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1960/04/11 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第24号
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1960/04/11 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第24号

#1
第038回国会 商工委員会 第24号
昭和三十六年四月十一日(火曜日)
   午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 小川 平二君
   理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君
   理事 中村 幸八君 理事 板川 正吾君
   理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
      小沢 辰男君    海部 俊樹君
      神田  博君    菅  太郎君
      齋藤 憲三君    笹本 一雄君
      首藤 新八君    田中 榮一君
      中垣 國男君    濱田 正信君
      中嶋 英夫君    中村 重光君
      西村 力弥君    伊藤卯四郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
 出席政府委員
        通商産業事務官
        (企業局長)  松尾 金藏君
 委員外の出席者
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
四月十日
 物価値上げ反対等に関する請願外五十件(片島
 港君紹介)(第二〇五〇号)
 同(中村英男君紹介)(第二〇五一号)
 同外三件(久保三郎君紹介)(第二〇九六号)
 同外二十件(川上貫一君紹介)(第二一六八
 号)
 同外六件(河野密君紹介)(第二一六九号)
 同外四件(島上善五郎君紹介)(第二一七〇
 号)
 同(多賀谷真稔君紹介)(第二二二〇号)
 物価政策等に関する請願(中村英男君紹介)(
 第二〇五二号)
 同(岡田利春君紹介)(第二〇九七号)
 同外二十一件(柳田秀一君紹介)(第二〇九八
 号)
 同外四十八件(山口丈太郎君紹介)(第二〇九
 九号)
 公共料金の値上げ反対に関する請願(中村英男
 君紹介)(第二〇五三号)
 同(川上貫一君紹介)(第二一〇三号)
 同(志賀義雄君紹介)(第二一〇四号)
 同(谷口善太郎君紹介)(第二一〇五号)
 同外九件(河野密君紹介)(第二一七四号)
 同外七百三十一件(西村力弥君紹介)(第二一
 七五号)
 公共料金等諸物価抑制に関する請願外四百四十
 二件(安平鹿一君紹介)(第二〇五四号)
 同(中村英男君紹介)(第二〇五五号)
 同外六件(川上貫一君紹介)(第二一〇〇号)
 同外七件(志賀義雄君紹介)(第二一〇一号)
 同外七十四件(谷口善太郎君紹介)(第二一〇
 二号)
 同外二十件(石山權作君紹介)(第二一七一
 号)
 同外一件(河野密君紹介)(第二一七二号)
 同外八件(島上善五郎君紹介)(第二一七三
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一一八号)
     ――――◇―――――
#2
○小川(平)委員長代理 これより会議を開きます。
 都合により委員長が不在でございますので、私が委員長の職務を行ないます。
 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし審査を進めます。
 質疑の通告があります。順次これを許可いたします。中嶋英夫君。
#3
○中嶋(英)委員 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案が上程されておるのでありますが、これに関連するのではなかろうかと思われる低開発地域の促進の問題その他工場立地の問題について、世論もこの問題を相当重要視しておりますし、政府もこの問題について手を染めかけておるようでありますが、今回改正する意図は、政府としてどこまで突っ込んで本問題の解決に取っ組むのか、そういう熱意の度合いについてまず伺いたいと思うわけであります。従来調査をされてその資料をお持ちになって、それぞれ発表されておると思うのですが、その百六十六の地区においての工場立地調査というものはどの程度進行し、その資料がどの程度に利用されておるのか、これをまずお伺いしたいと思います。
#4
○松尾政府委員 御承知のように現行立地調査法に基づいて過去四カ年にわたって百十六カ地点の調査を終えましてさらに隔年ごとに前の調査の補正調査をいたしております。さらに三十六年度において五十カ地点の調査を実施の予定で、予算の編成にも組み入れてあるのでございますが、これら合計の地区について今お話のように調査簿を備えまして、一般に資料の提供をいたしております。現在全国各通産局及び本省において、その資料を提供いたしておるのでありますが、事業者の立場から申しますと、従来全国的に見て自分の希望する条件を備えるような地点が、おそよどの地点にどれくらいあるかという見当が、この調査資料に基づいて大体の見込みが立つというところに、大きな意義があったと思います。御承知のように、従来企業の側でも工場建設の際には、相当慎重な調査をやるはずでございますけれども、しかしある地点に行ってその地点の調査をやった結果、あまりその地点でいい条件が見つからないということになりますと、そこで調査した資料はそのままその会社の企業の内部に、いわば金庫の中にしまわれてしまいます。今度は他の企業がまたそこに行って全く新しい調査をやるというような重複調査のむだがあったと思います。少なくもそういう点だけはこの調査資料によって、完全に除かれたという結果に相なっておると思います。
 従来これに基づいてどれだけの工場が立地を決定したかという点は、最終的なものは必ずしも十分にできておりませんけれども、従来までの利用状況で申しますと、一応これは本省の指導室に備えております資料だけで見ましても、三十五年度に千九百七件というふうになっております。立地指導室の資料の利用された機会が千九百七件という数字が出ております。各通産局もそれぞれ同じ程度の利用状況であろうと思います。
#5
○中嶋(英)委員 この千九百七件というのは、調査の資料を提供を受けたという件数なのか、その調査の結果、実際そこに事業を建設するという具体的な進行まで入れた件数なのか。
#6
○松尾政府委員 これは立地指導室へ参りまして資料の提供を受けたというところまでの確認でございまして、その後建設が行なわれたかどうかというのは、現在特別の届出その他の方法がございませんので、そこまでの確認はいたしておりません。
#7
○中嶋(英)委員 次に、それぞれの地点において調査を進められる場合に、その地区の地方自治団体の今後の計画あるいは工場誘致に対する方針、そういうものを十分に組み入れたもの、あるいはなお現状はこういう条件であるけれども水、道路、その他交通、港湾、そういった施設が今後対策を立てることによって適地になる、現在は適地でないが手を加えれば適地になる、それにはどれだけの企業としての負担がかかるのか、あるいは国なり県なり市なりが、これだけのことをすれば適地になるというところまで突っ込んだ指導を含めての調査なのか、単に現状を分析するという調査なのか、その辺もお伺いしたいと思います。
#8
