くにさくロゴ
1960/05/11 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第17号
姉妹サイト
 
1960/05/11 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第17号

#1
第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第17号
昭和三十六年五月十一日(木曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 山口 好一君
   理事 菅野和太郎君 理事 齋藤 憲三君
   理事 中村 幸八君 理事 前田 正男君
   理事 岡  良一君 理事 岡本 隆一君
   理事 原   茂君
      有田 喜一君    保科善四郎君
      石川 次夫君    山口 鶴男君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 池田正之輔君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       松本 一郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   杠  文吉君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局政策課
        長)      井上  亮君
        厚生事務官
        (公衆衛生局企
        画課長)    河角 泰助君
        厚 生 技 官 蟻田  功君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力損害の賠償に関する法律案(内閣提出第
 一〇六号)
 原子力損害賠償補償契約に関する法律案(内閣
 提出第一〇七号)
     ――――◇―――――
#2
○山口委員長 これより会議を開きます。
 原子力損害の賠償に関する法律案及び原子力損害賠償補償契約に関する法律案の両案を一括議題といたします。
 質疑の通告がありますので、この際、これを許します。岡良一君。
#3
○岡委員 昨日この委員会に御出席になった中島参考人の意見には、われわれもいろいろ学ぶところがありました。これに関連いたしまして、幸い、厚生省の企画課長もお見えでございますので、広島、長崎における被爆者の医療に関して、先般の国会で特例が法制化されたのでございますが、その内容をこの機会に御説明を願いたいと思います。
#4
○河角説明員 ただいまお話がありました、広島、長崎の原爆の被爆者に対します医療関係の法律の中身について御説明申し上げます。
 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律というのが昭和三十二年三月に制定いたされまして、昨年、ただいま御指摘の通り一部改正を受けておるわけであります。その内容につきましては、国が原爆被爆者の現在置かれております特別の状態にかんがみまして、健康診断及び医療を行ないますことをこの法律ではうたっておるわけでございます。その場合に、被爆者というものを一応この法律で定義いたしておりまして、原子爆弾が投下されました際に、当時の広島市、もしくは長崎市の区域内または政令で定めるこれらに隣接する区域内にありました者、大体大ざっぱに申し上げますと四キロないし五キロくらい、爆心地を中心にいたしまして円を描きまして、その範囲にありました者、これを私ども直接被爆者と申しております。それから、第二番目に、原子爆弾が投下されましたときから起算をいたしまして――これも政令で期間を定めておるわけでございますが、二週間以内の間に――これも一番最初に申し上げました直接被爆者の区域をさらにしぼったものでございますが、爆心地から二キロぐらいのところに出入りをいたした、これも被爆者というふうに定義してございます。それから、第三番目に、今まで申しました者のほかに、要するに、原子爆弾が投下されました際に、たとえば、死体の焼却でございますとか、あるいは死体その他、特別に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情にあった者を第三番目に掲げております。それから、以上の者が被爆した際に胎児であった者、これを第四番目に掲げております。以上が大体被爆者の範囲で、これらの被爆者は、都道府県知事の手帳を交付することによって認定いたしておるわけであります。現在約二十一万人ほど、そのうちで、広島、長崎の市、県を含めますと十八万人ぐらいが現在も広島県、長崎県に住んでおる者であります。
 これらの被爆者に対しまして、この法律ではどういうことをやっておるかといいますと、まず、最初に、健康診断でございます。これは年に二回、政令のきめるところによりまして健康診断をいたしております。健康診断の際に、特に精密検査を要するような者は、さらに精密検査をいたすというようなことで、一般の健康診断と精密健康診断、こういう二段がまえで健康診断をいたしておるわけでございます。それから、さらに、精密検診の結果、原子爆弾の放射能に起因いたしまして疾病にかかり、あるいは負傷して治療を要するような状態にあります者は、これに対しまして国が医療費を給付いたしております。これは現在約二百ばかりの医療機関を指定いたしまして、その中に、御承知のように広島、長崎の原爆病院がありますが、そこで医療をすることになっております。これが医療にかかります場合には、あらかじめ、当該の負傷または疾病が、原子爆弾の障害作用に起因しておるということを厚生大臣が認定しなければなりませんが、その場合に、大へん医学的に困難な認定でございますので、法律で原爆被爆者医療審議会というものを厚生省の中に置きまして、そこにかけまして認定をいたしておるわけでございます。
 ただいま申し上げましたのが、三十二年度にでき上がりました当初の法律の内容の概略でございますが、さらに、これが昨年の国会で改正されました。改正されました原因としましては、原爆被爆者審議会の認定にかかりまして、いわゆる原爆症と申しておりますが、原爆症と認定されますのに非常にむずかしい問題がございますので、現在約五千人くらいでございますけれども、その認定に漏れます方々の中で、かなり疾病に苦しんでおられる方があるようでございます。それから、原子爆弾の影響で疲れやすいとか、あるいは根気が続かないというようなことで、からだの不調を訴えておられる方もございます。そういうような方々を何とか手を広げて救えないかということで、それを主眼にして改正されましたのが昨年の改正でございます。その中身は、先ほど申し上げました約二十一万被爆者の中で、さらに、かなり高度に放射線の影響を受けておるというものを、法律上特別被爆者という制度を作りまして、これが実数で現在のところ約四割五分くらいでございますが、そのような方々に対しましては、除かれました特別の疾病以外の普通の疾病にかかりました場合に、その医療負担がかからないようにしてあげようということで、例を引いて申し上げますと、たとえば、健康保険にかかっておられる方が、家族が特別被爆者であるという場合は、御承知のように半額出すわけでございますが、そういう自分のふところから持ち出す分を、国が医療費としてカバーしてやるというような制度を作りまして、これは昨年の八月から施行になっておるわけでございます。
 それから、もう一つは、改正前の法律で認められておりますいわゆる原爆症患者が、原爆医療を受けております間働けなくて困っておるというような場合に、一定の所得制限を設けまして、それ以下の所得であります場合には、月額二千円程度の医療手当を支給することにいたしました。これが昨年の改正の第二点でございます。
 それで、話が前後いたしますが、特別被爆者を、しからばどういうふうに認定したのか、どういうふうなことできめたのかということになるわけでございます。これは政令できまっておるわけでございますが、一応爆心地から二キロ以内で被爆されました被爆者、これを推定いたしまして、この方々を特別被爆者といたしました。それから、それ以外のところで被爆されました方々でも、原爆症に一たんかかりました方々で、治癒いたされましたあとも原爆症を発するぐらいの放射能を受けたというような方々については、それ以後の疾病を、今言ったようにカバーするということで認定いたしたわけであります。
 それから、さらに、二キロ以外で被爆されました方々でも、その中で、二キロ以内の地に二週間以内にお帰りになっていろいろ行動されたというような方々に対しましては、健康診断の結果、ある種の症状を起こしておるといいますような場合には、それも特別被爆者というようなことで、この中に含めるというようなことにいたしております。その特別被爆者の現在までの数は、先ほどお話しいたしました全体の約二十一万の被爆者のうちで約四割程度、八万ぐらいの数になっております。
 以上が一応法律の内容でございます。
#5
○岡委員 現在治療を受けておられる方は、特別被爆者あるいはそれ以外の被爆者でどのくらいおられますか。
#6
○河角説明員 特別原爆症として認定されております法律改正前の患者は、累計でございますが、約五千人程度、それから、一般疾病の特別被爆者の場合でございますが、これは医療費払いで、件数で出て参りますので、人数はまだ的確には把握しておりませんけれども、先ほど申しましたように、被爆者のうちの約四割の八万人が特別被爆者ということで、かぜを引いたり、普通の病気にかかりました場合には、医療にかかっておるという状態であります。
#7
○岡委員 原爆症というのは、具体的にどういう病気をさしていますか。
#8
○河角説明員 ただいままで原爆症と認定されました約五千人の患者の疾病分類を見てみますと、そのうちの約六五%が血液関係の疾病で、たとえば、再生不良性貧血でございますとか、あるいは白血球の異常とか、あるいは白血病というような血液関係の疾病が約六五%であります。それから肝疾患、肝臓機能障害が一六%くらいでございます。それから悪性新生物、これが二・七%くらいになっております。そのほか内分泌関係の異常、それがごくわずか、それから、当初はかなり白内障その他目の疾患とか、外傷性疾患、ケロイドその他でございますが、そういうようなものがございました。現在のところ、眼疾患はかなり減りまして約三%であります。それから外傷関係が一〇%くらいというような疾病分類になっております。
