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1960/04/27 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第15号
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1960/04/27 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第15号

#1
第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第15号
昭和三十六年四月二十七日(木曜日)
    午前十時四十七分開議
 出席委員
   委員長 山口 好一君
   理事 齋藤 憲三君 理事 中曽根康弘君
   理事 中村 幸八君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君 理事 岡本 隆一君
      有田 喜一君    佐々木義武君
      西村 英一君    石川 次夫君
      田中 武夫君    内海  清君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       松本 一郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   杠  文吉君
 委員外の出席者
        宇宙開発審議会
        会長      兼重寛九郎君
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局科学調査
        官)      井上 赳夫君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局政策課
        長)      井上  亮君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山口委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 この際、欧米各国の宇宙科学技術を調査され、先般帰国されました宇宙開発審議会会長兼重寛九郎君より、その調査の概要の報告を承りたいと存じます。宇宙開発審議会会長兼重寛九郎君。
#3
○兼重説明員 ただいま御紹介にあずかりました兼重寛九郎でございます。
 最初に、御了解を得ておきたいと思います。去る二月二十二日から四月一日まで約四十日間、宇宙科学技術海外調査団というので、アメリカ合衆国、カナダ、それからドイツ、イギリス、フランス、それにジュネーブの国際機関を訪問したのでございますが、この調査団は、こういうふうな国における宇宙科学技術の現状、あるいはそれの促進方策についての近い将来の計画というようなものについて、できるだけ調査検討いたしまして、それについて報告を出すのでございます。私は、ただいま御紹介ありましたように、宇宙開発審議会の会長をしておりますものですから、この調査団の団長になりまして、今のような視察、見聞をしました結果、日本は将来どういうふうにするのがいいと思うという意見を出しますと、あとで開発審議会でその問題について討議をいたしますとき議長をしなければなりません私が、団長として意見を出すと、ほかの人を議論しにくくするというおそれもあるのであります。それで、私が団長をお引き受けしますときに、そういう意見めいたことは調査団としては言わないことにするということで、科学技術庁長官の了解も得まして参ったわけであります。そこで、今のような調査報告は、できるだけ早くまとめて提出する予定になっておりますが、明日の午後、調査団がパリで解散いたしましてから初めて会合することになっております。そこでどういうような形で報告をまとめるかというような相談もすることになっており、それまでに、ついて行きました科学技術庁の村尾君が資料を整理しております。私は、それにたよるつもりでおりましたから、自分であまりメモも取っておりませんので、今日まとまった形で御報告はできないかと思いますけれども、国会の方の御都合もあることと思いますので、そういうような程度でお許しを願うつもりで今日ここへ出てきましたわけでございます。ただいま、委員長から、全体で二十分くらいで終わるようにという御希望もありましたから、そのようにいたしまして、もし御質問で、今私がお答えできないことがありましたら、またの機会に答弁させていただきたいと思います。
