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1960/03/23 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
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1960/03/23 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和三十六年三月二十三日(木曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 山口 好一君
   理事 菅野和太郎君 理事 齋藤 憲三君
   理事 中曽根康弘君 理事 中村 幸八君
   理事 前田 正男君 理事 岡  良一君
   理事 岡本 隆一君
      有田 喜一君    佐々木義武君
      石川 次夫君    田中 武夫君
      山口 鶴男君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 池田正之輔君
        国 務 大 臣 西村 直己君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       松本 一郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   島村 武久君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    久田 太郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁振
        興局長)    原田  久君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   杠  文吉君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (調達庁総務部
        総務参事官)  藤本  幹君
        総理府事務官
        (調達庁不動産
        部連絡調査官) 沼尻 元一君
        総理府技官
        (科学技術庁振
        興局科学調査
        官)      前田 陽吉君
        総理府技官
        (科学技術庁振
        興局管理課長) 佐藤 松男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 新技術開発事業団法案(内閣提出第一二四号)
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山口委員長 これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま本委員会で審査中の新技術開発事業団法案につきまして、員会より連合審査会開会の申し入れがございますが、商工委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○山口委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○山口委員長 次に、ただいま商工委員会で審査中の鉱工業技術研究組合法案は、本委員会とも関連がございますので、商工委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○山口委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 なお、各案件についての商工委員会との連合審査会は、できましたならば同時に行ないたいと存じますので、さよう御了承下さい。
 なお、開会の日時などにつきましては、商工委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたしたいと存じます。
     ――――◇―――――
#6
○山口委員長 次に、科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、この際、これを許します。石川次夫君。
#7
○石川委員 防衛庁長官に質問をしたいのですが、大へん忙しいようでございます。私の今から質問しようとすることは、昨日参議院の予算委員会で自民党の武藤委員の方からも質問があったというふうにも聞いておりますから、極力簡単に質問申し上げたいというふうに考えております。
 実は原子力研究所が東海村にできましてから、いろいろな問題がございますが、ともかくも日本における、また、東洋における唯一のメッカという形で、その躍進は非常に目ざましいものがあります。この原研の内部の問題としては、いわゆる研究者の待遇の問題、あるいはまた、安全性をどう確保するかというふうな問題、その他いろいろありますけれども、この内部の問題は、一応この際除外するといたしまして、原研をめぐる問題としては、緊急に処置すべき問題が二件ほどございます。
