くにさくロゴ
1960/05/16 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 建設委員会農林水産委員会連合審査会 第1号
姉妹サイト
 
1960/05/16 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 建設委員会農林水産委員会連合審査会 第1号

#1
第038回国会 建設委員会農林水産委員会連合審査会 第1号
昭和三十六年五月十六日(火曜日)
   午後一時五十五分開議
 出席委員
 建設委員会
   委員長 加藤 高藏君
   理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君
   理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君
   理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君
   理事 中島  巖君 理事 山中日露史君
      綾部健太郎君    大倉 三郎君
      大沢 雄一君    金丸  信君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      前田 義雄君    松田 鐵藏君
      山口 好一君    岡本 隆一君
      兒玉 末男君    日野 吉夫君
      三宅 正一君    田中幾三郎君
 農林水産委員会
   委員長 坂田 英一君
   理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君
   理事 石田 宥全君 理事 芳賀  貢君
      飯塚 定輔君    寺島隆太郎君
      内藤  隆君    藤田 義光君
      本名  武君    森田重次郎君
      八木 徹雄君    足鹿  覺君
      片島  港君    北山 愛郎君
      東海林 稔君    中澤 茂一君
      楢崎弥之助君    西村 関一君
      山田 長司君    玉置 一徳君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
 出席政府委員
        農林政務次官  八田 貞義君
        通商産業事務官
        (公益事業局
        長)      大堀  弘君
        建設政務次官  田村  元君
        建設事務官
        (計画局長)  關盛 吉雄君
 委員外の出席者
        農林事務官
        (農地局参事
        官)      富谷 彰介君
        専  門  員 岩隈  博君
        専  門  員 山口 乾治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公共用地の取得に関する特別措置法案(内閣提
 出第一七九号)
     ――――◇―――――
  〔加藤建設委員長、委員長席に着く〕
〇加藤委員長 これより建設委員会、農林水産委員会連合審査会を開会いたします。
 案件を所管しております委員会の委員長であります私が委員長の職務を行ないます。
 公共用地の取得に関する特別措置法案を議題とし、審査を行ないます。
#2
○加藤委員長 まず、本案の趣旨につきまして説明を聴取いたします。
 中村建設大臣。
#3
○中村国務大臣 公共用地の取得に関する特別措置法案につきまして、その要旨を御説明申し上げます。
 御承知の通り、狭隘な国土に多数の人口を擁しておりますわが国の実情といたしましては、経済の発展と国民生活の向上をはかるためには、この国土を最も合理的に利用することが必要でありまして、このため、公共事業あるいは公益事業を今後一そう推進することが要請されているところでございます。
 政府といたしましても、この点にかんがみまして、公共投資の拡充強化を重視いたし、本年度の予算編成において所要の措置を講じている次第でございます。
 しかしながら、公共事業及び公益事業の増大に伴いまして、これらの事業に必要な用地も相当増加して参っているのでありますが、これらの公共用地を取得することが次第に困難になっておりまするため、事業の円滑な執行に著しい支障を及ぼしている現状であります。
 従いまして、公共用地の取得難につきましては、早急にこれに対する適切な措置を講ずる必要が痛感されるところでございますが、この問題は、私権の保護と公共目的の遂行との調整につきまして特に慎重な配慮を講ずる必要がありますので、政府といたしましては、広く各方面の学識経験者の検討を経た上でその対策を樹立することが適当であると考えまして、昨年の七月、建設省に公共用地取得制度調査会を設置し、公共用地取得制度の改善について諮問いたした次第であります。公共用地取得制度調査会におきましては、昨年以来終始慎重かつ熱心な調査審議を重ね、本年三月一日付をもって答申が行なわれた次第であります。
 政府といたしましては、この公共用地取得制度調査会の答申の趣旨を十分に尊重し、さしあたってその用地取得難を緊急に打開することを要する特に緊要な事業に限って土地収用法の特例等を設けることにより、これらの事業の円滑な執行とこれに伴う損失の適正な補償の確保をはかる方策について立法化を進めまして、ここに、公共用地の取得に関する特別措置法案として御審議を願う運びとなった次第であります。
 次に本法案の要旨について御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律案により用地の取得について特別措置を適用すべきものとした対象事業の範囲につきましては、公共の利益となる事業のうち特に公共性及び緊急性の高い道路、鉄道、空港、通信、治水、利水、電力等の重要事業について必要最小限度のものを法律に限定列挙し、さらにこれらのうちから個々の事業について具体的に建設大臣が特定公共事業として認定したものについてのみ特別の措置を適用するものといたしております。なお、新たに建設省に公共用地審議会を設置し、建設大臣が特定公共事業の認定をする際にはその議を経なければならないものといたしまして、特定公共事業の認定に慎重を期している次第であります。
 第二に、これらの特定公共事業の円滑な執行をはかる措置を講ずることといたし、まず、その一として、事前の説明等を義務づけております。すなわち、特定公共事業となるべき事業の目的、内容及び緊急性についてあらかじめ地元住民等に対して説明し、またはこれらの者から意見を聴取する等の措置を講ずる義務を事業施行者に課することといたしております。
 その二といたしまして、特定公共事業の収用手続が円滑に進む措置といたしまして、事業認定及び土地細目公告の有効期間の短縮、事業認定または裁決の申請書の縦覧を市町村長が怠った場合の都道府県知事の代行規定、土地調書または物件調書を作成するための立ち入りを拒まれまたは妨げられた場合の特例等所要の措置を講ずることにしております。
 その三として、緊急裁決の制度を新設いたしました。すなわち、収用委員会の裁決が遅延することによって事業の施行に支障を及ぼすことのないよう、そのおそれがあると認められるときには、損失の補償に関する事項でまだ審理が尽くされていないものがある場合であつても、収用委員会が概算見積もりによる仮補償金を定めて緊急裁決をすることができる制度を新設いたしました。これに伴いまして、緊急裁決が行なわれる場合におきましては、収用委員会が収用後または使用後においても補償額を適正に算定することができるよう所要の措置を講ずる義務、収用委員会が必要と認めるときには事業施行者が担保を提供する義務、緊急裁決の後確定補償額について裁決があり、かつ、差額が生じたときには利息を付して清算する制度等につきましてあわせてこれを規定し、被補償者の保護をはかる道を講じております。
 第三に、特定公共事業に伴う損失の適正な補償を確保する措置を講ずることといたしております。
 その一として、現物補償の裁決の規定等を整備いたし、現在土地収用法によって認められているかえ地の提供、宅地の造成等の現物補償のほか、建物の提供による補償の裁決ができる制度を新設いたしますとともに、緊急裁決が行なわれる場合におきましては、被補償者からの物件の逆収用の請求及び仮住居の提供の要求を認める制度を新たに設けることとしております。
 その二としては、当事者の協議により土地等を買収する場合におきましても、土地、建物等現物による給付の要求があったときは、事業施行者は、できるだけその実現に努めなければならないことといたしております。
 その三として、生活再建対策の規定を設け、特定公共事業に必要な土地等を供するため生活の基礎を失うこととなる者に対しましては、それらの者の申し出によって、都道府県知事が関係行政機関、関係市町村長、申し出をした者の代表及び事業施行者と協議を行ない、生活再建計画を作成し、この計画に基づいて、土地もしくは建物の取得、職業の紹介、指導もしくは訓練、またはやむを得ず環境不良の土地に転居した場合の環境整備に関する所要の措置をとることといたしております。
 以上この法律案の要旨について申し上げた次第でございます。
    ―――――――――――――
#4
○加藤委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。
 石田宥全君。
#5
○石田(宥)委員 私は本法案について、わが国の農業と農民の立場から若干御質問を申し上げたいと思うのであります。
 ただいま大臣の提案理由の説明の中にもございましたように、公共用地取得の円滑な遂行と損失の適正な補償の確保をはかることの趣旨に対しては、あえて反対するものではございませんが、特に土地収用法以外に特別措置を必要とするものであるかどうか、いささか疑問を持たざるを得ないのであります。従来の収用法のもとにおきましても、事業認定あるいは裁決の所要日数等については、私どもの調査したところによりますと、過去四カ年の事業認定所要日数では――これを省略いたしまして、三十四年度を見ますと、最大が二百四十九日、最小は三十七日、平均八十一日というように、そう長期間を要することにはなっておらないようであります。また、過去三カ年の裁決の所要日数を見ましても、これも三十三年度のものだけを要約して申し上げますが、最大が四百十六日でありますけれども、最小が二十六日でありまして、平均は百五十二日、こういうことでありますが、きわめて長年月を要したというものは非常に少ない事例でございます。それについてはいろいろ理由がございます。その多くは起業者が事業を行なわんとするにあたって、きわめて不明朗な動きをする。たとえば各個撃破の戦術をとったり、あるいは地方ボスを使って宴会その他であぶく銭を使う。あるいは一部の強硬な反対者には幾らでも金を出すというような事案が、特に混乱せしめ、長期化する大きな原因であり、さらにまた、府県知事の取り扱いがよろしきを得ないというような事例が非常に多いのであって、ここに土地収用法以外にさらに特例法を設けて緊急収用をしなければならないというような理由は、私はきわめて薄弱なものではないかと思うのであります。特に本法案が成立いたしますと、その及ぼす影響というものは大部分が農民にしわ寄せが及んでくることになろうかと考えるのであります。
 昭和三十三年の農地転用の用途別件数と面積を調べてみますと、その件数においては、住宅敷地としたものが十四万一千五百八十五件でありまして、面積は四千六百十四町となっているようであります。工場用地その他は若干少なくなっておりまして、工場用発電施設用地はわずかに千四百二十七町歩、学校用地は六百二十七町歩、その他建物施設用地が一千三百十五町歩、工員運動場用地は六十二町、道路、水路等の用地が五百九十七町というふうに、総体で八千六百四十五町歩のうち、住宅敷地が四千六百十四町歩ということになっておりますが、こういうふうにほとんど農業用地にしわ寄せが及んでくるということは明らかであろうと思うのであります。
 今回の立法の措置は、池田内閣の一枚看板でありまする所得倍増計画に沿うて、それに対する一本の柱という意義を持つのではないかという疑いが非常に強いのであります。すなわち、農業基本法では輸入によって農業生産を規制し、農業人口を削減する。農村地区に工場の分散をはかるなどのために用地取得を容易にすることが一つの目的である。しかも、犠牲者である農民からは安価に、権力をもって農地を取り上げる。こういうところにこの法案のねらいがあるように思えるのであります。建設大臣はこの所得倍増計画と直接関係ある立場にはおられないのでありますけれども、閣議等においてやはりそういう所得倍増計画というものとの関連において、日本の農業を衰退産業と見て、漸次生産を規制していくという農業基本法の趣旨がこの中に遺憾なく取り入れられておるのではないかということを考えるのでありますが、この点いかがでしょうか。
#6
○中村国務大臣 ただいま御指摘のような、また御懸念のような考えは毛頭含まれておりません。要は、特定の公共事業として、特に国家的見地または一般公衆のために緊急を要し、また重要性のあるものについてのみこの特別措置法を適用いたしたいということでございます。
 御承知の通り、従来の土地収用法で申しますと、事業認定をいたしましてから、その認定の効力を失う期間も三年くらいございます。また、裁決の申請をするまでの期間にも相当期間が置かれておるのでございます。このような制度でございますので、緊急性を要する事業でございましても、建前がそうなっておりますから、事業施行者の方もその期間内に何とかととのえばいいということで努力し、また関係者の方も、そう早く収用法の手続をしなくても、もっと待ってくれてもいいじゃないかというような期待も自然に起こって参りまして、土地収用法の手続を完了いたしまするまでに相当の期間を要しておる現状でございます。従いまして、これらの期間を短縮をいたしまして、急いで手続を進めなければならないような今度の特別措置法の制度にいたしまして、事業施行者も利害関係人も、その基本の上に立って十分協議を進めて、専業がすみやかに施行できるようにいたしたいということなのでございます。
 なお、この特定公共事業の内容を、どの程度のものを一体取り上げるのかということにつきましては、政令等で十分規制をして参りたいと思っております。この内容等につきましては、必要に応じて事務当局から御説明をいたしまして御納得を願いたいと思うのでございます。同時に、その該当する事業でございましても、すべてを適用するのではございませんので、公共用地審議会を設けまして、審議会の議に付して、具体的に個々のケースについて十分審査をいたしまして、これはこの特別措置法を適用すべき特定公共事業に取り上げてよろしいということを十分検討をした上で該当事業にあげていくという、きわめて慎重な手続をとっておりますような次第で、先ほど御懸念のありましたような点は毛頭ないと私は心得ております。
#7
○石田(宥)委員 質問を続ける前に、第二条の各号、一から八までございますが、そのうちの一から七までは適用事業を羅列されておるのでありまして、それは、具体的な点はことごとく政令にゆだねられておるのであります。この政令を、手元にございましょうから、委員会にお出しを願わないと、ただ口頭の説明だけでは、法案の一番肝心な、非常に重要な点が手元にございませんと審議を進めるわけにはいかなくなると思うのであります。これはあとで触れる問題でありますけれども、資料として早急にお配りを願いたいと思います。委員長さん、一つお計らいを願いたいと思います。
#8
○中村国務大臣 今取り寄せておりますから。
#9
○石田(宥)委員 それでは、質疑を続けます。
 ただいまの大臣の御答弁で、慎重な配慮をしてあるということでございますが、従来の土地収用法によりましても、緊急事案については緊急収用の道が開いてあるわけでございます。私が先ほど指摘いたしましたように、従来土地収用については、この緊急収用をするという取り扱いに至る過程においていろいろな不手ぎわがあるために、すなおにこの緊急収用という処置がとられなかったのではないかと考えるのであります。従来の土地収用法による緊急収用というものが、すなおに明朗に取り扱われてきたならば、今回のような特別措置法を作らなければならないというようなことにはならなかったのではないかと考えるのでありますが、この土地収用法の緊急収用との関係について、もう少し詳しく所見を拝聴いたしたいと思います。
#10
○中村国務大臣 政府委員の方から詳しく……。
#11
○關盛政府委員 ただいま現行土地収用法の第百二十三条の問題に触れまして御質問がございましたが、現行の百二十三条は「緊急に施行する必要がある事業のための土地の使用」に関する規定でございます。あくまでも緊急使用でございます。従いまして、この百二十三条は、使用の期間は六カ月ということになっておりまして、この場合の使用の許可の更新はその第二項におきまして認められない、こういう形になっておるのでございます。
