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1960/05/24 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会割賦販売法案審査小委員会 第5号
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1960/05/24 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会割賦販売法案審査小委員会 第5号

#1
第038回国会 商工委員会割賦販売法案審査小委員会 第5号
昭和三十六年五月二十四日(水曜日)
   午後零時二十五分開議
 出席小委員
  小委員長 岡本  茂君
       岡崎 英城君   海部 俊樹君
       笹本 一雄君   田中 武夫君
       中村 重光君   春日 一幸君
 出席政府委員
        法制局参事官
        (第三部長)  吉國 一郎君
        通商産業事務官
        (企業局長)  松尾 金藏君
 小委員外の出席者
        商 工 委 員 板川 正吾君
        通商産業事務官
        (企業局商務課
        長)      斎藤 太一君
        建設事務官
        (住宅局住宅計
        画課長)    沖  達男君
    ―――――――――――――
五月二十四日
 小委員首藤新八君及び板川正吾君同日小委員辞
 任につき、その補欠として海部俊樹君及び田中
 武夫君が委員長の指名で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 割賦販売法案(内閣提出第四〇号)
     ――――◇―――――
#2
○岡本(茂)小委員長 これより割賦販売法案審査小委員会を開会いたします。
 割賦販売法案を議題とし、審査を進めます。前会に引き続き質疑を続行いたします。春日一幸君。
#3
○春日小委員 それでは、わが党といたしましては、先国会来、割賦販売法案に対する一個の修正意見を持っておるのでありますが、その意見をもとにいたしまして、以下数点について御質問いたしたいと思います。
 この政府案は、割賦販売契約の秩序体系の整備にウエートを置いておられるようでございまして、従って大企業によって中小企業が圧迫を受け、小売商業面に大企業が著しく進出しつつある現状をそのまま肯定するという立場に立っておられるのではないかと思われるのであります。この点について、特に小売商と大企業との関係が弱肉強食にわたらないように、やはり中小企業保護政策の立場から、また中小企業の安定と振興を確保せなければならぬというその政策、目的の立場から、どのような配慮が加えられておりますか、この一点についてお伺いをいたしたいと思います。
#4
○松尾政府委員 今お話のございましたように、この法案自体は割賦販売に関する秩序法ということで貫かれております。従いまして大企業、中小企業間の問題は、別途の中小企業対策ということで裏づけられるということに相なるだろうと思いますけれども、現実の問題といたしまして、割賦販売の現状は、御承知のように、これに従事しておりますものの大部分は中小商業者であります。もちろん例外もございますけれども、大部分は中小商業者でございまして、割賦販売の行なわれております商品は、大企業のメーカーで作られるものが比較的多いのでございますが、その商品を割賦販売している割賦販売業者は大部分が中小商業者でございますので、全体といたしまして割賦販売に関して、消費者の方と同時に、割賦販売業者の方にもあまり不測の損害を来たさないような秩序を十分確立いたしますれば、割賦販売業者が健全に伸びて、ひいては中小商業者のためにもその事業が振興されるであろうということに結果的には相なると思います。
 ただ一般的にはそうであると思いますが、たとえばこの中で規定しております割賦購入あっせん業者によりまして、チケット販売が行なわれるわけでありますが、この法案の内容では、チケット販売が行なわれます際に、その加盟店、これは大部分は中小商業者でありますが、その加盟店に対する割賦購入あっせん業者の代金の支払いが十分確保されるようにということが、この法案の中では主眼点になっておるのでありますが、しかし同じチケット販売で、百貨店も若干それに加盟をいたしております。従いまして、百貨店と小売商業者の調整問題というものが事実問題としてあるわけでありますが、それにつきましては御承知のように、昨年来、百貨店の方だけチケット販売について自粛制限措置がとられております。これはこの法案の内容から直接には出て参りませんが、現実問題としては、そういう形で別途調整をやっていくことで参りたいと思います。
#5
○春日小委員 今局長の御答弁によりますと、この法律は、割賦販売秩序の整備にウエートを置いて、従って、この法律それ自体は、中小企業の積極的助成については、別途の法律あるいは政策によるというふうで、言うならば考えていないというような御答弁でございますけれども、やはり新しく経済行為が法律によって規制を受けるという形になりますると、そこに新しい影響を各般に与えて参ると思うのでございます。当然これによって利益を受ける者と、また圧迫を受ける者とが出てくると思うのでありますが、現在、わが国における流通秩序の中において、何と言っても、小売業者が、百貨店の圧迫、スーパーマーケットの圧迫、生活協同組合の圧迫等で、相当の圧迫を受けておるこのこと自体が、現在の流通政策に対しまする非難事項になっておるのでございます。従いまして、この割賦販売法案によって割賦販売を行なう小売商業者の事業に対して圧迫が加わっていくというような面があるならば、その圧迫を自前に予防するとか、あるいは法的に排除するという配慮が、当然不可欠な条件であると考えるのでございます。従いまして、そういうふうな観点から、以下数点についてお伺いをしてみたいと思うのであります。
 そこで、指定商品を政令で定める場合、これは公聴会によるという形にはなっておりますけれども、この際、これをあらかじめ割賦販売審議会というようなそういう新しい機関を設けて、そこで十分検討を受けて、そうして小売商業者に圧迫にならないように、また、これもまた消費者の立場から判断が公正を欠くことのないようになすべきではないかと思うのでございます。政府原案によりますと、公聴会によるということになっておりますが、御承知の通り、公聴会は、そのつど指名という形になって参りまするから、指名を受けた者が、そういう実態について十分知識があるとは考えられませんし、またいわば責任ある愚見の開陳ということにもなるまいと思うのでございます。従って、こういうような割賦販売をなし得るか、してはならないかというような決定的な事柄を定める場合、公聴会というような、言うならば、そのつどつどの人々の意見を聞くというのではなくして、やはりある程度、学識経験者から権威ある、また責任ある意見を聞く、こういうことで完璧を期していくべきではないかと思うのでありますが、この点政府の見解はいかがでありますか。
#6
○松尾政府委員 この法律の運用に際しまして、審議会というような制度を作ってはどうかという点は、私どもも立案の過程では検討いたしました。介御指摘の、この法律適用の商品を指定する場合というお話でございます。これ自体は、政令で定めるのではございますが、私どもの現在の考えは、現在一般に割賦販売が行なわれております商品に関する限りは、特に分け隔てをして選別をするというつもりはございませんで、おおむねそれを全部指定をしたいということでございますし、しかもその指定は大体一回で済むわけでございますので、それ自体には審議会形式というような大げさなと申しますか、まあそこまでのことは私は必ずしも必要なくて運用できると思います。むしろ今春日委員のお話の審議会云々の点は、この法案の中で、極端な割賦販売の秩序混乱の場合に、標準条件の公示とかあるいは勧告をするという規定を設けておりますが、そういう場合には、一般に影響するところがかなり大きいので、広く学識経験者の意見を聞いて運用した方がいいではないか、その意味で、審議会が必要があるのではなかろうかという点も検討いたしました。ただ、御承知のように、審議会形式は、現在非常にたくさんな審議会が、まあむやみに運用されておる、それは少し行き過ぎではないかという批判もございますし、できますれば、そこまでのことでなくして運用をできるものならやった方がいいのではなかろうかということも検討いたしました結果、いずれにしましても標準条件の公示、勧告というのは、非常にまれな場合に運用されるということでございますし、そういう事態になりますれば、その問題に関しての利害関係者、学識経験者について十分公聴会形式で意見を伺えば、運用上は差しつかえないだろうということで、この案では、審議会形式ということはとってはございません。まあ審議会は、あればなおいいではないかということは、あるいはあるかもしれませんが、一応この法律の運用につきましては、そこまでのことはなくて運用できるであろうという想定で案を整備いたしております。
#7
○春日小委員 第九条、第十条の関係におきまして、やはりこういうような商行為の機微にかかる公示、告示等については、ただいま局長の御答弁によりますと、あるいは審議会のような審議の機関を設定することが望ましいという考え方もあり得る、こういう御答弁がございました。その問題は、私どもも質問の中に準備いたしておきました項目でもございましたし、現実には、結局は、そういう審議会というものが考慮され得る合理性が、そこに存在し得ると思うのでございます。だといたしますると、そういう審議会の権限の中に、やはりこういうような指定商品指定の項目を一つ加えていくということについても、別に差しさわりはないこととも考えられますので、第二条の二項の問題は、九条、十条の関係において、もし審議会が設置されるようなことになりまするならば、ぜひとも一つその審議会の所管事項として包括されることが合理的ではないかと思われるのでございます。ただ、御意見の中に、審議会が数多くあり過ぎるので、従って、行政上整理の必要があるという一般意見に何かとらわれておるようでありまするが、しかしながら、要らぬものは整理されなければなりませんが、必要であるものは、そういうような概念に影響を受けることなく、必要にして十分という法体系を完備していただくのでなければ、特にこの法律が誤って運用される形になりますと、その弊害ははからざるものがあると思うのであります。だから、そういうような意味合いにおいて、重ねて申し上げたいことは、とにかく小売商業者の死活に関すると言っては多少オーバーな表現かもしれませんけれども、その商品を割賦販売にするかしないか、こういうような重大なきめ手になるような、そういう決定を行なうというような場合に、その参考意見を述べる機関が、不特定多数の中からそのつど選択された者が、無責任な意見を述べた方が価値が高いか、あるいは特定の機関が責任的に研究したその結果の意見を開陳することが有益であるか、これは判断すれば十分おわかりのことと考えますので、どうか標準条件の公示、それから標準条件の告示等について、同様にそんな問題は公聴会などにそのつど思いついたり、あるいは責任を道義的にもまた法律的にも感じない者たちの意見が、相当行政機関によってその意見を左右するというような点から勘案いたしますならば、当然のこととしてこれはすべからく割賦販売審議会のような機関を設置されて、本法の運用にあやまちなきを期することが望ましいと考えられますので、この点については一つ後刻修正案の作成の場合において、十分政府も虚心たんかいに御考慮を願いたいと思うのでございます。ただ一般意見が多過ぎるからということで、必要な審議会の設置が避けられるということは、政府としてもまた立法の責任者としてもとるべき態度ではないと考えます。必要にして十分という法律を作らなければならぬと思いますので、十分御検討願っておきたいと思います。
 次は中小販売業者に対する金融措置についてお伺いいたしまするが、本法案の中にはそのことについて何ら規定がございません。中小販売業者の割賦販売資金の金融は、当然円滑にしなければならないことは関係業者の多年の要望でもございまするし、また法律としてそのことが制度的に推進を見るという形になりますと、ますます金融面について格別の措置をとるということは、これは子供を産んだ者がそれに乳を添えて育てる義務を負うというような常識論からも、当然考慮されてしかるべきことだろうと思うのでございます。従いまして幸いに政府関係金融機関としては商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫等の政府関係専門金融機関があるのでありますから、第一次的な措置といたしましては、とりあえずこれらの三専門金融機関をして小売販売業者の割賦販売が円滑に行ない得るように、金融面からして何らかの助成措置、これが並行的に行なわれることが必要であろうと考えるのでありますが、あえてこのことがなされておりませんことの理由について、遺憾の意を表せざるを得ません。しかしながら政府はこの点についてどういう考慮を払われておったのでありますか、この機会に伺っておきたいと思います。
#8
○松尾政府委員 この法案は先ほど来申しましたように、販売業者と消費者との間の秩序法ということで貫いておりますので、今御指摘のところまでは法律としては触れておりません。むしろそれは先ほど申しましたように、中小商業者一般に対する責任の問題として考えていかなければならない問題でありますし、この法律運用の背後にそういう問題を含んでおるのだと私は思います。現在この割賦販売を専門にやっておりますような小売業者は、私どものあらかたの調査では、大体二、三割程度を借入金に依存しておるということになっております。その点につきましては中小商業者全体に対する金融問題として、従来もでございますが、今後そういう点に遺漏ないように中小企業金融問題として、一そう努力していかなければならない問題であると思います。
#9
○春日小委員 私もその必要は認めつつ、今どの程度の資金ワクが特別に必要であるかということは若干の実績がありますので、従って、ある程度の推計はなし得るとは思いますけれども、明確なその必要資金量については、今確信ある数字を持っていないのであります。しかしながらこの中小販売業者というものは、やはりこの法律によって積極的に助成していく、そうしてこの法律に基づく割賦販売事業というものを健全に発展していかしめるというためには、これはもう不可避的に金融の問題が第一次的に解決をはかられねばならぬ重要な問題であると思うのでございます。しかるに局長の御答弁によりますと、この問題については法律の法意はそこにあるけれども、それは潜在的なものであって、基本法であるから、従って条文に書く必要はないものであり、当然事項であるというような御答弁でありますが、そうだとすれば、そのような意思表示を、この法律で政府に義務づけていく必要があろうと思うのであります。従って、それは宣言規定でも訓示規定でも何でもいいのですから、政府はこの法律に基づく割賦販売資金について、運用上特別の措置を講じなければならないとかなんとかいうような表現によって、後日政府がこの事業の発展に伴うて必要な特別措置を講じていくという、よってもって割賦販売事業というものが、中小企業の立場において円滑に推進でき得る態勢を確保する必要があると考えますので、この点についても一つ後刻修正案の御討議のときに、政府はもう少し積極的に論議に参加されるよう御準備を願いたいと思うのであります。
 現在の実態を申し上げますと、なるほど協同組合組織その他の形で、それぞれ政府関係金融機関の助成的金融も得てよるようではありますが、何というてもこの法律に基づく特別の商行為に対する特別の資金ワクというものが考慮されていない立場から、やはり申し込み多くして原資に欠くという立場から、十分の助成が受けられないのが現実であろうかと思うのであります。従いまして、この点については政府が特別の措置を講じ得るように、具体的には別ワクなんかを設けて、適切な限界において、この中小企業者が大企業のそれと互角の立場から公正な競争がなし得るという政策的な配慮をぜひともしていただきますようにお願いしておきたいと思うのであります。
 次は、税法上の措置についてお伺いをするのでありますが、こういう新しい経済行為に対する立法をなさいます場合には、当然税法上の措置は並行的になされておるのが立法慣例だと思うのでございます。松尾局長も御承知でありましょうが、たとえば団体法のときには、火災共済の組織を法制化いたしましたときに、少なくとも危険積立金の問題、それから印紙税の問題は、その法律の中に同時に措置をしておりました。特に割賦販売なんていうものは、この回収基準に基づく割賦損害というものも、当然現実の問題としてあるのでありますし、従いまして、そういう計算も税法上認めていくべきである。貸し倒れ準備金の繰り入れ限度についても、この累積限度は、特に一般の販売行為よりはその危険度も加わるわけでありますから、従って累積限度は特別にこれを引き上げるべきである。いやしくも、そのつどいろいろな契約を取りかわすでありましょうから、購入券に対する印紙税などというものは、これは特別措置をとるべきであろうと思うのでございます。従って団体法のときにそれぞれの必要な措置が税法上法的に講ぜられておりますのに、今回その措置がとられていないというその理由は何でありますか、これについてお伺いをいたしたいと思うのであります。
#10