#9
○岡委員 十年を経て病気が出てきておるというようなケースはどれくらいありますか。
#10
○河角説明員 認定疾患に、現在月々出て参りますものにかなりございまして、大体審議会を年に六回程度やっておりますけれども、それまでにたまりますのが、多いときは四百件くらいございます。もちろん、これは全部審議会におかけするわけでございません。三十二年に法律ができまして、疾病類型といいますか、そういうものがある程度固まっておりますので、そのうち、特に問題になりますものを二十件内外ずつおかけするというような状況でございます。
#11
○岡委員 そうすると、大体十年経ても二千五百件くらいは申請があるというわけでございますね。それから、遺伝的な障害、これはどう取り扱っておられますか。
#12
○河角説明員 これは、今のところ審議会で取り扱っておりません。それから、特別被爆者の一般疾病の場合でも、遺伝的疾病と先天的疾患、そういうようなものは除いております。
#13
○岡委員 あなたの方は専門だと思うのですが、どうですか、広島、長崎のケースの場合で、遺伝的な障害というものは、どういう種類のものがどの程度出ておりますか。
#14
○河角説明員 蟻田技官にお答えしていただきます。
#15
○蟻田説明員 遺伝的の状況につきましては、各方面でいろいろ調査研究をやっております。その結果によりますと、たとえば、研究の方といたしましては、広島市の被爆者の妊娠せられたお母さん方を登録しておきますとか、それから、新しく被爆者から生まれました新生児の先天的異常状況はどうかというようなことを調べております。その結果によりますと、大体、たとえば、ここ四年間ばかりの間で二万七千件ばかりの新生児についての先天性異常を探しております。この先天性奇形の発生率でございますが、この発生率は、多量に被爆を受けました被爆者の群からの発生率と、被爆を受けていない正常な群からの発生率との間で差は認められておりません。現在のところでは、遺伝的な状況は、先天性異常につきましては、被爆者のうちに特にその差が認められていないといってよろしいかと思います。
#16
○岡委員 ミクロセファルスなどが長崎や広島でかなり統計的に多いということを新聞なんかで見ましたが、あれは、そうすると何かの誤伝なんですか。
#17
○蟻田説明員 ミクロセファルス、小頭症でございますが、これは、今企画課長から御説明申し上げました四号の被爆者、すなわち、被爆の場合に母親の中におりました胎児であります。この胎児の中で、頭の径囲が短いという人があったということは確かにございます。しかし、これは胎児の場合の影響でございまして、遺伝的影響でないということになっております。
#18
○岡委員 なくなった場合に、どういうふうな給付があるのですか。
#19
○河角説明員 死亡時の給付につきましては、この法律では別に規定はございませんので、そのままになっております。
#20
○岡委員 それでは、いわゆる原爆手帳を持っておる人の中で死亡された方、少なくとも、原爆に基づくと認められる者は、ここ三年間くらいに大体年何名くらいになっておりますか。
#21
○河角説明員 主として認定患者にしぼられるわけでございますが、現在までのところ、約五千名の認定患者のうちで、三十二年度から三十六年、主として三十五年まででありますが、こちらへ届け出られました者が二百五名となっております。それから、医療を中止いたしました者、これははっきり治癒したのであるか、あるいは症状が固定してだめになったものであるか、これははっきりしませんが、いずれにしても、医療を中止いたしました者が、届け出では約百名。
 それから、先ほどの十年たって年間どのくらい新しく発生するかという御説明で、私は、医療患者の取り扱いで御説明いたしましたが、一応年次別に認定いたしました数がございますので、それを申し上げれば、どのくらいふえるかということがわかるかと思いますので、御参考までに申し上げますと、三十二年、これは法律の始まりました年でございますが、千九十一名の方に認定いたしましたのが、三十三年では千六百八十二人、これは千九十一人にプラスであります。三十四年だけでは千十三名、三十五年では千百九十二名というようなことでございまして、ただいまのところ、大体年々千名程度が新しく加わっている、こうお考えになればよろしいのじゃないかと思います。
#22
○岡委員 治療ですが、これは専門の蟻田さん、あるいは企画課長からでもお答え願えればと思います。ビキニ患者の臨床的、血液学的研究という熊取博士あたりの御発表になったものですが、これを見ると、重症患者では、輸血が全部で二千七百cc、プラズマが二千六百cc、これは救急な措置としては必要かと思いますが、そのほか、リンゲルが五百ccを十数回、五%のブドウ糖五百ccを五十八回、五〇%のブドウ糖四十ccを十数回、そのほか、ビタミンK、C、P、ルチン、ビタミンB1、B6、B12、それから、ペニシリン、ストレプトマイシン、アクロマイシン、こういうものを注射して疾病を予防しておるが、普通、健康保険とか国民健康保険の従来の治療指針では、割合こういうことが制限をされておるわけですね。だから、ビタミンの注射というようなものはかなりストリクトに制限されておる。それから、血液病があるからといっても、ビールスが入って化膿するという、いわば間接的な障害をあらかじめ予防するためのペニシリンやストレプトマイシンの使用というものも、実は制限されておるわけですね。ところが、この放射能障害者にはこういうものをどんどんやっていかなければならないという状態にある。こういう点は、やはり思い切りやらせておりますか、それとも、健康保険や国民健康保険の治療指針通りの治療しか受けられないということになっておるのですか。
#23
○蟻田説明員 思い切りやらせておると申し上げてよろしいと存じます。詳細には、たとえば、原子爆弾の後障害症の治療指針というものを原爆医療審議会に諮りまして、この治療指針に従いましてやったと思いますけれども、この場合の治療指針と申しますものは、原爆症の特異性にかんがみまして、相当いろいろの治療をやることができるということになっております。
#24
○岡委員 治療指針にそういう特例があるわけですね。
 そこで、政府側にお尋ねしたいのですが、今御説明をいただきました広島、長崎の被爆者に対する医療に関する特例は、これは、われわれが今審議しておる原子力災害の損害賠償に非常に大きな示唆を持っていると思う。広島、長崎の被爆者が、戦後十五年かかってどうやらここまできた。そこで、これらの人に対する損害賠償という場合に、この原爆症に対する特例という措置を大いに参考にすべきであり、また、これしか日本には参考にするデータがないと思う。これは長官にでも聞かなければいかぬと思うが、この法律の立案に当たった局長なり松本次官なり、どう考えておられるか。
#25
○杠政府委員 ただいま厚生省の方から詳細にわたって御説明いたしましたが、われわれも、やはり今後賠償法の運用にあたりまして大いに参考にしていくということを申し上げたいと思います。
#26
○岡委員 問題は、この人に与えられた損害が、はたして放射能に基づくものであるかどうかという認定が、広島、長崎の場合は爆心地から五キロ以内、あるいは二週間以内に二キロ以内へ入ったという、その事実でもって原爆手帳を渡しておる。そして、特に特別被爆者については、他の疾病についても、あるいは国保の二分の一負担や、健保の家族の二分の一負担は特にやっておる。さらに必要な場合には二千円程度のものを、所得制限はあるが、やっておるという状態ですね。ところが、事実問題として、これは瞬間に爆発している。十の十四乗というような巨大な放射能を受けておる。ところが、これはそういう激しい瞬間的な爆発によるキューリーの放散でなくても、慢性的に出てきた場合、むしろ急激に出てきたときよりも、慢性の方が、疾病という立場からいうと危険だと思う。わからないのです。非常にわかりにくいのです。だから、そういう場合に、一体それがこの原子炉なら原子炉の事故に基づいたものかどうかという認定を、付近の者に対して何を基準にして認定をするかということが非常に大事な問題になってくると思うのです。これは、この法律案を作られるならば、追って研究すべきテーマではなく、この法律案と同時に、やはりわれわれの納得のいく方針というものがあってしかるべきだと僕は思う。すでに広島、長崎では、距離でもう無条件に原爆手帳を渡しておる。しかし、原子炉の事故ということになると、その規模によって、距離というものではこれは言えないと思う。しかしながら、これは、その従業員はもとよりやっていると思うが、しかし、もし万一にも原子炉の事故があった場合には、その損害を受け得る可能性のある地域の住民に対して、不断に線量管理をやって、原爆手帳をやって、君はどこそこにおったのだから、その法律の所定の資格があるのだという認定ではなく、毎年々々、あるいは一年に二回くらい、何カウントなら何カウントとこの放射能をはかっておかなければならない。そうでなければ、さて、病気になったときに何ら物的な挙証がないわけです。それでは私は非常に不親切だと思う。いかに法律の上で援助するといったところで、しかも、最後は法廷に出さなければならない。法廷に出してみれば、物的な挙証がないということになったのでは、この法律案というものは結局底がざるになるわけです。これは具体的に何か方針を持っておられるか、こうすべきものだというような率直な意見があったら、これは局長でも井上君でもいいですが、お答えを願いたいと思います。
#27