 私どもの調査団は全体で九人でございますが、そのうちの三人は、随員と申しますか、一人は通訳の吉田正男君、一人は科学技術庁から記録をとるために村尾君、もう一人、大蔵省の主計局から下邨君という人が行ってくれました。あと六人の中で、私を除きます五人は、航空技術研究所長の中西さん、それから東京天文台長の宮地教授、それから東京大学の生産技術研究所の教授であります高木昇さん、国際電信電話株式会社の難波研究所長、それに経団連の事務局から千賀さんという人がついてこられました。そういう構成でございました。
 最初に、二月の二十二日、ロスアンゼルスで勢ぞろいいたしまして、最初の日に、そこから日五十マイルばかり離れた砂漠の中にありますゴールドストーンという通信を受ける大きなパラボラ・アンテナがありますところに、二台の飛行機に分乗して案内されたのを皮切りに、ワシントンではNASAの木部で、次長のドライデンを初めいろいろな人に会いました。それから、その付近の研究施設、あるいはニューヨークで、民間の会社が宇宙通信と申しますか、人工衛星に使う通信の計画をいろいろやっておりますものですから、ニューヨークではそういう民間の会社を訪問いたしました。それから、南の方に下がって、アラバマ州のハンツビルにありますジョージ・C・マーシャル・スペース・フライト・センターといっておりますのが、有名なドクター・フォン・ブラウンが所長をしておりますものでございますが、昔はレッド・ストーン兵器廠とでも申しますか、そういう軍の施設であった中に、今NASAのそういうフライト・センターができまして、このセンターの中では、写真もごく一部を除いてはとらしてくれるような状態になっております。それから御存じのケープカナベラルのランチ・オペレーションズ・ディレクレートという名前のついておる、これもやはりNASAの施設でございますが、ここは、ほかに軍の施設もありますために、写真はお気の毒だけれどもとってくれるなということでございましたが、そこへも参りました。それで、アメリカ合衆国で約半分の時間を使いまして、カナダ、そしてほかの団員はジュネーブに行ってもらいまして、私はちょっとほかの自動制御の学会の理事会がノルウエーのベルゲンでありましたために、その間、そちらの理事会に三日ばかり出まして、ボンでまた合流をいたしました。そのジュネーブでは、ITUと申します何か無線通信に関する国際機構でございますが、そこをたずねてもらいました。これは国際電電の難波さんが、かねてそこの会議へ始終出てよく知っておる人たちでございますから、私は、おりませんでもちっとも支障がない、こう思いました。
 それから、ボンとゲッチンゲンの近所の研究施設へ参りまして、ロンドンへ行き、ここではイギリスのステアリング・コミティ、日本でいえば宇宙開発審議会に当たるようなものと思いますが、それの委員長などに会いまして、最後の日には、マンチェスターの近所にあります有名なジョドレルバンク受信所、天文の研究所へ参りました。パリでは、もうイースターの休みが近いために、ピエール・オージェというやはりフランスの国内委員会の重要な役割をしている人に会ったという程度で終わりました。
 今度見て参りました先では、実際にロケット飛翔体と申しますか、それを作っておりますようなところはハンツビルのフォン・ブラウンのところだけで、そこでは今サタンを一生懸命に開発しておるわけであります。そこを見たくらいでありまして、ほかは、いずれも宇宙科学の研究をいたします観測あるいは測定機器の開発をやっておるところ、あるいはそれの通信、テレメータリング、すなわち、観測した資料を地上に送り返す、そういう連絡の方法をやっておるところ、あるいは通信施設、そういうようなところが多かったものでありますから、今度の報告にも、そういう関係が多いわけでございます。
 それから、たずねました先は、NASAの本部、あるいは各国の審議会のおもなメンバーというふうなところが多うございますから、その国でどういう組織でやっているか、あるいは国際協力のやり方はどういう方法があるかとか、そういうことが主でございます。
