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1960/04/07 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第15号
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1960/04/07 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 外務委員会 第15号

#1
第038回国会 外務委員会 第15号
昭和三十六年四月七日(金曜日)
   午前十時二十九分開議
 出席委員
  委員長 堀内 一雄君
   理事 竹内 俊吉君 理事 野田 武夫君
   理事 森下 國雄君 理事 戸叶 里子君
   理事 松本 七郎君
      椎熊 三郎君    正示啓次郎君
      床次 徳二君    橋本 龍伍君
      松本 俊一君    黒田 寿男君
      帆足  計君    森島 守人君
      川上 貫一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 小坂善太郎君
 出席政府委員
        外務政務次官  津島 文治君
        外務事務官
       (アメリカ局長) 安藤 吉光君
        外務事務官
        (経済局長)  牛場 信彦君
        外務事務官
        (条約局長)  中川  融君
 委員外の出席者
        通商産業事務官
        (通商局次長) 瓜生 復男君
        専  門  員 佐藤 敏人君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商に関する日本国とキューバ共和国との間の
 協定の締結について承認を求めるの件(条約第
 一二号)
 日本国とオーストラリア連邦との間の国際郵便
 為替の交換に関する約定の締結について承認を
 求めるの件(条約第一五号)
 日本国とパキスタンとの間の国際郵便為替の交
 換に関する約定の締結について承認を求めるの
 件(条約第一六号)
 外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約の締
 結について承認を求めるの件(条約第一七号)
 犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及
 び極東研修所を日本国に設置することに関する
 国際連合と日本国政府との間の協定の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第一八号)
     ――――◇―――――
#2
○堀内委員長 ただいまより会議を開きます。
 日本国とオーストラリア連邦との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件、日本国とパキスタンとの間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件、外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約の締結について承認を求めるの件及び犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本国に設置することに関する国際連合と日本国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、以上の各案件を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○堀内委員長 まず、政府側より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣小坂善太郎君。
#4
○小坂国務大臣 日本国とオーストラリア連邦との間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件及び日本国とパキスタンとの間の国際郵便為替の交換に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を一括御説明いたします。
 わが国とオーストラリア及びパキスタン両国との間の郵便為替の交換は、両国がいずれも万国郵便連合の郵便為替に関する約定に参加していないため、現在は、わが国との間に為替約定関係のある英国の仲介によって行なっておりますが、仲介による業務には、日数を要すること、仲介手数料を負担する等種々公衆に与える不便があります。よって、政府は、かねてより両国政府と郵便為替の直接交換のための約定締結交渉を進めてきましたところ、先般約定の案文について合意が成立いたしましたので、オーストラリアとの間の約定は本年二月七日東京で日豪双方により、また、パキスタンとの間の約定は、二月七日東京で日本側により、三月七日ラワルピンディでパキスタン側により、それぞれ署名された次第であります。
 これらの二約定は、いずれも、郵便為替交換の経路、表示通貨、料金の割当、振り出し及び払い渡しの方法等、双方の郵政庁が郵便為替の交換を行なうために必要な業務についての基本的事項を定めたものでありまして、オーストラリアとの間に交換する郵便為替が通常為替のみであるのに対し、パキスタンとの間では電信為替も交換できる点を除いては、内容的にほとんど同一であります。
 これらの約定が締結されますと、わが国と両国との間には直接に郵便為替の交換が行なわれることになりますので、公衆の受ける利便が増大することは申すまでもなく、さらに、わが国とオーストラリア及びパキスタン両国との間の経済的その他の友好関係も一そう促進されることが期待されます。
 よって、ここに両約定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 仲裁判断に関する国際条約としては、一九二三年の仲裁条項ニ関スル議定書及び一九二七年の外国仲裁判断の執行に関する条約があり、わが国は、このいずれにも当事国となっておりますが、この二つの条約では、現在の国際貿易上の要求を十分に満たすことができませんので、さらにその適用範囲を拡張し、仲裁判断の執行が容易に行なわれるように改正すべきであるとの要望があり、これに基づき、一九五八年わが国を含む四十四カ国の代表が参加して、国連国際通事仲裁会議がニューヨークで開催され、同年六月十日に本件条約が採択されました。この条約は、一九五九年六月に効力を生じ、本年二月末現在の当事国は、フランス、ソ連、インド、アラブ連合等十一カ国であります。
 仲裁判断に関する前記の現行二条約により、仲裁判断の執行力はある程度国際的に担保されておりますが、この新条約は、まず第一に、従来は異なった締約国の裁判権に服する当事者間の仲裁契約の効力のみを、承認することとなっていたのを、すべての仲裁契約の効力を承認するとしたこと、第二に、従来は、このような仲裁契約に基づく仲裁判断は、異なった締約国の裁判権に服する当事者間で、いずれかの締約国の領域でされた場合にのみこれを承認し、執行することとなっていたのでありますが、新条約では、各締約国はおよそ一切の外国仲裁判断を承認し、執行することとしたこと、第三に、仲裁判断の承認及び執行を求める場合の要件が従来より容易かつ明確になったこと等の改善が加えられることにより、仲裁判断の執行力の国際的担保が一そう広範になった次第であります。このことによって、仲裁制度の国際的な利用の円滑化をさらに前進せしめ、もって、外国貿易の発展に寄与することが期待されます。わが国といたしましても、外国貿易、特に東南アジアとの貿易の振興上、近来とみにその必要度が増大している仲裁制度の利用を今後一そう円滑にする必要がありますので、この条約を締結する意義はきわめて大きなものがあります。
 なお、この条約の締結に際しましては、わが国は条約第一条3前段の相互主義の宣言を行なう考えでありますが、これは非締約国でされた仲裁判断をもわが国において承認し、執行する義務を負いますことは必ずしも当を得ないと考えられるからであります。
 よって、以上の諸利益を考慮し、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所を日本国に設置することに関する国際連合と日本国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関する研修所をアジア極東地域の適当な場所に設置することを勧告する決議が、一九五四年にラングーンで開催された犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関する第一回国連アジア極東セミナーにおいて採択され、その後、この具体化として、一九五七年の東京における第二回セミナーにおいて、パキスタンのラホールにこの研修所を設置することが内定した旨報告されましたが、同国は、国内事情により、一九五九年に至り研修所の招請を正式に撤回いたしました。そこで、国連事務局は、パキスタンにかわるべき招請国として、特にわが国にその設置を希望する旨を非公式に伝えてきましたので、政府は、関係当局間で検討の結果、昭和三十五年五月の閣議決定により、本研修所をわが国に設置することとした次第であります。
 この協定に関する交渉は、昨年十二月以来ニューヨークにおいて行なわれ、この結果先般妥結を見ましたので、去る三月十五日にニューヨークにおいて、この協定に対する署名を了しました。
 この協定の締結によりまして、犯罪の防止及び犯罪者の処遇に関するアジア及び極東研修所が、国連とわが国との協力のもとに、わが国に設置されることとなり、アジア極東地域の諸国からの研修生に対する社会防衛の分野における研修及びこの問題についての研究調査が行なわれることとなります。このことは、国連との協力及びアジア諸国との友好関係促進というわが国外交政策の基本方針に沿うものであるのみならず、同時に社会防衛の分野における知識、情報等の国際的交流によって相互に大きな利益をもたらすものであると考えられます。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上申し述べました四件につきまして、慎重御審議の上、すみやかに御承認あらんことをお願いいたします。
#5
○堀内委員長 ただいま提案理由の説明を聴取いたしました各件に対する質疑は、次会に行なうことといたします。
#6
○堀内委員長 次に、通商に関する日本国とキューバ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたし、質疑を行ないます。帆足計君。
#7
○帆足委員 キューバとの通商条約の批准が、審議を含めて延び延びになっておりまして、ただいま上程されたわけでございますけれども、キューバ国と日本との関係は、アメリカに次ぐ日本が第二の砂糖輸入国でありまして、その貿易の金額は実に大きなものでございます。特に、最近の貿易実績などをも調べてみますると、一九五七年、この年は砂糖の値段の高い年でありましたけれども、キューバ糖の輸入額は実に八千万ドルにも達しまして、約三百億円、しかるに輸出はわずかに十八億円、差額だけでも二百八十億円というアンバランスになっておりましたけれども、とにかく非常に大きな経済関係がキューバ国との間にあるわけでございます。今キューバは歴史の流れに沿いまして、いろいろ若い国としての苦しみをなめながら独立への道をたどっておりますが、そうなりますると、日本とキューバ国との経済関係を今後互恵平等にかつ円滑に促進して参りますならば、輸入の促進とともに輸出の飛躍的増大が可能になってくるような状況になっておりまして、百億、二百億の輸出の増大はそれほど困難でないという状況で、まさに中共貿易にも匹敵するほどの大きな課題を目前に控えておる次第でありまして、しかもそれは第三国の利権を侵してでなくて、日本の国民が砂糖を適切に消費するというその正常な経済関係を背景として、しかもどこの国にも迷惑をかけずに貿易を増進し得る機会をつかみ得るわけでございまするから、日本とキューバ国との通商条約の締結に際しては、わが外務委員会としては十分にこれを検討いたしまして、国民の利益、両国の平和友好を中心といたしまして、貿易が一そう増進するように慎重な検討を重ね、理解を深くし、今後の通商協定の実施が一そう円滑にいくように協力して参らねばならぬという必要を痛感いたすのでございます。
 通商条約の内容を見ますると、おおむね妥当でありまして、大綱を通読いたしましたところによりますと、私どもも当局の御努力を多とする次第でございますが、また、たまたま外務省から昨年の六月に出しております「経済と外交」という雑誌に、ラテン・アメリカ課長の津田天瑞氏の通商協定締結についての簡単な解説なども出ておりますが、この解説を読んでみますると、まことに論理整然として、一党一派に片寄らず、現実をよく見て、そして両国の通商の増進のために関係各位が御努力された跡が大へんよく解説されてあります。私は外務省がこのように実際に即して、そして日本の生命線ともいうべき貿易増進のために、このような合理的御努力をなされたことに対して敬意を払いますとともに、この津田君の書いた論文を読みまして、さすがに牛場経済局長の薫陶よろしきを得ているということを大へん喜んで拝見した次第であります。
 そこで、しかしながら若い国が独立いたしまして、そして建設に進み、貿易を増進するということになりますると、そこにいろいろな若き日の悩みといいますか、急激な政体の変化に伴ういろいろな隘路、困難な点があるわけでございますから、それらをしさいに検討して、適切にして理解のある措置をとることが必要であろうと思います。こまかな問題はたくさんありますが、小さな問題になりますれば、局長、課長さんにお尋ねいたすことにいたしまして、きょう外務大臣のお時間も限定されておりますから、大綱につきまして、外務大臣に御要望もいたし、また理解も深めていただき、御所見のほども伺っておきたいと思う次第でございます。
 キューバは遠く離れた国でありまして、ハバナはマンボの国、そして砂糖の国というだけで、一般の日本国民も、キューバに今世界をおおうておる民族革命が起こったということは承知いたしておりますけれども、日本とキューバ国との間にかくも深い正常な貿易関係があるということについては、私どももこの通商条約を拝見いたし、関係文書を詳しくひもとくまでは、それほど深い認識を持っていなかったのでございます。しかるに今次この通商協定を外務委員会において審議する段階になりまして、調べれば調べるほど、これは非常に重要な貿易の相手国であるということを痛感いたしました。この際徹底的に問題の所在を理解し、隘路を理解して、日本キューバ通商協定締結の御努力がさらに成果を生むように御協力せねばならぬというこいを痛感いたす次第でございます。
 そこで、まず外務大臣にお尋ねいたしたいのですけれども、せっかくのこの協定が昨年の四月できまして、五月には早くもキューバの新政府によって批准をされたのでありますが、わが国においては今日までこの外務委員会への上程並びに批准が延び延びになっておりましたのは、これはどういう事務的都合でありましたのでしょうか。それとも何か政治上の理由があったのでございましょうか。まずお尋ねいたしておきたいと思います。
#8
○小坂国務大臣 キューバとの通商協定は、ただいまお話のように非常に意義のあるものでありますが、先方では国会が機能を停止されておりましたので、批准という問題は閣議で決定されて、批准するということになったのだそうであります。従ってこれは昨年の五月に先方は批准を終わっております。そこでわが方はこれを国会にかけるべきであったのでありますが、御承知のように、安保条約の審議が非常に困難な段階になっておりまして、とうとうこれを提出するに至りませんで、その後臨時国会においてはこうした法案を出さぬということになりまして、そこで今回の国会に御提案した、こういうことになっておるような次第であります。
#9
○帆足委員 いろいろな都合がありまして、審議並びに批准がおくれておる事情は了承いたしましたが、この協定ができますとすぐ行政的にはこの線で実行しようという話し合いができておったように伺いますが、それはどういうことになっておりましたか、またどういう意味でございましたか、お伺いいたします。
#10
