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1960/04/25 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第30号
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1960/04/25 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 商工委員会 第30号

#1
第038回国会 商工委員会 第30号
昭和三十六年四月二十五日(火曜日)
   午前十時三十八分開議
 出席委員
   委員長 中川 俊思君
   理事 内田 常雄君 理事 小川 平二君
   理事 岡本  茂君 理事 中村 幸八君
   理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君
   理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君
      有馬 英治君    小沢 辰男君
      神田  博君    菅  太郎君
      齋藤 憲三君    笹本 一雄君
      首藤 新八君    田中 龍夫君
      濱田 正信君    岡田 利春君
      小林 ちづ君    多賀谷真稔君
      中嶋 英夫君    中村 重光君
      伊藤卯四郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  椎名悦三郎君
 出席政府委員
        法制局参事官
        (第三部長)  吉國 一郎君
        通商産業政務次
        官       始関 伊平君
        通商産業事務官
        (大臣官房長) 樋詰 誠明君
        通商産業事務官
        (企業局長)  松尾 金藏君
        通商産業事務官
        (重工業局長) 佐橋  滋君
 委員外の出席者
        専  門  員 越田 清七君
    ―――――――――――――
四月二十一日
 電気用品取締法案(内閣提出第一七〇号)(参
 議院送付)
同日
 公共料金の値上げ反対に関する請願外二件(谷
 口善太郎君紹介)(第二七九一号)
 同外三件(川上貫一君紹介)(第二七九二号)
 同外三件(志賀義雄君紹介)(第二七九三号)
 同外四十三件(井出一太郎君紹介)(第二八七
 一号)
 同外七十二件(川上貫一君紹介)(第二八七二
 号)
 同(佐々木良作君紹介)(第二八七三号)
 同(堂森芳夫君紹介)(第二九八六号)
 公共料金等諸物価抑制に関する請願外九十六件
 (志賀義雄君紹介)(第二八七四号)
 同外百二十七件(谷口善太郎君紹介)(第二八
 七五号)
 同外五十七件(川上貫一君紹介)(第二八七六
 号)
 地方開発促進法の制定に関する請願(中澤茂一
 君紹介)(第二八七七号)
 同(松平忠久君紹介)(第二九八五号)
 物価値上げ反対等に関する請願(楯兼次郎君紹
 介)(第三〇〇三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 電気用品取締法案(内閣提出第一七〇号)(参
 議院送付)
 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一一八号)
 割賦販売法案(内閣提出第四〇号)
 機械類賦払信用保険臨時措置法案(内閣提出第
 七二号)
 石炭及び鉱産物の輸送費に関する件
     ――――◇―――――
#2
○中川委員長 これより会議を開きます。
 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、前会すでに質疑を終局しておりますので、これより本案を討論に付するわけでありますが、討論の通告がありませんので、これを行なわないで、直ちに本案を採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中川委員長 御異議なしと認め、本案を採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#4
○中川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書等の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
     ――――◇―――――
#6
○中川委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案により、石炭及び鉱産物の輸送費に関する件について決議せられたい旨の提案がなされております。
 この際、提案者を代表して岡田利春君より趣旨の説明を聴取することにいたします。岡田利春君。
#7
○岡田(利)委員 ただいま上提されました石炭及び鉱産物の輸送費に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表して趣旨の説明を行ないます。
 まず決議の案文を朗読いたします。
   石炭及び鉱産物の輸送費に関する決議
  今回の国鉄運賃値上げは、エネルギー消費構造の変革に対処するため、大幅な生産コストの引き下げを要請されている石炭産業並びに、価格中に占める運賃比率の高い金属、非金属鉱業に対して、極めて甚大な影響を与えている。
  よって政府は、これら産業に対する国鉄運賃の負担の軽減について運賃補給、運賃割引等、特段の措置を講ずべきである。
 右決議する。
 次に、提案の理由の説明をいたします。
 今回の国鉄運賃の値上げは、石炭鉱業並びに金属、非金属鉱業に対し、特に甚大な影響を与えております。御承知の通り石炭鉱業はエネルギー消費構造の急激な変革に対処するため、目下炭価引き下げのために徹底した合理化を遂行しておるのであります。政府においても、昭和三十八年度における炭価の千二百円引き下げを目標とする合理化計画を樹立し、この目標達成のためにあらゆる政策を講じておるのであります。このような時期において、国鉄運賃の大幅な値上げを行なうことは、合理化目標の達成を不可能にするばかりではなく、ひいては石炭鉱業を破壊の危機に追い込むおそれがあると考えざるを得ないのであります。従来政府のとってきた石炭政策の基本的な方針と著しく矛盾するものと言わなければならないと思います。
 また鉱石類は価格に占める運賃の比率がきわめて高く、物によっては五〇%以上を占めておるのであります。しかも国内の鉱産物の価格は、海外品に比べてかなり割高でありますために、貿易の自由化の趨勢に対処して、目下懸命な合理化努力を傾注しておる現状であります。従いまして、従来以上の運賃負担に耐えることはきわめて困難であり、鉱業業界は中小企業が圧倒的に多数を占めている実情から考えて、運賃値上げの実施は中小鉱山の休廃山の続出等を惹起し、重大な社会問題化するおそれがあると思うのであります。
 政府は、国鉄運賃値上げの与える影響が特に著しいこれら鉱産物に対しては、国内資源の有効利用、資源産業の育成等の見地から、格段の措置を講ずべきであると思うのであります。
 何とぞ以上申し上げました決議の趣旨に御賛同あらんことをお願い申し上げ、簡単ながら趣旨の説明を終わる次第です。
#8
○中川委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○中川委員長 討論の通告がございますので、これを許可いたします。長谷川四郎君。
#10
○長谷川(四)委員 ただいまの決議案に対しまして、われわれは何ゆえに決議案を出さなければならなかったかということであります。
 今日決議案を出すという段階に入るまでに、種々政府に向かっていろいろの折衝を重ねて参ったことは皆さんが御承知の通りでありますが、いまだはっきりとした、これをこうして行なうのだというような結論が出ておりません。こういう点から申し上げるわけでありますが、ただいま決議案の趣旨の説明にもありました通り、合理化をしなければならない。価格の引き下げをしていかなければならない。合理化ということが、すなわち国鉄運賃の引き上げのために合理化をなさなければならなかったというような結論に到達するからであります。