 今日は国会の皆様へのお話でございますし、第一、私自身が専門家でございませんから、技術的なことは省くことをお許し願いまして、大体どんなような状況かということの概略をお話しすることで済ませていただきたいと思うのでございます。
 アメリカがロケットを使って、スペースに測定機器あるいはあとでは人を乗せたものを送るという計画に着手しましたのは、そう古いことではないわけでありますが、一番最初にたずねましたロスアンゼルスの近郊のパサデナにありますJPL――ジェット推進研究所というふうに訳されている研究所がございますが、その研究所は、カリフォルニア工科大学に付属した研究所ではありますけれども、そこの設備に対する費用、あるいは運営費もほとんど一〇〇%に近い大部分の金がNASAからの委託研究という形で出ております。もちろん、そのカルテクといっておりますカリフォルニア・インスティチュ―ト・オブ・テクノロジー、工科大学の人も研究を手伝いにくるそうでありますけれども、これはあまり人数が多くないのに、むしろ私は多少意外に感じたくらいでございまして、そこで専任の人がやっております。ここはレンジャー・ロプグラムと言ったと思いますが、月の状況を調べる、近いうちに月にいろいろな観測機器を着陸させて、そこでいろいろなサンプルをとって、それを化学分析をして、その結果を調べるというようなことから始め、非常に遠い先へ送るつもりでございましょうが、とりあえずそういう測定観測機器を送って状況を調べるということ、それからもう一つ、ディープ・スペースと言っておりますのがもう少し遠い、たとえば、金星や火星というような、地球に一番近い惑星の状況を調べる、そういうようなことをそこが担当しておるのでございます。ところが、そこでやっておりますのは、やはり衛星とか、あるいは測定機器の研究でございまして、それを運ぶための飛翔体自身はハンツビルのフォン・ブラウンのところとか、あるいは民間の会社――これはおそらく軍の委託で開発しておると思いますが、そういう会社から供給を受けるものでありますから、そういうロケットなどの開発、研究はそこではやっていないのであります。それがずっと前にジェット・プロパルジョン・ラボというので出発いたしましたため、名前は何となくロケットなどが主であるような印象を受けますけれども、現在はそういう仕事が主力でございます。それで、現在は、たとえばそこに外国の人が手伝い、あるいはトレーニングを受けるために行くということも可能なようでありますが、前には、そこが軍の委託で動いておりましたために、非常に入りにくいところであったのでございます。そういう印象がいまだに続いておると見えて、日本からそこへ行った人は非常に少ないようでありますけれども、現在は可能であるのであります。
 あと、ワシントンで聞きましたり、あるいは昔からNASAの前身であるNACAと言ったころからありましたラングレーの研究所でありますとか、ハンツビルのフライト・センター及びケープカナベラルに参りまして一番目につくことは、マーキュリー計画といっております人を乗せた衛星を上げる計画でございます。ついこの間、ソ連がそれの先を越したわけでありますが、おそらく、これはアメリカ人として非常に意外なことではなくて、その点はアメリカの方が先にできるとはおそらく思っていないのではないかと思うのでありますが、それに対する設備万端を整えるために相当の金を使い、手順を進めておるということは、あまり発表されないと申しますか、発表されても、これが一般の報道紙上に出ませんものですから知られておりませんけれども、それの金のかけ方は、ほんとうになみなみならないという気がいたします。たとえば、ワシントンの近郊にゴッダード・スペース・フライト・センターというのが新しくできて、今完成に近づいておりますが、そこでそういうような衛星を上げますときの軌道の計算をするだけに、IBMの七〇九〇という、現在では一番正確ないい計算機、今日本では、七〇九〇はたしか原研でそれを借りることになっておりますが、借り賃だけが一年に何億円かかるというので、だいぶ問題になったほどの性能の高い計算機でございます。それを軌道の計算に使うだけに三台も持っておるとか、そのほかの仕事をするために、ちょっと台数を今記憶しませんけれども、同じ七〇九〇をまだほかにも持っておるというくらいでございます。
