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1960/12/21 第37回国会 参議院 参議院会議録情報 第037回国会 決算委員会 第4号
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1960/12/21 第37回国会 参議院

参議院会議録情報 第037回国会 決算委員会 第4号

#1
第037回国会 決算委員会 第4号
昭和三十五年十二月二十一日(水曜
日)
   午前十時二十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     佐藤 芳男君
   理事
           岡村文四郎君
           谷口 慶吉君
           矢嶋 三義君
   委員
           川上 為治君
           田中 清一君
           鳥畠徳次郎君
           仲原 善一君
           野上  進君
           谷村 貞治君
           小柳  勇君
           近藤 信一君
           武内 五郎君
           森中 守義君
           山田 節男君
  政府委員
   農林政務次官  井原 岸高君
   建設政務次官  田村  元君
        ―――――
   会計検査院長  山田 義見君
  説明員
   水産庁次長   高橋 泰彦君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○継続調査要求に関する件
○国家財政の経理及び国有財産の管理
 に関する調査
 (災害復旧費の支出に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤芳男君) これより決算委員会を開会いたします。
 国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を議題といたします。
 この際、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査については、会期中に調査を完了することは困難でございますので、本院規制第五十三条によりまして継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(佐藤芳男君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 なお要求書の作成は、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
#5
○委員長(佐藤芳男君) 災害復旧費の支出に関する件について、質疑の通告がございました。発言を許します。
#6
○近藤信一君 私は、昨年の伊勢湾台風における復旧問題、特に農林省関係の水産庁の方にまず最初に御質問を申し上げたいと思います。
 ちょうど昨年の九月二十六日には伊勢湾を襲いましたあの未曽有の台風がございました。このことはまあ地元である田村建設次官もよく御承知のことと思うのであります。あの台風で相当の被害を受けております特に愛知県、三重県、この両県にわたって大きな被害があったわけであります。その後いろいろと被害が大きかったので、特に臨時国会が開かれて、しかもこれが災害国会だと、こういうことで国会が召集されたのであります。国会が召集されましていろいろと災害に対する特別措置法ができまして、これによって今日復旧等、また改良復旧等が盛んに行なわれておるわけであります。しかしそこで私は、特に申し上げたいことは、これは田村さん三重県だから御承知のことと思うのですが、今月の二日の日に、十二月の二日の中部日本新聞に、特にこれは愛知県の名古屋の港漁業協同組合、ここの問題に端を発しまして何か不正がある。こういうことでいろいろと今愛知県の県警本部がいろいろとこれに対する調査を進めておるわけであります。こういうものに対しましては、やはり私ども国民の税金を扱っておる以上、また国民の税金というものはうまく使われておるかどうか、こういうことについては十分にわ回われも検討しなければならぬと思います。そこで、私はまず農林政務次官にお尋ねしたいことは、こういう特に大きな、あの中部日本新聞で四段抜きで報道しておるのですが、ああいうような事件を農林省として御承知であるかどうか。この点をまず質問に入る前にお尋ねを申し上げたいと思います。
