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1960/03/22 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第10号
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1960/03/22 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第10号

#1
第038回国会 外務委員会 第10号
昭和三十六年三月二十二日(水曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 堀内 一雄君
   理事 竹内 俊吉君 理事 野田 武夫君
   理事 福田 篤泰君 理事 森下 國雄君
   理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君
   理事 松本 七郎君
      小泉 純也君    椎熊 三郎君
      正示啓次郎君    橋本 龍伍君
      松本 俊一君    勝間田清一君
      黒田 寿男君    帆足  計君
      穗積 七郎君    細迫 兼光君
      森島 守人君    川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        総理府総務長官 藤枝 泉介君
        総理府事務官
        (特別地域連絡
        局長)     大竹 民陟君
        外務政務次官  津島 文治君
        外務事務官
        (アジア局長) 伊關佑二郎君
        外務事務官
        (条約局長)  中川  融君
        外務事務官
       (国際連合局長) 鶴岡 千仭君
        大蔵事務官
        (理財局長)  西原 直廉君
 委員外の出席者
        農 林 技 官
        (水産庁次長) 高橋 泰彦君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
三月十六日
 委員中山マサ君辞任につき、その補欠として福
 田繁芳君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
 委員福田繁芳君が退職された。
同月二十二日
 委員愛知揆一君辞任につき、その補欠として橋
 本龍伍君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員橋本龍伍君辞任につき、その補欠として愛
 知揆一君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
#2
○堀内委員長 会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。川上貫一君。
#3
○川上委員 日韓会談について三回目の質問をしたいと思うのです。私が三べんも日韓会談の問題について質問いたしますのは、どうもこの会談が一貫して日本政府の対米従属外交の見本だと思われますので、特に続けて質問させてもらいたいと思う。あとで社会党の方も質問の通告がありますし、時間もたっぷりはありませんから、お答えの方はできるだけ簡略にしていただきたい。
 そこで質問でありますが、外務大臣その他はたびたびの御答弁で、アメリカは朝鮮にあった旧日本財産を没収して韓国に引き渡した、こういう御答弁なんです。私は引き渡していない部分が非常にたくさんあるのではないかということを繰り返して質問しておるのです。ところが政府のこれまでの答弁では、この問題はやはり私にはっきりしない。そこで、きょうはもう一度聞きますが、一九四八年の三月二十三日のアメリカ軍政庁法令第一七四号で作った新韓公社は、旧東拓その他の土地の処分によって一九四五年の九月から一九四八年の三月までの間に、その当時の金で二十七億千四百六十五万円の収入をあげておると思う。またアメリカの軍政庁は、一九四七年七月十五日付の敵産払い下げに関する法令というものによって旧日本人の住宅八千戸余り、船舶二千隻、中小企業およそ五千というものを明らかに売り払うております。これらの収得をアメリカは韓国政府に引き渡しておるのかどうか、ここで押し問答して長い時間をとるのはよくないと思いますから、引き渡していないとお考えになるのなら引き渡していない、それだけでけっこうです。引き渡しておる、こう言われるのであれば、今私が列挙いたしました財産についてアメリカは何月何日にいかなる手続によって韓国に引き渡したか、その日付と種目及び金額の明細を答えていただきたい、これを外務大臣に伺います。外務大臣に聞くと、よくアジア局長がお答えになりますが、これはアジア局長がよく知っているから答えるのでしょうが、謙虚に答えていただきたい。そういうことを言うのならこう答えるというような横柄な答弁をしてもらいたくない。お互いに謙虚に、自分自身の人格に恥ずかしくないような応答をしようじゃありませんか。これをお願いしておきます。
#4
○小坂国務大臣 アジア局長からお答え申し上げます。
#5
○伊關政府委員 一九四八年九月十一日に米韓の間に財政並びに財産に関する取りきめというものが結ばれておりまして、その第五条によりましてこういうものを引き渡しております。その個々のケースにつきましてはわれわれもよくわかりません。その引き渡しました中のただいまおあげになりましたようなケースにつきまして、その金額が幾らであったとか、そういうことはわれわれとしてもよくわかりませんが、ともかく現に持っておりますものはそのまま、それから売却いたしましたものはその代金、これらを全部渡しております。そして渡しました中から米軍がまた韓国から買い取った建物も多少ございます。それからいわゆる接収住宅とか土地みたいな意味におきまして無償で使用しておりますものが現在どうなっておりますか、その点も調べておりますが、そういうものも多少ございます。しかし全部渡しております。
#6
○川上委員 その答弁だからはっきりしないというのです。私の方は数字をあげて質問しておるのです。何々の取りきめによって渡したというようなことをおっしゃるけれども、それではどうしても合点がいかない。しかし私は時間の関係がありますから、これは渡していないという資料は私の方にはあるけれども、これの押し問答をしません。さらにアメリカが日本旧財産を奪い去ったという、この具体的な問題については私は一応質問を打り切ります。というのは、幾ら尋ねても今のような答弁しかできないと思う。しかしアメリカ軍はヘーグの法規を越えたものだと外務大臣はおっしゃっておる。アメリカ軍の行為は明らかに国際法をじゅりんしておるのである。これはあとで条約で承認したからということがありましたけれども、国際法というものは戦勝国が一方的にきめたり、当事国が承諾をしたら違反も違反でなくなるものではありません。国際法というものはおのおの国がこれをほんとうに尊重してこそ権威があるのです。平和条約の何項でこれは承知したから済んだというような性質のものではないと思う。この点について私は質問をするのではありません。明らかに国際法をじゆりんして莫大な財産を奪い取っておるということは、これはおおい隠すことができない。日韓会談というものはこの不法な奪略行為をうやむやにして、帳消しにしてこれで済んだという最後の仕上げを試みておるものだとわれわれは考えるのです。この請求権問題はこういう暗い影が根底にありますから、請求権は放棄したと一応言っておるけれども、他方ではそれによって韓国の対日請求権が相殺されるか、または部分的に満たされるか、それをこの会談で取りきめるという、これは形式的には請求権の放棄でありますが、実質的には事実上請求権を認めておる格好になっておるのです。こういうことをしなければならぬ、ここに私は問題があると思う。そこで私はお聞きしたいが、日本は朝鮮に対して請求権などというものを持ち出すことが道理にかなっておるのだろうかどうだろうかという問題であります。私は初めから請求権を完金に放棄してこそ道義にかなう道であると考えておるのであります。今さら請求権放棄と引きかえに朝鮮の対日請求を相殺するというようなかまえの交渉は、そもそも道義に合わぬと思うのであります。これは理屈でなしに外務大臣のお考えを聞きたい。
#7
○小坂国務大臣 韓国にありましたわが国の財産がその後どういうふうに米軍に引き渡され、そして米軍からどういうふうに韓国側に引き渡されておるかということは、われわれ調査する資料が現在ないわけなんです。そこで会談の過程においてそういうことが漸次明らかになると期待しておるわけであります。そのために会談は有効であると考えておる。あなたの方は非常に正確な資料がおありのようですが、これはどういう経路でおとりになるか存じませんが、やはり公式なものではないと思うのです。それを明らかにするということは非常に必要だと私は思うのであります。
 それからヘーグの陸戦法規の四十六条を越えた措置ということを私たちが申し上げましたけれども、今次の戦争の結果いろいろそういう面はあるわけでありまして、これは韓国に対してのみならず平和条約十四条あるいはまた十六条などは、中立国にあるわが国の財産等についても国際赤十字に引き渡すということになっておるわけであります。また地域的に見ましても、旧満州における問題あるいは北方の領土に関する問題、いろいろな問題が新しい事態として、われわれの前に解決さるべき将来の問題として残っておるわけです。そういう問題は、私どもはでき得る限り合理的に片をつけて参りたい、こう考えて苦慮し、また努力をしている、こういうことを川上委員もどうぞ御承知を願いたいと存ずるわけであります。
 それからいわゆるアメリカ解釈を基礎にして、われわれ今後の財産請求権の問題を韓国との間に話し合おうとしておりますけれども、これはこのアメリカ解釈について、われわれはこの前の委員会で申し上げておるような解釈をしておりまするが、要するに日本の財産が韓国にあった、これに対する日本側の請求権というものは消滅している、こういう前提に立っておるわけなんです。しかしその消滅したという事実によって、韓国の財産請求権がどの程度消滅し、または満足されるかということをこれから交渉して参りたいと思っておる際でございまして、どうもただいまのような御意見を承りますと、まことにお返事のしようがないのでありますが、私はそういう考え方を基礎にして交渉いたしております。またしていきたいと考えておるのであります。先ほどからのお話で、一体どのくらいあったのだというようなお話もございまするが、これは調査してみないとわからぬのでございますが、調査するすべが現在ないわけであります。またそれじゃどのくらいあり、それをどのくらい相殺の対象としておるか、あるいはその思想がけしからぬというお話がございましたが、そういうことを含めて、これは今後の交渉の内容をなすものでございますから、この際御答弁申し上げることを差し控えたいと思います。
#8
○川上委員 形式的に、池田内閣の外務大臣としてごもっともな御答弁だと思うのでありますが、これはいろいろ言うと、いつまでもここの質疑を繰り返すことになる。一体なんぼあったかわからぬのじゃというようなことで、会談はほんとうは始められるものではないのです。その確信がなければいかぬ。いま一つは、請求権を放棄したとおっしゃるけれども、この放棄したということによって韓国の対日請求権がどれほど満たされたか、相殺されたかを取りきめるというのですから、実質的には放棄していないのです。そこで私の質問はこういうことを質問しておる。これは間違っておらぬかということです。日本は長い年月にわたって朝鮮人民に対して侵略、圧制、強奪、奴隷化、あらゆる無法と屈辱を与えておることは言うまでもない。日本は今日この責任に思いをいたして、朝鮮人民に対しては謝罪の立場に立ってこそ、私は日本人民に正しい道を差し示すことができると思う。また日朝両国人民の永遠の友好のいしずえを築くのは、この態度がなければできないと思う。これが外交の基本的な方向でなければならぬと思う。カイロ宣言にはこう言うておる。「三大国は、朝鮮の人民の奴隷状態に留意し、やがて朝鮮を自由独立のものにする決意を有する。」これが連合国の決意であり精神であります。ついでに私は言うが、この点ではイタリアの平和条約これはエチオピアに対してはっきりした条約になっております。三十四条にこう書いてあります。「イタリア国は、エチオピア国において獲得された一切の財産、一切の種類の権利、利益及び便益並びに一切の準国家財産を、エチオピア国のために正式に放棄する。」これがイタリアのエチオピアに対する条約であります。イタリアは全面講和でありましたから、連合国の精神がかくもりっぱに生かされておる、これが正しいと思う。ところがアメリカは連合国の精神を頭から踏みにじって、日本に単独講和を押しつけた。その上自分の国の軍隊の朝鮮における奪略を合理化するために、初めは日本には対韓請求権があるかのごとくふるまわしておる、これは岡崎外務大臣の発言なんです。ところが今度は覚書というような、われわれからいうとえたいの知れぬ書きつけを一方的に突さつけて、そして請求権はない、しかし実質的には請求権がある、こういうような格好で、こういう考慮で会談をさせておるし、日本もさせられておる。それゆえに三十八度線以北、すなわち朝鮮人民共和国に対してはあくまでも請求権は残るのだと言っておるのです。ここに問題があると思う。これは明らかに連合国の精神に沿いません。カイロ宣言の精神にも沿わない、まして日朝両国人民の友好の精神にも沿わぬと思う。アメリカの気には入るかもしれませんけれども、ポ宣言を受諾した日本の朝鮮に対する基本的態度からはずれておる、これを聞いておるのです。これについて外務大臣はただのがれるだけの答弁ではなくて、深刻に一つお考えを願って、私の言うことがまるで道理にはずれておるかどうかということについての所見を一つ聞きたいのです。
#9
○小坂国務大臣 何も材料がなくて交渉しているじゃないかというお話でありますが、これは材料のうちあるものもありますが、ないものもある。ないものについては、全然ないわけではないのでありまして、われわれの手元にないということであります。そういう材料というものを会談の過程においていろいろ先方からも出してもらい、あるいはアメリカの関係があればアメリカからも出してもらって、きちっとした材料をそろえていく、こういう考えに立っておるわけであります。
 それから日本の戦前戦中における行ないというものに対して、われわれは十分に反省すべきであると考えておるのであります。われわれは新しい考え方に立った日本を築き上げなければならぬ、こういう気持でやっておるわけでありまして、人間でありますから過去のことを忘れることはなかなか困難なことだと思いますが、私も韓国に参りまして申したのでありますが、それはそうだと思うけれども、しかし過去にばかりいつまでもこだわっておったのでは将来というものは開けないのだ、だからそういうものを乗り越えて、新しい世紀を開くということが日韓両国の一つの課題ではないだろうか、それをお互いに将来を明るく、お互いの国民が繁栄していくようにするために、この交渉を持ちたいと思っておるということを考えておるのであります。私のこの考え方については非常な了解を得られたのだと思います。そのゆえにこそその後直ちに予備会談が始まっておると思うのであります。しかしなかなか複雑な経過を経てきた両国の関係でございますから、これは一朝一夕には、そう簡単にはいかぬと思うのであります。しかしいかなくても一つ一つ善意と好意によって将来を展望しつつ将来の明るい、お互いの民族の繁栄というものを考えながら交渉をするところに、私は交渉の意味もある、かように思っておるのであります。
#10
○川上委員 私の聞いておるのは、現在いろいろな格好になって、複雑なことになっておりますけれども、根本が道理をはずれておるからだということを言うておるのです。朝鮮に対する請求権などは、実質的にも形式的にも持ち出すべきでない、これがこの終戦の結末をつける日本の態度でなければならぬ、連合国の態度でなければならぬ。それをごちゃごちゃにしたのはアメリカだということを言うておる。その言うことを聞いてしもうたということが日本の政府だということ、こういう暗いものがありますから、今外務大臣もおっしゃったようになかなか複雑だというが、複雑になるはずです。それだからやみくもな交渉をしなければならぬようになるのは、私は理の当然だと思う。ところが一方韓国は二月三日の民議院の韓日関係決議で、日本の占領によるわれわれの損害と苦痛の清算ということを要求しているのです。これは初めは血債という言葉を使った。これをやわらげて損害と苦痛の清算といっておる。これがない限りは何ものも承諾できないという意思を持っておる、こういうことになるのです。出発が間違うておるから……、私は、日本政府の今とっておるような態度ではこういうことになってきて、この会談はなかなかやすやすと妥結に達することは困難じゃないか、こう思うのですが、外務大臣はどういう確信がありますか。
#11
○小坂国務大臣 民議院の決議というものにつきまして私どももいろいろ考えたのでありますが、しかし、民議院の決議というものは、今お読み上げになりましたものばかりでなくて、またそれに対してのいろいろな考え方というものが全体に行き渡って述べられておるのであります。そこでその会談というものに対して、やはり双方がそういう気持も一方に持ちながら、これを今申し上げたような善意と将来に対しての繁栄ということをもってどう解決していくかということでこの会談を進める道に先方も希望を述べてこられましたので、現在続けておるわけでありまして、私は川上委員の言われるように、全然根本が間違っておるとか、そんなふうには考えません。のみならず、こういうことをやってこそ、われわれとしては近い国に対して善隣友好の道を進めることができる、これは困難はあってもどうしても乗り越えていかなければならぬ問題だと思っておるのであります。
#12
○川上委員 それは交渉を始めておられるのでありますから、どうしてもまとめなければならぬという決意はなければならぬはずです。この答弁も一応ごもっともだと思う。しかし、私はこの会談はそんなにやすやすといく見通しはないと思う。これは韓国の状態その他から推しはかられる。
 そこで聞きたいことは、よくいかなかったときには――前の委員会で松本委員の御質問に対して、もしそういうことが万々一あった場合には、国交正常化の問題も先に考えられぬことはないという意味の答弁をなさっておると思うのです。これをもう一度聞いておきたいと思うのですが、会談はぜひやりたい、しかし、どうしてもうまくいかぬという場合には、まず国交の正常化に手をつけるという考えがありますかありませんか。
#13
○小坂国務大臣 われわれは何とかこの会談を日韓双方のためになる方向で解決に導きたいと思って努力をしておるわけであります。先のことを申し上げることは不適当だと思います。この前どうしてもいかなかった場合どうとかいうことを言ったように仰せられましたが、さようなことは言った覚えはございません。
#14
○川上委員 私の質問にはどうも非常に警戒しておられると思う。松本委員の質問に対してはそういうことはあり得るという。松本さんがおられるのだから……(松本(七)委員「アジア局長がはっきり言ったじゃないか」と呼ぶ)きょうは言うておらぬ。これはちょっと工合が悪い。もう一ぺん聞きます。
#15
○伊關政府委員 私が松本委員の御質問にお答えいたしましたのは、ただいまの方針はあらゆる懸案の全面的解決ということを目標に進んでおりますが、ある段階に至りまして全面的解決でなくとも原則的な点について意見が一致するというふうな場合には、その段階において国交正常化ということもあり得るかもしらぬということは申し上げました。
#16
○川上委員 言い方はまことに功妙でありますけれども、これはそれがほんとうだと思う。昨年外務大臣が韓国を訪問される前に、マコノギー駐韓アメリカ大使から外務当局は申し入れを受けているはずであります。その申し入れは、一つは、日本は李政権崩壊後の韓国を自由陣営の盟友として国交の正常化を考えよ、これが一つであります。――ないと言えという合図をしておる。あるんです。第二は、韓国に対する経済援助を考えよ、この二つです。その直後に外務大臣は息をはずませて飛んでいっている。党内に問題を起こしながらも飛んでいっている。これは事実なんです。そこで、これはないと言えと言うておるんだから、ないと言うにきまっておる。だから、これを今聞きたくない。事実はあるんだから……。それは外務大臣としてはちょっと言えぬのでしょうから、ないというておきなさって、それでよろしいと思う。みんなもこれは知っておるんだから……。
 そこで、国交の正常化ということもあり得るのですが、この国交の正常化をした結果はどうなると考えておられるか。この国交正常化の道は、いろいろ理屈をおっしゃるけれども、韓国に対する経済援助をどうしてもやる道だ、これはアメリカもそう申し入れておるのです。そのほかにもありますけれども、経済援助をどうしてもやらなければならぬという、ここに押し詰まってきておるから、会談がどうもうまくいかぬという場合には、とにかく国交の正常化をやらなければいかぬ。国交の正常化をやらなければならぬということのうしろには、経済援助と、もう一つはっきりといえば軍事ブロック、この二つだけは国交を回復しなければできない。そのほかのことは現在みんなやっておるじゃないですか。事実上の大使まで交換をやっておる。交換というのは語弊があるが、韓国から来ておる。そこですから、国交正常化という問題にはどうしても経済援助という問題がうしろへくっつかなければ急ぐ理由はない。外務大臣は、答えにくいことは、そんなことはないというようなことを言わずに、これはお互いにアジアの平和と日本民族のためでありますから、心胆を吐露し合って委員会で討議するのが理の当然だと私は思うのです。そこですから、言いのがれだけでなしに、外務大臣の腹を言うてもらいたい。この点をお聞きします。
#17
○小坂国務大臣 まず最初に、在韓のアメリカ大使から何か要請のようなものがあったというようにきめておかかりでございましたが、私もあるいは自分で知らなくてあったのかと思いまして、念のためアジア局長に確かめてみたのでありますが、そういうことは全然ないことでございます。ないことをあたかもあったらしいようにこの席で言われますことははなはだ迷惑いたしますから、そのことはないということをはっきり申し上げておきたいと思います。
 それから、この会談ができたらどうなるかということですが、私は、共産党は御反対であるということを承知しております。ここで心胆を吐露し合ってとおっしゃいますが、初めから反対ときめておいて心胆を吐露して語り合おうと言われてもはなはだ困るのでありまして、話の次第によっては賛成である、こういうことでございましたら大へんけっこうなことでありまして、さようなお考えでお話し合いいただければはなはだ幸甚に存じます。しかし、これはなかなかむずかしい問題であることは間違いでございません。しかし韓国との間にいわば一衣帯水の地位にありながら、またそれならばこそ、いろいろと過去においての、卒直にいっていやないきさつというものがあったのでありますけれども、しかしそういう問題を越えて、やはり新しい日本の発展、そして善隣友好の気持というものが韓国との間にかわされるということは両国の将来のためになると思ってやっておるのであります。現在ほかのことはみなやっておるじゃないかというお話がございました。まさに代表部というものが公使というような肩書きで、一時は大使という名前をつけてやっておった時期がございます。これは、片一方向こうから来ている、またこちらからも向こうへ行ける、こういうことはあたりまえの形であるわけでございます。通商関係もいろいろございますから、そういうものを正規の形に直すというものであって、私はこの日韓会談というものが、川上さんの言われる通り、大へんなことだと思わないのであります。むしろ当然なすべきことを一歩一歩していく一段階である、かように思っておる次第でございます。
#18
○川上委員 日韓会談が君の方は反対だから卒直には言えない、こういうお話でありますが、やはり卒直に言わなければいかぬのじゃないかと思う。経済援助の問題についてはお答えがなかったのですけれども、これもやはり卒直な答弁を願いたい。韓国の経済は今どうなっているか、破綻の極に達しておるのである。これを御承知と思いますけれども、国庫財政はもうがたがたです。今年の一月だけでも八十四億園の赤字を出している。借入金もできないところへ落ち込んでいる。インフレは底なしです。具体的な例を一つあげても為替レートは、去年は六百五十園であった。ことしの二月には一千三百園にもはね上がっておる。これはどこまでいくかわからぬ状態だ。企業はどうか、企業は大半は麻痺しておる。生産は戦前の二〇%、これは事実です。失業者は半失業を加えて六百万、これから何ぼ出るかわからぬ。その上にひどいのは食糧、農家の半分は食物がもうない。私は時間をとりますから、具体的な資料を一々あげませんけれども、政治と経済、社会の不安、動揺は、もう一刻も猶予ができない状態が今の韓国の状態です。これは普通の新聞を読む人でもわかることです。ところが、アメリカは今までに経済援助三十億ドル以上、軍事援助十五億ドル以上を韓国につぎ込んでいる。これだけつぎ込んでこの状態です。ところが、最近アメリカはドル危機で韓国への援助を縮小せざるを得ない、これはもうその通りなんです。そこで、日本にこれを肩がわりさせようとしていることはどういう答弁をなさっても、もう世界周知の事実です。この厳然たる事実の前に国交回復をやってごらんなさい。経済援助しないでおけますか。ほかには急いで国交回復をする第一の要件はないと思う。そこで私は外務大臣にこの点をお聞きしますが、今日韓国の人民は、一つは民族的感情、また一つは平和に対する熱望、特に経済破綻からくる生活の困難と不安を、朝鮮人民自身の手で建て直したい。もうアメリカの援助も実は困る。ここまできておって、思想を越えて南北朝鮮の統一を望んでおる。この運動はほうはいとして高まっておることはもう御承知の通りであります。この状態のもとに国交正常化をやる、経済援助の道、ここがなければ急ぐことはない。これがすなわち、アメリカの路線に沿うて張勉の政府に一息つかせること、第二には、朝鮮における南と北との統一の要求と運動を妨げること。アジアにおける冷戦に油を注ぐことになる。そこで、私の言うことが少し長くなりますければも、「世界」の三月号をごらんなさい、どう書いてあるか、ある評論家がこういっておる。日韓交渉の成否は、日本がアメリカのお気に入りの役割をどれほどうまく果たし得るかどうかの試金石となっている。これは一評論とは思いません。こういう外交がアジアの平和への道だとお考えになるかどうか。私は反対のために反対しておるのじゃありません。こういう外交が日朝両国人民の友好親善の道にかなうとお考えになるか、こういうやり方が日本の人民に明るい将来を約束する態度だと思うかどうか、これは口先の問題ではない。委員会でやりとりをして、何とか言いのがれたらよいという問題じゃないと思う。日本の外交の基本的態度として、こういう現実の前に立ったこの日韓会談、そして国交正常化、さらに経済援助、この道を共産党だから反対しておるのじゃない。国民の多くはこれを心配しておる。外務大臣の所信を披瀝してもらいたいと思う。
#19
○小坂国務大臣 先ほど川上さんは、韓国に対する日本の従来のやり方というものに対して非常な痛烈な言葉をもって非難をせられた。われわれとしてもその点は相当反省せねばならぬ点だと思う。それなればこそ、われわれは戦後新たなる道をとるということを決意したわけであります。
 そこで、今川上さんは、また韓国の財政状態、経済状態が非常に悪いということをあげられた。それだからほうっておけばいいじゃないかと言わんばかりのお話でありましたが、私はそうは思わないのです。やはり近い韓国、この韓国民のためにわれわれとしてできることがあれば、その経済復興に協力するということが近い国として考える道であると思っておるのであります。しかしそれじゃどのくらいするかということになれば、これはわれわれの方の財政状態もあることでありますから、そこにある程度の限度というものがあろうと思うのでありますが、そういう気持を持って臨むということは必要だと思うのでありまして、川上さんのせっかくのお話でございますが、日本のことだけ考えておればいいんだという気持は、私は今後日本の外交の考え方としてとらぬところであると思うのであります。
#20
○川上委員 もう約束の時間がだんだんきたのでありますが、ほうっておけばいいじゃないかということを考えてはおりません。これははっきりしておきたい。こういう形の日韓会談ではなくて、なぜ日本の政府は朝鮮の統一のために援助をしないか。これが朝鮮の経済建て直しの基礎だ。これをほうっておいてはならぬ。厳然として、しかも隆々として発展しておる北の朝鮮、これも事実でしょう。南の朝鮮は経済破綻に陥っておる。ここのところにアメリカは三十億ドルもつぎ込んでもなおこの状態です。そこで韓国の民議院その他の意向を聞いてごらんなさい。韓国の援助というものはこの程度である、われわれは自分で建て直したい、韓国の援助は困るんだ、そのために南北の文化の交流、人の往来、ここから初めてすみやかに南北が統一して、朝鮮の人民自身の手で経済を再建すればわれわれはこの困難はないんだと、言うておる。そこへ日本の政府はなぜ目をつけないか。この事実を前にして韓国に援助すれば朝鮮が助かるじゃないかということを聞いておる。ほうっておけばいいんだということではない。ここのところを踏んまえぬと日本の外交は非常に誤る。第一に朝鮮には韓国と朝鮮民主主義人民共和国があって、一方は決して経済破綻、社会不安に陥っておりません。一方は今私が述べたような通りなんです。ここのところへ持っていって経済援助をやり、国交回復をやってごらんなさい、どうなる。これは明らかに南北の統一の妨げをする役割、冷戦激化の役割、アジアの平和を破って、緊張に油を注ぐ役割、この結果しかないと思うのです。この問題はほっておけばいいというようなことを言うておるというようにおとりになるところに、僕は考えの大間違いがあると思う。われわれはそんなつまらぬ考えは持っておりません。しかし問題は、日本がアジアで今日どういう役割を果たすかという問題なんです。これと国交回復と経済援助とが関連するから聞いておるのです。
 私は、約束の時間がもう参りましたから、きょうは質問をしません。しかし外務大臣に私は言うておきたい。ここで何とかうまく言いのがれたらよいというような問題じゃありません。今何とかなればいいという問題じゃない。アメリカの言うことを聞いておりさえすれば日本は助かる、こういう問題じゃないです。今後十年、十五年、二十年の将来の日本の問題なんです。アジアにおける日本の立場が問題なんです。日本の人民の幸福が問題なんです。願わくは日本の外交を担当しておられる外務大臣は、失礼ですけれども、ほんとうに胸に手を当てて思索してもらいたいと思う。民族ということまで考えが及ばぬとすれば、せめてあなたのかわいい子供さん、孫さんがあるでしょう、この幸福を考えてもらいたいと思う。これが日本の外交の当局者であると同時に、日本人一個人としての大きな責任であると思う。これについてはこうだというお答えを私は得ようと思いません。ただ願わくは、日本のこの重大なときに、外交を担当しておる外務大臣として誤らない態度を一身を捧げても貫くという決心をしなければならぬのではないか、このことを私は切望します。昔の言葉があります。人間棺をおおうてその名定まります。善悪をきめるのはこの委員会の応答じゃありません。歴史と時代が決定していくのです。その責任を外務大臣は負うておるのです。この責任にほんとうに省みてもらいたいと思う。委員会で適当な答弁、そんなことはないと言えと言うたらないと言う、こういう形はやめるべきだ、これを申し上げて、私のきょうの質問を打ち切ります。
#21
○堀内委員長 帆足君。
#22
○帆足委員 南朝鮮から日韓交渉の代表が参っておりますが、一部のニュースではその代表に池田首相または小坂外相が会ったということを伝えておりますが、さような事実がありますでしょうか。
#23
○小坂国務大臣 それは今こちらへ来ている命鎮午氏のことですか。
#24
○帆足委員 そうです。
#25
○小坂国務大臣 それは会いました。
#26
○帆足委員 池田総理も会いましたでしょうか。
#27
○小坂国務大臣 会いました。
#28
○帆足委員 その際、南朝鮮からの財産請求権は非常に絶対的な要求であるという意思表示、それから北朝鮮との国交について日本は触れないでもらいたいということ、並びに軍事的に朝鮮と日本との関係をもっと緊密化したいというような話が出たように伝えられておりますが、そういう事実がありましたでしょうか。
#29
○小坂国務大臣 私が会いましたのは、昨年の十月こちらへ会談をしに来られるときで、あいさつに来られたときに一度会っただけで、別にそういう話は特に出ませんでした。
#30
○伊關政府委員 十二月の末に、命鎮午代表が向こうに帰られる前、総理のところに行かれまして、私は立ち会いましたが、これはただあいさつと、それから今会談をやっておるので、これが円満にいくように一つ総理の御尽力を願いますという抽象的な話でありました。中身は何もございません。
#31
○帆足委員 そのあいさつのほかに、池田総理とその韓国代表が別にゆっくり会ったということはないわけですか。
#32
○伊關政府委員 大体もしお会いになるとしますれば、私たち事務当局が知っておるわけでありますが、外務省としては全然聞いておりません。おそらくないと思います。
#33
○帆足委員 先ほど川上委員から、かりに南朝鮮の復興という問題を考えても、南朝鮮の国民のしあわせのためには、南北の統一ということが前提でなければそれは非常に不可能であろうという話がありまして、これはイデオロギーを離れた地理的、物理的な問題でありますから、朝鮮の事情を知る者の目から見ますと全くその通りであると思います。
 先日チェスター・ボールズ国務次官がアメリカのこれまでの極東政策を反省いたしまして、アメリカが従来反共でさえあればいかなる保守反動政権でも飛びついて助けたきらいがある、そして腐敗した政権に金をつぎ込んで腐敗を増長し、民心からアメリカの極東政策が離れたという事実をおおい隠すことはできない、従ってこの政策は改めねばならぬ、改めてどうすればいいかといえば、その民族の合理的復興、その民族の自立を助ける合理的基礎のもとにおいて、アメリカがこれに対して私心なき助けをせねばならぬ、こういう方向に切りかえなければならぬ。過去のやり方について深刻な反省を必要とすると、こう言っております。まさにこれは私は李承晩に対する過去のアメリカの政策に対する峻烈な反省を含んでいるものと思いますが、小坂外務大臣はどのようにおとりでございましょうか。
#34
○小坂国務大臣 やはりその国の政府というものはその国の民意を代表しなければならぬ、こう思いますので、これにはやはり清潔な正しい姿勢が必要だと思います。そういう姿勢をその政府がとっておるかどうかということを、国としてアメリカが十分に見きわめるべきであるという意見は正しいと思いますが、そのことがどの国に対してそういう意見を述べたのか、そういう点は私からここでそんたくすることはできないと思います。
#35
○帆足委員 そういうことは外務大臣としてやはりずけずけ言われた方がいいのじゃないでしょうか。アメリカの李承晩に対する政策は誤っていて、そしてその峻烈な自己批判がチェスター・ボールズのもとにおいて行なわれておるということをこれは表わしておる。よい方向に向かうことを希望する、これがまあ普通の常識だと思うのです。どうしてそのように遠慮なさるのか、ちょっと伺いたい礼節を重んずるといっても、度が過ぎると思うのです。英国でもダレスの時代になかなか峻烈な批判をしておりますし、カナダでもアイゼンハワーに対して相当の批判もしております。礼節にはずれない範囲の良識ある批判というものは、常に私は外務大臣の識見の一端を国民に理解してもらうためにも必要なことだと思いますが、一つ外務大臣のそれについてのもっと明快な御見識の一端を伺いたい。
#36
○小坂国務大臣 私はある批判をする場合、その効果があると思う場合は峻烈にいたすものであります。その峻烈に批判をする効果が何もないときに言ってみることは、これは場合によっては百害あって一利ない場合もございます。いたずらに人の恨みを買って日本国として何ら益するところのないときには、何も言う必要がないのでありますから、必要のあることは言いますし、必要のないことは言わない、こういう考え方の一端だとお考え下さい。
#37
○帆足委員 今さらハワイに亡命しておる李承晩殿の恨みを買うことを心配なさるよりも、外務大臣として、韓国に対するアメリカの前の政策に基本的にこういう間違いがあった、これは外務大臣としてもかねてから気づいておることであって、これは当然修正されねばならぬということを言われれば、日本国民からどれほど頼もしい外務大臣であると思われようものを、なぜ遠慮されるか、こうお尋ねしているのです。
#38
○小坂国務大臣 別に遠慮も何も要らぬと思うのでありますが、ただ外務大臣がものを、しかも公的な委員会でものを言う場合には、その事柄の重要性というものもまた考えなければならぬと思うのでありまして、一般的に先方がどういうことを言ったか、私も実は今お読み上げになったものをそのまま承知もしておりませんし、私はやはり自分として相手にしているのは向こうの大臣であります。向こうの次官が言ったから一々外務大臣が論評するというようなことも、これまた日本の外務大臣の権威にもかかわろうかと思います。こういう席は公けの席でございますので、そういう点も若干考慮しているわけでございます。
 なおものを批判する場合には、私はやはりその人本人に言うのが一番いいと思います。何か観測気球を上げるようなことで、ことに新聞等を通じて人を非難するというようなことは、私はなるたけ避けていくべきものだと思うのでありまして、悪いところがあればその人に会って、これはよくないということを言うのが一番正しいことじゃないかと思っておるのであります。
#39
○帆足委員 私は李承晩のところに今行って、八十のじいさんに忠告せよということを言っておるのではなくて、チエスター・ボールズ氏の極東政策に対する深刻な反省について外務大臣はどうお考えになっておるかと聞いておる。次官の言うことなどにあまり興味はない、おれは大臣だからラスク長官の言うこと以外に興味はないと言われるならば、これはちょっと礼節をはずれたお言葉であって、アメリカではケネディ氏はラスク長官を中心にしてラスク、チェスター・ボールズ、スチブンソン氏、この三位一体のよい女房役を持っておるということが、世間のアメリカの新しい外交に期待するゆえんだと思うのです。このチェスター・ボールズ氏の一週間前に出ました非常に重要な声明に対して、まだ十分読んでもいないということを伺いまして、大へん残念だと思うのですが、このアメリカの極東政策の反省の中に、とにかく国民から支持を得、合理的基盤があり、そしてそれ自身によって自立し得るような線をアメリカは援助すべきであるということは、私は非常に重大なる発言だと思うのです。またその方向については、だれしもその方向に進むことを期待すると思うのです。こういう観点から見ますと、一体朝鮮は南北統一なくして南朝鮮の自立というものが可能であると外務大臣はお考えですか。それを伺いたいと思います。もし南朝鮮の国民に対して正当なる良識ある友情を持たれるとするならば、幾つかのステップがあり、幾つかのバラエティはありましょうけれども、南北が政治的にも社会的にも、そして経済的にも統一の方向に向かうということに私は期待もし、好意を持つべきでないかと思いますが、いかがでしょう。
#40
○小坂国務大臣 国連の監視下において南北が統一選挙をやって一つになるという形が一番望ましい形であると思っておるのであります。しかしこれは実際問題としてなかなかむずかしい点は、選挙ということになるとだれでも一票でありますから、どうしても人口の比例からいいますと韓国は二千三百万人、北鮮は千百万人、こういうことなんです。従って北鮮側がそれではなかなか承知しない、こういうことであろうと思います。韓国はもう経済的にも非常に困っておるというお話が先ほどからございますが、そういうことから北鮮を相手にしろ、こういうことでありますと、私は非常に問題があると思うのであります。南北朝鮮統一は望ましいが、やはり国連の監視下における民主的な選挙の形によって一つになるということが望ましいと思っております。現在韓国と外交関係を結ぶことは非常にけんのんであるというお話が先ほどからあったのでありますが、現在韓国との間に国交関係を持っておる国は、これはアメリカだけではないのでありまして、三十カ国以上が外交関係を持っていると思います。その一環として日本もそれを考えるということは、きわめて自然な形であると思っておるのであります。
#41
○帆足委員 私が申し上げたのはそのことではありません。多くの国が形式上韓国と国交関係を持っておるのをとやかく言うのではなくて、日本の隣邦にある南朝鮮が経済の安定と繁栄に進みますためには、南朝鮮だけ離れていてはほとんど物理的に不可能な状態である。従って日本と韓国と貿易をいたしましても、貿易の幾ばくの見通しもない。韓国が南北統一されれば、そこに復興の見通しができますけれども、南朝鮮と日本とがかりに貿易をいたしまして、南朝鮮に自立の物的基礎がないためにはほとんど困難であろう、アメリカが応援しても困難であろう。いわばこれは神の合わせ給う者人これを離すべからずというのを離してしまったわけでありますから、かりに北九州と関西地方を離してしまったら工場の煙が消えてしまうように、現在は南朝鮮は冬の石炭すら困る、夜の電気すら困っている状況は大臣の御承知の通りだと思うのです。一体韓国とかりに日本が貿易をして韓国の自立を助ける――この前にも経済使節を送ろうとして失敗なさいましたけれども、韓国と日本と貿易をかりにするといたしましても、一体どれくらいの見込みがあるでしょう。現在韓国から日本が輸入している総額は幾らでしょうか、数字で一言おっしゃっていただきたいと思います。
#42
○伊關政府委員 私ここに数字を持ってきておりませんが、昨年の数字はたしかこちらから買いましたものが一千五百万ドルくらいではなかったかと思います。
#43
○帆足委員 輸出はどのくらいですか。
#44
○伊關政府委員 それに対しまして、輸出の方はICAが約四千万ドル、それから一般輸出が二千七百万ドルではなかったかと思いますが、ちょっと調べてみます。
#45
○小坂国務大臣 ただいま帆足さんのお言葉の中に、天然資源のない国はもう自立できぬというふうなきめつけたお考えがございましたけれども、私は必ずしもそうは言えぬと思っております。現に日本などはその点からいえば非常に乏しいわけでございますが、これは国民の勤勉と、これを運営する国全体の努力によりまして、今日かくも繁栄しておるのでありまして、そればかりが国の存立の要件ではないと思っております。
#46
○帆足委員 驚くべきことを伺いましたが、日本は天然資源の必ずしも乏しい国であるとは言えないと思うのです。(小坂国務大臣「乏しいですよ。」と呼ぶ)というのは、日本は石炭と電力を両方持っております。御承知のようにイタリアは石炭はありますけれども、電力はほとんど一キロもありません。英国は石炭がありますけれども、同時に水力がほとんどありません。日本は水力と火力をあわせ持っておる国です。このエネルギーは非常な強味なんです。従って南朝鮮はこの二つのものがともにないからと言ったのでありまして、日本は天然資源が何もないのに素手でもって、頭脳優秀で、敷島の大和の国で立つだろうとお考えになるのは間違っておると思うのです。これは経済学を一つ勉強し直していただきたい。また小坂さんの父上は電力の方のエキスパートですから、お家にお帰りになってから、おじい様から講義をよくお聞きになっていただきたい。また食糧と漁業の豊富なことにおいて日本は非常に恵まれているのです。恵まれ過ぎておって過剰人口になっているような一面もあるわけです。今の外務大臣の御認識は、南朝鮮と日本を比較なさることは、敷島の大和の国がちょっとかわいそうだと思うのです。御修正なさる方がよろしくはないかと思います。
#47
○小坂国務大臣 帆足さんも経済学を非常に御勉強になって、敬意を表しておりますが、少しお考えが古いように思います。――確かにそれは電力、水力があった方がいいにきまっておるのでありますが、そればかりでなくて、最近は日本でも水力だけではこれはやれぬのでありまして、非常に火力が伸びてきておることは、御承知の通りでございます。物事は相対的な問題でございまして、北鮮の方には水力があり、天然資源もございます。これはもう日本でも茂山の鉄とかあるいは無煙炭であるとか黒鉛であるとか、いろいろ戦前輸入しておった実績があることは、私も多少ながら知っておりますけれども、だからといって、そういうものがない国は、もうほっといていいんだ、こうも言えないのでございまして、これはやり方によってどうにでも――これは限度もあることでありますが、いろいろ改善の余地はある、こう思うのであります。非常に残念なことには、北鮮の方が全く共産主義の国でございまして、そして例の朝鮮事変によって韓国側もかなり、私行ってみましたときにも、率直に言って、北鮮に対する憎悪、そういう気持を持つ人が多いのであります。そういう点が、われわれとしても自由民主主義陣営の国としての日本の立場でものを考えまする場合、これは単純に何らの民主的なワクというものを置かずに、ただ力関係だけで一緒になれというふうにも言えぬように思っておるのであります。
#48
○帆足委員 私が申し上げたいことは、とにかく南朝鮮だけでは経済上の自立の基礎が非常に薄弱である。これはもうきわめて極端な例でございますから、御注意を促したまでのことでございます。
 それから、第二に統一の問題ですが、直ちに今統一選挙をするということは、もちろん今の段階では困難でしよう。しかし、今北朝鮮側からも提案されており、また南朝鮮の野党側もこれに対して考慮の余地があるといっている統一は、外務大臣の言われるような観念論の統一でなくて、たとえば信書の往復、経済の若干の交流について、まず話し合いを始めたい。南北の政権は政権としてそのまま置いて、それぞれの政体及び人民の意思を尊重しながら、信書の往復、文化、経済の交流を進めたい。これには野党側の方にも非常に賛成者が多いということは新聞で御承知の通りだと思うのです。そういう状況でありますから、私どもは日韓会談におきましても、話をする必要のある場合には、事務的、地域的なことになるべく限定して、そして全朝鮮の問題にわたるようなこと、または朝鮮の統一を阻害するようなことは、よほど気をつけた方が日本のためにも、両国のためにもよかろう、われわれの意見はそういう点で常識的で合理的でという点で、大臣から保守的と言われましたから、大へん光栄に存ずる次第でございますが、われわれはアナーキストではありませんから、さっきの大臣の御発言の中にあったようなアナーキーなことは考えておりません。
 第二にお伺いしたいことは、そこで問題が明らかになりましたので、韓国政府の自称外交部というものがありまして、これは終戦直後のことからこういう次第になって、大体領事館に準ずるような待遇を与えておるというふうに承っておりますが、もう少し正確に伺いたいのですが、外交部に対する正確な現在の待遇はどういう待遇であるかということ、それから時間の節約上一まとめにお尋ねいたしますが、外交部で帰国問題のときなども、例の赤十字爆破事件などがありまして、そしてその犯人の震源地が、外交部員が秘密の軍資金を出し、国内撹乱策をやり、そしてその傷害事件、爆弾事件などに介入しておる。そこであわてて外交部に逃げ戻って、警視庁当局と外務省は打ち合わせをして帰国せしめた、外交問題になると困るから、国に帰してしまった、こういうことをしばしば聞くのでございますが、こういう強制退去事件が過去において何回くらいあったのか、伺っておきたいと思います。
#49
○伊關政府委員 現在ここにおります韓国代表部に対します待遇は、正式外交官に準ずる待遇ということにいたしております。抽象的になるわけでありまして、準ずると言っております。これが具体的な場合にどうであるかというのはいろいろ国際慣習その他によると思います。
 それから、新潟センター爆破事件に関連いたしまして、たしか金永換と申したと思いますが、この韓国代表部の職員の一人を取り調べたことはございます。そして取り調べを終わりました上でこれが自発的に向こうに帰っております。こうしたケースは、私の知っております限りそれだけではないかと思っております。
#50
○帆足委員 この準ずる待遇ということをおきめになったのは、これはどういう手続でおきめになったのでございますか。
#51
○伊關政府委員 要するに、正式の国交はございませんが、事実上大使館と同じような中身の仕事をしているそういう点から正式の大使館に準ずる待遇を与えておるということであります。
#52
○帆足委員 どういう法律によってだれがそういうふうな待遇を保障したものですか。
#53
○中川政府委員 これは講和条約発効と同時に、同日付で外務省とそのときの在日韓国代表部との間に文書を交換いたしまして、そして従来マッカーサー司令部に対する代表でありました在日韓国代表部を、今後は日本政府に対する在日韓国代表部として扱う、なおそれは相互主義という条件がついておるのでありますが、扱うということの合意を見まして、その待遇は外交官に準ずる待遇をするということになっておるのてございます。
#54
○帆足委員 赤十字爆破事件に関連しまして起こりました事態につきまして、私も多少の事実を存じておりますので、もう少し突っ込んで政府の御注意をわずらわしたい点があるのですが、時間がありませんので、従来、特に柳大使の時代のことですけれども、いろいろ国内撹乱や非合法的な事件の震源地の糸を引いていた筋が多少外交部の中にあったでございますが、以後こういうことのないように一そうの御注意をお願いしたいこと。
 それから、相互主義というもとに外交部を許したということを伺いましたけれども、日本の外交部は京城に認められておりませんし、また新聞記者の往復や実業家の往復等に対しましても比較的日本側は寛大でありますのに対して、先方は従来ことごとくこれに対して差別待遇をしていたように思いますが、その相互主義ということに対して外務大臣はただいまどのようにお考えでしょうか。
#55
○小坂国務大臣 どうもその点は、私もはなはだ理にもとるように考えておりまして、実は昨年韓国へ行きましたときもその話をしたのでございますが、先方もその点はよくわかります、ですが、そういう点を含めて一つ日韓会談で国交回復するのでございますから、その際に解決したい、こういうふうに言っておりました。
#56
○帆足委員 従来伊關局長初め事務当局の非常な御努力にもかかわらず、日韓関係というものについては国民は釈然たらざる気持、深刻な気持を持っておりますことは大臣も御承知の通りだと思います。従いまして、今後はこういう筋の通らないことが続かないように一つ相互主義の観点に立ちまして、相互主義で貫くというふうに論理と道理を常に朝鮮に対しては貫いていただきたいというのが国民の気持だと思いますが、財産請求権の問題につきましても、私たちにはよくわかっていない問題があるのですが、この請求の意味が、戦争のあとの、たとえば中国、ベトナムでは戦争行為がありましたが、戦争のあとの賠償なのか、それとも長い間の植民地政策の結果、一般に朝鮮の民衆を収奪したからというのか、それともまた終戦直後のごたごたのときに公債または預金等が不払いになったからというのか、ただいまはどれを主としてさしておるのですか。正確な定義をお聞かせ願いたいと思います。
#57
○伊關政府委員 先方があげております八項目等につきましては、先週から審議をやっておりまして、この八項目につきまして、一つ一つどういう意味でそういう請求をするのかということを確めることになっておりますので、まだはっきりいたしませんけれども、一般的に申し上げまして、賠償的な意味、あるいは精神的な苦痛とか、そういうふうな意味のものではありませんで、やはり何らかの根拠のあるもの、それは債権であるとか、あるいは未払いのものであるとか、あるいはこちらにありました支店の財産だとかいうふうな形のあるものでありまして、一般的なもの、いわゆる賠償的なものというものではありませんで、やはりはっきりした事実に基づく請求権というものに大体において近いようでございます。
#58
○帆足委員 国際的な問題は、そういう実際的な問題または論理的な問題は、比較的普通妥当な問題でありますから、一歩誤れば、一つの国できまったことはそのまま同じような条件のある他の領域にも同じ論理が適用されるということになるわけですから、南朝鮮からの賠償を認めるということになれば、北朝鮮に対しても、同じ要求をし得る権利を潜在的に認めるということにもなるし、中国に対しても、たとえば満州のような特殊領域に対して同じことを認めるというような結果にもなりますから、これは私は非常に慎重な態度が必要であると思うのです。国民の常識から言えば、満州で、または朝鮮で拮据経営してきたその努力は、一人々々の国民においては善意を尽くしたのであろうとも、全体としては植民地政策の一環であったから、植民地政策が崩壊した今日、それを置いたままになってしまうこともやむを得ないであろう。しかし、それだけの財産がとにかく向こうへ置きっぱなしになって、そうして向こうに使われたから、その他の賠償はまあ免除してもらおうというのが、私は国民の一般の常識だと思うのです、気持だと思うのです。それに今度は新たな負担がまた加わるようなことを南朝鮮ときめるということになれば、国民は不安を感じますし、それは北朝鮮にも満州にもまた適用される同じ論理になるというおそれもありますから、世論はこれに対して良識ある措置を期待しておるものと思います。従いましてこの問題の取り扱いを、きわめて部分的利害のために軽率にきめることは非常に憂慮すべき影響を持つものと思いますので、御注意を願いたい。だとするならば、李ラインの問題も非常に困難であるし、また今の財産請求権の問題も非常に困難でありますから、私どもとしては、南朝鮮地域に対して事務的にかつ争いのない平和な状況があることはもちろん望ましいことでありますけれども、朝鮮全体にわたることに対しては、軽率な交渉はできるだけ控えてもらいたいというのが社会党の意見でありますことは、政府当局は重々御了承のことと思いますが、これはきょうは意見だけを述べておきます。
 時間がありませんから、最後に一言お尋ねしたいのですが、最近ニュース映画で、コンゴの状況を十五分ばかり見ました。その際、ルムンバ首相が虐殺される悲惨な姿をニュースで見ました。口の中に髪の毛を突っ込まれ、引きずり回され、撲殺される痛ましい姿を見ましたが、われわれがルムンバ虐殺のニュースで驚きましたちょうどそのときに、インドのあの温厚にして篤実なネール首相が、憤然として色をなして、この事件に対してだけはがまんができない、この虐殺事件の裏には、コンゴのさる反動的な政治勢力が糸を引いておることは明らかであると新聞記者に語った。その直後に、外務大臣に、この真相はどうであるかということをお尋ねしましたところが、まだ的確なニュースのないときに判断は差し控えたいということでありましたが、その後ルムンバ虐殺の真相について、正確な報道が外務省当局に入っておりますかどうか。入っておるとするならば、その真相の要点を聞かしていただきたい。
 第二に、かくのごときことが行なわれることに対して、外務大臣はいかなる御感想を持っておられるか。日本政府は、もし法を無視して一国の首相たりし者が虐殺されるというような事態に対しては、どのようなお考えを抱かれるか。この虐殺を行なった責任ある政府また政治家に対して、一体どういう感想を持たれておられるか、伺っておきたいと思います。
#59
○鶴岡政府委員 第一点についてまず申し上げたいと思います。この問題は、国連の安保理事総会の決議によりまして、国連の手を通じて調査することになっております。まだ公報には接しておりませんけれども、新聞によりますと、この調査の糸口ができたというふうに承知しております。従って真相につきましては、公式にはまだ何も聞いていないというのが実情でございます。その実情がわかった場合に、この責任者に対して処罰するということも国連の決議になっておりまして、その決議に私どもも気持の上では賛成しておるわけであります。
#60
○帆足委員 この重大な人道問題の調査は、世界の平和と論理のために重要なことでありますから急を要する問題でありますけれども、仄聞するところによりますと、コンゴにおける現在の不当なる政権が、この調査に対して妨害し、がえんじないような態度をとっておるように聞いておりますが、しからば国連調査団はどういう構成で、現在調査をどの程度までやろうとしており、また妨害を受けておるのかいのか、その辺のところを伺っておきたいと思います。
#61
○鶴岡政府委員 ただいま申し上げましたのですが、国連は、この調査を有効に、適正にやろうという考えでありますし、そしてコンゴにおける一部のこれに対する反対を排除して行なおうという決意を持っております。そこまでは知っておりますけれども、これから調査をするというのでありまして、今までのところその調査がどうであったかということについては、存じていないのであります。
#62
○帆足委員 調査団の団長はどこの国の代表ですか。そして団員は大体どういう構成ですか。また、すでに調査団はコンゴなりモロッコなり、近傍の一角に歩を進めておるのでしょうが、じゃまをしております者はどこの政府のどの外務大臣がじゃまをしておられるのか、承っておきたいといます。
#63
○鶴岡政府委員 そういうことは私、実は存じておりません。この調査を早くやれという声が諸方に起こっておることは、これは存じております。しかし、国連の中では、国連全体といたしまして適切な公正な調査を行なうというので、企てを進める、そういう気持で進んでおることも知っております。
 今のお尋ねの件につきましては、この決議が通りましたときに、この問題についてたとえばカタンガのツォンベ首相が反対したという事実も承知しておりますが、それ以上は存じないのであります。
#64
○帆足委員 今の御答弁ならば、私どもが新聞で読んだ程度のことであって、何も国連局長の御努力をわずらわすほどのこともないと思って、まことに遺憾でございますが、こういう重要な問題については、日本の外務委員も人道的精神が十分ある以上、当然質問として出てくる問題でありますから、十分御調査なさってしかるべきだと思います。私はその調査団の団長の名前と調査団の構成員、すなわち調査団ができたかどうかということと、どういう手続で今調査を進めようとされておられるか、それを伺いたいと思いますから、ぜひとも一つ国連の方に電報を送って、調べていただきたいと思います。
#65
○鶴岡政府委員 今申し上げましたが、国連の方ではその準備をしておりますけれども、具体的なことはまだできておらないので、ここで御報告はできない、承知しておらないということを申し上げたのでございます。もちろん、いろいろな企てという中に、新聞に出ておりますように、国際司法裁判所の所長に調査団のしかるべき者のリストを作ってもらって、そしてそのリストの中から、この調査に最も適するであろうという者を選んで、それに調査を委託するというような手続があるようでございますけれども、まだこれは正式になっておりませんのでございます。
#66
○帆足委員 私はルムンバ前首相虐殺のニュースを見まして、これは容易ならざることである。このニュースがすべてのアジア・アフリカ諸国の人たちにだんだん知られてきたならば、これは国連の威信のためにもほっておくことのできない重大問題であると思います。このニュースを見、また報道を聞くまでは私も大したことでないと実は思っていたのです。ところがこの事実をまのあたりに見まして、これは容易ならざることである。おそらく国連総会でもこれは非常な論議の的になるのではあるまいか。従いまして一つ政府当局としましても、常に正確な情報を迅速にお取り下さって、そして事実を確かめて、事実に即してアフリカに平和と、民族の何ものにも干渉されない妥当な自由がくるように、日本政府は力を添えるべきであると思いましたので、質問した次第でございます。
#67
○鶴岡政府委員 御注意ありがとうございましたが、私どももそのつもりで、この情勢に最も適確な具体的妥当性のある解決が必要である。しかもそれは正義に基づくものが必要であり、世界的に受け入れられるものが必要である。こういうような大臣の御趣旨のもとに動いておるのでございます。
#68
○堀内委員長 岡田春夫君。
#69
○岡田(春)委員 時間があまりありませんから、簡単にやりますが、藤枝さんに来ていただいておりますので、藤枝さんに先にお伺いしたいと思います。
 きょうお伺いしたいのは、この前予算委員会でもお伺いをした沖繩の問題の留保いたしました部分でありますが、予算委員会の質問の中で、藤枝さんにお伺いをしたのは、沖繩の立法院で決議された問題については、これはできるだけ日本の政府としても、その決議の趣旨が実現するように努めるという意味の御答弁があったと私は考えておりますが、その点はいかがですか。
#70
○藤枝政府委員 ただいまの御質問は日本本土復帰の決議と伺いますが、それでよろしゅうございますか。
#71
○岡田(春)委員 いや一般的な話としても……。
#72
○藤枝政府委員 沖繩の立法院が種々な決議をしておることは御承知の通りでございますが、それについて、日本政府の努力を必要とするような問題につきましては、全住民の代表者である立法院議員の決議でございますから、できるだけ日本政府としても努力をして参りたいと考えております。
#73
○岡田(春)委員 藤枝さんが沖繩に行かれましたときに、ちょうどミサイルの演習なんかも行なわれている、そういうときであったわけですが、そういうことにも関連して、今日沖繩で非常に問題になっておりますメースの持ち込みの問題、こういう問題についてもおそらく向こうで話が出ておったのではないか、このように私は感ずるのですが、こういう点で何かお聞きになったことがありますか。あるいはこれについて何かの御意見があればお伺いしたしと思います。
#74
○藤枝政府委員 私が沖繩へ参りましたときには、メースの問題は出ておりませんでした。ただ最近になりまして、本年の三月十三日に米民政府の渉外報道局からメースの問題について発表がありましたことは伺っております。
#75
○岡田(春)委員 この渉外報道局から発表のあったというのは、日本政府に対する通報ですか。
#76
○藤枝政府委員 そうではなくて、いわば、何と申しますか、渉外報道局の現地における発表でございます。
#77
○岡田(春)委員 この点について日本政府として何かアメリカ側に対して、その持ち込み問題について問に合わせるとか、こういうことはございましたですか。
#78
○伊關政府委員 別にございません。
#79
○岡田(春)委員 小坂さんどうしてそれをやらないのですか。発表があったんですが、なぜやらないのですか。
#80
○小坂国務大臣 アメリカ局の方から、こういう新聞の報道があるが、どういうことかということは問い合わせました。それに対して、メースというものはこういうものであるという話はありました。ただ事前協議の対象にはならないという先方の見解の表明があったわけです。
#81
○岡田(春)委員 いや、事前協議の問題ではないのです。
#82
○小坂国務大臣 いや、聞いたときに、そういう話があった。
#83
○岡田(春)委員 それについてアメリカ局として問い合わせした、今こういう御答弁があったわけですね。とすれば、これに対して政府としては持ち込みをすべきでない、あるいはすべきであるとか、こういう点については何らかの意見をつけてアメリカに申し込まれたのですか、どうなんですか。
#84
○小坂国務大臣 そういう条件はつけておりません。ただ、今申し上げたように、どういうことであるのかということを聞いたわけです。
#85
○岡田(春)委員 新聞の報道によると、明後二十四日にメース持ち込み反対決議を沖繩で立法院において満場一致で決議されることになっております。この決議の場合においては、当然藤枝さんは、一般的に立法院の決議の趣旨を実現できるように努力すると、先ほどお話になったのですが、そういう決議が行なわれた場合においては、当然藤枝さんの方としてはその決議の趣旨が実現されるように努力されるのだろうと思いますが、その点はどうですか。
#86
○藤枝政府委員 先ほども申しましたように、立法院の決議で日本政府の処置を必要とするような問題につきましては、十分その立法院の決議を尊重してやりたいということで、メース持ち込み反対の決議がどういう形で出るのかまだ存じませんので、その決議の内容等を見ました上で考慮したいと考えております。
#87
○岡田(春)委員 しかしそれはおかしいじゃないですか。沖繩にいる人は日本の国籍を持って、日本の国民でしょう。その国民の問題について、住民がすべて満場一致で決議をして要請した場合においては、当然日本に関係することであり、日本の政府としてこれを目をおおって知らぬ顔をしているわけにはいかないと思うのですが、これは藤枝さんいかがですか。
#88
○藤枝政府委員 ただいまも申し上げましたように、その内容その他を検討いたしまして十分考慮をいたしたいと考えております。
#89
○岡田(春)委員 それではそういうことはやるというおつもりはあるわけですね。
#90
○藤枝政府委員 決議がありましたならば、その決議を十分検討いたして善処をいたすということでございます。
#91
○岡田(春)委員 それでは昨年の五月にメース持ち込み反対の決議が行なわれておりますが、これはどういうように扱われましたか。
#92
○藤枝政府委員 昨年の五月の立法院において、メース持ち込みの反対の決議をされておることは事実でございます。ただこの場合におきましては当時アメリカ合衆国下院においてミサイル、メースの基地を設けるとの報道に基づいてやられたわけでございます。その際にはまだ十分日本政府としては、そうしたメース持ち込みということについても事情を存じておらなかったのであります。その後本年になりまして、御承知のようにもう一度この問題が再燃されまして、そして今お話のように立法院においていろいろ検討されておるということでございますから、その立法院における検討の結果を待って善処いたしたいと考えております。
#93
○岡田(春)委員 それでは昨年の五月の決議の問題は、政府としてはこれに対して何ら立法院の決議を生かすための努力はしなかった、こういうように解釈してもよろしいですか。
#94
○藤枝政府委員 昨年の立法院の決議については、その後日本政府としては処置をしていないと承知いたしております。
#95
○岡田(春)委員 メース持ち込みについては何らの措置をとらなかった。それはしかしどういうわけでとらなかったのですか。日本の国民である沖繩の立法院が満場一致できめている決議を、この問題に限ってはやらなかったという、日本政府は何か特別な理由があるのですか。今またそのときのものと同じものが出ているのですが、これは藤枝さんの所管の関係です。小坂さんの所管の関係じゃありません。これは藤枝さんどうなんですか。
#96
○藤枝政府委員 昨年五月の立法院の議決、そういう報道についてやったわけでございますが、その点につきましては、その際においては処置をいたさなかったわけでございます。特にこれを外交交渉に持ち込むということもいかがかと考えたのございますが、今後、本年の三月十三日の報道局の発表によりまして、はっきりミサイル基地、メース基地を建設するということが明らかになりまして、それに基づいて立法院が何らかの処置をしようといたしておるのでありますから、それを待った上で、適当に善処をしたいと考えております。
#97
○岡田(春)委員 去年の五月ですから、もうかれこれ一年たつわけです。しかも今度は三月に正式にアメリカが発表したわけですね。そうすると日本政府としては立法院の決議を待つまでもなく、ミサイルの持ち込みについては日本国民である沖繩の人のそういう希望もあるだけに、この持ち込みは賛成なのか反対なのか、日本の政府の態度をまず伺いたい。――小坂さんは沖繩いいんですか。もし何なら小坂さんに伺いますよ。沖繩は藤枝さんの所管じゃないですか。
#98
○小坂国務大臣 その通りです。日本政府の態度をお尋ねになるから、政府ということで私から便宜お答えをいたします。
 結局沖繩における施政権というものはアメリカにあるわけでございます。アメリカが沖繩に兵器の配備について日本に協議する義務はないということは法律的にはあるわけです。そこでわれわれの方としては藤枝さんにいろいろ御苦労をいただいておるわけでありますが、現在の東西冷戦の現状というものが、こういうものを必要とするというアメリカの見解によって基地としての沖繩の性格上そういう配備がなされるわけでございます。これに対して法律的にはわれわれは事前に協議を受ける立場にないわけであります。そこでわれわれとしてはやはりアメリカ側だけにそういうことを言うということでなくて、東西冷戦の緩和ということに対して日本政府としてはできるだけの措置を講ずる。こういうことより方法はないわけなんです。
#99
○岡田(春)委員 そんなごまかし言っちゃいけないですよ。入れるのはアメリカが入れるのでしょう。中国のを持ってくるわけじゃないですから、持ってくるものはアメリカのものを持ってくるのです。これに対しては日本の政府の態度をはっきりできないとおっしゃるのですか。日本の政府は持ち込みには賛成なんですか反対なんですかということを聞いているんですよ。それについて一体どうなのだということをさっきから聞いているんです。あなたは持ち込みに賛成なら賛成とおっしゃったらいいじゃないですか。あなたは賛成と言うかもしれない。私は持ち込むなと言います。しかし持ち込むなと言ったって、あなたの方が賛成して入れるかもしれない。あなたは賛成か反対か、はっきり言ったらいいじゃないですか。どうなんです。
#100
○小坂国務大臣 今申し上げたように東西のこの冷戦、力による平和の維持の関係からして、そういう装備を沖繩に持ち込むことにアメリカは必要性を認めておるわけでございます。われわれとしては、その必要性を認めるアメリカに対してこれるするなということを言う立場にない、こういうことであります。もっと根本的に言えば、そういうことを必要としないような情勢を作ってもらうように、これは東西双方の陣営に対して努力をするという以外にないと思います。
#101
○岡田(春)委員 法的な点はわかっていますよ。しかしそれではなくて、日本の国民の一部である沖繩の住民が入れないでもらいたいと希望しているときに日本の政府はそれについて、今の話を聞いていると、入れるのは当然であろう、これは仕方がないであろうということで、間接的には入れることに賛成をする、そういう態度であると、私たちはそういうように考えてもよろしいんですね、それでは。
#102
○小坂国務大臣 そういうことをよく聞いてみないと、これはアメリカ側の方としてもそれだけの理由があるからそういうことをするのだろうと思うわけなのです。そこで今の力関係によって平和が維持されている、これは日本のためでもあるわけです。それに、ことさらに日本に対して不利なことになるようにしてくれということは私どもとしては言えないと思います。
#103
○岡田(春)委員 去年の五月に持ち込み反対の決議をしているんですね、その決議をしているにもかかわらず、先ほど外務大臣は、アメリカ局長がアメリカに問い合わせたときには、持ち込まないでもらいたいというその日本国民の要望を無視して、その点については何らの申し入れをしなかったわけですね。さっきそういうようにお話しになりましたね。日本の政府としては持ち込みには反対であるという日本国民の意思さえ無視している。申し込んでないのだから無視しているでしょう。そういうように解釈せざるを得ないじゃありませんか。どうなんです。
#104
○小坂国務大臣 ですから私は今、この法律関係からしてわれわれはそういうことを今言う立場でないということを申し上げている。賛成とも不賛成とも私は申し上げておりません。
#105
○岡田(春)委員 それでは賛成ですか、反対ですか。
#106
○小坂国務大臣 今それをいうことはできません。もう少し実情をよく見てみないと何とも言えないのです。
#107
○岡田(春)委員 言うことはできないとおっしゃると、いつになったらできるのですか。立法院が決議をしたら言うことができるのですか。
#108
○小坂国務大臣 そういう条件付でなくて、もう少し事態をよく政府としては検討してみないと何とも申し上げられません。
#109
○岡田(春)委員 それはおかしいじゃありませんか。さっき藤枝さんは持ち込むべきではないというように自分たちは考えていると言っているじゃないですか。これは明らかに内閣不統一でしょう。それでは藤枝さんも持ち込んでもいいのですか。持ち込んでもいいというなら、いいとおっしゃいよ。
#110
○藤枝政府委員 先ほど私がお答えしたのは、立法院の議決があったのは。島民の代表者である。立法院議員の意思ですから、それは十分尊重はしたい、そういうことを言ったので、一般的に申たしだけで、このメースの持ち込みについて反対とか賛成とかを申し上げたわけではございません。
#111
○岡田(春)委員 しかしあの決議があっても善処しない場合もあるんですね。持ち込みという重大な事態ですよ、これに対して善処しない場合もあるんですか。
#112
○藤枝政府委員 善処するということは、日本政府としての態度をどうするかということを検討をするということでございまして、その結果、そういうものを外交上の問題に持ち上げていただくことが適当と認めれば外交交渉に移していただくし、またそれが適当でないとなれば、必ずしも外交交渉の上に乗せていただかないということもあり得ると思うのです。
#113
○岡田(春)委員 あなたの方は政府としてどうしても態度を表明できない、メース持ち込みに対して賛成も反対も言えない、今日はこういう態度であるというようにお話しになっているのですが、これは私は承服できません。しかしこれはあとでもう少し聞きます。
 その前に、先ほど小坂さんは法律的にないから云々と言っていますね。それは事前協議条項としてはないのですよ。法律的にないとおっしゃれるんですか。ないならないとおっしゃたらどうなんです。
#114
○小坂国務大臣 要するに、その立法、行政、司法の三権はアメリカにあるわけです。ですから、それに対してわれわれがアメリカの意思を拘束する法律的根拠は今のところないわけです。それを申し上げたんです。
#115
○岡田(春)委員 そんなことはABCの問題で、そんなのはもう――それだから外交交渉が必要なんでしょう、そうじゃないですか。だから外国で、たとえばアメリカでなくても、イギリスなりヨーロッパの国々に対して、こういう日本にとって不利なことをやっている、それは向こうの法律できめておるから、われわれは言う資格がないから黙っています、外交交渉もやりません、そう言うんですか、何でも……。そういう態度があなたの態度であると解釈してもいいんですか。
#116
○小坂国務大臣 法律的にどうかとお聞きになるから、法律的にこうなるとお答えしたのです。外交交渉をしないとは私は言った覚えはありません。そこでさっき藤枝さんが言っておられるように、問題を外交的に持ち上げる必要があるとすれば、私のところに来るという話があったわけで、明瞭じゃありませんか。今先走ってどうこうとお答えする時期でないということを申し上げておるのです。
#117
○岡田(春)委員 時期でないとおっしゃるのは、いつが時期だというようにお考えになるんですか。調査するなんて言ったって、持ち込んでから調査するんですか。去年の五月からもう一年たっているんですよ、その一年間調査もしないでほっておいたでしょう。アメリカ局から申し入れるときに申し入れしなかったでしょう。これがあなたのアメリカ従属根性なんですよ。アメリカの言うなりになるということはこれなんですよ。アメリカには何があっても、先ほど帆足君が言ったように、アメリカのことについては一言も言えないというのが小坂さんの態度なんですよ。これではっきりしているじゃありませんか。
#118
○小坂国務大臣 アメリカが沖繩の防衛について必要な措置をとりつつ、かつ島民の福祉のために全力を尽くす意向を持っている、こういうことを申し上げた。そこでそれが島民の福祉になるかならないかということなんですね。その意思決定というものは、藤枝さんが言われるように、まだ明瞭になっておらぬ、こういう段階です。そこで、これはまた一方からいえば、アメリカ、アメリカとおっしゃるけれども、日本のためでもあるのですよ。日本の安全確保のために、われわれは安保条約というものを結んでおるわけです。そこで、そういう東西の冷戦の現状というものをどう見るかというアメリカの見方もございましょう、またわれわれの見方もございましょう。そこでそれこれどう判断するかということを考えなければならぬと申し上げておる。それはいつ判断するかとおっしゃいますが、それはまだその時期じゃない、こう申し上げるよりほかありません。
#119
○岡田(春)委員 そういういいかげんなごまかしを言っちゃいけないです。去年の五月、たとえばアメリカの下院において決議があった。それについてどういうような前提があろうと、沖繩の立法院においてはメースの持ち込みはあくまでも反対だというこの決議だけはしているのですよ。これは明らかに沖繩島民の意思の決定じゃありませんか。どういう前提に立とうと、そういう決定をしているのに対して、これは何ら日本政府は扱わなかった、その後においてもこれは調査中であるという形でごまかしている、こういう点は明らかになっているじゃありませんか。いつまで調査したらそれはできるのですか。しかも三月の十何日には、明らかにアメリカの当局の方で発表していると言っているのに、何を一体調査するのですか、調査することないじゃありませんか。二十四日には、沖繩の立法院で満場一致で持ち込み反対の決対をするといっているじゃありませんか。何を一体調査されるのですか、調査することないじゃありませんか。日本の政府の賛成か反対かという態度は、そういうことを調査しなければできないのですか。
#120
○小坂国務大臣 沖繩だけの問題を申し上げておるのじゃないのです。私は東西両陣営の力関係の問題からそういう必要が起きてきているということを申し上げている。たとえば、共同声明で日本に返すことになっておった歯舞、色丹はどうか。これは、近海操業をやらせない理由の一つには、あそこに基地ができたということもいわれておる。そういうものがあるから沖繩の方に対してもそういう防衛の必要が出てくるのじゃなかろうかとも思える。そういうことをやはり相関的に考えてみないと、われわれやはり日本というものが一番大切なものであるわけなんでございますから、日本の安全を確保するために必要だと思われてやられた措置に対しては、われわれよくその実情というものを見きわめなければ何とも言えぬと思います。
#121
○岡田(春)委員 今の答弁の御趣旨を聞いていると、持ち込みに賛成であるというようににわれわれ聞こえるのですが、そうですね。
#122
○小坂国務大臣 賛成とも反対とも申し上げておりません。
#123
○岡田(春)委員 あなた法律的に云々と言うけれども、法律的にはっきり関係あるじゃないですか。事前協議には関係ないですよ。新しい安保条約の合意議事録にあるじゃないですか。あなたどうなんです。合意議事録からいって、日本の政府は沖繩の問題について聞かなければならぬじゃないですか。これを聞いているんですか、どうなんです。あなたは法律々々とおっしゃるから法律でお答えなさいよ。合意議事録なかったらここに持っております。よくごらんなさいよ。何と言っている。
#124
○小坂国務大臣 この合意議事録の考え方というものは日本政府は沖繩の島民の安全に重大な関心を持っておるということを強調しているわけです。それに対してアメリカ政府は、同島の防衛のために必要な措置をとり、かつ島民の福祉のために全力を尽くす意図があるということを保障している、これが合意議事録であるわけであります。ですから、その関係を十分に考えてみなければ何とも言えないということを申し上げておる。
#125
○岡田(春)委員 それじゃ法律的にも関係のあることはお認めになるでしょう、どうなんですか。
#126
○小坂国務大臣 これはちょっと御理解が違うように思うのです。この合意議事録の趣旨は、今申し上げたような前提で、沖繩に万一武力攻撃が起きたときに、日本の政府は、日本としては武力的な援助はできないけれども、民生安定について協力する、こういうことであります。
#127
○岡田(春)委員 武力攻撃が起きたときだけではないのですよ。武力攻撃の脅威がある場合、それもあるのです。メースを置くことによって武力攻撃の脅威のある場合も考えられるじゃないですか。この脅威の場合においては、法律的にやらなければならない関係があるじゃないですか。これはどうなんです。
#128
○小坂国務大臣 これは武力攻撃の脅威がある場合という点があるからとおっしゃいますけれども、置いた場合に脅威になるのではなくて、この場合の脅威とは、全般的にそういうような脅威が現実に発生したという場合に限ると思うのであります。メースを置くということは、そういう脅威を除くために置くのでありまして、置いたから脅威になるというなら、何にもやらないことが一番脅威にならないということになりますが、残念ながら今日の世界の力関係はそうなっておらないということは、これは明敏な岡田さんよく御承知のことだと思います。
#129
○岡田(春)委員 「諸島民の安全に対し」とありますね。「これらの諸島民の安全に対し」そして「日本国の政府及び国民の有する強い関心を強調したいと思う。」これは岸さんが言ったんですね。そして「これらの諸島に対し武力攻撃が発生し、」「武力攻撃の脅威がある場合には、」「第四条の規定に基づいて緊密に協議を行なう。」こういう点があるわけですね。メースの問題についてはあなた方は脅威と判断しない。これは航続距離からいって直接中国に到達するのですよ。そうすれば、もしここでアジアにおいてそういう戦闘事態という不幸な事態が起こったならば、当然メースがあることが安全の脅威を与えることになるじゃありませんか。こういう事実を沖繩の住民が考えているからこそ沖繩の住民は持ち込み反対と言っているのです。この持ち込み反対について、あなたは法律的に関係がないからやらないのだというが、合意議事録にはっきりあるじゃないですか。こういう合意議事録まできまっているのに、沖繩島民が持ち込み反対の決議をしようとしているのに、去年の五月にもしているのに、それなのになぜ日本政府として持ち込み反対の意思表示をしないか。しないならばしない、するならするとおっしゃったらいいじゃないですか。あなたは非常におかしいですよ。そういうことをするもしないもおれは言わないのだといって、持ち込まれてしまってから入ってしまったから仕方ないと言うのでしょう。そういうねらいで今意思意示しないのでしょう。
#130
○小坂国務大臣 問題は、攻撃に対してこれを防衛する施設を置くということはすべてせぬがよろしい、こういうことでございますればあなたの御所信の通りだと思いますが、現状においてはやはり力関係で平和が維持されている、こういう現実でありますから、そういう事態に対してメースを置くことが必要であるとアメリカは判断したのでございましょう。しかしそれに対してどう考えるかということは今私は申し上げられない、こう言っているわけです。あなたのようにただメースが置かれたら、それで攻撃の脅威が出るのだというのは即断だと思うわけであります。
#131
○岡田(春)委員 沖繩の住民がそう考えているのでしょう。住民は日本の国民でしょう。あなたの御判断からいうと、その日本の国民の意見をあなたはこの問題に関する限りは支持をしない場合もあり得るわけですね。支持する場合ももちろんあるでしょう。それに対して何らの意思表示もしないということは、これは非常に巧妙なごまかしです。どちらかに対して態度をはっきりしないという場合、これを含めて支持しないという沖繩住民の意思に反する結果を日本の政府がとる場合もあり得るわけですね。藤枝さん、どうなんですか。
#132
○藤枝政府委員 立法院の決議、ことに満場一致で決議されたということは、これは立法院の意思として尊重しなければならぬと思いますが、しかし先ほど来外務大臣がお答えになったような観点から、これを外交交渉に持ち込むというようなことが必ずしも適当でないという場合もあり得ると思います。
#133
○岡田(春)委員 では外交交渉に持ち込まないという場合には一体どうするのですか。そのまま傍観しているわけですか。沖繩住民の意思がもっともだと思われるけれども、外交交渉しないで黙って見ているわけですか。
#134
○藤枝政府委員 先ほど来外務大臣がお答えになったような見地から必ずしも外交交渉に持ち込むことが適当でない場合もあろうかと存じます。
#135
○岡田(春)委員 そういう事実はきょうの速記録に残っておりますし、沖繩の方には全部伝わっておりますが、自民党政府としてそれもけっこうだと思っておやりになっておるのだろうと思います。しかし沖繩島民が、少なくともこれほどあなたの関係に近い自民党まであるその人たちが要求しておるのに、見て見殺しにするという態度が政府の態度である、そういう場合もあるということが政府の態度であるというふうに考えざるを得ないと思うのですが、そういうふうにわれわれ確認をしておきたいと思うのです。きょうは十二時半までというお話ですから、これ以上進めません。まだあと実は潜在主権の問題を中川さんに少し聞きたかったが、これはあとにします。しかしこの点ははっきりしておいてもらわないと、善処ということまで先ほど言われておって、しかもこれに対して外交交渉をやらない場合もあるんだということが政府の態度である、こういう点は確認して間違いないと思いますが、いかがですか。
#136
○藤枝政府委員 私の申し上げておるのは、なるほど立法院の決議があった、その意思は十分発表されておるわけでありますが、それを先ほど来外務大臣がお答えになりましたようなもう一つ日米間の高い見地から見て判断をしなければならぬ場合があるであろうということを申し上げたわけであります。
#137
○岡田(春)委員 非常に重大なことをおっしゃった。日米間の見地から考えて日本の国民の意思をじゅうりんする場合もあり得る。そうでしょう、決議を無視するんですから。立法院の決議を無視することもあり得るということになりますね。論理的にはそういうことでしょう。
#138
○藤枝政府委員 申し上げるまでもなく、沖繩については施政権は日本は有してはいないわけであります。そういう点からいたしまして、立法院の決議というものは、直接には施政権を持っておるアメリカ政府に対する決議であろうと思います。しかし問題によりましては日本政府としてもその意思を尊重して善処しなければならない事項もありますから、そういうものは十分尊重して参りたいということを申し上げたので、住民の意思を積極的に無視するとかなんとかいうことを申し上げたわけではありません。
#139
○岡田(春)委員 さっきから聞いておるメースの問題について、決議がされた場合にこれはどうするんだということを聞いておるのです。去年の五月にあった決議についても何らかの情報という前提であったから取り扱わなかったというお話でしたね。今度は持ち込み反対の決議がある。これについては日米間の関係を考慮して取り扱わない場合もある、外交交渉として今度の決議についてやらない場合もあるという御答弁だとわれわれは解釈せざるを得ないのですが、それでいいのですか、こう聞いておる。
#140
○藤枝政府委員 先ほどから申し上げておりますように、今後立法院がどういう方向を打ち出されますか、その内容によって十分検討をいたしたい、こう考えておるわけであります。
#141
○岡田(春)委員 これで終わりますが、私は最後に要望しておきます。われわれ社会党としては、沖繩にメース持ち込みは絶対に反対である。特に、沖繩住民が立法院の満場一致の決議によって持ち込み反対を要求している場合において、日米関係がどうあろうとも、日本政府としては、直ちにメースの持ち込みについて反対の意思表示を行なうべきである。これはまた法律的にもかなっていることである。法律的に何も関係がないなんという小坂さんの考え方は、直してもらわなくちゃならない。そういう点から、法律的にも可能であるという観点に立って、日本の政府は直ちに行動すべきであるとわれわれは考えております。そういう点を申し上げて、私の発言を終わります。
#142
○堀内委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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