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1960/02/17 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第5号
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1960/02/17 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第5号

#1
第038回国会 商工委員会 第5号
昭和三十六年二月十七日(金曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 中川 俊思君
   理事 小川 平二君 理事 岡本  茂君
   理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君
   理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
      有馬 英治君    岡崎 英城君
      菅  太郎君    齋藤 憲三君
      笹本 一雄君    首藤 新八君
      田中 龍夫君    中垣 國男君
      野田 武夫君    林   博君
      原田  憲君  早稻田柳右エ門君
      岡田 利春君    加藤 清二君
      小林 ちづ君    中嶋 英夫君
      中村 重光君    西村 力弥君
      大矢 省三君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
        国 務 大 臣 迫水 久常君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     佐藤  基君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   杠  文吉君
        通商産業事務官
        (通商局長)  今井 善衞君
        通商産業事務官
        (企業局長)  松尾 金藏君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  伊藤 繁樹君
        通商産業事務官
        (石炭局長)  今井  博君
        通商産業事務官
       (公益事業局長) 大堀  弘君
        特許庁長官   齋藤 正年君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (食糧庁業務第
        二部長)    村田 豊三君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
二月十六日
 中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第四一号)
 中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律
 案(内閣提出第四二号)
 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第四三号)
同月十五日
 公共料金の値上げ反対に関する請願外九件(久
 保三郎君紹介)(第四八四号)
 小倉炭鉱の採掘による鉱害復旧及び賠償に関す
 る請願(伊藤卯四郎君紹介((第六〇二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済総合計画に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中川委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告があります。順次これを許します。田中武夫君。
#3
○田中(武)委員 実は板川委員、岡田委員が質問予定なんですが、大臣がまだ見えてないので、それまでの間、せっかく見えておりますから、公取委員長に一、二御質問いたしたいと思います。
 佐藤委員長は、先日の当委員会において、私が経済企画庁の政府委員に対して、物価体系の問題について御質問をしておったときに、はたにおられたのですが、あのときに、経済企画庁としては、現在物価をはかるものさしは持っていない、物価体系というようなものについては考えていないというような答弁だったと思います。この点については、企画庁長官に、もう一度質問したいと思うのですが、あなた、あれを聞いておられましたのでお伺いしたいのです。
 独禁法第三条第七項第二号には、不当な対価をもって取引すること、何が正当であり不当であるかということは、おそらくあなたは社会的通念、こういうような法律語をもってお答えになるかと思いますが、物価体系といったような物価をはかるものさしがない場合に、不当な対価であるかどうかということは、どういうようにしておはかりになりますか、お伺いいたします。
#4
○佐藤(基)政府委員 対価が不当であるかどうか、これは社会通念できめるわけでありますけれども、私の方といたしましては、原価が幾らかかるか、それから正当な利潤は幾らであるか、そういうふうな点から判断するわけであります。
#5
○田中(武)委員 正当な利潤とは、一体どの程度を考えておられるのですか。
#6
○佐藤(基)政府委員 なかなかむずかしい問題でありまして、業界によって必ずしも同じでありませんし、また卸売、小売によっても違うので、具体的な問題にならぬと、幾らということをちょっと申し上げかねます。
#7
○田中(武)委員 結局は、あなたがお答えになったり、私がまた最初に申し上げた社会的通念、これしか答えは出てこないと思うのです。この社会的通念というと法律語で、なるほどそういうことで普通いわれておりますが、これははっきりしたものじゃないわけです。それを分析したら、あなたは原価と利潤だ、こう言う。それじゃ利潤は一体どの程度を正当な利潤と認められるかということについては、これはいろいろあってわからないところである。結局物価について、はかるものさし、すなわち物価体系というものが必要だと私は思うのですが、公取委員会として、独禁法の実施あるいはこれを守っていくという立場から、いわば独禁法の番人としての公取委員長の立場から、物価体系というようなものについてはどう考えておられますか。
#8
○佐藤(基)政府委員 御承知の通り、公取は三十五年度予算でも一億二千万円余りの小さい役所でありますから、しかもいろいろな事件もありますので、なかなか調査も忙しいので、そういうふうな物価体系の基本というものを理想的には調査したいのですが、とても今の陣容ではできないので、結局具体的問題が起こった場合に、具体的に見ていくという範囲を出ないわけであります。
#9
○田中(武)委員 それじゃ、物価体系といったようなものは必要だということは、今の答弁でもお認めになったと思うのですが、どうなんですか。もし予算が許すならばやる、こういうような答弁になると思うのです。御承知のように一億二千万円程度のちゃちな役所であるからやれないんだ、今の答弁では、予算もあり人員もあるならばやれるんだ、やってみたいんだ、こういうように聞こえたのですが、そうですか。
#10
○佐藤(基)政府委員 完全な役所と申しますか、予算が余裕があるならもちろんやってみたいと思います。
#11
○田中(武)委員 大臣は今来たところですが、実はこの前の委員会で私、経済企画庁の政府委員に対して、物価の問題に関連をいたしまして物価体系というものがあるのかないのか、物価をはかるものさしはあるか、こういうことを聞いたわけであります、そうしたら、残念ながら企画庁にはそういうものはないという。今そのことに関連して公正取引委員長に尋ねたわけですが、独禁法の二条七項第二号にも「不当な対価をもって」とある。不当であるかどうかということを言うには、やはり物価のものさしが必要だ。一体経済企画庁で持っていないとするならば、通産省は物価体系について物価をはかるものさしというようなものをお持ちでしょうか。
#12
○椎名国務大臣 通産省の所管物資につきましては、いわゆる重要資材の卸売物価というものをずっと沿革的にトレースして、そして大体それを国際水準と比較いたしまして、日本の重要資材の卸売物価はもう少し下げなければいかぬ、あるいはこの程度ならば適当であろうという大体の見当はつけておりますが、小売物価については御承知のように通産省にはございません。
#13
○田中(武)委員 卸売価格については、今の御答弁によると、大体通産省として物価をはかるものさしは国際水準である、こういうふうに御答弁になったように思いますが、そうですか。
