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1960/03/29 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第19号
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1960/03/29 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第19号

#1
第038回国会 商工委員会 第19号
昭和三十六年三月二十九日(水曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 中川 俊思君
   理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君
   理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君
   理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君
   理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
      岡崎 英城君    小沢 辰男君
      齋藤 憲三君    笹本 一雄君
      首藤 新八君    野田 武夫君
      林   博君  早稻田柳右エ門君
      岡田 利春君    加藤 清二君
      西村 力弥君    伊藤卯四郎君
      大矢 省三君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       始関 伊平君
        通商産業事務官
        (重工業局長) 佐橋  滋君
        工業技術院長  後藤 以紀君
 委員外の出席者
        大蔵事務官   亘理  彰君
        通商産業事務官
        (工業技術院調
        整部長)    堀坂政太郎君
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
三月二十八日
 低開発地域工業開発促進法案(内閣提出第一二
 八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 鉱工業技術研究組合法案(内閣提出第六六号)
     ――――◇―――――
#2
○中川委員長 これより会議を開きます。
 鉱工業技術研究組合法案を議題とし、審査を進めます。
 前会に引き続き、質疑を続行いたします。西村力弥君。
#3
○西村(力)委員 この法案が目ざしておる研究の段階というのは、基礎研究、応用研究、あるいは企業化、そういうところのどこをおもなる目標としておるのか。それから協同研究組織を持つ業種、これはどういうところをおもに対象として考えておるのか。いわば、わが国の研究組織は分散をしておる、そういうところから基礎的な、あるいは集中的な、大規模な研究ができないのが欠陥である。であるから、協同研究の組織体に法人格を持たせよう。こういうことになるわけだとするならば、より多く中小規模の企業体が自己の必要によって協同研究組織を持つ、そういうところを対象としておるようにも見えます。その二点についてお答えを願います。
#4
○後藤政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。
 最初の、どういう業種を対象としておるかという御質問でございますが、これは、鉱工業関係の生産技術に関する協同研究というものを主体といたしております。もちろんこの種の協同研究は、もっと範囲を拡大することも考えられるのでございますが、初めてでございますから、まず鉱工業の生産技術に関する範囲でやってみまして、その結果を見まして、漸次拡大するという方針をとる方がよろしいかと考えたのでございます。
 それから、基礎研究と応用研究、企業化という、どこの段階を考えておるかという御質問でございますが、私どもで考えておりますのは、企業化の手前までであります。それで、もう少し具体的に御説明申し上げますと、協同研究と申しますのは、どういう段階において必要が求められるかと申しますと、比較的基礎的な部分である場合と、それから広い範囲のいろいろな技術を総合する部分と、二種類ございます。基礎的な部分と申しますのは、最後の製品としていろいろな新しい特徴をつけるまでの手前でありまして、いろいろな事業者が共通的に研究しやすい部分、たとえばいろいろな機械の部品の研究、この部品はいろいろな機械に使われますけれども、その部品としては、たくさんの企業者が協同して研究するということが非常に望まれ、またできやすいという部分でございます。それでその後におきまして、各企業はそれぞれ特有の特徴を持った製品を作ることができるわけであります。それからもう一つの形は、それぞれの部品に関する研究を総合いたしまして、一つの大きなものを作る。たとえば計算機などの場合におきまして、いろいろな部品を製作しましたものを、それを結合して一つのものにするための協同研究というようなものもございます。大体そういう意味の御質問かと考えます。
#5
○西村(力)委員 私が対象業種といいましたので、今のように、鉱工業をまず重点として、こういうことでございましたが、企業の規模別の対象をどう考えるか、こういう点を重点としてお聞きしたいと思ったわけであります。
 それから、ただいまのお答えによりますと、部品の研究、これは共通性を持つ部品の研究をやる、こういうことで、それが各方面に応用されていくということになりますが、しかし、普通私たちが言う基礎研究というのは、そういうものじゃない、私はそう思うのです。基礎研究という場合には、もっともっと基礎になる、それがどんな方面に生かされるか、直接の目的はないにしても、やはりそれが基礎的なものとして重視せられる、そういうような研究が基礎研究であって、今のように部品の研究、規格を一にして、こういうものが一番よかろうというような研究、そういうものを基礎研究というよりも、これはやはり一つの直接の目標を持った、企業化の応用研究の分野に入るべき筋合いのものじゃないか、こう思うのです。普通基礎研究というと、もっと直接の、限局された目的を持たない、そういうものが、いわば基礎研究というものじゃなかろうか、私はそう思うのですが、そういう点は工業技術院としてどういう工合にお考えですか。
#6
○後藤政府委員 私のあげました例が、特殊な例だけをあげましたので、範囲が非常に狭いようにお聞き取りになったことと存じますが、ただいまお話しになりましたような基礎的な部分も、これは、多くの場合は国立研究所においても研究いたしますけれども、しかしながら企業者が協同で研究することもあり得るので、当然入ります。私が申しましたのは、その基礎と応用という意味で二つ申し上げたのではございません。その共通的なものの部分を研究して、そしてそれにそれぞれ別な特徴を加えた別なものを作る場合と、それから個々別々なものをすでに持っていて、それを総合するための協同研究を行なう場合と、二種類あるということを申し上げたのでございます。御質問の方は、基礎と応用という意味でございましたようですが、もちろんただいまおっしゃいましたような基礎的な部分も、入り得るのでございます。
#7
○堀坂説明員 ただいまの西村先生の御質問に対しまして、補足してお答え申し上げたいと存じます。
 まず、いかなる業種かという問題でございますが、この業種につきましては、どの業種をということをねらっておるものではございませんで、鉱工業の生産技術を目的とするものでありますならば、これが化学工業であっても、あるいは機械工業でございましても、あるいは燃料資源関係の利用等の研究でございましても、あるいはさらに、地方の特産の産業に属するようなものであって、相当広い範囲のものであるというような場合におきましては、いかなる業種といえどもこれを生産として行なうことを究極の目的といたします場合におきましては対象にするものでございます。
 また、企業の規模につきましても、先生から御質問があったのでございますが、この法律はもともと新しい技術を作っていく、そしてそれを生産の技術としていくということをねらいとしているものでございまして、研究が大規模な企業になるとか、あるいは中小企業が行なうに適する企業になるとかいうようなことを、観念的に考えておるものではないのでございます。従いまして、非常に高度なる技術によって行なわねばなりません高分子化学というような場合におきましては、比較的に大規模な企業になる可能性があろうかと存じますけれども、また中小企業で取り上げていくことが適当な業種につきましても、たとえば地方の毛織物工業におきまして、染織製品あるいは溶接関係におきまして、その溶接の技術の特定のテーマというようなものを対象にいたしまして、協同で研究をしていくという場合におきましては当然に対象になるものでございますので、お答えを申し上げます。
