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1960/04/12 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
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1960/04/12 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号

#1
第038回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
昭和三十六年四月十二日(水曜日)
   午前十時五十分開議
 出席委員
  委員長 竹山祐太郎君
   理事 青木  正君 理事 丹羽喬四郎君
   理事 早川  崇君 理事 佐野 憲治君
   理事 島上善五郎君 理事 堀  昌雄君
      仮谷 忠男君    薩摩 雄次君
      田中 榮一君    高橋 英吉君
      林   博君    米田 吉盛君
      板川 正吾君    太田 一夫君
      井堀 繁雄君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        自治政務次官  渡海元三郎君
        自治事務官
        (選挙局長)  松村 清之君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 選挙制度審議会設置法案(内閣提出第一二〇
 号)
     ――――◇―――――
#2
○竹山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、選挙制度審議会設置法案を議題として、審査を進めます。
 質疑の通告がありますので、これを許します。佐野憲治君
#3
○佐野委員 選挙制度審議会設置法案に対して、いろいろ質疑を続けて参りまして明らかにされましたことは、政府は、選挙が民主主義の基礎であり、選挙の公明を期するために、重大な決意を持って臨んでおられるということです。そのために、組織を強力にして権威ある組織を確立する、大臣の諮問に応ずるだけではなくて、審議会が、みずからの調査権を行使して、できるだけ広範な調査を行なう機構を充実する、こういう点を強調しておられる。それらを通じて同僚議員の質疑が行なわれたわけでありますが、私は、そういう意味において善意に政府の決意を了承いたしまして、条文をいろいろと読んでみておるわけですけれども、どうも納得できない二、三の点について大臣から納得のいく説明をお願いしたい、かように考えて質問をするわけであります。
 まず、感じますことは、前の昭和二十四年六月から施行になっております選挙制度調査会と選挙制度審議会、この食い違いが、言葉としてはよく理解できるし、趣旨の説明は理解できるのですけれども、法そのものから見て参りますと、ちっとも区別がつかないじゃないか。第二の点にいたしまして、どうしても選挙制度審議会を設置しなければならない理由を発見するのに、実は困惑しておるわけなんです。そういうこともありまして、これから二、三の点について質問をしたいと思います。
 まず、第一に、法律の第一条に「総理府に、選挙制度審議会を置く。」こうなっておるわけですが、前の選挙制度調査会も総理府に置くとなっておる。新聞紙上に伝えられておるところを見ると、今回、選挙制度を根本的に改正するために政府は重大な決意を持って、憲法調査会と変わらない重要性を持っておるのだ、こういう意味から内閣に置くという工合に伝えられておるし、私もそういう工合に了承しておったのですが、同じく総理府に置く、こういうようにおきめになったのは何か根拠があるのですか、まず、その点をお聞かせ願いたい。
#4
○安井国務大臣 選挙制度審議会を内閣に置くか総理府に置くかという問題は、技術的な問題でありまして、一応私ども、内閣に置くのも一つの方法かと思ったのでございますが、いろいろと実際の事務取り扱い上の便宜から――便宜と言いますと語弊がありますが、取り扱い上の問題から言うと、総理府へ置いてあった方が仕事の運びが工合がいいという解釈から、総理府にきめたわけでございます。
#5
○佐野委員 重大な法案であり、しかも、党派を越えて、国民全体の協力を得て選挙制度改正に着手したいのだ、しかも、今回の総選挙は腐敗選挙であった、戦後最大の選挙違反、その他買収、悪質犯が続出した、これでは民主主義の基盤が破壊されるのじゃないか、こういうことを憂慮して、政府が重大な決意を持って提案したというならば、単なる事務的な問題、技術的な問題を乗り越えて、やはり内閣に置く、こうすることが政府の決意を表明することになるのじゃないか、こういう点を考えてはなはだ残念だと思うわけですけれども、それは技術的な、あるいはいろいろな点があることは一応了承いたします。しかし、そういう決意なり、あるいはまた、政府の意思なりというものが、それぞれの条文の中に具体的に現われることが大切じゃないか、こういうように感ずるわけです。
 第二に、「次の各号に掲げる事項に関し、内閣総理大臣の諮問に応じて調査審議する。」こういうように具体的にいろいろ事項が示されてあるわけですが、調査会の場合におきましては、この点は違っておると思うのです。今ここに四つの項目が並べられておるわけですが、こういう項目を並べなくても、いろいろな調査会あるいは諮問機関的な審議会、こういうのを拝見してみますと、必ずしも、こういう工合に四つに限定している場合もありますし、限定していない場合もある。しかし、重要な選挙制度に関する根本的な改正を行ないたいのだ、しかも、重要な欠陥があるのだ、こういうことを御指摘になっておられるから、四つに分けられたということも理解できるわけですけれども、しかしながら、こういうことをちっともしなくてもいいんじゃないですか。前の選挙制度調査会の諮問事項のようであっても差しつかえないのではないか、こういう工合に考えるわけですが、この点はどうですか。
#6
○安井国務大臣 お話しのように、この項目を四つに大きく具体的に分けて表示しなくてもいいんじゃないかという御意見もおありのことはよくわかると思いますが、われわれといたしましては、従来、選挙制度調査会の方ではばく然と、ただ調査会を置くことができる。そうして必要によって政府の諮問に対して答申するという建前になっておりましたのを、今度はそれを法律的に内容もはっきりきめておきます以上、こういった事柄についてぜひ積極的な答申を求めるし、また、意見具申をしてもらいたいという積極的な意思表示をする趣旨から、具体的に表示をしたわけでございます。
#7
○佐野委員 選挙制度調査会では、内閣総理大臣の諮問に応じて、国会議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長等の選挙の制度に関する重要事項を調査審議するとなっておりますが、この方がより具体的じゃないですか。たとえば、大臣の所管でありますからよく御存じの通り、税制調査会の場合を見て参りましても、今日における国税と地方税、租税体系が非常に混乱をいたしておる。特に国税が七割、地方税が三割である。国税の方は、ある程度まで近代化されている面もできて参っておりますけれども、地方税の場合は、全く雑税であり、徴収困難なものであり、かつまた、非近代的なものが三割を占めておる。こういうことから租税体系そのものを脅かすような欠陥が出て参っておる、あるいはまた、租税負担を見て参りましても、諸外国と比較いたしまして大衆課税が非常に多い、あるいは直接税と間接税、あるいは企業課税に対する問題とか、いろいろな点が出て参って、重大な国会の論議なり世論も沸騰したために、昭和三十四年でしたかに税制調査会が設置されましたときの目的、あるいは所掌事務というようなものを見て参りましても、やはり非常に簡潔に示されているんじゃないかと思うのです。たとえば、この場合におきましても、国税及び地方税を通じ、わが国の社会、経済事情に即応して税制を体系的に改善整備するための方策について調査審議するとなっておる。だからこういう工合になっておるのが、建前として正しいのではないかと思うのです。あるいは大臣の所管事項である固定資産評価制度調査会の場合を見て参りましても、やはりそういう形になっておるのではないか。たとえば、「内閣総理大臣の諮問に応じて、固定資産税その他の租税の課税の基礎となるべき固定資産の評価の制度に関する重要事項を調査審議する。」こういう工合に規定しておる。そこで、特に四つの項目に分けられる必要はないんじゃないかということです。そのことは、たとえば税制調査会の場合を見ても、過去の慣例によるならば、こういう分け方は、税制調査会諮問事項の補足的要目としてやっていけるんではないか。それで、必要に応じて部会を設ける、そういうことで実質上やっていけるというのが、一応の建前となっておる。特に今回の場合、わざわざ四つに区切らなくてもいいのに、いわゆる選挙制度調査会とこの審議会とは違うのだということを、単に形式的に表現するために、この四つに分けられたんじゃないか、こういう気さえするのです。何も分ける必要はなくて、諮問事項における補足的要目として出されてもいいんじゃないですか。それと同時に、それが、必要な場合においては部会を設けてやっていただく、それでもけっこう、こういう分け方をされなくても、前の調査会と同じ諮問事項でも結局足りるんじゃないか、こういう工合に感ずるのですが、どうですか。
#8
○安井国務大臣 お話の通りのような方法でも、むろん目的は達せられると思うのでございます。ですから、この出し方の一応技術的な問題で、どうしてもこうでなければいかぬという絶対の根拠はないと思います。ただ、私ども今度考えました気持としましては、従来の選挙制度調査会でもっていろいろ御答申もいただいておる。さらに、それを区分けして、今度は四つの項目に分けて、どういう取り上げ方をしていただくか、また、選挙制度調査会で取り上げていただいたような問題を、さらに、より具体的な形で答申をできるだけいただきたいという希望も含めるという意味で、特に列記する形にしたわけでありまして、絶対にこれでなければできぬわけじゃないじゃないかという御意見に対しましては、その通りだと思います。ただ、私どもは、こういう表示によって一つ今度はやっていただきたいという気持を、具体的、積極的に表わしたということでございます。
#9
○佐野委員 だから、調査会と審議会が違うんだということだけをするために、調査会において明確になっているものを、この四つに分けたんじゃないかという気さえするわけです。そういう話だったら、逆に、また一つ追加して、その他重要な事項という形にされた方が――なお、後の項目に出て参りますみずから調査審議すると、調査審議権が与えられるという意味からも、その五の項目に加えられた方が、より法としては整備されるわけじゃないですか。どうですか。
#10
○松村(清)政府委員 ただいま大臣の方からお話がございましたように、積極的に審議会の事務を明確にいたしますために、四つを列挙したわけでございます。特にこの三と四の事項は、前の選挙制度調査会所掌の事項に入るのかどうかということは、少し疑問があるわけでございます。そういう意味でも、三と四というものを明確にした意義はあると思います。
 それから、この五にその他の事項というのを入れたらどうかという御質問でございますが、実は、この原案におきましては、そういうことを書いておったこともございます。ただ、一、二、三、四と、こうやって並べてみますと、その他の事項というようなものに、はたしてどういうものがあるかということも問題になってきましたし、一、二、三、四で尽くしておる、こういうことで、最終的にその他の事項というのを落としたような次第でございます。
#11
