提出者の趣旨説明を求めます。鴨田宗一君。
#60
○鴨田委員 ただいま議題となりました各派共同提案にかかる物品税法等の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案の理由を御説明いたします。
 本修正案の案文は、すでにお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。
 修正内容は、政府原案は改正部分をすべて四月一日から施行することとしておりますが、昨年末の外貨割当によって輸入される乗用自動車のうち、大部分が本月末までに引き取られることとなっておりますところ、一部のものが、特殊の事情によって、四月及び五月に輸入される予定になっております。これに対し今回の改正法を適用することは、改正による負担の増加がかなりの額に達することを考えますと、適当でないと考えられますので、このような事情等を考慮いたしまして、税率の引き上げを行なおうとするものについて、その施行の期日を六月一日に延期しようとするものであります。
 なお、この修正により、予算に及ぼす影響は僅少なものと考えます。
 以上、提案理由を申し上げました。
#61
○足立委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#62
○足立委員長 ただいま議題となっております法律案及び修正案について御質疑はありませんか。――御質疑がないようですから、これにて各案に対する質疑は終了いたします。
#63
○足立委員長 これより順次討論、採決に入ります。
 まず、揮発油税法の一部を改正する法律案及び地方道路税法の一部を改正する法律案の両案について討論に入ります。
 通告があります。これを許します。武藤山治君。
#64
○武藤委員 私は、日本社会党を代表して、揮発油税法の一部を改正する法律案及び地方道路税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論をいたしたいと思います。
 私どもが本案に対して反対をする理由は大体五つございます。第一は、池田内閣の公的無視という点であります。第二に、税負担の公平化が侵害をされておるという点であります。第三は、目的税の範囲を逸脱した無謀な引き上げであること。第四は、道路整備五カ年計画の内容が非常にずさんであること。第五に、物価引き上げを一そう促進して大衆負担の増大をもたらすという点であります。以上の諸点について具体的にこれから申し述べ、ガソリン税引き上げに反対をするものであります。
 第一の公約無視の点についてでありますが、池田内閣は、昨年十一月の総選挙に際しまして、減税を国民に公約し、国民は一千億以上の減税を楽しみに期待しておったのであります。しかるに、減税はわずか六百三十一億円にすぎず、それのみではない。逆に国民負担は増大の一途をたどるような施策を行なってきたのであります。国鉄運賃の値上げ案四百八十六億円、郵便料金の値上げ案五十五億、加えてガソリン税引き上げ百八十億円、国民年金の掛金三百億円や医療費の値上げ三百二十億円などを私どもは検討いたしますときに、まさに国民負担は大衆の生計を圧迫するばかりでございます。これらの施策の結果は、他の諸物価をつり上げ、値上げムードをさらに作り上げておるという印象を受けるのであります。自民党内閣の公約に揮発油税引き上げなどはみじんも見られなかったのであります。しかるに、今回道路税を含め百八十億円の増徴を行なわんとすることは、国民の期待を裏切るものであり、民主主義政治家のとるべき道ではないと思うのであります。かかる公約違反は国民の名において糾弾をしなければならぬと存じ、第一の反対理由に掲げる次第であります。
 第二には、税負担の公平化ということであります。揮発油税は昭和三十三年度に一キロ当たり五千三百円の引き上げ、三十四年度に四千四百円、さらに今回またまた三千四百円の引き上げを行なうものであります。昭和三十年と比較し、わずか五カ年間に倍額以上、地方道路税が倍額に引き上げられているのであります。わずか五カ年間に税金が倍額になったものは他に例を見ないでありましょう。政府は、引き上げの理由として、欧米諸国に比してなお低率であると言うが、国民所得とガソリン税負担の割合を認べてみますと、イギリス、西ドイツの三倍の高さであり、日本より高いのはイタリアだけであります。さらに、国内の他の間接税である物品税、消費税に比しても、はなはだしく均衡を失していると思われる。たとえば、小売価格に対する税率を見るならば、たばこ、かりに「いこい」六四・二%、光六三・七%、二級酒が四一・七%、ビール五六・一%、電気冷蔵庫四〇%、砂糖四六・二%などと比較してみますと、ガソリン税が五〇%以上の率になっておるということは、他のただいまあげましたような奢侈品やあるいは嗜好品的性質の物品税や消費税とやや匹敵する税率であります。生産増強のための必需品であるガソリンにこれだけ高額の税率を賦課するということは、これらの税との均衡という点から、私は均衡を失するものであると思うのであります。主税局長は、昨日の答弁で、まだ増徴の余地が多少あると言明し、全く無謀な態度といわなければなりません。製油会社の収益率が高いから増税するというならば、これらの大会社に対しては他の方法で課税すればよい。特別措置法の適用をはずすとか、新たに会社負担の課税をして、消費者に負担の及ばない方途があるはずであります。なおまた、道路をほとんど使用しない農民の耕耘機が使用するガソリンまでが道路整備の目的税を負担するのは、全く公平を欠くものであって、許しがたい増税といわなければなりません。これでも一体公平であると主張するつもりがあるか。この点が反対する第二の理由であります。