#8
○西村(力)委員 ところで、この協同組織に加入する企業の規模は問わない、むしろ中小企業関係が自分の弱体のため独自の研究体制を持てないために協同化して進まれることを期待する、こういうことになると思うのですが、それはもちろん中小規模のものだけではなく、大規模のものも全部それに加入してやられることを望んでおられるだろうと思うのです。そういう場合に、研究テーマなり、あるいは研究の順序なり、あるいはその順序に応じて研究を進めて、ある研究が一つの成功を見た、終結を見たという場合に、大企業が、自分の目的は達せられたから組合から退く、脱退をする、こういうようなことになって、中小規模の者たちが置き去りを食うというような事態の発生しないように、いずれの面においてもそういうものが大規模の企業の組合員の圧力のもとに不利益をこうむらないような配慮、これが周到になされなければならぬじゃないかと思うのです。その点に対する配慮はどうなっておるか、お聞きいたしたい。
#9
○堀坂説明員 ただいまの御質問につきましては、このような組合におきまして、脱退を制限をすることの困難であるというのは、他の法律関係等からいきましても、やむを得ないところでございますが、御指摘のように、研究の途中において自分が利用すべきものの成果を得たならば、そこで脱退をするということから、他の協同の研究を行なおうとする組合員に対して、迷惑を及ぼすおそれが全くないわけではないのでございまして、この点につきましては、脱退それ自体を制限するということを定款等できめることは困難かと存じますけれども、脱退をいたしました組合員に対しまして、その組合員がそれまでに負担いたしました共通の経費の賦課金等を返済しないとか、その他いろいろな条件を定款の中において定めることができると思うのでございます。この定款につきましては各所管省におきまして、これを認可するようになっておりまして、その構成員等の状態を考えまして、今御指摘のような事態が生じました場合、他の組合員に不当な不利益を与えないように指導をいたしていきたい、私どもはかように存じておるのでございます。
#10
○西村(力)委員 一点、賦課金の徴収の仕方は何を基準にしておるか。これは大きいものは大きいように負担するということになると思うのですが、それはどうか。これは議決権が一票ずっという建前通り、金の負担もみんな平等であれば、そこに強者と弱者の関係というのは生じないだろうと思うのですが、そうも参らぬと思うのです。ですから、それに応じて賦課金に差を持つことは当然だと思うのですが、そのときはどういう基準でかけるかということ。これは定款によってきまるだろうが、大体の腹づもりはこちらとしてあるだろうと思うのです。
#11
○堀坂説明員 賦課金につきましては、建前から申し上げますと、実質的にきめるということになるのでございますが、同じような規模の組合員のみによりまして構成せられた場合、しかもそれがその研究の成果を利用するについて、同じような比率であるというような場合においては平等になるかと存じますが、御指摘のように、大企業あるいは中小企業というような各規模の業態が混同してできましたような場合におきましては、当然、差ができてくると思うのであります。しかしながら、その場合におきまして、費用の負担と、この研究成果の利用というようなものを調和させる必要があろうと思うのでありまして、その点はおそらく自主的にそのようになると存ずるのでございますが、私どもといたしましても、その点はやはり定款の審査等におきまして十分注意をいたして参りたい、かように思っております。
#12
○西村(力)委員 先ほど私が指摘しました、自分の研究成果がおさめられたということによって、あとは組合にとどまる必要はない――脱退する場合は、それを押えるためにというか、賦課金の放棄ということを、そのために当然覚悟しなければならぬということになるということですが、研究成果が出れば賦課金の放棄ぐらいは、何でもないことだろうと思うのですよ。それより、もっと強力な、何か一つのチェックというものがないか、そういう場合には、やはり全体研究テーマの計画の終了までは、たといそのものが研究が出て直ちに企業化したい、すれば莫大の利潤が上がるということになっても、全体の研究が終わるまでは、その企業化というようなことは認められない。さもなくんば、直ちに企業化したいならば脱会を思いとどまって、そうしてずっとその研究に協力する、何かそういうようなことを定めておくということが必要ではなかろうか。もうできた、いいところを持って自分が去っちゃって、さっさと企業化するような工合では信義にも欠けますし、そのあとの研究というものはまるで骨抜きになってしまう。それは全体の研究というものができるまでは、企業化というものは脱会の場合には認められない、それから一つの研究成果ができても、全体の合意の上でなければ企業化というものは、一企業に対してこれを認めない、何かそういうような押え方がなければいかぬじゃないか、そうでないと、やっぱりどうしても大企業の横暴というものは現実に現われてくるのじゃなかろうか、こういうように私は思うのです。どうでしょう。
#13
○堀坂説明員 先ほど私がお答え申し上げました中に、ちょっと不十分な点がございましたが、もちろん今日の法律によりましても、この脱退につきましては予告期間を最低九十日以上一年を設けることが定款によって定めることができるのでございまして、まず期間的に申しますならば、それだけはこの法律によっても行なえるわけでございます。ところがこの脱退の受理を完全に制限するということは、同志的な結合体でありますこういう民主的な組合におきましては、法律的に困難であろうかと存ずるものでございますが、研究の成果ができました場合におきまして、それを今御指摘のように利用して実施をすることになるわけであります。その研究の成果が特許権、工業所有権等になりました場合におきまして、その工業所有権の利用について、定款等において制限を加えるというような方法で、今御趣旨に沿うような、ある程度沿い得るようなことができるのではないか、それ以上はやはり困難であろうというように私どもは存じております。
#14
○西村(力)委員 研究成果の利用をある程度制限するのだ、こういうようなことはやはりぜひ――これはおのおの気持を合わせて協同にやるのですから、そこにあまりそういうしかつめらしい、また相手を疑うような定款の取りきめがあっては、事はかえってうまくないようにも思いますけれども、しかしはっきりきめておかないと、そういう事態に至ったときに、やはり問題が発生するのじゃないか。これは任意脱退は制限はできない、拒否はできないということになるとするならば、研究成果の利用の面においてこれを押えていく、この点はぜひそういう工合にして、一方的な立場にのみ立つようなことがないようにしていかなければならぬのじゃなかろうか、この点を一つお考え願いたいと思うのです。
 これはちょっと問題と、はずれますが、この間サクランボの件、大臣にお耳に入れましたが、幸いに全部FAに直りました、御決定を願ったそうで、この点は感謝します。
 そこで大臣にお聞きしますが、この技術研究組合法の一つの構想というものは、これはあり得べきことでして、けっこうなことと思うのですが、こういう研究技術開発の科学的な研究というものは、一つの国の行政面において、全体的な体制を持たなければいかぬじゃないか、こう思うのです。この技術研究の内閣における総元締めは一体どこなのか、こういう点が私としては科学技術庁ではなかろうか、こう思うのですが、科学技術庁だとするならば、それは科学技術研究のコントロール、調整をする、これだけにとどまるかと思うと、やはり自分で研究機関を持つというところまで行っておる。それから大学は大学で基礎的な研究なり、さまざまな教育に伴って、それと並行して研究をやっておる。各省々々においては、各省の行政を充実するための研究団体を持つ、こういう工合になっておりまするが、その間においてどういう系統を持ってやっておるのか。そして、ただいまの協同研究の組合の研究範囲はどうかというと、やはり基礎研究です。ほんとうのこのためにこのことを研究するという、そういう直接的基礎研究までも、この組合において行なうのだ。そういうことになると、どこの段階を担当させるという大まかな見込みもあまりないように見える。こういう点についてもう少し科学技術研究の国としての一本通った体制というものを、はっきりする必要があるのではなかろうか、こういうことを考えるのです。その点は直接担当じゃないので、お答えはどうかと思いますが、国務大臣として、その間の消息についてはどうお考えですか。
#15
