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1960/05/16 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第18号
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1960/05/16 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第18号

#1
第038回国会 科学技術振興対策特別委員会 第18号
昭和三十六年五月十六日(火曜日)
    午前十一時一分開議
 出席委員
   委員長 山口 好一君
   理事 菅野和太郎君 理事 齋藤 憲三君
   理事 中曽根康弘君 理事 中村 幸八君
   理事 前田 正男君 理事 岡  良一君
   理事 岡本 隆一君
      有田 喜一君    佐々木義武君
      西村 英一君    細田 吉藏君
      石川 次夫君    田中 武夫君
      山口 鶴男君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣 池田正之輔君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       松本 一郎君
        総理府事務官
        (科学技術庁長
        官官房長)   島村 武久君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局長)   杠  文吉君
 委員外の出席者
        科学技術事務次
        官       篠原  登君
        総理府事務官
        (科学技術庁原
        子力局政策課
        長)      井上  亮君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力損害の賠償に関する法律案(内閣提出第
 一〇六号)
 原子力損害賠償補償契約に関する法律案(内閣
 提出第一〇七号)
     ――――◇―――――
#2
○山口委員長 これより会議を開きます。
 原子力損害の賠償に関する法律案及び原子力損害賠償補償契約に関する法律案の両案を一括議題といたします。
 質疑の通告がありますので、この際、これを許します。石川次夫君。
#3
○石川委員 原子力損害賠償法案については、参考人その他からいろいろと貴重な意見を伺い、慎重なる質疑を重ねて参ったわけでございますけれども、何といっても、この法案の実施につきましては、前提条件その他、満たされないものがたくさんあるということが今までの論議の過程で明らかにされて参ったのでございます。ところで、われわれの側といたしましては、これをこのまま成立させることについては、非常な不満あるいは非常に問題となる点が多く残されておるという疑問を持っておるわけでございますが、科学技術庁の長官がお見えになっておりますので、今まで疑問になっておる点を大体要約して伺いまして、それで、この法案の成立に対して適当なる善処をしたい、こう考えておる次第でございます。今まで、大体において問題点は論議し尽くされたような感はございますけれども、ある程度整理をするというような意味で申し上げたいと思いますから、ぜひ一つ技術庁の長官の方から、簡単にして要を得た、しかるべき御答弁をお願いしたいと思うのであります。
 一つは、私何回も申し上げておりますように、原子力に対する国民感情というものは、日本とほかの国とは非常に違う。原子力あるいは核兵器に対する恐怖心が非常に強いということは言うまでもないわけでございまして、もし、ウィンズケールあるいはアイダホのような事故が日本で起こったということになりますと、おそらく、非常な社会的動揺の結果、社会的動乱を起こすような可能性を含んだところにまで発展する危険性がある。こういうような日本の特殊事情というものが、この法案を作る上に前提として考慮されておらなかったのではないか。考慮されておらないわけではなかったであろうけれども、ちょっとそれに対する考え方がはっきりときめられておらなかったのではないかというような感じを受けるわけであります。
 それから、さらに、日本の立地条件につきましても、今のところは東海村だけのようでございますが、東海村は、事故を起こしたアイダホとかウィンズケールなんかとは立地条件が全然違う。人口の密度が全然違う。そういうような人口密度の多いところでこの法案を作るとなれば、一体どうするかという点に対する考慮も十分ではなかった、こう考えざるを得ないわけであります。従って、国際的な常識として、国際的なこれに関する法案などを見まして、それを参考にこの法案は作られたというふうに考えますけれども、日本では、外国並みの法案では非常に不十分な点が多いということが忘れられたままに、国際的な常識にのっとってこの法案が作成されたという点は、われわれとしては非常に残念だというふうに考えざるを得ないわけでございます。
 現在提案されておる法案の中で、ここに特に問題になっておる点につきまして技術庁長官に伺いたいのは、まず、第一に、何回も言われておることでございますけれども、安全基準というものが全然確立されておらない。この安全基準ができないでどんどん原子炉が作られ、住民の保護というものが結果的に無視されておるという点は、何といっても非常に残念な事態といわなければなりませんし、この法案が作られても、その前提となるべき安全基準が作られておらないということでは、砂上楼閣にひとしいのではないか、こう考えておる次第であります。従って、この安全基準を何としてもすみやかに策定しなければならないということは、だれしもが考える当然の結論であると思うのでございます。これについては、今まで何回も参考人その他から伺っておりますけれども、特に伏見先生の答弁を聞きますと、あたかも、安全基準はない方がいいのだというような、非常にあいまいな答弁のように聞こえました。われわれとしてきわめて残念に考えるわけでございますが、この安全基準というものが前提条件として確立されなければ、何としてもこの法案は効力を発揮することができないのだという点をよくお考えいただいて――安全基準というものを早急に確立することがぜひとも必要だという結論にだれが考えてもなると思うのであります。その点で、技術庁長官に、この安全基準を必ず作る、しかも、われわれとしては、この法案が施行されるまでに安全基準を不十分な形でもやむを得ないから確立をして、これを発表するという段階にこぎつけてもらいたい、こういう希望を持っておるわけでございます。この点についての科学技術庁長官の御所見を伺いたいと思います。