#7
○政府委員(井原岸高君) 実は新聞を拝見してみましてまことに驚いたことでありますが、一応現在ただいまではそれぞれ係官をやりまして、その実態を調査しておる段階でございます。
#8
○近藤信一君 今係官を派遣していろいろと調査中だと、こういう御答弁でございますが、私は特に中部日本新聞にあの事件が出ましたので、愛知県庁の水産課等さらに地元の方々にいろいろとお聞きしまして、一体どういうふうな事情になっておるかということも一応調査いたしました。これによりますと、やはりこの名古屋の港漁業組合で当時の伊勢湾台風の高潮が一挙に押し寄せたので、この港漁業組合に加盟しておる組合員の船舶、特に小型動力船、それから無動力船、これがたくさん流失したり沈没したりまたいろいろ修理不能に陥った、こういうふうなことであの特別措置法による補助金の申請をしておるわけです。そこでこの補助金の申請を三十四年度分、三十五年度分、これはあとから私詳しく申し上げますが、ずっと出しましてすでに三十四年度分はこれをもらって建造をしておる、しかし、新しく建造いたしましたが、ここに問題があるわけです。いわゆる沈んだ、それからこわれたといって申請いたしましたが、その実は何か船がいろいろとあとから拾ってきたりなんかしている事実もあるわけです。そこでこういう事件が一般市民の大きな疑惑になっておるわけです。いわゆる幽霊船ということで、どこでもこれは台風の直後にしばしば今までも問題になりました、台風に便乗していろいろと国民の税金を使用する、こういうことが現に表面に現われている。そうしてこのことが地元でも問題になっている。ただ今度の港ばかりでなく、このことは愛知県の漁業組合を取り上げましても、三十三地区申請をしておるわけです。そこで港漁業組合の問題がまず表面に出ましたが、このことを私はずっと深く調査すれば、もっとたくさんなものが数字に上るのじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。そこで、今現地に係員を派遣して調査中だと言われましたけれども、一応県警で調査をずっと進めておるわけですね、そこで一応の外郭というものが水産庁に報告されておると思いますが、水産庁、その点どういうふうに受け取っておられますか。
#9
○説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。この事件の通報でございますが、これは十二月十九日に県より三十五年度の予算の概算払いを少し持ってもらいたいという要請がございました。で、その当日に県の係官よりその事件の概貌を知った次第でございます。その際の県係員の御説明によりますと、三十五年度の全体の予算の執行については、その後においていろいろな問題もあるし、現に事件も出ているようであるので再確認する措置をとっている。それは十二月十二日付で県知事より、各漁業協同組合長あてに被害の再確認をするような指令を出しているようでございますので、そういう事情にもあるのでしばらく概算払いを停止してもらいたいという申し出があったわけでございます。従いまして、私どもとしてはまだ全貌はつかんでおらないわけでございますが、ただいま県の方で事務的にそういうようなことを努力中と聞き及んでいますので、それを持っているような状況でございまして、現在のところ愛知県全般について同様の問題があるかどうかということにつきましては、今のところまだ確実な把握はいたしておらない次第でございます。
#10
○近藤信一君 ただいま高橋水産庁次長の御答弁で、三十五年度の概算払いをちょっと待ってもらいたい、こういう、三十五年度分ですね、これは。三十四年度分はすでに出ている。そこで私は、三十四年度分が出て、この三十四年度分は三十五年の三月十七日付にて、名古屋市港漁業協同組合組合長坂章司の名によって申請がなされている、この申請書を見ますると動力船が十七隻、それから無動力船が二十九隻、合計四十六隻が流出、沈没または修理不能となった。こういって申請をし、それからこれは特別措置法による国の再建の補助金である。こういうことで愛知県桑原知事に申請書を出したのであります。そこで愛知県では同月の二十三日に水産課がこれを受け付けまして、三十四年度分として補助金としては二百五万八千四百円を請求しているわけです。そこでこの全体の建造費総額は二百五十七万三千十円ですが、これはあの特別措置法では八割補助金を出す、こういうことになっているわけです。そこで問題は、あと二割の事業主体の負担分というものがあるわけです。この事業主体負担分が五十一万四千六百五十二円、こういうことに数字的にはなるわけです。しかしこれは表面上の数字であって、仏の調査をしたところによりますと、動力船五隻と無動力船四隻、これを建造しておりますけれども、その建造費は国の八割の補助金でほとんど全部の九隻の船が建造された、こういうふうに私は聞いているのです。そうしますと、事業主体の持ち出し分というものはなしで、国の補助金だけで新しく建造ができる。こういうことになっているわけですが、この点あなたの方は調査されたことはありますか。