○椎名国務大臣 研究の問題でありますが、これは原則として研究は自由にやらして、そうして、あまりその研究を統制がましいことをやらない方が、私はいいと思うのでありますけれども、しかし所管は一方においてあるのでありますから、その所管の紛淆を来たすようなことは、なるべく避けなければならぬ。そこで鉱工業技術研究組合というものの所管でございますが、これは鉱工業に従事しておる企業が、いろいろな自分の仕事に関連して研究機関を持ち、あるいはその研究機関の手に負えない場合には、公の機関にこれを委託して研究してもらうというようなことをやっておるのでありますが、その研究が個々の企業では手に負えない、そうしてかなりその研究の成果については、他の企業も非常な関心を持っておる、めいめいの力では手に負えない。そういうようなものが相当に今後出て参る情勢にありますので、そういう場合に協同して研究していく、こういう必要からこの構想が生まれてきたのでございます。もともと鉱工業に従事する各企業の共通の問題を研究する。そういう便に資するためのこれは組織である、こういうわけであります。でございますから、その鉱工業の所管の通産大臣においてこれを主務として扱う、ただし他の省の行政に密接する研究は各省も関与する、こういうわけであります。それから科学技術庁は大体において、成立する当初いろいろ論議がありましたが、原子力あるいは航空技術、それから金属材料試験の機関を所属させるということになり、また御承知の通り理化学研究所の所管を技術庁にゆだねておるという関係でございまして、その方面から協同研究に関係のある限りにおいては、科学技術庁にもその所管の一部がある、こういうわけであります。
#16
○齋藤(憲)委員 関連して。ただいまの通産大臣の御答弁ですが、これは今度総理大臣の出席を要求して、科学技術行政という全般のあり方から科学技術庁というものの所掌事務及び通産省としての科学技術に関する所掌事務という本筋に、これから国策的に入るのじゃないか、私はこう思っておるのであります。ですから今の御答弁を聞くと、何か科学技術行政に関して、はっきりとした現実的な線が引かれておって、それでもってずっと科学技術行政というものは、将来も推し進められるように受け取られるのですが、私はそうでなく、科学技術庁を設置したのは、科学技術行政というもののあり方を大局から判断して、世界各国の科学技術行政におくれないような態勢を日本で作ろうということが、科学技術庁を作った根本の考え方であって、科学技術庁を作って原子力と金属材料技術研究所、航空技術研究所、理化学研究所、これに限定しようという考え方は、これは現実の姿なんです。科学技術庁を作った根本の姿というものはそういうことでなくて、世界の大勢におくれない科学技術総合行政をやろうというところにあったのですから、それは少し違うのじゃないかと思うのですけれども、通産大臣、どうお考えになりますか。これは現実はそうなのです。しかし大局から見ると私はそうでないと考えておるのですが、どうなのですか。その点一つ御答弁を願いたい。
#17
○椎名国務大臣 今の日本の科学技術行政のあり方に、何か日本の科学技術が世界の大勢におくれるというような点があって、それが行政の組織の点からくるというようなことがありますれば、これは大いに考えなくちゃならぬ。しかし科学技術そのものの深さ、研究の深さというものを別に制限しているわけではないのでありますから、行政、政治の面からそのお世話をするという組織でありまして、科学技術の研究そのものではない、それを何か組織あるいは行政の構成から縛るというような不便さがありますれば、それは考え直さなければいけない、こう考えております。
#18
○齋藤(憲)委員 私といたしましては常に、通産行政の中にありますところの工業技術院の存在というものを、非常に重要視している一員であります。しかしこの工業技術院の設置法を見ますと、この工業技術院の所掌事務は、鉱業及び工業の科学技術に関するところの試験研究及び生産技術の向上という限定があるのであります。ところが通産行政全般から見ますと、この工業技術院が持てるところの鉱業及び工業の科学技術並びに生産技術の発展だけで、通産行政が近代的な力をもって、世界の市場に進出していくということは、私はこれは不可能だと思っているのです。
 一体ものというものはマイニングとインダストリーだけでやれるんだということは、これは過去においてはそういう感覚でもってやった時代もあったようでありますけれども、今日のごとく高度の科学技術が発展いたしました現代においては、マイニングでもインダストリーでも、それからアグリカルチュアでも、エレクトロニクスでも、みなこれは網の目のようになって織りなされておるところに、近代の科学技術の進歩というものがあるのであって、マイニングとインダストリーだけを切り離して、幾らこれを突っついてみたって、世界の市場に日本の経済力を発揮するような土台にはならないだろう。それは一部分はなるかもしらぬけれども、総合的な力は出てこないわけであります。そういうところに、いわゆる総合行政としての科学技術を全般から推し進めていくところの行政力というものがなければならぬというので、科学技術庁というものが新設されたのであって、まだ理想論にはほど遠い現段階において、科学技術庁は理化学研究所を持っているとか、あるいは原子力を持っているとかいう段階にすぎないのであって、ここにまだいわゆる日本の総合的な科学技術行政の確立というものはないのだ。これをどう推し進めていくか、それを各行政庁との間にセクショナリズムをなくしつつ、円滑に日本の力をどう伸長していくかということが、私は日本の政治の非常に大きな眼目だ、そう考えておるのであります。そういう点もし私の考え方に誤りがなくして、通産大臣もなるほどそうだというお考えでございましたら、やはりそういう点からいろいろな法案の制定とか、それから行政上の推進の方向とかいうものに御努力を願いたい。私はそれが正しい考え方じゃないかと思っているのでありますが、通産大臣としてどうお考えになっておりますか、一つ御答弁を願いたい。
#19
○椎名国務大臣 かりに原子力の問題を一つとらえてみまして、各電力会社がそれぞれ原子力発電というようなものを現実にもう研究し始めておる。そこでそのあり方から見ますと、電力の行政は通産省がやっている。しかし電力の行政というものも、その企業そのものが深い研究に入っておって、それが原子力発電の技術的に相当な点まで進めておる、こういう格好になるわけであります。そういう場合に電力行政は通産省、原子力の問題は科学技術庁ということになっておりまして、原子力の問題に関する限りにおいては、通産省は別にそれを知ったかぶりして、あっちへ行け、こっちへ行けというようなことは言わない。そうして科学技術庁へ行って相談するということになっておりますから、何も今おっしゃるような高度の科学技術というものに進展するのに、今の行政組織が阻害しておるというようなことは私は認められないと思うのであります。何か足りない点があれば、またつけ加えていけばいいので、今おっしゃる通り、そういう大きな視野からものを考えていかなければいかぬし、またいろいろな問題を突き詰めていくと非常に深淵なるものにぶつかる、そういうものを妨げているわけじゃありません。どうぞ御了承願います。
#20
○齋藤(憲)委員 きのうの連合審査の際も田中委員から、法案がこれらを取り違えられておるのじゃないか、鉱工業技術研究組合法案というものは、科学技術行政の分野に含まれ、それから新技術開発事業団というものは、通産行政の分野に入るのじゃないかという質問もあったのでありますが、私はそういう点は観念的にせつ然と区別できると思っているのです。いわゆる科学技術の基礎的な研究を行なう分野というものは、総合行政の科学技術庁にあって、これが企業化されるときには、所管各省庁に分属されるべきものだ、私はそういうふうに理想論として考えておるんです。現実はそういっておらぬというだけの話です。しかしそれをすぐ理想論に持っていくのがいいのか悪いのかということは、国家として大問題なんです。そこにいろいろな感情上の問題もありましょうし、それからセクショナリズムの問題も出てきましょう。しかし世界的に見ると、一体どうなっているかといえば、やはり今輻湊しておるところの科学技術行政というものは、各省庁に分属しておったのでは、研究ができないことは明白なんです。農林省それ自体の農事試験場に行きますと、もう原子力の問題がなければ研究は一歩も進まないという態勢になっておる。ですからそれを各省庁に分散して、おのおののセクションから総合的な試験研究を追及していくということになりますと、そこに非常に広範囲な紛淆を私は惹起するということは当然だと思うのです。ですからそこに総合行政として、いわゆる基礎研究を統括すべき行政機関というものが必要だというので、科学技術庁というものはできたんじゃないですか。そんなちっぽけな視野からなにしてあれが生まれたのではないのであります。