○松尾政府委員 調査の項目は、一定の調査様式に基づきましてそろえてございますが、一応調査の目的が現在どういう立地条件を備えておるかということが中心でございます。しかし同時に、地元におきまして将来この地区にはこういう種類の産業が適しておるはずであるから、こういう種類の産業をもっと誘致したいという希望が当然出て参ります。そうなりますと、立地条件の現状の調査が中心ではございますけれども、それに敷衍しまして、地元の将来の要望というものが参考意見として付せられるということに相なると思います。
#9
○中嶋(英)委員 今回の改正によって、今局長からお話があったような、どちらかというと現状調査を、まあ地元の意向なども現状だろうと思うのですが、それを一歩進めた何か積極的なものを政府として考えるのかどうか。その点を大臣からお伺いしたいと思います。
#10
○椎名国務大臣 今局長から言いましたように、従来の立地調査が大体において調査の重複を避ける、そして工業が進出しようという場合に、最もいい地点を選ばせるという参考資料を提供させる、こういう意味であったわけであります。それではまだ不十分でございまして、いろいろな工場、進出しようという業種から見て、あまり平面的な調査ではまだ物足りない。そういう点までもっと踏み込んだ調査を今回やる。それに基づいて各工場が、現実にどれくらい進出しておるかという点をはっきりつかむために、新しく地方に工場が進出する場合には届出をしてもらう。その届出によって立地調査が、どれくらい具体的に各産業によって利用され活用されておるか、そういう点を見、それからまたその届出に基づいて判断して、それが必ずしも適地じゃない、非常に大きなミステークをやっておる、見当違いをやっておるというような場合には、それに対して勧告をする、こういうところまで立ち入りたいというのが、今回の改正点でございます。これによって、ただ今まで資料を提供する、あとは勝手に利用して下さいということじゃなしに、政府といたしましてももっと意欲を持って工場の適当なる進出、分散というものが行なわれるように、これに意欲的な協力をする、こういう点までいきたいというのが、今回の改正点でございます。なお所得倍増計画、そして先進地方がすでにもう行き詰まっておるということで、地域の格差を是正するというような意味からいいましても、この地方の工場配置というものは、積極的に推進しなければならぬということでございまして、この法律を離れて、また一面においては税制その他の便宜を供与するということになっておりますことは御承知の通りであります。そういうことと相待ちまして的確な分散、配置の指導をしたいというのが、今回の改正の要点でございます。
#11
○中嶋(英)委員 今の大臣のお話ですと、そう積極的だと思えないのです。というのは業種別に進出の構想なり計画なりを届出をしてもらって、そして一方調査を進めておって、ここがよかろうというような調整をはかろうというのですが、問題はその適地適産といいますか、適地とは何ぞやということになると思う。適地を発見するといってもこの狭い日本ですから、適地といえばみんな適地です。特殊な産業を除いてはそう条件は変わっていないと思うのです。適地を作っていくという積極性があってこそ、初めて積極的に過度の集中を排除して、分散あるいは所得の地域格差の解消ということが言い得るのであって、今のお話程度の調整では、私は決して積極的左問題の解決に臨む姿勢であるとは言えないと思う。
 そこで適地というのがそれぞれ業種から見て適地なのか、あるいは日本全体の経済の構造その他から見て、適地というものをこれから作っていくんだという意味での適地なのか、何か探しているという感じであって作っていくという訴えが一向こないのですけれども、そういう点何か相当突っ込んだものをお持ちならば、この際発表していただきたい。
#12
○椎名国務大臣 少し言葉が足りなかったのでありますが、もとより今の経済は計画経済ではございません。やはり何といっても民間の創意工夫というものによっていくという建前でございまして、政府はこれを指導あるいは誘導するという立場をとっておる。その基本方針はどこまでも離れることができませんが、しかし今御指摘になったように適地を作っていくという点まで、もちろん考えなければならぬ。その点ではあるいは道路、あるいは港湾の修築、あるいは埋め立て、あるいは工業用水の計画実施、そういうような点は、もちろん各省にみな分かれておる問題でありますけれども、そういうような点につきましては、さらに各省間において産業の基盤を造成する上において、ばらばらではいかぬのでありまして、建設あるいは通産あるいは運輸その他の各省と常に連絡をとりまして、そして比較的大工業が進出し縛る地点等につきましては、十分に過不足のない上うた基盤の造成に当たりたい、こういうことも一面においては十分に努力する考えでございます。それと税制その他進出の場合の負担の軽減等の問題、さらにその上に日本の国民経済から見て、なお重化学工業のこういうものがまだ足りない、あるいはこういう地点には、まだこういう工業が発達する可能性があるというような点を、十分に当省としては立地調査において調査をいたしまして、そうして各方面から見てこれならばというような判断が、自然生まれるように誘導して参りたい、こういうわけであります。
#13
○中嶋(英)委員 今の十分とか積極的とかいう言葉がありましたけれども、各省間の話し合いによって適地を作っていく、具体的に予算としてどの程度すでに組んでおられるのか、あるいは今後何年間かの間に次年度はどう、その次はどうというふうに計画をもって進められようとしておるのか、そういう考えだけでとどまっておるのかどうか、その辺をはっきり具体的に伺いたい。
#14
○椎名国務大臣 この調査は先ほど申し上げた程度になっておりますが、これを今度は積極的に地方開発を進めるという構想は、この法律はその中の一つの受け持ちをある程度分担しておりますが、これによって全部が解決されるわけではない。従って別途に基盤造成の問題については、通産省は工業用水の問題、あるいは電力の問題、運輸省は港湾あるいは鉄道等の問題、建設省は道路の問題、それからいろいろな農地関係の問題につきましては農林の方も加わらなければならぬ、そういうような造成問題につきましては自治省、建設省それぞれ構想があるのであります。これがばらばらではいかぬので、関係各省と十分協議いたしまして、そこに適当な連絡調整をはかりつつ基盤の育成を進めて参る、こういうことでございます。
#15
○中嶋(英)委員 今の調整をするセクションは、担当大臣はどなたになりますか。
#16
○松尾政府委員 御承知のようにこの法律自体は、企業の側から見て、どこに新しい立地条件のいい地点があるかということを探すための資料の提供、あるいは調査ということになっておるわけでありますが、今御指摘になりました工業地帯に立地条件を整備するための特別な構想と申しますのは、通産省では前に地域工業開発促進構想ということで、全国主要な地域に積極的に公共投資をやって立地条件を整備すべきだ、従来もそれぞれできるだけやっては参りましたが、さらに大きな構想でやるべきだということを申しておるわけなんです。今、大臣からもお話し申し上げましたように、自治省、建設省でも、これはやや都市計画の構想ではございますけれども、やはり地方に大きな都市の建設をやりたい、それは同時に工業地帯を含んだ都市の建設をやりたいということになるわけであります。そういう構想の調整は、当然三省間で今話し合いをしておるわけでございますが、これは自民党の中にもそのための特別委員会がございまして、そこでも今論議になっております。しかしこれは何も、そういう構想が完全にならなければ、打ち出されなければ立地条件の整備をやらないというわけではなくして、従来もできるだけやって参りました、これからもやるのではございますが、そういう新たな大きな構想ができれば、その一本の構想でさらに推進されるであろう、そういう関係に相なっておるのでございます。