 またたとえば運輸省に伺いますれば、仲裁の裁定が出たから、これによって大幅な賃金の支払いがふえた。であるから、この方をどうしても譲るわけにはいかないというようなことであります。これとそれとは大きな相違があって、石炭とか鉱産物、こういうものは諸産業の原動力であることは論を待たないところであって、これらを政府が今日まで指導をし、また政府の考え方というものが一貫していなければならないと私は考えるのであります。この点から申し上げましても、今度の運賃値上げに対する石炭及び鉱産物に対しては、大幅にこれらを考慮してもらわなければならない。たとえば石炭において三十億、鉱産物において十八億、計四十八億の大きな幅が出てくるわけでありますから、中小企業はこれに対して今後いかにして進むべきか。また閉山をしなければやむを得ないような状態にあることも、これを見のがすことができないと考えますので、ぜひとも政府においてこれが実現できまするように、早急にこの解決を望む次第でございます。
 以上であります。
#11
○中川委員長 お諮りいたします。
 石炭及び鉱産物の輸送費に関する件を、本委員会の決議とするに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 なお、ただいまの決議に関する取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 この際、通商産業大臣に御発言があれば、これを許可いたします。
#14
○椎名国務大臣 ただいまの御決議の趣旨によりまして、なお関係省に折衝を重ね、その実現に努力したいと考えます。
#15
○松平委員 大臣の今の御決意ですが、大体具体的に現在折衝しておる状況とか、あるいは時期等の関係について、今後どういうふうな見通しを持っておられるか、その点ちょっとここで伺っておきたいと思います。
#16
○中川委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
#17
○中川委員長 速記を始めて下さい。
#18
○椎名国務大臣 予算補正の問題が仲裁裁定の問題に関連して、近く国会に上程されようとしておるのであります。しかしこれはあくまで大蔵省の主張が非常にかたくて、一般の予算補正は今の段階においては絶対に出せない。でございますから、国鉄の特別会計の予算補正だけに限定する、こういうのであります。でありますから、一般会計から石炭及び鉱産物の合計何十億ですか、これを持ち出して問題の解決をはかるということは、今のところは見通しは不可能です。でありますから、どうしても国鉄の特別会計の範囲内において、この問題を解決してもらう以外にはない、こういうことでございます。でありますから、新しい借款の問題、あるいはまた国鉄の運賃収入というものを、もう少し合理的に見込むことができるかどうか、そういう問題に関連してくるのであります。あくまで国鉄のふところ工合というものの中で、この問題をどうしても解決してもらわなければならない、こう考えております。
#19
○松平委員 それではまことに姑息じゃないかと思うのだけれども、国鉄の運賃増というものを、やはり今後相当見込まれるというような見通しを政府は持っておられるわけですか。
#20
○椎名国務大臣 私は国鉄当局ではありませんから、もっと運賃を見込んでもよろしいというような判断は持っておりません。持っておりませんが、それか、そうでなければ外部から借金をしてこの問題を一緒に解決してもらう、これ以外にないと思います。
#21
○多賀谷委員 関連。
 補正予算がおくれている理由は、特別会計だけでなくて一般会計の補正もするからというので、予算の提案がおくれておると自民党の方はわれわれに言っておるのです。たとえば鉱山保安の予算その他の一般会計の補正が必要であるから予算がおくれておる、こう自民党から社会党に対しては言っておる。ところが今大臣の話ですと、やはり補正は既定方針通り特別会計だ、こういうことになると、なぜおくれておるのか、これは私はきわめておかしい問題であると思う。これは何も通産大臣の所管の事項じゃないけれども、あなたも国務大臣として聞いておいていただきたいと思うのですが、野党に対してはそういった答弁をしておって、政府は既定方針を変えないというのでは、これは補正を早く出すべきですね。どうも私はふに落ちぬ。大臣、この間の経緯を知っておられますか。
#22
○椎名国務大臣 自民党が社会党にどういうことを申しておるか、それも知りませんし、それから予算がおくれておる事情もあまり詳しく知っておりません。
     ――――◇―――――
#23
○中川委員長 電気用品取締法案を議題とし、審査に入ります。
#24
○中川委員長 まず趣旨の説明を聴取することにいたします。通商産業大臣椎名悦三郎君。
#25
○椎名国務大臣 ただいま御提案になりました電気用品取締法案についてその提案理由及び概要を御説明申し上げます。
 最近における家庭電化ブームの進展に伴い、電気による火災、感電事故等の災害も漸増の傾向を示しておりますが、これらの災害の原因は、主として電気工事の欠陥、電気用品の品質不良及び電気用品の使用、取り扱いの不適正によるものであります。
 このうち、電気工事の欠陥による災害については、昨年第三十四回国会において成立を見た電気工事士法により電気工事に従事する者の資格が制限されることとなりましたので、これによってその防止の実効が上がるものと期待されます。また、電気用品の使用、取り扱いの不適正による災害については、国民の電気知識の向上に待つところが大きいのでありますが、電力会社による需用家施設の定期検査を強化する等の方法を通じて、極力その防止に努めつつある次第であります。
 ところで、電気用品の品質または安全度については、昭和十年以来、旧電気事業法に基づく旧電気用品取締規則により、製造免許及び型式承認を主体とする取り締まりが行なわれておりますが、この制度は発足後すでに相当の年月を経過し、近年における家庭電気用品の急速な普及状況に即応して災害防止の目的を十分に達成することは、困難な実情となって参りました。このような情勢にかんがみ、粗悪な電気用品による火災、感電事故等の危険を防止して一般家庭等における電気の保安に万全を期するためには、この際電気用品取り締まり制度の全面的な改善合理化をはかる必要があると考えられます。これが、この法律案を提案するに至った理由であります。
 次に、この法律案の概要を申し上げます。
 第一に、この法律案による規制の対象となる電気用品の範囲は、主として一般家庭において使用される電線、配線器具、電熱器、小型機器等であります。
 第二に、電気用品の製造に関する規制といたしましては、製造事業者の登録制を実施するとともに、電気用品の型式について一定の試験を行ない、その試験に合格したもののみの製造を認める型式認可の制度をとることといたしております。これは、実質的にはほとんど現行の取り締まり体制を踏襲するものでありますが、製造事業者の義務を明確化する等規定全般の整備をはかっております。なお、電気用品の輸入事業者に対しましても、型式認可の制度を適用することにより、製造事業者に準じた規制を行なうことといたしております。
 第三に、一般消費者が安心して電気用品を購入使用できるようにするためには、製造及び輸入の規制のほか、販売の段階におきましても、不良な電気用品の流通を阻止する必要がありますので、販売事業者が型式認可済みの表示のない電気用品を販売することを禁止することといたしております。
 第四に、電気用品の製造の急激な増大に伴い型式認可の申請件数も著しく増加する傾向にありますので、認可のために必要な試験の業務を円滑に処理するため、従来の国の試験機関のほか、一定の基準に適合する民間の試験機関を指定してこの試験を行なわせる道を開くことといたしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその主要な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。
#26
○中川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#27
○中川委員長 割賦販売法案及び機械類賦払信用保険臨時措置法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がございますので順次これを許可いたします。笹本一雄君。
#28
○笹本委員 私は法案の内容についての質問は後日に譲ることにいたしまして、本日は一般的事項に対する政府の考え方について数点お尋ねいたしたいと思うのであります。
 その第一は、割賦販売制度はここ数年来急激な発展をしておるのでありまするが、現在の普及状況から見て、今後ますます助長し、振興すべき段階にあると判断されておりますかどうか、本案は割賦販売の取引秩序の確立を期するいわば秩序法であって、積極的にこれを振興するものではないと言われるのでありましょうが、販売者もまた購入者も安心して取引ができるようになり、さらに今後消費者金融制度、賦払い信用保険制度、消費者信用調査機関の整備等の問題が当然登場して、これらが逐次整備されることによって、割賦販売は飛躍的に増大し、実質的には振興の役割を果たすこととなると考えるのでありますが、真のねらいはどこにあるのでありましょうか。また所得倍増計画においても、国内需要の喚起すなわち消費の拡大が、経済高度成長の一つの基本要因であるとの立場をとっているのでありますが、本法はその経済高度成長策の一環をになうものであるかどうか、あわせてこの点に対してお尋ねしたい。
#29
○椎名国務大臣 前に申し上げました通り、この制度は最近の実勢にかんがみて、これに秩序を与えるというのが主眼でございまして、これを奨励するとか、あるいは助長するというような意味のものではございません。従って結果においてはこの秩序を与えるということによって、一そう割賦販売の制度に対する信頼の観念を普及させる、そういったようなことによって、なおまた消費力の向上というようなことと相待ちまして、これが今日以上に健全に普及されるということになるとは思いますけれども、それを直接目ざし、これを推進するものではない、こう御了承を願います。
#30
○笹本委員 次に景気調節策についてでありますが、割賦販売は何らかの形で消費者の所得を越えた消費購買力を増大させるのでありますから、景気上昇に対しては強い刺激を与え、消費財産業に、ひいては消費財生産に必要な生産財産業にも活気を呼ぶこととなりますが、一方借りた信用はやはり返さなくてはなりませんから、この返済が今度は消費購買力の収縮を起こして、景気下降に強く作用するのであります。この作用を適当に調節すれば、一方では景気の過熱を防ぎ、他方では不況の谷を浅くして、景気の激動を回避して経済の順調な発展に役立つと考えるのでありますが、とかく景気の上昇期には、消費者側は争って信用購買力を増そうとするし、また販売者の側においても安易に売らんかなの態勢を強める傾向がありまして、景気の過熱に追い込みやすく、反対にそれが一度不況に転じ始めると、販売者側も購買者側も用心して一挙に収縮することになりまして、不況の速度と深度を増大し、景気の山はいよいよ高く、谷はいよいよ深くなり、景気循環を振り回す不安定要素となる形で作用することとなると考えるのであります。
 でありますから割賦販売制度の最も発達しているところの米国においてすらも、かつては経済循環に対する不安定要因としての弊害を除くために、消費者信用制度の統制が行われ、また英国においてもその調節措置がとられたと聞いておるのであります。従って一方においては、景気の激変を回避するための信用調節手段を講ずることが、国民経済の健全な発展上必要でありますが、本法はこれについての措置はなされていないと考えるのでありますが、いかなる対策をお持ちでありますか、その点を聞かしていただきたい。
#31
○椎名国務大臣 今御指摘の通り消費者信用というものがだんだん発達して参りますと、好況のときは非常に工合がいい、不況のときにはまず第一番目に消費者信用というものをちょん切るということになるから、よけい波が高まったり、低まったり、その波動が相当大きくなるということがいわれておるようでありますけれども、まだ日本は割賦販売制度を実施したからといって、すぐそういうふうになるには、相当の段階を経ることになるのではないかということを考えます。御心配の点はもちろんあると思いますけれども、まだそういったような実情に達しておらないのでありまして、その状況によっては、またこれに対する対策を考えていかなければならぬ、こう考えております。
#32
○笹本委員 今大臣のお話でそう大して心配は今のところないと言われておりますが、二、三日前の新聞にも月賦販売で購入した、それが払えないで心中したというような記事が何か出ておりましたが、やはりこういう時代でありますから、これはまだと言いますけれども、だんだんこういう上昇期に立っておると購買力をあおられて、月賦で首が回らないというようなことも起きてくると思うので、楽観を許さないと思うのであります。
 次に消費者金融についてお尋ねしたいのであります。三菱銀行と東京信販とか、三菱銀行と丸井の提携によるところのクレジット・カード販売、日信販と都内の信用金庫のチェーン・クレジット・システム、三和銀行と日信販によるクレジット・ビューローの設立、日本ダイナースクラブと主要百貨店の提携等、昨年の秋ごろから都市銀行が消費者信用に乗り出してきたのが目立っておりますが、最近は銀行の預金吸収策とも関連して、個人に対する一般的な消費金融も浸透しつつあるのであります。消費者金融が充実して初めて割賦販売は花が咲くと考えられるのでありますが、さきにも申しました通り、割賦販売は景気に対しても個人経済に対しても両刃の剣のようなものでありまして、消費者金融のあり方には十分注意を払う必要があると考えるのでありますが、これについて自然発生的放任主義をとるのか、あるいは助成策をとるのか、または指導措置を講ずるのか、その考えを一つ聞かしていただきたいと思います。
#33
○松尾政府委員 御指摘のように最近消費者金融につきまして、各銀行等が非常に熱心な傾向を見せておるようであります。ただ現実問題といたしましては、銀行もやはり信用を中心にいたしますので、ある程度銀行に定期預金を持っておるとか、相当な信用担保がある場合に限って、消費者金融の道を講じておるようであります。その際に今御指摘がございましたような、いわゆる割賦販売に関係のある、たとえば日信販等がこれと提携をする場合もございますけれども、しかしその場合はいずれもその銀行の消費者金融に対して、あるいは信用調査をやってやるとか、信用保証をやる、あるいはその取り立ての手伝いをするというようなことで、その制度自体は新しい月賦販売というような形ではなくして、文字通り消費者金融であり、あるいはまたいわば掛売りの補助手段というような形で行なわれておるものが、最近出て参ったようであります。しかし御承知のように現在行なわれておりますいわゆる月賦そのものも、先ほど大臣からお話がありましたように、全体の日本経済に占むる割合というものはまだ小そうございます。ましてただいま御指摘の消費者金融その他は、全体の金融その他から見れば、まだきわめてわずかなものであろうと思います。従いまして今すぐこれにつきましてどうするということは必ずしも必要でないと思いますけれども、御指摘のように将来のことを考えれば、おそらくその動き等は十分注目して考えておかなければならない問題であろうと考えます。
#34
○笹本委員 次に最近のいろいろの製造メーカーの月賦販売について、ちょっと聞いてみたいと思いますが、特に電気器具のような大メーカーが、系列下の小売店を通じて直営月賦販売に乗り出してきたというのが非常に目立ってきておる。しかもそれが花形商品がほとんどこうした方法で販売されておるようになってきております。これは小売商を圧迫している傾向が顕著であると思うのでありますが、これに対しては何か規制措置を講ずるようなお考えをお持ちでありましょうか。
#35
○松尾政府委員 メーカーがいわゆる月賦販売という形につながりまして、今御指摘のような事業をやっておるところは、特に耐久消費財について顕著であると思います。大部分の場合はメーカーが別会社を作って、その商事会社から現に小売をやっております小売商にいわゆる掛売りといいますか、代金の取り立てを猶予する形で資金の融通をして、そういう形で月賦販売が行なわれていることが現状であることは御承知の通りであります。もちろんこういう小売店が月賦販売をいたします際には、この法案に基づきまして、お客さんとの間のトラブルがないように、いわゆる秩序づけをすることは当然でございますけれども、しかしそういう形の月賦販売を特にこの法案そのもので、特別に伸長するとか抑制するとかいうような特別の意図は持っていないことは、当初に御指摘のあった通りであります。今後こういう形の月賦販売が相当伸びるだろうということは当然予想されます。特に自動車につきましてはその金額は相当大きくなっております。まあそういう耐久消費財、特に金額の大きなものについては、こういう形の月賦販売が経済的にも今後伸びるだろうということは、当然予想されることでありますので、そういう経済の実勢で伸びるものを特に押える、あるいは実勢以上に伸ばすというような政策的なことをする必要はないと思いますけれども、その過程で販売業者とお客さんとの間にいろいろなトラブルがないように、健全な形で伸びていくようにというのが、現在の私どもの考え方の基本でございます。