#14
○椎名国務大臣 大体そうでございます。
#15
○田中(武)委員 小売物価については、これは一体どこがチェックしていくのです。
#16
○椎名国務大臣 小売物価につきましては、通産省といたしましては主として繊維でございます。ただいまの状況は大体繊維の生産が需要に追いついておるというような状況でございまして、一時ちょっと騰貴したことがございましたが、またそれが落ちついて、ただいま横ばいの状態にあると思いますが、特に全般の小売物価の中で繊維が一体どの程度のウエートを持ち、またどれくらいなければいかぬというような、そういう全般の消費物価につきまして、基本的な基準というものが通産省にはないと私は考えております。
#17
○田中(武)委員 経済企画庁にもないという、通産省にもないという。今、消費物価の値上がりは国民生活に大きな影響を与えて相当社会的問題になっておることは御承知の通りなのであります。指数で言うならば大したことはないとか、いや、卸売物価は横ばいとか、あるいはわずかしか影響はないと言っても、現実に上がっておるのです。しかも通産省も経済企画庁も、そして不公正取引を取り締まる公取委員会においても物価をはかるものさしを持っていない。大体消費者物価、ひいては国民の生活、このことについてどこが一体守っておるのか、どこもやっていないじゃないかということになるわけなのです。
 私は大臣が来るまで、時間つぶしでやっておったので、正当な人とかわります。あらためてやります。
#18
○中川委員長 板川正吾君。
#19
○板川委員 私は政府の物価政策について、経済企画庁長官と通産大塩、公取委員長御三人に一つ伺いたいと思います。
 経済企画庁長官にお伺いしますが、まず前提として、物価というものは生産性が上昇すれば一般的に下がるものです。これは常識的だろうと思います。もう一つは、日本の鉱工業のような場合に、原材料の費用というのは、原価の中で六七%占めておりますが、この原材料が値下りをしたときは当然価格は下がる、こういうのが常識的だろうと思うのですが、この点についていかがでし、一うか。
#20
○迫水国務大臣 原則としてその通りだと思います。
#21
○板川委員 ところがわが国の鉱工業生産というのは、非常に生産性が高まってきておる、これは政府の自慢する通りであります。もう一つは、昨年の輸入物価指数を通産省の統計によって見ますると、一九五三年を一〇〇としておりますが、総合指数において三二%下がっております。食糧関係は大体とんとんでありますが、鉱物金属の原料は六・六%下がっておる。それから鉱物性燃料が一六%も下がっておる。繊維原料がやや、二%程度上がっておるという状況で、一般的に外国輸入原材料の安くなっておるということは、これは国内における原材料の値段が安くなっておるものと思うのであります。ところがその値段が下がり、生産性が上がっておるが、価格というのはあまり下がっておらない。これはどういうところに原因があるのでしょうか。
#22
○迫水国務大臣 これはそれぞれの物資について、おそらく通産省が御研究になっておられると思いますけれども、私の方の総合的な抽象的な判断では、一つはやはり需要供給の関係が若干働いている部分があると思います。つまり需要が相当に強くなっているという面もあると思います。もっと率直に言うと、いわゆる価格協定というようなものが、つまり不当なる値下がりを防止するために、不当なる競争による値下がりを防止するために、そうして企業が弱体化してしまうことを防ぐために、価格を下ざさえするためにできたところの価格協定というものが、こういう時代がきて、もうそろそろ直してもいいと思うようなものがまだ直っていない部分もあるのじゃないかというふうに私は考えております。
#23
○板川委員 原材料が下がり、しかも生産性が向上すれば値段が下がるのが常識的であります。ところが下がらないというのは、そこに価格をお互いにつり上げて下げないというカルテルが行なわれておるから下がらない。不当な価格を下げるのじゃない、実際は不当に価格を維持しているのです。だから下がらないと思うのです。たとえば鉄鋼なんかを見て参りますと、鉄鋼の生産性というのは昭和三十年を一〇〇として、三十五年の後半では一五〇と、労働の生産性は高まっておる。しかし鉄鋼の値段というのは下がらない。横ばいの状態でしょう。若干前後はしても大して下がらない。上がったときもある。生産性が上がって価格が下がらないというのは、そこにカルテルが行なおれておると思うのです。鉄鋼ばかりじゃないけれども、全般的に私はそういう価格つり上げの政策が行なわれておるから下がらないのだと思うのです。公取はこういった産業界全般にあるカルテルの、あるいはやみカルテルかもしれないけれども、一体調査をしようとしたことがあるか、また調査しておるのかどうか、その点を公取委員長に伺いたい。
#24
○佐藤(基)政府委員 今お話の通りカルテルの疑いがあるという点でありますが、われわれの方としてもそういう意味で見つかりさえすれば――見つかるというか、こちらから探すのですけれども、見つかりさえすればやっております。ただ具体的にカルテルがあるかどうかというのはなかなか判定がむずかしいので、先ほど申しました通り一億二千万円のわずかな金額では十分にはできないかもしれませんが、それは独占禁止法の一番重要な眼目の一つでありますから、努力して参りたいと思います。
#25
○板川委員 公取の使命というのは消費者の利益を守ることで、消費者行政を非常に重要視してきた池田内閣ですから、公取の使命というのは私は非常に重大だと思う。ところが予算がどうも少なくて十分じゃないと言うのですが、公取の予算の報告書を見ますと、大へんふえていいようなことが書いてあるのはどういうことですか。この間のあいさつの中に、予算がこれだけふえて十分だといわぬばかりのことが書いてあるのはどういうわけでしょうか。
#26
○佐藤(基)政府委員 一億二千万円が一億四千万円ばかりにふえております。ただしその内容は職員の国家公務員のベース・アップに伴うものが大部分でありまして、私の方の仕事の関係では公正取引課というものを新設する最小限度の予算がふえたわけであります。これによって昨年以来問題になっております牛カンの取り締まりを中心とした、いわゆる欺瞞的取引、いわゆる不公正取引を規制していきたいと思っております。
#27
○板川委員 物価対策を総合的に考える経済企画庁長官に一つお伺いしたい。
 公取の問題を企画庁長官に伺うのは組織形態からいっておかしいのですけれども、念のために伺うのです。地田内閣が消費者行政に非常に力を入れておるのはけっこうなんですが、どこで一体消費者行政を重点的にやり、特に消費者物価の安定というものを、どこで一体おやりになるのですか。公取は大きい役割があると思います。ところが公取の予算を見ますと、前年に比較して一一%しかふえていない。国の予算は二四%もふえている。そうすると結局消費者物価安定のために公取に期待するというのはなかなか十分じゃない。それからこの消費者物価の安定に対するもっと抜本的な力強い対策を立てるということは、経済企画庁長官の任務でしょうが、そのやる任務というものは……。
#28
○迫水国務大臣 私の方は総合調整という立場でございますので、私の方ばかりでやるということでもないと思います。総合調整の立場では一生懸命にやろうと思っておりますが、具体的には商品の小売物価の問題については通産省、農林省、サービス料金の問題につきましては主として厚生省、公共料金の問題につきましては、それぞれの主管省というのが第一線でございます。それを総合調整するのが私のところの役所の役目だと思います。そしてカルテルというようなものについて、いわゆる独占価格が形成され、便乗的に何か上がっておるというようなものを押える具体的なところは公正取引委員会、こういうことでありまして、私の方としましては、何かそういうものがうちの方のアンテナにひっかかってきて、どうもおかしいなと思うときには公取に御連絡しております。公取の予算が少しふえ方が足りない、もう少し早くから気がついておれば、私も応援するんでしたが、それはちょっと抜かったと思います。
#29
○田中(武)委員 関連して御質問いたします。今板川委員の質問に対しまして、経済企画庁長官は、いわゆるやみカルテルのことを答弁の中で言外に認められたわけです。それに対して公正取引委員長はわかったものはやる、こういうことなんです。もうやみカルテルというものがあるということは十分に皆さんの方御承知なんです。ところがやりたくてもやれないというのが現在の公取の実情なんです。