○松尾政府委員 割賦販売に伴いまして税法上の特殊の問題が起こってくるということは、私どもも割賦販売の実態検討の際に一応検討はいたして参りました。直接には割賦販売による損益計算の場合に、現在特例が認められておりますのは、御承知のように、割賦販売については期限到来式の損益計算を認めるという通達による特別措置が現在認められております。それ以外につきましては、割賦販売に対する税法上の特別の扱いが現在ございませんけれども、今御指摘のような貸し倒れ準備金の問題、またその最高繰り入れ限度の問題等につきましては、割賦販売の実態に即して、最小限度この程度のものが必要であるということの検討をする必要があるわけであります。この割賦販売法案の内容検討につきましては、私どもの通産省に置かれております産業合理化審議会の流通部会において、一年余にわたって検討をいたして参りました。その結果この法案を準備いたしたのでありますが、引き続きまして、今御指摘の税の問題、また先ほどお話しのございました金融につきましても、割賦販売に伴うところの特殊の金融の問題、そういうことを諸外国の立法例等も検討し、また日本の割賦販売に特有の実態に合うような制度を考えるべきであるということで、その問題はその問題として、引き続き流通部会で検討いたしております。
 税の問題は、これは当然大蔵財務当局との交渉の問題になりますので、割賦販売の特殊事情について十分大蔵財務当局を説得し得るだけの準備をして、話をいたさなければならないと思うのでありますが、この法案の際にはその辺のところは、まだ不十分でござましたので、現在引き続き検討中でございます。いずれにいたしましても、それらの問題は成案を得次第、税法上について割賦販売特有の問題だけは解決して参りたいという考えでございます。
#11
○春日小委員 局長の御意見はわからぬことはございませんけれども、しかしわれわれの経験をもっていたしますると、この法案が通ってしまいますると、今金融上の措置、税法上の措置は、別途しかも十分検討の後考慮するということでございますけれども、事実関係としてはそういうことはできないと思うのであります。特にこの税法上の問題については私もいささか経験を持つのでありますけれども、現実の問題といたしまして、月賦販売に対する特別の税法措置ということを議題に供して、個々に、回収準備に基づく割賦損害計算の認め方や、貸し倒れ準備金の累積限度の引き上げや、特に印紙税の撤廃等の問題を単独法案として出すという点も、なかなかできない問題であろうと思うのでございます。従いまして、私は、少なくとも政府がこの法案提案者として、そういうような法律の必要を認められました以上は、その公益性も十分理解されて、しかも現実にはこれが制度化されることによって、消費者の利用というものも容易になることによって公衆の利便も大きいのでございまするし、またこれによって小売商業活動というものが、さらに相当の前進を遂げる政策効果等も考えられます。こういう意味から他のいろいろな経済行為にそれぞれの税法上の特別措置が設けられておりまする以上は、単なる、あれはやってはいけないとか、これはなし得るというような、そういう当然事項みたいなことを常識的に規制するというのでなくして、やはり国家が消費生活に対して利便を供与していくというところに一個のねらいがあるのでありますから、それに効果のある業務に携わる者に対して、論理にかなった税法上のフェーバーを与えていくということは、当然にして不可欠の事柄であろうと思うのであります。立法例の中にも、松尾さんも苦労されました団体法の中に、同時並行的にこの処理をいたしております。特に全般的な訓示規定としては、協同組合法二十三条の三でありましたか、政府に対する訓示規定もあります。「政府は、」「税制上、金融上特別の措置を講じなければならない」という零細業者に対するあれもありました。けれども、火災共済の面については、少なくともそういう異常危険積立金の制度でありまするとか、さらに印紙税の問題は、踏み切って、その保護助長の政策等を明らかにいたしておるのであります。今回は必要にして最小限度のことでもけつこうでありますから、かなわざるところは訓示規定、なし得るところ、すなわち、少なくとも割賦損害計算を認めること、それから貸し倒れ準備金の繰り入れ限度、累積限度の引き上げと割賦購入券に対する印紙税の問題などは、ぜひともこの際大蔵省と合議されて、これは当然のことであると思いますから、この際同時並行的にこの問題を解決をしておいていただきたいと思うのであります。後日やるといっても、現実にはできません。やはり生まれ出るときに完全な手足を備えた完全な子供を産む、こういうことでさらに一そうの御努力が願いたいと思うのであります。この点に対して、委員長は後ほど各党の共同修正案でありましょうか、あるいは、そういう形で作業をされると伺っておるのでありますが、ぜひとも超党派的な努力で、政府の承認を取りつけていただきまするように、この法律をよりよきものにいたしますために、さらに御努力をされることを委員長に対しても強く要望いたしておきます。これに対する松尾局長の御意見はいかでありますか。
#12
○松尾政府委員 割賦販売に伴いましての特殊な税法上の問題は、先ほど申しました損益計算は通達で参っておりますし、それから貸し倒れ準備金の問題も、これは割賦販売について若干特殊な扱いをすることに方針、考え方がきまりますれば、これは法人税法なりあるいは所得税法の施行規則あるいは通達ということで、運用される内容のものであると思います。ただ今お話しの印紙税の問題でありますが、これは現在御承知のように三千円以上のものについて印紙税がかかっておりますが、これは確かにお話しのように印紙税法について、法律そのものの特例を作らなければできない問題であると思います。従いましてこれらの問題は、先ほど申しましたように、現在の私どもの考え方は、割賦販売特有のものとして、どこまで主張し得るかという点を十分検討した上で、大蔵省当局とその辺の話し合いをしたいということで参っておりますが、今お話しのように、そういうことでは実現の可能性が非常に薄いではないかということでございますが、この辺も私ども今後十分誠意を持って問題の解決に当たりたいと考えております。
#13
○春日小委員 了解ができると思うのでございます。これは一、二の問題については、行政措置でできるようでございますから、ぜひともこの際法律の施行と同時に、しかるべき通達が出されるように善処願いたいと思うのでございます。
 印紙税法の改正の問題は、私は大蔵委員会に所属いたしておりますが、この法律によって印紙税の撤廃を行なっていくという形になりますれば、大蔵委員会の方ともむろん超党派的な理解のもとに、そのような御承認は得られるものと考えますので、ぜひとも実質上の利益というものが――この法律そのものから中小企業者が現に行なっておるその割賦販売行為に対して目に見えて法律上、行政上受ける利益というものが現実にございません。従って税法上の特別措置、金融上の特別措置を加えることによって、初めて彼らの希望にかなうことになると思うのでございます。どうかそういう実体論からも考えて、この法律が関係業者によって歓迎されるように、また真に立法の意義が、そのような経済効果をおさめて、中小商工業者のその商行為に対して積極的助成の実がここに上がり得るように、ぜひとも一つ御努力が願いたいと思うのでございます。
 なお最後に、この割賦販売審議会については、第九条、第十条の関係で政府の方でも若干その必要はなくもないという御意図のようでありますし、おそらくは各党においてもそんな御意見があろうかと存ずるのでございますが、どうか一つそういう方向に御努力が願いたいと存ずるのでございます。
 私どもが考えておりまするその構想は、通産省内にその審議会を置いて、権限としては指定商品の指定について調査、審議、答申を行なっていく。それから標準条件に関しても同様のことを行なう。その他割賦販売及び割賦購入あっせんに関する重要事項の調査、審議、答申、それから割賦販売の振興対策について政府に建議を行なう、こういうことになって参りますれば、これはなくもがなというような審議会とはおのずから違って参りまして、相当実際的な貢献をなし得ると思うのでございます。
 しこうしてその組織についての構想もあわせて申し上げますならば、かれこれ十人くらいで組織することにいたしまして、それは通産大臣が任命を行なう。これは割賦販売業者を代表する者、割賦購入あっせん業者を代表する者各二名ずつ、それから消費者を代表する者三名以内、それから学識経験者、これを三名、結局十人構成というような形にいたしまして、第一号、第二号、すなわち割賦販売業者を代表するものと、割賦購入あっせん業者を代表するものには、これはそれぞれ中小企業者を含めなければならないものとする、こういうような形になって参りますれば、この法律の実際上の運用の各過程において、中小企業に対する圧迫事項だとか障害事項は、相当に排除していくこともできると思うのでございます。そういう意味でこういう重要事項を公聴会というようなものの意見に待とうとされている点もございますけれども、それはいたずらに審議会が多過ぎるという概念に迎合する権威のない、確信のない態度でございまして、この法案にあるような重要事項を御する場合、国民を代表する権威ある意見を述べるということになりますれば、ただいま私が申し上げました規模と、またそれだけの内容を持った充実した意見ということが好ましいと考えますので、どうかそのような俗論にこだわることなく、一つ審議会は必ず設置を願いたいと思います。
 次に、第三条には、現金販売価格、それから割賦販売価格を顧客の見やすい方法により明示しなければならないとありますけれども、ときどき変動します多数商品の価格を明示しますことは、これは困難でもありますし、かつ実際上は割賦販売の仲介機関たる協同組合や会社は、会員に仲介手数料を賦課しておりますから、割賦販売は現金販売と価格に差があるわけであります。従って明示の必要がないと思うので、この方法をとっておるものは、本文で例外を設けるか、政令でその旨を設けることが望ましいと考えられますが、これはいかがでございますか。
#14
○松尾政府委員 現在行なわれております割賦販売の場合に、いわゆる割賦百貨店というような店の形式で行なわれております場合には、現金販売価格と割賦販売価格の間に明白な差がございます。現在それらの店では大部分が、割賦販売価格は、こういう理由でこういう値段でございますということを、いろいろな商品について表示しておるのが通常でございますが、今お話の中で、現金販売価格と割賦販売価格に差がない場合、実際上は仲介手数料という形で、これが処理されているというようなお話がございましたが、そういう形のものは、この法案では、いわゆる割賦販売あっせん業者の発行するチケットによって物が売られる場合は、チケットで物を売る加盟店は仲介手数料を負担いたしますが、お客さんの方は普通の現金販売価格と同じ値段で物が買えるという仕組みになっておるのであります。その場合についての御指摘であると思いますが、この第三条の規定は、今御指摘のいわゆるチケット販売に加盟しておる加盟店という場合には、これは法律の直接規制を受けないようになっております。この法案では、いわゆる割賦販売あっせん業者の方を、この法律の適用で制限をいたしておりますが、この加盟店については特別の規制がない。従いまして第三条の規定の適用もございませんので、今御指摘になりました仲介手数料を伴うような場合においては、そういう結果にならないという仕組みでございます。
#15
○春日小委員 その法律を全部読むと、あるいはそういうことになるかもしれませんが、一般的にはこの第三条そのものから受ける印象では、やはりその価格を明示することが義務となっているようでございます。従いまして、これは必要の度を越えたことかもしれませんけれども、法律を万人に明確に理解せしめることのためには、そこに例外規定を設けるとか、あるいは政令で重ねてその旨を明示していただいて、そういう疑義を生ずることのないような何らかの措置をとっていただきたい。このことを重ねて要望いたしておきたいと思うのであります。
 次は、総合割賦販売、チケット制割賦販売が多いのですね。これを新規に開業せんとする者は、ことごとく登録する条文を挿入してもらいたい、こういうことでございます。現法案は、前払式割賦販売業者のみを登録制としておるが、総合割賦販売は全国津々浦々まで普及をいたしておりまして、中には、地方の小都市においては数個の団体が生まれまして、過当競争のため赤字経営を継続しておるものもなくはないのでございます。こういう状況を見かねて、先年通産省からは統合するような通達が出たそうでありまするが、多年の競争は感情問題となって効果がないようでございます。従ってこの際一せいに登録させるか、少なくとも今後新規に総合割賦販売を開始せんとする者には登録制をしいて内容を規制し、不健全なものはそれを拒否して、そしてこの事業の健全なる発展をはかっていただきたい、こういう要望が強いのでございまするが、この点についての御所見はいかがでございますか。
#16
○松尾政府委員 購入あっせん業者という形で、この法案の中でもそういう意味の登録制をしいてございます。と申しますのは、今お話の中にございましたように、割賦購入あっせん業者が無制限な、むちゃな競争をやって、その経営状態が非常に悪化するという状態がありますと、その加盟店である小売中小業者がその割賦購入あっせん業者から商品代金の支払いを受け得ないという危険性がございますので、加盟店を保護するという意味合いから――割賦購入あっせん業者があまりむちゃな競争をやったり、経営状態が悪化することは、割賦販売について不健全な状態を招来いたすことになりますので、そういう意味からもやはり登録制度をしきまして、そういう事案を招来しないようにということで、この法案にもそういう面を含んで規定をいたしております。
#17
○春日小委員 現在の法案では、前払式割賦販売業者のみが登録制なんじゃないでしょうか。
#18
○松尾政府委員 法案検討の過程におきまして、そういう段階も、過去においてはあったかと思いますけれども、この法案では、前払式割賦のほかに、割賦購入あっせん業者も同じように制限登録で規定をいたしております。
#19
○春日小委員 すると総合割賦販売業者も、やはり登録義務者の中に包含されるわけでございますね。
#20
○松尾政府委員 その通りでございます。
#21
○春日小委員 了解いたしました。
 次は百貨店の割引による割賦販売類似行為禁止条項、これを本法案に挿入してもらいたいという意見が出ておるわけであります。百貨店は割賦販売が制限を受けておりますので、そこで割引チケットを職域に配布をいたしまして、月末払いの約束で一割ないし五分引きで販売をいたしております。これはあるとき払いでありますから、事実上割賦販売と異ならない行為になるかと思うのでありますが、こういうことを現在一部百貨店でやっておるようでございます。こういうような行為は、正札現金販売を標榜する百貨店としては、法律上はどうか知りませんけれども、商業道徳の上から考えましても、また百貨店の置かれております社会的地位からいたしましてもふさわしい行為ではないと思いますので、従ってこれは当然禁止されても差しつかえない事柄であろうと思うのであります。従いまして、百貨店はこの割引による割賦販売類似行為をしてはならない、今おっしゃいましたような行為を含んで、これは禁止条項として明確に規制してもらった方がよくはないか。たまたま百貨店の割賦販売行為が小売商の非難事項となっております経緯にもかんがみまして、この際それに踏み切るべきではないかと思いますが、この点についての御意見はいかがでございますか。
#22
○松尾政府委員 ただいまお話に出ましたような内容のものを、どこの百貸店が現実にやっておりますか、私ども承知いたしております限りでは、そういう意味の割引云々という点があるということは聞いておりませんけれども、具体的にそういう問題が現実に行なわれておりますれば、確かに御指摘のように百貨店の販売方法としては適当でないと思います。ただこの法案自体は割賦販売に関する法律でございますので、今お話のように、月末払いの一回払いの販売について割引チケットを出すということは、割賦の問題でないと私は思いますが、むしろ百貨店そのものの運営形式として、営業方法として、そういう形はどの程度のものが現実に行なわれているかを実態をよく把握しなければならないと思いますが、お話のようなことがかりに相当広くあるいは相当ひどい割引が行なわれているということでございますれば、むしろ百貨店法の運用によりまして、あるいは必ずしも法律の規制ということでなくても、少なくとも行政指導等でよく把握した上で、そういうことを防止するようにやらなければならない問題であると思います。
#23
○春日小委員 陳情者たちは、その百貨店の名前をも明示いたしまして、その具体的行為まで列挙いたしまして、かかるがゆえにその百貨店による割賦販売類似行為、これを一つ禁止条項として規制してもらいたいという要望でありますが、しかしこの問題については、私自体が確証を持っているわけではありませんから、この名前を申し上げることは遠慮いたしたいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、これら協同組合の諸君は、そのことによって非常に困っているわけでございます。百貨店は割賦販売が制限をされているので、従って割引チケットを職域に配布をいたしまして、月末払いの約束で、一割ないし五分引きで、そのチケットを販売している。これは事実上一回払いにいたしましても割賦販売と異ならない行為ということになりまして、いわば脱法行為といいましょうか、類似行為によって小売の面に対する弊害と申しますか、圧迫が加わっているようであります。従いまして、今申し上げましたように、道義上、百貨店の置かれている社会的地位から、当然それは慎しまれてしかるべき問題であろうと考えます。なおこればかりではなくて、割賦販売類似行為というような、建前は何でありましょうとも、これはいずれにしてもあり得ることだと考えますので、そういう問題については、本法の法理、精神等からいたしまして、そういう脱法行為を防ぐことのために必要な規制を、法律によろうが、通達によろうが、政令によろうが、十分完璧を期されたいと思うのであります。
 以上で私の質問を終わります。
#24
○岡本(茂)小委員長 田中武夫君。
#25
○田中(武)小委員 割賦販売法については、同僚中村委員を初め各委員が質問されましたので、私は簡単に二、三の点について見解をただしたいと思います。