#4
○池田(正)国務大臣 御承知のように、安全基準部会がございまして、そこで慎重に検討いたしているわけであります。また、これは非常にむずかしい問題で、世界各国でも結論が出ていないということは、これまた石川さん御承知の通りだと思います。今、石川委員の言葉の中で、不十分でもとおっしゃいましたけれども、これはやはり慎重にやるべきじゃないか、そして、できればすみやかにやって、もしもこの法律が通ったあとでも、法律というものは、その情勢に合わなければどんどん変えていけばいいのですから、そういうような意味で、研究はどんどん進めていく。そして、今あなたがおっしゃったように、これはできれば非常にいいことなんですから、そういう意味で、あなたの言われる御趣旨はよくわかるのです。だが、世界各国も取り上げることのできないような状態のものを、そう簡単にきめてやることがいいか、そのいずれがいいかということは、非常な議論のあるところだろうと思います。その辺のところは、賢明な石川委員におかれましても十分一つ御考慮を願って、私といたしましては、あくまでも今安全基準部会で検討しておるその趣旨を体し、また、今後世界の情勢、各国の動きなどを見まして、事実に即応した形のものを作っていきたい、かように考えております。
#5
○石川委員 大へん元気のいい長官が、ばかに慎重な御答弁のように思います。これは東海村の方から言わせますと、御承知のように、将来の構想としては六つばかりできてきます。特に問題になるのは、材料実験炉なんかも東海村に持ってくるということにつきましては、持ってきてしまってから、その現実の上に立ちまして安全基準を設けるというような、学問的に非常に妥協した安全基準ができる危険性が非常に多いと思うのです。厳密な安全基準はなかなか困難であって、確立された定説がないということはわかっておりますけれども、しかしながら、ある程度のファーマー論文のような基準はあるわけです。常識的にも、これ以上はひどいではないかと思われるくらいの立地条件その他の基準というようなものは少なくともできなければならない。特に御承知のように、東海村に対する集中度というものはきわめて激しいものがありまして、世界各国どこへいっても類を見ないほどの集中を見ておりますけれども、日本じゅうの原子力施設をあそこに集中しておいて、これが将来事故を起こして、あそこが一ぺんに全部使い道にならなくなったということになりますと、日本の原子力の研究施設というものは壊滅して、原子力の開発は期待できなくなる危険もあるわけであります。従って、原子炉の過度集中を避けるという点からも必要なのでありまして、周辺環境の整備をはかる、原子炉の過度の集中を避けるという意味で、安全基準というものはすみやかに策定する必要がどうしてもある。これは常識だと思うのです。そういう前提条件がないと、何回も申し上げますように、この法案それ自体も、どこに立脚して立てるかということになりますと、現実と妥協するほかないということでは、この法案の趣旨は全然生かされないということを考えざるを得ない。この安全基準をすみやかに設定するということだけは、ぜひ池田科学技術庁長官からはっきりした答弁を伺わないと、われわれとしては、この法案に対して安心ができない、信頼ができないといわなければいかぬので、まず、第一の前提条件である安全基準というものはすみやかに策定するんだ、是が非でも作らなければならぬということで、関係諮問機関その他に対してすみやかに指令をして、督励をするというかまえがなければ、われわれとしてはこの法案を無条件にのむことは不可能である、こう思うのであります。いつもの科学技術庁長官に戻って、元気のいい答弁を聞かしてもらいたい。
#6
○池田(正)国務大臣 もちろん、安全基準を作るという前提に立って、基準部会は今検討しておる。従って、石川委員の言われる御趣旨は十分わかっておるし、また、そうしなけばならぬと考えております。
#7
○石川委員 その点は、その程度にいたしますが、その次の問題点は、今のところは東海村しか例がないわけでございますが、今申し上げましたように、原子力施設ができ、そのほかに、今度はコールダーホールの発電炉も設置される予定になっております。しかし、この周辺の住民が原子力の災害を受けたといっても、ふだんの健康管理といいますか、線量調査の一定の基準がないと、どこから災害を受けたか認定ができないということにもなる。また、日ごろから線量検査をやり、定期健康診断をやって原子力災害から防護してやるという親心が必要だと考えますが、この法案では、別にマン・カウンターの設備をするとかなんとか予算措置もされておりませんし、そういう損害認定の基礎資料を作らなければならぬ法令措置が全然この中には盛られていないわけです。だから、実際事故が起こっても、どこからが事故か、個人々々に当てはめてみねば、これが放射能の災害であるかどうかという認定ができないのではないかという不安があるわけでございます。この損害認定の基礎資料となるべき日ごろの厳正な、あるいは定期的な線量調査を施すということについて、適当な措置といいますか、科学技術庁長官は必ずこれをやらなければならない、ぜひやるようにするというようにお考えになるのでなければ、この法案は生きてこない、こう考えざるを得ないので、この点に対しての科学技術庁長官の所見を伺いたい。
#8
○池田(正)国務大臣 お説の通り、これはぜひやるつもりであります。ただ、若干の予算措置――予算措置と申しましても大した金じゃございませんが、といっても、ことしの予算には間に合わないから、それを前提としてこれは着手するつもりであります。
#9
○石川委員 今、そちらから予算措置の話が出ましたけれども、大した金額じゃございませんが、ことしの予算ではこれは組んでないわけですね。この法案を出すということになれば、そういう措置も考慮した予算が当然組まれてしかるべきであったということは、これまた常識であります。予備費から出すなり何なりして、早急にぜひ実現させてもらわなければならぬと考えますので、この点、もう一度念のために伺いますのと、あと一つは、これはこの前もちょっと解れたのでございますけれども、東海村の周辺だけでは不十分だ、こういうことも考えざるを得ない。やはり一応全国的なモニタリングを作りまして、東海村とその他の村を比較検討するという基礎資料がなければならぬと考えるのでございますけれども、この点についても、不十分であれば、やはり全国的なモニタリングを設置する予算措置が必要ではなかろうか、こう思うのでございますが、この点について、念のためにもう一度長官に伺いたいと思います。
