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1960/05/10 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 建設委員会 第28号
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1960/05/10 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 建設委員会 第28号

#1
第038回国会 建設委員会 第28号
昭和三十六年五月十日(水曜日)
   午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 加藤高藏君
   理事 佐藤虎次郎君 理事 瀬戸山三男君
   理事 石川 次夫君 理事 中島  巖君
   理事 山中日露史君
      逢澤  寛君    綾部健太郎君
      大沢 雄一君    大高  康君
      金丸  信君    亀岡 高夫君
      齋藤 邦吉君    二階堂 進君
      丹羽喬四郎君    前田 義雄君
      松田 鐵藏君    山口  一君
      岡本 隆一君    栗林 三郎君
      兒玉 末男君    實川 清之君
      日野 吉夫君    三宅 正一君
      田中幾三郎君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 中村 梅吉君
 出席政府委員
        建設事務官
        (計画局長)  關盛 吉雄君
        建 設 技 官
        (住宅局長)  稗田  治君
 委員外の出席者
        専  門  員 山口 乾治君
    ―――――――――――――
五月八日
 委員齋藤邦吉君辞任につき、その補欠として竹
 山祐太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員竹山祐太郎君辞任につき、その補欠として
 齋藤邦吉君が議長の指名で委員長に選任された。
同月十日
 委員木村公平君辞任につき、その補欠として亀
 岡高夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として、
 木村公平君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月四日
 地代家賃統制令撤廃反対等に関する請願(山田
 長司君紹介)(第三三六三号)
 二級国道長野小千谷線の一級国道編入に関する
 請願(下平正一君紹介)(第三四〇四号)
 同(井出一太郎君紹介)(第三六六五号)
 同(小川平二君紹介)(第三六六六号)
 同(原茂君紹介)(第三六七号)
 北海道道留寿都狩太線の国道編入に関する請願
 (寿原正一君紹介)(第三五三八号)
 二級国道仙台八戸線古廟坂のトンネル化促進に
 関する請願(山本猛夫君紹介)(第三五五四
 号)
 地代家賃統制令の存続及び公営住宅の大量建設
 に関する請願外九件(山花秀雄君紹介)(第三
 六六八号)
 荒川左岸地域の水害防除に関する請願(福永健
 司君外一名紹介)(第三六六九号)
は委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公共施設の整備に関連する市街地の改造に関す
 る法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)
 防災建築街区造成法案(内閣提出第一三六号)
     ――――◇―――――
#2
○加藤委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出参議院送付にかかる公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案及び内閣提出の防災建築街区造成法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。
 質疑の通告がありますのでこれを許します。
 岡本隆一君。
#3
○岡本(隆)委員 きょうはこの法案を採決されるそうでございますから、重要な点についてだけお尋ねをいたしておきたいと思います。
 この法律そのものの趣旨は非常にけっこうでございますけれども、しかしながら、これが運用を誤りますと、相当従前の居住者に対して著しい影響が生活上現われてくると思いますので、その点を特によくお尋ねをいたしておきたいと思います。それは、管理処分計画をどういうふうにやっていくかということでもってきまってくると思うのでございます。その管理処分計画を立てますのに、先般いただきました手続一覧という解説の図表でございますが、管理処分計画の策定の期間は相当日数というふうになっておるのであります。この管理処分計画を策定される間に、従前のその土地の居住者との間にいろいろな話を完了してから管理処分計画をお立てになるのであろうと思うのでありますが、それで間違いございませんか。
#4
○關盛政府委員 ただいまお尋ねのございました管理処分計画の策定の過程における関係権利者との話し合いの内容の問題でございますが、もとより管理処分計画を策定する前には、この市街地改造地区内に建物を譲り受ける希望者あるいは賃借りをする希望者、その人たちの申し出をまずとりまして、関係地区内の個人の意思を尊重するわけであります。従って、施行者がそれら関係権利者に対しまして与えるべき建築物の内容なり、また配置なり、今お尋ねの点がまさに二十三条の管理処分計画の内容になるわけでございますが、こういったものを策定する過程におきましては、十分関係の希望者から申し出を受け取りまして、そして管理処分計画の案を作っていく、こういう段取りで進めていく計画でございます。
#5
○岡本(隆)委員 そこで、その管理処分計画が決定されまして後に、この異議の申し立てをすることになってくる。異議の申し立てをしますと、そこで初めて審査委員がそれについての裁定を行なう、こういう順序になってくるのであります。それでは、管理処分計画をお立てになる間というものは、審査委員はノー・タッチであるのか、あるいはここで何らかの仲介の労をとるために、この計画の策定についてタッチするのか、その辺のところを承りたいと思います。
#6
○關盛政府委員 審査委員は、管理処分計画の策定過程におきましては、まだ正式に意見を求められる機会は法律上ないわけでございます。ただいまお尋ねのように、管理処分計画の縦覧をいたしますと、関係権利者からそれに対する意見書の提出がございまして、その意見については、まさに管理処分計画の内容について関係権利者の希望をこのように尊重してもらいたい、あるいはこのように変えてもらいたいということの意見書になろうと思うのであります。それをどう取り扱うかということにつきましては、審査委員の審査に付しまして、そして不採択といたしたものについては関係権利者に通知をする、こういうふうな取り扱いにしております。
#7
○岡本(隆)委員 審査委員はこの場合、一種の裁判官というと語弊がございますが、そういう性格のものではあると思います。しかしながら、この管理処分というものは、非常に関係住民との間に利害が錯綜しておりますし、それからまた、管理処分計画そのものは、非常に複雑なものであろうと思います。だから、これを一たんきめますと、あとそれぞれ、はめるところへはめて得心をさしておいて、それでようございますということで、大体の人がその管理処分そのものには納得しておる。ところが、二、三の人が、自分はこれでは不服だと言って、どうしても納得しないというふうな問題が出てきました場合に、それを審査委員会にかけます。審査委員会が、その不服の申し立てをした人の意見がなるほどもっともだといって、もう一度その意見を尊重して管理処分計画をやり直さなければ、不服のなにを認めてやることができない。そうすると、譲り合わなければならぬから、最初に作った計画が大幅に狂ってくる場合もあり得るわけです。譲り合うについては、やはり大ぜいの人を動かさなければならぬ。一方の者にだけぽんとしわ寄せさして不利益な分を取りかえるというようなことはできないわけですから、そうすると、管理処分計画をまたもう一ぺん立て直すというふうなことにもなってくるわけであります。従って、そういう場合については、――もちろん、こういう裁判所的な性格を持っておるものでありますから、計画者、立案者、施行者との間に最初からなれ合いがあってはならないと思いますが、やはりある点についての意思の疎通というものがなくてはならない。従って、最初の管理処分計画が立てられると、不服の人は、その不服の申し立てをするまでにやはりはっきり不服の意思表示はしているはずである。そうしてまた、その意思表示をしている者が、今の審査委員のところにもおそらく何らかの形で意思は表示していると思うのです。だからそういう場合に、ある程度審査委員が、こういうふうな意見もあるし、そういうものについてはこういう形で取り入れてやったらどうだろう、というようなことを勧告する制度があった方が、自後の運営がうまくいきはしないか。こういうことを考えるのでございます。そういう勧告の制度を作る。また、勧告した場合にはそれを尊重しなければならない。これは人事院の勧告のようなことになってきますけれども、ある程度勧告できるような制度をお作りになられた方が、事業の運営が円滑にいきはしないかと思うのでございますけれども、政令によってでも、そういうものをおとりになる御意思がございませんでしょうか、その辺を伺ってみたいと思います。
#8
○關盛政府委員 要するに、管理処分計画の策定段階におきましては、もとより事務的に、施行者が二十三条の規定に基づきまして盛られております内容を、ただ単に施行者の判断でのみ作るべきものではないと思います。また、実際の運用が、従前の権利者に、つまり従前の土地、建物等の対償に見合う、また環境に見合うものを施行者が新しくでき上がります建物の部分に配分するわけでございます。従って、やはり法律的には前段に申し上げたような体系をとっておりますけれども、管理処分計画を固める段階におきましては、事前に審査委員の方なりあるいはまた権利者の方々に十分説明をいたしまして、その意を尽くしまして正式に縦覧をさしていく。こういうふうな形になりませんと、従前の権利者が住み、また営業を営む、そういうりっぱな町作りができません。法律の運用上は、ただいまお話のような点が現実に生かされることがないと円滑な運用ができない、こういうふうに考えておりますので、われわれといたしましては、従前の経験に徴しましてそのような指導と運用をいたしていきたい、こういうように考えております。
#9
○岡本(隆)委員 その辺についてはよほど慎重に運営するようにお願いしたいと思うのでございます。
 この審査委員というのは、公正な運営をやってもらわなければならないと思うのでございますが、この審査委員はどういうふうな構成をもってお作りになるのか。たしか、政令でこまかい事項はきめるというようなことがあったように思うのでございますが、審査委員の構成、あるいは権限、費用弁償、いろいろな点について構想を承りたいのであります。
#10
○關盛政府委員 審査委員につきましては、ただいまお尋ねのように、その選任は関係地区の権利者に非常に重要な影響を与えます。権利の配分に関する計画の同意なりまたは審査をいたすわけでございますから、特にこの審査委員の制度を、どのような選び方によってこれを作るかということについては、いろいろな角度から検討いたしたわけでございます。この法律におきましては、審査委員は施行者が選任をするということにいたしておりますけれども、その選任には関係の地区内において権利を持たれる方々の過半数の同意がなければならない、反対があった場合はだめである、こういう形で関係権利者の利益並びにその心配の点をまず保障いたしておるわけでございます。施行者が審査委員を選任するにあたりましての基準は政令において規定することになっておりますが、その要件といたしましては、土地または建物の評価について十分な経験を有しておられる方であって、かつ、市街地改造事業に関しまして公正な判断をする人から選ぶ、こういうことにいたしております。実際問題といたしましては、不動産の評価に関係することが非常に多くございますので、土地区画整理法の評価員という制度もございますが、このような制度の列に徴しまして、ただいま御説明申し上げましたような基準で施行者が選ぶべきことを政令においてきめたい、こういうふうに考えておるわけでございます。従って、不動産の評価判定につきまして十分公正な判断ができる経験を有する人、といいますと、そうたくさんの人はおらないわけでございますので、今までの例から見ますと、不動産の研究をやっておられる不動産研究所というところもありましょうし、あるいはまた金融機関等における不動産の評価について非常な専門的な役割を果たしておられる方面の方もおられるでしょうし、あるいはまたその地区内にたまたまそのような公正な判断のできる人がおられますればそういう人ということで、その判断のできる能力のある人を、施行者もそういう立場に立って選んで、結局関係の権利者の了解を得て選任する、こういうような考え方で政令を検討しょうと考えておる次第でございます。
#11
○岡本(隆)委員 そうしますと、これは純中立的なものでなくてはならないそしてまた、それについての十分な経験を持っている人でなければならないというふうなことで、俗にいうところのいわゆる学識経験者だけでもって構成している、こういうことになっております。しかしながら、これは三名という構成は、人員が少し少ないのではないか。ことに数百戸を含むような、あるいは場合によったら一千をこえるような多くの人たちを対象として行なうところの、しかもそれらの人の権利あるいは生活と結びついた重要な問題を処理しなければならないものに対して、三名という構成は少ないのではないか。これは三名以上ということになっておりますが、三名という構成は少ないのではないかということがまず第一点。
 それから、土地収用委員会にもこういう人たちが収用委員になっておられますが、やはりそういうふうな人たちは考え方がやや職業的になって、事務処理的になっていきはしないかというふうな点をわれわれもおそれますし、また、将来こういうものがどんどん、これから後公共用地の取得の問題などについても多くなって参りますから、それらの人たちが、専門家であるという点でもって、同じ人が幾つものそういう地域の審査委員を兼ねられ、非常にマンネリズムに陥っていくのではないかということをおそれるのです。従って、やはりこういうところへは、従来いろいろな紛争の審査機関としてあるいは処理機関として三者構成というものが行なわれているのは御承知の通りです。だから、そういうふうな要素を少し取り入れるべきではないか。たとえば三名のそういう学識経験者のところへ、その現地の土地の所有者の代表あるいは権利者の代表というふうなものを一名ずつ入れ、さらにまた事業を営む者の代表を一名くらい加えてもいいと思います。そういうふうな構成にされて、そこへ学識経験者を入れるというふうに、五名から七名くらいの員数をもって構成した方が、土地を取り上げられたりあるいは住居についての大きな影響を受ける場合には、多少自分の立場に立って、被害妄想というと語弊がありますが、そういうような考え方を持ちますから、そういうものの代表が入っているのだということにしておいた方が、納得をいかせるのにいいのではないかと思うのでありますが、その点についての見解を承りたいと思います。
#12
○關盛政府委員 審査委員の定数でありますけれども、これは地区々々の市街地改造地区の広さあるいは関係の権利者によりまして、必ずしも一がいに一定の規模ということにはならないわけでございますので、少なくとも三名という意味で「三名以上」こういたしたわけでございます。従って、相当な広範囲な一つの市街地改造地区であるということで都市計画決定が行なわれました場合におきましては、最後にお述べになりましたように、三名をこえましてあるいは五名とか、あるいは七名というふうなことで施行者が選任をしなければならない、こういうふうな実情になることが多いと思います。
 そこで、この審査委員の選任の方法と、また従前の関係の権利者という人たちが、安心して自分たちの終局的に帰属すべき財産というものを審査してもらえる人たちであるという、つまりそういう心の結びつきと申しますか、そういうものがどうしたら確保できるかということなんでございます。われわれといたしましては、土地区画整理法の場合でございますと、従前の権利者、これは権利を失うことなく、換地によりまして、区画整理の換地処分の結果、従前の土地所有権とか借地権というものがそのままの状態において場所が変わって移っていくという形になっておりますので、その区画整理の権利の換地処分というものにつきましては、いわゆる三者構成、そういう形になっておるわけでございます。今回の制度を作りますときにも、そのような制度が一つの考えとしてどうだろう、今、後段の方においてお話のありましたような点とも考え合わせまして検討いたしたのでございますけれども、建前といたしましては、これは施行者が補償金を支払いまして市街地改造地区内の権利を取得するわけでございますから、今後配分すべきものは、新たに権利を取得する、譲り受け権を持っている人にいかに公正に納得していただきまして配分するか、また新しい市街地改造事業という一つの事業目的に沿うような見地で町作りをする一部の事業ではありますけれども、関係権利者にいかに配分に納得してもらうか、こういうところにやはり物事の重点を持っていかなければならぬ。こういうふうに考えまして、選任ではあるけれども、しかしながら、選任をしようとするときには、譲り受け、賃借り申し出者の二分の一をこえる反対のない人でなければならない、こういうことにいたしまして、この審査委員がかえってある特定の権利の代表者であるというふうなことの形をそのまま審査委員の中に入れますことによってあるいは紛争が起こりはせぬか、というふうな懸念をわれわれの方では逆にいたしたわけでございます。しかし、これはあくまでも心配でありまして、何も市街地改造地区内の人で適任者があれば、その市街地改造地区内の人であるからといって審査委員にはなれないというわけではございません。適任者があれば、市街地改造地区内の人でも審査委員に出てもらわなければならぬ人があると思います。しかし、出ていただく立場の審査委員としては、これはあくまでも公正な判断をする立場で、一つ関係住民の管理処分計画なりその他の権利関係について、その審査なり同意の職責をお尽くし願いたい、こういう考え方で立案をいたしておる次第でございます。
#13
○岡本(隆)委員 施行者が権利を一たん取得してしまって、そのあとの配分を公正にやるんだというそのお考えの中に、関係住民のやはり心配があるんだ。関係住民は、自分たちの家屋を提供し、あるいは土地を提供する、それはやはり権利を留保しているのです。従前の生活とあまり大差のない生活が営めるというところの権利を留保して、その立場において権利を譲渡するのです。従って、その管理処分計画を行なうところの段階においては、管理処分計画を作成する段階においては、この権利というものはまだ完全に与えられておらない。だからその権利の行使の段階なんです、管理処分計画というものは、住民の権利の方をいかなる形において具体化するかという権利をこれから行使するという段階なんです、管理処分計画の決定というものは。だから、その自分の権利を行使する場に自分の弁護士がついておらないということであると、これは勝手なことをされても泣き寝入りしなければならない、こういう心配があるわけです。だから、そういう場合には、やはり利益を代表する者であっては公正なことはできない、こういうあなたの御意見でございますけれども、そういうような公正な意見というものは、いわれるところの学識経験者が代表して出しております。だから、その委員のすべてを私は関係住民から出せというのじゃありません。しかし、その策定の段階において、それからまたその審査の段階において、やはりそういう者の立場をある程度――立場を代弁するというと語弊がありますが、考え方というものをその中へ反映させるというふうな意味においては、そういう関係住民の中から一人や二人は入っておってもいいのじゃないか、こういうふうに私は思うのでございます。そこに多少感覚にズレがわれわれとの間にあるのではないかと思いますが、これは、大臣は法律の専門家ですから、大臣からの御見解を承りたい。
#14
○中村国務大臣 この点は、人選にあたってあまり窮屈に考えなくてもよろしいんじゃないかと思うのです。御指摘のように、たとえばこういうような市街地改造事業をいたしますのには、関係権利者になる人たちが、近所隣、寄り集まって、どういうような構造のものを作ったらいいかということについて、しばしば事前に相談するような機会も起こってくると思うのです。そういう際に関係権利者全員が、この地区の中でこういう人を一人ぜひ審査委員に入れてもらいたいという全会一致の、全体の総点というものがそこに出て、そういう要望が施行者にあれば、施行者は、その人があまり不適格者でない限りは、政令で定めます条件に大体該当してはずれない人であれば、選任していってもいい、こういうことに私は運用してよろしかろうと思うのであります。これらの点はあまり窮屈に考えないで、できるだけ運用の上で適当に、関係権利者及び関係住民にそれぞれ納得して協力していただくことが、事業の施行を円満かつすみやかにする根本でございますから、なるべくなめらかにいけるように施行者が心がけてやっていくということは、これは行政指導しなくても、施行者として苦労する立場からいえば当然のことでございますから、そういうような運用になっていくと思うのでございます。できるだけ関係住民及び関係権利者の納得の上に立って進める方が、同じ法律の基礎に立って事業をやるにいたしましても、円満かつすみやかに事業の実施ができますから、そういうような方向になることと思います。また、行政指導の上からも、われわれそういうふうに心がけていった方がいい、こういうように考えております。
#15
○岡本(隆)委員 そのような運営をしていただければ、非常にしあわせだと思うのでございます。
 そこで、審査委員の任命を行なうにあたっては関係住民の二分の一の同意がなければならない、こういうことになっております。この同意を得る形式でございますね、これはどういうふうな方法で同意を得るということになったと認定されるのか、その同窓の形式を承りたい。
#16
○關盛政府委員 この同意についての手続の様式ですが、これは法律によって政令等に委任されておりますので、その方で規定して参りたいと思っておりますが、書面によりまして関係の権利者の反対でないという意思を確認する方式をとりたいということで、規定を準備いたしたいと思っております。
#17
○岡本(隆)委員 それでは、各権利を持つ者個人ごとに同意書をとるというふうに理解してよろしいですか。
#18
○關盛政府委員 その通りでございます。
#19
○岡本(隆)委員 そこで今度は、一たん同意をいたしまして、審査委員に推薦――といいますと語弊がございますけれども、住民も納得して審査委員になっていただく。ところが、そのあとで、その人のやられることを見ていると何か不明朗なものがある、こういうことはなきにしもあらずだと思う。ことに施行者の方から推薦してきた場合に、その人柄がどういう人であるかということもわからない場合が間々あると思う。それは国や地方公共団体が推薦した人だから、間違いないからまかしておけ、こういうふうなことかもしれませんが、しかし、そうはいかないわけで、さればこそ同意が要るわけであります。ところが、人柄がわからない。同意をしょうにもなんにも、人柄がわからない。だから、勢いめくら判になった。さて、審査委員会の運用を見ていると、どうも納得がいかない、こういうことも出てくると思うのであります。そういう場合に、リコールの制度があるのか。たとえば二分の一以上の書面をもって罷免を要求した場合には罷免をしなければならない、こういうふうなリコールの制度があるのかないのか。それを一つ承りたいと思います。
#20
○關盛政府委員 この審査委員は選挙という制度をとっておりませんので、従って今、先生のおっしゃった選挙に関連するリコールというものは考えておりません。しかし先ほど、この審査委員の制度の運用についていろいろ御質問が出ております点でございますが、円満な運用をいたすということが、また、信任を得て審査委員が仕事をおやりになっていただかなければその要点は尽くせないわけでございますので、審査委員の解任につきましては政令で準備をいたしたいと思っております。それは逆に、この審査委員は施行者が勝手にその首を切るというようなことも考えられる心配もあるわけでございますが、今のお話は、住民の方からけしからぬということで出た場合はどうするかということでございますので、そういう点も、人間のことでございますから、万一そういう期待に反するというふうなことが出ましたときには、やはり施行者は解任をするという道を開きたい。ただし、その場合におきましては、やはり選任については関係権利者の二分の一の反対のない人でなければならないといたしておりますと同様に、そういう程度の縛りをつけて政令に規定すべきじゃないか。従って、お尋ねのような点につきましては、どうも工合が悪いという動議がやはり関係権利者の方から出たという場合、どうも審査委員としてはおもしろくないという場合においては、施行者はこれから準備をいたします政令の規定によって解任をする、こういうふうにした方がフェアではないかというふうに考えております。
#21
○岡本(隆)委員 今度は、それではこの管理処分計画をおきめになる場合に、二十五条の第五項を見ますと、従来から住んでおったあるいは使用しておった床面積が非常に小さい場合には、その権利者に対して建設部分を譲り渡さない、あるいはまた賃借りをさせないようにすることができるというふうな規定がございます。そうすると、非常に小さい部分についての権利を持っておる者は、その権利を失うという場合が出てくるということになるわけでございますが、その狭小なる面積というのは、一体どの程度のものをお考えになっていらっしゃるのか、承りたいと思います。
#22
○關盛政府委員 ただいまのお尋ねは、第二十五条の第四項の「過小な床面積の基準」のお尋ねでございます。これは政令で規律を付したいと思っておることでございますが、住居の用に供される床面積につきましては十坪以下、三十平方米以下。それから事務所または店舗の用に供される床面積は三坪以下。これを一つのスタンダードとして考えております。これは土地区画整理法にもやはり過小な宅地というものについての始末を規定している例がございますので、このようなものが一つの原則的なルールであるというふうに考えておるわけでございます。
 この意味は、市街地改造事業というものを実施いたしますのは、公共施設の整備と関連いたしまして、市街地にふさわしい、いわゆる高層なそれに見合った土地の高度利用形態を考えておるわけでございまして、できるだけ過小な宅地、過小な床面積というもの、これを合理的になくしたいということも一つの考慮でございます。しかし、この条文が入っておりますのは、この二十五条の第一項から相関的に御理解を願いたいのでございまして、第三項におきましても、非常に大き過ぎるというふうな人、少しでも小さくなる、過小な基準になる人、過小な床面積以下になる人に対しましては、それを救済していこうという規定が入っております。ですから、第五項のような場合は非常に例外的な場合でございます。やはり制度といたしましては、この規定を置かないと、土地の合理的利用という立場の法律の体系におきましては、この程度以下であったらどうするかという議論になりますので、過去におきまする区画整理同様の基準でそういう始末をいたしておるわけでございます。ただ、この事業につきましては、保留分というものが別途計画されます。従って、従前の権利者には、できるだけ従前の利用床面積に応ずるものを補償金の範囲内において提供することができるように管理処分計画を規律することが基本になっておりますので、そのような精神で四項、五項を御理解願えば、これはほんとうに例外の場合における始末を規定したものである、こういうふうにわれわれ考えておる次第でございます。
#23
○岡本(隆)委員 この法律が施行される地域というものは繁華街でございます。繁華街では、御承知のように、一坪くらいのところでも相当な売り上げをするような営業を営んでおる人がおるわけであります。だから、そういうふうな一坪や二坪借りて、しかも一日に相当多額の売り上げをして生活の安定を得ておる人たちが、あなたのところは二坪だ、しかしながらみんな少しずつ縮めるのだから、あなたのところは縮めると、もう、うんと小さくなってしまって、とても格好ができないから権利を放棄してくれ、こういうふうなことになってくると、その人は生活の基盤を失われることになって参ります。だから、そういう権利というものは、原則的にはやはりその人の営業状態というふうなものを見て、単に面積だけにこだわらずに、生活の実体がその土地において営業を営むことによって失なわれないということが一つの大きな前提であるということだけは、この際はっきりしていただきたいと思うのであります。これは、大阪の駅前の、先般御説明のあった予定地の方が陳情に見えまして、おそらく局長のところへも行っておられると思うのですが、それらの人が問屋街で、三坪か四坪くらいのところで非常に大きな商いをしておる。従って、こういうふうなことでいろいろなことが競合してくるときには、やはりみんな一階へ入りたいだろうし、それでもって競合してきた場合に、追われることになるのではないかという不安を感じている人が相当あるということでございますので、そういうふうな原則というものだけはあるのだということは、はっきりさしておいていただきたいと思うのでございます。そういう前提は間違いないのでしょうか。
#24
○關盛政府委員 ただいまお尋ねの「過小な床面積の基準」というものを現実に適用した場合に、商店等、たとえば今お尋ねの場所はどれかしりませんけれども、たばこ屋のような場合でありますとか、そういうふうに小さな窓口で非常に大きな事業に関係のある、こういうことにつながっておる地域が商店街に非常に多いのでございます。そういうふうな場合におきましては、これはたな貸しをしておられる。たな貸しを受けておるというふうな形態には多いのでございまして、そういうふうな実態はやはり尊重していかなければならない。従って、住居または店舗の用に供される床面積は三坪が基準と申しましたが、その基準に対して、政令で特殊な業を営む店舗等につきましての例外規定を置くべき準備を検討いたしましておるのでございます。従って、全体の考え方といたしましては、市街地改造地区内に残ることを希望するすべての従前の権利者に対しましては、その希望者に適合する、充足できる床面積を提供する、こういうことが管理処分計画の基本となって規律せられるように運営をしていきたい、こういうふうに考えております。
#25
○岡本(隆)委員 そこで、営業権の問題でございます。この管理処分計画を決定する場合に、居住権というものはもちろん評価されるでしょうし、それからまた、所有権というものも評価されるでしょうが、営業権というものがどの程度に評価されるのか。そういう点については、むずかしいなにはあるかもしれませんが、大体営業権というものをどいううふうに評価するかという、何か基準でもございますか。
#26
○關盛政府委員 これはこの法律自体の問題ではございませんで、一般に契約または収用する場合におけるいわゆるのれん代と申しますか、あるいはしにせとかいろいろあると思いますが、つまり営業権という権利というものは、実際に営まれておる実態によって判断をしなければならないと思います。この法律におきましては、従前の土地に根づいておる関係権利者の権利が、施行者がその地区内の権利を取得いたしましても、譲り受けを希望する人に対しましては、新しくできる建物と法律上縁をつけまして、譲り受ける権利を取得せしめまして、そして中断しないように移行していくというようにこの法律で規律した事項がございまして、従前の権利者の持っておる財産権の評価につきましては、契約によって施行者が権利を取得いたします、あるいは収用によって取得します評価の問題になると思いますので、個々の実態によって正当な営業に対する補償というものを支給する、こういうことになるわけでございます。
#27
○岡本(隆)委員 たとえば大阪の場合もそうでございましょうし、例を手近に銀座裏のようなところにとってもいいと思う。かりに、ああいうところがこの事業の施行地に該当したというようなことを仮定におきますならば、坪百万円くらいはするだろう。そうすると、坪百万円するところの土地の評価というものは、やはりそこにおける営業価値がその坪の対価に大きく作用しているわけです。だから、土地の所有者の取り分がおよそどれくらいで、そしてその営業権者の分はどれくらいであるというようなことについては、あなたは専門家ですから、そういう点従来の例など詳しいだろうと思うのですが、そういう場合には、比重はどちらに重くかかるのでしょうか。土地の所有者の方に重くかかるのか、営業権の方に重くかかるのか。その辺のところ、どうなんでしょう。
#28
○關盛政府委員 営業権という概念でお尋ねになりますと、ちょっとむずかしいのでございますが、今度の法律によりまして、土地に根づいた権利の関係を分割いたしておるわけでございます。そういう場合において考えられることは、その土地の所有権というものと、借地権、建物の所有権というものは、それぞれ独立した対償の給付を、新しい建造物ができ上がりましたときに、床面積と一緒にその下の共有持ち分を持つ、こういうふうに分割するわけでございます。従って、今のお尋ねはそういうお尋ねでなくて、営業権と言われたので、これは今の問題とちょっと関係のないことでございますが、しかし、今の土地の関係について申しますと、土地の所有権というものは一種の底地権ということになっておりますから、全体の所有権というものの価値が一〇〇といたしました場合に、所有権の上に他の借地権なり何なりが乗っかっておる場合におきましては、これも場所によっていろいろ違いまして、ここで七、三であると申しましても全国そうだというわけにも参らぬのですが、底地権というものの価格が、そういう繁華街におきましてはだんだんと低くなっておるという傾向は明らかに見えると思います。それから、営業権の問題につきましては、これはやはり正当な補償、通常受けるべき損失というものの中に、場所によりまして、またお得意の関係とか業態の種類によって、どのように評価するか、現実的にはこういうことに帰着するわけでありまして、これも場所によってまちまちでございますので、私の方で今ここでお答えできるのはその程度のことだというふうに御了承願いたいと思います。
#29
○岡本(隆)委員 これはむずかしい問題ですから、はっきりぴしゃっと割り切って、図でこれだけが何だか分けるようにはいかないと思います。しかしながら、いよいよ管理処分計画を決定するのには、やはりそれぞれの権利者に対して、その権利をぴちんと分けて対償をきめなければならない。だから、対償をきめるときには、その問題に施行者が現実にぶち当たるのでありますから、これはこの法律の中の一番むずかしい、いわば大きな泣きどころじゃないかと思うのですが、この点については、今はっきりしたお考えもないようですし、これ以上お尋ねしても明確なお答えもいただけないと思います。しかし、この事業の施行にあたっては、そういう点も十分考慮した運営が行なわれないと、大きな紛争が起こるということもお考えおきを願いたいと思います。
 もう一つ、それと関連して出てくる問題は、その建築をやるに、鉄筋コンクリートの十階以上のものというふうなことになりますと、完成までに相当長期間の日数を要するのではないか。その間、その土地に住んでいる人は、集団的によそに移転しておらなければならない。そうしますと、それが繁華街であり、非常に大きな取引をやっている商店街であるということになっておりますと、その間の利益の欠損というものが非常に大きな問題になってくるのではないか。また、その間収入がないからといって、従業員に、それじゃ君たちはその間どっかで食ってこい、こういうことにもいかないと思います。だから、従前の従業員をかかえたままで赤字の運営をやっていかなければならないという問題が出てくるのでございます。こういうものに対する補償というものは、施行者が権利者に対して支払われる対償の中に組み入れられるものかどうか、その辺を承りたいと思います。
#30
○關盛政府委員 建築物ができ上がるまでの過程におきましては、確かにいろいろな段取りをいたしまして、従前の地区内の建物をこわしまして整地をして建てるわけでございますから、営業しておられる方は他の場所において営業する、こういうふうな形になるのでございます。裏宅地と表宅地のような場合におきましては、住宅に関係している裏宅地の方をできるだけ先に工事をやれるような段取りをいたしまして、表通りの人が営業を続けながら新しく今度道路に面する場所にでき上がる建物に移っていかれる、こういう過程をとることができるところが移転中の損失なりあるいは事業を営むところの補償というものが現実に一番少なくて済む。金を出す方が少ない方を望むだけじゃなくて、現実にそういうふうなことになれば、これは非常にけっこうなのでございます。これはもとより、通常受ける損失としてそういうふうな事態が出たときには、関係権利者に損失の補償をいたすことになります。結局、従前の建物等を提供することに対しましては、その対償の一部として新しい建物を支給するわけでございますが、それと別に、移転中の損失でありますとかあるいはまた事業の継続実施ができなかったことによる損失につきましては、本人たちにはその金を支弁をする、こういう一般の収用あるいは契約の形で実施することになるわけであります。
#31
○岡本(隆)委員 その営業補償は、施行者が支払うのですか。それとも、公共用地の取得の費用の中に入ってくるのですか。それはどちらになりますか。
#32
○關盛政府委員 これは施行者が支払うわけでございます。従って、その施行者が支払うところの金は何であるかということの御質問もあるのでしょうと思います。金につきましては色がついておりませんけれども、道路用地となるところの人、これははっきり区別いたしますれば、明らかに道路の、公共施設の方から支弁しなければなりませんし、それからまた、建物の部分につきましては、対償の一部として新しくでき上がる建物の床面積を給付するわけでございますからして、結局現実問題としては、全体としてどの部分が道路の方か、どの部分が道路でないかという区別は、実際できないと思います。それが一つの込みになって新しい建造物ができ上がるわけでございますから。これは工事の進捗に見合って、道路分と道路分でないものとを、理論的にはアロケートして支弁する、これは非常に観念的に申し上げたわけでございますが、そういう形が一つの理屈ではないかというふうに考えております。
#33
○岡本(隆)委員 そのお金の出し方というものは非常に重要だと思うのです。それで、かりにそういう補償費というものが支払われましても、今度は事業費の中にそれが繰り入れられまして、タコが自分の足を食っているのと同じです。補償費をもらっても、それは結局、今度は自分たちが新たに取得するところの対価として支払う分がそれだけ高くなるのですから、その中へそういうものをどんどん織り込まれたのでは、これは関係住民にとってはゆゆしい問題であると思うのでございます。道路用地の分については、これは当然、たとえば道路をなにするためにはもちろんいろいろな営業補償なんかみないたしますが、公共用地を取得するために、関連事業として広い範囲のものをこういうふうな整備事業をやるときに、その整備のために必要な補償費というものを全部原価の中へ計算に繰り入れられたのでは、あとで給付される場合の対価というものは非常に高くつくことになると思うのでありますが、これはどういう見解をお持ちになっていらっしゃいますか。
#34
○關盛政府委員 この法律の立て方のときに申し上げたわけでございますけれども、市街地改造事業の地区内の従前の権利者の土地その他の権利につきましては、すべて特価でもって取得するわけでございます。従って、関係権利者にはそれに相当するところの補償金が支払われまたは支払われることなく譲り受け権という形で給付される、こういうことになります。従って、施行者は、建物ができ上がりましたならば、この法律によりまして評価をいたしまして、それを関係権利者に給付するということになりますから、これは要したところの経費と、それから近傍類地の価額を勘案し、時価を越えないように押えまして、そうして適正な価額で評価をしたものを従前の補償金の額と対照いたしまして、過不足があれば清算をする。こういう形になっておりますことを御理解願いまして、そういう施行者の事業の実施、それに対するところの関係権利者との関係が、全体として従前の権利は時価で買い、新しくでき上がるものはそういう形で処分をする、こういうことになっておりますからして、その点を理解していただければ御納得がいくのじゃないかと考えております。
#35
○岡本(隆)委員 時価というのは、店舗なら店舗を持っておって、そうして、それを売り払ってよそへ移転しておる、そういう場合には翌日から営業ができる。何か違った店でも買って営業するというようなことが建前であって、長期間営業を休むということにはなっておりません。これはその中に含まれておらない。また、現在のところにおって、一時よそに行って、またそこでやるんだという、その中間の間のいろいろな損失はそういうものの中に入ってこない。また別の考え方でいかなければならないと思う。だから、そういうものが時価の中に含まれてくるのである、その間の損失補償が時価の中に含まれておるということになってくると、数字の間に大へん大きな見解の相違が出てくると思います。たとえていえば、大阪の今の駅前なんかは問屋さんばかりだそうです。だから、非常に膨大な金額の商品の売買を行なっております。また、中には相当の数の店員を使っておるものもあるというふうなことになってくると、その間の経費の損失とかいろいろなものは相当なものになるから、それを時価に含めるということになれば、今度は最初の話のときより時価が高くなってくる。そういうふうな点を明確にしておいていただかなければならないと思うのですが、どうです。
#36
○關盛政府委員 この市街地改造事業の事業費としては、確かにお話のような経費は含まれるわけでございます。しかし、今申し上げましたのは、時価と申しましたのは、でき上がった建物の評価の話を申し上げたわけでございます。従って、そのようなものが相当によけいな金が出て、そうして施行者が各個人に給付すべきところの建築物の価額が時価よりオーバーするというふうなことがあった場合には、これは施行者が負担をすべきである、こういうことになるわけであります。
#37
○逢澤委員 関連して、私はおくれて伺ったから、すでにお話しになったかもしれぬと思いますが、今拝承いたしますると、市街地改造法によってこれを実施する場合に、結論からいうと、この事業主自体が全体の費用の中でやるのか、あるいは政府の方において何がしかの負担をするということになっている。道路についての買収をするということ、これは当然のことでありますが、そのほかの建造物とか、あるいは今お話しになっている営業権とか、こういうものに対して、市街地改造法をやるために若干の負担をやるということになりますけれども、その点ちょっと私には今の説明の中でわかりかねる部分がある。従って、どのくらいの程度のものが負担をすることになるのか。道路に買収するものに対しては当然これは国が買収するが、そのほかの事業計画、こういうものに対しては全然相互間の負担によってやるのか、この結論を承りたいのです。
#38
○關盛政府委員 この事業の実施に伴う経費は施行者が全部持つ、こういう建前になっております。従って、その場合に対しましてこの法律では条文がございまして、他の法令の規定によって補助なり負担があるものはこの事業に補助金なり負担金を出す、こういう規定を挿入いたしているわけでございます。従って、今回の市街地改造事業は、公共施設の整備を重要な動機といたしまして市街地改造事業を行ないます。その公共施設というのは、主要な道路あるいは広場というものを対象にいたしておりますので、その道路、広場の事業に相当する金は道路特別会計から支出する、こういうことになります。その他、施行者が建築物を造成して別途の関係権利者以外のものに給付をするという建物等の資金につきましては、地方債なりあるいは住宅金融公庫の中高層融資というものによってこの建築物等の造成資金を確保するように財政ベース、資金ベースで考えていく、こういうことでございます。
#39
○逢澤委員 もう一点だけ。そうしますと、この事業を遂行するにあたっては役所の強制力というものはあまり使わないと思いますが、そうでございますか。つまり言いかえれば、関係住民の意思によって――相互のいろいろの勧誘はするでしょうが――その地域の住民の承諾によってこれを実施する、こういうことになりますか。
#40
○關盛政府委員 この市街地改造事業は、都市計画事業として新たにこの法律によって創設されるわけでございますので、都市計画事業をきめます場合の都市計画法の手続によって実施をいたします。ただ、この法律の、先ほどから御質問がございました管理処分計画、これは関係権利者に従前の権利に相応するものを新たにできます建物の部分で差し上げるわけでございますから、どのような建物を希望するか、どのような人がほしいかということを関係権利者の意見を聞きながら、十分にそれを尊重して実施をする、こういう形になって、関係住民の意向を尊重するという形になっております。
#41
○岡本(隆)委員 これは問題が相当あとに残ると思うのです。それで、施行者がいろいろな費用を全部出す、それをどこから持ってくるかということは、あとの対価のきめ方に非常に影響がございます。ところが施行者の方があまりいろいろなものを建物部分へ残されますと対価が高くなりますから、そうすると、あとへ入居する人について、またその家賃とかあるいは譲り受けの価額の問題について大きな問題が残っていきます。
 それで、あなたの方から先般いただきました図で御説明を願いましたね。あの図で見ますと、実に巧妙に作ってあるのです。あの図をここで御説明願って、ああそうかと思って、帰ってよう考えてみたら、これはなかなかうまいこと作ってあることに、あとで気がついたのでございます。どうも私は勘が鈍いので、うまいこと説明されると、すぐ得心してしまうのです。あれは、二十坪の土地について十坪の建築面積ということで計算されているのです。プラス・マイナスちょうどゼロになって、うまいこといきます。こういうふうに割り切られておるのです。ところが、そういうような繁華街で、二十坪の土地に十坪の建坪よりないというところはないのです。これは必ず二階になっているのです。だから、二十坪の土地に建築基準法によるところの制限一ぱいのものを建てれば三分の二建てられるのですから、大体二十坪の土地には十五坪くらいの建物が建つのです。そうしますと、計算ががらりと変わってくるのです。それでもって計算をしていきますと、大きな赤字が出るのです。つまり、それを取りこぼつために建物の買収費だけ赤字が出るのです。建物に対するところの赤字が出るだけでなしに、今度は新たに、そのかわりに従前の居住者に対してやはりそれに見合った面積を提供しなければなりません。その見合った面積の建造費というものは、また坪八万という非常に高い建治費なんです。だから、その分はまたぶうっとふくれ上がるのです。そのふくれ上がった分だけ全部赤字になってくるのです。私があれをあのまま二十五坪に直して計算をいたしますと、あの事業について差し引き六十五万という赤字が出ます。これは、もしなんなら、あとで私の計算を見ていただいたらいいと思います。私、説明していると時間がかかりますから、ほかの委員さんにしかられますから、説明いたしませんが、六十五万という赤字が出る。その赤字を、それではだれが背負うかといえば、地方公共団体が背負う以外に道がないのです。だから、こういう事業をやろうと思えば、地方公共団体は事業上におけるところの相当な赤字を背負わなければならないということになってくるのでありまして、この赤字をどういうようにして補てんするのか、どう見てやるのかということに大きな問題があるのでございますけれども、それについてはいかがお考えになっていらっしゃいますか。
#42
○關盛政府委員 市街地改造事業というものは、これから行ないます一つのテスト・ケースでございまして、確かに理論的にだんだんと詰めて参りますと、市街地改造事業というものは一般的に採算の――採算といったら語弊がありますが、ペイする、赤字が出なくて済むという場所はどのような地域であるかということは、前々回の委員会でも申し上げたような状況でございます。そのサンプルというものも、何も、しかけをつけて出したわけではございませんので、こういう場合にはできるという意味で申し上げたのでございます。従って、今後の市街地改造事業実施の要請に伴いまして、必ずしもこのような立地条件を持っておらないところにつきましても、公共の利益のためにいたさなければならないという地帯が出てこようと思います。しかしながら、これはあくまでもその経費の負担をオーバーに関係権利者にふっかけるべきものではございません。しかも、奨励して政府がやるべき筋のものでございます。従って、そういう場合におきましては、国と地方公共団体が一定の割合において、この事業独特の制度を立てまして、やはり経費の分担をすべきものであろうというのがわれわれの基本的な考え方でございます。しかし、この事業がどのような地域でどういうふうな格好になって終息するかということの終局的な見通しがまだ出ませんので、今の段階で提案をいたしておるような状況でございます。将来につきましては、部分的な清掃費等のことに対する補助金を出すか、あるいは全体として一定の割合によって赤字の負担を国と地方公共団体とで分け持つ方がいいのか、そういったような制度の立て方をめぐりまして急速に検討いたしまして、この事業を一そう円滑に実施するようにいたしていきたい、こういうふうに考えているのがわれわれの念願でございます。
#43
○岡本(隆)委員 都市におけるところの公共用地の取得は、どうしても立体交換によらなければならない。立体交換によるのについては、この計画を見ていけば、どうしてもこれは相当な赤字が出る。だから、これは採算というものを考えない、赤字覚悟の事業としてやっていかなければ、この事業は遂行できない。それでは、その赤字を地方公共団体だけにしょわせるのではなしに、やはり国も一緒に相当分け持つ――分け持つというよりも、相当な国の責任においてやっていくんだ、やらせるんだというふうな基本的な考え方に立っておられるのであろうと私は思っておるのでございますけれども、今の局長の御答弁を聞きますと、これは地方公共団体と相談して分け持ちますという範囲のお答えよりございませんが、この点は大臣からはっきりと御答弁を願っておきたいと思うのでございます。地方公共団体も、楽なところばかりではございません。そういうところで、この事業を遂行していくのには、やはり相当国の責任においてやるんだという覚悟を、国としても持っていただかなければならないと思うのでございますが、一つ大臣から、その点は明確にしておいていただきたいと思います。
#44
○中村国務大臣 この六条の規定にもございますように、地方公共団体が施行者になりまする場合は、現に公共施設の管理者であるかまたは管理者になる都道府県、市町村等が、この市街地改造事業とかみ合わせて公共事業をやりたい、こういうときに申し出があって、その上で審査をしてやるわけでございます。従って、道路なら道路について申しますと、そこの道路を拡幅をする、もちろん道路の整備予算というものもあり、その経理があるわけでございます。その道路の拡幅と関連して市街地改造を実施するわけでございますから、市街の形態も整い、またその都市の改造にもなるわけでございますので、地方公共団体が、場合によってはある程度の負担をしてもこれは自分でやりたいという場合に、初めて事業として決定をされるわけでございますから、今後、そういうような負担はたえられないが、ここはやるべき必要があるという場所等が起こってくるかもしれません。さような場合の経費負担等につきましては、今後の問題として適当に解決の道をはかっていきたいと思います。具体的に考えますと、道路の拡幅をする場合におきましても、表の商店はできるだけそのままにおきまして、拡幅部分を残して、裏の方の、仮移転をしていただいてもそうたくさんに経費を食わないような力に先に用地をあけていただいて、そこに新しい建設をして、建設ができたところに、表で営業をして利益を上げておった人たちに下がっていただく、こういう姿になる。それからまた、一階建、二階建であったところが高層建築になりまして、上の方の保留部分は適当に施行者が賃貸をするなり、あるいは売り渡しをして処分をするなりいたしまして、その上である程度の益金を出すこともできますから、結局具体的に当たって参りますと、施行者としてはうまく手一ぱいにちゃんと運べる場所もできましょうし、あるいは相当の自己負担をしなければできない場所も出てくると思うのであります。そういうような自己負担を相当覚悟してでも、市としてあるいは府県としてしたいという場所があり、その経費負担を今後どうするかという予算措置等につきましては、法律を運用していく段階におきまして私どもとしては考慮して、さばいていきたい、かように考えておるわけでございます。
#45
○岡本(隆)委員 これは、私がこの法律を見て考えておったのと、大臣の御答弁とだいぶ解釈が違うのです。というのは、大臣の今の御答弁だと、金のあるところはこれで、こういう方法で立体交換でやれ、やれるような法律を作ってやる、これだけのことのように思える。公共用地を取得するのには繁華街では問題も多くやりにくかろう、だから立体交換をやりなさい、立体交換をやるだけの道は作ってやります、ということだけにとどまっております。
 しかしながら、私たちは、この法律というものはそうは受け取っておらない。金があろうとなかろうと、これから後の都市の公共用地の取得というものは、こういう方法でなければなかなか実際上できないのだ。だから、都市は――大きな都市は、これから後十年は自然発生的に伸びて育っていくだろう、しかしながら、これを近代都市に変えていくのには、こういう方法によらなければやっていけないのだ。やっていけないから、こういう方法でやる道をつけましょう、国も十分にそれに対する財政的な裏づけもしましょう。こういうふうに国が積極的にその都市の改造をやるのだ、その第一歩を踏み出した。だから、今は予算の裏づけは少ない。しかしながら、将来はこういうふうな費用を大きく見て、日本の町作りをこれからすっかりやり直していくのだ――私は、こういうふうな大きな理想の上に立った立法措置だと理解しておったのです。大臣の今の御答弁だと、全く勝手にやれ、やりたいものはやれというふうな、非常に消極的な立法のように受け取れるのです。これは、私の解釈が早合点であり過ぎたのかどうか知りませんが、一つその辺、もう一度大臣から御答弁願いたいと思います。
#46
○中村国務大臣 意気込みとして、岡本さんのお考えと同じような意気込みでいるわけでございます。
#47
○岡本(隆)委員 意気込みだけですかね。意気込みということは、やる意思があるということでもあると思うのですが。精神ですね、立法の精神というものは、それじゃ、そういう積極性を持っているのだというふうに理解してよろしゅうございますか。
#48
○中村国務大臣 その通りでございます。
#49
○岡本(隆)委員 それじゃ、もう打ち切りたいと思いますが、もう少しお伺いしたい。
 今の、そういう立体交換をやれ、しかも、たとえて言えば、先ほどからも申しておりました梅田の駅前の土地の模様などを聞きますと、裏も表もない。だから今、局長や大臣がおっしゃったように、裏から先にやってあとで表をというふうな、そういうことは実際上困難な土地なんです。しかも、そこは坪百五十万円ぐらいするそうです。だから、権利の問題についていろいろ問題が出てくるであろうと思うのでございます。現地の人の非常に心配しておられるのは、一階、二階は現在の権利者が使用する、これは当然そういうふうに法律の建前もなっておりますが、三階、四階以上になって参りますと、施行者が随意に処分するというふうなことになってくる。ところが、そういうふうに処分されますと、今度はそこへ非常に大資本がどんと進出してくるのではないか。そのために、今までの小さな店舗でやっているところの業者が、今度は大資本が上へどんと広い面積をとって、そこで大々的に営業をやるために、それとの競争において非常に苦しい立場に置かれるのではないかというふうなことを心配しておるのであります。それは、なるほど、そういうふうな考え方は杞憂であるかもしれませんが、成り立ち得ると思うんです。とにかく一般募集だ。一般募集だから、応募してきたものに、お前とだれはいかぬ、というふうな制限というものも困難ではあるかもしれない。しかしながら、それじゃ立体交換で、町作りにはいろいろな不便も忍んで、一時的な損害も忍んで協力した。エレベーターがついておる。そして、それでもってどんどん三階以上が問屋デパートのような大資本のものになってしまった。そうすると、一階、二階はすっかり、かすんでしまうというふうなことになって、町作りへの協力が自分たちの墓穴を掘ったというふうなことに、もしもなったら、これは大へんな問題であると思うのでございます。そういう点について、あとの管理処分計画の立案については何らかの配慮が行なわれるのか、行なわれないのか。そういうことを、これは大臣から承っておきたいと思います。
#50
○中村国務大臣 今お話しのような事態は起こらないないと私ども思うのであります。また、起こしてはならないと思います。これは主として従前の居住者及び権利者に、かわるべき新しい施設を分割をいたしまして管理処分をするということになりますし、上層部の方は住宅という建前でございますから、そういうような結果にはならないと思います。むしろ、たとえば道路の拡幅のためにこの市街地改造法を適用してやりました場合には、一階の店舗におる人たちは、従前に一階、二階で裏の方に住居しておった人たちだけでなしに、収容力ができまして、要するに消費者層というものがふえますから、下の店舗を経営する人たちは顧客が増大をするという姿になると思って、それを期待しておるわけでございます。ただ、特殊の場所で、たとえば言われておりますような大阪駅前の問屋街のようなところでございますと、やはり上の方まで事務所にしなければならぬと思いますが、これもそういうような、現在あるものの収容を工夫した建設になりますから、上の方がデパート式になって、一般中小企業者が迷惑をしたり、被害をこうむるような結果というものは起こってこないと私ども考えておるわけでございますが、今後の運用の上におきましても、御指摘の点は十分注意をいたしたいと思います。
#51
○岡本(隆)委員 問屋街で大きなビルができた。その上層部が問屋街の従業員の住居であるとか、そういうようなものに使われる場合には、これは問題は起こらないと思います。しかしながら、何しろ地価は坪百五十万円もする。そういうようなところの用地の上へ大きな建物を作った場合に、使いようによれば、住宅にするか、営業用にするか。営業用にした方がはるかに、貸すにしても高く貸せますし、売るにしても高く売れる。管理処分計画の上においても、施行者にとっては、住宅にするよりもそういうふうな営業用のものに使った方が事業がやりよい。やりよいから、勢いそういう方へ流れるおそれがあるということだけは、われわれは考えなければならない。しかしながら、そういうことのために従前の営業者に非常な営業不振の種をまくというようなことになっては、何のための協力かわからないということになって参りますから、運用の面についてはその点は十分戒心して運用するというふうな点、これは行政指導でやっていただきたいということを特にお願いをいたしておきたいと思います。
 まだいろいろお尋ねしたい問題も残っておりますけれども、この程度で打ち切らしていただきます。
#52
○加藤委員長 兒玉末男君。
#53
○兒玉委員 私は防災建築街区造成法案について、二、三住宅局長にお伺いしたいと思います。
 この法律と密接な関係にあります昭和二十七年五月三十一日の法一六〇号においてできました耐火建築促進法というのが、防災建築街区造成法の附則の三号によって廃止されることになるわけです。これと密接不可分の関係にある耐火建築促進法の目的とこの造成法の目的はほぼ同一であるわけでございますが、一体この耐火建築促進法にどういう欠陥があってそれは廃止することになるのか。その点について局長の見解をお伺いしたい。
#54
○稗田政府委員 現行の耐火建築促進法におきまして、まず改めるべき点としまして、第一点は、その目的の中に「火災その他の災害」というものを規定しておるわけでございますけれども、名称自体も、防火建築帯の指定というようなことによりまして、防火地域だけに防火建築帯が指定されるようになっておったわけでございます。従いまして、火災以外の水害等につきましては、どうも適用がしにくかったわけでございます。そこで、今回改めましたのは、都市計画区域内にある災害危険区域、そういうところにおきましても防災建築街区が指定できるというように改めたわけでございます。
 次に、従来防火建築帯におきまして、その名前のように帯状で幅狭く道路の両側に指定しておったわけでございますが、現状の古い町並みを、表家だけを、防火建築帯にいたしまして耐火建築物に造成いたしましても、その背後の木造建築物の混在しておるところがそのまま残ってしまいますと、都市の防災上の見地から申しましても、また都市の環境を整備するというような点からいきましても、若干うらみがございました。そこで、今回は背後地まで含めまして、帯状でなしに、街区として助成する街区を指定できるように改めたわけでございます。それから、現行の耐火建築促進法におきましては、補助の体系が、耐火建築物を建設する個人に対しまして補助するという形でございましたけれども、やはり都市を近代化していく上におきましては、できるだけ共同建築で高層化もはかり、また敷地の合理的利用化を促進していきたいということで、そういった共同建築ができますように組合制度を制定いたしまして、共同建築の促進をはかるというような立場から補助金も交付するというように改めたわけでございます。
 それから、従来の耐火建築促進法におきまして、十二条以下に、地方公共団体が急いで施行しなければならないという場合におきまして、地方公共団体が強制的に施行する制度はございましたけれども、その内容がなかなか実際には実施できにくかったわけでございます。そこで、今回はその点を合理化いたしたわけでございます。
 次は、国の補助でございますけれども、従来は木造と耐火建築物の床面積の単価の差額につきまして国が四分の一補助するということになっておったわけでございますが、今度は建物に対する助成といたしましては、低利融資その他でまかなっていただきまして、補助の対象といたしましては、調査設計費でございますとか、古い建物を除却する費用とか、あるいは下水、水道といったような街区全体につきまして改造事業が行なわれますので、そういう共同付帯施設のつけかえといったようなことを補助対象というふうに改めたわけでございます。
#55
○兒玉委員 大体、今までの耐火建築促進法による防火建築帯の指定等もなかなか思うようにいかなかったという御説明でありまするが、今回の場合はその点が非常に拡大されたわけでございますから、それによってこの事業の遂行というものに、より困難性が伴うのではないかと私は思うのですが、この法律の実行についてどういうふうな考えを持っておるのか。その点についての見解を承りたいと思います。
#56
○稗田政府委員 実は従来の耐火建築促進法によって行なっておりました防火建築帯の造成事業におきましても、実際問題としましては、地元で造成の期成同盟とか、そういうふうな組合等ができまして、それで促進されておったわけでございますが、そういった都市を不燃化しようという機運が現在のところ全国的に相当高まってきておるわけでございます。そうして、従来のそういった都市不燃化を促進していこうといういろいろの団体からの希望は、帯状では困る、やはりその背後地も含めまして共同で建築物ができるような措置をしてもらいたいというのが、これを適用されるような対象地区の人たちの意見であったわけでございます。そういう点を取り入れたわけでございますので、むしろ地元におきましては、自分らの要望が新しい法律の中に取り入れられるということになって、かえって促進されるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。ただ、新しい制度でございますので、これにつきましては、本年度法案が成立いたしますればこれで実施をいたすわけでございますけれども、われわれとしましても趣旨を十分徹底させまして、最善の努力を払って都市の不燃化が着々実現するようにいたしたいと考えております。
#57
○兒玉委員 これに関連しまして、防災建築街区の対象としての災害は「火災又は津波、高潮若しくは出水」ということに限定されておるわけです。非常に日本に多い地震等がこれに含まれておらないのは、どういうふうなわけですか。
#58
○稗田政府委員 実はこの災害の範囲をどのように定めるかということで、今、先生から御意見のございました点も、われわれとしても十分検討いたしたわけでございます。ただ、地区を指定しまして、それで防災建築街区を指定して行なうということになりますので、どういう地区にそういう街区を指定すべきかという立地上の問題がついてくるわけでございます。そうしますと、地震とか、それから毎年南から定期便でやって参ります台風というふうなものにつきまして、市街地の中でこの部分が防災上特に耐震構造あるいは耐風構造にしなければならぬといったような限定した区域を指定することがちょっと固難なわけでございます。日本全国一円の問題でございますので、それでおもに出水、高潮というふうなことに限ったわけでございます。
#59
○兒玉委員 こういう街区を設定することは私どもも賛成であるわけです。そういうふうな一つの耐震構造なり、そういうことに対する建築基準法との関連もあると思うのですが、そういう構造上の問題等も、この街区設定にあたっては十分指導する必要があるんじゃないかと思うのです。
 たとえば、今回二月二十七日に、宮崎沖日向灘地震で震度五という激しい地震があったわけですが、長年の台風によって、建築物も相当そういう風等に対する考え方を十分考慮に入れて建築がなされたために、比較的家屋の倒壊というのは少なかったわけです。ですから、この防災街区設定の目的からいいましても、そういうことを十分考慮に入れるべきであるということが、一点です。
 もう一つは、建築基準法の三十九条、六十条、六十二条に、災害危険区域あるいは防火地域、準防火地域の指定ということが法律で規定されているわけです。この建築基準法の三十九条、六十条、六十二条等の建築制限等についての指定地域との関連はどうなっておるのか、この点について承りたいと思います。
#60
○稗田政府委員 防火地域の指定におきましては、全国で九十九都市で指定されておるわけでございます。建築基準法におきまして、防火地域内におきましては、ある程度規模の大きなものになりますと、全部耐火構造でなければならないことになっておるわけでございます。従いまして、この防災建築街区におきまして、防災建築物を建てなければならないということになるわけでございますが、その防災建築物というは、建築基準法の構造の面からいきますと、耐火構造になるわけでございます。従って、大体一致するわけでございます。ただ、防災建築街区におきましては、たとえば災害危険区域に指定されたような場合、いろいろ出水に対しての設計上の配慮がまた加わってくるわけでございます。構造は全部耐火構造ということに相なるかと思うのでございます。それから、災害危際区域でございますが、現在指定されておりますのは、大阪と名古屋市でございます。大阪市におきましては五千五百ヘクタール、名古屋市におきまして三千二百ヘクタールの区域が指定されてございます。
#61
○兒玉委員 そこで、この造成法の第五十五条によりますと、その地域におる土地の所有権者とか借地権者、借家権者、そういう当該地区に住んでいる人の三分の二以上の申し出に基づいてこの事業が行なわれるということが規定されてあるわけです。これと、今言われました災害危際区域だとか防火地域とか、建築基準法によって指定されている地域との関連において、これはいわゆる任意に地区を設けていくということになっているわけですが、それとの関連においてかなり問題が生ずるのじゃないかと思うのです。その辺の点についての見解なり、あるいは実質的に事業を遂行する場合において、かなり問題が生ずるのじゃないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
#62
○稗田政府委員 この防災建築街区造成法における事業体でございますが、第一義的には組合制度によりまして、あくまで自主的にやっていこうという考え方をいたしておるわけでございます。ただ、ぜひとも都市の防災上非常に重要な地区であって、これを実施いたしたいという場合に、地方公共団体が実施できる道を開いておるわけでございます。その場合におきましても、三分の二の権利者の申し出に基づいてやるということにいたしまして、できるだけ自発的に都市が改造されるように今後この事業を実施するにあたりまして進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
#63
○兒玉委員 それで、これは要求しておきますが、建築基準法の三十九条、六十条、六十二条の指定地域一覧表を次の委員会に出していただきたい。これは法案に対する賛成反対ということは別として、資料として一つ提出を願いたいと思います。
 次に、この第十条の組合員の資格で、「その他の者」ということが入っておるわけですが、それはどういうものを含むのか。その解釈はどうなっておりますか。
#64
○稗田政府委員 組合の構成員でございますが、街区内における建築物を防災建築物に建てかえようというための組合でございますので、建てる権利を持っていなければならないわけでございます。従いまして、土地所有者とか借地権者ということになるわけでございますが、その中ででき上がった建物を自分が買い取りたいというような借家人がおりました場合に、そういう者もあわせて組合員になれるように定款で定めることができる。こういうような意味でございます。
#65
○兒玉委員 この資格の点についてでありますか、組合の地区内における土地の所有権または借地権を有する者ということに限定されておりますけれども、五十五条のこの事業遂行の場合の申し出をする者の資格の中においては、所有権または借地権を有する者並びにこの借家権を有する者も、この事業遂行についてはその資格の中に入っておるわけです。それが組合員の構成には入らないというのは、どういうふうな関係なのか。
#66
○稗田政府委員 、五十五条の地方公共団体が強制的に施行する場合でございまして、その地区における関係者の意向は大部分が賛成であるということを確めてやろうということでございますので、その場合は関係者としまして借家人等も入っておるわけでございます。造成組合の方になりますと、その組合がそこの事業を行なうわけでございますので、結局建物を作るということと、でき上がった建物をだれが所有するかというようなことで、組合員の構成がきまってくるわけでございます。そういうような違いでございます。
#67
○兒玉委員 次に、五十六条によりますと、都道府県または市町村が補助するものは、先ほども説明がありましたが、個人でなくて、組合を対象とするということになっておるわけですが、特に住宅に関する分か多いので、住宅金融公庫等の融資を受ける場合等もあり得るわけですが、こういうものは個人が対象になっているわけでございます。この辺の補助金の関係と住宅金融公庫の貸付との調整、この点はどういうふうに考えておられますか。
#68
○稗田政府委員 住宅金融公庫の貸付でございますが、これは組合にも貸付できるようにいたすわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、組合が建築工事全部まで組合自体の計算において実施するという道は開いてあるわけでございますけれども、なかなかまだ、今日の状態ではなじんでいないようでございます。それで、共同設計をいたしまして、各部分々々所有者になる建築主の方が、個々に住宅金融公庫から借り受けるという制度の方をむしろとるのじゃないか、かように考えております。しかし、組合に直接貸し付ける道も開いておるわけでございます。
#69
○兒玉委員 次に、都道府県や国が一部の補助を行なうというわけですが、一部というのは、たとえば率ですね、そういう内容は大体どういうふうな構想であるのか。
#70
○稗田政府委員 これは先ほど申し上げました調査設計費、古い建物を除却する費用、それから共同付帯施設の費用、これにつきまして三分の一を国が補助しよう、地方公共団体がさらに三分の一足しまして、今申し上げたような対象の費用に対する三分の二を組合あるいは組合を構成する組合員に補助しよう、こういう考え方でございます。
#71
○兒玉委員 大体補助の内容はわかったわけですが、この法律が制定されたならば直ちに事業の遂行に入るわけでしょうけれども、三十六年度においては予算はどの程度組んでおるのか。また、これの実行についてはどういうふうな計画と見通しを持っておるのか。この二点についてお伺いしまして、質問を終わまりす。
#72
○稗田政府委員 三十六年度の予算におきまして、補助金といたしましては三億五千万円計上してあるわけでございます。
 これによりましてできます大体の規模でございますが、建築物の面積で申しますと十五万平方メートルございます。それから、街区全体の地区面積で申しますと二十五万平方メートルくらいに相なるかと逆算いたしておるわけであります。
#73
○加藤委員長 中島巖君。
#74
○中島(巖)委員 市街地改造法案と防災建築街区造成法案の二つが上程されて、今まで審議をしてきたわけであります。国会全体のいろいろな関係で審議期間が非常に少なかったのでありますけれども、国会もあとわずかになっておりまして、本日この二つの法案を上げることをお約束いたしてありますので、非常に残念でありますけれども、そうせねばならないわけであります。そこで、ただこの法案の審議の過程において感じたことを一言申し上げまして、私の質問を終わりたいと思うのであります。
 この市街地改造法案と防災建築街区造成法案は、これは非常なうらはらの法案でありまして、この市街地改造法案が今日提案されたことは、むしろおそかった感があると思うのです。と申しますのは、私が申し上げるまでもありませんが、東京にいたしましても大阪にいたしましても、動脈硬化の状態になりつつあるのでありまして、公共用地の取得と関連いたしまして当然市街地も改造して、そして動脈硬化になりつつある都市の若返りをしなければならぬ、こういう時期が当然来ておるわけであります。そこで、この法案が提出されたわけでありますけれども、この法案の大きな方針そのものに対しましてはもちろん私どもは大賛成でありまして、これを強力に行なわねばならない、こういうように考えるわけでありますが、この法案の内容そのものは非常に不備な点が多々あるわけであります。たとえば、先ほど岡本委員から質問のありましたところの問題であります。本年度計上されておるのは東京都の三軒茶屋と大阪駅前でありますけれども、これらの地区におきましては、この建物の価額とか地代とかというものでなくて、営業権利権、これが非常に大きなウェートを占めるものでありまして、この営業権利権に対するところの査定の大ざっぱな方針というものが何もない。たとえば過去の売上金に対してどうするとかいうような、一定のある程度の基準なんかも、こしらえておいてしかるべきだと思うのであります。
 それから、第二点といたしまして、大阪は、聞くところによると十二階建てのビルを建てるような構想でありますけれども、これは岡本委員の指摘した通り、十二階建てのビルを建てるには一年なり一年半なりかかる。しかも、その地区は裏も表もないような地区である。その間営業を停止しなければならぬ。これに対してどういう具体策があるかというと、さっきから聞いていると、何もないわけです。この一年なり二年なり営業を休むということは、先ほど岡本委員から言われた、雇い者のめんどうを見るということ以外に、長く蓄積したところの営業権利というものに大きな傷が入るわけであります。たとえば、それに対しては住宅公団と提携して、もよりの地域に移すというような、何らかの具体的な措置がなければならないと思うのであります。従って、これは一、二の例をあげたにすぎませんけれども、この法案の内容の面において幾多の欠陥があることを指摘せざるを得ないのでありますけれども、これは欠陥があるにいたしましても、どうしても遂行しなければならぬ、こう私は思うわけであります。
 そこで、当局に希望することと、もう一つ、お願い申し上げることは、このような大法案を出すについては、先ほど計画局長から、道路なんかの公共の用に供する面積に対しては国が負担するけれども、その他においては国の負担する余地はない。法的に考えてその通りでしょう。しかし、これは防災建築街区に当然該当すると思いますから、この防災建築街区の面において政府では相当の腹をきめて、助成の、いわゆる資金の裏づけをすべきものだと思う。本年度はわずか二億五千万円しか計上していない。この二億五千万円くらいの金でこの大事業ができるものじゃないと思う。従って、こういうような理想的な法案は出したけれども、この予算の裏づけその他から見れば、政府は本腰を入れてかかっておるのだか、おらないのだか、わからないじゃないか、こういうふうに私は考えるわけであります。これは、今回の三軒茶屋と大阪駅前の二つの仕事が、スムーズに工合よくいくかいかぬかによって、将来非常な大きな問題となるわけでありますから、この運用の面において特段の注意を払って、これをスムーズに完成していただきたい。おそらくこの事業は、将来大公団を設立して推し進めねばならぬような状態に追い込まれるところの事業であり、また、東京や大阪のように動脈硬化になった都市を若返りさせるところの事業でもある、こういうふうに考えるわけであります。
 いろいろ質問したい点も多々ありますけれども、自民党の諸君と約束した時間も切れておりますので、以上、注文を申し上げて、私の要望事項を終わることにいたします。
#75
○加藤委員長 お諮りいたします。
 公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案及び防災建築街区造成法案の両案につきまして、質疑を終局するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#76
○加藤委員長 御異議ないものと認め、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#77
○加藤委員長 これより両案の討論に入るのでありますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたします。
 公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案及び防災建築街区造成法案の両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#78
○加藤委員長 起立総員。よって、両案はいずれも原案の通り可決するに決しました。
    ―――――――――――――
#79
○加藤委員長 この際、岡本隆一君より、ただいま可決されました両法律案のうち公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案について附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、趣旨弁明を許します。岡本隆一君。
#80
○岡本(隆)委員 私は自民党、社会党、民主社会党の三党を代表いたしまして、ただいま議決されました市街改造法案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
  公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案に対する附帯決議(案)
  本法の施行に当り政府及び事業施行者は事業施行区域内の居住者の権利と福祉を損傷しないよう万全の措置を講ずると共に、特に左の点に留意し、所期の目的達成に遺憾なきを期すべきである。
 1 本法の対象地区は概ね商業地域なる点にかんがみ、事業施行区域内で営業している者に対する権利の保護と営業の補償に万全を期し、地域の特殊性について充全の配慮をなし、特に狭小なる面積でもって営業している者に対する権利の救済に特段の措置を講ずること。
 2 審査委員の選任にあたっては、施行者は、事業施行区域内の関係権利者の意志を尊重し、公正を期すること。
 3 将来積極的な財政措置を講じて、早急に市街地の再開発を行なうよう、最大の努力を払うこと。
 右決議する。
 次に、提案の趣旨を申し上げます。
 最近における都市の交通事情及び宅地事情は、市街地の再開発を要求すること著しいものがあります。本法律案は、このような情勢に即応せんがために立案されたものでありますが、その財政措置を見ますのに、本年度予算額はわずかに八億四千六百万円でありまして、このような事業量をもってしては、本法律案立法の目的を達することは百年河清を待つにひとしいといわなければなりません。よって、政府は、将来国の財政措置を講じて、都市としての機能が麻痺せんとしつつある今日の日本の都市を再開発し、若返らせて、産業の振興と住民の福祉の向上に努力すべきであると思うのであります。
 さらに、本法律案の施行にあたっては、その運用を誤るときは、従来の居住者の生活に著しい変動を与え、あるいははなはだしい不利を招くおそれがあるといわなければなりません。従って、政府及び事業施行者は、事業の施行にあたっては、従来の居住者の権利と福祉を損傷することのないよう万全の措置を講ずべきであると思うのであります。
 以上が本附帯決議案を提案する理由でございます。委員諸君全員の御賛成をお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#81
○加藤委員長 採決いたします。
 岡本君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#82
○加藤委員長 起立総員。よって、公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律案は、岡本君提出の動議の通り附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
#83
○加藤委員長 なお、両案議決に伴う報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○加藤委員長 御異議ないものと認め、そのように決します。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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