 そこで通産大臣にちょっとお伺いいたしますが、先日の施政方針演説に対するわが党代表質問の中で、勝間田議員が、あなたに独禁法を強化する考えはないかということをただした。それに対してあなたはとぼけた答弁をしておる。ここであらためてお伺いいたしますが、今このように消費者物価の値上がり、ひいては国民生活への脅威、こういうときにあっては独禁法こそ強化せねばならない、こう考ておる。一体あなたは独禁法をどういうように考えておられるかお伺いいたしたい。
 なお申し上げますが、今度の国会に通産省から出される予定の法案をごらんなさい。中小企業庁関係の法案を除いたならあとには何が残っておるか。独禁法緩和の法律が三つあります。輸出入取引法の一部改正、機械工業振興臨時措置法の延長、それから石炭の合理化法、これはみな独禁法除外の法律なんですよ。独禁法を強化する考えがあるかどうかお伺いいたします。
#30
○椎名国務大臣 私は勝間田議員の質問にお答えした覚えがないのですが、それはどうでもいいことです。独禁法についての御質問でございますが、もともと経済的な独占的な地位を乱用して値段の維持あるいはつり上げ、あるいは市場独占の支配力を及ぼすというような点を禁ずる法律でございまして、その趣旨におきましては、いわゆる独占的地位を乱用するという点においては、これはもう大いに、法律にまだどこか欠陥があるならこれを強化し、あるいはまた運用の点においてなお遺憾の点があるならばそれを是正していくということにつきましては、私はその必要性を認める点においてやぶさかでございません。ただ、しかしながら、日本の割合に小党分立的な企業の状況から見て、むやみに乱売競争をして、そしてせっかく健全に発達をすべき産業が、みずから首をくくるような行為等については、これはよくある例でございますが、そういうようなものについては、お互いに正当な立場を守るという意味において、組合法等を活用いたしまして、そして不当な経済競争によって業界全体の利益をだめにしてしまうというようなことのないように、適当なる申し合わせあるいは共同行為をとるということにつきましては、これは私は何もかも、とにかく申し合わせによって団体行動をとることはいかぬということは、いささか日本の産業経済の実情に照らして適当でない、そういうように考えておりまして、そういう点につきましては、やはり法制上遺憾の点があるならばこれを改正する。しかし先ほど申し上げたように、独占的な地位を乱用して、そして広く国民経済に対して迷惑を与えるというような点は、これはもう独禁法制定の根本の趣旨でありますから、その点はもし現在以上に強化しなければならぬというものなら、それは強化することに賛成するにやぶさかでございません。
#31
○田中(武)委員 後段の方の言われたことは、そういうことを理由にたくさんの独禁法除外の法律を最近出してこられた。ところが根本に戻って、独禁法にまだ不備な点があるなら強化してもいい、こういう答弁は聞いておきましょう。そこで、今問題になっているのはやはり独占価格だと思うのです。独占体制に対する消費者生活をどう守るかという問題、独占価格については当然独禁法をもっと活用し、もっと強化し、同時に公正取引委員会の機能を拡大強化する必要がある。これについては大臣は、その必要があるならばということで賛成せられたので、後刻また御相談申し上げます。
 先ほど私、大臣が来るまでに公正取引委員長にお伺いしたのですが、独禁法運用の建前から正当な価格ということが必要なんです。その目安をはかることが必要なんです。正当な価格とは何か、独禁法では不当な取引、不当な価格でもって取引ということになっている。これは社会通念で解釈すると、こういうような答弁だったのです。それを分析すると、原価と利潤だとおっしゃった。そこで適正な利潤とは一体どのようなことを考えておられるのか、これは通産大臣と経済企画庁長官と、両方にお伺いいたします。適正な利潤とはどういうものか。
#32
○椎名国務大臣 これはやはり国民全般の良識によって判断すべきものであって、一人、二人の少数なものが勝手に判断すると誤る、やはり広く世論に照らして、そして適正な点を見出すべきものと私どもは考えるのでありますけれども、一つ一つそういう世論に訴えて、適正な利潤とは何だというようなことをやっている、そういう手間のかかることもできません。便宜、世論の動向を推察いたしましてきめて参るのが適当であろうと考えます。もちろんその中には、今のわれわれの消費経済の点で、現実にいわゆる健全にして文化的な生活というものを憲法が保障しておるのでありますから、その部門を担当しておる経営者あるいは労働者、それらの人の給与というようなものに比べて適当な判断を加えまして、そうして正当な利潤というものがおのずから出て参るのでありまして、(田中(武)委員「それは原価だよ。原価プラス利潤で、その利潤をどう考えておるのかと言っておるんだよ。」と呼ぶ)そういうものを引いて、そうして適当な利潤というものが出てくる。(笑声)でありますから、原価を適正に調べないと適正な利潤というものは出てこないと思います。
#33
○迫水国務大臣 私はそれはそれぞれ――今椎名通産大臣、なかなか含みのあるいい答弁をされたと私は思うのであります。原則は大体その通りだと思いますが、具体的に一つの価格の中で、幾らくらいな利潤が含まれておるのが当然であるかということは、これは公正取引委員会の方で個々のものについて御研究になるべき立場だと思っております。
#34
○田中(武)委員 先ほど企画庁長官は、通産省関係のものの小売物価については通産省が担当するんだ、農産物については農林省、環境衛生等、公共料金等については、厚生省またはその他それを所管する省でやるんだ、その間を調整し、まとめていくのがうちの方だとこう言った。そのまとめていくあなたが、利潤の正当性がどこにあるかということをわからなくては、デコボコの物価体系の調整はどこでやるのですか。どういう目安で調整をやるのか、それをお伺いいたします。
#35
○迫水国務大臣 私ちょっと御質問の要点がつかまえ切れないのですけれども、原価がきまってそれの上にどういう、何割、何%の利潤を乗っけるべきか、その利潤の何%というのが、大体何%ぐらいと考えておるか、こういう御質問なんでしょうか。
#36
○田中(武)委員 はっきり言えばそうだ。適正利潤とは、利潤率何%ぐらいが適当と考えておるのかと言っておる。
#37
○迫水国務大臣 私はそれは、その事業がもう一応、非常に成長を遂げた事業である場合とまだ未成長である場合と、いろいろ違ってくると思うのです。そこで結局抽象的に言えば、ちょうどほどほどのところと、こういうことになってくるんだと思うのでありまして、それを大体何%がいいと思うかということは、ちょっと私それはお答えいたしかねます。
#38
○田中(武)委員 それじゃもっと具体的に申し上げましょう。先ほど板川委員の質問の中に、鉄鋼の例をあげてのお話がありました。鉄鋼が生産性が伸びておる。ところが価格が下がらない。なぜかといえば、ここに建値制度というものがあって、いわゆる独禁法をもぐった、カルテルと同じようなことが行なわれておるわけなんです。それで下がらぬわけです。この建値制度ということは独禁法違反であるかどうか、あるいはこの建値制度を立てる場合に一番われわれが問題にしておるのは、雑多な業種と言っておるが、雑多な業種というようなそんな小さなことを言っておるのではない。独占企業体の独占利潤率をいっているわけなんです。これについてはどうです。たとえば鉄鋼のような場合どうです。それからもう一つは、鉄鋼の建値ということは独禁法からいってどうなりますか、公正取引委員長。独占企業物資の利潤率はどうなんです。
#39
○迫水国務大臣 鉄鋼につきましては、お話のような申し合わせがあるのかどうかというような具体的な問題は、これは通産省の所管でありますけれども、私がこういうところで言うのはいいか悪いかわからないのですけれども、鉄鋼というものは、もうちょっと下がってもいいのじゃないかという感じは私は実はしておるのです。そういうことで通産大臣にも、鉄の値段というものはもうちょっとこういう段階になったら下がりませんかということは、雑談的というと語弊があるのですけれども、少し言ったこともあります。そういうような場合に私の頭の中では、鉄の利潤というものはかくかくあるべきだと計算上言うだけの資料は整えておりませんですが、気持の上で、もうちょっと下がってもいいんじゃないかなという感じは実は言ったことがあります。しかし鉄の場合にどれだけの利潤率が適正であるかということについては、まだよく勉強しておりませんから、これから勉強してみたいと思います。
#40
○田中(武)委員 通産大臣……。
#41