○牛場政府委員 この協定を作りましたときに、交換公文をいたしまして、この協定が発効するまでの間、両政府はこの協定の第一条及び第二条の規定に対し、一九六〇年六月一日以降、それぞれの憲法上の権限の範囲内で暫定的に実施するものとする。ただしこの暫定的実施はいずれか一方の政府の文書による三カ月の予告をもって終了させることができるということにきめておりますので、昨年六月一日以後、一条と二条、つまり関税と輸入手続に関しまして最恵国待遇を約束いたしました条項は、暫定的に発効いたしておるわけであります。
#11
○帆足委員 それはまことに適切な措置であったとわれわれも賛意を表する次第でございますが、まず第一に、キューバの現状につきまして私は政府の所見を伺いたいのですが、御承知のように歴史の長い過程におきましては、過去においては奴隷社会があり封建社会があり、またそれよりはるかに解放された資本主義社会があり、その資本主義社会が貧富の対立という重大な社会問題を今はらんでおって、何らかの意味における福祉国家というか、保守陣営の方から言えば福祉国家、革新陣営の方から言えば社会主義による平和への道ということが論議されておるのが今日の歴史の流れでございますが、それと同じように歴史の流れの中においては、過去において植民地というものがありました。アジア、アフリカ諸国の大部分はごく最近まで植民地の状態でありました。中南米諸国はすでに五十年、百年前に形の上では独立が与えられておりましたけれども、実際上は半植民地というか、土地所有関係において封建残滓は強く、外国資本の支配は圧倒的であり、正常なる議会制度よりも軍閥のクーデターが常に民心を脅かしておるという状態でありましたことは御承知の通りでございます。これが自由と自覚に対する人間の意識の向上に伴いまして次第に民主化されて参りつつあることは、今日の歴史の一般的趨勢であります。まず、終戦直後にアジアにおいてそれが至るところで爆発いたしまして、アジアの国々にはまだいろいろの後進性は残っておりますけれども、政治的独立と植民地解放ということが次々と実行に移され、さらに引き続いてアフリカ諸国においてもまた独立への動きは今あらしのように進んでおりますが、さらに引き続いて中南米諸国におきましても半植民地的傾向から民族の自主独立という機運が非常に強く動いていることは御承知の通りでございます。これは春の大河の流れのようなものでありまして、人為的力をもってせきとめることはできないのであります。ただなし得ることは、その流れが洪水にならないように、そして理性と秩序をもって流れて、人類の自由と自覚の歴史の合理的一こまになることを望むよりほかに道はなかろうと私は思っております。
 まず第一には、ここ数年間において中南米諸国も次々と軍部政権と申しますか独裁政権が倒れまして、御承知のように一九五四年にはブラジルのバルガス大統領が自殺をいたしました。今ブラジルの政権はやや良識があり国際連合の演説など聞きましても、前と違って筋道の通った主張をする合理性のより強い内閣ができておりますことは、御承知の通りでございます。アルゼンチンにおきましても、悪名高かりしペロンが五五年には海外亡命をいたしました。ペルーにおいてはオドリア大統領が五六年に没落します。ニカラグァにおいてはソモサ大統領が亡命し、コロンビアにおきましてはロハス大統領が李承晩と同じ運命をたどり、ベネズエラではヒメネス大統領がキューバの南の方にある何とかという島に逃げ出し、そうしてついにキューバでもまた一九五九年独裁者の腐敗政治で悪名高かったバチスタが没落いたしましたことは大臣御承知の通りでございます。私は、この歴史の流れを見まして、若いキューバにあるいは立ちおくれもありあるいは行き過ぎもあろうけれども、これも合理的に理解すべき歴史の流れの一つであると思っております。従いまして、外務省当局がキューバに若い政権ができますと直ちにこれを承認し、そしてまだ行政機構が、渉外の機構においてももたもたして十分なる機能を発揮していない段階のときに、できるだけ深い理解をもって両国の友好と貿易を促進しようとされてこの通商条約を準備されたことに対して賛意を表するものであります。今日キューバは新政権ができてやっと二年半、二年半といえば明治の時代に比べればちょうど十年くらいの期間に当たる、テンポの早い時代でありますから。明治十年の西南戦争のころといえば、明治の政府が一番苦しかった時代であります。それと同じように、今年、来年あたりは、キューバの新政権は、新しい仕事ぶりになれるために、新幹部を養成するために一番苦労の多いときであります。三、四年もいたしますれば、新秩序は、ニュー・ディールは軌道に乗るでありましょうけれども、現在ちょうど過渡期にあるものと私どもも推察いたします。いろいろな論客学者たちがキューバを訪れました報告書なども読みまして、若い政府の苦労のほども察しておるような次第でございます。外務省当局は、遠く離れたキューバ島でありますし、一応イデオロギーを離れまして貿易増進のために御努力されておることと思いますけれども、この通商条約締結についての外務省首脳部としてのお心持のほどを一応伺っておきたいと思っておるのでございます。
#12
○小坂国務大臣 わが国とキューバとの関係は、現在も友好関係にございますし、キューバ問題が東西冷戦の場となるというようなことでなくて、平和裏に両国の関係が改善されていくことをわれわれは希望いたしておるのでございます。
#13
○帆足委員 私がお尋ねしたいと思いましたことは、アメリカとの関係でございまして、日本政府側において必要以上にアメリカとの関係を顧慮なさっておるか、またアメリカからキューバとの関係についての何らかの干渉とか束縛とかいうものがあったかどうかということもお尋ねしたかったのでございます。と申しますのは、中南米諸国のほとんどすべての国は、一方ではあの膨大な国土がわずか三・四%の地主に占有されております。それは初期の開拓者の時代にはやむを得ない過程でありましたけれども、国民の九割までは、あの豊穣なる農産地にありながら塗炭の苦しみをいたしております。たとえばブラジルの東北部にいたしましても、また端的に言えばキューバにいたしましても、サトウキビ収穫時の四カ月は仕事があるけれども、その他のときには農業労働者諸君にはほとんど職もなかった。中南米において一番工業の発展しておりますアルゼンチンにおいては、数年前までは外国資本が二十一億ドルにも達し、その大部分は英国の資本でありました。しかし、そのアルゼンチンも諸政の刷新がある程度行なわれまして、一九四〇年に二十一億ドルであった外国資本は一九五二年にはもうほとんどアルゼンチンの国民の手に回収されております。メキシコにおいても同じ問題が起こっております。キューバにおきましては、御承知のように電信、電話、電力等の九〇%までがアメリカ資本によって動いておりましたし、公有鉄道の五〇%はアメリカ資本の支配下にあった。粗糖の四〇%、銀行預金の四分の一はアメリカの支配下にありまして、いわばアメリカの満州国といいますか、アメリカの半植民地、保護領のような状況であったのが数年前の状況でございました。
 御承知のごとく、アメリカはその独立の精神からいいますと、尊敬すべき開拓者的伝統を持つ国でありまして、最初キューバを手に入れますときには、スペインの十六世紀的収奪に対して、アメリカはこれを解放するという名目のもとに戦争を起こしまして、その戦勝の結果、自己の勢力範囲としてフィリピン、グアム島並びにキューバを手に入れたことは御承知の通りでございまするが、そのときのアメリカの宣言書を読んでみますると、アメリカの国会は戦争開始について次のようなことをいっております。第一には、キューバの人民は自由、独立であり、そうなるべき権利を持つ。第二に、スペインの植民地的主権は取り消され、当然その軍隊は撤退さるべきである。第三に、米国大統領はスペインのくびきからキューバを解放するために、陸海軍を使用することもやむを得ない。第四に、キューバが平定され、スペインが追放されたそのあとには、この島の行政と管理はキューバの人民にまかせる。まことにすばらしい宣言でございます。しかし、やがてそれがアメリカの勝利に終わりまして、キューバは独立し、プェルト・リコ、グアム、フィリピンがアメリカに譲渡されますと、アメリカの態度はだんだん変わって参りまして、キューバの憲法に干渉いたしまして、一九〇一年にプラット修正法というものができました。そして、キューバの主権はアメリカによって多少制約されることもやむを得ないという条項が入りまして、同時に今問題になっておりますグアンタナモの米海軍基地がそのとき設けられたのでございます。その歴史を振り返ってみますと、多少わが国の安保条約にも以たところがありますけれども、そのことをまた思い出しますと議場が混乱いたしますから、一応思い出さないことにいたしましても、そのときですらアメリカは年二千ドル地代を払って、その海軍基地を租借しておるわけでございます。今日の安保条約による日本の基地の使用よりも多少寛大であったとすら言えるでございましょう。
 こういうような事情でありましたために、キューバは他の中南米諸国、アルゼンチンやメキシコの例に従いまして、ついにアメリカの資本を接収せざるを得ない立場に置かれまして、安い金利の公債をもって次々と接収いたしました。それがいかに長い間拮据植民地経営をしたアメリカの資本家諸君の感情を害したかということは、これは人情として想像に余りある次第でございます。こういうことが重なりまして、不幸にしてキューバとアメリカとは国交の断絶、経済の断絶に昨年の秋追い込まれてしまっておるのでございます。私はこの事実を遠く太平洋を隔てて見まして、外務大臣が歴史の一こまとしてただキューバを見て、そして大臣としてアメリカの政策にとかくの批評を加えることもなく、また若いキューバに対して余分の批評を加えることもなく、淡々として、ただ経済の問題は経済として通商条約を結んで、両国とも両国人民の幸福をはかろうという冷静な態度におられることには敬意を表するものでございますが、最近アメリカの宣言を読みますと、キューバが独裁国になる傾向があるからこれは反対だ、こういうふうに言っておるわけです。私は不思議な論理もあるものかなと思って読んでいるのですが、独裁国であるならば――これまで先ほど名前をあげました中南米型李承晩は次々と倒れましたけれども、そのいずれも遺憾ながらアメリカの保守政権が糸を引いておりました。特に全キューバ国民の反撃の的となりましたバチスタに対しまして、アメリカは寛大であり過ぎたし、むしろ保護者のような立場になったこと、それはあたかも李承晩に対して寛大であり過ぎて、李承晩の保護者になって、ついに李承晩を甘やかして、言語道断の状況に陥れて、ハワイの亡命地に引き取らざるを得なくなった状況と全く同じでございますから、この問題に対して私は、アメリカもいろいろ言い分はあり、さぞかしつらい点もありましょうけれども、やはり反省し、理性的にならねばならぬということを、人類の論理においてわれわれはアメリカに要求する権利があるように思うのでございます。現に独裁政治がいやであるならば――中南米のNATOといわれる米州会議におきまして、ドミニカの独裁政治はさすがの中南米諸国も忍耐力の限界がきたから、この国は全部で村八分にする必要があるという宣言をいたしました。アメリカもしぶしぶながらこれに従いましたけれども、実際上はアメリカはいまだにドミニカ国と名実ともの断交はしておりませんし、アルゼンチンの李承晩といわれる。ペロンも、ベネズエラの――これはベラフォンテの独唱で聞くと「ベネズエラ」という曲はすばらしい曲でありますけれども、その曲に正反対で、この国の政治は濁っておりまして、そのヒメネスも、それからキューバのバチスタも、このドミニカ独裁国に今逃げ出しております。それに対してアメリカはいささかも攻撃せずに、陰に陽にこれを保護しているというような状況もこれまであったのでございます。