 まず最初に二条二項の「指定商品」についてでありますけれども、これは昨年も相当詳細な議論をいたしましたが、あらためて一つお伺いいたしたいのです。指定商品の中には不動産を含むのか含まないのか、お伺いをいたしたいと思います。
#26
○松尾政府委員 不動産は含まないということで参っております。
#27
○田中(武)小委員 船は登記の面においては不動産と同じ扱いを受けておるのですが、船はどうですか。
#28
○松尾政府委員 商品という場合に船を含むかどうかはちょっと調べさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、この法律の運用では船舶は全然予想いたしておりません。
#29
○田中(武)小委員 ところが、特に漁船なんかは、これはむしろ割賦販売というよりも無尽に近いのじゃないかと思うのだが、一人では一ぺんに金が払えないから十人なり二十人のグループで船を一つずつ買うという場合に、金をかけてそして順次抽せんとかなんとかで順位をきめて落としていってその者が持っていく。だから一面においては前払式の割賦のような格好をとり、考え方によっては無尽のような――おそらくこれは無尽業としての認可を受けていないと思うのだが、そういった漁船の購入方法が現に行なわれておる。そういうのに対して、これは前払式割賦法という格好で考えていくのか、全然除外するのか、あるいはまた無尽を許可なくしてやっているという立場から無尽法による取り締まりをする必要があるのか、こういうことになるのですが、その点どうですか。
#30
○松尾政府委員 漁船について今お話の点の実態を私は承知いたしませんが、私どもの方でも農林省とも連絡してできるだけ実態を承知いたしたいと思います。ただこの法案自体では、漁船について指定商品として適用するつもりは私どもではございません。
#31
○田中(武)小委員 しかし実際においてそういう方法が現に行なわれておる。たとえば淡路高等で漁村において、いわゆる釣舟が幾らするのかよく知りませんが、まあ十万円程度じゃないかと思うのだが、一回にこれを払うことができぬというところから考えられた一つの方法だと思うのですが、見方によっては無尽、見方によっては前払式の割賦販売、こういうのが現にありますから、それらの点についても調査をし、なお法律の建前は政令で定めるとなっておるので必要があれば政令で入れる、こういうように望みたいのですが、いかがですか。
#32
○松尾政府委員 その実態をよく把握してからでないと申し上げにくいと思いますが、一応考えられますことは、かりにそれが漁船の割賦販売であるといたしましても、この法律で考えておりますような、一般的に言われておりますようないわゆる割賦販売店と消費者というような形とは、だいぶ違った形ではないかと想像いたします。従いまして、ここで現金価格等の販売条件を公示するとか云々というような点について、このままそういう場合に適用できるかどうか、よく実態を見ないとわからないと思いますが、一応私どもはそういうものを予想しないで、従いまして現在ではこの法律を適用するつもりはございませんけれども、実態をよく検討いたしました上で、また農林省ともよく相談の上で、もしこの法案の内容に該当するものがあれば、そのときに検討してしかるべき問題であると思います。
#33
○田中(武)小委員 きょうは農林省が見えていないからこの程度にしておきますが、現実にそういう方法が行なわれておるということは事実であります。従ってこれも一つの割賦販売あるいは無尽というような観点から規制をし、あるいは指導をする必要があるんじゃないか、このように思います。
 さらに建設省から見えておると思うのですが、去年この法案を審議のときに住宅局長に来てもらって話をしたわけですが、その後建設省においてどういうように考えておられるか、その点をお伺いしたいのですが、この割賦販売法では、ただいまお聞きの通り動産と言っておるわけです。ところが今日ではいわゆる建売り住宅といいますか、一つの型をなしたものをあらかじめ建てておいて、それを月賦あるいは家賃プラス・アルファという格好で、やはりこれも月賦代金になるだろうと思うのですが、払わすことによって、あるいは頭金をとってそして自後のものを割賦で払わす、こういうような方法が行なわれておるのですが、としてはこれに対してどういうような見解を持っておられるか。昨年住宅局長の話では、そういう点もよく考えて何らかの方法を考えたい、こういうことだったのですが、いかがですか。
#34
○沖説明員 昨年局長が答弁申し上げたと同じ状態でございまして、その後宅地、建物の割賦取引につきまして、どのような規制をするのが合理的であるかということを検討して参っております。早く成案を得ますように、今努力をいたしておるところでございます。
#35
○田中(武)小委員 それでは去年から一年間、これといって進展はしていないように感ずるのだが、要はそういう事実があるということを認め、それに立って何らかの方法を講じるということでいろいろ検討をし作業を進めておる、そういうことですか。
#36
○沖説明員 その通りでございます。
#37
○田中(武)小委員 松尾局長にお伺いいたしますが、この指定商品の中には外国製品も入るのですか。
#38
○松尾政府委員 商品として指定を受けます限りは、輸入品であれ内国品であれ、その区別はいたしておりません。
#39
○田中(武)小委員 八条二号に「輸出取引たる割賦販売」こういうようになっておりますが、これは輸出それ自体に対して割賦販売の方法をとった場合ということであって、割賦販売で輸入をしたものを、今度一般消費者に売る場合は指定商品としての性格を持つ、こういう見解ですか。
#40
○松尾政府委員 その通りでございます。
#41
○田中(武)小委員 次に四条についてお伺いしたいのですが、この四条の性格は、書面の交付として必要的な記載事項を一号から五号まであげておられる。ところがこれには別にこれに反したからといって罰則も何もない。そういうように見て参りますと、これは単なる注意規定である、こういうように思うのですが、書面の交付自体が契約成立の要件として考えておられるのかどらか、この点をお伺いしたい。
#42
○松尾政府委員 書面の交付が契約成立の要件ということには考えておりません。
#43
○田中(武)小委員 そうすると、あくまでこれは注意規定ですね。
#44
○松尾政府委員 その通りでございます。いわゆる訓示規定と、われわれ言っておるものでございます。
#45
○田中(武)小委員 割賦販売にも千差万別あろうと思うのですけれども、相当高価なもの、あるいは相当長期にわたって代金を割賦弁済する場合等には、単なる口約束では困る、そこで書面による契約ということを要件とするのがいいのではなかろうか。なお、一号から五号までの記載事項のほかにも必要なものがあろうと思うのですが、そういうことを手形法とか小切手法のように要式行為とするというような考え方はありませんか、どうですか。
#46
○松尾政府委員 この第四条の趣旨は、今お話のように、割賦販売は通常かなり長期にわたっての契約であるわけでございますから、その間にできるだけ紛争等が起こらないようにという意味で、書面の交付を訓示規定として規定をいたしておりますが、しかし、現実問題といたしまして、割賦販売で今お話の高価な商品が販売されることが多いと思いますけれども、現実の場合には必ずしもそうでない場合もあるでありましょうし、商品にもいろいろ多種多様でございますので、今お話のような要式行為として云々というところまで、この法律で強制をするということは、そこまでの必要は必ずしもないのではなかろうかというのが、私どもの考えでございます。
#47
○田中(武)小委員 この記載事項を、いわゆる左の各号に掲げると書かなくては無効である、こういうような手形法、小切手法のような考え方は別といたしまして、少なくとも書類でもって契約するということを条件とする必要があるように考えるのですが、その点法制局はどう考えますか。
#48
○吉國政府委員 この点は立法政策の問題でございますので、場合によりましては書面を交付することを法律上の義務として規定することも法制としては可能でございましょうけれども、ただいまの段階としてそこまでいくことは立法政策上妥当ではないということが、立案当局たる通産省の考えであろうと存じます。このような規定の例は、たとえば下請代金支払遅延等防止法の第三条にも親事業者の下請事業者に対する書面の交付義務という規定がございますが、これも罰則を伴いません、いわば先ほど松尾局長から申し上げましたような訓示規定でございますが、ただ購入者の側といたしましては、法律にこの第四条のような規定がございますので、割賦販売の契約を締結いたしました場合に割賦販売業者に対して、このような書面の交付を請求するという権利は当然ございますので、購入荷の方で将来の法律関係に不安を覚えるというような場合には、購入者として交付の請求をするという道は十分にあると考えております。
#49
○田中(武)小委員 今の説明によると、職人者から要まする足がかりになる、そういう程度だと思うのです。しかし、そうした場合に販売者の方がこれの規定である限り拒否はできる、こういう解釈にもなるので、これは少なくともすべてということでまずければ、政令に定めるものについてはというくらいな条件はともかくとして、書面の交付、それが契約締結の要件であるというような考え方は必要でないかと思うのですが、あらためて松尾局長の意見を聞きたいと思います。
#50
○松尾政府委員 今田中委員のお話のようなことを法律制度として要式行為、従って法律の効果にも影響するところまで詰めて書かなければならないような場合と申しますれば、先ほどお話がございましたように、非常に高価の商品で、しかも相当長期にわたる契約というような場合に限られると思います。しかし、現実問題としましては、おそらくそういう場合には、現在の経済取引の実態からいたしまして、そういうような具体的な場合には、当事行間においても当然むしろ経済取引の常識として契約書がかわされておると思います。従いまして、現実の事態がそうでありますれば、法律をもってそこまでのものをしいて追っかけなくてもいいのではないだろうかということを私も考えますけれども、法律の制度としてはなるべく書面交付ということで紛争を防止するということを、一般的にそういう訓示規定といいますか、注意規定を置くことで、現状は一応足りるのではないかと思います。
#51
○田中(武)小委員 経済行為の常識として、こういうことを前提に話す限り少なくとも本法はそう必要でないという結論になるわけです。書いてあることは、大体そういうことに必要な、少なくとも経済常識では必要なことが書いてある、こういうように解するわけです。従って、ただ単に経済取引の常識というだけでそこまでいかなくていいということには、私は納得できかねます。もしその理論を推し進めるならば、本法案自体が疑問になってくる。さらに五条以下の契約解除その他の場合に紛争を生ずる場合が多いだろうと思うのです。そういう場合に、単なる口約束、意思表示のみによって契約が成立したということになるならば、自後に相当混乱を招くと思いますので、これは意見の相違なら相違でもけっこうですが、私はあくまで全部といえばどうかという御意見があるならば、一定の条件以上のものということも必要かもしれませんが、書面交付を一つの要件とする必要がなかろうか、そのように考えております。
 次に、五条についてお伺いいしたいのですが、まず五条のカッコの中にある「購入者のために商行為となる契約を除く。」こういうことになっておるのですが、「指定商品に係る割賦販売」の中でカッコのような場合は、どういうものが予想されるのですか。
#52
○松尾政府委員 具体的の例を申しますれば、たとえばタクシー業者が自動車を購入する場合に、タクシー業者自身が自分の営業のために、その自動車を購入するわけでございますから、そのカッコの場合に核当すると思います。
#53
○田中(武)小委員 その場合は当事者双方とも大体商人の場合ですね。
#54
○松尾政府委員 その通りであります。
#55
○田中(武)小委員 従って、そのカッコがあるということは、本法案の場合は商人間のものでなく、いわゆる一般消費者との関係においての割賦販売を実施するのだ、そういう考え方ですか。
#56
○松尾政府委員 第五条の場合におきましては、一般消費者、ここで言っておりますカッコ内で除かれておる部分以外のもの、そういう場合にこういう法の規定を特に厚くしておく必要がある、こういう意味合いでございます。
#57
○田中(武)小委員 いや、だからカッコ内ということは今例としてあげられたごとく、いわゆるこの場合の割賦販売契約者の当事者は商人同士である、従って商人同士の場合は五条のような厳格な規定でなく、別な方でやろう。そうして一般消費名との契約においては以下のような強い規定で臨もう、そういう考え方ですか。
#58
○松尾政府委員 その通りでございます。
#59
○田中(武)小委員 ということは、いつか商工委員会において、松尾局長は、本法は消費者保護の立場に立って作ったものである、しいて言うならば、販売者の擁護というのは、七条ぐらいのものだろう、こういうことをおっしゃいましたが、五条の規定、これは一体どちら側に立って考えられた規定でありますか。
#60
○松尾政府委員 民法の特例を設けまして、いわば消費者の方の保護のために規定を持っておるのでございます。
#61
○田中(武)小委員 商法では商人間の売買の規定がありますね。この場合は民法の特例を設け、商法における売買の特例は設けない、こういう考え方ですか。
#62
○松尾政府委員 私ちょっと御質問の意味をとり違えておるかもしれませんが、この第五条で規定しておりますのは、今お話しがございましたように、一般消費者の普通の売買、割賦販売について契約解除の事態が生じた場合に、現在の民法の一般原則で参りますと、消費者には契約解除の条件がかなり不利になりますので、そういうことだけをここで規定をいたしておる、そういう意味合いでございます。
#63
○田中(武)小委員 民法には契約解除についての規定があります。局長はそれを言っておられるのだと思うのですが、カッコの中に該当するものは、商法の中に商人間の売買というのがあります。あるいは商人間の契約の解除の方法があります。従って割賦販売においても、少なくとも契約解除については、商人間の場合は商法に従う。そういう立場の上に立って、一般消費者の場合だけに民法の特例として、こういう規定を設けたのだ、こういうことですか。
#64
○松尾政府委員 御指摘のように商法の五百二十四条以下に売買の規定がございますけれども、月賦販売の場合についての商法上の売買の特殊の規定は、五百二十四条以下には私はないと思いますが、そういうことでございますれば、商人間の月賦販売につきましても、その月賦販売の契約解除につきましては、民法の一般原則でいくことに相なることになるのではないかと思います。
#65
○田中(武)小委員 いや五条のカッコの中は、あなたが先ほど御答弁になったように、いわゆる商人間の売買だ。あなたの例をもってするならば、タクシー業者が自動車を割賦で買う場合、たとえば商法五百二十五条の確定期限売買の解除という規定がありますね。正月を前にして十二月三十日までに自動車を持ってきてもらわなくては困るのだ、こういうのを正月が済んでから持ってきた場合、たとえばここの五百二十五条によって、商人間の売買ですから、契約解除ということになりますね。
#66
○松尾政府委員 今例としておあげになりましたような割賦販売の場合でも、さらに特殊な事例という場合は、確かにお話しのようにこの規定が適用になる、商法の五百二十五条が働いてくると思います。私が申し上げましたのはそういう特殊の場合ではなくて、普通の場合には民法の契約解除でいくのではないかということを申し上げたのであります。
#67
○田中(武)小委員 要は、五条の場合は、いわゆる割賦販売の中で商人間の売買は含まないのだ、一般消費者を相手とした場合の契約解除について規定しておるのだ、こうお答えになっていいのじゃないですか。
#68
○松尾政府委員 その通りだと思いますが、ただ非常にこまかく申し上げますと、たとえば商人が私の生活のために、つまり自分の商売と関係なくやる場合も想定されますので、やはり商行為となるという限定がつくのでありますが、一般的に申し上げればただいまお話しの通りであります。
#69
○田中(武)小委員 これはもういいのですが、あなたのお答えはちょっとおかしい。というのは、たとえばタクシー業者がテレビを買う場合は、これは商人間の売買じゃないのですよ。タクシー業者は一般消費者としてテレビを買う。少なくとも商人間の売買ということは、ともにそれを元にして商行為を行なう、こういうことですから、はっきりとカッコの中に入ってしまうのじゃないですか。
#70
○松尾政府委員 その通りでございます。
#71
○田中(武)小委員 それでは一般消費者を対象とした場合に考えられることは、「十五日以上の」云々となっております。支払い義務の履行ができない期間を十五日としたいきさつについては去年も何か一週間、一カ月というような、いろいろ双方の主張があって、その中をとって十五日にしたのだ、従って十五日にはこれという根拠はないという答弁を受けたと思うのですが、われわれといたしましては一般消費者といえば、これはいわゆる商人が一般消費者の立場で買う場合もあろうが、多くはサラリーマンといいますか、定期的に収入を持つ者、こういう者が相手であろうと考えるのです。その場合十五日というのは、いわゆる月給から月給の中途になる。従って少なくとも次の月給日まで待とうというような気持は起こりませんか。あなたも月給取りの一人ですが、どうでしょう。
#72