#36
○笹本委員 そうするとこの割賦法案の趣旨というものは、強制的ではなくて、交通整理をしているようなことになるわけですね。
 次に百貨店の割賦販売について伺ってみたいのですが、百貨店のチケット販売が小売商に影響を及ぼすところが大きいことは御承知の通りでありますけれども、一昨年の自粛勧告によって、六大都市の百貨店については一口千円以下、地方都市については五百円以下の商品についてはチケット販売を行わない。将来はそれぞれ三千円とか千五百円に引き上げるということになっているが、これはどうされるつもりであるか。
 また百貨店が銀行と提携してクレジットカード・システムを取り入れているのでありますが、このシステムによるところの対象消費者は、個人にしても事業場にしても中以上の層に置いているので、従って信用ある消費者はほとんど百貨店に吸収されていく。こうなりますと小売商をますます圧迫する傾向があると考えるのでありますが、これらに対していかなる対策を用意されておりますか、その点伺ってみたいと思います。
#37
○松尾政府委員 いわゆるチケット販売は御承知のように百貨店もそのチケット販売に参加いたしておりますし、小売商も参加いたしておるのでありますが、百貨店と小売商との経済的な実力の差異等の関係から、どうも百貨店のチケット販売が伸び過ぎるではないかということに対する自粛措置がとられたのであります。その際に今御指摘のございましたような制限額を一年後には引き上げるということを一応考えておったのであります。しかしその自粛程度を引き上げるときには、消費者の利便あるいは小売商あるいは共通チケット発行機関の経営とか各方面に対する影響を十分検討した上で、その引き上げについて事態にあまり支障がない限り、制限額の引き上げをやるということで自粛を要望いたして参りました。従いまして現在におきましては、そのような制限額の引き上げにつきまして、まず前の自粛措置によってどのような影響が出てきたかということの調査をやっておる段階でございます。これを概略で申し上げますと、自粛の実施以来、百貨店においてチケット販売の売り上げは、一−五月あるいは六−九月、その後の時期をとりましても、かなり大幅に減少いたしております。またチケット販売自体でなくして、百貨店自体の総売り上げが減少したのもございますが、特にチケット販売の額は、かなりの減少した数字を示しております。さらにそのチケット販売の仲介をやります、いわゆる共通チケット発行機関、現実には特にその大きいものとして日本信販でございますが、日本信販の売り上げには、百貨店のチケット売り上げの減少と見合ってというよりも、それ以上にかなり大幅な減少を見せております。そういうことを見て参りますと、もう少しその事態の推移を見ないと――と申しますのは、逆にこの際影響の程度が、今申しましたようにいずれも自粛措置による売り上げ減少という形を示しておりますが、その売り上げの減少が逆に小売商にどれだけ有利に働いたか。また日信販には小売店が参加しておりますが、小売商にも影響があるわけであります。その日信販の経営に非常に重大な影響はないか。この辺もうちょっと期間をとって十分検討した上で、さらに制限金額を相当引き上げる、この辺を検討する必要があろうと思います。現在関係それぞれのところと詳細な計数について検討中でございますので、その検討の上で結論を出したいという考えでおります。
#38
○笹本委員 次に信用調査機関についてお聞きしてみたいと思います。現在信頼すべきところの消費者信用調査機関がないので、販売業者はそれぞれ単独に調査を行なっているのでありますが、大規模業者は専門の調査員を擁して、かなり詳細な調査を行なっているものもありますが、小規模業者はこれを行なう資力がないので、自然不十分になって、中には全然調査を行なっていない業者もありまして、そのために貸し倒れは小規模業者ほどその率は高いと聞いておるのであります。この危険負担は、結局商品価格にさや寄せせざるを得ないのでありますが、激化する販売競争下にあっては、これは十分価格に吸収することはむずかしく、これが小規模業者の経営を不安定ならしめる。さらにそのためにその業者に対する金融の道も、困難になるという悪循環に陥るのでありますが、この欠点を除くために、権威ある信用調査機関を設置する必要があると考えるのでありますが、これについていかなる構想を持っておるかお尋ねしたいのであります。
 また三和銀行と今お話しになった日本信販の共同出資になる日本クレジット・ビューローを設立して、信用調査事務を行なうと聞いておるのでありますが、このような民間機関に対しては、いかような育成案を考えておるのか、この点についてお尋ねいたします。
#39
○松尾政府委員 割賦販売に伴ないまして、信用調査の必要があり、またそのためにできるだけ広く利用されるような信用調査機関が望ましいことは、これは割賦販売が健全な方向につくためにはぜひ必要なことでありますが、ただ問題は、信用調査というからには、その事業内容が非常にむずかしいというところに困難な問題があると思います。この問題は、この法案の内容につきましては、実は産業合理化審議会の流通部会におきまして一年有余にわたって審議の結果、今提案されております割賦法案の提案を見たのでありますけれども、その討議に引き続きまして自来御指摘のような信用調査機関のあり方等、日本の場合どうするかということをずっと検討して参りました。しかしその審議の経過から見ますと、そういう信用調査機関の組織あるいはその採算、業界の協力態勢、こういう点をどういう形に持っていったらいいかということは、アメリカ等の先進国の例と比べてみましても非常にむずかしい。特にアメリカ等では信用調査機関は現在かなり発達しておりますが、これは二十有余年の経過を経て、ようやく今日にたどりついたということを考えてみますと、いきなり政府が補助金を出してどうするというわけには参りません。やはり業界でそういうものについて十分信用調査機関の設置が盛り上がって相当具体化した場合に、初めて考え得る問題であると思いますが、現状ではまだそこまでいっておりませんので、必要であるということは十分われわれわかっておりますが、どういう形で信用調査機関を、日本の場合に植えつけたらいいのかという点には、今後かなりむずかしい問題があると思います。ただ現在におきましては、つい最近、先ほど申しました日信販が信用調査の業務を、この四月から開始をしたと聞いております。しかしまだ始めたばかりでございますので、はたして企業採算に乗るかどうか、その辺はもう少しその推移を見なければならないと思いますが、何らかの形で信用調査機関を今後伸ばしていく、植えつけていきたいということは、私どもの強い希望でございます。
#40
○笹本委員 今局長のお話ですと、百貨店の割賦販売というのは非常に率は少なくなっておる。それから一般の割賦販売は統計がないでしょうか、どのくらいの率で普及されておりますか。
#41
○松尾政府委員 現在百貨店の行なっております割賦販売は、御承知のようにいわゆる日信販というような、ああいう形のチケット機関を通じての割賦販売だけでございます。その率は百貨店の総売上げの中で見ますと、チケット販売を行なっておる百貨店だけについて見ましても、せいぜい五%以内というくらいで、きわめてわずかなものであります。それから全体の小売の中で一体どれくらいチケット販売を含めた割賦販売が行なわれているかということは、商業センサス等で見て参りますと、いわゆる一部割賦販売を併用しておるというものもあわせ考えてみますと、約二割程度が割賦販売に関係している。しかし割賦販売を主としてやっておるというもので申しますと、商業センサスによりますと約三万店くらいでございます。従いまして全体の小売商が約八十万ございますから、そのチケット販売を主としてやっておるという店は、ごくわずかだということに相なります。
#42
