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1960/03/29 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第23号
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1960/03/29 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 大蔵委員会 第23号

#1
第038回国会 大蔵委員会 第23号
昭和三十六年三月二十九日(水曜日)
   午前十一時二十九分開議
 出席委員
   委員長 足立 篤郎君
   理事 黒金 泰美君 理事 細田 義安君
   理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君
   理事 有馬 輝武君 理事 平岡忠次郎君
   理事 堀  昌雄君
      伊藤 五郎君    岡田 修一君
      金子 一平君    川村善八郎君
      簡牛 凡夫君    藏内 修治君
      田澤 吉郎君    高田 富與君
      高見 三郎君    津雲 國利君
      永田 亮一君    西村 英一君
      藤井 勝志君    坊  秀男君
      米山 恒治君    佐藤觀次郎君
      辻原 弘市君    広瀬 秀吉君
      藤原豊次郎君    武藤 山治君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  大久保武雄君
        大蔵事務官
        (主税局長)  村山 達雄君
        通商産業事務官
        (軽工業局長) 秋山 武夫君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (軽工業局化学
        肥料部化学肥料
        第一課長)   荒玉 義人君
        専  門  員 抜井 光三君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一三八号)
     ――――◇―――――
#2
○足立委員長 これより会議を開きます。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
#3
○平岡委員 きのうに引き続いてお尋ねしますけれども、懸案の四十二ドルの目標達成の具体的なプログラム、青写真を一つお示し願いたい。
#4
○秋山政府委員 お手元に資料を差し上げてございますので、恐縮ですか、それをごらん願いたいのでございます。
 三枚目の表をちょっとごらん願いたいのでございます。やや技術的な問題で恐縮でございますが、「ガス源別アンモニア能力比較表」というのがございます。実は単位を落としてありますが、単位は硫安換算で千トンでございます。アンモニアからはいろいろの製品ができますが、全部を硫安として計算したわけでございます。左の方にアンモニアを作りますいろいろの製法が――アンモニアというよりはアンモニア用の水素ガスでございますが、水素ガスを製造するいろいろな方法が書いてございます。古い順でございますが、電解法、これは水の電気分解で水素をとる方法でございます。それから次の固体原料でございますが、石炭あるいはそれを焼いたコークスというものを原料として水素をとる方法。従来はこの二つの方法が非常に大きかったわけでございまして、右の方の能力とかあるいは構成比の欄をごらん願いますと、第二次合理化計画を始めました当初は、この二つを合わせますと約半分、五〇%余りであったわけでございます。それから、その下に「液体」とございますが、「流体」のミスプリントでございます。「流体原料」とございまして、原油法あるいは天然ガス法、コークス炉ガス法、廃ガス法、その他、合計とございますが、これが実は第二次合理化計画の技術的な近代化のために使われてあります原料でございます。原油と申しますのは、もちろん石油の原油でございます。それから天然ガス、これは最近東北あるいは北陸、千葉等にたくさん発見されまして、これは非常に安い水素ガスが得られるということがわかったわけでございます。それから、コークス炉ガスとございますのは、これは製鉄工場のコークス炉ガスでございます。従来の製鉄法では、発生しますガスは全部工場内の自家燃料として消費されておりましたが、製鉄の方法が非常に進歩いたしました結果、コークス炉ガスが大量に余るというこになりまして、これからまた同様非常に安い水素が得られるということがわかりました。これを利用しようというものでございます。それから、廃ガスと申しますのは、まだこれからの工業でございますが、石油化学、石油精製というようなものから出て参ります廃ガスで、これも大体燃料として燃してしまったものでございますが、これを原料に使うという方法でございます。「その他」はわずかですが、若干ございます。これらは、今後上の電解法あるいは固体原料法を下のいろいろの流体原料法に切りかえていく。その過程は、右の方の法合理化完成後という欄をごらん願いますと、かつて電解あるいは固体原料で約半分を占めておりましたガス源が、合わせても全体の四%程度に減ってしまう。もうほとんどわずかしか残らない。大部分は下の方の流体原料に変わってしまうわけでございまして、たとえば原油法が四二%余り、天然ガス法が二〇%余り、コークス炉ガス法も同様二〇%余りというふうに、いずれも安いガス源に移していくわけでございます。
 その原価関係が一枚前の二枚目の表でございますが、ガス源別のアンモニアとそれを原料とする硫安の、これは想定いたしました標準の生産費でございます。縦にごらんを願いますと、いろいろの原価要素を計算をいたしております。右の方へ、原油、天然ガス、コークス炉ガス、廃ガス、ここまで新しい方法であります。石炭と電解とございますのが古い方法でございます。一番下あるいはその二欄目をごらん願いますと、販売原価というところで、流体法は大体一万五千円弱というところで全部仕上がるわけでございますが、かつての古い方法、たとえば石炭法によりますと一万八千二百七十円、電解法でも同様一万八千円以上という計算が出て、その値下がりの主要な内容は、上から二欄目でございますが、アンモニア費が大幅に下がるということからくるわけでございます。最後の欄は、輸出の場合の計算上ドルに換算をいたしてございますが、流体法によりますものは大体四十一ドルまで下がる。かつての古い方法では、それが五十ドル以上かかるという勘定でございます。
 個々の工場といたしましては、それぞれの立地あるいは一緒にやっておりますいろいろの事業、化学工業の一環をなしておりますので、それらとの関係から、あるところは原油の分解をやり、あるところは天然ガスを使い、あるいは製鉄工場に近いところではコークス炉ガスを使う。たとえばコークス炉ガスのごときは、従来ありました電解法の設備をとめて、合成塔の部分だけは製鉄工場のすぐ隣へ移設をするというようなことまでいたしまして、コークス炉ガスの利用をするというようなことも現に計画が進行いたしております。そういうようなことで、実は合理化が完成いたします三十七年の半ば以後は、大体四十一ドルぐらいまでは原価を切り下げることができると考えております。
 そこで、ただいまの御質問に少し先ばしるかもしれませんが、もう一枚前の最初の表でございますが、輸出競争力の昨日の御質問に対しての御説明を申し上げる資料でございます。日本の硫安と競争をしておる主要国のそれぞれの国における国内価格と、大体これは東南アジア向けでございますが、輸出価格とを比較をし、一番下に日本の価格を掲げてある表でございます。たとえば一番上の欄をごらんを願いますと、上下二欄に分けてございますが、上のカッコの中は国内消費と輸出との構成比でございます。国内価格の欄をごらん願いますと、割合新しいところ、一昨年から昨年へかけての国内価格が、ドイツは大体六十三ドルでございます。このうちには、実は約八ドルの政府の補助金を含んでおるのでありますが、これは一応別といたしまして、公定価格は六十三ドル六セントいうことになっております。その際、輸出されましたものは、これはFOB価格でございますが、ドイツは三十八ドル十セント、これはまあ五九歴年の平均でありますが、非常に大きな差を持った二重価格がとられておるわけでございます。かりにこの六十三ドルと三十八ドルを左の数量によって加重平均をいたしますと、すぐ右の平均価格というところで四十三ドルという数字が出ております。すなわち、全部を込みにして、トン四十三ドルで売れば、ドイツの国としては、おそらく利潤の多少はもちろんあるわけでありますが、引き合っておるという計算から出た価格と考えてよろしい。これはいわば自由な経済原則に従って各企業が輸出と内需と見合った採算を考えるとすれば、こういうことになるはずだという計算でございます。
 最後に、下の方の日本の場合をちょっとごらんを願いますと、同じ年次におきまして、日本の場合は国内価格が五十四ドル八十一でございます。輸出価格の平均は、ちょっと年次は肥料年度でずれがございますが、四十一ドル四十八セント。ですから、二重価格という点においては、実は形式上差はないのでございますが、非常に大きく違います点は、日本におきましては、肥料二法というものによって、輸出価格というものは低く売られたとしても、その欠損分を内需にかぶせることを許さない。輸出赤字を遮断して、硫安輸出会社という制度を設けて、そこにためてあるという法律上の制度があるわけでございます。これがドイツあたりと非常に大きく違う点でございまして、ドイツのように内需と輸出とを平均して採算をとるということが、法律的に各メーカーに対しては許されていないという状態であるわけであります。従って、平均すれば五十ドルで、確かにコストはまだ高いのでございますけれども、実際上は五十ドルではないので、さらに五十四ドルと四十一ドルの差十三ドル前後のものが、年々輸出会社に欠損の形でため込まれておるというのが、現在までの状態であったわけでございます。従って、実はこれは、各メーカーとしては一応その年度の売り上げということで課税の対象にされてきたということから、いわば法律的に、あるいは国としてやや無理な制度を強制してきた結果生じた過去における納税額というものを、この際返還してやろうというのが今回の立法の趣旨でございます。
#5
○平岡委員 第一表で歴然としておるように、国際競争力の点におきまして、ドイツと比べまして六ドル五十セント違いますね。そうすると、この国際競争力を増すための条件は、何といっても企業それ自身の製造方法の転換ということにあろうと思うのですが、なお、日本の対外競争力を弱める要素として、肥料二法ですか、これも作用しているように考えられますね。コストの方は歴然としてよくわかるのですけれども、肥料二法が日本の輸出力のリターディング・フォースというか、足を引っぱる力として働いておるという点を御説明いただきたいと思います。
#6
○秋山政府委員 資料としてもう一枚横に文章で書きました一枚刷りの資料を差し上げてあると思います。とじ込みでなく、別に一枚、横書きの資料でございますが、「硫安価格の決定方式と輸出赤字発生の理由」という表題のごく簡単な資料でございます。公式の文書ではございませんが、一応内需バルク・ライン加重平均方式とわれわれが呼んでおるものでございます。これが肥料二法で定められました硫安の公定価格決定のやり方でございます。第一の「硫安価格の決定方式」のカッコ一の工場別の推定生産費、これは特に申し上げる変わったことはございません。カッコ二のバルク・ライン内の加重平均生産費の算定方式でございます。まず、価格決定年度の内需の見込量、これは農林省と打ち合わせまして決定するわけでございます。需要の変動に備えます意味で、若干の需給調整数量というものを見込んで作ります。そうして一によってきめられました各工場別の生産費の一番安いものから、内需の必要量、本肥料年度で申しますと約百五十万トンでございますが、一番生産費の低いところから順に、工場の生産量を全部内需に充てていくというやり方で、百五十万トンに達するまで積み上げて先取りをするわけです。安いものから先取りをするわけでございます。そういたしますと、本年度で大体約十工場くらいのところで百五十万トンに達しますが、それをさらに生産数量を考えまして加重平均いたします。それがバルク内の生産費ということになりまして、それに若干の適正な利潤を考慮いたしましてマル公をきめるというやり方をやっております。本年のマル公は四十キロ一かますで七百五十七円五十四銭ということにきまっております。