○椎名国務大臣 たまたま鉄の問題が出ましたから、私からも一応申し上げてみたいと思います。実は鉄の値段について、迫水長官でしたか、お話がありましたが、これは大体去年の八月でしたか、各メーカーが自粛して、そしてトン二千円ないし四千円の値下げを公表した。公開販売制度というものがありますが、これは申し合わせによって建値が云々というのじゃなくて、おのおの各社がこの値段で売ります、こういうことを言っているわけでありますが、ですから同じものでも業者によって違いがあるという場合もできてくるわけであります。それでただいまの鉄鋼の値段は国際的に見て日本が一番安いのじゃないか、こう思っております。いずれこれは四月に鉄鋼は自由化いたします。自由化いたしました結果、これはもうはっきりとそこに出てくると思いますが、より以上安い外国の鋼材が入ってくるということは私はほとんどあるまい、かように考えております。
 それからもうけの件ですが、鉄鋼全体を通じて、会社にもよりますが、非常に設備を償却しておる会社はそれだけ余裕がある。新しく最近高炉を作ったようなところは、まだまだ借金から抜け切れないという状況でありますが、しかし利潤率はどうかということを調べてみたのですが、一般の鉱工業よりも鉄鋼業の方は低い、そういう数字が出ております。御参考までに……。
#42
○田中(武)委員 建値制度と独禁法との関係、公取委員長。
#43
○佐藤(基)政府委員 鉄鋼につきましてはおととしですか、非常に高くなって、産業の基礎物資ですから重要な問題になった。そういうものがあまり高くなることは国の経済上非常に大きな問題なので、これを押える必要があるというので建値制度と申しますか、公開販売制度、上を押える意味の公開販売制度ができたわけであります。ところがその後になりまして経済情勢が変わりまして、鉄鋼はどんどん下がってくる。そこで、鉄鋼が下がることはいいのでありますけれども、そのために鉄鋼業自身なり、あるいはまたその関連産業に非常に悪い影響を与えては因るというので、通産省としてはあまり上がることもいかぬし、あまり下がることも適当でないというので、一定の値上がり、一定の値下がりの場合に指示をしようということがあって、われわれの方に相談があったのであります。そこでわれわれの方といたしましては、元来自由競争であるべきものであって、そういうふうな統制的なことをやることは独禁法上疑義があるというのでいろいろ折衝した結果、非常な値上がりの場合、非常な値下がりの場合に、そのつどわれわれの方と相談して指示をするということで、この公開販売制度ができたわけであります。
#44
○田中(武)委員 それでは、結局は建値制度は独禁法からいって違法でない、こういうことですね。
#45
○佐藤(基)政府委員 そうです。
#46
○田中(武)委員 そういう建値制度のあり方は、公正取引という面から見てどうでしょうか。
#47
○佐藤(基)政府委員 建値制度という言葉は私ちょっと誤解したかと思いますけれども、われわれの方としては、通産省が指示することが適当かどうかということを判断して、それがいいということになればその指示に賛成する。だからその値段の指示というものは通産省がやる。ただそれが独禁政策全体から見て適当かどうかという判断をするわけであります。
#48
○田中(武)委員 建値を指示する場合に、通産省の方から公正取引委員会の方へ協議等あるのですか。
#49
○佐藤(基)政府委員 あります。
#50
○田中(武)委員 それに基づいてあなたの言われる社会的通念によって判断をして同意する、そういうことですね。
#51
○佐藤(基)政府委員 さようであります。
#52
○田中(武)委員 結局はあなたの社会的通念にかかってくる、こういうことですね。
 通産大臣に伺いますが、先ほどあなたは日本は鉄は安い、こうおっしゃったのですが、通産省が出しております貿易統計月報の一九六〇年七月の例をとってみますと、日本の建値はトンで百七十二・二ドル、市中の価格が大体百六十三・九ドルから百四十七・七ドル、それに対してベルギーは百三十六ドル、西ドイツ百三十八ドル、アメリカ百十四・二ドル、イギリスは百四十六ドルから五十五ドルの間、こういうようになっているわけなんですが、はたして通産大臣言われたように――これは薄板の一例をとったのですが、あなたはそういう感覚で通産行政をしておられるのですか。
#53
○椎名国務大臣 それは一九六〇年の七月現在ですか。
#54
○田中(武)委員 七月です。今でも一緒ですよ、建値が変わってないから。十二月が出ておるから十二月を言いましょう。日本の市中価格が百六十二・五ドルないし百四十七・二ドル、それに対してベルギーが百三十六ドル、西ドイツ百三十八ドル、イギリスの輸出が百四十六ドルから百五十五ドル。
#55
○椎名国務大臣 ちょうど昨年の八月に各社において棒鋼、線材、薄板、厚板等の値下げを断行したわけです。それで、今お話の数字はもう少し調べてみなければわかりませんが、工場渡しの場合と需要者渡しの場合と、重量物でありますから、その引き渡し条件によっていろいろ違います。私どもの今聞いておるものによりますと、棒鋼がトンで三万七千円から四万円ぐらい、アメリカが五万二千円、西独が四万三千円、線材は、日本が四万から四万二千円、アメリカは五万九千円、西独は四万三千円、薄板は、日本は四万五千円から四万八千円、米国が四万九千円、西独が四万六千五百円、こういう数字を私どもは得ております。これはベースを同じくして比較した。日本が一番安いという物ばかりでもない。物によっては、それよりもっと安いところがあると思いますが、これを通じて総合的に見ますと、日本の鉄鋼はむしろ水準以下であるということが言えると思います。
#56
○田中(武)委員 こちらの言っているのも、通滝省のあなたの方の出された統計によって言っているわけです。私が調べたわけじゃない。だから、この数字の争いは今ここでやっても無意味だと思いますから、あとで一つこの説明を求めましょう。これは通産省の通商局が出しておる貿易統計月報の、私が今言ったのは四十七ページの薄板のところを参考に読み上げたわけです。ところがだいぶん数字が違っておる。統計のとり方もいろいろあると思いますから、これはそういうことにいたします。ただ勘で、安いのだということだけで自由化がどうだとかいう判断をしてもらっては困る、こういうことだけを申し上げておきます。なお私に関連して加藤さんからあるそうですから……。
#57
○加藤(清)委員 関連して一つだけお尋ねいたしますが、ただいまのところ、消費者物価の値上がりは生活不安をもたらしておるのでございます。現政府のいうところの所得倍増は、消費者物価の値上がりによって帳消しにされているではないかと思われます。これは政府にとってもまことにお気の巌でございます。
 それで一つお尋ねしたいのですが、ただいま長官が同僚議員の質問に対して、適正利潤は企業の成長度によって異なる、かようにおっしゃられたのでございますが、これはごもっともだと思います。そこで内訳をお尋ねしたいと存じますが、その企業の成長が幼いものは利潤が高くてもやむを得ない、伸び切ったものについては利潤を少なくすべきである、こういう考え方でございますか。
#58
○迫水国務大臣 原則的に抽象的にすべて一般をカバーするようなものの言い方というものは、これはなかなかできないと思います。従いまして、今お話のありましたように、大体において成長した産業の方は、比較的利潤が少なくても回っていくでしょうし、未成長のものは高い利潤を持たなければ回っていかないということは、大体の傾向としては言えるのですけれども、具体的な一つ一つの企業につきましては、それがさらに再投資をされていった場合にはどうなるとか、いろいろなことがございますので、今御質問に対して、そのまま抽象的にそうですとか、そうでないとかいうことは、ちょっと申せないと思います。従って実は先ほどからの問題ですけれども、戦争中私たちは――私たちと言っては語弊がありますが、私がそうだったもんですから、椎名さんもしたわけですけれども、物価統制をした当時は、抽象的に利潤というものは幾らかということをはじいて、そして物の価格をきめた経験がございます。しかし今日は物価統制はしていないのであります。原則は自由なんでございますので、その利益を一定の比率できめていくというようなことは考えられない、こう思っております。
#59
○加藤(清)委員 抽象的に言いにくいことは私も経験をいたしておりまするのでよくわかります。そこで具体的にお尋ねいたしまするが、先日総理が参議院の答弁におきまして、消費者物価の非常に大きなウエートを占めるところの繊維の値段、特に毛糸の値段が二千円から千三百円に下がった、従って他の物価についてもさほど心配はないのだ、このようにお答えになっております。そこでお尋ねしたいのは、一体毛糸の値段は二千円が適正なのか千三百円が適正なのか、いずれが適正であるとお考えになっていらっしゃいますか。長官と公取にお尋ねしたいのであります。
#60