 それから、ラングレーでは、御承知のように、七人の宇宙航空士を訓練しております。ケープカナベラルには、そのときの総指揮所ができておりますが、その総指揮所の正面のステージには、予定の軌道が大きな図に出ておりまして、そこにいろいろあかりがつくようになって、今どこを飛んでおるとか、どこがどうとか、地上の連絡所とは連絡がつくとか、つかないとかいうようなことが、すぐ色電球で現われるようになって、また一面には、呼吸が幾つ、体温がどう、脈がどうというようなことがグラフに出るようなしかけがしてありまして、それぞれ担当の者が指令を発したり、あるいは制御したりする台が幾つか分かれております。それの総指揮官のような者がうしろの中央におるわけでありますが、さらに、そこにガラスですっかり仕切りまして、ちょうど録音室とか、あるいは国際会議場の通訳なんかのおりますような、部屋が防音になっておるような、そういうところがありまして、そこに見ることのできる席が相当人数分が用意してあります。そこでも相当長い間の訓練をしておるようでありますが、その訓練を何人ぐらいでやっているかということを聞きましたら、人間が二人必要なものに対しては三人を訓練する、それから、その総指揮官であるのは一人であるから、予備を作れば二人になるわけでありますが、その総指揮官は一人しか養成されていないようであります。なぜその大事な人を二人――予備を一人持っていないかと聞きましたら、やはりそういうチームは、人間としても非常によくまとまっていないと、こういう仕事はとてもできないので、多くの人を得ることはできない、それで一人の人が全体を掌握してやるように、そういう予備的なことは考えていないということでありました。従って、その計画を実行するためには、その人がおそらく一番大事な人であろうかと思うのであります。そういう人のことはちっとも新聞にも出ませんねと聞いたら、どうも報道関係者というのは、実際に乗る人のことは派手に報道するけれども、そういう縁の下の力持ちになる人のことは何も書いてくれないということを言っておりました。そんなような状況でございます。
 あと、ほかの国はアメリカとは全然違って、自分でそういうことができるわけでございませんから、多くの国、たとえばカナダなどは、アメリカに近いために、アメリカと協力関係を持ちまして、予定通りいけば来年の初めくらいにアメリカのロケット、多分スカウトと思いますが、それに乗せて上げる人工衛星を一つカナダが自分で金を出して作って乗せてもらうという計画を進めておることがわかりまして、その衛星の現在の進行状況などを見せてもらいました。どのくらいかかるかということについては、ちょっと何かその数字が言えない事情があるのだそうでありますが、いろいろな話から推察してみますと、その衛星が五百万ドルのオーダーであろうかと思われるのであります。そういうものをカナダは作っておりますが、それを作って乗せてもらうようにするためには、カナダ側が三人でございましたか、アメリカ側がそれより少し多い人数の委員会を一年に六回ぐらい開いておるそうであります。これはでき上がるまでに二年以上もかかるようでありますから、相当の回数そういう打ち合わせ会をしておるということがわかります。この点、カナダは隣国でありますので、ほとんど一つの国の中で打ち合わせをするのと同じでありますが、そういう打ち合わせのために要する費用も、もし国が遠い場合にはなかなかたやすくいかぬのじゃないかというふうなことは考えられます。イギリス、ドイツ、フランスでは、昨年あたりから、欧州共同で宇宙開発あるいは宇宙科学の研究をやろうという話が出て参りまして、これには二つの組織がありまして、一つの方は、学者あるいは専門家だけの集まりで、それの委員長はイギリスのロンドン大学の教授でありますが、サー・ハリー・マッセー、それの事務局長と申しますか、セクレタリー・ゼネラルをしている人がフランスのプロフェッサー、ピエール・オージェという人であります。ドイツもこれに参加を求められておるわけでありますが、そういう学問的な方への参加はいたしましたが、まだ何か……。もう一つ、イギリスの航空大臣でございましたか、ソーニクロフトという人が、イギリスの開発しましたブルー・ストリークというロケットを使い、二段目はフランスの開発した、ちょっと名前は忘れましたが、そのロケットを使います。三段目は、またどこか、さらにほかのヨーロッパの国がこれから開発するかもしれないものを使って、人工衛星をヨーロッパで上げるということをやろうではないかという提案をしたのでありますが、これがまだ全部の国から返事がきていないために、どういうことになるかわからない状況だということであります。ドイツの学者などに聞きますと、それにあまり乗り気であるようではありませんから、どういうことになるかわかりません。しかし、政府関係者は、どうもそれに参加する気であるかのような印象を受けました。