#7
○平岡委員 トン当り、ドルで表示して幾らですか。
#8
○秋山政府委員 トンで、ドルで申し上げますと、五十二ドル七十セントでございます。そこで、今のバルク内のさらに加重平均というところが実は相当意味があるわけでございます。たとえば米価の決定等はバルク・ライン八割バルクという、そのバルクの工場自体の生産費が基準にされるわけでございますが、硫安の場合はさらにそれを加重平均するということで、硫安メーカーとしてはかなりきつい原価がきめられておるという制度でございます。
 そこで、資料の中の二の、「輸出赤字発生の理由」でございますが、いわゆる輸出赤字は、日本硫安輸出会社がメーカーからマル公で硫安を買い取り、そしてそのときの可能な輸出価格は、従来大体四十ドルから四十一、二ドルという程度、ときによっては四十ドル若干切れるときもございますが、その価格で輸出をする。従って当然そこに五十二ドルと四十ドル前後のところとの開き十ドル余りというものの欠損を起こすわけでございます。これが累積された赤字ということになってきておるわけでございます。日本硫安輸出会社が輸出価格を上回るマル公で硫安を買い取る。これは一見確かに合理的でないという議論もあり得ると思うのでありますが、実は二法制定当時、国会の審議の過程におきまして、国内と輸出とは同じ価格でメーカーは売りますということを政府が言明したのでございます。これは多少誤解が含まれておると思いますけれども、そうしないと二法制定の趣旨であった輸出赤字を内需に転嫁させないという趣旨は達成されないのではないかという、強い農民側からの議論があった結果と聞いております。実は、こういう二法が制定されまして以後、数年間は輸出価格もそうひどく下がっておりませんでした。ある年には、ごくわずかではございましたが、利益を出した年もあったのでございます。ここ数年、肥料年度で申しますと三十三年度、三十四年度あたりから、世界的な生産過剰と、ことに東南アジア市場を確保しようという競争国の非常に強い意欲の現われかと思いますが、輸出価格が急激に下がってきた。従来は大体五十ドル台で輸出ができておったのが、その辺から四十ドル台、場合によってはかなり激しいダンピングといってよろしいかと思いますが、三十五、六ドルというような引き合いを出すという状態になりまして、急激に赤字の額がふえてきたという実態でございます。
#9
○平岡委員 日本の対外競争力を弱めておる二つのファクターを今説明されました。何といっても最初のファクターが一番大事なことで、われわれとして大いに検討しなければならぬものであろうと思うのです。そこで、先ほどの第二次計画の青写真は出ましたけれども、現実に実際の各工場が施設をしていくという、そのための資金需要もあろうと思うのです。そういう資金計画がどういうふうに裏づけられておるか、御説明を願いたいと思います。
#10
○秋山政府委員 現在四十二ドルまで、これはまだ最終的に決定した目標ではございませんが、一応四十二ドルといたしておりますが、合理化工事を工場別に新しい方法を取り入れて進めていく。そのための資金需要は、会計年度でございますが、三十四年度から三十八年度までの総合計で七百六十二億と予定をいたしております。このうち、先ほどガス源の転換が非常に大きくコストを下げるという御説明を申し上げましたが、ガス源転換の部分に充てられます費用が約三百八十五億、その他に、実は肥料のうちのいわば何と申しますか、進歩した肥料、尿素、高度化成というような硫安以外のさらに進んだ肥料をだんだん作っていくということによって、単位当たりの原価を下げていく。アンモニアとしての安いアンモニアを供給していくということから、尿素あるいは高度化成というようなものも順次広げていって、これも合理化計画の一環として扱っておるわけでございますが、そういうものに要します費用、これらが百二十億程度でございます。なお付帯いたしました費用、たとえば硫酸設備が少し足りないとかいうようなことで、約三十億ほどの経費を要します。それから、維持、補修、その他一般的な工事、これが約二百二十億、五年間の合計でございますが、大体七百六十三億の経費を投ずるという予定になっております。
#11
○平岡委員 それは、どういう資金需要かわかりましたけれども、それではどのように調達していこうという計画ですか。
#12
○秋山政府委員 ちょっと手元に正確な資料を持ってきておりませんですが、大体それの約四割ぐらいは自己資金を充てます。それから、残りの半分ぐらい、これが市中銀行からの借り入れ、それから残りのさらにまた半分ぐらいが社債、残りは国家資金すなわち開銀資金、全体で申しますと一割五分前後ということが従来予定されておりました国家資金の比率であります。硫安の合理化問題が非常に急がれて参りましたので、本年度からは、この比率を大幅に引き上げまして、開銀から従来よりも大幅に資金を出してもらうということで、これはただいま折衝をしておるところでございます。
#13
○平岡委員 国家資金は結局一割五分ですね。それをもっとふやそうというのですか。
#14
○秋山政府委員 その通りでございまして、従来はガス源転換に要する費用の大体二割という目標で開銀の融資を受けておったわけでございますが、これでは非常に足りないということで、少なくともその主要工事については半分は国家資金を入れてもらいたいという目標を出しております。
#15
○平岡委員 今度はちょっと方面を変えての質問です。私の手元に、非公式な資料ですけれども、日本硫安輸出株式会社の損益推移というのがございます。それには、二十九肥料年度から三十五肥料年度までの取り扱い数量、仕入れ価格、売却額、仕入額と売却額の差額、輸出諸掛り、差引損失、こういう項目のもとに数字が載っているわけです。そのうち二十九年から三十一年の三カ年間ぐらいは、実際に日本硫安輸出株式会社が各メーカーから仕入れたトン当たりの値段、二十九年度について見ますれば、六十ドル九十九セント、損をして輸出した輸出価格が五十九ドル七十五セント、結局仕入費と売却との差額がトン当たり一ドル二十四セント、こういうふうに出ております。三十年、三十一年も大体それほど違っておらぬようであります。ところが、三十二年、三十三年、三十四年になりますと、仕入れ価格と、いわゆる対外的ダンピング価格の間にものすごい差が出てきまして、三十二年におきましては六ドル五十二セント、三十三年におきましては十ドル四十一セント、三十四年におきましては十三ドル四十一セント、三十五年はまだ経過中でございましょうが、それでも十一ドル六十九セント、このようにものすごいコストを割っての輸出が行なわれておるわけです。先ほど申しました二十九年から三カ年間と、それから以降の四カ年とひどい差が出てきますけれども、これは海外市場でドイツ等のダンピングに対抗するためとは想像はされますけれども、これは政府が、日本の市場確保のために、やはりこの犠牲を冒してやれということを命令したのか、それとも肥料会社が自己の計算と危険においてこれをやったのか、その辺のところの御説明をいただきたい。
#16
○秋山政府委員 御説の通り、最近、ことに三十二、三、四あたり非常に二重価格の差の開きが大きくなっておるということは事実でございますが、お尋ねの輸出の強制と申しますかは、輸出のそものを強制していると言えるかどうかは存じませんが、肥料二法におきましては、政府の義務として、毎年硫安の雲給計画を立てるということが定められておりまして、この雲給計画の内容として、先ほど申しました内需に約百五十万トン、輸出に従来は大体百万トン前後、本年は八十一万トンでございます。そういうように内需、輸出、それから内需の調整数量等を需給計画として年度の初めに政府が公定をいたします。従って、間接的にはいわば硫安業者は八十一万トンの輸出をしなければならぬ義務を一応負った形にされるわけでございます。私どもといたしましても、こういう赤字の状態でございますから、できるだけ輸出は減らして、バランスをとるということを考えたいのでございますが、あまり無理にこれを減らしますと、実は操業短縮等の問題も起こすわけでございます。これをやりますと、三十四年度は約一割操短をいたしましたが、内需の価格を引き上げざるを得ない。少なくとも従来のような引き下げが不可能になるということから、農民側に強い不満を残すというジレンマ状態にあるわけでございます。
#17
○平岡委員 すると、企業側が自己の計算と危険においてこれをやったとは言い切れないといことですね。
 それでは、次に、「輸出諸掛り」というのがあります。今言った差額に「輸出諸掛り」が赤字分として累算されるわけになります。そこで、二十九年の輸出諸掛りが一トン当たり四十二セントであったのが、三十年には三十七セント、三十一年には七十一セント、それから三十二年には八十七セント、三十三年には八十二セント、そういう推移をしてきまして、三十四年に至りますと、いきなり一ドル六十八セント、三十五年にも一ドル二十八セント、最初の四十二セントの四倍ないし三倍も輸出諸掛りが増高しております。そのために、差損というものがそれだけよけいになるわけです。具体的に申しますと、二十九年の輸出諸掛りについての差損とは、六千三百万円であったものが、三十四年には五億四千五百万円になっておるわけです。そうしますと、四億八千万円もそこでよけい赤字が出ているわけで、その赤字がやがて今度の租税特別措置の恩恵の対象になっているということなんです。同じ諸掛りですから――インフレが進んでいるのですから多少あろうと思うのだけれども、いきなり四倍にも輸出諸掛りがふえて、ために二十九年度に比べまして三十四年度が四億八千万円の大きな赤字を出している点は、説明してもらわなければならぬと思うのです。どういう理由があるのですか、御説明をお願いします。
#18
○秋山政府委員 先刻も触れましたが、硫安輸出会社が二法によって作られました当初の数年間は、実は輸出と内需の価格の値開きはあまり激しくなかった。ところが、最近の二、三年、非常にその差が広がってきたということを申し上げました。実はただいまの輸出はその反映した数字だろうと思います。つまり輸出が比較的容易なあるいは値開きも少なかったという時代は、輸出会社が輸出に備えて手持ちをする数量は、メーカーについても同様でございますが、比較的少なくて済んでおったわけでございます。これが相当無理をして、安くても輸出をしていかなければならぬというために、いわば滞貨を起こす、作りだめを相当持っていないと、メーカー自身の金繰りがつかないという状態になってきたということで、だんだん諸掛り等の経費のふえました大きな内容は支払い金利にあるわけでございます。つまり普通内需の不需要期に輸出用の作りだめをいたしまして、ちょうど今ごろでございますが、内需が出だすと同時に輸出も出始めるわけで、それによって銀行へ借入金を返済していくわけでございますが、最近はその返済が延び延びになってくるという状態から金利がかさんできた。これが諸掛りを大きくした一番の原因でございます。一方メーカーが非常に資金繰りが苦しくなってきたということから、輸出の直前に引き渡せばよろしいものを、少し前に輸出会社に引き取ってもらって、輸出会社の金融によってメーカーが金繰りを考えているというような傾向もなきにしもあらずで、これも輸出会社としての支払い金利をふやすという結果になっておるわけでございます。
#19
○平岡委員 各メーカーの資金繰りが苦しいことのために、それからいつか租税特別措置によって救済されるであろうということを予見しての処理ではなかったか。経理上先に売り渡したというようなことがなかったかどうか。二十九年といえどもやはり二百五十万トンくらいの絶対量で生産量は同じであったと思うのです。最近の三十三年、三十四年でも、その生産の絶対量はあまり違っていないだろうと思うわけです。従って、在庫それ自体にはさほど相違もない。すなわち、受け渡し問題に理由づけての利払い増加は輸出諸掛り急増の説明とはならないと思う。そこで、経理的にまだ輸出の受け渡し時にならぬうちに、極端にいえば半年も十カ月も前から渡されたというような格好にしない限り、輸出諸掛りが、具体的には、在庫のための金利の差がこんなに出てくるはずはないと思うのですが、その辺のことをよく吟味せぬと、かけ込み赤字でも作り出された日には目も当てられません。われわれ国民の血税をもってそういうところまで別段租税上の恩典を与える必要はないと思うのですが、私の考え方が少しうがち過ぎていますか、さらに御説明願いたい。
#20