○迫水国務大臣 それを私にお尋ねになることは実は非常に無理なんです。というのは、毛糸というものの企業自体を直接監督いたしておりますのは、ここの隣におる椎名通産大臣でございまして、従って毛糸の値段が二千円がいいか千三百円がいいかということは、第一次的に私の方で判断をすべき問題ではなしに、通産省の問題でございますので、もしお聞き下さるならば通産大臣に聞いていただきたい。
#61
○佐藤(基)政府委員 毛糸の値段が幾らがいいかということを聞かれても、長官の言われる通り、これはもし御必要があれば通産省の方で言っていただきたいのですが、私ども幾らということを言われても、すぐ答弁ができません。
#62
○加藤(清)委員 あなたは公取の委員長として消費者の生活を守る番人であると思ったのに、悲しいかな、業者の指導育成強化をはかるところの通産大臣にその値段をゆだねていらっしゃる。それではあなたの任務は全うされているとは思われません。
 そこで通産大臣にお尋ねいたしまするが、いずれが適正でございますか。
#63
○椎名国務大臣 よく調査いたしましてお答えいたします。
#64
○加藤(清)委員 よく調査せぬでも初めからわかっておるのです。たとえば原料面からいきまして、豪州羊毛の相場は七八Bから七六Bにして八十ペンスからせいぜい八十五ペンス、これで歩どまり五五%にそろばんをとってみればすぐわかるはずなんです。世界相場をきめるのはイギリスなんです。ここは一ポンド千円なんです。ところが内地相場といえばこれが二千円の上をはね上がっておった。そのことはやがて織物の高値を呼び、内地の消費物価の高値を呼んでおる。それのみにとどまらず、その結果はやがて輸出意欲を減退させておった。輸出する場合に出血輸出だという。それはそうでしょう、世界相場のイギリスと競争しなければならぬのですから。世界プライスに比べれば日本から輸出されたものは決して安値ではない。ところが内地相場と比較するものだから出血輸出だ、こうくる。その結果、せっかく輸出承認を得たところの品物が羽田の飛行場や名古屋港から逆戻りをしまして、そうして内地に売られておった。このことは、今日日本経済を成長させるポイントは輸出であるのに、そのポイントまでもくずしていたという歴然たる証拠があるにもかかわらず、それを公取が二千円相場のときに一体どういうことをやった。見つかったらやります、こう言いますが、それがわかりませんでしたか。新聞を読んでいたらちゃんとわかるはずなんです。あなたは新聞を読んでないんですか。部下を大ぜい使って――少ないとは言わせぬ。そんなことは新聞を一目見ればわかるはずだ。あなた一人でわかるはずだ。そのときにどういう手を打ちましたか。通産大臣、これだけ聞けばわかるでしょう。イギリスのコストと日本のコストとどこが違う。労力は四分の一なんですよ。電力が違うのか、あるいはマシンが違うのか。紡績の機械は世界的なものを使っております。イギリスのパテントまで取った機械を使っております。日本にそれができておる。どこが違う。すべて日本の方が安くなければならぬはずなのに高い値段を呼んでおるという原因は、政府の施策の怠慢といわざるを得ない。はっきりしてもらいたい。
#65
○椎名国務大臣 担当局長からお答えいたします。
#66
○今井(善)政府委員 私、当時繊維局長をやっておりましたので、かわってお答えいたします。確かに先生のおっしゃいますように、一昨年の八月ごろはキロ当たり千八百五十円程度でございました。これは世界相場に比べましても相当高い。当時比較的高率な操短をやっておりまして、操短を緩和しつつある際でございました。この千八百五十円というのが急激に下がって参りまして、一昨年の十二月に自由化の方針を決定、発表いたしましてから、毛糸の相場というものは非常に下がって参りまして、昨年は大体千二百円前後になっておりました。この千二百円前後というのは、実はイギリスの相場なんかに比べまして非常に低い相場でございまして、むしろ出血生産、赤字生産ということになっておりました。最近は少し上がって参りまして、千三百円から千三百五十円ぐらいであろうと思いますが、大体これはイギリス等に比べましても適正な値段である、かように判断しております。
#67
○加藤(清)委員 今はすでに職を去った前繊維局長に助け舟を求めなければ答弁ができぬとは、通産大臣として……。(「知っておって言わなかった」と呼ぶ者あり)知っておったが答えなかったなら、部下の功績を上げようとしたのですか。ところで、そういう内地相場の不当な価格、これがやがて輸出市場にあまたの悪影響を及ぼしている、具体的事実を通産大臣は御存じでございましょう。これも答えられませんか。つまり内地の不当な値段というものは、やがて消費者に悪影響を及ぼすのみならず、日本の経済の無上命法である輸出振興にまで非常な悪影響を及ぼしているという具体的事実、これはやがて私が時間をいただいたときに真剣にあなたと取り組んでいきたいと存じておりますが、たとえば今日アメリカ市場に輸出されておりまする綿製品の問題、ことに毛製品の既製服の問題は、何と既製服一着にして十ドルの値段で輸出されているのでございます。三千六百円。今適正利潤と、さきの繊維局長はおっしゃいました。しかし、どう考えても一着分持ちかかり三ポンドぐらいは必要なはずでございます。もちろん交織もあったことでございましょう。これに縫製加工のそれを加算すれば、当然そういうことはあり得ないはずです。これがただいまアメリカでえらい問題を起こしていることは、あなた御存じの通りでございます。それが日本の繊維業界に大へんな打撃を与え、てんやわんやの大騒ぎなんです。関連質問でございますので、詳細は私は避けますが、大臣、これに対して、内地の適正なる価格を維持させるということがいかに大切なことであるかを、肝に銘じていただきたいと思う。
#68
○板川委員 それでは経済企画庁長官にお伺いいたしますが、長官の経済演説を読み直してみますと、結論として、消費物価は卸売物価と異なって、経済の成長、国民所得の増加に伴って逐次上昇する傾向にあることはやむを得ない、こう仰せられております。その前に説明がありますが、私は物価値上げムードというのは、経済企画庁長官が、そういうようにある程度上がるのはやむを得ないと言うところに、実はムードができているのじゃないかと考えておるのです。本来なら、こういうように消費物価が上がるならば、政府の施策で物価を下げる部面がもっとあっていいと私は思うのです。ところが何一つ下がらないで、上がるものはどんどん上がってくる。これでは、所得倍増より物価倍増といわれるのです。平均すれば、もちろん総生産が上がり、所得のふえの方が大きいでしょう。しかし低所得者には、収入がふえるよりも物価の上がる支出の方が大きいということがあるのです。だからそういう人たちは、物価の方が先に倍増するという脅威を生活上持つのです。
 そこで私は、政府が価格を下げれば下げられるものがあると思う。それを問題にいたしたいのは、砂糖の問題と、ビールの問題と、石油の問題を取り上げてみたいと思うのですが、まず砂糖の問題です。昨年十一月に農林大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官、この三相間で、砂糖の自由化を条件として、関税率を引きしげるということが決定をされた。国民多数は、自由化になったら砂糖が幾らか安くなるだろう、こう期待しておったのですが、二月七日の閣議で、先の三相のほかに、池田総理大臣、通産大臣が加わって、今度この五人の中で、自由化を取りやめるという決定をされたのですが、昨年政府が一旦決定した事情を、どうして今取り消さざるを得ないのですか、この理由を一つ明らかにしていただきたいと思うのです。
#69
○迫水国務大臣 昨年自由化をしようということを、一応三人できめた当時におきましては、要するに一番の問題というのは、製糖会社が不当にと言ってもいいくらい大きな超過利潤を持っている、この超過利潤をないようにするためには、要するに砂糖の価格が下がってこなければいけない。しかも砂糖の価格があまりに下がり過ぎますと、現在日本の砂糖の価格は、世界一高いといわれておりまして、また実際そうだと思いますけれども、それでも下がり過ぎますと、日本の国内の甘味資源を生産している、たとえば私の郷里の鹿児島なんかが非常に大きなところですが、そういう日本の甘味資源に対して非常に影響があるから、一定のところまで価格を下げよう。それは大体キロ当たり百二十五円とか百二十二円とかいうようなところまで下げるようにする。それにはどうすればいいかといえば、いろいろ考え方はあったのですけれども、自由化するのが一番いいじゃないか、こういうような考え方から、自由化をきめました。ただし、当時は砂糖のニューヨーク相場が三セント四五くらいの、それ以下には下がらないというような考え方をして、それで逆算をしまして、関税を六円十銭上げれば、大体百二十五円くらいなところでおさまるだろうというようなことで、あの決定をしたのでございますけれども、その後ニューヨークにおける砂糖の相場が三セントになり、さらに三セントを割るというような状態も起こって参りまして、従って、自由化をした場合には日本の甘味資源との対比で、適正と考えられるところの価格より、もっと低く砂糖がなってしまうおそれもある、こういうような一つの事態も起こって参りました。そういうようなことでございますので、ここでにわかに自由化ということを実行した場合には、国内の農産物に対する影響が、考えたよりももっと非常に深刻に出てきそうな状態になりましたために、この際は一応自由化ということは取りやめる、ただし、そのことによって砂糖の価格が非常に高い位置に維持されて、精糖会社には超過利潤ができる、そうして国民は高い砂糖をなめなきゃならぬというような状態をそのままにしておくことはよろしくないから、さしあたり砂糖に対する外貨の割当を次の外貨予算においては大いに一つふやして、そうして砂糖の供給をもう少しふやすことによって砂糖の値段を下げる、いわば自由化をしたと同じような効果を――同じというのはちょっと不正確でありますけれども、それに近いような効果を出すように、輸入の割当をふやすことによってそういうことをやることにして、基本的な自由化というものは、もう少し様子を見てみることにしよう、こうきめたのが事情でございます。
#70
○板川委員 日本の砂糖の小売価格は世界一高い、こういうのですが、小売価格の一キロ当たり各国の関係の比較を言って下さい。どなたか事務当局……。
#71
○村田説明員 一九六〇年一月の国際砂糖理事会の調査による資料でございますが、手元にあります範囲で申し上げますと、日本が百四十二円六銭、フランスが九十一円二十七銭。西独が百七円十四銭、イタリアが百三十九円六十八銭、英国七十三円八十一銭、米国九十二円六銭、こういう状況になっています……。
#72
○板川委員 この砂糖の国内に入荷する価格、これはどのくらいで入るんでしょうか。
#73
○村田説明員 時期によってもいろいろ違いまして、特に砂糖は国際的価格の変動の激しい商品でございまするが、最近の実績を申し上げますると、大体CIFで八十ドルないし九十ドル、この前後をここ二、三年来、行ったり戻ったりしている状況でございます。
#74
○板川委員 通産省の資料によると、台湾糖が、これは粗糖ですけれども、八十五・九ドル、八十五・九ドルというのは、日本の価格にしますると三万九百円ですから、一キログラム当たりにしますと約三十円ちょっと。三十一円ですね。それからキューバの砂糖が八十一・六ドル、これは二万九千三百八十円というようになっておるんですが、この粗糖を大体三十円程度で輸入されて、それが日本で消費者へ渡るときには百四十二円くらいになる、こう思ってよろしいんですね。
#75
○村田説明員 ただいま御指摘のありました輸入価格のほかに、製造業者の生産費が加算され、さらに関税、消費税が、キロ当たり約六十二円余りそれに計上されまして、従って、一般的には製造メーカーが卸に出します出し値といたしましては、大体キロ百二十一円ないし百二十二円というのが従来農林省で立っておりました標準的な糖価でございます。それが卸から末端の小売に渡りますと、そこに若干マージンが追加されまして、昨今大体百四十円前後の価格で取引をされている実情でございます。
#76
○板川委員 こういうことになりますか。大体一キログラム当たり三十円か三十一円程度で入る。それに関税が四十三円六十八銭、消費税が二十一円くらいかかる。それと適正な利潤とを入れて標準糖価というのが百二十一円六十七銭、こういうことになっておる。標準糖価、これは卸売価格ですね。こういうことになっておるのですね。
#77
○村田説明員 おおむね御指摘の通りでございますが、粗糖に対して関税が四十一円五十銭でございます。消費税は御指摘の通り二十一円でございます。
#78
○板川委員 粗糖換算では四十一円五十銭、精糖当たりでは四十三円六十八銭でしょう。
#79
○村田説明員 御指摘の通りであります。
#80
○板川委員 この適正利潤というのはどの程度見込んでおりますか。精糖の過程において。
#81
○村田説明員 適正利潤のとり方につきまして、われわれが標準糖価というものを算定いたしますときには、いろいろな問題が実はあったのでございますが、ただいま申し上げました百二十二円という適正標準糖価を算定いたしました際の利潤といたしましては、大体一定の借入金の利子が支払われ、なおかつ一定の配当が確保できる額というものを算定いたしまして計上いたしたのでございます。もっとも、この資料は、われわれが百二十一円六十何銭という標準糖価を算定いたしましたときに採用いたしました。製糖企業の経費の算定の基礎になります資料は、昭和三十二年当時のものを使っておりました。当時としては、最近の普通の企業の利潤の実態と比べればやや古い資料によっておるということを申し添える必要があろうかと存じます。
#82
○板川委員 適正利潤をどのくらい含んでおるかということについて明快な答弁がないですが、具体的にお伺いしますと、会社の配当が四割五分とか三割とかいうのは適正な利潤に入りますか。利潤の適当というのが先ほどから問題になって、社会一般の通念、とこういうような書外の説明もあったわけです。適正な利潤というのは、固定化することはなかなか困難だと思います。しかし、それにしても一般的には一つの限界点があろうと思う。年間配当三割あるいは四割、四割五分という程度の配当、これは社会通念に照らして、適正なる配当とお思いでしょうか。どうなんです、通産大臣。
#83
○椎名国務大臣 これは適当な限界を越すものであると私は思います。
#84
○板川委員 それじゃ農林省にお伺いしますが、製糖十社の配当は最近ちょっと落ちておりますけれども、昭和三十年ごろからの配当はどういう程度になっておりますか。――めんどうだから、こっちが言うから間違っていたら言って下さい。横浜精糖が三十一年八月で配当率が四割五分、それから三十三年二月で四割、三十五年二月が三割五分、これは間違いがないかどうか、あとで返事して下さい。それから明治製糖が三十一年九月期が三割、ずっと今日まで三割配当、それから日新製糖が三十一年九月期が四割配当、ずっと四割ずつ続けてきまして、三十五年三月が四割五分配当、日本甜菜製糖が、これは国内糖でしょうが、二十八年九月期が二割五分、三十年九月が二割、最近三十四年九月が一割六分、これは外糖じゃないですから、国内糖ですから少ないです。それから東洋精糖が三十一年十月が三制、三十三年十月期から二割、現在まで二割、台糖が三十一年九月期が四割五分、ずっと四割五分で、三十二年九月から四割、三十四年三月から三割、現在三割、大日本製糖が三十一年九月期が二割五分、現在までずっと二割五分、芝浦精糖が三十年三月が二割五分、ずっと二割五分で、三十二年九月が二割、三十四年九月期は二割三分、大阪製糖は三十一年十一月期が三割五分、ずっと三割五分で、三十四年五月期が二割五分、三十五年五月期が三割、名古屋精糖は三十二年五月が三割、三十二年十一月から二割、現在も二割だと思いますが、こういうようにこの数字が間違いないならば、私は適正の利潤を超過しているんじゃないかと思うのですが、どういうふうにお考えですか。
#85
○村田説明員 御指摘になりました配当率、御指摘の通りでございます。
#86
○板川委員 それじゃ通産大臣に一つお伺いをしたいのですが、今の配当率は指摘の通りだ、私の資料と農林省の資料と事実が間違ってないのですが、この砂糖会社、ちょっともうけ過ぎやしませんか。国民は世界一高い砂糖をなめさせられておる。配当は世界一じゃないですか、四割五分も配当するのは。こういう状態で砂糖行政がいいと思うのですか。どうでしょう。
#87
○椎名国務大臣 通産省の所管ではございませんが、かなりこれはいわゆる超過利潤に該当するものではないか、かように考えております。
#88
○板川委員 そうじゃない、百二十一円六十七銭の標準価格を出したときに、すでにこの程度の高率配当をしておった。では超過利潤という線を引く、これから上は超過でこれから上は適正利潤だという限界は、さっきから質問しておるけれどもなかなか覆わないじゃないですか。この場合、製糖業の場合には、それではどこまでが適正利潤で、どこからが超過利潤でないか、線を引くのはなかなかむずかしいだろう。しかし、四割五分も年間配当するのは、これは少しひど過ぎやしませんかということを聞いておるのです。価格をきめるときではなくて、配当がひど過ぎやしませんか、こう言うのですが、どうです。通産大臣、それから経済企画庁長官にも、先ほどの発言と関連しておりますから。
#89
○椎名国務大臣 先ほどから申し上げておるように、これは適当な限界を越えるものである、かように考えます。
#90