 それは、昨日の委員会で申し上げましたから、一つの方ははずしますけれども、御承知のように、原子力都市周辺整備法というものがないと、せっかく今度の国会に出ました損害賠償法案というものについても一定の基準が出てこない。すなわち、たとえば、放射能による個人の障害というものは、非常に個人差がはなはだしいのでございますけれども、これをふだんから検診するというふうなことで、どこからどこまでの居住者にこれを適用するというようなことをやっておかないと、はたしてそれが放射能による障害かどうかというような判定もできないというような事情もございます。
 それからさらに、昨日も触れたのでございますけれども、東海あるいはその付近、すぐ隣に勝田という、首都圏整備委員会で一番重点を履いております工場団地というものの形成がはかられつつあります。それからまた、別の側の方の隣は、日立製作所、日立鉱山のあります日本でも指折りの工業地帯が控えておる。そこへ大企業が誘致されておる。富士電機あるいは三菱電機、あるいは古河電工というようなものを初めとする大工場の誘致というものは、熾烈に実現を見つつあるわけであります。地元の住民としては非常にこれを歓迎しつつありますけれども、原子力都市周辺整備法というものができないと、やたらに大企業というものが誘致されて、誘致をされた結果に基づいて、逆にそれに迎合しながら、それに妥協しながら原子力都市周辺整備法案というものができると、安全性というものに対する学問的な良心というものを全然抜きにした、とんでもない法案ができてしまうのじゃないかという非常な不安が一つあるわけで、この点については、昨日科学技術庁の長官に対して、強く、早く法案の提出方を要望しておいたわけでございます。
 それと、あと一つの問題は、今申し上げましたように、大へんこの地方の開発は目ざましい発展を遂げつつあります。一つは、那珂湊、勝田、東海のその中央部に、何と三百六十万坪にわたるところの爆撃演習場があることは、防衛庁長官も御存じだろうと思います。ところで、この問題は、コールダーホール動力炉をこの付近に持ってくるときに、茨城県の知事としても、公聴会ではっきり言っておりますことは、コールダーホールの動力炉を設けるということの前提条件としては、射爆場はどうしても返してもらうのだという条件付でコールダーホール動力炉の導入をしております。従って、茨城県の県当局としては、コールダーホール動力炉ができ上がるまでには、どうしても射爆場の返還をしてもらわなければならないという義務を一つ負っておるわけであります。このことを一つ前提として、まず頭に入れておいてもらいたいということでございますが、さらに、この射爆場ができましてから、事故の件数が相当たくさん出ております。これは今さら申し上げなくてもおわかりと思いますけれども、大体全部でもって三百件以上の事故が起こっております。そのうち、百八十三件というのが誤投下であります。ものすごい多くの誤投下が、相次いでことしに入ってから生じてきておるわけであります。そのうち、誤投下によって死んだ人が、実に六名もおるという現実でございます。これはきょう質問しようとすることとちょっと的がはずれますけれども、この六件のうちの一件というのは、超低空飛行の飛行機によってひき殺されたという事故までこの中に入っておるということで、地方の住民としては、非常に危険きわまりないことであるから、この射爆場それ自体を取り上げてみても、何とか返してもらいたい、どこかへ持っていってもらいたいというような住民感情を持つことも、けだし当然だと思うのであります。しかし、私は、そのことによって強くきょう返還を要求するということではなくて、もちろん、その理由もありますけれども、今申し上げたように、どんどん開発、発展しようとするときに、この三つの土地の結節点、ちょうと、どまん中に三百六十万坪、これは茨城県で見ますと、三十名以下の工場全部を集めた面積の約倍に当たるという、相当膨大な面積をこの射爆場が占めておるわけであります。しかも、ちょうど中心にそれが位しておるということで 非常に発展の障害になっておるということが一つの理由でございますが、それと同時に、ここで防衛庁長官に申し上げたいのは、百八十三に及ぶところの誤投下による危険というものを、まざまざと身にしみてわれわれは身近に感じておるわけです。このうちの一個が、万一間違って実験あるいは研究の場所に落ちたと仮定してみても、おそらく、水戸、日立は全滅に近いような状態になるということがおそれられておるわけでございます。どう考えても、この射爆場がこの土地に置かれておるということは、不合理きわまるという気持を強く持っておるのでございます。従って、この点について、防衛庁長官は、今までもジョンソン基地の方とも折衝されておるでございましょうが、現在の交渉の経過、それから今後の見通しということについてお聞かせを願いたい、こう考えます。