○秋山政府委員 何カ月も前に前売りをするという事実は絶対ございません。実はこれも絶料二法に規定があると思いますが、毎月メーカーが硫安輸出会社に売り渡す数量は政府の承認を受けるということが定められております。それをこえて先売りするということは法的にも不可能でございますし、決算の監督もいたしておりますから、そういう事実はございません。実は逆のケースがかってあった。すなわち船積みの日まで所有権を移さない。つまり硫安輸出会社の赤字のふえることをできるだけ避けて、メーカーの負担において何を持っているということが従来ずっと行なわれてきておった。最近はささえが苦しくなって、たとえば一週間前とか十日前に切りかえるという程度の前売りでございます。
#21
○平岡委員 それで、四十二セントと一ドル六十八セントと、二十九年と三十四年の極端に安いときと高いときと比べて一ドル二十セントほど違いますが、一週間くらいの間の金利がふえたというだけで、そんなになりますか。
#22
○秋山政府委員 実はこれは諸掛りというので、金利だけではもちろんございませんけれども、大部分は金利でございます。お話のように、一ドル幾らが全部金利で差が出たとは私申し上げているわけではございませんけれども、実際は、現物がメーカーの手元にあった場合でも、輸出金融という別ワクを設けまして市中銀行から借り入れを受ける。これは各メーカーが保証をいたしまして、輸出会社が金融を受けるわけでございますが、そういうやり方をしたために、確かにおっしゃるような一週間か十日前後の金利負担が、従来メーカーで持っておったのが輸出会社の負担にかわっておったという事実はございます。
#23
○平岡委員 それだけですか。それじゃ決定的な差額は何によるものですか、ちょっと内訳を示していただけませんか。
#24
○秋山政府委員 ちょっと輸出諸掛りのこまかい内容の資料を手元に持っておりませんので、ただいま問い合わせまして、あとで御答弁申し上げます。
#25
○足立委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#26
○足立委員長 速記を始めて。
 関連質問を許します。堀昌雄君。
#27
○堀委員 このいただいた資料で見ますと、第二次合理化計画から合理化完成後までで、ガス源別の生産費というものは著しく変わってくるようになっております。そこで、この合理化が完成したときには、なるほどこういうことになると思うのですが、現在の時点では今大体どういう――そうですね、構成比だけでけっこうですから、現在はどういう構成比になっておるか。
#28
○秋山政府委員 現在の構成比ですが、かなりもう合理化計画が進行しておる部分がございます。恐縮でございますが、ちょっとお書き込みを願いたいと思います。どちらの欄にでもけっこうですが、たとえば合理化計画当初というところで、電解法一一・八とございます。これは三十五肥料年度、現在でございますが、これがちょうど一〇でございます。それから、国体原料の欄、三八・六というところが二三・一%でございます。それから、液体原料のところ、これは実は内訳がこまかくございますが、従って液体原料の合計の四九・六というところ、これに当たるものが六六・九%でございます。それで合計一〇〇になるわけでございます。
#29
○堀委員 先ほどもお話がありましたが、大体合理化完成時は四十二ドルくらいを目標にしておる、こういうお話でありますが、この肥料の貿易の自由化は一体どういうふうな段取りになっておりますか。
#30
○秋山政府委員 合理化が完成いたしまして、国際競争力があるという状態が必ず実現すると考えておりますので、その暁に当然自由化をしようという予定で考えております。
#31
○堀委員 四十二ドルに国内の生産額がなって、なおかつ外国の――こちらのお方はこれから下がるわけですが、諸外国もおそらくこれは下がるのではないかと思うのですが、その関係はどうなりますか。今でもアメリカあたりは三十五ドルで売っているということになっておるとすれば、これは四十二ドルまで下げて、その後にはもう下げられる余地がないのかどうか。そうすると、対アメリカだけで見ても、あるいはドイツが今三十八ドルで輸出をしておるということから見ても、依然として競争力はない。なおかつこれの完成まであと三四年かかるわけでしょう。そうすると、その間には諸外国の価格は下がらないという前提に立つのか。ある程度の幅がある限り、肥料については永久に自由化をしないというわけにも参らないのではないかと思うのですが、その点は一体どういうふうにお考えですか。
#32
○秋山政府委員 アメリカのここに掲げました肥料の大きな部分は、実はちょっと性質が違う硫安でございます。いわゆる副産硫安でございます。価格の比較の表に入れたことがちょっと不適当であったかもしれません。つまり製鉄工業が非常に大きいことからくる副産硫安の価格でございます。合成硫安ももちろん日本より安いわけでありますが、かりにそれを運賃をかけて日本に運んでくるということになりますと、そうそう競争力はないと私たちは考えております。現に現在例のドル防衛の関係から、各国あたりのICA資金でバイ・アメリカンということで、肥料もできるだけアメリカの国産品を買わせようということで政府はだいぶ努力したようでございますが、集まりました数量はごくわずかでございまして、大部分は日本のものが落札になったというような結果になっております。アメリカのものとの競争ということについては、私ども実はそうおそるべきものとは考えておりません。
 そこで、自由化との関係でありますが、確かにお説のように現在すぐ競争ということは不可能でございます。大体三年と考えておりますが、実際は二年半くらいで完成する考えでおりますけれども、その暁には、大体は運賃差と、それからわれわれは輸出メリットと呼んでおりますが、たとえば国内運賃を不必要とする。すなわち、岸壁からすぐ船に積み込んでしまう。あるいは包装が、日本のようなカマスという複雑な包装をしない。簡単な包装、場合によってはバラというようなことで、そういう経費が安くなる。それから金利、これは貿易手形制度を利用するわけでございまするが、一週間ぐらいで大体現金が入ってくるというようなことで、支払い金利が非常に少なくて済む。国内に売る場合に比較いたしまして、かなり有利な点がやはり輸出自体にあるわけでございます。まあ大づかみには、大体二ドル半から三ドルぐらい輸出メリットがあるということを考えております。別に、ヨーロッパ――アメリカはちょっと別でございますが、ヨーロッパから運んでくる場合の運賃差というものが、やはり二ドル半ないし三ドルと考えております。かりに内輪にそういうことでヨーロッパとの競争力を考えますと、五ドルぐらいの開きであれば競争はできるという計算が立つわけでございます。従って、国内向けの価格と日本の輸出価格というものをそのまま比較するということは実は適当でないので、輸出に伴う若干の利益等を差し引いて、そのはだかの状態において比較するということで考えますと、二年半後には自申化しても、そうたくさん入ってくるということは考えられないと私たちは考えております。
#33
○堀委員 もう一つちょっと伺っておきたいのは、日本の今の輸出価格でありますけれども、この四十八ドル幾らというのは、さっきのお話でいくと、国内向けにコストの安いものを先取りをしていく、総体的に高いものを輸出に振り向けるということに結果としてなると思うのですが、そうして出てくるこの輸出価格の――この「参考」となっておるところがよくわからないのです。その下の方の三十四肥料年度で見ると、四十三ドルないしは四十一ドルというふうにここに書かれているわけですが、この価格のきまり方は一体どういうことできまるのでしょうか。四十一ドルとか四十三ドルとかいうこの価格は平均価格だろうと思うのですが、これは結局国際的な入札なんかをして落ちた価格が平均をされたということなんでしょうか。どういうところから輸出価格が出てきているのですか。
#34
○秋山政府委員 日本の場合は、お説の通りその年中に輸出されたものの加重平均の価格でございます。
#35
○堀委員 そうすると、この価格は現実にはコストを割っておるということになるわけですね。私どもは、コストを割らない範囲において適正な価格というものが経済現象で生ずると思うのですが、コストを割っておるということになれば、その価格の決定自体はこちらには何らイニシアチブがなくて、すべて向こう側のイニシアチブで価格がきまるということに私はなってくるのじゃないかと思うのです。この輸出の価格と輸出量の関係、要するに今度のような格好で問題が処理されるということになれば、輸出価格は少々安くてもいいじゃないかということが結果として起きてきはしないかと思うのですが、ここのところは一体どういうふうになりますか。価格決定というのは、もちろん高いに越したことはないけれども、コストを割った格好で売っているわけです。だから、その場合には、たくさん売った方が有利な場合、少なくてもコストとの差が少ない方が有利な場合、いろいろあり得ると思うのですが、日本の現状ではどういう形でこの価格が決定をされるような売り方がされておるか。
#36
○秋山政府委員 輸出価格の決定自体は、確かにこちら側で選び得るといいますか、きめ得る力はないわけでございまして、競争の問題でございますから、これは商社が各方面からいろいろ情報を取って、今回の入札ではどこの国は幾らくらいで出すらしいというようなことをいわばかぎつけて、それと対抗できる程度のところをこちらはきめて入札に臨むわけでございます。従って、時によっては当たることもあり、はずれることもある。これは商売の実際上の問題としてやむを得ないところでございますが、心がまえとしては、安いものはできるだけやめようという考え方で、ある程度の最低の入札価格というものは持っておるわけでございます。また、実はこれは商売、その道の問題でございますが、大体勘と申しますか、四囲の情勢から、今度は大よそこの辺でいけるんじゃないかというようなものが働くらしいのでございまして、もちろんヨーロッパの場合は、激しい場合は共同市場各国が全く同じ価格で入札をしてきたという例もございました。これらから協定というようなことが想像されるわけでございます。しかし、それだけやるには、その道の人たちには何とはなしに大よその見当がつくということで、日本の価格がきめられるわけでありまして、ちょっとこれは役人として私がこういうふうにきめますということは申し上げかねる点でございます。
 それから、確かにそういうことできまると値開きが生ずるわけでございます。ことにコストを割るという問題があるわけでございますが、実はこの点は特に御理解を願いたいのですが、生産費と実際の輸出価格、FOBとの開き、これはいわば各メーカーとしてこうむる実際の損失、赤字でございます。それから、現に租税特別措置法で対象として考えておりますのは、実は輸出会社が買い取った価格と実際の輸出価格との差額というものでございますから、各硫安メーカーの実損額とは必ずしも見合っていない。この点は、輸出会社から見た計算と、メーカー側から見た計算とは、必ずしも完全には一致していない。それはコストとマル公が違うということから起こるのでございます。
#37
○堀委員 そうすると、結局コストは会社によってみな違う。マル公は一致している。そして、今の取りきめからいくと、コストとマル公の差の多いものが輸出に回されるということですね。バルクが下の方は国内へ行く。そうすると、実際の総体的な問題として見るならば、加重平均をしたら同じことになるのでしょうが、今おっしゃるその差というのは、マル公とコストの差だけ余分のものを今度は会社自体がまた赤字で持つ、こういうことになるわけですか。その場合に輸出で私がよくわからないのは、そういう一種の出血赤字を――二つ赤字の部分があると思います。今の会社自体の赤字の部分と、輸出会社に含まれておる赤字とが二つあると思いますが、そういう赤字であってもいいんだというのは一体どういうことなんでしょうか。これは時間的にあと二年半すれば一応黒字に転換されるから、その間のコストをあまり上げないためには、逆にそういうコストを割った輸出をしてもその方が有利だということなんですか。どうも、私どもは、出血輸出といいますか、そういう問題の中でよくわからない点があるのです。金利だけの問題ならば、場合によってはあまり安いもので売るよりは寝かしておく方が有利な場合もあるだろうと思うのです。おおむねこれは売れているのじゃないかと思うのですが、そこはどういう関係になりますか。
#38
