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1960/12/20 第37回国会 参議院 参議院会議録情報 第037回国会 商工、外務委員会連合審査会 第1号
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1960/12/20 第37回国会 参議院

参議院会議録情報 第037回国会 商工、外務委員会連合審査会 第1号

#1
第037回国会 商工、外務委員会連合審査会 第1号
昭和三十五年十二月二十日(火曜日)
   午前十時二十九分開会
  ―――――――――――――
 委員氏名
  商工委員
   委員長     剱木 亨弘君
   理事      川上 為治君
   理事      古池 信三君
   理事      栗山 良夫君
   理事      牛田  寛君
           赤間 文三君
           井川 伊平君
           上原 正吉君
           岸田 幸雄君
           小林 英三君
           斎藤  昇君
           鈴木 万平君
           山本 利壽君
           阿具根 登君
           阿部 竹松君
           近藤 信一君
           椿  繁夫君
           吉田 法晴君
           向井 長年君
           加藤 正人君
  外務委員
   委員長     木内 四郎君
   理事      青柳 秀夫君
   理事      井上 清一君
   理事      鹿島守之助君
   理事      森 元治郎君
           草葉 隆圓君
           笹森 順造君
           杉原 荒太君
           苫米地英俊君
           永野  護君
           野村吉三郎君
           堀木 鎌三君
           加藤シヅエ君
           小林 孝平君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           大和 与一君
           曾祢  益君
           石田 次男君
           佐藤 尚武君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
  商工委員
   委員長     剱木 亨弘君
   理事
           川上 為治君
           古池 信三君
           栗山 良夫君
           牛田  寛君
   委員
           赤間 文三君
           上原 正吉君
           岸田 幸雄君
           斎藤  昇君
           鈴木 万平君
           山本 利壽君
           阿具根 登君
           椿  繁夫君
           吉田 法晴君
  外務委員
   委員長     木内 四郎君
   理事
           青柳 秀夫君
           井上 清一君
           鹿島守之助君
           森 元治郎君
   委員
           草葉 隆圓君
           笹森 順造君
           杉原 荒太君
           永野  護君
           野村吉三郎君
           加藤シヅエ君
           小林 孝平君
           羽生 三七君
           大和 与一君
           佐藤 尚武君
  政府委員
   経済企画庁調整
   局長      中野 正一君
   外務省国際連合
   局長      鶴岡 千仭君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
   常任委員会専門
   員       渡辺 信雄君
  説明員
   外務省経済局外
   務参事官    白幡 友敬君
   通商産業省通商
   局振興部長   柿坪 精吾君
   大蔵省為替局投
   資課長     高橋 英明君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海外経済協力基金法案(内閣提出、
 衆議院送付)
  ―――――――――――――
   〔商工委員長剱木亨弘君委員長席に着く〕
#2
○委員長(剱木亨弘君) これより商工、外務委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が本連合審査会の委員長の職をつとめます。
 それでは海外経済協力基金法案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに商工委員会において趣旨説明を聴取しておりますので、外務委員長との協議に従い、最初に政府委員より本案の内容の概要について説明を聴取し、引き続いて質疑を行なうことといたします。なお、質疑にあたりましては、主として外務委員の方の質疑を優先してお願いすることといたします。
 それでは、まず本案の内容について説明を聴取することにいたします。
#3
○政府委員(中野正一君) それでは、私からお手元にございます資料の、本日御審議をお願いいたします海外経済協力基金法案の概要について説明さしていただきます。
 法律に従いまして、そう条文が長くございませんので、あらましを御説明したいと思います。
 第一章の総則の目的のところにございますように、本基金は東南アジアその他の開発途上にありまする海外の地域の産業の開発に寄与するために、その開発に必要な金であって日本輸出入銀行及び一般の金融機関から供給を受けることが困難なものについて、その円滑な供給をはかる等のために必要な業務を行ないまして、もって海外経済協力を促進することを目的とすると書いてございますが、東南アジア地域その他の開発途上にありまする地域は、資源の開発、利用、ないしは工業化というようなものをはかりまして、急速な経済の発展と国民生活水準の向上を意図して、真剣になってやっておるわけでございますが、何といいましても、こういう低開発国につきましては、資本なりあるいは技術面が非常に弱体でございまして、そういう面で多くのものを先進工業国の援助に仰ぎたいということを非常に熱望しておるわけであります。一方先進工業国の方の側といたしましても、このような要請にこたえまして、これらの国に対する経済協力を推進するということは、必ずしも直接的な貿易の増加ということにすぐ結びつかないにいたしましても、世界的な経済の地域的な不均衡といいますか、地域的な格差といいますか、そういうものを是正をいたしまして、長期的には経済関係を増進し、ひいては輸出入市場の開拓、確保にも資することになるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、最近特に世界的に低開発国に対する先進諸国の経済協力ということが、非常に、これは二国間の援助にいたしましても、あるいは国際的な規模における国際的な協力関係における経済協力という両面からいたしまして、非常に積極化しておることは御承知の通りでございまして、最近では特に従来からありまする世界銀行だけでは低開発国の援助に不十分であるというので、先般第二世銀ができまして、これは特に低開発国に対しまして長期、低利の金を貸す、しかも貸した金の返済につきましては現地通貨でもよろしい、いわゆるソフト・ローンというような新しい形をとりまして、従来から行なわれておりました世界銀行の機能だけでは低開発国の援助は不十分であるということで、これができまして、日本もこれに近く出資をする準備を進めておるわけでございます。また最近低開発国援助グループというものが十カ国でできまして、すでに三回ほど会議が行なわれておりますが、そういう形をもちまして、お互いに先進諸国が低開発国の援助についてはお互いに横に連絡を十分にとりながらやっていくというふうなような会議もでき上がりまして、世界的にはそういう情勢にあるわけでありまして、このような情勢下におきまして、わが国といたしましても、経済協力を一そう積極的に推進する必要があるわけでございますが、従来、御承知のように、経済協力に必要な資金の提供機関といたしましては輸出入銀行がもっぱらこれに当たっておったわけでございますが、輸出入銀行はその金融機関としての性格上貿易を主とする、経済交流を促進する、すなわちわが国の輸出入市場の開拓または確保ということを目的とする金融を行なうわけでありまして、もちろん輸出入銀行も投資金融、海外事業金融等をやりますが、主体はやはり輸出入市場の輸出入金融が主体でございまして、この輸出入銀行を通じまして相当わが国といたしましては投資の促進ないしは長期信用の供与というような形で、経済協力に必要な資金を出してきたわけでございますが、この開発途上にありまする地域の産業開発に寄与することを目的といたしまする経済協力の要請に応ずるための金融という面からいうと、まだ非常に不十分なところがあると考えられるわけでありまして、そういう意味合いにおきまして、今度作りたいと考えております海外経済協力基金は、端的にこのような要請にこたえまして、東南アジアその他の開発途上にありまする地域の産業の開発に寄与することを直接の目的といたしまして、その開発に寄与する事業のために必要な資金を輸出入銀行なり一般の金融機関からの通常の条件で貸付を受けることがむずかしいというようなもの、またこの輸出入銀行が直接に出資をするということは、出資のための金融はいたしまするが、直接に出資はできないことに――金融機関でございますので――なっておりますが、そういう、どうしてもやはり出資をしないというと開発がうまくいかないというような場合には、この基金は出資をすることができることになっております。またあとで御説明いたしまするが、いろいろ海外に進出して事業をいたしまする場合には、慎重に、準備の段階で十分な調査をやらないとうまくいかないのでありまして、そういう準備のために行ないます調査に要る金というものもこの基金は貸付ができると、またいろいろ試験的に小さな規模で、現地で試験的に操業をやってみるということも必要でございまして、そういうものにも金が出せる。またこのような業務に関連をいたしまして、基金がみずから調査をするということも、この基金はできることになっておりまして、そういうことで、この目的に書いてございますように、協力基金は、輸出入銀行等では不十分であるという面につきまして、必要な資金の供給をはかって、もって経済協力を促進したいということでございます。第一条のところの三行目に、「円滑な供給を図る等のために必要な」と、「等」という字がございます。これは先ほど申しましたように、資金の供給だけでなしに、みずから調査業務ができるということが規定されておりますので、念のために「等」という言葉を入れてあるわけでございます。
 しからばこの経済協力基金の資本金は幾らかというのが第四条に書いてございまして、これは「附則」にありまするが、三十三年にできました経済基盤強化法によりまして、東南アジア開発協力基金として日本輸出入銀行に出資をされました五十億、これがまあいろいろな事情で今まで全然使わずにそのままになっておりましたので、これを輸出入銀行から引き継ぐということで五十億がその出資金になるわけでございます。それから八条の方のことは、これは五十億を三十三年から預けまして――それを資金運用部に預けまして運用しておりまして、その運用益が出て参りました。この運用益も同時に本基金に輸出入銀行から引き継ぐと、従って、資本金としては五十億プラスの運用益ということになるわけでございまして、この運用益は十月末現在で三億七千五百万円になっております。これが、本基金が、まあ大体国会で議決されまするというと、三月の終わりまでにはできますので、そのでき上がるまでにまた運用益が少したまるわけでありますが、そのでき上がるまでにたまった運用益を五十億にプラスいたしまして出資をする。それから第二項に書いてございますように、政府は、必要がある場合には予算の定める金額に従いまして基金に追加出資をすることができる。この追加出資をいたしますというと、特別に法律改正を要せずいたしまして資本金がふえるということが第三項に書いてあるわけであります。もちろんこの基金の仕事からいたしまして、今後の情勢からいたしまして、さしあたりは五十億で本年度中に発足さしたいと考えておりますが、来年度にはまた相当の増額の予算を今大蔵省と折衝いたしておりまして、三十六年度には相当の額をこれにプラスしたいというふうに考えております。
 それから、あとまあ定款等の条項は、大体ほかの特殊法人の例文でございますので省略さしていただきたいと思います。
 五ページに参りまして、第二章役員でございますが、役員には総裁一人と、理事二人、監事一人ということになりまして、総裁の職務、権限、特に本基金の特徴について申し上げますと、第十一条に総裁と監事は内閣総理大臣が任命するとありますが、理事二人のうち一人は輸出入銀行の理事をもってこれに充てるということにいたしております。先ほど御説明いたしましたように、輸出入銀行からは金が出にくいというものを本基金で取り扱うわけでありまして、また事務の一部は輸出入銀行に事務当局の委託をする。またそういう関係で、輸出入銀行との関係については本基金が適正な調整をしなきゃならぬという審議規定がございますが、そういうことがございますので、その意味合いにおきまして、理事のうちの一人は輸出入銀行の理事をもってこれに充てて、両者の関係が円滑にいくようにしたいというふうに考えております。
 それからあと役員の欠格条項、解任等は、これは大体例文でございまして、八ページに参りまして、第十七条に、「基金に、運営協議会を置く。」ということになっております。経済協力というのは、御承知のように経済外交の面で外務省、通産省、それから貿易、産業という面で通商産業省、また為替金融というような面で大蔵省、非常に関係省が多いわけでございます。そのために非常に経済協力がなかなかうまくいかぬのじゃないかというような非難も、ときどき民間の方々からわれわれは聞いておるわけであります。その間につきましては十分横に連絡をとってやっておるつもりでございますが、特にこの基金につきましては、経済企画庁が主管をいたすものであります。今申し上げましたように、関係行政機関が非常に多い。たとえば農業関係あるいは水産業が海外に進出するという場合、やはりこれは農林省でないとなかなかこの実態がわからない。従って相当実質的な審査は農林省がやるということになるわけでございます。また建設業が進出する場合には、これは建設省でないと、これもまあ農林省じゃわからない、経済企画庁でも十分わからないということになりますので、どうしても基金の運用にあたりましては非常にその関係行政機関の所管事務、所掌事務と密接に関係が出て参ります。そういう関係でこの運営協議会というものを置きまして、これは総理大臣が任命する委員十五人ということになっておりまして、これは全部行政官庁の、行政機関の職員がこれになるわけでございまして、今言いましたように、外務省、通産省、農林省、建設省あるいは厚生省というようなところの関係の職員が委員に任命されると思います。そういたしまして、この基金がいろいろ関係省の所掌事務と関係が深いので、一々個々のそういうものの意見を聞くということになりますと、非常にまた繁雑でございますので、運営協議会が合議体として審議をしていく。そうして意見があれば総裁に合議体として運営協議会が意見を述べる。こういうことにすれば、横の連絡もうまくいくし、基金との関係も非常にうまくいくのではないかという実際問題を考えまして、基金に運営協議会を置くことにいたしたわけでございます。
 それから第三章、業務のところでございますが、業務の範囲のところにありますように、「東南アジア等の地域の産業の開発」、「等」というように特にメンションいたしましたのは、何と申しましても東南アジアはわが国とは地域的にも近いし、これらの国との経済関係を円滑にいたしますることが非常に大事なわけでございますので、またいろいろな最近の経済協力の案件等を見ましても、やはり今のところは東南アジアが非常に案件が多いということになっておりますので、特に東南アジアということを明示をいたしたわけでございます。しかしもちろんこれは東南アジア以外の中南米でございますとか、あるいは中近東等の低開発国も当然この範囲に入ってくるわけでございます。その「開発に寄与し、かつ、本邦との経済交流を促進するため緊要と認められる事業のために必要な資金を貸し付けること。」、二番目に貸しつけるだけでは工合が悪いというときには出資もできます。それから「開発事業の準備のための調査又は開発事業の試験的実施のために必要な」金も貸せる。前三号の業務に関連いたしまして必要な調査も行ない得るということが書いてあるわけでございます。二十一条にそれをさらにしぼりまして、その開発事業について輸出入銀行なり、一般金融機関から通常の条件で資金の貸付を受け、また基金以外の者から出資を受けることが困難な場合、それから二番目に、「開発事業に係わる事業計画の内容が適切であり、その達成が確実であると認められる場合」に、初めて金を貸し得る、出資をし得るということになっておるのでございまして、通常の条件で貸付を受けることが困難といいまするのは、これは輸出入銀行等でも業務方法書なりにいろいろ詳細に貸付の条件が書いてあります。こういうことから考えまして、とても輸出入銀行では扱いにくいというようなものは、この基金の方に該当してくるということに考えております。それから第二十二条は業務方法書でありまして、これは経済企画庁長官の認可を受けてもろうことになっておるわけでございます。それから先ほど御説明いたしました、事務の一部を輸出入銀行に委託し得るということになっております。
 それから第四章の財務、会計でございますが、これも大体ほかの特殊法人と同じ例文でございますので、ただいろいろな計画につきましては、全部経済企画庁長官の認可なり承認ということになっております。
 それから十五ページに参りまして監督でございますが、基金の監督は経済企画庁長官が行なうということにいたしております。それから雑則、罰則等は大体例文でございます。ただ三十六条に、「経済企画庁長官は、この法律の規定により認可又は承認をしようとするときは、外務大臣、大蔵大臣及び通商産業大臣」と、この三大臣が一番関係が経済協力については深いわけでございますので、ここと十分連絡をとる意味合いにおきまして、認可をする場合、承認をする場合には、単独でやらずに、関係の大臣に協議してやるということにいたしておるわけでございます。
 最後に附則の施行期日でございますが、これは公布の日から三十日をこえない範囲で政令できめる日に施行いたしまして、それから総理大臣がこの総裁、監事となる者を指名をいたします。それから設立委員というものを命じまして準備をさせまして発足させるわけであります。
 ただ附則十八条から二十条までの規定は輸出入銀行法のいわゆる基金の、先ほど申しました東南アジア開発基金の規定を削除する附則になっております。これは二段がまえにいたしましたのは、この場合は発足の日にその基金を引き継ぐということにいたしておりますので、二段がまえで三十日と六十日でございますので、法律が通りましてから九十日以内には発足できるということになるわけでございまして三十五年度中になるべく早く発足させ得るいうふうになっております。
 あとは大体経過規定なり関係法令の改正等でございますので、説明を省略さしていただきます。
#4
○委員長(剱木亨弘君) それでは引き続きまして次に移ります。
 なお、政府よりは御要求によりまして中野経済企画庁調整局長、鶴岡外務省国際連合局長、白幡外務参事官、柿坪通商産業省通商局振興部長、高橋大蔵省為替局投資課長が出席いたしております。
 それでは御質疑のある方は順次発言をお願いします。
#5
○永野護君 この法案の根本について伺いたいのですが、これは何ですか、貸しつけるというつもりで元金は回収するということに重点が置かれておるのですか。
#6
○政府委員(中野正一君) 資金の貸付あるいはまた出資もできるわけでございますが、もちろんこれは回収するということを、ただこれは非常に長期にわたるというようなことはあると思いますが、回収することを建前にしております。
#7
○永野護君 つまり私の伺いたいのは普通の銀行業務の対象にはならないということは、回収不能ということが非常に予想されるから、普通の銀行の貸付業務の対象にならぬということだろうと思いますから、端的に言いますと、その金は回収不能に、なるものが非常に多いということを前提として運営しませんと、これをむずかしいことを言うなら、このワクにはまって出資をする事業対象というものはなかなか求められぬのではないかと思うのです。ことに、調査に金が出されるというのですと、必ず仕事になるとわかっているものは調査は要らぬ、だから調査がつまりむだになる。調査して金を使っても、それはむだになるというようなものでも、やはり資金の回収はやられるんですか。
#8
○政府委員(中野正一君) 資金の回収については、二十一条にございますように、その事業内容が適切で、達成が確実であるというところは十分審査いたしましてやらなければいかぬと思います。だから、全然もう回収の見込みがないということがわかっておるものに金を貸すという運用にはならないわけでございます。
#9
○永野護君 適切ということは、そういう調査をすることが適切という――それは調査してみたいとこう思っておっても、調査した結果を見ないと事業になるかならぬかわからぬ、それを調査するんだから、その費用を回収するという、つまり貸付金という形でやるのはそのこと自体が矛盾しているような感じがします。調査費用を出すということは事業資金を貸すのじゃないのです。調査してみて、調査した結果、これは事業にはならぬという結論の出る場合が非常に多い、必ず仕事になるという見込みが立つものでなければ、この調査費は出さぬというのでは、これは調査ではなくて事業になりますから、そういう二つのことが意味されると思うのです。そういうような、つまり使い切りになると思うのです。この五十億の金というものはきわめて早くなくなってしまう。それからその出し得る対象かどうかということの認定が、実際むずかしくなりはしないかと思います。それで、へたをすると全く雲散霧消するような結果になるような気がするのです。調査費なんというものは、大体会社でいえば経費で落とすべきもので、調査費を資産に計上するのは、それは事業になったあとで、事業になるまでに使った費用を、たとえば仮払金で資産に立てておくということはあり得ますけれどもね。事業にならないで終わる場合、非常に多いと思うのです。だから――これはなぜ私がそんなことを言うかといいますと、こういう――これは憲法ですからね、これは。そうすると、今度は実際上の運用に出たりますと、この文字の解釈というようなことでもって、右左に分かれる場合が非常に多くなると思いますから、あらかじめ、調査費用なんてものは、まあまあ普通の会社では経費で落とすべきものだというような産前でこの基金が運営できるか、あくまでも貸付金であって、元金はおろか、利息までもとるという建前でこれを運営するかということは、非常に違ってくる。だから、そこの心がまえを聞いておきたいのです。
#10
○政府委員(中野正一君) 特に調査のために金が貸せるということは、これはもう御承知の輸出入銀行にはない規定でございまして、もちろんこれに金を貸すのでございまして、また利息もこれは当然、もちろん輸出入銀行よりは安い利息になっております。それからまた、回収の期間なんかも、相当これは――まあこれは調査をいたして、それからまた本格的な事業にかかるわけでございます。回収の期間等については、相当弾力的に考えたい。それから、担保等も、原則としてもちろん担保はとるわけでございますが、たとえば例としてちょっと考えられますのは、水産業なんかに進出するような場合に、漁業組合というような形で出るというような場合は、担保をとると言っても、なかなかそれは適切な担保もないのじゃないかと思います。もちろんそういうときは役員の人的保証も一応必要になると思いますが、担保等につきましても相当まあ弾力的にできるようになっております。ただ、やはりその計画そのものは十分審査いたしまして、この法律の条項に該当しておるかどうかということは、それは相当慎重に調査をして進めるということになると思います。
#11
○委員長(剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
#12
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
 本会議が開会されますので、一たん本連合審査会を休憩し、本会議散会後、直ちに再開することといたします。
 暫時休憩いたします。
   午前十時五十七分休憩
   ―――――・―――――
   午前十一時十九分開会
#13
○委員長(剱木亨弘君) これから商工、外務委員会連合審査会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、海外経済協力基金法案の質疑を行ないます。
#14
○永野護君 私はこれからなお質問したいと思うことは、二十条のことです。というのは、どういうことにこれは出すかということのばく然たる方向と、それをどうしてきめるかということの具体的な方策、相半デリケートの問題を含むのであって、これをあまり窮屈にきめておったら動きがとれない。それからこれをルーズにしておいたら直ちに雲散霧消する。
 そこで運営のあり方について伺うのですが、その質問の内郷が専務当局に答弁を求めるのは非常に無理のようなことが多いので、私は大臣の出席があるときに、責任のある大臣からの答弁を求めたいことがあるのですが、実は一点だけ申しておきますと、これをどういう仕事に出すかという二十条の中に二つの条件がある。一つは、その仕事が東南アジア地方の産業開発に寄与しという一点。もう一つは、それが本邦との経済交流を促進するため緊要と認められたる事業と二つの条件があって、この二つの条件のどちらかというのではなくて、これは両方がそろっていなければ融資の対象にならないということになっているのでありますけれども、これはこの条文の文句をかれこれ言うより、理念について非常に私の考えておることと違うので、本邦との経済交流を促進するというような条件は、私はむしろ要らぬと思う。東南アジア地域の重要産業の開発に寄与する仕事であれば、大きな意味で、広義において日本の経済交流を促進するのは当然ですけれども、これを直接すぐ右、左に、日本の産業にすぐ寄与するものでなくちゃならぬ、たとえば、鉱山に行って、その鉄鉱石を掘ってそれを日本の鉄鋼業に供給するというようなことにのみ限定することは、この基金をこしらえた趣意には沿わないのであって、その地方が開発されて、その地方民の生活水準を向上して、それが日本の貿易の発展にはね返ってくるというような意味においてなら、これはもっともだ。しかし、こういう条文ができてしまうと、すぐいわゆる官僚の事務的解釈でいうと、それは日本の産業に直接寄与しないじゃないか、すぐ右、左に。それじゃその融資の対象にならないという解釈をされると、私は意味がなくなると思うので、少なくも将来それが問題となったときに、この条文はこういう意味だということを責任のある大臣から聞いておきたい、記録に残しておきたい、そういう意味で大臣の出席を求めている。この法律は非常に大切だけれども、その運用の方法が非常に大切です。これはへたをすると、社会党の森さんあたりに非常に攻撃の材料をこの法案は供給するようなことになる。だからあらかじめそのワクをはっきりしておきたい。条文に書けばこの程度しか書けないかもしれない。従ってその条文の文句の末節にとらわれた質問をする気はないけれども、これはこういう趣意だということを質問応答を通じて記録に残しておきたい、こういう趣意です。
#15
○政府委員(中野正一君) 御指摘のありましたように、二十条の基金の業務の範囲は、東南アジア等の地域の産業の開発に寄与すると同時に、本邦との経済交流を促進するために緊要な仕事、こういうことになっております。特に本邦との経済交流を促進するためというのは、直接に日本の産業に得るところあるいは貿易の増大になるというような意味ではございませんで、もう少し長期的に見まして、東南アジア等の産業が開発され、それによってその地方の経済が発展するということになりますというと、結局はそれは日本にとっても長い目で見まして利益になる。また利益だけでなしに、日本との経済関係が改善され、増進される。それによって本邦との経済交流が盛んになってくる。こういうような長い意味で考えておるのであります。それがすぐに貿易の増大になるとか、あるいは直接日本の産業の増大、利益にはね返ってくるのでなければ、そういう事業でないと金を貸さないという狭い意味ではございませんので、そういうふうには運用しない。なお、大臣から明確なそういう意味の御答弁、御趣旨の通りの御答弁があると存じますが、私からは以上のようなお答えを申し上げます。
#16
○永野護君 今の局長の御答弁の通りであればまことにけっこうです。それを私は要望しておく。ただし、この条文を局長がおらないために、そうしてただ六法全書的に読むと、あなたの言われるようには出てこない。どうしても具体的にそれがすぐ日本の産業に、すぐ長い目で見てというようなニュアンスはこの条文から出てこない。だからこれはだめだよと言って、あなたが在任中は間違いないと思うけれども、この条文だけで解釈すると、立法の趣意はそうであっても、すぐには出てこないと思います。そういうようには……。だからそういう意味だということを責任のある人から答弁してもらって、それを記録に残しておきたい。しかし、あなたの言われることはまことにごもっともで、そうでなくちゃならず、そうあるべきだと思っておりますから、あなたの答弁としては満足です。けれどもその通りはこの条文をただすらすら読んで他日そうなるとは思わぬから一言申しておきます。
 そうして今度、それは非常に楽に考えた場合だけれども、今度は反対に、非常にむずかしいのだけれども、何かワクがないと非常に乱用される危険を含む。だから私が今非常に楽に解釈しようという私の主張と、それから乱用を防ぐという方の私の主張とは一見矛盾するのです。非常にワクをはめておきたいような気もするし、手放しになりますと、形は貸金で返えさなければならぬという形になって、安全なように見えますけれども、実際の運用で極端に言えば、借り主は一ぺん破産さえしてしまえば御破算になるというようなこともあります。そこにもそういう場合が起こり得ることも十分考慮して、そうして純経済的にこれを解釈運営していきたい、こう思うわけであります。その矛盾した二つの希望をどこで調整するか、というようなことはこれは全然政治問題であって、事務当局に返事を求めることは無理だと思いますから、大臣の出席を求めて、政府当局の責任ある運営の方針をはっきり示してもらいたい、こういう趣意であります。
#17
○委員長(剱木亨弘君) 速記をとめて下さい。
  「速記中止〕
#18
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
#19
○森元治郎君 小さい問題から伺いますか、「東南アジア等」とあるのですが、中近東とかアフリカというようなことを、メンションしてないのは基金か小さいから遠慮したのか、そこらもからみ含んでいるのか。それから来年度は相当額を増額する、増額は一体どのくらいの増額を見込んでいるのか、その理由、増額の理由ですな。それからこれは単に基金のワクを作っただけではなくて、やはり必要に迫られて基金を設置したんだから、少なくも東南アジア方面の経済協力について何か予想される開発事業というようなものも頭にあるんだろうと思うがどうか。それからこういう特殊法人のことを私はしろうとでわからないのですが、運営の委員というか、総裁の諮問機関というのはどういう人たちをもって構成するのか、元役人さんのような人ばかりが集まるのか、広く各界の人も入れるのか、大体四点ですか、お伺いします。
#20
○政府委員(中野正一君) 御指摘の第一点の「東南アジア等の地域」と書いてございますが、東南アジアにつきましては、これはもちろんわが国とも、地理的に見ましても、また経済的にも今後最も関係を密にしてともに栄えていかなければならぬという地域でございますので、東南アジアということを特に例示をしたわけでございます。これは「等」が入っておりますのは、もちろん中近東であるとか、あるいは中南米とかいうような、具体的に見てまた今後開発をやっていかなきゃならぬ地域は当然入るわけでございます。
 ただ今までの、来ておりまするいろいろの案件といいますか、ケース等からみますと、海外投資等につきましては、やはり東南アジアには件数が相当多いように聞いております。そういう而におきまして、発足当初は五十億でございますし、東南アジアが大体重点的に運営される、今後いろいろ増額されるに従いまして、ほかの地域にも事業を伸ばしていくというふうになろうかというふうに考えております。
 それから増額の問題でございますが、これは三十六年度の予算といたしまして、今大蔵省に対してさらにもう五十億の予算要求を出しております。折衝をいたしておるわけでございます。
 それから予想されるような案件ということでございますが、これは実はまだこの輸出入銀行のべースに乗らないというものが対象になるわけでございますので、今までのところまだ輸出入銀行へ持っていっても、とてもこれははしにも棒にもかからない、――はしにも棒にもかかわらないというのはちょっと言葉が言いすぎかと思いますが、とても相談にも取り上げてもらえぬだろうというようなことで、さたやみになっておるような関係で、過去のもので今すぐこれを、できれば拾いあげるということははっきりまだ申し上げかねるわけでございます。ただ一応われわれの方で百億程度というふうに考えました際にいろいろ考えておりますことを、これはまあ役所べースで考えたことでございまして、実際にこういうふうに案件が出てくるかどうか、これはもちろん開発の対象になりまする諸国からの御要望、またそれと提携をする日本側のいろいろの民間の会社といろいろ折衝いたしまして、あるいは政府間でいろいろ折衝して、だんだん案件が固まっていくわけでございます。一応われわれが予想いたしておりますものは、開発の主体が中小企業が目的である。たとえばカリマンタンの森林開発であるとか、これはちょっと最近は話が消えておるように聞いておりますが、ベトナムでウルシの開発をやりたい、こういうものは大体開発の主体は中小企業者でございまして、こういうものが向こうにいって、そういう仕事をやろうとしても、なかなかこれは信用力なり、あるいは開発にも相当期間がかかりますので、輸銀のベースではとても問題にならないというように聞いております。そういうものが一つ考えられます。
 それからもう一つは、最近の例といたしまして、インド、パキスタン、セイロン等におきまして、今までは延べ払いで大体輸出入銀行が主体でやっていたわけでございますが、向こうは御承知のように非常に開発をやりたいが、外貨が不足しておるというようなことで、単なる延べ払いだけではどうもうまくない。そのうちの二割であるとか、一割とか、一部を投資に振りかえて、結局機械なら機械を輸出する、あるいはプラントを輸出する方の側に対して、一部を出資に変えてもらいたいというような要望がございまして、そのケースは相当たくさん出ております。こういう場合に、輸出入銀行のベースにはやはり乗りがたいということでございまして、こういうようなケースは、その一部を投資に振りかえるというようなことになりますと、相当案件が出てくるのじゃないか。
 それからその次に、低開発国のこれもいろいろ要望はたくさんあるわけでございますが、向こうに中小企業を起こしたいというので、中小企業の開発関係というものは、これも今すぐどう具体化するかということはなかなか予想がむずかしいのでありますが、民間の方から非常に要望が強いわけです。特に中小企業は日本が非常に得意である。そういう技術というようなものは非常に日本は得意としておる、特色がありますので、これはほかの国にいろいろ期待いたしましてもうまくいかない。ぜひ日本によって中小企業を起こしてくれ、こういう案件が出て参ります。
 それから、これは通産省の一部で考えられておりますが、デモンストレーション・プラントと申しまして、向こうへ工場を作って見せる。これは普通にいうと、家の建て売りというような格好になると思いますか、こういうようなものも考えるわけでございます。その他の案件等もございまして、大体最低来年一ぱいかかって百億くらいの金は要るのじゃないかというように考えておるわけでございます。
 それから諮問機関の問題でございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたが、運営協議会というものを置きまして、これは木基金のやります経済協力というのは非常に関係のある機関が、外務省、大蔵省、通産省と大へん多いのでございますから、そういうところの所掌事務と関係することで重要な事項につきましては、運営協議会というものを、これは行政機関職員だけで構成をいたしまして、これは各省の所掌事務との関係において連絡をとってやるということになっております。それから別に、そのほかに対外経済協力審議会というもが近くできることになっております。これはこの声の国会でたしか総理府の設置法を変えまして、これは経済協力の基本的な、総合的な問題を、これは主として大臣とそれかから民間のその方面の権威者という者を集めまして、これはまあ経済協力全般の大きな問題については、経済協力審議会で民間の権威者の意見を聞くということになっております。この基金には特別参与であるとか顧問であるとかというようなものは置く必要はないのじゃないかというふうに今のところは考えております、。
#21
○永野護君 関連。今の例に出されましたが、いわゆる輸出入銀行には、はしにも棒にもかからないというような産業で、こういうものでやったらいいと思う例の中に、たとえばマライのクラ地峡とかソンクラ地峡とかいうものは例の中に入りますか。
#22
○説明員(白幡友敬君) クラ地峡の開発のお話は伺っておりますか、いろいろこの問題は国際的な問題もあると思いますか、さような問題を一応除きまして、純技術的に見ました場合、その事業自体は非常に大きな計画になると思いますので、資金的な制約もあると思われますが、これを場合によっては調査をするという面でもってそれ自体取り上げますというと、この基金の対象にならないということは申し上げられません。つまり対象には一応なり得る問題ではないかと思われます。
#23
○永野護君 その点について、私は、対象にならないこともないというような消極的な意見じゃなくて、さっきからの御説によると、ティピカルなたとえばこういうことという調査だけするのですよ、じゃないかという感じがするのですが、今の局長のお話しによると、裏から言って非常にニュアンスがだいぶ違うのですけれども。
#24
○説明員(白幡友敬君) 今表現が非常に悪うございましたが、具体的にまだ実はどういうふうな計画で、たとえば調査の段階でどういう観点で調査をなさいますか詳細に承っておりません。従いまして、きわめて大きなばく然たることしかお答えできないわけであります。そういう意味では一応この基金の対象になり得るのではないかというふうに考えております。
#25
○森元治郎君 これを読んでみると、やはり感ずることは、政治と経済、一体どっちが重点なのかきわめてこれは中途半端な内容のように見える。こういう海外経済協力というものは、もともとはこれは自由陣営その中の親玉のアメリカが共産圏の進出に対抗して侵蝕されそうな弱い東南アジアの国々に援助をしていこうという政治性の非常に強いことから、これは始まってきた問題だと思います。私が聞くと、政治性もあるようでもあるし、出資金は回収するかのごとき御返事もあるし、そうかと思うと、ベトナムのウルシというものはどういうものかわかりませんけれども、どうも先ほどおっしゃったはしにも棒にもかからないものに長期低利で貸し付ける、長期低利というのですから、五年から十年ぐらいのことでしょう。取れっこない。これは捨ててしまう、恩恵だ。それをやることによって幾らか自由陣営の片棒をかついでいる日本に好意を持ってもらおう。それによってほかの商売の方が幾らかでもできるならばというような感じも、期待するというようなことで、政治と経済がどうも意図するところがはっきりしていないと思うが、これを作られるときには、局長さんはどんなふうな上からの御指示でこの法案を作られたか、大臣がいないから、ちょっと無理だろうが、あなたはどういう上からの指示で作ったおつもりですか。
#26
○政府委員(中野正一君) 本基金の成立につきましては、昨年の実は終わりごろたったと思いますが、その頃からどうもやはり輸出入銀行の商業べースと言いますか、金融ベースと言いますか、そういうものだけではどうもやはり低開発国との経済の提携あるいはそういうところの開発を助けていくというような意味合いの事業は、輸出入銀行だけではどうしても工合が悪い、特に出資というようなことが、直接に出資するということは、輸出入銀行では御承知のように出資するために金を貸すということはありますが、できないというようなことから、ごくそれは、その意味では事務的にと申しますか、ほんとうの話を申しますと、実は通商産業省あたりか非常に力を入れてそういうことを言い出したわけでございます。そういうことからいろいろ研究いたしまして、どうもやはりこの輸出入銀行と別個にこういうような輸出入銀行のべースに乗らないような資金でもほんとうに大事な事業があるのでございまして、そういうものに金を貸せるようにしよう、また出資というふうなことも場合によってはできるようにしたらいい。特にこの金利の問題もございますが、今言つた、先ほど例をあげました森林開発とかいろいろな資源開発等の仕事はやはり相半長期に金がねる、輸出入銀行は御承知のように原則は十年以内ということになっておりますが、この期間につきましても、その程度じゃどうしてもうまくいかぬというようなことから、関係省がよりより集まりまして、いろいろ相談をした結果、ことしの三月に話がまとまりまして、こういう法案を出そうということで、この前の通常国会に出したわけでございます。その意味合いにおきましては、単なるコマーシャル・べースというか、金融ベースというか、そういうものだけでいくのじゃなしに、もうちょっと金融については弾力性を持たせて、しかし、これはあくまで経済のべースで考えていかなければならない問題ではあると思います。輸出入銀行でいっておるコマーシャル・ベースというようなものよりは、もう少し広い意味で経済協力というものを考えていく、またそういうことが各国からも非常に要望がありますし、先ほど申し上げましたような世界的な低開発国に対する経済協力の傾向というようなものに合致するのじゃないかというような意味合いにおいて、この法案を出したわけであります。
#27
○森元治郎君 その対象の中にインド、パキスタンの延べ払いに関して一部を投資に振りかえていく、こういうものへの経済協力の態度は私はいいと思うのですか、へたをまごつくと、これは大きな国際的なやみの根源になり、非常に暗い問題か出てくるおそれがあると思うのですが、そういうところについてはどんな心構えでおられるのですか。
#28
○政府委員(中野正一君) この基金の運営に当たりましては、もちろんこれは税金でもって作るわけでございますから、これの非常に放漫な運営ということは許されないと思います。従いまして、そういうことにつきましては十分慎重にやりたい、また先ほど申し上げました運営協議会というようなものが総裁の諮問機関としてございまして、これは関係省の役人だけではございますが、そういうところで、そういう事業なり運営の全般の問題については漸次意見を述べることができるということに――もちろんこれは各省の所掌事務の関係からの発言になると思いますが、運営協議会でそういうこともよく相談をしてやるということになっております。また、先ほど申し上げましたように、経済企画庁長官がこれはもう監督いたしまして、この法律の趣旨に従って業務をやらせるように必要なる監督命令も出せるようになっております。運営に当たっては慎重を期したいと思っております。
#29
○森元治郎君 へたまごつけば、輸出入銀行の厳格なベースに乗らないものが多いのですから、へたをすると、この産業の開発にもならないし、出したものには何にも回収ももちろんできないという事態も想像されるわけであります。これはやはりある場合には捨てるというくらいの腹をもって、やはり政治的に――先ほどあなたもちょっと私のお話に賛成したような御答弁がありましたが、ある場合には捨てるんたと、そして、しかしその国々の被援助国民の好意は取りつけておくんだと、こういう腹がまえがなくちや、とてもこれはそろばんに合わない仕事のようですから、その辺の心組みは事務当局ではどんなふうに思っておりますか。
#30
○政府委員(中野正一君) 法律にも書いてございますように、これはあくまでやはり回収ということを考えて、長期のあるいは低利の金を貸す建前になっておりまして、しかもその開発事業というものは内容が適切で、達成が確実であると認められる場合でなければ貸してはいかぬ、あるいは出資をしてはならないということの制限があるわけであります。この法律の趣旨に従いまして運営をやっていくべきである。ただ先ほどもちょっとお話が出ましたが、本基金は運用益の範囲内におきまして自分で調査をやっていく。これはもちろん当然運用益の範囲でやるわけでありますから、その対象については、これは調査をすることによる利益も上がるわけではございませんが、これは運用益の範囲内においてこの開発事業に関連をいたしました必要な調査はできることになっております。
#31
○森元治郎君 いずれ大臣がおいでになったときに、ほんとうに意図するところの根本ですな、これがはっきりしてないように――これを実施していく上において、大きな目的と違うことになりはせぬかと思うので、大臣にあしたでもそういう機会があればただしたいと思うのであります。
#32
○佐藤尚武君 私は先ほど来事務当局から詳細な説明を伺っておりまして、今度の基金を設定するというこの法案には、大体において賛成したいと思うものでありますが、私は特に本日伺いたいと思うことは、この基金の運用面において国連とどういう関係に立つかということであります。
 しかし、その前に小さな点を一つお伺いしておきたいと思います。それは第二十一条でもってこの基金の運営に関しまして制限がついておる。これこれの場合に限って第二十条の資金の貸付等をやるのだと、こういうことになっておる。その制限の中に、輸出入銀行とか一般金融機関から通常の条件によって貸付ができない場合であるとか、あるいはまた基金以外の者から出資を受けることが困難な場合ということがありますが、これはどういうことを意味するのか。基金以外の者から出資を受けることが困難ということがちょっと私に了解ができかねるので、それを一つまずもって御説明を願いたい。
#33
○政府委員(中野正一君) 二十一条の輸出入銀行及び一般の金融機関から通常の条件では貸付を受けることがむずかしい場合というのがまず第一でございまして、これは輸出入銀行の業務方法畜に貸付の条件が相当詳細に書いてあるわけであります。たとえば金利は長期投資に対して金融する場合には四分五厘以上、期間は十年以内というようなことが書いてあるわけでございます。また担保は十分取る。特に輸出入銀行におきましては、法律にも償還が確実なものでなければ貸しちゃいかぬという厳重な制限がございます。そういう担保条件、貸付の期間あるいは利率というようなものから見まして、とても輸出入銀行に持っていっても貸してもらえないというふうなことが、まあ、客観的にといいますか、そういうことがわかるわけでございます。何も一々輸出入銀行に行きまして、断わられてから、この基金に来るというふうに考えなくてもいいんじゃないか。もちろんそういうケースもある。輸出入銀行に行きまして、とても私のところでは条件が、業務方法書なり何なりの点から見て貸すことはできませんと、こういうことを言う場合もあると思います。そういう場合が前段でございます。それから基金以外の者から出資を受けることが困難――先ほどもちょっと申しましたが、たとえば中小企業の方が集まって一つの会社を作る、あるいは組合でもって現地へ進出していろいろの仕事をする、そういうような場合に、だれかほかの一般の会社の人等から出資をしてもらおうと思っても、十分の出資を受けられないというような場合は、この基金の対象になるということだと思います。
#34
○佐藤尚武君 それでは国際関係の問題について一、二お尋ねしたいのですが、低開発地域の開発をはかるということは、これはもちろんその国々の発展のために必要なことでございますが、世界の全体の繁栄の上からいいましても、低開発地域をいつまでもそのままに置いておくということは、これは許されないことでなければならぬと思うのであります。天然の資源を持ちぐされにしていつまでもそこに寝かして置くというようなことがあってはならない。それはその国自体の不幸であるばかりでなく、世界の人口がこういうふうに急速にふえていくときにあたりましては、世界全体の幸福増進のためからいっても、そういうことは許されないはずであります。でありまするからして、こういうような低開発に関しましていろいろな手段がとられているということは、これは当然のことでなければならぬと思うのでありまして、その一環として、日本国内においてこういうような特別の基金が設定されるということは、これは歓迎しなければならぬことだと思うのであります。しかし、国際的な見地からいいますというと、そういうような資金を供給し得る、もしくは技術を供給し得る国々が各国別々に働きかけるというようなことは、これはあまり歓迎されないところでなければならぬと思うのであります。しかるに実際面を見ますると、それがいろいろに分かれているような感じを私としては抱かざるを得ないのであります。国際連合そのものは、その低間発地域の開発問題について、非常に最初から注意を払い、そうしていろいろ努力をしておるように見えるのでありまして、それが拡大技術援助計画というような機構をこしらえて、そうして技術援助の方面に対して主として力を入れておる。しかし、技術援助の方面におきましても、国連のやっておりますることは、まだ技術者を養成するという、そういう技術そのものの援助の前の段階の仕事をやっているというのにすぎない今の状態であるように見受けられるのでありまして、前途まだ、はなはだ遠いように思われる。また資金面の方では、国際復興開発銀行というようなものかあって、そうして活動をしておる模様でありますけれども、これも貸付条件とか、何とか、なかなかやかましいようで、そう簡単に資金が融通されるものでもないように思われまするし、この低開発地域の開発という大きな、また広い問題から見まするというと、まるで靴の上からかゆいところをかいておるというような感じを抱かざるを得ないのであります。
 そういう際におきまして、そういうような機構がまだできない前から、私はつとに考えさせられておったことなんでありまするが、これらの後進国に対する援助というものが、国連の旗じるしのもとでやるのが一番いいのだという考え方であります。それは資本国が、直接に後進国に対して出資をする、投資をするというようなことになりまするというと、その資本に対してひもがつきやすいし、またそれを受ける後進国の方からいいまするならば、外国資本の重圧に苦しまなければならぬというような心配もあるわけでございます。ところが、これがもし国際連合に適当な機関ができて、そうして出資者は国際連合に対して出資をする、その後進国に対する投資は、国際連合がその金を利用してやるのだというふうな筋道をつけるとしまするならば、よしんば、その資本が現実に米国から出ておるにしても、米国の資本ではなくなってしまって、国際連合の旗じるしのもとに投資される資本であるという点からいいまして、受ける方でも何らの心配もなく、これを受け取ることかできるというようなわけであります。ソビエトから投資されるような資本においても同じことが言えるわけでありまして、それはすでに共産主義国の資本ではなくなって、いわば無害な投資として受けることかできるというようなものになるはずのものでありまするからして、私は国際連合というものが、その点で、もっともっと力を入れなければならないのだというような感じを強く持っておったのであります。しかるに、それがなかなか実際においてはできない。国連がやろうとしましても、資本国は、これに対して出資を渋るというようなわけでありまして、かるがゆえに、国連でできました特別国連経済開発基金ですか、長い名前がついたそういう基金ができそうであったのでありまするが、これも準備時代に終わってしまっている、とうとうそれが実現しなかった、こういうようなわけであります。そこで昨年になって、あの有名なポール・ホフマンが主として働きかけて、国連に特別基金を作るということになって、日本からもたしか四十八万ドルですか、去年、今年と出資をした模様であります。これは大へん私はいいことと思うので、それまでは国連がやろうとしても、アメリカがしり込みして援助を与えなかったために、先ほど申しました特別基金というものはできなかったのでありまするから、今度ポール・ホフマンのやりましたその特別基金は、アメリカが態度を変えて乗り出してきたということで、ものになりつつあるように見並又けられます。
 これはまあ大へんにいいことと思いますけれども、そこで、この日本にこういうような新しい基金の制度ができて、日本側として投資をする機構がこれによってできるわけであります。もちろん、東南アジア地方開発の上からいいまして、これは大へんに諸外国から見ても歓迎さるべきことであろうかと思います。しかし、何と申しましても、現在のところではあるいはコロンボ計画にいたしましても、国と国との間の相対ずくの契約でもって開発を進めておるというような関係、それがまた、それだけならまだいいのでありますが、これが東西両陣営の政争の場として、東南アジアなり、アフリカ諸国なりが使われるというような傾向が、最近において顕著になってきたことは、これは認めざるを得ないと思うのであります。もちろん、これらの低開発地域に対しまする援助は、何も自由陣営の独占であってはならないということは、これは当然な話でありまして、それは自由陣営の特権でも何でもないのでありますからして、どこの国でも、これが開発に大きな意欲を持っておる国であるとするならば、当然共産圏といえども、投資をし得なければならぬはずのものではありまするけれども、それが東西両陣営のいわゆる冷い戦争の現実の問題として、アフリカならアフリカでもって、両陣営の間で争われるということになりますると、これはその受ける万の国からいって、まことに迷惑千万なことでなければならず、また世界平和増進の上から見ましても、一つもほむべき問題でないと思うのであります。
 そこで私は、この日本などが、これから海外投資に乗り出す、低開発地域の開発のために乗り出すということになったとすれば、そういうような両陣営の争いなどに飛び込まないような仕組みでもって、これをやっていかなければならぬ、こう思うのでありまして、いわば日本の投資は、全くひものつかない、無色な投資であるということを、その受ける方の国々によく周知せしめなければならないと思うのであります。それにはやはり国際連合などと密接な連絡をとりつつ、あるいは経済社会理事会にこれを報告するとか、国連の了解を得て、そうして乗り出すとか、いろいろな方法があるかと思いまするが、そういうような方法をとってやっていく。つまり、日本の投資というものは、公明正大、その受ける方の国の発達、国民の幸福、その増進のために日本は乗り出しておるのだということを周知させるということが、私は非常に必要である。そのためには国連を利用するということが最もいい方法ではないかと思うのであります。
 繰り返して申すようでありまするけれども、日本の投資というものは、そういったような両陣営のおのおのの帯びておるところの色彩には一切触れないで、そういったような色彩以外の投資であるということでなければならず、そこにおいて初めて日本の投資というものが有意義なものとして、後進国から受け入れられると思うのであり、また、そうやってこそ、初めて日本の工業力というものが、産業というものが健全な歩みをたどって、そして発展していくものではなかろうか、こう思うのであります。
 つきましては、政府におかれては、日本のそういうような海外投資の計画と国連というもののつながりを、どういうように考えておられるか。また今まですでにいろいろな手段はとってこられただろうと思いますが、そういう点に関しまして、私はあまり詳しい報道を持っておりませんので、政府側から、この際この機会を利用して御説明いただきたいと思うのでございます。
#35
○政府委員(鶴岡千仭君) 一言に申し上げますと、国際連合を通じまする技術援助、経済援助と、それから二国間のべースによります援助とは補完関係にあるのであって、また補完関係にしようという心がまえで運営することが、今まで私どもの命じられておりました方針でございます。
 御承知のように国際連合憲章は、その前文で一そう大きな自由の中で、社会的進歩と生活水準の向上を促進することを決意しておりますし、すべての人民の経済的、社会的発達を促進するために国際機構を用いる、国際連合を用いるという決意を述べておりますし、なおその上に、憲章の第五十五条におきましては、「一層高い生活水準、完全雇用並びに経済的及び社会的の進歩及び発展の条件」を促進すべきものであるというふうに規定しておるわけでございます。要するに佐藤先生が、今お述べになりました通り、国際連合は世界平和が一つであると同じように、世界の繁栄もまた一つであるという思想に基づきまして、その思想を実現するのが国連であると、その決意及びその方法を、ここに述べた次第であるかと思うのであります。
 国際連合を通じまする援助と、二国間の協定あるいは話し合いを通ずる援助との特徴を一応申し上げますならば、国際連合を通ずる援助は、政治的な影響と援助とを遮断することができるところに大きな妙味のあることはお説の通りであるかと思うのであります。たとえばコンゴの援助の例によりましても、このコンゴに反乱が起こりまして、安全保障理事会が四回、特別緊急総会が一回、通常総会においても、また引き続いてその審議が行なわれ、それがまだ続行されておるのでありますが、そこに支配しておった思想は、コンゴヘの技術援助は国際連合のみを通ずるのであって、それ以外はやめよう、すべての援助は、国際連合を通じようという思想が支配的であったのは御承知の通りでございます。で、もう一つの特徴は、国際連合の手による援助でありますならば、世界的な規模において知識を集める、エキスパートを集めることができます。また世界的な規模において技術を習おうとするフェローを募集することもできるというような規模の大きさの特徴がございます。ただ何と申しましても、機構が大きくなり、関係者が大ぜいになって参りますというと、その活動が、どうもやはり身重になりがちであるという、そういう弊害があるのは、これは申すまでもないわけでございますし、また今日の世界におきまして、援助を受ける方の国の数が非常に多いので、ややもすれば先進国に対して援助を出せ出せという、その要求のあまりの大きさに、先進国はたじろぐといったような、そういう傾向のあるのも、もっともございます。
 それならば、今日まで国際連合はどんなことをして、日本はそれに対して、どういう態度をとってきたかという点について一言申し上げたいと思いますが、国際連合におきましても経済社会理事会その他を通じて、これは先進国と、つまり援助を与える国と援助を受ける国、両方の協力の精神で技術援助が行なわれなければならない。従って先進国の先ほど申し上げましたような高い理想追求の精神を忘れてはならないが同時に受け入れ国も、せっかくの援助資金でありますから、これを有効に使わなければならない。そのためには、今日の欠陥は、受け入れ国の行政機構、その他資金の利用方法の面で足らないところがあるので、行政指導、オーペックスと申しますが、そういうような機構も設けまして、大いにその面を改善する、つまり受け入れ国において計画を立てたり、または実施したりする上においておくれないようにしよう、そういう企てが、二年ほど前から臨時に設けられたのでありますが、その制度は、ことしの総会で半ば永久的に続けるということになったことは、その一例でございますし、また受け入れた資金、これは国際連合のみならず、いかなる資金でも、受け入れ国がこれを受け入れた場合に、それをある程度安全保障してやる。たとえば二重課税をかけないようにするとか、その他国産化、国有化という問題についても、慎重に考えるというような考え方が出て参っておりますし、去年の経済社会理事会あたりで、その制度がよろしいというので、先進国も、また後進国と中しますか、援助を受け入れる国の方でも、これに賛成の意を表している次第であります。この面から、だんだんに国際連合の手で固められつつあることは御同慶だと思うのであります。
 なお国際連合は、一面において援助を求める国の声が非常に強く、その援助を要求する度合いも強くて、先進国はたじたじだと申しましたが、確かにその傾向がございますのは事実でありますけれども、すでに国際連合となって十五年、その間新しい国々、後進の国々も、だんだんに物事の実体を洞察いたしまして、自分たちが援助を受ける、その根本条件は、先進国の経済的繁栄の維持、発展であるという事実にも気がつきまして、そのことを、ことしの夏の経済社会理事会において宣言した事例もございます。
 そういったようなわけで、私は国際連合を通じる技術援助は、あるいは経済援助というものは、規模の大きいために活発度を欠く危険はあるにはあるけれども、今後だんだんにスムーズな発展を遂げていくのではないかという希望を持ってよろしいかと考えております。
 具体的な例は、それならば具体的に国際連合は、どういう機構を設けておるかと申しますと、おもな機構は、特別基金と拡大援助計画、この二つでございます。日本といたしましては、この両者に賛成いたしまして、一九五九年度、一九六〇年度の二年度におきましては、それぞれ六十一万五千ドルずつを出しまして、来年度につきましては、十月にクレジットと申しまして、大体来年どういうふうに出すかという誓約をする会議が持たれるのでありますが、そこにおいて国会の御承認を得ることができますならば、ことしはこれを三倍にいたしまして、約百八十万ドル程度の拠金をするということを申したのでございます。つまり日本政府は、国連を通じる援助計画に対し強い熱意を示している次第でございます。
 ついでに申し上げたいと思いますが、特別基金は大体長い計画に対して行なわれて、拡大援助計画は短い計画、小規模の計画に対して、ことに人の教育その他に重きを置いた計画をいたしております。特別基金は、この基金の分担をする国及び基金に対して拠金をするが、それを受け取らない国と、それから援助を受ける国と二つに分かれておりまして、日本は、その援助を受けない国になっておるのでございます。しかしながら、まあ私どもホフマンあたりとも話をいたしましたが、もし日本において何ごとかの事業をする。それが後進国援助のためになり、かつ後進国がその事業を支援するというような場合であるならば、特別基金から援助をしてもよろしいということであったのでございまして、目下のところAPO――アジア生産性機構、それからエカフェ地域の社会防衛制度の訓練センター、それから地震工学のトレーニング・センター、こういうようなものを、日本といたしましては東南アジア及び世界の国々との協力によって、日本にこれを設け、そこに特別基金の援助を受けるという計画を推し進めておるわけでございます。日本はエキスパートにつきましては、一九五九年に二十名のエキスパートを外国に派遣しております。また一名のエキスパートを受け入れております。一九五九年のフェローの方といたしましては、日本といたしましては六十一名を外国に送っておるのでございます。なお、フェローとして日本が受け入れて、研修その他をしてあげた外国人は六十七名、一九五九年に六十七名に上っているというようなことでございます。DAG諸国におきましても、国連を通じる経済技術援助を二国間の話し合いで援助をするということは相互補完関係にある。一方において二国間関係の援助でありまするというと、とかく政治的な影響があるというふうに見られる。そういう弊害がありますが、同時にやはり一つの国といたしましては、その国の経済技術の持ち味を持っておったり、歴史的、地理的な意味で、ある国々とは特に提携がしやすい、それも早くできるといったようないいところも持っておりますので、この両方を生かしていきたいというような考えで今日進んでおるのでございます。
 いずれにいたしましても、その両方一貫する思想は、世界の平和は、やはり一つである、世界の繁栄がまた一つであって、自分だけが栄えるというわけにはいかない。今日の世界は、そういう世界であるという、そういう基本的な考え方に立っている次第でございます。
#36
○佐藤尚武君 ただいまの御説明で、コンゴに対する経済援助は、国連を通じてのみ与えるのだという決議が成り立ったように伺いましたが、それは国連の総会の決議でございますか。
#37
○政府委員(鶴岡千仭君) それは国連総会、今度。――九月十七日から二十日までに行なわれました緊急特別総会、これで、九月二十日の午前一時ごろできた決議の中にあります。それが今度の通常総会の方では、まだ決議ができておりませんから、決議の形にはなっておりませんけれども、そのことは非常に多くの代表団がリファレンスしまして、賛成の意を表しております。
#38
○佐藤尚武君 これは大へんに国連としても、非常にいい前例を開いたものと思われます。このポール・ホフマンの報告書の内容を見てみましても、今までの国連内に設けられた、たとえば拡大技術援助計画であるとか、いろいろな活動が行なわれておったのでありますが、そしてまたその活動の結果として、この報告では、すでに九千人のエキスパートをこれらの低開発地各国に送ったとか、あるいは一万六千人の学生たちを教育したというようなことが載っておりますので、かなりの成績は上がりつつあるとは思いまするけれども、しかしその先に参りますると、ポール・ホフマンそれ自身が言っていることでありますが、これらの国連の運動は、大へんまずい言葉ではあるけれどもプレ・プレ・インヴェストメントだと言っております。つまり投資そのものが目的であって、そのためには準備行動が必要であるが、しかし、今まで国連がやってきことは、その準備行動のもう一つ前の準備を今やりつつあるというふうな調子でありまして、それから考えまするならば、国連の活動は、まだまだその前途遼遠であると言わなければならないと思います。
 そのほかに、どうも私は統一がうまくとれてやっていっているのかどうかということを疑わざるを得ないのは、活動面の機構としては、国際復興開発銀行であるとか、インターナショナル・ファイナンス・コーポレーションというものがあるらしい。そのほかに、国際開発協会というものがまたできて、そしておのおのが活動をしている模様でありますけれども、こうやっていろいろなものができて、できるのはいいとしても、その間に、ほんとうに有意義な連絡がとられているのかどうかということについて非常に私は疑問を持っているものであります。しかし、これらに関しまするまた詳細の御説明は他日の機会に譲ることにいたしまして、結論として、私の希望を申し述べまするならば、先ほども述べた通りでありまするが、日本の海外投資、低開発地域に対するこれらの投資というものは、やはりそのコンゴに対する経済投資の決議の趣旨に従って、国連を中心としてやるのだという、そういう考え方でいくのが最も適切な方法だと考えますると同時に、それであってこそ、各地方の住民たちの信用を得ることになるのであり、何といっても、日本はあれだけ大きないくさをおっぱじめてしまったような国でありまするからして、信用の回復ということが第一でなければならぬと思うのであります。それには幸いに国連という機構があるのでありまするからして、これの旗じるしのもとで、日本は進出していくという、そういうことを、これらの国々の人たちによく理解させるということが、ぜひとも必要であるかのように思うのであります。
 かくして初めて、日本は将来大きく伸びていくことができると思うのであり、かつ、日本自身が、私はこれらの国々の人たちにとりましては、いいお手本だと思うのであります。明治維新以来百年はかかりましたけれども、ふんだんに欧米の文物を取り入れ、これをそしゃくし、そして今日の産業の隆盛を来たしたというその生きた手本を、東南アジアの人たちによく見せて、そしてあなた方も日本人と同じような気持になって、単に母国を排斥し、憎み、そして敵対行動をとっていくということばかりが能ではないので、彼らの持っておった、ひいでた文化をふんだんに入れて、これを咀嚼してかかっていったならば、もちろん百年なんて長い時期を経ることなくして、もっともっと短い期間に、日本ぐらいの産業発展を実現することができるのだということを、よく理解させる。そこに私は、日本の将来伸びていく大きな使命があると思うのでありまするから、どうか政府当局も、私のそういう意見をいれられるかどうかしりませんけれども、そういったような大きな眼でもって、今後このせっかくできた基金の制度などを生かして活動さしていただきたいということを申し述べまして、私の質問を終わります。
#39
○大和与一君 委員長に先にお尋ねしますが、これは慎重に審議して早くきめてくれというのですね。これはまあうたい文句だけれども、きょう私たちは初めて見るわけでしょう。これをまあ、きょうあす中ぐらいに相当無恥にやってしまうことになるのか。その内容が簡単なものだったら、これは賛成することがたびたびありますけれども、これは相当大きな問題だと思うんですが、どうです、無理にやっちまうんですか。
#40
○委員長(剱木亨弘君) お答えしますが、無理にやるとか、そういうことは全然考えておりませんで、審議の状態によりまして、あげられるものならあげていただきたいと思います。
#41
○大和与一君 それから、さっきの局長さんの答え、長過ぎるから、もっと簡潔に要領よく答えていただきたいと思うんです。私も簡単に質問します。
 第一は、東南アジアに中国も入っていると思うのだけれども、中国との関係は、この法案では全然ありませんか。どうなのか、第一の質問です。
#42
○説明員(白幡友敬君) 通常私どもの言っております東南アジアという言葉の中には、中国、朝鮮、こういうものは概念的には入っておりません。従いまして、将来こういう地域に対しますこの基金の対象とするような事業が行なわれますような場合には、いわゆるその「東南アジア等」と、「等」の中に包含するという思想でございます。
#43
○大和与一君 そうすると、まあ「等」という、「その他」とありますから、やはり一応、しないということではなくて、具体的にいろんな問題が出てきた場合には、それに対して、まじめに考えて取り上げていくということになるのか、でなければ、中国などはそんなに困っていない国だから、今のところ、そんなことは考えていないのだと、こうなるのか、そのどっちですか。
#44
○説明員(白幡友敬君) ただいまの段階では、いわゆる中国大陸の方、あるいは北ベトナムとは、国交関係がございませんので、直接この基金の対象になるという事業というものは成立しにくいと思います。将来国交が結ばれましたら、こういう問題は当然出てくると思います。
#45
○大和与一君 しかし、予算委員会で総理が、たとえば中国についても、政治的な問題は困るけれども、たとえば郵便とか、気象とか、そんなものはいいということを、はっきりおっしゃっているのですから、段階的に積み重ね式に、やはり商売していった方が日本のためにいいのではないか、こういうことは、やや明確に方針を出そうとしているのだから、そうすれば、この問題も当然含まれると考えていいと思うのですが、どうですか。
#46
○説明員(白幡友敬君) 総理のお答えの趣旨は、大体いわゆる貿易を中心とした思想じゃないかと思われますが、経済援助になりますというと、若干必ずしもそれと結びつかない点もあると思いますので、ただいまの段階では、ちょっとはっきりお答えいたしかねます。
#47
○大和与一君 だから、はっきり区別できることと、それからできないこともありますわね。この法案の趣旨は、やはり日本の国をよくしようというのだから、その場合に、はっきりできないというのは、どういうわけかわからない。もう腹がまえとしては、それは別問題だと、別ワクだと、こういうふうにきめて、この法案を出したのかどうかということをはっきりおっしゃって下さい。
#48
○説明員(白幡友敬君) ただいまの御質問の趣旨でありますと、はっきりできないときめておる思想ではございません。
#49
○大和与一君 ではない……。
#50
○説明員(白幡友敬君) ございません。
#51
○大和与一君 民間企業だけでは、資力が十分でないと、これは簡単な言葉ですけれども、私たちは、民間の銀行なり会社なりが、実際に、何と言いますか、仕事ができると思ったら、黙っておってもこれは流れていくわけですね。これに対して、開発銀行の裏づけも、心配がなければ出さぬという見通しに立って大体やっているわけですね。そういう面からは、これからも何も心配はないわけでしょう。だけれども、それがないやつを、これからやってやろう、それが弱いところを国の力でめんどうをみようというわけでしょう。そうなると、一体国として収支がつぐなわなくても、いわゆる国際的な立場から弱い人を援助すると、こういう意味を含めて、やや捨て金的なそういうこともやるのだと、こういうことがあるのかないのか。
#52
○政府委員(中野正一君) 今御指摘のように、東南アジアを初めといたしまする低開発国の産業の開発を補助して、南方との経済交流を促進するために、いわゆる開発事業というものには必要な資金を貸していこうということでありまして、こういうものにつきましては、従来の輸出入銀行のいわゆるコマーシャル・ベースというものでは、どうしても金が出しにくい、そういうもので、しかも向こうの産業開発には非常に貢献するというような例がだんだんと出て参るわけでございまして、普通の金融ベースということではいかぬ。たとえば、非常に開発に時間が長くかかる。輸出入銀行でいきますと、普通は大体七年とか、最大十年以上の金は貸せない建前になっております。そういうことでなしに、もう少し長期に寝る金、資源開発であるとか、漁業の開発であるとか、そういうような方面にこの基金を活用していきたいというふうに考えております。
#53
○大和与一君 そうすると、ほんとうの商売をする専門家は、これは手がたくやるわけでありますが、そこに、しろうととまではいきませんけれども、やや冒険が含まれておるわけですね。
 そうすると、今のお話はわかるのだけれども、新しく援助をする場合に、その利害打算というものを、あなた方だけでなくて、ほんとうに責任を持ってだれがやるのか、どういう人たちが集まってきめるのか、これを聞きたい。
#54
○政府委員(中野正一君) 資金の貸付の意思決定は、これは基金の機構でありまする総裁、理事というところで最終決定をすることになるわけであります。ただその間に、その事業の緊要性その他につきましては、関係官庁の職員で構成をいたしておりまする運営協議会というものがございまして、この基金が具体的にどういう会社に貸すとか、そういうことは、役所でありますので、指図はいたしませんが、全般の基金の運用の方針、あるいはどういう方面の事業が大事であるか、またその事業を助けることによる経済的ないろいろな効果、そういう方面につきましては、関係省からも、いろいろ意見を運営協議会を通じまして言うことになるわけであります。
#55
○大和与一君 民間は入らないのでありますか。
#56
○政府委員(中野正一君) 民間は入りません。
#57
○大和与一君 そうすると、役所だけで相談してやるわけですな。そいつは、あまりりっぱじゃないと思うのだな。たとえば、衆議院の付帯決議を見ても、在外公館と連絡してやれと。エチオピアでも、ネパールでも、あんな問題が起こっても、一つも連絡ないのでしょう、何しておるか知らぬけれども。そんなものを相手にしておったら……。国民の大事な金を使ってやるからには、やはり損をしないようにやらなければいかぬのだから、そういう場合には、どうなんですか。民間を入れないということと、在外公館との連絡ということとは、今のような在外公館の力では不十分ではないかと思うのだが、的確なやっぱり資料と、それから情勢の情報が入らなければ、そんな総裁をきめるといったって、格好だけだから、それじゃだめじゃないですか。
#58
○政府委員(中野正一君) 本基金の業務につきまっしては、たとえば窓口の受付、それから審査、あるいはそれに伴う調査、そういう機能の一部は、従来からやっております輸出入銀行に委託をしてやる。相当事務的な部分につきましては、輸出入銀行に処理させる。しかし開発事業に必要な金を貸すことでございますので、基金といたしましても十分なる調査、審査もやりまして、そうして貸付をするかどうかということを決定することになるわけでございます。
 それから在外公館との関係につきましては、御指摘の通りに衆議院におきまして付帯決議がつきまして、本基金の運営にあたっては、いろいろ海外の情勢等を十分知った上で運営すべきである、その意味において、在外公館等とも連絡を十分にとるようにという御趣旨の付帯決議がついております。もちろんこの外務省の代表が運営協議会に入っておりまして、その面を通じて外務省方面とは、十分連絡はとれるわけでございます。在外公館等からも、十分に情報等をいただいて運営をすることになると思います。
#59
○大和与一君 そこがやっぱり大事なんで、やることは、かりにいいとしても、たとえば事業の準備調査とか、または試験的実施のための資金の貸付、この辺が的が狂ったら、これはまるでだめなんでしょう。そこを私は言うわけなんです。その的がねらいをはずれないでいけるように、そのために、どういう衆知を集めて、しかも正確にやるのか、そこのところをもう少し詳しく正確に聞かぬと、一応の形だけ聞いたってしようがない。
#60
○説明員(白幡友敬君) ただいま在外機関との関連のお話がございましたのですが、外務省といたしましては、経済協力、技術協力の陣営を強化しなくちゃならないということは、特に最近強く感じておりまして、来年度の予算にも、このための係官の在外公館強化を、ただいま増員のことにつきまして、大蔵省と折衝中でございます。
 従いまして、確かにこの経済協力の面では、従来日本といたしましても、いわば事業的にあまり歴史がないものでございますから、いろいろと在外公館の方の機能に、十分な点がなかったと思いますので、人的にも大いに強化いたしていこうと思っております。
 それから、ただいま御指摘になりましたネパールにつきまして申し上げますと、御承知のように、あそこには在外公館ございませんで、インドの大使が兼任いたしておりますために、突発的な事故につきまして、情報が若干おくれておるのでございますが、実はごく最近、あの事変が起きます直前に、これは外務省からではございません、形式的に外務省からではございませんが、実質的には政府の補助金を受けております団体から派遣ということでもって、前の外務省の大使をやっておりました日高信六郎さんを団長としてネパールに技術協力という意味で電源開発の調査団を送りました。これには政府の役人ももちろん入っておると同時に、民間の会社からも出してもらいました。それからあちらに駐在いたしております――これはインドに駐在しておるのでございますが――商社の人の協力も得まして、約一ヵ月間にわたる調査を完了いたして参りました。
 従いまして、外務省といたしましては、できるだけ将来は、こういう後進国の経済協力のための調査を今後ますます進めていきたいと思っております。
#61
○大和与一君 輸出入銀行よりは、やや幅広く運用できるように考えておるのですね。これはちょっと抽象的な言葉ですがね。これはまあさっき御説明があった大体中身だと思うのですけれどもね。これをもう少し、あれですな、説明してもらいたいですね。そういううまいことができるのかどうか。
 で、やや幅広くということは、やっぱり裏づけがなくちゃいかぬから、私は裏づけの方が大事だと思うのですが、現地の模様、こっちできめる的、的がきまって、また実際にそれを運用する格関係省の会議、それだけじゃ、やっぱり不十分だから、なお必要な人たちの意見を聞くと、こういうことを初めにきめることが一番大事なんだから、その辺が……それとさっきもいった、これば損をするとわかっておってやるのじゃないのだから、向こうさんのためにやるのじゃない、こちらのためにやるのだから、そこのところを、もう一度総括的にお話を願いたい。
#62
○政府委員(中野正一君) この開発事業をやる場合には、もちろんやる主体というものが、まあ普通の場合は、日本の民間の人がこれを、向こうとの連絡を十分とってやるわけでございまして、その意味では、その主体となる民間の会社なり、その事業体というものが、現地の情勢も十分調査をしまして、慎重にまあ計画を作りまして、そのうちの一部の金を輸出入銀行なり、あるいはこの基金なりに申し込みをすると、こういう段取りになるわけでございます。
 ただ、輸出入銀行でありまするというと、十分なる担保を取れる。これは法律にも償還確実なものでなければ金を出しちゃいかぬということが書いてありますので、十二分な担保を取れる。また期限に非常な制限がございます。あまり長期の開発資金というものは、やはり輸出入銀行からは出しにくい。またその事業が――もちろんこれは採算を無視してやるような事業に、幾ら政府の金でも出すわけではございませんので、採算ということは、十分基金として検討して金を出すわけなんです。
 ただその場合に、この普通の採算よりは、べースからみまして、十分これはやっていけるということでなしに、少しでも危険性もあるというようなものでありまするというと、どうしても貸出しの利率も、そんなにたくさんは払えないと、こういうことにもなってくるわけでございまして、担保条件なりあるいは貸付の期間、それから貸付の利率と、そういう点から見まして、輸出入銀行のべースには乗らないというもので、本基金で対象になり得るものが相当あるのじゃないか。そういう点を基金として十分調査をし審査をいたしまして、貸付の決定ということに至るのでございます。
#63
○大和与一君 今までも政府から、これに似たような、いろいろなまあ金を出すことがあったと思うのですけれども、ずいぶん抽象的な言い方だけれども、大体、あれですか、大きな失敗をしたことはない。十のうちで失敗は幾つ、うまくいったのが幾つと、ただし何にもせぬで、いいことも悪いこともせぬで、ずっと生きているのなら、これはありますよ。これは幾らでもできるけれども、そうでなく、せっかく大きな金を使って、それであとはきちんと報告されるのだろうと思うのですけれども、うまくいかなかったことがありますか、率直に。
#64
○説明員(柿坪精吾君) 従来の海外投資につきましては、輸銀の貸付を受けて行なったもの、あるいは自己資金だけで行なったもの、こういうようにございますが、従来の投資の中でも、やはりすべてが成功したわけじゃございませんので、たとえばメキシコに出ました豊田の紡績工場、これあたりは現地資金の関係で制限がありまして、現地資金の均衡との関係がまずかった。あるいは通貨価値の問題、その他の問題で、一応株式を現地人に譲渡いたしまして引き揚げたというような例もございます。
 ただ、全般的に申しまして、そういう失敗の例は、ごくわずかでございまして、まあ所期の通りとまではいかなくても、成功しておるのもあれば、まずまずの成績をおさめておるというのが実情かと思います。
#65
○大和与一君 きょうはこれで。
#66
○委員長(剱木亨弘君) 他に御質疑ございませんか。――他に御発言がなければ、商工、外務委員会連合審査会を、これをもって終りますことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(剱木亨弘君) 御異議はないと認めます。よって本連合審査会は、これにて終了することに決定いたしました。
 それでは、これにて散会いたします。
   午後零時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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