 第三に、目的税の範囲を逸脱した無謀な引き上げであるという点であります。現在、道路整備の財源は、ガソリン税及び軽油引取税による税収がその大部分を占めており、国の直轄道路整備費はその九〇%をガソリン税収によってまかない、一般財源による負担は微々たるものであります。三十六年度計画では、総額一千四百九十八億八千九百万円のうちわずか百億円で、十三分の一が一般財源であります。元来、道路の整備は、単に自動車使用者の利益にとどまるものではなく、国の経済全体を潤す公共事業、社会資本ともいうべきものであります。従って一般財源から相当の支出をなすべきであり、十三分の一ではあまりにも少ない。特にガソリンの使用は、先ほど広瀬議員からも指摘がありましたように、中小商工業者、農民が六〇%以上消費しております。かかる関係からこれらの層が道路整備費の大半を負担することになり、全く目的税としては過酷に過ぎるものであります。しかも、政府が勝手に計画を膨大化し、そのつど財源が不足すると称して税率を引き上げられるのでは、全くたまったものではありません。同じガソリンを使用しても、船舶用は無税である、道路を使用しない農民や他の零細業者が使用するガソリンは道路整備の財源に捻出をさせられる、こういう不公平な税の取り立ての方向というものは、全く誤っておるといわなければなりません。この目的を逸脱しておるという点が第三に指摘しなければならぬのであります。
 第四に、新道路整備五カ年計画はずさんであります。無理があります。わが国の道路が悪いということは世界的にも定評になっている。これはまた経済成長の隘路となっている。そういう点は何人も否定することはできません。特に地方道に至っては極度にひどいものであります。わが国の道路投資年額は、昭和三十三年に五カ年計画一兆円が始められて、世界第六位となったが、アメリカ、カナダ、西ドイツ、フランス等は、はるかに日本の追従を許さない現状であります。こうような実情から、政府が道路計画拡長に血道を上げているのも、ある程度まではうなずけるわけでありますが、しかしながら、その政府計画の内容を見るとき、幾多の疑問を抱かざるを得ません。まず第一は、実行不可能な計画、地域的不公平な計画を安易に立てていると思われます。予算額が膨張したというだけでは、道路が整備されるものではないことは、御承知の通りであります。わが国の建設業界の能力、動員できる労働力の限界、必要資材の供給力等、多くの要素が整わなければ計画は完成されないのであります。過去の実例を見ても、五カ年間一兆円の計画が三カ年間に四・五六%の進捗率であり、計画通り遂行されるならば六〇%にならなければならないはずであります。かくのごとく予定通り進まず、計画の立て直しをしているのが実情であります。しかも新道路整備計画はそれの二倍以上の額になるのである。一兆円計画の遂行能力のないものが二倍の計画をこなせるであろうか。結局、工事は進まず、血税だけが乱費される結果になりはしないかと憂えるものであります。特に予算編成当初、大蔵省は一兆八千億円の計画を支持したようであります。それを自民党が無理やりに二兆一千億円にふくらませたのであると新聞は報じております。全く自民党の思いつき的計画であると断定しなければなりません。もう一点は、この膨大な計画のための財源をガソリン税、軽油引取税に求めているという点であります。これらのものが実際に道路を使用しているものだけに賦課されるならば、目的税としてある程度了解もできるが、全く道路を使用しない農業用機械に消費される油、すなわち耕耘機などに使用する油にまで目的税として税を課するに至っては、全く論外、笑止千万と言うべきであります。従って、自民党の諸君すら、今になって野党のわれわれの追及にあわてふためいて、政務次官に将来の約束をさせんとするがごとき卑劣な態度に出たといわざるを得ません。
 第五に、ガソリン税の引き上げが、諸物価、料金の引き上げを誘発し、大衆負担の増大をもたらすという点であります。池田内閣は、所得倍増内閣ではなく、物価引き上げ内閣、家計圧迫内閣だという悪評がみなぎりつつあります。かかる物価値上げムードのあるときガソリン税を引き上げることは、運賃や料金、物価引き上げをさらに誘発することは明瞭であります。昨日横山議員の質問に対し、ガソリン税引き上げは原則として消費者が負担するかもしれない、そこまで覚悟していると主税局長は答弁し、暗に大衆負担になるであろうことを明らかにした。また、運輸省も、三月七日の閣議了解があるので、慎重に対処するが、個々の申請内容を検討して、バス料金や運賃の引き上げは処置する旨を答えております。政府は最初消費者に負担が転稼されることはないような答弁をしていたが、ついに料金、物価の値上げとなって消費者の負担増になることをやや認めるに至ったのであります。