○松尾政府委員 この第五条で書いております趣旨は、最少限十五日ということで書いておりまして、十五日以上の相当の支払い川間ということでいたしておりますので、実際の運用の場合に、実際問題といたしましてはおそらく、すでに月賦販売でございますれば、一月の不払い、支払いを怠ってその一月たった翌日、自動的に書面催告が行なわれるというようなことでございますれば、しかもそれが十五日という最低限で、書面催告が行なわれるということでございますれば、その間に一月の不払い期間とわずか十五日しかないじゃないかということでございますが、実際問題といたしましては、おそらく一月たって支払いが行なわれない場合には、割賦販売業者もそれぞれ自分のお客さんに商品を売った以上は代金の取り立てに熱心に努力するでありましょうから、お客さんの方に行って代金の支払いの督促をすると思います。従いまして、実際の運営は十五口以上ということに書いておりますれば、大体三十日ぐらいのところで落ちつくだろうと私は思いますが、今お話のように、月給生活者であれば三十日くらいの猶予期間がさらにほしいという点は、私もその通りであると思います。
#73
○田中(武)小委員 大体この種の事項を法律できめる場合は、ミニマムがマキシマムになるということが通常であります。たとえば最低賃金といっても、現在の法による最低賃金は、考えようによっては最高賃金になる可能性がある。同じように十五日以上であるからいいじゃないか。ところがやはり最低限としてうたったのが、最高限になる可能性が出てくるわけです。だから法規定のときには少なくともそういった、以上であるからよかろうということでなく、明示するものは最低限である、ミニマムであるということを考えていく必要があるのではなかろうか、こう思うわけであります。さらに同条に関連してでありますが、賦払金の支払い義務が履行されないときに、一定の期間を置いて書面で催告をする、その期間内に義務が履行されないときには契約を解除するとなっておるのですが、その場合にあらためて契約解除の意思表示を必要としますか。自動的に契約が解除になるのでしょうか。
#74
○松尾政府委員 催告の評価を出しますときのやり方いかんによると思いますが、書面でただ催告をしただけであるというような形式でございますれば、あらためて契約解除の意思表示が必要であろうと思います。しかし書面で催告すると同時に、催告期間内に支払いがないときには契約解除をいたしますということを、あわせて意思表示されておりますれば、そういう結果を招来すると思います。
#75
○田中(武)小委員 この書面はあくまで書面として読むわけですか。普通の場合は内容証明ないし配達証明付ということになろうと思うのですが、大体考えておられるのは普通のいわゆる私文書でいいわけですか。
#76
○松尾政府委員 最終的にこの問題が法廷で争われるというような問題になりますれば、確たる証拠書類としてものを言うものでなければならないと思いますので、販売業者がそこまでのことを考えて催告をやるといたしますれば、今お話のように関係書類その他証拠書類として十分なものになるようにいたすであろうと思います。
#77
○田中(武)小委員 結局はそういった証拠書類として保存する必要から、内容証明その他のものがとられるであろう、こういう推測はできますが、本条の書面という条件は、これはあくまで書面である、こういうことですか。
#78
○松尾政府委員 この法文で言っておりますのは、あくまで書面で催告をするということを要求しておるだけでございます。
#79
○田中(武)小委員 次に六条二号後段の「当該商品の割賦販売に係る価額」、「係る」という字が特に入っているのはどういう意味なのですか。割賦販売価額と割賦販売に係るというのは、どういう違いがあるのですか。
#80
○松尾政府委員 これは法律の表現技術の問題だと思いますが、ここに言っております意味は、ある割賦販売価額で売られた金額に相当するその金額ということを、ここで言いたいつもりでございます。
#81
○田中(武)小委員 そうするとこれは法制局に伺いますが、当該商品の割賦販売価額と書いた場合と変わりはないわけですか。「係る」とあるので、割賦販売価額プラス・アルフアーを連相するのですが、そういう点はどうですか。
#82
○吉國政府委員 この第六条の第一号なり第二号で「割賦販売に係る価額」といたしましたのは、第四条の第一号で「割賦販売価額」と申しましたのと、法律的には全く同じことを表現したつもりでございますが、この第六条で「当該各号に掲げる額」という字を使っておりますので、それに合わせるために、立法技術といたしまして「割賦販売に係る価額」といたしましただけのことでございます。
#83
○田中(武)小委員 そうすると、「割賦販売に係る」を削除することは立法技術上からいえばおかしいのですか。
#84
○吉國政府委員 「に係る」という表現を用いませんで書くといたしますならば、「割賦販売価額」という文字を使いまして、「割賦販売価額に相当する額」というような表現を使えばよろしいと思います。
#85
○田中(武)小委員 この二号をすなおに読むと、「当該商品の割賦販売に係る価額」というように「に係る」というのがあるので、何だか割賦販売価額以上に何かを要求されるのではないか、こういう感じを受けるわけです。そうすると、ちょっとおかしなことになるので、あえて聞いたわけですが、これは誤解のないように、はっきりと割賦販売価額以上のものはとらないんだ、こういうことを表現する必要があると思うが、どうでしょう。
#86
○松尾政府委員 この表現で、割賦販売されたときのその販売価額以上のものではない、私どもはそういう解釈をはっきりしておるつもりでございますが、現実問題として、こういう表現で御心配になるようなトラブルは私は起こらないと思いますけれども、これは表現の問題でございますので、私はこれで一応その点は十分ではないかと思います。
#87
○田中(武)小委員 要は六条二号は、割賦販売価額である、こういう意味だということはわかります。だがここに「に係る価額」と、こうなると、何か割賦販売に対して要したすべてだというような印象を受けるわけです。これはあとで相談をしたいと思いますが、誤解を避けるために、少なくともそのように悪用せられないような方法を講ずる必要があろう、このように考えます。
 次に、三号の場合ですが、引き渡し前に契約の締結及びその履行――ことに引き渡し前に履行のために、要したる費用というのは、一体こういうことが具体的に考えられるか。
#88
○松尾政府委員 たとえば月賦販売商品の契約がありまして、その契約履行のために消費者の自宅までそれを届けるために持っていった。これは販売契約を履行するための行為である。その場合に特別の高級車に乗って届けるというようなことは通常の費用ではございませんけれども、その商品の性質上当然運搬するのに車を用いなければならぬというような性格のものでありますれば、それは履行のために通常要する費用だというように解釈されるかと思います。
#89
○田中(武)小委員 そうしますと、履行のために必要な荷造り及び運賃、通常このように解せられるわけですが、そうすると、引き渡し前の契約解除ということは商品を届けた、だが何らかの理由で受け取ることを断わった、そういう場合を想定しておられるわけですか。
#90
○松尾政府委員 その通りでございます。
#91
○田中(武)小委員 さらにこれは期待可能性とでもいいますか、この商品が売れた場合に受けるであろうところの無形的損害、俗にこれは期待可能権とでもいうのですか、そういうものについては含んでいないわけですね。
#92
○松尾政府委員 期待利益はもちろん含んでおりません。
#93
○田中(武)小委員 次に問題の第七条に入っていきたいのですが、特に第七条を推定規定としてお入れになったのは、どういう理由によりますか。
#94
○松尾政府委員 御承知のように、現在行なわれております割賦販売につきましては、大部分の場合あるいは相当の部分の場合に、約款によって所有権留保の条項が入っておるようであります。しかし現実問題といたしましては、必ずしもそういう約款の入ってない場合、あるいはある場合にはそういう約款を記載した契約書等をかわさない場合もあると思います。そういう場合になりますと、現在の法律解釈といたしまして大部分の解釈は、割賦販売代金を完済しなくても、所有権は購入者の方に移るであろうという解釈のようでございますが、しかし、そうではなくて、割賦販売代金の完済が終わるまでは、所有権は購入者に移らないのだという法律解釈もございます。そういうことを考えますと、問題がありました際に、そのような解釈上の疑義を防いで、特約がありますればその特約に従いますが、そういうものがない場合には、この推定規定が働いて問題の解決をなるべく簡単にしたいという趣旨でございます。
#95
○田中(武)小委員 こういう規定を置いたのは、事後の問題の処理を簡単にするためである、大部分の場合は契約の特約として何らかの規定を持っておるだろう、しかし必ずしもそういう特約が全部あるとは限らない、その場合の紛争を避けるためだ、こうおっしゃっている。ところが、われわれが見ました場合には、この規定があることによって、むしろ事後の紛争処理が複雑になってくる危険というか、可能性が多いわけです。単なる事後処理についての簡単ということであるならば、むしろない方がいいのではないか、このように私は考えておるわけです。と申しますのは、この規定があるために、特に契約において特約があればそれに従うことはもちろんです。ない場合の七条の推定規定、これがあるために、たとえば購入者がその割賦において購入した商品に対して、販売価格を全部完納するまでは、どのような支払い関係に立つのか、法律的にお教え願いたいと思います。
#96
○松尾政府委員 所有権自体は、この推定規定が働きます場合には販売業者の方に残りますけれども、購入者の方はその商品の引き渡しを受けて占有使用することは当然でございます。そういう意味で占有権に伴う使用その他は当然購入者の方で遺憾なく十分行なわれ得るわけでございますから、商品購入の本来の目的は占有権という形で十分行使されると思います。
#97
○田中(武)小委員 購入者のその者に対する地位は、権源に基づく善意の占有者である、そういうように解釈するわけですか。
#98
○松尾政府委員 その通りでございます。
#99
○田中(武)小委員 そういたしますと、その人の持つその物に対する管理義務はどういう程度になりますか。
#100
○松尾政府委員 その商品に対する買い主の保管義務は、自己の物に対すると同一の保管義務を負うということで、解釈上は十分であると思います。
#101
○田中(武)小委員 自己の物に対すると同様の注意義務ということであるならば、不可抗力は除かれるわけです。不可抗力によるそのものの損失に対する損害は、当然販売者が持つわけですね。従って購入者は事後の割賦販売にかかわる金額を払うという必要がなくなると思いますが、いかがですか。
#102
○松尾政府委員 停止条件付売買というわけではございませんから、この場合に今御指摘のようなその商品の危険負担は買い主の方で負担することに相なりますので、その場合の割賦販売代金はやはり支払う義務が残ると思います。
#103
○田中(武)小委員 要は所有権は販売者にあるわけでしょう。従って購入者は他人の物を占有しておるという立場になる。先ほどあなたはその管理義務は自己の物と同様の管理義務だとおっしゃったのと違いますか。
#104
○松尾政府委員 その通りでございます。
#105
○田中(武)小委員 やはり自己の物としての管理義務の場合は、不可抗力による危険負担も本人が負担するのですか。法制局に伺います。
#106
○吉國政府委員 危険負担につきましては、民法の五百三十五条で停止条件付の双務契約でございますと、不可抗力によって滅失棄損した場合には残代金の支払義務を免れるわけでありますが、この場合においては五百三十四条の適用がございまして、危険負担については買い主が負担する。目的物が不可抗力によって滅失し、あるいは棄損しても残りの代金を支払う義務を免れないと解するのが割賦販売においては通説であります。その点が買い主の保管義務の点とあるいは矛盾するではないかというような御意見ではないかと思いますが、先ほど松尾局長から申し上げました買い主の負担義務の点は、売り主に所有権が留保されておりますのは、いわば未払の代金債務を担保するのが目的でございますので、実際的には買い主の所有に属するものと同一にみなして買い主が費用を負担して、しかも自己の物に対すると同一の保管義務を負うにとどまるのだということでございまして、その関係が直ちに危険負担について残代金の支払い義務を免れるというところまではいかないというのが識者の通説になっております。
#107
○田中(武)小委員 七条の推定規定によって保管義務、あるいは不可抗力による損失の負担ということについて新しい観念が出てくるわけですか。
#108
○吉國政府委員 今申し上げました点は、特に第七条の所有権の管理の働きかけが、この法律ができたから新しくこうなったということではございませんで、従来割賦販売契約につきましては、その契約の中で所有権留保の規定をうたっておるものが非常に多いわけでございまして、このようなものについて学者なりあるいは裁判所の考え方として、ただいま申し上げましたような説が行なわれておるわけでございます。さらに進みまして学者によりましては、所有権の推定の規定がなくても、そう推定するのが慣行に適するというようなことまで言っておられる学者もありますが、それは通説ということにはいっておりませんし、先ほど局長から申し上げましたように反対の学説もございますので、この際は法律にこのような推定規定を入れることが立法政策上穏当であるという考え方であります。
#109
○田中(武)小委員 今あなたがおっしゃっておる解釈は、そうすると現在では保管義務、管理義務についてそれが通説であり、裁判所においてもそういう判例があるということになりますが、その判例を一つ示していただきたいと思います。
#110
○吉國政府委員 今の保管義務の点につきましては学説がございますが、判例というまでには至っておりません。今判例と申しましたのは、所有権留保についてそういう議論があるということを申し上げたわけでございまして、特に保管義務であるとか、あるいは危険負担について、今私が申し上げました理論にちょうど合うような判例があるということはございません。
#111
○田中(武)小委員 いやいや、先ほど、裁判所の解釈もそうであるとおっしゃったから、判例があるなら示してもらいたい、こう申し上げたわけですが、それじゃ結局そういう判例はまだない、要は学者の説として、そういう説が多いということにとどまるわけですか。
#112
○吉國政府委員 先ほど私言い間違えたかと思いますが、そういうことでございます。
#113
○田中(武)小委員 学者がそれぞれの法律解釈をするのは自由であります。しかし実際の問題が起きたときに、その法律によってどちらが危険負担をするか、こういうことは民法その他をにらみながら裁判所がきめる、そういうことであると思います。そうなるならば、一例として私がそのものに対する管理の関係だけを取り上げて申し上げたのでも今のような状態であります。従って、松尾局長が言われた。この条文を置くことの方が、自後の問題を処理するのにいいからということでなく、むしろこの条文があることが紛争を招く結果になるのではないか、このように考えるわけです。
 それではまた形を変えてお伺いいたします。去年も言いましたが、それじゃ甲乙丙でいきましょう。販売業者を甲、購入者を乙、善意の第三者を丙とした場合、乙は丙に対してそのものを売却した、その場合乙は他人のもの、すなわち権原に基づいて自己の占有に帰したるものを丙に売り渡す、こういうことであるから、甲から見た場合には横領罪が成立する、そういうように考えられますが、そうなりますかどうか。さらに甲に対する債権者丁は、乙の占有にかかるものであるけれども、所有権が甲にあるのだからということで、乙占有のそのものに対して差し押えその他のことができるかどうか、その点いかがですか。
#114
○松尾政府委員 今のお話の最初の、乙が勝手に第三者に処分をしてしまうという場合には、横領罪の規定が所有権の関係から出て参ると思います。
 それから甲に対する丁という債権者が、乙の占有しているものに対して強制執行、差し押え等ができるかという点でありますが、この場合は、現在の民訴の解釈では、買い主乙の占有下にある限りは、買い主が差し押えを承諾した場合でなければ差し押えはできないという規定に相なっておると思います。
#115
○田中(武)小委員 たとえば甲が破産をした場合、甲の持てるすべてのものは破産財団となるわけだ。この場合、乙が持っておるこの商品も破産財団としての中に入るのかどうか。
#116
○松尾政府委員 今の例にあげられました場合は、破産法の第五十九条の規定によりまして、割賦販売契約が相手方とともに履行を完了してない双務契約ということに該当いたすと思いますので、先ほど申しましたように、民訴の規定によりまして、買い主乙が差し押えを承諾した場合でなければ、その買い主の占有下にあるものを差し押えはできない、こういうことに相なると思います。
#117
○田中(武)小委員 要は乙の意思にかかっておる、こういうことなんですね。
#118
○松尾政府委員 その通りでございます。
#119
○田中(武)小委員 そういたしますと、この推定規定は、それほど重要な役割をなさないということになるではないですか。
#120
○松尾政府委員 売り主が破産した場合等の場合よりも、むしろこの規定が売り主の保護という意味で効果を発揮いたしますのは、かりに買い主が破産をした場合、そういう場合にはその所有権がいずれにあるかはっりいたしませんと、売り主は、買い主の破産した場合に、買い主の占有物に対して取り戻し権が、破産法で、あるのかどうかはっきりいたさないと思います。その場合に、所有権が売り主にあるという推定規定が働きますと、当然破産法によりまして、買い主破産の場合に、取り戻し権が行使できるということが明白になると思います。
#121
○田中(武)小委員 今あげられた例からいえば、この場合は一応契約を解除して行なうのですか、それともこの七条の所有権留保推定の規定から当然そうなるのですか。たとえば乙が破産した場合、破産はしたけれども、その当該商品についてあとまだいわゆる契約に基づく割賦方法が残っており、しかも五条の解除条件を満たしてないというような場合でもそうなんですか。これは所有権留保の結果当然そうなるのですか。