○秋山政府委員 ごもっともな御疑問でございますが、これまた実は肥料二法からくる一つの問題だと思います。先刻申し上げましたように、メーカーが輸出向けに売る価格と内需向けに売る価格とを二本にしてはならぬということがきめられております。そこに一つの強制があるわけでございます。片方需給の関係から申しますと、確かに赤字を起こすような輸出はできるだけ減らすことが望ましいわけでございますが、一方、内需は大体一定でございますから、輸出を減らすということは生産を減らすということになるわけで、すなわち操短ということになります。化学工業のような装置工業におきましては、当然単位当たりのコストが上がってくるわけでございます。そのコストを基礎にした内需マル公の計算自体が上がってくるということになりまして、農民側に強い抵抗がある。しかも、従来の慣例から、これは毎年少しずつでも下げるというような一種の既得権のような思想があるわけでございます。いや応なしにある程度の操業率は維持しなければならぬし、内需はそれ以上そうたくさんは売れない。価格は今のようなことで徐々ながらとにかくある程度ずつは毎年下げなければならぬという幾つかの制約の中で考えますと、結局ある程度赤字は覚悟で輸出をして操業率を維持するということでないと、解決の手段がない。非常に安易であるといえば安易でありますけれども、従来の建前はそういうことで、いわば輸出赤字が起こることを承知の上でやってきた。ただ、会社創立当時は、かりにそういうことで若干の赤字が起こっても、いずれは生産費が下がればそこでカバーできるだろうということで、一時しんぼうすればよろしい、こういう考え方であったのでありますが、現実には生産費はどんどん下げておりますけれども、輸出価格の下落のスピードはもっと早かったということから、コスト・ダウンが追いつかないという状態で、赤字がどんどん広がってくるというのがここ数年の状態であります。
#39
○堀委員 そうすると、今度二年半か三年して四十二ドルにきた場合に、その後もなおかつ赤字が出るかどうかという見通しの問題ですが、これはやはりよそも下がってくるのじゃないか。こちらが合理化をすればよそも合理化をするということを考えれば、依然としてここに赤字がずっとたまるということになると、生産計画自体を変更しなければ、結局最終的に輸出会社の赤字というのはどこが負担することになるのですか。
#40
○秋山政府委員 外国の生産コストは非常につかむことがむずかしいので、推測の域を出ませんけれども、現在までのいろいろの生産方式を調べてみますと、これ以上急激にコストが下がるということはまずないだろうというのがわれわれの推定でございます。と申しますのは、先刻来申し上げておりますように、日本の現にとりつつある近代化の方式というものは、いわば世界最新の方式を取り入れてきております。残念ながら国産技術ではございませんで、大部分は外国から特許料を払って買ってくる技術でございますから、もちろんごくわずかその特許料等の支払いを含むわけでございますけれども、それにしても、技術的な内容におきましては、現に諸外国で行なわれているものと日本で進行しておるものとは、ほとんど甲乙のない最近代的なものをやっておるということでございます。従って、かりにこれ以上外国がコストを下げるとすれば――画期的な方式があれば、たとえば原子力を使うとかいうようなことになりますと、これはまた今日ではちょっと想像外でございますが、われわれが、現に科学技術屋が調べ、また取り入れてきておる範囲では、それほど負けるはずはないということを確信しておるわけでございます。今日のような自由な通信、交通の状態でございますから、時々刻々新しい方式は日本に入ってきておりまして、いいものがあればどんどん取り入れていくというやり方をいたしておりますから、そういう意味でのシーソー・ゲームといいますか、従来はたしか日本が非常におくれておったために、そこへ追いつくのに非常な努力を要したわけでございますが、今日以後の状態におきましては並行するかもしれません。追いつきかねるという状態は今後はもうないと私は信じております。
#41
○堀委員 今のお話でちょっと私が得心いきにくい点は、そうすると大体今後こういう合理化が完成したときには、たとえばドイツの今の価格と同じような生産機構になる、こういうことだと思うのですが、そこで残ってくるのは、賃金がドイツの方はずっと高いと思います。日本の現状よりは高い。日本も将来所得倍増計画と称するもので賃金も上げるのだ、こういうことになるわけですね。賃金が上がるのは、生産量の伸びに従って相対的に生産性が上がるから賃金が上がるのだ、こういうことになるのですが、今この肥料の問題で見ると、この二年半ないし三年後には今度は生産性が著しく上がってくると思います。量として上がるのではないけれども、価格の面では相対的に生産性が上がってくるということになってくれば、それに見合う賃金が私は当然上がってくべきだと思うのです。今のところ皆さんの考えは、賃金を固定しておいて合理化による部分の下がり方だけを見ておられると思うのですが、そういうことでは今後の問題の中ではこういう価格ではいかないのじゃないか。裏返していうならば、他産業との関連その他を見れば、この四十二ドル目標なるものも、実はそういう賃金ベースの上昇ということを含んで考えていくならば、これが普通の競争状態にある企業というならば非常に簡単だけれども、片やそういうことで国内価格にいろいろ制約があり、同時に赤字であっても輸出をして、ある生産量を維持していくというような、きわめて資本主義社会としてはおかしい条件に置かれておる企業だということになれば、私は、今後の関連において必ずしも今のような状態でいくのではなくて、依然として今度は他の要素からなる赤字が出てくる可能性というものはふえてくるのじゃないか。そういうことになると、それは将来の見通しですからいいですが、今出ておるこの赤字自体は終局的にどこが負担をすることになるのでしょうか。
#42
○秋山政府委員 御承知のように重工業は装置工業でございます。現に進行しております合理化の内容の大きな部分は、いわゆるオートメーションでございます。もちろんその労務者は、他の産業――他のというのは兼業でございますが、そちらへ移すことによって吸収しているわけでございますが、労務費の占める比率は機械工業その他の工業とは非常に違うわけであります。原価の中に占めております賃金比率というものも実は低いことは、容易に御想像願えると思います。確かに所得倍増で賃金が上がる傾向はあると思いますが、それを織り込みましても、なおそれほどコストを大幅に上げるという要素にはなるまいと私どもは考えております。従って、賃上げそのものが合理化を阻害するということは、私としては当分心配は要らないと考えておるのでございます。
 それから、輸出会社に累積されます赤字の問題でございますが、実は今後は赤字を起こさない。四月一日で従来のいわゆる赤字の計算は打ち切りまして、今後はかりに経理上起こったとしても、それは税法上関知しないことということに法律で規定をしたわけでありまして、輸出会社の赤字の関係から、今後もまたかような税の問題等が起こるのではないかということは御心配ないようにいたしております。
#43
○堀委員 税法上の赤字ではなく、実質的に赤字になっているわけですね。そうすると、その赤字は帳面上赤字で処理するのはいいですけれども、要するに損をして売った赤だから、どこかから金を借りるかしなければならないわけです。ただ赤く書いておけば済むものではない。そこで一体その赤字分はどこから金がきているかということです。その赤字分を将来は一体どこの責任でどういう格好でなくしていくのかという点です。
#44
○秋山政府委員 非常に基本的な点に触れての御質問でございますが、実は過去一年余りその問題と大部分取り組んできたわけでございまして、今までのところでは具体的な案というものはできておりません。すなわち、先ほど申し上げました、各メーカーの背負っておる実質的な赤字の補てん方策というものは、現にまだ進行いたしておりますけれども、きょうここでこうやりますということを申し上げる段階に実は至っていないのでございますが、いずれにしても、こういう一種の法律によってマル公を強制して生じた欠損でございます。そういうことから、何としても政府の責任において解決をしなければならぬ問題であるということで、関係のところといろいろ折衝しておるわけでございます。肥料審議会等におきましても、常にこの問題が議論されるわけで、現在のマル公決定の方式というものが、先刻申し上げましたように、いわば企業の努力によって合理化をしてコストが下がった、それはまたまっ先きにマル公の引き下げに全部回してしまうということでは、いかにも苛酷である。この点はもう少し消費者としても協力してくれないかというようなことも現に考えております。現在到達しております日本の国内マル公の水準というものは、国際的に見て、マル公国内価格としてはほとんど一番安いグループに入るのだと考えておるわけでございます。これ以上そう大幅に下げなくても一つがまんしてくれないか、それも長い間ではない、二年なり三年がまんしてくれれば、そこで自由化もできるし、もし不満があれば外国の安い物を買えばいいということで、そこまで基礎的な産業を再建するために一つがまんしてもらいたいというようなことも、今それぞれ説得をしておるところでございます。これはマル公の今後の決定方式にかかってくる問題でございまして、非常に微妙な点でございますので、具体的にこの際こうやりますということをただいま申し上げるのは、ちょっとごかんべんを願いたいと思います。
#45
○堀委員 どうも私どもよくわからない点が非常に多いのですが、一つはさっき私が触れました赤字の中に二通りあって、要するに会社側として残っている赤字と、輸出会社の関係で残っている赤字と、一つの会社についても赤字分が二つあるということになるのですが、その赤字の性格が私はちょっと違うと思うのですね。マル公という規定によって生じた赤字というものと、そのマル公と会社の生産費との関係による赤字という形でできる赤字とある。今度は合理化をやっていろいろ資金をつぎ込んで、もしもうかってきたとしましょう。もうかってきたとしたときに、今のあなたのお話では、そういうことをやったのは国の施策に協力して赤字を出さしたのだ――輸出会社の関係の分については多少そういう関係も出てくるかもしれない。今度は逆にもうかってきたような場合には一体どうなるか。そうすると、今度は、国の資金を入れてやって処理していくんだから、その分は吸い上げるというわけには参らないと私は思うのです。そこで、二つに分けて、会社自体マル公と会社のコストとの間に生ずる赤字と、それから今のマル公の関係で逆に生じた輸出関係の赤字と二つある。その一つの輸出会社関係については今おっしゃったような考え方もある程度了解できるのですが、あとの部分の赤字ということは、やはりこれも相当赤字があるのだろうと思うのですが、どういうことになりますか。同じ線で処理をされるのか、全然別個の角度なのか。
#46
○秋山政府委員 御質問は主としてマル公と生産費との差額からくるいわゆる実質赤字の点かと思います。これは先ほど申し上げましたマル公の決定方式自体に非常に無理がある。その無理を多少ともゆるめるということによって、できるだけ赤字を起こさせないようにする……。
#47
○堀委員 今後はいい。これまで……。
#48
○秋山政府委員 従来の赤字につきましては、実は全く政治問題でございますから、私の口から申し上げることはいかがかと思いますけれども、政府としては何とかして過去の赤字だけは埋めなくてはなるまいということで、その方策を実は一年余りかかって、現になお結論を得がたいという状態だということを申し上げる次第でございます。しかし、これはいずれにしても一〇〇%埋まればもちろん理想的でございます。現在のようにメーカーに押しつけるだけで済む問題ではない。何らかの形でこれは処置をしなければならぬ性格の問題ではないかと思っております。
#49
○堀委員 金額は今どのくらいございますか。
#50
○秋山政府委員 概算でございますが、二十九年以後三十四肥料年度末、昨年の七月末で約七十億円と算定いたしております。
#51
○堀委員 そうすると、その七十億円はどこかから借り入れをして、結果としては補てんをされておると思うのですが、それの金利などは一体どういうことになっているのですか。
#52
○秋山政府委員 確かに帳簿上は一応カバーされた形になっておりますが、金融によって大部分つないでおるわけでございます。確かに金利負担は、かりに年一割といたしましても、七億円前後ずつの負担を全部メーカーがかぶっておるという状況でございます。
#53