われわれは、初めから、ガソリン税引き上げは運賃引き上げの口実となり、ひいては物価値上がりをもたらし、消費者大衆に多大な負担をしいることになると心配をし、忠告をしてきたのであります。たはせるかな、バス業界では、二月一日号の「自動車と石油」という雑誌の中で、バス料金は七%から八%の値上げを検討し、と報じておる。さらに、協会の会長である伊能さんば、税金引き上げの交換条件として運賃値上げははっきり認められてはいないが、暗黙のうちには政府、自民党が認めている、と理事会で発表いたしたそうであります。この七から八%のバス料金の値上げを暗黙のうちに自民党が認めているという発表がもし事実であるとすれば、主税局長や運輸省の答弁である今後のはね返り率というものは全くうそになるが、こういう点からも料金の引き上げは必至であります。また、トラック業界の主張を聞いてみますと、公共的輸送機関の輸送量は、鉄道、海運も含め、全輸送量の七四%に及んでおるのであって、この輸送される貨物に今回のガソリン税の引き上げがかなりの影響を与えることを、口をそろえて発表いたしております。このことは諸物価に大きな影響を与え、国民生活に多大の犠牲をしいることは、これまた明瞭であります。
 結局、低物価政策を宣伝し、所得倍増を公約した池田内閣は、これらの公約は全く幻想にすぎないということを、新年度予算早々国民の前に暴露したといわなければなりません。このガソリン税の引き上げは、国鉄料金の値上げと同様、国民大衆を収奪する以外の何ものでもないと断ぜざるを得ないのであります。わが党は、国民大衆の生活安定と所得増大のために、かかる増税に断固反対し、政府の公約無視を追及すると同時に、政府みずからの今後の反省を深く求めて、反対討論にかえる次第であります。(拍手)
#65
○足立委員長 これにて討論は終局いたしました。
 続いて採決に入ります。
 採決いたします。両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#66
○足立委員長 起立多数。よって、両案はいずれも原案の通り可決いたしました。
 次に、物品税法等の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたしますが、国会法第五十七条の三の規定により、本修正案に対し内閣において御意見があれば述べていただきます。政務次官大久保武雄君。
#67
○大久保政府委員 異存がございませんから、よろしくお取り計らいを願います。
#68
○足立委員長 これにて内閣の意見聴取は終わりました。
 続いて採決に入ります。
 まず、修正案について採決いたします。
 本修正案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決されました 次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。
 これを可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決いたしました。
    ―――――――――――――
#71
○足立委員長 次に、ただいま修正議決いたしました物品税法等の一部を改正する決律案に対しまして、理事会の申し合わせにより、各派共同提案の附帯決議を付したいと存じます。
 案文を朗読いたします。
  政府は、昭和三十七年度において、間接税減税の一環として、物品税の減税を断行することとし、右改正に際しては、課税物件及び課税標準等に関し租税法定主義を貫徹し、法体系を整備すべきである。以上であります。
 お諮りいたします。
 本附帯決議を付するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#72
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本附帯決議を付するに決しました。
 ただいま可決いたしました附帯決議について、政府において御意見があれば述べていただきます。大蔵政務次官大久保武雄君。
#73
○大久保政府委員 政府は、来年度におきまして、税制調査会を中心といたしまして、間接税全般につき十分な検討をすることを予定いたしておるのでございますが、その際におきましては、右決議の趣旨も十分尊重をいたしまして検討して参りたい、かように存じております。
    ―――――――――――――
#74
○足立委員長 次に、資金運用部資金法の一部を改正する法律案の討論に入ります。
 通告があります。これを許します。横山利秋君。
#75
○横山委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、資金運用部資金法の一部を改正する法律案につきまして、反対の意見を申し上げたいと存じます。