○笹本委員 今、最後にお尋ねしました調査機関の問題ですが、これは一番大事なことではないか。今お話の日本信販が調査機関を作るということは非常にいいことではないかということは、新聞その他によく出ておりますが、昔の取り込み詐欺というやつが今度割賦詐欺、割賦でどんどん取って転売する。またこれは相当大規模の日本信販とかいろんなところでは、調査が行き届いておりますが、町の小売商業の加盟団体なんというものでは、ほとんど調査がございませんから、みすみす割賦によって被害を受けている。これがやはり価格の方にしわ寄せされてくる。非常に重大なことでありますから、これには何かの方策で力を入れた機関を作る必要があると思うのでございます。
 また質問いたしますが、今はこれで終わります。
#43
○中川委員長 田中武夫君。
#44
○田中(武)委員 割賦関係の二つの法案の具体的な審議に入る前に、両法案に共通なこと、すなわちそれは割賦販売であります。今笹本委員からも割賦についての一般的な質問がなされましたが、私もそういう観点から大臣その他にお伺いいたしたいと思います。ゆりかごから墓場までという言葉はイギリスにおける社会保障の理想でございます。ところが今日出産の費用も月賦、墓まで割賦で売りましょうという時代で、まさにゆりかごから墓場まで割賦販売の時代であります。月賦の時代であります。そこで笹本委員も先ほどお尋ねになりましたが、とにもかくにもこれだけはんらんする割賦販売に対していわゆる交通整理、秩序を設けろというのが今回の法案であろうと思います。しかし秩序を設けることは必要であろうとしても、政府自体はこの割賦販売に対して基本的にどう考えておられるか。先ほどの笹本委員の質問に対して、奨励もしないが抑制もしないといったような、とにもかくにも傍観的というか、秩序だけはこしらえるが、割賦それ自体の販売についてはいずれにも考えていない、こういうような大臣の御答弁があったと思うのです。しかし割賦販売法の第一条の目的には「その健全な発達を図ることにより、商品の流通を円滑にし、」云々とあります。従って政府はやはり積極的に割賦販売を助長し育成しようというお考えを持っておるのではなかろうか、こう思うのですが、あらためて割賦販売に対する政府の態度をお伺いしたいと思います。
#45
○椎名国務大臣 賦払いの問題が、だんだん社会信用が整理されてくるに従って、どの国でも漸次これが盛んになってくるのでありまして、日本においてもその情勢にあると考えております。この賦払いというものが要は健全に育つことである、健全な賦払い制度が育つことは、国民経済の上において非常に重大な意義を持っておるものと考えております。従って今回の制度は、この賦払い制度が健全に育つというところを目ざしておるのでありまして、これによって特に賦払い制度を抑制するとか、あるいは特に助長するという、そういう意欲は出しておらない。ただ健全な賦払い制度が世の中に行なわれるということは、政府といたしましては期待するところでございます。
#46
○田中(武)委員 政府としては、各種多様に行なわれておる割賦販売に対して、特に助長もしないが抑制もしない、こういう態度で臨む、こういうことでございますか。従ってこの法案自体はそういう中立的立場から出されたものなんですか、いかがですか。
#47
○椎名国務大臣 言葉をかえて言いますと、よくも悪くもとにかく割賦制度というものを、世の中に充満させようという気持はない。健全な賦払い制度は好ましいことでございますから、そういうものを期待しつつ、賦払い制度の健全化をはかっていこうというのが、この制度の直接のねらいであります。
#48
○田中(武)委員 大臣はそのように言われておりますが、やはりこの法案を出す、あるいは一方においては機械類に対しては政府の保険までつけようということは、大臣は割賦販売それ自体に対してはどちらとも考えていない、ただ行なわれている割賦販売が健全にいくようにというだけであろうというような答弁でありますが、そうでなく、積極的なものがここにあろうと思う。この法案を出された意図はそこにある。たとえば三十四、三十五年度と設備投資が続きました。本日の「日本経済」にも出ておりますように、これは日本開発銀行と日本長期信用銀行の調査ですが、三十五年度に比べて三十六年度は設備投資は四、五割方増であると、設備投資に金を貸す側の銀行が見通しをつけております。三十四年度あるいは三十五年度時代に行なわれた設備投資が量産態勢に入ってマス・プロの段階にきております。普通の状態であるならば生産過剰という状態が起きてくる。そこでこれらの設備投資が効果を出してくるこの時期において、この割賦販売、あるいは一面機械においては政府保険をつけてもその設備投資からくるところの製品を、何とかはかそうという考えであろうと推測するわけなんです。大量生産に設備投資の結果が出てきた、しかしそれに対する需要が伴わない。すなわち生産量と賃金というものが並行して上がっていない。そこに物を作っていっても大衆の購買力がない、従って生産過剰という格好になる。そこで割賦法というような方法によって消費を刺激することによって、これをはかそうという考え方がある。こう考えてみたときに、この法案はやはり消費者側の上に立つものではなくて、設備投資を行なって大量生産の態勢に入った大企業の販売を助けるという方向をたどっておる、少なくとも方向を示しておると思うのですが、どうなんです。
#49
○椎名国務大臣 機械の賦払い信用保険制度もともに御審議を願っておるのでありますが、これにつきましては、中小企業向けの設備機械の割賦販売等を中心に、そうしてできるだけ早く中小企業の設備近代化を、側面から助成したいという考え方を持っておるのでありますから、この機械等につきましては、積極的な意欲を法案の上に示しておるのでございます。
 一般の賦払いの問題につきましては、最近の情勢によってますます賦払い制度が普及して参る傾向にございますので、これを健全なものにする、それによっていろいろな経済上無用な混乱を引き起こさないように健全に進めて参りたい、あくまでそういう意味の法律でございますが、しかしわれわれといたしましては、特にメーカー側がどうのあるいは消費者がどうのということではなしに、健全な賦払い制度というものは、結局社会信用制度の拡充でございますから、そういうものは望ましいということは考えておりますけれども、法案それ自体にはそういう意図は示されておらない、こういうことを御了解願いたい。
#50
○田中(武)委員 大臣はそのようにおっしゃいますが、もちろん割賦販売法は前国会に出ましたが、この時期においてこういう法案が出てくることは、何といっても設備投資の結果、量産態勢に入った各大企業――ほうっておくならば生産過剰という問題にぶつかります。そこで安易にして消化できる方法、消費者の実力を越えて購買せしめる方法が割賦であります。従ってそういうことによって救おうとするのは、やはりすでに設備投資を終え、またすでに設備投資を行なおうとしておるところの大企業の生産されたものを流通においてはかそうというねらいがある。これはあなたがそういうことでないとおっしゃっても、そういう背景の上に立っておることは明らかであります。法案においてはそういうことはないとおっしゃいますが、割賦販売法の第一条目的の中には、「商品の流通を円滑にし、」とあり、機械類賦払信用保険臨時措置法の方には、これまた第一条において「機械工業の振興」云々というのがあります。中小企業のためという前段に対して後段に機械工業の振興ということがあります。ねらいは前段にあらずして後段にある。しかもその代金の取り立てに対して政府は販売業者を保護するための保険をつけよう、こういうことは、まさに設備投資の結果、量産に入ったものを救わんとするところの政策であると考えますが、その点いかがでしょう。
#51
○椎名国務大臣 機械の賦払い制度につきましては、御指摘の通り両方の目的があると思います。中小企業の設備近代化を一そう助長するという点があるのでありまして、これによって一面においては補助金等の助成方法がありますけれども、またそれを越えてどうしてもりっぱな最新の機械を備えつけたいという場合に、その目的を達成せしめるこれは有力な手がかりであるということを考えます。同時に、また日本の機械工業の現状を見ますと、いわゆる多種少量生産で、あっちもこっちも手をつけてそしてどれもあまり満足な状況ではないというような機械メーカーが相当多いのでありますから、そういうことでなしに、品種を少なくしてそうして、その少ない品種を多量に作って、そういうことによってメーカーの技術が向上し、コストが安くなるという点をねらっておるのでありまして、大メーカーの生産品をなるべくはかすというような目的ではございません。いわゆる多種少量生産の現状を改善して、そして専門メーカーを育成しようというのがねらいでございまして、大体二つのねらいを持っておるということは言えると存ずる次第であります。