#11
○説明員(高橋泰彦君) ます、ただいま御指摘の災害の事実の問題についてでございますが、これは御承知のように伊勢湾台風は三十四年の九月二十六日以降にあったわけでございますが、この災害についての知事さんからの確認報告が三十五年の三月二十一日にございます。従いまして三十四年度分の交付決定は三十五年の三月二十八日に行なっておる次第でございます。この事業はこの二年度にまたがる事業でございまして、なるべく早く回復したいという意図で、三十四年に重点は注ぎますが、しかし当時の状況で資材その他の不足を来たしておりますので、三十四年度だけでは完成できない地帯も相当ございましたので、従いまして予算の執行といたしましては、三十四年度分に大部分というふうに考えたわけですが、しかし三十五年度分にも残るということでございまするので、このただいま問題になっておりまする港漁業協同組合につきましては、三十五年度分も三十五年の八月二十九日に交付決定を一応いたしたわけでございます。しかしながら、いずれにいたしましても、災害のあった漁船の確認につきましては、三十五年の三月二十一日に確認がされたということでございます。で、その隻数の問題でございますが、私どもの受け取りました知事さんからの確認報告によりますと、この港漁業協同組合にありました船が動力船三十一隻、無動力船二十九隻あったうち、この共同利用に供する小型漁船の建造に関する特別措置法によって規定される、補助を要すべき対象となる漁船といたしましては、動力船十七隻、無動力船二十九隻、合計六十隻中の四十六隻というふうに知事さんから報告があったのでございます。従いまして私どもはこの被害報告をもとにいたしまして、三十四甲皮につきましては、動力船、無動力船合わせて九隻、三十五年度につきましては動力船と無動力船とを合わせて五隻、全部で十四隻の組合の共同利用の船を作るということで執行したわけでございますが、ただ三十五年度分につきましては、先ほど申し上げましたように概算払いの停止の申請がございましたので、ただいまその措置をとっているという段階でございます。
 なおただいま御指摘のこの損害に対する補助金の率の問題でございまするが、これはこの先ほど申し上げました、漁業者の共同利用に供する小型の漁船の建造に関する特別措置法によりますと、伊勢湾台風にかかわる「小型漁船の被告が著しい都道府県で政令で定めるものが、漁業協同組合の必要とする共同利用小型漁船建造費につき、当該漁業協同組合に対し、十分の八を下らない率による補助を」知事さんが「する場合には、国は、予算の範囲内において、当該都道府県に対し、その補助に要する経費(都道府県が十分の八をこえる率による補助を要する場合には、そのこえる部分の補助に要する経費を除いた経費)の全部を補助することができる。」ということでございますから、要約いたしますと、補助額は建造費の八割ということは御指摘の通りでございます。従いましてもし御指摘のようにこの八割に該当する額だけで、残りの二割の負担をしていないということでありますれば、この法律の趣旨並びに規定に反したことだと、このように考える次第でございます。
   〔委員長退席、理事岡村文四郎君着席〕
#12
○近藤信一君 今次官から御答弁がございましたが、やはりこれは三十四年度分のこの不正事件が表面に出たと、こういうことで愛知県の県庁では非常にあわ食って三十五年度分の仮払いを少し延期してもらいたい、こういうことだと私は思うのです。
 そこで私は続いて三十五年度分を、これはちようど今年の、日にちは七月二十五日に、やはり前の港漁業協組の組合長である坂組合長、これが愛知県の県庁に申請した、そして三十日付で水産裸が受け付けておるのです。三十五年度分にまたがっておりますので、三十五年度分は三十四年度分と比較すると少ないです。額といたしましては三十四年度分は百三十一万五千二百円、それからこの場合は動力船が三隻と無動力船が二隻、合計で五隻建造すると、こういうことになっておるのです。