○堀委員 そういうことになってきますと、ここでちょっと配当のいろいろな収支計算等を拝見したのですが、これは硫安ばかりやっているわけじゃないのですね。硫安が一番多いところでも五〇%くらいのところで、あといろいろなものをやっておられるということになると、ほかの収益もあることだから、おそらく今の問題が処理をされてきて、あまり騒がれていないのじゃないかというふうに思いますけれども、今までのは政府で考えるというお話があったのですが、今後の問題は明らかにマル公にそういう含みを持たせるという方針をあなた方は持っておられるのですね。そうなると、今度は裏返した聞き方になりますが、農民の受ける価格が相対的には高くなるということになりますね。これまでの経緯からくる下がり方――私さっきから中間的な原料のウエートを伺ってきたのですが、だんだん下がりつつある。一ぺんに下がるのではないですから、合理化が完成するにつれてだんだん下がってくると思うのですが、今のお話は、そういう下がり方の中で、これまでは大体まるまるはき出しで消費者の方に有利にやってきた、ここらで少し下がり部分の分配を会社に取ってやろうということになると思うのです。そうすると会社に取ってやる分配というものには、これまでの赤字の分までも多少この中の要素に見るということになると、相当大きなものになってくるのじゃないかと思うので、過去の赤字はたな上げなんだ、これから後の分で赤字にならない程度にしか見ないのだという考えなのか。そこらは、今の考え方でいくならば、最終的に三年先にいったら価格は下がらなくなると思うのです。合理化が完成してしまえば、ドラスチックな何か技術革新がない限りは諸外国でも下がらないでしょうから、日本も下がらないだろうと思うのですが、そこの間の過程には非常に重要な問題が含まれてくる。下がる時期の段階での価格決定については問題が非常に大きいと思うのですが、それについてはこれまでのところで切って問題を処理することになるのか、どういうことになるのですか。
#54
○秋山政府委員 お説の通り三十五肥料年度末というところを一つ区切るといたしまして、過去の問題と将来の問題とは別個に考えるべきだろうというふうにわれわれは考えております。現に政府がいろいろ対策を考えておりますのも、主として過去の赤字の補てんということでございます。今後の問題につきましては、確かに、マル公決定は今後まだ三回少なくともあるわけでありますから、農民側の協力がどの程度得られるかということによって問題が左右される。もちろんこれは政府もできるだけの応援はしなければならぬと思います。今後の見通しについては、現在なお私どもとしては的確なことを申し上げられる状態にないということでございます。
#55
○堀委員 どうも自由化の関係で伺ってよくわからない点は、ほんとうに農民の利益を保護するのであれば、私はやはり自由化はある程度すべきではないかと思う。どうもいろいろなものが非常に出血価格で赤字だ、何だかんだいわれておるけれども、しかし事実はある程度そういう国策によって維持されておるというか、会社の経理はわれわれも外側から見るだけでわかりませんけれども、ほんとうにひどい赤字であったら、私は案外もう少し抵抗が強いのではないかという気持もするのですが、どうも下がった分だけはまるまる農民の方に取られ、なお赤字が累積しても運営されておるという中には、企業というものはそういうことであってもなおあぐらをかいておられる余地があるのではないか。そうすると、農民の利益を優先するということになるならば、ある程度二年半なり三年、合理化が終わったところで自由化をされるということになって、ある程度の競争というものが出てこなければマル公が逆の作用をしてくる段階が出てきはしないか。今は農民の方にプラスに作用しておるが、逆に今度は企業をプラスにする面に作用する時期が出てくるのではないか。そうすると、これはやはり自由化との関係でよくものを見ていかないと、問題は今の角度から逆の角度に変わる転換期というものが早晩くるのではないかと思うのですが、今後の問題についてはどういうふうに考えますか。
#56
○秋山政府委員 われわれの予定といたしましては、三十八年度で合理化が完成したら、その翌年すなわち三十九年からは輸入の自由化を実行しようという段取りで考えておるわけでございます。また、三十八年というのは現行の肥料二法の存続期間がこれで切れる、限時法でありますから三十八年度で切れるということからきておるわけであります。従って、法律がなくなりますれば、当然マル公制度というものも消えてなくなる。その後は国際的な自由競争というところで、日本の各企業におきましても、強いところと弱いところと裸の競争をするということになろうと考えております。
#57
○足立委員長 平岡君の先ほどの質問に対する答弁を願います。
#58
○荒玉説明員 かわって説明させていただきます。
 三十四肥料年度におきまして諸掛りが五億五千八百万円というのが出ております。それを説明いたします。それは、一般管理費といいまして、職員の俸給とかそういったものが四千三百万円ございます。それから、商社の手数料その他といたしまして大体三億三千万ございます。それから、先ほどの滞貨金融の金利、これが一億八千五百万、それで合計五億五千八百万。それで、手数料と申しますのは、商社が取り扱いますと、大体普通ですと地区によっていろいろあると思いますが、取引高の一・五%を商社に手数料として渡す。商社、たとえば三井物産がインドで扱うということになっておりまして、かりにそのときインドであるいは国際入札の場合には一・五が少し安くなるわけでございますが、その取引高に応じた手数料を三井物産に輸出会社が支払う。これは逐次取引量が多くなっておりますので、だんだんふえておりますが、大体現在ですと三億で、その他ちょっとかかりますが、要するにそういうものが三億三千万、主として例年と違ってふえましたのは、先ほど言いましたように滞貨金融が一億八千五百万というように大幅にふえて、それで結果としてふえておるという形になっております。
#59
○平岡委員 二十九年度の数字はわからぬのですね。比較してみるための数字が……。
#60
○荒玉説明員 これはちょっと先ほど電話だけで、金利関係だけ……。
#61
○平岡委員 その数字がわからぬでも、五億五千八百万円のちょうど三分の一くらいが金利ということになりますね。そうですね。そういたしますと、三十四年の一ドル六十八セントから三分の一を引きますと、一ドル十二セントになるのですね。金利という特殊事情、このファクターを三十四年度の一ドル六十八セントの中から引きましても、なおかつ一ドル十二セントなんです。そうすると、二十九年はこれが四十二セント、まだここに七十セントわけのわからぬ数字があるわけなんですがね。この説明をしていただかないことには……。
#62
○荒玉説明員 第一には取り扱い数量が……。
#63
○平岡委員 それは同じだよ、単価で出ているのだから。
#64
○荒玉説明員 結局単価といいましてもトータルの諸掛りがございまして、それに対して単価を割るのでございますから、トータルの諸掛りがふえてきますと、自然に単価は上がってくるわけであります。
#65
○平岡委員 それなら、二十九年と三十四年ではどっちが輸出数量が多かったのですか。
#66
○荒玉説明員 二十九年は約四十二万トン輸出しております。それから三十四肥におきましては約九十万トン取り扱いが上がっております。
#67
○平岡委員 数量が多ければ輸出諸掛りの単価は逓減するはずだから、逆じゃないですか。数量が多くなれば手数料は逓減はしますけれども、ふえることがないのが常識じゃないですか。
#68
○荒玉説明員 その点単価の面は訂正しておきます。主として使いましたのは、輸出競争が激しくなりますと、当初の輸出の――今取引高に対しまして一・五%というのが最近の時点でございます。これが各国競争が非常に激しくなりますと、商社としてのマージンがよけいに要るという面がございまして、従って最近は二十九肥料年度以上に取り扱い高に対します手数料のパーセンテージがふえておりますから、従いまして、そういう意味で商社の手数料が競争激化に伴ってよけい要るということになると、単価に影響してくるということになるかと思います。
#69
○平岡委員 国際入礼とかなんとかいうことになれば、それは商社のマージンも少しはたたいて何とか日本の入礼が勝つようにするというのですから、逆に商社のマージンは低かるべきだと思うのだね。それを、あなたの、そのために商社のマージンは二十九年よりふえるんだという説明は納得できません。
#70
○足立委員長 速記を止めて。
  〔速記中止〕
#71
○足立委員長 速記を始めて。
#72
○平岡委員 だんだんお尋ねしてみますと、先ほど私が言いましたように、特殊事情の金利というものを抜かしても、七十セントだけ二十九年に比しまして三十四年の輸出の諸掛りがふえた。七十セントというのは、三十四年の一ドル六十八セントの輸出諸掛りのちょうど四〇%に当たるのです。そこで五億五千八百万円の四〇%、そうすると二億二千三百二十万円ですが、そのような多額の供応費を使ったということになりますね。それほどひどいものなんですか。
#73
○秋山政府委員 実は現在はバンコックにございますが、日本の肥料の宣伝機関を持っております。これは東南アジア全部を受け持って――実は私どもも、もう一カ所インドにも置きたいと考えて毎年予算要求等をしておるわけですが、現在バンコック一ヵ所でございます。これにこちらからたしか三名、現地人を数名使いまして、向こうの農事試験場とタイ・アップいたしまして、日本の肥料の施肥の試験の応援とか宣伝とか、あるいは見本の配布というようなことをやっておりまして、そういう経費も実はその中に含まれております。全部が供応費ではございません。
#74
○平岡委員 それはジェトロに委託しているのですか。日本硫安輸出株式会社がそういう施設をそこに持っておるのですか。それとも特定の商社がやっておるのか。その辺を明確にしていただきたい。
#75
○秋山政府委員 形式上は、これは独立の機関でございます。ジェトロと直接の結びつきはございませんで、メーカーも一部負担しております。輸出会社も相当部分を支出し、商社も一部経費を負担するというような、また政府が補助金を出すという形で、持ち寄りでやっておる機関でございます。
#76
○平岡委員 持ち寄りはいいのですけれども、その出先の機関自身は硫安の売りつけだけを担当しているのですか。
#77
○秋山政府委員 現実の商取引はいたしておりません。あくまで宣伝とかあるいは需要の調査の機関でこざいます。
#78
○平岡委員 日本硫安輸出株式会社の機関ですな、それは。
#79
○秋山政府委員 硫安株式会社の機関ではございませんで、独立はいたしておりますが、それに対する寄付金という形の経費の支出でございます。
#80
○平岡委員 それは法人格ですか。正式の名称を一つ知らして下さい。
#81
○秋山政府委員 法人格は持っていないと思います。それから、名称は、私どもは普通センター、センターと呼んでおるものですから、公式の名称は実はちょっと思い出せないのですが、日本側には肥料輸出振興協会という団体がございまして、それの現地機関として置かれておるものでございます。私どもは通常センターと呼んでおります。
#82
○平岡委員 そうすると、内地に肥料輸出振興協会というのがあるのですか。それは輸出肥料会社の建物の中にあるのですか。
#83
○秋山政府委員 硫安工業協会の中に形式上置かれております。
#84
○平岡委員 そういう協会があっても、常識上はメーカー十七社あるいは十六社ですか、それが売上高に比例して拠出して、そしてクラブ的な、あるいは一つのPRの機関として存在することは、どの業界でもあると思うのですね。その株主がみんな日本硫安輸出株式会社の構成員になっているわけでしょう。メーカーも日本硫安輸出株式会社の構式メンバーだと思うのですね。ですからちょっと変じゃないですかね。日本硫安輸出株出株式会社から金を相当拠出させているということ自身があんまりいい形ではないと思うのですが、どうですか。
#85
○秋山政府委員 まあ名称は硫安輸出株式会社でございますが、それのいわば海外の宣伝請負機関というような――形として本体である会社と株主とが両方出すということは理論上はあるいはおかしい点があるかもしれませんが、ほかにも例があるということでございまして、付帯事業として行なっております。
#86
○平岡委員 これは理論的におかしいのじゃなしに、道徳的にいかぬのです。そう思いませんか。しかも輸出諸掛りなんて簡単に片づけて、相当の金を計上支出しておるのはけしからぬです。監督の任にある局長、どう答弁されますか。
#87
○秋山政府委員 実はそれに対する負担額がどのくらいになっておるか、はっきり私数字を記憶しておりませんので……。これは全額ではございませんので、さっき申し上げましたのは、国際的な関係の経費等を含んでの総額をさっき課長が申し上げたわけでございます。
#88
○平岡委員 結局散発的な質問になったのですけれども、こうなりますと二十九年、三十年、三十一年、三十二年、三十三年、三十四年の、この一トン当たりの輸出諸掛りの明細を各項目別に出して下さい。その必要があると私は思う。委員長、その資料要求をいたします。