#52
○田中(武)委員 大臣の答弁は、私の質問の全体に答えておられませんが、それはそれとしておきましょうが、資料として企業局から出されております割賦販売の現状、この第一ページを見ましても、ここに割賦販売の歴史がうたってあります。割賦販売が発展してきたときは不景気といいますか、言いかえるならば生産過剰の状態に入ったときであります。戦時中はこれが中絶せられて、戦後急速に伸びてきたのは朝鮮動乱以後でございます。すなわち朝鮮動乱による特需を目当てに設備投資を行なった、ところが朝鮮動乱が終わってその設備が遊ぶ、そこでどんどん物を作っていっても、結局は有効需要がこれに伴わない、ということは大衆購買力がこれに従わない、言いかえるならば賃金が安い、そこで割賦という方法によってということで、急速にその時期からふえてきております。これは割賦の歴史が示すところであります。今日この割賦販売を大臣は何とかかんとか言われておりまするが、とにもかくにもこういう法案が出るということは生産過剰、設備投資の結果からくるところの、それに対して援護しよう、こういう意図であることは明らかであります。
 そこでお伺いいたしますが、三十四年、三十五年、あるいは三十六年は見通しになりましょうが、設備投資は国民総所得に対してどの程度であったのか、それは通常な経済の発展からいって均衡を保った設備投資であったのかどうか。その設備投資が生産の段階に入って参ります。従って生産数量と賃金指数、生産量と賃金との関係がどうなっておるか、これを一つ経済企画庁が見えておればその方がいいかと思いますが、簡単でよろしいから数字的に言ってもらいたいと思います。
#53
○松尾政府委員 経済企画庁から御説明をした方が適当であるかと思いますが、一応手元に資料がございますので御説明を申し上げます。
 御承知のように三十五年度には、先ほどお話がございましたように前年度に対しまして設備投資は、かなり大幅に増加いたしておりますし、三十六年度も引き続きその傾向が強いということはお話の通りであります。三十五年度におきましては国民所得十四兆二千三百億――これは実績推定でありますけれども、十四兆二千三百億程度に対しまして、生産者耐久施設、いわゆる設備投資のこれは通産省所管産業、あるいはいわゆる生産設備全部を含みまして二兆八千五百億と、今一応実績推定は出ております。
 来年度はそれに引き続きまして国民総生産が十五兆六千二百億に対しまして生産者耐久施設の総投資が三兆一千四百億という見込みが出ております。いずれもこれは前年度三十五年度に対しまして約一割程度の増加ということでございますが、現状では三十五年度の実績見込みも若干これを上回るのではないか、三十六年度の計画見込みも、もう少し強いのではないかということでございます。現状ではそういう数字でございます。
#54
○田中(武)委員 私の言っているのは国民総所得に対して設備投資がどの程度の割合を持っておるのが健全であるか、これはもちろん国民総所得だけの関係でなしに、貿易関係等も考える必要があろうと思いますが、大体設備投資の健全なやり方というのはやはりそういったところの割合をにらんでいかなくちゃいけないと思う。それを越えるならばやはり過剰の設備投資、こういうことになると思う。そういう点につきましてはここ二・三年来はどういう傾向にありますか。それから私が申しましたここ二、三年来の生産指数と賃金上昇指数の関係はどうなっておりますか。これは企画庁から……。
#55
○中川委員長 企画庁が来ておりませんが……。
#56
○田中(武)委員 企画庁に来てもらうように言っておったんですが、見えてないので、そういう関係は資料として要求しておきます。しかし私考えてみますのに、生産指数は賃金指数を上回っておる。そこに普通の状態ならば物が売れない、生産過剰の状態がくる。そこで低賃金の者も物を買わす、いわゆる法律による有効需要の刺激、これが割賦販売であります。私そう考えておりますが、そういう点はお認めになりますかどうですか。
#57
○椎名国務大臣 今度の機械の賦払いの問題について……(田中委員「機械ではない、割賦全般」と呼ぶ)これを例にとってみたいと思います。これは決して作り過ぎたから賦払いによってこれをはかそうというのではなくて、先ほど申し上げたように、種類を少なくして多量専門生産を助成しようというやり方でございまして、ただいま機械は飛ぶように売れて、注文しても十カ月も待たなければならぬというような状況でございまして、少なくとも機械に関する限りは作り過ぎをさばくための賦払いではないということは申し上げられると思うのでございまして、過去においては賦払いはそういったように過剰生産をはかすというような意味で用いられた場合もあるかもしれませんが、必ずしも賦払いというものは、そういう事情によって生まれてくるものではない、こう考えております。
#58
○田中(武)委員 先ほど私が申しました数字が出ませんから、数字が出たときに、もう一度あらためて討論をしたいと思いますが、私は推定でございますが、生産の上昇に見合うだけの賃金が上がっていない。そこで需要がこれに伴わない。大衆購買力がこれに伴わない。そこでそれをカバーする方法として考えられるのが割賦販売であります。消費者側からいうならば、割賦という安易な方法があることは一応便利でありましょうし、そのために高価のものも割賦で買えるという利点はありましょう。しかし実力をこえて買うという傾向になる。それは賃金が安いからそうなる。従って割賦販売というのは大衆購買力と生産量が均衡を破ったときにとられる方法であります。そうでないとは歴史がいわせません。そうであります。しかも日本では最近盛んな設備投資が行なわれて、ますますマス・プロに移行しております。それをやるために、それをはかすために今後もっと割賦販売が盛んになる。そうして消費刺激をやる。消費ブームを起こしておる。そういうところが割賦販売のねらいである。政府はいろいろの状態において行なわれておる割賦販売に対して、一つの法秩序を与える、こういって今回この法案を出しておられるのでありますが、私の申し上げておる点をよく考えていただいて、もう一度法案を見直した場合に、抜けている点等々たくさんあろうと思います。同時にまた、私が一番最初から言っておるように、これ自体はやはりそういう生産を刺激し作り過ぎたところに対する救済である、これははっきりと言えると思います。さらに貿易の自由化、ことにアメリカのドル防衛等々からくるアメリカその他の消費財も多いと思います。これが国内の割賦販売ルートに乗って、どんどんとはかされていくということになるならば、今通産省の頭痛の種の一つである国際収支、これにすでに警報が出ております。これをますます悪くするという結果になろうと思いますが、そういう点についてはどう考えておられますか。
#59
○椎名国務大臣 今の御所論は、こういったような制度があるなしにかかわらず出てくる現象であると考えます。今の国際収支の逆調は、なおいろいろな事由によって生じておるものでございまして、このためだというふうな決定的な原因は言えないのではないか。なおまた、この国際収支の改善につきましては、しばらくその推移を待って適当に対処をして参りたいと思います。
#60
○田中(武)委員 国際収支の逆転ということが、あえてこの割賦だけであるとは申しておりません。しかし、先ほど申しましたようなことから、ますます国際収支にも悪い影響を与えるような方向をとるであろうと考えます。従って、割賦販売についての秩序を設けるということの観点に立って法律を作るならば、そういった消費者側の、あるいはそういった消費の助長といいますか、刺激といいますか、そういうものに対してどういう対策をとるか、こういうことを頭に置きながら作っていく必要があろうと思います。ところが残念ながらこの法案にはそういう観点が一つも出ていない。法案を作る立場は販売者側に立って作られておる。それは割賦販売法という名前が示す通りである。ほんとうならば、法秩序を与えるということなら、割賦販売の契約法とか、取引法とか、こういう格好の形態をとるべきである。これは販売者側の立場に立っての立案である。内容の具体的なものにつきましては、後日同僚委員から、あるいは私からも質問いたしますが、総論的に申し上げてもそういうことは言えると思いますが、私が今申しておりますようなことを頭に入れて立案せられたかどうか。少なくとも設備投資の結果出てくる生産の増大といいますか、ほうっておけば生産過剰になる、それを割賦という方法によって流通せしめようという、一方においては低賃金をカバーする、そうして有効需要を刺激することによって大量生産に入ってくる各企業、言うならば設備投資のやり過ぎを救おうとする、そういう観点に立っておるといわざるを得ないのですが、どうですか。