 しかし御承知のごとくこれはすべてダレス時代の遺風でありまして、ケネディ新政権がこれに対してどういう態度をとっておるかということを調べてみますと、このキューバ島との全面断交になったときはまだ新政権のできてないときでありまして、いわばダレス、アイゼンハワー外交の置きみやげとして全面断交になったのでございます。それでケネディ政権ができましたときに、キューバ政府は戒厳令状況を解除いたしまして、そして全面的な和解、合理的な理解にまではまだ距離は遠いかもしれないけれども、とにかく理性を理解する、努力する新内閣ができた以上は、キューバ側も戒厳令状況を撤回し、緊張状況が緩和されたことは御承知の通りであります。それと時を前後いたしまして、国務次官のチェスター・ボールズ氏は次のような談話を発表いたしておるのであります。
 その内容の要点を申し上げますと、われわれはキューバ革命を、第二次大戦が終わって以来、アジア、ラテン・アメリカ、そしてアフリカに起こりつつある革命的な風潮を反映したものであることを率直に認める。このキューバの革命は、ソ連や国際共産主義が引き起こしたものでは絶対にない。われわれは過去において、キューバの農村問題や厚生施設などに十分に援助しなかったという大きなあやまちを犯していた。今やわれわれは流血革命の結果、平和的な社会経済革命が問題の核心になったという事態に直面しておる現情勢下のもとで、キューバが一そう諸問題の民主的な解決をなし得るように、しんぼう強く穏やかに働きかける合理的かつ長期的な政策をわれわれは採用しなくてはならないであろう。われわれはラテン・アメリカの人たちの要求に耳を傾けるべきである。ラテン・アメリカには無数の貧困と社会的、経済的な矛盾が存在しておる。ラテン・アメリカの国々にインド政府がやっているような農村開発計画、その他を適用すれば成功の緒につくのではあるまいか。またマッカーサー元帥がかつて日本で実行した進歩的な土地改革のようなものを実情に即して適用するようなことも必要になってきていることを自分は理解する。新内閣の次官はこういう声明を発しております。これらの声明を見まして私は、願わくは、従来バチスタ政権を支持し、李承晩を支持して参ったアメリカが、次々に中南米においても失敗いたしまして、そうしてチェスター・ボールズ氏がここで反省しているような、またスチブンソン氏が唱えておるような、より合理的な政策がラスク長官においてとられることを、私どもは良識ある日本人として期待するわけであります。そういう次第でありますから、キューバと日本との通商条約を――日本が買います砂糖の分量というものにはおのずから限界があるわけでありまして、アメリカの市場にとってかわるわけでもございません。ただ高価な外貨を出しまして買いましたその砂糖の代金の六割、七割は、今までは全部片貿易であったけれども、今後は日本の優秀な各種の商品を買って下さいと言うこともまた、キューバ政府に対して失礼にも当たらぬ、関係諸国に対しても失礼に当たらぬことと思いますので、私は外務大臣が、この問題を公正、合理な見地から外務委員会に提出されたものと確信するのですけれども、一部に伝えられるところによると、アメリカに遠慮して一年ばかりこの通商条約の批准が延びておるというようなことを、まことしやかに伝える向きもありますので、そういう誤解のないように、また日本と若いキューバ国との間に、そういう誤解のためにわだかまりの生じないように、外務大臣から一つはっきりした通商条約締結のお心持ちを伺っておきたい、こういうことで先ほど質問した次第でありまするから、もう一度その点を明確にお答え願いたいと思う次第でございます。
#14
○小坂国務大臣 最近におきます日本とキューバ間の貿易について申し上げますと、これは中間統計でございますが、日本の場合入超が非常に大きいのでありまして、一九五五年には入超が二千二百六十六万四千ドルということになっております。これがだんだんふえまして、一九五七年には七千四百八十万四千ドルが入超であります。さらにその後若干この趨勢は改善されまして、一九六〇年には日本の輸出が七百七十四万三千ドルでありますが、輸入は一千七百七十一万六千ドルで、九百九十七万三千ドルの入超になっておるのであります。そのようにキューバとの貿易は、わが国が年々大量の砂糧を輸入するのに対しまして、わが国からキューバヘの輸出は不振でございました。恒常的に一方的な入超であったのです。これはキューバのわが産品に対する差別待遇が主要な原因でございましたが、わが方の輸出品は、機械、陶磁器、繊維製品、鉄鋼、食料品というようなもので、輸入は今御指摘のように砂糖が大部分であるわけであります。この協定の成立に従いまして、日本のキューバからの輸入は、キューバ糖に競争力かあります限り、およそ従来の水準を維持するものと考えられますが、これに反しまして輸出の方は、従来差別的な高率関税を課せられて参りました繊維品についても、関税上最恵国待遇が適用されることになります上に、キューバ政府が、この国の砂糖を輸入する国から物資を買い付ける政策をとっておりますから、機械類とかあるいは繊維品というものを中心にして輸出は増大するであろうと期待されておるのであります。