 そこで私今高橋次長の御答弁の中で、愛知県に港漁業協組が登録しておる船、これもちょっと疑問がある、これはあとから私詳しく申し上げますが、いろいろと昨年私どもが特別国会できめました三十四年度の風水害を受けた漁業者の共同利用の問題は、今、次長が言われましたように、三分の一を補助する、三分の一が沈没したり修理不能になった場合は対象になる、こういうことなんですね、特別措置法では。
 そこで船の隻数さらにトン数ということが周題になってくると思うのです。今御答弁されました補助対象の船全部で四十何隻か、愛知員で登録しておりまする港漁協組の船のあれは、動力船が三十一隻、これは今御答弁がございました数学でございますが、この三十一隻の中に、これは愛知県の水産課でもはっきりと言っておりますが、他の地区の漁協組の船が登録されておるのです。これは熱田漁業組合の動力船が五隻、名前ははっきりと私言ってもかまいまませんが、時間の都合で名前だけ省いておきますが、熱田漁業協向組合の動力船が五隻、それからこの三十一隻のうちの五隻と、あともう一隻が、これもよその漁業協組の、これは中川区の下之一色漁業協同組合の船が一隻、それとあと二十五隻ですね、二十五隻以上ということに特別措置法ではなっているのです。ところが残りました二十五隻の中に六・六三トンという船が一つ含まれる。特別措置法には五トン以下という船になっておりますが、残った、実際の港漁業組合の登録しておる二十五隻の中に、一隻六・三トンの船が含まれておりますから、実際の数字は二十四隻ということになるわけです。そうすると、小型動力船を二十五隻以上持っていなければ対象にならぬということになると、二十四隻でございますから一隻不足しているわけです。これはやはり適用条件にかなっていない、こういうように私解釈するのですが、この点はいかがですか。
#13
○説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。この小型漁船を補助の対象にするわけでございますが、この小型漁船の定義は政令に譲られてございまして、その政令によりますと、「法第二項第一号の政令で定める小型漁船は、無動力漁船及び総トン数五トン未満の動力漁船とする。」こういう規定があるわけでございますが、御指摘のような助力船については御指摘の通りだと思いまするが、この組合が二十五隻以上の被官がなければならないという基準のこの場合の小型漁船につきましては、政令によりますと無動力船を含むことと相なっております。従いまして、ただいま御指摘の動力船のほかに被害を受けた無動力船を合計いたしますと、先ほど御説明いたしましたように、全体として四十六隻の被告ということに相なりまするので、その点はいわゆる被害を受けた漁業協同組合という認定をするのに差しつかえがないのじゃないか、というふうに考えておる次第でございます。
#14
○近藤信一君 私の解釈がちょっと間違っておったようです。このことは別といたしまして、政令では動力船、それから無動力船、これに区別なくどちらの船てもよろしい、動力があってもなくても五トン以下の小型漁船ならばいい、こういう解釈ですね。
 そこで私どもが、最もこの事件は悪質だと思う点は、この船が、一応私どもの考え方からいっても、わっと高潮できたときには、水は高いけれどもその船がそこでこっぱみじんになるというふうにあまり解釈したくないのです。そこでこれは今までの例でもそうでございますが、特にああいうときには一応船なんかでも準備しているのです。流れても船というものはまたどこかに着いているわけなんです。それはあとで拾ってくることもできるわけです。今度の事件はそこに問題があると思うのです。流失した、沈没した、または修理不能だ、こういって国に申請をして補助金を取って新しく建造をした。ところが調査をしますると、沈没したり流失したはずの船がよそに売られている、こういう事実が出てきたのです。この中で私が調べたところによると、二件ほど現在わかっているわけなんですが、この三・八五トンの第二おだやか丸、これははなはだ穏やかならぬことだと思うのでありますが、第二おだやか丸という船、これは所有者が奥村道麿という、この人が持っておった船なんです。これが今日、港区の某塗装業者が買い取って現にこれを就航さしている、使用している、こういう事実があるわけなんです。もう一つは、三・五トンの本山丸、これは所有者は本山清太郎という人が持っているわけであります。これは愛知県の知多郡横須賀町の某に売り渡されている。特にこのほかにこわれたはずの船があっちこっち知多郡の横須賀あたりに隠匿してある、こういうことがうわさに上がっているわけなんであります。こういうことが事実としたならば私ははなはだゆゆしき問題だとこう思うのですが、あなた方はこの点どういうふうに考えておられますか、この点お尋ねいたします。
#15
○説明員(高橋泰彦君) お答えいたします。この種の災害につきましては、災害前の状況をまず確認することが、私どもの仕事の最初のスタートの問題でございます。で、漁船につきましては、動力船と一トン以上の無動力船につきましては、漁船登録法によりまして登録を行なっております。従いまして無動力船一トン以上と、動力船については大体これも全く完全だというわけには参らないわけですが、しかしながらこの登録を基礎といたしましてほぼ災害前の原状の確認ができるものというふうに私ども考えておる次第でございます。ただ問題は、登録制度をとっておらない一トン未満の無動力船が問題ございます。それでこれは登録法の当初におきましては、これも実は登録の対象としておったのでございまするが、問題は、無動力船でもありますし、漁民から見まして非常に手数かかかるということで、法律の改正が国会でなされまして、現在は無動力船の登録制度はとっておりませんが、しかのこういう災害になりますと、その点はやや不安心でございますが、しかし登録制度が廃止されましても前の登録の原簿が残っておりまするので、それを基礎にしてその後における建造なり、漁船の取得ということを追跡いたしまして、一応一トン未満の無動力船につきましてもまず原状の確認をいたす基礎にいたしておるわけでございます。そういうような事態のもとにおきまして、御指摘のような災害がございますと、これは御指摘のように、災害の確認ということが想像
 以上に困難をきわめるわけでございます。確かに御指摘のようにその後、船のことでございますから流れついたものの、所有者がずっとあとでわかったような事態もございます。従いまして、私ども数字を見ておりますと、当初県知事からの被害報告は相当多いの
 でございますけれども、ただいま御指摘のような事情がございましてだんだんだんだん正確になってくるという事情でございまして、私どもの最後の確認としては、あるいはちょっとおそ過ぎるじゃないかというお叱りを受けるかもわかりませんが、一応伊勢湾台風
 の漁船についての最終的な確認は、実は相当あとの三十五年の三月でございますから約半年かかったわけでございます。従いまして半年間の、ただいま御指摘のような漁船の問題についてはまずまず府県も確認したであろうということで、それを信じて私どもの作業
 にかかったわけでございます。もちろん半年ではあるいは短か過ぎるというお叱りがあるかと思いますが、一方、補助金も何とかして早くやりまして早く復興に努めたいという私どもの事情もございまして、そこら辺はおそいか早いかの問題はあるかと思いますが、
 一応半年後の時点で確認を行なったということでございます。そのようにかなりこの仕事は、そういう意味で技術的に困難があるということを御参考までに申し上げた次第でございます。
 なお、ただいま御指摘になりました、よそに被害があったと称せられる船が売られた事実が二件ほどあるということでございます。これはもちろん沈没した船ではなくて、かなり大破した船だというふうに推定いたすわけでございまするが、まず法律の方並びに政令を御説明いたしますと、補助の対象となる船は沈没、滅失、その他原形に復旧することが著しく困難または不適当な損壊を受けたものに限る、こうございます。一番私ども作業をして参りましてむずかしい問題は、最後の規定の、いわゆる修理費が建造費よりも上回る場合の船が大破――通常私どもは大破という名前をつけておりますが、かなり大きな痛手をこうむった船で修理費が建造費を上回る場合もございます。私どもとしては一応政令の段階では、これは被害を受けた小型漁船に含めた次第でございます。しかしながら、この大破の船が、今まで私どもも漁船保険その他で経験したことがございまするが、いわゆる修理費が新造費を上回るような場合には、一応全額保険金を支払います。しかしながらその支払いを受けた船がまだ残存価値がある場合には、往々その個人がこの船を売り飛ばす場合がないではございません。従いましてこのケースもおそらくまだ十分県の方の連絡は受けておりませんが、ただいまの件につきましては、ただいまの段階で推定いたしますと、おそらく大破の認定を受けた船が、その船の所有者個人がまだ売る価値があるというふうに見て、それを売ったケースというふうに推定いたしておる次第でございます。
 なお、この補助金がこの個人の漁船の復興を認めるという場合ですと、これは御指摘のように相当の……今のような一通りな説明をもってしても、なおかつ、こう割り切れない感じが若干私どもとしても受ける次第でございまするが、この小型漁船に関する法律の趣旨は、この船は漁業協同組合に作らすわけでございます。従ってその船がその損害を受けた個人の建造を認めるわけてはございません。しかもこれは相当御非難をいただいたのでございますが、全体の被害を受けた小型漁船の三そうに対してわずか一隻の割合しか補助金を渡す道が開かれていないわけでございまして、あとの二隻については補助金のような措置はとらないわけでございます。この事情はとても個人個人では当時の資材の状況、被害の状況からいいまして、漁船の復旧がむずかしい場合は、漁業協同組合が組合員にかわって、組合自身が三隻のうちの一隻たけ作って、組合が所有して組合員に共同で所有させる、こういう趣旨でございますので、あるいは組合員が持っておる大破の認定を受けた船を売り飛ばすことがあったかと思いまけすれども、法の趣旨は組合に対して――組合員でございませんで、組合に対して三隻沈没または大破したうちの一隻だけ補助金を出す、こういう趣旨に相なっておりますので、この趣旨から見ましても、もしそのようなことがありましても――もちろんこの実態をもう少し糾明する必要がありますが、単に組合員が売ったというだけで、すぐはなはだ妥当を欠くものであったかどうかということになりますと、必ずしもそうではないのじゃないだろうかというような考えを私どもとしては持っておるような次第でございます。
#16
○政府委員(井原岸高君) 近藤会員の御発言、相当やはり確証を持たれてのことだと存じますので、いろいろ事務当局としては意見もございますけれども、われわれといたしましては十二分に事実を糾明いたしまして、もしあやまちがございますればそれなりの処分をいたしたい、たとえば補助の返還等を命ずるようにいたしたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
#17
○近藤信一君 今、政務次官からいろいろと適切な御答弁がございましたが、今、次長の御答弁を開きますると、やはりこの個人に補助を出すものでない、これは私もよくわかっておるのです。そしてその場合に大破して原形復旧が困難な場合と、こういうことを申されましたが、私はやはり原形復旧が困難な船が現にりっぱに運航しておる。こんなことあり得ないと思う。これは愛知県の県警でも写真までとってそして調査に乗り出しておるわけなんです。そこで個人が対象にならなくても、その個人がその漁業協同組合の隻数の中にこれが含まれるわけなんですね。補助の対象になっている。何隻持っていてその何分の一が大破した場合、流された場合この対象になってくるのです。個人の船であっても漁業組合の調査の場合には対象になっているわけなんです。従ってそういうのがたくさんあるということになると、対象から除外されなきゃならぬということが結論として私は出てくるんじゃないかと思う、その漁業組合としては。だから補助は漁業組合が対象であるが、個人の所有であってもその漁業組合の中に入ってこれが数えられるわけでございますから、そういうのが多ければこれは除外される、こういうふうに私は思うのですがね。このことは今、政務次官から、そういうことがあればあとで善処したいとこう言っておられますが、これは私了解します。
 そこで会計検査院長にお尋ねいたしまするが、私どもは本院におきましても、今までこういう問題いろいろとございまして、また会計検査院からも指摘されまして、本委員会でいろいろとこういう問題について私ども討議したことがある。そこでかつて十三号台風で山口県でもこれと同じような問題があったのです。これは船の大きさが違いまするけれども、やはり台風に便乗して船を沈めて新しい船を作った。それが検査院から指摘されました。私ども参考人を呼んでそしてここでいろいろと議論したことがあるので、あの場合にはたしか私は全部国の方にその補助金を返還さした、こういう処置をとられたというふうに当時私は聞いておったのですが、こういう私が今申し上げましたような事件が現地でも起こってきた場合言、検査院のお考えはどのように考えておられますか。
#18
○会計検査院長(山田義見君) 伊勢湾台風の調査は、その前にああいう大きな災害がありましたときは早期検査ということをやっておりました。一応建設省なり農林省なりの査定が済みますと、また実際に復旧に従事する前に、あとになるとなかなか返還という問題等にもむずかしい点がございますから、そういう補助金を渡すということが決定いたしますと、すぐ検査院が一応査定をいたしております。これは四、五年前からそういうことは始めたわけでありますが、同じような伊勢湾台風の場合にも一般的には早期検査をいたしました。しかし漁船関係はその早期検査をいたしておりません。三十四年度分についても実施検査はいたしませんでしたが、三十五年中に三十四年度分の精算が確定すると思いますから、そのときに実地検査をやるつもりでおります。
 その前に、問題は農林省でありますが、農林省の方でいろいろ御調査になりまして善後策を講じられると思いますが、最後に残りまして、今言ったようなことが残っておりますならば、私は調査いたした場合には、おそらく不当事項として指摘されることになると思います。そうなりますと、国庫の補助金は返還を要するということに相なると思います。まだ調査いたしておりませんから、実際どうなっておるかということは、こちらはまだわかっておりません。
#19
○近藤信一君 今、会計検査院長から御答弁がございましたが、これはあとになってからはなかなか困難だということは従来もいいろいろとやったことがあるのですが、そこで私は、会計検査院といたしまして、こういう問題が表面に出てきた場合、額の多少にかかわらず、これは国損を及ぼすわけなんだから、こういうことを未然に防止するためにも、会計検査院といたしましては、現地で現地調査ということを十分一つやる必要があるのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、その点いかがでしょう。
#20
○会計検査院長(山田義見君) お説の通りでありまして、こういうことがありますれば、新聞等にも詳しく出ているようでありますが、まず、三十五年度の、前年度の調査といたしまして、なるべく早い機会に調査に参らなければならぬと思っております。
#21
○近藤信一君 そこで私は、結論といたしまして、若干の希望意見を申し上げて水産庁関係を終わりたいと思うのですが、愛知県だけでも三十三漁業組合あるのです。これは全部申請しておるものです。これが三重県から静岡県へ続いて相当広範に及ぼしてくると思うのです。これを一々厳重に調査するということは困難かもしれませんが、多少にかかわらずこういう問題があとから起こってくると、これは世間の疑惑というものも私は非常に大きいのじゃないか、何だ、台風があれば、その台風に便乗して漁業組合がもうけておる、一般の言い方はこうだ、もうけておるまた何か会社なんかきて、補償問題、これまた漁業者の連中は補償金の問題でこれはもうけておる。そうすると農村の、特にこれは漁村と農村と一緒になっておるのですが、なかなかうるさい問題があるのです。だからそういうことが一般的にあまり表面化してこないように、あなたの方でも一つこの点を十分現地に人を派遣して、そうして御調査なすって適切な処刑を早めに講ずる、こういうことが私は必要じゃないかと思うのですが、そういう点を一つ十分御考慮していただいて適切な処置をとっていたぎたい、かように私は希望するものであります。
 以上で水産庁の方は私は一応終わります。
#22
○森中守義君 関連して。おそらく質問の中にあったかと思いますけれども、水産庁の場合には、申請が出た場合書面審理だけで補助金を出すのですか。取り扱いはどうなんですか。
#23
○説明員(高橋泰彦君) この災害関係の補助金を出す場合の取り扱い、特に調査の点に関しての取り扱いはどうなっておるかということでございますが、なるべく現地に行きまして実態を把握した上で補助金を出す方針でやっております。しかしながら、広範な災害の場合にはなかなか全部の現場に参りましても、全都の仕事について最終的なところまで何とか行って確めるということはしたいのでございますけれども、できない場合がございますので結果として書面審査になる場合もございます。なるべくそうしないつもりでおりまするが、予算その他の関係で事実上書面審査でやる場合もございます。
#24
○森中守義君 よくわかりましたけれども、建前としてはどうなんです。要するに書面審査だけでよろしいのか、あるいは現地まで出かけなければならぬのか、元来の建前はどうなんですか。
#25
○説明員(高橋泰彦君) やはり建前は現地の調査をして確認してやるのが建前だと思います。特に公共事業その他になりますと、これは被害額の査定だけではなしに、どのような格好で原形に復旧するかどうかということに相なりますと、設計その他の段階に入って、現地に相当長くおりまして調査をするのが建前でございます。
#26
○森中守義君 実は私も一、二回そういう経験がありまして、これは明らかに現地を見た上で補助金の決定をすると、これが建前であることは知っております。そこでこの場合伊勢湾台風というまさに一大不祥事の中に起きた事件ではあります。しかし事情としてはよくわかりますけれども、船四十六隻ということになっておるようてすね。だからこれは推定、推理、推測によらなくとも、知事が船何ばいこうなったのだと言ってくれば、これは物理的に可能であったと思うのです。その物理的に可能なことを、しかも建前は現地に行って調査しなければならないということになっておるのにおやりになっていない。可能なことを、しかも推理、推測、推定によって結論を出さなくとも、できることをしなかったということは、水産庁は私は責められても仕方がなかろうと思う。これが第一の問題です。
 それから知事の報告はどうなっておりますか。要するに補助金を出されて、新聞によれば四百何十万ということになっておるようです。この補助金を執行した結末の報告はきておりますか。
#27
○説明員(高橋泰彦君) この災害の知事さんの確認した報告が三十五年の三月二十一日にきております。私どもはその知事さんから入りました確認報告に基づいて補助金を配分した次第でございまするが、その確認報告が違っておるということでただいま問題になったようでございます。
 なお先ほどこの確認の方法の技術的な問題について若干御説明いたしましたが、もっと確実にやらなければならないという点については御指摘の通りだと、こう思います。
#28
○森中守義君 これ一問で終わります。もう一つ聞いておきたいのですが、農林省関係、ことに水産庁関係の補助金というのは相当莫大な額です。これは建前は調査をしなければならないということになっているのに書面審査をやる。従って、書面審査と現場における実情とはかなり食い違ったものがあると私は思う。しかるに、この一事が証明しておるように、単に書面審査だけに終わっていたので不正事件が発生をした。従って、その他にたくさん申請が上がっておるのに、書面審査だけで終わった数と、現場まで見て確認をして補助金を出した比率はどの程度ですか。それが第一問。
 それからもう一つは、十二月二日の中部日本新聞によりますと、愛知の県警本部並びに検察序が合同で、いわゆる補助金適正化法に違反をしている疑いをもって刑事事件としてこの問題に手を入れております。こういう事実は御存じですが。そうしてまたこの種問題が刑事事件として具体的に表に出た場合、農林省は、建前を実行しないためにこういう事件が起きたという責任をどうとりますか。これ二つちょっと聞かして下さい。
#29
○説明員(高橋泰彦君) 最初のこの比率の問題でございますが、今確たる比率を申し上げることができませんが、ただ、まあ大まかな数字で御了承いただきたいに思いますが、公共事業費を含めまして補助金の査定をする場合には、実地の調査をするものの方が多いというふうに御了承願いたいと思います。
 それから、この件についてはどうかということでございますが、これは組合の数も非常に多かったために、なおまた漁船だけの被害ではありませず、養殖施設、これはノリひび、カキの養殖いかだその他の被害が相当ございまして、そちらの方の調査はいたしたわけでございますが、漁船につきましては一応知事の現地の査定を見まして、ほかの組合の私どもの実地調査の結果も参酌いたしまして、このただいま問題になりました港漁業協同組合につきましての漁船のこの問題につきましては、実地調査をいたさなかったわけでございます。
 それから次の御指摘の問題は、刑事事件になっていることを知っているかということでございまするが、これは最近、十九日でございまするが、県係官の連絡によりましてこのような問題があるということ、従って三十五年度の概算払いは停止してもらいたいということ、県において目下漁業協同組合を相手に再確認の通達を出し調査もしているので、概算払いはしばらく停止してもらいたいという連絡の際に、このような事件があるということを十九日に了知いたしましたわけでございます。
#30
○理事(岡村文四郎君) では本日はこれをもって発言はないものとして打ち切りまして、本会議がございまするので散会いたします。
   午前十一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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