○佐野委員 ですから、そういう意味から、そういう御苦心をなされるとするならば、前回の場合の方がよっぽどいいじゃないですか。違うということ、あるいはそれによって不適当なものがあるというのはどういうことなんですか。具体的に、調査会の場合に表示されておる所掌事務を今回四つに分けられたこと、そのことによって前回の分を補うことができるんだ、こういう点は、具体的にどういうことなんですか。
#12
○松村(清)政府委員 ただいま申し上げましたのは、前回のは、選挙に関する重要な事項というだけの表現にとどまっておったかと思います。そういたしますると、ここにありますように、政党の問題とか公明化推進の問題、これはむしろ法律よりも行政上の問題に属するかと思いますが、そういうものが入るかどうか、非常に前回の調査会では法文上疑わしい。そこで、この三、四を明確にするということにも意義があるかと、そういうふうに申し上げたわけであります。
#13
○佐野委員 しかし、それは公職選挙法の目的をひもといても、ちゃんと明確になっているでしょう。公職選挙法は選挙に関する制度ですがね。今言われる点も、公職選挙法の第六条に、啓蒙あるいは周知徹底、選挙公明化運動の規定も出ておるわけでしょう。ですから、みんなその中に含まれてしまっておるわけじゃないですか。いわゆる「選挙の制度に関する重要事項を調査審議する。」この中にみんな入っておると思うのです。特に皆さんの方で、みずから調査権を持っておる、そこに、建前として機構が独自の権限を持って強化されたのだと池田総理も強調されている次の第二項の意味から考えても、第五を入れなければならないし、第五を入れる形をとる必要はない、こう考える場合には、前回の選挙制度調査会の所掌事務でけっこうじゃないか。それで、もしこういうことを諮問したいというなら、補足要目の中において四つの項目に分けて、これの部会を設けてもらう。あるいは参議院の選挙も近づいて、緊急に諮問の必要を認めた場合には、いろいろな問題が出てくるでしょう。ですから、そこに五というものがあれば生きてきますし、もしなければ、そういう特殊な諮問をやれば、それで済んでいくわけじゃないですか。これを四つに分けることは、強力にして権威ある組織を作るんだという意味から、わざわざこういうのを掲げられたにすぎないのじゃないか、こういう感じもするわけです。
 そこで、次の質問に移りたいと思います。「自ら調査審議して内閣総理大臣に意見を申し出ることができる。」この意見を申し出るということ、行政組織法に基づくいろいろな調査審議会、その他の付属機関ですか、こういうのを見て参りますと、いろいろな形が出ておると思うのです。そこでお尋ねしたいのは、総理大臣に対して意見を申し出る、あるいは勧告する、あるいはまた報告する、こういう工合に非常にきびしく規定しているのもあると思うのですが、今度の場合において、非常に権威ある組織であり、しかも、次に出てきます答申を尊重するんだ、こういう意味から考えて参りますと、「内閣総理大臣に意見を申し出ることができる。」こういうのとの関連は法律的にどうですか、拘束力において。
#14
○松村(清)政府委員 これは第三条に書いてございますように、総理大臣の諮問を受けて答申したものも、諮問を受けない部分について意見を申し出ましたものも、同じように政府としてこれを尊重していくということで、あとは尊重の意味になりますけれども、これは尊重と言います以上、全面的に拘束するということにはならないと思いますが、しかし、この答申なり意見なりを尊重するという言葉で表現される程度の拘束力というものは持つであろうと思います。
#15
○佐野委員 そこで、勧告の場合はどうですか。
#16
○松村(清)政府委員 ここでは、勧告という権限は与えていないわけでございます。従って、総理大臣の諮問に応じて答申するかあるいは意見を申し出るか、この二つがあるだけでございまして、勧告という権能は、この審議会にはないということでございます。
#17
○佐野委員 そうだとしますと、これも単に意見を申し出る、これでとどまってしまっておるわけですね。強力にして権威ある、しかも、建前としても独自の調査権を持ってやるんだ、池田総理はこの点を非常に強調しておられたのですけれども、これは単に意見を申し出るということにすぎない、こういうことになって参りますと、たとえば社会保障制度審議会設置法を見て参りました場合において、第二条に、「審議会は、自ら、社会保険による経済的保障の最も効果的な方法につき、」云々と述べ、「その関係事項に関する立法及び運営の大綱につき研究し、その結果を、国会に提出するように、内閣総理大臣に勧告し、内閣総理大臣及び関係各大臣に書面をもって助言する任務及び権限を有する。」こういう工合に、社会保障制度審議会の場合は、独自の調査権が付与され、独自の活動をされておる。しかも、ここに法的に、抽象的じゃなくて具体的に、明確に示しておる。そういうのと比較いたしますと、総理大臣に意見を申し出ることができるという、これはどうですか、大臣。調査権を付与して機構を整備した、機構は非常に大きなものだ、これは総理大臣の発言の中にしばしば出てきております。ところが、「諮問事項以外のものでも答申し得るように、非常にりっぱな機構と申しますか、どんなことでもできるというふうな機構にしようといたしておるのであります。」そういう機構――社会保障制度審議会に与えられておる任務及び権限というものと、この選挙制度審議会に与えられている任務及び権限というものとの間に、あまりにも差があるんじゃないですか。
#18
○安井国務大臣 委員会の性質や、ものによっていろいろな表現の様式もあろうかと思います。社会保障制度審議会のように、常時ありまして、そして常にいろいろな問題をとらえて、そのつど勧告するといったような形式が非常にふさわしいというようなものもあろうかと思いますが、私ども今度この審議会を出しました真意は、この前も総理が言っておられますように、せんだっての選挙を通じて特に非常に問題になって政治的に見ても、早急に何とかしなければいかぬという差し迫った問題があったわけであります。しかし、それについてもいろいろな意味からの疑問や意見の調和がまだとれないということで、これをぜひ一つ第三者で、より積極的に何とか早くやってもらいたい、この制度そのものは時限的なものじゃございませんが、委員の任期も一年ということに一応限定をして、一年以内に一つの結論を出してもらいたい、その結論の対象になるものはこの四つのような問題である、この扱いについては、これはむろん委員会の自主性におまかせするという趣旨で、政治的にもそういう具体的な表現をとり、しかも、時期的にも非常に急いでおるという積極的な意思表示をするというような意味からこの表現を出し、また、さらに、こちらで答申を求めなくても、関係事項で意見も具申していただけばこれを尊重して取り上げるから、こういう意味の、まあ念の入った個条まで加えたというふうなことで、これは各委員会でいろいろな扱い方、その表現の仕方はあろうと思いますが、今のこの時期におきまして、選挙制度の問題というものに対する非常に積極的な、かつ、急いだ意思表示をここでするために、こういう形式をとったというふうに御理解いただきたいものだと思うのであります。
#19
○佐野委員 しかしながら、非常に重大な問題が諮問事項の中に含まれているわけですね。選挙制度の根本に関する問題も含まれてくると思うのです。これはなかなか簡単に結論も出ないだろうし、また、及ぼす影響というものは、非常に重大な影響を持っておると思うのです。ですから、そういうことで、みずから調査権が付与されて、りっぱな大きな機構を作ったんだと言われる総理の見解からいうと、もっと任務、権限というものを特定すべきじゃないですか。単に、こういう総理大臣に意見を申し出ることができるという程度では、調査権を持ってやることがほとんどできないんじゃないですか。私は、言葉としてはりっぱだけれども、法律的に見たら、そういうような重要だと言われることが、ちっとも法律に表現されてないという点が非常に残念だと思うのです。その意味から、もちろん、社会保障制度審議会とは違いますけれども、あるいは雇用制度審議会、こういう場合に、非常に強い調査権というものが付与されておるわけですね。しかも、その場合に、社会保障制度の場合におきましても、国会に提出するように内閣に勧告する、あるいは各大臣に書面をもって助言する任務、権限を有する、これを与えてこそ、初めてこの審議会というものが独自の調査権を付与されて、総理の言うりっぱな、独自の権威ある機構ということになるんじゃないですか。それを与えなくて、単に、総理大臣に意見を申し出ることができるだけでは、しかも、重大な利害関係のある国会議員はちっとも知らない、利害関係の非常に多い国会議員が、逆に、調査会は何をやっているか、国会に報告されない。国会にも報告する、そのかわりに広範な調査権を付与してあるんだ、その調査権もこういうものだということを、やはり明確に特定してこそ、初めて皆さんの言う言葉が、なるほど、法的にも前の調査会と違って、今度の審議会は権威ある審議会だ、こう理解できると思うのですが、どうしてこういう抽象的な言葉になっておるのですか。
#20
○安井国務大臣 今申し上げましたように、委員会によってそれぞれ性格や扱い方が違うと思います。今度の審議会を置きます真意につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、本来ならば、いろいろ御批判もありましたように、選挙制度調査会の答申があったんだから、政府としては当然それをもとにして法律を出したらいいじゃないか、こういう御意見も一般に相当あったわけであります。しかし、それをやりますについては、何分にもまだ各方面の意見の統一がない、あるいはかなり抽象的であって、政府自体としては判断に苦しむ、客観的な判断の置き方に苦しむというような点があったので、至急出したいが、なかなか出せない、そういう事情から、早急にもう一回審議会を、相当権威あるものを開いて、特にこういう問題については積極的に諮問するから、一つ具体的に御答申を願いたい、こういう諮問を、諮問の方に重点を置きまして、ぜひ早く出していただきたい、従来のいきさつから、そのためにはこの四つの個条書きも列挙して出しておるという、積極的な意味を諮問の方で出しておるわけであります。しかし、そう限定しただけで、それじゃ、それ以外に何もできないのかというふうになっちゃいかぬというので、これは補足的に、そうじゃなくて、もし審議会で、さらに諮問以外のことについても、あるいは諮問のときなかった問題についても必要だと思われることがあれば、一つどんどん意見具申をしていただきたい、これも十分尊重して取り上げますというふうに、補足的にこれは出したわけです。主として、私どもとしては、むしろ早く法律案を出したいのだが、その出しにくい状況を、この審議会によってコンクリートなものにしてもらいたいという意思を、この第二条で積極的に持っておる、こういう趣旨から、第三条の問題も補足的に出しておる、こういうふうに考えておるわけであります。
#21
○佐野委員 国会に報告する、こういうことをとられないのは、どういうところに理由があるのですか。国会に報告するように総理大臣に勧告する。たとえば、総理大臣の答弁を聞いてみますと、大臣と違うのです。総理大臣の方は、調査会と審議会の違いは、みずからの調査権を付与したのだ、つまり、非常にりっぱな権威ある機構、何でもできるという機構を作る、これが根本的な違いなんだということを、戸叶さんあるいは島上理事の質問に対しても答えておられるわけでしょう。それから、後ほどには、諮問事項に対する尊重というところに、いろいろな比較をして述べておられるわけですけれども、重点を、まずここに置いておるわけですね。大臣の言うことを聞きますと、四つの項目をやることが当面の急務だということです。それはわかります。しかし、この場合については補足的な意味においてしか解釈されていない。私は、やはり調査権を付与されるということは重大なことだと思うのです。皆さんが尊重しようとする重大な決意の表明の一つだと思うのです。だから、みずからが研究もできる。研究したことは、国会議員、また世間、一般国民に影響するところ重大だ、この重大なる内容を一応国会に報告する、こういう義務を負わせることが、調査権を尊重することになるのじゃないか。なぜ、国会に提出するというだけにしたか。社会保障制度審議会だとか、雇用制度審議会だとか、性格は違いますよ。違うけれども、調査権の意味においては同じだと思うのです。みずからが研究して、その結果が非常に国民に重大な利害を及ぼす、国会議員に非常な影響を及ぼすこの問題について、調査研究したその内容を国会に提出し、報告する、これは総理大臣の当然とるべき――総理大臣としては、これはめんどうくさいから、自分のもとに、意見を申し述べるだけだから、ポケットにしまっておいては、調査権としては何ら強力な権限を与えたことにならないわけですから、やはり調査研究したことが国会に報告される、こういうことは明確に規定しておく。で、国会に報告するように総理大臣に勧告する、建議する、こういうことがなくては、調査権そのものは何ら権威あるものでなくなるのじゃないか。なぜ、国会に提出することを挿入されることを避けられたのですか。