#8
○西村国務大臣 お答えいたします。
 基地一般論といたしましては、私ども日米安全保障体制を持っておりますから、必要最小限度の基地は提供しなければならぬという義務を持っておることは、御理解をいただけると思います。個々具体的の問題になりますと、ケース・バイ・ケースで、その必要度あるいは国民に与える不利益、こういうものを十分に認識しながら考えていかなければならぬと思います。
 ただいま御質問の水戸の射撃場の問題につきましては、私も十分従来からの御要望、特に原子力諸設備に関連いたしましての問題、あるいは地元の総合開発という面からの強い御要望を聞いておるのであります。私以前の歴代の長官、並びにまた、直接私のもとで所管いたしております調達庁長官におきましても、あるいは調達庁の職員におきましても、再々米軍側と折衝しておるのであります。ただ、私どもが、経緯と申しましても、細部の経緯は調達庁の方から説明させてけっこうでありますが、問題は、その間においても時間が多少かかる。従って、その間における航空機の射撃あるいは飛翔の状況等についても、少なくとも危険を避けるという方法においての約束、協定等は十分行ない、かつ実行しておる。御存じの通り、進入、射撃あるいは海上への標的の移行、こういうような事柄はやっておるわけであります。なお、今後とも当面の問題につきまして――当面というのは、交渉中の間において事故というものを防ぐ、こういう行き方については、もちろん、私はさらにさらに不断に監視し、また、やかましく言っていきたい。同時に、返還につきましては、これは地元でも要望がありますから、今後とも折衝を続けて参りたいと思うのであります。ただ、問題は、共同防衛の立場に立っております米軍としても、何らかの、あるいはいずれかの地において訓練もしなければならぬ。また、一方において、米軍側の責任もあろうと思います。それらに対して代替地をどうする、あるいは代替地を求めなければ、同じような演習を現在やっておる他の地域でやらせるか、やり得るか、こういうような問題でさらに折衝を重ねて参りたい、こういう気持でございます。
#9
○石川委員 防衛庁長官の御答弁は、私に予想されたような答弁で、その点は私も理解できないことはないのです。ただ一つ、また繰り返すような形になりますけれども、コールダーホールの動力炉を導入するときの条件が、射爆場を返還するということの条件で茨城県としては受け入れたのだ、そうでなければ相当激しい反対が出たであろう、その反対をいろいろな関係で押えながら、これを受け入れる体制に持っていったということは、射爆場を返還されるのだという希望が持たされたから、反対運動がそう熾烈に起こらなかったということで、県当局が、県民に対してこの公約を果たさなければならぬという責任を持たされておるわけであります。従って、これは私は新聞で見たのでよくわかりませんが、ただいま開かれております県の議会において、県会議員、もちろん、この背景としては県民の強い要望がありまして、どうしてもこの返還をさせなければならぬという責任上の立場から――もちろん、この返還に関する交渉は、日本政府とアメリカ政府との間における交渉が本筋でありますけれども、それだけでなしに、知事自身か一つケネディに会って陳情したらどうかというふうな世論にこたえて、そういう熾烈な要望があるものですから、そういうことをしなければならぬというようなところにまで追い詰められている。しかし、これはいいととか悪いことかは別に論じません、論外といたしますが、そういうところまで追い詰められているのだということをぜひ考えながら、今後の折衝を進めてもらわなければならぬ。
 あと一つは、県民感情といたしましては、そういうことのほかに、ただいま申し上げましたように六人も死んでいる、百八十三個も誤投下せられている。なるほど、防衛庁長官のおっしゃるように、射爆場に入る進路について相当考慮を払っているという事実は認めます。けれども、実は、先般も何回となく原研の上を飛んだという実績がある。そのことが県民感情を非常に刺激いたしまして、そういうことを防衛庁長官が約束しても、実際毎日のように飛んでいるじゃないかというようなことになったわけです。それは、実を申しますと、これはあとでわかったことでございますけれども、U2ジェット機がソ連に侵入をした問題で、この報復爆撃をするというので首脳会談が流れたというときがございます。そのときを中心といたしまして、それ以後臨戦態勢というふうな形をとられたために、今までの射爆場に対する進入路というものは全然無視されて、それで原研の上空を自由自在に飛んでおった事実があったというふうに私は考えております。最近はそういう事態はなくなったようでございますが、そういう事実を防衛庁長官は知っておったかどうか。これは本筋をはずれる問題でございますけれども、そういうようなこともありまして、危険きわまりない原研の近所における射爆場は、どうしても返してもらわなければ困る。