 この法案それ自身よりも、むしろ資金運用部それ自体、またさらにさかのぼれば財政投融資のあり方について、日本社会党は基本的な意見を持っておるわけであります。本年度の予算は二兆円といわておりますが、ただそれだけで議論するわけには参りません。七千億になんなんといたしまする財政投融資が、実はその予算とうらはらの関係になっておることは、いうまでもないことであります。由来、財政投融資は、予算の隠れみのとして、あるいは政府の施策の隠れみのとして、今日まであらゆるからくりが行なわれて参りました。われわれの記憶に新たなるところでは、一番最初は造船疑獄、海運疑獄から始まりました。当時、ちまたにも、昔の歌にあやかって、海ゆかば造船疑獄山ゆかば陸運疑獄といわれたほどの問題が、この財政投融資から始まっておるわけであります。当時、戦後におきましては原資蓄積手段としてこれが使用され、もっぱら政府の言い分によれば国の産業を発展させるためという口実をもって、ほとんど大企業に流れ込んだのであります。しかし、その流れ込んだ財政投融資の根源は、郵便貯金であり、あるいは簡易保険であり、公務員がかけております毎月の共済組合の掛金であり、ほとんどすべてが大衆の零細なお金の貯蓄から生じたものであります。従いまして、大衆から取り上げたものがこれら汚職の材料になるということは、非難ごうごうたること、すでに皆さんも御存じの通りでありまして、当時から、何としてでもこの財政投融資を明るみに出して、大衆のものは大衆に返せという意見があったことは、けだし当然なことであります。
 その後、戦後の蓄積手段としての方針は次第に変わって参りました。私どもの主張に耳をかさざるを得なくなって、公共投資に重点が移って参りました。しかし、もしも長期低利の金融をするというのが当初の資金運用部、財政投融資の考えであったとするならば、今度その公共投資への性格に変えたといたしまするならば、内容的に変わってきたといたしまするならば、当然この資金運用部、またその根幹であります財政投融資のあり方について、根本的な改善をしなければならぬことは当然であります。しかのみならず、私どもが主張しておりまする、大衆からかき集めた金は大衆のもとに返せということが、今国民の心理となっておるといたしまするならば、さらに進んで根本的な、いわゆる財政投融資、特にその中心となっておりまする資金運用部の構造改革こそ、なされなければならぬことと確信するのであります。
 今回、この資金運用部資金法は、一部を改正をいたしまして、私どもの主張に近づくがごとき事態を呈しておるのでありますが、根本はごうも変わっていないのであります。大蔵大臣は、しばしば、本委員会であるいは予算委員会において、この点について言及をいたしまして、決して大企業には流れ込んでいない、公共投資だこういう主張を掲げておるのでございます。いずくんぞ知らん、これは新しい大企業に向かう窓口であり、開発銀行なり輸銀なり、あるいはそのほかの住宅公団なり等を通じて、新しい扮装を装っておるにすぎないのでありまして、依然として大衆の金は大企業に流れ込んでおるわけであります。しかも、それらに流れ込みます金は六分五厘以下であります。もしもそうだと、そういう六分五厘以下の金利でありながら、一方におきましてはどうでごこざいましょうか。町の中小企業あるいは庶民が金を借りる場合においては、どうでありましょう。各位御存じの通りに、国民金融公庫でも九分であり、商工中金は九分三厘、相互銀行で借りますれば、表金利は別として、実質金利は一割五分から二割に近い場合がある。一方、この中から、また政府の予算から、アメリカの片棒をかついで東南アジアにあるいは第二世銀に貸そうとするものは、驚くなかれ年に二分から二分五厘、場合によってはただでも貸そうというようなやり方でありますから、この面一つを取り上げましても、まことに大衆は二重にも三重にもごまかされていると言っても、私は過言でないと思うのであります。
 この機会に、つまり国民年金やあるいはそのほかの年金制度が確立をいたそうとして、国会の論争の中心になろうとしておりますそのときに、何としても大衆の金は大衆へ返すべく、根本的な改善がなされなければならぬと私は確信いたしますがゆえに、このような弥縫的な資金運用部資金法の一部を改正するというようなことは、大衆をごまかすもはなはだしい、時代の移り変わりを妨げるようなものだ、こう考えまして、私どもは、この法案に対して、根本的な立場から反対をいたす次第であります。(拍手)
#76
○足立委員長 これにて討論は終局いたしました。
 続いて採決に入ります。
 採決いたします。
 本案を原案の通り可決すみに賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#77
○足立委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、郵便貯金特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
 お諮りいたします。
 本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
 なお、各案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、明二十四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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