#89
○足立委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#90
○足立委員長 速記始めて。
 午前中の会議はこの程度にとどめ、午後二時半より再開いたします。
   午後一時七分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時八分開議
#91
○足立委員長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を続行いたします。
 午前の会議における平岡委員からの資料要求に対して、政府委員より発言を求められております。これを許します。秋山軽工業局長。
#92
○秋山政府委員 お手元に差し上げました資料の御説明に入ります前に、おわびをして訂正しなければならないことがございます。私の勘違い、記憶違いから先ほど間違った御説明を申し上げましたので、おわびをして訂正をさしていただきたいと思いまます。
 それは、肥料輸出振興協会の問題で、硫安輸出会社がこの経費を分担しているというふうに御説明をいたしましたが、実は、これはしておるのには相違ないのですが、まことにわずかなもので、実は会費の一口一万円だけをおつき合いとして負担をしているということで、他は全部メーカーが負担をしているという状況でございます。勘違いのもとは、実は政府で補助金を出しておりますが、その予算折衝の際に輸出会社にもう少し持たせたらどうかというような議論がございましたのを、私の記憶違いで現にそうなっておると考えてしまったのでありまして、大へんな間違いでありましたので、訂正をして、おわびを申し上げておきます。
 それから資料の方の御説明を申し上げますが、輸出会社の諸掛りの内訳表を年次別に作ってございますが、上の表は総括表でありまして、下のはその内訳でございます。二十九肥料年度から三十四肥料年度まで、備考として年度別輸出数量が出ております。最近のところで申しますと、三十四年度五億五千八百三十六万二千円ということでございまして、それの内訳は、一般管理費が四千百二十八万八千円、支払い手数料が二億九十万円、これはトン当たり二百二十二円になっております。輸出諸掛りが一億三千五十六万七千円、これのトン当たりが百四十四円。それから支払い利子一億八千五百六十万五千円、これがトン当たりで百九十八円という内訳でございます。二十九年度から見ますと、確かに非常に大きくふくらんでいるという状態でございます。
 なぜそういうふうに大きくふくらんだかということは、輸出諸掛りの内訳をごらん願いたいと思います。実は対外的に数字が漏れることは必ずしも好ましくない点もございますので、そのお含みでお扱いいただけたらけっこうだと存じますが、諸掛りのうち一番大きい金額は運賃の差額負担でございます。細部は後ほど課長からまた御説明をいたさせますが、国内――国内といっても船で運ぶのでありますが、工場の所在地があまりに遠隔の地にある場合には、標準的な運賃の超過分を同業者が全部プールして負担してやるというやり方をいたしておりますのが、大きく現われております。たとえば三十四年度の台湾向けの超過運賃の負担は約六千万円という巨額に上っておるのであります。その他インド向け、インドネシア向け、韓国向け等につきまして、それぞれ超過運賃を負担しております。一億三千万円の諸掛りのうちで約一億円というものが運賃負担という結果になっております。下の内訳表の四段目に台湾向け値引き分三百六十八万六千円というのがございますが、これは、台湾の内部の事情から、台湾に対する輸出をできるだけ日本もので押えたいということで、特に台湾については特殊なやり方をいたしておるのでございます。そういう関係の一種の値引きをしておるわけでございます。それから、為替差損というのが載っておりまして千八百万円、これはポンド為替でございますが、為替相場の変動が、ちょっと原因ははっきり記憶しておりませんが、大きく見込みと違ったということによって生じた差損であります。三十三年度は若干益があったのでありますが、三十四年度では大きく負担をしております。それから、下の方で南ベトナム、タイ、マラヤ向け値引き分というようなもので一千万円、これもやはり台湾と似たような事情で、国際競争が激しい結果雑損的に負担したものであります。前年度でやや特殊のものとして韓国向けの輸出保険料というものがわずかございますが、これは李承晩政権時代に輸出保険をつけないと買ってやらぬというような条件になっておりましたための保険料でございます。おもな項目は大体以上でございまして、諸掛り合計が一億三千万円余り、一トン当たりで見ますと、確かに三十四年は異常に高い結果が出たのでございますが、内訳がこのような状態で、過去にはあまりなかったような雑損的なものが相当かぶってきておるというふうに御了解いただければいいかと思います。
#93
○平岡委員 三十四年の特殊な支出の内訳として超過運賃を重点に説明されておるようですが、もともと輸出の硫安の建値というものはFOBですか、CIFですか。
#94
○秋山政府委員 CIF契約の場合、FOB契約の場合、両方あるようであります。
#95
○平岡委員 韓国向けの二千七百十六万六千円ですか、そういう数字がありますね。これはウォー・リスク・インシュアランスですか。
#96
○秋山政府委員 これは、インド向け、インドネシア向け、韓国向けで、不精いたしまして「〃」としてございますが、いずれも超過運賃の負担でございます。これは、船積み場所――工場所在地でございますが、船積み場所と標準運賃との差額でございまして、標準運賃というのは大阪―門司間を運搬するという場合を標準運賃として扱います。それを超過する部分は輸出会社が一括プールして負担するというやり方をいたしております。
#97
○平岡委員 ただそれが、二十九年から三十二年ぐらいまでは、いずれにしてもそういう項目で上がってきておりませんね。それはどういうことですか。工場所在地が変わったわけじゃないでしょうから、全部の年度に超過運賃はあるはずですね。
#98
○秋山政府委員 輸出価格が急激に下がりました結果、各会社の出血額が非常にふえてきたということで、従来はこういう特殊な扱いをしていなかったわけですが、あまりに不公平が大きくなるということで、こういう制度をあらためて三十三年から始めたということでございます。なお課長から説明申し上げます。
#99
○荒玉説明員 契約する場合二つございまして、相手方政府が大量にまとめて買うという場合と、個々の商社が取り扱うという場合と、二つ分けてあると思います。ここで運賃負担が問題になりますのは、主として政府が統一して買う――台湾ですと、前から三十一肥以降統一して政府が買っております。それから、韓国の場合は、まとめて買い始めましたのが三十三肥からでございます。インドも政府がまとめて買い始めましたのが三十三肥からで、従ってその場合に、たとえば韓国で申しますと、門司港から積む、あるいは台湾で申しますと、門司なら門司で積んでくれ、あるいは台湾の場合は横浜もあるかと思いますが、そういうところから積んでくれというふうに向こうから指定するわけであります。そうしますと、各メーカーごとに、たとえば在庫その他を見まして、東北肥料のように秋田の山の中からわざわざ門司まで運ぶという場合と、かりに住友が新居浜から門司まで運ぶという場合に、実績運賃が非常に違うわけです。そういう場合に、東北肥料は門司まで送るためによけい運賃をかける。それを全部東北肥料の負担にするのはかわいそうだから、メーカー全部がお互いに均等になるように負担する、こういう建前がございます。従って、メーカー間の均衡を保つ意味でこの超過分ということが生じておるわけでございます。
#100
○平岡委員 そうすると、門司で本船に積むのですか。それまではしけですか。
#101
○荒玉説明員 はしけの場合もありますしあるいは鉄道で門司まで運ぶという場合もそれぞれあるかと思います。
#102
○平岡委員 いずれにしましても、日本硫安輸出会社に負わせる義務というか、そういうことが大きく要素として変わっているわけですね。そのために輸出諸掛りとしての内容が数字的に大きく違ってきているということですね。この問題はあと個別的に具体的に私どもは将来のために知りたいと思っていますから、そういう点は保留はいたしますけれども、一応これはこの程度でとどめます。
 それから主税局長にお伺いします。
 この法律案は、法律案として出てきているのですけれども、行政措置に委任している部門がずいぶん多いのじゃないかと思うのです。それで、今度企業の経理面において不良債権として残ってているものを国の方で欠損金として了承しててこ入れをしてやろう、こういうことですが、経理上損金としてみなすということになりました際には、これまでの輸出所得の恩典である輸出免税とかあるいは貸し倒れ準備金の引当金として積んである金とか、あるいは価格変動準備金として当然会社の経理に積んであるものは取りくずされるわけですね。その点を一つ明確にしていただきたいと思うのです。
#103
○村山政府委員 今度の措置は、今までの硫安の製造会社の経理と、それから日本硫安輸出会社、この両方の入り繰りの関係、これがあまり従来はっきりしていなかったということがあったわけですが、たまたま今回いろいろの硫安の問題が問題になりまして、やってみますと、これは実質的に架空の売掛金といわざるを得ないということで、今度の措置をとったわけでございます。その場合、一つの考え方は、おっしゃるように、過去にさかのぼって全部計算し直すというやり方があると思うのです。すべて二十九年からこの方売掛金はないものとして収入に立てないとした場合にはどうなるか、これは非常に繁雑な問題になるわけでございまして、おっしゃるように、貸し倒れ準備金に響き、価格変動準備金に響き、もし特別償却があれば特別所得による特別償却にまで響いてくるし、それから輸出控除に響いてくる。こういう問題を考えてみますと、過去に納めておっただけ今から考えて見ると金利分は少なくとも非常に損をされただろうと思うのです。それこれ考えまして、過去にまでさかのぼって全部御破算にするということでなくて、現在売掛になっているものを今期でこの法律施行と同時に損金に算入する、そこから計算をし直していく、それで実際問題としては大部分が片づくのじゃないか。また計算をやり直してみてもそう大きな違いはないだろう。それから、やり直すとなったら、これは大へんなことだろうと思うのです。おそらく兼業でもっていろいろやっておりますから、それを一々業種ごとに区分して、税法の規定を各一々に当てはめて計算し直すということは大へんでございますので、それはやらないで、この法律施行の際に全部損金に算入して、今後の事業年度においてすべて当てかえをやっていくという建前でございます。ただその場合に問題になりますのは、現行法によりますと、そういうふうにいたしますと、貸し倒れ準備金を倒すという問題があるわけでございます。しかし、これは考えてみますと全額倒させるのは少し気の毒ではないか。まあ言ってみれば、これを架空の売り上げとして、売掛にしたことによって積み増しになった分だけ倒させれば、実質的の公平ははかれるのではないか、かように考えております。税法では、法律の面ではそのことはうたっておりませんで、政令で定める金額というところは、実はそういうこまかい配慮をしているわけでございます。
 それから、第二点は、このほかにも運用問題でもっていろいろ問題があるのじゃないか。おっしゃる通りでございまして、現在もし売掛がございまして、それが貸し倒れと認められれば、会社が損金に計上すれば、税務署は認めるという建前になっております。ただ、通常の場合は、会社が損金に貸し倒れとして計上しない限りは、これは認めないことになる。それから、貸し倒れの際に、全部の売掛のうち、どの部分を貸し倒れに立てるかというところが、なかなか税務署と会社側でいろいろ問題のあるところでありまして、税の取り扱いとしては、任意に一部だけを貸し倒れに立て、残りの部分は翌事業年度に立てる、こういうようなことは、やはり期間計算を厳格にやるという意味で、これは認めておりません。事実、貸し倒れの事実があったとしても、もし事実があるならば、全部立てるかあるいは立てないか、この選択をさせている、こういう状況でございます。実はそういう問題があるわけですが、今度の法律の構成は、そういううるさい問題を一切なくしまして、税務計算上一挙に立ててしまうということになりますので、そういうことから生ずるいろいろな紛争というものも、今度の立法措置によって解消する、かように考えておるわけであります。
#104