それでありますから、世界の情勢を見ると、第一に原子力という画期的な一つの発明が完成されますと、この原子力から全部の科学技術のあり方というものが検討されて、初めて結論が生まれるわけです。エレクトロニクスというものが非常に高度化されると、あらゆる分野においてエレクトロニクス的な検討が加えられて、その研究の結論というものが出るわけです。ここにあるところの鉱工業技術研究組合というものができ上がっても、一体どういう設備をそこに設けるのかということになりますと、これは工業技術院長に質問しなくてもわかっておるのでありますけれども、それは徹底的に鉱工業技術の研究組合が満足な試験を行なうべきところの設備をここにそろえろといったら、大へんなものになっちまうので、一枚の鉄板のどこに一体傷があるかということの試験研究をやるだけだって、それは金属材料技術研究所に行ってみればわかる。あそこには予算が二十億も投じられている。それでもなおかつ一つの金属に対して徹底的な検討が加えられないという段階にまだおるのでありますから、そういう点からいくと、基礎研究というものがそんなに簡単に行なわれるものではなく、これは総合的な視野に立って一つの行政庁が充実したところの研究機関を整備して、そこで国全体の責任を負うという建前をとらなければ、あっちでやっている、こっちでやっている。出てくるところのデータは全部違ってくるというような研究機関を作ったって、私はむだだと思うのでありますけれども、こういう工業技術院がお考えになった、鉱工業技術研究組合法案というものも、これは私はないよりはいいと思うんです。それは各研究組合がたくさんできて、そこにお互いが金を出し合って、たとえ小さくてもそこに研究のできる組織を持っていくということはいいんです。いいんだけれども、これで全部がやれるかというと、私はなかなかやれないんじゃないかと思います。でありますから私はあくまでもあるすべての業績に携わっておるものが、何とかして自分の業態を発展せしめるために研究をやっていこう、何とか創意工夫を生かして、新しい仕事の分野を開拓していこうということに対して、法的な処置を加えてこれを援助していくということは、非常にいいことだと思う。いいことだと思いますけれども、これをどうせ作って、そういう希望を満してやるには、相当の決心を持ってやっていただかないと、中途半端になるんじゃないか。でありますから、ここに事業として書かれておりますが、「組合員のために試験研究を実施し、及びその成果を管理すること。」「組合員に対する技術指導を行なうこと。」「試験研究のための施設を組合員に使用させること。」この試験研究のための施設を、組合員に使用させることというような状態は、私は京都やその他でもって見たのでありますが、貧弱な、われわれ見ると、こんなことではとてもできないのではないかと思われるような施設に対しても、やはりその施設を使って研究をしている人は、それがあるために満足して毎日研究を続けている。こういう施設は日本には非常に大切であると思いますから、この法案には私は初めから賛成をしておるのであります。賛成をしておるのでありますが、これぐらいのことをやって鉱工業業者が新しい境地を、どんどん切り開いていくというような甘っちょろい考えでもって、この法案を提出されたということに対しては私は疑義がある。ですからこういう点に対しましては、非常に充実した将来の構想をもっと敷衍する一つの段階としてのこれは法案だというぐらいに私は考えて賛成をしたい、こう思うのであります。
#21
○後藤政府委員 ただいまこの法案は最初の一つの段階であるというような意味のことをお話しになりましたが、それはその通りであると存じます。ただし先ほどお話しになりました科学技術の総合行政、これは私が申し述べる・のは少し越権かもしれませんけれども、感じを申し上げますと、一つの科学技術庁の範囲において、基礎的な分野を総合的にやるというような意味のお話がございましたけれども、御承知の通り研究は基礎的な分野から応用的な分野まで、ずっと各方面につながっているわけでございます。従って研究所というものは、一体応用方面からのつながりが強い方がいいか、あるいは基礎方面のつながりが強い方がいいかと申しますと、これは両方から必要であるわけであります。それで現在工業技術院の各研究所は、工業技術院として籍が通産省に置いてあるということになっております。もちろん研究所でございますから、行政そのものと少し違いまして、その研究結果はほかの方面にも使われるという場合が当然出て参りますし、各省との協力ということも現実に各方面でやっているわけであります。しかしながらどの範囲が一番距離が近いか、関係が密接かと申しますと、行政部門といたしましては、これは通産省の行政に最も密接なものがあるわけであります。しかしながら半面において今度は専門の分野の違う方面との協力ということも年じゅうやっておりますし、また必要なことでございます。その方面においてこれは各省との協力ができやすいようにするということは、もちろん必要でございます。しかしそれは通産省から離れて、あるいはまた農林省関係の研究所、これも私が申し上げるのは行き過ぎかもしれませんが、たとえばそういうようなものを一カ所へ全部まとめて、一つの科学技術庁なりほかのそれに相当するものの支配下に置いて世話をするということになりますと、今度は現実の応用面との連絡が遠くなりまして反対の面の欠点が現われるということになるわけでございます。それで日常非常に関係の深いところに置いておきましても、今度はほかの専門との相互連絡ということが、別の方法によって十分可能であると考えるのでございます。従ってそういうつもりで今後行政が行なわれるような組織になれば、現状とさほど形の違わない所属でありましても、十分その御要望の満足されるようなやり方はできるものと考えております。
 それからこの法案が通産省から出ましたということは、これは従来とも協同研究組合等において援助を与えております。現在の法案による組合ではございませんけれども、特定のもっと少ない組合員に対して援助を与えておりまして、その経験をある程度は持っておりますことから出たものでございます。従って最初は鉱工業生産技術の範囲においてまずスタートして、漸次その結果を見まして、先ほどお話のありましたように、もっと充実したものに発展させようという考えなんでございます。
#22
○齋藤(憲)委員 私は関連質問ですから、もうやめますが、ちょっと誤解があったようですから訂正をいたしておきます。私の申し上げるのは、通産行政は現有の段階においては非常に広い分野を担当しているのだ。要するに通産行政が、国際市場において日本の経済力をほぼ代表して活動しておるものである。その国際市場における日本の経済力は、各セクショナリズムに限定された科学技術の代表ではない。これは総合的な力を代表しているべきものである。そういう視野に立って、工業技術院が取り扱っているマイニングとインダストリアルだけでもって、通産行政のいわゆる科学技術部門というものを担当するわけにはいかないのだ。だからもっと広き総合的な科学技術のエキスというものを通産行政の現実の力にして、世界の市場に推し進めていかなければならないのだ。ですから通産行政は、基礎研究というものの総合的なものを、いわゆる農業の部面においても、工業の部面においても、またマイニングの部面においても応用していって、その力を国際市場及び国内市場に持っていくべきものであって、そういう基礎研究の力を通産省の中でもってつかまえておいて、それに苦労すべきものではない。それは総合的に離して、りっぱに責任の持てる体制を作り上げておいて、そこから生まれ出るところの力を、応用面において国力として、大いに活用すべきものだ、そういうことが理想的な通産行政のあり方なのだ。しかし現実はまだそこまでは行ってない。そういうことを申し上げているのであって、今工業技術院がやっていることが、いいとか悪いとかいうけちくさい理論を言っているのではない。ですからそういう誤ちがあるといけませんから、これだけは一つ訂正させてもらいます。
#23
○西村(力)委員 とにかくこれからの技術開発というのは、総合的な立場で行なわれないと、僕は成果は生み出し得ないだろうと思うんです。それは段階がそこまで来ているのだろうと思うんです。それですから、国として科学技術開発の体系を、はっきりと確立することが必要である。今までの発生の沿革あるいは各省のセクショナリズム、そういういろいろな障害があるでしょうけれども、そういうものをやはり思い切って克服して、はっきり筋の通った体系を確立していかなければいかぬじゃないか。そういうことを考えておりますので、その点についてお尋ねしたのですが、大臣は現状肯定、現状においても何ら支障がない、こういうお話でございますが、それは科学の進歩にマイナスになるだろう、私はそう思うのです。もっと国としてしっかり考えていかなければ、えらい金をつぎ込んで意欲だけどうあっても、これは現実的に生み出されてこない。