#17
○中嶋(英)委員 建設省なり自治省なり通産省、この三省の間の総合調整というのは、どこが軸になるというのはまだきまってないわけですね。結局まだ各個ばらばらで、そのばらばらの格好で話し合いをするという程度のものなんですね。その点は、大臣として、何か軸をはっきりおきめになった方がいいかどうか、お考えありますか。
#18
○椎名国務大臣 まだはっきりしているわけじゃありませんけれども、自然経済企画庁が大体その調整役になって、各省の機能を過不足なく、そして調和的に進めるということになると思います。
#19
○中嶋(英)委員 先ほどの御答弁で、進出産業に対する負担の軽減の問題のお話がございましたけれども、これには何か地方税の関係も含めてお考えなのか、それは別なのか、国としてのお考えなのか、お伺いしたい。
#20
○椎名国務大臣 これはもちろん地方税も含めてであります。
#21
○中嶋(英)委員 ここ数年前から、地方自治団体で工場誘致の条例などを作って、固定資産税を減免するとか、その他いろんな負担の軽減と申しますか、あるいは恩典と申しますか、そういう制度を作って工場誘致をやっておる。そのために成功した例があります。ただ、考えてみると、地方税を減免するということは、その地区の住民に対してどういう関係になるのか、こういう問題があると思います。たとえば五年とか十年、長期間減免する、期間がくると、その産業としては、それをなお継続したいというので運動を起こす。地方の自治団体の議会に対していろいろな運動が行なわれている。それに賛成する議員、もうやめた方がいいだろうと言う議員で、自治体の議会の中で相当問題が起きている面もあるわけです。
 それから負担の軽減を受けない既設の産業との関係はどうなのか。それは、前から適地におるんだからいいのじゃないか、それで済ませることのできる問題なのか、この辺はもっとじっくり掘り下げた議論を今後またいたしたいと思うのですけれども、とりあえずこういう問題について、政府としては、今後も地方自治体のそういう工場誘致条例というものを認め、あるいは勧奨していくというお考えなのか、そういう面は、むしろ国の方で大きな観点から、減免措置とか、あるいは軽減の施策を一貫的にやっていくというお考えをお持ちか、ないか、こういうことをちょっとお伺いいたします。
#22
○椎名国務大臣 この問題については、もう少し具体的に、関係各省ともっと協議を進めて参りたいと思っておりますけれども、大体の方向としては、地方税を軽減するということになれば、地方財政に影響するのは、これは当然でございますが、さしあたりは、そういう点はやはり国の方で大きくそれを見ていくということにせざるを得ないと思うのであります。でなければ、力強く国の政策として打ち出すわけにいかない。地方が地方の恣意によって減免したりしなかったりするということになりますと、大きな国の政策を推進するということになりませんから、その点はしりを見てやるということにならざるを得ないと思います。
 それから既存のものとの関係はどうかというお話がありましたが、どっちかというと現状では行きたがらない。工場の方からいっても企業の方からいっても、どうもあそこではといったようなのを、しりをたたいてそこへ行かせておるのでございますから、既存の産業が相当に栄えておるというような場合は、あまり考えられないのではないかと思いますが、しかしそういうことがたまたまありましても、これは既存の産業に同時に税制上の恩典を与えるということは考えておらないのであります。
#23
○中嶋(英)委員 しりをたたくといいますけれども、この工場誘致条例はどっちかというとえさみたいなもので、今調査の結果、一千九百七件ですか提供したというお話でありますけれども、そういう国の資料の提供等で、工場が地方に分散した例よりも、むしろいろいろ議論の余地はありますけれども、地方自治団体等でいろいろな工場誘致の条例などを作って誘致運動を起こして、積極的に産業界、経済界に資料を提供していく、そういうものによって工場が分散した、あるいは地方に進出したという例が多いのじゃないかと思います。そうすると、国の施策として成功したというよりも、むしろ、たとえば千葉県における川崎製鉄の進出のように、何か地方自治団体の努力によって若干の分散が行なわれておる、こういうことだろうと思います。すでに現行法律が三、四年前にできて、三、四年間の調査をやってきた政府の施策と、地方自治団体の実績等を考えたら、そう熱意あるもの、意欲的なものだと言えるかというと、今度の改正もやはりそういうものは乏しいのじゃないかという感じがするわけです。こういう点について、もちろん調査のための法律ですから、その他の関連の施策を相待って出していただかないと、ただ何か届出をさせる、勧告することができる、こういっても聞かなければそのままだ、そういうものであっては、何かそう大した変化はないんじゃないか、こういうことになるだろうと思います。少なくともこの法律を作っていく場合は、問題解決に一歩でも二歩でも前進するものだという期待なり、そういうものを産業界にも、あるいは地方にも与えていかなければ、改正の趣旨は一向生きてこないんじゃないかと思うわけです。
 そこで次の問題に移りたいのですが、適地をこれから作っていく、これはぜひ作っていくという姿勢で進めていただきたいと思う、今のところ不十分なようですが、それは別として。既存の工場地帯、たとえば京浜あるいは京阪神、あるいは北九州、こういう地帯にこれ以上の集中はいろいろな弊害が生まれてくる、従って分散するんだというのではなくて、すでに弊害が相当出ておるわけですね。この弊害をそのままにほうっておいて、ここはもう一ぱいだ、次に行くんだということで済むのか。現在弊害が起きて、その弊害を除去するということについて、政府としてどの程度の積極的なお考えを持っておられるか、この点を伺いたい。たとえば二、三年前ですけれども、本州製紙で汚水の問題が議論になりました。これに対して水質保全の法律あるいは工場排水等の規制に関する法律が出されたわけです。どの程度の実効が具体的に上がっておるか、またこの法律ができる際に、商工委員会で附帯決議が出されておりました。たとえば煤煙、塵埃、騒音あるいはガス、振動、こういう公害一般に対する付帯条件に対して、どれだけこたえる施策が進んでおるのか、この点を一つ伺いたいと思います。
#24
○松尾政府委員 既成工業地帯には、今お話のございましたように、現在すでにもう一部には工場の過度集中の弊害が出て参っております。従いまして今後過度集中をできるだけ防止して参りたいということは当然でございますけれども、しかし同時に、その地帯にすでにもう工場が動いておる、その動いておるという産業の実態に対しまして、あと足りない産業立地条件を何ら国がめんどうを見ない、補足をしないということでは、これは産業立地政策からいって、そういうことは当然許されない問題でございます。この法律に基づきまして新しい立地条件の調査をやり、新しい地点に工場をできるだけ移して参りたいということは、それは別の政策でございますけれども、しかし同時に既成工業地帯に対して足りないところを補うということは、従来通り進めていかなければならないわけでございますが、この点につきましては、御承知のように関係各省が経済企画庁に、既成工業地帯整備協議会という連絡の場所を持っております。ここで道路、港湾、水その他につきまして既成工業地帯の足りない点を補うように、年々公共投資その他で、こういう施策を進めて参りたいという考えであります。