○迫水国務大臣 これは農林省の説明であっては百二十一円幾ら、それが適正な価格だろうと判断しておるだろうと思います。従って現在昭和三十五年十二月でもって百二十九円三十銭という値段が卸売の値段になっておるのですが、その幅だけが超過利潤、簡単に言えばそういうことじゃないかと私は理解しております。その利潤を一体、百二十二円で売ってちょうどいいものを百二十九円で売るような状態になっておるのは、砂糖の輸入が少なくてそれでつり上がっておる。需要供給の関係でつり上がってきておるのじゃないか。砂糖の輸入をふやすことによって、大体百二十二円のところまで下げてこようじゃないか。これが最初は自由化でそれをやろうとしたのですけれども、自由化では少し行き過ぎる場合が起こって、百十七円とか百十五円に下がってくると、国内甘味資源の方が困るから、そこで一応輸入割当の制度を増加することによってやってみようというのが今の段階の考え方です。こう理解しております。
#91
○板川委員 私が質問したのは、それではないのです。超過利潤をどうするかということは、これからまた質問したいと思っておったのです。私の質問は一般社会通念からいっても、四割五分の配当というのはあまりにもひど過ぎやしないか、こう考えておるのですが、この点をどうお考えですか。
#92
○迫水国務大臣 まさにその通りで、製糖会社全体で八十億からの、いわゆる超過利潤といいますか、適正以上のものを上げておるのはけしからぬじゃないかというところが、自由化の問題が起こり、さらに今後輸入外貨割当をふやして、それを下げて、それをなくそうというのが考え方です。
#93
○板川委員 経済企画庁長官にお伺いしますが、先ほど自由化ができない理由を、一たんきめた自由化がなぜできないかということについて、るる説明があったのです。国民消費者側から言えば、世界一高い砂糖を消費しておる。また製糖会社は世界一といわれるほど、どこの国でも四割五分の年配当なんか私はないと思う。これはものすごい利益を上げておる。国民から税金を取っておるのと同じですからね。ですから砂糖の値段を安くして、一方において床屋さんが上がる、クリーニング屋さんが上がるのはやむを得ないが、砂糖なんかを上げることによって、私は消費家計に対する影響をなるべくなくするようにするというのが、経済企画庁長官の任務だと思う。砂糖が自由化をできない理由として、国内の甘味資源の影響があるからできないんだ、こういうふうにおっしゃられておるのですが、国内甘味資源の生産は年間どのくらいで、日本の消費量のうちの何パーセントくらいを占めておるのですか。その影響力を知りたいので伺いたい。
#94
○迫水国務大臣 私も大体の数字は、国内の甘味資源は一割くらいと存じますが、今詳しい数字を一ぺん事務当局から申し上げて、それからお答えしたいと思います。
#95
○村田説明員 国内の甘味資源の自給度でございますが、昭和三十五年度に予定しております甘味資源といたしましててん菜糖で十四万トン、カンショ糖で十万八千トン、結晶ブドウ糖、精製ブドウ糖で三万二千トン、合計二十八万トンでございます。それに対しまして国内の甘味の、砂糖類の総需要量を百三十六万トンと見込んでおります。そういう数字になっております。
#96
○板川委員 そうすると国内消費に対する国内糖の生産割合は一側六、七分というところですか。
#97
○村田説明員 百三十六万トンに対して二十八万トンでございますから、約二割強でございます。
#98
○板川委員 従来の実績はどうです。やはりその程度の割合ですか。
#99
○村田説明員 ただいま申し上げましたのは、昭和三十五年度におきます実績見込みでございますから、大体実績に近い数字でございます。
#100
○板川委員 昭和三十年から三十四年までの間はどの程度になっておりますか。割合だけでけっこうです。
#101
○村田説明員 手元にございます資料では、昭和三十四年度の総需要量が百二十九万トンでございまして、それに対します実績が二十五万六千トンでございます。
#102
○板川委員 三十三年は……。
#103
○村田説明員 ただいま手元に持ち合わしております資料はそれだけでございますが、おそらく三十三年以前におきましては、この自給率はもっと低いはずでございます。
#104
○板川委員 製糖会社の生産数量は、国内糖は別ですが、外国から入れて精糖しておる製糖会社の数量は、最近、昭和三十年からですが、ふえておりますか。
#105
○村田説明員 年によって若干の相違がございますが、本年あたりは過去の、今までの輸入実績に比べまして最も多い年になっております。もっともこれは先ほど来御議論がございますように、昨年の秋に異常な砂糖の高値を招来いたしましたために、急遽輸入量の追加割当をいたしまして、輸入量の増大をはかった結果でございますので、本年度が輸入量としては一番多い数量になっております。
#106
○板川委員 私の調査した範囲ですと過去五年間は国内の砂糖消費量は非常に需要があったと思うのですが、輸入の粗糖を精糖しておる製糖会社では、昭和三十一年から三十四年を比較してみますと、かえって減っているところがあって、ふえていないですね。一例をあげますと、芝浦精糖なんかは昭和三十年度で五万一千トン生産したのだが、三十四年度は五万トンですね。東洋製糖が四万八千トンから四万六千トン、日新製糖が七万五千トンから七万トン、名古屋精糖――これは池田さんが関係しておるという話も聞くけれども、ここはふえていますな。十二万三千トンから十三万七千トン、横浜精糖が四万八千トンから四万八千トン――これはふえていない、藤山株が下がった結果かな。あと大日本製糖、明治製糖、大阪製糖、若干ずつはふえているが、大体この五年間砂糖の輸入をこういうふうにあまりふやさないというのは、農林省どういうお考えですか。これで四割五分も配当しているのを承知しておって、こういう数量を入れなかったというのはどういう関係ですか。
#107
○村田説明員 ただいま数字の御指摘がございましたけれども、昭和三十年から三十五年までの粗糖の輸入量の面から見ました数量の推移を見て参りますると、大体三十年から三十二年ころまでは百工、三万トン程度のものが全部輸入になっておりまして、それ以降三十三年には百二十三万トンという輸入の実績を見ております。それから三十四年には百十二万トン。それから先ほど申しました三十五年、本年度の実績見込みでございまするが、これが百十七万トン。先ほど私三十五年度が一番多いということを申し上げましたが、数字に誤りがございました。三十三年度が一番数字が多い。この点はあらためて訂正させていただきますが、いずれにいたしましても昭和三十年以来この数年間の粗糖の輸入の傾向を見て参りますると、大体三十年から三十二年の三年間くらいまでは百工、三万トン、それ以降は百十万トン台をこえて輸入が行なわれておるという状況にはなっております。これは非常に大ざっぱな見方でございまするけれども、おおむね人口の増加あるいは所得の増加と並行しながら、輸入量もふえていることはいるのではないかと思います。
#108
○板川委員 日本国民の一人当たりの砂糖の消費量というのは、世界各国に比較してどうなのです。非常に低いでしょう。人口がふえたから少しぐらいふえるというものじゃないんですよ。まだまだ砂糖の消費というのは日本の国民一人当たりは低いのです。要するに砂糖をたくさん使いたいという意欲はあるのです。そういう意欲があるだけれども、輸入を押えて百万トンから百十万トン程度にしておいて、高い砂糖を売らしておったというのじゃないんですか。
 経済企画庁長官に次にお伺いいたしたいのですが、輸入の割当をふやして砂糖を値下げするようにしたいという。一体どのくらい割当をふやして値段をどのくらい下げるのですか。物価の神様ですから、できたらこの際約束して下さい。
#109
○迫水国務大臣 大体百二十二円――実を言うと今のところはっきりきまらないのです。農民代表の方は砂糖の値段を百二十五円にしておいてもらわなければならぬということを言っております。それは国内甘味資源の方の値段との比率から考えて、百二十五円以下に下がってくると国内甘味資源対策上因るというのです。それに対して私は大体百二十二円くらいまでなら、いろいろ計算をすると一応大丈夫ではないかと思います。従って百二十二円程度に下がってくる程度に供給をふやしていくためには、どのくらい供給をふやしたらよかろうかということでして、結局百三十万トンくらいまで割り当てなければいかぬのじゃないかという意見と、百二十万トンくらいでよかろうという意見と現在対立しているわけです。結局今年度の外貨予算をきめるときまでには、もう少し精密に計算して答えを出したいと思います。
#110
○板川委員 そうすると、消費価格は現在よりどのくらい下がりそうですが。
#111