 そこで、私は、今度の調査に参りますのに、初めに申しましたような理由で、最初はちょっと消極的でございましたけれども、行って見ました結果は、やはり自分で行き、いろいろ質問をして、答えを聞いたということは大へん役に立ったと思います。これだけの旅行ができるように時間と費用を与えて下さった関係の向きに非常に感謝しておるわけであります。私は、これから宇宙開発審議会で相談をしてもらいます関係で、どういうふうにしたらいいということを今申すのはよくないと思いますし、また、自分でもその案を持っておるわけではございませんが、日本のカッパー・ロケットはかなり方々で評判を聞きました。大へんほめられました。三月の末に三百五十キロ上がった、その記事はヨーロッパの新聞にも出ておりまして、何か日本は安いロケットを作って輸出するつもりらしいとか、野澤誠一郎というのは読売の記者でありまして、まだ若い人でありますが、これが日本のロケット協会の幹事みたいな人であります。そのセイイチロー・ノザワはこういうことを言っておるとか、ああいうことを言っておるとかいうようなことが新聞にも出ておるくらいに割合に関心を引いております。ところが、科学者の方の側は、それに比べると、どうも熱が足りないと申しますか、自分でこういうふうなことをやるという意気込みが少ないのでありますか、どうもロケットの方の開発に引きずられがちであるという気がいたします。たしかカナダでありますが、たとえば、ロケットを上げるプログラムなどはどっちの方の側で主導権をとるかということを聞きましたら、もちろん観測、測定をする学者、まあ、物理学者ばかりではありませんけれども、そっちの方の側がイニシアチブをとって、ロケットの方はそれに応じて、可能な限りその注文に応ずるようにしておるという話でありますが、日本はまだそういう状況にまでなっていないと思います。従って、官地天文台長なんかに、あんた方ももっとしっかりしなくちゃいかぬのじゃないかということを旅行の途中幾度か話をいたしましたが、宮地さんも、そのときには別に私の意見には反対ではなくて、どうもその点はある程度肯定しなければならぬような状態だということを言っておりました。おそらく、今後そういうことが改善されると思うのでありますが、ここであまりそのことを申すのはどうかと思っております。
 時間をちょっと超過したようでございますが、最初に御了解を得ましたような状態でございますから、一応ここでお話を終わらせていただきます。もしも御質問でも受けますれば、そのときにお答えするようにいたします。
#4
○山口委員長 質疑の通告がありますので、この際、これを許します。岡良一君。
#5
○岡委員 兼重会長には、御年輩にもかかわらず、おそらく非常にあわただしい御旅行で恐縮でした。しかも、お疲れもまだいえないかと思いますけれども、委員会といたしまして、先般ソ連が宇宙人衛星を打ち上げたことに従いまして、実は、日本国内のロケット工学なり、あるいは宇宙医学なり、また、広く国際的に宇宙開発についての識見を持っている方を参考人としてお呼びいたしまして、いろいろ御所見を承りました。たまたま宇宙人衛星打ち上げのころに兼重さんは外国を御旅行で、しかも、その目的が宇宙開発のための諸調査ということでございまして、ぜひ一つお話を承りたいということから、私ども強く先生に委員会への御出席を求めた次第でございます。もちろん、今、先生もおっしゃいましたように、いずれ調査団といたしまして精緻な御報告があろうかと思います。また、その御報告に基づいて宇宙開発審議会としての御方針も策定せられることでございましょう。それらが明らかになりましてから、わが国の宇宙開発はどうあるべきかというようなことについて、当然委員会としても十分に検討をしたいと思います。ただ、先般御帰朝になって以来、先生は、新聞を通じまして私ども承知しておるところによりますと、国際協力というような点、あるいはまた、国内体制の整備というような点について、若干御意見を発表しておられたかに存じております。たまたま、先般参考人の諸君をお呼びしたときにも、その点にいろいろ問題があるやに私は感じましたものですから、先生の御出席を要求いたしたようなわけでございますが、今ここで、会長として公式な御所見を私から無理に求めるということは、まだ時期が至っていないかもしれませんので、ただ若干お尋ねをいたしたいと思いますのは、先生の今度の調査のスケジュールはどなたがお立てになったのでございましょうか。