 ところで大臣は、ソビエトの科学とアメリカの科学はいろいろ長短があるだろうと思うのですが、たとえばICBMとか人工衛星とか、そういう問題になるとソビエトの方が優勢を示しているということは、これは万人の認めているところなんです。私たちの旧来の観念ですと、アメリカは相当進歩した国である、ソビエトは相当おくれておったのが急速に発展してきておる、こういうようなことを感じとして持っておったわけですが、現実にそういう工合に進歩している。社会体制の好ききらいはとにかくとして、科学技術が総合的にあれだけの成果を生み出しているということはどこに原因があるか、これはやっぱり徹底的に客観的に調査をしてみる必要があると思う。大臣は私が言った前提、長短はあるだろうが、相当の面においてソビエトがアメリカの科学を凌駕しておる、これはどこに起因するか、これについてはどうお考えですか。いわば私たちは戦時中に陸海空三軍が対立した。アメリカの大陸間弾道弾がうまく進まないのは、陸海空それぞれの分野で張り合って研究をして、三者の間で覇を競っておる、そういうところからやはり総合性に欠ける、もちろんそれだけロスも多いだろうし、やはりそういうことが決定的ではないだろうかというようなことも考えられますし、大きく言えば根本的には社会体制の問題になるかもしれませんが、そんなことはまずおくとしまして、一体どういう観察を持っていらっしゃるかお伺いいたします。
#24
○椎名国務大臣 全般の科学技術の進歩発達がどの程度であるかということは、私は見方がいろいろあると思いますが、ただ例の宇宙科学の点においては、確かにソビエトの方はアメリカを抜いている。これに追いつくためには数年を要するというようなことをいわれております。その原因につきましては、私は詳しくわかりませんけれども、とにかく過去の経験から見て、やはり国家が相当力を入れるかどうかによって違ってくるだろうと思います。
 今の日本のカメラでございますが、これは戦時中にドイツからレンズが来なくなって、それでこういうことじゃ全くめくらになってしまうというので、その当時大阪の工業試験所の所長が熱心にガラスのかたまりを作っては割り作っては割りして、非常に苦心惨たんした結果、日本で国産レンズができた。それは政府としてもその必要性を認めて非常に声援をし、これに対して助成をしました。もちろん国の機関でありますから、そういう助成援助、それからその衝に当たる人が、全くほかの不安なしに専心それに打ち込むことができる、一人で足らなければ助手を何人もつけるとか、そういったような環境を作ってやって、国がそれに対して力をかしてやることによって、科学技術というものは、相当に発達するものだという、われわれは経験を持っている。そうかといって飛行機を作れといって陸海軍が競い合って、そしておしまいには普通の飛行機会社を国営に移して、そして軍服を着せればそこで飛行機がりっぱになるとか、たくさんできるとかいうような考え方で統制をしたことがございますが、結果はむしろ飛ばない飛行機がたくさんできた。だから力の入れ方もいろいろございまして、ただ国がやいやいやかましいことをいえば、科学が伸びるというものでもないと思います。ソ連につきましては、この点は非常に上手にやったのではないか、こう思います。
#25
○西村(力)委員 宇宙開発が伸びているということ、これは万人の認めておられるところですから否定はできないと思うのですが、それを基礎づける学問の分野といいますと、これは相当広範なものだと思うのです。だからあれ一つを見ても宇宙天文学的な方面、数学的な方面あるいは金属問題、燃料問題あるいは電子工学というか、すべての方面においてそれが集積されて、あの成果が生まれておるのだということを考えると、やはり科学全体としてもソビエトの科学が優秀性を示しておるのだということは否定できないのではないか、またきょうの新聞を見ると、いよいよガランタミンも輸入することに決定した、そういうことでございますので、私たちはやはりああいう成果がどこから生まれたか。ソビエトは全体主義国家であるから全体で締めつけてやったのだ、だからああいう成果が生まれたなんということを、とかく言いがちでありますが、その点は大臣は軍服を着せたからすぐ成果が出るなんということはなくて、逆に飛ばない飛行機ができた、そういう方面では科学、学問は伸びない、これはお認めになったのでそれはよろしいですが、この点は謙虚に徹底的に調査する必要がある、こう私は思うのです。そういうことからいいましても、日本の科学技術開発の現在の体制というものは、あまりにばらばらであり場当たり主義である、そういうことを考えざるを得ないわけであります。この点について、これは総理にただすべきことでありますが、一つ早急な検討を十分に加えて、日本の科学技術を飛躍的に発展させる立場から検討さるべきである。もちろん今回のこの研究組合法も一つのプラスにはなるだろうと思うのですが、しかしこればかりでどうこうということにはならない。一体この法案に何ぼ金をつけますか。
#26
○堀坂説明員 今年度の予算といたしましては、五億九千万円ございます鉱工業技術研究補助金の中の一億五千万円を、大体協同研究に充当する予定でおります。
#27
○西村(力)委員 二兆円近い予算から一億だけ出して幾ばくの成果を求めるか、この一億五千万円は私はこの趣旨から言いましても、あまりに少額にすぎる、単なる名目にすぎないのではないか、こういう工合に思えてならないのです。一体この一億五千万円というものの積算の基礎はどうなんです。どういうところにどれだけ出して何ぼになるのですか。
#28
○堀坂説明員 ただいま御指摘の通りに、一億五千万円はまことに軽少でございますけれども、これは先ほども御指摘がございますし、また私どももそのように思っておりますように、この研究組合、あるいは民間の協同研究によって新しい技術を生み、産業を作るということは、多くあるべき科学技術振興策の中の一つでございまして、それにしてもなお十分であるとは決して思っておらないのでございますが、今後なおできるだけ私どもといたしましては増額をするように努力をいたしたいと存じております。
 なおこの積算につきましては、研究補助金それ自体が国として開発をしなければならないと思いますテーマを指定課題といたしまして、そして民間からの申請を待ってやるものでございまして、その全体が五億九千万円でございますし、協同研究につきましても、その申請を待ってやるものでございますので、その積算の基礎が十分にあるものではございません。ただ従来からこの協同研究的な分野につきましては一億前後の補助金を出しておりましたので、これを今年はさらに増加するという意味で一億五千万円程度が、大蔵省で認められたものでございます。この協同研究が他の五億九千万円の予算の一部でございますので、さらにこの予算で不足であるというような場合等におきましては、たとえば電子、エレクトロニクスの関係に対して一応予定しております二億六千万円の中で、それがエレクトロニクス関係の共同研究であれば、そちらから出すこともできる、かような状態になっております。
#29
○西村(力)委員 これは民間がそういう組織をもって申し出てくることであるから、こちらは受け身になるわけだから積算の基礎はないということになるでしょうが、しかし国の施策として予算を盛る場合には、つかみ金ということは極度に避けなければならぬじゃないか。そういうつかみ金をやるというようなことは、私たちとしてはあまり好ましいものだとは思わない。
 それでお聞きしたいのは、現在もそういう自主的な共同研究体があるのだが、それがこの法に基づく法人格をもって届出をしてくる場合には、審査の結果それも該当し得られるのか。それからこういう法律が出ると、金額が少ないとむしろ押えていく、セーブをする逆の役目を果たす危険性はないかということなんです。それはどういうことかといいますと、まあ今年自主的に国の力を借りぬで、自分たちでやろうと思ったが、この法律で、今年金がないということから来年に回そうじゃないか、こういうような工合に、むしろ研究を一時足踏みさせるという逆効果が生まれないかということなんです。そういうことになれば、これは一日延びるということは、莫大な国家的な損失であるという工合に私たちは考える。たとえば原子力研究所でCP5という原子二号炉の発電炉、これは四年間もかかった。そのために研究が少なくとも二年半はずれてしまっている。研究期間が二年半ずれたということは、そのための支出がむだになって金が生かされなかった。二年半金が生かされなかったというだけじゃなく、研究がおくれたことのマイナスというものは莫大なものです。だからそういう場合には、これはあり得ることだろうと思うのですが、この件については、大臣どうです、補正予算を組む場合に、必要によってはこれを増額するというようなこと、これはやはり考えて、そんな思いがけないマイナスがないように考慮して参らなければならぬと思うのですが、その点についてお尋ねします。
#30