○杠政府委員 前会と申しましょうか、以前の本委員会における質疑でも、岡先生からたびたびその点について御質疑があったわけでありまして、われわれは、できれば客観的な基準というようなものを見つけたいと思うわけでございますが、何しろ、ただいまのお話のように、広島、長崎の原爆の先例以外にそのような例を用いることができません。すなわち、その瞬間的な爆発でない常時的な放射能の被害というものがキャッチできませんので、ただいま直ちにどういう検討をするということはできかねるのでございますが、諸外国における例等も十分に研究して、また、現に一部は研究しつつありますが、研究していくということにいたしております。同時に、現在の放射能の状況というものにつきましては、原子力施設を置いております場所におきましては、常時モニタリング・ステーションを置きましてその放射能をはかっております。と同時に、また、全国的にわたりまして、これは主としてはフォールアウトの関係でございますけれども、放射能の状況を、委託費を出しまして、都道府県の方で調査していただいております。従いまして、常時的なデータというものは一応整えていっております。なお、昨日石川委員からも御質問がありました点にも触れるわけでございますが、原子力施設の構内のみならず、その構外の監視のため、いわゆるモニタリング・ステーションを置くという話し合いを、たとえば東海村におきましては県当局と進めております。そのようにして、万一不幸な災害が起こりましたおりにも、それがどの程度の災害であるということが比較検討できるような状況に置くことはもちろんでございますが、現にそのような措置を一部とりつつあるということでございます。
#28
○岡委員 あなたの、局長の考え方に一つ間違いがあります。あなたは専門じゃないからかもしれぬけれども、問題は、諸外国を見る必要は何もない、日本が一番資料を持っているんですよ。その資料に基づいて、広島、長崎における医療の特例というものができておる。しかも、これはやはり十五年にわたる被爆者のなみなみならぬ努力の結果これはできておる。何も諸外国を見る必要はない。全国に二十カ所足らずのシンチレーション・カウンターを置いてフォールアウトを調べるということはナンセンスだ。そんなことはこの法律と何も関係ない。だから、付近の住民は何カウントなら何カウントの放射能を現に持っておるかということを調査しなければ、さて、いよいよ病気になった場合、だれが何を理由にして、これが放射能に基ずくものであるかどうか、認定できないじゃないですか。それだけをやるかやらないかということです。それをやりなさいということを僕は言っておるのですよ。
#29
○杠政府委員 私の説明が足りなかった点は申しわけございませんですが、やはり定期的な健康診断と申しますか、そのような措置はとっていきたいと考えております。
#30
○岡委員 健康診断じゃなく、線量管理です。稲毛の放医研に一台ある。最近、原研にも一台入ったという話ですが、東海村ならば、水戸の保健所なり、日立なり、久慈なりの保健所でやらなければいかぬ。これをやらないでおいて、さて、事故が起こったら、しかも、今御発表のように、発病が十年、十五年後にだんだんふえてきておる、そういうものが、一体それが原子炉の事故によって放射能を受けたためかどうかということの判定は、何カウントと調べておかなければならぬ。それをやる気があるかどうか。一般的な健康診断じゃない、特殊な疾病なんだ。
#31
○杠政府委員 現に、御指摘の通りに、原子力研究所に備えつけておりまして、原子力研究所では、理事長初め従業員が、まず、手始めにはかりつつあります。また、一般住民にも、おいおいと及ぼしていかなければならぬわけでありまして、その点につきましては、県当局と目下話し合いをしておるのです。あなたの御提案の通りに運びたい、運ぶということを申し上げておきます。
#32
○岡委員 東海村について言うと、コールダーホール型炉を設置すべきかいなかという公聴会のときにも、これはひとしく、茨城県知事も、東海村の村長も、議長も強くそのことを要請しておられる。国の費用で線量管理に必要な施設を作ってくれ、だから、この法律案の運用ということになれば、まず、そのことが一つのポイントになる。ほんとうにやられますか。マン・カウンターというのは一体一台幾らするのです。
#33
○杠政府委員 正確には原研に備えつけておるものは記憶に確かではございませんが、数百万円オーダーのものだと思います。これは、先ほども御説明申し上げました通りに、まず、所では、理事長が過去において原子核の研究をやっていらっしゃいましたので相当放射線を浴びておるので、まず、理事長がはかったところの写真も原研にございます。そのほか、所員が次々と目下はかりつつございますが、それを、おいおいと付近住民につきましてもやっていきたい、はかっていくということを申し上げておるわけでございます。その点について、どういうふうな手順で、どうやるかということについて、県当局と話し合いを進めておるところでございます。
#34
○岡委員 その点は、やはり非常に重要なところなんです。だから、損害賠償をうたうならば、まず、いざというときには、一つの証拠をもって正当に請求権を主張し得るような前提を、こちらが与えてやらなければならぬという点です。ですから、これは専門的にどことどこに置くべきかというようなことは私どももよくわかりませんが、できるだけ広範囲にちゃんとそれを備えて毎年はかってやるというようなこと、それから、たとえば東海村について言うと、原子力研究所以外に今はモニターの施設がありますか。
#35
○杠政府委員 原子力研究所以外には、県の方で、先ほど御説明申し上げましたように、原子力研究所の構外と申しますかに置こうとしているわけでございます。まだ現在置かれてはおりませんが、一応置こうとしておるということであります。
#36
○岡委員 長官もこられましたので、ちょっと長官にお尋ねしておきたいのですけれども、実は、今、厚生省の方においでをいただき、厚生省では、昨年の国会で長崎、広島における被爆者の医療に関する法律という法律を作られて、国会で成立しておるわけです。大体爆心地から半径五キロ以内くらいの住民約二十一万に原爆手帳というものを交付する、それから、さらに、原爆症をその後起こしたという既往症のある人たちには、特別の被爆者ということで認定をする、それで十年後でも十五年後でも、病気になれば、特別被爆者ならば、他の病気でも、やはり健康保険の家族の半額負担とか、国保の半額負担を免除して、全額国が見る、また、ぶらぶらと働けないというような状態になっている人もあることだしするから、そういう方には、ある程度の所得の制限を設けて、月二千円を出すというようなことです。しかも、ここ三十五年までの三十二、三十三、三十四、三十五と、大体新患が千名以上出ておるのです。しかも、なくなった方がその三年の間に三百名近く、二百六十名ほどあるのです。そういうように、放射能による人体の犠牲というものは非常に大きい。ところが、この法律では、一体放射能の照射を受けたために起こった病気かどうかという認定をどうしてするんだということがはっきりされておらない。もちろん、これは法律の運営として、技術庁の方で政令などで定めてもらわなければならぬでしょうが、そこで、問題は、やはり放射能を受けて、現在体内にどれだけの放射能の蓄積があるかということを調べておかなければいけない。それも原研や放医研の従業員だけじゃなくて、やはり原子炉周辺の、ある適当と思われる地域内の住民には調べておかなければならぬ。調べておかないと、この法律でも、最後は法廷の判決ということになる。法廷の判決ということになると、事実放射能がどれだけあったか、現在どれだけにふえたかという事実の挙証がない限りは、法廷じゃ問題にならない。水かけ論で、多くの場合泣き寝入りになる。そういうことから、広島、長崎の被爆者はなみなみならぬ努力をやった。また、政党も政府も協力して、十五年目にやっと広島、長崎における被爆者の医療の法律ができた。今申し上げたような大体趣旨のものができておる。これは、私は、世界に誇るべき法律であるといってもいいものだと思う。ということは、それだけの資料を持っておるのは日本しかないのです。だから、この法律というものを十分に翫味して、そうして、この損害の賠償の場合にはどう当たるかということを、ぜひ科学技術庁として、あるいは原子力委員会として、十分に検討してもらうということが一つ。そこで、まず、問題は、線量管理といいますか、たとえば、原子力研究所の近くの村に住んでおる人を全部、マン・カウンターという機械もあるのだし、原研にも入っており、放医研にも入っておるのだから、その中へ入れれば、この人は現在どれだけの放射能を今日まで持っておるかということがわかるわけです。それは大したお金はかからぬ、八百万程度だということです。これは当然原子炉施設の周辺の人たちにせめて適当な回数、年一回でも二回でもいい。これは専門の方の判断に私はおまかせをすることにしますが、してやっておかなければならぬ。してやって、線量を毎年はかっておかないと、これがはたして放射能に基づくかどうかということで、いざというときには非常に問題を起こしてくるから、これは私は国費でやるべきだと思う。ぜひ国費でこれはやるべきだということです。できるだけ御趣旨に沿いたいというふうなお話もありましたけれども、これはぜひやらなければいかぬ。これをやらなければ、この法案はほんとうにざるになりますよ。この点について、まず、一つ長官の責任ある御所信を承りたい。
#37
○池田(正)国務大臣 今のお話はごもっともなことで、あくまでも政府は責任を持って第三者の被害者を保護するということは当然でございまして、この法律には詳しいことは出ておりませんけれども、その趣旨は盛られておるはずであります。しかし、これからこれの運営あるいは実施面において、今おっしゃったようないろいろな具体的な問題が出てくると思います。それらについても、これはマン・カウンターというものが原研にあって、あなたが今おっしゃったように、東海村、あの近所の町の人たちなんかにも当然そういう方法で手を差し伸べて、しかし、それ一つで足りなければ、それは八百万円なんか大したことではありません。ことしの予算ではちょっと無理かもしれませんが、大したことじゃないですから、できることは当然やらなければならぬと思います。なお、御承知のように、災害の補償専門部会でも、これから後のことについては、この法律案が成立してから引き続き――これで通ったんだから、それでいいというものではもちろんないのですし、それから、きのうもいろいろお話が出ておりましたが、これと付随して、あるいは並行していかなければならぬ問題も、現にわれわれも考えられるし、御指摘になったように、同時にまた、これからもどういうことが出てくるか、これもわからない、そういうものに対しては、すべて非常な善意をもって、真剣に、とにかくそういう犠牲者をなからしめるということ、いわばこれは、ある意味では損害賠償に対する基本法、農業基本法とは違いますけれども、そういう意味で私どもは考えております。そういう趣旨でいきたいと思っておりますから、どうぞ御了承願います。
#38
○岡委員 それから、人体が放射能を浴びる、もう一つは、大地が汚染される。大地の汚染ということは、おそらく、その付近に農家があれば、農作物の汚染ということにもなる。だから、やはり大地の汚染というものも特別に――核兵器実験の放射能チリに全国あちこちで調べておりますけれども、これは一種の学問的興味とでも言うような程度のもので問題にならぬ。だから、この構内以外の必要と思われる地域の大地の汚染度というものをもう一つ調べて、人間と土地を調べる。これについても、やはり何かしら今聞いてみると、原子力研究所の構内にはそれをはかる装置が点々とあるが、外に行くと何もない。この法律は、第三者の損害を賠償するというなら、その挙証の実体というものを科学的に調査できるのだから、これはやはり設けてやらなければならぬ。それでないと、この法律案というものは、文句はうたってあるが、何をやるかということになると、これがない。これはぜひ具体的にやっていただきたい。この点も一つ長官の意見を聞いておきたいと思います。
#39
○池田(正)国務大臣 ただいま申し上げましたように、原子力委員会は、この法律案が皆様の御協力を得て通過いたしましたら、直ちにこの法律の施行について円滑に運営するために、引き続いて検討をして、万遺漏のないような、それについては、これは政党のいかんを問わず、皆さんからも御注意をいただき、それを大いに尊重して、あらゆる角度から検討を続けていく、そういうつもりでおります。
#40
○山口委員長 石川次夫君。
#41
○石川委員 原子力損害賠償法案に関しましては、参考人もたびたびおいでになって、そのつど、いろいろ御質問申し上げておるわけでございます。参考人に申し上げたことを、また繰り返すような形になりますが、要約して、この法案に対する意見と申しますか、問題点と申しますか、そういう点を申し上げたいのでございます。
 まず、第一に、この法案は、出るべくして出たということで、その出たことの趣旨に対しましては、われわれとしてはもちろん賛成でありますけれども、どうも、これをずっとそしゃくして検討を加えていくほど、何か原子力産業をやるためには、どうしてもこういう法案が必要なのだという前提でこの法案の作成を急いだという点がはっきり出ておるように思います。この法案それ自体は、そうではなくて、あくまでも第三者の損害を何とか補償してやるのだ、そういう気持が私は主眼になるべきものであるというふうに考えるわけですけれども、どうもそういうことに対しては、その前提条件みたいなものがほとんど満たされないままにこの法案がいきなり出ているという点から見ても、損害賠償という点からいいますと、非常に穴が多いし、不十分ではないか、こう私は考えざるを得ないわけでございます。これは繰り返して申し上げますけれども、この前提条件として、安全基準というものが確立されておらないという問題もあります。それから、許容量という問題も、従って、どこまでが許容されるべきであるかというふうな基準がありませんから、これ以上は危険だとか、とれ以上がまだ安全だとかいうふうな、確たる基準というものがきまっておらないという点で、この法案の趣旨が十分生かされるその土台が何もきまっておらない、こういう感じを持たざるを得ないわけです。
 それから、ただいま岡さんからるる御質問がありましたから繰り返しませんけれども、平常の第三者の健康管理、線量測定という問題、こういうものをやらないでおいてこの法案を適用するとしても、どこから適用するかということが明確にならないことになるわけでございます。
 それから、さらに、周辺都市整備法案というのは、中曽根さんがこの前科学技術庁の長官になられましたときに、いち早く、これは絶対にやるのだ、それから、射爆場を絶対に返してもらわなければならぬということを明言をしたわけです。しかしながら、今になってもこれが実現しない。射爆場の返還の問題にしても、その通りでありますけれども、そういう周辺整備の前提条件というものが満たされないと、非常に住民としては不安を感ぜざるを得ないわけでありますが、こういうものが、内閣がかわり、大臣がかわりますというと、全然引き継がれないままで、もう今になっては周辺整備というものはできないというふうな空気が非常に強くただよっておるような感じがするわけです。これは非常に地方の住民としては遺憾にたえないところであります。こういうように、前提条件がことごとく満たされておりません。
 それから、これは事故なんだということを認定するのは一体どこでやるかということも、この法案では全然はっきりしないわけなんです。まあ、大体憶測するところによると、県の方へ連絡をとって、県の方で線量検査をやってもらって、県の方で認定することになるだろうという程度のことは憶測できますが、ウインズケールの事故の場合には、放射線が出て三日たってからあぶないというので認定をして、緊急措置を命令するという措置をとったわけでありますけれども、このように、事故の認定をする、あるいはいろいろな退避の命令をするという機関は、一体どこなんだということになると、全然これもこの法案それ自体では明確にされておらないわけです。こういうような点がことごとく抜けておるということ、こういうような前提条件が抜けたままで損害賠償をするといっても、実際にこの適用を受けられるのかどうか、どういうふうになったら自分たちは補償してもらえるのか、あるいはどのくらい自分たちは補償してもらえるのだろうかという点が、実は素朴な住民感情としては、この法案を検討した結果出るところの当然の疑問だろうというふうに思わざるを得ないわけです。
 それから、あと一つといたしましては、この法案に直接の関係じゃないのでございますけれども、きのう中島参考人に伺いますというと、退避訓練などというものもやっておらないといってもよいくらいであります。そうなりますと、一体事故ができた場合に、どうやって、どこでどういう連絡機関によってこの退避をするんだということそれ自体も明確になっておらない。こういうように、この法案が出るに際しては、第三者の損害を補償するんだということが主になってこの法案が出されたのであれば、当然その前提条件をまず満たすのだということが先決問題でなければならなかったはずだ、こうわれわれとしては考えざるを得ないわけです。この法案に直接関係のある事柄ではないわけですが、私が今申し上げました範囲内において、この前提条件の中で、この法案に関連して、何とか政令あるいは施行細則という点で満たされるものがあるのかどうか、たとえば、事故の認定、健康管理、線量測定、こういうことについては、どこがやるんだということを政令できめるという意思を持っているか、あるいはまた、認定機関は一体どこにするかということを政令で定めて、これをはっきり明文化するというお気持があるのかどうか、私が今申し上げましたような周辺整備、安全基準あるいは許容量認定機関はどこになるか、あるいは健康管理、線量測定というふうなものを一体どこでやるか、まあ、退避の問題は、この法案には直接関係はないでございましょうが、今申し上げました個々の問題について、今度の法案に関連するところの政令あるいは施行細則というような形でとの法案でもって明文化される、あるいははっきり明確にされるという点はどういう点がありますか。その点をまず伺いたいと思います。
#42
○池田(正)国務大臣 大へん専門的なことになってきましたようですから、これは私が間違えて変なことを言うといけませんが、ただ私の考え方としては、先ほど申し上げましたように、この法律それ自体が万全だとは考えておりませんので、今後のいろいろな事態に処して、そういう第三者の損害等につきましても、いわゆる議会答弁といったような無責任な、その場限りの考えでなしに、これは政府としても真剣に取り組んでやっていくべきものでもあるし、やっていかなければならぬ、かように考えております。
#43
○井上説明員 ただいま最初の御質問に、この法案は第三者保護に重点が置かれていないで、どちらかといえば事業者の方に重点があるのではないかというようなお説があったわけでございますが、実際の立法の趣旨は、そのようには考えておりません。立法の趣旨としましては、まさに、石川先生がおっしゃいましたように、第三者の保護の方に主眼を置いております。ただ、実際に損害を賠償いたしますのは、事故を起こしました事業者が被害者に賠償するわけでございますので、その事業者に資力がなければ被害者の保護に欠くることになるわけでございます。従いまして、この法案では、損害賠償の責任を持つ事業者に対しまして損害賠償措置を講じさせる、しかも、その損害賠償措置も相当巨額な額を想定いたしておりますので、その裏づけとなるような保険制度とか、あるいは保険だけではカバーし切れないような場合に、国家が事業者と補償の契約をいたしまして、被害者に一人も泣き寝入りさせないというような考え方で、事業者と国との補償契約あるいは事業者に対する国の援助というような規定はございますけれども、実は、ほんとうのねらいといたしておりますのは第三者の保護、被害者の保護というのが主眼でございます。従いまして、この法案におきましては、第一条にもありますように、まず、被害者の保護をはかるということを第一に述べ、それから「原子力事業の健全な発達に資する」というような表現にいたしているわけでございます。
 次に、事故の認定の点でございますが、認定はだれがするのかということでございます。御承知のように、また、先ほど大臣からお答えがありましたように、本法は、いわば原子力損害の賠償に関します基本法的なものでございまして、言いかえますと、通常の損害賠償は民法によって処理されるわけでございますが、民法では、原子力災害というような場合に、必ずしも適切な損害賠償措置はとり得ないという特殊性があるという意味で、民法の例外法をここに作ったわけでございます。そういった基本的な法律でございますので、こまかい規定はないわけでございますが、実質上の措置によることに相なっております。ところで、先ほどの事故の認定につきましては、非常に急を要すると思います。事故であるかないか、事故が起こったか起こらないかという点につきましては、非常に急を要すると思いますので、まず、第一次的には、事業者が、放射能が最大許容線量を越えるような事態が起これば、直ちに警報組織によりまして県の警察に連絡をとる、同時に、地元の市町村役場にも連絡をとる、同時に、国にも連絡いたしますけれども、まず、一次的には、地元の地方公共団体に連絡をとる、そこで、地元県としては、正式に事故対策、事故のための警察権の発動というようなことに相なろうかと思います。なお、さらに、事業者からももちろん国は直ちに連絡を受けますけれども、県からも連絡を受ける、それによりまして、国といたしましても、この事故の拡大防止ということについて全力をあげるというような考え方を現在とっておるわけでございます。ただ、先ほど大臣から御答弁がありましたように、これらの具体的な組織化等の問題につきましては、現在県とも打ち合わせ中ではございますけれども、さらに詳細な、しっかりした組織を作りますために、今後引き続いて検討して参りたいというふうに考えておるわけでございます。
#44
○石川委員 大臣からは、非常に積極的に、誠意を持って完全なものにするために努力をすると言われましたが、その言葉は信頼いたしますけれども、そういう気持があれば、なぜ前提条件をもっと早く満たすということに全力を注がなかったか。これが具体化しないと、言葉の上で誠意を尽くすということを言われても、素朴な国民感情としては、なかなか納得いきかねる点もあるということで、今後とも、この法案をより完全なものにすることを一日も早く実現しなければならぬということで努力をしていただかなければならぬと思います。ただ、私申し上げたいのは、この法案は、第三者補償が目的であることは言うまでもないわけであります。第一条に、「もつて被害者の保護を図り、及び」と書いてありますが、「及び」ではなくて、被害者の保護をはかるのだ、そのことによって原子力産業の健全な発達をはかるのだというふうな趣旨でないと、これは同時並行の目的になっておって、主目的であるという形は明確になっておらぬ。しかし、主目的が第三者の補償である、また、そうしなければ原子力の健全な発達は実現させることができないのだということで、原子力産業の健全な発達ということは、もちろん目的ではありますけれども、第三者の補償ということが、この法に関する限りは主目的であるという点が明確であってもらいたい、こう考えるのであります。
 それから、こまかいことをいろいろ申し上げてもなんでございますけれども、認定機関は、まず、業者の方で連絡をとるといいますけれども、業者は、ある程度のものは隠蔽しようとする。これは非常に悪い言葉で恐縮でございますが、なるべく表に出したくないという気持が働くのは人情であります。従って、第三者の気持として、これは事故であるというときには、すぐに命令が出せる、認定ができるということでなければ、この法案の完全な施行は不可能である、こう考えますので、この点はぜひ早急に御検討願いたいと思います。
 それから、多少余談になって恐縮でありますが、実は、モニタリングを作る場合に、原研のうち、あるいはコールダーホール型炉の敷地のうちということだけでなくて、東海村でも作らなければならぬ。実は、この間笑い話みたいな形でありますけれども、茨城県のシジミには放射能があるということで、東京の市場でもんちゃくを起こしたという話があるのです。業者が非常に心配をしまして、ほんとうにそうなのかという真剣な問い合わせがあって、私も苦笑をいたしたのでありますが、こういうことがありますと、将来茨城県の野菜は、茨城県の魚はというようなことで、市場において立場が非常に不利になるということも考えられないものでもないわけであります。これは笑い話かもしれませんが、全国的にモニタリングを作りまして、茨城県だけがそうではないのだというようなデータが出ないと、将来茨城県としては非常に困る事態になるということが考えられますので、この点も、今のところぼつぼつそういう資料も出ておるようでありますけれども、あわせて御検討を願いたいということを、要望として申し上げておきます。
 それから、この法案で、あと一つ大へん大きな前提条件を忘れておると思うことがあります。それはどういうことかといいますと、日本の特殊事情というものを忘れてこの法案は作られておるのではないかという点であります。それは、なぜかといいますと、日本が世界でただ一つの原爆を受けた被害国である。従って、原爆症というものに対しては非常な恐怖心を持っておる。たとえば、世界原爆禁止大会というようなものも、言うまでもなく、日本が中心となって世界的な大きな集まりになっておりますけれども、ほかの国が日本ほど原爆というものに対して恐怖心を抱いておるかというと、どう考えてもそうは考えられません。だからこそ、ウィンズケールで事故が起こっても、英国人はそれほど騒がなかったということも、そこに原因していると私は考えております。しかしながら、話はわき道にそれますけれども、英国でも核兵器の禁止ということでデモをやって、六百人も検束されたというようなことで、英国人といえども、徐々に核兵器あるいは放射能障害というもののおそろしさは理解し始めておると思います。けれども、まだまだ日本人ほどにはなっておらない。こういう前提を、この法案を作るに際しまして忘れておったのではないかということがまず第一点であります。
 それから、あと一つは、立地条件というものを全然考えられなかったのではないか。と申しますことは、ウィンズケールの事故が起こったといいますけれども、あれは日本の国にあてはめてみますと、東海でああいう事故が起こったと仮定しますと、その放射能は大体浜松ぐらいまで及んでおります。日本の場合だったら一体どうなるか。ウィンズケールは大したことではないのだということで御答弁になっておられるようでありますけれども、日本は、その中に東京も含まれてしまいます。大へんな問題になります。しかも、これは放射能に対する恐怖心の程度が、イギリスと日本では大へん違いますから、日本の場合だったら大へんな騒ぎになる。きのうも参考人の中で意見が出ましたけれども、動乱になりかねない様相を呈する危険さえあるというようなことになります。それから、アイダホで事故が起こりましたけれども、アイダホは、私はよく研究したわけではありませんけれども、東海村よりもいろいろな施設が集中しておるという話を聞いております。しかしながら、このアイダホの敷地はどのくらいかというと、大体関東地方が入ってしまうような大きさです。そこで事故が起こったといってもアメリカは平静だと思いましたら、まるで敷地の面積に格段の相違がある。日本でもしあれと同じような事故が起こったら一体どうなるか。これは関東地方は全部大騒ぎです。とんでもない動乱状態になる。こういうような立地条件を全然没却されてこの法案が作られたのは、一体どういうところに出ているかと申しますと、国際間での常識、国際水準というものをもとにしてこの法案は作られておる。しかしながら、その水準では日本ではなかなか納得できない面がたくさんあるという点を、ぜひ当局には肝に銘じて記憶願いたいと思います。どういう面かと申しますと、たとえば、きのうも参考人の方が言っておりましたが、ラジオ・アイソトープというようなことが対象になっておらぬのじゃないか。拡大性放射能の性格を持つことによって生ずるところの障害ということに含めますと、ラジオ・アイソトープも入るわけでございますが、ラジオ・アイソトープというものは入っておらない。入っておらない理由というものは、漏れ聞くところによりますと、従業員ぐらいしかあまり問題にならない、第三者はほとんど対象とならないから、第三者の損害賠償という場合には、ラジオ・アイソトープの製造工場というものは対象にしなくてもよろしい、第二者の場合に考えればよろしいのであって、従業員だけを対象にすればよろしいのである、こういう考え方でこれは入っておらない。また、国際的な水準も、確かにそうなっておるようであります。私よくわかりませんが……。ですから、国際並みでやったということで良心を満たしたことになっておるのでございましょうけれども、東海村では、そうはいかないということなんです。東海村でアイソトープの工場が火事になったとかなんとかいうことになれば、その被害はまことに甚大である。従業員だけで済む問題でない。ということは、先ほど申し上げました立地条件というものが、外国と日本とでは全然違う。従って、この法案はそういう点で非常に不備であるということを言わざるを得ない。従って、外国の法文並みに、第三者障害は、そういった拡大性放射能による障害というようなことでなしに、原子炉災害だけでよろしいんだというふうに規定をしておりますけれども、それだけではきわめて不十分なものになるのではないか、住民としては非常に不安でたまらないということにも相なってくるわけでありまして、私は、その点については、どうしてもこのままで法案を通すことはきわめて不徹底である、こう考えますけれども、その点についての御見解を承りたい。
#45
○杠政府委員 いろいろと石川委員から御指摘がございましたが、拝聴いたしておりまして、一々思い当たるというように申しましょうか、非常に重要な事柄であります。従いまして、原子力委員会における部会におきましても、今御指摘になったような点は議題としてぜひ取り上げていただきまして、早急にいろいろ措置を講じたいと思っております。ことにモニタリング・システムにつきましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、県当局とも話し合いは進めておりますけれども、これは一日も早く話し合いをまとめて、そして、予算化できるものは、三十七年度の予算の編成も間近に迫っておりますので、予算化していきたいと考えております。
#46
○井上説明員 アイソトープにつきまして、この法案では対象にしていないんじゃないかという御質問があったわけでございますが、その点に関しましては、石川先生も御指摘のように、アイソトープにつきましては、各国ともに第三者災害補償の対象にするかどうかということにつきまして相当理論的、学問的な討論があったようでございます。大体、現在におきましては、御指摘のように、世界の主要国におきましては、アイソトープは一応第三者災害補償の対象からはずしております。私どもの原子力委員会の災害補償専門部会におきましてこの問題を討論いたしましたときも、同じく対象にいたして討論はいたしたわけでございますが、しかし、アイソトープの利用につきましては、御承知のように相当きびしい、きびし過ぎるという批判があるくらい放射性同位元素防止のための法律もございますし、それによって第三者に被害が及ぶというようなことは万々あり得ない、もちろん、取り扱いいかんによりましては、従業員がやはりけがをするということはあり得ると思いますけれども、少なくとも、災害補償制度を作って第三者に十分の支払いが可能なような制度を、特に制度的に作るほどのことはないのじゃないか、もちろん、第三者に対して、しからば全然被害がないかと言われますれば、それは取り扱いいかんによりましては、そういう場合も万々一ないとは言い切れぬかもしれませんけれども、その及ぼす被害の範囲は、この法案で対象にいたしておりますような原子炉の運転とか、あるいは濃縮ウランの加工事業とか、あるいは再処理事業、あるいは臨界実験装置の運転というようなものに比較いたしますれば、全然問題にならないのではないか、従いまして、万々一アイソトープによる災害が不幸にしてありましても、賠償能力としましては、特別の制度的なものを今すぐ考えなくても十分ではないか、まあ、大体世界各国でもそのような判断をしている次第でございますが、原子力委員会の災害補償専門部会におきましても、アイソトープにつきましては、一応そのような判断をいたしまして、除外いたしたわけでございます。
#47
○石川委員 ラジオ・アイソトープの科学的な知識は、私はあまりありませんものですから、学者が慎重に検討したと言われると、どうも弁駁の余地が少ないので非常に残念なんですが、しかし、私の聞いた範囲では、それは、立地条件がアメリカ、イギリス同様であれば、これは問題にならないということは言えるようであります。しかし、日本の場合には、これは当然対象としなくてはならない。でありますから、私は、先ほど申し上げたように、日本の特殊事情である被爆の経験のある唯一の国であって、非常に恐怖心が多いという点と、それから、立地条件が全然違うのだという点を忘れてこの法案が作られたのではないか。外国の法案を持ってきて一生懸命検討しているうちに、日本の特殊事情というものを忘れてこの法案が作られたのではないかという意見があちらこちらから私は出てきていると思うのです。その端的な例として、私は一つこのラジオ・アイソトープの問題をあげたのにとどまるわけであります。この点は、私もさらに検討してみたいと思うわけでありますけれども、しかし、きのうの話なんか伺いましても、ラジオ・アイソトープによる障害というものは、決してそう過小評価すべきじゃないという意見が強力に示されておったようでありますので、この点は、質問としてはこの程度でやめますけれども、さらに検討する余地があるというふうに申し上げておきたいと思います。
 それから、一応こまかい点は抜きにいたしますけれども、この法案の対象となります点で問題になりますのは、評価機関の問題があると思います。原子力委員会の中に安全審査機構というものが一応できましたけれども、これは、附帯決議で、常時活用できるような機構にしなければならぬ、あるいは、われわれの希望としては、内閣に直結する行政組織のような形でなければならぬということを申し上げておいたのですけれども、法案としては、そうはなっておらないわけであります。常時諮問に応じて答える機関にすぎないわけであって、特に原子炉を作る場合、それからこれを作ろうという場合に、審査をするということに限定をされるのがおもなる仕務なわけであります。しかしながら、せっかくこういう機構ができた以上は、これは行政機構のような形にして、内閣に直属するような形で、これを評価機関に活用するということを考えていくべきじゃないか、こう考えるわけなんです。と申しますのは、現実の問題として、損害の事故ができたという場合に、それぞれいろいろ評価をするわけでございましょうけれども、なかなか評価というものはむずかしい問題であります。しかし、実際問題とすれば、保険会社が出てきて、保険会社が業者の立場でこれを評価する意見というものは、かなり重きをなしてくるという危険がないとは私は言えないと思います。そういう点で、これをほんとうに第三者の立場として、むしろ不幸な人災、天災的な災害でありますけれども、人災による損害を受けた第三者の立場に立って何とか保護してやろう、こういう立場で評価をする機関がどうしてもなければならぬ。賠償紛争審査会というふうなものを臨時的に作っても、これはほんとうに臨時的なものであって、てんやわんやで、ほとんど収拾がつかなくなるということが容易に想像されます。こういうものでは、とても急の場には間に合わないのではないか、従って、私は、やはり安全専門審査会というものができたわけでありますから、これを活用するということを制度的に考えるべきではないか、こう考えざるを得ないわけであります。と申しますのは、この損害賠償の対象になるのは直接の損害でありまして、たとえば、移転の場合にどうなるかという問題があったり、これはまあ、いろいろな考え方がありますけれども、あるいは日常の健康診断の費用というものは一体どうなるか、それから、退避命令が出て退避をしたというときに、実際に損害を受けなかったけれども、退避によって起こったところの損害はどうなるのだというような、間接損害というものを一体どう評価するのだという、なかなか複雑な問題が次々と出てくるように予期されるわけでございまして、従って、こういう問題についても、損害賠償紛争審査会というふうな、臨時的に、応急的に作った機関では、なかなか私は処理し切れない、こう思うわけです。審査会というものは、相当権威者を集めてそういう討議をするわけでございましょうから、そういったものをそのまま生かすということになりますかどうかよくわかりませんが、その辺は検討をする余地がございましょうけれども、これを活用するということを積極的に考えなければならぬ。率直に言わしてもらえば、諮問機関ということではなくて、内閣の行政機関としてこの審査会というものがあって、その行政機関によって自動的に発動するというような形でないと、真の評価というものが確立できないのじゃないかということを非常に心配しておるわけでございます。その点についてのお考えを、一応お漏らしを願いたいと思います。
#48
○池田(正)国務大臣 これは、この前の審査会のことともよく関連してくるのでありますが、御承知のように、そういうものを――安全審査会も同様でございまして、そういうものを行政機関として常時置くということになりますと、ほんとうは、これはふだんあまり用事はないのですね。そうすると、行政機構というやつは腐ってきて、役人というものは使い道にならない。これは現実なんですよ。理屈じゃないのです。そういう意味で、今度の紛争審査会も、いつ起こるかわからない、何年に一ぺん起こるか、何百年に一ぺん起こるかわからぬ、そういったようなもののために常時行政機構として置くということは、やはり組織あるいは行政機構としての建前からいって、相当私は難点があろうと思うのです。そういう意味でございます。
 それから、もう一つは、御指摘になりましたように、保険会社からいいかげんにやられはせぬかというような御心配、これは当然考えなければなりません。えてして、そういう傾向が今まであったのです。これからはどうか知りませんが、あったのです。これは事実でございますから、これをあくまでも排除し、除去しなければならない。そのためには、今の平時においては、専門部会といったようなものは常にこれは活動しましてやっておりますし、従って、ごらんの通り、私どもが専門部会のメンバーを御委嘱する場合でも、これは十分そういう点にも留意して専門部会のメンバーを御委嘱する、こういう建前で進んでおるつもりでございます。
#49
○石川委員 評価機関の問題は、またあとで御質問したいと思いますけれども、安全専門審査会というものがせっかくできたのですから、これを活用するということは少なくとも考えてもらわなければならぬ、こうわれわれは考えざるを得ないわけです。行政組織にしたいという気持はありますけれども、いきなり今度の法案改正でそこまで持っていけるかどうかということは、われわれは非常にむずかしいと思っております。しかし、希望としては、そういう希望を持っておるということをお考えおき願いたいと思います。
 それ以外に、いろいろこまかい問題がたくさんありますけれども、省略をしたいと思います。ただ一点だけ、念のために伺っておきます。
 それは、きのうの東海村の中島さんの公述の中で、コールダーホールの事故が起こって、原研の物件が損傷する、その場合五十億円という補償――アッパー・リミットが五十億円ですが、そうすると、比例でやってみますと、物件の方にほとんど補償がいってしまって、住民の方にはいかないのじゃないかというような心配が出されておりますけれども、説明によりますと、物件は、財産の場合は全然別な補償の対象になるので、あくまでも第三者だけの問題である、こういうふうな話をあとから私伺いました。しかしながら、この法案だけ見ますと、その点が実に明確を欠いているわけですが、第三者の補償というのは、たとえば、コールダーホールが事故を起こせば、原研というものは第三者ではないか、この物件も補償しなければならないのじゃないかという、ごく素朴な疑問が出るのは、けだしやむを得ないのではないかと考える。その点がこの法文では明確になっておらない。従って、これはどういう点で明確になっておるのか、明確になっておらないとすれば、明確にする必要があるのではないかということを、非常にしろうとらしい質問なのかもしれませんけれども、一応考えついたのであります。それで、念のために伺いますけれども、コールダーホールが事故になれば、原研は第三者で、原研の物件は第三者損害としての補償の対象にならない、あるいは原研が事故を起こした場合は、コールダーホールの方はそうならない、あるいは減免という問題も出て参ります。そういう点、一つ念のために伺いたいのと、それから、事業者以外の第三者は対象になると思いますけれども、その場合の物件は、もちろん、損害の対象になると思うのです。その点が、この法文上はどうもはっきりしてないように思うので、一つ念のために伺っておきたい。
#50
○井上説明員 ただいまお話の中に、この委員会でないときに話を聞いたがということですが、実は、私が御説明申し上げたわけでございまして、ちょっと言葉が足りなかったと思います。従いまして、はっきりと申し上げさしていただきたいと思います。たとえば、コールダーホールに事故がありましたときに、お説のように、原研の物件はやはり損害賠償の対象になりますが、ただ、御承知のように、原研におきましては、やはり財産保険というような形でカバーされ得るわけでございます。そうなりますと、この法案による補償のために、その大部分の資金が消えてなくなるという関係にはならないという趣旨のことを申し上げたわけでありまして、一応この法案におきましては、建前としましては、御説のように、原電のコールダーホールの事故があった場合には、原研の施設は第三者の扱いになります。それから、なお、一般住民の民家の物件も当然本法の対象になるわけであります。
 それから、さらに、ついででございますから追加して申し上げますれば、付近の住民が避難いたしますときに、避難のための家財物件の損害、これも損害賠償の対象になります。
#51
○石川委員 大体そのくらいにしておきましょう。こまかい点についてはまた……。
#52
○山口委員長 岡良一君。
#53
○岡委員 長官に若干お伺いしておきたい点がございます。それは、昨日、一昨日、参考人の方にいろいろ御意見を承りました。そこで、東海村の原研の職員の御主張でございましたが、従業員の補償について、特別の立法措置をぜひお願いしたいという強い主張がございました。これは、私はもう当然なことだと思うのです。第三者以前に、まず、事故があれば犠牲に供せられるのは従業員でございますので、従業員の災害の補償について立法的措置を講ぜられる御決意があるかどうか、この点をまず一つお伺いしておきたい。
#54
○池田(正)国務大臣 実は、私もよく存じなかったのでありますが、有沢委員を中心にして、今までもその問題について真剣に研究して、何とかしたいということで、その検討を続けております。
#55
○岡委員 先ほど厚生省のお方からの御発言でも、いわゆる原爆症に対しては、現地の健康保険や国民健康保険では使用を制限されておるような、もろもろの栄養剤その他もどんどん使ってもいい、こういうように、治療の内容も非常に幅広く特例が設けられております。それから、やはり先ほどお話もありましたように、十二年、十三年たって年々新しく症状を訴える者が千名以上もあるわけです。こういうようなことからいたしますと、労災じゃとても到達できるものじゃない。特に労災では、最近改正になってから、打ち切り補償ということが強く訴えられておる。ところが、症状が固定したら打ち切り補償ということになるわけですが、この放射能障害の症状の固定というものは一体何か、何をもって症状の固定かという判断は、現在の医学ではでき得ない。そういうようないろいろな放射能障害というものの特殊事情に基づいて、労災とかその他の社会保険立法ではなく、これはやはり独自な放射能障害に対する法体系を持って、従業員補償を行なうことが私は当然必要だと思います。重ねて長官の御所信を承りたい。
#56
○池田(正)国務大臣 たしか労災の方も終身になっておるはずだと思います。今、岡委員が御心配になっておるような、そういうことは私も聞いておりませんし、また、そういうことはやるべきじゃないし、万々一労災保険がそういうような形で何らかの区切りをつける、線を引くといったようなことがかりにあるとすれば、そのときこそは、当然わが方としては、原子力災害に対する補償というものはあらためてやらなければいけないという事態が起こってくると思います。
#57
○岡委員 とにもかくにも、長官は非常に他の省の大臣に勧告がお好きですが、これは労働大臣に勧告を出して労災法の改正を求めるということではなくて、やはりちゃんと特別なる立法をしていただきたい。現に、広島、長崎の被爆者に対する医療という特別立法がある。そこでは、治療のワクというものを大いに拡大をし、その負担についても大幅なあれをやっている。こういう点を大きく参考にした特別立法をぜひお願いしたい。
 それから、真崎保険プール事務所長の発言に関連をして、まだはっきりした御答弁をいただいておりませんので、ここで池田長官あるいは原子力委員長にお尋ねをするが、災害の評価の中で、東海村における飛行機の墜落という事故を想定しておられるかどうか、この点を一つ……。
#58
○池田(正)国務大臣 委員会といたしましては、また、専門部会といたしましても、最悪の事態をも一応想定に入れて考慮しておる、こういうことであります。
#59
○岡委員 一昨年、特にコールダーホール改良型の動力炉を導入することについて、その安全性に関して特別な委員会ができましたね。この委員長の福田さんがこの委員会にこられたときに私は聞いた。飛行機の墜落事故についての解析がありますかと言ったら、いたしておりませんという。その後おやりになったのか、それから、おやりになったとすれば、どういう結果を出しておるのか。この間、原子力局長も、いずれ事故の解析はしたいと思うが、やりますというお話だったが、これは将来やるというお話だったのか、どういうのですか。
#60
○杠政府委員 個々の炉の審査にあたりまして、それぞれ飛行機の墜落事故ということも考慮はいたしております。しかし、前の会議でも岡委員から御指摘になりました通り、その結果を具体化するということは非常にむずかしい。その解析が非常にむずかしい解析でございますので、審査のときには、大ざっぱな見当はつけておるということでございます。しかし、具体的な計算例等についてどうであるか、データはあるかというようなことになりますと、残念ながら、非常に複雑な解析を必要としますので、出していない。従いまして、前の会議でも、今後はいかに複雑であろうとも解析をしてもらうつもりでありますということを申し上げたわけでございます。
#61
○岡委員 この「原子炉の災害評価について」という資料を見ると、原研の一号炉、二号炉、三号炉、日立研究炉には、航空機の墜落事故については一言半句出ておりません。ところが、今度東芝へくると、はっきり作っておる。航空機が廃棄物処理棟に墜落した場合はどうなるか、あるいは航空機が燃料を満載して原子炉室に衝突したらどうなるか、エンジン・シャフトが耐圧容器に突き刺さる、そういう最悪事態にどうなるかということが書いてある。ところが、問題は、米軍の射爆場が存在するために危険区域と指定されておるその区域にある原研炉は、何も飛行機墜落の解析を書いてない。関係のない東芝の方には飛行機墜落の解析がある。僕はここに問題があると思う。なぜ書いてないのですか。東芝だけ書いておる。これはどういうわけなのか。
#62
○杠政府委員 お答え申し上げます。
 東芝につきましては、やはり羽田を往復するところの飛行機事故ということを想定いたしておりますけれども、コールダーホールの審査の際におきましては、米軍の原子力施設上空の飛行禁止ということに相なっておりましたのも一つでございますし、また、その解析がきわめて複雑で、民間機と違いましてむずかしいということもございまして、まだ解析がなされていない現状でございます。
#63
○岡委員 きのう、参考人の中島君が、東海村の村民という立場、原研の従業員という立場から指摘しておられた事実は、現在でも原研の上を爆撃演習機がどんどん飛んでおるのだ、だから、誤投下は別としても、飛行機の墜落事故というものは、やはり地元の者としても関心を持たざるを得ないということを言っておる。ところが、民間航空機についてはできておるのに、航空路が指定されない、あるいはレーダーで誘導され、あるいは誘導されない飛行機がどんどん上を通っているのですよ。それを全然解析してない。動力試験炉を置くときにはしますか、そしてここに発表しますか。そういう、一方でして、一方でしないというやり方はいかぬと思う。ほんとうに損害賠償に対して政府が誠意があるならば、やはりこういうような最悪の事故についても十分考慮する、これが公正な立場だと思う。動力試験炉では解析をして結果を出されますか。
#64
○杠政府委員 確かに、御指摘の通りの不均衡と申しますか、審査にあたっての不均衡があることは認めざるを得ませんが、動力炉の設置、これはすでに御承知の通りに、安全審査部会は通過しておりますけれども、この間来申し上げておりますように、今回新たに設置されました安全審査会――強化された後の安全審査会にも局の方から解析方を申し入れて、善処していただきたいと思っております。
#65
○岡委員 そこで、これに関連して、補足的に長官にお聞きをしたい。これは宿題になっておった問題だが、米軍の飛行機が墜落をして起こった事故についての損害賠償はどういうことになるのかという点であります。
#66
○池田(正)国務大臣 これはきわめて大事なことでありますが、賠償法がない場合には、日米行政協定に基づいて、臨時特別法によって、調達庁を通じて米軍及び国から直接被害者及び原子力事業者に賠償が行なわれますが、この法律によって賠償責任の集中がなされた後は、原子力事業者が責任を負うこととなり、被害者に損害賠償を行なうこととなっております。なお、この場合には、原子力事業者は米軍及び国に対して当然求償することができるという建前をとっております。
#67
○岡委員 そうすると、この法律案のどの条章でそのことが可能になっておりますか。
#68
○池田(正)国務大臣 第五条でございます。
#69
○岡委員 それでは、万一第三者に損害を与えたというときに、要するに、原子力事業者の物的な財産の損害じゃなくて、その結果としてもたらされた間接的な第三者の損害賠償は、やはり米軍は快くその補償を七五%支払ってくれるという前提でありますか、必ずしてくれますか。
#70
○池田(正)国務大臣 ただいま申し上げましたのは、当然第三者をも含めて申し上げたわけでございます。
#71
○岡委員 それから、真崎原子力保険プール事務所長のお話で、この法律にも書いてあるが、燃料の輸送については、受け取る側が賠償の責任をとる、こう書いてありますが、そこで、具体的に私は心配するのだが、コールダーホール改良型からは、一カ年間に大体何トン使用済みの燃料が出ますか。
#72
○杠政府委員 岡先生も御承知の通り、取りかえ燃料として大体六十数トンということになっておりますから、これが約二年間は燃え続けるという計算をしておりますので、年間ということになりますと、おそらくその半量、すなわち、大体三十トン近くのものが出るのではなかろうかと考えております。
#73
○岡委員 東海村の原子力発電のコスト計算では、プルトニウム・クレジットということになって入っております。してみれば、使用済み燃料は英国に送り返す形になっておるが、どういう経路で送り返しますか。
#74
○杠政府委員 その点につきましては、まだ詳細な取りきめがなされておりません。今のお話は、プルトニウムは一応英国の方で買い取ってあげましょう、大体これはどれくらいの金額に見積もりましょうという話でございます。正確に引き取ってもらえるという契約がなされておりませんので、これを、あるいはわが国において、たとえば、燃料サイクルということが確立しましたときには使い得るかもしれません。しかし、目下のところ、プルトニウムを日本で処理し得る装置はございませんので、やはり英国へ送り返すよりはかなかろうと考えるわけであります。これをどういう輸送経路によって出すかということは、ただいまのところ、まだ決定しておりません。
#75
○岡委員 ただ、よく最近は自動車事故があります。順序とすれば、東海村から横浜までが陸送、あとは船で送るということになると思います。そうすると、ダンプカーが通っておるわ、ミキサーが通っておるわというところを――三十トン出るとしたって、コンテナーはおそらく十倍くらいの重さになるかもしれない。そうすると、三百トン以上の危険きわまりないものを陸送するということになる。こういう点は、やはり十分に研究しておいてもらわなければ困る。
 それから、僕は心配なのは、一体船で送るとするならば、船が引き受けてくれるかということだが、そこまで考えておるかどうか。これはこの問も、国際原子力機関の原子力船に関する損害賠償でも話はまとまらない。一体船で引き受けてくれるか、何か当たってみたことがあるのか。実に先の見通しということについては念が入ってないと思う。大体どういう計画でおられますか。
#76
○池田(正)国務大臣 お答え申し上げます。
 これは最も慎重にやらなければならぬので、原子力委員会でも寄り寄りそういう話も出ております。それから、どういうふうにしたら一番安全に輸送できるかということは、これは当然なんでございまして、御心配のないようにいたしたいと思います。
 それから、燃料をAEAに返す場合の先ほどの御質問でございますが、多分、国会が済みますと、私はロンドンに行くようになると思います。その場合は、この問題につきましても十分話し合いをしてみたい、かように思っております。
#77
○岡委員 とにかく、アメリカの原子力船サバンナ号が、アメリカと仲のいい国の港に行きたいという申し出をしたときに、その相手の国は、もう領海に入ってくれるなと、仲のいい国だけれども、御遠慮申し上げているという事実があるのです。ところが、ああいう小さなサバンナ号の原子炉と違って、これは使用済み燃料何十トンというものを送るのです。大体港へ寄せてくれるかどうかさえ――私は、そんなのんきな国はないと思う。仲のいい国でもそうなんだから、そういう点もよくお考えになっておかなければいかぬ。これは、ただ将来交渉するというようなことではなくて、どういう方針で交渉するというようなことをちゃんとしておかなければならぬ。
 それから、僕は、この機会に池田長官にお話を申し上げておきたいと思うのですが、実は、私どもは日英動力協定に反対をしました。反対の理由の一つは、この核燃料物質というものは、下手間違うと原爆に使用される、であるから、これは国が管理すべきだという主張をまず前提に持っているわけです。そこで、英国から買い取った核燃料物質は日本が所有権を持っているわけです。そこで、年に三十トンなり五十八トンなりの使用済み燃料が出る、何も英国に送る必要はない、これは日本が所有権を持っているのだから、日本が持っていればいい、ところが、天然ウランの使用済み燃料は、千トンばかりを処理しなければ採算ベースに乗らない、残念ながら、日本ではそれがやれないのだから、一年に出てくる使用済み燃料は、日本が所有権を確保しておく、そして、プルトニウムを向こうで加工賃を出して作らせる、向こうは採算ベースに乗るのだからやる、プルトニウムは将来日本が増殖炉を作ったときに必要なものだ、だから、日本が所有権を持っている、それが流用されないように、アメリカとイギリスとの間には、たしかプルトニウム協定のようなものがあるようだが、アメリカの原爆に変形しないように、日本も英国に対して査察権を持つ、こういう態度をとることが、日本の原子力基本法第二条の、日本の原子力研究は平和目的に限るという趣旨にかなうというのが、私どもの反対した理由です。これは長官、最近はなかなか張り切っておられますけれども、こういう問題も真剣に考えてもらわなければならぬと思います。今度また第二号炉ができるとかなんとかいうことで、相当大量な、しかも、再処理すればプルトニウムになり得るものが大量に出てくるわけであります。とにかく二年間に六十トン、六十トンといえば百キロ、百キロといえば、広島に落ちた原爆の二十発の原料でしょう、そういうものを売り渡すということは、原子力基本法の立場からいってもいかぬ。そういう点、原子力委員会としても考えてもらわなければならぬ問題が迫っておると思いますので、こういうこともぜひ考えていただきたいと思います。これで私の質問を終わります。
#78
○山口委員長 齋藤憲三君。
#79
○齋藤(憲)委員 簡単に質問を申し上げて、最後に池田長官に御答弁を願いたいと思うのでございます。
 問題は、無過失責任及び責任の集中と、これに対する求償権の第三条ないし第五条に関する問題であります。この前も、私がこの求償権につきまして質問を申し上げた速記録を読み返してみますと、私自身、言葉が足りなかったために、得心がいかない点が残っておりますので、これを一つはっきりさせておきたいと思うのであります。
 第三条には「原子炉の運転の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責任に任ずる。」とあります。そして、この求償権は、故意または過失によって生じたときにある。第一に、この損害が第三者の故意または過失により――故意か過失かという判定は、一体どういうように行なうのであるかということを事務当局に伺っておきたいと思います。
#80
○杠政府委員 これは、やはり最終的には裁判所が判定することではございますが、それ以前に解決することがもちろん必要なことでございますので、故意または過失ということの認定にあたりましては、紛争審査会の活用に待ちたいと思っております。たとえば、保険会社等においても故意、過失の認定ということはなされ得るとは思いますが、しばしば本委員会におきましても質疑が繰り返されておるように、営業会社である保険会社だけにまかせることなしに、このような際には、紛争審査会の活用をはかって参りたいと考えております。
#81
○齋藤(憲)委員 故意または過失ということが、この求償権に対しては重大な関係を持つものでありますから、将来この点に関しては非常に紛争が起きやすいと私は思います。「ただし、その損害が原子炉の運転等の用に供される資材の供給又は役務(労務を含む。)の提供(以下「資材の供給等」という。)により生じたものであるときは、当該資材の供給等をした者又はその者の従業員に故意があるときに限り、これらの者に対して求償権を有する。」それでありますから、たとえば、サプライヤーの側に立ってみますと、自分たちが熱心に研究して、これは大丈夫だと思って供給したものが、もし事故が発生したという場合、いろいろな点から故意にやったのだというような判定を受けると、求償権が出てくるわけであります。たとえて申しますれば、五十億円をこえた場合には、政府が原子力事業者に対して援助をする、ところが、その援助するという言葉の解釈もいろいろありますけれども、政府が国会承認事項の範囲内において無限に援助をする、その国家の援助額をこえるという名目によって、サプライヤーに事業者にかわって求償を行なうという権利が出てくるが、それはどうなるのですか。故意の場合にはそういう求償権があるのですか、ないのですか。それは、もしできるならば長官でもけっこうでありますが、一つ御答弁を願いたいと思うのであります。
#82
○池田(正)国務大臣 御承知のように、この法律は、まず、原子力事業者に対して、原子力の損害についての無過失賠償責任を課しておる。その上に、責任を専業者に集中しておるのでありますから、事業者以外のものは、すべて原子力損害賠償の責任を負わされることはない。ただ、問題の点は、サプライヤーに対して事業者が求償権を有するか、有する場合もある。ありますが、この法律によりましては、政府が援助を行なった場合においても、政府が代位求償をすることは全然予想してないということははっきり申し上げておきます。
#83
○齋藤(憲)委員 そうすると、あらゆる場合を想定して、故意か過失かというような紛争が起きたときに、その紛争が解決せざる限りにおいては、普通のコースから言うと、サプライヤーに対して求償権があるわけですね。しかし、私はよくわからないのですが、第五条第二項には、「前項の規定は、求償権に関し特約をすることを妨げない。」といっておる。これは何を特約しようとするのか。この前の私の質問に対して、杠原子力局長はこういうことを言っておりますね。「故意がありますときの求償権というものはございますが、その場合には、特約いたしまして、免除することもできるというようなことを制度としておるわけでございます。従いまして、故意によるところの求償権があったとしても、特約によって外国のサプライヤーは免れるというような措置を第五条第二項に講じているということでございます。」こういう答弁なんですが、そういう求償権の免除ということは、この第五条第二項の特約というものによって有効的にやり得るのか、やり得ないのか。
#84
○池田(正)国務大臣 第五条のただし書きにある通り、求償関係は事事著聞の特約にゆだねてあるわけであります。従って、その特約をする場合に、求償権を生じないようにやっておけば何でもない。問題はそこから分かれてくると思います。ですから、特約をする場合に、求償権を生じないようにしておく。そうすれば、いかなる場合でも、政府が事業者にかわってサプライヤーに求償することはない、そのように理解していただきたいと思います。
#85
○齋藤(憲)委員 そうすると、第三条の「無過失責任及び責任の集中」というものは、第五条第二項の特約ということをサプライヤーとの契約の中に入れておくと、いかなる場合があっても求償権というものはサプライヤーに及ばない、事業者及び政府がその賠償の責任に任ずる、こういうことですか。
#86
○池田(正)国務大臣 お答えいたします。全くその通りであります。
#87
○山口委員長 他に御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト