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1960/12/12 第37回国会 参議院 参議院会議録情報 第037回国会 本会議 第4号
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1960/12/12 第37回国会 参議院

参議院会議録情報 第037回国会 本会議 第4号

#1
第037回国会 本会議 第4号
昭和三十五年十二月十二日(月曜日)
   午後二時十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第四号
  昭和三十五年十二月十二日
   午後二時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 この際お諮りいたします。相澤重明君から、病気のため、会期中請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(松野鶴平君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件。
 内閣総理大臣から所信について、大蔵大臣から昭和三十五年度補正予算について、それぞれ発言を求められております。これより順次発言を許します。池田内閣総理大臣。
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(池田勇人君) このたび行なわれました総選挙において、各党はそれぞれ政治に対する心がまえと政策を国民の前に明らかにし、その厳粛なる批判を仰いだのであります。その結果、与党たる自由民主党は、国民多数の根強い支持を得、私は再び内閣総理大臣の重責をになうことになりました。ここに決意を新たにして、この国民の信頼と期待にこたえたいと思います。(拍手)
 今回の総選挙が、政策中心の論議にともかくも終始いたしましたことは、わが国の民主政治の一つの前進であったと思います。他面、それにもかかわらず、選挙自体のあり方についての国民の批判はまことにきびしいものがあることも否定できません。私はこの批判にこたえて、広く国民の協力を得て選挙の公明を期する措置を積極的に検討いたしたいと存じます。
 総選挙において公約した諸政策は、明年度予算の編成を中核としてできるだけすみやかに具体化し、順次国会の審議をお願いいたしたいと考え、目下鋭意準備を急いでおります。従って、この際は、当面の諸問題につき方針を一明らかにいたしたいと存じます。
 まず現下の国際語情勢を見まするに、過般の国連総会において集約されております通り、国際緊張緩和への道は決してたんたんたるものではありません。しかしながら、私は、人類の英知と諸国民の平和に対する熱意は、必ずや世界の平和を確保し得るものと信ずるものであります。外交政策の運用にあたりましては、わが国が国際社会の責任ある一員として今後とも世界の平和と安全に寄与するとともに、わが国民の福祉と繁栄をはかるため、国際情勢の推移に対応しつつ、弾力性のある心がまえで、自主的かつ慎重な施策を講じて参る所存であります。
 本年十一月米国大統領選挙の結果、民主党のケネディ候補が次期大統領に就任することになりました。私は、アイゼンハワー大統領の前後八年にわたる治政下において米国がわが国に示された好意と協力に心から感謝するとともに、明年初頭発足いたします民主党政府のもとにおいても、日米両国の友好協力関係がますます緊密化することを期待し、かつ確信するものであります。
 最近米国政府は、対外収支改善方策を明らかにいたしました。米国政府が世界経済に対する自国の責任の重要性にかんがみ、国際収支の均衡回復のため対策を講ぜんとする努力は十分理解し得るところであります。もとよりこの施策のわが国経済に対する影響につきましては、慎重に検討対処する必要がありますが、私は、自由諸国の連帯性の自覚のもとに、共同の努力によってすみやかに事態が改善されることを期待するものであります。この措置によって生ずる特需の減少等は、わが国経済の自立過程において予想される試練の一つでありまして、わが国経済力の内外にわたる発展によってこれを克服するよう努力しなければならず、また、それは可能であると信じておるのであります。従って、長期的視野に立つ経済運営の指針として目下具体化を急いでいる経済成長政策につきましては、その構想を組みかえる必要はないものと存じます。また、世界経済の自由化の趨勢に即応する貿易自由化については、わが国貿易の拡大と世界経済の発展拡充のため、これを慎重に進めて参る態度につきましても変改の要を認めないものであります。
 さらに、私は、今後米国のみならず、広く自由諸国全体との協力関係の強化に特に留意して参りたいと考えます。なかんずく、英国その他の西欧諸国との間におきましては、世界の当面する各般の重要問題に関し、緊密な協力と話し合いを進めるとともに、A・Aグループ並びに中南米諸国との経済交流の一そうの進展を期して参りたいと存じます。共産圏諸国とは、相互の立場の尊重と内政不干渉の原則のもとに、あとう限り相互の理解と友好関係の増進をはかって参る所存であります。
 およそ外交は一国の運命にかかわるものであり、外交政策の効果的展開のためには、国際情勢の客観的判断に基づく国民各位の強力な支援が必要であります。一たび国民大多数の支持するところが明らかとなった問題につきましては、その事実を尊重し、国内の政争を国外にまで露呈することを避けることが望ましいことであると信ずるものであります。(拍手)政府といたしましては、わが国の外交政策に国民各界の公正な意見を十分反映いたしますよう今後とも一そう留意して参る所存であります。
 私は、さきに、政権を担当して以来、新しい福祉国家の建設のためには経済の成長が不可欠の前提であり、同時に、経済の成長のためには、物価の安定をはかりつつ、公共投資の拡大と減税及び社会保障制度の拡充を精力的に進めて参らなければならないことを終始主張して参りましたが、今回の選挙を通じて、この政策が広く国民大多数の賛同を得たものとの確信を強めた次第であります。(拍手)このため政府は、目下明年度予算の編成を急ぎ、施成の全般について検討を進めている次第でありまするが、その一部についてできるだけ早く実施するという意味において、今国会に総額千五百十四億円に及ぶ補正予算と所要の法律案を提案し、もって公約の実現に一歩を進めたのであります。
 経済成長政策の眼目の一つは、経済の伸長によって高い所得効率を持ったより多くの就業機会をつちかいつつ、各般の所得格差の解消に前進することであります。その意味において、特に農林漁業政策と中小企業政策は、きわめて重要な意義を持つものであって、政府は所要の施策について準備を進めておりますが、この際としては、中小企業者に対する年末金融対策を講ずるとともに、今次補正予算においては、商工組合中央金庫に対する出資を増額し、その貸し出し資金量の増加と金利の引き下げをはかることといたしました。
 なお、わが国経済の拡大発展を実現するためには、輸出の伸長がその前提であります。このため、とりあえず日本輸出入銀行に対する出資を増額し、プラント輸出の促進と経済協力の推進をはかることといたしました。
 わが国の社会保障制度は、いよいよ国民皆保険と国民年金の両制度を二大支柱として、その体系的整備をはかるべき段階に至りました。これによって国民生活の一そうの安定と向上に資するため、現行制度の至らない点はこれを拡充強化する方針で、所要の措置を準備中であります。特に拠出制国民年金については、その実施態勢も整備されつつあり、また、各年金制度間の通算措置など拠出年金実施に伴う諸般の措置も進められておりますので、死亡一時金制度の創設等、改善すべき点はこれを改め、実施に移す用意を進めております。
 国民の租税負担の現状にかんがみ、国民生活の安定向上、勤労意欲の増進、中小企業の振興、企業の体質改善等をはかるため、平年度一千億円以上の減税を実現すべく法制化を急いでおりまするが、一月から三月までの間に支払われる給与所得の源泉徴収税額の軽減は、これをこの際実施することにいたしました。
 文教の刷新と科学技術の振興は、すべての施策の前提ともなるべきものでありまして、私は特に力を注いで参る決意であります。なかんずく、中学校及び高等学校生徒の急増対策は、一日もゆるがせにできないところでありまするので、とりあえず中学校につき所要の予算補正の措置を講ずることといたしました。
 公務員の給与に関しましては、さきに行なわれた人事院の勧告を尊重し、一般職の職員の給与につき、本年十月一日にさかのぼって改定することにいたしました。特別職、地方公務員等の給与についても同様の趣旨に沿って改定し、これらに必要な法案及び補正予算を今国会において御審議願うこととしております。私は、公務員諸君が一そうその職務に専念され、その能力を十二分に発揮されることを期待するとともに、その執務の能率化と厳正な規律の保持を期して参る所存であります。
 以上、所信の一端を申し述べたのでありまするが、国民諸君の力強い支援を切に希望してやみません。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(松野鶴平君) 水田大蔵大臣。
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(水田三喜男君) ここに、昭和三十五年度補正予算を提出するにあたり、その概要を御説明いたします。
 私は、前国会におきまして、当面の経済情勢と今後の経済運営の目標について所信を明らかにいたしたのでありますが、幸いにして、わが国経済は、その後も安定した基調の上に、引き続き順調な拡大過程をたどっており、本年度の経済成長率は、年度当初の予想を上回って実質一〇%をこえるものと見込まれるのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
最近、アメリカ政府は国際収支の悪化に対処する諸方策実施の方針を決定し、注目を集めております。これによって、わが国の国際収支もある程度の影響を受けることは覚悟せねばなりせんが、政府の企図いたしております諸政策の基本を変更する必要が生じたものとは考えません。政府といたしましては、今後とも国際経済協調の精神に立って、対外経済の諸問題に対処するとともに、内外情勢の推移に細心の配慮を払いつつ、わが国経済の均衡ある成長を期して参る所存であります。
 次に、今回提出いたしました補正予算について申し述べます。
 今回の補正予算は、経済の拡大に伴う法人税等租税及び印紙収入の自然増収を歳入に計上し、国家公務員給与の改善を初め、災害関係費その他当初予算作成後発生した事由に基づき本年度内に措置を講ずる必要のある経費、並びに社会保障及び文教関係の国庫補助金、負担金の不足額補てん等、法律に基づく義務的経費の追加の財源に充てることといたしたのであります。その総額は千五百十四億円でありまして、これにより、昭和三十五年度一般会計予算総額は、歳入歳出とも、一兆七千二百十一億円と相なるのであります。また、特別会計の予算についても所要の補正を行なうことといたしております。
 まず、一般会計補正予算の歳出追加のおもな内容について、その概略を御説明いたします。
 第一は、給与改善に関する経費であります。国家公務員の現行給与水準は、民間給与の上昇に伴い、これとの間に相当の格差を生じております。このため、先般の人事院勧告の内容を尊重して所要の改定を行なうこととし、これに要する経費として、義務教育費国庫負担金分等を含め、二百十四億円を計上いたしております。
 第二は、災害関係費であります。昭和三十五年発生の災害につきましては、既定の予備費をもって応急の措置を講じたのでありますが、さらに、今回八十億円を追加し、その復旧に遺憾なきを期しております。なお、チリ地震津波の被災の状況にかんがみ、その被災地域に対して津波対策事業を実施することとし、所要の措置を講ずることといたしました。また、昭和三十四年以前の発生にかかる災害の復旧事業費及び伊勢湾高潮対策事業費につきましては、昭和三十五年度予算編成後の調査の結果、相当の増加を生ずることが明らかとなりましたので、予定の進捗率を確保するため、二百七億円を追加計上することといたしております。
 第三は、公立中学校の校舎整備費であります。公立中学校の校舎の整備につきましては、従来とも意を用いて参ったのでありますが、現在までの実施状況にかえりみますとき、生徒数の増加が特に著しい昭和三十六年度におきまして生徒の円滑な収容を行なうためには、あらかじめ措置を講ずることが必要となりましたので、今回さらに四十億円を追加計上いたすこととしたのであります。
 第四は、日本輸出入銀行及び商工組合中央金庫への出資に伴う産業投資特別会計への繰り入れであります。わが国貿易の拡大とともに、輸出金融等に対する需要は毎年増大してきているのでありますが、ことに本年度におきましては当初予算における見込みを大幅に上回るに至りました。このため、日本輸出入銀行に対し、その融資資金の不足を補うため、百二十五億円の出資を行なうことといたしたのであります。また、中小企業の金利負担の軽減をはかる方針に関連しまして、商工組合中央金庫の貸し出し利率の引き下げに資するよう、同金庫に対し、新たに二十億円の出資を行なうことといたしました。これらの出資を行なう必要上、産業投資特別会計において不足する財源を一般会計から補てんすることとし、百二十億円を計上いたしたのであります。
 第五は、社会保障及び文教関係の国庫補助金、負担金の不足額の補てんでありまして、生活保護費、国民健康保険助成費、義務教育費国庫負担金等、法律に基づく義務的性格の経費について、百三十八億円の追加計上を行なうことといたしました。
 第六は、食糧管理特別会計への繰り入れであります。昭和三十五年産米の収穫見込みが大幅に増加するに至ったこと及びその買い入れ価格が当初予算における見込みを上回って決定されたこと等によって、同特別会計の赤字が増加いたしましたので、これらを補てんするための経費として二百九億円を追加計上いたしました。
 第七に、所得税、法人税及び酒税を歳入として追加計上することに伴う地方交付税交付金等三百六十一億円を計上いたしたのであります。
 このほか、さきの日米財産委員会の審決に基づき、賠償等特殊債務処理費に六十八億円を計上するとともに、今後の財政需要に備えるための予備費二十億円を計上いたしております。
 次に、歳入について御説明いたします。
 以上申し述べました歳出に対する財源といたしましては、租税及び印紙収入の自然増収をもって充てることといたしております。当初予算におきましては、租税及び印紙収入を一兆三千三百六十六億円と見込んでいたのでありますが、経済規模の予想以上の拡大を反映し、法人税等を中心として、当初の見積もりに比し、総額千五百七十二億円に達する増加が見込まれるに至りました。この増収見込み額から、後に申し述べます明年一月から実施予定の所得税の減税額五十八億円を差し引いた千五百十四億円を歳入として計上いたしたのであります。
 私は、すでに前国会において、昭和三十六年度において、所得税及び法人税を中心として、国税、地方税を合わせ、平年度一千億円以上の減税を断行いたす考えを明らかにしたのであります。この方針に基づき、今般、政府に提出せられました税制調査会の答申を基礎として、現下の情勢に最も即応した税制の改正を行なうことといたしております。このうち、国民の期待の大きい所得税の減税につきましては、昭和三十六年分所得からこれを行なう所存で、来たる通常国会に所要の法律一案を提出する所存でありますが、特一に、給与所得及び退職所得につきましては、あらかじめ、明年一月以降の源泉徴収税額から減税による利益を及ぼすことを適切と考えまして、これに必要な所得税法の臨時特例法案を提出することといたしております。
 次に、財政投融資の追加についてその概略を御説明いたします。
 追加のおもな内容といたしましては、一般会計予算の補正に関連し、さきに申し述べました日本輸出入銀行べの出資百二十五億円及び商工組合中央金庫べの出資二十億円のほか、災害及び公立中学校校舎整備等に伴う地方自治体の資金需要の増加に応ずるため、地方頂において百十四億円を追加することといたしております。また、中小企業の年末金融対策といたしまして、国民金融公庫等に対し、合計二百億円の政府資金を手当てすることとして遺憾なきを期した次第であります。
 以上の財政投融資の追加に必要な原資につきましては、一般会計から産業投資特別会計に対する繰り入れのほか、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金積立金において、現在見込み得る原資の増加をもって充当いたすこととしております。
 以上、昭和三十五年度補正予算の大綱を御説明いたしました。何とぞ政府の方針を了とせられ、本補正予算に対し、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。(拍手)
#9
○副議長(平井太郎君) ただいまの演説に対し質疑の通告がございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○副議長(平井太郎君) 御異議ないと認めます。
 次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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