○堀坂説明員 研究組合法ができ、あるいは研究補助金制度ができたのに、その予算が少なかったために行なわれるべき共同研究を抑制しないか、そういうおそれはないかという御質問でございますが、この法律と同時に、租税特別措置法の改正が行なわれまして、その研究組合の行なうところの研究事業が、重要な研究であるというように認定をせられました場合におきましては、その組合に対しますところの組合員の賦課金及び組合の取得した資産等に対しましては、非常に優遇された措置が行なわれるように同時になっておるのでございまして、非常に理屈っぽいお答えになって、はなはだ恐縮でございますが、この組合法ができることによって、従来は困難であったところの協同研究を促進する効果が、その点だけでも大いにあるというふうに存じております。
  〔委員長退席、岡本(茂)委員長代理着席〕
 なお補助金等につきましては、私どもといたしまして今後できるだけ増額をはかるように努力いたしたいと存じております。
 また運用の面等につきましては、先ほど申し上げましたように補助金全体のワクの中において、できるだけ協同研究を優遇して扱っていくというように措置いたしたいと存じております。
#31
○西村(力)委員 現在ある自主的な協同研究体、それが切りかえた場合にはどうするか。
#32
○堀坂説明員 現在ございます協同研究体が、この法律によります協同研究組合になりました場合におきましては、第十四条の租税上の特例が認められますほか、さらにその組合が国家が要望をいたしておりますような研究を実施しようといたします場合につきましては、当然補助をいたすことになろうと存じております。
#33
○西村(力)委員 大臣どうですか。今のように電子工学の研究に対する補助金も、協同研究の態勢で申請した場合には許可するとかいうことを言われておりまするが、そういうことの答弁は、今おっしゃった調整部長ですか、技術院のそういう人の答弁でよろしいですか。所管の部局としてそういう融通性を働かせるということもあり得るかもしれませんが、これはもっと高次な大臣の権限として相当考慮していかなければならぬ。そうなればそうなったで、単独で電子関係の研究をしておるところは文句を言うということになってくるだろうと思うのです。
 もう一点、先ほど申したように、これを実際に施行してみまして、金が足らぬためにむしろ来年に回そうという、研究が足踏みをするような事態が発生する。それは租税特別法の優遇措置があるから、それだけでもけっこうだといってやる人があるかもしれませんが、不足の場合には、そういう事態の発生を見るようなときには、補正予算として追加する意思があるかということです。この二点を私は聞いておる。
#34
○椎名国務大臣 昨年の協同研究の件数が十七件、七千万円、これに対して総額補助しておるようであります。今年は二十件ないし二十五件、総額はただいま申し上げたように一億五千万程度を予定しておる。従来の採択率、希望があった場合には、それをどれくらいかなえてやっておるか、それは九〇%くらいになっておるようでございます。でありますから、民間の申請によってその重要度、緊急度というものをはかってやるためには、一億五千万程度の用意があれば十分ではないかという見当でございますけれども、もしこれをもっても足りない、そしてきわめて重要な、緊急度の高い協同研究がこれに漏れるというようなおそれのある場合におきましては、必ずしも一億五千万に限らないのでありまして、全体の五億何がしの中からさいて協同研究に持っていくことも可能でございます。これは最低限度一億五千万、こういうふうに踏んでおるわけであります。
#35
○西村(力)委員 五億なんぼですか、その中から内部流用の可能性が相当あれば、そこでいろいろなことができると思うのですが、それでもこの法案を提出する意欲を満たすためには、もっと努力しなければならぬじゃなかろうか、こう思うわけなんです。
 それで次にお聞きしたいのは、この補助金を審査し、支給する、そういう行政面を工業技術院が担当するということに対する私の疑義です。工業技術院というのは、各省庁の行政を可能ならしめ、充実するための研究機関、こういうのがやはり柱であると思うのです。それが行政面にあまり走り過ぎると、研究体としてのほんとうの姿というものは、だんだんゆがめられる危険性があるではなかろうか。公衆衛生院が厚生省にあって、それが環境衛生あるいはその他の補助金を管理する、こういうようなことになったら、フラスコや試験管をこうやっているよりも、行政面がおもしろくなっちゃって、そっちの方に力が入ってしまうではないか。こういうようなことで、純粋性というか、研究体としてのあり方というものが、少しゆがまるのではなかろうか、こういう懸念を持つのです。しかも通産省の企業局においては、一般の単独の研究に対しては、合理化促進法に基づく補助金なんか出しておる。そういうところでやっておるのだから、単独の研究に対して所管している省が、協同の研究に対しても所管する、こういうような行き方をとるのが、あまり混雑しないで、行政が複雑にならないで、すっきりといくのではなかろうか、こういう私の観測を持つのですが、そういう点はどうですか。
#36
○椎名国務大臣 技術の問題を離れて、その研究がいいかどうかという判定はつけにくいのです。そうかといって、技術院だけで、この問題を扱っているわけではございません。これは通産局を通じて工業技術院に参りまして、企業局とも合議し、鉄の問題ならば重工業局と合議し、さらに学術会議の専門部門に十分に相談をして、そして行政面からあるいは技術面から、十分に検討を加えて問題の結論を出すということになっておりますから、御心配の点はないと思います。
#37
○西村(力)委員 ところで工業技術院において今まで開発し、優秀なものとして特許や何かを受けたものはどれだけありますか。
#38
○堀坂説明員 工業技術院で最近例年とっております特許は一年平均百五、六十件程度でございまして、最近はだんだんふえてきております。なお実用新案等はこのほかに二十件、新しい意匠につきましては十四件、この程度になっております。それからさらに諸外国に特許を出願しておるものが年に数件ございます。
#39
○西村(力)委員 その特許を受けたものを企業に売り渡した、その権利譲渡の権利金というものはどのくらいか。全部でなくてもけっこうです。
#40
○堀坂説明員 ただいま工業技術院の特許を実施いたしまして、その結果として入っております収入は年間大体二千万円をこえております。最近の例といたしましては、昨日新技術開発事業団等について審議されました、あの際にお話がございました理研の開発部が実施いたしましたカーボンの研究等は、非常に優秀なものでございます。また非常に広く利用されておりますものといたしましては、CMCあるいはエレクトロニクス関係等多々ございます。
#41
○西村(力)委員 年間二千万円として、それは一般の人がそういう開発をして特許権を譲渡する権利金に比較して高いか低いか、低いとすればどのくらいの比率になっておるか。
#42
○堀坂説明員 特許の実施料につきましては、その特許の内容によりましても違うのでございますけれども、平均いたしまして三%程度でございまして、一般の特許の実施料に比べまして安い、特に技術導入のもの等に比べますれば、非常に安いというのが現状でございます。
#43
○西村(力)委員 三%というのは何ですか。
#44
○堀坂説明員 その特許によりましてできました商品が、工場から売り渡される場合の価格の三%。
#45
○西村(力)委員 それでは工業技術院でそういう研究を真摯にやって、そういう成果を生み出した人に対するはね返りは幾らか、二千万円……。
#46
○堀坂説明員 工業技術院の職員の任務発明につきましては、その規程がございまして、特許となりましたときに千円の補償金を出す。それから特許実施料の収入がありました場合におきましては、十万円以下の金額につきましては百分の三十、十万円をこえるものにつきましては百分の四十、三十万円をこえるものについては百分の十、五十万円をこえるものにつきましては百分の五を発明者等に返すようになっております。
#47
○西村(力)委員 特許権が下りると千円というのは、大臣千円という金をあなたは一体どういう顔で出すのだ、千円であって、そのほかは今のような比率でということになりますが、十万円以下の場合は三千円、二十万円だと四千円、少し安くはないかね大臣。これはちょっとひど過ぎるような気がするがね。僕はもう少しこういう真剣な研究成果に対しては、これは出してもだれも文句を言わぬと思う。もちろん公務員であるという一つの制限はあるでしょうが、しかしこの補償規程は何年前に作られたか、これはいつ作られたんですか。
#48
○堀坂説明員 この規程は昭和二十七年の十二月に作られたものでございまして、ただいま十万円のときの補償金は三〇%でございますから、百分の三十でございますので、十万円以下の場合は百分の三十でございます。この任務発明に対して、このような補償が十分でないではないかという点でございますが、この点は決して十分だとは思えないのでございますけれども、またこの取り扱いにつきましては、やはりいろいろ問題が実はございまして、一つの試験所等におきまして同じ研究をやっておりましても、非常に特許ができやすい研究に従事する人と、できにくい研究あるいは試験の業務に従事しなければならない、そのような人々が入りまじっておるのでございまして、その研究発明者だけを特に優遇をするというために、この特許料の補償を十分に引き上げることは適当かということにつきましては、なお相当研究の余地があるところでございます。私どもといたしましても、現在の情勢に合わしまして、この制度につきましてはさらに再検討を加えたいと存じております。
#49
○西村(力)委員 椎名大臣、あなたどう考えますか。いずれにしても、配分の方法というものは、その特許をとるための研究者、その特許権を申請したときの申請者だけにこの補償金が渡るということは、私は反対です。一つの研究成果を出すには、やはり助手でも、そのほかさまざまの人が、そのポスト、ポストにおいて協力しておる。その部屋を掃除する人だって、その試験研究に協力しておるんだ、こういう考え方でないといけないと思うのです。だから、配分の方法は、その特許権を申請の際に申請者になった人だけに行くというようなことは、いかぬと思うんですよ。その点はあとでお答え願いたいと思うが、いずれにしても、全体としてもっと優遇すべきじゃなかろうかと思うのです。大臣、どうですか。
#50
○椎名国務大臣 その点はよく研究してみます。ただ二十七年の、この規則を作りますときに、民間の諸企業から相当その意見が出て――民間会社においてもよく特許を出願してとることがあります。試験所が同じような状況にある。それで、やはりその試験所の方の待遇を高くするということは、一般の民間の方にも響いてくるので、ほどほどにしてくれというような非常に強い注文があったそうであります。今の現時点において適当であるかどうかということにつきましてはよく研究してみます。
#51
○西村(力)委員 それは研究願いましょう。それは、現実に民間企業にどんどん研究スタッフが引き抜かれる防止策という意味じゃなく、そういう対照的な意味じゃなく、根本的に一つ検討していただきたいと思うのであります。
 ところで、この補助金を出す、税制上の優遇をやって協同研究をやった、その研究が成果を得ないときには、これはやむを得ないかもしれませんが、成果を得たときには、その研究成果というものはその企業の独占になる、こういう点は、やはりわれわれとして相当重視しなければならぬことであると思っております。独占にならないために、また国家資金を利用してそれだけの利益を受ける人は、国家にそれだけ返礼する、こういうような考え方がやはり実現されなければならぬのじゃなかろうか、こう思うのです。今、国家独占資本主義ということが問題になってきつつある。これはそういう論争の問題ですから、ここではとやかく言いませんけれども、補助金をもらい、税制上の優遇措置を受けて、国民の金で研究成果を得て、その成果というものが利益となってある一企業の独占になる。原子力研究所に行ってみましても、国の資金を莫大に注入して、その成果というものはだれのものになるか、やはり企業がそれを利用するということになってくるのです。そういうことが、いわゆる国家独占資本主義という問題で、現在問題化されつつあるわけであります。それで、今の状態からいうと、その研究成果を独占してはならぬという規定も不可能だろうと思いますが、しかし国家資金を使ってそれだけ成果を得たら、それだけ国家に戻す、こういう建前というものは、やはりどうしても立てられなければならぬのじゃないか、こう思うのです。その点は、一体どういう工合に考えておられるか。
#52
○堀坂説明員 この法律におきまして、この研究組合の成果が特定の一つの企業等の利益に帰するようなものを、研究組合という形で偽装をするということを避けるように配慮いたしておりまして、その研究成果は、少なくとも組合員全部の利益になるようなものでなければならないようにいたしておるのでございますが、さらに研究に対しまして補助金を出しました場合におきまして、それが工業化試験でございました場合におきましては、その試験が成功と認定をされました場合には、これを返還をさせるようになっております。また応用研究につきましては、その応用研究の結果収入が上がりまして、補助金の額を上回りました場合には、それを返還させる、このようになっております。また、もっと根本の問題といたしまして、このような共通に利用しようとする研究テーマをもって相互扶助的に同志的結合としてやります研究組合に対しまして、同じ目的でもってこの組合員になりたいという者が外におりました場合に、それがこの組合に入ることを排除されないように、できるだけ指導する必要があろうかと存じておりまして、この点につきましては、この組合員たる資格を決定するべき定款等の内容につきましては、この組合の認可にあたりまして十分に指導をいたしたい、かように存じております。
#53
○西村(力)委員 そうしますと、応用研究企業化研究、そういうものが企業化して成功した場合には、補助金だけは返還させる、こういうことですが、いろいろ問題もあるでしょうが、これが、やはり国の資金を使って相当たくさんの、二十なら二十の業者が集まってやったにしても、それは、やはりその業者に利益が独占される。一企業といわなくてもやはり独占されるということはいえると思います。これは国民大衆に返ったとはいえないと思う。そうしますと、莫大な成果を得て利益を上げた、それに一億五千万だとすれば、一組合当たり幾らでもない補助金しか行かぬだろうと思うのですが、その金を返しただけで、それでバランスがとれる、こういう工合に考えることが至当かどうか、主計局としては、この点のバランスの問題はどう考えるかを伺いたい。
#54
○亘理説明員 工業技術研究補助金の収益納付についての御質問であったと思いますが、補助金の収益を生じた場合にそれを償還する限度は、大体補助金額までというのが普通の例になっておりますので、一般の例にならったわけであります。
#55
○西村(力)委員 一般的にくれた金だけ返すというのが一〇〇%だというような工合の言い方が立つかもしれませんが、その金が生きて受ける利益というのは、ものによっては相当大きなものになるだろうと思うのです。それを補助金だけ返せということで、国民の金を使ったということを埋めるという意味のバランスがとれるかということになると、そこは少しそういう企業体がもうけ過ぎるじゃないか、国の金を使ってその利益を受け過ぎるのじゃないかという工合に考えるのです。その点は相当困難な問題がある。ことに現政府のもとにおいては、そういう点の検討というものがそれで目一ぱいかもしれませんが、どうもそこにバランスがくずれておるような気がしてしようがない。そんなことをお前は言うが、農林関係あたりの補助金は農家個々に対しても補助を出して出しっぱなしだ、そのほか出しっぱなしもたくさんあるのだから、こういう工合に補助金だけでも返させるのは、一歩前進だという言い方もあるかもしれませんが、われわれ納税者の立場から言いますると、やはり国の金を使った利益というのは、もっと多くわれわれに返ってくるというシステムというものが研究されなければならぬのじゃなかろうかと思うのですよ。大蔵省としては例にならってという以外の答弁はやはりないですか。もう少し何か、利益の五割返還とかそういうようなことは考えられないかどうか。
#56
○亘理説明員 利益が非常に多額に上りました場合に、それをどう扱うかという問題があろうかと思いますが、一般の例としては補助金の交付されました限度で償還する、それ以上の利益を生じました場合は、税金として国家に納付するということにもなりますし、あるいはコストの面で国民大衆に還元するということにもなるわけで、補助金の交付額に比較しまして非常に多額の利益が生じました場合に、どうするかということは考えなければならないと思いますが、今までの例では補助金の交付されました研究テーマで、はなはだしく利益を生じたという例もないわけでございます。なお研究はいたしたいと思いますが、現在のところは一般の例にならうというように考えております。
#57
○西村(力)委員 大蔵省としては、そういう研究をもう少し進めていただきたいと思うのですが、通産大臣は、私が言っておる趣旨はおわかりだろうと思うけれども、いかがお考えになりますか。
#58
○椎名国務大臣 もうければそれだけ税金でとられるわけですので、その程度以上には考えにくいのではないかと思います。
#59
○西村(力)委員 もうければ税金でとるというが、その原因は何であるか、自己の努力であるか、国の助力であるか、その原因が違うのだから、もうけた金も味わいが少し違う、色合いが違う。そういう工合に言うよりはかなかろうからこの程度で打ち切りますが、私たちはこの点に非常な疑義を持つ。だから大蔵省としては、政府としてはもう少し検討して、国の補助金でもって、そういう一企業体あるいは数個の企業体に利益を与えるというときには、それが国民の金を使ったことによって生まれた利益は、もう少し国民に返っていく、こういうシステムをぜひ研究を願わなければならぬのではなかろうか、こう思うのです。そうでないと国民はなかなかすっきりと納得はしない。こういうことをぜひ検討を願わなければならぬと思うのです。大蔵省としてはこれは主税局関係ですが、いないので、来なければどうにもならぬが、これは委員長に少し申し上げておかなければならぬ。もう少しそういう担当役人は国会の審議には呼び出す権威を持たなければならぬ。これは委員長、今後は十分みずから戒めてもらわなければならぬ。
 ところでこの考え方はどういうことか。補助金を出す場合に施設、設備というものは、土地とか家屋とかそういうものは除外して、その他のものにだけ補助金を与えるという考え方、こういう考え方はどういうことだろうか。一つの研究をよくめんどうを見て成功させようとするならば、土地とか建物とかそういうものまでも含めて、やはり金銭的な障害がなく研究が十分に進むようにしていく、目的に向かって十分な態勢をとるということが必要じゃないかと思うのです。それをこういう一般の補助金の出し方は、土地とか建物とかいうものは除外する、こういうことになるわけです。これは別の問題ですが屎尿処理施設を各町村なんかで作ろうとしても、中の機械類に対しては三分の一補助があるが、土地の購入とかあるいは建屋とか、そういうものを建てるには何らの国の助力がない。それで弱小町村においては屎尿処理の施設を作れない。そのために屎尿がはんらんして日本中屎尿だらけになるのではないか。下手すると町のどぶ川を異物が流れていく、何ともしようがないからそうせざるを得ないということになるわけですね。ああいうものもやはり土地とか建物というものは除外されるという考え方がある。しかし一つの仕事を進めようとする場合に、それに必要な全体に対する助力というものを考えることが当然じゃないか、こう私は思う。今回もやはりそういう土地、建物については除外されておるが、この考え方はどういうことか、これは主計局関係ですか。
#60
○亘理説明員 補助金にもいろいろございますが、補助金の総額に財源の関係から限度がある。そうしてこれは国が公の立場で助成あるいは奨励するという見地からしますと、ある程度多数の相手方に均霑するというふうに運用しなければならないということもありまして、一定の限度の財源の範囲内で、これを効率的に使う、有効に使うということからしまして、対象経費を制限するということが行なわれておるわけでございます。その対象経費をしぼるしぼり方も、はなはだ極端になって補助の意味をなさないということになっては困るわけでありまして、全体に広く均霑させるという趣旨と、それから基本的な部分については補助の目的を達成するということのかね合いが大事かと思いますけれども、そういうことから対象経費をある程度制限することはやむを得ないかと思います。
#61
○西村(力)委員 時間もだいぶ過ぎましたので最後に、こういう研究組織を持ったときに、そこに雇われる、その組合に加入しているところから派遣された技術者、そういう者は、その会社に仕事が終わったならば帰ってしまうだろうからいいでしょうが、そうでない雇われた人々、労働者の身分というものは、これが解散された場合にどうなるか、こういうことはどう配慮されておるか。こういうものを国が助力をしてやる限りにおいては、そういうものがおしまいになって解散をした場合の、そこに働く人々の身分というものにも、やはり相当の保障措置のようなものを考えないでは、国の仕事としては私はおかしいと思う。第一次目的の研究さえ済めば、あとは働いている人人がどうなろうと、それは企業優先の立場からやむを得ないのだというような考え方であるとすると、国の仕事としては私はおかしいと思う。その点に対する配慮はどうなっておるか。
#62
○堀坂説明員 ただいまの、組合が解散後の従業員等に対する保障の問題でございますが、これはこの法律による特別な保障の問題はございませんが、これが研究の成果が出まして、実際に実施されるというような場合等におきましては、その職員等につきましては、単に出向の職員のみならず、他の者も比較的に新しい事業において利用される、雇われる可能性が非常に強いと思っておるのでございます。さらにこの組合が、このように従来の任意組合と違いまして、はっきりした権利、財産を持った組合として存立することになったのでございますから、解散のときにおきましても相当の財産等が残ることも考えられまして、土地あるいは建物等の処分によって、他の一般の事業会社等がやっておりますような保障に準ずるような保障ができるのではないか、かように期待をいたしております。
#63
○西村(力)委員 期待するだけでありまして、そこに積極的な施策は何もない、これはこちらの希望的なものですね。しかもこの研究というのはそう長く続かない、こういう現実の事態というものはやはり予測しなければならぬじゃないか。そうすると一般の労働者、そこに働いている人々は、たといどのようにいい退職金規程を作っても、二年とか三年とかでは、財産がどれほど残って、それを清算する場合でも、返戻されるのは、その組合に加入した組合員である企業体に大よそは返戻されて、そこに働く人々にはやはり一般社会通念の退職金規程を少し上回るか、そのくらいの措置しか望み得ないのではないか、そういうことでは、こういう一つの仕事を進めようとする国の方の立場としては、あまり勝手過ぎるのではないか。国の金を一億何千万も使ってそういうことをして、国はとにかく一つの研究成果さえ出ればいいのだ、外国に劣るところをやって、また技術提携なんかによって支出される外資というものを節約するというような、そういう目的さえ達成すればいいのだというような考え方では、これはうまくない。もう少しそこに、希望的な期待だけでなく、積極性を持った一つの対策というものを生み出されなければいかぬと思います。
#64
○椎名国務大臣 とかく物に目がくれて、そこに働く人の問題を忘れがちであります。これはおそらく全部出向の形で人がそこに集まるのだろうと思います。三年とか五年とかという期限を切ったそういう特別の研究機関でございますから、そうにわかに雇ってそれで間に合うというものではございません。大体において出向の職員において行なわれるものと考えますが、あるいはそうでない場合があるかもしれません。いずれにいたしましても適当に指導いたしまして、人が解散の場合に困るというようなことのないようにしたいと思います。
#65
○西村(力)委員 その点は働く者の立場に立つ私たちの基本的な立場から言うばかりじゃなく、国の施策として事をやる場合には、そこまでの配慮というものは当然になされなければいかぬ。そうでなければこれはいけないと私たちは考えておりますので、その点を強く申し上げて、大臣の指導というか、これが実効のあるように一つやってもらわなければならぬ。
 以上で私の質問を終わります。
#66
○田中(武)委員 ちょっと資料の要求をしておきます。
 先ほどの西村委員の質問に関連してでありますが、補助金を交付した、それを研究が成功した場合は返す、そうすると、次についた予算と返された金とが一緒になって、次の補助金のワクになると思うのですが、そういうような補助金の金繰りといいますか、運営上の状況がわかる資料を出していただたきい。
     ――――◇―――――
#67
○岡本(茂)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 航空機工業振興法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の審査のため、参考人として日本航空機製造株式会社専務取締役中島征帆君の出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと思います。御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○岡本(茂)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、日時、出頭の手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○岡本(茂)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる三十一日金曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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