○平岡委員 紛争をせぬように割り切ってやってしまうというお話ですね。私の聞く要点は、二十九年まで遡及しまして損金とし扱って、この三月三十一日の時点でやるということですけれども、それは二十九年以後の各年度における不良債権を実質的に損金として落としてしまうというのですが、それと関連して、今度は肥料会社の義務の方、肥料会社の義務関係は免じてやる、政府としての権利関係はこれを放置して関知しないというのでは、片手落ちではないですか。二十九年にさかのぼって損金とするなら、それに見合って、貸し倒れ準備金であろうが、あるいは価格変動準備金あるいは特別償却等、すべてその事実の変更に伴って当然処理されてこなければならぬと思うのです。今度は、会社側の義務の免除というのですか、損金としてみなすことによって義務の免除となるのと見合って、権利関係が政府の側に生ずるものがあるはずですね。その点はどういうように処理されますか。
#105
○村山政府委員 今私の説明がまずくて、よく御理解がいかなかったのかもしれませんが、こういうことでございます。今度は売掛金は損金にします。ただしいつの損金にするかということは、四月一日を含む事業年度の損金にいたします。売掛の発生は――実は売掛は過去この肥料二法ができました二十九年くらいから発生しているわけですが、それぞれの発生事業年度ごとに割り振って、全部改算してそれを損金にするという意味ではございません。そういたしますと、先ほど申しますように、小売所得の控除に響いたり、貸し倒れ準備金を改算してみたり、あるいは価格変動準備金にスライドして価格変動準備金を減らしていきますので、それを全部やり直すという必要が出てくるのであります。それは双方にとっては非常な手数でもあり大変なことだ。だから、損金にはいたしますが、それはこの法律が施行した日を含む事業年度の損金として、それで所要の措置をいたします、こういうことでございます。それはさかのぼったらどうかという議論もあるかと思います。ただこれは法律論で言いますと、経済的に見て確かにそれは架空の売掛だということは言えるでしょう。ただ一般に普通の私債権であっても、経済的に見れば、あとで結果的に見ればそれは架空の売掛金であることには間違いないわけです。ですから、法律的にはやはりはっきり取れなくなったときと、はっきりその会社が債務免除をするとか、あるいは相手方が解散するとか、こういうときに初めて法律的には貸し倒れ損に計上すべきものであると思うわけなんです。ただこれはあまりにも国策によってはっきりしておって、それから取れないという経済的実態がはっきりしておりますので、そこで法律的にもこれを損金と認めましょうと、ここは法律的に踏み切っているわけです。それと過去にさかのぼらずにこの法律施行の日を含む事業年度と損金といたしますということでやっておるわけでありまして、まずそういう処理の仕方が最も実情に適しているやり方ではないか、こういう提案をしているわけでございます。
#106
○平岡委員 では、もっと端的にお伺いしますけれども、この法律施行の時期を含む年度ということで処理する。これはよろしゅうございます。それじゃ貸し倒れ引当金がずっと積まれておりますが、それの取りくずしは同一時点で何らかの形でやりますか。
#107
○村山政府委員 これは目下細目の点は検討中で、政令に譲っておるのでございます。大体の考え方は、過去に――これが実は今となると架空の売掛金だということになりましたが、少なくとも過去にはそれは売掛金として課税もされ、そのかわり一方において貸し倒れ準備金の積み増しの基礎になっているわけでございます。ですから、これを架空ということによって課税を受けることによって製造会社の方は不利益をこうむったけれども、そのかわり利益になる部分として貸し倒れの積み増しが認められたじゃないか、その部分だけを抽出計算いたしまして、その部分だけ取りくずさしてはいかがであろうか。まあ考え方といたしましては、一々計算するよりも概括的な計算をしまして、あるいは政令で確定率できめるのも一つのやり方かと思っておりますが、いずれにいたしましてもこの点は個々の会社の実情についてさらに計算いたしまして、政令でその点を明らかにしたい、かように考えております。
#108
○平岡委員 年度別区分の上での積算でなくて、概括でもけっこうですが、筋は通していただきたいと思います。
 それでは、次の質問に入りますけれども、先ほど、同僚の堀君から、第二次五カ年計画の最終三十八年度におけるコスト・ダウンされた額が四十二ドルということをめぐりまして、当然予見せられる賃上げがどのくらい見込まれておるか、もし入ってないとして、なおそれを考慮に入れた場合に影響がないかどうか、そういう質問に対しまして、秋山局長は、きわめて微々たるものである、それにはオートメーション的な生産システムをとるから、労賃の部分は賃上げがあっても影響せぬとおっしゃいました。その限りにおいてはいいと思います。ただ、それに関連しまして、たとえば三十八年の四十二ドルの価格構成の中に、減価償却の問題、電気料金、それから国鉄運賃が上がりますが、その運賃、その他建設材料関係、そうした価格構成要素はどういう形であなた方は計算され、それを織り込んでおるか、それについて御明示いただきたい。
#109
○秋山政府委員 労賃の問題は、午前中堀委員に申し上げましたように、全体としての労務費の占める比率が比較的低い、現行七百五十七円のうち百円ちょっとが労務費でございます。比率にすると一割三、四分というところかと思います。かりにそれが何パーセントか上がったとしましても、それほどコストに響くほどの額にはならぬと考えておるわけであります。それから、鉄道運賃は確かに非常に問題でございますが、午前中も御説明申し上げましたように、大体前年度の生産要素の実績をとりまして、それに今後一年間の予見される変動要素を加味して、一種の予想原価を作るというやり方をいたしております。
#110
○平岡委員 見込んでおるのですか。
#111
○秋山政府委員 年々の公定価格には見込むわけでございます。ただ、ただいま御質問の一連の合理化計画の一つの目標という場合には、実はまだ不確定要素が非常に多いわけでございますから、ごく概括的に一つの趨勢としての、たとえば労賃につきましても若干のベース・アップ等は見込まざるを得ないかと思います。それから電力料金等も、ある程度、三年間には、たとえば九州電力では上がりましたが、この次には東京あたりがやりはしないかというふうな程度で、それが見込み得る程度のところは見込むわけでございます。それらを加味して四十二ドルにいけるかどうかという点は、実は今細目検討中という状態でございます。われわれとしては、できるだけ四十二ドルに持っていきたい、吸収余地はないかという検討を続けておるわけでございます。
#112
○平岡委員 あなたは四十二ドルという目標を示されたわけなんですよ。それならば既往分の措置はやむを得ないというふうに考えたわけです、四十二ドルはわれわれにはまゆつばですが。まゆつばですけれども、しかし、明瞭に予見される鉄道運賃の値上がり分は少くとも見込んであるのか。あるいは償却費だって遊休施設がうんとできるわけです。新しい工場が新たにできるのですから、もとの遊休施設の償却が全部かぶってくるわけです。そういう要素を四十二ドルの価格構成の中に見込んでおるのかどうか。あなた方が現実に四十二ドルを出した中に、運賃、償却費等はどういうふうに織り込んでおるか、そういうことを聞いておるわけです。
#113
○秋山政府委員 そういう合理化の進展によって新しい設備を作って旧設備を廃止するという場合には、当然そういう償却費もかぶってくると思います。これは計算に入れてございます。ただし、実際は相当古い設備でございますから、償却がかなり進んでおる。従って建設当初から見ると非常に額が下がったものを見込んでおります。鉄道運賃は、これもまだ実は実行上の問題としていろいろ議論があるわけでございます。ある程度のものは見込んでおります。
#114
○平岡委員 ここだけの言いのがれということでなしに、四十二ドルをわれわれは権威あらしめたいという熱願を持っておるわけです。見込んでないことはないと洗いざらしにして、なおかつどういう対処をするかということでないと困る。一時のがれ、一日のがれじゃ困ります。今言った中で、特に減価償却等は私は当然遊休施設がうんと出てくることが予想されるので、そういうものを見込んでの数字であるかどうかをお尋ねしているわけです。同時に、鉄道運賃の値上げも当然予見されておることで、これは一五%というものがすでに出ておりますから、これは計算基礎がはっきりしておりますので、見込んでおるのかもしれません、おらぬのかもしれませんが、その辺の確認をもう一度願いたい。さらに電気料金は、化学肥料に対して熱源として大きく使われる。この電気料金の値上がりはまた必至です。単に九州だけじゃないでしょう。不確定要素といえば不確定要素には違いないけれども、当然東京にしてもどこにしても今後三年間には値上がりが予想されるでしょう。ですから、そういう要素がどれだけ価格構成に、四十二ドルの中に織り込まれておるかということ、この点をわれわれは確かめないわけにはいかないのです。先ほどは労賃だけでしたから、あなたは軽く逃げられたけれども、すべての要素がこういうふうに累積されるならば、四十二ドルなんというのは消し飛んでしまうのではないかと思うのです。私なんか、しろうとなりに、これはやはり四十五、六ドルになってしまうのではないかということをおそれているわけなんですが、その辺の御確認をいただきたい。
#115
○秋山政府委員 実は、四十二ドルという数字を先日来私公式に申し上げることを控えておるのでございますが、これは、昨年の秋から暮れにかけまして、各業界、各工場、会社から集めてそれを集計した結果、平均してできたものが大体四十一ドル九十幾つ、約四十二ドルというコストが出たわけでございます。これはあくまで現在はまだ検討中でございます。なぜそういうことをしつこく確認をお断わりするかと申しますと、生産能力自体の算定を今実は急いでやっておる最中なんでございます。実は三十四年度、御承知かどうか約一割の操業短縮をやりました。これは異常滞貨があったというようなことでやったわけでございますが、そういうようなことから、われわれの手持ちしております現在のいわゆる公称能力の数字が、どうも現在の実際の生産数字と見合わせて少し内輪過ぎるんじゃないか。実は四十二ドルの計算基礎に使いましたのは、やや古い生産能力を基礎にして、それに操業率を九〇数%として算出した数量だものですから、新しい生産能力で、たとえば技術的な改良、触媒改善などというようなことで、同じ設備を使っても、実際の生産能力は年々やはり少しずつ上がる。生産能力が上がるということは、固定費が動かぬ限りは単価が下がるわけでございますから、消費者の利益としては、当然それを計算に入れるべき性格のものでございます。従って、できるだけ新しい時点で現有能力を調べて、それによって生産数量を計算し、コストを計算するということが正しいわけでございます。実はこの数字が、四月の半ばごろになりませんと、現有能力の正確な把握が資料として集まらないということで、それを持ちました上で、あらためて今の四十二ドルにほんとうになるかならぬか。私は四十二ドルよりもっと下がるだろうと考えておりますが、確かに、今おっしゃるように、逆に値上がり要素になるもの、電力あるいは運賃というものがあるわけでございますから、それらをかげんして、一体最終的に四十二ドルにおさまるか、あるいはもう少し値上がりせざるを得ないか、あるいは四十二ドル幾らということになるかもしれない。ちょっと今その点を四十二ドルになりますと申し上げることを差し控えさせていただきたいとお願いしているわけでございます。
#116
○平岡委員 四十二ドルじゃなくて、逆に四十一ドルになるかもしれぬなんという、そういうお話はやめた方がいいんじゃないですか。そういう何か実情とかけ離れた答弁で、委員会だけ切り抜ければいいんだというお考えはやめた方がいいんじゃないですか。それじゃもっと具体的に聞いていいでしょうか、あなた方の積算基礎を。私は、実際には四十五ドルぐらいになるんじゃないか、そういう判断をしているわけです。四十二ドルも怪しいんですけれども、何とかそういうふうに努力しますと言うのならばまだかわいいんですけれども、四十一ドルになるかもしれぬなんということは言わぬ方がいいと思うんですが、どうですか。もう一回答え直してくれませんか。
#117
○秋山政府委員 けさほどお配り申し上げました資料で、標準生産費という資料をお配り申し上げましたが、これは全く理想状態でございます。この通りすべての工場がいくとはもちろん考えられません。それから、新しい工場と古い工場をプールして計算いたしますから、それらの要素も入れなければいけませんが、この場合は、理想的にいけば四十一・四ドルという数字が出ておるわけでございます。