 なお今お話しの汚水の問題、それからさらに広い意味の産業公害の問題でありますが、汚水の問題につきましてはすでに御承知の立法がございまして、三十五年度におきまして幾つかの河川につきまして、すでに調査水域に指定されまして調査を始めております。そのうち三十六年度、本年度におきまして若干の水域は法律に基づく正式の指定水域になりまして、汚水処理施設がある一定の条件で強制をされるというところまで、実態が進行いたすと思います。引き続き新しい調査水域の拡張をして、あの法律の施行をできるだけ推進して参りたいと思います。
 さらに今お話しの空気汚染の問題は、御承知のように産業公害という問題の中で、汚水問題に相次いでの問題でございまして、これは現在では関係各省、たとえば人体の被害というようなことを中心に厚生省、それから産業の側でそういう公害を出す方の立場から申しまして通産省、あるいは関係の産業省、そういう各省にそれぞれまたがった問題でございますが、現在関係各省におきましては、それぞれその分担に基づきまして、予算面で申しますと調査費がついておりまして、現在ではまだ調査の段階であると思いますが、これもだんだん調査も進んで参りましたので、現在一応関係各省それぞれのところで、それの対策研究会というようなもので空気汚染に対する具体策の検討に入ったというような段階にあると思います。
#25
○中嶋(英)委員 今の大気汚染の問題については、厚生省で三年ほど前に立法化の作業を進めて成案を得ておったのでありますが、成案を得たということが新聞に報道せられるや直ちに経済団体から反対の声明があって、間もなく通産省の方からの反対だと仄聞しておるのですが、日の目を見ないでぶっつぶれてしまった、こういう現実があるわけであります。もしごく近い期間に、大気汚染防除の立法の準備作業等が進んだ場合に、今度も通産省はこれを育てる方に進まないで、つぶす方に回るのか、その点通産省の方の認識も相当変わったのではなかろうかと思うが、そういう点について積極的に取り上げて立法規制をすると同時に、予算の面で、煤煙防除施設、機械そういうものの設置に対して援助、助成するというお考えが今あるかどうか、まだ尚早と思われるか、この点を伺いたい。
#26
○椎名国務大臣 この問題については、もう広く世間から弊害が認識されておるのでありまして、通産省といたしましても、その結論によってその弊害を極力除いて参る方向に参りたいと思います。
#27
○中嶋(英)委員 私は規制をすると同時に、ただ規制だけでは実効が上がらぬので、煤煙防除施設、機械設置についての助成を具体的に考えられなければならぬと思う。たとえば長期の低利資金を、それぞれの公害の多い都府県に対してプールさせて、それを運転することによって防除施設がそれぞれ設置される、こういう方向の私案を持っておるわけです。こういう点について具体的にお考えがあるか伺いたい。
#28
○松尾政府委員 先ほど私が研究段階にあるというふうに、非常に抽象的に申し上げたかと思いますが、通産省内に産業公害研究会という、この問題に対する対策の場所が設けられましたのは、三十四年の八月以降でございます。現在まで三十五年度予算におきまして煤煙の多い地区につきまして、全部で全国八地区、約三百工場につきまして実態調査を進めて参りました。同時に今御指摘がございましたように、そのような防除施設をやって参りますためには、まず第一にいい防除施設ができてくれることが先決問題であります。そのための試験研究として三十五年度、六年度引き続きまして相当額の試験研究費が計上されております。これは新規、継続合わせまして三十六年度も進めて参る予定でございます。同時に最近におきましては産業公害の中で、この大気汚染の問題は非常に各方面の注目を浴びておることは御承知の通りでありまして、大工場の建設が行なわれます際には、企業の側でも将来に備えて、あるいは現状のそういう一般の批判にこたえて、ある程度の除害施設をやることの方が、むしろ常識と申しますか、そういう傾向にだんだん変わりつつあると思います。そういう意味におきまして通産省としましては、特にそのような大気汚染に影響の大きいような施設を作るような企業には、現在ではこれを強制する法律はございませんけれども、各通産局の行政指導によって、当然そういう除害施設をある程度やるように行政指導をやっていきたい、そういう意味の通達も各通産局長に出しておるわけであります。将来今申しました除害施設についての試験、研究その他が進んで参りまして、企業の負担についてもある見通しがつきますれば、おそらく法律でもって一般的に強制するという段階に進んで参ると思います。そうなれば当然国からある程度の援助は必要になってくるだろうという方向で検討を進めております。
#29
○中嶋(英)委員 私は過度集中の実態、その弊害、これを明らかにしていくことが、工場立地の問題の解決に一番大事だと思うのです。その点がぼけたままなので、大臣おっしゃるように自由経済でございますから強制はできない、こういうのんきなことが言っていられるのだろうと思う。この実態を明らかにすることによって、もっと突っ込んだ強力な施策というものが――もう自由経済とか計画経済ということでなしに、たとえば人体の保健、健康管理上もうどうにもならぬというところまできておるわけです。たとえば現在の交通難の問題も、非常事態になっている状態についても、強制できぬ、強制できぬといっているうちにどこへどうぶつかるか、目の前の喫緊事になっておる。大気汚染の問題は、これは四六時中吸っておることですから、水が汚れた以上の問題だろうと思うのです。これに対して調査研究の段階はもう過ぎている。害のあるということははっきりしている。技術的なきめ手も、十分とはいえないけれども、相当進んだものが現にある。現に設置をして成功している例は枚挙にいとまないほどあるわけです。特に最近の新しい火力発電所の場合は、集塵機をつけることが必須の条件となっている。それで成功している。こういう実績が発揮されているときに、問題はもう政治の段階であって、特に資金的なきめ手を含めた政府当局の施策いかんにもかかっておる。それ以外にない。もう調査研究の余地がないというところまで進んでいる、こう考えているわけです。従ってきょう急で無理でしょうけれども、一つ厚生省関係者も次会においで願って、過度の集中からくる弊害の実態を、この委員会でつまびらかに御報告いただきたいと思うし、またこの点通産省の方でも御用意があれば、この機会にお聞かせ願いたい。
#30
○椎名国務大臣 その実態の調査につきましては、多少関係省の資料も整えまして御報告したいと思います。
#31
○中嶋(英)委員 この点明日でもまたお伺いすることにしたいと思います。
 次に、所得倍増計画との関連についての御説明が先ほど大臣からありましたが、経済審議会の答申によりますと、産業立地の小委員会では、太平洋沿岸地帯に重点を注いだ工場立地の計画を組んでおられるようであります。当然表日本には日が当たるけれども、裏日本には日が当たらないという、そういう格差が生まれてくると思うのですが、こういう点を通産省としてはどのようにこの報告を受け取り、どう今後施策の中に反映していくお考えなのか、その点をお伺いしたい。
#32
○椎名国務大臣 太平洋ベルト地帯の問題については、審議会の答申がございましたけれども、それにかかわらず広く日本全体に目を配って、地域格差の是正ということを主眼にして考えて参りたいと思います。
#33
○内田委員 中嶋君のお許しを得ましたから、私も関連して二、三大臣にお尋ねしたいと思うのであります。
 私はこの法律の改正自身に反対をするわけではありませんが、今度の改正を通じましても、この法律の理念というものが、あまり私ははっきりしないような気がします。理念というか、構想というか、この法律には第一条に目的が書いてありますが、しかし何が書いてあるかというと、調査をすることを目的とするということだけであって、何の目的のために、どういう構想を持って、どういう理念を達成するために調査をするかということが書いてない。非常に機械的な法律であって、今日日本の産業の構造が改革されたり、あるいはまた地域差の解消というような問題が取り上げられている際の法律としては、どうもつまらぬ法律のような気がするのですが、どういう構想なのか。手当り次第に、しかも各府県公平に、甲県においては五カ所、乙県においても五カ所、丙県においても七カ所というような工合に、公平に調査だけをして調査の記録を一般に公示する、こういうような法律にすぎないような気がするのですが、何かこれには、この法律の背後にあるいはより高いところに大きな構想がなければつまらぬ法律のような気がするのですが、この大きな構想については、ほかにもいろいろあるようであります。たとえばきょう議題になっていませんが、低開発地域の工業開発促進法であるとか、あるいは法律にはなっておらないけれども、関係各省における基幹都市の計画、あるいは広域都市の計画というふうなものがあるのでありますが、そういうようなものを背後に置いて、それを達成するための手段としての法律なら意味があるけれども、どうもそこのつながりがないような気がするのですが、これはほんとうはどう解釈すればいいのでございましょうか。
#34
○椎名国務大臣 たとえて申し上げるとメートル法みたいなもので、これは客観的に日本の各地の状況を、工業立地の観点からどうなっているかということを写し出すだけの使命を持っておるのでありまして、これをどういうふうに利用するかということは各企業にまかす、そしてまた同時に工場分散の意欲というものは別の方法によって指導する。問題の重点はメートル法というようなものだと私は思っております。
#35
○内田委員 さっき中嶋委員からもお尋ねがありましたが、工場立地というものは、単に労働力の供給がある程度あるとか、あるいは現状において輸送手段があるとか、工業用水があるということばかりではなしに、これは目的によって作り出されるものである、たとえば都市計画をやるとか、あるいは道路を新しく作るとか、港湾を整備するとかいうようなことによって、どんどん工場適地が生まれてくるわけであって、ただこの法律だけによると、潜在的な、工場適地になりそうなところを調査するにすぎないような気がします。
 それはそれといたしまして、これは関連賛同でありますから、あまり長くやると中嶋君に恐縮でありますが、こういう議論があります。今の太平洋の四大工業地域の問題、それを結ぶベルトの問題でありますが、むしろこの法律の今度の改正点を見ると、そういう四大工業地域とかそのベルト地域などにはあまり新しい大規模な工場などは作らせない方がいい、というよりも地方に工場を分散させて、比較的な適地、こういう思想があるように特に今度の改正点においては見受けられる。たとえばある特定の地域とは響いてないけれども、ある地域にある工場をある規模以上に作る場合には届出をさして、そしてそれが不適当と認められる場合には勧告をすると書いてあるのですが、どういう勧告をするのか。調べてみたところが適当でないからあっちへ行けというようなことになると、工場主なり事業主なりの身になってみると、三年も五年もかかって適地を調査して、そして土地の買収契約までも結んで届出をしたところが、通産省からそとはいかぬと勧告がくるということでは、これは非常に迷惑にもなるはずでありますから、むしろ初めから京浜地区とかあるいは中京地区とか阪神地区とか北九州の地区とかというような四大工業地域のある区画の中においては、こういう種類の工場を建てる場合には認可を受けろというようなことで、届出じゃなしに、むしろ制限的な措置を生み出す、たとえば首都圏整備法というものは、東京都内旧二十三区並びにそれにつながる特定の地域においては、学校や工場を作る場合には認可主義をとって、なかなか認可しない、こういう制度になっておるけれども、この法律においてはそこまでいっていない。これは憲法違反とかなんとかいう問題が起きるのかもしれませんが、首都圏整備法ではそういうことをやっておる。今度の法律の改正でも勧告とか届け出ろとか中途半端ではなしに、むしろ制限した方がいい地域には認可制か何かとるべきだという意見はないのかどうかということを、一つお尋ねします。
#36
○椎名国務大臣 これは勧告の一つの用い方の問題だと思うのであります。いよいよ土地を買って、もうすべて準備ができて実行に移りかけておるというときに勧告というようなことではおそいのでありまして、とにかく現実にはそういう事態にならぬように、各企業は相当の投資をするのですから、よほど気をつけてあらゆる点から研究して、いよいよ進出するということになると思うのであります。しかし工場の規模によっては、案外うっかりしてとんでもないミステイクをする場合本あるので、そういう場合の勧告、ほんとうはこれはしばしば用いてはいかぬ。用いることはかえってお互いのために適当でないと思うのですが、ただ何と申しますか、伝家の宝刀というか、勧告を受けてまで、とこうなりますから、まあ実際問題としては、そういう事態にならぬことを大いに戒心する、こういう意味の効果は相当私はあると思う。それからみすみす密集地帯にもぐり込んでくるというようなものは、ほんとうはもう認可主義でもいいような気がいたしますけれども、大体の政治及び経済の建前からいいまして、そこまではというのでございます。指導上は十分に遺憾のないように指導して参りたい。しかしながらこの調査それ自身は、あくまで調査の法律でありますから、無味無臭、そして調査の結論からいっていよいよ適当でないという場合に勧告を行使する、こういうので、二足のわらじをはいたような格好でございますけれども、どこまでもこれは無味無臭の法律であるということを一つ御了解願いまして、指導はこの法律を離れて指導をやっていきたいと思います。
#37
○内田委員 この法律はメートル法のようなものであり、無味無臭の手段を提供する法律であるというお話でありますが、それにいたしましても、この法律によって、この法律を手段として達成しようとする目的としては、通産大臣は今のお話によると地方開発といいますか、低開発地域開発といいますか、あるいは地域の所得格差の解消というような問題と、もう一つは経済にはどこまでも合理性、経済性というものがある。たとえば四大工業地域、それを結ぶベルト地帯というものに、埋め立てをしたりあるいは工業用水の開発をしたり、いろいろやればまだまだ工場設置の余地は幾らでも出てくる。しかしそういうところに余地が出てきても、それでは所得の格差が、そういう工業中心地域と地方との間に開く一方だから、多少の経済性、合理性を無視しても、長野県なり、あるいは裏日本なり、山梨県なり、南九州なり、そういうところに工場を分散させよう、こういう考え方もあるわけです。一体どっちをねらいとするために、この法律を使うわけでありますか。そこの構想、方針というものがどういう立場に立っておられるか、あわせてお聞きいたしたいと思います。
#38
○椎名国務大臣 この法律自体からそういう目的を引き出すことは無理だと思うのです。これはもっぱら進出しようという企業の方針にも関係する、国の指導方針にも関係のある問題でありますが、今の密集地帯にもぐり込んでいくというようなことは、長い将来から見ると非常に不得策であろうと思われる。道路ももうほとんど行き詰まっておる。その他の運輸機関も行き詰まっておる。できるならば、新しい天地に進んでいきたい。いろいろな自然の制約、条件があるなら別問題ですけれども、機械工業なんかは相当長野とか、あるいは裏日本なんかに出ておる状況から見まして、道路さえ整備すればよろしい。道路さえ整備すればあとは労働力も――大気の汚染なんかも全然ない、空気の乾燥状況もよろしい、そういったようなむしろ自然条件としてはいい条件に恵まれておるのでありますから、多くの場合は産業道路の問題である、こういうふうに考えるのでありまして、われわれといたしましては道路の問題は、建設省の問題だということで、そっちに全部おまかせするということではなしに、いやしくも内閣の方針として地域格差を是正する、工場を分散配置をするというような政策を打ち出した以上は、この点は一つ率先してやっていきたい。この道路は産業道路としても重要であるというような点については、どんどん意見を戦わして、そしてこの地域格差の是正、工場の分散配置の実現を期していきたい、ころ考えております。
#39
○内田委員 だんだんお話を承って参ると、この法律は無味無臭の法律で政策を含んでおらない。調べてみましても、どうもこれはあまり法律にする必要はないと思う。行政措置で全部やれるのではないか。ことに今度の改正ですと、勧告とか届出とかいうものが出てきているから、そこのところがいわゆる法規に関連するようでありますが、従来の法律というものは調査に関する法律で、通産省は通産省の当然の仕事として調査をされればいい、そしてそれだけ予算に盛り込んでおけばいいということで、今度の改正を見ても、どうも法律にする値打らがなかろうじゃないか、国会が混雑して困る程度の形式的のものであって、通産省の工場立地、工場調査要綱なんかにしておけばいいようなものではないかという気がいたします。その証拠には、今度あっちこっち直されても、やはり法律の題は、工場立地の調査等と、「等」という言葉を入れただけで調査に関する法律です。ほんとうなら工場立地に関する法律、工場配置法という、理念構想を盛り込んだ法律でないと、どうも法律としての意義が乏しい。通産省は通産省としてこれだけのことをどんどんおやりになったらよさそうだという気がします。それはみんなにわかった方がいいから、その意味ではいいことでしょうが、これ以上私は追及いたしません。
 どうも中嶋さん失礼しました。
#40
○中嶋(英)委員 今の関連質問ではっきりしましたが、無味無臭だ。今までも無味無臭だったのですね。大臣の答弁としては、この法律はさして差しつかえないでしょう、この法律を通すのは何も問題はないでしょうと言うのです。私も同感です。だから、そういう法律だからわれわれが質問しなければならないのは、やはり政府の強力な施策を推進するのには、今までの法律では不十分である、こういう改正をしたいのだ、こういう出し方が私は当然だと思う。それを強力な施策があるのかという国民の要望に対して、あるいは産業界の期待に対して、何かこんなものもやっていますよといって、並べる見せかけみたいな気がするのですよ。無味無臭だったら今まで通りでいいじゃないか。そうじゃないのだ、今度こういう強力な施策をやるのに、この改正が必要なんだという期待をするゆえに、先ほど来の質問をしているわけです。この基本的な面について、大臣の御決意なりお考えなりをはっきりしておきたい。
#41
○椎名国務大臣 工場の適正な地方分散を勧誘するにしても、何にもなしにあっち行けこっち行けと言うわけにいかない。でありますから、大体においてわれわれとして確信を持って指導する上においても、実際こういう調査があった方がいいのです。それから企業が大体具体的にただ偶然の縁故や手引やそういうものによらずに、具体的に調べて、こことここが通路だというように見当をつける上において、やはりこういう権威のある調査結果というものが、私はどっちから見ても必要だ、こう思うのであります。われわれとしてはこういう調査を進めて参りまして、そうして具体的に工場の地方進出というものに対して、ほんとうに具体的に指導することができ、またその具体的な根拠に立って、各省のあるいは税制の問題、あるいは融資の問題その他の利便というものを特に考えるとかあるいは考えぬとかいうことになる、これはその一つの手引になるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。
#42
○中嶋(英)委員 今の大臣のお話では、何か政府に工場の分散、過度の集中を排除していく、そういう強力な施策があるようにも聞こえるのです。それは道路を作る場合は一つ建設省の方にお願いするのだ、あるいは港湾の問題についても運輸省関係の協力を得るのだ、これは従来もやってきたのです。しかもそれは政府だけではなくて、地方自治団体みずからが積極的に努力をしてやっておる。最近では何か読売新聞あたりで、百万都市というスローガンで相当太鼓をたたいておりますけれども、これはどういうふうに展開するかどうかわかりませんが、こういう運動もある。しかし最近の過度の集中からくる弊害はあまりにも大きい。従ってここでもって飛躍的な強力なものが必要だ。こういう段階であろうと思うのです。その点を何か政府の方でどう展開されるか。先ほどお話あったように自由経済でございますから、まあしりをたたく程度だ。だからそうはいきません。そういう点を私は知りたいわけです。
 そこでまず局長に伺いたいのですが、現在まで百六十六カ所も調査を進めた。この改正後この地点はなおふえるのかどうなのか。その点を伺います。
#43
○松尾政府委員 脚行法に基づきまして調査を進めることは、従来通りまた指定地域をふやして進めて参ります。ただこの法律の現行法は先ほど来申し上げておりますように、調査をしてその資料を提供して、立地そのものは企業自身の判断にまかせて決定してもらうという建前になっておりますので、実はこの法律の現行法の法律審議の際にも、今お話が出ましたように単なる調査資料の提供では足りないのではないか。もっと積極的な立地のために工場配置を考えるべきだという御意見は、私ども十分承っております。ただ現状におきましては、それではそういう工場をいいところに誘導するためのそういう客観的な資料があるかといいますと、やはり現在まで三カ年にわたってこの法律に基づいてやってきたものが、おそらく客観的な唯一の資料であろうと思います。先ほど来お話のように、各地方自治団体は企業誘致には非常に熱心ではありますけれども、熱心の余り必ずしも客観的でない資料に基づいて企業を誘致しようとすることによって、思わざるトラブルが起こる事例も従来あったと思います。少なくともそれを防止することがまず第一である。しかしほかの国の立法例を見ましても、英国等では初めは調査から入りまして、そういうインフォメーション・サービスから商務省に対する届出、勧告の段階に入っている。それが一九四七年に入って、初めて認承という制度に移っていっております。そういう意味から申しますと、やはりこういう企業にとっては、工場建設の敷地を求めることは、いわば社運を賭しての事業でございますから、十分な客観的な資料なしに政府が配置をするということは、よほどのことでなければできない問題である。順を追って進むべき問題であろう。現状ではこの法律に基づきまして立地調査の資料をさらに広げて参る。同時に、この調査の結果の資料を適用して、はたして企業がどういう工場建設をやられたのか。そういう現状把握も、現在の法律制度ではないわけです。少なくともこれで届出をしてもらう。現状把握もやってみたい。さらに極端な場合には勧告というところまで進めたい。もちろん完璧ではないと思いますけれども、一歩でも前に進んで処理をしたいというのが、われわれの希望でございます。
#44
○中嶋(英)委員 今の局長のお話では調査の網を広げていくというのですね。これは調査としては狭いより広い方がいいというのが常識であると思います。ただイギリスの例を申されましたけれども、わが国の過度の集中からくる弊害というものは、そういう他国の段階的に進んできた歴史を学ぶのでは、とても追いついていけない、そのピッチはもっともっと早くなくてはいけない、こういう段階だろうと思います。従って私は百六十六カ所が二百カ所か三百カ所になって、調査の網が広がっていくことは常識的にはわかるけれども、差し迫ってくる現実は、むしろもっと少ない地点を作っていく、立地条件を整備していく。その地点をむしろ数十カ所にとどめて、そこに重点的な施策を注ぎ込んでいくことが必要であろうと思います。そういう点の意欲というものは、どうも本朝来大臣から伺っても何か従来を踏襲するような形である、これは問題があると思う。その点を知りたいわけです。その点はどうですか、大臣。
#45
○椎名国務大臣 われわれとしてもこの法律を運用する場合に、大体将来の日本は重化学工業を重点として、どういう工場配置を考えなければならぬというような考え方は持っております。これはまだ通産省の試案の程度でございますけれども、従来の四大工業地帯というものはもう行き詰まっている。それで衛星工業地帯というものを考えることはできるけれども、四大工業地帯というものを、さらにまたふくらますようなことは不可能に近い。むしろそのほかに数カ地点、六地点あるいは七地点ぐらい中核的な産業の地帯が、日本の現状から考えられるのではないか。港湾その他運輸関係、そういった地勢の関係というものから見て、そういう数カ所の地点が考えられるのではないか。そのまた下に地方工業を中心にした産業地帯というものを三十カ所ぐらい考えられるのではないか。大体だれが考えてもとんでもないところに大工業が行くはずはありません。やはりそこに相当広いバック・グラウンドがある、あるいはすぐそばに、りっぱな港湾あるいは手をかけるとりっぱな港湾になるというような条件を備えているというようなところでないと、なかなか考えられない。そういうふうに大体考えてはおるのです。それで自治省の基幹都市あるいは建設省のこれに類するような地方の基幹地帯、そういうような構想もあるようでありますが、それらとよく具体的に話し合えば、ほぼ四大工業地帯のほかに、将来日本はどういう地帯を産業の中核地帯として考えていくべきかというような構想が、自然に出て参ると思うのであります。そしてこれはその地域々々でいろんな競争があると思いますけれども、だれが考えたって第一そんなところへ大工業が行くはずがないというところは、考えてもむだなんですから、そういうものはやはり中心にしてそこにエネルギーあるいは運輸交通その他の経済産業の基盤を造成するという一つの力点をそこに求めるということに、だんだん進んでいかなければならぬということを考えております。これはただ一応とにかく日本の工業立地の一つの観点から写真をとって、そして自由な判断の資料にする、こういうことでございますから、これと離れてそういう構想をもって関係各省と協議を進めて参りたい。こう考えております。
#46
○中嶋(英)委員 今のお話を聞くと、常識的にいいものができるし、よくなっていくでしょうというお話なんです。この法律は写真をとりたいというお話です。それならば何も改正する必要はないと思う。助言を勧告と変えたということは、やっぱり一歩前に出たのだというふうに私は理解したのですが、大臣の答弁だと、これは写真ですから、助言と勧告の差というものは、そう重要視されていない。大臣みずからが重要視されていない。なぜこの改正を要求されたのでしょうか。大臣の今の答弁からいうと、あえて改正する必要はなかったと思うのですが、改正しての利点というものが何かおありなんでしょう。冒頭の御答弁では何かあるようなお話だったのですけれども、今のお話ではどっちでもいいようなお話ですが、どっちですか。
#47
○椎名国務大臣 でありますから無味無臭と申し上げたのですが、そういう工場適地の参考資料また調査によって、われわれも今後の指導をやっていきたい、こういうことでございまして、ただあんまり極端な間違った方向に進む場合を考えて、届出、勧告、こういうものをこれに書き加えたわけであります。もとよりその点が調査法の中心ではございませんけれども、あまり極端な場合には勧告をするという程度にした方がよかろう、こういう判断のもとにその前提として届出をさせまして、そうして工業の地方進出の大体の動向をこれで見る、そういう意味でございます。
#48
○中嶋(英)委員 大臣はやはり極端な事例が、今後もあり得るとお思いであろうと思いますが、その点はどうですか、あり得るのですね。
#49
○椎名国務大臣 起こり得ると私は思います。それはどう考えてもその付近で工業用水が見つからない。ところが自分だけだと思っていると、ほかにもうすでにそこをねらっておる連中が五つも六つも、ただ表面上の立地条件がいいからというので、そこに土地を買ってどんどん計画を進めるという場合があり得るのですね。そうして相当進んでからごたごたが起こって、どうにも上げおろしがならぬという場合も予想されないことはない、そういったようなことはしょっちゅう起こり得る問題ではないと思いますけれども、間々あり得る問題ではないかと思います。
#50
○中嶋(英)委員 起こり得るし、現実にもあるのです。ということは過度集中はなお深刻さを増していく現況だ、こういうことだと思うのです。たとえば京葉臨海工業地帯の造成が着々と進んでおります。けっこうなことだと思うのですが、あの全プランが実際に造成されて事業場が設置された場合、あの建設図は完全に過度集中の図であろうと私は思う。もうプランのうちから過度集中が十分に予想されている。それが一応脚光を浴びてけっこうなことだということで推進されている。目の前に過度集中の弊害が起こるという現況が放置されているのですね。こういうものがこの東京の周辺にあって、一方ではおっしゃったように、どう考えても無理じゃないかと思われるのに、工場誘致運動のために地方議員が東京やその他に高い旅費を使って来ているとか、いろいろな高価なパンフレットを作っているという面もあるのですね。これを放任する気なのかどうか。これを放任しないのだとするならば、私は無味無臭の勧告、助言じゃなかろうと思うのです。そういうような考えを、大臣からはっきりしたところを伺いたいのですが、それでもなお無味無臭のものとしてこれを運用されるお考えかどうか。
#51
○椎名国務大臣 この法律の勧告は極端な場合を予想しておるわけでありまして、しからざるものについては、あるいはどうかなと思われる、また結論のはっきりしないような点については、将来問題が起こり得ると思うがどうかというように、行政指導によってやりたいと考えております。
#52
○中嶋(英)委員 その行政指導で解決がつけばいいのですが、先ほど開会前に話題が出ましたように、今西宮で埋め立て計画がある。ある石油会社がこれを推進しておる。しかもそのことの発端は、西宮市の熱心な工場誘致から始まって進出しようという計画を進めていっておる。ところがその地区の醸造会社の関係から水の問題で議論があった。市は今でも熱心にどうしてもやろう、県は冷淡だ、こういう現状があるのです。これは今まで行政指導でなさってきたと思うのですが、もう問題が始まってから相当になると思いますけれども、いまだ解決したということを聞いておりません。この場合の進出しようとした会社の出費も相当なものがあるだろうと思うのです。そういう点についてあまり実効が上がっていない。今私が触れました京葉工業地帯の問題についても、非常にけっこうな計画でその成果を私も期待するものでありますが、あの計画が全部進んで工場が誘致された場合、そのときがもう過度集中の実態を作られたということは予想にかたくないわけです。こういう問題についてどういう行政指導をされておるか。それから同時に、いかにもひどい例があった場合というのですが、どの程度がひどくて、どの程度がひどくないのか、行政指導の場合の基準がおありならば、その基準をお知らせ願いたい。
#53
○松尾政府委員 今具体的な場合についての御質問でございますので、ここでまたそれに対してあまり具体的に御説明するわけにも参りませんけれども、今お話しの、たとえば京葉地域は確かに御指摘のように、現在計画中の工場建設が全部比較的早い時期に出そろうということになりますと、すぐ水の問題に当面いたします。しかし現実問題としては、現在計画の工場が一せいに建設、操業を始めておるわけではないでありましょうし、また京葉地区には確かに工業用水が不足ではございますけれども、今後利根水系の開発その他で、ある一定の時期をかしますれば、ある程度の工業用水は取れないわけではございません。従いましてこういう場合には、まあ今後の問題でありますから、具体的に申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、いきなり勧告というようなことで処置されるのではなくて、現実に水を使う工場の建設の時期あるいは操業の時期等について時期的な調節を行ないながら、片方に工業用水の補完的な施設をやっていけば、解決のめどがつくのではなかろうか、そういう具体的な関係にあると思います。
 それから西宮の例も、確かに御指摘のように非常に重大な問題であると思います。あの地点にあれだけ大きな埋め立てをやって、そこで石油精製なり石油化学をやるということになりますれば、水の問題は非常に解決がむずかしい問題に当然当面するはずであります。企業自身がどうしてそういう判断を十分にしないのかという点に、むしろ問題があるのではないかと思いますけれども、その辺は、会社自身がその地点で必ずそれだけの水を使うような工場建設を最終的にやるという決心で工場建設をやるのかどうか、また地元におきまして、いや水の問題は将来の問題として何とかなるというような甘い判断で、工場誘致に熱心なのではないだろうか、そういういろいろな問題が伏在しておると思いますけれども、現在では御承知のようにまだ計画の段階であります。それに対して、地元に相当強い反対があるという段階でございますので、それらの点は、まだ具体的に私どもの方で深く立ち入っておりませんけれども、現在までに私どもの方も、特に地元の反対の御意見はいろいろな機会に伺っており、地元の通産局等とも連絡をとりまして、もう少し事態を究明して、できれば行政指導で、この問題の合理的な解決をはかって参りたいと思います。
#54
○中嶋(英)委員 大臣から先ほどお話がありましたように、施策としては地点を縮小してしぼっていきたい、こういうお考えのようですけれども、私も、たとえば重工業地帯の場合、全国何百の調査をしても、何百の地点にこれを分散するということは不可能だと思います。四大工業地帯に次ぐ地帯としては、おそらく数点だろうと思うのです。その過去三、四年の調査の間にお調べになっただけではなくて、ここならばという数点の地域が、すでに発見されておるかどうか、きょう無理ならば明日でもけっこうですから、そういう資料を、重工業地帯の場合はどうか、あるいは機械工業の場合はどう、あるいは軽電機、重電機の場合、あるいは石油化学の場合等々、業種別にお調べをなすっておるそうでありますから、そういう調査をしただけのものがあったかどうか、三、四年前にわれわれが国会でこの法律を政府の提案によって可決したわけですが、可決してよかったというものが何かおありになるかどうか、あるいはせっかく可決されて立法されたけれども、どうも実効が上がらなかった、従って今度改正するのだ、そういうものならば、それだけの資料をまた提出願いたい。先ほど内田委員からも質問がありましたように、あってもなくてもいいんじゃないか、そういう形で、私はこの改正案の審議をしたくない。やはりこれを審議することによって、日本の当面している、非常に深刻な問題になっている過度の集中、これを解決する一助にしたいという意欲のもとにやっているので、この点の資料をほしいと思います。
#55
○椎名国務大臣 第一点の、大体四大地帯以外の重工業地帯は数カ所になるだろうが、具体的にきまっているかどうかということにつきましては、まだ具体的には申し上げる段階ではないと思います。これは百万都市、あるいは地方基幹都市といったような他の省の構想もございますから、それらと十分に協議検討いたしまして、そうしてそういうものを出す必要があれば、一本にしぼって参りた。それまではあまり具体的に申し上げることは、かえって問題を複雑にすると思いますので、申し上げかねると思います。
 それから、すでに法律の効果はどうかという点でございますが、これは各地方通産局へおいでになって、その状況をつぶさにお調べになるとよくわかりますが、各通産局とも業界の方で、この調査を非常によく検討しております。ためにする調査でなくて、ほんとうにとらわれない、公平な立場に立っての調査、こういうものを業界は非常に欲しておりますが、さらに今回の改正を機会に、今度は各おもな、機械工業という観点からどうか、化学工業からどうか、あるいはその他の重工業、雑貨工業はどうかというような、各地点についての特性等をよく研究して、そういう問題も追加して参りたい、こう思うのでありまして、これらが将来地方工業分散の上において非常に大きな指針になり、それを指導する上において、政府自身にとっても非常に大きな指針になるということを、われわれは期待しておるわけであります。
#56
○中嶋(英)委員 私は今度の改正が、一歩前進でありたいと思います。一歩前進のその先にあるものは、どこへ向かって前進するのかということが大事だと思います。ただ前に足を出しても、方向が誤っては何もなりません。従って、その先をどのようにわれわれに理解させていただけるのか、それを明日でも一つ資料をいただきたいと思います。
 それから京葉工業地帯の完成した場合、集中からくる弊害というものは、私は水だけじゃないと思う。大気汚染の問題では、今までは四季の風の方向によって、夏はひどいけれども冬はいいとか、冬はひどいけれども夏はいいというところが、東京を含めて東京周辺にあるわけですが、千葉県の方が完成しますと、四六時中汚染された大気の中で一千数百万の、京葉を含めての京浜地帯の住民の呼吸器がよごれていく、こういう問題がある。それを含めて、過度集中の実態、今後なお深刻になっていく見通し等々、これに対する調査の段階から、実効ある施策実現の段階に移ったと思いますが、そういう問題等について、次会またお伺いしたいと思います。
 時間もありませんから、きょうはこの辺で私の質問を一応終わっておきます。
    ―――――――――――――
#57
○小川(平)委員長代理 お諮りいたします。
 本案審査のため、来たる十四日金曜日午前十時より、当委員会に参考人の出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#58
○小川(平)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、人選、出頭の手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○小川(平)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 本日はこの程度にとどめ、次会は明十二日水曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後零時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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