#10
○池田(正)国務大臣 予備費から出せるかどうか、これは十分検討の余地がございますけれども、とにかく、これをやらなければならぬことは当然であります。従って、あくまでも御趣旨に沿うように行動したい、かように考えます。
#11
○石川委員 それから、損害が出た場合に、これを検定して、その認定をしまして、それから一つの結論を出す、これは原子力の災害であるということを決定する機関、認定をする機関、そういうものが、原子力の事業者――原研も含みますけれども、原子力の事業者ではなくして、第三者機関としてどうしてもそういうものを設ける必要がある。事業者は、そういっては大へん失礼かもしれませんけれども、少しぐらいの損害であれば、何とか隠したいという気持が働くのは人情であります。従ってこれ以上の放射線が出れば損害が出るんだということを認定し、そして損害の基準というものをあらかじめきちんときめておく、二つの機能は全然別個なものでありますが、損害の基準をきめ、これを認定する、緊急退避なら緊急退避をさせる、これは二つの機関になると思いますけれども、そういう機関を設けないと、実際の運用上もこの法案を生かすことはできない、こう考えざるを得ない。そこで、損害の基準というものを早急にまずきめるんだ、あるいはまた、損害を認定する第三者機関を設けるんだという、この二つの点について、長官の御意見を伺いたい。
#12
○池田(正)国務大臣 事業者が隠蔽したがるというお説でございますけれども、実際問題としては、さようなことは、それぞれ組合もあることでございますので、昔の封建時代みたいに、勝手にそういうことはやりたくてもできないだろうと私は思う。また、やらしてはいけないのでありまして、当然その点も留意していかなければならぬ。それから、この法案が出ましたならば、御承知のように、直ちに賠償部会を設けまして、そこで具体的な基準を設定すべく着手するという段取りになっております。その点は御心配をおかけしないでいけるのじゃないか、かように考えます。
#13
○石川委員 今の御答弁、はっきりいたしませんでしたが、原子力の損害評価に関する具体的な基準は、一体どういう機関に、いつごろまでにきめさせるというようなことを具体的にお考えになっているかという点を、まず、第一点として伺いたい。それから、この損害の認定をして、たとえば、緊急退避をさせる、あるいは、これ以上は原子力の損害であるというようなことをきめて適当な指示をする機関は二つになるわけでございますが、この二つの機関がなければ、この法案を実際に運用することは不可能だ、こう考えざるを得ないのでございますけれども、これはどういうふうにお考えになっておるか、一つ具体的に御答弁を願いたい。
#14
○池田(正)国務大臣 これは、法律ができましたら直ちに賠償部会を作りまして、常時これによって基準を作ったり、さような問題を扱っていくわけです。いよいよ事が起こりましたならば、直ちに紛争審査会を作って、それには各方面の方々に参加していただいて、そこでこれを審査の上に決定する、こういうふうな措置をとるつもりでございます。
#15
○石川委員 賠償部会の方の話は一応わかりました。実は、居住者に対する線量調査のときに伺いたいと思ったのですが、この線量調査をやりまして、第三者機関がこれを認定して、これは事故である、あるいは場合によっては退避しなければならないと指令する、このことは事業者自身じゃ不適当だと思うのです。事業者が事故を隠すことはないだろうというふうに常識的には考えられますけれども、ちょっとしたトラブルが東海村の原研にもあったわけでありまして、組合と事業者側で事故に対する取り扱いについて紛争があった事実もあります。やはり事業者側は、その程度は大したことはないのだ、組合の方としては、いや、これは事故なんだというふうなことで、ちょっとした事故であったようでございますけれども、それが大きく発展をした場合には、やはり同じようなことが出ないという保証はないわけであります。従って、どうしても第三者としてこれを認定する機関を設けなければなりませんが、その場合に、県庁あたりに委託してやらせるという必要がありましょうが、県庁がやるにいたしましても、あるいは市町村がこれに当たるにいたしましても、やはり国家の方から委託を受けてやるということになると思う。従って、それに関する予算措置が当然生じてくる、そこまで考えなければ、この認定機関は生きてこない、こう考えますので、その点の予算措置も含めて、具体的に認定機関はどうされるつもりか。
 それから、今の評価に関する問題も、紛争審査会にまかせるというような簡単な答弁でございますけれども、これも非常にむずかしい問題で、相当な決意を持って当たらないと困難な問題だと思います。それはあと回しにいたしまして、今の認定機関だけ具体的にどうするかという点を、一応御答弁願いたいと思います。
#16
○杠政府委員 行政措置のむずかしい問題でございますから、私からお答えいたします。
 実は、石川委員も地元の議員として真剣に御心配なさっておりますが、われわれも、その問題は常時研究いたしております。まず、事業者の方でモニタリング・ステーションを設けまして常時監視するというような指導をいたしておりますことは御承知の通りだろうと思います。それだけでは足りませんので、地方公共団体、すなわち、県におきましてもモニタリング・ステーションを設けたいという意向がございます。と同時に、意向だけではございませんで、われわれも、ぜひ県の方にもそのようにしていただきたいという気持で、今まで県当局といろいろ折衝を重ねておりますが、県当局といたしましても、このモニタリング・ステーションを設けるにつきましてはやはり予算措置が必要でございますので、それにつきましての補助金の申請をいたしたいという希望がございます。それは来年度予算において十分に考慮していきたい、そして、国と県とが、その補助金という線を通じまして一体となっていきたいというような考え方でございます。
#17
○石川委員 いろいろ質問したいことはたくさんあるのですが、要点だけにとどめます。今の認定機関の問題につきましては、予算措置がないと、県でやるといってもできないということになる。これは、当然国家が直接やるべき性質のものを、委託するということになって参ります。その点につきましては、ぜひ長官も十分御考慮を願いたい、こう強くお願いを申し上げておきます。
 それから、その次の点でございますが、原子力の損害賠償の紛争審査会に関する政令で、原子力損害の状況、それから、損害の評価に関する重要事項を調査するために、必要あるときはいつでも審査会に特別委員を置くことができるということにしてもらわなければならないし、また、そうするのが好都合ではないか、こう考えるのです。この法案では、そういうことは明記されておりませんけれども、政令において、その評価に関する重要事項を――先ほどの質問とちょっと関連いたしますけれども、この点を一つ明確にする必要があるのではなかろうか、こう考えますので、審査会に特別委員を置くことができ、そこでその重要事項を調査するというように、政令を出す場合に、一つ明記してもらいたいということを強く要望したいと思いますが、この点についての長官の御意見を伺いたい。
#18
○池田(正)国務大臣 御趣旨のように、これは当然政令の中で特別委員会を設けるつもりでございます。
#19
○石川委員 その次には、従業員の第二者損害賠償の問題であります。従業員の業務上受けた災害に対しましては、現在のところ、従業員と理事者の側でもっていろんな交渉を進めておって、かなりそれが進んでおるというふうな報告もこの前参考人から伺ったわけでございます。しかしながら、労災の適用はないわけです。労働者災害補償保険法の適用が全然ないということは非常に不安定だ、こう考えるのは当然のことでございます。何といっても、一番危険にさらされておるのは従業員がまず第一でございますので、従って、この従業員の保護ということは、まず第一に取り上げるべきであるけれども、この法案では、齋藤先生の方からも前に質問がありましたけれども、除外されておるということは、どう考えても非常に不安感を与えざるを得ない。従って、特殊災害として特別な考慮を払いながら、労災保険を適用するという条項を別個に設ける必要があるのではないかということで厚生省と折衝されまして、第二者の従業員に対して労災保険の適用の実現をはかるように、ぜひ一つ御考慮願いたい、こう思うのでございまして、この点について科学技術庁長官の所見を伺いたいと存じます。
#20
○池田(正)国務大臣 これは、申すまでもなく、この法律自体が、あらゆる場合を考慮して、損害賠償を国がなすべきであるという考えが基本でございますので、今御指摘になりました第二者の場合に不十分だということにつきましては、これは当然労働省と折衝して措置するという考えでございます。
#21
○石川委員 今は第二者の損害賠償のことについて御質問申し上げたのですが、実を申しますと、この法案それ自体は、第三者の損害賠償に関する法律でございます。ところで、第二者の従業員には、今申し上げたような点で、当然十分な保護をはかってやらなければなりませんが、しかしながら、第二者の業業員は、職業上、当然そういうことを前提として原研あるいは原子力事業に従事しておるわけでございます。第三者の場合は、全く自分たちの予期しない無関係なところ、たとえば、東海村のように、原研あるいはコールダーホールがくるというようなことで、第三者に対する損害は、第二者と比べてみた場合に、第二者よりも手厚く保護しなければならぬというのが、この法の建前でなければならぬと考えるわけであります。従って、第三者である周辺地域――周辺地域というのは第三者かと思いましたら、話がそれますけれども、実は、特殊グループということでもって、第三者ではないのだそうでございます。東海村付近の住民は第三者ではなくて、東京あたりの人間が第三者だそうですが、一般的にいわれております第三者という言葉を使って申し上げますと、この付近の住民を含めての第三者に対する損害に対しては、この第二者以上に考慮しなければならぬ、こう考えるわけなんです。逆にいいますと、第二者の損害賠償につきまして、労働組合と理事者の方でいろいろ折衝を進めて、かなりいい点まで進みそうだというような御報告をこの前この委員会でもって参考人から伺ったわけでございますけれども、この第三者の損害補償に対する労災保険その他を含めていろいろ具体的なものが確立された場合、あるいは確立をされる場合に、この第三者の評価基準というものがきまった場合、この第三者の分よりも下回らなければならぬ、それ以上に第二者の方を保護することはおかしいということで、逆に第二者の損害補償が足を引っぱられて低い水準に落ちてしまうのじゃないか、こういう不安がないでもない。逆にいいますと、第三者の損害賠償は第二者より当然上回らなければならぬという倫理的な性格を持っておる。しかしながら、それに対する損害賠償の基準が確立をした場合、第三者の方が低くきまると、第二者の方がそれを下回るという点で低く押えられてしまうというような危険があるわけです。この関係は、非常に複雑な関係にある問題であります。この場合、第二者の損害は、もちろん一番危険度の高いものであるから当然補償をするのだということと同時に、周辺地域を含めての第三者に対しましては、それを上回る十分な補償を与えるのだということがどうしても前提条件として考えておかなければならない、こう思うわけでございますが、その点についての科学技術庁長官の御意見を承りたいと思います。
#22
○池田(正)国務大臣 今、石川委員のお言葉の中に、付近住民を第二者として扱うという――そういうことじゃなかったのですか、そういうふうに聞こえたのですが……。それは、あらゆる場合に、第二者も第三者も本来は区別しないで、あくまでも手厚い保護を加える、あるいは賠償の責めを負うということ、これが主眼でなければならぬと思います。そういう意味で、私先ほど申し上げましたように、第二者の場合でも、労働省との折衝において、もし不満な点あるいは不完全な点がございましたならば、これはやらなければならない、こういうことを申し上げたのでございまして、今御心配なさっているような点は、これはあってはいけないし、あるいは、もしあるとしても、あらゆる観点から除去すべきものだ、かように考えております。
#23
○石川委員 私の質問の仕方が回りくどかったのでわかりにくかったと思いますが、学会の方のあれを見ますと、従業員は第二者、第三者というのは、付近地住民は第三者ではなく、特殊グループという名前になっておる。第二者ではございませんが、第三者でもない、特殊グループということで、特に第三者と区別した学問的な区分けといいますか、そういうことになっておりますので、そういう意味で申し上げたのです。しかし、この法案では、一般的にいって、第三者というのは付近地住民も含めておりますので、その点、少し混乱があるわけですが、その付近地住民を含めた第三者というのは、第二者よりは当然補償の面でも優遇さるべき性格を持つものであるという考え方でやってもらいたい、これが第一点。
 それから、第二者の損害賠償については、今具体的な交渉を進めておるけれども、第三者の方が低く損害の基準がきまったからといって、それを下回るということではまずい。また、逆に、第二者よりも第三者が下回る、あるいは第二者の方が、第三者が低いからというので、これに縛られてうんと低くきめられることのないように、双方バランスを考えながら、とにかく完全な補償をするという点で十分な配慮をしてもらいたい、こういうことを申し上げたわけです。その点は、今そういうことは十分考慮するということでありますから、その点についての質問は打ち切ります。
 それと関連いたしまして、放射線障害を受ける原子力事業の従業員、これと同じようなものとしてエックス線の場合が出てくる。これはこの法案の直接の対象になっておりませんが、これは前々から、この関係の従業員の方からはしきりと要望があるわけです。それが置き忘れられた存在になっておって、今のレントゲン関係の従業員は、半分は要注意患者ということになって、レントゲン障害による患者が相当多いのですが、労災保険による適当な保護が規定されていない。従って、ここで原子力関係の従業員のことを考えれば、当然レントゲン関係の従業員のことも考えなければいかぬ。これはこの法案の直接の対象にはなりませんが、当然関連して出てくる問題になるということが予想されますので、この点についても、やはり国務大臣としての立場で科学技術庁長官は勧告権をお持ちでございますから、有力な勧告権を発動されまして、一つ厚生大臣は対してこの点についても十分な配慮を同時にするように、もちろん、原子力委員会あるいは科学技術庁としても考えなければならないことでありますけれども、厚生省とも連絡をとりながら、同時に解決するよう配慮をしていただきたいということを、科学技術庁長官に国務大臣として一つお願い申し上げます。
#24
○池田(正)国務大臣 レントゲン障害というものは前々からありますけれども、原子力ほど強くなかったものですから、放置されたような傾向にありましたことは御承知の通りであります。従って、これも、十分に科学が進むに従ってそれらの障害の程度もますます明確になってきますから、われわれとしても、そういうものを研究すると同時に、当然この措置を講じたい、かように存じます。
#25
○齋藤(憲)委員 ちょっと関連して。今のレントゲン障害ですが、この原子力問題が国会の特別委員会で扱われるようになった最初に、このレントゲン障害に対しての取り扱いはどこで行なうべきか、原子力局でやるべきか、あるいは厚生省でやるべきかという問題が起きて、その当時、厚生省からも係官にこの委員会に来てもらって、いろいろ論議をしたのですが、どうしても厚生省所管にしてもらいたいということで、私の記憶からいたしますと、原子力局で取り扱わないことになったように思うのです。しかし、本質的な点から言うと、エックス光線もガンマ線でありますから、強弱はあっても、当然放射線障害としては同等の災害が起こるものと考えなければならない、それに対しては、厚生省は万全の措置を講ずるため法律も改正するということをあのとき約束したと私は記憶しておるのです。と同時に、造船所などで工業用に使うエックス線ですね。これは大きなボルトでもって使うのですが、これに対しても、その当時は取り締まりや災害補償が何ら考慮されていないという事実があって、これもさっそくに法律その他において適当な措置を講ずべきであるということになっておったと思うのですが、その後一体どうなったか。もし、原子力局でわからなければ、適当な機会に、一つ適当な人を呼んで来て御答弁を願いたいと思います。
#26
○井上説明員 工業で使っております放射線の障害につきましては、これは労働省所管になっておりまして労働省の電離放射線障害防止規則というもので今取り締まりをやっております。それから、最初におっしゃいました医療関係のことにつきましては、厚生省で医療法に基づきまして取り締まっております。両省の法体系でこれを処置しております。
#27
○齋藤(憲)委員 それは、もとから厚生省にもエックス線に対するそういう法規であるか、政令であるかはあった。それでは不十分であるから、原子力局の所管として、これを十分に取り締まるべしということであって、その厚生省のエックス線に関する取り締まり及び損害補償に対して何らかの進歩があったかどうかということを一つ……。
#28
○杠政府委員 残念ながら、所管の違いから、私たちはそこまで追及しておりませんでしたので、厚生省あるいは労働省とも十分連絡をとりまして、お答えいたしたいと思います。
#29
○齋藤(憲)委員 一つあした答弁して下さい。
#30
○石川委員 今のエックス線の問題は、齋藤先生からもお話がありましたが、かなり広範に災害が出ておるので、やはりこれは放置できない問題です。本来なら、われわれとしては、科学技術庁の関係にして、原子力委員会の管轄としてこれに対処すべき性質のものだ、こう考えるのでありますが、そうなっておらないで、連絡不十分なために放置されたということは、きわめて遺憾だと思います。この点は、あしたまた御答弁をいただくことになるわけでございますけれども、ぜひ一つ厚生省の方とも十分な連絡をとって、この法案で第二者従業員の業務上受けた災害に対して労災の適用をするというようなことを早急にきめると同時に、この方面のことも解決をするように一つ御尽力願いたい、これを心からお願いを申し上げておきます。
 それから、あと一つの問題は、実は、この法案におきまして「原子炉の運転等により」というふうな文句が出ておるわけです。第一条の目的のところに出ております。実は、これに対しましては、「原子炉の運転等」ではなくて「原子炉等の運転等」にしてくれという強い希望が、若い科学者連中からも出されておるわけです。と申しますのは、この前の委員会でも質問いたしたのでございますけれども、「核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質若しくは核燃料物質によって汚染された物」というふうな表現が対象になっておるわけでございます。しかし、これは厳密にいいますと、ラジオ・アイソトープの製造工場というようなものも含めて、核燃料物質及び放射性物質というふうに書くのが正確な書き方じゃないか。特に立地条件が非常に外国と異なっておる東海村のような場合には、ラジオ・アイソトープ製造工場というふうなものに対しても特別な配慮を払わなければならないということは、私もしろうとですが、なるほどとわかるわけです。従って、厳密にいいますと、この法文の修正をしたいというふうに考えるわけでございますけれども、しかし、この法案の運用にあたって、そういう点も十分に考える、核燃料物質だけではなくて、放射性物質も含めてこれを対象とするのだというこことを、一つここで確約をしてもらって、今後対象となるべき範囲について十分検討を続けてもらいたい、こうお願いをしたいと思います。と同時に、これは先の話になるかもしれませんが、「原子核分裂の過程」というふうになっておりますけれども、将来は核融合ということも考えられるわけであります。従って、分裂だけに限定せず、「原子核の反応の過程の作用」というふうに書くのが法文としても適当ではなかったか、こう考えるわけでございますけれども、その点について、一つ明確な御答弁を、技術庁長官から伺いたいと思います。
#31
○池田(正)国務大臣 ややこしいようですから局長から……。
#32
○杠政府委員 アイソトープの問題を石川委員はおっしゃっているだろうと思います。もちろん、アイソトープのみならず、いろいろそれに関連する物質等についてもおっしゃっていると思いますが、ただいまのところは、やはりこの立法趣旨は、原子炉及びそれに直接付随するところの物質あるいは施設等というようなことになっております。それと同時に、また、今の燃料関係におきましては、燃料の加工であるとか、あるいは再処理であるとかいうようなことにもなっております。従って、アイソトープ関係も含めて対象の範囲にしろというような御趣旨かと思いますけれども、その点につきましては、どうもこの立法措置の趣旨からいきまして、そのようにいたしますということはむずかしかろうかと思うわけでございます。アイソトープ関係につきましては、おいおい非常な被害が及んでくるというような事例が起こって参りましたおり等におきましては、研究して、また法の改正等を行なわなければならぬかと思うわけでございます。現状におきましては、アイソトープにつきましては、広範囲に及ぶ第三者損害はなかろうというふうな現段階における結論でございますので、そのように御了解願いたいと思います。
 次に、核融合のお話がございましたけれども、核融合につきましては、まだ学問的な、あるいはその学問をちょっと出たところの非常に小規模な実験段階にございますので、研究の水準が実用段階に入るようなおりには、当然法の改正ということが考えられなければならないと思うわけでございます。現状におきましては、これまた、一応広範囲に及ぶところの危険というものは、現在の研究段階におきましてはないということに相っておりますので、この点も後の問題として御了解願いたいと思うわけであります。
#33
○石川委員 実は、私は、ラジオ・アイソトープというものがどういう性能を持って、どういう危険があるかということは、科学者でないのでよく理解しておらないのであります。しかしながら、原研の若い連中なんかに聞きますと、これを除外したことは非常に不満だ、東海村あたりの場合には当然適用すべきであるというようなことを強く主張していることは、私は一応論拠があるのだと思う。いたずらにそういうことを紛糾させる意図を持っておるわけではもちろんございません。純科学著の立場として、そうするのが妥当である、正当である、こういう主張をしておるのでございますから、この点については、もう一度私も調べてみますけれども、少なくとも、そういうものも含めて考えるべきではないかということで、積極的に対象として調査を進めるということが必要ではないか、こう考えるわけであります。この法案それ自体については、もちろん、これは対象になっておらないわけですけれども、直ちにその調査を進めて対象にすべきかどうかを検討する、おそらく、そういう点については、先ほど申し上げたように、国際的な常識がそうなっておらない、国際的にはそういう対象になっておらないのだというようなことで、一応の検討はしたかもしれませんけれども、あまり深い検討も加えずに、こういう法案ができ上がったと私は理解する。従って、やはり科学者が良心に基づいて言っていることを尊重しないということも不当だと思いますので、これを対象とするための検討に直ちに着手することがぜひ必要だ、こう考えますけれども、その点はいかがですか。
#34
○池田(正)国務大臣 これは重要な一つの課題でございまして、今後十分に検討していきたい、かように考えております。
#35
○石川委員 大体法案の問題点は、ほかにこまかい点はたくさんございますけれども、これで尽きるというふうに考えます。ただ、このほかに、第三者として非常に不安を持っております点の一つといたしまして、定時検診、あるいはあまり大規模でない退避、あるいはちょっとあぶないかもしれないからという程度のことで退避をしなければならぬ費用というものは、この法案の対象になっておるのだろうかどうだろうか、こういうふうな不安もないわけではないわけでございます。しかし、この法案では、厳密にそういうことが明記されておるわけではないわけですけれども、この点は一体どうなりますか。
#36
○杠政府委員 退避というような問題でございますが、これは先ほど石川委員から御提案がございました通りに、損害の発生につきましてだれが認定するか、その認定機関を常時整備しておく必要がございまして、モニタリング・システムを十分確立したいというお答えを申し上げたわけでございます。そのモニタリング・システム外において、たとえば、一種の風評による一部の被害、たとえば風評に驚いて退避したことで損害を受けたというようなことにつきましては、どうもいかんともしがたいだろうと思うわけでございます。ただ、その監視機構が確立されて参りますと、その監視機構において、たとえば退避というようなことが言われた、あるいは命令されたというようなことにおいて、その因果関係というものがはっきりいたしましたおりには、当然この損害賠償の対象になり得るというふうに御理解願いたいわけでございます。
#37
○石川委員 今申し上げましたように、この東海の現地では、そのような、目に見えない、法案の対象とならないような点での損害があるということを非常に心配していることは、これは、けだしやむを得ないと思うのです。しかし、この法案では救えない面がたくさん出て参ります。従って、ここでそれに対してどう対処するかというふうな対策は生まれてきませんけれども、実際そういう問題が出た場合には善処するというかまえだけはぜひ必要ではなかろうか、こう思いますので、この法案の直接の対象ではありませんけれども、これについて十分に一つ考えておいてもらいたいということを、一応念のために申し上げておきたいと思います。
 それから、この法案で一番問題になっておりますのは、五十億円というふうに限定をされまして、それをこえた場合に、必要と認めた場合国が適当な援助をするというような表現になっておるわけであります。ところで、五十億円をこえた場合に、一体どういうふうに補償してもらえるのか、どういうふうに援助をしてもらえるのかという、きわめて素朴だけれども、強い疑問があるわけであります。従って、この点については、再三この委員会でもって質疑応答が繰り返されておりますので、今さら申し上げる必要もないかとは思いますけれども、この五十億円をこえた場合に援助するということに対しましては、実はいろいろな意見が出て参っております。統一した意見というものはなかなか見つけることは困難であります。と申しますのは、私などは地元でありますから、五十億をこえた場合でも国が補償するのだということを一つ確約してもらわなければ非常に不安だ、こういう考え方が出てくるのはけだし当然だと思います。でありますけれども、一方、見方を変えますと、いやしくも原子力事業というものは――原子力事業といいましても、これは原研とかその他のものを含めての表現になっておるわけでございますが、端的にいいまして、コールダーホールのような原発でやっております事業、これは国家の機関、公営あるいは国営でやっておる事業ではございません。私営企業で、この成り立ちからいたしますと、りっぱにコマーシャル・ベースに合うのだ、採算が合うのだという前提で私営企業にしたといういきさつを持っておるようであります。この成り立ちにつきましては、われわれとしては、過去を振り返ってみて、非常に問題が多かった、これはやはり公営とか国営にすべきであった、こう考えるのですが、今さらそのことを言っても始まりません。といって、結果的には、私営企業というような性格を持った一つの事業になっておるわけであります。そうなりますと、私営企業に対して、五十億をこえた場合に国家が補償するのだというようなことは、非常な例外規定を設けたことになっておかしいじゃないかという議論も、別な立場から出て参ります。そうなりますと、補償という言葉ではなくて、やはり援助という言葉がいいのではないか、私営企業に対して補償という言葉を使うのは不適当であるという見方もあるわけであります。これは、別にそういう見方が正しいという意味で申し上げておるわけではありません。従って、われわれといたしましては、何回も申し上げますように、第三着に対しては、これはいわば人災であります。天災かもしれませんが、とにかく、その付近の住民とすれば、思いがけない災害を受けるということでありまして、五十億をこえた場合でも十分な保護をするのだということを、まず第一前提として確認をしてもらいたい、これが第一点であります。
 それから、五十億をこした場合に事業者の方は無関係だということでは、これは相ならぬ。やはり、これは事業者の方も、自分の専業からこういう災害を第三者に考えたのだという見地に立って、積極的に保護をするという考え方になってもらわなければならぬし、また、そうせしめるように国家の方では指導しなければならぬ。指導のあり方としては、あるいは利益金が出れば利益金を積み立てるとか、あるいは相当程度の配当が出るということになれば、この配当の中から保留をさせるとか、いろいろな考え方がありますけれども、それに対しては、国家の行政指導として、現実の問題としてはなかなか企業採算に合いませんから、そういう問題は出てくる可能性は少ないと思いますけれども、しかし、考え方といたしましては、こういうふうに利益を保留しておいて、第三者災害が五十億をこした場合に備えさせるというような行政指導を当然なすべきではないか、こう考えるわけでございます。さらに、この災害に対する積立金といいますか、そういうものについては免税措置をするというところまで配慮をしなければならぬ性格のものであると考えます。その点について、一つ科学技術庁長官の御所見を伺いたい。
#38
○池田(正)国務大臣 最後の免税措置の点でございますけれども、これは、今急に私のところで簡単には申し上げられないことでございまして、これは十分考慮をしてみたい、かように考えます。
 それから、五十億をこした場合の措置ですが、たとえば、五十一億とか、一億ぐらいだったら政府が融資するとかいうようなこともありましょうが、大きな額になりますと、そう簡単にいかない場合もございますから、御承知のように、それ以上の場合はすべて国会の御承認を得る、一応の案を作りまして、国会の御承認を得るという建前になっておるのでございます。ただ、基本的には、今申されたように、扇業者もつぶさないように、また、被害者には十分の手厚い賠償といいますか、保護といいますか、あらゆる場合にそれをやるというのが建前でありますから、その趣旨に従って処理する、こういう考えでございます。
#39
○石川委員 この問題は、おそらく明日の委員会でまた取り上げられることになると思いますので、あまり多くを、申し上げませんけれども、やはり事業者に対して、現実の問題としては、当分の間とても利益は出る見込みはありませんから、利益を積み立ててどうこうしろといっても、その必要はないのじゃないか、こう思うわけでございます。しかし、考え方とすれば、やはり相当の利益金が出ればこれを保留させる、積み立てさせる、あるいはまた、それについては適当な免税措置を考えるというようなことをしながら、第三者の補償に対して万全の措置を講ずることが必要だと思うのです。その点について、今の御答弁ではまだ不十分でございますけれども、あしたまたこの委員会が開かれるのでございますから、その場でさらにこの点については質問することになろうかと思いますので、この程度で一応打ち切りたいと思います。あとは、あしたおそらく内閣官房長官か、あるいは総理府総務長官か知りませんが、来たときにあらためていろいろ質問をすることにいたします。しかし、ここでは、一応科学技術庁長官の所信をあらためて確認するまでもないと思いますけれども、念のために伺っておきたいと思いますのは、第一に、国際条約で、たとえば原子力船の国際的な保険というものについて国際会議を行ないました場合に、一億ドルというような値段が出ておるようであります。日本の金にして三百六十億円程度まで保険の対象にするというような考え方であります。国際的な常識がそういうことになれば、日本のこの法案は、現在は、五十億が再保険の国際市場の日本に対する最高限であるということで、アッパー・リミットを五十億に押えておるわけでございますけれども、国際的な常識としてこれが引き上げられるということになれば、当然この五十億という金額を上げなければならぬ。先般の参考人としての我妻さんの御意見では、国際間でそういうふうな協定ができれば、当然この法律は変更される、こういうことを言っておるわけでございますから、別に問題はないと思うのでありますけれども、科学技術庁長官の立場として、変更するかしないかということに対する御答弁を伺いたいと思います。
#40
○池田(正)国務大臣 ただいまの問題は、この問我妻参考人からの御意見もありましたが、大体ああいう考え方で当然いくべきだと思っております。
#41
○石川委員 それから、これは大きな問題で、科学技術庁だけの問題ではありませんけれども、射爆場の問題についてであります。これは明日また大平官房長官かどなたか見えますから、そこであらためて質問をし、確認を取りつけたいと考えますが、これは何回も申し上げておりますから、別に繰り返しませんけれども、原研あるいはコールダーホールの設置予定地の上空は危険区域になっておるわけであります。これは先ほど、政務次官との個人的な話で、先方のどういう方から話が出たのかわかりませんが、目標物を海上の方に突き出せばいいんじゃないかということの話があったようにも聞いておりますけれども、実は、そんなことで解決できる問題ではありません。危険なのは、陸上からくる爆撃訓練が危険なのではなく、海の方から超低空でやってきて、いきなり上昇して、そして曲芸のような爆撃をする、これに誤投下が非常に多いというような関係もありまして、実は、この前中曽根長官が非常に苦労されまして、陸上から海上の方に目標物を多少移転をいたしましたけれども、それで誤投下がなくなったというわけではございません。やはり今後どういうふうにいたしましても、あの場所に射爆場があるということでは、原研その他の安全性を確保することにはならないわけであります。従って、原子力産業あるいは原子力の研究開発を促進するためには、危険な射爆場が付近地にあるということでは、どう考えても危険きわまりないし、また、原子力産業の健全な発達を促進するゆえんでないことは繰り返して申し上げるまでもない。従って、この点については、あしたまた責任ある方に確固たる答弁を伺うことにして、ここではそう多くは申し上げませんけれども、もう一度科学技術庁長官の立場で、射爆場はどうしても返還させなければならぬ性格のものである、従って、そのことについては努力をしたいという意味での決意を披瀝してもらいたい、こう考えるわけでございます。
#42
○池田(正)国務大臣 これは、何しろ相手のあることでもあり、その相手がなかなか厄介な相手でございますので、私も実は慎重に研究をし、また、考えておりますが、これが一体どの程度まで米軍にとって重要性があるのかというようなことも、実は、私はしろうとなものですからわからぬので、大ていのことなら、お前やめちまえといって出てみたいのでありますけれども、まだそこまでの研究も実はできていないのです。しかし、日本自体の立場からすれば、これはやめてもらわなければならぬということは当然でございまして、そういう意味で私はこれから検討もし、また、努力したい、かように考えております。
#43
○石川委員 これは何回も繰り返すようになりますから、簡単に申し上げますけれども、大体コールダーホールを持ってくるとき、あるいは原研を持ってくるとき、射爆場は返還になるんだという前提で持ってきたということは否定できないのです。ああいう危険なものを置きながら原研ができ、コールダーホールを持ってきてしまうんだというようなことは、われわれあの付近におる者としてはだれも考えておらなかった。当然これはなくなるものだという前提でやっておったものが、いつまでたってもなくならない、返還をされない。この返還について非常に甘い見方をして、朝霞キャンプのようなことになってしまったわけでございますけれども、しかし、将来のことを見通しますと、どう考えても――日本国民は割合に従順で黙って見ておりますが、ほかの国でこんなことがあったら、とても国民の世論が承知しないだろうと思う。よく日本人は黙ってこれを見ておると思って私も感心しておるわけなんですが、これは基地返還とかなんとかいう立場ではなくて、あぶなくてしようがない。これは原子力損害賠償法案で第三者の補償をするなんといいましても、あそこに飛行機が墜落する、あるいは誤投下があったということで災害が起こりますと、この損害については、一体アメリカが払ってくれるのかどうかというようなことはまだ確約を取りつけてないわけです。また、その危険が現在のところ非常に大きいというふうに考えるわけで、あの射爆場の返還については、科学技術庁長官は原子力産業の健全な発展をはかる責任を持っておる立場でございますので、射爆場をどうしても返還させるための積極的な措置を講ずるように、ぜひお願いしたいと考えますが、これは、またあしたあらためて責任ある方に質疑をして確約を得たいと考えておりますので、何回も繰り返されておることでございますから、この点については省略をいたします。
 この法案は、九カ月後に実施されるわけでございますけれども、今申し上げましたように、前提条件がほとんど具備されないままに実施されると、実際効力を発生するかどうか、われわれとしては非常な不安を感じないわけにいかぬということは、何回も申し上げておる通りであります。従って、われわれといいますか、社会党といたしましては、この法案に賛成だという意見にはなかなかなれなかった、非常に反対意見が強かったわけであります。従って、少なくとも修正案をもってこの法案の完璧を期さなければならぬという意見が圧倒的に強いわけでありますけれども、いろいろな事情で、あるいは修正案ということではなしに、附帯決議という形になるかもしれぬと思っております。しかし、この附帯決議は、単に出しっぱなしでいいということではなくて、この附帯決議の趣旨が満たされない限りにおいては、この法案は実際に発動できない性格のものである、そういう強い附帯決議であるということを一つ十分にお考えになっていただきたいと考えます。これはまだ結論が出ておるわけではございませんけれども、大体の見通しとしては、附帯決議ということになる公算が大のようであります。大体において、私がきょう申し上げたようなことが付帯決議の内容として盛られることになろうかと考えます。私の質問した趣旨というものは、これは決して社会党だけの質問ではないと思うのです。これはおそらく、この委員会の全員一致の強い要望でもあるということをお考えになっていただきまして、もしこの附帯決議が出ます場合には、あしたまたあらためて申し上げることになろうかと思いますけれども、単なる附帯決議ではない、これがなければ、この法案は発動できないものであるということを十分お考えになっていただいて、今後善処していただきたいということを強く要望いたしまして、きょうの質問はこの程度にとどめたいと考えます。
#44
○山口委員長 他に御質疑はありませんか。――なければ、本日はこの程度にとどめ、次会は明十七日午後一時に理事会、一時半に委員会を開会いたすこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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