 そういうことでありまして、われわれこの通商協定を早く御批准願うことを期待しておるのでありますが、批准が国会でおくれておるのは、政府に何か作為があるとか、あるいはアメリカに遠慮するということは全然ないのであります。先方は、もう国会関係はないわけでありまして、閣議決定で批准ができてしまう。ところが日本の方では、安保条約の国会にちょうど当たりまして、昨年の五月ですからまつ最中でございましてどうにもしようがない。そこで今度の国会に提出したというだけの理由でございます。そういう事情もありますから、どうか一つできるだけ早期に御批准を願いたい、かように考えておるのであります。
#15
○帆足委員 大臣の御退席の時間も迫っておりますから、こまかいことは次回に局長にお尋ねいたすことにいたします。
 そこで今大臣が言われましたように、キューバの独立については、アメリカ初め世界のほとんどすべての国がこれを承認しておりますし、正常な貿易をわが国がいたしますのに、アメリカその他に対して不必要なばか遠慮をしなければならない理由はない、またそういうような事実は何もなかったということを伺いまして、欣快しごくに存じますが、しからば今後の問題は、純粋に貿易行政及び貿易業務の問題になるわけでございます。何と申しましてもこれは、日本の砂糖精製業者が日本国民に安くてよい砂糖を提供するために研究せねばならぬ課題でありますが、同時に、キューバ側におきましても革命早々のことでございまするから、砂糖の値段につきましても、品質につきましても、規格、受け渡し等につきましてもいろいろまごついた問題がたくさんあるように伺っております。これらの問題は両方の業界がもっと接触して、大臣のおっしゃるように、キューバと日本は遠く離れた国であって、直接政治的なトラブルにわたる問題は何もないからという前提のもとでありますならば、両方の業界が十分に接触いたしまして隘路の打開に努めますならば、そう日月を要せずして私は軌道に乗り得るものであると思います。しかし、同時に、また、見返りの輸出が五割ないし七割できるようになった、またそれをできさせねばならぬとするならば、これは一つには、キューバとの貿易協会のようなものが現在でも。ございますようですが、内容を刷新、充実いたしまして、この砂糖業界の要望にこたえると同時に、貿易立国の日本の国策にこたえ得るような調査、研究をし、そのあっせん役にもなる。また、通商条約はいずれわが党におきましてもあと数回審議の後、大綱においては賛成いたしておりますから、無事通過することと予想されますが、通商条約が通過いたしましたあとは、これを実施に移しますために、民間で均衡のとれたよい顔ぶれで貿易使節団を派遣する等によって、キューバとの貿易を軌道に乗せる必要があろうと存じます。現在為替自由化の時代でありますから、バーターという概念につきましては大いに検討を要しますけれども、このバーターという言葉の持っているぎごちない意味でなくて、国と国との貿易はある程度までは同時に均衡に近いことが望ましいという良識に従いまして、この通商協定の趣旨をさらに具体化する必要が私はあるのでなかろうか。一方では、日本政府の態度が十分業界に理解されていなかったこと、他方では、通商条約がまだ批准になっていなかったこと、またもう一つには、キューバ政府自身がまだ成立間もないころであって、いろいろの混乱や過渡期の支障があったこと等のために、ただいま大臣が言われましたように、ことしの実績は必ずしも十分に上がっていないと私は思いますが、しかし、もうぼつぼつ、ただいまのような大臣の御意向でございましたならば、官民協力いたしまして、政府とそれから民間と協力し、また各政党も党派をこえまして、超党派の立場からこの貿易を軌道に乗せる必要があろうと思うのでございます。金額から申しましても、一時、多いときは三百億円にも達し、しかも輸出はわずかに十五億円というような貿易でありましたのが、五割なり七割なりまでは向こうも均衡をとっているといいというような話も協定の過程で出たように聞いておりますから、五億や六億の貿易でありますならば、それは業界まかせでけっこうでありましょうけれども、百億、二百億をこえる大きな貿易でありますから、やはり通産省並びに外務省経済局におきましても、適切なる行政指導を与えられまして、貿易が軌道に乗るように御指導または御協力あらんことが必要であるまいかと私は存じます。そのことにつきまして、外務大臣は大体どういうお考えでしょうか。私は、ただいまのような外務大臣のお心持ちでありますならば、やはり砂糖のメーカーと輸入業者が中心となりまして、この問題をもっと正確に研究し、そしてキューバの当事者との接触をもっと深めること、たとえば日本におけるキューバ大使館、今明日中に大使がこっちに戻ってくるそうですけれども、商務官もわずか一人か二人しかおりません。これほど大きな貿易をいたしておりますならば、キューバの商務官の数も多少はふやしていただき、それから、こちらで勉強しましてもキューバ国側に責任あるキャッチャーがいなければだめでございますから、キューバの大使館においても勉強していただきますし、またキューバ国におきましても日本担当の連絡官の陳容をもっと強化していただく、また、必要に応じて政府とも御相談をして、適切な貿易使節団も送る、四年前でしたか、伊藤忠兵衛さんを団長とした使節団を送りまして、成果を上げたことがありますが、あれはバチスタの時代でしたが、今度の新政権になりましてからの接触はまだまだ不十分だと私は思うのであります。これらのことに対して外務大臣が御賛成でありますならば、牛場経済局長並びに通産省の通商局長から適切なる御指導があってしかるべきである、こう思っておりますが、御所見のほどを承りたいと思います。
#16
○牛場政府委員 キューバからの砂糖の輸入は、昨年は御承知の通りいろいろな事情で思う通りに伸びませんでした。大体年間二十万トン程度でとどまっておりましたが、本年は先方の価格政策などもだいぶ合理的になってきたようでありますので、幾らか伸展があるものと私ども期待いたしております。また、輸出の方につきましても、これは向こうの事情がだいぶ変わって参りまして、国家貿易的な色彩が非常に強くなって参りましたということでありますので、そういう事情も考慮に入れまして、輸出を伸ばすために、通産省とも協力をいたしまして努力をして参りたいと思っております。
#17
○帆足委員 私ども社会党員は抽象論ばかり述べて言いっぱなしであると批評される方がおりますが、十年前はそうであったかもしれませんけれども、たとえば通商条約一つ結ぶにいたしましても、やはり国民の代表として外務委員会で審議をいたしまして、これはただ神だなに置いておくべきものではなくて、貿易を増進するためのレールを敷く仕事でございますから、あとあとまでにそれが成果が上がるようにならなければ私は十分でないと思うのでございます。為替自由化とか、自由経済とかいうことも、一面経済に刺激を与えるために必要でありますけれども、今日の時代は、人間生活においても感情と理性の調整が必要のように、仕事におきましても総合的な調整、それから自由なる選択との両方を調整せねばならぬ時代であると私は思う。その点において自由化の叫びが多少行き過ぎて、総合計画において欠くるところがありはしないか。と申しますのは、貿易は相手国によってみな国情が違うわけでありまして、資本主義国を相手にする貿易と、社会主義的な計画経済の国を相手にする場合とでは、私は多少やり方を変えねばならぬのじゃないかと思います。社会主義国との、または若い建設をしている国との貿易におきましては、やはり見通し、その計画性を尊重して、理解して、安定した貿易関係を作る。またプラント輸出その他になれば一そうそうでありますけれども、そういう要素があるということをぜひともお含み願いたい。為替自由化という声のもとに、何もかも自由自由というわけにも参らぬのではあるまいかと私は思っております。そういう観点から、キューバとの貿易は、やはり今後計画経済に進む方向に向かっている国との貿易でありますから、そういう過去のキューバが植民地でありまして、買いほうだい、もうけほうだい、やりほうだいであった時代と違いまして、先方の計画も聞き、回復期の病人をいたわるように計画的な配慮というものも必要であるまいかと思います。従いまして、通商条約ができましただけで、あと貿易が一向進まないのではまことに惜しいことでございますから、私ももう少し実情をよく調査もし、勉強もいたしまして、きよょうは時間も移りましたから、これだけ質問いたしますが、この次もう一度もっと事務的な問題について、通産省と外務省の両局長にこまかな点をお尋ねいたしたいと思っております。ただ世間ではキューバとの貿易がうまくいかず、業界が乗り気にならないのは、アメリカの圧力があるからだという、いわれなきことを言うのがおりまして、大体世間にはデマを飛ばすエキスパート、なかなかの専門家がおりまして、この前はキューバ人がケネディのお嬢さんのカロラインちゃんを誘拐しようとしている。これはキューバ政府のさしがねであるというような報道が大新聞に伝わりましたけれども、一国の回天の事業をしたほどの、しかも高い教養のある――個人的には、カストロ首相の論文を読みますと、古今東西の古典にも通じておるようで、一度演説を始めると九時間ぐらい演説するというので私も遠く及ばないところであると、かねて敬意を表しておりますが、それがあのかわいらしいカロラインちゃんを誘拐するようなどこかのいなかの、この前、日本で誘拐事件がありました、ああいう卑しいことをするはずもない、そんなことは常識でもってわかることで、ああいうような記事が大新聞に載るようなところがジャーナリズムの病気にあります。通信などを読んでみますと、きょうまで通商条約が延びたのは、どうもまだアメリカに対して遠慮がある。もちろんキューバの新政権に過渡期のいろいろな深刻な悩みがあって、安定した仕事がしにくい。このことについては次会にいろいろ局長にお尋ねいたしまして、その隘路の打開について、相手国に対しても理解を求めねばならぬと思いますけれども、アメリカの圧力のためにキューバの貿易ができないといういわれないデマが伝わった。そのために業界が消極的立場になるというようなことがあってはこれはばからしいことであると思いますから、きょうの大臣の明快な御答弁を私は多とするものでありまして、せっかく通商条約が上程されました以上は、この通商条約を通じて、遠く離れた日本とコロンブスが初めて発見した常夏の国との間にさらに貿易が増進するような方向に持っていくべきであろうと思いますので、こまかなことは次会に質問をいたすといたしまして、これをもって私の質問を終わります。
#18
○堀内委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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