#6
○兼重説明員 調査のスケジュールは、科学技術庁の計画局で立てるということでございました。しかし、調査団員がきまりましてから団員にも諮りまして、その草案に対して修正の希望があればそれを出してもらいました。たとえば、ニューヨークの郊外にありますいろいろな通信会社の研究施設を見るというようなことは、団員である難波さんが加わられましてからそういうところへも行くことになったわけでございます。従って、そういうところが加わりますれば、幾らか減ったところもあると思いますが、そういう意味では、私も意見を申しましたし、団員も申しまして、それに基づいて計画局の方で作ってくれたものでございます。
#7
○岡委員 松本次官でもけっこうですが、今、日本とソ連との間には、科学技術に関する協力協定の話し合いが進められておると新聞を通じて承知しておりますが、この協定はすでに締結されたのか、あるいはどの程度まで進んでおるか、この点について御存じでありましょうか。
#8
○松本政府委員 私もまだ初、耳でして、今、事務当局の者に聞きますと、そういう話は一向にないように申しております。もしあれば、あるいはどなたか個人的に話があれば別でございますが、政府としては、まだ初耳でございます。
#9
○岡委員 藤山さんが外務大臣のとき、また今度の小坂外務大臣に対しても、私自身も、また、われわれの同僚も、科学技術においては東西の対立を越えた協力をすべきではないか、従って、ソ連との間に科学技術に関する協力協定を結ぶべきだということを強く主張したことがございます。政府も善処するということを申しておりました。最近でもありませんが、かなり前に、すでにモスクワにおいて科学技術の協力協定についての話し合いが進んでおるということが伝えられておる。おそらく、これは事実かと思いますので、十分御調査を願いたい。というのは、ここに一つの問題があると思うのは、科学技術の国際協力、そのためにソ連邦とも協力協定をという呼びかけをする、こういう問題に対して科学技術庁がつんぼさじきにおられるということならば、そのこと自体が問題だと思う。だから、外務当局とともによく御調査になって、そうして、ほんとうに責任のある御等分をお聞きしたいと思うのであります。
 それで、兼重さんにお尋ねしたいのですが、私ども、断じてイデオロギーという立場をとって申し上げるのではございません。ただ、今日までアメリカ自身がはっきり申しておるように、いわゆるミサイル・ギャップというものは、軍事的なミサイルにおいてアメリカが技術的に劣っておるということだけではないと思う。人工衛星というような問題、ひいては、宇宙開発というような点においてのギャップを結局は意味するものと思う。今度はスペース・ギャップということが言われる。このスペース・ギャップについては、数日前、ケネディ大統領自身が、はっきりソ連よりもおくれておるということを申しておる。そこで、私は、日本の宇宙開発を進めようと思いましたならば、せっかく審議会が設置され、審議会の会長を団長として宇宙開発のために各国の実情を調査されるというならば、当然思想的な、あるいはイデオロギーの対立、政治的な体制の対立を越えて、やはり東の陣営へも出かけられて、そうして、その国の実態についてできるだけ調査される、これがほんとうじゃないかと思う。おくれた、しかも、みずからもおくれておると認める国々を回ることだけでは、その資料というものは日本の其の宇宙開発に役立つにはどうも価値が十分でない、こう私は思うわけです。率直に私の所見を申し上げましたが、兼重さんはどうお思いでございましょうか。
#10