#22
○松村(清)政府委員 この選挙制度審議会は、内閣総理大臣の諮問機関でございまして、法制的には総理大臣対審議会というつながりになっております。従いまして、この調査権に基づいていろいろ調査の結果出ましたものは、内閣総理大臣に対して意見を申し出るのでありまして、あとは、内閣総理大臣といいますか、政府が、これを尊重していくという建前になっておるわけであります。従いまして、この審議会のやりましたことを国会へ報告するということは、法律的に疑問もございますし、また、法律的にそういうことがなくても、実際上審議会がどういう意見を出したかということは、世間一般に周知されることでございますから、そういう方法でもってこの審議会の意見というものを公にすることができるだろうと思うのです。
#23
○佐野委員 審議会は、諮問的なものの中に、法令によるものとか、あるいは省令その他いろいろあることはわかりますけれども、それくらい与えてもいいわけです。法律的に何ら問題はないと思うのです。調査権というものはこういうものなんだ、それは尊重するんだ、ですから、何も国会に報告したからといって、内閣が拘束されるわけでもないでしょう。ただ、こういうことがあった、国会議員選挙の大選挙区、小選挙区あるいは中選挙区についてはこういう工合になる、研究の結果こうだ、こういうことを報告したって、一向差しつかえないでしょう。あるいは内閣総理大臣対審議会の場合におきましても、意見を申し出るというだけじゃなくて、やはり勧告するとか、こういう重大な問題だから、国会にもこれこれを諮れということはできるわけです。意見を申し出るだけという形で調査権を与えられても、単なる名目的な調査権が与えられただけであって、実質上強力にして権限ある組織に切りかえたことにならぬじゃないですか。
 このことと関連して第三条に入って参りますが、「政府は、審議会から答申又は意見の申し出があったときは、これを尊重しなければならない。」これも抽象的な倫理規定、道徳規定にとどまっておるでしょう。もちろん、あなたの言われる法律的な云々ということになってきますと、審議会が答申をしようと、おれのところは参考意見にするだけだ、参考意見にすることも一つの尊重でしょう、あるいはまた、単なる忠告としてお聞きしておくことも一つの尊重ですね。特に公明化選挙運動をやれ、こういうことに対して予算が少ないとかなんとか言われると、予算の編成権はこっちにあるんだ、お前のところは何を言っているんだ、そんなのは財政事情によってできやせぬ、が、気持はよくわかる、これも尊重でしょう。ですから、尊重というのは、少なくともやはり具体的に特定したり、あるいは規範的に定めることが、尊重の意味になってくるでしょう。意見を申し出るということも、申し出たことに対してもう少し具体的なものを与えなければ、調査権そのものが行使できなくなってしまう。たとえば、第三条の場合の尊重もそうだと思うのです。ですから、皆さんの方の最初の原案をばく然と覚えているのですけれども、やはり勧告ということがあったと思うのですよ。それがいつの間にか消えてしまっている。そうすると、言葉として言われるけれども、法律の条文の中に表現されておることと違ってくるんじゃないか。あるいはまた、審議会からの答申意見に対してこれを尊重しなければならない、大臣は、必要な措置を講ずるのだ、こう言われる。言葉としては、大臣としての提案説明の中における趣旨としてわかるのですよ。しかし、法律は、やはり具体化してしまうとこれが一人歩きするわけですから、条文だけの解釈でいえば、時の政府はどうでも解釈できるのじゃないですか。あなたの場合は、任期一年だと言われるけれども、選挙制度調査会の場合も任期一年で、昭和二十四年六月一日政令が公布になってから十何年ですか、やはり任期一年任期一年で、昨年の一月までやってきたわけでしょう。そういうことを考えて参りますと、この場合も、これを尊重しなければならないということは、一体どうして尊重するのか、適当な措置をとるというのじゃなくて、適当な措置とはどういうことなのか、これをあげなければ意味ないのじゃないですかね。
 たとえば、もう一つ関連しますが、先般法制局だったか、私途中から入ってきて、よく知らなかったのですけれども、堀委員の質問に対して、尊重しなければならないという規定は、諮問機関にも調査機関にもあるのだということを言われるのですけれども、たとえば原子力委員会ですか、この場合も、ちょっと見て参っても、これは決定機関になっておる。調査審議及び決定する、決定するのが原子力委員会の権限になっておるわけですね。特に、行政の民主的運営をはかるために原子力委員会を置くということになっておる。だから決定権を持っておる。決定したことに対して、政府は尊重しなくちゃならない。決定の報告では尊重ではない、行政の民主化のためにも。こういうのならわかると思う。しかし、そうじゃないでしょう、この場合は。だから、あなたの提案説明でも、適当なる措置を講ずるのだと言われる、その適当な措置とは一体どういうことを講じようとされているのか、それを一応お聞かせ願いたいと思います。
#24
○松村(清)政府委員 確かに、勧告するということも立法の過程において考えたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、これは内閣総理大臣の諮問機関でございますから、勧告も意見の申し出も実質は同じでございますが、多少勧告の方が強いような感はするわけでございます。内閣総理大臣の諮問機関ということでございますので、あまり強い言葉もどうかということで、意見の申し出ということにしたわけでございますが、実質的にはこれも変わりはないと思います。
 そこで、次に、審議会から答申なり意見の申し出があった場合に、これを尊重しなければならないといいますことは、これはやはり、ここで言わんとしておりますことは、答申なり意見の内容を法律案にして、これを国会に提出するということが大きな内容をなしております。その他公明選挙の推進に予算を考える、これも入っております。ただ、あまり意見なり答申なりと違ったことをやりますことは、第三条の尊重という趣旨に反するわけでございまして、やはりだれが見ても、この尊重という言葉に値する内容を持った措置をとることが、第三条で要求されることになるかと思います。
#25
○太田委員 関連してちょっとお尋ねします。今のお答え、意見とか答申にあまり違反するようなものは、やることは困難であろうという御趣旨ですが、そういう思想から言いまして、この国会に公職選挙法の改正に関する特別委員会を作った。さて、そこで、今のお話を聞いておりますと、この審議会を作りさえすれば、本委員会の任務を完了するということにどうしてもまた戻ってくるわけです。しからば、この次に、何か区画ならば区画、定員ならば定員、公職選挙法の一部の、その中のどことかを改正するという具体案をあなたの方は用意されて、出される意思というものがあるのかないのか。ないと思うのだが、ないということになるなら、政府当局としては、審議会を設置すればそれで一切終わるし、その意見を聞いて何か直すなら直せば、それでよろしいということになる。そういうことになるなら、何のために公職選挙法に関する特別委員会なんという特別委員会を作ったのか、これがわからない。これは地方行政委員会でやればいい。
#26
○安井国務大臣 これは、政府といたしましては、先ほども申し上げましたように、選挙制度調査会の意見、答申に基づいて法案を作成するには、まだあまりにも各方面の意見の統一がなさ過ぎるといいますか、困難だ、あるいは答申自体に、まだ内容的に非常に疑問があるといったような点を、もう一回この審議会で至急審議していただきたい。でき得れば、世論から見ても、いろいろな意味から見ても、政府自体が法案を作成すればいいのでありますが、これは見通しとしては非常に困難だから、それをさらに整備してもらうという意味で、この審議会をなるべく早く御成立を願う。そうして、その上で、そういう政府の意向を一つ体していただいて、審議会から適切な答申をいただきたい、こういう趣旨でありますので、でき得る限り早く、できますれば、それに応じてできるだけの措置をとりたい、こう思っておるわけであります。
#27
○太田委員 それは至急ということなんだから、至急ということは急ぐということですね。従って、その急ぐというのはどうとるのか。本委員会を設置された、この通常国会の会期中にそれが出されて、本委員会がそれを審議する機能を発揮するときありと、われわれは腹の中に思っておってよろしいか。
#28
○安井国務大臣 これはこの審議会が成立する時期、それから、審議会がお取り上げになって、今度答申をいただく時期によってきめることでございますので、今にわかに、どうだということを、私どもの方から申し上げるわけには少しいきにくかろうと思います。
#29
○太田委員 いつのことかわからぬとするならば、それは選挙局長、専門家にお尋ねいたしますが、そうすれば、意見の統一を急ぐ、改正を急がなければならぬということは、この前々の国会からあったのです。それを、今新しく審議会を作って、いつ答申されるかわからない。任期は一年だから、向こう一年以内には答申されるだろう、こういうことになると、一年おそくなる。それをもとにしてあなたの方は立案される。従って、本国会においてこの特別委員会を作って、あなたの方は審議会設置法だけを御提案になったわけなんですが、それは少しばかり何か、世人に対しては疑惑を残すことになりませんか。次にこういうものが用意されているという、具体案があってのことならいい。何もない。それならば、われわれの方には、またわれわれとしてもお互いに用意されているものもあると思うから、そういうものも当然ここで審議して、具体的な考え方というものを、国会なら国会、特別委員会なら特別委員会としてこう思うということを、まとめてもよさそうなものだ。そういうことをあなたの方は希望されるだろうと思う。具体的な審議を本特別委員会でやるということは、あなたの方としては希望されると私は思うが、選挙局長はどうか。
#30
○松村(清)政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、今までもいろいろ各方面から意見がございますが、これの具体化につきまして意見の一致を見ていないのが現状でございます。そこで、この選挙制度審議会において選挙法改正の具体的なものをまとめていただき、それを尊重して法律案を出す、こういう考え方に立っておるのでございます。
 なお、本委員会の設置の関係につきましては、これは国会のことでございますので、政府側といたしましては、別に関係した問題でございませんので、選挙法の改正の関係につきましては、今申しましたように考えている次第でございます。
#31
○太田委員 それは、あなたとしてはそういうことでしょうね。
 大臣、いかがですか。選挙法特別委員会を作った以上は、国会のかまえは、この委員会において、今まで幾多の問題があった。今わかっているのだから、今さら審議会を作らなければわからないのじゃない。掘り出すのではない、掘り出されているのだから、そのことをここでどうするかということに政府当局としては腹をきめて、何か具体的なものを出して、これはどうでしょうかくらいのことをおっしゃらないと、まずいような気がする。あなたの方に設置法案以外に御用意がなければ、一年先になって答申をされて、それから立案されるというようなマンマンデーなことを考えているわけにはいかない。してみれば、実はいかなるときにも即応し得る態勢を、本委員会が機能を発揮してやろうとするなら、どこかに具体案があるならば、その具体案を真剣に取り上げるというくらいのことは、やらなければいかぬと思う。もし具体案が、一部改正に関する法律案というのが出てきたとき、政治資金規正法であれ、公職選挙法であれ、これは真剣にやった方が私はいいと思うのだ。大臣、どうですか。
#32
○安井国務大臣 これは委員会のお扱いでございますから、いろいろな問題をどういう形でお扱い下さるか、それは、私どもあれこれ言う筋じゃなかろうと思っておりますが、ただ、私どもといたしましては、過去の経験、ことにこの一年くらいの過去の経験から、さっきもお話しのように、答申自体は出たが、国会に間に合うような時期には出たけれども、どうしてもこれが意見の統一を見るに至らない、あるいは内容自体に、これを具体化する上に相当な疑問が持たれる、こういう実績に徴しまして、これをわれわれだけで、政府が独断的にまとめるのはいかがか、こういう考えから、もう一回、そういう今さらけ出された問題をさらにコンクリートにしていただきたいという趣旨で、急いでこの審議会を作り、この審議会には権威を持たせて、できるだけ早く御答申を願いたい、こういう趣旨でこの法案の御審議を願っておるわけでございます。私どもはそういうつもりでやっておりますので、なるべく早く一つ審議会の御成立をいただければ、また御趣旨に沿うような手段をなるべく早くとりたいと考えておるわけであります。
#33
○太田委員 だいぶわかってきたのですけれども、たとえば、きょう配付された公職選挙法等改正意見集というのがある。これはずいぶんたくさん書いてある。この中には猛烈な内容のものもある。しかし、これはきょう出たにいたしましても、この前からたくさんの意見がどんどん出て、学界からも、あらゆる政界、財界からも実は出ている。そういうものを、今さら審議会を作って、そこでコンクリ化してもらわなければ困るというような考え方は、何かしら心がまえに薄いものを感ずる。もう一回何かやる。そんなことをやるから、春の海ひねもすのたりのたりかなで、いつまでたっても解決しない。何か改正するという気がまえが、非常に薄いという気がするのですよ。選挙局なんてあるじゃありませんか、何をやってきた、こんなことをやるなんておかしいというように、世間は言うだろうと私は推測するのです。なぜこの国会に具体的なかまえ、具体的な改正案が出されなかったか、残念だが、たまたま今そういうことを御説明になって、いろいろなことを聞いておりますと、まあいろいろなことを言うのは、抵抗が多過ぎるから、選挙審議会が何かに一つ意見をまとめさせて、それを尊重するというところにかこつけて出せば、どんなものだっても責任はそちらの方にある。だから、こうした方がよかろうというようなことで、何かしら責任回避のような気がしてしようがない。選挙局長がいらっしゃるのだから、選挙局長に聞きたいのだが、なぜ今国会にあなたの方は一部改正案という具体的なものを出す気がなかったか、その理由、今の佐野さんの御質問にお答えになった気がまえから見て、少しばかり、どうも責任回避のような気がしてならないのだが、どうなんですか。
#34
○松村(清)政府委員 御承知のように、この選挙法の改正は、昨年の一月以来政府側におきましても、また、夏には各党の間におきましても、意見の調整をはかって参ったのでございますが、不幸にして具体的な意見の一致を見ずに、今日に至ったわけでございます。従いまして、去年と同じことをやっておりましても、やはり結果が同じになるおそれがありますので、今回はこういった審議会を作りまして、ここでもっと具体的に改正の意見を検討していただいて、それをこういうふうにして選挙法の改正案を国会に提出した方が、法律の成立をはかる上においていいであろう、こういう考えを持った次第でございます。
#35
○太田委員 それじゃ、もうちょっと具体的なことをお尋ねします。公明選挙推進の機関がありますが、これはあなたの方は相当な予算を使っていらっしゃる。あれで今まで一切の選挙の啓蒙、啓発ができたというふうにお考えになっていらっしゃるのですか。むだな金を使って何もない、何か公明選挙ということを言っているのだから、公明選挙の推進の責任は果たした、こういうことになるなら、あれは全くもってむだな存在だと私は思う。じゃまな存在だと思う。あの気持があるなら、あの精神の中から改正案が出てくるじゃないですか。改正案がないというようなことはないのだけれども、改正案を持っていらっしゃったら率直に出して、審議会とかなんとか言わずに、率直に各委員に、どうだこういうものを作ろうじゃないか、皆さんが賛成ならこういうものを作ろうというような一部改正案なら、改正案が出ていいのじゃないか。公明選挙推進に関するあなたの方のそういう予算というのは、そういうあなたの方の立案する材料を掘り出すためにも使われておらなければならなかったと思うのですが、それはどうなのですか。
#36
○安井国務大臣 公明選挙推進委員会からも、ちょうど選挙制度調査会から出ました答申案以上に抽象的な御意見なり具申案はいただいております。しかし、それは、そういう意味におきましては、同じような意味で直ちにこれを政府で取り上げるというわけにもいかないような性格のものでございます。同時に、今おっしゃいましたように、何かあるのだから、それを出して審議したらいいじゃないか、ただ、この議論をしていただく対象に材料を出すという意味ならそれもよろしかろうと思いますが、ことに選挙制度の改正案の法律を政府が出します以上は、でき得る限り各段の御理解によって成立をさせなければならぬ、こういう建前から申しますと、でき得る限り多くの客観的な方々の御理解と御支持を得るものを作りたい。それが過去一年の実績に徴しまして、今までのものじゃどうもそのまま作るのじゃ不十分だ、御協力をいただけまいというような意味から、もう一回、そういった洗いざらしいものを、さらにこの審議会で、そういう前提のもとに状況を十分知っていただいて、コンクリートな答申を願いたい、こういう趣旨でございますので、一つ御了承願いたいと思います。
#37
○太田委員 それじゃ、大臣、総理の施政方針演説の中に私はあったと記憶しているのだが、政府当局のおっしゃるところの、すみやかに要望にこたえて改正案を作るとか、すみやかにというのは、常に最短二年くらいのものであり、また、大臣がかわればその方がかわられてから新しくまた各方面の意見を聞いたり、自分の意見を入れたりするということになると、それからまたあらためて何か、二年くらい先になるということになるのですかね。もう安井大臣はその道のベテランだから、あなたは、前任者がどんなことまで研究されて残されたなんということは、一言聞かれれば十を知られるくらいの力があると思う。あなたの才能というのは非常に大きなものを持っていらっしゃるのですが、その安井大臣にして、なお審議会を作ってどうこうとかいうことは、どう考えてみても、すみやかにということは、いつも何年先というようなことになってしまいますと、国民の期待にそむくということになるのじゃないか。この辺を懸念するのですが、あなたがかわったら――まさかそんなことはないと思いますが、私は、やはりなるべく長くあなたが自治大臣として選挙法改正に関する推進勢力となってほしいと思いますが、もしも当事者がかわったら、また審議会に諮問するだろう。これは一年任期の選挙制度の委員だから、任期以内に何か答申案ができて、すみやかに、このすみやかは少しおそいが、出される、これは絶対間違いないのか、この点をちょっと伺いたい。
#38
○安井国務大臣 これは自治省の選挙局において事務をとるという意味から、私もその責任者の一人として御答弁に当たっておるわけでございますが、これは池田総理といいますか、池田内閣総理大臣の諮問機関として、その方針のもとにできておる制度でございまして、自治大臣がかわるとかかわらぬという問題とは関係なく、その方針で進められていくものと思っております。
 さらに、総理の言われますすみやかにということは、文字通りすみやかにでございまして、これは二年先でいいとかなんとかという気持ではございません。それでは、今すみやかにここで、直ちに成立を期した成案を出し得るかというと、それは非常に困難な事情が伴うから、すみやかにを目途としながらこの方法をとってやっていきたい、こういう趣旨であるように私どもも了解しておるわけでございます。
#39
○太田委員 お答えがちょっと抽象的なんだが、もうちょっと具体的に言って下さい。それは、この際に、本国会期間中の委員会で具体的な議論をすることを好まないということじゃないでしょう。
#40
○安井国務大臣 それはそうです。
#41
○太田委員 その辺は、具体的な議論をすることは好まないのではないか。
#42
○安井国務大臣 その点につきましては、十分いろいろな角度から、また、具体的な問題につきましても御検討願うことは、非常に好ましいと思っております。
#43
○佐野委員 太田委員からのいろいろな問題で、非常に大きな内容を含んでおりますし、いずれまた関連してそれを聞きたい点がありますけれども、きょうは時間の関係もありますので急ぎます。そこで、答申の尊重の問題に戻るわけですけれども、他の、総理府設置法の十五条に基づくいろいろな調査的、あるいは諮問的な組織を読んでみますと、たとえば答申あるいは意見、勧告があったものに対しては、政府が法律を作成する場合には、その前に委員会の意見を聞かなくちゃならない、こういう形において、尊重というようなことは法律用語じゃないですから、実はこういうものはこういう形式的な倫理的規定を除いてしまって、具体的に、尊重とは、たとえば答申は出た、これに基づいて政府は法案を作成する、したことに対して意見を求める。もちろん、提案権は内閣にあるわけですから、あるいは予算を伴うとか、いろいろな問題があるでしょう。そういうことがあるから、答申案が必ずしも政府において法案作成にまでいかない場合も数多くあると思うのですが、これは大臣は一番よく御存じの通りだと思います。たとえば税制調査会の場合を見て参りましても、岸内閣が減税の公約をする、公約してしまってから諮問をするのですから、いろいろあわてる場合も出てきますし、あるいはいろいろ審議事項の中においても、どうしても当面は解決しない、委員間の意見は一致しない。しかしながら、これは重大な問題だ。たとえば、住民税の統一の問題なんかは、だれが見ても、地方自治の根本をゆさぶる問題だと思うのです。ああいう不均衡な、税理論をすでに越えてしまったところの混乱したものは、やはり統一しなくちゃならない。しかしながら、委員会において一致しない。国民の税負担から考えて、第一方式でいくことが当然だ、片方は、第二本文方式でいくべきだ、こういう工合に意見が一致しなかった。そこで、政府にそのままやらせて、しかしながら、これはゆるがせにし得ないから、政府の責任において、三十五年国会において提案しなくちゃならぬ、こういうことを答申してきた。ところが、政府の方では、三十五年にはとうとう提案もしなかった。こういうことは、いろいろ事例がたくさんあると思うのです。ですから、今度の場合におきましても、選挙制度調査会というものが果たしてきた役割の中に、いろいろ意見の一致しなかったこともあるでしょう。しかしながら、そういうことに意見の一致を見たものであっても、政府は、政治的な配慮なりいろいろな情勢から、これを採用することは困るというので、取り上げなかった場合もあると思うのです。そういうことに対して、やはり政府が法案を作成しようとする場合においては、答申した人たちの意見を聞く、求める、そうすると、おれたちの答申したことと違うじゃないか、どこに権威があるんだ、こういうことを政府がやっていくのだということによって、答申を尊重するのだというのが具体的になってくるのじゃないかと思うのです。そういう意味から、こういう言葉を、他の調査会なり諮問機関に入っているのに、この審議会は調査会と違うのだという特異性を非常に強調しておりますけれども、そうしてまた、重大な決意なり強力にして権威あるものだとか言っておられるのですが、大事なそういう点が書いてないのはどういうわけですか。
#44
○安井国務大臣 おっしゃるように、積極的に、少なくとも政府は答申なり意見具申を尊重しなければならぬという意思表示をしておるのでありまするから、この答申なり意見具申に対して政府が別個の立場をとる、異なった取り上げ方をしたというような場合には、少なくとも、この三条によっては、それに対する根拠なり理由を政府自体が明らかにするというような責任は、この条章からは生まれてくるという御趣旨の御質問だろうと思いますが、私も当然そういうふうになるだろうと思っております。
#45
○佐野委員 ですから、そういうことを条文に明確にしておくことは、こういう抽象的な、倫理的な、道徳的な規定を何も挿入しなくても、具体的に他の調査会なり審議会がやっておるでしょう。やっておることを避けて、なぜこういうような倫理的な規定を挿入されるかということです。もっと具体的に明確にすればいい、例示すればいい。政府は適当な措置ではなくて、こうやるのだということさえ明確になれば、だれも、尊重するとかしないとかいう言葉にとらわれる必要がない。なるほど、政府は、こういうふうに尊重しようとする意思が、積極的に、条文の中に盛られているじゃないかということになる。あなた方は、言葉は積極的に積極的にということを言われるけれども、法律は消極的々々々となっておるじゃないですか。
#46
○安井国務大臣 そういう御意見というものを、こういう問答なり質疑を通じて明らかにすることは必要であろうと思いますが、そういうふうに具体的に法文上政府を拘束してしまうとか、こうだというふうに書くのは、こういう法案の性格上、ちょっと法的にも問題があろうと思います。しかし、精神は今お話しのようなもので、当然私どもは、政府が積極的にそういう意思を示しております以上は、もし異なったような取り上げ方があれば、その根拠を明らかにする責任を負うものであるというふうにこれを解釈いたしております。
#47
○佐野委員 自治省の選挙制度審議会の法案の大綱には入っておったと思うのですが、入っておったのをなくされたというのは、大臣は閣議でそういう点を主張されたけれども、閣議においては、そういうものは必要がないということで削除されたのですか、それとも閣議に出る前に削除されたのですか。
#48
○安井国務大臣 そんなことはないです。別に、これに対して変更を加えられたというようなことは全然ございません。
#49
○松村(清)政府委員 なるほど、おっしゃいます通り、原案を作成する過程においてはそのようなこともあったかと思いますが、ただいまお話が出ましたように、あまりこまかく政府を拘束するような規定は、憲法上問題があるわけでございます。そうしてまた、ここでは、その行政上の措置でなくて、むしろ法律案を作って国会へ出すということを尊重の重要な内容に考えておりますので、法律案作成の過程にありましたような必要な措置をとるというような言葉は、これは行政上の問題に使われる言葉でございますので、そういうものを避けて、こういうふうなものに最終的にはしたような次第でございます。
#50
○佐野委員 逆ではないかと思うのです。行政上の民主化あるいは運営あるいは管理、こういうことに対して、法的に基づいて設けられた調査会なりあるいは審議会なりにおいては、その決定に対して尊重していく、こういうことを言われるのは差しつかえないと思うのです。けれども、こうした審議会の場合は、もっと具体的にしなくちゃいかぬと思うのです。単なる答申の言いっぱなしで、尊重するのだ、こういう倫理規定は要らないわけですよ。法律用語としては要らないことを特に入れる、何らあったってなくたって関係のないことを法的に入れて――倫理的にはありますが、それを入れて、任務を明確にする、こういう作用に対しては抽象的にぼかしてしまう。そうすると、言葉では、こういう言葉が入っておるから、なるほど、従来の調査会と審議会とは違うのだ、こういうことを力説される一つの根拠にしておられるけれども、実体的には何ら調査会と審議会とは変わらぬじゃないか、法律上は、法文上は同じことじゃないか、こういうことになってくる。ただ、政府の考え方は、積極的であり、強力にして権威ある組織、機構を作るのだと言われますけれども、法律上示されておるのは、現在の選挙制度調査会令でもできるのではないか。何も選挙制度審議会というものを特に新しく作らなくちゃならないという理由は、ちっとも法文上は出てこないのではないかということを感ずるわけで、こういう特殊な用語を入れておられることだけが違う、しかも、法的に拘束力があるかどうかというとない、逆に、憲法上の疑義が出てくるというような言葉に至ってしまう。そうすると、結局総理大臣が、独自の見解で、すばらしいのだといって自画自賛しておられることは、ちっとも自画自賛にならないのではないかということも感ずるので、どうしても納得できないのです。
 次に、組織の点についてお尋ねしたいと思うのです。前の選挙制度調査会の場合は、委員が三十五人以内だったと思うのですが、今度の審議会は三十人以内だ。それから、前の選挙制度調査会の場合は臨時委員が五人以内ですか、それから専門委員が五人以内、それに幹事が二十人以内だったですか、こういう組織になっておったと思うのです。今度の場合は、委員が三十人以内として、あとの特別委員並びに幹事、こういうものの定数が書いてないのですが、これはどういうわけですか。
#51
○松村(清)政府委員 この特別委員の員数なり幹事の員数というものは、そのときのいろいろな事情によって変動があり得ると思います。それで、これらの問題は、法律で規定しておきますよりも、政令でもってこれを規定する。政令の方が弾力性を持ちますので、そういう趣旨で正委員だけ法律に書いて、あとは政令に規定しよう、こういう意図でございます。
#52
○佐野委員 法律で制定しても何らじゃまにならないと思うのです。その方が明確になる。政令なんというのは極力避けるべきである。こういう場合は、やはり予算も伴うわけですし、国会の審議のためにも、明確にきめておくことがやはり正しいのではないか。それはそれでもいいことはいいのですけれども、しかし、そうあるべきが建前ではないかということを感じますと同時に、一体これらの委員、特別委員はみな非常勤というわけですね。結局幹事も非常勤ですけれども、幹事は関係行政機関の職員のうちからおもに総理大臣が任命する、どちらも総理大臣の任命ですけれども、そういう建前になっておると思うのです。その場合におきまして、選挙制度調査会の場合もそうなんですけれども、やはりいろいろな調査会の委員の皆さんに会ったときに聞くことは、ほとんど非常勤で、幹事は役所の役人だ、だから役所の一つの方向に、おれたちはときたま出ていって引きずり回されておる、こういう調査会なり審議会というものが非常に多いと思うわけです。大体総理府の中にだけでも、法に基づくものもあるでしょうけれども、三十七、八の調査会なり審議会、懇談会があると思うのです。それから省令あるいは府令によってできているものなど、大体三百くらいになるだろうと思うのです。そういうものを作られて、しかも、行政関係から総理大臣が任命したという人たちは、自己の責任をのがれるというわけじゃないでしょうけれども、ある方向に持っていくというだけの懇談会なり調査会も非常に多いと思うわけです。そこで、こういう委員の任命の基準、総理大臣が任命される基準に対して何か考えを持っておられますか、大臣、どうですか。
#53
○安井国務大臣 これは文字通り学識経験者というものを基準に、なるべく党派にとらわれないで、公平に選定していきたいと思っております。格別にこれとこれというふうな、どこから何名、どこから何名というふうなことは、まだ、今ここで申し上げるまでの段階に立っておりません。
#54
○佐野委員 もうすでに審議会を出発ようとする――調査会の場合におきましても、去年の十月で委員の任期が切れているのに、委員を任命せずにおる。ですから、相当急がれておるだろうと思いますし、また、調査会自体が皆さんの御不満であったという点は、答申が抽象的であったとかどうだとかいわれますけれども、やはり人選に相当問題があったのじゃないかということからも、今度の審議会における人選という問題は重大だと思いますが、これに対して、現在のところ、何ら考えておられないというわけですか。
#55
○安井国務大臣 これは非常に大事な問題であると思いまして、一応の腹案はないわけでもございませんが、まだこの審議の途中でもございますし、私どもの考えといたしましては、第一院である衆議院でも通ってから、これは人事の問題ですから非常にデリケートな問題もございますし、それぞれの腹案によっての意見を具体的に求めたいという手順に考えております。
#56
○佐野委員 ですから、この調査会にいたしましても審議会にいたしましても、何ら変わらぬと思うのです。結局総理大臣が任命するわけですし、この問題の場合においても、人選という問題は、調査会の場合においても審議会の場合においても、何ら変らない重大性を持っておると思うのです。しかし、一番心配になって参りますことは、学識経験者ということになって参りますと非常に範囲が広いと同時に、一体だれが学識経験者なのか。特定の考え方で、あるいは小選挙区制度でなければあとは聞きたくない、こういうような方が選挙制度調査会の中にもおられて、もはや議論の余地なしという考えの方もおられる、そういう人を任命になっておられる。大体三百からあるところの懇談会なり調査会なり審議会の委員は、一応参考資料が私たちの手元にあるわけですが、相当数多くの方が兼任をやっておる。しかも、お役人をやった方が非常に多い。ないしは評論家その他といわれる人も、特定の思想、特定の考え方――世界観の違いは別としても、特定の考え方を持っておるという人を、総理大臣が任命しておる場合が非常に多いと思うのです。また、総理大臣でなくても、各省に設置される場合には、その主官大臣がそういう人を任命しておるという場合が非常に多いと思うのです。そういうことになってしまいますと、審議会において検討していくのじゃなくて、自己の持っておる考え方を押しつける、あるいはまた、お役人を長くやっておられて、恩給をもらって、また調査会その他の委員をやっておられるという人は、政府の考え方なりに常に同調していかれるというために、調査会なり審議会の活動が麻痺してしまっておる。こういうのを具体的に拾って参りますと、たくさんあると思うのです。そういう意味からも、今度の場合における人選に対して、政府としては、明確な一つの考え方なり、そういうものは、現在のところは持っておられないと考えていいのですか。
#57
○安井国務大臣 今御指摘のようなことは非常に大事だと思っておりまして、私どもも、十分そういった意味を取り入れたもので考えたいと思っております。腹案として全然ないというわけじゃございませんが、今申し上げましたように、せめて第一院でも通りましてから、さらに関係方面の御意見を、この腹案をもとに徴して固めていきたい、それについては、今のような御意見については十分考慮していきたいと思っております。
#58
○佐野委員 時間がありませんし、あとの質問者もおられますので、別の機会に掘り下げて質問させていただくことにいたしまして、いろいろお聞きして参ったわけですけれども、どうも調査会をやめて、新しく審議会を設置しなければならない理由というものを見出すのに困惑するわけです。どうも納得できない。みな同じものじゃないか。要するに、一体調査会と審議会というのはどこが違うのか、また、そういう理由も発見するのに困る。言葉の字句が違っておるのは、抽象的であるにすぎないということになって参りますと、一体何のためにこういうのを提案されるのか、前の選挙制度調査会でもけっこうじゃないか、そうして、もう少し調査会なら調査会の諮問にこたえ得る人選をやられた方が、よりよいのじゃないかということです。ですから、調査権を与えて、強力にして権威ある組織、機構を作るのだと言われても、何ら権威あるものとしての差異を見出すことができ得ないし、あるいは答申の尊重ということにいたしましても、やはりそうじゃないか、こういう工合に感ずるわけです。そういう点で私が非常に残念だと思いますことは、行政権と申しますか、行政組織法の十一条に、所管の大臣は、みずからの主任している行政事務について、法律その他に対していろいろ欠陥があり、あるいはあやまちがある場合においては、これを改正するあるいは廃止するという措置をとることを閣議に申し出るということが、一般行政事務とともに、主官大臣の権限に明記されている。それは行政権だと思うのです。ですから、過去における選挙、特に昨年十一月の選挙が腐敗選挙であった、と同時に腐敗選挙区であった。特に定数と人口の今日における不均衡は、腐敗選挙区であるより以上に、大きな、民主主義の政治に対するいろいろな疑惑を与えて参っておる。こういう意味から考えて参りましても、あるいはまた、検察当局として、みずからの検察事務の中において、相当の欠陥を是正すべきものがわかっておると思うのです。自治省といえども、選挙事務を通じて、あるいはいろいろな選挙の実態を通じて、いろいろな点が指摘されておると思うのです。そういうのを行政権の責任において是正し、改正していく、これが本来のあり方じゃないか。そのために、あるいは総意を集めるために調査会を設けておるわけですから、その調査会にもっと具体的に諮問するなら諮問していいじゃないか。あるいは部会を設けて、部会の中において、皆さんの言われるようなことを、行政の中で知り得た材料、資料その他を提供して、その中において具体的な答申を求める努力をなされてもいいわけだし、国会には公職選挙法特別委員会が設けられておるわけですから、この委員会に政府としての所信を明らかにして、その中で、行政の責任において具体案を作成していくこともでき得ると思うのです。そういう本来のことをやらずに、しかも、緊急にやらねばならぬことがたくさんあるにもかかわらず、しかも、それが実行に移さるべき条件はすでに熟してしまっておる、相当の問題点はあったけれども、すでに熟しておる、熟しておるから成文化するというものがたくさんあると思う。と同時に、そうではなくて、もっと根本的に、あるいは比例代表制なりあるいは小選挙区制なり、利害一致せず、あるいは日本の歴史的な諸条件を考えても、いろいろ慎重に検討しなくてはならぬ根本の問題がやはりあると思う。その根本の問題は、根本の問題として特別の調査委員会を設けられる、現在の調査委員会を活用して、あるいは国会の特別委員会に対しても、政府の責任においていろいろな御提案をなさってもけっこうではないか。そういう中で、まず、選挙後に起こったほうはいたる世論、あるいは腐敗選挙を目の前にいたしまして、政治に対する不信が高まっておる。これを除去する。このことは、もうすでに諸条件が熟してしまっておるのであって、今さら答申も、諮問も、何もないのじゃないかという工合に考えるときに、私は、どうしてもこの選挙制度審議会について納得できないのです。ですから、これからまたいろいろな点に対して質疑を続けさせていただくことにして、本日は、一応どうも納得できないというところで質疑を終わらしていただきたいと思います。
#59
○竹山委員長 島上善五郎君。
#60
○島上委員 私も、あまり時間がありませんから、少しばかり大臣に伺っておきたいのですが、現行選挙法はいろいろな点で不備や欠点がある。これを改正しなければならぬということは、もうすでに前々から世論の要求でもあるし、与野党ともに認めておった。だからこそ選挙制度調査会というものがあって、そこに政府も諮問しておったと思うのです。改正の一般的な理由については、今に始まったことではない。ところが、去年総選挙をやってみまして、特に私は、あの実態にかんがみて、緊急にどうしても改正しなければならぬという点が認められたと思うのです。痛切に感じられたと思うのです。私は、そういう意味において、今度の国会で、来年の参議院選挙も、よい意味においても悪い意味においても、準備運動が動き始めているのですから、このときに、昨年の総選挙の実態にかんがみて、緊急に改正しなければならぬという点があるはずだと思うのです。一般的な改正の必要は前々からだれでも認めておったことですが、昨年の総選挙の実態にかんがみて、そうして明年参議院の選挙だというこの事実を前にして、特に改正しなければならぬという点が感ぜられたはずだと思う。政府はそれに対してどのように考えておるか知りませんが、私たちが特に感じたというのは、去年の選挙は百日選挙だといわれた。三カ月か四カ月前に解散が予定されておった。予定されておっただけに、その百日間に悪質事前運動が非常に露骨に行なわれた。おそらく何千万円金を使ったというふうにいわれておりまするが、その何千万円の金は、半分以上は事前運動に使ったのではないかと思われるほど露骨な事前運動が行なわれた。来年は参議院選挙で、今からもう予定されておるのですから、おそらく一年間の、あるいはそれ以上の事前運動が、去年の選挙のあの状態から推して考えると、行なわれるのではないかと思う。これに対して緊急に手を打つ必要があるということが一つ。
 もう一つは、これは何も、昨年に始まったことではないと言えばないとも言えるわけですけれども、この前、警察庁の報告でも明らかになりましたが、昨年は特に、買収、供応というような、選挙の中の一番悪質な違反が多かった。このままでいくならば、やはり次の選挙でもそういうことが予想される。私は、制度の根本問題ももちろん検討し、研究することが必要だと思いますが、こういう去年の選挙の実態にかんがみて、緊急に必要だという点は、要約すればこの二点ではないかと思うのです。その点に対して、政府はどのようにお考えになっておるか、伺いたい。
#61
○安井国務大臣 おっしゃる通り、昨年の選挙におきまして、いわゆる悪質選挙違反が非常に多数にあがったということは事実でございます。こういうものを早急になくしていくためには、制度自体についても相当検討していかなければならぬと思いますが、昨年の制度におきましてあれだけのものが出たというようなこと、そこでその前に、その制度を改正しようということで、答申がその一年前に出ておったわけでありますが、なかなかまとまらなかったというような状況から、われわれは、早急にやらなければならないが、やはりでき得る限り各般の御意見の統一を見た上で、早急に間に合わすようにしたいというふうに考えて、今この審議会をお願いしておるわけであります。
#62
○島上委員 私は、今度の審議会設置法は、緊急に改正が必要だということとはどうも一致しないと思うのです。ここに諮問する事項を一から四まであげておりますけれども、これは、先ほど来佐野君が質問したように、その他重要な事項ということが入れば、あと全部です。制度の根本的な改正の問題から、人口と議員のアンバランスの問題から、政党の政治資金に関する問題から、公明化の問題から、全部といってもよい。しかも、これはきわめて一般的な、抽象的な問題の出し方であって、この全部に対して具体的な答申を政府が期待しておる。一昨年の十二月にあったようなあれでは抽象的で、政府が法律化して国会に出すにはどうも不十分である。こういうような答えが先般来ありましたが、そういうことは、つまり、この一から四まであげたことに対して具体的な答申を期待しておる、政府がすぐ法律化できるような具体的な答申を期待しておるということですから、これだけの広範な問題に対して具体的に答申をするということは、なかなか大へんなことだと思う。言うべくして、一年やそこらでは行ない得ないことだと思います。私はそう思う。第一、現行の法律は、御承知のように、現行の中選挙区制の上に立った運動方法が規定されておるのです。もしここにありますように、選挙制度そのものの根本的な改正をも答申を求める、こういうことになりまして、かりに、かつて行なわれたように、小選挙区制という答申が行なわれるとしましたならば、おそらく、現在の選挙運動の仕方そのものを、従って、現行選挙法そのものを、もう根本的に建前からして直さなければならぬという結果になると思うのです。そういうことが、一体一年かそこらの間にできるかどうか。私はできないと思うのです。
 そこで、私たちがかねがね主張しておるように、根本問題は、これはある程度時間をかけて検討すべきもので、来年に迫った参議院選挙に対して、必要な改正だけは大急ぎでやるべきだ。今伝えられるところによりますと、参議院でもそういう動きがあるようです。しかし、私たちは、参議院のあの程度の改正案には賛成できない。あまりにも自分たちの選挙そのものの都合だけを考えた近視眼的な、そして世論を無視した改正――改正というよりは、改正であるのか改悪であるのかわからぬ程度のものですから。改正の部分もほんの少しあるといえないことはありませんけれども、やはりもっと世論に耳を傾けて、去年の総選挙の実態を反省して、必要な改正を緊急にする必要があるのではないか。私は、この必要は政府も否定することができないと思う。今までの答弁では否定してない。しかし、ここにあるように、根本的な問題と一緒に諮問するということになれば、一年やそこらで、しかも、すぐ法律にできるような具体的な答申はできないと思うのです。
 そこで、私は思いますが、制度の根本的な改正の問題、たとえば小選挙区制にするとか、比例代表制にするとか、西独方式にするとかいうような問題は、この審議会設置法に、答申は尊重しなければならないという尊重の義務規定が、倫理規定にせよありますから、それを考えれば、政党が何の考えも持たずにここに諮問をするということは、この根本的な問題の性質としては、私は不適当だと思うのです。むしろこういう根本問題は、各政党が十分に検討し合い、話し合って、そして結論を出すようにすべきものである。政党が何の考えも持たずにこの審議会に諮問して、それで答申が出たら――どういう答申が出るかわからぬが、その答申が出たら、これを尊重するということが実際上できますか、私はできないと思うのです。もしこの審議会の答申を尊重するとすれば、あらかじめ、たとえば政府が小選挙区なら小選挙区にしようとすれば、小選挙区論者をもって委員に委嘱する、比例代表制にしようとすれば、比例代表制の考えを持っている人を委員に委嘱するというようなことにでもしなければならぬということになると思う。そこで、この諮問の仕方ですが、こういう抽象的なことを一から四まで並べて、審議会ができたら諮問するというお考えですかどうですか、それをはっきり伺いたい。
#63
○安井国務大臣 お話しのように、この一から四までの条項は非常に大問題を含んで――どれも重大でないとは言いませんが、大問題を含んでおります。これを全部、一年以内に完全なものができる、あるいは答申がそろうというふうには、常識的にはなかなか考えられまいかと思います。そこで、さしあたり政府が諮問いたします際の態度としては、今度は諸般の情勢を相当具体的にまとめ、こういう問題、こういう問題、いきさつはこういうふうにあるという問題を提起いたしまして、それに対する具体的な答申を求めたい。しかもそれは、これが全部一緒でなければいかぬとか、一部でよろしいとかいうような断定的なことは、政府としてはいたしませんで、具体的な問題についての扱い方は審議会におまかせするということで、世論としてこういうふうなものが当然じゃないか、今言われますように、一部分だけ早くすべきものじゃないかといったような審議会の御答申がいただければ、これはまた、われわれも早急にその線に沿って処置をしたい、こう考えております。
#64
○島上委員 おそらく審議会は、政府から諮問された事項に対して調査検討をし、答申をするということになると思うのです、この法律の建前からいってもそうなんですから。ですから、政府が、この一から四まで法律にあるものを、かりに三なら三、二なら二、四なら四というものについて最初に答申してほしい、こういうふうにすれば、その事項について専門に検討して、答申をするということになると思うのです。ですから、そういう一から四まである事項のうちのいずれかを先に諮問するという諮問の仕方をするのか、これをこのままにして、一から四までを全部法律通りに諮問をして、審議会が、みずからの判断によって緊急と思うものから答申をするということを期待するのかということを聞きたいわけです。
#65
○安井国務大臣 それにつきましては、私ども、今ここで一なら一だけにまず限定してやるというふうな明確なお答えをすることは、ちょっと困難だと思います。今も言われますように、当面緊急なものはこういうようなものである、あるいはこういったものについてはこういった問題があって、こういう経過になっているというふうな提示の仕方をいたしますれば、おのずから、この順序といったようなもの、あるいは審議会の御判断といったようなものもつき得るようになるのではないか、そういうふうなものを考えておりますし、あるいはまた、場合によりましては、具体的に、その一なら一についてまず早急に御答申をいただきたいというようなものになり得る場合もないとは言いませんが、今ここではっきりどういう順序にどうやるというふうには、ちょっとお答えしにくいと思っております。
#66
○島上委員 どうもそれでは、私どもは、いよいよもって政府の法律改正に対する熱意を疑わざるを得ないのです。私が今言ったようなこの制度の根本問題をかりに含めてやるとすれば、簡単にはできない。制度の根本を変えれば法律の建前も変えなければならぬ、法律を徹底的に改正しなければならぬということになりますので、これは非常に大へんなことです。私どもは、ほんとうに政府に熱意があるならば、今まで大よそ検討をし――ここに選挙管理委員会の決議もきておりますが、世論もほぼ一致し、与党も野党も検討済みの緊急と思われる問題を先に諮問します、こういうのなら、なるほど、それならば来年の通常国会には間に合うだろう、そうすれば、少しおそまきになるけれども、来年の参議院選挙にはどうやらこうやら間に合うということで、信頼できるのですよ。しかし、来年の選挙に間に合わせます――もっとも池田総理の言葉は、間に合えば間に合わせます、こういう程度の言葉ですから、はなはだ当てにならぬ答弁ですけれども、少なくとも今の国会で最小限度の改正は必要だろう、参議院の出したという程度のものではなくて、もう少し広範なもので最小限度の改正は必要だと考えておりますので、政府に出すことを求めて参りましたが、政府が出さなければわれわれが近々出す用意をしております。しかし、少なくとも、来年の通常国会の初めには提案されて、今ごろは通っているようでないと、来年の選挙に間に合いませんよ。そうして去年の衆議院選挙と同様の、あれに輪をかけたような野放しの不正、腐敗の運動が横行するということになるのですよ。そこで、私たちは、むしろ去年の選挙の実態にかんがみて、買収、供応等を中心とする目に余る不正、腐敗の選挙運動を防止するための具体的な答申をまず求める、こういうふうにしなければ、言うだけでもって、結局、選挙法改正をやるがごとくやらざるがごとく、ぐずぐずして、極端な言葉で言えば、世論の要求をごまかしてしまうという結果になることを、われわれはおそれるのです。少なくとも、政府が熱意があるならば、そうして改正のための審議会設置法だというならば、諮問の順序はこういうふうに考えております、このぐらいの明確な答弁があってしかるべきだと思うのです。審議会の判断にまかせるとしたら、どういう委員を委嘱するか知りませんけれども、さっき佐野君の言ったように、政府は、みずから改正しようとする責任を選挙制度審議会に転嫁してしまって、ただ改正のゼスチュアを示すだけだ、こういうことになりはしないかと思うのです。
 私は、まだ質問したいことはたくさんありますけれども、きょうは時間がありませんし、井堀君も質問を希望しておりますから、きょうはこれだけにしておきますが、今の大臣の答弁では満足しません。今言ったように、少なくとも当面必要な目に余る不正、腐敗の選挙運動、とりわけ事前運動、これに対する手を打たなければ改正の機会を失してしまう、また、改正しても改正の実効を上げることができなくなってしまう、こういうことを私たちは心配するのです。もし、さっきと同じ答弁ならもう要りません。もう少しはっきりした答弁を伺えるなら、お答えいただきたい。
#67
○安井国務大臣 はっきりした答弁と言われますと非常に困るのでございますが、今の島上さんのお話しのような精神や気持は、十分に盛った答申を求める形をとりたいと思っておるのであります。ただ、そこで、どういう手順でどういうふうにやるかと言われますと、ちょっとまだ今のこの段階ではお答えしにくいということ。それから、もう一つは、島上さんのお考えでは、一つの何かアイデアがおありだろうと思います。また、政府もあるかもしれません。しかし、それがなかなか一般のまとまりにならないというのが従来の実績で、実は政府としても弱っておるわけであります。現に、参議院で今何か問題になっておるようでありますが、これ一つだって、また出ていけばすぐ反対意見が出る。あんな簡単なことでさえも、これだけ議論が出るというようなことが今の実態でありますので、非常に回りくどいようでありますが、世論の代表者であると思われる人のもう一回最後の診断をして、そうしてできるだけ早くやりたいというのが真意でございます。
#68
○竹山委員長 井堀繁雄君。
#69
○井堀委員 私は、ごく簡単に一、二お尋ねをしてみたいと思うのであります。
 この審議会の性格を決定するものは、先ほど来だんだん質問がありましたように、委員の人選にまずあると私は思うのです。その人選を誤りますと旧態依然たるものになるのではないかと思うので、この人選は、よほど厳選に厳選を重ねるべき必要があることだろうと私は思う。この点について一つお尋ねをしてみたい。
 それから、一つは諮問事項の内容であります。先ほど来の答弁を伺っておりますと、この法案が成立して以後ぼつぼつおやりになるようでありますが、それは、私は、いろいろの手続の上について配慮のあったことは十分理解できるのでありますが、少なくとも政府が、この際こういう審議会の制度をこの国会に提出されるからには、その前提となるべきものが明確でなければならないものが一、二あると思う。それをこの機会に明らかにしておこうと思います。それは、政府みずからもたびたび繰り返しておりますように、ただいまの国会成立の前提になります今回の総選挙におきまして、世論の非難の的は、莫大な選挙資金がかかった、すなわち、金のかからない公明選挙をやりなさい、ごく具体的に、世論から前回の総選挙で大きく非難されたのに対して、自粛しようという国会並びに政府の意図に基づくことは、きわめて明確であります。でありますから、これにこたえられる具体的なものをあらかじめ用意して、委員会の構成なり、また、その委員会に諮問する事項を、すべてとは言いませんけれども、大きな項目くらいは明らかにしてかかるべきではないか。前回、この委員会で、私は池田総理にその点を実はお尋ねいたしましたが、巧妙に答弁を避けられてしまったようであります。ここで重ねて私はその点を明らかにいたしたいと思いますので、お尋ねをいたすのであります。
 まず第一に、その構成でありますが、今回ちょっと変わったと思いますのは、三十人以内の審議会委員を選ぶについては、従来の形で何か特別委員会を設けるというような形にした点は、私の想像するところによれば、国会議員の選挙を、その被選挙者である国会議員が、原案を作った、あるいはその原案を決定的なものならしめる重要なポストに多くの人が加わるということは、適当でないという意味もあったのではないかと思うのでありますが、しかし、また反面、考えなければなりませんことは、私は多少今回のその扱い方において矛盾を感じまするのは、ただいま勝利を占めておりまする政党は自民党であります。何回となく選挙で勝ちを続けておるわけでありますから、現在の選挙法が自民党にとっては一番適当であるということは、この事実が証明するわけでございます。その自民党の上に成立しておりまする内閣が、自分の不利になるような選挙法を作るなどということはあり得ぬことであります。でありますから、こういう意味で、自民党なりあるいは内閣というものは、虚心たんかいでなければならぬ。だが、それはなかなかむずかしいものであるということは、私どももよく承知しております。自分の政党が敗れるような選挙法を作るなどということは、これは言うべくしてなかなか行なえないことであります。まず、この点に徹することが大切だと思うのであります。審議会は、そういう事実を十分消化し得るような選挙法を作るということが前提でなければならぬのでありますから、国民の前に、私は、池田内閣は虚心たんかいにその点の具体的な表明をなされなければならぬと思う。それには、審議会の性格というものについてはこうこうであってほしいということを言うべきではないか。この点が一向出ていない。それを、総裁でもあるし、内閣の首班でもありまするから、池田総理にお尋ねしたのでありますが、時間もありませんし、質問も要を得なかったのであります。この機会に、責任大臣である自治大臣に、一つ政府にかわって、あるいは政党を代表して、この点に対する何か――この審議会に、こういう方法で国民の疑いを晴らすように、人選についてはこうしたいといったようなものが表明されてきませんと、先ほど来だんだん議論をいたしておりますように、われわれ野党側に立つ者は、現在の選挙法ではちょっと勝ち目がないということは、もう言うまでもありません。といって、自分らの都合のいいような要求をするということであっても、それは目くそが鼻くそを笑うことになるかと思いますが、そこで、やはり国民に向かって、この機会に、政府なりまた議員は、こうすれば公正な審議会の構成ができて、そして、その性格は、こういうものを意図しておるというぐらいのことを明らかにしていただきたいと思うのであります。非常に抽象的な質問でありますが、この人選について、先ほど来の質疑応答を伺っておりますと、一向不得要領で、はっきりした回答を得られなかったようでありますから、私は、人数が三十人が適当であるかどうかということについては、多くの関心を持たぬのであります。三十人でもけっこうです。あるいは二十人でもいいでありましょうが、その人選については池田総理がやることになっておる。でありますから、先ほど来言うように、責任が非常に重大であります。自分に損になるような人選をするかしないか、しないだろうという国民の見方があるのも、また当然であります。そうじゃない、こうするから、そういうことにならないのだということを、この際、明らかにする必要があると思う。何かそういう点について、人選について、抽象的でけっこうでありますが、従来と異なる、一般の疑いを晴らす、そうして、自民党にもあるいは池田内閣にも不利なようなものが出ても、それは仕方がないというぐらいの、見込みのあるような人選の方向というものを、この際、明らかにする必要があるのじゃなしか。まず、この点について、一つ責任ある御見解を明らかにしていただきたい。
#70
○安井国務大臣 自由民主党の政府であるから、その政府が作って委嘱する審議会の委員は、政府に有利なものを作るのが当然であろう、また、そうするであろうという御疑問、あるいはそうでないので、良識的に、良心的にやろうというならいうで、めどを示せという、非常にむずかしいと申しますか、質問でございますので、御答弁にははなはだ困るのでありますが、建前といたしましては、私ども与党政府であるからといって、与党の有利なような選挙制度を作るための委員の委嘱、人選をしようとは毛頭考えておりません。この問題がこれほど世間で非常に大きな問題になっておりますだけに、いわゆる体制としては、第三者の、できる限り公平な学識経験者というものを重点的に置きたいと思っております。しかし、同時に、私ども、これはまあ一応の試案でありますし、これをたてにとられてはまた困るのでございますが、私は、できれば選挙事務についての経験者というものも入れたい。それから、選挙自体についての経験者というもので、現役でない人も、非常に適任者があれば入っていただきたい、同時に、政党色が明らかであっても、非常に適任者があるならば、そういう方も現職以外から入っていただきたい、そういうような考え方、これは、お前そう言ったじゃないかという形で今言質をとられますと、責任者として非常に困りますが、気持あるいは考え方としては、そういうふうにものを考えております。