これは決して、社会党がイデオロギーにとらわれて、基地に対して反対だというふうなことから言っているのでないことは、御理解いただけると思います。と申しますことは、これはきのうも自民党の武藤参議院議員の方からも質問が出ておったはずでありますが、全然そういう党派を抜きにして、あの辺の危険防止、安全性の確保、また、安全性を確保すること自体が原子力の発展をもたらすのに最も必要なことだという考え方と、地方の住民の感情というもののしに立って、どうしても返してもらわなければならぬ。これはそう強腰に主張するというだけでは、なかなか交渉は軌道に乗らないだろうと思いますけれども、実を申しますと、これは、だいぶ前に私の方の地元の市長たちがジョンソン基地をたずねまして司令官に会いましたときに、三十五年までに何とかするという同等を得ているのであります。ところが、これは口約束でありまして、別に契約書をかわしたわけでも何でもないので、これをたてにとってとやかく言えないという弱味はありますけれども、地元の市長に言わせると、約束違反ではないか、そういう約束をしてきたと公言してきた手前、この市長自体も責任をとらなければならぬような立場に追い詰められて苦境に立っているというような事情もございまして、これはなかなかむずかしい問題だといって過ごされる問題ではなさそうでございます。私は、科学技術振興の立場から申し上げているわけでありますけれども、これについて、科学技術庁長官は、一体この返還についてどういうお考えを持っているかということをお伺いすると同時に、これを促進して、一体いつごろまでにどうにかなるのだという、ある程度のめどのついた御回答をいただかないと、茨城県民としてはなかなかおさまらないじゃないかと思いますので、もう少し念を押して、何月何日までにというようなわけにはいかぬでしょうけれども、何とか近いうちにどうこうする見込みがあるというふうな、ある程度の目安のついた御回答を願いたい、こう考えるのであります。
#10
○池田(正)国務大臣 今約束というお言葉がございましたけれども、私は、その約束をしたということは聞いておりません。御参考までに申し上げますが、それは、地元の方々が、あるいは司令部なりどこかでそういう話が出たかもしれませんが、われわれの承知しているところでは、そういう約束というものはなかったということであります。しかし、それだからといって、ほっとくということは決してないので、きのう武藤さんにもお答えしたのでありますが、こういう交渉事というものは、強くやることがいいのか、あるいは低い姿勢でやる方がいいのか、その手かげんが非常にむずかしいのじゃないか。そこで、幸いに、今度地元の知事さんや何かがアメリカに行かれるということも聞いておりますし、そういう何らかのきっかけを作りまして、そこでわれわれも一つ行動を起こしてみたいと、私自身は考えております。
#11
○西村国務大臣 コールダーホールの受け入れに際して、地元の知事と政府との間で、これを入れるならば返還することが条件だということは、当時なかったと思います。私もそういうふうに聞いております。また、当時の茨城県の知事としては、この返還が困難な事情は十分知っておられるという前提のもとに原子炉関係諸設備が始まったということは、一応そういうふうに聞いておるのであります。しかし、現実の問題として、地元のそういう要望あるいは危険排除という点から、われわれとしては、もちろん、何らかの形で返還をさしていこうということは考えておりました。しかし、同時に、米軍の方の要望としても、あの訓練というものは、危険度が避けられれば、あの土地を簡単に放して他の土地へ代替地を求める、また、代替地の方から言えば、同じような困難性も出てくるのでありまして、そこに、私としては、今いつがめどだということは、交渉事でございますから申し上げる段階でない、ただ、返還に向かって、地元の要望を十分に体しながら、調達庁をして折衝せしめていく、こういう考えでございます。
#12
○石川委員 防衛庁の長官とすれば、具体的に、いつ幾日までというふうなことは約束できないだろうということはよくわかりますが、私の申し上げたような、こういう事情をよくごしんしゃくいただいて、何といっても、原子力研究所のすぐ隣に射爆演習場があるということは、きわめて素朴なる常識からいっても合点がいかないことです。
 それから、今の答弁によりますと、コールダーホールを持ってくるときの条件として、射爆場の返還ということにはなっておらないと言っておりますが、これは三十四年の七月三十一日に、知事が、コールダーホールの原子炉の安全性に関する公聴会においても、この記録を見るとすぐおわかりいただけるのですけれども、これを返してもらうという条件でおれの方は受け入れるのだと言っている。ですから、これははっきり契約書をかわしたということじゃなくて、はっきりそういう言明をしながら、そういう約束を取りつけながらこのコールダーホールを受け入れるという運動を進めるといいますか、当時そういう態勢にあったことは疑う余地がないわけです。