#122
○松尾政府委員 契約解除の問題とは別に、その場合には売り主が取り戻し権を行使することに相なるかと思います。
#123
○田中(武)小委員 それでは契約に従っての自後の履行をやるといっても、そうですね。
#124
○松尾政府委員 売り主の行使する取り戻し権というのは、この場合には買い主に対しての行使ではございませんで、その買い主が破産した場合のその債権者に対して取り戻し権を行使するというのでありますから、買い主との間の契約解除云々の問題とは、また別個の問題であろうかと思います。
#125
○田中(武)小委員 そうすると、かりに乙、購入者が破産した場合は、いわゆる割賦販売契約それ自体もなくなってしまうという考え方ですね。
#126
○松尾政府委員 買い主破産という事態だけで、当然に契約解除が起こるということではなくて、その場合にはおそらく買い主に支払い能力がなくなった状態でございますから、売り主の方が別途契約解除ということの法律手続を踏むかどうかということは、一応別個の問題に相なるかと思います。
#127
○田中(武)小委員 だから七条の所有権留保の規定から、直ちにあなたの言うよらなことではなく、かりに乙が破産した場合においても、契約それ自体は残っているわけなんです。従って所有権留保の規定に基づくところの権利を行使するには、その前提条件として契約解除の手続が必要ではなかろうかと思うのですが、どうなんですか。
#128
○松尾政府委員 そうではなくて、その場合には所有権は売り主にあるということ自体で、買い主に対する、買い主破産の場合における他の債権老に対して取り戻し権の行使ができるということでありまして、その場合に契約解除をして所有権を取り戻す云々という手続を用いないで、売り主は直ちに取り戻し権の行使ができるという形で売り主が保護される。買い主破産の場合の買い主に対する債権者に対して取り戻権行使という形で保護される、そういうことを申し上げておるのでございます。
#129
○田中(武)小委員 その場合に、かりに乙が――こういうことは実際にあり得ないかもしれないが、この品物については契約に従って自後代金を支払います、こう言ったときにはどうなりますか。
#130
○松尾政府委員 乙にかりにそういう支払い意思がございましても、正式に破産法による破産宣告がございますれば、乙自身はその支払い能力がない状態に入っていると思います。従いまして、この場合には、今度は破産法の手続によりまして、破産財団の管理人との間の法律関係になって参ると思いますが、そういう状態になりますれば、他の債権行との競合関係がありますので、おそらく破産財産の管理人はその割賦販売代金を自後において完済するということはできない状態にあるはずであります。そういう状態でございますれば、当然破産宣告の手続において支払いはできないという意思表示に相なりますので、売り主の方はそういう状態でありますれば、当然契約解除ということに進むこともできましょうけれども、しかし同町に契約解除しないままで、月賦代金の債権についてその破産財団に債権者として参加できる、こういう形に相なっていくのではないかと思います。
#131
○田中(武)小委員 月賦代金の債権者として破産財団に対して参加をしていく、そういう場合は、この物はどうなるのです。その物を自分の権原に基づいて持ち帰る。いわゆる財団に入らないということになれば、自後の甲の乙に対する債権というものは消滅するのじゃないですか。
#132
○松尾政府委員 私実は破産法の専門ではございませんので、私の説明がもし間違っておりますれば、訂正させていただきたいと思いますが、今私が申し上げておりますのは、そういう場合に売り主の方で契約解除をして、従ってその品物を取り戻してその債権を確保する場合もあり得ると思いますけれども、その場合にその商品を契約解除によって取り戻すことをしない、従ってその商品自体は破産財団の財産として換価処分されて、あと代金債権だけがどの程度回収し得るかという債権者として参加する場合もあり得るだろう、それは具体的な場合で判断されるのではないかということを申し上げたわけでございます。
#133
○田中(武)小委員 そうすると今例としてあげられたあとの場合では、この所有権留保の規定は動かないわけですね。破産財団の中へその物が入ってしまう、そして売り主は破産財団に対して債権者として加入するのだ、こういうことなんです。そうすると先ほど言われたように、破産財団から除かれるのではなしに、その物自体は破産財団の中に入ってしまう。そうなれば所有権はすでに乙にあったと同じ扱いを受けていることになるわけですか。
#134
○松尾政府委員 所有権留保の規定は、売り主の方が所有権留保ということを主張をしてやる場合にはそうなると思いますが、今私が例にあげましたような場合に、自分の方は売掛月賦販売代金の回収をすればいい。従ってその商品を取り戻す必要がないという判定をいたしますれば、売り主の方は所有権についての留保の主張をいたしていない場合でございますから、その場合には代金債権だけについて破産財団の債権者として参加する。代金の債権が確保される以上は、所有権留保の規定は、売り主がそこまでの主張をしないということで、その案件は処理されるのではないかと思います。
#135
○田中(武)小委員 第七条はいわゆる推定規定ですから、みなすというか、最も弱いのですが、結局あなたの答弁によると、この所有権留保ということは、売り主側があるいはそれを放棄し、あるいはそれを主張し自由にできる、こういう解釈ですね。
#136
○松尾政府委員 留保の推定規定でございますから、特約があればそれに従いますから、売り主の方がその権利を主張しなければそれに従うということに相なると思います。
#137
○田中(武)小委員 そうすると要は推定規定であるので、売り主の方の意思にかかっておる、こういうことになるのですね。
#138
○松尾政府委員 売り主が自分の権利主張のためにこの規定を援用して、その権利を主張するかどうかということにかかると思います。
#139
○田中(武)小委員 そういたしますと、さらに考えられることは、第七条の規定による所有権に基づいて自力救済ということが出てくると思うのですが、そういう場合はどの程度自力救済――これはもちろん通常の概念というものがあろうと思うのですが、自力救済についてはどういうように考えておられます。
#140
○松尾政府委員 自力救済という行為の内容は、必ずしもはっきりいたしてはいないかと思いますけれども、一番よく言われます場合のように、この場合に申しますと、購入者の承諾なしにその住宅に入り商品を取り戻すというような場合が、自力救済の一番きつい、あるいは典型的な場合であろうと思います。この場合にはまず第一には購入者の承諾なしに住居に立ち入るということ自体、家宅侵入の違法行為に抵触すると思います。また所有権はありましても、所有権は売り主の方に留保される推定規定が働いておりましても、占有権が合法的に買い主の方に移って、通常の占有権の権利行使として使用されておる状態において、占有権者である買い主の承諾なしに、その商品を取り戻すというような自力救済は、現在の法律全体からいって違法な行為に該当すると思います。
#141
○田中(武)小委員 先ほどもちょっと管理義務のことに関連して、停止条件つき売買契約ではない、こういう話が出ましたが、これは考えようによれば、この権利推定の規定で、契約は四条で書面の交付を必要とするかそれは別として、そのときに契約は成立をしておる、所有権は残っておる、そうして全部払ったときに所有権は移転するのだ、こう考えてくると、一つの停止条件つき売買だ、こういうようにも考えられるのです。先、ほどはそうではないと言われたのですが、停止条件つき売買契約と、割賦販売契約で、さらに七条の推定規定をあわせ考えた場合に、どう違いますか。
#142
○吉國政府委員 先ほど民法五百三十五条の停止条件つきの双務契約ではないと申しましたのは、この割賦販売の場合には売買契約そのものはすでに成立をしておりまして、完全に契約としてもうすでに存在するわけでございます。ただ所有権の移転が原則として代金の完済の時期に画されているということで、あたかも停止条件つきの売買と形式は似ておるということでございますが、売買そのものはもうすでに成立をしておりまして、単に所有権の移転の時期が代金の完済あるいは三分の二ということもございましょうが、そういう時期にかかっているという契約だと思います。
#143
○田中(武)小委員 割賦販売と停止条件つき売買契約との違いは、契約の成立の時期が違う、そういうような御答弁だと思うのです。しかし実際面に見た場合、少なくとも権利留保がある限り、停止条件つき売買契約と変わりはないんじゃないか。少なくとも売買とは民法五百五十五条にあるように、権利を移転することを目的とした契約なんですね。ところがその契約が、その目的である所有権が一方に最後まで留保されておるということは、結局契約の格好は成立したとしても、内容においては停止条件つき売買契約と何ら変わりがない、こういういうふうに考えられます。従って先ほどの管理義務等についても、これは少しおかしくなってくるのじゃないか、このように考えるのですが、ただ売買契約成立の時期が違う、こういうことだけで管理義務その他の問題が起きてくることになりましょうか、どうでしょうか。
#144
○吉國政府委員 あるいは先ほど申し上げました点を繰り返す結果になるかもしれませんが、この割賦販売契約で所有権の留保をいたしますのは、いわば第三者との関係において、未払代金債権を留保するというのが目的でございますので、その点から住ずる諸点を除きましては、いわば売買契約はもう済んでいるのだというような考え方が、一般の学者の考えだろうと思います。その意味で、売買契約が全く完了しておりますればもちろん自己の所有に属するわけでございますから、自分の物に対すると同一の保管の義務というようなさっきの考え方も出てきたわけでございますが、危険負担につきましては、先ほど来申し上げたように、民法の五百三十五条の適用ではなく、一般の五百三十四条の危険負担における債権者主義というものによって買い主が負担するのだというのが、私どもの考え方でございます。
#145
○田中(武)小委員 今言われたところによると、第七条の規定は結局第三者との関係というものを考えての規定である、こういうように今言われたと思うのですが、そうなんですか。
#146
○吉國政府委員 所有権の留保をいたします目的は、先ほども、問題になりましたが、第三者に転売された場合であるとか、あるいは第三者が差し押えをする場合の移動であるとか、あるいは買主が破産をした場合にその第三者との関係をどうするかというようなことについて、いわばその場合に売り主の側としての未払い代金債権が、これは完全に満足されれば十分なわけでございますが、この未払い代金債権を、いわば担保すると申しますか、法律的な担保ではございませんが、いわば実質的には未払い代金債権を担保するのが主たる目的であるという考え方でございます。
#147
○田中(武)小委員 少し古い概念を持ち出すようですが、所有権を分析すれば、使用、収益、処分権、こういわれておる。そのうちの、今の答弁ですと、処分権だけをこちらに残しておるのだ。いわゆる使用あるいはその収益、これはもうすでに乙に渡っておるのだ、購入者に渡っておるのだ、所有権を今そういう分析をやっているかどうか知りませんが、所有権とは使用、収益、処分権だ、処分を内容とする権利だとよくいわれておる、そのうちの処分権だけを残しておるのだ、こういう趣旨ですね。
#148
○吉國政府委員 決して使用、収益、処分のうちの、その処分権だけを残しておくというわけではございませんで、法律的にはまさに所有権が留保されているものと推定すると書いてございますから、所有権が全部留保されているわけでございますが、そのねらいとするところは、先ほど申し上げましたように、買い主とそれから第三者関係にいろいろ法律関係が生じて、その場合に売り主としては未払代金の債権の確保ができないと困るというところから発したという意味で、先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
#149
○田中(武)小委員 だから、あなたの答弁による限り所有権のうちの処分権だけが残っておる、このような御答弁のように私らは感ずるわけです。そうでなければ――それではかりに割賦で買い入れたものから果実を生じた場合には、これはだれの所有になるのですか。
#150
○松尾政府委員 割賦で買い入れた買い主の方は、先ほど申しましたように占有権を合法的に持っておるわけでございます。占有権に関する限りは占有者は占有物より生ずる果実を取得するということで、占有権の主張ができるということに相なっております。
#151
○田中(武)小委員 そうすると、やはり、所有権を分析するということはどうかと思うのですが、通常いわれておるような使用、収益、処分の権限だ、こうなるといわゆる第三者との関係において留保することの果実は処分権にある、すなわちその物を転売しあるいは入手するということを禁じた、実際上はこういう解釈ですね。
#152
○吉國政府委員 その効果といたしましては、先ほど松尾局長からも申し上げ、また私からも断片的には申し上げましたが、刑法上あるいは民法上いろいろな効果が生じて参ると思いますが、その効果全体を簡単に私が表現いたしますと、そのようなことに相なるわけでございます。
#153
○田中(武)小委員 この七条の規定については、紛争を少なくするためにという目的であると答弁をされておる、しかし七条があることの方が紛争を少なくするのか、あるいはない方が紛争を少なくするのか、こう考えてくると、はなはだ疑問であります。この点についても、後ほどいろいろと一つ、どちらの方がいいのか、これは検討する必要があろうと思いますから、この点は保留しながら次に進みたいと思います。
 あとへ戻ってはなはだ恐縮ですが、六条関係で、「通常の使用料の額」といったようなものが出ておりますが、こういうものはどのようにしてきめるのか、おそらく御答弁は社会通念ということになろうと思うのですが、それをきめるのは一体どこできめるのか、紛争があった場合には結局裁判所まで持っていかなければならないのか、あらかじめ一つのものさしというものを作っておくのか、そういう点はいかがでしょうか。
#154
○松尾政府委員 割賦販売の商品の性質によりまして、通常の使用料というものが経済常識で比較的はっきりいたしておる場合もございます。御承知のように、たとえばテレビ等は賃貸テレビが一部行なわれておりますから、そういう場合もあると思います。しかし割賦販売のあらゆる商品について、通常の使用料が常識的に確定しておるという状態では今ないと思いますが、今お話のように、最終的には裁判所の問題になるのかもしれませんが、そういうことで事案が一々解決するというわけには参りませんので、またそれが割賦販売法の本来の趣旨とも違いますので、その場合に通常の使用料というものにつきまして、大体の常識的なところを、できるだけ、業界でもおよその見当をつけたようなものを、独禁法との関係に抵触しない限り種々相談をして、この辺であろうというくらいのある標準的な考え方が業界で相談ができれば、それも一つの方法であろうと思いますが、その辺は今後のこの法律運用に際して、結果がなるべく円満にいくような行政指導をして参りたいと思います。
#155
○田中(武)小委員 今の御答弁によると、それじゃそういう「使用料の額」とかいったようなものの決定権はいわゆる売り主側がある、こういうような印象を受けるのですが、使用料というようなものは、やはり双方において話し合ってきめる、こういうことが必要ではなかろうかと思うのです。さらに契約解除というような事態の起きたときには、当事者間には、いわゆるノーマルな状態でなく、そうでない状態が起きておる、従って使用料一つの決定についても、いろいろとその紛争があることが予想されるわけであります。従って、これもわれわれとしてあとで御相談をしたい、このように考えておるのですが、本法運営のためのいろいろな聴聞会のことだとか、店頭に書けとかなんとかいろいろなことがありますが、そういうようなことをも含めて、さらにこの場合の紛争なんかも処理できるような、あるいは基準をもうけることのできるような一つの機関を必要とするのではないか、そのように考えるのですが、その点いかがでしょうか。
#156
○松尾政府委員 ただいま私から申し上げましたところに、通常の使用料というものは、販売業者の方が一方的にきめる性質のものであるというような感じがあったといたしますれば、それは私の申し上げようとしておる趣旨ではございませんで、もちろんこの場合の通常の使用料の概念は、契約当事者双方の納得のいくところで当然きめられるべき性質のものであると思います。たださらに、今のお話のように、いずれにしても紛争が起った、あるいは起こりやすい状態の際に、そういうふうな話し合いはなかなかむずかしいであろうという点は、私もそういう問題はあると思います。従いまして、先ほど申しましたように、一般に納得され得るような通常の使用料というものが、何らかの形で、その標準的なものが用意されておることが紛争の解決には資するゆえんであろうと思いますが、そういうものを、私が申しましたのは、行政指導等によりまして、大体の標準を商品について知識のある業界でも、そういうものの検討をやっておく必要がある、だろうということを申し上げたのであります。
#157
○田中(武)小委員 今のたとえば契約解除のときの使用料、あるいは契約の締結及び履行のために通常要する費用、こういうようなものについても紛争があることが目に見えておると思うのです。さらにたとえば九条の標準条件の公示等々、その他を考えましたときに、やはりここに本法運営のために、あるいは紛争を未然に防ぐための一つの措置が必要だと思うのです。あとで、審議会という制度がいいかどうかは別として、何らかの方法を必要とするのではないか、このように考えておりますので、小委員長の方においても、その点は特に一つ留意しておいていただきたい、このように考えるわけであります。
 次に十一条の前払式割賦販売に入っていきたいと思うのですが、先ほども春日委員も触れておられたように伺ったわけですが、本法が施行せられまして、ことに前払式割賦販売というような方法が一般的に普及するとするならば、メーカー信販制度、メーカーが直接売る、あるいは人格は違うが、資本的に、あるいは人的にそのメーカーが支配する販売会社、そういうものが売っていく、こういうように限られるわけです。従って、本法施行のねらいといいますか、これは私先日割賦問題一般について申し上げたときにも言ったと思うのですが、要は、マスプロによって作り出されていくものの需要をうまく伴わすための一つの方法として、消費の刺激あるいは景気の刺激としての役割を割賦販売はとっていくだろうと思うわけなんです。しかもそれがメーカー信販という系列の中におさめられていくというような方向をとるだろうと私は見ております。またそうであろうと思います。そうした場合に、これは基本的に政府とわれわれとの考え方が違う点ではなかろうかと思うのですが、先年小売商業特別措置法を審議いたしましたときに、われわれは商業調整法を出しました。その中でわれわれはメーカー、問屋、小売、これのそれぞれの産業分野を確立するんだ、それぞれの本分を明らかにしていくんだということを主張したわけであります。そういう点から考えていったならば、前払式割賦販売業者の登録についても、メーカーとか、あるいは百貨店等々については、ある程度の規制を必要とするのではなかろうかと考えておりますが、そういう点についてはどう考えておられますか。
#158
○松尾政府委員 前払式割賦販売に関するこの法案の規定の趣旨は、前にも申し上げたと思いますが、前払いという形でお客さんから代金を預かる、その預かることに対してお客さんに迷惑をかけないようにという意味の消費者保護をねらいとした規定でございます。従いまして、相当の資力、信用があって、そういう形で前払い代金を預かるということが必要であるという意味の規定でございますので、この規定自体は、今お話しの大きなメーカーがやる場合に、それに特別の特権を付与するということではなくして、逆にそういうメーカーが前払式割賦販売をやろうとするときには、そういう制約を受けます、資産その他について制約を受けますと、という意味のことを規定の中心のねらいといたしておるつもりでございます。現在行なわれております前払式割賦販売は、御承知のように、ミシンと毛糸手編み機械について行なわれておるようでありますが、百貨店はその式のものを従来やっておりません。しかしミシンのメーカーは直営あるいは間接の形でこの方式をとっております。そういう場合には、そのメーカー直接なりあるいはその代理会社の資産、信用等について消費者に迷惑をかけないようにというのが、この規定の趣旨であります。
#159
○田中(武)小委員 この趣旨が、消費者から金をあらかじめとる、従って前払式の割賦をやるものについては、ある程度の信用、資本等を必要とするという建前に立って規定せられたということはわかるのです。だがしかし現実に行なわれているのは、ミシンを例にとっても、大体あれはメーカーの信販の格好をとっておると思います。さらに十五条の登録の拒否、すなわち登録の条件等々を考えていった場合は、この規定は、現に小売屋さんがこのような前払式をやっているところはごく少ないだろうし、あるいはないかもしれないが、少なくともやはり小売商圧迫にならないか、こういう観念を持っているわけですが、これが法制化せられた場合には、あらゆるものが、ことに金高のかさむものになろうと思いますが、前払式をとったときには、そういったような、私が言ったようなメーカー信販の系列による信販制度が行なわれる、このように見ておるのですが、それはいかがでしょうか。
#160
○松尾政府委員 私どもの調査では、現在ミシンの前払式割賦販売をやっております販売業者は四千店以上あると承知いたしております。その中で、今御指摘になりましたような大手メーカーあるいはそれに直接つながるものの前払式割賦販売は、ミシンにつきましては十社前後であろうと思いますが、ここで申しておりますのは、それら総合計で四千何百社の中で、その前払式割賦販売の規模の小さなもの、ここでは、政令をもって、年間取扱い高百万円以下というようなものは登録云々というようなことによって制約をする必要はなかろう、営業規模の小さい場合にはその必要はなかろうということで扱いたい所存でございますが、そういう基準で除外して参りますと、大体登録云々によって制約を受けるようになりますのは、おそらく四百社以内くらいのことに集約されて参ると思います。そういうことを考えてみますと、この登録制度云々によりまして、大部分のものは従来通り前払式割賦販売を行ない得る。しかしある規模以上の営業をやる場合にこの制約を受けるということでやって参りますので、その制約というのは、先ほど申しましたような、代金を預けるお客さんの保護だということでやって参りますので、こういう制度をしいたことのために、特に大メーカーが急いで前払式割賦販売をさらに広げるというようなことは、この制度をしくこと自体とは私は関係はないと思いますけれども、また現在大メーカーあるいは大手の行なっております、ミシンの割賦販売につきましても、必ずしもその全部が前払式ではなくて、むしろ大手の行なっておりますミシンの割賦販売につきましては、前払式でない割賦販売の方が、その比率がはるかに多うございます。と申しますのは、逆に申しますと、お客さんの方でも、前払式という形の割賦販売よりも、そうでない、つまり商品を先にもらえるような割賦販売の方をむしろ好んでおるという傾向も示しておると思いますので、この制度をしくために、大メーカーあるいは大販売業者が、この制度によって大いに業績を伸ばすだろうというような実勢はないと私は思いますけれども、この法律の趣旨とするところは、先ほど申しましたように、あくまでこれが行なわれる場合のお客さん保証ということに一貫しておりますので、今お話のような大中小企業の分野調整というような別途の考え方をこの法制の中に持ってくることは、法律制度としてはやや困難なものではなかろうかと思います。
#161
○田中(武)小委員 局長の言われるように、少なくともこの法を定め、一つの節を設け、前払式割賦販売、こういうものを入れたということは、先に金を渡すのだから、消費者を守ってやるのだ、そういう意図であろうとは思います。だがしかし、実際にやってみると、われわれが心配しておるような系列によるメーカー信販ということが促進されて、大きくそれが支配していくということは考えられるわけです。それから先ほど言われました御答弁の中で問題になることは、結局は十一条一号の「年間の販売額が政令で定める」云々と、この年間の一販売額をどの程度政令で定めていくのかということによって、相当変わってこようと思うわけなんです。しかも十一条に違反したものは四十二条によって体刑がかけられるという処罰規定があるわけなんですね。そうすると、要はやはり政令の定め方だと思うのです。そこでお伺いしたいのは、年間の販売額は一体どの程度に考えておられるのか、もちろん法律が通ってからきめられる政令でありますが、どの程度に考えられておるのか、お伺いいたします。
#162
○松尾政府委員 私どもの現在までの調査では、大体年間取引百万円という線で引きますと、その辺を境にしていわゆる町の小さな零細業者と、それ以外のものの区別がかなり断層をなしておるように思いますので、その辺で線を引きたいというつもりでございます。
#163
○田中(武)小委員 百万円がいいのか、二百万円がいいのかということについては、私も実際のことをつかんでおりませんのでわかりませんが、今日の物価の状態からいって、年間取引百万円ということなら相当な下の部門といいますか、そういうところまで入ってこようというように考えますので、今言っているようなすべてがメーカー信販になるわけでもなかろうかと思いますが、やはりそういう危険も考えられます。そうしますと、さらに十二条の資本金または出資金の額というような問題、これとも関連して参ります。あるいは十五条の二号、こういうものとの関連を持ってきますが、これらは一体どの程度に考えておりますか。
#164
○松尾政府委員 先ほど申しましたように、年間取引百万円という線で引いて参りますと、大体ミシンなら、一月の取り扱い高が平均二、三台程度というような零細な企業になります。これが先ほど申しましたように、全国約四千以上の店の中でその九割以上を占めておるということになりますので、四千以上の販売業者の中で四百社以下くらいのものが、この登録制度の線に入ってくると思います。さらにその中で大手十社というような十何社というものがありますが、これらはまた同じ三十何社の中でも経常の規模が非常に開いておりますので、従いまして、ここで資本その他の大きさを規定いたします際には、当然そういう断層のある経営規模に応じて資本、出資額等もきめるということに相なると思います。
#165
○田中(武)小委員 だから十五条の二の資本金などは、どの程度に考えておられますか。
#166
○松尾政府委員 これはもう少し精細な実態調査の上できめなければならないと思いますが、大体二段階程度くらいに差をつけて規定をする必要があると思います。
#167
○田中(武)小委員 さらに法人であるという要件が入っております。これは大衆相手に金を前取りするんだから、信用度において個人より法人がいい、少なくとも銀行は法人でなければ、株式会社でなければいかぬのだというような考え方だろうと思いますが、先ほど来言われておる点から総合いたしまして、やはり全面的にこれが実施になった場合には小売商に相当な圧迫にならないかということを心配しておるわけです。この法人であるという要件、あるいは資本金、あるいは出資金のきめ方、あるいは前に戻って十一条の年間販売額のきめ方等々が大きな作用をしてくると思うので、そういう点についてはなお中小企業、ことに小売商要の圧迫にならないように、一つ方法を考えていってもらいたいと同町に、われわれも考えていかなければならないと思っております。その点いかがでしょうか。
#168
○松尾政府委員 登録につきまして法人に限定をいたしましたのは、ただいまお話の中にもございましたように、法人でないと営業資産と個人資産の区分経理がはっきりしないことが多い。従って監督その他が十分届かないだろう、そういう意味で法人形式をとったのでありますが、いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、現在行なわれておる前払式割賦販売の実態に即してこの運営をやって参りますにあたっては、中小商業者に不当な負担をかけないようにということは十分留意してやって参りたいと思います。
#169
○田中(武)小委員 やはりそれと同じような観点で言えると思うのですが、この十七条の営業保証金の額なんです。主たる営業所につき十万円、合計で五十万円が最高、そしてそれを供託、こういう格好になっておるのですが、年間百万円の取引販売額にからんだときには、五十万円というものが多いような気がする。だがしかし、大きなところから見れば五十万円は少な過ぎる。そうかといってこの五十万円をさらに多く上げていくならば、今度は逆に中小の方にやりにくくなる、こういうふうな点でこのきめ方もむずかしいと思うのですが、要は五十万円ときめられた根拠はどこにありますか。
#170
○松尾政府委員 前払式割賦販売の場合の消費者保護は最終的にはその割賦販売業者の資産にあるわけでありますので、この営業保証金だけで解決するとは思いませんが、しかし他の立法例にも最悪の場合の営業保証金云々の制度がございますので、その例にのっとりまして一応五十万円という数字を出しております。これは他の立法例との一応のバランスを考えてこの辺にめどを置いたというので、異常な特別のケースではございません。
#171
○田中(武)小委員 今日の貨幣価値あるいは営業の規模等から考えて、あるいは消費者といいますか、契約締結をした人たちの保護を考えた場合に、五十万円では安過ぎる、こういう考え方を持っておりますが、さりとてこれをむやみに上げることは、一方中小企業に対して、これまたあまり高くすれば圧迫になるというような点で、あれこれ考えておるわけですが、この点についても後ほど一つ相談をしてみたい、このように考えております。さらに二十一条の条文と関連してでありますが、この五十万円の供託金に対して、いわゆる前払式販売契約を締結した者は、この供託金五十万円について先取特権を持っているわけですね。その場合、たとえば販売業者が破産をした場合、この五十万円の供託金は、先ほどお話が出ました六条三号の破産財団の中に入るのか入らないのか。そしてもし五十万円ですでに前払いをした人の損害を填補できない場合は、その人たちはさらに進んで破産財団の債権者として参加していくのかどうか、その点の関連はどうでしょうか。
#172
○松尾政府委員 前払金として預けてある金は、当然今お話しの営業保証金から、他の債権者に優先して、弁済を受けるごとに相なりますし、破産の場合には、いわゆる財団債権として優先的に支払いを受け得るようになるはずであります。
#173
○田中(武)小委員 だからその五十万円で、いわゆる契約者の債権が満されない場合は、さらに一般の破産財団に債権者として入っていける、そういうことですね。
#174
○松尾政府委員 その通りでございます。
#175
○田中(武)小委員 時間もなんですから、飛ばしていきたいと思うのですが、三十一条。ここで割賦購入あっせん業の登録のことがきめてあるわけなんですが、さきに八条によって除外をしたうち、四号だけをここで除外しておるということは、一体どういうことですか。たとえば八条の四号と五号、事業者がその従業員に対して行なう割賦販売、一方は組合員に対して行なうということで、大体同じような性格を持っておる。ただ違いは、四号は法人の場合が多いだろう、たとえば消費空活協同組合。五号の場合は、事業主が副利厚生施設としてやる、厚生活動として行なう場合が多いだろうと思うのですが、実際面において同じようなことをやっておるわけなんです。ところが三十一条において、八条四号だけを除外したのはどういうわけですか。
#176
○松尾政府委員 この三十一条の規定は、御承知のように、割賦購入あっせんのチケットを発行する場合であります。現実問題といたしまして、今の共済組合その他において、チケットを共済組合自体がその組合員のために発行するというようなことは、事実問題としてございません。現在ございますのは、いわゆる小売商の協同組合等が、その協同組合の組合員である小売商を加盟店として、お客さんに対してチケットを発行するという場合が行なわれているだけでございます。そういう意味で、ここでそういう場合の適用除外をいたしたのでありますが、御承知のように、現在行なわれておりますチケット発行の場合は、いずれも協同組合形式でございます。協同組合につきましては、御承知の中小企業等協同組合についての特別法によりまして、業務、経理等に対して一般的な監督が行なわれておりますので、この法律でさらにその業務監督、経理内容監督を重複してやる必要はないということで、適用除外をしたのであります。
#177
○田中(武)小委員 この八条四号の場合は、おっしゃるような中小企業等協同組合の場合もありますが、さらに、先ほど申しましたような生協も入るのでしょう。生協と職場購買会、これは職場において同じような役割を果たしておるわけですね。その場合に、区別をした点はどうか、こう言っておるわけです。
#178
○松尾政府委員 お話のように、消費生協の場合と共済組合の場合は、実際の経済的効果は似たようなものがあると思います。ただ建前としては、共済組合の場合は、八条五号の、事業者がその従業者に対して行なう場合で、その場合に共済組合自体がチケットを発行するという場合は予想されない、現在ももちろんございません。販売は月賦で行なうかもしれませんが、チケットを発行するような形の機関になることは予想されないという意味で、特に除外規定を置くまでもなく、そういう事態は発生しないだろうということをいっております。消費生協の場合は、現実にはございませんけれども、あるいはそういうことが起こり得るかもしれません。現実問題として想定しているのは、共同組合の場合だけである、そういう状態になっております。
#179
○田中(武)小委員 現実には商店街等が協同組合の格好でやっている、そういうことをとらえてということで、了解はつきますが、八条四号にはそれだけでなく、消費協同組合が入る、しかも八条五号の職場購買会も同じような役割をしている点から、ここに若干の疑問を持ったのと、もう一つは、この法律ではいわゆる交通整理、地ならし等はその後に一体どうするのか。先ほど春日委員の質問にもあったが、いわゆる販売業者に対する金融の問題あるいは消費者に対する金融の問題等々も将来起こってくるだろうと思う。そのような場合には、三十一条による登録を受けた者が対象になって、受けない者は対象にならない、こういうことになるならば、同じような職場において同じような機能を果たしている生協と購買会で、待遇が違うということになるおそれがあると思うので、申しておるのでありますが、今直ちにどうということはないんですが、そういう点についてはうまく調整というか、双方に不公平のないように考えてもらう必要があるように思うのです。中小企業等協同組合で商店街等がやっていることだけを見ればけっこうですが、しかし八条四号は必ずしもそれだけではないわけで、それと五号との関係を、もう一点返答してもらいたい。そうして将来金融等の場合には同じように考える必要があると思いますが。
#180
○松尾政府委員 実態的のお話といたしまして、今の御意見の通りであろうと思います。この法律案自体は割賦販売に伴う売り主と買い主間の秩序維持のために、必要最小限度のことを規定いたしているという意味合いでございますから、この法律運用とあわせて、割賦販売に対する全体の政策的な問題はこの法文には入って参りませんけれども、健全な割賦販売がこの秩序法によって健全な方向をたどっていく限りは、今お話しのような中小割賦販売業者に対する援助その他のことは、中小企業対策全体としても行なわなければならない問題であると思います。その場合に、この法律の適用を受けていないという理由で、別の形の事業者の割賦販売について差別的な待遇を与えるということは私どもはございません。お話しの通りと思います。
#181
○田中(武)小委員 一条あとへ戻って恐縮でありますが、三十条の規定であります。
 これは私はあった方がいいと思うのですが、これについていろいろと金融業者等から陳情の形式でいろいろ書面等が出ておることも御承知だと思うのです。そこでたとえば恩給等については禁止しておる。しかしその場合は、恩給を持っておるものの側を禁止するという立て方の法律案だと思うのです。この場合は、三十条は受け取る方の側ですね。法で一切を禁止しておる、こういうきめ方ですが、こういう禁止条項としては、法制局、どちらがいいのでしょうか。
#182
○吉國政府委員 これは現在一部の場所におきまして、チケットを担保にして不健全な金融を受けるというような実態がございますので、それを放任しておくことは社会的に非常に不健全な問題を生ずるというのが、通産省の考え方だと思いますが、いわばこのチケットがあたかも紙幣と同様な格好で有価証券として転々流通するようなことは望ましくないということから、この転々流通のもとになる業者の側を押えるというのが、そのような立法目的からして適当であるという考え方だと思うのです。
#183
○田中(武)小委員 それはわかっておるのだが、たとえば同じような趣旨が恩給証書にもあるわけです。恩給証書の場合は、それを持っておる人が入質をしてはいけない、こういう所有者の方に立っての禁止規定があるわけです。そして国民金融公庫という特別なところでは、それをもとに融資をしようという立て方になっておるわけです。この場合は所有者の側でなく、チケットを受け取って金を貸す側を禁止しておるわけですね。だから、法律の禁止の仕方としては、所持者の方を禁止する方法と、それから受け取る側の方を禁止する方法と二手あると思うのですが、どちらの方がよりシャープなのかと、こう聞いておるわけです。
#184
○松尾政府委員 どちらを選ぶ方が適当であるかという政策論にも関連いたすと思いますので私からお答えいたしたいと思います。この条文によって私どもが制限をしたいのは、このチケットに対して不健全な要素を除きたいということが主たるねらいであります。そのチケットの所有者、つまりこの場合のチケットによる購入者がたまたまある家庭で、私生活の事情によって、家族の病気その他の理由によって、すでに手に入れたチケットについて何らか金融を得たいというような非常に困った場合もあり得ると思います。その場合に、友人あるいは親戚その他によって融資を受ける程度であれば、まだそれほど大きな弊害はないではないか、しかし、そのチケットを持って、いらっしゃればいつでもかえます、いつでも金融いたしますという業者が、その間に介在して業として行なわれる、そこまでの規模でチケット金融が行なわれることは困る。やはり程度の差があると思いまして、ここではそういう業として行なう方の場合だけを制限しておけば、友人間あるいは親戚に頼む場合までも追っかける必要はなかろう、そういうことで、業としてと、そちらの方に制限を踏みとどまったということでございます。
#185
○田中(武)小委員 このチケットを利用して不健全な金融を受けるというのは、町の高利貸しから金を借りて、それから苦しめられるということを防いでやろうというこの趣旨は私も賛成なんです。しかし先ほど恩給証書を例にしたように、恩給証書の場合は、持っておる方に入質を禁止しておるわけですね、そうじゃないですか。だからそれはけっこうです。これは全面的に禁止してはかえってどうかという感じもあるのですが、まあ友人、知人、親戚等からそれを担保として金を借りるということまでは禁止していない、こういうことで了解しますが、この三十条に関連して附則で何か経過規定が半年になっておるのですが、この半年という期間はどうでしょうか。大体こういう金融は短期じゃないですか。
#186
○松尾政府委員 この経過期間云々という点は、法律の施行が公布の日より六カ月以内に施行するという意味で六カ月以内の余裕があるということで、この禁止規定についての特別の経過規定を用意はいたしておりません。問題としましては、御承知のようにチケットの有効期間が大体二カ月の場合が多うございますから、チケット金融も大体一カ月とか二カ月以内の短期間でございます。しかし現実問題としては、そのチケットの期間――一カ月なら一カ月ときめました期間内に、代金の貸付債権の返済がない場合は、さらに新たなチケットを発行してもらって、新しいチケットと取りかえて、いわばころがしていくような金融方式も行なわれておるようであります。従いまして、そういう場には、必ずしも短期間でなくて、債権をころがしていくという形で、チケットを取りかえ取りかえ長い契約が事実上行なわれる場合もあると思いますが、いずれにしても、この法案の趣旨では、法律の施行までの間一般的な猶予期間しか設けていないということでございます。
#187
○田中(武)小委員 六カ月というのはこの法律全体の経過規定なんで、従って三十条も余裕期間は六カ月あると……。
#188
○松尾政府委員 政令で公布の日から六カ月をこえない期間できめられますと、その日から即日この禁止規定が働いて参ります。従いまして、法律が公布になれば、政令施行六カ月までの間に金融業者は整理をして、その日以後は新たな金融をしない、してはいけないという禁止になるわけであります。
#189
○田中(武)小委員 その通りであって、だから特にこの三十条に関連したことは、六カ月というのはもちろん政令できめるのだが、長過ぎるとかあるいはもう少し余裕を持つとか特別な考え方はないわけですね。
#190
○松尾政府委員 ここではそういう特別の配慮はいたしておりません。
#191
○田中(武)小委員 先ほど局長の言われたころがすという方法による長期ということもあるのでありますが、私は大体こういうのは短期だと思うので、むしろ早く禁止してもいいのじゃないかというような気持も持っておるわけなんですが……。
#192
○松尾政府委員 この制度自体は、私どももなるべく早くこういう状態がなくなることが望ましいと思います。ただ現実にこのような金融業を営んでおる者が相当ございます。そういう現実の問題を考えますと、それらの金融業者がある期間に――新たに金融することはもちろん禁止でありますけれども、禁止の以前に従来貸し付けておるものを円満に回収をして、あまり不測の損害をこうむらないように――現在一応適法にやっておるものを、あまり不測の損害をこうむらせることもいかがかと思いますので、まずこれくらいの猶予期間があればこの間に事業の整理ができるのじゃないか、それ以上の特別の配慮はしていない、ということであります。
#193
○田中(武)小委員 了解します。
 この三十条の違反は罰則がありますね。四十二条で体刑までありますね。
#194
○松尾政府委員 その通りであります。
#195
○田中(武)小委員 四十三条あるいは四十六条等に出てきますが、「あっせん業者の代表者、代理人、使用人」ここまではわかるのです。「その他の従業者は、」とこうなっておるのですが、ここでいう「使用人」は商法の使用人を指さしておるのかどうか。私は商法の商業使用人を指さしておるのだと思うのですが、そういたしますと、従業員というのは具体的にどういうものが含まれておるのですか。
#196
○松尾政府委員 ここで使用人と申しますのは、雇用契約によって使用人となっておる者という意味でありまして、ここでは特に商法にいう商業使用人に限定したつもりはございません。従いましてあとそれ以外の従業者というものは、どういうものかということになりますれば、今申しました雇用契約はないけれども、事実上その業務に従事しておる者、従いまして、たとえば法人の場合でありますと、顧問とか嘱託とか、こういう肩書きの者がございますれば、これは今の解釈では雇用契約ではなくして、委任とか準委任の法律関係であるとかいわれております。そういうことになりますと、そういう人たちについても、実際上業務に従事しておれば、雇用契約はなくても、その他の従業員として規制の中に入れておかなければ手ぬかりがあるんではなかろうか、こういう意味で一般的な例文に従ったわけであります。
#197
○田中(武)小委員 この法律は大体民法、ことに商法に対する特別法のような格好ではなかろうかと思うのです。従ってここで、何条かちょっと何ですが、出てくる法定利率なんというのは、商法上の利率だと思うのです。そうすると、ここで使用人と書かれると、商法上の使用人と解釈が出てくるように思うわけなんです。今の説明によると、使用人とは雇用契約に基づく者であり、従業員とは雇用契約に基づかずしてその仕事に従事する者である、こういうように言われたんですが、これは一般的にどうでしょうか、使用人、従業員という定義の仕方及びこの法律の体系からいって、使用人、従業員の解釈……。
#198
○松尾政府委員 こういう形式の条文は、お説のように現在他の法偉いずれもこういう例文で書いております。従いましてこの法案についての特有の規定というのではございませんので、一般的な解釈によって解釈されざるを得ないと思いますが、今私が申し上げましたのは、そういう意味からいいまして、特にここで商法にいういわゆる商業使用人ということに限定して書かない以上は、一般的な解釈に従って、先ほど私が申し上げたような解釈に相なるのではないかと思っております。
#199
○田中(武)小委員 法制局にお伺いしたいのですが、こういうような場合に、今までこういう例があるからこう使ったんだ、こういう答弁がよくあるわけです。しかしその法律の性格、ことに法体系における位置によって変わってくると思う。たとえばこの法案ですと、これはやはり商法の特例という考え方から、先ほど言ったように、法定利息も商法の法定利息になる。そうすると、使用人ということは当然商法の使用人を連想するわけなんです。こういう読み方が間違いであるのかどうか。
 それから使用人が雇用契約に基づくというところまで範囲を広げるならば、その他の従業員というような者は必要ではないんじゃないか。もちろん嘱託とかなんとか雇用契約によらない者がある、こういうことですが、それでは、たとえば内部にあって帳簿をつけたり、あるいは計算をしたりしておる人たち、これもいわゆる使用人になろうと思う。そういう人たちまでこういう罰則を、実際問題としてはいかないと思いますが、罰則規定を設けることはどうかと思います。
 さらにセールスマンといいますか、外交員というような者があって勧誘し、取り立てをすると思うのです。これも雇用契約に基づくものと、あるいは歩合制度といったような委任契約、こういうものもあろうかと思うのですが、この使用人、従業員の読み方、これはこの法律においてどう読むべきであるか。それから使用人及び従業員と入れる方がいいのかどうか。
#200
○吉國政府委員 御質問が何重にもわたっておりますが、順次お答え申し上げますと、第一の、この法律は民法とか商法の特別法的な部分を持っている点があるので、使用人という文言も商法の商業使用人と解すべきではないかという点でございますが、この法律が民法とか商法について、特例的な規定を設けておる点はまさにおっしゃる通りでございますが、この四十三条の規定なりあるいは四十六条の規定で使用人と申しておりますのは、先ほど企業局長からもお答え申し上げましたように、これはまさに両罰規定で、従来、それこそ数百の法律が使っておりました「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者」といういわば例文的な文言を、そのまま使用したわけでございます。
 もう一つは、ここで使用人の範囲が商業使用人に限るかどうかということをいろいろ検討いたしましても、結局その下の「その他の従業者」というところで、その業務に従事する老は包括的にこの中に含まれますので、実は今までも使用人の範囲がどの範囲であるかということについては、あまり確たる定説もなかったような状態であります。
 それから第二の問題といたしまして、「その他の従業者」というところで、いわば書記的な事務に従事する者であるとか、あるいはお言葉と違うかもしれませんが、機械的な作業に従事するような者、そういう者を罰則の対象にしては当を失するのではないかということでありますが、この規定も、その違反行為をしたこれこれの代表者、代理人、使用人その他の従業者ということでありまして、違反行為をだれがしたかということが、まず第一に問題になるわけであります。従いまして、この機械的な作業に従事する者であるとか、あるいは書記的な事務に従事する者が違反行為をする、いわば犯罪の当事者、正犯としてつかまえられるという場合は、実際はほとんどないといってよろしくて、まさに機械的な作業に従事する者、たとえば登録割賦販売業者の従業者の一部の、単に機械的な作業としてその業主の指示、命令を受けて一定の行為をした者が直ちに違反行為になるという場合はめったにないと思います。これはまさにこの登録割賦販売業者なり登録割賦購入あっせん業者の内部の業務処理の規定ともいうべきものがどうなっておるかによってきまって参ると思いますが、具体的な行為を処理する権能を有して、それによってその権能の行使としてこの違反行為に該当するような行為をしたという場合に、違反行為をしたこれこれの者、ということでこの処罰の対象になるわけでございますから、実際問題として、その他の従業者が違反行為をするという場合は非常に少ないと思います。しかしながら、四十六条のこの両罰規定のような場合、たとえばこの四十六条では前四条の違反行為について両罰規定を設けておるわけでございますが、すぐ前の四十五条の第二号に「第三十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者」というのがございますが、たとえば当該職員が立ち入り検査に行った。それに対して、その登録割賦販売業者のほんの機械的作業に従事する者であるとか、あるいは書記的な事務に従事する老がこの検査の拒否をやった、あるいは妨害をしたというような場合は、その行為者も当然四十五条の規定によって違反行為をした者として罰せられるわけでございまして、そのような場合が、かりに四十三条の場合にもあり得るわけであります。そのような場合には、違反行為をしたその他の従業者というものも罰せられるわけであります。
 つけ加えて第三に申し上げますと、この文言は、第四十三条の規定は、本来ならば、次の各号の一に該当する違反行為をした者は、と書くはずでございますが、この違反行為、第二十条第一項の規定による命令に違反するとか、あるいは第三十四条第一項の命令に違反する、――これは、対象は全部法人でございますので、法人が直ちに違反行為をするということは、現在の刑法理論から出て参りませんで、法人の場合には、法人の機関なりあるいはその機関の手足として動く者が違反行為をする、その自然人が違反行為をしたのに対して科罰をする。その場合に、両罰規定で、法人に対しても、四十六条で、体刑を科するわけには参りませんが、罰金刑を科し得るということで、法人に対しては両罰規定によって科罰する、違反行為をした自然人に対して、四十三条なり四十四条のような規定で、場合によっては体刑まで科すというような構成をとっておりまして、四十三条の書き方が、一見四十六条とちょっと形が違うのではないかというふうにおとりになると思いますが、これは登録割賦販売業者なり、登録割賦購入あっせん業者が法人でございますので、こういう書き方をしたわけでございます。これは特殊会社法なんかの規定、あるいは特殊の法人法として、たとえば中小企業等協同組合法の罰則の規定なんかにもこういう書き方をしてございます。
#201
○田中(武)小委員 過去に何百かの事例がある、そういうことで漫然と代表者、代理人、使用人及びその他の従業者と書かれては困ります。今までにもあったからこれにも入れたんだ、こういうことじゃ、もちろん違反行為をやった者という前提がありますけれども、処罰の対象にせられるんですから、はなはだ迷惑な話なんです。そうするとやはり使用人とか従業員という法律の定義というものを、はっきりしておかなければいけない。しかもその法律の目的及びその地位によって同じ使用人とか従業員といっても、意味が変わってくるんじゃないか、このようにも解せられるわけです。この場合に代表者とか代理人、これは当然でありましょう。使用人というのは、私は先ほど言ったような読み方から、商業使用人、こう思っておったわけですが、それよりももっと広い雇用契約に基づくものだと言う。そうすると、従業員は雇用契約に基づかないということであるならば、そこの仕事はしておるが、結局自分の人格において仕事をしているということになると思うんですね。たとえばセールスマン等でも会社の代理というか、会社の使用人としてやっている場合と、会社と特別の契約によってその外交をやっている場合とあると思うのです。その場合にいわゆる使用人が第三者に損害を与えた場合には、使用者の方におそらく請求できる。ところがそうでなく、委任等でやっている場合は、その責任はその人のもとにとどまる。この問題は、一方刑法と離れて民法的な、ことに外交の問題等のときに出てくる民法上の表見代理との関係も出てくるだろうと思うし、それから先ほどあなたのおっしゃった、いわゆる立ち入り検査等においてその場所にある者が拒むということですね。こういう場合はもちろん従業員あるいは機械的な仕事をしておる使用人もあり得る。その場合には、たとえば立ち入り検査等を拒むという設例をもっていえば、これは一面公務執行妨害になると思うのです。公務執行妨害とこの規定とが競合した場合はどういうことになるんですか。そういったようないろいろな疑問も出てくるわけなんです。そこでこの使用人、従業員ということをはっきりとしておく必要がある。単に今までに何百という例がありますからやりましたというのじゃ、私は納得できない、こういうことです。
#202
○吉國政府委員 この使用人の意義は、先ほど企業局長から申し上げましたように、雇用契約によってその人なり法人なりの業務に従事しておる者。その他の従業者という方は、それ以外の、雇用契約に基づかずして、しかもこの法人なり人なりの業務に従事している者ということで、先ほど局長から例をあげましたように、家事に従事する場合もございましょうし、その他監査役等が出てくる場合もございましょう。それから立ち入り検査の場合に、その場に居合わせた従業者が検査妨害をやった場合、これは公務執行妨害になって、一般の者も公務執行妨害になり得るじゃないかという御疑念の点でございますが、この四十六条の点は、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、」たとえば立ち入り検査の場合に妨害をやったならば、その立ち入り検査の妨害をした当人、その自然人を三万円以下の罰金に処するほかに、法人にも罰金を科しますよという規定でございますから、たまたまそこに居合わせた者が妨害をしたからといって、その妨害をした者だけが罰せられて、法人なり、人なりが別に罰せられることがない、そういう意味ではございません。
#203
○田中(武)小委員 この四十六条の法人に対する罰則、罰金を科するということはわかるのですよ。ところが、この使用者の中には機械的な仕事をしている事務をとっている者も含むのかということに対して、たまたまあげられた例がそういうことだったから、その場合にはこういう従業員とか使用人とか書かなくても公務執行妨害でいけるじゃないか、こういうことを申し上げたので、要は使用人、従業者という言葉にはっきりした定義がないのじゃないか。少なくとも通常の法律に使用せられていると言いながら、していないのではないか、こういうふうに思うわけです。たとえば会社の従業員規則というものを見たら、これは雇用契約に基づく従業者に対して規則しているわけですね。この場合は、むしろ従業者という方が雇用契約を土台としての考え方になっている。労働基準法等では使用者という言葉を使っているわけです。だから使用者が雇用契約に基づくものであり、従業者は雇用契約でなくその仕事に従事する人である、こういうことは、はっきりと定義上確立している概念ですか。
#204
○吉國政府委員 ただいま申し上げましたような解釈は、法務省の刑事局におきましても、表現の若干のニュアンスの違いはあるが、おおむねそのように考えております。要は使用人その他の従業者ということで包括しておりますので、いずれが使用人に入るか、あるいはその他の従業者に入るかという点は、ここでは直ちに問題になることではなくて、結局従業者としてつかまえてみて、その全体がどこまで入るか、先ほどおっしゃいましたようなセールスマンが単に委任契約によって販売をしているというような場合は、これは従業者には入らないと解すべきものであろうと思いますし、雇用契約に基づかない場合の従業者の範囲というものは、それほど広くはないと思います。
#205
○田中(武)小委員 先ほど来何百となく使われた事例をそのまま入れた、こうおっしゃって、そうして使用人及びその他の従業員ということで、包括的に網をかぶせているのだ、これを切り離したら、どこからどこまでが使用人で、どこからどこまでが従業者かということがはっきりしないという答弁だと思うのです。私はかりに四十三条の「その他の従業者」ということを削ったらどうなるかと考えているので、はっきりした定義もないままに今まで使われておったから、使用人その他の従業員ということで、総体的に網をかぶせるのだというような考え方で、ことに罰則規定の対象とせられることははなはだ迷惑だ、このようにきょうは申し上げておいて、この程度にしておきたいと思います。
#206
○岡本(茂)小委員長 中村重光君。
#207
○中村(重)小委員 第五条に「購入者のために商行為となる契約を除く。」とありますが、これはどういうことなんですか。
#208
○松尾政府委員 先ほど田中委員からの御質問にもお答えしたかと思いますが、非常に大まかに申し上げますれば、商人同士が自分の商売のために割賦販売購入をやる場合ということで、大体のことは言い尽せると思います。法律の規定で詳細に申しますれば、商法の五百一条ないし五百三条の、いわゆる絶対的商行為から営業的商行為、附属的商行為、全部を含めてこれに該当する割賦購入だ、こういうふうに定義されるのだと思います。
#209
○中村(重)小委員 商人自体の卸売とか小売、そういう関係ですね。そういう関係は適用除外になっているんですね。ですから「購入者のために商行為となる契約を除く。」ということは、この購入した品物を利用して何か果実を生んでいく、そういうことになるのではないですか。
#210
○松尾政府委員 非常に多くある例といたしましては、トラック営業者がトラックを自動車の割賦販売で買うという場合は典型的な例だと思います。お話のように商業者が自分の営業上の品物を買う場合には、何らかそれに対して果実を期待しておると思いますから、今お話のような結果に相なると思います。
#211
○中村(重)小委員 それはいかないというわけですね。それは除くのだ。
#212
○松尾政府委員 その場合には双方自分の営業のためにする商人として経済的に明るい者同士の場合でございますから、またそのための支払いその他について十分金策等も経済人としては考えてやらなければならない場合であることを想定いたしますと、一般の消費者の場合のような、こういう特別な消費者のための厚い規定は必要でないということで、除外をいたしたのであります。
#213
○中村(重)小委員 それでは、この割賦販売によって売買をされた物件からは、果実を生んでくるということは考えられないのですね。
#214
○松尾政府委員 御質問の意味を私取り違えておるかもしれませんが、ここで適用除外をしなかった。従って第五条の適用のある割賦販売商品は、通常の場合消費者は、それによって果実を生むことを期待しない場合が大部分であろうと思います。しかし商業としてではないかもしれませんが、営業としてではないかもしれませんが、消費者がそれによってまれな場合には果実を生む場合もあると思いますが、通常の場合果実を期待して普通の消費者がここでいっておる割賦商品を買う場合は、実際上ほとんどなかろうと思います。
#215
○中村(重)小委員 商行為はこれを除くのだというのですが、果実を生んでくるというのは一般消費者の購入の場合、商行為以外にどういう場合が予想されるのですか。
#216
○松尾政府委員 ここで申しておりますのは、商行為として、つまり営業としてやるような場合の割賦購入契約、営業としてやる場合のそれに必要な営業用の商品等の割賦購入のような場合には、当然営業として金策その他経理上の面において見通しがあって、しかもそのものは商人として十分経済上の判断を誤らない経済人である。そういう者に特別の保護をする必要はないということで除外いたしたのでありますから、それ以外の場合、つまり適用のある場合には果実を期待して云々という場合は、私はほとんどないと思います。しかし絶対果実を生んではいけないと、そこまではここでは考えてないということしか申し上げられないと思います。
#217
○中村(重)小委員 非常にあいまいだと思いますが、こういう条文をお作りになるときに、先ほど田中さんの御質問にあなたはお答えになって、当該物件から果実を生んだ場合、その果実はだれの利益になるのかという質問に対してあなたは、占有権を持っているから占有権者の利益になるのだ、こうお答えになった。そうするとやはり果実を生むことを期待しておられる。そういうこともあるということをお考えになっている。だから先はどのような答弁が出たのでしょう。非常にあいまいではないですか。
#218
○松尾政府委員 先ほど私が申しましたのは、割賦販売による購入者全体についての話を申し上げて、果実を生む場合には、占有者として当然それを取得できると申し上げております。ここで今申し上げておりますのは、第五条の条文についてだけの適用をするかしないかの問題でございますから、五条以外の問題はやはり果実の問題と関連して適用の問題は残るということに相なるのではないかと思います。
#219
○中村(重)小委員 最近はマスコミの時代ですし、テレビなんか商行為に利用するというような例もあるわけです。だからそういうことは広い意味における果実を生む一つの広範囲のものに入って参りましょうし、ですからあまりあいまいな条文をお作りになっておると、非常にトラブルが起こってくるのではなかろうかという感じがするのですが、それと先ほどトラックなんかのような例ははっきりしたことですが、それと類似した商行為であるか、そうでないかという判然としないような場合等も起こって参ります。ですからことさら商行為の場合はこれを除くのだというようなことを、ここに明示しておく必要はないのではありませんか、そういう感じがいたします。しかしこのことはあとでどうせ懇談会の機会にいたしたいと思います。
 それからいろいろ総括的にあるいは各条別に今まで質疑を重ねてきたのですが、この割賦販売法が実感としてほんとうに必要だというような感じが出てこないのですね。それでこの割賦販売法がなければ具体的にどういうマイナスが出てくるようにお考えになっておりますか。この法律がなければ、観念的ではなしに具体的にこういう問題が起こってくる。どうしても流通秩序を円滑にしていくために、この法律が必要であったんだという積極的な理由、それと同時に、この法律案を制定しなければこういう問題が起こってくるという、何か私たちがこの法案審議に実感がほんとうにわいてくるような説明がほしいのですが……。
#220
○松尾政府委員 御承知のように日本の場合には、いろいろな形の割賦販売がいわば自然発生的に相当戦後伸びて参りました。従いまして現在経済の実勢として伸びようとしている割賦販売が健全に伸びるようにというのが、抽象的に申し上げればそういう意味の立法でございますが、具体的にということで、現実に割賦販売についてどういうトラブルが起こっておるかということについて、この法案がどういう作用をするかということに相なると思います。これにつきましては、従来割賦販売についてのトラブルの必ずしも正確な統計数字があるわけでも、私どもそういう数字を握っているわけでもございませんけれども、たとえば私どもの調査によりましても、割賦販売に伴ういろんな苦情案件が消費者の声として新聞の投書などに出ております。またテレビ割賦販売等につきましては、従来やはり裁判所にまで問題を持ち込まれた事件も私どもの調査では若干あがっております。現在までにこういう案件がこれだけあったというところまでの計数をはっきり知っているわけではございませんが、従来とかくこういう長期の割賦販売契約が、今後ますます伸びていくというような趨勢にあることを思いまして、できるだけその間にトラブルの少ないように、また健全な方向に育つようにということで、将来にむしろ備えてこういう法律を用意して運用していく必要があるのではないかというのが、私どもの趣旨でございます。
#221
○中村(重)小委員 将来に備えるというようなことからいたしますならば、諸外国との例等から見ましても、ただいままた御答弁がありましたように、割賦販売が伸びておるというような点からいたしまして、いろいろと私ども質疑をいたしましたように、金融の問題であるとか、あるいは税制の問題とか、信用調査、そういうふうなものこそ、割賦販売に備えてこういう政策的な方向へ進んでいくのだ、そういうものがほしかったということと、それから単に秩序法というものは、現実にこういう問題が起こってきているのだから、何か秩序法をここで制定してこなければ、むしろ社会問題というものまで発生をしていく危険性がある。こういうふうに将来に対して何か問題が起こった場合を予想して、この秩序法を作ったというのではなしに、少なくとも秩序法というものは、現実の中においてどうしても必要であった、こういう形で制定して、そうして将来の方向としては今申しましたように積極的な面に重点を置いて取り組んで、中小企業の発展、経済の発展という面に取り組んでいくのだという意欲を示してほしかった、こういう感じが数日の質疑を通じてするわけです。しかし幸いに懇談がありますので、そこで質問することにいたしまして、一応これで質問を打ち切ります。
#222
○春日小委員 関連して。私は今の御質問をほんとうに印象深く拝聴しておったのです。現実の例といっても諸外国さまざまでしょうが、特にアメリカのように月賦販売が非常に盛んに行なわれておる国では、たとえば一方消費者の側において完全雇用が行なわれておる。失職した場合に、すぐ就職が待ちかまえておるというような場合は、貸し倒れは非常に少ないだろうと思うのです。そうしてまた売る側においても、自己資本というものはある程度充実しておるということで、法律によって保護支援するという面は比較的なくてもいいといおうか。少なくてもいいと思われる。ところが日本の場合は失業者も相当多いし、かりに経済変動があれば一ぺんに大量の失業者が造成されることは、これは前例を見ても明らかです。そういうものに月賦販売をしておりますと、実際支払いをする場合どうするかというので、危険も新しくくると思うのです。経済が恒常的に安定しておる状態とは言いがたいと思うのです。一方中小業者の自己資本というものは非常に浅い。だから私は今質問があったように、日本の現状においては、現在も行なわれておるのだが、将来さらにそういう傾向がだんだんと増進する気配にあるとするならば、やはり予見され得べきいろいろな問題、それに備えて何かそういう危険を少なくすることのために、あるいは月賦販売そのものの保護のための立法というものが考えられていいのだが、それにはそれに必要な内容がなければいかぬと思うのです。たとえば税法上貸し倒れ準備金の率を引き上げることであるとか、また各種の税法上の措置とか、また現実の金融上の措置、それがなければならぬと思うのだが、それが何ら講じられていない。行政措置でやると言われておるから、これは後の懇談会でお話があるだろうと思うのです。全国的に見まして、皆さんの統計はどうなっておるか知りませんが、私も長年中小企業運動を指導しておるが、月賦販売を中小企業団体でやります場合、その結末は必ず破綻を生じておるのです。その破綻というものは、知らず知らず長い年月の間に累積した回収不能債権というものです。それから多少季節的でもありますが、取り扱い量がふえるに従って、やはり金融上の問題が起こるのです。実態はまだそこにあるのだが、今ここで立法するならば、現状においてもしかりであるが、将来はなおさらのことこの二つのポイントについてこうしなければならぬ、こうすることによって現在起きておるような問題が解決され、将来に予見されるいろいろな問題について備え得るという、そういう機能が法案の中になければ、何となく秩序法でかくあるべし、かくあるべしというようなことでは効果がないような気がするのです。だから新聞もあまりわあわあ騒がないのではないか、中小企業者もあまりえらい熱をもってこれを歓迎しないのではないか、そんな気がしてならぬのです。これは一つ懇談会のときにでも、一ぺんその二点については特に御考慮願わなければ、あってもなくてもいいようなもののような気がしてかなわぬのです。
#223
○松尾政府委員 この法律案で割賦販売に関する諸般の問題が、もちろん全部片づくということではございません。限られた範囲の最小限度の秩序法ということでいっておりますが、今御指摘のような割賦販売に対する、さらに政策的な問題ということは、今後当然この法律の運用と並行して十分やっていかなければならない問題であると思います。この法案が割賦販売の諸問題に対して十分こたえておると私ども考えておりません。そういう問題は、この法案と並行してやらなければならぬと考えております。
#224
○春日小委員 それでけっこうですが、ただ私は政府の態度です。これは当然金融と税制のことをやらなければ意味をなさぬということは、実際だれが聞いたって、だれが考えたって常識的に自明の理だと思うのです。しかるにそのことをなしておられない。しかもこれには予算が必要だからというようなことから審議会を設置してないというようなニュアンスのある意見も伺っておるわけなんだが、現実に政府が、通産省にそういうものがあるなら適当にやってみろ、けれども予算とか、国の収入を減ずるとか、新しい支出を伴うようなことは絶対だめだぞというような形で、政府がこれを提案するにあたって何にもフェーバーを与えない、また保護に必要なるところの財源措置を考えないということを、審議会も作っちゃいかぬ、資金措置もまあまあということでしょう。税法上減収になるようなことは絶対いかぬ、そういうような態度でこういう重大立法を考えるという、その態度が私は許しがたいと思うのです。少なくともこの信用を供与する販売方法によって何百億かの新しい需要を造成することになるだろうと思うのです。それは大きな政策目的であり、そのことがわが国の経済振興やまた現実に行なわれておる設備投資のいろいろな状態と相待って、私はこの際わが国経済の高度成長のためには、こういう割賦販売法による新しい需要の造成ということも、やはり経済の均衡発展の立場から、一つの大きな要件になると思うのです。そういうことであるならば、そういう大きな使命をになう割賦販売、なおそれを行なうものに対して資金上の措置、税法上の措置を講じてやることは当然のことであると思う。予算に一銭も関係はない、そんなばかな法律は私はないと思うのだ。だからそういう立場から必要なものはやっていく、審議会も作れ、資金の措置もせよ、税法上の措置もせよ、これは当然のことだと思うのです。
#225
○岡本(茂)小委員長 これより速記を中止して懇談に入ります。
     ――――◇―――――
  〔午後三時五十九分懇談会に入る〕
  〔午後四時五十八分懇談会を終わる〕
     ――――◇―――――
#226
○岡本(茂)小委員長 速記を始めてください。これにて懇談会を終わります。
 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十五日木曜日正午より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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