○迫水国務大臣 現在のところ卸売価格は百二十六円、昭和三十五年は一月が百二十六円、二月は百二十五円、三月は百二十三円、四月は百二十一円、五月は百二十五円、六月は百二十七円九十銭、七月が百二十九円十銭、八月は百二十七円二十銭、九月が百二十六円三十銭、十月が百二十七円、十一月が再二十八円四十銭、十二月が百二十九円三十銭、こういうふうに動いているのですけれども、小売は小売屋さんが少し勉強していると見えまして、ずっと百五十円というところをたどっているのです。そこでこの百二十九円が下がってきた場合にはどのくらい下がるものか、これはよく研究しなければわからないのですけれども、下がってはくると思います。
#112
○板川委員 卸売価格が多少上下しても小売価格に変動がなければ、消費者の立場からいえば何にもならないのです。一体キロ当たり何円くらい下がり得るのか、その数量をふやして世界一高い砂糖を少しでも下げようとされないのか。どのくらい下がるのか。見当がつきませんか。物価値上がりのムードの中ですから、一つくらい三月一日から砂糖が今度下がるぞという発表ができませんか。
#113
○村田説明員 結局これは海外の砂糖相場の変動にも非常に支配されると思いますけれども、卸売価格がかりに百二十二円程度といたしますならば、過去の統計的に、経験的に見まして、卸売価格に対して小売価格は二十円程度の差額で取引が行なわれているのが実績のようでございます。今私どもの手元に持っておりますのはそういう数字を示しております。おそらくそういう傾向をたどるのではないかというふうに考えております。
#114
○板川委員 幾ら安くなるのです。
#115
○村田説明員 かりに百二十二円でございますと、それに二十円の格差を加えますれば百四十、円、大体百四十円前後の相場が包まれるのではないかと考えます。
#116
○板川委員 先ほどあなたは一九六〇年の価格が百四十二円と言いましたね。そうすると去年の価格程度で、結局砂糖はふやしても下がらぬということですな。さっきのあなたの説明は、一九六〇年一月現在の日本の小売価格は百四十二円だと言っておる。百四十円程度ではこれは下がったとは言えない。百三十万トン輸入しても去年の正月ごろと値段は違わないというのですね。
#117
○村田説明員 ただいま私が申しました二十円という格差でございますが、こまかく検討してみますと、大体一割ないし一割五分が砂糖の小売マージンとしては常識的のものであるという見方があるようでございます。それから参りますと糖価が百二十二円でございますと、一割で十二円余り、一割五分で十八円余りという程度の価格が、妥当な値段じゃないかと考えます。
#118
○板川委員 そうするとこういうふうに結論を出していいですね。一割から一割五分といっても、一割で小売をやるところはないでしょう。そうすると再二十二円の一割五分で十八円、足せば百四十円で、結局砂糖の輸入のワクをふやしても値下がりは大してしないという結論でいいですね。
#119
○村田説明員 先ほど申し上げました一九六〇年の一月の小売価格でございますが、手もとの資料によりますと、その当時の卸売価格が百二十六円になっております。その百二十六円に対しまして、百四十二円という小売価格が出ておりまして、今後それだけの格差でくぎづけで推移するかどうかわかりませんけれども、百二十六円に対して百四十二円という格差は、何か一つの判断の目安になるのじゃないかと考えます。
#120
○板川委員 大して下がらないということになると、経済企画庁長官が外貨の割当をふやして、世界一高い砂糖をもう少し値下げして、消費者の要望にこたえたいということは、大して期待ができない、こういうことになるようです。
 そこで経済企画庁長官、通産大臣にお伺いしたいのですが、私の印象からいうと、砂糖行政というものは、一部の国内甘味資源を保護するという大義名分を第一に掲げているが、実は大手製糖会社の利益を守ってやる、こういうような感じがしてならないのですが、一体そういう状態でいいのかどうか。砂糖行政というものは消費者のために考え直すべき時期がきておるのじゃないかと思うのですが、これに対してどういうふうにお考えですか。
#121
○迫水国務大臣 私、砂糖が十円も下がることは、ほんのちょっぴり下がるのではないかということでなく、これは消費者物価の関係からいったら大へんいいことじゃないかと思うのです。
 それからただいまのお話でございますが、問題は国内甘味資源対策というものと、資源の保護というものと砂糖の輸入といいますか、砂糖の価格の調節ということが非常に重大な問題だと思うのです。消費者の方からだけいいますと安い方がいいんで、先ほど世界的な価格の話が出ましたけれども、イタリアがやはり一番高いんです、砂糖は。それはなぜかというと、やはりイタリアには国内甘味資源が相当にありまして、おそらくイタリアでも、その国内の甘味資源に対する関係からやっているんだろうと私は想像します。そういうようなことで、お話しになりました国内甘味資源対策という美名に隠れて、砂糖会社の超過利潤を擁護する政策じゃないかとおっしゃることは、少しこれは私はひがみ過ぎたお考えのように思うのです。そこで超過利潤が出た場合にはそれをどうするかというのはまた別個な問題で、大体超過利潤はなくなると思うが、もし超過利潤がさらに出るようだったら、それをどうするかという問題は、別の問題として農林省の方も考慮するだろうから、私の方でも手伝ってやりたいと思っています。
#122
○椎名国務大臣 直接の担当でございませんので、私のこれに対する感じを申し上げますが、今迫水長官の言われたように、十円も下がれば相当な値下げになると思うのであります。(板川委員「そんなに上がるかね。」と呼ぶ)なおかつ超過利潤が相当出るということになりますと、ほかの産業にはそう超過利潤というものは今出ているものはありません。われわれの方としても、通産行政をやる上において、やはりある程度これに対する発言権を行使いたしまして、そしてほどほどのところにそれを抑えるということにぜひしてもらいたい、そういう考え方を持っております。
#123
○板川委員 砂糖の問題については、あとでまた一つ機会を見て、農林大臣に来てもらって議論してみたいと思うのですが、今経済企画庁長官がイタリアでもおそらくそういう甘味資源保護の政策をとっているんじゃないか、こういうふうなことを言われておるのですが、もう一ぺん調べ直して下さい。そしてもしそういう実情があるなら、内容を一つ、イタリアのそういう情勢を資料として報告していただきたい。多分そうだろうというような、勘でやられたんじゃ困るので、一つその点は資料としてあとで出していただきたい。
 それから問題は超過利潤をどうするかということ。現在、昭和三十四年度、五年度ですか、これに超過利潤が百十四億あるんだ、こういうことを大蔵大臣も予算委員会で言われておるそうですが、一体これをどういうふうな扱い方をするのか。もう一つは、利潤のどこをもって超過利潤とするのか、どこに線を引いて――川上、川下の線じゃないけれども、どこをもってこれ以下は適正利潤である、これ以上は超過利潤であるということについて、一つ計数的な説明を、きょうもしあれだったら、あとでして下さい。どうも四割五分も配当しておって、これは経費だから、何割配当するのは自由だから、これは適正利潤だというんじゃ困るのであって、一つ適正利潤かいなかの基準を、一般論としては無理でしょうから、製糖会社の場合でけっこうですが、この場合にどうかということを出していただきたい。
 そのほか、実はビールと石油の問題でやりたかったのですが、委員長の公約通り、昼飯どきになったら休憩してくれというのが委員長の就任のごあいさつでしたから、ここは時間が来ましたから打ち切って、あとの機会にしたいと思います。
#124
○加藤(清)委員 ただいまの砂糖の件につきましては、答弁も私どもにとっては不満足な点がございまするが、私どもも党へ帰りましてよく相談をして出直しまするから、よろしく御研究のほどをお願いしたいと思います。
 第二番目に、私が資料として御提出を願いたいものを申し上げまするので、至急御調製願いたいと存じます。第一は、内地物価よりも輸出価格の方が安い品物、たとえば繊維、ミシン、肥料、カメラ、電気器具等々、たくさんございまするが、それの一覧表と価格――価格はなるべく期近ものがよろしいのでございますが、それを至急御提出願いたいのでございます。
 第二は、内地の消費者物価の輸出物価に及ぼす影響、これは具体的に資料が取りにくければ、第一の調書によってあとで御研究願ってもけっこうでございます。以上。
#125
○中川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十一日火曜日午前十時より理事会、同三十分より委員会を開催することにいたします。
 これにて散会いたします。
   午後零時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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