それでありますから、何回も申し上げますように、県当局としても、コールダーホールの導入ということに関連して、どうしてもこれを返還させなければならぬという責任を今でも負わされておるというふうなこともありますし、また、素朴な感情からいっても、どうも危険きわまりない。また、実際問題として、今三つ実験炉が動いておりますが、さらに三つふえて、六つになるというふうなことまで考えますと、なるほど、誤投下の方向は原研の方向とはちょっとそれておりますけれども、距離的に言いますと、これは明らかに範囲内に入るわけです。それでありますから、どう考えても、このままで済むということにはいかないだろうと思います。最近、特に工場誘致というふうなことが目立って参りました関係で、特に何とかしなければならぬというふうなことになってきておるわけでございますが、とにかく、防衛庁長官も時間がないようでございますから、私の質問を打ち切りますけれども、こういう事情をとくと一つ御了承願って、できるだけ誠意を持って、そのうち何とかなるだろうということでなくて、何とかしなければならぬという気持で一つ御交渉を願いたい、こう考えます。
     ――――◇―――――
#13
○山口委員長 次に、新技術開発事業団法案を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。齋藤憲三君。
#14
○齋藤(憲)委員 私は、ただいま議題になっております新技術開発事業団法案に対して、簡単に御質問申し上げたいと思います。
 昨日の委員会で、当局に、今回提案された新技術開発事業団のやり方は、従来、理化学研究所の一部として置かれておった新技術開発部のやり方と同じ考え方で、同じことをやるのかと御質問申し上げたのに対して、その通りだという御回答を得たのでありますが、私の考え方からいきますと、せっかくこの新技術開発事業団法というものが制定されようという機運になっておるのでありますから、従来理化学研究所の一部として併置されておった新技術開発部というものからもう一段と飛躍した体制、もう一段と飛躍した考え方においてこの事業団というものは実際の仕事をやらるべきである、さように私は考えるのであります。それでなければ、せっかくこの規模を拡大して、新たに法律を作って事業団として発足する意義が非常に薄れていくのではないか、さように考えておるのでありますが、この点に対して、長官としてどういうふうにお考えになりますか、簡単に御答弁をお願いしたい。
#15
○池田(正)国務大臣 これは齋藤さんもよく御存じのように、つまり、今まで三年間積み重ねてきた、その実績に徴して、これを強化していくというのが建前でこれができたのでございまして、従って、今後さらにこれを拡大発展さして、他の方向にまでいくべきだという御意見でありますけれども、残念ながら、どういう方向に進んだ方がベターで占めるかということについての見通しが立たないので、現在の段階ではこの程度でいこう、こういうことであります。
#16
○齋藤(憲)委員 この新しく議題となっております新技術開発専業団法案の二十三条第一項に「次の各号に掲げる場合においては、理事長は、あらかじめ審議会の意見を聞かなければならない」とありまして、一が「新技術の開発に関する基本方針を決定するとき。」とあるのです。前の理化学研究所に併置されておりましたときの新技術開発部の運営は、開発委員会というものがあって、開発委員会にいろいろなことをかけて、委員会の議を経なければならないということになっておって、その中には、「基本方針を決定するとき。」という項目がないわけです。ですから、私の考え方からいきますと、理化学研究所の中に併置されたのでありますから、理化学研究所というものは、これは理化学研究所法の第一条にあります通り、総合研究をやるという建前でできておって、その中に、暫定的に新技術開発部を設けた。だから、法体系からいくと、これは理化学研究所で行なう総合研究の中から、新技術開発を行なうべき必要性のあるものをピック・アップするというような解釈も従来はできておったわけなんです。ですから、新技術開発を行なう場合に、理化学研究所では基本方針に対して云々するという必要性はなかったと思う。理化学研究所という体系において、この新技術開発というものが今まで考えられておった。これは暫定設置として、この新技術開発部というものを理化学研究所に併置したのでありますから、これは法体系からいっても、非常に疑義がある処置であったと思うわけです。ところが、今度それを切り離して、独立した事業団としてやる場合には、従来の理化学研究所とはすっぱり手が切れて、審議会というものを作って、メンバーを総理大臣が任命して、そこで新技術開発の基本方針からいろいろ考えていくというのでありますから、従来とよほど考え方が違うのではないかと思います。立法精神が、そういうところに大きな飛躍体制があるのではないか、そう思うのでありますけれども、これを一つ、実際に今まで手がけてきた局長でけっこうですから、もう一ぺん御答弁願いたいと思います。
#17
○池田(正)国務大臣 先ほど齋藤委員に私がお答えしたのは、とりあえず今までやってきたことを踏襲していく、こういうことで、とりあえずのお話を申し上げたのでありますが、今御指摘のように、ここに新しい項目が掲げられた精神は、あくまでも、さらに飛躍していく、そういう新しく飛躍する方向をこの審議会できめて、そこで決定すれば、それに従って、今までよりまた幅広い方向にまでいけるという建前をとったはずだと私は了承しております。
#18
○齋藤(憲)委員 そういうふうに、今までの理化学研究所に併置されておった新技術開発部でなく、今度は独立体制をとった新技術開発事業団という建前をもって、広く日本の新技術開発に乗り出していただかないと、せっかく難儀をして法律案を審議し、また、予算をつけても、何か非常にちっぽけなような感じがするので、そういうことをぜひともお願いをしておきたいと思うのでございます。
 と同時に、事務的に、また一つここでお伺いをしておきたいのは、開発すべき新技術の決定という、従来理化学研究所がとりきたった範囲、これを一つ具体的に説明していただきたいのですが、「国または地方公共団体の研究機関」、これはわかります。それから「大学およびその附置の研究機関」というのもわかります。それから「公益法人または特殊法人の研究機関」、これは実例をあげてちょっと説明していただきたいのですが、これはどういう種類のものですか。
#19
○原田(久)政府委員 過去三年間に七件ほど開発委託をいたして参ったわけでございまして、その中の大部分は大学の研究、それから国立研究機関でございます。現在までに出しました第三番目の「公益法人または特殊法人の研究機関」に該当するものとしましては、公益法人のものはまだございませんが、特殊法人といたしましては理化学研究所がございます。
#20
○齋藤(憲)委員 私が今念のためにお伺いしましたその含みは、この新技術開発事業団が実際新技術の開発を行なうとき、従来は、理化学研究所が開発すべき新技術の決定を行なうときには、これだけの研究機関に限定して、そこから出てきた新技術開発でなければやらないという態度なのです。そういう限定を今度の新技術開発事業団もやるのかどうか。
#21
○原田(久)政府委員 新技術開発事業団で今後取り上げたいと考えております研究成果といたしましては、広く各方面に呼びかけまして、その研究テーマを発見したいと考えておりますが、その際、まず一般的に考えられますのは、「国または地方公共団体の研究機関」、あるいは「大学およびその附置の研究機関」、「公益法人または特殊法人の研究機関」、ここに掲げてありますような公共的な性質を帯びております研究機関においてできました研究成果というものが一般に公表されております。従って、新技術開発事業団で候補として研究テーマを調査いたしますときには、こういう機関から主としてその候補が選ばれる可能性をたくさん持っております。これ以外の研究機関といたしまして、民間の企業体の研究成果でございますが、一般に民間の企業体は、自分の企業体の目的のために研究をしておるのがおもでございまして、公表しないのが普通でございます。そういう関係で、対象として探し出すのに困難であるという観点から、今までは、取り扱う件数も年に二件ないし三件というような関係もあって、そう手広く調べることができなかったという夢精もあったかと思いますが、主として、ただいま述べましたような三種類の機関に研究成果の厳選を求めていたわけでございます。しかし、今後発足いたします新技術開発事業団におきましては、これだけに限るのかということになりますと、私はそうではないと思います。と申しますのは、個人または民間企業等におきましてもいい研究成果があって、それが国民経済上重要であるというようなものであって、その企業ではどうしてもできないというような性質のものであれば、この新技術開発事業団の取り上げるべき対象にはなり得る、そういうふうに考えております。
#22
○齋藤(憲)委員 そういう点を考えて、昨日、私は予備的な御質問を申し上げたのであります。そうしたら、理化学研究所に併置されておる当時と同じ考え方で、同じことをやるんだ。私は、今の理化学研究所が、国または地方公共団体の研究機関、大学及びその付置の研究機関、公益法人または特殊法人の研究機関、これだけに限定して従来新技術開発が行なわれておったということは変則だ。われわれの考えておった新技術開発というものは、公的な研究機関というよりも、むしろ、企業化させるのに非常に条件の悪い立場にある大きな発明を、国家のためにものにするというところに、こういう新技術開発事業団というがごときものが必要である。公的な立場におって大きな発明をやれば、今の御説明のように、必ずその実態が明確になって、これに対しては予算措置も必ずしも不可能じゃない。しかし、民間におって、個々の研究費が大きな発明をやった場合に、これを企業化しろということになれば、御承知の通り、これくらい世の中にむずかしいものはない。だから、結局、ここに書かれてあります通りに、「「新技術」とは、国民経済上重要な科学技術に関する試験研究の成果であって、企業化されていないものをいう。」この「企業化されていないもの」ということは、企業化されにくいものをピック・アップしようということだと思うのであります。そうすると、結局、公的機関に対しては、いろいろの角度から実施化するという方法はある。しかし、民間において、個人の研究において、大きなテーマが研究的には完成されておる、しかし、なかなか企業化がむずかしいというときにこそ、こういう新技術開発事業団というようなものができて、そこで取り上げてやらなければならぬのじゃないかと思っておるわけであります。そういう点に対して、今のお話ですと、これを広げていくんだ、こういうことですが、広げていくんだといっても、今の御答弁のように、個人その他の発明を見出すということは非常にむずかしいというような点もございましょうが、新技術開発というものは、ずっと読んでみますと、必ず特許とか実用新案でなければならない、または出願中のものでなければならぬ。ですから、そういう大きな発明を、いろいろな公的研交機関に重点を置かないで、むしろ特許庁と相連携を保って、特許庁において、特許の審査過程において――これは非常に斬新な、しかも、国家経済に大きな影響を及ぼすであろう発明というものはわかるわけなんでありますから、むしろ、そういう公的な研究機関に重点をさらすより、国家全体のアイデアを助成していこうというならば、特許庁と連携をとる、または科学技術情報センターと連携をとるというような点で、この事業団がやるべき指向性を大体国家経済の重点性に置いて、そしてそういうものを考えていくということの方が、私は効率的ではないかと思うのであります。三十三、四年度に開発せられましたところの新技術というものを見ますと、これはどれだけ重要な発明かはわかりませんが、これだけをちょっと見たって、国家経済に重点的な影響を及ぼすような発明とは僕はちょっと考えられないと思うのです。内容を僕はまだ調べてないからわからぬですが、こういうような方向でなくて、今所得倍増が叫ばれ、そして、もっと飛躍的に科学技術の分野というものが世界的に展開されているというときに、一体どういうものを新技術として今後開拓すべきかという大体の方向づけを、今度はこの審議会でもってやる、それが基本方針だろうと私は思うのです。ですから、そういうような基本方針がきまった場合には、むしろ、科学技術情報センターとか、あるいは主として特許庁と連携をとって、そういうものの実態を深く掘り下げるという方が、私は事業団としてのやるべき仕事の根本のような気がするのですが、これに対してどうお考えになっていますか。
#23
○原田(久)政府委員 過去三年間の実績は七件にすぎません。これは予算規模が少なかったということも原因しておりますが、そういう事態でありましたので、十分間口を広げて調査をするというまでには至っておりませんでしたけれども、今回独立した事業団と相なるにあたりまして、間口を十分広げて調査しなければいかぬという御趣旨につきましては、全く同感でございます。開発審議会におきましても、独立する観点から、ただいまも御指摘のような、新しく「新技術の開発に関する基本方針を決定するとき」というような項目を掲げたわけでございますが、そういう方針は、経済事情、技術動向等いろいろ勘案いたしまして、どういう分野から新技術のテーマを選択していくべきかというような基本方針はここで御審議を願って、その線に沿って調査もいたしたい。調査をする角度といたしましては、ただいまも御指摘がありましたように、特許庁との連携などについても、十分これを行なわなければならないかと思っております。科学技術庁といたしましても、毎年特許庁で公告になります特許、実用新案等の中から、注目発明あるいは実用発明というような選定もいたしております。それから情報センターにつきましても、これは主として諸外国のいろいろな研究成果の情報が流されておりますが、国内につきましても、そういう情報が流されるようになりましたならば、それも利用していくというような角度から、広く選択対象を求めるということは、今後のこの審議会の意見を通じて開発事業団は進めていくべきであろうかと考えております。
#24
○齋藤(憲)委員 この新技術開発事業団の今後のやり方は、国民すべてが科学技術振興に対しての立場から、なるべく民間側からも大きな発明が生まれたときに、国家の手によってこれが育成されるのだという形を如実に示すようにやっていただきたいと思うのであります。