○兼重説明員 ソ連の実情については、私ども十分には知っておりませんけれども、事実から推しまして、そちらの技術ばかりではなく、科学が進んでおるであろうということは、私どもにも想像できることであります。その点で、ただいまの岡先生の御意見も私によくわかります。一時ソ連も加えるという話が、どの程度正式の話であったかは私は存じませんけれども、出ないではなかったのであります。しかし、ソ連を加えることにいたしますと、相当の時間をそちらにさくことになりますから、ほかの方を犠牲にすることになります。そこで、日本の将来の宇宙開発――将来と申しましても、五年とか十年とかいう当座の将来計画でございますが、それを立てるときには、むしろヨーロッパ諸国、あるいはカナダというようなところの方がより参考になる、従って、ソ連のことを見せてもらうことができるようであるならば、また機会をあらためて、それだけに十分な時間を使う方がいいではないか、これは私もややそういう意見でありまして、今度行くということについては、それほど積極的な考えは持っておりませんでした。もし可能ならば、団員のうち、一部の人を向こうへ回すということもその次には考えたのでございますが、ちょうど四月の中旬から下旬にかけましてイタリアのフローレンスでコスパルの会議がありまして、その会議に団員の中の二人に出てもらうことにいたしましたが、私の念頭にありました学者というのは、そこへ出るような種類の専門家を考えておりましたし、こちらに出る方が、またより必要だというので、とにかく、ソ連の方との打ち合わせには時間もとることでもありますしするので、また次の機会が得られたらということで、今度は考えないことにいたしたわけであります。
#11
○岡委員 それにしても残念だと思います。これは科学技術庁へも私は強く要望しておきたいのですが、とにかく、人間の英知というものは、国境を越えたとうとい存在ですから、英知の世界においては、政治体制やイデオロギーの問題を越えた問題として、すぐれたものから学ぶという心組みが私は必要だと思います。それなしには、日本のほんとうの科学技術の発展はない。計画局が計画を立て、束の陣営の国々はオミットするというようなことが、どういう理由であったか知らないけれども、そういうことに私は日本の科学技術の立ちおくれの大きな要因があると思いますので、十分今後戒心してもらいたいと思います。
 そこで、兼重先生、私どもは、前々からこの委員会でも、自民党の同僚委員も御発言をしておられますが、国際連合では日本代表が議長となって、両三年前には大気圏外平和利用の特別委員会ができ、その委員会の席上で、ソ連の代表も、また、アメリカのロッジ代表も、宇宙開発については政治体制を越えた国際協力を通じて、むしろ、現在の東と西の政治体制を克服しようというようなことさえ、おととしの国際連合の総会ではっきり言っておる。ケネディ自身も、ガガーリン少佐の打ち上げに成功した直後の声明において、宇宙開発についての、また、宇宙の平和利用についての国際的な協力をソ連に呼びかけておる。ですから、われわれ理想を申し上げれば、電極条約が、ああしてきわめてピンからキリまで平和な姿においてでき上がったように、大気圏外における平和利用というものについても、国際的な合憲に立って、平和なスペース確保というようなことができる、また、そこへ持っていくためには、前提として、国際的な政治体制の対立を越えた国際協力というものが科学技術の面において進められなければならぬ。私は、その使命を特に日本の科学者は持っておると思う。そういう意味で、今後私どもは、正規な御報告に接しました上で、さらにこの問題を検討したいと思いまするが、今度の御調査においてこれらの国々が漏れたことは、私は、たまたま人工衛星、宇宙人衛星の打ち上げに成功しておるというセンセーショナルな事態においては、なおさら残念だと思います。
 それから、先般参考人の方をお呼びいたしましたときに、実はいろいろ御意見がございました。ただ、私がそれらの御意見を総合して感じましたことは、日本の宇宙開発について、どうもそれぞれの専門分野における足並みがそろっておらないのじゃないか、そしてその足並みをそろえる、調整をするということが、この宇宙開発審議会の大きな仕事ではないか、こういうふうな印象も受けたわけなんです。私は、そういう点で、諸外国のそういう分野における協力というようなものについては、全き協力態勢というふうなものができ上がっておるものかどうか、この点についての御調査の御所見があれば、伺いたいと思います。
#12