#61
○椎名国務大臣 生産の上昇と賃金の上昇の問題については、これはおのずから所管が違いますから、企画庁に相談して、資料として提供したいと思いますが、生産の上昇の場合には、いわゆる技術革新によって非常にすばらしい生産上昇を来たすこともあるのでございまして、生産上昇と賃金の上昇が必ずしも合致すべきものであるかどうかということにつきましては、私は相当に考慮しなければならない要素があると考えます。これは私の所見でございますからお聞き捨てを願いますが、この制度は、消費刺激を与えて、賦払い制度を特に助長しようというような意図は、一つも含まれておらぬのでございまして、最近の情勢に対処して、むしろ健全な割賦販売制度、言葉をかえて言うと、どっちかといったら売る方よりも消費者の方が経済的に立場が弱い場合が非常に多いのです。商品についての知識もそうありません。いよいよ物が不足して、ほしいほしいの一念で物に飛びつくというような場合が多いのでありますから、そういうような立場で、この賦払い制度に飛びつく、その結果思わぬ経済上の損害を受けるというようなことのないように、どこまでも、どっちかといったら消費者をよけい保護して、そうして健全な賦払い制度というものを実現して参る、こういう趣旨なのでございます。従って、過剰生産をはかすためというようなことは、われわれは毛頭考えなかった次第でございます。
#62
○田中(武)委員 私は、あくまでも割賦制度というものは、この法案を通じて見る限りマス・プロの救済策である、こう断ぜざるを得ません。生産の上伸の指数と賃金の指数とは必ずしも一致しなくてもいい、こういうようにおっしゃっておるのは、数字的に一方が三%上がったらこちらも三%というような意味ではありませんが、生産に見合う賃金が支払われておるならば、そこに大衆購買力はついていくわけです。大衆購買力がついていかないから、月賦という方法で物をはかそうという手段が出てくるわけです。従って、これは低賃金の政策に対するカバーであり、マス・プロの設備投資の行き過ぎに対する救済策である、こう私は見ております。大臣は今むしろ消費者を守るためにとおっしゃったが、それでは大臣が言われたような気持が、割賦販売法の第何条に出ておりますか。
#63
○松尾政府委員 この法案の内容は、御承知と思いますが、大部分の規定が消費者保護の規定に終始いたしております。販売業者側の規定は、いわゆる所有権留保の推定規定一条だけでありまして、これは明らかに販売業者側の保護規定でありますが、それ以外の規定はほとんど全部が消費者側の保護規定である。またチケット販売に関する規定につきましては、チケット販売機関に参加しておる小売商が、不測の損害をこうむらないようにという規定が入っておりますが、それ以外は全部消費者保護の規定でございます。
#64
○田中(武)委員 そうであるかないかは各一条々々にわたって後日討論をいたしましょう。消費者側の保護となるような規定もあります。しかし、これはあくまでも販売という立場に立っての法案であるということを、私は主張いたします。あなたがおっしゃるように、所有権移転に関する推定以外は、全部消費者保護であるかどうかは、後ほど割賦販売法案を審議するときに、具体的に私の言う各論において、一条一条あなたとゆっくりやってみたいと思います。ただ私は割賦販売法というものは、今申しましたような観点に立って作られた、こういうように考えております。従いまして先ほど申しました国民生産と賃金の関係、あるいは設備投資と国民総所得との関係、こういうようなことは資料として出していただきたい、このように考えます。
 次に、同じく両法案共通な点につきましてお伺いいたしたいと思いますが、割賦販売法の二条一項、機械類賦払信用保険臨時措置法の二条二項、これに、ともに割賦販売契約というものが定められております。前者においては期間二カ月以上、賦払い回数三回以上ときめており、後者においては政令で定める期間、そして賦払い回数は三回以上ということになっている。同じような法律において、目的はもちろん若干違うといたしましても、割賦販売契約という法律語に対して、同時に審議しようとする二法案において違った態度がとられておるのはどういうわけですか。割賦販売というものを法律的に定義する以上は、統一した見解が必要であろうと思いますが、この点につきましては法制局にもお伺いいたします。
#65
○佐橋政府委員 機械の賦払信用保険は、ただいま先生が御指摘のように、期間については政令で定めるということ、それから「三回以上に分割して受領することを条件として」云々という方は、割賦販売法と同じでありますが、機械につきましてはまだ定型的な販売割賦の方法がありません。これから指定します各機種によりましていろいろ販売の形式が違いますので、それぞれの機種に合わせた期間というものを予定しておりまして、一がいに何カ月以上というふうにうたい得ないために、こういうことにしたわけであります。
#66
○吉國政府委員 ただいま重工業局長から御答弁申し上げたのと、ほとんど同様に私どもは考えております。要するに割賦販売法におきまする割賦販売と申しますのは、先ほど企業局長から申し上げましたように、割賦販売の範囲を定めたものでございますし、機械類賦払信用保険の関係におきまして割賦販売を定義いたします場合は、その法律の目的といたします設備、機械等の割賦販売取引の安定及び促進という見地から、いかなる範囲の割賦販売をとらえて法律の対象にするかという見地からきめたものでございますので、おのずからその間に差異が出て参ることは当然であろうと思います。
#67
○田中(武)委員 割賦販売契約は民法五百五十五条の売買契約の一つの型だと思うのです。割賦販売の方は一般消費者が対象でありますから、民法五百五十五条の契約、しかし一方が商売人になるから商行為になるだろうと思います。一方は中小企業とメーカーとの間ですから、お互いに商人同士の商行為による商法上の売買になるかどうかは疑問になりますが、割賦販売は民法五百五十五条の売買契約の一つの型である、こういうように考えておりますけれども、法律上の用語としては、割賦販売契約をどういうふうに規定したらよろしいのですか。
#68
○吉國政府委員 俗に割賦販売あるいは月賦販売と申しますものが、民法の売買契約の一つでございますことは、ただいま田中委員の仰せられた通りでございますが、従来の学問上の概念としては、あるいは月賦販売あるいは割賦販売というようなものが、学者の学説においては存在いたしましたけれども、法律の上に現われて参りますのは、この割賦販売法がまず最初でございまして、その割賦販売法で規律をいたす対象として、割賦販売の定義を第二条第一項で定めておるわけでございます。従いまして法律学上の概念としての割賦販売というものは、その学者の学問を講ずる上の必要から、いろいろ定義づけておるわけでございますが、この法律の割賦販売の定義は、この法律によって規律をする対象となる割賦販売のみをとらえて、定義したわけでございます。
#69
○田中(武)委員 おっしゃるように、法律的に割賦販売契約、割賦販売といった言葉が出てきたのは、今回が初めてであります。従いましてこの法律がきまることによって、割賦販売の定義が作られていくと思います。当委員会において同時に審議しているこの両案が、それぞれ割賦販売についての定義が違うということ、もちろん目的が違うからあり得るんだ、当然だとあなたはおっしゃったのですが、法律的な概念としては、割賦販売とはこういうものであるということをきめて、その上に立って展開していくべきものではなかろうかと思うのですが、どうなんですか。まず割賦販売とは法律的にこれだということをきめる必要がある。ここにある二つは、違った意義における割賦販売ということを取り上げておる。
#70
○吉國政府委員 これは立法の一つの技術の問題でございますが、割賦販売法においては、特に割賦販売として、この法律の規律の対象とするもののみ取り上げまして、割賦販売として定義をするわけでございますし、機械類賦払信用保険臨時措置法においては、措置法によって、一定の助成的な措置を講じます割賦販売契約の範囲は、こういうものであるということを一定して、法律を規定して参るわけでございますので、それぞれの法律によって、その必要とする概念が定まって参るわけでございます。学問的には、先ほど重工業局長から申し上げましたような、三カ月だとか二カ月だとかいう期限の問題であるとか、代金を分割して受領する場合に、それが何回になるかというようなことは、いろいろな類型があろうかと思いますが、特にそれぞれの法律によって定義を設けまして、その定義を設けることに従って与えられた概念が、その法律の規律の対象となるというのが、あらゆる立法に通じます、まさに通常の技術であろうと、私どもは考えております。
#71
○田中(武)委員 言われるように、なるほどそれぞれの法律によって、定義という見出しがありまして、個々の法律におけるこれこれは、こういうものであるという書き方をしております。それは十分承知いたしておりますが、初めて法律的に正式な用語として割賦販売契約というものが出てきたわけです。従ってそれが同時に審議せられるときにあたって、共通したものとして定義の統一ということが必要ではなかろうか、私はこう言っているわけなんです。法制局の見解によると、法律できめるならばどんなことでも定義づけられる、こういうことになるのですか。
#72
○吉國政府委員 法律で定義を設けますならば、いかなる概念でも与えられるというわけではございませんので、この割賦販売法の第二条第一項におきます割賦販売と申しますのも、また機械類賦払信用保険特別措置法第二条第二項において「割賦販売契約」という言葉を用いておりますのも、従来の学者の申しております「月賦販売契約」あるいは「割賦販売契約」というような用語の中から、特にこのそれぞれの法律において必要としない部面を除きまして、一つの概念を定めるわけでございまして、全く社会通念とかけ離れたような定義をつけて、それによって法律を規定するということは従来ともやっておりません。従いまして、もう一ぺん申し上げますと、それぞれの両法律において「割賦販売」あるいは「割賦販売契約」といっておりますのは、従来の社会通念あるいは学説上の概念と、ほとんど同様なものでございまするけれども、特にそれぞれの法律の目的といたしますところから、従来の学説上の広い概念では不十分である。その概念の中から、もう一つ必要な要件を取り出してそれを定義して、その定義されたものを対象として法律の規定を設けたということでございます。
#73
○田中(武)委員 おっしゃるように、通常の社会的観念、社会的通念から離れて、法律によって何でも定義ができない、これはその通り。そこで、初めてここに「割賦販売」という文字が法律に現われたわけです。従って今日まで社会通念といいますか、法律用語としての「割賦販売」にはどういう説が通説になっておるのか、この上に立って考えていくべきであろうと思います。もっと具体的に申し上げますと、割賦販売法とこの機械類賦払信用保険臨時措置法との法律における法体系の中の序列でございます。同列に置くべきか、一方を原則として一方を特例と見るべきか、その点はいかがですか。
#74
○吉國政府委員 この二つの法律は、片方が原則であって片方が例外であるとか、あるいは片方が一般法であって、片方が特別法というような関係は、私どもはないと存じております。規定する分野は最終的にはもちろん日本国憲法を頂点といたしまする日本の法制の中へ溶け込むわけでありますから、最終的には関係して参るわけでございますが、法の分類をいたします場合には非常に遠いところにあって、これが相並んで一般法と特別法、あるいは原則法と例外法というような関係に立つほど近いものではないと考えております。
#75
○田中(武)委員 その見解は全く私と反対なのです。私は割賦販売というものの上に立って法律をながめる場合、割賦販売法が原則である。そしてこちらはその特例である。こういうように考えていかなければ解釈できない点がたくさんあります。私はそういうように見ております。もしこの二つが別々のものであるならば、機械類賦払信用保険でいわれるところの販売者、これがかりに前掛金をとる、前払金をとるという場合に、こちらでいう前払式割賦販売業者になるのか、ならないのか、こういう問題が出てくるのですが、私はなる、こういうように解釈する。あるいはまたこの機械類賦払信用保険臨時措置法でいうところの機械類は何かといえば、これは一方からいうならばやはり商品である。従って割賦販売法にいうところの商品である。こういう観点で両法案を見ていかない限り、両法案に通じての観念は出てこない。すなわち機械類賦払信用保険における売りが、これは割賦販売業者である、こう規定づけて、この法律に定めてないところは、この割賦販売法の規制を受けるのだ、こういうように私は解釈しております。従って法系列においてはこれが割賦に対する一般法である、一般的秩序法であって、それに従う割賦販売に対して、一方は中小企業に対しあるいは機械振興等の特別の理由によって保険をつけよう、そういう法律であると考えておりますか、いかがですか。
#76
○吉國政府委員 先ほど私が原則と例外あるいは一般法と特別法というような関係で申し上げましたのは、割賦販売が、この目的にもございますように、「割賦販売及び割賦購入あっせんに係る取引を公正に」するということで、一つの割賦販売等の規律を定める法律として提出されておりますのに対しまして、機械類の賦払信用保険臨時措置法は、特定の範囲の機械類の割賦販売契約による取引につきまして、国が信用保険を行なう制度を設けまして、中小企業設備の近代化等をはかるという、いわば助成的な立場で出てきている法律でございますので、この法律自体が、法律的に直接に原則と例外、あるいは一般法と特別法、たとえば民法と商法の関係で申しますと、民法と商法とはまさに同じ事態に適用されまして、民法の上に商法が特別法という格好で働く場合もございます。あるいはまた私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律が一般法でございまして、それに対しましてたとえば輸出入取引法が特別法として一定の共同行為の例外を認めるというような関係とは、全く違うような面で法律が存在するという意味で申したのでございまして、もちろんただいま田中委員のおっしゃいましたように、機械類賦払信用保険臨時措置法の適用を受けますような機械類の割賦販売契約を締結する業者がございました場合に、その行なう割賦販売が、割賦販売法の規制を受けることは十分にあり得るわけでございます。また具体的に政令で定める場合には、そういうことは多分ないと存じますが、一応概念的には機械類でありましても「耐久性を有し、かつ、定型的な条件で販売するのに適する商品」でございますならば、概念的には割賦販売法の上では、商品に入ることはもちろんあると思います。
#77
○田中(武)委員 私が言っているのは、いわゆる割賦販売という観点に立った場合に、一般的の規定は割賦販売である。この機械類賦払信用保険臨時措置法はこの割賦販売から出てくる一つの形の、いわゆる機械の賦払いに対して中小企業の設備の近代化とか、あるいは機械工業の振興とかいう理由があるとしても、その関係においてはこちらの売買、割賦取引は、やはりこちらに定めがないとぎには、すなわち割賦販売法によるのだ、こういう観点で私は見ております。その意味において原則であり特例である。そう考えてこないと理由が出てこない。私は質問して自分で答えるようになりますが、割賦販売の一般の定義は、割賦販売法の第二条一項が一般的定義である。そのうち特別の機械であるから一方は割賦販売契約には機械の点については政令で定めるというのだ、こう見ている。また機械類賦払信用保険臨時措置法の四条に「機械類を引き渡した後に受領すべき金額を保険価額とし、」云々ということがあるところから推測しても、すなわち前払い式の機械販売もあり得る。従ってその販売者はメーカーでありましょうが、それは割賦販売にいうところの前払い式の割賦販売業者である。特別の契約がなければ、機械類賦払いにおいても所有権の留保の推定の規定等は、七条が適用せられる、このように私は解釈して両案を見てきておりますが、いかがですか。
#78
○吉國政府委員 ただいまおっしゃった点は、まさにその通りだと思っております。
#79
○中川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日水曜日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。
   午後零時二十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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