#71
○井堀委員 具体的な御意見が出たようでありますから、私も一つ伺ってみようと思います。政党を排除するという考え方にも、私は理由はあるだろうと思うのです。しかし、政党政治である限りにおいては、むしろ、政党の代表を加えていくということを、この際、一つ条件にしてもいいのじゃないか。この諮問事項の中には、三号に「政党その他の」とありますから、政党というのは、政党法のこともこの審議会でやってもらってもいいというようにも解釈されると思うのです。私は、選挙法を広範に取り上げられる場合には、わが国にあっても政党法の問題が出てきても決しておかしくはない、あるいは当然とすら思えるのであります。それから、先ほども大前提にいたしましたように、第一党に長い間権力がゆだねられておるということは、政党政治にとってはあまりいい傾向ではありません。でありますから、政党がしょっちゅうかわるということもどうかと思いますけれども、やはり政党政治である限りにおいては、その政党が、要するに主権者の国民の意思によって、できるなら交互にかわって、お互いが切磋琢磨する機会を持ち、その刺激を強く与えていくというところに、一つの政党政治の特長があるのでありますから、そういう点からいきますと、この言い方は、少し立場を離れて考えなければならぬと思うのでありますけれども、もう自民党はそろそろ政権を反対党に渡すということが、政治を正しくしていく上に、ごく機械的な考えであるかもしれませんが、政党政治をとっている以上正しいと思う。そのくらいふん切った考えが――この際は選挙法のやり方で自民党は失敗するかもしれない、しかし、その次に勝つといったような考え方が出てこなければいけません。そういう意味で、政党の代表を加えるということは、この際考慮すべき条件ではないか。そのときに、議員の数やあるいは政党の見方をどうはかるかということは、むずかしい問題であるかもわかりませんけれども、政党の代表を一人ずつぐらい加えるということは考慮されていいのじゃないか。
 それから、先ほど事務云々とおっしゃられておりましたが、選挙の事務を一番詳しく経験しているということになると、選挙管理委員会などをさすことになると思うのですが、私は、こういう代表も必ず加えていくというふうに明らかにしていくことも、一つのいいことではないかと思う。
 それから、さらに、できるなら特別委員会の形においてまあ国会議員も、こう言っておりますが、私は、それはいい考えだと思う。その際、いつも国会議員の選び方などについても、数の上だけでものを判断しないで、やはり質の上にも重点を置いて選んでいくという考え方が明らかにさるべきではないか。すなわち、政党の政策というものは、人数によって変わるものではありません。政党の性格ももちろんそうでありますから、そういったような点を明らかにしていくということが、先ほど私は言いにくいことを露骨に言ったのでありますが、そういう点で虚心たんかいだということを表明するために、具体的に考えるべき時期だと思うのであります。まあ、できるなら、今言ったような点をもう少し明らかにして、政党の代表を入れて、選挙管理委員会の代表者を入れて、あるいは国会議員の場合には政党の代表を入れて、あるいは国会の運営上ふさわしいと思われる者を選ぶべきじゃないか。何も、国会がそこでどんぴしゃりきめるなら数でいけますが、そうではないのであります。そういう点などを明確にしていくべきではないかと思う。その点に対するお答えができれば、一つ伺っておきたいと思います。困難であればやむを得ませんけれども、そういうことをこの機会に明らかにすることが、政府として国民にこたえる一番大切なやり方ではないかと存じますから、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
#72
○安井国務大臣 今のお話の選挙管理委員会の代表を入れるという考え方は、私もこれはぜひ採用したいと思っております。
 それから、政党代表という考え方になりますと、ちょっと今の特別委員会の関係もございますし、また、どういうふうにやっていくかという具体的な方法になりますと、私は多少問題が残ろうと思いますが、精神としては、そういうものもぜひ考慮したいというふうに考えております。
#73
○井堀委員 まあ、この際、私も具体的な提案をするまでの用意はありませんけれども、国民の一番疑いを持ちますのは、政党政治の場合における立場というものについては、かなり強い関心を持っておるので、十分御留意の上で、ぜひ一つ人選をやってもらいたい。
 さらに、次に、諮問の内容について、ちょっと明らかにしていくべきものが幾つかあるのじゃないか。その中で、この前もちょっとお尋ねしたが、総理はどういう意味でああいうふうな答弁をされたのか知りませんが、私は、二院制度の問題について、問題はずっと残ったままになっていると思う。参議院と衆議院の性格というものが、少なくとも、選挙の形を通して国民の一般投票だという点は共通しておる。選挙区の地域が、全国区とかあるいは都道府県というような、大きな選挙区を単位にしているという違いがあるだけで、私は、選挙を通して選ばれてくる二院制度というものでは、全く同じ性質のものだと思う。これは諸外国の例あるいは国会の歴史を検討してみましても、私は、そういう二院制度のあり方というものは、改めていくべきじゃないかと思う。いろいろな上から、これは非常に重要なことだと思う。そういう意味の問題が、この際取り上げられてくるということがいいか悪いかというところに、問題があると思う。当然これは、憲法草案の討議が行なわれた国会の記録の中にも、これを政府の責任として、委員長の報告は、義務を負わせたままになっておる。いずれの政府もこの問題に触れようとしておりません。こういうような問題も、政府としては、この際、一つの見識を国会のこういう委員会に明らかにして、委員会の意向をまとめて諮問の対象にすべきではないか、これが一つ。
 いま一つ、一般の国民の関心の的になっておりますものは、沖縄の問題であります。御存知のように、沖縄主権の問題を言っておりますが、施政権が返還されるかどうかということについて、国民はあげてその返還を強く要求しておりますことは、御承知の通りであります。われわれの努力目標でなければならぬのでありますが、こういう場合はちょうどいい機会である。沖縄は、日本の国会にもとから選挙区を持っておった。ところが、今度の選挙法では、沖縄の選挙区は忘れられて、無視されておる。こういう態度は、私は間違っておると思う。この際に、沖縄の人口に見合う両院の議席を一応予定できるわけです。そして、空席にしておけばいいのであって、施政権が返還されたら、いつでも両院議員の定数が選出できるような準備をしておいてこそ、われわれは、沖縄が日本の領土である、そして、一日も早く同胞が復帰できるようにという主張ができるのでありまして、こういうことは何も弊害があるわけではありません。定員をきめておく、そして、いつでも帰っていらっしゃいという建前は、当然すべきではないかと思うのであります。こういうことはだれにもわかることでありますから、この二点について、明確な御発言を願っておきたいと思います。
#74
○安井国務大臣 この前、総理が御出席の際に、井堀さんより、第一の、二院制度の問題について御質問がありまして、総理は、参議院の問題まであわせて審議会でやるわけにはいかないという御答弁であったと思います。その意味は、今言われますように、参議院は投票によってきめるかどうか、あるいは院そのもののあり方というような根本の問題になってくると、憲法の問題にかかってくるので、委員会で扱うわけにはいかない、こういう趣旨であったろうと思います。従いまして、この選挙制度そのもの、区画の問題とか、あるいは投票のあり方の問題、そういうような問題につきましては、これはむろん衆議院の選挙と同じようなレベルで検討されていくべきものであろう、こう思います。
 それから、沖縄の問題につきましては、これは非常に新しい注目すべき御提案だと思いますが、これには技術的な問題も非常にございましょうし、政治的な問題もあろうと思いますので、これを今直ちに御提案を受けてすぐ取り上げるというには、ちょっと困難な事情もあろうと思いますので、十分今後検討いたしてみたいと思います。
#75
○井堀委員 二院制度の問題につきましては、これは選挙法の作り方によって性格が変わってくるということでありまして、憲法の問題とは、格別私は関係はないと思う。だから、選挙法の中に具体的に配慮されることは、選挙区をどうするかとか、職能代表というような制度が入れられるかどうかということが一つあると思う。それは何も憲法とは関係はない。それが直接主権者の選ぶところになるということであれば、今までと同じことで、それが職能代表ということになりますと、職能といったような団体が選挙権を持つことになるわけであります。これは一つの新しい行き方であります。こういう点に対する問題であって、必ずしも憲法と直接つながる問題ではないというので、私はこの前質問したのですけれども、総理は、あなたがおっしゃられるように、私の質問の趣旨を理解していただくことができないで、ああいう答弁になったものと私も判断しております。この機会にあなたにお尋ねしたわけです。
 それから、沖縄の問題は、そうむずかしい問題じゃないと思う。それは沖縄を将来永遠にああいう状態に置いておくということでありますならば、これは問題があるが、政府もたびたび意思表示をされており、各政党とも、沖縄が一日も早く日本に復帰することを国会でも議決しておるくらいでありますから、その議決に基づいて事務的手続を運ぶというにすぎないじゃないかと思うのです。それを何かむずかしくお考えのようでありますが、選挙法改正のときに、その審議会がそういうことまでやってくれるかくれぬか別でありますが、諮問することは一向差しつかえない、こう思ってお尋ねしたわけであります。
#76
○安井国務大臣 前の、参議院の投票の問題につきましては、これは私正確に覚えておりませんが、たしか参議院議員も直接の投票によらなければいかぬ、こういうふうな憲法の規定になっていると思いますので、投票の問題まで入っていっての議論等になりますと、これはちょっと、この委員会ですぐお扱いを願うことは困難じゃないかというふうに考えます。それ以外の一般制度の問題につきましては、これは別でございます。
 沖縄の問題、なるほど非常に有益なそういう御提案でございますので、十分検討したいと思っておりますが、今ここですぐに御答弁申し上げることは、ちょっと困難だと思います。
#77
○井堀委員 時間も参りましたようでありますから、これでやめます。沖縄問題は、閣議でも御相談なさる必要があると思いますが、一つ至急に御相談なさいまして、そういう手続をとることを強く要望いたします。何も元のかかることじゃありませんし、そうすることによりまして、非常に具体的で、相手に交渉する場合にも非常に有利になると思います。それから、沖縄の同胞に対するわれわれの任務はこれこれでございますという表明にもなりますので、ぜひこの機会に、諮問の項目に加えることに閣議で御決定なされるよう御考慮願いまして、私の質問を終わります。
#78
○竹山委員長 本日はこの程度とし、次会は、来たる二十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会いたします。
 これにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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