#118
○平岡委員 お聞きしますが、従来この三、四年間の償却率というものは平均されたものがあるでしょう。コストの中に占める償却率というものがあると思うのです。ただ、やはりこれから設備を作りかえて、工場を新しくしていくから、古い工場はディザーテッド・ファクトリー、置き忘れたものとして、これは企業的価値がないわけです。しかし償却はそういう遊休分まで含んでやっていかなければならぬという事態は、私は起こると思うのですね。その点はどうなんですか。既往の率だけで償却しただけじゃないですか。
#119
○秋山政府委員 将来当然スクラップ化すべきものにつきましては、それの償却を、まあ会社によって定率のところと定額のところとございますが、それを一応全部織り込んで計算をしました。
#120
○平岡委員 織り込むように指令して資料を出さしたのですか。
#121
○秋山政府委員 もちろん新しい数字を全部徴集いたしまして、資産額の内容を当たっておりますので、一応全部入っておると私どもは考えております。
 それから、先ほどの目標価格でございますが、確かに的確に申し上げることは困難なんで、できるだけ値下げ要素を多く見込み値上がり要素を押える。たとえば電力などはいわゆる特約料金でございますから、今後の折衝の問題も残っておるわけでございます。一般的な率でそのまま上がるということではございませんから、それらもできるだけ安くして――全然上げないわけにはいかぬと思いますが、値上がりを防ぐということによって、四十二ドルの目標に近づけたいという気持でございます。
#122
○広瀬(秀)委員 関連してちょっとお伺いしたいのですか、先ほどの答弁で、これは午前中の最後のころなんですが、まあ三十八肥料年度の最終あたり四十二ドルぐらいまで持っていきたい、その中間の過程において、国内の農民に対して若干合理化の進行過程における負担をしてもらいたいというようなことを言われたわけですが、通産省としてはそういう強い気持をお持ちなんですか、その点ちょっと……。
#123
○秋山政府委員 私どもといたしましては、御承知の通り、相当強い希望を持っておるわけでございますが、これは農民側からすれば相当意見のあるところでございます。政府部内において十分調整して最終決定をしなければならぬかと考えております。
#124
○広瀬(秀)委員 三十八肥料年度を目標にしていろいろなコスト・ダウンの方策を盛んに考えておる。特に固体から液体ガス関係に移行するという大きな目標を立てておられるわけですが、やはり一番コストの低いと思われるのは、鉄鋼関係の廃ガスを利用するというものが非常に合理化では必要だろうと思うのです。そういう面で、通産省のやり方としては、たとえば鉄鋼会社が肥料部門も兼営したい、こういうような要求などもあるやに聞いておるのですけれども、そういうようなものをその分野でやらせれば、非常に硫安の価格というものは、コストがもう外国と大刀打ちできるようなことに今すぐにでもなる要素というものがその中にはあるのじゃないか。これを、既存の肥料業者、メーカーばかり発展させていこう、これを合理化しよう、こういうことになると、非常にロスもあるし無理もあるしということになるのじゃないかと思うのです。そういう方向というものを基本的に、一貫メーカーといいますか、そういうものをやはり助長するようなことを取り入れない限り、これは目標を立てても、今平岡委員が御指摘いたしましたような要素なども加わってきまして、相当困難な面というものが出てくるのじゃないか、第一、今のような建前をもってこの合理化をやっていくんだ、やはりある程度日本的に、限られた、日本の特殊事情といいますか、今までのメーカーだけを助長しようという方向でいきますと、その間に設備の、特に装置産業だといわれるくらいの巨大な装置なんかの面におきましても非常なロスがあって、どうしてゃコストを外国並みに、特に西ドイツ並みに引き下げていくということはどだい無理なんじゃないか。そういう点についてのお考えは一体どうなんでしょうか。
#125
○秋山政府委員 現に第二次計画の中に織り込んでおりますガスの利用方法ということでありますが、原価から見ますと、ごくわずかではございますが、一番安いのは天然ガスを原料とする方法で、その次がただいまお話しのコークス炉ガスを利用する方法であります。それで、われわれといたしましても、鉄鋼業の発展拡大に伴ってあり余ってくるコークス炉ガスをできるだけ肥料のために利用するという方向であらゆる計画を取り入れておりまして、現在鉄の面には鉄鋼第二次五カ年計画というのがございまして、高炉を何ぼふやす、コークス炉を何ぼふやすという計画が現に進行いたしております。そういう計画はいつごろ完成して、どのくらいのガスがとれるということを、全部今回の計画には取り込んでございます。それの一番初めに出ましたのは兵庫県の別府化学でございまして、富士製鉄の広畑製鉄所のコークス炉ガスを利用する。これは設備をわざわざ移設いたしまして、合理化、コスト・ダウンをやるという計画でございます。その次が川崎の日本鋼管のコークス炉ガスを昭和電工が利用するという計画でございます。その次に出ましたのが八幡の戸畑でございます。八幡製鉄所の第二次計画のコークス炉ガスを新日本窒素と提携して利用する計画でございます。現に進行しておりますのは、北海道の東洋高圧の室蘭工場で、富士製鉄の室蘭工場のコークス炉ガスを東洋高圧の砂川の工場の分と一緒に使うという計画でございます。ある場合は既存会社がガスを買ってやる場合もごいざます。ある場合は合弁会社を作って利用するという場合もございます。会社の形態は別といたしまして、いずれも三十八年度までに完成して利用できるコークス炉ガスは全部織り込んであるという計画になっております。
#126
○広瀬(秀)委員 だいぶんそういうものも取り入れてきたという話を聞いたわけですけれども、いずれにしても、肥料審議会の経過なんかを見ましても、とにかく日本の農民に合理化計画を負担させていくということは避けるべきだ、こういうようなことがずっといわれてきたと思うのです。通産省としてもこの合理化の計画を進められてきておるわけですが、三十八肥料年度になれば、国際貿易も自由化されるし、農民の買う肥料も結局は安くなるだろう。大よそ、今のマル公なんかを撤廃しても、四十二ドル前後のやつで内需も輸出するやつも輸入するやつもみんな平均するだろうということですけれども、この過程において、今日本の農業を発展させようというような場合において、農民が買う肥料の価格を幾分でも上げていくような方向というものはまるっきり逆行です。そういう点から、あまりに既存のメーカーを保護することに急であって、農民に負担させてまでそれをやっていくのだということには、やはり非常に問題があると思います。そういう点、布望はある、通産省の立場としてはそうかもしれませんけれども、はたして相当強硬にそれを押し切ってまでやるつもりがあるかどうか、そういう点を一つお伺いしたいと思います。
#127
○秋山政府委員 チェック・アンド・バランスと申しますか、それぞれの立場からそれぞれの主張をして適当な折り合いができる点を見出すとというこは、これはある程度事務的ではございますけれども、ことに肥料の場合は相当政治的な問題でございます。そのために肥料審議会というような学織経験者を入れた第三者的機関もあるわけでございますから、十分公平妥当と思われるような点に落ちつけるように、われわれとしてもがむしゃらに、がんばるというつもりはございません。理のあるところはできるだけ主張するという態度で進みたいと思います。
#128
○平岡委員 二日間にわたりまして、ただいま提案されておる租税特別措置法の一部改正案、この内容は五項目ほどございますけれども、そのうちの肥料硫安に関する租特措置につきまして質疑いたしましたが、皆さん自身も御判断のように、この提案を事務的に既往の経理関係だけをすっぱときれいにするという、それだけでは何か事が済まぬように思います。そこで、もっと前向きの形で何とか展望をつかみたいということでやりましたが、これは担当当局も御努力はしておられるのでしょうけれども、しかし、対外輸出競争場裏において日本が確固たる地位を築き上げるというのは、第二次五カ年計画完成のときでもなかなかむずかしいのじゃないかという気がいたします。そこで、租特措置自体が、今後なお何らかの形で時限的な制約を打ち破って、また延長を提案されるようなことがあるような気がするのです。しかし、お答えの中では、租税特別措置に関する限りは、既往の二十九年までのことなんだ、あとは政府の御厄介には一切ならぬとは言っておらぬけれども、これは別な形の助成金とかそういう点を予想せられておるように思うのです。もしそうだとするならば、行政指導監督の立場にある通産者は、業界に対しましてよほど活を入れて、こういうふうな国際的な劣弱企業を国民の負担において存続させる理由はないというくらいのハッパをかけ、強い指導の仕方でけつをたたいてもらって、国民におんぶするような企業形態から一日も早く脱却するようにやってもらわぬといかぬと思うのです。法案それ自身は、局限された形では大したものではないかもしれません。いな、局限された形でも相当な問題なんですけれども、それよりは、このような法律案を出してこなければならなくなった劣弱産業それ自身が問題でありますので、この点につきましては、政務次官もおられますが、政府ともども大いにえりを正して、国民の利害休戚に関係あることですから、将来には大いに善導し善処していくということをぜひとも要請しないわけにはいかぬと存じます。最後に政務次官の御意見を聞きまして、私の質問は終わることにいたします。
#129
○大久保政府委員 先ほど来事務当局からお答え申し上げましたように、今回の輸出会社の赤字は一つの国家的な要請に伴う不良債権ということも認められますので、税によってできるだけのカバーをいたしましたけれども、しかし、平岡さんもおっしゃいますように、肥料事業自体に対するきわめて根本的な合理化対策をあわせて行なっていかなければなりません。と同時に、また一方肥料が農民のきわめて重大なる生命線でもございますので、農民の保護をはかっていかなくちゃならぬことも、これまた当然でございます。先ほど来御質問のありました趣旨に向かいまして、今後とも政府といたしましては十分努力をいたしたいと考えておる次第であります。
#130
○足立委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたします。
    ―――――――――――――
#131
○足立委員長 なお、本案につきましては対論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。
 採決いたします。
 本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#132
○足立委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。
    ―――――――――――――
#133
○足立委員長 なお、本案に対しまして附帯決議を付したいと存じます。
 案文を朗読いたします。
   租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、硫安工業の合理化計画その他各般の対策を急速に具体化し、そのコスト低下による国際競争力の培養をはかるとともに、国内の農民に対し低兼なる肥料の供給を期すべきである。
  なお、肥料二法についても再検訂の要あるものと認める。
 以上であります。
 お諮りいたします。
 本附帯決議を付するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#134
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって本附帯決議を附するに決しました。
    ―――――――――――――
#135
○足立委員長 なお、本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#136
○足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
 次回は、来たる三十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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