 もう一点だけ、お願いを兼ねて質問を申し上げておきたいことは、今度のこの法文を読んでみますと、理事長と専務理事ということですが、理事長は、私の聞いておるところでは、専任理事長ではないらしい。何かネーム・バリュウのある非常勤の理事長を置くというような構想が生まれ、そして、実際の事業団の仕事をやりますのは専務理事一人と理事四人以内、どういう適任者が選ばれるかわかりませんが、そういう体系においてこれが行なわれます場合に、第三章にあります開発審議会というものが非常に大きな役割を持ってくる。その委員は十人以内で、内閣総理大臣が科学技術に関し学識経験のある者のうちからこれを任命するということに二十五条でなっておる。ですから、この開発審議会というものは、法律の建前からいくと、非常に大きな役割と責任が出てくるわけであります。ところが、従来あった開発委員会の委員の方の名前を拝見いたしまして、これは世間的にはネーム・バリュウが非常に高いけれども、実際こういう忙しい方が、新技術開発事業団の中核をなす審議会にどれだけ時間と情熱がさけるかということなんです。この方々は非常に偉い方で、日本の科学技術を代表するようなネーム・バリュウのある方でありますから、非常に尊敬しておる方々であり、その事業及び生活の内容も知っておりますが、こういう新技術開発の事業をこれから遂行していく事業団の中核体としてこういう方にお願いして、日本の新技術開発の基本方針及びそのものずばりを決定するのに、どれだけ時間をさいていただけるかということであります。こういうネーム・バリュウのある方々をずらりと並べていいというならば、この下にほんとうに仕事をする専門委員とかそういうものを作ってやるのか、ネーム・バリュウだけ並べておいて仕事がはかどるというようなものではないと思うのだが、ここは一体どういう組織で運営をしていこうとしておられるのでありますか。
#25
○原田(久)政府委員 従来の開発委員会は、御指摘のように十名からなっておりまして、齋藤先生御持参の資料の中にも書いてあるような方々から構成されております。従来の開発委員会におきましては、御出席率も非常によく、専門的な角度からも突っ込んだ御検討が行なわれております。ただ、開発テーマなどの問題がきまって参りますと、さらに突っ込んだ専門的な調査もしなければならないというので、専門調査員をさらにテーマごとにお願いいたしまして、この開発委員のどなたか担当の方をおきめ願いまして、その方が中心になりまして、さらに突っ込んだ御調査の上、開発委員会にかけて、開発委員会としての御決定を願ってきたような次第であります。
 今後、開発審議会の構成委員をどういうふうに持っていくかということにつきましては、やはり新技術開発の対象となるような各産業の実態ないし要請、産業政策の方向等も勘案して、新技術開発に関する学識経験を有する方々で構成された審議会を作りたいというふうに考えておりますが、なお、これでは不十分とも考えられる筋もありますので、さらに専門調査をお願いするような方も別に予算的にも用意いたしまして、突っ込んだ調査をやっていただいた上で、開発審議会にかけるというふうに運営して参りたいと考えております。
#26
○齋藤(憲)委員 この点は一つ十分御勘考願いまして、万違算なきを期していただきたいと思うのであります。科学技術全般から考えますと、新技術開発に関する基本方針というようなものも、これはやはり科学技術会議にも関係があるし、また、科学技術庁の顧問会議というものもあるし、また、参与会議というものもある。ですから、この開発事業団というものが独立機関として発足するにあたっては、やはり新技術の開発という新しいテーマに向かっていくときに、大体の方向づけというものは、やはり科学技術会議の意見も聞き、または顧問会議にもかけ、参与会議にもかける。また、それは原子力方面においてもいろいろな希望もあるかもしれません。ですから新技術開発という大きな題目を掲げて、少なくとも、将来これは大きくなるのだという構想のもとに発足するときには、やはりそういう大体の向かうべき筋というものは、科学技術全体のあり方から考え、また、国家の繁栄の方向に向かって一応総体的な立場からの意見も徴して、そういうものを参考として新技術の開発に関する基本方針を決定していくというのなら、私らもよくわかるのですが、名目だけのものを十人ばかり名前を並べさせておいて、これだけの人たちが情熱と時間をどのくらいさけるかわからないが、会合のあるときには出席するなんていう、そんなことでは新技術開発の基本方針なんていうものはきまるものではない。これはりっぱな人たちが一生懸命になって、一月とか二月衆知をしぼって作業をして、初めて新技術開発の基本方針というものはきまっていく。これは非常に大事なところですから、こういう問題に対しては、科学技術関係の総力を結集して、将来新技術開発の基本方針というものはいかにあるべきかということくらいはやはり論議して、大体の構想をお示し願うような態勢にしていただいたならば、私は、新技術開発事業団発足の構想として、これは価値があるのではないかというふうに考えているのですが、こういう点に対しては長官どうお考えですか。
#27
○池田(正)国務大臣 ただいまのお説はごもっともなので、でき得る限りそういう方向に進めていきたいと思っております。
#28
○山口委員長 本日はこの程度といたし、これにて散会いたします。
   午前十一時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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