○兼重説明員 態勢がどこの国でも十分かという御質問に対しては、必ずしもそうではないというのが私の印象でございます。アメリカのように、自分であれだけのことをするNASAという大きな機構を持っておりますが、あすこで何でもまとまるかというと、そうでもないようでございます。ほかの国でも、それぞれいろいろな機構を持っております。たとえば、ドイツなどは、日本の宇宙開発審議会の話を聞きまして、ちょうど自分たちもこんなようなものを作ったらいいと思っておったので、大へん参考になるから資料をくれ、どういうような人たちをメンバーにしているか、そのメンバーのリストもほしいというようなこともございましたから、この点は、国によっては日本の方が少し先だともいえるかもしれません。
 それから、各分野によって専門家の足並みがそろってないという御指摘は、私もそういう感じを持っております。先ほど、私の報告のおしまいに申しましたことが、一部分それに当たるかと思うのであります。それを適当に調整と申しますか、案を立てるのが宇宙開発言議会の任務ではないかということにつきましても、私も、宇宙開発審議会がそういうふうなことができることは悪いことではないと思っておりますが、非常に大事なことでございますから、あまり短時間にそういうことを無理にやることは、害があっても益がないと思います。従って、私自身としては、そういうことが、できるだけ専門家の間で生まれ出て、もちろん、専門家でありますから、めいめい自分の分野が大事だということから、そちらが大きくなる、全体を合わせれば非常にスケールの大きなものになるのが常でありまして、そこらを適当に調節するというようなことは、どこかでしなければなりません。それを宇宙開発審議会などでやるのがいいと思いますが、まだなかなかそこまで参りませんことと、宇宙開発審議会も昨年の四月発足しました当座は、三十六年度の予算についてどういうふうにしようということにおもに時間を使っております。そういう点まで含めた将来の問題については、この調査団が出発し、帰ってきてからあとにしようということできておりますから、これからそういう問題に入りまして、私もできるだけ今の御意見に沿うようなことになりたいものだとかねがね思っておったところであります。その成果がどこまで上がるかということは、もちろん私一人の能力ではできないことでありますけれども、私は、自分の能力の及ぶ範囲では、そういうふうにしたいと考えております。
#13
○岡委員 これは長官によく御伝達願いたいと思います。今、ロケットの関係は、私どもも技術的には全然しろうとでございますけれども、先般、参考人の御意見を聞いていても、ロケット工学の人は、カプセルをつけられる、カプセルにはシートはリザーブしてあるが、日本の生物学者の申し込みがないので、ほかの外国から申し込みがあった、宇宙生物学の専攻の方は、どうやら航空試験所の施設を若干利用させてもらえたので、これからは少し進歩があるのじゃないかなどということを言っておられる。そういうようなことで、おそらく材料工学とか、電子工学とか、宇宙生物学なり、天文学なり、宇宙物理学なり、軌道の計算をするには相当高度な数学も必要とするような、いわば現代の自然科学の最高水準を、しかも、それぞれの専門分野を集約して初めて宇宙開発が実現可能になるわけでありますが、学者の世界においても、今のところ全き協力の態勢になっておらない。さて、お役所にしても、現に予算の問題を見ましても、ロケット工学は文部省の生産技術研究所の方へ主としていく、通信衛星の研究なり、パラボラは郵政省、そうして、宇宙開発審議会を設けて、その運営の所要の予算等は科学技術庁へというような役所の機構、いわば官僚機構のセクショナリズムというものも、今後の新しい宇宙開発のためには大きなチェックになっておるという現状が、今度の予算を見ましても目に見える。こういう点、一つ池田長官あたりが思い切って、文部大臣ばかりに張り切らないで、こういう問題について、しっかりと、機構の上においても、あるいは研究体制においても、全き統一された態勢に持っていくように、科学技術庁としてぜひ努力してもらいたい。どんなに兼重調査団がりっぱな報告を出されても、事実、官僚機構が現状のようなものでは一向に進まないということを銘記せられて、ぜひ善処せられたいということを長官にも御伝達を願いたいと思います。
 この程度で、私は質問を終わりたいと思います。
#14
○山口委員長 暫時休憩いたします。
   午前十一時四十二分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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