 今回の特別措置法におきましては、緊急使用という制度とは別に、緊急収用といいますか、要するに緊急裁決をいたすわけでございまして、当該土地の所有権の取得を起業者に与えるという形にいたしているわけでございます。現在の土地収用法におきましては、そのようなわけで、究極的に所有権を取得しなければいけないというふうな事業がありましても、それは六カ月間の緊急使用によってその許可をもらいまして、しかも、その六カ月間の間に収用委員会の緊急使用の許可があった後本裁決が行なわれるであろうということを期待して行なわれておるというふうな制度になっております。従いまして、使用といいながら実質的には原状回復が困難であるというふうな収用を前提として行なう。使用ということをやるということは、やはり緊要な重要な事業につきまして、ことに鉄道の新幹線の下の土地になる、あるいは市街地におきまする地域等におきましてはそれらが公共施設の用に供せられることになることが明らかな事業でありますので、それはやはり収用ということで進んだ方が現実の事態に合う。また、そのような形で被収用者の立場を律しましたときに、現行法におきましては使用料を払っておる、こういう状況でありますのを、今回の場合におきましては、起業者が収用委員会の裁決による見積もり補償額を支払わなければならない。こういう形によりまして、現在の百二十三条は起業者の見積もりによるいわゆる損失を払うわけでございますから、この点立て方を全然区別をいたしまして、当該土地の利用の目的と被収用者の当該土地の究極的な帰属のことを考えまして、緊急裁決による土地の収用使用という制度が、調査会におきましてもいろいろ検討されました結果出た結論、こういうことになった次第でございます。
#12
○石田(宥)委員 単なる使用だけではなくて、やはり所有権までも収用しなければならないということになりますと、現行土地収用法が土地収用に際しては強力な公権力を制限して、私権を保護する趣旨で公共事業と私権の間の調整規定をしたものと考えるのであります。これを起業者の強い要求によりまして、取得者側の有利となるような本法案は、本来の民主憲法に逆行するものではないかと考えられるのであります。特に農地の収用に際しては、農民は歴史的に権力に非常に弱いのであります。現行法すら伝家の宝刀としてしばしば公権力による強制収刑に使われて参りましたし、これがさらに特別措置によって、ますます農地の私権、生活権を制限されるおそれが強まるということは、これはもう当然なことでございます。憲法第二十九条第三項では、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」としておりますが、本案によっては、収用しようとする土地の調査が反対にあってむずかしい場合には他の方法によるとか、補償額の決定前に概算による仮補償金の支払いまたは供託によるなど、強制収用の道が開かれるわけでありますが、これは憲法の私有財産保護の規定に違反するおそれがあるのではないか、こういうふうに考えるのであります。この点について大臣の所見を向いたいと思います。
#13
○中村国務大臣 憲法の命ずるところは、正当の補償をしなければならないというのが基本でございまして、この特別措置法の場合におきましても、正当な補償は当然にする建前をとっておるのでございます。ただ、補償の全額を交付しないで概算見積もりで緊急裁決をいたしまして、その金額を支払って収用を行ない、事業の施行を行なうことになるのでございますが、後に補償額が正式に決定をいたしまして不足を生じました場合にはもちろんその不足を支払い、さらに利息を付して支払いをする、こういう建前をとっておるのでございます。この点につきましては、私どもも憲法との関連におきましては十分慎重を期した次第でございますが、従来の憲法学者間の解釈上も、この補償は必ずしも同時履行でなければならない旨を規定したものではないという解釈でございます。また、判例等を見ましても、一致して、同時履行を規定したものではない。従って、前後をいたしましても、補償が完全に行なわれますればよろしい、こういうのが憲法上の解釈として学者間には、また判例等から見ましても一致いたしておりますので、この点は私ども憲法の精神に違反する点は毛頭ない、かような確信に立ちまして立案をいたしましたような次第でございます。
  〔加藤建設委員長退席、瀬戸山建設委員長代理着席〕
#14
○石田(宥)委員 この憲法の関係については、さらに昭和二十五年にGHQの指令によりまして公益事業令が発令されて、従来の公益事業者の公用使用権は、私有財産の所有者に対し公用収用の手続があまり簡単過ぎて私有財産権軽視のおそれがあるのを、公共性と私権の対立については私権に重点を置くように改められたものだといわれておるのであります。これに伴いまして、たとえば電気事業法のごときは改廃され、用地収用は土地収用法に集約されて参ったのであります。しかるに、その補償が正当なりやいなやに疑義のあるままに私権を停止するということは、これはどうしても憲法違反の疑いがきわめて濃いものではないかと考えるのであります。今、大臣がおっしゃったように、たとえばその判例によりましても、米の値段がきまらないうちに政府が買い上げをするというようなことについては、これは憲法違反でないというような判例もあるようでありますけれども、そういうふうな米であるとかその他の物件と、農地やその他店舗等生活が本質的に脅かされるようなものについて権力をもって私権を停止するというようなことは、今の大臣の御説明のように、簡単にこれを憲法違反でないと片づけるわけにはいかないのではないか、こう考えるのでありますが、いかがでしょうか。
#15
○中村国務大臣 憲法は、正当の補償をすることによって公共の用に供することができるという建前をとっておりますので、補償をしなければならないことを明記いたしておるわけでございます。
 この特別措置法の場合におきましても、もちろん正当の補償をすることを前提といたしておるのでありまして、若干この概算見積もり補償額と最終的にきまりました補償額、裁決補償額とは食い違いのある場合も起き得るわけでございますが、これはもちろんきまり次第支払いをし、さらにその支払いがおくれたことによって権利者に損害を生じてはならないという考慮から、金利を付しまして利息の支払いをいたしまして権利者の保護をはかる、こういうような実は配慮をいたしておるようなわけでありまして、私どもの研究をいたしましたところでは、憲法の精神に何ら反するものではない、こういう確信に実は立っておるわけでございます。
#16
○石田(宥)委員 憲法にいうところの正当な補償ということが問題であろうと思うのであります。従来土地収用法の執行の場合でも、それが争点になるわけでありまして、大臣の言われる正当な補償というものが正当なりやいなやという、このところに疑義がある場合に、直ちに公権力をもって私権を停止する、そこに問題があると思うのであります。大臣は、正当な補償という場合には、一体どういう基準というか、尺度で正当な補償というものをお考えになっておりますか。
#17
○中村国務大臣 もちろん正当な補償は、一般の市価等を対象にし、あるいは通常受くべき損害等もその中に含まれる次第でございまして、従来の土地収用法の運用の面からも、その点は慎重に扱われてきておったところでございますが、さらにこの特別措置法を制定するにあたりましては、この特別措置法による公共用地審議会の中に損害の補償基準の研究をしてもらう組織を考えまして、やがてこの法律が制定されましたならば、引き続いて補償基準の綿密な検討をいたしまして、そして一般の方々にも御理解を願えるような方法を並行してやって参るという建前を実はとっておるような次第でございます。
#18
○石田(宥)委員 従来のこの土地収用委員会というものは、ややもすると、一番最初に私が指摘いたしましたように、きわめて不明朗な運営が多いのです。起業者と役人と関係者との間がもう少し明朗な取り扱いをされれば、あそこまで紛糾しないで済んだのではないかというような事例が非常に多いわけです。ですから、今お話しのような特別な審議機関を設けられるということでありますならば、この点はきわめて公平に、かつ明朗な運営が行なわれるように御注意を願わなければならないと思うんです。
 次に、やはり憲法との関係がございまして、昭和三十五年の四月十五日に衆議院内閣委員会で、公共用地取得制度調査会を設置するための建設省設置法の一部改正案が審議されました場合に附帯決議がされておるわけです。すなわち「政府及び公共用地取得制度調査会が、土地収用法の検討にあたってはいやしくも、収用地その他の補償額決定以前に、起業者に対し、被収用者の意思に反して、その使用権を認めるがごとき公権力の強化に依り私有財産権を侵害することのないよう特に考慮せられんことを強く要望する。」こういう決議がされておるわけであります。この法律案は、結果においてはこの衆議院内閣委員会の附帯決議の趣旨に相反するところの立法であるといわなければならないのでありますが、この国会の意思、すなわち内閣委員会の附帯決議というようなものはどのように考慮の中に入れられたのであるか。全く無視されてこの法案ができ上がったように考えられるのでありますが、いかがでございますか。
#19
○中村国務大臣 衆議院の附帯決議の問題につきましては、公共用地取得制度調査会におきましても十分掘り下げて研究をしていただいたわけでございます。その詳細につきましては、私ども、就任前から計画局長と関係官がその席に列しまして論議を尽くしまして、また研究をしました過程を十分承知いたしておりますから、必要に応じて政府委員からつけ加えるようにいたしたいと思いますが、この附帯決議の趣旨は、補償額決定前に権利者の権利を取り上げるようなことをしてはならないという精神を持っております。この点は、御承知の通り、前の一般の土地収用法にございます緊急使用のように、収用額がまだ何ら見通しがついていない段階で緊急使用をする場合と違いまして、この場合には少なくとも概算見積もり額だけは出ておるわけでございます。そして、この補償額はおよそこのくらいが水準になろうというめどをつけまして、概算額を決定いたしまして支払いをするわけでございます。なるほど、補償額の最終決定の場合に、若干概算額とは違う数字も出てくるわけでございますが、しかし、基本的には大体補償額のめどというものをつけておいて収用をしていくわけでございますから、この附帯決議の精神には合致しておるものである、かように考えておるような次第でございます。
#20
○石田(宥)委員 従来の用地取得の状況を見ておりますと、起業者の方で一方的に一つの計画設計が行なわれて、用地取得にかかりますと、それの計画の変更であるとかいうようなことについては、ほとんど例外なく、そういうことについてのあっせんと申しますか、勧告というか、そういう措置がとられたことがないのですね。これは本来ならば、その用地を収用される人たちの立場から見て、公の立場から公平に見た場合に計画を変更することが必要である場合もあるわけですよ。そうして、収用のための経費が多少上回るようなことがあったとしても、やはり全体的に見てその方がスムーズに用地取得ができるというようなことがあり得る。ところが、この法案を見ますと、そういう面についての配慮というものがどこにも見当たらないのです。こういう点について全然触れられないということは、従来の土地収用法の精神よりも、もっと公権力による私権の制約というものにのみ一方的に考えられておるようでありますが、そういう点についてはどのようにお考えになっておるのですか。
#21
○中村国務大臣 起業者が事業の方針を決定いたしまして後に、いろんな事情等によって、衆目の見るところ、公平に見て変更した方がいいというような場合には、これはむしろ行政指導の面になりますが、率直にそうすべきだと私どもも考えます。ただ、起業者の決定いたしました事業方針というものが他の要望によって変える余地のあることを制度上明らかにするということは、これはだれが見ても公正な場合ならいざ知らず、しからざる問題についてはむしろ非常なもんちゃくの種になる危険性があるように私ども考えるのであります。従来の収用法におきましても、従ってそういろ点に触れておりませんが、今度の特別措置法の場合におきましても、どうもそういう点に法文上触れるというのはいかがなものか、かように考える次第でございます。
 ただ、御指摘のように、公共事業の施行にあたりまして、われわれとしましては、そういう点にとらわれた気持でなしに、ほんとうに公正な立場に立って、やはりもっともであるというものは、それは事業方針を変更するということについてこだわらないようにできるだけ指導して参りたいと思いますが、今御指摘の点につきましては、そのように実は考えておるわけでございます。
#22
○石田(宥)委員 これは、今政令をお配りになったのでありますけれども、質問の最中にこれを読んでいるというわけには参りませんので、一応これをどなたか読んでいただいて、それで質問を続行したいと思います。
#23
○關盛政府委員 ただいまお尋ねがございましたので、特別措置法の第二条の特定公共事業に関する政令事項につきまして、お手元に御配付申し上げました要綱案について御説明を申し上げたいと思います。
 まず、第一号の政令事項でございます。第一号は、事業といたしましては「高速自動車国道若しくは一級国道」、これは性質上資格要件を具備したもの、こういうことで、二級国道につきましては「政令で定める主要な区間」、こういうことに法律案はなっております。この「二級国道のうち政令で定める主要な区間」というのは、車道の幅員が九メートル以上の区間を占める主要な区間、これを資格要件ということに考えておる次第でございます。
 それから、第二号の「日本国有鉄道が設置する幹線鉄道のうち政令で定める主要な区間」、これは幹線鉄道のうち複線または電化を行なう区間、こういうところに縛りをかけていきたい、こういうわけでございます。
 第三号は、これは「第一種空港」でございますから、法律によりまして羽田と伊丹の空港のみしかないわけでございます。
 第四号の「人口五十万以上の市の区域における交通の混雑を緩和するため整備することを要する道路、駅前広場、鉄道又は軌道で政令で定める主要なもの」でございます。この道路は道路法の道路をいうわけでございまして、その道路には、自動車専用道路と幅員二十メートル以上の道路、これだけのものを道路と考え、駅前広場につきましては、面積が六千平方メートル以上の駅前広場で、この道路と駅前広場につきましては都市計画決定が行なわれたもの、こういうふうに規定をしたい。
  〔瀬戸山建設委員長代理退席、加藤建設委員長着席〕
 それから、「鉄道又は軌道で政令で定める主要なもの」といいますのは、これは複線の鉄道もしくは主として路面以外に敷設される複線の軌道ということでございまして、現在大阪市における地下鉄等のごときものは軌道法によって事業を免許されて営んでおりますので、そういう意味の軌道でございます。路面電車というふうなものは入らない、こういう意味で路面以外に敷設される複線の軌道、こういうものを考えている次第でございます。
 それから、第五号の政令でございます。これは「公衆電気通信役務に対する需要の急激な増加に対応するため整備することを要する電話施設のうち、都の特別区の存する区域若しくは人口五十万以上の市の区域に設置する政令で定める主要な施設」というのは、この人口五十万以上の市の区域におきまする電信電話公社の電話取扱局の局舎のことをさすものでございまして、「政令で定める主要な市外通話幹線路の中継施設」といいますのは、この電話通信方式の中でとられております同軸方式または極超短波方式による市外通話幹線路をいうわけでございます。
 それから、第六号の政令は、「河川法が適用される河川若しくはその河川に設置する政令で定める主要な治水施設」といいますのは、堤防または洪水調節の目的を有しまするダムをいうのでございます。それからさらに引き続きまして、第六号の「広域的な用水対策を緊急に講ずる必要のある地域に給水するため設置する政令で定める大規模な利水施設」、この大規模な利水施設の規模につきましては、取水量が一日につき最大十万立方メートル以上の水道用水または工業用水を貯溜しまたは導水するために設置するダム、水路または貯水池、こういう施設に限りたい、こういうわけでございます。
 それから、第七号の「電気事業の用に供する発電施設又は送電変電施設で政令で定める主要なもの」につきましては、まず発電設備は、最大出力が五万キロワット以上の水力もしくは火力の発電施設、これが本体でございまして、もしくはその運営上欠くことができない関連を有する発電施設、これが補足いたしまして、この発電施設の規模を押えていきたい。それから、その次は送変電施設につきましては、使用電圧が十万ボルト以上の送電変電施設、これは超高圧線の送電幹線でございます。それらが第一次変電所に参りますところの変電施設をいうわけでございまして、その次は使用電圧が十万ボルト以上で容量が十万キロボルトアンペア以上の変電施設から出る使用電圧が六万ボルト以上の送電施設、いわゆる第一次変電所から二次変電所に至るまでの送電線でございまして、大体のこれらの考え方といたしましては、幹線的なものをこの事業の資格要件を具備したものである、こういうふうに一応想定をいたしておるわけでございます。
 できるだけこういう内容を法律に盛りたく努めたわけでございますが、法律技術的な表現等のこともありますので、ただいま申し上げましたように、これらのことを一体として法律の中身として考えていきたいというふうに考えております。
#24
○石田(宥)委員 第二条の各項の内容は一応わかりました。
 それでは、次に質疑を続けたいと思います。従来用地取得について紛争が起こります原因の一つに、登記面積と実面積との間で両者の意見の一致を見ない場合が非常に多いのであります。これは山間部等に参りますと特にはなはだしい事例が多いのでありまして、山林面積などは土地台帳面の面積の五倍も十倍もあるというような場合がある。そういう場合は割合に話はつけやすいのでありますけれども、そうでないような場合、ことに都市の宅地、工場敷地というようなものになりますと、なかなかむずかしい問題が多いのであります。登記面積と実面積との間に意見の一致を見ないために用地取得が困難であるというような場合、これはそのいずれに基づくことが正しいとお考えになりますか。念のためにお聞かせを願いたい。
#25
○中村国務大臣 これはあくまで実測面積でいくべきものだと思います。
#26
○石田(宥)委員 やはり同じような問題でありますけれども、耕作権すなわち使用収益権、それから所有権とで、いわゆる地主と小作、あるいは地主と借地人というふうに権利が分かれている場合には、これは問題が非常に複雑になって参るのであります。本来この問題は、戦争前でありますれば、耕作権というものは物権化していない、あるいは借地権というものは物権化してないように民法で取り扱われて参りましたから、そういう場合は割合に借地権者あるいは小作人というものもあきらめましたけれども、今日そういう使用収益権というようなものが物権化して参りました。にもかかわらず、用地取得においては、特に私の経験では、国や県が道路用地を取得する場合に、しばしば一方的に地主だけに補償金を払って片づける。ところが、あとで一方の権利者が異議を申し立てる。それがためにその取得が非常に困難をしているというような事例を私はたくさん経験をしておるわけであります。そういうものに対する取り扱いは、今後も依然として問題が起こる性質のものでありますので、こういうものに対する事務的にはっきりした態度を堅持していただきませんと、いたずらに混乱を起こすおそれがありますので、お聞かせを願いたい。
#27
○關盛政府委員 この点は土地収用法の上におきましても明らかに規定をいたしておりまして、土地収用法では「土地所有者」と、法律におきまする「関係人」ということで権利の関係者につきまして明らかな規定を第八条の三項においていたしておるわけでございます。しかも、この補償金の支払いにつきましては、各人別に補償金を支払わなければならないという規定をいたしておりまして、従って、かりに地主と耕作権者があるという場合に、地主だけを正当な権利者としては取り扱えないということになっております。
#28
○石田(宥)委員 そういう明らかな規定があるにもかかわらず、どうも趣旨が徹底しておらないようです。ごく最近、私そういう事例にぶつかっておるのであります。そういうところに建設省では、ちゃんとした基準がありながら、実際の道路用地取得にあたっては、どうもそれが行なわれないというようなことが事実上あり得るので、この点は一つ事務当局の方でけっこうですが、やはり十分徹底をはかられて、問題を起こさぬように要望申し上げておきます。
 それから、用地買収の手続の問題であります。先ほど大臣の御説明にもありましたように、用地の買収は話し合いによるものから、収用法だけにたよって法律的な方法で解決する方向に起業者の態度がどうも非常に変わりつつあるわけです。これはいろいろな事例がありますから、起業者の方もそういう態度になる面もないとは言えないのであります。たとえば事業計画を立てる前に現地の農民と話し合うと土地価格が上がるというようなことから、勝手に事業計画を立てる。ひどい場合には、現地の農民と一度も話し合いをしないうちに収用法による事業認定の申請をやる。収用委員会への裁決申請前に行なわなければならないことになっている当事者間の協議はほんの形式的なものになって、形式を整えるだけで、一定の条件を記載して受諾の有無を返答せい、一定の期日までに返答しなければ拒否したものとみなす、というようなものが全国でたくさん見受けられるのであります。これでは紛争が起こるのが当然であって、紛争が起こらないのがどうかしている。こういうふうな起業者に対し今後万全の措置をとらせるようにしなければならないと思うのでありますが、そういうものについての心がまえはどうか。実は従来の土地収用法でさえもそういう態度になりがちであって、それが行なわれておるのに、今度は公権力が強化されればされるほど、起業者の方はいたけだかになって間違いを起こしやすい、こういう懸念があるのでありますが、それに対する万全の措置をせられるようないかなる用意がおありでしょうか。
#29
○關盛政府委員 ただいまの点は、公共用地の取得に関する全般の重要な問題でございます。ことに事業を実施する者が事業計画を綿密な調査によって立てなければならないということもありましょうが、その事業の実施がその事業の施行地域内の関係の人々に十分な協力を得られるような体制をとることが最も基本であろうと思うのでございます。その点につきましても、公共用地取得制度調査会におきましても事業計画のPRを特に強調せられる各方面の御意見がありまして、今回の特別措置法の第三条におきましても、「事業の説明等」につきましての規定を挿入いたすことになっております。この規定の趣旨は、特定公共事業の認定を受けようとするときは、あらかじめ事業の目的なり内容なり、緊急施行する必要のあるゆえんのことを関係の住民と十分話し合いをしてもらいまして、妥当と考える意見は、先ほど大臣もおっしゃいましたように、その事業計画の中に盛るような形のものができれば非常にしあわせなわけでございますが、そういうふうにいたしまして、事前の準備というものを十分やる。そういうことによりまして、この事業の実施について少なくとも周知をし、また協力をするような気持を関係住民なり関係の公共団体の長にぜひお願いをするという規定を入れまして、御趣旨の線に沿うようにいたしておる次第でございます。
#30
○石田(宥)委員 そういうふうに一つ御注意を願いたいと思うのです。
 公共性と緊急性の判断は、現在の収用法ではどうにもならないというお考えのようでありますが、多数の利害に関係する量的なものと生活の利害に関係する質的なものなど、いろいろあるわけでありますが、これをいかに御判断になっておるのか。特に私的企業の場合は、公共性があるとともに利潤追求をする事情などで、公共の名において私的利潤を国家が擁護するそしりを免れないと考えるのでありますが、この点についてはいかようにお考えになっておりますか。
#31
○關盛政府委員 特別措置法の対象事業の規定をいろいろ検討いたされましたときに、公共用地取得制度調査会におきましては、特に公共の利害に重大な関係があって緊急に施行することを要する資格要件を備えた事業というものを、いかなる範囲で規律すべきか。それはもとより限定すべきであろう。しかも、限定列挙でなければならいが、どのような基準で行なうかということについて、いろいろ議論があったわけでございます。交通問題の重要性から参ります諸項目が、先ほどごらんに入れました政令事項にも盛られております。また電気通信の関係のごときもの、これらも一般の産業の近代化なり、また国民生活の利便の向上という意味から、それからまた治水と電気事業というものを考えましても、それぞれ消費者である国民大衆の直接の施設供与を受けなければならない。こういうふうな重要な仕事であるということから、国の立場から、また、その施設を利用するところの国民全体の立場から見まして、かつ昨今の、今後当面するところの公益事業なり公共投資の規模の緊急のあり方から見まして、あるいは従前の土地収用法の適用の件数の状況等も勘案されまして、この第二条所定の事業の種類が調査会におきましても議論の要点であったわけでございます。
 従いまして、たまたまその事業の実施方式が地方公共団体なり国以外のもの、民間企業として行なわれております事業もあるわけでございます。これらは事業の公共性なり緊急性につきましては、民間事業であるということだけをもって他の適用事業に決して劣るものではないが、特許事業であるという、政府の監督下にあるということから見まして、むしろ他の、事業主体、経営主体がそういう公共団体なり、国、公団等でないものも、事業の性格論からこの特別措置法の対象事業として規律するのが適当でないかという考え方で、答申も行なわれたような次第でございます。
#32
○石田(宥)委員 本法案第七条では、特定公共事業の認定は、建設大臣が公共用地審議会の議を経た上認定することとしておりますが、法案作成の過程において終始建設省が主体となって、その諮問機関としての審議会を設け、その意見を聞いて建設大臣が認定をすることに固執されたといわれておるのであります。その表面上の理由は、特定公共事業の認定があった場合は土地収用法の認定があったものとみなすということで、両者の歩調を合わせる上に建設大臣の認定が妥当として強く主張されたといわれておりますが、その固執をされた真意は、はたして那辺にあるか、疑わざるを得ないのであります。従来の事例では、審議会というものは、たとえば米価審議会のような審議会であっても、大臣や総理大臣は、その審議会の意見を尊重しということを何回も繰り返して言われるけれども、その審議会の答申というものが実際上無視されて、政府が一方的に措置をするという場合がきわめて多いわけであります。そういうことになりますと、結局建設大臣の権限というものが絶大なものになって、これは必ずしも国民的な立場だけではなしに、他の関係各省の大臣の権限というものが非常に弱められてしまう、そういうような懸念もあるわけであります。特にこの点を固執されたと伝えられておるわけでありますが、いかなる理由によるものであるか。その真意をここで明らかにしていただきたいと思います。
#33
○關盛政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、現在の土地収用法は建設省において所管をいたしております。それから、公共用地の取得に関する特別措置法が制定せられますと、この法律案の体系といたしましては、現在の土地収用法というものを基本法にいたしておりまして、その基本法に対する特例の規定なり、手続関係の特例規定をこの特別法に盛ったわけでございます。従いまして、現行土地収用法の所管というものと離れて特別措置法だけを別の行政機関が担当するということが、実際問題として運用上の面におきましてもいかがなものであろうか、こういう点についてわれわれが意見を述べたわけでございます。審議会の委員の方にも、その点について同調を表せられた方が多かったのでございます。もとより、これは現行土地収用法あるいはこの公共用地特別措置法すべてを含めまして、行政機構の一つの改革を論ずる場合におきましては、建設省とか何省ということを離れた立場において論ずることも一つの立論としてはあり得ることだろうと思います。しかしながら、そういった現行土地収用法を基本といたしまして、その特例措置を手続的にまた実体的に規定するというのを、この公共用地取得の特別措置法の内容として最終的な答申をいただくような段階になりましたので、この問題につきましては建設大臣が特に「公共用地審議会の議を経て、特定公共事業の認定をする」ということが適当ではないかということに皆さんも了解せられた、こういうわけでございます。
#34
○石田(宥)委員 この法案は土地収用法の特例措置であるという。なるほど法案そのものは特別措置法でありますが、こういう公権力を強化して参りますと、これは特例法でなくなって、実は本法の方が骨が抜かれてしまって、本法が飾りものになって、すべてが特別措置にゆだねられていくということは、過去におけるあらゆる法律の常でありまして、従って、本法があるのでこれは特例法だからいいじゃないかという議論は、私は当たらないと思うのであります。特に公共用地取得制度調査会では、一種の行政委員会的な制度を設けて、これによって第三者的な公正な立場から事業認定が必要であるという中立的な意見がかなり強く出たということがいわれておるのでありますが、結局は審議会にそれを期待して、委員会では妥協された、こういうことであります。本法案の適用される事業の大部分は建設省所管の事業であり、従って、建設大臣の認定がとかく甘くなる傾向の出ることは否定できないと思われまするので、今までの建設省の固執した態度を見ると、われわれは非常な不安の念にかられるものがあるのであります。しかし、この点は今後の審議会の運営、それから大臣の良識に待つ以外にはないのではないかと考えるわけであります。
 しかし、さっき申し上げたように、あくまで特例法はやはり特例法で、本法がその筋である。これはもう避くべからざる場合の、きわめて特別の場合の措置であるというふうな心構えで運用してもらわなければならないと思うのでありますが、大臣の所見はいかがでしょうか。
#35
○中村国務大臣 この法律は、現行の土地収用法からかけ離れた特例法ではございませんので、あくまでも土地収用法という基本法の上に立ちまして、特に心要な条項だけをこの法律案に盛り込んでありますが、その他の事項はすべて土地収用法が適用されていくという形の特例法でございます。
 同時に、ただいま御指摘のありました事業認定の重要性でございますが、審議会委員の人選等にあたりましては、努めて公正な第三者を御委託申し上げまして、審議会の方々に、先ほど政令案で御説明申し上げましたような基本の上に立ちまして、さらにケース・バイ・ケースで、その中で特定事業として取り上げるかどうかについて、十分この審議会の議を経て、建設大臣が事業認定をしていく、こういうようにいたしたいと思うのであります。
 また、この特別措置法の適用いたしまするのは、公共事業のうちの、量から申しまするとごく一部分でございます。一部分の特に緊要性の高い、また公共性の高い、緊急度の高い事業のみについて適用していきたい、かように考えておる次第で、運用の面にあたりましては、御注意のございましたように、所管大臣としては十分万全を期して、慎重に進めて参りたいと思っております。
#36
○石田(宥)委員 この政令の要綱案の二ページの七、「第六号の政令で定める大規模な利水施設」で、ここに「取水量一日につき最大十万立方メートル以上の水道用水又は工業用水を貯溜し、又は導水するために設置するダム、水路または貯水池」、こうなっておるわけでありますが、この中には大規模な土地改良事業等は含めるものであるかどうか。これを一つ伺いたい。
#37
○關盛政府委員 この点につきましては、農林当局ともお打ち合わせをいたしたわけでございますが、農林省の方におかれましては、ただいまのような要綱の通りで、含めなくてもよろしい、こういう回答がありましたので、お手元にそのような趣旨で差し上げたのでございます。
#38
○石田(宥)委員 そうしますと、この中の、「又は導水するために設置するダム、水路又は貯水池」、これは農業用の灌漑排水等に関するものはすべて除く、こういうふうに理解してよろしいのでありますか。
#39
○關盛政府委員 水道用水なり工業用水に関係するそれらの施設をいうわけでございまして、お尋ねのようなものは含まれておらない、こういう考え方でございます。
#40
○石田(宥)委員 最近多目的ダムが立法化せられまして、このダムというものは、上水道とか工業用水に限らず、ほとんどが農業用水とのかね合いで作られることが多いのでございます。そういう場合は当然関連してくると思うのでありますが、それはどういう区別をなさるおつもりですか。
#41
○關盛政府委員 この政令の読み方でございますが、いわゆる水道用水なり工業用水が、それぞれ単独で十万立方メートル以上のものを貯留する能力を持っている施設であれば、そのうちに一部灌漑用水が含まれておりましても、いわゆる多め的になるような、そういうものがありますれば入る、こういう場合もあり得るわけでございます。
#42
○石田(宥)委員 どうもわからぬですね。多目的ダムというものは、工業用水、上水道、あるいは農業用水等を、一つの施設によってやっているわけです。ところが、そういう農業用水の関係の分はこの中に含まないということは、どういうわけでしょう。ちょっと理解しにくいのですが、どこで線を引いて分けるのですか。用地の取得ですよ。ほかの場合と違うですよ。
#43
○關盛政府委員 これは、一つの施設の規模を申しておるわけでございまして、ただいまお尋ねのような、農業用水の関係が一部ありましても、全体が水道用水で、それが追加されてあるというふうな場合におきましては、つまり十万立方メートル以上の水道用水なり工業用水にそれぞれ農業用水が一部追加されてあるという場合におきましては、水道用水が十万、あるいは工業用水が十万、こういう場合は、その部分のものは実質上入る、こういうことになると申し上げたのでございます。
#44
○石田(宥)委員 わからないですね。それでは、たとえば用水量の二分の一は上水道と工業用水だ、二分の一は潅漑用水だという場合は、一体どういうことになるのか。あるいは農業用水が大部分であって、愛知用水公団のように、上水道や工業用水は一部分だというような場合とで取り扱いが違うというのか。そこは一体どこで線を引くということになるのですか。そこらがわからないのです。
#45
○關盛政府委員 これは、十万立方メートル以上というところに線の引き方があるわけでございます。従って、十万立方メートル以下のものでありますればだめである、こういうことでございます。
#46
○石田(宥)委員 多目的ダムというものは、非常に大きい場合が多くて、ここに書いてあるような十万立方メートル以上というようなところへほとんど入ると考えなければならない。だから私は聞いているのです。それを灌漑用水の関係は入りませんと、こうおっしゃるから、一体どう区別をされるのかと言うと、どうもあいまいです。この点はもうちょっとわかりやすく説明願えませんか。
#47
○富谷説明員 ただいまの御質問の点でございますが、ここに政令案で書いてございますような一日の貯水量が十万立方メートル以上、これは毎秒おそらく一トン程度になるかと思います。こういう水道事業をたとえば厚生省が主体で行なわれまして、それに付随しまして農業用水利がある場合には、おそらく必要があればこの政令の規定を適用なさいまして、厚生省の方でこの特例法を適用なさるかと思います。しかしながら、農林省の方の農業用水が主体でございます場合には、現在のところこの特例法を適用せぬで、昔の土地収用法のままで私どもしばらくやってみたいというふうに考えておるわけでございます。
#48
○石田(宥)委員 それでもわからない。一体、どっちが中心になると、こうおっしゃるけれども、その比率がどうあるかということは別として、どっちも両方やるんでしょう。農林省が中心になるから、工業用水や上水道もあるけれども、それではそれはどうするんだ。そういう農林省が中心になるかもしれないけれども、上水道にも関係があり、工業用水にも関係があるという場合に、農林省が中心ならばこれは特例法は適用せぬ。農林省が中心でない場合、農林省が割り込むけれども中心でない場合は、これは特例法が適用される、こういうことですか。
#49
○富谷説明員 さようでございます。
#50
○石田(宥)委員 どうもその点は、はっきりしないわけです。
 そこで、そういうふうな関係がどっちが従になるか、どっちが主になるかということは別として、やはり農業用水との関係がある場合といえども、本法を適用する場合においては建設大臣の主管であって、建設大臣がすべて事を運ぶ、こういうことになると、農林省との関係というものがどうもおかしなことになるのではないか、こう私は考える。この法案によれば、土地収用法による関係行政機関との協議をするということになっておるが、単なる協議では、どうも農林省の発言というものは非常に弱過ぎるのじゃないか。参事官ではそういうことまで言えぬかもしれないけれども、どうですか、政務次官の方がいいですか。非常に重要な権限を建設大臣にとられちゃって、一体いいんですか。
#51
○中村国務大臣 私からちょっと……。
 この特定公共事業に審議会の議を経て建設大臣が認定をいたしましても、これは認定をする作業だけでございまして、事業の施行それ自体は、たとえば水道でございまして厚生省の事業、あるいは工業用水でございまして通産省の事業でございます場合には、それぞれの所管大臣及び所管の官庁が事業の実施を監督し、あるいは実施にみずから当たるのでございまして、建設大臣としましては、従来の土地収用法の例にならいまして事業認定をするというだけが、その場合には任務でございます。
 それから、実は今の工業用水や水道用水は十万立法メートルということを基準に入れてあるが、農業用水が入っていないのはおかしいじゃないかという御質疑を拝聴いたしまして、私も若干そういう気持がいたさないではありませんが、実はこのしぼりまする政令の案を作り、この事業内容を盛り込みますについて、いろいろ過去の実績等を調査いたしました。たとえて申しますと、建設省所管の住宅用地のようなものは、住宅の緊要性から見てこの特別措置法を適用すべき事業ではいなかという意見をいろいろ耳にいたすのでございますが、実績を調べてみますと、住宅用地を取得するのに過去において土地収用法を適用した事例がないのでございます。みな話し合いで進行いたしております。多分農業関係の用水関係も、農林省がその点の運び方がよかったのかもしれませんが、同じようなケースになっておるのじゃないか。これは私の考えでありますが、そういう角度から従来土地収用法を適用したことがないのに、この特別措置法を適用するということになりますと、今まであった収用法さえ適用しないのに、またさらにこの特別措置法を適用するのはおかしい、将来の実績を見よう、こういう上に立って実はこの適用範囲の内容をしぼってきておるわけでございます。農林省が、目下のところ専用農業用水については適用を受ける必要を認めてないというのは、そういうところがら発足しておるのではないかと思うのであります。従いまして、今の水道等の十万立方メートル・プラス農業用水でございまして、関係するところがちょうどこの政令に該当いたしまする場合には、適用事業になる場合も、審議会の議を経た結果でなる場合もある、私はこう思うのであります。大体今のところは、従来の実績等もいろいろ勘案をいたしましてしぼってきておりますので、将来また時勢の変化等によりまして必要が起きた場合には、適当な措置を考える以外にはないのじゃないか、かように存じております。
#52
○石田(宥)委員 従来の実績と申しましても、実は多目的ダムの法律ができてからまだ何年もなりません。時代はすでに変わりつつありまして、ダムの規模というものはだんだん大きくなり、だんだんと多目的ダムになりつつあるのでありまして、将来のことではないと思うのです。現に情勢はそういうふうに変わってきておるわけでありますから、どうもこの点は農林省がきわめて消極的な態度をとられたかのように受け取れるのでありますが、この点は別の機会に農林省当局をもう少し追及する必要があると考えます。
 それから、収用手続の問題でございます。収用手続の簡素化によりまして、縦覧する場合、市町村長が拒否したときは知事の代行によって強行するのは、地方自治の本旨に反するおそれはないかどうか。部落民ぐるみの反対闘争は、むしろ今までの起業者側に、先ほど申しましたように、事前の説得が十分でなかった点もあるのではないか。市町村長の縦覧の拒否は一体どういう場合を予定しておるのか。この点を具体的に、もう少し明らかにしていただきたいと思います。
 また、起業者が、土地物件等の調査にあたって妨害、立ち入り拒否等の事態が起こった場合、「他の方法により知ることができる程度でこれらの調書の作成をすれば足りる」ということにしておりますが、他の方法とはいかなるものであり、具体的にどの程度のものをさすのであるか。この二点をお伺いいたしたいと思います。
#53
○關盛政府委員 市町村長が、この法律の手続に従いまして特定公共事業の認定申請書の縦覧でありますとか、あるいは収用の裁決申請書の縦覧の手続を一定期間行なうべきことを期待されておるのでありますが、それを実施しないということは、部落ぐるみ反対というような場合だけではなくて、そういうふうな場合はその計画自体も、先ほど前段に申し上げましたように、いろいろ適当か不適当かという問題もあろうかと思います。しかし、ここで予想されておりますのは、むしろ一部の人の反対がありまして、そのために市町村長も、公の立場としてはその手続を進めることが困難をきわめておるというふうな場合もあるわけでございます。あるいはまた、拒否をされなくても、ずつとその書類を机の中に入れておかれまして、なかなか縦覧の手続をとってもらえない。今やります今やりますということが、かなり延びておるというふうなケースもあるわけでございます。従って、今回の特別措置法の考え方は、必要な手続が円滑に実施せられまして、しかも、関係の権利者に対する救済につきましても考慮をしながらこの特定公共事業の最終的な収用委員会の裁決にまで到達できるような制度の立て方をするにあたりましては、どこかの段階で手続が滞りますと、それから先手続が進まないということがあってはいけませんので、従って、知事の代行ということに答申があったわけでございます。
 現在の土地収用法でも、市町村長が国の機関として委任事務を行なわないという場合、土地調書、物件調書の作成に関する三十六条の規定におきましては、地元の市町村長さんが署名捺印を拒んだ、こういう場合におきましては、知事が起業者の申請によってそれらの署名捺印もできるということで、その種の規定があります。従って、この規定の挿入は直ちに地方自治の本旨に反するものではない、こういうふうに考えられ、また、そのような考え方で調査会も答申を行なわれたと思うのでございます。
 なお、土地調書、物件調書の作成の過程におきまして、立ち入り調査をしなければ土地調書、物件調書が作られない、こういうふうな場合もあるわけでございまして、そういうふうな場合におきまして、土地調書、物件調書が妨害によって妨げられた場合におきましては、収用委員会に対する裁決申請書の作成そのものが不可能になって参りますので、手続が進まない。こういう例が、たとえば最近のケースにおきますと、名神高速道路の大津のインタチェンジの付近におきまする被収用者の例におきまして、あるいはまた、九州なり四国なりにおきまして送電線に関するケースとして行なわれた例がございます。
#54
○石田(宥)委員 例がある、こういうお話ですけれども、もう少し具体的に、どの程度の調書であればいいのであるか。それらの点がもう少し明らかでないと、わからないですね。
#55
○關盛政府委員 ただいまお答えを忘れておりまして失礼いたしました。「他の方法」による内容につきましては、これは不動産登記簿なり、あるいは土地台帳なり、家屋台帳というものが一応制度上あるわけでございます。従って、そういうものを調べることによって土地調書、物件調書の対象物を捕捉することができる方法もありましょうし、あるいは当該土地の周辺から――これは、ものによってはいろいろ違うと思います。従って、場合によりましては、最近は実地測量よりももっと正確な航空測量等の方法もできておりますので、そういったような方法によって知り得る代替の方法を「他の方法」と、こういうふうに申しておるわけでございます。
#56
○石田(宥)委員 後段の航空測量というようなものもだいぶ進んで参りましたから、これは問題ないと思いますけれども、前段の答弁の中の、土地台帳その他にということでありますが、そうなりますと、実地の測量というものは、現地の調査というものは実は行なわれなくてもよろしいということになると思うのですね。そういうことになりますと、先ほど申しましたように、山林等の場合には、実測面積というものが台帳面積の五倍も十倍もあるというようなところもあるわけです。だから、やはりその実地調査というものが必要であるわけなんでありまして、これを航空測量でやるというなら話がわかるけれども、その他の土地台帳その他によってということは、許しがたい問題だ。でありますから、もうちょっとやはり明確にしておいていただきませんと、法案の審議でありますからこれはいいかげんにするわけには参りませんので、はっきりして下さい。
#57
○關盛政府委員 広範囲な山林その他原野につきましては、航空測量が一番適当だと思っております。
 先ほど、実測ができないという場合に登記簿なりあるいは土地台帳なりを申し上げましたが、これは一つの参考として申し上げたのでございます。他の方法により知り得ないという場合にはそういうものもあると申し上げましたが、航空測量のごときは、非常に典型的ないい他の方法であろうと、こういうふうに考えております。
#58
○石田(宥)委員 どうも、その土地台帳等を参考にすると、こうおっしゃるけれども、それじゃ参考だけであって、調書としての条件が備わらないことになると思うのです。だから、参考なら参考であって、それは調書としての資格要件がないというなら話がわかるけれども、その点、今の答弁ではまだあいまいですね。ですから、参考としてはいろいろなものがあり得るでしょうけれども、やはり実地調査というものが原則であって、やむを得ない場合にはそれらの参考資料に基づいて裁決する場合もあり得るということならまだ話がわかるのです。ところが、そういうものを参考資料として何か裁決するように今のあなたの御答弁だと受け取れるのです。ですから、それはきわめて不安なので、もう一度その点を明らかにしてもらいたい。
#59
○關盛政府委員 これは簡略調書が直ちに裁決の基準になるわけではございません。要するに、起業者としては土地調書、物件調書の作成にあたって、先ほどお尋ねのような現地調査が立ち入り困難であるという場合におきましては、代替の方法により土地調書、物件調書の作成をいたしまして、その旨を付記いたしまして、収用委員会に裁決申請をする。従って、収用委員会としては、それを一〇〇%信用して裁決するものではなくて、収用委員会が職権調査いたしまして、その付記された不明確な点を十分職権によって調査した上でなければ裁決は行なわれない、こういうことになるのでございます。
#60
○石田(宥)委員 その点はちょっと問題があるようです。が、一応先に進むことにいたします。
 次に、補償の問題で先ほど大臣から答弁がありましたけれども、重ねてお伺いしたいのであります。特定公共事業に関する土地等の収用について、収用委員会の裁決がおくれたときに、起業者の申し立てによって緊急裁決ができることになるが、この場合、十分検討されないうちに概算見積もりによって仮補償金を払い、あとで補償金額を算出して清算すればよいことにしておるのであります。この仮補償金の受け取りを拒否しても、起業者が供託をすれば済むということにしておるようであります。これはいわゆるごね得を封ずるねらいもありましょうが、先ほど指摘いたしたように、憲法第二十九条の「財産権は、これを侵してはならない。」、第三項の「私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」、この「正當な補償」と言えるかどうか。元来補償は先払いあるいは同時履行が原則とされている。この学説が正しいと思われるのであります。しかし、建設省は、憲法二十九条二項で「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」としており、必ずしも同時履行でなければならないというわけでもないとの学説もあり、正式の補償金の支払いには、さっき大臣がお話になったように、利子を付するのであるから憲法違反ではないということにしておるようであります。しかし、それについては緊急裁決のときの時価を基準とするのか。利子をつければよろしいという考え方なら緊急裁決のときの時価のように受け取れるが、補償裁決のときの時価とも考えられないことはない。いつの特価を基準として決定されるのか、明らかでありません。かりにかなり早い時期に時価の算定の基準が押えられると、権利者は現在の急激な地価の値上がりから考えまして大きな不利益をこうむるおそれが出てくると考えられます。これはとても利息などの問題ではございません。緊急裁決と補償裁決の間に具体的にどのくらいの期日の差があるとお考えになるのか。これは事案によって違うことは当然でありますが、緊急裁決が補償処理の困難を処理するためのものであるとすれば、あとの補償裁決がすみやかに出てくるのであれば意味をなさなくなるのであります。これについて仮補償金と本補償金の差異は清算される、それに利子をつけて損失を補てんするとしているようでありますが、その差額の中に緊急裁決後の値上がり分を含めているとすれば問題はないけれども、それは考慮に入れていないように受け取られる。公権力による私権の損失をこうむるものを考慮に入れないとするならば、これは憲法の正当な補償とは言えないと思います。また一方、非常に大きな利益を得るものとの公平という点から政策的にはたして妥当かいなか、ここにも問題があろうと思います。従って、本案による緊急裁決のときの時価によって定める補償は、権利者にとってきわめて大きな不利をもたらすことになるおそれがあるのであります。私は両者のうちいずれか高い方に基づいて処理するということに当然すべきであろうと考えるのでありますが、この点を明らかにしていただきたいと思います。
#61
○關盛政府委員 ただいまのお尋ねに対してお答え申し上げます。
 今回の特別措置法の第二十条の規定によりまして緊急裁決が行なわれますと、その緊急裁決の内容に相当する事柄は、土地収用法の収用使用の効果が発生するのでございます。従いまして、その補償の額というものは緊急裁決時における時価でもって収用委員会の裁決が行なわれる、こういう形になるわけでございます。緊急裁決は第二十条にその、要件が掲げてありますように、「裁決が遅延することによって事業の施行に支障を及ぼすおそれがある場合」、こういうことになっておりますので、非常に早く裁決ができますれば、本裁決を一ぺんにやってしまえばいいわけでございますが、第二十一条のただし書きにもありますように、「損失の補償をすべきものと認められるにかかわらず、補償の方法又は金額について審理を尽くしていないもの」がある。こういう場合にいわゆる仮補償金ということで緊急裁決をいたすわけでございます。
 従いまして、この裁決が遅延をするということと、三十条におきまして、収用委員会が「遅滞なく裁決しなければならない」ということは、収用委員会としては一生懸命努力をして、そうして収用の裁決をするということを含む条文がうらはらの関係になっております。従いまして、各事案々々によりまして、この緊急裁決が行なわれた後における補償裁決の期間というものは、必ずしも一がいにどれくらいであるということは申し得られないと思いますが、明らかに言えますことは、損失の補償すべきものがあることはある。しかし、その補償の方法、たとえば金でやるかあるいは物でやるか、あるいはまた金額については若干ぴたりとわからない部面がある、こういう場合には、その審理を尽くしていないものについてその補償裁決に預けるということになるのでございまして、場合によりましては、十万坪の土地を収用するということで足りる場合におきましても、被収用者の方から、残地として残った土地があるからこれを一緒に収用してもらわぬと困るという場合もあると思います。残地収用とかあるいは建物を一緒に収用してもらわないと困るという場合もありましょうから、こういう場合におきましては、損失の補償の方法等につきまして、もう少し時間をかけて検討しなければいかぬという場合でありますから、補償の方法なり金額の審理を尽くさないものの内容によりまして、その収用委員会が遅滞なく裁決をするという、この「遅滞なく」は、収用委員会が懸命に努力をして裁決をする、遊んでおるということを意味するわけではない、こういうことは明らかに申し上げられると思います。従いまして、この補償裁決の期間が延びておりますれば、これは緊急裁決時の価格で支払うべきものが支払われないということになりますから、その差額の清算金、及びその清算金には利息を付しまして、正当な補償が確保できるように法律の規定が規律せられておる、こういうわけでございます。
#62
○石田(宥)委員 緊急裁決で仮補償をするということでありますから、これは緊急裁決時の価格でやるということは、損失補償という性質から見て、またこの法の性質から見て私はどうも妥当でないと思うのです。私はやはり、公権力をもって犠牲にするといえば言い過ぎかもしれないけれども、端的に言うとそういう感じを受けるわけです。そういう場合には、緊急裁決で仮補償をした時点の価格でこれを処理するということは、どうも納得がいかない。やはり価格が暴騰するような場合、それは本裁決というか、最終的な決定の際に相当に騰貴しておるような場合においてはその価格による。あるいはまた、必ずしもいつでも騰貴するばかりではないので、下落する場合もあり得るでしょう。そういう場合には、いずれか高い方によって処理するというのが、この法律の性格上正しい判断であると思うのでありますが、これは大臣、いかがでしょうか。
#63
○中村国務大臣 努めて被収用者の保護を期するということは必要でございまして、たとえばかえ地の交付あるいは住宅の問題、再建整備の問題、これらにつきましてこの特別措置法では配慮をいたしておるわけでございます。ただ今御指摘の点は、公平に見まして、緊急裁決がありますと仮補償金がきめられて、緊急裁決がありますと同時に起業施行者にその物件の収用使用権が発生するわけでございます。従って、収用使用権が発生して収用使用が行なわれた時点がやはり補償の基準時期として公正なものである。できるだけ相手方の立場を考慮し、利益を保証するということは必要ではございますが、筋道としてやはりそこに時点を置く。そのかわり、その後に収用裁決が行なわれまして、裁決金額が明らかに算出をされました場合には、その差額に利息を付する、こういう建前がやはり公共事業として、また一般通念として妥当な、公平ないき方であるというように実は考えておるわけでございます。
#64
○石田(宥)委員 この点は一般論としては大臣の意見の通りだと思います。しかし、この法律の性質は非常に権力を強化して、一方のものを犠牲にするような特別な法律でありますだけに、やはりなるべく損失は十分に補償するという精神から見たならば、そのどちらか高きによって処断をするということが、私は当然であろうかと考えるわけでありますが、これは意見の相違でございます。
 次に、この被収用者は土地等を収用され、生活の基礎を失うときは、申し出による生活再建措置がとられることとなるが、起業者にその実施義務、地方公共団体に協力義務を負わすこととし、特に「国及び地方公共団体は、法令及び予算の範囲内において、事情の許す限り、生活再建計画の実施に努めなければならない。」こう言っておる。なるほどその趣旨、精神はよくわかるのでありますけれども、「国及び地方公共団体は、法令及び予算の範囲内において、事情の許す限り、生活再建計画の実施に努めなければならない。」というような程度では、これは全く見せかけだけのものであって、かゆいところに手の届くような措置がとられなければならない法律であるにもかかわらず、うたい文句に終わっておる、こう思うんですね。たとえば具体的な開墾、干拓、国有林の売り払いなどのことは全然触れていない。しかも、被収用者からは、その「実施のあっせんを都道府県知事に申し出ることができる。」、これは何でしょうね。知事にあっせんを申し出ることができる、知事にお願いする。これくらいのことでは、これは起業者本位となり、事実上の空文にひとしいものであろうと思うのでありますが、具体的にどの程度に一体これをお考えになっておるのか。ただ、これはアクセサリーにちょっとつけただけじゃないか、こういう感じが強いのであります。いかがですか。
#65
○關盛政府委員 この生活再建対策についての御議論でございますが、今回の特別措置法におきましては、その四十七条の規定の前に、現物給付に関する四十六条の規定を新たに、今までにないことでありますが、入れまして、これらと両方相待って、特定公共事業というものが実施される過程におきまして、土地収用法の事業認定の効力を付与せられました以後におきましても、協議という形で両当事者間の話し合いで土地等の取得をする場合もあるわけでございますが、そういう場合におきましても、現在は金銭補償という建前になっておりますが、四十六条におきましては、起業者は、それらの関係権利者から特定公共事業を施行する人に対して現物による土地建物、宅地、耕地の造成その他金銭以外の方法でいわゆる補償を要求された場合におきましては、努めてその要求を聞くようにするという一つの原則規定を入れました。と同時に、その手続関係の規定も、従来の公益事業なり公共事業の実施についてはないわけでございますので、今回四十七条の規定を入れたわけでございます。調査会の答申におきましても、そのような趣旨の答申が行なわれたわけでございます。従いまして、四十七条は、協議により契約が成立することによって実施されます場合と、それから損失補償が決定されまして、その対償の一部として補償と相待って行なわれる、補償とプラスして行なわれる、この二つの場合があると思うのでございます。現物給付の場合におきましては、内容的には四十七条の一項の各号列記に掲げるような事項は、その補償の一部として行なわれる場合におきましては、第四項におきまして生活再建のうち特定公共事業を施行する者が、これは起業者が実施をしなければならない義務を負担していることになり、生活再建が補償と相待って行なわれるという場合におきましては、その起業者が、大多数の例におきましては知事にそのあっせんを申し出る、その補償金に対応するところの金でもってする宅地なり耕地なり、あるいは住宅店舗その他必要な環境整備に関する事業は、知事にあっせんを依頼をする。そうして、その手続関係を第三項に規定いたしまして、関係行政機関なり、その他市町村長なり、それらの人が特定公共事業を実施する者と協議をいたしまして作成された再建計画につきましては、たとえば住宅の供給のようなものでありますれば、これは公営の住宅なり、あるいはその他の特別の財政資金によりまして金融公庫なり公団等が実施いたします住宅、その他の農地開懇等につきましても、現在の制度のもとにおいて許されているところのいろいろな手当を随時講じてもらうように、知事を中心として行ない、また国がその一部を実施しなければならない責任のあるものは、国も努める、こういう形でこの事業の再建計画の推進をはかっていきたい、こういうのがこの規定の趣旨でございます。
#66
○加藤委員長 この際、ちょっと申し上げておきます。ほかに質疑の通告者が五名ほどございますので、質疑答弁ともなるべく簡潔にお願いいたします。
#67
○石田(宥)委員 従来の収用法でもそれは全然なかったわけではないので、これはたとえば家屋の移転等の施行というようなものは、従来の収用法でもやっておったようであります。今度は物的なもので補償をするという道が明らかになり、同時に生活の問題も保障するということになっているわけでありますから、体裁としてはいいのですね。体裁としてはいいのだけれども、具体的に一体どうするかということが義務づけられておらないということになりますと、先ほど指摘したように、単なるアクセサリーだと言わざるを得ないのです。
 この問題をなぜやかましく言うかと申しますと、たとえば先年阿賀野川の電源開発が行なわれました。私ども、近いのでよく現場を承知しておりますが、一軒の家で数千万円の補償金をもらったうちもあるぐらいです。ところが、利息につられてあっちへ貸し付けこっちへ貸し付けて、たちまちのうち、二、三年の間に一文なしにはたいてしまった中に、一番今気がきいたといわれている一人のごときは、若松市に出てきて旅館営業を始めた。ところが、山の中のおやじさんが若松市へ来て旅館営業を始めたけれども、人にまかしてやるわけにいかないものだから、結局自分で、夫婦二人でやっておる。客あしらいも何も知らない。莫大な資金を使って宿屋を開業したけれども、どうも一向ものにならないというような事例が非常に多いわけです。
 ですから、愛知用水公団の場合の立ちのきをする人たちなどに対しても、私どもも現地に出かけて参りまして、そういう事例が多いから、ただ金だけで処理をすべきではないのではないか。それにはやはり適当な入植地を見て、農業を多年営んできた者は、農業を従来よりも若干条件のいいところで継続するようにすべきではないかというようなことの指導、督励もいたしましたが、そういう点で、やはり今後この対策をお考えを願わなければならない。それについては具体的な問題がほとんど書いてないので、ただうたい文句としてはいいのだけれども、山間部の部落であるならば開懇の問題とか、あるいは農地造成の問題とか、あるいは国有林の売り払いというようなことについては農業基本法でも指摘をされておるし、今後どう取り扱われるか、林野庁でもおられればその点をよく伺いたいと思ったのでありますが、そういう点で少しも具体的でないという点が私は心配なのでありまして、この点はやはり問題であろうと思います。
 委員長の御注意もありましたので、その次に進みまして、補償の基準について、従来各省間で、たとえば農林省と建設省との間にその基準が統一されていない。あるいは駐留軍の接収、電源開発、農地開発、土地改良というような場合に、それぞれ別の要綱によってこれがなされておるのであります。特別措置法による基準はいずれによるのか。別の要綱を新たに設けるのか、明らかになっておらないのでありますが、これも政令等があればお示しを願いたいところでありますし、政令がまだできておらないとするならば、政令に譲らなければならない事案ではなかろうかと思うのでありますけれども、これは一つ大臣の所信を伺いたいと思うのであります。
#68
○中村国務大臣 御承知の通り、この法律は先刻も申し上げましたように、土地収用法が基本法でありまして、その上に立った法律でございます。従いまして、本法に規定のない事項はすべて土地収用法の各条項を適用して参るわけでございます。従って、補償基準につきましては、原則的には土地収用法の規定の上に立って参るわけでございます。土地収用法におきましても、基本的な補償基準と申しますか、補償の基本については定められておりますが、なお私どもといたしましては、本法の実施にあたりまして公共用地審議会の内部に補償基準というものの検討をいたす機関を、方法を講じまして、そして具体的な一つの補償基準をなおさらに整備していきたい、こう思っておるわけでございます。あくまで公正妥当な補償が行なわれますように運用していきたいと思っております。
#69
○石田(宥)委員 実は土地収用法の基準というものが問題にならないので、事態が混乱しておる。ですから、そういうふうないろいろなところにいろいろな基準があるけれども、それをどんどんくずしていって、今日のような混乱状態に陥れておる。水田一反歩四十何万円とか五十万円という山の中でも、一般価格の数倍の補償金を出すような電気会社が出てくると、それが至るところの補償基準に悪用されるというか、そういう面が非常にあるわけですよ。ですから私は、あまりかたくなな基準というようなものを作ることなしに、相当運用の幅のあるものであって、やはりその基準によって大体措置できる、こういう権威のあるものを作らないと、今後幾らでもこの問題が紛糾してくる。ですから、まあお作りになるということでありますから、この点は一つ十分御配慮を願わなければならないと思います。
 次に、私は、補償金に対する課税の問題をちょっとお尋ねしたいと思うのであります。所得税、法人税について、租税特別措置法によって、現行土地収用法により収用された場合の補償金に対する措置がありますね。これは二分の一に減額されて課税されておる。しかし、今回の特別収用にあたっては、強力に進められるのであるから、権利者の立場を考えて、特別高度の減税がはかられる必要があるのではないか。すなわち補償は損失を補てんする趣旨でありまして、所得とは言えないのであります。そういう趣旨でなければならないと思いますが、答申にあるこの条項は、大蔵省の絶対反対によって、法案の立法過程で立ち消えになってしまったといわれておる。私はこの問題については、今後また相当に問題が再燃してくる性質のものでもあろうと考えますので、減免税の措置についての大臣の所見を承りたいと思います。
#70
○中村国務大臣 御指摘のように、公共用地取得制度調査会の答申にも、かような特別措置法を制定して運用して参るについては、税について今御意見のような方法をとるべきである、こういう答申をいただいておるのでございます。しかし、本法を提案するまでにその運びに至りませんで、私どももこの点につきましては急速に答申の趣旨に沿うような結果の実現いたしますように、一つ極力検討をして参りたいと思っております。
#71
○石田(宥)委員 次に、公益事業局長にお伺いをしたいのであります。電柱についての補償並びに線下補償でありますが、従来は農民なりその権利者の請求によって補償が行なわれてきたようであります。大部分の農民は、二十五年に失効となりました古い電気事業法を誤り伝えられまして、ほとんど請求もしないままになっております。最近、一部の農民が単価引き上げや取り扱いの不合理を指摘して、ようやく持参払いに改められた部分もあるわけであります。しかし、線下補償要求に対しては、新設工事に対するものと、既設工事に対するものと、二つありまして、会社側は既設分についてはなかなか線下補償要求に応じようとしておらないのです。これは私は非常に問題があろうと思うのであります。会社側の態度では、九電力の電気事業連合会が中心になってこの問題を取り扱っておるようでありますが、そこでは法律的な解釈というものを発表しておる。事業者の法的見解として伝えられるところは、次のようなものであります。「農地上の上空占有は、空間のごく一部であり農耕等の土地利用に影響が少い。従来は、電気事業法(昭和二十五年失効)第九条で当然公用使用権があり、使用権の認定が無用であった。従って、既設の大部分は使用貸借契約であり、口頭契約で無償になっている。」、こう断定しておる。それから「線路架設の際、踏荒料を実額以上に支払っている。(これは権利補償を含んでいる)」、こうしておる。それから「線地地主は黙示の承認を得ている。」、こういうことをいっておる。それから「都市周辺はケース毎に地価差損を補うのも止むを得ないが、これを農地にまで一般化する根拠は薄い。」、こういう建前をとっておるわけであります。
 公益事業局長に伺いますが、昭和二十五年に失効した電気事業法のもとで、一方的に押しつけ的に承認または黙示――黙示というのはとういう意味かはっきりわかりませんが、いわゆる黙認させられたような状態だと思うのでありますが、こういうものに対する法律的な効果というものをどうお考えになりますか。
#72
○大堀政府委員 ただいまのお尋ねの最初の問題は、電柱敷地料の問題だと思いますが、電柱敷地料の問題につきましては、現在電電公社と同じ立場にございまして、大体同じ基準で補償基準をきめまして、それによってやっております。
 後段で御質問になりました送電線を作りました場合の線下補償の問題につきましては、従来実害を及ぼすかどうか、具体的な実害のあります場合は当然補償いたしますが、具体的実害のない場合は一般的に補償しないで、地主の承諾を得て送電線を引いておるというのが従来長い慣例になっておるわけであります。最近におきまして、これについての補償についていろいろ御意見が出ておりますものですから、私の方としましても、取り扱いにつきまして補償問題でいろいろ問題がございますので、補償問題研究会というのを作っておりますが、その方で具体的に取り上げまして検討いたしておるわけであります。その検討の結果によりまして、慎重に話をして参りたい、かように考えておるわけであります。
#73
○石田(宥)委員 研究会等で具体的な結論を出されるのはけっこうでありますが、要するに従来の昭和二十五年に失効しておるところの電気事業法に基づいて、電気会社はいわゆる既得権として主張しておって、今日補償の要求になかなか応じないでおるのですが、そういう場合に農民は泣き寝入りをしなければならないのかどうか。法律的にどうお考えになるか。
#74
○大堀政府委員 過去において作りましたような逆電線の線下の問題につきまして、従来長い間補償しないという慣例で、きておりますが、最近都市周辺あたりになりますと、宅地に転換したいという場合に、差額の問題等について議論が出ておるわけであります。先ほど先生御指摘になりました点は、連合会の内部意見でございまして、私どもまだ公式にそういう解釈だということにいたしておるわけではございませんが、法律上の取り扱いといたしましては、私権に関する問題で、なかなかむずかしい問題でございますので、私ども今ここでどういう取り扱いをすべきかということを早急に結論を申し上げることができない事情にあるわけでございまして、十分この点は検討いたしまして結論を出したい、かように考えております。
#75
○石田(宥)委員 大臣に伺いますが、昔は、昭和二十五年までの法律では、公益事業者の、いわゆる電気会社の権限がかなり強いものがありまして、それで農民は泣き寝入りをさせられておった。しかし、その法律は効力がなくなったが、その法律に基づいて一つの慣例のようなものがあって、ただ使われておる。法律はなくなったが、やはり慣例で使われておる。こういう場合に、著しく私権を侵害されておるわけですね。そういう慣例は、公序良俗といいますか、いわゆる法律の建前で認めらるべきものと御判断になりますか、どうですか。そういう実情のもとにあるにもかかわらず、今度のような特別措置法ができますと、さらにまた起業者が一そう公権力を乱用するおそれがあるから、私はその点の見解を明らかにしてもらいたいと思うのです。
#76
○中村国務大臣 基本的には、収用及び使用等を行ないまする場合には、適正な補償を行なわれるべきだと私は思います。従いまして、今後の問題としましては、これらの点につきましても適当な補償基準等を作成いたしまして、遺憾の点のないようにすべきであると思います。ただ、過去の事例につきましては、先ほど公益事業局長からもお話がありましたように、一応承諾をとりつけて建設をしておる。しかし、時代がだんだん変化して参りまして、これをどういうふうにさばいて解決をしていくか。この問題は、今後の問題とは別に、すでにできております過去の既成事実につきましては、いろいろ研究を要する問題だと思いますが、どうもそれについては、私ども直接所管の立場にございませんから、同じような事情はわれわれも具体的にいろいろ接しておりますが、私の立場としては明確な意見を申し上げかねるような状態でございます。
#77
○石田(宥)委員 過去の問題がやはり私は問題だと思うのです。これは公益事業局長というか、あるいは通産大臣というか、怠慢だと私は思う。これは少ない問題ではないのです。全国的な問題です。いまだに結論も出していない。なるほど、電気事業者の一部の意見に相違ないけれども、あなた方の態度はそれを黙認しておる態度です。なぜ早くこういうものを結論を出さないのですか。だから、電気事業、発電所等をやる場合に、農民の反感が全部そこに集中するのです。こういうことについて、もっと誠意を持って当たられなければ、今後この法律ができてもスムーズに用地の取得はできないでしょう。
 線下補償について具体的な例を一つ述べますと、実は私のおいが、どうしても宅地の適当なところがないので、宅地を高圧線の下に選んだ。それから準備をした。ところが、それは電気事業法違反だ、そこに作らしてはならないということになった。そういう場合に、何らの補償がない。それは当然だと思いますか。そういうものについて、一方は営利会社でしょう、指導監督するのはあなた方じゃないですか。電気会社には勝手なことを言わしておいて、あなた方はそれに手を下そうとしない。そういう事例が全国至るところにある。あるいは私の地方の山林の線下は、木が伸びていくとぶった切り、背が伸びていくとぶった切りしている。ただでぶった切って、何も補償しない。しまいに困り抜いて、今度は下から切ってしまって、そこは空地にしておる。私の宅地にもある。私の宅地にくだものが植えてある。くだものが大きくなってようやく実がつき始めると、来てはぶった切っている。そういうことが公然と行なわれておるわけです。あなた方は、そういうものに対して一体どうお考えになっておりますか。
#78
○大堀政府委員 ただいま御指摘ございましたたとえば山林でございますと、当然線を引きます場合に下のところは伐採することになっておりますから、山林の場合はこれは伐採補償をいたしております。
 それから、最初住宅地になっておりますような場合は、これは賃借あるいは使用権を設定して当然補償を払っておるわけであります。
 問題は、農地の場合におきまして、鉄塔を建てます場合には、鉄塔の敷地はもちろんこれは賃借なり買収いたしますから問題ございませんが、鉄塔と鉄塔の間を電線を引いているわけでございます。これは従来通常の場合は、実害がないということで補償をいたしていないわけでございます。これに対して、かりにその農地が宅地に転用されるような情勢になってきた地点において、宅地に転用しようと思ったができないという問題が、御指摘のように起きておるわけでございます。その辺につきましては、これは開闢以来やっているものでございますから、その取り扱いにつきましては電気事業の経費についても相当大きい影響のある問題でございまして、取り扱いは補償問題研究会で現在検討いたしておりますが、その上で結論を出すようにいたしたい、かように考えておるわけであります。
#79
○石田(宥)委員 人の痛いのは三年もこらえるというから、この先何年くらいかかったら結論が出るか存じませんけれども、ずいぶんのんきな話ですね。昭和二十五年以来何年になると思いますか。いつごろ結論が出る予定ですか。
#80
○大堀政府委員 いつごろということまでここで申し上げかねますが、できるだけ早い機会に結論を出すように努力をいたしたいと思います。
#81
○石田(宥)委員 大臣、これはよく聞いておいて下さい。こういう実情なんですから。だから、こういうふうな公権力を強化する、そして私権を抑制するということに対する農民の反発が起きるのですから、今後のこの法運用については十分考慮されなければならないと思います。
 それからなお、電気事業連合会の昭和三十四年度の調査によりますと、線下の総面積一億二千八百万坪に対し、有償契約は九百余万坪、これは主として都市となっております。従って、無償使用を行なっておる一億二千万坪は口頭契約があるはずであり、また支払うべき相手が不明なため無償となっている、などといっておるわけです。この数字は電気事業連合会が示したんだから間違いないでしょうが、一億二千万坪も無償で使っておる。こういう横暴なところへ、今度特別措置法などを作ったら、何をやり出すかわからない。われわれはそれが心配なんです。いかに特権意識の強いものであるかを雄弁に物語っているものだと思います。公共用地取得の特別措置法の成立ともなれば、まことにおそるべきものがあると考えられる。事業者側が公益事業の美名のもとに公権力を最大限に利用し、権利意識の薄い農民を欺瞞してきたことが、農民の積極的な抵抗の現われとなってきたのであると断ぜざるを得ないのです。
 最近、長野県下の事例を調査したところによりますと、ある電力支店関係で大正以来の有償契約件数は七軒であるということが判明いたしました。事業者側は一部の権利者が多大な要求をしつつあるときめつけているが、その裏づけは数十万分の一にも該当しないという事例が明らかになったのであります。公益事業局長はそういう事例をよく御承知でありましょうか、どうでしょうか。
#82
○大堀政府委員 先ほど申し上げましたように、現実に実害のある場合は補償をいたしておりますが、一般の場合に実害がないということで補償をいたしていないわけでございます。その率は、大体御指摘のようになっておるわけであります。具体的に実害があるかどうかという点についていろいろ御意見はございますが、従来そういう解釈をいたして参っておりますので、そういう点について十分検討いたしたいと思っております。
#83
○石田(宥)委員 どうも、ずいぶん頭もはげていらっしゃるけれども、言うことも全くなっていない、実際そんないいかげんな話ってありますか。これはまことに驚き入った話ですよ。実害があるとかないとか、何を一体あなたは判断しておるか。私がさっき言った通りではありませんか。たんぼの中にあの線が張られているために、下の苗しろはそのしずくが落ちるだけでも大きな被害を受けているのです。そんなことは電気会社は全然無視しております。あの電柱一本だって、電柱一本の敷地だけしか補償してないけれども、電柱一本立っていることによって稲に日光の当たる比率がどれだけ低下するか、それによる減収がいかに大きいか、それはちゃんと農林省の調査にありますよ。被害がない、あればなどという。一体何をいうのです。あるとかないとかではないじゃないですか。線が張られておったり、柱が立っておったり、被害がないとは何ごとですか。全部被害がある。被害がないところは、どこもない。どこを押せば一体被害がないと言えるのですか。一つ被害のないところを実例をあげてみて下さい。
#84
○大堀政府委員 電柱につきましては、電柱一本当たり幾らとそれぞれ基準がきまっておりまして、それは実害を含めた使用料という形で補償しておるわけであります。先ほど申し上げましたのは、鉄塔と鉄塔の間の送電線の下の地域につきましてどうするかという問題だけが、実は今日まで残っておるわけであります。これは私どもは、従来実害がないということできておりますので、今日いろいろ御議論が出ておりますので、その点につきましては十分検討いたしまして結論を出すようにいたしたい、こういうように考えております。
#85
○芳賀委員 石田委員の質問に関連してお尋ねします。
 今、局長は、線下は被害がないと言われたが、その場合、現在においても被害補償を行なっておる会社と、行なっていない会社がある。それから、会社についも、いろいろ行なっておる地域と、行なっておらない地域がある。ですから、補償を行なっておるのはどういう理由でやるのですか。被害がない、実害がないというのに、何のために会社が線下の補償をやっておるのですか、その理由を明らかにしていただきたい。
#86
○大堀政府委員 従来農地ということで、ただいま申し上げましたような状況になっておりましたものが、最近宅地に転換いたします場合に、宅地に転換できないからその差額を補償しろという、最近そういう事例が出て参りましたので、その点についてどういう方法で処理いたしますか、補償をどういうふうに考えていくか、これらの点につきまして現在検討をいたしておるわけであります。検討の結果によりまして処置をいたしたいと考えております。
#87
○芳賀委員 それは、あなた、でたらめですよ。あなたは農地に関しての縁下補償は絶対行なっていないということを断定できますか。宅地以外は行なっていないということを、あなたは責任を持ってここで断定できるのですか。
#88
○大堀政府委員 従来それが一般であったわけでございます。私も全部のケースを当たっておりませんから、具体的ケースはわかりませんが、最近先生方の御指摘のような議論が出ておりますものでございますから、その点について十分実態を調査いたしまして、また補償の考え方なり基準というものを検討いたしまして結論を出したい、かように考えております。
#89
○芳賀委員 そういう無責任な答弁じゃいかぬですよ。あなたは政府の役人でしょう。会社の役人じゃないんでしょう。何でもかんでも会社の利益擁護みたいなことしか言わぬじゃないですか。
 私の尋ねたのは、被害がないという根拠が明らかにされてないわけです。それから、農地に対しては、会社が線下補償をやっていないなんていう、そういうでたらめな答弁をあなたは何に基づいてやったのか。これは重大な発言じゃないですか。絶対に責任を持って、宅地以外は線下補償が行なわれておらぬですか。
#90
○大堀政府委員 たとえば電線を張ります場合の踏み荒らし料という形で現在出ておるものがございます。それから、雨だれがたれて収穫の損失が出るというケースで出ておる場合もあるようでございます。しかし、一般的には実害がないということで補償いたしてないというのが現状でございます。
#91
○芳賀委員 そうじゃないのです。あなたは農地に対しては補償を行なっておらないというから、そんなばかなことはないじゃないかということを指摘しておるわけです。今の答弁によると、やはり農地についても被害を認めて、全部じゃないが、一部補償を行なっているじゃないですか。そういうことを正直に言わなければだめですよ。
#92
○大堀政府委員 先ほど線下補償という問題として、線下補償としての形では一般的にはないと申し上げたのでございますが、ただいま申し上げましたように、工事の際に踏み荒らし料というような形で出しておるというケースはございます。
#93
○芳賀委員 それでは、その事実を資料によって明らかにしてもらいたいのです。九つある配電会社の中で、会社ごとについて、農地並びに宅地について線下補償がどのように行なわれておるか。従来の農地の当該所有者との補償に対する契約というものは、どういう契約内容に基づいて補償が行なわれておるか。そういう点については、委員長から資料の提出を要求しておいてもらいたいと思います。
#94
○加藤委員長 わかりました。
#95
○芳賀委員 関連ですから、そうたくさん質問はできぬが、なお建設大臣にお尋ねします。
 今度の場合、特定公共事業の認定の場合、これは第二条にはいろいろ示されておりますが、その中の七号に、電気に関する臨時措置に関する法律あるいは旧公益事業令に関する事項についてここで定めておるわけですね。その中に、「電気事業の用に供する発電施設又は送電変電施設で政令で定める主要なもの」ということになっております。送電施設ということになると、当然鉄塔だけが送電施設ではないと思います。やはり鉄塔から鉄塔の間にわたる、むしろ送電線に目的があるわけですから、そうなると、線下における被害等については、当然これはこの法律の対象になるわけですが、建設大臣としてはどういう理解の上に立っておりますか。
#96
○中村国務大臣 送電線につきましては、先ほど政令案の際に申し上げましたように、電圧十万ボルト以上ということを基準として適用事業の範囲にいたしておりますが、このうちさらに公共用地審議会におきまして、具体的ケースについてこの特別措置法の適用事業に取り上げるかどうかということを検討して最終的にきまるわけでございます。
 さらに、ただいま御指摘の補償の問題につきましては、私どもは、鉄柱を立てまする場所はもちろん、線下等につきましても損害のある限りはやはり補償をすべきものと考えます。従いまして、今後の措置といたしましては、先刻も申し上げましたように、補償基準の策定をぜひ急速に進めたいと思っております。この補償基準の作成にあたりましては、もちろん関係当局の意見もお聞きいたしまするけれども、独自の立場で適正な補償基準を立てまして、この適用事業について運用して参りたい、かように考えております。
#97
○芳賀委員 それでは、この特別措置法においては十万ボルト以上ということに限定はありますが、原則としては、そういう送電施設、線下における損害の補償等というものは、当然損害はあり得るという前提の上に立って補償されるということを言明されたと思います。
 そうすると、この特例法は土地収用法の規定に基づいておるわけですね。そうなると、当然これらの発電とか送電事業等に対する土地収用法の規定に基づいても線下の補償というものは行なうべきである、そういうことになると思いますが、間違いはないですか。
#98
○中村国務大臣 この特別措置法は土地収用法の特例であり、土地収用法が基本法でございます。従いまして、基本法と、この特別措置法適用事業と補償の算定基準等について差異のあるべきはずはないと思うのであります。ただいまの御指摘の問題の点につきましては、私どもは私権について損害の存する限りは、その損害を適正に算定をする基準を立てまして、適正な補償の実施されるように運用して参りたいと思っております。
#99
○芳賀委員 それは大臣の言う通りなのですが、それをたまたま通産省においては、公益事業局などはことさらに怠慢をもって、そうして会社等に対して、当然行なうべき補償を、あたかも行なわなくてもいいような解釈と指等をやっておるということは放置できない態度だと思います。ですから、今度はこの法律は当然建設大臣の主管になるのでありますからして、今までの誤りも、これは当然この機会に全面的に正すべきだというふうにわれわれは考えておるのですが、そういう御思想はないですか。
#100
○中村国務大臣 先ほども石田君の御質問の際にお答えを申し上げたのでありますが、今後の問題としましては、私どもはただいま申し上げたような方法でいきたいと思うのであります。過去のことにつきましては、長い間の歴史があり、あるいは現実に損害がありましても、戦前等から起こっております古いものにつきましては、いろいろその当時の事情によって設置されておると思うのであります。従いまして、過去の施設についての取り扱いにつきましては、今後とも公益事業局あるいは関係電力会社等において検討をしていただいて、できるだけ一般国民の納得するような線で解決の道を講ずべきである、抽象的にはかように思いますが、これは過去の既成の事実につきましては私どもの関与する範囲でございませんから、お答えを差し控えさせていただきたい、こう思っておる次第であります。
#101
○芳賀委員 そこで、公益事業局長にお尋ねしますが、とにかく二十五年以来もう十年以上たっている。その間これはしばしば国会においても問題になったことなんです。局長はときどきかわっておるが、しかし、問題は解決されていないわけです。特に先ほども話があった通り、公益事業局の中には補償問題研究会というのがあるでしょう。当然この研究会では、これらの大きな課題になっておる線下補償の問題も扱っておられると思うのです。われわれの知る範囲では、この研究会のメンバーなるものは、ほとんど起業者側とみなされるような委員だけを並べて、被害を受ける被収用者側の委員というものは一人も出ておらぬ。こういう構成では、適正な検討とか、あるいは結論を急ぐというような作業は絶対にできないと思うのですが、どうですか、その内容は。研究会のメンバーはどうなっていますか。
#102
○大堀政府委員 委員会は電気事業関係者も、もちろん入っておりますが、学者も入っておりますし、関係各省の方も入っていただいてやっておるわけであります。
 それから、先ほど多少私の説明が不十分であったかと思いますが、建設大臣がおっしゃいましたように、実害のありますものは補償するということは決して私ども否定いたしておるわけではございません。
#103
○芳賀委員 そういうことを繰り返してもしようがないので、これはあとで通産大臣を呼んで聞きます。局長程度ではしようがないけれども、こういう事例は知っていますか。これは昭和二十七年の七月四日に、東京都の収用委員会が裁定を下した中に、要点だけを申し上げますと、この線下補償については、田については六円、畑については十二円の、これは起業者の方からこういう補償を行ないたいということが申請された。これは一応不当とはみなされないが、しかし、当然これは起業者側において全使用期間分を補償するのが妥当であるという裁定が下されておるわけです。これは単に踏み荒らし料なんというものではない。その送電が行なわれておる全期間を通じて持続的に補償というものは線下においても行なうべきである、こういう東京都の収用委員の裁定というものが昭和二十七年の七月四日に下されておるわけなんです。何も首をひねる必要はない。こういうのがわれわれの手元にあるのですから。ですから、こういう公的な委員会の裁定等もあるのだからして、被害があるかないか、これから検討したり研究してやります、そういうことではないと思うのですよ。ですから、もう少しまじめに、この法律にも私有権の侵害はしない、それを前提にして、憲法の精神をこの特例法に受け継いで、正当なる補償をやるということが書いてあるとすれば、当然この土地については、地上権についても地上に無限大に及ぶということになっているのだからして、送電線は、これは空間の占用だから被害がないということにならぬですよ。それは当然私有権に対する侵害ですからね。ですから、こういう点については、今日は通産大臣は来ておらぬが、法案提案の主管者である建設大臣がこの際政府を代表して、今後の措置について具体的に明らかにしてもらいたい。今後の問題もそうでございますが、既往の分についてもこの際同様に解決しなければならぬ、そういう熱意を持っておるという
 ことだけは言明してもらいたい。
#104
○中村国務大臣 先ほども申し上げました通り、今後の分につきましては適正な補償が行なわれますように、われわれは最善を尽くす考えであります。同時に、既往の点につきましては、あいにくと電力関係の所管大臣が見えておりませんが、私ども政府部内におきまして連携をいたしまして、適正な措置を講ずるように努めて参りたいと思います。
#105
○石田(宥)委員 時間の関係で、もう一問くらいで終わりたいと思うのです。
 先ほど来、公益事業局長は、法的な解釈ということについて全然触れようとしていないのでありますけれども、これは心得ておられるはずだと思うのです。何回も繰り返しますように、旧法の失効に伴う権利の経過規定が実はなかったのですね。昭和二十六年以降は旧来のものは私的な使用関係の設立とは別個なものである。従って、公権力による使用権は公法の次元で使用されるので、根拠規定が失効した以降の線路の存在は違法占有である。こういうふうに私は断定しなければならない。ですから、失効しているのだから、本来はこれは取り除くべきものであります。しかし、公共事業の施設であれば別に考え方もあるかもしれぬ。しかし、これを法律的に解釈していきますならば、農民はその路線の撤去を要求するところの私的な権原があるものであると考えるのでありますが、この点について局長はいかがにお考えになりますか。
#106
○大堀政府委員 従来、旧電気事業法がございました当時のことにつきましては、これはやはり当時の法律に基づいてやっておることでございますが、その後におきましてもやはり土地所有者の承諾を受けてやっておるように思いますので、補償はいたしておりませんけれども、私はこれは私法的にも有効なものではないかと考えております。ただいまのお尋ねの点に十分お答えしていないかもしれませんが、私法的に有効なものであると私は考えております。
#107
○石田(宥)委員 そういう答え方でなくて、権原を規定した法律は失効してしまって、経過規定が何もないのだから、農民は私的権原を主張して、撤回を要求する権原が与えられておるのではないか。こういうことなんですが、どうです。
#108
○大堀政府委員 補償の有無の問題は別にいたしまして、やはり敷設につきましては当然に承諾を得てやっておりますので、敷設したことについてはあとで撤回しろという御要望は――かりに電力会社が不法にやったような場合がございますれば当然これは撤去してよろしいかと思いますが、これは法律は現在ありませんけれども、承諾を受けてやっておるということでございますから、撤去を要求されるのは困難じゃないかと思います。
#109
○石田(宥)委員 この点は実は通産大臣を呼んで、もっと明らかにしなければならない事案でありますが、ただいま通産大臣は予算委員会でおいでになれないそうであります。まだこの問題はもっと明らかにしなければならぬ。承認をしたかしないかという、その承認の仕方が問題だ。要するに承諾せざるを得ないという法律のもとにおける農民の考え方が違う。法律上拒否できないぞといわれて、法律のことなどに弱い農民は泣き寝入りをしておる。しかし、今度はそうではなかった。やはり私権の行使ができるんだということがわかってきた場合には、これは性質が変わってくる。だから、そういうことがわかってきたから、至るところに線下補償の問題が起こったり、いろいろな問題が起こっておるのだが、電気会社は言を左右にして応じない。勝手な解釈をして、その解釈のもとに農民の要求をじゅうりんしておる。そういう事態に対して、指導監督の責任ある通産省は何らなすところを知らない。もう旧法が失効してから十年にもなるのに、いまだに結論も出ない。一億二千万坪もただで使っておる。そういうものに対する措置も行なわないということになると、私どもは今度の特別措置法というものに対しても、軽々しく賛成するわけにはいかないということになるのです。これは大臣もよくお聞きになっておられたことでありますし、また別の機会にこの問題は取り上げて追及しなければならない問題でありますけれども、一応時間の都合もありますので、私の質疑は以上をもって終わります。
#110
○加藤委員長 北山愛郎君。
#111
○北山委員 この法案は農業基本法みたいな原則法ではないのですけれども、しかし、国民の私権に直接に及ぼす影響というのは非常に大きいわけです。従って、われわれとしてはこういう法案は特に慎重に扱わなければならぬと思うのですが、きょうは非常に原則的なというか、気のついた問題だけ一つお伺いをしたいと思います。
 まず第一に、石田さんもお触れになりましたが、この特別措置法案というのは、公共用地取得制度調査会法が昨年国会を通ったときの内閣委員会の附帯決議に明らかに違反する内容を持っているのじゃないかという点であります。そのときの附帯決議を見ますと「政府及び公共用地取得制度調査会が、土地収用法の検討にあたってはいやしくも、収用地その他の補償額決定以前に、起業者に対し、被収用者の意思に反して、その使用権を慰めるがごとき公権力の強化に依り私有財産権を侵害することのないよう特に考慮せられんことを強く要望する。右決議する。」、こういう附帯決議がついているわけです。
 ところが、今度の法案の中には、明らかに公共用地取得制度については、たくさんのそれ以外にも問題点があるにもかかわらず、問題は起業者の土地取得というものをスムーズにやるというところに重点が置かれている。そうして、事業認定なり緊急裁決というような特別な制度を設けられている。そうしてこの緊急裁決のごときは、補償額決定以前にその土地が使用されるというようなことを認めているのですから、これは明らかに内閣委員会の附帯決議に反しているといわざるを得ないのですが、この点について建設大臣はどのようにお考えになっておるのですか。
#112
○中村国務大臣 土地収用法に緊急使用の制度がございますが、附帯決議の御趣旨は、緊急使用の制度のような方法によってまだ補償の見通しも補償額もきまらないのに土地を取り上げ、物件を収用するような行き方はよろしくない、という意味の御決議のように承知いたします。今回のこの立法にあたりましては、これらの点を十分検討をいたして、起業者が土地物件の収用使用のできますためには、概算見積もり額をきめまして、そして概算見積もり額を決定すると同時でなければ緊急裁決はできないというようにいたしまして、緊急裁決をすることによって物件の収用使用のできます場合には、少なくとも補償額と大体大差のない概算見積もりをきめまして、この概算額を支払ってでなければできない、こういうような方法を講じておりますので、精神といたしましては附帯決議の御趣旨に反するものではない、こう考えて実は立案をしておるような次第でございます。
#113
○北山委員 この附帯決議の精神は、ただいま大臣からおあげになったような、現在の土地収用法にある例の緊急の一時使用ですか、あの制度のようなものをやってはならないということじゃなくて、土地収用法というものは今お話の一時使用というのがすでにあるのですから、権力によって被収用者の私権をそれ以上に制限するような、そういう方向をやってはならぬという意思と解されるわけですね。そういう精神からいうならば、今度の法案の内容というものは、被収用者の利益擁護というよりは、むしろ起業者が土地の取得を容易にする。しかも、意思に反して権力的にやるわけですから、たとえば概算の補償額については、これは一方的な決定であります。被収用者が了解した補償額じゃない。補償額が決定しておるわけじゃない。概算の補償額を一方的にきめさえすればやってもよろしい、緊急裁決をやるんだ。現在の土地収用法にさらに一歩を進めて、公権力によって私権を制約する、そういう方向に進んでおるといわざるを得ない。内閣委員会の附帯決議というものはそういう趣旨じゃないでしょう。
 私が特に残念に思うのは、公共用地の取得の問題についてはその他にもたくさんの問題がある。ことに今質疑の中にも現われておりますように、補償基準というものが非常に不明確で、そして国民の利益が至るところで侵害をされておる。そういう補償基準というものをもっと公正なものに明らかにしていく。ものさしをしっかりしていく。これがすなわち公用地を取得することを非常に円滑にするゆえんだと思うのです。こういうことが前提でなければならぬ。それをやらないで、さしむき土地の取得をスムーズにするというような方向へ重点を置かれる、こういう調査会の答申は非常に遺憾だと思う。しかも、それはそういうことにならないようにというのが内閣委員会の附帯決議だと思う。しかし、さらに建設省、政府が国会の意思に反してそういうふうな方向だけ強調するような特別措置法を出してきた。これはまことに残念だと思う。むしろ先ほど来の質疑の中にあるところの、いろいろな補償に対する未解決の問題、これを解決をするということが前提条件で、それと合わせてこれを出してくるというなら話はわかるのですけれども、切り離して、これだけ持ってきた。こういう点は、どんなに大臣が言われましても、この内閣委員会の精神、国会の決議の趣旨に反しているんだ、こういわざるを得ないわけで、この点は非常に残余です。
 そこで、この調査会の答申と関連をして、一つの問題点は、従来の収用委員会というものがきわめて弱体なわけです。これはたしか調査会の中にもそういう点があるわけですが、国の機関であって、重大な公共用地の取得についての裁決をやるという機関でありながら、府県にこれが置かれて、事務局も持っておらないというような姿、これを直すことが、この政区の今度の措置の中にも当然入るべきだ。この収用委員会の機構、実力というものをそのままにしておいて、この重大なる公共用地の取得というものを公正にやれると一体大臣はお考えになっておるのか。なぜ一体今度の措置法の中にこの収用委員会の強化充実という点を入れなかったのか。これは非常に問題だと思うんです。特に収用委員会の性格というものは、やはり私権を擁護するという立場から、仲裁的な中立的な性格、裁定機関みたいな性格を持っていなければならぬ。それが数人の委員会で、そして片手間にやるというようなやり方であっては、この重要な仕事は公正に円滑にいかないと私は思うんですが、なぜ一体今度の法案にはそういう点は改善されなかったのか、これを一つ大臣からお答えを願いたい。
#114
○中村国務大臣 従来のこの土地収用法による収用委員会は、御承知の通り、各都道府県知事が、都道府県議会の同得を得て選任をされておりますし、またその審議をいたします会議等も公開の法則で、公開をしてやっておりますので、私ども、まあ一部に批判はあるようでございますが、大体公正に運用されておると思うのでございます。
 ただ、この収用委員会に専門の事務局がないということは遺憾な点でございまして、この点は目下自治省と話をいたしまして、そういうような機関を設置するように運びたいと考えておるような次第でございます。
#115
○北山委員 一体収用委員会の仕事は国の仕事でしょうか、府県の仕事でしょうか。
#116
○中村国務大臣 もちろん国の仕事でございます。
#117
○北山委員 その国の仕事である収用委員会というものが府県に置かれて、知事の所轄のもとにある。そして国の委員、国の機関であるものが、都道府県の議会の同意を得て委員を選任するというような形で、一体いいものでしょうか。
#118
○中村国務大臣 都道府県は、御承知の通り、各法律あるいはいろいろな制度の上におきまして、国家機関の代行機関として国家事務をいろいろとやっておられるわけでございます。土地収用法による土地収用の問題等につきましても、これは全国を一本にするわけにも参りませんし、やはり地方の事情に精通した人たちによって構成されるということが、むしろ地方住民の利益のためにも私どもは実は妥当であると思っておるのであります。従いまして、国家事務の代行をいろいろな場合にやっております都道府県知事にこの任命及び構成の道を構じていただく。しかし、これは都道府県知事が専断でやってはいけませんから、それぞれ都道府県議会の同意を得て人選をする。こういうような方法によりましてやるのが、――いろいろ物事には考え方もございますし、いろいろな角度から意見の余地もございますが、現在のところこれが一番地方民の立場を理解し、一般住民及びその地方の実情に即したような判定を下していただく上において都道府県ごとに収用委員会を持つということが適切である。かように考えている次第でございます。
#119
○北山委員 私、寡聞にして知らないのですが、それならば、一つの事業について二つの都道府県にまたがったような事業があるわけですが、そういう場合にはそれぞれの府県の収用委員会が違った裁定、裁決する、そういうことでやっているのでしょうか。
#120
○中村国務大臣 隣接をいたしましたような場合におきましては、もちろん委員会が異なるわけでございますが、隣接府県のことでもございますし、また委員会の人たちも隣接した地域の人たちでございますから、できるだけ調整をはかって正しい補償方法の決定等をすることによりまして、適正を期していくことができるというように考えております。
#121
○北山委員 大臣の答弁ですけれども、収用委員会の役割というものは、やはり現在のような段階では、十分な私権の擁護という立場、しかも、その裁決の内容というものの中にも非常に技術的な内容を含んでいるわけであります。いろいろな条件をきめるのですから、非常にこれは高度なものです。そういうような内容を持った大事な仕事なんです。今の普通の常識でいえば、もっともっと強力なものでなければならぬし、やはり全国ばらばらにあるのではなくて、中央に、――中央に集めるのがいいのか、あるいは府県にあるのを中央で調整する機関が必要か、それほど重要な仕事だと思うのです。おそらくこれは、沿革的に収用委員会というものを軽く見て、知事のところにこれを置いて、府県にまかしてやらしたのだろうと思うのですが、私は大臣が今でもそういう考え方でおられるというのなら困ると思うのです。そういう点についても、もし御意見があれば承りたいのです。
 さらに、大臣のお話でありますと、事務局は設置することが必要である、こういうお考えのようであります。ところが、自治省が反対しているようなお話であります。一体建設省としては、もっと収用委員会を強化したいのだ、事務局も必要だと、こう考えておりますけれども、自治省の方でこれに反対したので、これができないのだ、こういう事情でございましょうか。
#122
○關盛政府委員 ただいまお尋ねの収用委員会の専任事務局の設置の件でございますが、このことにつきましては、公共用地取得制度調査会におきましても、今後の公共用地の取得が相当に、土地収用法なり特定公共事業の認定によって増大するということが予想せられますので、収用委員会の存在いたします府県の中で特定のものにつきましては専任事務局の設置をするような措置を講ずることが適当であろう、という答申をいただいているのでございます。この点につきましては、政府部内におきましてわれわれも、自治省がこういう府県の機関の事務局の設置のあんばいをいたしておりますものですから相談をいたしたのでございますけれども、いろいろ自治省の方でも他に類似したような専任事務局の設置の要望等もあるようなのが現状のように承っております。従いまして、これは収用委員会の裁決までに至りました件数が、今日まで年間にいたしますと全国的に二十数件、三十件というふうな段階でありますので、この専任事務局の設置そのものについては根本的に反対ではございませんけれども、もう少し収用委員会の場において裁決件数が多くなるということによって他の類似の専任事務局設置の要望とのけじめをつけたい、こういう意見もありましたので、今回の改正には見送りだ、こういうのが実情でございます。
#123
○北山委員 同じような問題について例の土地調整委員会というのがありますが、これは実体はともかくとして、制度上は非常に重要視されている。ですから、収用委員会にしても、私は全国的に一つの強力なものを置いて、むしろその地方的なものについては臨時の委員を加えるとか、そういうような措置をとれば、明治時代はともかく、現状ではその方がむしろ能率的であるし、公正に運営ができるのではないか、そういうふうに考えております。少なくともこの点事務局が必要だと思いながら、その点が意見の調整ができないで、この法案には出てきておらないというだけでも、これは一つの欠陥でしょう。
 それから、もう一つ気がついたことでありますが、第三条の第二項に「都道府県知事及び市町村長は、前項の起業者に対し、事業の用に供する土地の取得について協力しなければならない。」、こういう規定があるのです。どうも政府は、知事や市町村長というのは政府の小使だというふうに考えておるようですが、こういう規定は簡単のように見えますけれども、非常に困る場合があるわけです。御承知の通り、知事や市町村長は地元の住民の代表者なんですから、公益の理由でもってある大きな事業が行なわれる、ダムが作られるというときに、それがその地元の住民にとってマイナスだ、住民が反対したとき、あるいは議会で反対の議決をしたときに、一体市町村長は住民の意思に従って行動すべきであるか、政府の機関としてその事業者の味方をすべきであるか、平重盛のような立場に置かれるわけです。ですから、そういう立場に置かないように、こんなむだな規定を置かない方がいいのです。建設大臣はどのようにお考えでしょう。
#124
○中村国務大臣 この条項は、他の立法例等も勘案をいたしまして、制定をいたしたいと思って挿入された条項であります。もちろん都道府県、市町村の長は住民の利益のために地方行政を実施される機関でございますが、同時に、これらの国家的な事業につきましてその事務を適正に行なってもらうということは大平なことでございます。もちろん地方住民のために不当な処置を要請しているわけではございませんので、事務の運び方について御協力を願っている次第でございます。他にもこの種の立法がございますので、やはりこの点協力をしていただくことを明らかにしておく必要がありますので、かような条章ができましたような次第でございます。
#125
○北山委員 これはむしろ事務の協力というならば、その事務に協力しなければならない、とすればいい。ある仕事についての、工事をやれとかいうことは従来の収用法でもあるわけですね。そういうことの事務的な処理をしろということならいいですが、ここではむしろ一般的な協力なんです。だからいけないのです。これをまじめに考えたら、とにかく起業、事業の認定があって、土地の取得についてはその取得する方に協力しなければならぬという縛りがかけられている。ところが、市町村長というのは住民の意思によって動かなければならないのですから、板ばさみになってしまう。こういう規定がなくても、適当なときには、必要なときには協力するのです。自治体の長としての市町村長と、あるいは知事と、それから国が、こういう規定を置いたことによってむしろ立場上一つの矛盾が出てくる。この事務をやれとかあの事務をやれとかいう個々の問題だったら、それはまだ機械的にやればよろしい。一般的な協力をしろということは、むしろ個々の事務を指定するよりは幅を広げた考え方であって、余分な義務を負わしておる。そういう規定はない方がいいと思うが、どうでしょう。
#126
○中村国務大臣 大体この特別措置法の適用をしようとする適用事業は、先刻来いろいろ御議論があり、また御説明申し上げましたように、きわめて国家的にも、社会的にも、国民あるいは住民の上に公共性並びに緊急度の高いものについて取り上げる次第でございますから、この地方の行政機関でございます都道府県知事及び市町村長に御協力を願うのが私どもは実は当然であると思っておるのであります。ものは見方によっていろいろ相違があるわけでございますが、私どもはさような見地に立ちましてこの条章のあることがよろしい、こう考えておるような次第でございます。
#127
○北山委員 公益といっても、共通な公益というのではなくて、ある場所においては非常なマイナスだろうということが現実にあるということは、大臣御存じの通りであります。早い話が、大きなダムを作る場合に、電気がふえて得をする者もあるでしょう。一般的に、社会的に国家的にいえばプラスだといいましても、その水没地なり地元の市町村民からいえばこれはマイナスなんです。犠牲をはらうということなんです。だから、必ずしも普遍的にどこでも公益だとは限っていない。今のように地域的にはやはりいろいろな不公平なアンバランスがある時期においては、いよいよはなはだしいわけなんです。従って、その市町村の住民の利益と一般の公益、いわゆる公共的の利益というのは往々にして矛盾する場合が現実にあるということは、私が指摘するまでもないことです。ですから、
 一般的にこれはいいことなんだから市町村長は協力すべきであると、そう単純にはいかないわけですよ。こういう規定をわざわざ置く必要はないのです。もし必要な仕事を具体的にやらせるというならば、これを具体的に苦くべきだ。こういう一般的な義務を負わせるということは、市町村長や知肝というものは国の仕事なら協力するのはあたりまえだろう、こういうふうな非常に安易な考え方で、地方自治の本旨を軽視している考え方だ。私は誤りが一つここにもあると思う。
 それから、あとたくさんありますけれども、また建設委員会等でお伺いすることにいたしまして、先ほどの税金の問題です。その補償に関する課税の問題なんです。これは大蔵省の人が来られているかどうかわかりませんが、一体公共用地を取り上げられるということは、普通の売買とは違うわけです。これは権力的に一方的にとられるのです。補償というのはそういう公法上の土地の取り上げに対する償いをくれるということだけであって、それはもちろん売買ではないのですね。だから、法律的な意味の譲渡ではないわけです。普通の損害賠償であれば非課税なんだ。それを特に公共用にとられる場合に、それは譲渡所得だ、少なくとも一部については譲渡所得だというので、売買と同じような課税をすることは、これは法律的な解釈から見ても不当だと私は考える。建設省はどういう解釈をとっておるのか。あるいは大蔵省が来ておれば、その考え方を聞きたいのです。
#128
○中村国務大臣 公共用地取得制度調査会の答中にも御指摘のような答申が行なわれておりますので、われわれこの法律を運用いたし、かつ特定事業の実施をすみやかにかつ円満に実行いたしたいと考えておるものの立場からいたしますと、公共用地取得制度調査会で答申の際に入れておりますただいまの点につきましては、ぜひ実現をはかるように努力していきたい、こう考えておる次第でございます。
#129
○北山委員 何百万円、何千万円もらっても売りたくないものを、とにかく取り上げられるのですから、これは一方的な権力による取り上げだ、売買じゃないのだという考え方からするならば、当然譲渡所得のような考え方で売買と同じように税金をかけるということは、もってのほかのことなんです。今までこういう誤ったことを大蔵省もやっておる。この点についても、建設大臣はわれわれの言っておるような道理に賛成のようです。道理に賛成しておっても、この法案にはそれが出ておらない。私は少なくともその点についてだけでも、今度の措置法案の中に調査会の答申が生かされておったならば、これはほんとうにダイヤモンドのように光っておっただろうと思うんです。そういうような被収用者に利益なこと、その利益を守るという点は、何だかんだと理屈をつけて、さっぱり入っておらぬ。問題は、その起業者に土地の取得が容易になるように、その方向で作られておる。そこの点は納得できないわけです。ですから、そういう今の税金の課税の問題にしても、大臣はそう思っておる。しかし、法案には入っておらぬ。政府が考えておらぬ、政策に反したことを現在の制度で行なわれておる。これを直してもらわなければ、われわれはこんな法案を通すわけにいかない。これも欠陥でしょう。
 それから次に、補償についても、何年も前から補償基準を作るべきだといわれておりまして、いろいろ問題がある。ことに公共用地の取得などについて非常に問題なのは、公益と私益というものの複雑な関係があるわけであります。事業によっても違う。ダムのような場合でありますと、実際に土地をとられる水没にかかるような土地以外の、その付近の住民に対してもマイナスになる。水没にならない部分、取り残されて湖水のはたにぽつんとある農家というものは非常な生活上のマイナスですけれども、それに対しても補償がない。それが今までの建前でしょう。そういう点も直さなければならぬ。それから、道路なんかについてみれば、道路を通したために、その付近の道路にかからない土地の所有者はプラスになるわけです。公益だか何だか知りませんが、とにかくそういうふうに一部の人たちは非常な利益を占める。それにかかった人は損をするというふうな、非常なアンバランスが出てきておる。そういう根本問題に対する基本的なものさし、基準というものを作らなければ、こんなものは出せないと思うのです。ですから、そういう補償基準とか、そういうものについて、もっと検討を加えて、それを出すと同時に、この全体の公共用地の取得について、これをスムーズにやれるような、被収用者の方も納得ができてやれるような法案に作りかえて出してくる方が道理にかなっておると思うのですが、建設大臣はどのようにお考えですか。
#130
○中村国務大臣 補償基準につきましては全くお説の通りでございまして、政令案の中にもこの補償基準の策定について考慮いたしておりますような次第で、私どもとしましては、この法律の運用に際して補償基準をすみやかに定めて、適正な補償の行なわれるように運んで参りたいと思っております。
#131
○北山委員 あと一つお伺いします。
 もう一つこの補償についての重要な問題は、土地の値上がりなんです。どんどん値上がりをする。そこで、先ほどの質疑の中にありましたように、緊急裁決の時期いかんによっては、その時価によって補償がなされるということになれば、損するということも起こるわけです。要するに、一年の間に何割も土地の値段が上がるというような場合に、このような公共用地をこういう方法でとるということは、土地の値上がりが非常なじゃまになるわけです。この問題は、昨年以来政府としても、土地の価格の非常な値上がりというものに対する対策を立てるのだということを再々言われておりましたが、一体政府はどのような具体的な対策をやろうとしておるのか、またやっておるのか。その具体策を伺いたい。
#132
○中村国務大臣 限られた国土で産業が発展し、経済力が増強して参りますにつれて、土地の値段が上がるということはある程度やむを得ない次第でございます。特に近年大都市周辺における宅地価格の暴騰につきましては、いろいろ検討を続けておる次第でございます。そこで、俗に申します宅地造成法というような法律も目下研究をしておるのでございます。しかし、現在の憲法及び日本の制度下におきましては、宅地価格の高騰をいたしませんように措置することはなかなかむずかしい問題でございまして、実は頭を悩ましておるような次第でございます。しかし、われわれの方としましては、実はいろいろな知識を動員いたしまして今後も研究を続けて参りたい、 こう思っておりますが、現在のところそういうような段階にある次第で、実は具体的にこのような措置を講ずる考えであると申し上げかねるような状態でございます。
#133
○北山委員 そういうふうに政府が検討検討といって、検討する間にどんどん値上がりをするわけです。むしろ値上がりをあおっている方の政策は進んで参りまして、たとえば家賃地代統制令を撤廃するとか、あるいは所得倍増計画というようなもので成長ブームを生んでいるとか、そういうような値上がりの促進するような施策が行なわれておりながら、土地の高騰に対する対策の方は少しも進んでおらない。これは一年も前からの問題です。
 それでは、具体的に伺いますけれども、政府はたしか、たとえば休閑地課税をするとか、一定の広さの工場敷地なり、あるいはゴルフ場であるとか、そういうものの取得について規制をするとか、あるいは譲渡所得について今行なわれておるようないろんな減免税の措置をなくするとか、いろいろなことを言われておった。そういう手があると言われておった。なぜそういうことが行なわれないのですか。今の憲法下だって、これはやれないことじゃないのです。やれるのです。なぜやらないのですか。
#134
○中村国務大臣 いろいろな角度から研究をいたしておりますことは事実でございますが、お察しの通り、なかなかこの問題はむずかしいことでございまして、成案を得ることができないで、行き悩んでいるような状態でありますことを率直に申し上げておきます。
#135
○北山委員 私は先ほども申し上げたのですが、要するに、こういうような法案をでっち上げというか、出してくる前に、前提として政府がやるべき施策が、三つ四つあげたんですけれども、たくさんある。そういう点で、このままじゃなく、修正しなければならぬ点があるだろうし、それから、それ以外に必ず必要な、それに伴って急いでやらなければならぬ、できればこの国会でやらなければならぬというものもあるわけです。そういうことを私は指摘したわけです。従って、根本的にいえば、この国会でこの案を通すということは、私どもどうも賛成できないような気持になる。非常に危険だというような気持になるのです。そういう気持を率直に申し上げざるを得ないのですが、きょうは時間もありませんから、以上の点だけを申し上げて、一応私の質問は終ります。
#136
○加藤委員長 建設委員会農林水産委員会連合審査会はこれをもって終了いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト